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  • 特表-液体油原料の水素化処理法 図
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】液体油原料の水素化処理法
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/02 20060101AFI20241226BHJP
   C10G 3/00 20060101ALI20241226BHJP
   C10G 45/00 20060101ALI20241226BHJP
   C10G 45/58 20060101ALI20241226BHJP
   C10B 53/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C10G65/02
C10G3/00
C10G45/00
C10G45/58
C10B53/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541828
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2022086864
(87)【国際公開番号】W WO2023134974
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22151138.9
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アナスン・スティーファン
【テーマコード(参考)】
4H012
4H129
【Fターム(参考)】
4H012JA00
4H129AA03
4H129BA03
4H129BB03
4H129CA30
4H129KC03X
4H129KC04X
4H129KC05X
4H129KC14X
4H129KC16X
4H129KC17X
4H129KD15X
4H129KD24X
4H129MA01
4H129MB13A
4H129MB16B
4H129NA04
4H129NA22
4H129NA23
(57)【要約】
液体油原料流を水素化処理するための方法及びプラントであって、i)安定化済組成物を生成するために、触媒の存在下に液体油流を水素と反応させ、そしてそれから、含気相安定化済流及び安定化済液体油流を分離することによる安定化ステップに液体油原料流を案内するステップ; ii)主水素化脱酸素化(HDO)ステップであって、ii-1) 前記含気相安定化済流の少なくとも一部を、または前記含気相安定化済流の少なくとも一部と前記安定化済液体流の一部とを組み合せた安定化済供給物流を、脱水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す第一の床における主水素化脱酸素化(HDO)ステップに案内して、第一の主水素化処理済流出物流を生成すること; ii-2) 前記安定化済液体油流の少なくとも一部を前記第一の主水素化処理済流出物流と組み合せて、第一の安定化済気体-液体油混合流を生成すること; iii-3) 前記第一の安定化済気体-液体油混合流を、HDOに活性を示す後続の床に案内して、主水素化処理済流出物流を生成することを含む、主水素化脱酸素化(HDO)ステップを含む、方法及びプラント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体油原料流(1、1’、1’’、1’’’)を水素化処理するための方法であって、次のステップ:
i) 安定化済組成物を製造するために、触媒(14)の存在下に液体油流を水素と反応させ、そしてそれから
- 含気相安定化済流(3)、及び
- 安定化済液体油流(5)、
を分離することによる安定化ステップに、液体油原料流(1’’’)を案内するステップ;
ii) 主水素化脱酸素化(HDO)ステップを供するステップであって、
ii)-1) 前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’、3’’)と前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)とを組み合せた安定化済供給物流(3’’’)を、水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す第一の床(18’)における主水素化脱酸素化(HDO)ステップに案内して、第一の主水素化処理済流出物流(9)を生成すること;
ii-2) 前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合わせて、第一の安定化済気体-液体油混合流を生成すること;
ii-3) 前記第一の安定化済気体-液体油混合流を、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)に案内して、主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を生成すること;
を含むステップ;
を含み、ステップii-1)が、ステップi)からの前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させ、そしてそれを、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)と組み合わせて、安定化済気-液流(7)を形成し; 前記安定化済気-液流を予熱し、そしてそれ(7’)を、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、前記安定化済供給物流(3’’’)を形成することを含む、前記方法。
【請求項2】
ステップii-1)において、安定化済気-液流(3’’’)の前記予熱が、供給物/流出物熱交換器(16)において、前記主水素化処理済流出物流(9’’)との熱交換によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安定化済液体油流(5)の一部を前記安定化ステップにリサイクルすることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記主HDOステップが、ワンススルーモードで行われる、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
HDOに活性を示す各床(18’、18’’、18’’’)のいずれかに送られる前記安定化済液体油流(5’、5’’、5’’’)の流量の割合によって定義される、HDOに活性を示す各床への安定化済液体油の分割が、第一の床(18’)から後続の床(18’’、18’’’)に向けて増加する、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記主HDOステップが、HDOに活性を示す少なくとも三つの床(18’、18’’、18’’’)、例えばHDOに活性を示す四つの床で行われる、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
HDOに活性を示す前記第一の床(18’)が、不純物の除去に活性を示し、すなわち、水素化脱金属化(HDM)及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床であり、それにより、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)を、第一の精製された主水素化処理済流出物流として生成する、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記主HDOステップが単一のユニットで行われる、請求項1~7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記主水素化処理済流出物流またはそれの一部を、次のステップ、すなわち水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のいずれかに案内して、水素化加工された炭化水素製品を生成することを更に含む、請求項1~8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記単一のユニットが、HDM及び/またはHDOに活性を示す一つ以上のメタルガード床、HDOに活性を示す一つ以上の床、及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す触媒を含む一つ以上の床を含む、請求項7~9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記安定化ステップが、20~240℃の温度、100~200bargの圧力、0.1~1.1h-1の液空間速度(LHSV)、及び1000~6000NL/L、例えば2000~5000NL/Lの液体油に対する水素の比率で、適切には、固定床反応器、スラリー床反応器、トリクル床反応器、及び流動床反応器のいずれかにおいて行われる、請求項1~10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記安定化ステップが、固定床反応器中で行われ、この際、触媒(14’)が、触媒の全重量を基準にして、3~5重量%のNi含有率、15~25重量%のMo含有率、任意に及び1~3重量%のP含有率を有する、支持されたモリブデン(Ni-Mo)をベースとする触媒であり、適切には及び支持体が、アルミナ、シリカ、チタニア及びこれらの組み合わせから選択され、任意にトポロジーMFI、BEAまたはFAUを有する分子篩と組み合されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記安定化ステップにおいて、前記安定化済組成物が、前記安定化反応器(14)において、前記安定化済気相流(3)及び前記安定化済液体油流(5)に分離される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体油原料流を製造するための固形の再生可能原料の熱分解、例えば水熱液化またはパイロリシスのステップを含む、請求項1~13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一つに記載の方法を行うためのプラント(10)であって、
- 安定化反応器(14)であって、液体油供給物流(1、1’、1’’)を受け取り、及び
・含気相安定化済流(3)、及び
・安定化済液体油流(5)、
を取り出すように配置された、安定化反応器(14);
- 分割点であって、前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 分割点であって、前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 混合点、例えば合流点であって、前記安定化済液体油流(5)の前記一部(5’)を、前記含気相安定化済流(3)の前記第一の部分(3’)と組み合せて、安定化済気-液流(7)を提供するように配置された、混合点;
- 予熱器(16)であって、前記安定化済気-液流(7)を予熱して、予熱された安定化済気-液流(7’)を提供するように配置された、予熱器(16);
- 混合点、例えば合流点であって、前記の予熱された安定化済気-液流(7’)を、前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、安定化済供給物流(3’’’)を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す第一の床(18’)を含む、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18)であって、
・前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または
・前記安定化済供給物流(3’’’)、
を受け入れ、及び第一の主水素化処理済流出物流(9)を取り出すように配置された、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18);
- 混合点であって、前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合せて、第一の安定化済気体-液体油混合流を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す前記第一の床(18’)の下流に配置されたHDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)であって、前記第一の安定化済気体-液体油混合流を受け取り、及び主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を取り出すように配置された、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’);
を含む、プラント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性液体油、例えば、水熱液化から製造される液体油、またはパイロリシスから製造される液体油、すなわちパイロリシス油の水素化加工の分野に関し、より具体的には、更なる水素化脱酸素化(HDO)によるアップグレードの前に、水素化処理によって液体油を安定化することに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能な原料の分野は、欧州だけではなく、米国及び中国においても、大きな注目を集めている。再生可能な原料の使用は、輸送燃料範囲で沸騰する炭化水素製品の生産、特にディーゼル、ジェット燃料及びナフサのうちのどの製品の生産においても、持続可能な方策である。
【0003】
最新の再生可能原料、例えば固形の再生可能原料から誘導されるパイロリシス油の水素化加工には、より大きな需要が期待される。パイロリシス油は、非常に高い酸素含油率を有する場合があり、これは、それを液体燃料として、すなわち輸送燃料範囲で沸騰する炭化水素燃料として使用できるようにする前に、減少させる必要がある。一般的に、この酸素は、高圧(100~200bar)及び高温(350~400℃)を用いた接触水素化脱酸素化(HDO)での水素化加工によって除去される。一部の事例では、HDOは60~80bar及び280~330℃で操業される。しかし、水熱液化油(以下、HTL油とも称する)またはパイロリシス油などの液体油は非常に不安定であり、加熱されると重合する傾向があり、そして、コークス化を原因として、急速な触媒の失活や、HDO反応器の閉塞を招く。それ故、とりわけ、カルボニルをアルコールに転化することによって、パイロリシス油を安定化することが知られている。
【0004】
例えば、US2014/0275666A1(特許文献1)は、パイロリシス油から再生可能燃料を製造するための二段階プロセスを開示している。第一段階では、有機系の反応性分子を実質的に脱酸素化することなく、それらを減少する。生じた流れを次いで第二段階に送り、そこで脱酸素化を行う。
【0005】
本出願人の同時継続出願EP21152117.4(特許文献2)は、パイロリシス油流などの液体油流を水素化処理するための方法であって、連続的操業において、液体油流を、ニッケル-モリブデン(Ni-Mo)ベースの触媒の存在下に水素と反応させて、安定化された液体油流を形成する方法を開示している。この方法は、更に、この安定化された液体油流を、水素化脱酸素化(HDO)ステップに通すことを含んでよい。
【0006】
US20170253808(特許文献3)は、再生可能供給物の高温及び低温混合流を用いて、水素流と一種以上の水素化加工触媒との存在下で、再生可能資源から芳香族分リッチな航空燃料を製造するための単一ステップ接触式プロセスを開示している。脱酸素化された供給物の二つの部分、すなわち、低温の液状供給物及び高温の液状供給物は、温度制御のために接触式反応器の異なるセクションに導入される。
【0007】
US20150166473(特許文献4)は、直列式に配置された複数の触媒域を有する固定床反応器中での供給物の水素化処理を含む、再生可能資源から得られた供給物から界面活性剤化合物を製造する方法を開示している。前記供給物は、位置をずらして供給され、そして線状パラフィンを含む炭化水素化合物を少なくとも含む流出物を製造するために、漸次的に割合を増して注入される。
【0008】
US2008050792(特許文献5)は、リグニンを、バイオ燃料及び燃料添加剤などの液状製品に転化する方法を開示している。この方法は、安定化/部分的水素化脱酸素化(HDO)の段階と、徹底的なHDO及びマイルドな水素化分解を含むその後の水素化加工の段階とを含む。
【0009】
安定化された液体油は、なおも反応性が高く、その結果、下流のステップ、特に、液体油を安定化した後の触媒床(固定床)を含む水素化脱酸素化(HDO)のためのステップにおいて、最大放熱量を制御することが困難である。床を渡っての最大温度上昇を50℃以下として操業することが望ましい一方で、反応性供給物、すなわち液体油は、事前の安定化の後でさえも、かなりより高い温度上昇を示しがちであり、その結果、安定化された液体油が供給されるHDOの出口温度を高め、そうしてコークス化による閉塞を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2014/0275666A1
【特許文献2】EP21152117.4
【特許文献3】US20170253808
【特許文献4】US20150166473
【特許文献5】US2008050792
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Atlas of Zeolite Framework Types(http://www.iza-structure.org/databases/)
【非特許文献2】Ch.Baerlocher,L.B.McCusker and D.H.Olson,Sixth Revised Edition 2007
【非特許文献3】“Heterodoxy in Fast Pyrolysis of Biomass”,Robert Brown:https://dx.doi.org/10.1021/acs.energyfuels.0c03512
【非特許文献4】Golakota et al.,“A review of hydrothermal liquefaction of biomass”,Renewable and Sustainable Energy Reviews,vol.81,Part 1,Jan.2018,p.1378-1392
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それ故、本発明の課題の一つは、反応性液状原料、特に液体油、例えばHTL油またはパイロリシス油の熱放出を、特に安定化反応器中で安定化した後に、制御できるようにすることである。
【0013】
本発明の他の課題の一つは、反応性液状原料、特に液体油、例えばHTL油またはパイロリシス油の熱放出を、特に安定化反応器中で安定化した後の熱放出を制御するためにリサイクル流を使用する必要性を低減することである。
【0014】
これらの及び他の課題は、本発明によって解決される。
【0015】
それ故、液体油原料流を水素化処理するための方法であって、次のステップ:
i)安定化された組成物を生成するために液体油流を触媒の存在下に水素と反応させ、そしてそれから
- 含気相安定化済流、及び
- 安定化済液体油流、
を分離することによる安定化ステップに、前記液体油原料流を導く、ステップ;
ii) 主水素化脱酸素化(HDO)ステップを供するステップであって、
ii)-1 前記含気相安定化済流の少なくとも一部、または前記含気相安定化済流の少なくとも一部と前記安定化済液体油流の一部とを組み合せた安定化済供給物流を、水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す第一の床における主水素化脱酸素化(HDO)ステップに導き、それにより、第一の主水素化処理済流出物流を生成すること;
ii-2) 前記安定化済液体油流の少なくとも一部を、前記第一の主水素化処理済流出物流と組み合せて、それにより、第一の安定化済気体-液体油混合流を生成すること;
ii-3) 前記第一の安定化済気体-液体油混合流を、HDOに活性を示す後続の床に導き、それにより、主水素化処理済流出物流を生成すること;
を含むステップ;
を含み、
ステップii-1)が、ステップi)からの前記安定化済液体油流の一部を迂回させ、そしてそれを、ステップi)からの前記含気相安定化済流の第一の部分と組み合せて、安定化済気体-液流を形成すること; 前記安定化済気-液流を予熱し、そしてそれを、前記安定化済供給物流を形成するために、ステップi)からの前記含気相安定化済流の第二の部分と組み合せることを含む、前記方法が提供される。
【0016】
本発明の目的において、「後続の」という記載は、一つまたは複数、例えば第二の、または第三の、または第四の、などを意味すると理解される。
【0017】
ステップii-2)において、前記安定化済液体油流の前記の少なくとも一部は、適切には、ステップi)からの前記安定化済液体油流の他の部分である。
【0018】
本発明の目的では、「適切には」という記載は、任意選択的、すなわち任意選択の態様を意味すると理解される。
【0019】
「本発明」または「発明」という記載は、それぞれ、「本出願」または「出願」と相互互換的に使用され得る。
【0020】
それにより、安定化済液体油の望ましくない熱放出が、簡単に制御され、それ故、緩和され:
ジオレフィン、カルボニル、一部はオレフィンが除去される安定化ステップの後は、安定化済組成物が、含気相安定化済流、または含気相安定化済流と安定化済液体流の一部との組み合わせと、安定化済液体流の残部とに分離される。前記含気相安定化済流は、残りの液体の一部と共に主HDOに送られる、すなわち、安定化済液体油流は次いで分割され、そして熱放出を制御するために及び前記安定化ステップの安定化反応器で生成される安定化済液体全体の予熱を避けるために、前記主HDOにおいて各々の後続の床に分配される。それ故、本発明は、主HDOステップの各触媒床間に液体急冷を提供する。
【0021】
安定化反応器の下流でHDOステップを実施するための主HDOユニット(HDO反応器)における不制御の温度上昇の問題に対するソリューションは、触媒床における温度上昇を制限するために、リサイクル流を所与の水素化処理反応器(ユニット)、例えば主HDO反応器に加えることを典型的に含む従来技術よりも、かなりより簡単に解消される。本発明は、HDO反応器の床における発熱のリスクを緩和するためのリサイクル流の使用の必要性を減少する。従来技術による代替法は、安定化反応器への供給物を分割することも含み、これは、その代わりに、安定化ステップからの反応器流出物が分割される本発明と対照をなす。パイロリシス油などの液体油を処理する時に、液体油原料流を分割することは有利ではないことを見出した。というのも、それを後続の主HDOステップに送る前にそれの安定化が必要であるからである。安定化反応器への供給物を分割すると、反応は、低温で起こるが、より高い温度に達すると、液体油供給物の全てが反応してしまい、非常に大きな発熱が生じる。加えて、リサイクルを使用することは多くの場合に望ましくない、というのも、リサイクルされる下流生成物の一部は、液体油供給物と混和可能ではない場合があるからである。
【0022】
「水素化処理」という用語は、酸素の除去(脱酸素化、脱カルボキシル化)及び/または他のヘテロ原子の除去のための、水素の存在下での有機化合物の反応を意味する。本出願の目的では、「水素化処理」という用語は、安定化ステップ、精製ステップ及び主HDOステップを含む。
【0023】
本出願の目的では、「水素化加工」という用語は、水素化処理と、前記の安定化ステップ、精製ステップ及び主HDOステップではない任意の他のステップとを含む。特に、「水素化加工」は、水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化も含む。
【0024】
水素化脱酸素化(HDO)、水素化脱蝋、水素化分解、異性化、水素化脱芳香族化は、以下に更に詳しく定義する。
【0025】
適切には、主HDOステップは、水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す一つ以上の床、すなわちHDOに活性を示す触媒を含む固定床で行われる。HDOステップでは、安定化済液体油流、例えばパイロリシス油流中に存在する任意の有機窒素が除去され、そして水素化処理済流出流が生成され、これは、更なる処理に付すことができ、そして輸送燃料範囲で沸騰する炭化水素生成物、例えばディーゼル、ジェット燃料及びナフサに分離することができる。前記の更なる処理とは、化石燃料の精製の分野で周知のように、水素化脱蝋、水素化分解、異性化、または水素化脱芳香族化のいずれも含み得る。
【0026】
安定化ステップからの残留アルコール及び酸またはカルボニル基を有する他の化合物は、以下の反応HDO及びDCO経路に従って、主に主HDOステップにおいてパラフィンに転化される:
HDO経路: C1734COOH+3.5H <―> C1838+2H
脱カルボキシル化経路: C1734COOH+0.5H <―> C1736+CO
一つの態様では、ステップii-1)において、安定化済気-液流の前記予熱は、第一の供給物/流出物熱交換器(以下、F/E-HEXとも称する)において、前記の主水素化処理済み流出物流との熱交換によって行われる。
【0027】
安定化された組成物は、気相及び液相(フラクション)に分割されるので、加熱は、気体及び液体に対して別々に行うことができる。液体油流原料は、典型的には腐食性が強く、不安定であるので、本発明が、前記F/E-HEXにおいて、安定化済気-液の気体のみの予熱を可能とし、それにより、液体の汚染及び過剰の予熱が避けられることは有利である。液相、すなわち安定化済液体油流は、最後には、反応器入口温度に達するが、その時、高い壁温度は遭遇しておらず、そして反応器触媒に接する前の滞留時間は最小化される。ここで、反応器とは、HDOに活性を示す前記第一の及び後続の床(複数可)を含むHDO反応器であることを意味する。その際、安定化済気相の一部はバイパスされ、より良好な温度コントロールが可能になる。更に、前記安定化済組成物は、気相及び液相に分割されるために、HDOに活性を示す床(複数可)のための入口温度は簡単に制御することができる、というのも、前記含気相安定化済流の一部が、F/E-HEXをバイパスできるからである。これは、前記含気相安定化済流の一部が、低温のF/E-HEXをバイパスしない二相セットアップを用いた場合には可能ではない。
【0028】
前記F/E-HEXに熱を供給した後の、任意選択に及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のステップのいずれかを経た後の、主HDOステップからのこうして冷却された前記主水素化処理済流出物流は、任意選択に、更に冷却され及び分離セクションに案内され、そこから、少なくとも、気相、炭化水素生成物及びパージされた水流が排出される。前記の分離セクションでは、主HDOからのまたは水素化脱蝋、水素化分解、異性化もしくは水素化脱芳香族化のステップのいずれかからの水素化処理済生成物、すなわち水素化加工済生成物は、適切には、低圧分離器(低温分離器)及び/または高圧(HP)分離器に案内され、それから、炭化水素生成物流が排出されて、塔頂画分を分離するために生成物ストリッパに案内される。塔頂画分は、適切には、塔頂分離器に案内され、それから、(主として炭素原子数が1~5の軽質炭化水素としての)オフガス流、並びに塔頂液体画分を排出でき、前記塔頂液体画分からはナフサを製造できる。ハロゲンも、前記塔頂画分中に除去することができる。前記生成物ストリッパからは、ボトム流が排出され、そしてこれは、任選択的に前記の塔頂液体画分と一緒に、例えば蒸留塔などの分別ユニットにおいて、分別ステップに案内される。前記分別ユニットの塔頂画分からは、ナフサ生成物を製造でき、他方で、それのミドル及びボトム画分からは、それぞれジェット燃料及びディーゼルを、当技術分野において周知のように、製造し得る。
【0029】
一つの態様では、該方法は、前記の安定化済液体油流の一部、例えば、安定化ステップで製造された安定化済組成物から分離された安定化済液体油流の一部を、安定化ステップにリサイクルすることを含む。これは、生成物及び供給物が混和可能ではない場合に有利であり、これは、多くの場合に、HTL油またはパイロリシス油を用いて操業する時である。安定化反応器からの前記安定化済液体油流は、完全には転化されず、反応性供給物(液体油原料)に似た化学的性質をなおも有し、それにより、それらを混和性にする。安定化ステップの安定化反応器へのこうして希釈された供給物は均一であり、これは、そこで起こる触媒反応にとって有利であり、並びに望ましくない重合を起こし難い。
【0030】
生成物及び供給物が混和可能なシナリオでは、リサイクルは、適切には、主水素化処理済流出物流から、安定化反応器の入口またはHDO反応器の入口へと行われる。他の態様の一つでは、生成物ストリッパからのボトム流の一部の、安定化反応器の入口へのリサイクルである(すなわち、液体原料と組み合せる)。他の態様の一つでは、生成物ストリッパからのボトム流の一部の、安定化反応器の出口へのリサイクルである(すなわち、それから排出される安定化済液体油と組み合せる)。
【0031】
多くの他のリサイクル流を提供でき、例えば、安定化反応器並びに主HDO及び任意の後続の水素化加工ステップ(複数可)に水素を提供するための、下流の低温分離器からのガスリサイクル; 及び例えば、温度上昇を制限するための、上記のステップ及び対応するユニットへの、下流の分別ユニットからの液体リサイクルなどである。
【0032】
本発明により、主HDOステップにおける複数の床の使用が想定される。それ故、「HDOに活性を示す後続の床」という記載は、HDOに活性を示す更なるまたは追加的な床(複数可)を意味すると理解される。それ故、HDOに活性を示す後続の床は、追加的な主水素化処理済流出物流を生成し、これは、第二、または第三、または第四等々の主水素化処理済流出物流であることができる。
【0033】
HDOに活性を示す後続の床が多いほど、それ故、HDOに活性を示す床の全数が多いほど、安定化済液体油流の十分な分割が適用されれば、主HDOにおいてワンススルー操業を提供することがより簡単になる。例えば、三つの床を用いて操業する場合、添付の図面に示されるように、安定化済液体油流は二つに分割され; 四つの床を用いて操業する場合は、安定化済液体油流は三つに分割される。複数の床の使用は、リサイクルを適用することから生じるプロセス装置の体積が減少されるという観点からばかりでなく、主HDOからの生成物と、液体油原料流、または安定化反応器の安定化済組成物からの流れとが混和性でない場合にも、有利である。主HDOおけるワンススルー操業は、主水素化処理済流出物流のリサイクルは行われないことを意味する。
【0034】
それ故、一つの態様では、主HDOステップは、ワンススルーモードで操業される、すなわち、前記ステップii)への主水素化処理済流出物流のリサイクルは行われない。
【0035】
主HDOに関連してリサイクルを減少するかまたは排除することは、また、下流の分離セクションが小規模化し、それ故、資本及び操業費用の点でよりコスト安になるという結果になる。主HDOに関連してリサイクルを減少するかまたは排除することは、また、どこかで埋め合わせる必要がある熱の固有の損失をもたらすリサイクルの予熱及び冷却の必要がないため、プロセスにおける熱統合がより効果的になることも意味する。安定化済油流の分割をしない状況下では、必要な追加的な熱が、加熱式ヒータの負荷として供給されるであろう。これは、液体油流、特に固形の再生可能原料からの液体油流を処理するこのタイプのプロセスレイアウトにおいて大きなペナルティをもたらす、というのも、加熱式ヒータは、資本及び操業費用の面でコストがかかるというだけでなく、メタンなどのCO生成ガスの使用を通常必要とする大型のユニットであるからである。
【0036】
一つの態様では、HDOに活性を示す各床への安定化済液体油の分割は、HDOに活性を示す各床のいずれかに送られる前記安定化済液体油の流量の割合によって定義されるが、これは、最初の床から後続の床に向かって増加する、すなわち、第一の床に送られる前記安定化済液体の割合は、後続の床、例えば第二の床に送られるものよりも少ない。
【0037】
安定化済液体油流の分割は、各床間での急冷のために利用され、その際、熱放出を制御するだけでなく、後続の床の入口温度へと安定化済液体油流を加熱する必要性も排除し、熱交換器エリア並びに付随する資本及び操業コストの節約となる。
【0038】
適切には、前記分割は、HDOに活性を示す第一の床には20~40重量%、例えば25~35重量%であり、後続の床には60~80重量%、例えば65~75重量%である。例えば、HDOステップ(ステップii)は、HDOに活性を示す二つの床を含んでよく、そして分割は32%~68%である。
【0039】
後続(下流)の床に供給される安定化済液体油の部分を多くするほど、後続の床(複数可)における追加的な材料の存在の故に、下流の床を、より高い熱容量を有するように適合し得ることが可能になる。例えば、最後の床(最も下流の床)は、上流の床からの液体を有し、そのため、ある一定の負荷では、温度上昇は、例えば、第一の床よりも小さく、それ故、より安定化された液体を、最後の床に加えることができる。加えて、希釈効果が後続の床(複数可)の方がより高く、更に、反応性化合物の一部は、第一(上流)の床では気相状態である。コークス化の可能性は、反応性化学種の濃度が高いほど大きくなる。このシナリオでは、後続の床、例えば最後の床における希釈が最も強く、それ故、最も反応性の高い化合物(複数可)を、コークス化の可能性はなおも同じままでそれに加えることができる。それ故、温度制御は、コークス化の可能性に依る。
【0040】
一つの態様では、前記主HDOステップは、HDOに活性を示す少なくとも三つの床において、例えば、HDOに活性を示す四つの床において行われる。少なくとも三つのメタルガード床、特に四つのメタルガード床を用いて操業する場合は、リサイクルの必要はなく、そのため、ワンススルー操業が可能である。
【0041】
一つの態様では、前記第一の主水素化処理済流出物流を、第一の精製済主水素化処理済流出物流として生成するためには、HDOに活性を示す前記第一の床は、不純物の除去にも有効であり、すなわち、水素化脱金属化(HDM)及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床である。
【0042】
一つの態様では、前記主HDOステップは、単一のユニット、すなわち同一の反応器中で行われる。例えば、複数の床を含み、そのうち第一(上流)の床が、HDM及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床である固定床反応器では、後続(下流)の床は、HDOに活性を示す触媒を含む。
【0043】
それにより、より簡単なプロセスが達成される、というのも、精製及び主HDOステップが同一の反応器で行われるからである。その際、前記メタルガード床と、HDOに活性を示す後続の床との間での(安定化済液体油流の一部を用いた)対応する液体急冷も、適切には、同一の反応器内で行われる。該反応器中の全ての床は、適切には安定化済液体流の一部と組み合された後に、実質的に同じ圧力において、及び各床が、後続の床と直接的な流体連通状態にあるように、操業することができる。それにより、中でも投資及び操業コストの両方のかなりの節約を可能にする、かなりより不便な構成が可能となる。
【0044】
「HDM及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床」という記載は、単に「メタルガード床」とも称され、そしてHDM及び/またはHDOに活性を示す材料、例えば、HDM及び/またはHDOに活性を示す触媒を含む床、すなわち固定床を意味し、その結果、例えばリン(P)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、またはバナジウム(V)、ケイ素(Si)、ハライドまたはこれらの組み合わせを除去する他、該材料には、脱酸素化活性も供することができる。少なくともP及びFeを除去するための適切なガード床は、例えば本出願人の同時継続出願のPCT/EP2021/068656号に記載されるようなアルミナを含む多孔性材料であり、前記アルミナはアルファ-アルミナを含み、前記多孔性材料は、Co、Mo、Ni、W及びこれらの組み合わせから選択される一種以上の金属を含み、及び前記多孔性材料は、1~110m/gのBET表面積を有し、また適切には、水銀圧入式ポロシメトリにより測定して0.50~0.80ml/gの全細孔体積を有し、及び全細孔体積の少なくとも30体積%が400Å以上の半径を有する孔、適切には500Å以上の半径を有する孔、例えば5000Åまでの半径を有する孔にある細孔径分布(PSD)を有する。他の適切なガード床は、アルミナに担持されたモリブデンを含む触媒、すなわちMo/Al触媒である。
【0045】
当技術分野で周知のように、水素化脱金属化(HDM)は、フリーの金属を発生させ、次いで例えばHSと反応させて硫化金属とする前処理を意味する。これは、例えばヘテロ原子(S)がガスの形で除去される水素化脱硫(HDS)とは異なると理解される。
【0046】
一つの態様では、該方法は更に、前記水素化処理済流出物流またはそれの一部を、水素化加工済炭化水素生成物を製造するために、次のステップ、すなわち水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のいずれかのステップに導くことを含む。適切には、後続の水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化における触媒を保護するために、気相、例えばNH、HS、COを含む気相が主水素化処理済流出物流から取り出される。適切には、HDOステップ、及び水素化脱蝋、水素化分解、または異性化、または水素化脱芳香族化のステップのいずれも、同一のユニット中で、すなわち同一の反応器中で、例えば複数の床を含む固定床反応器であって、一つの床が、HDOに活性を示す触媒を含み、及び後続の床の一つが、異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す触媒を含む固定床反応器中で行われる。
【0047】
適切には、不純物の事前の除去を含む主HDOステップ、及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のステップのいずれも、単一のユニット中で行われる。例えば、これらのステップは、複数の床を含む固定床反応器であって、第一の床が、HDM及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床であり、後続の床の一つがHDOに活性を示す触媒を含み、及び後続の床の一つが、例えば異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す触媒を含む、固定床反応器中で行われる。
【0048】
それ故、一つの態様では、前記単一のユニットは、HDM及び/またはHDOに活性を示す一つ以上のメタルガード床、HDOに活性を示す一つ以上の床、及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す一つ以上の床を含む。「HDOに活性を示す床」という記載は、HDOに活性を示す触媒を含む床を意味すると理解される。同様の解釈が、例えば、「水素化脱蝋に活性を示す」などの記載にもあてはまる。
【0049】
これは更に、当該プロセス及びステップの統合を簡素化する、というのも、これらは全て同一の反応器中で行われるからである。
【0050】
HDOに触媒活性を示す材料は、典型的には、活性金属(硫化卑金属、例えばニッケル、コバルト、タングステン及び/またはモリブデン、但し、場合により、元素状貴金属、例えば白金及び/またはパラジウム)及び耐熱性支持体(例えば、アルミナ、シリカまたはチタニア、またはこれらの組み合わせ)を含む。
【0051】
HDO条件は、250~400℃の範囲の温度、30~150barの範囲の圧力、及び0.1~2の範囲の液空間速度を、任意選択に低温の水素、供給物または生成物で急冷することによる中間冷却と共に、含む。
【0052】
水素化脱蝋に触媒活性を示す材料は、典型的には、活性金属(白金及び/またはパラジウムなどの元素状貴金属、あるいはニッケル、コバルト、タングステン及び/またはモリブデンなどの硫化卑金属のいずれか)、酸性支持体(典型的には、高い形状選択性と、MOR、FER、MRE、MWW、AEL、TON及びMTTなどのトポロジーとを有する分子篩)及び耐熱性支持体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはこれらの組み合わせ)を含む。
【0053】
異性化条件は、250~400℃の範囲の温度、20~100barの範囲の圧力、及び0.5~8の範囲の液空間速度(LHSV)を含む。
【0054】
水素化分解に触媒活性を示す材料は、異性化に触媒活性を示す材料と類似の性質を有し、そしてこれは典型的には、活性金属(白金及び/またはパラジウムなどの元素状貴金属、あるいはニッケル、コバルト、タングステン及び/またはモリブデンなどの硫化卑金属のいずれか)、酸性支持体(典型的には、高い分解活性を示し及びMFI、BEA及びFAUなどのトポロジーを有する分子篩)、及び耐熱性支持体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはこれらの組み合わせ)を含む。異性化に触媒活性を示す材料との差異は、典型的には、前記酸性支持体の性質であり、これは、異なる構造を有してよいか(例えば非晶質シリカ-アルミナであってもよい)、または例えばシリカ:アルミナ比の故に異なる酸性度を有してよい。
【0055】
水素化分解条件は、250~400℃の範囲の温度、30~150barの範囲または200barまでの圧力、及び0.5~8の範囲の液空間速度(LHSV)を、任意選択に低温の水素、供給物または生成物での急冷による中間冷却と共に、含む。
【0056】
水素化脱芳香族化(HDA)に触媒活性を示す材料は、典型的には、活性金属(典型的には、白金及び/またはパラジウムなどの元素状貴金属、しかし場合により、ニッケル、コバルト、タングステン及び/またはモリブデンなどの硫化卑金属も可)、及び耐熱性支持体(例えば、非晶質シリカ-アルミナ、アルミナ、シリカまたはチアニア、またはこれらの組み合わせ)を含む。
【0057】
水素化脱芳香族化条件は、200~350℃の範囲の温度、20~100barの範囲の圧力、及び0.5~8の範囲の液空間速度(LHSV)を含む。
【0058】
一つの態様では、前記の本出願人の同時継続出願EP21152117.4に開示されるように、安定化ステップは、適切には固定床反応器、スラリー床反応器、トリクル床反応器、及び流動床反応器のいずれかにおいて、20~240℃の温度、100~200bargの圧力及び0.1~1.1h-1の液空間速度(LHSV)で行われ、及び液体油に対する水素の比率は1000~6000NL/L、例えば2000~5000NL/Lである。特定の態様の一つでは、安定化ステップは、固定床反応器中で行われ、ここで、触媒は、該触媒の全重量を基準にして、3~5重量%のNi含有率、15~25重量%のMo含有率、任意選択に1~3重量%のP含有率を有する、担持されたモリブデン(Ni-Mo)をベースとする触媒であり、適切には、前記支持体は、アルミナ、シリカ、チタニアまたはこれらの組み合わせから選択され; 任意選択に、MFI、BEAまたはFAUのトポロジーを有する分子篩と組み合せる。
【0059】
「barg」という単位は、大気圧を超えた分の圧力を示す(大気圧は約1bar)と理解される。圧力は、「水素圧」とも称される。
【0060】
NLという単位は、「標準」リットルを意味する、すなわち0℃及び1大気圧でこの体積を占めるガスの量を意味すると理解される。
【0061】
20~240℃の温度範囲は、液体油流の入口温度と安定化済液体油流の出口温度とを含む。例えば、入口温度は20℃、40℃、60℃または80℃であることができる。当該プロセスは発熱性であるため、約100℃以上の温度上昇が生じる。入口温度がより高いほど(例えば80℃)、発熱を開始するためのプロセスの点火がより簡単になる。出口温度は、例えば150℃または200℃または240℃であることができる。
【0062】
より一般的には、所与のステップまたはそれの反応器(ユニット)、ここでは例えば安定化ステップにおける温度は、断熱ステップにおける入口温度、または恒温ステップにおける反応温度を意味する。
【0063】
入口温度は、希釈剤流としてそれに添加されるリサイクルの効果も含み得る。それ故、適切には、安定化済液体油流の前記一部の、安定化ステップへのリサイクルに関する態様に関連して、こうして組み合された希釈剤流と反応性供給物、すなわち液体油原料流とは、発熱性水素化を開始するのに十分な最低の温度、例えば少なくとも80℃、少なくとも150℃または少なくとも200℃の温度であるが、熱暴走水素化分解を避けるために十分に低い温度、例えば280℃未満、200℃未満または180℃未満の温度を操業中に、但し、液体油原料流と組み合せる前に有する固定床触媒と接触するように案内される。
【0064】
これは、最大温度はなおも制限しつつ、水素化処理に十分な温度を有する安定化反応器に入口流を供することを可能にする。例えば、パイロリシス油の場合は、入口温度は、通常は80~180℃であり、接触パイロリシス及び水熱液化からの反応性が比較的低いパイロリシス油の場合は125℃~200℃であり、より安定な生成物の場合は、入口温度は200~280℃であり得る。固定床における触媒の最低温度は典型的には反応器の入口での温度である。
【0065】
「トポロジーMFI、BEAまたはFAU」という記載は、国際ゼオライト学会構造委員会によって、Atlas of Zeolite Framework Types(http:// www.iza-structure.org/databases/)(非特許文献1)において付与及び維持されている構造、または例えばCh.Baerlocher,L.B.McCusker and D.H.Olson,Sixth Revised Edition 2007(非特許文献2)によって「Atlas of Zeolite Framework Types」に定義されている構造を意味すると理解される。
【0066】
安定化反応器の上記の条件は、液体油流の安定化を可能とし、それにより、閉塞の問題を避けるだけでなく、触媒を失活することなくかつ水素欠乏のリスクを負うことなく、安定化を可能とする。重合及びエーテル化が安定化の間に起こり得、これは、生じる生成物の粘度を高める。これは、安定化に使用される水素化処理ユニットと、後続の水素化加工反応器、例えばHDOに活性を示すメタルガード床を含むユニットまたはより一般的には下流のHDOユニットとの間のパイプの閉塞を招く深刻な課題である。
【0067】
適切には、安定化ステップは連続モードで行われる、すなわち、安定化反応器は連続操業される。
【0068】
「連続モード」または「連続操業」という記載は、当技術分野において周知のように、所与の製造サイクルの間に液体油の流入が一定であり、また生じる生成物として排出される安定化済液体油流も同様に一定であることを意味する。これは、同様に当技術分野で周知であるように、バッチ式操業、すなわち不連続操業とは対照的である。このような操業では、液体油及び触媒の全量がプロセスの開始時に導入され、そして生じる生成物が、ある一定期間後に排出される。
【0069】
本発明により、適切には、連続的操業プロセスが使用される、というのも、バッチ式操業とは異なり、生じる生成物(安定化済液体油)が常に流体であることに依存しないからである。バッチ式操業では、液体油は、最初は流体であり、次いで、150℃の第一の温度の間の或る期間、固化し、次いで、340~400℃の最終温度に加熱された時に再び流体となり得る。更に、バッチ式操業は、初期の触媒活性についての見当を与えるだけであり、それ故、触媒活性を過大評価しがちであり、これは、工業的な用途にも極めて重要である。
【0070】
一つ態様では、安定化ステップにおいて、前記安定化済組成物は、安定化反応器内において、前記安定化済気相流及び前記安定化済液体油流に分離される。
【0071】
その際、前記の分離は、例えば、安定化済気相流を、反応器の固定床の下流で直ぐに排出し、他方で、安定化済液体油流(液相)を単にボトム流として排出することによって、安定化反応器自体内で簡単に行うことができる。それ故、安定化反応器の外部で気相及び液相を分離する必要は回避される。
【0072】
一つの態様では、該プロセスは、前記液体油原料流を生成するための、固形の再生可能原料の熱分解のステップを含む。
【0073】
一つの態様では、液体油原料流は、パイロリシス油流、適切には、タイヤのパイロリシスから排出されるパイロリシス流である。
【0074】
一つの態様では、前記パイロリシス流は、ASTM E3146-20によって決定して、アルデヒド化合物、ケトン、アルコール、フルフラールの一種以上を少なくとも0.5モル/kgの量で含む。
【0075】
ここで使用する場合、「熱分解」という用語は、便宜的に、材料が、化学理論量未満の酸素の存在下に(酸素の不存も含む)、高められた温度(典型的には250℃~800℃または更には1000℃)で部分的に分解する任意の分解プロセスに広く使用される。生成物は、典型的には、液体と気体の混合流、並びにある量の固形の炭である。この用語は、触媒の存在下または不在下の両方での、パイロリシス及び水熱液化として知られるプロセスを含むと解釈される。
【0076】
それ故、特定の態様の一つでは、熱分解はパイロリシス、例えば以下に更に定義するファストパイロリシスであり、それにより、前記のパイロリシス油流が生成される。
【0077】
熱分解は、熱分解セクションで行われると理解される。それ故、パイロリシスは、パイロリシスセクションで行われ、水熱液化は、水熱液化セクションで行われる。
【0078】
ここで使用される場合、「セクション」という用語は、一つ以上のステップ及び/またはサブステップを行うための、一つのユニット、または複数のユニットの組み合わせを含む物理的セクションを意味する。
【0079】
本発明の目的において、パイロリシスセクションは、二つの主流、すなわち、パイロリシスオフガスとパイロリシス油流とを生成する。該パイロリシスセクションは、当技術分野で周知の流動床、移動床(transported bed)または循環流体床の形であることができる。例えば、該パイロリシスセクションは、パイロライザーユニット(パイロリシス反応器)、粒状固形物、例えば炭を除去するためのサイクロン(複数可)、並びに前記パイロリシスオフガス流及び前記パイロリシス油流、すなわち凝縮パイロリシス油を生成するための冷却ユニットを含むことができる。前記パイロリシスオフガス流は、軽質炭化水素、例えばC1~C4炭化水素、CO及びCOを含む。パイロリシス油流は、バイオオイルとも称され、そしてパイロリシスで処理された材料の脱重合の結果生じた、アルデヒド、ケトン及び/または他の化合物、例えばカルボニル基を有するフルフラールを始めとした二百種超の様々な化合物からなることが通常である分子のブレンドを豊富に含む液状物質である。
【0080】
本発明の目的では、パイロリシスは、好ましくは、ファストパイロリシスであり、これは当技術分野においてフラッシュパイロリシスとも称される。ファストパイロリシスとは、酸素の不在下、350~650℃の範囲の温度、例えば500℃で及び10秒間以下の反応時間、例えば5秒間以下、例えば2秒間の反応時間での、固形の再生可能原料の熱分解を意味する。ファストパイロリシスは、例えば、例えば流動床反応器中で、自熱式操業によって行うことができる。後者は、自熱式パイロリシスとも称され、そして任意選択に流動ガスとしての不活性ガスまたはリサイクルガスと共に、空気を使用すること、または空気と不活性ガスまたはリサイクルガスとの混合物を使用することを特徴とする。その際、パイロリシス反応器(自熱式反応器)中で生成されるパイロリシス化合物の部分酸化は、伝熱を同時に改善しながら、パイロリシスのためのエネルギーを提供する。自熱式パイロリシスの詳細については、例えば“Heterodoxy in Fast Pyrolysis of Biomass”,Robert Brown:https://dx.doi.org/10.1021/acs.energyfuels.0c03512(非特許文献3)が参照される。
【0081】
それ故、本発明の目的では、自熱式パイロリシス、すなわち自熱式操業の使用は、ファストパイロリシスを行うための特定の態様の一つであることが理解される。
【0082】
触媒が使用されるファストパイロリシスには幾つかのタイプがある。パイロリシス蒸気をアップグレードするためには、時折、酸触媒がパイロリシス反応器に使用され、この技術は、接触式ファストパイロリシスと称され、そしてインサイチューモード(この場合、触媒はパイロリシス反応器中に配置される)及びエクゼサイチューモード(この場合、触媒は別個の反応器中に配置される)の両方で操業することができる。触媒の使用は、反応のための活性化エネルギーを低下し、それにより、パイロリシスを行うために必要な温度を大きく低下させるという利点をもたらす。加えて、目的のパイロリシス油化合物への高められた選択性を達成し得る。
【0083】
幾つかの場合には、水素が接触式パイロリシスに加えられ、これは、反応性接触式ファストパイロリシスと称される。接触式パイロリシスを高い水素圧(約>5barg)で行う場合は、これは多くの場合に接触式水素化パイロリシスと称される。
【0084】
一つの態様では、パイロリシス段階は、触媒及び水素を存在させずに行われるファストパイロリシスであり、すなわち、このファストパイロリシス段階は、接触式ファストパイロリシス、水素化パイロリシスまたは接触式水素化パイロリシスではない。これは、かなりより簡単で低廉なプロセスを可能にする。
【0085】
一つの態様では、前記パイロリシスオフガス流は、CO、CO及び軽質炭化水素、例えばC1~C4、任意に及びHSを含む。
【0086】
一つの態様では、熱分解は水熱液化である。水熱液化とは、固形生体高分子構造を主に液状の成分に分解するために十分な時間、高温の加圧された水環境において加工することによる、バイオマスから液体燃料への熱化学的転化を意味する。典型的な水熱加工条件は、250~375℃の範囲の温度、及び40~220barの範囲の操業圧である。この技術は、パイロリシス、例えばファストパイロリシスと比べて、比較的低い温度、比較的高いエネルギー効率、及び比較的低いタール収率の操業の利点を供する。バイオマスの水熱液化の詳細については、例えば、Golakota et al.,“A review of hydrothermal liquefaction of biomass”,Renewable and Sustainable Energy Reviews,vol.81,Part 1,Jan.2018,p.1378-1392(非特許文献4)が参照される。
【0087】
一つの態様では、熱分解は、更に、前記の固形の再生可能な原料を、例えば水を除去するための乾燥及び/または粒度を低下させるための細化を含む固形再生可能原料準備セクションに通すことを含む。例えばパイロリシスセクション中で気化する、前記固形の再生可能原料中の水/湿気は、パイロリシス油流中で凝縮し、そうしてプロセスに同伴される。これは望ましくない場合がある。更に、水の気化に使用される熱は、他の場合にはパイロリシスに必要な熱を取り除いてしまう。水を除去することによって及び固形の再生可能原料により小さな粒子を提供することによっても、パイロリシスセクションの熱効率が高められる。
【0088】
一つの態様では、固形の再生可能原料は、木材製品、林業廃棄物及び農業廃棄物を始めとしたリグノセルロース系バイオマスである。他の態様の一つでは、固形の再生可能原料は、都市廃棄物、特にそれの有機部分である。本発明の目的において、「都市廃棄物」という用語は、「都市固形廃棄物」という用語と相互互換であり、そして公衆により廃棄された物品の材料を含む原料、例えば、欧州廃棄物カタログにおいて廃棄物コード200301が与えられている混合都市廃棄物を含む原料を意味する。
【0089】
特定の態様の一つでは、リグノセルロース系バイオマスは、林業廃棄物及び/または農業残渣であり、自然の草(自然の地表からの草)などの草、小麦、例えば麦わら、オーツ、ライムギ、葦、竹、サトウキビまたはバガスなどのサトウキビ派生物、トウモロコシ及び他の穀類を始めとした植物由来のバイオマスを含む。
【0090】
上記のものの任意の組み合わせも想定される。
【0091】
ここで使用する場合、「リグノセルロース系バイオマス」という用語は、セルロース、ヘミセルロース、任意に及びリグニンも含むバイオマスを意味する。リグニンまたはそれのかなりの部分は、例えば事前の漂白ステップによって、除去されていてもよい。
【0092】
本発明の他の観点の一つでは、前記または以下の態様のいずれかによる方法を行うためのプラント(すなわち、プロセスプラント)であって、
- 安定化反応器であって、液体油供給物流を受け入れ、そして
・含気相安定化済流、及び
・安定化済液体油流、
を取り出すように配置された、安定化反応器;
- 分割点であって、前記安定化済液体油流の一部を迂回させるように配置された、分割点;
- 分割点であって、前記含気相安定化済流の第一の部分を迂回させるように配置された、分割点;
- 混合点、例えば合流点であって、前記安定化済液体油流の前記部分を、前記含気相安定化済流の前記第一の部分と組み合わせ、そして安定化済気-液流を提供するように配置された、混合点;
- 予熱器であって、前記安定化済気-液流を予熱し、そして予熱された安定化済気-液流を提供するように配置された、予熱器;
- 混合点、例えば合流点であって、前記の予熱された安定化済気-液流を、前記含気相安定化済流の第二の部分と組み合わせ、そして安定化済供給物流を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す第一の床を含む主水素化脱酸素化(HDO)反応器であって、
・ 前記含気相安定化済流の少なくとも一部、または
・ 前記安定化済供給物流、
を受け入れ、
及び第一の主水素化処理済流出物流を取り出すように配置された、主水素化脱酸素化(HDO)反応器;
- 混合点であって、前記安定化済液体油流の少なくとも一部を、前記第一の主水素化処理済流出物流と組み合わせ、そして第一の安定化済気体-液体油混合流を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す前記第一の床の下流に配置された、HDOに活性を示す後続の床であって、前記第一の安定化済気体-液体油混合流を受け入れ、及び主水素化処理済流出物流を取り出すように配置された、HDOに活性を示す後続の床;
を含むプラントも提供される。
【0093】
本発明の目的では、「混合点」という用語は、混合ユニットなどのユニット、または合流点、または物理的に画定された領域であってよい。例えば、混合点は、主HDO反応器18の連続する床間の領域またはこのような領域の一部、例えば、添付の図面に示されるように、主HDO反応器18のHDOに活性を示す第一の床18’とHDOに活性を示す後続の床18’との間の領域またはこのような領域の一部であってよい。
【0094】
本発明の方法の態様及び/または付随する利点のいずれも、該プラント(本発明の他の観点の一つ)に関連して使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0095】
唯一の添付の図面は、本発明の一つの態様に従うプロセスレイアウトを示す。
【0096】
この唯一の図面は、液体油原料流1の形の反応性原料を水素化処理するための、プロセス及びプラントレイアウト10を示す。原料1は、熱交換器12中で流れ17、適切には当該プロセスで生成された水蒸気によって予熱される。この水蒸気は、熱交換器中の壁温度を低く維持し、そうして、原料の望ましくない反応が回避されることを保証する。こうして予熱された液体油原料流1’は、適切には、下流の分離セクションからのリサイクル流11’と組み合されて、液体油原料流1’’を形成し、及び/または下流の分離セクションからのリサイクル流15’と組み合されて、液体油原料流1’’’を形成する。この供給物は、固定床14’を備え、そして支持されたモリブデン(Ni-Mo)をベースとする触媒を含む安定化反応器14において安定化され、原料中に存在するジオレフィン、オレフィン及び/またはカルボニル類を減少または除去する。適切には、安定化反応器14内において前記固定床14’の下流で、安定化済組成物が生じ、これから、含気相安定化済流3及び安定化済液体油流5が分離される。含気相安定化済流3の一部3’及び安定化済液体油流5’は一緒になり、安定化済気-液流7を形成し、これは、熱交換媒体として主水素化処理済流出物流9’’を用いた、予熱用の供給物/流出物熱交換器(F/E HEX)16に送られる。気相流3の一部3’’は、温度制御用にバイパスされる。予熱された安定化済気-液流7’は、更に、バイパスされた気相流3’’と組み合せてよい。前記含気相安定化済流3の一部3’、3’’と前記安定化済液体油流5の一部5’とが少なくとも組み合された生じる安定化済供給物流3’’’は、HDOに活性を示す複数の床(18’、18’’、18’’’)を含む主HDO反応器18に案内される。それ故、図面に示す態様によれば、HDOに活性を示す三つの床が使用され、この際、少なくとも、安定化済液体油流5の一部5’’、5’’’を、第一の主水素化処理済流出物流9と組み合わせ、及び少なくとも、安定化済液体流5の一部5’’’を後続の(ここでは第二の)主水素化処理済流出物流9’と組み合わせることによって、各床の間で液体急冷が行われる。安定化済液体流5’’は、第一の主水素化処理済流出物流9と一緒なって第一の安定化済気体-液体油混合流を形成し、これが次いで、HDOに活性を示す後続の(ここでは第二の)床18’’に案内される。安定化済液体流5’’’は、後続の(第二の)主水素化処理済流出物流9’と一緒になって後続の(第二の)安定化済気体-液体油混合流を形成し、これが次いで、HDOに活性を示す後続の(ここでは第三の及び最後の)床18’’’に案内される。主水素化処理済流出物流9’’が生成され、そして前記F/E-HEX16で冷却されて、更に冷却された主水素化処理済流出物流9’’’が形成される。主HDO反応器18における主HDOステップは、ワンススルーモードで操業される、というのも、主水素化処理済流出物流がHDO反応器18にリサイクルされていないためである。
【0097】
冷却された主水素化処理済流出物流9’’’は次いで分離セクションに送られ、ここで、これは、生成物ストリッパ20に案内されて、水素または水蒸気などのストリッピング媒体23の使用を介して、リサイクル流15を空冷機22及び塔頂分離器24を介してストリッピングすると共に、水流19及び炭化水素画分13をストリッピングし、そして前記炭化水素画分13からは、ナフサなどの炭化水素製品を、下流の分別ユニット(図示せず)で製造することができる。ボトム流11は、生成物ストリッパ20から取り出され、それから、リサイクル流11’を、液体油原料1’と組み合せることができる。ボトム流11の一部11’’は、前記ナフサ並びにジェット燃料及びディーゼルを製造するために前記分別ユニットに導かれる。リサイクル流15、適切には水素が富化されたリサイクル流15は、リサイクル圧縮機26を介してリサイクル流15’として安定化反応器14に送られる。
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
冷却された主水素化処理済流出物流9’’’は次いで分離セクションに送られ、ここで、これは、生成物ストリッパ20に案内されて、水素または水蒸気などのストリッピング媒体23の使用を介して、リサイクル流15を空冷機22及び塔頂分離器24を介してストリッピングすると共に、水流19及び炭化水素画分13をストリッピングし、そして前記炭化水素画分13からは、ナフサなどの炭化水素製品を、下流の分別ユニット(図示せず)で製造することができる。ボトム流11は、生成物ストリッパ20から取り出され、それから、リサイクル流11’を、液体油原料1’と組み合せることができる。ボトム流11の一部11’’は、前記ナフサ並びにジェット燃料及びディーゼルを製造するために前記分別ユニットに導かれる。リサイクル流15、適切には水素が富化されたリサイクル流15は、リサイクル圧縮機26を介してリサイクル流15’として安定化反応器14に送られる。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 液体油原料流(1、1’、1’’、1’’’)を水素化処理するための方法であって、次のステップ:
i) 安定化済組成物を製造するために、触媒(14)の存在下に液体油流を水素と反応させ、そしてそれから
- 含気相安定化済流(3)、及び
- 安定化済液体油流(5)、
を分離することによる安定化ステップに、液体油原料流(1’’’)を案内するステップ;
ii) 主水素化脱酸素化(HDO)ステップを供するステップであって、
ii)-1) 前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’、3’’)と前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)とを組み合せた安定化済供給物流(3’’’)を、水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す第一の床(18’)における主水素化脱酸素化(HDO)ステップに案内して、第一の主水素化処理済流出物流(9)を生成すること;
ii-2) 前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合わせて、第一の安定化済気体-液体油混合流を生成すること;
ii-3) 前記第一の安定化済気体-液体油混合流を、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)に案内して、主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を生成すること;
を含むステップ;
を含み、ステップii-1)が、ステップi)からの前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させ、そしてそれを、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)と組み合わせて、安定化済気-液流(7)を形成し; 前記安定化済気-液流を予熱し、そしてそれ(7’)を、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、前記安定化済供給物流(3’’’)を形成することを含む、前記方法。
2. ステップii-1)において、安定化済気-液流(3’’’)の前記予熱が、供給物/流出物熱交換器(16)において、前記主水素化処理済流出物流(9’’)との熱交換によって行われる、前記1.に記載の方法。
3. 前記安定化済液体油流(5)の一部を前記安定化ステップにリサイクルすることを含む、前記1.または2.に記載の方法。
4. 前記主HDOステップが、ワンススルーモードで行われる、前記1.~3.のいずれか一つに記載の方法。
5. HDOに活性を示す各床(18’、18’’、18’’’)のいずれかに送られる前記安定化済液体油流(5’、5’’、5’’’)の流量の割合によって定義される、HDOに活性を示す各床への安定化済液体油の分割が、第一の床(18’)から後続の床(18’’、18’’’)に向けて増加する、前記1.~4.のいずれか一つに記載の方法。
6. 前記主HDOステップが、HDOに活性を示す少なくとも三つの床(18’、18’’、18’’’)、例えばHDOに活性を示す四つの床で行われる、前記1.~5.のいずれか一つに記載の方法。
7. HDOに活性を示す前記第一の床(18’)が、不純物の除去に活性を示し、すなわち、水素化脱金属化(HDM)及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床であり、それにより、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)を、第一の精製された主水素化処理済流出物流として生成する、前記1.~6.のいずれか一つに記載の方法。
8. 前記主HDOステップが単一のユニットで行われる、前記1.~7.のいずれか一つに記載の方法。
9. 前記主水素化処理済流出物流またはそれの一部を、次のステップ、すなわち水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のいずれかに案内して、水素化加工された炭化水素製品を生成することを更に含む、前記1.~8.のいずれか一つに記載の方法。
10. 前記単一のユニットが、HDM及び/またはHDOに活性を示す一つ以上のメタルガード床、HDOに活性を示す一つ以上の床、及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す触媒を含む一つ以上の床を含む、前記7.~9.のいずれか一つに記載の方法。
11. 前記安定化ステップが、20~240℃の温度、100~200bargの圧力、0.1~1.1h -1 の液空間速度(LHSV)、及び1000~6000NL/L、例えば2000~5000NL/Lの液体油に対する水素の比率で、適切には、固定床反応器、スラリー床反応器、トリクル床反応器、及び流動床反応器のいずれかにおいて行われる、前記1.~10.のいずれか一つに記載の方法。
12. 前記安定化ステップが、固定床反応器中で行われ、この際、触媒(14’)が、触媒の全重量を基準にして、3~5重量%のNi含有率、15~25重量%のMo含有率、任意に及び1~3重量%のP含有率を有する、支持されたモリブデン(Ni-Mo)をベースとする触媒であり、適切には及び支持体が、アルミナ、シリカ、チタニア及びこれらの組み合わせから選択され、任意にトポロジーMFI、BEAまたはFAUを有する分子篩と組み合されている、前記11.に記載の方法。
13. 前記安定化ステップにおいて、前記安定化済組成物が、前記安定化反応器(14)において、前記安定化済気相流(3)及び前記安定化済液体油流(5)に分離される、前記11.または12.に記載の方法。
14. 前記液体油原料流を製造するための固形の再生可能原料の熱分解、例えば水熱液化またはパイロリシスのステップを含む、前記1.~13.のいずれか一つに記載の方法。
15. 前記1.~14.のいずれか一つに記載の方法を行うためのプラント(10)であって、- 安定化反応器(14)であって、液体油供給物流(1、1’、1’’)を受け取り、及び
・含気相安定化済流(3)、及び
・安定化済液体油流(5)、
を取り出すように配置された、安定化反応器(14);
- 分割点であって、前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 分割点であって、前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 混合点、例えば合流点であって、前記安定化済液体油流(5)の前記一部(5’)を、前記含気相安定化済流(3)の前記第一の部分(3’)と組み合せて、安定化済気-液流(7)を提供するように配置された、混合点;
- 予熱器(16)であって、前記安定化済気-液流(7)を予熱して、予熱された安定化済気-液流(7’)を提供するように配置された、予熱器(16);
- 混合点、例えば合流点であって、前記の予熱された安定化済気-液流(7’)を、前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、安定化済供給物流(3’’’)を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す第一の床(18’)を含む、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18)であって、
・前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または
・前記安定化済供給物流(3’’’)、
を受け入れ、及び第一の主水素化処理済流出物流(9)を取り出すように配置された、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18);
- 混合点であって、前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合せて、第一の安定化済気体-液体油混合流を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す前記第一の床(18’)の下流に配置されたHDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)であって、前記第一の安定化済気体-液体油混合流を受け取り、及び主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を取り出すように配置された、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’);
を含む、プラント(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体油原料流(1、1’、1’’、1’’’)を水素化処理するための方法であって、次のステップ:
i) 安定化済組成物を製造するために、触媒(14)の存在下に液体油流を水素と反応させ、そしてそれから
- 含気相安定化済流(3)、及び
- 安定化済液体油流(5)、
を分離することによる安定化ステップに、液体油原料流(1’’’)を案内するステップ;
ii) 主水素化脱酸素化(HDO)ステップを供するステップであって、
ii)-1) 前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’、3’’)と前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)とを組み合せた安定化済供給物流(3’’’)を、水素化脱酸素化(HDO)に活性を示す第一の床(18’)における主水素化脱酸素化(HDO)ステップに案内して、第一の主水素化処理済流出物流(9)を生成すること;
ii-2) 前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合わせて、第一の安定化済気体-液体油混合流を生成すること;
ii-3) 前記第一の安定化済気体-液体油混合流を、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)に案内して、主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を生成すること;
を含むステップ;
を含み、ステップii-1)が、ステップi)からの前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させ、そしてそれを、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)と組み合わせて、安定化済気-液流(7)を形成し; 前記安定化済気-液流を予熱し、そしてそれ(7’)を、ステップi)からの前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、前記安定化済供給物流(3’’’)を形成することを含む、前記方法。
【請求項2】
ステップii-1)において、安定化済気-液流(3’’’)の前記予熱が、供給物/流出物熱交換器(16)において、前記主水素化処理済流出物流(9’’)との熱交換によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安定化済液体油流(5)の一部を前記安定化ステップにリサイクルすることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記主HDOステップが、ワンススルーモードで行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
HDOに活性を示す各床(18’、18’’、18’’’)のいずれかに送られる前記安定化済液体油流(5’、5’’、5’’’)の流量の割合によって定義される、HDOに活性を示す各床への安定化済液体油の分割が、第一の床(18’)から後続の床(18’’、18’’’)に向けて増加する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記主HDOステップが、HDOに活性を示す少なくとも三つの床(18’、18’’、18’’’)、例えばHDOに活性を示す四つの床で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
HDOに活性を示す前記第一の床(18’)が、不純物の除去に活性を示し、すなわち、水素化脱金属化(HDM)及び/またはHDOに活性を示すメタルガード床であり、それにより、前記第一の主水素化処理済流出物流(9)を、第一の精製された主水素化処理済流出物流として生成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記主HDOステップが単一のユニットで行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記主水素化処理済流出物流またはそれの一部を、次のステップ、すなわち水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化のいずれかに案内して、水素化加工された炭化水素製品を生成することを更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記単一のユニットが、HDM及び/またはHDOに活性を示す一つ以上のメタルガード床、HDOに活性を示す一つ以上の床、及び水素化脱蝋、水素化分解、異性化または水素化脱芳香族化に活性を示す触媒を含む一つ以上の床を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記安定化ステップが、20~240℃の温度、100~200bargの圧力、0.1~1.1h-1の液空間速度(LHSV)、及び1000~6000NL/L、例えば2000~5000NL/Lの液体油に対する水素の比率で、適切には、固定床反応器、スラリー床反応器、トリクル床反応器、及び流動床反応器のいずれかにおいて行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記安定化ステップが、固定床反応器中で行われ、この際、触媒(14’)が、触媒の全重量を基準にして、3~5重量%のNi含有率、15~25重量%のMo含有率、任意に及び1~3重量%のP含有率を有する、支持されたモリブデン(Ni-Mo)をベースとする触媒であり、適切には及び支持体が、アルミナ、シリカ、チタニア及びこれらの組み合わせから選択され、任意にトポロジーMFI、BEAまたはFAUを有する分子篩と組み合されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記安定化ステップにおいて、前記安定化済組成物が、前記安定化反応器(14)において、前記安定化済気相流(3)及び前記安定化済液体油流(5)に分離される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記液体油原料流を製造するための固形の再生可能原料の熱分解、例えば水熱液化またはパイロリシスのステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
請求項1または2に記載の方法を行うためのプラント(10)であって、
- 安定化反応器(14)であって、液体油供給物流(1、1’、1’’)を受け取り、及び
・含気相安定化済流(3)、及び
・安定化済液体油流(5)、
を取り出すように配置された、安定化反応器(14);
- 分割点であって、前記安定化済液体油流(5)の一部(5’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 分割点であって、前記含気相安定化済流(3)の第一の部分(3’)を迂回させるように配置された、分割点;
- 混合点、例えば合流点であって、前記安定化済液体油流(5)の前記一部(5’)を、前記含気相安定化済流(3)の前記第一の部分(3’)と組み合せて、安定化済気-液流(7)を提供するように配置された、混合点;
- 予熱器(16)であって、前記安定化済気-液流(7)を予熱して、予熱された安定化済気-液流(7’)を提供するように配置された、予熱器(16);
- 混合点、例えば合流点であって、前記の予熱された安定化済気-液流(7’)を、前記含気相安定化済流(3)の第二の部分(3’’)と組み合せて、安定化済供給物流(3’’’)を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す第一の床(18’)を含む、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18)であって、
・前記含気相安定化済流(3)の少なくとも一部(3’’)、または
・前記安定化済供給物流(3’’’)、
を受け入れ、及び第一の主水素化処理済流出物流(9)を取り出すように配置された、主水素化脱酸素化(HDO)反応器(18);
- 混合点であって、前記安定化済液体油流(5)の少なくとも一部(5’’)を前記第一の主水素化処理済流出物流(9)と組み合せて、第一の安定化済気体-液体油混合流を提供するように配置された、混合点;
- HDOに活性を示す前記第一の床(18’)の下流に配置されたHDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’)であって、前記第一の安定化済気体-液体油混合流を受け取り、及び主水素化処理済流出物流(9’、9’’)を取り出すように配置された、HDOに活性を示す後続の床(18’’、18’’’);
を含む、プラント(10)。
【国際調査報告】