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特表2025-500779輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用する構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用する構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B65D90/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534082
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022084936
(87)【国際公開番号】W WO2023104950
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】PA202101168
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507318152
【氏名又は名称】マースク エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オースティン-フレイザー,トビー
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA22
3E170WF01
3E170WF02
3E170WF04
3E170WF07
(57)【要約】
輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用するピン構造が提供される。ピン構造は、ベースと、ベースから延びる突出部とを有する。ピン構造は、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングの内部キャビティに挿入可能であり、その後、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へ突出部が延び出るように、操作可能である。また、第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックするためのロックデバイスも開示される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用するピン構造であって、
前記ピン構造は、ベースと、前記ベースから延在する突出部とを有し、
前記ピン構造は、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングの内部キャビティに挿入可能であり、その後、前記ベースが前記内部キャビティ内に留まった状態で、前記コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介して前記コーナーキャスティングの外側へ前記突出部が延び出るように、操作可能である、
ピン構造。
【請求項2】
前記ベースは、長さが117mm未満、幅が63.5mm未満、厚さが30mm未満であり、
前記突出部は、前記ベースの前記厚さの方向において前記ベースから延在し、
前記突出部は、前記ベースから測定される長さが80mm未満、幅が63.5mm未満、深さが79.5mm未満である、請求項1に記載のピン構造。
【請求項3】
前記ピン構造は、ラッシングケーブルを前記突出部に保持することを補助するように前記突出部に取り外し可能に取り付けられた保持具を備える、請求項1または2に記載のピン構造。
【請求項4】
前記ピン構造は、前記コーナーキャスティングの前記内部キャビティに完全に挿入可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載のピン構造。
【請求項5】
輸送コンテナを支持体に固縛するための輸送コンテナラッシングシステムであって、
請求項1~4のいずれか1項に記載のピン構造と、
前記ベースが前記内部キャビティ内に留まった状態で、前記コーナーキャスティングの前記壁を貫通する前記孔を介して前記コーナーキャスティングの前記外側へ前記突出部が延び出たとき、前記支持体と前記ピン構造の前記突出部とを接続するためのラッシングケーブルと、
を備える、輸送コンテナラッシングシステム。
【請求項6】
前記ラッシングケーブルは、長さが少なくとも12メートルである、請求項5に記載の輸送コンテナラッシングシステム。
【請求項7】
前記ラッシングケーブルが前記支持体と前記突出部との間に接続されると、前記ラッシングケーブルに張力をかけるテンショナを備える、請求項5または6に記載の輸送コンテナラッシングシステム。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載のピン構造または請求項5~7のいずれか1項に記載の輸送コンテナラッシングシステムと、ISO1161:2016に準拠した前記輸送コンテナコーナーキャスティングとの組み合わせ。
【請求項9】
輸送コンテナを固縛用に構成する方法であって、
請求項1~4のいずれか1項に記載のピン構造を用意することと、
前記輸送コンテナのコーナーキャスティングの内部キャビティに前記ピン構造を挿入することと、
次に、前記ベースが前記内部キャビティ内に留まり、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔の内部の第1の端部で前記壁に当接した状態で、前記孔を介して前記コーナーキャスティングの外側へ前記ピン構造の前記突出部が延び出るように、前記ピン構造を操作することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記挿入することは、前記コーナーキャスティングの前記内部キャビティに前記ピン構造を完全に挿入することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
輸送コンテナを支持体に固縛する方法であって、
ラッシングケーブルの第1の端部を前記輸送コンテナのコーナーキャスティングに接続することと、
次に、前記輸送コンテナを他の輸送コンテナのスタックの上部に配置することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記ラッシングケーブルの第2の端部を前記支持体に接続することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スタック内の第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックするためのロックデバイスであって、
前記第1の輸送コンテナが前記第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられたときに、前記第1の輸送コンテナ及び前記第2の輸送コンテナのそれぞれのコーナーキャスティングと嵌合する第1の連結器及び第2の連結器と、
構造体と、を備え、
前記第1の連結器及び前記第2の連結器は、前記構造体から延在し、
前記第1の輸送コンテナが前記第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられ、前記第1の連結器及び前記第2の連結器が前記それぞれのコーナーキャスティングと嵌合したときに、前記構造体は、前記第1の輸送コンテナ及び/または前記第2の輸送コンテナの側方に当接部分が配置されるように寸法設定され、これにより、前記当接部分は、使用時に前記第1の輸送コンテナ及び/または前記第2の輸送コンテナの側方に隣接する1つ以上のさらなる輸送コンテナに接触することが可能となる、
ロックデバイス。
【請求項14】
前記構造体は、単体構造である、請求項13に記載のロックデバイス。
【請求項15】
前記構造体は、本体を備え、前記当接部分は、前記本体の第1の側面から延在する第1の当接部と、前記本体の前記第1の側面の反対側にある前記本体の第2の側面から延在する第2の当接部とを備え、これにより、前記第1の輸送コンテナが前記第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられ、前記第1の連結器及び前記第2の連結器が前記それぞれのコーナーキャスティングと嵌合したとき、前記第1の当接部は前記第1の輸送コンテナの側方に配置され、前記第2の当接部は前記第2の輸送コンテナの側方に配置される、請求項13または14に記載のロックデバイス。
【請求項16】
前記構造体は、アームと、前記アームの遠位端部に回転可能に取り付けられた回転可能要素とを備え、
前記回転可能要素は、前記構造体の前記当接部分を構成する、請求項13に記載のロックデバイス。
【請求項17】
輸送コンテナとロックデバイスとの組み合わせであって、
前記輸送コンテナは、コーナーキャスティング、長さ、及び前記長さより短い幅を有し、
前記ロックデバイスは、構造体と、前記構造体から延在する連結器とを有し、
前記連結器は、前記コーナーキャスティングと嵌合するためのものであり、
前記構造体は、前記連結器が前記コーナーキャスティングと嵌合したときに、前記輸送コンテナの幅方向と平行な方向に前記輸送コンテナから突出するように寸法設定される、
組み合わせ。
【請求項18】
前記連結器が前記コーナーキャスティングと嵌合したときに、前記構造体は、前記輸送コンテナの側方に当接部分が配置されるように寸法設定され、これにより、前記当接部分は、使用時に前記輸送コンテナの側方に隣接するさらなる輸送コンテナに接触することが可能となる、請求項17に記載の組み合わせ。
【請求項19】
請求項1~4のいずれか1項に記載のピン構造、請求項5~7のいずれか1項に記載の輸送コンテナラッシングシステム、請求項8に記載の組み合わせ、請求項13~16のいずれか1項に記載のロックデバイス、または請求項17もしくは18に記載の組み合わせを含む船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用するピン構造などの構造、輸送コンテナラッシングシステム、輸送コンテナを固縛用に構成する方法、輸送コンテナを支持体に固縛する方法、輸送コンテナを一緒にロックするロックデバイス、船舶などの船、及び輸送コンテナを一緒にロックする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶上では、輸送コンテナを約11段に積み重ねることが知られている。コンテナの積み重ねの安定性を高めるために、ラッシングロッド及びターンバックルを使用して、デッキ上に積み重ねられたコンテナのコーナーキャスティングを、船舶のラッシングブリッジに固縛することも知られている。ラッシングブリッジは、デッキ上でコンテナの5段目または6段目までコンテナを固縛するのに適した高さまでしか延在しない傾向にある。スタック内の6段目より上段のコンテナは、ツイストロックとも称されるロックデバイスのみで、スタック内の下段のコンテナに対して所定位置に保持される。これらのロックデバイスは、スタック内の1つのコンテナの上部コーナーキャスティング(コーナーフィッティングとも知られる)を、スタック内のすぐ上にあるコンテナの下部コーナーキャスティングに接続する。多くのこのようなコーナーキャスティングは、ISO(国際標準化機構)1161:2016に準拠し、よって標準化寸法を有することから、コンテナのインターモーダル輸送及び適切なロックデバイスの選択が容易になる。
【0003】
しかし、コンテナの各スタックは隣接するスタックから間隔を空けて配置されるため、船舶の移動中及び/または強風にさらされたとき、スタックの上部は多少揺れやすい。これにより、ロックデバイス、ならびにラッシングロッド及びターンバックルなどの他の指示要素に大きな負担がかかり、ロックデバイスの故障のリスクが高まり、その結果、スタックの転倒及び最上部コンテナの船外落下が生じる場合がある。
【0004】
より高い段のコンテナをラッシングブリッジに固縛することができるようにラッシングブリッジをより高く作ると、ラッシングブリッジはコストが高くなり、また軟性が高くなるため、コンテナの動きを抑制する効果は低くなる。ラッシングブリッジの軟性の増加は、大幅な補強または強化を行うことで対処され得るが、さらなる輸送コンテナ及び他の輸送物資を保管するのに使用することが好ましい船上の貴重なスペースが、これにより占拠されてしまう。
【0005】
コンテナはターミナルの陸上でも積み重ねられ、このような陸上コンテナスタックも、先と同様に強風の影響を受ける場合があり、このようなターミナルでも上記の問題が存在することを意味する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、支持体に対するコンテナスタック、特に6段以上のスタックの安定化を促進することを目的とし、この支持体が船舶であるか陸上支持体であるかに関係なく、十分な高さのラッシングブリッジまたは同様の陸上構造体を設けるのに必要となるコスト及びスペースが不要である。実際、いくつかの実施例では、ラッシングブリッジは完全に省略され得る。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、輸送コンテナを支持体に固縛する際に使用するピン構造が提供され、ピン構造は、ベースと、ベースから延在する突出部とを有し、ピン構造は、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングの内部キャビティに挿入可能であり、その後、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へ突出部が延び出るように、操作可能である。
【0008】
したがって、このようなピン構造は、特別に設計されたツールを使用するなどして、オペレータによりこのように挿入及び操作され得、その後、コーナーキャスティングの外側に露出した突出部の部分にラッシングケーブルが取り付けられ、コンテナはスタックの最上部に引き上げられる。このようなプロセスにより、船上でコンテナを固縛する時間は、代わりにラッシングロッドを使用する場合よりもはるかに短縮され、これは、船舶が港で費やす所要時間が短縮されることを意味する。ピン構造が、ISO1161:2016に準拠したコーナーキャスティングに挿入可能であることは、ピン構造が、その製品寿命にわたり数多くの異なる標準化コーナーキャスティングと適合することを促進する。さらに、ピン構造は、ISO1161:2016に準拠した既存のコンテナに後付けすることができる。
【0009】
任意で、ピン構造は、コーナーキャスティングの内部キャビティに完全に挿入可能である。あるいは、ピン構造は、内部キャビティに部分的にのみ挿入可能である。
【0010】
任意で、ピン構造は、操作されると、ツイストロックなどのロックデバイスに干渉しないように配置され、ロックデバイスもコーナーキャスティングに連結され得る。
【0011】
任意で、ピン構造は、ピン構造の寸法を変更することなく、そのように操作可能である。よって、操作を迅速に行うこと、及びピン構造を1つの単体構成要素として作成することが可能となる。
【0012】
任意で、ベースは、長さが117mm未満、幅が63.5mm未満、厚さが30mm未満であり、突出部はベースの厚さ方向にベースから延在し、突出部は、ベースから測定される長さが80mm未満、幅が63.5mm未満、深さが79.5mm未満、例えば63.5mm未満である。しかし、ピン構造が堅牢になり、コーナーキャスティングと使用可能になる、任意の他の適切な寸法が選択されてもよい。選択された寸法は、ISO1161:2016に準拠したコーナーキャスティングでピン構造が使用できることを確保するはずであり、製品寿命にわたり多数の異なるコーナーキャスティングでの使用が促進され、また好ましくは、ピン構造が所定位置にある間に、ロックデバイスの連結器も内部キャビティに収容できることを意味する。
【0013】
任意で、突出部は、幅が51mm未満、深さが79.5mm未満である。これにより、ISO1161:2016に準拠した、いわゆる下部コーナーキャスティングでピン構造を使用することが容易になり得る。任意で、突出部は、幅が63.5mm未満、深さが73mm未満である。これにより、ISO1161:2016に準拠した、いわゆる上部コーナーキャスティングでピン構造を使用することが容易になり得る。任意で、突出部は、幅が51mm未満、深さが73mm未満である。これにより、ISO1161:2016に準拠した上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングで互換的にピン構造を使用することが容易になり得る。任意で、突出部は、幅が少なくとも25mm、例えば少なくとも30mm、または少なくとも40mmである。任意で、突出部は、深さが少なくとも25mm、例えば少なくとも30mm、または少なくとも40mmである。このような幅及び深さにより、突出部には十分な強度が与えられる。
【0014】
任意で、ピン構造は、保持具を有し、これは使用時、ラッシングケーブルを突出部に保持することを補助する。任意で、突出部にラッシングケーブルの取り付けを容易にするために、保持具は突出部から取り外し可能であり、突出部にラッシングケーブルが取り付けられたとき、保持具は突出部に接続可能である。突出部に保持具を接続することは、別個の留め具により、突出部及び保持具で係合ねじを使用することを介して、磁気引力により、または保持ピンなどの任意の他の適切な機構により、または互いに嵌合して「所定位置にカチッとはまる」ロックを提供する要素を介して、可能になり得る。
【0015】
任意で、ピン構造は、単体構造である。これにより、ピン構造の製造は容易になり、ピン構造をより堅牢で変形しにくいものにすることが可能となり得る。任意で、ピン構造は、鋼鉄製である。これにより、ピン構造の耐久性を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、輸送コンテナを支持体に固縛するための輸送コンテナラッシングシステムが提供され、輸送コンテナラッシングシステムは、第1の態様によるピン構造と、ラッシングケーブルとを備え、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へ突出部が延び出たとき、ラッシングケーブルは、支持体とピン構造の突出部とを接続する。
【0017】
任意で、ラッシングケーブルは、長さが少なくとも12メートルまたは少なくとも15メートルである。これにより、スタックの基部から4段目のコンテナを安定させるためにラッシングケーブルを使用することが容易になる。さらに任意で、ラッシングケーブルは、長さが少なくとも20メートル、例えば少なくとも30メートル、または少なくとも40メートルである。20メートルのラッシングケーブルは、7個のコンテナのスタックの最上部コンテナに接続可能であり得、30メートルのラッシングケーブルは、11個のコンテナのスタックの最上部コンテナに接続可能であり得る。ラッシングケーブルが長いほど、コンテナのスタックは高くなり、ラッシングケーブルを使用して安定化が促進され得る。さらに、ラッシングケーブルを接続するコンテナの下部コーナーキャスティングまたは上部コーナーキャスティングに、ピン構造が使用され得ることに留意されたい。
【0018】
ラッシングケーブルは、任意の適切な形状であり、任意の適切な材料から作られ得る。一例として、鋼鉄線などのワイヤが挙げられる。別例として、鋼鉄ロープまたはポリエチレンベースロープなどのロープ、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)または高弾性ポリエチレン(HMPE)の繊維、例えばDyneema(登録商標)から作られたロープなどが挙げられる。
【0019】
輸送コンテナラッシングシステムは、ラッシングケーブルが支持体と突出部との間に接続されると、ラッシングケーブルに張力をかけるテンショナを備え得る。例えば、ラッシングケーブルに接続されたターンバックルが使用されてもよく、またはラッシングケーブルはウィンチから引き出されてもよく、ウィンチはウィンチをロックするロックデバイスを有するため、ウィンチから巻き戻されるラッシングケーブルの量及び張力が制御される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様によるピン構造、または第2の態様による輸送コンテナラッシングシステムと、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングとの組み合わせが提供される。コーナーキャスティングは、上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングであり得る。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様によるピン構造、または第2の態様による輸送コンテナラッシングシステムと、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングを備えた輸送コンテナとの組み合わせが提供される。コーナーキャスティングは、上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングであり得る。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、輸送コンテナを固縛用に構成する方法が提供され、方法は、第1の態様によるピン構造を用意することと、輸送コンテナのコーナーキャスティングの内部キャビティにピン構造を挿入することと、次に、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へピン構造の突出部が延び出るように、ピン構造を操作することと、を含む。
【0023】
したがって、上記で論述されたように、ピン構造はオペレータによりこのように挿入及び操作され得、その後、コーナーキャスティングの外側に露出した突出部の部分にラッシングケーブルが取り付けられ、コンテナはスタックの最上部に引き上げられる。
【0024】
任意で、コーナーキャスティングは、ISO1161:2016に準拠する。これにより、コーナーキャスティングに対するピン構造の適合性がより確保される。コーナーキャスティングは、上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングであり得る。
【0025】
任意で、挿入することは、コーナーキャスティングの内部キャビティにピン構造を完全に挿入することを含む。
【0026】
任意で、操作することは、ピン構造の寸法を変更することを伴わない。
【0027】
任意で、操作することは、人間のオペレータがツールを使用して、内部キャビティ内のピン構造を操作することを含む。
【0028】
本発明の第6の態様によれば、輸送コンテナを支持体に固縛する方法が提供され、方法は、ラッシングケーブルの第1の端部を輸送コンテナのコーナーキャスティングに接続することと、次に、輸送コンテナを他の輸送コンテナのスタックの上部に配置することと、を含む。
【0029】
したがって、コンテナがスタックの上部に配置されたときにオペレータがコンテナにアクセスする必要なく、ラッシングケーブルの第1の端部はコーナーキャスティングに取り付けられ、これにより、安全性が向上し、コンテナを積み重ねる際に発生する時間が削減され、よってコストも削減される。固縛することとは、いわゆる外部ラッシングまたはいわゆる内部ラッシングであり得る。
【0030】
任意で、他の輸送コンテナのスタックは、6個以上の輸送コンテナ、例えば11個以上の輸送コンテナを含む。スタックが高くなるほど、時間及びコストはさらに節約される。
【0031】
任意で、ラッシングケーブルの第1の端部をコーナーキャスティングに接続することは、ラッシングケーブルの第1の端部を、コーナーキャスティングに挿入されたピン構造に接続することを含む。
【0032】
任意で、コーナーキャスティングは、ISO1161:2016に準拠する。コーナーキャスティングは、上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングであり得る。任意で、ピン構造は、第1の態様のピン構造であり、方法は、コーナーキャスティングの内部キャビティにピン構造を挿入することと、次に、ラッシングケーブルの第1の端部をピン構造の突出部に接続する前に、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へピン構造の突出部が延び出るように、ピン構造を操作することと、を含む。
【0033】
このようにコーナーキャスティングがISO1161:2016に準拠しており、ピン構造がこのような準拠コーナーキャスティングとの使用に適していることから、オペレータは、ピン構造がコーナーキャスティングと適合することを確信できる。このようなコンテナが多数積み重ねられ、このようなピン構造が多数使用可能である場合、この互換性により、ラッシングプロセスが大幅に高速化され、よってコンテナの積み重ねも大幅に高速化される。
【0034】
任意で、方法は、ラッシングケーブルの第1の端部がピン構造の突出部に取り付けられたとき、ラッシングケーブルを突出部に保持することを補助するために、保持具を突出部に取り付けることを含む。
【0035】
任意で、方法は、ラッシングケーブルの第2の端部を支持体に接続することを含む。任意で、支持体は、陸上支持体である。あるいは、支持体は、船舶のラッシングブリッジまたはデッキなど、船舶の部分であり得る。コーナーキャスティングと支持体との間でラッシングケーブルの端部を接続することにより、支持体に対するコンテナの安定化が可能となる。ラッシングケーブルのもう一方の端部を船舶のデッキに接続することにより、船上のいずれのラッシングブリッジも省略することが可能となり得る。
【0036】
方法は、ラッシングケーブルが支持体とコーナーキャスティングとの間に接続されると、ラッシングケーブルに張力をかけることを含み得る。これは、ラッシングケーブルに接続されたターンバックルを使用することにより行われ得、またはラッシングケーブルがウィンチから引き出された状態で保管されている場合は、ラッシングケーブルの一部をウィンチに戻してからウィンチをロックすることにより行われ得る。
【0037】
本発明の第7の態様によれば、スタック内の第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックするためのロックデバイス(ツイストロックとも称される)が提供され、ロックデバイスは、第1の輸送コンテナが第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられたときに、第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナのそれぞれのコーナーキャスティングと嵌合する第1の連結器及び第2の連結器と、構造体と、を備え、第1の連結器及び第2の連結器は構造体から延在し、第1の輸送コンテナが第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられ、第1の連結器及び第2の連結器がそれぞれのコーナーキャスティングと嵌合したときに、構造体は、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナの側方に当接部分が配置されるように寸法設定され、これにより、当接部分は、使用時に第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナの側方に隣接する1つ以上のさらなる輸送コンテナに接触することが可能となる。
【0038】
したがって、当接部分を設けることにより、スタックと、1つ以上のさらなる輸送コンテナとの間の距離が、短縮または排除される。これにより、強風、またはスタックが配置され得る船舶の横揺れなどの外力を受けたときに、スタックが揺れる範囲が削減される。これにより、複数のコンテナスタックで構成された単一ブロックを作成できるという利点が得られ得、ブロック内のあらゆるコンテナをそれぞれ固縛する必要がなくなることで、コンテナの固縛がより効率的になり得る。さらに、これにより、スタックの固有共振振動数が変わり、船体で高周波振動を受けたときにスタックが激しくまたは強調程度に揺れるスタック共振が防止され得る。
【0039】
任意で、ロックデバイスは、第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを、ISO1161:2016に準拠したそれぞれのコーナーキャスティングにより、一緒にロックするためのものである。これにより、ロックデバイスは、その製品寿命にわたり、多数の異なるコーナーキャスティングでの使用が促進される。さらに任意で、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから離れた当接部分の遠位端が、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから30mm~38mm(例えば38mm)離隔するように、構造体は寸法設定される。通常、コンテナスタック間の標準化された隙間は38mmであり、この場合、当接部分は、1つ以上のさらなる輸送コンテナに接触し得、スタックの安定性が向上する。スタック間の隙間は、隙間が船舶上のハッチカバーの上にある場合には大きくなり得るが、それでも、スタックと1つ以上のさらなる輸送コンテナとの間の距離は、当接部分により短縮され得る。さらに任意で、当接部分の遠位端が、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから代わりに最大19mm(例えば19mm)離隔するように、構造体は寸法設定される。第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナは適切な位置に同等のロックデバイスが連結され、スタック間の隙間が標準化された38mmである場合、2つのロックデバイスの当接部分は、互いに当接して、スタックの安定性を向上させることができる。
【0040】
任意で、当接部分は、上縁及び下縁など、面取り縁またはR付き縁を有する。これにより、隣接するコンテナを下げるまたは上げる際に、隣接するコンテナが当接部分に引っかかるまたは詰まる可能性が低くなるため、隣接するコンテナの積み上げ及び積み下ろしが容易になり得る。
【0041】
任意で、構造体は、本体を備え、当接部分は、本体の第1の側面から延在する第1の当接部と、本体の第1の側面の反対側にある本体の第2の側面から延在する第2の当接部とを備え、これにより、第1の輸送コンテナが第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられ、第1の連結器及び第2の連結器がそれぞれのコーナーキャスティングと嵌合したとき、第1の当接部は第1の輸送コンテナの側方に配置され、第2の当接部は第2の輸送コンテナの側方に配置される。
【0042】
したがって、使用時に、第1の当接部は、第1の輸送コンテナの側方に隣接するさらなる輸送コンテナに接触することができ、第2の当接部は、第2の輸送コンテナの側方に隣接する別の輸送コンテナに接触することができる。これにより、スタックの安定性がさらに向上し得る。
【0043】
任意で、第1の当接部及び第2の当接部は、上縁及び下縁など、面取り縁またはR付き縁を有する。
【0044】
任意で、ロックデバイスは、鋼鉄製である。これにより、ロックデバイスの耐久性を向上させることが可能となる。
【0045】
任意で、構造体は、単体構造である。これにより、ロックデバイスの製造は容易になり、ロックデバイスをより堅牢で変形しにくいものにすることが可能となり得る。任意で、ロックデバイスは、単体構造である。例えば、ロックデバイスは、自動ロックデバイスであり得る。これにより、ロックデバイスの製造はさらに容易になり、ロックデバイスをよりいっそう堅牢で変形しにくいものにすることが可能となり得る。あるいは、構造体は、アームと、アームの遠位端部に回転可能に取り付けられた回転可能要素とを備え得、回転可能要素が構造体の当接部分を成す。任意で、回転可能要素は、車輪またはローラである。任意で、回転可能要素は、使用時に水平軸を中心に回転可能である。このような回転可能要素により、前述のように、隣接するコンテナを下げるまたは上げる際に、隣接するコンテナが当接部分に引っかかるまたは詰まる可能性が低くなるため、隣接するコンテナの積み上げ及び積み下ろしが容易になり得る。回転可能要素は、コンテナスタックが少し揺れている場合、隣接するコンテナスタック間の衝突を減らすこともできる。
【0046】
任意で、結果得られた寸法により、ピン構造及びロックデバイスの正しい挿入及び操作が可能になる実施例では、ロックデバイスは、第1の態様のピン構造と、単体構造として組み合わせられ得る。
【0047】
本発明の第8の態様によれば、輸送コンテナとロックデバイス(ツイストロックとも称される)との組み合わせが提供され、輸送コンテナは、コーナーキャスティング、長さ、及び長さより短い幅を有し、ロックデバイスは、構造体と、構造体から延在する連結器とを有し、連結器は、コーナーキャスティングと嵌合するためのものであり、構造体は、連結器がコーナーキャスティングと嵌合したときに、輸送コンテナの幅方向と平行な方向に輸送コンテナから突出するように寸法設定される。
【0048】
したがって、突出した構造体により、輸送コンテナと、側方に隣接する1つ以上の構造体との間の距離が、短縮または排除される。これにより、輸送コンテナが積み重ねられ、強風、または輸送コンテナが配置され得る船舶の横揺れなどの外力を受けたときに、輸送コンテナが揺れる範囲が削減される。
【0049】
任意で、連結器がコーナーキャスティングと嵌合したときに、構造体は、輸送コンテナの側方に当接部分が配置されるように寸法設定され、これにより、当接部分は、使用時に輸送コンテナの側方に隣接するさらなる輸送コンテナに接触することが可能となる。したがって、当接部分により、組み合わせと、側方に隣接する輸送コンテナとの間の距離が、短縮または排除される。これにより、輸送コンテナが積み重ねられ、強風、または輸送コンテナが配置され得る船舶の横揺れなどの外力を受けたときに、輸送コンテナが揺れる範囲が削減される。
【0050】
任意で、コーナーキャスティングは、ISO1161:2016に準拠する。
【0051】
任意で、連結器がコーナーキャスティングと嵌合したときに、輸送コンテナから離れた当接部分の遠位端が、輸送コンテナから30mm~38mm(例えば38mm)離隔するように、当接部分は寸法設定される。あるいは、連結器がコーナーキャスティングと嵌合したときに、当接部分の遠位端が、輸送コンテナから最大19mm(例えば19mm)離隔するように、当接部分は寸法設定され得る。これにより、前述の利点が得られる。
【0052】
本発明の第9の態様によれば、第1の態様によるピン構造、第2の態様による輸送コンテナラッシングシステム、第3の態様による組み合わせ、第4の態様による組み合わせ、第7の態様によるロックデバイス、または第8の態様による組み合わせを含む船舶が提供される。
【0053】
任意で、船は、船舶である。
【0054】
本発明の第10の態様によれば、第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックする方法が提供され、方法は、第7の態様によるロックデバイスを用意することと、第1の輸送コンテナが第2の輸送コンテナの上部に積み重ねられたときに、第1の連結器及び第2の連結器を第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナのそれぞれのコーナーキャスティングに嵌合させることであって、その結果、構造体の当接部分が第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナの側方に配置され、これにより、当接部分は、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナの側方に隣接する1つ以上のさらなる輸送コンテナに接触することが可能となる、嵌合させることと、を含む。
【0055】
任意で、方法は、第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナがこのように一緒にロックされると、安定性を確保するために、例えば本発明の第6の態様の方法により、コンテナを支持体に固縛することを含む。
【0056】
本発明の第10の態様の方法により一対の隣接するスタックがそれぞれ一緒にロックされ、一方のスタックのコンテナ間に使用されるロックデバイスの当接部分が、隣接するスタックの輸送コンテナに当接する場合、外力を受けたときのスタックの揺れの範囲が削減される。さらに、例えば本発明の第6の態様の方法により一対の隣接するスタックが支持体に固縛された場合、一対の隣接するスタックは、さらに安定したコンテナのブロックを形成する。このようなブロックを形成するコンテナのスタックの数が多いほど、スタックの安定性は高まる。
【0057】
任意で、コーナーキャスティングはISO1161:2016に準拠し、ロックデバイスの構造体は、嵌合の結果、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから離れた当接部分の遠位端が、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから30mm~38mm(例えば38mm)離隔するように、寸法設定される。さらに任意で、構造体は、嵌合の結果、当接部分の遠位端が、第1の輸送コンテナ及び/または第2の輸送コンテナから最大19mm(例えば19mm)離隔するように、寸法設定される。これにより、前述の利点が得られる。
【0058】
ここで、本発明の実施形態が、単なる例として添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】船舶、より具体的にはコンテナ船の実施例の概略側面図を示す。
図2】輸送コンテナ、より具体的にはインターモーダルコンテナの概略斜視図を示す。
図3図2の輸送コンテナの下部角にあるコーナーキャスティングの概略斜視図を示す。
図4】ピン構造の実施例の概略斜視図を示す。
図5図4のピン構造が図3のコーナーキャスティングの内部キャビティに部分的に挿入された状態の概略斜視図を示す。
図6】ピン構造が内部キャビティに挿入され、その後、ピン構造のベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔を介してコーナーキャスティングの外側へピン構造の突出部が延び出るように、ピン構造が操作された後の図5の構成要素の概略斜視図を示す。
図7】続いてロックデバイスがコーナーキャスティングに連結された後の図6の構成要素の概略斜視図を示す。
図8】ラッシングケーブルの第1の端部がピン構造に接続され、続いてラッシングケーブルを突出部に保持することを補助するために保持具が突出部に取り付けられた後の、図7の構成要素の概略斜視図を示す。
図9図1の船舶に積載された6個の輸送コンテナスタックのブロックの概略端面図を示す。
図10図10aは、ロックデバイスの実施例の概略斜視図を示す。図10bは、ロックデバイスの実施例の断面図を示す。
図11図10a及び図10bのロックデバイスがスタック内の第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナのそれぞれのコーナーキャスティングに連結され、ロックデバイスの当接部分が、それぞれの第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナの側方に隣接するさらなる2つの輸送コンテナに接触している状態の概略斜視図である。
図12】別のロックデバイスの実施例の概略側面図を示す。
図13】輸送コンテナを固縛用に構成する例示的な方法のフロー図を示す。
図14】輸送コンテナを支持体に固縛する例示的な方法のフロー図を示す。
図15】第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックする例示的な方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、例示的な船舶1を示し、ここでは、デッキ上に約11段のスタックで輸送コンテナ10を運搬するコンテナ船1である。図1では見えないが、船はデッキ下にさらにコンテナを積載している。各スタック内の下段のコンテナの一部は船の舷側で隠れているため、図ではデッキ上のコンテナのすべての段が見えるわけではない。船の長さ方向に24列のコンテナスタックが存在することが分かる。図1では見えないが、船幅方向に23個のコンテナスタックが存在する。船の長さに沿って船幅が変化するため、船の長さに沿って船幅方向のスタック数は変化する。当然ながら、別の実施例では、スタック内のコンテナ数、スタックの列の数、及び船幅方向のスタック数は、これらの数以外であってもよい。例えば、いくつかの事例では、船幅方向に最大24個のコンテナスタックが存在する場合があり、他の事例(小型フィーダー船など)では、船幅方向に最大4個または5個のスタックしか存在しない場合がある。
【0061】
図2は、輸送コンテナ10のうちの1つの輸送コンテナの実施例を示す。この実施例では、輸送コンテナ10は、インターモーダルコンテナであり、したがって、インターモーダル貨物輸送用に標準化され構築される。例えば、輸送コンテナ10は、船、鉄道、路上走行車で搬送され得る。このインターモーダル使用を可能にするために、輸送コンテナ10の8つの角のそれぞれは、ロックデバイス(ツイストロックとも称される)(後述される)を受け入れるためのコーナーキャスティング(コーナーフィッティングとしても知られる)100を備え、ロックデバイスは、輸送中または場合によっては保管中にコンテナ10を固定するために使用される。図2では、コーナーキャスティングのうち6つのみ、すなわち、コンテナ10の上部角にある4つの上部コーナーキャスティング100aのうち3つと、コンテナ10の下部角にある下部コーナーキャスティング100bのうちの3つとが見える。コーナーキャスティング100は標準化されており、これにより、使用時にコーナーキャスティング100と協働し得る標準化されたロックデバイス及び他のデバイスとの適合性が確保される。より具体的には、図2に示されるコンテナ10のすべてのコーナーキャスティング100は、ISO1161:2016に準拠する。当業者は輸送コンテナに非常に精通しているので、説明を簡潔にするために、輸送コンテナ1の他の詳細及び可能性のある用途についてさらなる説明は行われない。
【0062】
図3は、下部コーナーキャスティング100bのうちの1つを示すが、図2と比較して上向きの状態であり、よって、使用時に通常は下向きになるコーナーキャスティング100bの底面101が最上部に示される。コーナーキャスティング100bはまた、使用時にコンテナ10の長手方向端部に配置される端面102と、使用時にコンテナ10の側方に配置される側面103とを有する。コーナーキャスティング100bは略直方体であるが、コーナーキャスティング100bがコンテナ10の残りの部分に配置されたときに最も露出する縁には、面取り加工またはR加工が施されている。コーナーキャスティング100bは、使用時にロックデバイス(ツイストロックなど)の連結器(時に円錐形状である)を受け入れるための内部キャビティ104を有する。
【0063】
連結器を内部キャビティ104に挿入させるため、コーナーキャスティング100bは、底面101から内部キャビティ104までコーナーキャスティング100bの底壁を貫通する細長いスロット105を画定する。細長いスロット105の寸法は、ISO1161:2016で定義されており、簡単に言うと、スロット105は、長軸が約124mmであり、2つの平坦側面の間隔が約63.5mmである。スロット105の湾曲した長手方向端部は、直径約124mmである。
【0064】
コーナーキャスティング100bはまた、端面102から内部キャビティ104までコーナーキャスティング100bの端壁を貫通する孔106と、側面103から内部キャビティ104までコーナーキャスティング100bの側壁を貫通する開口部107とを画定する。先と同様に、孔106及び開口部107の寸法は、ISO1161:2016により定義されているが、簡単に言うと、それぞれ、長軸が約79.5mmであり、2つの平坦側面の間隔が約51mmである。孔106及び開口部107の湾曲した長手方向端部は、直径約51mmである。
【0065】
上部コーナーキャスティング100aは、下部コーナーキャスティング100bと類似しており、実際、下部コーナーキャスティング100bのほぼ鏡像を成す。したがって、先と同様に、ロックデバイス(ツイストロックなど)の連結器を上部コーナーキャスティング100aの内部キャビティに受け入れるために、上部コーナーキャスティング100aのそれぞれは、下部コーナーキャスティングの細長いスロット105と同じ寸法の細長いスロット(図示せず)を上面(図示せず)に有する。各上部コーナーキャスティング100aはまた、使用時にコンテナ10の長手方向端部に配置される端面と、使用時にコンテナ10の側方に配置される側面とを有する。各上部コーナーキャスティング100aはまた、端面から内部キャビティまで端壁を貫通する孔と、側面から内部キャビティまで側壁を貫通する開口部とを画定する。開口部は、前述の下部コーナーキャスティング100bの開口部107と同じ寸法であるが、孔の寸法は、前述の下部コーナーキャスティング100bの孔106の寸法とは異なる。具体的には、上部コーナーキャスティング100aの孔は、長軸が約73mmであり、2つの平坦側面の間隔が約63.5mmであり、湾曲した長手方向端部が直径約63.5mmであり、反対側の湾曲した長手方向端部が半径約51mmである、むしろシールド形状である(図2にわずかに表示)。
【0066】
当業者であれば、上部コーナーキャスティング100a及び下部コーナーキャスティング100bのさらなる詳細、例えばこれらの全体的な外幅、深さ、及び長さ、ならびにこれらの内部キャビティ104の寸法などを、ISO1161:2016を参照することにより、容易に取得して理解することができるであろう。
【0067】
図4は、実施例によるピン構造200を示す。ピン構造200は、後述されるように、輸送コンテナ10を支持体に固縛する際に使用される。ピン構造200は、ベース210と、ベース210から延在する突出部220とを有する。大まかに言えば、ピン構造は、図3に示される下部コーナーキャスティング100bの内部キャビティ104に挿入可能であり、その後、ベース210が内部キャビティ104内に留まった状態で、下部コーナーキャスティング100bの壁を貫通する孔106を介して下部コーナーキャスティング100bの外側へ突出部220が延び出るように、操作可能である。ベース210は、操作中に一時的に内部キャビティ104から部分的に突出する場合と突出しない場合があるが、突出部220が孔106を介して下部コーナーキャスティング100bの外側へ延び出たときには、ベース210は完全に内部キャビティ104内にある。いくつかの実施例では、ピン構造は、図2に示される上部コーナーキャスティング100aの内部キャビティに挿入可能である。
【0068】
この実施例では、ピン構造200は、鋼鉄製の単体構造であるため、堅牢で耐久性に優れている。よって、ピン構造200は、寸法変化または変形することなく、前述のように操作可能である。
【0069】
ピン構造200は、内部キャビティ104に挿入可能で、内部キャビティ104内で操作可能であるように、寸法設定されることが重要である。この実施例では、図5に示されるように、ピン構造200は、前述の寸法を有する下部コーナーキャスティング100bの細長いスロット105を介して、内部キャビティ104に挿入可能である。したがって、この実施例では、ピン構造200のベース210は、長さBLが約110mm、幅BWが約60mm、厚さBTが約15mmの長方形である。ベース210の縁には面取り加工またはR加工が施されているが、別の実施例では、その必要はない。突出部220は、ベース210からベース210の厚さ方向(すなわちベース210に対して垂直方向)に延在し、ベースから測定した長さPLが40mm、幅PWが50mm、深さPDが75mmである。
【0070】
いくつかの実施例では、ベース210の寸法は、これらの値以外である。例えば、長さは、80mm~115mmなどの117mm未満の任意の値であり得、幅は、45mm~63mmなどの63.5mm未満の任意の値であり得、厚さは、5mm~40mmなどの40mm未満の任意の値であり得る。ベース210は、使用時にピン構造200の構造的安定性を維持するのに十分な厚さを有さなければならない。
【0071】
同様に、いくつかの実施例では、突出部220の寸法は、これらの値以外である。例えば、長さは、40mm~80mmなどの100mm未満の任意の値であり得、幅は、45mm~63mmなどの63.5mm未満の任意の値であり得、深さは、60mm~79mmなどの79.5mm未満の任意の値であり得る。突出部220が51mm未満の幅と79.5mm未満の深さを有することにより、ISO1161:2016に準拠した下部コーナーキャスティングに、ピン構造200を使用することが容易になる。突出部220が63.5mm未満の幅と73mm未満の深さを有することにより、ISO1161:2016に準拠した上部コーナーキャスティングに、ピン構造200を使用することが容易になる。突出部220が51mm未満の幅と73mm未満の深さを有することにより、このような上部コーナーキャスティング及びこのような下部コーナーキャスティングに互換的にピン構造200を使用することが容易になる。後述されるように、突出部220は、使用時にラッシングケーブルにより加えられる力に耐えられる十分な幅及び深さを有する必要がある。いくつかの実施例では、突出部の幅及び突出部の深さはそれぞれ、少なくとも25mm、例えば少なくとも30mmまたは少なくとも40mmである必要がある。しかし、別の実施例では、ピン構造200が堅牢になり、コーナーキャスティングと使用可能になる、任意の他の適切な寸法が選択されてもよい。
【0072】
図5に示されるように、ピン構造200が少なくとも部分的に(いくつかの実施例では完全に)下部コーナーキャスティング100bの内部キャビティ104内に配置されると、図6に示されるように、ピン構造200は、ベース210が内部キャビティ104内に留まった状態で、孔106を介して下部コーナーキャスティング100bの外側へ突出部220が延び出るように、人間の作業員すなわちオペレータなどにより、純粋に手で、または特別に設計されたツールを使用することで、操作可能となる。すなわち、突出部220の遠位端部221は、孔106の外部の第2の端部で下部コーナーキャスティング100bの外側に露出し、同時に、ベース210は、孔106の内部の第1の端部を画定する壁に近接または当接する。この実施例では、ピン構造200は、このように操作されると、同様に下部コーナーキャスティング100bに結合可能なツイストロックなどのロックデバイスを干渉しないように、寸法設定され、配置される。すなわち、図7に示されるように、突出部220が孔106を通って延び出た状態にピン構造200が配置されたとき、ロックデバイス300の連結器(図示せず)は、下部コーナーキャスティング100bに連結可能である。当業者には理解されるように、ロックデバイス300は、下部コーナーキャスティング100bを、コンテナ10が上に積み重ねられた別のコンテナの上部コーナーキャスティングに接続するために、使用可能である。
【0073】
ロックデバイス300が下部コーナーキャスティング100bに連結されたかどうかに関わらず、図6及び図7に示されるように、突出部220が孔106を通って延び出るようにピン構造を配置した後、ラッシングケーブル400の第1の端部401は、突出部220に、より具体的には突出部220の遠位端部221に、取り付け可能となる。このような取り付けは、図8に示されるように、ラッシングケーブル400の第1の端部401にあるアイレット410を、突出部220に単に掛けることを伴い得る。別の実施例では、ラッシングケーブル400の第1の端部401は、突出部220にクランプされることにより、または突出部220に結び付けられることによってなど、任意の他の適切な方法で、突出部220に取り付けられ得る。
【0074】
この実施例では、ラッシングケーブルを使用して、船1のデッキ上でスタックのベースから8段目のコンテナ10を安定させることができるように、ラッシングケーブル400は約30メートルの長さを有する。いくつかの実施例では、ラッシングケーブル400は、30メートル以外の長さ、例えば少なくとも12メートルまたは少なくとも40メートルの長さを有する。この実施例では、ラッシングケーブル400は、Dyneema(登録商標)のロープであるが、別の例では、任意の他の適切な形状を有してもよく、または鋼鉄線などの任意の他の適切な材料(複数可)で作られたものでもよい。
【0075】
この実施例のピン構造200は、ラッシングケーブル400を突出部220に保持することを補助する保持具230を含む。図8に示されるように、ラッシングケーブル400の取り付けを容易にするために、保持具230は突出部220から取り外し可能であり、ラッシングケーブル400が突出部220に取り付けられたとき、保持具230は突出部220に接続可能である。突出部220に保持具230を接続することは、別個の留め具の使用、突出部220及び保持具230における係合ねじの使用を介するなど、任意の適切な機構により、または磁気引力などにより、可能であり得る。いくつかの実施例では、突出部220は、ラッシングケーブル400を受け入れ、突出部220に対して配置するために、隆起または溝を突出部220の外面に有する。突出部220にこのような隆起または溝がある実施例など、いくつかの実施例では、保持具230は省略される。
【0076】
よって、コンテナ10などの輸送コンテナを固縛用に構成する方法が提供される。図13に示されるように、方法130は、ベースと、ベースから延在する突出部とを有する、ピン構造200などのピン構造を用意すること131を含み、下部コーナーキャスティング100bなど、ISO1161:2016に準拠した輸送コンテナコーナーキャスティングの内部キャビティに、ピン構造は挿入可能である。方法はまた、下部コーナーキャスティング100bの内部キャビティ104などの内部キャビティに、ピン構造を挿入すること132と、次に、ベースが内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔106などの孔を介してコーナーキャスティングの外側へピン構造の突出部が延び出るように、ピン構造を操作すること133と、を含む。いくつかの実施例では、操作することは、特別に設計されたツールなどのツールを使用して、ピン構造を操作することを含む。いくつかの実施例では、方法はまた、ラッシングケーブル400の第1の端部401など、ラッシングケーブルの第1の端部を突出部に接続すること134、及び/またはラッシングケーブルを突出部に保持することを補助するために、保持具230などの保持具を突出部に対して配置すること135を含む。
【0077】
ラッシングケーブル400の第2の端部402は、輸送コンテナ10の安定性を高めるために、支持体に接続可能である。この実施例では、図9に示されるように、コンテナ10は、クレーンにより、船1上の他の7つの輸送コンテナのスタック11の上部に配置され、次にラッシングケーブル400の第2の端部402が、船1のラッシングブリッジ500に接続される。この変形形態では、コンテナ10がスタック11の上部に配置される前に、ラッシングケーブル400の第2の端部402が、ラッシングブリッジ500に接続され得る。別の実施例では、支持体は、船1のデッキの一部であり得、または陸上支持体であり得る。いずれの事例でも、コンテナ10がスタック11の上部に配置され、ラッシングケーブルがピン構造200と支持体との間に接続されると、いくつかの実施例では、当業者は知っている任意の適切な技法に従って、ラッシングケーブルに張力がかけられる。
【0078】
よって、コンテナ10などの輸送コンテナを支持体に固縛する方法も提供される。図14に示されるように、方法140は、ラッシングケーブルの第1の端部を輸送コンテナのコーナーキャスティングに接続すること143と、次に、輸送コンテナを他の輸送コンテナのスタックの上部に配置すること145と、を含む。コーナーキャスティングは、上部コーナーキャスティングまたは下部コーナーキャスティングであり得る。
【0079】
ラッシングケーブルは、コーナーキャスティングに直接接続する必要はない。実際に、この実施例では、接続すること143は、ラッシングケーブル400の第1の端部401を、下部コーナーキャスティング100bに挿入されたピン構造200に接続することを含む。よって、この実施例では、方法140はまた、コーナーキャスティング100bの内部キャビティ104にピン構造200を挿入すること141と、次に、ラッシングケーブル400の第1の端部401をピン構造200の突出部220に接続すること143の前に、ベース210が内部キャビティ内に留まった状態で、コーナーキャスティングの壁を貫通する孔106を介してコーナーキャスティングの外側へピン構造の突出部220が延び出るように、ピン構造を操作すること142(例えば手により、またはツールの仕様を介して)と、を含む。
【0080】
この実施例では、方法140はさらに、前述のように、ラッシングケーブル400の第1の端部401が突出部220に取り付けられたとき、ラッシングケーブル400を突出部220に保持することを補助するために、保持具230を突出部220に取り付けること144を含む。方法140はまた、ラッシングケーブル400の第2の端部402を支持体に接続すること146と、その後、ラッシングケーブル400に張力をかけること147とを含む。
【0081】
よって、本明細書で説明される実施例は、支持体に対するコンテナスタック、特に6段以上のスタックの安定化を促進するために使用可能であり、この支持体が船舶であるか陸上支持体であるかに関係なく、十分な高さのラッシングブリッジまたは同様の陸上構造体を設けるのに必要となるコスト及びスペースが不要であることが、理解されよう。本明細書で説明される実施例により、6段以上のスタックの上部にコンテナを固縛するのに十分な高さのラッシングロッドを用意する必要もなくなる。ラッシングロッドは、船上に保管することが困難であり、スタックの上部に既に配置された輸送コンテナのコーナーキャスティングに接続することが非常に困難である。
【0082】
図9のラッシングケーブル400のみが詳細に論述された。第2のラッシングケーブル450も、ラッシングブリッジ500と、例示のコンテナスタックのブロック18の上部にあるコンテナ10から離隔したさらなるコンテナの別の下部コーナーキャスティングとの間に、接続されていることが示される。ラッシングケーブル400、450は、互いに交差し、ブロック18の中央に向かってスタックを内側に引っ張る。さらに、ラッシングブリッジ500と、ブロック18の下方にあるコンテナとの間に、ラッシングロッド700が接続されていることが示される。別の実施例では、ラッシングロッド700は省略され、いくつかの実施例では、ラッシングブリッジ500は省略され、代わりにラッシングケーブル400、450が、デッキなど船1の別の部分に接続される。この実施例では、ラッシングケーブル400、450は、ブロック18の最上段のコンテナに接続されているが、別の実施例では、ラッシングケーブル400、450は、例えばラッシングロッド700の代わりに、ブロック18の下方のコンテナに接続され得る。さらに、いくつかの実施例では、2本のラッシングケーブル400、450より多くのラッシングケーブルが使用され得る。
【0083】
ピン構造200及びラッシングケーブル400はどちらも、船の装備の一部を形成してもよい。ピン構造200とラッシングケーブル400は、別個で提供されてもよく、または輸送コンテナラッシングシステムまたはそのようなシステムの一部として、一緒に提供されてもよい。言い換えると、システムは、いくつかのピン構造200及び/またはいくつかのラッシングケーブル400など、単一ではなく複数のピン構造200及びラッシングケーブル400を備え得る。いくつかの事例では、ピン構造200または輸送コンテナラッシングシステムは、コーナーキャスティング100bと組み合わせて、またはコンテナ10と一緒に、提供される。これらの構成要素またはシステムはのうちのいずれも、図1に示される船1などの船舶で提供され得る。
【0084】
ここで、図10a及び図10bを参照すると、これらは、スタック内の第1の輸送コンテナと第2の輸送コンテナを一緒にロックするための例示的なロックデバイス(ツイストロックとも称され得る)を示し、図11は、コンテナを一緒にロックしているロックデバイスを示す。ロックデバイス600は、スタックと、隣接するスタックまたは別の隣接する構造物の中のさらなるコンテナとの間の距離を、短縮または排除するように設計され、これにより、例えば強風、またはスタックが配置され得る船舶の横揺れにより生じる側方力を受けたときに、スタックが揺れる可能性が低減される。これは、特に6個以上のコンテナのスタックで、例えば11個以上のコンテナのスタックで、役に立つ。
【0085】
この実施例では、ロックデバイスは、いわゆる自動ロックデバイス(自動ツイストロックとも称される)であり、これは、コンテナのうち1つが別のコンテナの上部に配置された後に、第1のコンテナと第2のコンテナを自動的にロックし、最上部のコンテナがその後再び持ち上げられたときに、自動的にロックを解除する。ロックデバイス600は、鋼鉄製の単体構造であり、第1の連結器610及び第2の連結器620を備え、第1の輸送コンテナ10が第2の輸送コンテナ12の上部に積み重ねられたときに、第1の連結器610及び第2の連結器620は、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12のそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aと嵌合する。第1の連結器610及び第2の連結器620は、当業者がよく理解しているため、かなり詳しくさらに説明されることはない。
【0086】
別の実施例では、ロックデバイスはいわゆる半自動ツイストロックであり、ロック及びロック解除には人手を介する必要がある。当業者は、半自動ツイストロック及びその操作に非常に精通しており、本発明の教示を考慮して、本明細書に開示される新しい有利な特徴を有するように、それらのバージョンをどのように変えることができたかも分かるであろう。
【0087】
ロックデバイス600は、構造体630も備え、第1の連結器610及び第2の連結器620は構造体630から延在し、第1の輸送コンテナ10が第2の輸送コンテナ12の上部に積み重ねられ、第1の連結器610及び第2の連結器620がそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aと嵌合したときに、構造体630は、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12の側方に当接部分635が配置されるように寸法設定され、これにより、当接部分635は、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12の側方にそれぞれ隣接するさらなる輸送コンテナ14、16に接触することが可能となる。この実施例では、当接部分635は、さらなる輸送コンテナ14、16のそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aに接触することができる。よって、構造体630は、輸送コンテナ10、12の長さ方向に平行な方向ではなく、輸送コンテナ10、12の幅方向に平行な方向に、突出するように寸法設定されることに留意されたい。
【0088】
この実施例のロックデバイス600は、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12を、ISO1161:2016に準拠したそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aにより、一緒にロックするためのものである。実際に、この実施例では、第1のコンテナ10のコーナーキャスティング100bは、前述の下部コーナーキャスティング100bである。さらに、第1の連結器610及び第2の連結器620がそれぞれのISO準拠コーナーキャスティング100b、100aと嵌合したときに、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12から離れた当接部分635の遠位端636が、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12から38mm離隔するように、ロックデバイス600の構造体630は寸法設定される。前述のように、このような寸法設定により、ロックデバイス600は、隣接するスタックから38mmの標準化された間隙だけ離隔したコンテナスタックで使用するのに、特に適するようになる。当然ながら、構造体630の寸法は、別の実施例では異なり得る。
【0089】
より具体的には、ロックデバイス600の構造体630は、本体633を備え、当接部分635は、本体633の第1の側面から延在する第1の当接部631と、本体633の第1の側面とは反対側の本体633の第2の側面から延在する第2の当接部632と、を備える。したがって、第1の輸送コンテナ10が第2の輸送コンテナ12の上部に積み重ねられ、第1の連結器610及び第2の連結器620がそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aに嵌合したとき、第1の当接部631は、第1の輸送コンテナ10の側方に配置され、第2の当接部632は、第2の輸送コンテナ12の側方に配置される。さらに、これは、第1の当接部631が、第1の輸送コンテナ10の側方に隣接するさらなる輸送コンテナ14に接触でき、第2の当接部632が、第2の輸送コンテナ12の側方に隣接する別の輸送コンテナ16に接触できることを意味する。
【0090】
第1の当接部631及び第2の当接部632の上縁及び下縁はそれぞれ、面取り縁を有することに留意されたい。これにより、隣接するコンテナ14、16をロックデバイス600に対して下げるまたは上げる際に、隣接するコンテナ14、16が当接部分635に引っかかるまたは詰まる可能性が低くなるため、隣接するコンテナ14、16の積み上げ及び積み下ろしが容易になる。別の実施例では、面取り縁の代わりに、R付き縁が使用され得る。図12に示される代替的な実施例では、ロックデバイス600の構造体630は、アーム637と、車輪形状の回転可能要素638とを備え、回転可能要素638は、水平軸を中心に回転するように、アーム637の遠位端部に回転可能に取り付けられる。回転可能要素638は、構造体630の当接部分635を成す。したがって、このような実施例では、隣接するコンテナ14、16が、回転可能要素638と接触した状態、よって構造体630の当接部分635と接触した状態で、ロックデバイス600に対して下げられるまたは上げられる場合、回転可能要素638は、自由に回転して、垂直方向の摩擦を軽減する。
【0091】
ロックデバイス600は、いずれの輸送コンテナとも別個に提供され得る。あるいは、いくつかの実施例では、ロックデバイス600は、前述のコンテナ10などの輸送コンテナと組み合わせて提供される。ロックデバイス600またはその組み合わせは、図1に示される船1などの船舶で提供され得る。このような実施例では、コンテナは、下部コーナーキャスティング100bなどのコーナーキャスティングを有する。図2の実施例により示されるように、コンテナ10はまた、長さCL及び幅CWを有し、長さCLは、幅CWより長い。前述のように、ロックデバイス600は、連結器610と、構造体630とを有し、構造体630から連結器610は延在し、連結器610は、コーナーキャスティング100bと嵌合するためのものである。構造体630は、連結器610がコーナーキャスティング100bと嵌合したとき、コンテナ10の幅方向CWと平行な方向に、コンテナ10から突出するように寸法設定される。よって、突出した構造体630により、コンテナ10と、1つ以上のさらなるコンテナなどの1つ以上の側方に隣接する物体との間の距離が、短縮または排除される。構造体630の突出程度がより予測可能になるように、コーナーキャスティングは、ISO1161:2016に準拠することが好ましい。
【0092】
よって、図11に示されるコンテナ10、12などの第1の輸送コンテナ及び第2の輸送コンテナを一緒にロックする方法も提供される。図15に示されるように、方法150は、前述の例示的なロックデバイス600のうちの1つを用意すること151と、第1のコンテナ10が第2のコンテナ12の上部に積み重ねられたときに、第1の連結器610及び第2の連結器620を第1のコンテナ10及び第2のコンテナ12のそれぞれのコーナーキャスティング100b、100aに嵌合させること152であって、その結果、構造体630の当接部分635が第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12の側方に配置され、これにより、当接部分635は、第1の輸送コンテナ10及び第2の輸送コンテナ12の側方に隣接する1つ以上のさらなる輸送コンテナ14、16に接触することが可能となる、嵌合させること152と、を含む。
【0093】
いくつかの実施例では、方法は、コンテナ10、12を支持体に固縛すること153を含む。一実施例では、図9に示されるようにコンテナ10、12は配置され、前述のように、ロックデバイス600は、これらの間を連結し、第1のコンテナ10の下部コーナーキャスティング100bは、ラッシングケーブル400により支持体500に接続される。
【0094】
したがって、有利なことに、図4に示されるピン構造200など、本明細書で論述される新たなピン構造は、図10a及び図10bに示されるロックデバイスなど、本明細書で論述される新たなロックデバイスと同じ実施例で使用可能である。このようにすることで、本明細書に開示される新たな固縛方法と、船上または陸上を問わず、比較的高いスタックの上部へ向かうコンテナの揺れまたは他の側方運動を制御する新たな方法の結果、コンテナスタックのブロック、特に比較的高いコンテナスタックのブロックの安定性が大幅に向上し得る。
【0095】
本発明の例示的な実施形態は、図示された実施例を具体的に参照して論述された。しかしながら、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び変更が行われてもよいことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】