IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイーエー  ウエストファリア  セパレーター  グループ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2025-500633固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法
<>
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図1
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図2
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図3
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図4
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図5
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図6
  • 特表-固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】固体ボウル遠心分離機及び固体ボウル遠心分離機の分離プロセスを調節するための方法
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/20 20060101AFI20241226BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B04B1/20
B04B11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540978
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2023050173
(87)【国際公開番号】W WO2023135051
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022100511.9
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516362920
【氏名又は名称】ジーイーエー ウエストファリア セパレーター グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーフェルベルク, マルティン
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AB01
4D057AB03
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE03
4D057AF05
4D057BC05
4D057BC13
4D057BC16
4D057CB00
4D057CB01
4D057CB04
(57)【要約】
本発明は、固体ボウル遠心分離機、特に、2相または3相固体ボウル遠心分離機に関し、動作中に回転軸を中心に回転し、遠心力場で処理される懸濁液の供給部を有するドラム(1)と、動作中に回転するスクリュー(2)が配置された分離室(5)とを備えたロータと、固体相(S)を排出するための固体材料排出部(14)と、少なくとも1つの液体相(L)を排出するための少なくとも1つの液体出口部とを備え、少なくとも1つの液体出口部は、分離室(5)内の浸漬深さ(Dt)または分離室(5)内の分離ゾーン(Dz)の直径に影響を及ぼす装置(6)を有し、該装置(6)は、少なくとも1つ以上の圧力室を有し、各圧力室内に流体供給ラインが送り込まれ、夫々の圧力室内のガス圧が影響を受けて、夫々の圧力室内のガス圧を排出される液体相の少なくとも1つの液面に印加して、動作時に池深さの直径(Dt)及び/又はボウル(1)内の分離ゾーン(Dz)の直径に影響を及ぼし、特に制御されたまたは規制された方法で調節する。夫々の圧力室は、ロータに形成され、1つ以上の機能ディスクが、夫々の圧力室の領域に配置され、これらの機能ディスクの全ては、動作時にロータと共に回転する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ボウル遠心分離機、特に2相又は3相の固体ボウル遠心分離機であって、
a. 動作中に回転軸を中心に回転し、遠心力場で処理される懸濁液のための入口を有するボウル(1)と、動作時に回転するスクリュー(2)が配置される分離室(5)とを備えたロータと、
b. 固体相(S)を排出する固体材料排出部(14)と、少なくとも1つの液体相(L)を排出するための少なくとも1つの液体出口部とを備え、
c. 前記少なくとも1つの液体出口部は、分離室(5)内の池深さ(Dt)または分離室(5)内の分離ゾーン(Dz)の直径に影響を及ぼす装置(6)を有し、
d. 該装置(6)は、少なくとも1つ以上の圧力室(62)を有し、各圧力室(62)内に流体供給ライン(61)が開口しており、該流体供給ライン(61)を介して、夫々の圧力室(62)内のガス圧力が影響を受けて、夫々の圧力室(62)内のガス圧力を排出される液体相の少なくとも1つの液面に印加して、動作時に池深さの直径(Dt)及び/又はボウル(1)内の分離ゾーン(Dz)の直径に影響を及ぼし、特に制御された又は規制された方法で調節する固体ボウル遠心分離機において、
e, 夫々の圧力室(62)は、前記ロータに形成され、1つ以上の機能ディスク(1511、1512、1513、1514)が、夫々の圧力室(62)の領域に配置され、これらの機能ディスクの全ては、動作時にロータと共に回転することを特徴とする固体ボウル遠心分離機。
【請求項2】
前記1つ以上の機能ディスク(1511、1512、1513、1514)は、前記ボウル(1)または前記スクリュー(2)の何れかに回転可能に固定された状態で接続され、動作時に、前記ボウル(1)または前記スクリュー(2)と共に回転する、請求項1に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項3】
前記1つ以上の機能ディスク(1511、1512、1513、1514)が、リングセグメントとして、または円周方向に閉じたリングとして構成される、請求項1又は2に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項4】
前記夫々の圧力室(62)は、動作時にロータと一緒に回転する要素によってのみ、全ての側部を境界付けられる、請求項1乃至3の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項5】
単一の液体相のための単一タイプの液体出口部(15)を有する2相固体ボウル遠心分離機として構成される、請求項1乃至4の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項6】
異なる密度の2つの液体相である、より軽い液体相(Ll)及びより重い液体相(Lh)のための少なくとも2つの異なるタイプの液体出口部(15,16)を有する3相固体ボウル遠心分離機として構成される、請求項1乃至4の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項7】
前記少なくとも1つの液体出口部は、1つ以上の堰開口部(151)を有する堰を有し、前記1つ以上の圧力室(62)は、前記堰と関連付けられる、請求項1乃至6の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項8】
複数の堰開口部(151、151')がボウルカバー(13)に設けられ、半径方向内側から外側に向かって堰開口部(151)の領域に延びる第1のサイフォンディスク(1511)が、機能ディスクの1つとして1つ以上の堰開口部(151)の上流に接続される、請求項1乃至7の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項9】
前記流体供給ライン(61)は、少なくとも2つのラインセクション(611、612)を有し、これらのラインセクション(611)のうちの1つは、非回転領域に形成され、これらのラインセクション(612)のうちの少なくとも1つの他のラインセクションは前記ロータ内の、前記ボウル(1)または前記スクリュー(2)内に形成され、前記ロータ内の夫々の圧力室(62)内に開口する、請求項1乃至8の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項10】
前記固体ボウル遠心分離機の前記非回転領域内及び前記ロータ内の前記流体供給ライン(61)の前記少なくとも2つのラインセクション(611、612)が、回転フィードスルー(63)を介して互いに接続される、請求項9に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項11】
前記回転フィードスルー(63)が、前記ロータと前記フレーム(7)との間の環状間隙に形成される、請求項10に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項12】
前記回転フィードスルー(63)が、環状室の形態で構成され、1つ以上のシール、特にメカニカルシール(65,66)を有する、請求項10又は11に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項13】
a. より軽い液体相のための1つ以上の液体出口部(15)は夫々圧力室(62)のうちの1つに割り当てられ、該流体室内で各流体供給ライン(612)がロータ内に開口し、
b. 及び/又は、より重い液体相のための1つまたは複数の液体出口部(15)は夫々圧力室(62)のうちの1つに割り当てられ、該流体室内で各流体供給ライン(612)がロータ内で開口している、請求項1乃至12の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項14】
a. より軽い液体相(Ll)のための1つ以上の液体出口部(15)は夫々圧力室(62)のうちの1つに割り当てられ、該流体室内で各流体供給ライン(612)がロータ内に開口し、
b. 及び/又は、より重い液体相(Lh)のための1つまたは複数の液体出口部(15)には夫々排出パイプ(161)が割り当てられ、該排出パイプを用いてより重い相をボウル(1)から排出することができる、請求項1乃至12の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項15】
a. ロータ内の夫々の流体供給ライン(612)が開口する圧力室(62)のうちの1つは、より重い液体相のための1つまたは複数の流体出口部(16)に割り当てられ、
b. より軽い液体相のための1つ以上の液体出口部(15)は夫々排出パイプ(161)のうちの1つに割り当てられ、該排出パイプを用いてより重い相をボウル(1)から排出することができる、請求項1乃至12の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項16】
圧力室(62)の1つ、及びセクションに設けられて又は回転するリングサイフォン(1516)が、1つまたは複数の堰開口部(151)に割り当てられ、半径方向内側に開いているリングカップ(1517)と、半径方向外側がリングカップ(1517)に入り込んでいる外側サイフォンディスク(1513)とを有する、請求項1乃至15の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項17】
外側サイフォンディスク(1513)が、動作時に前記ボウルまたはスクリュー(2)と共に回転する機能ディスクとして構成される、請求項15に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項18】
前記リングサイフォンの半径方向内側に開いたリングカップ(1517)が、半径方向外側から内側に延在し、動作中にボウル(1)またはスクリュー(2)と共に回転する2つの堰ディスク(1512、1514)によって軸方向に境界付けられる、請求項15又は16に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項19】
複数の堰開口部(151)がボウルカバー(13)に設けられ、圧力室(62)が、夫々の堰開口部(151)の内側に第1の圧力室セクション(62a)と、円周方向に環状の圧力室セクション(62b)とを有し、該圧力室セクション(62b)は軸方向外側に隣接して、第1の圧力室セクション(62a)に接続し、堰開口部(151)に向かって外側サイフォンディスク(1513)の側で内側で円周方向に形成され、リングカップ(1517)に向かって外側で半径方向に形成される、請求項1乃至18の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項20】
前記流体供給ライン(61)は、前記円周方向に環状の圧力室セクション(62b)内に開口し、単一の流体供給ライン(61)は、圧力を加えられたガスを前記圧力室(62)全体に供給することができる、請求項19に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項21】
複数の堰開口部(151、151')がボウルカバー(13)に設けられ、堰開口部の一部が、止まり穴のように軸方向の一端で閉じられ、排出室(163)として構成され、ボウル(1)から液体を排出する排出パイプ(161)が、これらの排出室(163)の各々に開口している、請求項1乃至20の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項22】
前記圧力室(62)のうちの1つが、前記止まり穴状の堰開口部内の前記排出室(163)の各々に割り当てられる、請求項18に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項23】
前記堰開口部の別の部分が通路開口部として構成されている、請求項18又は19に記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項24】
前記ボウル(1)から液体を排出するための排出パイプ(161)が開口している夫々の排出室(163)内に、より軽い液体相を導くことができるように、夫々の分離堰(162)が配置されている、請求項1乃至23の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項25】
前記ボウル(1)から液体を排出するための排出パイプ(161)が開口している排出室(163)内に、より重い液体相を導くことができるように、夫々の分離堰(162)が配置されている、請求項1乃至23の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項26】
複数、特に4つ乃至8つの第1及び第2の堰開口部(151、151')が、ボウルカバー内の仮想円上に円周方向に分布して配置され、分離堰(162)のうちの1つが、各第2又は第3の開口部に割り当てられる、請求項1乃至25の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機。
【請求項27】
ボウル(1)における分離プロセスの調節中に、ガスが導入される夫々の圧力室(62)内で、ガス圧力が調節され、ガスが回転フィードスルーを通ってボウルのロータ内に供給され、そこで夫々の圧力室(62)内に供給される、請求項1乃至26の何れかに記載の固体ボウル遠心分離機を操作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体ボウル遠心分離機、特に、請求項1の前提部分に記載の2相または3相の固体ボウル遠心分離機(2相または3相デカンタとも呼ばれる)、及びそのような遠心分離機を用いて分離プロセスを調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2相デカンタを用いて、処理されるべき固体の懸濁液を清澄化する。これは、液体相及び固体相がボウルから排出されることを意味する。動作中にボウル内の池深さを変えることが知られている。「池深さ」という用語は、液体ドレインの領域における液体層の半径方向の深さを意味する。伝統的に、池深さは、堰ディスクを使用して設定される。池深さは、設置された堰ディスクの(オーバーフロー)直径によって決定される。デカンタは、池深さを変えるために停止されなければならない。
【0003】
一方、国際公開公報03/074 185号は、2つの液体相及び1つの固体相をボウルから排出することができる3相デカンタを示す。より重い液体相の吐出量は、堰で調節することができる。3相デカンタにおいて、遠心力場において2つの液体相が互いに分離する半径方向領域は、分離領域と称される。動作中に機械的に調節可能な要素によって重い相を排出することも知られている(例えば、ドイツ特許公開公報10 2018 105 079号を参照されたい)。
【0004】
ドイツ特許公開公報10 2005 027 553号から、池深さ、または場合により分離領域は、液体出口の領域内の空気圧を用いて設定することができることが知られている。これは、それ自体が証明されているが、この解決策が伴う更なるエネルギー消費をさらに低減することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の主題事項によってこの問題を解決する。請求項1によれば、固体ボウル遠心分離機が提供され、該固体ボウル遠心分離機は、動作中に回転軸を中心に回転し、遠心力場で処理される懸濁液のための入口を有するボウルと、動作時に回転するスクリューが配置される分離室とを備えたロータ又は回転システムを有する。ボウルは好ましくはボウルの軸方向一端部の領域にて、固体相を排出する固体材料排出部と、ボウルの軸方向の反対側端部の領域にて、少なくとも1つの液体相を排出する液体出口部とを備えている。前記少なくとも1つ以上の液体出口部は、分離室内の液体レベルに影響を及ぼす、特に制御し調節する装置を有し、該装置は、共通の室を介して接続された少なくとも1つ以上の圧力室を有し、各圧力室内に流体供給ラインが開口しており、該流体供給ラインを介して、夫々の圧力室内のガス圧力が影響を受けて、ガス圧力を夫々の圧力室内の排出される液体相の少なくとも1つの液面に印加して、動作時に分離ゾーン及び/又は池深さに影響を及ぼし、特に制御された又は規制された方法で調節し、夫々の圧力室は、前記ロータに形成され、1つ以上の機能ディスクが、夫々の圧力室の領域に配置され、これらの機能ディスクの全ては、動作時にロータと共に回転する。
【0007】
本発明では、池深さは、再び液体ドレインの領域の空気圧を介して設定される。この圧力は、ボウルとともに回転する圧力室内の液体表面に加えられる。1つまたは複数の機能ディスクが圧力室の領域に配置されているので、これらの機能ディスクはすべて、動作中にロータとともに回転するので、動作中に固定され、回転する液体に浸されている機能ディスクとは異なり、摩擦による主要なエネルギー損失はこれらのディスクでは発生しない。
【0008】
ガス圧力は、空気圧によって作用する圧力である。特に、加圧された空気または不活性ガスを使用して、夫々の圧力室内にガス圧力を発生させる。好ましい実施形態では、圧力室は、夫々の堰開口部内に延在し、更に共通の環状圧力室に接続され、これを介してガス圧力が供給されるように構成される。
【0009】
この点において、圧力室(例えば堰ディスクまたはサイフォンディスク)上/内の全ての機能ディスクがボウルまたはスクリューに取り付けられ、したがって同じ回転速度を有する場合に特に有利である。これにより、ボウル速度で回転する液体中に浸漬される1つ以上、特に静止したサイフォンディスクに起因して、既知の構成で生じるエネルギー損失が低減される。
【0010】
「機能ディスク」という用語は、あまり狭く定義しすぎないことが望ましい。そのようなディスクは、一体型または複数部品の円周方向及び円周方向に閉じたリングディスクとして構成することができるが、1つまたは複数のセグメント、特にリングセグメントから構成することもでき、例えば、円周方向に設けられた堰開口部など全体のうちの1つまたは複数のみを画定することができる。
【0011】
さらに、構成によっては、シャフトのランオンは、一般に静止したディスクで発生し、該ランオンは漏れとして逃げたり、液面に戻る。しかしながら、静止した機能ディスクが液体中に浸漬されないので、本発明によればシャフトのランオンは起こらず、したがって問題にならない。
【0012】
1つまたは複数の機能ディスクは、ボウルまたはスクリューの1つに回転不能に接続されて、動作時にボウルまたはスクリューと共に回転するようになっていてもよい。スクリューは、ボウルに対して異なる速度を有することは事実である。しかしながら、これは、通常、比較的小さく、したがって、不都合なほどに大きなエネルギー損失をもたらさない。
【0013】
1つの変形例によれば、エネルギー損失は、圧力室が、動作時にロータと共に回転する要素によってのみ、全ての側部を境界付けられている場合、特に低く保たれる。
【0014】
本発明は、2相デカンタ(液体/固体分離)及び3相デカンタ(液体/液体/固体分離)の両方に適しており、3相デカンタは、異なる密度の2つの液体相、すなわち、より軽い液体相及びより重い液体相のための2つの液体出口部を有する。その後、構成に応じて、池深さ及び/又は分離ゾーンの何れかを調節することができる。
【0015】
本発明は、様々なタイプの液体排出(自由排出、内部または外部のペアリングディスク、ペアリングチューブ)または液体排出に使用することができる。動作時に池深さを調節できる可能性は常に有利である。
加えて、圧力室を形成するための新規性のある機能ディスクの配置は、費用効果的に実施することができる。
【0016】
少なくとも1つの液体出口部が、1つまたは複数の堰開口部を有する堰を有し、1つ又は複数の圧力室が堰に割り当てられる変形例は、特に良好かつ費用効果的に実現することができる。
【0017】
更に好適な実施形態によれば、堰開口部の幾つかはボウルカバーに設けられ、堰開口部の領域の半径方向内方から外方に延びる第1のサイフォンディスクが、機能ディスクの1つとして、1つ又は複数の堰開口部の上流に接続されている。これは、夫々の第1のサイフォンを画定し、該第1のサイフォンは分離室と下流の第1の堰ディスクを有するそれぞれの堰開口部との間に形成される。
【0018】
特に好ましい実施形態によれば、流体供給ラインは、少なくとも2つのラインセクションを有し、これらのラインセクションのうちの一方は、固体ボウル遠心分離機の非回転領域に形成され、これらのラインセクションのうちの他方または複数のこれらの第2のラインセクションは、ロータに形成され、ロータ内の1つまたは複数の圧力室に開口することが提供される。
【0019】
次いで、固体ボウル遠心分離機の非回転領域の流体供給ラインのパイプセクションとロータ内のパイプセクションとが、回転フィードスルーを介して互いに接続されることが適切であり、有利である。
【0020】
したがって、圧力は、1つまたは複数のシールを有する回転フィードスルーを通って、ボウル上の圧力室の回転環状部分に入り、動作中に高さを調節することができる。これにより、ボウルを停止させることなく、池深さを連続的に変化させることができる。
【0021】
特に、以下のように提供することができる。
軽い液体相のための1つ以上の液体出口部は、圧力室のうちの1つに割り当てられ、該圧力室は流体供給ラインがロータ内に開口する圧力室の環状部分に接続され、
及び/又は、重い液体相のための1つまたは複数の液体出口部は、圧力室のうちの1つに割り当てられ、該圧力室は流体供給ラインがロータ内で開口する圧力室の環状部分に接続される。
【0022】
したがって、構成に応じて、分離室内の池深さ及び/又は分離ゾーンの直径に容易に影響を与えることができる。
池深さ及び/又は分離ゾーンの直径の制御または調節は、対応する制御及び/又は調節プログラムを備えた遠心分離機の制御ユニットを介して実行されるのが好ましい。
【0023】
これは、池深さ及び/又は付随的に分離ゾーンの位置が、夫々の液体ドレインの領域内の空気圧によって設定されることを意味する。この圧力は、ボウルと共に回転する室内の液体表面に加えられる。圧力はシールを介してボウル上の回転室に入り、動作時に調節される。これにより、ボウルを停止させることなく、池深さを連続的に変化させることができる。このタイプの池深さ調節は、2相デカンタ及び3相デカンタの両方で使用することができる。
【0024】
圧力室内の圧力を変化させることによって、分離室内の池深さを調節することができ、及び/又はボウル内の分離ゾーンを容易に移動させることができ、これはまた、液体レベルの変化に繋がる。生成物の特性の変化により必要となる変換は、一般的に、所定の調節範囲を利用することにより省略することができる。圧力室を作るのに必要な設計労力は少ない。
【0025】
他の相のオーバーフローは、該当する場合、例えば、ボウルシェルまたはカバーを半径方向外側に通過する半径方向の排出パイプによって実現することができる。
【0026】
有利な変形例によれば、例えば、より軽い液体相のための1つまたは複数の液体出口部は、夫々圧力室のうちの1つに割り当てられ、該圧力室は、ロータ内に流体供給ラインが開口する共通の環状の圧力室を介して接続され、より重い液体相のための1つまたは複数の液体出口は、夫々排出パイプに割り当てられ、該排出パイプを用いてより重い液体相がボウルから排出されることが提供され得る。これは、設計の観点から実施するのが容易である。
【0027】
しかしながら、別の変形例によれば、圧力室の1つが、より重い液体相のための1つまたは複数の液体出口部の各々に割り当てられ、該液体出口部はロータ内で流体供給ラインが開口する共通の環状圧力室を介して接続され、より軽い液体相のための1つまたは複数の液体出口部が、排出パイプに割り当てられ、該排出パイプを用いてより軽い液体相がボウルから排出される。これはまた、設計の観点から実施するのが容易である。
【0028】
3相の構成は、例えば、ガス圧力が、チューブまたはノズルを介して排出される相に交互に作用するようにする、新たな可能性を開く。
本発明はまた、関連する請求項の1つに記載の固体ボウル遠心分離機を動作させるための方法を提供し、制御ガスが、回転フィードスルーを介して回転システムに供給され、動作中に回転する1つまたは複数の圧力室に供給される。ボウル内の分離プロセスの調節は、例えば、圧力室内の圧力を制御変数として設定することを含む。
【0029】
ボウル内の分離プロセスの調節は、更なる制御変数としてボウルの速度の変化を含むことも考えられる。加えて、ボウル内の分離プロセスは、固体相中の濃度、または一方もしくは両方の抽出された液体相中の濃度に応じて調節することができる。
さらなる有利な実施形態は、他の従属請求項に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下において、本発明は、例示的な実施形態によって図面を参照してより詳細に説明される。本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で異なって実施することもできる。さらに、以下の例示的な実施形態の個々の特徴は、他の例示的な実施形態と組み合わせることもできる。
図1】本発明による第1の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図2】本発明による第2の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図3】本発明による第3の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図4】本発明による第4の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図5】本発明による第5の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図6】本発明による第6の固体ボウル遠心分離機の部分領域の概略断面図を示す。
図7】本発明による第1の固体ボウル遠心分離機の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下で使用される「右」、「左」、「水平」及び「垂直」という用語は、夫々の図面レベルを指す。
【0032】
図7は、第1の固体ボウル遠心分離機を示す。この図は、一方では、本発明の変形例を例示するのに役立ち、他方では、固体ボウル遠心分離機の基本原理を例示するのに役立ち、本発明を図示のようにまたは別の方法で実施することができる固体ボウル遠心分離機の例を与える。例えば、図1乃至図6に示される特徴及び方法のうちの1つまたは複数または全てを、図7の固体ボウル遠心分離機において有利に実施することもできる。
【0033】
図7の固体ボウル遠心分離機は、フレーム7とロータRとを備え、該フレーム7は動作中は、基台または同様のものの上で回転することができず、または静止しており、ロータRは動作中は回転することができ、または回転する。
【0034】
ロータRは、水平方向の回転軸Aを有する回転可能なボウル1を有する。しかし、回転軸Aは、空間内で異なった向きに、特に垂直方向にすることもできる。ロータRはまた、ボウル1内に配置されたスクリュー2を含み、該スクリュー2の回転軸はボウル1の回転軸と一致する。
【0035】
ボウル1は、内部及び外部が円筒形のセクション11と、軸方向に隣接する内部及び外部が円錐形のセクション12とを有する。円筒形のセクション11は、実質的に半径方向に伸びるボウルカバー13によって閉じられる。
【0036】
また、ここでスクリュー2は、少なくとも外部が円筒形のセクション21と、軸方向に隣接する少なくとも外部が円錐形のセクション22を有する。スクリュー2はボウル1の内部に配置される。ボウル1は運転中に回転可能である。スクリュー2は、運転中にも回転させることができる。好ましくは、2つの要素ボウル1及びスクリュー2は、作動中に互いに異なる速度で回転する。1つまたは複数の対応する駆動装置、例えば、電気モータ及び/または歯車(ここでは図示せず)が、回転のために使用され、該駆動装置はボウルまたはねじを回転させるためのトルクM1、M2をシャフトW1、W2に供給し、シャフトW1、W2は直接または間接的に歯車(図示せず)を介して、ボウル1またはスクリュー2に回転試験された方法で接続される。スクリュー2はまた、これから半径方向外側に延びるスクリュー本体23及びスクリュー螺旋24を有し、スクリュー螺旋24はボウルの内壁に接触しない。
【0037】
スクリューの円錐形部分に向かってスクリュー本体23上にバッフルプレートを設けることができる。駆動装置は、一方でボウル1を回転させ、他方でスクリュー2を回転させる。
【0038】
ボウル1は、その軸方向端部の両方にて回転可能に取り付けられ、1つまたは複数のボウル軸受17が、回転軸の方向に軸方向に配置され、特にフレームに回転可能に取り付けられる。簡略化のために、ここでは、ボウル1の円筒形のセクション11に近いボウル軸受17である1つのみのボウル軸受が示されている。
【0039】
また、スクリュー2は、その軸方向端部の両方にてフレーム7上に回転可能に取り付けられ、1つ又は複数のスクリュー軸受25が回転軸の方向に配置されている。簡略化のために、ここでは、スクリュー2の円筒形のセクション22の端部にある、1つのみのスクリュー軸受25が示されている。
【0040】
ボウル1及び/又はスクリュー2は、特に回転軸Aを垂直に整列させた状態(図示せず)で、片側に取り付けることもできる。この点において、「軸受」という用語は、あまりに狭く定義されるべきではない。各軸受17、25は、1つまたは複数の個別の軸受から構成することができ、該複数の軸受は、夫々が単一の軸受として機能的に考慮されるように、軸方向に直接隣り合って配置されている。また、軸受17、25は、様々なタイプの軸受として、例えば、転がり軸受として、特にセラミック軸受として、ハイブリッドセラミック軸受として、磁気軸受として、または滑り軸受として構成することができる。
【0041】
ボウル軸受17は、ボウル1とフレーム7との間、又はボウル1とフレーム7に接続された部品との間に配置され、ボウル1をフレーム7に対して回転させることができる。ボウル軸受17は、好ましくは、ボウル1とフレーム7との間、またはボウル1とフレームに接続された部品との間に放射状に配置される。一方のスクリュー軸受25は、一方で例えばボウルカバー13とフレーム7との間に配置することができる。
【0042】
ここで、ボウルカバー13は、実質的に半径方向に延在するセクション131と、反対側に-この場合にはセクション131の内側端部から離れて-延在する2つの軸方向のセクション132、133とを有する(図1参照)。
【0043】
軸方向のセクション132、133は、夫々、ボウル軸受17又はスクリュー軸受25のうちの1つを配置するために使用することができ、機能ディスクなどのさらなる要素を配列するために、1つまたは複数のカラー上に使用することができる。ボウルカバー13は、回転可能に固定されて、ボウル1と共に回転する。
【0044】
供給パイプ3が、ボウル1内に延び、回転軸に同心的に延び、分配器4内に開口し、そこを通って、処理される懸濁液Suを、ボウル1内の分離室5内に半径方向に供給することができる。この例示的な実施形態において、供給パイプ3はフレーム7にしっかりと接続されている。
供給パイプ3は、ボウル1の円筒形のセクション11の側からボウル1内に導くこともできるし、ボウルの円錐形のセクション12の側からボウル1内に導くこともできる。
【0045】
ボウル1は固体シェルボウルとして構成される。回転するボウル1において、少なくとも1種類の入ってくる懸濁液Suは、固体Sを清澄化され、固体を清澄化された液体部分は、液体相Lとして排出されるか、または場合により、異なる密度の少なくとも2つの液体相Ll及びLhに分離される。
【0046】
固体相または固体Sは、スクリュー2によって、ボウル1の円錐形のセクション12内の固体排出部14の方向に輸送され、固体排出部14でボウル1から排出される。したがって、少なくとも1つの液体相Lは、ボウルカバー13を通って液体ドレイン15から出る。
【0047】
ボウルカバー13に面する円筒形セクション11の端部及び/又はボウルカバー13において、異なる密度の1つまたは複数の液体相Ll及び/又はLhのための第1のタイプ及び第2のタイプの1つまたは複数の液体ドレイン15、16…がある。これらは、夫々1回または数回設けることができる。
【0048】
図7及び図1において、一実施形態によると、ボウルカバー13内に形成されている単一タイプの液体ドレイン15のみが設けられている。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0049】
この目的のために、ボウルカバー13は、リング状の堰開口部-場合によっては、ボウルカバー13の内側セクションと外側セクションとの間のスポーク(ここでは図示せず)を除く-、または、好ましくは共通の半径で円周方向に分布し、軸方向に貫通する2つ以上の堰開口部151を設けることができる。しかし、ボウルカバー13の軸方向の平面図では、堰開口部は円形又は例えば弓形であってもよい。
【0050】
圧力室内の液体相Lの1つまたは複数の液面に作用する、特に、空気圧を介して分離室5内の液体レベルを制御または調節するための装置6が、堰開口部151に割り当てられる。
【0051】
図1は、特にボウルカバー13の領域の可能な構成の第1の例示的な実施形態を示しており、ここでは、図7の遠心分離機で使用することができるように、固体ボウル遠心分離機の唯一のタイプの液体ドレイン15を示している。
【0052】
図7に示されているように、分離室5内の液体レベル、及び場合によっては分離ゾーンに影響を与える、特に制御または調節する装置6も、図1の堰開口部151に割り当てられている。該装置6は流体供給ライン61を有し、該流体供給ライン61を用いて、流体、特に気体が、ロータの外側の流体リザーバ(図示せず)等から、夫々の液体出口部15の領域内の夫々の圧力室62内に供給されて、夫々の液体表面に作用する気体圧力を発生させることができる。
【0053】
各堰開口部151に対して、圧力室62は、夫々の堰開口部151内の第1の圧力室セクション62aと、環状の圧力室セクション62bとを有し、該圧力室セクション62bは第1の圧力室セクション62aに外部に向かって軸方向に接続され、堰開口部151の方に向けられた第2のサイフォンディスク1513の側部内側に円周方向に形成され、リングカップ1517の方の外側に向かって半径方向に形成され、第1の圧力室セクション62aに接続する。流体供給ライン61は、円周方向の環状の圧力室セクション62b内に開口することが好ましい。なぜなら、圧力室62全体を、このように単一の供給ラインを用いてガスで加圧できるからである。
【0054】
ボウル内の遠心分離プロセスを制御または調節する場合、ガス圧力はここで、そしてそれぞれの圧力室62内の更なる図に従って調節され、ガスが圧力室62内に導入され、そのガスは、回転フィードスルーを通って、ボウルのロータ及びそこから夫々の圧力室内に供給され、動作中に回転要素によってのみ制限されることが好ましく、これは、既に説明したように、エネルギーの観点から好ましいものである。
【0055】
圧力室62内では、ガス圧が、液体ドレインにて、液体ドレインを通って流れる液体相の少なくとも1つ以上の液面に作用する。
幾つかの機能ディスクが、夫々の液体ドレイン15に割り当てられ(または、他の図では、1つの液体相のための夫々の液体ドレイン16に代替的にまたは追加的に割り当てられ)、この場合、4つの機能ディスク1511、1512、1513、1514が割り当てられる。
【0056】
本出願の意味の範囲内の機能ディスクは、回転する、または任意に、セグメント状のディスクまたは同様の要素であり、機能ディスクは、その内半径またはその外半径上に、好ましくは回転する、またはセグメント状の境界縁部を有し、それは、液体用のオーバーフローエッジを形成することができ、好ましくは、動作中にそのようなエッジも形成する。全ての例示的実施形態の機能ディスク1511、1512、1513、1514は、夫々、動作中にロータとともに回転するディスクとして設計される。懸濁液の遠心処理中、機能ディスクは、ロータと共に、特にボウル1又はスクリュー2と共に回転する。
【0057】
ここで、-及び他の図において―、機能ディスク1511、1512、1513、1514は、ボウル1と共に回転するディスクとして設計される。しかし、機能ディスク1511、1512、1513、1514の全てまたはいくつか(ここでは、及び他の図では)は、スクリュー2(ここでは、いずれの場合も図示せず)と共に回転するディスクとして設計することもできる。
【0058】
機能ディスク1511、1512、1513、1514は、したがって、動作中は、高速で回転し、回転システム内の液体出口部15の領域内には、静止した要素が提供されず、液体出口部を過ぎると、液体が回転して流れるため、機能ディスク1511、1512、1513、1514の領域では、静止した機能ディスクで起こり得るような、顕著なまたは少なくともそのような大きなエネルギー損失は生じない。
【0059】
1つまたは複数の機能ディスク1511、1512、1513、1514がスクリュー(ここでは図示せず)上に配置される場合、作動中のボウル1とスクリュー2との間の速度差は、速度差が比較的低いので、流体の摩擦によるエネルギー損失(スプラッシュ損失)に関してほとんど無視できる。機能ディスク1511、1512、1513、1514という用語は、あまりに狭く解釈されるべきではない。このようなディスクは、円周方向のリングディスクとして設計することができるが、1つ以上のセグメント、特にリングセグメントから構成することもでき、夫々の堰開口部の領域にのみ設けることができる。
【0060】
図1の例示的な実施形態によれば、第1の機能ディスク1511は、ボウルまたは分離室の内部に面する側でボウルカバー13内の1つまたは複数の円周方向に分散された堰開口部151に割り当てられるか、または流れの方向の上流に配置される。これは、内側サイフォンディスク1511とも呼ばれ、半径方向外側から始まる堰開口部151を部分的に覆う。
【0061】
各場合において、内側サイフォンディスク1511の外径D1と堰開口部151の最大又は(外側の)直径との間にギャップ15111が残っており、該ギャップを通して、分離室5からの液体が実際の堰開口部151へオーバーフロー/流れることができる。
【0062】
内側または第1のサイフォンディスク1511は、ボウルカバー13に回転しないように接続することができる。第1のサイフォンディスク1511は例えば、半径方向カラー上で内側に軸方向に支持されるか、またはボウルカバー13の半径方向のセクション上で直接支持されることができ、好ましくは回転可能に固定される。これは、円周状のリングで構成することもできるし、複数の個々のセグメントで構成することもできる。個々のセグメントは、例えば、個々の堰開口部151に割り当てられる要素であり、その間に隙間を形成することもできる。
第1のサイフォン1510のタイプは、ここでは、各堰開口部151の領域内の内側サイフォンディスク1511上に形成される。夫々の第1のサイフォン1510の一方の側は、分離室に向かって配向され、他方の側は、夫々の堰開口部151に向かって配向され、第1の堰ディスク1512によって堰開口部151の外側に境界付けられる。
【0063】
内側サイフォンディスク1511を備えた液体ドレイン15の下流には、一種の第2のサイフォンがあり、該第2のサイフォンは例えば個々の堰開口部の領域または円周方向にあるセクションに設けられたリングサイフォン1516として構成することができる。このリングサイフォン1516は、2つの機能ディスク1512及び1514(堰ディスクとしても知られる)を有し、機能ディスクは、外側から内向きに内径D2(内側堰ディスク1512)またはD4(外側堰ディスク1514)まで半径方向に延び、軸方向壁1515によってそれらの外側半径方向端部で互いに連結され、堰ディスク1512及び1514と半径方向外側の軸方向壁との間に、環状室またはリングカップ1517が形成され、該リングカップはセクションにて断面がU字形であり、または連続的に設けられ、内側に向かって開口する。このリングカップ1517は、分離室とは反対側のボウルカバー13の側部に直接隣接する。軸方向壁1515と外側の堰ディスク1514とは、L字形断面を有する環状要素を形成するように接続され得る。
【0064】
内側から外側に向かって半径方向に延び、セグメント内または連続的に設けられた第3の機能ディスク1513が、内側に開口したリングカップ1517-外側または第2のサイフォンディスク1513とも呼ばれる-内に突出し、その結果、ボウルカバー13に回転可能に固定されて接続され得る。例えば、その内側領域は、ボウルカバー13の外側軸方向セクションのカラーに対して位置することができる。
【0065】
外側サイフォンディスク1513は、外側半径/直径D3まで延びており、ここで、好ましくは、D3>D2であり、D3>D4であり、D2は第1の内側堰ディスクの内径、及びD4は第2の外側堰ディスク1514の内径である。
これは、外側サイフォン・ディスク1513が、動作中に液体がリングサイフォン1516内で半径方向外側に集まると、液体リング内に半径方向に突出するか、又は液中に浸ることを意味する。
【0066】
分離室5から離れて面するボウルカバー13の外側では、内側堰ディスク1512は、好ましくは、この例示的な実施形態ではボウルカバー13上に直接配置され、次に、ボウルカバー13に回転方向に固定された態様で接続され得る。この内側の堰ディスク1512は、夫々の堰開口部151を外側から内側へ半径方向に内径D2まで部分的に覆うことができ、ここで、好ましくは、D2<D5(リングサイフォン1516内の内側レベル)が適用される。
【0067】
動作中、第1のサイフォンディスク1511を介して分離室からギャップ15111を介して流れる液体相または液体相が、実際の堰開口部151の外側領域を直径D2まで満たし、次に内側の堰ディスク1512と圧力室62を介してリングサイフォン1516内に流入する。次いで、液体は、外側の堰ディスク1514を介して回転システムから流れ出る。
【0068】
流体供給ライン61は、内側のサイフォンディスク1511と外側のサイフォンディスク1513との間に形成された圧力室62内に突出する。流体供給ラインは、最初に、例えばフレーム7内及び/又は入口パイプ4内の固定システム内の第1のセクション611内に形成される。
【0069】
流体供給ライン61はまた、回転または旋回システムにおいて少なくとも1つの第2の隣接部分612を有する。第1のラインセクション611と流体供給ラインの少なくとも1つ以上の第2のラインセクション612との間で、流体、特に気体、好ましくは空気を固定システムから固体ボウル遠心分離機の回転システムに移送するための回転フィードスルー63が移送され得る。
【0070】
回転フィードスルー63は、回転システムと非回転システムとの間に半径方向に形成される環状間隙64内に形成することができ、例えば、動作中に回転するボウルカバー13と、動作中に静止している供給パイプ3との間に形成することができる。
【0071】
回転フィードスルー63は、環状間隙64に配置された2つの軸方向に離間したシール-例えばメカニカルシール65、66-によって、環状間隙内で半径方向に制限される。
これは、一方では、第1のラインセクション611が回転フィードスルー63に開口し、さらに、夫々の第2のラインセクション612が開口する環状室を画定し、この環状室は、夫々の圧力室62内に延び、好ましくは半径方向内側に、圧力室に開口する。
【0072】
このようにして、ガスを圧力室62に供給することができる。その結果、ボウルカバー13によって内部が制限され、内側及び外側サイフォンディスク1511、1513によって半径方向に制限され、流体によって半径方向外側が制限された、夫々の圧力室62内の圧力は、動作中に変化させることができる。
【0073】
ボウルとともに回転する圧力室62に空気圧を確実に送り込むことができるようにするために、回転フィードスルーの構成は、最高3barの圧力を制御できるようにすることが好ましい。
【0074】
堰開口部151の夫々には、圧力室62(図1)の1つを割り当てることもできるし、堰開口部151、151'の一部分だけを割り当てることもでき、これについては、以下でより詳細に説明する。
この構成の動作モードは以下の通りである。
動作中、ボウル1が回転すると、分離室5内に内径Dtができ、該内径Dtまでは、ボウル1が半径方向内側に液体を満たす。この内径Dtは、池深さとも称される。
【0075】
清澄化された液体相Lは、外径D1(D1>Dt)の内側サイフォンディスク1511及び第1のサイフォン1510を経由して圧力室62に入り、次いで第2のリングサイフォン1516に入り、そこから回転システム、この場合はボウル1から流出する。液体相は、このリングサイフォンをボウルカバー13に向かう領域内にて、半径方向内側に直径D5まで充填する。
【0076】
圧力差によりリングサイフォン1516内に2つの水位D5及びD4が形成される。第1のサイフォン1510には、水位Dt(池深さ)及びD2(第1の堰ディスク1512のオーバーフロー直径)がある。
供給されたガスで内側から半径方向に満たすことができることが好ましい圧力室62に作用する圧力を変化させることによって、次に、ボウル1内の池深さDtに影響を与えたり、制御したり、調節したりすることができる。
【0077】
図1によれば、2つの相(固体相/液体相)を分離するための2相デカンタにおいて、液体相Lは、1つ以上の圧力室62を通過する。夫々の圧力室62内のガスによって加えられる圧力は、ボウル1内の液体相の池深さDtに影響を及ぼす。池深さはガス圧が高いほど増加し、低いほど減少する。
【0078】
これにより、2相固体ボウル遠心分離機のボウル内の池深さを容易に変更することができる。これにより、既存のシステムと比較して、高い摩擦損失が大幅に低減される。
【0079】
1つまたは複数の圧力室(堰ディスク及びサイフォンディスク)のすべての機能ディスク1511、1512、1513、1514がボウル1またはスクリュー2に取り付けられ、したがって同じ回転速度を有すると特に有利である。これにより、通常はサイフォンディスクである固定機能ディスクがボウル速度で回転する液体に浸されるという事実により、既存の構成で発生する高い損失(スプラッシュ損失)を回避できる。
【0080】
3つの相(固体/液体/液体)を分離するデカンタのためのさらなる実施形態の変形例-図2-では、構造は、図1の構造に大部分が対応する。
しかしながら、1つ以上の第2の液体出口部16を備えたボウル1から第2の液体相Lを排出することが追加的に提供される。
【0081】
この目的のために、第2の-図2において、より重い液体相Lh-が、本質的に放射状である1つ又は複数の排出パイプ161を用いてボウル1から引き出されることが提供されてもよい。このようにして、2つの液体相は、下流の室及びライン(ここでは図示せず)を通して別々に排出され得る。
これは、様々な方法で実施することができ、そのうちの1つが図2に例として示されている。
【0082】
例えば、円周方向に分配された一連の堰開口部151の幾つか-例えば、2つごと又は3つごとの堰開口部151'-が、分離室5の側部からボウルカバー13を完全に貫通することなく、止まり穴のように設計されることが提供されてもよい。この止まり穴151'では、夫々の排出パイプ161の端部を半径方向内向きに配置することができ、これはボウルカバー13を半径方向外向きに貫通することができる。この排出パイプは、内径Drで内側に終端する。このようにして、止まり穴を用いて排出室163が形成される。
【0083】
一種の分離堰162を夫々の止まり穴に一体的に形成することができ、この止まり穴は直径Dsでボウル1の分離空間5の半径方向領域に延び、ここでDs>Dz(Dz=分離直径=(2つの液体相LlとLhとの境界))である。このようにして、より重い相は先ず分離堰162を介して止まり穴状の堰開口部151'へ排出され、次いでそこから排出パイプ161を介してボウル及び回転システムから排出される。
【0084】
次に、2つの液体相Llのうち、より軽い方の液体相のみが圧力室(図2)を通り、重い方の液体相Lhが排出パイプ161を通って吐出される。
夫々の圧力室161内のガスによって加えられる圧力に応じて、ボウル1内の2つの液体相Lの池深さDtと分離直径Dz(2つの液相LlとLhの境界)が影響を受ける。より高いガス圧では、池深さは増加し、分離直径は増加するが、圧力が減少すると池深さと分離直径は減少する。
【0085】
一方、相(固体相/液体相/液体相)を分離するデカンタの第3の実施形態の変形例では、2つの液体相Lhのうち重い方の液体相は、周方向に分布する(ここではカラー状の)分離堰162を通って夫々の圧力室62(図3)に通され、軽い方の液体相は、軸方向に開いた片側の止まり穴151'と直径Dr(ここでは池深さに等しい)の排出パイプ161を通って排出される。
圧力室62内のガスによって課される圧力に応じて、ボウル内の2つの液相の分離直径Dzが影響を受ける。ガスの圧力が高ければ、分離直径Dzは減少し、圧力が低下すれば、分離直径Dzは増加する。池深さDtは、この場合、圧力とは無関係である。
【0086】
3つの相(固体相/液体相/液体相)を分離する3相デカンタの第4の実施形態の変形例(図4)では、2つの相Llのうちのより軽い方が、1つ以上のオーバーフロー堰1518を介して自由に排出される。
従って、1つ以上の円周方向に分布した堰開口部151は、ボウルカバー13に固定されたオーバーフロー堰1518に夫々続くことができる。これにより、機能ディスクが形成される。これは分離室5内の池深さDtを規定する。
【0087】
さらに、他の止まり穴状の堰開口部151'には、一種の分離堰162を先行させることができ、この分離堰162を介して、より重い液体相Lhが、1つの排出パイプ161を備えた、この夫々の止まり穴151'の領域に流入する。
より重い液体相Lhの除去は、半径Drの止まり穴151'内の排出室163から、排出パイプ161の1つを通して行われる。
【0088】
この夫々の液体出口の領域に設けられ得る圧力室62'は、幾つかの機能ディスク1514、1512及び機能ディスクとしての分離堰162によって、この排出室163の上流に接続される。
供給ライン61の第2のセクション612は、回転システム(この場合はボウル1内)の回転フィードスルー63の後方を通り、圧力室62'に開口している。
【0089】
圧力室62'は、動作中に回転するディスク(分離堰162、内側堰ディスク1512及び外側サイフォンディスク1513を分離する)によって区切られ、この室62'の領域に一種のサイフォンを形成することができる。
このようにして、2つの液体相Lhのうちのより重いものは、分離堰162を介して伝導され、次いで、夫々の圧力室62'を介して伝導され、夫々の場合に排出パイプ161のうちの1つを介して、それぞれの止まり穴151'内で夫々の排出室163から排出される。
【0090】
圧力室62'内のガスによって加えられる圧力に応じて、ボウル1内の2つの液体相Ll、Lhの分離直径Dzが影響を受ける。より高いガス圧力では、分離直径Dzは減少するが、分離直径Dzは圧力が減少すると増加する。この場合、池深さDtは、ガス圧とは無関係である。
【0091】
3つの相(固体相/液体相/液体相)を分離するための3相デカンタの第5の例示的な実施形態の変形例では、2つの液体相Lhのうちのより重い方が、通路開口部151の堰ディスク1518を介して排出される。通路開口部151の上流に分離堰162が接続される。
【0092】
2つの液体相のうちのより軽い方の液体相は、排出室163において、又はここでは止まり穴151'(図5)において、ガス供給ライン612と共に圧力室62'を通過し、排出パイプ161のうちの1つを介して排出される。夫々の圧力室62'内のガスによって加えられる圧力に応じて、ボウル1内の2つの液体相Ll、Lhの池深さDt、及び分離直径Dzの両方が影響を受ける。ガス圧力が高くなると、池深さDtは増加し、分離直径Dzは増加する。一方、圧力が減少すると池深さDtと分離直径Dzは減少する。
【0093】
3つの相(固体相/液体相/液体相)を分離するための3相デカンタの第6の実施形態の変形例では、両方の液体相が、2つの異なる圧力室62、62'(図6)を通過する。2つの液体相Llのうち、より軽い液体相は図1に示すように排出され、一方、より重い液体相Lhは、図4に示すように、圧力室62'に先行する室63から排出パイプ161を経て排出される。
【0094】
少なくとも2つの圧力室62、62'が、より軽い流体相とより重い流体相Ll、Lhの両方の排出のために設けられる。これらは、2つの回転フィードスルー631、632を用いて、別個の流体ライン6111、6112、6121、6122を通して供給される。このようにして、室62、62'内に異なるガス圧力が設定される。
【0095】
2つの圧力が池深さと分離直径に及ぼす影響は、以前の記載と同じである。例えば、室62内の圧力をより軽い相Llまで増加させることによって、例えば、池深さを増加させることができる。同時に、分離直径Dzは増加する。分離直径Dzの増加は、室62'内の圧力をより重い相Lhに増加させることによって補償することができ、このより高い圧力は、分離直径Dzを減少させる。
【0096】
同様に、エネルギーの観点から見ると、スクリュー2の回転速度はボウル1とほぼ同じであるため、ボウル1の代わりにスクリュー2に堰ディスクやサイフォンディスクなどの機能ディスクを取り付けることも可能であり、これによっても、同様のプラスの効果が得られる。
次に、圧力は、フレーム7のラインセクション611、スクリュー2内の回転フィードスルー63、及びラインセクション612を備えた流体供給ライン61を介して、スクリュー速度(図示せず)で回転するスクリュー2の圧力室62に供給される。通常、ボウル1とスクリュー2の間の速度差は低く選択され、たとえば1rpmと40rpmの間であるため、機能ディスクと液体の間の摩擦損失は低いままである。
【符号の説明】
【0097】
符号一覧
ボウル 1
円筒形のセクション 11
円錐形のセクション 12
ボウルカバー 13
半径方向に延在したセクション131
軸方向に延びるセクション 132, 133
固体排出部 14
液体ドレイン 15, 16
堰開口部 151
止まり穴 151'
サイフォン 1510
サイフォンディスク 1511
堰ディスク 1512, 1514
サイフォンディスク 1513
軸壁 1515
リングサイフォン 1516
リングカップ 1517
オーバーフロー堰 1518
ギャップ 15111
排出パイプ 161
分離堰 162
排出室 163
ボウル軸受 17
スクリュー 2
円筒形のセクション 21
円錐形のセクション 22
スクリュー本体23
スクリュー螺旋24
スクリュー軸受25
供給パイプ 3
分配器 4
分離室 5
装置 6
流体供給ライン61
ラインセクション 611,612,6111,6112,6121,6122
圧力室 62, 62'
圧力室セクション 62a, 62b
回転フィードスルー 63,631,632
環状隙間 64
メカニカルシール 65, 66
フレーム 7
回転軸 A
直径 D1, D2, D3, D4, D5, Ds, Dr
池深さ Dt
分離直径 Dz
直径 D1, D2, D3, D4, D5, Ds, Dr
液体相 L, Ll, Lh
トルク M1, M2
ロータ R
固体相 S
懸濁液 Su
シャフト W1, W2
圧力 P
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】