(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送のための充電周波数決定
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20250107BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20250107BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20250107BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250107BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20250107BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20250107BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/80
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/12
B60L53/60
B60M7/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534433
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022050157
(87)【国際公開番号】W WO2023107256
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マグナー、クリストファー、エー.
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC21
5H125BE02
5H125DD03
5H125EE61
(57)【要約】
【要約】ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの送信コイル(106)と受信コイル(105)間の充電周波数は、前記送信コイルへの入力電圧を固定電圧に設定する工程と、前記受信コイルを分路する工程と、共振周波数が見出されると予想される第1の入力電流周波数範囲を決定する工程と、前記第1の入力電流周波数範囲内のポーリング周波数のセットを使用して前記第1の入力電流周波数範囲内で周波数ポーリングする工程と、最低入力電流を有するポーリング周波数を前記充電周波数として選択する工程、とによって見出される。前記第1の入力電流周波数範囲は、規制、国際的な電磁周波数割当、または前記送信コイルと前記受信コイルとの間のWPTに関する過去の経験に基づいて前記第1の入力電流周波数範囲を設定する工程によって見出すことができる。前記入力電流の最小値付近の周波数範囲は、前記共振周波数に近似する充電周波数をポーリングするために選択される。
【選択図】
図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送(WPT)充電器であって、
充電周波数で受信コイルに電気エネルギーを無線送信する送信コイルと、
制御装置であって、
前記送信コイルへの入力電圧を固定電圧に設定する工程と、
前記受信コイルを分路する工程と、
共振周波数が見出されると予想される第1の入力電流周波数範囲を決定する工程と、
前記第1の入力電流周波数範囲でポーリング周波数のセットを使用して前記第1の入力電流周波数範囲内で周波数ポーリングする工程と、
最低入力電流を持つポーリング周波数を前記充電周波数として選択する工程と
を含む動作を遂行することにより前記送信コイルと前記受信コイル間の前記充電周波数を決定する命令を実行する、
プロセッサを含む、制御装置と
を有する、ワイヤレス電力伝送(WPT)充電器。
【請求項2】
請求項1記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
規制、国際的な電磁周波数割当、または前記送信コイルと前記受信コイル間のWPTに関する過去の経験のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の入力電流周波数範囲を設定する工程、
を有する動作を遂行することにより前記共振周波数が見出されると予想される前記第1の入力電流周波数範囲を決定する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項3】
請求項1記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
前記ポーリング周波数のセットで入力電流最小値を決定する工程と、
前記第1の入力電流周波数範囲よりも狭い前記入力電流最小値の周りの第2の入力電流周波数範囲を決定する工程と、
前記第2の入力電流周波数範囲のポーリング周波数の第2のセットを使用して前記第2の入力電流周波数範囲内で周波数ポーリングする工程と
を有する動作を遂行することにより前記第1の入力電流周波数範囲内の周波数をポーリングする命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項4】
請求項1記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
前記ポーリング周波数のセットの中で前記最低入力電流を持つ2つのポーリング周波数を決定する工程と、
前記第2の入力電流周波数範囲の上限と下限を定義するために前記2つのポーリング周波数を使用する工程と
を有する動作を実行することにより前記入力電流最小値の周囲の前記第2の入力電流周波数範囲を決定する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項5】
請求項1記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
最低入力電流を持つポーリング周波数に隣接する2つのポーリング周波数を決定する工程と、
前記第2の入力電流周波数範囲の上限と下限を定義するために前記2つのポーリング周波数を使用する工程と
を有する動作を遂行することにより前記入力電流最小値の周囲の前記第2の入力電流周波数範囲を決定する命令を実行するものでる、WPT充電器。
【請求項6】
請求項5記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
前記入力電流最小値がそれぞれの周波数マップの周波数範囲内にある確率と、前記それぞれの周波数マップ内のポーリング周波数とから決定される測定分布を有する前記複数の周波数マップを定義する工程を有する動作を遂行することにより前記入力電流最小値の周りの前記第2の入力電流周波数範囲内でポーリングする工程を遂行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項7】
請求項1記載のWPT充電器において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
入力電流対入力電流周波数応答曲線を前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線とにセグメント化する工程と、
前記入力電流不確実性限界より上の前記下側応答曲線上の最高周波数点を前記充電周波数として選択する工程と
を有する動作を遂行するものである、WPT充電器。
【請求項8】
請求項1記載のWPT充電器において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
入力電流対入力電流の周波数応答曲線を前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線にセグメント化する工程と、
前記下側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する下側交差周波数と前記上側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する上側交差周波数との間の中点周波数を前記充電周波数として選択する工程と
を有する動作を遂行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項9】
請求項1記載のWPT充電器において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
入電流対入力電流周波数応答曲線を前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と、前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線とにセグメント化する工程と、
下側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する下側交差周波数と、前記下側交差周波数と上側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する前記上側交差周波数との間の中点周波数との間の周波数を充電周波数として選択工程であって、選択された周波数は、前記下側交差周波数からのオフセットであり、前記オフセットは前記下側交差周波数と前記中点周波数との間の距離の割合である、選択する工程と
を有する動作を遂行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項10】
請求項1記載のWPT充電器において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
入力電流対入力電流周波数応答曲線を前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と、前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線にセグメント化する工程と、
第1および第2の線形投影の交点を見つけるために、前記下側応答曲線に対して前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも2つのポーリング周波数に基づく前記下側応答曲線の第1の線形投影と、前記下側応答曲線の前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも2つのポーリング周波数に基づく前記上側応答曲線の第2の線形投影とを使用する工程と、
前記交点の周波数を前記充電周波数として選択する工程と
を有する動作を実行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項11】
請求項1記載のWPT充電器において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
入力電流対入力電流周波数応答曲線を前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線をセグメント化する工程と、
前記下側応答曲線と前記上側応答曲線にフィットした曲線間の交点を見つけるために前記下側応答曲線と前記上側応答曲線について前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも3つのポーリング周波数に曲線をフィットさせる工程と、
前記交点の周波数を前記充電周波数として選択する工程と
を有する動作を実行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項12】
請求項1記載のWPT充電器において、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、
前記第1の入力電流周波数範囲決定する工程、周波数をポーリングする工程、および充電周波数を選択する工程を、反復ごとに異なる入力電圧について複数回繰り返す工程であって、前記反復ごとに異なる入力電圧は、要求された電力レベルの異なる割合である、繰り返す工程と、
各電力レベルでの電力レベルと共振周波数間の関係を決定する工程と、
前記要求された電力レベルでの共振周波数を前記関係から決定する工程と
を有する動作を実行する命令を実行するものである、WPT充電器。
【請求項13】
請求項1記載のWPT充電器において、前記プロセッサーは、
前記周波数範囲の下限周波数境界での最初の電流測定を行う工程と、
前記最初の電流測定が、電流検出のための安全電流閾値以上である場合、充電周波数の決定を中止する工程、または前記送信コイルへのより低い固定入力電圧レベルで前記充電周波数の決定を再開する工程と
を有する動作を実行することによって、前記送信コイルと前記受信コイルとの間の過結合による送信コイルの過電流を回避するための追加命令を実行する、WPT充電器。
【請求項14】
請求項1記載のWPT充電器において、前記プロセッサーは、
前記受信コイルを分路する工程と、
前記第1の入力電流周波数を前記第1の入力電流周波数範囲内のポーリング周波数に設定する工程と、
前記送信コイルへの前記入力電圧を増分で変化させる工程と、
入力電流測定によって安全マージン閾値は超えるが逆境閾値は超えないまで各電圧増分で前記送信コイルへの入力電流を測定する工程と、
前記入力電流測定が前記安全マージン閾値を下回る最後の電圧増分で前記固定電圧を電圧として選択する工程と
を有する動作を実行することによって、前記送信コイルへの入力電圧を固定電圧に設定する追加命令を実行する、WPT充電器。
【請求項15】
請求項14記載のWPT充電器において、前記プロセッサーは、
前記送信コイルの入力電流が前記安全マージン閾値より小さいガード閾値を超えるまで第1の電圧増分を使用する工程と、
前記送信コイルの入力電流が前記安全マージン閾値を超えるか、または公称試験電圧が得られるまで、前記第1の電圧増分よりも小さい第2の電圧増分を使用する工程と
を有する動作を実行することによって、前記送信コイルへの前記入力電圧を増分で変化させる追加命令を実行する、WPT充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス電力伝送に関し、より具体的には、バッテリーを含む車両などの遠隔システムへのワイヤレス電力伝送に関連する装置、システム、および方法に関する。より詳細には、本開示は、充電時間を最小化し、充電効率の向上を提供するワイヤレス電力伝送のための充電周波数の特定に関する。
【背景技術】
【0002】
空隙を介して電力を供給するための磁気誘導(ワイヤレス)電力伝送システムの使用は、西暦1900年以来知られている。一次(送信)誘導コイルは、二次(受信)誘導コイルと対になり、一般的には空隙である誘電体を介して電力が伝送される。また、必要な振動磁界を発生させるために、前記一次コイルに交流(AC)を印加することもよく知られている。最大電力伝達効率は、前記AC入力が共振周波数にあるときに、磁気結合誘導ワイヤレス電力システムによって達成される。
【0003】
内燃機関を使用しない最近のトレンドは、エネルギー貯蔵の進歩とともに、バッテリー駆動電気自動車(BOEV)の市場性を高めている。ワイヤレス電力伝送(WPT)システムは、BOEVの充電に使用できる。導線の露出がなく、コネクターや可動部品がないことによる信頼性というWPT固有の安全性は、全体的な充電時間を短縮するための高出力充電が一般的になるにつれて有用である。
【発明の概要】
【0004】
以下に、詳細な説明においてさらに説明する概念の一部を簡略化した形で紹介するために、様々な実施例を説明する。本要約は、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。
【0005】
充電周波数で受信コイルに電気エネルギーを無線送信する送信コイルと、送信コイルと前記受信コイル間の前記充電周波数を決定する命令を実行するプロセッサーを含む制御装置を含むワイヤレス電力伝送(WPT)充電器が提供される。前記制御装置は、命令を実行して、前記送信コイルへの入力電圧を固定電圧に設定する工程と、前記受信コイルを分路する工程と、共振周波数が見出されると予想される第1の入力電流周波数範囲を決定する工程と、前記第1の入力電流周波数範囲内のポーリング周波数のセットを使用して前記第1の入力電流周波数範囲内で周波数ポーリングする工程と、および最低入力電流を持つポーリング周波数を充電周波数として選択する工程とを含む動作を遂行する方法を実行する。前記共振周波数が見出されると予想される前記第1の入力電流周波数範囲は、規制、国際的な電磁周波数割当、または前記送信コイルと前記受信コイルとの間のWPTに関する過去の経験のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の入力電流周波数範囲を設定する工程によって決定されてもよい。
【0006】
前記第1の入力電流周波数範囲内で周波数をポーリングすることは、前記ポーリング周波数のセットで入力電流最小値を決定する工程と、前記第1の入力電流周波数範囲よりも狭い前記入力電流最小値の周りの第2の入力電流周波数範囲を決定する工程と、前記第2の入力電流周波数範囲内のポーリング周波数の第2のセットを使用して前記第2の入力電流周波数範囲内で周波数ポーリングする工程を含んでよい。前記入力電流最小値の周りの前記第2の入力電流周波数範囲は、ポーリング周波数の前記セットの中で前記入力電流が最も低い2つのポーリング周波数を決定し、前記第2の入力電流周波数範囲の上限と下限の境界を定義するために前記2つのポーリング周波数を使用する工程によって決定することができる。あるいは、入力電流最小値の周りの第2の入力電流周波数範囲は、最低入力電流を有するポーリング周波数に隣接する2つのポーリング周波数を決定し、前記第2の入力電流周波数範囲の上限と下限を定義するために前記2つのポーリング周波数を使用する工程により、決定してもよい。前記ポーリングを実行する際、複数の周波数マップが決定されてもよく、前記周波数マップは、前記入力電流最小値がそれぞれの周波数マップの周波数範囲内にある確率から決定される測定分布を有する。前記ポーリング周波数は、前記それぞれの周波数マップから取得される。
【0007】
サンプル構成において、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、入力電流対入力電流周波数応答曲線を、前記入力電流不確実性限界より上の下側応答曲線と、前記入力電流不確実性限界より上の上側応答曲線とにセグメント化する工程と、前記入力電流不確実性限界より上の前記下側応答曲線上の最高周波数点を充電周波数として選択する工程と、を含む動作を実行する命令を実行することができる。あるいは、前記充電周波数は、前記下側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する下側交点周波数と、前記上側応答曲線が前記入力電流不確実性限界と交差する上側交点周波数との間の中点周波数として、または、前記下側交点周波数と前記上側交点周波数との間の前記中点周波数との間の周波数として選択することができ、前記選択された周波数は、前記下側交点周波数と前記中点周波数との間の距離の割合である。
【0008】
あるいは、前記最低入力電流を有する前記ポーリング周波数が、前記入力電流不確実性限界を超えて決定できない場合、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、前記下側応答曲線に対して前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも2つのポーリング周波数に基づく前記下側応答曲線の第1の線形投影と、前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも2つのポーリング周波数に基づく前記上側応答曲線の第2の線形投影とを用いて、前記第2および第2の線形投影の間の交点を求め、前記交点の周波数を前記充電周波数として選択する命令を実行してもよい。別の代替案では、前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、前記下側応答曲線と前記上側応答曲線にフィットした曲線間の交点を見つけるために、前記下側応答曲線と前記上側応答曲線について、前記入力電流不確実性限界に隣接する少なくとも3つのポーリング周波数に曲線をフィットさせる工程と、前記充電周波数として前記交点の周波数を選択する工程とを含む動作を実行する命令を実行してもよい。
【0009】
前記第1の入力電流周波数範囲を決定する工程、周波数をポーリングする工程、および充電周波数を選択する工程は、反復ごとに異なる入力電圧に対して複数回実行されてもよい。各反復に対する前記異なる入力電圧は、要求された電力レベルの異なる割合を含んでもよい。このような構成において、前記プロセッサーは、各電力レベルでの電力レベルと共振周波数との間の関係を決定する工程と、前記要求された電力レベルにおける共振周波数を前記関係から決定する工程と、を含む動作を実行するために、追加の命令を実行してもよい。
【0010】
他の構成では、前記制御装置の前記プロセッサーは、前記周波数範囲の下側波数境界で第1の電流測定を行い、前記第1の電流測定が電流検出の安全電流閾値を超える場合、前記充電周波数を決定する工程を中止するか、または前記送信コイルへのより低い固定入力電圧レベルで前記充電周波数を決定する工程を再開することを含む動作を実行することにより、前記送信コイルと前記受信コイルとの間の過結合による送信コイルの過電流を回避するための追加命令を実行してもよい。
【0011】
さらに他の構成では、前記送信コイルへの前記入力電圧は、前記受信コイルを分路する工程と、前記第1の入力電流周波数を前記第1の入力電流周波数範囲内のポーリング周波数に設定する工程と、前記送信コイルへの前記入力電圧を増分で変化させる工程と、前記入力電流測定によって安全マージン閾値は超えるが逆境閾値は超えないまで各電圧増分で前記送信コイルへの入力電流を測定する工程と、前記入力電流測定が前記安全マージン閾値を下回る最後の電圧増分で前記固定電圧を電圧として選択する工程と、によって固定電圧に設定される。前記送信コイルへの前記入力電圧を増分で変化させる工程は、前記送信コイルの入力電流が前記安全マージン閾値よりも小さいガード閾値を超えるまで、前記第1の電圧増分を使用する工程と、前記送信コイルの前記入力電流が前記安全マージン閾値を超えるか、または公称試験電圧が得られるまで、前記第1の電圧増分よりも小さい第2の電圧増分を使用する工程とを含む。
【0012】
本要約部は、簡略化された形で本発明主題の態様を紹介するために提供され、本発明主題のさらなる説明は詳細な説明の本文に続く。本要約部に記載された要素の特定の組み合わせおよび順序は、特許請求される主題の要素に対する限定を提供することを意図するものではない。むしろ、本要約部は、以下の「詳細な説明」に記載される実施例のいくつかを要約した例を提供するものであることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上記およびその他の有益な特徴および利点は、添付の図に関連した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、サンプル構成におけるワイヤレス電力伝送システムの使用と主要構成要素を示す図である。
【
図2】
図2は、サンプル構成における並列-並列共振誘導回路を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、サンプル構成における充電手順を図式的に示す。
【
図5】
図5は、サンプル構成における双方向ワイヤレス電力転送システムの主要構成要素およびサブシステムを示す図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、サンプル構成における周波数決定手順の第1段階および第2段階を示す図である。
図6Cは、サンプル構成における同一の効率的な周波数決定において、複数の周波数ポーリングマップを設定する能力を示す図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、共振周波数を決定論的に見つけることができない場合に効率的な周波数を選択するための方法を示す図である。
図7Cおよび
図7Dは、共振周波数が決定論的に見いだせない場合の効率的な周波数の推定方法を示す図である。
【
図8】
図8は、サンプル構成における周波数決定手順のマルチパス実装の結果を示す図である。
【
図9】
図9は、過結合誘導コイルに対処する安全手順のパラメータと結果をグラフで示す。
【
図10】
図10は、サンプル構成におけるWPT内の主要なサブシステムおよび通信経路を示す図である。
【
図11】
図11は、構成例において接地側制御装置によって実施される充電周波数決定の工程を表すフロー図である。
【
図12】
図12は、前記WPT電子機器に害を与えることなく前記送信コイルへの前記固定入力電圧を決定するためのシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、例示的な実施例の詳細な説明を、
図1~
図12を参照して説明する。本明細書は可能な実施態様の詳細な説明を提供するが、これらの詳細は例示的なものであり、決して本発明主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0015】
本書では、一般的な意味に従って方向を示す。ISO 4130:1978「道路運送車両-三次元参照系と基準マーク」を直交座標系のガイドとして使用し、前進は-x方向、+xは逆方向または後退方向、右は+y方向、左は-y方向である。水平z=0平面は、地面レベル、勾配、または舗装レベルに対応し、+zは上方向、-zは下方向(勾配以下)である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「バッテリー」という用語は、一般的な化学エネルギー貯蔵システムを表しており、他のポータブルエネルギー貯蔵システム(例えば、固体バッテリー、可逆性燃料電池、ウルトラキャパシタなど)と置き換えたり、補足したり、ハイブリッド化したりすることができる。また、使用されている例の多くは、車載システムに電力を供給し、静止電気自動車(EV)のバッテリーを充電するために使用されるワイヤレス電力転送(WPT)システムのものであるが、この用途は決して唯一の用途ではない。
【0017】
ワイヤレス電力伝送システムはモジュール式であり、双方向充電が可能であるため、地上トランシーバーステーション(GTS)という用語は、地上トランシーバーアセンブリ(GTA)のグループ化を指すために使用され、車両トランシーバーステーション(VTS)は、車両トランスファーアセンブリ(VTA)のグループ化を指すために使用される。GTSは1若しくはそれ以上のGTAで構成され、VTSは1若しくはそれ以上のVTAで構成される。送電能力を最大化するため、VTS内のすべてのVTAは、GTS内の対応するGTAと対になり、整列される。整列とは、一次コイルと二次コイルが、必ずしも幾何学的に整列している必要はなく、磁気的に整列していることを指す。
【0018】
「磁場管理による効率向上」と題された米国特許出願番号16/940,658に記載されているように、共振周波数の自動決定は、車両のメーカーとモデルが伝達されている場合、前記GTAの特性が既知で前記VTAの特性が得られる場合、または前記車両が以前に前記WPT充電器によって充電されたことがあり、過去の物理的および磁気的情報が前記GTSまたは充電ステーション制御装置によって保持されている場合であっても有用である。前記ペアとなるGTAとVTAの正確な共振周波数は、VTA(およびGTA)のメーカーによってユニットの構造が異なるため、ユニットやEVによって異なる場合がある。また、結合係数(k)、ひいては前記共振周波数に影響を与える要因として、同じメーカー、モデル、年式のEVであっても、コイル間ギャップ(Zギャップなど)が異なる場合がある。また、前記Zギャップは、前記EVの積載状態と非積載状態、アダプティブサスペンションやニーリングの使用、車両シャーシの高さに影響を与えるアフターマーケットの改造によっても影響を受ける可能性がある。各充電はまた、前記VTSのロール、ピッチ、ヨーによるミスアライメントを経験する可能性がある。
【0019】
モジュール式WPT、つまり複数の一次コイルとペアになった二次コイルを使用する場合、電力伝達効率を最大にするために、各GTA-VTAペアの共振周波数をあらかじめ決めておく必要がある。
【0020】
「決定論的」とは、前記共振周波数が前記GTA電流応答対周波数の測定によって求められた場合に使用される。「選択された」という用語は、前記共振周波数を測定によって求めることはできないが、前記測定データの制限によって許容されるよりも効率的な周波数を選択することができる場合に使用される。「推定された」という用語は、前記共振周波数を測定によって直接見つけることはできないが、前記測定データからより効率的な周波数を推定することができる場合に使用される。
【0021】
図1
図1は、充電中のEV用ワイヤレス電力伝送システムの構成例を示す図である。EV101は、地上充電器102の上に静止している。前記地上充電器(地上トランシーバステーション(GTS))102は、ここでは舗装103の上に突き出ているように示されているが、他のGTS102の設置も考えられる(例えば、舗装と同じ高さに取り付けられたり、舗装の下に埋め込まれたり)。前記車両トランシーバーステーション(VTS)104は、この例ではEV101の下側に取り付けられている。
【0022】
前記GTS102は、機械的支持、冷却、渦電流シールドおよび誘導通信リンクのための付属装置および構造部材を備えた1若しくはそれ以上のコイルアセンブリ106を含む(集合的に地上トランシーバアセンブリ(GTA))。同様に、前記VTS104は、各々がコイルアセンブリ105と、機械的支持、冷却、渦電流シールドおよび誘導通信リンクのための付属装置および構造部材とを有する1若しくはそれ以上の車両トランシーバアセンブリ(VTA)を含む。前記GTAコイル106と前記VTA車載コイル105は、X-Y平面において同じサイズであるが、異なる巻数で作ることができる。Z平面における前記コイル間ギャップ107は、地上充電器102のタイプ、EVの構造、EVの負荷の関数である。前記コイル間ギャップに加えて、GTA対VTAの方向は、ロール、ピッチ、ヨーの平行コイルマッチングからのずれだけでなく、センタリングオフセットを経験する可能性がある。前記位置決め偏差は、各充電セッションごとに固有である可能性があり、測定前には不明である。各位置決め偏差とコイル間ギャップは、前記結合定数(k)の値に影響し、その結果、各充電セッションの各GTA対VTAの共振周波数が個別に設定される。縁石108は、運転者、運転支援システム、または自律走行システムのための前記GTS位置の視覚的(場合によっては触覚的)インジケータである。
【0023】
図1では、前記GTS102とVTS104の両方が単一のコイルアセンブリとして示されているが(
図1では、前記GTSは単一のGTAを有し、前記VTSは単一のVTAを有する)、より高い電力伝送のために複数のコイルアセンブリペア(ワイヤレスカプラ)を使用することができる。ワイヤレス電力システムに対するモジュラーアプローチの利点も活きてくる。単一のGTAと単一の標準VTAを製造することで、前記GTAをより大きな地上送受信ステーション(GTS)に組み合わせ、1若しくはそれ以上のVTAを持つEV搭載VTSにサービスを提供することで、規模の経済を達成することができる。
【0024】
前記モジュール式のGTSとVTSにより、フレキシブルで動的に割り当て可能な、動的に構成可能なGTS構成を構築できる充電ステーションが実現する。(例えば、GTSあたり1台のGTA、GTSあたり2台の並列(2x1)GTA、GTSあたり2台の直列(1x2)GTA、GTSあたり3台の直列(1x3)GTA、GTSあたり4台のGTA(2x2)、GTSあたり6台のGTA(2x3)、または最大の車両VTTSをサポートするGTA構成(サービスされるVTAの対応するセット)。
【0025】
また、GTS102とVTS104は、前記一次と二次が切り替え可能で、前記EVが電気グリッド(図示せず)にエネルギーを供給する双方向WPTの一部とすることができる。GTS102とペアリングされたVTS104は双方向モードで動作させることができるため、ワイヤレス電力伝送は、(前記GTSを介して)電力網から(前記VRTSを介して)車両へ、または、DCまたはAC負荷(例えば、家屋)に電力を供給するために、前記VTSによって前記GTSに送信される前記EVのエネルギー貯蔵(例えば、バッテリパック)から発信される電力と逆にすることができる。
【0026】
図2
図2は、誘導結合ワイヤレス電力伝送システムで使用するための例示的な平衡並列共振ネットワーク(PPRN回路)を、テーベニン回路表現を用いて概略的に示している。一次コイルアセンブリ201と二次コイルアセンブリ202は、一次コイル204から二次コイル203への相互誘導を介してエネルギーを伝達する役割を果たす。前記一次コイル204と一次コンデンサ205、および前記二次コイル203と二次コンデンサ206は、相互に共振する回路を形成するように値が選択されている。コイル間ギャップ209は、すべての誘導型WPTシステムに存在し、各EVおよび各充電セッションによって変化し得る。二次出力211は、負荷(図示せず)(名目上はEVバッテリーパック)に対する交流電圧制御電流源(VCCS)として現れる。
【0027】
共振誘導電力伝達回路では、電圧源210から見た複素インピーダンスZは、結合コイル対の角周波数
【0028】
【0029】
の関数であり、j2=(-1)であり、結合係数kを持ち、一次抵抗R、一次コイルインダクタンスL、一次キャパシタンスCは、式1.0に示す通りである:
【0030】
【0031】
従って、GTA入力電流の大きさは、式1.1のインピーダンスZを持つ電圧(V)と電流(I)で示される:
【0032】
【0033】
周波数は選択でき、前記抵抗、インダクタンス、キャパシタンスはすべてワイヤレス充電に先だって知ることができるが、前記結合係数(k)の値は知ることができない。従って、前記一次コイルアセンブリへの入力電流は、前記一次アセンブリの入力電圧や入力周波数の有用な範囲について決定論的に計算することはできない。
【0034】
図3
図3は、ワイヤレス充電セッションに至るまでと、ワイヤレス充電セッションを含むイベントを時系列的に示している。
【0035】
初期化301は、前記電気自動車(EV)と地上トランシーバステーション(GTS)が双方向通信を確立するときに発生する。双方向通信が機能すると、(オプションとして)データストア302から情報を取得することができる。この情報には、前記EVに関するデータ(例えば、EV識別子、公称高さ、静止時または膝立ち時の高さ、VTAの数、個々のVTAの磁気プロファイル(例えば、インダクタンス、寸法、総ターン数、抵抗、インピーダンス、共振時の校正中心周波数などのコイル特性)が含まれる場合がある。前記データストア302は、以前の充電セッションの過去の共振周波数の推定値も有することができる。
【0036】
アライメント303の間、前記EVの運転者(または運転者支援システムまたは自律運転者システム)は、前記EVのVTSがGTSとよく並べられ、各VTAがGTAとペアになって前記EVが静止するように、誘導情報とコース修正を受信する。誘導支援は、視覚マーカー、視覚ライトインジケータまたはリフレクター、舗装に埋め込まれた無線アンテナ、無線ビーコン、舗装の整形(へこみまたは溝)、舗装マーカーなどである。
【0037】
検証304では、前記EVのステータスとアライメントがチェックされる。例えば、米国特許第10,135,496号「静的および動的共振誘導ワイヤレス充電で使用するための近接場、全二重データリンク」、米国特許第10,826,565号「共振誘導ワイヤレス充電のための近接場、全二重データリンク」、および米国特許第11,121,740号「共振誘導ワイヤレス充電のための近接場、全二重データリンク」に記載されているように、GTS-EVワイヤレス通信を使用して、車両の状態(下降またはニーリング、バッテリーの状態(電圧、SoC)、VTSの状態(各VTA)、バッテリー管理システム(BMS)の状態、要求された電力レベル)が充電器によって照会される。
【0038】
周波数の設定305のために、本明細書で説明する共振周波数決定のためのポーリング手法が使用される。対応する整列されたVTAと対をなす各GTAについて、一組の周波数において固定接地コイル電圧が印加され、その結果生じるGTA入力電流が測定される。前記一組の入力周波数での前記ポーリングと前記GTA電流の大きさから、各VTA/GTAペアについて共振周波数が決定される。ポーリングされる前記周波数のセットは、利用可能な帯域幅にわたって等間隔の線形分布とすることも、共振周波数の最も近い推定値を得るように確率的または歴史的に集中させることもできる。周波数ポーリング間隔の例は、ポーリング分布パターンまたはステージ(複数ステージの周波数決定)に依存し、10Hz~1000Hzの範囲とすることができる。サンプル数を最小限にすることで、周波数決定による充電の遅延を少なくすることができる。
【0039】
正確な共振周波数を決定できない場合は、伝達効率に基づいて推定または算出された周波数が使用される。前記GTAコイル電流の測定は、「ワイヤレス電力伝送システムにおける電流センシング」と題された米国特許出願第16/825,624に記載されている電流センス回路を使用することで達成できる。
【0040】
充電306では、各VTAは分路解除され、その後、各GTAは、要求された(公称100%)レベルで対応するVTAへの効率的な転送電力を可能にするために、決定された共振周波数でAC電流を受信する。前記AC入力信号は、正弦波、ランプ、または方形波であってもよい。
【0041】
充電306の間、例えば前記GTAおよびVTAの構成要素が加熱したり、EVがロードまたはアンロードを受けたりすると、前記結合係数が変化する可能性がある。送電を中断し、設定周波数305の周波数決定手順307を再起動することが可能である。前記周波数決定手順を再起動すると充電セッションの時間が長くなるため、これは純粋にオプションの操作である。
【0042】
前記周波数決定手順は、前記GTS内のすべてのアクティブなGTAで同時に実行できる。
【0043】
充電前活動の総時間(5秒未満)は、充電総時間と比較するとわずかであるが、顧客が充電に集中するため、充電開始の遅れが顕著に認識されるため、充電開始の遅れは不利である。このような充電開始の遅れの充電時間に対する認識は、通常顧客が気づかない、効率の悪い充電信号周波数の選択による充電時間の延長とは対照的である。
【0044】
図4A-4D
図4A、
図4B、
図4C、
図4Dは、主に、コイル間のミスアライメント、コイル製造の違い、前記コイル間のZギャップのばらつきにより、充電セッションの事前には未知である前記結合係数(k)に起因する、前記充電周波数決定の異なる結果を説明するために使用される。
【0045】
図4A
図4Aは、前記GTA入力電圧が固定レベルに設定され、関連するVTAがそのコイルを分路した場合の、変化した入力信号周波数に対する前記GTA入力電流引き込みを示すシナリオをグラフで示す。
図4Aのシナリオでは、最小GTA電流406は、電流センス回路の精度に起因する不確定限界407を超えており、従ってWPTの最適周波数である。
【0046】
図4Aは、x軸401が周波数として設定され、y軸402が接地コイル電流として設定されている。下限周波数403および上限周波数404は、地域の規制または国際的な電磁周波数割当によって設定される(例えば、SAE規格SAE J2954では、WPT帯域は85kHzを中心とし、81.3~90kHzの範囲である)。図示されたWPT帯域405は、電力転送信号が割り当てられた帯域を超えないことを保証するために、規制または法定の上限および下限周波数から50~1000Hzのバックオフマージンを使用することができる。図示されているように、GTA電流曲線408は、共振周波数に対応する前記不確定限界407の上方で電流極小値に達する。
【0047】
図4B
図4Bは、前記GTA入力電圧が固定レベルに設定され、前記関連するVTAコイルが分路され、前記最小GTAコイル電流を一義的に決定することができない場合の、変化した入力信号周波数に対する前記GTAコイル入力電流の引き込みを示す代替シナリオを図式化したものである。
図4Bは、前記x軸401を周波数とし、前記y軸402を接地コイル電流としたものである。前記WPT帯域405は、下限周波数403が設定され、前記上限周波数404は、地域規制または国際的な電磁周波数割当(バックオフマージンは図示せず)によって設定される。第1のGTA電流曲線408は、ポーリング周波数の下限範囲について決定することができ、第2のGTA電流曲線409は、周波数の上限範囲について決定することができるが、前記GTA電流の最小値は、電流センサー感度閾値407を下回るため、直接決定することができず、その結果、前記GA電流を決定することができない曖昧領域410が生じる。前記GTA電流の最小値を直接測定することができないため、最適とは言えないまでも効率的なWPT転送周波数を見つけるために推定技術を適用することができる。
【0048】
図4C
図4Cは、前記GTAコイル入力電圧が固定レベルに設定され、前記関連するVTAコイルが分路された場合の、変化した入力信号周波数に対する前記GTAコイル入力電流の引き込みを示す代替シナリオをグラフ化したものである。
図4Cは、前記x軸401が周波数、前記y軸402が前記GTAコイル電流測定値として設定されている。前記下限周波数403および前記上限周波数404は、WPT帯域405A GTA電流曲線411がポーリング周波数の範囲について決定されることができるように、地域の規制または国際的な電磁周波数割当、加えてバックオフマージンによって設定される。前記測定されたGTA電流最小値412は前記上限周波数境界404にあるため、前記最適なWPT周波数を一義的に決定することはできず、前記WPTは許可された前記WPT帯域405を超えて放射することはできないため、決定された最も効率的な周波数として使用するために前記最小周波数412が報告される。
【0049】
図4D
図4Dは、前記GTAコイル入力電圧が固定レベルに設定され、前記関連するVTAコイルが分路された場合の、変化した入力信号周波数に対する前記GTAコイル入力電流の引き込みを示す代替シナリオをグラフ化したものである。
図4Dは、前記x軸401が周波数、前記y軸402がGTAコイル電流に設定されている。前記下限周波数403および前記上限周波数404は、地域の規制または国際的な電磁周波数割当によって設定される。ポーリング周波数の範囲について、部分的なGTA電流曲線413を決定することができる。測定されたGTA電流最小値414は前記測定不確定閾値407にあるため、最適なWPT周波数を一義的に決定することはできない。前記測定されたGTA電流最小値414は、発見された最も効率的な周波数であり、後続の充電セッションで使用することができる。あるいは、部分的なGTA電流曲線413を投影して(線形投影またはポーリングされた電流、測定された曲線413に沿って収集された周波数ポイントに基づく曲線フィッティングのいずれか)、曲線413と前記x軸401との交点(すなわちゼロ電流)を見つける計算アプローチを使用することができる。計算されたx軸交点が上限周波数バウンド404内にある場合、計算されたx軸交点の周波数を最も効率的な周波数として報告することができる。
【0050】
図5
図5は、サンプル構成における双方向ワイヤレス電力伝送(WPT)システムによる電力フロースルーおよび変換の例示的な高レベルな機能図である。
【0051】
特定の構成要素は、本質的に双方向かつ対称動作であり(例えば、オープンコア変圧器としても知られる共振誘導回路)、共有することができるが、順方向(充電)および逆方向(放電)の電力伝送経路は、分岐シンプレクスアーキテクチャに依存し、前記順方向(充電)および逆方向(放電)の使用シナリオの各々に対して前記電力伝送経路を起動および完了するために、スイッチ509、制御ロジック(図示せず)、および通信リンク(同じく図示せず)を必要とする。ここでは、順方向経路と逆方向経路の両方が提示されているが、WPTは、1つの経路(名目上は前記順方向経路)のみを使用して実装(および最適化)することができる。
【0052】
前記順方向では、電力は名目上、電力系統501から供給される。系統接続に応じて、電力は単相交流(AC)、直流(DC)、または多相交流となる。前記電力系統501には、高圧送電線からの電圧を降圧するために必要な変圧器が含まれる。この例では、力率がほぼ1(単一)に調整されるように十分な静電容量が存在する前記電力系統501によって単相交流が供給される。
【0053】
交流(AC)電力は、AC/DC変換器502によって直流(DC)に変換される。この機能は、アクティブ(スイッチベース)整流器またはパッシブ(ダイオードベース)整流器によって実現できる。DC/AC変換器503は、入力された直流電力を取り込み、高周波の交流(この例では公称85kHz)正弦波信号に変換する。前記DC/AC変換器503によるDC/AC変換動作は、インバータを用いて実現することができる。
【0054】
交流電力信号は、一次コイルと二次コイルを持つ共振空芯変圧器504に渡される。交流電力は一次側で磁束に変換され、二次側と誘導結合される。前記二次コイルは、前記受け取った磁束を交流電力信号に変換する。交流電力信号はAC/DC変換器505に渡される。AC/DC変換機能は、アクティブ(スイッチベース)整流器またはパッシブ(ダイオードベース)整流器によって実現できる。
【0055】
その結果得られる直流信号は、エネルギー貯蔵装置506を充電するために使用され、公称的には再充電可能な化学電池であるが、キャパシタバンク、可逆性燃料電池、固体電池、または前述のハイブリッド組み合わせのうちの1若しくはそれ以上である可能性もある。前記直流信号は、電子機器に直接電力を供給するために使用することもできる。双方向性であるため、前記エネルギー貯蔵装置506は、蓄積された電力を直流として逆方向伝送路に出力することができる。前記直流電力は、DC/AC変換器507によって必要な交流電力信号に変換される。
【0056】
この交流電力信号は共振誘導回路504に入力される。この逆経路シナリオでは、コイルは前記順経路とは逆に動作する。前記交流電力は、前記二次コイルと誘導結合された開コア変換器504の前記一次コイルで磁束に変換される。前記二次コイルは前記受信した磁束を交流電力信号に変換する。前記得られた交流電力は、AC/DC変換器508によって周波数が調整される。ある構成では、AC/DC/AC変換器がAC/AC変換器508として使用され、AC/AC周波数調整動作はAC/DC整流器を用いて達成され、その後インバータ回路によって必要な周波数でDCからACに変換される。この例の前記電力系統501は、電力系統供給電力と連動するために、交流電力を所望の電圧に変換するために必要な変圧器と、必要に応じてAC/DC変換を含む。
【0057】
代替構成では、DC電力フィードが、DC電力系統(図示せず)から利用可能な場合、前記DC/AC変換器503は、DCフィードを直接受け入れるようなサイズにすることができ、先行するAC/DCステージ502の必要性を省くことができる。
【0058】
図6A
図6Aは、共振周波数決定の第1段階において、前記GTAコイル入力電圧が固定レベルに設定され、前記関連するVTAコイルが分路された場合の、前記GTAコイル入力電流引き込み対前記GTAコイル入力電流信号周波数を示すシナリオをグラフで示す。
図6Aにおいて、前記GTAコイル入力電流信号は、より詳細な検査のために関心のある周波数範囲を決定するために、あらかじめ選択された少数の周波数に調整される。これらの事前選択された周波数は、既存のデータが利用可能であれば、前記入力電流の最小値を決定するための探索効率を最大化するために適用することができる。例えば、ランダムな周波数セットを適用することができる。前記共振周波数を中心とした周波数セットを適用することもできる。広く間隔をあけた第1の周波数セットを適用し、前記第1の周波数セットから周波数を中心に焦点を絞った第2の周波数セットを適用することで、前記GTAへの最小入力電流を得ることができる。
【0059】
図6Aは、x軸601が周波数として設定され、y軸602がGTAコイル電流として設定されている。WPT帯域605をもたらす下限周波数603および上限周波数604は、地域の規制または国際的な電磁周波数割当によって設定されてもよく、あるいは、関係する前記GTA/VTAペアの事前の経験に基づいて、より小さい、前記中心周波数からオフセットされる可能性のある範囲であってもよい。前記GTA電流センサ-の精度限界607が示されている。前記GTA電流測定値609は、静的GTA入力電圧を全電位の割合(%)に設定した状態で前記GTA入力周波数を調整することによって測定される。この例では、最低GTA電流測定値608が、前記電流センサーの不確かさの閾値を上回り、充電セッション中に使用される前記共振周波数で報告される。
【0060】
2段階の効率的な周波数決定プロセスが使用される場合、第1段階を完了するのに必要な時間を短縮するために、前記下限603および前記上限604周波数境界によって画定される周波数帯域全体にわたって、少数のポーリング周波数のみが使用される。1つの実施例では、前記事前に選択された周波数は、極小値(GTA電流の最小値)が検出されるまで、すなわち、より高いGTA電流を伴う、より高い周波数での第1の測定と、同じくより高いGTA電流を伴う、より低い周波数での第2の測定によって括られた測定が検出されるまでのみ適用される。
【0061】
図6B
図6Bは、2段階の共振周波数決定の前記第2段階を示している。前記x軸601は前記GTA電流入力の周波数を示し、前記y軸602は設定入力電圧における前記GTAコイル電流を示す。この第2段階では、前記下限周波数制約610と上限周波数制約611が、前記第1段階で見つかった前記GTA電流の極小値608に基づいて狭められ、すべての周波数ポーリングがこれらの制約610、611内で行われる。試験対象の前記GTAに幾何学的に対応する前記VTAは、GTA値が固定レベルに設定されている間に分路される。
【0062】
1つの実施例では、前記制約610、611は、前記第1段階で決定された前記最低GTA電流測定値を有する前記2つの周波数ポーリング点に設定される。別の例では、前記制約610、611は、前記第1段階のポーリングで見つかった前記最小GTA電流を有する前記周波数ポーリング点に隣接する前記2つの周波数ポーリング点に設定される。
【0063】
前記第2段階の周波数ポーリングは、選択された周波数セットを使用して、前記制約610、611の間で行われる。前記周波数セットは、充電の開始を遅延させ、全体的な充電時間を増加させる周波数決定期間を最小化するように選択されてもよい。不確実性閾値612を超える前記最低GTA電流を有する周波数612が、効率的なWPT周波数として報告される。
【0064】
充電セッションによっては、前記GTA、VTA、EVの特性が既知である場合(例えば、前記EVが前記GTAを以前使用していたため)、前記共振周波数がより狭い周波数範囲に限定されることが予想されるため、第1段階なしで第2段階の周波数決定を開始することができる。
【0065】
図6C
図6Cは、サンプル構成において、同一の効率的な周波数決定において複数の周波数ポーリングマップを設定する能力を説明する図である。
図6Cは、前記x軸601が周波数として設定され、前記y軸602がGTAコイル電流として設定されている。609のWPT帯域をもたらす前記下限周波数613および前記上限周波数614は、地域の規制または国際的な電磁周波数割当によって設定されてもよいし、関係する前記GTAGTA/VTAペアの事前の経験に基づいて、より小さい、潜在的に中心周波数からオフセットされた範囲であってもよい。前記GTA電流センサーの精度限界607が示されている。この実施例では、3つの周波数マップ615、616、および617が設定され、各マップは、前記GTA電流最小値がマップの周波数範囲内にある確率から決定される測定分布を有する。GTA電流測定は、総電位の増分で前記GTA入力周波数を調整することによって行われる。
【0066】
図6Cの実施例では、GTS電流極小値618が中間周波数マップ616内で見つかり、その周波数が前記効率的なWPT周波数として報告される。
【0067】
図7A
図7Aは、前記GTA電流の極小値が曖昧な場合の効率的なWPT周波数決定のシナリオを示す。前記x軸701は前記GTA電流入力の周波数を示し、前記y軸702は設定入力電圧における前記GTAコイル電流を示す。前記電流不確定限界706を超えると、前記GTA電流対周波数応答は、下側応答曲線708と上側応答曲線709に区分される。前記GTA電圧は利用可能な電圧の割合に設定され、幾何学的に対応するVTAコイルが分路される。測定された上側応答曲線709と測定された下側応答曲線との間には曖昧な領域711が存在するため、効率的なWPT周波数を測定によって直接決定することはできない。
図7Aに示される実施例では、1つの解決策は、前記曖昧な領域711内または前記曖昧な領域711に接する点を選択することである。
【0068】
図7B
図7Bは、前記曖昧な領域711からのWPT周波数の選択を示す。前記x軸701は前記GTA電流入力の周波数を示し、前記y軸702は設定入力電圧における前記GTAコイル電流を示す。前記電流不確定限界706を超えると、前記GTA電流対周波数応答は、下側応答曲線707と上側応答曲線708に区分される。前記曖昧な領域711は、さらに下位の曖昧な周波数帯域712に細分化される。
【0069】
1つの選択オプションは、前記下側応答曲線708上の最高周波数点713を選択することである。もう1つの選択肢は、
図7Bに示すように、前記下側応答曲線708と上側応答曲線709の投影を用いた推定である。この点713の選択は、測定によって決定することができる限り正確な効率的WPT周波数である。
【0070】
効率的なWPT周波数の選択のための別の選択肢は、前記曖昧な領域711の中点周波数714を使用することである。直接測定することはできないが、前記中点周波数714は、有効で測定可能な周波数のものよりも共振周波数に近い可能性がある。
【0071】
より多くの計算を必要とする別の周波数選択オプションは、前記GTA対周波数曲線の既知の非対称性を使用して、前記下側電流応答曲線708の最高測定周波数から前記曖昧な領域の中点まで延びる前記下側曖昧周波数帯域712から取り出された効率的なWPT周波数を報告することである。ここで、前記周波数は、前記下側曖昧周波数帯域712の幅の割合として選択することができる。
【0072】
図7C
図7Cでは、前記共振周波数を直接測定することができないため、投影法を用いて効率的な周波数を決定している。前記VTAコイルを分路し、前記GTA入力電圧を一定に設定する。前記x軸701は前記GTA電流入力の周波数を示し、前記y軸702は設定された入力電圧における前記GTAコイル電流を示す。前記電流不確定限界706を超えると、前記GTA電流対周波数応答は、下側応答曲線707と上側応答曲線708に区分される。前記GTA電流の最小値は曖昧であるため、前記下側応答曲線707からの測定値に基づく下側直線投影716が計算される。同様に、上側応答曲線708からの測定値に基づく上側直線投影717が計算される。2つの投影716と717の交点は、交点718であり、その周波数は前記効率的なWPT周波数として報告される。
【0073】
代替的に、前記2つの投影716と717の交点がGA電流の0.0A未満(x軸701未満)である場合、処理は中止され、効率的な周波数選択が行われる。あるいは、前記2つの投影716と717の交点がGA電流の0.0A以上(x軸701より上)であり、十分な処理能力と遅延時間が利用可能である場合、二次投影技法を使用することができる。
図7Cに示す具体例では、各投影716、717の傾きは、応答曲線707、708の(GA電流における)最低点に基づくか、または交互に、各応答曲線707、708の測定閾値707の不確かさに隣接してポーリングされた3つの周波数の平均を使用する。予測711、712の前記交点718は、推定された効率的な周波数である。
【0074】
図7Dは、前記共振周波数を測定によって直接決定できない場合に、WPTのための効率的なGTA周波数を決定するための選択方法を詳細に示している。電流不確定706の閾値以下には、有効なGTA電流測定値が存在しない。前記x軸701は前記GTA入力周波数であり、前記GTA入力電流は前記y軸702で示されている。周波数帯域705は、下限703と上限704によって定義される。前記GTA電流測定値は、下側応答曲線707と上側応答曲線708に分割されて示されており、どちらも電流不確定閾値706で終端している。
【0075】
最小GTA電流の直接測定の欠如を克服するために、前記下側応答曲線707からの測定値に基づいて下側適合曲線投影719が計算される。同様に、前記上部応答曲線708からの測定値に基づく上部適合曲線投影720が計算される。前記投影された曲線719と720の交点には、前記効率的なWPT周波数として報告される交点の周波数がある。
【0076】
代替的に、前記投影された曲線719と720の前記交点が0.0アンペア以下(前記x軸791以下)である場合、投影は中止され、効率的な周波数選択が行われる。
【0077】
前記GA電流が計算できないか、または負であると計算された場合、代替手段(代替曲線フィッティングアルゴリズムまたは線形投影を使用する)を使用する再計算が行われてもよい。しかし、このような追加処理は、充電開始の遅延、ひいては充電セッション全体の持続時間の遅延につながる可能性があることに留意されたい。
【0078】
図8
前記共振周波数の推定精度は、ワイヤレス電力効率、ひいては高電力時の有害な発熱や高調波無線周波数放射の低減に不可欠であるため、マルチパス推定を使用することができる。
【0079】
図8には、マルチパス推定の結果が示されている。x軸801は周波数を示し、y軸802はGTA電流を示す。前述の周波数決定は、この例では法定または規制周波数帯803内にとどまって4回実施される。最初のパスでは、前記GTA電圧は特定の点(例えば、フルまたは要求電力の10%)に設定され、その結果、測定または推定された最小GTAA電流で共振周波数推定804が行われる。各パスにおいて、前記GTA電圧は変更され(この例では増加)、その結果、20%電力における第2の周波数推定値805、および30%電力における第3の周波数推定値806が得られる。十分な(3回以上の)周波数測定パスにより、電力レベルと共振周波数との間の曲線808で示される関係が導き出され、完全な(または要求された)電力における周波数807が計算される。
【0080】
図9
図9は、前記共振周波数決定手順の間またはその前に、前記GTAとペアをなすVTAとの間の過結合によるGTA過電流を回避するための予防措置を示している。
【0081】
x軸901は前記GTA入力周波数を示し、y軸902は前記GTA電流を示す。前記VTAコイルは、この動作の間、初期GTA入力電圧が全電力転送レベルまたは要求された電力転送レベルの割合に固定されている間、分路される。前記GTA入力周波数は、下限周波数903および上限周波数904によって制約され、その結果、周波数検索帯域905が生じる。電流検出906の前記不確定閾値は、前記共振周波数決定手順の最大許容GA電流制限907と同様に示されている。
【0082】
最初の電流測定908が前記下限周波数境界903で行われる。第1のGTA電流測定908が最大電流制限904を超える場合、前記GTAは前記共振周波数決定手順を中止するか、または固定GTA入力電圧レベルを下げた後に手順を再開することができる。第2のGTA電流測定909は、任意選択で、前記初期GTA電圧における前記上限周波数境界904で行うことができるが、結合係数の非対称性から、前記下限周波数境界903における前記第1のGTA電流測定908は、通常、前記上限周波数境界904で行われる前記第2のGTA電流測定909よりも高くなることがわかる。前記第2の周波数ポイント電流測定909は、前記測定プロセスを再起動するために、より低い固定電圧さえ使用するように前記制御装置がシステムに指示する必要性を示すために実行され得る(例えば、電圧範囲の20%でポーリングを再起動するのではなく、電圧範囲の30%から電圧範囲の15%に低下する)。
【0083】
前記GTSは前記固定GTA電圧を下げ、前記周波数決定手順を再度開始することができる。前記VTAコイルは依然として分路されている。前記下限周波数境界903での後続測定910が前記GTA電流安全限界907より低い場合、前記GTA電流が全周波数帯域の安全限界以下であることをダブルチェックするために、任意で後続の第2のGTA電流測定911を前記上限周波数境界904で行うことができる。
【0084】
図10
図10は、EV充電用WPTシステムの主要なサブシステム構成要素を示している。
【0085】
第1のサブシステム1001は、エネルギー源(例えば、電力系統)および力率補正(PFC)ハードウェアを含む。前記第1のサブシステム1001は、前記AC/DC変換器、前記DC/AC変換器およびインバータを含むインバータサブシステム1002に電力を送る。前記インバータサブシステム1002では、電流センサー(例えば、ロゴスキーコイル、分割コア電流センサ、ソリッドコア電流変換器、ホール効果センサ(オープンループまたはクローズドループのいずれか))を使用して出力交流電流を測定することができる。各電流センサータイプには、その設計に基づく精度レベルがある。例えば、前記電流センサーは、対象周波数帯域全体にわたって定義される十分なレベルの測定精度を提供する。電流センサーの種類にかかわらず、各測定は、例えば出力ノイズ、量子化誤差、温度変動、導体位置、外部磁界の印加、磁化、電流センサーの同相電圧など、不確かさに影響を与える要因によって劣化する。従って、電流測定における不確かさの限界は、選択されたどの電流センサーに対しても存在する。
【0086】
前記インバータサブシステム1002は、一次補償ネットワーク(すなわち、共振コンデンサ)および一次/送信機誘導コイル(Tx)を含む一次アセンブリサブシステム1003にAC信号を供給する。
【0087】
接地側制御装置1004は、制御および監視データ線1012のネットワークを介して、接地側サブシステム1001、1002、および1003を監督する。前記接地側制御装置は、ステータスとアラームを監視するだけでなく、インバータ1002の電力レベルと周波数を制御して、前記一次アセンブリ1003へのAC信号を制御する。前記接地側制御装置1004は、外部の制御およびデータシステム(図示せず)と通信することもできる。
【0088】
EVに設置され、二次/受信コイル(Rx)および二次補償ネットワーク1007は、整流装置1008に交流電力信号を送り、前記整流装置1008はフィルタおよびバッテリサブシステム1009に結果としての直流電力を供給する。前記EV側制御装置1010は、制御および監視データ線1013のネットワークを介して、前記EV側サブシステム1007、1008、および1009を監督する。前記接地側制御装置1010は、前記整流装置1008がアクティブ整流を使用する場合、前記整流装置のスイッチング周波数も制御する。
【0089】
設置側充電器とEV間の送信電力と二重通信の両方が、エアギャップ1006を通過する。この例では、前記エアギャップ1006を通過するデータ信号伝送のために、短距離ループアンテナ1005および1011が使用される。
【0090】
このような構成では、前記設置側制御装置1004は、本明細書に記載の充電周波数決定技術を実施するようにプログラムされたプロセッサを含むことができる。
【0091】
ステーションまたは補給所制御装置1013は、前記接地側制御装置1010に接続されている。前記ステーション制御装置1013は、GTS間の調整を可能にし、磁気プロファイルを含むことができるEV情報のローカル記憶装置である。前記ステーション制御装置1013は、課金、診断、EVログアップロードのためのセキュア通信のゲートウェイとしても機能する。
【0092】
図11
図11は、前記接地側制御装置1004が実施する充電周波数決定の工程を表すフロー図である。
【0093】
初期設定工程1101では、車両のWPT(前記車両のプロファイル)に関する情報が、前記ワイヤレス通信システムを介して、前記車両または外部記憶サイトのいずれかから取得される。前記WPT情報は、各VTAについて、前記VTAのメーカー、モデル、および製造業者の詳細、前記VTAコイルアセンブリの磁気特性、および使用された充電信号周波数を含むことができる以前の充電経験の詳細を含むことができる。VTAデータがない場合、初期設定プロファイルが使用され、新しいプロファイルを確立するために新しいレコードファイルが開始される。
【0094】
次に、前記制御装置は、計算工程1102で、使用する設定GTA電圧、測定する電流測定数、および周波数マップ(電流を測定する周波数の数、順序、および間隔)を計算する。
【0095】
測定工程1103は、前記VTAコイルを分路する工程、対応するGTA入力に設定電圧を印加する工程、前記周波数マップを使用して交流電流を印加する工程を含む。
【0096】
決定工程1104は、再計算された周波数マップによる第2の測定値1103の計算を含むことができる。決定段階1104は、共振周波数が許容WPT帯域幅内で決定できない場合、または現在のセンサー不確定閾値を超える場合、効率的周波数の計算を含んでもよい。
【0097】
報告工程1105では、GTA-VTAペアについて測定された共振周波数または計算された効率的周波数が、前記制御装置1104、車両、およびオフセットデータ貯蔵庫(もしあれば)に報告される。
【0098】
予備充電工程1106では、前記VTAコイルは非分路され、前記GTA入力は報告された周波数に調整され、前記GTA電圧は要求された電力を前記VTA、ひいてはEVに供給するように設定される。
【0099】
図12
固定されたGTA入力電圧で前記効率的な周波数決定手順を開始し、前記VTAコイルが分路されている間に前記GTA電流を変化させるのではなく、前記GTAコイルと前記VTAコイルが予期せず過剰に結合された場合など、前記GTAの法外に高い電流を回避する、より慎重な方法を実施することができる。
図12は、前記GTAまたは結合されたVTA-WPTエレクトロニクスに害を与えることなく前記GA入力電圧を設定するためのシナリオを示す。
【0100】
x軸1201は前記GTA電流入力の周波数を示し、y軸1202は変化させたGTA入力電圧における前記GTAコイル電流を示し、1203は前記下限周波数境界であり、1204は前記上限周波数境界である。電流測定不確定限界1206の上方では、前記GTA電流は、設定された周波数1205における一連のGTA入力電圧に応答して示される。被試験GTAに幾何学的に対応する前記VTA(図示せず)は、試験の間、そのコイルが分路される。
【0101】
GTAとVTAが整列し、前記VTAコイルが分路された状態で、通常のGTS入力試験電圧に到達するための慎重な方法は、前記GTA入力電圧を第1の電圧(例えば、0.0ボルト)に設定することから始まる。前記GTA入力電圧は、一連の増分(公称試験電圧の割合または分数)な電圧工程で増加する。前記GTA入力電流が電流測定の不確定限界1206を上回ると、その後の各電圧工程において、選択されたGTA電圧および設定された周波数におけるGTA電流が測定され、GTA電流ガード閾値1207、安全限界閾値1208、および逆境閾値1209と比較される。
【0102】
第1のGTA入力電圧系列から得られるGTA電流測定値1209、1210、および1211は、選択された周波数1205において示される。前記選択された周波数1205は、前記GTA入力電流に対する前記結合係数(k)の効果の非対称性を利用するために、前記下限周波数境界1203で選択されてもよい。この最初の一連の電圧は、公称GTS試験電圧に達するか、または(
図12に示すように)GTA電圧入力に応答して前記ガード閾値1207を超えるGTA電流測定値1212が生成されたときに、増加を停止する。
【0103】
前記GTA電流がガード閾値1207を超えると、GTA入力電圧の増分が低減され、第2の一連のGTA入力電圧が印加され、その結果生じるGTA入力電流1213、1214、および1215が測定される。前記第2のGTA電圧系列は、前記公称GTS試験電圧に達するか、またはGTA入力電流測定値1216が安全限界閾値1208を超えるまで、増分的に印加される。GTA入力電流測定値1216が前記安全限界閾値を超えると、電流測定値121におけるGTA入力電圧が試験電圧として使用され、効率的な周波数決定手順を開始することができる。
【0104】
図12では、前記逆境閾値1209を超えるGTA入力電流測定値は示されていない。このような電流は、前記GTAに損傷を与えるか、または前記対応するVTAに損傷を与える可能性がある。前記安全マージン閾値1208は、前記逆境閾値1209よりかなり下に設定されていることに留意されたい。GTA電流測定が前記逆境閾値1209を超えた場合、(その結果生じる電流が前記逆境閾値値未満で測定された)前の工程における前記GTA入力電圧1209が、前記効率的な周波数決定手順で使用される前記GTA試験電圧として報告されるであろう。
【0105】
結論
以上、様々な実施態様について説明してきたが、これらは例示として提示されたものであり、限定するものではないことを理解されたい。例えば、上述したシステムおよび方法に関連する要素のいずれもが、本明細書で上述した所望の機能のいずれかを採用することができる。従って、好ましい実施態様の広さおよび範囲は、上述したサンプル実施態様のいずれかによって限定されるべきではない。
【0106】
本明細書で議論されるように、本明細書で説明される方法の態様を実施するロジック、コマンド、または命令は、デスクトップまたはノートブック型パーソナルコンピュータ、タブレット、ネットブック、およびスマートフォンなどのモバイルデバイス、クライアント端末、およびサーバホストマシンの例などのコンピューターシステムのための任意の数のフォームファクタを含むコンピューターシステムで提供されてもよい。本明細書で議論される別の例には、本明細書で議論される技術を、そのような技術の機能を実行するそれぞれの手段を有する装置を含む、プログラムされたロジック、ハードウェア構成、または特殊なコンポーネントまたはモジュールの他の形態に組み込むことが含まれる。そのような技術の機能を実施するために使用されるそれぞれのアルゴリズムは、本明細書に記載される電子的動作の一部またはすべての順序、または添付の図面および以下の詳細な説明に描かれる他の態様を含むことができる。このようなシステムおよび本明細書に記載の方法を実施するための命令を含むコンピュータ可読媒体も、サンプル構成を構成する。
【0107】
図1~
図11に関して本明細書で説明した機能は、1つの構成においてソフトウェアで実装することができる。前記ソフトウェアは、ローカルまたはネットワーク接続された1もしくはそれ以上の非一過性メモリまたは他のタイプのハードウェアベースの記憶装置などのコンピューター可読媒体またはコンピューター可読記憶装置に記憶されたコンピューター実行可能命令で構成されてもよい。さらに、このような機能はモジュールに対応し、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。複数の機能は、所望に応じて1もしくはそれ以上のモジュールで実行することができ、説明した構成は単なる例に過ぎない。前記ソフトウェアは、デジタル信号プロセッサ、ASIC、マイクロプロセッサー、またはパーソナルコンピューター、サーバー、または他のコンピューターシステムなどのコンピューターシステム上で動作する他のタイプのプロセッサー上で実行され、そのようなコンピューターシステムを具体的にプログラムされた機械に変えることができる。
【0108】
本明細書で説明する例は、プロセッサー、ロジック、または多数のコンポーネント、モジュール、または機構(本明細書では「モジュール」)を含むか、またはそれらで動作する可能性がある。モジュールは、指定された動作を実行することができる有体物(例えば、ハードウェア)であり、特定の方法で構成または配置されてもよい。一例として、回路は、モジュールとして指定された方法で(例えば、内部的に、または他の回路などの外部実体に対して)配置されてもよい。一例では、1若しくはそれ以上のコンピューターシステム(例えば、スタンドアロン、クライアントまたはサーバーコンピューターシステム)または1若しくはそれ以上のハードウェアプロセッサーの全体または一部は、指定された動作を実行するように動作するモジュールとして、ファームウェアまたはソフトウェア(例えば、命令、アプリケーション部分、またはアプリケーション)によって構成されてもよい。一例として、前記ソフトウェアは、機械可読媒体上に存在してもよい。前記ソフトウェアは、モジュールの基礎となるハードウェアによって実行されると、ハードウェアに指定された動作を実行させる。
【0109】
従って、「モジュール」という用語は、物理的に構成され、具体的に構成され(例えば、ハードウェアに組み込まれている)、または仮に(例えば、一時的に)構成され(例えば、プログラムされ)、指定された方法で動作し、または本明細書に記載の動作の一部または全部を実行する、有形ハードウェアおよび/またはソフトウェア実体を包含すると理解される。モジュールが一時的に構成される例を考慮すると、前記モジュールの各々は、任意の瞬間においてインスタンス化される必要はない。例えば、モジュールがソフトウェアを使用して構成された汎用ハードウェアプロセッサーからなる場合、汎用ハードウェアプロセッサーは、異なる時点でそれぞれの異なるモジュールとして構成されてもよい。それに応じて、ソフトウェアは、例えば、ある時点では特定のモジュールを構成し、異なる時点では異なるモジュールを構成するように、ハードウェアプロセッサーを構成することができる。
【0110】
当業者であれば、本明細書に含まれる開示は車両への電力供給に関するものであるが、これは多くの可能な用途の1つに過ぎず、非車両用途を含む他の例も可能であることを理解されたい。例えば、当業者は、顧客が待ち行列で待ち、顧客が待ち行列を移動する際に顧客の電子機器に充電を提供することが望まれる多数の用途が存在することを理解するであろう。例えば、歯ブラシ、携帯電話、および他の装置を充電するために使用されるもの(例えば、PowerMat(登録商標))のような誘導ポータブル消費者電子装置充電器は、本明細書に記載されるように管理され得る。従って、これらおよび他のこのような用途は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】