(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸を治療するための2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 417/06 20060101AFI20241226BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241226BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20241226BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20241226BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241226BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20241226BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241226BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C07D417/06 CSP
A61K31/496
C07D403/14
C07D417/14
A61K31/506
A61P25/20
A61K45/00
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540750
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2023050159
(87)【国際公開番号】W WO2023131638
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デルベック,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA05
4C084ZA59
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC82
4C086BC85
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA05
4C086ZA59
(57)【要約】
本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびきを、治療及び/又は予防する方法において使用するための、α2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)拮抗薬、特に、式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、式(I)
【化1】
〔式中、
Aは、それぞれN、O及びSから独立して選択される1個、2個又は3個の環ヘテロ原子を含んでいる5員不飽和ヘテロ環式環であり、ここで、該ヘテロ環式環は、置換されていないか、又は、該ヘテロ環式環は、1の置換基R
1で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、2の置換基R
1及びR
2で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、3の置換基R
1、R
2及びR
3で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、4の置換基R
1、R
2、R
3及びR
4で置換されており;
R
1は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-N-又はフェニル-N-であり、ここで、該ヘテロシクリル又はフェニルは、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ又は(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ又は(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキルであり;
R
4は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;
又は、R
1とR
2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個又は2個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する;
但し、Aは、1,2,3-オキサジアゾール-3-イウム-3-イルではない〕
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項2】
前記化合物が、式(Ia)
【化2】
で表される化合物である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項3】
環Aが、下記基
【化3】
〔ここで、
Zは、N、O又はSであり;及び、
*が付けられている原子は、親分子部分に結合している〕
のうちのいずれか1である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1又は2のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項4】
R
1が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-、フェニル-N-であるか、又は、下記基
【化4】
〔ここで、
*が付けられている原子は、親分子部分に結合しており;及び、
基(1’)~基(11’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシである〕
のうちのいずれか1である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1~3のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項5】
環Aが、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、置換されていないか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、1の置換基R
1で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、2の置換基R
1及びR
2で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、3の置換基R
1、R
2及びR
3で置換されており;
R
1は、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-であるか、又は、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;
又は、R
1とR
2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する;
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1~4のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項6】
環Aが、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、1の置換基R
1で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、2の置換基R
1及びR
2で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、3の置換基R
1、R
2及びR
3で置換されており;
R
1は、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、R
5R
6N-(C=O)-であるか、又は、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル又はオキソであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、(C
1-C
6)アルキルである;
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1~5のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項7】
環Aが、下記基
【化5】
のうちのいずれか1であり;
R
1は、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-であるか、又は、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;
又は、R
1とR
2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する;
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1~4のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項8】
環Aが、下記基
【化6】
のうちのいずれか1であり;
R
1は、R
5R
6N-(C=O)-であるか、又は、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)は、1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
3)アルキル又はオキソであり;
R
2は、(C
1-C
3)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
3)アルキルであり;
R
5は、(C
1-C
3)アルキルであり;及び、
R
6は、(C
1-C
3)アルキルである;
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項9】
前記化合物が、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2,5-ジオン、(S)-2-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、(S)-5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-メチルオキサゾール-4-カルボニトリル、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)アゼチジン-2-オン、(S)-3-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)オキサゾリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3,4,4-トリメチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-5-(メトキシメチル)チアゾール、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(4-(メトキシメチル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピペラジン、(S)-エチル 3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート、(S)-2-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)プロパン-2-オール、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-N-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)アセトアミド、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリミジン-2-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリミジン-4-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)チアゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、1-(4-(4-(((S)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3-メチルピロリジン-2-オン、(S)-2-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,3,4-チアジアゾール、(S)-3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-5-(メトキシメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]-ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-3-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)オキサゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-メチル-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド 塩酸塩、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-3-メチル-イソチアゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-ピペラジン-1-イル)-2-メチルチアゾール-5-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2,5-ジオン 塩酸塩、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)エタノン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N,N-ジメチル-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリジン-4-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン 二塩酸塩、(S)-3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)イソチアゾロ[4,5-b]ピリジン 塩酸塩、(S)-N-(2-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]-ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン 塩酸塩、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(3-メチル-1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(1-(6-メトキシピリジン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、又は、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(3-メチル-1-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジンである;
睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項10】
前記化合物が、
【化7】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項11】
前記化合物が、
【化8】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項12】
前記化合物が、
【化9】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項13】
前記化合物が、
【化10】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項14】
前記化合物が、
【化11】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項15】
前記化合物が、
【化12】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項16】
前記化合物が、
【化13】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項17】
前記化合物が、
【化14】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項18】
前記化合物が、
【化15】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項19】
前記化合物が、
【化16】
である、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項20】
前記睡眠関連呼吸障害が、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびきである、請求項1~19のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項21】
請求項1~19のいずれかに記載の使用のための、式(I)で表される1以上の化合物と1以上の他の活性化合物の組合せ。
【請求項22】
1以上の不活性で無毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて、請求項1~19のいずれかに記載の式(I)で表される少なくとも1の化合物を含んでいる、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための医薬組成物。
【請求項23】
1以上の不活性で無毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて、請求項21に記載の組合せを含んでいる、請求項1~19のいずれかに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項24】
睡眠関連呼吸障害を治療及び/又は予防する方法であって、治療上有効量の請求項1~19のいずれかに記載の少なくとも1の化合物、又は、不活性で無毒性の薬学的に許容される添加剤と組み合わせて請求項1~19のいずれかに記載の少なくとも1の化合物を含んでいる治療上有効量の医薬を、全身投与及び/又は局所投与することによる、前記方法。
【請求項25】
前記医薬が、ムスカリン受容体拮抗薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、利尿薬、
コルチコステロイドからなる群から選択される少なくとも1のさらなる活性化合物をさらに含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ムスカリン受容体拮抗薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、利尿薬、コルチコステロイドからなる群から選択される1以上のさらなる活性成分と組み合わせて、請求項1~19のいずれかで定義されている式(I)で表される化合物を含んでいる、医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠関連呼吸障害、好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびきを、治療及び/又は予防する方法において使用するための、α2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)拮抗薬、特に、式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、上気道の閉塞の反復エピソードを特徴とする睡眠関連呼吸障害である。息を吸い込むとき、上気道の開存性は2つの反対の力の相互作用によって確保される。上気道の筋系の拡張作用は、管腔を収縮させる負の管腔内圧を打ち消す。横隔膜と他の補助呼吸筋の能動的収縮は、気道に負圧を発生させ、呼吸の駆動力を構成する。上気道の安定性は、上気道の拡張筋の協調と収縮特性によって実質的に決定される。
【0003】
OSAにおける上気道虚脱は、いくつかの上気道拡張筋の活動が低下するため、睡眠開始時に起こり、その結果、解剖学的に脆弱な気道を開いた状態に維持することができないと考えられている。しかし、上気道の拡張筋の中で最も重要で、舌下神経に支配されているオトガイ舌筋を含むいくつかの上気道拡張筋は、呼吸刺激に反応して睡眠中の活動を増加させることができ、睡眠開始時のこれらの変化のいくつかに対抗する可能性がある。OSA患者は閉塞性無呼吸の頻度が高い睡眠相と比較して、膝舌筋活動が25~40%高値を示すにすぎない無呼吸自由区間を有することが観察された(Jordan AS, White DP, Lo YL et al., Airway dilator muscle activity and lung volume during stable breathing in obstructive sleep apnea. Sleep 2009, 32(3): 361-8)。ノルアドレナリンは、舌下神経運動ニューロン活動の最も強力な神経調節因子の1つである(Horner R.L. Neuromodulation of hypoglossal motoneurons during sleep. Respir Physiol Neurobiol 2008, 164 (1-2): 179-196)。ノルアドレナリン作動性駆動の低下は、上気道拡張筋活動の低下、特に、ゲニオグロッサス筋活動の低下をもたらす舌下運動ニューロン興奮性の睡眠依存性低下につながると考えられている。
【0004】
α2Cアドレナリン受容体は、中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンからのノルアドレナリンの放出を調節する。それらは、ノルアドレナリンのシナプス前フィードバック阻害に関与する自己受容体である(Hein L. et al, Two functionally distinct alpha2-adrenergic receptors regulate sympathetic neurotransmission Nature 1999, 402(6758): 181-184)。α2cアドレナリン受容体拮抗作用を介して舌下神経の運動ニューロンの活動が増加すると、上気道が安定化し、虚脱や閉塞から保護される。さらに、いびきは上気道の安定化の機序を介して抑制することができる。
【0005】
単純性いびきでは、上気道の閉塞はない。上気道の狭窄により、吸気と呼気の流速が増加する。これは弛緩した筋肉とともに、気流中の口やのどの軟部組織の粗動を引き起こす。このわずかな振動が典型的ないびき音を発生させる。
【0006】
閉塞性いびき(上気道抵抗症候群、重いいびき、低呼吸症候群)は、睡眠中の再発性の上気道の部分的閉塞によって起こる。その結果、気道抵抗が増大し、かなりの胸腔内圧変動を伴う呼吸仕事量が増大する。吸気中の負の胸腔内圧発生は、それによりOSAにおける完全な気道閉塞の結果として生じる値に達し得る。心臓、循環及び睡眠の質に対する病態生理学的影響は、閉塞性睡眠時無呼吸におけるものと同じである。病因はOSAと同じである可能性が高い。閉塞性いびきは、OSAの前駆症状となることが多い。(Hollandt J.H. et al., Upper airway resistance syndrome (UARS)-obstructive snoring. HNO 2000, 48(8): 628-634)。
【0007】
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、脳機能障害又は呼吸調節障害の結果として起こる。CSAの特徴は、睡眠中に呼吸の駆動が不足し、換気が不十分又は欠如し、ガス交換が損なわれる期間が繰り返されることである。CSAにはいくつかの症状がある。これらには、高地誘発性周期性呼吸、特発性CSA(ICSA)、麻薬誘発性中枢性無呼吸、肥満低換気症候群(OHS)、チェーン・ストークス呼吸(CSB)などがある。様々なタイプのCSAに関与する正確な誘発機序はかなり異なる可能性があるが、睡眠中の不安定な換気駆動は主要な基礎的特徴である(Eckert D.J. et al., Central sleep apnea: Pathophysiology and treatment. Chest 2007, 131(2): 595-607)。
【0008】
US 2018/0235934 A1は、舌下運動ニューロンの興奮性を促進するための薬剤を用いて閉塞性睡眠時無呼吸などの障害を治療する方法を記載している。舌下神経運動ニューロンの興奮性を促進する薬剤として、中枢性ノルアドレナリンニューロンの脱抑制剤及び/又は刺激剤が記載されている。いくつかの実施形態において、中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンの脱抑制剤は、ヨヒンビン又はα2-アドレナリン受容体サブタイプA(α-2A)拮抗薬又はα2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)拮抗薬のようなα2-アドレナリン受容体拮抗薬である。α2-アドレナリン受容体拮抗薬は、アチパメゾール、MK-912、RS-79948、RX821002、[3H]2-メトキシ-イダゾキサン及びJP-1302からなる群より選択される。
【0009】
α2Cアドレナリン受容体はG蛋白質共役型受容体ファミリーに属する。異なるα1アドレナリン受容体の他に、3つの異なるα2アドレナリン受容体サブタイプ(α2A、α2B、α2C)が存在する。これらは、シナプス又は血液を介して誘導される内因性カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)による刺激に際して、異なる組織におけるいくつかの多様な生理学的作用の媒介に関与する。α2アドレナリン受容体は、主に心血管系及び中枢神経系において重要な生理学的役割を果たしている。α2A-及びα2C-アドレナリン受容体は、中枢神経系におけるノルアドレナリンのシナプス前フィードバック阻害に関与する主要な自己受容体である。α2C-アドレナリン受容体におけるノルアドレナリンの効力と親和性は、α2A-アドレナリン受容体よりも高い。α2C-アドレナリン受容体は、低濃度の内因性ノルアドレナリンでノルアドレナリン放出を抑制するが、α2A-アドレナリン受容体は、高濃度の内因性ノルアドレナリン濃度でノラドレナリン放出を抑制する(Uys M.M. et al. Therapeutic Potential of Selectively Targeting the α2C-Adrenoceptor in Cognition, Depression, and Schizophrenia - New Developments and Future Perspective. Frontiers in Psychiatry 2017, Aug 14;8:144. doi: 10.3389/fpsyt.2017.00144. eCollection 2017)。
【0010】
α2-アドレナリン受容体サブタイプC(α-2C)拮抗薬としてのアリールピペラジン類並びにその製剤及びその使用は、WO 03/082866 A1から公知であり、この化合物は、ストレス、パーキンソン病、鬱病、統合失調症、注意欠陥多動性障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、トゥレット症候群、眼瞼痙攣又は他の局所性ジストニア、精神病を伴う側頭葉てんかん、薬物誘発性精神病、ハンチントン病、性ホルモンのレベルの変動によって引き起こされる障害、パニック障害、アルツハイマー病又は軽度の認知障害などの障害の治療に有用であることが開示されている。これらの化合物の睡眠関連呼吸障害、好ましくは、閉塞性及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびきの治療における使用について開示されているものはない。
【0011】
OSA患者に対する現在のゴールドスタンダード治療は持続的気道陽圧(CPAP)である。気流タービンのスプリントによって発生する陽圧気流圧は上気道を開き、咽頭虚脱の全ての潜在的原因を逆転させ、それにより低呼吸、無呼吸及び睡眠断片化を防止する。残念ながら、OSAの全ての患者の最大50%は、長期間CPAPに耐えられない(M. Kohler, D. Smith, V. Tippett et al., Thorax 2010 65(9):829-32: Predictors of long-term compliance with continuous positive airway pressure)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US 2018/0235934 A1
【特許文献2】WO 03/082866 A1
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Jordan AS, White DP, Lo YL et al., Airway dilator muscle activity and lung volume during stable breathing in obstructive sleep apnea. Sleep 2009, 32(3): 361-8
【非特許文献2】Horner R.L. Neuromodulation of hypoglossal motoneurons during sleep. Respir Physiol Neurobiol 2008, 164 (1-2): 179-196
【非特許文献3】Hein L. et al, Two functionally distinct alpha2-adrenergic receptors regulate sympathetic neurotransmission Nature 1999, 402(6758): 181-184
【非特許文献4】Hollandt J.H. et al., Upper airway resistance syndrome (UARS)-obstructive snoring. HNO 2000, 48(8): 628-634
【非特許文献5】Eckert D.J. et al., Central sleep apnea: Pathophysiology and treatment. Chest 2007, 131(2): 595-607
【非特許文献6】Uys M.M. et al. Therapeutic Potential of Selectively Targeting the α2C-Adrenoceptor in Cognition, Depression, and Schizophrenia - New Developments and Future Perspective. Frontiers in Psychiatry 2017, Aug 14;8:144. doi: 10.3389/fpsyt.2017.00144. eCollection 2017
【非特許文献7】M. Kohler, D. Smith, V. Tippett et al., Thorax 2010 65(9):829-32: Predictors of long-term compliance with continuous positive airway pressure
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、閉塞性睡眠時無呼吸のような睡眠関連呼吸障害の治療及び/又は予防のための有効な治療薬を見出す必要性が依然として存在する。従って、本発明の目的は、睡眠関連呼吸障害、例えば閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸及びいびきの処理及び/又は予防のための有効な処理薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、本発明の式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体は、上気道虚脱性を阻害し、従って、睡眠関連呼吸障害、好ましくは、閉塞性及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびきの治療及び/又は予防において使用するための医薬を製造するのに適していることが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、式(I)
【化1】
〔式中、
Aは、それぞれN、O及びSから独立して選択される1個、2個又は3個の環ヘテロ原子を含んでいる5員不飽和ヘテロ環式環であり、ここで、該ヘテロ環式環は、置換されていないか、又は、該ヘテロ環式環は、1の置換基R
1で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、2の置換基R
1及びR
2で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、3の置換基R
1、R
2及びR
3で置換されているか、又は、該ヘテロ環式環は、4の置換基R
1、R
2、R
3及びR
4で置換されており;
R
1は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-N-又はフェニル-N-であり、ここで、該ヘテロシクリル又はフェニルは、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ又は(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ又は(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキルであり;
R
4は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;
又は、R
1とR
2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個又は2個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する;
但し、Aは、1,2,3-オキサジアゾール-3-イウム-3-イルではない〕
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルに関する。
【0017】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、式Ia
【化2】
で表される化合物である。
【0018】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、下記基
【化3】
〔ここで、
Zは、N、O又はSであり;及び、
*が付けられている原子は、親分子部分に結合している〕
のうちのいずれか1である。
【0019】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、R
1は、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-、フェニル-N-であるか、又は、下記基
【化4】
〔ここで、
*が付けられている原子は、親分子部分に結合しており;及び、
基(1’)~基(11’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシである〕
のうちのいずれか1である。
【0020】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)は、置換されていないか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)は、1の置換基R1で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)は、2の置換基R1及びR2で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)は、3の置換基R1、R2及びR3で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)若しくは(22)は、4の置換基R1、R2、R3及びR4で置換されており;
R1は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C1-C6)アルキル-(C=O)-、R5R6N-、R5R6N-(C=O)-、R6(C=O)-R5N-、フェニル-N-、であるか、又は、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)、(10’)若しくは(11’)のうちのいずれか1であり、ここで、該フェニル又は基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)、(10’)若しくは(11’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C1-C6)アルコキシであり;
R2は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ又は(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキルであり;
R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ又は(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキルであり;
R4は、(C1-C6)アルキルであり;
R5は、H又は(C1-C6)アルキルであり;及び、
R6は、H又は(C1-C6)アルキルであり;
又は、R1とR2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個又は2個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する。
【0021】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、置換されていないか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、1の置換基R1で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、2の置換基R1及びR2で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、3の置換基R1、R2及びR3で置換されており;
R1は、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C1-C6)アルキル-(C=O)-、R5R6N-(C=O)-、R6(C=O)-R5N-であるか、又は、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C1-C6)アルコキシであり;
R2は、(C1-C6)アルキルであり;
R3は、(C1-C6)アルキルであり;
R5は、H又は(C1-C6)アルキルであり;及び、
R6は、H又は(C1-C6)アルキルであり;
又は、R1とR2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する。
【0022】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、1の置換基R1で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、2の置換基R1及びR2で置換されているか、又は、基(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(9)若しくは(10)は、3の置換基R1、R2及びR3で置換されており;
R1は、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、R5R6N-(C=O)-であるか、又は、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C1-C6)アルキル又はオキソであり;
R2は、(C1-C6)アルキルであり;
R3は、(C1-C6)アルキルであり;
R5は、(C1-C6)アルキルであり;及び、
R6は、(C1-C6)アルキルである。
【0023】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、下記基
【化5】
のうちのいずれか1であり;
R
1は、ヒドロキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ-(C=O)-、CN、(C
1-C
6)アルキル-(C=O)-、R
5R
6N-(C=O)-、R
6(C=O)-R
5N-であるか、又は、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(1’)、(2’)、(3’)、(4’)、(5’)、(6’)、(7’)、(8’)、(9’)若しくは(10’)は、1、2、3又は4の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、オキソ又はフェニル(C
1-C
6)アルコキシであり;
R
2は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
5は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;及び、
R
6は、H又は(C
1-C
6)アルキルであり;
又は、R
1とR
2は、それらが結合している環原子と一緒に、1個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、Nである)を含んでいる縮合6員不飽和ヘテロ環式環を形成する。
【0024】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、環Aは、下記基
【化6】
のうちのいずれか1であり;
R
1は、R
5R
6N-(C=O)-であるか、又は、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)のうちのいずれか1であり、ここで、基(2’)、(4’)、(5’)若しくは(9’)は、1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、その際、該置換基は、それぞれ独立して、(C
1-C
3)アルキル又はオキソであり;
R
2は、(C
1-C
3)アルキルであり;
R
3は、(C
1-C
3)アルキルであり;
R
5は、(C
1-C
3)アルキルであり;及び、
R
6は、(C
1-C
3)アルキルである。
【0025】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2,5-ジオン、(S)-2-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、(S)-5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-メチルオキサゾール-4-カルボニトリル、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)アゼチジン-2-オン、(S)-3-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)オキサゾリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3,4,4-トリメチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-5-(メトキシメチル)チアゾール、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(4-(メトキシメチル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピペラジン、(S)-エチル 3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート、(S)-2-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)プロパン-2-オール、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-N-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)アセトアミド、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリミジン-2-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリミジン-4-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)チアゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、1-(4-(4-(((S)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3-メチルピロリジン-2-オン、(S)-2-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,3,4-チアジアゾール、(S)-3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-5-(メトキシメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]-ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-3-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)オキサゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-メチル-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド 塩酸塩、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)イミダゾリジン-2-オン、(S)-1-(5-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-3-メチル-イソチアゾール-4-イル)ピロリジン-2-オン、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-ピペラジン-1-イル)-2-メチルチアゾール-5-イル)-3,3-ジメチルピロリジン-2,5-ジオン 塩酸塩、(S)-1-(4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル)エタノン、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N,N-ジメチル-1,2,5-チアジアゾール-3-カルボキサミド、(S)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-(ピリジン-4-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン 二塩酸塩、(S)-3-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ-[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)イソチアゾロ[4,5-b]ピリジン 塩酸塩、(S)-N-(2-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]-ジオキシン-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-1,2,5-チアジアゾール-3-アミン 塩酸塩、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(3-メチル-1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(1-(6-メトキシピリジン-2-イル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン、又は、(S)-1-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)メチル)-4-(3-メチル-1-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジンである。
【0026】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0027】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化8】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0028】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化9】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0029】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化10】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0030】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化11】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0031】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化12】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0032】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化13】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0033】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化14】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0034】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化15】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0035】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化16】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0036】
一実施形態では、本開示は、式1で表される化合物に関し、ここで、該化合物は、
【化17】
である。
【0037】
本明細書中で使用されている用語は、以下に示されている意味を有する。
【0038】
以下の意味で使用されている用語「少なくとも1」は、1又は複数(例えば、1)を示している。
【0039】
用語「ヒドロキシ」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、-OH基を示している。
【0040】
用語「オキソ」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、置換基として結合した=O基を示している。
【0041】
用語「(C1-C6)アルキル」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を含んでいる直鎖部分又は分枝鎖部分を有する飽和炭化水素基を示している。(C1-C6)アルキルの代表的な例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル及びn-ヘキシルなどがある。
【0042】
用語「(C1-C3)アルキル」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、1個、2個又は3個の炭素原子を含んでいる直鎖部分又は分枝鎖部分を有する飽和炭化水素基を示している。(C1-C3)アルキルの代表的な例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルなどがある。
【0043】
用語「(C1-C6)アルコキシ」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、酸素原子に結合した、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルキル基を示している。(C1-C6)アルコキシの代表的な例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、3-メチルブトキシ及びn-ヘキソキシなどがある。
【0044】
用語「ヒドロキシ(C1-C6)アルキル」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルキル基に結合した、本明細書中で定義されている少なくとも1のヒドロキシ基を示している。ヒドロキシ(C1-C6)アルキルの代表的な例としては、限定するものではないが、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、2,2-ジヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル及び1-ヒドロキシ-1-メチルプロピルなどがある。
【0045】
用語「(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルキル基に結合した、本明細書中で定義されている少なくとも1の(C1-C6)アルコキシ基を示している。複数の(C1-C6)アルコキシ基が存在している場合、該(C1-C6)アルコキシ基は、同一であることも又は異なっていることも可能である。(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキルの代表的な例としては、限定するものではないが、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2,2-ジメトキシエチル、1-メチル-2-プロポキシエチル、1-メトキシ-1-メチルエチル及び4-メトキシブチルなどがある。
【0046】
用語「(C1-C6)アルキル-(C=O)」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、カルボニル基に結合した、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルキル基を示している。(C1-C6)アルキル-(C=0)の代表的な例としては、限定するものではないが、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル及びイソプロピルカルボニルなどがある。
【0047】
用語「(C1-C6)アルコキシ-(C=O)は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、カルボニル基に結合した、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルコキシ基を示している。(C1-C6)アルコキシ-(C=O)の代表的な例としては、限定するものではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル及びイソプロポキシカルボニルなどがある。
【0048】
用語「フェニル(C1-C6)アルコキシ」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、本明細書中で定義されている(C1-C6)アルコキシ基に結合した、フェニル基を示している。フェニル(C1-C6)アルコキシの代表的な例としては、限定するものではないが、フェニルメトキシ、2-フェニルエトキシ及び3-フェニルプロポキシなどがある。
【0049】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書中でそれだけで使用されている場合又は別の基の一部として使用されている場合、それぞれ独立してN及びOから選択される1個若しくは2個の環ヘテロ原子を含んでいる4員、5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和の単環式基、又は、それぞれ独立してN及びOから選択される1個若しくは2個の環ヘテロ原子を含んでいる9員若しくは10員の飽和若しくは不飽和の二環式基を示している。ヘテロシクリルの代表的な例としては、限定するものではないが、アゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、オキサゾリジン-3-イル、イミダゾリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピラゾール-1-イル、イソインドリン-2-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピリミジン-2-イル及びピリミジン-4-イルなどがある。
【0050】
本明細書中で使用されている表現「本開示の化合物」は、式Iで表される化合物を示している。
【0051】
本発明の化合物は、式(I)で表される化合物及びその塩、溶媒和物及びその塩の溶媒和物、式(I)に包含され且つ下記式で表される化合物及びその塩、溶媒和物及びその塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含され且つ以下で実施例として引用されている化合物及びその塩、溶媒和物及びその塩の溶媒和物(式(I)に包含され且つ以下に記載されている化合物が既に塩、溶媒和物及び塩の溶媒和物でない場合)。
【0052】
本発明の化合物は、同様に、式(I)で表される化合物のN-オキシド及びS-オキシド、並びに、その塩、溶媒和物及びその塩の溶媒和物である。
【0053】
本発明に関連して、好ましい塩は、本発明による化合物の生理学的に許容される塩である。さらにまた、それ自体は医薬用途に適していないが、例えば、本発明の化合物の単離、精製又は保存のために使用することが可能な、塩も包含される。
【0054】
本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩は、例えば、鎖中又は環中に充分に塩基性の窒素原子を有する本発明の化合物の酸付加塩であることができ、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、重硫酸、リン酸若しくは硝酸などの無機酸又は「鉱酸」との酸付加塩、又は、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ショウノウ酸、ケイヒ酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、パモ酸、ペクチン酸、3-フェニルプロピオン酸、ピバル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D-グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸若しくはチオシアン酸などの有機酸との酸付加塩であることができる。
【0055】
さらに、本発明の充分に酸性である化合物の別の適切な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩若しくはストロンチウム塩、又は、アルミニウム塩若しくは亜鉛塩、又は、アンモニアから誘導されるアンモニウム塩若しくは1?20個の炭素原子を有する有機第1級、第2級若しくは第3級アミンから誘導されるアンモニウム塩、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リシン、1,2-エチレンジアミン、N-メチルピペリジン、N-メチルグルカミン、N,N-ジメチルグルカミン、N-エチルグルカミン、1,6-ヘキサンジアミン、グルコサミン、サルコシン、セリノール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-1,2,3-ブタントリオール、又は、1?20個の炭素原子を有する4級アンモニウムイオンとの塩、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ(n-プロピル)アンモニウム、テトラ(n-ブチル)アンモニウム、N-ベンジル-N,N,N-トリメチルアンモニウム、コリン若しくはベンザルコニウムとの塩である。
【0056】
当業者は、さらに、特許請求されている化合物を多数の既知方法のいずれかを介して適切な無機酸又は有機酸と反応させることによって、その化合物の酸付加塩を調製することが可能であることを、認識するであろう。あるいは、本発明の酸性化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、本発明の化合物を様々な既知方法を介して適切な塩基と反応させることにより調製される。
【0057】
本発明は、単一塩として又は該塩の任意の比率の任意の混合物として、本発明の化合物の全ての可能な塩を包含する。
【0058】
薬学的に許容されるエステルは、適用可能な場合は、薬学の分野で慣習的であり且つ遊離形態の薬理学的特性を保持する薬学的に許容される酸を用いて、既知方法で調製することができる。これらのエステルの非限定的な例としては、脂肪族アルコール又は芳香族アルコールのエステルなどがある。薬学的に許容されるエステルの代表的な例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及びベンジルエステルなどがある。
【0059】
本開示は、式Iで表される化合物の全ての可能な幾何異性体(例えば、シス異性体及びトランス異性体)及び式Iで表される化合物の全ての可能な光学異性体(例えば、ジアステレオマー及びエナンチオマー)を包含する。さらに、本開示は、全ての個々の異性体及びそれらの任意の混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する。個々の異性体は、その出発物質の対応する異性体形態を用いて得ることができるか、又は、それらは、慣習的な分離方法に従って最終化合物の調製後に分離させることができる。エナンチオマーなどの光学異性体をその混合物から分離させるために、慣習的な分割方法、例えば、分別結晶化又は分取キラルクロマトグラフィーなどを使用することができる。
【0060】
式(I)で表される化合物並びにその薬学的に許容される塩及びエステルは、別途示されていない限り、以下では、本発明の化合物と称する。
【0061】
本発明は、該化合物の全ての可能な立体異性体(例えば、幾何異性体、例えば、Z異性体及びE異性体(シス異性体及びトランス異性体)、並びに、光学異性体、例えば、ジアステレオマー及びエナンチオマー)をその範囲内に包含する。さらに、本発明は、個々の異性体及びそれらの任意の混合物(例えば、ラセミ混合物)の両方をその範囲内に包含する。個々の異性体は、その出発物質の対応する異性体形態を用いて得ることができるか、又は、それらは、慣習的な分離方法に従って最終化合物の調製後に分離させることができる。エナンチオマーなどの光学異性体をその混合物から分離させるために、慣習的な分割方法、例えば、分別結晶化などを使用することができる。
【0062】
薬学的に許容される塩、例えば、有機酸及び無機酸の両方との酸付加塩は、薬学の分野でよく知られている。これらの塩の非限定的な例としては、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩及びアスコルビン酸塩などがある。薬学的に許容されるエステルは、適用可能な場合、薬学の分野で慣習的であり且つ遊離形態の薬理学的特性を保持する薬学的に許容される酸を用いて、既知方法で調製することができる。これらのエステルの非限定的な例としては、脂肪族アルコール又は芳香族アルコールのエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルエステルなどがある。
【0063】
式(I)及び式(II)で表される化合物、それらの製造並びに末梢神経系又は中枢神経系の疾患又は状態を治療するためのα2C拮抗薬としてのそれらの作用は、WO2016193551に一般的に開示されており、特に、該化合物は、本発明の記述の明示的部分であり、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0064】
本明細書中で使用されている用語「有効量」は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防するのにに有効な、式(I)で表される化合物の量を意味する。
【0065】
本発明は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、(α-2C)拮抗薬、特に、式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体に関する。
【0066】
本発明は、さらに、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防するための医薬の製造するための、式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0067】
本発明のさらなる対象は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法における、式(I)で表される1以上の化合物と1以上の他の活性化合物の組み合わせの使用である。
【0068】
本発明のさらなる対象は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、式(I)で表される少なくとも1の化合物を1以上の不活性な無毒性の薬学的に適切な賦形剤と組合せて含んでいる、医薬組成物である。
【0069】
本発明は、さらに、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、1以上の他の活性化合物との組合せを1以上の不活性な無毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて含んでいる、医薬組成物に関する。
【0070】
本発明は、さらに、睡眠関連呼吸障害を治療及び/又は予防する方法も対象とし、ここで、該方法は、治療上有効量の式(I)で表される少なくとも1の化合物、又は、不活性で無毒性の薬学的に許容される添加剤と組み合わせて式(I)で表される少なくとも1の化合物を含んでいる治療上有効量の医薬を、全身投与及び/又は局所投与することによる。
【0071】
本発明のさらなる対象は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、式(I)で表される1以上化合物と1以上の他の活性化合物の組合せである。
【0072】
本発明による式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体は、単独で使用することができるか、又は、必要に応じて、1以上の他の薬理活性物質と組合せて使用することができるが、但し、その組合せが望ましくない及び許容できない副作用をもたらさないことを条件とする。睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療する目的に適した組合せの好ましい例としては、以下のものなどがある:
・ 呼吸刺激薬、例えば、例として及び好ましくは、テオフィリン、ドキサプラム、ニケタミド、又は、カフェイン;
・ 精神刺激薬、例えば、例として及び好ましくは、モダフィニル、又は、アルモダフィニル;
・ アンフェタミン及びアンフェタミン誘導体、例えば、例として及び好ましくは、アンフェタミン、メタンフェタミン、又は、メチルフェニデート;
・ セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、例として及び好ましくは、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン、又は、トラゾドン;
・ セロトニン前駆体、例えば、例として及び好ましくは、L-トリプトファン;
・ 選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、例えば、例として及び好ましくは、ベンラファキシン、又は、デュロキセチン;
・ ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗鬱薬、例えば、例として及び好ましくは、ミルタザピン;
・ 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、例えば、例として及び好ましくは、レボキセチン、又は、アトモキセチン;
・ 三環系抗鬱薬、例えば、例として及び好ましくは、アミトリプチリン、プロトリプチリン、ドキセピン、トリミプラミン、イミプラミン、クロミプラミン、又は、デシプラミン;
・ ムスカリン受容体拮抗薬、例として及び好ましくは、オキシブチニン;
・ GABA作動薬、例えば、例として及び好ましくは、バクロフェン;
・ グルココルチコイド、例えば、例として及び好ましくは、フルチカゾン、ブデソニド、ベクロメタゾン、モメタゾン、チキソコルトール、又は、トリアムシノロン;
・ カンナビノイド受容体作動薬;
・ TASKチャネル遮断薬、例として及び好ましくは、概して及び特に、WO2017/097792A1、WO2017/097671A1、WO2018/015196A1、WO2018/228907A1及びWO2018/228909A1に開示されているTASKチャネル遮断薬;
・ カルボアンヒドラーゼ阻害剤、例えば、例として及び好ましくは、アセタゾラミド、メタゾラミド、又は、ジクロフェナミド;
・ オピオイド及びベンゾジアゼピン受容体拮抗薬、例えば、例として及び好ましくは、フルマゼニル、ナロキソン、又は、ナルトレキソン;
・ コリンエステラーゼ阻害薬、例えば、例として及び好ましくは、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、フィゾスチグミン、ドネペジル、ガランタミン、又は、例として及び好ましくは、リバスチグミン;
・ 食欲抑制剤、例えば、例として及び好ましくは、シブトラミン、オピラマート、フェンテルミン、リパーゼ阻害剤、又は、カンナビノイド受容体拮抗薬;
・ ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬。
【0073】
本発明の好ましい対象は、睡眠関連呼吸障害(好ましくは、閉塞性睡眠時無呼吸及び中枢性睡眠時無呼吸及びいびき)を治療及び/又は予防する方法において使用するための、式(I)又は式(II)で表される1以上の化合物と、ムスカリン受容体拮抗薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、TASKチャネル遮断薬、利尿薬、コルチコステロイドからなる群から選択される1以上の他の活性化合物の組合せである。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、ムスカリン受容体拮抗薬(例として及び好ましくは、オキシブチニン)と組み合わせて投与される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、TASKチャネル遮断薬(例として及び好ましくは、概して及び特に、WO2017/097792A1、WO2017/097671A1、WO2018/015196A1、WO2018/228907A1及びWO2018/228909A1)と組み合わせて投与される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(例として及び好ましくは、スピロノラクトン、エプレレノン又はフィネレノン)と組み合わせて投与される。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、利尿薬(例として及び好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロリド又はトリアムテレン)と組み合わせて投与される。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、コルチコステロイド(例として及び好ましくは、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド又はフルチカゾン)と組み合わせて投与される。
【0079】
必要に応じて、本発明による式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体は、望ましくない及び許容できない副作用をもたらさないことを条件として、1以上の医療用の技術機器又は補助装置の使用と併せて使用することもできる。そのような組合せ適用に適している医療機器及び補助装置は、例として及び好ましくは、以下のものである:
・ 気道陽圧換気のための装置、例えば、例として及び好ましくは、CPAP(持続的気道陽圧)装置、BiPAP(二相性気道陽圧)装置、及び、IPPV(間欠的陽圧換気)装置;
・ 舌下神経の神経刺激装置;
・ 口腔内補助装置、例えば、例として及び好ましくは、突出矯正器具(protrusion braces);
・ 鼻用使い捨てバルブ;
・ 鼻用ステント。
【0080】
本発明による式(I)で表される2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イルメチル)ピペラジン-1-イル誘導体は、全身的に及び/又は局所的に作用し得る。この目的のために、それらは、適切な方法で、例えば、経口経路、非経口経路、肺経路、肺内(吸入)経路、鼻腔経路、鼻腔内経路、咽頭経路、舌経路、舌下経路、頬経路、直腸経路、皮膚経路、経皮経路、結膜経路若しくは耳経路によって、又は、インプラント若しくはステントとして、投与することができる。
【0081】
本発明のさらなる対象は、経口経路、非経口経路、肺経路、肺内(吸入)経路、鼻腔経路、鼻腔内経路、咽頭経路、舌経路、舌下経路、頬経路、直腸経路、皮膚経路、経皮経路、結膜経路若しくは耳経路によって、又は、インプラント若しくはステントとして、全身投与及び/又は局所投与するための、式(I)で表される化合物を含んでいる医薬組成物である。好ましい投与は、経口経路である。
【0082】
これらの投与経路のために、本発明による化合物は、適切な投与形態で投与することができる。
【0083】
経口投与のためには、結晶質形態及び/又は非晶質形態及び/又は溶解した形態にある本発明による化合物を含んでいて、本発明による化合物を迅速に及び/又は修飾された様式で放出する、最先端の技術に従って機能する投与形態、例えば、錠剤(非コーティング錠、又は、本発明による化合物の放出を制御する、例えば、胃液抵抗性コーティング又は遅延溶解コーティング又は不溶性コーティングを有するコーティング錠)、口腔内で速やかに崩壊する錠剤、又は、フィルム/ウェハー剤、フィルム/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば、硬質ゼラチンカプセル又は軟質ゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、エマルション剤、懸濁液液、エアロゾル剤若しくは溶液剤などが適している。
【0084】
非経口投与は、吸収段階を省略して実施することができる(例えば、静脈内投与、動脈内投与、心臓内投与、脊髄内投与又は腰椎内投与)、又は、吸収を伴って実施することができる(例えば、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与又は腹腔内投与)。非経口投与に適した投与形態としては、溶液、懸濁液、エマルション、凍結乾燥物又は滅菌粉末の形態にある、注射剤及び輸液剤などがある。
【0085】
その他の投与経路に関しては、例えば、吸入製剤(例えば、粉末吸入器及びネブライザー)、点鼻液剤、鼻用溶液剤又は鼻用スプレー剤、舌投与用錠剤、舌下投与用錠剤又は頬投与用錠剤、錠剤、フィルム/ウエハー剤又はカプセル剤、坐剤、経口又は眼科用製剤、膣カプセル剤、水性懸濁液剤(ローション剤、振盪可能な混合物)、親油性懸濁液剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮治療システム(例えば、絆創膏)、乳液剤、ペースト剤、泡剤、粉剤、インプラント又はステントなどが適している。
【0086】
経口投与又は非経口投与、特に、経口投与及び静脈内投与が好ましい。
【0087】
本発明による化合物は、記載された投与形態に変換させることができる。これは、不活性で無毒性の薬学的に適切な添加剤と混合させることにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの添加剤としては、担体(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤及び分散剤又は湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成ポリマー及び天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機顔料、例えば、鉄酸化物)及び風味又は臭気矯正剤などがある。
【0088】
一般に、非経口投与において効果的な結果を達成するために、約0.001~10mg/kg体重、好ましくは、約0.01~1mg/kg体重の量を投与することが有利であることが分かった。経口投与では、該投与量は、約0.01~100mg/kg体重、好ましくは、約0.01~20mg/kg体重であり、極めて特に好ましくは、0.1~15mg/kg体重である。
【0089】
それにもかかわらず、場合により、即ち、体重、投与経路、当該活性物質に対する個々の反応、当該製剤の性質、及び、投与を行う時間又は間隔に応じて、上記の量から逸脱することが必要であり得る。従って、ある場合には、前述の最小量より少ない量で管理すれば充分であり得るが、他の場合には、記載された上限を超えなければならないこともある。より多くの量を投与する場合には、それらを1日を通して数回に分けて個別に投与することが望ましい。
【0090】
以下の実例は、本発明について例証している。本発明は、該実施例に限定されない。
【実施例】
【0091】
実施例
A. 実験方法
本発明の化合物の有利な薬理学的特性は、以下の方法によって確認することができる。
【0092】
睡眠時無呼吸における本発明による式(I)で表される化合物の治療可能性は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のブタモデルにおいて前臨床的に評価することができる。
【0093】
陰圧を使用することにより、麻酔をかけた自発呼吸のブタにおいて、上気道の虚脱を誘発し、ひいては閉塞を誘発することが可能である(Wirth K.J. et al., Sleep 36(5) (2013) pp. 699-708)。
【0094】
モデルには、ドイツランドレースブタを使用する。ブタを麻酔し、気管切開する。その気管に2本の気管を挿入し、1本は気管の吻側部分に、もう1本は尾側部分に挿入する。接続ピースを用いて、吻側カニューレを、陰圧装置へのチューブ及び遠位気管カニューレへのチューブに接続する。その遠位気管カニューレは、さらに、自由気管呼吸のために役立った接続ピースを介して大気開放端を有するチューブに接続し、上気道を迂回させる。これらのチューブを適切に開口及びクランピングすることで、呼吸を鼻呼吸から尾側気管カニューレを介した呼吸に切り替えることが可能で有り、それにより、上気道を迂回させ、その(分離された)上気道を陰圧装置に接続し、吸気方向の気流を引き起こすことができる。
【0095】
特定の時点で、ブタに尾側カニューレを通して呼吸させ、上気道に-50、-100及び-150cm水頭(cm H2O)の陰圧をかけることにより、上気道の虚脱性を試験する。これにより上気道が虚脱するが、これは、気流の遮断とチューブシステムの圧力降下として現れる。本試験は、被験物質の投与前、及び、被験物質の投与後特定間隔で行う。適切に効果的な被験物質は、吸気相におけるこの気道の虚脱を防止する。
【0096】
このOSAブタモデルにおいて、式(I)で表されるα2-アドレナリン受容体サブタイプC(α2C)拮抗薬を、α2C受容体のIC50に達する適切な用量で全身投与することにより、上気道の虚脱が抑制されることが期待される。
【国際調査報告】