(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】亜鉛二次電池用複合集電体及びその製造方法、並びに負極シート、亜鉛二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/64 20060101AFI20241226BHJP
H01M 10/24 20060101ALI20241226BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241226BHJP
H01M 4/74 20060101ALI20241226BHJP
H01M 4/24 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01M4/64 A
H01M10/24
H01M4/66 A
H01M4/74 C
H01M4/24 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541910
(86)(22)【出願日】2023-01-02
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2023070012
(87)【国際公開番号】W WO2023131100
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210018880.X
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524261875
【氏名又は名称】河南超力新能源有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524261886
【氏名又は名称】超威電源集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】徐 松
(72)【発明者】
【氏名】王 明▲ユウ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 亮生
(72)【発明者】
【氏名】趙 梁棟
(72)【発明者】
【氏名】上官 恩波
【テーマコード(参考)】
5H017
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA02
5H017AS02
5H017BB01
5H017BB06
5H017CC05
5H017EE01
5H017EE06
5H017HH01
5H028CC20
5H028EE01
5H028EE06
5H028HH01
5H050AA07
5H050BA11
5H050CA03
5H050CB02
5H050CB13
5H050DA04
(57)【要約】
本願は、二次電池の技術分野に属し、具体的には、亜鉛二次電池用複合集電体及びその製造方法、並びに負極シート、亜鉛二次電池に関する。本願に係る亜鉛二次電池用複合集電体は、基体と、基体に設置された導電層と、2層の金属層と、2層の金属層の間に介在したカーボンクロス層とを含み、金属層は、亜鉛網を含み、亜鉛網又はカーボンクロスの網目には、スズが充填され、導電層は、導電性ポリマーと、導電性カーボン材料とを含有する。本願に係る亜鉛二次電池用複合集電体は、亜鉛網とスズを複合して金属層を製造し、金属層の間にカーボンクロスを介在させることにより、集電体の導電性を保証するとともに、電池の使用過程における亜鉛負極の腐食を根本的に減少させ、電池のサイクル性能を大幅に向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、基体に設置された導電層と、2層の金属層と、2層の金属層の間に介在されたカーボンクロス層とを含み、
金属層は、亜鉛網を含み、
亜鉛網及び/又はカーボンクロスの網目には、スズが充填され、
導電層は、導電性ポリマーと、導電性カーボン材料とを含有することを特徴とする、亜鉛二次電池用複合集電体。
【請求項2】
導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンのいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体。
【請求項3】
2層の亜鉛網の間に1層のカーボンクロスを介在させてから、カーボンクロスが介在された2層の亜鉛網をホットプレスし、10~50%の圧下率でロールプレスして、プレス亜鉛網を得るステップ1)と、
プレス亜鉛網をグラフェン分散液に浸漬し、取り出し、乾燥させるステップ2)と、
ステップ2)において乾燥されたプレス亜鉛網の2つの表面に導電性ポリマーを含有する導電性スラリーを塗布し、乾燥させるステップ3)と、を含むことを特徴とする、亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項4】
ステップ1)において、前記亜鉛網は、複合亜鉛網であり、複合亜鉛網は、亜鉛網の網目にスズ粉末を充填してから、スズ粉末が充填された亜鉛網を不活性雰囲気下で250~400℃で20~50min保温して製造されることを特徴とする、請求項3に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項5】
ステップ1)において、前記カーボンクロスは、複合カーボンクロスであり、複合カーボンクロスは、カーボンクロスの空隙にスズ粉末を充填して得られることを特徴とする、請求項3に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項6】
ステップ2)において、グラフェン分散液におけるグラフェンの質量分率は、0.1~15%であることを特徴とする、請求項3に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項7】
ステップ3)において、導電性スラリーは、水と、質量比が0.5~20:0.5~10:0.1~5の導電性ポリマー、導電性カーボン材料、バインダーとを均一に混合して得られることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項8】
集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含む亜鉛二次電池用負極シートであって、
前記集電体は、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体であることを特徴とする、亜鉛二次電池用負極シート。
【請求項9】
負極材料層は、負極活物質と、バインダーとを含有し、負極活物質は、酸化亜鉛、亜鉛、亜鉛酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項8に記載の亜鉛二次電池用負極シート。
【請求項10】
ケースと、ケース内に設置された正極シート、負極シート及び電解液とを含む亜鉛二次電池であって、
前記負極シートは、請求項8に記載の亜鉛二次電池用負極シートであることを特徴とする、亜鉛二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の技術分野に属し、具体的には、亜鉛二次電池用複合集電体及びその製造方法、並びに負極シート、亜鉛二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛は、優れた電池負極材料であり、地球における含有量が高く、価格が低く、毒性がなく、環境に優しいため、多くのタイプの電池において大きな将来性があり、一次電池でも二次電池でも、亜鉛又は亜鉛化合物を電極材料として用いる応用がある。二次電池にとって、亜鉛負極を用いるニッケル亜鉛電池、亜鉛マンガン電池などは、電力密度が大きく、レート性能が高いなどの特徴がある。
【0003】
しかしながら、亜鉛二次電池にも顕著な欠点があるため、産業化の程度が低い。その主な欠点は、サイクル性能が低いことであり、電池のサイクル過程において、亜鉛負極の表面に亜鉛デンドライトが成長してセパレータを突き破って、電池の短絡を引き起こし、電池の性能を低下させ、そのサイクル寿命に深刻な影響を与える。また、亜鉛負極に溶解及び変形などが発生して、充放電性能を保証することができなくなる。
【0004】
亜鉛負極のこれらの問題を解決するために、亜鉛負極の活物質を改良するか又はセパレータを改良して、電池のサイクル性能を向上させることが一般的であるが、これらの手段の作用は、非常に限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、亜鉛二次電池用複合集電体及びその製造方法、並びに負極シート、亜鉛二次電池を提供して、亜鉛二次電池のサイクル性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0007】
亜鉛二次電池用複合集電体は、基体と、基体に設置された導電層と、2層の金属層と、2層の金属層の間に介在されたカーボンクロス層とを含み、金属層は、亜鉛網を含み、亜鉛網及び/又はカーボンクロスの網目には、スズが充填され、導電層は、導電性ポリマーと、導電性カーボン材料とを含有する。
【0008】
さらに、導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンのいずれか1種である。
【0009】
上記亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法は、
2層の亜鉛網の間に1層のカーボンクロスを介在させてから、カーボンクロスが介在された2層の亜鉛網をホットプレスし、10~50%の圧下率でロールプレスして、プレス亜鉛網を得るステップ1)と、
プレス亜鉛網をグラフェン分散液に浸漬し、取り出し、乾燥させるステップ2)と、
ステップ2)において乾燥されたプレス亜鉛網の2つの表面に導電性ポリマーを含有する導電性スラリーを塗布し、乾燥させるステップ3)と、を含む。
【0010】
さらに、ステップ1)において、前記亜鉛網は、複合亜鉛網であり、複合亜鉛網は、亜鉛網の網目にスズ粉末を充填してから、スズ粉末が充填された亜鉛網を不活性雰囲気下で250~400℃で20~50min保温して製造される。
【0011】
さらに、亜鉛網の網目の目開きは、0.5~3mmである。スズ粉末の粒径は、100~200メッシュである。
【0012】
さらに、ステップ1)において、前記カーボンクロスは、複合カーボンクロスであり、複合カーボンクロスは、カーボンクロスの空隙にスズ粉末を充填して得られる。
【0013】
さらに、ステップ1)において、ホットプレスの圧力は、1~10MPaであり、ホットプレス時の温度は、60~120℃である。
【0014】
さらに、ステップ2)において、浸漬時間は、2~8hである。
【0015】
さらに、ステップ2)において、グラフェン分散液におけるグラフェンの質量分率は、0.1~15%である。
【0016】
さらに、ステップ3)において、導電性スラリーは、水と、質量比が0.5~20:0.5~10:0.1~5の導電性ポリマー、導電性カーボン材料、バインダーとを均一に混合して得られる。
【0017】
さらに、導電性カーボン材料は、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのいずれか1種である。
【0018】
亜鉛二次電池用負極シートは、集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含み、前記集電体は、上記亜鉛二次電池用複合集電体である。
【0019】
さらに、負極材料層は、負極活物質と、バインダーとを含有し、負極活物質は、酸化亜鉛、亜鉛、亜鉛酸カルシウムのうちの少なくとも1種である。
【0020】
亜鉛二次電池は、ケースと、ケース内に設置された正極シート、負極シート及び電解液とを含む亜鉛二次電池であって、前記負極シートは、前記亜鉛二次電池用負極シートであることを特徴とする。
【0021】
さらに、亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛二次電池、亜鉛マンガン二次電池のいずれか1種である。
【発明の効果】
【0022】
本願に係る亜鉛二次電池用複合集電体は、亜鉛網とスズを複合して金属層を製造し、金属層の間にカーボンクロスを介在させることにより、集電体の導電性を保証するとともに、電池の使用過程における亜鉛負極の腐食を根本的に減少させ、電池のサイクル性能を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例3及び比較例1で製造された亜鉛二次電池のサイクル曲線の比較図である。
【
図2】実施例3で製造された亜鉛二次電池の長サイクル曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛二次電池、亜鉛マンガン二次電池のいずれか1種である。亜鉛負極シートを負極として用いた二次電池であれば適用可能であり、ここでの亜鉛負極シートは、負極活物質に酸化亜鉛、亜鉛、亜鉛酸カルシウムのうちの少なくとも1種を含有する負極シートである。
【0025】
本願に係る亜鉛二次電池用複合集電体は、基体と、基体に設置された導電層と、2層の金属層と、2層の金属層の間に介在されたカーボンクロス層とを含み、金属層は、亜鉛網を含み、亜鉛網及び/又はカーボンクロスの網目には、スズが充填され、導電層は、導電性ポリマーと、導電性カーボン材料とを含有する。
【0026】
ここでの亜鉛網の網目におけるスズは、金属スズであり、金属スズと亜鉛網は、固定され、ここでの固定は、溶接又は溶融に類似する。亜鉛網の網目の目開きは、0.5~3mmである。導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンのいずれか1種である。導電性カーボン材料は、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのいずれか1種である。カーボンクロスの網目にスズを充填することは、カーボンクロスの空隙にスズ粉末を充填することである。
【0027】
本願に係る亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法は、
2層の複合亜鉛網の間に1層のカーボンクロスを介在させてから、カーボンクロスが介在された2層の亜鉛網をホットプレスし、10~50%の圧下率でロールプレスして、プレス亜鉛網を得るステップ1)と、
プレス亜鉛網をグラフェン分散液に浸漬し、取り出し、乾燥させるステップ2)と、
ステップ2)において乾燥されたプレス亜鉛網の2つの表面に導電性ポリマーを含有する導電性スラリーを塗布し、乾燥させるステップ3)と、を含む。
【0028】
ステップ1)において、上記亜鉛網は、複合亜鉛網であり、複合亜鉛網は、亜鉛網の網目にスズ粉末を充填してから、スズ粉末が充填された亜鉛網を不活性雰囲気下で250~400℃で20~50min保温して製造される。
【0029】
ステップ1)において、亜鉛網にスズ粉末を充填する場合、亜鉛網の一方の表面にポリマーフィルムを接着し、次にポリマーフィルムが接着された表面を下向きにし、他方の表面を上向きにするように亜鉛網を平らに置き、次に、亜鉛網にスズ粉末を振りかけ、すりきる。
【0030】
亜鉛網として、斜張亜鉛網又はパンチング亜鉛網を用いる。亜鉛網の網目の目開きは、0.5~3mmである。スズ粉末の粒径は、100~200メッシュである。ポリマーフィルムは、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムである。
【0031】
ステップ1)において、不活性雰囲気は、窒素又はアルゴンである。不活性雰囲気下で250~400℃で20~50min保温した後、不活性雰囲気下で室温まで自然冷却する。
【0032】
ステップ1)において、ホットプレスの圧力は、1~10MPaであり、好ましくは、2~5MPaである。ホットプレス時の温度は、60~120℃であり、好ましくは、80~100℃である。圧下率は、ホットプレス及びロールプレスによる変形を含む。
ステップ2)において、浸漬時間は、2~8hであり、好ましくは、2~5hである。グラフェン分散液におけるグラフェンの質量分率は、0.1~15%である。さらに、グラフェンの質量分率は、1~10%である。浸漬されたプレス亜鉛網を取り出した後に真空乾燥させる。真空乾燥の温度は、40~100℃である。
【0033】
ステップ3)において、導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンのいずれか1種である。導電性スラリーには、導電性カーボン材料がさらに含有される。導電性カーボン材料は、ケッチェンブラック、アセチレンブラックのいずれか1種である。
【0034】
さらに、導電性スラリーは、水と、質量比が0.5~20:0.5~10:0.1~5の導電性ポリマー、導電性カーボン材料、バインダーとを均一に混合して得られる。好ましくは、導電性スラリーは、水と質量比が1~8:0.5~5:2~3の導電性ポリマー、導電性カーボン材料、バインダーを均一に混合して得られる。
【0035】
バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムラテックスのうちの少なくとも1種である。プレス亜鉛網の2つの表面に導電性スラリーを塗布した後に真空乾燥させる。真空乾燥の温度は、60~80℃である。乾燥時間は、2~8hである。
【0036】
本願に係る亜鉛二次電池用負極シートは、集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含み、上記集電体は、上記亜鉛二次電池用複合集電体である。
【0037】
負極材料層は、負極活物質と、バインダーとを含有する。負極活物質は、酸化亜鉛、亜鉛、亜鉛酸カルシウムのうちの少なくとも1種である。さらに、負極材料層は、質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウムを含有する。
【0038】
本願に係る亜鉛二次電池は、ケースと、ケース内に設置された正極シート、負極シート及び電解液とを含み、上記負極シートは、上記亜鉛二次電池用負極シートである。
【0039】
実施例1
本実施例に係る亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法は、
亜鉛網の一方の表面にポリエチレンフィルムであるポリマーフィルムを接着し、次にポリマーフィルムが接着された表面を下向きにし、他方の表面を上向きにするように亜鉛網を平らに置き、次に、網目の目開きが1mmの亜鉛網に粒径が100メッシュのスズ粉末を振りかけ、亜鉛網の表面をすりきって、亜鉛網の上面に1層のポリマーフィルムを接着し、
上記処理後の亜鉛網を不活性雰囲気の保護下で、350℃で30min保温した後、不活性雰囲気下で室温まで自然冷却して、複合亜鉛網を得るステップ1)と、
複合亜鉛網を半分に折り、その間にカーボンクロスを介在させ、カーボンクロスが介在された亜鉛網に一部のカーボンクロスが露出できるように、カーボンクロスの大きさを亜鉛網の半分よりも僅かに大きくし、次に、カーボンクロスが介在された亜鉛網を圧力2MPa、温度80℃でホットプレスし、
次に、ホットプレス後の亜鉛網をロールプレス機でロールプレスし、亜鉛網の圧下率が約30%になるまでロールプレスを停止して、プレス亜鉛網を得るステップ2)と、
プレス亜鉛網を、質量比が5:95のグラフェンと水を均一に分散させて得られたグラフェン分散液に2h浸漬し、浸漬されたプレス亜鉛網を取り出して、40℃で真空乾燥させるステップ3)と、
質量比が8:5:3:84のポリアニリン、ケッチェンブラック、カルボキシメチルセルロース、水を均一に混合して導電性スラリーを得て、プレス亜鉛網の2つの表面に塗布し、60℃で3h真空乾燥させて、複合集電体を得るステップ4)と、を含む。
【0040】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートは、集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含み、集電体は、上記亜鉛二次電池用複合集電体であり、負極材料層は、負極スラリーを集電体に塗布し乾燥させて形成される。負極スラリーは、質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して得られる。
【0041】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートの製造方法は、
質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して、導電性スラリーを得るステップS1と、
上記亜鉛二次電池用複合集電体の2つの表面に負極スラリーを塗布し、乾燥させ、ロールプレスし、切断して、亜鉛二次電池用負極シートを得るステップS2と、を含む。
【0042】
本実施例に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛電池であり、円柱形の鋼製ケース(AAA)を含み、鋼製ケース内にセル及び電解液が設置され、セルは、正極シート、セパレータ、負極シート、セパレータを順に積層してから巻回して製造され、負極シートは、上記負極シートであり、正極シートは、正極集電体を含み、正極集電体は、ニッケルテープであり、正極集電体の2つの表面に正極材料層が塗布し設置され、正極材料層は、正極活性化物質、バインダーなどを含有し、正極活性化物質は、水酸化ニッケルである。
【0043】
実施例2
本実施例に係る亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法は、
亜鉛網の一方の表面にポリエチレンフィルムであるポリマーフィルムを接着し、次にポリマーフィルムが接着された表面を下向きにし、他方の表面を上向きにするように亜鉛網を平らに置き、次に、亜鉛網に少量のポリエチレン粉末(D50が約150μmである)を振りかけ、スクレーパーでポリエチレン粉末を亜鉛網の網目に掻き落とし、網目内のポリエチレン粉末の高さが約亜鉛網の厚さの3分の1になるようにポリエチレン粉末の量を決定し、次に、網目の目開きが1mmの亜鉛網に粒径が100メッシュのスズ粉末を振りかけ、亜鉛網の表面をすりきって、亜鉛網の上面に1層のポリマーフィルムを接着し、
上記処理後の亜鉛網を不活性雰囲気の保護下で、400℃で22min保温した後、不活性雰囲気下で室温まで自然冷却して、複合亜鉛網を得て、400℃で保温するときに、ポリエチレン粉末が振りかけられた表面を上向きにするステップ1)と、
複合亜鉛網を半分に折り、その間にカーボンクロスを介在させ、カーボンクロスが介在された亜鉛網に一部のカーボンクロスが露出できるように、カーボンクロスの大きさを亜鉛網の半分よりも僅かに大きくし、次に、カーボンクロスが介在された亜鉛網を圧力5MPa、温度100℃でホットプレスし、
次に、ホットプレス後の亜鉛網をロールプレス機でロールプレスし、亜鉛網の圧下率が約26%になるまでロールプレスを停止して、プレス亜鉛網を得るステップ2)と、
プレス亜鉛網を、質量比が10:90のグラフェンと水を均一に分散させて得られたグラフェン分散液に6h浸漬し、浸漬されたプレス亜鉛網を取り出して、55℃で真空乾燥させるステップ3)と、
質量比が5:3:2:90のポリアニリン、ケッチェンブラック、カルボキシメチルセルロース、水を均一に混合して導電性スラリーを得て、プレス亜鉛網の2つの表面に塗布し、80℃で2h真空乾燥させて、複合集電体を得るステップ4)と、を含む。
【0044】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートは、集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含み、集電体は、上記亜鉛二次電池用複合集電体であり、負極材料層は、負極スラリーを集電体に塗布し乾燥させて形成される。負極スラリーは、質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して得られる。
【0045】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートの製造方法は、
質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して、導電性スラリーを得るステップS1と、
上記亜鉛二次電池用複合集電体の2つの表面に負極スラリーを塗布し、乾燥させ、ロールプレスし、切断して、亜鉛二次電池用負極シートを得るステップS2と、を含む。
【0046】
本実施例に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛電池であり、円柱形の鋼製ケース(AAA)を含み、鋼製ケース内にセル及び電解液が設置され、セルは、正極シート、セパレータ、負極シート、セパレータを順に積層してから巻回して製造され、負極シートは、上記負極シートであり、正極シートは、正極集電体を含み、正極集電体は、ニッケルテープであり、正極集電体の2つの表面に正極材料層が塗布し設置され、正極材料層は、正極活物質、バインダーなどを含有し、正極活物質は、水酸化ニッケルである。
【0047】
実施例3
本実施例に係る亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法は、
亜鉛網の一方の表面にポリエチレンフィルムであるポリマーフィルムを接着し、次にポリマーフィルムが接着された表面を下向きにし、他方の表面を上向きにするように亜鉛網を平らに置き、次に、亜鉛網に少量のポリエチレン粉末(D50が約150μmである)を振りかけ、スクレーパーでポリエチレン粉末を亜鉛網の網目に掻き落とし、網目内のポリエチレン粉末の高さが約亜鉛網の厚さの3分の1になるようにポリエチレン粉末の量を決定し、次に、網目の目開きが0.8mmの亜鉛網に粒径が100メッシュのスズ粉末を振りかけ、亜鉛網の表面をすりきって、亜鉛網の上面に1層のポリマーフィルムを接着し、
上記処理後の亜鉛網を不活性雰囲気の保護下で、405℃で20min保温した後、不活性雰囲気下で室温まで自然冷却して、複合亜鉛網を得て、405℃で保温するときに、ポリエチレン粉末が振りかけられた表面を上向きにするステップ1)と、
複合亜鉛網を半分に折り、その間にカーボンクロスを介在させ、カーボンクロスが介在された亜鉛網に一部のカーボンクロスが露出できるようにカーボンクロスの大きさを亜鉛網の半分よりも僅かに大きくし、次に、カーボンクロスが介在された亜鉛網を圧力3.5MPa、温度85℃でホットプレスし、
次に、ホットプレス後の亜鉛網をロールプレス機でロールプレスし、亜鉛網の圧下率が約30%になるまでロールプレスを停止して、プレス亜鉛網を得るステップ2)と、
プレス亜鉛網を、質量比が1:99のグラフェンと水を均一に分散させて得られたグラフェン分散液に5h浸漬し、浸漬されたプレス亜鉛網を取り出して、45℃で真空乾燥させるステップ3)と、
質量比が3:4.5:2.5:90のポリアニリン、ケッチェンブラック、カルボキシメチルセルロース、水を均一に混合して導電性スラリーを得て、プレス亜鉛網の2つの表面に塗布し、70℃で2h真空乾燥させて、複合集電体を得るステップ4)と、を含む。
【0048】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートは、集電体と、集電体の表面に設置された負極材料層とを含み、集電体は、上記亜鉛二次電池用複合集電体であり、負極材料層は、負極スラリーを集電体に塗布し乾燥させて形成される。負極スラリーは、質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して得られる。
【0049】
本実施例に係る亜鉛二次電池用負極シートの製造方法は、
質量比が63:21:0.2:2:3:5:0.25:1:1:5の酸化亜鉛、亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ビスマス、酸化スズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、リン酸二水素ナトリウム、水を均一に混合して、導電性スラリーを得るステップS1と、
上記亜鉛二次電池用複合集電体の2つの表面に負極スラリーを塗布し、乾燥させ、ロールプレスし、切断して、亜鉛二次電池用負極シートを得るステップS2と、を含む。
【0050】
本実施例に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛電池であり、円柱形の鋼製ケース(AA)を含み、鋼製ケース内にセル及び電解液が設置され、セルは、正極シート、セパレータ、負極シート、セパレータを順に積層してから巻回して製造され、負極シートは、上記負極シートであり、正極シートは、正極集電体を含み、正極集電体は、ニッケルテープであり、正極集電体の2つの表面に正極材料層が塗布し設置され、正極材料層は、正極活物質、バインダーなどを含有し、正極活物質は、水酸化ニッケルである。
【0051】
実施例4
本実施例では、上記実施例3に基づいて、負極シートを製造するときに、得られた亜鉛二次電池用負極シートをグラフェン分散液に1~2h浸漬した後、取り出して乾燥させて、負極材料層の表面に1層のグラフェン層を堆積させる。
【0052】
本実施例に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛電池であり、実施例3に係るニッケル亜鉛電池を参照する。
【0053】
実施例5
本実施例と実施例1との相違点は、亜鉛網の網目にスズ粉末を充填せず、複合亜鉛網の代わりにパンチング亜鉛網を直接使用し、カーボンクロスを使用する前に前処理を行うことであり、前処理は、カーボンクロスを平らに広げ、その表面に粒度が200メッシュのスズ粉末を振りかけ、次に、スズ粉末をカーボンクロスの網目に充填するように、カーボンクロスの表面をスクレーパーで往復にすりきって、実施例1のステップ2)におけるカーボンクロスの代わりに複合カーボンクロスを得るステップを含む。
【0054】
本実施例に係る亜鉛二次電池は、ニッケル亜鉛電池であり、実施例3に係るニッケル亜鉛電池を参照する。
【0055】
比較例1
本比較例と実施例1との相違点は、実施例1と同じ亜鉛網を集電体として用いることであり、その他は、実施例1と同じである。
【0056】
実験例
(1)実施例3に従って10個のAA鋼製ケース電池を製造して、容量を1500mAhとして設計し、電気化学試験を行い、試験結果を以下の表に示す。
【表1】
比較例1に従って10個のAA鋼製ケース電池をそれぞれ製造して、容量を1500mAhとして設計し、電気化学試験を行い、試験結果を以下の表に示す。
【表2】
(2)実施例3及び比較例1に従ってAA鋼製ケース電池を製造し、容量を1500mAhとして設計し、次に、サイクル試験を行い、試験結果を
図1に示す。実施例3に係る電池の長サイクル曲線を
図2に示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層の亜鉛網の間に1層のカーボンクロスを介在させ、前記カーボンクロスが介在した前記2層の亜鉛網をホットプレスし、10~50%の圧下率でロールプレスして、プレス亜鉛網を得るステップ1)であって、
前記亜鉛網は、複合亜鉛網であり、前記亜鉛網の網目にスズが充填されるステップ1)と、
前記プレス亜鉛網をグラフェン分散液に浸漬し、浸漬されたプレス亜鉛網を取り出して乾燥させるステップ2)と、
乾燥されたプレス亜鉛網の2つの表面に導電性ポリマーを含有する導電性スラリーを塗布してから再度乾燥させて、亜鉛二次電池用複合集電体を得るステップ3)と、を含むことを特徴とする、亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項2】
前記複合亜鉛網の製造は、前記亜鉛網の網目にスズ粉末を充填し、前記スズ粉末が充填された亜鉛網を不活性雰囲気下で250~400℃で20~50min保温して、前記前記複合亜鉛網を得るステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項3】
前記亜鉛網の網目の目開きは、0.5~3mmであり、前記スズ粉末の粒径は、100~200メッシュであることを特徴とする、請求項2に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項4】
前記カーボンクロスは、複合カーボンクロスであり、前記複合カーボンクロスは、前記カーボンクロスの空隙にスズ粉末を充填して得られることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項5】
前記ホットプレスの圧力は、1~10MPaであり、前記ホットプレスを行うときの温度は、60~120℃であることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項6】
ステップ2)において、浸漬の時間は、2~8hであることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項7】
前記グラフェン分散液におけるグラフェンの質量分率は、0.1~15%であることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項8】
前記導電性スラリーは、水と、前記導電性ポリマーと、導電性カーボン材料と、バインダーとを均一に混合して得られ、前記導電性ポリマーと、前記導電性カーボン材料と、前記バインダーとの質量比は、0.5~20:0.5~10:0.1~5であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の亜鉛二次電池用複合集電体の製造方法。
【請求項9】
集電体と、前記集電体の表面に設置された負極材料層とを含む亜鉛二次電池用負極シートであって、前記集電体は、請求項1に記載の方法で製造された亜鉛二次電池用複合集電体であることを特徴とする、亜鉛二次電池用負極シート。
【請求項10】
前記負極材料層は、負極活物質と、バインダーとを含有し、前記負極活物質は、酸化亜鉛、亜鉛、亜鉛酸カルシウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項9に記載の亜鉛二次電池用負極シート。
【請求項11】
ケースと、ケース内に設置された正極シート、負極シート及び電解液とを含む亜鉛二次電池であって、前記負極シートは、請求項9に記載の亜鉛二次電池用負極シートであることを特徴とする、亜鉛二次電池。
【国際調査報告】