(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】多機能階層的材料構造
(51)【国際特許分類】
B01D 39/08 20060101AFI20250107BHJP
D06M 23/08 20060101ALI20250107BHJP
D06M 10/06 20060101ALI20250107BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20250107BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20250107BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B01D39/08 Z
D06M23/08
D06M10/06
B01D39/16 E
B01D39/16 A
B01D39/20 A
B01D39/20 B
B01D39/20 D
B01J20/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534687
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022052466
(87)【国際公開番号】W WO2023107726
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003105
【氏名又は名称】メタルマーク・イノベーションズ,ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,ターニャ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,シシー
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,エリヤ
【テーマコード(参考)】
4D019
4G066
4L031
【Fターム(参考)】
4D019AA01
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4G066DA01
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4L031CB00
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4L031DA12
(57)【要約】
組成物は、階層的に構造化された材料と、階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、階層的に構造化された材料は、複数の汚染物質を処理するように構成される。様々な実施形態では、階層的に構造化された材料は、天然起源の材料または合成起源の材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
階層的に構造化された材料と、
前記階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、棘状形態を含み、
前記階層的に構造化された材料が、複数の汚染物質を処理するように構成される、組成物。
【請求項2】
前記階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記複数の汚染物質が、病原体を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、前記病原体を処理するように構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記複数のナノスケールの特徴が、ナノ構造コーティングを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ナノ構造コーティングが、触媒機能を示す、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ナノ構造コーティングが、ガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記ナノ構造コーティングが、二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記二次コーティングが無機材料を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記二次コーティングが、触媒機能、収着機能、または殺生物性機能を増強する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ナノ構造コーティングが、収着機能を示す、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記ナノ構造コーティングが、CO2の収着および貯蔵を示す、請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
前記階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記病原体が、ウイルス、細菌、および真菌のうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記複数の汚染物質が流動培地に含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記流動培地が水性培地を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記流動培地が、1つまたは複数の体液を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記ナノスケールの特徴が、約1nm~約30nmのサイズを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、前記相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記階層的に構造化された材料の第1の組成物が、前記複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じである、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記階層的に構造化された材料の第1の組成物が、前記複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なる、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、セリア、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項27】
前記複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、セリア、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含み、
天然および合成起源の両方の階層的に構造化された材料を含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーのうちの1つまたは複数を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
システムであって、
複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、
前記複数の細孔の少なくともいくつかの内面に堆積された組成物であって、前記組成物が、表面ナノ構造特徴を示す階層的に構造化された材料を含む、組成物と、
を含むシステム。
【請求項34】
前記組成物が、
階層的に構造化された材料と、
前記階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、棘状形態を含み、
前記階層的に構造化された材料が、複数の汚染物質を処理するように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記巨視的多孔質基材が金属を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記金属が合金を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記組成物が、前記複数の細孔の少なくともいくつかの前記内面のコーティングを形成する、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記コーティングが、約10ミクロン~約100ミクロンの厚さを有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記コーティングが、実質的に連続したフィルムとして形成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記コーティングが、複数の不連続セグメントとして形成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記複数の細孔が、約100nm~約5mmのサイズを有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項43】
前記巨視的多孔質基材がセラミックを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項44】
前記巨視的多孔質基材が、金属または金属合金を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項45】
前記巨視的多孔質基材が、フィルタを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項46】
前記巨視的多孔質基材が、不織布培地を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項47】
前記巨視的多孔質基材が、織布培地を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項48】
前記巨視的多孔質基材がガラス繊維を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項49】
前記巨視的多孔質基材がセラミックを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項50】
前記セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土のうちの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料のうちの1つまたは任意の組み合わせである、請求項34に記載のシステム。
【請求項52】
前記巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項53】
前記巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項54】
前記階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項55】
前記天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項57】
前記合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項59】
前記複数の汚染物質が、病原体を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、前記病原体を処理するように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項60】
前記複数のナノスケールの特徴が、ナノ構造コーティングを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項61】
前記ナノ構造コーティングが、触媒機能を示す、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記ナノ構造コーティングが、ガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成される、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
前記ナノ構造コーティングが、二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
前記二次コーティングが無機材料を含む、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項66】
前記複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有する、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数である、請求項34に記載のシステム。
【請求項68】
前記病原体が、ウイルス、細菌、および真菌のうちの1つまたは複数を含む、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記複数の汚染物質が流動培地に含まれる、請求項34に記載のシステム。
【請求項70】
前記流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含む、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記流動培地が水性培地を含む、請求項69に記載のシステム。
【請求項72】
前記流動培地が、1つまたは複数の体液を含む、請求項69に記載のシステム。
【請求項73】
前記ナノスケールの特徴が、約1nm~約30nmのサイズを有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項74】
前記階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、前記相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項75】
前記階層的に構造化された材料の第1の組成物が、前記複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じである、請求項34に記載のシステム。
【請求項76】
前記階層的に構造化された材料の第1の組成物が、前記複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なる、請求項34に記載のシステム。
【請求項77】
システムであって、
複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、
前記複数の細孔の内壁の少なくとも一部分に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、棘状形態を含み、
前記複数のナノスケールの特徴が、複数の汚染物質を処理するように構成される、システム。
【請求項78】
前記複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記階層的に構造化された材料は、合成起源の材料および天然起源の材料を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項80】
前記複数の細孔が、約100nm~約5mmのサイズを有する、請求項77に記載のシステム。
【請求項81】
前記巨視的多孔質基材がセラミックを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項82】
前記巨視的多孔質基材が、金属または金属合金を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項83】
前記巨視的多孔質基材が、フィルタを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項84】
前記巨視的多孔質基材が、不織布培地を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項85】
前記巨視的多孔質基材が織布培地を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項86】
前記巨視的多孔質基材がガラス繊維を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項87】
前記巨視的多孔質基材がセラミックを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項88】
前記セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土のうちの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記巨視的多孔質基材が金属を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項90】
前記金属が合金を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項91】
前記巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項92】
前記巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料のうちの1つまたは任意の組み合わせである、請求項77に記載のシステム。
【請求項93】
前記巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項94】
前記巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項95】
前記複数の汚染物質が病原体を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項96】
前記複数のナノスケールの特徴が、ナノ構造コーティングを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項97】
前記ナノ構造コーティングが、触媒機能を示す、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記ナノ構造コーティングが、ガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成される、請求項96に記載のシステム。
【請求項99】
前記ナノ構造コーティングが、二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、請求項96に記載のシステム。
【請求項100】
前記二次コーティングが無機材料を含む、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
前記複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数である、請求項77に記載のシステム。
【請求項102】
前記病原体が、ウイルス、細菌、および真菌のうちの1つまたは複数を含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記複数の汚染物質が流動培地に含まれる、請求項77に記載のシステム。
【請求項104】
前記流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
前記流動培地が水性培地を含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項106】
前記流動培地が、1つまたは複数の体液を含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項107】
前記ナノスケールの特徴が、約1nm~約30nmのサイズを有する、請求項77に記載のシステム。
【請求項108】
前記複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項109】
前記二次コーティングがCO
2の収着機能および貯蔵を増強する、請求項9に記載の組成物。
【請求項110】
前記階層的に構造化された材料が、合成および天然起源の材料である、請求項35に記載のシステム。
【請求項111】
前記二次コーティングが、触媒機能、収着機能、または殺生物性機能を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項112】
前記二次コーティングがCO
2の収着機能および貯蔵を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項113】
前記複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項114】
前記1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項115】
前記1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項116】
前記1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項117】
前記1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項118】
前記複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む、請求項35に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本非仮出願は、2021年12月9日に出願された「Hierarchical Material Structure Having Mechano-Biocidal Properties for Pathogen Inactivation」と題する米国仮出願第63/287,717号、および2022年3月4日に出願された「Diatomaceous Earth Coated Filter Media With Renewal Function For Air Purification」と題する米国仮出願第63/316,853号の優先権の利益を主張し、これらの両方の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、汚染物質を処理するためのシステムまたは組成物に関し、より詳細には、汚染物質を処理するための階層的材料構造またはナノスケールの特徴を含むシステムおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノメートルからマクロスケールへの不連続性が制御された合理的に設計された階層的に構造化された材料は、これまでにない機械的、物理的、および化学的特性を示す。そのような材料は、光学、触媒作用、半導体、エネルギー貯蔵、汚染の軽減、およびさらに多くのものを含む多くの用途において著しい進歩をもたらす可能性がある。そのような複雑な(多相およびナノ構造の)材料生産する能力は、制御された組成および形態を有する微細構造をかなりの量で形成するための開発方法に依存し得る。材料の組成がより複雑になり、その構造的変化がより小さくなるにつれて、それらの調製はより複雑になり、制御が困難になる可能性があり、高度な機器および高エネルギー入力を必要とする可能性がある。さらに、そのような材料は、大規模な用途を可能にするためにスケールアップに容易に対応できない場合がある。さらに、多くの場合、これらの材料を製造することはまた、有毒な副生成物を生成し得る。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料、および階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部上に配置された複数のナノスケールの特徴を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、階層的に構造化された材料は、複数の汚染物質を処理するように構成されている、組成物に関する。
【0005】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含む組成物に関する。
【0006】
いくつかの実施形態は、天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含む組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含む組成物に関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含み、複数のナノスケールの特徴は、病原体を処理するように構成されている組成物に関する。
【0009】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含む組成物に関する。
【0010】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示す組成物に関する。
【0011】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されている組成物に関する。
【0012】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている組成物に関する。
【0013】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含む組成物に関する。
【0014】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが触媒機能、収着機能または殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0015】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが収着機能を示す組成物に関する。
【0016】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがCO2の収着および貯蔵を示す組成物に関する。
【0017】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含む組成物に関する。
【0018】
いくつかの実施形態は、複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有する組成物に関する。
【0019】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数である組成物に関する。
【0020】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0021】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれる組成物に関する。
【0022】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0023】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含む組成物に関する。
【0024】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含む組成物に関する。
【0025】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有する組成物に関する。
【0026】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有する組成物に関する。
【0027】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じである組成物に関する。
【0028】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なる組成物に関する。
【0029】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含むシステムに関する。
【0030】
いくつかの実施形態は、合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、セリア、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0031】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0032】
いくつかの実施形態は、天然および合成起源の階層的に構造化された材料の両方を含む、少なくともサブセット1上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む組成物に関する。
【0033】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する組成物に関する。
【0034】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0035】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する組成物に関する。
【0036】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーのうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0037】
いくつかの実施形態は、複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、複数の細孔の少なくともいくつかの内面に堆積した組成物であって、組成物は、表面ナノ構造特徴を示す階層的に構造化された材料を含む、組成物とを含むシステムに関する。
【0038】
いくつかの実施形態は、組成物が、階層的に構造化された材料と、階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、階層的に構造化された材料は、複数の汚染物質を処理するように構成されている、システムに関する。
【0039】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属を含むシステムに関する。
【0040】
いくつかの実施形態は、金属が合金を含むシステムに関する。
【0041】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0042】
いくつかの実施形態は、組成物が複数の細孔の少なくともいくつかの内面のコーティングを形成するシステムに関する。
【0043】
いくつかの実施形態は、コーティングが約10ミクロン~約100ミクロンの厚さを有するシステムに関する。
【0044】
いくつかの実施形態は、コーティングが実質的に連続したフィルムとして形成されるシステムに関する。
【0045】
いくつかの実施形態は、コーティングが複数の不連続セグメントとして形成されるシステムに関する。
【0046】
いくつかの実施形態は、複数の細孔が約100nm~約5mmのサイズを有するシステムに関する。
【0047】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0048】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属または金属合金を含むシステムに関する。
【0049】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がフィルタを含むシステムに関する。
【0050】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が不織布培地を含むシステムに関する。
【0051】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が織布培地を含むシステムに関する。
【0052】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がガラス繊維を含むシステムに関する。
【0053】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0054】
いくつかの実施形態は、セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土の1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0055】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料の1つまたは任意の組み合わせであるシステムに関する。
【0056】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0057】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを含むシステムに関する。
【0058】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含むシステムに関する。
【0059】
いくつかの実施形態は、天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含むシステムに関する。
【0060】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含むシステムに関する。
【0061】
いくつかの実施形態は、合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含むシステムに関する。
【0062】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含み、複数のナノスケールの特徴が、病原体を処理するように構成されるシステムに関する。
【0063】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含むシステムに関する。
【0064】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示すシステムに関する。
【0065】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されているシステムに関する。
【0066】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされているシステムに関する。
【0067】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含むシステムに関する。
【0068】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含むシステムに関する。
【0069】
いくつかの実施形態は、複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有するシステムに関する。
【0070】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数であるシステムに関する。
【0071】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0072】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれるシステムに関する。
【0073】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0074】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含むシステムに関する。
【0075】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含むシステムに関する。
【0076】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有するシステムに関する。
【0077】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有するシステムに関する。
【0078】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じであるシステムに関する。
【0079】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なるシステムに関する。
【0080】
いくつかの実施形態は、複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、複数の細孔の内壁の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴部と、を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、複数のナノスケールの特徴は、複数の汚染物質を処理するように構成されるシステムに関する。
【0081】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含むシステムに関する。
【0082】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料および天然起源の材料を含むシステムに関する。
【0083】
いくつかの実施形態は、複数の細孔が約100nm~約5mmのサイズを有するシステムに関する。
【0084】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0085】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属または金属合金を含むシステムに関する。
【0086】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がフィルタを含むシステムに関する。
【0087】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が不織布培地を含むシステムに関する。
【0088】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が織布培地を含むシステムに関する。
【0089】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がガラス繊維を含むシステムに関する。
【0090】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0091】
いくつかの実施形態は、セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土の1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0092】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属を含むシステムに関する。
【0093】
いくつかの実施形態は、金属が合金を含むシステムに関する。
【0094】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0095】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料の1つまたは任意の組み合わせであるシステムに関する。
【0096】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0097】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを含むシステムに関する。
【0098】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含むシステムに関する。
【0099】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含むシステムに関する。
【0100】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示すシステムに関する。
【0101】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されているシステムに関する。
【0102】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされているシステムに関する。
【0103】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含むシステムに関する。
【0104】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数であるシステムに関する。
【0105】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0106】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれるシステムに関する。
【0107】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0108】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含むシステムに関する。
【0109】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含むシステムに関する。
【0110】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有するシステムに関する。
【0111】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含むシステムに関する。
【0112】
いくつかの実施形態は、無機材料が、金属、金属酸化物、シリカ、ゼオライトおよび活性炭のいずれかを含む組成物に関する。
【0113】
いくつかの実施形態は、金属酸化物が酸化銀、酸化銅および酸化マンガンを含む組成物に関する。
【0114】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが、触媒機能を付与する触媒ナノ粒子を含む組成物に関する。
【0115】
いくつかの実施形態は、触媒ナノ粒子が金属ナノ粒子のいずれかを含む組成物に関する。
【0116】
いくつかの実施形態は、金属ナノ粒子が、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、バイメタル、金属合金のいずれかを含む組成物に関する。
【0117】
いくつかの実施形態は、金属ナノ粒子が金属化合物を含む組成物に関する。
【0118】
いくつかの実施形態は、金属化合物が、プニクチド、水酸化物、二元塩および錯塩またはそれらの組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0119】
いくつかの実施形態は、前述の階層的材料が粉末粒子の形態である階層的材料に関する。
【0120】
いくつかの実施形態は、前述の粉末粒子が、約1ミクロン~約50ミクロンの範囲のサイズを示す階層的材料に関する。
【0121】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスの前述の相互接続細孔が、約10m2/g~約1,000m2/gの範囲の表面積対重量比を示す階層的材料に関する。
【0122】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスの前述の相互接続細孔が、約100m2/g~約500m2/gの範囲の表面積対重量比を示す階層的材料に関する。
【0123】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスおよび前述のナノスケールの特徴が実質的に同じ組成物で形成される階層的材料に関する。
【0124】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスおよび前述のナノスケールの特徴が異なる組成物で形成される階層的材料に関する。
【0125】
いくつかの実施形態は、前述のナノスケールの特徴がMoS2を含む階層的材料に関する。
【0126】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスが、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0127】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスが1つまたは複数の生体材料を含む階層的材料に関する。
【0128】
いくつかの実施形態は、前述の生体材料が、珪藻土、花粉、生物学的起源のシリカ系微粒子およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0129】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が、前述のマトリックスの前述の細孔の少なくともいくつかの内面にさらに配置される階層的材料に関する。
【0130】
いくつかの実施形態は、前述の活性材料が触媒ナノ粒子を含む階層的材料に関する。
【0131】
いくつかの実施形態は、前述のコーティングが、約1ミクロン~約200ミクロンの範囲の厚さを示す階層的材料に関する。
【0132】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約400nm~約3mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0133】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約600nm~約1mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0134】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約800nm~約0.8mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0135】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約1,000nm~約500ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0136】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,000nm~約200ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0137】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,500nm~約100ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0138】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約1mm~約1mの範囲の長さを示す1つまたは複数のチャネルを含む階層的材料に関する。
【0139】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材の前述のチャネルが、実質的に直線状または弓形の形状を有する階層的材料に関する。
【0140】
いくつかの実施形態は、前述のチャネルの少なくとも一部分が互いに平行である階層的材料に関する。
【0141】
いくつかの実施形態は、相互接続されたチャネルのパターンを提供するように、前述のチャネルの少なくとも一部分が互いに交差する階層的材料に関する。
【0142】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリ(アルキルアクリレート)、置換ポリアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、任意の他のポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0143】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、分岐ポリマー、スターポリマー、樹枝状ポリマー、超分子ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0144】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,500nm~約100ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0145】
いくつかの実施形態は、マトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを溶媒中に分散させることによって溶液を調製することと、前述の溶液を乾燥および焼成して前述の階層的材料を製造することとを含む、病原体の捕捉および不活性化のための階層的材料を製造する方法に関する。
【0146】
いくつかの実施形態は、前述の階層的材料が階層的に構造化された多孔質粉末として形成される方法に関する。
【0147】
いくつかの実施形態は、前述の階層的に構造化された多孔質粉末を基材上に塗布することをさらに含む方法に関する。
【0148】
いくつかの実施形態は、前述の乾燥および焼成ステップの前に前述の溶液を巨視的多孔質基材に塗布することをさらに含む方法に関する。
【0149】
いくつかの実施形態は、前述の溶液を浸漬コーティングによって巨視的多孔質基材に塗布する方法に関する。
【0150】
いくつかの実施形態は、前述のコアシェル鋳型コロイドが、ナノ特徴形成(NFF)材料でコーティングされたポリマーコロイドコアを含む方法に関する。
【0151】
いくつかの実施形態は、前述のポリマーコロイドコアがポリスチレンを含む方法に関する。
【0152】
いくつかの実施形態は、前述のNRF材料コーティングが約10nm~約30nmの範囲の厚さを示す方法に関する。
【0153】
いくつかの実施形態は、前述の溶媒が水を含む方法に関する。
【0154】
いくつかの実施形態は、前述の乾燥および焼成が約100℃~約500℃の範囲の温度で実施される方法に関する。
【0155】
本教示の一態様は、病原体の捕捉および不活性化のための階層的材料を提供する。いくつかの実施形態では、階層的材料は、複数の相互接続細孔と、細孔の表面に配置された複数のナノスケールの特徴とを有するマトリックスを含むことができる。特に、マトリックスの細孔は、存在する場合、流動培地中に存在する病原体の少なくとも一部を捕捉するように構成することができ、ナノスケールの特徴は、例えば、病原体の膜の切開によって病原体を不活性化するように構成することができる。
【0156】
本教示の関連する態様では、そのような階層的材料を製造する方法が提供される。製造方法は、マトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを含む溶液を調製することと、溶液を熱処理して階層的材料を製造することとを含むことができる。
【0157】
本教示の別の態様は、巨視的多孔質基材と、巨視的多孔質基材の少なくともいくつかの細孔の内面上に配置された複数のナノスケールの特徴とを含む階層的材料を提供する。巨視的多孔質基材の細孔は、存在する場合、流動培地中に存在する病原体を捕捉するように構成することができ、ナノスケールの特徴は、例えば、病原体の膜の切開によって病原体を不活性化するように構成することができる。
【0158】
本教示の関連する態様は、そのような階層的材料を製造する方法であって、ナノラフネス形成前駆体を含有する溶液に巨視的多孔質基材を浸漬することと、溶液から巨視的多孔質基材を除去することと、巨視的多孔質基材を乾燥および焼成して、ナノラフネス形成前駆体が巨視的多孔質基材の表面上にナノラフネスを示す複数のナノスケールの特徴を形成することを可能にすることとを含む方法を提供する。
【0159】
一態様では、多孔質濾過構造と、多孔質濾過構造の少なくとも表面部分上に配置されたDEコーティングとを含むフィルタが開示される。以下でより詳細に説明するように、多孔質濾過構造は、ウイルスおよび他の病原体などの汚染物質をそれ自体で濾過することができる(すなわち、DEコーティング無しで)。いくつかの実施形態では、多孔質濾過構造とDEコーティングとの組み合わせは、DEコーティングのない多孔質構造の濾過効率に対してより高い濾過効率を示し得る。
【0160】
多孔質構造は、織布または不織布の濾過媒体の形態であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質構造は、セラミック、金属、ポリマー材料、ガラス繊維、またはそれらの任意の組み合わせで形成されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、DEコーティングは、裸の濾過媒体(すなわち、DEコーティングを含まない多孔質構造体)の濾過効率を改善することができる。
【0162】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングがCO2の収着機能および貯蔵を増強する組成物に関する。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、階層的に構造化された材料が合成および天然起源の材料であるシステムに関する。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングが触媒機能、収着機能、または殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0165】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングがCO2の収着機能および貯蔵を増強する組成物に関する。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む組成物に関する。
【0167】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する組成物に関する。
【0168】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0169】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する組成物に関する。
【0170】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0171】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、複数のナノスケールの特徴の組成が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0172】
実施形態の様々な態様のさらなる理解は、以下で簡単に説明される関連する図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって得ることができる。
【0173】
図面は、必ずしも縮尺通りでも網羅的でもない。代わりに、本明細書に記載の実施形態の原理を説明することに重点が置かれている。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示と一致するいくつかの実施形態を示す。説明と共に、図面は本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0174】
図において:
【0175】
【
図1】異なる実施形態で使用され得る様々な天然に存在する構造化材料の例の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0176】
【
図2】いくつかの実施形態による階層的材料の階層構造を示す。
【0177】
【
図3】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された合成材料300の内部構造の様々な例を示す。
【0178】
【
図4A】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材400および複数の階層的に構造化された粒子410を示す。
【0179】
【
図4B】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【
図4C】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【0180】
【
図5】いくつかの実施形態によるフィルタ500の一例を示す。
【0181】
【
図6A】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6C】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6D】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【0182】
【
図7A】いくつかの実施形態による、ナノラフエッジを有する酸化マンガンナノ構造コーティングを用いたDEを使用する抗菌試験の結果を示す。
【0183】
【
図7B】いくつかの実施形態による、60分間のインキュベーション後の未修飾および修飾されたmediから抽出されたブドウ球菌を有する寒天平板の光学顕微鏡画像を示す。
【0184】
【
図8】いくつかの実施形態による、天然起源の階層的に構造化された微粒子から構成されるコーティングを製造する方法800のフローチャートを示す。
【0185】
【
図9】いくつかの実施形態による、修飾された巨視的多孔質基材を製造するためのプロセスを示す。
【0186】
【
図10】いくつかの実施形態による、細孔-マトリックス界面に形成された多孔質微粒子とナノスケールの特徴(NF)との組み合わせを示す。
【0187】
【
図11】いくつかの実施形態による、細孔-マトリックス界面に形成されたマイクロポーラスコーティングとNFとの組み合わせでコーティングおよび/または修飾された巨視的基材を示す。
【0188】
【
図12】いくつかの実施形態による、細孔と巨視的基材のチャネルとの間の界面にNFが形成された巨視的基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0189】
本教示の様々な態様のさらなる理解は、関連する図面と併せて以下の説明に見出すことができる。
【0190】
様々な実施形態は、例えば、棘の多いナノ構造特徴を堆積または成長させるための基材または足場としての生体無機化粒子(例えば、DE)の利用によって、階層構造または表面ナノ構造の上記の特性を利用する。
【0191】
合成材料と比較して、例えば生物によって生産される天然に存在する材料は、上述の特性および用途において優れていることが証明され得る。それらの構造は、分子からナノメートル、マイクロメートル、およびマクロスケールまでのあらゆるスケールの寸法で高度に編成されることが多く、この編成は通常階層的である。さらに、天然に存在する材料はまた、比較的安価であり得る。そのような天然に存在する材料の例には、遺伝的に制御された階層的ナノパターンを有するシリカ(珪藻類および放散虫類)または炭酸カルシウム(ココリソフォア類)で作製された剛性細胞壁を有する珪藻類、ココリソフォア類および放散虫類などの単細胞微生物に由来するバイオミネラルが含まれる。
【0192】
例えば、珪藻土(DE)は、珪藻と呼ばれる単細胞藻類を起源とする天然に存在する多孔質生体材料である。DEは、ナノスケールおよびマイクロスケールで複雑な3D多孔質階層構造を示す。この天然に存在する材料は非毒性であり、農業から工業分野までの商業用途に広く使用されている。これは、廃水浄化濾過媒体、吸着剤、機械的殺虫剤などとして適用されてきた。表面修飾DEは、廃水の濾過、収着および触媒作用に応用されている。
【0193】
上述の構造特性に加えて、いくつかの天然生物で観察される現象は、複数の機能を導入するための表面ナノ構造の使用である。例えば、蝶の羽根のナノ構造は、色、機械的特性、および撥水性を提供する。セミ、トンボ、およびイトトンボのいくつかの種の羽根は、病原体の付着を防止し、および/または病原体の外膜または壁を破壊し、したがってそれらを不活性化する機械殺菌性ナノピラーを、様々な機構を介して有する。
【0194】
階層構造または表面ナノ構造の上記の特性のいくつかの実用的な用途は、まだ業界で実現および利用されていない。これらの用途は、上記の特性を別々に、個別に、または様々な組み合わせで利用することができる。しかし、そのような利用はこれまで存在しなかった。
【0195】
一般に、様々な実施形態は、入り組んだ構造および形態を有する異なる種類の天然に存在する微粒子を利用し得る。これらの微粒子の一部は、動物プランクトンおよび植物の鉱物骨格に由来し得る。そのような生体鉱物、例えば珪藻バイオシリカ(別名珪藻土またはDE)は、新規な機能性材料の合成のための鋳型として利用され得る。さらに、胞子および花粉などの有機起源の微粒子は、さらなる修飾のための足場/支持体として使用され得る。
【0196】
図1は、異なる実施形態で使用され得る様々な天然に存在する構造化材料の例の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。より具体的には、
図1は、(A)から(I)までアルファベット順にラベル付けされた9つのパネルを含む。パネル(A)は、様々な珪藻の例を示す。パネル(B)~(F)および(I)はそれぞれ、珪藻土(DE)(パネル(B))、放散虫類(パネル(C))、珪藻類鱗片状黄色植物:マロモナスコスタタ(パネル(D))、有孔虫タマウキガイ(パネル(E))、円石藻(パネル(F))および菌類の冬胞子ウスチラゴウトリクローサ(Ustilago utriculosa)(パネル(I))のSEM画像を示す。さらに、パネル(G)は、パイナップルの果皮から得られたSiO2微粒子のSEM画像を示し、パネル(H)は、様々な植物由来の胞子および花粉粒子の集合体のSEM画像を示す。
【0197】
DEは、様々な実施形態で利用される天然に存在する多孔質生体材料(BM)の一例である。同様に、いくつかの実施形態は、棘の多い粗い形態を有する多孔質構造または表面を示す天然に存在する材料の他の例を利用することができる。これらの例には、花粉、胞子などの有機系材料、パイナップルの果皮からの微粒子の形態の生物起源シリカなどの無機系BM、海洋性スポンジからのマイクロシリカ球(例えば、ゲオディア・マサンドレウィイ(Geodia macandrewii))などの他の海洋生物における生物起源シリカ、および様々な動物プランクトンおよび海洋性スポンジにも見られる生物起源炭酸カルシウム(例えば、石灰質スポンジ)が含まれる。本開示の残りの部分は、DEを使用する実施形態を説明しているが、代替の実施形態は、DEの代わりに、またはDEに加えて、上記のような他のタイプのBMを使用してもよいことを理解されたい。
【0198】
ナノ構造化特徴を有する天然に存在する材料(例えばDE)の足場の表面官能化は、それらの材料用途を広げ、向上した殺生物性、収着および/または触媒特性を有する多機能性の階層的に構造化された材料を作成することができる。棘の多い表面形態および/または高表面積を有するナノ構造コーティングの導入は、DEの表面積および新しい表面化学組成物のさらなる増加を同時にもたらす。そのような材料は、次に、活性材料または機能的活性部位を導入するためのさらなる修飾に使用されてもよい。
【0199】
DEを含むBMの既存の用途は、ナノレベルでBMのいくつかの能力を利用せず、BMを修飾した後に増強および利用することができる。より具体的には、本明細書に開示される実施形態のいくつかは、表面結合ナノ構造特徴または様々な形態を有するナノスケールの特徴を有するDEなどのBMの修飾を利用する。様々な実施形態では、ナノスケールの特徴は、1nm~50nmの範囲の寸法を有し得る。特徴は、少なくともいくつかの部分において棘状形態を有し得る。様々な実施形態では、棘状形態を有するナノ特徴は、円錐、鋸歯状断面、テーパ付き円筒、またはスパイクなどの形状を含むことができ、その基部は1nm~10nmのサイズを有し、高さは1nm~50nmのサイズを有し、アスペクト比(基部に対する高さの比として定義される)は50~0.02である。
【0200】
様々な実施形態では、BMの修飾は、スパイク、花様の形態、棘状形態、針、ピラーなどを含み得る様々な表面形態(ナノラフネス)を有するマイクロおよびメソポーラスコーティングを導入し得る。様々な実施形態では、突起の追加は、表面積の増加、ならびに表面化学および組成の変化をもたらし得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、天然に存在する材料の代わりに、ほぼ同じ寸法の合成材料を足場またはマトリックスとして使用して、それらの表面にナノ構造特徴を導入することができる。そのような材料は、合成起源の階層的に構造化された材料と呼ばれることがある。機能性または用途を説明する場合、天然または合成起源の両方のタイプの材料は、単に階層的に構造化された材料と呼ばれる。より具体的には、天然または合成起源の階層的に構造化された材料は、階層的に構造化された微粒子または単に階層的微粒子とも呼ばれ得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、表面コーティングの特定の表面形態および組成は、病原体の不活性化、収着および触媒機能のための機械殺菌特性を含む複数の新しい機能を導入する。いくつかの実施形態では、構造的なナノスケールの特徴を有するDE表面の修飾は、ウイルスおよび他の病原性微生物などの病原体の処理(例えば、捕捉、不活性化)、ならびにガス状および粒子状汚染物質の処理を可能にする。
【0203】
階層的DE多孔質構造とナノラフコーティングおよびその組成物との組み合わせは、細菌、ウイルスおよび他の病原性生物などの汚染物質の不活性化に相乗効果を提供し得る。
【0204】
多くの実施形態では、本明細書に記載の階層的に構造化されたコーティングは、表面積の大幅な増加により増強された収着機能をDEに提供する。これらの特性は、炭素隔離、二酸化炭素捕捉および貯蔵、二酸化炭素捕捉および貯蔵、ならびに高表面積材料(例えばMOF)および触媒の組み込みによる変換を含む収着用途において利用され得る。
【0205】
そのような材料は、空気および水の浄化ならびに汚染除去、収着、触媒作用、フィルタ更新、センサを含む多くの用途を見出すことができる。
【0206】
特に、修飾された表面形態および組成を有する階層的に構造化された材料を多孔質巨視的基材に適用して、空気浄化および汚染除去に対する特性が増強された階層的多孔質機能性材料を作成することができる。
【0207】
本教示のいくつかの実施形態による空気浄化および汚染除去システムは、多面的殺生物性溶液のためのミクロンスケールの細孔および対病原性ナノスケールの表面特徴を特徴とする階層的材料構造を含む。そのようなシステムのいくつかの実装形態では、大きな表面積を有する多孔質表面は、病原体を効率的に捕捉することができ、一方、多孔質表面上の表面ナノ構造体は、多種多様な病原体の外部膜または壁を破壊または切開することができる。
【0208】
図2は、いくつかの実施形態による階層的材料の階層構造を示す。より具体的には、
図2は、階層的材料200、微粒子210、第1のナノスケールの特徴セット220、表面修飾特徴セット230、および第2のナノスケールの特徴セット240の図を含む。微粒子210は、DEなどの天然微粒子または合成微粒子であってもよい。
図2は、表面修飾による微粒子210からの階層的材料200の生成を示す。
【0209】
階層的微粒子の代表的な寸法は、約1ミクロン~約50ミクロンの範囲、例えば約5ミクロン~約45ミクロンの範囲、または約10ミクロン~約40ミクロンの範囲、または約15ミクロン~約35ミクロンの範囲、または約20ミクロン~約30ミクロンの範囲であり得る。
【0210】
この図は、階層的材料200の階層の異なるレベルを示す。微粒子210から開始して、第1のレベルのナノ構造は、微粒子210の表面の一部分または全部に第1のナノスケールの特徴セット220を追加することによって生成される。次いで、第2の特徴セットは、表面修飾特徴セット230内の追加層235として示されている、第1のナノスケールの特徴セット220の表面の一部分または全部に第2のナノスケールの特徴セット240を追加することによって生成される。
【0211】
いくつかの実施形態では、微粒子210は、第1のナノスケールの特徴セット220に示されるものなどの複数のナノスケールの特徴を有する階層的材料200を生産するように修飾され得る天然に存在する材料であり得る。この微粒子の形状、サイズ、および内部構造は、天然に存在する材料の種類に依存し得、そのいくつかの例を
図1に関連して説明した。複数のナノスケールの特徴は、ナノ構造コーティングを作成する微粒子の表面に存在し得る。
【0212】
第1のナノスケールの特徴セットは、収着機能、殺生物性、または触媒機能などの機能を可能にし得る。
【0213】
第1のナノスケールの特徴セットは、追加の機能を有する追加の特徴を含むようにさらに修飾され得る。追加の特徴は、第2のナノスケールの特徴セット240に示されるような特徴を含み得る。第2のナノスケールの特徴セット240によって導入される追加の機能は、収着機能、殺生物性、または触媒機能などの機能を含み得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、複数のナノスケールの特徴セットによる微粒子表面の修飾は、ナノ構造コーティングセットを作成する。
【0215】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、微粒子の表面上に連続膜/コーティングを形成し得る。他の実施形態では、ナノ構造コーティングは、不連続コーティング、またはコーティングの不連続セグメントを形成してもよい。
【0216】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220は、感知機能を可能にし得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、第2のナノスケールの特徴セット240は、感知機能を可能にし得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、両方のナノスケールの特徴セット220および240の組み合わせは、感知機能を可能にし得る。
【0219】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、感知機能を有し得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220または第2のナノスケールの特徴セット240は、天然または合成起源の微粒子がナノスケール形成(NFF)前駆体と反応/化学的に処理される湿式化学修飾を介して微粒子の表面に直接形成され得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、微粒子の表面は、予め形成されたナノスケールの特徴で処理されてもよい。
【0222】
いくつかの実施形態では、予め形成されたナノ特徴は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合およびそれらの組み合わせを介して微粒子の表面に付着され得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、マイクロ多孔度、メソ多孔度、または両方の組み合わせを有し得る。ナノ構造コーティングは、スパイク、花様形態、棘状形態、針、ピラーなどの様々な表面形態(ナノスケールの特徴)を有し得る。特定の形状にかかわらず、これらの押出は、表面積の有意な増加ならびに表面化学および/または組成の変化をもたらし得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された材料は、空気浄化および汚染除去機能を有することができる。この機能は、粒子状物質、ガス状汚染物質および病原体を含む様々な大気汚染物質の処理を含むことができる。
【0225】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された材料が感知用途に使用される場合、空気汚染物質は刺激物または分析物になり得る。
【0226】
例として、ナノスケールの特徴は、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化銅、セリア、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化タングステン(WS2)、TaS2、ZrS2、WSe2、Sb2Se3、NbSe2、およびBi2Te3などの遷移金属カルコゲナイドを含み得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、層状複水酸化物、例えば天然ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3x4H2O)、ケイ酸塩粘土、窒化ホウ素、遷移金属炭化物および窒化物(MXeneとも呼ばれる)を含み得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、酸化グラフェンなどのグラフェン系材料を含み得る。
【0230】
例として、ナノスケールの特徴は、MnO(OH)、MnO、MnO2、Mn2O3、Mn3O2およびそれらの混合物を含むMnの異なる原子価状態を有する様々な酸化マンガンおよび水酸化Mn酸化物を含むことができる。
【0231】
いくつかの実施形態では、収着機能、殺生物性または触媒機能などの機能を増強または追加するために、第1のナノスケールの特徴セット220の表面ナノ構造体をさらに修飾して表面修飾特徴セット230を形成してもよい。
【0232】
いくつかの実施形態では、収着機能は、CO2の収着および貯蔵を含み得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220のナノ構造体の少なくとも一部の表面上に、1つまたは複数の活性材料を配置してもよい。活性材料は、用途の要件に応じて、光触媒機能、光熱触媒機能、光電極触媒機能などを示し得る。活性材料は、その上に1つまたは複数の活性部位を含んでもよい。
【0234】
いくつかの実施形態では、活性材料は触媒ナノ粒子を含み得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、触媒ナノ粒子は、金属酸化物、混合金属酸化物、または金属硫化物ナノ粒子で作製されたナノ粒子を含み、いくつかの特定の例としては、酸化銅、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化タングステン、酸化クロム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0236】
いくつかの実施形態では、触媒ナノ粒子は、金属ナノ粒子、例えば金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、バイメタル、金属合金、金属化合物、例えばペプチド、水酸化物、二元塩および錯体塩またはそれらの組み合わせを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、修飾は、ナノ構造特徴の表面上の化学官能性を含み得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、機能性は、有機材料、無機材料またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。そのような材料のいくつかの例としては、限定されないが、アミン、チオール、水酸化アルミニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドなどの様々な第4級アンモニウム塩、他のタイプの界面活性剤または酵素が挙げられる。
【0239】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、金属、銀などの金属酸化物、酸化銅、酸化マンガン、シリカ、ゼオライト、および活性炭などの無機材料でさらにコーティングされてもよい。
【0240】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、金属有機構造体(MOF)でさらにコーティングされてもよい。
【0241】
いくつかの実施形態では、活性材料はポリマー材料を含み得る。
【0242】
いくつかの実施形態では、活物質は有機金属錯体を含み得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴と活性材料の両方が、同様の組成を有するが、異なる形態を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴と活性材料の両方が、異なる組成を有し得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、活性材料は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合およびそれらの組み合わせを介して付着され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、活性材料によるナノスケールの特徴の官能化は、湿式化学修飾、浸透、物理蒸着、原子堆積、蒸着、スパッタリング、イオン含浸、およびそれらの任意の組み合わせによって導入され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、階層的材料の足場は、合成起源を有してもよく、例えば、本実施形態の技術を使用して、天然に存在する材料の足場と同じ方法でナノ構造特徴で修飾されてもよい。
【0247】
図3は、いくつかの実施形態による、階層的に構造化された合成材料300の内部構造の様々な例を示す。階層的に構造化された材料300は、いくつかの相互接続細孔320bを提供するようにパターニングされたいくつかの交差要素320aによって形成されたマトリックス320を含むことができる。
【0248】
いくつかの実施形態では、階層的材料300の相互接続細孔320bは、約50nm~約10ミクロンの範囲、例えば、約100nm~約5ミクロンの範囲、または約500nm~約1ミクロンの範囲の断面寸法を示し得る。いくつかの実施形態では、階層的材料300の相互接続細孔320bは、約10m2/gから約1,000m2/gの範囲、または約100m2/gから約500m2/gの範囲の表面積対重量比(比表面積、SSA)を示し得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、階層的微粒子は、マイクロポーラス、メソポーラス、またはマクロポーラスを含む単一のタイプの多孔性を有し得る。いくつかの実施形態では、微粒子は複数の多孔性を有し得る、すなわち階層的多孔性を示す。
【0250】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴とマトリックスの両方が、同様の組成を有するが、異なる形態を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴とマトリックスは、異なる組成を有し得る。
【0251】
例として、マトリックスは、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0252】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、階層的材料の相互接続細孔は、様々な幾何学的形状を有する1つまたは複数のチャネルを含むことができ、様々な異なるパターンで互いに対して配置され得る。例えば、チャネルの少なくとも1つは、実質的に直線状または弓形の形状を有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、チャネルの1つまたは複数は、互いに平行であってもよく、または相互接続されたチャネルのパターンを提供するように交差していてもよい。
【0254】
いくつかの実施形態では、階層的材料は噴霧乾燥粒子の形態であり得る。
【0255】
いくつかの実施形態では、上記の階層的に構造化された材料は、マイクロ多孔度、メソ多孔度、マイクロ多孔度を有し得るか、または階層的(例えばバイモーダル)多孔度を有し得る。
【0256】
図4Aは、いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材400および複数の階層的に構造化された粒子410を示す。
図4Bおよび
図4Cは、いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【0257】
巨視的基材400は、チャネル420によって分離された複数の壁430を含む。さらに、階層的に構造化された粒子410は、コーティングとして巨視的基材400の壁430のうちの1つまたは複数の表面の一部または全部に塗布されている。
【0258】
いくつかの実施形態では、チャネル420は、約1mm~約1mの範囲、例えば、約10mm~約0.1mの範囲の長さを示す。チャネル420は、様々な幾何学的形状を有してもよく、様々な異なるパターンに従って互いに対して配置されてもよい。例えば、チャネル420の少なくとも1つは、実質的に直線状または弓形の形状を有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、チャネル420のうちの1つまたは複数は、互いに平行であってもよく、または相互接続されたチャネルのパターンを提供するように交差していてもよい。いくつかの実施形態では、平行チャネルと交差チャネルとの組み合わせを使用することができる。
【0259】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、約100nm~約5mmの範囲、例えば、約400nm~約3mmの範囲、または約600nm~約1mmの範囲、または約800nm~約0.8mmの範囲、または約1,000nm~約500ミクロンの範囲、または約2,000nm~約200ミクロンの範囲、または約2,500nm~100ミクロンの範囲の孔径を有し得る。本開示の文脈において、平均孔径は、例えば、高アスペクト比の孔の場合(細孔の長い寸法と短い寸法との比が1.5より大きい場合)、例えば、孔径または断面寸法(例えば、最大または平均断面寸法)を指す。
【0260】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された微粒子は、天然起源の階層的材料または合成足場で作られた階層的材料を含み得る。いくつかの実施形態では、両方のタイプの材料の組み合わせは、巨視的基材上にコーティングとして塗布されてもよい。
【0261】
いくつかの実施形態、例えば、
図4Bおよび
図4Cの実施形態では、ナノスケールの特徴440は、巨視的多孔質基材の表面上に直接配置されてもよい。特に、ナノスケールの特徴440は、巨視的多孔質基材400と細孔またはチャネル420との間の界面で壁430の表面上に直接配置されてもよい。
【0262】
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材の表面は、表面処理によって化学的に修飾されてもよい。例えば、表面処理は、ナノスケール形成(NFF)前駆体450を含有する溶液中に巨視的多孔質基材を浸漬すること(ステップ460)、続いて熱処理すること(ステップ470)を含んでもよい。結果として、NFF450は、巨視的多孔質基材上にナノラフネスを示す複数のナノスケールの特徴を形成することができる。いくつかの実施形態では、そのようなNFF前駆体は、ナノラフネス形成(NRF)前駆体とみなされ得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、NFF前駆体は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、族(III)金属、および遷移金属塩のうちの少なくとも1つの錯塩を含み得る。いくつかの実施形態では、NRF前駆体は、チオおよびセレノアニオンならびに金属カチオン([PPh4]+および[NEt4]+)との塩、例えばテトラチオモリブデン酸アンモニウム、テトラチオバナジン酸アンモニウム、テトラチオタングステン酸ピペリジニウム、およびテトラセレノタングステン酸テトラエチルアンモニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、NRF前駆体は、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、硫酸マンガン、または塩化マンガン(II)(MnCl2)を含み得る。
【0264】
特定の実施形態では、NFF前駆体は、ゾル-ゲル前駆体、ナノ粒子前駆体、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。いくつかのそのような実施形態において、ゾル-ゲルマトリックス前駆体材料は、シリカ、アルミナ、チタニア、またはセリアおよび/またはジルコニアゾルゲルを含み得、ナノ粒子前駆体は、上記のマトリックス材料のナノ粒子の単一または混合物を含み得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、NFF前駆体はグラファイト材料を含み得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、階層的微粒子のコーティングの巨視的基材の壁430の表面への接着性および機械的堅牢性を改善するために、バインダを添加することができる。例として、バインダは、金属酸化物ナノ粒子、例えばシリカまたはアルミナを含み得る。いくつかの実施形態では、バインダ粒子のサイズは、粒子410の表面の細孔と実質的に同様またはそれより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、約1ミクロン~約200ミクロンの範囲、または約10ミクロン~約100ミクロンの範囲の厚さを示し得る。いくつかの実施形態では、コーティングは連続フィルムとして形成されてもよい。他の実施形態では、コーティングは、複数の不連続セグメントとして形成されてもよい。
【0267】
他の実施形態では、コーティングは、不連続コーティング、すなわち、複数の分離されたセグメントを有するコーティングを含むか、または巨視的基材の細孔を完全に充填することができる。他の実施形態では、コーティングは、複数の材料の島、クラスタ、または凝集体を含む個別の階層的に構造化された微粒子の集合体を含み得る。
【0268】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、コージェライト、ムライト、ゼオライト、および天然または合成粘土などのセラミック材料から製造することができる。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ステンレス鋼、フェライト鋼(例えば、鉄-クロム合金)、オーステナイト鋼(例えば、クロム-ニッケル合金)、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、白金、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の金属および/または金属合金から作製されてもよい。
【0269】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、微粒子フィルタとして実装されてもよい。
【0270】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリ(アルキルアクリレート)、置換ポリアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、およびそれらの任意の組み合わせなどのポリマーから作製されてもよい。ランダムコポリマーおよびブロックコポリマー、分岐ポリマー、スターポリマーおよび樹枝状ポリマー、ならびに超分子ポリマーなど、異なる構造を有する他のポリマーも同様に利用することができる。
【0271】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ガラス繊維から製造されてもよい。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、セルロース、天然ゴム(例えばラテックス)、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の天然材料から作製されてもよい。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、天然または合成の布および織物、ならびにそれらの任意の組み合わせから作製されてもよい。
【0272】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材はフィルタであってもよい。
【0273】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの多孔質構造は、繊維が、その後化学的、機械的、熱もしくは溶媒処理による結合によって、および/または繊維のインターロックによって互いに結合されるウェブに積層される不織布繊維媒体を含むことができる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの構造は、繊維が互いに重なり合う織布繊維媒体で作製されてもよい。
【0275】
いくつかの実施形態では、フィルタの構造は、ガラス繊維、ポリマー繊維、綿などの天然繊維、酢酸セルロース、硝酸セルロース(コロジオン)、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ステンレス鋼、ニッケル合金、インコネル、FeCrAlY合金、またはそれらの組み合わせなどの他の合成材料のいずれかで作られてもよく、いずれかを含んでもよく、またはそれらでコーティングされてもよい。
【0276】
いくつかの実施形態では、フィルタは、ポリウレタンなどのポリマーのいずれかで作製されるか、それを含むか、それでコーティングされてもよく、および/またはポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、キチン、およびキトサンのうちの少なくとも1つを含む。
【0277】
例として、天然または合成起源の階層的に構造化された微粒子220は、それらの修飾の前に巨視的多孔質基材上に塗布されてもよい。
【0278】
特定の実施形態では、ナノスケールの特徴440は、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかから形成され得る。
【0279】
例として、ナノスケールの特徴440は、MoS2または酸化マンガンから形成されてもよい。
【0280】
例として、ナノスケールの特徴は、上述の構造体および組成物を有することができる。
【0281】
多くの実施形態では、本明細書に開示される組成物および材料は、超微粒子状物質(PM)またはPM0.1~1などの病原体および他の粒子の治療のための多面的な機構を提供する。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、この目標は、多孔質巨視的基材と、巨視的多孔質基材の細孔の少なくとも一部の内面に堆積された階層的に構造化されたコーティングとを含む構造体の合理的な設計によって達成され得る。多孔質基材およびコーティングの両方は、ナノ特徴を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、構造体は、基材のミクロンサイズの細孔からコーティングのマイクロ、メソおよび/またはマクロ多孔性構造体までの範囲の階層的多孔性を含み得る。
【0282】
「汚染物質(contaminants)」および「汚染物質(pollutants)」という用語は、本明細書では、様々な微生物(例えば、細菌および/またはウイルス)、および煙または他のタイプの微粒子などの天然に存在するおよび人工の材料構造を含む、様々な無機、有機、ならびに混合無機および有機材料構造を指すために互換的に使用される。汚染物質は、有機、無機および混合起源の微粒子、バイオエアロゾルを含むエアロゾル、およびVOCなどのガス状汚染物質を包含し得る。一般に、汚染物質は、使用中にフィルタに蓄積し、フィルタの性能を低下させる可能性がある異なる種類の微粒子または生物を含む可能性がある。劣化は、フィルタが空気を浄化することができる速度、またはフィルタが単位時間内に捕捉することができる汚染物質の量または種類の減少を含むことができる。
【0283】
本教示の多くの実施形態は、例えば、抗ウイルス性および抗微生物性の空気浄化に適用可能な固有の特性を有する材料構造を提供する。いくつかの実施形態では、材料構造は、抗ウイルス性および抗微生物性の液体浄化に適用されてもよい。
【0284】
より具体的には、材料は、病原体および他の微粒子の捕捉のためのミクロンスケールの細孔、および病原体の破壊のための細孔-マトリックス界面のナノスケールの特徴(例えば、ラフネス、鋭いエッジ、ナイフエッジ特徴、しわなど)に依存する、病原体の捕捉および排除への多面的なアプローチのためにそれぞれ合理的に調整された、様々な長さスケールを有する階層構造を統合する。階層的構造の調整のために、ミクロンスケールの細孔のサイズは、標的病原体の捕捉効率を高めるように設計することができ、ナノスケールの特徴のサイズは、病原体をより効率的に破壊するように設計することができる。したがって、特徴は、関連する標的病原体の寸法に見合った長さスケールで設計することができる。
【0285】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される階層的材料は、巨視的多孔質基材上に堆積される、粗い表面を有するコーティングなどのコーティングの形態で使用されてもよい。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される階層的材料は、平坦な表面上のコーティングの形態で使用され得る。
【0287】
本教示の実施形態による階層的材料は、存在する場合、流動培地中に存在する病原性生物の1つまたは複数の種類の少なくとも一部分を処理するように構成され得る。いくつかの実施形態では、階層的材料は、巨視的多孔質基材、コーティング、および流動培地中に存在する少なくとも1種類の病原体を処理するように構成された任意選択的な活性部位を含み得る。多くの実施形態では、流動培地は、気体または液体のいずれかであってもよい。例として、流動培地は空気または水であってもよい。いくつかの実施形態では、流動培地は水性培地であり得る。いくつかの実施形態では、流動培地は、体液(例えば、血液)であり得る。
【0288】
病原性生物は、ウイルス、細菌および真菌のいずれかを含み得る。
【0289】
いくつかの実施形態では、コーティングの特定の表面形態および組成は、病原体の不活性化、収着および触媒機能のための機械殺菌特性を含む複数の新しい機能を導入する。いくつかの態様では、本開示は、ウイルスおよび他の病原性微生物を効率的に処理(例えば、捕捉、不活性化)し、ならびにガス状および粒子状汚染物質を処理するように設計された構造的な微視的およびナノスケールの特徴を有する微粒子表面(例えばDE)の修飾に関する。
【0290】
本教示による修飾粒子はまた、液体培地、例えば水に存在する汚染物質を処理するために効果的に使用され得る。
【0291】
病原体の外部膜または壁を機械的に損傷し、したがってそれらを不活性化するための表面ナノ構造の使用は、自然界全体で観察される一般的なモチーフである。例えば、セミ、トンボ、およびイトトンボのいくつかの種の羽根は、機械殺菌性ナノピラーを有する。作用機序は多様である。例えば、表面粗さは、平坦な表面と比較して接触角を修正することができ、病原体の付着を防止することができ、または関連する病原体の寸法に見合った長さスケールの鋭い点または縁部を提供することができる。殺生物性効果を有する合成システムは、ナノピラーおよびナノシート(「ナノナイフ」としても知られる)を含む様々な形態で実証されている。例えば、グラファイトファミリー(例えば、グラファイト、酸化グラフェン(GO))は、抗菌用途についてよく研究されている。研究者らは、GOの鋭い縁部が細菌膜を損傷し、細胞質物質の放出および細菌死をもたらすことを報告した。他の研究は、垂直に整列したMnO2およびMoS2ナノ構造で修飾されたグラファイト表面が高い抗菌効果を有することを実証した。これらの研究は、液体状態の用途に限定されている。さらに、それらの材料選択、方法、および容積要件は、技術の商業的実現可能性を制限する。
【0292】
いくつかの実施形態では、対病原性ナノスケールラフネスを有するDE表面の修飾は、多面的な殺生物性溶液のためのミクロンスケールの細孔およびナノスケールの表面特徴を特徴とする階層的材料構造をもたらす。そのような材料のいくつかの実装形態では、大きな表面積を有する多孔質表面は、病原体を効率的に捕捉することができ、一方、多孔質表面上のナノナイフは、多種多様な病原体の外部膜または壁を破壊または切開することができる。
【0293】
いくつかの実施形態では、殺菌特性は、例えば、活性酸素種(ROS)の生成を通じて病原体に化学的に損傷を与え得る材料(例えば、Mn、Ce、Caの金属酸化物)を使用して、表面形態とコーティングの化学組成との相乗効果によって調整され得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、表面修飾DEは、表面積の増加および特別に設計されたコーティング組成物に起因して、改善された収着および濾過機能を有し得る。ガス状汚染物質の捕捉に最も頻繁に使用される材料は、活性炭、ゼオライト、金属酸化物およびそれらの誘導体などの大きな表面積および細孔容積を有する多孔質物質である。様々な実施形態では、マクロポーラス支持体上の吸着材料の設計において収着機能をナノ構造化と組み合わせることにより、その高表面積を維持しながら、その圧縮および背圧の増加が防止される。DEの表面修飾は、一般的なVOC吸着材料のグラフト化およびナノ構造化を通じて全体的な収着能力を改善することができた。
【0295】
一例として、ここでの比表面積(SSA)の大きさは相対的に評価され、すなわち、SSAは、初期材料が修飾後の同じ材料の構造化材料よりも低い表面積を有する場合に強化されると考えられる。例えば、DEと同様の組成物(SiO2)を有する砂粒子は、0.1m2/gのSSAを有する。DEのSSAは、多孔度および構造のために10~40m2/gで変化し得る。本明細書で提供される特定の例では、DEのSSAは約30m2/gであると測定された。特定のMnO構造で修飾した後、SSAを約45m2/gに増加させる。活性炭は、700~1000m2/gの範囲のSSAおよび5000~7000m2/gの範囲のMOFを有することが知られている。高表面積材料を使用したその後の修飾は、SSAをさらに増加させることができる。
【0296】
いくつかの実施形態では、表面積は、金属有機構造体(MOF)による修飾後に有意に増加し得る。
【0297】
いくつかの実施形態では、触媒機能は、第1または第2の修飾後に触媒ナノ粒子を組み込むことによって導入され得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、触媒機能を提供し得る。触媒機能は、触媒粒子をコーティングに組み込むことによって、またはコーティング自体のナノ構造化によって導入することができる。例えば、多くの金属酸化物は、形態学的なナノ特性のために、異なる酸化および還元反応に対して高触媒活性を示す。
【0299】
以下でより詳細に説明するように、階層的材料のミクロンスケールの細孔の構造と細孔表面の構造および組成との組み合わせは、細菌、ウイルス、および他の病原性生物などの汚染物質の不活性化に相乗効果をもたらし得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、ナノレベルおよびマイクロレベルでの階層的材料の表面形態および多孔度は、ウイルスおよび細菌の捕捉を容易にし、ウイルスエンベロープおよび/またはカプシドならびに細菌膜に機械的損傷を与えて、設計された殺生物性機能を達成するように調整することができる。これに関して、表面形態は、材料組成を調整することによって、および/または前駆体材料の濃度およびプロセス温度などの製造プロセス条件を調整することによって調整することができる。
【0301】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、病原体への機械的損傷の発生を促進するように構成された幾何学的形状、アスペクト比および/またはサイズを示し得る。例えば、ナノスケールの特徴の代表的な寸法は、約3nm~約30nmの範囲、例えば約10nm~約20nmの範囲であってもよい。
【0302】
いくつかの実施形態では、基材に塗布されたコーティングは、特定の濾過機能を促進/増強することができる。特定の濾過機能は、病原体の1つまたは複数の不活性化、有機およびガス状汚染物質の分解、ならびに収着(吸着および吸収の両方)を含み得る。収着は、ガス(例えば、VOC、CO2、CO、アンモニアおよびその誘導体)、汚染物質、または微生物(例えば、細菌、ウイルスなどの病原体)の収着を含み得る。
【0303】
いくつかの実施形態では、そのような収着および/または分解特性の向上は、階層的に構造化された微粒子の表面上の活性材料の存在に起因し得る。
【0304】
いくつかの実施形態では、本教示による階層的に構造化されたコーティングを有する基材の修飾は、収着活性および触媒活性の両方を示し得る機能性基材をもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングは、特定の汚染物質に対する親和性が増加して設計された表面特性を有する1つまたは複数の金属酸化物(ホルムアルデヒドまたはアルコールまたは親水性粒子などの極性分子の吸着を改善するヒドロキシル化表面またはアミン官能基を有する表面)および汚染物質の処理に対する触媒活性を有する元素組成物(例えば、酸化ニッケル、酸化パラジウム、混合金属酸化物)を含み得る。
【0305】
いくつかの実施形態では、巨視的基材と、合成または天然起源の階層的に構造化された粒子を含むコーティングと、場合により活性部位/反応性材料との組み合わせは、存在する場合、流動培地中に存在する1つまたは複数の種類の微粒子の少なくとも一部分を処理するように構成される。例として、いくつかの実施形態では、処理され得る微粒子のサイズ範囲は、約1nm~約1ミクロンである。いくつかの実施形態では、処理される微粒子のサイズ範囲は、約5nm~約5ミクロンの範囲、または約10nm~約1ミクロンの範囲、または約100nm~約500nmの範囲であり得る。これは、コーティング基材のいくつかのパラメータ(例えば、基材の多孔度、粒子のサイズおよびそれらの修飾)を調整することによって行うことができる。汚染物質のアレスタンス(arestance)または濾過は、粒径によって決定または調整することができる。いくつかの実施形態による修飾基材は、約5nm~約5ミクロンの範囲、または約10nm~約1ミクロンの範囲、または約100nm~約500nmの範囲のサイズを有する微粒子を濾過する(例えば、不活性化する、除去する)ように構成され得る。
【0306】
多くの実施形態では、本明細書に開示される組成物および材料は、超微粒子状物質(PM)またはPM0.1~1などの病原体および他の粒子ならびにガス状および液体汚染物質の治療のための多面的な機構を提供する。この目標は、巨視的多孔質基材としてのDEと、DEの細孔の少なくとも一部の表面に堆積された合理的に設計された形態および組成物を有するナノ構造コーティングとからなる複合DE構造体の製造によって達成され得る。ナノ構造組成および形態は、病原体(例えば、細菌、ウイルスなど)の不活性化、有機およびガス状汚染物質の分解、ならびにガス(例えば、VOC、CO2、CO、アンモニアおよびその誘導体)の収着を含む収着(吸着と吸収の両方)などの特定の機能を促進/増強することができる。
【0307】
いくつかの実施形態では、本開示は、汚染物質の少なくとも一部を捕捉するために階層的に構造化された粒子で修飾/コーティングされた多孔質構造体(本明細書では一次構造体とも呼ばれる)を有するフィルタを提供する。多孔質構造体は、コーティングがなくても濾過機能を提供するので、本明細書では多孔質構造体はベアフィルタとも呼ばれる。実施形態では、階層的に構造化された粒子は、フィルタの再生を可能にするコーティングを提供する。
【0308】
多くの実施形態では、通路または細孔を塞ぐことなく、フィルタの1つまたは複数の内面に、活性材料を含むまたは含まない階層的に構造化された微粒子を有するコーティングを含めることにより、コーティング後の背圧の比較的小さな増加で効果的に動作する機能化フィルタを提供することができる。言い換えれば、機能化フィルタは、システムを通る空気の通過を著しく制限することなく、空気中の少なくともいくつかの汚染物質(例えば、ウイルスなどの病原体、粒子状物質、またはガス状汚染物質)を処理することができる。これに関して、所望の範囲の空気流量に対する機能化フィルタの背圧は、許容範囲内、例えば、同様の流れ条件下でのコーティングされていないフィルタの背圧の約50倍以内(例えば、0.1~10000CFM、または0.5~1000CFM、または1~500CFMの範囲内)のままであり得る。
【0309】
例として、増分背圧は、約50倍、または約40倍、または約30倍、または約20倍、または約10倍以下であってもよい。
【0310】
本明細書で使用される「フィルタの再生」という語句は、一定期間使用されたために機能が低下した後にフィルタの濾過機能を改善するプロセスを意味する。濾過機能の劣化は、例えば、フィルタ内の汚染物質の蓄積に起因し得る。フィルタの更新は、例えば、フィルタから蓄積された汚染物質の一部または全部を除去することを含むことができる。フィルタの更新は、フィルタの状態を、フィルタがその意図された濾過機能を実施することができる状態に実質的に戻すことを含むことができる。
【0311】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの濾過機能の更新は、フィルタが病原体の不活性化ならびに停止した汚染物質の少なくとも部分的な分解および除去を可能にするように、フィルタ、特にそのコーティングを断続的に処理するためにエネルギーを供給することによって達成され得る。例として、フィルタの更新は、特定の時間間隔で、および/または環境トリガに基づいて、フィルタを加熱すること、フィルタを光に曝露すること、フィルタを磁場に曝露することなどによって達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングを有する本教示によるフィルタは、フィルタによって捕捉された病原体の少なくとも一部分の不活性化のために約90℃を超える温度に加熱されてもよい。他の実施形態では、DEコーティングを有する本教示によるフィルタは、90℃~200℃の範囲の温度に加熱されてもよい。
【0312】
例として、フィルタの更新は、環境トリガなどの何らかのトリガによって開始されてもよい。様々な実施形態では、フィルタ更新の開始のための環境トリガは、環境要因の何らかの変化の検出または環境要因が閾値に達することに基づくことができる。例えば、環境トリガは、周囲空気中の汚染物質の濃度、内部温度、背圧、および/またはフィルタの内圧の突然の増加または閾値を超える増加に対応し得る。
【0313】
図5は、いくつかの実施形態によるフィルタ500の一例を示す。フィルタ500は、多孔質構造体520と、多孔質構造体に結合された階層的に構造化された微粒子540とを含む。この実施形態では、多孔質構造体は、それらの間には空の空間を有する複数の交差する繊維から形成され、その少なくとも一部には、階層的に構造化された微粒子540が配置されている。いくつかの実施形態では、階層的に構造化された粒子540は、交差する繊維間の空の空間全体を実質的に満たすが、他の実施形態では、空の空間の一部のみが粒子540で満たされる。粒子540で充填され得る空の空間の量は、以下でさらに説明される。
【0314】
例として、微粒子は、階層的に構造化された微粒子200であってもよい。
【0315】
図6A~
図6Dは、いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。より具体的には、
図6Aはガラス繊維濾過媒体のSEM画像であり、
図6BはDEで処理したガラス繊維濾過媒体のSEM画像であり、
図6Cおよび
図6Dは表面ナノ特徴で修飾したDEのSEM画像である。
【0316】
図6Aに関して、SEM画像は、ガラス繊維の繊維620を含むガラス繊維媒体の未修飾多孔質構造を示す。一方、
図6Bは、この場合DE粒子640である階層的に構造化された微粒子でコーティングされたガラス繊維の繊維620を含む同様のガラス繊維媒体を示す。
図6Bに示すように、DE粒子640は、一次多孔質構造体のガラス繊維の繊維間の空き空間の大部分を占める。例えば、DE粒子640は、一次多孔質構造体のガラス繊維間の空き空間の少なくとも15%、25%、50%、75%を占める。
【0317】
一方、
図6Cおよび
図6Dは、追加の機能性材料で処理されたDE粒子のSEM画像を示す。より具体的には、
図6Cは、表面成長660を有するナノ構造コーティング660でコーティング/改質された単一のDE粒子650の画像を示す。一方、
図6Dは、ランダムに配向したプレート/ナノアレイの形態のナノフィーチャ660を示す高倍率のナノ構造コーティング650の一部分を示す。これらの図では、表面ナノ特徴は、DEの表面上に成長させた酸化マンガンナノアレイ(例えば、垂直に整列したシートまたはしわ)を含む。これらの構造のいくつかの機能を以下でさらに説明する。
【0318】
図7Aは、ナノラフエッジ(例えば、
図6Cおよび
図6Dに示す垂直に整列したシートまたはしわ)を有する酸化マンガンナノ構造コーティングを用いたDEを用いた抗菌試験の結果を示す。
図6Dに示すガラス繊維平板培地を黄色ブドウ球菌(ATCC6538)で抗菌特性について試験したところ、未修飾試料と比較して生存細菌の76%の減少が実証された。[
図7Aは、
図6A~
図6Dに示すガラス繊維媒体を用いた抗菌試験の結果を示す。実験は、異なる期間にわたる2種類のガラス繊維培地上への細菌ブドウ球菌の沈着、それに続く寒天プレート上での抽出およびインキュベーションを含んだ。各期間後に細菌を計数した(コロニー形成単位、CFU)。
図7Aは、2組のデータカウントを示し、1つは未修飾ガラス繊維(円)から抽出された試料、もう1つは修飾DEでコーティングされたガラス繊維である。結果は、コーティングされた培地が60分後に約24CFUを含有し、一方、引用されていないガラス繊維培地は約125CFUを含有したことを示している。これは、未修飾試料の約40%のみと比較して、DE修飾試料の約76%の生存細菌の減少に相当する。]
【0319】
図7Bは、60分間のインキュベーション後の未修飾培地および修飾培地(
図6Aおよび
図6Bにそれぞれ対応する)から抽出されたブドウ球菌を有する寒天平板の光学顕微鏡画像を示す。細菌は、インキュベーション中に未修飾培地上でうまく増殖したが(
図7B、左プレート)、修飾フィルタでのインキュベーション後にはほとんど増殖が観察されなかった(
図7B、右プレート)。これは、MnO修飾DEコーティングが抗菌機能を示したことを示している。
【0320】
図8は、いくつかの実施形態による、天然起源の階層的に構造化された微粒子(例えばDEコーティングフィルタ)から構成されるコーティングを製造する方法800のフローチャートを示す。
【0321】
いくつかの実施形態では、コーティングは、いくつかの実施形態による合成起源の階層的に構造化された微粒子の粒子から構成される。
【0322】
820で、濾過媒体を前処理する。濾過媒体前処理は、洗浄、乾燥、活性化、DEの接着性を改善するための活性成分による修飾などのプロセスの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0323】
いくつかの実施形態では、濾過媒体の活性化はコロナ処理を含む。
【0324】
840で、濾過媒体をコーティングする。例えば、DEを濾過媒体の多孔質構造体上に堆積させ、それによって「コーティングされたフィルタ」を提供することができる。DE堆積は、乾式粉末堆積などの乾式堆積法、浸漬コーティング、ロールツーロールコーティング、およびスプレーコーティングなどのDEスラリーを利用する湿式堆積法のプロセスの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。これらの実施形態では、DEスラリーは、DE粒子/微粒子、溶媒(例えば、水)および添加剤を使用して配合され得る。いくつかの実施形態では、スラリー調製の前に、DE粒子を上記のように修飾することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、異なる機能(例えば、バインダ、安定剤、増粘剤)を果たし得、有機、無機材料およびそれらの混合物を含み得る。
【0325】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された粒子は、上記の方法を使用して非多孔質表面(例えば、テーブル、ドアハンドル、医療機器の部品など)にコーティングされ得る。
【0326】
いくつかの実施形態では、そのような表面上のコーティングは、抗菌または抗ウイルス(殺生物性)機能を有し得る。
【0327】
いくつかの他の実施形態では、スラリー調製およびコーティング後にDE粒子を修飾することができる。
【0328】
860で、コーティングされたフィルタを処理する。このさらなる処理には、乾燥、焼成などのプロセスの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない。
【0329】
いくつかの実施形態では、階層的材料構造を製造する方法が提供される。
【0330】
いくつかの実施形態は、階層的微粒子の表面上にナノ構造特徴を作製する方法を提供する。製造方法は、ナノ特徴前駆体および微粒子(例えば、BM)を含む溶液を調製することと、溶液を熱処理して階層的に構造化された材料を製造することとを含んでもよい。
【0331】
いくつかの実施形態では、微粒子の初期修飾後、第2の修飾が行われる。第2の修飾の導入は、表面積をさらに増強するし、新しい機能を導入することができる。
【0332】
図9は、いくつかの実施形態による、修飾された巨視的多孔質基材を製造するためのプロセスを示す。
【0333】
ステップ920において、溶媒(例えば、水)中にマトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを分散させることによって溶液を調製することができる。コアシェル鋳型コロイドは、ナノラフネス形成(NRF)材料の薄層(例えば、10~30nm)でコーティングされたポリマーコロイド(例えば、ポリスチレン)コアを含み得る。
【0334】
続いて、ステップ940において、コーティング溶液を乾燥および焼成して、上述のように階層的材料または階層的に構造化された多孔質微粒子を作製することができる。
【0335】
次いで、階層的に構造化された多孔質微粒子を巨視的基材に塗布することができる(ステップ306)。任意選択的に、基材表面へのコーティングの接着性および機械的堅牢性を改善するために、1つまたは複数のバインダを添加してもよい。
【0336】
いくつかの他の実施形態では、溶液は、例えば浸漬コーティングによって巨視的多孔質基材に塗布され(ステップ930)、続いてコーティングされた巨視的基材の熱処理が行われてもよい(ステップ950)。その結果、階層的材料構造で被覆された巨視的多孔質基材930を得ることができる。
【0337】
これらの実施形態では、鋳型コロイドの熱処理または溶解(ステップ940または950)は、(i)多孔質ネットワークを作成するためのポリマー部分の除去、(ii)薄いNRF層のためのキャリアを形成するためのマトリックス材料の固化、および/または(iii)病原体破壊に使用され得る細孔/マトリックス界面でのNRF層からのナノラフネスの生成を提供し得る。このように、熱処理は、ポリマーコロイドコアの融点より高い温度で行うことができる。例として、熱処理の温度は、約100℃~約500℃の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、熱処理は、減圧環境、真空もしくは真空に近い環境、または不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)環境で行うことができる。
【0338】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、単一の化合物または異なる化合物の混合物から作製されてもよい。マトリックス材料は、例えば、触媒活性、刺激応答性、化学的に堅牢、分解性であり得、および/または特定の熱的および機械的特性を示し得る。
【0339】
例として、マトリックス材料は、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0340】
いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0341】
いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、珪藻土、花粉、および生物学的起源のシリカ系微粒子などの生体材料を含み得る。
【0342】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、シリコン、ゲルマニウム、スズ、III族またはV族元素でドープされたシリコン、III族またはV族元素でドープされたゲルマニウム、III族またはV族元素でドープされたスズ、およびそれらの任意の組み合わせなどの半導体を含み得る。
【0343】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、1つまたは複数の金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属プニクチド、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0344】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、金属有機構造体、無機ポリマー(例えば、シリコーン)、有機金属錯体、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の有機金属化合物を含み得る。
【0345】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、表面ナノ粗さを導入するために、例えばエッチングによって直接機械加工されてもよい。例えば、エッチングプロセスは、ウェットエッチング、ドライエッチング、イオンエッチング、プラズマエッチングなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0346】
いくつかのそのような実施形態では、ナノスケールの特徴は、顕微鏡的微粒子が巨視的基材上にコーティングされた後に、顕微鏡的微粒子上に形成され得る。
【0347】
特定の実施形態では、マトリックス前駆体材料は、ゾル-ゲル前駆体、ナノ粒子前駆体、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。いくつかのそのような実施形態において、ゾル-ゲルマトリックス前駆体材料は、シリカ、アルミナ、チタニア、セリアおよび/またはジルコニアゾルゲルを含み得、ナノ粒子前駆体は、上記のマトリックス材料のナノ粒子の単一または混合物を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、ナノ粒子前駆体は、ベーマイトなどの水酸化アルミニウム酸化物を含み得る。
【0348】
本明細書に記載されるように、「マトリックス前駆体材料」は、高温焼成、乾燥、光誘起重合、熱重合またはラジカル重合、超分子重合、他の硬化プロセス、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の製造処理によって「マトリックス材料」に変換することができる。
【0349】
上述のコア-シェルシステムは、特定の事例に体系的に対処するために材料設計に組み合わせ手法を提供することができる。単一の製造プロセスにおいて、所望の殺生物性機能を達成するように調整されたナノスケールの特徴の寸法の変動を達成するために、適切なポリマーコロイドの直径および異なるシェル組成を選択することによって、様々な孔径を導入することができる。
【0350】
以下、本教示による階層的材料構造およびその製造方法のいくつかの例を説明する。
【0351】
実施例1:細孔-マトリックス界面での多孔質微粒子+ナノスケールの特徴(NF)
図10を参照すると、細孔-マトリックス界面に形成された多孔質微粒子とナノスケールの特徴(NF)との組み合わせは、以下の6つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
(i)実施例1a NFF複合微粒子(NFF-CMP)を得るためのナノスケール形成特徴(NFF)修飾鋳型材料(NFF-TM)とマトリックス前駆体(MP)との結合(ステップ1010)、および
(ii)NF多孔質微粒子(NF-PMP)を得るための鋳型除去および細孔-マトリックス界面でのNFの形成(ステップ1012)。
実施例1b
(i)NF複合微粒子(NF-CMP)を得るためのNF修飾鋳型材料(NF-TM)とMPとの結合(ステップ1020)、および
(ii)NF-PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1022)。
実施例1c
(i)複合微粒子(CMP)を得るための鋳型材料(TM)とMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)多孔質微粒子(PMP)を得るための鋳型の除去(ステップ1032)、および
(iii)NF-PMPを得るための予め形成されたNF(例えば、含浸、堆積などを介して)による後修飾。
実施例1d
(i)CMPを得るためのTMとMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1032)、
(iii)NFFによる(例えば、含浸による)後修飾(ステップ1034)、および
(iv)NF-PMPを得るための処理(ステップ1036)。
実施例1e
(i)CMPを得るためのTMとMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1032)、および
(iii)NF-PMPを得るためNF(ステップ1036)(例えば、機械的処理、エッチングなどを介して)(ステップ1038)を導入するための後修飾。
【0352】
実施例2:細孔-マトリックス界面でのマイクロポーラスコーティング+ナノスケールの特徴(NF)によってコーティングおよび/または修飾された巨視的基材
図11を参照すると、細孔-マトリックス界面に形成されたマイクロポーラスコーティングおよびNFの組み合わせでコーティングおよび/または修飾された巨視的基材は、以下の4つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
実施例2a
(i)予め形成されたNF-PMPによる巨視的基材の修飾(ステップ1110)(例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロールツーロールなどによって)。
実施例2b
(i)NFFまたはNF修飾TMおよびMPの結合による巨視的基材の修飾(例えば、巨視的基材の壁上に直接結合)、および
(ii)鋳型の除去およびコーティングの細孔-マトリックス界面上のNFの形成(ステップ1120)。
実施例2c
(i)予め形成されたPMPによる巨視的基材の修飾、および
(ii)NFによる後修飾(ステップ1130)またはNFFによる後修飾(ステップ1140)、それに続くNFを形成するための処理。
実施例2d
(i)巨視的基材チャネル上のTMおよびMPの結合による巨視的基材の修飾、
(ii)鋳型の除去(ステップ1150)、および
(iii)NFFによる後修飾またはNFによる直接修飾(ステップ1152)。
【0353】
実施例3:巨視的基材+細孔でのナノスケールの特徴(NF)-巨視的基材チャネル界面
図12を参照すると、巨視的基材の孔とチャネルとの間の界面に形成されたNFを有する巨視的基材は、以下の3つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
実施例3a
(i)NFFによる巨視的基材の修飾(ステップ1210)(例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロールツーロールなどによって)、および
(ii)NFを形成するための処理(ステップ1212)。
実施例3b
(i)予め形成されたNFによる巨視的基材の修飾(ステップ1220)。
実施例3c
(i)NFを形成するための巨視的基材の処理(ステップ1230)(例えば、エッチングによって)。
【0354】
コーティング方法は、基材の種類によって選択される。例えば、3D基材の場合、方法は浸漬コーティングに基づくことができるが、2D基材(例えば、平坦な基材、表面)の場合、方法はロールツーロールコーティングおよびスプレーコーティングを含むことができる。
【0355】
本明細書で使用される「微粒子」という用語は、様々な微生物(例えば、細菌および/またはウイルス)および煙微粒子などの天然に存在するおよび人工の材料構造を含む、様々な無機、有機、および混合無機および有機材料構造を指す。例として、そのような微粒子は、最大で約10ミクロン以下(例えば、「PM10」)、または最大で約2.5ミクロン以下(例えば、「PM2.5」)、または最大で約1ミクロン以下(例えば、「PM1」)、または最大で約300nm以下のサイズを有し得る。「超微粒子」という用語は、典型的には、最大で約0.1ミクロン「PM0.1」以下のサイズを有する微粒子を指す。
【0356】
「処置する」および「処理」という用語は、本明細書では、例えば汚染流の形態の流動培地を含む培地(例えば、気体または液体培地)からの汚染物質(例えば、気体、蒸気、粒子状物質、エアロゾル、バイオエアロゾル、または病原体)の酸化、還元、不活性化、分解、および/または濾過(例えば、除去)(またはそれらの組み合わせ)を指すために使用される。
【0357】
本明細書で使用される「捕捉」という用語は、本教示による構造による汚染物質(例えば、微粒子)の恒久的または一時的な捕捉を指す。
【0358】
「細孔」、「通路」、「連絡通路」、および「チャネル」という用語は、本明細書では、流れを受け入れるための少なくとも1つの開口部を有する材料構造を指すために交換可能に使用される。細孔は、球形または非球形の形状、例えば、流れに曝されるエンクロージャまたは表面を提供することができる直線状、曲線状、蛇行状、二股状、または分岐状の空洞であってもよい。
【0359】
本明細書で使用される「サイズ」という用語は、断面寸法、例えば、高アスペクト比の細孔の場合(細孔の長い寸法と短い寸法との比が1.5より大きい場合)、細孔またはチャネルの(細孔またはチャネルの直径などの)細長い寸法(例えば、長さ)に垂直な、例えば最大寸法などの寸法を指す。したがって、以下に説明する実施形態では、細孔またはチャネルは、その断面寸法およびその長さの1つまたは複数によって特徴付けられ得る。
【0360】
「ナノ構造」または「ナノスケール」という用語は、1ミクロン未満、例えば約100nm~約500nmの範囲、または約10nm~約150nmの範囲、または約3nm~約50nmの範囲のx、yおよびz寸法のそれぞれのサイズを有する材料構造を指す。
【0361】
「微細構造」または「ミクロンスケール」という用語は、x次元、y次元およびz次元の各々において1ミクロン以上1mm未満のサイズを有する材料構造を指す。
【0362】
本明細書で使用される「フィルタ」という用語は、汚染物質を保持および/または除去することによって空気から汚染物質を除去する装置を指す。フィルタには、高効率微粒子吸収(「HEPA」)フィルタ、機械フィルタ、収着要素フィルタ、イオン化および静電フィルタ、ならびに光触媒フィルタが含まれるが、これらに限定されない。
【0363】
「表面ナノ構造」、「ナノ構造特徴」、「ナノスケールの特徴」、「ナノ特徴」、「ナノラフネス」という用語は、本明細書では互換的に使用され、スパイク形状の表面形態、花様形態、棘状形態、針、ピラー、円錐、鋸歯状断面、テーパ円筒、および1nm~50nmの範囲の寸法を有する他の表面押出物を一部に有するナノスケール材料構造を指し、アスペクト比(基部に対する高さの比として定義される)は50~0.02である。
【0364】
本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、「約」という用語は、使用されている数の数値の±10%を意味する。したがって、いくつかの実施形態では、約100μmは、90μm~110μmの範囲を意味する。
【0365】
マイクロポーラス、メソポーラスおよびマクロポーラスという用語は、国際純正応用化学連合の定義に従って定義され、細孔はマイクロ細孔(<2nm)、メソ細孔(2~50nm)およびマクロ細孔(>50nm)に分類される。多孔質材料が複数の長さスケールにわたって階層的細孔を有することがしばしば有益であることが発見されている。階層的多孔質材料は、少なくとも二峰性の多孔性を有さなければならない。
【0366】
「処置する」および「処理」という用語は、本明細書では、例えば汚染流の形態の流動培地を含む培地(例えば、気体または液体培地)からの汚染物質(例えば、気体、蒸気、粒子状物質、エアロゾル、バイオエアロゾル、または病原体)の酸化、還元、不活性化、分解、濾過、分解、および除去(例えば、収着)(またはそれらの組み合わせ)を指すために使用される。培地を処理するために使用されるフィルタは、抗ウイルス特性および/または抗微生物特性を有し得る。
【0367】
いくつかの態様をシステムまたは装置の文脈で説明してきたが、これらの態様は、対応する方法の説明も表すことができ、ブロックまたはデバイスは、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明される態様はまた、対応するブロックまたは項目または対応する装置の特徴の説明を表す。方法ステップの一部またはすべては、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(またはそれを使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかの1つまたは複数は、そのような装置によって実行することができる。
【0368】
当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に様々な変更を加えることができることを理解するであろう。
【0369】
実施形態の前述の説明は、例示のみを目的として提示されている。これは網羅的ではなく、実施形態を開示された正確な形態に限定するものではない。いくつかの例示的な実施形態および特徴が説明されているが、実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、修正、適合、および他の実装が可能であり得る。したがって、特に明記しない限り、説明は1つまたは複数の実施形態に関するものであり、全体として実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。これは、特徴が「1つの(a)」、「その(the)」、「1つの(one)」、「1つまたは複数の(one or more)」、「いくつかの(some)」、または「様々な(various)」実施形態に関連すると本開示が述べているか否かにかかわらず当てはまる。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形を含み得る。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。また、特徴が存在し得ると述べることは、特徴が1つまたは複数の実施形態に存在し得ることを示す。
【0370】
本開示では、「含む(include)」、「備える(comprise)」、「含有する(contain)」、および「有する(have)」という用語は、セットまたはシステムの後に使用される場合、オープン包含(open inclusion)を意味し、列挙されていない他の部材のセットまたはシステムへの追加を排除しない。さらに、別段の記載がない限り、または文脈から他の方法で差し引かれない限り、接続詞「または」は、使用される場合、排他的ではなく、代わりに、および/または、を意味することを含む。
【0371】
さらに、これらの用語が使用される場合、1セットは1つまたは複数の部材を含むことができ、1セットの1サブセットは、1セットの部材すべてを含む、1つまたは複数を含むことができる。
【0372】
開示された物質の組成、システム、方法、および装置は、いかなる特定の態様または特徴またはそれらの組み合わせにも限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。動作の理論は、説明を容易にするためのものであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作の理論に限定されない。
【0373】
上記の教示に照らして変更および変形が可能であり、または実施形態の実施から取得され得る。例えば、記載されたステップは、説明された同じ順序で、または同じ分離度で実行される必要はない。同様に、同じまたは同様の目的を達成するために、必要に応じて、様々なステップを省略、繰り返し、組み合わせ、または並行して実行することができる。同様に、記載されたシステムは、必ずしも実施形態に記載されたすべての部品を含む必要はなく、実施形態に記載されていない他の部品も含むことができる。したがって、実施形態は、上述の詳細に限定されず、代わりに、それらの均等物の全範囲に照らして添付の特許請求の範囲によって定義される。さらに、本開示は、単独で、ならびに互いに様々な組み合わせおよび部分的組み合わせで、様々な開示された実施形態のすべての新規かつ非自明の特徴および態様を対象とする。
【0374】
本開示は、特定の実施形態に関連して特に説明されてきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態は、前述の説明に照らして明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲内に入るような任意のそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含すると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府後援の研究開発に関する声明文
この発明は、国立科学財団により与えられた認証番号2026128の下、政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明の中で一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本非仮出願は、2021年12月9日に出願された「Hierarchical Material Structure Having Mechano-Biocidal Properties for Pathogen Inactivation」と題する米国仮出願第63/287,717号、および2022年3月4日に出願された「Diatomaceous Earth Coated Filter Media With Renewal Function For Air Purification」と題する米国仮出願第63/316,853号の優先権の利益を主張し、これらの両方の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、汚染物質を処理するためのシステムまたは組成物に関し、より詳細には、汚染物質を処理するための階層的材料構造またはナノスケールの特徴を含むシステムおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノメートルからマクロスケールへの不連続性が制御された合理的に設計された階層的に構造化された材料は、これまでにない機械的、物理的、および化学的特性を示す。そのような材料は、光学、触媒作用、半導体、エネルギー貯蔵、汚染の軽減、およびさらに多くのものを含む多くの用途において著しい進歩をもたらす可能性がある。そのような複雑な(多相およびナノ構造の)材料生産する能力は、制御された組成および形態を有する微細構造をかなりの量で形成するための開発方法に依存し得る。材料の組成がより複雑になり、その構造的変化がより小さくなるにつれて、それらの調製はより複雑になり、制御が困難になる可能性があり、高度な機器および高エネルギー入力を必要とする可能性がある。さらに、そのような材料は、大規模な用途を可能にするためにスケールアップに容易に対応できない場合がある。さらに、多くの場合、これらの材料を製造することはまた、有毒な副生成物を生成し得る。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料、および階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部上に配置された複数のナノスケールの特徴を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、階層的に構造化された材料は、複数の汚染物質を処理するように構成されている、組成物に関する。
【0006】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含む組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含む組成物に関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含む組成物に関する。
【0009】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含み、複数のナノスケールの特徴は、病原体を処理するように構成されている組成物に関する。
【0010】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含む組成物に関する。
【0011】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示す組成物に関する。
【0012】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されている組成物に関する。
【0013】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている組成物に関する。
【0014】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含む組成物に関する。
【0015】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが触媒機能、収着機能または殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0016】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが収着機能を示す組成物に関する。
【0017】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがCO2の収着および貯蔵を示す組成物に関する。
【0018】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含む組成物に関する。
【0019】
いくつかの実施形態は、複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有する組成物に関する。
【0020】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数である組成物に関する。
【0021】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0022】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれる組成物に関する。
【0023】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0024】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含む組成物に関する。
【0025】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含む組成物に関する。
【0026】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有する組成物に関する。
【0027】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有する組成物に関する。
【0028】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じである組成物に関する。
【0029】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なる組成物に関する。
【0030】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含むシステムに関する。
【0031】
いくつかの実施形態は、合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、セリア、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0032】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の組成物が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0033】
いくつかの実施形態は、天然および合成起源の階層的に構造化された材料の両方を含む、少なくともサブセット1上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む組成物に関する。
【0034】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する組成物に関する。
【0035】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0036】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する組成物に関する。
【0037】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーのうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0038】
いくつかの実施形態は、複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、複数の細孔の少なくともいくつかの内面に堆積した組成物であって、組成物は、表面ナノ構造特徴を示す階層的に構造化された材料を含む、組成物とを含むシステムに関する。
【0039】
いくつかの実施形態は、組成物が、階層的に構造化された材料と、階層的に構造化された材料の表面の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴と、を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、階層的に構造化された材料は、複数の汚染物質を処理するように構成されている、システムに関する。
【0040】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属を含むシステムに関する。
【0041】
いくつかの実施形態は、金属が合金を含むシステムに関する。
【0042】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0043】
いくつかの実施形態は、組成物が複数の細孔の少なくともいくつかの内面のコーティングを形成するシステムに関する。
【0044】
いくつかの実施形態は、コーティングが約10ミクロン~約100ミクロンの厚さを有するシステムに関する。
【0045】
いくつかの実施形態は、コーティングが実質的に連続したフィルムとして形成されるシステムに関する。
【0046】
いくつかの実施形態は、コーティングが複数の不連続セグメントとして形成されるシステムに関する。
【0047】
いくつかの実施形態は、複数の細孔が約100nm~約5mmのサイズを有するシステムに関する。
【0048】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0049】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属または金属合金を含むシステムに関する。
【0050】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がフィルタを含むシステムに関する。
【0051】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が不織布培地を含むシステムに関する。
【0052】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が織布培地を含むシステムに関する。
【0053】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がガラス繊維を含むシステムに関する。
【0054】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0055】
いくつかの実施形態は、セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土の1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0056】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料の1つまたは任意の組み合わせであるシステムに関する。
【0057】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0058】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを含むシステムに関する。
【0059】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が天然起源の材料を含むシステムに関する。
【0060】
いくつかの実施形態は、天然起源の階層的に構造化された材料が珪藻土を含むシステムに関する。
【0061】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料を含むシステムに関する。
【0062】
いくつかの実施形態は、合成起源の材料が、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含むシステムに関する。
【0063】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含み、複数のナノスケールの特徴が、病原体を処理するように構成されるシステムに関する。
【0064】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含むシステムに関する。
【0065】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示すシステムに関する。
【0066】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されているシステムに関する。
【0067】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされているシステムに関する。
【0068】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含むシステムに関する。
【0069】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の微粒子を含むシステムに関する。
【0070】
いくつかの実施形態は、複数の微粒子が約1ミクロン~約50ミクロンのサイズを有するシステムに関する。
【0071】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数であるシステムに関する。
【0072】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0073】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれるシステムに関する。
【0074】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0075】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含むシステムに関する。
【0076】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含むシステムに関する。
【0077】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有するシステムに関する。
【0078】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が複数の相互接続細孔を画定し、相互接続細孔が約50nm~約10ミクロンの断面寸法を有するシステムに関する。
【0079】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物と実質的に同じであるシステムに関する。
【0080】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料の第1の組成物が複数のナノスケールの特徴の第2の組成物とは異なるシステムに関する。
【0081】
いくつかの実施形態は、複数の細孔を画定する巨視的多孔質基材と、複数の細孔の内壁の少なくとも一部分上に配置された複数のナノスケールの特徴部と、を含み、複数のナノスケールの特徴は、棘状形態を含み、複数のナノスケールの特徴は、複数の汚染物質を処理するように構成されるシステムに関する。
【0082】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含むシステムに関する。
【0083】
いくつかの実施形態は、階層的に構造化された材料が合成起源の材料および天然起源の材料を含むシステムに関する。
【0084】
いくつかの実施形態は、複数の細孔が約100nm~約5mmのサイズを有するシステムに関する。
【0085】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0086】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属または金属合金を含むシステムに関する。
【0087】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がフィルタを含むシステムに関する。
【0088】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が不織布培地を含むシステムに関する。
【0089】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が織布培地を含むシステムに関する。
【0090】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がガラス繊維を含むシステムに関する。
【0091】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材がセラミックを含むシステムに関する。
【0092】
いくつかの実施形態は、セラミックが、コージェライト、ムライト、ゼオライト、天然および合成粘土の1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0093】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が金属を含むシステムに関する。
【0094】
いくつかの実施形態は、金属が合金を含むシステムに関する。
【0095】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、ステンレス鋼、フェライト鋼、鉄-クロム合金、オーステナイト鋼、クロム-ニッケル合金、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、および白金のうちの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0096】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、セルロース、天然ゴム、ラテックス、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、および任意の他の天然材料の1つまたは任意の組み合わせであるシステムに関する。
【0097】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が、天然または合成の布および織物のいずれかの1つまたは任意の組み合わせを含むシステムに関する。
【0098】
いくつかの実施形態は、巨視的多孔質基材が微粒子フィルタを含むシステムに関する。
【0099】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が病原体を含むシステムに関する。
【0100】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴がナノ構造コーティングを含むシステムに関する。
【0101】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが触媒機能を示すシステムに関する。
【0102】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングがガス状および粒子状汚染物質のいずれかを処理するように構成されているシステムに関する。
【0103】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが二次コーティングで少なくとも部分的にコーティングされているシステムに関する。
【0104】
いくつかの実施形態は、二次コーティングが無機材料を含むシステムに関する。
【0105】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質の種類が、病原体、微粒子、および気体分子のうちの1つまたは複数であるシステムに関する。
【0106】
いくつかの実施形態は、病原体がウイルス、細菌および真菌のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0107】
いくつかの実施形態は、複数の汚染物質が流動培地に含まれるシステムに関する。
【0108】
いくつかの実施形態は、流動培地が気体または液体のうちの1つまたは複数を含むシステムに関する。
【0109】
いくつかの実施形態は、流動培地が水性培地を含むシステムに関する。
【0110】
いくつかの実施形態は、流動培地が1つまたは複数の体液を含むシステムに関する。
【0111】
いくつかの実施形態は、ナノスケールの特徴が約1nm~約30nmのサイズを有するシステムに関する。
【0112】
いくつかの実施形態は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含むシステムに関する。
【0113】
いくつかの実施形態は、無機材料が、金属、金属酸化物、シリカ、ゼオライトおよび活性炭のいずれかを含む組成物に関する。
【0114】
いくつかの実施形態は、金属酸化物が酸化銀、酸化銅および酸化マンガンを含む組成物に関する。
【0115】
いくつかの実施形態は、ナノ構造コーティングが、触媒機能を付与する触媒ナノ粒子を含む組成物に関する。
【0116】
いくつかの実施形態は、触媒ナノ粒子が金属ナノ粒子のいずれかを含む組成物に関する。
【0117】
いくつかの実施形態は、金属ナノ粒子が、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、バイメタル、金属合金のいずれかを含む組成物に関する。
【0118】
いくつかの実施形態は、金属ナノ粒子が金属化合物を含む組成物に関する。
【0119】
いくつかの実施形態は、金属化合物が、プニクチド、水酸化物、二元塩および錯塩またはそれらの組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0120】
いくつかの実施形態は、前述の階層的材料が粉末粒子の形態である階層的材料に関する。
【0121】
いくつかの実施形態は、前述の粉末粒子が、約1ミクロン~約50ミクロンの範囲のサイズを示す階層的材料に関する。
【0122】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスの前述の相互接続細孔が、約10m2/g~約1,000m2/gの範囲の表面積対重量比を示す階層的材料に関する。
【0123】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスの前述の相互接続細孔が、約100m2/g~約500m2/gの範囲の表面積対重量比を示す階層的材料に関する。
【0124】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスおよび前述のナノスケールの特徴が実質的に同じ組成物で形成される階層的材料に関する。
【0125】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスおよび前述のナノスケールの特徴が異なる組成物で形成される階層的材料に関する。
【0126】
いくつかの実施形態は、前述のナノスケールの特徴がMoS2を含む階層的材料に関する。
【0127】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスが、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0128】
いくつかの実施形態は、前述のマトリックスが1つまたは複数の生体材料を含む階層的材料に関する。
【0129】
いくつかの実施形態は、前述の生体材料が、珪藻土、花粉、生物学的起源のシリカ系微粒子およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0130】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の活性材料が、前述のマトリックスの前述の細孔の少なくともいくつかの内面にさらに配置される階層的材料に関する。
【0131】
いくつかの実施形態は、前述の活性材料が触媒ナノ粒子を含む階層的材料に関する。
【0132】
いくつかの実施形態は、前述のコーティングが、約1ミクロン~約200ミクロンの範囲の厚さを示す階層的材料に関する。
【0133】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約400nm~約3mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0134】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約600nm~約1mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0135】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約800nm~約0.8mmの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0136】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約1,000nm~約500ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0137】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,000nm~約200ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0138】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,500nm~約100ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0139】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約1mm~約1mの範囲の長さを示す1つまたは複数のチャネルを含む階層的材料に関する。
【0140】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材の前述のチャネルが、実質的に直線状または弓形の形状を有する階層的材料に関する。
【0141】
いくつかの実施形態は、前述のチャネルの少なくとも一部分が互いに平行である階層的材料に関する。
【0142】
いくつかの実施形態は、相互接続されたチャネルのパターンを提供するように、前述のチャネルの少なくとも一部分が互いに交差する階層的材料に関する。
【0143】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリ(アルキルアクリレート)、置換ポリアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、任意の他のポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0144】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、分岐ポリマー、スターポリマー、樹枝状ポリマー、超分子ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む階層的材料に関する。
【0145】
いくつかの実施形態は、前述の巨視的多孔質基材が、約2,500nm~約100ミクロンの範囲の孔径を有する階層的材料に関する。
【0146】
いくつかの実施形態は、マトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを溶媒中に分散させることによって溶液を調製することと、前述の溶液を乾燥および焼成して前述の階層的材料を製造することとを含む、病原体の捕捉および不活性化のための階層的材料を製造する方法に関する。
【0147】
いくつかの実施形態は、前述の階層的材料が階層的に構造化された多孔質粉末として形成される方法に関する。
【0148】
いくつかの実施形態は、前述の階層的に構造化された多孔質粉末を基材上に塗布することをさらに含む方法に関する。
【0149】
いくつかの実施形態は、前述の乾燥および焼成ステップの前に前述の溶液を巨視的多孔質基材に塗布することをさらに含む方法に関する。
【0150】
いくつかの実施形態は、前述の溶液を浸漬コーティングによって巨視的多孔質基材に塗布する方法に関する。
【0151】
いくつかの実施形態は、前述のコアシェル鋳型コロイドが、ナノ特徴形成(NFF)材料でコーティングされたポリマーコロイドコアを含む方法に関する。
【0152】
いくつかの実施形態は、前述のポリマーコロイドコアがポリスチレンを含む方法に関する。
【0153】
いくつかの実施形態は、前述のNRF材料コーティングが約10nm~約30nmの範囲の厚さを示す方法に関する。
【0154】
いくつかの実施形態は、前述の溶媒が水を含む方法に関する。
【0155】
いくつかの実施形態は、前述の乾燥および焼成が約100℃~約500℃の範囲の温度で実施される方法に関する。
【0156】
本教示の一態様は、病原体の捕捉および不活性化のための階層的材料を提供する。いくつかの実施形態では、階層的材料は、複数の相互接続細孔と、細孔の表面に配置された複数のナノスケールの特徴とを有するマトリックスを含むことができる。特に、マトリックスの細孔は、存在する場合、流動培地中に存在する病原体の少なくとも一部を捕捉するように構成することができ、ナノスケールの特徴は、例えば、病原体の膜の切開によって病原体を不活性化するように構成することができる。
【0157】
本教示の関連する態様では、そのような階層的材料を製造する方法が提供される。製造方法は、マトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを含む溶液を調製することと、溶液を熱処理して階層的材料を製造することとを含むことができる。
【0158】
本教示の別の態様は、巨視的多孔質基材と、巨視的多孔質基材の少なくともいくつかの細孔の内面上に配置された複数のナノスケールの特徴とを含む階層的材料を提供する。巨視的多孔質基材の細孔は、存在する場合、流動培地中に存在する病原体を捕捉するように構成することができ、ナノスケールの特徴は、例えば、病原体の膜の切開によって病原体を不活性化するように構成することができる。
【0159】
本教示の関連する態様は、そのような階層的材料を製造する方法であって、ナノラフネス形成前駆体を含有する溶液に巨視的多孔質基材を浸漬することと、溶液から巨視的多孔質基材を除去することと、巨視的多孔質基材を乾燥および焼成して、ナノラフネス形成前駆体が巨視的多孔質基材の表面上にナノラフネスを示す複数のナノスケールの特徴を形成することを可能にすることとを含む方法を提供する。
【0160】
一態様では、多孔質濾過構造と、多孔質濾過構造の少なくとも表面部分上に配置されたDEコーティングとを含むフィルタが開示される。以下でより詳細に説明するように、多孔質濾過構造は、ウイルスおよび他の病原体などの汚染物質をそれ自体で濾過することができる(すなわち、DEコーティング無しで)。いくつかの実施形態では、多孔質濾過構造とDEコーティングとの組み合わせは、DEコーティングのない多孔質構造の濾過効率に対してより高い濾過効率を示し得る。
【0161】
多孔質構造は、織布または不織布の濾過媒体の形態であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質構造は、セラミック、金属、ポリマー材料、ガラス繊維、またはそれらの任意の組み合わせで形成されてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、DEコーティングは、裸の濾過媒体(すなわち、DEコーティングを含まない多孔質構造体)の濾過効率を改善することができる。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングがCO2の収着機能および貯蔵を増強する組成物に関する。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、階層的に構造化された材料が合成および天然起源の材料であるシステムに関する。
【0165】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングが触媒機能、収着機能、または殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、二次コーティングがCO2の収着機能および貯蔵を増強する組成物に関する。
【0167】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、複数のナノスケールの特徴の少なくとも一サブセット上に配置された1つまたは複数の活性材料をさらに含む組成物に関する。
【0168】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が収着機能を増強する組成物に関する。
【0169】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が殺生物性機能を増強する組成物に関する。
【0170】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料が触媒機能を増強する組成物に関する。
【0171】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1つまたは複数の活性材料の1つまたは複数の組成物が、触媒ナノ粒子、ゼオライト、MOF、有機、無機、またはポリマーの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0172】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、複数のナノスケールの特徴の組成が、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む組成物に関する。
【0173】
実施形態の様々な態様のさらなる理解は、以下で簡単に説明される関連する図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって得ることができる。
【0174】
図面は、必ずしも縮尺通りでも網羅的でもない。代わりに、本明細書に記載の実施形態の原理を説明することに重点が置かれている。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示と一致するいくつかの実施形態を示す。説明と共に、図面は本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0175】
図において:
【0176】
【
図1】異なる実施形態で使用され得る様々な天然に存在する構造化材料の例の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0177】
【
図2】いくつかの実施形態による階層的材料の階層構造を示す。
【0178】
【
図3】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された合成材料300の内部構造の様々な例を示す。
【0179】
【
図4A】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材400および複数の階層的に構造化された粒子410を示す。
【0180】
【
図4B】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【
図4C】いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【0181】
【
図5】いくつかの実施形態によるフィルタ500の一例を示す。
【0182】
【
図6A】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6C】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【
図6D】いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。
【0183】
【
図7A】いくつかの実施形態による、ナノラフエッジを有する酸化マンガンナノ構造コーティングを用いたDEを使用する抗菌試験の結果を示す。
【0184】
【
図7B】いくつかの実施形態による、60分間のインキュベーション後の未修飾および修飾されたmediから抽出されたブドウ球菌を有する寒天平板の光学顕微鏡画像を示す。
【0185】
【
図8】いくつかの実施形態による、天然起源の階層的に構造化された微粒子から構成されるコーティングを製造する方法800のフローチャートを示す。
【0186】
【
図9】いくつかの実施形態による、修飾された巨視的多孔質基材を製造するためのプロセスを示す。
【0187】
【
図10】いくつかの実施形態による、細孔-マトリックス界面に形成された多孔質微粒子とナノスケールの特徴(NF)との組み合わせを示す。
【0188】
【
図11】いくつかの実施形態による、細孔-マトリックス界面に形成されたマイクロポーラスコーティングとNFとの組み合わせでコーティングおよび/または修飾された巨視的基材を示す。
【0189】
【
図12】いくつかの実施形態による、細孔と巨視的基材のチャネルとの間の界面にNFが形成された巨視的基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0190】
本教示の様々な態様のさらなる理解は、関連する図面と併せて以下の説明に見出すことができる。
【0191】
様々な実施形態は、例えば、棘の多いナノ構造特徴を堆積または成長させるための基材または足場としての生体無機化粒子(例えば、DE)の利用によって、階層構造または表面ナノ構造の上記の特性を利用する。
【0192】
合成材料と比較して、例えば生物によって生産される天然に存在する材料は、上述の特性および用途において優れていることが証明され得る。それらの構造は、分子からナノメートル、マイクロメートル、およびマクロスケールまでのあらゆるスケールの寸法で高度に編成されることが多く、この編成は通常階層的である。さらに、天然に存在する材料はまた、比較的安価であり得る。そのような天然に存在する材料の例には、遺伝的に制御された階層的ナノパターンを有するシリカ(珪藻類および放散虫類)または炭酸カルシウム(ココリソフォア類)で作製された剛性細胞壁を有する珪藻類、ココリソフォア類および放散虫類などの単細胞微生物に由来するバイオミネラルが含まれる。
【0193】
例えば、珪藻土(DE)は、珪藻と呼ばれる単細胞藻類を起源とする天然に存在する多孔質生体材料である。DEは、ナノスケールおよびマイクロスケールで複雑な3D多孔質階層構造を示す。この天然に存在する材料は非毒性であり、農業から工業分野までの商業用途に広く使用されている。これは、廃水浄化濾過媒体、吸着剤、機械的殺虫剤などとして適用されてきた。表面修飾DEは、廃水の濾過、収着および触媒作用に応用されている。
【0194】
上述の構造特性に加えて、いくつかの天然生物で観察される現象は、複数の機能を導入するための表面ナノ構造の使用である。例えば、蝶の羽根のナノ構造は、色、機械的特性、および撥水性を提供する。セミ、トンボ、およびイトトンボのいくつかの種の羽根は、病原体の付着を防止し、および/または病原体の外膜または壁を破壊し、したがってそれらを不活性化する機械殺菌性ナノピラーを、様々な機構を介して有する。
【0195】
階層構造または表面ナノ構造の上記の特性のいくつかの実用的な用途は、まだ業界で実現および利用されていない。これらの用途は、上記の特性を別々に、個別に、または様々な組み合わせで利用することができる。しかし、そのような利用はこれまで存在しなかった。
【0196】
一般に、様々な実施形態は、入り組んだ構造および形態を有する異なる種類の天然に存在する微粒子を利用し得る。これらの微粒子の一部は、動物プランクトンおよび植物の鉱物骨格に由来し得る。そのような生体鉱物、例えば珪藻バイオシリカ(別名珪藻土またはDE)は、新規な機能性材料の合成のための鋳型として利用され得る。さらに、胞子および花粉などの有機起源の微粒子は、さらなる修飾のための足場/支持体として使用され得る。
【0197】
図1は、異なる実施形態で使用され得る様々な天然に存在する構造化材料の例の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。より具体的には、
図1は、(A)から(I)までアルファベット順にラベル付けされた9つのパネルを含む。パネル(A)は、様々な珪藻の例を示す。パネル(B)~(F)および(I)はそれぞれ、珪藻土(DE)(パネル(B))、放散虫類(パネル(C))、珪藻類鱗片状黄色植物:マロモナスコスタタ(パネル(D))、有孔虫タマウキガイ(パネル(E))、円石藻(パネル(F))および菌類の冬胞子ウスチラゴウトリクローサ(Ustilago utriculosa)(パネル(I))のSEM画像を示す。さらに、パネル(G)は、パイナップルの果皮から得られたSiO2微粒子のSEM画像を示し、パネル(H)は、様々な植物由来の胞子および花粉粒子の集合体のSEM画像を示す。
【0198】
DEは、様々な実施形態で利用される天然に存在する多孔質生体材料(BM)の一例である。同様に、いくつかの実施形態は、棘の多い粗い形態を有する多孔質構造または表面を示す天然に存在する材料の他の例を利用することができる。これらの例には、花粉、胞子などの有機系材料、パイナップルの果皮からの微粒子の形態の生物起源シリカなどの無機系BM、海洋性スポンジからのマイクロシリカ球(例えば、ゲオディア・マサンドレウィイ(Geodia macandrewii))などの他の海洋生物における生物起源シリカ、および様々な動物プランクトンおよび海洋性スポンジにも見られる生物起源炭酸カルシウム(例えば、石灰質スポンジ)が含まれる。本開示の残りの部分は、DEを使用する実施形態を説明しているが、代替の実施形態は、DEの代わりに、またはDEに加えて、上記のような他のタイプのBMを使用してもよいことを理解されたい。
【0199】
ナノ構造化特徴を有する天然に存在する材料(例えばDE)の足場の表面官能化は、それらの材料用途を広げ、向上した殺生物性、収着および/または触媒特性を有する多機能性の階層的に構造化された材料を作成することができる。棘の多い表面形態および/または高表面積を有するナノ構造コーティングの導入は、DEの表面積および新しい表面化学組成物のさらなる増加を同時にもたらす。そのような材料は、次に、活性材料または機能的活性部位を導入するためのさらなる修飾に使用されてもよい。
【0200】
DEを含むBMの既存の用途は、ナノレベルでBMのいくつかの能力を利用せず、BMを修飾した後に増強および利用することができる。より具体的には、本明細書に開示される実施形態のいくつかは、表面結合ナノ構造特徴または様々な形態を有するナノスケールの特徴を有するDEなどのBMの修飾を利用する。様々な実施形態では、ナノスケールの特徴は、1nm~50nmの範囲の寸法を有し得る。特徴は、少なくともいくつかの部分において棘状形態を有し得る。様々な実施形態では、棘状形態を有するナノ特徴は、円錐、鋸歯状断面、テーパ付き円筒、またはスパイクなどの形状を含むことができ、その基部は1nm~10nmのサイズを有し、高さは1nm~50nmのサイズを有し、アスペクト比(基部に対する高さの比として定義される)は50~0.02である。
【0201】
様々な実施形態では、BMの修飾は、スパイク、花様の形態、棘状形態、針、ピラーなどを含み得る様々な表面形態(ナノラフネス)を有するマイクロおよびメソポーラスコーティングを導入し得る。様々な実施形態では、突起の追加は、表面積の増加、ならびに表面化学および組成の変化をもたらし得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、天然に存在する材料の代わりに、ほぼ同じ寸法の合成材料を足場またはマトリックスとして使用して、それらの表面にナノ構造特徴を導入することができる。そのような材料は、合成起源の階層的に構造化された材料と呼ばれることがある。機能性または用途を説明する場合、天然または合成起源の両方のタイプの材料は、単に階層的に構造化された材料と呼ばれる。より具体的には、天然または合成起源の階層的に構造化された材料は、階層的に構造化された微粒子または単に階層的微粒子とも呼ばれ得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、表面コーティングの特定の表面形態および組成は、病原体の不活性化、収着および触媒機能のための機械殺菌特性を含む複数の新しい機能を導入する。いくつかの実施形態では、構造的なナノスケールの特徴を有するDE表面の修飾は、ウイルスおよび他の病原性微生物などの病原体の処理(例えば、捕捉、不活性化)、ならびにガス状および粒子状汚染物質の処理を可能にする。
【0204】
階層的DE多孔質構造とナノラフコーティングおよびその組成物との組み合わせは、細菌、ウイルスおよび他の病原性生物などの汚染物質の不活性化に相乗効果を提供し得る。
【0205】
多くの実施形態では、本明細書に記載の階層的に構造化されたコーティングは、表面積の大幅な増加により増強された収着機能をDEに提供する。これらの特性は、炭素隔離、二酸化炭素捕捉および貯蔵、二酸化炭素捕捉および貯蔵、ならびに高表面積材料(例えばMOF)および触媒の組み込みによる変換を含む収着用途において利用され得る。
【0206】
そのような材料は、空気および水の浄化ならびに汚染除去、収着、触媒作用、フィルタ更新、センサを含む多くの用途を見出すことができる。
【0207】
特に、修飾された表面形態および組成を有する階層的に構造化された材料を多孔質巨視的基材に適用して、空気浄化および汚染除去に対する特性が増強された階層的多孔質機能性材料を作成することができる。
【0208】
本教示のいくつかの実施形態による空気浄化および汚染除去システムは、多面的殺生物性溶液のためのミクロンスケールの細孔および対病原性ナノスケールの表面特徴を特徴とする階層的材料構造を含む。そのようなシステムのいくつかの実装形態では、大きな表面積を有する多孔質表面は、病原体を効率的に捕捉することができ、一方、多孔質表面上の表面ナノ構造体は、多種多様な病原体の外部膜または壁を破壊または切開することができる。
【0209】
図2は、いくつかの実施形態による階層的材料の階層構造を示す。より具体的には、
図2は、階層的材料200、微粒子210、第1のナノスケールの特徴セット220、表面修飾特徴セット230、および第2のナノスケールの特徴セット240の図を含む。微粒子210は、DEなどの天然微粒子または合成微粒子であってもよい。
図2は、表面修飾による微粒子210からの階層的材料200の生成を示す。
【0210】
階層的微粒子の代表的な寸法は、約1ミクロン~約50ミクロンの範囲、例えば約5ミクロン~約45ミクロンの範囲、または約10ミクロン~約40ミクロンの範囲、または約15ミクロン~約35ミクロンの範囲、または約20ミクロン~約30ミクロンの範囲であり得る。
【0211】
この図は、階層的材料200の階層の異なるレベルを示す。微粒子210から開始して、第1のレベルのナノ構造は、微粒子210の表面の一部分または全部に第1のナノスケールの特徴セット220を追加することによって生成される。次いで、第2の特徴セットは、表面修飾特徴セット230内の追加層235として示されている、第1のナノスケールの特徴セット220の表面の一部分または全部に第2のナノスケールの特徴セット240を追加することによって生成される。
【0212】
いくつかの実施形態では、微粒子210は、第1のナノスケールの特徴セット220に示されるものなどの複数のナノスケールの特徴を有する階層的材料200を生産するように修飾され得る天然に存在する材料であり得る。この微粒子の形状、サイズ、および内部構造は、天然に存在する材料の種類に依存し得、そのいくつかの例を
図1に関連して説明した。複数のナノスケールの特徴は、ナノ構造コーティングを作成する微粒子の表面に存在し得る。
【0213】
第1のナノスケールの特徴セットは、収着機能、殺生物性、または触媒機能などの機能を可能にし得る。
【0214】
第1のナノスケールの特徴セットは、追加の機能を有する追加の特徴を含むようにさらに修飾され得る。追加の特徴は、第2のナノスケールの特徴セット240に示されるような特徴を含み得る。第2のナノスケールの特徴セット240によって導入される追加の機能は、収着機能、殺生物性、または触媒機能などの機能を含み得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、複数のナノスケールの特徴セットによる微粒子表面の修飾は、ナノ構造コーティングセットを作成する。
【0216】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、微粒子の表面上に連続膜/コーティングを形成し得る。他の実施形態では、ナノ構造コーティングは、不連続コーティング、またはコーティングの不連続セグメントを形成してもよい。
【0217】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220は、感知機能を可能にし得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、第2のナノスケールの特徴セット240は、感知機能を可能にし得る。
【0219】
いくつかの実施形態では、両方のナノスケールの特徴セット220および240の組み合わせは、感知機能を可能にし得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、感知機能を有し得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220または第2のナノスケールの特徴セット240は、天然または合成起源の微粒子がナノスケール形成(NFF)前駆体と反応/化学的に処理される湿式化学修飾を介して微粒子の表面に直接形成され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、微粒子の表面は、予め形成されたナノスケールの特徴で処理されてもよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、予め形成されたナノ特徴は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合およびそれらの組み合わせを介して微粒子の表面に付着され得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、マイクロ多孔度、メソ多孔度、または両方の組み合わせを有し得る。ナノ構造コーティングは、スパイク、花様形態、棘状形態、針、ピラーなどの様々な表面形態(ナノスケールの特徴)を有し得る。特定の形状にかかわらず、これらの押出は、表面積の有意な増加ならびに表面化学および/または組成の変化をもたらし得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された材料は、空気浄化および汚染除去機能を有することができる。この機能は、粒子状物質、ガス状汚染物質および病原体を含む様々な大気汚染物質の処理を含むことができる。
【0226】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された材料が感知用途に使用される場合、空気汚染物質は刺激物または分析物になり得る。
【0227】
例として、ナノスケールの特徴は、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化銅、セリア、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化タングステン(WS2)、TaS2、ZrS2、WSe2、Sb2Se3、NbSe2、およびBi2Te3などの遷移金属カルコゲナイドを含み得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、層状複水酸化物、例えば天然ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3x4H2O)、ケイ酸塩粘土、窒化ホウ素、遷移金属炭化物および窒化物(MXeneとも呼ばれる)を含み得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、酸化グラフェンなどのグラフェン系材料を含み得る。
【0231】
例として、ナノスケールの特徴は、MnO(OH)、MnO、MnO2、Mn2O3、Mn3O2およびそれらの混合物を含むMnの異なる原子価状態を有する様々な酸化マンガンおよび水酸化Mn酸化物を含むことができる。
【0232】
いくつかの実施形態では、収着機能、殺生物性または触媒機能などの機能を増強または追加するために、第1のナノスケールの特徴セット220の表面ナノ構造体をさらに修飾して表面修飾特徴セット230を形成してもよい。
【0233】
いくつかの実施形態では、収着機能は、CO2の収着および貯蔵を含み得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、第1のナノスケールの特徴セット220のナノ構造体の少なくとも一部の表面上に、1つまたは複数の活性材料を配置してもよい。活性材料は、用途の要件に応じて、光触媒機能、光熱触媒機能、光電極触媒機能などを示し得る。活性材料は、その上に1つまたは複数の活性部位を含んでもよい。
【0235】
いくつかの実施形態では、活性材料は触媒ナノ粒子を含み得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、触媒ナノ粒子は、金属酸化物、混合金属酸化物、または金属硫化物ナノ粒子で作製されたナノ粒子を含み、いくつかの特定の例としては、酸化銅、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化タングステン、酸化クロム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0237】
いくつかの実施形態では、触媒ナノ粒子は、金属ナノ粒子、例えば金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、バイメタル、金属合金、金属化合物、例えばペプチド、水酸化物、二元塩および錯体塩またはそれらの組み合わせを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、修飾は、ナノ構造特徴の表面上の化学官能性を含み得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、機能性は、有機材料、無機材料またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。そのような材料のいくつかの例としては、限定されないが、アミン、チオール、水酸化アルミニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドなどの様々な第4級アンモニウム塩、他のタイプの界面活性剤または酵素が挙げられる。
【0240】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、金属、銀などの金属酸化物、酸化銅、酸化マンガン、シリカ、ゼオライト、および活性炭などの無機材料でさらにコーティングされてもよい。
【0241】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、金属有機構造体(MOF)でさらにコーティングされてもよい。
【0242】
いくつかの実施形態では、活性材料はポリマー材料を含み得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、活物質は有機金属錯体を含み得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴と活性材料の両方が、同様の組成を有するが、異なる形態を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴と活性材料の両方が、異なる組成を有し得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、活性材料は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合およびそれらの組み合わせを介して付着され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、活性材料によるナノスケールの特徴の官能化は、湿式化学修飾、浸透、物理蒸着、原子堆積、蒸着、スパッタリング、イオン含浸、およびそれらの任意の組み合わせによって導入され得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、階層的材料の足場は、合成起源を有してもよく、例えば、本実施形態の技術を使用して、天然に存在する材料の足場と同じ方法でナノ構造特徴で修飾されてもよい。
【0248】
図3は、いくつかの実施形態による、階層的に構造化された合成材料300の内部構造の様々な例を示す。階層的に構造化された材料300は、いくつかの相互接続細孔320bを提供するようにパターニングされたいくつかの交差要素320aによって形成されたマトリックス320を含むことができる。
【0249】
いくつかの実施形態では、階層的材料300の相互接続細孔320bは、約50nm~約10ミクロンの範囲、例えば、約100nm~約5ミクロンの範囲、または約500nm~約1ミクロンの範囲の断面寸法を示し得る。いくつかの実施形態では、階層的材料300の相互接続細孔320bは、約10m2/gから約1,000m2/gの範囲、または約100m2/gから約500m2/gの範囲の表面積対重量比(比表面積、SSA)を示し得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、階層的微粒子は、マイクロポーラス、メソポーラス、またはマクロポーラスを含む単一のタイプの多孔性を有し得る。いくつかの実施形態では、微粒子は複数の多孔性を有し得る、すなわち階層的多孔性を示す。
【0251】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴とマトリックスの両方が、同様の組成を有するが、異なる形態を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴とマトリックスは、異なる組成を有し得る。
【0252】
例として、マトリックスは、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0254】
いくつかの実施形態では、階層的材料の相互接続細孔は、様々な幾何学的形状を有する1つまたは複数のチャネルを含むことができ、様々な異なるパターンで互いに対して配置され得る。例えば、チャネルの少なくとも1つは、実質的に直線状または弓形の形状を有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、チャネルの1つまたは複数は、互いに平行であってもよく、または相互接続されたチャネルのパターンを提供するように交差していてもよい。
【0255】
いくつかの実施形態では、階層的材料は噴霧乾燥粒子の形態であり得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、上記の階層的に構造化された材料は、マイクロ多孔度、メソ多孔度、マイクロ多孔度を有し得るか、または階層的(例えばバイモーダル)多孔度を有し得る。
【0257】
図4Aは、いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材400および複数の階層的に構造化された粒子410を示す。
図4Bおよび
図4Cは、いくつかの実施形態による巨視的多孔質基材上のナノ特徴の用途を示す。
【0258】
巨視的基材400は、チャネル420によって分離された複数の壁430を含む。さらに、階層的に構造化された粒子410は、コーティングとして巨視的基材400の壁430のうちの1つまたは複数の表面の一部または全部に塗布されている。
【0259】
いくつかの実施形態では、チャネル420は、約1mm~約1mの範囲、例えば、約10mm~約0.1mの範囲の長さを示す。チャネル420は、様々な幾何学的形状を有してもよく、様々な異なるパターンに従って互いに対して配置されてもよい。例えば、チャネル420の少なくとも1つは、実質的に直線状または弓形の形状を有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、チャネル420のうちの1つまたは複数は、互いに平行であってもよく、または相互接続されたチャネルのパターンを提供するように交差していてもよい。いくつかの実施形態では、平行チャネルと交差チャネルとの組み合わせを使用することができる。
【0260】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、約100nm~約5mmの範囲、例えば、約400nm~約3mmの範囲、または約600nm~約1mmの範囲、または約800nm~約0.8mmの範囲、または約1,000nm~約500ミクロンの範囲、または約2,000nm~約200ミクロンの範囲、または約2,500nm~100ミクロンの範囲の孔径を有し得る。本開示の文脈において、平均孔径は、例えば、高アスペクト比の孔の場合(細孔の長い寸法と短い寸法との比が1.5より大きい場合)、例えば、孔径または断面寸法(例えば、最大または平均断面寸法)を指す。
【0261】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された微粒子は、天然起源の階層的材料または合成足場で作られた階層的材料を含み得る。いくつかの実施形態では、両方のタイプの材料の組み合わせは、巨視的基材上にコーティングとして塗布されてもよい。
【0262】
いくつかの実施形態、例えば、
図4Bおよび
図4Cの実施形態では、ナノスケールの特徴440は、巨視的多孔質基材の表面上に直接配置されてもよい。特に、ナノスケールの特徴440は、巨視的多孔質基材400と細孔またはチャネル420との間の界面で壁430の表面上に直接配置されてもよい。
【0263】
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材の表面は、表面処理によって化学的に修飾されてもよい。例えば、表面処理は、ナノスケール形成(NFF)前駆体450を含有する溶液中に巨視的多孔質基材を浸漬すること(ステップ460)、続いて熱処理すること(ステップ470)を含んでもよい。結果として、NFF450は、巨視的多孔質基材上にナノラフネスを示す複数のナノスケールの特徴を形成することができる。いくつかの実施形態では、そのようなNFF前駆体は、ナノラフネス形成(NRF)前駆体とみなされ得る。
【0264】
いくつかの実施形態では、NFF前駆体は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、族(III)金属、および遷移金属塩のうちの少なくとも1つの錯塩を含み得る。いくつかの実施形態では、NRF前駆体は、チオおよびセレノアニオンならびに金属カチオン([PPh4]+および[NEt4]+)との塩、例えばテトラチオモリブデン酸アンモニウム、テトラチオバナジン酸アンモニウム、テトラチオタングステン酸ピペリジニウム、およびテトラセレノタングステン酸テトラエチルアンモニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、NRF前駆体は、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、硫酸マンガン、または塩化マンガン(II)(MnCl2)を含み得る。
【0265】
特定の実施形態では、NFF前駆体は、ゾル-ゲル前駆体、ナノ粒子前駆体、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。いくつかのそのような実施形態において、ゾル-ゲルマトリックス前駆体材料は、シリカ、アルミナ、チタニア、またはセリアおよび/またはジルコニアゾルゲルを含み得、ナノ粒子前駆体は、上記のマトリックス材料のナノ粒子の単一または混合物を含み得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、NFF前駆体はグラファイト材料を含み得る。
【0267】
いくつかの実施形態では、階層的微粒子のコーティングの巨視的基材の壁430の表面への接着性および機械的堅牢性を改善するために、バインダを添加することができる。例として、バインダは、金属酸化物ナノ粒子、例えばシリカまたはアルミナを含み得る。いくつかの実施形態では、バインダ粒子のサイズは、粒子410の表面の細孔と実質的に同様またはそれより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、約1ミクロン~約200ミクロンの範囲、または約10ミクロン~約100ミクロンの範囲の厚さを示し得る。いくつかの実施形態では、コーティングは連続フィルムとして形成されてもよい。他の実施形態では、コーティングは、複数の不連続セグメントとして形成されてもよい。
【0268】
他の実施形態では、コーティングは、不連続コーティング、すなわち、複数の分離されたセグメントを有するコーティングを含むか、または巨視的基材の細孔を完全に充填することができる。他の実施形態では、コーティングは、複数の材料の島、クラスタ、または凝集体を含む個別の階層的に構造化された微粒子の集合体を含み得る。
【0269】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、コージェライト、ムライト、ゼオライト、および天然または合成粘土などのセラミック材料から製造することができる。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ステンレス鋼、フェライト鋼(例えば、鉄-クロム合金)、オーステナイト鋼(例えば、クロム-ニッケル合金)、銅、ニッケル、真鍮、金、銀、チタン、タングステン、アルミニウム、パラジウム、白金、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の金属および/または金属合金から作製されてもよい。
【0270】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、微粒子フィルタとして実装されてもよい。
【0271】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリ(アルキルアクリレート)、置換ポリアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、およびそれらの任意の組み合わせなどのポリマーから作製されてもよい。ランダムコポリマーおよびブロックコポリマー、分岐ポリマー、スターポリマーおよび樹枝状ポリマー、ならびに超分子ポリマーなど、異なる構造を有する他のポリマーも同様に利用することができる。
【0272】
特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、ガラス繊維から製造されてもよい。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、セルロース、天然ゴム(例えばラテックス)、ウール、綿、絹、リネン、麻、亜麻、羽毛繊維、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の天然材料から作製されてもよい。特定の実施形態では、巨視的多孔質基材は、天然または合成の布および織物、ならびにそれらの任意の組み合わせから作製されてもよい。
【0273】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材はフィルタであってもよい。
【0274】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの多孔質構造は、繊維が、その後化学的、機械的、熱もしくは溶媒処理による結合によって、および/または繊維のインターロックによって互いに結合されるウェブに積層される不織布繊維媒体を含むことができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの構造は、繊維が互いに重なり合う織布繊維媒体で作製されてもよい。
【0276】
いくつかの実施形態では、フィルタの構造は、ガラス繊維、ポリマー繊維、綿などの天然繊維、酢酸セルロース、硝酸セルロース(コロジオン)、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ステンレス鋼、ニッケル合金、インコネル、FeCrAlY合金、またはそれらの組み合わせなどの他の合成材料のいずれかで作られてもよく、いずれかを含んでもよく、またはそれらでコーティングされてもよい。
【0277】
いくつかの実施形態では、フィルタは、ポリウレタンなどのポリマーのいずれかで作製されるか、それを含むか、それでコーティングされてもよく、および/またはポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、他のハロゲン化ポリマー、ヒドロゲル、有機ゲル、キチン、およびキトサンのうちの少なくとも1つを含む。
【0278】
例として、天然または合成起源の階層的に構造化された微粒子220は、それらの修飾の前に巨視的多孔質基材上に塗布されてもよい。
【0279】
特定の実施形態では、ナノスケールの特徴440は、酸化物、混合酸化物、遷移金属酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化クロム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかから形成され得る。
【0280】
例として、ナノスケールの特徴440は、MoS2または酸化マンガンから形成されてもよい。
【0281】
例として、ナノスケールの特徴は、上述の構造体および組成物を有することができる。
【0282】
多くの実施形態では、本明細書に開示される組成物および材料は、超微粒子状物質(PM)またはPM0.1~1などの病原体および他の粒子の治療のための多面的な機構を提供する。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、この目標は、多孔質巨視的基材と、巨視的多孔質基材の細孔の少なくとも一部の内面に堆積された階層的に構造化されたコーティングとを含む構造体の合理的な設計によって達成され得る。多孔質基材およびコーティングの両方は、ナノ特徴を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、構造体は、基材のミクロンサイズの細孔からコーティングのマイクロ、メソおよび/またはマクロ多孔性構造体までの範囲の階層的多孔性を含み得る。
【0283】
「汚染物質(contaminants)」および「汚染物質(pollutants)」という用語は、本明細書では、様々な微生物(例えば、細菌および/またはウイルス)、および煙または他のタイプの微粒子などの天然に存在するおよび人工の材料構造を含む、様々な無機、有機、ならびに混合無機および有機材料構造を指すために互換的に使用される。汚染物質は、有機、無機および混合起源の微粒子、バイオエアロゾルを含むエアロゾル、およびVOCなどのガス状汚染物質を包含し得る。一般に、汚染物質は、使用中にフィルタに蓄積し、フィルタの性能を低下させる可能性がある異なる種類の微粒子または生物を含む可能性がある。劣化は、フィルタが空気を浄化することができる速度、またはフィルタが単位時間内に捕捉することができる汚染物質の量または種類の減少を含むことができる。
【0284】
本教示の多くの実施形態は、例えば、抗ウイルス性および抗微生物性の空気浄化に適用可能な固有の特性を有する材料構造を提供する。いくつかの実施形態では、材料構造は、抗ウイルス性および抗微生物性の液体浄化に適用されてもよい。
【0285】
より具体的には、材料は、病原体および他の微粒子の捕捉のためのミクロンスケールの細孔、および病原体の破壊のための細孔-マトリックス界面のナノスケールの特徴(例えば、ラフネス、鋭いエッジ、ナイフエッジ特徴、しわなど)に依存する、病原体の捕捉および排除への多面的なアプローチのためにそれぞれ合理的に調整された、様々な長さスケールを有する階層構造を統合する。階層的構造の調整のために、ミクロンスケールの細孔のサイズは、標的病原体の捕捉効率を高めるように設計することができ、ナノスケールの特徴のサイズは、病原体をより効率的に破壊するように設計することができる。したがって、特徴は、関連する標的病原体の寸法に見合った長さスケールで設計することができる。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される階層的材料は、巨視的多孔質基材上に堆積される、粗い表面を有するコーティングなどのコーティングの形態で使用されてもよい。
【0287】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される階層的材料は、平坦な表面上のコーティングの形態で使用され得る。
【0288】
本教示の実施形態による階層的材料は、存在する場合、流動培地中に存在する病原性生物の1つまたは複数の種類の少なくとも一部分を処理するように構成され得る。いくつかの実施形態では、階層的材料は、巨視的多孔質基材、コーティング、および流動培地中に存在する少なくとも1種類の病原体を処理するように構成された任意選択的な活性部位を含み得る。多くの実施形態では、流動培地は、気体または液体のいずれかであってもよい。例として、流動培地は空気または水であってもよい。いくつかの実施形態では、流動培地は水性培地であり得る。いくつかの実施形態では、流動培地は、体液(例えば、血液)であり得る。
【0289】
病原性生物は、ウイルス、細菌および真菌のいずれかを含み得る。
【0290】
いくつかの実施形態では、コーティングの特定の表面形態および組成は、病原体の不活性化、収着および触媒機能のための機械殺菌特性を含む複数の新しい機能を導入する。いくつかの態様では、本開示は、ウイルスおよび他の病原性微生物を効率的に処理(例えば、捕捉、不活性化)し、ならびにガス状および粒子状汚染物質を処理するように設計された構造的な微視的およびナノスケールの特徴を有する微粒子表面(例えばDE)の修飾に関する。
【0291】
本教示による修飾粒子はまた、液体培地、例えば水に存在する汚染物質を処理するために効果的に使用され得る。
【0292】
病原体の外部膜または壁を機械的に損傷し、したがってそれらを不活性化するための表面ナノ構造の使用は、自然界全体で観察される一般的なモチーフである。例えば、セミ、トンボ、およびイトトンボのいくつかの種の羽根は、機械殺菌性ナノピラーを有する。作用機序は多様である。例えば、表面粗さは、平坦な表面と比較して接触角を修正することができ、病原体の付着を防止することができ、または関連する病原体の寸法に見合った長さスケールの鋭い点または縁部を提供することができる。殺生物性効果を有する合成システムは、ナノピラーおよびナノシート(「ナノナイフ」としても知られる)を含む様々な形態で実証されている。例えば、グラファイトファミリー(例えば、グラファイト、酸化グラフェン(GO))は、抗菌用途についてよく研究されている。研究者らは、GOの鋭い縁部が細菌膜を損傷し、細胞質物質の放出および細菌死をもたらすことを報告した。他の研究は、垂直に整列したMnO2およびMoS2ナノ構造で修飾されたグラファイト表面が高い抗菌効果を有することを実証した。これらの研究は、液体状態の用途に限定されている。さらに、それらの材料選択、方法、および容積要件は、技術の商業的実現可能性を制限する。
【0293】
いくつかの実施形態では、対病原性ナノスケールラフネスを有するDE表面の修飾は、多面的な殺生物性溶液のためのミクロンスケールの細孔およびナノスケールの表面特徴を特徴とする階層的材料構造をもたらす。そのような材料のいくつかの実装形態では、大きな表面積を有する多孔質表面は、病原体を効率的に捕捉することができ、一方、多孔質表面上のナノナイフは、多種多様な病原体の外部膜または壁を破壊または切開することができる。
【0294】
いくつかの実施形態では、殺菌特性は、例えば、活性酸素種(ROS)の生成を通じて病原体に化学的に損傷を与え得る材料(例えば、Mn、Ce、Caの金属酸化物)を使用して、表面形態とコーティングの化学組成との相乗効果によって調整され得る。
【0295】
いくつかの実施形態では、表面修飾DEは、表面積の増加および特別に設計されたコーティング組成物に起因して、改善された収着および濾過機能を有し得る。ガス状汚染物質の捕捉に最も頻繁に使用される材料は、活性炭、ゼオライト、金属酸化物およびそれらの誘導体などの大きな表面積および細孔容積を有する多孔質物質である。様々な実施形態では、マクロポーラス支持体上の吸着材料の設計において収着機能をナノ構造化と組み合わせることにより、その高表面積を維持しながら、その圧縮および背圧の増加が防止される。DEの表面修飾は、一般的なVOC吸着材料のグラフト化およびナノ構造化を通じて全体的な収着能力を改善することができた。
【0296】
一例として、ここでの比表面積(SSA)の大きさは相対的に評価され、すなわち、SSAは、初期材料が修飾後の同じ材料の構造化材料よりも低い表面積を有する場合に強化されると考えられる。例えば、DEと同様の組成物(SiO2)を有する砂粒子は、0.1m2/gのSSAを有する。DEのSSAは、多孔度および構造のために10~40m2/gで変化し得る。本明細書で提供される特定の例では、DEのSSAは約30m2/gであると測定された。特定のMnO構造で修飾した後、SSAを約45m2/gに増加させる。活性炭は、700~1000m2/gの範囲のSSAおよび5000~7000m2/gの範囲のMOFを有することが知られている。高表面積材料を使用したその後の修飾は、SSAをさらに増加させることができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、表面積は、金属有機構造体(MOF)による修飾後に有意に増加し得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、触媒機能は、第1または第2の修飾後に触媒ナノ粒子を組み込むことによって導入され得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、ナノ構造コーティングは、触媒機能を提供し得る。触媒機能は、触媒粒子をコーティングに組み込むことによって、またはコーティング自体のナノ構造化によって導入することができる。例えば、多くの金属酸化物は、形態学的なナノ特性のために、異なる酸化および還元反応に対して高触媒活性を示す。
【0300】
以下でより詳細に説明するように、階層的材料のミクロンスケールの細孔の構造と細孔表面の構造および組成との組み合わせは、細菌、ウイルス、および他の病原性生物などの汚染物質の不活性化に相乗効果をもたらし得る。
【0301】
いくつかの実施形態では、ナノレベルおよびマイクロレベルでの階層的材料の表面形態および多孔度は、ウイルスおよび細菌の捕捉を容易にし、ウイルスエンベロープおよび/またはカプシドならびに細菌膜に機械的損傷を与えて、設計された殺生物性機能を達成するように調整することができる。これに関して、表面形態は、材料組成を調整することによって、および/または前駆体材料の濃度およびプロセス温度などの製造プロセス条件を調整することによって調整することができる。
【0302】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの特徴は、病原体への機械的損傷の発生を促進するように構成された幾何学的形状、アスペクト比および/またはサイズを示し得る。例えば、ナノスケールの特徴の代表的な寸法は、約3nm~約30nmの範囲、例えば約10nm~約20nmの範囲であってもよい。
【0303】
いくつかの実施形態では、基材に塗布されたコーティングは、特定の濾過機能を促進/増強することができる。特定の濾過機能は、病原体の1つまたは複数の不活性化、有機およびガス状汚染物質の分解、ならびに収着(吸着および吸収の両方)を含み得る。収着は、ガス(例えば、VOC、CO2、CO、アンモニアおよびその誘導体)、汚染物質、または微生物(例えば、細菌、ウイルスなどの病原体)の収着を含み得る。
【0304】
いくつかの実施形態では、そのような収着および/または分解特性の向上は、階層的に構造化された微粒子の表面上の活性材料の存在に起因し得る。
【0305】
いくつかの実施形態では、本教示による階層的に構造化されたコーティングを有する基材の修飾は、収着活性および触媒活性の両方を示し得る機能性基材をもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングは、特定の汚染物質に対する親和性が増加して設計された表面特性を有する1つまたは複数の金属酸化物(ホルムアルデヒドまたはアルコールまたは親水性粒子などの極性分子の吸着を改善するヒドロキシル化表面またはアミン官能基を有する表面)および汚染物質の処理に対する触媒活性を有する元素組成物(例えば、酸化ニッケル、酸化パラジウム、混合金属酸化物)を含み得る。
【0306】
いくつかの実施形態では、巨視的基材と、合成または天然起源の階層的に構造化された粒子を含むコーティングと、場合により活性部位/反応性材料との組み合わせは、存在する場合、流動培地中に存在する1つまたは複数の種類の微粒子の少なくとも一部分を処理するように構成される。例として、いくつかの実施形態では、処理され得る微粒子のサイズ範囲は、約1nm~約1ミクロンである。いくつかの実施形態では、処理される微粒子のサイズ範囲は、約5nm~約5ミクロンの範囲、または約10nm~約1ミクロンの範囲、または約100nm~約500nmの範囲であり得る。これは、コーティング基材のいくつかのパラメータ(例えば、基材の多孔度、粒子のサイズおよびそれらの修飾)を調整することによって行うことができる。汚染物質のアレスタンス(arestance)または濾過は、粒径によって決定または調整することができる。いくつかの実施形態による修飾基材は、約5nm~約5ミクロンの範囲、または約10nm~約1ミクロンの範囲、または約100nm~約500nmの範囲のサイズを有する微粒子を濾過する(例えば、不活性化する、除去する)ように構成され得る。
【0307】
多くの実施形態では、本明細書に開示される組成物および材料は、超微粒子状物質(PM)またはPM0.1~1などの病原体および他の粒子ならびにガス状および液体汚染物質の治療のための多面的な機構を提供する。この目標は、巨視的多孔質基材としてのDEと、DEの細孔の少なくとも一部の表面に堆積された合理的に設計された形態および組成物を有するナノ構造コーティングとからなる複合DE構造体の製造によって達成され得る。ナノ構造組成および形態は、病原体(例えば、細菌、ウイルスなど)の不活性化、有機およびガス状汚染物質の分解、ならびにガス(例えば、VOC、CO2、CO、アンモニアおよびその誘導体)の収着を含む収着(吸着と吸収の両方)などの特定の機能を促進/増強することができる。
【0308】
いくつかの実施形態では、本開示は、汚染物質の少なくとも一部を捕捉するために階層的に構造化された粒子で修飾/コーティングされた多孔質構造体(本明細書では一次構造体とも呼ばれる)を有するフィルタを提供する。多孔質構造体は、コーティングがなくても濾過機能を提供するので、本明細書では多孔質構造体はベアフィルタとも呼ばれる。実施形態では、階層的に構造化された粒子は、フィルタの再生を可能にするコーティングを提供する。
【0309】
多くの実施形態では、通路または細孔を塞ぐことなく、フィルタの1つまたは複数の内面に、活性材料を含むまたは含まない階層的に構造化された微粒子を有するコーティングを含めることにより、コーティング後の背圧の比較的小さな増加で効果的に動作する機能化フィルタを提供することができる。言い換えれば、機能化フィルタは、システムを通る空気の通過を著しく制限することなく、空気中の少なくともいくつかの汚染物質(例えば、ウイルスなどの病原体、粒子状物質、またはガス状汚染物質)を処理することができる。これに関して、所望の範囲の空気流量に対する機能化フィルタの背圧は、許容範囲内、例えば、同様の流れ条件下でのコーティングされていないフィルタの背圧の約50倍以内(例えば、0.1~10000CFM、または0.5~1000CFM、または1~500CFMの範囲内)のままであり得る。
【0310】
例として、増分背圧は、約50倍、または約40倍、または約30倍、または約20倍、または約10倍以下であってもよい。
【0311】
本明細書で使用される「フィルタの再生」という語句は、一定期間使用されたために機能が低下した後にフィルタの濾過機能を改善するプロセスを意味する。濾過機能の劣化は、例えば、フィルタ内の汚染物質の蓄積に起因し得る。フィルタの更新は、例えば、フィルタから蓄積された汚染物質の一部または全部を除去することを含むことができる。フィルタの更新は、フィルタの状態を、フィルタがその意図された濾過機能を実施することができる状態に実質的に戻すことを含むことができる。
【0312】
いくつかの実施形態では、本教示によるフィルタの濾過機能の更新は、フィルタが病原体の不活性化ならびに停止した汚染物質の少なくとも部分的な分解および除去を可能にするように、フィルタ、特にそのコーティングを断続的に処理するためにエネルギーを供給することによって達成され得る。例として、フィルタの更新は、特定の時間間隔で、および/または環境トリガに基づいて、フィルタを加熱すること、フィルタを光に曝露すること、フィルタを磁場に曝露することなどによって達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングを有する本教示によるフィルタは、フィルタによって捕捉された病原体の少なくとも一部分の不活性化のために約90℃を超える温度に加熱されてもよい。他の実施形態では、DEコーティングを有する本教示によるフィルタは、90℃~200℃の範囲の温度に加熱されてもよい。
【0313】
例として、フィルタの更新は、環境トリガなどの何らかのトリガによって開始されてもよい。様々な実施形態では、フィルタ更新の開始のための環境トリガは、環境要因の何らかの変化の検出または環境要因が閾値に達することに基づくことができる。例えば、環境トリガは、周囲空気中の汚染物質の濃度、内部温度、背圧、および/またはフィルタの内圧の突然の増加または閾値を超える増加に対応し得る。
【0314】
図5は、いくつかの実施形態によるフィルタ500の一例を示す。フィルタ500は、多孔質構造体520と、多孔質構造体に結合された階層的に構造化された微粒子540とを含む。この実施形態では、多孔質構造体は、それらの間には空の空間を有する複数の交差する繊維から形成され、その少なくとも一部には、階層的に構造化された微粒子540が配置されている。いくつかの実施形態では、階層的に構造化された粒子540は、交差する繊維間の空の空間全体を実質的に満たすが、他の実施形態では、空の空間の一部のみが粒子540で満たされる。粒子540で充填され得る空の空間の量は、以下でさらに説明される。
【0315】
例として、微粒子は、階層的に構造化された微粒子200であってもよい。
【0316】
図6A~
図6Dは、いくつかの実施形態による、階層的に構造化された微粒子によって修飾されたフィルタの多孔質構造のSEM画像を示す。より具体的には、
図6Aはガラス繊維濾過媒体のSEM画像であり、
図6BはDEで処理したガラス繊維濾過媒体のSEM画像であり、
図6Cおよび
図6Dは表面ナノ特徴で修飾したDEのSEM画像である。
【0317】
図6Aに関して、SEM画像は、ガラス繊維の繊維620を含むガラス繊維媒体の未修飾多孔質構造を示す。一方、
図6Bは、この場合DE粒子640である階層的に構造化された微粒子でコーティングされたガラス繊維の繊維620を含む同様のガラス繊維媒体を示す。
図6Bに示すように、DE粒子640は、一次多孔質構造体のガラス繊維の繊維間の空き空間の大部分を占める。例えば、DE粒子640は、一次多孔質構造体のガラス繊維間の空き空間の少なくとも15%、25%、50%、75%を占める。
【0318】
一方、
図6Cおよび
図6Dは、追加の機能性材料で処理されたDE粒子のSEM画像を示す。より具体的には、
図6Cは、表面成長660を有するナノ構造コーティング660でコーティング/改質された単一のDE粒子650の画像を示す。一方、
図6Dは、ランダムに配向したプレート/ナノアレイの形態のナノフィーチャ660を示す高倍率のナノ構造コーティング650の一部分を示す。これらの図では、表面ナノ特徴は、DEの表面上に成長させた酸化マンガンナノアレイ(例えば、垂直に整列したシートまたはしわ)を含む。これらの構造のいくつかの機能を以下でさらに説明する。
【0319】
図7Aは、ナノラフエッジ(例えば、
図6Cおよび
図6Dに示す垂直に整列したシートまたはしわ)を有する酸化マンガンナノ構造コーティングを用いたDEを用いた抗菌試験の結果を示す。
図6Dに示すガラス繊維平板培地を黄色ブドウ球菌(ATCC6538)で抗菌特性について試験したところ、未修飾試料と比較して生存細菌の76%の減少が実証された。[
図7Aは、
図6A~
図6Dに示すガラス繊維媒体を用いた抗菌試験の結果を示す。実験は、異なる期間にわたる2種類のガラス繊維培地上への細菌ブドウ球菌の沈着、それに続く寒天プレート上での抽出およびインキュベーションを含んだ。各期間後に細菌を計数した(コロニー形成単位、CFU)。
図7Aは、2組のデータカウントを示し、1つは未修飾ガラス繊維(円)から抽出された試料、もう1つは修飾DEでコーティングされたガラス繊維である。結果は、コーティングされた培地が60分後に約24CFUを含有し、一方、引用されていないガラス繊維培地は約125CFUを含有したことを示している。これは、未修飾試料の約40%のみと比較して、DE修飾試料の約76%の生存細菌の減少に相当する。]
【0320】
図7Bは、60分間のインキュベーション後の未修飾培地および修飾培地(
図6Aおよび
図6Bにそれぞれ対応する)から抽出されたブドウ球菌を有する寒天平板の光学顕微鏡画像を示す。細菌は、インキュベーション中に未修飾培地上でうまく増殖したが(
図7B、左プレート)、修飾フィルタでのインキュベーション後にはほとんど増殖が観察されなかった(
図7B、右プレート)。これは、MnO修飾DEコーティングが抗菌機能を示したことを示している。
【0321】
図8は、いくつかの実施形態による、天然起源の階層的に構造化された微粒子(例えばDEコーティングフィルタ)から構成されるコーティングを製造する方法800のフローチャートを示す。
【0322】
いくつかの実施形態では、コーティングは、いくつかの実施形態による合成起源の階層的に構造化された微粒子の粒子から構成される。
【0323】
820で、濾過媒体を前処理する。濾過媒体前処理は、洗浄、乾燥、活性化、DEの接着性を改善するための活性成分による修飾などのプロセスの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0324】
いくつかの実施形態では、濾過媒体の活性化はコロナ処理を含む。
【0325】
840で、濾過媒体をコーティングする。例えば、DEを濾過媒体の多孔質構造体上に堆積させ、それによって「コーティングされたフィルタ」を提供することができる。DE堆積は、乾式粉末堆積などの乾式堆積法、浸漬コーティング、ロールツーロールコーティング、およびスプレーコーティングなどのDEスラリーを利用する湿式堆積法のプロセスの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。これらの実施形態では、DEスラリーは、DE粒子/微粒子、溶媒(例えば、水)および添加剤を使用して配合され得る。いくつかの実施形態では、スラリー調製の前に、DE粒子を上記のように修飾することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、異なる機能(例えば、バインダ、安定剤、増粘剤)を果たし得、有機、無機材料およびそれらの混合物を含み得る。
【0326】
いくつかの実施形態では、階層的に構造化された粒子は、上記の方法を使用して非多孔質表面(例えば、テーブル、ドアハンドル、医療機器の部品など)にコーティングされ得る。
【0327】
いくつかの実施形態では、そのような表面上のコーティングは、抗菌または抗ウイルス(殺生物性)機能を有し得る。
【0328】
いくつかの他の実施形態では、スラリー調製およびコーティング後にDE粒子を修飾することができる。
【0329】
860で、コーティングされたフィルタを処理する。このさらなる処理には、乾燥、焼成などのプロセスの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない。
【0330】
いくつかの実施形態では、階層的材料構造を製造する方法が提供される。
【0331】
いくつかの実施形態は、階層的微粒子の表面上にナノ構造特徴を作製する方法を提供する。製造方法は、ナノ特徴前駆体および微粒子(例えば、BM)を含む溶液を調製することと、溶液を熱処理して階層的に構造化された材料を製造することとを含んでもよい。
【0332】
いくつかの実施形態では、微粒子の初期修飾後、第2の修飾が行われる。第2の修飾の導入は、表面積をさらに増強するし、新しい機能を導入することができる。
【0333】
図9は、いくつかの実施形態による、修飾された巨視的多孔質基材を製造するためのプロセスを示す。
【0334】
ステップ920において、溶媒(例えば、水)中にマトリックス前駆体およびコアシェル鋳型コロイドを分散させることによって溶液を調製することができる。コアシェル鋳型コロイドは、ナノラフネス形成(NRF)材料の薄層(例えば、10~30nm)でコーティングされたポリマーコロイド(例えば、ポリスチレン)コアを含み得る。
【0335】
続いて、ステップ940において、コーティング溶液を乾燥および焼成して、上述のように階層的材料または階層的に構造化された多孔質微粒子を作製することができる。
【0336】
次いで、階層的に構造化された多孔質微粒子を巨視的基材に塗布することができる(ステップ306)。任意選択的に、基材表面へのコーティングの接着性および機械的堅牢性を改善するために、1つまたは複数のバインダを添加してもよい。
【0337】
いくつかの他の実施形態では、溶液は、例えば浸漬コーティングによって巨視的多孔質基材に塗布され(ステップ930)、続いてコーティングされた巨視的基材の熱処理が行われてもよい(ステップ950)。その結果、階層的材料構造で被覆された巨視的多孔質基材930を得ることができる。
【0338】
これらの実施形態では、鋳型コロイドの熱処理または溶解(ステップ940または950)は、(i)多孔質ネットワークを作成するためのポリマー部分の除去、(ii)薄いNRF層のためのキャリアを形成するためのマトリックス材料の固化、および/または(iii)病原体破壊に使用され得る細孔/マトリックス界面でのNRF層からのナノラフネスの生成を提供し得る。このように、熱処理は、ポリマーコロイドコアの融点より高い温度で行うことができる。例として、熱処理の温度は、約100℃~約500℃の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、熱処理は、減圧環境、真空もしくは真空に近い環境、または不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)環境で行うことができる。
【0339】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、単一の化合物または異なる化合物の混合物から作製されてもよい。マトリックス材料は、例えば、触媒活性、刺激応答性、化学的に堅牢、分解性であり得、および/または特定の熱的および機械的特性を示し得る。
【0340】
例として、マトリックス材料は、酸化物、混合酸化物、1つまたは複数のI族、II族、III族、IV族、V族、VI族の元素の混合酸化物、ゼオライト、オキソヒドロキシド、アルミン酸塩、ケイ酸塩、アルモケイ酸塩、チタン酸塩、オキソ金属酸塩、金属有機構造体、バナジウム、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、希土類酸化物、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0341】
いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、合成ポリマー、天然ポリマー、バイオポリマー、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかを含み得る。
【0342】
いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、珪藻土、花粉、および生物学的起源のシリカ系微粒子などの生体材料を含み得る。
【0343】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、シリコン、ゲルマニウム、スズ、III族またはV族元素でドープされたシリコン、III族またはV族元素でドープされたゲルマニウム、III族またはV族元素でドープされたスズ、およびそれらの任意の組み合わせなどの半導体を含み得る。
【0344】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、1つまたは複数の金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属プニクチド、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0345】
特定の実施形態では、マトリックス材料は、金属有機構造体、無機ポリマー(例えば、シリコーン)、有機金属錯体、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の有機金属化合物を含み得る。
【0346】
いくつかの実施形態では、巨視的多孔質基材は、表面ナノ粗さを導入するために、例えばエッチングによって直接機械加工されてもよい。例えば、エッチングプロセスは、ウェットエッチング、ドライエッチング、イオンエッチング、プラズマエッチングなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0347】
いくつかのそのような実施形態では、ナノスケールの特徴は、顕微鏡的微粒子が巨視的基材上にコーティングされた後に、顕微鏡的微粒子上に形成され得る。
【0348】
特定の実施形態では、マトリックス前駆体材料は、ゾル-ゲル前駆体、ナノ粒子前駆体、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。いくつかのそのような実施形態において、ゾル-ゲルマトリックス前駆体材料は、シリカ、アルミナ、チタニア、セリアおよび/またはジルコニアゾルゲルを含み得、ナノ粒子前駆体は、上記のマトリックス材料のナノ粒子の単一または混合物を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、ナノ粒子前駆体は、ベーマイトなどの水酸化アルミニウム酸化物を含み得る。
【0349】
本明細書に記載されるように、「マトリックス前駆体材料」は、高温焼成、乾燥、光誘起重合、熱重合またはラジカル重合、超分子重合、他の硬化プロセス、およびそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の製造処理によって「マトリックス材料」に変換することができる。
【0350】
上述のコア-シェルシステムは、特定の事例に体系的に対処するために材料設計に組み合わせ手法を提供することができる。単一の製造プロセスにおいて、所望の殺生物性機能を達成するように調整されたナノスケールの特徴の寸法の変動を達成するために、適切なポリマーコロイドの直径および異なるシェル組成を選択することによって、様々な孔径を導入することができる。
【0351】
以下、本教示による階層的材料構造およびその製造方法のいくつかの例を説明する。
【0352】
実施例1:細孔-マトリックス界面での多孔質微粒子+ナノスケールの特徴(NF)
図10を参照すると、細孔-マトリックス界面に形成された多孔質微粒子とナノスケールの特徴(NF)との組み合わせは、以下の6つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
(i)実施例1a NFF複合微粒子(NFF-CMP)を得るためのナノスケール形成特徴(NFF)修飾鋳型材料(NFF-TM)とマトリックス前駆体(MP)との結合(ステップ1010)、および
(ii)NF多孔質微粒子(NF-PMP)を得るための鋳型除去および細孔-マトリックス界面でのNFの形成(ステップ1012)。
実施例1b
(i)NF複合微粒子(NF-CMP)を得るためのNF修飾鋳型材料(NF-TM)とMPとの結合(ステップ1020)、および
(ii)NF-PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1022)。
実施例1c
(i)複合微粒子(CMP)を得るための鋳型材料(TM)とMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)多孔質微粒子(PMP)を得るための鋳型の除去(ステップ1032)、および
(iii)NF-PMPを得るための予め形成されたNF(例えば、含浸、堆積などを介して)による後修飾。
実施例1d
(i)CMPを得るためのTMとMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1032)、
(iii)NFFによる(例えば、含浸による)後修飾(ステップ1034)、および
(iv)NF-PMPを得るための処理(ステップ1036)。
実施例1e
(i)CMPを得るためのTMとMPとの結合(ステップ1030)、
(ii)PMPを得るための鋳型の除去(ステップ1032)、および
(iii)NF-PMPを得るためNF(ステップ1036)(例えば、機械的処理、エッチングなどを介して)(ステップ1038)を導入するための後修飾。
【0353】
実施例2:細孔-マトリックス界面でのマイクロポーラスコーティング+ナノスケールの特徴(NF)によってコーティングおよび/または修飾された巨視的基材
図11を参照すると、細孔-マトリックス界面に形成されたマイクロポーラスコーティングおよびNFの組み合わせでコーティングおよび/または修飾された巨視的基材は、以下の4つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
実施例2a
(i)予め形成されたNF-PMPによる巨視的基材の修飾(ステップ1110)(例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロールツーロールなどによって)。
実施例2b
(i)NFFまたはNF修飾TMおよびMPの結合による巨視的基材の修飾(例えば、巨視的基材の壁上に直接結合)、および
(ii)鋳型の除去およびコーティングの細孔-マトリックス界面上のNFの形成(ステップ1120)。
実施例2c
(i)予め形成されたPMPによる巨視的基材の修飾、および
(ii)NFによる後修飾(ステップ1130)またはNFFによる後修飾(ステップ1140)、それに続くNFを形成するための処理。
実施例2d
(i)巨視的基材チャネル上のTMおよびMPの結合による巨視的基材の修飾、
(ii)鋳型の除去(ステップ1150)、および
(iii)NFFによる後修飾またはNFによる直接修飾(ステップ1152)。
【0354】
実施例3:巨視的基材+細孔でのナノスケールの特徴(NF)-巨視的基材チャネル界面
図12を参照すると、巨視的基材の孔とチャネルとの間の界面に形成されたNFを有する巨視的基材は、以下の3つの構成を含むことができるが、これらに限定されず、その各々は以下に説明するように製造される。
実施例3a
(i)NFFによる巨視的基材の修飾(ステップ1210)(例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロールツーロールなどによって)、および
(ii)NFを形成するための処理(ステップ1212)。
実施例3b
(i)予め形成されたNFによる巨視的基材の修飾(ステップ1220)。
実施例3c
(i)NFを形成するための巨視的基材の処理(ステップ1230)(例えば、エッチングによって)。
【0355】
コーティング方法は、基材の種類によって選択される。例えば、3D基材の場合、方法は浸漬コーティングに基づくことができるが、2D基材(例えば、平坦な基材、表面)の場合、方法はロールツーロールコーティングおよびスプレーコーティングを含むことができる。
【0356】
本明細書で使用される「微粒子」という用語は、様々な微生物(例えば、細菌および/またはウイルス)および煙微粒子などの天然に存在するおよび人工の材料構造を含む、様々な無機、有機、および混合無機および有機材料構造を指す。例として、そのような微粒子は、最大で約10ミクロン以下(例えば、「PM10」)、または最大で約2.5ミクロン以下(例えば、「PM2.5」)、または最大で約1ミクロン以下(例えば、「PM1」)、または最大で約300nm以下のサイズを有し得る。「超微粒子」という用語は、典型的には、最大で約0.1ミクロン「PM0.1」以下のサイズを有する微粒子を指す。
【0357】
「処置する」および「処理」という用語は、本明細書では、例えば汚染流の形態の流動培地を含む培地(例えば、気体または液体培地)からの汚染物質(例えば、気体、蒸気、粒子状物質、エアロゾル、バイオエアロゾル、または病原体)の酸化、還元、不活性化、分解、および/または濾過(例えば、除去)(またはそれらの組み合わせ)を指すために使用される。
【0358】
本明細書で使用される「捕捉」という用語は、本教示による構造による汚染物質(例えば、微粒子)の恒久的または一時的な捕捉を指す。
【0359】
「細孔」、「通路」、「連絡通路」、および「チャネル」という用語は、本明細書では、流れを受け入れるための少なくとも1つの開口部を有する材料構造を指すために交換可能に使用される。細孔は、球形または非球形の形状、例えば、流れに曝されるエンクロージャまたは表面を提供することができる直線状、曲線状、蛇行状、二股状、または分岐状の空洞であってもよい。
【0360】
本明細書で使用される「サイズ」という用語は、断面寸法、例えば、高アスペクト比の細孔の場合(細孔の長い寸法と短い寸法との比が1.5より大きい場合)、細孔またはチャネルの(細孔またはチャネルの直径などの)細長い寸法(例えば、長さ)に垂直な、例えば最大寸法などの寸法を指す。したがって、以下に説明する実施形態では、細孔またはチャネルは、その断面寸法およびその長さの1つまたは複数によって特徴付けられ得る。
【0361】
「ナノ構造」または「ナノスケール」という用語は、1ミクロン未満、例えば約100nm~約500nmの範囲、または約10nm~約150nmの範囲、または約3nm~約50nmの範囲のx、yおよびz寸法のそれぞれのサイズを有する材料構造を指す。
【0362】
「微細構造」または「ミクロンスケール」という用語は、x次元、y次元およびz次元の各々において1ミクロン以上1mm未満のサイズを有する材料構造を指す。
【0363】
本明細書で使用される「フィルタ」という用語は、汚染物質を保持および/または除去することによって空気から汚染物質を除去する装置を指す。フィルタには、高効率微粒子吸収(「HEPA」)フィルタ、機械フィルタ、収着要素フィルタ、イオン化および静電フィルタ、ならびに光触媒フィルタが含まれるが、これらに限定されない。
【0364】
「表面ナノ構造」、「ナノ構造特徴」、「ナノスケールの特徴」、「ナノ特徴」、「ナノラフネス」という用語は、本明細書では互換的に使用され、スパイク形状の表面形態、花様形態、棘状形態、針、ピラー、円錐、鋸歯状断面、テーパ円筒、および1nm~50nmの範囲の寸法を有する他の表面押出物を一部に有するナノスケール材料構造を指し、アスペクト比(基部に対する高さの比として定義される)は50~0.02である。
【0365】
本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、「約」という用語は、使用されている数の数値の±10%を意味する。したがって、いくつかの実施形態では、約100μmは、90μm~110μmの範囲を意味する。
【0366】
マイクロポーラス、メソポーラスおよびマクロポーラスという用語は、国際純正応用化学連合の定義に従って定義され、細孔はマイクロ細孔(<2nm)、メソ細孔(2~50nm)およびマクロ細孔(>50nm)に分類される。多孔質材料が複数の長さスケールにわたって階層的細孔を有することがしばしば有益であることが発見されている。階層的多孔質材料は、少なくとも二峰性の多孔性を有さなければならない。
【0367】
「処置する」および「処理」という用語は、本明細書では、例えば汚染流の形態の流動培地を含む培地(例えば、気体または液体培地)からの汚染物質(例えば、気体、蒸気、粒子状物質、エアロゾル、バイオエアロゾル、または病原体)の酸化、還元、不活性化、分解、濾過、分解、および除去(例えば、収着)(またはそれらの組み合わせ)を指すために使用される。培地を処理するために使用されるフィルタは、抗ウイルス特性および/または抗微生物特性を有し得る。
【0368】
いくつかの態様をシステムまたは装置の文脈で説明してきたが、これらの態様は、対応する方法の説明も表すことができ、ブロックまたはデバイスは、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明される態様はまた、対応するブロックまたは項目または対応する装置の特徴の説明を表す。方法ステップの一部またはすべては、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(またはそれを使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかの1つまたは複数は、そのような装置によって実行することができる。
【0369】
当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に様々な変更を加えることができることを理解するであろう。
【0370】
実施形態の前述の説明は、例示のみを目的として提示されている。これは網羅的ではなく、実施形態を開示された正確な形態に限定するものではない。いくつかの例示的な実施形態および特徴が説明されているが、実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、修正、適合、および他の実装が可能であり得る。したがって、特に明記しない限り、説明は1つまたは複数の実施形態に関するものであり、全体として実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。これは、特徴が「1つの(a)」、「その(the)」、「1つの(one)」、「1つまたは複数の(one or more)」、「いくつかの(some)」、または「様々な(various)」実施形態に関連すると本開示が述べているか否かにかかわらず当てはまる。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形を含み得る。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。また、特徴が存在し得ると述べることは、特徴が1つまたは複数の実施形態に存在し得ることを示す。
【0371】
本開示では、「含む(include)」、「備える(comprise)」、「含有する(contain)」、および「有する(have)」という用語は、セットまたはシステムの後に使用される場合、オープン包含(open inclusion)を意味し、列挙されていない他の部材のセットまたはシステムへの追加を排除しない。さらに、別段の記載がない限り、または文脈から他の方法で差し引かれない限り、接続詞「または」は、使用される場合、排他的ではなく、代わりに、および/または、を意味することを含む。
【0372】
さらに、これらの用語が使用される場合、1セットは1つまたは複数の部材を含むことができ、1セットの1サブセットは、1セットの部材すべてを含む、1つまたは複数を含むことができる。
【0373】
開示された物質の組成、システム、方法、および装置は、いかなる特定の態様または特徴またはそれらの組み合わせにも限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。動作の理論は、説明を容易にするためのものであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作の理論に限定されない。
【0374】
上記の教示に照らして変更および変形が可能であり、または実施形態の実施から取得され得る。例えば、記載されたステップは、説明された同じ順序で、または同じ分離度で実行される必要はない。同様に、同じまたは同様の目的を達成するために、必要に応じて、様々なステップを省略、繰り返し、組み合わせ、または並行して実行することができる。同様に、記載されたシステムは、必ずしも実施形態に記載されたすべての部品を含む必要はなく、実施形態に記載されていない他の部品も含むことができる。したがって、実施形態は、上述の詳細に限定されず、代わりに、それらの均等物の全範囲に照らして添付の特許請求の範囲によって定義される。さらに、本開示は、単独で、ならびに互いに様々な組み合わせおよび部分的組み合わせで、様々な開示された実施形態のすべての新規かつ非自明の特徴および態様を対象とする。
【0375】
本開示は、特定の実施形態に関連して特に説明されてきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態は、前述の説明に照らして明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲内に入るような任意のそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含すると考えられる。
【国際調査報告】