(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】外科用器具の取り出しのためのデバイスにおける及びデバイスに関する改良
(51)【国際特許分類】
A61F 2/32 20060101AFI20241226BHJP
A61F 2/38 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61F2/32
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540946
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2023050291
(87)【国際公開番号】W WO2023131699
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アトキン・ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ダットン・グレイム
(72)【発明者】
【氏名】カルナラトネ・ディナリ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン・スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB04
(57)【要約】
外科用器具取り出しデバイス、それを組み込んだキット、及び取り出しデバイスを使用する方法が、提供される。デバイスは、本体の近位端部に設けられた第1の取り付け位置と、本体の遠位端部に設けられた第2の取り付け位置と、を有する、本体を備え、第2の取り付け位置は、使用時に外科用器具を引き出すための係合要素を含み、係合要素は、係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、第1の範囲は第2の範囲よりも広く、係合要素は、1つ以上の非平面表面を、更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具取り出しデバイスであって、前記取り出しデバイスが、
本体と、
前記本体の前記近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
前記本体の前記遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備え、
前記第2の取り付け位置が、使用時に前記外科用器具を引き出すための係合要素を含み、前記係合要素が、前記係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、前記係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、前記第1の範囲が前記第2の範囲よりも広く、前記係合要素が、1つ以上の非平面表面を、更に含む、外科用器具取り出しデバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の非平面表面区分が、1つ以上の湾曲表面区分及び/又は部分球表面区分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記非平面表面が、1つ以上の係合表面区分を提供する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2の取り付け位置と前記本体との間の接合部に隣接して、1つ以上の非平面係合表面区分が設けられている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の取り付け位置と前記本体との間の接合部の遠位に、1つ以上の非平面係合表面区分が設けられている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の非平面表面が、共通の球面上にある1つ以上の表面区分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記係合要素が、1つ以上の平坦な他の表面区分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記係合要素が、互いに同一平面上にあり、かつ/又は前記取り出しデバイスの前記長手方向軸線に平行に延在する、2つの平坦な他の表面区分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記係合要素が、1つ以上の球状キャップが取り外された球の輪郭を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
取り外された第1の球状キャップを画定する平面が、前記係合要素と前記細長い部分との間の前記接合部を形成する前記平面であり、かつ/又は取り外された第2の球状キャップを画定する前記平面が、第1の平坦な他の表面であり、かつ/又は取り外された第3の球状キャップを画定する前記平面が、第2の平坦な他の表面である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の平坦な他の表面が、前記第2の平坦な他の表面と同一平面上にあり、かつ/又は前記取り出しデバイスの前記長手方向軸線に平行に延在する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の範囲が、2つの異なる非平面表面上、例えば、互いに対向する2つの非平面表面上、及び/又は前記係合要素の互いに反対側にある2つの非平面表面上の、第1の対の点の間にある、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記本体が、本体部分を含み、細長い部分を、前記本体部分を前記細長い部分に接続する移行部分と共に、含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の取り付け位置が、前記取り出しデバイスをツールの前記遠位端部に接続するように適合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
キットであって、
外科用器具取り出しデバイスであって、前記取り出しデバイスが、
本体と、
前記本体の前記近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
前記本体の前記遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備える、外科用器具取り出しデバイスを、備え、
前記第2の取り付け位置が、使用時に前記外科用器具を引き出すための係合要素を含み、前記係合要素が、前記係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、前記係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、前記第1の範囲が前記第2の範囲よりも広く、前記係合要素が、1つ以上の非平面表面を、更に含み、
前記キットが、
前記外科用器具取り出しデバイスの前記第1の取り付け位置に取り付けるための、ツールを、更に備える、キット。
【請求項16】
前記ツールが、ハンドル及び/若しくは1つ以上の当接面を更に含み、かつ/又は更なるツールによる衝撃のために適合されている、請求項15に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、整形外科用デバイス、このようなデバイスを含むキット、及びこのようなデバイスを使用する方法に関し、より詳細には、整形外科用器具取り出しデバイス、このようなデバイスを含むキット、及びこのようなデバイスを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節が人工関節によって置換される、周知の外科的処置である。例としては、人工膝関節及び股関節インプラントが、挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外科用器具は、更なる外科用器具及び/又はインプラントの受容のために、骨を準備するように使用され、これらの外科用器具のための信頼性のある取り出しデバイスが、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、外科器具取り出しデバイスが提供されるが、本取り出しデバイスは、
本体と、
本体の近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
本体の遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備え、
第2の取り付け位置は、使用時に外科用器具を引き出すための係合要素を含み、係合要素は、係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、第1の範囲は第2の範囲よりも広く、係合要素は、1つ以上の非平面表面を、更に含む。
【0005】
係合要素は、1つ以上の非平面表面区分、例えば、湾曲表面区分及び/又は部分球表面区分を、含んでもよい。係合要素は、1つ以上の係合表面区分を、提供してもよい。係合要素は、1つ以上の非平面係合表面区分、例えば、湾曲表面区分及び/又は部分球表面区分を、提供してもよい。非平面表面区分の1つ以上又は全てが、係合表面区分を提供してもよい。非平面表面区分の1つ以上又は全ては、湾曲表面区分及び/又は部分球表面区分であってもよい。
【0006】
1つ以上の非平面係合表面区分が、第2の取り付け位置と本体との間の接合部に隣接して、例えば、係合要素と細長い部分との間の接合部に隣接して、設けられてもよい。
【0007】
1つ以上の非平面係合表面区分が、第2の取り付け位置と本体との間の接合部の遠位に、例えば、係合要素と細長い部分との間の接合部の反対側に、設けられてもよい。1つ以上の非平面係合表面区分が、第2の取り付け位置と本体との間の接合部に対向して、例えば、係合要素と細長い部分との間の接合部に対向して、設けられてもよい。
【0008】
係合要素は、共通の球面上に位置する、1つ以上の表面区分を、備えてもよい。係合要素は、共通の球面上に位置する1つの表面区分を、備えてもよい。
【0009】
係合要素は、1つ以上の他の表面区分を、備えてもよい。係合要素は、1つ以上の平坦な他の表面区分を、備えてもよい。係合要素は、2つの平坦な他の表面区分を、備えてもよい。係合要素は、互いに同一平面上にある、及び/又は取り出しデバイスの長手方向軸線に平行に延在する、少なくとも2つの平坦な他の表面を、備えてもよい。
【0010】
係合要素は、1つ以上の球状キャップが取り外された球の輪郭を、有してもよい。取り外された第1の球状キャップを画定する平面は、係合要素と細長い部分との間の接合部を形成する平面であってもよい。取り外された第2の球状キャップを画定する平面は、例えば、第2の平坦な他の表面と同一平面上にある、及び/又は取り出しデバイスの長手方向軸線に平行に延在する、第1の平坦な他の表面であってもよい。取り外された第3の球状キャップを画定する平面は、例えば、第1の平坦な他の表面と同一平面上にある、及び/又は取り出しデバイスの長手方向軸線に平行に延在する、第2の平坦な他の表面であってもよい。取り外された第1の球状キャップを画定する平面は、取り外された第2の球状キャップを画定する平面に、接触及び/又は交差してもよい。取り外された第1の球状キャップを画定する平面は、取り外された第3の球状キャップを画定する平面に、接触及び/又は交差してもよい。
【0011】
係合要素は、例えば、係合要素の両側の第1の対の点の間に、第1の範囲を有してもよい。係合は、例えば、係合要素の両側の点の第2の異なる対の間に、第2の範囲を有してもよい。
【0012】
第1の範囲は、第2の範囲より大きくてもよい。第1の範囲は、第2の範囲よりも少なくとも10%超であってもよい。第1の範囲は、第2の範囲よりも少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%超であってもよい。
【0013】
第1の範囲は、2つの異なる非平面表面上、例えば、互いに対向する2つの非平面表面上、及び/又は係合要素の互いに反対側にある2つの非平面表面上の、第1の対の点の間であってもよい。
【0014】
第2の範囲は、2つの異なる平面区分上、例えば、互いに同一平面上にあり、かつ/又は取り出しデバイスの長手方向軸線に平行に延在する2つの平面上の第2の点対の間であってもよい。
【0015】
第1の範囲及び/又は第2の範囲は、取り出しデバイス及び/又は本体部分の長手方向軸線に垂直な軸に沿って、及び/又は平面内で考慮されてもよい。第1の範囲は、第1の非平面表面上の点に垂直な、及び/又は第2の非平面表面上の点に垂直な軸線に沿って、考慮されてもよい。第2の範囲は、軸線に沿って、及び/又は第1の平面区分の平面に垂直な、及び/又は第2の表面区分の平面に垂直な平面内で、考慮されてもよい。
【0016】
本明細書における垂直への言及は、これらの例の1つ以上又は全てにおいて、+/-10°、又は+/-8°、又は+/-5°、又は+/-3°への垂直を、含み得る。
【0017】
本体は、本体部分を含んでもよい。本体は、細長い部分を含んでもよい。本体は、移行部分を含んでもよい。移行部分は、本体部分を、細長い部分に接続してもよい。
【0018】
第1の取り付け位置は、本体部分によって、特に、本体部分の近位端部に設けられてもよい。第2の取り付け位置は、細長い部分、特に、細長い部分の遠位端部に設けられてもよい。
【0019】
第1の取り付け位置は、取り出しデバイスをツールの遠位端部に接続するように、適合されてもよい。
【0020】
第1の取り付け位置は、ボアを含んでもよい。ボアは、本体、例えば、本体部分に設けられてもよい。第1の取り付け位置は、ねじ山を提供してもよい。第1の取り付け位置は、内部に雌ねじ山が設けられたボアを提供してもよい。
【0021】
第1の取り付け位置は、ツールの遠位端部を接続する、例えば、受容するように、適合されてもよい。第1の取り付け位置は、ツール上のねじ山、例えば、雄ねじ山と係合するように、適合されてもよい。
【0022】
第1の取り付け位置は、ツール係合状態及びツール係合解除状態を有してもよい。第1の取り付け位置は、第1の取り付け位置の回転、例えば、取り出しデバイスの回転によって、ツール係合状態からツール係合解除状態に、及び/又はツール係合解除状態からツール係合状態に移行し得る。
【0023】
取り出しデバイスは、例えば、ツールの長手方向軸線と整列するように適合された長手方向軸線を、有してもよい。
【0024】
本体は、第1の断面積部分と、取り出しデバイスの遠位端部により近い第2の断面積部分と、を含んでもよい。本体部分は、第1の断面積部分を含んでもよい。細長い部分は、第2の断面積部分を含んでもよい。本体は、第3の断面積部分を含んでもよい。移行部分は、第3の断面積部分を含んでもよい。
【0025】
第1の断面積部分は、第1の取り付け位置を含んでもよい。
【0026】
第1の断面積部分は、第2の断面積部分よりも大きい断面積を、有してもよい。第1の断面積部分は、第3の断面積部分よりも大きい断面積を、有してもよい。
【0027】
第1の断面積部分は、円形の断面積を有してもよい。第1の断面積部分は、部分的に円形の断面積を有してもよい。第1の断面積部分は、その周囲に、2つ以上の直線部分を含んでいてもよい。2つ以上の直線部分が、互いに対向して、及び/又は互いに平行に、設けられてもよい。
【0028】
第2の断面積部分は、特に、その遠位端部において、第2の取り付け位置に通じていてもよい。
【0029】
第2の断面積部分は、第3の断面積部分より小さい断面積を、有してもよい。
【0030】
第2の断面積部分は、円形の断面積を有してもよい。
【0031】
第3の断面積部分は、円形の断面積を有してもよい。
【0032】
本体、例えば、本体部分は、円筒形部分であってもよい、又は円筒形部分を含んでもよい。本体部分は、1つ以上の平面を含んでもよい。1つ以上の対の平面が設けられてもよく、例えば、対の平面が、互いに対向してもよい。平坦面は、取り出しデバイスの長手方向軸線に、平行に設けられてもよい。
【0033】
本体、例えば、移行部分は、円錐形部分であってもよい、又は円錐形部分を含んでもよい。移行部分は、本体部分の形状及び構成から細長い部分の形状及び構成に、移行してもよい。
【0034】
本体、例えば、細長い部分は、円筒形部分であってもよい、又は円筒形部分を含んでもよい。本体、例えば、細長い部分は、ネック部分であってもよい、又はネック部分を含んでもよい。
【0035】
取り出しデバイスは、ツール係合解除状態を有してもよい。取り出しデバイスは、ツール係合状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具係合解除状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具接触状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具係合状態を有してもよい。取り出しデバイスは、代替的な配向状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具引き抜き状態を有してもよい。
【0036】
ツール係合解除状態は、ツールから離間された取り出しデバイスを提供してもよい。
【0037】
ツール係合状態は、ツール上に取り付けられた取り出しデバイスを、提供してもよい。ツール係合状態は、ツールから軸線方向に離れる取り出しデバイスの移動に対する拘束を、提供してもよい。
【0038】
取り出しデバイスは、ツール係合解除状態とツール係合状態との間の、第1の移行段階を、通過してもよい。取り出しデバイス及びツールは、第1の移行段階では、互いに対して回転させられてもよい、及び/又は互いに向かって軸線方向に前進させられてもよい。
【0039】
器具係合解除状態は、ツール上に搭載された、及び/又は器具から離間された取り出しデバイスを、提供してもよい。
【0040】
器具接触状態は、取り出しデバイスの一部、例えば、器具の一部と接触する第2の取り付け位置を、提供してもよい。第2の取り付け位置は、器具内へと、部分的に又は完全に挿入されてもよい。器具接触状態は、取り出しデバイス及び/又は器具が、互いから軸線方向に離れる動きに対する拘束を、提供しなくてもよい。器具接触状態は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対する拘束を、提供しなくてもよい。
【0041】
取り出しデバイスは、器具係合解除状態と器具接触状態との間の、第2の移行段階を、通過してもよい。取り出しデバイス及び器具は、第2の移行段階では、互いに向かって軸線方向に、前進させられてもよい。取り出しデバイス及び器具は、第2の移行段階では、互いに対して回転されなくてもよい。
【0042】
第2の移行段階では、係合要素は、前配向面として、第1の平面などの第1の面を提供してもよい、及び/又は係合要素は、後配向面として、第2の平面などの第2の面を提供してもよい。第2の移行段階では、第2の取り付け位置の最大前後寸法は、器具によって提供される器具取り付け位置の最小前後寸法よりも、小さくてもよい。第2の移行段階では、第2の取り付け位置は、器具によって提供される器具取り付け位置へと入ることが、可能であってもよい。
【0043】
第2の取り付け位置のその他の配向において、例えば、ツール係合解除状態及び/又はツール係合状態、及び/又は器具係合状態及び/又は器具係合状態、及び/又は1つ以上の代替的な配向状態において、第2の取り付け位置は、器具取り付け位置に入ることができない、及び/又は器具取り付け位置から出ることができない場合が、ある。第2の取り付け位置の1つ以上のその他の配向において、係合要素は、非前配向面としての第1の平面などの第1の面を提供してもよい、及び/又は係合要素は、非後配向面としての第2の平面などの第2の面を提供してもよい。その他の配向のうちの1つ以上又は全てにおいて、第2の取り付け位置の最大前後寸法は、器具によって提供される器具取り付け位置の最小前後寸法よりも、大きくてもよい。その他の配向のうちの1つ以上又は全てにおいて、第2の取り付け位置は、器具によって提供される器具取り付け位置に入ることができなくてもよい。
【0044】
その他の配向の全てのうちの1つ以上は、例えば、第2の取り付け位置が器具の中へ通過することを可能にする位置合わせを提供するために、取り出しデバイスの回転による第2の移行段階への移行であってもよい。
【0045】
器具係合状態は、取り出しデバイスの一部、例えば、器具の一部と係合される第2の取り付け位置を、提供してもよい。第2の取り付け位置は、器具内へと完全に挿入されてもよい。器具係合状態は、軸線方向に互いから離れる方向への取り出しデバイス及び/又は器具の移動に対する拘束を、提供し得る。器具係合状態は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対する拘束を、提供しなくてもよい。
【0046】
取り出しデバイスは、器具接触状態と器具係合状態との間の第3の移行段階を通過してもよい。取り出しデバイス及び器具は、第3の移行段階では互いに対して回転されてもよい。回転は、90°+/-40°であってもよい。回転は、90°+/-30°であってもよい。回転は、90°+/-20°であってもよい。回転は、90°+/-10°であってもよい。
【0047】
取り出しデバイスは、特に、器具係合状態にある間に、1つ以上の代替的な配向状態を有してもよい。1つ以上の代替的な配向状態は、第2の移行段階中の移動方向に対する、及び/又は器具の長手方向軸線に対する、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸又は平面に対する、取り出しデバイスの長手方向軸線の異なる角度(複数可)であってもよい。
【0048】
取り出しデバイスは、弧の10°超、例えば、弧の20°超、例えば、弧の30°超、あるいは弧の45°までに及ぶ配向状態の範囲にわたって、一連の代替的な配向状態を有してもよい。取り出しデバイスは、60°未満の弧、例えば、50°未満の弧にわたる配向状態の範囲にわたって、一連の代替的な配向状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具の長手方向軸線に対して、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸又は平面に対して、内側方向に0°~10°の範囲にわたって、一連の代替的な配向状態を有してもよい。取り出しデバイスは、器具の長手方向軸線に対して、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸又は平面に対して側方に、20°~50°、例えば30°~40°の範囲にわたって、一連の代替的な配向状態を有してもよい。1つ以上の代替的配向状態は、軸線方向に互いから離れる方向への取り出しデバイス及び/又は器具の移動に対する拘束を、提供し得る。1つ以上の代替的な配向状態は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対して、拘束を提供しなくてもよい。
【0049】
取り出しデバイスは、取り出しデバイスを器具に対して、例えば、内側方向又は外側方向に回転させることによって、1つの代替的な配向状態から別の代替的な配向状態に移行してもよい。
【0050】
器具引き抜き状態は、器具から離れる軸線方向負荷を、取り出しデバイスに提供してもよい。軸線方向負荷は、ツールを介して印加されてもよい。軸線方向負荷は一定であってもよく、例えば、ツールへのスラップハンマの作用によって、変化してもよい。器具引き抜き状態は、器具と患者との相対運動を、提供してもよい。
【0051】
本体、例えば、本体部分には、第2の取り付け位置の配向の1つ以上の可視インジケータが設けられてもよい。可視インジケータは、第2の取り付け位置の平面と同じ平面又は平行な平面にある本体部分上の1つ以上の平面であってもよい。可視インジケータは、器具の外側にあってもよい、及び/又は全ての状態及び段階では可視であってもよい。
【0052】
代替的な実施形態では、係合要素は、非球状の輪郭を有する。係合要素には、円筒形部分が、設けられてもよい。円筒形部分は、取り出しデバイスの軸線に対して傾斜した軸を有してもよく、例えば、取り出しデバイスの軸線に対して+/-5°で、垂直な軸線を有してもよい。軸線又は平行軸線は、第1の範囲を画定してもよい。第2の範囲は、第1の範囲を画定する軸線に垂直な軸線に沿って、画定されてもよい。
【0053】
直円筒形部分が、設けられてもよい。
【0054】
接触状態において、円筒形部分の軸線は、外側-内側に延在していてもよい。係合状態では、円筒形部分の軸線は、前後に延在していてもよい。
【0055】
更なる代替的な実施形態では、係合要素は、非球形の輪郭を有する。係合要素は、長方形部分を備えてもよい。長方形部分は、取り出しデバイスの軸線に対して傾斜した長軸線を有してもよく、例えば、取り出しデバイスの軸線に対して、+/-5°垂直な軸線を有してもよい。軸線又は平行軸線は、第1の範囲を画定してもよい。第2の範囲は、第1の範囲を画定する軸線に垂直な軸線に沿って、画定されてもよい。
【0056】
接触状態において、長方形部分の長軸線は、外側-内側に延在してもよい。係合状態では、長方形部分の長軸線は、前後に延在してもよい。
【0057】
第1の態様では、その他の態様を含め、本書のその他の箇所に記載されている特徴、可能性、又は選択肢のいずれかを含んでもよい。
【0058】
本開示の第2の態様によれば、キットであって、キットが、
外科用器具取り出しデバイスであって、デバイスが、
本体と、
本体の近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
本体の遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備える、デバイスを備え、
第2の取り付け位置が、使用時に外科用器具を引き出すための係合要素を含み、係合要素が、係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、第1の範囲は第2の範囲よりも広く、係合要素は、1つ以上の非平面表面を、更に含む、キットが、提供され、
キットは、
外科用器具取り出しデバイスの第1の取り付け位置に取り付けるためのツールを、更に備える。
【0059】
ツールは、例えば、ツールの近位端部に、ハンドルを更に含んでもよい。ツールは、1つ以上の当接面、例えば1つ以上の半径方向に延在する要素又はフランジを、更に含んでもよい。1つ以上の当接面は、スラップハンマ等の更なるツールによる衝撃に、適合されてもよい。
【0060】
取り出しデバイス取り付け位置は、取り出しデバイスの第1の取り付け位置に対して相補的な取り付け位置であってもよい。取り出しデバイス取り付け位置は、ステムを含んでもよい。ステムは、ツールから延在していてもよい。取り出しデバイス取り付け位置は、ねじ山を提供してもよい。第1の取り出しデバイス取り付け位置は、雄ねじ山が外側に設けられたステムを提供してもよい。
【0061】
取り出しデバイス取り付け位置は、取り出しデバイスの近位端部を接続する、例えば、受容するように、適合されてもよい。取り出しデバイス取り付け位置は、取り出しデバイス上のねじ山、例えば、雌ねじ山と係合するように、適合されてもよい。
【0062】
取り出しデバイス取り付け位置は、取り出しデバイス係合状態及び取り出しデバイス係合解除状態を、有してもよい。取り出しデバイス取り付け位置は、取り出しデバイス取り付け位置の回転、例えば、ツールの回転によって、取り出しデバイス係合状態から取り出しデバイス係合解除状態へ、及び/又は取り出しデバイス係合解除状態から取り出しデバイス係合状態へと、移行してもよい。
【0063】
ツールは、取り出しデバイスとの係合に加えて、1つ以上の更なる役割を果たすように、適合されてもよい。ツールはまた、ステムを取り出しする際に使用するための、ステム取り出しシャフトとして機能し得る。
【0064】
本発明の第2の態様は、特に第1の態様を含む取り出しデバイスに関連して本明細書のその他の箇所に記載された特徴、可能性又は選択肢のいずれかを、含んでもよい。第2の態様では、その他の態様を含め、本書のその他の箇所に記載されている特徴、可能性、又は選択肢のいずれかを含んでもよい。
【0065】
本開示の第3の態様によれば、外科用器具が提供され、外科用器具は、第1の端部から第2の端部まで遠位に延在するテーパ状本体を含み、テーパ状本体の1つ以上の区分には複数の切削歯が設けられており、テーパ状本体の上面には器具取り付け位置が設けられており、取り付け位置は開口部内に設けられており、開口部は、開口部又はスロットの両側の第1の対の位置の間に第1の範囲を有し、開口部又はスロットの両側の第2の異なる対の位置の間に第2の範囲を有し、第1の範囲は第2の範囲より大きい。
【0066】
器具は、ブローチであってもよい。
【0067】
ブローチは、上位部分を有してもよい。上位部分には、一連の歯及び/又は凹部、特に、凹部と交互の歯が設けられてもよい。ブローチは、突起面を有してもよい。突起面には、例えば、試用又は試用の一部を受け入れるためのスピゴットなどの突起部が設けられてもよい。
【0068】
突起表面は、開口部を備えていてもよい。開口部は、スロットであってもよい。スロットは、閉端スロットであってもよい。スロットは、例えば、内側端部において、開放端部スロットであってもよい。開口部は、アパーチャであってもよい。開口部は、ブローチの下面の第2のアパーチャに接続されるアパーチャであってもよい。開口部は、1つ以上の周囲壁によって、部分的に画定されてもよい。開口部は、チャンバに接続されてもよい。
【0069】
チャンバは、器具内に、例えば、開口部を画定する周囲壁(複数可)の下方に凹設されてもよい。チャンバは、1つ以上の側壁及び/又は底壁によって、部分的に画定されてもよい。チャンバは、開口部が延在する屋根壁によって、更に画定されてもよい。チャンバの前方範囲は、開口部の前方範囲より大きくてもよい。チャンバの後方範囲は、開口部の後方範囲より大きくてもよい。チャンバの側方の範囲は、開口部の側方の範囲より大きくてもよい。チャンバの中間範囲は、開口部の中間範囲より大きくてもよい。
【0070】
チャンバは、1つ以上の方向に、開口部をアンダーカットしてもよい。
【0071】
開口部、及び/又はスロット、及び/又はチャンバは、前方-後方と考えられる幅を有してもよく、幅は、内側-外側と考えられるスロットの長さよりも、狭い。開口部、及び/又はスロット、及び/又はチャンバは、前方-後方と考えられる第2の範囲を有してもよく、第2の範囲は、内側-外側と考えられる第1の範囲よりも狭い。
【0072】
開口部、及び/又はスロット、及び/又はチャンバの第1の範囲は、取り出しデバイスの第1の範囲よりも、広くてもよい。開口部、及び/又はスロット、及び/又はチャンバの第2の範囲は、取り出しデバイスの第1の範囲よりも、狭くてもよい。開口部、及び/又はスロット、及び/又はチャンバの第2の範囲は、取り出しデバイスの第2の範囲よりも、広くてもよい。
【0073】
チャンバは、取り出しデバイスの第2の取り付け位置の1つ以上の表面のための、1つ以上の接触表面を、提供してもよい。1つ以上の接触表面は、例えば、器具に対する取り出しデバイスの回転を可能にするために、関節表面を提供してもよい。チャンバは、例えば、取り出しデバイスの1つ以上の非平面表面区分に対して相補的な1つ以上の非平面表面区分を、提供してもよい。チャンバの基部は、例えば、取り出しデバイスの1つ以上の非平面表面区分に対して相補的な1つ以上の非平面表面区分を、提供してもよい。チャンバの屋根部は、例えば、取り出しデバイスの1つ以上の非平面表面区分に対して相補的な1つ以上の非平面表面区分を、提供してもよい。端部、例えば、チャンバの側端部は、例えば、取り出しデバイスの1つ以上の非平面表面区分に対して相補的な、1つ以上の非平面表面区分を、提供してもよい。チャンバの側壁は、例えば、取り出しデバイスの1つ以上の非平面表面区分に対して相補的な1つ以上の非平面表面区分を、提供してもよい。
【0074】
開口部及び/又はスロットは、例えば、当接によって、ツール及び/又は取り出しデバイスの軸線方向整列において可能な変動の範囲を、制限してもよい。
【0075】
器具は、例えば、前面及び後面に、1つ以上の歯及び/又は凹部を、備えてもよい。器具には、側方肩状部面上又はその近くに、歯及び凹部のない空間が設けられてもよく、例えば、アルファ/数字マーキングが設けられてもよい。
【0076】
第3の態様は、その他の態様を含め、本書のその他の箇所に記載されている特徴、可能性、又は選択肢のいずれかを、含んでもよい。
【0077】
本開示の第4の態様によれば、患者から外科器具を取り出す方法が提供されるが、本方法は、以下を含む:
1)外科用器具取り出しデバイスを提供する工程であって、取り出しデバイスが、
本体と、
本体の近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
本体の遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備える、デバイスを備え、
第2の取り付け位置は、使用時に外科用器具を引き出すための係合要素を含み、係合要素は、係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、第1の範囲は第2の範囲よりも広く、係合要素は、1つ以上の非平面表面を、更に含む。
2)取り出しデバイスの係合要素を、外科用器具の開口部内へと挿入して、器具接触状態を提供する工程と、
3)外科用器具に対して取り出しデバイスを回転させて、器具係合状態を与える工程と、
4)患者から外科用器具を引き抜くために、取り出しデバイスと患者との間の分離を増加させる工程。
【0078】
本方法は、取り出しデバイスのためのツール係合解除状態を、含んでもよい。本方法は、ツール係合状態を含んでもよい。本方法は、器具係合解除状態を含む。本方法は、器具接触状態を含んでもよい。本方法は、器具係合状態を含んでもよい。本方法は、代替的な配向状態を含んでもよい。本方法は、器具引き抜き状態を含んでもよい。
【0079】
ツール係合解除状態は、ツールから離間された取り出しデバイスを提供してもよい。
【0080】
ツール係合状態は、ツール上に取り付けられた取り出しデバイスを、提供してもよい。ツール係合状態は、ツールから軸線方向に離れる取り出しデバイスの移動に対する拘束を、提供してもよい。本方法は更に、ツール係合状態を提供するように、ツールを取り出しデバイスに接続する工程を、含んでもよい。ツールは、工程2)が開始される前に、取り出しデバイスに接続されてもよい。ツールは、工程3及び/又は工程4中に、取り出しデバイスに接続されてもよい。
【0081】
本方法は、取り出しデバイスが、ツール係合解除状態とツール係合状態との間の第1の移行段階を通過する工程を、含んでもよい。本方法は、第1の移行段階中に、取り出しデバイス及びツールを互いに対して回転させること、及び/又は互いに向かって軸線方向に前進させることを、含んでもよい。
【0082】
器具係合解除状態は、ツール上に搭載された、及び/又は器具から離間された取り出しデバイスを、提供してもよい。
【0083】
器具接触状態は、取り出しデバイスの一部、例えば、器具の一部と接触する第2の取り付け位置を、提供してもよい。第2の取り付け位置は、器具内へと、部分的に又は完全に挿入されてもよい。器具接触状態は、取り出しデバイス及び/又は器具が、互いから軸線方向に離れる動きに対する拘束を、提供しなくてもよい。器具接触状態は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対する拘束を、提供しなくてもよい。
【0084】
本方法は、取り出しデバイスが、器具係合解除状態と器具接触状態との間の第2の移行段階を通過する工程を、含んでもよい。本方法は、取り出しデバイス及び/又は器具が、第2の移行段階中に、互いに向かって軸線方向に前進させられる工程を、含んでもよい。取り出しデバイス及び器具は、第2の移行段階の間、互いに対して回転されなくてもよい。
【0085】
第2の移行段階の間、係合要素は、前配向面として、第1の平面などの第1の面を提供してもよい、及び/又は係合要素は、後配向面として、第2の平面などの第2の面を提供してもよい。第2の移行段階の間、第2の取り付け位置の最大前後寸法は、器具によって提供される器具取り付け位置の最小前後寸法よりも、小さくてもよい。第2の移行段階の間、第2の取り付け位置は、器具によって提供される器具取り付け位置に入ることが、可能であってもよい。
【0086】
本方法は、第2の取り付け位置のその他の配向において、例えば、ツール係合解除状態、及び/又はツール係合状態、及び/又は器具係合状態、及び/又は器具係合状態、及び/又は1つ以上の代替的な配向状態において、第2の取り付け位置が器具取り付け位置に入ることができない、及び/又は器具取り付け位置から出ることができないことを、提供し得る。本方法は、第2の取り付け位置の1つ以上のその他の配向において、係合要素が、非前配向面としての第1の平面などの第1の面を提供してもよい、及び/又は係合要素が、非後配向面としての第2の平面などの第2の面を提供してもよいことを、提供し得る。本方法は、その他の配向のうちの1つ以上又は全てにおいて、第2の取り付け位置の最大前後寸法が、器具によって提供される器具取り付け位置の最小前後寸法より大きくてもよいことを、提供し得る。本方法は、その他の配向のうちの1つ以上又は全てにおいて、第2の取り付け位置が、器具によって提供される器具取り付け位置に進入することが不可能であり得ることを、提供し得る。
【0087】
本方法は、その他の配向の全てのうちの1つ以上が、例えば、第2の取り付け位置が器具の中へ通過することを可能にする位置合わせを提供するように、取り出しデバイスの回転による第2の移行段階への移行であってもよいことを、提供し得る。
【0088】
本方法は、器具係合状態が取り出しデバイスの一部を提供すること、例えば、第2の取り付け位置が器具の一部と係合することを、含んでもよい。第2の取り付け位置は、器具内へと完全に挿入されてもよい。本方法は、器具係合状態が、取り出しデバイス及び/又は器具が軸線方向に互いから離れる動きに対して拘束を提供することを、含んでもよい。器具係合状態は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対する拘束を、提供しなくてもよい。
【0089】
本方法は、取り出しデバイスが、器具接触状態と器具係合状態との間の第3の移行段階を通過する工程を、含んでもよい。取り出しデバイス及び器具は、第3の移行段階中に互いに対して回転されてもよい。回転は、90°+/-40°であってもよい。回転は、90°+/-30°であってもよい。回転は、90°+/-20°であってもよい。回転は、90°+/-10°であってもよい。
【0090】
本方法は、特に、器具係合状態にある間に、1つ以上の代替的な配向状態を有する取り出しデバイスを、含んでもよい。1つ以上の代替的な配向状態は、第2の移行段階中の移動方向に対する、及び/又は器具の長手方向軸線に対する、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸又は平面に対する、取り出しデバイスの長手方向軸線の異なる角度(複数可)であってもよい。
【0091】
本方法は、取り出しデバイスが、弧の10°超、例えば、弧の20°超、例えば、弧の30°超、あるいは弧の45°までに及ぶ配向状態の範囲にわたって、一連の代替的な配向状態を有する取り出しデバイスを、含んでもよい。本方法は、60°未満の弧、例えば、50°未満の弧にわたる配向状態の範囲にわたって一連の代替的な配向状態を有する、取り出しデバイスを含んでもよい。本方法は、器具の長手方向軸線に対して、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸線又は平面に対して、内側方向に0°~10°の範囲にわたって一連の代替的な配向状態を有する、取り出しデバイスを含んでもよい。本方法は、器具の長手方向軸線に対して、及び/又は器具の長手方向軸線に平行な軸線又は平面に対して、側方に20°~50°、例えば、30°~40°の範囲にわたって一連の代替的な配向状態を有する、取り出しデバイスを含んでもよい。本方法は、1つ以上の代替的な配向状態が、取り出しデバイス及び/又は器具の互いから軸線方向に離れる移動に対する拘束を提供する工程を、含んでもよい。本方法は、器具に対する取り出しデバイスの回転に対して拘束を提供しない1つ以上の代替的な配向状態を、含んでもよい。
【0092】
本方法は、取り出しデバイスを器具に対して、例えば、内側方向又は外側方向に回転させることによって、取り出しデバイスが1つの代替的な配向状態から別の代替的な配向状態に移行する工程を、含んでもよい。
【0093】
本方法は、複数の異なる代替的な配向状態における器具引き抜き状態を、含んでもよい。本方法は、器具引き抜き状態が、器具から離れるように、軸線方向負荷を取り出しデバイスに提供する工程を、含んでもよい。軸線方向負荷は、ツールを介して印加されてもよい。軸線方向負荷は一定であってもよく、例えば、ツールへのスラップハンマの作用によって、変化してもよい。器具引き抜き状態は、器具と患者との相対運動を、提供してもよい。
【0094】
第4の態様は、その他の態様を含め、本書のその他の箇所に記載されている特徴、可能性、又は選択肢のいずれかを、含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
以下で、例示のみを目的として、添付の図を参照しながら、本開示の様々な実施形態を説明する。
【
図1】ブローチ取り出しデバイスの第1の実施形態の、斜視側面図である。
【
図2a】係合解除状態にある、ブローチに接近しているブローチ取り出しデバイスの一実施形態の、斜視図である。
【
図2b】ブローチ取り出しデバイスが、ブローチに対して挿入された状態にある、
図2aの組み合わせの、斜視図である。
【
図2c】ブローチ取り出しデバイスがブローチに対してロックされた状態にある、
図2a及び
図2bの組み合わせの、斜視図である。
【
図3a】ブローチに対してロックされた状態のブローチ取り出しデバイスの一実施形態の、側断面図である。
【
図3b】ブローチに対するブローチ取り出しデバイスの、いくつかの可能な配向/傾斜を示す、
図3aの組み合わせの、詳細図である。
【
図4a】ブローチの更なる実施形態の、前方斜視図である。
【
図4b】
図4aの実施形態によるブローチの、側面上方斜視図である。
【
図5a】係合解除状態にあるブローチ及びブローチ取り出しデバイスの、更に別の実施形態の、正面図である。
【
図5b】ブローチ及びブローチ取り出しデバイスが挿入された状態の、
図5aの図である。
【
図5c】ブローチ及びブローチ取り出しデバイスがロック状態にある、
図5a及び
図5bの図である。
【
図5d】
図5cのブローチ及びブローチ取り出しデバイスのための、ロック状態における代替的な傾斜を示す。
【
図6】ブローチ及びブローチ取り出し要素の、別の実施形態を示す。
【
図7a】係合解除状態にあるブローチ及びブローチ取り出し要素の、別の実施形態を示す。
【
図7b】ロック状態にある
図7aのブローチ及びブローチ取り出し要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を、開示される特定の形態に限定することは本開示の意図するところではなく、その逆に、その意図するところは、本開示並びに添付の「特許請求の範囲」に包含される全ての改変物、均等物、及び代替物を網羅することにある点は理解されるべきである。
【0097】
解剖学的参照を表す、前方、後方、内側、外側、上位、下位などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において説明される整形外科用インプラント又はプロテーゼ及び外科用器具に関して、並びに患者の天然の解剖学的構造を参照して、使用され得る。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0098】
股関節形成術では、プロテーゼの大腿骨構成要素は、大腿骨の準備された近位端部へと、首尾よく導入されなければならない。圧入移植が頻繁に使用されるが、これは、インプラントと大腿骨の内面との間の密接な嵌合を必要とする。締まり嵌めは、骨/インプラント界面における動きを可能にすることなく、骨の内部成長を促進し、必要な負荷伝達を与えるために、必要である。
【0099】
これを達成するために、骨髄管の制御された準備が、大腿骨を準備するために増大するサイズのリーマ及びブローチを使用して、提供される。使用される第1のブローチは、典型的には、インプラントのための手術前にテンプレートされたサイズのサイズよりも、2又は3小さいサイズである。ブローチは、順次使用され、それぞれ、管の寸法を増加させるために挿入され、次に、取り外しされる。ブローチの最終サイズは、典型的には、提供される構成の適切な評価を可能にするために、取り付けられた試用プロテーゼと共に、使用される。試用が完了すると、予備ブローチの最終サイズが取り外され、最終ブローチに対して正しいステムサイズを使用して、最終移植が行われ得る。
【0100】
場合によっては、例えば、ブローチスピゴット接続特徴部が損傷又は破損した場合、関連付けられたブローチ・インパクタ・ハンドルを伴うブローチのうちの1つ以上の取り外しが困難である可能性があり、したがって、専用ブローチ取り出し器が、この取り外しを補助するために、既存の器具セットに提供される。任意の更なる骨又は組織の取り外しなしに、ブローチを首尾よく取り外しできることが、有益である。
【0101】
ブローチが大腿骨に詰まると、手術を完了するためにかかる時間が長くなる、及び/又は必要とされる外科的処置における合併症につながる可能性がある。したがって、ブローチの効果的な取り外しが、必要である。なお、既存のアプローチにおける単一軸線方向配向及びブローチとの係合の位置は、いくつかの患者の解剖学的構造に対して、準最適であり得る。
【0102】
本開示は、ブローチ取り出し器とブローチとの間の係合のためのより低い空間要件を提供しようとする。本開示は、既存のデバイスのための小型取り付け部を提供することによって、器具セット内の更なるデバイスの必要性を回避し、更なるデバイスの空間を占有しようとする。本開示は、必要とされる器具の数を最小限に、問題のブローチのサイズに対して最適化された係合を提供しようとするものである。
【0103】
本開示によるブローチ取り出しデバイス1の第1の実施形態を、
図1に示す。ブローチ取り出しデバイス1には、遠位端部3及び近位端部5が設けられている。
【0104】
図3aに見られるように、近位端部5は、ブローチ取り出しデバイス1を、ツール、例えば、取り出しシャフト9の遠位端部に接続するための取り付け位置7を、提供する。取り付け位置7のための様々な構成が可能であるが、それぞれは、使用される取り出しシャフト9などのツールの遠位端部13の構成と係合するための適切な構成を、有する。図示の構成では、近位端部5内のボア11は、その中に設けられた雌ねじ山を有する。
【0105】
ボア11は、ツールの遠位端部13を受容し、雌ねじ山15と遠位端部13に設けられた雄ねじ山17との間の位置合わせを、促進する。ブローチ取り出しデバイス1及びツール9の互いに対する回転は、2つの構成要素を共にねじ留めし、それらの間に強力な単一軸線方向整合係合を提供する。この構成において、ブローチ取り出しデバイス1は、ツール9上で使用する準備ができている。
【0106】
ブローチ取り出しデバイス1はツール9とは別個の構成要素であるため、ブローチ取り出し機能は、その他の機能も有する外科用器具によって、提供され得る。例えば、ツール9は、ステムを引き抜く際に使用するためのステム引き抜きシャフトとしてもまた、機能し得る。ブローチ取り出し器500の遠位端部508及び従来技術におけるそのブローチ取り出しの一体的な性質は、このブローチ取り出し器500が、その機能のためにのみ使用され得ることを、意味した。
【0107】
図1に戻ると、ブローチ取り出しデバイス1は、ボア11を取り囲む本体部分19を有する。図示された実施形態では、本体部分19は、直円筒形部分21と、先細になりネック部分25への移行部を提供する円錐形部分23と、を含む。ネック部25もまた直円柱であるが、本体部分19の主要部分よりもかなり小さい直径を有する。ネック部分25の遠位端部27には、係合要素29がある。
【0108】
図1の実施形態では、係合要素29は、部分球である。係合要素29は、球が係合要素29とネック部分25との間の接合部を画定する平面31によって切頭されているので、部分球にすぎない。係合要素29は、球体が対向する側面平坦部33a、33b(図示せず)によって切り取られているので、部分的な球体にすぎない。平坦部33a、33bは、ブローチ取り出しデバイス1の長手方向軸線X-Xに、平行に位置合わせされる。遠位端部3は、係合要素29の球状部分によって形成される。
【0109】
図2a、
図2b、及び
図2cは、ブローチ35に対して動作中のブローチ取り出しデバイス1を示す。
【0110】
図2aでは、ブローチ取り出しデバイス1は、上述のねじ係合によって、ツール9の遠位端部13に、既に取り付けられている。ブローチ取り出しデバイス1は、ブローチ35の突起面37に向かって、軸線方向に進められる。
【0111】
ブローチ35は、
図2aで見ることができる上位部分41を有するが、上位部分41は、ステム(図示せず)の残りの部分と共に、ブローチ35の機能を補助するために凹部45と交互に並ぶ、一連の歯43を備える。ブローチ35の突起面37は、大腿骨内へと挿入された場合に、内側-外側に延在する。突起面37には、試用ネックセグメント(図示せず)を受容する突起部47が設けられており、試用ネックセグメントは、試用モジュラ・ヘッド(図示せず)を取り付ける。
【0112】
突起表面37には、ブローチ35内に下方に延在するスロット49が設けられている。スロット49は、周囲壁(複数可)51によって画定され、(
図2aに見られる)底壁55によって部分的に画定されたチャンバ53内へと開口する。チャンバ53は、以下により詳細に説明され、スロット49の幅よりも広い幅を有する。これにより、アンダーカットが形成される。スロット49は、前方-後方A-Pと考えられる幅を有するが、この幅は、内側-外側M-Lと考えられるスロットの長さよりも短い。
【0113】
図2aに示されるように、係合要素29上の平坦部33a、33bは、前方-後方A-Pに面し、したがって、平坦部33a、33bに起因するその配向における係合部分29の低減された「幅(width)」は、係合要素29がスロット49に進入し、次に、スロット49の下方に提供されるチャンバ53に進入することを、可能にする。
【0114】
係合要素29上の平坦部33a、33bが側方-内側L-Mに面して存在する場合、係合要素29の完全な「幅」は、係合要素29の完全な球が存在することに起因して、係合要素29がスロット49に入り、スロット49の下方に設けられたチャンバ53に到達することができないことを、意味する。取り出しシャフト9及び取り付けられたブローチ取り出しデバイス1の回転は、係合要素29がスロット49を通過し、したがって、
図2aの係合解除状態から
図2bの挿入状態に移行することを可能にするように、正確な位置合わせを提供するために、必要とされる。
【0115】
図2bに示されるように、係合要素29はチャンバ53内にあり、ネック部分25の一部は、スロット49を通って延在する。
【0116】
図2bの挿入状態では、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1を近位軸線方向、矢印Yに移動させようとすると、その移動及び分離に抵抗するものがないので、挿入状態から係合解除状態に戻る移行が生じる。
【0117】
図2bの挿入された状態を参照すると、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1が、いずれかの方向であるが、実施例では反時計回りに回転される場合、係合要素29もまた、チャンバ53内で回転し、ネック部分25は、スロット49内で回転するであろう。
【0118】
ブローチ取り出しデバイス1の本体部分19には、係合要素29上の平坦部33a、33bに平行な2つの平坦部56a、56bが、設けられている。平坦部56a、56bの少なくとも1つの配向を観察することにより、平坦部33a、33bの配向、したがってチャンバ53内の係合要素29の配向が分かる。示されるように、平坦部56a、56bは両方とも、本体部分19の全長に延在するが、平坦部は、本体部分19のサブ区分上、例えば、(
図1に見られるように)その近位端部にのみ提供されてもよい。
【0119】
図2a及び
図2bに示される配向に対して90°などの十分な程度まで回転されると、係合要素29上の平坦部33a、33bは、外側-内側L-Mに面して提示される。したがって、係合要素29の全「幅」は、係合要素29の完全な球体部分に起因して、その配向でスロット49に提示されるが、これは、係合要素29がスロット49に入ることができず、したがって、チャンバ53から出ることができないことを意味する。これは、
図2cに示す、ロック状態である。
【0120】
ロック状態になると、ブローチ取り出しデバイス1及びツール9は引き抜き状態にあるとみなされ得、ツール9に軸線方向の力を印加して、ブローチ35を、大腿骨から引き抜かせ得る。
【0121】
部分球状係合要素29は、このロックされた配向において、その球状部分を側壁区分61に提示するが、これらの側壁区分61は、係合要素29及びチャンバ53のための互いに対する関節面を提供するために、対応する輪郭を有する。これは、ブローチ係合要素1及びツール9が、ロック状態及びその引き抜き状態から、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1の軸線X-Xがブローチ軸線Y-Yと密接に位置合わせ又は位置合わせされる、軸線方向に位置合わせされたブローチ引き抜き状態へと、関節運動させられる又は別様に移行させられることができることを、意味する。これは、ツール9の意味であってもよく、ブローチ取り出しデバイス1は、ブローチの軸線Y-Yに対して、わずかにオフセットしていたとしても、実質的に平行な軸線X-Xを有する(
図3a参照)。軸線方向に整列したブローチ引き抜き状態では、ツール9に加えられる軸線方向の力は、ツール9がブローチ35に伝達される配向において、最適化される。
【0122】
図2cのロック状態では、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1を近位軸線方向、矢印Yに移動させようとすると、係合要素29がブローチ35から離れることができないので、軸線方向力がブローチ35に伝達されることになる。このようにして、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1は、大腿骨(図示せず)からブローチ35を取り外しするために、使用され得る。
【0123】
ブローチ35に対するツール9及びブローチ取り出しデバイス1の同じ軸線方向整列が、
図2b及び
図2cのそれぞれに示されているが、本開示の実施形態は、スロット49、係合要素29、及びチャンバ53の構成によって、ブローチ35に対するツール9及びブローチ取り出しデバイス1の軸線方向整列の制御された変動を、可能にする。これらの構成は、
図3a及び
図3bを参照して、最もよく説明される。
【0124】
スロット49、係合要素29、及びチャンバ53の構成のいくつかの特徴が組み合わされて、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1の軸線方向整列の変動を可能にするが、依然として制御している。
【0125】
図3bを参照すると、3つの例示的な軸線方向整列が、示されている。中間
図Iは、ブローチ取り出しデバイス1をブローチ35内へと挿入して係合させるために、
図3a、
図2b、及び
図2cで使用される配向と一般に一致する軸線方向位置合わせを、示す。この配向では、ブローチ取り出しデバイス1は、突起部47から離れており、スロット49の周囲壁51の側方区分57から離れている。
【0126】
右側の
図R及び左側の
図Lは、それぞれ、最大内側偏位の近く及び最大外側偏位の近くを示す。
【0127】
左側の図は、ブローチ35上の突起部47に当接するブローチ取り出しデバイス1によって、内側方向への更なる傾斜が、制限される。ブローチ取り出しデバイス1の遠位端部上の係合要素29が、底壁55に沿ってチャンバ53内で側方に移動される場合、内側方向へのいくらかの更なる傾斜が、可能であり得る。
【0128】
右側の図では、ブローチ取り出しデバイス1がスロット49の周囲の周囲壁51の側方区分57に当接することによって、側方への更なる傾斜が制限されている。係合要素29のわずかな内側への移動は、更なる傾斜を与えることが可能であり得る。
【0129】
可能な傾斜の範囲は、従来技術のアプローチで意図される単一の傾斜よりも、実質的に大きい。これは、軸線方向の力が異なる傾斜で印加されることを可能にし、ブローチ35が大腿骨から自由に作動することを、手助けする。
【0130】
図3bに戻ると、側方区分57によって提供される傾斜に対する拘束は、ツール9及び/又はブローチ取り出しデバイス1が、ブローチ35及び大腿骨へのアクセスを可能にするように作られた切開の内側に存在する可能性がある軟組織に接触することを、防止することに対して、有益である。
【0131】
右側の図及び
図3aの位置は、ツール9及びブローチ取り出しデバイス1の軸線方向の位置合わせが、大腿骨内のブローチ35の軸線と位置合わせされるので、ブローチを取り出しするために、特に有用な配向である。これは、軸線方向の力が、大腿骨からブローチ35を取り外しするためにより良く整列されることを、意味する。
【0132】
スロット49、周囲壁51、側方区分57、チャンバ53、及び底壁55の構成は、
図4aに明確に示されている。スロット49には、スロット49の周囲に延在し、周囲壁51の一部である面取りされた縁部区分59が、設けられている。面取りされた縁部区分59は、周囲壁51の残りの部分を形成し、チャンバ53の一部を画定する側壁区分61に、移行する。チャンバ53は更に、対向する側壁区分61を接続する底壁55によって、画定されている。チャンバ53はまた、湾曲した端壁63によって画定されるが、この端壁63は、係合要素29の球状部分の一部に適合するように、輪郭形成されている。湾曲した端壁63、側壁区分61及び底壁55は、係合要素29の球状部分の一部に適合するように輪郭が形成された、皿状遷移面65において、交差する。最後に、チャンバ53の輪郭は、チャンバ53からブローチ35の側方肩状部面69を通って延在するボア67を、含む。ボア67は、チャンバ53の排水を、容易にする。
【0133】
スロット49の側方縁部57を画定するブリッジ区分71は、側方肩状部面69まで、側方に延在する。ブリッジ区分71は、ブローチ取り出しデバイス1及びツール9の傾斜を拘束するだけでなく(
図3bの右側の
図R)、ブローチ35に十分な強度を提供して、ブローチ取り出し要素1の使用を通じて、例えば、前方及び/又は後方への側方区分73の変形に、抵抗する。
【0134】
ブローチ取り出しデバイス1のこの実施形態及びそれを収容するためにブローチ35になされる修正は、ブローチ35の前面及び後面に歯を保持することに対して、有益である。それらはまた、ブローチサイズなどの任意の所望のアルファ/数字マーキングのために、側方肩状部面69上又はその近くに利用可能な空間が依然として存在することを、意味する。ブリッジ区分71は、ブローチ取り出し要素1及びツール9を拘束するために有益であり、それによって、ブローチ取り出し要素1及びツール9は、ブローチの側面から滑り出ることができず、患者の解剖学的構造又は軟組織の転子又はその他の要素に、潜在的に衝撃を与えることができない。ブローチ取り出し要素1及びツール9の最大側方傾斜は、ブローチ取り出し要素1及び/又はツール9の任意の側方懸垂を防止するように構成されており、例えば、患者の転子が懸垂する場合、より容易な接近を提供する。
【0135】
上述した実施形態は、ブローチ取り出しデバイス1のための1つの係合要素29形態と、ブローチ53の1つのスロット49及びチャンバ53構成と、を特徴とするが、その他の形態及び構成も、可能である。
【0136】
なお、以下の実施形態では、挿入状態を与える挿入の仕方と、ロック状態を与えるロックの仕方とは、実質的に同じであるため、詳細な説明は省略し、上記実施形態を参照する。上記の実施形態(複数可)からのその他の特徴の多くは、以下の実施形態にも共通であり、ここでも詳細には説明せず、再度上記の実施形態(複数可)に注目する。
【0137】
第1の代替実施形態が、
図5a、
図5b、
図5c、及び
図5dに、示されている。この実施形態では、ブリッジ区分71は存在せず、スロット49は、側方肩状部面69に対して、開いている。スロット延長部75は、チャンバ53と同じ深さにわたって遠位に延在せず、したがって、傾斜面が2つを接続する。この場合、ブローチ取り出し要素は、係合要素29につながるネック25を依然として含むが、この場合、係合要素29は、異なる輪郭を有する。直円筒形部分77は係合要素29を提供するが、この円筒形部分77の軸は、ブローチ係合要素1の軸線X-Xに、垂直に延在する。
図5aに示される配向では、係合部29は、スロット49、したがって、チャンバ53に入ることができる。
図5bの挿入状態から回転されて
図5cのロック状態を与える場合に、ブローチの後壁及び前壁79には、円筒形部品77の端部83を受容する貫通孔81が、設けられている。開口部81は、チャンバ53からの排水を手助けする。ブローチ35を引き抜くために、軸線方向の負荷が印加された場合に、円筒部77が、側壁ブリッジ85に当接する。円筒形部分77は、
図5dに見られるように、ブローチ35に対するブローチ取り出し要素1の異なる配向を、可能にする。
【0138】
図6の第2の代替実施形態では、ブリッジ区分71はやはり存在せず、スロット49は、チャンバ53と同様に、側方肩状部面69に対して、開いている。この実施形態では、
図1の実施形態と同様の構成を有する係合要素29が、使用される。これは、両側に、平坦部33a、33bを有する部分的な球状部分を、含む。
【0139】
図7a及び
図7bの第4の代替実施形態では、より小さいチャンバ53が、側方肩状部面69のより近くに、設けられている。チャンバ53及びスロット49は、側方肩状部面69で、開口している。再び、係合要素29は、1つの回転配向で挿入され、スロット49を通って出るには広すぎる別の配向で、ロックされ得る。必要であれば、係合要素29は、スロット延長部75を介して接近される側方肩状部面69の開口部を介して回転することなく、係合解除され得るか、あるいは潜在的に係合され得る。この実施形態では、係合要素29は直線状の輪郭を有するが、ここでも平坦部33a、33bを使用して係合要素29の2つの面を切断し、したがって、異なる幅を提供する。
【0140】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとはみなすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれる全ての変更及び改変は保護されることが望ましいことが、理解される。
【0141】
本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法の様々な特徴に由来する本開示の複数の利点が、存在する。本開示のデバイス、システム、及び方法の代替的実施形態は、記載される特徴の全てを含まないことがあるが、このような特徴の利点の少なくとも一部によって利するものである点に、留意されたい。当業者であれば、本発明の特徴の1つ以上を組み込んだ、本開示の趣旨及び範囲内にあるデバイス、システム、及び方法について、独自の実現例を容易に考案し得る。
【0142】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具取り出しデバイスであって、前記取り出しデバイスが、
本体と、
前記本体の前記近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
前記本体の前記遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備え、
前記第2の取り付け位置が、使用時に前記外科用器具を引き出すための係合要素を含み、前記係合要素が、前記係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、前記係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、前記第1の範囲が前記第2の範囲よりも広く、前記係合要素が、1つ以上の非平面表面を、更に含む、外科用器具取り出しデバイス。
(2) 前記1つ以上の非平面表面区分が、1つ以上の湾曲表面区分及び/又は部分球表面区分を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(3) 前記非平面表面が、1つ以上の係合表面区分を提供する、実施態様1又は2に記載のデバイス。
(4) 前記第2の取り付け位置と前記本体との間の接合部に隣接して、1つ以上の非平面係合表面区分が設けられている、実施態様3に記載のデバイス。
(5) 前記第2の取り付け位置と前記本体との間の接合部の遠位に、1つ以上の非平面係合表面区分が設けられている、実施態様3又は4に記載のデバイス。
【0143】
(6) 前記1つ以上の非平面表面が、共通の球面上にある1つ以上の表面区分を含む、実施態様1~5のいずれかに記載のデバイス。
(7) 前記係合要素が、1つ以上の平坦な他の表面区分を備える、実施態様1~6のいずれかに記載のデバイス。
(8) 前記係合要素が、互いに同一平面上にあり、かつ/又は前記取り出しデバイスの前記長手方向軸線に平行に延在する、2つの平坦な他の表面区分を備える、実施態様1~7のいずれかに記載のデバイス。
(9) 前記係合要素が、1つ以上の球状キャップが取り外された球の輪郭を有する、実施態様1~8のいずれかに記載のデバイス。
(10) 取り外された第1の球状キャップを画定する平面が、前記係合要素と前記細長い部分との間の前記接合部を形成する前記平面であり、かつ/又は取り外された第2の球状キャップを画定する前記平面が、第1の平坦な他の表面であり、かつ/又は取り外された第3の球状キャップを画定する前記平面が、第2の平坦な他の表面である、実施態様9に記載のデバイス。
【0144】
(11) 前記第1の平坦な他の表面が、前記第2の平坦な他の表面と同一平面上にあり、かつ/又は前記取り出しデバイスの前記長手方向軸線に平行に延在する、実施態様10に記載のデバイス。
(12) 前記第1の範囲が、2つの異なる非平面表面上、例えば、互いに対向する2つの非平面表面上、及び/又は前記係合要素の互いに反対側にある2つの非平面表面上の、第1の対の点の間にある、実施態様1~11のいずれかに記載のデバイス。
(13) 前記本体が、本体部分を含み、細長い部分を、前記本体部分を前記細長い部分に接続する移行部分と共に、含む、実施態様1~12のいずれかに記載のデバイス。
(14) 前記第1の取り付け位置が、前記取り出しデバイスをツールの前記遠位端部に接続するように適合されている、実施態様1~13のいずれかに記載のデバイス。
(15) キットであって、
外科用器具取り出しデバイスであって、前記取り出しデバイスが、
本体と、
前記本体の前記近位端部に設けられた、第1の取り付け位置と、
前記本体の前記遠位端部に設けられた、第2の取り付け位置と、を備える、外科用器具取り出しデバイスを、備え、
前記第2の取り付け位置が、使用時に前記外科用器具を引き出すための係合要素を含み、前記係合要素が、前記係合要素の両側の第1の対の点の間の第1の範囲を有し、前記係合要素の両側の第2の異なる対の点の間の第2の範囲を有し、前記第1の範囲が前記第2の範囲よりも広く、前記係合要素が、1つ以上の非平面表面を、更に含み、
前記キットが、
前記外科用器具取り出しデバイスの前記第1の取り付け位置に取り付けるための、ツールを、更に備える、キット。
【0145】
(16) 前記ツールが、ハンドル及び/若しくは1つ以上の当接面を更に含み、かつ/又は更なるツールによる衝撃のために適合されている、実施態様15に記載のキット。
【国際調査報告】