(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H10K 39/12 20230101AFI20250107BHJP
H10K 39/38 20230101ALI20250107BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20250107BHJP
H10K 30/87 20230101ALI20250107BHJP
【FI】
H10K39/12
H10K39/38
H10K30/40
H10K30/87
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534665
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022129470
(87)【国際公開番号】W WO2023116224
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111603126.4
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼国▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】林▲維▼▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼召▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】王燕▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】郭文明
(72)【発明者】
【氏名】郭永▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲碩▼▲劍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲長▼松
(72)【発明者】
【氏名】欧▲陽▼楚英
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251BA05
5F251CB13
5F251DA20
5F251EA03
5F251EA10
5F251EA16
5F251FA03
5F251FA04
5F251HA20
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251XA01
(57)【要約】
本願は、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び電力消費装置に関する。太陽電池は、電気的に接続される複数のサブセルと、隣接する2つのサブセルの間に設けられるデッドゾーンと、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられ、デッドゾーンに照射される入射光を反射するための反射部と、反射部のデッドゾーンから離れる側に設けられ、反射部により反射された入射光をサブセルの表面に反射し、入射光を電気エネルギーに変換するためのパッケージングモジュールと、を含む。本願の実施例の太陽電池によれば、太陽電池の光電変換効率を効果的に高めることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続される複数のサブセルと、
隣接する2つの前記サブセルの間に設けられるデッドゾーンと、
前記デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられ、前記デッドゾーンに照射される入射光を反射するための反射部と、
前記反射部の前記デッドゾーンから離れる側に設けられ、前記反射部により反射された前記入射光を前記サブセルの表面に反射して、前記入射光を電気エネルギーに変換するためのパッケージングモジュールと、
を含む太陽電池。
【請求項2】
前記反射部は、前記デッドゾーンの前記パッケージングモジュールに向かう全ての表面を覆う請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記反射部は、前記デッドゾーンから離れるように突出する円弧状凸面を有する請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項4】
複数の前記サブセルは、いずれも対向して設けられる2つの端部を含み、
前記デッドゾーンは主体部及び凹み部を含み、前記主体部は、隣接する2つの前記サブセルの前記端部を接続し、前記凹み部は、前記主体部に対して凹んで形成され、前記反射部は、前記主体部及び/又は前記凹み部に設けられる請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記反射部は本体部及び延伸部を含み、前記本体部は、前記凹み部に設けられ、前記延伸部は、前記主体部の前記パッケージングモジュールに向かう表面から突出する請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記延伸部の部分は、前記主体部の前記パッケージングモジュールに向かう表面に位置する請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記主体部は、
第1の電極層と、
前記第1の電極層の表面に位置する第1の光電部と、前記第1の光電部と前記第1の電極層を接続する第2の光電部と、を含む光電変換モジュールと、
前記第1の光電部の前記第1の電極層と離反する表面に位置する第1の電極部と、前記第1の電極部と前記第1の電極層を接続する第2の電極部と、を含む第2の電極層と、を含み、前記凹み部は、少なくとも前記第1の電極部を貫通する請求項4に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記光電変換モジュールは、少なくとも前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に位置する光電変換層を含み、
前記光電変換モジュールは、前記光電変換層と前記第2の電極層との間に位置する電子輸送層を更に含み、及び/又は、
前記光電変換モジュールは、前記光電変換層と前記第1の電極層との間に位置する正孔輸送層を更に含む請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の太陽電池を含む光起電力モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の光起電力モジュールを含む電力消費装置。
【請求項11】
電気的に接続される複数のサブセルであって、隣接する2つの前記サブセルの間にデッドゾーンが設けられる複数のサブセルを提供することと、
前記デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられる反射部を提供することと、
前記反射部の前記デッドゾーンから離れる側に設けられるパッケージングモジュールを提供することと、
を含む太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられる反射部を提供することは、
充填又はスプレーコーティングの手段を採用して前記反射部を前記デッドゾーンの少なくとも一部の表面に塗布することを含む請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年12月24日に提出された、名称が「太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び電力消費装置」である中国特許出願202111603126.4の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池生産の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する光電変換デバイスであり、優れた光電性質を有し、製造方法が簡単であり、光起電力発電に新たな空間と希望をもたらしている。
【0004】
太陽電池の生産過程で、如何にその光電変換効率を更に高めるかは、早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
本願は、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール及び電力消費装置を提供し、太陽電池の光電変換効率を高めることを旨とする。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は、太陽電池を提供し、太陽電池は、電気的に接続される複数のサブセルと、隣接する2つのサブセルの間に設けられるデッドゾーンと、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられ、デッドゾーンに照射される入射光を反射するための反射部と、反射部のデッドゾーンから離れる側に設けられ、反射部により反射された入射光をサブセルの表面に反射して、入射光を電気エネルギーに変換するためのパッケージングモジュールと、を含む。
【0007】
上記技術的解決手段において、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に反射部を設けることで、デッドゾーンに照射される入射光は、反射部の反射作用により、パッケージングモジュールに反射され、更にパッケージングモジュールは入射光をサブセルの表面に反射し、サブセルがこの部分の光を利用して光電変換を行うことができ、更に太陽電池の光電変換効率を高める。
【0008】
幾つかの実施例において、反射部は、デッドゾーンのパッケージングモジュールに向かう全ての表面を覆う。本願の実施例において、反射部がデッドゾーンのパッケージングモジュールに向かう全ての表面を覆うことで、デッドゾーンに照射される入射光が反射部により反射可能であり、デッドゾーンに照射される入射光が十分に利用され、更に太陽電池の光利用率が高められる。
【0009】
幾つかの実施例において、反射部は、デッドゾーンから離れるように突出する円弧状凸面を有する。本願の実施例において、円弧状凸面は光の発散率を高めることができ、入射光が異なる反射経路に沿ってパッケージングモジュールに反射され、パッケージングモジュールにより反射された後にデッドゾーンに再度反射される入射光の量を減らすことができる。
【0010】
幾つかの実施例において、サブセルは、対向して設けられる2つの端部を含み、デッドゾーンは主体部及び凹み部を含み、主体部は、隣接する2つのサブセルの端部を接続し、凹み部は、主体部に対して凹んで形成され、反射部は、主体部及び/又は凹み部に設けられる。本願の実施例において、反射部が主体部及び/又は凹み部に設けられることで、デッドゾーンに照射される入射光を効果的に反射することができる。
【0011】
幾つかの実施例において、反射部は本体部及び延伸部を含み、本体部は、凹み部に設けられ、延伸部は、主体部のパッケージングモジュールに向かう表面から突出する。本願の実施例において、本体部が凹み部に設けられることで、外部の水蒸気及び酸素がサブセルに侵入することを遮断することができ、延伸部が主体部から突出することで、入射光を受ける面積を大きくし、光の利用率を高めることができる。
【0012】
幾つかの実施例において、延伸部の部分は、主体部のパッケージングモジュールに向かう表面に位置する。本願の実施例において、入射光を反射可能な面積が更に増加し、光の利用率を更に高めることができる。
【0013】
幾つかの実施例において、主体部は、第1の電極層と、第1の電極層の表面に位置する第1の光電部と、第1の光電部と第1の電極層を接続する第2の光電部と、を含む光電変換モジュールと、第1の光電部の第1の電極層と離反する表面に位置する第1の電極部と、第1の電極部と第1の電極層を接続する第2の電極部と、を含む第2の電極層と、を含み、凹み部は、少なくとも第1の電極部を貫通する。このような構造形態の製造プロセスが簡単であり、コストが低い。
【0014】
幾つかの実施例において、光電変換モジュールは、少なくとも第1の電極層と第2の電極層との間に位置する光電変換層を含み、光電変換モジュールは、光電変換層と第2の電極層との間に位置する電子輸送層を更に含み、及び/又は、光電変換モジュールは、光電変換層と第1の電極層との間に位置する正孔輸送層を更に含む。本願の実施例において、電子輸送層及び/又は正孔輸送層を設けることで、正孔と電子の結合を減らし、光電変換効率を高めることができる。
【0015】
第2の態様では、本願の実施例は、本願の第1の態様の実施例による太陽電池を含む光起電力モジュールを更に提供する。
【0016】
第3の態様では、本願の実施例は、本願の第2の態様の実施例による光起電力モジュールを含む電力消費装置を更に提供する。
【0017】
第4の態様では、本願の実施例は、太陽電池の製造方法を更に提供し、この方法は、電気的に接続される複数のサブセルであって、隣接する2つのサブセルの間にデッドゾーンが設けられる複数のサブセルを提供することと、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられる反射部を提供することと、反射部のデッドゾーンから離れる側に設けられるパッケージングモジュールを提供することと、を含む。
【0018】
本願の実施例の製造方法で製造された太陽電池では、反射部及びパッケージングモジュールを設けることで、デッドゾーンに照射される入射光を反射した後にサブセルに照射することができ、サブセルがこの部分の光を利用して光電変換を行うことができ、更に太陽電池の光電変換効率を高める。
【0019】
幾つかの実施例において、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられる反射部を提供することは、充填又はスプレーコーティングの手段を採用して反射部をデッドゾーンの少なくとも一部の表面に塗布することを含む。この製造方法は比較的簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に説明される図面は、本願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力をすることなく、図面に基づいて更に他の図面を得ることができる。
【
図1】本願の幾つかの実施例により提供される車両の構造模式図である。
【
図2】本願の幾つかの実施例により提供される光起電力モジュールの模式的ブロック図である。
【
図3】本願の幾つかの実施例により提供される太陽電池の構造模式図である。
【
図4】
図3に示される太陽電池のデッドゾーンの拡大構造模式図である。
【
図5】
図3に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【
図6】本願の別の実施例により提供される太陽電池の構造模式図である。
【
図7】
図6に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【
図8】
図6に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の別の拡大構造模式図である。
【
図9】本願の更に別の実施例により提供される太陽電池の構造模式図である。
【
図10】
図9に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【
図11】本願の幾つかの実施例により提供される太陽電池の製造方法のフロー模式図である。
【
図12】本願の別の実施例により提供される太陽電池の製造方法のフロー模式図である。
【0021】
図面部分において、図面は、必ず実際の縮尺に応じて描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明する。説明される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことが明らかである。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な努力をすることなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0023】
別途定義されていない限り、本願において使用される全ての技術用語と科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じである。本願の明細書において使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限することを意図するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」をカバーすることを意図するものである。本願の明細書、特許請求の範囲や上記図面における「第1」、「第2」などの用語は、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではない。
【0024】
本願において「実施例」と言及する場合、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所に記載されているこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互排他的に独立した又は代替的な実施例でもない。
【0025】
本願の記述において、特に明記・限定されていない限り、「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「結び付ける」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよいことを説明しておく。当業者であれば、具体的な状況に応じて、上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、3つの関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBという3つのケースを表すことができる。また、本願における文字「/」は、一般的には前後の関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0027】
本願の実施例において、同一の符号は同一の部材を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の部材に対する詳細な説明を省略する。図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さや幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さや幅などの寸法は、例示的なものに過ぎず、本願に対して何らかの限定を加えるものではないことを理解されたい。
【0028】
本願における「複数」とは、2つ以上(2つを含む)を意味する。
【0029】
本願の実施例において、太陽電池は、光起電力効果を理論基礎とし、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する光電変換デバイスである。光電変換デバイスには、異なる材料が採用され、異なる材料の擬フェルミ準位の差異によって、光電変換デバイスの内部に内蔵電界が形成される。光照射下で、エネルギーの大きい光子が吸収され、且つ光生成キャリア(電子・正孔ペア)が励起され、電荷のタイプが異なるため、電子と正孔は内蔵電界の作用により逆の方向へドリフトし、電子が負極へ移動し、正孔が正極へ移動することにより、正負極の間に電位差が形成され、電流が発生する。
【0030】
大面積の太陽電池の場合、必要とされる電圧及び電流出力を取得するために、スクライビングの手段により複数のサブセルを取得する。例えば、レーザ又は機械的スクライビングの手段により第1のスクライビング、第2のスクライビング、第3のスクライビングを行うことにより、太陽電池の分割と電気的接続(例えば直列接続)を実現する。スクライビングのプロセスの流れは以下の通りである。基板に第1の電極層を形成する。スクライビングして第1の透かし彫り部を形成し、各サブセルの分割を完了する。第1の電極層の基板と離反する側に光電変換モジュールを形成し、スクライビングして第2の透かし彫り部を形成し、各サブセルの間の直列接続されるチャンネルのスクライビングを完了する。光電変換モジュールの基板と離反する側に第2の電極層を形成し、スクライビングして第3の透かし彫り部を形成し、第2の電極層の分割を完了する。
【0031】
太陽電池は、複数のサブセル及び複数のデッドゾーンを含む。デッドゾーンは、2つのサブセルの間、即ち第1の透かし彫り部から第3の透かし彫り部までの間の領域に設けられ、且つこの領域に位置する第1の電極層、光電変換モジュール及び第2の電極層を含む。サブセルはアクティブ領域を含み、アクティブ領域とは、光を効果的に利用して光電変換を行うことができる領域を指し、例えば各サブセルが光電変換を行うことができる領域である。デッドゾーンは光を利用することができず、光の無駄が招かれる。
【0032】
太陽電池の分野において、光電変換効率を採用して太陽電池の性能の優劣を評価し、光電変換効率が高いほど、太陽電池の性能が良くなる。デッドゾーンが小さいほど、光を利用できない領域が少なくなり、光電変換効率が高められる。
【0033】
発明者は、光電変換効率を高めるために、デッドゾーンの面積を縮小することで光のデッドゾーンにおける損失を減らす方法を考慮したが、プロセスによって制限されるため、デッドゾーンの面積が無限に縮小できず、デッドゾーンの面積が顕著に小さくなれず、光電変換効率が顕著に向上できないことを見出した。
【0034】
発明者が見出した上記問題に基づき、発明者は、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に、デッドゾーンに照射される入射光を反射するための反射部を設け、反射部のデッドゾーンから離れる側に、反射部により反射された入射光をサブセルの表面に反射するためのパッケージングモジュールを設けるという技術的解決手段を提案した。反射部及びパッケージングモジュールを設けることで、デッドゾーンに照射される入射光を反射した後にサブセルに照射して、入射光を電気エネルギーに変換することができる。このような構造を有する太陽電池は、光電変換効率が顕著に向上することができ、その信頼性と安定性が顕著に改善される。
【0035】
本願の実施例に記載の技術的解決手段は、太陽電池を含む光起電力モジュール及び光起電力モジュールを使用した電力消費装置に適用される。
【0036】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、船、宇宙航空機、電気玩具や電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルや宇宙船などを含み、電気玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電気推進船玩具や電気飛行機玩具などの固定型又は移動型の電気玩具を含み、電動工具は、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマー、電動インパクトドリル、コンクリート振動機や電動カンナなどの金属切削電動工具、研磨電動工具、実装電動工具と鉄道用電動工具を含む。本願の実施例において、上記電力消費装置について特に制限しない。
【0037】
以下の実施例において、説明しやすくするために、電力消費装置が車両である場合を例として説明する。
【0038】
図1は、本願の幾つかの実施例により提供される車両の構造模式図である。
図1に示すように、車両1の内部に光起電力モジュール2が設けられており、光起電力モジュール2は、車両1の頂部又は前部又は後部に設けられてもよい。光起電力モジュール2は、車両1に給電するために用いることができ、例えば、光起電力モジュール2は、車両1の動作電源とすることができる。
【0039】
車両1は、コントローラ3とモータ4を更に含んでもよく、コントローラ3は、光起電力モジュール2がモータ4に給電するように制御するために用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーションと走行時の作動電力のニーズに応えるために用いられる。
【0040】
図2は、本願の幾つかの実施例により提供される光起電力モジュールの模式的ブロック図である。
図2に示すように、光起電力モジュール2は太陽電池5を含む。太陽電池5は1つであってもよく、複数であってもよい。太陽電池5が複数である場合、複数の太陽電池5の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、複数の太陽電池5に直列接続も並列接続も含まれることを意味し、高い電圧と容量を提供することができる。
【0041】
図3は、本願の幾つかの実施例により提供される太陽電池の構造模式図であり、
図4は、
図3に示される太陽電池のデッドゾーンの拡大構造模式図であり、
図5は、
図3に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【0042】
図3~
図5に示すように、本願の実施例により提供される太陽電池5は、複数のサブセル6、デッドゾーン7、反射部54及びパッケージングモジュール55を含む。複数のサブセル6の間は電気的に接続される。デッドゾーン7は、隣接する2つのサブセル6の間に設けられる。反射部54は、デッドゾーン7の少なくとも一部の表面に設けられ、デッドゾーン7に照射される入射光を反射するために用いられる。パッケージングモジュール55は、反射部54のデッドゾーン7から離れる側に設けられ、反射部54により反射された入射光をサブセル6の表面に反射して、入射光を電気エネルギーに変換するために用いられる。
【0043】
太陽電池5は複数のサブセル6を含み、複数のサブセル6の間は、直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、複数のサブセル6に直列接続も並列接続も含まれることを意味する。太陽電池5では、複数のサブセル6を設けることで、太陽電池5の電圧と容量などの性能を高めることができる。
【0044】
太陽電池5において複数のサブセル6を作製する過程で、デッドゾーン7が形成される。デッドゾーン7は、太陽電池5の厚さ方向Xにおいて互いに対向する2つの表面を含み、そのうちの1つの表面はパッケージングモジュール55に向かって設けられ、別の表面はパッケージングモジュール55と離反するように設けられる。
図3における符号7で示される領域はデッドゾーンを表し、Xは厚さ方向を表す。
【0045】
反射部54は、反射性能を有する部材を指し、換言すれば、外部光線が反射部54に入射した場合、反射部54は入射光を反射することができる。隣接する2つのサブセル6の間に短路が発生することを回避するために、反射部54は絶縁性を同時に有する必要があり、それにより隣接する2つのサブセル6を隔てる。具体的に、反射部54は、絶縁部材の表面に反射層を塗布して製造されてもよく、絶縁性能を有する反射材料を直接採用して製造されてもよい。例示的に、反射層及び反射材料は、反射粉末、二酸化チタン、ガラス微小球粉末及び絶縁反射ワイヤのうちの少なくとも1つで製造されてもよい。
【0046】
反射部54は、デッドゾーン7の少なくとも一部の表面に設けられ、反射部54をデッドゾーン7のパッケージングモジュール55に向かう一部の表面に設けてもよく、反射部54をデッドゾーン7のパッケージングモジュール55に向かう全ての表面に設けてもよい。
【0047】
パッケージングモジュール55は、サブセル6をパッケージングして完成品を形成するために用いられる。パッケージングモジュール55は、一定の反射性能を有し、反射部54が入射光をパッケージングモジュール55に反射した場合、パッケージングモジュール55は当該入射光を反射し続けて、一部の入射光をサブセル6の表面に反射し、サブセル6がこの部分の光線を利用し続けることができ、太陽電池5の光利用率が高められる。
【0048】
幾つかの実施例において、パッケージングモジュール55は、接着膜551及びカバープレート552を含むことができ、接着膜551は、接着性を有し、サブセル6の光電変換モジュールとカバープレート552を接着することができる。接着膜551及びカバープレート552のうちの少なくとも1つは、反射性能を有し、光線を反射し、光の利用率を高めることができる。例示的に、接着膜551は、エチレン酢酸ビニルコポリマー(Ethylene-vinyl Acetate Copolymer,EVA)接着膜であってもよい。カバープレート552としては、ガラス製カバープレートなどを採用することができる。選択的に、パッケージングモジュール55は、シール部材などの他の部材を更に含むことができる。
【0049】
本願の実施例において、デッドゾーン7の少なくとも一部の表面に反射部54が設けられ、デッドゾーン7に照射された入射光が反射部54の反射作用によりパッケージングモジュール55に反射され、更にパッケージングモジュール55は一部の入射光をサブセル6の表面に反射し、サブセル6がこの部分の光を利用して光電変換を行うことができ、更に太陽電池5の光電変換効率を高める。
【0050】
幾つかの実施形態において、反射部54は、デッドゾーン7の前記パッケージングモジュール55に向かう全ての表面を覆い、デッドゾーン7に照射される入射光が反射部54により反射可能であり、デッドゾーン7に照射される入射光が十分に利用され、更に太陽電池5の光利用率を高めることができる。
【0051】
反射部54のパッケージングモジュール55に向かう表面は、平面であってもよく、曲面であってもよく、具体的なプロセス要求に応じて設けることができ、本願の実施例においてこれに対して限定しない。
【0052】
図3~
図5を参照し続け、幾つかの実施形態において、反射部54は、デッドゾーン7から離れるように突出する円弧状凸面541を有し、円弧状凸面541は光の発散率を高めることができ、入射光が異なる反射経路に沿ってパッケージングモジュール55に反射され、パッケージングモジュール55により反射された後にデッドゾーン7に再度反射される入射光の量を減らすことができる。
【0053】
図3~
図5を参照し続け、幾つかの実施形態において、サブセル6は、対向して設けられる2つの端部61を含む。デッドゾーン7は主体部71及び凹み部72を含み、主体部71は、隣接する2つのサブセル6の端部61を接続し、凹み部72は、主体部71に対して凹んで形成され、反射部54は主体部71及び/又は凹み部72に設けられ、デッドゾーン7に照射される入射光を効果的に反射することができる。
【0054】
図3~
図5に示されるサブセル6の2つの端部61は、第1の方向Yに沿って対向して設けられる。例示的に、複数のサブセル6は、少なくとも第1のサブセル及び第2のサブセルを含む。デッドゾーン7の主体部71は、第1のサブセルの端部と第2のサブセルの端部を接続する。デッドゾーン7の凹み部72は、主体部71に対して基板50の方向へ凹んで形成され、凹み部72は、第2のサブセルの端部に接近して設けられる。
図3に示されるY方向は、第1の方向を表し、第1の方向Yは、厚さ方向Xに垂直である。
【0055】
幾つかの例において、凹み部72内に反射部54を設けることができる。
【0056】
デッドゾーンの凹み部の存在によって、外部の水蒸気及び酸素は、デッドゾーン、特に凹み部を介してサブセルを酸化腐食することができ、太陽電池の性能が悪化してしまい、且つその信頼性と安定性が低下する。これに対して、本願の実施例において、凹み部72に反射部54を設け、反射部54は一定の遮断作用を発揮し、ある程度で外部の水蒸気及び酸素が凹み部72を介してサブセル6の内部に侵入するリスクを低減することができ、太陽電池5の信頼性と安定性が高められる。また、外部の入射光は、凹み部72に位置する反射部54により反射され、更にパッケージングモジュール55によりサブセル6に反射されることができ、光の利用率が高められ、光電変換効率が更に高められる。
【0057】
別の例において、デッドゾーン7の主体部71のパッケージングモジュール55に向かう表面に反射部54を設けることができ、この部分に照射された入射光を反射し、光の利用率を高めることができる。
【0058】
更に別の例において、凹み部72内に反射部54が設けられ、且つデッドゾーン7の主体部71のパッケージングモジュール55に向かう表面に反射部54が設けられることで、外部の水蒸気及び酸素がサブセル6に侵入することを防止することができるだけでなく、光の利用率を高めることもできる。
【0059】
図6は、本願の別の実施例により提供される太陽電池の構造模式図であり、
図7は、
図6に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【0060】
図6及び
図7に示すように、選択的に、反射部54は本体部542及び延伸部543を含み、本体部542は、凹み部72に設けられ、延伸部543は、主体部71のパッケージングモジュール55に向かう表面から突出する。本体部542は、外部の水蒸気及び酸素がサブセル6に侵入することを遮断することができ、延伸部543が主体部71から突出することで受光面積を増加させ、光の利用率を更に高めることができる。
【0061】
図6及び
図7を参照し続け、幾つかの例として、延伸部543は直方体構造などであってもよく、当該直方体構造のパッケージングモジュール55に向かう表面及び第1の方向Yに沿って互いに対向する2つの表面などはいずれも入射光を反射することができ、入射光を反射する表面が比較的多く、光の利用率を高めることができる。
【0062】
図8は、
図6に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の別の拡大構造模式図である。
【0063】
図8に示すように、別の例として、延伸部543は円弧状構造であってもよく、当該円弧状構造は、デッドゾーン7から離れるように突出する円弧状凸面541を有し、当該円弧状凸面541は光の発散率を高めることができ、入射光が異なる反射経路に沿ってパッケージングモジュールに反射され、パッケージングモジュールにより反射された後にデッドゾーンに再度反射される入射光の量を減らすことができる。
【0064】
図9は、本願の更に別の実施例により提供される太陽電池の構造模式図であり、
図10は、
図9に示される太陽電池のデッドゾーン及び反射部の拡大構造模式図である。
【0065】
図9及び
図10に示すように、選択的に、延伸部543の部分は、主体部71のパッケージングモジュール55に向かう表面に位置する。延伸部543は、一部が本体部542のパッケージングモジュール55に向かう表面に位置し、別の部分が主体部71のパッケージングモジュール55に向かう表面に位置し、その受光面積が更に増加し、光の利用率を更に高めることができる。
【0066】
図9及び
図10を参照し続け、本願の実施例の太陽電池5は、それ自身の厚さ方向Xに沿って順に積層されて設けられた第1の電極層51、光電変換モジュール52及び第2の電極層53を含む。第1の電極層51と第2の電極層53の極性は逆であり、第1の電極層51と第2の電極層53は、電流を引き出すために用いられる。例示的に、第1の電極層51は、基板50に接近して設けられ、第2の電極層53は、光電変換モジュール52の基板50と離反する側に設けられる。光電変換モジュール52は、入射光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するために用いられる。また、光電変換モジュール52において電子及び正孔が発生し、電子及び正孔をそれぞれ電極層に輸送する。
【0067】
太陽電池5における複数のサブセル6が直列接続される場合を例とし、その具体的な製造方法を説明し、この製造方法は、基板50を提供するステップと、基板50に第1の電極層51を形成し、第1の電極層51に第1のスクライビングを行うことにより、第1の電極層51に複数の第1の電極層51を貫通する第1の透かし彫り部P1を形成するステップと、第1の電極層51の基板50と離反する側に光電変換モジュール52を形成し、光電変換モジュール52に第2のスクライビングを行うことにより、光電変換モジュール52に複数の第2の透かし彫り部P2を形成するステップと、光電変換モジュール52の基板50と離反する側に第2の透かし彫り部P2内まで延伸する第2の電極層53を形成し、且つ第2の電極層53及び光電変換モジュール52に第3のスクライビングを行うことにより、第2の電極層53及び光電変換モジュール52に複数の第3の透かし彫り部P3を形成し、複数の直列接続されるサブセル6を得るステップと、を含む。
【0068】
幾つかの実施例において、光電変換モジュール52は光電変換層522を含み、当該光電変換層522は、ペロブスカイト光電変換層、テルル化カドミウム亜鉛光電変換層、セレン化銅インジウムガリウム光電変換層、セレン化銅インジウム光電変換層又は銅インジウムガリウム硫黄光電変換層であってもよい。
【0069】
電子の輸送効率を高めるために、選択的に、光電変換モジュール52は、電子輸送層523を更に含むことができ、前記電子輸送層523は、電子を輸送するために用いられ、正孔の輸送を遮断することができるとともに、電子と正孔の結合を減らし、光電変換効率を高めることができる。
【0070】
正孔の輸送効率を高めるために、選択的に、光電変換モジュール52は、正孔輸送層521を更に含むことができ、前記正孔輸送層521は、正孔を輸送するために用いられ、電子の輸送を遮断することができ、且つ正孔と電子の結合を減らし、光電変換効率を高めることができる。
【0071】
下記では、太陽電池5がペロブスカイト太陽電池である場合を例として太陽電池5の構造について具体的に説明する。ペロブスカイト太陽電池はシス構造(n-i-p)又はトランス構造(p-i-n)であってもよい。
【0072】
シス構造のペロブスカイト太陽電池は、それ自身の厚さ方向に沿って順に積層されて設けられた透明導電電極、電子輸送層、ペロブスカイト光電変換層、正孔輸送層及び金属電極を含む。例示的に、透明導電電極は、酸化インジウムスズITO又はフッ素ドープ酸化スズFTOを含む。電子輸送層は、酸化チタン層などを含む。正孔輸送層は、2,2’,7,7’-テトラキス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-OMeTAD)などを含む。金属電極は、金層、銀層又はアルミニウム層を含む。
【0073】
トランス構造のペロブスカイト太陽電池は、それ自身の厚さ方向に沿って順に積層されて設けられた透明導電電極、正孔輸送層、ペロブスカイト光電変換層、電子輸送層及び金属電極を含む。例示的に、透明導電電極は、酸化インジウムスズITO層又はフッ素ドープ酸化スズFTO層を含む。正孔輸送層は、PEDOT:PSS層を含み、PEDOTは、EDOT(3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマー)の重合物を表し、PSSは、ポリスチレンスルホン酸を表す。電子輸送層は、フラーレン誘導体([6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)層、又はC60層を含む。金属電極は、金層、銀層又はアルミニウム層を含む。このような構造の太陽電池の製造プロセスは比較的簡単である。
図9及び
図10には、トランス構造のペロブスカイト太陽電池が示されている。
【0074】
トランス構造のペロブスカイト太陽電池の製造例としては、具体的な製造過程は以下の通りである。
基板を提供する。
基板の表面にマグネトロンスパッタリング又は化学的な手段により透明導電電極を形成する。
レーザスクライビング、マスキング又は露光の手段を採用して第1のスクライビングを行うことにより、透明導電電極に複数の透明導電電極を貫通する第1の透かし彫り部を形成する。
透明導電電極の基板と離反する表面にマグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又はコーティングの手段により正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層の基板と離反する表面に塗布、スプレーコーティング、スピンコーティング、蒸着又は化学堆積の手段によりペロブスカイト光電変換層を形成する。
ペロブスカイト光電変換層の基板と離反する表面にマグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又はコーティングの手段により電子輸送層を形成する。
レーザスクライビング、マスキング又は露光の手段を採用して第2のスクライビングを行うことにより、正孔輸送層、ペロブスカイト光電変換層及び電子輸送層に複数の正孔輸送層、ペロブスカイト光電変換層及び電子輸送層の第2の透かし彫り部を形成する。
電子輸送層の基板と離反する表面にマグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又はコーティングの手段により金属電極を形成する。
レーザスクライビング、マスキング又は露光の手段を採用して第3のスクライビングを行うことにより、金属電極、正孔輸送層、ペロブスカイト光電変換層及び電子輸送層に第3の透かし彫り部を形成する。
【0075】
上記ステップを基に、外部出力電極を形成するために、導電テープによる接着、超音波溶接、レーザ溶接又は溶接剤による溶接で正極出力端と負極出力端を溶接してもよい。続いて、金属電極の基板と離反する表面に放射により接着膜を形成し、カバープレートガラスを接着膜の基板と離反する側に設け、最後に全体をラミネータ又は圧力釜に送り込んで圧着とパッケージングを行う。
【0076】
図9及び
図10を参照し続け、本願の実施例において、第1の電極層51、光電変換モジュール52及び第2の電極層53は、一部が複数のサブセル6の領域に位置し、別の部分がデッドゾーン7に位置する。デッドゾーン7は、第1の透かし彫り部P1から第3の透かし彫り部P3までに位置する領域を含み、第3の透かし彫り部P3は透かし彫り構造であってもよく、当該透かし彫り構造に反射部54が設けられる。
【0077】
幾つかの実施形態において、デッドゾーン7に位置する光電変換モジュール52は、第1の光電部711及び第2の光電部712を含み、第1の光電部711は、第1の電極層51の表面に位置し、第2の光電部712は、第1の光電部711と第1の電極層51を接続する。デッドゾーン7に位置する第2の電極層53は、第1の電極部713及び第2の電極部714を含み、第1の電極部713は、第1の光電部711の第1の電極層51と離反する表面に位置し、第2の電極部714は、第1の電極部713とデッドゾーン7に位置する第1の電極層51を接続し、凹み部72は、少なくとも第1の電極部713を貫通する。第2の電極部714は、第1の電極層51に接続されて、隣接するサブセル6の間の直列接続を実現する。このような構造形態の製造プロセスが簡単であり、コストが低い。本願の実施例において、デッドゾーン7に位置する第1の電極層51、光電変換モジュール52及び第2の電極層53は、デッドゾーン7の主体部71の組成部分を構成する。
【0078】
第2の光電部712は第1の透かし彫り部P1内に位置し、第2の電極部714は第2の透かし彫り部P2内に位置し、凹み部72は第3の透かし彫り部P3に対応する。デッドゾーン7の少なくとも一部の表面に反射部54を設けることで、デッドゾーン7のプロセスウィンドウを拡大することができ、大規模・大寸法の生産適用に便利である。例示的に、第1の透かし彫り部P1、第2の透かし彫り部P2及び第3の透かし彫り部P3のうちの少なくとも1つの寸法に対する要求が低下し、第1の透かし彫り部P1の線幅は5um~100umであり、第2の透かし彫り部P2の線幅は10um~120umであり、第3の透かし彫り部P3の線幅は5um~100umであり、第1の透かし彫り部P1から第2の透かし彫り部P2までの隣接マージンは10um~200umであり、第2の透かし彫り部P2から第3の透かし彫り部P3までの隣接マージンは10um~200umであり、デッドゾーン7の幅は40um~720umである。各透かし彫り部の線幅及びピッチは上限値に近づくことができ、大幅にプロセスウィンドウを広げて加工設備の精度とコストを低下させることができる。
【0079】
本願の実施例は、太陽電池の製造方法を更に提供する。
【0080】
図11は、本願の幾つかの実施例により提供される太陽電池の製造方法のフロー模式図であり、
図11に示すように、本願の実施例により提供される製造方法は、S100~S300を含む。
【0081】
S100において、電気的に接続される複数のサブセルであって、隣接する2つのサブセルの間にデッドゾーンが設けられる複数のサブセルを提供する。
【0082】
複数のサブセルの間の分割及び電気的接続(例えば直列接続)の具体的なスクライビング手段は、上記実施例に記載の通りであり、ここで詳しく説明しない。
【0083】
S200において、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に設けられる反射部を提供する。
【0084】
このステップにおいて、フィリング、印刷、スプレーコーティング、局所領域硬化又は物理的堆積などの手段を採用してデッドゾーンの少なくとも一部の表面に反射部を形成する。
【0085】
S300において、反射部のデッドゾーンから離れる側に設けられるパッケージングモジュールを提供する。
【0086】
本願の実施例の製造方法は、上記実施例の太陽電池を製造するために用いることができ、当該製造方法で製造された太陽電池では、デッドゾーンの少なくとも一部の表面に反射部が設けられ、太陽電池の光電変換効率を高めることができ、且つ太陽電池の信頼性と安定性を高めることができる。
【0087】
図12は、本願の別の実施例により提供される太陽電池の製造方法のフロー模式図であり、
図12に示すように、幾つかの実施形態において、ステップS200は、S210を含む。
【0088】
S210において、充填又はスプレーコーティングの手段を採用して反射部をデッドゾーンの少なくとも一部の表面に塗布する。この製造方法が簡単であり、且つ製造された太陽電池の光利用率が高められる。
【0089】
好ましい実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改良を行うことができ、且つ等価物でその中の部材を置換することができ、特に、構造が衝突しない限り、各実施例において言及された各技術的特徴は、全て任意の形で組み合わせることができる。本願は、明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含むものとする。
【符号の説明】
【0090】
X 厚さ方向
Y 第1の方向
P1 第1の透かし彫り部
P2 第2の透かし彫り部
P3 第3の透かし彫り部
1 車両
2 光起電力モジュール
3 コントローラ
4 モータ
5 太陽電池
50 基板
51 第1の電極層
52 光電変換モジュール
521 正孔輸送層
522 光電変換層
523 電子輸送層
53 第2の電極層
54 反射部
541 円弧状凸面
542 本体部
543 延伸部
55 パッケージングモジュール
551 接着膜
552 カバープレート
6 サブセル
61 端部
7 デッドゾーン
71 主体部
711 第1の光電部
712 第2の光電部
713 第1の電極部
714 第2の電極部
72 凹み部
【国際調査報告】