(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】管状炭化水素カラムで使用される鋼管のためのスタビングガイド装置
(51)【国際特許分類】
E21B 17/04 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
E21B17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024540695
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2022087844
(87)【国際公開番号】W WO2023131563
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロディ,アラステア ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンネツェル,マキシム
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB01
2D129BA05
2D129EA21
(57)【要約】
石油、ガス、エネルギー、または貯蔵用途のための管状カラムに使用される鋼管(10)の部分(12)に固定されるように設計された、鋼管(10)のためのスタビングガイド装置(30)に関する。該装置(30)は、
・ 第1の鋼管(10)の部分(12)を取り囲むように設計された、回転軸(A1)に沿って延在する実質的に円筒形の本体(32)であって、本体(32)は、開リングを形成し、これにより、本体(32)の2つの自由端部(33a、33b)の間に周方向隙間(J1)が存在するようになる、本体(32)と、
・ 本体(32)の2つの自由端部(33a、33b)の一方において本体(32)に取り外し不能に固定されたロックドア(34)であって、ロックドア(34)は、ロックドアが本体(32)に向けて回転し、第1の管(10)を取り囲むロック位置と、本体(32)の下端部(35)に向けて、回転軸(A1)に沿ってロックドア(34)が摺動する中間位置と、ロックドア(34)が本体(32)から半径方向に離れるように回転するロック解除位置との間で、本体(32)に対して移動可能である、ロックドア(34)と、
を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油、ガス、エネルギー、または貯蔵用途のための管状カラムに使用される鋼管(10)の部分(12)に固定されるように設計された、鋼管(10)のためのスタビングガイド装置(30)であって、
第1の鋼管(10)の部分(12)を取り囲むように設計された、回転軸(A1)に沿って延在する実質的に円筒形の本体(32)であって、前記本体(32)は、開リングを形成し、これにより、前記本体(32)の2つの自由端部(33a、33b)の間に周方向隙間(J1)が存在するようになる、本体(32)と、
前記本体(32)の2つの前記自由端部(33a、33b)の一方において前記本体(32)に取り外し不能に固定されたロックドア(34)であって、前記ロックドア(34)が前記第1の鋼管(10)を取り囲むロック位置と、前記ロックドア(34)が前記本体(32)の下端部(35)に向けて、前記回転軸(A1)に沿って摺動することができる中間位置と、前記ロックドア(34)が前記本体(32)から半径方向に離れるように回転することができるロック解除位置との間で、前記本体(32)に対して移動するように構成された、ロックドア(34)と、
を備え、
前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方は、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の他方に接続された少なくとも1つの長手方向シャフト(45)と協働するヒンジ(38a)を備え、前記ロックドア(34)は、前記中間位置から前記ロック解除位置まで前記長手方向シャフト(45)に沿って回転するように構成される、
スタビングガイド装置(30)。
【請求項2】
前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方は、第1の長手方向溝(38)を有し、前記長手方向シャフト(45)は、前記第1の長手方向溝(38)内に摺動可能に取り付けられる、請求項1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項3】
前記ロックドア(34)または前記本体(32)の一方は、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の一方から、前記本体(32)または前記ロックドア(34)の他方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの固定パッド(48、49)をさらに備え、前記固定パッド(48、49)は、前記ロックドアが前記中間位置にあるときに、一方の前記本体(32)または他方の前記ロックドア(34)に設けられた第2の長手方向溝(39)内に摺動可能に取り付けられる、請求項1または2に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項4】
前記本体(32)および前記ロックドア(34)の各々は、前記第1の鋼管(10)に固定されたときに前記第1の鋼管の前記部分(12)の上端部(12b)が軸方向に当接するように構成された肩部(32b、40b)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項5】
前記ロックドア(34)は、前記ロック位置において前記周方向隙間(J1)に嵌め込まれて2つの接線方向側面(41a、41b)によって周方向に区切られた角度が付けられたセグメントを形成する細長い本体(40)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項6】
前記長手方向シャフト(45)は、前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッド(46、47)によって、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の他方に接続される、請求項1~5のいずれか1項に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項7】
前記第1の長手方向溝(38)の長さは、前記長手方向シャフト(45)の長さよりも大きく、これにより、前記長手方向シャフトは、前記第1の長手方向溝(38)内を前記ロック位置から前記中間位置まで摺動することができる、請求項1~6のいずれか1項と組み合わされた請求項2に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項8】
前記固定パッド(48、49)は、前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)または前記本体(32)の前記自由端部(33b)の一方に接続され、前記接線方向側面(41b)または前記自由端部(33b)の一方から、前記本体(32)の前記自由端部(33b)または前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)の他方に向けて周方向に延在する、請求項4または5と組み合わされた請求項3または5に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項9】
前記固定パッド(48、49)は、一方の前記本体(32)の前記自由端部(33b)または他方の前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)に設けられた前記第2の長手方向溝(39)内に摺動可能に取り付けられ、前記第2の長手方向溝(39)には、一方の前記本体(32)の前記自由端部(33b)または他方の前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)に開口する少なくとも1つの切り欠き部(39a、39b)が設けられ、前記少なくとも1つの切り欠き部の長さは、前記固定パッド(48、49)の長さよりも大きく、これにより、前記固定パッド(48、49)は、前記第2の長手方向溝(39)内を前記ロック位置から前記中間位置まで摺動するように構成され、前記固定パッド(48、49)が前記切り欠き部(39a、39b)に対向するときに、前記中間位置において、前記ロックドア(34)は、前記中間位置から前記ロック解除位置まで前記本体(32)から離れるように回転するように構成される、請求項8に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項10】
前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)は、円筒形の内面(40a)によって半径方向内向きに区切られ、前記肩部(40b)を有し、円筒形の外面(41)によって半径方向外向きにさらに区切られ、2つの前記接線方向側面(41a、41b)によって周方向に区切られている、請求項5~9のいずれか1項と組み合わされた請求項4または5に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項11】
前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)は、下端部(42)および上端部(43)によって軸方向にさらに区切られ、前記上端部(43)は、内側テーパ面(44)によって前記肩部(40b)に接続され、前記本体(32)は、前記本体(32)の下端部(35)および上端部(36)によって軸方向に区切られ、前記本体(32)の前記上端部(36)は、内側テーパ面(37)によって前記肩部(32b)に接続される、請求項6~8のいずれか1項と組み合わされた請求項4または5に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項12】
前記本体(32)および前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の各々は、同じ直径を有する円筒形の内面(32a、40a)によって半径方向内向きに区切られている、請求項4~9のいずれか1項と組み合わされた請求項5に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項13】
管状炭化水素カラム、好ましくは仕上げ管として使用されるように意図された第1の鋼管(10)である鋼管(10)であって、前記第1の鋼管は、ピン部と、別の第2の鋼管(20)のピン部を受容するように構成されたボックス部(12)と、前記第1の鋼管(10)に固定された、請求項1~12のいずれか1項に記載のスタビングガイド装置(30)と、を含む、鋼管(10)。
【請求項14】
管状炭化水素カラム(1)であって、第1のピン部および第1のボックス部(12)を含む第1の鋼管(10)と、前記第1の鋼管(10)の前記第1のボックス部(12)にねじ込まれるように構成された第2のピン部(22)および第2のボックス部を含む第2の鋼管(20)と、前記第1の鋼管(10)の前記第1のボックス部(12)に固定されるように取り付けられた、請求項1~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのスタビングガイド装置(30)と、を備え、前記第1の鋼管(10)、前記第2の鋼管(20)、および前記スタビングガイド装置(30)は、取り付けられたときに回転軸(A1)に沿って同軸に配置される、管状炭化水素カラム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素井、地熱、炭素捕捉の作業など、石油、ガス、エネルギー、または貯蔵用途のための管状カラムに使用されるように意図された金属管のための装置の技術分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、第2の管の雄ねじ部を第1の管の雌ねじ部に取り付けるためのスタビングガイド装置に関する。
【0003】
また、本発明は、そのようなスタビングガイド装置を具備する金属管に関する。
【背景技術】
【0004】
管状炭化水素カラムまたは作業ストリングは、一般に、互いに取り付けられた複数の管から構成される。より具体的には、炭化水素井または同様の坑井用の管状炭化水素カラムは、一般に、チュービングストリングと複数のケーシングストリングを備える。チュービングストリングは、ケーシングストリング内に収容された複数の仕上げ管から構成される。ケーシングストリングは、坑井の掘削孔内に配置された複数のケーシング管から構成される。ケーシング管は、仕上げ管の直径断面よりも大きい直径断面を有し、仕上げ管を取り囲む。ケーシングストリングの下部では、ケーシング管は、ライナー管とも呼ばれる。
【0005】
ケーシングストリングは、掘削、生産、および/またはワークオーバー作業中に、孔の安定性を維持し、水砂の汚染を防ぎ、坑井の圧力を制御するために必要である。
【0006】
ケーシング管および仕上げ管は、鋼から形成され、標準ケーシングおよびチュービングのためのAPI標準仕様5CTまたは5CRAに従って製造されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、鋼の鋼種は、L80、P110またはQ125規格のうちの1つである。
【0007】
ストリングの2つの管は、ねじ継手または接続部によって取り付けられてもよい。第1の管を第2の管に接続するための典型的なねじ継手は、ピン端とも呼ばれる、第1の管の周方向外面に形成された雄ねじ部と、ボックス端とも呼ばれる、第2の管の周方向内面に形成された雌ねじ部を含んでもよい。これらのねじ部は、第1の管を第2の管に取り付けて、ねじ継手を形成するように協働する。
【0008】
別の既知のタイプのねじ継手は、第1の管と第2の管とを取り付けるための継手ボックスを含んでもよい。第1の管および第2の管の各々は、その両端に、ピン端とも呼ばれる、周方向外面に形成された雄ねじ部を有するパイプを含む。第1の管は、内側孔を有する継手ボックスを含む。継手ボックスには、孔の内周に形成された雌ねじ部が設けられる。継手ボックスは、一般に、鋼製パイプの一方の端部に、その端部の雄ねじ部と継手ボックスの雌ねじ部とによって、予め接続される。この配置により、第1の管は、ピン端とも呼ばれる雄ねじ部と、雌ねじ部を有する継手ボックス部とを有する。第2の管は、第2の管の雄ねじ部と、継手ボックスの雌ねじ部とによって、第1の管に取り付けられてもよい。
【0009】
このようなねじ付き管状接続部は、例えば、軸方向張力、軸方向圧縮、内圧曲げ力、ねじり力など、強度が変化したり方向が変わったりする場合がある様々な応力の組み合わせにさらされる。そのため、ねじ付き管状接続部は、一般に、これらの応力に対応し、破断に耐え、気密性を提供するように設計される。
【0010】
そのため、管のストリングの堅固さは、一般に、ねじ付き接続部または継手を形成する部品または部分に摩耗がないことに依存する。したがって、雄ねじ部と雌ねじ部とを有する管のねじ部を保護するための装置が提案されてきた。
【0011】
現場での作業では、管を坑井に設置する前に保護装置を取り外す必要がある。坑井に管を設置する前の最後の段階で保護装置を取り外すことが好ましい。そのため、管から保護装置を回して抜く必要がある。これらの作業は特に時間がかかり、管の管理もする必要がある作業者には特に注意を必要とする。このように、既知の保護装置を使用すると、カラムの設置プロセスがより複雑になり、カラムの設置中に管の脆弱な点が保護されなくなる。
【0012】
さらに、第2の管の雄ねじ部を第1の管の雌ねじ部に取り付ける際には、一般に、スタビングガイドが使用される。このようなスタビングガイドは、第2の管の雄ねじ端部を第1の管の雌ねじ端部に挿入する前に作業者によって位置決めされ、その後、第2の管を第1の管にねじ込む前に取り外される。このような作業は、カラムの設置作業時間を長くする。
【0013】
また、既知のスタビングガイドは、パイプが持ち上げられ、掘削フロア上の所定の位置に配置された後、掘削フロア上のパイプの雌ねじ端部に取り付けられる。このようなスタビングガイドの設置は、特に危険な領域である掘削フロア上での作業者の露出を増加させる。
【0014】
そのため、「クリティカルパスアクティビティ」とも呼ばれるカラムの設置時間を短縮し、掘削フロアでの作業者の露出を減らす必要がある。
【0015】
実際、現在のクリティカルパスアクティビティは、管1つあたり約200秒であり、リグの1日のレンタル料が高いことを考えると、高価な設置作業につながるといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上述した欠点を克服することである。
【0017】
特に、本発明の目的は、掘削現場、特に掘削フロアでのステップを削減することを目的とした安全上の問題に対処しつつ、管の端部の整列をより容易且つ迅速に行うことを可能にするスタビングガイドを提供することである。
【0018】
そのため、本発明によるスタビングガイドは、管が空中に持ち上げられて、管を互いにねじ込むために回転させるための「回転テーブル」と呼ばれる掘削フロア上に搬入される前に、掘削フロアの外側に位置する「ヴィードア」(vee door)と呼ばれる領域上に予め設置されるように意図されている。
【0019】
また、本発明の目的は、ねじ継手を形成するように意図された管の継手ボックス部の、管の設置プロセス中の保護を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、石油、ガス、エネルギー、または貯蔵用途のための管状カラムに使用される鋼管の部分に固定されるように設計された、鋼管のためのスタビングガイド装置を提供する。該装置は、
・ 第1の鋼管の部分を取り囲むように設計された、回転軸に沿って延在する実質的に円筒形の本体であって、本体は、本体の2つの自由端部の間に周方向隙間が存在するように開リングを形成する、本体と、
・ 円筒形本体の2つの自由端部の一方において本体に取り外し不能に固定されたロックドアであって、ロックドアは、ロックドアが第1の管を取り囲むロック位置と、ロックドアが本体の下端部に向けて、回転軸に沿って摺動することができる中間位置と、ロックドアが本体から半径方向に離れるように回転することができるロック解除位置との間で、本体に対して移動可能である、ロックドアと、
を備える。
【0021】
そのため、ロックドアは、連続した2つの動きに沿って、すなわちロック位置から中間位置まで回転軸に沿ってロックドアを摺動させるための、ロックドアの第1の並進運動と、中間位置からロック解除位置まで、本体から離れるようにロックドアを回転させるための、ロックドアの第2の回転運動とに沿って、本体に対して移動可能である。
【0022】
本体およびロックドアは、一方が他方に対して移動可能でありながら、分離できないように構成される。そのため、本体およびロックドアは、一体設計となっている。
【0023】
本体またはロックドアの一方は、ロックドアまたは本体の他方に接続された少なくとも1つの長手方向シャフトと協働するヒンジを備える。ロックドアは、中間位置からロック解除位置まで長手方向シャフトに沿って回転するように構成される。
【0024】
一実施形態において、本体またはロックドアの一方は、第1の長手方向溝を有する。長手方向シャフトは、その第1の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられる。
【0025】
一実施形態において、ロックドアまたは円筒形本体の一方は、ロックドアまたは円筒形本体の一方から円筒形本体またはロックドアの他方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの固定パッドをさらに備える。固定パッドは、ロックドアが中間位置にあるときに、一方の本体または他方のロックドアに設けられた第2の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられる。
【0026】
スタビングガイド装置は、管が空中に持ち上げられて、管を互いにねじ込むために回転させるための「回転テーブル」と呼ばれる掘削フロア上に搬入される前に、掘削フロアの外側に位置する「ヴィードア」と呼ばれる領域に予め設置されてもよい。これにより、掘削現場におけるステップを削減することができる。
【0027】
ヒンジにより、本体またはロックドアの一方を、ロックドアまたは本体の他方に向けて移動または摺動させることができ、または持ち上げることができる。ヒンジは、閉位置においてロックされ、開位置においてロック解除される。
【0028】
一実施形態において、ロックドアは、少なくとも1つの長手方向シャフトを備える。
【0029】
別の実施形態において、円筒形本体は、少なくとも1つの長手方向シャフトを備える。
【0030】
有利には、本体およびロックドアの各々は、端部、すなわち管に固定されたときに第1の管の部分である上端部が軸方向に当接するように構成された肩部を備える。
【0031】
このように、第1の管に固定されたときのスタビングガイド装置の落下を防止することができる。
【0032】
さらに、ロックドアの回転は、ドアが本体の下端部に向けて下向きに摺動された後にのみ発生し得るので、スタビングガイド装置が第1の管に取り付けられているときに、第1の管の上端部に当接する肩部によってドアが自己ブロックされることにより、ロックドアの回転が防止される。
【0033】
一実施形態において、ロックドアは、ロック位置において周方向隙間に嵌め込まれて2つの自由端部または側面によって周方向に区切られた角度が付けられたセグメントを形成する細長い本体を備える。
【0034】
有利には、長手方向シャフトは、第1の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられ、本体またはロックドアの一方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッドによって、ロックドアまたは本体の他方に接続される。
【0035】
例えば、少なくとも1つの長手方向シャフトは、本体(例えば一方の自由端部)に設けられた第1の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられ、ロックドアから本体(例えば一方のその自由端部)に向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッドによって、ロックドア(例えば細長い本体の一方の側面)に接続される。第1の溝には、シャフトを本体に固定するためのヒンジが設けられる。
【0036】
例えば、長手方向シャフトは、2つの接続パッドによって、ロックドア、例えば細長い本体に接続される。
【0037】
別の実施形態において、円筒形本体は、ロックドア上に設けられた第1の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられた少なくとも1つの長手方向シャフトを備える。少なくとも1つの長手方向シャフトは、円筒形本体からロックドアに向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッドによって、円筒形本体に接続される。第1の溝には、シャフトを本体に固定するためのヒンジが設けられる。
【0038】
別の実施形態において、円筒形本体の一方の自由端部は、ロックドアの本体の一方の接線方向側面に設けられた第1の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられた少なくとも1つの長手方向シャフトを備える。少なくとも1つの長手方向シャフトは、自由端部からロックドアの本体の一方の接線方向側面に向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッドによって、本体の一方の自由端部に接続される。第1の溝には、シャフトを本体に固定するためのヒンジが設けられる。
【0039】
換言すると、ロックドアまたは円筒形本体の一方は、長手方向シャフトを備えてもよく、第1の溝は、円筒形本体またはロックドアの他方に設けられてもよい。
【0040】
有利には、第1の長手方向溝の長さは、シャフトの長さよりも大きい。これにより、シャフトは、溝内をロック位置から中間位置まで摺動することができる。
【0041】
有利には、ロックドアまたは円筒形本体の一方は、細長い本体の接線方向側面または周方向本体の自由端部の一方に接続された少なくとも1つの固定パッドをさらに備える。少なくとも1つの固定パッドは、接線方向側面または自由端部の一方から、本体の自由端部またはロックドアの細長い本体の接線方向側面の他方に向けて周方向に延在する。
【0042】
例えば、固定パッドは、一方の本体の自由端部または他方のロックドアの細長い本体の接線方向側面に設けられた第2の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられる。第2の長手方向溝には、一方の本体の自由端部または他方のロックドアの細長い本体の接線方向側面に開口する少なくとも1つの切り欠き部が設けられる。少なくとも1つの切り欠き部の長さは、固定パッドの長さよりも大きい。これにより、固定パッドは、第2の溝内をロック位置から中間位置まで摺動するように構成される。また、固定パッドが切り欠き部に対向するときに、中間位置において、ロックドアは、中間位置からロック解除位置まで本体から離れるように回転するように構成される。
【0043】
一実施形態において、ロックドアは、他方の細長い本体の接線方向側面に接続された少なくとも1つの固定パッドを備える。少なくとも1つの固定パッドは、接線方向側面から他方の本体の自由端部に向けて周方向に延在する。
【0044】
例えば、一実施形態において、固定パッドは、他方の本体の自由端部に設けられた第2の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられる。また、第2の長手方向溝には、他方の自由端部に開口する少なくとも1つの切り欠き部が設けられる。少なくとも1つの切り欠き部の長さは、固定パッドの長さよりも大きい。これにより、固定パッドが切り欠き部に対向するときに、中間位置において、ロックドアは、中間位置からロック解除位置まで本体から離れるように回転されてもよい。
【0045】
例えば、細長い本体には、中間位置において第2の溝の切り欠き部にそれぞれ対向する2つの固定パッドが設けられる。
【0046】
別の実施形態において、円筒形本体は、他方の周方向本体の自由端部に接続された少なくとも1つの固定パッドを備える。少なくとも1つの固定パッドは、自由端部から他方のロックドアの細長い本体の接線方向側面に向けて周方向に延在する。
【0047】
例えば、この別の実施形態において、固定パッドは、他方のロックドアの細長い本体の接線方向側面に設けられた第2の長手方向溝内に摺動可能に取り付けられる。また、第2の長手方向溝には、他方の接線方向側面に開口する少なくとも1つの切り欠き部が設けられる。少なくとも1つの切り欠き部の長さは、固定パッドの長さよりも大きい。これにより、固定パッドが切り欠き部に対向するときに、中間位置において、ロックドアは、中間位置からロック解除位置まで本体から離れるように回転されてもよい。
【0048】
固定パッドの機能は、ロックドアの回転を防止およびロックすることである。
【0049】
ロックドアの細長い本体は、円筒形の内面によって半径方向内向きに区切られ、肩部を有し、円筒形の外面によって半径方向外向きにさらに区切られ、2つの接線方向側面によって周方向に区切られてもよい。
【0050】
例えば、ロックドアの細長い本体は、下端部および上端部によって軸方向にさらに区切られ、上端部は、内側テーパ面によって肩部に接続される。例えば、本体は、下端部および上端部によって軸方向に区切られ、上端部は、内側テーパ面によって肩部に接続される。
【0051】
テーパ面は、例えば、ロックドアの細長い本体のテーパ面の角度と同じ角度を有する。
【0052】
内側テーパ面は、第2の仕上げ管のためのスタビングガイドとして機能する。例えば、各内側テーパ面は、本体の周方向外面の長手方向軸に対して30°~60°の範囲の角度、例えば45°の角度を形成する。
【0053】
一実施形態において、本体およびロックドアの細長い本体の各々は、同じ直径を有する円筒形の内面によって半径方向内向きに区切られている。
【0054】
例えば、スタビングガイド装置は、本体の内側テーパ面を覆う一時的な保護閉鎖部を備えてもよい。保護閉鎖部は、輸送中に管のねじ山を保護することを目的とする。
【0055】
一実施形態において、スタビングガイド装置は、一工程プロセスによる付加製造法を用いてプラスチック材料から作製されてもよい。これにより、製造コストを削減することができる。あるいは、スタビングガイド装置は、任意の他の材料から作製されてもよい。
【0056】
別の態様によれば、本発明は、管状炭化水素カラム、好ましくは仕上げ管として使用されるように意図された鋼管に関する。鋼管は、ピン部と、別の第2の鋼管のピン部を受容するように構成されたボックス部と、第1の鋼管に固定された上述した装置と、を含む。
【0057】
別の態様によれば、本発明は、管状炭化水素カラムに関する。管状炭化水素カラムは、第1のピン部および第1のボックス部を含む第1の鋼管と、第1のボックス部にねじ込まれるように構成された第2のピン部および第2のボックス部を含む第2の鋼管と、第1の管の第1のボックス部に固定されるように取り付けられた上述した少なくとも1つのスタビングガイド装置と、を備える。第1の鋼管、第2の鋼管、およびスタビングガイドは、取り付けられたときに回転軸に沿って同軸に配置される。
【0058】
例えば、スタビングガイド装置の長さは、第1の管と第2の管との結合長さよりも小さいが、結合長さの半分よりも大きい。スタビングガイド装置のこのような長さにより、装置は、振動が発生しても所定の位置に維持されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明およびその利点は、添付の図面を参照して非限定的に例示された特定の実施形態に関する以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態によるスタビングガイド装置を有する管状炭化水素カラムを示す図である。
【
図2】ロック位置にある、第1の管に取り付けられた
図1のスタビングガイド装置の斜視図である。
【
図5】中間位置にある、
図2の装置の斜視図である。
【
図6】ロック解除位置にある、
図2の装置の斜視図である。
【
図7】
図2の装置を有する管の設置ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の説明において、「長手方向」、「横方向」、「縦方向」、「前」、「後ろ」、「左」、および「右」という用語は、図に示すような一般的な直行基準枠に従って定義されている。これらは、以下を含む。
・ 長手方向軸X:水平で、正面から見て左から右に延在する。
・ 横軸Y:長手方向軸Xに対して垂直で、正面から見て後方から前方に延在する。
・ 回転軸Z:図上では縦方向で、長手方向軸Xおよび横軸Yに直交する。
【0061】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲において、「外側」または「内側」、ならびに「軸方向」および「半径方向」という用語は、スタビングガイド装置または管の要素を指定するために本明細書に記載の定義に従って使用される。縦軸Zが「軸方向」を決定する。「半径方向」は、縦軸Zに直交する方向である。「周方向」の向きは、回転軸Zに対して直交し、半径方向に対して直交する方向、すなわち、直交する方向に向けられる。「外側」および「内側」という用語は、回転軸Zを基準として、ある構成要素の向きまたは他の構成要素に対する相対的な位置を定義するために使用される。縦軸Zから半径方向に離れて配置された外側または外部の構成要素とは対照的に、軸Zに近いまたはそれに対向する構成要素は内側または内部の構成要素と呼ばれる。
【0062】
図1は、第1の管10と、第1の管10に取り付けられた第2の管20と、第1の管10に固定されたスタビングガイド装置30と、を有する管状炭化水素カラム1の一部の一般的な構造を示す。
【0063】
第1の管10は、実質的に円筒形であり、ピン部とも呼ばれる第1の下端部(図示せず)を備え、第1の下端部の周方向外面に設けられた雄ねじ山(図示せず)を有する。第1の管10は、第1の下端部とは反対側のボックス部とも呼ばれる第2の上端部12をさらに備え、ボックス部の周方向内面に設けられた雌ねじ山12aを有する。
【0064】
第1の管10の第1の下端部の雄ねじ部は、下部管(図示せず)の雌ねじ部と協働するように設計され、第1の管10の雌ねじ部12は、上部管20、すなわち第2の管の雄ねじ部22の雄ねじ山22aと協働するように設計される。
【0065】
スタビングガイド装置30は、第1の管10の第2の上端部12の周囲に取り付けられる。代替的に、第1の管は、実質的に円筒形のスリーブを形成する継手ボックスであってもよい。スリーブは、周方向内面に設けられた内側雄ねじ山を有し、下部管(図示せず)の雄ねじ山および後続の上部管20の雄ねじ山と協働するように設計される。
【0066】
第1の管10、第2の管20、およびスタビングガイド装置30は、取り付けられたときに回転軸A1に沿って同軸に配置される。
【0067】
図2~
図6には、スタビングガイド装置30が詳細に示されている。スタビングガイド装置30は、上述したように、縦軸Zに平行な回転軸A1に沿って延在する。このように、スタビングガイド装置30は、リグでの作業の前に、仕上げ管のような第1の管10に取り付けられ、第1の管10への後続の第2の管20の挿入をガイドするように設計される。
【0068】
スタビングガイド装置30は、第1の鋼管10の部分12を取り囲むように設計された、回転軸A1に沿って延在する実質的に円筒形の本体32を備える。
【0069】
スタビングガイド装置30は、本体32に取り外し不能に固定されたロックドア34をさらに備える。ロックドア34は、ロックドア34が本体32に向けて回転して第1の管10を取り囲む、
図2に示すロック位置と、ドア34が本体32から離れるように回転される、
図6に示すロック解除位置との間で、本体32に対して移動可能である。
【0070】
本体32およびロックドア34は、一方を他方に対して移動可能でありながら、分離できないように構成される。そのため、本体32およびロックドア34は、一体設計となっている。
【0071】
後述するように、ロックドア34は、連続した2つの動きに沿って、すなわち
図5に示すロック位置から中間位置まで回転軸A1に沿ってロックドア34を摺動させるための、ロックドア34の第1の並進運動と、中間位置からロック解除位置まで、本体32から離れるようにロックドアを回転させるための、ロックドア34の第2の回転運動とに沿って、本体32に対して移動可能である。
【0072】
本体32は、第1の管10の外径と実質的に等しい第1の直径ID1を有する円筒形の内面32aによって半径方向内向きに区切られている。円筒形の内面32aには、第1の直径ID1よりも小さい第2の直径ID2を有する肩部32bが設けられる。肩部32bは、第1の管10に取り付けられたときに第1の管10の雌ねじ部12の自由上端部12bに当接するように設計される。このように、第1の管10に取り付けられたときのスタビングガイド装置30の落下を防止することができる。
【0073】
本体32は、円筒形の外面33によって半径方向外向きにさらに区切られ、2つの接線方向自由端33a、33bによって周方向に区切られている。
【0074】
図3に示すように、本体32の半径方向断面は、角度α1を中心とする円弧を形成する。角度α1は、本体32の半径方向断面の接線方向自由端33a、33bが周方向隙間J1だけ周方向に離間するように選択される。角度α1は、180°超であり、好ましくは200°超であり、例えば200°~350°の範囲内であり、例えば250°~300°の範囲内である。
【0075】
換言すると、本体32は、周方向隙間J1が本体32の2つの自由端部33a、33b間に存在するように、開リングを形成する。
【0076】
本体32の円筒形の表面33の外径ODは、比較的小さい。これにより、既存のハンドリング装置やリフト装置と干渉しないようになっている。
【0077】
本体32は、第1の管10のボックス部12を取り囲むように設計される。しかしながら、本体32は、管のどの部分に取り付けられてもよい。
【0078】
本体32は、下端部35および上端部36によって軸方向にさらに区切られている。上端部36は、内側テーパ面37によって肩部32bに接続される。内側テーパ面37は、第2の仕上げ管20のためのスタビングガイドとして機能する。例えば、内側テーパ面37は、本体32の周方向外面33の長手方向軸A1に対して30°~60°の範囲内の角度、例えば45°の角度を形成する。
【0079】
代替的に、装置30は、本体32の内側テーパ面37を覆う一時的な保護閉鎖部(図示せず)を備える。保護閉鎖部は、輸送中に管のねじ山を保護することを目的とする。
【0080】
本体32の長さは、第1の管10と第2の管20との結合長さよりも小さいが、結合長さの半分よりも大きい。スタビングガイド装置30のこのような長さにより、装置は、振動が発生しても所定の位置に維持されることができる。
【0081】
図に示すように、ロックドア34は、周方向隙間J1の近傍において本体32に固定される。
【0082】
ロックドア34は、ロック位置において周方向隙間J1に嵌め込まれて角度が付けられたセグメントを形成する細長い本体40を備える。
【0083】
図3に示すように、ロックドア34の細長い本体40の半径方向断面は、角度α2を中心とする円弧を形成する。角度α2は、ロック位置において、装置30の半径方向断面が円形になるように選択される。
【0084】
細長い本体40は、肩部40bが設けられた円筒形の内面40aによって半径方向内向きに区切られている。肩部40bは、第1の管10に取り付けられたときに、第1の管10の雌ねじ部12の、ここでは上端部である自由端部に当接するように設計される。このように、第1の管10に取り付けられたときにロックドア34がロック位置からロック解除位置に移動することを防止することができる。
【0085】
細長い本体40は、円筒形の外面41によって半径方向外向きにさらに区切られ、2つの接線方向自由端または側面41a、41bによって周方向に区切られている。
【0086】
細長い本体40は、下端部42および上端部43によって軸方向にさらに区切られている。上端部43は、内側テーパ面44によって肩部40bに接続される。内側テーパ面44は、第2の仕上げ管20のためのスタビングガイドとして機能する。例えば、内側テーパ面44は、本体32のテーパ面37の角度と同じ角度を形成する。
【0087】
ロックドア34は、長手方向シャフト45をさらに備える。長手方向シャフト45は、自由端部41aから本体32の一方の自由端部33aに向けて周方向に延在する周方向の接続パッド46、47によって、一方の自由端部41aに接続される。代替的に、長手方向シャフト45は、単一の周方向の接続パッドによって一方の接線方向自由端部41aに接続されてもよい。
【0088】
長手方向シャフト45は、本体32の一方の自由端部33aに設けられた第1の長手方向溝38内に摺動可能に取り付けられる。
【0089】
長手方向溝38の長さは、シャフト45の長さよりも大きい。これにより、シャフトは、溝38内をロック位置から中間位置まで摺動することができる。また、溝38には、シャフト45を本体32に固定するためのヒンジ38aが設けられる。
【0090】
ロックドア34は、他方の自由端部41bに接続された2つの固定パッド48、49をさらに備える。2つの固定パッド48、49は、自由端部から本体32の他方の自由端部33bに向けて周方向に延在する。代替的に、ロックドア34は、単一の固定パッドを備えてもよい。
【0091】
固定パッド48、49の各々は、本体32の他方の自由端部33bに設けられた第2の長手方向溝39内に摺動可能に取り付けられる。
【0092】
本発明は、このような構成に限定されるものではなく、シャフト45を円筒形本体32に設け、第1の長手方向溝38をロックドア34に設けてることも可能である。
【0093】
また、固定パッド48、49を円筒形本体32に設け、第2の長手方向溝39をロックドア34の一方の接線方向自由端部41a、41bに設けることも可能である。
【0094】
第2の長手方向溝39の長さは、固定パッド48、49の長さよりも大きい。これにより、固定パッド48、49は、溝39内をロック位置から中間位置まで摺動してもよい。
【0095】
溝39には、自由端部33bに開口する2つの切り欠き39a、39bが設けられる。2つの切り欠き39a、39bの長さは、固定パッド48、49の長さよりも大きい。これにより、固定パッド48、49がそれぞれ切り欠き39a、39bの1つに対向するときに、中間位置において、ロックドア34は、中間位置からロック解除位置まで本体32から離れるように回転されてもよい。
【0096】
このように、スタビングガイド装置30は、ロックドア34を備える。ロックドア34は、ロックドア34が本体32に向けて回転して第1の管10を取り囲む、
図1~
図4および
図7に示すロック位置と、ロックドア34が本体32の下端部35まで下向きに摺動して、ドア34の固定パッド48、49が本体の切り欠き部39a、39bに対向する、
図5に示す中間位置と、ロックドア34が本体32から半径方向に離れるように回転される、
図6に示すロック解除位置との間で、本体32に対して移動可能に取り付けられる。ロックドア34は、ロック位置において、本体32の周方向隙間J1を減少させるように構成される。
【0097】
ロックドア34の回転は、ドアが本体32の下端部35に向けて下向きに摺動された後にのみ発生し得る。そのため、スタビングガイド装置30が第1の管10に取り付けられているときに、第1の管10の上端部12bに当接する肩部40bによってドアが自己ブロックされることにより、ロックドア34の回転が防止される。また、重力により、ロックドア34が本体32の下端部35に向けて下向きに摺動することが防止される。
【0098】
スタビングガイド装置30は、一工程プロセスによる付加製造法を用いてプラスチック材料から作製されてもよい。これにより、製造コストを削減することができる。
【0099】
スタビングガイド装置30は、例えば本体32の外面上の溝内に配置された無線周波数識別チップ(RFIDチップ)(図示せず)をさらに含んでもよい。チップは、管および/またはねじ部の寸法などのデータを含んでもよい。チップにより、そのようなデータを決定するために管から装置を取り外す必要がない。
【0100】
また、スタビングガイド装置30は、管10のボックス部12および/または掘削流体もしくはセメントに及ぼされる圧力、ならびにボックス部および/または掘削流体もしくはセメントの温度を監視するために、圧力センサや温度センサなどのセンサ(図示せず)を含んでもよい。
【0101】
図7に示すように、仕上げ管10は、リフト装置40を用いて矢印F1に従ってリグに設置するために持ち上げられる前の、その製造直後に、スタビングガイド装置30’を具備している。
【0102】
最初の仕上げ管10がリグフロア上に設置された後、ステップAにおいて、装置30を具備する後続の仕上げ管20が持ち上げられる。
【0103】
重力により、ロックドア34が本体32の下端部35に向けて下向きに摺動することが防止され、その結果、ロック解除位置まで回転することが防止される。
【0104】
ステップBにおいて、後続の仕上げ管20が矢印F2に従ってリグフロア上に設置され、その下部が装置30によってガイドされる。これにより、後続の仕上げ管20の雄ねじ部22が第1の管10のボックス部12に挿入される。
【0105】
後続の仕上げ管20が第1の管10に刺し込まれると、スタビングガイド装置30’は、上方に持ち上げられることによって取り外されてもよい。これにより、ロックドア34が本体32の下端部35に向けて下向きに摺動することができ、ロック解除位置においてロックドア34の回転が可能になる。このようにして、スタビングガイド装置30’は、別の後続の仕上げ管に取り付けられてもよい。
【0106】
そのため、リグフロア上で同時に使用されるスタビングガイド装置30の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0107】
このように、スタビングガイド装置30、30’は、追加の工具を必要とすることなく、後続の仕上げ管のためのスタビングガイドとして機能する。第1および第2の管は、管状炭化水素カラムで使用するように意図された金属管である。
【0108】
スタビングガイド装置30、30’は、管10の輸送中および保管中に、管10の箱部12を完全に保護することができ、したがって、保護装置とみなすことができる。
【0109】
スタビングガイド装置は、管が空中に持ち上げられて、管を互いにねじ込むために回転させるための「回転テーブル」と呼ばれる掘削フロア上に搬入される前に、掘削フロアの外側に位置する「ヴィードア」と呼ばれる領域に予め設置される。これにより、掘削現場におけるステップを削減することができる。
【0110】
本発明による装置30は、管のボックス部を保護し、第2の管の雄ねじ部を第1の管の雌ねじ部に挿入するのをガイドするように構成された多目的工具である。このように、この装置には、2つの機能がある。
【0111】
さらに、本発明による装置により、対応する管に固定するための工具が不要であるため、管のクリティカルパスアクティビティまたは設置時間が大幅に低減され、例えば約3秒から5秒短縮され、設置作業の大幅なコスト削減につながる。したがって、この装置は、ケーシングストリング内または掘削孔内における管の設置プロセスを容易にする。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油、ガス、エネルギー、または貯蔵用途のための管状カラムに使用される鋼管(10)の部分(12)に固定されるように設計された、鋼管(10)のためのスタビングガイド装置(30)であって、
第1の鋼管(10)の部分(12)を取り囲むように設計された、回転軸(A1)に沿って延在する実質的に円筒形の本体(32)であって、前記本体(32)は、開リングを形成し、これにより、前記本体(32)の2つの自由端部(33a、33b)の間に周方向隙間(J1)が存在するようになる、本体(32)と、
前記本体(32)の2つの前記自由端部(33a、33b)の一方において前記本体(32)に取り外し不能に固定されたロックドア(34)であって、
前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方は、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の他方に接続された少なくとも1つの長手方向シャフト(45)と協働するヒンジ(38a)を備え、前記ロックドア(34)は、
・ 前記ロックドア(34)が前記第1の鋼管(10)を取り囲
み、前記長手方向シャフト(45)を中心とした回転がブロックされるロック位置
であって、前記ロックドア(34)は、前記ロック位置において、前記本体(32)の下端部(35)に向けて、前記回転軸(A1)に沿って中間位置まで摺動することができる、ロック位置と、
・ 前記ロックドア(34)が
前記第1の鋼管(10)を取り囲み、前記本体(32)から半径方向に離れるように回転することができる、前記中間位置と、
・ 前記ロックドア(34)が前記本体(32)から半径方向に離れ
ているロック解除位置
であって、前記ロックドア(34)は、前記中間位置から前記ロック解除位置まで前記長手方向シャフト(45)に沿って回転するように構成される、ロック解除位置と
、
の間で、前記本体(32)に対して移動するように構成された、ロックドア(34)と、
を備え
る、
スタビングガイド装置(30)。
【請求項2】
前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方は、第1の長手方向溝(38)を有し、前記長手方向シャフト(45)は、前記第1の長手方向溝(38)内に摺動可能に取り付けられる、請求項1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項3】
前記ロックドア(34)または前記本体(32)の一方は、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の一方から、前記本体(32)または前記ロックドア(34)の他方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの固定パッド(48、49)をさらに備え、前記固定パッド(48、49)は、前記ロックドアが前記中間位置にあるときに、一方の前記本体(32)または他方の前記ロックドア(34)に設けられた第2の長手方向溝(39)内に摺動可能に取り付けられる、請求項
1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項4】
前記本体(32)および前記ロックドア(34)の各々は、前記第1の鋼管(10)に固定されたときに前記第1の鋼管の前記部分(12)の上端部(12b)が軸方向に当接するように構成された肩部(32b、40b)を備える、請求項
1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項5】
前記ロックドア(34)は、前記ロック位置において前記周方向隙間(J1)に嵌め込まれて2つの接線方向側面(41a、41b)によって周方向に区切られた角度が付けられたセグメントを形成する細長い本体(40)を備える、請求項
1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項6】
前記長手方向シャフト(45)は、前記本体(32)または前記ロックドア(34)の一方に向けて周方向に延在する少なくとも1つの周方向の接続パッド(46、47)によって、前記ロックドア(34)または前記本体(32)の他方に接続される、請求項
1に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項7】
前記第1の長手方向溝(38)の長さは、前記長手方向シャフト(45)の長さよりも大きく、これにより、前記長手方向シャフトは、前記第1の長手方向溝(38)内を前記ロック位置から前記中間位置まで摺動することができる
、請求項2に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項8】
前記固定パッド(48、49)は、前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)または前記本体(32)の前記自由端部(33b)の一方に接続され、前記接線方向側面(41b)または前記自由端部(33b)の一方から、前記本体(32)の前記自由端部(33b)または前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)の他方に向けて周方向に延在する
、請求項
3に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項9】
前記固定パッド(48、49)は、一方の前記本体(32)の前記自由端部(33b)または他方の前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)に設けられた前記第2の長手方向溝(39)内に摺動可能に取り付けられ、前記第2の長手方向溝(39)には、一方の前記本体(32)の前記自由端部(33b)または他方の前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の前記接線方向側面(41b)に開口する少なくとも1つの切り欠き部(39a、39b)が設けられ、前記少なくとも1つの切り欠き部の長さは、前記固定パッド(48、49)の長さよりも大きく、これにより、前記固定パッド(48、49)は、前記第2の長手方向溝(39)内を前記ロック位置から前記中間位置まで摺動するように構成され、前記固定パッド(48、49)が前記切り欠き部(39a、39b)に対向するときに、前記中間位置において、前記ロックドア(34)は、前記中間位置から前記ロック解除位置まで前記本体(32)から離れるように回転するように構成される、請求項8に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項10】
前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)は、円筒形の内面(40a)によって半径方向内向きに区切られ、前記肩部(40b)を有し、円筒形の外面(41)によって半径方向外向きにさらに区切られ、2つの前記接線方向側面(41a、41b)によって周方向に区切られている
、請求項
4に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項11】
前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)は、下端部(42)および上端部(43)によって軸方向にさらに区切られ、前記上端部(43)は、内側テーパ面(44)によって前記肩部(40b)に接続され、前記本体(32)は、前記本体(32)の下端部(35)および上端部(36)によって軸方向に区切られ、前記本体(32)の前記上端部(36)は、内側テーパ面(37)によって前記肩部(32b)に接続される
、請求項
4に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項12】
前記本体(32)および前記ロックドア(34)の前記細長い本体(40)の各々は、同じ直径を有する円筒形の内面(32a、40a)によって半径方向内向きに区切られている
、請求項5に記載のスタビングガイド装置(30)。
【請求項13】
管状炭化水素カラム、好ましくは仕上げ管として使用されるように意図された第1の鋼管(10)である鋼管(10)であって、前記第1の鋼管は、ピン部と、別の第2の鋼管(20)のピン部を受容するように構成されたボックス部(12)と、前記第1の鋼管(10)に固定された、請求項1~12のいずれか1項に記載のスタビングガイド装置(30)と、を含む、鋼管(10)。
【請求項14】
管状炭化水素カラム(1)であって、第1のピン部および第1のボックス部(12)を含む第1の鋼管(10)と、前記第1の鋼管(10)の前記第1のボックス部(12)にねじ込まれるように構成された第2のピン部(22)および第2のボックス部を含む第2の鋼管(20)と、前記第1の鋼管(10)の前記第1のボックス部(12)に固定されるように取り付けられた、請求項1~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのスタビングガイド装置(30)と、を備え、前記第1の鋼管(10)、前記第2の鋼管(20)、および前記スタビングガイド装置(30)は、取り付けられたときに回転軸(A1)に沿って同軸に配置される、管状炭化水素カラム(1)。
【国際調査報告】