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特表2025-500851多段ブラシレス洗車システムのための電気分離システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】多段ブラシレス洗車システムのための電気分離システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B60S3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535428
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 IB2022000081
(87)【国際公開番号】W WO2023111677
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】17/551,083
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523054001
【氏名又は名称】エヌティーアイ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100229644
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 未来
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】アーデマ,シェーン・カーライル
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA12
3D026AA25
3D026AA44
3D026AA45
3D026AA74
3D026AA76
3D026AA86
(57)【要約】
多段ブラシレス洗車システムが開示される。多段ブラシレス洗車システムは、乗り物の外部を洗浄するように独立して制御される電気分離システムステージ、第1の洗浄ステージ、及び第2の洗浄ステージを含む。電気分離システムステージは、乗り物の表面に電位を生成する。電位は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きく、それにより、多段ブラシレス洗車システムにおける路膜(road film)の除去を助ける。電気分離システムステージは、複数の異なる帯電した化学溶液を乗り物に塗布して電位を生成する。化学溶液は、アルカリ系溶液及び酸系溶液の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【選択図】図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシなしで複数の化学溶液を使用して乗り物の外面を洗浄する電気分離システム(ESS)ステージを含む1つ以上のブラシレス洗浄ステージ装置を備え、前記ESSステージは、ブラシを使用せずに前記複数の化学溶液を帯電させて、前記乗り物の前記外面上の路膜(road film)を不安定化させる電位を前記乗り物の前記外面上に生成するように構成される、ブラシレス洗車システム。
【請求項2】
前記ESSステージは、第1の電圧を使用して前記複数の化学溶液を帯電するように構成される、請求項1に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項3】
前記ESSステージは、それぞれが複数のノズルを含む複数の化学アーチを備え、前記複数の化学アーチのそれぞれは、異なる化学溶液を噴射するように構成される、請求項2に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項4】
前記ESSステージが複数の化学帯電器を更に含み、各化学帯電器は、前記複数の化学アーチのうちの対応する1つに結合されるとともに、前記複数の化学アーチのうちの対応する1つの化学溶液に前記第1の電圧を印加して、前記化学溶液を電気的に帯電させるように構成される、請求項3に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項5】
前記複数の化学帯電器のそれぞれは、
化学物質供給ラインに結合される第1の端部を含む導電性パイプであって、前記化学物質供給ラインが、前記導電性パイプの前記第1の端部を介して前記化学溶液を前記化学帯電器に供給し、前記導電性パイプが、前記複数の化学アーチの前記対応する1つに結合される第2の端部を含む、導電性パイプと、
前記導電性パイプの一部の周りに巻かれる導線であって、前記第1の電圧が、前記導電性パイプ内の前記化学溶液を帯電させるために前記導電性パイプの前記一部の周りに巻かれる前記導線に印加される、導線と、
を含む、請求項4に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項6】
前記ESSステージは、前記ブラシレス洗車システムの長さに沿って位置される複数の基準電圧装置を更に備え、前記複数の基準電圧装置のそれぞれは、前記乗り物に第2の電圧を印加するように構成され、
前記電位は、前記乗り物の前記外面上にある前記複数の帯電した化学溶液と、前記複数の基準電圧装置によって印加される前記第2の電圧とに基づいて生成される、
請求項4に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項7】
前記第1の電圧が12ボルトであり、前記第2の電圧が0ボルトである、請求項6に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項8】
前記複数の基準電圧装置のうちの少なくとも1つは、
前記ブラシレス洗車システムの接地面に結合されるベースアセンブリと、
前記ベースアセンブリに取り付けられ、前記乗り物の下部走行体に直接接触して前記乗り物に前記第2の電圧を印加するように構成される接点機構と、
を備える、請求項6に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項9】
前記接点機構は、前記ブラシレス洗車システムに沿った前記乗り物の移動方向に向かって湾曲する湾曲端部を有するばねである、請求項8に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項10】
前記複数の基準電圧装置のそれぞれは、前記複数の基準電圧装置のうちの別の1つから所定の距離だけ離間される、請求項6に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項11】
前記ESSステージは、それぞれが複数のノズルを含む複数の水アーチを更に備え、前記複数の水アーチのそれぞれは、前記複数の化学アーチからの対応する対の化学アーチの間に位置されるとともに、前記複数のノズルを使用して前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を使用して帯電される水を噴射するように構成され、
前記電位は、前記乗り物の前記外面上にある前記複数の異なる帯電した化学溶液と、前記第2の電圧を用いて帯電される前記水とに基づいて生成される、
請求項4に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項12】
前記第1の電圧が12ボルトであり、前記第2の電圧が0ボルトである、請求項11に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項13】
前記ESSステージ装置が複数の水帯電器を更に含み、各水帯電器は、前記複数の水アーチのうちの対応する1つに結合されるとともに、前記水を電気的に帯電させるために前記水に前記第2の電圧を印加するように構成される、請求項11に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項14】
前記ESSステージの後に位置される第1のブラシレス洗浄ステージであって、第1のブラシレス洗浄ステージ装置が、前記乗り物の前記外面に前記電位を生成する帯電された水を用いて前記乗り物の複数の上面を洗浄するように構成され、前記第1のブラシレス洗浄ステージ装置が複数のノズルを含み、前記複数のノズルが前記乗り物の前記複数の上面に帯電された水を噴射する際に前記ノズルの高さが複数回調整され、前記複数のノズルの高さが、前記乗り物の前記複数の上面の輪郭形状にしたがって調整される、第1のブラシレス洗浄ステージと、
前記第1のブラシレス洗浄ステージの後に位置される第2のブラシレス洗浄ステージであって、前記第2のブラシレス洗浄ステージが、前記ESSステージ及び前記第1のブラシレス洗浄ステージとは独立して前記乗り物の外部の複数の側面を、前記乗り物の前記側面に前記電位を生成する帯電された水を用いて洗浄するように構成され、前記第2のブラシレス洗浄ステージが、前記乗り物の前記外部の前記複数の側面の輪郭にしたがって前記乗り物の前記複数の側面に帯電された水を噴射する複数のノズルを含む、第2のブラシレス洗浄ステージと、
を更に備える、請求項1に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項15】
前記第1のブラシレス洗浄ステージは、
第1の水に第1の電圧を印加して、前記第2のブラシレス洗浄ステージの前記複数のノズルによって噴射される第1の水を帯電させる第1の水帯電器と、
前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を第2の水に印加して前記第2の水を帯電するように構成される第2の水帯電器と、
前記第2の水帯電器に結合されるスプレーアーチであって、前記帯電された第2の水を前記乗り物の前記複数の上面に噴射するように構成されるスプレーアーチと、
を含み、
前記乗り物の複数の上面にある前記帯電された第1の水及び前記帯電された第2の水に基づいて前記乗り物の前記複数の上面に前記電位が生成される、
請求項14に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項16】
前記第2のブラシレス洗浄ステージは、
前記乗り物の第1の側にある第1のノズルアセンブリであって、前記乗り物の前記第1の側の複数の第1の側面に第1の電圧を用いて帯電される第1の水を噴射するように構成される第1のノズルサブアセンブリと、前記乗り物の前記第1の側の前記複数の第1の側面に前記第1の電圧よりも低い第の2電圧を用いて帯電される第2の水を噴射するように構成される第2のノズルサブアセンブリとを含む、第1のノズルアセンブリと、
前記第1の側とは反対側である前記乗り物の第2の側にある第2のノズルアセンブリであって、前記乗り物の前記第2の側の複数の第2の側面に前記第1の電圧を用いて帯電される前記第1の水を噴射するように構成される第3のノズルサブアセンブリと、前記乗り物の前記第2の側の前記複数の第2の側面に前記第2の電圧を用いて帯電される前記第2の水を噴射するように構成される第4のノズルサブアセンブリとを含む、第2のノズルアセンブリと、
を含み、
前記複数の第1の側面にある前記帯電された第1の水及び前記帯電された第2の水に基づいて前記乗り物の前記複数の第1の側面に前記電位が生成され、前記複数の第2の側面にある前記帯電された第1の水及び前記帯電された第2の水に基づいて前記乗り物の前記複数の第2の側面に前記電位が生成される、
請求項14に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項17】
前記乗り物の前記外面における前記複数の化学溶液のうちの少なくとも1つの温度は、華氏110度~華氏140度の範囲内である、請求項1に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項18】
前記第2のブラシレス洗浄ステージの後に位置され、前記乗り物の表面に帯電された研磨剤を塗布するように構成される第3のブラシレス洗浄ステージと、
前記第3のブラシレス洗浄ステージの後に位置され、前記乗り物の表面に帯電されたワックスを塗布するように構成される第4のブラシレス洗浄ステージと、
前記第4のブラシレス洗浄ステージの後に位置され、前記乗り物の前記外面を乾燥させるように構成される乾燥ステージと、
を更に備える、請求項14に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項19】
前記ESSステージは、前記複数の化学溶液を20psi~300psiの圧力で塗布するように構成される、請求項1に記載のブラシレス洗車システム。
【請求項20】
第1の電圧を用いて帯電される化学溶液を乗り物の外面に噴射するように構成される少なくとも1つの化学アーチと、
前記少なくとも1つの化学アーチが前記帯電された化学溶液を前記乗り物の前記外面に噴射する間に前記乗り物に電気的に接触して前記乗り物に第2の電圧を印加するように構成される少なくとも1つの基準電圧装置と、
を備え、
前記乗り物の前記外面上にある前記帯電された化学溶液と、前記乗り物に印加される前記第2の電圧とに基づいて、ブラシを使用せずに前記乗り物の前記外面上の路膜(road film)を不安定化させる電位が前記乗り物の前記外面に生成される、
ブラシレス洗車システムの電気分離システム。
【請求項21】
前記生成された電位は、前記乗り物の前記外面上の前記路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい、請求項20に記載の電気分離システム。
【請求項22】
第1の電圧を用いて帯電される化学溶液を乗り物の外面に噴射するように構成される少なくとも1つの化学アーチと、
前記少なくとも1つの化学アーチが前記帯電された化学溶液を噴射している間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を用いて帯電される水を前記乗り物の前記外面に噴射するように構成される少なくとも1つの水アーチと、
を備え、
前記乗り物の前記外面上にある前記帯電された化学溶液と、前記帯電された水とに基づいて、ブラシを使用せずに前記乗り物の前記外面上の路膜(road film)を不安定化させる電位が前記乗り物の前記外面に生成される、
ブラシレス洗車システムの電気分離システム。
【請求項23】
前記生成された電位は、前記乗り物の前記外面上の路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい、請求項22に記載の電気分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、乗り物用の洗車システムに関し、より具体的には、自動ブラシレス洗車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗車システムは、少なくとも水及び石鹸などの化学物質を使用して乗り物の外部を洗浄するために使用される。自動洗車システムの1つのタイプは、トンネル洗車システム(例えば、コンベアシステム)である。トンネル洗車システムでは、乗り物がトンネル洗車システムのコンベア上に推し進められる。コンベアは、トンネル洗車システムのトンネルを通って乗り物を移動させ、そこで、乗り物を洗うための異なるステップが、乗り物を水で予め浸す最初のステップから乗り物を乾燥させる最後のステップまで実行される。
【0003】
従来のトンネル洗車システムは、ブラシ、水、又はブラシと水との組み合わせを使用して乗り物を洗う。従来のトンネル洗車システムは、一般に、乗り物の表面に堆積される路膜(road film)を除去するためにブラシの使用を必要とする。路膜(road film)は、道路上を走行した乗り物を覆う汚染物質の微細な層である。乗り物が運転中に移動すると、乗り物は摩擦及び静電気を発生させ、静電気は、路膜(road film)として乗り物の表面に生じる汚染物質との結合をもたらす。従来のトンネル洗車システムは、路膜(road film)を除去するためにブラシを利用する。しかしながら、ブラシを使用して乗り物を洗浄すると、ブラシが乗り物の塗料と接触して路膜(road film)を除去するため、乗り物の表面を損傷する可能性がある。この損傷は、乗り物の塗装上の望ましくない傷又は旋回マークを乗り物の破損した部品に含む可能性がある。これは、洗浄中にブラシが部品に引っ掛かるためである。
【0004】
特定の従来のトンネル洗車システムは、乗り物の塗料の損傷を回避するために高圧水(例えば、ブラシレス)を使用して乗り物を洗浄する場合があるが、従来のブラシレストンネル洗車システムは、一般に、乗り物上の路膜(road film)を除去するために乗り物を完全に洗浄することができない。このため、従来のトンネル洗車システムでは、乗り物を十分に清掃することができない。
【発明の概要】
【0005】
多段ブラシレス洗車システムが開示される。多段ブラシレス洗車システムは、電気分離システム装置を含む。電気分離ステージ装置は、洗浄中の乗り物の表面に電位を生成する。電位は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きく、それにより、ブラシを必要とせずに多段ブラシレス洗車システムにおける路膜(road film)の除去を助ける。
【0006】
電位を生成するために、電気分離ステージ装置は、乗り物を洗浄するために使用される1つ以上の化学溶液に第1の電圧を印加する。第1の電圧の印加は、化学溶液に電荷を付加する。帯電した化学溶液が乗り物に印加されると、電気分離ステージはまた、第2の電圧を乗り物に印加する。一実施形態において、第2の電圧は、乗り物に直接接触して第2の電圧を乗り物に印加する電圧装置を介して印加される。他の実施形態において、電気分離ステージ装置は、第2の電圧を水に印加して、乗り物を洗浄するために使用される水を帯電させる。帯電した化学溶液及び第2の電圧の乗り物への印加は、路膜(road film)の除去を助ける電位を乗り物の表面に生成する。
【0007】
電気分離ステージ装置は、複数の異なる化学溶液を用いて乗り物を洗浄する。電気分離ステージ装置は、安全な非腐食性化学を有する化学溶液を使用し、それによって乗り物の表面への損傷の可能性を低減しながら、依然として望ましい洗浄性能を達成する。
【0008】
一実施形態において、電気分離状態装置は、乗り物の表面に基づいてアルカリ性である第1の化学溶液と、乗り物の表面に基づいて酸性である第2の化学溶液とを塗布する。第1の化学溶液は、第1の割合の逆浸透水及び第2の割合の5%~9%の重炭酸ナトリウムを含み得る。これに対し、第2の化学溶液は、第1の割合の逆浸透水及び第2の割合の40%~45%のクエン酸を含み得る。
【0009】
本明細書に記載された特徴及び利点は全てを含むものではなく、特に、多くの更なる特徴及び利点は、図面、明細書、及び特許請求の範囲を考慮すると当業者に明らかにある。更に、本明細書で使用される言語は、主に読み易さ及び説明目的のために選択されており、本発明の主題を描写又は限定するために選択されていない場合があることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの高レベルブロック図である。
図2】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージ及び第2の洗浄ステージの独立して実行されるステップを示す方法のフロー図である。
図3A】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージの斜視図を示す。
図3B-3C】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージの正面図を示す。
図4】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージに含まれる化学アーチを示す。
図5A】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージに含まれる光学センサを示す。
図5B】一実施形態に係る乗り物のセンシングデータを示す。
図6A-6H】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージの動作を示す。
図7】一実施形態に係る乗り物の後面を洗浄するための2ステージブラシレス洗車システムの第1の洗浄ステージの動作を示す。
図8A-8D】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットの収縮動作を示す。
図8E】一実施形態に係る伸縮ユニットの平面図を示す。
図8F】一実施形態に係る伸長状態にある伸縮ユニットの斜視図を示す。
図9A】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットの構成要素の詳細図を示す。
図9B-9D】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットの構成要素の詳細図を示す。
図10A】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットの衝撃緩和ユニットの詳細図を示す。
図10B-10E】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットの衝撃緩和ユニットの詳細図を示す。
図11】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットを折り畳む及び伸長させるための機構の詳細図である。
図12A-12C】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの伸縮ユニットを折り畳む及び伸長させるためのドラム及びワイヤの詳細図を示す。
図13A-13B】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの洗浄ユニットの様々な図を示す。
図13C-13D】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの洗浄ユニットの様々な図を示す。
図14】他の実施形態に係る第1の洗浄ステージの洗浄ユニットを示す。
図15A-15B】一実施形態に係る第1の洗浄ステージの安全デバイスの様々な図を示す。
図16A】一実施形態に係る第1の洗浄ステージと乗り物との間の衝突に応じた第1の洗浄ステージのリセット装置を示す。
図16B-16C】一実施形態に係る第1の洗浄ステージと乗り物との間の衝突に応じた第1の洗浄ステージのリセット装置を示す。
図17】第1の実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第2の洗浄ステージの詳細図を示す。
図18A-18B】第1の実施形態に係る第2の洗浄ステージの動作を示す。
図18C-18D】第1の実施形態に係る第2の洗浄ステージの動作を示す。
図19】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの二重屈曲アームを示す。
図20A-20B】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの二重屈曲アームの重心を示す。
図20C-20D】一実施形態に係る二重屈曲アームの重心を変化させるために二重屈曲アームに加えられる重量を示す。
図21】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの単一屈曲アームを示す。
図22A】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの構成要素の動作経路を示す。
図22B】一実施形態に係る図22Aに示される経路内で第2の洗浄ステージを移動させる力ベクトルを示す。
図23A-23B】第1の実施形態に係る第2の洗浄ステージのベースアセンブリの詳細図を示す。
図23C】第1の実施形態に係る第2の洗浄ステージのベースアセンブリの詳細図を示す。
図24A-24B】第1の実施形態に係るベースアセンブリの平面図を示す。
図25】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの平面図を示す。
図26A-26B】一実施形態に係る第2の洗浄ステージのノズルアセンブリを示す。
図27A】一実施形態に係る第2の洗浄ステージの衝突防止ユニットの詳細図を示す。
図27B-27C】一実施形態に係る衝突防止ユニットの動作を示す。
図28】第2の実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムの第2の洗浄ステージの詳細図を示す。
図29A-29B】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージの動作を示す。
図29C】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージの動作を示す。
図30A-30B】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージのベースアセンブリの詳細図を示す。
図31A-31B】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージのベースアセンブリの平面図を示す。
図32】一実施形態に係る電気分離ステージを含む多段ブラシレス洗車システムの高レベルブロック図である。
図33A】一実施形態に係る多段ブラシレス洗車システムの電気分離システムステージ、第1の洗浄ステージ、及び第2の洗浄ステージの独立して実行されるステップを示す方法フロー図である。
図33B】一実施形態に係る多段ブラシレス洗車システムの電気分離システムステージ、第1の洗浄ステージ、及び第2の洗浄ステージの独立して実行されるステップを示す方法フロー図である。
図34】第1の実施形態に係る電気分離システムステージの高レベルブロック図である。
図35A】第1の実施形態に係る電気分離システムステージの正面図である。
図35B】第1の実施形態に係る電気分離システムステージの化学帯電器の詳細図を示す。
図35C】第1の実施形態に係る電気分離システムステージの基準電圧装置の詳細図を示す。
図36】第2の実施形態に係る電気分離システムステージの高レベルブロック図である。
図37A-37B】第2の実施形態に係る電気分離システムステージの正面図を示す。
図38A-38B】第2の実施形態に係る電気分離システムステージの水帯電器の詳細図を示す。
図39A】第2の実施形態に係る第1の洗浄ステージの一部の正面図を示す。
図39B】第2の実施形態に係る第1の洗浄ステージの他の部分の正面図を示す。
図40A】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージの一部の正面図を示す。
図40B-40C】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージの一部の側面図を示す。
図41】第2の実施形態に係る第2の洗浄ステージで用いられる電荷発生器の詳細図を示す。
図42】一実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システムのコントローラの詳細図である。
図43】一実施形態に係る多段ブラシレス洗車システムのコントローラの詳細図である。
図44】一実施形態に係るコントローラのシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は、単なる例示目的で本発明の実施形態を示すにすぎない。当業者であれば以下の説明から容易に分かるように、本明細書に記載の本発明の原理から逸脱することなく、本明細書に示される構造及び方法の別の実施形態を使用することができる。
【0012】
2ステージブラシレス洗車システム
図1は、第1の実施形態に係る2ステージブラシレス洗車システム100(以下、「洗車システム100」)の高レベルブロック図である。洗車システム100は、一例では、複数の別個のステージで乗り物101の外装を洗浄するトンネルベースの洗車システムである。洗車システム100は、一実施形態では、第1の洗浄ステージ103、第2の洗浄ステージ105、コンベア107、コントローラ109、及び給水システム109を含む。一実施形態では、第1の洗浄ステージ103は乗り物101の上面(例えば、上端)を洗浄し、第2の洗浄ステージ105は乗り物101の側面を洗浄する。第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105は、物理的に分離され、乗り物101の外装を洗浄するためにコントローラ109によって独立して制御される。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る乗り物101を洗浄するために洗車システム100の第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105の独立して実行されるステップを示す方法フロー図である。洗車システム100は、洗浄のために乗り物101を受ける(201)。一実施形態では、乗り物101は、乗り物101が洗車システム100に含まれるコンベア107上で推し進められるときに受けられる。コンベア107は、乗り物101の外面を洗浄するために乗り物101が第1の洗浄ステージ103を通過し、続いて第2の洗浄ステージ105を通過するように乗り物101を洗車システム100に沿って所定の速度で輸送する。一実施形態では、コンベア107は、乗り物101を洗車システム100を通じて200~380mm/s(7.8~14.9インチ/s)の速度で輸送し、その結果、1時間当たり約120~180台の乗り物が洗浄される。コンベア107は、異なる例では他の速度で乗り物101を輸送することができる。
【0014】
洗車システム100は、第1の洗浄ステージ103を使用して乗り物101の前面、上端面、及び後面などの乗り物101の上面を洗浄する(202)。一実施形態において、乗り物101の前面の例としてはフロントバンパが挙げられ、乗り物101の上端面の例としては、乗り物101のボンネット、フロントウインドシールド、ルーフ、リアウインドシールド、トラックベッド、及びリアデクリッドの上端部が挙げられ、乗り物101の後面の例としては、リアデクリッドの後部及びリアバンパが挙げられる。
【0015】
以下で更に詳細に説明するように、第1の洗浄ステージ103はブラシレスである。すなわち、第1の洗浄ステージ103は、ブラシを用いずに乗り物101の上面を洗浄する洗浄ユニット(例えば、ノズル)を含む。第1の洗浄ステージ103は、以下で更に説明するように、第2の洗浄ステージ105が乗り物101の側面を洗浄するので、乗り物101の側面を洗浄しない。
【0016】
乗り物101の上面を洗浄するために、第1の洗浄ステージ103は、乗り物201の輪郭形状を決定する(205)。乗り物101の輪郭形状は、一実施形態によれば乗り物101の長さに沿った乗り物101の様々な高さポイントを記述する。輪郭形状に含まれる乗り物101の高さポイントは、乗り物101の前面、上端面、及び後面の垂直形状をまとめて記述する。
【0017】
第1の洗浄ステージ103は、化学物質を乗り物101に塗布する(207)。第1の洗浄ステージ103は、化学物質を乗り物101の上面に塗布する。一実施形態では、第1の洗浄ステージ103は、乗り物101の側面にも化学物質を塗布してもよい。乗り物101の上面に塗布された化学物質は、前部洗浄ステージ103によって乗り物101の上面を洗浄するために使用される。側面に塗布された化学物質は、乗り物101の側面を洗浄するために第2の洗浄ステージ105によって使用されてもよい。化学物質は、例えば、石鹸又は洗車中に使用される任意の他の種類の化学物質を含み得る。一実施形態では、第1の洗浄ステージ103は、それぞれ異なるpHレベルを有する異なる石鹸を乗り物101に塗布してもよい。
【0018】
化学物質が乗り物101に塗布された後、第1の洗浄ステージ103は、第1の洗浄ステージ103の洗浄ユニットを作動させて(209)、乗り物101を水で洗浄し始める。第1の洗浄ステージ103の洗浄ユニットによって噴射された水は、乗り物101の上面を洗浄するために使用される。乗り物101がコンベア107によって第1の洗浄ステージ103に沿って移動すると、第1の洗浄ステージ101は、乗り物101の上面が洗浄されるときに乗り物101の垂直輪郭形状にしたがって洗浄ユニットの高さを調整する(211)。したがって、洗浄ユニットは、洗浄ユニットが乗り物の上面に対して一定の近接度内(例えば、ある距離範囲内)に留まるので、第1の洗浄ステージ103の洗浄性能を向上させるために乗り物101の輪郭にしたがって移動する。
【0019】
以下で更に詳細に説明するように、第1の洗浄ステージ103の洗浄ユニットの高さを調整することにより、洗浄ユニットは、乗り物101の上面から所定の距離範囲(例えば、一定の近接度)を維持して、乗り物101をより良好に洗浄することができる。洗浄ユニットと乗り物101の上面との間の所定の距離範囲を維持することによって、第1の洗浄ステージ103は、従来のブラシレストンネル洗車システムと比較して、洗浄プロセス中に使用される水の量を低減しながら、乗り物101の上面からより多くの汚れ(dirt)、汚れ(grime)、及び/又は路膜(road film)を除去することができる。また、第1の洗浄ステージ103はブラシレスであるため、乗り物101の塗料への損傷は少なくとも低減される。
【0020】
第1の洗浄ステージ103が乗り物101の上面の洗浄を完了した後、乗り物101が第1の洗浄ステージ103を出て、コンベア107が乗り物101を第2の洗浄ステージ105に輸送する。前述のように、第2の洗浄ステージ105は、第1の洗浄ステージ103が完了した後に、第1の洗浄ステージ103とは独立して乗り物101の側面を洗浄する(203)。乗り物の側面の例としては、フロント及びリアフェンダ、ドア、サイドミラー、運転席窓及び/又は助手席窓、ホイール、並びにフロント及びリアバンパの側面が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、第2の洗浄ステージ105中に乗り物101の側面を洗浄するために、第2の洗浄ステージ213の幅は、乗り物101の幅に基づいて調整される(213)。第2の洗浄ステージ213の幅が調整された後、第2の洗浄ステージの洗浄ユニットが作動されて(215)、乗り物101の側面を洗浄する。第2の洗浄ステージ105の幅を調整することにより、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットは、乗り物101の側面から所定の距離範囲を維持して、乗り物101の側面をより良好に洗浄することができる。したがって、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットは、乗り物101の側面の輪郭を考慮することができる。洗浄ユニットと乗り物101の側面との間の所定の距離範囲を維持することによって、第2の洗浄ステージ105は、従来のブラシレストンネル洗車システムと比較して、洗浄プロセス中に使用される水の量を低減しながら、乗り物101の側面からより多くの汚れ(dirt)、汚れ(grime)、及び/又は路膜(road film)を除去することができる。
【0022】
一実施形態では、給水システム109は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105に水を供給する。給水システム109によって供給された水は、所定の圧力で加圧されるとともに、所定の温度に加熱される。一実施形態では、給水システム109は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105に供給される水を所定の温度に加熱し維持するための少なくともボイラを含む。また、給水システム109は、所定の圧力(例えば、1000PSI)で第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105に水を供給するための圧力ポンプシステムを含んでもよい。給水システム109は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105とは別の機械室に収容されてもよく、又は第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105と同じ部屋にある。
【0023】
第1の洗浄ステージ103の概要
図3A図3B、及び図3Cを参照すると、一実施形態に係る洗車システム100の第1の洗浄ステージ103の斜視図、正面図、及び側面図がそれぞれ示される。第1の洗浄ステージ103は、光学センサ301、フレーム302、給水ライン303、伸縮ユニット304、モータ305、洗浄ユニット306、及び安全デバイス307を含み、これらのそれぞれについては以下で更に詳細に説明する。第1の洗浄ステージ103は、他の例で本明細書に記載されているよりも追加の又はより少ない構成要素を有してもよい。
【0024】
一実施形態において、光学センサ301は、乗り物101の輪郭形状を識別するためにコントローラ109と共に使用される。前述のように、乗り物101の輪郭形状は、乗り物101の長さに沿って測定される乗り物101の複数の高さポイントを含む。各高さポイントは、乗り物の一部の高さを表す。乗り物101の輪郭形状に含まれる高さポイントは、乗り物101の前面、上端面、及び後面の形状を正確に記述するために、光学センサ301から検知する順序で配置される。
【0025】
一実施形態では、光学センサ301は、地面(例えば、真っ直ぐな地面)に対して垂直に位置されてもよい。或いは、光学センサ301は、乗り物101の前部に向かって所定の角度θで傾斜されてもよく、この場合、角度θは、地面に対して垂直な基準309から測定される。例えば、光学センサ301は、基準309から13~17度の所定の角度θの範囲に位置されてもよい。光学センサ301は、以下で更に説明するように、光学センサ103によって感知された隣り合う高さポイント間の測定距離を減少させるために角度が付けられてもよい。
【0026】
一実施形態では、光学センサ301がライトカーテンセンサである。ライトカーテンセンサは、複数の光電ビームを含む。各光電ビームは、図3Aにおいて個々の光線308として示される光を発する。個々の光線308は、特定の高さを表す。乗り物101がライトカーテンセンサを通過するとき、光電ビームのアレイは、ライトカーテンセンサの検出面内への侵入を感知し、乗り物101の様々な高さポイントは、どの光電ビームが侵入するかに基づいて感知される。コントローラ109に通信されて戻される侵入の感知ポイントに基づいて、コントローラ109は、乗り物101の輪郭形状を生成するために、乗り物101の前面、上端面、及び後面の様々な高さポイントを決定することができる。
【0027】
別の実施形態では、光学センサ301が三次元(3D)センサである。3Dセンサは、乗り物101の輪郭形状を生成するために三次元(例えば、x、y、及びz寸法)で乗り物101の寸法を測定するために使用される。測定された乗り物101の寸法は、乗り物101の上面の高さを含む。
【0028】
一実施形態では、3Dセンサは、乗り物101の前部に向かって位置された少なくとも2つのセンサ(例えば、投射光学センサ)を含む。1つのセンサは乗り物101の運転席側に位置されてもよく、第2のセンサは乗り物101の助手席側に位置されてもよい。乗り物101がセンサを通過すると、各センサは乗り物101に光(例えば、レーザ)を照射し、後部散乱光を測定して乗り物101の寸法(例えば、高さ及び/又は幅)を決定する。
【0029】
フレーム302は、給水ライン303、伸縮ユニット304、モータ305、洗浄ユニット306、及び安全デバイス307などの第1の洗浄ステージの他の構成要素を支持するために使用される構造である。フレーム302は、フレーム302Dを集合的に形成し、給水ライン303、伸縮ユニット304、及びモータ305を機械的に支持する複数のフレームレール302A~302Dを含む。フレーム302は、鋼又はアルミニウムなどの金属又は他の金属で作られてもよい。
【0030】
一実施形態において、フレーム302は、一実施形態では最大高さ90インチ及び最大幅90インチの乗り物101を収容するために、90インチより大きい高さ及び134インチの幅を有する。しかしながら、フレーム302は、洗浄されている乗り物のサイズに応じて異なる寸法を有することができる。
【0031】
伸縮ユニット304は洗浄ユニット306の高さを調整するので、伸縮ユニット304は高さ調整ユニットと考えることができる。伸縮ユニット304は、一実施形態では、伸縮レールである。伸縮ユニット304は、第1の洗浄ステージ103中に洗浄ユニット306と乗り物101の上面との間の所定の距離範囲を維持するように、乗り物101の輪郭形状にしたがって収縮又は伸長するように構成される。図3Cに示すように、伸縮ユニット304の一部311は、装着プレート313を使用してフレーム302に装着される。図3A及び図3Cに示すように、装着プレート313は、フレームレール302Dに装着される。装着プレート313は、ナット及びボルトなどの締結具を使用してフレームレール302Dに装着されてもよく、又は装着プレート313は、フレームレール302Dに溶接されてもよい。
【0032】
以下で更に詳細に説明するように、洗浄ユニット306が水マニホールドであってもよく、該水マニホールドには複数のノズルが取り付けられる。洗浄ユニット306は、乗り物101を洗浄するために乗り物101の上面に加圧水を噴射するために使用される。洗浄ユニット306は、図3Bに示すように、伸縮ユニット304の端部315A、315Bに取り付けられる。前述したように、洗浄ユニット306は、洗浄性能を高めるために、第1の洗浄ステージ中、乗り物101の上面間で所定の距離範囲内に維持される。
【0033】
給水ライン303は、給水システム109によって供給される水を洗浄ユニット306に供給する。給水ライン303は、図3Bに示すように、伸縮ユニット304の片側にそれぞれ配置される給水ライン303A及び給水ライン303Bを含むことができる。各給水ラインの端部は、洗浄ユニット306に取り付けられる。例えば、給水ライン303Aの端部316Aが洗浄ユニット306に取り付けられ、給水ライン303Bの端部316Bが洗浄ユニット306に取り付けられる。
【0034】
モータ305は、乗り物101が第1の洗浄ステージ103中に洗浄されている間に伸縮ユニット304を収縮又は伸長するように回転するべく構成される。モータ305は、洗浄ユニット306が乗り物101の前面、上端面、及び後面の表面の所定の距離範囲に維持されるように、乗り物101の輪郭形状にしたがって伸縮ユニット304を収縮又は伸長するようにコントローラ109によって制御される。一実施形態では、モータ305が伸縮ユニット304の最上端部317に取り付けられる。
【0035】
安全デバイス307は、乗り物101と安全デバイス307との間の衝撃時の乗り物101への損傷を低減するように構成される。安全デバイス307は、衝撃を吸収して衝撃時の乗り物101の損傷を低減する衝撃吸収材料を含む。衝撃は、伸縮ユニット304が乗り物101の輪郭形状にしたがって適切に収縮されない場合に発生する可能性がある。
【0036】
一実施形態では、安全デバイス307は、複数の安全デバイス307A及び307Bを含む。以下で更に説明するように、複数の安全デバイスは、各安全デバイスが洗浄ユニット306の一部を取り囲むように洗浄ユニット306に取り付けられる。安全デバイス307Aは、給水ライン303Aの一方側(例えば、給水ライン303Aの左側)にあるように洗浄ユニット306上に位置され、また、安全デバイス307Bは、給水ライン303Bの他方側(例えば、給水ライン303Bの右側)にあるように洗浄ユニット306上に位置される。ここで示す安全デバイス307は、2つの安全デバイスを含むが、任意の数の安全デバイスを用いてもよい。
【0037】
図4を参照すると、第1の洗浄ステージ103は、複数の化学アーチ401も含んでもよい。一般に、化学アーチ401は、洗車システム100の洗浄プロセス中に乗り物101に化学物質を噴射する構造である。化学物質は、例えば石鹸を含む。
【0038】
一実施形態では、化学アーチ401は、乗り物101の上面に洗剤を塗布する。また、化学アーチ401は、乗り物101の側面に洗剤を塗布することもできる。一実施形態では、化学アーチ401A及び401Bのそれぞれは、乗り物101の上面及び側面に洗剤を同時に噴射する。乗り物101の上面に塗布された洗剤は、乗り物の上面を洗浄するために第1の洗浄ステージ103によって使用される。幾つかの実施形態では、側面に塗布された洗剤は、乗り物101の側面を洗浄するために第2の洗浄ステージ105によって使用されてもよい。幾つかの実施形態では、第1の化学アーチ401Aによって噴射される洗剤と第2の化学アーチ401Bによって噴射される洗剤とは同じである。或いは、第1の化学アーチ401Aにより噴射される洗剤と、第2の化学アーチ401Bにより噴射される洗剤とは異なる。洗剤の例は、石鹸である。
【0039】
一実施形態では、化学アーチ401Aは、第1のpHレベルを伴う洗剤を乗り物101に塗布し、化学アーチ401Bは、第2のpHレベルを伴う洗剤を乗り物101に塗布する。第1及び第2のpHレベルは、一実施形態では互いに異なるが、他の実施形態では同じであってもよい。
【0040】
図4に示すように、化学アーチ401は、光学センサ301とフレーム302との間に位置されている。一実施形態では、第1の化学アーチ401Aは、光学センサ301から少なくとも157インチ~最大236インチを隔てて位置される。一実施形態では、化学アーチ401Aと化学アーチ401Bとの間の距離は、洗車から洗車までの距離と異なっていてもよい。化学アーチ401間の距離は、例えば、化学アーチ401によって塗布される異なる洗剤間の滞留時間及びコンベア107の速度などの異なる作用因子に基づくことができる。一実施形態では、化学アーチ401を作動させるために、光学センサ301とは異なる光学センサを使用することができる。
【0041】
光学センサ301
図5Aは、一実施形態に係る乗り物101の複数の高さポイントを示す。前述したように、光学センサ301は、乗り物101の異なる高さポイントを表す乗り物101の輪郭形状を識別するためにコントローラ109と導通して使用される。図5Aにおいて、ドット501は、乗り物101の上面のうちの1つに沿った高さポイントを表している。例えば、ドット501Aは、乗り物の前面の高さ(例えば、フロントバンパ上)を表し、ドット501B,501Dは、乗り物101の上端面の隣り合う高さ(例えば、フード上)を表し、ドット501Cは、乗り物101の後面の高さ(例えば、リアバンパ上)を表す。光学センサ301及びコントローラ109は、乗り物の前面、上端面、及び後面のそれぞれに沿って複数の高さポイントを決定することができる。図5Bは、光学センサ301及びコントローラ109によって経時的に感知された乗り物101の高さポイントのグラフ503を示す。異なる高さポイントは、図5Bに示すように、乗り物101の上面の輪郭505を集合的に表す。
【0042】
前述したように、光学センサ301がライトカーテンセンサである実施形態では、ライトカーテンセンサは、図5Aに示すように、乗り物101の前部に向かってある角度θで位置されてもよく、この場合、角度θは、地面に対して垂直な基準309から測定される。光学センサ301を使用して測定された隣り合う乗り物高さポイント(例えば、高さ501B及び501D)間の測定距離を減少させるために、光学センサ301は、基準309から13~17度の角度範囲に位置されてもよい。一実施形態では、光学センサ301の角度範囲は、洗車システム100を通る乗り物101の速度及び伸縮ユニット304を伸縮させることができる速度を含む要因に基づく。一実施形態では、基準309から13~17度の角度範囲内に光学センサ301を位置することは、乗り物の移動速度が200mm/s~380mm/s(例えば、7.8インチ/秒~14.9インチ/秒)の速度範囲にあり、伸縮ユニット304が1m/sの最大速度で収縮/伸長することができるという仮定に基づいている。
【0043】
一般に、乗り物101の高さポイントを測定する際の光学センサ304の性能は、以下の表1に示すように、光学センサ301の角度に応じて変化する。光学センサ301の性能は、隣り合う高さポイント間の距離を表す。一実施形態では、伸縮ユニット304が1m/sの最大速度で伸縮することができると仮定すると、光学センサ301によって隣り合う高さポイント間で測定された距離が1メートル以下である場合に、第1の洗浄ステージ103の最適な性能が生じる。
【0044】
【表1】
一般に、光学センサ301を用いて測定される隣り合う高さポイント間の距離は、光学センサ301の角度に応じて変化する。例えば、光学センサ301を13度~17度の角度範囲に位置することにより、光学センサ301を用いて測定される隣り合う高さポイントを互いに1メートル以内にすることができ、1メートルを超える前後の高さを測定することができる。したがって、光学センサ301の13度~17度の角度範囲は、伸縮ユニット304の最大速度が1m/sである場合に最適である。
【0045】
対照的に、光学センサを0度~12度など、13度~17度の角度範囲未満の角度で位置決めすると、光学センサ301の角度が13度~17度の角度範囲内にあるときに測定される隣り合う高さポイント間の距離と比較して、乗り物101の前面、上端面、及び後面上の隣り合う高さポイント間の距離が増大する。また、光学センサ301は600mm(23.6in)以上の高さを測定できるので、乗り物101の前部の高さを認識するには0度~12度の角度を用いることが有利であるが、乗り物101の後面の高さを測定するには不利である。
【0046】
また、光学センサを18度~20度など、13度~17度の角度範囲よりも大きい角度で位置決めすると、光学センサ301の角度が13度~17度の角度範囲内にあるときに測定された隣り合う高さポイント間の距離と比較して、乗り物101の前面、上端面、及び後面上の隣り合う高さポイント間の距離が減少する。しかしながら、光学センサ301は800mm(31.5インチ)を超える高さを測定することができるので、18度~20度の角度を使用することは、乗り物101の後部の高さを認識するのに有利であるが、乗り物101の前部の高さを測定するのには不利である。したがって、光学センサ301に関して13度~17度の角度範囲を使用すると、光学センサ301を使用して測定された隣り合う高さ間の距離を短縮しながら、乗り物101の前面及び後面の高さを測定するための最良の性能が得られる。
【0047】
伸縮ユニット動作
図6A図6Hは、一実施形態に係る乗り物101の前面、上端面、及び後面を洗浄するための洗車システム100の第1の洗浄ステージ103の動作を示す。具体的には、図6A図6Hは、伸縮ユニット304を収縮又は伸長することによって乗り物101の垂直輪郭形状にしたがって洗浄ユニット306の高さがどのように調整されるかを示す。洗浄ユニット306の下方で乗り物が移動される際に洗浄ユニット306の高さが調整されるため、洗浄ユニット306が乗り物101の上面から所定の距離範囲内に維持され、洗浄効率が向上する。一実施形態では、洗浄ユニット306は、乗り物が洗浄ユニット306の下方で移動される際に、第1の洗浄ステージ103中、乗り物100の上面から10~15インチの所定の距離範囲内に維持される。洗浄ユニット306を所定の距離範囲内に維持することにより、水が乗り物101の上面に接触するとき、洗浄ユニット306によって出力される水の水温を所定の温度範囲(例えば、110~140°F)にすることができ、それによって一実施形態では洗浄性能が向上する。
【0048】
図6Aは、洗浄ユニット306の初期位置を示す。モータ304は、乗り物101の前面601の洗浄を開始するために乗り物101の輪郭形状に含まれる第1の高さに関連する位置に洗浄ユニット306を位置するように伸縮ユニット304を伸長させる。図6Bでは、モータ305は、洗浄ユニットが水を噴射し続けて乗り物101の前面601を洗浄するにつれて、乗り物101の輪郭形状にしたがって伸縮ユニット304を収縮させて洗浄ユニット306を上昇させる。図6Cでは、モータ305は、伸縮ユニット304を更に収縮させ、それによって洗浄ユニット306を上昇させて乗り物101の上端面603(例えば、フード)を洗浄する。図6Dでは、モータ305は再び伸縮ユニット304を収縮させ、それによって洗浄ユニット306を更に上昇させて乗り物101の上端面(例えば、ルーフ)603を洗浄し、また、モータ305は、図6Eに示すように乗り物101のルーフの全体にわたって伸縮ユニット304の高さを維持する。図6Fでは、モータ305は、伸縮ユニット304を伸長し、それによって洗浄ユニット306を下降させて乗り物の上端面(例えば、ベッド)603を洗浄し、モータ305は、図6Fに示すように乗り物のベッドの全体にわたって伸縮ユニット304の高さを維持する。モータ305は、図7に関して説明したように、乗り物601の後面605を洗浄するために図6G図6Hにおいて伸縮ユニット304を更に伸長する。
【0049】
図7は、乗り物101の後面605が洗浄される際の第1の洗浄ステージ103の詳細図を示す。図7に示すように、伸縮ユニット304は、地面と垂直に位置される基準線701に対して所定の角度範囲α内の角度で位置される。一実施形態では、伸縮ユニット304が乗り物101と接触していない間、伸縮ユニット304は角度範囲α内の所定の角度にある。すなわち、伸縮ユニット304は、伸縮ユニット304と乗り物101との間に接触がない限り、第1の洗浄ステージ103の持続時間中にその角度のままである。
【0050】
図7に示すように、伸縮ユニット304は、乗り物が第1の洗浄ステージ103から離れるにつれて乗り物101の後面605に向かって傾斜される。乗り物101の後部を洗浄しながら、伸縮ユニット304を後面605に向かって角度αで傾斜させることによって、洗浄ユニット306は、乗り物101が第1の洗浄ステージ103から更に遠くに移動するときに、ある持続時間にわたって乗り物101の後面605から所定の距離範囲内に留まることができる。乗り物101の後面を洗浄している間に伸縮ユニット304が乗り物101の後部に向かって傾斜されなかった場合、伸縮ユニット304は垂直方向(例えば、水平方向ではない)にのみ移動し、乗り物101が第1の洗浄ステージ103から離れるにつれて洗浄ユニット306は乗り物101の後面までの距離を所定の範囲に維持することができない。その結果、乗り物101の後面の洗浄が不十分となる。
【0051】
しかしながら、伸縮ユニット304は、後面を洗浄する間、角度αで乗り物101の後面に向かって傾斜されるため、洗浄ユニット306は、乗り物101が第1の洗浄ステージ103から更に離れるまでの持続時間にわたって乗り物101が離れるにつれて後面605から所定の距離範囲内に留まることができる。乗り物101の後面を洗浄している間、傾斜した伸縮ユニット304は、伸縮ユニット304が角度αで傾斜していることに起因して、伸縮ユニット304が伸長されると、水平方向及び垂直方向の両方に移動する。伸縮ユニット304が伸長するにつれて伸縮ユニット304は水平方向及び垂直方向の両方に移動するため、伸縮ユニット304は、乗り物101が第1の洗浄ステージ101から離れるにつれて、洗浄ユニット304がある持続時間にわたって乗り物101の後部から所定の距離範囲内に留まることができるようにする。すなわち、第1の洗浄ステージ103は、乗り物101が第1の洗浄ステージ103から離れるように移動するにつれて、乗り物101の後面の輪郭を辿る。第1の洗浄ステージ103は、乗り物が第1の洗浄ステージ103から離れるにつれて乗り物101の後面の輪郭を辿ることができるため、伸縮ユニット304が乗り物101の後面を洗浄しながら垂直方向にのみ移動する場合と比較して、乗り物101の後面はより完全に洗浄される。
【0052】
伸縮ユニット304は、一実施形態では、光学センサ301の角度範囲と一致する角度範囲内のある角度で位置されてもよい。すなわち、伸縮ユニット304は、光学センサ301の角度範囲と同じ角度範囲内の角度で傾斜されてもよい。例えば、伸縮ユニット304は、基準701から13度~17度の角度範囲間のある角度で位置され、光学センサ301の角度範囲も13度~17度である。一実施形態では、伸縮ユニット304は、光学センサ301と同じ角度で傾斜される。例えば、伸縮ユニット304及び光学センサ301は、いずれも15度の角度で傾斜される。しかしながら、他の実施形態では、伸縮ユニット304は、光学センサ301の角度とは異なる角度に位置される。例えば、伸縮ユニット304は、基準線701から13度~17度の角度範囲間のある角度に位置されるが、光学センサ301は傾斜されない(例えば、地面に対して垂直に位置される)。
【0053】
一実施形態では、伸縮ユニット304の角度範囲は、洗浄ユニット306から乗り物301の上面までの所定の距離範囲、洗浄ユニット306の初期位置(例えば、初期高さ)、及び安全デバイス307のサイズを含む様々な因子に基づいて設定される。一実施形態では、伸縮ユニット304を基準701から13~17度の角度範囲内に位置することは、洗浄ユニット306が乗り物100の上面から10~15インチの所定の距離範囲内に維持され、地面よりも上方の洗浄ユニット306の初期位置が480mm~520mmの範囲内(例えば、18.8in~20.5in)であり、安全デバイス307の直径が280mm~320mmの範囲内(例えば、11in~12.6in)であるという仮定に基づいている。
【0054】
伸縮ユニット304の性能は、以下の表2に示すように、伸縮ユニット304の角度に応じて変化する。
【0055】
【表2】
上記の表2は、1)0度~12度、2)13度~17度、及び3)18度~20度の異なる角度範囲に位置されたときの伸縮ユニット304の性能を記述する。伸縮ユニット304の性能は、ノズル距離性能、衝突性能、前部洗浄性能、及び後部洗浄性能などの異なるタイプの性能基準に関して記述される。それぞれの性能基準タイプごとに、各角度範囲には、以下で更に説明するように、「優」、「良」、又は「不良」のスコアが割り当てられる。
【0056】
一実施形態において、ノズル距離性能は、伸縮ユニット304が所与の角度範囲に位置されるときに、洗浄ユニット306のノズルの端部が乗り物101の上面までの所定の水ノズル距離範囲内(例えば、250mm~300mm)にどの程度うまく留まることができるかを記述する。なお、所定の水ノズル距離範囲250mm~300mm(例えば、9.8から11.8インチ)は、様々な伸縮ユニット304の角度の試験に用いられる範囲である。しかしながら、一実施形態では、洗浄ユニット306と乗り物101の上面との間の洗浄性能にとって最適な水ノズル距離範囲は、10~15インチである。
【0057】
一般に、洗浄ユニット306のノズルは、乗り物に接触することなく乗り物101の上面に可能な限り近接して位置される。一実施形態では、「優」のスコアは、洗浄ユニット306が所定の水ノズル距離範囲(例えば、250mm)の下端に維持されることを示し、一方、「良」のスコアは、洗浄ユニット306が範囲の中心に対応する距離(例えば、275mm)に維持されることを示す。「不良」のスコアは、洗浄ユニット306が所定の水ノズル距離範囲外にある乗り物101の上面からの距離を隔てていることを示す。一実施形態では、「良」又は「優」というノズル距離性能スコアは許容可能な性能と見なされるが、「不良」というスコアは許容できない性能である。
【0058】
表2に示すように、伸縮ユニット304を13~17度の角度範囲に位置決めすると、「良」のノズル距離性能が得られたが、伸縮ユニット304を0~12度の角度範囲に位置決めすると、「優」のノズル距離性能が得られた。対照的に、伸縮ユニット304を18度~20度の角度範囲に位置決めすると、ノズル距離性能が「不良」になった。
【0059】
一実施形態では、衝突性能は、伸縮ユニット304と乗り物101の前面、上端面、及び後面との間の衝突の尤度(例えば、リスク)を記述する。衝突性能に関して、「優」のスコアは、伸縮ユニット304と乗り物101との間で衝撃が発生する可能性が低いことを示し、「良」のスコアは、伸縮ユニット304と乗り物101との間で衝撃が発生する可能性があることを示す。一方、「不良」のスコアは、伸縮ユニット304と乗り物101との衝突が起こりやすいことを示す。一実施形態では、「良」又は「優」という衝突性能スコアは許容可能な性能と見なされるが、「不良」というスコアは許容できない性能である。
【0060】
表2に示すように、伸縮ユニット304を13~17度の角度範囲に位置決めすると、伸縮ユニット304と乗り物101との間で衝突が発生しにくいことを示す「優」の衝突性能が得られたが、伸縮ユニット304を0~12度の角度範囲に位置決めすると、「良」の衝突性能が得られた。0度~12度の角度範囲は「良」の衝突性能をもたらしたので、伸縮ユニット304と乗り物101との間の接触の危険性が依然として存在する。表2に示すように、伸縮ユニット304を18~20度の角度範囲に位置決めすると、伸縮ユニット304と乗り物101との間の接触の可能性が高いことを示す「不良」の性能が得られた。
【0061】
一実施形態では、前部洗浄性能は、第1の洗浄ステージ103を使用する乗り物101の前面の前部洗浄効率を表す。前部洗浄効率は、乗り物の前面がどれだけ洗浄されるかに関係する。前部洗浄性能について、「優」のスコアは、乗り物の前面のほぼ全てが洗浄されることを示し、「良」のスコアは、乗り物101の前面の大部分が洗浄されることを示す。一方、「不良」のスコアは、第1の洗浄ステージ101による洗浄が行われた後、乗り物の前面の大部分が洗浄されていないことを示す。一実施形態では、「良」又は「優」という前部性能スコアは許容可能な性能と見なされるが、「不良」というスコアは許容できない性能である。
【0062】
表2に示すように、伸縮ユニット304を13~17度の角度範囲に位置させると、乗り物101の前面の大部分が洗浄されるという点で「良」の前面洗浄性能が得られた。同様に、伸縮ユニット304を0度~12度の角度範囲に位置させると、乗り物101の前面のほぼ全てが洗浄されるという点で「優」の前面洗浄性能が得られた。表2に示すように、伸縮ユニット304を18~20度の角度範囲に位置させると、「不良」の性能が得られ、これは、第1の洗浄ステージ101によって洗浄が行われた後に乗り物101の前面の大部分が洗浄されていないことを示す。
【0063】
一実施形態において、後部洗浄性能は、第1の洗浄ステージ103を使用する乗り物101の後面の後部洗浄効率を表す。後面洗浄効率は、乗り物の後面をどれだけ洗浄するかに関係する。また、後洗浄性能については、「優」のスコアは、乗り物の後面のほぼ全てが洗浄されることを示し、「良」のスコアは、乗り物101の後面の大部分が洗浄されることを示す。一方、「不良」のスコアは、第1の洗浄ステージ101による洗浄が行われた後、乗り物の後面の大部分が洗浄されていないことを示す。一実施形態では、「良」又は「優」という後部性能スコアは許容可能な性能と見なされるが、「不良」というスコアは許容できない性能である。
【0064】
表2に示すように、伸縮ユニット304を13度~17度の角度範囲に位置させると、乗り物101の後面の大部分が洗浄されるという点で「良」の洗浄性能が得られた。伸縮ユニット304の13度~17度の角度範囲に起因して、洗浄ユニット306は、乗り物101が前部洗浄ステージ101から離れるにつれて乗り物101の後面の大部分を洗浄することができる。対照的に、伸縮ユニット304を0~12度の角度範囲に位置させると、乗り物101の前面の大部分が洗浄されないという点で「不良」の後部洗浄性能が得られた。0度~12度の角度範囲に位置されたときの伸縮ユニット304の角度が浅いため、洗浄ユニット306は、伸縮ユニット304が水平方向ではなく垂直方向に移動することに起因して、前部洗浄ステージ101から離れるにつれて乗り物101の後面を適切に洗浄することができない。伸縮ユニット304は、大部分が垂直方向に移動するため、乗り物101が第1の洗浄ステージ103から離れるにつれて、洗浄ユニット306は、乗り物101の後面まで所定の距離範囲内に留まることができない。最後に、伸縮ユニット304を18度~20度の角度範囲に位置させると、乗り物101の後面の大部分が第1の洗浄ステージ101中に洗浄されるという点で「優」の後部洗浄性能が得られた。角度が大きいため、伸縮ユニット304が伸長して乗り物101の後面を洗浄する際に伸縮ユニット304が水平方向及び垂直方向の両方に移動するため、洗浄ユニット306は、乗り物101が第1の洗浄ステージ101から離れるにつれて乗り物101の後面のほぼ全てを洗浄することができる。
【0065】
表2に示すように、一般に、伸縮ユニット304の角度範囲が減少するにつれて、衝突の可能性が減少する一方で、全体的な洗浄性能(例えば、前後の洗浄性能)も低下する。対照的に、伸縮ユニット304の角度範囲が増大するにつれて、全体的な洗浄効率(例えば、前後の洗浄性能)は増大するが、衝突性能の低下を犠牲にする。伸縮ユニット304の13度~17度の角度範囲は、ノズル距離性能、衝突性能、前部洗浄性能、及び後部洗浄性能などの異なるタイプの性能基準の最良のバランスをもたらす。
【0066】
伸縮ユニット304
図8A図8Dは、一実施形態に係る伸縮ユニット304のステージの詳細図を示す。なお、伸縮ユニット304の状態は、図8A図8Dに示される伸縮ユニット304の異なる状態間にある。一実施形態では、伸縮ユニット304は、複数のレールステージ801A、801B、801C、及び801Dを含む。例えば、レールステージ801Aは第1のレールステージであり、レールステージ801Bは第2のレールステージであり、レールステージ801Cは第3のレールステージであり、レールステージ801Dは第4のレールステージである。一実施形態では、伸縮ユニット304は、後述するように、レールステージ801B~801Dをレールステージ801A内に嵌まり込むべく折り畳むことができるように折り畳み可能である。レールステージ801は、例えばアルミニウム製であってもよいが、他の材料を用いてもよい。
【0067】
図8Aは、完全に伸長した状態の伸縮ユニット304を示す。完全に伸長された状態では、各レールステージ801は、その前のレールステージから可能な限り突出するように完全に伸長される。完全に伸長した状態では、伸縮ユニット304は可能な限り最長の長さにある。伸縮ユニット304が完全に伸長した状態では、レールステージ801Dはレールステージ801Cから完全に伸長され、レールステージ801Cはレールステージ801Bから完全に伸長され、レールステージ801Bはレールステージ801Aから完全に伸長される。
【0068】
図8Bは、第1の中間状態にある伸縮ユニット304を示す。第1の中間状態では、最後のレールステージ801Dは、その前のレールステージ801C内に折り畳まれる。第1の中間状態では、レールステージ801Dは、その前のレールステージ801C内に収容され、レールステージ801C及びレールステージ801Bは、それらのそれぞれの前のレールステージから完全に伸長される。例えば、レールステージ801Cはレールステージ801Bから完全に伸長され、レールステージ801Bはレールステージ801Aから完全に伸長される。
【0069】
図8Cは、第2の中間状態の伸縮ユニット304を示す。第2の中間状態では、最後のレールステージ801Dは、その前のレールステージ801C内に折り畳まれ、第3のレールステージ801Cは、その前のレールステージ801B内に折り畳まれる。第2の中間状態では、レールステージ801Cは、その前のレールステージ801B内に収容され、レールステージ801Bは、そのそれぞれの前のレールステージから完全に伸長される。例えば、レールステージ801Bは、レールステージ801Aから完全に伸長される。最後のレールステージ801Dは、最初の中間ステージからレールステージ801C内に折り畳まれるため、最後のレールステージ801Dもレールステージ801B内に折り畳まれ、レールステージ801Cはレールステージ801B内に折り畳まれる。
【0070】
図8Dは、完全に折り畳まれた状態の伸縮ユニット304を示す。完全に折り畳まれた状態では、伸縮ユニット304が可能な限り短い長さである。図8Dに示すように、完全に折り畳まれた状態では、第2のレールステージ801Bは、その前のレールステージ801A(例えば、第1のレールステージ)内に折り畳まれる。レールステージ801D及びレールステージ801Cはいずれも、第2の中間状態でレールステージ801B内に折り畳まれるため、完全に折り畳まれた状態では、レールステージ801D、801C、及び801Bは全てレールステージ801A内に収容される。
【0071】
図8Eは、一実施形態に係る各レールステージ801A~801Dの平面図を示す。図8Eに示すように、各レールステージ801A~801Dは、第1の方向(例えば、Y方向)に沿って配置された複数の垂直側面802と、第2の方向(例えば、X方向)に沿って配置された複数の水平側面803とを含む。例えば、各レールステージ801A~801Dの複数の垂直側面802は、垂直側面802Aと、垂直側面802Aの反対側の垂直側面802Bとを含む。更に、各レールステージ801A~801Dの複数の水平側面803は、例えば、互いに離間した水平側面803A、水平側面803B、及び水平側面803Bを含む。
【0072】
各レールステージ801A~801Dは、それぞれのレールステージ801の垂直側面802Aの外縁部805Aから垂直側面802Bの外縁部805Bまで測定された外側幅Aと、それぞれのレールステージの垂直側面802Aの内縁部807Aから垂直側面802Bの内縁部807Bまで測定された内側幅Bとを含む。図Aに示すように、それぞれのレールステージについて、外側幅Aは内側幅Bよりも大きい。
【0073】
図8Eに示すように、レールステージ801Aは、伸縮ユニット304が完全に折り畳まれたときにレールステージ801B~801Dがレールステージ801A内に収容されるように構成されることを考えると、全てのレールステージの中で最も幅広いレールステージである。すなわち、レールステージ801Aは、全てのレールステージ801A~801Dの中で最も広い幅Aを有する。レールステージ801Aに続く各後続のレールステージは、それに先行するレールステージよりも小さい幅Aを有する。例えば、レールステージ801Bの外側幅Aは、レールステージ801Aの外側幅Aよりも小さいが、レールステージ801C及びレールステージ801Dの外側幅Aよりも大きい。レールステージ801Cの外側幅Aは、レールステージ801Dの外側幅Aよりも広いが、レールステージ801Bの外側幅A及びレールステージ801Aの外側幅Aよりも小さい。最後に、レールステージ801Dの外側幅Aは、レールステージ801A~801Cのそれぞれの外側幅Aよりも小さい。
【0074】
一実施形態では、レールステージ801Aを除く各レールステージの外側幅Aは、所与のレールステージの直前のレールステージの内側幅Bよりも小さい。これにより、伸縮ユニット304が折り畳まれるときに、レールステージ801Aを除く各レールステージが先行するレールステージ内に嵌合できる。例えば、レールステージ801Bの外側幅Aは、伸縮ユニット304が折り畳まれるときにレールステージ801Bがレールステージ801A内に嵌合することができるように、レールステージ801Aの内側幅Bよりも小さい。同様に、レールステージ801Cの外側幅Aは、伸縮ユニット304が折り畳まれるときにレールステージ801Cがレールステージ801B内に嵌合することができるように、レールステージ801Bの内側幅Bよりも小さい。最後に、レールステージ801Dの外側幅Aは、伸縮ユニット304が折り畳まれるときにレールステージ801Dがレールステージ801C内に嵌合することができるように、レールステージ801Cの内側幅Bよりも小さい。
【0075】
図8Fは、一実施形態に係る伸縮ユニット304の斜視図を示す。完全に伸長した状態では、伸縮ユニット304は、一実施形態によれば、266~267インチの長さCを有する。しかしながら、長さCに関しては他の長さが使用されてもよい。複数のレールステージはそれぞれ長さE(例えば、長さE1、E2、E3、及びE4)を有する。一実施形態では、レールステージ801Aは、89インチの長さE1を有する最長レールステージである。残りのレールステージ801B~801Dは、一実施形態では59インチの同じ長さEを有する。他の実施形態では、レールステージ801B~801Dは、異なる長さ又は同じ長さを有する。
【0076】
一実施形態では、各レールステージ801は厚さDを有する。レールステージ801Aは、全てのレールステージ801の中で最大の厚さD(例えば、厚さD1、D2、D3、及びD3)を有する。レールステージ801Aに後続する各レールステージ801の厚さD4は、所与のレールステージの厚さDが先行するレールステージよりも小さくなるように減少する。例えば、レールステージ801Bの厚さD2は、レールステージ801Aの厚さD1よりも小さい。同様に、レールステージ801Cの厚さD3は、レールステージ801Bの厚さD2よりも小さい。最後に、レールステージ801Dの厚さD4は、レールステージ801Cの厚さD3よりも小さい。
【0077】
図9A図9Dを参照すると、一実施形態に係るレールステージ801の構成要素が示される。図9A図9Dに示されるレールステージ801の構成要素は、全てのレールステージ801に適用可能である。一実施形態では、レールステージ801Aを除く各レールステージ801の各垂直側面802は、レールステージ801の一端部(例えば、上端部)に配置された複数のサイドローラ902を含む。図9Aは、レールステージ801Bの垂直側面802が第1のサイドローラ902A及び第2のサイドローラ902Bを含むことを示す。各レールステージ801のサイドローラ902は、レールステージ801の外縁部805に装着される。具体的に図9Cを参照すると、各サイドローラ902は、ナット909及びボルト907などの締結具を使用して、そのそれぞれのレールステージ801の外面805に装着される。
【0078】
したがって、レールステージ801Aを除く各レールステージ801は、レールステージ801の各垂直側面802の外縁部805に装着された2つのサイドローラを伴う合計4つのサイドローラ901を含むことができる。4つのサイドローラ901を有することにより、伸縮ユニット304が折り畳まれる又は伸長される間に振動する可能性が低減される。一実施形態では、サイドローラ902はナイロン製であるが、他の材料を使用してもよい。サイドローラ901の直径は、例えば1インチであるが、他の直径であってもよい。
【0079】
更に、一実施形態では、各レールステージ801の両方の垂直側面802A及び802Bは、図9Aに示すように、各垂直側面802の長さに沿って延びるスロット901を含む。所与のレールステージのサイドローラ902は、所与のレールステージの前のレールステージのスロット901内に配置される。例えば、図9Aがレールステージ801Bのサイドローラ902を示すと仮定すると、サイドローラ902は、レールステージ801Aのスロット901内に配置される。レールステージ上のサイドローラ902とスロット901との組み合わせは、伸縮ユニット304の伸長又は収縮中に、伸縮ユニット304がスロット901の方向に移動する方向を制限する。
【0080】
一実施形態では、各レールステージ801の各垂直側面802は、1つ以上のカムローラ903を含む。各レールステージ801のカムローラ903は、レールステージ801の少なくとも一端部に配置される。カムローラ903は、レールステージ801の上端部及び下端部の両方に配置されてもよく、レールステージの一端部のみに配置されてもよい。図9Aは、レールステージ801Aの垂直側面802が、レールステージ801Aの垂直側面802の下端部の角に形成された切り欠き905に配置されたカムローラ903を含むことを示す。カムローラ903は、レールステージ801Aの垂直側面802の切り欠き905から、レールステージ801Aの垂直側面802の外面805に対して垂直な方向に突出している。図9Cに示すように、カムローラ903は、カムローラ903をレールステージ801の垂直側面902に取り付けるために、垂直側面802の切り欠き905内に形成された穴に螺合するねじ端部911を含む。カムローラ903の直径は、例えば1.4インチであるが、他の直径であってもよい。なお、カムローラ903はナイロン製であってもよいが、他の材料であってもよい。
【0081】
一実施形態では、各レールステージ801のカムローラ903は、後続のレールステージ801の外面805と接触している。例えば、レールステージ801Aのカムローラ903は、図9Aに示すように、レールステージ801Bの外面805に接触している。カムローラ903の使用は、レールステージ801が折り畳まれて伸長されるときの伸縮ユニット304の滑らかな動きを改善する。また、カムローラ903は、レールステージ801が折り畳まれて伸長されるときに各レールステージ801を適切な方向に案内するのを助ける。一実施形態では、カムローラ903及びサイドローラ902がナイロン製であり、レールステージ801がアルミニウム製であると仮定すると、ローラ902,903及びレールステージ801の摩耗が低減され、それによって伸縮ユニット304の部品交換の間の時間が延長される。
【0082】
伸縮ユニット304が折り畳み状態と伸長状態との間で移行されると、伸縮ユニット304の異なるレールステージ801が互いに衝突する。異なるレールステージ801間の衝突は、伸縮ユニット304を損傷する可能性がある衝撃を生み出す。一実施形態では、伸縮ユニット304の各レールステージ801は、伸縮ユニット304が伸縮されるにつれて異なるレールステージ801への損傷を低減するために図10A図10Eに示すような1つ以上の衝撃緩和ユニット1000を含む。
【0083】
一実施形態では、レールステージ801の上端の衝撃緩和ユニット1000Bは、衝撃緩和ブロック1001を含む。衝撃緩和ブロック1001は、一実施形態ではウレタン等の衝撃緩和に用いられる衝撃吸収材から形成されるが、他の材料が用いられてもよい。衝撃緩和ブロック1001は、図10Aに示すように、レールステージ801の最上部の水平側面803に装着される。衝撃緩和ブロック1001は、レールステージの最上部の水平側面803よりも弾性を有する材料で形成される。衝撃緩和ブロック1001の幅は、レールステージ801の最上部の水平側面803の幅と同じであってもよく、より小さい幅であってもよい。
【0084】
一実施形態では、レールステージ801の底部にある衝撃緩和ユニット1000Aは、ショックアブソーバ1003と、複数の衝撃緩和パッド1005とを含む。一実施形態では、ショックアブソーバ1003は、図10Aに示すように、レールステージの最も下側の水平側面803の端部間に(例えば、中心に)位置されてもよい。複数の衝撃緩和パッド1005は、ショックアブソーバ1003の一方側(例えば、左側)に装着された第1の衝撃緩和パッド1005Aと、ショックアブソーバ1003の他方側(例えば、右側)に装着された第2の衝撃緩和パッド1005Bとを含んでもよい。複数の衝撃緩和パッド1005は、レールステージの最も下側の水平側面803に装着される。複数の衝撃緩和パッド1005は、レールステージの最も下側の水平側面803よりも弾性を有する材料で形成される。例えば、衝撃緩和パッド1005は、ウレタン製であってもよいが、他の材料であってもよい。
【0085】
一実施形態では、中間レールステージ801B~801Cは、レールステージの上端に衝撃緩和ユニット1000Aを含み、レールステージ801の下端に衝撃緩和ユニット1000Bを含むことができる。対照的に、端部レールステージ801A及び801Dは、衝撃緩和ユニット1000A又は1000Bの一方を含むことができる。例えば、レールステージ801Aは、レールステージの上端に衝撃緩和ユニット1000を有さずにレールステージ801Aの下端に衝撃緩和ユニット1000Bを含むことができ、レールステージ801Dは、レールステージ801Dの下端に衝撃緩和ユニット1000Bを有さずにレールステージ801Dの上端に衝撃緩和ユニット1000Aを含むことができる。
【0086】
図10B及び図10Cは、一実施形態に係る伸縮ユニット304が折り畳まれるときの衝撃緩和ユニット1000Bの使用を示す。図10Bは、レールステージ801の衝撃緩和ユニット1000Bを示す。衝撃緩和ユニット1000Bは衝撃緩和ブロック1001を含む。図10Cは、伸縮ユニット304が折り畳まれる際に衝撃緩和ユニット1000Bが2つの隣り合うレールステージ801間の衝撃を緩和することを示す。図10Cにおいて、衝撃緩和ブロック1001は、衝撃緩和ブロック1001が隣り合うレールステージの水平側面803に接触する際に隣り合うレールステージ間の衝撃量を低減した。衝撃緩和ブロック1001は、隣り合うレールステージの水平側面803よりも弾性を有する材料(例えば、ウレタン)から形成されるため、レールステージ同士が接触した際に、衝撃緩和ブロック1001が隣り合うレールステージ間の衝撃を緩和する。
【0087】
図10D及び図10Eは、一実施形態に係る伸縮ユニット304が伸長される際の衝撃緩和ユニット1000Aの使用を示す。図10D及び図10Eは、レールステージ801の衝撃緩和ユニット1000Aを示す。衝撃緩和ユニット1000Aは、ショックアブソーバ1003と、複数の衝撃緩和パッド1005とを有する。一実施形態では、伸縮ユニット304は、所与の重力で折り畳むことができるよりも速い速度で伸長することができる。したがって、伸縮ユニット304を伸長中の損傷から保護するためにショックアブソーバ1003を使用することができる。
【0088】
図10D及び図10Eは、伸縮ユニット304が伸長される際に衝撃緩和ユニット1000Bが2つの隣り合うレールステージ801間の衝撃を緩和することを示す。図10D及び図10Eにおいて、伸縮ユニット304が伸長される際にショックアブソーバ1003が隣り合うレールステージの水平側面803に最初に接触する。ショックアブソーバ1003は、2つのレールステージが接触する速度を遅くする。複数の衝撃緩和パッド1005は、隣り合うレールステージの水平側面803に接触して、隣り合うレールステージ間の衝突の衝撃を更に緩和して、伸縮ユニット304の伸長中の伸縮ユニット304への損傷を低減する。
【0089】
図11は、一実施形態に係る第1の洗浄ステージ103の伸縮ユニットを収縮及び折り畳むための機構の詳細図を示す。前述のように、第1の洗浄ステージは、伸縮ユニット304に接続されたモータ305を含む。また、第1の洗浄ステージ103は、ドラム321(図12に示す)に接続された第1の端部と、伸縮ユニット304に接続された第2の端部とを含むワイヤ319も含む。一実施形態では、ワイヤ319の第2の端部は、最後のレールステージ801Dの最も下側の水平側面803に接続される。
【0090】
一実施形態では、伸縮ユニット304は、乗り物101の輪郭形状にしたがってドラム321を介してワイヤ319をそれぞれ上昇又は下降させるモータ305の結果として折り畳まれる又は伸長される。コントローラ109は、乗り物101の垂直輪郭形状を使用して、ワイヤ319を上昇又は下降させるべくモータ305が回転する量を制御して、乗り物101の垂直輪郭形状に表される様々な高さポイントを得る。以下で更に説明するように、一実施形態では、乗り物101の垂直輪郭形状における特定の高さポイントにマッピングされる垂直移動量を得るためにモータ305によって必要とされる回転数を変換するルックアップテーブルを記憶することができる。
【0091】
例えば、伸縮ユニット304が完全に伸長した状態にある又は完全に伸長した状態と完全に折り畳まれた状態との間の中間状態にあると仮定すると、モータ305がワイヤ319を上昇させる際に、伸縮ユニット304の複数のレールステージ801のそれぞれが上昇されて前述のように隣り合うレールステージ内に収容されるようになる。複数のレールステージ801は、伸縮ユニット304が完全に折り畳まれた状態になる又は完全に折り畳まれた状態と完全に伸長された状態との間の中間状態になるまで、モータ305及びワイヤ319によって上昇させられ得る。
【0092】
逆に、伸縮ユニット304が完全に折り畳まれた状態にある又は完全に折り畳まれた状態と完全に伸長された状態との間の中間状態にあると仮定すると、モータ305がワイヤ319を下げる際に、伸縮ユニット304の複数のレールステージ801が伸長する。複数のレールステージ801は、伸縮ユニット304が完全に伸長した状態になる又は完全に折り畳まれた状態もしくは完全に伸長した状態の間の中間状態になるまで、モータ305及びワイヤ319によって下降され得る。
【0093】
一実施形態では、モータ305は、ワイヤ319に垂直方向の力のみを加えて、伸縮ユニット304を収縮又は伸長させる。すなわち、モータ305は、水平方向ではなく、垂直方向でワイヤ319に力を加えて伸縮ユニット304を収縮又は伸長させる。しかしながら、伸縮ユニット304がある角度で位置決めされているとすると、伸縮ユニット304は、伸縮ユニット304を収縮させる又は伸縮ユニット304を伸長させる際にモータ305によって加えられる垂直力に応じて垂直方向及び水平方向の両方に移動する。
【0094】
一実施形態では、ワイヤ319は、一般に海洋用途(例えば、ボート)で使用される高弾性率ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE))などの可撓性材料から形成される。しかしながら、他の実施形態は、UHMWPEとは異なる材料を使用してもよい。ワイヤ319は、0.3インチの厚さを有することができ、一実施形態では長さが165インチである。しかしながら、他の実施形態では、他のワイヤの厚さ及び長さを使用してもよい。
【0095】
図12A図12B、及び図12Cは、一実施形態に係る第1の洗浄ステージ103の伸縮レール304を伸長及び折り畳むためのドラム321及びワイヤ319の詳細図を示す。図12Aを参照すると、第1の洗浄ステージ101はドラム321を更に含む。ドラム321は、ナイロンから形成され、例えば7.8インチの直径を有してもよい。ドラム321の他の材料及びサイズは、他の実施形態で使用されてもよい。
【0096】
一実施形態では、ドラム321がモータ304に結合され、ワイヤ319の一端部がドラム321に接続される。モータ304が回転すると、ドラム321も回転し、それによってワイヤ319をドラム321の周りに巻き付ける又はワイヤ319をドラム321から繰り出す。例えば、ドラム321が時計回りに回転する場合、伸縮レール304は、ワイヤ319がドラム321の周りに巻き付くにつれて折り畳まれる。ドラム321が反時計回りに回転する場合、伸縮レール304は、伸長することによってワイヤ319をドラム321の周りから繰り出す。
【0097】
図12B及び図12Cは、一実施形態に係る線A-A’に沿うドラム321の断面図である。一実施形態では、ドラム321が複数の溝1201を含む。ワイヤ319がドラム321の周りに巻き付けられると、ワイヤ319が複数の溝1201内に配置される。一実施形態では、ワイヤ319の直径が複数の溝1201の深さよりも大きい。これにより、ライト319がドラム321に巻き取られる又はドラム321から繰り出される際にワイヤ319が破損する可能性が低減される。
【0098】
洗浄ユニット306
図13A図13Dは、洗浄ユニット306の詳細図を示す。一実施形態では、洗浄ユニット306は、前部マニホールド306A及び後部マニホールド306Bを含む。前部マニホールド306Aは、乗り物101の前面及び上端面を洗浄するために使用される水を収容するチャンバであり、後部マニホールド306Bは、乗り物101の後面を洗浄するために使用される水を収容するチャンバである。前部及び後部マニホールド306A、306Bは、ステンレス鋼などの金属から形成されてもよいが、他の材料が使用されてもよい。
【0099】
図13Aは、一実施形態における洗浄ユニット306の斜視図を示し、図13Bは、洗浄ユニット306の側面図を示す。図13Aに示すように、前部マニホールド306A及び後部マニホールド306Bは、パイプ形状を有する。前部及び後部マニホールド306の長さは、一実施形態では直径1インチで63インチである。一実施形態では、前部マニホールド306A及び後部マニホールド306Bは、伸縮ユニット304の最後のレールステージ801Dの下端部に取り付けられる。前部マニホールド306A及び後部マニホールド306Bは、カプラ1303A及び1303Bを使用してレールステージ801の端部に取り付けられてもよい。カプラ13013は、最後のレールステージ801Dの端部の各側に配置され、図13A及び図13Bに示すように、前部マニホールド306A及び後部マニホールド306Bの少なくとも一部を取り囲む。
【0100】
一実施形態では、前部マニホールド306Aは、給水ライン303Aに接続された入力ポート1301Aを含む。入力ポート1301Aは、給水ライン303Aによって供給された水を前部マニホールド306Aに供給する。後部マニホールド306Bは、給水ライン303Bに接続される入力ポート1301Bを有する。入力ポート1301Bは、給水ライン303Bによって供給された水を後部マニホールド306Bに供給する。
【0101】
前部マニホールド306Aは、給水ライン303Aによって供給された水を、図13Cに示す複数のノズル1305を用いて噴射する。前述したように、前部マニホールド306Aは、前面及び上端面がもはや前部マニホールド306Aと重ならなくなるまで、乗り物101の前面及び上端面を洗浄するために使用される。一実施形態では、ノズル1305が互いに等間隔に離間される。例えば、各ノズル1305は、隣り合うノズル1305から10.2インチ離れていてもよい。ノズル間の他の距離間隔を使用してもよい。一実施形態では、各ノズル1305から噴射された水は、隣り合うノズル1305によって噴射された水とオーバーラップ部1309を形成する。噴射された水を重ね合わせてオーバーラップ部1309を形成することにより、乗り物101の前面及び上端面の洗浄効率が向上する。一実施形態では、隣り合うノズル1305によって噴射される水のオーバーラップ1309は1.5インチである。
【0102】
後部マニホールド306Bは、給水ライン303Bによって供給された水を複数のノズル1307を使用して噴射する。前述したように、後部マニホールド306Bは、後部上端面及び背面が後部マニホールド306Bと重なり合っている間に、乗り物101の後部の上端面及び背面を洗浄するために使用される。後部マニホールド306Bのノズル1307及び前部マニホールド306Aのノズル1305は、以下に説明するように、乗り物101の前面、上端面、及び後面を洗浄するように相互に依存しあって制御される。一実施形態では、ノズル1307は、ノズル1305と同様に互いに等間隔に離間している。例えば、各ノズル1307は、隣り合うノズル1307から10.2インチ離れていてもよい。ノズル1307間の他の距離間隔が使用されてもよい。一実施形態では、各ノズル1307から噴射された水は、隣り合うノズル1307によって噴射された水とオーバーラップ部1311を形成する。噴射された水を重ね合わせてオーバーラップ部1311を形成することにより、乗り物101の後面の洗浄効率が向上する。一実施形態では、隣り合うノズル1307によって噴射される水のオーバーラップ1311は1.5インチである。
【0103】
図13Dは、一実施形態に係る地面と平行な基準線1313に対する前部マニホールド306Aのノズル1305の位置の角度及び後部マニホールド306Bのノズル1307の位置の角度を示す。一実施形態では、ノズル1305の角度1315は、ノズル1307の角度1317よりも小さい。例えば、前部マニホールド306Aのノズル1305は、基準線1313から5度上方の角度にあり、後部マニホールド306Bのノズル1307は、基準線1313から60度下方の角度にある。ノズル1305及び1307の配置は、ノズル1305及び1307が乗り物101の前面、上端面、及び後面の所定の距離範囲内に維持されることと組み合わせて、最も効果的な洗浄をもたらす。なお、ノズル1305、1307の角度は典型例であり、他の実施形態では他の角度を用いてもよい。
【0104】
図14は、洗浄ユニット306の他の実施形態を示す。図14の実施形態において、洗浄ユニット306は、一実施形態に係る傾斜デバイス1405、水マニホールド1401、及びノズル1403を含む。図14では、洗浄ユニット306は、図14の実施形態で説明したように、2つの水マニホールドではなく単一のマニホールドを含む。一実施形態では、一組のノズル1403は、乗り物の前面、上端面、及び後面が洗浄されているかどうかに応じて、水マニホールド1401の軸を中心に回転する。すなわち、ノズル1403は、位置Aと位置Bとの間で回転し、乗り物101のどの部分が洗浄されているかに応じてノズル1403の角度を変えることができる。水マニホールド1401の角度は、傾斜デバイス1405によって変更される。傾斜デバイス1405は、位置Aと位置Bとの間でノズル1403の回転を変化させるために回転するギアを含むことができる。
【0105】
安全デバイス307
図15Aは、一実施形態に係る安全デバイス307の詳細図を示す。前述したように、安全デバイス307は、安全デバイス307Aと安全デバイス307Bとが互いに離間するように、洗浄ユニット306の第1の部分に安全デバイス307Aを含むとともに、洗浄ユニット306の第2の部分に安全デバイス307Bを含む。安全デバイス307は、安全デバイス307及び安全デバイス307の材料が安全デバイス307と乗り物101との接触時に乗り物101の上面に沿って転がることに起因して伸縮ユニット305と乗り物101との間に衝撃がある場合に乗り物101への損傷を低減する。
【0106】
図15Bは、安全デバイス307の分解図を示す。一実施形態において、安全デバイス307A及び安全デバイス307Bのそれぞれは、ハウジング1501と、損傷緩和装置1503と、カバー1505と、ブッシング1507と、ブラケット1509とを含む。ハウジング1501は、安全デバイス307Aのフレームとして機能する。安全デバイス307Bの全ての構成要素は、ハウジング1501に取り付く。
【0107】
ハウジング1501は、一実施形態では溝1511を含む。衝撃緩和装置1503は、ハウジング1501の溝1511内に配置される。図15Bに示すように、一実施形態では、衝撃緩和装置1503が曲面を伴うリング形状を有する。損傷緩和装置1503の湾曲面に起因して、溝1511は、溝1511内の損傷緩和装置1503のぴったりとした嵌合を確保するために損傷緩和装置1503の曲率に対応する湾曲面も有する。
【0108】
損傷緩和装置1503は、安全デバイス307と乗り物101との間の接触時に乗り物101への損傷を低減するように弾性材料から形成される。損傷緩和装置1503は、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)等の衝撃吸収材から形成される。一実施形態では、接触の場合、乗り物と接触する安全デバイス307の唯一の部分は、損傷緩和装置1503である。安全デバイス307が乗り物101に接触している間、損傷緩和装置1503による衝撃吸収及び安全デバイス307の転がりに起因して、乗り物101の損傷が低減される。
【0109】
一実施形態では、ブッシング1507は、ハウジング1501の中心の穴に挿入される。ブッシング1507は、例えばスリーブ軸受であってもよい。ブラケット1509は、ハウジング1501の一方側(例えば、左側)にブラケット1509が配置されるようにブッシング1507に挿入される。ブラケット1509は、ハウジング1501の穴1515及びカバー1505の穴1517と位置合わせされる複数の穴1513を含む。カバー1505は、ハウジング1501の他方側(例えば、右側)に挿入される。締結具(例えば、ねじ、ナット、ボルトなど)を使用して、ブラケット1509、ハウジング1501、及びカバー1505を一緒に固定することができる。
【0110】
回転装置1600
図16Aは、第1の洗浄ステージ103中における乗り物101と安全デバイス307との間の衝突を示す。一実施形態では、第1の洗浄ステージ103は、図16B図16Cに示される回転装置1600を含み、この回転装置1600は、乗り物101と安全デバイス101との間の衝突に応じて伸縮ユニット304を回転させる。一実施形態では、回転装置1600は受動デバイスである。乗り物101と安全デバイス307との間の衝突の力により、回転装置1600は、ヒンジポイント1608を中心に伸縮ユニット304を回転させ、それによって伸縮ユニット304と基準線701との間の角度αを増大させる。前述のように、伸縮ユニット304は、第1の洗浄ステージ103の通常動作中に基準701から13~17度の角度範囲に位置される。しかしながら、乗り物101と安全デバイス307との間で衝突が発生した場合、伸縮ユニット304は、乗り物101への更なる損傷を防止する又は少なくとも低減するために、13度~17度の角度範囲よりも大きい角度まで上方に回転される。例えば、回転装置1600は、伸縮ユニット304が基準701から最大60度までの角度まで上方に回転できるようにする。
【0111】
図16Bを参照すると、一実施形態に係る回転装置1600が示される。図16Bに示すように、回転装置1600は、一実施形態では、装着プレート313に装着されるショック1601、ヒンジポイント1608、及び油供給源1603を含む。ショック1601は、伸縮ユニット304に接続された第1の端部と、装着プレート313に接続された第2の端部とを含む。ショック1601の第1の端部は、レールステージ801Aの水平側面803などの複数のレールステージ801のうちの1つの水平側面803に接続されてもよい。油供給源1603は、ショック1601にオイルを供給するように、ショック1601に結合される。
【0112】
乗り物101への損傷を低減するために、伸縮ユニット304は、乗り物101と安全デバイス307との間の衝撃時にヒンジポイント1608を中心に上方に回転する。前述したように、伸縮ユニット304は、乗り物101と安全デバイス307との間の衝突による力に起因して回転する。
【0113】
一実施形態では、ショック1601に油を加える油供給源1603に常に圧力が供給される。その結果、ショック1601は、伸縮ユニット304がヒンジポイント1608を中心に回転する際に伸縮ユニット304に一定の力を加えて伸縮ユニット304の重量を減少させる。乗り物101が第1の洗浄ステージ103を通過すると、伸縮ユニット304は、重力及び伸縮ユニット304の重量に起因してその初期位置に戻る。
【0114】
一実施形態では、ショック1601は、伸縮ユニット304に一定の力を加えることによって、伸縮ユニット304の角度がその初期位置に戻される速度を遅くする。しかしながら、伸縮ユニット304の重量及び重力は、ショック1601によって加えられる力に打ち勝つのに十分であるが、ショックは、伸縮ユニット304がその元の初期角度に戻る速度を依然として遅くすることができる。第1の洗浄ステージ103がショック1601及び油供給源1603を欠いている場合、伸縮ユニット304は衝突前にその初期角度に迅速に戻り、それによって第1の洗浄ステージ103への損傷の可能性を高める。
【0115】
第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態の概要
図17を参照すると、一実施形態に係る洗車システム100の第2の洗浄ステージ105の斜視図が示される。一実施形態において、第2の洗浄ステージ105は、フレーム1701と、複数のアーム1703と、複数のベースアセンブリ1705と、複数のノズルアセンブリ1707と、複数の衝突防止ユニット1709と、中間停止回路ライン1711と、シリンダ1713とを含み、これらはそれぞれ以下で更に詳細に説明される。しかしながら、第2の洗浄ステージ105は、本明細書に記載されるよりも追加の又はより少ない構成要素を有してもよい。
【0116】
フレーム1701は、第2の洗浄ステージ105の他の構成要素を支持するために使用される構造である。例えば、複数のアーム1703のそれぞれの一端部はフレーム1701に取り付けられ、また、複数のアーム1703の他端部に取り付けられるベースアセンブリ1705は、地面に接触しないように浮いている(例えば、垂下される)。特に、複数のアーム1703は、フレーム1701に含まれる装着プレート1701Dに取り付けられる。一実施形態では、複数のアーム1703及び複数のベースアセンブリ1705は、集合的に、第2の洗浄ステージ105の幅調整ユニットと考えられる。
【0117】
フレーム1701は、フレーム1701を集合的に形成する複数のフレームレールを含む。なお、図17に示すフレームレール1701A~1701Cは、水平及び垂直のフレームレールの一例にすぎない。フレーム1701は、鋼又はアルミニウムなどの金属又は他の金属で作られてもよい。フレーム1701は、一実施形態では、90インチより大きい(例えば、119.7インチ)高さ及び126インチより大きい(例えば、165.4インチ)幅を有する。これにより、第2の洗浄ステージ105は、90インチの最大高さ及び126インチの最大幅を有する乗り物101を収容することができる。しかしながら、フレーム1701は、洗浄されている乗り物のサイズに応じて異なる寸法を有することができる。
【0118】
一実施形態では、複数のアーム1703はベースアセンブリ1705を支持する。複数のアーム1703は、アームの第1のセットと、アームの第2のセットとを含む。アームの各セットは、複数のベースアセンブリ1705のうちの1つに接続するように構成される。例えば、アームの第1のセットは、ベースアセンブリ1705A(例えば、運転席側ベースアセンブリ)をフレーム1701に接続するアーム1703A及び1703Bを含む。アームの第2のセットは、ベースアセンブリ1705B(例えば、助手席側ベースアセンブリ)をフレーム1701に接続するアーム1703C及び1703Dを含む。図17に示すように、ベースアセンブリ1705は、アーム1703に接続されているため、地面から浮いている(接触していない)。
【0119】
一実施形態では、ベースアセンブリ1705は、第2の洗浄ステージ105の可変幅を調整する。一般に、ベースアセンブリ1705は、垂下アーム1703を介してフレーム1701から垂下することによって地面から浮いており(例えば、ベースアセンブリ1705は、地面の高さより上に浮いている)、乗り物101に接触して、乗り物101の幅に基づいて第2の洗浄ステージ105の幅を調整する。以下で更に説明するように、ベースアセンブリ1705は、乗り物101のタイヤに接触し、それによってベースアセンブリ1705を外側に押して、乗り物101の幅にしたがって第2の洗浄ステージ105の幅を調整する。
【0120】
一実施形態では、複数のノズルアセンブリ1707(例えば、洗浄ユニット)は、乗り物101の側面に水を噴射することによって乗り物101を洗浄する。他の実施形態では、ノズルアセンブリ1707は、水に加えて石鹸などの洗剤を噴射することができる。ノズルアセンブリ1707は、図17に示すようにベースアセンブリ1705上に設置され、その結果、ノズルアセンブリ1707も地面から浮いている。
【0121】
一実施形態では、各ノズルアセンブリ1707は、ベースアセンブリ1705の対応するものに装着される。例えば、ノズルアセンブリ1707Aはベースアセンブリ1705Aに装着され、ノズルアセンブリ1707Bはベースアセンブリ1705Bに装着される。ノズルアセンブリ1707はベースアセンブリ1705に装着されるため、ノズルアセンブリ1707の横方向位置は、洗浄されている乗り物101の幅に基づいて変化する。したがって、ノズルアセンブリ1707から洗浄されている乗り物101の側面までの距離を、静的位置を有するノズルアセンブリを伴う従来の洗車システムと比較して乗り物の側面の洗浄効率を向上させる所定の距離範囲内に保つことができる。
【0122】
給水ライン1717は、ノズルアセンブリ1707に水を供給する。各給水ライン1717は、対応するノズルアセンブリ1707に接続される。例えば、給水ラインがノズルアセンブリ1707Aに接続され、給水ラインがノズルアセンブリ1707Bに接続される。
【0123】
一実施形態において、複数の衝突防止ユニット1709は、ベースアセンブリ1705が乗り物101の下に位置されることを防止する。複数の衝突防止ユニット1709は、乗り物101の側面に接触し、それによってベースアセンブリ1705が第2の洗浄ステージ105の中心に向かって更に内側に移動するのを防止することができる。ベースアセンブリ1705が第2の洗浄ステージ105の中心に向かって移動する場合、ベースアセンブリ1705は、乗り物101の下方に行くことができ、乗り物101の下面と接触する際に乗り物101を損傷させる場合がある。更に、ノズルアセンブリ1705は、ベースアセンブリ1705が乗り物101の下方に行く場合、乗り物101の側面に接触する場合がある。したがって、衝突防止ユニット1709は、以下で更に説明するように、ノズルアセンブリ1705が乗り物101の側面に衝突することを防止する。一実施形態において、複数の衝突防止ユニット1709は、停止デバイス1709A及び停止デバイス1709Bを含む。一例では、停止デバイス1709Aがノズルアセンブリ1707Aに装着され、停止デバイス170Bがノズルアセンブリ1707Bに装着される。
【0124】
一実施形態では、複数のシリンダ1713は、第2の洗浄ステージ105の動作中にベースアセンブリ1705の揺れを低減する。一実施形態では、第2の洗浄ステージ105の幅が設定された後に、複数のシリンダ1713を適所にロックすることもできる。シリンダ1713をロックすることにより、以下で更に説明するように、ベースアセンブリ1705がもはや乗り物101のタイヤと接触していないとき、ベースアセンブリ1705は乗り物101の下方に位置されるように移動することができない。
【0125】
一実施形態では、複数のシリンダ1713は、シリンダ1713A及びシリンダ1713Bを含み、この場合、各シリンダ1713は、複数のベースアセンブリ1705の対応するものに結合される。例えば、シリンダ1713Bはベースアセンブリ1705Bに取り付けられ、一方、シリンダ1713Aはベースアセンブリ1705に取り付けられる。各シリンダ1713は2つの端部を含み、この場合、シリンダ1713の一端部がフレーム1701に取り付けられ、シリンダ1713の他端部がベースアセンブリ1705に取り付けられる。例えば、シリンダ1713Bの一端部はフレームレール1701Cに取り付けられ、シリンダ1713Bの他端部はベースアセンブリ1705Bに取り付けられる。
【0126】
一実施形態では、複数の中間停止回路ライン1711(例えば、空気ライン)は、複数のシリンダ1713に空気を供給する。シリンダ1713に空気を供給すると、シリンダ1713のロックが解除され、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た時点でシリンダ1713が元の位置に戻ることができる。
【0127】
一実施形態において、複数の中間停止回路ライン1711は、中間停止回路ライン1711A及び中間停止回路ライン1711Bを含む。中間停止回路ライン1711Aは、シリンダ1713Aに接続され、シリンダ1713Aに空気を供給して、シリンダ1713Aをロック解除又はロックする。同様に、中間停止回路ライン1711Bは、シリンダ1713Bに接続され、シリンダ1713Bに空気を供給して、シリンダ1713Bをロック解除又はロックする。
【0128】
第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態の動作
図18A図18Dは、一実施形態に係る乗り物101の側面を洗浄するための第2の洗浄ステージ105の動作を示す。図18Aは、第2の洗浄ステージ105の動作中の調整動作を示す。一般に、第2の洗浄ステージ105は、乗り物101の側面を洗浄しつつ乗り物101の側面の輪郭を考慮するために可変幅を有する。初期調整動作中、第2の洗浄ステージ105の幅は、乗り物101の幅にしたがって調整される。
【0129】
図18Aに示すように、乗り物101が第2の洗浄ステージ105に近づくにつれて、乗り物101のタイヤ1801は複数のベースアセンブリ1705に接触する。コンベアが乗り物101を前進させることによって乗り物101が前進すると、図18Bに示すように、ベースアセンブリ1705がタイヤ1801と接触して第2の洗浄ステージ105の幅を設定することによって、第2の洗浄ステージ105Bの中心から離れるように外側に押し出される。したがって、乗り物の側面(例えば、タイヤの側面)は、第2の洗浄ステージ105と物理的に接触して、乗り物101の幅にしたがって第2の洗浄ステージ105の幅を設定する。
【0130】
図18Bは、一実施形態における第2の洗浄ステージ105の初期洗浄動作を示す。第2の洗浄ステージ105の幅が乗り物101の幅にしたがって調整されると、シリンダ1713は、一実施形態では、第1の洗浄ステージ中に所定の位置にシリンダ1713の長さをロックするようにコントローラ109によって作動される。シリンダ1713をロックすることにより、第2の洗浄ステージ105の幅が所定の位置にロックされる。次いで、ノズルアセンブリ1707は、乗り物101の側面(例えば、フロントフェンダの側面)の前部の洗浄を開始することができる。ノズルアセンブリ1707は、ノズルアセンブリ1707によって出力された水、又はノズルアセンブリ1707によって出力された水と洗剤(例えば、石鹸)との組み合わせを使用して、乗り物101の側面の前部を洗浄することができる。ノズルアセンブリ1707が水のみを出力する場合、第2の洗浄ステージ105は、第1の洗浄ステージ103の化学アーチ401により出力される洗剤に依存して、乗り物101の洗浄を助ける。
【0131】
図18Cは、一実施形態における第2の洗浄ステージ105の中間洗浄動作を示す。乗り物101が第2の洗浄ステージ105に沿って移動し続けると、ノズルアセンブリ1707は、乗り物の側面の中央部(例えば、ドア)及び乗り物の側面の後部(例えば、リアフェンダ)などの乗り物101の側面を洗浄し続ける。図18Cに示すように、第2の洗浄ステージ105中のある時点では、ベースアセンブリ1705の長さが乗り物101のホイールベースの長さに及ぶほど十分に長くないため、ベースアセンブリ1705はもはや乗り物101と接触していない。したがって、ベースアセンブリ1705は、前部タイヤ又は後部タイヤのいずれかにのみ接触することができるが、ベースアセンブリ1705の長さが短いために前部タイヤと後部タイヤの両方に同時に接触することはできない。
【0132】
図18Cに示すように、ベースアセンブリ1705がもはや乗り物101のタイヤ1801と接触していなくても、シリンダ1713が第2の洗浄ステージ105の幅をロックすることにより、第2の洗浄ステージ105の幅は維持される。前述のように、シリンダ1713をロックすることにより、中間洗浄動作中にベースアセンブリ1705が乗り物101の下方に移動することが防止される。
【0133】
シリンダ1713は、図示しないが、各種ソレノイドやバルブ等、シリンダ1713のロック及びアンロック動作を制御する多数の構成要素を含む。前述したように、中間停止回路ライン1711は、シリンダ1713に空気を供給する。乗り物101がベースアセンブリ1705に未だ接触していないとき、中間停止回路ライン1711はシリンダ1713に空気を供給しない。シリンダ1713に空気が供給されない場合、シリンダ1713は伸縮可能である。これにより、シリンダ1713のロックが解除される。
【0134】
乗り物101がベースアセンブリ1705に接触すると、中間停止回路ライン1711がシリンダ1713に空気を供給する。シリンダ1713に供給された空気は、シリンダ1713を更に収縮できるようにするが、シリンダ1713が伸長できるようにせず、それによってシリンダ1713を定位置にロックする。したがって、シリンダ1713に接続されたベースアセンブリ1705は、第2の洗浄ステージ105中に乗り物101から外方に移動することができるが、第2の洗浄ステージ中に乗り物101に向かって内側に移動することはできない。言い換えると、シリンダ1713はロックされ、それによってベースアセンブリ1705が内側に移動するのを防止する。
【0135】
図18Dは、一実施形態における第2の洗浄ステージ105のリセット動作を示す。乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た後、第2の洗浄ステージ105の幅はその初期位置にリセットされる。一実施形態では、第2の洗浄ステージ101の幅は、ロック解除シリンダ1713によってリセットされる。シリンダ1713のロックを解除することにより、ベースアセンブリ1705は、それらの初期位置に戻ることができる。図20に関して以下に説明するように、ベースアセンブリ1705は、ベースアセンブリ1705及びアーム1703を第2の洗浄ステージ105の中心に向かって内側に移動させる重力を使用してそれらの初期位置に移動することができる。
【0136】
シリンダ1713のロックを解除するために、中間停止回路ライン1711は、シリンダ1713への空気の供給を停止する。シリンダ1713がロック解除されると、ベースアセンブリ1705は、前述のように重力及びベースアセンブリ1705の重量を使用してそれらの初期位置に戻る。一実施形態では、中間停止回路ライン1711は、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た後に閾値時間(例えば、2秒)だけシリンダ1713への空気の供給を停止し、それによってベースアセンブリ1705をそれらの初期位置に戻す。或いは、中間停止回路ライン1711は、光学センサ301とは異なる洗車システム100の入口のフォトセンサから受けられる信号に基づいてシリンダ1713に空気を供給しない。光学センサが信号を送信するタイミングは、コンベア107の速度に基づいて計算される。コンベア107の速度及び洗車100の長さに基づいて、乗り物が第2の洗浄ステージ105から出るのにかかる時間を計算することができる。
【0137】
第2の洗浄ステージ105が完了した後、乗り物101は、1つ以上のファン又は送風機(図示せず)によって乾燥されてもよい。ファンは、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105によって洗浄された乗り物101の表面を乾燥させる風を発生させる。
【0138】
アーム1703
一般に、アーム1703は、垂下ベースアセンブリ1705をフレーム1701の上端に接続する。アーム1703は、異なる実施形態では異なる形状を有してもよい。図19は、複数のアーム1703の形状の一例を示すために第2の洗浄ステージ105の正面図を示す。図19に示すように、一実施形態では、アーム1703はそれぞれ少なくとも1つの屈曲部を含む。アーム1703のそれぞれに少なくとも1つの屈曲部を有することによって、アーム1703が直線状である場合(例えば、任意の屈曲部を欠く場合)と比較して、乗り物101とアーム1703との間の接触の可能性が低減される。アームが直線状である場合、乗り物101のサイドミラーとアーム1703とが接触する可能性が高い。一実施形態では、各アーム1703の少なくとも1つの屈曲部は、ベースアセンブリ1705に最も近いアームの端部に位置される。
【0139】
図19の例は、一実施形態に係る複数の屈曲部(例えば、2つの屈曲部)を含む「C」字形アームを示す。図19に示す「C」字形アーム1703A~1703Dのそれぞれは、上部1903、中央部1905、及び下部1907を含む。上部1903と中央部1905との間に第1の屈曲部1909が形成され、中央部1905と下部1907との間に第2の屈曲部1911が形成される。例えば、アーム1703Aは、上部1903A、中央部1905A、及び下部1907Aを含み、上部1903Aと中央部1905Aとの間に第1の屈曲部1909Aが形成され、中央部1905Aと下部1907Aとの間に第2の屈曲部1911Aが形成される。アーム1703Bは、上部1903B、中央部1905B、及び下部1907Bを含み、上部1903Bと中央部1905Bとの間に第1の屈曲部1909Bが形成され、中央部1905Bと下部1907Bとの間に第2の屈曲部1911Bが形成される。アーム1703Cは、上部1903C、中央部1905C、及び下部1907Cを含み、上部1903Cと中央部1905Cとの間に第1の屈曲部1909Cが形成され、中央部1905Cと下部1907Cとの間に第2の屈曲部1911Cが形成される。アーム1703Dは、上部1903Dと、中央部1905Dと、下部1907Dとを含み、上部1903Dと中央部1905Dとの間に第1の屈曲部1909Dが形成され、中央部1905Dと下部1907Dとの間に第2の屈曲部1911Dが形成される。
【0140】
一実施形態では、「C」字形アームの上部1903及び下部1907は対称である。すなわち、「C」字形アーム1703の上部1903及び下部1907は同じ長さを有する。更に、「C」字形アーム1703の上部1903と中央部1905との間の角度は、一実施形態では、「C」字形アーム1703の下部1907と中央部1905との間の角度と同じである。上部と中央部との間、及び下部と中央部との間に同じ長さ及び同じ角度を有する上部及び下部を有することにより、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を離れた後、アーム1703の重量及び重力によって「C」字形アーム1703がそれらの初期位置に戻る能力は、図20A及び図20Bに関して以下で更に説明するように改善される。
【0141】
図20Aは、乗り物101がベースアセンブリ1705と接触しているためにアーム1703が第2の洗浄ステージ105の中心から外側に押された後のアーム1703の向きを示す。図20に示すアーム1703は、第2の洗浄ステージ105の右側のアームに相当してもよい。図20Aに示すように、アーム1703の中央部1905は、乗り物101に対して第2の洗浄ステージ105の幅が調整された状態で垂直(例えば、地面に対して垂直)である。中央部1905が鉛直位置となるようにアーム1703が方向付けられた状態では、アーム2003の重心は、アーム1703のヒンジポイント2001よりも右側に位置する。すなわち、ヒンジポイント2001は、アーム1703の重心2003と位置ずれしている。ヒンジポイント2001は、フレーム1701に接続するアーム1703の部分である。
【0142】
図20Bは、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た後の初期リセット位置におけるアーム1703の向きを示す。図20Bでは、アーム1703が初期リセット位置に到達するまで、アーム1703は重力によりヒンジポイント2001を中心に時計回りに回転する。一実施形態では、アーム1703の初期リセット位置において、アーム1703の重心2003は、アーム1703のヒンジポイント2001と位置合わせされる。
【0143】
一実施形態では、ウエイト2005を「C」字形のアーム上に配置して、図20C及び図20Dに示すようにアーム1703の重心を調整することができる。アーム1703の重心を調整するために、図20Cに示すように、アーム1703の中央部1905にウエイト2005を配置してもよい。或いは、アーム1703の上部1903にウエイト2005が配置されてもよい。ウエイト2005を使用してアーム1703の重心を変更することにより、ウエイト2005がアーム1703により多くの質量を加えるため、ウエイト2005がない実施形態と比較して、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た後にアーム1703はそれらの初期リセット位置に容易に戻ることができる。
【0144】
アーム1703の重心に関する上記の説明は、第2の洗浄ステージ105の左側に位置するアームにも適用可能である。しかし、第2の洗浄ステージ105の左側に位置するアーム1703は、アームの中央部1905が垂直位置になるように方向付けられているが、アーム1703の重心は、図20Aに示すように、アーム1703のヒンジポイント2001の右側ではなく左側に位置する。
【0145】
図21は、一実施形態による複数のアーム1703の別の形状を示すために第2の洗浄ステージ105の正面図を示す。図19に示す実施形態と比較して、一実施形態では、図21に示すアーム1703はそれぞれ、1つの屈曲部を含む。アーム1703のそれぞれに単一の屈曲を有することによって、乗り物101とアーム1703との間の接触の可能性は、アーム1703が図19に示す実施形態と同様に直線状である場合(例えば、任意の屈曲部を欠く場合)と比較して低減される。アームが直線状である場合、乗り物101のサイドミラーとアーム1703とが接触する可能性が高い。各アーム1703の少なくとも1つの屈曲部は、ベースアセンブリ1705に最も近いアームの端部に位置する。
【0146】
図21の例は、一実施形態による単一の屈曲部(例えば、1つの屈曲部)を含む「L」字形アームを示す。図21に示す「L」字形アーム1703A~1703Dのそれぞれは、上部2101及び下部2103を含む。上部2101と下部2103との間に屈曲部2105が形成される。例えば、アーム1703Aは、上部2101Aと下部2103Aとを含み、上部2101Aと下部2103Aとの間に屈曲部2105Aが形成されている。アーム1703Bは、上部2101Bと下部2103Bとを含み、上部2101Bと下部2103Bとの間に屈曲部2105Bが形成されている。アーム1703Cは、上部2101Cと下部2103Cとを含み、上部2101Cと下部2103Cとの間に屈曲部2105Cが形成されている。アーム1703Dは、上部2101Dと下部2103Dとを含み、上部2101Dと下部2103Dとの間に屈曲部2105Dが形成されている。
【0147】
図22Aは、一実施形態に係る第2の洗浄ステージ105の右側に位置されたアーム1703C及び1703Dの側面図を示す。図22Aは、第2の洗浄ステージ105の左側に位置するアーム1703A及び1703Bを示さないが、図22Aの説明は、アーム1703A及び1703Bにも適用可能である。
【0148】
図22Aに示すように、アーム1703C及び1703Dのヒンジポイント2001は、フレーム1701の装着プレート1701Dに取り付けられる。一実施形態では、ヒンジポイント2001は、閾値距離「E」だけ離れている。閾値距離「E」は、一実施形態によれば20.9インチである。ヒンジポイント2001が閾値距離「E」未満の距離だけ離れている場合、アーム1703及びベースアセンブリ1705は、タイヤ1801とベースアセンブリ1705との間の最初の衝突時に揺れる。アーム1703のヒンジポイント2001を閾値距離「E」だけ分離することによって、アーム1703及びベースアセンブリ1705の揺れが低減される。
【0149】
また、図22Aは、ベースアセンブリ1705が乗り物101の幅にしたがって再配置されるときのベースアセンブリ1705の動作経路2201も示す。動作経路2201は、水平方向のような直線状ではない。むしろ、各アーム1703が単一のヒンジポイント2001によって装着プレート1701Dに取り付けられることを考えると、ベースアセンブリ1705の動作経路2201は円弧状(例えば、三日月形状)である。動作経路2201における移動中、水アセンブリ1707のノズルは、最適な洗浄効率を確保するために実質的に平坦なままである。
【0150】
図22Bは、一実施形態に係る第2の洗浄ステージ105の幅を調整するためにベースアセンブリ1705に加えられる力を描く力図である。ベースアセンブリ1705の一部の平面図が示される。ベクトル2203は、タイヤ1801によってベースアセンブリ1705の乗り物進入ガイド(後述)に加えられる方向及び力を表す。ベクトル2211は、タイヤ1801によって加えられる力に応じた左方向の反力を表し、ベクトル2209は、ベクトル2201とは反対の反力である。ベクトル2203、2209、及び2211の合計は、ベースアセンブリ1705の動きの経路を表すベクトル2201をもたらす。
【0151】
ベースアセンブリ1705の乗り物進入ガイドは、基準線2205に対して角度2207に設定される。一実施形態では、角度は45度であるが、他の角度が使用されてもよい。45度の角度が使用される場合、動作経路2201に沿ったアーム回転の方向は、乗り物進入ガイド1705と共に90度方向に形成される。一般に、乗り物進入ガイドの角度が増大するにつれて、アーム1703に加えられる力と同様に、動作経路2201に沿った移動量が増大する。
【0152】
ベースアセンブリ1705
図23A及び図23Bは、一実施形態に係るベースアセンブリ1705A,1705Bの構成要素の詳細図を示す。ベースアセンブリ1705Aは、一実施形態では、ベース構造2301A、乗り物進入ガイド2302A、衝撃部2303A、衝撃部2304A、軸受2305A、及びシリンダブラケット2305Aを含む。同様に、ベースアセンブリ1705Bは、一実施形態では、ベース構造2301B、乗り物進入ガイド2302B、衝撃部2303B、衝撃部2304B、軸受2305B、及びシリンダブラケット2305Bを含む。
【0153】
ベース構造2301は、ベースアセンブリ1705の構成要素を支持するためのベースアセンブリ1705のフレームとして機能する。乗り物進入ガイド2302、軸受2305、シリンダブラケット2305、水アセンブリ1707、及び衝撃部2302Aは全て、実施形態ではベース構造2301に取り付けられる。ベース構造2301は、長方形の形状であり、アルミニウムなどの金属製であってもよいが、他の形状及び材料が使用されてもよい。
【0154】
衝撃部2303は、ベース構造2301に取り付けられる。衝撃部2303は、ねじ又はナット及びボルトなどの締結具を使用してベース構造2301の縁部に取り付けられてもよい。衝撃部2303は、乗り物101のタイヤ1801がベースアセンブリ1705と接触している間、ベース構造2301を損傷から保護するように構成される。衝撃部2303はタイヤと接触しているので、衝撃部2303は、第2の洗浄ステージ105を通る乗り物101の走行も妨げてはならない。したがって、衝撃部2303は、タイヤが衝撃部2303に沿って滑らかに滑ることができるようにするために低摩擦を有しながらベース構造2301を保護するのに十分に強い材料で作られる。一実施形態では、衝撃部2303は、ポリエチレンなどのプラスチック製であるが、他の材料を使用してもよい。
【0155】
乗り物進入ガイド2302は、乗り物101を第2の洗浄ステージ105へと案内する。前述のように、乗り物進入ガイド2302は、基準線2205に対して45度の角度などで傾斜される。乗り物進入ガイド2302は、乗り物101のタイヤ1801に衝突して、第2の洗浄ステージ105の幅を調整する。乗り物進入ガイド2302は、三角形状であり、アルミニウムなどの金属製であってもよいが、他の形状や材料であってもよい。
【0156】
衝撃部2304は、乗り物進入ガイド2302に取り付けられる。衝撃部2304は、ねじ又はナット及びボルトなどの締結具を使用して乗り物進入ガイド2302の縁部に取り付けられてもよい。衝撃部2304は、乗り物101のタイヤ1801が乗り物進入ガイド2302に接触している間、乗り物進入ガイド2302を損傷から保護するように構成される。衝撃部2304はタイヤと接触しているので、衝撃部2304は、第2の洗浄ステージ105を通る乗り物101の走行も妨げてはならない。このため、衝撃部2304は、衝撃部2304に沿ってタイヤが円滑に滑るように低摩擦でありながら、乗り物進入ガイド2302を保護できる強度を有する材料で構成されている。一実施形態では、衝撃部2304は、ポリエチレンなどのプラスチック製であるが、他の材料を使用してもよい。
【0157】
一実施形態では、軸受2305は、ベースアセンブリ1705のヒンジポイントである。各軸受2305は、図23Cに示すように、複数のアーム1703のうちの対応するアームの端部に取り付けられるように構成される。軸受2305は、ベースアセンブリ1705がアーム1703から垂下することを可能にし、その結果、ベースアセンブリ1705が地面から浮いた状態になる。また、軸受2305は、ベースアセンブリ1705が動作経路2201に沿って移動するときにベースアセンブリ1705の回転も可能にする。軸受2305は、ステンレス鋼軸受であってもよいが、他の実施形態では、他の材料が軸受に使用されてもよい。
【0158】
図23A及び図23Bに戻って参照すると、一実施形態では、軸受2305は、ベース構造2301の上端面に取り付けられる。各軸受2305は、ねじ又はナット及びボルトなどの締結具を使用してベース構造2301の上端面に取り付けることができる。図23に示すように、ベース構造2301の一端(例えば、角で)には一対の軸受が取り付けられ、ベース構造2301の他端には別の一対の軸受が取り付けられる。
【0159】
図24A及び図24Bは、一実施形態に係るベースアセンブリ1705A及びベースアセンブリ1705Bの平面図を示す。具体的には、図24A及び図24Bはそれぞれ、ベースアセンブリ1705Aのヒンジポイント2401A及び2403A並びにベースアセンブリ1705Bのヒンジポイント2401B及び2403Bを示す。一実施形態では、ヒンジポイント2401は、ベース構造2301の上端に配置された一対の軸受2305の位置を表し、ヒンジポイント2403は、ベース構造2301の下端に配置された一対の軸受2305の位置を表す。
【0160】
図24A及び図24Bに示すように、一実施形態では、ヒンジポイント2401及び2403は位置ずれしている。すなわち、ヒンジポイント2401及び2403は、水平方向及び垂直方向の両方において位置ずれしている。位置ずれにより、ヒンジポイント2401及び2403は、水平方向及び垂直方向の両方において互いにオフセットされる。
【0161】
一実施形態では、ヒンジポイント2401及び2403は、ベースアセンブリ1705の縁部に対して傾斜している。例えば、一実施形態では、ヒンジポイント2401A及び2403Aは、縁部2405Aに対して45度の角度で傾斜しているが、他の角度を使用してもよい。同様に、一実施形態では、ヒンジポイント2401B及び2403Bは、縁部2405Bに対して45度の角度で傾斜している。ヒンジポイント2401及び2403を傾斜させることにより、進入時の乗り物101の衝撃が緩和され、第2の洗浄ステージ105の幅調整中のベースアセンブリ1705の傾斜が低減される。
【0162】
一実施形態では、ヒンジポイント2401及び2403の中心点間の距離2407は、20.9インチなどの閾値距離である。ヒンジポイント2401及び2403の中心点間の距離が閾値距離未満である場合、ベースアセンブリ1705は、乗り物101のタイヤ1801との衝突時に揺れる。ヒンジポイント2401及び2403を閾値距離だけ離すことにより、ベースアセンブリ1705とタイヤ1801との間の衝撃時の揺れが低減される。
【0163】
図23A及び図23Bに戻って参照すると、一実施形態では、シリンダブラケット2305は、ベース構造2301の上端面に取り付けられる。シリンダブラケット2305は、ねじ又はナット及びボルトなどの締結具を使用してベース構造2301の上端面に取り付けることができる。シリンダブラケット2305は、図23に示すように、一対の軸受2305の間に配置されてもよい。例えば、シリンダブラケット2305は、ベース構造2301の一端部の一対の軸受とベース構造2301の他端部の一対の軸受2305との間に位置する。シリンダブラケット2305は、一実施形態では、図23Cに示すように、シリンダ1713の一端部をベース構造2301の上端面に取り付けるように構成される。
【0164】
図25は、一実施形態に係るベースアセンブリ1705及びシリンダ1713の角度を示すための第2の洗浄ステージ105の平面図を示す。図25に示すように、シリンダ1713Aは、基準2501Aに対して角度2502Aを成し、シリンダ1713Bは、基準2501Bに対して角度2502Bを成す。基準2501A及び基準2501Bは、乗り物101の進入方向にある。一実施形態では、シリンダ1713とそれぞれの基準2501との間に形成される角度は45度である。45度の角度を使用することにより、乗り物がベースアセンブリ1705に進入する影響が軽減される。更に、前述したように、基準線2205とベースアセンブリ1705との間に形成される角度2503(例えば、2503A及び2503B)も45度である。したがって、一実施形態によれば、シリンダ1703とベースアセンブリ1715との角度の合計は90度である。しかしながら、他の実施形態は、異なる角度の合計を有してもよい。
【0165】
ノズルアセンブリ1707
図26A及び図26Bは、一実施形態に係る第2の洗浄ステージ105に含まれるノズルアセンブリ1707の詳細図を示す。ノズルアセンブリ1707は、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットの例である。前述したように、一実施形態によれば、ノズルアセンブリ1707は、乗り物101の運転席側の側面を洗浄するように構成されたノズルアセンブリ1707Aと、乗り物101の助手席側の側面を洗浄するように構成されたノズルアセンブリ1707Bとを含む。
【0166】
図26Aに示すように、ノズルアセンブリ1707Aは、一実施形態に係る支持構造2605A、水マニホールド2601A、複数の水ノズル2602A、2603A、及び複数の締結具2604Aを含む。同様に、図26Bに示すように、ノズルアセンブリ1707Bは、一実施形態に係るポスト構造2605B、水マニホールド2601B、複数の水ノズル2602B、2603B、及び複数の締結具2604Bを含む。図26A及び図26Bに示すように、一実施形態では、助手席側及び運転席側ノズルアセンブリは、同じ種類の構成要素を含む。しかしながら、他の実施形態では、運転者側ノズルアセンブリ及び助手席側ノズルアセンブリは、互いに異なる構成要素を含んでもよい。
【0167】
一実施形態では、水マニホールド2601は、乗り物101の側面を洗浄するために使用される水を供給するチャンバである。例えば、水マニホールド2601Aは、乗り物101の運転席側を洗浄する水を収容し、水マニホールド2601Bは、乗り物101の助手席側を洗浄する水を収容する。各水マニホールド2601は、乗り物101を洗浄するために水マニホールド2601に水を供給する給水源に接続された入口(例えば、2606A、2606B)を含むパイプであってもよい。各水マニホールド2601は、ステンレス鋼で作られ、例えば1.1インチの直径及び69インチの長さを有することができる。しかしながら、他の寸法及び材料が水マニホールド2601に使用されてもよい。
【0168】
一実施形態では、水マニホールド2601は、複数の水ノズル2602及び2603の対応するものにそれぞれ接続された出口ポートを含む。図26に示すように、水ノズル2602及び2603は、水マニホールド2601の長さにわたって配置される。水ノズル2602及び2603は、一実施形態では、等しい距離で互いに離間していてもよい。
【0169】
一般に、水ノズル2602及び2603は、乗り物101を洗浄するために、水マニホールド2601内に収容された水を乗り物101の側面に噴射する。洗浄性能を向上させるために、水ノズル2602及び2603は、乗り物101の側面の所定の距離範囲内に維持される。水ノズル2601及び2603は、前述したように、第2の洗浄ステージ105が乗り物101の幅にしたがってその幅を調整することにより、乗り物101の側面の所定の距離範囲内に保つことができる。一実施形態では、乗り物101の側面と水ノズル2602及び2603の先端(例えば、端部)との間の距離は、10インチ~15インチの範囲内である。しかしながら、他の例では、他の距離範囲が使用されてもよい。
【0170】
一実施形態では、水ノズル2602及び水ノズル2603は、乗り物101の側面の異なる部分を洗浄するように構成される。例えば、水ノズル2603は、乗り物101のサイドミラー2604を洗浄するように構成され、水ノズル2602は、フロントバンパ、フロントフェンダ、ドア、リアフェンダ、及びリアバンパの側面などの乗り物101の残りの側面を洗浄するように構成される。
【0171】
サイドミラー2604が乗り物の側面よりも乗り物101から遠くに突出しているとすると、水ノズル2603の長さは、水ノズル2602の長さとは異なる。一実施形態では、サイドミラー2604を洗浄するために使用される水ノズル2603の長さは、水ノズル2602とサイドミラー2604との間に隙間を設けるために水ノズル2603の長さよりも短い。そうでなければ、水ノズル2603は、サイドミラー2604に衝突し、乗り物101及び水ノズル2603を損傷させる可能性がある。
【0172】
一実施形態では、水ノズル2603は、サイドミラー2604の洗浄性能を高めるために、基準線2605に対して角度2606で水を噴射するように構成される。角度2606で水を噴射することにより、水ノズル2603は、サイドミラー2604の内側部分を洗浄することができる。一実施形態では、サイドミラー2604を洗浄するために使用される水ノズル2603の角度2606は45度である。しかしながら、他の角度が使用されてもよい。一般的に、角度2606が大きくなると注水距離が長くなり、角度2606が小さくなるとサイドミラー2604の洗浄性能が低下する。
【0173】
一実施形態では、水ノズル2602及び2603は、乗り物101の表面の水温が洗浄性能を改善するための閾値温度になるように水を噴射する。例えば、乗り物101の表面で測定されたノズル2602及び2603によって噴射された水の温度は、華氏110度から140度(F)である。ノズル2602及び2603の出口における水の温度は、ノズルを出て乗り物101の表面に接触する間の期間中に水が冷却するので、乗り物101の表面における水の温度よりも高いことに留意されたい。他の実施形態において、乗り物101の表面で測定されたノズル2602及び2603によって噴射される水の温度は、少なくとも140°Fである。乗り物101の表面の水温は、水ノズル2602及び2603によって噴射される前の水温、ノズル直径、及び水が噴射される角度(すなわち、噴射噴射角)などの様々な要因に基づく。
【0174】
一実施形態では、支持構造2605は、水マニホールド2601を支持する構造である。例えば、支持構造2605Aは、水マニホールド2601Aを支持し、支持構造2605Bは、水マニホールド2601Bを支持する。一実施形態では、支持構造2605が落下するのを防止するために、支持構造2605を地面に装着することができる。一実施形態では、支持構造2605は、図26A及び図26Bに示すように長方形の形状であってもよく、例えばアルミニウム等の金属で形成されていてもよい。しかしながら、他の形状及び材料が支持構造に使用されてもよい。
【0175】
複数の締結具2607は、水マニホールド2601を支持構造2605に締結する。例えば、締結具2607Aは、水マニホールド2601Aを支持構造2605Aに締結し、締結具2607Bは、水マニホールド2601Bを支持構造2605Aに締結する。図26に示すように、水マニホールド2601は、水マニホールド2601が適切に固定されるようにするために、水マニホールド2601の長さにわたって複数の位置で支持構造2605に締結されてもよい。
【0176】
一実施形態では、各締結具2607は、マニホールド2601の周りに巻き付くクランプ型締結具である。締結具2607は、締結具2607の中心に穴を有することができ、水マニホールド2601は穴内に配置される。次いで、締結具2607は、ねじ及び/又はナット及びボルトなどの他の種類の締結具を使用して支持構造2605に締結され、それによって水マニホールド2601を支持構造2605に固定することができる。
【0177】
衝突防止ユニット1709
図27Aは、一実施形態に係る衝突防止ユニット1709の詳細図を示す。衝突防止ユニット1709は、一実施形態では、フレーム2701及び接触ホイール2704を含む。衝突防止ユニット1709は、他の実施形態では異なる構成要素を有してもよい。
【0178】
フレーム2701は、装着プレート2703Cを有する。装着プレート2703Cは、一実施形態では、図17に示すように、衝突防止ユニット1109をノズルアセンブリ1707の支持構造2605に装着するために使用される。
【0179】
図27Aに戻って参照すると、フレーム2701は、エクステンダ2703A及び2703Bも含む。エクステンダ2703は、第1の端部が装着プレート2703Cに接続されている。エクステンダ2703の第2の端部は互いに離間しており、エクステンダ2703の第2の端部間には凹部が形成される。図27Aに示すように、一実施形態では、エクステンダは「L」形状を有する。
【0180】
接触ホイール2704は、以下で更に説明するように、水ノズル2602が損傷するのを防止するために乗り物101の側面に接触するように構成される。接触ホイール2704は、接触ホイール2704が乗り物の側面に接触すると、乗り物101の表面を横切って回転するように構成される。接触による乗り物101の表面の損傷を低減するために、また接触ホイール2704が乗り物の側面を転動するとき、接触ホイール2704は、例えばゴムなどの弾性材料で作られる。しかし、他の材料を用いてもよい。以下で更に説明するように、接触ホイール2704は、乗り物101の側面との接触によって水ノズル2602が損傷しないように構成される。
【0181】
図27Aに示すように、接触ホイール2704は、エクステンダ2703の他端部間に形成された凹部に配置される。接触ホイール2704は、エクステンダ2705の第2の端部間に配置されたピン2705を使用して第2のエクステンダ2703に固定されてもよい。接触ホイール2704は、ピン2705を中心に回転する。
【0182】
図27B及び図27Cは、一実施形態における衝突防止ユニット1709の動作を示す。前述したように、衝突防止ユニット1709は、水ノズル2602が乗り物101の側面に接触するのを防止する。図27Bは、第2の洗浄ステージ105の初期洗浄動作を示す。前述のように、初期洗浄動作中、ベースアセンブリ1705は乗り物のタイヤ1801と接触している。ベースアセンブリ1705はタイヤと接触しているため、ベースアセンブリ1705は乗り物101の下方に移動することができない。したがって、水ノズル2602は、乗り物101の側面に接触することができない。
【0183】
図27Cは、ベースアセンブリ1705がもはやタイヤ1801と接触していない第2の洗浄ステージ105の洗浄動作を示す。一般に、シリンダ1713はロックし、それによってベースアセンブリ1705が第2の洗浄ステージ105の中心に向かって内側に移動するのを防止する。しかしながら、図27Cに示される例では、シリンダ1713は、ベースアセンブリ1705が乗り物101の下方で移動する結果となるロック動作の失敗をもたらす誤動作を有する。
【0184】
図27Cに示すように、衝突防止ユニット1709は、ベースアセンブリ1705が乗り物101の下方にあるときに乗り物101の側面と接触し、それによってベースアセンブリ1705が第2の洗浄ステージ105の中心に向かって更に内側に移動するのを防止する。ベースアセンブリ1705が第2の洗浄ステージ105の中心に向かって更に移動する場合、水ノズル2602は乗り物101の側面に接触し、それによって乗り物101及び水ノズル2602を損傷する。しかしながら、衝突防止ユニット1709が水ノズル2602よりも長く、水ノズル2602の前で乗り物101の側面に接触することを考えると、ノズル2602の端部と乗り物101の側面との間の距離2705は維持される。
【0185】
第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態の概要
図28を参照すると、第2の実施形態に係る洗車システム100の第2の洗浄ステージ105の斜視図が示される。第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態は、図17に関して説明した第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態と同様である。第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態では、第2の洗浄ステージ105は、前述の第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態と同様に、フレーム1701と、複数のアーム1703と、複数のノズルアセンブリ1707と、中間停止回路ライン1711と、シリンダ1713とを含む。したがって、第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態と第2の実施形態との間の共通の構成要素の説明は省略する。
【0186】
第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態はベースアセンブリ2801を含む。一実施形態では、ベースアセンブリ2801は、第2の洗浄ステージ105の左側に配置された運転席側ベースアセンブリ2801Aと、第2の洗浄ステージ105の右側に配置された助手席側ベースアセンブリ2801Bとを含む。図17のベースアセンブリ1705と同様に、第2の実施形態に係る図27のベースアセンブリ2801は、第2の洗浄ステージ105の幅を調整する。しかしながら、図27のベースアセンブリ2801は、図17の第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態のベースアセンブリ1705よりも長い長さを有する。例えば、第2の実施形態によるベースアセンブリ2801の長さは163インチであるのに対して、第1の実施形態によるベースアセンブリ1705の長さは79インチである。したがって、ベースアセンブリ2801の長さは、ベースアセンブリ1705の長さのほぼ倍である。
【0187】
ベースアセンブリ2801のより長い長さは、ベースアセンブリ2801が第2の洗浄ステージ105の全期間中に乗り物101のタイヤ1801と接触したままであることを可能にする。したがって、一実施形態では、第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態は、ベースアセンブリ2801が第2の洗浄ステージ105の持続時間中に水アセンブリ2801の水ノズルが乗り物101の側面に衝突するのを防止するので、衝突防止ユニット1709を欠いている。しかしながら、第2の洗浄ステージの第2の実施形態は、他の実施形態では衝突防止ユニット1709を更に含んでもよい。
【0188】
更に、第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態はシリンダ1713を含むが、シリンダ1713はロック機能を欠いていてもよい。シリンダ1713は、ベースアセンブリ2801との衝突時に乗り物101の振動を減衰させるために使用することができる。しかしながら、シリンダ1713は、ベースアセンブリ2801が第2の洗浄ステージ105の期間中に乗り物101のタイヤ1801と接触しており、それによって代わりにそのようなロック機能を提供するため、第2の洗浄ステージ105の幅をロックする必要がないことから、ロック機能を欠いている。
【0189】
第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態の動作
図29A図29Cは、乗り物101の側面を洗浄するための第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態の動作を示す。図29Aは、第2の洗浄ステージ105の動作中の調整動作を示す。調整動作中、一実施形態では、第2の洗浄ステージ105の幅は、乗り物101の幅にしたがって調整される。図29Aに示すように、乗り物101が第2の洗浄ステージ105に近づくにつれて、乗り物101の前タイヤ1801は複数のベースアセンブリ2801に接触する。コンベアによって乗り物101が前進すると、ベースアセンブリ2801は、図29Aに示すように、前タイヤ1801に接触することによって第2の洗浄ステージ105Bの中心から外側に押し出され、第2の洗浄ステージ105の幅が設定される。
【0190】
図29Bは、一実施形態における第2の洗浄ステージ105の洗浄動作を示す。第2の洗浄ステージ105の幅が乗り物101の幅にしたがって調整されると、ノズルアセンブリ1707は乗り物101の側面の洗浄を開始することができる。ノズルアセンブリ1707は、ノズルアセンブリ1707によって出力された水又はノズルアセンブリ1707によって出力された水と化学物質(例えば、石鹸)との組み合わせを使用して、乗り物101の側面の前部(フロントフェンダ)、中央部(例えば、ドア)、及び後部(例えば、リアフェンダ)を洗浄することができる。ノズルアセンブリ1707が水のみを出力する場合、第2の洗浄ステージ105は、乗り物101の洗浄を助けるために第1の洗浄ステージ103の化学アーチによる化学出力に依存する。
【0191】
図29Bに示すように、ベースアセンブリ2801は、乗り物101の中央部を洗浄しながら、前タイヤ1801A及び後タイヤ1801Bの両方に同時に接触する。第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態の洗浄動作中、ベースアセンブリ2801Bは、ベースアセンブリ2801Bの長さに起因して、前タイヤ1801A又は後タイヤ1801Bの少なくとも一方と接触している。したがって、第2の洗浄ステージ105の幅は、第2の洗浄ステージ105の動作中に維持される。したがって、第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態は、第2の洗浄ステージ105の調整された幅を維持するために、ベースアセンブリ2801が常に前タイヤ1801Aもしくは後タイヤ1801Bの少なくとも一方又は両方と接触しているため、シリンダ1713のロック機能を必要としない。対照的に、ベースアセンブリ1705の第1の実施形態は、第2の洗浄動作の少なくとも一部の間、乗り物のタイヤ1801のいずれとも接触せず、したがって、第2の洗浄ステージ105の幅を維持するためにシリンダ1713のロック機能を必要とする。したがって、シリンダ1713の動作は、シリンダ1713をロックする必要がないことを除いて、前述した第2の洗浄ステージ105の第1の実施形態と同様である。
【0192】
図29Cは、第2の洗浄ステージ105の第2の実施形態のリセット動作を示す。乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出た後、第2の洗浄ステージ105の幅はその初期位置にリセットされる。一実施形態では、第2の洗浄ステージ105の幅は、重力及びベースアセンブリ2801及びアーム1703の重量を使用してリセットされる。一実施形態では、重力によってベースアセンブリ2801がそれらの初期位置に戻る。第2の洗浄ステージ105が完了した後、乗り物101は、1つ以上のファン又は送風機(図示せず)によって乾燥されてもよい。ファンは、第1の洗浄ステージ101及び第2の洗浄ステージ105によって洗浄された乗り物101の表面を乾燥させる風を発生させる。
【0193】
ベースアセンブリ2801
図30A及び図30Bはそれぞれ、一実施形態に係るベースアセンブリ2801A及び2801Bの構成要素の詳細図を示す。ベースアセンブリ2801Aは、一実施形態では、ベース構造30001A、乗り物進入ガイド3002A、衝撃部3003A、衝撃部3004A、軸受3005A、及びシリンダブラケット3005Aを含む。同様に、ベースアセンブリ2801Bは、一実施形態では、ベース構造3001B、乗り物進入ガイド3002B、衝撃部3003B、衝撃部3004B、軸受3005B、及びシリンダブラケット3005Bを含む。
【0194】
ベース構造3001、乗り物進入ガイド3002、衝撃部3003、衝撃部3004、軸受3005、及びシリンダブラケット3005が果たす機能は、前述したベース構造2301、乗り物進入ガイド2302、衝撃部2303A、衝撃部2304、軸受2305、及びシリンダブラケット2305が果たす機能と同様である。したがって、ベースアセンブリ2801A及び2801Bの構成要素の詳細な説明は、ベースアセンブリ1705A及び1705Bの構成要素の詳細な説明がベースアセンブリ2801A及び2801Bの構成要素に適用可能であるため、省略する。
【0195】
ベースアセンブリ1705A及び1705Bと比較してベースアセンブリ2801A及び2801Bの長さが増大しているため、軸受3005は、ベースアセンブリ1705の第1の実施形態のようにベース構造3001の端部に配置されない。むしろ、軸受3005は、図30に示すように、ベース構造2301の中心の近くに配置される。
【0196】
図31A及び図31Bは、一実施形態に係るベースアセンブリ2801A及びベースアセンブリ2801Bの平面図をそれぞれ示す。具体的には、図31A及び図31Bはそれぞれ、ベースアセンブリ2801Aのヒンジポイント3101A及び3103A並びにベースアセンブリ2801Bのヒンジポイント3101B及び3103Bを示す。ヒンジポイント3101は、軸受3005の上側対を表し、ヒンジポイント3103は、一実施形態において配置された軸受3005の下側対を表す。ベースアセンブリ2801の長さが長いため、一実施形態では、各ベースアセンブリ2801は、2つ以上のヒンジポイント3103を含む。少なくとも2つのヒンジポイント3103を有することにより、ベースアセンブリ2801が垂れ下がることが防止される。
【0197】
図31A及び図31Bに示すように。一実施形態では、ヒンジポイント3101及び3103は位置ずれしている。すなわち、ヒンジポイント3101及び3103は、水平方向及び垂直方向の両方において位置ずれしている。位置ずれにより、ヒンジポイント3101及び3103は、水平方向及び垂直方向の両方において互いにオフセットされる。
【0198】
一実施形態では、ヒンジポイント3101及び3103は、ベースアセンブリ3105の縁部に対して傾斜している。例えば、一実施形態では、ヒンジポイント3101A及び3103Aは、縁部3105Aに対して45度の角度で傾斜しているが、他の角度を使用してもよい。同様に、一実施形態では、ヒンジポイント3101B及び3103Bは、縁部3105Bに対して45度の角度で傾斜している。ヒンジポイント3101及び3103を傾斜させることにより、進入時の乗り物101の衝撃が緩和され、ベースアセンブリ2801の傾斜が低減される。一実施形態では、ヒンジポイント3101及び3103の中心点間の距離3102(例えば、3102A及び3102B)は、少なくとも20.9インチなどの閾値距離である。しかしながら、他の距離が使用されてもよい。ヒンジポイント3101及び3103の中心点間の距離が閾値距離未満である場合、ベースアセンブリ2801は、乗り物101のタイヤ1801との衝突時に揺れる。ヒンジポイント3101及び3103を閾値距離だけ離すことにより、ベースアセンブリ2801とタイヤ1801との間の衝撃時の揺れが低減される。
【0199】
多段ブラシレス洗車システム
図32は、別の実施形態に係る多段ブラシレス洗車システム3200(以下、「洗車システム3200」)の高レベルブロック図である。洗車システム3200は、図1に関して前述した洗車システム100と同様である。洗車システム3200は、前述のように、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105を使用して、複数の別々のステージで乗り物101の外部を洗浄する。したがって、洗車システム100にも含まれる洗車システム3200に関して前述した同様の特徴は、説明を容易にするために省略されている。
【0200】
洗車システム100とは対照的に、洗車システム3200は、一実施形態では、電気分離システムステージ102(以下、「ESSステージ」102)と、ESSステージ102、第1の洗浄ステージ103、及び第2の洗浄ステージ105に電力を供給する電源システム113とを更に含む。ESSステージ102は、図32に示すように、第1の洗浄ステージ103の前に配置される。一実施形態では、ESSステージ102は、電源システム113からの供給電力を使用して乗り物101の表面に電位を生成する。乗り物101の表面に生成された電位は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105の前に乗り物101の表面上にある路膜(road film)(例えば、コロイド懸濁液)の破壊を助ける。乗り物101の表面に電位を導入することにより、電気泳動洗浄プロセスを使用して路膜(road film)を不安定化し、乗り物101の表面電荷を中和して、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105の間にブラシを使用せずに路膜(road film)を除去して乗り物101の表面から洗い流す。
【0201】
図33A及び図33Bは、第2の実施形態に係る乗り物101を洗浄するために洗車システム3200のESSステージ102、第1の洗浄ステージ103、及び第2の洗浄ステージ105の独立して実行されるステップを示す方法フロー図を示す。洗車システム3200は、洗濯のための乗り物101を受け取る(3301)。一実施形態では、乗り物101は、乗り物101が洗車システム3200に含まれるコンベア107上に運転されるときに受け入れられる。コンベア107は、乗り物101が最初にESSステージ102を通過し、続いて第1の洗浄ステージ103を通過し、次いで第2の洗浄ステージ105を通過して乗り物101の外面を洗浄するように、乗り物101を洗車システム3200に沿って所定の速度で輸送する。一実施形態では、コンベア107は、乗り物101を洗車システム3200を通じて200~380mm/s(7.8~14.9インチ/s)の速度で輸送し、その結果、1時間当たり約120~180台の乗り物が洗浄される。コンベア107は、異なる例では他の速度で乗り物101を輸送することができる。
【0202】
ESSステージ102は、乗り物101の表面に電位を生成する(3303)。前述のように、乗り物101の表面に生成された電位は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105の前に乗り物101の表面上にある路膜(road film)の破壊を助ける。一実施形態では、ESSステージ102によって生成される電位は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きく、それによって乗り物の表面からの路膜(road film)の除去を助ける。路膜(road film)のゼータ電位は、路膜(road film)の可動部分を乗り物101の表面に取り付けられたままの路膜(road film)の部分から分離する界面である、路膜(road film)のスリップ面の電位である。
【0203】
電位を生成する前に、ESSステージ102は、一実施形態による乗り物101の長さに沿った乗り物101の様々な高さ点を記述する乗り物101の輪郭形状を決定する(3305)。輪郭形状に含まれる乗り物101の高さポイントは、乗り物101の前面、上端面、及び後面の垂直形状をまとめて記述する。
【0204】
一実施形態では、次いで、ESSステージ102は、乗り物101の表面に1つ以上の帯電した化学溶液及び乗り物101に第2の電圧を印加すること3306によって電位を生成する3303。以下で更に説明するように、乗り物の表面に印加された化学溶液は、第1の電圧(例えば、12ボルト)を使用して帯電され(例えば、正電荷)、第2の電圧(例えば、0ボルト)も乗り物101の表面に印加されて、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい乗り物101の表面の電位を生成する。
【0205】
洗車システム3200は、ESSステージ102によって路膜(road film)が不安定化された後、第1の洗浄ステージ103を使用して乗り物101の前面、上面、及び後面などの乗り物101の上面を洗浄する(3307)。乗り物101の前面としては、フロントバンパが挙げられ、乗り物101の上面としては、ボンネット、フロントウインドシールド、ルーフ、リアウインドシールド、トラックベッド、乗り物101のリアデッキの上部が挙げられ、乗り物101の後面としては、リアデッキの後部、リアバンパが挙げられる。
【0206】
前述のように、第1の洗浄ステージ103はブラシレスである。すなわち、第1の洗浄ステージ103は、ブラシを用いずに乗り物101の上面を洗浄する洗浄ユニット(例えば、ノズル)を含む。第1の洗浄ステージ103は、前述のように第2の洗浄ステージ105が乗り物101の側面を洗浄するので、乗り物101の側面を洗浄しない。
【0207】
第1の洗浄ステージ103は、乗り物101の上面に電位を生成するために帯電された水を使用して乗り物の上面の洗浄を開始するように洗浄ユニットを作動させる(3309)。第1の洗浄ステージ103は、ESSステージ102の間に適用された乗り物100の上面の帯電した化学物質を洗い流す。ステップ3306において、路膜(road film)はすでにESSステージ102によって不安定化されているが、乗り物101の上面に電位を生成させ、第1の洗浄ステージ103の間にそのような帯電した水を洗浄に使用することは、ブラシを必要とせずに水を使用して乗り物101の上面に残っている路膜(road film)を除去するのに更に役立つ。乗り物101がコンベア107によって第1の洗浄ステージ103に沿って移動すると、第1の洗浄ステージ101は、乗り物101の上面が洗浄されるときに乗り物101の垂直輪郭形状にしたがって洗浄ユニットの高さを調整する(3311)。したがって、洗浄ユニットは、洗浄ユニットが乗り物の上面に対して一定の近接度内(例えば、ある距離範囲内)に留まるので、第1の洗浄ステージ103の洗浄性能を向上させるために乗り物101の輪郭にしたがって移動する。
【0208】
前述のように、第1の洗浄ステージ103の洗浄ユニットの高さを調整することにより、洗浄ユニットが乗り物101の上面から所定の距離範囲(例えば、一定の近接度)を維持して、乗り物101をより良好に洗浄することが可能になる。洗浄ユニットと乗り物101の上面との間の所定の距離範囲を維持することによって、第1の洗浄ステージ103は、従来のブラシレストンネル洗車システムと比較して、洗浄プロセス中に使用される水の量を低減しながら、乗り物101の上面からより多くの路膜(road film)、汚れ(dirt)、及び/又は汚れ(grime)を除去することができる。また、第1の洗浄ステージ103はブラシレスであるため、乗り物101の塗料への損傷は少なくとも低減される。
【0209】
第1の洗浄ステージ103が乗り物101の上面の洗浄を完了した後、乗り物101が第1の洗浄ステージ103を出て、コンベア107が乗り物101を第2の洗浄ステージ105に輸送する。前述のように、第2の洗浄ステージ105は、第1の洗浄ステージ103が完了した後に、第1の洗浄ステージ103とは独立して乗り物101の側面を洗浄する(3313)。乗り物の側面の例としては、フロント及びリアフェンダ、ドア、サイドミラー、運転席窓及び/又は助手席窓、ホイール、並びにフロント及びリアバンパの側面が挙げられる。
【0210】
一実施形態では、第2の洗浄ステージ105中に乗り物101の側面を洗浄するために、第2の洗浄ステージ213の幅は、乗り物101の幅に基づいて調整される(3315)。第2の洗浄ステージ105の幅を調整することにより、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットは、乗り物101の側面から所定の距離範囲を維持して、乗り物101の側面をより良好に洗浄することができる。したがって、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットは、乗り物101の側面の輪郭を考慮することができる。洗浄ユニットと乗り物101の側面との間の所定の距離範囲を維持することによって、第2の洗浄ステージ105は、従来のブラシレストンネル洗車システムと比較して、洗浄プロセス中に使用される水の量を低減しながら、乗り物101の側面からより多くの汚れ(dirt)、汚れ(grime)、及び/又は路膜(road film)を除去することができる。
【0211】
第2の洗浄ステージ213の幅が調整されている間、第2の洗浄ステージ105の洗浄ユニットが作動されて(3317)、乗り物101の側面を洗浄する。一実施形態では、第2の洗浄ステージ203の洗浄ユニットは、第2の洗浄ステージ213が調整された幅にある間に乗り物の側面に電位を生成するために、帯電した水で乗り物101の側面を洗浄する。第2の洗浄ステージ105は、ESSステージ102の間に適用された乗り物100の側面の帯電した化学物質を洗い流す。路膜(road film)はすでにESSステージ102によって不安定化されているが、第2の洗浄ステージ15中に乗り物101の側面に電位を生成することは、ブラシを必要とせずに水を使用して乗り物101の側面の路膜(road film)を除去するのを更に助ける。
【0212】
ESSステージ102の第1の実施形態
図34は、第1の実施形態に係るESSステージ102の平面図を示す。ESSステージ102の第1の実施形態は、光学センサ301と、複数の化学アーチ3401と、複数の基準電圧装置3403とを含む。コンベア107は、乗り物101が光学センサ301、複数の化学アーチ3401、及び複数の基準電圧装置3403を通って移動するように、ESSステージ102を通って乗り物101を搬送する。第1の洗浄ステージ103の一部として化学アーチ401及び光学センサ301を含む洗車システム100とは対照的に、ESS102は、第1の洗浄ステージ103ではなく複数の化学アーチ3401及び光学センサ301を含む。
【0213】
第1の実施形態では、光学センサ301は、乗り物101の輪郭形状を識別するためにコントローラ109と共に使用される。前述のように、乗り物101の輪郭形状は、乗り物101の長さに沿って測定される乗り物101の複数の高さポイントを含む。各高さポイントは、乗り物101の一部の高さを表す。乗り物101の輪郭形状に含まれる高さポイントは、乗り物101の前面、上端面、及び後面の形状を正確に記述するために、光学センサ301から検知する順序で配置される。
【0214】
第1の実施形態では、ESSステージ102は、複数の化学アーチ3401A、3401B、及び3401Cを含み、各化学アーチ3401は、異なる化学溶液を乗り物101の表面に塗布するように構成される。第1の実施形態では、化学アーチ3401Aはアルカリ系溶液を乗り物101に塗布し、化学アーチ3401Bは酸性系溶液を乗り物101の表面に塗布し、第3の化学アーチ3401Cは界面活性剤及び/又はコンディショニングポリマーを乗り物101の表面に塗布する。したがって、ESSステージ102は、3ステージ化学溶液プロセスを使用する。他の実施形態では、ESS101は、アルカリ化合物溶液及び/又は酸性溶液に添加された界面活性剤及び/又はコンディショニングポリマーを有するアルカリ系溶液及び酸性系溶液をそれぞれ塗布する2つの化学アーチ3401A及び3401Bを含み得る。界面活性剤及び/又はコンディショニングポリマーをアルカリ系溶液及び酸性系溶液と組み合わせることによって、ESSステージ102において、化学物質適用プロセスは3ステージプロセスから2ステージプロセスに減少する。
【0215】
一実施形態では、化学アーチ3401によって乗り物101の表面に塗布された化学溶液のそれぞれ、一部、又は全てが帯電される。ESSステージ102は、電源システム113によって生成された第1の電圧を化学溶液に印加することによって、化学溶液を帯電させる。一実施形態では、第1の電圧は12ボルトの直流(VDC)であるが、他の実施形態では他の電圧が使用されてもよい。例えば、他の実施形態では、化学溶液を帯電するために24VDCを印加することができる。他の実施形態では、DC電圧ではなく交流(AC)電圧が使用されてもよい。例えば、12VACを第1の電圧として使用することができる。
【0216】
図34に示すように、ESSステージ102の第1の実施形態も、複数の基準電圧装置3403A~3403Eを備える。一実施形態では、複数の基準電圧装置3403A及び3403Eのそれぞれは、閾値距離だけ互いに離間している。一実施形態では、閾値距離は、24インチ~72インチの範囲内である。5つの基準電圧装置3403のみが示されているが、ESSステージ102の第1の実施形態は、第1の実施形態によるESSステージ102に加えて、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105にも及ぶ任意の数の基準電圧装置3403を含んでもよい。
【0217】
第1の実施形態では、複数の基準電圧装置3403A~3403Eは、乗り物101(例えば、0ボルト)に第2の電圧を印加し、これにより、化学アーチ3401が第1の電圧の帯電した化学溶液も乗り物101の表面に印加することにより、乗り物101の表面に電位を生成する。ブラシを必要とせずに水を使用して路膜(road film)を除去するのを助けるために、帯電した(第1の電圧を有する)化学物質及び印加された第2の電圧の印加に起因して乗り物101の表面に生成される電位は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい大きさを有する。他の実施形態では、乗り物101の表面上の結果として生じる電位が路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい限り、0ボルト以外の任意の第2の電圧が使用されてもよいことに留意されたい。
【0218】
図35Aは、第1の実施形態に係るESSステージ102の正面図を示す。他の実施形態では、ESSステージ102は、図35Aに示す構成要素以外の構成要素を含んでもよい。一実施形態では、ESSステージ102は、フレーム3503及び化学アーチ3401を含む。フレーム3503は、化学アーチ3401などのESSステージ102の構成要素を支持するために使用される構造である。フレーム3503は、フレーム3503を集合的に形成し、化学アーチ3401及び化学物質供給ライン3511などの他の機構を機械的に支持する複数のフレームレールを含む。フレーム3503は、鋼又はアルミニウムなどの金属又は他の金属で作られてもよい。
【0219】
各化学アーチ3401は、化学アーチ3401に含まれる複数のノズル3507を使用して、帯電した化学物質3513を乗り物101の表面に噴射する。複数のノズル3507は、図35Aに示すように、乗り物101がESSステージ102にある間、乗り物101の側面及び上面に重なるように化学アーチ3401に沿って分布しており、乗り物101の表面に帯電した化学物質を散布する。一実施形態では、化学アーチ3401によって噴射された化学溶液は、洗浄性能を高める温度範囲内にある乗り物101の表面温度で測定された温度を有する。例えば、化学物質は、乗り物の表面で測定される化学物質の温度が110°F~140°Fの温度範囲内にあるような温度で噴射される。なお、化学アーチ3401を出てから乗り物101の表面に接触するまでの間に化学物質が冷却するので、化学アーチ3401の出口における化学物質の温度は、乗り物101の表面における水の温度よりも高い。乗り物101の表面の化学物質の温度が110°F未満であると、洗浄システム3200の洗浄性能が低下し、乗り物101の表面の化学物質の温度が140°Fを超えると、洗浄プロセス中に化学物質と偶発的に接触する可能性のある個体が燃焼する安全リスクが生じる可能性がある。一実施形態では、化学溶液はまた、洗浄性能のために最適化された圧力範囲で噴射される。一実施形態では、圧力範囲は20psi~300psiである。
【0220】
一実施形態では、各化学アーチ3401は、乗り物101がESSステージ102を通過するときに反復的に作動される。例えば、化学アーチ3401Aは、起動されて、乗り物101がESSステージ102に入ると帯電した化学溶液の噴射を開始し、乗り物101が第2の化学アーチ3401Bに近づくと、第2の化学アーチ3401Bはその帯電した化学溶液を乗り物101に噴射し始め、一方、第1の化学アーチ3401Aはその帯電した化学溶液を乗り物101に噴射し続ける。第1の化学アーチ3410Aは、乗り物101がもはや第1の化学アーチ3401Aの下にないまで、その第1の化学溶液を噴射し続ける。乗り物101が第3の化学アーチ3401Cに近づくと、第3の化学アーチ3401は、その帯電した化学溶液を乗り物101に噴射し始め、一方、第2の化学アーチ3401は、第2の帯電した化学溶液を乗り物101に噴射し続ける。第2の化学アーチ3410B及び第3の化学アーチ3401Cは、乗り物101がもはやそれぞれの第2及び第3の化学アーチの下にないまで、そのそれぞれの化学溶液を噴射し続ける。
【0221】
前述したように、ESSステージ102は、基準電圧装置3403を含む。乗り物101が前述のようにESSステージ102の化学アーチ3401を通って移動するとき、乗り物101は、第2の電圧を乗り物101に印加する1つ以上の基準電圧装置3403に接触する。一実施形態では、第2の電圧は、0ボルトなどの基準電圧である。
【0222】
第1の実施形態では、基準電圧装置3403は、乗り物101がESSステージ102を通過する間に乗り物が基準電圧装置3404を乗り越えるように地面(例えば、床)に配置される。乗り物101が基準電圧装置3404上を走行すると、基準電圧装置3403は乗り物101に直接接触し、第2の電圧を乗り物101に印加する。例えば、基準電圧装置3403は、化学アーチ3401が乗り物101に帯電した化学溶液を噴射している間、乗り物101の下側に接触する。乗り物101の表面は、化学アーチ3401によって噴射された帯電した化学物質を介して正に帯電し、第2の電圧が基準電圧装置3403を介して乗り物101に印加されるため、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい電位が乗り物101の表面に生成される。それによって、電位は、ブラシを使用せずに水及び化学物質を使用して乗り物101の上面及び側面から路膜(road film)を除去するのを助ける。
【0223】
一実施形態では、各化学アーチ3401は、図35Aに示すように化学帯電器3509を含む。すなわち、各化学アーチ3401A、3401B、及び3401Cは、それ自体の専用の化学帯電器3509を含む。しかしながら、他の実施形態では、異なる化学アーチ3401に対して単一の化学帯電器が使用されてもよい。
【0224】
一実施形態では、各化学帯電器3509は、化学溶液に第1の電圧を印加することにより、化学物質供給ライン3511から供給された化学溶液を正電荷で帯電する。前述したように、第1の電圧は12VDCであるが、24VDC又は12VAC電圧などの他の電圧を使用してもよい。図35Aに示すように、各化学帯電器3509は、フレーム3503とそのそれぞれの化学アーチ3401との間に配置される。
【0225】
図35Bは、一実施形態に係る化学帯電器3509の詳細図を示す。化学帯電器3509は、パイプ3513を有する。パイプ3513は導電性であり、例えば鋼などの金属製であってもよい。ただし、パイプ3513には、他の導電材料が用いられてもよい。パイプ3513の第1の端部は、化学物質供給ライン3511の出口に接続された入口3515を含む。パイプ3513の第2の端部は、帯電した化学溶液を化学アーチ3401に供給する出口3519を含む。
【0226】
図35Bに示すように、化学帯電器3509は、一実施形態ではワイヤ3517を含む。ワイヤ3517は、パイプ3513の一部の周りに巻回される(例えば、ラップされる)。ワイヤ3517は、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなるが、他の導電性材料を用いてもよい。ワイヤ3517は、例えば、18ゲージワイヤから10ゲージワイヤの範囲のサイズを有することができる。しかし、ワイヤ3517は、他の大きさであってもよい。
【0227】
一実施形態では、ワイヤ3517は、パイプ3513の周りに巻き付けられていない部分3521を含む。ワイヤ3517の部分3521は、化学物質を正電荷で帯電するために化学帯電器3509によって使用される第1の電圧を供給する電源システム113に接続されている。第1の電圧がワイヤ3517に印加されている間、化学溶液はパイプ3513を流れる。化学物質がパイプ3513を通って流れるとき、パイプ3513の周りに巻き付けられて直接接触しているワイヤ3517への第1の電圧の印加により、化学溶液に正の電荷が加えられる。
【0228】
図35Cは、一実施形態に係る基準電圧装置3403の詳細図を示す。基準電圧装置3403は、締結具(例えば、ナット及びボルト)を介して接地面(例えば、床)に固定されたベース3527を含む。図35Cに示すように、ベース3527は、締結具を介して地面に取り付けられる第1のベース部3527Aと、第1のベース部3527Aから垂直に延びる第2のベース部3527Bとを有する。ベース3527の第1のベース部3527及び第2のベース部3527は、「L」字状をなしている。
【0229】
基準電圧装置3403はまた、接点機構3523を含む。接点機構3523は、乗り物101の下側などの乗り物101に接触するように構成される。一実施形態では、接点機構3523は、導電性材料で作られたばねである。ばねは可撓性であるため、乗り物101が移動している間にばねが乗り物101に接触するにつれて撓み、それによってばね破断の可能性を低減する。
【0230】
一実施形態において、接点機構3523は、第1の接点機構部3523A及び第2の接点機構部3523Bを含む。第1の接点機構部3523Aは、略直線状である。一方、第2の接点機構部3523Bは、第1の接点機構部3423Aから湾曲して延びている。すなわち、第2の接点機構部3523Bは湾曲している。一実施形態において、基準電圧装置3403は、湾曲した第2の接点機構部3523Bが乗り物101の進行方向に湾曲するように位置決めされる。接点機構3523の湾曲は、乗り物101が基準電圧装置3403上を走行するときに接点機構が乗り物101の任意の部分で動かなくなる(例えば、絡み合っている)可能性を低減する。
【0231】
最後に、一実施形態では、基準電圧装置3403は電圧コネクタ3525を含む。一実施形態では、電圧コネクタ3525は、接点機構3523に電気的に接続される。電圧コネクタ3525は、電源システム113に電気的に接続される。基準電圧装置3404は、電圧コネクタ3525を介して電源システム113から第2の電圧(例えば、0ボルト)を受け取る。電圧コネクタ3525は接点機構3523に電気的に接続されているので、接点機構3523が乗り物101に直接接触している間、接点機構3523は乗り物101に第2の電圧を印加する。他の実施形態では、接点機構3523は、前述したようにばね以外の乗り物101に第2の電圧を印加する別のタイプの装置とすることができる。
【0232】
ESSステージ102の第2の実施形態
図36は、第2の実施形態に係るESSステージ102の平面図を示す。ESSステージ102の第1の実施形態と同様に、ESSステージ102の第2の実施形態は、光学センサ301と、複数の化学アーチ3401A~3401Cとを備える。ESSステージ102の第1の実施形態に関して前述したように、化学アーチ3401A~3401Cは、乗り物101がESSステージ101を通過する間に、乗り物102の表面に帯電した化学溶液を塗布するように構成される。
【0233】
ESSステージ102の第1の実施形態とは対照的に、ESSステージ102の第2の実施形態は、乗り物101の表面に第2の電圧を印加するための基準電圧装置3403を含まない。むしろ、ESSステージ102の第2の実施形態は、複数の水アーチ3603を使用して、乗り物101の表面に帯電した水を印加する。図36に示すように、ESSステージ102の第2の実施形態は、水アーチ3603A、3603B、3603Cを備える。各水アーチ3603は、化学アーチ3401の少なくとも一方に直接隣接している。3つの水アーチのみが示されているが、ESS102の第2の実施形態は、基準電圧を印加するための任意の数の水アーチを含むことができる。
【0234】
第2の実施形態では、複数の水アーチ3603は、乗り物101の表面に帯電した水を当てるように構成されている。一実施形態では、水アーチ3603によって適用される水は、都市水又は一実施形態では700psi~3000psiの範囲の圧力で適用される逆浸透排除水である。しかしながら、他のタイプの水及び圧力範囲を使用してもよい。
【0235】
以下で更に説明するように、水アーチ3603によって印加される水は、第1の電圧よりも低い第2の電圧(例えば、0ボルト)を使用して帯電される。したがって、化学アーチ3401が、第1の電圧を用いて帯電した乗り物101の表面に化学溶液を塗布し、水アーチ3603が、第2の電圧を用いて帯電した水を塗布することによって、乗り物101の表面に電位が生成される。帯電した化学溶液及び帯電した水の適用に起因して乗り物101の表面に生成される電位は、ブラシを必要とせずに水を使用して路膜(road film)の除去を助けるために、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい大きさを有する。他の実施形態では、結果として生じる電位が路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい限り、0ボルト以外の任意の基準電圧を基準電圧として使用することができることに留意されたい。
【0236】
図37Aは、第2の実施形態に係るESSステージ102の正面図を示し、図37Bは、ESSステージ102の側面図を示す。第2の実施形態に係るESSステージ102の正面視では、水アーチ3603と化学アーチ3401とが重なって見える。このため、図37Aに示す正面図では、化学アーチ3401が水アーチ3603に重なっているため、化学アーチ3401は見えないが、図37Bに示すESSステージ102の側面図では、化学アーチ3401が見える。図37Bに示すように、ESS102では、化学アーチ3401が水アーチ3603の手前に位置する状態で、化学アーチ3401と水アーチ3603とが水平方向に離間している。
【0237】
ESSステージ102の第2の実施形態は、ESSステージ102の第1の実施形態と同様の特徴を含み、特に明記しない限り、説明を容易にするために同様の特徴の説明は省略する。例えば、ESSステージ102の第2の実施形態は、フレーム3503と、帯電した化学溶液を噴射する複数のノズル3507を含む化学アーチ3401と、帯電した化学物質を生成する化学帯電器3509と、ESSステージ102の第1の実施形態に関して前述したように、化学物質供給ライン3511とを含む。複数のノズル3507、化学帯電器3509、及び化学物質供給ライン3511を含む化学アーチ3401は、ESSステージ102の第1の実施形態に関して前述したのと同様の機能を果たすので、説明を簡単にするために説明を省略する。しかしながら、フレーム3503は、ESS102の第1の実施形態に関して前述したのと同様の構成要素を含むが、フレーム3503は、化学アーチ3401に加えて水アーチ3603も支持することに留意されたい。
【0238】
前述のように、ESSステージ102の第2の実施形態は、基準電圧装置3403を使用して乗り物101に第2の電圧を印加するのではなく、乗り物101に帯電した水を印加する水アーチ3603を含む。各水アーチ3603は、水アーチ3603の長さに沿って分散された複数のノズル3701を含む。複数のノズル3701は、図37Aに示すように、乗り物101がESSステージ102を移動している間に、ノズル3701が乗り物101の側面及び上面に重なるようにスプレーアーチ3505に沿って分布し、乗り物101の表面に帯電された水3703を噴射する。一実施形態では、水アーチ3603によって噴射された水3703は、乗り物101の表面で測定された水3703の温度が洗浄性能を高める温度範囲内になる温度を有する。例えば、前述したように、乗り物101の表面の温度が110°F~140°Fとなるような温度で水が噴射される。水アーチ3603の出口における水の温度は、水が水アーチ3603を出て乗り物101の表面に接触する間の期間中に冷却するにつれて、乗り物101の表面における水の温度よりも高い。
【0239】
一実施形態では、各水アーチ3603は、乗り物101の表面に帯電した化学溶液を噴射する隣接する化学アーチ3401と実質的に同時に帯電した水3703を噴射する。例えば、化学アーチ3401A及び水アーチ3603Aは、帯電した化学溶液及び帯電した水を乗り物にそれぞれ噴射するために同時に作動され、化学アーチ3401B及び水アーチ3603Bは、帯電した化学溶液及び帯電した水を乗り物101にそれぞれ噴射するために同時に作動されるなどである。帯電した化学溶液及び帯電した水は、ブラシを必要とせずに路膜(road film)の除去を助ける乗り物101の表面に電位を生成する。
【0240】
ESSステージ102の第2の実施形態では、各水アーチ3603は、図37Aに示すように、水帯電器3705を含む。すなわち、各水アーチ3603A、3603B、及び3603Cは、それ自体の専用の水帯電器3705を含む。水帯電器3705は、先に説明した化学帯電器3509と同様の機能を実行するが、化学物質ではなく水に関する。水帯電器3705は、第2の電圧を水に印加することにより、水を帯電する。前述のように、第2の電圧は0VDCであるが、路膜(road film)のゼータ電位よりも高い電位が生成される限り、別のDC電圧又はAC電圧などの他の電圧であってもよい。図37Aに示すように、水帯電器3705は、フレーム3503と水アーチ3603との間に位置する。水帯電器3705は、水帯電器3705に水を供給する給水ライン3707の出口に接続された第1の端部と、水アーチ3603の入口に接続された第2の端部とを含む。一実施形態では、給水ライン3707を介して供給される水は都市水であるか、又は逆浸透水を排除する。
【0241】
乗り物101がESS102の第2の実施形態の化学アーチ3401及び水アーチ3603を通って移動すると、化学アーチ3401及び水アーチ3603によってそれぞれ噴射された帯電した化学溶液及び帯電した水により、乗り物101の表面に電位が生成される。前述のように、生成される電位は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい。これにより、電位は、ブラシを使用せずに乗り物101の表面からの路膜(road film)の除去を助ける。
【0242】
図38Aは、一実施形態に係る図37Aの水帯電器3705の詳細図を示す。水帯電器3705は、パイプ3801を備える。パイプ3801は導電性であり、例えば鋼などの金属製であってもよい。ただし、パイプ3801には、他の導電材料が用いられる。パイプ3801の第1の端部は、給水ライン3707の出口に接続された入口3803を含む。パイプ3801の第2の端は、水アーチ3603に帯電した水を供給する出口3805を含む。
【0243】
図38Aに示すように、水帯電器3705は、パイプ38001の一部に巻かれた(例えば、ラップされる)ワイヤ3807を有する。ワイヤ3807は、銅やアルミニウム等の導電性材料からなる。ワイヤ3807は、例えば、18ゲージワイヤから10ゲージワイヤの範囲のサイズを有することができる。しかし、ワイヤ3807は、他の大きさであってもよい。
【0244】
一実施形態では、ワイヤ3807は、パイプ3801の周りに巻き付けられていない部分3809を含む。ワイヤ3807の部分3809は、水を帯電させるために水帯電器3705によって使用される第2の電圧を供給する電源システム113に接続される。第2の電圧がワイヤ3807に印加されている間、水はパイプ3801を流れる。水がパイプ3801を通って流れるとき、ワイヤ3807への第2の電圧の印加により水に電荷が加えられる。
【0245】
図38Bは、一実施形態に係る、図38Aの線I-I’に沿った図37Aの水帯電器3705の断面図を示す。図38Bに示すように、パイプ3801には、ワイヤ3807が巻回されている。ワイヤ3807は絶縁されていないので、ワイヤ3807はパイプ3801と直接接触している。一実施形態では、パイプ3801と接触していないワイヤ3807の外側が環境に曝されないように、ワイヤ3807の上に絶縁体3811が形成される。絶縁体3811はまた、個人が誤ってワイヤ3807に接触した状況で怪我をする可能性を低減する。
【0246】
洗車システム3200の第1の洗浄ステージ103
図39A及び図39Bは、洗車システム3200に含まれる第1の洗浄ステージ103の一実施形態を示す。洗車システム3200の第1の洗浄ステージ103は、伸縮ユニット304、洗浄ユニット306などの第1の洗浄ステージ100と同様の構成要素を含むが、洗車システム3200の第1の洗浄ステージ103は、路膜(road film)の除去を助けるために、第1の洗浄ステージ103の間に乗り物の表面に電位を生成する電気分離システムを含むように変更される。
【0247】
図39A及び図39Bは、第1の洗浄ステージ103に追加された電気分離システムを示す。一実施形態では、第1の洗浄ステージ103の電気分離システムは、図39Aに示す第1の電荷発生器3901と、図39Bに示す水アーチ3903及び基準電荷発生器3905とを含む。電荷発生器3901は、給水ライン303によって供給された水に第1の電圧を印加することによって、給水ライン303によって供給された水を電荷で帯電するように構成される。前述したように、第1の電圧は12VDCであるが、24VDC又は12VACなどの他の電圧を使用してもよい。
【0248】
図39Aに示すように、第1の電荷発生器3901は、パイプ3907を有する。パイプ3907は導電性であり、鋼などの金属製であってもよく、例えば2インチの直径を有してもよい。しかしながら、任意の他の導電性材料又はサイズがパイプ3513に使用されてもよい。パイプ3907の第1の端3911は、給水ラインの第1の部分に接続され、パイプ3907の第2の端3913は、洗浄ユニット306に水を供給する給水ラインの第2の部分に接続される。
【0249】
図39Aに示すように、第1の電荷発生器3901は、パイプ3911の一部に巻回された(例えば、ラップされる)ワイヤ3915を有する。ワイヤ3915は、銅やアルミニウム等の導電性材料からなる。ワイヤ3915は、例えば、18ゲージワイヤから10ゲージワイヤの範囲のサイズを有することができる。しかし、ワイヤ3915は、他の大きさであってもよい。
【0250】
一実施形態では、ワイヤ3915は、パイプ3911の周りに巻き付けられていない部分3917を含む。ワイヤ3915の部分3917は、第1の洗浄ステージ103において乗り物101の上面を洗浄するために使用される水を帯電させるために第1の電荷発生器3901によって使用される第1の電圧を供給する電源システム113に接続される。第1の電圧がワイヤ3915に印加されている間、水はパイプ3911を流れる。水がパイプ3911を通って流れるとき、ワイヤ3915への第1の電圧の印加により水に電荷が加えられる。洗浄ユニット306は、帯電した水(例えば、正に帯電している)を用いて、前述したように乗り物101の上面を洗浄する。
【0251】
前述したように、第1の洗浄ステージ103に追加される電気分離システムはまた、一実施形態による水アーチ3903及び第2の電荷発生器3905を含む。第2の電荷発生器3905は、水アーチ3903に供給された水に第2の電圧(例えば、0ボルト)を印加して、水を帯電させる。図39Bに示すように、第2の電荷発生器3905は、パイプ3919を有する。パイプ3919は導電性であり、鋼などの金属製であってもよく、例えば2インチの直径を有してもよい。しかしながら、任意の他の導電性材料又はサイズがパイプ3919に使用されてもよい。パイプ3919の第1の端部は、給水ライン303の出口に接続された入口3921を含む。パイプ3905の第2の端は、水アーチ3903に帯電された水を供給する出口を含む。
【0252】
一実施形態では、第2の電荷発生器3905は、パイプ3919の一部の周りに巻かれた(例えば、ラップされる)ワイヤ3923を含む。ワイヤ3923は、銅やアルミニウム等の導電性材料からなる。ワイヤ3923は、例えば、18ゲージワイヤから10ゲージワイヤの範囲のサイズを有することができる。しかし、ワイヤ2923は、他の大きさであってもよい。
【0253】
一実施形態では、ワイヤ3923は、パイプ3919の周りに巻き付けられていない部分3925を含む。ワイヤ3925の部分3919は、第1の洗浄ステージ103において乗り物の上面を洗浄するために使用される水を帯電するために第2の電荷発生器3905によって使用される第2の電圧を供給する電源システム113に接続されている。ワイヤ3923に基準電圧が印加されている間、水はパイプ3919を流れる。水がパイプ3919を通って流れるとき、ワイヤ3923への第2の電圧の印加により水に電荷が加えられる。水アーチ3903には、帯電した水が供給される。
【0254】
図39Bに示すように、水アーチ3903は、水アーチ3903に含まれる複数のノズル3927を含む。洗車システム3200の第1の洗浄ステージ103に追加される水アーチ3903は、水ノズル3927を介して帯電される水の上面を噴射する。一実施形態では、水アーチ3903によって噴射される水は、洗浄性能を高める温度範囲内に水の温度をもたらす温度を有する。例えば、水は、乗り物101の表面で測定された水の温度が前述のように110°F~140°Fの範囲内になるような温度で噴射される。なお、水アーチ3903を出てから乗り物101の表面に接触するまでの間に水が冷却するので、水アーチ3903の出口における水の温度は、乗り物101の表面における水の温度よりも高い。
【0255】
一実施形態では、水アーチ3903は、乗り物101の上面に帯電した水を噴射する洗浄ユニット306の作動と実質的に同時に、第2の電圧を使用して帯電した水を乗り物101の上面に噴射するように作動される(例えば、正に帯電している)。洗浄ユニット306から噴射された正に帯電した水及び水アーチ3903から噴射された帯電した水は、路膜(road film)のゼータ電位よりも高い電位を乗り物101の上面に生成し、それによってブラシを必要とせずに水で乗り物101の上面から路膜(road film)を除去するのを助ける。
【0256】
洗車システム3200の第2の洗浄ステージ105
図40A図40B及び図40Cは、洗車システム3200に含まれる第2の洗浄ステージ105の一部の正面図、側面図及び平面図の一実施形態をそれぞれ示す。洗車システム3200の第2の洗浄ステージ105は、ノズルアセンブリ1707、ノズル2603及び2602、並びにベースアセンブリ1705などの洗車システム100について前述した第2の第1の洗浄ステージ105と同様の構成要素を含む。したがって、洗車システム3200の第2の洗浄ステージ105と洗車システム100の第2の洗浄ステージ105との間の共通の構成要素は省略される。しかしながら、洗車システム3200の第2の洗浄ステージ103は、第2の洗浄ステージ105の間に乗り物の表面に電位を生成して乗り物101の側面のための路膜(road film)の除去を助ける電気分離システムを含むように変更される。
【0257】
一実施形態では、第2の洗浄ステージ105の電気分離システムは、図40B及び図40Cに示すように、各ノズルアセンブリ1707上に第1の電荷発生器4001A及び第2の電荷発生器4001Bを含む。第2の電荷発生器4001Bは、図40Aに示す第2の洗浄ステージ105の正面図において第1の電荷発生器4001Aと重なっているため、図40Aには示されていない。
【0258】
図40Bを参照すると、第2のステージ105の各側に配置された各ノズルアセンブリ1707は、ノズルアセンブリ1707を形成する複数のノズルサブアセンブリ4002A及び4002Bを含む。各ノズルサブアセンブリ4001A及び4001Bは、乗り物101の側面に帯電した水を噴射する複数のノズル2603及び2602を含む。一実施形態では、各ノズルサブアセンブリ4001A及び4001Bは、ノズルサブアセンブリ4001に供給される水を電気的に帯電するために使用される独自の電荷発生器4001を有する。
【0259】
一実施形態では、各ノズルアセンブリ1707の第1の電荷発生器4001Aは、第1の電圧を使用してノズルサブアセンブリ4001Aに供給された水を(例えば、正電荷)帯電させ、第2の電荷発生器4001Bは、第2の電圧を使用してノズルサブアセンブリ4001Bに供給された水を帯電させる。ノズルサブアセンブリ4001Aから噴射された正に帯電した水及びノズルサブアセンブリ4001Bから噴射された帯電した水は、路膜(road film)のゼータ電位よりも大きい電位を乗り物101の側面に生成する。これにより、ブラシを用いずに、乗り物101の側面から路膜(road film)を除去することができる。
【0260】
図40Cを参照すると、第1の電荷発生器4001A及び第2の電荷発生器4001Bは、ベースアセンブリ1705のヒンジポイント3101とヒンジポイント3103との間に配置される。図40Cに示すように、第1の電荷発生器4001Aは第2の電荷発生器4001Bよりもヒンジポイント3101に近く、第2の電荷発生器4001Bは第1の電荷発生器4001Aよりもヒンジポイント3103に近い。更に、一実施形態では、第1の電荷発生器4001A及び第2の電荷発生器4001Bは、ベースアセンブリ1705の外縁に隣接している。しかしながら、第1の電荷発生器4001A及び第2の電荷発生器4001Bは、図40Cに示すものとは異なるベースアセンブリ1705上の位置に配置されてもよい。
【0261】
図41は、一実施形態による第1の電荷発生器4001A及び第2の電荷発生器4001Bとして使用することができる電荷発生器4001の詳細図を示す。電荷発生器4001は、パイプ4101を備える。パイプ4101は導電性であり、鋼などの金属製であってもよく、例えば2インチの直径を有してもよい。しかしながら、任意の他の導電性材料又はサイズがパイプ4101に使用されてもよい。パイプ4101の第1の端部は、給水ライン1717の出口に接続された入口4103を含む。パイプ4101の第2の端部は、第1の電圧を使用して正に帯電した水をノズルサブアセンブリ4001Aに、又は基準電圧を使用して帯電した水をノズルサブアセンブリ4001Bに供給する出口4105を含む。
【0262】
図41に示すように、電荷発生器4001A、4001Bは、パイプ4101の一部に巻回された(例えば、ラップされる)ワイヤ4107を有する。ワイヤ4107は、銅やアルミニウム等の導電性材料からなる。ワイヤ4107は、例えば、18ゲージワイヤから10ゲージワイヤの範囲のサイズを有することができる。しかし、ワイヤ4107は、他の大きさであってもよい。
【0263】
一実施形態では、ワイヤ4107は、パイプ4101の周りに巻き付けられていない部分4109を含む。ワイヤ4107の部分4109は、水を正に帯電させるための第1の電圧又は水を電気的に帯電させるための第2の電圧のいずれかを供給する電源システム113に接続される。第1の電圧及び基準電圧のいずれかがワイヤ4107に印加されている間、水はパイプ4101を流れる。水がパイプ4101を通って流れるとき、ワイヤ4107への第1の電圧又は第2の電圧の印加によって水に電荷が加えられる。
【0264】
第2の洗浄ステージを用いて乗り物101を洗浄した後、洗車システム3200に含まれる第1のすすぎステージの間に乗り物101を洗浄する。一実施形態では、洗車システム3200は、ESS102、第1の洗浄ステージ103、及び/又は第2の洗浄ステージ105から収集された市水又は逆浸透排除水を使用して乗り物101をすすぐ。すすぎ水はまた、前述のように電荷発生器を使用して正に帯電されてもよい。一実施形態において、すすぎ水は、水の点着及び路面皮膜電位電荷への寄与を回避するために、10グレーン以下の硬度を有する。
【0265】
第1のすすぎステージに続いて、研磨ステージが洗車システム3200に含まれてもよい。研磨ステージ中、乗り物101の表面は、追加の光沢を提供するために研磨される。研磨ステージ中、研磨添加剤を含む逆浸透水は、前述の水アーチと同様の水アーチを介して乗り物101に適用される。研磨ステージに続いて、乗り物101は、前述の第1のすすぎステージと同様の第2のすすぎステージを通過することができる。しかしながら、第2のすすぎステージ中に使用される逆浸透水は、洗車システム3200によって帯電されない。
【0266】
乗り物が第2のすすぎステージを通過すると、乗り物は洗車システム3200の乾燥ステージに入る。乾燥ステージは、乗り物100の表面上に汚染物質が再堆積するのを回避するために乾燥ステージが最小限の破片を有するように十分に維持される領域である。乾燥ステージは、乗り物101を乾燥させるために空気を使用する1つ以上の送風機を含むことができる。
【0267】
化学組成
前述のように、洗車システム3200の第2の実施形態では、ESSステージ102に含まれる化学アーチ3401A及び3401Bは、乗り物の表面に異なる化学溶液を塗布する。ESSステージ102で使用される化学溶液は、安全な非腐食性化学を有する化学物質に依存する。特に、化学アーチ3401Aは、アルカリ系である第1の化学溶液を塗布し、化学アーチ3401Bは、前述のように酸性系である第2の化学物質を塗布する。
【0268】
一実施形態では、第1の化学溶液は、逆浸透水及び重量で5%~9%の重炭酸ナトリウムを含むアルカリ溶液化合物である。一実施形態では、第1の化学溶液に使用される逆浸透水は、3未満の全溶解固形分(TDS)を有し、活性炭を通して濾過され、イオン交換を通して軟化される。炭酸水素ナトリウムは、第1の化学溶液のアルカリ度を高めるために第1の化学溶液に使用され、非腐食性である。したがって、重炭酸ナトリウムは、乗り物101の塗料の表面を損傷しない。更に、炭酸水素ナトリウムは、9.7%までの室温水に可溶性であり、それにより、いかなる冷却も必要とせずに貯蔵することを可能にする粉末である。
【0269】
一実施形態では、第1の化学溶液は、逆浸透水、重炭酸ナトリウム、C8~C16アルキルポリグルコシド、及び一実施形態によるポリ酸ポリカルボキシレートポリマー溶液を含む。C8-C16アルキルポリグルコシドは、乗り物101の表面から除去された材料(例えば、路膜(road film)、汚れ(dirt)、汚れ(grime))を捕捉しカプセル化するために使用される界面活性剤である。ポリ酸ポリカルボキシレートポリマー溶液は、C8-C16アルキルポリグルコシドによってカプセル化された材料が乗り物101の表面に再堆積する可能性を低減するために使用される再堆積防止剤である。一実施形態では、重量で測定された第1の化学溶液の成分のパーセンテージは、一実施形態による86%逆浸透水、8%重炭酸ナトリウム、3%C8~C16アルキルポリグルコシド、及び3%ポリ酸、ポリカルボキシレートポリマー溶液を含む。一実施形態では、第1の化学溶液はまた、ESSステージ102が化学アーチ3401Cを除去することによって三ステージ化学プロセスから二ステージ化学プロセスに還元される場合、逆浸透水、重炭酸ナトリウム、C8~C16アルキルポリグルコシド、及びポリ酸、ポリカルボキシレートポリマー溶液に加えて、界面活性剤及びコンディショニングポリマーを含んでもよい。
【0270】
一実施形態では、第2の化学溶液は、逆浸透水及び重量で40%~45%のクエン酸を含む酸性溶液化合物である。一実施形態では、第2の化学溶液に使用される逆浸透水は、3未満の全溶解固形分(TDS)を有し、活性炭を通して濾過され、イオン交換を通して軟化される。第2の化学溶液に用いられるクエン酸は、第2の化学溶液の酸性を高め、非腐食性である。したがって、クエン酸は、乗り物101の塗料の表面を損傷しない。炭酸水素ナトリウムと同様に、クエン酸もまた、冷蔵を必要とせずに貯蔵することを可能にする60%までの室温水に可溶性の粉末である。
【0271】
特に、第2の化学溶液は、逆浸透水、クエン酸、C8-C16アルキルポリグルコシド、及び一実施形態によるポリ酸、ポリカルボキシレートポリマー溶液を含む。上記のように、C8~C16アルキルポリグルコシドは、乗り物101の表面から除去された材料(例えば、路膜(road film)、汚れ(dirt)、汚れ(grime))を捕捉しカプセル化するために使用される界面活性剤である。ポリ酸ポリカルボキシレートポリマー溶液は、C8-C16アルキルポリグルコシドによって封入された材料が乗り物の表面に再沈着する可能性を低減するために使用される再沈着防止剤である。一実施形態では、重量で測定された第2の化学溶液の成分の百分率は、一実施形態による53%逆浸透水、41%クエン酸、3%C8~C16アルキルポリグルコシド及び3%ポリ酸、ポリカルボキシレートポリマー溶液を含む。一実施形態では、第2の化学溶液は、逆浸透水、クエン酸、C8~C16アルキルポリグルコシド、及びESS102が化学アーチ3401Cを除去することによって三ステージ化学プロセスから二ステージ化学プロセスに還元される場合、ポリ酸、ポリカルボキシレートポリマー溶液に加えて、界面活性剤及びコンディショニングポリマーも含み得る。
【0272】
コントローラ109の第1の実施形態
コントローラ109の第1の実施形態は、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105を独立して制御して、洗車システム100において乗り物101を洗浄する。図42は、第1の実施形態に係るコントローラ109の詳細図を示す。
【0273】
図42に示すように、コントローラ109は、一実施形態では、第1の洗浄ステージモジュール4201及び第2の洗浄ステージモジュール4203を含む。一般に、第1の洗浄ステージモジュール4201は、乗り物101の前面、上端面、及び後面を洗浄するために第1の洗浄ステージ103の動作を制御する。対照的に、第2の洗浄ステージモジュール4203は、乗り物101の側面を洗浄するために第2の洗浄ステージ105の動作を制御する。第1の洗浄ステージモジュール3201及び第2の洗浄ステージ3203それぞれによる第1の洗浄ステージ101及び第2の洗浄ステージ102の制御は、互いに別個かつ独立している。コントローラ109は、他の実施形態において図42に示されたもの以外の他のモジュールを含んでもよい。
【0274】
第1の洗浄ステージモジュール4201は、第1の実施形態による輪郭形状モジュール4205、水モジュール4209、及び調整モジュール4211を含む。しかしながら、他の実施形態では、第1の洗浄ステージモジュール3201は他のモジュールを含んでもよい。
【0275】
輪郭形状モジュール4205は、第1の洗浄ステージ101によって洗浄される各乗り物101の輪郭形状を決定する。前述のように、乗り物101の輪郭形状は、光学センサ301を使用して乗り物101の長さに沿って測定された乗り物101の複数の高さポイントを含む。輪郭形状モジュール4205は、光学センサ301から受信した感知データに基づいて乗り物101の輪郭を決定する。センシングデータは光学センサ301から受信され、輪郭形状モジュール4205は、乗り物101の輪郭形状を生成するために、センシングデータに基づいて乗り物101の長さに沿った高さポイントを決定する。
【0276】
水モジュール4209は、一実施形態では洗浄ユニット306の動作を制御する。一実施形態では、水モジュール4209は、前部マニホールド306Aのノズル1305をいつ作動(例えば、オンにする)又は停止(例えば、オフにする)させるか、及び後部マニホールド306Bのノズル1307をいつ作動又は停止させるかを相互に制御する。
【0277】
例えば、水モジュール4209は、乗り物101が最初に光学センサ301を横切ったときから所定の時間量後に前部マニホールド306Aのノズル1305をオンにすることによってノズル1305及び1307の動作を相互に制御し、前部洗浄ステージ103によって洗浄されている各乗り物101の輪郭形状にしたがって、前部マニホールド306Aのノズル1305をいつオフにし、後部マニホールド306Aのノズル1307をいつオンにするかを決定する。水モジュール4209は、輪郭形状にしたがって乗り物の後面を洗浄する必要があるときに基づいてノズル1305及び1307のオン及びオフ動作のタイミングを決定することができ、したがって、前部マニホールド306Aのノズル1305をオフにし、後部マニホールド306Aのノズル1307をオンにする。
【0278】
調整モジュール4211は、乗り物101の輪郭形状にしたがって伸縮ユニット304の位置を調整する。乗り物の輪郭形状に含まれる各高さポイントについて、調整モジュール3211は、高さに基づいて伸縮ユニット304を上昇又は下降させるのに必要なモータ305の回転量を示す信号をモータ305に提供する。一実施形態では、所望の高さを達成するために必要な伸縮ユニット304の垂直移動の量に異なる高さをマッピングするルックアップテーブルがメモリに格納される。垂直移動量は、所望の高さを達成するために必要なモータ304の所定のターン数に変換される。
【0279】
第2の洗浄ステージモジュール4203は、一実施形態に係る水モジュール4215及びロックモジュール4219を含む。しかしながら、第2の洗浄ステージモジュール4203は、他の実施形態において図42に示されるものとは異なるモジュールを含んでもよい。
【0280】
水モジュール4215は、一実施形態では、ノズルアセンブリ洗浄ユニット1707の動作を制御する。水モジュール4215は、洗浄ユニット1707に含まれるノズル2602、2603をいつ作動(例えば、オンにする)又は停止(例えば、オフにする)させるかを制御する。
【0281】
一例では、水モジュール4215は、乗り物101がベースアセンブリ1705、1705に衝突することに起因して変化する第2の洗浄ステージ105の幅を決定することに応じてノズル2602、2603をオンにすることができる。その後、水モジュール4215は、第2の洗浄スタグ105の幅がその初期位置にリセットされたことを検出した後にノズル2602、2603をオフにしてもよい。
【0282】
一実施形態では、角度センサは、第2の洗浄ステージ105のアーム1703に装着されてもよい。水モジュール4215は、アーム1703の角度を示す信号を角度センサから受信することができる。信号に基づいて、水モジュール4215は、アーム1703の角度が変化したときの第2の洗浄ステージ105の幅の変化を決定し得る。したがって、水モジュール4215は、第2の洗浄ステージ105の幅がその初期位置から変化したことを検出するとノズル2602、2603をオンにすることができ、第2の洗浄ステージの幅がその初期位置に戻ったことを検出するとノズル2602、2603をオフにすることができる。
【0283】
ロックモジュール4219は、シリンダ1713の長さをロックして第2の洗浄ステージ105の幅を保持するように構成されている。ロックモジュール4219は、第2の洗浄ステージ105のアーム1703に装着された角度センサから信号を受信してもよい。ロックモジュール4219は、アーム1703の角度を監視して、アーム1703が閾値時間(例えば、2秒)にわたってアーム1703の初期位置に対応する角度よりも大きい所定の角度にあると決定する。アーム1703の角度が閾値時間にわたって一定であることは、第2の洗浄ステージ105の幅が設定され、それによってシリンダ1713をロックすることを意味する。
【0284】
一実施形態では、ロックモジュール4219は、乗り物101が第2の洗浄ステージ105を出たと決定したことに応じてシリンダ1713をロック解除するように構成される。ロックモジュール4219は、コンベア107の位置、ひいては乗り物101の位置を常に知ることにより、シリンダ1713をいつロック解除するかを決定することができる。
【0285】
図1及び図42では、単一のコントローラ109が示される。本明細書に記載のコントローラの機能は、任意の数のコントローラに分割することができる。例えば、洗車100は、第1の洗浄ステージモジュール4201を含むコントローラと、第2の洗浄ステージモジュール4203を含む別個の独立したコントローラとを含んでもよい。或いは、コントローラ109は、単一のコントローラであってもよい。したがって、本明細書の実施形態は、単一のコントローラ又は複数のコントローラを使用して、第1の洗浄ステージ103及び第2の洗浄ステージ105を制御することができる。
【0286】
コントローラ109の第2の実施形態
コントローラ109の第2の実施形態は、ESS102、第1の洗浄ステージ103、及び第2の洗浄ステージ105を独立して制御して、洗車システム3200内の乗り物101を洗浄する。図43は、第2の実施形態に係るコントローラ109の詳細図を示す。
【0287】
図43に示すように、コントローラ109は、図42に関して前述したように、第1の洗浄ステージモジュール4201及び第2の洗浄ステージモジュール4203を含む。したがって、第1の洗浄ステージモジュール4201及び第2の洗浄ステージモジュール4203の特徴及び動作は、それぞれ説明のために省略される。
【0288】
図43に示すように、コントローラ109の第2の実施形態は、前述のように第1の洗浄ステージモジュール4201及び第2の洗浄ステージモジュール4203に加えてESSモジュール4301を更に含む。ESSモジュール4301は、乗り物の表面上にある路膜(road film)の除去を助ける乗り物101の表面上の電位を生成するESSステージ102の動作を制御する。
【0289】
ESSモジュール4301は、コントローラ109の第2の実施形態に係る化学モジュール4303と、水モジュール4305と、電源モジュール4305とを備える。他の実施形態では、ESSモジュール4301は、図43に示す他のモジュールを含んでもよいことに留意されたい。
【0290】
化学モジュール4303は、一実施形態では化学アーチ3401の動作を制御する。化学モジュール4303は、一実施形態では、化学アーチ3401上のノズル3507をいつ作動(例えば、オンにする)させるか、又はいつ非作動(例えば、オフにする)させるかを相互に制御する。
【0291】
例えば、化学モジュール4303は、乗り物101がESS102に含まれる光学センサ301を最初に横断してから所定の第1の時間後に、化学アーチ3401A~3401Cごとにそれぞれのノズル3507をオンにすることによって、化学アーチ3401A~3401Cの動作を相互に制御する。化学アーチ3401A~3401Cのそれぞれは、それらのそれぞれのノズル3507がオンにされるときにそれら自体のタイミングを有する。同様に、化学モジュール4303は、乗り物101が所定の第1の時間よりも長い最初に光学センサ301を横切ったときから所定の第2の時間後に、各化学アーチ3401A~3401Cのそれぞれのノズル3507をいつオフにするかを決定する。化学モジュール4303は、光学センサ301から測定された乗り物101の長さ、コンベア107の速度、及び各化学アーチ3401A~3401C間の間隔に基づいて、ノズル3507のオン及びオフ動作のタイミングを決定することができる。
【0292】
水モジュール4305は、図36に示すESS102の第2の実施形態における水アーチ3603A~3603Cの動作を制御する。図34に示すように、水アーチ3603A~3603CがないESS102の第1の実施形態では、水モジュール4305は不要である。水モジュール4305は、一実施形態では、水アーチ3603Aから3603Cのそれぞれのノズル3701をいつ作動(例えば、オンにする)又は停止(例えば、オフにする)させるかを相互に制御する。
【0293】
例えば、水モジュール4305は、乗り物101がESS102に含まれる光学センサ301を最初に横断してから所定の第1の時間後に、水アーチ3603Aから3603Cごとにそれぞれのノズル3701をオンにすることによって、水アーチ3603Aから3603Cの動作を相互に制御する。水アーチ3603A~3603Cのそれぞれは、それぞれのノズル3701がオンにされるときにそれぞれのタイミングを有する。同様に、水モジュール4305は、乗り物101が最初に所定の第1の時間よりも長い光学センサ301を横切ったときから所定の第2の時間後に、各水アーチ3603Aから3603Cのそれぞれのノズル3701をいつオフにするかを決定する。水モジュール4305は、光学センサ301から測定された乗り物101の長さ、コンベア107の速度、及び各水アーチ3603Aから3603Cの間の間隔に基づいて、各水アーチ3603Aから3603Cのノズル3701のオン及びオフ動作のタイミングを決定することができる。
【0294】
電源モジュール4305は、ESS102、第1の洗浄ステージ103、及び第2の洗浄ステージ105内の化学アーチ3401及び様々な電荷発生器への第1の電圧の供給を活性化及び非活性化し、ESS102、第1の洗浄ステージ103、及び第2の洗浄ステージ105内の基準電圧装置3403、水アーチ、及び基準電荷発生器3905への第2の電圧の供給を活性化及び非活性化するように構成される。
【0295】
コンピュータハードウェア構成要素
図44は、本明細書に記載の実施形態が洗車システム100内で実装され得るコンピュータシステム4400を示す図である。例えば、図1との関連で、コントローラ109は、図44によって説明されるようなコンピュータシステムを使用して実装されてもよい。また、コントローラ109は、図44によって説明されるように複数のコンピュータシステムの組み合わせを使用して実装されてもよい。
【0296】
一実施態様では、コントローラ109は、処理リソース4401、メインメモリ4403、リードオンリーメモリ(ROM)4405、記憶デバイス4407、及び通信インタフェース4409を含む。コントローラ109は、情報を処理するための少なくとも1つのプロセッサ4401と、情報及びプロセッサ4401によって実行される命令を記憶するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)又他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ4403とを含む。また、メインメモリ4403は、プロセッサ4401によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を格納するために使用されてもよい。また、コントローラ109は、プロセッサ801のための静的情報及び命令を記憶するためのROM4405又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。記憶デバイス4407は、情報及び命令を記憶するために、磁気ディスク又は光ディスク又は固体メモリデバイスなどとして提供される。一実施形態では、乗り物101の輪郭形状は、メインメモリ4403、ROM4405、又は記憶デバイス4407のいずれか、又はそれらの組み合わせに記憶される。
【0297】
通信インタフェース4409は、コントローラ109が通信リンク(無線又は有線)を使用して他のコンピュータシステムと通信できるようにし得る。コントローラ109は、例えば、ユーザにグラフィック及び情報を表示するための、陰極線管(CRT)、LCDモニタ、LEDモニタ、TFTディスプレイ、又はテレビ受像機などの表示デバイス4411を含むことができてもよい。英数字キー及び他のキーを含むキーボードなどの入力機構4413は、情報及びコマンド選択をプロセッサ4401に通信するために、コンピュータシステム4400に結合することができてもよい。入力機構4413の他の非限定的な例示的な例は、プロセッサ4401に方向情報及びコマンド選択を通信し、表示デバイス4411上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、タッチセンシティブスクリーン、又はカーソル方向キーを含む。
【0298】
本明細書に記載の例は、本明細書に記載の技術を実施するためのコントローラ109の使用に関する。一実施形態によれば、これらの技法は、プロセッサ4401がメインメモリ4403に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答してコントローラ109によって実行される。そのような命令は、記憶デバイス4407などの別の機械可読媒体からメインメモリ4403に読み込まれてもよい。メインメモリ4403に含まれる命令シーケンスの実行は、プロセッサ4401に本明細書に記載のプロセスステップを実行させる。代替的な実施態様では、本明細書に記載の例を実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。図44に示す様々なモジュールは、プロセッサ4401による実行のためにメインメモリ4403、ROM4405、もしくは記憶デバイス4407のいずれかに記憶されたソフトウェアモジュール又はそれらの組み合わせであってもよく、ハードウェアモジュールであってもよく、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。したがって、記載された例は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されない。
【0299】
本明細書における「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、特定の特徴、構造、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」又は「好ましい実施形態」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
【0300】
本開示では、「第1の」、「第2の」、「A」、「B」などの用語は、本明細書では本発明の要素を説明するために使用される。これらの用語のそれぞれは、要素の本質、順序、順序、又は数などを定義するために使用されるのではなく、単に対応する要素を他の要素と区別するために使用される。例えば、伸縮ユニット304は、複数のレールステージ801を含み、レールステージは、レールステージ801A、801B、801C、及び801Dを含む。
【0301】
本明細書に開示される特定の態様は、方法の形態で本明細書に記載されるプロセスステップ及び命令を含む。本明細書に記載のプロセスステップ及び命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで実施することができ、ソフトウェアで実施される場合、様々なオペレーティングシステムによって使用される異なるプラットフォームに存在し、そこから動作するようにダウンロードすることができることに留意すべきである。更に、一般性を失うことなく、モジュールとしての動作の配置を参照することが時には便利であることも証明されている。記載された動作及びそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせで具現化され得る。
【0302】
また、前述の実施形態は、本明細書の動作を実行するための装置にも関連する。この装置は、必要な目的のために特別に構成されてもよく、又はコンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は電子命令を記憶するのに適した任意の種類の媒体を含む任意の種類のディスクなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、それぞれがコンピュータシステムバスに結合される。更に、本明細書で言及されるコンピュータは、単一のプロセッサを含んでもよく、又は計算能力を高めるために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってもよい。
【0303】
本明細書に提示される方法及び表示は、本質的にいかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連しない。また、様々な汎用システムが、本明細書の教示にしたがってプログラムと共に使用されてもよく、或いは、必要な方法ステップを実行するためのより特殊化された装置を構築することが好都合であることが分かる。様々なこれらのシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになり得る。加えて、実施形態は、いかなる特定のプログラミング言語に関連して説明されない。本明細書に記載の教示内容を実施するために様々なプログラミング言語を使用することができ、また、実施可能性及び最良の形態の開示のために、特定の言語に対する以下の任意の参照が提供されることが理解され得る。
【0304】
好ましい実施形態及び幾つかの代替の実施形態に関連して本開示を特に示して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の技術思想及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行なうことができる。
図1
図2
図3A
図3B-3C】
図4
図5A
図5B
図6A-6H】
図7
図8A-8D】
図8E
図8F
図9A
図9B-9D】
図10A
図10B-10E】
図11
図12A-12C】
図13A-13B】
図13C-13D】
図14
図15A-15B】
図16A
図16B-16C】
図17
図18A-18B】
図18C-18D】
図19
図20A-20B】
図20C-20D】
図21
図22A
図22B
図23A-23B】
図23C
図24A-24B】
図25
図26A-26B】
図27A
図27B-27C】
図28
図29A-29B】
図29C
図30A-30B】
図31A-31B】
図32
図33A
図33B
図34
図35A
図35B
図35C
図36
図37A-37B】
図38A-38B】
図39A
図39B
図40A
図40B-40C】
図41
図42
図43
図44
【国際調査報告】