(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】治療抵抗性うつ病の治療に使用するためのサイロシビン及び補助的セロトニン再取り込み阻害剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/661 20060101AFI20250107BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250107BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20250107BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250107BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20250107BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20250107BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20250107BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20250107BHJP
A61K 31/4525 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A61K31/661
A61K45/00
A61P25/24
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/343
A61K31/137
A61K31/138
A61K31/495
A61K31/4525
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535391
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 US2022052368
(87)【国際公開番号】W WO2023114097
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520124291
【氏名又は名称】コンパス パスファインダー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロンデスブラフ,デレック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ノーザン,ジュリアン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ギリアン
(72)【発明者】
【氏名】パティル,ヘマント カシナス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,デイビッド イー.
(72)【発明者】
【氏名】クロール,メーガン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,ハンズ オーケ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスミス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッキー,モーリー タビサ
(72)【発明者】
【氏名】ハーリー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】マリエフスカイア,エカテリーナ
(72)【発明者】
【氏名】マーウッド,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】マッカーラー,ドラモンド イー-ウェン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】メドハースト,ローリー エマ
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】セリンベヨグル,アスリハン
(72)【発明者】
【氏名】ソウラ,アナイス
(72)【発明者】
【氏名】シュシアン,アマンダ タン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラート,マノン セシール エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラン,トビアス パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド,ラーズ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA121
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA06
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4C086BC50
4C086DA34
4C086GA02
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4C086GA15
4C086MA02
4C086MA04
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4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA12
4C086ZC41
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA17
4C206FA29
4C206KA01
4C206KA04
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA12
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、治療を必要とする対象を治療するための方法であって、当該対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含む、方法を提供する。本明細書に記載の方法は、種々の疾患、障害、及び状態を治療するために使用され得る。例えば、本方法は、うつ病、神経認知障害、自閉症スペクトラム障害、及び/または注意欠陥/多動性障害を治療するために使用され得る。
【選択図】
図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療抵抗性うつ病の治療を必要とする対象における治療抵抗性うつ病を治療する方法であって、前記対象に、有効量のサイロシビンまたはその活性代謝産物を、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)療法の補助として投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記SSRIが、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、パロキセチンまたはシタロプラムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SSRIが、サイロシビンの投与前に投与される、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記SSRIが、サイロシビンの投与後に投与される、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記SSRIが、前記サイロシビンと同じ日に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象に約25mgのサイロシビンまたはその活性代謝産物が投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
サイロシビンの前記投与によって、うつ病の少なくとも1つの兆候または症状が軽減される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記うつ病の兆候または症状が、抑うつ気分、活動への関心の低下、体重減少もしくは増加、食欲の低下もしくは増加、不眠症もしくは過眠症、精神運動性激越もしくは遅延、疲労もしくはエネルギーの喪失、無価値感もしくは過度もしくは不適切な罪悪感、集中力の低下もしくは決断力の欠如、または自殺念慮もしくは行動である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記うつ病の兆候または症状が、日記評価、臨床医もしくは介護士による評価、臨床評価スケールに従って、または機能的MRIによって測定される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記臨床評価スケールが、簡易抑うつ症状尺度(QIDS)-16スケール、QIDS-16日常スケール、ハミルトンうつ病評価スケール、Beckうつ病インベントリスケール、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)、臨床グローバル印象スケール、Zung自己評価うつ病スケール、Raskinうつ病評価スケール、及び/またはヤングマニア評価スケールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記臨床評価スケールがMADRSである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
サイロシビンの前記投与が、サイロシビンによる治療の前と比較して、患者のMADRS合計スコアにおける約50%の低下をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サイロシビンの前記投与が、前記患者のMADRS合計スコアにおける10以下への低下をもたらす、請求項11~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記臨床評価スケールが、臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
サイロシビンの前記投与が、前記患者のCGI-Sスコアにおける2以下への低下をもたらす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記臨床評価スケールが、臨床グローバル印象スケール-改善度(CGI-I)である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
サイロシビンの前記投与が、サイロシビンによる治療の前と比較して、前記患者のCGI-Iスコアにおける、「非常に改善した」または「かなり改善した」として報告される低下をもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
サイロシビンの前記投与が、サイロシビンによる治療の前と比較して、前記患者の不安の軽減をもたらす、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
サイロシビンの前記投与が、サイロシビンによる治療の前と比較して、前記患者の全般性不安障害7項目スケール(GAD-7)合計スコアの低下をもたらす、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
うつ病の少なくとも1つの兆候または症状が、前記サイロシビンの投与から24時間以内に緩和される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
うつ病の少なくとも1つの症状が、前記サイロシビンの投与から1週間以内に緩和される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
うつ病の少なくとも1つの症状が、前記サイロシビンの投与後、少なくとも1か月間緩和される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記うつ病の少なくとも1つの症状が、前記サイロシビンの投与後、少なくとも3か月間緩和される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記うつ病の少なくとも1つの症状が、前記サイロシビンの投与後、少なくとも12か月間緩和される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2回の用量のサイロシビンが、前記対象に投与される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記サイロシビンが、1日1回投与される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記サイロシビンが、1週間に少なくとも1回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記サイロシビンが、1週間に少なくとも2回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記サイロシビンが、1か月に少なくとも1回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記サイロシビンが、1か月に少なくとも2回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記サイロシビンが、3か月毎に少なくとも1回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記サイロシビンが、6か月毎に少なくとも1回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記サイロシビンが、12か月毎に少なくとも1回投与される、請求項25~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
投与されるサイロシビンの各用量が、約25mgである、請求項25~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記サイロシビンが、経口、静脈内、筋肉内、非経口、局所、吸入、直腸、経粘膜、鼻腔内、頬、膣、くも膜下腔内、眼内、経皮、子宮内、リンパ内の経路のうちの1つによって、または直接組織もしくは臓器注射によって投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記サイロシビンが経口投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記サイロシビンが、サイロシビンの結晶多形体を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
サイロシビンの前記結晶多形体が、多形体Aを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
サイロシビンの前記結晶多形体Aが、11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1、及び19.7±0.1°2θのXRPDピークを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記多形体Aが、20.4±0.1、22.2±0.1、24.3±0.1、及び25.7±0.1°2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークをさらに特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記結晶性サイロシビンが水和物Aを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記水和物Aが、8.9±0.1、13.8±0.1、19.4±0.1、23.1±0.1、及び23.5±0.1°2θのX線粉末回折(XRPD)ピークを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記水和物Aが、6.5±0.1、12.2±0.1、12.6±0.1、16.2±0.1、20.4±0.1、20.8±0.1、及び21.5±0.1°2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークをさらに特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記サイロシビンが、HPLC分析によって判定される場合に1%よりも多い不純物を何ら有していない、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記サイロシビンが、HPLC分析によって判定される場合に97%を上回る化学純度を有する、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月13日に出願された米国仮出願第63/288,938号の利益を主張するものであり、参照によりその内容の全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
うつ病は、最も一般的な精神疾患のうちの1つであり、世界中の2億6400万人以上が罹患している。気分の落ち込み、及び活動への興味または喜びの顕著な低下を特徴とする。他の症状としては、著しい体重減少もしくは体重増加、食欲の減少もしくは増加、不眠症もしくは過眠症、精神運動性激越もしくは遅延、疲労もしくはエネルギーの喪失、無価値感もしくは過度もしくは不適切な罪悪感、思考力もしくは集中力の低下もしくは決断力の欠如、繰り返して発生する死についての思考、自殺念慮、または自殺未遂が挙げられる。
【0003】
うつ病の現在の治療は、多くの場合、心理療法と、ドーパミン、セロトニン、及びノルエピネフリンなどの神経伝達物質を調節する1つ以上の毎日の薬剤服用との組み合わせからなる。これらの薬剤は、しばしば、その完全な効果を達成するために数週間から数か月かかることがあり、その間、個人は症状に悩まされ続け、自傷行為、ならびに個人的及び職業的生活への危害のリスクにさらされる。
【0004】
抗うつ作用の迅速な発生を数時間または数日以内に提供し、かつ長期にわたって持続する、うつ病のための有効な治療に対する当該技術分野における必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、治療抵抗性うつ病の治療を必要とする対象における治療抵抗性うつ病を治療する方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、治療抵抗性うつ病の治療を必要とする対象における治療抵抗性うつ病を治療することを含み、対象に、有効量のサイロシビンまたはその活性代謝産物を、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)療法の補助として投与することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、SSRIは、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、パロキセチンまたはシタロプラムからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、SSRIは、サイロシビンの投与前に投与される。いくつかの実施形態では、SSRIは、サイロシビンの投与後に投与される。いくつかの実施形態では、SSRIは、サイロシビンと同じ日に投与される。
【0009】
いくつかの実施形態では、対象に約25mgのサイロシビンまたはその活性代謝産物が投与される。
【0010】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与によって、うつ病の少なくとも1つの兆候または症状が軽減される。いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状は、抑うつ気分、活動への関心の低下、体重減少もしくは増加、食欲の低下もしくは増加、不眠症もしくは過眠症、精神運動性激越もしくは遅延、疲労もしくはエネルギーの喪失、無価値感もしくは過度もしくは不適切な罪悪感、集中力の低下もしくは決断力の欠如、または自殺念慮もしくは行動である。
【0011】
いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状は、日記評価、臨床医もしくは介護士による評価、臨床評価スケールに従って、または機能的MRIによって測定される。いくつかの実施形態では、臨床評価スケールは、簡易抑うつ症状尺度(QIDS)-16スケール、QIDS-16日常スケール、ハミルトンうつ病評価スケール、Beckうつ病インベントリスケール、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)、臨床グローバル印象スケール、Zung自己評価うつ病スケール、Raskinうつ病評価スケール、及び/またはヤングマニア評価スケールである。
【0012】
いくつかの実施形態では、臨床評価スケールはMADRSである。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、サイロシビンによる治療の前と比較して、患者のMADRS合計スコアにおける約50%の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、患者のMADRS合計スコアにおける10以下への低下をもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態では、臨床評価スケールは、臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)である。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、患者のCGI-Sスコアにおける2以下への低下をもたらす。いくつかの実施形態では、臨床評価スケールは、臨床グローバル印象スケール-改善度(CGI-I)である。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、サイロシビンによる治療の前と比較して、患者のCGI-Iスコアにおける、「非常に改善した」または「かなり改善した」として報告される低下をもたらす。
【0014】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、サイロシビンによる治療の前と比較して、患者の不安の軽減をもたらす。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与は、サイロシビンによる治療の前と比較して、患者の全般性不安障害7項目スケール(GAD-7)合計スコアの低下をもたらす。
【0015】
いくつかの実施形態では、うつ病の少なくとも1つの兆候または症状は、サイロシビンの投与から24時間以内に緩和される。いくつかの実施形態では、うつ病の少なくとも1つの症状は、サイロシビンの投与から1週間以内に緩和される。いくつかの実施形態では、うつ病の少なくとも1つの症状は、サイロシビンの投与後、少なくとも1か月間緩和される。いくつかの実施形態では、うつ病の少なくとも1つの症状は、サイロシビンの投与後、少なくとも3か月間緩和される。いくつかの実施形態では、うつ病の少なくとも1つの症状は、サイロシビンの投与後、少なくとも12か月間緩和される。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも2回の用量のサイロシビンが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1週間に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1週間に少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1か月に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1か月に少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、3か月毎に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、6か月毎に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、12か月毎に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、投与されるサイロシビンの各用量は、約25mgである。
【0017】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、経口、静脈内、筋肉内、非経口、局所、吸入、直腸、経粘膜、鼻腔内、頬、膣、くも膜下腔内、眼内、経皮、子宮内、リンパ内の経路のうちの1つによって、または直接組織もしくは臓器注射によって投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは経口投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、サイロシビンの結晶多形体を含む。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、サイロシビンの結晶多形体を含む。いくつかの実施形態では、サイロシビンの結晶多形体Aは、11.5±0.1、12.0±0.1、14.5±0.1、17.5±0.1、及び19.7±0.1°2θのXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、多形体Aは、20.4±0.1、22.2±0.1、24.3±0.1、及び25.7±0.1°2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークをさらに特徴とする。
【0019】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは水和物Aを含む。いくつかの実施形態では、水和物Aは、8.9±0.1、13.8±0.1、19.4±0.1、23.1±0.1、及び23.5±0.1°2θのX線粉末回折(XRPD)ピークを特徴とする。いくつかの実施形態では、水和物Aは、6.5±0.1、12.2±0.1、12.6±0.1、16.2±0.1、20.4±0.1、20.8±0.1、及び21.5±0.1°2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークをさらに特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、HPLC分析によって判定される場合に1%よりも多い不純物を何ら有していない。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、HPLC分析によって判定される場合に97%を上回る化学純度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】サイロシビンの番号付けされた構造式である。
【
図2A】多形体A(GM764B)のXRPD回折図である。
【
図2B】多形体A’(JCCA2160F)のXRPD回折図である。
【
図2C】多形体B(JCCA2160-F-TM2)のXRPD回折図である。
【
図2D】水和物A(JCCA2157E)のXRPD回折図である。
【
図2E】エタノール溶媒和物(JCCA2158D)のXRPD回折図である。
【
図2F】多形体A’(JCCA2160F)(中央)及び多形体B(JCCA2160-TM2)(下)の回折図と比較した、プロセスの開発中に得られた生成物(CB646-E)(上)のXRPD回折図である。
【
図3A】多形体A(GM764B)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図3B】多形体A’(JCCA2160F)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図3C】多形体B(GM748A)のDSCサーモグラフである。
【
図3D】水和物A(JCCA2157E)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図3E】エタノール溶媒和物(JCCA2158D)のDSC及びTGAサーモグラフである。
【
図4】水をベースとする系中の形態の相互関係を示す形態相図である。
【
図5】サイロシビンの1H NMR(核磁気共鳴)スペクトルである。
【
図6】サイロシビンの13C NMRスペクトルである。
【
図7】サイロシビンのFT-IRスペクトルである。
【
図9】治療抵抗性うつ病を有する参加者における補助療法としてのサイロシビンについて調べる臨床試験の試験デザインを示す。
【
図10】治療抵抗性うつ病を有する参加者における補助療法としてのサイロシビンについて調べる臨床試験からの患者配置を示す。
【
図11】治療抵抗性うつ病を有する参加者における補助療法としてのサイロシビンについて調べる臨床試験でサイロシビンが投与された時に患者が服用していたSSRIを示す。
【
図12A】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図12B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、平均MADRS合計スコアを示す。
【
図13】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、来院ごとのMADRS奏効者の割合を示す。
【
図14】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、来院ごとのMADRS寛解者の割合を示す。
【
図15A】実施例14に記載の臨床試験の間に認められた、臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図15B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた平均CGI-S合計スコアを示す。
【
図16】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、来院ごとのCGI-S奏効者の割合を示す。
【
図17A】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、全般性不安障害7項目スケール(GAD-7)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図17B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた平均GAD-7合計スコアを示す。
【
図18A】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、正及び負の情動スケジュール(PANAS)負の情動合計スコアにおけるベースラインからの平均変化、ならびに平均PANAS負の情動合計スコアを示す。
【
図18B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、PANAS正の情動合計スコアにおけるベースラインからの平均変化、ならびに平均PANAS正の情動合計スコアを示す。
【
図19】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、1日目の5次元変性意識状態スケール(5D-ASC)の要約を示す。
【
図20A】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、16項目簡易抑うつ症状尺度-自己報告(QIDS-SR-16)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図20B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた平均QIDS-SR-16合計スコアを示す。
【
図21A】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、EuroQol-5次元-3レベルスケール(EQ-5D-3L)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図21B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた平均EQ-5D-3L合計スコアを示す。
【
図22A】実施例14に記載の臨床試験の間に認められた、Euro QoL視覚アナログ尺度(EQ-VAS)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
【
図22B】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた平均EQ-VAS合計スコアを示す。
【
図23】実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、来院ごとの臨床グローバル印象スケール-改善度(CGI-I)奏効者の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
別段定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。発明を実施するための形態において使用される専門用語は、特定の実施形態を記述する目的のためだけであり、限定することは意図されない。
【0023】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段明らかに指示しない限り、複数形を同様に包含することが意図される。
【0024】
さらに、本明細書で使用される「約」という用語は、測定可能な値(用量、時間、温度等)を指す場合に、規定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または場合によっては±0.1%の変動を網羅することが意味される。
【0025】
本明細書及び実施形態において本明細書で使用される「及び/または」という表現は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合において連結して存在し、他の場合においては分離して存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味することが、理解されるべきである。「及び/または」により列記される複数の要素は、同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち、そのように結合した「1つ以上の」要素である。「及び/または」の節により具体的に特定される要素の他に、他の要素が任意に存在してもよく、これは、具体的に特定されたそれらの要素と関連していても関連していなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/またはB」についての言及は、「含む」などのオープンエンドの言語と連結して使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0026】
本明細書及び実施形態において使用される場合、「または」は、上で定義される「及び/または」と同じ意味を有するものと理解されるべきである。例えば、列記中で項目を分離する場合、「または」または「及び/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1つの包含として解釈されるべきであるが、また、1より多くの数の要素または要素の列記、及び任意に、さらなる列記されない項目を含む。「~のうちの1つのみ(only one of)」または「~のうちの正確に1つ(exactly one of)」、または実施形態で使用される場合、「~からなる(consisting of)」などの、逆であることを明らかに示される用語のみが、多数の要素または要素の列記のうちの正確に1つの要素の包含を指す。一般的に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つのみ(only one of)」または「~のうちの正確に1つ(exactly one of)」などの排他性の用語により先行される場合、排他的な代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、実施形態で使用される場合、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するべきである。
【0027】
本明細書及び実施形態で使用される場合、1つ以上の要素の列記への言及における「少なくとも1つの」という表現は、要素の列記中の要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解されるべきであるが、必ずしも、要素の列記中の具体的に列記される各々の及びすべての要素の少なくとも1つを含むわけではなく、要素の列記中の要素の任意の組み合わせを除外しない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という表現が言及する要素の列記中に具体的に特定される要素以外の要素が任意に存在し得ることを可能にし、これは、具体的に特定されるそれらの要素に関連しても関連しなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(あるいは、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、あるいは、同等に、「A及び/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、任意に1より多くを含む、Aであって、Bが存在しない(及び任意にB以外の要素を含む)ものを指し得、別の実施形態では、少なくとも1つの、任意に1より多くを含む、Bであって、Aが存在しないもの(及び任意にA以外の要素を含む)ものを指し得、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、任意に1より多くを含む、A、及び少なくとも1つの、任意に1より多くを含む、B(及び任意に他の要素を含む)などを指し得る。
【0028】
文脈が別段指示しない限り、本明細書において記載される様々な特徴は、任意の組み合わせで使用され得ることが具体的に意図される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「低減させる(reduce)」、「減少させる(decrease)」、「低下させる(lessen)」という用語及び同様の用語は、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約35%、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、またはそれ以上の減少を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「改善させる(improve)」、「増加させる(increase)」、「増強させる(enhance)」という用語及び同様の用語は、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約50%、約75%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%、またはそれ以上の増加を示す。
【0031】
特定の数値への言及は、文脈上他に明確に指示されない限り、少なくともその特定の値を含む。ある範囲の値が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までを含む。さらに、範囲において述べる値への言及は、その範囲内の各々及びすべての値を含む。すべての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。
【0032】
本明細書で使用される場合、XRPD回折図ピークに関して「実質的に存在しない」とは、回折図に存在する参照ピークと比較して、ピークが約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の参照ピークの強度の相対強度を有するか、またはピークが検出可能ではないことを意味する。
【0033】
XRPD回折図及びXRPDピーク位置は、Cu Kα放射線を使用して取得され得る。
【0034】
DSCサーモグラム及びTGAサーモグラムは、20℃/分の加熱速度を使用して取得され得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「拡散テンソルイメージング」または「DTI」という用語は、水が、脳内の白質管に沿って、どのように移動するかを検出する技術を指す。いくつかの実施形態では、DTIは、精神障害(例えば、大うつ病性障害)及び/または精神障害を有する対象における治療に対する応答に関連する微細構造変化を特徴付けるために使用される。
【0036】
本明細書に列挙される全ての疾患及び障害は、米国精神医学会によって公開された精神障害の診断及び統計の手引(DSM-5)、または世界保健機関によって公開された疾患の国際疾病分類(ICD)に記載されているように定義される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、同義的に用いられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「治療すること」及び同様の用語は、1つ以上の症状の重症度及び/または頻度を低下させること、1つ以上の症状及び/または当該症状の根本的原因を除去すること、1つ以上の症状及び/またはそれらの根本的原因の頻度または可能性を低下させること、疾患及び/または障害の進行を遅延させること、予防すること、及び/または減速させること、ならびに疾患及び/または障害によって直接的または間接的に引き起こされる損傷を改善または是正することを指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療有効用量」とは、対象における疾患または障害の兆候または症状を緩和するなどの意図された治療目的を達成するのに十分な用量を意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、サイロシビンの「前駆体」及び/または「誘導体」には、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの活性代謝産物のプロドラッグ、及びサイロシビンの活性代謝産物が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「サイロシビン-ナイーブ」である対象は、これまでにサイロシビンに曝露されていない。
【0042】
本明細書で使用される場合、以下の国際医薬用語集(MedDRA)用語は、本質的に精神異常発現性である有害事象であるとみなされる:気分の変化、意識の変化した状態、自己像幻視、妄想知覚、抑制、解離、解離性同一性障害、夢幻状態、感情障害、多幸気分、異常な感覚、幻覚、聴覚過敏、知覚過敏、感覚鈍麻、錯覚、パラノイア、嗅覚錯誤、光恐怖症、知覚障害、時間知覚の変化、思考障害、共感覚、物質誘発性精神病性苦痛、及び身体的幻覚。
【0043】
うつ病性障害
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、うつ病性障害を有する対象を治療するために使用される。本明細書で使用される場合、「うつ病性障害」、「うつ障害」、または「うつ病」という用語は、一定期間持続する、人の思考、行動、感情、及び幸福感に影響を及ぼし得る低い気分を特徴とする一群の障害を指す。いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、人の身体的及び心理的機能を崩壊させる。いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、体重減少、痛みもしくは疼痛、頭痛、けいれん、または消化器系の問題などの身体的症状を引き起こす。いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、持続的な悲しみ、不安、絶望及び苛立ちの感情、罪悪感、無価値感、または無力感、趣味及び活動における興味または楽しみの喪失、集中、記憶、または決定の困難などの精神的症状を引き起こす。
【0044】
いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、大うつ病性障害、非定型うつ病、双極性障害、緊張病性うつ病、医学的状態に起因するうつ病性障害、分娩後うつ病、月経前不快気分障害、または季節性情動障害である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「大うつ病性障害」という用語は、ほとんどの状況にわたって存在する低い気分の期間を特徴とする状態を指す。大うつ病性障害は、しばしば、自尊心の低さ、通常楽しめる活動への興味の喪失、エネルギーの低さ、及び明確な原因のない疼痛を伴う。場合によっては、大うつ病性障害(order)は、2週間を特徴とする。場合によっては、個人は、数年隔たったうつ病の期間を経験する。場合によっては、個人は、ほぼ常に存在するうつ病の症状を経験する。大うつ病性障害は、人の個人生活、仕事生活、または学校生活、ならびに睡眠、摂食習慣、及び一般的な健康に悪影響を及ぼし得る。大うつ病性障害を有する成人の約2~7%が自殺し、自殺する人の最大60%が、大うつ病性障害または別の関連する気分障害を有していた。気分変調症は、重篤ではないが長期間続く症状を伴う大うつ病性障害と同じ認知的及び身体的問題からなる大うつ病性障害のサブタイプである。大うつ病性障害の例示的な症状には、悲しみ、涙、空虚感、または絶望感、小さなことに対してでも発生する怒りの暴発、苛立ちまたは挫折感、ほとんどまたはすべての通常の活動における関心または楽しみの喪失、不眠症または過剰な睡眠を含む睡眠障害、疲労及びエネルギー不足、食欲減退、体重減少または増加、不安、動揺または不穏、思考、話す、または身体の動きの遅さ、無価値感または罪悪感、過去の失敗または自責に固執すること、思考、集中、意思決定、及び物事の記憶が困難となること、頻繁な死の思考、自殺の思考、自殺未遂、または自殺、ならびに腰痛または頭痛などの説明不能な身体的問題が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、「非定型うつ病」という用語は、個人が、気分反応性(すなわち、実際のまたは潜在的な正の事象に応答して気分が明るくなる)、著しい体重増加、食欲増加、過眠症、腕もしくは脚における重い、鉛のような感覚、及び/または著しい社会的もしくは職業的障害をもたらす対人拒絶感受性の長年のパターンの兆候を示す状態を指す。非定型うつ病の例示的な症状には、毎日の悲しみまたは抑うつ気分、かつて楽しかったものにおける楽しみの喪失、体重(増加もしくは喪失)または食欲の大きな変化、ほぼ毎日の不眠もしくは過剰な睡眠、他の人にはっきりと分かる身体的な落ち着きのない状態または疲れた状態、毎日の疲労もしくはエネルギーの喪失、絶望、無価値、もしくは過剰な罪悪感、ほぼ毎日の集中もしくは意思決定の問題、死亡もしくは自殺の繰り返しの思考、自殺計画、または自殺未遂が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「双極性障害」という用語は、個人に、気分、エネルギー、活性レベル、及び日常的なタスクを実行する能力において異常な変化を経験させる状態を指す。双極性障害を有する個人は、異常に激しい感情、睡眠パターン及び活動レベルの変化、ならびに異常な行動の期間を経験する。これらの明確に異なる期間は、「気分エピソード」と呼ばれる。気分エピソードは、その人の典型的な気分及び行動とは大きく異なる。躁病、過剰な行動の例示的な症状には、異常に陽気な、興奮しやすい、もしくは神経過敏な行動、増加した活動、エネルギー、もしくは動揺、誇張された幸福感及び自信、睡眠の必要性の減少、異常な多弁、急速に湧き起こる思考、気が散らされる性質、及び不良な意思決定、例えば、買いあさり、性的リスクを取る、または愚かな投資をするなどが含まれるが、これらに限定されない。抑うつエピソードまたは低い気分の例示的な症状には、悲しみ、虚無感、絶望感、または涙などの抑うつ気分、すべてまたはほぼすべての活動に興味がない、または喜びを感じない、著しい体重減少、体重増加、または食欲の減少もしくは増加、不眠症または過眠症(過度の睡眠または過度の眠気)、落ち着きのなさまたは行動の鈍さ、疲労感またはエネルギーの喪失、無気力または過度の罪悪感もしくは不適切な罪悪感、思考力もしくは集中力の低下、または決断力の欠如、及び自殺を考えたり、計画したり、試みたりすることなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
双極性障害には、双極性I型障害、双極性II型障害、及び気分循環性障害が含まれる。双極性I型障害は、少なくとも7日間持続する躁病エピソード、または入院を必要とする重度の躁病症状によって定義される。双極性I型障害を有する対象はまた、典型的には、少なくとも2週間持続するうつ病エピソードを経験し得る。混合特徴を有するうつ病、すなわち同時にうつ病症状及び躁病症状のエピソードも可能である。双極性II型障害は、うつ病及び軽躁エピソードのパターンを特徴とするが、双極性I型障害に典型的な重篤な躁病エピソードではない。気分循環性障害(気分循環症とも称される)は、軽躁症状(高揚した上昇及び多幸感)の期間、ならびに少なくとも2年間持続する抑うつ症状を特徴とする。気分の変動の数、重症度、または持続時間は、軽躁またはうつ病エピソードに対して完全な基準を満たすのに十分ではない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「緊張病性うつ病」という用語は、長期間にわたって個人が言葉を発しない、動かない状態が続く状態を指す。緊張病性うつ病の例示的な症状には、毎日起こり得る悲しみの感情、ほとんどの活動に対する興味の喪失、突然の体重増加または減少、食欲の変化、入眠困難、ベッドから起き上がれない、落ち着きのない感情、焦燥感、価値のない感情、罪悪感、疲労感、集中困難、思考困難、意思決定困難、自殺または死亡の思考、及び/または自殺未遂が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「医学的状態に起因するうつ病性障害」という用語は、個人が別の疾患によって引き起こされるうつ病性症状を経験する状態を指す。うつ病性障害を引き起こすことが知られている医学的状態の例としては、HIV/AIDS、糖尿病、関節炎、脳卒中、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、及びアルツハイマー病などの脳障害、代謝性状態(例えば、ビタミンB12欠乏症)、自己免疫性状態(例えば、狼瘡及びリウマチ性関節炎)、ウイルスまたは他の感染症(肝炎、単核球症、ヘルペス)、腰痛、ならびにある特定のがん(例えば、膵臓癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用される場合、「分娩後うつ病」という用語は、出産及びホルモンの変化、親であることへの心理的適応、及び/または疲労の結果としての状態を指す。分娩後うつ病は、多くの場合、女性と関連しているが、男性もまた、分娩後うつ病に罹患し得る。分娩後うつ病の例示的な症状には、悲しみ、絶望感、空虚感、または圧倒されるような感覚、いつもより頻繁に、または明らかな理由もなく泣くこと、心配事または過度の不安を感じること、不機嫌であったり、イライラしたり、落ち着かなくなったりすること、寝過ごしたり、赤ちゃんが眠っていても眠れなかったりすること、集中力、詳細についての記憶力、及び判断力が低下すること、怒りまたは憤りを感じること、いつもは楽しい活動に興味がなくなること、頻繁な頭痛、胃の不調、及び筋肉痛を含む身体的な痛み及び疼痛に悩まされること、食べる量が少なすぎたり多すぎたりすること、友人及び家族から引きこもったり、友人及び家族を避けたりすること、赤ちゃんとの絆または感情的な結びつきがうまくいかないこと、自分に赤ちゃんの世話をする能力があるのかどうか持続的に疑問に思うこと、及び自らまたは赤ちゃんを傷付けることについて考えることが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「月経前不快気分障害」という用語は、個人が、月経前に繰り返し発生し、その後月経開始前後に寛解する、気分の不安定さ、過敏性、不快感、及び不安症状を示す状態を指す。月経前不快気分障害の例示的な症状には、不安定さ(例えば、気分の変動)、苛立ちまたは怒り、抑うつ気分、不安及び緊張、通常の活動に対する興味の低下、集中力の低下、無気力及びエネルギーの欠如、食欲の変化(例えば、過食または特定の食べ物に対する欲求)、過眠症または不眠症、圧倒された感じまたは制御できない感じ、身体的症状(例えば、乳房の圧痛または腫れ、関節または筋肉の痛み、「膨張」及び体重増加の感覚)、自己嫌悪的な考え、気が重くなったりイライラしたりする感覚、普段の活動(例えば、仕事、学校、友人、趣味)への興味の低下、自覚的な集中力の低下、ならびに易疲労性が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、「季節性情動障害」という用語は、個人がその年の時期に基づいて気分の変化を経験する状態を指す。場合によっては、個人は、秋及び/または冬の季節中に、低い気分、低いエネルギー、または他の抑うつ症状を経験する。場合によっては、個人は、春及び/または夏の季節中に、低い気分、低いエネルギー、または他の抑うつ症状を経験する。季節性情動障害の例示的な症状には、一日の大部分またはほぼ毎日、抑うつを感じること、かつて楽しかった活動に関心を失うこと、低いエネルギーを有すること、睡眠に問題があること、食欲または体重の変化を経験すること、低調または動揺を感じること、集中が困難であること、絶望を感じること、無価値であること、または罪悪感があること、及び死亡または自殺の頻繁な考えがあることが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、精神疾患の分類と診断のマニュアル第5版の基準及び分類に基づく医学的診断を含む。いくつかの実施形態では、うつ病性障害は、独立した医学的評価に基づく医学的診断を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、治療に対して抵抗性であるうつ病を有する対象に提供される。いくつかの実施形態では、対象は、「治療抵抗性うつ病」と診断されている。「治療抵抗性うつ病」という用語は、適切な用量及び持続時間の少なくとも1つ以上の治療の試みに対して応答しないか、または抵抗性である一種のうつ病を指す。いくつかの実施形態では、治療抵抗性うつ病を有する対象は、1回の治療の試み、2回の治療の試み、3回の治療の試み、4回の治療の試み、または5回の治療の試みに応答できていない。いくつかの実施形態では、治療抵抗性うつ病を有する対象は、大うつ病性障害と診断され、3回以上の治療の試みに応答することができていない。いくつかの実施形態では、治療抵抗性うつ病を有する対象は、双極性障害と診断され、1回の治療の試みに応答することができていない。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、うつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、うつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、大うつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、大うつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、非定型うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、非定型うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、双極性障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、双極性障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、双極性障害I型の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、双極性障害I型の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、双極性障害II型の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、双極性障害II型の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、緊張病性うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、緊張病性うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、医学的状態によるうつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、医学的情報によるうつ病性障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、分娩後うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、分娩後うつ病の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、月経前不快気分障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、月経前不快気分障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、季節性情動障害の少なくとも1つの兆候または症状を低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療前と比較して、季節性情動障害の少なくとも1つの兆候または症状を約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上低減する。
【0067】
いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状は、対象において、サイロシビンまたはその活性代謝産物の投与後、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、または3か月以内に低減または除去する。
【0068】
いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状は、対象において、サイロシビンまたはその活性代謝産物の投与後、1日間、3日間、7日間、10日間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、18か月間、24か月間、または48か月間低減または除去する。いくつかの実施形態では、サイロシビンまたはその活性代謝産物の投与時に、対象におけるうつ病が再発しない。
【0069】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与後、うつ症の兆候または症状を低減するための他の治療は、対象に施されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象に、うつ病の兆候または症状を低減するための少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の療法剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環式抗うつ剤、四環式抗うつ剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、5-HT1A受容体アンタゴニスト、5-HT2受容体アンタゴニスト、5-HT3受容体アンタゴニスト、モノアミン酸化酵素阻害剤、またはノルアドレナリン受容体アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の療法剤は、サイロシビンの投与前、サイロシビンの投与と同じ日に、またはサイロシビンの投与後に投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、うつ病性障害を有する対象は、追加の併存疾患または障害を有する。いくつかの実施形態では、追加の併存疾患または障害は、不安障害、強迫性障害、アルコール依存症、人格障害、心血管疾患、神経疾患、またはがんである。いくつかの実施形態では、対象は、認知症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を有する。いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、対象におけるうつ病の少なくとも1つの兆候または症状を低減することは、対象における1つ以上の併存疾患または障害を予防する。
【0072】
サイロシビン
いくつかの実施形態では、治療方法は、本明細書に記載されるように、治療を必要とする対象への、治療有効量のサイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの活性代謝産物、またはサイロシビンの活性代謝産物のプロドラッグの投与を含む。いくつかの実施形態では、治療方法は、本明細書に記載されるように、治療有効量のサイロシビンの投与を含む。いくつかの実施形態では、治療方法は、本明細書に記載されるように、治療有効量のサイロシンの投与を含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、適応症の治療に使用するための、サイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの活性代謝産物、またはサイロシビンの活性代謝産物のプロドラッグを含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、適応症の治療に使用するためのサイロシビンを含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、適応症の治療に使用するためのサイロシンを含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、適応症の治療のための医薬品の製造における、サイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの活性代謝産物、またはサイロシビンの活性代謝産物のプロドラッグの使用を含む。
【0073】
サイロシビンの番号付けされた構造式を、
図1に示す。サイロシビンの新規の多形体及び水和物、ならびにそれらの調製物及び製剤は、米国出願US2019/0119310 A1号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。US2019/0119310号は、いくつかの製剤、ならびに例えば、その吸湿性及び乏しい流動特性に起因するサイロシビンの製剤化の課題を開示する。US2019/0119310号はまた、制御された水性結晶化プロセスの重要性も開示する。
【0074】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、本明細書に記載されるように、多形体Aまたは多形体A’の形態の結晶性サイロシビンを含み、結晶性サイロシビンは、X線粉末回折(XRPD)回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、XRPD回折図における19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θの少なくとも1つのピークをさらに示す。例示的なXRPD回折図を、
図2A及び2Bとして提供する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、145℃~165℃の第1の開始温度及び205℃~220℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を示す。例示的なDSCサーモグラムを、
図3A及び3Bとして提供する。
【0075】
多形体A
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のうちの1つ以上を特徴とする多形体Aの形態で結晶性サイロシビンを提供する:
・XRPD回折図における11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.1°2θのピーク、
・XRPD回折図における11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.1°2θのピーク、さらに19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θでの少なくとも1つのさらなるピークを特徴とするピーク、
・
図2Aに実質的に示されるような、XRPD回折図、または
・
図3Aに実質的に示されるような、145℃~165℃の第1の開始温度及び205℃~220℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0076】
いくつかの実施形態では、17.5°2θ±0.1°2θのピークは、14.5°2θ±0.1°2θのピークと比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%の相対強度を有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下のうちの1つ以上を特徴とする多形体Aの形態で結晶性サイロシビンを提供する:
・XRPD回折図における11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.2°2θのピーク、
・11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.2°2θでのXRPD回折図におけるピークであって、さらに、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.2°2θでの少なくとも1つのさらなるピークを特徴とするピーク、
・
図2Aに実質的に示されるような、XRPD回折図、または
・
図3Aに実質的に示されるような、145℃~165℃の第1の開始温度及び205℃~220℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0078】
いくつかの実施形態では、多形体Aの結晶性サイロシビンは、表Aに列挙される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、もしくは17のピーク、または表Aに列挙されるピークの約±0.1°2θ以内の等価ピークを有するXRPD回折図を示す。いくつかの実施形態では、多形体Aの結晶性サイロシビンは、表Aに列挙される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、もしくは17のピーク、または表Aに列挙されるピークの約±0.2°2θ以内の等価ピークを有するXRPD回折図を示す。いくつかの実施形態では、多形体Aは、多形体A’に実質的に存在しない17.5°2θ±0.1°2θのピークを示す。いくつかの実施形態では、多形体Aは、多形体A’に実質的に存在しない17.5°2θ±0.2°2θのピークを示す。
【表1】
【0079】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、11.5、12.0、14.5、及び17.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも1つの追加のピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも2つの追加のピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも3つの追加のピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、
図2Aに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0080】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを特徴とし、17.5°2θのピークは、14.5°2θの少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%のピークの強度を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、10.1でのピークを示さない。すなわち、10.1でのピークは存在しないか、または実質的に存在しない。
【0082】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、145℃~165℃、例えば145℃~160℃、または例えば145℃~155℃の第1の開始温度、及び205℃~220℃、例えば210℃~220℃、例えば210℃~218℃、または例えば210℃~216℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、約205℃~約220℃、約210℃~約220℃、約210℃~約218℃、または約210℃~約216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、約145℃~約165℃、約145℃~約160℃、または約145℃~約155℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象をさらに示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、DSCサーモグラムにおいて、約205℃~約220℃、約210℃~約220℃、約210℃~約218℃、または約210℃~約216℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約145℃~約165℃、約145℃~約160℃、約145℃~約155℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図3A中のDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の水含有量を示す。結晶性化合物の水含有量は、既知の方法、例えば、カール・フィッシャー滴定によって判定することができる。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、周囲温度、例えば約25℃から200℃の間のTGAサーモグラムにおいて、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の減量を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、乾燥減量試験、例えば、70℃で行われる乾燥減量試験において、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満減量する。
【0084】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、高純度結晶性形態の多形体Aであり、例えば、乾燥減量試験において、サイロシビンは、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%の結晶性サイロシビンの多形体Aを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、白色からオフホワイト色の固体である。
【0086】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、化学的に純粋であり、例えば、サイロシビンは、HPLCによって97%、98%、または99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸、またはHPLCによって測定される不純物サイロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、31P NMRによって測定される、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%、または0.2重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aは、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0087】
結晶性サイロシビン多形体Aを製造する方法
別の実施形態では、本開示は、結晶性サイロシビン多形体Aを生成するために、サイロシビンを、制御乾燥を伴う水結晶化ステップに供することを含むことを特徴とする、サイロシビンの大規模製造のための方法を提供する。
【0088】
別の実施形態では、本開示は、サイロシビンの大規模製造のための方法を提供し、方法は、サイロシビンを、制御乾燥を伴う水結晶化ステップに供して、
図2Aに示されるXRPD回折図と、
図3Aに示されるDSC及びTGAサーモグラフと、を示す、結晶性サイロシビン多形体Aを生成することを含むことを特徴とする。別の実施形態では、本開示は、サイロシビンの大規模製造のための方法を提供し、方法は、サイロシビンを、制御乾燥を伴う水結晶化ステップに供して、
図2Aに示されるXRPD回折図と、
図3Aに示されるDSCサーモグラフと、を示す、高純度結晶性サイロシビン多形体Aを生成することを含むことを特徴とする。
【0089】
本開示の別の実施形態では、サイロシビンは、約10~20体積の水中で再結晶化され、少なくとも70℃の温度まで撹拌加熱され、好適なカットオフ(典型的には、5μm未満)でポリッシュ濾過され、約70℃の温度で播種され、制御された方法で、2時間を超える期間にわたって約5℃に冷却される。
【0090】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの再結晶化は、温度を毎時約5℃~15℃、より好ましくは毎時約10℃低下させる制御された冷却を含む。ある特定の実施形態では、ポリッシュ濾過ステップは、1.2μmのラインフィルタなどであるが、これに限定されない、適切なサイズのフィルタを通して行われる。
【0091】
いくつかの実施形態では、撹拌は、約400~500rpm、典型的には約450rpmで撹拌することによって行われる。
【0092】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、90℃以下に加熱された水に溶解される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、85℃以下に加熱した水に溶解される。いかなる特定の機構にも拘束されることなく、この溶解ステップは、加水分解生成物の形成を最小限に抑えながら、サイロシビンを可溶化することを意図している。
【0093】
いくつかの実施形態では、サイロシビン溶液を撹拌して、可溶化を速め、溶液が高温、すなわち80℃またはそれより高い温度にある時間を減少させる。
【0094】
いくつかの実施形態では、種は、サイロシビン水和物Aである。一実施形態では、0.1重量%以下の種をプロセスに添加する。
【0095】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンのサイロシビンは、真空濾過によって単離される。
【0096】
いくつかの実施形態では、単離された結晶は、少なくとも30℃、例えば30~50℃、または例えば40~50℃の温度で真空乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された結晶は、少なくとも10時間、例えば12~18時間、または例えば約30時間真空乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された結晶は、少なくとも30℃、例えば30~50℃、または40~50℃の温度で、少なくとも10時間、例えば12~18時間、または例えば約30時間真空乾燥される。いくつかの実施形態では、単離された結晶は、単離された結晶が乾燥減量試験において、2重量%未満の重量、例えば0.5重量%未満失うまで乾燥される。
【0097】
いくつかの実施形態では、単離された結晶は、水中で数回洗浄され、約50℃で少なくとも12時間真空乾燥される。
【0098】
いくつかの実施形態では、得られた結晶は、典型的には、顕微鏡10倍の下で見たときに比較的大きい(50~200ミクロンの範囲)及び均一である。
【0099】
対照的に、制御された冷却することなく得られた結晶は、顕微鏡10倍の下で見たときにサイズがはるかに小さい(典型的には5~50ミクロン)。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結晶化方法によって得られたサイロシビンが提供される。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結晶化方法によって得られたサイロシビン多形体Aを含む薬学的製剤が提供される。
【0102】
いくつかの実施形態では、結晶化前に製造されたサイロシビンは、例えば、発酵によって、合成または生物学的方法のうちの1つを使用して生成され得るか、またはキノコからの抽出によって得られ得る。いくつかの実施形態では、結晶化前に製造されるサイロシビンは、米国出願第2019/0119310 A1号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法のすべてまたは一部に従って製造される。
【0103】
多形体A’
本開示は、以下のうちの1つ以上を特徴とする多形体A’の形態の結晶性サイロシビンを提供する:
(a)(i)XRPD回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピークであるが、17.5°2θ±0.1°2θのピークは存在しない、または実質的に存在しない、ピーク、
(b)(ii)XRPD回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピークであるが、17.5°2θ±0.1°2θのピークが存在しないか、または実質的に存在せず、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θの少なくとも1つのさらなるピークをさらに特徴とする、ピーク、
(c)(iii)
図2Bに実質的に示されるような、XRPD回折図、または
(d)(iv)
図3Bに実質的に示されるような、145℃~165℃の第1の開始温度及び205℃~220℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象。
【0104】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、結晶性サイロシビン多形体A’を含む。結晶性サイロシビン多形体A’は、XRPD回折図における11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのピークを示すが、17.5°2θ±0.1°2θのピークは、存在しないか、または実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのピークをさらに示す。多形体A’について例示的なXRPD回折図を、
図2Bとして提供する。多形体A’について205~220℃の開始温度を有する例示的なDSCサーモグラムを、
図3Bとして提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、サイロシビン多形体A’は、表Bに要約されるXRPD回折図を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、表Bに列挙される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のピーク、または約±0.1°2θ以内の等価ピークを示し、17.5°2θ±0.1°2θのピークは、存在しないか、または実質的に存在しない。
【表2】
【0106】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、11.5、12.0、及び14.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示すが、17.5°2θ±0.1°2θのピークは、実質的に存在しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも1つの追加のピークをさらに示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、19.7、20.4、22.2、24.3、または25.7°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも2つの追加のピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、多形体Aを示し、10.1°2θ±0.1°2θで現れるピークの存在によって、多形体Aと区別される。さらに別の実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図2Bに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0107】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、14.5及び17.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示し、17.5°2θのピークの強度は、14.5°2θのピークの強度の5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満である。
【0108】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、10.1及び14.5°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示し、10.1°2θのピークの強度は、14.5°2θのピークの強度の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、または少なくとも4%である。
【0109】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、145℃~165℃、例えば145℃~160℃、または例えば145℃~155℃の第1の開始温度、及び205℃~220℃、例えば210℃~220℃、例えば210℃~218℃、または例えば210℃~216℃の第2の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、約205℃~約220℃、約210℃~約220℃、約210℃~約218℃、または約210℃~約216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、約145℃~約165℃、約145℃~約160℃、または約145℃~約155℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、DSCサーモグラムにおいて、約205℃~約220℃、約210℃~約220℃、約210℃~約218℃、または約210℃~約216℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約145℃~約165℃、約145℃~約160℃、または約145℃~約155℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、
図3B中のDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0110】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の水含有量を示す。結晶化合物の水含有量を決定する方法は知られており、例えば、カール・フィッシャー滴定である。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、周囲温度、例えば25℃から200℃の間のTGAサーモグラムにおいて、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の減量を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、乾燥減量試験において、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満減量する。いくつかの実施形態では、乾燥減量試験は、70℃で実施される。
【0111】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、高純度結晶形態の多形体A’である。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、少なくとも90重量%、95重量%、99重量%、または99.5重量%の多形体A’を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、白色からオフホワイト色の固体である。
【0113】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、化学的に純粋であり、例えば、サイロシビンは、HPLCによって97%超、98%超、または99%超の化学的純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、1%超または0.5%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸またはHPLCによって測定される不純物シロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、例えば、HPLCによって測定される、1面積%超、または0.5面積%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって測定される、1面積%超または0.5面積%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、31P NMRによって測定される、1重量%超または0.5重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、化学的に純粋であり、例えば、サイロシビンは、HPLCによって97%、98%、または99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸、またはHPLCによって測定される不純物サイロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、31P NMRによって測定される、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%、または0.2重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体A’は、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0115】
高純度結晶性サイロシビン、多形体A、または多形体A’の例示的なXRPD回折図を、
図2A及び2Bに提供する。高純度結晶性サイロシビン、多形体A、または多形体A’の例示的なDSCサーモグラフを、
図2A及び2Bに提供する。
【0116】
多形体A(その等構造バリアント多形体A’を含む)(
図2A及び2B)は、2A及び2B)は、多形体B(
図2C)、水和物A(
図2D)及びエタノール溶媒和物(
図2E:溶媒和物A)とは異なり、異なる形態のいくつかの間の関係を
図4に示す。
【0117】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、白色からオフホワイト色の固体であり、及び/またはHPLCによって97%、98%、または99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸、またはHPLCによって測定される不純物サイロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、HPLCによって97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、31P NMRによって測定される、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%、または0.2重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’は、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0118】
多形体AまたはA’の加熱は、多形体Aまたは多形体A’の多形体Bへの固体固体遷移に対応する約150℃の開始温度を有する吸熱事象をもたらす。得られた固体、すなわち、多形体Bの継続的な加熱は、205~220℃の開始温度を有する融点に対応する第2の吸熱事象をもたらす(
図3A及び3Bを参照されたい)。
【0119】
水和物A
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶性形態のサイロシビン水和物Aを提供する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、XRPD回折図において、8.9、12.6、及び13.8°2θ±0.1°2θのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4、または20.8°2θ±0.1°2θの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのさらなるピークをさらに示す。例示的なXRPD回折図を、
図2Dとして提供する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、90℃~100℃の第1の開始温度、100℃~120℃の第2の開始温度、及び210℃~220℃の第3の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象をさらに示す。例示的なDSCサーモグラムを、
図2Dとして提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、サイロシビン水和物Aは、表Cに列挙される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のピーク、または約±0.1°2θ以内の等価ピークを含むXRPD回折図を示す。
【表3】
【0121】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、8.9、12.6、及び13.8°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4、または20.8°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも1つのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、6.5、12.2、19.4、20.4、または20.8°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも2つのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、
図2Dに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0122】
ある特定の実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、85℃~105℃、例えば90℃~100℃、最も好ましくは約96℃の第1の開始温度、100℃~120℃、例えば105℃~115℃、最も好ましくは約109℃の第2の開始温度、及び205℃~220℃、例えば210℃~220℃、例えば210℃~218℃、または210℃~216℃、または約216℃の第3の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、約205~約220℃、約210~約220℃、約210~約218℃、または約210~約216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、約85℃~約105℃、または約90℃~約100℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、DSCサーモグラムにおいて、約205~約220℃、約210~約220℃、約210~約218℃、または約210~約216℃の開始温度を有する吸熱事象、及び約85~約105℃、または約90~約100℃の開始温度を有する吸熱事象を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、
図3DのDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0123】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、約10~約18%、約12~約16%、または約13%の水含有量を示す。結晶化合物の水含有量を決定する方法は知られており、例えば、カール・フィッシャー滴定である。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、周囲温度、約25℃から120℃の間のTGAサーモグラムにおいて、約10~約18%、約12~約16%、または約13%の減量を示す。
【0124】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、化学的に純粋であり、例えば、サイロシビンは、HPLCによって97%、98%、または99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸、またはHPLCによって測定される不純物サイロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCにより97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、31P NMRによって測定される、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%、または0.2重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン水和物Aは、高純度結晶形態の水和物Aである。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%の水和物Aを含む。
【0126】
多形体B
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶性形態のサイロシビン多形体Bを提供する。いくつかの実施形態では、結晶形のサイロシビン多形体Bは、XRPD回折図における11.1、11.8、及び14.3°2θ±0.1°2θのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、XRPD回折図における14.9、15.4、19.3、20.0、または20.6°2θ±0.1°2θの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのピークを示す。結晶性サイロシビン多形体Bの例示的なXRPD回折図を、
図2Cとして提供する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、約205~約220℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける単一の吸熱事象を示す。結晶性サイロシビン多形体Bの例示的なDSCサーモグラムを、
図3Cとして提供する。
【0127】
いくつかの実施形態では、サイロシビン多形体Bは、表Dに列挙される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のピーク、または約±0.1°2θ以内の等価ピークを含むXRPD回折図を示す。
【表4】
【0128】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、11.1、11.8、及び14.3°2θ±0.1°2θのXRPD回折図ピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、14.9、15.4、19.3、20.0、または20.6°2θ±0.1°2θの少なくとも1つのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、14.9、15.4、19.3、20.0、または20.6°2θ±0.1°2θで現れる少なくとも2つのピークを示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、
図2Cに示されるXRPD回折図と実質的に同じXRPD回折図を示す。
【0129】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、約205~約220℃、約210~約220℃、約210~約218℃、または約210~約216℃の開始温度を有するDSCサーモグラムにおける単一の吸熱事象を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、
図3C中のDSCサーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを示す。
【0130】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の水含有量を示す。結晶化合物の水含有量を決定する方法は知られており、例えば、カール・フィッシャー滴定である。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、周囲温度、例えば25℃から200℃の間のTGAサーモグラムにおいて、0.5w/w%未満、0.4w/w%未満、0.3w/w%未満、0.2w/w%未満、または0.1w/w%未満の減量を示す。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、乾燥減量試験において、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満減量する。いくつかの実施形態では、乾燥減量試験は、70℃で実施される。
【0131】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、高純度結晶性形態の多形体Bであり、例えば、サイロシビンは、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%の多形体Bを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、化学的に純粋であり、例えば、サイロシビンは、HPLCによって97%、98%、または99%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物、例えば、31P NMRによって測定される不純物リン酸、またはHPLCによって測定される不純物サイロシンを有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって97面積%超、98面積%超、または99面積%超の化学純度を有する。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超の単一の不純物を有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、HPLCによって測定される、1面積%超、0.5面積%超、0.4%超、0.3%超、または0.2%超のレベルのサイロシンを含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、31P NMRによって測定される、1重量%超、0.5重量%超、0.4重量%超、0.3重量%、または0.2重量%超のレベルのリン酸を含有しない。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビン多形体Bは、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、または少なくとも98重量%の化学アッセイを有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、多形体AまたはA’の形態の本開示のサイロシビンは、表Dに示される一般的な特性を有する。
【表5】
【0134】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、表Eに示され、
図5~8のスペクトルに示されるようなスペクトルに適合する。
【表6】
【0135】
あるいは、独立して、結晶性サイロシビンは、水和物Aまたは多形体Bの形態をとり得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬に使用するための、多形体Aまたは多形体A’の形態の結晶性サイロシビンを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬に使用するための結晶性サイロシビン多形体Aを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬に使用するための結晶性サイロシビン多形体A’を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬に使用するための高純度結晶性サイロシビン多形体Aを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬に使用するための高純度の結晶性サイロシビン多形体A’を提供する。あるいは、独立して、結晶性サイロシビンは、水和物Aまたは多形体Bの形態をとり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、多形体Aまたは多形体A’の形態の結晶性サイロシビンを提供する。あるいは、独立して、結晶性サイロシビンは、水和物Aまたは多形体Bの形態をとり得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、結晶性サイロシビン多形体Aまたは多形体A’を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、結晶性サイロシビン多形体Aを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、結晶性サイロシビン多形体A’を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、高純度結晶性サイロシビン多形体Aを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の治療に使用するための、高純度結晶性サイロシビン多形体A’を提供する。
【0139】
薬学的組成物及び製剤
いくつかの実施形態では、本開示は、結晶性サイロシビン及び1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示は、高純度サイロシビンと、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、結晶性サイロシビン多形体Aと、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、結晶性サイロシビン多形体A’と、1つ以上の薬学的に担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、高純度結晶性サイロシビン、多形体Aまたは多形体A’と、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、高純度結晶性サイロシビン多形体Aと、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、高純度結晶性サイロシビン多形体A’と、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む薬学的製剤を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、サイロシビン、アルファ化澱粉、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、約1重量%~10重量%のサイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、約85~99重量%のアルファ化澱粉を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、約0.5重量%~2重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0142】
実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、(a)約1重量%~10重量%のサイロシビン;(b)約85~99重量%のアルファ化澱粉;及び(c)約0.5重量%~2重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または製剤は、WIPO特許出願公開第2022/207746号及び同第2019/073379号に記載される1つ以上の医薬組成物または製剤であり、参照によりその内容の全体が本明細書に援用される。
【0143】
経口製剤のための好ましい薬学的賦形剤としては、希釈剤、例えば、微結晶セルロース、デンプン、マンニトール、無水リン酸水素カルシウム、または二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、及びタルクの共混合物;崩壊剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム;結合剤、例えば、ポビドン、コポビドン、またはヒドロキシルプロピルセルロース;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリルフムレート;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;及びフィルムコート、例えば、オパドリーII白またはPVAベースの褐色オパドリーIIが挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態では、経口剤形はまた、デンプングリコレート、クロスカルメロースナトリウム、及び/またはそれらの混合物などであるが、これらに限定されない、崩壊剤も含む。いくつかの実施形態では、経口剤形は、3重量%以下の崩壊剤、3重量%未満の崩壊剤、及び0.001重量%超の崩壊剤、約2.5重量%以下の崩壊剤、2重量%以下の崩壊剤、1.5重量%以下の崩壊剤、1重量%以下の崩壊剤、0.7重量%以下の崩壊剤、0.5重量%以下の崩壊剤、または0.3重量%以下の崩壊剤を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、デンプングリコール酸ナトリウムは、3重量%未満で存在する。他の実施形態では、デンプングリコール酸ナトリウムは、約2重量%以下、約2重量%、約1重量%以下、約1重量%、約0.7重量%以下、約0.7重量%、約0.5重量%以下、または約0.5重量%で存在する。さらに他の実施形態では、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5重量%~1重量%で存在する。
【0146】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0147】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0148】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0149】
いくつかの実施形態では、医薬に使用するための、多形体Aまたは多形体A’の形態の結晶性サイロシビンが提供される。いくつかの実施形態では、医薬に使用するための結晶性サイロシビン多形体Aが提供される。いくつかの実施形態では、医薬に使用するための結晶性サイロシビン多形体A’が提供される。いくつかの実施形態では、医薬に使用するための高純度結晶性サイロシビン多形体Aが提供される。いくつかの実施形態では、医薬に使用するための高純度結晶性サイロシビン多形体A’が提供される。
【0150】
あるいは、独立して、結晶性サイロシビンは、水和物Aまたは多形体Bの形態をとり得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、中枢神経障害の治療に使用するための、具体的にではあるが、本質的というわけではなく、多形体Aまたは多形体A’の形態である結晶性サイロシビンが提供される。
【0152】
あるいは、独立して、結晶性サイロシビンは、水和物Aまたは多形体Bの形態をとり得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、薬学的製剤は、非経口剤形である。いくつかの実施形態では、薬学的製剤は、経口剤形である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、錠剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、カプセルを含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、乾燥粉末を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、溶液を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の剤形が、実質的に同時に対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、1つの錠剤またはカプセルにおいて治療用量全体を投与され得る。いくつかの実施形態では、治療用量は、複数の錠剤またはカプセル間で分割され得る。例えば、25mgの用量について、対象は、25mgのサイロシビンをそれぞれ含む5つの錠剤またはカプセルを投与され得る。あるいは、10mgの用量について、対象に、5mgのサイロシビンをそれぞれ含む2つの錠剤またはカプセルを投与され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、機能性充填剤を含む。機能性充填剤は、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)などであるが、これに限定されない、ケイ化充填剤であり得る。いくつかの実施形態では、経口剤形は、約45~150ミクロンの粒径範囲を有する高い圧縮性グレードのSMCCを含む。異なる粒径範囲を有する2つの機能性充填剤の混合物が、より大きなサイズの粒子を多くした、2つの重量パーセントで使用され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、ケイ化微結晶性充填剤は、充填剤の最大30重量%、最大20重量%、最大15重量%またはそれ以下の量で約45~80ミクロンの粒径範囲を有する第1の充填剤と、充填剤の最大70重量%、最大80重量%、最大85重量%、またはそれ以上の量で約90~150ミクロンの粒径範囲を有する第2の充填剤とを含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、Prosolv 50などの粒径が約45~80ミクロンのケイ化微結晶セルロース(SMCC 50)、Prosolv 90などの粒径が約90~150ミクロンのケイ化微結晶セルロース(SMCC 90)、またはそれらの混合物を含み得る。他の実施形態では、経口剤形は、SMCC 50及びSMCC 90を含み得る。他の実施形態では、経口剤形は、SMCC 50及びSMCC 90を含み得、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:5~1:8重量%である。さらに他の実施形態では、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:5~1:7、1:6~1:7、1:6~1:8、または1.7~1.8である。さらに他の実施形態では、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6、1:6.1、1:6.2、1:6.3、1:6.4、1:6.5、1:6.6、1.6.7、1:6.8、1.6.9、または1:7である。製剤は、デンプングリコール酸ナトリウムを含むが、これに限定されない崩壊剤、コロイド状二酸化ケイ素を含むが、これに限定されない流動促進剤、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含むが、これに限定されない滑沢剤をさらに含み得るか、または本質的にそれらからなり得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、3%未満(重量%)、2%未満、または1%以下でデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤を含み得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、5mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0159】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、10mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0160】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約1%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1.0%である。いくつかの実施形態では、経口剤形は、25mgのサイロシビン、SMCC 50、及びSMCC 90を含み、SMCC 50対SMCC 90の比率は、1:6.4であり、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%である。
【0161】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、多形体Aの形態の5mgの結晶性サイロシビン、12.5mgのSMCC 50、79.5mgのSMCC 90、1mgのデンプングリコール酸ナトリウム、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び1mgのフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、錠剤またはカプセルは、多形体Aの形態の5mgの結晶性サイロシビン、12.5mgのSMCC 50、79.5mgのSMCC 90、1mgのデンプングリコール酸ナトリウム、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び1mgのフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、経口剤形は、多形体Aの形態の1mgの結晶性サイロシビン、20.5mgのSMCC 50、75.5mgのSMCC 90、1mgのデンプングリコール酸ナトリウム、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び1mgのフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、錠剤またはカプセルは、多形体Aの形態の1mgの結晶性サイロシビン、20.5mgのSMCC 50、75.5mgのSMCC 90、1mgのデンプングリコール酸ナトリウム、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び1mgのフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、錠剤またはカプセルは、1つ以上の賦形剤を含む。非限定的な例示的な賦形剤としては、ケイ化微結晶セルロースを含むが、これに限定されない、微結晶セルロース及びデンプンが挙げられる。
【0164】
製剤は、本明細書に開示される多形形態だけではなく、任意の形態のサイロシビンを含み得ることに留意すべきである。
【0165】
本明細書で使用される場合、サイロシビンの経口用量は、「非常に低い用量」(約0.045mg/kg以下)、「低い用量」(約0.115~約0.125mg/kg)、「中用量」(約0.115~約0.260mg/kg)、及び「高用量」(約0.315mg/kg以上)のように分類される。Studerus et al(2011) J Psychopharmacol 25(11) 1434-1452を参照されたい。
【0166】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの製剤化用量は、約0.01mg/kg~約1mg/kgを含む。いくつかの実施形態では、ヒト用量(体重60~80kgの成人の場合)は、約0.60mg~約80mgを含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2~約50mgの結晶性サイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2~40mg、2~10mg、5~30mg、5~15mg、または20~30mgの結晶性サイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビンを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2mg~約50mgの結晶性サイロシビン多形体Aもしくは多形体A’またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2~40mg、2~10mg、5~30mg、5~15mg、または20~30mgの結晶性サイロシビン多形体Aもしくは多形体A’またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビン多形体Aもしくは多形体A’またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約5mgの結晶性サイロシビン多形体Aもしくは多形体A’またはそれらの混合物を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2mg~約50mgの結晶性サイロシビン多形体Aを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2mg~40mg、2mg~10mg、5mg~30mg、5mg~15mg、または20mg~30mgの結晶性サイロシビン多形体Aを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビン多形体Aを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2~約50mgの結晶性サイロシビン多形体A’を含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2~40mg、2~10mg、5~30mg、5~15mg、または20~30mgの結晶性サイロシビン多形体A’を含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビン多形体A’を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2mg~約50mgの結晶性サイロシビン多形体Bを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2mg~40mg、2mg~10mg、5mg~30mg、5mg~15mg、または20mg~30mgの結晶性サイロシビン多形体Bを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビン多形体Bを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約2mg~約50mgの結晶性サイロシビン水和物Aを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、2mg~40mg、2mg~10mg、5mg~30mg、5mg~15mg、または20mg~30mgの結晶性サイロシビン水和物Aを含む。いくつかの実施形態では、製剤化用量は、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビン水和物Aを含む。
【0173】
投薬量
いくつかの実施形態では、治療有効量のサイロシビンが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与されるサイロシビンの各用量は、治療有効用量である。
【0174】
いくつかの実施形態では、ある用量のサイロシビンは、約1mg~約100mgの範囲内であり得る。例えば、用量は、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgであってもよい。いくつかの実施形態では、サイロシビンの用量は、約0.1mg~約100mg、約1mg~約50mg、または約5mg~約30mgである。いくつかの実施形態では、サイロシビンの用量は、約1mg、約10mg、または約25mgである。いくつかの実施形態では、サイロシビンの用量は、約0.001mg~約1mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、サイロシビンの用量は、約100mg~約250mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、サイロシビンの用量は、約25mgである。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、多形体Aの形態である。
【0175】
いくつかの実施形態では、成人の経口用量は、約1mg~約40mg、約2mg~約30mg、または約15mg~約30mgの結晶性サイロシビン、例えば、約1mg、約5mg、約10mg、または約25mgの結晶性サイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、成人経口用量は、約25mgの結晶性サイロシビンを含む。いくつかの実施形態では、結晶性サイロシビンは、多形体Aの形態である。
【0176】
いくつかの実施形態では、「マイクロ用量」のサイロシビンが、対象に投与される。マイクロ用量は、例えば、約1.0mgなどの約0.05mg~約2.5mgの結晶性サイロシビンを含み得る。マイクロ投薬の場合、レジームは、例えば、毎日の投与、隔日の投与、または毎週の投与の規則的で連続的なレジームを含み得る。そのような投薬は、心理的支援が不在であり得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、1用量のサイロシビンが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、複数回用量のサイロシビンが、対象に投与される。例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、または少なくとも50の用量のサイロシビンが、対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、同じ用量のサイロシビンが、各投与中に対象に投与される。いくつかの実施形態では、異なる用量のサイロシビンが、各投与中に対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与されるサイロシビンの用量は、経時的に増加させる。いくつかの実施形態では、対象に投与されるサイロシビンの用量は、経時的に減少する。
【0178】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、治療上有効な間隔で投与される。いくつかの実施形態では、治療上有効な間隔は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間であり得る。いくつかの実施形態では、治療有効間隔は、約1か月、約3か月、約6か月、または約12か月であり得る。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1週間に少なくとも1回、または1週間に少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1か月に少なくとも1回、または1か月に少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、3か月毎に少なくとも1回、6か月毎に少なくとも1回、または12か月毎に少なくとも1回投与される。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1の用量及び第2の用量のサイロシビンが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約1mgであり、第2の用量は、約1mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約10mgであり、第2の用量は、約10mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約25mgであり、第2の用量は、約25mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約10mgであり、第2の用量は、約25mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約25mgであり、第2の用量は、約10mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約1mgであり、第2の用量は、約10mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約1mgであり、第2の用量は、約25mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約10mgであり、第2の用量は、約1mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約25mgであり、第2の用量は、約1mgである。
【0180】
いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約1週間後~約12週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約1週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約2週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約3週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約4週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約5週間後に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のサイロシビンは、第1の用量から約6週間後に投与される。
【0181】
投与経路
サイロシビンの投与のための例示的なモードとしては、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内[骨格筋、横隔膜筋、及び/または心筋への投与を含む]、皮内、胸膜腔内、大脳内、及び関節内)、局所的に(例えば、気道表面を含む、皮膚及び粘膜表面の両方への、及び経皮投与)、吸入(例えば、エアロゾルを介して)、直腸(例えば、座薬を介して)、経粘膜、鼻腔内、頬側(例えば、舌下)、膣内、髄腔内、眼内、経皮、子宮内(または卵内)、リンパ管内、及び直接組織または器官注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋、または脳への)が挙げられる。いくつかの実施形態では、サイロシビンが、対象に経口投与される。
【0182】
治療方法
当業者であれば、本明細書に記載の1つ以上の適応症の治療のために、サイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの代謝産物、及び/またはサイロシビンの代謝産物のプロドラッグを投与することを含む治療方法は、本明細書に記載の1つ以上の適応症の治療のための薬剤の製造における、サイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの代謝産物、及び/またはサイロシビンの代謝産物のプロドラッグの使用、ならびに本明細書に記載の1つ以上の適応症の治療のための、サイロシビン、サイロシビンのプロドラッグ、サイロシビンの代謝産物、及び/またはサイロシビンの代謝産物のプロドラッグの使用も含むことを理解されたい。
【0183】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象を治療するための方法は、対象に、治療有効量のサイロシビンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象を治療するための方法は、対象に、制御された環境において治療有効量のサイロシビンを投与することを含み、対象は心理的支援を提供される。
【0184】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象を治療するための方法は、以下のうちの少なくとも1つを含む:
(i)対象に、制御された環境において治療有効量のサイロシビンを投与し、対象に心理的支援が提供される、
(ii)対象に、1つ以上の投与前の心理的支援セッション(複数可)に参加させる、及び/または
(iii)対象に、1つ以上の投与後の心理的支援セッション(複数可)に参加させる。
【0185】
サイロシビンの投与後、対象は、約30分~約90分間、薬物の効果を感じない場合がある。いくつかの実施形態では、対象は、約60分間、薬物の効果を感じない場合がある。投与後及び効果の発現前のこの期間は、本明細書において、サイロシビンセッションの初期段階と称される。薬物の効果の発現によって特徴付けられる時間は、本明細書において、サイロシビンセッションの早期段階と称される。
【0186】
いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与から約1.5時間後~約3.5時間後に、サイロシビンの効果のピークを経験する。サイロシビン経験のピークによって特徴付けられる期間は、本明細書において、サイロシビンセッションのピーク段階と称される。
【0187】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの効果は、投与から約4時間~約6時間後に実質的に消え去り得る。この期間は、サイロシビンセッションの後期段階と称される。
【0188】
いくつかの実施形態では、非二元的状態(例えば、神秘的経験)、または一体感、無限性、自我消滅、もしくは超越感は、正の臨床転帰と相関する。これらの用語のそれぞれは、自己と他者との間の通常の関係の分解として一般的に定義され得、それによって、対象は、周囲の環境及び/または世界全体に対する一体感及び増加した連帯感を感じ得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、回避を示し得る低レベルの感情喚起、関与または知性化の欠如は、いくつかの実施形態では、治療結果の改善がほとんどまたは全くないことと相関し得る。
【0190】
サイロシビンの主観的経験に影響を及ぼし得る要因としては、例えば、(i)用量、(ii)セッション前の参加者の気持ち、(iii)セッションの設定、(iv)経験に集中してそれに留まる対象の能力、及び/または(v)サイケデリックスに関する対象のこれまでの経験が挙げられる。これら及び他の要因は、以下で、サイロシビンセッションの治療的利益を最大化する方法と共に、より詳細に説明される。
【0191】
投与前の心理的支援セッション
いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与前の少なくとも1つの心理的支援セッション(「投与前の心理的支援セッション」)に参加する。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与の約1か月前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与の約2週間前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与の約1週間前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与の約3日前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与の約1日前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビン投与と同じ日に、投与の前に行われてもよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの投与前の心理的支援セッションに参加してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2つの投与前の心理的支援セッションに参加してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも3つの投与前の心理的支援セッションに参加してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、投与前の心理的支援セッションに少なくとも週に1回、サイロシビンセッションの前に少なくとも2週間または3週間参加してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンセッションの前日に、投与前の心理的支援セッションに追加的に参加してもよい。
【0193】
投与前の心理的支援セッションは、個別のセッションであってよく、対象は、療法士と一対一で会う。いくつかの実施形態では、心理的支援セッションは、グループセッションであってもよく、2名以上の対象が、1名の療法士、または2人以上の療法士と会う。いくつかの実施形態では、対象の家族または友人のうちの1人以上が、投与前の心理的支援セッション(複数可)に出席し得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、投与前セッションの目的は、(i)対象と療法士との間の治療的連携を構築すること、(ii)対象の質問に答え、任意の懸念に対処すること、及び/または(iii)自己指向型問診及び経験的処理のスキルを示して実際に行うことを含み得る。いくつかの実施形態では、投与前心理的支援セッションは、回避及び不安を減少させるための関連する治療技術を実施すること、適切な治療の目的を引き出すこと、信頼関係を構築すること、及び/または治療的連携を構築することによって、考えられるサイロシビン効果の話し合い及び/または投薬セッションのための対象の準備に焦点を合わせる。心理的支援セッションの間、自己指向型問診及び経験的処理のスキルが示され、及び/または実際に行われ得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、落ち着きを促進し、及び/または不安を和らげることを目的とした呼吸運動が、示され、及び/または実際に行われ得る。いくつかの実施形態では、呼吸運動は、対象に、全身の呼吸及び/または呼吸に関連する感覚に焦点を合わせるように指示することを含む。例えば、対象は、4カウントで息を吸い、少しの間息を止め、次に8カウントで息を吐き出すように指示され得る。いくつかの実施形態では、療法士及び対象は、サイロシビンセッション中の感情的苦痛の場合に支援する最も有益な方法を話し合ってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの安全性及び作用機序に関する資料へのアクセス(例えば、オンラインアクセス)を与えられる。
【0196】
いくつかの実施形態では、投与前の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの治療の目的を構築するのに役立つ。いくつかの実施形態では、対象が、自身の治療の目的を提案する。いくつかの実施形態では、療法士が、治療の目的を対象に提案する。いくつかの実施形態では、対象に、投与前心理的支援セッション中に治療の目的を思い出させる。
【0197】
いくつかの実施形態では、療法士は、サイロシビンセッションの前、その間、及び/またはその後に対象をカウンセリングするように訓練される。いくつかの実施形態では、療法士は、メンタルヘルスの訓練を受ける。いくつかの実施形態では、療法士は、臨床心理学者、精神科医、ソーシャルワーカー、医師、または看護師である。いくつかの実施形態では、療法士は、以下の基準を満たす:
・カウンセリング及び精神療法のスキルを必要とする分野で、直接的な対象のケアで独立した臨床経験を示す、
・停職、職業上の不正行為、もしくは懲戒処分の歴史がない現在の無制限の職業ライセンス及び/または良好な職業的地位、及び/または
・新しいアプローチを学び、フィードバックを受けることへの高いレベルの開放性。
【0198】
サイロシビンセッション中の心理的支援
治療セッションの間、対象は、1人以上の訓練された療法士の指導を受け得る。サイロシビンセッション中に対象を指導する療法士は、対象の投与前の心理的支援セッション(複数可)と同じ療法士であってもよく、または異なる療法士であってもよい。療法士(複数可)は、必要に応じて、対象に心理的支援を提供することができる。本明細書で使用される場合、「心理的支援」という用語は、対象の安全性を確保し、かつサイロシビンセッションの臨床的有効性を最大化するために、対象のサイロシビンセッション中に療法士がとる任意の措置(複数可)を指す。例えば、心理的支援は、(1)対象の心理的安全性を確保するため、(2)対象の主観的経験が準備で設定された治療的意図の境界内で自然に展開されることを可能にするため、(3)参加者の現在の経験に対する注意及び意識を維持し、したがって、厳しい感情的状態及び個人的記憶の露出及び処理を可能にするため、及び/または(4)厳しい個人的状況、葛藤、及び外傷的経験の解決のための洞察及び解決策を生成するために、療法士によって行われるものであり得る。いくつかの実施形態では、支援は、タッチ療法、言葉の安心、誘導イメージ療法、及び/またはリラクゼーションもしくは呼吸運動の形態であり得る。いくつかの実施形態では、支援は、リマインダー、励まし、または能動的誘導を含み得る。典型的には、対象の固有のプロセスへの最小限の介入及び干渉を可能にするために、1つの手法のみが一度に適用される。
【0199】
いくつかの実施形態では、サイロシビンセッション中の療法士の主な治療の目的は、(i)極端な不安を最小限に抑えること、及び(ii)自己主導型問診及び経験的処理のスキル及びプロセスを可能にする適切な支援を提供することである。いくつかの実施形態では、療法士は、サイロシビンセッション中に純粋な存在、忍耐力、好奇心、及び/または開放性を示す。「存在」は、サイロシビンセッションのすべての段階で完全に会うことができ、対象と共におり、常に穏やかさを発揮することを指す。「好奇心」とは、思い込みなしに対象の経験を理解する興味及び意欲を指す。「忍耐力」とは、療法士が、参加者が経験を探求するために必要な時間をかけて、経験を支援または指導するという自然な衝動を制御することなく、参加者を促進することを意味する。「開放性」とは、療法士が認知的及び経験的に開放的な状態を維持する能力であり、対象の心がセッションの展開するコンテンツをどのように独自に演出するかを知る能力を含む。これには、発生する可能性のあるすべての感情及び表情を歓迎することが含まれる。
【0200】
いくつかの実施形態では、心理的支援は、好奇心をそそる質問を含み得る。この技法では、対象が異なるレベルの認知及び感情に注意を移し、それを維持するのを助けるために、対象に対する簡潔でありながら詳細な質問が使用される(「それはどのようにあなたを感じさせますか?」)。広範な精神状態にわたり、様々な設定内の適用性のために、好奇心をそそる質問の技法は、典型的には、各対象の経験の質または強度に関係なく、サイロシビンセッション中に安全かつ一貫して使用することができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、心理的支援のレベルは、対象のサイロシビン経験の様々な段階(例えば、初期段階、早期段階、ピーク段階、及び後期段階)中に変化する。いくつかの実施形態では、心理的支援の種類は、対象のサイロシビン経験の様々な段階(例えば、初期段階、早期段階、ピーク段階、及び後期段階)中に変化する。非二元的、自我消滅または「統合力のある」経験が臨床応答の大きさ及び耐久性と正に相関することが示されているため、いくつかの実施形態では、療法士は、そのような状態に対して特に注意して対処する。
【0202】
いくつかの実施形態では、対象は、対象のサイロシビン経験中に自己感覚の喪失(compromised sense of self)を経験し得る。いくつかの実施形態では、この経験は、精神分析の観点から、自我境界の崩壊として解釈され、その結果、自己表現とオブジェクト表現の区別が曖昧になり、一貫性のある全体への自己表現の統合が妨げられる。いくつかの実施形態では、非二元的、自我消滅または「統合力のある」経験は、通常の覚醒意識を定義する自己参照意識の低減があり、「自己」感覚の喪失をもたらし、代わりに、しばしば、感覚的または認知的な理解を超える統合感または「一体感」を特徴とする分割されていない背景意識のみをもたらす、意識の変化した状態を指す。いくつかの実施形態では、非二元的経験は、通常の覚醒意識における主体-客体二分法が、無中心かつ分割されていない統合された背景認識に置き換えられる意識の状態である。いくつかの実施形態では、自我消滅経験は、通常の覚醒意識を定義する自己参照意識の低下があり、「自己」感覚の喪失をもたらす、自発的に生じる意識の状態である。いくつかの実施形態では、統合力のある経験は、感覚または認知的な理解を超える統合感または「一体感」を特徴とする経験である。
【0203】
サイロシビンセッションの初期及び早期段階では、心理的支援は、重度及び/または長期の不安を低減するために使用され得る。サイロシビン効果の発現前または発現中の不安は、稀ではなく、療法士は、対象が自力で継続するのに十分に快適になるまで、そのような不安期間を通じて対象を認識し、積極的に管理するように特別に訓練され得る。いくつかの実施形態では、療法士は、対象がリラックスして緊急の経験に開放されることを奨励する以外に、知覚障害の解釈を提供すること、または特定の画像または記憶に向かって対象を誘導することなく、対象の不安感を検証する。例えば、いくつかの実施形態では、療法士は、グラウンディング運動を使用して不安を緩和するのに役立ち得る。そのような運動では、対象は、ベッド/ソファ、地面、または他の物体に触れるときに、周囲の音、または皮膚上の感覚に注意を払うように奨励され得る。
【0204】
サイロシビンセッションの初期段階及び早期段階では、療法士は、対象に横になること、リラクゼーション及び呼吸運動を練習すること、及び/または落ち着く音楽を聴くことを奨励し得る。いくつかの実施形態では、療法士は、治療セッションの意図を対象に思い出させ得る。例えば、療法士は、対象に、「気分が良くなった、または回復したときに感じるものは何ですか?」または任意の数の同様の質問を尋ねることができる。このようなリマインダーは、サイロシビン効果の発現前または発現時に、サイロシビンセッション中の主観的経験の暗黙の方向性を提供する。いくつかの実施形態では、療法士は、このセッション中の彼らの主要なタスクが、セッション後に療法士と話し合うことができる新しくかつ興味深い経験を、単純に収集することであることを、対象に思い起こさせることができる。療法士は、参加者に、サイロシビン療法の目的と、経験的処理の役割、すなわち、参加者が発生したものには何にでも開放的であり、かつ好奇心を持つことを可能にすること、ならびに参加者にとって以前は知られていなかった思考及び感情に出会うことの役割と、を思い起こさせることができる。いくつかの実施形態では、療法士は、このプロセスが、サイケデリックな経験を気にせず、それへの意欲的な受動性を本質的に必要とすることを強調する。
【0205】
急性の行動の開始中に、対象は、視覚、聴覚、または嗅覚モードの知覚的変化、及び一連の異常な身体的感覚を経験し得る。これらの経験は、不安を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、療法士は、安心できる「腕組み(arm holding)」を行い得る。ここでは、対象の要請に応じて、療法士が、対象の手首、腕、手、または肩に手を置き、この段階で対象が安心できるようにする。この訓練は、投与前の心理的支援セッションで以前に行われている場合がある。
【0206】
いくつかの実施形態では、療法士は、対象に、Mindfold目隠しシェードなどのアイマスクを着用することを奨励してもよい。いくつかの実施形態では、療法士は、対象に、サイロシビンの効果の発現の前、その間、またはその後にアイマスクを着用することを奨励する。
【0207】
いくつかの実施形態では、療法士は、対象にヘッドフォンを装着し、音楽を聴くことを奨励し得る。いくつかの実施形態では、ヘッドフォンは、外部ノイズを低減する(例えば、「ノイズキャンセリング」ヘッドフォン)。いくつかの実施形態では、音楽は、インストルメンタル(例えば、クラシック)音楽などの穏やかな音楽である。いくつかの実施形態では、音楽は、自然音及び/または移動する水の音(例えば、海洋音)を含む。いくつかの実施形態では、音楽は、等時性の音を含む。いくつかの実施形態では、音楽は、沈黙の時間を含む。いくつかの実施形態では、音楽は、感情的に喚起される。いくつかの実施形態では、音楽は、典型的な高用量サイロシビンセッション:初期段階、早期段階、ピーク段階、及び後期段階の薬力学を反映するプレイリストを含む。いくつかの実施形態では、音楽を聴くことは、対象が自身の内部経験に焦点を当てるのに役立つ。
【0208】
長期的な不安または苦痛の場合、いくつかの実施形態では、療法士は、経験を解釈もしくは判断することなく、またはアドバイスを与えることなく、そのような経験を通じて参加者を積極的に誘導し得る。参加者が快適になったら、療法士は、再び内観に触れるように促すことができる。
【0209】
サイロシビンセッションのピーク及び後期段階中に、療法士は、対象に、困難なものを含む自分の経験に向き合い、探求することを奨励することができる。療法士は、対象の個人的な課題及び葛藤について異なる視点を開発し、独自の解決策を生み出すために、自己主導型問診及び経験的処理に参加するように導くことができる。このような自己生成された洞察は、感情的な解決のためだけでなく、対象に自信を与える。
【0210】
本明細書で使用される場合、「自己主導型問診」という用語は、内部状態に注意を向けることを指す。対象は、前景及び背景の思考、感情、ならびに身体的感覚を含む、瞬時的現在の経験について好奇心を持つことが奨励されている。準備及び統合の段階中、この問診は、内部状態に注意を向けるのに役立つ具体的かつ詳細な質問をすることを意味し得る。しかしながら、薬物行動の期間中、問診は、単に内面的な経験に対して開放的な態度を意味し得る。
【0211】
本明細書で使用される場合、「経験的処理」は、参加者が自己主導的問診(enquiry)を通じて認識される経験に対して完全な注意を維持する能力を指す。これには、違和感が軽減または解決されるまで、不快または困難な思考、感情(feeling)、感覚もしくは感情(emotion)であっても、一緒にいる及び/または移動し、進む、意欲及び能力が含まれる。
【0212】
いくつかの実施形態では、療法士は、トランス診断療法を用いる。いくつかの実施形態では、トランス診断療法は、メソッド・オブ・レベル(MOL)療法である。なおさらなる実施形態では、MOL療法は、自己主導型問診及び経験的処理を含む。典型的には、MOLは、対象が異なるレベルの認知及び感情に注意を移し、それを維持するのを助けるために、簡潔だが詳細で好奇心をそそる質問を使用する(Carey,2006、Carey,Mansell&Tai,2015)。MOL内の強調は、症状だけではなく、対象の基礎的苦痛を特定して対処することである。かかるMOL関連方法及び技術には、以下を含むことができる。(1)自己主導型問診-内部状態に注意を向けること。参加者は、前景及び背景の思考、感情、及び身体的感覚を含む、現在の瞬間の経験について好奇心を持つことが奨励されており、準備及び統合の段階では、そのような問診は、内部状態に注意を向けるのに役立つ具体的かつ詳細な質問をすることを意味することができるが、いくつかの実施形態では、薬物作用の期間中、問診は、内面的な経験に対する開放性の態度を指すことができる。(2)経験的処理-経験に持続的に焦点を当て、参加者が自己主導型問診を通じて意識に達する経験に完全な注意を維持する能力を指す。これには、違和感が軽減または解決されるまで、不快または困難な思考、感情(feeling)、感覚もしくは感情(emotion)であっても、一緒にいる及び/または移動し、進む、意欲及び能力が含まれる。
【0213】
いくつかの実施形態では、心理的支援は、マインドフルネスベース療法またはCBT認知行動療法(CBT)を含む。いくつかの実施形態では、心理学的支持は、知覚制御理論と呼ばれるヒト行動の機能理論によって提供される。
【0214】
時折、対象は、新たな経験を避けたり、自分の心の異常な状態に対する認知制御を取り戻そうとしたりする間、気持ちを紛らわせようとする。そのような気晴らしは、異なる形態をとり得る。例えば、対象は、会話をしたり、自分の経験、展望、または洞察を詳細に説明したりするのは時期尚早かもしれない。これが起こると、療法士は、できるだけ沈黙を保つことを目指し、それによって対象及びその内面的な経験が、サイロシビンセッションの経過を指示することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、療法士は、特に参加者が療法士を会話に関与させる場合に、現在の経験に注目し続けるように対象を奨励するために、プロンプトと対になった能動的な聴取スキルを使用してもよい。別の例では、対象が、トイレに行くか、水を飲むように求める場合がある。そのような要求の突然の緊急性の特徴は、彼らが本当に新たな材料を回避しようとしていることを示唆し得る。そのような場合には、療法士は、単に注意を再度向けることによって、対象に経験に留まることを奨励することができる。例えば、療法士は、次のようなことを言う可能性がある。「この音楽の終わりにトイレ休憩をとりましょう」または「まもなく水をお配りします。アイマスクを元に戻して、数分間リラックスしてみませんか?」対象が困難な経験を避けようとしている場合、その提案に耳を傾けてリラックスする場合がある。
【0215】
いくつかの実施形態では、経験に関与している間の揺れ、ストレッチ、またはダンスなどの自発運動は、その運動が経験から気持ちを紛らわせる方法であると思われない場合を除き、受け入れられ、しばしば奨励される。いくつかの実施形態では、対象が、動き続けることが多い場合、定期的に横たわる位置に戻り、内側に積極的に焦点を合わせるための合図を提供してもよい。
【0216】
療法士は、対象の経験の性質または内容について理解する、支持する、または意見を持つ必要はないが、療法士は、それらを検証し、その異常な内容に基づいていかなる経験も否定または病理化することなく、対象自身のそれらに対する見解に対する開放性を伝えることができる。これらの経験は、個人の物語で識別を超えた視点を対象に提供するかもしれない。いくつかの実施形態では、療法士は、対象の経験のうちの1つ以上を検証する。いくつかの実施形態では、経験の検証は、単に経験を開く勇気、及び任意の経験がセッションの意図に役立つ可能性を認めることを意味する。
【0217】
いくつかの実施形態では、療法士は、サイロシビンの投与直後、約4~8時間、心理的支援を提供する。いくつかの実施形態では、療法士は、対象を落ち着かせる及び/または対象の注意を集中させるために誘導イメージ療法及び/または呼吸運動を使用する。いくつかの実施形態では、療法士は、対象の手、腕、または肩に触れる。いくつかの実施形態では、療法士は、以下のうちの1つ以上を行うように対象をカウンセリングする:(1)不安の感情を受け入れること、(2)経験を自然に展開させること、(3)経験に対する心理的抵抗を避けること、(4)リラックスすること、及び/または(5)対象自身の精神空間を探求すること。
【0218】
いくつかの実施形態では、療法士は、対象との会話を開始することを回避するが、対象が会話を開始する場合、応答する。典型的には、積極的介入は、治療経験中に最小限に抑えられる。いくつかの実施形態では、対象は、自身の心的空間を探索することを奨励され、単純な誘導イメージ療法がリラクゼーションを支援するために使用され得る。「誘導イメージ療法」とは、対象に場面を想像してもらうための演習を指す(例えば、「場面、おそらく風景を思い描き、どこにいるかを教えてください」、「自分にとって安全だと感じる場所を想像してください」)。
【0219】
投与後の心理的支援セッション
いくつかの実施形態では、対象は、その治療者との投与後の統合セッションに参加するように奨励され得る。統合は、治療的文脈の中でサイケデリックな経験を処理または具体化することを伴うプロセスである。このプロセスは、最初に、対象がサイロシビンセッションからの任意の経験を言葉で言い、振り返り、療法士と率直に話し合うことから始まる。サイロシビン経験の統合に成功すると、感情的な変化に対応し、経験を新しい洞察、視点、及びその後の対象の生活の質のために使用することができる新しい行動に変換することを含む。新しい視点は、次いで、参加者の現在の知識または価値観に影響を与え、認知、感情、行動、身体的経験に関連する新しい方法につながり得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、統合セッションを通じて療法士によって使用される目標及び支援方法は、対象によって調査される主観的経験の強度または内容に関係なく、一貫性を維持するべきである。それにもかかわらず、療法士が使用する支援方法は、対象が直面したかもしれないすべての経験に対応するべきである。
【0221】
統合プロセスは、療法士とのセッションに限定されるべきものではなく、クリニックでの来院を超えて展開し続ける可能性が高いプロセスである。療法士は、参加者がプロセスをさらに促進するのに役立つように、自然、運動、または創造的な表現に時間を費やすなどの方法を使用することを奨励し得る。対象は、友人、家族、及び/または支援ネットワークと経験について話し合うことも奨励され得る。統合セッションの役割は、すべての経験を網羅して取り組むことではなく、情報を安全に経験的に処理する能力を構築することによって参加者に力を与えることである。これにより、患者は、治験来院以外でも、自己主導的な統合を継続することができる。
【0222】
いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与後に、少なくとも1つの心理学的支援セッション(「投与後の心理学的支援セッション」)に参加する。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンの効果が実質的に消え去った後、サイロシビンセッションと同じ日に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの翌日に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの2日後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの3日後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約1週間後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約2週間後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約1か月後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約3か月後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約6か月後に行われ得る。いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビンセッションの約12か月後に行われ得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの投与後の心理的支援セッションに参加してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2つ、または少なくとも3つの投与後心理的支援セッションに参加してもよい。
【0224】
投与後の心理的支援セッションは、個別のセッションであってよく、対象は、療法士と一対一で会う。いくつかの実施形態では、心理的支援セッションは、グループセッションであってもよく、2名以上の対象が、1名の療法士、または2人以上の療法士と会う。いくつかの実施形態では、対象の家族または友人のうちの1つ以上が、投与後の心理支援セッション(複数可)に出席し得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、投与後の心理的支援セッションは、サイロシビン経験の統合に焦点を合わせ得る。統合には、治療上の文脈においてサイケデリックな経験を処理することが含まれ得る。統合は、経験の心理学的及び体細胞学的処理、ならびに成長、治癒、及び/または幸福を目的とする対象の生活に対する洞察の成功した同化を含み得る。統合セッションでは、対象が、サイロシビンセッション中に自分の経験について話し合い、振り返ることが奨励され得る。いくつかの実施形態では、統合は、語の選択、声のトーン、ジェスチャー、及び/または特定の身体活動(ヨガ、運動、ボディワークなど)などの、サイロシビン経験の外部表現を含み得る。いくつかの実施形態では、統合は、例えば、詩、芸術、音楽/歌唱、ダンス、書き込み、または描画を通じて、サイロシビン経験中に得られたあらゆる洞察または経験を創造的に表現することを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、対象は、対象がサイロシビンセッション中に受けた思考及び感情の両方を熟考すること、ならびにそれらの考え及び感情を、それらの教訓を記憶し、将来に統合し続けるためのツールとして役立ち得る具体的な形態に表現することを奨励され得る。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンセッションの感情認知的及び物理的経験の範囲を認識及び接続すること、及びそれらを対象の生活状況における現在の経験に関連付けることを奨励され得る。これは、例えば、最初に療法士と、及びおそらく後に家族、友人、及び支援サークルと話し合うことによって達成され得る。統合は、新しい洞察が生成され、統合されるにつれて、感情状態の変化に対応するのに役立つ。前景及び背景の思考と感情の間で振動する注意を通じてさらに探索すると、そのような洞察は、視点または行動の自然かつ努力を要しない変化につながり得る。いくつかの実施形態では、統合プロセスは、療法士との初期の統合会議に限定されず、日常生活における参加者自身の処理及び行動を通じて自発的に展開され続ける。
【0227】
低強度経験の場合、統合プロセスは、リラクゼーション及び内省の時間の間に出現した心的内容に焦点を合わせ得る。これには、失望感、怒り、安心感など、目立たない経験があったかもしれないことへの反応も含まれる。
【0228】
遠隔で提供される心理的支援
いくつかの実施形態では、心理的支援は、対象に遠隔的に提供され得る。例えば、心理的支援を提供する療法士は、対象と同じ部屋、同じ建物、または同じ施設にいなくてもよい。遠隔心理学的支援は、例えば、電話(すなわち、音声通話)、ビデオ通話もしくはビデオ会議、テキスト、または電子メールによって提供され得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、投与前の療法セッションは、遠隔で行われる。いくつかの実施形態では、投与後の療法セッション(例えば、統合セッション)は、遠隔で行われる。
【0230】
いくつかの実施形態では、心理的支援は、対象のサイロシビンセッション中に遠隔で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、自宅でサイロシビンを服用し、療法士は、対象が薬物を服用した後少なくとも4~8時間、音声通話、ビデオ通話、テキスト、電子メールなどによる心理的支援を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載される投与施設においてサイロシビンを服用し、療法士は、対象への心理的支援を提供し、療法士は、対象が薬物を服用した後少なくとも4~8時間、音声通話、ビデオ通話、テキスト、電子メールなどによる心理的支援を提供する。
【0231】
いくつかの実施形態では、遠隔心理的支援は、デジタルまたは電子システムを使用して対象に提供される。いくつかの実施形態では、デジタルまたは電子システムは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
・デジタルまたは電子システムは、患者を「バーチャル来院」のために1人以上の療法士または医師と安全に接続する。これらのバーチャル来院は、入門的または日常的であり得る。
・デジタルまたは電子システムにより、対象が、サイロシビンベースの臨床試験、またはサイロシビンベースの心理的支援セッションの資格、予備資格、または登録することが可能である。
・デジタルまたは電子システムは、療法士及び/または医師が対象を管理し、患者と対話するのを助けるように設定されている。例えば、電子システムは、療法士が対象と文書を共有するか、セッションに関するメモを残すか、または将来のセッションをスケジュールに入れることを可能にし得る。
・デジタルまたは電子システムは、危機介入に対する警告を提供するように設定されている。例えば、デジタルまたは電子システムは、対象が不安を感じている場合、またはそうでなければ療法士と緊急に話す必要がある場合、対象が療法士に接触することを可能にし得る。
・デジタルまたは電子システムは、対象が療法士及び/または医師を訪問する準備をするのに役立つように設定されている。例えば、デジタルまたは電子システムは、サイロシビン、治療プロトコルなどに関する情報を含み得る。
・デジタルまたは電子システムは、療法士が対象のサイロシビンセッション中に心理的支援を提供することを可能にするように設定されている。例えば、システムは、ビデオ通話またはチャット機能を含み得る。
・デジタルまたは電子システムは、療法士が投与後のセッション(例えば、統合セッション)中に心理的支援を提供することを可能にするように設定されている。
・デジタルまたは電子システムは、治療レジメンまたは目標への対象の順守を追跡するように設定されている。
・デジタルまたは電子システムは、対象における1つ以上の臨床エンドポイントを評価するように設定されている。例えば、システムは、対象が完了するための1つ以上の質問票または課題を含み得る。結果は、対象の医師及び/または療法士に利用可能であり得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、デジタルまたは電子システムは、携帯電話またはコンピュータ上で使用するための「アプリ」である。いくつかの実施形態では、デジタルまたは電子システムは、ウェブサイトである。いくつかの実施形態では、デジタルまたは電子システムは、対象と療法士との間のリアルタイムの通信を可能にする「チャット」機能を含む。いくつかの実施形態では、ウェブサイトは、療法士がビデオ通信を使用して対象と通信することを可能にするビデオ通話機能を備える。いくつかの実施形態では、デジタルまたは電子システムは、単一の療法士が、1人以上の対象に同時にまたは同時期に心理的支援を提供することを可能にするように設定されている。
【0233】
いくつかの実施形態では、心理的支援セッションは、事前に録音され(例えば、音声またはビデオ録画)、デジタルまたは電子システムを介して対象の都合で使用するために対象に提供され得る。
【0234】
管理施設、「セットとセッティング」
本明細書で使用される場合、「セットとセッティング」という用語は、対象の見方(「セット」)ならびにユーザがサイロシビンセッションを有する身体的及び社会的な環境(「セッティング」)を指す。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、特定のセットとセッティングにおいて投与され得る。いくつかの実施形態では、セットとセッティングは、可能な範囲内で、サイロシビンセッションの治療上の利益を最大化するように制御される。
【0235】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、サイロシビン投与のために具体的に設計された施設においてによって投与される。対象が安全かつ快適であると感じる施設における対象へのサイロシビンの投与は、対象の不安を和らげるのに役立ち得、最大限の臨床的利益を促進し得る。サイロシビンは、例えば、対象の自宅または臨床施設で対象に投与してもよい。
【0236】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、実質的に非臨床的な外観を有する施設(例えば、部屋)において対象に投与される。例えば、サイロシビンは、柔らかい家具(例えば、フラシ天張りのソファ、椅子、もしくは枕)及び/または植物を備える部屋において投与することができる。いくつかの実施形態では、部屋は、落ち着いた色(例えば、灰色、鈍色、または不飽和色)を使用して装飾され得る。いくつかの実施形態では、部屋内の光は、薄暗くされ、及び/または光レベルは、比較的低く保たれるか、または調整される。いくつかの実施形態では、室内照明は、強度及び/または色について調整される。いくつかの実施形態では、仮想現実または拡張現実システム(例えば、ビジュアル/グラフィカル及び聴覚出力を有するコンピュータ)が、使用される。いくつかの実施形態では、部屋は、音響システム、例えば、高解像度の音響システムを備える。いくつかの実施形態では、音響システムは、同時の周囲及びイヤホンの聴取を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、対象は、有意義な写真または物体を投与室に持ち込み得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、部屋は、ソファを備える。いくつかの実施形態では、部屋は、ベッドを備える。いくつかの実施形態では、部屋は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のソファまたはベッドなどの1つを超えるソファまたはベッドを備える。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与の直後に、約4~8時間、またはそのかなりの割合でソファまたはベッドに座るか、またはそれに横たわる。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与の直後に、約4~8時間、またはそのかなりの割合で音楽を聴く。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンの投与の直後に、約4~8時間、またはそのかなりの割合でアイマスクを着用する。いくつかの実施形態では、対象は、加重ブランケットが提供される。
【0238】
いくつかの実施形態では、各対象は、サイロシビンセッション中に1名の療法士の指導を受ける。いくつかの実施形態では、各対象は、2名の療法士、3名の療法士、4名の療法士、または5名の療法士などの、サイロシビンセッション中に1名を超える療法士の指導を受ける。いくつかの実施形態では、1名の療法士は、複数の対象を有し、各対象は、サイロシビンセッションに参加している。例えば、1名の療法士が、2名、3名、4名、5名、6名、7名、8名、9名、または10名の対象を指導することができる。
【0239】
本開示の実施形態は、様々な経頭蓋磁気刺激(TMS)方法及びプロトコル、例えば、1つ以上の投薬(複数可)の前または後、バイオフィードバック装置などを含む、投薬/投与を伴う追加のツール及び/または技術(複数可)の使用を含む。
【0240】
いくつかの実施形態は、デジタルヘルスプロダクトまたはデジタルソリューションと共に使用することができる。本開示の教示は、かかるデジタルヘルスプロダクト及び/または関連するデジタルバイオマーカーを、前治療、治療中、及び/または治療後の患者のモニタリング及び管理のための診断及び/または予後評価ツールとして利用することを含む。デジタルバイオマーカーは、非限定的な例として、電話/電子メール/テキストの数及び/または時間、テキスト通信における単語の長さ、使用されたジェスチャー(タップ、スワイプ、またはその他)、ジャイロスコープから得られた情報、例えば、電話の向き、電話の加速、キーストロークパターン、GPSからの位置から得られた情報、顔の表情及び/またはマイクロ表現、音声もしくはボーカルマーカー、自然言語処理、ソーシャルメディア使用、睡眠パターン、使用もしくは使用されていない特定の単語もしくは絵文字、及び/または同様のものを含み得る。例えば、一実施形態では、デジタルヘルスプロダクトは、コンプライアンスの追跡として、投薬量及び/または投薬頻度、再投薬の必要性の指標、再投薬量、警報または警告を決定するために利用され得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、治療方法は、対象または患者に対してクリアランス時間を提供することを含むことができ、そのような1つ以上の薬剤は、対象/患者の系に存在しないか、またはそれから実質的に除去される。例えば、治療方法は、投与時に、対象が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環式抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤及び/または抗精神病薬などの他のセロトニン剤を服用していないように構成することができる。いくつかの実施形態では、治療方法は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環式抗うつ剤、及び/またはモノアミン酸化酵素阻害剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の薬剤と同時に治療することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、対象または患者が、例えば、サイロシビンを受容する前、その直前、及び/または同時の期間中、ベンゾジアゼピン類、カンナビジオール(CBD)及び/または他のカンナビノイド(例えば、THC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロル)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビシクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、CBT(カンナビシトラン)、及び/または同様のもの)マグネシウム、レボメフォリック酸を含むがこれらに限定されない、併用化合物または薬物を服用するような治療を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象が1つ以上の薬物を服用していない、特に、開示されるサイロシビン化合物の投与の少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、3週間、または4週間前に1つ以上のセロトニン作動性薬物を服用していないような治療を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、方法及び/または治療は、比較的大きな単回用量または複数回用量(数日~数週間間隔で与えられる)の投与前及び/または投与後の準知覚投薬(例えば、3mg未満、2.5mg、2mg、1.5mg、1mg、0.9mg、0.8mg、0.7mg、0.6mg、0.5mg、0.4mg、0.3mg、0.2mg、または0.1mgの用量)を含むことができ、比較的大きな単回用量または複数回用量は、5mg以上、10mg以上、15mg以上、20mg以上、25mg以上、30mg以上、35mg以上、40mg以上、45mg以上、50mg以上のうちの1つ以上である。
【0244】
本開示の実施形態は、例えば、サイロシビンによる治療前、治療中及び/または治療後に患者管理のための診断及び/または予後ツールとしてのデジタルバイオマーカーを利用する方法を含み、デジタルバイオマーカーは、実行機能、認知制御、作業記憶、処理速度、及び/または感情価に関連する1つ以上のバイオマーカーである。
【0245】
いくつかの実施形態では、デジタルバイオマーカーは、スワイプ、タップ、及び他のタッチスクリーン活動などのスマートフォン使用におけるパターンから特定され、非限定的な例として、以下のうちの1つ以上に開示されるものを含め、認知及び気分などの主体状態の測定値を提供するように科学的に検証され得、これらの各々は、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる:US2017/0086727、US2017/0258382、US2017/0258383、US2017/0287348、US10/148534、US97/37759、及び/またはUS10/231651。
【0246】
治療前、治療中、及び/または治療後の患者管理のための診断及び/または予後ツールとして機能し得るバイオマーカーは、以下、電話/電子メール/テキストの数及び/または時間、テキスト通信における単語の長さ、使用されたジェスチャー(タップ、スワイプ、またはその他)、ジャイロスコープから得られた情報、例えば、電話の向き、電話の加速度、キーストロークパターン、GPSからの位置から得られた情報、顔の表情及び/またはマイクロ表現、音声もしくはボーカルマーカー、自然言語処理、ソーシャルメディア使用、睡眠パターン、使用もしくは使用されていない特定の単語もしくは絵文字、及び/または同様のもののうちの1つ以上を使用して識別され得る。いくつかの実施形態では、健康コンポーネント及び/または接続された生体モニター及び/またはスマートデバイス/ウェアラブルは、診断及び/または予後出力において使用される情報を収集するために利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、心拍数モニターまたは同様のデバイスは、対象のデータを収集することができ、心拍数変動(例えば、US10058253に開示され、この全体が参照により本明細書に組み込まれる)が、対象の現在の感情状態、感情状態の相対的な変化などに関連する測定基準を評価/決定するために使用することができ、これは、新しいまたは後続の治療計画を決定する、治療計画を調整するなどに使用することができる。
【0247】
本開示のさらなる態様に従い、中枢神経系障害の治療前、治療中、及び/または治療後の対象を評価して、サイロシビン治療またはさらなるサイロシビン治療を提供するかどうかを判定する方法であって、実行機能、認知制御、作業記憶、処理速度、及び感情価に関連する1つ以上のバイオマーカーをモニタリングすることと、転帰に基づいて治療を決定することと、を含む、方法が提供される。この方法は、初めてまたはその後サイロシビンを投与するステップをさらに含むことができる。
【0248】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、スワイプ、タップ、及び他のタッチスクリーン活動などのスマートフォン使用におけるパターンから特定され、認知及び気分の測定値を提供するように科学的に検証される。例えば、いくつかの例では、パターンは、以下、電話/電子メール/テキストの数及び/または時間、テキスト通信における単語の長さ、使用されたジェスチャー(タップ、スワイプ、またはその他)、ジャイロスコープから得られた情報、例えば、電話の向き、電話の加速度、キーストロークパターン、GPSからの位置から得られた情報、顔の表情及び/またはマイクロ表現、音声もしくはボーカルマーカー、自然言語処理、ソーシャルメディア使用、睡眠パターン、使用もしくは使用されていない特定の単語もしくは絵文字、及び/または同様のもののうちの1つ以上を使用して識別され得る。
【0249】
実施形態は、中枢神経系障害の治療前、治療中、及び/または治療後の対象を評価して、サイロシビン治療またはさらなるサイロシビン治療を提供するかどうかを判定する方法であって、実行機能、認知制御、作業記憶、処理速度、及び感情価に関連する1つ以上のバイオマーカーをモニタリングすることと、転帰に基づいて治療を決定することと、を含み、この方法は、サイロシビンを初めてまたはその後投与することをさらに含み得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示は、2人以上の対象を治療することを提供し、この方法は、各対象に、治療有効用量のサイロシビンを同時にまたは実質的に同じ時間に投与する(例えば、互いに数分以内、互いに5、10、15、20、25、または30分以内に投与する)ことを含み、各対象は、治療を受けている他の対象も認識している。いくつかの実施形態では、対象は、同じ部屋にいる。いくつかの実施形態では、対象は、異なる部屋にいる。
【0251】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象を治療する方法であって、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することと、仮想現実/没入型仮想現実感デジタルツールを提供することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、部屋内の光は、薄暗くされ、及び/または光レベルは、比較的低く保たれるか、または調整される。いくつかの実施形態では、暗くされた眼鏡またはアイシェードが、提供される。いくつかの実施形態では、室内照明は、強度及び/または色について調整される。いくつかの実施形態では、仮想現実または拡張現実システム(例えば、ビジュアル/グラフィカル及び聴覚出力を有するコンピュータ)が、使用される。
【0252】
対象
いくつかの実施形態では、対象は、男性である。いくつかの実施形態では、対象は、女性である。いくつかの実施形態では、女性対象は、妊娠中または産後である。いくつかの実施形態では、対象は、抗うつ剤または抗てんかん薬などの医薬品の使用を減少または排除することを試みている。いくつかの実施形態では、対象は、妊娠する前、手術もしくは他の医療処置を受ける前、または異なる医薬品の使用を開始する前に、医薬品の使用を減少または排除しようとしている。
【0253】
対象は、老年対象、小児対象、10代の対象、若年成人の対象、または中年の対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳未満である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約18歳である。いくつかの実施形態では、対象は、約5~10歳、約10~15歳、約15~20歳、約20~25歳、約25~30歳、約30~35歳、約35~40歳、約40~45歳、約45~50歳、約50~55歳、約55~60歳、約60~65歳、約65~70歳、約70~75歳、約75~80歳、約85~90歳、約90~95歳、または約95~100歳である。
【0254】
対象は、慢性疾患または末期疾患を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、生活を変える病気または状態(手足の喪失または失明の発症など)を有し得る。
【0255】
対象は、疾患、障害、または状態と最近診断されている場合がある。例えば、対象は、1カ月以内、3カ月以内、6カ月以内、または1年以内に診断され得る。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも3年、少なくとも5年、または少なくとも10年などの長期間、疾患、障害、または状態を有して生活している場合がある。
【0256】
いくつかの実施形態では、対象は、ステージ4または末期がん患者などのがん患者であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、1年未満、6か月未満、または3か月未満などの限られた生存時間を有すると判定されている場合がある。
【0257】
対象は、サイケデリック薬をこれまでに服用したことがあるか、またはサイケデリック薬物をこれまでに服用したことがなくてもよい。例えば、対象は、サイロシビン、サイロシビンキノコ(「マジックキノコ」)、LSD(リゼルグ酸ジエチルアミドまたは酸)、メスカリン、またはDMT(N,N-ジメチルトリプタミン)をこれまでに服用したことがあっても、服用したことがなくてもよい。
【0258】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上のセロトニン作動性抗うつ剤(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI))をこれまでに服用したことがあってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、セロトニン作動性抗うつ剤をこれまでに服用したことがない。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンを受ける前に、少なくとも2週間、少なくとも4週間、または少なくとも6週間、いかなるセロトニン作動性抗うつ剤も服用していない。
【0259】
いくつかの実施形態では、対象は、電気けいれん療法(ECT)をこれまでに受けたことがあってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、サイロシビンを受ける前に、少なくとも2週間、少なくとも4週間、または少なくとも6週間、いかなるECTも受けたことがない。
【0260】
対象は、対象が特定の医学的療法(SSRIまたはECTなど)を受けることを妨げる医学的状態を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、特定の医学的療法(SSRIまたはECTなど)に対する有害反応をこれまでに有したことがあり得る。いくつかの実施形態では、事前の医学的療法(SSRIまたはECTなど)は、対象における疾患、障害、または状態の治療に有効ではなかった。
【0261】
治療される疾患、障害、及び/または状態
治療を必要とする対象を治療する方法であって、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含む、方法が、本明細書に提供される。
【0262】
本明細書に記載の方法は、種々の疾患、障害、または状態の特定の精神医学的及び神経学的態様を含む疾患、障害、及び状態を治療するために使用され得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンまたはその活性代謝産物を投与することを含み、対象は、以下の疾患、障害、または状態、すなわち重篤気分調節障害、大うつ病性障害(MDD)、治療抵抗性うつ病、持続性抑うつ障害(気分変調症)、月経前不快気分障害、物質/薬剤誘発性抑うつ障害、分娩後うつ病、別の医学的状態に起因する抑うつ障害、分離不安障害、選択的無言症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、物質-薬剤誘発性不安障害、別の医学的状態に起因する不安障害、身体症状障害、病気不安障害(心気症)、転換性障害(機能性神経症状障害)、虚偽性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、適応障害、急性苦痛障害、強迫性障害、身体醜形障害、ホーディング障害、抜毛癖(抜毛)障害、擦りむき(皮膚むしり)障害、物質/薬物誘発性強迫性及び関連障害、別の医学的状態に起因する強迫性及び関連障害、物質関連障害、アルコール関連障害、大麻関連障害、幻覚剤関連障害、吸入剤関連障害、コカイン関連の障害、オピオイド関連障害、鎮静剤関連、睡眠剤関連、または抗不安剤関連障害、刺激剤関連障害、タバコ関連障害、非物質関連障害(ギャンブルまたはゲーム障害)、片頭痛、慢性群発性頭痛などの群発性頭痛、周期的嘔吐、緊張型頭痛、不全失語症、異食症、神経性拒食症、神経性過食症、過食性障害、反抗的行為障害、間欠性爆発性障害、行為障害、反社会的人格障害、精神病質、放火癖、または窃盗癖、のうちの少なくとも1つ以上を有する。
【0264】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象は、以下の疾患、障害、または状態、すなわちアルツハイマー病、レビー小体、外傷性脳損傷、プリオン病、HIV感染症、パーキンソン病、ハンチントン病に起因する神経認知障害、脳震盪、慢性外傷性脳症(CTE)、言語障害、発話障害(音声障害)、小児期発症性流動性障害(吃音)、社会的(実用的)コミュニケーション障害、トゥレット障害、持続性(慢性)運動または声帯チック障害、既知の生理学的状態に起因する健忘障害(おそらくはECTショック抵抗性対象における)、一過性脳虚血発作、脳梗塞、脳出血、進行性多核眼筋麻痺、または逆行性健忘、のうちの少なくとも1つを有する。
【0265】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち自閉症、自閉症スペクトラム障害、または反社会的人格障害、のうちの少なくとも1つを有する。
【0266】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち注意欠陥/多動性障害、他の特定の注意欠陥/多動性障害、または特定されていない注意欠陥/多動性障害、のうちの少なくとも1つを有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち統合失調性(人格)障害、妄想性障害、統合失調症、または統合失調性感情障害、のうちの少なくとも1つを有する。
【0268】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち不眠障害、過眠障害、ナルコレプシー、または原発性中枢性睡眠時無呼吸症、のうちの少なくとも1つを有する。
【0269】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態:統合失調症性人格障害、統合失調症型人格障害、反社会的人格障害、境界性人格障害、または強迫性人格障害、のうちの少なくとも1つを有する。
【0270】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち女性の性的興味/性的興奮障害、男性の性的欲求低下障害、及び過度の性的衝動、のうちの少なくとも1つを有する。
【0271】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち双極性I障害、双極性II障害、または気分循環性障害、のうちの少なくとも1つを有する。
【0272】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち加齢関連聴力損失または耳鳴、のうちの少なくとも1つを有する。
【0273】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち多発性硬化症、脳神経障害、視神経脊髄炎、ベル麻痺、ギランバレー症候群、中枢神経系の脱髄性疾患、または慢性炎症性脱髄性多発神経炎、のうちの少なくとも1つを有する。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象は、幻想痛、慢性痛、または別の疾患もしくは障害と関連する疼痛などの疼痛に苦しんでいる。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象が、以下の疾患、障害、または状態、すなわち脊髄症、外傷性脳損傷、知的障害、躁病、神経変性、性的倒錯障害(例えば、小児性愛障害)、自殺行動障害、非自殺性自傷行為障害、持続性複雑死障害、胃腸管関連疾患(例えば、IBS)、てんかん、鎌状赤血球病、ロックイン症候群、レストレスレッグス症候群、脳卒中(虚血性脳卒中もしくは出血性脳卒中など)、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)、のうちの少なくとも1つを有する。
【0276】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、投与後、対象は、認知の改善を示す。いくつかの実施形態では、認識の改善は、注意、エピソード記憶、作業記憶、空間記憶、社会的認知、実行機能、及び/または認知の柔軟性の改善である。
【0277】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象は、治療抵抗性うつ病(TRD)を有する。
【0278】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効用量のサイロシビンを投与することを含み、対象は、大うつ病性障害(MDD)を有する。
【0279】
前治療及び併用療法
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象にサイロシビンを投与することを含む治療方法は、サイロシビンの投与前に、対象をマグネシウムで前治療することをさらに含む。場合によっては、マグネシウムは、サイロシビンの投与前、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間、毎日投与される。いくつかの実施形態では、1日あたり約10mg~約500mgのマグネシウムが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1日あたり約30mg、約75mg、約80mg、約130mg、約240mg、約310mg、約320mg、約360mg、約410mg、約400mg、または約420mgが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、マグネシウムは、サイロシビンと同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、マグネシウムは、サイロシビンの投与の直前、同時に、または直後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、マグネシウムサプリメントは、対象のマグネシウムの血中濃度が約1.5~約2.5mEq/Lであるまで対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象のマグネシウムの血中濃度が約1.5~約2.5mEq/L未満である場合、サイロシビンは、対象に投与されない。
【0280】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象にサイロシビンを投与することを含む治療方法は、サイロシビンの投与前に、対象をナイアシンで前治療することをさらに含む。場合によっては、ナイアシンは、サイロシビンの投与前、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間、毎日投与される。いくつかの実施形態では、1日あたり約1mg~約5,000mg、例えば、約1mg~約50mg、約10mg~約100mg、約100mg~約200mg、約1mg~約200mg、約100mg~約200mg、約10mg~約50mg、約10mg~約35mg、約100mg~約500mg、または約1,000mg~約3,000mgのナイアシンが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1日あたり約10mg、約14mg、約15mg、約16mg、約20mg、約30mg、約35mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1500mg、約2000mg、約2500mg、または約3000mgのナイアシンが、対象に投与される(同時に、過剰のナイアシンからのいかなる毒性曝露を回避する)。いくつかの実施形態では、ナイアシンは、成分/要素として、例えば、乱用のリスクを低減する及び/または有効性を改善するために含まれる。いくつかの実施形態では、ナイアシンは、サイロシビンと同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、ナイアシンは、サイロシビンの投与の直前、同時に、または直後に対象に投与される。
【0281】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、1つ以上の追加の療法剤と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、SSRI、三環式抗うつ剤(TCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、またはセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)などの1つ以上の抗うつ剤または抗不安薬と組み合わせて対象に投与される。
【0282】
いくつかの実施形態では、サイロシビンは、SSRIと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、ビラゾドン、パロキセチンまたはシタロプラムと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、サイロシビンは、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、ビラゾドン(vilazadone)またはボルチオキセチンと組み合わせて対象に投与される。
【0283】
いくつかの実施形態では、約25mgのサイロシビンが、SSRIと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、約25mgのサイロシビンが、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、ビラゾドン、パロキセチンまたはシタロプラムと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態では、約25mgのサイロシビンが、エスシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、ビラゾドン(vilazadone)またはボルチオキセチンと組み合わせて対象に投与される。
【0284】
いくつかの実施形態では、本開示は、サイロシビンによる治療を受ける対象における不安を低減する方法を提供し、本方法は、対象に、i)サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体、及びii)1つ以上のベンゾジアゼピン類を投与することを含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、対象に、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体と同時に、またはそれとほぼ同時に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体の投与前に、例えば、対象に、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体の投与の約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約150分、または約180分前に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体の投与後に、例えば、対象に、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体の投与から約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約150分、または約180分後に投与される。
【0286】
いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、典型的な用量の約10%、20%、25%、30%、40%、50%、または75%などの不安を治療するために典型的に使用される用量よりも低い用量で投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、不安を治療するために典型的に使用される用量とほぼ等しい用量で投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、典型的な用量の約125%、150%、175%、200%、250%、または300%などの不安を治療するために典型的に使用される用量よりも高い用量で投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上のベンゾジアゼピン類が、対象に経口投与される。
【0287】
いくつかの実施形態では、ベンゾジアゼピン類は、アジナゾラム、アルプラゾラム、ベンタゼパム、ブレタゼニル、ブロマゼパム、ブロチゾラム、カマゼパム、クロルジアゼポキシド、シナゼパム、シノラゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロナゾラム、クロラゼパート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、デロラゼパム、デスクロロエチゾラム、ジアゼパム、ジクラゼパム、エスタゾラム、カルフルゼプ酸エチル、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フルアルプラゾラム、フルブロマゼパム、フルブロマゾラム、フルクロチゾラム、フルニトラゼパム、フルニトラゾラム、フルラゼパム、フルタゾラム、フルトプラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メクロナゼパム、メダゼパム、メチゾラム、メキサゾラム、ミダゾラム、ニフォキシパム、ニメタゼパム、ニテマゼパム、ニトラゼパム、ニトラゾラム、ノルジアゼパム、ノルフルラゼパム、オキサゼパム、フェナゼパム、ピナゼパム、プラゼパム、プレマゼパム(premazepam)、ピラゾラム、クアゼパム、リルマザフォン、テマゼパム、テトラゼパム、及びトリアゾラムからなる群から選択される。
【0288】
ある特定の実施形態では、患者は、本明細書に記載のサイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体を、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストと共に投与される。いくつかの実施形態では、患者は、サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体、ならびに1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストを同時に投与される。他の実施形態では、患者は、サイロシビン投与前、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約150分、または約180分などであるが、これらに限定されない、サイロシビン投与前に、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストを投与される。いくつかの実施形態では、患者は、サイロシビン投与後、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約150分、または約180分などであるが、これらに限定されない、サイロシビン投与後に、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストを投与される。
【0289】
ある特定の実施形態では、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストは、典型的に使用される用量よりも低い用量、例えば、典型的な用量の約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、または約75%で投与される。他の実施形態では、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストは、典型的に使用される用量と同等である用量で投与される。さらに他の実施形態では、1つ以上の5-HT2A特異的アンタゴニスト及び/または逆アゴニストは、典型的に使用される用量よりも高い用量、例えば、典型的な用量の約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、または約300%で投与される。
【0290】
適切な5-HT2Aアンタゴニストには、トラゾドン、ミルタザピン、メーターゴリン、ケタンセリン、リタンセリン、ネファゾドン、クロザピン、オランザピン、ケチアピン、リスペリドン、アセナピン、MDL-100907、シプロヘプタジン、ピゾチフェン、LY-367,265、2-アルキル-4-アリール-テトラヒドロ-ピリミド-アゼピン、9-アミノメチル-9,10-ジヒドロアントラセン(AMDA)、ハロペリドール、クロルプロマジン、ヒドロキシジン(アタラックス)、5-MeO-NBpBrT、ナイアプラジン、アルタンセリン、アリピプラゾール、エトペリドン、セトペロン、クロルプロチキセン、シナセリン、アダタンセリン、メディフォックスアミン、ラウウォルシン、フェノキシベンザミン、プルバンセリン、デラムシクラン、ネロタンセリン、ルバゾドン、メピプラゾール、キシラミジン、R-(+)-アルファ-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-[2-(4-フルオロフェネチル)]-4-ピペリジンメタノール(M100907)、ミアンセリン、AT 1015、DV 7028、エプリバンセリン、4F 4PP、ファナセリン、アルファ-フェニル-1-(2-フェニルエチル)-4-ピペリジンメタノール(MDL 11,939)、メルペロン、メスレルギン、パリペリドン、1-[2-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-1-イル)エチル]-4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン二塩酸塩(PNU 96415E)、(2R,4R)-5-[2-[2-[2-(3-メトキシフェニル)エチル]フェノキシ]エチル]-1-メチル-3-ピロリジノール(R-96544)、サルポグレラート、スピペロン、ジプラシドン、ゾテピン、及び7-[[4-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-1-ピペラジニル]カルボニル]-1H-インドール-3-カルボニトリル(EMD281014)が含まれるが、これらに限定されない。
【0291】
好適な5-HT2A逆アゴニストには、AC-90179、ネロタンセリン(APD-125)、エプリバンセリン、ピマバンセリン(ACP-103)、及びボリナセリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0292】
ある特定の実施形態では、5-HT
2Aアンタゴニストは、表Iの化合物から選択される。
【表7】
【0293】
いくつかの実施形態では、本開示は、サイロシビンによる治療を受ける患者における外傷性サイケデリック経験に関連する負の副作用を軽減する方法を提供し、本方法は、患者に、i)サイロシビンまたはその前駆体もしくは誘導体、及びii)1つ以上のカンナビノイドまたはカンナビノイド誘導体を投与することを含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、THC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビジオール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロル)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、及びCBT(カンナビシトラン)からなる群から選択される。特定の実施形態では、カンナビノイドは、CBD(カンナビジオール)である。
【0295】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、サイロシビンの投与から24時間以内に緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与から1週間以内に緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与から1か月以内に緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与から6か月以内に緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与から12か月以内に緩和される。
【0296】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、サイロシビンを投与した後少なくとも1か月間緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与後少なくとも3か月間緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与後少なくとも6か月間緩和される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状は、投与後少なくとも12か月間緩和される。
【0297】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与前、疾患、障害、または状態を治療するための他の治療は、対象に施されない。いくつかの実施形態では、サイロシビンの投与後、疾患、障害、または状態を治療するための他の治療は、対象に施されない。
【0298】
サイロシビンの安全性及び有効性
本開示はまた、本明細書に開示されるようなサイロシビンの使用の安全性及び有効性に関する。以下は、本明細書で開示されるように、本明細書で開示されるように投与された、本明細書で開示されるように、サイロシビン、特にサイロシビン製剤の効果を決定するために使用することができる試験の非網羅的なリストである。
【0299】
いくつかの実施形態では、空間作業記憶(SWM)試験は、本明細書に開示されるようなサイロシビンの安全性及び有効性を評価するために利用される。SWMは、空間視覚情報の保持及び操作を必要とする。被験者は、画面上の「ボックス」で青いトークンを見つける必要がある。ボックスにトークンが含まれているかどうかを判断するために、それらに触れることによって検索される。トークンが見つかると、それは画面右側の列に「積み重ね」される。被験者は、すべてが位置するまでさらにトークンを検索する。その後、残りのトークンは、これまでにトークンを得ていないボックスにのみ見つかる。被験者は、そのようであることを明示的に伝えられ、トークンが見つかったボックスを再訪すると、この試験の通常の主要指標である「間のエラー」を犯したこととなる。同じ検索で被験者がボックスを再訪した場合は、「内」エラーとしてスコアが付けられる。多くの被験者は、ボックスの配列を体系的に検索する検索戦略を採用する。これはまた、ケンブリッジ神経心理試験自動バッテリーシステムによってスコア化され、「戦略」スコアが得られる。SWMのパフォーマンスは、前頭前皮質、特に背側前頭皮質の損傷によって損なわれる。同様に、健康なボランティアの神経画像診断研究では、SWMのパフォーマンスは、背側及び腹側前頭前皮質の活性化に関連している。この試験は、完了するまで約4分を要する。
【0300】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの有効性は、エラー間の空間作業記憶(SWMBE)スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のSWMBEスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0301】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの有効性は、空間作業記憶戦略(SWMS)スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のSWMSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0302】
いくつかの実施形態では、急速視覚情報処理(RVP)試験が、サイロシビンの安全性及び有効性を評価するために利用される。RVPは、応答精度、目標感度、及び反応時間の測定値を出力する持続的な注意の尺度である。この試験では、被験者は、特定の配列(例えば、3-5-7)について2~9桁の数字のストリームを監視し、第3の数字の提示後に画面上の応答ボタンにできるだけ早く触れることによって、配列の検出を確認する必要がある。数字を擬似的に提示して、配列の最初の2桁が真の標的に続かない「誤報」応答の可能性を作り出す。例えば、3が5に続くが、次いで7に続かない場合である。課題を正常に完了するためには、被験者は、数字が表示されるホワイトボックスに注意を継続して払う必要がある。このタスクの成績は、標的の最終桁の提示に対する応答の速度、ならびに被験者の特定の配列を検出する能力によって測定される。この試験は、完了するまで約7分を要する。いくつかの実施形態では、急速視覚情報処理試験の成績は、RVP A Prime(RPVA)スコアを使用して報告される。より高いRVPAスコアは、より良好な成績を示した。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のRVPAスコアが、治療前と比較して、約5%~約300%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上増加する。
【0303】
いくつかの実施形態では、対連合学習(PAL)試験が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。PALタスクは、視覚空間記憶の尺度であり、被験者は、視覚刺激が位置する場所を記憶することを要求される。ボックスが画面上に表示され、ランダムな順序で「開く」。それらのうちの1つ以上にはパターンが含まれる。次いで、パターンが画面の中央に一度に表示され、被験者は、パターンが元々位置されていたボックスを選択する必要がある。被験者が間違うと、パターンの場所を被験者に再通知するために、ボックスが再び順番に開かれる。より高い難易度を、高機能で健康な個人を試験するために使用することができる。この試験の主要な指標は、エラーの発生数である。この試験は、完了するまで約8分を要する。PAL試験の成功は、側頭葉、特に内嗅皮質の機能的統合性に依存する。いくつかの実施形態では、対連合学習総エラー(調整)(PALTEA)スコアが、サイロシビンの有効性を評価するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のPALTEAスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0304】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの有効性及び/または安全性は、認識の柔軟性パネル試験を使用して評価される。
【0305】
いくつかの実施形態では、感情認識タスク(ERT)試験が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。ERTは、連続して異なる大きさの表情に沿って、表情における6つの基本的な感情を識別する能力を測定する。いくつかの実施形態では、ERTは、以下のプロトコルに従って実施される。被験者は、画面上で、一度に1つずつ、特定の感情を示す実際の個人の顔の特徴に由来するコンピュータによって形作られた画像を示す。各顔は、200ミリ秒間表示され、次いで直ちに覆い隠され、被験者は、6つの選択肢(幸せ、悲しみ、怒り、恐怖、驚き、嫌悪)からどの顔が表示されるかを選択する必要がある。被験者が行った正しい応答(感情選択)のERT正答パーセント(ERTPC)を評価する。より高いスコアは、より良好な成績を示す。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のERTPCが、治療前と比較して、約5%~約300%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上増加する。
【0306】
いくつかの実施形態では、内外次元セットシフト(IED)試験が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。IEDは、4つの7項目のサブスケールで構成され、それぞれがグローバルコンセプト「共感」の個別の側面をタップする。いくつかの実施形態では、内外次元セットシフト総エラー(IEDYERT)スコアが、サイロシビンの有効性を評価するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のIEDYERTスコアが、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少する。
【0307】
いくつかの実施形態では、ケンブリッジ試験のワンタッチストッキング(OTS)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。OTSは、ハノイの塔試験に基づく実行機能の試験である。それは、空間計画と作業記憶サブドメインの両方を評価する。この試験は、実行するまで約10分を要する。OTS試験は、第一選択で解決されたケンブリッジの問題のワンタッチストッキング(OTSPSFC)スコアを報告する。より高いOTSPSFCスコアは、より良好な実行機能と関連する。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のOTSPSFCスコアが、治療前と比較して、約5%~約300%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上増加する。
【0308】
いくつかの実施形態では、言語流暢性が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。言語流暢性試験では、被験者は、繰り返しなどの特定のスコアルールに従って、1分でできる限り多くの異なるカテゴリーの例(例えば、「動物」)の名前を挙げるように求められる。この試験の実行の成功は、いくつかの認識能力の完全性、特に計画及び作業記憶など、従来は実行機能とみなされていたものに依存する。この試験の主要な指標は、生成された許容できる単語の総数である。いくつかの実施形態では、サイロシビンによる治療後、被験者の言語流暢性カテゴリースコアが、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上改善させる。
【0309】
いくつかの実施形態では、ディジットスパンフォワード(DSF)試験が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。DSFは、数値記憶容量を測定するために使用される。被験者は、一連の桁の配列を聞き、各試行で長さが漸増する配列が試験されて、配列を正しく想起するようにタスクを課される。被験者のスパンは、正確に記憶することができる最長の連続桁数である。ディジットスパンタスクは、前方または後方に与えることができ、これは、配列が提示されると、被験者に、通常または逆の順序で配列を思い出すように求めることを意味する。この試験では、被験者に、提示された順序、すなわち、ディジットスパンフォワードの順序で配列を思い出すように求められる。この試験の主要な指標は、正常に思い出された数字列の数である。いくつかの実施形態では、サイロシビンによる治療後、被験者のディジットスパンフォワードスコアが、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上改善させる。
【0310】
いくつかの実施形態では、5次元変性意識状態質問票(5D-ASC)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。5D-ASCは、5つの主要な次元及び11の低次スケールを使用して、急性薬物効果を測定し、環境及び思考障害に関連する自己の気分、知覚、及び経験の変化を評価する。5次元には、大洋無限性、不安自我消滅、視覚的再構造、聴覚の変化、及び警戒の低減が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者は、治療前と比較して、次元またはサブスケールでの増加を経験する。低次のスケールには、「統一の経験」、「精神的経験」、「幸福に満ちた状態」、「洞察力」、「実施不能」、「認知の制御障害」、「不安」、「複雑なイメージ」、「基本的なイメージ」、「聴覚-視覚の共感覚」、及び「知覚の意味の変更」が含まれる。いくつかの実施形態では、その増加は、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上である。
【0311】
いくつかの実施形態では、正及び負の情動スケジュール(PANAS)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。PANASは、急性の感情的薬物効果を測定し、正及び負の情動を測定する2つの気分スケールを含む。正の情動は、プラスの感情を経験し、他者と肯定的にやりとりする傾向を指す。負の情動は、より否定的な方法で世界を経験することを含む。被験者は、負の情動に関連する10の質問に回答し、正の情動に関連する10の質問に回答する。質問は、「わずかにまたはまったく(1)」から「非常に(5)」までの5段階のスケールを使用してスケールされる。正の情動を与える質問の総合的なスコアが高いほど正の情動があることを示し、負の情動を与える質問のスコアが低いほど負の情動が少ないことを示す。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者は、治療前と比較して、PANASの負の情動スコアの約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の減少を経験する。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者は、治療前と比較して、PANASの正の情動スコアの約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上の増加を経験する。
【0312】
いくつかの実施形態では、NEO-5因子インベントリ(NEO-FFI)試験が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。NEO-FFIは、神経症的傾向、外向性、開放性、調和性、及び誠実性の5つの広範な人格領域を評価する。
【0313】
いくつかの実施形態では、症状チェックリスト-90項目(SCL-90)質問票が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。SCL-90は、精神病理学の幅広い精神的問題及び症状を評価するために設計された比較的短い自己報告型精神測定手段である。いくつかの実施形態では、SCL-90は、本開示の方法に従って治療された被験者の身体化、強迫神経症行動、対人感受性、うつ病、不安、敵意、恐怖性不安障害、妄想性観念、及び精神病傾向を評価するために使用される。質問票の90項目を5点のLikertスケールでスコア化し、基準時間中の症状の発生率を示す。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のSCL-90スコアは、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少する。
【0314】
いくつかの実施形態では、ライフチェンジインベントリ(LCI)質問票が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。LCIは、知的能力の安定性または低下のいずれかに関連し得る成人の日々の経験に存在する変数を調査するための質問票として設計されている。
【0315】
いくつかの実施形態では、社会的認知パネルスケールが、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。社会的認知パネルスケールは、絵画共感性テスト(PET)、目から心を読むテスト(RMET)、社会的価値志向性(SVO)テスト、トロント共感質問票(TEQ)、及び社会的責任スケール(SSR)を含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、絵画共感性テスト(PET)が、情動的共感に対するサイロシビンの効果を評価するために利用される。
【0317】
いくつかの実施形態では、目から心を読むテスト(RMET)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。RMETには36の項目があり、被験者は、顔の目の領域の写真を提示され、写真に写った人の精神状態を説明するために4つの形容詞またはフレーズから1つを選択する必要がある。タスクの最初に定義配布資料が提供され、最初の試験に先立って練習項目が提供される。
【0318】
いくつかの実施形態では、社会的価値志向性(SVO)テストが、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。SVOスライダー標準尺度には、6つの主要項目及び9つの二次(及びオプション)項目がある。項目はすべて、同じ一般的な形態を有する。各項目は、明確な一連の共同ペイオフに対するリソース割り当ての選択肢である。
【0319】
いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者の社会的認知パネルスケールスコア(すなわち、PET、RMET、SVO、TEQ、及び/またはSSRスコア)のうちの1つ以上が、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、約300%、またはそれ以上増加する。
【0320】
いくつかの実施形態では、トロント共感質問票(TEQ)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。TEQは、主に情緒的プロセスとしての共感を表す。TEQは、良好な内部的な一貫性及び高い試験・再試験信頼度を示す。TEQは、共感の評価のための簡潔で信頼性の高い有効なツールである。いくつかの実施形態では、本開示の方法による治療後、被験者のTEQスコアが、治療前と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、約300%、またはそれ以上増加する。
【0321】
いくつかの実施形態では、社会的責任スケール(SSR)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。SSRは、倫理及び社会的責任の重要性に関する認識を測定する。
【0322】
いくつかの実施形態では、シーハン自殺傾向追跡スケール(SSTS)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。SSTSは、「まったく」(0)から「非常に」までの範囲で、Likert型(0~4)の自殺傾向現象の重症度を評価する16項目のスケールである。SSTSは、主要な現象の頻度及び自殺傾向に費やされた全治療期間を評価する。
【0323】
いくつかの実施形態では、精神疾患簡易構造化面接法(Mini International Neuropsychiatric Interview)(MINI)(バージョン7.0.2)が、サイロシビンの安全性及び有効性を評価するために利用される。MINIは、DSM-5及び国際疾病分類10における主軸I精神障害のための簡潔な構造化面接法である。いくつかの実施形態では、MINIは、障害を有する被験者を診断するために使用される。
【0324】
いくつかの実施形態では、境界性人格障害のためのMcLeanスクリーニング手段(MSIBPD)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。MSIBPDは、DMS-IV境界性人格障害の存在を特定するための有用なスクリーニングツールである。
【0325】
いくつかの実施形態では、Tellegen没頭スケールが、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。Tellegen没頭スケールは、想像活動への関与(imaginative involvement)及び日常の活動に精神的に没頭する傾向を評価する34項目の多次元スケールである。
【0326】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの安全性及び/または有効性は、身体検査によって評価される。身体検査には、皮膚、首、目、耳、鼻、喉、心臓、肺、腹部、リンパ節、四肢、及び筋骨格系の検査を含む、被験者の一般的な外観の検査が含まれるが、これらに限定されない。
【0327】
いくつかの実施形態では、被験者の体重及び身長が、評価される。いくつかの実施形態では、体格指数が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。
【0328】
いくつかの実施形態では、心電図(ECG)が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。いくつかの実施形態では、標準的な12誘導ECGが取得される。
【0329】
いくつかの実施形態では、被験者のバイタルサインが、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために使用される。バイタルサインには、血圧(BP)、呼吸数、口腔体温、及び脈拍が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、血圧は、被験者が少なくとも3分間座り込んだ後に測定される。
【0330】
いくつかの実施形態では、臨床検査が、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価するために利用される。いくつかの実施形態では、臨床検査は、血液試料及び/または尿試料を含む。いくつかの実施形態では、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球体積、平均赤血球ヘモグロビン濃度、白血球数(示差あり)及び血小板数を測定して、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価する。いくつかの実施形態では、アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、重炭酸塩、ビリルビン(直接的、間接的及び総)、カルシウム、塩化物、クレアチンキナーゼ、クレアチニン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、グルコース、乳酸脱水素酵素、リパーゼ、マグネシウム、リン酸塩、カリウム、タンパク質総量、ナトリウム、血液尿素窒素、及び/または尿酸を測定して、サイロシビンの安全性及び/または有効性を評価する。
【0331】
いくつかの実施形態では、尿が、妊娠及び/または違法薬物について試験される。
【0332】
いくつかの実施形態では、サイロシビンの安全性及び/または有効性は、有害事象を測定することによって評価される。有害事象は、軽度、中等度、または重度として分類される。軽度の有害事象は、被験者の正常な機能レベルを著しく妨げるものではない。中等度の有害事象は、いくつかの機能障害を引き起こすが、被験者の健康にとっては危険ではない。重篤な有害事象は、著しい機能障害または機能不全を生じさせ、被験者の健康に確実な危険をもたらす。有害事象には、例えば、多幸気分、解離性障害、幻覚、精神病性障害、認知障害、注意障害、気分の変容、精神運動技能障害、不適切な情動、過剰摂取、及び意図的な製品誤用が含まれ得る。いくつかの実施形態では、重篤な有害事象には、死亡、生命を脅かす有害事象、入院患者の入院または現在の入院の延長、永続的または顕著な身体障害/無能力、及びサイロシビンを受けた被験者の子孫における先天異常/出生異常が含まれる。いくつかの実施形態では、重篤な有害事象は、緊急治療室もしくは自宅での集中治療を要するアレルギー性気管支けいれん、入院患者の入院治療には至らない血液疾患もしくはけいれん、または薬物依存症もしくは薬物乱用の発生が含まれる。
【0333】
うつ病評価
いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状が、本明細書に記載の方法で治療する前、治療中、または治療後に、対象において測定される。いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状は、日記評価、臨床医または介護士による評価、臨床評価スケール、画像検査、血液またはCSF検査に従って測定される。
【0334】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、神経心理学的評価または臨床評価スケールを使用して測定される。いくつかの実施形態では、神経心理学的評価または臨床評価スケールは、ハミルトンうつ病評価スケール、臨床グローバル印象(CGI)スケール、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)、Beckうつ病評価尺度(BDI)、Zung自己評価うつ病スケール、Raskinうつ病評価スケール、抑うつ症状評価尺度(IDS)、簡易抑うつ症状評価尺度(QIDS)、コロンビア自殺重症度評価スケール、または自殺念慮属性スケールである。
【0335】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、ハミルトンうつ病評価(HAM-D)スケールを使用して測定される。HAM-Dスケールは、治療前、治療中、治療後のうつ病の重症度を測定する17項目のスケールである。採点は、17項目に基づいており、通常、面接を完了して結果を採点するのに15~20分要する。0=存在しないから4=重度までの5段階評価で8項目をスコア化する。0=存在しないから2=重度までの3段階評価で9項目をスコア化する。10~13のスコアは、軽度のうつ病を示し、14~17のスコアは、軽度から中等度のうつ病を示し、17を超えるスコアは、中等度から重度のうつ病を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のHAM-Dスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0336】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、臨床グローバル印象(CGI)スケールを使用して測定される。CGIスケールは、疾患重症度、全般的改善または変化、及び治療応答を測定する3項目のスケールである。CGIは、7段階評価で評価され、疾患の重症度が1(正常)から7(最も重症の対象の間で)までの様々な範囲の応答を使用して測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のCGIスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0337】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)を使用して測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のCGI-Sスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0338】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、臨床グローバル印象スケール-改善度(CGI-I)を使用して測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のCGI-Iスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0339】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)を使用して測定される。MADRSスケールは、うつ病の主な症状を測定する10項目のスケールである。項目のうちの9項目は、患者の報告に基づき、1項は、評価面接中の評価者の観察に基づく。7~19のスコアは、軽度のうつ病を示し、20~34のスコアは、中等度のうつ病を示し、34を超えるスコアは、重度のうつ病を示す。MADRS項目は、0=異常なし、及び6=重度の異常、とする0~6の連続した範囲で評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のMADRSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0340】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のMADRSスコアが、治療前と比較して少なくとも約50%減少する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のMADRSスコアが、治療前と比較して、5~約20点、例えば、約5点、約6点、約7点、約8点、約9点、約10点、約11点、約12点、約13点、約14点、約15点、約16点、約17点、約18点、約19点及び約20点減少する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のMADRSスコアが、10点以下である(つまり、治療された対象は、MADRS寛解者である)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のMADRSスコアは、少なくとも約3週間~約12週間、例えば、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間及び約12週間にわたって、10点以下である。
【0341】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、Beckうつ病評価尺度(BDI)を使用して測定される。BDIは、うつ病の特徴的な態度及び症状を測定する21項目の自己報告評価尺度である。これらの項目は、0=異常なし、及び3=重度の異常があるという0~3の連続範囲で評価される。17~20のスコアは、境界臨床的うつ病を示し、21~30のスコアは、中等度のうつ病を示し、31~40のスコアは、重度のうつ病を示し、40を超えるスコアは、極度のうつ病を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のBDIスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0342】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、Zung自己評価うつ病スケールを使用して測定される。Zung自己評価うつ病スケールは、うつ病に関連する心理的及び身体的症状を測定する20項目の自己報告質問票である。質問票は、完了するまでに約10分を要し、項目には、肯定的な記述及び否定的な記述の両方が入っている。各項目は、1~4のLikertスケールでスコア化される。合計スコアは、個々の項目スコアを合計することによって得られ、20~80の範囲である。ほとんどのうつ病患者のスコアは、50~69であるが、70以上のスコアは、重度の抑うつを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のZung自己評価うつ病スコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0343】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、Raskinうつ病評価スケールを使用して測定される。Raskinうつ病評価スケールは、うつ病のベースラインレベル、及び経時的なうつ病重症度の変化を測定する。各項目は、1=まったくなしから5=非常に多いという1~5の範囲のスケールでスコア化される。合計スコアは、個々の項目スコアを合計することによって得られ、9以上のスコアは、中等度のうつ病を表す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のRaskinうつ病評価スケールスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0344】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、抑うつ症状評価尺度(IDS)を使用して測定される。IDSは、うつ病の兆候及び症状を測定する30項目の評価尺度である。各項目は、0=病状なし、3=重度の病状という0~3のスケールでスコア化される。合計スコアは、個々の項目のスコアを合計することによって得られ、26~38のスコアは、軽度のうつ病を示し、39~48のスコアは、中等度のうつ病を示し、49以上のスコアは、重度のうつ病を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のIDSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0345】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、簡易抑うつ症状評価尺度(QIDS)を使用して測定される。QIDSは、うつ病の兆候と症状を測定する16項目の評価尺度である。各項目は、0=病状なし、3=重度の病状という0~3のスケールでスコア化される。合計スコアは、個々の項目のスコアを合計することによって得られ、11~15のスコアは、中等度のうつ病を示し、16~20のスコアは、重度のうつ病を示し、21以上のスコアは、非常に重度のうつ病を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のQIDSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0346】
いくつかの実施形態では、対象のうつ病の兆候または症状が、ヤングマニア評価スケール(YMRS)を使用して測定される。YMRSは、躁病の兆候及び症状を測定する11項目の評価尺度である。0=存在しないから8=重度までの範囲の0~8のスケールで採点される4項目がある。残りの7項目は、0=存在しないから4=重度までの範囲の0~4のスケールで採点される。合計スコアは、個々の項目のスコアを合計することによって得られ、9~15のスコアは、軽度の躁病を示し、16~25のスコアは、中等度の躁病を示し、26以上のスコアは、重度の躁病を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のYMRSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0347】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)を使用して測定される。C-SSRSは、自殺念慮及び行動の重症度を測定する。スケールには、10個の二者択一質問(いいえ=0ポイント、はい=1ポイント)が含まれ、各質問は、対象の自殺念慮の重症度及び行動の異なる構成要素に対応する。対象は、10の質問のうちのいずれかに「はい」と答えた場合、自殺念慮及び/または行動を有するとみなされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のC-SSRSスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0348】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、自殺念慮属性スケール(SIDAS)を使用して測定される。SIDASは、自殺の考えの有無及び重症度を測定する。このスケールには、0=決してない、10=常にという10段階の尺度で測定される5つの質問が含まれる。合計スコアは、5つの項目の合計として計算され、0~50の範囲である。21以上のスコアは、自殺行動のリスクが高いことを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、対象のSIDASスコアが、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0349】
いくつかの実施形態では、うつ病を有する対象における兆候または症状が、Spielbergerの特質及び不安インベントリ、全般性不安障害7項目スケール、Warwick-Edinburghメンタルウェルビーイングスケール、Flourishingスケール、Snaith Hamilton快感消失喜びスケール、ライフオリエンテーションテスト、人生の意義質問票、ブリーフレジリエンススケール、非機能的態度スケール、44項目のビッグファイブインベントリ、ピーターズ21項目の妄想インベントリ、異常な自己経験の検査、考え込み型反応スケール、シロクマ抑制インベントリ、バレット衝動性スケール、簡易の体験的回避質問票、改変Tellegen没頭質問票、治療的関係を評価するためのスケール、信頼性/期待度質問票、自然とのつながりスケール、政治的展望質問票、社会的つながりスケール、Bech-Rafaelsenマニア評価スケール、改訂されたSanta Clara簡潔な思いやりスケール、感謝の質問票、短い推奨度スケール、Rosenberg自尊心スケール、精神的超越スケールの普遍性サブスケール、抗うつ剤の感情的な副作用に関するオックスフォード質問票、Lauks感情強度スケール、性機能障害質問票、女性の性機能の簡潔な指標、性認識質問票、Barnes Akathisia評価スケール、作業生産性及び活動障害質問票、仕事及び社会的適応度スケール、つながり質問票、人格の標準評価、陽性及び陰性症候群スケール、マスタリーインサイトスケール、自己省察(Self-Reflection)及びインサイトスケール、心理学的インサイトスケール、形而上学的信念質問票、スピリチュアルバイパス(Spiritual Bypassing)スケール、有害な幼少期経験質問票、治療音楽体験質問票、設定質問票、音楽没頭スケール、サイケデリック予測因子(Psychedelic Predictor)スケール、降伏スケール、EuroQOL-5次元-3レベルスケール、またはこれらの任意の組み合わせを使用して測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、上記の評価のうちのいずれかを使用して測定されるうつ病の兆候または症状が、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0350】
いくつかの実施形態では、対象におけるうつ病の兆候または症状が、本明細書に記載の方法での治療の前、間、または後に、画像検査を使用して測定される。いくつかの実施形態では、画像検査は、CTスキャンである。いくつかの実施形態では、画像検査は、機能的MRIスキャンである。いくつかの実施形態では、機能的MRIスキャンは、脳活動及び/または機能的接続性の指標として血中酸素レベル依存性(BOLD)反応を測定する。いくつかの実施形態では、BOLD反応は、安静状態で、感情的な顔に応答して、または音楽に応答して対象において測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、脳の領域内のBOLD反応が、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、扁桃体内のBOLD反応が、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上増加する。他の実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、脳の領域内のBOLD反応が、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療後、扁桃体内のBOLD反応が、治療前と比較して、約5%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もしくはそれ以上減少する。
【0351】
いくつかの実施形態では、うつ病の兆候または症状が、血液または脳脊髄液中のうつ病のマーカーを使用して測定される。いくつかの実施形態では、うつ病のマーカーは、本明細書に記載の方法または組成物による治療の前、治療中、または治療後に対象において測定される。いくつかの実施形態では、うつ病のマーカーは、赤血球葉酸塩、血清葉酸塩、ビタミンB12、血漿ホモシステイン、血清メチル葉酸塩、及び/または脳由来神経栄養因子(BDNF)Val66Met、骨形態遺伝子タンパク質rs41271330、及び/または5-HTTLPR多型のうちの1つ以上の試験である。いくつかの実施形態では、うつ病のマーカーが、治療前と比較して、約5%~約300%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上減少する。他の実施形態では、うつ病のマーカーが、治療前と比較して、約5%~約300%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、または約300%もしくはそれ以上増加する。
【実施例】
【0352】
以下の実施例は、例示説明目的のみのために本明細書において含まれ、限定することは意図されない。
【0353】
実施例1-製剤開発
表1は、臨床用途のために開発されたサイロシビンのカプセル剤配合組成を示す。これらのカプセル剤配合組成は、WIPO特許出願公開第2022/207746号に記載される流動性、混和均一性、内容物均一性及び溶解性を向上させるように最適化されたものであり、参照によりその内容の全体が本明細書に援用される。
【表8】
【0354】
実施例2-治療抵抗性うつ病を有する参加者における補助療法としてのサイロシビンについて調べる臨床試験
TRDを有する参加者における補助療法としての、25mg COMP360の有効性を探究した。
【0355】
試験は、第IIb相、国際多施設共同、固定用量、非盲検試験であった。試験集団は、18歳以上のTRDを有する成人男性及び女性を含んでいた。TRDを有する参加者は、精神病性特徴を伴わない大うつ病性障害(MDD)の単発または再発エピソードについて精神障害の診断及び統計の手引(第5版;DSM-5)の診断基準を満たし、現在のエピソードに対して2、3または4種類の適切な用量及び期間の薬理学的治療が奏効しなかった者と定義される。現在のエピソードの持続時間は、少なくとも3か月でなければならず、但し、2年以下でなければならない。
【0356】
参加者は外来患者とし、主に総合診療医及び専門の精神科サービスからの紹介によって採用されるものとする。
【0357】
被験者は、精神疾患簡易構造化面接法バージョン7.0.2(MINI 7.0.2)、Hamiltonうつ病評価スケール(17項目;HAM-D-17)、Massachusetts総合病院抗うつ剤治療歴質問票(MGH-ATRQ)、C-SSRS、及び境界性人格障害のためのMcLeanスクリーニング手段(MSI-BPD)を用いて適格性を評価される。最初のスクリーニング来院(V1)では、参加者は、簡易抑うつ症状尺度-自己報告-16項目(QIDS-SR-16)でも評価される。さらに、病歴、ECG、血液検査、及びバイタルサインを取得する。
【0358】
すべての被験者は、サイロシビン投与の前に少なくとも3週間、毎週診療所で安全性を評価する。これらの来院時には、C-SSRS及び前回の来院以降の薬剤の任意の変更は、試験臨床医の判断により、他の評価に加えて得られる。
【0359】
被験者は、スクリーニング期間中に少なくとも3回の来院のために療法士と会う。これらは、安全セッションと呼ばれ、サイロシビンセッション中に期待されることを網羅する。療法士及び被験者は、登録時に提供された心理教育資料を確認する。
【0360】
サイロシビンセッションの前日、被験者は、HAM-D-17、MADRS、CGI-S及びCGI-I、QIDS-SR-16、C-SSRS、GAD-7、EQ-5D-3L(被験者及び介護士の両方に投与される[後者は必須ではない])、WSAS、バイタルサイン、尿検査、尿中薬物スクリーニング、及び尿中妊娠試験(出産可能性のある女性のみ)からなるベースライン評価(初回スクリーニング[来院1]から3~6週間後)を受ける。ベースラインデータがEDCに入力された後、CATチームは、被験者の継続的な適格性を確認するために最終的なレビューを完了する。この承認が得られるまで、被験者は、来院3に進むことができない。
【0361】
サイロシビン投与セッション(V3、1日目)は、約6時間続き、訓練された療法士によって支援される。試験薬は、最大6名の参加者に対して同時に投与される。セッションの間、血圧を継続的にモニタリングする。COMP360投与セッションは、トレーニング及びアドヒアランスのモニタリングのためにビデオ録画され得る。サイロシビンの急性効果が終了した後、参加者は、安全性を評価され、帰宅に同行される。サイロシビン投与の翌日である2日目(V4)に、参加者は、安全性の確認、自殺傾向の評価、ならびに臨床及び自己報告評価のために、ならびにサイロシビン投与セッション中の経験について話し合うために、直接面会する。療法士と参加者との間のすべてのセッションは、アドヒアランスのモニタリング及び品質保証のために音声記録され得る。
【0362】
被験者は、スクリーニング(と3回の安全性来院)、ベースライン(-1日目)、1日目(投薬)、2日目、1週目、2週目及び3週目のために診療所で面会する。AE、重篤な有害事象(SAE)、ならびに併用薬及び療法は、すべての診療所来院時に記録される。MADRSは電話によって行われる。
【0363】
臨床医は、参加者のベースライン時の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、ビラゾドン、ボルチオキセチンまたはエスシタロプラム)の処方を、経過観察期間にわたって、理想的には同じ用量で、継続することが推奨される。
【0364】
試験概略図を
図9に示し、評価スケジュールを以下の表2Aに提示する:
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【0365】
試験目的
この試験の主な目的は、Montgomery-Asbergうつ病評価スケール(MADRS)の合計スコアのベースラインからの変化によって評価したときの、TRD参加者におけるセロトニン作動性抗うつ薬の補助としての25mgのサイロシビンの有効性を評価することである。ベースラインは、-1日目に得られた評価スコアとして定義される。主要評価時期は3週目である。
【0366】
この試験の追加の目的は、以下について、1mgのサイロシビンと比較したサイロシビンの有効性を評価することである:
(a)ベースラインから3週目までのMADRS合計スコアの50%以上の低下として定義される奏効を有する被験者の割合。
(b)サイロシビン投与の3週間後における寛解(MADRS合計スコア≦10として定義される)を有する被験者の割合。
(c)サイロシビン投与の3週間後における、ベースライン時の臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)からの変化。
【0367】
別の目的は、すべての来院でのAE、バイタルサインの変化、及び自殺念慮/行動(コロンビア-自殺重症度評価スケール[C-SSRS]を使用して測定)スコアに基づいて、TRDを有する被験者におけるサイロシビンの安全性及び忍容性を評価することである。
【0368】
他の目的は、生活の質及び健康、機能及び関連する障害、認知機能、ならびに不安に対するサイロシビンの効果を評価することである。試験エンドポイントを以下の表2Bに列挙する。
【表11】
【0369】
評価時期による試験手順
【0370】
試験のタイムラインには、TRDに対する補助的治療としてのサイロシビンの効果を評価するための3週間にわたる7回の来院が含まれる。各来院のスクリーニング評価を、表2Aに列挙する。
【0371】
来院1:スクリーニング期間
被験者をスクリーニングして、試験への適合性を評価する。すべての被験者は、ベースライン(来院2)の前に最低3週間、毎週診療所で診察され、プロトコルによって必要とされる現在の抗うつ剤療法の安全な中止を確実にし、精神教育を実施する。
【0372】
スクリーニング来院では、表2Aに示されるいくつかの評価を、実施し、記録する。
【0373】
被験者が適格であると判断された場合、次回の来院(来院1a)に進むことができる。被験者は、スクリーニング来院(来院1a)のために診療所に行くまで、精神教育を開始することはできない。
【0374】
その後のスクリーニング期間の来院(V1a、V1bなど)では、前回の来院以降の薬剤の服用及び薬剤の変化及びC-SSRSを取得する。
【0375】
来院2:ベースライン来院-1日目
ベースライン来院では、選択/除外基準を見直し、病歴を更新することにより、被験者の適格性が確認される。ベースライン来院は、予想されるサイロシビンセッションの前日に行われるべきである。ベースライン来院時に実施した以下の評価を、表2Aに示す。
【0376】
被験者が適格性基準を満たし続ける場合、参加者が翌日の治験用製品(IP)投与のために試験場に戻るように手配する。試験チームは、被験者の継続的な適格性を確認するために最終的なレビューを完了する。この承認が得られるまで、被験者は、来院3に進むことができない。
【0377】
来院3:サイロシビンセッション-0日目
サイロシビンセッション(来院3)は、ベースライン来院(来院2)の翌日に行われるべきである。例外的な状況では、被験者は、ベースライン来院(来院2)後7日以下で診療所を訪れることができる。ベースラインの翌日(来院2)にサイロシビンセッションが実施されなくても、サイロシビンセッションの前日には常に療法士との準備セッションが実施される。被験者が、7日以下の期間外である場合、無作為化を除き、すべてのベースライン評価を繰り返す必要がある。サイロシビンセッションで提供される評価を、表2Aに列挙する。
【0378】
来院4:投与後1日目
治療の翌日、被験者は、安全性の確認、及びサイロシビン投与セッション中の経験について話し合うために、試験施設に戻る。投与後のセッションで提供される評価を、表2Aに列挙する。
【0379】
来院5:投与から1週間後
被験者は、サイロシビン投与から1週間後(7日±1日)に診療所に来院する。来院5の間に得られた評価を、表2Aに示す。
【0380】
来院6:投与から2週間後
被験者は、サイロシビン投与から2週間後(14日±1日)に診療所に来院する。来院6の間に得られた評価を、表2Aに示す。
【0381】
来院7:投与から3週間後
被験者は、サイロシビン投与から3週間後(21日±1日)に診療所に来院する。来院7の間に得られた評価を、表2Aに示す。
【0382】
試験手順の説明
試験中に実施される有効性、安全性、及び他の種類の評価を、以下の表2C~表2Eに記載する。以下のすべての測定値は、電子的に取得される。
【0383】
【表12-1】
【表12-2】
【表13-1】
【表13-2】
【表14-1】
【表14-2】
【0384】
被験者の募集
最大6名の参加者への同時試験薬投与を伴う合計20名の被験者。
【0385】
以下の表2Fに示す以下の選択基準のすべてを満たす被験者は、試験への参加を検討すべきである。
【表15】
【0386】
以下の表2G及び表2Hに示される精神医学的または一般的な医学的除外基準のうちのいずれかを満たす被験者は、試験に登録されない。除外基準からの逸脱は認められない。
【表16】
【表17】
【0387】
サイロシビンの用量及び投与
【0388】
試験薬は、最大6名の参加者に同時に投与される。各参加者は、5×5mgカプセルが入った1×25mgの治療瓶を受け取る。
【0389】
投薬の2時間前に、研究員の観察の下、軽い朝食をとった後、5つのカプセルの用量を、満杯のグラスの水で飲み込む。用量のカプセルの数により、用量を飲み込むために追加の水が必要になる場合がある。研究員は、5つのカプセルの用量がすべて飲み込まれていることを確認する。
【0390】
薬物経験の準備をするために、被験者は、サイロシビンを適切な量服用し、薄暗いライト及び静かに再生されるリラックスした音楽の標準プレイリストがある部屋のソファに横になる。訓練を受けた療法士は、常に被験者と共にいる。
【0391】
サイロシビンの効果は、通常、投与から約20~30分後に開始し、最初の90~120分で最も強くなり、5~6時間で徐々に弱くなる。被験者は、懸念を抱いたり、不快感を伝えたり、療法士に安心を求めたり、トイレを使用したりする必要がない限り、効果の強度にかかわらず、セッション期間中、部屋に留まり、好ましくは横になり、ほとんど沈黙したままであることが求められる。療法士は、投与後30~60分間隔で被験者と「チェックイン」する(すなわち、被験者の調子を尋ねる)。被験者には、軽食及びフルーツが提供される。
【0392】
投薬の約5~6時間後に、訓練された療法士が、サイロシビンの経験について被験者と話し合う。被験者は、治験責任医師の意見では、サイロシビンの急性効果が和らいだときに、投与後6~8時間で退院した。被験者は、自宅まで付き添われる。施設に、被験者が安全に帰宅したことを通知し、電話がない場合は、施設スタッフが、被験者に直接連絡する。
【0393】
併用療法:
スクリーニング(来院1)の30日前の間に被験者が服用していると報告するすべての処方薬及び非処方薬(例えば、市販薬及びハーブサプリメント)は、その来院で評価及び記録される。各薬剤について、文書には、商品名または一般名、単位を含む1日の総投与量(または毎日服用しない場合は、投与量、単位、予定及び実際の投与回数)、投与経路、ならびに使用理由を記載する必要がある。
【0394】
併用薬とは、インフォームドコンセント用紙に署名した時点から試験参加終了までに使用したすべての薬物及び治療法を指す。
【0395】
薬剤への変更、追加、または中止は、各試験来院中に評価及び記録される。すべての必要に応じた処方薬は、1日あたりの実際の錠剤数または服用量を反映したものに変換する必要がある。
【0396】
許容可能な医薬
参加者は、地域推奨に準拠して適切な用量のSSRI(フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、ビラゾドン(vilazadone)、ボルチオキセチン、シタロプラムまたはエスシタロプラム)による治療をスクリーニング(V1)及びベースライン(V2、-1日目)よりも前の少なくとも6週間にわたって受けていなければならない。適切な範囲内での用量変更は許容可能である。本発明者らは、試験の経過観察期間にわたって、理想的には同じ用量で、参加者がSSRIを継続することを推奨する。
【0397】
併発している不安及び不眠症の管理のための薬、または潜在的な精神作用効果を有する非精神科の薬は、以下の制限の範囲内で認められる。最初のスクリーニング来院(V1)から最終試験来院(V7、EOS)まで、参加者は、サイロシビン投与の12時間以内に服用しないなら、不眠症及び不安に対して、ベンゾジアゼピン類(1日当たり最大2mgのロラゼパム当量)を使用することが許可される。非精神病性状態に必要に応じて使用される精神活性特性を有する処方薬及び非処方薬(例えば、アレルギーまたは風邪症状のための偽エフェドリン、睡眠障害のためのゾピクロン)は、週に2回を超えて使用してはならず、試験評価の12時間以内に使用してはならない。補助的な抗不安薬、催眠薬、または潜在的な精神作用特性を有する薬剤(OTC調剤を含む)の使用に関する文書記録を、各診療所来院時に入手する。
【0398】
被験者の福祉のために必要と考えられる療法が、試験臨床医の裁量で行われ得る。
【0399】
有害事象
試験期間中、すべての有害事象(AE)がモニターされ、記録され、AEの説明、開始日及び終了日、重症度、取られた措置、及び治療との関連性を含む。AEが発生した場合、最初の懸念事項は、試験被験者の安全性である。
【0400】
AEは、医薬品を投与された被験者における任意の不適切な医学的事象であり、この治療と因果関係を必ずしも有する必要はない。したがって、AEは、医薬品に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、医薬品の使用に一時的に関連する好ましくない、あらゆる意図しない兆候(例えば、異常な検査所見を含む)、症状、または疾患であり得る。
【0401】
手術、診断手順、及び治療手順などの医療介入は、AEではなく、病状を治療するために取られる措置である。これらは、AEの治療として記録されるべきである。
【0402】
有効性及び評価項目:
有効性及び評価項目としては、MADRS、CGI-S、CGI-I、EQ-5D-3L(被験者及び介護士)、QIDS-SR-16、GAD-7、PANAS、5D-ASC、及びC-SSRSが挙げられる。
【0403】
安全性の分析:
安全性分析が、安全性集団からのデータを使用して実施される。安全性は、AE、バイタルサイン、臨床検査評価、及びECG所見に基づいて評価される。
【0404】
コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)
【0405】
C-SSRSからの項目スコア、無作為化された治療によるすべての来院、前回の来院以降の自殺傾向を評価するバージョンからの項目スコア、及び治療によるすべてのベースライン後の来院(来院3から来院7までを含む)が集計される。サイロシビン投与後の自殺念慮及び自殺行動の要約統計は、無作為化された治療別に提示される。
【0406】
有害事象
AEは、国際医薬用語集(MedDRA)の分類を使用して、優先使用語(PT)によってコード化される。試験薬投与後に発症または悪化したすべての報告されたAEを、分析に含める。AEの発生率は、治療群、重症度、及びサイロシビンとの関係別に要約する。重篤なAE及び試験からの離脱に至ったAEが、集計される。
【0407】
TEAEとは、サイロシビンの投与時または投与後に発症する任意のAE、またはサイロシビンの投与時または投与後に悪化する任意の既存の状態と定義される。
【0408】
また、TEAE及び治療関連のAEの発生率も、MedDRAの主要な器官別及びPT別の最大重症度及びサイロシビンとの最も関連性の高い関係別に要約する。この要約には、事象を報告した被験者の総数及びパーセンテージが含まれる。報告された事象の数を数える際には、連続的な事象、すなわち複数回報告され、かつ中止されなかった事象は、1回のみとし、同一被験者から複数回報告された非連続的なAEは、複数回の事象として数えるものとする。
【0409】
心電図データ
ECGデータは、来院1から治療後(来院4)までの各ECGパラメータの変化の測定値に基づいて記述的に要約される。異常な状態の頻度集計を提供する。分析されるべきECG変数には、心拍数、PR間隔、QRS間隔、QT間隔、及び以下の補正方法を使用して補正されたQT間隔が含まれる:は、バゼットの式に従って補正したQT、及びフリデリシアの式に従って補正したQT。
【0410】
検査データ
予定されている各時点でのベースライン値からの平均及び平均変化を含む、記述統計を使用して、各治療群の検査データ(血液学及び血液化学パラメータ)を提示する。シフト表には、ベースラインと治療後で正常値/異常値を示す被験者の数が表示される。検査の異常の頻度が表にまとめられる。被験者別のデータリストには、正常な基準範囲外の検査値または顕著な異常所見が示される。
【0411】
バイタルサイン
バイタルサインである血圧(収縮期及び拡張期)、体温、脈拍数、及び呼吸数のベースラインからの変化を、記述統計を使用して、各治療群ごとに要約する。治療投与前に得られた最後の測定値は、ベースラインとして機能する。臨床的に重要な限界外の値を有する被験者の割合を要約する。来院1での体重及び身長のリストが提供される。
【0412】
人口学的特性及びベースライン特性
治療群は、被験者の人口学的特性に関して比較され、ベースライン特性は、記述統計を使用して要約され、正式な統計分析試験は実施されない。表3は、被験者の人口統計学データを示し、表4は、被験者のベースライン時のうつ病を示す。
【表18】
【表19】
【0413】
結果:
【0414】
治験では、19名の患者に、専門的に訓練された療法士からの精神医学的支援と併せて単回用量の25mgのサイロシビンをSSRI療法に対する補助として与えた。
【0415】
図10は、臨床試験からの患者配置を示す。
図11は、サイロシビンが投与された日に参加者が服用していたSSRIを示す。
【0416】
有効性
【0417】
図12A~
図12Bはそれぞれ、来院ごとの、MADRS合計スコアにおけるベースラインからの平均変化、及び平均MADRS合計スコアを示す。参加者は、3週目において、MADRS合計スコアがベースラインから平均で14.9だけ低下していた。サイロシビンとSSRIとの組み合わせを投与された患者は、サイロシビンのみを投与された患者と比較して、MADRSスコアにおけるより大きな低下を呈した。急速な作用開始。3週間の経過観察の間、うつ病の新たな治療を開始した参加者はいなかった。表5は、来院ごとのMADRS合計スコアの要約を示す。
【表20】
【0418】
図13は、来院ごとのMADRS奏効者の割合を示す(奏効者:MADRS合計スコアにおけるベースラインからの50%以上の低下)。2日目から急速な奏効が認められ、3週目には参加者の約42%がMADRS奏効者であった。表6は、2日目、1週目、2週目及び3週目のMADRS奏効者の数を示す。
【表21】
【0419】
図14は、試験中に認められた、来院ごとのMADRS寛解者の割合を示す。2日目から急速な寛解が認められ、3週目までに約42%の参加者がMADRS寛解者であった。表7は、2日目、1週目、2週目及び3週目のMADRS寛解者の数を示す。
【表22】
【0420】
図15Aは、来院ごとに認められた臨床グローバル印象スケール-重症度(CGI-S)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
図15Bは、来院ごとに認められた平均CGI-S合計スコアを示す。臨床判断によれば、うつ病の重症度には明らかな急速な低下があった。平均して、参加者はベースライン時にはCGI-Sにおけるスコアが4の「中等度の病」であったが、これは3週目には3の「軽度の病」に低下した。
図16は、来院ごとのCGI-S奏効者の割合を示す。2日目から急速な奏効が認められ、3週目には参加者の52.6%が奏効者であった。表8は、2日目、1週目、2週目及び3週目のCGI-S奏効者の数を示す。
【表23】
【0421】
図17Aは、来院ごとの、全般性不安障害7項目スケール(GAD-7)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
図17Bは、来院ごとに認められた平均GAD-7合計スコアを示す。不安症状の明確な軽減があった。
【0422】
図18Aは、来院ごとの、正及び負の情動スケジュール(PANAS)負の情動合計スコアにおけるベースラインからの平均変化、ならびに平均PANAS負の情動合計スコアを示す。
図18Bは、来院ごとの、PANAS正の情動合計スコアにおけるベースラインからの平均変化、ならびに平均PANAS正の情動合計スコアを示す。2日目には、ベースラインからの、より高い正の情動の変化及びより低い負の情動の変化がみられた。
【0423】
図19は、実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、1日目の5次元変性意識状態スケール(5D-ASC)の要約を示す。
【0424】
図20Aは、来院ごとの、16項目簡易抑うつ症状尺度-自己報告(QIDS-SR-16)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。以前の研究におけるサイロシビンの薬理学的プロファイルに沿って予測された知見は、すべての主要次元においてみられた。
図20Bは、来院ごとの平均QIDS-SR-16合計スコアを示す。QIDS-SR-16は、2日目からの自己報告されるうつ病症状の急速な軽減を有してMADRSデータと類似したパターンを示す。
【0425】
図21Aは、実施例2に記載の臨床試験の間に認められた、EuroQol-5次元-3レベルスケール(EQ-5D-3L)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
図21Bは、来院ごとの平均EQ-5D-3L合計スコアを示す。
【0426】
図22Aは、来院ごとの、Euro QoL視覚アナログ尺度(EQ-VAS)合計スコアにおけるベースラインからの平均変化を示す。
図22Bは、来院ごとの平均EQ-VAS合計スコアを示す。3週目に参加者は、概してより良好な健康状態を有することが報告された。
【0427】
図23は、来院ごとの臨床グローバル印象スケール-改善度(CGI-I)奏効者の割合を示す。3週目に参加者は、概してより良好な健康状態を有することが報告された。表9は、2日目、1週目、2週目及び3週目のCGI-I奏効者の数を示す。
【表24】
【0428】
安全性
COMP360は忍容性が概して良好であった。試験では、11名の参加者(58%)が少なくとも1つの治療下発現有害事象(TEAE)を報告した。最もよくあるTEAEは頭痛であったが(6つの事象を有する6名の参加者)、これは投薬日またはその後の日に起こり、どの事例も1日または2日で消散した。表10は、群ごとの治療下発現有害事象を示す。
【表25】
【0429】
試験において、重篤と分類されるTEAE(TESAE)は全くなく、自殺念慮もしくは行動、または意図的自己傷害に関係するTEAEも、全くなかった。
******
【0430】
本明細書に引用されるすべての文書、特許、特許出願、刊行物、製品説明書、及びプロトコルは、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。
【0431】
本明細書において例証及び考察される実施形態は、本発明を作製し、使用するために本発明者らに既知の最善の方法を当業者に教示することのみを意図する。本発明の上記実施形態は、本発明から逸脱することなく、上記教示に照らして当業者によって理解されるように修正または変更され得る。したがって、特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されるものとは別の方法で実施され得ることが理解される。
【0432】
上述のものは、本発明の例示説明であり、その限定として解釈されるべきでない。本発明は、その中に含まれる請求項の均等物と共に、以下の請求項によって定義される。
【国際調査報告】