(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ダブルリンククランクピストン機構
(51)【国際特許分類】
F01B 9/02 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
F01B9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534509
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2022097380
(87)【国際公開番号】W WO2023123871
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202210307628.0
(32)【優先日】2022-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111624964.X
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524218086
【氏名又は名称】四川貝▲しん▼弘能科技研究院
【氏名又は名称原語表記】SICHUAN BEIXIN HONGNENG TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No. 303, 3rd Floor, Building 4, No. 9 Gaoshengqiao Road, Wuhou District, Chengdu Sichuan 610000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫 ▲しん▼
(57)【要約】
本発明は、動力機器の技術分野に関する。シリンダと、ピストンと、クランクシャフトと、フレームとを含むダブルリンククランクピストン機構であって、前記ピストンとクランクシャフトとの間にダブルリンクがヒンジ接続され、内リンクと外リンクとのヒンジ接続端は同時にスライダ又はスイングアームにヒンジ接続され、スライダはガイドレールに摺動可能に接続され、スイングアームはフレームにヒンジ接続され、外リンクの他端はクランクウエブにヒンジ接続され、ピストンのストロークはクランクウエブの長さの2倍以上であり、ピストンの上動と下動の移動速度は1.4-3倍異なる。直列ダブルリンクの使用により、ピストンが受ける横力が減少し、エンジン寿命が延びるとともに、ピストンの上下動作の速度と時間の違いが達成され、クランクシャフトの作動角が210-270度に達し、動力の利用効率がより高く、機構の動作がより安定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、ピストンと、クランクシャフトと、フレームとを含むダブルリンククランクピストン機構であって、
前記ピストンとクランクシャフトとの間には、ダブルリンクがヒンジ接続され、内リンクと外リンクとのヒンジ接続端は、同時にスライダ又はスイングアームにヒンジ接続され、スライダは、ガイドレールに摺動可能に接続され、スイングアームは、フレームにヒンジ接続され、外リンクの他端は、クランクウエブにヒンジ接続され、ピストンのストロークは、クランクウエブの長さの2倍以上であり、ピストンの上動と下動の動作速度は1.4-3倍異なることを特徴とする、ダブルリンククランクピストン機構。
【請求項2】
前記内リンクの外端ヒンジ接続点は、常にピストン中心線の片側を移動することを特徴とする請求項1に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項3】
前記ガイドレールは、円弧面構造であることを特徴とする、請求項2に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項4】
前記ガイドレールは、直線状でありかつテール部が円弧面を有する構造であることを特徴とする、請求項2に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項5】
前記ガイドレールの一端は、フレームにヒンジ接続され、ガイドレールの他端には、モータにより駆動されるカムが設けられ、カム溝には、ヒンジ接続されるフォークが設けられ、フォークは、ガイドレールに摺動可能に接続されることを特徴とする、請求項3又は4に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項6】
前記ガイドレールの一端は、フレームにヒンジ接続され、ガイドレールの他端には、モータによって駆動されるリードスクリューが設けられ、リードスクリュー上のナットは、ガイドレールのフォークに接続されることを特徴とする、請求項3又は4に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項7】
前記スイングアームは、クランクシャフトと同じ側に位置することを特徴とする、請求項2に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項8】
前記スイングアームは、クランクシャフトの下方に位置することを特徴とする、請求項7に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項9】
前記スイングアームのヒンジ接続点は、円弧状ラックに設けられ、円弧状ラックと噛合する主動ギヤは、円弧状ラックを内リンクの低位端点を中心に揺動するように駆動することを特徴とする、請求項8に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【請求項10】
前記円弧状ラックの曲率半径は、スイングアームのヒンジ接続点から内リンクの低位端点までの距離と同じであることを特徴とする、請求項9に記載のダブルリンククランクピストン機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力機器の技術分野に関し、より具体的には、ダブルリンククランクピストン機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ピストンクランク構造は、エンジン等の機械に広く使用されている。4ストロークエンジンにおいて、排気進角を考慮しない場合、通常、クランクシャフトが720度回転するたびに1つの作動サイクルが完了し、吸気ピストンの上死点から下死点までのクランクシャフトの回転角度は180°であり、圧縮ストロークにおいてピストンの下死点から上死点までのクランクシャフトの回転角度は180°であり、作動ストロークにおいてピストンの上死点から下死点までのクランクシャフトの回転角度は180°であり、排気ストロークにおいてピストンの下死点から上死点までのクランクシャフトの回転角度は180度であり、各ストロークにおいてクランクシャフトの回転角度はそれぞれ180度である。4気筒エンジンは排気進角を考慮せず、連続的に作動できるのに対し、3気筒エンジンの始動出力は連続的ではない。3気筒エンジンの各シリンダの作動推力クランクシャフトの回転角度も180度しかないため、60度の休止エリアがあり、エンジンの振動をもたらすことは避け難い。3気筒エンジンの欠点となる振動、騒音、動力不足のため、エンジンは内部部品が極めて損傷しやすいという問題があり、4気筒エンジンであっても、広く使用されている排気進角のため、クランクシャフト動力が断続的になるという問題がある。そのため、できるだけ連続的にクランクシャフト動力を提供するために、エンジンの作動角を新たに研究、設計する必要がある。例えば、中国特許出願第CN201410429448.5号には、往復ピストン4ストロークエンジンが記載されており、クランクシャフトの支点、即ち、クランクシャフトの軸線がピストン動作方向の延長線上ではなく、延長線の片側に設けられている。これにより、4つのストロークの作動時間が不均一になる。具体的には、吸気ストロークと作動ストロークの作動時間は圧縮ストロークと排気ストロークよりも長くなる。吸気ストロークと作動ストロークの作動時間を延長することにより、一方では十分な空気を吸入して混合ガスの酸素含有量を高めることができ、他方では混合ガスが十分に燃焼するのに長い時間を提供することができる。これは、燃料の利用率及び作動効率を大幅に向上させ、十分に燃焼した後に排出されるガスは、不純物や有害物質がより少なく、その汚染能力を低下させ、都市環境及び大気の質を改善することができる。これは微調整であり、吸気ストロークと作動ストロークがほぼ同じである。また、中国特許第CN201010541856.1号には、湾曲スライドレールエンジンが記載されており、特殊な形状及び構造を有する湾曲スライドレールシャフトを使用することによって、エンジンは1つの完全な作動サイクル内で吸気ストロークと作動ストロークの時間を増加させ、圧縮ストローク及び排気ストロークの時間を減少させる。エンジンは、より多くの新鮮な空気を吸入し、作動時間がより長くなり、圧縮ストロークと排気ストロークの速度が速くなり、エンジンの動作効率が向上する。クランクシャフトの外縁の運動軌跡は円周軌跡ではなく、傾転軸の固定端はクランクシャフトの代わりに動力出力軸として機能し、傾転軸とクランクシャフトとは相対的に運動し、その結果、多気筒の動力出力によって接続部材が消耗されやすいおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ダブルリンククランクピストン機構を提供する。2つのリンクの接続端が同時にガイドレール上のスライダ又はスイングアームの可動端にヒンジ接続され、内リンク及び外リンクがそれぞれピストン及びクランクシャフトにヒンジ接続されることにより、ピストンの応力状態が変化し、ピストンの動作速度と耐用年数が延びる。外リンクとクランクとの協働により、ピストンの上動と下動の速度及びクランクシャフトの回転角度が再配分され、機構の作動能力が向上する。
【0004】
本発明は、下記の技術的手段を採用する。即ち、シリンダと、ピストンと、クランクシャフトと、フレームとを含むダブルリンククランクピストン機構であって、前記ピストンとクランクシャフトとの間にダブルリンクがヒンジ接続され、内リンクと外リンクとのヒンジ接続端は同時にスライダ又はスイングアームにヒンジ接続され、スライダはガイドレールに摺動可能に接続され、スイングアームはフレームにヒンジ接続され、外リンクの他端はクランクウエブにヒンジ接続され、ピストンスのトロークはクランクウエブの長さの2倍以上であり、ピストンの上動と下動の動作速度は1.4-3倍異なる。一般的なエンジンでは、ピストンのストロークはクランクウエブの長さのちょうど2倍であり、それより長くても短くてもよくない。ピストンの上下の動作速度を変更するためには、通常、クランクシャフトとピストンとの偏心設定によって実現される。そうすると、ピストンは常に交互する横力を受けるため、エンジンの寿命が短くなるとともに、回転速度の向上に不利であり、ピストンの上動と下動の速度差を大きく変化させることはできない。本発明では、内外リンクが同時にスライダ又はスイングアームにヒンジ接続され、スライダがガイドレール上を動作し、スイングアームが支点周りに回転することにより、ピストンは主に軸力を受け、クランクシャフトによる横力はガイドレール又はスイングアームが受ける。外リンクの使用により、ピストンとクランクシャフトの動力伝達角度をより合理的に配分することができる。通常、クランクウエブの長さはピストンストロークの20-45%であり、外リンクの長さはクランクウエブの長さの1.3倍以上である。これらのデータは複数の試験の結果である。本発明の目的は、ピストンの上動と下動の速度と時間を異ならせ、クランクシャフトの作動角を210-270度にすることによって、動力出力がより安定する。特に、4ストローク3気筒エンジンに適用する場合、クランク作動角は630-720度であり、各シリンダのオーバーラップ角は最大30度に達することができる。排気進角と合わせると、クランクシャフトの継続的な動力出力に到達又は接近することができ、エンジンの振動が低減される。空気圧縮機に適用する場合、ピストン圧縮の動作速度が低下し、クランクシャフトの応力状態が改善され、動力の利用効率が向上する。
【0005】
好ましくは、前記内リンクの外端ヒンジ接続点は、常にピストン中心線の片側を移動する。このような構成は、ピストンが一方向の横力を受けることを保証するためある。
【0006】
好ましくは、前記ガイドレールは円弧面構造である。スライダの円弧面移動によって、外部リンクがクランクシャフトを駆動する角度を調整し、エンジンの作動能力を向上させる。
【0007】
好ましくは、前記ガイドレールは、直線状でありかつテール部に円弧面を有する構造である。ガイドレールは、直線状でありかつ末端が円弧面である構造を採用することにより、ピストンの初期の下動の爆発力を回避することができ、スライダが移動する末端において円弧面により外リンクがクランクシャフトを駆動する角度を調整し、エンジンの作動能力を向上させる。
【0008】
好ましくは、前記ガイドレールの一端はフレームにヒンジ接続され、ガイドレールの他端にはモータによって駆動されるカムが設けられ、カム溝内にはヒンジ接続されるフォークが設けられ、フォークはガイドレールに摺動可能に接続される。つまり、ガイドレールは、内リンクの低位端点をヒンジ接続点として揺動することができる。駆動は、主動カムでガイドレールを小幅に揺動させることであり、その目的は、ピストンのストロークを変化させ、シリンダ圧縮比の変化をもたらし、様々な動力出力に対するエンジンの適用性を向上させることである。
【0009】
好ましくは、前記ガイドレールの一端はフレームにヒンジ接続され、ガイドレールの他端にはモータによって駆動されるリードスクリューが設けられ、リードスクリュー上のナットはガイドレールフォークに接続される。つまり、ガイドレールは、内リンクの低位端点をヒンジ接続点として揺動することができる。駆動は、リードスクリューでガイドレールを小幅に揺動させることであり、その目的は、ピストンのストロークを変化させ、シリンダ圧縮比の変化をもたらし、様々な動力出力に対するエンジンの適用性を向上させることである。
【0010】
好ましくは、前記スイングアームは、クランクシャフトと同じ側に位置する。主に外部リンクとクランクシャフト力の伝達を容易にし、クランクシャフトの作動角の増加を容易にするためである。
【0011】
好ましくは、前記スイングアームは異形構造である。主にエンジンの他の部品の構造を回避し、設備のサイズを小さくするためである。
【0012】
好ましくは、前記スイングアームは、クランクシャフトの下方に位置する。主に機構のサイズを小さくするためである。
【0013】
好ましくは、前記スイングアームのヒンジ接続点は、円弧状ラックに設けられ、円弧状ラックと噛合する主動ギヤは、円弧状ラックを内リンクの低位端点を中心に揺動するように駆動する。スイングアームのヒンジ接続点の小幅スイングの目的は、ピストンのストロークを変化させ、圧縮比の変化をもたらし、様々な動力出力に対するエンジンの適用性を向上させることである。
【0014】
好ましくは、前記円弧状ラックの曲率半径は、スイングアームのヒンジ接続点から内リンクの低位端点までの距離と同じである。このように、円弧状ラックは、内リンクの低位端点を中心にフレームで揺動するものであり、その目的は、ピストンのストロークを変化させ、シリンダの圧縮比の変化をもたらし、様々な動力出力に対するエンジンの適用性を向上させることである。
【0015】
好ましくは、前記主動ギヤは円弧状ラックの内弧縁に位置し、円弧状ラックの外弧縁に従動セルフロックギヤが設けられる。セルフロックギヤは、主動ギヤに追従して動くか又は停止し、主動ギヤは、セルフロックギヤが停止すると、セルフロックギヤは回転できなくなる。
【0016】
本発明は、ダブルリンククランクピストン機構を提供する。ダブルリンクの使用により、ピストンが受ける横力が減少し、エンジンの寿命が延びるとともに、ピストンの上道と下動の動作速度と時間が異なり、クランクシャフトの作動角が210-270度に達し、動力の利用効率がより高く、機構の動作がより安定して信頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の円弧面ガイドレールの左側クランクシャフト構造の内リンクの高位端点の模式図である。
【
図2】本発明の円弧面ガイドレールの左側クランクシャフト構造の内リンクの低位端点の模式図である。
【
図3】本発明の円弧面ガイドレールの左側クランク軌跡の組み合わせの模式図である。
【
図4】本発明の円弧面ガイドレールのカムの周波数変調構造の模式図である。
【
図5】本発明の円弧面ガイドレールの右側クランクシャフトの内リンクの高位端点の模式図である。
【
図6】本発明の円弧面ガイドレールの右側クランクシャフトの内リンクの低位端点の模式図である。
【
図7】本発明の円弧面ガイドレールの右側クランクシャフトの接続構造の軌跡の組み合わせの模式図である。
【
図8】本発明の直線状の円弧面ガイドレールのスクリューの周波数変調構造の模式図である。
【
図9】本発明の直線状の円弧面ガイドレールの左側クランクシャフトの内リンクの高位端点の模式図である。
【
図10】本発明の直線状の円弧面ガイドレールの左側クランクシャフトの内リンクの低位端点の模式図である。
【
図11】本発明の直線状の円弧面ガイドレールの左側クランクシャフト構造の軌跡の組み合わせの模式図である。
【
図12】本発明のスイングアームの左側クランクシャフトの内リンクの高位端点の模式図である。
【
図13】本発明のスイングアームの左側クランクシャフトの内リンクの低位端点の模式図である。
【
図14】本発明のスイングアームの左側クランクシャフト構造の軌跡の組み合わせの模式図である。
【
図15】本発明の異形スイングアームの左側クランクシャフト構造の内リンクの低位端点の模式図である。
【
図16】本発明の異形スイングアームの左側クランクシャフト構造の内リンクの高位端点の模式図である、
【
図17】本発明の異形スイングアームの左側クランクシャフト構造の軌跡の組み合わせの模式図である。
【
図18】本発明の異形スイングアームの円弧状ラックの周波数変調構造の模式図である。
【
図19】本発明の異形スイングアームの右側クランクシャフト構造の内リンクの低位端点の模式図である。
【
図20】本発明の異形スイングアームの右側クランクシャフト構造の内リンクの高位端点の模式図である。
【
図21】本発明の異形スイングアームの右側クランクシャフト構造の軌跡の組み合わせの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、特徴及び利点をより明確かつ容易にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決策を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力をせずに当業者によって得られるすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0019】
以下、いくつかの例示的な実施形態を参照して、本発明の原理及び精神を説明する。これらの実施形態は、当業者が本発明をより良く理解できるようにするためのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより徹底的かつ完全なものにし、本発明の範囲を十分に当業者に伝えるために提供される。
【0020】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して、本発明の技術的解決策をさらに詳しく説明する。
【0021】
実施例1
図1、
図2、
図3を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、シリンダ01と、点火プラグ及びオイルジェットアセンブリ02と、吸気バルブ03と、排気バルブ04と、ピストン10とを含む。ピストン10に内リンク20がヒンジ接続される。内リンク20の外端は、外リンク30と円弧面ガイドレール50上のスライダに同時にヒンジ接続される。クランクシャフト41は、シリンダ01の左側に位置する。スライダは、常にシリンダ01の中心線の右側を移動する。外リンク30は、クランクウエブ40にヒンジ接続される。クランクウエブ40は、クランクシャフト41を駆動する。機構の構造パラメータは、ピストン10のストロークを100に設定すると、内リンク20の長さは110、外リンク30の長さはそれぞれ67.8、クランクウエブ40の長さはそれぞれ20、円弧面ガイドレール50の曲率半径は128.44となる。
【0022】
本発明では、外リンク30と円弧面ガイドレール50を使用するため、クランクウエブ40の応力負担位置が変更され、ピストン10の下動と上動クランクウエブ40の回転角度が再配分され、クランクシャフト41の回転は等速である。ピストン10が下動する場合、外リンク30とクランク40が重なり、ピストン10が下死点に達するまで、内リンク20及び外リンク30を介してクランク40を下動させ、クランクシャフト41を時計回りに回転させる。これは、シリンダの作動と吸気ピストン10の移動過程である。クランクシャフト41が回転し続けることにより、クランク40、外リンク30及び内リンク20を介してピストン10が上動し始め、ピストン10が上死点まで上動する。これは、シリンダ排気と圧縮ピストン10の移動過程である。クランクシャフト41は等速回転であるため、ピストン10の下動時間は上動時間より遥かに長く、ピストン10の上動速度は下動速度の3倍であり、ピストン10が吸気して力を発揮するとき、クランクウエブ40の回転角度Rは270度である。本発明をエンジンに適用する場合、ピストン10が受ける横方向の力が小さく、主にスライダを介して円弧面ガイドレール50に伝達して受けるため、エンジンの耐用年数が延び、クランクシャフト41の無トルク動作時間が短縮し、動力の出力がより安定し、特に3気筒エンジンの振動が低減され、広い市場の将来性を有する。
【0023】
実施例2では、
図1、
図2、
図3、
図4を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、下記の点で実施例1と異なる。即ち、前記円弧面ガイドレール50は、内リンクの低位端点82でフレームにヒンジ接続され、内リンクの高位端点81の下方にはモータにより駆動されるカム61が設けられ、カム61の溝内には、ヒンジ接続されるフォーク62が設けられ、フォーク62は円弧面ガイドレール50に摺動可能に接続される。
【0024】
モータはカム61の回転を駆動し、カム61がフォーク62をシフトさせ、フォーク62のシフトによって円弧面ガイドレール50が内リンクの低位端点82に沿って揺動することにより、ピストン10のストロークが変化し、圧縮比の変化をもたらすため、様々な動力出力に対するエンジンの適用性が向上する。その他の構造及び原理は実施例1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0025】
実施例3では、
図5、
図6、
図7を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、クランクシャフト41がシリンダ01の右側にあり、スライダが常にシリンダ01の左側において動作する点で実施例1と異なる。
【0026】
ピストン10の下動は、外リンク30とクランク40が直線になり、ピストン10が下死点に達するまで、内リンク20及び外リンク30を介してクランク40を引っ張って上に移動させ、クランクシャフト41を反時計回りに回転させる。これは、シリンダ作動と吸気ピストン10の移動過程であり、Rの角度は270度である。クランクシャフト41が回転し続けることにより、クランク40、外リンク30及び内リンク20を介してピストン10を上死点まで上動させる。これは、シリンダ排気及び圧縮ピストン10の移動過程であり、ピストン10の上動速度は、下動速度の3倍であり、Rの角度は270度である。その他の構造及び原理は実施例1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0027】
実施例4では、
図8、
図9、
図10、
図11を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、下記の点で実施例1と異なる。即ち、このエンジンは、直線状の円弧面ガイドレール60を使用し、前記直線状の円弧面ガイドレール60は低位端点82でフレームにヒンジ接続され、直線状の円弧面ガイドレール60は高位端点81の下方にモータによって駆動されるリードスクリュー63が設けられる。リードスクリュー63はナット64を駆動し、ナット64にはフォーク62がヒンジ接続され、フォーク62は直線状の円弧面ガイドレール60に摺動可能に接続される。機構の構造パラメータの変化:ピストン10のストロークを100に設定すると、内リンク20の長さは110、外リンク30の長さはそれぞれ86.6、クランクウエブ40の長さはそれぞれ28.87、ピストン10の上動速度は下動速度の2倍、ピストン10が下動して作動するときのクランクウエブ40の回転角度Rは240度となる。モータはリードスクリュー63の回転を駆動し、リードスクリュー63はナット64にヒンジ接続されたフォーク62をシフトさせ、フォーク62のシフトにより直線状の円弧面ガイドレール60が内リンクの低位端点82に沿って揺動することにより、ピストン10のストロークが変化し、圧縮比の変化をもたらすため、様々な動力出力に対するエンジンの適用性が向上する。その他の構造及び原理は実施例1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0028】
実施例5では、
図12、
図13、
図14を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、下記の点で実施例1と異なる。即ち、このエンジンは、ガイドレールを使用せず、クランクシャフト側に弧状揺動アーム70を使用している。機構の構造パラメータ:外リンク30の長さは98.82、クランクウエブ40の長さは45.06、揺動アーム70の直線長さは92.73、曲率半径は117.9、ピストン10の上動速度は下動吸気と作動速度の1.4倍、ピストン10が下動して作動するときのクランクウエブ40の回転角度Rは210度である。その他の構造及び原理は実施例1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
実施例6では、
図15、
図16、
図17、
図18を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、下記の点で実施例5と異なる。即ち、外リンク30の長さは67.8、クランクウエブ40の長さは20、スイングアーム70の直線長さは37.8、曲線の曲率半径は32.6、ピストン10の上動速度は下動吸気と作動速度の3倍、ピストン10が下動して作動するときのクランクウエブ40の回転角度Rは270度である。円弧状アーム70は円弧状ラック71にヒンジ接続され、円弧状ラック71はモータによって駆動されるギヤ72に噛合し、円弧状ラック71の外弧面がロックギヤ73によって連結され、ギヤ72の動きが停止すると、ロックギヤ73はロックされる。円弧状ラック71の動きによって、スイングアーム70に同時に接続される内リンク30と外リンク40の位置が変化することで、ピストン10のストロークが変化し、ひいてはエンジンの圧縮比が変化するため、様々な動力出力に対するエンジンの適用性が向上する。その他の構造及び原理は実施例5と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
実施例7では、
図19、
図20、
図21を参照すると、ダブルリンククランクピストン機構は、シリンダ01と、吸気バルブ03と、排気バルブ04と、ピストン10とを含む。クランクシャフト41は、シリンダ01の右側に位置し、内リンク20と外リンク30とのヒンジ接続点は、常にシリンダ01の中心線の左側を動く。ピストン10は内リンク20にヒンジ接続され、内リンク20の一端には、外リンク30とスイングアーム70と同時にヒンジ接続される。スイングアーム70は円弧状体とストレートロッドとからなる。外リンク30はクランクウエブ40にヒンジ接続される。クランクウエブ40は、クランクシャフト41を駆動する。構成パラメータは、ピストン10のストロークを100に設定すると、内リンク20の長さは110、外リンク30の長さはそれぞれ67.8、クランクウエブ40の長さはそれぞれ20、スイングアーム70の回転半径は78となる。
【0031】
本発明の機構をエアポンプに適用する場合、クランクシャフト41は時計回りに回転してクランクウエブ40を引っ張り、クランクウエブ40は外リンク30を引っ張り、外リンク30は内リンク20とスイングアーム70を上に回転するように駆動し、内リンク20がピストン10を上動させてシリンダ内の空気を排気バルブ04から排出し、上死点になるまでクランクシャフト41は時計回りに270度回転する。このとき、排気バルブ04を閉じ、吸気バルブ03を開き、クランクシャフト41が引き続き時計回りにピストンを回転させて下動させ、ピストンが下死点に達するまでクランクシャフト41は時計回りに90度回転する。つまり、ピストン10の上動時間は、下動時間の3倍であり、ピストンが空気を圧縮する動作速度が減少し、クランクシャフトの応力状態が改善され、動力の利用効率が向上する。
【0032】
以上の説明は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明に開示した技術的範囲内において、容易に変更又は置換を行うことができ、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
01-シリンダ;02-点火プラグ及びオイルジェットアセンブリ;03-吸気バルブ;04-排気バルブ;10-ピストン;20-内リンク;30-外リンク;40-クランクウエブ;41-クランクシャフト;50-円弧面ガイドレール;60-直線状の円弧面ガイドレール;61-カム;62-フォーク;63-リードスクリュー;64-ナット;70-スイングアーム;71-円弧状ラック;72-ギヤ;73-ロックギヤ;81-高位端点;82-低位端点
【国際調査報告】