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特表2025-500638経頭蓋磁気刺激のためのデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】経頭蓋磁気刺激のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20241226BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20241226BHJP
【FI】
A61N2/04
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541084
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 IL2023050034
(87)【国際公開番号】W WO2023135597
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,428
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524256000
【氏名又は名称】ブレインズウェイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRAINSWAY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロス,イフタッハ
(72)【発明者】
【氏名】ペル,ギャビー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ザンゲン,アブラハム
【テーマコード(参考)】
4C106
【Fターム(参考)】
4C106AA03
4C106AA06
4C106CC03
4C106FF04
(57)【要約】
治療対象者の脳領域を磁気刺激するためのTMSコイルアセンブリである。このTMSコイルアセンブリは、1または複数のコイルアセンブリを備え、その各々が、隣接して配置された、または間隔を空けて配置された、可撓性の翼状コイル構造を含み、翼状コイル構造が、翼状コイル構造の間を通る傾斜軸に沿って調節可能に変形して、治療対象者の頭部の曲面に適合するように、翼状コイル構造の間に所望の傾斜角度を適用するとともに、翼状コイル構造の実質的なループ部分を頭部の曲面に直接接触させ、それにより、頭部の曲面の接線方向にあるループ部分を最大化し、曲面の非接線方向にあるループ部分を最小化するように構成されている。TMS処置中に治療対象者の頭部に配置されたときに、翼状コイル構造の間の所望の傾斜角度を維持し、それにより頭部に誘導される電場の強度を最大化するために、固定装置を使用することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療対象者の脳領域を磁気刺激するためのTMSコイルアセンブリであって、
1または複数のコイルアセンブリであって、前記コイルアセンブリの各々が、隣接して配置された、または間隔を空けて配置された、可撓性の翼状コイル構造を含み、前記翼状コイル構造が、前記翼状コイル構造の間を通る傾斜軸に沿って調節可能に変形して、治療対象者の頭部の曲面に適合するように、前記翼状コイル構造の間に所望の傾斜角度を適用し、かつ前記翼状コイル構造のループの大部分を頭部の曲面に直接接触させ、それにより、頭部の曲面の接線方向にあるループ部分を最大化し、前記曲面の非接線方向にあるループ部分を最小化するように構成された、1または複数のコイルアセンブリと、
TMS処置中に治療対象者の頭部に配置されたときに、前記翼状コイル構造の間の所望の傾斜角度を維持し、それにより頭部に誘導される電場の強度を最大化するように構成された固定装置とを備えることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造の間を通る場印加軸を規定するように構成されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記傾斜軸と前記場印加軸が実質的に平行または一致していることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造によって生成される相加的な電場および磁場が最大強度となる中央相互作用ゾーンを前記場印加軸に対して規定するように構成されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項5】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記所望の傾斜角度が、平角であることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項6】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記固定装置が、前記翼状コイル構造に取り付けられ、前記傾斜角度の調整を容易にするように構成された1または複数のコイル保持構造を含むことを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記1または複数のコイル保持構造が、1または複数のピボットでヒンジ止めされていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造の間の所望の傾斜角度の設定を容易にするために、コイルホルダ装置および前記コイル保持構造の少なくとも1つにそれぞれ結合された1または複数のレバー部材を備えることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造の更なる傾斜を防止するために、前記コイルホルダ装置に対して前記レバー部材をロックした状態に維持するように構成されたロック機構を備えることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
1または複数の解放可能なコネクタを含み、その各々が、前記レバー部材の1つを前記コイルホルダ装置に結合するように構成されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
解放可能な各コネクタが、それぞれの弾性ストラップおよび/または調節可能ストラップによって、それぞれのレバー部材に接続されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項12】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
当該TMSコイルアセンブリを治療対象者の頭部に取り付けるように構成された固定手段を備えることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記固定手段が、当該TMSコイルアセンブリを頭部に固定し、そのループの大部分を頭部に直接接触させるように構成された頭部ストラップを含むことを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項14】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造のある程度の柔軟性により、コイルのループが治療対象者の頭部に適合して、ループの大部分が頭部に直接接触することができるように構成されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項15】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造のループが、頭部を向くコイル部分のすべてにおいて、頭部に柔軟に適合して接触するように構成されていることを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項16】
先行する請求項の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造が、概ね円形の形状を有することを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項17】
請求項1~15の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造が、概ね楕円形の形状を有することを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項18】
請求項1~15の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリにおいて、
前記翼状コイル構造が、概ね矩形の形状を有することを特徴とするTMSコイルアセンブリ。
【請求項19】
治療対象者の脳領域を磁気刺激するためのTMSコイルアレイであって、
請求項1~17の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリを2以上を含み、前記TMSコイルアセンブリの各々が、その傾斜軸に対して実質的に垂直な展開軸を有し、2以上のTMSコイルアセンブリの各々の展開軸が、前記TMSコイルアセンブリの少なくとも別の1つの展開軸と交差することを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項20】
請求項19に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリのうちの2つが、単一の固定装置の2つの異なる側に接続されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項21】
請求項20に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリの傾斜軸間の角度が、約90度であることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項22】
請求項19~21の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記2以上のTMSコイルアセンブリの各々が、請求項4に規定される中央相互作用ゾーンを有し、前記2以上のTMSコイルアセンブリの相互作用ゾーンが実質的に一致するように当該TMSコイルアレイが構成されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項23】
請求項19~22の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリの各々が、前記TMSコイルアセンブリの動作タイミングを制御するように構成された刺激デバイスのそれぞれの独立したチャネルに電気的に接続されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項24】
請求項19~22の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリの少なくとも2つの電流間の位相差を操作することにより、脳組織に回転場を誘導するように構成されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項25】
請求項19~24の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリの各ワイヤまたは一部のワイヤが別々に電気的に絶縁されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項26】
請求項19~24の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記TMSコイルアセンブリのすべてのワイヤを取り囲む1または複数層の電気絶縁シールドを含むことを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項27】
請求項19~26の何れか一項に記載のTMSコイルアレイにおいて、
頭部上のコイルアセンブリの位置のニューロンナビゲーションのために構成されていることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項28】
請求項27に記載のTMSコイルアレイにおいて、
前記ニューロンナビゲーションが、光学的および/または電磁気的追跡に基づくものであることを特徴とするTMSコイルアレイ。
【請求項29】
神経生理学的疾患を治療するための方法であって、
翼状コイル構造を有する少なくとも1のTMSコイルアセンブリを、治療対象者の頭部に配置するステップと、
前記翼状コイル構造が頭部の曲面に適合して、そのループの大部分が頭部に直接接触するように、前記翼状コイル構造の間の傾斜角度を設定するステップと、
治療対象者の脳の領域を刺激するために、前記少なくとも1のTMSコイルアセンブリに電流を流すステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記傾斜角度を設定する前に、前記TMSコイルアセンブリを解放状態に変更するステップと、その後、前記翼状コイル構造の間の更なる傾斜を防止するために、前記TMSコイルアセンブリをロック状態に変更するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
神経生理学的疾患を治療するための方法であって、
請求項1~16の何れか一項に記載のTMSコイルアセンブリまたは請求項17~27の何れか一項に記載のTMSコイルアレイを治療対象者の頭部に配置して、頭部の曲面領域に適合するように、その少なくとも2の翼状コイル構造の間の傾斜角度を設定するステップと、
前記TMSコイルアレイのTMSコイルアセンブリに電流を流して、対象者の脳の領域を刺激するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の方法において、
前記神経生理学的疾患が、うつ病、双極性障害、統合失調症、PTSD、パーキンソン病、ジストニア、運動障害、アルツハイマー病、軽度認知障害、自閉症、アスペルガー症候群、多発性硬化症、ALS、トゥレット症候群、眼瞼痙攣、脳卒中、慢性疼痛、摂食障害、肥満、神経性食欲不振、過食症、喫煙依存症、薬物依存症、アルコール依存症またはギャンブル依存症を含むあらゆる依存症、ADHD、OCD、てんかん、片頭痛、耳鳴りのうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、脳刺激デバイスおよび方法に関し、特に、選択された脳領域を刺激するための経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本出願に関する背景情報を提供することを意図しており、それは必ずしも従来技術ではない。
【0003】
経頭蓋磁気刺激(TMS)は、短い電磁パルスを脳に印加して、その神経細胞構造を活性化するために使用される非侵襲的技術である。パルスは、患者の頭部領域の上/近傍に外部から配置された(例えば、脳治療のために頭皮上に配置された)電磁コイルに高電流を流すように構成された刺激装置によって投与され、それにより、その下の組織に電流が誘導され、局所的な軸索脱分極が生じる。この技術は、中枢神経系の研究において主要なツールとなっているほか、様々な精神疾患に対する確立された治療オプションであり、様々な神経行動学的および神経学的疾患に対する潜在的に有望な治療オプションでもある。
【0004】
殆どの既知のTMSコイルは、大脳皮質の表層脳領域を刺激するが、そのようなTMSコイルによって誘導される磁場および電場の減衰率は、コイルからの距離の関数として高くなる。このため、従来のTMSコイルでは、より深い神経細胞構造に影響を与える効果は一般的に低くなる。誘導場の強度を非常に大きくすれば、より深い神経細胞構造を刺激することが可能であるかもしれない。しかしながら、そのように強度を大きくして操作すると、発作や脳組織への生理学的損傷のリスクを増大させる可能性がある。
【0005】
米国特許第7,407,478号には、表皮領域への刺激を最小限に抑えた脳深部TMSの方法であって、副作用を最小限に抑えながら脳深部の刺激が可能である方法が開示されている(その開示内容は引用により本明細書に援用されるものとする)。これに記載のデバイスは、ベースおよび延長部分を含み、ベースが、電流の個々の経路のための個々の巻線を有し、延長部分が、脳の他の領域への不要な刺激を最小限に抑えるように設計されている。
【0006】
最も広く使用されているTMSコイルは、平らな8の字形コイル(本明細書では蝶形コイルともいう)であり、例えば、共通の平面に配置された2つの螺旋状のコイルウィングを有する。平らな蝶形コイルは大脳皮質の上に置かれ、中央のセグメントのみが対象者の頭部/頭皮に接触する。この時点で、蝶形コイルの中央のセグメントの下方に最大電場が誘導され、この領域の神経構造が応答的に刺激される。しかしながら、平らな形状を有する容積導体を用いた研究(Branston N.M.et al,「Magnetic stimulation of a volume conductor produces a negligible component of induced current perpendicular to the surface」,J.Physiol.(Lond)1990;423:67;Roth B.J.et al,「A model of the stimulation of a nerve fiber by electromagnetic radiation」,IEEE Trans.Biomed Eng.1990;37:588-597;Tofts P.S.「The distribution of induced currents in magnetic stimulation of the nervous system」,Phys.Med.Biol.1990;35:1119-28;Tofts P.S.et al,「The measurement of electric field,and the influence of surface charge,in magnetic stimulation」,Electroencephalogr.Clin.Neurophysiol.1991;81:238-9)および球形状を有する容積導体を用いた研究(Branston N.M.et al,「Analysis of the distribution of currents induced by a changing magnetic field in a volume conductor」,Phys.Med.Biol.1991;36:161-8;Cohen D.et al,「Developing a more focal magnetic stimulator.Part I:some basic principles」,J.Clin.Neurophysiol.1991;8:102-11;Eaton H.「Electric field induced in a spherical volume conductor from arbitrary coils:application to magnetic stimulation and MEG」,Med.Biol.Eng.Comput.1992;30:433-40)では、脳表面に対して垂直なコイル要素が表面電荷の蓄積を誘発し、それにより組織内のすべてのポイントで誘導場の垂直成分が完全に打ち消されることが実証されている。さらに、他の方向の電場が大幅に減少する。
【0007】
このため、静電荷の蓄積を減らし、コイルと脳組織との磁気的結合の効果を高めるために、治療対象者の頭蓋骨の表面に対して垂直な最小数のコイル要素を有するTMSコイル設計が必要とされている。コイルは、殆どの集団に対して利用可能なTMS刺激装置による神経細胞刺激に実行可能な、関連する脳組織に所望の電場強度を誘導する必要がある。刺激強度は、対象者の運動閾値に基づいて、対象者ごとに規定どおりに個別に調整される。このため、コイル効率は、利用可能な刺激装置の出力に対して、関連する集団の大部分の運動閾値と刺激強度が許容範囲内であることを保証する必要がある。
【0008】
したがって、コイルの設計は、エネルギー消費、コイルの加熱速度、コンパクトなサイズ、操作の容易さに関して効率的である必要がある。
【0009】
米国特許第9,067,052号には、2つのコイルが互いに垂直に配置されて、各コイルに交流電流パルスが流される、TMSコイルによる回転場の印加方法が開示されている。2つのコイルの交流電流パルスは同時ではなく、1つのコイルの動作と2番目のコイルの動作との間に時間遅延があるため、2つのコイルの電流の間に位相があり、よってコイルによって脳組織に誘導される電場のパルスの間にも位相がある。位相が90度の場合、脳内に回転場が誘導される。通常、誘導電場に平行な軸索を持つニューロンが刺激される。このため、この設定では、様々な方向に並んだ脳領域のニューロンを刺激することができる。
【発明の概要】
【0010】
治療対象者の脳の深部神経構造を効率的に刺激するように構成され、治療対象者の頭蓋骨/頭部のサイズおよび形状に適合するように調整可能なTMSデバイスに対する必要性が当技術分野において存在する。本出願は、治療対象者の脳組織内に磁場を誘導するように設計された電磁コイルを提供する。
【0011】
所望の脳領域/部分における神経組織の刺激の効果を最適化するためには、誘導電場の非接線成分の大きさを最小限に抑えることが望ましい。深部神経組織を効果的かつ効率的に刺激するために、本明細書に開示のコイル構成は、頭部/頭蓋骨の接線方向に高い電場の大きさを提供する一方で、すべての非接線方向の電場を最小化するように設計されている。
【0012】
通常、ニューロンで活動電位応答を生じさせる能力は、主に2つの特性、ニューロンのサイズおよび方向に依存する。方向に対する依存性が生じるのは、ニューロンの磁気刺激が軸索で発生し、その誘導電場に沿った突起が、興奮を達成するための関連パラメータとなるためである。通常、脳深部組織におけるニューロンの向きはランダムであり、すなわち、ニューロンは様々な方向に整列している。したがって、回転電場を誘導してその向きが単一のパルス中に広範囲の角度に影響を与えることにより、多くの軸索を一度に興奮させて、多くのニューロンを刺激することができる。回転場は、米国特許第9,067,052号に開示の技術のいずれかを利用して誘導することができる(その開示は、引用により本明細書に援用されるものとする)。
【0013】
本明細書の可能性のある実施形態によれば、経頭蓋磁気刺激のためのTMSコイル構成が提供される。本明細書に開示のTMSコイルは、概して、1または複数の蝶形コイルを有し、各コイルが、可撓性を高めるように設計された2以上の結合された翼状コイル構造を有する。
【0014】
本明細書で使用される翼状コイル構造という用語は、通常、1または複数のEMコイルループの別の配置構成(すなわち、別の翼状コイル構造)に隣接(近接)して配置されるか、そこから間隔をあけて配置される、1または複数のEMコイルループの配置構成を含むコイル構造を指している。本明細書に開示される蝶形コイルは、対称である必要はなく、すなわち、EMコイルループは、隣接してまたは間隔をあけて配置された翼状コイル構造と異なるように配置され得ること、例えば、各翼状コイル構造におけるEMコイルループは、様々な幾何学的形状、様々な数のループ、および/または様々な断面積および/または幾何学的形状を有するワイヤを有し得ることに留意されたい。さらに、可能性のある実施形態では、翼状コイル構造のEMコイルループは、必ずしも互いに電気的に結合または接続される必要はない。
【0015】
すなわち、いくつかの実施形態では、蝶形コイルが、2つの隣接して位置する翼状コイル構造を有する8の字形状を有する。他の可能性のある実施形態では、蝶形コイルの翼状コイル構造が、それらの間を隔てる規定された距離(例えば、10~70mm)を有する。蝶形コイルの2つの翼状コイル構造は、いくつかの実施形態では、曲げることができるように作られ、また、一方が他方に対してヒンジで留められて、治療対象者の頭部の形状に適合させるために一方を他方に対して移動/変形させることができる。このようにして、TMSコイルの幾何学的形状を、治療対象者の頭部の曲率に合わせて調節することができ、例えば、その上にグリップを確立して、翼状コイル構造のループ要素の多く、すべてまたは大部分が、治療対象者の頭部に接触し、すなわち、コイル要素が治療対象者の毛髪および/または頭皮に接触することとなる。
【0016】
本明細書に開示の実施形態では、1または複数の蝶形コイルの中心に位置する翼状コイル構造の個々のループのセグメント/部分が、それぞれの翼状コイル構造の主方向に電流を流すため、本明細書では主要ループのセグメントまたは部分という。本明細書に開示の実施形態は、主要ループのセグメントの方向が、その経路のすべてまたは大部分において、その下にある頭部曲面(頭蓋骨の一部など)に対してすべてまたは大部分が接線方向となるように構成されている。1または複数の蝶形コイルの中央セグメントの下に位置する標的脳構造における神経活性化の効果を最適化するためには、誘導電場の非接線成分を最小化することが望ましい。任意のコイル要素によって誘導される電場の向きは、交流電流を流すコイルの要素の向きと平行であるため、治療対象者の頭部(頭蓋骨)に対して非接線方向であるコイル要素の部分を最小化することが望ましい。
【0017】
主方向とは反対の方向に電流を流す蝶形コイルのセグメント/部分は、2つの翼状コイル構造の側方/外側に配置され、本明細書では戻りループのセグメントまたは部分という。可能性のある実施形態では、戻りループのセグメントは、治療対象者の頭部または頭部分の曲面に適合するように曲げることができるようにも作られる。任意選択的には、いくつかの実施形態では、翼状コイル構造の戻りループのセグメントのみが、好ましくは、変形して治療対象者の頭部の一部の幾何学的形状に適合するように構成され、主要ループのセグメントの幾何学的形状は実質的に変化しないままである。
【0018】
いくつかの実施形態では、翼状コイル構造のループの要素のすべてが実質的に共通の平面に位置するように、1または複数の蝶形コイルの翼状コイル構造を平坦な位置/形状で固定することができる。この平坦な構成では、コイルは従来の/標準的な8の字形のTMSコイルと同様に機能する。
【0019】
いくつかの実施形態では、1または複数の蝶形コイルの翼状コイル構造を、ロック状態と解放状態との間で変化させることができ、解放状態では、一方を他方に対して移動させて、治療対象者の頭部またはその一部の曲率に適合させることができる。1または複数の解放可能なコネクタおよび/または弾性/調節可能なストラップを使用して、1または複数の蝶形コイルのロック状態において、翼状コイル構造の間の角度を所望の角度で保持することができる。TMSコイルは、TMSコイルを治療対象者の頭部に固定するように構成された1または複数の頭部ストラップ(本明細書では固定手段ともいう)および/または他の取付手段を含むことができ、かつ/または、それを使用して実施されるTMS治療セッション中に、所望の位置および/または傾斜/角度にコイルループの要素のすべてまたは殆どをしっかりと取り付けることを可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、TMSコイルデバイスが、交差コイル構造のアレイを備え、各交差コイル構造が、TMSコイルデバイスの少なくとも別のコイル構造の展開軸と交差する展開軸を有する。例えば、いくつかの実施形態では、交差コイル構造が、等角TMSコイル構造を形成し、隣接して位置する交差コイルの各ペアの展開軸間の角度が、実質的に180゜/nであり、ここで、n≧2は、TMSコイル構造における交差コイルの(整数)数である。
【0021】
任意選択的には、いくつかの実施形態では、交差コイルのアレイが、好ましくは、下側の可撓性の蝶形コイルと、上側の蝶形コイルとを備え、上側の蝶形コイルの翼状コイル構造の向きが、下側の蝶形コイルの翼状コイル構造の向きに対して所望の角度を有し、例えば、蝶形コイルの展開軸間の角度が90゜以下である。いくつかの実施形態では、下側の可撓性の蝶形コイルが上側の可撓性の蝶形コイルを担持し、下側および上側の蝶形コイルの翼状コイル構造の展開軸間の角度が約90度である。
【0022】
交差コイル(例えば、下側および上側の可撓性の蝶形コイル)の各々は、マルチチャネルTMS刺激装置のそれぞれのチャネルに電気的に接続することができ、代替的には、様々な刺激装置ユニットに電気的に接続することもできる。交差コイルの動作タイミングを制御して、所望のTMS刺激プロトコルを実施することができる。例えば、2つの交差コイルTMSコイル構造のコイルを90度の位相シフトをもたらす時間遅延で作動させると、下にある脳組織に回転場が誘導され、様々な向きのニューロンが刺激を受ける可能性がある。
【0023】
いくつかの可能性のある実施形態では、交差コイル(例えば、可撓性の蝶形コイル)が、導電性ワイヤ(例えば、銅製のワイヤ)から作られている。いくつかの実施形態では、導電性ワイヤが、約7~10mmの断面積を有し、電気的に直列に接続された複数のループ巻線を含むコイルを形成するように巻かれている。導電性ワイヤは、好ましくは電気的に絶縁されている。いくつかの実施形態では、巻線が複数のワイヤを撚り合わせたもの、または一まとめにしたものである。
【0024】
いくつかの実施形態では、コイルの導電性ワイヤを被覆する電気絶縁体の複数の層がある。例えば、導電性ワイヤは、例えば焼結PTFEなどの少なくとも1の絶縁層で電気的に絶縁することができる。さらに、すべての導電性ワイヤは、電気絶縁を与える1または複数層のシールドで囲まれるようにしてもよい。そのようなシールドには、例えば、テープで包まれた焼結CR PTFEおよび/または二重SPC編組シールドが含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、コイル(例えば、1または複数の翼状コイル)のループ巻線構成が支持構造によって保持され、この支持構造が、一方では細長いコイル構成の概ね固定された形状を維持し、他方ではある程度の自由な動きと柔軟性を可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、コイルの展開軸に沿って、またはそれに対して延びるコイルセグメント/部分(例えば、可撓性の翼状コイル構造の少なくとも1の翼)間の角度を調整する自由度が1つある。他の可能性のある実施形態では、コイルセグメント/部分(例えば、蝶形コイル要素の翼)の可撓性など、付加的な自由度が提供され、これにより、人間の頭部の湾曲した形状、または頭部の少なくとも一部に適合することが可能になる。
【0027】
1または複数の可撓性コイルの巻線の数、長さ、構成および充填のパラメータは、所望の範囲のコイルインダクタンスを得るように構成される。通常、各交差コイル(例えば、可撓性の蝶形コイル)の所望のインダクタンス範囲は、15~30マイクロヘンリーである。インダクタンスが高すぎると、コイルの効力が低下し、パルス幅が大きくなり、しばしば、コイル抵抗、エネルギー消費およびコイル加熱の増加を伴う。インダクタンスが小さすぎると、電流の変化率が速くなり、刺激装置のコンポーネントが損傷する可能性がある。
【0028】
いくつかの実施形態では、ニューロンナビゲーションツールがTMSデバイス内に組み込まれている。ニューロンナビゲーションは、頭上の所望の位置にコイルを正確に配置できるようにするために、また所望の脳標的に再現性のある正確な刺激を行うために重要である。使用できるニューロンナビゲーション技術にはいくつかの種類がある。1つのニューロンナビゲーション技術は、光学的ニューロンナビゲーションアプローチに基づくものであり、TMSコイルの少なくとも1つと治療対象者の頭部にセンサが配置される。
【0029】
例えば、可能性のある実施形態では、通常は赤外線(IR)範囲の送信機および受信機を備えたカメラが、センサの位置および向きを常に追跡するように配置される。センサの位置は、例えば治療される個々の対象者の標準MRIまたは個人MRIのいずれかに基づいて得られる、脳マッピングに関連付けて登録することができる。プロセッサは、ディスプレイ/スクリーン上に表示される、脳のMRIベース画像とともに、すべての情報、センサの位置を統合するために使用することができ、システムは、登録されたセンサの位置と脳マッピングに基づいて、治療対象者の頭部の標的位置に配置するための1または複数のTMSコイルを手動でナビゲートする指示を与えることができる。さらに、システムは、頭部上のTMSコイルの位置を常時追跡し、許容範囲から逸脱した場合に警告を与え、治療セッションを通じてコイルの正確な配置を確保することができる。
【0030】
別のニューロンナビゲーションアプローチは、電磁(EM)追跡に基づくものである。このアプローチでは、1または複数のTMSコイルと対象者の頭部にEMセンサを配置し、それらを3D空間における機器の位置特定ポイントとして機能させる。場発生器または送信器を使用して、低強度で変化するEM場を放射し、測定ボリュームを確立する。EMセンサがEM場に入ると、内部に微小電流が誘導される。それらの誘導電流はセンサインターフェースユニット(SIU)に中継され、そこで増幅およびデジタル化されて測定データ/信号が生成される。測定データ/信号は、システムの制御ユニット(SCU)に送信され、制御ユニットが、治療対象者の頭部上の各EMセンサの位置と向きを、例えば変化として計算する。
【0031】
別の態様では、SIUとSCUの機能は電子ユニットによって実行され、それが位置および回転行列としてセンサの追跡データを計算する。この追跡データは、標準的なMRIまたは治療される個々の対象者の個人MRIのいずれかに基づいて、患者画像セットに対する機器のリアルタイム手動ナビゲーションのためのアプリケーションインターフェースに伝達される。EMベースの追跡方法の利点は、カメラとセンサとの間に見通し線を必要とする光学的方法とは対照的に、見通し線を必要としないことである。
【0032】
他に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料については以下で述べる。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法および例は、単なる例示に過ぎず、限定を意図したものではない。
【0033】
一態様では、治療対象者の脳領域を磁気刺激するためのTMSコイルアセンブリが提供される。TMSコイルアセンブリは、1または複数のコイルアセンブリを備え、コイルアセンブリの各々が、隣接して配置された、または間隔を空けて配置された、可撓性の翼状コイル構造を含み、翼状コイル構造が、翼状コイル構造の間を通る傾斜軸に沿って調節可能に変形して、治療対象者の頭部の曲面に適合するように、翼状コイル構造の間に所望の傾斜角度を適用するとともに、翼状コイル構造の実質的なループ部分を頭部の曲面に直接接触させ、それにより、頭部の曲面の接線方向にあるループ部分を最大化し、曲面の非接線方向にあるループ部分を最小化するように構成されている。各蝶形コイルに取り付けられたコイル保持構造を有する固定装置は、TMS処置中に治療対象者の頭部に配置されたときに、翼状コイル構造の蝶形コイル間の所望の傾斜角度を維持し、それによって頭部内に誘導される電場の強度を最大化することができる。任意選択的には、所望の傾斜角度は平角である。
【0034】
TMSコイルアセンブリは、いくつかの実施形態では、翼状コイル構造の間を通る場印加軸を規定するように構成されている。傾斜軸と場印加軸は実質的に平行であるか、または一致することができる。任意選択的には、TMSコイルアセンブリは、翼状コイル構造によって生成される相加的な電場および磁場が最大強度となる中央相互作用ゾーンを場印加軸に対して規定するように構成されている。可能性のある用途では、TMSコイルアセンブリが、固定装置によって適用される所望の傾斜角度で翼状コイル構造をロックするように構成されたロック機構を備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、固定装置が、翼状コイル構造に取り付けられ、傾斜角度の調整を容易にするように構成された1または複数のコイル保持構造を備える。任意選択的には、いくつかの実施形態では、好ましくは、1または複数のコイル保持構造が1または複数のピボットでヒンジ止めされている。翼状コイル構造の間の所望の傾斜角度の設定を容易にするために、コイルホルダ装置およびコイル保持構造の少なくとも1つにそれぞれ結合された1または複数のレバー部材を使用することができる。この構成では、翼状コイル構造の更なる傾斜を防止するように、コイルホルダ装置に対してレバー部材をロックした状態に維持するために、ロック機構を使用することができる。
【0036】
TMSコイルアセンブリは、レバー部材の1つをコイルホルダ装置に結合するようにそれぞれ構成された1または複数の解放可能なコネクタを含むことができる。解放可能な各コネクタは、それぞれの弾性ストラップおよび/または調節可能ストラップによって、それぞれのレバー部材に連結することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、TMSコイルアセンブリを治療対象者の頭部に取り付けるための固定手段が提供される。固定手段は、TMSコイルアセンブリを頭部に固定し、そのループの大部分を頭部に直接接触させるように構成された頭部ストラップを含むことができる。
【0038】
TMSコイルアセンブリは、コイルのループが治療対象者の頭部に適合して、ループの大部分を頭部と直接接触させることができるようにするために、翼状コイル構造/ローブの複数の曲がり度合いを有するように構成することができる。任意選択的には、翼状コイル構造のループは、頭部を向くコイル部分のすべてにおいて、頭部に柔軟に適合して接触するように構成されている。
【0039】
可能性のある実施形態では、翼状コイル構造が、概ね円形の形状、または概ね楕円形の形状、または概ね矩形の形状を有する。
【0040】
別の態様では、治療対象者の脳領域を磁気刺激するためのTMSコイルアレイが提供される。TMSコイルアレイは、本明細書に開示の実施形態のいずれかに係るTMSコイルアセンブリのうちの2以上を含み、TMSコイルアセンブリの各々が、その傾斜軸に対して実質的に垂直な展開軸を有し、2以上のTMSコイルアセンブリのうちの各々の展開軸が、TMSコイルアセンブリの少なくとも別の1つの展開軸と交差する。いくつかの実施形態では、TMSコイルアレイが、単一の固定装置の2つの異なる側に接続された2つのTMSコイルアセンブリを含む。任意選択的には、TMSコイルアセンブリの傾斜軸間の角度は約90度である。
【0041】
いくつかの実施形態では、2以上のTMSコイルアセンブリの各々が中央相互作用ゾーンを有し、2以上のTMSコイルアセンブリの相互作用ゾーンが実質的に一致するようにTMSコイルアレイが構成されている。
【0042】
任意選択的には、TMSコイルアセンブリの各々が、TMSコイルアセンブリの動作タイミングを制御するように構成された刺激デバイスのそれぞれの独立したチャネルに電気的に接続されている。可能性のある実施形態では、TMSコイルアレイが、TMSコイルアセンブリの少なくとも2つの電流間の位相差を操作することにより、脳組織に回転場を誘導するように構成されている。
【0043】
可能性のある実施形態では、TMSコイルアセンブリの各ワイヤまたは一部のワイヤが別々に電気的に絶縁されている。任意選択的には、TMSコイルアセンブリのすべてのワイヤを取り囲むように、1または複数層の電気絶縁シールドを使用することもできる。
【0044】
TMSコイルアレイは、いくつかの実施形態では、頭部上のコイルアセンブリの位置のニューロンナビゲーションのために構成されている。ニューロンナビゲーションは、光学的追跡および/または電磁気的追跡に基づくことができる。
【0045】
さらに別の態様では、神経生理学的疾患を治療するための方法が提供される。この方法は、翼状コイル構造を有する少なくとも1のTMSコイルアセンブリを治療対象者の頭部分に配置するステップと、翼状コイル構造が頭部の曲面に適合して、そのループの大部分が頭部に直接接触するように、翼状コイル構造の間の傾斜角度を設定するステップと、治療対象者の脳の領域を刺激するために、少なくとも1のTMSコイルアセンブリに電流を流すステップとを備える。この方法は、傾斜角度を設定する前にTMSコイルアセンブリを解放状態に変更するステップと、その後、翼状コイル構造間の更なる傾斜を防止するためにTMSコイルアセンブリをロック状態に変更するステップとを含むことができる。
【0046】
さらに別の態様では、神経生理学的疾患を治療するための方法が提供される。この方法は、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つのTMSコイルアセンブリまたはTMSコイルアレイを治療対象者の頭部に配置して、頭部の曲面領域に適合するように、その少なくとも2の翼状コイル構造の間の傾斜角度を設定するステップと、TMSコイルアレイのTMSコイルアセンブリに電流を流して、対象者の脳の領域を刺激するステップとを備える。神経生理学的疾患が、うつ病、双極性障害、統合失調症、PTSD、パーキンソン病、ジストニア、運動障害、アルツハイマー病、軽度認知障害、自閉症、アスペルガー症候群、多発性硬化症、ALS、トゥレット症候群、眼瞼痙攣、脳卒中、慢性疼痛、摂食障害、肥満、神経性食欲不振、過食症、喫煙依存症、薬物依存症、アルコール依存症またはギャンブル依存症を含むあらゆる依存症、ADHD、OCD、てんかん、片頭痛、耳鳴りのうちの少なくとも1つに打ち勝つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本明細書で開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実施され得るのかを例示するために、以下に、添付の図面を参照して、単なる非限定的な例として、実施形態を説明する。図面に示す特徴は、特に明示されない限り、本発明のいくつかの実施形態のみを例示することを意図している。以下の図面においては、同様の符号が、対応する部分を示すために使用されている。
【0048】
図1図1A図1Gは、いくつかの可能性のある実施形態に係る、可撓性の円形の蝶形コイルを含むTMSコイルデバイスを概略的に示しており、図1Aは、コイルの2つの翼の間にある角度を有する円形の蝶形コイルの斜視図であり、図1Bは、標準的な8の字形コイルに類似した平坦/平面翼配置を形成するように構成された円形の蝶形コイルの上面図であり、図1Cは、正中線に近い位置で治療対象者の頭部に取り付けられた可撓性の円形の蝶形コイルを示し、翼状コイル構造が頭部/頭蓋骨の形状に適合した状態を示しており、図1Dは、側方位置で治療対象者の頭部に取り付けられた可撓性の円形の蝶形コイルを示し、蝶形コイルの中心が、左半球における右手運動皮質表象のほぼ上方にあり、コイル要素/翼が頭部の形状に適合した状態を示しており、図1Eは、円形の蝶形コイルと、これを平坦/平面翼配置でロックすることを可能にする手段および機構を示しており、図1Fは、ケース内のコイルと、これを平坦/平面翼配置でロックすることを可能にする手段を示しており、図1Gは、人間の頭部を覆う可撓性の円形の蝶形コイルと、その翼を頭部の曲率に適合させるとともに、翼の間に適切な角度を付けて頭部に取り付けることを可能にする手段および機構を示している。
図2図2A図2Dは、いくつかの可能性のある実施形態に係る、楕円形の蝶形コイルを含むTMSコイルデバイスを概略的に示しており、図2Aは、いくつかの実施形態における、標準的な8の字形コイルに類似した平坦な翼配置を形成するように構成された楕円形の蝶形コイルの上面図であり、図2Bは、2つの翼の間にある角度を有する楕円形の蝶形コイルの側面図であり、図2Cは、正中線に近い位置で治療対象者の頭部に取り付けられた可撓性の楕円形の蝶形コイルを示し、コイル/翼要素が頭部の形状に適合した状態を示しており、図2Dは、側方位置で治療対象者の頭部に取り付けられた可撓性の楕円形の蝶形コイルを示し、コイルの中心が、左半球における右手運動皮質表象のほぼ上方にあり、コイル要素が頭部の形状に適合した状態を示している。
図3図3A図3Eは、いくつかの可能性のある実施形態に係る、可撓性の交差コイルのアレイを含むTMSデバイスを概略的に示しており、図3Aおよび図3Bは、互いに直交する向きの下側の蝶形コイルおよび上側の蝶形コイルを含む可撓性の交差コイルのアレイの上部および下部斜視図であり、図3Cは、下側の可撓性の交差コイルの2つの翼に結合された電磁ニューロンナビゲーションセンサを有する可撓性の交差コイルのアレイを示しており、図3Dは、下側の可撓性の楕円形の蝶形コイルおよび上側の可撓性の円形の蝶形コイルを有し、一方が他方に対して垂直方向に配置され、コイル要素が頭部の形状に適合した状態で、正中線に近い位置で治療対象者の頭部に取り付けられた交差コイルのアレイを示しており、図3Eは、側方位置で治療対象者の頭部に取り付けられた交差コイルのアレイを示し、交差コイルの中心が、左半球における右手運動皮質表象のほぼ上方にあり、コイル要素/翼が頭部の形状に適合した状態を示している。
図4図4A図4Cは、いくつかの可能性のある実施形態に係るコイル刺激スキームを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示の1または複数の具体的な実施形態を、図面を参照して以下に説明するが、それら図面は、すべての態様において、例示のみを目的としており、いかなる点においても限定的なものではないとみなされる。それら実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様のすべての特徴が明細書に記載されているわけではない。図面に示す要素は、必ずしも縮尺通りではなく、また、正しい比例関係にあるわけでもないが、それらのことは重要ではない。その代わりに、当業者が、本明細書に開示の原理を理解すれば、開示のコイルアセンブリを製造して使用することができるように、本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。本発明は、本明細書に記載の本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形式および実施形態で提供され得る。
【0050】
広い態様では、本開示は、治療対象者の頭部の内部に回転電磁場を誘導するための技術を、治療対象者の頭部の表面に対して垂直なコイル要素/部分を最小化するか、または完全に除去するように構成された柔軟なコイル設計と組み合わせることを目的とする。
【0051】
図1Aおよび図1Bを参照すると、いくつかの可能性のある実施形態に係る蝶形の電磁コイルアセンブリ10の上面斜視図および底面図が概略的にそれぞれ示されている。蝶形の電磁コイルアセンブリ10は、複数のループを含む2つの離間した翼状コイル構造/ローブ10a、10bを含み、各翼状コイル構造/ローブ10a、10bが、2つの離間した翼状コイル構造/ループのローブ10a、10b間を機械的に連結する調節可能/柔軟な固定装置12を含む支持ユニットに結合された実質的に平面の円形のコイル構造を形成している。固定装置12は、いくつかの実施形態では、治療対象者の頭部/頭蓋骨のサイズ/形状にコイルアセンブリ10をフィット/適合させるように、2つの離間した翼状コイル構造/ループ10a、10bの平面間の角度を変化させるように構成されている。
【0052】
いくつかの可能性のある実施形態では、固定装置12が、一対の「Y」字形コイル保持構造12a、12bを含む。「Y」字形コイル保持構造12a、12bの各々は、それぞれの脚部分12gと、そこから延びる2つのアーム部分12rとを有する。アーム部分12rは、各「Y」字形コイル保持構造12a、12bの脚部分12gから側方に斜めに延びて、3頂点の星構造を形成することができる。この具体的かつ非限定的な例では、アーム部分12rが、それぞれの脚部分12gから両側方に延びて、それぞれの翼状コイル構造/ローブ10a、10bの直径に沿って延び、そこから軸方向に延びて、コイル構造10の他の翼状コイル構造/ローブのアーム部分12rと係合する。
【0053】
コイル構造10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bは、例えば、ケーブルタイ/ジップタイなどの留め具15を介して、脚12gおよびアーム12rに固定されている。アーム部分12rの各々は、「Y」字形コイル保持構造12a、12bの一方に対する他方の角運動を可能にするように構成された、例えばヒンジ12iを介して、翼/ローブのアーム部分12rに回動可能に連結されたそれぞれの肩部分12sを含む。このため、「Y」字形コイル保持構造12a、12b間の角度(ひいては、2つの離間した翼状コイル構造/ローブ10a、10bの平面間の角度)を操作して、すなわち、増加または減少させることにより、2つの離間した翼状コイル構造/ローブ10a、10b(の平面)の互いに対する角度方向を変化させることができる。このようにして、コイルアセンブリ10は、治療対象者の頭部/頭蓋骨のサイズにぴったりとフィット/適合するように調整することができ、それにより、その翼部/ローブ10a、10bの各々の下側巻線の大部分を治療対象者の頭部に接触させることができる。
【0054】
図1Aは、コイルアセンブリ10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bが、ヒンジ12iによって規定されるそれらの傾斜軸12xを中心として角度的に傾けられることにより、それら翼状コイル構造/ローブ間に鈍角が形成される傾斜形態のコイルアセンブリ10を示している。図示のように、各肩部分12sは、それぞれのアーム部分12rの自由端から垂直下向きまたは上向きに延びて、他の「Y」字形コイル保持構造のアーム部分12rと回動可能に連結するそれぞれのヒンジ12iのための係合面12eを規定することができる。
【0055】
任意選択的には、いくつかの実施形態では、好ましくは、コイル構造10の実質的に平面状の翼状コイル構造/ローブ10a、10bの各々が、複数のループを形成するように巻かれた単一の連続する導電性ワイヤから作られている。2つの横方向に巻かれた翼状コイル構造/ローブ10a、10bは、中間ワイヤセグメント10cによって電気的に直列に接続されている。
【0056】
図1Bは、コイルアセンブリ10の伸長軸(本明細書では展開軸ともいう)12yに沿って、翼状コイル構造/ローブ10a、10bがそれらの巻きループと同じ幾何学的平面内に整列された平面状態のコイルアセンブリ10を示している。いくつかの実施形態では、コイルアセンブリの翼状コイル構造/ローブ10a、10bの各ループが、2層のループ巻線を含む。特に、巻きローブ10a、10bの各々は、複数の円形ループを含み、この特定の実施形態では、1または複数の最も内側のループから1または複数の最も外側のループに向かって外側に螺旋状に巻かれた、4つのループが示されている。ループは、翼状コイル構造/ローブ10a、10bの各々において2層のコイルを形成する上部巻線および下部巻線を各ループが有するように、螺旋状に巻かれている。
【0057】
図1Aに示すように、いくつかの実施形態では、中間ワイヤセグメント10cが、翼状コイル構造/ローブ10aの最も内側のループを、他方の翼状コイル構造/ローブ10bの最も外側のループに接続し、それにより、2つの翼/ローブによって、治療対象者のTMS脳標的に向かって相加的な磁場が生成される。いくつかの可能性のある実施形態では、コイルアセンブリ10の翼状コイル構造/ローブが、ある程度の可撓性を有するように構成され、それにより、図1C図1Eを参照して本明細書でさらに説明および例示するように、治療対象者の頭蓋骨の様々な湾曲部分/領域の形状にぴったりと適合させることができる調節可能なウェアラブルなコイル構造を提供する。
【0058】
図1Bに示すように、2つの離間した翼状コイル構造/ローブ10a、10bの隣接して配置された部分/要素は、翼状コイル構造/ローブ要素によって生成される相加的な電場および磁場が最大強度となる中央相互作用ゾーンiiを規定する。この構成では、コイルアセンブリ10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bによって生成される電場は、場印加軸10xに沿って、治療対象者の頭部(例えば、頭蓋骨の選択された部分)に対して実質的に接線方向であり、この方向は、いくつかの実施形態では、コイルアセンブリ10の伸長/展開軸12yに対して実質的に垂直であり、かつコイル10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bの傾斜軸12xに対して実質的に平行であるか、またはそれと一致する。このような翼状コイル構造/ローブ10a、10bの配置構成によって、接線電場が場印加軸10xに沿って最大になる一方で、電場のすべての非接線成分が実質的に減衰および/または無視できるほどに除去されることとなる。このようにして、コイルアセンブリ10の中央セグメント、すなわち相互作用ゾーンiiの下方の標的脳領域における誘導場の強度が増大し、脳の所望の神経構造の刺激が改善される。
【0059】
動作中、翼状コイル構造/ローブ10a、10b間の角度は、治療対象者の頭蓋骨の寸法にしたがって調整され、それにより、巻かれた各翼状コイル構造/ローブを頭頂骨の上側側面の上に配置するように、翼状コイル構造/ローブ10a、10bが治療対象者の頭部の上側部分の上に配置される。電流は、コイル電流端子11a、11bを介してコイルアセンブリ10に接続された信号源(図示せず)によって生成される。翼状コイル構造/ローブ10a、10bを通過した電流は、治療対象者の特定の標的脳領域に向けられた電磁場を生成し、その領域の応答性の電気刺激に影響を与える。
【0060】
図1Cおよび図1Dを参照すると、いくつかの可能性のある実施形態に係るコイルアセンブリ10を使用して適用可能な治療セッションが示されている。簡単にするために、これらの例では、コイルアセンブリ10が、固定装置(図1Aおよび図1Bの12)なしで示され、患者の頭蓋骨17上の異なる領域および向きに配置されている。図示のように、コイルアセンブリ10の構成は、治療対象者の頭蓋骨の様々な湾曲部分/領域の形状に適合させることができる調節可能なウェアラブルコイル構造を提供するのに十分な可撓性を有し、それにより翼/ローブの下側巻線の大部分またはすべてを治療対象者の頭部17に直接接触させて、TMS標的でコイルにより誘導される電磁場の強度を最大化することができる。
【0061】
特に、図1Cでは、コイル10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bが、伸長軸(図1Bの12y)が頭蓋骨17の冠状面に実質的に平行であるか、またはその冠状面(すなわち、水平)に整列するように、頭蓋骨17の中央頭頂部分に配置されている。図示のように、電場は、頭蓋骨17の矢状面とほぼ平行なまたは矢状面に整列している場印加軸10xに沿って、コイルアセンブリ10によって生成される。コイルアセンブリ10の翼状コイル構造/ローブは、図1Dに示すように、1または複数のストラップ10kによって治療対象者の頭部17に固定することができる。
【0062】
図1Dでは、コイルアセンブリ10の翼状コイル構造/ローブ10a、10bの伸長軸(図1Bの12y)が、頭蓋骨17の冠状面にほぼ平行であるか、または冠状面(すなわち、水平)に整列しており、それにより、例えばコイルアセンブリ10の相互作用ゾーンiiを左半球の右手運動皮質表象のほぼ上方に配置するために、翼状コイル構造/ローブ10aの一方が頭蓋骨17の中央頭頂部分に位置する一方で、他方の翼状コイル構造/ローブ10bが頭蓋骨17の頭頂部分の側部に位置している。この配置構成では、電場が、頭蓋骨17の矢状面に対して僅かに傾いた平面内の場印加軸10xに沿ってコイルアセンブリ10によって生成される。
【0063】
図1Eは、平面状態でコイル固定機構29によって固定された円形の蝶形コイル10を示している。コイル固定機構29は、治療対象者の頭部にぴったりと装着するために、翼10a、10bを所望の角度で固定することを可能にする。この特定の非限定的な例では、コイル固定機構29が、それぞれのコイル固定構造12a、12bに連結されたそれぞれのレバー13a、13bを含む。図示のように、レバー13a、13bは、それぞれのストラップ19a、19bを介してコイルホルダ装置41に結合することができる。ストラップ19a、19bは、いくつかの実施形態では、コイルホルダ装置41に回転可能に結合されたそれぞれの解放可能コネクタ(例えば、バックル)23、24を介してコイルホルダ装置41に接続されている。
【0064】
レバー13a、13bの各々は、いくつかの実施形態では、コイル固定構造12a、12bに直接接続するように構成された取付部分13tと、翼状コイル構造10a、10b間の傾斜角度の手動調整を容易にするために取付部分13tから上方に延びる傾斜レバー部分13rとを備える。任意選択的には、いくつかの実施形態では、ストラップ19a、19bが、好ましくは、特定レベルの張力を維持するように構成された弾性ストラップである。代替的または追加的には、ストラップ19a、19bは、ストラップのループサイズを調節するように構成された調節可能なストラップである。
【0065】
解放可能な各コネクタ(例えば、バックル)23、24は、それぞれの雌側23f、24fにスナップ式に接続可能な雄側23m、24mを有することができる。いくつかの実施形態では、図1Eに示すように、雄側23m、24mが、それぞれのストラップ19a、19bに接続され、それぞれの雌側23f、24fが、コイルホルダ装置41に回転可能に接続されている。他の実施形態では、それぞれのバックル23、24の雄側23m、24mがコイルホルダ装置41に連結され、雌側23f、24fが、ストラップ19a、19bおよび/またはレバー13a、13bなどを介して、コイルアセンブリに取り付けられた固定手段12a、12bに連結されている。解放可能なコネクタ23、24が閉じられると(すなわち、雄側23m、24mと雌側23f、24fが連結されると)、翼状コイル構造10a、10bは平坦な平面状態でロックされる。解放可能なコネクタ23、24が開かれると(すなわち、雄側23m、24mと雌側23f、24fが分離されると)、翼状コイル構造10a、10bを曲げることができ、それらを傾けてそれらの間に様々な角度を形成することができる。
【0066】
TMSの手順の間、コイルは対象者の頭部上に配置される。一般的な手順は、ホットスポットの位置と、手または足の筋肉の運動反応を誘発するのに必要な最小刺激出力である運動閾値(MT)の決定である。ホットスポットは、MTが最小となる運動皮質上のコイルの位置と方向である。別の手順は、運動皮質上のホットスポットから治療位置へのコイルの移動、治療位置でのコイルの装着、およびTMS治療セッションの実施である。一実施形態では、上記手順のすべてまたは一部が、解放可能なコネクタ23、24を閉じた状態で行われるため、翼状コイル構造10a、10bは平坦な平面状態で固定される。別の実施形態では、上記手順のすべてまたは一部が、解放可能なコネクタ23、24を開いた状態で行われるため、翼状コイル構造10a、10bを曲げることができ、それらを傾けてそれらの間に様々な角度を形成することができる。いくつかの実施形態では、翼状コイル構造10a、10bが、対象者の頭部の一部に適合するように作られている。
【0067】
すなわち、解放可能なコネクタ23、24は、コイル固定機構29のロック状態と、その解放状態とを規定するように構成されている。解放状態では、解放可能なコネクタ23、24が開かれて、治療対象者の頭部にぴったりと適合するように翼状コイル構造10a、10b間の適切な傾斜角度の調節が容易とされる。ロック状態では、解放可能コネクタ23、24が閉じられて、TMS治療セッション中、翼状コイル構造10a、10b間の傾斜角度が維持され、翼状コイル構造10a、10b間の更なる傾斜が防止される。
【0068】
図1Fは、ケース要素10s内に収容された蝶形コイルを示すとともに、翼状コイル構造を平面状態で固定することを可能にするバックル23と、バックル23が開かれたときに、翼状コイル構造が頭部に適合して翼状コイル構造間に特定の角度を取る状態で、翼状コイル構造を治療対象者の頭部にぴったりとフィットさせて取り付けることを可能にする頭部ストラップ32とを示している。
【0069】
図1Gは、人間の頭部50に取り付けられた円形の蝶形コイル10を示している。翼状コイル構造が様々な角度を取り得るように、ここではバックル(図1Eの23、24)が開いた状態で示されている。図示のように、頭部ストラップ32は、翼状コイル構造を頭部50に取り付ける。
【0070】
図2Aおよび図2Bを参照すると、いくつかの可能性のある実施形態に係る蝶形の電磁コイルアセンブリ20の上面図および側面図がそれぞれ示されている。蝶形の電磁コイルアセンブリ20は、伸長/展開軸26yに沿って配置された2つの離間した楕円形の翼状コイル構造/ループのローブ20a、20bを含み、各翼状コイル構造/ローブが、平面コイル構造を形成し、調節可能/柔軟な固定装置26が、2つの楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bの間を接続している。固定装置26は、2つの楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bの平面間の角度を容易に変化させるように構成され、それにより、コイルアセンブリ20を治療対象者の頭部/頭蓋骨のサイズ/形状にフィット/適合させることができるとともに、コイル20の翼状コイル構造/ローブの他の部分の弾性変形を可能にすることができる。
【0071】
いくつかの可能性のある実施形態では、固定装置26が、一対の固定プレート26a、26bによって形成され、それらプレートに、翼状コイル構造/ローブ20a、20bのループの主要部分/要素が、例えば、複数の/アレイの留め具15(例えば、ケーブルタイ/ジップタイ)によってそれぞれ取り付けられている。任意選択的には、いくつかの実施形態では、固定プレート26a、26bが、好ましくは、それらの傾斜軸26xを中心とする固定プレート26a、26bの一方に対する他方の角度運動を可能にするように構成されたヒンジ26iを介して、それらの間で回動可能に接続されている。任意選択的には、いくつかの実施形態では、傾斜軸26xが、好ましくは、展開軸26yに対して実質的に垂直である。
【0072】
このため、固定プレート26a、26bの間の角度を操作して、すなわち増加または減少させて、楕円形の翼/ローブ20a、20b(の平面)の互いに対する角度的な向きを変えることができる。このようにして、コイルアセンブリ20は、治療対象者の湾曲した頭部/頭蓋骨のサイズにぴったりとフィット/適合して、翼/ローブ20a、20bの下側巻線の大部分またはすべてが治療対象者の頭部(17)に直接接触するように容易に調整することができる。
【0073】
コイルアセンブリ20のループの戻り部分/要素は、例えば、複数の/アレイの留め具15(例えば、ケーブルタイ/ジップタイ)によって、相互作用領域iiの外側にあるコイル20のループのセグメントに沿って分散配置された固定プレート25に取り付けられる。コイルアセンブリ20の翼状コイル構造/ローブ20a、20bの可撓性は、このようにして、相互作用ゾーンiiの内側にあるコイルループの主要部分/要素を単一の固定プレート26a、26bに接続し、相対的に離れた(ループ経路を有する)コイルループの戻り部分/要素を複数の固定プレート25(この非限定的な例では3つ)によって接続することによって改善されている。このようにして、相互作用領域ii内の固定プレート26a、26bの両側で、固定されていないループの長さの4分の1以上が得られ、これにより、相互作用領域iiの外側のループの戻り部分/要素をループの主要部分/要素に対して柔軟に変形させることができる。
【0074】
図2Aは、平面状態のコイルアセンブリ20を示しており、その翼状コイル構造/ローブが、展開軸26yに沿ってほぼ整列している。図2Bは、傾斜した形態のコイルアセンブリ20を示しており、この形態では、ヒンジ26iによって規定される傾斜軸26xを中心にコイルの翼状コイル構造/ローブ20a、20bが角度的に傾けられて、それらの間に鈍角が形成されている。任意選択的には、いくつかの実施形態では、コイルアセンブリ20の翼状コイル構造/ローブが、好ましくは、単一の連続する導電性ワイヤから作られ、このワイヤが巻かれて、翼状コイル構造/ローブ20bの最も内側のループを翼状コイル構造/ローブ20aの最も外側のループに電気的に接続する中間ワイヤセグメント20cによって直列に電気的に接続された2つの横方向に巻かれた翼状コイル構造/ローブ20a、20bが形成されている。コイルアセンブリ20は、コイルの電流端子21a、21bを介して信号電源(図示せず)に電気的に結合して、翼状コイル構造/ローブによって相加的な磁場を生成することができる。
【0075】
また、コイルアセンブリ20は、複数の補助固定プレート25(この特定の構成では、翼/ローブ20a、20bの各々に3つ)も含む。翼/ローブのワイヤは、例えば、翼状コイル構造/ローブのループを一緒に保持しかつ翼状コイル構造/ローブ20a、20bの平面形状を維持するように構成された複数の/アレイの留め具15(例えば、ケーブルタイ/ジップタイ)によって、固定プレート25の各々に接続されている。
【0076】
図2Aに示すように、2つの間隔をおいて配置された翼状コイル構造/ローブ20a、20bの隣接して配置された部分/要素は、翼状コイル構造/ローブによって生成される相加的な磁場が最大となる相互作用ゾーンiiを規定している。コイルアセンブリ20によって生成される電場は、コイルアセンブリ20の翼状コイル構造/ローブ20a、20bの傾斜軸26xにほぼ平行であるか、またはそれと一致する場印加軸20xに沿って、治療対象者の頭部(例えば、頭蓋骨の選択された部分)に対して接線方向である。翼状コイル構造/ローブ20a、20bのこのような配置により、相互作用ゾーンiiにおいて、誘導電場の接線方向成分が最大となり、一方、誘導電場のすべての非接線方向成分が大幅に減衰するか、または無視できるほどに除去される。このようにして、治療対象者の脳の所望の標的神経構造への刺激を改善することができる。
【0077】
図2Cは、治療対象者の頭部/頭蓋骨17に配置された動作中の電磁コイルアセンブリ20を示している。図示のよううに、翼状コイル構造/ローブ20a、20bは、頭蓋骨17の中央頭頂部分に配置され、コイルアセンブリ20の傾斜軸26xが頭蓋骨17の冠状面にほぼ平行であるか、またはそれに(すなわち、垂直方向に)整列するように配置されている。図2Dは、楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bが治療対象者の頭部17の矢状面に対して側方にあり、それらの展開軸(図2Aの26y)がそれに対してほぼ平行であり、例えば、コイル20の相互作用領域iiを左半球の右手運動皮質表象のほぼ上方に配置するように、コイルアセンブリ20を適用した状態を示している。
【0078】
図3Aおよび図3Bを参照すると、いくつかの可能性のある実施形態に係る複合電磁コイルアレイ(本明細書では交差コイル構造ともいう)30の上面図および底面図がそれぞれ示されている。複合電磁コイルアレイ30は、図1Aおよび図1Bに示す蝶形コイルアセンブリ10を含み、その円形の翼状コイル構造/ローブ10a、10bのループが固定装置12の下面に結合され、図2Aおよび図2Bに示すコイルアセンブリ20の楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bのループが固定装置12の反対側の上面に結合されている。
【0079】
コイル10、20は、コイル10の傾斜軸(図1Bの12x)とコイル20の傾斜軸(図2Aの26x)との間に規定された角度(例えば、90°)を形成するように、複合コイルアレイ30に配置されている。そのような交差コイル構造35は、コイル10の展開軸(図1Bの12y)とコイルアセンブリ20の展開軸(図2Aの26y)との間に規定された角度を形成することによって同様に得ることができる。
【0080】
この交差コイル構造30により、コイルアセンブリ10、20の中央相互作用ゾーンiiが実質的に一致することを保証しながら、コイルアセンブリ10、20の翼状コイル構造10a、10bおよび/または20a、20bの間に所望の傾斜角度を設定することが可能になる。特に、コイルアセンブリ10の翼状コイル構造10a、10b間の所望の傾斜角度は、コイルアセンブリ10の傾斜軸12xに沿って交差コイル構造30を変形させることによって得ることができ、それにより、その展開軸26yに沿ってコイルアセンブリ20の翼状コイル構造20a、20bを少なくとも部分的に変形させることもできる。
【0081】
いくつかの可能性のある実施形態では、楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bが、円形の翼状コイル構造/ループのローブ10a、10bの平面と実質的に平行な平面で固定装置12の上面に収容される。本明細書では、上および下などの用語は、本明細書に開示のコイルアセンブリの動作状態における向きを示すために使用されることに留意されたい。この実施形態では、固定装置12の下面が、治療対象者の頭蓋骨/頭部を向き、円形の翼状コイル構造/ローブ10a、10bが、治療対象者の頭蓋骨/頭部の上方/上に配置される一方、楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bが、治療対象者の頭蓋骨/頭部の僅かに上方に配置されている。
【0082】
図3Bでより良く分かるように、この複合コイル30の構成は、コイルアセンブリ10、20のループの戻り要素/部分の柔軟性を維持し、複合/交差コイル構造30の相互作用ゾーンii内に位置するループの主要部分/要素に対する柔軟な変形を可能にする。このようにして、複合/交差コイル構造30の幾何学的形状は、コイルアセンブリ10、20の中央相互作用ゾーンiiが実質的に一致することを保証しながら、治療対象者の頭部に配置される部分を頭部に適合させて、ループの大部分が対象者の頭部に直接接触するように調整することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、コイルアセンブリ20の楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20b、およびコイルアセンブリ10の円形の翼状コイル構造/ローブ10a、10bが、図4Aに示すように、マルチチャネルTMS刺激装置46によって電気的に作動する。任意選択的には、いくつかの実施形態では、複合電磁コイルアレイ30が、好ましくは、所望の刺激パターンを誘導するように制御可能に操作される。より具体的には、コイルアセンブリ10の円形の翼状コイル構造/ループのローブ10a、10bは、第1の交流電流供給、例えば一連の電流パルスによって作動することができ、コイルアセンブリ20の楕円形の翼状コイル構造/ループのローブ20a、20bは、第2の交流電流供給、例えば一連の電流パルスによって作動することができ、第1および第2の電流供給が、それらの間に予め設定された位相シフト、例えばπ/2の位相シフトを有するように構成されている。このようにして、コイルアセンブリ10、20の一致する相互作用ゾーンiiにおいて最大となる回転電磁場を発生させることができる。
【0084】
代替的には、図4Bに示すように、2つの異なる刺激装置46a、46bを使用して、コイルアセンブリ10、20のための第1および第2の電流供給を別々に生成することができる。任意選択的には、コントローラ44を使用して、コイルアセンブリ10、20を駆動する第1および第2の電流供給を調節し、その間に所望の位相差が維持されるのを保証することができる。代替的には、図4Cに示すように、単一チャネル刺激装置47を使用して、コイルアセンブリ10(または20)の一方のための供給電流を生成することができ、位相シフトユニット45を使用して、刺激装置47から電流供給を受け取り、そこから所望の位相差を有する他方のコイル20(または10)のための別の供給電流を生成することができる。任意選択的には、コントローラ44を使用して、位相シフトユニット45および/または刺激装置47を制御することにより、2つの供給電流間に所望の位相差が維持されることを保証することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、コイルアセンブリ10の円形の翼状コイルアセンブリ/ローブ10a、10b、またはコイルアセンブリ10の楕円形の翼状コイル構造/ローブ20a、20bのみが、必要に応じて、供給電流によって作動される。
【0086】
複合/交差コイルアレイ30のコイルアセンブリ10、20が、約90°の位相シフトを有する2つの異なる交流電流によって作動すると、一致する相互作用ゾーンiiにそれにより生成される磁場は最大強度となり、それにより生成される電場は、治療対象者の頭部(例えば、頭蓋骨の選択された部分)に対して接線方向に回転する。この複合/交差コイルアセンブリ30の構成により、コイルアセンブリ10、20の一致する相互作用ゾーンiiにおいて、複合/交差コイルアレイ30によって生成される磁場が最大となり、それによって生成される磁場のすべての非接線方向成分が大幅に減衰される。したがって、複合/交差コイルアレイ30を使用すると、従来の平坦な8の字形コイルと比較して、かなり低い運動閾値が得られることが期待される。
【0087】
可能性のある実施形態では、図3A図3Cに示すような複合/交差コイル構造が、複数(3以上)の蝶形コイルを使用して準備され、それにより、各蝶形コイルの展開角度と複数の蝶形コイルの少なくとも別の1つの展開角度との間に所望の角度が得られる。例えば、可能性のある実施形態では、等角TMSコイル構造を形成するように複合/交差コイル構造を構成することができ、隣接して配置された蝶形コイルの各ペアの展開軸間の角度が実質的に180゜/nであり、ここで、n≧2は、TMSコイル構造における交差コイルの(整数)数である。
【0088】
いくつかの実施形態では、複合/交差コイルアレイ30が、楕円形の翼/ローブ20a、20bを包囲する固定フレーム構造31に結合される。治療対象者(17)の頭部へのコイルアレイ30の配置および調節を容易にするために、把持ループ31pを固定フレーム構造31に設けることができる。コイルアレイ30を例えば頭部ストラップによって治療対象者の頭部に固定するために、1または複数のストラップ留め具33を固定フレーム構造31に取り付けることができる。
【0089】
図3Cは、治療対象者の頭部へのコイルアレイ30の配置を容易にするように構成されたホルダ装置41に係合されたコイルアレイ30を示している。この非限定的な例では、コイルアレイ30が、電磁ニューロンナビゲーションのために固定装置12の両側部に結合されたセンサ素子42、43(例えば、EMセンサ)を備える。センサ素子42、43は、レバー13aおよび/または13bに取り付けることによって、複合/交差コイルアレイ30に結合することができる。
【0090】
センサ素子42、43は、治療対象者の頭部に配置された他のセンサ素子(図示せず)とともに使用され、それにより複合/交差コイルアレイ30を治療対象者の頭部の標的TMS領域上に正確に位置決めすることができる。ホルダ装置41は、センサ素子によって検知される測定ボリュームを確立する低強度の可変EM場を発するように構成された電磁(EM)場発生器または送信器(図示せず)を備えることができる。動作中、センサ素子42、43が生成されたEM場に入ると、小さな電流がセンサ素子に誘導される。誘導された電流は、ワイヤ42w、43wを介して、センサインターフェースユニット(SIU)41uに中継され、このユニットは、受信した信号を増幅およびデジタル化して、システム制御ユニット(SCU)44に送信するように構成されている。
【0091】
制御ユニット44は、受信した信号と、コイルアセンブリ10、20および治療対象者の頭部に配置された他のセンサ素子に対するセンサ42、43の幾何学的位置とに基づいて、各センサ素子42、43の位置および向きを(例えば、変化として)計算するように構成されている。その後、制御ユニット44は、治療対象者の所望の標的脳領域上にコイルアセンブリを位置決めするために、適切な方向に所定の変位だけ複合/交差コイルアレイ30を移動させるようにユーザに対して指示を生成する。ホルダ装置41はさらに、複合/交差コイルアレイ30のコイルアセンブリ10、20を(例えば、図4A図4Cに例示するような)1または複数の刺激装置に接続し、冷却媒体導管41sを通してコイルアセンブリ10、20に向けて冷却媒体を流して過熱を防止するように構成されている。ハンドル41hは、いくつかの実施形態では、ホルダ装置41および複合/交差コイルアレイ30を治療対象者の頭部に配置するのを容易にするために提供される。
【0092】
図3Dは、治療対象者の頭部17に配置され、そこに電磁場を印加するために容易に動作可能な複合/交差コイルアレイ30を示している。図3Dに示す複合/交差コイル構成では、コイルアセンブリ20の楕円形の蝶形翼状コイル構造/ローブ20a、20bが治療対象者の頭部に直接接触して配置され、コイルアセンブリ20の円形の翼状コイル構造/ローブ10a、10bがコイルアセンブリ20の翼状コイル構造/ローブの上に配置されている。複合/交差コイルアレイ30は、図3Dでは、簡略化のために、固定装置12およびホルダ装置41なしで示されている。
【0093】
楕円形の蝶形翼状コイル構造/ローブ20a、20bは横方向に可撓性があるため、それらは正中線に近い位置に配置されて、翼状コイル構造/ローブ20a、20bの下面のループの大部分またはすべてが、頭部の形状に適合して直接接触する。
【0094】
図3Eは、側方位置で治療対象者の頭部17に取り付けられた複合/交差コイルアレイ30を示しており、複合/交差コイルアレイ30の相互作用ゾーンが、左半球の右手運動皮質表象のほぼ上方にある。図示のように、下側コイルアセンブリ10の円形の翼状コイル構造/ローブ10a、10b間の傾斜角度は、下側ループの大部分またはすべてが治療対象者の頭部17に直接接触するように調整されている。また、図3Eに示すように、コイルアセンブリ20の上側の翼状コイル構造/ローブ20a、20bの可撓性により、それらの側方部分が頭部17の形状にほぼ適合して頭部に直接接触する。
【0095】
複合/交差コイルアレイ30のコイルアセンブリ10、20の翼状コイル構造/ローブは、1または複数の頭部ストラップ10kによって治療対象者の頭部17に固定することができる。
【0096】
また、本開示全体を通じて、プロセスまたは方法が開示または説明される場合、別のステップが最初に実行されることに1つのステップが依存することが文脈から明らかでない限り、方法のステップ/動作は、任意の順序で、かつ/または同時に、かつ/または本明細書に図示/説明されていない他のステップ/動作とともに実行され得ることを理解されたい。可能性のある実施形態では、図示/記載されたステップ/動作のすべてが必ずしも、本方法を実施するために必要とされるわけではない。
【0097】
「下側」、「上側」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「最上部」および「最下部」などの相対的な用語およびそれらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」など)、並びに、記載された要素/コンポーネントの向きに関連する同様の形容詞は、図示されたものが紙上に配置される方法を指しており、それら要素/コンポーネントが実際の用途で使用され得る向きを限定するものではない。
【0098】
上述したように、また図示のように、本出願は、治療対象者の脳領域に電磁場を効率的に印加するための曲げ/変形可能なTMSコイル、および関連する方法を提供する。本発明の特定の実施形態を説明してきたが、特に前述した教示に考慮して、当業者によって変更を加えることが可能であるため、本発明はそれら実施形態に限定されるものではないことが理解されよう。当業者には理解されるように、本発明は、特許請求の範囲を超えることなく、上述したものから複数の技術を採用して、多種多様な方法で実施することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
【国際調査報告】