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特表2025-500807牽引カイト用ポッドを収容する構造物、ならびにこのポッドを発進及び帰着させるための方法
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  • 特表-牽引カイト用ポッドを収容する構造物、ならびにこのポッドを発進及び帰着させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】牽引カイト用ポッドを収容する構造物、ならびにこのポッドを発進及び帰着させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/069 20200101AFI20250107BHJP
   B63H 9/06 20200101ALI20250107BHJP
   B64U 10/60 20230101ALN20250107BHJP
【FI】
B63H9/069
B63H9/06 C
B63H9/06 B
B64U10/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534471
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022084235
(87)【国際公開番号】W WO2023110459
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113522
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラマト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】オードボー,ジーン-リュック
(57)【要約】
本発明は、船舶にライン(5)によって接続された牽引カイトのためのポッド(7)を、収容するための構造物(3)に関し、この収納構造物は、フレーム(3a)、ラインを接続するための、シャーシ(3d)に取り付けられた少なくとも1つの滑車(3b)、ならびに追動アーム(3c)及びポッド支持部(4)、を備える。このポッド支持部は、互いに上下にある少なくとも2枚のプレート(4a、4b)、これらのプレートを固定するための少なくとも1つの弾性変形可能な戻し手段、及びラインを誘導及び捕捉するための手段、を備える。支持部は、少なくとも1本の立ち直りアーム(6)によってフレームに接続される。この立ち直りアーム(6)は、ポッドの詰め込み位置と、ポッド(7)の発進位置と、ラインから離された巡航位置と、ラインを捕捉する位置と、ポッドの帰着位置と、の間で可動である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビリカル(5)によって船舶に接続されたカイト(1)の、ポッド(7)を取り付けるための構造物(3)であって、前記構造物(3)は、水平面(H)を画定するフレーム(3a)、前記アンビリカル(5)を接続するための、シャーシ(3d)に設定された少なくとも1つの滑車(3b)、ならびに追動アーム(3c)及び前記ポッド(7)の支持部(4)、を含み、
ここで前記支持部(4)は、
前記ポッド(7)を受け入れる所謂上部プレート(4b)、及びその下方にある所謂下部プレート(4a)である、少なくとも2枚の重ねられたプレート、
前記プレート(4a、4b)を共に接合するための、少なくとも1つの弾性変形可能な手段、ならびに
前記アンビリカル(5)を誘導及び捕捉するための、少なくとも1つの手段、
を含むことを特徴とし、
ここで前記支持部(4)は、少なくとも1つのエレクターアーム(6)によって前記フレーム(3a)に接続され、前記エレクターアーム(6)は、前記下部プレート(4a)に固定され、かつ、前記ポッド(7)を収納するための位置(P1)と、前記ポッド(7)が発進するための位置(P2)と、前記アンビリカル(5)から離れた巡航位置(P3)と、前記アンビリカル(5)を捕捉するための位置(P4)と、前記ポッド(7)を帰着させるための位置(P5)と、の間で前記フレーム(3a)に対して可動であることを特徴とする、取付構造物(3)。
【請求項2】
前記支持部(4)は、前記駆動滑車(3b)のそれぞれ両側に位置された2本のエレクターアーム(6)によって接続され、横断バー(6b)によってそれらの端部(6a)の一方で共に定着される、請求項1に記載の取付構造物(3)。
【請求項3】
前記支持部(4)の前記下部プレート(4a)は、前記横断バー(6b)にボルト留めされる、請求項2に記載の取付構造物(3)。
【請求項4】
前記エレクターアーム(6)は、前記水平面(H)に対して平行な軸(P’)の周りで回転方向に可動であり、少なくとも1つの駆動機構によって作動される、請求項1~3の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項5】
前記駆動機構は、シリンダ(6c)で構成される、請求項4に記載の取付構造物(3)。
【請求項6】
前記収納位置において、前記支持部(4)は前記水平面(H)に対して平行な面にあり、前記アンビリカル(5)は、前記水平面(H)に対して包括的に60~120°の角度である、請求項1~5の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項7】
前記上部プレート(4b)は、前記ポッド(7)を中央に合わせるための手段を含む、請求項1~6の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項8】
前記弾性変形可能な戻し手段は、3つのバネ(4e)から構成される、請求項1~7の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項9】
前記上部プレート(4b)は、前記下部プレート(4a)に対して30°未満の角度だけ傾く、請求項1~8の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項10】
前記誘導及び捕捉手段は、前記アンビリカル(5)を、最大角度40°から、前記水平面(H)に対して垂直である垂直軸に戻す、請求項1~9の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項11】
前記誘導及び捕捉手段は、前記下部プレート(4a)に統合される、請求項1~10の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項12】
前記誘導及び捕捉手段は、DELRIN(登録商標)などのプラスチック材料で作られる、請求項1~11の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項13】
前記接続滑車(3b)の前記シャーシ(3d)は、前記エレクターアームの回転軸に対して垂直である軸(Q)の周りに側方に、かつ前記水平面(H)に対して平行に、バランスがとられ、かつ関節接合される、請求項1~12の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項14】
少なくとも1本のエレクターアーム(6)には、誘導ローラ(6d)が装備される、請求項1~13の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項15】
前記接続滑車(3b)の前記シャーシ(3d)は、各誘導ローラ(6d)に面した少なくとも1本の軌道(6e)を含む、請求項14に記載の取付構造物(3)。
【請求項16】
前記エレクターアーム(6)と、前記接続滑車(3b)の前記シャーシ(3d)と、前記追動アーム(3c)と、における位置センサを含む、請求項1~15の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項17】
前記上部プレートに少なくとも1つのプレゼンスセンサを含む、請求項1~16の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項18】
前記下部プレート(4a)は、前記弾性戻し手段の近傍に少なくとも1つのセンサ(3i)を含む、請求項1~17の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)。
【請求項19】
請求項1~18の内いずれか一項に記載の取付構造物(3)の支持部(4)において、カイト(1)のポッド(5)を、発進及び帰着させるための方法であって、ここで前記ポッド(5)を収納位置(P1)から発進させることは、
前記支持部(4)及び前記ポッドを、発進位置(P2)に向けて傾けるステップ(E1)、
前記カイト(1)を展開するステップ(E2)、
前記ポッド(7)を発進させて、運動範囲に広がるアンビリカル(5)を繰り出すステップ(E4)、
前記支持部(4)を、巡航位置(P3)に向けて傾けるステップ(E5)、
を含むことを特徴とし、
ここで、前記ポッド(7)を帰着させることは、
前記カイト(1)及び前記ポッド(7)を、前記アンビリカル(5)の牽引によって下降させるステップ(E6)、
前記支持部(4)の傾きを戻すステップ(E7)、
前記支持部(4)の傾きを戻す間に、前記アンビリカル(5)を捕捉して、次に中央に合わせるステップ(E8)、
前記支持部(4)の傾きを、前記帰着位置(P5)に戻すステップ(E9)、
前記ポッド(7)を前記支持部(4)上に帰着させるステップ(E10)、ならびに
前記収納位置(P1)に向けて傾けるステップ(E11)、
を含むことを特徴とする、発進及び帰着させるための方法。
【請求項20】
前記ポッド(7)の発進及び帰着は、前記支持部(4)の傾き、前記追動アーム(3c)、及び前記接続滑車(3b)、を特定の箇所に限定することによって、ならびに前記エレクターアーム(6)の傾きを制御することによって、自動化される、請求項19に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項21】
発進位置(P2)において、前記水平面(H)に対する前記アンビリカル(5)の傾斜角度は、包括的に70~80°である、請求項19または20に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項22】
前記ステップ(E2)の後に、前記支持部(4)に対して前記ポッド(7)を傾けるステップ(E3)を含む、請求項19~21の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項23】
前記巡航位置(P3)において、前記エレクターアーム(6)は前記フレーム(3a)に当接する、請求項19~22の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項24】
前記捕捉するステップ(E8)の間に、前記アンビリカル(5)の運動範囲は、頂部において20°と等しい半角を伴う錐体に含まれる、請求項19~23の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させる方法。
【請求項25】
前記ステップ(E8)の間に、前記エレクターアーム(6)は前記接続滑車(3b)を誘導及び保持する、請求項19~24の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項26】
前記ステップ(E10)の間に、前記ポッド(7)は、前記支持部(4)に帰着する間に制動される、請求項19~25の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させるための方法。
【請求項27】
前記ステップ(E10)の間に、前記アンビリカル(5)は、前記支持部(4)上で前記ポッド(7)の離着を検出した後に、張力が加えられる、請求項19~26の内いずれか一項に記載の発進及び帰着させるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引カイト用ポッドのための取付構造物、ならびに、この取付構造物を使用して牽引カイト用ポッドを発進及び帰着させるための方法に関する。牽引カイトは以下の方法で、展開して風の影響により牽引力を生成するよう、及び収めるよう、従来から適応されている:
-カイトを詰め込むとき、ポッドは、ベースプラットフォームに定着されたポッドの取付構造物上に設置されること、
-カイトを展開するとき、ポッドはカイトと共に発進して、その取付構造物を離れること、
-カイトを収めるとき、ポッドは取付構造物上に帰着すること、及び
-カイトを収めるとき、ポッドは取付構造物上に設置されること。
【0002】
このような牽引カイトは、輸送機関-特に船舶-を推進させるため、または電気の生成など、このような牽引力から利益を得る任意の用途のため、に使用される。
【0003】
海上運送の分野において、特にこの牽引カイトは、主な、または補足的な推進手段を船舶に提供することができる。このような船舶は、大量の汚染物質(硫黄酸化物、窒素酸化物、及び二酸化炭素)を放出する燃料油などの重油を用いて動力を供給されるエンジンによって、一般的に推進される。汚染するこれらの推進手段を、牽引カイトによって支援または置き換えることで、炭化水素の消費を減少させ、汚染物質の放出を低下させて、清潔な再生可能資源のエネルギーからの利益を得ることを可能にする。
【背景技術】
【0004】
牽引カイトの動作原理は、カイトの展開に基づいており、一旦カイトが展開されて膨らむと、カイトは牽引力を供給する。このようなカイトは、一般的にポッドに連結され、このポッドは、アンビリカルと呼ばれる牽引ケーブルによって、輸送機関のプラットフォームに接続される。ポッドは、一般的にカイトの制御モジュールを保持する。カイトが展開されていないとき、カイトはポット及びアンビリカルと共に、共通の収納ボックスに詰め込まれる。
【0005】
このようにポッドは、特にカイトを展開するとき、及び収めるときに、カイトに付随する。通常ポッドは、展開する間に発進するとき、及び収める間に帰着するときに、作業者によって誘導される。この誘導は、ライン、ポッド、及びカイトが、共通の収納ボックスに詰め込まれるとき、及び共通の収納ボックスから出るときに、それらが絡まないことを保証する。
【0006】
したがってこれらのステップは、各々展開するとき/収めるとき、人の介入及び視覚による確認を必要とする。今までのところ、人によるこの介入は、ポッド及びその内容物のサイズを限定する。さらに、プローブ、ビーコン、またはカイトの使用に関連して必要とされる他の機器を含んだ、より複雑なポッドは、作業者が操作することを困難にする。さらに、この種のポッドは収納ボックス内でカイトの下に収納され、その機器の保守点検を実施するための接近ができない。
【0007】
このポッドは、カイトの展開を通して恒久的に吊り下げられるという欠点も有し、それは、支持する必要がある追加の質量(ポッドの質量)によって、カイトの展開を妨げる場合がある。さらに、ポッドの位置は、全ての展開及び収める段階中に完全に制御されず、ポッドが周囲と衝突する危険の可能性が、大幅に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記で説明した、先行技術の欠点を改善するために、本発明の主な目的は、牽引カイトの展開中にポッドを支持することを可能にする様々な位置付けによって、ポッドの制御を向上させることである。カイトを収める間にポッドを受け入れること、及びカイトが放たれた後にポッドをアンビリカルから後退させることで、ポッドをカイト及びラインの動きに適応させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より詳細には、本発明は、アンビリカルによって船舶に接続されたカイトのポッドを取り付けるための構造物を目的とする。この構造物は、水平面を画定するフレームと、アンビリカルを接続するための、シャーシに設定された少なくとも1つの滑車と、追動アーム及びポッド支持部と、を含む。この支持部は:
-ポッドを受け入れる所謂上部プレート、及びその下方にある所謂下部プレートである、少なくとも2枚の重ねられたプレート、
-これらプレートを共に接合するための、少なくとも1つの弾性変形可能な戻し手段、ならびに
-アンビリカルを誘導及び捕捉するための、少なくとも1つの手段、
を含む。
【0010】
支持部は、少なくとも1つのエレクターアームによってフレームに接続される。このエレクターアームは下部プレートに固定され、かつ、ポッドを収納するための少なくとも1つの位置と、ポッドが発進するための位置と、アンビリカルから離れた巡航位置と、アンビリカルを捕捉するための位置と、ポッドを帰着させるための位置と、の間でフレームに対して可動である。
【0011】
弾性戻し手段と共に締結された、複数プレート構造は、ポッドが発進する前にポッドの運動に付随すること、及びその帰着を制動すること、を可能にする。このように、発進中及び帰着中の付随は、アンビリカル及び牽引カイトの張力を減少させ、これらの要素の寸法を最適化するために役立つ。帰着中にポッドを制動することは、ポッドと支持部との間における接触による衝撃を軽減させる。ポッドに包含されたハードウェアは、この接触による揺れが少なくなり、それは、このハードウェアを防護する必要性と、ポッドの全体質量と、の両方を減少させる。
【0012】
支持部の中に統合された、アンビリカルを誘導及び捕捉するためのシステムは、アンビリカル、及びしたがってポッドを、作業者によって手動で誘導する必要なく、受け入れに好ましい位置、及び帰着に好ましい位置、に誘導することを有利に可能にする。作業者による手動の誘導は、加えることができる力によって制限され、その結果ポッドの全体サイズ及び質量も制限される。本発明による誘導手段は、したがって、安全に関連した危険を制限することによって、より大きい質量及び全体サイズのポッドを使用することを可能にする。
【0013】
支持部は、有利には可動であり、ポッドの運動を追尾する。支持部の移動はポッドの移動に適応し、一旦ポッドが飛ぶと、支持部は、アンビリカルの運動、及びしたがってカイトの運動を、阻害しないように巡航位置に後退される。このような阻害は、カイトの効率を低減させることになる。
【0014】
好ましい実施形態によると、以下が単独または組み合わせて考慮される:
-支持部は、駆動滑車のそれぞれ両側に位置された2本のエレクターアームによって、フレームに接続され、横断バーによってそれらの端部の一方で共に定着されること、
-支持部の下部プレートは、横断バーにボルト留めされること、
-エレクターアームは、水平面に対して平行な軸の周りで回転方向に可動であり、少なくとも1つの駆動機構によって作動されること、
-この駆動機構はシリンダで構成されること、
-収納位置において、支持部は水平面に対して平行な面にあり、アンビリカルは、この水平面に対して包括的に60~120°の角度であること、
-上部プレートは、ポッドを中心に合せるための手段を含むこと、
-弾性変形可能な戻し手段は、3つのバネで構成され、プレートの安定性を最適化すること、
-上部プレートは、下部プレートに対して30°未満の角度で傾き得ること、
-誘導及び捕捉手段は、アンビリカルを、最大角度40°から、水平面に対して垂直である垂直軸に戻すこと、
-誘導及び捕捉手段は、下部プレートに統合されること、
-誘導及び捕捉手段は、DELRIN(登録商標)などのプラスチック材料で作られること、
-接続滑車のシャーシは、エレクターアームの回転軸に対して垂直の軸の周りに側方に、かつ水平面に対して平行に、バランスがとられ、かつ関節接合されること、
-少なくとも1本のエレクターアームには、誘導ローラが装備されること、
-接続滑車のシャーシは、各誘導ローラに面した、少なくとも1本の誘導軌道を含むこと、
-取付構造は、エレクターアーム、接続滑車のシャーシ、及び追動アーム、の位置センサを含むこと、
-上部プレートにおける少なくとも1つのプレゼンスセンサは、ポッドの存在を検出すること、ならびに
-弾性戻し手段に近接した、下部プレートにおける少なくとも1つのセンサは、下部プレートに対する上部プレートの位置及び中心合わせを検出し、支持部上のポッドを収納位置に係止すること。
【0015】
本発明は、取付構造物の支持部上における、カイトのポッドを発進及び帰着させるための方法にも関する。収納位置から発進するポッドは、以下のステップを含む:
-支持部及びポッドを、発進位置に向けて傾けるステップ、
-カイトを展開するステップ、
-ポッドを発進させ、運動範囲に延びるアンビリカルを繰り出すステップ、及び
-支持部がアンビリカルの運動範囲から出るまで、支持部を巡航位置に向けて傾けるステップ。
【0016】
ポッドを帰着させて収納位置まで戻ることは、以下のステップを含む:
-カイト及びポッドを、アンビリカルの牽引によって下降させるステップ、
-支持部の傾きを戻し、アンビリカルの運動範囲に入れるステップ、
-支持部の傾きを戻す間に、アンビリカルを捕捉して、次に中央に合わせ、それによって漸進的にアンビリカルの運動範囲を減少させるステップ、
-支持部の傾きを、帰着位置に戻すステップ、
-ポッドを支持部上に帰着させるステップ、ならびに
-収納位置に向けて傾けるステップ。
【0017】
ポッドを飛行及び帰着させることは、カイトを飛行及び収めることとは、それぞれ有利に分離され、それによってラインが絡まる危険を軽減させる。さらに、収納位置において、ポッドはその支持部上に設置され、保守点検作業のために接近可能にする。
【0018】
発進中、ポッドを傾ける運動学は、アンビリカルの整合を有利に追尾し、それによってアンビリカルにおける張力を低減させることで、カイトの飛行を有利にする。帰着の間、アンビリカルの捕捉及び中央を合わせるステップは、ポッドを支持部に向けて誘導することによって、ポッドの戻しを安全にする。
【0019】
好ましい実施形態によると、以下が単独または組み合わせて考慮される:
-ポッドの発進及び帰着は、支持部の傾き、追動アーム、及び接続滑車、を特定の箇所に限定することによって、ならびにエレクターアームの傾きを制御することによって、自動化されること、
-支持部の傾きが、水平面に対するアンビリカルの傾斜を、包括的に70~80°の角度で誘発したとき、発進位置に達すること、
-ポッドがカイトの方向を追尾するよう、発進位置において、ポッドを支持部に対して傾けるステップ、
-巡航位置において、エレクターアームはフレームに当接し、頂部において80°と等しい半角を伴い、かつ水平面に対して垂直の軸を伴う錐体に含まれた、アンビリカルの運動範囲から、支持部を後退させること、
-捕捉ステップの間に、アンビリカルの運動範囲は、頂部において20°と等しい半角を伴う錐体に含まれること、
-アンビリカルを捕捉するステップの間に、エレクターアームによって接続滑車を誘導かつ保持して、帰着中にこの滑車を水平位置に至らせること、
-支持部上で、帰着中にポッドを制動すること、ならびに
-支持部上でポッドの帰着を検出した後で、アンビリカルを緊張させて、ポッドの支持部上に保持すること。
【0020】
本方法は、有利には自動化され、ポッドの近くにおいて作業者が介入することなく、ポッドの自動的な発進及び帰着を可能にする。さらに、帰着中のポッドの運動は、特にアンビリカルを捕捉するときに制御され、それは、特にポッド及び取付ステーション近くの周囲における衝撃の危険を軽減させることによって、それらの運動に対する安全性を向上させる。
【0021】
本発明の、他の特徴及び利点は、1つの実施形態についての添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。この実施形態は、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】牽引カイトの展開を示す図である。
図2】収納位置にある、2つの取付構造物及び2つのポッドが配設された、プラットフォームの斜視図である。
図3】収納位置にあるポッドを伴う取付構造物の斜視図である。
図4a】収納位置にある取付構造物の側面図である。
図4b】上部プレートが取り外された、収納位置にある取付構造物の側面図である。
図5】支持部の上部プレートを傾けた後の、発進位置にある取付構造物の側面図である。
図6】巡航位置にある取付構造物の側面図である。
図7】アンビリカルを捕捉する位置にある、取付構造物の側面図である。
図8】支持部の斜視図である。
図9】ポッドが、その支持部から発進するため、及び支持部に帰着するための方法の、流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面における同一の参照記号は、同じ要素と、説明における対応した一節とを示す。
【0024】
図1は、牽引カイト1が展開されているところを示し、カイト1は複数のライン1aによってポッド7に接続される。このポッド7は、船舶(図示せず)におけるプラットフォーム2上に配設された、取付構造物3に設置される。図2に斜視図で示された、このプラットフォームは、2つの取付構造物3を保持し、各々はポッド7を保持する。
【0025】
図3は、船舶における牽引カイト1の、ポッド7の取付構造物3の斜視図であり、このポッド7はアンビリカル5によって船舶に接続される。ここで取付構造物3は、この取付構造物3に設置及び保持されたポッド7の収納位置にある。この構造物は:
-水平面Hを画定するフレーム3a、
-アンビリカル5を接続し、シャーシ3dに設定された、滑車3b、
-駆動滑車3bに固定され、アンビリカル5を滑車3bに維持する、追動アーム3c、
-ポッド支持部4、
-水平面Hに対して平行に向けられた、2つの第2の誘導滑車8a、ならびに
-緊急時にアンビリカルを切断するための、裁断機8b、
を含む。
【0026】
支持部4は:
-ポッド7を受け入れる所謂上部プレート4b、及びその下方に配設された所謂下部プレート4aである、2枚の重ねられたプレート、
-ここでは安定性の理由で3つであるバネ4eであって、これらのバネ4eは、プレート4a、4bを共に接合するための弾性変形可能な戻し手段を構成するために、プレート4a、4bをそれらの端部で接続する、バネ4e、
-アンビリカル5を誘導及び捕捉するための、縁部4c、
を含む。
【0027】
さらに、この支持部4は、接続滑車3bのそれぞれの両側に位置された、2本のエレクターアーム6によってフレーム3aに接続され、かつ支持部4の下部プレート4aがボルト留めされた横断バー6bによって、それらの端部6aの一方で接続される。これらのエレクターアーム6は、水平面Hに対して平行な軸P’の周りで、フレーム3aに対して回転可能である。これらの状況下で、エレクターアーム6の回転、及びその結果として支持部4における回転は、軸Pの周りにおける接続滑車3bの回転に整合され、したがってアンビリカル5の巻き上げ方向に整合される。シャーシ3dは、エレクターアーム6の回転軸P’に対して垂直で、かつ水平面Hに対して平行な、軸Qの周りで、包括的に-80~+80°の角度によって側方にバランスが保たれ、かつ関節接合される。この傾ける運動は、アンビリカル5を伴う滑車3bに寄与する。
【0028】
エレクターアーム6の回転は、2本のシリンダ6cによって作動される。2本のシリンダ6cは、支持部4を継続的に以下の位置に設置するための、駆動機構を構成する:
-ポッド7の収納位置、
-ポッド7の発進位置、
-アンビリカル5から離れた巡航位置、
-アンビリカル5を捕捉するための位置、及び
-ポッド7の帰着位置。
【0029】
支持部の他の位置は、要件に応じて想定することができる。特に保守点検位置は、保守点検作業を実施するために、容易にポッドに接近することを可能にする。
【0030】
取付構造物4は、エレクターアーム6、接続滑車3bのシャーシ3d、及び追動アーム3cそれぞれの角度位置を判断するための角度コーダ3e、3f、3gである、位置センサを含む。本実施形態においては、角度位置センサが使用される。近接センサなど他のタイプの位置センサを使用して、エレクターアーム6、シャーシ3d、及び追動アーム3cの位置を判断し得る。
【0031】
この収納位置において、アンビリカル5は、水平面に対して90°である角度α1であり、支持部4は傾斜面Rにある。代替として、支持部は水平面Rにあり、アンビリカル5は、水の浮揚面に対して平行に画定された水平面Hから95°の角度である。
【0032】
図4a及び図4bは、支持部4の上部パネル4bの解放前後における、支持部4の収納/帰着位置の側面図を示す。図4aにおいて、張力がアンビリカル5に加えられ、それは張力を、支持部4上のポッド7に伝達する。次にバネ4eは圧縮され、ポッド7は支持部4上に保持される。図4bにおいて、アンビリカル5におけるこの張力は解放されており、バネ4eが、それらの弾性戻し力を加えて、ポッド7を支持部4から取り外すのを可能にする。
【0033】
支持部4の発進位置が図5に示され、このとき支持部4は、エレクターアーム6の回転によって動かされている。支持部4のこの運動は、角度コーダ3eによって制御される。角度コーダ3eは、エレクターアーム6の角度位置、したがって支持部4の位置を決定するよう適応される。本実施形態において、この発進位置は、水平面Hに対して75°の角度α2で、アンビリカル5の傾斜を誘発する。支持部4の、この運動の間に、重力及びアンビリカル5の張力は、ポッド7を、支持部の上部プレート上において平衡に保持する。
【0034】
支持部4が発進位置にあるとき、カイト1は広げられ、飛翔する準備ができ、その後ポッド7を引張ることになる牽引用帆を構成する。ポッド7は、一方ではこの牽引用帆によって負荷が加えられ、他方では張力下でアンビリカル5によって負荷が加えられる。2枚のプレート4a、4bを接続するバネ4eの弾性特性は、カイトの船舶に対する運動を伴って、上部プレート4bが下部プレート4aに対して傾くことを可能にし、前述の角度α3は30°未満である。
【0035】
支持部4の巡航位置が図6に示され、そこではエレクターアーム6が取付構造物3に当接することになり、かつ水平面Hに整合される。この、エレクターアーム6及び支持部4の構成は、アンビリカル5の運動を阻害しないよう、支持部4が、アンビリカル5の運動範囲から離れることを可能にする。この運動の阻害はカイト1の効率を低下させる場合がある。
【0036】
図7の後からの斜視図は、アンビリカル5を捕捉するための位置にある支持部4を示す。立ち上がっている間、エレクターアーム6は巡航位置から、巡航位置と収納位置との間の中間位置まで上昇し、アンビリカル5は垂直に近付く。シャーシ3dにおけるセンサ3e、3f、3g、追動アーム3c、及びエレクターアーム6の組み合わせは、支持部4の最適な位置付けを可能にし、それによって下部プレート4aは、垂直位置でアンビリカル5の運動範囲に入る。
【0037】
支持部4は、アンビリカル5を誘導及び捕捉するための縁部4cを含み、それは、40°である最大角度α4から、水平面Hに対して垂直である垂直軸にアンビリカル5を戻す。この誘導縁部4cは、下部プレート4aに統合される。なぜならこのプレートは、アンビリカル5に最も近いためである。しかし様々な実施形態において、同様に上部プレート4bまたは両方のプレートに統合される場合がある。
【0038】
エレクターアーム6の各々には、誘導ローラ6dが装備され、接続滑車3bのシャーシ3dは、誘導ローラ6dに面した誘導軌道6eを含む。アンビリカルを捕捉するとき、図4b及び図5でも確認できる、この接続は、ポッド7の帰着を有利にするために、接続滑車3bを誘導して垂直方向にすることを可能にする。
【0039】
図8の斜視図は、支持部4の構成要素を詳細に示す。下部プレート4a及び上部プレート4bは、3つのコイルバネ4eによって接続される。下部プレート4aは、例えばDELRIN(登録商標)などのプラスチック材料で作られた誘導縁部4cを統合する。縁部4c及びプラスチック材料の外形の組み合わせは、下部プレート4aにおけるアンビリカル5のすり減りを制限し、それによって捕捉されたときのアンビリカル5に対する損傷を軽減させることを、可能にする。
【0040】
支持部4及びエレクターアーム6は、捕捉位置から上昇する。アンビリカル5は誘導縁部4cの範囲にあるとき、捕捉ノッチ4iを含んだ下部プレート4aの中心に向けて誘導される。アンビリカル5を誘導及び捕捉するために、引っ掛け機構または磁気アセンブリなど、他の手段が使用され得る。
【0041】
上部プレート4bは、増加した厚さ4dを有し、ポッド7と共に中央に合わせる手段を生成する。ポッドは、この増加した厚さ4dに相補的な構造を有する。増加した厚さ4dの円形の外形は、ポッド7が中央に合わせられた後に、支持部4におけるポッド7の回転を可能にする。帰着中、ポッド7は、この機構によって機械的連結に誘導され、支持部4上におけるポッド7の安定性を保証する。誘導タイプのプレゼンスセンサ3hは、有利には上部プレート4bに設定され、ポッド7の存在を検出し、かつポッドが帰着した後にアンビリカル5に張力を加えるよう指令する。この張力は、ポッドを維持することを可能にする。
【0042】
支持部4は、下部プレート4aでバネ4eの近くに、下部プレート4aに対する上部プレート4bの位置及び中央合わせを検出するために、3つのセンサ3iを含み、アンビリカル5の牽引によって、ポッド7を支持部上において収納位置に係止する。本実施形態において、バネ4eには、それらの端部の一方において中央合わせ用指部4fと、他方の端部において、この中央合わせ用指部に相補的な中央合わせ用錐体4gと、が装備される。3つのバネ4eの各々について特定の箇所に限定された本システムは、上部プレート4bを下部プレート4a上で中央に置く。さらに、バネ4eの近くに位置付けられた、4つの維持ストラップ4hは、例えば保守点検段階の間、バネ4eと、下部プレート4a上の上部プレート4bと、における相補的な係止を保証する。これら維持ストラップ4hは、アンビリカル5の張力を解放することを可能にし、その一方で支持部4を収納位置に維持する。これらの維持ストラップ4hの数及び位置は様々であり、支持部4の要件に応じて調整可能である。
【0043】
全てのセンサは、取付構造物3の制御システムに接続され、このシステムが、カイト1及びそのポッド7を使用する様々な段階中に、エレクターアーム6及び支持部4の位置を、動的に制御及び連結することを可能にする。
【0044】
図9の流れ図は、方法の1つの例における以下のステップを示し、それによってポッド7は、支持部4の傾き、追動アーム3c、及び接続滑車3bを特定の箇所に限定することによって、及び収納位置P1からのエレクターアーム6の傾きを制御することによって、自動化された方法で、発進する:
-アンビリカル5の傾斜が水平面に対して75°と等しい角度の範囲まで、支持部4及びポッド7を発進位置に向けて傾ける、ステップE1、
-カイトを展開して上部プレート4bを解放する、ステップE2、
-ポッド7を支持部4に対して、発進位置P2に向けて傾け、それによってポッド7はカイト1の方向を追尾する、ステップE3、
-ポッド7が発進して、運動範囲に広がるようアンビリカル5を繰り出す、ステップE4、
-支持部4がアンビリカル5の運動範囲を出るまで、支持部4を巡航位置P3に向けて傾け、エレクターアーム6はプレームに当接することになり、頂部において80°と等しい半角を伴い、かつ水平面に対して垂直の軸を伴う錐体に含まれた、アンビリカルの運動範囲から支持部を後退させる、ステップE5。
【0045】
図9のダイアグラムは、支持部4の傾き、追動アーム3c、及び接続滑車3b、を特定の箇所に限定することによって、ならびに巡航位置P3からのエレクターアーム6の傾きを制御することによって、自動化された方法で、ポッドの帰着方法における1つの例の詳細なステップも示す:
-カイト1及びポッド7を、アンビリカル5の牽引によって下降させる、ステップE6、
-捕捉位置P4において、支持部4の傾きを戻し、アンビリカル5の運動範囲に入れる、ステップE7、
-支持部4の傾きを戻す間、アンビリカル5を捕捉し、次に中央に合わせて、頂部において20°と等しい半角を伴う錐体に含まれた、アンビリカル5の運動範囲を漸進的に減少させる、ステップE8、
-支持部4の傾きを、その帰着位置P5に戻す、ステップE9、
-支持部4上で、ポッド7を帰着させて制動し、ポッド7が支持部4上に帰着して、そこで保持されたことを検出した後に、アンビリカル5に張力を加える、ステップE10、ならびに
-収納位置P1に向けて傾ける、ステップE11。
【0046】
アンビリカルを捕捉するステップE8の間、エレクターアーム6は、接続滑車3bを誘導及び保持して、それを帰着位置P4の垂直状態にする。
【0047】
本発明は、説明し表わした実施形態に限定されない。したがって支持部は、溶接、接着、及びリベット留めなど、任意の手段によって、エレクターアームに定着され得る。支持部のプレート間における弾性戻し手段は、板バネまたは弾性材料の層で構成され得る。
【0048】
さらに、エレクターアームは、取付構造物のフレームに対して、並進、円形並進、または任意の他のタイプの並進運動を追尾して、支持部が、収納位置、発進位置、巡航位置、及び捕捉位置、を選ぶことを可能にする。そのとき駆動機構は、ベルト、連接、または駆動シャフトで構成される。
【0049】
本発明は、等しくそれ自体と等々に組み合わされて、複数の牽引カイト1を船舶で使用するか、またはエネルギーを生成し得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】