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特表2025-500770質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための自動化システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための自動化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20250107BHJP
   H01J 49/04 20060101ALI20250107BHJP
   H01J 49/16 20060101ALI20250107BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20250107BHJP
   H01J 49/26 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G01N27/62 F
H01J49/04 450
H01J49/04 130
H01J49/16 700
H01J49/00 310
H01J49/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533941
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2022084532
(87)【国際公開番号】W WO2023104771
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212835.9
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502227745
【氏名又は名称】ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サレク、モグジボラフマン
(72)【発明者】
【氏名】フェルスター、ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】リーマー、アンゲリカ ベアテ
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA05
2G041EA04
2G041FA12
(57)【要約】
質量分析計システム(110)においてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプル(136)を供給するための自動化システム(112)が、開示される。自動化システム(112)は、少なくとも1つのエミッタ先端部(124)を有する少なくとも1つのエミッタ端部(120)と、少なくとも1つの流体入口端部(126)と、を備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタ(122)と、少なくとも1つのオートサンプラー(132)であって、オートサンプラー(132)は、少なくとも1つのオートサンプラー出口(134)を備え、オートサンプラー(132)は、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプル(136)を供給するように構成される、少なくとも1つのオートサンプラー(132)と、少なくとも1つのパイプ流体出口端部(142)と少なくとも1つのパイプ流体入口端部(144)とを有する少なくとも1つのパイプ(138)であって、パイプ流体入口端部(144)は、オートサンプラー出口(134)に流体接続される、少なくとも1つのパイプ(138)と、少なくとも1つの液体接合部(146)であって、液体接合部(146)は、少なくとも1つの導電性材料で形成された少なくとも1つの接続要素(148)を備え、接続要素(148)は、エレクトロスプレーエミッタ(122)とパイプ(138)との間の流体接続が確立されるように、エレクトロスプレーエミッタ(122)の流体入口端部(126)と、パイプ(138)のパイプ流体出口端部(142)とを受容し、接続要素(148)は、少なくとも1つの電圧源に電気的に接続可能である、少なくとも1つの液体接合部(146)と、を備え、エミッタ先端部(124)は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計システム(110)においてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプル(136)を供給するための自動化システム(112)であって、
前記自動化システム(112)は、
少なくとも1つのエミッタ先端部(124)を有する少なくとも1つのエミッタ端部(120)と、少なくとも1つの流体入口端部(126)とを備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタ(122)と、
少なくとも1つのオートサンプラー(132)であって、前記オートサンプラー(132)は、少なくとも1つのオートサンプラー出口(134)を備え、前記オートサンプラー(132)は、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプル(136)を供給するように構成される、少なくとも1つのオートサンプラー(132)と、
少なくとも1つのパイプ流体出口端部(142)と少なくとも1つのパイプ流体入口端部(144)とを有する少なくとも1つのパイプ(138)であって、前記パイプ流体入口端部(144)は、前記オートサンプラー出口(134)に流体接続される、少なくとも1つのパイプ(138)と、
少なくとも1つの液体接合部(146)であって、前記液体接合部(146)は、少なくとも1つの導電性材料で形成された少なくとも1つの接続要素(148)を備え、前記接続要素(148)は、前記エレクトロスプレーエミッタ(122)と前記パイプ(138)との間の流体接続が確立されるように、前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の前記流体入口端部(126)と、前記パイプ(138)の前記パイプ流体出口端部(142)とを受容し、前記接続要素(148)は、少なくとも1つの電圧源に電気的に接続可能である、少なくとも1つの液体接合部(146)と
を備え、
前記エミッタ先端部(124)は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える、
自動化システム(112)。
【請求項2】
前記エミッタ先端部(124)の前記開口は、3μm~5μmの直径を有する、請求項1に記載の自動化システム(112)。
【請求項3】
前記パイプ(138)の前記パイプ流体入口端部(144)は、前記オートサンプラー出口(134)に直接的に流体接続される、請求項1または2に記載の自動化システム(112)。
【請求項4】
前記流体入口端部(126)と前記パイプ流体出口端部(142)との間にナノギャップ(160)が形成されるように、前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の前記流体入口端部(126)と、前記パイプ(138)の前記パイプ流体出口端部(142)とが、前記接続要素(148)に受容される、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動化システム(112)。
【請求項5】
前記接続要素(148)は、
少なくとも1つの第1の端部(152)と少なくとも1つの反対側の第2の端部(154)とを有する少なくとも1つの中空のシリンダ(150)、
を備え、
前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の前記流体入口端部(126)は、前記第1の端部(152)に受容され、
前記パイプ流体出口端部(142)は、前記第2の端部(154)に受容される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の自動化システム(112)。
【請求項6】
前記オートサンプラー(132)は、
前記少なくとも1つのサンプル(136)を供給するように構成された少なくとも1つのサンプルトレー(162)と、
前記サンプル(136)を受け取るように構成された少なくとも1つのサンプルループ(168)を有する少なくとも1つの第1のバルブ(166)と、
少なくとも1つの流体ローディング装置(178)であって、前記流体ローディング装置(178)は、前記サンプルトレー(162)によって供給される前記サンプル(136)を、前記第1のバルブ(166)の前記サンプルループ(168)にロードするように構成される、少なくとも1つの流体ローディング装置(178)と、
少なくとも1つのポンプ(182)であって、前記ポンプ(182)は、前記第1のバルブ(166)の前記サンプルループ(168)から前記オートサンプラー出口(134)へとおよび前記エレクトロスプレーエミッタ(122)へと前記サンプル(136)を移送するように構成される、少なくとも1つのポンプ(182)と、
をさらに備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動化システム(112)。
【請求項7】
前記オートサンプラー(132)は、少なくとも1つの第2のバルブ(196)を備え、
前記第2のバルブ(196)は、前記第1のバルブ(166)の出口ポート(192)を、前記オートサンプラー出口(134)に、または、少なくとも1つの廃棄物容器(198)に、選択的に流体接続するように構成される、
請求項6に記載の自動化システム(112)。
【請求項8】
前記第2のバルブ(196)は、前記サンプル(136)が前記第1のバルブ(166)の前記サンプルループ(168)から前記パイプ(138)の前記パイプ流体入口端部(144)へと移送されるとすぐに、前記第1のバルブ(166)のポンプ出口を前記廃棄物容器(198)に戻すように構成される、
請求項7に記載の自動化システム(112)。
【請求項9】
質量分析計システム(110)であって、前記質量分析計システム(110)は、少なくとも1つの、請求項1~8のいずれか1項に記載の1つの自動化システム(122)を備え、前記質量分析計システム(110)は、少なくとも1つのイオン源(116)を有する少なくとも1つの質量分析アナライザー(114)をさらに備え、前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の前記エミッタ端部(120)は、前記イオン源(116)の内部に配置される、質量分析計システム(110)。
【請求項10】
質量分析計システム(110)において少なくとも1つのサンプル(136)を供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法であって、前記方法は、請求項1~8のいずれか1項に記載の自動化システム(112)を使用するステップを含み、前記方法は、
a)前記オートサンプラー(132)の少なくとも1つのサンプルトレー(162)に少なくとも1つのサンプル(136)を供給するステップと、
b)前記サンプル(136)を前記サンプルトレー(162)からオートサンプラー出口(134)へと移送するステップであって、それにより、前記サンプル(136)が、前記パイプ(138)と前記液体接合部(146)とを経由して前記エレクトロスプレーエミッタ(122)へとさらに移送される、前記サンプル(136)を前記サンプルトレー(162)からオートサンプラー出口(134)へと移送するステップと、
c)電圧源を介して電圧を前記液体接合部(146)の前記接続要素(148)に印加することによって前記サンプル(136)の少なくとも1つの成分を帯電させるステップと、
を含む、
方法。
【請求項11】
エレクトロスプレーイオン化の間の前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の内部の圧力は、大気圧であるか、または
エレクトロスプレーイオン化の間の前記エレクトロスプレーエミッタ(122)の内部の圧力は、5バール~15バールである、
請求項1~10のいずれか1項に記載の主題。
【請求項12】
少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法であって、前記方法は、
(A)少なくとも1つのサンプル(136)を供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するステップと、
(B)前記少なくとも1つのMSパラメータについて少なくとも2つの異なる値を含む条件の下で少なくとも2つのMSスペクトルを記録するステップと、
(C)前記ステップ(B)において記録された前記MSスペクトルを比較するステップと、
(D)それにより、前記ステップ(C)における比較に基づいて、前記少なくとも1つのMSパラメータを最適化するステップと、
を含む、
方法。
【請求項13】
質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法であって、前記方法は、
(A)少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法に関する、請求項1~8のいずれか1項に記載の自動化システム(112)を使用して、サンプル(136)を供給し、イオン化するステップと、
(B)ステップ(A)のイオン化されたサンプルの少なくとも1つのMSスペクトルを記録するステップと、
を含む、
方法。
【請求項14】
少なくとも1つのMSパラメータを最適化するための、自動化システム(112)に関する請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の自動化システム(112)の使用、および/または、質量分析計システム(110)に関する請求項9に記載の質量分析計システム(110)の使用。
【請求項15】
サンプル(136)中の少なくとも1つの分析物を検出するための、自動化システム(112)に関する請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の自動化システム(112)の使用、および/または、質量分析計システム(110)に関する請求項9に記載の質量分析計システム(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための自動化システム、質量分析計システム、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法、質量分析(MS)によっておよび自動化システムの使用および/または質量分析計システムの使用に対してサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法、に関する。本装置および本方法は、プロテオミクス、ペプチドミクス、およびメタボロミクスの研究分野において、広範囲の適用を有することができる。さらに、本装置および本方法は、メタボロミクスにおける小分子の分析、創薬のために適用可能であり、さらに、治療用抗体の分析に有用であり得る。しかしながら、他の適用も実行できる。
【背景技術】
【0002】
腫瘍由来のネオエピトープの直接の検出は、個別化免疫療法の状況において、ネオエピトープが非常に低存在量のものであり得るので、一般に、分析的な困難をもたらす。ナノ液体クロマトグラフィー(nanoLC-MS)および/または、フィールド非対称イオン移動度分析法(FAIMS)などのイオン移動度型のインターフェースに連結されるオービトラップ装置は、希少ペプチドの検出に要求される感度を、原理的に高め得る。しかし、それは、各個々のペプチドに対する本質的な装置パラメータの微調整を必要とする。
【0003】
国際公開第2013/102670号において、エレクトロスタティックスプレーイオン化法が記載される。絶縁板から液体層をスプレーするためのエレクトロスタティックスプレーイオン化法において、当該板は、2つの電極の間に配置される。一定の高電圧電源が設けられ、電気回路が、これら電極の間の電源を適用することによって絶縁板上における液体層の表面を局所的に帯電および放電するために使用される。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0259597号明細書は、質量分析計におけるエレクトロスプレーイオン化のための液体接合装置であって、当該液体接合装置は、エレクトロスプレーエミッタと、エレクトロスプレーでスプレーされる液体を案内するためのキャピラリーコンジットアセンブリと、導電性材料を備えるユニオンと、を備え、エレクトロスプレーエミッタおよびキャピラリーコンジットアセンブリが、それらのうちの少なくとも1つをプラグで接続可能におよび引き出し可能に保持しながら、小さいデッドボリュームが特色の底部密封バットジョイントの中に収容される、液体接合装置、を記載する。液体接合装置は、エレクトロスプレーエミッタおよびキャピラリーコンジットアセンブリのうちの少なくとも1つを、導電性材料を備えるユニオンの中へプラグで接続可能におよび当該ユニオンから引き出し可能に保持しながら、エレクトロスプレーが行われる実際のエミッタ先端の上流の液体接合部において、当該送られた液体に所定の電圧レベルへとエネルギーを与えることを促進する。
【0005】
Giovanni D’Orazio et al., Journal of Chromatography A, 1317 (2013) 67-76において、両方のキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)またはナノ液体クロマトグラフィー(nano-LC)を質量分析計(MS)と連結するための新しいナノ液体接合インターフェースの研究が記載される。当該インターフェースは、ポリマー材料の小さなT片であり、(90°における)第3の出口が、CEC実験のための液体補助スプレーイオン化を伝えるキャピラリーによって、またはnano-LCのための高電圧スプレーのための電極によって、占められながら、キャピラリーカラムおよび先端のキャピラリーが、180°に配置された。いくつかの有機リン剤(OPP)の混合物または抗炎症性の関連する酸性薬の混合物を、それぞれ、ポジティブイオンモードまたはネガティブイオンモードでのMS検出によって分析する実験が行われた。
【0006】
米国特許第10,983,098号明細書は、液体クロマトグラフを記載する。液体クロマトグラフは、カラムと、大気圧よりも高い圧力で移動相をカラムへと送るように構成された液体送りユニットと、カラムの出口に接続された一端を有する第1のパイプと、第1のパイプの他端における端面に接続された一端を有する第2のパイプであって、接続のギャップが第2のパイプの上記の一端と上記の端面との間に挟まれる、大気圧より低いかまたは等しい圧力を有するイオン化チャンバにおいて配置される他端を有する第2のパイプと、を含む。
【0007】
国際公開第98/35226号は、一般的な実験ツールおよび化学物質を使用したキャピラリー電気泳動/エレクトロスプレーイオン化-質量分析(CE/ESI-MS)のための簡素で丈夫なシースレスインターフェースの設計を記載する。当該インターフェースは、末端近くの小さい孔を通じて上記のCEキャピラリーの中に挿入される小さい白金(Pb)ワイヤを使用する。CEキャピラリーの内部のおよび緩衝液の中の上記のワイヤの位置は、接地された白金の電極とともにCEキャピラリーの末端がバッファー槽の内部に配置される標準的なCE分離操作に類似する。キャピラリー内電極インターフェースの使用を、CEキャピラリーの出口の溶融シリカの先端をとがらせることと組み合わせることによって、安定したエレクトロスプレー電流が長時間維持された。
【0008】
米国特許第5993633号明細書は、分析物サンプルをキャピラリー電気泳動分離キャピラリーからエレクトロスプレーイオン化質量分析エミッタキャピラリーへと輸送するための、キャピラリー電気泳動分離キャピラリーの端部とエレクトロスプレーイオン化質量分析エミッタキャピラリーの端部との間のインターフェースに言及する。当該インターフェースは、(a)上記のキャピラリー電気泳動キャピラリーの端部およびエレクトロスプレーイオン化質量分析エミッタキャピラリーの端部の両方を囲む電荷移動フィッティング、(b)電荷移動フィッティングを囲む電解質を包む槽、および(c)電解質に浸漬された電極であって、キャピラリー電気泳動回路を閉じて、電荷移動フィッティングを横切って実質的なバルク液体移送を避けながら電荷移動フィッティングを横切って電荷移動をもたらす電極、を有する。
【0009】
Kegi Tang et al., J Am Soc Mass Spectrom 2004, 15, 1416-1423において、エレクトロスプレーイオン化(ESI)における電荷競合(charge competition)についてのおよびESI質量分析(MS)測定の線形ダイナミックレンジへのその影響についての実験的な調査および理論的な分析が、報告される。実験により、ESIフロー速度の減少とともにMS感度が予想通りに増加することが確認された。しかし、同じ濃度および同じエレクトロスプレーの操作条件であっても、異なる化合物は、最も低い流速であっても幾分異なる質量スペクトルピーク強度を示す。各化合物溶液に対するMS応答は、低濃度では良好な線形性を示し、高濃度では横ばいになり、ESIプロセスにおける分析物の「飽和」と一致する。ESIプロセスにおいて飽和に至る電荷競合の程度は、溶液中の分析物の分子の総数と比較した、エレクトロスプレーにおける過剰電荷の相対的な大きさと一致する。
【0010】
国際公開第03/042684号は、キャピラリー電気泳動(CE)のためのキャピラリーを、質量分析(MS)のための装置におけるイオン化源に接続するための装置を記載する。当該装置は、キャピラリーのための第1の入口と、槽からの電解質のための第2の入口と、キャピラリーのための出口と、を有する電解質のためのチャンバを備え、キャピラリーが通される管状の電極が、上記の出口に接続されて配置され、電解質が、上記の電極を通ってキャピラリーの周囲を流れることが可能であり、フローチャンバが、上記の電極に対して上流に配置され、フローチャンバにおいて、上記電極に電気的に接続される導電性表面が、配置される。
【0011】
さらに、Advion社が、TriVersa NanoMate LESA(登録商標)と呼ばれるin chipベースのエレクトロスプレーイオン化技術を提供する(リンク先:https://www.advion.com/products/triversa-nanomate/)。さらに、PepSepのウエブサイト上において、エミッタが、記載される(リンク先:https://pepsep.com/products.html)。
【0012】
上述した装置および方法によって達成される有利な点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。上述した装置のほとんどは、クロマトグラフィーのおよび電気泳動の分離技術に結び付けられる。それによって、分析物の混合物の複雑さが低減できる。しかし、そのような装置は、分析物の物理化学的特性の特定の範囲に限定される場合がある。典型的なスタティックスプレーのワークフローは、それらの偏りのない分析に対するマイクロリットルの量のサンプルの直接注入を可能にすることができ、その時間は通常数時間であり、その間に多数のパラメータが変更され得、対応するデータが記録され得る。しかし、それは、たとえば薄い金属層のスパッタ蒸着により金属コーティングを有することができる被覆ガラスキャピラリーの製造に起因する再現性の悪さに一般的に悩まされている。金属コーティングは、浸食されやすく、エレクトロスプレーの不安定性につながり得るキャピラリーの先端の凹凸をもたらす場合がある。その結果として、再現性の欠如に加えて、サンプルの損失、手作業による操作の面倒さが、質量分析に基づくプロテオミクスおよびペプチドミクスのワークフローにおけるスタティックスプレーの使用の減退へと至らせてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための自動化システム、質量分析計システム、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法、質量分析(MS)によってサンプルの中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法、および、上述の技術的課題を少なくとも部分的に扱う自動化システムおよび/または質量分析計システムの使用、を提供することが望ましい。具体的には、測定の再現性およびスループットが高められることになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための自動化システム、質量分析計システム、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法、質量分析(MS)によってサンプルの中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法、および、独立請求項の特徴を有する自動化システムおよび/または質量分析計システムの使用によって、扱われる。単離させてまたは任意の組合せで実現され得る有利な実施形態が、明細書全体はもちろん、従属請求項にリストアップされる。
【0015】
以下に使用されるように、用語「有する」、「備える」、「含む」、またはそれらの任意の文法的変種は、非排他的な仕方で使用される。したがって、これら用語は、これら用語によって導入される特徴以外にこの文脈において記載される実体においてさらなる特徴が存在しない状況、および、1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況、の両方を指すことができる。例として、表現“AはBを有する”、“AはBを備える”、および“AはBを含む”は、B以外にAにおいて他の要素が存在しない状況(すなわち、Aは単にもっぱらBのみから成る状況)、および、B以外に要素C、要素CおよびD、またはさらにもっと別の要素などの1つまたは複数のさらなる要素が実体Aにおいて存在する状況、の両方を指すことができる。
【0016】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」、または、特徴または要素が一度または二度以上存在し得ることを示す類似の表現は、一般的に、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに注意するべきである。以下において、ほとんどの場合において、それぞれの特徴または要素に言及するときに、表現「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」は、それぞれの特徴または要素が一度または二度以上存在し得るという事実にもかかわらず、繰り返されない。
【0017】
さらに、以下に使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的には」、「より具体的には」、または類似の用語は、別の可能性を制限することなく、選択的な特徴とともに使用される。したがって、これら用語によって導入される特徴は、選択的な特徴であり、特許請求の範囲を制限することを何等意図したものではない。本発明は、当業者が理解するように、代替の特徴を使用することによって行われることができる。同様に、表現「本発明の実施形態において」または類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するどんな制限もなく、本発明の範囲に関するどんな制限もなく、そのようにして導入される特徴を本発明の他の選択的な特徴または非選択的特徴と組み合わせることの可能性に関するどんな制限もなく、選択的な特徴であることを意図したものである。
【0018】
本発明の第1の態様において、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための、具体的には、当該少なくとも1つのサンプルを移送するための自動化システムが開示される。自動化システムは、少なくとも1つのエミッタ先端部を有する少なくとも1つのエミッタ端部と、少なくとも1つの流体入口端部とを備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタを備える。さらに、自動化システムは、少なくとも1つのオートサンプラーを備える。オートサンプラーは、少なくとも1つのオートサンプラー出口を備える。オートサンプラーは、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプルを供給するように構成される。さらに、自動化システムは、少なくとも1つのパイプ流体出口端部と少なくとも1つのパイプ流体入口端部とを有する少なくとも1つのパイプ、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリーを備える。パイプ流体入口端部は、オートサンプラー出口に流体接続される。さらに、自動化システムは、少なくとも1つの液体接合部を備える。液体接合部は、少なくとも1つの導電性材料で形成された少なくとも1つの接続要素を備える。接続要素は、エレクトロスプレーエミッタとパイプとの間の流体接続が確立されるように、エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部と、パイプのパイプ流体出口端部と受容する。接続要素は、少なくとも1つの電圧源に電気的に接続可能である。エミッタ先端部は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える。
【0019】
ここで使用されるような用語「システム」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つの共通の機能を遂行するために互いと相互作用することができる少なくとも2つの要素からなるグループを指すことができる。これら少なくとも2つの構成要素は、独立に扱うことができ、あるいは、共通の構成要素を形成するために、連結され得、接続可能であり、または統合可能である。
【0020】
ここで使用されるような用語「質量分析計システム」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも2つの要素からなる任意のグループであって、これら少なくとも2つの要素のうちの1つが質量分析アナライザーである任意のグループを指すことができる。これら少なくとも2つの要素のうちのもう1つは、具体的には、少なくとも1つの質量分析アナリシスを行うために少なくとも1つのサンプルを供給するおよび/または準備するように構成された装置であってもよい。さらなる詳細は、より詳細に以下に与えられる。
【0021】
ここで使用されるような用語「質量分析アナライザー」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、イオンの質量電荷比を測定するように構成された任意の分析技術を指すことができる。質量分析アナライザーは、少なくとも1つのマスアナライザーと、少なくとも1つのディテクターとを備えることができる。マスアナライザーおよびディテクターは、イオン化チャンバの中に配置されることが可能である。イオン化チャンバは、「イオン源」とも呼ばれ得る。マスアナライザーは、複数のイオンをそれらの質量電荷比に応じて分類して区別するように構成され得る。質量分析アナライザーは、スキマー、集束レンズ、多重極のような電磁要素などのいくつかのイオンオプティクスを備えることができる。イオンオプティクスは、マスアナライザーが配置されるイオン化チャンバの内部の領域へとイオンを運ぶように構成され得る。質量分析アナライザーは、飛行時間型アナライザー、トリプル四重極アナライザー、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴セル、オービトラップからなる群から選択され得る。しかし、他の実施形態も実行できる。
【0022】
質量分析計システムは、少なくとも1つのイオンモビリティスペクトロメトリー装置、好ましくは、高電場非対称波形イオン移動度分光分析装置をさらに備えることができる。イオンモビリティスペクトロメトリー装置は、イオン源において生成される複数のイオンを分離するように構成され得る。ここで使用されるような用語「イオンモビリティスペクトロメトリー装置」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、気相において複数のイオン化分子をキャリアバッファーガスにおけるそれらの移動度に基づいて分離して特定するように構成された任意の分析技術を指すことができる。イオンモビリティスペクトロメトリー装置は、いわゆる補償電圧(CV)によって質量分析計の入口へと向かういくつかのイオンのイオン経路からの漂流を、これらイオンが質量分析計に入ることができるように能動的に修正するように構成され得る。これらイオンは、所定の帯電状態または帯電状態の所定の範囲などのいくらかの特異性を有し得る。そのように、上記のCVを適用することによって、特定の帯電状態のイオン雲が、さらなるイオンから分離され得る。
【0023】
ここで使用されるような用語「エレクトロスプレーイオン化(ESI)」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、エレクトロスプレーを用いてイオンが生成される任意のプロセスを指すことができる。それによって、高い電圧が液体に印加されることが可能である。ESIを用いた質量分析は、一般に、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)と呼ばれるか、または、あまり一般的ではないが、エレクトロスプレー質量分析(ES-MS)と呼ばれる。エレクトロスプレーイオン化において、分析物溶液を含有するサンプルは、キャピラリーに通過させることが可能であり、電圧が当該サンプルに印加され得る。
【0024】
自動化システムは、具体的には、スタティックスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するように構成され得る。ここで使用されるような用語「スタティックスプレーイオン化」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、時間の経過と共にエレクトロスプレーが体系的に変化しない任意のエレクトロスプレーイオン化プロセスを指すことができる。したがって、例として、1分の時点において、10分の時点におけるイオンと同じイオンが検出されると予測される。具体的には、スタティックスプレーイオン化は、サンプルのオフライン分析を指す。用語「オフライン分析」は、サンプルにそのイオン化の前に適用される任意の特定の分離なしで、サンプルの注入が行われ得る分析技術を指すことができる。それとは反対に、オンライン分析は、分離クロマトグラフィーの使用または電気泳動の装置または要素の使用を含むことができる。
【0025】
ここで使用されるような用語「自動化システム」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つの共通の機能を遂行するために互いと相互作用することができる少なくとも2つの要素からなる任意のグループであって、これら2つの要素のうちの少なくとも1つが、少なくとも部分的に自動的に扱われ得る、たとえば、これら2つの要素のうちの少なくとも1つが、人からの継続的なまたは絶え間ない干渉から独立して動作可能である、任意のグループを指すことができる。具体的には、オートサンプラー、より具体的には、オートサンプラーのバルブ、流体ローディング装置、およびポンプのうちの1つまたは複数、および/または液体接合部は、たとえば、ユーザインタラクションなしで、自動的に扱われるように構成され得る。この目的のために、具体的には、少なくとも1つのプロセッシング装置が使用可能である。ここで使用されるような用語「プロセッシング装置」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、コンピュータまたはシステムの基本的な演算を行うように構成された任意の論理回路構成を指すことができる、および/または、一般的には、計算または論理演算を行うように構成された装置を指すことができる。プロセッシング装置は、コンピュータまたはシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成され得る。例として、プロセッシング装置は、少なくとも1つの算術論理ユニット(ALU)と、数値演算コプロセッサおよびニューメリックコプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)と、複数のレジスタ、具体的には、ALUにオペランドを供給し演算の結果を保存するように構成された複数のレジスタと、L1およびL2キャッシュメモリなどのメモリとを備えることができる。プロセッシング装置は、マルチコアプロセッサであってもよい。プロセッシング装置は、中央処理装置(CPU)であってもよいし、または、中央処理装置を備えてもよい。付加的にまたは代替的に、プロセッシング装置は、マイクロプロセッサであってもよいし、または、マイクロプロセッサを備えてもよく、したがって、具体的には、プロセッサの要素は、単一の集積回路(IC)チップに含まれてもよい。付加的にまたは代替的に、プロセッシング装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよいし、または、1つまたは複数の特定用途向け集積回路を備えてもよく、および/または、プロセッシング装置は、1つまたは複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)であってもよいし、または、1つまたは複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを備えてもよく、および/または、プロセッシング装置は、1つまたは複数のテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)であってもよいし、または、1つまたは複数のテンソル・プロセッシング・ユニットを備えてもよく、および/または、プロセッシング装置は、専用機械学習最適化チップなどの1つまたは複数のチップであってもよいし、または、専用機械学習最適化チップなどの1つまたは複数のチップを備えてもよい。プロセッシング装置は、ソフトウェアプログラミングによってなど、1つまたは複数の評価演算を行うように構成され得る。例として、プロセッシング装置は、それに保存されるおよび多数のコンピュータ命令を備えるソフトウェアコードを備えることができる。プロセッシング装置は、1つまたは複数の演算を行うための1つまたは複数のハードウェア要素を提供することができる、および/または、その上で動作するソフトウェアを有する1つまたは複数のプロセッサを提供することができる。
【0026】
上に概説されたように、自動化システムは、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するように構成される。したがって、自動化システムは、サンプル移送システムとも呼ばれ得る。ここで使用されるような用語「サンプル移送システム」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、分析的測定を行うためなどの特別な目的のためのサンプルを使用するためにサンプルを移送するように構成された任意のシステムを指すことができる。サンプルの移送の間、サンプルの少なくとも1つの特性が変化し得る。自動化システムの構成要素についてのさらなる詳細は、より詳細に以下に与えられるであろう。
【0027】
ここで使用されるような用語「サンプル」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、生体サンプルまたは合成試料などの任意のサンプルを指すことができる。サンプルは、1つまたは複数の対象の分析物を含有することができる。サンプルは、具体的には、液体サンプル、特に、少なくとも1つの生体物質を含有する液体サンプルであってもよい。サンプルは、それぞれの源から得られるように直接的に使用されてもよいし、または、前処理および/またはサンプル調製のワークフローの対象であってもよい。さらに、サンプルは、1つまたは複数の処理ステップを受けてもよい。したがって、サンプルの少なくとも1つの特性が変化し得る。
【0028】
サンプルは、具体的には、タンパク質を含有するサンプルなどの生体サンプル、化学的試料、合成試料、および/または環境サンプルであってもよい。さらに、サンプルは、被験者のサンプル、好ましくは、疾患、好ましくは、がんを患っているかまたは患っていると思われる被験者のサンプルであってもよい。さらに、サンプルは、細胞可溶化物のサンプル、または体液のサンプルであってもよい。また、他の実施形態も実行できる。
【0029】
上に概説されたように、サンプルは、少なくとも1つの分析物を含有することが可能である。ここで使用されるような用語「分析物」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、検出および/または測定されるべき、分子または化合物などの任意の化学的または生物学的物質または種を指すことができる。具体的には、サンプルにおける分析物の有無、濃度、および/または量が、検出または測定され得る。
【0030】
分析物は、具体的には、生体分子、好ましくは、タンパク質であってもよい。さらに、生体分子は、ポリペプチドおよび/または小分子代謝物質であってもよい。具体的には、ポリペプチドは、抗体、主要組織適合抗原によって提示されるペプチドまたは体液の中のペプチド、および/または代謝物質であってもよく、上記の小分子代謝物質は、疾病マーカー、または、違法ドラッグおよびまたはその代謝物質であってもよい。さらに、分析物は、がん細胞によって提示されるネオエピトープであってもよい。また、他の実施形態も実行できる。
【0031】
ここで使用されるような用語「入口」および「出口」は、広範な用語であり、当業者にとってそれらの通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、要素の部分であって、これらの部分を通って流体媒体が当該要素に入ったり当該要素を出たりする、要素の部分を指すことができる。
【0032】
ここで使用されるような用語「流体接続される」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、2つ以上の要素が、これら2つの要素のうちの一方からこれら2つの要素のうちの他方へのまたその逆の任意の流体媒体の移動が提供されるように接続されるという特性を指すことができる。
【0033】
上に概説されたように、自動化システムは、エレクトロスプレーエミッタを備える。用語「エレクトロスプレーエミッタ」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、エレクトロスプレーを放射するように構成された任意の装置を指すことができる。エレクトロスプレーは、サンプルの帯電した液滴、具体的には、大きさの分布が狭いサンプルの微細な高い単極性の帯電した液滴を含むことができる。エレクトロスプレーエミッタは、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリーを備えることが可能である。用語「キャピラリー」は、一般的には、小さな管などの、任意の小さな、細長い空隙容積部分を指す。一般的に、キャピラリーは、サブミリメートルの範囲内の寸法を有し得る。一般に、流体媒体は、毛管現象によってキャピラリーを通って移動することが可能であり、流体媒体は、流体媒体と、流体媒体に面するキャピラリーの表面との間の分子間力により、重力のような外力の助けなしで、キャピラリーの狭い空間の中を流れることができる。
【0034】
エレクトロスプレーエミッタは、2つの反対側の端部、具体的には、入口とも呼ばれることが可能な流体入口端部と、出口とも呼ばれることが可能なエミッタ端部とを備えることができる。上に概説されたように、エミッタ端部は、エミッタ先端部を備える。ここで使用されるような用語「先端部」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、任意の要素の鋭い端部、具体的には、細長い要素の鋭い端部を指すことができる。具体的には、エミッタ先端部は、エミッタ端部において円錐状にテーパーが付けられ得る。エミッタ先端部は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える。具体的には、エミッタ先端部の開口は、2μm~6μmの直径、好ましくは、2.5μm~5.5μmの直径、最も好ましくは、3μm~5μmの直径を有する。エミッタ先端部の開口は、オリフィスとも呼ばれ得る。
【0035】
上に概説されたように、自動化システムは、オートサンプラーを備える。ここで使用されるような用語「オートサンプラー」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、質量分析アナライザーなどの実験室設備へとサンプルを自動的に送り込む任意の装置を指すことができる。オートサンプラーは、具体的には、少なくとも1つのサンプルを供給するように構成され得る。したがって、具体的には、オートサンプラーは、液体を供給するようにおよび、具体的には、液体を蓄えるように構成されたフラスコまたは容器などの少なくとも1つの貯蔵要素を備えることができる。具体的には、オートサンプラーは、複数の貯蔵要素を備えることが可能である。さらに、付加的にまたは代替的に、オートサンプラーは、少なくとも1つの管などの少なくとも1つの接続ラインを備えることが可能である。接続ラインは、液体を所望の場所へと移送するように、または、液体を別の要素へと移送するように構成され得る。したがって、オートサンプラーは、液体供給部とも呼ばれ得る。
【0036】
オートサンプラーは、具体的には、少なくとも1つのサンプルを供給するように構成された少なくとも1つのサンプルトレーを備えることが可能である。ここで使用されるような用語「サンプルトレー」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのサンプル、具体的には、少なくとも1つの液体サンプルを受容して保持するように構成された任意の装置を指すことができる。具体的には、サンプルトレーは、サンプルを供給するように、具体的には、サンプルを蓄えるように構成された複数のフラスコまたは複数の容器のためのホルダーであってもよいし、または、当該ホルダーを備えることができる。さらに、サンプルトレーは、複数のフラスコまたは複数の容器を備えることが可能である。さらに、オートサンプラーは、少なくとも1つのニードルを備えることが可能である。ニードルは、管に接続または接続可能であり、管は、より詳細に以下にさらに記載されるであろう第1のバルブのサンプル用ポートに接続または接続可能であってもよい。ニードルは、サンプルトレーのフラスコまたは容器のうちの1つ、およびオートサンプラーの少なくとも1つのニードル受け座に、選択的に受容されるように構成され得る。
【0037】
ニードル受け座は、ニードルを受容するように構成され得る。具体的には、オートサンプラーは、より詳細に以下にさらに記載されるように、ニードルがニードル受け座に受容されたときにニードルを洗浄するように構成され得る。
【0038】
さらに、オートサンプラーは、具体的には、サンプルを受け取るように構成された少なくとも1つのサンプルループを有する少なくとも1つの第1のバルブ、を備えることが可能である。用語「第1のバルブ」、「第2のバルブ」、および「第3のバルブ」は、名付けられた要素をナンバリングまたはランク付けすることなく、順序を指定することなく、および、複数種類の第1のバルブ、第2のバルブ、または第3のバルブが存在し得る可能性を除外することなく、単なる名称と考えることができる。さらに、1つまたは複数の第4のバルブなどの追加のブロック、ポート、または位置が存在し得る。
【0039】
ここで使用されるような用語「バルブ」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、流体の流れを遮断するまたは制御するように構成された任意の装置を指すことができる。具体的には、バルブは、流体を受け取るように構成された1つまたは複数のチャネルを備えるディスクなどの少なくとも1つの回転可能な要素を備えることが可能である。さらに、バルブは、1つまたは複数のポートを有する少なくとも1つの固定要素を備えることが可能であり、および、流体を流すおよび/または方向付けるように構成されたさらなるチャネルを選択的に備えることが可能である。回転可能な要素のチャネルは、回転可能な要素の回転によって、ポートに選択的に接続可能であってもよいし、また、固定要素のさらなるチャネルに任意に接続可能であってもよい。
【0040】
ここで使用されるような用語「サンプルループ」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、細長い形状を有することが可能であり、自由体積または内腔を提供することが可能であり、およびそこを通ってサンプルの流れを可能にする任意の要素を指すことができる。したがって、サンプルループは、サンプルを受け取るように、および/または、サンプルループの一方の端部からサンプルループの他方の端部へのサンプルの移動を提供するように構成され得る。
【0041】
さらに、オートサンプラーは、具体的には、少なくとも1つの流体ローディング装置、具体的には、少なくとも1つのシリンジを備えることが可能であり、流体ローディング装置は、サンプルトレーによって供給されるサンプルを、第1のバルブのサンプルループにロードするように構成される。ここで使用されるような用語「流体ローディング装置」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、流体、具体的には、定められた量のまたは所望の量の流体を、別の対象に適用するように構成された任意の装置を指すことができる。流体ローディング装置は、具体的には、シリンジであってもよい。用語「シリンジ」は、一般的に、円筒状の管または筒の内部にしっかりとフィットしたプランジャーまたはピストンを備える往復ポンプを指すことができる。プランジャーまたはピストンは、上記の管または筒の内側に沿って直線的に引かれたり押されたりすることが可能であり、シリンジが上記の管の開放端部において放出オリフィスを通じて流体を取り入れたり排出したりすることを可能にする。シリンジの開放端部は、流れを上記の筒の中へとおよび上記の筒の外へと向けるために、配管に取り付けられ得る。
【0042】
さらに、オートサンプラーは、少なくとも1つの第3のバルブを備えることが可能である。さらに、オートサンプラーは、少なくとも1つの洗浄液を供給するように構成された少なくとも1つの洗浄液容器を備えることが可能である。第3のバルブは、流体ローディング装置を洗浄液容器にまたは第1のバルブの流体ローディング装置用ポートに選択的に接続するように構成され得る。第3のバルブは、流体ローディング装置バルブまたはシリンジバルブとも呼ばれ得る。第3のバルブの設計および構造に関しては、第1のバルブおよび第2のバルブの記載を参照することができる。具体的には、第3のバルブは、4つのポートを備えることが可能である。しかし、第3のバルブの他の実施形態も実行できる。
【0043】
さらに、オートサンプラーは、具体的には、少なくとも1つのポンプを備えることが可能である。ポンプは、第1のバルブのサンプルループからオートサンプラー出口へとおよびエレクトロスプレーエミッタへとサンプルを移送するように構成され得る。ポンプは、具体的には、ナノポンプであってもよい。用語「移動」または「移送する」は、一般的に、1つの場所から別の場所へのまたはその逆の任意の材料の能動的な輸送を指すことができる。それに関して、用語「能動的な輸送」は、輸送が、材料の方向付けられた輸送のために使用される外力および/またはポンプもしくはバルブなどの作動手段によって支援されるということを、一般的に意味する。したがって、用語「能動的な輸送」は、材料の定義されたマニピュレーションのことも指すことができる。
【0044】
第1のバルブは、少なくとも1つのサンプル用ポートと、少なくとも1つの流体ローディング装置用ポートと、少なくとも1つのポンプ用ポートと、少なくとも1つの出口ポートとをさらに備えることが可能である。サンプルトレーは、サンプル用ポートを介して第1のバルブのサンプルループに流体接続可能であってもよい。流体ローディング装置は、流体ローディング装置用ポートを介して第1のバルブのサンプルループに流体接続可能であってもよい。ポンプは、ポンプ用ポートを介して第1のバルブのサンプルループに流体接続可能であってもよい。オートサンプラー出口は、出口ポートと第2のバルブの入口ポートとを介して、第1のバルブのサンプルループに流体接続可能であってもよい。自動化システムは、サンプルループを介して流体ローディング装置用ポートとサンプル用ポートとの間の流体的な接続を確立することによって第1のバルブのサンプルループにサンプルをロードするように構成され得る。さらに、自動化システムは、サンプルループを介してポンプ用ポートと出口ポートとの間の流体的な接続を確立することによってサンプルをパイプへと注入するように構成され得る。
【0045】
さらに、オートサンプラーは、少なくとも1つの第2のバルブを備えることが可能である。第2のバルブは、第1のバルブの出口ポートをオートサンプラー出口にまたは少なくとも1つの廃棄物容器に選択的に流体接続するように構成され得る。廃棄物容器は、サンプルの調製および/または測定の目的のためにはもはや必要とされない流体を受け取るおよび/または蓄えるように構成された任意の容器であってもよい。第2のバルブは、サンプルが第1のバルブのサンプルループからパイプのパイプ流体入口端部へと移送されるとすぐにポンプ出口を廃棄物容器に戻すように構成され得る。第2のバルブの設計に関しては、第1のバルブの上記の記載を参照することができる。
【0046】
上に概説されたように、自動化システムは、パイプを備える。ここで使用されるような用語「パイプ」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、液体接合部を経由してオートサンプラーからエレクトロスプレーエミッタへとサンプルを供給するように構成され得る任意の接続要素を指すことができる。したがって、パイプは、供給ラインとも呼ばれ得る。パイプは、具体的には、溶融シリカキャピラリーであってもよく、または、溶融シリカキャピラリーを備えることが可能である。しかし、他の実施形態も実行できる。具体的には、パイプのパイプ流体入口端部は、オートサンプラー出口に直接、流体接続され得る。したがって、液体接合部とオートサンプラーとの間に分離要素が配置されなくてもよい。具体的には、液体接合部とオートサンプラーとの間に液体カラムが配置されなくてもよい。
【0047】
上に概説されたように、自動化システムは、液体接合部を備える。ここで使用されるような用語「液体接合部」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも2つの要素のうちの1つからこれら要素のうちの別の要素へと液体を運ぶ目的のために、これら少なくとも2つの要素を連結するように構成された任意の装置を指すことができる。したがって、具体的には、これらの要素のうちの1つの要素の流体出口が、これら要素のうちの別の要素の流体入口に流体接続されていてもよいし、または流体接続可能であってもよい。さらに、液体接合部は、電圧を印加することによってサンプルの少なくとも1つの成分を帯電させるように構成され得る。具体的には、液体接合部は、安定した堅牢なエレクトロスプレーイオン化を達成するように構成され得る。
【0048】
上に概説されたように、液体接合部は、少なくとも1つの導電性材料で作られた少なくとも1つの接続要素を備える。導電性材料は、具体的には、ステンレス鋼などの鋼であってもよい。しかし、他の材料も実行できる。ここで使用されるような用語「接続要素」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも2つの要素の間の流体接続を確立するように構成された任意の装置を指すことができる。流体接続は、具体的には、これら要素のうちの1つの要素の流体出口とこれら要素のうちの別の要素の流体入口との間で確立され得る。上に概説されたように、接続要素は、エレクトロスプレーエミッタとパイプとの間の流体接続が確立されるように、エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部と、パイプのパイプ流体出口端部とを受容する。接続要素は、具体的には、少なくとも1つの第1の端部と少なくとも1つの反対側の第2の端部とを有する少なくとも1つの中空のシリンダを備え得る。エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部は、第1の端部において受容され得、パイプ流体出口端部は、第2の端部において受容され得る。エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部、およびパイプのパイプ流体出口端部は、具体的には、ナノギャップが流体入口端部とパイプ流体出口端部との間に形成されるように、接続要素において受容され得る。したがって、サンプルは、接続要素に電圧を印加することによって、ナノギャップにおいて帯電され得る。電圧は、具体的には、800V~1300Vの範囲内に、好ましくは、1000V~1200Vの範囲内にあってもよい。具体的には、電圧は、1100Vであってもよい。ナノギャップは、具体的には、サンプルの流入する流れの、具体的には、サンプルの流入するナノフローの乱れが、具体的にはたとえば、渦を誘発して、サンプルを隣接する輸送液体と混合させることによって、少なくとも大部分は防がれるまたは低減されるような大きさのギャップを有してもよい。具体的には、エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部とパイプ流体出口端部との間の間隔、および/または、上記のギャップの直径は、ナノメートルの範囲の寸法であってもよい。「隣接する輸送液体」は、両側からサンプルを挟む液体を指す。
【0049】
本発明のさらなる態様において、質量分析計システムが開示される。質量分析計システムは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの自動化システムを備える。さらに、質量分析計システムは、少なくとも1つのイオン源を有する少なくとも1つの質量分析アナライザーを備える。エレクトロスプレーエミッタのエミッタ端部は、イオン源の内部に配置される。
【0050】
本発明のさらなる態様において、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法が開示される。
【0051】
本方法は、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような自動化システムを使用するステップを含む。
【0052】
本方法は、独立請求項において与えられるようなおよび以下にリストアップされるような方法ステップを含む。これらの方法ステップは、所定の順序で行われ得る。しかし、これら方法ステップは他の順序で実行できる。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップが、並行して、および/または、時間的に重複して行われ得る。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップが、繰り返し行われてもよい。さらに、リストアップされていない追加の方法ステップが存在してもよい。
【0053】
本方法は、以下のステップを含む:
a)オートサンプラーの少なくとも1つのサンプルトレーに少なくとも1つのサンプルを供給するステップ;
b)サンプルをサンプルトレーからオートサンプラー出口へと移送するステップであって、それにより、サンプルが、パイプと液体接合部とを経由してエレクトロスプレーエミッタへとさらに移送される、サンプルをサンプルトレーからオートサンプラー出口へと移送するステップ;および
c)電圧源を介して電圧を液体接合部の接続要素に印加することによってサンプルの少なくとも1つの成分を帯電させるステップ。
【0054】
ここで使用されるような用語「供給する」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、1つまたは複数の必要とされる対象を利用できるようにするプロセスを指すことができる。
【0055】
用語「移動」または「移送」は、一般的に、1つの場所から別の場所へのまたはその逆の任意の材料の能動的な輸送を指すことができる。それに関して、用語「能動的な輸送」は、輸送が、材料の方向付けられた輸送のために使用される外力および/またはポンプもしくはバルブなどの作動手段によって支援されるということを、一般的に意味する。したがって、用語「能動的な輸送」は、材料の定義されたマニピュレーションのことも指すことができる。
【0056】
オートサンプラーは、具体的には、少なくとも1つのサンプルループを有する少なくとも1つの第1のバルブと、少なくとも1つの流体ローディング装置と、少なくとも1つのポンプとを備えることが可能である。第1のバルブ、サンプルループ、流体ローディング装置、およびポンプに関してさらなる詳細のために、上記の記載が参照される。
【0057】
ステップb)は、以下のステップをさらに含むことが可能である:
b1)流体ローディング装置を介して第1のバルブのサンプルループにサンプルをロードするステップ;および
b2)ポンプを介して第1のバルブのサンプルループからオートサンプラー出口へとサンプルを移送するステップであって、それにより、サンプルが、パイプと液体接合部とを経由してエレクトロスプレーエミッタへとさらに移送される、サンプルをサンプルトレーからオートサンプラー出口へと移送するステップ。
【0058】
具体的には、第1のバルブは、少なくとも1つのサンプル用ポートと、少なくとも1つの流体ローディング装置用ポートと、少なくとも1つのポンプ用ポートと、少なくとも1つの出口ポートとをさらに備えることが可能である。ステップb1)において、サンプルループを介した流体ローディング装置用ポートとサンプル用ポートとの間の流体接続が、確立され得る。ステップb2)において、サンプルループを介したポンプ用ポートと出口ポートとの間の流体接続が確立され得る。ステップb2)において、ポンプは、第1のバルブのサンプルループからサンプルを押すように構成され得る。ポンプは、溶媒ボトルに接続され得る。ポンプは、サンプルを吸引し、第1のバルブを通じてサンプルを押すように構成され得る。
【0059】
さらに、オートスプレーは、少なくとも1つの第2のバルブを備えることが可能であり、具体的には、ステップb)を行う前に、第1の洗浄ステップが行われ得、第1の洗浄ステップの間に、第2のバルブは、第1のバルブの出口ポートを廃棄物容器に流体接続することが可能であり、流体接続は、サンプルループと出口ポートとを介して、ポンプ用ポートと少なくとも1つの廃棄物容器との間に形成され得る。第2のバルブに関してさらなる詳細のために、上記の記載が参照される。第1の洗浄ステップは、サンプルループ洗浄ステップとも呼ばれ得る。
【0060】
オートサンプラーは、少なくとも1つの第3のバルブと、少なくとも1つの洗浄液を供給するように構成され得る少なくとも1つの洗浄液容器とをさらに備え得る。上に概説されたように、第3のバルブは、流体ローディング装置バルブまたはシリンジバルブとも呼ばれ得る。第3のバルブおよび洗浄液容器に関してさらなる詳細のために、上記の記載が参照される。少なくとも1つの第2の洗浄ステップが、具体的にはステップb)を行う前に、行われ得る。第2の洗浄ステップは、流体ローディング装置プライミングステップまたはシリンジプライミングステップとも呼ばれ得る。第2の洗浄ステップは、以下のステップを含むことが可能である:
i.第3のバルブを介して流体ローディング装置を洗浄液容器に流体接続するステップであって、それにより、洗浄液が、流体ローディング装置の内部容積へと、具体的には、シリンジへと、移送される、具体的には吸引される、ステップ;および
ii.第3のバルブを介して流体ローディング装置を廃棄物容器に流体接続するステップであって、それにより、洗浄液が、流体ローディング装置の内部容積から廃棄物容器へと移送される、ステップ。
【0061】
さらに、少なくとも1つの第3の洗浄ステップは、具体的には、ステップb)を行う前に行われ得る。第3の洗浄ステップは、サンプルニードル洗浄ステップとも呼ばれ得る。第3の洗浄ステップは、以下のステップを含むことが可能である:
i.第3のバルブを介して流体ローディング装置を洗浄液容器に流体接続するステップであって、それにより、洗浄液が、流体ローディング装置の内部容積へと、具体的には、シリンジへと移送される、具体的には吸引される、ステップ;
ii.オートサンプラーのニードルをニードル受け座に配置するステップ;および
iii.第3のバルブを介して流体ローディング装置をニードルに流体接続するステップであって、それにより、洗浄液が、第1のバルブの流体ローディング装置用ポートと第1のバルブのサンプル用ポートとを介して流体ローディング装置の内部容積からニードル受け座へと運ばれる、ステップ。
【0062】
用語「第1の洗浄ステップ」、「第2の洗浄ステップ」、および「第3の洗浄ステップ」は、名付けられたステップをナンバリングまたはランク付けすることなく、順序を指定することなく、および、複数種類の第1の洗浄ステップ、第2の洗浄ステップ、または第3の洗浄ステップが行われ得る可能性を除外することなく、単なる名称と考えることができる。さらに、1つまたは複数の第4の洗浄ステップなどの追加の洗浄ステップが行われてもよい。
【0063】
エレクトロスプレーイオン化の間のエレクトロスプレーエミッタの内部の圧力は、大気圧であってもよい。ここで使用されるような用語「大気圧」は、広範な用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることになり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。当該用語は、具体的には、限定されないが、対象と接触している気体や液体などの周囲の媒質の圧力を指すことができる。具体的には、ポンプは、サンプルがサンプルトレーからパイプのパイプ流体入口端部へと移送されるとすぐに、廃棄物容器に戻され得る。サンプルの移動の後に、ポンプは、サンプルループを洗浄するために使用され得る。具体的には、ポンプは、サンプルがサンプルトレーからパイプのパイプ流体入口端部へと、そして、具体的には、最後にエレクトロスプレーエミッタへと移るとすぐにアイドリングするように構成され得る。
【0064】
さらに、エレクトロスプレーイオン化の間のエレクトロスプレーエミッタの内部の圧力は、1バール~50バール、好ましくは、2バール~20バール、最も好ましくは、5バール~15バールであってもよい。それとは反対に、液体クロマトグラフィーにおいて、300バール~400バールの圧力が、カラムの寸法およびクロマトグラフィーの様式に応じて加えられ得る。
【0065】
本方法は、具体的には、質量分析計システムにおいて少なくとも2つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法であることが可能であり、本方法は、以下のステップを含むことが可能である:
(I)第1のサンプルに対してステップ(a)~(c)を行うステップ;
(II)第1のサンプルを除去し、少なくともエレクトロスプレーエミッタ、パイプ、および液体接合部を洗浄するステップ;
(III)第2のサンプルに対してステップ(a)~(c)を行うステップ;および
随意に、任意のさらなるサンプルに対してステップ(II)および(III)を繰り返すステップ。
【0066】
ステップ(II)が行われた後、第1の洗浄ステップ、第2の洗浄ステップ、および第3の洗浄ステップのうちの1つもしくは複数、またはそれらのすべてを行うことも可能である。
【0067】
用語「第1のサンプル」および「第2のサンプル」は、名付けられた要素をナンバリングまたはランク付けすることなく、順序を指定することなく、および、複数種類の第1のサンプルまたは第2のサンプルが存在し得る可能性を除外することなく、単なる名称と考えることができる。さらに、1つまたは複数の第3のサンプルなどの追加のサンプルが存在してもよい。
【0068】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法が開示される。
【0069】
用語「MSパラメータ」は、当業者によって、サンプルに対して行われた分析的なMSの結果に影響を及ぼすと知られている、または当然思われる任意のMSパラメータに関するものであると理解される。1つの実施形態において、上記のMSパラメータは、イオン化法、検出器の種類、フラグメンテーションの数、などから選択され得る。
【0070】
用語「少なくとも1つのMSパラメータを最適化する」は、原理的に当業者によって理解される。1つの実施形態において、当該用語は、MSパラメータの影響を分析することに関する。さらに、1つの実施形態において、当該用語は、対象の分析物が本質的に干渉なしに測定できるようにして分析的なMS方法のパラメータを修正することを含む手順に関する。さらに、1つの実施形態において、当該用語は、分析物の異なる特徴を調査することに関する。具体的には、特に、衝突エネルギーを決定する場合において、最適化されるべきアッセイの追及される目的に応じて様々な最適条件を示唆し得るデータが集められ得る。
【0071】
少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法は、独立請求項において与えられるようなおよび以下にリストアップされるような方法ステップを含む。これらの方法ステップは、所定の順序で行われ得る。しかし、これら方法ステップは他の順序で実行できる。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップが、並行して、および/または、時間的に重複して行われ得る。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップは繰り返し行われてもよい。さらに、リストアップされていない追加の方法ステップが存在してもよい。
【0072】
本方法は、以下のステップを含む:
(A)少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によって、具体的には、スタティックエレクトロスプレーイオン化によって、イオン化するステップ;
(B)上記の少なくとも1つのMSパラメータについて少なくとも2つの異なる値を含む条件の下で少なくとも2つのMSスペクトルを記録するステップ;
(C)ステップ(B)において記録されたこれらMSスペクトルを比較するステップ;および
(D)それにより、ステップ(C)における比較に基づいて、上記の少なくとも1つのMSパラメータを最適化するステップ。
【0073】
ステップ(B)が行われる前に、イオンが、フィールド非対称イオン移動度分析法(FAIMS)によって、気相において任意で分離されてもよい。具体的には、FAIMS装置は、イオン源と質量分析アナライザーの入口との間に取り付けられ得る。この場合において、少なくとも1つのMSパラメータの最適化は、たとえば、質量分析アナライザーへと最適に移送されるべき所定の標的ペプチド/分子に対するパラメータを最適化することを含むことが可能である。
【0074】
本発明のさらなる態様において、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法が開示される。
【0075】
質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法は、独立請求項において与えられるようなおよび以下にリストアップされるような方法ステップを含む。これらの方法ステップは、所定の順序で行われ得る。しかし、これら方法ステップは他の順序で実行できる。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップが、並行して、および/または、時間的に重複して行われ得る。さらに、これら方法ステップのうちの1つまたは複数のステップは繰り返し行われてもよい。さらに、リストアップされていない追加の方法ステップが存在してもよい。
【0076】
本方法は、以下のステップを含む:
(A)上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような自動化システムを使用して、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法によって、サンプルを供給し、イオン化するステップ;および
(B)ステップ(A)のイオン化されたサンプルの少なくとも1つのMSスペクトルを記録するステップ。
【0077】
さらに、本方法は、以下のステップを含むことが可能である:
(C)ステップ(B)の少なくとも1つのMSスペクトルを参照と比較し、それによって、少なくとも1つの分析物を検出するステップ。
【0078】
用語「参照」は、原理的に当業者によって理解される。1つの実施形態において、当該用語は、参照MSスペクトルに関する。さらに、1つの実施形態において、当該用語は、計算されるまたは実験的に決定され得る期待値に関する。また、他の実施形態が実行できる。具体的には、ステップ(B)の少なくとも1つのMSスペクトルは、分析物に特徴的である抽出されるスペクトル信号と比較されてもよい。スペクトル信号は、計算的に決定されてもよい。したがって、分析物の検出が、確かめられ得る。
【0079】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つのMSパラメータを最適化するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような自動化システムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような質量分析計システムの使用が開示される。
【0080】
本発明のさらなる態様において、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような質量分析(MS)パラメータによってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような自動化システムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような質量分析計システムの使用が開示される。
【0081】
本発明は、コンピュータプログラムであって、当該プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときにここに同封される実施形態のうちの1つまたは複数における本発明にしたがう方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム、をさらに開示および提案する。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに保存されてもよい。したがって、具体的には、少なくとも1つのサンプルを供給およびイオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの1つもしくは複数、またはそれらのすべてさえも、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)、(B)および(C)のうちの1つまたはそれらのすべてさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって、好ましくは、コンピュータプログラムを使用することによって、行うことが可能である。具体的には、スキャンパラメータのテーブルが、器具のソフトウェアに設けられてもよい。
【0082】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に記載されている、本発明の実施形態のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うために、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)、(B)および(C)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品をさらに開示および提案する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアに保存されてもよい。
【0083】
さらに、本発明は、その上に保存されたデータ構造を有するデータキャリアであって、コンピュータまたはコンピュータネットワークの中に、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリの中などに、ロードされた後、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つのサンプルを供給およびイオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を実行するまたはそれらのすべてを実行する、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを実行するまたはそれらのすべてを実行することが可能なデータキャリアを開示および提案する。
【0084】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うために、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うために、機械可読キャリア上に保存されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品をさらに開示および提案する。本明細書で使用されるように、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。当該製品は、一般的に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、または、コンピュータ可読データキャリア上に、存在することが可能である。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通して配布されてもよい。
【0085】
最後に、本発明は、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読取可能な命令を含む変調されたデータ信号であって、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数にしたがって、少なくとも1つのサンプルを供給およびイオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うための、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うための変調されたデータ信号を提案および開示する。
【0086】
好ましくは、本発明のコンピュータに実装された態様に言及すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つのサンプルを供給およびイオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数またはそれらのすべて、および/または、上記に示したような質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つまたはそれらのすべては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって行われ得る。したがって、一般的に、データの供給および/またはマニピュレーションを含む方法ステップのうちの任意のものが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって行われ得る。一般的に、これら方法ステップは、サンプルを供給することおよび/または実際の測定を行うことの特定の態様などの、手作業を必要とする方法ステップを一般的に除く方法ステップのうちの任意のものを含むことが可能である。
【0087】
具体的には、本発明は、さらに、
少なくとも1つのプロセッサであって、当該プロセッサは、本明細書に記載される実施形態のうちの1つによって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うように、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うように、構成される、少なくとも1つのプロセッサ、を備える、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、
コンピュータロード可能なデータ構造であって、当該データ構造がコンピュータ上で実行されながら、本明細書に記載される実施形態のうちの1つによって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うように、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うように、構成されるコンピュータロード可能なデータ構造、
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、当該プログラムがコンピュータ上で実行されながら、本明細書に記載される実施形態のうちの1つにしたがって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うように、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うように、構成される、コンピュータプログラム、
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上でまたはコンピュータネットワーク上で実行されながら、本明細書に記載される実施形態のうちの1つにしたがって、少なくとも1つのサンプルを供給およびイオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うための、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
上記の実施形態に基づくプログラム手段を備えるコンピュータプログラムであって、当該プログラム手段は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記憶される、コンピュータプログラム、
記録媒体であって、データ構造が当該記録媒体に保存され、当該データ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークのメインおよび/またはワーキングストレージの中にロードされた後、本記載に記載される実施形態のうちの1つによって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うように、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うように、構成される、記録媒体、および
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、当該プログラムコード手段は、当該プログラムコード手段がコンピュータ上でまたはコンピュータネットワーク上で実行する場合に、本明細書に記載される実施形態のうちの1つによって、少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法の方法ステップa)、b)およびc)、少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法の方法ステップ(A)、(B)、(C)および(D)のうちの複数を行うまたはそれらのすべてを行うために、および/または、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法の方法ステップ(A)および(B)のうちの1つを行うまたはそれらのすべてを行うために、記憶媒体に保存可能であるかまたは保存されている、コンピュータプログラム製品、
を開示する。
【0088】
用語「第2の自動化システム」、「第2の質量分析計システム」、「第3の質量分析計システム」、「質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第2の方法」、および「質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第3の方法」は、名付けられた要素をナンバリングまたはランク付けすることなく、順序を指定することなく、および、複数種類の第1/第2/第3の自動化システム、複数種類の第1/第2/第3の質量分析計システム、および質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための複数種類の第1/第2/第3の方法が存在し得る可能性を除外することなく、単なる名称と考えることができる。
【0089】
さらなる態様において、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために少なくとも1つのサンプルを供給するための第2の自動化システムが記載される。第2の自動化システムは、少なくとも1つのエミッタ先端部を有する少なくとも1つのエミッタ端部と、少なくとも1つの流体入口端部とを備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタを備える。さらに、第2の自動化システムは、少なくとも1つのオートサンプラーを備える。オートサンプラーは、少なくとも1つのオートサンプラー出口を備える。オートサンプラーは、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプルを供給するように構成される。さらに、第2の自動化システムは、少なくとも1つのパイプ流体出口端部と少なくとも1つのパイプ流体入口端部とを有する少なくとも1つのパイプ、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリーを備える。パイプ流体入口端部は、オートサンプラー出口に流体接続される。パイプ流体出口端部は、エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部に流体接続される。さらに、第2の自動化システムは、電圧をサンプルに印加するための少なくとも1つの装置を備える。エミッタ先端部は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える。
【0090】
エレクトロスプレーエミッタ、パイプ、およびオートサンプラーに関しては、上記の記載が参照される。
【0091】
電圧をサンプルに印加するための装置は、金属で被覆されたエミッタであってもよい。しかし、他の実施形態も実行できる。
【0092】
さらなる態様において、第2の質量分析計システムが記載される。第2の質量分析計システムは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの第2の自動化システムを備える。さらに、第2の質量分析計システムは、少なくとも1つのイオン源を有する少なくとも1つの質量分析アナライザーを備える。エレクトロスプレーエミッタのエミッタ端部は、イオン源の内部に配置される。
【0093】
さらなる態様において、質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための第2の方法が記載される。本方法は、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の自動化システムを使用するステップを含む。本方法は、以下のステップを含む:
a)オートサンプラーの少なくとも1つのサンプルトレーの中に少なくとも1つのサンプルを供給するステップ;
b)サンプルをサンプルトレーからオートサンプラー出口へと移送するステップであって、それにより、サンプルが、パイプと液体接合部とを経由してエレクトロスプレーエミッタへとさらに移送される、ステップ;および
c)電圧をサンプルに印加することによってサンプルの少なくとも1つの成分を帯電させるステップ。
【0094】
さらなる態様において、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第2の方法が記載される。本方法は、以下のステップを含む:
(A)上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の自動化システムを使用して、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための当該方法によって、サンプルを供給し、イオン化するステップ;および
(B)ステップ(A)のイオン化されたサンプルの少なくとも1つのMSスペクトルを記録するステップ。
【0095】
さらなる態様において、少なくとも1つのMSパラメータを最適化するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の自動化システムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の質量分析計システムの使用が開示される。
【0096】
さらなる態様において、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような質量分析(MS)パラメータによってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第2の方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の自動化システムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第2の質量分析計システムの使用が開示される。
【0097】
さらなる態様において、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化のために、少なくとも1つのサンプルを供給するための、具体的には、当該少なくとも1つのサンプルを移送するためのシステムが開示される。システムは、少なくとも1つのエミッタ先端部を有する少なくとも1つのエミッタ端部と、少なくとも1つの流体入口端部とを備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタを備える。さらに、システムは、少なくとも1つのオートサンプラーを備える。オートサンプラーは、少なくとも1つのオートサンプラー出口を備える。オートサンプラーは、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプルを供給するように構成される。さらに、システムは、少なくとも1つのパイプ流体出口端部と少なくとも1つのパイプ流体入口端部とを有する少なくとも1つのパイプ、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリーを備える。パイプ流体入口端部は、オートサンプラー出口に流体接続される。さらに、システムは、少なくとも1つの液体接合部を備える。液体接合部は、少なくとも1つの導電性材料で作られた少なくとも1つの接続要素を備える。接続要素は、エレクトロスプレーエミッタとパイプとの間の流体接続が確立されるようにして、エレクトロスプレーエミッタの流体入口端部と、パイプのパイプ流体出口端部とを受容する。接続要素は、少なくとも1つの電圧源に電気的に接続可能である。エミッタ先端部は、1μm~10μmの直径を有する開口を備える。
【0098】
エレクトロスプレーエミッタ、パイプ、およびオートサンプラーに関しては、上記の記載が参照される。具体的には、本発明の第1の態様に従う自動化システムに関する上記の記載が参照される。
【0099】
さらなる態様において、第3の質量分析計システムが記載される。第3の質量分析計システムは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つのシステムを備える。さらに、当該質量分析計システムは、少なくとも1つのイオン源を有する少なくとも1つの質量分析アナライザーを備える。エレクトロスプレーエミッタのエミッタ端部はイオン源の内部に配置される。
【0100】
さらなる態様において、第3の質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための第3の方法が記載される。本方法は、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるようなシステムを使用するステップを含む。本方法は、以下のステップを含む:
a)オートサンプラーの少なくとも1つのサンプルトレーの中に少なくとも1つのサンプルを供給するステップ;
b)サンプルをサンプルトレーからオートサンプラー出口へと移送するステップであって、それにより、サンプルが、パイプと液体接合部とを経由してエレクトロスプレーエミッタへとさらに移送される、ステップ;および
c)電圧をサンプルに印加することによってサンプルの少なくとも1つの成分を帯電させるステップ。
【0101】
さらなる態様において、質量分析(MS)によってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第3の方法が記載される。本方法は、以下のステップを含む:
(A)上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるようなシステムを使用して、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための第3の方法によって、サンプルを供給し、イオン化するステップ;および
(B)ステップ(A)のイオン化されたサンプルの少なくとも1つのMSスペクトルを記録するステップ。
【0102】
さらなる態様において、少なくとも1つのMSパラメータを最適化するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような少なくとも1つの質量分析(MS)パラメータを最適化するための方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるようなシステムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第3の質量分析計システムの使用が開示される。
【0103】
さらなる態様において、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための、好ましくは、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような質量分析(MS)パラメータによってサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための第3の方法による、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるようなシステムの使用、および/または、上記したようなまたはより詳細に以下にさらに記載されるような第3の質量分析計システムの使用が開示される。
【0104】
本発明にしたがう方法および装置は、既知の方法および装置にまさって多数の有利な点を提供する。
【0105】
自動化システムは、質量分析アナライザーのイオン源に容易にプラグ接続されるおよびプラグ接続が解除され得る。自動化システムは、少なくとも1つのサンプルを、具体的には、1分あたりの流量が低いナノリットル単位で移送するように構成され得る。自動化システムは、質量分析計システムにおいてエレクトロスプレーイオン化によって少なくとも1つのサンプルを供給し、イオン化するための方法を行うときに、安定したイオン化を可能にする。
【0106】
超高感度を達成することを目的として、一般的なLC-MC法の代わりにスタティックスプレーを使用して、様々な検出パラメータを最適化するための効率的な手順が実行されてもよく、当該効率的な手順は、特に自動化されてもよい。複数のソフトウェアプラットフォームを通じた複数の前後の段階を含め、多数のLC-MSの実行、その後のクリーニングが、回避され得る。
【0107】
本発明にしたがう自動化システムは、オリフィスとも呼ばれ得る先端開口の制御された大きさにより、管、特に、溶融シリカキャピラリーと、エレクトロスプレーエミッタとの間の液体接合部に基づき得る。この構成が、(i)はるかにより安定したエレクトロスプレーを達成することと、(ii)サンプルをエレクトロスプレーエミッタへと移送するためのオートメーションの展望を開くこととを可能にする。液体接合部に基づくスタティックスプレー質量分析がオートサンプラーに対して組み合わされることは、以前には決してなかった。
【0108】
本発明に基づく自動化システムの明白な有利な点は、非常に低い流量を達成できる点にある。TriVersa Nano Mate(登録商標)は、(クロマトグラフ分離の明白な利益はないがnano-LCに匹敵する)200nl/minを達成するだけである一方で、本発明による自動化システムは、10nl/min以下を達成することが可能である。低いエレクトロスプレー流量は、イオン化効率を100%まで高めることが期待できる。より低い流量は、競合してイオン化する分析物の数とその濃度範囲とによる複雑な混合物-複合体の分析にとって重要である、より広い線形動的範囲を提供することが期待できる。
【0109】
本発明に基づく自動化システムは、プロテオミクス、ペプチドミクス、およびメタボロミクスの研究分野において、幅広く応用できる。具体的には、本発明に基づく自動化システムは、現行の極めて遅く低いスループットのネオエピトープ発見をより高いスループットへと変革するように構成され得、たとえば、広範囲の腫瘍に対して予測されるネオエピトープのライブラリを迅速に試験することが可能である。したがって、それは、合理的なbed-to-bench-and-back-to-bed型の免疫治療のデザインを促進させる助けとなり得る。ネオエピトープ以外にも、本発明による自動化システムは、メタボロミクス、創薬における小分子の分析に適用可能であり、インタクトタンパク質の質量分析による治療用抗体の分析に有用であることが確かにわかるであろう。
【0110】
さらなる選択的な特徴および実施形態が、実施形態の続く記載において、好ましくは、従属請求項と併せて、より詳細に開示されるであろう。その中では、当業者であれば理解するように、それぞれの選択的な特徴が、単独で実現されてもよいし、任意の実現可能な組合せで実現されてもよい。本発明の範囲は、好適な実施形態によって限定されない。実施形態は、図において模式的に描写される。その中では、これら図における同一の参照符号は、同一のまたは機能的に類似する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1A】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1B】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1C】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1D】本発明による質量分析計システムにおいてして少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1E】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1F】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1G】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図1H】本発明による質量分析計システムにおいて少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
図2A】データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。
図2B】データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。
図2C】データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。
図2D】データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。
図2E】データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。
図3A】スタティックスプレーの異なるセッティングにおけるスプレー電流の安定性を示す。
図3B】MSデータの対応する質を示す。
図4】正規化された衝突エネルギーNCEの最適化を示す。
図5】ペプチド検出の感度に関するフィールド非対称イオン移動度分析法(FAIMS)パラメータの最適化の効果を示すセルプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0112】
図1A~1Fは、模式図において、本発明による質量分析計システム110において少なくとも1つのサンプルを供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の例示的な実施形態を示す。
【0113】
図1Aにおいて、質量分析計システム110の例示的な実施形態が示される。質量分析計システム110は、少なくとも1つの自動化システム112と、少なくとも1つの質量分析アナライザー114とを備える。質量分析アナライザー114は、少なくとも1つのイオン源116、具体的には、少なくとも1つのイオン化チャンバ118を有する。自動化システム112のエレクトロスプレーエミッタ122のエミッタ端部120がイオン源116の内部に配置される。
【0114】
自動化システム112は、少なくとも1つのエミッタ先端部を有する少なくとも1つのエミッタ端部120と、少なくとも1つの流体入口端部126とを備える少なくとも1つのエレクトロスプレーエミッタ122を備える。エレクトロスプレーエミッタ122は、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリー128を備え得る。具体的には、上記のエミッタ先端部124は、エミッタ端部120において円錐状にテーパーが付けられ得る。エミッタ先端部124は、1μmから10μmの直径を有する開口を備える。具体的には、エミッタ先端部124の開口は、3μmまたは5μmの直径を有する。エレクトロスプレーエミッタ122は、具体的には、CoAnn Technologies社によって提供されるCoAnnエミッタであってもよい。エレクトロスプレーエミッタ122は、具体的には、ホルダー130によって保持され得る。ホルダー130は、具体的には、非常に高圧のゼロデッドボリューム(ZDV)ユニオン、具体的には、IDEX Health & Science LLC社によって提供されるZDVユニオンであってもよい。
【0115】
さらに、自動化システム112は、少なくとも1つのオートサンプラー132を備える。オートサンプラー132は、少なくとも1つのオートサンプラー出口134を備える。当該オートサンプラーは、少なくとも1つの分析物を有する少なくとも1つのサンプル136を供給するように構成される。
【0116】
さらに、自動化システム112は、少なくとも1つのパイプ流体出口端部142と、少なくとも1つのパイプ流体入口端部144とを有する少なくとも1つのパイプ138、具体的には、少なくとも1つの溶融シリカキャピラリー140を備える。パイプ流体入口端部142は、オートサンプラー出口134に流体接続される。
【0117】
さらに、自動化システム112は、少なくとも1つの液体接合部146を備える。液体接合部146は、少なくとも1つの導電性材料で作られた少なくとも1つの接続要素148を備える。接続要素148は、エレクトロスプレーエミッタ122とパイプ138との間の流体的な接続が確立されるように、エレクトロスプレーエミッタ122の流体入口端部126と、パイプ138のパイプ流体出口端部142とを受け入れる。接続要素148は、少なくとも1つの電圧源149に電気的に接続可能である。接続要素148は、具体的には、少なくとも1つの第1の端部152と少なくとも1つの反対側の第2の端部154とを有する少なくとも1つの中空のシリンダ150を備え得る。エレクトロスプレーエミッタ122の流体入口端部126は、第1の端部152において受容され得、パイプ流体出口端部142は、第2の端部154において受容され得る。第1の端部152および第2の端部154は、それぞれ、スクリュー156によって密封される。スクリュー156は、それぞれ、エレクトロスプレーエミッタ122およびパイプ138をそれぞれ受容するためのスルーホール158を有し得る。エレクトロスプレーエミッタ122の流体入口端部126、および接続要素148のパイプ流体出口端部142は、具体的には、パイプ流体出口端部142とエレクトロスプレーエミッタ122の流体入口端部126との間にナノギャップ160が形成されるように、接続要素148に受容され得る。したがって、サンプル136は、電圧源149を介して接続要素148に電圧を印加することによって、ナノギャップ160によってまたはナノギャップ160において帯電され得る。
【0118】
オートサンプラー132は、具体的には、少なくとも1つのサンプル136を供給するように構成された少なくとも1つのサンプルトレー162を備え得る。サンプルトレー162は、サンプル136を供給するようにおよび、具体的には、サンプル136を蓄えるようにそれぞれ構成された複数のフラスコ164、を有し得る。
【0119】
さらに、オートサンプラー132は、具体的には、サンプル136を受け取るように構成された少なくとも1つのサンプルループ168を有する少なくとも1つの第1のバルブ166を備え得る。具体的には、第1のバルブ166は、サンプル136を受け取るように構成されたサンプルループ168を備える少なくとも1つの固定要素170を備え得る。さらに、第1のバルブ166は、サンプル136を流すおよび/または方向付けるように構成されたチャネル174を有する少なくとも1つの回転可能な要素172を備え得る。各ポート176は、隣接するポート176に、具体的には、複数のチャネル174のうちの1つを介してすぐ右側およびすぐ左側に接続され得る。
【0120】
さらに、オートサンプラー132は、具体的には、少なくとも1つの流体ローディング装置178、具体的には、少なくとも1つのシリンジ180を備えることができ、流体ローディング装置178は、サンプルトレー162によって供給されるサンプル136を、第1のバルブ166のサンプルループ168にロードするように構成される。さらに、オートサンプラー132は、具体的には、少なくとも1つのポンプ182、具体的には、少なくとも1つのナノポンプ184を備え得る。ポンプ182は、第1のバルブ166のサンプルループ168からオートサンプラー出口134へとおよびエレクトロスプレーエミッタ122の中へとサンプル136を移送するように構成され得る。
【0121】
第1のバルブ166は、少なくとも1つのサンプル用ポート186と、少なくとも1つの流体ローディング装置用ポート188と、少なくとも1つのポンプ用ポート190と、少なくとも1つの出口ポート192とを備え得る。サンプルトレー162は、サンプル用ポート186を介して第1のバルブ166のサンプルループ168に流体接続可能であってもよい。流体ローディング装置178は、流体ローディング装置用ポート188を介して第1のバルブ166のサンプルループ168に流体接続可能であってもよい。ポンプ182は、ポンプ用ポート190を介して第1のバルブ166のサンプルループ168に流体接続可能であってもよい。オートサンプラー出口134は、出口ポート192と、より詳細に以下でさらに記載され得る第2のバルブ196の入口ポート194とを介して、第1のバルブ166のサンプルループ168に流体接続可能であってもよい。自動化システム112は、サンプルループ168を介して流体ローディング装置用ポート188とサンプル用ポート186との間の流体的な接続を確立することによって第1のバルブ166のサンプルループ168にサンプル136をロードするように構成され得る。さらに、自動化システム112は、サンプルループ168を介してポンプ用ポート190と出口ポート192との間の流体接続を確立することによってサンプル136をパイプ138の中へと注入するように構成され得る。
【0122】
さらに、オートサンプラー132は、少なくとも1つの第2のバルブ196を備え得る。第2のバルブ196は、第1のバルブ166の出口ポート192をオートサンプラー出口134に、または、少なくとも1つの廃棄物容器198に、選択的に流体接続するように構成され得る。第2のバルブ196は、サンプル136が第1のバルブ166のサンプルループ168からパイプ138のパイプ流体入口端部144へと移送されるとすぐにポンプ出口190を廃棄物容器198に戻すように構成され得る。第2のバルブ196は、サンプル136を流すように構成されたチャネル202を有する回転可能な要素200を有し得る。各ポート204は、隣接するポート204に、具体的には、複数のチャネル202のうちの1つを介してすぐ右側およびすぐ左側に接続され得る。
【0123】
さらに、オートサンプラー132は、少なくとも1つの第3のバルブ206を備え得る。さらに、オートサンプラー132は、少なくとも1つの洗浄液を供給するように構成された少なくとも1つの洗浄液容器208を備え得る。第3のバルブ206は、流体ローディング装置178を洗浄液容器208にまたは第1のバルブ166の流体ローディング装置用ポート188に選択的に接続するように構成され得る。
【0124】
図1Aに示されるように、質量分析計システム110において少なくとも1つのサンプル136を供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の第1のステップにおいて、少なくとも1つのサンプル136が、オートサンプラー132の少なくとも1つのサンプルトレー162に、具体的には、少なくとも1つのフラスコ164に供給される。
【0125】
図1Bおよび1Cに示されるように、質量分析計システム110において少なくとも1つのサンプル136を供給し、エレクトロスプレーイオン化によってイオン化するための方法の第2のステップにおいて、サンプル136が、サンプルトレー162からオートサンプラー出口134へと移送され、それによって、サンプル136は、パイプ138と液体接合部146とを経由してエレクトロスプレーエミッタ122へとさらに移送される。
【0126】
具体的には、図1Bに示されるように、矢印210で示されるように、流体ローディング装置178によって、第1のバルブ166のサンプルループ168に、サンプル136がロードされ得る。具体的には、サンプルループ168による流体ローディング装置用ポート188とサンプル用ポート186との間の流体接続が確立され得る。
【0127】
具体的には、図1Cに示されるように、その後は、サンプル136は、第1のバルブ166のサンプルループ168からオートサンプラー出口134へと移送され得る。ポンプ182は、第1のバルブ166が、サンプルループ168がポート188~186に接続されている図1Bに描写される構成から、サンプルループ168がポート190~192に接続されている図1Cに描写される構成へと切り替わるとすぐに、当該サンプルを押すように構成され得る。それによって、矢印212で示されるように、サンプル136は、パイプ138と液体接合部146とを経由して、エレクトロスプレーエミッタ122へとさらに移送され得る。具体的には、サンプルループ168を介したポンプ用ポート190と出口ポート192との間の流体接続が確立され得る。
【0128】
さらに、図1Dから1Hに示されるような異なる種類の洗浄ステップが行われ得る。
【0129】
図1Dに示されるように、第1の洗浄ステップが示される。第1の洗浄ステップは、サンプルループ洗浄ステップとも呼ばれ得る。第1の洗浄ステップの間に、第2のバルブ196は、第1のバルブ166の出口ポート192を、廃棄物容器198に流体接続することが可能であり、サンプルループ168と出口ポート192とを介して、ポンプ用ポート190と廃棄物容器198との間に、流体接続が形成され得る。
【0130】
図1Eおよび1Fにおいて、第2の洗浄ステップが示される。第2の洗浄ステップは、流体ローディング装置プライミングステップまたはシリンジプライミングステップとも呼ばれ得る。図1Eに示されるように、矢印214で示されるように、流体ローディング装置178は、第3のバルブ206を介して、洗浄液容器208に流体接続され得、それによって、洗浄液は、流体ローディング装置178の内部容積216へと移送される。さらに、図1Fに示されるように、流体ローディング装置178は、第3のバルブ206を介して廃棄物容器222に流体接続され得、それによって、洗浄液は、流体ローディング装置178の内部容積216から廃棄物容器222へと移送される。
【0131】
図1Gにおいて、第3の洗浄ステップが示される。第3の洗浄ステップは、サンプルニードル洗浄ステップとも呼ばれ得る。流体ローディング装置178が、第3のバルブ206を介して、洗浄液容器208に流体接続され得、それによって、図1Eに示されるように、洗浄液が、流体ローディング装置178の内部容積216へと移送された後、オートサンプラー132のニードル224は、図1Gに示されるように、ニードル受け座226へと配置され得る。図1Gにさらに示されるように、流体ローディング装置178は、第3のバルブ206を介してニードル224に流体接続され得、それによって、洗浄液は、第1のバルブ166の流体ローディング装置用ポート188と第1のバルブ166のサンプル用ポート186とを経由して、流体ローディング装置178の内部容積216からニードル受け座226へと移送される。
【0132】
図2A~2Eは、データ解析および可視化の様々な実施形態を示す。図2A~2Cによる実施形態は、コンセプトを説明することを目的とした、「手製の」模式的な図に相当する。図2A~2Cによる実施形態は、測定データに対応していない。図2Dおよび2Eによる実施形態は、実験結果であり、測定データに対応する。
【0133】
バッチにおけるペプチドを分析する能力を十分に利用するために、スタティックスプレーのアプローチを用いて、最適化の結果を抽出、分析、および可視化するためのプログラムが開発された。
【0134】
有利なことに、上記のプログラムは、本出願の範囲内に記載される用途に合わせてカスタマイズされているため、追加のユーザー入力なしで機器の出力から結果を生成することができる。他のソフトウェアでは、通常、ペプチドごとに手作業での調整が必要とされる。
【0135】
図2Aにおいて、液体カラム分離からの結果である質量スペクトルが示される。任意の単位の強度Iが、保持時間tr(分)に依存にして示される。パラメータが最適化のために調整させられるたびに、信号は、時間軸の進行に応じてさらにシフトし得る。図2Bにおいて、スタティックスプレーのアプローチの結果として得られた質量スペクトルが示される。任意の単位の強度Iが、保持時間tr(分)に依存して示される。スタティックスプレー(ss)では、信号は理想的には一定であり、ノイズおよび装置パラメータの影響のみを受けることがわかる。図2Cにおいて、上記のss信号が、ワークフローにとって何が関連するかを表すためにさらに圧縮されることができることが示される。異なるテクスチャは、標的の前駆体/分析物/種の衝突解離によって生成される異なる特徴的な信号/変遷/フラグメントを表す。
【0136】
図2Dおよび2Eにおいて、FAIMS CV(図2D)または衝突エネルギーCEのような装置パラメータを循環させると、可視化によって、最適なパラメータ値を明確に特定することが可能となり、マーク220で示されることが示される。
【0137】
データ抽出は、Skylineソフトウェア(https://skyline.ms)および本分野における他のソフトウェアを用いて一般的に行われるものに酷似しており、開発されたプログラムが、各分析物ペプチドの断片化において生成されたイオンを計算し、LC-MSに強く焦点をあてながらデータ抽出を容易にし、イオンクロマトグラムとしてデータを可視化する(図2A)。それは、なんらかの摩擦が加えられ、手による入力が必要とされるが、生成されるようなデータを抽出することも可能である。全体的にみれば、上記のワークフローは一般的ではあるが、最近のほとんどのソフトウェアは、LC分離を強く期待する。
【0138】
一旦、装置パラメータが、スタティックスプレーにおいて最適化のために循環されると、使用されるソフトウェアによって、そして、それがパラメータの読み取りを支援するかどうかによって、さらに制限され得る。たいていのソフトウェアは、最近、このためにセットアップされない一方で、ソフトウェアが、Rスクリプティングを介してこれを容易にするために他でリリースもされてきた(https://github.com/fgcz/rawDiag#343--how-to-get-all-scan-attributes-assosiated-to-each-scan)。
【0139】
データ解析および可視化のために、図2Dおよび2Eにおいて示されるような結果が、可視化され得る。たいていのパラメータに対して、最適条件の同定が、これらプロットにしたがって容易であり得る。衝突エネルギーの最適化のために(図2E)、全体の信号強度に影響するだけでなく信号の合成にも影響する衝突エネルギーパラメータにより、さらなる微妙な差異があり得る。当該例において、いくつかのイオンは、高いエネルギーでのみ出現する。
【0140】
われわれの自動化アプローチにおいて集められたデータは、最良の衝突エネルギーが様々な用途に対してどのようなものであるのかについての、いくつかの関心のある科学的な問題を厳密に調べるのに、使用できる。
【0141】
図3Aおよび3Bは、スタティックスプレーの異なるセッティングにおけるスプレー電流csの安定性(図3A)、およびMSデータの対応する質(図3B)を示す。
【0142】
図3Aは、スタティックスプレーの異なるセッティッグにおける時間t(分)に依存したスプレー電流csを示す。丸で印が付けられたデータは、被覆エミッタに対するスタティックスプレーのセットアップからのデータに対応する。十字記号で印が付けられたデータは、液体接合部および被覆されないエミッタに対するスタティックスプレーのセットアップからのデータに対応する。十字記号を有するデータは、本発明による質量分析計システムによって取得される。図3Aにおいて、スプレー電流は、スタティックスプレーの古典的なアプローチに相当する被覆ガラスキャピラリーに比べて、液体接合部の存在下における被覆されないエミッタに対してより安定的であることがわかる。
【0143】
図3Bにおいて、a.u.での強度Iが、正規化衝突エネルギーNCEに依存して示される。衝突エネルギーのための明らかな最適値を同定することは、液体接合部の存在下において、被覆されないキャピラリー(下側のパネルを参照)に比べて、被覆エミッタに対して(上側のパネルを参照)は効率的ではないことが証明される。
【0144】
図4は、正規化衝突エネルギーNCEの最適化を示す。a.u.での強度Iが、正規化衝突エネルギーNCEに依存して示される。上側のパネルにおいて、完全なペプチドが表される。下側のパネルにおいて、異なる断片y4+、y5+、y5++、y6+、y7+、y7++が示される。HLA-I関連9-merペプチド(2+)が、ペプチドミクスにおいて日常的に使用されるデフォルト値(26~30%、点線の帯状部分)よりも低い最適なNCE値(点線)を示す。最適化されたNCEは、生体サンプルにおけるペプチドの検出の感度を向上させることができるであろう。
【0145】
図5は、ペプチドの検出の感度、具体的には、HPV由来HLA-2制限標的ペプチドの検出の感度に関するフィールド非対称イオン移動度分析法(FAIMS)のパラメータの最適化の効果を示すセルプロットを示す。上側のパネルは、FAIMSなしでのデータに関し、下側のパネルは、FAIMSによるデータに関する。FAIMSのインターフェースは、各標的ペプチドに対する補償電圧(CV)の事前の最適化がなければ、標的MSにおいて使用することはできない。FAIMSの存在下におけるペプチドの検出のより高い感度(各ペプチドに対する最適化されたCVに基づく分析)が、明確に示される。セルプロットのコードが、正規化スペクトルコントラスト角に相当するドット積(dotp、0-1の間で変化する)にしたがう。doptは、外部ライブラリ(合成ペプチドによって生成される参照スペクトル)と比較されるような検出されるペプチド断片パターンの類似性の点数化である。
【符号の説明】
【0146】
110 質量分析計システム
112 自動化システム
114 質量分析アナライザー
116 イオン源
118 イオン化チャンバ
120 エミッタ端部
122 エレクトロスプレーエミッタ
124 エミッタ先端部
126 流体入口端部
128 溶融シリカキャピラリー
130 ホルダー
132 オートサンプラー
134 オートサンプラー出口
136 サンプル
138 パイプ
140 溶融シリカキャピラリー
142 パイプ流体出口端部
144 パイプ流体入口端部
146 液体接合部
148 接続要素
149 電圧源
150 中空のシリンダ
152 第1の端部
154 第2の端部
156 スクリュー
158 スルーホール
160 ナノギャップ
162 サンプルトレー
164 フラスコ
166 第1のバルブ
168 サンプルループ
170 固定要素
172 回転可能な要素
174 チャネル
176 ポート
178 流体ローディング装置
180 シリンジ
182 ポンプ
184 ナノポンプ
186 サンプル用ポート
188 流体ローディング装置用ポート
190 ポンプ用ポート
192 出口ポート
194 入口ポート
196 第2のバルブ
198 廃棄物容器
200 回転可能な要素
202 チャネル
204 ポート
206 第3のバルブ
208 洗浄液容器
210 矢印
212 矢印
214 矢印
216 内部容積
218 矢印
220 マーク
222 廃棄物容器
224 ニードル
226 ニードル受け座
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】