(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】カメラと該カメラを焦点合わせ位置に配置する単一のスピンドルとを備えるマルチタスク装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/04 20060101AFI20250107BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B25J19/04
B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534564
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2022084657
(87)【国際公開番号】W WO2023104826
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522479290
【氏名又は名称】セティ-テック
【氏名又は名称原語表記】SETI-TEC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ・サント,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707AS14
3C707DS05
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT13
3C707HS27
3C707KS03
3C707KT01
3C707KT05
(57)【要約】
本発明は、同じ軸線に沿って回転運動及び/又は並進運動が可能であり、可動部材と個別に協働し、可動部材を回転運動及び/又は並進運動させることができ、可動部材に所定のタスクを行わせることができる単一の駆動スピンドル7と、被写界深度を有し、少なくとも、単一スピンドル7の軸線上にない収納位置と、単一スピンドル7の軸線上にある中間位置との間で移動可能に取り付けられるカメラ83とを備えるマルチタスク装置1に関する。スピンドル7は、カメラ83に作用し、作業対象の構造体の表面がカメラ83の被写界深度内に位置する少なくとも1つの焦点合わせ位置にカメラ83を移動させることができる、
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチタスク装置であって、
フレームと、
前記フレームを、作業対象の構造体に対して前記装置を空間内で少なくとも部分的に移動させることができる電動ハンドリング手段に締結する手段と、
前記装置と前記作業対象の構造体の表面との距離が接近位置とドッキング位置との間で変えられるように、前記作業対象の構造体に対し前記装置の位置決め及び固定の少なくとも一方を行う手段と、
前記作業対象の構造体に対して所与のタスクを行うことが可能な少なくとも1つの可動部材を有する少なくとも2つの機能モジュールと、
同じ軸線に沿って回転運動及び並進運動の少なくとも一方が可能であり、前記可動部材と個別に協働し前記可動部材に回転運動及び並進運動の少なくとも一方を行わせて前記可動部材に所与のタスクを行わせることができる単一の駆動スピンドルと、
或る被写界深度を有し、少なくとも、前記単一スピンドルの軸線上にない収納位置と前記単一スピンドルの軸線上にある中間位置との間で移動できるように取り付けられたカメラと
を備え、
前記スピンドルは、前記カメラに作用し、前記作業対象の構造体の表面が前記カメラの被写界深度内に位置する少なくとも1つの焦点合わせ位置に前記カメラを移動させる、
マルチタスク装置。
【請求項2】
前記単一スピンドルを前記カメラと連結する手段を備え、前記連結する手段は前記単一スピンドルを前記カメラと並進接続することが可能であり、前記カメラは前記軸線に沿って前記中間位置と前記少なくとも1つの焦点合わせ位置との間で移動可能である、請求項1に記載のマルチタスク装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記収納位置と前記中間位置との間で、前記単一スピンドルの移動軸線と直交する軸線に沿って並進移動できるように取り付けられている、請求項1又は2に記載のマルチタスク装置。
【請求項4】
前記カメラを収納位置と中間位置との間で並進できるようにガイド及び駆動する手段を備える請求項3に記載のマルチタスク装置。
【請求項5】
前記並進できるようにガイドする手段は、前記単一スピンドルの軸線に直交する軸線のスライド接続により前記フレームに接続されたカメラ支持プレートを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プレートには、前記カメラが収納位置にあるときに前記単一スピンドルが通ることのできる穴が開けられている、請求項5に記載のマルチタスク装置。
【請求項7】
前記カメラを制御し、前記カメラによって撮影された画像を分析する手段を備える請求項1~6のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項8】
前記制御し分析する手段は、前記固定する手段によって前記装置が前記表面に固定されているときに、前記表面に対する前記装置の望ましくない動きを検出することができる、請求項7に記載のマルチタスク装置。
【請求項9】
前記制御し分析する手段が検出可能な、前記表面に対する前記装置の望ましくない動きは、前記表面と略平行な動きである、請求項8に記載のマルチタスク装置。
【請求項10】
前記制御し分析する手段は、前記作業対象の構造体の表面における特異点を識別し、前記カメラによって撮影された連続した画像における前記特異点の動きを監視し、それにより前記作業対象の構造体の表面に対する前記装置の望ましくない動きを推定することができる、請求項8又は9に記載のマルチタスク装置。
【請求項11】
前記制御し分析する手段は、前記表面に設けられたマーキング要素を検出し、前記カメラによって撮影された画像内の前記マーキング要素の位置から、前記マーキング要素に対する前記マルチタスク装置の位置を推定することができる、請求項7~9のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項12】
前記機能モジュールが、
穿孔モジュールと、
マスチックでコーティングされたリベット又はコーティングされていないリベットを設置するモジュールと、
仮締結具を設置するモジュールと
を少なくとも含むグループに属する、
請求項1~11のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項13】
前記制御し分析する手段は、穿孔モジュールによって形成された穴又は皿穴の態様を制御し、所定の視覚的な品質基準への適合性を検証することができる、請求項7~11のいずれか一項及び請求項11に記載のマルチタスク装置。
【請求項14】
前記制御し分析する手段は、リベットを設置するモジュールにより設置された前記リベットの頭部から横に突出したマスチックの花冠状部分の態様を制御し、前記リベットの頭部周囲の適合性を示す正確な連続性を検証する、請求項7~13のいずれか一項及び請求項11に記載のマルチタスク装置。
【請求項15】
前記表面に所定のパターンを投影する手段を備え、前記制御し分析する手段は、前記パターンを撮影及び分析し、前記表面に対する前記単一スピンドルの正確性の欠如を推定することができる、請求項1~14のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項16】
前記装置を電動ハンドリング手段に固定する手段を備え、
前記電動ハンドリング手段は、前記マルチタスク装置が前記表面から離れている少なくとも1つの接近位置と、前記装置が前記表面に押し付けられているドッキング位置との間で、前記表面に対して前記装置を空間内で少なくとも部分的に移動させることができる、
請求項1~15のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項17】
前記制御し分析する手段は、前記装置が前記ドッキング位置にあるときに、穴又は皿穴の態様と、リベットの頭部から横に突出したマスチックの花冠状部分の態様と、前記表面に対する前記装置の望ましくない動きとのいずれかを制御することができる、
請求項16、及び請求項8~11又は請求項13~15のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項18】
前記制御し分析する手段は、前記装置が前記接近位置にあるときに、前記表面に設けられたマーキング要素を検出し、前記カメラによって撮影された画像における前記マーキング要素の位置から、これらのマーキング要素に対する前記マルチタスク装置の位置を推定し、又は前記表面に対する前記単一スピンドルの正確性の欠如を検出することができる、
請求項16、及び請求項8~11又は請求項13~14のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のマルチタスク装置を用いてタスクを行う方法であって、
前記スピンドルが、前記カメラを、前記作業対象の構造体の表面が前記カメラの被写界深度内に位置する少なくとも1つの焦点合わせ位置に移動させるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明の分野は、特に航空産業において、作業対象の構造体に対して様々なタスクを行うために産業分野で実装される装置の設計及び製造である。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術
一般的に、作業対象の構造体に対して様々なタスク又は作業を行うために多くの装置が実装されている。これは例えば、穿孔、皿もみ(カウンターシンキング)、仮締結具の取付け、リベットにマスチックを塗布したのち構造体にあけられた穴に当該リベットを取り付けること、あるいはその他の作業である。
【0003】
例えば航空機等の複雑な構造体に対してタスクを行えるようにするために可動装置が開発されている。
【0004】
これらの装置には特に、作業対象の構造体に対して操作され移動するロボットアームの端部に配置された工具を備えるタイプのものが含まれる。斯かる装置は、例えば吸引カップ等の固定手段を有している。この固定手段により、作業対象の構造体に工具を固定してタスクの実行に伴う力を吸収しロボットアームの負担を軽減することができる。
【0005】
このタイプの装置の一部は、マルチタスク装置と呼ばれ、各々が特定のタスクを実行する複数の機能モジュールが装着されることが多い。
【0006】
このような装置は、駆動及び制御の手段により、同じ軸線に沿って回転駆動及び並進駆動の少なくとも一方が可能な単一の出力スピンドルを備える。
【0007】
この単一スピンドルを、装着された様々なモジュールと交互に協働させ、それぞれの専用のタスクを実行できるようにすることができる。
【0008】
本出願人が出願した特許出願である特許文献1~5には、マルチタスク装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際出願第PCT/EP2020/069158号
【特許文献2】国際出願第PCT/EP2020/069159号
【特許文献3】国際出願第PCT/EP2020/069160号
【特許文献4】国際出願第PCT/EP2020/069161号
【特許文献5】国際出願第PCT/EP2020/069162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
作業対象の構造体において正確な位置で様々な操作を実行できるようにするためには、その構造体に関して装置の空間内の位置を特定できること、特に、作業対象の構造体の表面に関して出力スピンドルの軸線の直交性とこの表面上のマーク(印)に対するスピンドルの軸線と作業対象の構造体の表面との交点の位置とを特定できることと、製造要件に対するこれらの幾何学的な基準を調整できることとが必要である。
【0011】
また、作業が行われたのちに、その品質を管理することが可能な手段も必要となり得る。
【0012】
本発明の目的は、特に、作業対象の構造体に対するマルチタスク装置の位置を調整するための技術を改善することと、作業の実行後に作業を制御できるようにすることとの少なくともいずれかにある。
【0013】
3.発明の目的
本発明は特に、これらの様々な問題の少なくとも一部に対する効果的な解決策を提供することを目的とする。
【0014】
特に、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の1つの目的は、作業対象の構造体の表面に関してマルチタスク装置の相対的な位置を容易に特定及び調整することを可能にする技術を提供することである。
【0015】
特に、本発明の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、作業対象の構造体の表面との関係でスピンドルの直交性を制御及び調整することを可能にする技術を提供することである。
【0016】
特に、本発明の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、スピンドルの軸線と作業対象の構造体の表面との交点の位置を、この表面上のマーク(印)に対して制御及び調整することを可能にする技術を提供することである。
【0017】
特に、本発明の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、行われる作業の品質を制御することを可能にする技術を提供することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、コンパクトな方法で実装できる技術を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、信頼性が高く、及び/又は堅牢な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
4.発明の説明
この目的のために、本発明は、マルチタスク装置であって、
フレームと、
上記フレームを、作業対象の構造体に対して上記装置を空間内で少なくとも部分的に移動させることができる電動ハンドリング手段に締結する手段と、
上記装置と上記作業対象の構造体の表面との距離が接近位置とドッキング位置との間で変えられるように、上記作業対象の構造体に対し上記装置を位置決め及び/又は固定する手段と、
上記作業対象の構造体に対して所与のタスクを行うことが可能な少なくとも1つの可動部材を有する少なくとも2つの機能モジュールと、
同じ軸線に沿って回転運動及び/又は並進運動可能であり、上記可動部材と個別に協働し可動部材に回転運動及び/又は並進運動を行わせて可動部材に所与のタスクを行わせることができる単一の駆動スピンドルと、
被写界深度を有し、少なくとも、上記単一スピンドルの軸線上にない収納位置と上記単一スピンドルの軸線上にある中間位置との間で移動できるように取り付けられたカメラと
を備え、
上記スピンドルは、上記カメラに作用し、上記作業対象の構造体の表面がカメラの被写界深度内に位置する少なくとも1つの焦点合わせ位置にカメラを移動させる、
マルチタスク装置を提案する。
【0021】
したがって、本発明のこの態様によれば、カメラを装着したマルチタスク装置の単一のスピンドルを使用して、焦点を合わせるためにカメラを動かすことができる。
【0022】
したがって、本発明によれば、例えば、作業対象の構造体に関して空間内でマルチタスク装置を特定するために、及び/又は、行われるタスクの質を制御するために、自動焦点のないカメラを使用することが可能である。
【0023】
自動焦点を必要としない本技術は、とても堅牢で、場所をほとんど取らない。したがって、このタイプのカメラを実装することで、特に堅牢でコンパクトなカメラを搭載したマルチタスク装置を得ることが可能になる。
【0024】
可能な代替的実施形態によれば、本発明による装置は、上記単一スピンドルを上記カメラと連結する手段を備える。この連結する手段は、上記単一スピンドルを上記カメラと並進接続することが可能であり、上記カメラは上記軸線に沿って上記中間位置と上記少なくとも1つの焦点合わせ位置との間で移動可能である。
【0025】
このような連結手段は、連結ステップを行うために実装することができる。
【0026】
可能な代替の実施の形態によれば、上記カメラは、上記収納位置と上記中間位置との間で、上記単一スピンドルの移動軸線と直交する軸線に沿って並進移動できるように取り付けられている。
【0027】
可能な代替の実施の形態によれば、本発明によるマルチタスク装置は、上記カメラを収納位置と中間位置との間で並進できるようにガイド及び駆動する手段を備える。
【0028】
このような手段は、上記カメラを収納位置と中間位置との間で並進できるようにガイド及び駆動するステップを行うために使用することができる。
【0029】
可能な代替の実施の形態によれば、上記並進できるようにガイドする手段は、上記単一スピンドルの軸線に直交する軸線のスライド接続によりフレームに接続されたカメラ支持プレートを有する。
【0030】
これによって、カメラを簡単ながら正確かつ堅牢に動かすことができる。
【0031】
1つの可能な特徴によれば、上記プレートには、カメラが収納位置にあるときに上記単一スピンドルが通ることのできる穴が開けられている。
【0032】
1つの可能な特徴によれば、本発明によるマルチタスク装置は、上記カメラを制御し、上記カメラによって撮影された画像を分析する手段を備える。
【0033】
このような手段は、上記カメラを制御するステップと、上記カメラによって撮影された画像を分析するステップとを行うために使用することができる。
【0034】
<本装置の望ましくない動きの検出>
可能な代替の実施の形態によれば、上記制御及び分析する手段は、本発明による装置が少なくとも1つのタスクを行う方法を実装するために使用されるとき、特に検出ステップにおいて、上記装置が上記固定手段によって上記表面に固定されているときに上記表面に対する上記装置の望ましくない動きを検出することができる。
【0035】
可能な代替の実施の形態によれば、上記制御及び分析する手段によって検出可能な、上記表面に対する上記装置の望ましくない動きは、上記表面と略平行な動きである。
【0036】
可能な代替の実施の形態によれば、上記制御及び分析する手段は、上記作業対象の構造体の表面における特異点を識別し、上記カメラによって撮影された連続した画像における特異点の動きを監視し、それにより上記作業対象の構造体の表面に対する上記装置の望ましくない動きを推定することができる。
【0037】
これは、上記作業対象の構造体の表面における特異点を特定するステップと、上記カメラによって撮影された連続画像におけるそれらの動きを監視するステップと、上記作業対象の構造体の表面に対する上記装置の望ましくない動きを推定するステップとを行うために実装することができる。
【0038】
<マーキング要素に対するマルチタスク装置の位置の検出>
1つの可能な特徴によれば、上記制御及び分析する手段は、上記表面に設けられたマーキング要素を検出し、上記カメラによって撮影された画像内のマーキング要素の位置から、上記マーキング要素に対する上記マルチタスク装置の位置を推定することができる。
【0039】
これは、上記表面に設けられたマーキング要素を検出するステップと、上記カメラによって撮影された画像内のそれらの位置から、上記マーキング要素に対する上記マルチタスク装置の位置を推定するステップとを行うために実装することができる。
【0040】
1つの可能な特徴によれば、上記機能モジュールは、少なくとも、
穿孔モジュールと、
マスチックでコーティングされたリベット又はコーティングされていないリベットを設置するモジュールと、
仮締結具を設置するモジュールと
を含むグループに属する。
【0041】
<穴又は皿穴の態様の制御>
1つの可能な特徴によれば、上記制御及び分析する手段は、穿孔モジュールによって形成された穴又は皿穴の態様を制御し、予め設定された視覚的な品質基準への適合性を検証することができる。
【0042】
これは、穴又は皿穴の態様を制御するステップを行うために実装することができる。
【0043】
<マスチックの塗布の制御>
1つの可能な特徴によれば、上記制御及び分析する手段は、リベットを設置するモジュールにより設置されたリベットの頭部から横方向に突出したマスチックの花冠状部分の態様を制御し、リベットの頭部周囲の適合性を示す正確な連続性を検証することができる。
【0044】
これは、皿穴の頭部から横方向に突出したマスチックの花冠状部分を制御するステップを行うために実装することができる。
【0045】
<表面に対する所定のパターンの投影>
可能な代替の実施の形態によれば、本発明によるマルチタスク装置は、上記表面に所定のパターンを投影する手段を備える。上記制御及び分析する手段は、上記パターンを撮影及び分析し、それにより上記表面に関して上記単一スピンドルの正確性の欠如を推定することができる。
【0046】
これは、上記表面に所定のパターンを投影するステップと、上記表面に対する上記単一スピンドルの正確性を制御するステップを行うために実装することができる。
【0047】
可能な代替の実施の形態によれば、本発明によるマルチタスク装置は、上記装置が上記表面から離れている少なくとも1つの接近位置と、上記装置が上記表面に押し付けられているドッキング位置との間で、上記表面に対して上記マルチタスク装置を空間内で少なくとも部分的に移動させることができる電動ハンドリング手段に上記装置を固定する手段を備える。
【0048】
これは、上記マルチタスク装置を、上記装置が上記表面から離れている少なくとも1つの接近位置と、上記装置が上記表面に押し付けられているドッキング位置との間で、上記表面に対して空間内で移動させるステップを行うために使用することができる。
【0049】
可能な代替の実施の形態によれば、上記制御及び分析する手段は、上記装置が上記ドッキング位置にあるときに、穴の態様若しくは皿穴の態様、又はリベットの頭部から横に突出したマスチックの花冠状部分の態様、又は上記表面に対する上記装置の望ましくない動きを制御することができる。
【0050】
一つの可能な特徴によれば、上記制御及び分析する手段は、上記装置が上記接近位置にあるときに、上記表面に設けられたマーキング要素を検出し、上記カメラによって撮影された画像におけるマーキング要素の位置から、これらのマーキング要素に対するマルチタスク装置の位置を推定し、又は上記表面に対する上記単一スピンドルの正確性の欠如を検出することができる。
【0051】
また、本発明は、本明細書の上記の代替の実施の形態のいずれか1つによるマルチタスク装置を用いてタスクを行う方法に関する。
【0052】
この方法は、上記スピンドルが、上記カメラを、上記作業対象の構造体の表面が上記カメラの被写界深度内に位置する少なくとも1つの焦点合わせ位置に移動させるステップを含む。
【0053】
5.図面の説明
本発明の他の特徴及び利点は、簡単な例示的かつ非限定的な例によって与えられる特定の実施形態の以下の説明、及び添付の図面を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明によるマルチタスク装置の1つの例を示す斜視図である。
【
図2】カメラが収納位置にある
図1の装置のスピンドルの軸線を通る平面による部分断面図である。
【
図3】カメラが中間位置にある
図1の装置のスピンドルの軸線を通る平面による部分断面図である。
【
図4】カメラが収納位置にある
図1の装置のスピンドルの軸線に直交する平面による部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
6.特定の実施形態の説明
6.1.構成
<ハンドリング手段に締結する手段>
図1~
図5を参照して、本発明によるマルチタスク装置の一例を説明する。
【0056】
これらの図に示すように、このマルチタスク装置1はフレーム2を備える。
【0057】
このフレーム2は、電動ハンドリング装置(不図示)に締結するための手段3を備え、作業対象の構造体(不図示)に対し少なくとも部分的に移動できるように固定可能である。
【0058】
これらの電動ハンドリング手段は、特に、
ロボットアームと、
例えば特許文献である仏国特許第2809034号に記載された原理による歩行ロボットと、
例えば特許文献である国際公開第2003/49899 A2号に記載された原理によるデジタルグリッドと
を含むグループに属する。
【0059】
このような締結手段3はそれ自体知られているため、説明を省略する。締結手段3は、例えば、プレートタイプ及びボルトによるシステム、クランプタイプ、クランプ又はカムシステム等のクイックな固定手段を含むことができる。
【0060】
電動ハンドリング手段は、マルチタスク装置を空間内で少なくとも部分的に(特にコントローラが固定されている場合)、作業対象の構造体の表面に対して、本装置が表面から離れていて表面に近い少なくとも1つの接近位置と、例えば固定手段が設けられている場合にはそれに固定されることを考慮して本装置が表面に押し付けられるドッキング位置との間で、移動させることができる。また、電動ハンドリング手段は、マルチタスク装置を作業に使用しない場合に収納位置に置くこともできる。
【0061】
<単一の出力スピンドル>
本装置は、同じ軸線に沿って回転運動及び並進運動の少なくともいずれかが可能な単一の駆動スピンドル7を備える。
【0062】
本装置は、スピンドルをその長手方向軸線に沿って回転運動及び並進運動の少なくとも一方を行わせることができるようにするためのモータ及びトランスミッション手段MTをも備える。これらのモータ及びトランスミッション手段はそれ自体知られており、ここではさら詳細に説明することはしない。
【0063】
<コントローラ>
本装置は通常、本装置に対する制御及び給電を可能にする制御給電電子機器を備えたコントローラ4を備える。
【0064】
このコントローラ4は好ましくは、フレーム2から離れて位置する箱に収納され、現場で固定されて置かれる。
【0065】
しかし、コントローラ4、又はその少なくとも一部の部品は、フレーム2に設けることができる。
【0066】
<作業対象の構造体に固定する手段(オプション)>
本装置は、必要に応じて、しかし好ましくは、作業対象の構造体に固定するための手段5を備えていてもよい。
【0067】
これらの固定手段は様々なタイプのものとすることができる。
【0068】
作業対象の構造体の表面への固定状態を向上させるために、固定手段は例えば、フレーム2に固定され、例えば真空ポンプ等の真空手段に接続可能な吸引カップ51を備えていてもよい。これらの吸引カップは、吸引パッドを形成するためにグループで組み立てられるものであってもよい。
【0069】
作業対象の構造体に固定する手段が設けられない場合、ハンドリング装置は、フレームを作業対象の構造体に関して位置決めする手段だけではなく、作業対象の構造体に関してフレームの位置を固定する手段を備えていてもよい。
【0070】
<押圧要素(オプション)>
本装置は、必要に応じて、スピンドル51の移動軸線とその延長線に沿ってフレーム2に関して並進移動可能に取り付けられた管状の押圧要素6を備えていてもよい。
【0071】
押圧要素は、スピンドルとカメラの通過が可能な中空管である。
【0072】
このような押圧要素6を用いることで、例えば、穿孔作業中に、穿孔対象となる構造体に圧縮力を加えることができ、特に、スタックのプレート間の接触を確実にし、穿孔中にこれらのプレート間にバリが形成されるのを防ぐことができる。
【0073】
<機能モジュール>
本装置には、複数の機能モジュールMFを装着することが可能である。
【0074】
これらの機能モジュールMFのそれぞれは例えば、穿孔及び皿もみの少なくともいずれかの作業、リベットの設置、仮締結具(例えばクリップ)の設置、ビーズ状のシーリング用マスチックの、締結要素(リベット又はネジ)への塗布(又はコーティング)等の特定のタスクを実行することを可能にする。その他の機能としては、ねじ止め等が考えられる。
【0075】
機能モジュールは例えば、少なくとも、
穿孔モジュール及び皿もみモジュールの少なくとも一方と、
マスチックが塗布されたリベット又は塗布されていないリベットを設置するモジュールと、
仮締結具を設置するモジュールと
を含むグループに属する。
【0076】
航空産業で使用される仮締結具は、少なくとも2つの壁部を互いに留めることを可能にする機械的な部材であり、その目的は、これらの壁部の最終的な組立てに必要な製造作業、例えばカウンタードリル作業やネジ又はリベットの設置を行うことにある。
【0077】
ネジやリベットにより壁部の組立て機能が確保されると、仮締結具はその名の通り取り外される。
【0078】
仮締結具は、壁の最初の相対的な位置決めの後、壁に開けられた穴に配置される。
【0079】
仮締結具は、一方の壁の片側へのアクセスがあればよい。
【0080】
このような機能モジュールは、特に、本出願人が出願した特許文献1~5に記載されている。
【0081】
本装置は、タスクを実行するために、様々な装着モジュールをスピンドル7に整列させて配置することを可能にする手段12を備える。これらの手段は、例えば、回転ラック、カートリッジベルト等を含む。
【0082】
<カメラ機能モジュール>
マルチタスク装置はカメラモジュール8を備える。
【0083】
カメラモジュール8は、外側管状部81と、外側管状部81内で並進移動可能に設けられた内側管状部82とを備える。内側管状部82は、カメラモジュールの可動部材からなる。
【0084】
内側管状部82は、スピンドル7側に向いた端部821と、カメラ83が搭載された反対側の端部822とを有する。
【0085】
カメラ83は、自動焦点がなく、或る被写界深度を有するカメラである。この被写界深度は、カメラのレンズの延長線上に位置する互いに平行で間隔を置いた2つのシャープネス面によって範囲が定められる。この2つのシャープネス面の間に位置する物体の、カメラによる撮影画像は鮮明である。
【0086】
カメラ83は少なくとも、
カメラ83が単一スピンドル7の軸線の延長線上にない収納位置(
図2参照)と、
カメラ83が単一スピンドル7の軸線上にある中間位置(
図3参照)と
の間で移動可能に取り付けられている。
【0087】
この実施形態において、カメラ83は、収納位置と中間位置との間で、単一スピンドル7の移動軸線に直交する軸線に沿って並進移動可能に取り付けられる。カメラは、収納位置においては、スピンドルの軸線に関して横方向にオフセットして置かれる。
【0088】
この目的のために、マルチタスク装置は、カメラ83を収納位置と中間位置との間で並進運動できるようにガイド及び駆動する手段9を備える。
【0089】
カメラの並進運動をガイド及び駆動する手段9は、単一スピンドル7の軸線に直交する軸線へのスライド接続によりフレーム2に接続されたカメラ支持プレート91を備える。
【0090】
外側管状部81は、カメラ支持プレート91に埋め込まれて接続される。
【0091】
プレート91には穴92が設けられている。この穴92は、カメラ83が収納位置にあるときに単一スピンドル7が通ることができるようになっている。
【0092】
並進運動のガイド及び駆動をする手段9はアクチュエータを備える。この実施形態では、アクチュエータはシリンダ93である。プレート91は、シリンダ93のロッド931の端部に設けられたピン94により連結されており、プレートが一方向又は他方向に移動できるように動かすことができる。このシリンダ93により、カメラ83を収納位置と中間位置との間で移動させることができる。
【0093】
カメラ83は少なくとも、
中間位置と、
カメラの被写界深度内に作業対象の構造体の表面が位置する焦点合わせ位置と
の間でスピンドル7の軸線に沿って並進移動可能に取り付けられる。
【0094】
スピンドル7は、カメラ83を中間位置と焦点合わせ位置の間で移動できるように、カメラ83に作用することができる。この目的のために、本装置は、スピンドル7とカメラ83とをスピンドルの軸線に沿って並進連結する連結手段10を備える。
【0095】
内側管状部82は、スピンドル7側の端部821を有する。この端部821は第1の連結手段を備え、その形状はスピンドル7の端部に配置された第2の連結手段と相補的である。これらの連結手段は、例えばボールエキスパンダ型等であってもよい。
【0096】
これらの第1の連結手段及び第2の連結手段により、スピンドル7がその軸線に沿って内側管状部82を外側管状部81内で並進駆動させることができるように、単一のスピンドル7と内側管状部82を並進接続することが可能になる。その際、スピンドルは、内側管状部82により支持されているカメラ83を移動させる。
【0097】
このような連結手段は、特に、本出願人が出願した特許文献1~5に記載されている。
【0098】
カメラの端部はLEDストリップ830で囲まれていてもよい。
【0099】
<カメラを制御し、カメラが撮影した画像を分析する手段>
本装置は、カメラ83を制御し、カメラ83により撮影された画像を分析する手段40を備える。このような制御及び分析手段40は、当業者にはそれ自体知られており、したがって詳細に説明しない。本発明の範囲において、これらの手段は、それでもなお、以下に詳細に説明する或る特定の機能を果たすように構成されている。
【0100】
<作業対象の構造体に関して本装置の位置、特に表面上のマークに対するスピンドルの軸線と表面との交点の正しい位置を判定し、制御すること>
作業対象の構造体に対してタスクを行うために、マルチタスク装置を作業対象の構造体に関して、タスクを行う必要がある正確な位置に予め位置決めしておく必要がある。
【0101】
作業対象の構造体の表面には、ペイントライン等、テンプレート、マーカ穴等の、穿孔位置を特定できるように作られた視覚的なマークを設けてもよい。これらのマークがマーキング要素を構成する。
【0102】
この場合、制御及び分析手段40は、装置が接近位置にあるときに、作業対象の構造体の表面における斯かるマーキング要素の存在を検出し、カメラにより連続して撮影された画像においてそれらの位置を分析し、そこからマーキング要素、したがって作業対象の構造体に対するマルチタスク装置の相対的位置を推定することができる。
【0103】
こうして、作業対象の構造体に対する装置の相対的位置が考慮され、マルチタスク装置を作業対象の構造体に関して適切に配置するために、ハンドリング手段が制御される。
【0104】
より正確には、作業を正確に行うためには、マーキング要素に対してスピンドルの軸線を適切に配置することが求められる。したがって、制御及び分析手段は、マルチタスク装置の、作業対象の構造体に対する位置決めを推定することを可能にするだけでなく、特に作業対象の構造体に関してスピンドルの軸線の位置を特定することも可能にする。この位置が正しくなく、所望の位置に関して許容できない偏差がある場合、制御手段は、スピンドルの軸線が作業対象の構造体に対して適切に位置決めされるまで、装置を表面に平行な方向に移動させることで、この位置を修正できるようハンドリング手段を制御する。
【0105】
<作業対象の構造体に関して本装置の望ましくない動きの検出>
吸引カップ51を備える本発明による装置を作業対象の構造体に固定する際、本装置は作業対象の構造体の表面側から接近し、吸引カップ51が作業対象の構造体の表面に付けられた後に内部に真空が形成される。押圧要素6が設けられている場合、押圧要素6はその後、作業対象の構造体の表面に押圧される。こうして、作業対象の構造体に対する本装置の固定が完了する。この固定の目的は、作業対象の構造体に関して装置の位置を正確に保つことである。
【0106】
したがって、この固定段階の間、特に、吸引カップ51の真空の生成と、作業対象の構造体の表面に押圧要素6が付けられる間、精度と品質の理由から、本装置は作業対象の構造体に対して固定された状態のままであるべきである。この図面において、制御及び分析手段40は、固定及び/又は位置決め手段によって本装置が作業対象の構造体の表面に固定されているときに及び/又は表面に関して位置決めされているときに、作業対象の構造体の表面に関する本装置の望ましくない動きを検出することができる。
【0107】
好ましくは、制御及び分析手段40は、作業対象の構造体の表面に対して略平行な本装置の望ましくない動きを検出することができる。
【0108】
作業対象の構造体の表面には、凹凸、シミ、素材のフレーム等、或る特定の視覚的な不均質性がある可能性がある。これらの不随意で視覚的な不均質性は、作業対象の構造体の表面における特異点を構成する。
【0109】
特定の実施形態によれば、制御及び分析手段40は、作業対象の構造体の表面において斯かる特異点を識別し、カメラ83によって撮影された連続画像におけるそれらの動きを監視し、そこから作業対象の構造体の表面に関して本装置の望ましくない動きを推定することができる。換言すれば、制御手段40は、作業対象の構造体に本装置を固定している間、作業対象の構造体の表面の画像を連続的に撮影できるようカメラ83を制御する。分析手段40は、固定中に撮影された連続画像を比較し、特異点の動きを検出し、又は検出せず、それに基づいて本装置の固定中に本装置が作業対象の構造体に対して動いているか、又は動いていないかを推定することができる。
【0110】
代替的又は追加的に、作業対象の構造体の表面に設けられたマーキング要素は、作業対象の構造体への固定中に、表面に対する本装置の望ましくない動きを検出するためにも使用することができる。
【0111】
これら2つの代替の実施形態において、また、装置が作業対象の構造体に固定する手段を備えずに位置決め手段のみを備える場合、制御及び分析手段40は、それでもなお、特に押圧要素が表面に付けられるとき及び/又は作業を実行するときに、作業対象の構造体に関して本装置の望ましくない動きを検出することができる。
【0112】
<穴又は皿穴の態様の制御>
1つの実施形態では、制御及び分析手段40は、穿孔モジュールによって形成された穴又は皿穴の態様を制御し、予め設定された視覚的な品質基準に関してその適合性を検証することができる。
【0113】
換言すれば、穿孔作業及び/又は皿もみ作業が完了した後、制御手段40は、作業対象の構造体に形成された穴及び/又は皿穴の少なくとも1つの画像を撮影するようにカメラ83を制御する。分析手段40は、この少なくとも1つの画像を、期待される品質レベルに対応する態様を有する穴及び/又は皿もみを表わす少なくとも1つの基準画像と比較し、それに基づいて、形成された穴及び/又は皿もみが適合しているかどうかを推定することができる。複数のレベルで穴及び/又は皿もみの態様を制御するために、制御手段は、カメラのシャープネス面を少なくとも部分的に穴の軸線に沿って移動させるべく、単一スピンドルの軸線に沿ったカメラの移動を制御することができる。
【0114】
<リベットの頭部からはみ出たマスチックの花冠状部分の態様の制御>
本発明による本装置は、作業対象の構造体に設けられた穴にリベットを取り付けるために実装することができる。リベットは一般に、封止マスチックでコーティングされた後に取り付けられる。コーティングは、例えば、リベットの本体にマスチックの螺旋ビード又は平行ビードを塗布することと、リベットの本体と頭部との間の接合部にマスチックの花冠状部分を塗布することからなる。
【0115】
したがって、1つの実施形態によれば、制御及び分析手段40は、リベットを設置するモジュールによって設置されたリベットの頭部から側方に突出するマスチックの花冠状部分の態様を制御し、その適合性を証明するリベットの頭部周りのその正しい連続性を検証することができる。
【0116】
換言すれば、マスチックの少なくとも1つの花冠状部分によりコーティングされたリベットを取り付ける作業が行われた後、制御手段40は、作業対象の構造体に設置されたリベットの頭部の少なくとも1つの画像を撮影できるようにカメラ83を制御する。分析手段は、この少なくとも1つの画像を、リベットの頭部から一様に連続的に適切に突出した花冠状部分を表わす少なくとも1つの基準画像と比較し、そこから、リベットの頭部における封止が適合しているか又は適合していないかを推定することができる。
【0117】
<作業対象の構造体に対するスピンドルの直交性の制御>
本発明による装置で行うことができる様々なタスクを最適に行うためには、タスクを行う前に、作業対象の構造体の表面に対してスピンドルが実際に直交しているように制御できることが好ましい。
【0118】
したがって、1つの実施形態では、本装置は、作業対象の構造体の表面に対するスピンドルの直交性を制御する手段を備える。
【0119】
直交性を制御する手段は、好ましくは、表面に所定のパターンを投影する手段を備える。好ましくは、これらの投影手段は、フレーム2に固定され、形成される穴の領域において構造体上に半径を投影することができる2つ又は3つのレーザ11を備える。
【0120】
制御及び分析手段40は、投影手段により作業対象の構造体の表面に投影されたパターンの少なくとも1つの画像を撮影することができ、そこから必要に応じて、パターンを分析し、表面に関して単一スピンドル7の正確性の欠如を推定することができる。
【0121】
直交性の欠陥が検出された場合、本装置のコントローラ40は、スピンドル7の軸線が作業対象の構造体の表面に直交した状態となるまで、直交性が修正できるようハンドリング手段を制御する。
【0122】
6.2.作業
作業対象の構造体に対してタスクを実行するために、まず、タスクを実行しなければならない構造体の場所までマルチタスク装置を移動させるハンドリング手段が実装される。
【0123】
マルチタスク装置は、処理対象の構造体の表面から或る特定の距離を置いた接近位置に配置される。
【0124】
カメラは中間位置に移動し、スピンドルに連結される。
【0125】
スピンドル17は、内側管状部82を移動させることでカメラを焦点合わせ位置に配置できるように、その軸線に沿って移動させられる。
【0126】
スピンドルがカメラを適切な焦点合わせ位置に配置するために、制御手段は、スピンドルがカメラの中間位置からみた、カメラを支持する内側管状部82に伝えるべき動きを計算しなければならない。
【0127】
この目的のために、制御手段は以下を考慮する。
・カメラのシャープネス面と、後退位置にある内側管状部82の基準面との間の距離。この距離は予め決められており、カメラ及びモジュールへのカメラの統合によって異なる。
・内側管状部82が後退位置にあるときの、構造体の表面と管状部82の同じ基準表面との間の距離。この距離は、エフェクタが接近位置にあるか、構造体上にドッキングされているか、又は撮影すべき画像が表面上にあるか穴の中にあるかによって変わり得る。
【0128】
その結果、エフェクタを制御する手段は、モジュールに伝達すべき動きを、2つの先行距離の差として計算する。
【0129】
制御及び分析手段40は、作業対象の構造体に関して本装置の適切な位置決めを確実にするために、特に作業対象の構造体に関してスピンドルの軸線を適切に配置するために、カメラ83を使用して、作業対象の面の画像を撮影し、これらの画像において、ハンドリング手段を制御するためのマーキング要素を検出する。
【0130】
続いて、レーザ11が作業対象の構造体の表面に所定のパターンを投影し、制御及び分析手段40がカメラ83を制御して、投影されたパターンの少なくとも1つの画像を撮影する。分析手段は、カメラによって撮影された(複数の)画像を分析し、そこからスピンドルの軸線が表面に直交しているかどうかを推定する。直交していない場合、制御手段は、スピンドルの軸線が表面に直交する状態となるまでスピンドルの直交性を修正するようにハンドリング手段に作用する。
【0131】
本装置の位置(特にスピンドルの軸線)とスピンドルの直交性が正しい状態となると、本装置は表面に垂直な方向に向かってドッキング位置に移動する。
【0132】
固定手段、例えば吸引カップは、必要に応じて、フレームを作業対象の構造体に固定する。
【0133】
固定中、押圧要素は、必要に応じて、作業対象の構造体の表面に押し付けられる。
【0134】
固定中にエフェクタが表面に対してスライドしないように制御するために、カメラモジュールはスピンドルによって表面上の新しい焦点合わせ位置に移動させられる。
【0135】
この固定中、制御及び分析手段は、固定中にカメラによって撮影された画像の比較から、作業対象の面の特異点が1つの画像から別の画像に移動したかどうかを判定することによって、作業対象の構造体の表面に対して本装置が移動したかどうかを検証する。移動した場合、固定手段は解除され、本装置の位置を修正するためにハンドリング手段が実装された後に、作業対象の構造体への本装置の固定を再び実行する。
【0136】
固定手段が実装されていない場合、表面に関するフレームの位置の保持は、ハンドリング手段によって実行される。この場合、制御及び分析手段は、各タスクを行う際に、本装置が作業対象の構造体に関してスライドしたかどうかをチェックする。
【0137】
本装置が適切に位置決め及び/又は固定されると、カメラは中間位置に配置された後に、スピンドルから切り離されて収納位置に配置される。
【0138】
実行したい作業に対応するモジュールがスピンドルの軸線上に配置され、スピンドルに連結される。
【0139】
スピンドルは、その後、例えば、穿孔及び/又は皿もみ、コーティングされたリベット又はコーティングされていないリベットの設置、仮締結具の設置等の所望の作業を行うために、移動させられる。
【0140】
作業が実行されると、スピンドルは機能モジュールから切り離され、機能モジュールはスピンドルの軸線上に位置しないように移動させられる。
【0141】
カメラは中間位置に移動させられた後に、スピンドルに連結される。
【0142】
その後、制御手段はカメラを焦点合わせ位置に移動させ、分析手段は、例えば穴の品質及び/又は皿穴の品質又はリベットの頭部における封止の品質等、行われた作業の品質を制御することができる。行われた作業が適合しているか否かの情報はコントローラに記録される。
【0143】
他のタスクは、その後、同じ場所で(例えば、穴へのリベットの挿入)、又は作業対象の構造体の別の場所で実行することができる。
【国際調査報告】