(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
H02B 13/065 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
H02B13/065 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533106
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2022019981
(87)【国際公開番号】W WO2023106873
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0175761
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049121
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524208216
【氏名又は名称】チェ、スング・キル
(71)【出願人】
【識別番号】524208227
【氏名又は名称】チェ、ジュン・ソン
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スング・キル
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジュン・ソン
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA21
5G017BB01
5G017BB02
5G017BB03
5G017EE01
(57)【要約】
本発明は、電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムに関し、本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、電力用開閉器を構成する従来の絶縁体の内部に円形、角形及びピン型の構造で含浸されるか、あるいは別途に外部に分離脱着が可能な電極センサモジュールの形態で設置され、電力用開閉器の主接点の位置移動時に誘起される静電電圧を検出する電極センサと、前記電極センサから入力される電圧値に基づいて、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を同時に演算及び表示し、演算した出力値が所定の動作特性限界範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含むことを構成的特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力用開閉器において、1次側導体の外部に設置され、電力用開閉器の主接点開閉動作時に誘起される静電電圧を検出する静電容量型電極センサと、
前記静電容量型電極センサから入力される静電電圧に基づいて、各相毎の動作特性を診断し、所定の動作特性安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含む、
電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項2】
電力用開閉器の主接点が開閉動作をする場合に、電力用開閉器の電極センサの相対的な内部静電容量の変動により発生する分圧特性に応じて電極センサに誘起される電圧が変化することを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項3】
前記静電容量型電極センサが、1次側導体と電極センサ間、電極センサと接地電極間に順次電気的に形成される静電容量(C1,C2)の合成回路で構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項4】
前記静電容量型電極センサは、非接触方式であり、
遮断器部と3端子開閉器部間、及び3端子開閉器部と母線部間の絶縁隔壁スペーサの内部空間で絶縁体の内部に含浸された円形、角形及びピン型の電極センサの形態で構成されるか、
遮断器部のエポキシ絶縁体ハウジングの内部及び外部に円形、角形及びピン型の電極センサの形態で構成されるか、
前記絶縁隔壁スペーサ及び絶縁体の外部に分離脱着可能な電極センサモジュールの形態で構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項5】
前記静電容量型電極センサに基づいて診断される動作特性が、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項6】
前記統合モニタリング手段は、計器用変圧器(PT)2次電圧、制御電源、コイル電流、モータ電流、電力用開閉器の補助接点信号を含む操作及び制御信号を操作制御盤から受信することを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項7】
前記統合モニタリング手段が、
計器用変圧器(potential transformer;PT)及び電極センサから入力される信号を電圧値に変換する入力変換部と、
前記入力変換部に接続され、前記入力変換部から受信した電圧値をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータに接続され、A/Dコンバータを介して入力されるデジタル信号に基づいて各相のスイッチング装置の開閉動作を診断する中央演算制御部と、
前記中央演算制御部に接続され、中央演算制御部で診断したスイッチング装置の開閉状態が所定の安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠(locking)のための制御信号を出力する制御信号発生部と、
前記中央演算制御部に接続され、中央演算制御部で診断したスイッチング装置の開閉状態をデジタルで表示するディスプレイ部と、
前記中央演算制御部に接続され、作動モードまたは安全な真空度の範囲を設定するキー入力部と、
前記統合モニタリング手段内に備えられ、外部の電源から統合モニタリング手段の作動に必要な電源を供給する電源供給部とを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項8】
前記統合モニタリング手段が、
前記中央演算制御部に接続され、遠隔地の外部コンピュータとの通信を可能にし、遠隔地の外部コンピュータにより電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を含む動作特性をモニタリングできるようにする通信モジュールをさらに含むことを特徴とする、
請求項7に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【請求項9】
前記電力用開閉器が、接点を用いた開閉方式を有する、ガス絶縁開閉装置、固体絶縁開閉装置、遮断器、負荷開閉器、自動切替スイッチ、自動故障区間開閉器、自動負荷切替開閉器、接地開閉器、断路器を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電力用開閉器の動作特性モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムに関し、詳細には、使用中に開閉及び遮断性能を常に保証できるように、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの開閉時の動作特性をリアルタイムで監視することにより、遠隔地でもモニタリング及び制御を行うことができ、動作特性値の急激な変化の発生を検知することにより、外部に出力信号を送信することができる、電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力用開閉器とは、発電所で生産された電力を需要家まで効率的かつ高い信頼性で連係、配分するために、電気回路を形成、変更、開閉及び遮断する装置を意味し、単一使用目的のために用いられる一般開閉器(Switch)と、複数の開閉器で回路が形成され、システムが複合的な機能を有する開閉装置(Switchgear)に大別される。
【0003】
一般開閉器とは、送電系統や配電系統などの電気を供給する電力系統において、線路の点検または負荷の点検のために、点検区間の負荷電流を開閉して電力供給を遮断するものであって、点検完了後に、負荷電流を安定して再供給するための電力機器を意味し、使用目的に応じて、遮断器(CB;Circuit Breaker)、負荷開閉器(LBS;Load Breaker Switch)、自動切替スイッチ(ATS;Automatic Transfer Switch)、自動故障区間開閉器(ASS;Automatic Section Switch)、自動負荷切替開閉器(ALTS;Automatic Load Transfer Switch)、接地開閉器(ES;Earth Switch)、断路器(Disconnect Switch)などに分けられる。
【0004】
一般開閉器は、絶縁方式によってガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear;GIS)と固体絶縁開閉装置(Solid Insulated Switchgear)に分けられ、設置場所によって架空線路の開閉のために電柱に設置される形式の架空開閉器と、地中ケーブルの開閉のために接地金属箱に内蔵されて設置される地中開閉器に分けられる。現在、架空開閉器としては、地球温暖化を防止するために導入されたモールド型固体絶縁開閉器が一般に用いられており、地中開閉器としては、SF6ガス絶縁開閉器と固体絶縁開閉器が共に用いられているが、将来的には環境にやさしい絶縁ガス開閉器に代替されるものと見込まれている。
【0005】
電流の開閉及び遮断時に発生するアークを消弧する方式の側面から見ると、従来は優れた消弧性能を有するSF6ガスを消弧媒質として用いるガス絶縁開閉器が主に用いられていたが、SF6ガスの使用による地球温暖化問題が提起されるようになると、それを解決するために固体絶縁開閉方式が開発され、その後は一般に真空インタラプタを用いる方式が適用されている。
【0006】
一般に、ガス絶縁開閉装置(GIS;Gas Insulated switchgear)は、電力系統における正常使用条件下での負荷電流の開閉だけでなく、事故や短絡などの異常状態でも線路を安全に保護する複合開閉装置であり、SF6ガス、CO2、g3、乾燥空気などの絶縁ガスが充填密閉された金属性筐体内に、遮断器(Circuit Breaker;CB)、断路器(Disconnecting Switch;DS)、接地開閉器(Earth Switch;ES)、計器用変圧器(Potential Transformer;PT)、計器用変流器(Current Transformer;CT)、避雷器(Lighting Arresterl;LA)、母線(BUS)などが収納されて構成されている。
【0007】
電力用開閉器におけるハードウェア的な技術は既に完成段階にあり、最近は、乾燥空気絶縁、エポキシ絶縁、環境にやさしい真空インタラプタの遮断大容量化技術などの環境にやさしい技術の開発が集中して行われており、電力設備における故障のない運営と経済性を考慮した維持管理及び設備交換のための電力設備の資産管理の効率化が活発に推進されている。
【0008】
電力用開閉器が系統に適用されて用いられる期間に応じて開閉動作回数が増加すると、電気的部品の劣化、機械的操作装置の部品摩耗、ボルト弛緩、破損などにより、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの開閉時の動作特性値が変化する。電力用開閉器が初期の設置時とは異なる動作特性を有し、正しく動作しなくなると、開閉及び遮断能力が低下し、電力設備の損傷及び重大な故障を招き、消費者に電力を安定して供給することができなくなるので、電力用開閉器の開閉時の動作特性を監視、診断することは非常に重要である。
【0009】
電力設備の健全性を評価する際に、技術的な評価は、設備の状態を把握するための定期点検と、センサを用いたオンライン予防診断により行われる。電力用開閉器の主な点検項目としては、電力設備の主回路特性(絶縁抵抗,接触抵抗)、開閉器の動作特性(開閉時間,3極非同時開閉時間,ストローク,動作速度)が挙げられ、現在の予防診断項目としては、ガス状態監視(水分量,純度,ガス中のSO2量)、部分放電測定などが挙げられる。しかしながら、電力用開閉器の点検は休電(無電圧)状態で行われるので、当該開閉器が設置された電力線による電力供給を中止しなければならず、よって、消費者に続けて電力を供給するためには、別途の電力線を確保しなければならない。また、全ての電力線を同時に休電することはできないので、点検は段階的に行わなければならず、それによる人的、時間的コストなどが増加する。
【0010】
よって、電圧が印加された運転状態で様々な形態のセンサを活用して電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性をリアルタイムで監視、診断することのできるモニタリング技術の開発及び適用が切に求められている。センサによりリアルタイムで収集した電力用開閉器の動作状態データは、初期のデータ及び収集しておいたデータとの比較分析により、電力用開閉器の健全度評価分析に用いられる。分析されたデータは、資産の所有者または管理者に設備の運転中断及び維持管理を決定する情報として提供されるだけでなく、現場の勤務者に正確な作業指示を与えるための情報としても用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0996138号公報(2010年11月17日)
【特許文献2】韓国登録実用新案第20-0446550号公報(2009年11月2日)
【特許文献3】韓国登録実用新案第20-0418998号公報(2006年6月9日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、電力用開閉器の構成品である固体絶縁体の内部に含浸した形態の電極センサを設置するか、あるいは外部に別途の分離脱着が可能な検知電極センサモジュールを設置し、開閉器の動作による可動電極の空間的位置変化に応じて静電容量型電極センサに誘起される電圧が可変する特性に基づいて、運転中の電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性の状態変化をリアルタイムで監視及び診断し、電力用開閉器の動作特性が急激に変化すると、警報及び鎖錠のための制御信号を出力することのできる電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、通信モジュールが搭載されて遠隔地の外部コンピュータとの通信が可能になることにより、遠隔地でも電力用開閉器の動作特性を容易にモニタリング及び制御することのできる電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1実施形態による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、絶縁開閉装置の遮断器部とケーブル接続部間の絶縁隔壁スペーサの内部に円形、角形及びピン形態の構造で設置され、遮断器の動作による可動電極の位置移動時に誘起される電圧を検知する静電容量型電極センサと、ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部(断路器部)と遮断器部間の絶縁隔壁スペーサの内部に円形、角形及びピン形態の構造で設置され、3端子開閉器(断路器)の動作による可動電極の位置移動時に誘起される電圧を検知する静電容量型電極センサと、前記電極センサにそれぞれ接続され、前記電極センサから入力される信号をデジタル信号に変換及び演算して開閉装置の遮断器及び3端子開閉器(断路器)の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を同時に演算、診断及び表示し、演算した出力値が所定の電力用開閉器の動作特性限界範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含むことを構成的特徴とする。
【0015】
本発明の第2実施形態による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、一般開閉器の1次側引込部に電気的に接続されている開閉部(真空インタラプタ及びブレード型接点)の外側にあるエポキシ絶縁体ハウジングの内部及び外部に円形、角形及びピン形態の構造で設置され、一般開閉器の開閉部主接点の上下または回転運動による位置移動時に誘起される電圧を検知する静電容量型電極センサと、前記電極センサにそれぞれ接続され、前記電極センサから入力される信号をデジタル信号に変換及び演算して一般開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を同時に演算、診断及び表示し、演算した出力値が所定の動作特性限界範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含むことを構成的特徴とする。
【0016】
本発明の第3実施形態による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、電力用開閉器のガス隔壁を構成する絶縁隔壁スペーサの外側に分離脱着型構造の形態で設置され、電力用開閉器の開閉動作時に誘起される電圧を検知する電極センサモジュールと、前記電極センサモジュールにそれぞれ接続され、前記電極センサモジュールから入力される信号をデジタル信号に変換及び演算して電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を同時に演算、診断及び表示し、演算した出力値が所定の動作特性限界範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含むことを構成的特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、従来から構成されている電力用開閉器の構成品である固体絶縁体の内部に含浸した形態の円形、角形及びピン型構造の電極センサを設置するか、あるいは外部に別途の分離脱着が可能な検知電極センサモジュールを設置するので、電圧が印加されて運転中の状態で電力用開閉器の動作特性をリアルタイムで監視及び診断することができる。
【0018】
本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、電圧が印加されて運転中の状態で電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性状態をリアルタイムでデジタル値及びグラフの形態で表示することができ、点検者が電力用開閉器の設置場所に移動しなくても、遠隔地から電力用開閉器の動作特性状態をリアルタイムでモニタリングすることができ、電力用開閉器の動作特性が急激に変化すると、警報及び鎖錠のための制御信号を出力して警報及び鎖錠制御を行うことができ、適切な時期に電力用開閉器を交換及びメンテナンスできるので、電力系統及び電力機器の事故及び事故波及を予め防止して電力系統の運転信頼性を確保することができる。
【0019】
本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、電力用開閉器の動作特性を示すデータを蓄積、収集して比較・分析することにより、電力設備の健全度評価分析による資産管理に活用することができ、分析されたデータは、資産の所有者または管理者に設備の運転中断及び維持管理を決定する情報として提供されるだけでなく、現場の勤務者に正確な作業指示を与えるための情報としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一般的な三相一括型ガス絶縁開閉装置の構造図である。
【
図2A】一般的な三相一括型ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部の構造図である。
【
図2B】一般的な相分離型ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部の構造図である。
【
図2C】一般的な相分離型ガス絶縁開閉装置の遮断器部の構造図である。
【
図4】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの概念図である。
【
図5A】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの静電容量型電極センサを相分離型ガス絶縁開閉装置に適用した例である。
【
図5B】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの静電容量型電極センサを三相一括型ガス絶縁開閉装置の三相用絶縁隔壁スペーサに適用した例である。
【
図5C】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの静電容量型電極センサを固体絶縁開閉器に適用した例である。
【
図6A】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいて、絶縁隔壁スペーサの埋込金具(ナット型)の一部(相分離型の場合は1つ)を含浸、絶縁されたピン型電極で代替して直接静電容量型電極センサとして活用した例である。
【
図6B】本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいて、絶縁隔壁スペーサの埋込金具(ナット型)間に、含浸、絶縁された一部(相分離型の場合は1つ)のピン型電極を追加して静電容量型電極センサとして活用した例である。
【
図7A】本発明による相分離型ガス絶縁開閉装置に適用するための電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの分離脱着型静電容量型電極センサモジュールを示す例である。
【
図7B】本発明による三相一括型ガス絶縁開閉装置に適用するための電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムの分離脱着型静電容量型電極センサモジュールを示す例である。
【
図8A】ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器が開路(DS/ES OPEN)状態のときの電位分布図及び電極センサの誘起電圧を示す図である。
【
図8B】ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器が断路器閉路(DS CLOSE)状態のときの電位分布図及び電極センサの誘起電圧を示す図である。
【
図8C】ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器が接地開閉器閉路(ES CLOSE)状態のときの電位分布図及び電極センサの誘起電圧を示す図である。
【
図9A】本発明によるガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部が断路器閉路(DS CLOSE)、断路器開路(DS OPEN)及び接地スイッチ閉路(ES CLOSE)動作をする際に現れる静電容量型電極センサの誘起電圧の変化を用いた各相の開閉時間の測定概念を示す図である。
【
図9B】本発明によるガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部の動作による閉路時の3極非同時開閉時間及び開路時の3極非同時開閉時間の測定概念を示す図である。
【
図10A】ガス絶縁開閉装置の遮断器が開路(OPEN)状態のときの電位分布図及び電極センサの誘起電圧を示す図である。
【
図10B】ガス絶縁開閉装置の遮断器が閉路(CLOSE)状態のときの電位分布図及び電極センサの誘起電圧を示す図である。
【
図11A】本発明によるガス絶縁開閉装置の遮断器が閉路状態から開路状態に動作する際の固定接点と可動接点の間隔による静電容量型電極センサの誘起電圧の変化を示す図である。
【
図11B】本発明によるガス絶縁開閉装置遮断器が操作命令を受けて開閉動作をする際の遮断器の動作ストローク及び速度測定の概念を示す図である
【
図12】本発明による電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性をモニタリングするモニタリング手段の構成を示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、電力用開閉器において、1次側導体の外部に設置され、電力用開閉器の主接点開閉動作時に誘起される静電電圧を検出する静電容量型電極センサと、前記静電容量型電極センサから入力される静電電圧に基づいて、各相毎の動作特性を診断し、所定の動作特性安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力する統合モニタリング手段とを含むことを構成的特徴とする。
【0022】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することにより明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0023】
本明細書において、本実施形態は、本発明の開示が完全なものとなるように、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に理解させるために提供するものである。また、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。よって、一部の実施形態において、周知の構成要素、周知の動作及び周知の技術については、本発明が不明確になることを避けるために、具体的に説明していない。
【0024】
明細書全体を通して、同一符号は同一構成要素を示すものである。また、本明細書に用いられる(言及される)用語は、実施形態について説明するために用いるものであり、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数の表現には、特に断らない限り、複数の表現が含まれる。また、「含む(または、備える)」と言及する構成要素及び動作は、1つ以上の他の構成要素及び動作の存在または追加を排除するものではない。
【0025】
特に断らない限り、本明細書に用いられるあらゆる用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解される意味で用いられる。また、一般に用いられる辞書に定義されている用語は、特に断らない限り、理想的または過度に解釈されてはならない。以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1、
図2A、
図2B及び
図2Cに示すように、一般的なガス絶縁開閉装置100は、ケースを形成する筐体10と、筐体10の内部上段に備えられ、大電流が流れる引込線の接続のための主母線21、及びそれを支持する支持碍子からなる母線部20と、筐体10の内部上側に位置する絶縁隔壁スペーサ80により区画形成され、主母線21に接続される固定電極31、接地に接続される接地電極33、及びそれらに選択的に接続される可動電極35からなり、無電圧状態で線路の分離及び接続を可能にする断路器(DS;Disconnect Switch)の役割と、メンテナンス及び点検のための接地スイッチング動作のために用いられる接地開閉器(ES;Earth Switch)の役割の2つの役割を果たす3端子開閉器部30と、内部中央部に区画形成され、回路に発生する短絡、地絡などの大きな事故電流から負荷機器及び線路を保護する遮断器部40と、配電線路が接続されるケーブル接続部50と、ガス絶縁開閉装置の操作、制御、計測及び監視のための制御盤60とを含む。
【0027】
ガス絶縁開閉装置100の密封された筐体10内に位置する全ての電気的充電導体は、その内部に充填された絶縁ガス70により電気的に絶縁され、各構成部は、絶縁隔壁スペーサ80によりガス区画が分けられており、一構成部における事故が他の構成部に転移する波及を最小限に抑えられるように形成される。また、金属製の筐体10は、外部接地に接続されて電気的な接地状態が維持され、開閉装置の点検及びメンテナンス時の運転員の安全が確保されるように構成される。
【0028】
ガス絶縁開閉装置100の遮断器部40は、絶縁ガス70が充填されたガス絶縁開閉装置100の筐体10内に区画形成され、3端子開閉器部30とケーブル接続部50間に介在し、事故電流から負荷機器及び線路を保護するものであり、開閉及び遮断時に発生するアークの消弧媒質によって真空遮断器、ガス遮断器などに分けられるが、一般に送電電圧級(154kV級以上)では、SF6ガスを消弧媒質として用いるガス遮断器が主に用いられ、それ未満の定格電圧を有する配電電圧級では、優れた消弧及び絶縁性能を有する真空インタラプタが主に用いられる。
【0029】
図2Cに示すように、真空インタラプタで構成されるガス絶縁開閉装置の遮断器部40の場合は、その内部が真空で密封される円筒状のセラミック絶縁チューブ141内に固定電極部142と可動電極部143が同軸に配列され、セラミック絶縁チューブ141の内壁に装着され、接点のスイッチング動作によるアーク発生により放出される金属性イオンがセラミック絶縁チューブ141の内壁に付着して絶縁性能が低下することを防止するための遮蔽板145を含む。
【0030】
図3に示す固体絶縁開閉器で構成される遮断器部40は、ポリマーで成形されたエポキシ絶縁体ハウジング127、ポリマーエポキシ絶縁体ハウジング127の内部に成形により取り付けられた真空バルブ122、真空インタラプタを操作器(図示せず)に連結する絶縁ロッド126、電源側との電気的接続のための1次側導体121、負荷側との電気的接続及び連結のための2次側導体120、負荷電流測定のための巻線型変流器125、電圧検出のための1次側電圧検出センサ123及び2次側電圧検出センサ124などの構成要素を主に含む。固体絶縁開閉器の開閉操作は、手動操作ハンドルを用いた手動操作と、電動機を用いた電気的な電動操作により行われるが、電動または手動操作により発生した時計方向または反時計方向の回転動力は、駆動軸(図示せず)を介して動力伝達装置(図示せず)に伝達され、動力伝達装置が時計方向または反時計方向の回転動力を垂直方向の開閉駆動力に変換して絶縁ロッド246に伝達することにより、下部の開閉器主接点が駆動されて開閉動作を行う。
【0031】
電力系統は電気エネルギーを効率的に供給できるように三相交流で構成されるので、系統に用いられる開閉装置、一般開閉器などの全ての電気設備は三相形態で構成される。一般に、電力系統に用いられる電力用開閉器は、外部制御盤にある1つの操作器により可動電極35を三相一括で動作させて開閉動作を行う。電力用開閉器の性能評価のための動作特性の主な要素は、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などである。
【0032】
現場でまたは通信手段により遠隔で開閉(Open/Close)される電力用開閉器は、開閉操作信号が与えられると、規定された開閉時間内に開閉動作を完了しなければならず、それと共に、規格に規定された3極非同時開閉時間を超えてはならない。電力用開閉器の3極非同時開閉時間とは、電力用開閉器を三相一括で動作させる場合に、各相のリンクの長さ、及びレバー、軸、ロッドなどの機械的操作器の構成部品を組み立てる際に生じる組立公差、運転中の電気的、機械的欠陥により発生する、電力用開閉器の各相の動作時間の差を意味し、各相間の開閉時間の差が大きいと、電力用開閉器が開閉(遮断)不能状態になることもあるので、それに対する連続的なリアルタイム状態監視及び診断が求められる。
【0033】
電力用開閉器は、電力系統適用前の開発試験の際に、制御電源の大きさの下限及び上限を定め、各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性を測定して性能を事前に検証するが、系統適用後に継続して用いるので、運転中に発生する電気的、機械的欠陥による動作特性を運転中に診断することは困難である。それに対する補完策として、現在、韓国電力公社においては、運営指針に従って、短期、中期及び長期の点検日程で、電圧が印加されていない運転停止状態で動作特性を測定して電力用開閉器のメンテナンスを行っている。
【0034】
電力用開閉器の長期間の使用により主接点の摩耗が大きくなると、開閉器の絶縁性能の低下及び動作特性の変化が発生し、主回路抵抗の増加により充電導体部からの発熱が増加し、周辺の絶縁体の物理的、化学的基本特性に悪影響を与える。また、接点間の圧接力不足状態を引き起こし、大電流通電時に発生する電磁力(electromagnetic force)により電極が正常位置から離脱すると、大きな電気的事故につながるので、休電状態での点検だけでなく、電圧が印加された状態の運転期間にも、電力用開閉器の開閉時の動作特性の状態をリアルタイムで監視及び診断することのできる技術の適用が求められている。
【0035】
図4に示すように、本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、加圧運転中の状態において、リアルタイムで電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性を測定及び演算し、測定した値が所定の安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力することにより、警報手段により警報音が外部に出力され、管理者が適切な措置を取れるようにするか、あるいは鎖錠手段により電力用開閉器の動作が自動的に停止されるようにし、電力用開閉器の電気的、機械的異常により発生する重大な事故を未然に防止できるようにする。
【0036】
電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムのための静電容量型電極センサ部は、電力用開閉器内で開閉器の絶縁隔壁スペーサ80の絶縁体の内部に含浸された電極を含む電極センサの構造で設置されるか、あるいは絶縁隔壁スペーサの外部に分離脱着の構造的特徴を有する電極センサモジュールの形態で設置され、電気的に電力用開閉器の主導体と電極センサ間、電極センサと筐体間に順次形成される静電容量C1,C2の合成回路で構成され、制御命令により可動電極35が空間的に位置変化すると、静電容量型電極センサにより誘起される電圧が可変する特性を用いて、運転中の電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性の状態変化をリアルタイムで監視することができる。
【0037】
図5A、
図5B及び
図5Cに示すように、電力用開閉器の動作特性を監視及び診断するために絶縁体の内部に含浸される形態の内部電極センサは、電力用開閉器の種類及び構造に応じて様々な形態で構成される。
【0038】
図5Aに示すように、相分離型ガス絶縁開閉装置などの電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいて、3端子開閉器用電極センサは、3端子開閉器部30と遮断器部40間の単相用絶縁隔壁スペーサ80の内部に環状または角形の導体の形態で各相毎に設置され、遮断器用電極センサは、遮断器部40とケーブル接続部50間の単相用絶縁隔壁スペーサ80の内部に環状または角形の導体の形態で各相毎に設置される。
図5Bに示すように、三相一括型ガス絶縁開閉装置などの電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいて、電極センサは、それぞれ3端子開閉器部30と遮断器部40間、及び遮断器部40とケーブル接続部50間のそれぞれ1つの三相用絶縁隔壁スペーサ80の内部に3つの環状または角形の導体が一括して構成された構造で配置される。
図5Cに示すように、固体絶縁開閉器などの電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいて、電極センサは、開閉器の1次側引込部121に電気的に接続されている開閉部(真空インタラプタ及びブレード型接点)を含浸している外部エポキシ絶縁体ハウジング127の内部に環状または角形の導体の形態で設置される。
【0039】
相分離型ガス絶縁開閉装置などの電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいては、
図6Aに示すように、従来の絶縁隔壁スペーサ80の埋込金具(ナット型)のうちの1つを絶縁処理して直接静電容量型電極センサとして用いてもよく、
図6Bに示すように、絶縁隔壁スペーサの埋込金具(ナット型)の間に含浸、絶縁された1つのピン型電極を追加して静電容量型電極センサとして用いてもよい。三相一括型ガス絶縁開閉装置などの電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいても同様に、各相の主導体に隣接する絶縁隔壁スペーサの埋込金具(ナット型)のうちの3つを絶縁処理して直接各相の静電容量型電極センサとして用いてもよく、絶縁隔壁スペーサの埋込金具(ナット型)の間に含浸、絶縁された3つのピン型電極を追加して各相の静電容量型電極センサとして用いてもよい。
【0040】
図7A及び
図7Bに示すように、電力用開閉器の動作特性を監視及び診断するための分離脱着型電極センサモジュール部は、電力用開閉器の構造を変更することなく、絶縁隔壁スペーサの外部に脱着・装着が可能なリング構造に各相の電極センサを設置するので、新規に適用される開閉装置だけでなく、従来の開閉装置にも追加で容易に設置及び適用できるという構造的特徴を有する。
【0041】
本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、このように電力用開閉器の種類に応じて様々な形態で構成された電圧検知用静電容量型電極センサ及び電極センサモジュールと、前記電極センサにそれぞれ接続され、前記電極センサから入力される信号をデジタル信号に変換及び演算して電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度を同時に演算、診断及び表示し、演算した出力値が所定の動作特性限界範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力するモニタリング手段とを含むので、適切な時期に電力用開閉器を交換及びメンテナンスすることができ、電力系統及び電力機器の事故を予め防止して系統の運転信頼性を確保することができる。
【0042】
図8A、
図8B及び
図8Cは、有限要素法(Finite Element Method)によるガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部の電位分布図、及び本発明による電極センサの誘起電圧を示す図であり、それぞれガス絶縁開閉装置の3端子開閉器が開路(DS/ES Open)状態のとき(
図8A)、断路器閉路(DS Close)状態のとき(
図8B)、接地開閉器閉路(ES Close)状態のとき(
図8C)である。開閉器の動作による可動電極の空間的位置変化に応じて、静電容量型電極センサにより誘起される電圧がそれぞれ異なることが確認される。3端子開閉器が開路状態のときの誘起電圧をV
OPEN、断路器閉路状態のときの誘起電圧をV
DSCL、接地開閉器閉路状態のときの誘起電圧をV
ESCLとすると、同図に示すように、V
DSCL=19.03%[V]、V
OPEN=3.44%[V]、V
ESCL=0.00%[V]である。V
DSCL、V
OPEN、V
ESCLのそれぞれの値は例示的なものであり、必ずしもこれらに限定されるものではないが、V
DSCL>V
OPEN>V
ESCLの関係を有し、可動電極の位置移動による内部静電容量の変化に応じて発生する電極センサの誘起電圧の変化から3端子開閉器の開閉時間を測定できることが確認される。
【0043】
図9Aは、本発明によるガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部が断路器閉路、断路器開路及び接地スイッチ閉路動作をする際に現れる静電容量型電極センサの誘起電圧の変化を用いて各相の開閉時間を測定する基本的な概念を示す図であり、
図9Bは、ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部の動作による閉路動作時の3極非同時開閉時間及び開路動作時の3極非同時開閉時間の測定概念を示す図である。
【0044】
ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器が開路(DS/ES Open)状態のときに、制御用スイッチにより断路器閉路命令が伝達されると、操作器用モータが駆動され、可動電極35に互いに連結された外部リンクを介して力が伝達され、電力用開閉器の可動電極が開路位置から断路器閉路位置に移動する。ここで、電力用開閉器の操作器用モータ操作電流は、
図9Aに示すように、可動電極35の動作が完了するまで変化し、可動電極の位置が変化すると、加圧充填されている母線21と電極センサ間の静電容量C1と、電極センサと接地筐体間の静電容量C2の値が変化し、電極センサに誘起される電圧は、開路位置における電極センサの電圧V
OPEN値から上昇変化を遂げ、断路器閉路動作が完了すると、電極センサに誘起される電圧は、電圧値V
DSCLに一定に収斂する。断路器閉路位置にある電力用開閉器が断路器開路命令を受けると、同じ電気的、機械的動作過程を経ることになる。ここで、電極センサに誘起される電圧は、断路器閉路時とは逆に、V
DSCL値からV
OPEN値に減少する形態で変化し、最終的に一定の値に収斂する。また、接地開閉器の閉路及び開路動作も前記と同様の過程を経て行われるが、接地開閉器の閉路動作時の電極センサの誘起電圧はV
OPENからV
ESCL(=0V)に減少変化し、接地開閉器の開路動作時の誘起電圧はV
ESCLからV
OPENに上昇変化する様相を呈する。
【0045】
図9Aに示すように、本発明の適用例であるガス絶縁開閉装置の3端子開閉器の動作特性モニタリングシステムは、各相に設置された電極センサの誘起電圧の変化から加圧運転中の状態で各相の開閉時間をリアルタイムで測定することができ、また、
図9Bに示すように、各相の開閉時間差を比較分析して3端子開閉器の開閉動作時の3極非同時開閉時間も演算、診断することができる。本発明による3端子開閉器の動作特性モニタリングシステムにおいては、リアルタイムで収集した動作特性データと、正常状態時の基準動作特性データとの比較により、電力用開閉器の3端子開閉器の電気的、機械的異常状態を常にモニタリング及び診断するので、先制的にメンテナンス措置を行うことができる。
【0046】
図10A及び
図10Bは、真空インタラプタを用いるガス絶縁開閉装置の遮断器部の電位分布図及び本発明による電極センサの誘起電圧を有限要素法(Finite Element Method)により示す図である。それぞれガス絶縁開閉装置の遮断器閉路(CB Close)及び開路(CB Open)状態において、遮断器の動作による可動電極35の空間的位置変化に応じて静電容量型電極センサにより誘起される電圧は、遮断器閉路位置における電極センサの誘起電圧(19.19%[V])のほうが開路位置における誘起電圧(2.46%[V])より大きいことが確認される。遮断器閉路位置における電極センサの誘起電圧(19.19%[V])と開路位置における誘起電圧(2.46%[V])は例示的なものであり、必ずしもこれらに限定される値ではないが、ガス絶縁開閉装置の3端子開閉器部に適用したものと同様に、電極センサの誘起電圧の変化から遮断器の開閉動作時の各相の開閉時間と3極非同時開閉時間を測定することができ、ストローク及び動作速度のリアルタイムオンライン測定及び診断も可能である。
【0047】
図11Aは、本発明によるガス絶縁開閉装置の遮断器が閉路状態から開路状態に動作する際の固定接点と可動接点の間隔が1mmずつ変化する場合の静電容量型電極センサの誘起電圧の変化を示す図である。
【0048】
図11Bは、
図11Aの電極センサの誘起電圧の変化に基づいて遮断器の動作ストロークを測定する概念を示す図であり、ガス絶縁開閉装置の遮断器が操作命令を受けて開閉動作を完了する際の時間的変化に応じた操作装置の電気的、機械的特性を考慮して推定した図である。韓国の配電電圧級において主に用いるスプリングチャージング(spring charging)方式の操作器を用いる遮断器は、制御電源が供給されると、電動機に連結されたカムとクランクにより投入スプリングが圧縮され、ここで、閉路命令が与えられると、閉路コイルの励磁により閉路コイルが動作して投入スプリングの圧縮が解除され、操作軸に連結されたローラの動作により操作軸が回転して迅速に閉路動作が行われ、閉路動作中は開路スプリングが同時に圧縮され、動作後は操作軸と機械的に連結されたワイプスプリング(Wipe spring)により遮断器接点の圧接力が保持される。開路動作においては、開路命令が与えられると、開路コイルの励磁によりロッドが動作し、開路スプリングとワイプスプリングの復元力により操作軸が回転し、遮断器は極めて短時間で迅速に開路動作が行われる。
図11Bのストローク曲線で示すように、コイルが励磁されて開閉動作する際の時間遅延、及び操作装置を構成するカム、レバー、軸、ロッドなどの力が伝達される過程に要する時間があるので、開閉動作の初期には力の伝達において時間遅延現象が発生し、機械的操作装置に用いられる各種スプリングの影響や接点反発力などにより、開閉動作時に機械的振動が発生し、接点間隔が変動するので、誘起電圧を用いたストローク曲線も振動する様相を呈する。既に事前入力されている遮断器接点間隔に基づいて、前述したように得られた各相の開閉時間及びストローク曲線のデジタルデータを活用すると、ガス絶縁開閉装置の遮断器の開閉平均速度及び初期速度をリアルタイムで監視、診断及び表示することができる。
【0049】
前記方法により、本発明による電力用開閉器の動作特性モニタリングシステムは、開閉装置(switchgear)及び一般開閉器(switch)である遮断器、負荷開閉器、自動切替スイッチ、自動故障区間開閉器、自動負荷切替開閉器、断路器などのように、接点が分離、移動する構造により開閉を行う方式を用いる全ての電力用開閉器に拡大して適用することができる。
【0050】
図12に示すように、統合モニタリング手段200は、計器用変圧器(PT: Potential Transformer)の2次側基準電圧及び電圧検知用静電容量型電極センサから入力される信号を電圧値に変換する入力変換部230と、入力変換部230から受信した電圧値をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ240と、A/Dコンバータ240に接続され、A/Dコンバータ240を介して入力されるデジタル信号に基づいて電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性を演算、診断する中央演算制御部250と、中央演算制御部250に接続され、中央演算制御部250で診断した電力用開閉器の動作特性値が所定の安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠(locking)のための制御信号を出力する制御信号発生部260と、中央演算制御部250に接続され、中央演算制御部250で演算、診断した各電力用開閉器の開閉状態をデジタルで表示するディスプレイ部270と、中央演算制御部250に接続され、作動モードまたは安全範囲の設定を可能にするキー入力部280と、外部の電源400から作動に必要な電源を供給する電源供給部290とを含む。
【0051】
入力変換部230には、A/Dコンバータ240が接続され、そのA/Dコンバータ240は、入力変換部230から受信した電圧値をデジタル信号に変換し、デジタル演算装置として作用する中央演算制御部250に送信する。
【0052】
A/Dコンバータ240に接続される中央演算制御部250は、A/Dコンバータ240を介して入力されるデジタル信号に基づいて、各相の電力用開閉器の動作特性値を演算、診断してディスプレイ部270に送信し、演算した動作特性値が所定の安全範囲を逸脱すると、当該信号を制御信号発生部260に供給し、キー入力部280から入力される入力信号に応じて作動モードまたは安全動作特性値範囲を事前に設定する一種の中央演算処理ユニットであり、所定の回路が印刷されたプリント基板または所定の回路が集積されたチップ状に形成される。
【0053】
中央演算制御部250に接続される制御信号発生部260は、電気的、機械的欠陥により中央演算制御部250で演算、診断した動作特性値が所定の安全範囲を逸脱すると、警報または鎖錠のための制御信号を出力することにより、制御信号発生部260に接続された所定の警報手段(図示せず)を用いて警報音が外部に出力され、管理者が適切な措置を取るようにするか、あるいは制御信号発生部260に接続された所定の鎖錠手段(図示せず)を用いて電力用開閉器の動作が自動的に遮断されるようにする。
【0054】
制御信号発生部260は、統合モニタリング手段200の背面に設置され、警報または鎖錠のための制御信号を出力する制御信号出力端子を含み、その制御信号出力端子に前述した警報手段及び鎖錠手段が電気的に接続される。
【0055】
中央演算制御部250に接続されるディスプレイ部270は、中央演算制御部250で演算、診断した各相の電力用開閉器の動作特性値をデジタルでそれぞれ表示するものであり、電力用開閉器の各相の開閉時間、3極非同時開閉時間、ストローク、動作速度などの動作特性をデジタル数値及びグラフで表示するパネルと、安全範囲及び上下危険範囲を継続して表示する安全範囲表示ウィンドウと、統合モニタリング手段200の前面側に設置され、制御信号発生部260による警報または鎖錠のための制御信号を出力するか否かをそれぞれ表示する2つの動作表示ランプ(図示せず)とを含むが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0056】
中央演算制御部250に接続されるキー入力部280は、作動モードや安全動作特性値の範囲などの設定を可能にするものであり、作動モードの設定を可能にするモード選択ボタンと、安全動作特性値の範囲の設定を可能にする安全範囲設定ボタンとを含むが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0057】
電源供給部290は、外部の電源400から作動に必要な電源を供給するものであり、
図8に示すように、外部の電源400が接続される電源接続端子(図示せず)を含む。外部の電源400は、統合モニタリング手段200の安定した作動のために、直流電圧であることが好ましい。
【0058】
中央演算制御部250に接続される通信モジュール265は、遠隔地の外部コンピュータとの通信を可能にし、遠隔地の外部コンピュータにより電力用開閉器の動作特性状態をモニタリングできるようにするものであり、モデムなどの公知の有線通信モジュールやブルートゥースなどの公知の無線通信モジュールで構成されることが好ましい。
【0059】
また、統合モニタリング手段200は、入力変換部230とA/Dコンバータ240間に順次接続され、入力変換部230から出力される電圧値からノイズを除去するフィルタ部210と、フィルタ部210を経た電圧値を線形化してA/Dコンバータ240に供給する線形処理部220とをさらに含んでもよい。
【0060】
高電圧が印加された状態で運転される電力用開閉器内には、磁界と開閉サージにより異常電圧が含まれることがあるので、それを除去するためにフィルタ部210が設置され、フィルタ部210は、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)で構成されることが好ましい。
【国際調査報告】