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特表2025-500777内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/82 20060101AFI20250107BHJP
   G01R 33/02 20060101ALN20250107BHJP
【FI】
G01N27/82
G01R33/02 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534047
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2022129558
(87)【国際公開番号】W WO2024000981
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210753040.8
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520455014
【氏名又は名称】西安熱工研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Thermal Power Research Institute CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.136 Xingqing Road,Beilin District,Xi’an City,Shaanxi Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】殷尊
(72)【発明者】
【氏名】李佼佼
(72)【発明者】
【氏名】侯召堂
(72)【発明者】
【氏名】張紅軍
(72)【発明者】
【氏名】高磊
(72)【発明者】
【氏名】孟永樂
(72)【発明者】
【氏名】呂一楠
(72)【発明者】
【氏名】孫璞杰
(72)【発明者】
【氏名】高延忠
(72)【発明者】
【氏名】林琳
(72)【発明者】
【氏名】朱▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】呂游
【テーマコード(参考)】
2G017
2G053
【Fターム(参考)】
2G017AA08
2G017AC08
2G017BA15
2G053AA12
2G053AA14
2G053AB07
2G053BA03
2G053BA12
2G053BA26
2G053CA01
2G053CB24
2G053DA03
2G053DB06
2G053DB16
2G053DB20
2G053DB27
(57)【要約】
内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法を提供し、微弱磁気検出の技術分野に属する。本体を含み、本体の前部内には、信号線収納チューブ及び本体内壁に周設されて均等に分布している複数の微弱磁気センサ群が設けられ、各微弱磁気センサ群は、本体の軸線方向に沿って配置される2つの微弱磁気センサを含み、微弱磁気センサの感磁面は本体の壁面に対して垂直であり、外側を向いており、本体の後部には、本体を駆動して直線移動させるためのローラが設けられ、ローラにモータが接続され、本体の後部の後端に接続ポートが設けられ、微弱磁気センサの信号線は、信号線収納チューブを通過してモータの接続コードとともに接続ポートに集まる。内部貫通型微弱磁気検出プローブは、構造が簡単で、設計が合理的で、操作されやすく、欠陥の識別及び定量的分析を正確に行うことができ、しかも、適用範囲が広く、操作者の経験や技能レベルに依存しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部貫通型微弱磁気検出プローブであって、
本体を含み、本体の前部内には、信号線収納チューブ(3)及び本体内壁に周設されて均等に分布している複数の微弱磁気センサ群が設けられ、各微弱磁気センサ群は、本体の軸線方向に沿って配置される2つの微弱磁気センサ(4)を含み、微弱磁気センサ(4)の感磁面は本体の壁面に対して垂直であり、外側を向いており、本体の後部には、本体を駆動して直線移動させるためのローラ(5)が設けられ、ローラ(5)にモータが接続され、本体の後部の後端に接続ポートが設けられ、微弱磁気センサ(4)の信号線は、信号線収納チューブ(3)を通過してモータの接続コードとともに接続ポートに集まる、ことを特徴とする内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項2】
前記本体は、取り外し可能に順次接続される、第1本体(1)、中間接続体(6)、及び第2本体(2)を含み、信号線収納チューブ(3)及び複数の微弱磁気センサ群は、第1本体(1)内に設けられ、中間接続体(6)と信号線収納チューブ(3)及び第2本体(2)は、内部が貫通しており、ローラ(5)は第2本体(2)に設けられ、前記モータは第2本体(2)内に設けられ、前記接続ポートは第2本体(2)の後端に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項3】
微弱磁気センサ群の数は6~12である、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項4】
前記本体の前端に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項5】
前記本体の両側に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項6】
前記本体の前端に衝突防止接点(7)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項7】
信号線収納チューブ(3)の外面に磁気シールド材が被覆されている、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項8】
前記本体の後部内にカウンターウェイトが設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブ。
【請求項9】
請求項1~8に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブの作動方法であって、
前記接続ポートを介して微弱磁気探傷器(10)及びホストコンピュータにそれぞれ接続し、ホストコンピュータにプローブのパラメータを入力するステップと、
前記本体を凝縮管(8)の入口に置き、前記モータによってローラ(5)を回転駆動し、本体全体を前進させるステップと、
検出中に各微弱磁気センサ群の2つの微弱磁気センサ(4)によって走査を順次行い、ホストコンピュータによって各微弱磁気センサ群により検出されて得られた2本の磁気誘導強度-時間曲線をリアルタイムに表示し、欠陥の有無及び当該欠陥のタイプを判定するステップと、を含む、ことを特徴とする作動方法。
【請求項10】
磁気誘導強度-時間曲線を差分処理して、対応する差分曲線を得て、閾値線を設定し、閾値線範囲を超える曲線の突然変化特徴を直観的に反映する、ことを特徴とする請求項9に記載の内部貫通型微弱磁気検出プローブの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、微弱磁気検出の技術分野に属し、具体的には、内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法に関する。
【0002】
本願は、2022年6月29日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210753040.8で、発明の名称が「内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が引用により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
復水器は、蒸気動力システムの重要な構成要素であり、主に蒸気タービンの蒸気の排出過程で冷却や凝縮を行い、蒸気発生器とともに蒸気-水エネルギーサイクルを形成する役割を果たす。原子力(火力)発電所の蒸気動力システムの復水器は、冷却水と蒸気が固体表面を介して熱交換する表面型熱交換構造が多く用いられる。現在、シェルアンドチューブ復水器が最も一般的に使用されているが、実際の応用では、復水器の熱交換チューブとチューブシートの間の溶接接合部は腐食しやすい部分である。熱交換チューブの受けた腐食には、一般的に電気化学腐食、応力腐食、及びエロージョンコロージョンが含まれる。電気化学腐食は、よく見られる腐食であり、湿気の多い環境では正及び負の電極電位が形成され、電気化学腐食が発生する。応力腐食の原因となる応力源としては、入口と出口の温度差による作動圧力や、加工中に発生する残留応力、構造設計により製造中に発生する構造応力などが挙げられる。エロージョンコロージョンは主に蒸気入口で発生し、流体のエロージョンはチューブ束の振動を引き起こし、深刻な場合には熱交換チューブのダメージにつながる可能性がある。
【0004】
生産時にメーカーが熱交換チューブを加工するための原材料としてステンレス鋼や銅、チタンなどの金属材料を使用するのが一般的である。一部の特殊な腐食環境では、ステンレス鋼は粒間腐食を起こしやすくなり、銅パイプは循環水により電気化学腐食を起こしやすくなる。現在、各大手発電所では、超臨界ユニットを確実に使用するために、循環水にアンモニアやヒドラジンを注入して高いpH値を確保するのが一般的であるが、これにより、熱交換チューブの耐食性に対する要求が高くなる。チタンは高品質の耐食性材料であり、可塑性と靭性が高く、溶接や加工成形が容易であるため、各大手発電所でのチタン熱交換チューブの採用が増えている。チタン熱交換チューブは耐食性に優れた材料として、過酷な条件下で使用される復水器などの装置に広く使用されている。特に臨海原子力発電所では、循環冷却媒体として海水を使用する復水器の肝心の熱交換部材であるチューブ束の材料のほぼすべてがチタンチューブを採用している。熱交換チタンチューブは、鉱物塩の腐食や海水の衝撃などの過酷な使用条件で長期間使用されているため、腐食やダメージを受けやすく、その結果、チタンチューブの破損や故障が発生し、復水器の安全な動作に重大な影響を及ぼす。
【0005】
チタン熱交換チューブの非破壊検出方法には、通常、渦電流検出と超音波検出が含まれる。渦電流検出は、電磁誘導原理を利用し、検出対象部品の表面又は表面近傍の欠陥を検出するものであり、検出感度が高く、かつ検出速度が速い。しかし、渦電流は交番磁界によって発生する誘導電流であり、「表皮効果」の影響を受けるため、その信号から欠陥のタイプを判定することは困難である。超音波検出もパイプラインの材料の検出に広く使用されており、欠陥の位置を特定して定量化できるが、超音波探傷による欠陥の表示は直感的ではなく、主観的及び客観的要因の影響を受けやすく、検出員の現場での経験に大きく依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の課題を解決するために、本願は、構造が簡単で、設計が合理的で、操作されやすく、欠陥の識別及び定量的分析を正確に行うことができ、しかも、適用範囲が広く、操作者の経験や技能レベルに依存しない、内部貫通型微弱磁気検出プローブ及びその作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、以下の技術的手段によって達成される。
【0008】
本願で開示される内部貫通型微弱磁気検出プローブは、
本体を含み、本体の前部内には、信号線収納チューブ及び本体内壁に周設されて均等に分布している複数の微弱磁気センサ群が設けられ、各微弱磁気センサ群は、本体の軸線方向に沿って配置される2つの微弱磁気センサを含み、微弱磁気センサの感磁面は本体の壁面に対して垂直であり、外側を向いており、本体の後部には、本体を駆動して直線移動させるためのローラーが設けられ、ローラーにモータが接続され、本体の後部の後端に接続ポートが設けられ、微弱磁気センサの信号線は、信号線収納チューブを通過してモータの接続コードとともに接続ポートに集まる、内部貫通型微弱磁気検出プローブを提供する。
【0009】
選択可能に、前記本体は、取り外し可能に順次接続される、第1本体、中間接続体、及び第2本体を含み、信号線収納チューブ及び複数の微弱磁気センサ群は、第1本体内に設けられ、中間接続体と信号線収納チューブ及び第2本体とは、内部が貫通しており、ローラーは第2本体に設けられ、前記モータは第2本体内に設けられ、前記接続ポートは第2本体の後端に設けられる。
【0010】
選択可能に、微弱磁気センサ群の数は6~12である。
【0011】
選択可能に、前記本体の前端に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される。
【0012】
選択可能に、前記本体の両側に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される。
【0013】
選択可能に、前記本体の前端に衝突防止接点が設けられる。
【0014】
選択可能に、信号線収納チューブの外面に磁気シールド材が被覆されている。
【0015】
選択可能に、前記本体の後部内にカウンターウェイトが設けられる。
【0016】
本願で開示される上記の内部貫通型微弱磁気検出プローブの作動方法は、
前記接続ポートを介して微弱磁気探傷器及びホストコンピュータにそれぞれ接続し、ホストコンピュータにプローブのパラメータを入力するステップと、前記本体を凝縮管の入口に置き、前記モータによってローラーを回転駆動し、本体全体を前進させるステップと、
検出中に各微弱磁気センサ群の2つの微弱磁気センサによって走査を順次行い、ホストコンピュータによって各微弱磁気センサ群により検出されて得られた2本の磁気誘導強度-時間曲線をリアルタイムに表示し、欠陥の有無及び当該欠陥のタイプを判定するステップと、を含む。
【0017】
選択可能に、磁気誘導強度-時間曲線を差分処理して、対応する差分曲線を得て、閾値線を設定し、閾値線範囲を超える曲線の突然変化特徴を直観的に反映する。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と比較して、本願は、以下の有益な技術的効果を有する。
本願で開示される内部貫通型微弱磁気検出プローブでは、微弱磁気非破壊検出技術をチタン熱交換チューブの欠陥検出に適用する。微弱磁気検出技術は、追加の励起源を必要としない受動的な検出技術であり、それによって、プローブのプロセスの設計を簡素化できる一方、励起源の無指向性ストレスによって引き起こされる干渉源フィールドの検出プロセスに対する影響を回避することができる。また、微弱磁気検出方法は、習得と使用が簡単であり、微弱磁気検出は、検出対象ワークの表面に特別な処理を施すことを必要とせず、検出対象ワークの形状にも特別な要件がないため、コーティングが存在したままの検出でも非接触検出でも検出効果が影響を受けない。地磁気環境下では、高精度の微弱磁気センサを使用して試験片の表面又は表面近傍を走査し、さまざまな方向の磁気誘導強度の変化を収集することにより、検出領域に磁気異常があるか否かを判定し、その後、収集された磁気信号を処理する。微弱磁気検出方法は、正常領域と磁気異常領域の信号の差の値を比較することで欠陥のタイプを判定して定量化する比較測定方法である。本願では、復水器の熱交換チューブの小径及び薄肉壁の特性に応じて、内部貫通型プローブの構造を設計する。数組の微弱磁気センサ群がプローブの前部内の円周方向に均等に配置されており、各微弱磁気センサ群は2つの微弱磁気センサで構成されている。また、熱交換チューブ内でのプローブの前後移動を容易にするために、プローブの後部にローラー装置が設けられている。微弱磁気検出原理に基づく微弱磁気センサ群により、チタンチューブの自動走査を実現し、パイプラインの内壁の薄化や穴あき腐食などの熱交換チューブの一般的な欠陥をインテリジェントに識別し、欠陥を定量的に分析する。
【0019】
さらに、プローブ本体を別体式構造にすることにより、持ち運び、保管、修理やメンテナンスを容易にする。
【0020】
さらに、本体の前端に測距センサが設けられることにより、熱交換チューブの詰まりによる衝突やダメージを防止することができる。
【0021】
さらに、前記本体の両側に測距センサが設けられることにより、熱交換チューブの内径の減少を迅速に検出することができる。
【0022】
さらに、本体の前端に衝突防止接点が設けられることにより、衝突によるプローブのダメージを防止する。
【0023】
さらに、信号線収納チューブの外面に磁気シールド材が被覆されていることにより、微弱磁気センサコイルから発生する漏洩磁束がプローブの安定性に影響を与えるのを回避することができる。
【0024】
さらに、本体の後部内にカウンターウェイトが設けられることにより、プローブの中心を後部に置くことができるため、前部の沈みを防止し、すべての微弱磁気センサ群と熱交換チューブの内壁との距離を一定に保ち、検出精度を向上させる。
【0025】
本願で開示される上記の内部貫通型微弱磁気検出プローブの作動方法は、操作されやすく、検出効率が高く、結果が正確であり、操作者の経験や技能レベルに依存しない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願のプローブ全体の構造模式図である。
図2】本願のプローブの内部にある単一の磁気測定モジュールによる検出の模式図である。
図3】本願のプローブの作動状態の模式図である。
図4】本願の検出方法の流れの模式図である。
図5】本願の検出原理の模式図である。
図6a】単一の微弱磁気曲線特徴値の抽出の模式図である。
図6b】2つの隣接する微弱磁気センサが同一の欠陥について順次走査することによる微弱磁気信号の模式図である。
図7】検出例に使用される、人工内壁薄化リングが加工された熱交換チューブである。
図8】検出例における走査の元のグラフである。
図9】検出例における差分グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び特定の実施例を参照して、本願についてさらに詳細に説明するが、その内容は本願を限定するものではなく、説明のためのものである。
【0028】
図1に示すように、本願の内部貫通型微弱磁気検出プローブは本体を含み、本体の前部内には、信号線収納チューブ3及び本体内壁に周設されて均等に分布している複数の微弱磁気センサ群が設けられ、各微弱磁気センサ群は、本体の軸線方向に沿って配置される2つの微弱磁気センサ4を含み、微弱磁気センサ4の感磁面は本体の壁面に対して垂直であり、外側を向いており、本体の後部には、本体を駆動して直線移動させるためのローラー5が設けられ、ローラー5にモータが接続され、本体の後部の後端に接続ポートが設けられ、微弱磁気センサ4の信号線は、信号線収納チューブ3を通過してモータの接続コードとともに接続ポートに集まる。
【0029】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体のオフツール材料にはABSプラスチックが使用されており、それにより、オフツールに優れた耐衝撃性や所定の断熱性を持たせる。
【0030】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体は、取り外し可能に順次接続される、第1本体1、中間接続体6、及び第2本体2を含み、信号線収納チューブ3及び複数の微弱磁気センサ群は、第1本体1内に設けられ、中間接続体6と信号線収納チューブ3及び第2本体2とは、内部が貫通しており、ローラー5は第2本体2に設けられ、前記モータは第2本体2内に設けられ、前記接続ポートは第2本体2の後端に設けられる。
【0031】
本願の1つの好ましい実施例では、微弱磁気センサ群の数は6~12であってもよい。
【0032】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体の前端に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される。
【0033】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体の両側に測距センサが設けられ、測距センサは接続コードを介して前記接続ポートに接続される。
【0034】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体の前端に衝突防止接点7が設けられる。
【0035】
本願の1つの好ましい実施例では、信号線収納チューブ3の外面に磁気シールド材が被覆されている。磁気シールド材は、パーマロイで加工されるフィルム材であってもよい。
【0036】
本願の1つの好ましい実施例では、前記本体の後部内にカウンターウェイトが設けられる。
【0037】
上記の内部貫通型微弱磁気検出プローブの作動方法は、
図2、3、及び4に示すように、前記接続ポートを介して微弱磁気探傷器10及びホストコンピュータにそれぞれ接続し、ホストコンピュータにプローブのパラメータを入力するステップと、前記本体を凝縮管8の入口に置き、前記モータによってローラー5を回転駆動し、本体全体を前進させるステップと、検出中に各微弱磁気センサ群の2つの微弱磁気センサ4によって走査を順次行い、ホストコンピュータによって各微弱磁気センサ群により検出されて得られた2本の磁気誘導強度-時間曲線をリアルタイムに表示し、欠陥の有無及び当該欠陥のタイプを判定するステップと、を含む。
【0038】
本願の1つの好ましい実施例では、磁気誘導強度-時間曲線を差分処理して、対応する差分曲線を得て、閾値線を設定し、閾値線範囲を超える曲線の突然変化特徴を直観的に反映する。
本願の理論的基礎と動作原理
微弱磁気原理の説明
【0039】
微弱磁気探傷器を用いた検出において、検出対象ワークに欠陥が発生すると、材料自体に応力変化が生じ、その結果、材料結晶内の原子構造が変化し、これにより、異常磁場が自発的に発生する。材料自体の比透磁率が材料の不連続欠陥の比透磁率よりも大きい場合、磁気抵抗が比透磁率に反比例するという理由に基づいて、対応する磁気抵抗が欠陥の近くの局所領域で増加し、その結果、材料を通過する磁力線が曲がり、欠陥を迂回して周囲の材料を通過することになる。微弱磁気検出原理の模式図を図5に示す。
【0040】
被検材料本体の透磁率をμ、ワーク内部の不連続領域の透磁率をμ’と仮定すると、不連続領域の比透磁率が被検材料の比透磁率よりも大きい場合、つまりμ’>μの場合、微弱磁気センサがこの領域を通過すると、磁気誘導強度曲線は凹状になり、不連続領域の比透磁率が被検材料の比透磁率よりも小さい場合、つまりμ’<μの場合、微弱磁気センサがこの領域を通過すると、磁気誘導強度曲線は凸状になる。微弱磁気検出技術は、高精度の磁気センサを使用して磁気誘導強度の突然の変化による異常信号を検出し、材料の欠陥を特徴付けるものである。
検出信号特徴値の計算
【0041】
チタン金属は常磁性材料である。微弱磁気検出原理に従って、微弱磁気プローブを使用してチタンチューブを均一に走査した結果、欠陥がない場所では、微弱磁気信号が平坦なままであり、欠陥の近くでは、微弱磁気信号が上昇し始め、欠陥の真上付近では、微弱磁気信号にピークが見られることが見いだされた。欠陥の定量的研究において、本願は、欠陥の微弱磁気信号の関連する特徴値を抽出し、その後、大量のデータの計算及び反転を通じて、欠陥の定量的推定を達成する。
【0042】
磁気異常の形態は、欠陥による磁気誘導強度曲線と密接に関係している。特に、微弱磁気プローブが欠陥上方を走査すると、図6aに示すように、ホストコンピュータソフトウェアはほぼ軸対称の図形をリアルタイムに示す。信号の振幅や幅などの特徴値を抽出し、これらについて公式計算を行うことで、磁気誘導強度値に関するサイズデータを得る。欠陥信号の最大ピーク値と左端の最小値との差をΔB1、欠陥信号の左側の半波幅をΔL1とする。欠陥信号の最大ピーク値と右端の最小値との差をΔB2、欠陥信号の右側の半波幅をΔL2とする。次の式が得られやすい。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
式中、ΔBは欠陥信号のピークと谷の間の平均振幅差であり、ΔLは欠陥信号の平均半波幅であり、
は欠陥箇所での平均磁気誘導強度である。
【0047】
図6bに示すように、左側の点線と右側の実線は、それぞれ、同じ欠陥箇所を順次走査する2つの隣接する磁気微弱センサによる微弱磁気信号であり、ΔBmは、1番目の微弱磁気センサの最大ピーク値と、2番目の微弱磁気センサの対応する位置における磁気誘導強度との差である。さらに、1番目の微弱磁気センサで得られた振幅差をΔBu、1番目の微弱磁気センサで得られた磁気誘導強度の平均値を
、2番目の微弱磁気センサで得られた磁気誘導強度の平均値を
とし、また、2つの微弱磁気センサ間の距離をΔSとし、固定値1mmを取る。したがって、次のような経験式が得られる。
【0048】
【0049】
ここで、Kは比例制御係数であり、A1とA2は材料の透磁率に関する経験的係数であり、Dは欠陥の深さである。
【0050】
特定の実施例では、合計6対の微弱磁気センサ群がプローブの内壁の周方向に沿って均等に分布しており、2つずつの微弱磁気センサが並べて配置されて、1対の微弱磁気センサを構成する。プローブは、接続ポートを介して微弱磁気探傷器に接続される。微弱磁気探傷器は、一端がプローブに接続され、他端がイーサネットケーブルを介してホストコンピュータ(ノートパソコン)に接続される。ホストコンピュータ(ノートブック)は、検出システム全体の制御端末として機能し、ホストコンピュータソフトウェアを通じて微弱磁気信号をリアルタイムに分析することができ、また、プローブの接点やローラー装置から送信される信号をリアルタイムに受信し、フィードバック処理を行う。検出プロセスでは、平行に配置された2つの微弱磁気センサが検出対象領域を順次走査し、ホストコンピュータによるデータ処理の後、2つの磁気誘導強度-時間曲線をリアルタイムに表示する。その後、アルゴリズムで振幅や半波幅などの特徴値を正確に取得し、過去の複数の試験で得られた経験式に基づいて、最後に検出対象領域に(腐食)欠陥があるか否かを判定し、当該欠陥のダメージの程度を推定する。
【0051】
具体的な作動の流れは次のとおりである。1.本願の検出プローブを微弱磁気探傷器に接続し、収集された微弱磁気信号がホストコンピュータのソフトウェアインターフェースにリアルタイムに表示されることを確保する。2.検出プローブをパイプラインの入口に置き、ホストコンピュータ(制御端末)からサーボモータを起動するよう命令を出し、検出プローブがパイプライン内を正常に進退できるようにする。3.測距センサをプローブ接点の直前に配置し、(測定)フィードバックされた距離データが熱交換チューブの長さよりも短い場合、このパイプラインに詰まりが存在し、人間の介入が必要であることを示している。プローブ接点の左右にも測距センサが配置されており、測定されたデータが熱交換チューブの直径よりも大きい場合や直接発散する場合、この位置のパイプラインの内壁に穴あき欠陥があるか、検出プローブがパイプラインの開口から出たことを示しており、このとき、サーボモータは自動的に停止する。4.このチタンチューブに適したK値、A1値、及びA2値をホストコンピュータソフトウェアに入力する。5.検出を開始すると、ホストコンピュータソフトウェアは6組のインターフェイスをリアルタイムに表示し、各組のインターフェイスは2つの磁気誘導強度-時間曲線をリアルタイムに表示する。その後、アルゴリズムで振幅や半波幅などの特徴値を正確に取得し、過去の複数の試験で得られた経験式に基づいて、当該位置に(腐食)欠陥があるか否かを判定し、当該欠陥のダメージの程度を推定する。
【0052】
1つの具体的なテスト実施例において、以下のステップを含む。
1.図7に示すように、サイズφ25×0.5mmのチタンチューブに4つの内壁薄化リングを手動で作製し、具体的なサイズを表1に示す。
2.プローブを微弱磁気探傷器に接続し、収集された微弱磁気信号がホストコンピュータソフトウェアインターフェースにリアルタイムに表示されることを確保する。
3.チタンチューブに適したK値、A1値、及びA2値をホストコンピュータソフトに入力する。
4.チタンチューブを固定し、プローブを左から右に動かして、あらかじめ配置された4つの人工欠陥を等速で走査する。走査曲線を図8に示す。元の曲線に対して差分処理を行うと、図9に示すような、より直感的な差分曲線を得る。
5.走査が完了した後、試験データを保存し、表2に示すようにデータ解析を行い、対応する欠陥情報を算出する。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表2から、本願のプローブを用いると、精度が高く、実際の検出ニーズを満たすことができることが分かった。
【0056】
以上は本願の単なる実施例に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者が本願によって明らかにされた技術範囲内で容易に思いつくことができる変化又は置換、又は本願の説明書及び図面の内容を利用して行われた等価な構造又は等価な流れの変換、又はその他の関連技術分野への直接、間接的な適用は、すべて本願の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0057】
1…第1本体、2…第2本体、3…信号線収納チューブ、4…微弱磁気センサ、5…ローラー、6…中間接続体、7…衝突防止接点、8…凝縮管、9…ワイヤーハーネス、10…微弱磁気探傷器
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
【国際調査報告】