(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】空間低周波音場再構成方法及び空間低周波音場再構成システム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20241226BHJP
H04R 1/20 20060101ALI20241226BHJP
H04R 3/00 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
H04R1/40 310
H04R1/20 310
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540802
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2022101705
(87)【国際公開番号】W WO2023134127
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210029765.2
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 呈
(72)【発明者】
【氏名】徐 子建
(72)【発明者】
【氏名】徐 多
(72)【発明者】
【氏名】羅 成名
(72)【発明者】
【氏名】王 彪
(72)【発明者】
【氏名】李 暁曼
(72)【発明者】
【氏名】馬 林
(72)【発明者】
【氏名】▲ビー▼ 雪▲潔▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 游
(72)【発明者】
【氏名】孔 凡童
【テーマコード(参考)】
5D018
5D220
【Fターム(参考)】
5D018AF24
5D220AA16
5D220AA44
(57)【要約】
本発明は、空間低周波音場再構成方法及び空間低周波音場再構成システムを開示する。空間低周波音場再構成方法は、再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得するステップであって、
【数35】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるステップS1と、高周波音源で構成された音響アレイから複数の高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するステップであって、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数36】
であり、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にあるステップS2と、選択された高周波音源によって放出された高周波パルスをターゲット領域に重畳させて低周波音場S
Lを形成するステップS3と、を含む。この方法は、過渡的な音響を重畳させることにより、空間に過渡的な低周波音場を形成し、音響エネルギー変換効率が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間低周波音場再構成方法であって、
再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得するステップであって、
【数25】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるステップS1と、
音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数がN個以上である場合、それからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するステップであって、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数26】
であり、高周波パルスの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にあるステップS2と、
選択された高周波音源によって放出された高周波パルスをターゲット領域に重畳させて低周波音場S
Lを形成するステップS3と、を含むことを特徴とする、空間低周波音場再構成方法。
【請求項2】
前記ステップS2において、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、前記M個の高周波音源の状態を「占有」に設定し、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数27】
であり、高周波パルスの持続時間がM/f
Hであり、前記ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、j=1,2,…,Mであることを特徴とする、請求項1に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項3】
前記ステップS2において、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、M個のアイドル高周波音源を使用してターゲット領域に高周波パルスを放出し、具体的には、
【数28】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
iを放出し、前記高周波パルスs
iの振幅値がA
iであり、遅延が
【数29】
であり、10<K<M、高周波音源は、高周波パルスの放出期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源は、「アイドル」に変更されることを特徴とする、請求項1に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項4】
前記高周波パルスは、カットオフ周波数がf
Hであるsinc信号であることを特徴とする、請求項1に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項5】
前記高周波音源が高周波パルスを放出する前の放出補正も含まれ、前記放出補正は、具体的には、
ターゲット領域に信号受信機器を設け、高周波音源がターゲット領域にオリジナル高周波パルスを放出し、受信機器が前記オリジナル高周波パルスを受信するステップS11と、
受信機器によって受信されたパルス信号を時間反転し、補正された高周波放出信号を得るステップS12と、
高周波音源は、補正された高周波パルス信号を高周波パルスとして使用するステップS13と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項6】
前記高周波音源で構成された音響アレイは、水平アレイであることを特徴とする、請求項1に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項7】
前記空間は、水中であり、前記水平アレイは、ターゲット領域の真上に位置することを特徴とする、請求項6に記載の空間低周波音場再構成方法。
【請求項8】
空間低周波音場再構成システムであって、
複数の高周波音源で構成されており、高周波パルスを放出するために使用される高周波音響アレイ(1)と、
再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得するために使用され、
【数30】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるサンプリングモジュール(2)と、
高周波音響アレイ(1)から複数のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出し、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数がN個以上である場合、それからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するために使用される制御モジュール(3)であって、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数31】
であり、高周波パルスの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にある、制御モジュール(3)と、を備えることを特徴とする、空間低周波音場再構成システム。
【請求項9】
音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール(3)は、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、前記M個の高周波音源の状態を「占有」に設定し、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数32】
であり、高周波パルスの持続時間がM/f
Hであり、前記ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、j=1,2,…,Mであることを特徴とする、請求項8に記載の空間低周波音場再構成システム。
【請求項10】
音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール(3)は、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、具体的には、
【数33】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
iを放出し、前記高周波パルスs
iの振幅値がA
iであり、遅延が
【数34】
であり、10<K<M、高周波音源は、高周波パルスを放出する期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源の状態は、「アイドル」に変更されることを特徴とする、請求項8に記載の空間低周波音場再構成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響における音響放出技術の分野に属し、具体的には、高周波音源を使用して低周波音場を再構成するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋探査の日々の深化に伴い、水中音響トランスデューサに対するニーズが広くなり、低周波放出用トランスデューサは、小型、軽量、高効率などの特性を満たすように求められる。
【0003】
現在の低周波水中音響トランスデューサは、サイズや重量が大きく、取り付けが不便であり、放射角度の制御が難しいなどの欠点がある。パラメトリックエミッションアレイは、低周波音場という点で解決手段となるが、低周波数の変換効率が低く、音場制御性が低いという欠点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の問題に対して、空間に過渡的な低周波音場を形成することができる、空間低周波音場再構成方法及び空間低周波音場再構成方法を提供することにある。
【0005】
技術的解決手段は、次のとおりである。
本発明の一態様では、空間低周波音場再構成方法が開示され、前記方法は、
再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得するステップであって、
【数1】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるステップS1と、
音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数がN個以上である場合、それからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するステップであって、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数2】
であり、高周波パルスの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にあるステップS2と、
選択された高周波音源によって放出された高周波パルスをターゲット領域に重畳させて低周波音場S
Lを形成するステップS3とを含む。
【0006】
さらに、前記ステップS2において、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、前記M個の高周波音源の状態を「占有」に設定し、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数3】
であり、高周波パルスの持続時間がM/f
Hであり、前記ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、j=1,2,…,Mである。
【0007】
さらに、前記ステップS2において、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、M個のアイドル高周波音源を使用してターゲット領域に高周波パルスを放出し、具体的には、
【数4】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
iを放出し、前記高周波パルスs
iの振幅値がA
iであり、遅延が
【数5】
であり、10<K<M、高周波音源は、高周波パルスを放出する期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源は、「アイドル」に変更される。
【0008】
好ましくは、高周波パルスは、カットオフ周波数がfHであるsinc信号である。
【0009】
好ましくは、前記高周波音源が高周波パルスを放出する前の放出補正も含まれ、前記放出補正は、具体的には、
ターゲット領域に信号受信装置を設け、高周波音源がターゲット領域にオリジナル高周波パルスを放出し、受信機器が前記オリジナル高周波パルスを受信するステップS11と、
受信機器によって受信されたパルス信号を時間反転し、補正された高周波放出信号を得るステップS12と、
高周波音源は、補正された高周波パルス信号を高周波パルスとして使用するステップS13とを含む。
【0010】
好ましくは、前記高周波音源で構成された音響アレイは、水平アレイである。
【0011】
好ましくは、前記空間は、水中であり、前記水平アレイは、ターゲット領域の真上に位置する。
【0012】
別の態様では、本発明は、上記方法を実現するための空間低周波音場再構成システムをさらに開示する。前記空間低周波音場再構成システムは、
高周波音響アレイ1であって、前記高周波音響アレイは、複数の高周波音源で構成されており、高周波パルスを放出するために使用される高周波音響アレイ1と、
サンプリングモジュール2であって、前記サンプリングモジュール2は、再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2…,N)を取得するために使用され、
【数6】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるサンプリングモジュール2と、
制御モジュール3であって、前記制御モジュール3は、高周波音響アレイ1から複数の高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するために使用され、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数がN以上である場合、それからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するために使用され、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数7】
であり、高周波パルスの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にある制御モジュール3とを備える。
【0013】
さらに、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール3は、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、前記M個の高周波音源の状態を「占有」に設定し、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数8】
であり、高周波パルスの持続時間がM/f
Hであり、前記ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、j=1,2,…,Mである。
【0014】
さらに、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール3は、M個のアイドル高周波音源を使用してターゲット領域に高周波パルスを放出し、具体的には、
【数9】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
iを放出し、前記高周波パルスs
iの振幅値がA
iであり、遅延が
【数10】
であり、10<K<M、高周波音源は、高周波パルスを放出する期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源は、「アイドル」に変更される。
【発明の効果】
【0015】
本発明で開示される空間低周波音場再構成方法は、次の利点を有する。
1、低周波音源を必要とせず、高周波音源を重畳して低周波音場を直接形成する。2、この方法では、音場の非線形効果を利用せず、過渡的な音響を重畳させる方法により、空間に過渡的な低周波音場を形成する。音響エネルギー変換効率がパラメトリックエミッションアレイよりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明で開示される空間低周波音場再構成方法のフローチャートである。
【
図2】高周波音源で構成された水平アレイの概略図である。
【
図3】オリジナル高周波パルスの放出波形図及び受信波形図である。
【
図4】補正された高周波パルスの放出波形図及び受信波形図である。
【
図5】高周波sincパルスが重畳されることを示す概略図である。
【
図6】音響アレイにおける高周波音源によって放出された信号と再構成された低周波信号の波形図である。
【
図8】本発明で開示される空間低周波音場再構成システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例1
本発明は、空間低周波音場再構成方法を開示する。本実施例は、水中空間を例に挙げて本発明をさらに説明する。
図1に示すように、具体的なステップは、次のとおりである。
S1、再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得し、
【数11】
Tが低周波信号S
Lの時間長さである。
【0018】
本実施例では、高周波音源の最高動作周波数fHが6kHzであり、再構成対象低周波音場SLが周波数235Hzの正弦波であり、正弦波が周期的な波であるため、その時間長さTを周期的な持続時間、即ちT=1/235に設定し、これにより、Nが26と計算される。1つの周期の低周波正弦波の再構成が完了した後、アイドル高周波音源を使用して次の周期の低周波正弦波を再構成する。
【0019】
S2、理想的な状況では、高周波音源の数がN以上である場合、高周波音源で構成された音響アレイからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出し、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数12】
であり、高周波カットオフ周波数がf
Hである。本実施例では、sinc信号が使用され、即ちi番目の高周波音源によって放出された高周波パルスs
iは、次のとおりである。
【数13】
式(1)により、各高周波音源によって放出された高周波パルスs
iの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態が「アイドル」に変更されることがわかる。
【0020】
実際の応用では、音響アレイにおける高周波音源の数がNよりも少なく、又は、アイドル高周波音源の数がNよりも少ない場合、Nよりも少ない高周波音源を選択して低周波音場を再構成する。本実施例では、音響アレイには、番号1-21の21つの高周波音源があり、各高周波音源は、相互に独立しており、動作パラメータが同じであり、21つの高周波音源は、水平アレイを構成し、水平アレイは、
図2に示すように、ターゲット領域の真上に位置する。ここで、19つの高周波音源は、アイドル状態であり、即ち19つの高周波音場は、低周波音場を再構成するために使用される。受信機器に受信された信号によって引き起こされる歪みを除去するために、まず高周波音源に対して放出補正を行い、前記放出補正は、具体的には、次のステップを含む。
【0021】
S11、ターゲット領域に信号受信装置を設け、高周波音源がターゲット領域にオリジナル高周波パルスを放出し、この信号は、カットオフ周波数がf
Hであるsinc信号であり、その波形が
図3(a)に示され、受信機器は、前記オリジナル高周波数パルスを受信し、歪みにより、受信機器によって受信さえた信号の波形は、
図3(b)に示される。
【0022】
S12、受信機器によって受信されたパルス信号を時間反転し、補正された高周波放出信号を得て、この信号の波形が
図4(a)に示される。
【0023】
S13、高周波音源は、補正された高周波パルス信号を高周波パルスとして使用し、この状況では、受信機器によって受信された信号の波形は、
図4(b)に示される。
【0024】
上述した放出補正により、ターゲット領域の受信機器によって受信された信号は、sinc信号となる。複数の高周波音源によって放出された高周波パルスは、
図5に示すように、ターゲット領域に重畳される。
【0025】
S3、選択された高周波音源によって放出された高周波パルスをターゲット領域に重畳して低周波音場SLを形成する。
【0026】
本実施例では、番号2-20のアイドル高周波音源を選択し、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、補正された高周波放出信号を中央にある高周波音源から両側へ時間間隔Δt=1/f
Hで順次放出し、
図6(a)に示すように、これらの放出信号を遠距離場のターゲット領域に重畳させて低周波音場を形成する。
【数14】
【数15】
ここで、Mは、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数であり、式(3)により、各高周波音源によって放出された高周波パルスs
jの持続時間がM/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態が「アイドル」に変更されることがわかる。本実施例では、
図6(b)に示すように、N=26、M=19である。
図7に示すように、これは、2次元音場のシミュレーション図であり、水平アレイは、ターゲット領域の真上に位置し、水平アレイの遠距離場の両側の領域は、高周波音場であり、遠距離場の直下の領域は、低周波音場を形成する。
【0027】
上記方法を実現するための空間低周波音場再構成システムは、
図8に示すように、
高周波音響アレイ1であって、前記高周波音響アレイは、複数の高周波音源で構成され、高周波パルスを放出するために使用される高周波音響アレイ1と、
サンプリングモジュール2であって、前記サンプリングモジュール2は、再構成対象低周波音場S
Lを高周波音源の最高動作周波数f
Hでサンプリングし、各サンプリングポイントの振幅値A
i(i=1,2,…,N)を取得するために使用され、
【数16】
Tが低周波信号S
Lの時間長さであるサンプリングモジュール2と、
制御モジュール3であって、前記制御モジュール3は、高周波音響アレイ1から複数のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するために使用され、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数がN以上である場合、それからN個のアイドル高周波音源を選択し、ターゲット領域に高周波パルスを放出するために使用され、選択された高周波音源の状態が「占有」であり、i番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
iであり、遅延が
【数17】
であり、高周波パルスの持続時間がN/f
Hであり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、前記ターゲット領域は、前記音響アレイの遠隔領域にある制御モジュール3とを備える。
【0028】
音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール3は、M個のアイドル高周波音源を選択してターゲット領域に高周波パルスを放出し、前記M個の高周波音源の状態を「占有」に設定し、j番目の高周波音源によって放出された高周波パルスの振幅値がA
jであり、遅延が
【数18】
であり、高周波パルスの持続時間がM/f
Hであり、前記ターゲット領域が前記音響アレイの遠隔領域にあり、高周波パルスが放出された後、対応する高周波音源の状態は、「アイドル」に変更され、j=1,2,…,Mである。
【0029】
実施例2
本実施例は、実施例1と同様であり、
【数19】
により計算されたN=26、音響アレイにおける利用可能なアイドル高周波音源M=19つ、即ち=19、このとき、低周波音場S
Lの再構成ステップは、次のとおりである。
【数20】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
i(i=1,2,…,N)を放出する。
【数21】
高周波音源は、高周波パルスを放出する期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源は、「アイドル」状態に変更される。
【0030】
先頭のM個の時点、即ち、
【数22】
のこれらの時点で、音響アレイに必ず選択のためのアイドル高周波パルス音源があり、M/f
H時点では、0時点で高周波数パルスを放出する高周波数音源が少なくとも「占有」から「アイドル」に変更されるため、高周波数パルスの持続時間K/f
HがM/f
Hよりも小さく、即ちK<Mとなる必要がある。しかし、高周波パルスの持続時間は、短すぎることができず、通常、K>10に設定される。このように類推し、M+1/f
HからN-1/f
Hまでのこれらの時点で、アイドル状態に再変更された高周波パルスを使用して高周波パルスを放出し、このようにして音響アレイにおける高周波音源が再利用され、それによってアレイリソースの利用率が向上する。
それに対応して、空間低周波音場再構成システムでは、音響アレイにおけるアイドル高周波音源の数MがNよりも少ない場合、前記制御モジュール3は、M個のアイドル高周波音源を使用してターゲット領域に高周波パルスを放出し、具体的には、
【数23】
というN個の時点のそれぞれに1つのアイドル高周波音源を選択し、持続時間がK/f
Hである高周波パルスs
iを放出し、前記高周波パルスs
iの振幅値がA
iであり、遅延が
【数24】
であり、10<K<M、高周波音源は、高周波パルスを放出する期間に「占有」状態であり、高周波パルスが放出された後、この高周波音源は、「アイドル」に変更される。
【国際調査報告】