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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ヌクレオチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20241226BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20241226BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241226BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/115 Z
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K48/00
A61K38/17
A61P43/00 105
A61P27/02
A61P27/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541917
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2023070867
(87)【国際公開番号】W WO2023134560
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210025336.8
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039717
【氏名又は名称】広州瑞風生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU REFORGENE MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン、チュンピン
(72)【発明者】
【氏名】オウ、チアユイ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ホイ
(72)【発明者】
【氏名】リン、スーミャオ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA25
4C084CA53
4C084DA40
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZB21
(57)【要約】
ヌクレオチド及びその使用を提供し、特にUSH2A pre-mRNAエキソン13に特異的に結合する核酸分子を提供し、更に、前記核酸分子の調製方法及び使用を提供する。核酸分子はUSH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端序列又はその断片に特異的に結合する能力を持ち、pre-mRNAスプライシングを標的に妨害することができ、USH2A pre-mRNAエクソン13のシングルスキッピングの比率を増加させることもでき、効率を有意に向上させると同時に安全性を保障することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置はChr1:216246563-216246753である核酸分子。
【請求項2】
配列番号1に示される配列又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子。
【請求項3】
配列番号1に示される配列中の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドに相補的である核酸分子。
【請求項4】
配列番号1に示される配列、又はその相補配列の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含む核酸分子。
【請求項5】
前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な22個~27個のヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記核酸分子は、少なくとも16個のヌクレオチドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子は、22個~27個のヌクレオチドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記核酸分子は、少なくとも60個のヌクレオチドを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記核酸分子は、Chr1:216246603-216246626、Chr1:216246598-216246621、Chr1:216246598-216246624、Chr1:216246594-216246617、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246591、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246567-216246590、及びChr1:216246563-216246586からなる群より選択されるゲノムの位置に相補的な相応するpre-mRNA配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか1個に相補的な配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか1個に示される配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項13】
前記核酸分子は、修飾されたヌクレオチドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-アルキル、2’-O-メトキシ及び/又は2’-O-メトキシエチルからなる群より選択される修飾を含む、請求項13に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-メチル及び/又は2’-O-エチルからなる群より選択される修飾を含む、請求項13~14のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項17】
前記核酸分子の5’末端は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項18】
前記核酸分子の5’末端は、1個~3個の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項19】
前記核酸分子の3’末端は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項13~18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
前記核酸分子の3’末端は、1個~3個の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項13~19のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項21】
前記核酸分子は、6’-修飾された二環式ヌクレオシド、5’-修飾された二環式ヌクレオシド、6’-二置換の二環式ヌクレオシド、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体及び/又は2’-デオキシ2’-フルオロ-β-D-アラビノースヌクレオチド(2’-FANA修飾されたヌクレオチド)からなる群より選択されるヌクレオチド又はヌクレオチド類似体モノマーを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項22】
前記核酸分子は、修飾されたリン酸結合を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項23】
前記ヌクレオチド分子は、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アルキルホスホネート、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキレンホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミダート、アミノアルキルホスホロアミダート、チオホスホロアミダート、チオカルボニルアルキルホスホネート、チオカルボニルアルキルホスホトリエステル、ホスホロチオエート、セレノホスフェート、ボラノホスフェート、ホスホジエステル結合、Rp-ホスホロチオエート結合、Sp-ホスホロチオエート結合、ボラノホスフェート結合、メチレン結合(メチルイミノ)、アミド結合(3’-CH-CO-NH-5’、3’-CH-NH-CO)-5’)、メチルホスホネート結合及び/又は3’-チオメチラール結合(3’S-CH-O5’)からなる群より選択される化学結合により連結される、請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項24】
前記修飾されたリン酸結合は、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスフェート結合、ホスホロアミダート結合、及び/又はボラノホスフェート結合からなる群より選択されるものを含む、請求項22~23のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項25】
前記核酸分子は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項26】
前記核酸分子の5’末端は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項27】
前記核酸分子の5’末端は、1個~3個の修飾されたリン酸結合を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項28】
前記核酸分子の3’末端は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項29】
前記核酸分子の3’末端は、1個~3個の修飾されたリン酸結合を含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項30】
前記核酸分子は、DNA及び/又はRNAを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項31】
前記核酸分子は、一本鎖又は二本鎖である、請求項1~30のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項32】
前記核酸分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)、shRNA、siRNA、miRNA及び/又はアプタマー(aptamer)を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項33】
前記核酸分子は、核内低分子RNA(Small Nuclear RNA)を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項34】
前記核内低分子RNAは、U1核内低分子RNA及び/又はU7核内低分子RNAを含む、請求項33に記載の核酸分子。
【請求項35】
前記核酸分子は、Cas酵素に結合しない、請求項1~34のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項36】
前記核酸分子は、Cas酵素に結合可能な構造を含まない、請求項1~35のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項37】
前記Cas酵素は、Cas13酵素である、請求項35~36のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項38】
前記核酸分子は、ステムループドメイン又はその誘導体構造を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項39】
前記ステムループドメインは、配列番号6に示される配列を含む、請求項38に記載の核酸分子。
【請求項40】
前記核酸分子は、smタンパク質に結合可能なドメイン又はその誘導体構造を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項41】
前記smタンパク質に結合可能なドメインは、配列番号5に示される配列を含む、請求項40に記載の核酸分子。
【請求項42】
前記核酸分子は、スプライシング調節タンパク質に結合可能なドメインを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項43】
前記核酸分子は、SRSF1(Serine And Arginine Rich Splicing Factor 1)、RBM4(RNA Binding Motif Protein 4)、DAZAP1(DAZ Associated Protein 1)、及びSR(Serine And Arginine-Rich Protein)からなる群より選択されるタンパク質に結合可能なドメインを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項44】
前記核酸分子は、hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項45】
前記hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインは、配列番号30に示される配列を含む、請求項44に記載の核酸分子。
【請求項46】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び任意選択で発現制御エレメントを含むか、或いはコードする遺伝子発現カセット。
【請求項47】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び/又は請求項46に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列を含むか、或いはコードするベクター。
【請求項48】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項46に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、及び/又は請求項47に記載のベクター含むウイルス粒子。
【請求項49】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項46に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、請求項47に記載のベクター、及び/又は請求項48に記載のウイルス粒子含む細胞。
【請求項50】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項46に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、請求項47に記載のベクター、請求項48に記載のウイルス粒子、及び/又は請求項49に記載の細胞、並びに任意選択な薬学的許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項51】
前記医薬組成物は、第1担体及び第2担体を含み、前記第1担体は、請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子を含み、前記第2担体は、USH2A pre-mRNAエキソン13及びその両側領域又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子を含む、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記USH2A pre-mRNAエクソン13の両側領域は、USH2A pre-mRNAイントロン12及び/又はイントロン13を含む、請求項50~51のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項46に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、請求項47に記載のベクター、請求項48に記載のウイルス粒子、請求項49に記載の細胞、及び/又は請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項54】
USH2Aエクソン13の3’末端配列又はその断片に結合可能な前記核酸分子を発現及び/又は合成することを含み、前記USH2Aエクソン13の3’末端配列のゲノム位置はChr1:216246563-216246753である、請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子を調製する方法。
【請求項55】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、USH2A pre-mRNAエキソン13の発現及び/又は機能を阻害する方法。
【請求項56】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、USH2A pre-mRNAのエクソン13のスプライシングスキッピングする方法。
【請求項57】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、エクソン13を欠損した成熟USH2A mRNAの調製方法。
【請求項58】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、エクソン13の発現産物を含むUsherinタンパク質のレベルを低下させる方法。
【請求項59】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項48に記載のウイルス粒子、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、エクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の調製方法、並びに/或いはエクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の量を増加させる方法。
【請求項60】
請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項48に記載のウイルス粒子、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットを提供することを含む、突然変異したUsherinタンパク質の機能を回復する方法。
【請求項61】
USH2A遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に用いられる医薬の調製における請求項1~45のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項47に記載のベクター、請求項48に記載のウイルス粒子、請求項49に記載の細胞、請求項50~52のいずれか一項に記載の医薬組成物、及び/又は請求項53に記載のキットの使用。
【請求項62】
前記疾患は、眼疾患及び/又は耳疾患を含む、請求項61に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は生物医学の分野に関し、特にヌクレオチド及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Usher症候群(Usher Syndrome)は、難聴-網膜色素変性症症候群としても知られる遺伝性疾患の一種であり、程度の異なる先天性感音性難聴と、網膜色素変性症(RP)による進行性の視力喪失を特徴とする。その中で、USH2A遺伝子の突然変異はII型Usher症候群の最も一般的な原因であり、Usher症候群患者の50%以上を占めている。同時に、USH2A遺伝子の突然変異は非症候性網膜色素変性症(NSRP)の重要な原因の一つでもある。USH2A遺伝子のエクソン13、エクソン50、及びイントロン40の突然変異は、Usher症候群を引き起こす。現在まで、USH2A遺伝子全体に分布する1,000個を超える病原性変異が同定され、エクソン13はUSH2A遺伝子で最も頻繁に突然変異するエクソンであり、約35%を占めている。USH2Aコード領域の長さは約15.6kbであり、現在の通常の遺伝子治療送達方法(組換えレンチウイルス、組換えアデノ随伴ウイルスなど)では、このような大きなコード配列をパッケージングすることが困難であるため、USH2Aを直接治療することが困難になる。
【0003】
従って、本分野では、エクソンスキッピングの効率を改善し、治療の安全性を確保できるUSH2A遺伝子突然変異関連疾患の治療方法が急務である。
【発明の概要】
【0004】
一つの方面において、本出願は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置はChr1:216246563-216246753である核酸分子を提供する。
【0005】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子を提供する。
【0006】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列のうちの16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドに相補的である核酸分子を提供する。
【0007】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列、或いは、その相補的な配列における16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。
【0008】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び任意の発現制御エレメントを含むか、或いはコードする遺伝子発現カセットを提供する。
【0009】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び/又は本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列を含むか、或いはコードするベクターを提供する。
【0010】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、及び/又は本出願に記載のベクターを含むウイルス粒子を提供する。
【0011】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、及び/又は本出願に記載のウイルス粒子を含む細胞を提供する。
【0012】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、及び/又は本出願に記載の細胞、並びに任意選択な薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、及び/又は本出願に記載の医薬組成物を含むキットを提供する。
【0014】
一つの方面において、本出願は、USH2Aエクソン13の3’末端配列又はその断片に結合可能な前記核酸分子を発現及び/又は合成することを含み、前記USH2Aエクソン13の3’末端配列のゲノム位置はChr1:216246563-216246753である、本出願に記載の核酸分子を調製する方法を提供する。
【0015】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含むUSH2A pre-mRNAエキソン13の発現及び/又は機能を阻害するための方法を提供する。
【0016】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含むUSH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピングする方法を提供する。
【0017】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含むエクソン13を欠く成熟USH2A mRNAを調製する方法を提供する。
【0018】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含むエクソン13の発現産物を含むUsherinタンパク質のレベルを低下させる方法を提供する。
【0019】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含むエクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質を調製する方法、及び/又はエクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の量を増加させる方法を提供する。
【0020】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含む突然変異型Usherinタンパク質の機能を回復させる方法を提供する。
【0021】
一つの方面において、本出願は、医薬の調製における本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物及び/又は本出願に記載のキットの使用を提供し、前記医薬はUSH2A遺伝子突然変異により引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に使用される。
【0022】
本出願は、USH2A mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子を提供する。現在、エクソンスキッピングを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチド(AONs、Antisense oligonucleotides)の技術が存在する。しかし、既存のAONはエクソン13のスキッピングを促進すると同時に、エクソン12とエクソン13の同時キッピングも促進し、一部のAON処理では、エクソン12とエクソン13の二重スキッピングが発生するが、単一スキッピングは発生しない。エクソン12の全長は196bpであり、3の整数倍ではないため、欠失するとフレームシフト突然変異が発生し、USH2Aタンパク質が不活化される。例えば、本出願に記載のUSH2Aエクソン12は、ヒトUSH2Aエクソン12である。例えば、本出願に記載のUSH2Aエクソン13はヒトUSH2Aエクソン13である。本出願で提供されるオリゴヌクレオチドは、pre-mRNAスプライシングに対して標的干渉を実行することができ、エクソン13の単一スキッピングの比率を増加させることができるため、効率を有意に向上させるながら安全性を確保することができる。
【0023】
当業者であれば、下記の詳細な説明から本出願の他の態様及び利点を容易に理解できる。下記の詳細な説明では、本出願の例示的な実施形態のみが示され、説明される。当業者が理解するように、本出願の内容により、当業者は、本出願に関する発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態に変更を加えることができる。従って、本出願の図面及び説明は例示にすぎず、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本出願に関する発明の特定の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本出願に関する発明の特徴及び利点は、下記に詳細に説明する例示的な実施形態及び添付の図面を参照することによって、よりよく理解することができる。図面の簡単な説明は下記の通りである:
図1】本出願のU7-snRNAの構造及び機能の模式図である。
図2】異なる標的部位のAONによって誘導されたUSH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピング効果図である。
図3A図3A~3Bは、異なる標的部位のU7 snRNAによって誘導された、レポーター細胞におけるUSH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効果図である。
図3B】同上
図4A図4A~4Bは、異なる標的部位のU7 snRNAの組み合わせによって誘導された、USH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効果図である。
図4B】同上
図5】hnRNP A1を有するsnRNAベクターの模式図である。
図6A図6A~6Bは、U7-hnRNP A1-snRNAによって誘導されたUSH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効率図である。
図6B】同上
図7】異なる標的部位のsnRNAによって効率的に誘導されたUSH2A pre-mRNAエクソン13の単一スプライシングスキッピング効率図である。
図8A】WERI細胞において検出された化学合成U7 snRNAによって誘導されたUSH2A pre-mRNAエキソン13スプライシングスキッピング効率図である。レーン1:50pmolの化学合成及び修飾されたU7-snRNA#30-#4;レーン2:50pmolの化学合成及び修飾されたU7-snRNA#26-#16;レーン3:50pmolのAON1;レーン4:50pmolのAON2;レーン5:EGFP;レーン6:GL DNA Marker 2000。図8Bは、RT-PCR電気泳動バンドの定量分析のヒストグラムを示す。▲E12-E13は、エクソン12とエクソン13を同時にスキップするUSH2A mRNAスプライスを表し、合計▲は、エクソン13をスプライシングスキッピングする、又はエクソン12とエクソン13を同時にスプライシングスキッピングするUSH2A mRNAの合計を示す。
図8B】同上
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本出願の発明の実施形態について具体的な実施例例を挙げて説明するが、本技術に精通した者であれば、本明細書に開示された内容から本出願の発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0026】
[用語定義]
本出願において、「単離された」という用語は、一般に、天然源に存在する他の物質から分離された分子を含むことを意図している。例えば、単離された核酸は、天然源に存在する他の物質から分離された核酸分子を指し得る。例えば、本出願において単離される分子は、人工的に合成された分子などの人工分子であってもよい。
【0027】
本出願において、「発現制御エレメント」という用語は一般に、遺伝子の転写及び翻訳のために、及び/又はインビボ、例えば所望の宿主細胞においてタンパク質の発現を制御するために提供される配列を指す。
【0028】
本出願において、「ウイルス粒子」という用語は、一般に、核酸ベクターを指す。例えば、ウイルス粒子は、ウイルス粒子内にパッケージ化されたベクターゲノム(例えば、DNA及び/又はRNA)を含む、核酸送達ビヒクルとして機能するために使用され得るウイルスベクターであってもよい。
【0029】
本出願において、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、一般に、標的核酸の対応する断片へのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。
【0030】
本出願において、「核酸」という用語は、一般に、単量体ヌクレオチドから構成される分子を指す。核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、及びマイクロRNA(miRNA)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本出願において、「核内低分子RNA」という用語は、一般に低分子核酸分子を指す。例えば、核内低分子RNAは真核生物の核におけるRNAプロセシングに関与することができる。例えば、核内低分子RNAは関連タンパク質と結合して核内低分子リボ核タンパク質(snRNP、即ち、small nuclear ribonucleoproteins)を形成することができ、メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA)のスプライシングに関与する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「相補性」又は「塩基相補性」という用語は、一般に、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基が、標的核酸中の対応する核酸塩基と正確に塩基対を形成する(即ち、ハイブリダイゼーション)能力を指し、そしてそれは、対応する核酸塩基間のワトソン・クリック(Watson-Crick)相互作用力の結合によって媒介される。
【0033】
本出願において、「遺伝子発現カセット」という用語は一般に、特定の制限部位で、又は相同組換えによって核酸又はポリヌクレオチドに挿入することができるDNAセグメントを指す。例えば、遺伝子発現カセットは、標的核酸をコードするポリヌクレオチド断片を含む。
【0034】
本出願において、「ゲノム位置」という用語は一般に、対象となるDNA領域を説明する染色体座標を指す。例えば、染色体座標は、2009年2月にリリースされたヒトゲノムデータベースバージョンHg19(又は「Hg19座標」と称される)と一致してもよい。例えば、本出願のDNA領域は、Hg19座標によって限定される領域に由来してもよい。
【0035】
本出願において、「スプライシングスキップング」という用語は、一般にRNA分子のプロセシングの過程において、スプライシングスキップングされた配列は、プロセシングされたRNA分子には含まれないことを指す。例えば、スプライシングスキッピングにより、配列の一部がスキップされることができる。例えば、スプライシングスキッピングにより、スプライスされたRNA分子に配列の一部が含まれないことができる。
【0036】
本出願において、「修飾されたオリゴヌクレオチド」という用語は、一般に、少なくとも1個の修飾されたヌクレオシド間結合、修飾された糖、及び/又は修飾された核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを指す。本出願において、用語「2’-O-メトキシエチル」(又は、2’-MOE及び2’-OCH2CH2-OCH3及びMOEとも称される)は、一般に、フラノース環の2’位のO-メトキシ-エチル修飾を指す。2’-O-メトキシエチル修飾糖は修飾された糖である。本出願において、「2’-MOEヌクレオシド」(2’-O-メトキシエチルヌクレオシドとも称される)という用語は、一般に、MOE修飾された糖部分を含むヌクレオシドを指す。本出願において、「2’置換されたヌクレオシド」という用語は、一般に、フラノース環の2’位にH又はOH以外の置換基を含むヌクレオシドを指す。特定の実施形態では、2’置換ヌクレオシドは、二環式修飾された糖を有するヌクレオシドを含む。本出願において、「5-メチルシトシン」という用語は、一般に、5’位に結合したメチルで修飾されたシトシンを指す。5-メチルシトシンは修飾された核酸塩基である。
【0037】
本出願において、「修飾されたリン酸結合」という用語は、一般に、天然に存在するヌクレオシド間結合(即ち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)に対する修飾されたリン酸結合の存在下での置換又は何らかの変化を指す。
【0038】
本出願において、「ステムループドメイン」という用語は、一般に、塩基対形成を通じて核酸分子自体によって形成される二次構造を指す。例えば、塩基対が形成されて二本鎖になった部分が「ステム」であり、塩基対の間の配列が「ループ」を形成する。
【0039】
本出願において、「連続する」という用語は、一般に、互いに直接隣接する2個以上の核酸塩基を指す。
【0040】
本出願において、「エキソン」という用語は、一般に、mRNAの成熟型に存在する遺伝子の一部を指す。
【0041】
本出願において、「ベクター」という用語は一般に、それに結合された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。
【0042】
本出願において、「Cas酵素」という用語は一般に、DNAエンドヌクレアーゼであるCRISPR関連ヌクレアーゼを指す。例えば、特定のDNA配列に二本鎖切断を形成することができる。Casヌクレアーゼは通常、CRISPR配列に相補的であり、特定のDNA鎖を認識して切断するためのガイド(guide)としてCRISPR配列を使用できる。
【0043】
本出願において、「pre-mRNA」という用語は一般に前駆体mRNAを指す。例えば、一次転写物はDNA転写によって合成された一本鎖リボ核酸産物であり、転写物は修飾されなくてもよい。例えば、pre-mRNAにおけるエクソンとイントロンのゲノム構造は変化しない。
【0044】
本出願において、「smタンパク質」という用語は、一般に、snRNAに結合して核内低分子リボ核タンパク質複合体snRNPを形成することができるタンパク質又はその変異体を指す。
【0045】
本出願において、「USH2A」という用語は一般に、Usherinタンパク質をコードする遺伝子を指す。例えば、USH2A(Usher Syndrome Type-2A)のNCBI遺伝子登録番号は7399であってもよい。本出願において、USH2Aは、その未処理形態、任意の加工された形態、その変異体、又はその機能的に活性な断片を含む物質を含み得る。
【0046】
本出願において、「投与」という用語は、一般に、動物に医薬品を提供することを指し、医学専門家による投与及び自己投与が含まれるがこれに限定されない。
【0047】
[発明の詳細な説明]
一つの方面において、本出願は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置がChr1:216246563-216246753(NCBIデータベースGRch38バージョンに対応)である核酸分子を提供する。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246626、Chr1:216246563-216246621、Chr1:216246563-216246624、Chr1:216246563-216246617、Chr1:216246563-216246591、Chr1:216246563-216246596、Chr1:216246563-216246593、Chr1:216246563-216246590、及び/又はChr1:216246563-216246586である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246626、Chr1:216246567-216246626、Chr1:216246570-216246626、Chr1:216246594-216246626、Chr1:216246598-216246626、及び/又はChr1:216246603-216246626である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246621、Chr1:216246567-216246621、Chr1:216246570-216246621、Chr1:216246594-216246621、Chr1:216246598-216246621、及び/又はChr1:216246603-216246621である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246624、Chr1:216246567-216246624、Chr1:216246570-216246624、Chr1:216246594-216246624、Chr1:216246598-216246624、及び/又はChr1:216246603-216246624である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246617、Chr1:216246567-216246617、Chr1:216246570-216246617、Chr1:216246594-216246617、Chr1:216246598-216246617、及び/又はChr1:216246603-216246617である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246593、Chr1:216246567-216246593、及び/又はChr1:216246570-216246593である。例えば、本出願の前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置は、Chr1:216246563-216246626であり、その配列は、配列番号39に示された通りである。例えば、70%、80%、90%、95%、98%又は99%以上の塩基対の組み合わせであり得る。例えば、突然変異した配列の組み合わせであり得る。例えば、前記組み合わせは1bp、2bp、3bp、4bp又は5bpのミスマッチを含み得る。
【0048】
USH2A遺伝子エクソン13は突然変異を含み得、突然変異は、c.2802T>G(p.Cys934Trp、中国の患者で頻度が最も高い突然変異)、c.2299delG(p.E767SfsX21、ヨーロッパとアメリカの患者で頻度が最も高い突然変異)、c.2276G>T(アミノ酸変化:p.C759F)、C.2522C>A(p.S841Y)、c.2242C>T(p.Gln748X)、c.2541C>A(C847X)、c.2761delC(Leu921fs)及びC.2776C>T(p.R926C)、C.2209C>T、C.2310delA、c.2391_2392deITG、c.2431A>T、C.2431_2432delAA、c.2440C>T、c.2525dup、C.2610C>A、C.2755C>T、C.2176T>C、C.2236C>G、c.2296T>C、及び/又はC.2332G>Tを含んでもよい。
【0049】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列又はその断片に特異的に結合する能力を有してもよい核酸分子を提供する。例えば、70%、80%、90%、95%、98%又は99%以上の塩基対の組み合わせであってもよい。例えば、突然変異した配列に対する組み合わせであり得る。例えば、前記組み合わせは1bp、2bp、3bp、4bp又は5bpのミスマッチを含んでもよい。
【0050】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列中の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドに相補的であってもよい核酸分子を提供する。例えば、70%、80%、90%、95%、98%又は99%以上の塩基対が相補的であり得る。例えば、突然変異した配列に相補的であり得る。例えば、前記相補性は1bp、2bp、3bp、4bp又は5bpのミスマッチを含んでもよい。
【0051】
一つの方面において、本出願は、配列番号1に示される配列又はその相補配列中の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含んでもよい核酸分子を提供する。例えば、70%、80%、90%、95%、98%又は99%以上の塩基対が相補的であり得る。例えば、突然変異した配列に相補的であり得る。例えば、前記相補性は1bp、2bp、3bp、4bp又は5bpのミスマッチを含んでもよい。
【0052】
例えば、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的であってもよい少なくとも16個のヌクレオチドを含む。例えば、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的であってもよい22個~27個のヌクレオチドを含む。例えば、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的であってもよい15個~27個、16個~27個、18個~27個、20個~27個、22個~27個、25個~27個、15個~25個、16個~25個、18個~25個、20個~25個、22個~25個、15個~22個、16個~22個、18個~22個、20個~22個、15個~20個、16個~20個、18個~20個、15個~18個、又は16個~18個のヌクレオチドを含む。例えば、認識ドメイン配列の長さは16bp以上であってもよく、また、18bp~40bpであってもよく、更に、20bp~27bpであってもよい。一部の化学的に合成され修飾されたU7 snRNAの実施例では、認識ドメイン配列の長さを、標的配列の5’末端又は/及び3’末端に沿った逆相補的対形成を通じて延長することができ、好ましくは、延長された単一認識ドメイン配列の長さは40bp以下である。
【0053】
例えば、前記核酸分子は少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子は少なくとも22個~27個のヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子は15個~27個、16個~27個、18個~27個、20個~27個、22個~27個、25個~27個、15個~25個、16個~25個、18個~25個、20個~25個、22個~25個、15個~22個、16個~22個、18個~22個、20個~22個、15個~20個、16個~20個、18個~20個、15個~18個、又は16個~18個のヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子はAON分子である。
【0054】
例えば、前記核酸分子は少なくとも60個のヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子は少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、又は少なくとも500個のヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子はsnRNA分子である。例えば、snRNA分子はさらに多くの要素を含んでもよく、理論的に無限な長さを有し得る。一つの実施形態において、化学合成されたsnRNA配列の全長は96bp以上である。一つの実施形態において、化学合成されたsnRNAの両側の3~40個の塩基は修飾され、特異的なリン酸エステル結合によって結合されている。
【0055】
例えば、前記核酸分子は、Chr1:216246603-216246626、Chr1:216246598-216246621、Chr1:216246598-216246624、Chr1:216246594-216246617、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246591、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246567-216246590、及びChr1:216246563-216246586からなる群より選択されるゲノム位置に相補的な配列を含んでもよい。
【0056】
例えば、前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか一つに相補的な配列を含んでもよい。例えば、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上の塩基対の相補性であり得る。例えば、突然変異した配列に対する相補であってもよい。例えば、前記相補性は、1bp、2bp、3bp、4bp、又は5bpのミスマッチを含んでもよい。幾つかの化学的に合成され修飾されたU7 snRNAの実施例において、認識ドメインは、標的部位と逆相補的対に0~5個のミスマッチヌクレオチドを有してもよく、例えば、0~1個であってもよい。
【0057】
例えば、前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか一つに示される配列を含んでもよい。
【0058】
例えば、前記核酸分子は修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。
【0059】
例えば、前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-アルキル、2’-O-メトキシ、及び/又は2’-O-メトキシエチルからなる群より選択される修飾を含んでもよい。
【0060】
例えば、前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-メチル及び/又は2’-O-エチルからなる群より選択される修飾を含んでもよい。
【0061】
例えば、前記核酸分子は少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態において、snRNAの両側の1~10、6~80個のみ、又はすべてのヌクレオチドは修飾され、特異的なリン酸エステル結合によって連結され、前記修飾は、1個又は2個以上の修飾の組み合わせであり、前記特異的なリンエステル酸結合は、1個又は2個以上のリン酸エステル結合の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記化学合成されたU7 snRNA中のすべてのヌクレオチドは、リン酸エステル結合を介して互いに連結され、すべてが2’-O-メトキシで修飾される。いくつかの実施形態において、snRNAの両側の3個のヌクレオチドのみがリン酸エステル結合を介して連結され、2’-O-メトキシで修飾される。化学的に合成され修飾されたU7 snRNAのいくつかの好ましい実施形態において、U7 snRNAの5’末端の最初のヌクレオチドは、好ましくは、アデニル酸(A)であり、認識ドメインの5’末端の最初のヌクレオチドがアデニル酸(A)ではない場合、5’末端にアデニル酸(A)が連結される。
【0062】
例えば、前記核酸分子の5’末端は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子の5’末端は、1個~3個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子の5’末端は、1個、2個、3個、4個又は5個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。
【0063】
例えば、前記核酸分子の3’末端は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子の3’末端は、1個~3個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、前記核酸分子の3’末端は、1個、2個、3個、4個又は5個の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。
【0064】
本出願に記載の核酸分子において、前記核酸分子中のヌクレオチド分子は、6’-修飾された二環式ヌクレオシド、5’-修飾された二環式ヌクレオシド、6’-二置換の二環式ヌクレオシド、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体及び/又は2’-デオキシ2’-フルオロ-β-D-アラビノースヌクレオチド(2’-FANA修飾されたヌクレオチド)からなる群より選択されるものを含んでもよい。
【0065】
例えば、前記核酸分子は修飾されたリン酸結合を持つ。
【0066】
例えば、前記ヌクレオチド分子は、チオホスフェート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホトリエステル結合、アルキルホスホネート結合、アミノアルキルホスホトリエステル結合、アルキレンホスホネート結合、ホスフィネート結合、ホスホロアミダート結合、アミノアルキルホスホロアミダート結合、チオホスホロアミダート結合、チオカルボニルアルキルホスホネート結合、チオカルボニルアルキルホスホトリエステル結合、ホスホロチオエート結合、セレノホスフェート結合、ボラノホスフェート結合からなる群より選択されるリン酸結合を介して結合される。
【0067】
例えば、前記修飾されたリン酸結合は、ホスホジエステル結合、ホスホトリエステル結合、チオホスフェート結合(5’O-P(S)O-3O-、5’S-P(O)O-3’-O-及び5’O-P(O)O-3’S-)、ホスホロジチオエート結合、Rp-ホスホロチオエート結合、Sp-ホスホロチオエート結合、ボラノホスフェート結合、メチレン結合(メチルイミノ)、アミド結合(3’-CH-CO-NH-5’及び3’-CH-NH-CO-5’)、メチルホスホネート結合、3’-チオメチラール(thiomethylal)結合、アミド結合(3’CH-C(O)NH-5’)、及び/又はホスホロアミダート基からなる群より選択される組み合わせを含んでもよい。
【0068】
例えば、前記修飾されたリン酸結合は、チオホスフェート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、アミドホスフェート結合、及び/又はボラノホスフェート結合からなる群より選択される組み合わせを含んでもよい。
【0069】
例えば、前記修飾されたリン酸結合は、ホスホジエステル結合、ホスホトリエステル結合、チオホスフェート結合(5’O-P(S)O-3O-、5’S-P(O)O-3’-O-及び5’O-P(O)O-3’S-)、ホスホロジチオエート結合、Rp-ホスホロチオエート結合、Sp-ホスホロチオエート結合、ボラノホスフェート結合、メチレン結合(メチルイミノ)、アミド結合(3’-CH-CO-NH-5’及び3’-CH-NH-CO-5’)、アルキルホスフェート結合、アミドホスフェート結合、メチルホスホネート結合、3’-チオメチラール結合、アミド結合(3’CH-C(O)NH-5’)及び/又はホスホロアミダート基からなる群より選択される組み合わせを含んでもよい。
【0070】
例えば、前記核酸分子は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。
【0071】
例えば、前記核酸分子の5’末端は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。例えば、前記核酸分子の5’末端は、1個~3個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。例えば、前記核酸分子の5’末端は、1個、2個、3個、4個又は5個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。
【0072】
例えば、前記核酸分子の3’末端は、少なくとも1個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。例えば、前記核酸分子の3’末端は、1個~3個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。例えば、核酸分子の5’末端は、1個、2個、3個、4個又は5個の修飾されたリン酸結合を含んでもよい。
【0073】
例えば、前記核酸分子には、DNA及び/又はRNAを含んでもよい。
【0074】
例えば、前記核酸分子は一本鎖又は二本鎖である。
【0075】
例えば、前記核酸分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)、shRNA、siRNA、miRNA及び/又はアプタマー(aptamer)を含んでもよい。
【0076】
例えば、前記核酸分子は、核内低分子RNA(Small nuclear RNA)を含んでもよい。
【0077】
例えば、前記核内低分子RNAはU1核内低分子RNA及び/又はU7核内低分子RNAを含んでもよい。例えば、前記核内低分子RNAは、U1、U2、U3、U4、U5、U6及び/又はU7核内低分子RNAを含んでもよい。例えば、前記核内低分子RNAは、U1核内低分子RNAを含んでもよい。例えば、前記核内低分子RNAは、U7核内低分子RNAを含んでもよい。
【0078】
例えば、前記核酸分子はCas酵素に結合しない。例えば、前記核酸分子は、Cas酵素と結合可能な構造を含まなくてもよい。例えば、前記Cas酵素はCas13酵素である。
【0079】
例えば、前記核酸分子はステムループドメイン又はその誘導体を含んでもよい。例えば、前記ステムループドメインは、配列番号6に示される配列を含んでもよい。
【0080】
例えば、前記核酸分子は、SMタンパク質に結合可能なドメイン又はその誘導体構造を含んでもよい。例えば、前記SMタンパク質に結合可能なドメインは、配列番号5に示される配列を含んでもよい。例えば、前記smタンパク質に結合可能なドメインは、最適化されたsmOPT配列を含んでもよい。例えば、前記smタンパク質結合ドメインは、ヒト由来、マウス由来又はブタ由来を含んでもよい。
【0081】
例えば、前記核酸分子は、スプライシング調節タンパク質を動員できるドメインを含んでもよい。例えば、前記核酸分子は、SRSF1(Serine And Arginine Rich Splicing Factor 1)、RBM4(RNA Binding Motif Protein 4)、DAZAP1(DAZ Associated Protein 1)、及びSR(Serine And Arginine-Rich Protein)からなる群より選択されるヒストンに結合可能なドメインを含んでもよい。
【0082】
例えば、前記核酸分子は、hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインを含んでもよい。例えば、前記hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインは、配列番号30に示される配列を含んでもよい。
【0083】
例えば、本出願の核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列に対応するゲノムの位置はChr1:216246563-216246753であり、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよく、前記核酸分子は少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよい。
【0084】
例えば、本出願の核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列に対応するゲノムの位置は、Chr1:216246563-216246753であり、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAのエクソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよく、前記核酸分子は少なくとも60個のヌクレオチドを含んでもよい。
【0085】
例えば、本出願の核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列に対応するゲノムの位置は、Chr1:216246563-216246753であり、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAのエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよく、前記核酸分子は少なくとも60個ヌクレオチドを含んでもよく、化学合成されたsnRNAの両側の3~40個の塩基が修飾され、特異的なリン酸結合によって結合される。
【0086】
例えば、本出願の核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列に対応するゲノムの位置は、Chr1:216246563-216246753であり、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAのエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよく、前記核酸分子は少なくとも60個のヌクレオチドを含んでもよく、化学合成されたsnRNAの両側の3~40塩基は2’-メトキシで修飾され、チオホスフェート結合で結合される。
【0087】
例えば、本出願の核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列に対応するゲノムの位置は、Chr1:216246563-216246753であり、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含んでもよく、前記核酸分子は少なくとも60個のヌクレオチドを含んでもよく、化学合成されたsnRNAの両側の3個の塩基は2’-メトキシで修飾され、チオホスフェート結合で連結され、前記核酸分子は、smタンパク質に結合可能なドメイン又はその誘導体構造を含んでもよい。任意選択で、前記核酸分子は、hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインを含んでもよい。
【0088】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び任意選択な発現制御エレメントを含むか、或いはコード可能な遺伝子発現カセットを提供する。
【0089】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び/又は本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列を含むか、或いはコード可能なベクターを提供する。一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、及び/又は本出願に記載のベクターを含んでもよいウイルス粒子を提供する。例えば、本出願のベクターは、pUC57であってもよく、又はpAAV-CMV(TAKARA社、Code No.:6650)、レンチウイルス、トランスポゾン及び当技術分野で公知の核酸ベクターから選択されることができる。例えば、本出願は、AAVを介してU7 snRNAを送達することにより、USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピングを誘導でき、前記AAVのキャプシドタンパク質は、天然由来のものであってもよく、又は天然由来のキャプシドタンパク質に基づく変異体であってもよく、指向性進化を経てもよく、又はアミノ酸/ペプチド(コドン最適化、異なる血清型機能性ペプチドセグメントのキメリズムなど)などの合理的修飾を受けてもよく、組織及び臓器の指向性、免疫原性、トランスフェクション効率を向上させ、例えば、AAV2.5、AAV2i8、AAV-TT、AAV9.HR、CAM130等である。前記天然由来のAAVキャプシドタンパク質は、動物由来であってもよく、植物由来であってもよく、前記動物由来のAAVキャプシドタンパク質はヒト(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8及びAAV9等)由来であってもよく、また、ヒト以外の霊長類(例えば、AAVrh.8、AAVrh.10及びAAVrh.43)由来であってもよく、また、マウス、ブタなどの脊椎動物由来であってもよく、昆虫由来であってもよい。本発明のAAVプラスミド系において、例えば、AAV ITR血清型は、Rep遺伝子血清型と一致する必要があり、Cap遺伝子血清型と一致しなくてもよい。
【0090】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、及び/又は本出願に記載のウイルス粒子を含んでもよい細胞を提供する。
【0091】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、及び/又は本出願に記載の細胞、並びに任意選択な薬学的に許容される担体を含んでもよい医薬組成物を提供する。
【0092】
例えば、前記医薬組成物は、第1担体及び第2担体を含んでもよく、前記第1担体は、本出願に記載の核酸分子を含んでもよく、前記第2担体は、USH2A pre-mRNAエキソン13及びその両側領域又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子を含んでもよい。例えば、第2ベクターは、USH2A pre-mRNAイントロン12-エクソン13-イントロン13から選択される配列に特異的に結合する能力を有する核酸分子を含んでもよく、例えば、エクソン13及びその両側の標的隣接領域から選択されてもよい。例えば、chr1:216246563-216247246に対応するpre-mRNA領域から選択されることができる。例えば、標的配列が全く同じではない2個又は2個以上のU7-snRNAを組み合わせて使用することができる。
【0093】
例えば、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の両側領域は、USH2A pre-mRNAイントロン12及び/又はイントロン13を含んでもよい。
【0094】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、及び/又は本出願に記載の医薬組成物を含むキットを提供する。
【0095】
一つの方面において、本出願は、USH2Aエクソン13の3’末端配列又はその断片に結合可能な核酸分子を発現及び/又は合成することができる、前記USH2Aエクソン13の3’末端配列のゲノム位置は、Chr1:216246563-216246753である、本出願に記載の核酸分子を調製するた方法を提供する。
【0096】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、USH2A pre-mRNAエクソン13の発現及び/又は機能を阻害する方法を提供する。例えば、USH2A pre-mRNAエクソン13の発現及び/又は機能を阻害するということは、成熟USH2A pre-mRNAにエクソン13の発現産物の領域が含まれないことを意味することができる。
【0097】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピング方法を提供する。
【0098】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、エクソン13を欠く成熟USH2A pre-mRNAを調製する方法を提供する。
【0099】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、エクソン13の発現産物を含んでもよいUsherinタンパク質のレベルを低下させる方法を提供する。
【0100】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、エクソン13の発現産物を含まなくてもよいUsherinタンパク質を調製する方法、及び/又はエクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の量を増加させる方法を提供する。例えば、本出願で調製されるUsherinタンパク質は、エキソン13により発現されるポリペプチド又はその変異体を含まない。
【0101】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載のウイルス粒子、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供することを含んでもよい、突然変異型Usherinタンパク質の機能を回復させる方法を提供する。例えば、エキソン13をスプライシングスキップングすることにより、本出願で調製されたUsherinタンパク質は、健康な対象体内の野生型Usherinタンパク質の機能を維持又は基本的に維持する。例えば、突然変異型Usherinタンパク質を発現している被験者では、網膜色素変性症、先天性変性神経性難聴、前庭機能障害、及びその他の疾患の症状が軽減される。
【0102】
一つの方面において、本出願は、医薬の調製における、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットの使用を提供し、前記医薬はUSH2A遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に使用される。例えば、前記疾患は、眼疾患及び/又は耳疾患を含んでもよい。例えば、前記疾患はUsher症候群を含んでもよい。例えば、前記疾患はII型Usher症候群を含んでもよい。
【0103】
一つの方面において、本出願は、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを投与することを含む、USH2A遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。例えば、前記疾患は、眼疾患及び/又は耳疾患を含んでもよい。例えば、前記疾患はUsher症候群を含んでもよい。例えば、前記疾患はII型Usher症候群を含んでもよい。
【0104】
一つの方面において、本出願は、USH2A遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患を予防及び/又は治療する、本出願に記載の核酸分子、本出願に記載のベクター、本出願に記載の細胞、本出願に記載の医薬組成物、及び/又は本出願に記載のキットを提供する。例えば、前記疾患は、眼疾患及び/又は耳疾患を含んでもよい。例えば、前記疾患はUsher症候群を含んでもよい。例えば、前記疾患はII型Usher症候群を含んでもよい。
【0105】
USH2Aは通常、Usherinンをコードする遺伝子を指す。USH2Aは1q41に位置し、ゲノム内で800kb以上にまたがり、大きな膜貫通タンパク質Usherinをコードし、網膜光受容細胞及び内耳有毛細胞の原形質膜に固定されており、繊毛の発達と維持に不可欠な成分である。網膜において、UsherinはUSH2複合体の重要な部分であり、光受容体の外節の安定化に役割を果たしていると考えられている。USH2Aは2個のサブタイプがあり、網膜細胞の主なサブタイプには72個のExonが含まれており、コード領域の長さは約15.6kbである。Usherinタンパク質の細胞外部分は、10個のLaminin EGF-like(LE)ドメインと35個のFibronectin type 3(FN3)ドメインを含む多くの反復ドメインを含む。ヒトUSH2Aエクソン13は長さ642bpであり、Usherinタンパク質中の10個のLEドメインのうちの4個であるアミノ酸723~936をコードする。
【0106】
USH2A遺伝子のエクソン13、エクソン50、及びイントロン40の突然変異は、Usher症候群を引き起こす。現在までに、USH2A遺伝子全体で1,000を超える病原性突然変異が同定されており、そのうちエクソン13はUSH2A遺伝子内で最も頻繁に突然変異するエクソンであり、約35%を占めている。USH2A遺伝子のエクソン13の突然変異は、c.2802T>G(p.Cys934Trp、中国の患者で頻度が最も高い突然変異)、c.2299delG(p.E767SfsX21、ヨーロッパとアメリカの患者で頻度が最も高い突然変異)、c.2276G>T(アミノ酸変化:p.C759F)、C.2522C>A(p.S841Y)、c.2242C>T(p.Gln748X)、c.2541C>A(C847X)、c.2761delC(Leu921fs)及びC.2776C>T(p.R926C)、C.2209C>T、C.2310delA、c.2391_2392deITG、c.2431A>T、C.2431_2432delAA、c.2440C>T、c.2525dup、C.2610C>A、C.2755C>T、C.2176T>C、C.2236C>G、c.2296T>C、C.2332G>Tを含む。
【0107】
USH2Aコード領域の長さは約15.6kbであり、現在の通常の遺伝子治療送達方法(例えば、組換えレンチウイルス、組換えアデノ随伴ウイルスなど)では、このような大きなコード配列をパッケージングすることが困難であるため、USH2Aの直接送達による治療は困難でなる。マウスUSH2Aエクソン12はヒトUSH2Aエクソン13と相同であり、両方とも長さは642bpであり、当該エクソンの除去によってその後のフレームシフト突然変異は引き起こされない。研究により、マウスUSH2Aのエクソン12がノックダウンされた後でも、Usherinは依然として正しく配置され、通常の機能を実行できることが示された。病原性突然変異を含むヒトUSH2Aエクソン13の場合、一連の方法を使用してスキッピングを誘導して治療することができる。
【0108】
CRISPR/CasシステムによるゲノムDNA編集は、エクソン13を直接削除するか、RNAスプライシング関連部位を破壊する。断片の除去の使用には、染色体の再配列、ウイルスの組込み、逆再組込みなどのリスクが伴い、並びに、CASシステムの長時間発現、又は比較的大きなゲノム背景に基づく2個のgRNA誘導性二重切断のオフターゲットの確率が高くなる。単一の塩基エディターを使用して、上記のスプライシング関連部位の主要な塩基を変更する方法により、エクソンスキッピングを促進される可能性もある。ただし、既存の単一塩基エディターは単一のAAVベクターを介してロードできない可能性があり、PAM、編集ウィンドウ、及び塩基変換タイプによって制限され、スプライシング関連部位の近くに適切なgRNAがない可能性がある。アンチセンスオリゴヌクレオチド(AONs、Antisense oligonucleotides)を使用して、pre-mRNAスプライシングを標的に阻害して、より高い効率でエクソンスキッピングを促進する。AONはエクソン13のスキッピングを促進すると同時に、エクソン12とエクソン13の同時スキッピングも促進し、一部のAON処理により、すべて二重スキップ読み取りが発生する可能性がある。エクソン12の全長は196bpであり、3の整数倍ではないため、欠失はフレームシフト突然変異を引き起こす。U7 snRNAでpre-mRNAスプライシングを標的に干渉して、AONよりもエクソンスキッピングの促進効率が高く、エクソン13の単一スキッピングの割合が増加し、安全性を確保しながら効率を有意に向上させる。本出願によって発見された効果、即ち、本出願の領域を標的とするsnRNA分子は、エクソンスキッピングの効率を促進する効果は同じ標的を有するAON分子よりも高いが、これは既知の先行技術では明らかではない。例えば、本分野のChr1:216247218-216247241を標的とするAON分子は、当該領域を標的とするsnRNA分子よりエクソンの効率を促進するスキッピング効果が有意に優れている。細胞内には核内低分子RNA(small nuclearRNA、snRNA)があり、これは真核生物の転写後プロセシング中のRNAスプライセオソーム(spliceosome)の主成分であり、snRNPタンパク質に結合することでmRNA前駆体のプロセシングに関与する。その長さは哺乳類では約100~215ヌクレオチドであり、Uが豊富であるため7個のカテゴリーに分けられ、U1~U7と番号が付けられる。修飾されたU7 SnRNAは、U7 snRNAの非標準的なSm結合部位を主なスプライセオソームU snRNPsに由来するコンセンサス配列で置き換え、U7 snRNAの5’領域のヒストン結合配列を修飾対象の遺伝子の相補配列に変更し、エキソンを標的としてエキソンのスプライシングスキッピングを誘導できる。
【0109】
いかなる理論によっても制限することを意図するものではないが、以下の実施例は、本出願のヌクレオチド、調製方法及び使用を説明するのみのものであり、本出願の発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0110】
実施例1
snRNAの合成
SnRNA骨格を合成した。野生型U7 snRNAは、ステムループ構造(scafford)、U7特異的Sm配列(AAUUUGUCUAG、配列番号2)、及び認識ドメイン(ヒストンpre-mRNAに相補的)を含む。本出願のU7 snRNAは、NCBI上のマウス野生型U7 snRNAの遺伝子配列(NCBI Reference Sequence:NR_024201.3)に基づく、U7特異的Sm結合部位(AATTTGTCTAG、配列番号3)は最適化されたコンセンサスSm配列、即ち、SmOPT(AATTTTTGGAG、配列番号4;又はAAUUUUUGGAG、配列番号5)で置換され、SmOPT配列の5’末端の元の認識ドメインは、USH2A pre-mRNAの特異的標的部位と逆相補的対の認識ドメインに代替され、SmOPT配列の3’末端はU7の元のステムループ構造配列(CAGGUUUUCUGACUUCGGUCGGAAAACCCCU、配列番号6)を保持する。
【0111】
図1は、本出願のU7-snRNAの構造と機能の模式図を示す。USH2A pre-mRNAエクソン13を標的として誘導するU7 snRNA認識ドメイン配列は、USH2A pre-mRNAイントロン12-エクソン13-イントロン13から選択される標的配列と逆相補的対になり、標的配列は、USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列標的領域から選択されることができる。snRNA認識ドメイン配列の好ましい長さは16bp以上であり、より好ましくは、18bp~40bpであり、さらに好ましくは、20bp~27bpである。
【0112】
具体的な操作過程:まず、全遺伝子合成により、遺伝子配列-U7-snRNA遺伝子発現カセット骨格(5’-マウスU7プロモーター-smOPT配列-U7-snRNA scafford-snRNA遺伝子特異的3’カセット-3’)を含むpUC57ベクターを合成した。2個のTye IIs型制限エンドヌクレアーゼ認識部位(例えば、BsaI、AarI、BsmBI等)をU7プロモーターとsmOPTの間に加えて、その後の切断、他の認識ドメイン配列の置換及び挿入を容易にした。snRNA遺伝子特異的な3’カセットは、マウスゲノム(GenBank:X54748.1)U7 snRNA遺伝子の3’末端の後ろに、「GTCTACAATGAAA(配列番号7)」の配列を含み、pre-snRNAのプロセシングに関与し、好ましくは、U7 snRNA遺伝子の3’末端の後ろの配列長は28~131bpの遺伝子断片であり、より好ましくは、配列長は106bpである。
【0113】
標的領域を標的としたU7 snRNAベクターの構築
表1AのsnRNA認識ドメイン配列に対応する転写前DNA配列に従って、対応するOligo DNAをそれぞれ合成した。Oligo DNAのセンス鎖は、認識ドメイン配列に相応するDNA配列であり、5’にCCGCAを加え、アンチセンス鎖は、認識ドメイン配列のアンチセンス相補配列の5’にAATTを加え、3’にTを加えた。例えば、認識ドメイン配列が5’-NNN-3’である場合、合成したOligo DNAセンス鎖は5’-CCGCANNN-3’であり、アンチセンス鎖5’-AATTNNNT-3’である。
【0114】
合成したOligo DNAセンス鎖とアンチセンス鎖をアニーリング反応系(総反応量20μl:Oligo-F(100μM)2μl+Oligo-R(100μM)2μl+10×NEB Cutter smart buffer 2μl+脱イオン水16μl)に従って混合し、95℃で5分間培養した後、氷上に置いて冷却させ、アニーリングして粘着末端を持つ二本鎖DNAを形成した。100倍に希釈した後、1μlを取り、10ngのBsaIによって酵素切断及び回収された線形化pUC57-U7 snRNA骨格プラスミドとT4リガーゼ連結を実行した。連結生成物をさらに、大腸菌コンピテントセルの形質転換、単一クローニング、PCR及び配列決定により、USH2Aエクソン13のスプライシングスキッピングを誘導するためのU7 snRNAベクターを得た。プラスミドを精製し、後で使用するために-20℃で保存した。
【0115】
AONの合成
表1BのUSH2A pre-mRNAエキソン13の標的領域に従って、当該領域に対応するアンチセンスオリゴヌクレオチドAONの配列を設計及び合成した。
【0116】
【表1A】
【0117】
【表1B】
【0118】
U7-snRNAの化学合成と修飾
オリゴヌクレオチドと同じように、U7 snRNAも直接化学合成によって、ガイド配列、smOPT及びU7 snRNA scafford含むRNAを生成することができる。インビトロで合成されたU7 snRNAは、特異的修飾によってヌクレアーゼ分解に耐えるようにすることも、標的配列への親和性を高めることもできた。
【0119】
本実施例は、U7 snRNAを化学合成し、ヌクレアーゼ耐性を高めるために5’末端と3’末端の3個の塩基をそれぞれ2’メトキシ(2’-OME)修飾及びチオ修飾を実行した。snRNA#25、snRNA#26を例として、化学合成されたsnRNAの配列と修飾は下記の通りである(*はホスホロチオエート骨格を表し、mは2’-メトキシ修飾を表し、下線は標的配列に逆相補的な認識ドメインを表し、斜体はsmOPT配列を表す。):
【0120】
【化1】
【0121】
本出願のU7 snRNAにおける1個又は2個以上のヌクレオチドは、2’-Oアルキル、2’-O-メトキシ、2’-O-メトキシエチルのうちの1個又は2個で修飾され、前記2’-Oアルキルは、2’-Oメチルで修飾される。snRNAのヌクレオチドに連結されるリン酸結合は、特異的なリン酸結合を介して連結されてもよく、前記特異的なリン酸結合は、チオホスフェート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスフェート結合、ホスホロアミダート結合(phosphoroamidate)、ボラノホスフェート(boranophosphate)結合、及びキラル結合リン(chiral linkage phosphorus)のうちの1個又は2個以上で構成される。幾つかの実施例において、snRNAの両側の1~10、6~80個のみ、又はすべてのヌクレオチドが修飾され、特異的なリン酸エステル結合で連結され、前記修飾は、1個又は2個以上の修飾の組み合わせであり、前記特異的なリン酸エステル結合は、1個又は2個以上のリン酸エステル結合の組み合わせである。幾つかの実施例において、前記化学合成されたU7 snRNAのすべてのヌクレオチドはチオホスフェート結合を介して互いに連結され、すべて2′-O-メトキシで修飾される。幾つかの実施例において、snRNの両側の3個のヌクレオチドのみがチオホスフェート結合を介して連結され、2′-O-メトキシで修飾される。化学的に合成され修飾されたU7 snRNAのいくつかの好ましい実施形態において、U7 snRNAの5’末端の最初のヌクレオチドは、好ましくは、アデニル酸(A)であり、認識ドメインの5’末端の最初のヌクレオチドがアデニル酸(A)ではない場合は、5’末端にアデニル酸(A)が連結される。化学的に合成され修飾されたU7 snRNAのいくつかの実施例において、認識ドメインと標的部位の逆相補的対において0~5個、好ましくは0~1個のミスマッチヌクレオチドが存在してもよい。認識ドメイン配列の好ましい長さは16bp以上であり、より好ましくは18bp~40bpであり、さらに好ましくは20bp~27bpである。化学的に合成され修飾されたU7 snRNAのいくつかの実施例において、認識ドメイン配列の長さは、標的配列の5’末端又は/及び3’末端に沿った逆相補的対形成を通じて延長することができ、好ましくは、延長後の単一認識ドメイン配列の長さは40bp以下である。幾つかの実施例において、好ましくは、化学合成されたsnRNA配列の全長は96bp以上である。幾つかの実施例において、好ましくは、化学合成されたsnRNAの両側の3~40個の塩基は修飾され、特異的なリン酸結合を介して結合される。
【0122】
実施例2
USH2Aエクソン13のスプライシングスキッピング効率を定量的に評価するためのレポーターベクター
RGleft-USH2A EXON13mut-RGright配列(5’末端及び3’末端にそれぞれAgeI及びEcoRIの制限部位を加える)は全遺伝子合成により得られ、合成配列、pX601プラスミド(Addgene、61591)を制限エンドヌクレアーゼAgeI及びEcoRIで消化し、電気泳動し、ゲルを回収し、連結し、合成した配列をpX601ベクターのAgeIとEcoRI制限部位の間に挿入し、元のベクターのSaCas9遺伝子配列を置き換えてレポーターベクターを得た。さらに、大腸菌コンピテントセルへの形質転換、単一クローニングの選択、PCR、及び配列決定を通じて、精製されたレポーターベクタープラスミドを得、後で使用するために-20℃で保存した。
【0123】
レポートベクターの構造:pCMV-RGleft-USH2A EXON13mut-RGright、RGは、レポーター遺伝子(reporter gene)を表し、RGleftは、レポーティング機能のないレポーター遺伝子の5’末端の前半を表し、RGrightは、レポーティング機能のないレポーター遺伝子の3’末端の後半を表し、RGleft及びRGrightのタンデム発現は、通常、完全なレポーター遺伝子として機能することができる。本発明の実施形態において、レポーター遺伝子は緑色蛍光遺伝子EGFPであるため、ベクター構造はpCMV-EGFPleft-Exon13mut-EGFPrightであった。EXON13mutは、病原性変異を含むUSH2Aエクソン13とその上流及び下流のイントロン配列(上流イントロン配列は、ヒトUSH2A遺伝子のイントロン12の5’末端の204bpと3’末端の490bpの遺伝子配列を組み合わせたものであり;下流のイントロン配列は、ヒトUSH2Aイントロン13の5’末端の703bpと3’末端の216bpの遺伝子配列を組み合わせたものである)を表す。本発明の実施例に記載のUSH2Aエキソン13における病原性突然変異は、c.2299delG若しくはc.2802T>G、又は任意選択の突然変異であり得、得られたベクターの構造は、それぞれpCMV-EGFPleft-Exon13c.2299delG-EGFPright、pCMV-EGFPleft-Exon13c.2802T>G-EGFPrightである。いくつかの実施例における突然変異は、また、c.2276G>T、C.2522C>A、c.2242C>T、c.2541C>A、c.2761delC及びC.2776C>T等であるか、それを含むものである。
【0124】
RGleft、例えば、EGFPleftの配列:
atggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaagttcagcgtgtccggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaagcagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgag(配列番号26)
【0125】
RGright、例えば、EGFPrightの配列:
gtgaagttcgagggcgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggaggacggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaacggcatcaaggtgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacacccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacgagaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtacaagtaa(配列番号27)
【0126】
実施例3
293T細胞を24時間後に細胞コンフルエンスが約80%に達するように24ウェルプレートに所定の量で播種した。Lipofectamine2000を使用して合成した100pmolのアンチセンスオリゴヌクレオチドAON#20、AON#24、AON#25、AON#31(合成されたAONのすべてのヌクレオシドモノマーは、2’-O-メトキシとホスホロチオエートで修飾される)を、それぞれレポータープラスミドpCMV-EGFPleft-Exon13mut-EGFPrightと同時に293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション後の細胞を続いて48~72時間培養し、トリプシンを使用して単一細胞に消化し、次に、フローサイトメトリーを使用して、異なるAON群のGFP陽性率(即ち、USH2A pre-mRNAエクソン13がスプライシングスキッピングするように誘導された細胞の比率)とGFP陽性細胞の平均FITC強度(即ち、GFP細胞における、USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピングの平均レベル)を検出し、下記の表2及び図2は、2個の領域を標的とするAONにより誘導されたUSH2Apre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効果を示す。実験結果は、3’末端領域を標的とするAONの効果が、#20領域などの他の領域を標的とするAONの効果よりも有意に優れていることを示す。
【0127】
【表2】
【0128】
実施例4
293T細胞を24時間後に細胞コンフルエンスが約80%に達するように24ウェルプレートに所定の量で播種した。Lipofectamine2000を使用してpCMV-EGFPleft-Exon13mut-EGFPright及びUSH2A pre-mRNAを標的とするpUC57-U7 snRNAプラスミドを293T細胞(ベクター質量比は100ng:400ngである)に同時にトランスフェクトし、レポータープラスミド単独でトランスフェクトした(Report、レポーター群)、レポータープラスミドとpUC57-U7 Scramble(SC群)で同時にトランスフェクトした293T細胞をそれぞれ2個の陰性対照とし、いかなるプラスミドでもトランスフェクトしない293T細胞をブランク対照として使用した。トランスフェクトされた細胞を続いて48~72時間培養し、トリプシンを使用して単一細胞に消化した後、フローサイトメトリーを使用して、異なるU7 snRNA群のGFP陽性率(即ち、USH2Aエクソン13がスプライシングスキッピングするように誘導された細胞の比率)を検出した。本実施例は、異なる実験群の平均FITC強度、即ち、GFP陽性細胞の平均FITC蛍光強度、並びにGFP陽性率、陽性細胞におけるGFPタンパク質の発現レベルを検出した。
【0129】
本実施例では、異なる標的部位のU7-snRNAにより誘導されたスプライススキッピング効率を比較した。下記の表3及び図3A~3Bは、異なる標的部位のU7 snRNAにより誘導された、レポーター細胞におけるUSH2Apre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効果を示す。結果は、USH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列を標的とするすべてのU7-snRNAがレポーター細胞においてUSH2Aエクソン13のスプライシングスキッピングを誘導することができ、US H2Aが高効率でスプライシングスキッピングを誘導することを示す。
【0130】
【表3】
【0131】
実施例5
化学合成されたsnRNAにより効率的に誘導されたUSH2A pre-mRNAエクソン13の単一スプライシングスキッピング
ヒト由来宿主細胞を24ウェルプレートに6×10/ウェルで播種し、本実施例で選択したヒト由来網膜神経細胞はWERI-Rb-1細胞(網膜神経細胞株)であった。Lipofectamine2000を使用してインビトロで合成した100pmolのU7-snRNA#24、#25、#26、#27、#28、#29、#30、#33、#34をWERI細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を72時間培養し、その後、各実験群の細胞のRNAを抽出し、逆転写してcDNAを得、プライマーAGCCTTTCCGCCAAGGTGATC(配列番号34)及びCACAACGTTGCCCAGCAATGG(配列番号35)を介してRT-PCR実験を実行し、成熟USH2A mRNAのエクソンスプライシングスキッピングを検出し、電気泳動の結果は図7に示された通りである。結果により、U7-snRNA#24~34は、いずれもエクソン13のスプライシングスキッピングを効率的に誘導することができ、エクソン13とエクソン12の共スプライシングスキッピングはほとんどなく、3’末端領域を標的とするU7 snRNAは、USH2A pre-mRNAエクソン13の単一スプライシングスキッピングを効率的に誘導することができ、高い安全性を有することが分かる。
【0132】
実施例6
異なる標的部位のU7-snRNAの組み合わせによって媒介されるUSH2Aエクソン13のスプライシングスキッピング効果
U7-snRNAマルチ標的組み合わせベクターを構築した。Golden Gate Assembly技術に従って、異なるU7 snRNAプラスミドをテンプレートとして使用し、PCRでU7 snRNA cassette(発現カセット)を増幅すると同時に、プライマーを介してアンプリコンの両端に追加の5’フランキング塩基と正しい方向のBsaI酵素切断部位を導入して、隣接する異なるU7 snRNA cassetteがBsaIによって消化され、特定の相補的な粘着末端を生成し、頭部及び尾部のU7 snRNA cassetteをBsaIにより消化して、HindIII+NotIによって消化された線状骨格ベクターと同じ粘着末端を生成した。最後にNEB(登録商標) Golden Gate Assembly Kit(BsaI-HF(登録商標)v2)(NEB#E1601)を使用して上記のPCR産物と、HindIII+NotI消化によって回収されたpUC57-U7 snRNA Backboneを組み立てた。組み立て方法:pUC57-U7 snRNA 骨格(Backbone)-HindIII+NotI、80ng;U7 snRNA#A カセット(cassette) PCR 生成物、20ng;U7 snRNA#B カセット PCR 生成物、20ng;U7 snRNA#C カセット PCR 生成物、20ng;T4 DNA Ligase Buffer (10X)、2μl;NEB Golden Gate Assembly Mix、1μl;反応過程:(37℃、5min→16℃、5min)×20→60℃、5min。
【0133】
Golden Gate Assemblyアセンブリ生成物を大腸菌コンピテントセルの形質転換、単一クローンの選択、PCR及びシークエンシングによってさらに同定して、USH2Aエクソン13のスプライシングスキッピングを誘導するためのU7 snRNAマルチ標的組み合わせベクターを得た。プラスミドを精製し、後で使用するために-20℃で保存した。構築されたベクターを、例えば、pUC57-U7 snRNA#A+U7 snRNA#B+U7 snRNA#Cと命名した。
【0134】
異なる標的部位のU7-snRNAの組み合わせは、USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピングをより効率的に誘導した。293T細胞を24時間後に細胞コンフルエンスが約80%に達するように24ウェルプレートに所定の量で播種した。Lipofectamine2000を使用して、pCMV-EGFPleft-Exon13mut-EGFPrightをそれぞれ異なる標的のU7 snRNA組み合わせプラスミド又は単一ターゲットプラスミドと293T細胞に同時トランスフェクトし、レポータープラスミド(Report、レポーター群)単独でトランスフェクトした、レポータープラスミドとpUC57-U7 Scramble(SC群)で同時にトランスフェクトした293T細胞をそれぞれ2個の陰性対照とし、いかなるプラスミドもトランスフェクトしない293T細胞をブランク対照として使用した。トランスフェクトされた細胞を続いて48~72時間培養し、トリプシンを使用して単一細胞に消化した後、フローサイトメーターを使用して、異なるsnRNA群のGFP陽性率を検出した。下記の表4及び図4A~4Bは、異なる標的部位を標的とするU7-snRNAの組み合わせにより誘導されたUSH2Apre-mRNAエキソン13のスプライシングスキッピング効率を示す。
【0135】
本実施例では、異なる標的部位を標的とするU7-snRNAを組み合わせて使用することにより、レポーター遺伝子細胞におけるUSH2Aエクソン13のスプライシングスキッピングの誘導効率を向上できることが分かった。本実施例における異なる標的の組み合わせにより誘発されたスプライシングスキッピング効率は、単一標的の場合よりも高く、USH2Aのエキソン13の既知のスプライシングスキッピング技術よりも優れている可能性がある。
【0136】
【表4】
【0137】
本出願の異なる標的部位のU7-snRNAの組み合わせのうち、1個のsnRNAは、本出願のUSH2A pre-mRNAエクソン13の3’末端配列又はその断片を標的にすることができ、もう1個又は複数のsnRNAは、USH2A pre-mRNAのイントロ12-エクソン13-イントロン13の配列又はその断片を標的にすることができ、例えば、U7-snRNAの認識ドメイン配列は、USH2Apre-mRNAのイントロン12、エクソン13、又はイントロン13の標的配列に逆相補的であり、好ましくは、エクソン13及び両側の標的隣接領域(chr1:216246563-216247246に対応するpre-mRNA領域)から選択される。異なる標的部位のU7-snRNAの組み合わせは、標的配列がまったく同じではない2個又は2個以上のU7-snRNAの組み合わせである。
【0138】
実施例7
WERI細胞における、化学合成されたU7 snRNAの組み合わせにより誘導されたUSH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピング
ヒト由来宿主細胞を24ウェルプレートに6×10/ウェルで播種し、本実施例ではWERI-Rb-1細胞株を使用した。Lipofectamine2000を使用してインビトロで合成した50pmolのsnRNA組み合わせ1(U7-snRNA#30及びU7-snRNA#4)、組み合わせ2(U7-snRNA#26及びU7-snRNA#16)をWERI細胞にそれぞれトランスフェクトし、同じ用量(50pmol)のアンチセンスオリゴヌクレオチドAON1(5′-MA*MG*MC*MU*MU*MC*MG*MG*MA*MG*MA*MA*MA*MU*MU*MU*MA*MA*MA*MU*MC*-3′、「M」は2′-O-メトキシ修飾を示し、「*」はホスホロチオエートを示す)及びAON2(5′-MU*MG*MA*MU*MC*MA*MC*MA*MC*MC*MU*MA*MA*MG*MC*MC*MC*MU*MA*MA*MA*-3′、「M」は2′-O-メトキシ修飾を示し、「*」はホスホロチオエートを示す)を対照群としてトランスフェクトし、1μgのEGFPプラスミドをトランスフェクトして陰性対照とし、いかなるプラスミドもトランスフェクトしないWERI細胞をブランク対照として使用した。トランスフェクトされた細胞を続いて72時間培養し、その後、各実験群の細胞のRNAを抽出し、逆転写してcDNAを得、プライマーAGCCTTTCCGCCAAGGTGATC(配列番号34)及びCACAACGTTGCCCAGCAATGG(配列番号35)を使用してRT-PCR実験を実行し、成熟USH2A mRNAエクソンにスプライシングスキッピングがあるか否かを検出し、電気泳動の結果は図8Aに示された通りである。rt-PCR電気泳動バンドをImageJソフトウェアによりさらに定量的に分析し、図8Bに示されるように、エクソン13をスプライシングスキッピングする、又はエクソン12及び13をスプライシングスキッピングする成熟USH2A mRNAの比率について統計及び分析を実行した。
【0139】
Usherinタンパク質を内因的に発現するWERI細胞において、異なる標的部位U7 snRNAの組み合わせにより誘導されたUSH2A pre-mRNAエクソン13スプライシングスキッピング効果を、既存技術の好ましいAON技術解決策と比較し、RT-PCR試験データと分析結果から、snRNA組み合わせ1とsnRNA組み合わせ2により誘導されたエクソン13の単一スプライシングスキッピング効果は、従来の最適な技術解決策AON1及びAON2よりも有意に優れ、SnRNA組み合わせ1及びsnRNA組み合わせ2により誘導されたエクソン12及び13の二重スプライシングスキッピングmRNAが、合計スプライシングスキッピングmRNAに占める比率はAON1及びAON2より低いことが分かる。従って、U7 snRNAが二重スキッピングUSH2A mRNA副産物の低減を確保しながら、エキソン13の単一スプライシングスキッピングの効率を有意に向上させることが確認できる。
【0140】
さらに、snRNA組み合わせ2は、従来技術のエクソン12及び13に隣接する二重スプライシングスキッピングの確率が非常に高いAON部位を標的とするが、snRNA組み合わせ2は、二重スプライシングスキッピングの確率が非常に低い。
【0141】
実施例8
スプライシング制御タンパク質を動員するモチーフを備えたU7 snRNAのスプライシングスキッピング効果
hnRNP A1結合モチーフに連結されたU7 snRNAを構築した。表中の配列に対応する転写前DNA配列に従って、対応するOligo DNAをそれぞれ合成した。Oligo DNAのセンス鎖は、標的配列の逆相補配列(認識ドメイン配列に相当するDNA配列)であり、5’にCCGCAATATGATAGGGACTTAGGGTG(配列番号28)を加え、アンチセンス鎖は標的配列の5’にAATTを加え、更に3’にCACCCTAAGTCCCTATCATATT(配列番号29)を加えた。例えば、認識ドメイン配列はNNN(認識ドメインの長さは、16個のヌクレオチドより長いことが好ましい。)であり、
【0142】
【化2】
【0143】
合成したOligo DNAセンス鎖とアンチセンス鎖をアニーリング反応系(総反応量20μl:Oligo-F(100μM)2μl+Oligo-R(100μM)2μl+10×NEB Cutter smart buffer 2μl+脱イオン水16μl)に従って混合し、95℃で5分間培養した後、氷上に置いて冷却させ、アニーリングして粘着末端を持つ二本鎖DNAを形成した。100倍に希釈した後、1μlを取り、10ngのBsaIで消化し、回収した線状化pUC57-U7 snRNA backboneプラスミドを連結させた。さらに、大腸菌コンピテントセルの形質転換、単一クローニング、PCR及び配列決定により、USH2Aエクソン13スプライシングジャンプングを誘導するためのhnRNP A1結合モチーフを含むU7-snRNAベクターを得、ベクターをpUC57-U7-hnRNP A1-snRNA#Aと名付けた。プラスミドを精製し、後で使用するために-20℃で保存した。図5は、hnRNP A1を含むsnRNAベクターの模式図を示す。
【0144】
U7-hnRNP A1-snRNAは、本出願の実施例に記載の方法に従って化学合成及び修飾することもできる。snRNA#25を例に挙げると、化学合成されたU7-hnRNP A1-snRNA配列と修飾は下記の通りである(*はホスホロチオエート骨格を示し、mは2’-メトキシ修飾を示し、下線は標的配列に逆相補的な認識ドメインを示し、斜体はsmOPT配列を示し、太字はhnRNP A1タンパク質結合モチーフを示す):
【0145】
【化3】
【0146】
hnRNP A1結合モチーフに連結されたU7 snRNAは、レポーター遺伝子細胞においてUSH2Aエクソン13のスプライシングスキッピングを誘導した。293Tを24時間後に細胞コンフルエンスが約80%に達するように24ウェルプレートに所定の量で播種した。Lipofectamine2000を使用して、pCMV-EGFPleft-Exon13mut-EGFPrightをそれぞれpUC57-U7-hnRNP A1-snRNAプラスミド、pUC57-U7 snRNAプラスミドと293T細胞(ベクター質量比は100ng:400ngである)に同時にトランスフェクトし、レポータープラスミド単独でトランスフェクトした(レポーター群)、レポータープラスミド及びpUC57-U7 Scramble(SC群)で同時にトランスフェクトした293T細胞を、それぞれ2個の陰性対照として使用し、いかなるプラスミドもトランスフェクトしていない293T細胞をブランク対照として使用した。トランスフェクトされた細胞を続いて48~72時間培養し、トリプシンを使用して単一細胞に消化した後、フローサイトメーターを使用して、異なるsnRNA群により誘導されたスプライシングジャンプング効率を検出した。下記の表5及び図6A~6Bは、U7-hnRNP A1-snRNAUSH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピング効率を示す。
【0147】
データにより、U7-snRNAの5’末端へのhnRNP A1結合モチーフの導入は、USH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングジャンプングを誘導する効果を有意に改善することができ、エキソン13のスプライシングジャンプングを持つ細胞(GFP+)の比率を増加させるだけではなく、各細胞内のスプライススキッピングのエクソンmRNAのレベル(平均FITC強度)も増加させることが分かる。同時に、hnRNP A1結合モチーフをU7 snRNA#25に導入すると、平均FITC強度が3.25倍増加し、スプライシングスキッピング誘導効率を有意に向上させる。
【0148】
【表5】
【0149】
本実施例はU7-snRNAの5’末端に遊離テールを導入し、前記遊離テール配列はhnRNP A1タンパク質の結合モチーフ配列「UAGGGU」を含み、前記遊離テール配列は1個、2個、又は2個以上のhnRNP A1タンパク質結合モチーフを含んでもよく、好ましくは、2個であり、遊離テール配列は、好ましくは、
【0150】
【化4】

であり、hnRNP A1タンパク質を動員してUSH2Aエクソン13のスプライシングジャンプングを促進でき、エクソン12とエクソン13の二重スキッピングは増加せず、その他の標的特異性に影響を与えず、標的離脱効果を誘発又は増加させない。例えば、本出願に記載のUSH2Aエクソン12は、ヒトUSH2Aエクソン12である。例えば、本出願に記載のUSH2Aエクソン13は、ヒトUSH2Aエクソン13である。
【0151】
いくつかの実施形態において、前記U7 snRNAの5’末端に導入された遊離テールは、スプライシング調節タンパク質をリクルートできるモチーフであり、前記スプライシング調節タンパク質は、hnRNP A1(Heterogeneous Nuclear Ribonucleoprotein A1)、SRSF1(Serine And Arginine Rich Splicing Factor 1)、RBM4 (RNA Binding Motif Protein 4)、DAZAP1 (DAZ Associated Protein 1)、SR (Serine And Arginine-Rich Protein)等である。
【0152】
実施例9
USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングスキッピングの誘導を標的としたAAV-U7 snRNA関連プラスミドベクターの構築とウイルスパッケージング
本実施例はUSH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングジャンプングを標的として誘導するU7-snRNA遺伝子を挿入し、pAAV-CMVベクターの2個のITRドメインの中央の遺伝子配列を置き換え、pAAV-U7 snRNAベクターを構築し、AAVパッケージングプラスミド:血清型pRCプラスミド(AAV2のRep遺伝子と各血清型のそれぞれのCap遺伝子を含む)、pHelperプラスミド(アデノウイルスのE2A、E4、及びVA遺伝子を含むベクタープラスミド)を宿主細胞に同時トランスフェクトし、パッケージしてUSH2A pre-mRNAエキソン13のスプライシングジャンプングを標的とするAAV-U7 snRNAウイルスを得た。具体的な操作プロセスは下記の通りである:
【0153】
まず、全遺伝子合成により遺伝子配列-U7-snRNA遺伝子発現カセット骨格(認識ドメインを含まない):5’-マウスU7プロモーター-smOPT配列-U7-snRNA scafford-snRNA遺伝子特異的3’カセット-3’を合成した。ここで、U7プロモーターとsmOPTの間に2個のTpye IIs型制限エンドヌクレアーゼ認識部位(例えば、BsaI、AarI、BsmBI等)を加えて、その後の切断、他の認識ドメイン配列の置換及び挿入を容易にした。全遺伝子合成配列を、pAAV-CMVプラスミド(AAVpro(登録商標) Helper Free System(AAV5)キット、TAKARA社、Code No.:6650)の2個のAAV2-ITRドメイン間に挿入及び置換して、pAAV-U7-snRNA骨格ベクターを得た。
【0154】
U7-snRNA遺伝子発現カセット骨格(認識ドメインは含まない)(配列番号33):
AAGCTTAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAgagaccaatgtgggtctcgAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGCGGCCGC
【0155】
上記実施例に記載の方法に従い、本出願のsnRNA認識ドメイン配列又は認識ドメイン配列のタンデム組み合わせに対応する転写前DNA配列に従って、それぞれ対応するOligo DNAセンス鎖及びアンチセンス鎖を合成し、Tpye IIs型制限エンドヌクレアーゼ認識部位によって切断されるものと同様の粘着末端を両端に加えた。アニーリングして粘着末端を持つ認識ドメイン(単一/タンデム)二本鎖DNAを形成し、T4リガーゼを対応するTpye IIs型制限エンドヌクレアーゼで消化した線状化pAAV-U7-snRNA骨格プラスミドでに連結させて、USH2A pre-mRNAエクソン13の特異的部位のスプライシングジャンプングを標的として誘導するpAAV-U7-snRNAプラスミドの形成し、pAAV-U7 snRNA#25など、認識ドメイン配列に対応するsnRNA番号に従って名前を付けた。
【0156】
標的遺伝子(USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングジャンプングを標的として誘導するU7-snRNA遺伝子発現カセット)を挿入し、pAAV-CMVプラスミドのAAV2-ITRドメイン間の遺伝子配列を置き換えた後、pAAV-U7 snRNAプラスミドベクターを得た。AAVpro(登録商標) Helper Free System(AAV5)キット説明書及び標準的な細胞操作手順に従って、USH2A pre-mRNAエクソン13のスプライシングジャンプングを標的として誘導するAAV-U7-snRNAウイルスをパッケージして得た。
【0157】
トランスフェクションの24時間前に、HEK293/293T細胞を100mm細胞培養皿に播種し、培地は10%FBSを含むDMEM培地であり、コンフルエンスが80%~90%に達したときにトランスフェクションを実行した。トランスフェクションの3時間前に、古い培地を廃棄し、新しい培地に交換した。トランスフェクションの際に、同時に下記の表の系に従ってpAAV-U7 snRNAプラスミド、pRCプラスミド、pHelperプラスミド、及びPEI(ポリエチレンイミン)トランスフェクション試薬を調製し、培養皿に滴加した。PEIトランスフェクション混合物を加えた後、培養皿を軽く振ってトランスフェクション試薬を均一に分散させ、培地を37℃、5%COインキュベーターで培養した。
【0158】
PEIトランスフェクション系:pAAVプラスミド(1μg/μl)、6μL;pRC1/2/5/6プラスミド(1μg/μl);(pRCプラスミドキャプシド遺伝子が血清型を決定する)、6μL;pHelperプラスミド(1μg/μl)、6μL;無血清DMEM培地、500μL;PEI(1mg/mL)、110μL、処理方法:数回ボルテックスして混合し、室温で5分間培養した。
【0159】
トランスフェクションの24時間後、新鮮な2%FBSのDMEM培地に交換した。トランスフェクションの48~72時間後、AAVウイルスを含む細胞を収集し、洗浄し、遠心分離し、細胞ペレットを収集し、ボルテックスして細胞ペレットをほぐした。続いて、AAVpro(登録商標) Helper Free System(AAV5)キット説明書に従って、細胞ペレットに0.5mLのAAV Extraction Solution Aを加え、15秒間ボルテックスして細胞ペレットを完全に懸濁させた。室温で5分間放置した後、更に15秒間ボルテックスした。4℃、2000~14000gで10分間遠心分離し、細胞破片を除去した。上清を新しい滅菌遠心チューブに収集し、50μLのAAV抽出溶液Bを加え、ピペットを使用して均一に混合し、異なる認識ドメインを持つAAV -U7 snRNAウイルス溶液を得、一部を取ってqPCRを使用してウイルス力価を検出し、後で使用するために80℃で保管した。
【0160】
pAAV-U7-snRNAプラスミドのAAV2-ITRドメイン間に挿入される標的遺伝子断片は2.5kb未満ではなければならないため、複数のU7-snRNA遺伝子発現カセット(5’-マウスU7プロモーター認識ドメイン-smOPT配列、snRNA遺伝子特異的3’カセット-3’)を挿入することにより、同じ数のAAVウイルス粒子を確保しながらU7-snRNAの発現レベルを増加させ、遺伝子配列の長さは約450bpであり、好ましくは、pAAV-U7-snRNAプラスミドは1~5個のU7-snRNA遺伝子発現カセットを担持し、前記pAAV-U7-snRNAプラスミド内の複数のU7-snRNA遺伝子発現カセットは、同じ認識ドメイン又は認識ドメインの組み合わせを有するものであってもよく、異なる又は同一でない認識ドメインの組み合わせを有するものであってもよい。
【0161】
本出願では、AAVを使用してU7 snRNAを送達して、USH2A pre-mRNAエクソン13スプライシングスキッピングを誘導し、前記AAVのキャプシドタンパク質は、天然由来のものであっても、天然由来のキャプシドタンパク質の変異体、指向性進化、又はアミノ酸/ペプチドの合理的修飾(コドン最適化、異なる血清型の機能ペプチドセグメントのキメリズム等)によるものであってもよく、組織及び器官の指向性、免疫原性、トランスフェクション効率を向上させ、例えば、AAV2.5、AAV2i8、AAV-TT、AAV9.HR、CAM130等である。前記天然由来のAAVキャプシドタンパク質は、動物由来であっても、植物由来であってもよく、前記動物由来のAAVウイルスのキャプシドタンパク質はヒト由来(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8及びAAV9等)であってもよく、非ヒト霊長類由来(例えば、AAVrh.8、AAVrh.10及びAAVrh.43)であってもよく、マウス、ブタなどの脊椎動物由来であってもよく、昆虫由来であってもよい。本発明のAAVプラスミド系において、例えば、AAV ITR血清型はRep遺伝子血清型と一致する必要があるが、Cap遺伝子血清型とは一致しなくてもよい。
【0162】
前述の詳細な説明は、説明及び例として提供されたものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書に記載の実施形態に対する様々な修正は当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にとどまる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
【配列表】
2025500685000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に特異的に結合する能力を有し、前記USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列に対応するゲノム位置はChr1:216246563-216246753である;又は、
配列番号1に示される配列又はその断片に特異的に結合する能力を有する、
核酸分子。
【請求項2】
配列番号1に示される配列中の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドに相補的である
又は、配列番号1に示される配列、又はその相補配列の16個又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含む;
又は、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な少なくとも16個のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の核酸分子であって、
好ましくは、前記核酸分子は、USH2A pre-mRNAエキソン13の3’末端配列又はその断片に相補的な22個~27個のヌクレオチドを含み、
より好ましくは、前記核酸分子は、少なくとも60個のヌクレオチドを含む、
請求項に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記核酸分子は、Chr1:216246603-216246626、Chr1:216246598-216246621、Chr1:216246598-216246624、Chr1:216246594-216246617、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246591、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246570-216246593、Chr1:216246570-216246596、Chr1:216246567-216246590、及びChr1:216246563-216246586のうちいずれか1つのゲノムの位置に相応するpre-mRNA配列に相補的な配列を含み、
好ましくは、前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか1つに相補的な配列を含む;
又は、前記核酸分子は、配列番号10~21のいずれか1つに示される配列を含む、
請求項1又は請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記核酸分子は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含み、
好ましくは、
前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-アルキル、2’-O-メトキシ及び/又は2’-O-メトキシエチルからなる群より選択される修飾を含む;
及び/又は、前記核酸分子の5’末端及び/又は3’末端は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含む;
及び/又は、前記核酸分子は、6’-修飾された二環式ヌクレオシド、5’-修飾された二環式ヌクレオシド、6’-二置換の二環式ヌクレオシド、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体及び/又は2’-デオキシ2’-フルオロ-β-D-アラビノースヌクレオチド(2’-FANA修飾されたヌクレオチド)からなる群より選択されるヌクレオチド又はヌクレオチド類似体モノマーを含む;
及び/又は、前記核酸分子は、修飾されたリン酸結合を含む、
より好ましくは、
前記修飾されたヌクレオチドは、2’-O-メチル及び/又は2’-O-エチルからなる群より選択される修飾を含む;
及び/又は、前記核酸分子の5’末端及び/又は3’末端は、1個~3個の修飾されたヌクレオチドを含む;
及び/又は、前記核酸分子の5’末端及び/又は3’末端は、1個~3個の修飾されたリン酸結合を含む;
及び/又は、前記修飾されたリン酸結合は、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスフェート結合、ホスホロアミダート結合、及び/又はボラノホスフェート結合からなる群より選択されるものを含む;
及び/又は、前記核酸分子は、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アルキルホスホネート、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキレンホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミダート、アミノアルキルホスホロアミダート、チオホスホロアミダート、チオカルボニルアルキルホスホネート、チオカルボニルアルキルホスホトリエステル、ホスホロチオエート、セレノホスフェート、ボラノホスフェート、ホスホジエステル結合、Rp-ホスホロチオエート結合、Sp-ホスホロチオエート結合、ボラノホスフェート結合、メチレン結合(メチルイミノ)、アミド結合(3’-CH -CO-NH-5’、3’-CH -NH-CO)-5’)、メチルホスホネート結合及び/又は3’-チオメチラール結合(3’S-CH -O5’)からなる群より選択される化学結合により連結される、
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記核酸分子は、DNA及び/又はRNAを含む
及び/又は、前記核酸分子は、一本鎖又は二本鎖である;
及び/又は、前記核酸分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)、shRNA、siRNA、miRNA、核内低分子RNA(Small Nuclear RNA)及び/又はアプタマー(aptamer)を含む;
好ましくは、前記核内低分子RNAは、U1核内低分子RNA及び/又はU7核内低分子RNAを含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記核酸分子は、ステムループドメイン又はその誘導体構造を含む
及び/又は、前記核酸分子は、smタンパク質に結合可能なドメイン又はその誘導体構造を含む;
好ましくは、
前記ステムループドメインは、配列番号6に示される配列を含む;
及び/又は、前記smタンパク質に結合可能なドメインは、配列番号5に示される配列を含む
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記核酸分子は、スプライシング調節タンパク質に結合可能なドメインを含む
好ましくは、前記核酸分子は、SRSF1(Serine And Arginine Rich Splicing Factor 1)、RBM4(RNA Binding Motif Protein 4)、DAZAP1(DAZ Associated Protein 1)、SR(Serine And Arginine-Rich Protein)、及びhnRNP A1タンパク質からなる群より選択されるタンパク質に結合可能なドメインを含む;
より好ましくは、前記hnRNP A1タンパク質に結合可能なドメインは、配列番号30に示される配列を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び任意選択で発現制御エレメントを含むか或いはコードする遺伝子発現カセット。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子のヌクレオチド配列、及び/又は請求項に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列を含むか或いはコードするベクター又はウイルス粒子であって、前記ウイルス粒子は前記核酸分子のヌクレオチド配列、前記遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、及び/又は前記ベクターを含む、ベクター又はウイルス粒子
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、又は請求項に記載のベクター若しくはウイルス粒子含む細胞。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、請求項に記載のベクター若しくはウイルス粒子、及び/又は請求項10に記載の細胞、並びに任意選択薬学的許容される担体を含む医薬組成物であって、
好ましくは、前記医薬組成物は、前記核酸分子を含む第1担体と、USH2A pre-mRNAエキソン13及びその両側領域又はその断片に特異的に結合する能力を有する核酸分子を含む第2担体とを含み、
より好ましくは、前記USH2A pre-mRNAエクソン13の両側領域は、USH2A pre-mRNAイントロン12及び/又はイントロン13を含む、
医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項に記載の遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、請求項に記載のベクター若しくはウイルス粒子、請求項10に記載の細胞、及び/又は請求項11に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項13】
USH2Aエクソン13の3’末端配列又はその断片に結合可能な前記核酸分子を発現及び/又は合成することを含み、前記USH2Aエクソン13の3’末端配列のゲノム位置はChr1:216246563-216246753である、請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子を調製する方法。
【請求項14】
(1)USH2A pre-mRNAエキソン13の発現及び/又は機能を阻害する方法;又は
(2)USH2A pre-mRNAのエクソン13をスプライシングスキッピングする方法;又は
(3)エクソン13を欠損した成熟USH2A mRNAの調製方法;又は
(4)エクソン13の発現産物を含むUsherinタンパク質のレベルを低下させる方法
における使用のための、請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項に記載のベクター、請求項10に記載の細胞、請求項11に記載の医薬組成物、及び/又は請求項12に記載のキット。
【請求項15】
(1)エクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の調製方法、及び/又はエクソン13の発現産物を含まないUsherinタンパク質の量を増加させる方法における使用;又は
(2)突然変異型Usherinタンパク質の機能を回復する方法における使用;又は
(3)治療剤としての使用;又は
(4)USH2A遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療における使用、ここで前記疾患は好ましくは眼疾患及び/又は耳疾患を含む、
のための、請求項1~のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項に記載のベクター若しくはウイルス粒子、請求項10に記載の細胞、請求項11に記載の医薬組成物、及び/又は請求項12に記載のキット。
【国際調査報告】