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特表2025-500874消化管ペプチドのポリシストロニック発現
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】消化管ペプチドのポリシストロニック発現
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20250107BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/67 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20250107BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20250107BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20250107BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20250107BHJP
   C07K 14/575 20060101ALN20250107BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/16 ZNA
C12N15/67 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/85 Z
C12N15/115 Z
C12N15/11 Z
C12N7/01
A61K35/76
A61P3/04
A61K31/7088
A61K38/26
A61P3/08
A61K38/22
C07K14/605
C07K14/575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535713
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022000815
(87)【国際公開番号】W WO2023131811
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/361,399
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517271175
【氏名又は名称】メイラグティーエックス ユーケー アイアイ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100231902
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 李花
(72)【発明者】
【氏名】シュエクイ グオ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドリア フォーブズ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084CA53
4C084DB01
4C084DB35
4C084DB36
4C084NA14
4C084ZA70
4C084ZC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087CA20
4C087NA14
4C087ZA70
4C087ZC35
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA30
4H045EA21
4H045EA27
4H045EA30
4H045FA74
(57)【要約】
消化管ペプチドを発現させるためのモノシストロニック、バイシストロニック、及びポリシストロニック発現構築物、ならびに、そのような発現構築物を含む医薬組成物を本明細書で提供する。例えば、満腹感の誘発を必要とする対象において満腹感を誘発するための、または、肥満の処置を必要とする対象において肥満を処置するための、そのような発現構築物の使用方法も提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリタンパク質をコードするバイシストロニック発現構築物であって、
a.前記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、及び第2の消化管ペプチドを含み、
b.前記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.前記シグナルペプチドをコードする配列;
ii.前記第1の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iii.前記第2の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
前記バイシストロニック発現構築物。
【請求項2】
ポリタンパク質をコードするトリシストロニック発現構築物であって、
a.前記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドを含み、
b.前記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.前記シグナルペプチドをコードする配列;
ii.前記第1の消化管ペプチドをコードする配列;
iii.前記第2の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iv.前記第3の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
前記トリシストロニック発現構築物。
【請求項3】
前記シグナルペプチドは、免疫グロブリンM(IgM)シグナルペプチド、ヒトインスリン(hInsul)シグナルペプチド、マウスIghタンパク質(Igh)シグナルペプチド、ヒト成長ホルモン(hGH)シグナルペプチド、マウスエリスロポエチン(mEpo)シグナルペプチド、マウス成長ホルモン放出ホルモン(mGHRH)シグナルペプチド、ヒトアルブミンシグナルペプチド、及び、ヒト第IX因子(FIX)シグナルペプチドからなる群から選択される、請求項1に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項4】
前記シグナルペプチドは、配列番号13~20のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項3に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項5】
前記シグナルペプチドは、配列番号13~20のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項4に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項6】
前記シグナルペプチドは、配列番号13~20から選択される配列を含む、請求項5に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項7】
前記シグナルペプチドをコードする前記配列は、配列番号21~28のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項3~6に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項8】
前記シグナルペプチドをコードする前記配列は、配列番号21~28のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項7に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項9】
前記シグナルペプチドをコードする前記配列は、配列番号21~28から選択される配列を含む、請求項8に記載のバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項10】
前記第1の消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドは、ヒトタンパク質glp-1(hGLP-1)、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(hGIP)、ヒトオキシントモジュリン(hOXM)、ペプチドYY(PYY)、ヒトグルカゴン、及びアミリン(amlyn)からなる群から選択される配列を含む、請求項1、もしくは3~9のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2~9のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項11】
前記第1の消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項10に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項12】
前記第1の消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項11に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項13】
前記第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む、請求項12に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項14】
前記第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項15】
前記第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項14に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項16】
前記第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む、請求項15に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項17】
前記第3の消化管ペプチドは、ヒトタンパク質glp-1(hGLP-1)、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(hGIP)、ヒトオキシントモジュリン(hOXM)、ペプチドYY(PYY)、ヒトグルカゴン、及びアミリンからなる群から選択される配列を含む、請求項2~16のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項18】
前記第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項17に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項19】
前記第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項18に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項20】
前記第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む、請求項19に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項21】
前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項22】
前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項21に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項23】
前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む、請求項22に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項24】
前記第1の消化管ペプチドと前記第2の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである、請求項1、または3~16のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項25】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列は、異なっている、請求項24に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項26】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列のうちの、少なくとも1つは、コドン最適化されている、請求項25に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項27】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列は、コドン最適化されている、請求項26に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項28】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドは、hGLP-1である、請求項24~27のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項29】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1と少なくとも80%同一である配列を含む、請求項28に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項30】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項29に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項31】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1を含む、請求項30に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項32】
前記第1及び前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列はそれぞれ、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む、請求項28に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項33】
前記第1及び前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列はそれぞれ、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項32に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項34】
前記第1及び前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列は、配列番号6~8から選択される、請求項33に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項35】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む、請求項28に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項36】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む、請求項35に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項37】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55を含む配列をコードする、請求項36に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項38】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも80%同一である配列を含む、請求項28に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項39】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項38に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項40】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57を含む、請求項39に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項41】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである、請求項1、または3~16のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項42】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドは、hGLP-1及びhGIPからなる群から選択される、請求項41に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項43】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする、請求項42に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項44】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする、請求項43に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項45】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つを含む配列をコードする、請求項44に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項46】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項42に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項47】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項46に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項48】
前記バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58から選択される配列を含む、請求項47に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項49】
前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである、請求項2~23のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項50】
前記第1の消化管ペプチド、前記第2の消化管ペプチド、及び前記第3の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである、請求項49に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項51】
前記第1の消化管ペプチド、前記第2の消化管ペプチド、及び前記第3の消化管ペプチドは、
a.hGLP-1、hOXM、及びPYY;または
b.hGLP-1、hGlucagon、及びhGIPからなる群から選択される、請求項50に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項52】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする、請求項51に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項53】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする、請求項52に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項54】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つを含む配列をコードする、請求項53に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項55】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項51に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項56】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項55に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項57】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つを含む、請求項56に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項58】
前記第1の消化管ペプチド、前記第2の消化管ペプチド、及び前記第3の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである、請求項2~23のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項59】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び、前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列は、異なっている、請求項58に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項60】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列のうちの少なくとも1つは、コドン最適化されている、請求項59に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項61】
前記第1の消化管ペプチドをコードする前記配列、前記第2の消化管ペプチドをコードする前記配列、及び前記第3の消化管ペプチドをコードする前記配列は、コドン最適化されている、請求項60に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項62】
前記第1の消化管ペプチド、前記第2の消化管ペプチド、及び前記第3の消化管ペプチドはhGLP-1である、請求項58~61のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項63】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする、請求項62に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項64】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする、請求項63に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項65】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75から選択される配列を含む配列をコードする、請求項64に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項66】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む、請求項62に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項67】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項66に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項68】
前記トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78から選択される配列を含む、請求項67に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項69】
前記バイシストロニック発現構築物または前記トリシストロニック発現構築物は、プロモーター配列をさらに含む、請求項1、3~16、もしくは24~48のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2~23、もしくは49~68のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項70】
前記プロモーターはCMVプロモーターまたはCASIプロモーターである、請求項69に記載のバイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物。
【請求項71】
前記ポリタンパク質は、前記第1の消化管ペプチド及び前記第2の消化管ペプチドの放出を可能にするプロテアーゼ切断部位をさらに含む、請求項1、3~16、24~48、または69~70のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物。
【請求項72】
前記ポリタンパク質は、前記第1の消化管ペプチド、前記第2の消化管ペプチド、及び前記第3の消化管ペプチドの放出を可能にする、2つのプロテアーゼ切断部位をさらに含む、請求項2~23、または49~70のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項73】
前記プロテアーゼ切断部位の少なくとも1つはフーリン切断部位である、請求項71に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項72に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項74】
前記ポリタンパク質をコードする配列は、アプタマーを含むリボスイッチを含み、前記アプタマーは低分子に結合する、請求項1、3~16、24~48、69~71、もしくは73のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2~23、49~70、もしくは72~73のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項75】
前記ポリタンパク質をコードする配列は、アプタマーを含む遺伝子調節カセットを含み、前記アプタマーは低分子に結合する、請求項1、3~16、24~48、69~71、もしくは73のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2~23、49~70、もしくは72~73のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物。
【請求項76】
請求項1、3~16、24~48、69~71、もしくは73~75のいずれか1項に記載のバイシストロニック発現構築物、または、請求項2~23、49~70、もしくは72~75のいずれか1項に記載のトリシストロニック発現構築物を含むベクター。
【請求項77】
前記ベクターはAAVベクターである、請求項76に記載のベクター。
【請求項78】
請求項76~77のいずれか1項に記載のベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項79】
満腹感の誘発を必要とする対象における満腹感を誘発する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項78に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項80】
肥満の処置を必要とする対象における肥満を処置する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項78に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項81】
食欲の抑制を必要とする対象における食欲を抑制する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項78に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項82】
体重増加の低減を必要とする対象における体重増加を低減する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項78に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項83】
耐糖能の改善を必要とする対象における耐糖能を改善する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項78に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分子生物学の分野の組成物及び方法に関する。具体的には、本開示は、ペプチドを発現させるためのポリシストロニック発現構築物、加えて、これらのポリシストロニック発現構築物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満に対する現行の処置には刺激性投薬が伴うが、これらの効果は弱く、特に、長期にわたり用いた場合、有害な副作用を有する可能性がある。他の、現行の処置方法には、侵襲性の肥満手術が伴い、これらは、場合によっては効果的であるものの、様々な、深刻な合併症を伴う可能性がある。より最近では、飽和消化管ペプチド(飽和ペプチドまたは消化管ペプチドともまた呼ばれる)が、肥満に対する潜在的な処置として調査されている。
【0003】
満腹消化管ペプチドは、分泌、運動性、吸収、消化、及び細胞増殖などの胃腸(GI)機能を制御する化学メッセンジャーである。これらのポリペプチドは、胃、膵臓、または腸内の内分泌腺細胞により産生され、オートクラインもしくはパラクライン機構により局所的に、または、古典的な内分泌腺方法での離れた部位にて作用する。血漿が血液脳関門を通過することで、これらは、視床下部の満腹中枢において特定の受容体を活性化することにより作用し、これによって、満腹感を誘発する。
【0004】
満腹消化管ペプチドによる急性補充療法によって、肥満動物モデルにおける、加えて、痩せた、及び肥満のヒト対象における、摂食及び体重が低減する。
【0005】
消化管内の酵素及び酸が、血液に達する前に満腹消化管ペプチドを消化してしまうために、満腹消化管ペプチドは、経口投与による摂取では効果的ではないことが、幅広く認識されている。したがって、満腹消化管ペプチドを発現させるための新規のメカニズムが、喫緊に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
消化管ペプチドを発現させるための発現構築物、及び、このような発現構築物の使用方法を、本明細書で提供する。
【0007】
一態様では、ポリタンパク質をコードするバイシストロニック発現構築物であって、
a.上記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、及び第2の消化管ペプチドを含み、
b.上記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.上記シグナルペプチドをコードする配列;
ii.上記第1の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iii.上記第2の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
上記発現構築物を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、ヒトグルカゴン様ペプチド1(hGLP-1)ペプチド、ヒトグルコース依存性インスリン分泌性(hGIP)ペプチド、ヒトオキシントモジュリン(hOXM)ペプチド、ペプチドYY(PYY)、ヒトグルカゴン(hGlucagon)ペプチド、及びアミリンペプチドから選択される配列を含む。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドと第2の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列と、第2の消化管ペプチドをコードする配列は、異なっている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列のうちの、少なくとも1つは、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、及び、第2の消化管ペプチドをコードする配列は、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、hGLP-1である。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1と少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドはそれぞれ、配列番号1を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列はそれぞれ、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列はそれぞれ、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~8から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55を含むポリペプチドをコードする。
【0013】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、hGLP-1及びhGIPからなる群から選択される。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。
【0015】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つを含む配列をコードする。
【0016】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58から選択される配列を含む。
【0017】
一態様では、ポリタンパク質をコードするトリシストロニック発現構築物であって、
a.上記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドを含み、
b.上記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.上記シグナルペプチドをコードする配列;
ii.上記第1の消化管ペプチドをコードする配列;
iii.上記第2の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iv.上記第3の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
上記発現構築物を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、hGLP-1ペプチド、hGIPペプチド、hOXMペプチド、ペプチドYY(PYY)、hGlucagon、及びアミリンペプチドからなる群から選択される配列を含む。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~4のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び、第3の消化管ペプチドをコードする配列は、異なっている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び第3の消化管ペプチドをコードする配列のうちの少なくとも1つは、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び第3の消化管ペプチドをコードする配列、コドン最適化されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、hGLP-1である。
【0022】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75から選択される配列を含む配列をコードする。
【0023】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78から選択される配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、(1)hGLP-1ペプチド、hOXMペプチド、及びPYY、または(2)hGLP-1ペプチド、hGlucagonペプチド、及びhGIPペプチドからなる群から選択される。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。
【0026】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つを含む配列をコードする。
【0027】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、バイシストロニックまたはトリシストロニック発現構築物はポリタンパク質をコードし、ポリタンパク質はシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリンM(IgM)シグナルペプチド、ヒトインスリン(hInsul)シグナルペプチド、マウスIghタンパク質(mIgh)タンパク質シグナルペプチド、ヒト成長ホルモン(hGH)シグナルペプチド、マウスエリスロポエチン(mEpo)シグナルペプチド、マウス成長ホルモン放出ホルモン(mGHRH)シグナルペプチド、ヒトアルブミンシグナルペプチド、及び、ヒト第IX因子(FIX)シグナルペプチドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13~20のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13~20のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13~20から選択される配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号21~28のいずれか1つと少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号21~28のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号21~28から選択される配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、バイシストロニックまたはトリシストロニック発現構築物は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、プロモーターはCMVまたはCASIプロモーターである。
【0030】
いくつかの実施形態では、バイシストロニックまたはトリシストロニック発現構築物は、第1の消化管ペプチドと第2の消化管ペプチドの間に位置するプロテアーゼ切断部位を含むポリタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物はポリタンパク質をコードし、ポリタンパク質は、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3のペプチドの、ポリタンパク質からの放出を可能にする、プロテアーゼ切断部位をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断部位の少なくとも1つは、フーリン切断部位である。
【0032】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物は、アプタマーを含むリボスイッチを含み、アプタマーは低分子に結合する。
【0033】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物またはトリシストロニック発現構築物は、アプタマーを含む遺伝子調節カセットを含み、アプタマーは低分子に結合する。
【0034】
本明細書で開示するバイシストロニック発現またはトリシストロニック発現構築物を含むベクターを、本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、ベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0035】
本明細書で開示するベクターを含む細胞を、本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、細胞は単離される。
【0036】
本明細書で開示するベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0037】
一態様では、必要とする対象における満腹感の誘発方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0038】
一態様では、必要とする対象における肥満の処置方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0039】
一態様では、必要とする対象における食欲の抑制方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0040】
一態様では、必要とする対象における、体重の減少の減少、または、体重増加の低減方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0041】
一態様では、必要とする対象における耐糖能の改善方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0042】
一態様では、必要とする対象におけるインスリン放出の誘発方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】モノシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。ELISAにより測定した、消化管ペプチドのhGLP-17-37ペプチドの発現。hGLP-1発現構築物の命名法に関しては、表5及び6を参照されたい。
図1B】モノシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。ELISAにより測定した、消化管ペプチドのhGLP-17-37ペプチドの発現。hGLP-1発現構築物の命名法に関しては、表5及び6を参照されたい。
図1C】モノシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。ELISAにより測定した、消化管ペプチドのhGIP1-42ペプチドの発現。hGIP発現構築物の命名法に関しては、表5及び6を参照されたい。
図2A】モノ、バイ、及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。例示的なバイ及びトリシストロニック発現構築物。
図2B】モノ、バイ、及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。ELISAにより測定したGLP-17-37ペプチドの、モノシストロニック(GLP-1_M)、バイシストロニック(2xGLP-1_2xB)、またはトリシストロニック(3xGLP-1_3xB)発現の比較。使用したELISAキットは、GLP-17-36を検出するように設計した。発現構築物の命名法に関しては、表5~10を参照されたい。
図2C】モノ、バイ、及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。GLP17-37ペプチドをコードする、ある特定のモノシストロニック及びトリシストロニック構築物の比較。発現はELISAによって決定された。発現をELISAにより測定した。発現構築物の命名法に関しては、表5~6、及び9~10を参照されたい。
図3A】モノ及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。GLP-17-37ペプチド、及びhGIP1-42ペプチドを含むポリタンパク質をコードするバイシストロニック発現構築物由来の、GLP-17-37ペプチドの発現。発現構築物の命名法に関しては、表7及び8を参照されたい。
図3B】モノ及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。GLP-17-37ペプチド、及びhGIP1-42ペプチドを含むポリタンパク質をコードするバイシストロニック発現構築物由来の、hGIP1-42ペプチドの発現。発現構築物の命名法に関しては、表7及び8を参照されたい。
図3C】モノ及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。GLP-17-37ペプチド(GLP1_J及びGLP-1_L)またはhGIP1-42ペプチド(GIP_G)をコードするモノシストロニック発現構築物由来の、ならびに、GLP-17-36ペプチド、hGIP1-42ペプチド、及びhGlucagonペプチド(GGG_A)を発現するトリシストロニック発現構築物由来のGLP-17-37の発現。発現構築物の命名法に関しては、表5、6、9及び10を参照されたい。
図3D】モノ及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。GLP-17-37ペプチド(GLP1_J及びGLP-1_L)またはhGIP1-42ペプチド(GIP_G)をコードするモノシストロニック発現構築物由来の、ならびに、GLP-17-37ペプチド、hGIP1-42ペプチド、及びhGlucagonペプチド(GGG_A)を発現するトリシストロニック発現構築物由来のhGIP1-42の発現。発現構築物の命名法に関しては、表5、6、9及び10を参照されたい。
図3E】モノ及びトリシストロニック発現構築物を用いる消化管ペプチドの発現を示す。示したトリシストロニック発現構築物(GLP-17-37ペプチド、OXMペプチド、及びPYYを発現する)による、GLP-17-37の発現。発現構築物の命名法に関しては、表9及び10を参照されたい。使用したELISAキットは、GLP-17-36を検出するように設計した。
図4A】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。実施例4に示す、(hGLP-17-37ペプチド及びhGIP1-42ペプチドを発現する)GG_Lに基づく、示した制御可能なバイシストロニック発現構築物による、GLP-1ペプチドの発現。低分子誘導因子の濃度を、μMで示す。
図4B】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。実施例4に示す、(hGLP-17-37ペプチド及びhGIP1-42ペプチドを発現する)示した制御可能なバイシストロニック発現構築物による、hGIP1-42ペプチドの発現。0mMの低分子誘導因子に関しては、有意な発現が観察されなかった。低分子誘導因子の濃度を、μMで示す。
図4C】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。(3つの、hGLP-17-37ペプチドコード配列を含む)実施例4に記載する、示した制御可能なトリシストロニック発現構築物3xGLP-1_3xCによる、hGLP-17-37ペプチドの発現。
図4C】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。実施例4に記載する、示した制御可能な、バイシストロニック及びトリシストロニック発現構築物による、hGLP-17-37ペプチドの発現。MX-001は、低分子誘導因子である。
図4D】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。(hGLP-17-36ペプチド及びhGIP1-42ペプチドを発現する)実施例4に記載するGG_Fに基づく、示した制御可能なバイシストロニック発現構築物による、hGLP-17-37ペプチドの発現。
図4E】消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御された発現を示す。GLP-1、hOXM、及びPYYを含むポリタンパク質を発現する、制御可能なトリシストロニック発現構築物由来のPYYの発現は、PYYを発現した。使用したELISAキットは、GLP-17-36を検出するように設計した。
図5A】本明細書で開示するポリシストロニック発現構築物から発現した消化管ペプチドが、生物学的に活性であることを示す。示したモノ、バイ、及びトリシストロニック発現構築物により発現される、hGLP-17-37ペプチドの生物活性。
図5B】本明細書で開示するポリシストロニック発現構築物から発現した消化管ペプチドが、生物学的に活性であることを示す。示したモノ、バイ、及びトリシストロニック発現構築物により発現される、hGIP1-42ペプチドの生物活性。
図5C】オスC57Bl/6マウスに、6週齢から、高脂肪食事(HFD)を給餌した。8週齢の時点で、マウスに、PBS、または、GG_Fを含有するAAV8ベクターのいずれかを注射した。低脂肪食(LFD)のマウスにはPBSを注射し、対照群として機能させた。動物の体重を、AAV注射の前後で毎週監視した。
図6A】AAV8.GG_F_7-GLP-1ベクターから発現したGLP-1及びGIPペプチドが、in vivoの耐糖能を改善することを示す。実験のセットアップ。
図6B】AAV8.GG_F_7-GLP-1ベクターから発現したGLP-1及びGIPペプチドが、in vivoの耐糖能を改善することを示す。AAV8.GG_F_7-GLP-1ベクターから発現したGLP-1及びGIPペプチドは、in vivoの耐糖能を改善する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
1種以上の消化管ペプチドをコードする発現構築物、加えて、これらの発現構築物の使用方法を、本明細書で提供する。実施形態では、ペプチドはポリタンパク質として発現し、ポリタンパク質は切断され、所望の消化管ペプチドを産生する。本明細書で使用する場合、ポリタンパク質は、2種以上のポリペプチド生成物を産生するための処理を受ける予定のタンパク質である。
【0045】
発現構築物
消化管ペプチドを発現させるための、モノシストロニック、バイシストロニック、トリシストロニック、及び他のポリシストロニック発現構築物を、本明細書で提供する。
【0046】
実施形態では、発現構築物は、単一のポリペプチドを発現させるためのモノシストロニック発現構築物である。
【0047】
実施形態では、発現構築物は、2つのポリペプチドを発現させるためのバイシストロニック発現構築物である。2つのポリペプチドはポリタンパク質として発現することができ、個別のポリペプチドは、タンパク質分解切断後に、ポリタンパク質から放出されることができる。
【0048】
実施形態では、発現構築物は、3つのポリペプチドを発現させるためのトリシストロニック発現構築物である。3つのポリペプチドはポリタンパク質として発現することができ、個別のポリペプチドは、タンパク質分解切断後に、ポリタンパク質から放出されることができる。
【0049】
実施形態では、発現構築物は、2つ以上のポリペプチドを発現させるためのポリシストロニック発現構築物である。2つ以上のポリペプチドはポリタンパク質として発現することができ、個別のポリペプチドは、タンパク質分解切断後に、ポリタンパク質から放出されることができる。いくつかの実施形態では、ポリシストロニック発現構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のポリペプチドを発現する。2つ以上のポリペプチドは、同一または異なるポリペプチドであることができる。
【0050】
一態様では、本明細書で提供する発現構築物は、1種以上の消化管ペプチドをコードする。
【0051】
モノシストロニック発現構築物
いくつかの実施形態では、消化管ペプチドは、ヒトグルカゴン様ペプチド1(hGLP-1)ペプチド、ヒト胃抑制ペプチド(hGIP)ペプチド、ヒトオキシントモジュリン(hOXM)ペプチド、ペプチドYYもしくはペプチドチロシンチロシン(PYY)、ヒトグルカゴン(hGlucagon)ペプチド、または、アミリンペプチド(インスリノーマアミロイドポリペプチド(IAPP)とも呼ばれる)である。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-36ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。いくつかの実施形態では、消化管ペプチドは、表1に開示する消化管ペプチド、または、表1に開示する消化管ペプチドのうちの1つの一部である。
【0052】
いくつかの実施形態では、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号1を含むポリペプチドをコードする。
【0053】
いくつかの実施形態では、配列番号2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号2を含むポリペプチドをコードする。
【0054】
いくつかの実施形態では、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号3を含むポリペプチドをコードする。
【0055】
いくつかの実施形態では、配列番号4と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号4を含むポリペプチドをコードする。
【0056】
いくつかの実施形態では、配列番号5と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号5を含むポリペプチドをコードする。
【表1】
【0057】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、表2に開示される配列、または、表2に開示される配列の一部を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号6と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号6を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号7を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号8を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号9を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号10を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号11を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、配列番号12を含む。
【表2】
【0065】
いくつかの実施形態では、発現構築物は消化管ペプチドをコードし、消化管ペプチドは、シグナルペプチドに融合する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリンM(IgM)シグナルペプチド、ヒトインスリン(hInsul)シグナルペプチド、マウスIghタンパク質(mIgh)シグナルペプチド、ヒト成長ホルモン(hGH)シグナルペプチド、マウスエリスロポエチン(mEpo)シグナルペプチド、マウス成長ホルモン放出ホルモン(mGHRH)シグナルペプチド、ヒトアルブミン(hAlbumin)シグナルペプチド、または、ヒト第IX因子(hFIX)シグナルペプチドである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、表3に開示されるシグナルペプチド、または、表3に開示されるシグナルペプチドの一部である。
【0066】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号14と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号14を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号15と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号15を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号16と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号16を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号17と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号17を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号18と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号18を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号19と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号19を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号20と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号20を含む。
【表3】
【0074】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、シグナルペプチドをコードする配列を含み、シグナルペプチドは、消化管ペプチドに融合する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、表4に開示される配列、または、表4に開示される配列の一部を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号21と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号21を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号22と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号22を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号23と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号23を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号24と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号24を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号25と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号25を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号26と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号26を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号27と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号27を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号28と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードする配列は、配列番号28を含む。
【表4】
【0083】
配列番号29~36のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。配列番号29~36のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。
【0084】
配列番号30、21、または34のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。配列番号30、21、または34のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。
【0085】
表5に開示される配列、または、表5に開示される配列の一部の、いずれか1つを含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。
【表5-1】
【表5-2】
【0086】
配列番号37~44のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む発現構築物を提供する。配列番号37~44のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。
【0087】
配列番号38、39、または42のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む発現構築物を提供する。配列番号38、39、または42のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする発現構築物を提供する。
【0088】
表6に開示される配列、または、表6に開示される配列の一部の、いずれか1つを含む発現を提供する。
【表6-1】
【表6-2】
【0089】
バイシストロニック発現構築物
一態様では、ポリタンパク質をコードするバイシストロニック発現構築物であって、
a.上記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、及び第2の消化管ペプチドを含み、
b.上記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.上記シグナルペプチドをコードする配列;
ii.上記第1の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iii.上記第2の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
上記発現構築物を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、GLP-1ペプチド、hGIPペプチド、hOXMペプチド、PYY、hGlucagon、及びアミリンペプチドからなる群から選択される配列を含む。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド消化管ペプチド及び/または第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドと第2の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドと第2の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドであるが、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列は、異なっている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列のうちの、少なくとも1つは、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、及び、第2の消化管ペプチドをコードする配列は、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、hGLP-1である。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、配列番号1と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、配列番号1を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列及び第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~8から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~8から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、表7に開示される配列、または、表7に開示される配列の一部を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55と少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号45または配列番号55を含むポリペプチドをコードする。
【0097】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号46~49、または配列番号56のいずれか1つを含む配列をコードする。
【表7】
【0098】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現は、表8に開示される配列、または、表8に開示される配列の一部を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57と少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号50または配列番号57を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、バイシストロニック発現構築物は、配列番号51~54、または配列番号58から選択される配列を含む。
【表8-1】
【表8-2】
【0101】
トリシストロニック発現構築物
一態様では、ポリタンパク質をコードするトリシストロニック発現構築物であって、
a.上記ポリタンパク質はシグナルペプチド、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドを含み、
b.上記ポリタンパク質をコードする配列は、
i.上記シグナルペプチドをコードする配列
ii.上記第1の消化管ペプチドをコードする配列;
iii.上記第2の消化管ペプチドをコードする配列;及び
iv.上記第3の消化管ペプチドをコードする配列を含む、
上記発現構築物を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、hGLP-1ペプチド、hGIPペプチド、hOXMペプチド、(PYY、hGlucagon、及びアミリンペプチドからなる群から選択される配列を含む。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドは、配列番号1~5から選択される配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び/または第3の消化管ペプチドをコードする配列は、配列番号6~12から選択される配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、表9に開示される配列、または、表9に開示される配列の一部、を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、表10に開示される配列、または、表10に開示される配列の一部を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、同一の消化管ペプチドであるが、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び、第3の消化管ペプチドをコードする配列は、異なっている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び第3の消化管ペプチドをコードする配列のうちの少なくとも1つは、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチドをコードする配列、第2の消化管ペプチドをコードする配列、及び第3の消化管ペプチドをコードする配列は、コドン最適化されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、hGLP-1である。
【0107】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号59~61、または配列番号75から選択される配列を含む配列をコードする。
【0108】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号67~69、または配列番号78から選択される配列を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド及び第2の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、異なる消化管ペプチドである。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の消化管ペプチド、第2の消化管ペプチド、及び第3の消化管ペプチドは、(1)hGLP-1ペプチド、hOXMペプチド、及びPYY、または(2)hGLP-1ペプチド、hGlucagonペプチド、及びhGIPペプチドからなる群から選択される。実施形態では、hGLP-1ペプチドはhGLP-17-37ペプチドである。実施形態では、hGIPペプチドはhGIP1-42ペプチドである。
【0111】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む配列をコードする。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号62~66、または配列番号76~77のいずれか1つを含む配列をコードする。
【0112】
いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つと少なくとも90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、トリシストロニック発現構築物は、配列番号70~74、または配列番号79~80のいずれか1つを含む。
【表9-1】
【表9-2】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【0113】
フーリン認識及び切断配列
プロテアーゼにより認識される1つ以上の配列をコードする発現構築物を、本明細書で提供する。実施形態では、プロテアーゼはフーリンである。フーリンは、塩基性アミノ酸の最小フーリン切断部位のすぐ下流にあるタンパク質を切断する。実施形態では、この最小フーリン切断部位は、Arg-X-X-Arg(好ましくは、Arg-X-(Arg/Lys)-Arg)である。しかし、フーリンは、最小フーリン切断部位に加えて、標的ポリペプチド内で、より長い配列を認識する場合がある。この、(最小フーリン切断部位を含む)より長い配列は、本明細書では、「フーリン認識及び切断配列」と呼ばれる。フーリン認識及び切断配列を含めることによって、発現したポリペプチド(消化管ペプチド、または、1つ以上の消化管ペプチドを含むポリタンパク質など)の、機能性N末端が、非内分泌腺細胞で完全に処理され、かつ生成されることを促進することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、フーリン認識及び切断配列は、(1)配列番号89、92~96のいずれか1つ、または、(2)配列番号89、92~96のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、フーリン認識及び切断配列は、(1)配列番号89、92~96のいずれか1つ、または、(2)配列番号89、92~96のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列、の一部を含む。
【0115】
実施形態では、配列番号89、92~96のいずれか1つをコードする配列、または、配列番号89、92~96のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む発現構築物を提供する。
【0116】
実施形態では、配列RKKR(配列番号97)、RMQR(配列番号98)、VFRR(配列番号99)、またはRKKR(配列番号100)のいずれか1つをコードする配列を含む発現構築物を提供する。
【0117】
実施形態では、モノシストロニック、バイシストロニック、またはトリシストロニック発現構築物は、表11に開示される配列、または、表11に開示される配列の一部を含む。実施形態では、モノシストロニック、バイシストロニック、またはトリシストロニック発現構築物は、表11に開示される配列、または、表11に開示される配列の一部、をコードする配列を含む。
【0118】
本明細書で開示する配列のいずれかと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上の配列を含む発現構築物を、本明細書で提供する。本明細書で開示する配列のいずれかの一部を含む1つ以上の配列を含む発現構築物を、本明細書で提供する。
【0119】
本明細書で開示する配列のいずれかと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも91%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上の配列をコードする発現構築物を、本明細書で提供する。本明細書で開示する配列のいずれかの一部を含む1つ以上の配列をコードする発現構築物を、本明細書で提供する。
【表11】
【0120】
リーダー配列
実施形態では、本明細書で開示する発現構築物は、リーダー配列を含む。本明細書で使用する場合、「リーダー配列」とは、(1)シグナルペプチド、ならびに、プロテアーゼ認識及び切断配列、及び/または、(2)シグナルペプチド及び最小プロテアーゼ切断部位、を含む配列である。実施形態では、リーダー配列は、(1)シグナルペプチド、ならびに、フーリン認識及び切断配列、及び/または、(2)シグナルペプチド及び最小フーリン切断部位を含む。フーリン認識及び切断配列を、リーダー配列に含めることによって、発現したポリペプチド(消化管ペプチド、または、1つ以上の消化管ペプチドを含むポリタンパク質など)の、機能性N末端が、非内分泌腺細胞で完全に処理され、かつ生成されることを促進することができる。
【0121】
リーダー配列は、自然に存在する、分泌されたポリペプチドに、または、自然に存在する、分泌されたポリペプチドのバリアントに由来することができる。実施形態では、リーダー配列、またはその一部は、インフルエンザウイルスヘマグルチニン、ヒト成長ホルモン、マウス成長ホルモン放出ホルモン、またはヒトアルブミンに由来する。
【0122】
プロモーター
任意の好適なプロモーターを、本明細書で開示する発現構築物において使用することができる。いくつかの実施形態では、プロモーターはCMVまたはCASIプロモーターである。
【0123】
遺伝子発現の制御
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する発現構築物は、本明細書で開示するポリペプチドの構成的発現をもたらす。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する発現構築物は、本明細書で開示するポリペプチドの制御可能な発現をもたらす。
【0125】
実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列は、アプタマーを含むリボスイッチを含み、リボスイッチは、ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結される。実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列は、遺伝子調節カセットを含み、遺伝子調節カセットは、アプタマーを含む。実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で開示するポリタンパク質である。
【0126】
アプタマーとは、三次元構造体に折り畳むことで、高親和性及び特異性を有して、特定のリガンドに非共有結合する、一本鎖核酸分子である。アプタマーリガンドとしては、イオン、低分子、タンパク質、ウイルス、及び細胞が挙げられる。アプタマーリガンドは、例えば、有機化合物、アミノ酸、ステロイド、炭水化物、またはヌクレオチドであることができる。低分子アプタマーリガンドの非限定例としては、抗生物質、治療薬、色素、補因子、代謝産物、分子マーカー、神経伝達物質、汚染物質、毒素、食物不純物、発がん性物質、乱用薬物が挙げられる。そのため、アプタマーは、低分子の検出に役立つ。アプタマーによる低分子検出の用途としては、環境の監視、食物の安全性、(診断を含む)医療、微生物学、分析化学、森林科学、農業、及び、基礎的な生物学研究が挙げられる。本明細書で使用する場合、「アプタマー」という用語は、リガンドのクラスに特異的に結合する、RNAポリヌクレオチド(または、RNAポリヌクレオチドをコードするDNA配列)を意味する。「リガンド」という用語は、アプタマーにより特異的に結合される分子を意味する。アプタマーは、目的の標的分子(即ち、リガンド)と複合体を形勢可能な結合領域を有する。アプタマーは、典型的には、約15~約200ヌクレオチド長である。より一般的には、アプタマーは、約30~約100ヌクレオチド長、例えば、70~90ヌクレオチド長である。アプタマーは、典型的には、アプタマーがステムを形成する、複数の対形成(P)領域、及び、アプタマーが結合(J)またはループ(L)領域を形成する、不対領域を含む。対形成領域は、5’末端(P1)から開始して連続して付番することができ、付番は各ステムに連続する(P2、P3など)。ループ(L1、L2など)は、隣接する対形成領域に基づいて付番され、結合領域は、これらが連結する対形成領域に従い付番される。アプタマーとは、高親和性及び特異性で、標的リガンドに結合するオリゴヌクレオチドである。
【0127】
実施形態では、アプタマーに結合する低分子が存在することで、低分子が存在しない中での、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現と比較して、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現の増大がもたらされる。このような実施形態では、アプタマーは、「オン」スイッチを構成する。実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、低分子が存在しない中と比較して、アプタマーに結合する低分子が存在する中で、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、または少なくとも10,000倍増加する。実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、低分子が存在しない中と比較して、アプタマーに結合する低分子が存在する中で、2倍~10倍、5倍~10倍、5倍~15倍、5倍~20倍、5倍~25倍、5倍~30倍、10倍~20倍、10倍~30倍、10倍~40倍、10倍~50倍、10倍~100倍、10倍~500倍、10倍~1,000倍、50倍~100倍、50倍~500倍、50倍~100倍、50倍~1,000倍、100倍~1,000倍、または、100倍~10,000倍増加する。
【0128】
実施形態では、アプタマーに結合する低分子が存在することで、低分子が存在しない中での、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現と比較して、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現の低下がもたらされる。このような実施形態では、アプタマーは、「オフ」スイッチを構成する。実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、低分子が存在しない中と比較して、アプタマーに結合する低分子が存在する中で、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、または少なくとも10,000倍低下する。一実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、低分子が存在しない中と比較して、アプタマーに結合する低分子が存在する中で、2倍~10倍、5倍~10倍、5倍~15倍、5倍~20倍、5倍~25倍、5倍~30倍、10倍~20倍、10倍~30倍、10倍~40倍、10倍~50倍、10倍~100倍、10倍~500倍、10倍~1,000倍、50倍~100倍、50倍~500倍、50倍~100倍、50倍~1,000倍、100倍~1,000倍、または、100倍~10,000倍低下する。
【0129】
実施形態では、アプタマーは、リボスイッチの一部である。リボスイッチは、アプタマー特異的なリガンド分子の存在または不存在に応じて、RNAポリヌクレオチドの安定性を制御する、及び/または、RNAポリヌクレオチドからのタンパク質の産生を制御する、RNAポリヌクレオチドの制御セグメントである。実施形態では、リボスイッチは、共に、リガンド(例えば、低分子)の存在を感知し、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現の増加または低下をもたらす効果を引き起こすことを担うセンサー領域(例えば、アプタマー領域)及びエフェクター領域を含む。本明細書に記載するリボスイッチは組換え型であり、2つ以上の源に由来するポリヌクレオチドを利用する。実施形態では、センサー及びエフェクター領域は、ポリヌクレオチドリンカーにより連結されている。実施形態では、ポリヌクレオチドリンカーは、RNAステムまたは対形成領域(即ち、二本鎖であるRNAポリヌクレオチドの領域)を形成する。実施形態では、アプタマーをエフェクター領域に連結させる対形成領域は、アプタマーステムの全てまたは一部(例えば、アプタマーP1ステムの全て、または一部)を含む。
【0130】
アプタマー配列を含むリボスイッチを使用して、例えば、早すぎる転写終了をもたらす、rho独立性転写終了ヘアピンの形成を制御することができる。アプタマー配列を含むリボスイッチはまた、RNAの構造変化を誘発し、リボソーム結合部位の隔離、及び、翻訳の阻害をもたらし得る。本明細書で開示するアプタマー配列を含む代替のリボスイッチ構造は更に、低分子リガンドの存在に対応して、mRNAのスプライシングに影響を及ぼす可能性がある。
【0131】
選択的スプライシングリボスイッチ
一実施形態では、本明細書に記載するリボスイッチは、得られるRNA(例えば、プレmRNA)の、アプタマー/リガンドが媒介する選択的スプライシング本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列を制御するための遺伝子調節カセットの一部としてコードされる。本文脈では、遺伝子調節カセットは、共に、低分子リガンドの存在を感知し、代替エクソンへの選択的スプライシングを担う、センサー領域(例えば、本明細書に記載するアプタマー)及びエフェクター領域を含むリボスイッチを含む。スプライシングとは、イントロン配列が初期のプレメッセンジャーRNA(プレmRNA)から除去され、エクソンが結合してmRNAを形成するプロセスを意味する。スプライス部位は、エクソンとイントロンの接合点であり、イントロンの5’及び3’末端(即ち、それぞれ、スプライスドナー及びスプライスアクセプター部位)における、異なるスプライス部位のコンセンサス配列により画定される。スプライシングは、小型核リボ核タンパク質(snRNP)と、多様な補助タンパク質のアレイのまとまりである、スプライソームと呼ばれる、大型の複数構成成分構造により行われる。様々なシス調節配列を認識することで、スプライソームは、エクソン/イントロンの境界を画定し、イントロン配列を除去し、エクソンをスプライスして、最終のメッセージ(例えば、mRNA)にする。選択的スプライシングの場合、ある特定のエクソンを含め、または除外することで、最終のコードメッセージを変化させることで、得られる、発現したタンパク質を変化させることができる。
【0132】
一実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現の制御は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、PCT特許公報第WO2016/126747号に開示されているDNA構築物のいずれかを用いて達成される。本開示の実施形態では、PCT特許公報第WO2016/126747に開示されている、リボスイッチ及びポリヌクレオチドカセットは、PCT特許公報第WO2016/126747に開示されているアプタマー配列の代わりに、本明細書に記載するアプタマー配列を含む。
【0133】
一実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、(a)リボスイッチ、ならびに、(b)5’イントロン及び3’イントロンが隣接する、選択的スプライシングを受けたエクソンを含み、リボスイッチは、(i)3’イントロンの5’スプライス部位配列を含むステム形成配列、及び、3’イントロンの5’スプライス部位配列と相補的な配列を含むエフェクター領域、ならびに、(ii)アプタマーを含む。実施形態では、エフェクター領域は、代替エクソンのすぐ3’側の、イントロンのイントロン性5’スプライス部位(「5’ss」)配列、加えて、3’イントロンの5’ss配列と相補的な配列を含む。アプタマーがそのリガンドに結合するとき、エフェクター領域はステムを形成し、故に、代替エクソンの3’末端における、スプライスドナー部位へのスプライシングを防ぐ。ある特定の条件下では(例えば、アプタマーがそのリガンドに結合しないとき)、エフェクター領域は、代替エクソンの3’末端におけるスプライスドナー部位へのアクセスを付与する、という文脈にあり、代替エクソンを、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAに含める。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、本明細書で開示するポリペプチド遺伝子をコードする配列に配置され、リガンドに応じて、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現を制御する。一実施形態では、選択的スプライシング受けたエクソンは、選択的スプライシングを受けたエクソンが、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAにスプライシングされるときに、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列と共にフレーム内にある終止コドンを含む。
【0134】
一実施形態では、遺伝子調節カセットは、配列番号101の配列を含み、配列中、-X-は、アプタマー配列を表す。小文字は、アプタマーを、リボスイッチの残部に連結させる、対形成されたステム配列を示す。一実施形態では、代替エクソン(以下の配列番号101では下線を付す)が、別の代替エクソン配列で置き換えられている。
【0135】
【化1】
【0136】
代替エクソンは、5’及び3’イントロン配列に隣接している。本明細書で開示する遺伝子調節カセットで使用可能な5’及び3’イントロン配列は、アプタマーに結合するリガンドの有無に応じて、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNA、または、mRNAに代替エクソンを含む本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のいずれかを作製する、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列からスプライシングされることができる、任意の配列であることができる。5’及び3’イントロン配列はそれぞれ、スプライシングを生じさせるために必要な配列、即ち、スプライスドナー、スプライスアクセプター、及び、分岐点配列を有する。一実施形態では、遺伝子調節カセットの5’及び3’イントロン配列は、1種以上の自然に存在するイントロンまたはその一部に由来する。一実施形態では、5’及び3’イントロン配列は、切頭ヒトβグロビンイントロン2(IVS2Δ)、ヒトβグロビン遺伝子のイントロン2、(Clontech Laboratories, Inc.由来のpCMV-LacZベクターで用いられる)SV40 mRNAイントロン、ヒトトリオースホスフェート異性化酵素、イソメラーゼ(TPI)遺伝子(Nott Ajit, et al. RNA. 2003, 9:6070617)のイントロン6、ヒト第IX因子(Sumiko Kurachi, et al. J. Bio. Chem. 1995, 270(10), 5276)のイントロン、または、制御されたスプライシングに十分なエレメント(Thomas A. Cooper, Methods 2005 (37):331)を含有する任意のゲノムフラグメントもしくは合成イントロン(Yi Lai, et al. Hum Gene Ther. 2006:17(10): 1036)に由来する。
【0137】
選択的スプライシング遺伝子調節カセット中の、スプライスドナー及びスプライスアクセプター部位を修飾して、強化または弱化させることができる。即ち、スプライス部位配列を、標準的なクローニング法、部位特異的変異導入などにより修飾して、スプライスドナーまたはアクセプターのコンセンサスに近づけることができる。スプライスコンセンサス配列に一層類似しているスプライス部位配列は、スプライシングを促進し、故に、強化される傾向にある。スプライスコンセンサス配列にさほど類似していないスプライス部位配列は、スプライシングを阻害し、故に弱化される傾向にある。イントロン(U2)の大部分の共通クラスのスプライスドナーに対するコンセンサスは、A/C A G||G T A/G A G T(配列番号102、ここで、||は、エクソン/イントロンの境界を表す)である。スプライスアクセプターに対するコンセンサスは、C A G||G(ここで、||はエクソン/イントロンの境界を表す)である。スプライスドナー及びアクセプター部位における、特定のヌクレオチドの頻度は、当該技術分野において記載されている(例えば、Zhang, M. Q., Hum Mol Genet. 1988. 7(5):919-932を参照されたい)。5’及び3’スプライス部位の強度を調節し、代替エクソンのスプライシングを調整することができる。
【0138】
スプライシングを調整することができる、選択的スプライシング遺伝子調節カセットに存在する5’及び3’イントロンへのさらなる修飾としては、イントロンスプライシングエンハンサーエレメント、イントロンスプライシングサプレッサーエレメント、及び/またはスプライス部位を修飾する、欠失させる、及び/または付加すること、及び/または、分岐点配列を修飾することが挙げられる。
【0139】
一実施形態では、5’イントロンは、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列と共にフレーム内にある終止コドンを含有するように修飾されている。5’及び3’イントロン配列を修飾し、隠れスライス部位を除去することもまた可能であり、これは、一般に入手可能なソフトウェアで識別可能である(例えば、Kapustin, Y. et al. Nucl. Acids Res. 2011. 1-8を参照されたい)。
【0140】
例えば、ウイルス発現構築物に対するサイズ要件を満たすために、5’及び3’イントロン配列の長さを調節することができる。一実施形態では、5’及び/または3’イントロン配列は、約50~約300ヌクレオチド長である。一実施形態では、5’及び/または3’イントロン配列は、約125~約240ヌクレオチド長である。
【0141】
エフェクター領域のステム部分は、リガンドがアプタマーに結合する際に、代替エクソンの選択的スプライシングを実質的に防ぐのに十分な長さ(及び、GC含有量)でなければならず、一方でまた、リガンドが十分な量存在しない際には、スプライス部位へのアクセスを可能にしなければならない。実施形態では、エフェクター領域のステム部分は、3’イントロンの5’スプライス部位配列、及び、5’スプライス部位配列の相補配列に加えて、ステム配列を含む。実施形態では、この追加のステム配列は、アプタマーステム由来の配列を含む。リガンドが存在しない場合に、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の、許容されるバックグラウンド発現を可能にするステムを、及び、リガンドが存在する場合に、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の、許容される発現レベルを識別するために、ステム部分の長さ及び配列は、既知の技術を使用して修飾することができる。一実施形態では、リボスイッチのエフェクター領域ステムの長さは、約7~約20塩基対である。一実施形態では、エフェクター領域ステムの長さは、8~11塩基対である。ステムの長さに加えて、ステムのGC塩基対含有量を変化させ、ステムの安定性を修正することができる。
【0142】
一実施形態では、本明細書で開示する選択的スプライシング遺伝子調節カセットの一部である代替エクソンは、プレmRNAに転写されることが可能であり、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAに選択的スプライシングされることが可能な、ポリヌクレオチド配列である。一実施形態では、代替エクソンは、代替エクソンが、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAに含まれる場合、当該mRNAからの、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現が防止または低減されるように翻訳を阻害する、少なくとも1つの配列を含有する。好ましい実施形態では、代替エクソンは、代替エクソンが、スプライシングにより、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAに含まれる場合、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列と共にフレーム内にある、終止コドン(TGA、TAA、TAG)を含有する。実施形態では、代替エクソンは、終止コドンに加えて、または、終止コドンの代替物として、代替エクソンが、mRNAの分解をもたらす、例えば、マイクロRNA結合部位を含む、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAに、スプライシングによって組み込まれる場合に、翻訳を減らす、または、実質的に防止する、別の配列を含む。一実施形態では、代替エクソンは、mRNAの分解をもたらす、miRNA結合配列を含む。一実施形態では、代替エクソンは、ポリペプチド配列をコードし、これは、本ポリペプチド配列を含有するタンパク質の安定性を低下させる。一実施形態では、代替エクソンは、ポリペプチド配列をコードし、これは、本ポリペプチド配列を含有するタンパク質に分解を指令する。
【0143】
エクソンスプライスエンハンサー(ESE)配列及びエクソンスプライスサプレッサー(ESS)配列を変化させることにより、及び/または、ESEもしくはESS配列を代替エクソンに導入することにより、代替エクソンのスプライシングの、基本またはバックグラウンドレベルを最適化することができる。代替エクソンの配列への、このような変化は、限定されるものではないが、部位特異的変異導入を含む、当該技術分野において周知の方法を使用して達成することができる。あるいは、(例えば、代替エクソンの全てまたは一部を含む)所望の配列のオリゴヌクレオチドを、民間の供給元から入手し、遺伝子調節カセットにクローニングすることができる。ESS及びESEもしくはESS配列の識別は、例えば、ESEfinder 3.0 (Cartegni, L. et al. ESEfinder:エクソンスプライシングエンハンサーを識別するためのウェブソース、Nucleic Acid Research, 2003, 31(13): 3568-3571、及び/または、他の利用可能な資料を含む、当該技術分野において周知の方法により達成することができる。
【0144】
一実施形態では、代替エクソンは、自然に存在するエクソンである。別の実施形態では、代替エクソンは、周知のエクソンの全てまたは一部に由来する。本文脈中、「由来する」とは、自然に存在するエクソンまたはその一部に実質的に相同であるが、様々な変異、例えば、エクソンスプライスエンハンサー(ESE)配列、及びエクソンスプライスサプレッサー(ESS)配列を変化させることにより、及び/または、ESEもしくはESS配列を代替エクソンに導入することにより、生成される変異を含有し得る配列を含有する代替エクソンを意味する。本明細書で使用する場合、「相同性」及び「相同」とは、2つのポリヌクレオチド配列、または2つのポリペプチド配列のパーセント同一性を意味する。ある配列と別の配列の一致は、当該技術分野において周知の技術により測定することができる。例えば、相同性は、配列をアラインし、速やかに利用可能なコンピュータプログラムを使用することにより、2つのポリペプチド分子を直接比較することにより測定することができる。あるいは、相同性は、相同領域間で安定したデュプレックスを形成する条件下でポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションし、その後、一本鎖特異的ヌクレアーゼ(複数可)を用いて消化し、消化したフラグメントのサイズを測定することにより測定することができる。2つのポリヌクレオチド、または2つのポリペプチド配列は、適切な挿入または欠失と最適に位置合わせした後に、ヌクレオチドまたはアミノ酸それぞれの、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、及び少なくとも約95%が、上記方法を用いて測定すると、分子の規定の長さにまたがり一致する場合に、互いに「実質的に相同」である。
【0145】
一実施形態では、代替エクソンは、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列に対して外因性であるが、代替エクソンは、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列が発現する生体に由来する配列に由来することができる。本明細書で使用する場合、「外因性」とは、比較される、または、導入される、もしくは組み込まれる要素の残りとは、遺伝子型が異なる要素に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技術により、異なる細胞型に導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである(及び、発現の際に、異種ポリペプチドをコードすることができる)。一実施形態では、選択的スプライシングを受けたエクソンは、ヒトジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子(DHFR)のエクソン2、変異体ヒトウィルムス腫瘍1のエクソン5、マウスカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIΔエクソン16、または、SIRT1のエクソン6に由来する。実施形態では、選択的スプライシングを受けたエクソンは、配列番号103における、修飾DHFRエクソン2(GAATGAATTCAGATATTTCCAGAGAATGAAAAAAAAATCTTCAGTAGAAG)である、または、これを含む。実施形態では、選択的スプライシングを受けたエクソンは、配列番号104における、修飾DHFRエクソン2(GAATGAATTCAGATATTTCCAGAGAATGAAAAAAAATCTTCAGTAGAAG)である、または、これを含む。
【0146】
自己切断リボザイムによる、アプタマーが媒介する切断
一実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の、アプタマーが媒介する発現は、小型ヌクレオチド鎖切断 リボザイムの、アプタマーが媒介する調整により制御される。リボザイムは、化学反応を触媒するRNA酵素である。リボザイムは、限定されるものではないが、ハンマーヘッド、ヘアピン、肝炎デルタウイルス、Varkudサテライト、ツイスター、ツイスターシスター、ピストル、またはハッチェットリボザイムを含む、標的細胞型において自己切断する、任意の小型ヌクレオチド鎖切断リボザイムであることができる。したがって、一実施形態では、リボスイッチ、及び、アプタマーに連結したリボザイムを含有するリボスイッチを含む発現カセットを提供する。その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2017/136608は、アプタマーリガンドの存在下で、リボザイムの自己切断を活性化するリボスイッチ(「オフ」スイッチ)、または、アプタマーの存在下で、リボザイムの自己切断を阻害するリボスイッチ(「オン」スイッチ)について記載している。
【0147】
「オフ」スイッチのシナリオでは、アプタマー/リガンドの結合は、リボザイムのリボヌクレアーゼ機能を増大させ、ポリヌクレオチドカセットを含有する、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のRNAの切断をもたらし、これによって、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現が低下する。このようなオフスイッチの例としては、ステムによりアプタマーに連結されたツイスターリボザイムを含むリボスイッチを含む、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現を制御するためのポリヌクレオチドカセットが挙げられ、ツイスターリボザイムをアプタマーに連結させるステムは、ツイスターリボザイムのP3ステムの位置においてリボザイムに付着し、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列は、ツイスターリボザイムのP1ステムに連結する(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO2017/136608の図1a、1b、または3a、及び、関連する文章を参照されたい)。
【0148】
「オン」スイッチのシナリオでは、アプタマー/リガンドの結合は、リボザイムのリボヌクレアーゼ機能を阻害し、ポリヌクレオチドカセットを含有する本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のRNAの切断を低下させ、これによって、リガンドの存在下で、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現が増大する。オンスイッチの例としては、アプタマーに連結したツイスターリボザイムを含むリボスイッチが挙げられ、アプタマーは、ツイスターリボザイムP1ステムの3’または5’末端に連結され、アプタマーが、ツイスターリボザイムP1ステムの3’末端に連結される場合、ツイスターリボザイムP1ステムの3’アームの一部が代わりに、アプタマーP1ステムの5’アームとなり、アプタマーが、ツイスターリボザイムP1ステムの5’末端に連結される場合、ツイスターリボザイムP1ステムの5’アームの一部が代わりに、アプタマーP1ステムの3’アームとなる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO2017/136608の図6a~6b、及び、関連する文章を参照されたい)。
【0149】
ポリアデニル化のアプタマー調整
実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、アプタマーが媒介するポリアデニル化により制御される。ほぼ全ての、真核細胞mRNAの3’末端は、ポリ(A)テール-20~250個のアデノシン残基のホモポリマーを含む。ポリ(A)テールをmRNAに付加することで、mRNAが分解しなくなるため、対応するmRNAのポリアデニル化を制御することにより、遺伝子の発現が影響を受ける可能性がある。
【0150】
一実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、WO2018/156658に記載されているように、ポリアデニル化シグナルの、アプタマーが媒介する実施容易性により制御される。このような実施形態では、リボスイッチは、エフェクターステムループ及びアプタマーを含み、ここで、エフェクターステムループはポリアデニル化シグナルを含み、アプタマーとエフェクターステムループは、アプタマーステムの、非共有アームに、及び、エフェクターステムループの非共有アームに相補的な配列を含む、代替の共有ステムアームにより連結される。(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO2018/156658の図1a、1b、2a、及び5a、ならびに、関連する文章を参照されたい)。一実施形態では、代替の共有ステムアームが、エフェクターステムの、3’アプタマーステムアームの全てまたは一部、及び、5’アームの全てまたは一部を含むように、エフェクターステムループは、アプタマーの3’側に位置する。一実施形態では、代替の共有ステムアームが、エフェクターステムの、5’アプタマーステムアームの全てまたは一部、及び、3’アームの全てまたは一部を含むように、エフェクターステムループは、アプタマーの5’側に位置する。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、AATAAA(配列番号105)またはATTAAA(配列番号106)である。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは下流エレメント(DSE)である。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは上流配列エレメント(USE)である。一実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは2つのリボスイッチを含み、最初のリボスイッチのエフェクターステムループは、ポリアデニル化シグナルAATAAA(配列番号105)またはATTAAA(配列番号106)の全てまたは一部を含み、2番目のリボスイッチのエフェクターステムループは、下流エレメント(DSE)の全てまたは一部を含む。一実施形態では、2つのリボスイッチはそれぞれ、同じリガンドに結合するアプタマーを含む。一実施形態では、2つのリボスイッチは、異なるリガンドに結合する異なるアプタマーを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、リボスイッチは、感知領域(例えば、アプタマー)、及び、スプライソソームの一部である、核内低分子リボ核タンパク(snRNP)U1用の結合部位を含むエフェクター領域を含む。WO2017/136591は、リボスイッチについて記載しており、エフェクター領域は、U1 snRNP結合部位を含み、当該明細書は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。アプタマーがそのリガンドに結合するとき、エフェクター領域はステムを形成し、U1 snRNP結合部位を、U1 snRNPを結合しないように隔離する。ある特定の条件下では(例えば、アプタマーがそのリガンドに結合しないとき)、エフェクター領域は、U1 snRNP結合部位へのアクセスを付与する、という文脈にあり、U1 snRNPがmRNAに結合し、ポリアデニル化を阻害して、メッセージの分解をもたらすことを可能にする。U1 snRNP結合部位は、U1 snRNPに結合可能な任意のポリヌクレオチド配列であることができ、これにより、U1 snRNPを、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の3’UTRに動員することができ、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のmRNAのポリアデニル化を抑制することができる。一実施形態では、U1 snRNP結合部位は、コンセンサス部位CAGGTAAGTA(配列番号107)(mRNA内にある場合は、CAGGUAAGUA、配列番号108)である。いくつかの実施形態では、U1 snRNP結合部位は、例えば、コンセンサス配列よりも短い配列、または、コンセンサス配列から変化した1つ以上のヌクレオチドを有する配列を含む、このコンセンサス配列のバリエーションである。一実施形態では、U1 snRNP結合部位は、配列CAGGTAAG(配列番号109)を含有する。いくつかの実施形態では、結合部位は、CAGGTAAGTA(配列番号107)、CAGGTAAGT(配列番号110)、及びCAGGTAAG(配列番号109)から選択される配列によりコードされる。U1 snRNP結合部位は、遺伝子由来の任意の5’スプライス部位、例えば、ヒトDHFRエクソン2由来の5’スプライス部位であることができる。
【0152】
リボヌクレアーゼ切断の、アプタマーが媒介する調整
一実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現は、アプタマーが媒介するリボヌクレアーゼ切断により制御される。リボヌクレアーゼ(RNase)は、特定のリボヌクレアーゼ基質配列を認識し、切断する。本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列のDNAに組み込まれたときに、アプタマー/リガンドが媒介する、もたらされるRNAのリボヌクレアーゼ切断により、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現を制御する能力を付与する、組換えDNA構築物を、本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する、アプタマーをコードする配列は、(本明細書での参照のために、その全体が組み込まれている、WO2018/161053に記載されているとおり)アプタマーがリガンドに結合したときに、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現が生じるように、リボヌクレアーゼ基質配列、及び、エフェクター領域とアプタマーとを含むリボスイッチを含有する、またはコードする構築物の一部である。実施形態では、RNase P基質配列は、リボスイッチに連結され、ここで、リボスイッチは、エフェクター領域及びアプタマーを含み、エフェクター領域は、RNase P基質配列の一部と相補的な配列を含む。好適なリガンドがアプタマーに結合することで、アプタマー及びエフェクター領域における構造の変化が誘発され、リボヌクレアーゼによる切断に対する、リボヌクレアーゼ基質配列のアクセス容易性を変化させる。
【0153】
一実施形態では、アプタマー配列は、RNase P基質配列に対して5’側に位置し、エフェクター領域は、RNase P基質配列の、リーダー配列の全てまたは一部、及び、5’アクセプターステム配列の全てまたは一部を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO2018/161053の図1a、1b、及び3b、ならびに、関連する文章を参照されたい。さらなる実施形態では、RNase P基質のアクセプターステムと、リボスイッチエフェクター領域は、0、1、2、3、または4個のヌクレオチドにより分離される。他の実施形態では、エフェクター領域ステムは、リーダー配列(及び、その相補体)に加えて、RNase P基質のアクセプターステムの1つ以上のヌクレオチド、及び、当該アクセプターステムの1つ以上のヌクレオチドに相補的な配列を含む。
【0154】
一実施形態では、ポリヌクレオチドカセットのアプタマー配列は、RNase P基質配列の3’側に位置し、エフェクター領域は、RNase P基質配列の3’アクセプターステムの全てまたは一部に相補的な配列を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO2018/161053の図3a、及び、関連する文章を参照されたい。さらなる実施形態では、RNase P基質の3’アクセプターステムに相補的なエフェクター領域配列は、1~7個のヌクレオチドである。換言すれば、エフェクター領域ステムは、アクセプターステムの1~7個のヌクレオチドを含み、アクセプターステムのこの1~7個のヌクレオチドに相補的な配列を含む。実施形態では、リボスイッチはRNase P基質の3’側に位置するため、RNase P基質のエフェクター領域ステム及びアクセプターステムは、重なり合わない。実施形態では、RNase P基質のエフェクター領域及びアクセプターステムは、直接隣接している(即ち、重なり合わない)。他の実施形態では、RNase P基質のエフェクター領域及びアクセプターステムは、1、2、3、4、5個、またはそれ以上のヌクレオチドにより分離されている。
【0155】
ベクター
一態様では、本明細書で開示する発現構築物を導入するための組換えベクター、及びその使用を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示するベクターは、適切なレベルで、宿主細胞内でのDNAの複製、及び/または、標的細胞内で本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現をもたらす、DNAセグメントを含む、追加のDNAエレメントを含む。当業者は、発現調節配列(プロモーター、エンハンサーなど)が、標的細胞内で、当該発現調節配列の、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の発現を促進する能力に応じて選択されることを理解している。「ベクター」とは、in vitroまたはin vivoのいずれかで宿主細胞に送達可能なポリヌクレオチドを含む、組換えプラスミド、酵母人工染色体(YAC)、ミニ染色体、DNAミニ環状またはウイルス(ウイルス由来配列を含む)を意味する。一実施形態では、組換えベクターは、ウイルスベクターまたは複数のウイルスベクターの組み合わせである。
【0156】
標的細胞、組織、または生体内で、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列を発現させるためのウイルスベクターは、当技術分野において周知であり、アデノウイルス(AV)ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルス及びレンチウイルスベクター、ならびに、単純ヘルペス1型(HSV1)ベクターが挙げられる。本明細書で開示するポリペプチドをコードする核酸を含むウイルス粒子もまた、含まれる。実施形態では、ウイルス粒子は、AAV粒子である。
【0157】
アデノウイルスベクターとしては、例えば、E1及びE3領域の欠失により複製欠損性とされたヒトアデノウイルス2型及びヒトアデノウイルス5型に基づくものが挙げられる。転写カセットをE1領域に挿入して、E1/E3欠失組換えAVベクターを得ることができる。アデノウイルスベクターには、ウイルスコード配列を含有しないヘルパー依存性大容量アデノウイルスベクター(大容量、「ガットレス(gutless)」または「ガッティド(gutted)」ベクターとしても知られる)が含まれる。これらのベクターは、ウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なシス作用性エレメントを含有し、主に逆方向末端反復配列(ITR)及びパッケージングシグナル(CY)を含有する。これらのヘルパー依存性AVベクターゲノムは、数百の塩基対から約36kbまでの外来DNAを保有する可能性を有する。
【0158】
組換えアデノ随伴ウイルス「rAAV」ベクターとしては、限定されるものではないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-7、及びAAV-8、AAV-9、AAV-10、AAVrh10、ならびにAAV2-レトロ(その全体が本明細書に組み込まれている、PCT特許公報第WO2017218842A1号に開示されている)などを含む、任意のアデノ随伴ウイルス血清型由来の任意のベクターが挙げられる。rAAVベクターは、全体または一部が欠失したAAV野生型遺伝子、好ましくはRep及び/またはCap遺伝子のうちの1つ以上を有することができるが、機能的な隣接ITR配列を保持している。機能的なITR配列は、AAVゲノムの救出、複製、パッケージング、及び潜在的な染色体組込みのために保持される。ITRは、野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的なレスキュー、複製、及びパッケージングを提供する限り、(例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失、または置換によって)改変することができる。
【0159】
あるいは、レンチウイルスベクターなどの他の系を使用することもできる。レンチウイルスベースの系は、非分裂細胞ならびに分裂細胞を形質導入することができるため、例えば、CNSの非分裂細胞を標的とする用途に有用になる。レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルスに由来し、そのウイルスと同様に、宿主ゲノムに組み込まれ、非常に長期の遺伝子発現の可能性を提供する。
【0160】
遺伝子制御カセットを含有する、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列を担持する、プラスミド、YAC、ミニ染色体及びミニサークルを含むポリヌクレオチドはまた、例えば、カチオン性脂質、ポリマー、またはその両方を担体として使用する非ウイルスベクター系によって細胞または生物に導入することができる。コンジュゲートポリ-L-リシン(PLL)ポリマー及びポリエチレンイミン(PEI)ポリマー系を使用して、ベクターを細胞に送達することもできる。ベクターを細胞に送達する他の方法には、細胞培養と生物の両方に対する、流体力学的注入、及びエレクトロポレーション、及び超音波の使用が含まれる。遺伝子送達のためのウイルス及び非ウイルス送達系の総説については、参照により本明細書に組み込まれるNayerossadat, N. et al.(Adv Biomed Res.2012;1:27)を参照されたい。
【0161】
医薬組成物
本明細書では、本明細書に開示される発現構築物、ベクター、またはウイルス粒子のいずれか及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。これらの組成物は、発現構築物、ベクター、またはウイルス粒子に加えて、薬学的及び/または生理学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、または当業者に周知の他の添加剤を含んでもよい。このような材料は非毒性でなければならず、活性成分の有効性を妨げるものであってはならない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路に従って当業者が決定することができる。医薬組成物は、典型的には液体形態である。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油または植物油、鉱油または合成油などの液体担体を含む。追加の担体は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO00/15822号に提供されている。生理食塩水、塩化マグネシウム、デキストロース、もしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含めてもよい。場合によっては、界面活性剤、例としてプルロン酸(PF68)0.001%を使用してもよい。場合によっては、リンゲル液、加乳酸リンゲル液、またはハルトマン液を使用する。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/または他の添加剤を含むことができる。
【0162】
遅延放出の場合、発現構築物、ベクター、またはウイルス粒子を、生体適合性ポリマーから形成されたマイクロカプセルまたは当技術分野で公知の方法によるリポソーム担体系など、徐放用に製剤化された医薬組成物に含めてもよい。
【0163】
発現構築物、ベクター、またはウイルス粒子が長期間保管される予定の場合、これらは、グリセロール、または他の凍結保存剤の存在下で凍結させることができる。
【0164】
方法
一態様では、必要とする対象における満腹感の誘発方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0165】
一態様では、必要とする対象における肥満の処置方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0166】
一態様では、必要とする対象における食欲の抑制方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0167】
一態様では、必要とする対象における体重増加の低減方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0168】
一態様では、必要とする対象における耐糖能の改善方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0169】
一態様では、必要とする対象における糖尿病の処置方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0170】
一態様では、必要とする対象におけるインスリン放出の誘発方法であって、上記方法は、上記対象に、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0171】
必要とする対象における満腹感の誘発方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0172】
必要とする対象における肥満の処置方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0173】
必要とする対象における食欲の抑制方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0174】
必要とする対象における体重増加の軽減方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0175】
必要とする対象における耐糖能の改善方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0176】
必要とする対象における糖尿病の処置方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0177】
必要とする対象におけるインスリン放出の誘発方法で使用するための、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物を、本明細書において提供する。
【0178】
必要とする対象において満腹感を誘発するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0179】
必要とする対象において肥満を処置するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0180】
必要とする対象において食欲を抑制するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0181】
必要とする対象において体重増加を軽減するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0182】
必要とする対象において耐糖能を改善するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0183】
必要とする対象において糖尿病を処置するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0184】
必要とする対象においてインスリン放出を誘発するための薬剤の製造における、本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物の使用を、本明細書において提供する。
【0185】
ポリペプチドをコードする配列によりコードされる、本明細書で開示するポリペプチド(ポリタンパク質を含む)の発現の増加を必要とする対象の処置方法であって、当該方法は、アプタマーが結合する、または別の場合において応答するリガンドを含む医薬組成物を、患者に投与することを含み、患者には以前、ポリペプチドをコードする配列を含む組換えDNAが投与されており、ポリペプチドをコードする配列は、アプタマーのリガンドにより標的遺伝子の発現を制御する能力を付与する、本明細書で開示する遺伝子調節カセットを含有する、上記方法を、本明細書において提供する。
【0186】
本明細書で使用される「処置する(treat)」、「処置される(treated)」、「処置すること(treating)」、または「処置(treatment)」という用語は、治療的処置を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害または疾患を減速させる(軽減させる)こと、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである。本発明の目的において、有益なまたは所望の臨床結果としては、症状の軽減;状態、障害、もしくは疾患の程度の低下;病態、障害、もしくは疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない);状態、障害、もしくは疾患の発症の遅延、または状態、障害、もしくは疾患の進行の遅延;状態、障害、もしくは病状の改善;及び寛解(部分的もしくは完全)、または状態、障害、もしくは疾患の向上または改善が挙げられるが、これらに限定されない。処置には、過剰なレベルの副作用を伴わずに、臨床的に有意な応答を誘発することが含まれる。
【0187】
一態様では、本明細書で開示する方法において、発現構築物は遺伝子療法により送達される。本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列の細胞特異性は、ベクター内のプロモーター及び/または他のエレメントにより、及び/または、ウイルスベクターのキャプシドにより、制御されることができる。本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列を含有するベクター構築物の送達、及び、本明細書で開示するポリペプチドをコードする制御された配列の安定的なトランスフェクションをもたらす、標的組織のトランスフェクションが、ポリペプチドを産生する最初のステップである。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列内のアプタマーが用いられる場合、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列は、顕著なレベルで発現しない、即ち、当該配列は、制御カセットリボスイッチ内に含有されるアプタマーに結合する特異的なリガンドが存在しない中では、「オフ状態」である。アプタマー特異的リガンドが投与されるときにだけ、開示したポリペプチドをコードする配列の発現が活性化される。本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列を含有するベクター構築物の送達、及び、活性化リガンドの送達は一般的に、時間が分かれている。活性化リガンドの送達によって、本明細書で開示するポリペプチドをコードする配列が発現するタイミング、加えて、タンパク質発現のレベルが制御される。
【0189】
本明細書で開示する発現構築物、ベクター、または医薬組成物(及び、遺伝子発現の、アプタマーが媒介する制御の場合はリガンド)は、限定されるものではないが、硝子体内、眼内の、吸入、皮下、筋肉内、皮内、病巣内、局所、腹腔内、静脈内(IV)、動脈内、血管周囲、脳内、脳室内、経口、舌下(sublingual)、舌下(sublabial)、頬、経鼻、胸腔内、心腔内、髄腔内、硬膜外、骨内、または関節内を含む多数の経路により、送達されることができる。
【0190】
アプタマーを使用する場合、リガンドを送達するタイミングは、必要に応じて調節することができる。例えば、経口低分子リガンドは、毎日、または、1日に複数回送達することができる。あるいは、誘導リガンドは、頻度をより落として、例えば、週に1回、2週に1回、月に1回投与することができる。
【0191】
製造品及びキット
本明細書に記載の方法で使用するためのキットまたは製造品も提供される。態様では、キットは、本明細書に記載される組成物(例えば、本明細書で開示する発現構築物を含むベクターを送達するための組成物)を好適なパッケージングで含む。本明細書に記載される組成物(注射用の眼用組成物など)の適切なパッケージングは当技術分野で公知であり、これには、例えば、バイアル(密封バイアルなど)、容器、アンプル、ボトル、ジャー、柔軟なパッケージング(例えば、密封マイラーまたはビニール袋)などが含まれる。これらの製造品は、さらに、滅菌及び/または密封されてもよい。
【0192】
本明細書に記載の組成物を含むキットも提供される。これらのキットは、本明細書に記載される使用など、組成物の使用方法に関する説明書(複数可)をさらに含んでもよい。本明細書に記載されるキットは、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び組成物の投与を実行するためのまたは本明細書に記載される任意の方法を実行するための説明書を含む添付文書を含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で開示するポリペプチドの発現のためのrAAV、注射に好適な薬学的に許容される担体、ならびに緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び注射を行うための説明書を含む添付文書のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、キットは、眼内注射、筋肉注射、静脈内注射などに適している。
【0193】
本明細書で開示した物質の組成物及び方法のバリエーションが、当業者によってなされることができることを理解し、予想することができ、このような修正は、本開示の範囲に含まれることが意図される。以下の実施例において本発明をさらに説明するが、決して本発明の適用範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0194】
本明細書で引用される参考文献は全て、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で提供するヌクレオチド配列は全て、別途示されない限り、5’から3’の向きで示される。配列表は、本明細書と共に出願され、その内容は、全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【0195】
本明細書で開示する配列の概要
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17-1】
【表17-2】
【実施例
【0196】
実施例1:モノシストロニック発現構築物を用いる、分泌可能な消化管ペプチドの発現
実験手順:
分泌可能なペプチドをコードする発現ベクターを構築するために、シグナルペプチドをコードするDNA配列、フーリン切断部位を促進する配列、及び、GLP-17-37またはhGIPを含有する遺伝子フラグメントを合成し(IDT)、CMVプロモーターを含有する発現構築物にクローニングした。
【0197】
トランスフェクションのために、トランスフェクションの前日に、96ウェル平底プレートに、3.5×10個のヒト胎児腎臓(HEK)293細胞をプレーティングした。プラスミドDNA(500ng)を、チューブ、または96ウェルU底プレートに添加した。これとは別に、TransIT-293試薬(Mirus;1.4μL)を、50μLのOptimum I培地(Life Technologies)に添加し、5分間室温(RT)で静置した。次に、この希釈したトランスフェクション試薬50μLをDNAに添加し、混合して、RTで20分間インキュベートした。最終的に、本溶液7μLを、96ウェルプレートのセルのウェルに添加した。トランスフェクトした細胞の上清を、トランスフェクションの48時間後に収集し、GLP-1またはGIPペプチドをアッセイした。
【0198】
GLP-1の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のために、ヒトGLP-1ペプチドの活性形態のコード配列を含有する構築物と共に、TransIT-293トランスフェクション試薬(Mirus Bio)を用いて、HEK 293細胞をトランスフェクトした。培養培地内で、ジペプチジルペプチダーゼDPP-IVを阻害するために、200nMのシタグリプチンホスフェート一水和物(Sigma)を培養液に添加した。トランスフェクションの48時間後に、トランスフェクト細胞から上清を収集し、メーカーの指示(Abcam)に従い、上清中のヒトGLP-17-36を検出するために、SingleStep ELISAに通した。
【0199】
結果:
分泌可能なGLP-1ペプチド発現構築物を生成するために、(シグナルペプチド配列、ならびに、フーリン認識及び切断配列で構成される)リーダー配列をコードする配列を生成し、GLP-17-37ペプチドをコードする配列の5’末端に融合した。様々な分泌性タンパク質由来のシグナルペプチド配列を選択し、これらの、GLP-1の分泌を促進する能力を試験した。フーリン認識及び切断配列は、最小フーリン切断部位(コンセンサスフーリン切断部位用のRXXR)を含む配列、ならびに、フーリン認識及び切断を促進する、切断部位のN末端にある配列を含んだ。フーリン認識及び切断配列をリーダー配列に含めることで、GLP-1ペプチドの機能性N末端が、非内分泌腺細胞内で完全に処理され生成されることが促進された。
【0200】
活性GLP-1ペプチドの発現を、活性GLP-17-36に対して特異的なELISAを用いてアッセイした。図1Aに示すように、GLP-1を発現するために生成した8つの構築物(表5及び6を参照されたい)の全てのうち、構築物GLP-1_F(ヒトインスリンシグナルペプチドを含む)、_I(マウスIg重鎖シグナルペプチドを含む)、及び、_L(マウスGHRHシグナルペプチドを含む)のみが、検出可能な活性GLP-1ペプチドを産生した。
【0201】
第2の妥当性確認実験により、構築物GLP-1_F、I、及びLからの、GLP1-7-37の発現が確認された(図1B)。構築物GLP-1_M(ヒトアルブミンシグナルペプチドを含む)は、非常に少量ではあるが、検出可能量のGLP-1を発現した。異なる分泌性タンパク質由来のシグナルペプチドは、分泌可能なGLP-1発現の促進において、異なる効率を有することを、これらの発現結果は示唆している。加えて、ELISAアッセイは、フーリンにより切断されたペプチドを検出した。そのため、少量かつ検出不可能な、GLP-17-37の発現は、非効率的なフーリン切断によるものである可能性が高い。
【0202】
同じ方法を用いて、分泌可能なヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP1-42)を発現させるための構築物を生成した。構築物GLP-1_C、N、M、及びJで用いた同一のリーダー配列(表5及び6を参照されたい)を使用して、それぞれ、GIP_C、E、F、及びGを構築した。全GIP(GIP1-42及びGIP3-42の両方を含む)を検出するELISAを用いて、GIPペプチドの発現をアッセイした。非常に少量、または、検出不可能な量のGLP-1分泌をもたらすリーダー配列を含有するGIP構築物は、夥しい量のGIPを発現した(図1C)。しかし、ここで用いたアッセイは、GIPのC末端を認識したため、(ペプチドのN末端における)フーリン切断の効率は、アッセイには反映されなかった。
【0203】
実施例2:バイ及びトリシストロニック発現構築物を用いる、分泌可能な消化管ペプチドの発現
消化管ペプチドの発現レベルを改善するために、2つまたは3つのGLP-1ペプチドを含むポリタンパク質をコードする、バイ及びトリシストロニック発現構築物を生成した。最小フーリン切断部位配列(RXXR)により、ペプチドを分離した。非内分泌腺細胞内での、ポリタンパク質の、翻訳後フーリン処理によって、個別のペプチドの放出がもたらされた。
【0204】
まず、GLP-1_M構築物を組み立てたGLP-1発現ベクターを構築した(ヒトアルブミンシグナルペプチド配列と、シグナルペプチドの下流にフーリン切断部位を含有する配列と、を含むポリペプチドをコードするための、配列番号35を参照されたい)。GLP-1をコードする配列は、GLP-17-37ペプチドをコードする任意のポリヌクレオチド配列であることができる。
【0205】
GLP-1_M構築物(表5及び6を参照されたい)は、非常に少量のGLP-1を発現するため、GLP-1コード配列の、2つのコピー(バイシストロニック構築物2xGLP-1_2xB、表7及び8を参照されたい)、または、3つのコピー(トリシストロニック構築物3xGLP-1_3xB、表9及び10を参照されたい)が、ペプチドの発現レベルを増大させるか否かを試験した(図2A)。図2Bに示すように、GLP-1コード配列の2つのコピーは実際、活性GLP-1の発現を増大させ、3つのコピーはさらに、GLP-1発現を実質的に一層増大させた。
【0206】
次に、トリシストロニック発現構築物3xGLP-1_3xC及び3xGLP-1_3xD(表9及び10を参照されたい)を生成した(それぞれ、構築物GLP-1_F及びGLP-1_Lにおけるリーダー配列を含有する、表5及び6を参照されたい)。図2Cに示すように、トリシストロニック構築物は、モノシストロニック構築物であるGLP-1_F及びGLP-1_Lと比較して、100倍を超える量のGLP-1を発現した。フーリンにより切断されたGLP-1のみが本アッセイで検出可能であるため、この、向上された高レベルのGLP-17-37発現もまた、各個別のペプチドと、効率的な翻訳後処理を繋げる、挿入されたフーリン部位での効率的なフーリン切断の指標である。
【0207】
わずかなペプチド発現は、本明細書で開示する発現構築物を用いて向上させることができることを、これらの結果は示した。
【0208】
実施例3:異なる種類の消化管ペプチドを発現させるための、バイ及びトリシストロニック発現構築物
実験手順:
シグナルペプチドをコードするDNA配列、フーリン切断配列及びヒトGLP-17-37、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP1-42)及びヒトペプチドチロシンチロシン(PYY3-36)、ならびに、ヒトオキシントモジュリン(OXM)を含有する遺伝子フラグメントを合成し、CMVプロモーターを含有する発現構築物にクローニングした。
【0209】
HEK 293細胞に、分泌可能なヒトGLP-17-37かつGIP1-42ペプチドに対するコード配列を含有する、または、GLP-17-37、オキシントモジュリン、及びペプチドチロシンチロシン(PYY3-36)に対するコード配列を含有する構築物と共に、TransIT-293トランスフェクション試薬(Mirus Bio)をトランスフェクトした。培養培地内で、ジペプチジルペプチダーゼDPP-IVを阻害するために、200nMのシタグリプチンホスフェート一水和物(Sigma)を培養液に添加した。トランスフェクションの48時間後に、トランスフェクト細胞から上清を収集し、メーカーの指示に従い、活性GLP-17-36(Abcam)及び全GIP(EMD Millipore)及び全PYY(EMD Millipore)に関して、ELISAアッセイに通した。
【0210】
結果:
次に、実施例2で論じるポリタンパク質配列を生成する方法を用いて、異なる消化管ペプチドを含むポリタンパク質をコードする発現構築物を設計した。
【0211】
構築物GLP-1_J、F、L、及びMで用いるリーダー配列(表5及び6を参照されたい)を使用して、GLP-17-37ペプチド及びGIP1-42ペプチド(GG)を同時に発現させるためのGG_J、F、L、Mを構築した(表7及び8を参照されたい)。
【0212】
図3Aに示すように、4つのバイシストロニックGG発現構築物は全て、モノシストロニックGLP-1発現構築物と比較して、高レベルのGLP-17-37ペプチドを発現した。ヒトインスリンシグナル配列を含む構築物をコードする構築物が、最も多くの量のGLP-17-37ペプチドを発現した(図3AのGG_F、ならびに、図1A及び1BのGLP-1_Fを参照されたい)。
【0213】
同様に、GG構築物からのGIP発現は、単独のGIPを含む構築物からのGIP発現よりも高く、GG_Fが、最も多量のGIPを発現した(図3B)。
【0214】
次に、GLP-17-37ペプチド、グルカゴンペプチド、及びGIP1-42ペプチドを含むポリタンパク質をコードするトリシストロニック発現構築物を生成した。トリシストロニック構築物GGG_A(表9及び10を参照されたい)は、モノシストロニック構築物GLP-1_J及びGIP_G(表5及び6を参照されたい)と同じリーダー配列を有するが、モノシストロニック構築物と比較して、GLP-17-37ペプチド(図3C)及びGIP1-42ペプチド(図3D)の両方を、顕著に高く発現する。
【0215】
次に、構築物GLP-1_J、F、L、及びMで用いるリーダー配列(表5及び6を参照されたい)を使用して、GLP-17-37ペプチド、OXMペプチド、及びPYY(GOP)を同時に発現させるための、構築物GOP_J、F、L、及びMをそれぞれ構築した(表9及び10)。図3Eに示すように、4つのトリシストロニックGOP構築物は全て、モノシストロニック構築物と比較して、高レベルのGLP-1ペプチドを発現した。ここでも、GOP_Fが、最も多量のGLP-17-37ペプチドを発現した。さらに、GOP_F構築物は、およそ27,158pg/mLのPYYの発現3-36を発現した。
【0216】
本明細書で開示するトリシストロニック発現構築物が、モノシストロニック発現構築物と比較して、顕著に増大した発現をもたらし、複数の小型ペプチドを同時に発現させるための、効率的な方法を構成することを、これらの結果は示している。
【0217】
実施例4:消化管ペプチドの、リボスイッチにより制御される発現
次に、消化管ペプチドの制御された発現を、糖尿病、肥満、及び、他の代謝適応症を処置するための遺伝子療法で使用可能であるか否かを調査した。そのために、リボスイッチN5-12G6カセット(GTGAGTCTATGGGACCCTTGATGTTTTCTTTCCCCTTCTTTTCTATGGTTAAGTTCATGTCATAGGAAGGGGAGAAGTAACAGGGTACACATATTGACCAAATCAGGGTAATTTTGCATTTGTAATTTTAAAAAATGCTTTCTTCTTTTAATATACTTTTTTGTTTATCTTATTTCTAATACTTTCCCTAATCTCTTTCTTTCAGGGCAATAATGATACAATGTATCATGCCGAGTAACGCTGTTTCTCTAACTTGTAGGAATGAATTCAGATATTTCCAGAGAATGAAAAAAAAATCTTCAGTAGAAGGTAATGTCTGGGGAGTCCTTCATGCGGGGCTGAGAGGATGGAAGCAATCGACCATCGACCCATTGCACCTGATCCGGTATGTCCCGGCGCAGGGAGACATTACGCACCATTCTAAAGAATAACAGTGATAATTTCTGGGTTAAGGCAATAGCAATATTTCTGCATATAAATATTTCTGCATATAAATTGTAACTGATGTAAGAGGTTTCATATTGCTAATAGCAGCTACAATCCAGCTACCATTCTGCTTTTATTTTATGGTTGGGATAAGGCTGGATTATTCTGAGTCCAAGCTAGGCCCTTTTGCTAATCATGTTCATACCTCTTATCTTCCTCCCACAG)を、それぞれ、ヌクレオチド81と82、または101と102、または137と138、または151と152、または176と177、または206と207、または286と287(開始コドンで開始した計数)の間の、バイシストロニック発現構築物GG_L(hGLP-17-37ペプチド、及び、hGIP1-42を発現する、表7及び8を参照されたい)内の、コードポリペプチド配列に挿入し、制御可能な、リボスイッチ含有バイシストロニック発現構築物GG_L_1~7を生成した。
【0218】
図4Aに示すように、HEK 293細胞へのトランスフェクション後に、これらの構築物は、用量に依存した方法で、低分子誘導因子処置に応答してhGLP-17-37を発現した。同一構築物から発現した、他のペプチドであるhGIP1-42の発現の制御もまた測定した。構築物GG_1及びGG_L_4は、用量に依存した方法で、hGIP1-42を発現した(図4B)。
【0219】
次に、リボスイッチカセットを、位置172と173の間のヌクレオチド位置(ポリペプチドをコードする配列中の開始コドンから計数する)において、構築物トリシストロニック発現構築物3xGLP-1_3xC(表9及び10を参照されたい)に挿入し、制御可能なGLP-1_3xC_4構築物を得た。図4Cに示すように、GLP-1_3xC_4構築物は、用量に依存した方法で、低分子誘導因子処置に応答してGLP-17-37を発現した。
【0220】
次に、リボスイッチカセットを、それぞれ、ヌクレオチド122と123、または158と159、または172と173、または197と198、または227と228、または307と308の間のヌクレオチド位置(開始コドンから計数)において、バイシストロニック発現構築物GG_F(hGLP-17-37ペプチド、及び、hGIP1-42を発現する、表7及び8を参照されたい)に挿入し、制御可能なバイシストロニックな構築物GG_F_2~7を生成した。図4Dに示すように、HEK 293細胞へのトランスフェクション後に、これらの構築物は、用量に依存した方法で、低分子誘導因子処置に応答してhGLP-17-37を発現した。特に、制御可能なバイシストロニック発現構築物GG_F_7は、示した各濃度の低分子誘導因子において、最大レベルのGLP-17-37を発現した。
【0221】
次に、追加のフーリン切断部位、及び、GLP-17-37ペプチドの追加のコピーをコードする配列(agaaagaagagaCATGCTGAAGGGACATTTACCTCAGATGTTTCTTCATACCTGGAAGGACAGGCTGCCAAGGAATTTATTGCATGGCTTGTGAAAGGCAGGGGCTGA、配列番号115)を、GG_F_7構築物の最後のアミノ酸コドンをコードする核酸の3’側に添加し、制御可能なトリシストロニックGG_F_7-GLP-1発現構築物を得た。この(hGLP-17-37ペプチドの2つのコピー、及び、hGIP1-42ペプチドの1つのコピーを含むポリタンパク質をコードする)GG_F_GLP-1構築物は、用量に応答する方法で、さらに向上したレベルのhGLP-17-37ペプチドを発現した(図4D)。
【0222】
最後に、GLP-1、hOXM、及びPYYを含むポリタンパク質を発現する、制御可能なトリシストロニック発現構築物は、誘導因子に応答して、用量に依存した方法で、PYYを発現した。
【0223】
実施例5:GLP-1及びGIPペプチドは、in vitro及びin vivoで生物学的に活性である。
実験手順:
トランスフェクションのために、トランスフェクションの前日に、96ウェル平底プレートに、3.5×10個のヒト胎児腎臓(HEK)293細胞をプレーティングした。プラスミドDNA(500ng)を、チューブ、または96ウェルU底プレートに添加した。これとは別に、TransIT-293試薬(Mirus;1.4μL)を、50μLのOptimum I培地(Life Technologies)に添加し、5分間室温(RT)で静置した。次に、この希釈したトランスフェクション試薬50μLをDNAに添加し、混合して、RTで20分間インキュベートした。最終的に、本溶液7μLを、96ウェルプレートのセルのウェルに添加した。トランスフェクトした細胞の上清を、トランスフェクションの48時間後に収集し、発現したGLP-1またはGIPペプチドの源に対する馴化培地として使用した。
【0224】
GLP-1及びGIP生物活性アッセイのために、HEK293細胞に、hGLP-1R cDNAまたはhGIPR cDNAを含有するpCMV3プラスミド(SinoBiological)を安定してトランスフェクトすることにより、ヒトGLP-1受容体(HEK-293-hGLP-1R)を安定して発現する、または、ヒトGIP受容体(HEK-293-hGIPR)を安定して発現するHEK293細胞を生成した。確立した、安定した細胞株に、cAMP応答エレメント(CRE)プロモーターの下で駆動するTurboLucルシフェラーゼ遺伝子を含有する、pCRE Tluc16-DD(Thermo Scientific)をトランスフェクトした。トランスフェクションの5時間後に、トランスフェクト細胞を、ウェル当たり2×10cellで、96ウェルプレートにプレーティングし、その翌日に、GLP-1及び/またはGIPペプチドを含有する馴化培地を添加した。100μLの馴化培地を添加した1時間後に、メーカーの指示に従い、TurboLuc Luciferase One-step増殖アッセイキット(Thermo Scientific)を用いて、ルシフェラーゼアッセイを行い、Tecanマイクロプレートリーダーを用いて、発光を測定した。
【0225】
AAV2/8(AAV2ゲノム、AAV8キャプシド)ウイルス粒子産生のために、hGLP-1及びhGIPをコードする発現構築物GG_Fを、AAV2プラスミドベクターにクローニングした。hGLP-1及びhGIP遺伝子の発現を、CMV及びユビキチンCエンハンサーエレメントを含むCASIプロモーター、ならびに、ニワトリβ-アクチンプロモーターにより駆動した。AAVプラスミドベクターをAAV8キャプシドにパッケージングし、AAVウイルスベクターAAV8.GG_Fを生成した。
【0226】
動物研究のために、オスC57Bl/6マウス(Jackson Laboratory)に、高脂肪食(HFD)の給餌を6週齢から開始した。8週目に、マウスに、PBS、または、GG_F遺伝子を含有するAAV8ベクターの、2.5×1011個のゲノムコピー(GC)のいずれかを、後肢の四頭筋及び腓腹筋の両方に注射した。低脂肪食(LFD)を給餌した、8週齢のオスマウス(Jackson Laboratory)に、PBSを対照群として注射した。動物の体重を、AAV注射の前後で毎週監視した。
【0227】
結果:
本明細書のポリシストロニック発現構築物により発現した、GLP-1及びGIPペプチドの生物活性をさらに測定するために、GLP-1受容体またはGIP受容体を安定して発現するHEK 293細胞を使用した。GLP-1及びGIPペプチドの活性を、実験手順に記載のとおりにアッセイした。
【0228】
図5Aに示すように、モノシストロニック発現構築物GLP-1_F(hGLP-17-37ペプチドを発現する、表5及び6を参照されたい)、バイシストロニック発現構築物GG_F(hGLP-17-37ペプチド及びhGIP1-42ペプチドを発現する、表7及び8を参照されたい)、ならびに、トリシストロニック発現構築物GLP-1_3xC(hGLP-17-37ペプチドの3つのコピーを含むポリタンパク質を発現する、表9及び10を参照されたい)から発現したhGLP-17-37ペプチドは、CREプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼにおいて活性を示した。GLP-1ペプチドを発現しない、GIP構築物をトランスフェクトした培養液からの上清は、GLP-1受容体を発現するHEK 293細胞(陰性対照)において、活性を示さなかった。
【0229】
図5Bに示すように、バイシストロニック発現構築物GG_F(hGLP-17-37ペプチド及びhGIP1-42ペプチドを発現する、表7及び8を参照されたい)、ならびに、モノシストロニック発現構築物GIP_F(hGIP-11-42ペプチドを発現する、表5及び6を参照されたい)から発現したhGIP1-42ペプチドが、CREプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼ遺伝子を活性化した。GIPを発現しない、モノシストロニック発現構築物GLP-1_F(hGLP-17-37ペプチドを発現する、表5及び6を参照されたい)、または、トリシストロニック発現構築物GLP-1_3xC(hGLP-17-37ペプチドの3つのコピーを含むポリタンパク質を発現する、表9及び10を参照されたい)からの上清は、CREプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼ遺伝子(陰性対照)を活性化しなかった。本明細書で開示するポリシストロニック発現構築物から発現した消化管ペプチドが、生物学的に活性であることを、これらの結果は示す。
【0230】
インクレチンペプチドhGLP-1及びhGIPの生物活性、ならびに、これらが、高脂肪食(HFD)からの体重増加を阻害する能力をさらに試験するために、AAVベクター(発現構築物GG_Fを含む)を使用して、高脂肪食を給餌したマウスにおいて、hGLP-1及びhGIPを発現させた。hGLP-1及びhGIP遺伝子を発現するAAVベクターを注射したマウスは、AAV.GG_Fを有しないマウスと比較して、体重増加が低下した(図5C)。本明細書の発現構築物から発現したhGLP-1及びhGIPは、生物学的に活性であり、肥満を処置するための遺伝子療法において有用であることを、このデータは示す。
【0231】
実施例6:リボスイッチが制御したGLP-1及びGIPの発現は、耐糖能を高める
実験手順:
ペプチドをコードする配列を、AAV2 ITR、CSAIプロモーター、及び、ヒトβグロビンポリA配列を含有するAAVプラスミド主鎖にクローニングし、AAV8キャプシドにパッケージングして、AAV8.GG_F_7-GLP-1ベクターを生成した(実施例4を参照されたい)。
【0232】
動物研究(図6A)のために、Balb/cマウスは、対応するAAV8ウイルス粒子の、マウス当たり合計2.5×1011個のウイルスゲノム(VG)の、四頭筋及び腓腹筋の両方への筋肉注射を受けた。化学構造
【化2】
を有する化合物004を、経口投与のために、脱イオン(DI)水中の0.5%メチルセルロース(MC):0.25% Tween(登録商標)80に配合した。AAVベクター送達の30日後に、4日間、300mg/kgの化合物004を強制経口投与することで、マウスを経口処理した。
【0233】
非絶食腹腔内耐糖能試験(IPGTT)のために、AAVベクターを注射したマウス(N=5)を、300mg/kgの化合物004で4日間処理し、IPGTTの5時間後に300mg/kgを投与した。尾静脈血液中の血糖を、携帯式グルコースメーター(CVS Health)で測定した。グルコースを、グルコース注射前(0分)に測定し、続いて、15分後、30分後、60分後、及び120分後に、グルコース(2g/kg)を腹膜注射した。
【0234】
結果:
図6Bに示すように、低分子誘導因子で処置したマウスは、ビヒクル投与を受けたマウスよりも、良好な耐糖能を示した。
【0235】
注入したベクターによって発現したGLP-1及びGIPペプチドはインスリン放出を増大し、故に耐糖能を改善したことを、このことは示す。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【配列表】
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【国際調査報告】