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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/20 20060101AFI20250107BHJP
   C25B 1/27 20210101ALI20250107BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250107BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20250107BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20250107BHJP
   C25B 11/075 20210101ALI20250107BHJP
   C01C 1/04 20060101ALI20250107BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20250107BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20250107BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20250107BHJP
   C25B 11/077 20210101ALI20250107BHJP
【FI】
C01B21/20
C25B1/27
C25B9/00 Z
C25B9/19
C25B11/052
C25B11/075
C01C1/04 E
B01J23/755 M
B01J19/08 E
B01J19/08 A
H05H1/24
C25B11/077
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534013
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 GB2022053131
(87)【国際公開番号】W WO2023105230
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】2117729.0
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508346000
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ リバプール
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF LIVERPOOL
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】トゥー シン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイタオ
(72)【発明者】
【氏名】マー イーチェン
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
4G169
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
2G084AA26
2G084BB02
2G084CC03
2G084CC23
2G084CC34
2G084DD15
2G084FF31
4G075AA03
4G075BA01
4G075BA06
4G075BA08
4G075CA17
4G075CA48
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075EB41
4G075EC21
4G075FA14
4G075FA16
4G075FB02
4G075FB03
4G075FB06
4G075FB12
4G075FB13
4G169AA03
4G169BA08B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169CB82
4G169DA05
4G169EA08
4G169EB11
4G169EC28
4K011AA49
4K011DA11
4K021AB25
4K021BA04
4K021DB05
4K021DB19
(57)【要約】
本発明の第1の態様によれば、窒素及び酸素からNOを形成するための装置であって、プラズマを生成するように構成されたグライディングアーク放電(GAD)装置と、窒素及び酸素を含む供給ガスのための入口並びにNOのための出口を含む通路であって、この通路は、少なくとも部分的にGAD装置を通って延在し、使用時に、生成されたプラズマ中で窒素及び酸素が反応し、これにより窒素及び酸素の少なくとも一部からNOを形成する、通路と、形成されたNO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整するための放電後容器とを含む装置が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明の第1の態様によれば、窒素及び酸素からNOを形成するための装置であって、
プラズマを生成するように構成されたグライディングアーク放電(GAD)装置と、
窒素及び酸素を含む供給ガスのための入口並びにNOのための出口を含む通路であって、前記通路は、少なくとも部分的に前記GAD装置を通って延在し、使用時に、生成されたプラズマ中で前記窒素及び酸素が反応し、これにより前記窒素及び酸素の少なくとも一部からNOを形成する、通路と、
形成されたNO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整するための放電後容器と
を含む装置が提供される。
【請求項2】
前記放電後容器は、前記容器を2つの部分に分割する微多孔膜を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記NOをアンモニアに変換するための手段をさらに含む請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記NOをアンモニアに変換するための手段は、電気化学的手段、好適には、分割された電気化学セルとして配置されたH型セルを含む電気化学的手段を含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記分割された電気化学セルは、コバルト又はニッケルを含む電極触媒を含む作用電極を含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記窒素及び酸素は、生成された前記プラズマ中で、最高300℃の温度、好ましくは最高250℃の温度で反応する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記供給ガスは空気である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記GAD装置は、少なくとも一対の発散型電極、好適には発散型鋼電極を含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
窒素及び酸素からNOを形成する方法であって、
グライディングアーク放電(GAD)装置を使用してプラズマを生成する工程と、
生成されたプラズマ中で前記窒素及び酸素を反応させ、これにより前記窒素及び酸素の少なくとも一部からNOを形成する工程と、
形成された前記NO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整する工程と
を含む、方法。
【請求項10】
前記方法は、生成された前記プラズマ中で窒素及び酸素を含む空気を反応させることを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンモニアを合成する方法であって、
(a)請求項9から得られたNOを水溶液と反応させて、前記NOの少なくとも一部から硝酸塩/亜硝酸塩を形成する工程と、
(b)工程(a)で得られた硝酸塩/亜硝酸塩をアンモニアに電気化学的に還元する工程と
を含む、方法。
【請求項12】
生成された前記プラズマ中で、300℃未満の温度、好ましくは250℃未満の温度でメタンを反応させる請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)は、H型セル中の作用電極に電位を印加することを含む請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)は、導電性基材上に担持されたコバルト及び/又はニッケルを含む、好適には実質的にコバルトからなる触媒上で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
硝酸塩及び/又は亜硝酸塩のアンモニアへの電気化学的還元におけるCo金属膜を含む触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素固定のための装置及び方法に関する。特に、本発明は、グライディングアーク放電(gliding arc discharge、GAD)装置を用いた窒素固定のための装置及び方法に関する。本発明は特に、アンモニアを合成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素は、核酸の構成元素であるため、あらゆる生物にとって必須の成分である。元素としての窒素は地球大気の約78%を構成するが、その化学的に不活性な特徴により、ほとんどの生物にとって利用不可能である。不活性な大気中の窒素を化学的に有用な窒素化合物(アンモニア、一酸化窒素、硝酸(塩)等)に変換する窒素固定は、地球上の生命を維持するための重要なプロセスである。自然界では、窒素固定は、大気中窒素をNO(NO及びNO)に変換する電光、又はニトロゲナーゼ酵素によって窒素からアンモニアを生成する生物学的プロセスによって達成することができるが、それらは、増え続ける人口に供給するのに充分な固定Nを提供することができない。
【0003】
過去一世紀にわたって、大規模な窒素固定が達成されており、それは主として工業的ハーバー-ボッシュ(Haber-Bosch、HB)プロセスによって行われており、HBプロセスでは、窒素と水素からアンモニアが合成される。残念ながら、HBプロセスは、高温(400~600℃)及び高圧(200~400atm)で動作するので、大量のCOフットプリントを伴うエネルギー集約的なプロセスであり、世界的なエネルギー使用量の1~2%を占める。HBプロセスは、世界的なCO排出の1%超も占め、天然ガス等の化石燃料に由来する水素を利用する。それゆえ、再生可能エネルギー源によって優先的に駆動される、より穏やかな条件下でのカーボンニュートラルのアンモニア生成のためのより環境に優しくより持続可能な技術を開発する必要がある。
【0004】
この目的のために、電極触媒、光触媒、及びプラズマ(例えば、プラズマ-電気化学及びプラズマ-触媒)技術が、アンモニアを生成するための代替案として提案されている。その中でも、低温プラズマ(non-thermal plasma、NTP)技術は、以下の利点により、分散的なオンデマンド型窒素固定として注目を集めている。窒素固定のためのプラズマプロセスは、周囲圧力及び周囲温度の下で操作することができ、従って、反応器サイズ及び資本コストを大幅に低減する。プラズマプロセスは、迅速な反応により即座にオン及びオフに切り替えることができ、風力及び太陽光等の再生可能エネルギー源、特に間欠再生可能エネルギー源と結合される大きい柔軟性を提供する。より注目すべきことに、プラズマ技術を用いた窒素固定は、従来のHBプロセスよりもエネルギー消費の理論的限界が低い。これは、NTPによって生成されるエネルギー電子が、電子衝撃励起及び解離によって不活性N分子を活性化し、追加の加熱なしにNを窒素化合物(アンモニア、一酸化窒素等)に変換することができるためである。
【0005】
現在、窒素固定のためにNTPを用いるほとんどの研究は、N及びHからのアンモニアの直接合成に焦点を当てている。しかしながら、結果は、このアプローチが、低いエネルギー消費と高いアンモニア収率との間のトレードオフという問題を抱えることを示す。例えば、6.4%という高いNH収率は、NH1モルあたり81MJという非常に高いエネルギー消費でしか達成できず、これに対してNH1モルあたり2MJという低いエネルギー消費は、NHの超低収率(<0.1%)を伴う。しかしながら、そのような希薄ガス混合物からのNHの分離は、非常にエネルギー集約的である。加えて、このプロセスは、COニュートラルのアンモニアを生成するために高価なグリーン水素を必要とする。
【0006】
それゆえ、水素を使用せずにN又は空気から直接アンモニアを生成するためのより環境に優しく持続可能な技術の開発は、ますます関心を集めている。空気からのプラズマNO合成と硝酸塩/亜硝酸塩の電極触媒還元とのカップリングは、アンモニア生成のための非常に有望な経路を提供する。加えて、空気から生成されたNOは、肥料の製造に直接使用することもできる。NO生成のエネルギー消費の低減、並びに高活性、高選択的及び高安定性の電極触媒の合理的設計は、空気から直接、環境に優しくエネルギー効率の良いアンモニア生成を達成するために重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、とりわけ、空気をガス状NO、硝酸塩/亜硝酸塩中間体、及び最終生成物としてのアンモニアに変換するための装置及び方法であって、本明細書で特定されるか又は他の場所で特定されるかによらない、先行技術の欠点の少なくともいくつかを少なくとも部分的に除去又は軽減する装置及び方法を提供することである。
【0008】
例えば、本発明の実施形態の目的は、高いNO濃度、調整可能なNO/NO比、及び低いエネルギー消費を伴う、空気から直接のNOのプラズマ支援合成を提供する装置を提供することである。
【0009】
例えば、本発明の実施形態の目的は、高い硝酸塩/亜硝酸塩濃度及び調整可能な硝酸塩/亜硝酸塩比を伴う、水性硝酸塩/亜硝酸塩中間体のプラズマ支援合成を提供するための装置を提供することである。
【0010】
例えば、本発明の実施形態の目的は、プラズマ電極触媒システムを使用して低温でNOからアンモニアを合成する方法を提供することである。
【0011】
例えば、本発明の実施形態の目的は、追加の加熱を必要とせず、周囲圧力で行うことができる、アンモニアを合成するための装置及び/又は方法を提供することである。
【0012】
例えば、本発明の実施形態の目的は、供給源としてHを必要とせず、実質的なCOフットプリントを有しない、アンモニアを合成するための装置及び/又は方法を提供することである。
【0013】
例えば、本発明の実施形態の目的は、再生可能エネルギー源(例えば、風力及び太陽光)、特に、局所的な又は分散的なエネルギー貯蔵のためのピーク負荷中の断続的再生可能エネルギーの使用と統合されてもよいアンモニア生成(又はNO生成)のための装置及び/又は方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の装置が提供される。方法も提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項及び以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明をよりよく理解するために、また本発明の例示的な実施形態をどのように実施することができるかを示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【0016】
図1A図1Aは実験装置を概略的に描く。
図2】1SLMのガス流量、17Wの出力及び6kHzの印加電圧周波数について、図2Aは、異なるN/O比におけるNO濃度を示し、図2Bは、異なるN/O比におけるNO生成のエネルギー消費及びNO選択性を示す。
図3図3は、1SLMの空気ガス流量、15Wの出力に対する、異なる印加電圧周波数におけるNO濃度及びNO生成のエネルギー消費を示す。
図4図4Aは、6kHzの印加電圧周波数下での出力の増加に伴うグライディングアーク放電のデジタル写真を示し、図4Bは、11kHzの印加電圧周波数下での出力の増加に伴うグライディングアーク放電のデジタル写真を示し、図4Cは、40kHzの印加電圧周波数下での出力の増加に伴うグライディングアーク放電のデジタル写真を示す。
図5】1SLMのガス流量について、図5Aは、異なる放電出力及び周波数におけるNO濃度を示し、図5Bは、異なる放電出力及び周波数におけるNO及びNO選択性を示し、図5Cは、異なる放電出力及び周波数でのNO生成のエネルギー消費を示す。
図6】1SLMのガス流量について、6kHzの印加電圧周波数で、図6Aは、回路に100kΩの抵抗を用いて出力を増加したときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示し、図6Bは、回路に100kΩの抵抗を使用せずに出力を増加したときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示す。
図7】1SLMのガス流量及び6kHzの印加電圧周波数について、図7Aは、100kΩの抵抗を使用する場合又は使用しない場合のNO濃度、NO生成のエネルギー消費を示し、図7Bは、100kΩの抵抗を使用する場合又は使用しない場合のNO選択性を示す。
図8図8Aは、18Wの固定出力で40kHzの印加周波数で流量を増加したときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示し、図8Bは、21Wの固定出力で6kHzの印加周波数で流量を増加したときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示す。
図9】6kHz及び40kHzの周波数について、21W及び18Wの固定出力において、図9Aは、異なる流量でのNO濃度、NO生成のエネルギー消費を示し、図9Bは、異なる流量でのNO選択性を示す。
図10】18Wの放電出力及び1.5SLMの流量において、図10Aは、吸収溶液として水を使用した異なる放電時間におけるアクリル円筒形容器内の水溶液のpH及び電気伝導率を示し、図10Bは、吸収溶液として水を使用した異なる放電時間における水溶液中の硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度を示し、図10Cは、吸収溶液として1M KOHを使用した異なる放電時間における水溶液中の硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度を示す。
図11図11は、硝酸塩からアンモニアを生成する電気分解における異なる導電性基材(カーボン布、カーボン紙及びNi発泡体)上のCo(OH)のLSV曲線を示す。
図12図12は、硝酸塩からアンモニアを生成する電気分解におけるCo(OH)/Ni発泡体、Co/Ni発泡体、及びCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。
図13(1)】図13Aは、異なる濃度の硝酸塩(KOHの濃度=1M)におけるCo/Ni発泡体のLSV曲線を示し、図13Bは、異なる濃度の硝酸塩を含有する1M KOH中で0.2~-1.0Vのアンモニア生成に向かうファラデー効率を示す。
図13(2)】図13Cは、異なる濃度の亜硝酸塩(KOHの濃度=1M)におけるCo/Ni発泡体のLSV曲線を示し、図13Dは、異なる濃度の亜硝酸塩を含有する1M KOH中で0.2~-1.0Vのアンモニア生成に向かうファラデー効率を示す。
図14(1)】図14Aは、硝酸塩溶液(硝酸塩の濃度=0.1M)を使用した、異なる濃度のKOHでのCo/Ni発泡体のLSV曲線を示し、図14Bは、0.1M硝酸塩を含有する異なる濃度のKOHでの0.2~-1.0Vのアンモニア生成に向かうファラデー効率を示す。
図14(2)】図14Cは、亜硝酸塩溶液(亜硝酸塩の濃度=0.1M)を使用した、異なる濃度の亜硝酸塩でのCo/Ni発泡体のLSV曲線を示し、図14Dは、0.1M亜硝酸塩を含有する異なる濃度のKOHでの0.2~-1.0Vのアンモニア生成に向かうファラデー効率を示す。
図15A図15Aは、アクリル円筒形容器中でプラズマ活性化溶液(放電時間=30分、吸収溶液として1M KOH、放電出力=18W、流量=1.5SLM)を使用したCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。
図16】NOの生成(空気GAD、50Hz、総ガス流量2.8SLM)について、図16Aは、NO濃度に対する放電出力の効果を示し、図16Bは、エネルギー消費に対する放電出力の効果を示す。
図17】NOの生成(空気GAD、50Hz、放電出力28W)について、図17Aは、NO濃度に対する総ガス流量の効果を示し、図17Bは、エネルギー消費量に対する総ガス流量の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
装置
第1の態様によれば、窒素及び酸素からNOを形成するための装置であって、
プラズマを生成するように構成されたグライディングアーク放電(GAD)装置と、
窒素及び酸素を含む供給ガスのための入口並びにNOのための出口を含む通路であって、少なくとも部分的に前記GAD装置を通って延在し、使用時に、生成されたプラズマ中で前記窒素及び酸素が反応し、これにより前記窒素及び酸素の少なくとも一部からNOを形成する、通路と、
形成されたNO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整するための放電後容器と
を含む装置が提供される。
【0018】
この装置は、例えば空気を供給源とする窒素及び酸素からNOを形成するのに適している。好適には、供給ガスは空気である。1つの例では、供給ガスは、好適には1重量%未満の水を含む乾燥空気である。この装置は、ガス状NOを形成するのに適している。誤解を避けるために、窒素及び酸素は気体の形態で提供される。空気中に通常見られるガス、例えばアルゴン等の他のガスが窒素及び酸素と組み合わせて使用されてもよい。
【0019】
NOは窒素酸化物、適切には一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)を規定する。
【0020】
他のガス状生成物、例えばNO、N及び/又はオゾンが形成されてもよい。しかしながら、これらのガス状生成物は、好適には少量で存在し、NOは、全生成物に対してモル%で、例えば90%以上、好適には95%以上、例えば99%以上又は99.9%以上で形成される主要生成物である。
【0021】
第1の態様の装置は、グライディングアークプラズマ装置と代替的に呼ばれてもよいGAD装置を含む。
【0022】
グライディングアークプラズマは、低温かつ非平衡のプラズマの一種である。他のタイプの低温プラズマと比較して、グライディングアークは、約1023-3の非常に高い電子密度(熱プラズマに近い)を有し、これは、窒素固定等の化学合成のための望ましいエネルギー効率をもたらす。
【0023】
典型的には、グライディングアークプラズマ装置は、2つの発散型電極(divergent electrode)を含み、アークは、電極間の最短距離で始まり、次いでガス流によって駆動され、アーク柱の長さは電圧とともに増加する。グライディングアーク放電を誘発し維持するための電位は、直流(DC)、交流(AC)又はパルス電源によって供給することができる。従って、電極は導体であることを理解されたい。電極は、任意の好適な金属であってもよい。
【0024】
好適には、本発明のグライディングアーク放電装置は、交流(AC)によって供給される。
【0025】
1つの例では、グライディングアーク放電装置は、薄い発散型ステンレス鋼電極の対(すなわち、2つ)を含む。電極は、楕円の四分の一等、適切に楕円形に形作られてもよい。四分の一楕円形状を有する電極は、短軸及び長軸を適切に有し、例えば、電極は、40mmの短軸長さ及び80mmの長軸長さを有してもよい。電極は、好適には、最大5mm、例えば4mm又は最大3mmの厚さを有する。1つの例では、電極は3mmの厚さを有する。電極は、透明石英支持体等の支持体上に対称的に適切に固定される。しかしながら、任意の適切な支持体が使用されてもよい。支持体は好適には平坦である。
【0026】
1つの例では、支持体は、最大15mm、適切には最大12mm又は最大10mmの厚さを有する。1つの例では、支持体の厚さは10mmである。支持体は、好適には、最大5mm、例えば最大4mm又は最大3mmの厚さを有する。1つの例では、支持体は2mmの厚さを有する。支持体は、好適には矩形断面を含む。
【0027】
しかしながら、これらの寸法は、グライディングアーク放電装置のサイズに応じて変更され、それに応じてスケールアップ又はスケールダウンされてもよい。
【0028】
供給ガス(窒素及び酸素、好適には空気を含む)はノズルを通して導入される。ノズルは、好適には、最大5mm、例えば最大2mmの直径を有する円筒形である。1つの例では、ノズルは1mmの直径を有する。ノズルは、電極の先端の上方に適切に位置決めされ、例えば、電極の先端の5mm上方に位置決めされ、最も狭い間隙距離は2mmである。
【0029】
1つの例では、供給ガスは、異なるN/O比を有する窒素と酸素との混合物を使用し、これは、総流量を同じに保って、窒素と酸素とのガス流量を変化させることによって制御される。1つの例では、N対Oの流量比は1.5である。1つの例では、N対Oの流量比は4であり、すなわち空気中で見られる比と同様である。
【0030】
窒素及び酸素のガス流量は、0.05~1SLMのガス流量範囲を有する窒素マスフローコントローラ及び0.05~1SLMのガス流量範囲を有する酸素マスフローコントローラによって制御される。1つの例では、供給ガスは空気を使用し、流量は0.5~10SLMの範囲を有するマスフローコントローラによって制御される。
【0031】
1つの例では、ガス圧は、ガスレギュレータによって制御される。1つの例では、圧力は大気圧である。
【0032】
1つの例では、GAD装置は、0~20kVの電圧範囲、1ns~1msのパルス幅範囲、50nsの立ち上がり時間、50nsの立ち下がり時間、及び/又は1Hz~100kHzの周波数範囲を有するパルス電源によって電力供給される。1つの例では、GAD装置は、変圧器を通して調整される0~10kVのピークツーピーク電圧範囲、及び50Hzの固定周波数、又は任意選択で1Hz~100kHzの調整可能な周波数範囲でAC電源によって電力供給される。GAD装置が電源によって給電されるとき、GADの電極の一方は適切に接地され、他方は適切に電源の高電圧出力に接続される。
【0033】
1つの例では、当該装置は、使用時に反応に追加の熱を提供するための外部熱源を含む。しかしながら、これは好ましくない。1つの好ましい例では、当該装置は、外部加熱源を含まず、又はいかなる外部加熱源も含まない。
【0034】
当該装置は、追加の安全性特徴を含んでもよい。例えば、当該装置は、装置が使用されているときに温度を下げるための追加の冷却源を含んでもよい。しかしながら、これは好ましくない。好ましい例では、当該装置はいかなる冷却源も含まない。
【0035】
例えば、従来の装置は高温で動作することが多く、それゆえエネルギー集約的である。加えて、及び/又は代替として、従来の装置は、典型的には、方向が発熱性であるため、加熱を減衰させるため、冷却を必要とする。対照的に、第1の態様に係る装置は、反応温度が比較的低いので、追加の冷却を必要としなくてもよい。
【0036】
GAD装置は触媒を含んでもよい。1つの例では、GAD装置は触媒を含まない。
【0037】
当該装置は、形成されたNO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整するための放電後容器を含む。1つの例では、NO/NO比は1:1である。
【0038】
1つの例では、放電後容器は、GAD装置の出口に流体連結される。1つの例では、放電後容器及びGAD装置は、高温耐性チューブを用いて放電後容器の入口とGAD装置の出口を接続することによって連結される。
【0039】
1つの例では、上記チューブはゴムチューブである。
【0040】
本発明者らは、NO中のNO/NO比が、放電後容器の寸法を変更することによって制御されてもよいことを確立した。好適には、放電後容器は、円筒形の放電後容器である。
【0041】
1つの例では、円筒形の放電後容器は、1000mmの長さ、4mmの内径、6mmの外径を有し、総容積は50cmである。1つの例では、円筒形の放電後容器は、5000mmの長さ、4mmの内径、6mmの外径を有し、総容積は250cmである。1つの例では、円筒形の放電後容器は、15000mmの長さ、4mmの内径、及び6mmの外径を有し、総容積は755cmである。
【0042】
1つの好ましい例では、放電後容器は、プラスチック材料、例えばアクリルから作製された円筒形容器である。しかしながら、任意の好適な材料を使用することができる。
【0043】
1つの例では、放電後容器は、その容器を2つの部分に分割する微多孔膜を含む。好適には、GAD装置から生成されたNOを吸収するために、溶液、例えば水溶液が放電後容器の1つの部分に添加されてもよい。放電後容器の第2の部分は、生成されたNOを含む。
【0044】
微多孔膜は、気体部分への水溶液の浸透を妨げながら、ガス状NOの溶液への浸透を可能にする。任意の適切な膜材料が使用されてもよい。1つの例では、膜は、ニッケル、コバルト又はステンレス鋼等の金属である。
【0045】
1つの例では、微多孔膜の直径は、10~100mm、例えば20~80mm、例えば60mmである。
【0046】
1つの例では、膜の厚さは0.05~0.5mm、例えば0.1~0.3mm、例えば0.2mmである。
【0047】
1つの例では、微多孔膜のピッチは350~500μm、例えば380~480μm、例えば450μm又は480μmである。
【0048】
1つの例では、孔径は5~100μm、例えば10~70μm、例えば20μm又は50μmである。
【0049】
1つの例では、微多孔膜の直径は60mmであり、膜の厚さは0.2mmであり、微多孔膜のピッチは450μmであり、孔径は50μmである。1つの好ましい例では、微多孔膜の直径は60mmであり、膜の厚さは0.2mmであり、微多孔膜のピッチは480μmであり、孔径は20μmである。
【0050】
1つの例では、容器の直径は70mmであり、容器の高さは120mmである。
【0051】
当該装置は、NOをアンモニアに変換するための手段をさらに含んでもよい。1つの例では、この装置は、電気化学的手段を含み、好適には、分割された電気化学セルとして配置されたH型セルを含む電気化学的手段を含む。
【0052】
1つの例では、分割された電気化学セルは、隔膜、イオン透過膜又は塩橋を介して接続された2つの区画を含む。好適には、1つの区画が作用区画として知られている。他方の区画は対(カウンター、counter)区画として知られている。
【0053】
好適には、作用区画及び対区画の両方が電解質を含む。好適には、作用電極及び参照電極が作用区画内の電解質内に配置される。適切には、対電極は、対区画内の電解質内に配置される。
【0054】
1つの例では、参照電極は、Hg/HgO又は飽和カロメル電極(SCE)電極である。1つの例では、対電極は白金を含む。対電極は、好適には白金箔であってもよい。
【0055】
1つの例では、隔膜は、スルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマー-コポリマー膜、例えば円形Nafion(商標)ペルフルオロ化膜を含み、かつ/又は、スルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマー-コポリマー膜、例えば円形Nafion(商標)ペルフルオロ化膜である。
【0056】
使用中に、上記電気化学的手段は、作用電極上の特定の電位で放電後容器から得られる硝酸塩(nitrate)/亜硝酸塩(nitrite)溶液の電気化学的還元を可能にし、これにより、作用電解質中に硝酸塩が存在する場合、アンモニア、及び例えば10%以下の亜硝酸塩等の他の微量生成物を生成する。
【0057】
作用電極は、電極触媒、適切には遷移金属、例えばコバルト又はニッケルを含む電極触媒を含んでもよい。電極触媒は、支持体上に適切に提供される。
【0058】
1つの例では、支持体は、カーボン布、例えばCeTech wos1009を含み、かつ/又はカーボン布、例えばCeTech wos1009である。1つの例では、支持体は、Toray TGP-H-060等の市販のカーボン紙である。1つの例では、支持体はニッケル発泡体である。
【0059】
1つの例では、コバルト又はニッケルを含む電極触媒は、電着法により合成される。1つの例では、電極触媒は、作用電極としての導電性基材、参照電極としてのSCE、及び対電極としての白金箔を使用して、20℃で単一のチャンバセル内で合成される。
【0060】
1つの例では、触媒はCo(OH)ナノアレイを含む。適切には、Co(OH)ナノアレイは、SCEに対して-1.0Vの電位で硝酸コバルト六水和物の水溶液からカーボン紙上に直接電着されてもよい。
【0061】
1つの例では、触媒はNi(OH)ナノアレイを含む。適切には、Ni(OH)ナノアレイは、SCEに対して-1.0Vの電位で硝酸ニッケル六水和物の水溶液からカーボン紙上に直接電着されてもよい。
【0062】
1つの例では、触媒はCo-Ni(OH)ナノアレイを含む。適切には、Co-Ni(OH)ナノアレイは、SCEに対して-1.0Vの電位で硝酸コバルト六水和物及び硝酸ニッケル六水和物の混合水溶液からカーボン紙上に直接電着されてもよい。
【0063】
本発明者らは、コバルトを含む電極触媒がアンモニアに向かう硝酸塩/亜硝酸塩還元に特に適していることを確立した。導電性基材は、電極触媒の触媒性能に効果を及ぼす可能性がある。
【0064】
1つの例では、触媒は、Co(OH)ナノアレイを含み、これは、SCEに対して-1.0Vの電位で硝酸コバルト六水和物の水溶液からカーボン布上に直接電着される。
【0065】
1つの例では、触媒は、Co(OH)ナノアレイを含み、これは、SCEに対して-1.0Vの電位で硝酸コバルト六水和物の水溶液からニッケル発泡体上に直接電着される。
【0066】
本発明者らは、ニッケル発泡体基材が、アンモニアに向かう硝酸塩/亜硝酸塩の電気化学的還元に特に適していることを確立した。
【0067】
1つの例では、触媒はCoナノアレイを含み、これはニッケル発泡体上に堆積されたCo(OH)を300℃で120分間、2℃/分の加熱速度でアニールすることによって合成されてもよい。
【0068】
1つの好ましい例では、触媒はCoを含む。とりわけ好ましい1つの例では、触媒は本質的にCo金属膜からなる。Co膜触媒は、1A/dmの電流密度で、塩化コバルト六水和物、ホウ酸、及び二塩基性クエン酸アンモニウムの混合溶液からニッケル発泡体上に直接電着されてもよい。
【0069】
1つの例では、作業溶液の状態(すなわち、運動)を変更するために余分な装置は使用されず、作業溶液は静的として定義される。1つの好ましい例では、磁気撹拌機及び磁気撹拌子を使用して、例えば400rpmで作業溶液が撹拌される。適切には、作業溶液は、流動性として定義されてもよい。
【0070】
1つの例では、アルカリ性溶液、例えば1M KOH中で電気分解が行われる場合、Hg/HgOが参照電極として使用される。1つの例では、電気分解が中性溶液、例えば0.5M KSO中で行われる場合、SCEが参照電極として使用される。
【0071】
当該装置は、追加の安全性特徴を含んでもよい。例えば、当該装置は、装置が使用されているときに温度を上昇させるための加熱源を含んでもよい。しかしながら、好ましい例では、加熱源は必要ない。1つの例では、当該装置は低温で使用され、従って追加の加熱源は必要ない。
【0072】
これは、高温及び高圧で動作することが多く、それゆえエネルギー集約的である従来の装置に勝る顕著な利点を提供する。加えて、かつ/又は代替的に、アンモニア生成のための従来の装置は、典型的には、通常CHに由来するHを資源として必要とし、それゆえCOフットプリントを有する。対照的に、第1の態様に係る装置はHを必要としない。
【0073】
方法
本発明の第2の態様によれば、窒素及び酸素からNOを形成する方法であって、
グライディングアーク放電(GAD)装置を使用してプラズマを生成する工程と、
生成されたプラズマ中で前記窒素及び酸素を反応させ、これにより前記窒素及び酸素の少なくとも一部からNOを形成する工程と、
形成された前記NO中のNO/NO比を1:2~2:1に調整する工程と
を含む方法が提供される。
【0074】
1つの例では、この方法は、第1の態様に係る装置を使用して実施される。
【0075】
NO、窒素、酸素、プラズマ、及びGAD装置は、第1の態様に関して説明した通りであってよい。当該方法は、必要な変更を加えて、第1の態様に関して説明される工程及び/又は特徴のいずれかを含んでもよい。
【0076】
形成されたNO中のNO/NO比を適切に調整することは、第1の態様に係る放電後容器内で行われる。
【0077】
本発明のさらなる態様によれば、アンモニアを合成する方法であって、
(a)第2の態様の方法から得られたNOを水溶液と反応させて、前記NOの少なくとも一部から硝酸塩/亜硝酸塩を形成する工程と、
(b)工程(a)で得られた硝酸塩/硝酸塩をアンモニアに電気化学的に還元する工程と
を含む方法が提供される。
【0078】
好適には、工程(a)は、第2の態様に従って規定された放電後容器内で行われる。
【0079】
好適には、工程(b)は、第1の態様において規定された電気化学的手段、好適にはH型セルを使用して行われる。
【0080】
好適には、工程(b)は、H型セル中の作用電極に電位を印加することを含み、硝酸塩/亜硝酸塩は、電気化学的にアンモニアに還元される。好適には、工程(b)は、導電性基材上に担持されたコバルト及び/又はニッケルを含む、好適には本質的にコバルトからなる、触媒上で行われる。
【0081】
第2の態様の反応温度(すなわち、窒素及び酸素が生成されたプラズマに曝露される温度)は、最高で400℃、より好ましくは最高で300℃又は最高で250℃である。この反応温度は、「低い」温度として適切に記載されてもよい。
【0082】
1つの例では、この方法は、例えば外部熱源を使用して窒素及び酸素を外部から加熱することを含む。しかしながら、これは好ましくない。1つの好ましい例では、当該方法は外部加熱を含まない。このようにして、反応温度は、例えば少なくとも部分的に及び/又は完全に、生成されたプラズマによって提供される。
【0083】
第2の態様に係る方法は、反応が外部熱源なしに比較的低い温度で実施されてもよいので、従来の方法に勝る顕著な利点を提供する。これは、プロセスのエネルギー消費及び資本コストを低減する。加えて、かつ/又は代替的に、プロセスから熱を除去するか、又はプロセスの過熱を防止するためのプロセスを提供することは必要ではない。
【0084】
加えて、かつ/又は代替的に、反応は比較的低温で行われてもよいため、当該方法は、必要に応じて、例えば、直ちに又は即座に、開始され(すなわち、オンに切り替えられ)及び/又は一時停止又は終了され(すなわち、オフに切り替えられ)てもよい。これは、例えば、予熱が必要とされないためである。
【0085】
生成されたプラズマは比較的短時間で安定状態に達するため、当該方法は、停止され、その後、いかなる追加の待ち時間も伴わずに再開されてもよく、これはプロセスの効率を改善する。このようにして、当該プロセスは、風力及び太陽光等の再生可能エネルギー源、特に、局所的な又は分散的なエネルギー貯蔵のためのピーク負荷中の断続的再生可能エネルギーの使用と統合するための大きい柔軟性を提供する。
【0086】
反応圧力(すなわち、窒素及び酸素、好適には空気が生成されたプラズマに曝露される圧力)は、ほぼ周囲圧力である。ほぼ周囲圧力は、環境の実質的に自然な圧力、例えば約101kPaであることを理解されたい。
【0087】
1つの例では、当該方法は、窒素及び酸素、好適には空気を、他のガス、例えばアルゴン等の不活性ガスの存在下で、生成されたプラズマに曝露することを含む。1つの例では、純粋な窒素及び酸素のみが使用される。1つの例では、空気が使用される。
【0088】
1つの例では、供給ガスのN/O比は、0.05~19の範囲、好ましくは0.67~4の範囲にある。1つの好ましい例では、供給ガスは、通常の大気レベルで窒素及び酸素を含む空気である。空気を使用することは、供給ガスを調製するために追加のエネルギーを必要としないことを意味する。
【0089】
放電の出力(power)は、式(1)によって定義されてもよい。
【数1】
式中、τは放電の時間であり、V(t)はアーク電圧であり、I(t)は放電電流である。
【0090】
1つの例では、式(1)で定義される放電の出力は、電源の周波数を40kHzとして、6W~41Wの範囲、好ましくは15W~30Wの範囲にある。
【0091】
NO生成のエネルギー消費は、式(2)によって定義されてもよい。
【数2】
式中、CNOXはNOの濃度であり、Fガスは供給ガス流量であり、24.5L/molは1atm、298Kにおける理想気体のモル体積である。
【0092】
1つの例では、式(2)によって定義されるNO生成のエネルギー消費ECNOXは、最大で17.6MJ/mol、好ましくは最大で1.5MJ/mol、より好ましくは最大で1.2MJ/molである。
【0093】
1つの例では、空気の流量は、電源の周波数を40kHzとして、0.5SLM~4SLMの範囲、好ましくは1SLM~2SLMの範囲にある。
【0094】
1つの例では、GAD装置の回路は、100kΩの抵抗を含み、放電電流を制限する。1つの好ましい例では、GAD装置の回路は抵抗を含まない。このようにして、抵抗に余分なエネルギーを必要としないので、NO生成のエネルギー消費が低減される。
【0095】
放電後容器における硝酸塩/亜硝酸塩生成のエネルギー消費は、式(3)によって定義されてもよい。
【数3】
式中、Pは放電出力であり、tは放電の時間であり、C硝酸塩/亜硝酸塩は硝酸塩/亜硝酸塩の濃度であり、Vは溶液の体積(0.1L)である。
【0096】
1つの例では、式(3)によって定義されるNO生成のエネルギー消費EC硝酸塩/亜硝酸塩は、最大で6.5MJ/mol、好ましくは最大で4.7MJ/mol、より好ましくは最大で3.5MJ/molである。
【0097】
生成されたプラズマは比較的短時間で安定状態に達するため、当該方法は、停止され、その後、いかなる追加の待ち時間も伴わずに再開されてもよく、これはプロセスの効率を改善する。このようにして、当該プロセスは、風力及び太陽光等の再生可能エネルギー源、特に、局所的な又は分散的なエネルギー貯蔵のためのピーク負荷中の断続的再生可能エネルギーの使用と統合するための大きい柔軟性を提供する。1つの例では、電力供給源は、携帯型太陽光発電機に接続される。
【0098】
H型セルの電位は、可逆水素電極(RHE)に対して下記式によって記載されてもよい。
RHE=EHg/HgO+0.098+0.059×pH (4)
RHE=ESCE+0.2412+0.059×pH (5)
【0099】
1つの例では、アンモニア生成に好適な電位を決定するために、式(4)及び式(5)によって定義される、0.2V対RHEから-1.0V対RHEの範囲の作用電極電位で電気分解が実施される。
【0100】
1つの例では、電気分解は0.5MのKSO濃度で行われる。1つの例では、電気分解は、0.1MのKOH濃度及び0.45MのKSO濃度で行われる。1つの例では、電気分解は、0.5MのKOH濃度及び0.25MのKSO濃度で行われる。1つの好ましい例では、電気分解は、1MのKOH濃度で行われる。
【0101】
1つの例では、アンモニア生成のための硝酸塩/亜硝酸塩の適切な濃度を決定するために、電気分解は、0.005M~0.2Mの硝酸塩/亜硝酸塩濃度で行われる。
【0102】
NH生成に向かうファラデー効率FENH3は、式(6)によって定義されてもよい。
【数4】
式中、MNH3は測定されたアンモニアのモル数であり、nは、硝酸塩還元からのアンモニア生成について8であり、又は亜硝酸塩還元からのアンモニア生成について6であり、Fはファラデー定数(96485C/mol)であり、Qは通過した総電荷である。
【0103】
1つの例では、当該方法は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の、式(6)によって定義されるファラデー効率FENH3を有する。
【0104】
特定の印加電位におけるアンモニア生成速度(mmol/h/cm又はmg/h)は、式(7)及び(8)によって定義されてもよい。
【数5】
式中、jは電流密度(mA/cm)であり、nは、硝酸塩還元からのアンモニア生成について8であり、又は亜硝酸塩還元からのアンモニア生成について6であり、FEはファラデー効率であり、17はアンモニアのモル質量であり、Sは作用電極の面積である。
【0105】
1つの例では、当該方法は、少なくとも3mmol/h/cm、好ましくは少なくとも4mmol/h/cm、より好ましくは少なくとも5mmol/h/cmの、式(7)によって定義されるアンモニア生成速度RNH3を有する。
【0106】
電気分解における硝酸塩/亜硝酸塩からのアンモニア生成のエネルギー消費は、式(9)によって定義されてもよい。
【数6】
式中、Uは電気分解におけるRHEに対する作用電極の電位であり、Iは電気分解の電流であり、nは、硝酸塩還元からのアンモニア生成について8であり、又は亜硝酸塩還元からのアンモニア生成について6であり、Fはファラデー定数(96485C/mol)であり、Tは電気分解の時間であり、MNH3は測定されたアンモニアのモル数である。
【0107】
1つの例では、式(9)によって定義される、電気分解における硝酸塩/亜硝酸塩からのアンモニア生成のエネルギー消費ECNH3は、最大で0.61MJ/mol、好ましくは最大で0.32MJ/mol、より好ましくは最大で0.06MJ/molである。
【0108】
プラズマプロセス及び電気分解プロセスを使用する方法における空気からのアンモニア生成の総エネルギー消費TECNH3は、式(10)によって定義されてもよい。
【数7】
式中、EC硝酸塩/亜硝酸塩はアクリル円筒形容器における硝酸塩/亜硝酸塩生成のエネルギー消費であり、ECNH3は電気分解における硝酸塩/亜硝酸塩からのアンモニア生成のエネルギー消費である。
【0109】
しかしながら、当業者によって理解されるように、本明細書で説明される値は、修正されることができる。
【0110】
使用
本発明のさらなる態様によれば、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩のアンモニアへの電気化学的還元におけるCo金属膜を含む触媒の使用が提供される。
【0111】
Co金属膜、電気化学的還元、硝酸塩、亜硝酸塩及びアンモニアは、第1及び/若しくは第2の態様並びに/又はさらなる態様に関して記載されたとおりであってもよい。この使用は、第1及び/若しくは第2の態様並びに/又はさらなる態様に関して記載される工程並びに/又は特徴のいずれも、必要な変更を加えて含んでもよい。
【0112】
定義
本明細書を通して、用語「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」は、特定された構成要素を含むが、他の構成要素の存在を排除するものではないことを意味する。用語「本質的に…からなる(consisting essentially of)」又は「本質的に…からなる(consists essentially of)」は、特定された構成要素を含むが、不純物として存在する材料、構成要素を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料、及び着色剤等の本発明の技術的効果を達成する以外の目的のために添加される構成要素を除いて他の構成要素を除外することを意味する。
【0113】
用語「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」は、特定された構成要素を含むが、他の構成要素を除外することを意味する。
【0114】
適切な場合、文脈に応じて、「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」という用語の使用は、「本質的に…からなる(consists essentially of)」又は「本質的に…からなる(consisting essentially of)」という意味も含むものと解釈されてもよく、「からなる(consists of)」又は「からなる(consisting of)」という意味も含むものと解釈されてもよい。
【0115】
本明細書に記載される任意選択の特徴は、個々に、又は必要に応じて、特に添付の特許請求の範囲に記載されるような組み合わせで互いに組み合わせて使用されてもよい。本明細書に記載される本発明の各態様又は例示的な実施形態の任意選択の特徴は、適切な場合、本発明のすべての他の態様又は例示的な実施形態にも適用可能である。言い換えれば、本明細書を読む当業者は、本発明の各態様又は例示的な実施形態の任意選択の特徴を、異なる態様の間及び例示的な実施形態の間で交換可能かつ組み合わせ可能であると見なすべきである。
【実施例
【0116】
実験
以下の手順を、以下の実施例において使用した。
【0117】
アーク電圧は高電圧プローブ(Tektronix(テクトロニクス) P6015A)により測定し、電流は電流モニター(Pearson(ピアソン) 2877)により測定した。電気信号(アーク電圧、電流)を、4チャンネルデジタルオシロスコープ(Tektronix MDO 3054、500MHz、2.5GS/s)によって、5Mpts/レコードのサンプリングレートで記録して、正確な測定を確実にした。
【0118】
ガス状反応生成物は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計(Bruker(ブルカー) Tensor II)を使用して、2cm-1の波数分解能でオンラインで分析し、16回の走査を平均することによって各スペクトルを得た。安定した放電を確保するために、放電点火10分後に吸収スペクトルを記録し、各測定を少なくとも3回繰り返した。NOの濃度を定量的に分析するために、広範囲の濃度を有する正確な較正ガス混合物(アルゴン中のNO又はNO)をマスフローコントローラによってガスセルに導入した。
【0119】
水溶液の硝酸塩、亜硝酸塩及びアンモニアの濃度を、マイクロプレートリーダー(Thermo Scientific(サーモ・サイエンティフィック) Varioskan(登録商標)Flash Reader)を用いた分光光度法によって測定した。亜硝酸塩の検出のために、100μLのGriess(グリース)試薬を100μLの試料に添加し、540nmで吸光度を測定した。硝酸塩の検出のために、100μLの飽和VCl3を試料に添加し、その後、100μLのGriess試薬を上記溶液に添加し、溶液を37℃で12時間インキュベートしてVClによる硝酸塩の完全な還元を確実にした後、540nmで吸光度を測定した。最後に、硝酸塩濃度は、硝酸塩及び亜硝酸塩の総濃度から亜硝酸塩濃度を差し引くことによって得た。アンモニアの検出のために、100μLの試料に100μLの酒石酸カリウムナトリウムを添加した後、100μLのNessler(ネスラー)試薬を上記溶液に添加し、420nmで吸光度を測定した。すべての測定値は、標準曲線を使用することによって較正した。
【0120】
実施例:プラズマ電気分解プロセスによるアンモニア生成
実施例1:異なるN/O比でのNO生成
図1は、実験装置を概略的に描く。実験は、大気圧下の窒素及び酸素の混合物又は乾燥空気のいずれかを供給ガスとして使用したフラットグライディングアーク反応器において行った。
【0121】
グライディングアーク反応器は、周囲のガス流によるアーク柱の均一なドラッグ(drag)及び高い加工率(processing fraction)を達成するために、矩形断面(100×60mm)を有する透明な平らな(厚さ10mm)石英容器内に対称的に固定された2つの薄い発散型ステンレス鋼電極(厚さ3mm)から構成される。供給ガスは、直径1mmの円筒形ノズルを通して導入し、このノズルは、電極の先端の5mm上にあり、2mmの最も狭い間隙距離を有する。
【0122】
供給ガス:NとOの混合物;ガス流量:1SLM;放電出力:17W;印加電圧周波数:6kHz。
【0123】
図2Aは、異なるN/O比として測定したNO(NO及びNO)濃度を示す。NO及びNOの濃度は両方とも、N分率の増加とともに放物線状傾向に従う。NO濃度は、N/O比4で10900ppmの最大値に達するまでN分率を増加させると増加するが、NO濃度は、N/O比1.5でその最大値(10850ppm)に達する。
【0124】
図2Bは、NOの選択性及びNO生成のエネルギー消費をN/O比の関数として示す。0.11未満のN/O比では、N分率の増加は、わずかに低いNO選択性をもたらす。この点の後、NO酸化によるNO生成が低いO分率ではあまり優位とはならないため、NO選択性は、N/O比を変化させると増加し、最も高いN/O比が81.6%という最も高いNO選択性を与える。NO生成のためのエネルギー消費は、N/O比が0.43より低いとき、N分率を増加させると急激に低下し、最適N/O比(1.5)に達すると、最小値1.26MJ/molまで減少し続け、その後、エネルギー消費が増加し始める。明らかに、多すぎる又は少なすぎるNは効率的なNO生成には好ましくない。これは、N及びOの両方がNO及びNOの形成の前駆体であるためである。
【0125】
興味深いことに、空気の組成と同様である4のN/O比では、エネルギー消費(1.35MJ/mol)は、最適化されたN/O供給比よりもわずか7%高いだけであり、これにより、空気はNO生成に適した供給ガスとなる。これは、純粋なO及びNを調製するために追加のエネルギーが必要とされないからである。従って、以下の実験では、供給ガスとして空気のみを使用するNO生成に着目する。
【0126】
実施例2:異なる周波数でのNO生成
図3は、一定の放電出力(供給ガス:空気;ガス流量:1SLM;放電出力:15W)での、印加電圧周波数の異なる場合のNO生成性能を比較する。明らかに、より高い又はより低い印加電圧周波数は、必ずしもより高いNO生成をもたらさない。40kHzの周波数が最良の性能を与え、その場合、NO濃度及びNO生成のエネルギー消費は、それぞれ15500ppm及び1.41MJ/molに達することができる。同様の結果が20kHzで見られる。6kHz、25kHz、30kHz及び43kHzの周波数はわずかに悪い性能を示し、最悪のNO生成性能は11kHzで観察される。
【0127】
実施例3:異なる放電出力及び周波数におけるNO生成
図4は、グライディングアークが、放電出力の増加に伴って(供給ガス:空気;ガス流量:1SLM)、異なる周波数で異なる現象を示したことを示す。
【0128】
図4Aは、6kHzの周波数で出力を増加させたときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示す。最も低い放電出力の下では、アークは短い距離にしか伝搬できない。出力を8Wから11Wに増加させると、伝搬距離及びアーク長は著しく増加し、出力をさらに増加させることは、伝搬距離をわずかにだけ増加させるが、より大きいプラズマ体積及びより拡散した外観をもたらす。放電は、グライディングアークの上流に低出力で多数の明るいフィラメント状アークを含む。出力の増加時の、無数の短い明るいアークを含むモード(短アークモード)から長い伝搬アークを含むモード(拡散モード)への発展プロセスは、8kHz、11kHz、25kHz、30kHz、及び43kHzの周波数でも観察された。この短アークモードは、11kHzで最も顕著であり、上流のアークは、図4Bに示すように、さらに明るく、ドラッグダウンし(引き倒され)にくい。興味深いことに、しかし異なることに、放電は、20kHz及び40kHzの周波数において短アークモードでそれ自体を持続することができない。図4Cに示すように、グライディングアーク放電は、最も低い放電出力で拡散モードで直接現れ、アークは、出力が増加するとわずかに下向きに伝搬する。
【0129】
図5は、異なる周波数でのNO濃度、NO選択性及びNO生成のエネルギー消費を放電出力の関数として示す。図5Aにおいて、NO濃度は、すべての周波数について、より高い放電出力において増加する、低い放電出力においてより急速に増加することが分かる。最高NO濃度は、固定放電出力で20kHz及び40kHzで常に観察される。11kHzは最も低いNO濃度を示すが、これは上記の結果と一致している。明らかに、周波数はNO生成に効果を及ぼすが、最良の周波数のNO生成は、高出力では、最悪の周波数のNO生成よりも5%高いだけである。なお、6kHz及び11kHzの周波数において、最も高い放電出力は、それぞれ35W及び21Wで達成できる。
【0130】
図5Bは、NO選択性に対する周波数及び放電出力の効果を示す。すべての周波数について、出力の増加は、低出力(<24W)下で著しいNO選択性(より低いNO選択性)をもたらし、さらなる出力の増加はNO選択性をわずかにしか増加させない。これは、先に述べたように、出力の増加がより長い伝播距離及びより大きい体積のプラズマ領域をもたらすという事実によって一部は説明することができる。結果として、以前に形成されたNO分子は、プラズマ領域におけるより長い滞留時間で、励起されたOによってNOに酸化される可能性が高い。図4に示すように、伝搬距離は低出力下で著しく増加し、出力増加時のNO選択性の増加と整合する。最も高いNO選択性及び最も低いNO選択性は、36.1%及び47.8%であり、これらは、最も低い出力時の6kHz及び最も高い出力時の40kHzで達成される。
【0131】
図5Cでは、NO生成のための計算したエネルギー消費は、6kHz、11kHzの周波数に対して出力(<15W)を増加させると急激に低下する。6kHz及び11kHzの周波数での低出力下で出力を増加させる際のエネルギー消費の急速な減少は、これらの周波数での放電挙動によく従う。図4A及び図4Bに示すように、放電は、低出力で出力を増加させると、短アークモードから拡散モードに発展し、より長い伝搬距離及びより大きいプラズマ体積を伴う。対照的に、20kHz及び40kHzの周波数では、図4Cに見られるように、放電が拡散モードで直接動作するので、出力を増加させるとエネルギー消費はあまり変化しない。すべての周波数について、NO生成のための最適出力は、15W~30Wの間にあり、さらなる出力増加はわずかに高いエネルギー消費しかもたらさない。最適な出力の下で、エネルギー消費は、20kHz及び40kHzで約1.29MJ/molに達することができ、数は、6kHz及び11kHzに対してそれぞれ1.34MJ/mol及び1.39MJ/molである。
【0132】
実施例4:放電電流を制限したNO生成
放電電流がNO生成に及ぼす効果を、100kΩの抵抗で放電電流を制限することによって調べた。実験は、6kHzの周波数及び1SLMの空気流量で実施する。
【0133】
図6では、放電は、100kΩの抵抗で約5Wのはるかに低い出力で持続することができる。比較のために、抵抗がない場合にグライディングアークを維持するための最低出力は約8Wである。電流を制限する場合又はしない場合で、最低放電出力ではアーク伝搬距離が近く、これは電流の制限は、この周波数で、しかし低放電出力では放電モードを変えないことを示すということに留意されたい。視覚的には、放電領域の上流のアークプラズマは、低出力で放電を動作させる場合、電流を制限しない場合ははるかに明るいが、電流を制限する場合は放電はより均一になる。
【0134】
図7は、NO濃度、NO選択性、及びNO生成のエネルギー消費に対する放電電流の制限の効果を、放電出力の関数としてプロットして示す。電流制限を伴う最低放電出力におけるNO濃度は約1400ppmであり、電流制限を伴わない8Wの場合(1800ppm)よりも低いが、前者の場合NOの選択性は高い。なお、約8Wの同じ出力では、電流を制限するとNO濃度を6000ppmに到達させることができ、それゆえ、エネルギー消費は電流を制限しない場合の1/3に過ぎない。これは合理的である。というのは、8Wの同じ出力において、放電が異なるモード、電流を制限しない場合の短アークモード、及び電流を制限する場合の拡散グロー型モードを明確に示し、上述のように、短アークモードはNO生成のためによりエネルギーを消費するためである。実際には、12Wより低い放電出力では、電流を制限する場合のNO生成のエネルギー消費は、図6に明確に示すように、主に放電が異なるモードにあることに起因して、電流を制限しない場合のエネルギー消費よりも著しく低い。
【0135】
しかしながら、さらに出力を上昇して12W超にすると、放電電流の制限の優位性が消失し始める。これは、電流を制限しない放電が拡散グロー状モードに遷移したためである。全体的なエネルギー入力の観点から、高値の抵抗を用いることによって電流を制限することは、多くのエネルギーが抵抗器によって熱の形態で消費されるので、奨励されない。例えば、抵抗器電力及び抵抗器の温度は、15Wの最適出力で約35W及び200℃に達することができ、これらの値は、より高い出力でさらに高くなる。抵抗器に費やされるエネルギーが適切かつ効率的に使用されない場合、システムの全体的なエネルギー効率はかなり低くなる。
【0136】
実施例5:異なる流量でのNO生成
図8A及び図8Bは、それぞれ6kHz及び40kHzの印加周波数で、21W及び18Wの固定出力で流量を増加したときのグライディングアーク放電のデジタル写真を示すが、ただし、40kHzにおける第1のケースは、グローモード(供給ガス:空気)で出力は22Wである。
【0137】
図8は、6kHz及び40kHzの周波数で流量を増加させる際の異なるパターンを示す放電現象を示す。グライディングアークは、0.5~2.5SLMの流量範囲で観察され、6kHzの周波数で流量をさらに増加させると、電源は21Wでグライディングアークを維持できない。これとは異なり、40kHzにおいて、本発明者らは、0.5SLM及び0.75SLMの流量で静的グロー型放電を観察し、グライディングアークは、より高い最大流量(4SLM)で動作することができた。特に、流量を増加させると、伝搬距離が減少し、アークがより明るく不均一になる。
【0138】
図9において、2つの異なる周波数でのNO濃度、NO選択性、及びNO生成のエネルギー消費に対する流量の効果が見られる。図8に示すように、放電が静的グロー型モードで動作するとき、エネルギー消費は、グライディングアークモードにおけるエネルギー消費よりもかなり高い。NO濃度は、両方の周波数で流量を増加させると着実に減少し、これはNO選択性にもあてはまる。例えば、6kHzにおいて、最も低い流量は、最も高いNO選択性(83%)を与え、NO選択性は、流量を増加させるとほぼ直線的に減少する。より低い流量は、より長い滞留時間を示し、それゆえ、以前に形成されたNO分子は、NOに酸化される可能性が高い。しかしながら、高すぎる又は低すぎる流量は、エネルギー効率の良いNO生成には有益ではない。
【0139】
図9Bに示すように、6kHz及び40kHzにおける最適なガス流量は、それぞれ1.25SLM及び1.5SLMである。対応するエネルギー消費は、最適条件で1.28MJ/mol及び1.23MJ/molである。低流量は、長い伝播距離から利益を得るが、高濃度の生成物に悩まされるのに対して、高流量は、高濃度の生成物の影響を克服することができるが、短い伝播距離及び不均一な放電をもたらす。
【0140】
実施例6:水溶液中でNOを吸収することによる硝酸塩/亜硝酸塩の生成
GAD装置で生成されたNOを、まず、適切なNO/NO比を得るために放電後容器に導入し、次いで、NOを、100mLの溶液を含む容器に導入し、NOと溶液との反応から硝酸塩/亜硝酸塩を生成した。
【0141】
図10Aは、エネルギー消費の観点からNO生成のための最適な放電条件(放電出力:18W、印加周波数:40kHz、流量:1.5SLM)での、吸収溶液として水を使用する異なる放電時間におけるアクリル円筒形容器中の水溶液のpH及び電気伝導率を示す。この実験で使用した後容器は15mの長さを有し、NO選択性は34.5%から68%に増加した。pHは、2.5分の放電時間で5.9から2.1に急激に低下し、次いで放電時間の増加とともにさらに低下する。30分の放電時間で、pHは約1に達する。溶液の電気伝導率は、放電時間の増加とともにほぼ直線的に増加し、30分の放電時間で約25000μs/cmに達する。
【0142】
図10Bは、異なる放電時間における溶液中の硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度を示す。硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度は両方とも、放電時間が増加すると増加する。硝酸塩の濃度は、放電時間が増加するにつれてほぼ直線的に増加し、30分の放電時間で約100mMの値に達するが、同じ放電時間での亜硝酸塩の値はわずか5mMである。溶液中の硝酸塩の濃度は、とりわけ放電時間が長い場合に、亜硝酸塩の濃度の10倍を超えて高く、これは、NO中の高いNO選択性の結果によるものである。
【0143】
水溶液中で高い亜硝酸塩選択性を達成するために、NO中のNO選択性を、長さ5mの放電後容器を用いて約50%に調整し、捕捉溶液として1M KOH溶液を用いた。
【0144】
図10Cは、捕捉溶液として1M KOHを使用した異なる放電時間における溶液中の硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度を示す。捕捉溶液として水を用いる場合と同様に、硝酸塩及び亜硝酸塩の濃度は両方とも、放電時間の増加とともに増加する。異なるのは、亜硝酸塩の濃度は、すべての放電時間において硝酸塩の濃度よりもはるかに高いことである。前者は30分の放電時間で約130mMに達し、後者の数字は約7.5mMである。それゆえ、この場合、高い亜硝酸塩選択性を有する溶液が得られる。
【0145】
実施例7:異なる導電性基材上に担持されたCo(OH)触媒を使用する電気分解からのアンモニア生成
硝酸塩溶液の濃度:0.1M、KOHの濃度:1M
【0146】
図11は、0.1Mの硝酸塩及び1MのKOHを含有する標準電解質からアンモニアを生成する電気分解におけるカーボン布、カーボン紙及びNi発泡体上のCo(OH)のLSV曲線を示す。電位がRHEに対して-0.1Vより高いとき、両方の曲線の電流密度は約0mA/cmのままである。Ni発泡体上のCo(OH)のLSV曲線の電流密度は、RHEに対して約-0.12Vの電位で低下し始めるが、カーボン布及びカーボン紙上のCo(OH)の電位は、RHEに対して約-0.2Vである。電位の減少に伴って電流密度が急激に低下し始める降下点の後、電流密度は、すべての種類の導電性基材上のCo(OH)について電位の減少に伴って同様の速度で減少する。
【0147】
Ni発泡体上のCo(OH)のLSV曲線の電流密度は、RHEに対して-0.56Vの電位で-650mA/cmに達し、同じ電位でカーボン布及びカーボン紙上のCo(OH)のLSV曲線の電流密度は-391mA/cm及び-331mA/cmである。明らかに、Ni発泡体上のCo(OH)は、おそらくNi発泡体の3D多孔質構造のため、他の基材上のCo(OH)よりも高い活性を有する。以下の実施例では、導電性基材としてNi発泡体を使用した。
【0148】
実施例8:Ni発泡体上に担持されたコバルトを含む異なる触媒を使用する電気分解からのアンモニア生成
硝酸塩溶液の濃度:0.1M、KOHの濃度:1M
【0149】
図12は、0.1Mの硝酸塩及び1MのKOHを含有する標準電解質からアンモニアを生成する電気分解におけるCo(OH)/Ni発泡体、Co/Ni発泡体、及びCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。Ni発泡体上のCo(OH)及びNi発泡体上のCoのLSV曲線の電流密度は、電位がRHEに対して-0.0Vより高いとき、両方とも約0mA/cmのままである。Ni発泡体上のCoのLSV曲線の電流密度は、RHEに対して約0.17Vの電位で低下し始めるが、Ni発泡体上のCo(OH)及びNi発泡体上のCoの電位は、RHEに対して約-0.17Vである。電位の減少に伴って電流密度が急激に低下し始める降下点の後、電流密度は、Ni発泡体上にコバルトを含むすべての触媒について電位の減少に伴ってほぼ同様の速度で減少する。
【0150】
Ni発泡体上のCoのLSV曲線の絶対値は、RHEに対して0.1V~RHEに対して-1.0Vの電位範囲で、とりわけRHEに対して-0.2V~対して-0.5Vの電位範囲で、Co(OH)及びCoのLSV曲線の絶対値より大きい。例えば、Ni発泡体上のCoのLSVの電流密度は、RHEに対して-0.4Vの電位で-648mA/cmに達し、同じ電位で、Ni発泡体上のCo(OH)及びNi発泡体上のCoのLSV曲線の電流密度は-388mA/cm及び-212mA/cmである。上記の例から、Ni発泡体上のCoは、Co(OH)及びCoよりも高い活性を有することが分かる。以下の実施例では、触媒としてNi発泡体上のCoを使用した。
【0151】
実施例9:異なる濃度のKOHにおいてCo/Ni発泡体を使用する電気分解からのアンモニア生成
硝酸塩溶液の濃度:0.1M、触媒:Co/Ni発泡体
【0152】
図14Aは、窒素源として硝酸塩溶液を使用した、異なる濃度のKOH(0.0M、0.1M、0.5M、及び1M)でのCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。LSV曲線の絶対値は、RHEに対して-0.2V~RHEに対して-0.2Vの電位範囲でより高いKOH濃度においてより高く、これは、触媒がよりアルカリ性の環境においてより高い活性を有することを示す。例えば、RHEに対して-0.8Vの電位において、電流密度は、1MのKOH溶液において-1270mA/cmに達するが、0.5M、0.1M、及び0MのKOH溶液中で電気分解を行った場合、電流密度は、-658mA/cm、-390mA/cm、及び-154mA/cmにしか達しない。
【0153】
図14Bは、異なる濃度のKOH(0.0M、0.1M、0.5M、及び1M)で触媒としてCo/Ni発泡体を使用した際のアンモニアに向かう硝酸塩のファラデー効率を示す。アンモニアに向かう硝酸塩のファラデー効率は、異なる濃度のKOHにおいて同様であり、電位がRHEに対して-0.9Vより高い場合、これらはすべて90%を超える。異なる濃度のKOHにおける電流密度及びファラデー効率を組み合わせると、高濃度のKOHは、より高いアンモニア生成速度を有するので、好ましい。
【0154】
図14Cは、窒素源として亜硝酸塩溶液を使用した、異なる濃度のKOH(0.0M、0.1M、0.5M、及び1M)でのCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。LSV曲線の絶対値は、RHEに対して-0.2V~RHEに対して-0.2Vの電位範囲でより高いKOH濃度においてより高く、これは、触媒がよりアルカリ性の環境においてより高い活性を有することを示す。これは硝酸塩が窒素源として使用される場合の傾向と同じである。
【0155】
図14Dは、異なる濃度のKOH(0.0M、0.1M、0.5M、及び1M)で触媒としてCo/Ni発泡体を使用した際のアンモニアに向かう硝酸塩のファラデー効率を示す。アンモニアに向かう硝酸塩のファラデー効率は、異なる濃度のKOHにおいて同様であり、電位がRHEに対して-0.9Vより高い場合、それらはすべて90%を上回り、硝酸塩が窒素源として使用される場合の傾向と同じである。異なる濃度のKOHにおける電流密度及びファラデー効率を組み合わせると、高濃度のKOHは、より高いアンモニア生成速度に有利に働く。
【0156】
実施例11:異なる濃度の硝酸塩/亜硝酸塩において触媒としてCo/Ni発泡体を使用する電気分解からのアンモニア生成
KOHの濃度:1M
図13Aは、異なる濃度の硝酸塩(0.005M、0.02M、0.05M、0.1M、及び0.2M)におけるCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。LSV曲線の絶対値は、RHEに対して-0.2V~RHEに対して-0.2Vの電位範囲で硝酸塩の濃度が高いほど高く、これは、触媒が硝酸塩の濃度が高いほど高い活性を有することを示す。例えば、RHEに対して-0.8Vの電位では、0.2Mの硝酸塩溶液で電流密度は-1410mA/cmに達し、0.1M、0.05M、0.02M及び0.005MのKOH溶液で電気分解すると、電流密度は-1269mA/cm、-1103mA/cm、-636mA/cmに達する。
【0157】
図14Bは、異なる硝酸塩濃度(0.005M、0.02M、0.05M、0.1M、及び0.2M)で触媒としてCo/Ni発泡体を使用した際のアンモニアに向かう硝酸塩のファラデー効率を示す。0.2Mの硝酸塩濃度では、ファラデー効率は、RHEに対して0.2V~RHEに対して-1.0Vの範囲のすべての電位で90%超にとどまる。88%のファラデー効率を有するRHEに対して-1.0Vの電位を除いて、0.1Mの硝酸塩濃度でファラデー効率の同様の傾向を観察することができる。0.05Mの硝酸塩濃度では、ファラデー効率は、RHEに対して-0.5Vより高い電位で90%を超えるままであり、電位の減少に伴ってほぼ直線的に減少し始める。より低い硝酸塩濃度では、ファラデー効率はより高い電位で低下し始める。異なる濃度の硝酸塩における電流密度及びファラデー効率を組み合わせると、高濃度の硝酸塩は、触媒のより高い活性及びアンモニアに向かうより高いファラデー効率の結果として、より高いアンモニア生成速度に有利に働く。
【0158】
図13Aは、異なる濃度の亜硝酸塩(0.005M、0.02M、0.05M、0.1M、及び0.2M)におけるCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。LSV曲線の絶対値は、RHEに対して-0.2V~RHEに対して-0.2Vの電位範囲で亜硝酸塩の濃度が高いほど高く、これは、触媒が亜硝酸塩の濃度が高いほど高い活性を有することを示し、硝酸塩が窒素源として使用されるときの傾向と同じである。
【0159】
図14Bは、異なる濃度の亜硝酸塩(0.005M、0.02M、0.05M、0.1M、及び0.2M)で触媒としてCo/Ni発泡体を使用した際のアンモニアに向かう亜硝酸塩のファラデー効率を示す。0.2Mの亜硝酸塩濃度では、ファラデー効率は、RHEに対して0.2V~RHEに対して-1.0Vの範囲のすべての電位で90%超にとどまる。ファラデー効率の同様の傾向は、RHEに対して-1.0Vの電位を除いて、0.1Mの亜硝酸塩濃度で観察することができる。より低い亜硝酸塩濃度では、ファラデー効率はより高い電位で低下し始め、これは硝酸塩が窒素源として使用されるときの傾向と同じである。異なる濃度の亜硝酸塩での電流密度及びファラデー効率を組み合わせると、高濃度の亜硝酸塩は、触媒のより高い活性及びアンモニアに向かうより高いファラデー効率の結果として、より高いアンモニア生成速度に有利に働く。
【0160】
実施例12:触媒としてのCo/Ni発泡体及び作用電解質としてのプラズマ活性化溶液を使用する電気分解からのアンモニア生成
図15Aは、アクリル円筒形容器中でプラズマ活性化溶液を使用した際(放電時間:30分、吸収溶液として1M KOH、放電出力:18W、流量:1.5SLM、硝酸塩濃度:7.5mM、亜硝酸塩濃度:130mM)のCo/Ni発泡体のLSV曲線を示す。
プラズマ活性化溶液を使用したCo/Ni発泡体のLSV曲線は、1M KOH中の0.1M亜硝酸塩溶液を使用したものと同様である。
【0161】
下記表1は、結果の概要を提供する。
【0162】
【表1】
a. 電気分解におけるNO生成の最適化したエネルギー消費+アンモニア生成のエネルギー消費
【0163】
実施例13:グライディングアーク反応器を用いた空気からのNOリッチNOのプラズマ合成
さらなる実験を以下のように行った。
【0164】
本研究で使用した平坦なGAD反応器は、ノズル出口の3mm下流に最も狭い間隙が2mmで設置された2つの発散型ステンレス鋼電極(長さ60mm、幅18mm)を含む。GAD反応器は、10kVの極大ピークツーピーク電圧及び50Hzの固定周波数を有するAC高電圧ネオン変圧器に接続した。印加電圧を高電圧プローブ(Testec(テステック)、TT-HVP 15HF)によって測定し、アーク電流を電流モニター(Magnelab(マグネラボ) CT-E0.5)によって記録した。4チャンネルデジタルオシロスコープ(Tektronix、MDO3024)を使用して電気信号をサンプリングした。放電出力は、印加電圧にアーク電流を乗じたものの積分によって決定した。GAD反応器内のガス温度を、光ファイバ温度計(Omega(オメガ)、FOB102)によって、ノズル出口の70mm下流にファイバを配置して測定した。
【0165】
空気(Zeroグレード、BOC)を反応物として使用し、マスフローコントローラ(Omega、FMA-2404)によってDBD反応器に導入した。ガス生成物を、0.5cm-1の分解能でオンラインフーリエ変換赤外(FTIR)分光計(FTIR-4200、Jasco(日本分光))を使用して分析した。流出ガスは、FTIRに配置した10cmの経路長を有する標準ガスセルを通過した。空気GADからの生成物を、すべての作業条件においてNO及びNOとして決定し、それらの濃度の合計をNO濃度として定義した。N中に希釈したNO及びNOの既知の濃度を有する較正ガスを使用して、これらの生成物の濃度を定量した。各実験を3回繰り返したところ、この作業における誤差の範囲は3%以内であった。総ガス流量は2.8~4.0L/分であり、放電出力は24~38Wであり、450~814J/Lの範囲の比投入エネルギー(SEI)となった。
【0166】
NO及びNOは、このプロセスにおいて優勢な生成物として見出された。図16Aは、放電出力を24Wから38Wに増加させると、全体的なNO濃度が16374から22555に増加することを明らかにする。図16Bは、放電出力を24Wから38Wに増加させると、NO合成のエネルギー消費が0.66MJ/mol NOから0.76MJ/mol NOに増加することを明らかにし、これは、低い放電出力がNO生成のより低いエネルギー消費をもたらすことを示唆している。試験範囲内で、最も低いエネルギー消費は、24Wの放電出力で0.66MJ/mol NOであった。
【0167】
個々のNO及びNOの濃度並びに全体的なNOは、図17Aに示すように、総流量の増加とともに同じ傾向を示した。NOの濃度は2.8から3.0SLMまで増加し、3.0SLMで20271ppmの最大値に達し、その後、総流量4.0SLMの15846ppmまで直線的に減少した。NO及びNOの濃度も、ガス流量3.0SLMで、それぞれ16563ppm及び3709ppmのピーク値に達した。図17Bは、NO合成のエネルギー消費量に対する総ガス流量の影響を示す。NO合成のエネルギー消費は、総流量を2.8SLMから3.2SLMに増加させるとわずかに低下し、その後、4.0SLMまでの総流量の増加に伴って、0.65MJ/mol NOで安定なままであった。特に、NO合成の最小エネルギー消費(0.65MJ/mol NO)は、4.0SLMの最高総流量で達成された。
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(1)】
図13(2)】
図14(1)】
図14(2)】
図15A
図16
図17
【国際調査報告】