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▶ ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ウイルス不活化用界面活性剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/04 20060101AFI20250107BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250107BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20250107BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250107BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250107BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
C12N7/04 ZNA
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/705
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K1/22
A61K38/17
A61K39/395 A
A61K39/395 H
A61P37/02
A61P19/02
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535769
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2022081851
(87)【国際公開番号】W WO2023115027
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,470
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】フェロズ,ハシン マクスラ
(72)【発明者】
【氏名】ジィ,ユエンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ホルスタイン,メリッサ アン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,サンチャイタ
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジン
(72)【発明者】
【氏名】リィ,ジー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ドン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ブライアン ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AC14
4B065BA30
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA01
4C084AA06
4C084BA03
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084BA44
4C084DC50
4C084NA01
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB15
4C085AA11
4C085BB31
4C085BB42
4C085CC22
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、環境に適合する界面活性剤を使用した治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中の脂質エンベロープウイルスを不活化する組成物および方法を提供する。本発明は、環境的に持続可能な2つの界面活性剤、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)およびn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む界面活性剤混合物を提供する。このOG:DDM界面活性剤の組み合わせの性能は、アバタセプトおよびベラタセプトなどの治療用タンパク質の精製において、ラウリルジメチルアミンオキシド(LDAO)、ECOSURF(商標) EH9、またはTriton X-100よりも優れている。OG:DDMの組み合わせは、ウイルス不活化に非常に効果的であるが、タンパク質の安定性、タンパク質の電荷分布(たとえば、シアル酸レベル)、不純物クリアランス、タンパク質の脱アミノ化、またはタンパク質の酸化には本質的に影響しない。したがって、OGとDDMの組み合わせは、生物製剤の製造におけるウイルス不活化ステップのためにTriton X-100の代替として使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、生成物供給流中のウイルスを不活化する方法であって、生成物供給流をn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
生成物供給流をn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)と接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、生成物供給流中のウイルスを不活化する方法であって、供給流をDDMおよびOGを含む組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項4】
DDMが、その臨界ミセル濃度(CMC)の少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、または少なくとも約20倍である濃度で存在する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
DDMが、そのCMCの約1~約20倍、そのCMCの約1~約19倍 its CMC、約1~約18倍、そのCMCの約1~約17倍、そのCMCの約1~約16倍、そのCMCの約1~約15倍、そのCMCの約1~約14倍、そのCMCの約1~約13倍、そのCMCの約1~約12倍、そのCMCの約1~約11倍、そのCMCの約1~約10倍、そのCMCの約1~約9倍、そのCMCの約1~約8倍、そのCMCの約1~約7倍、そのCMCの約1~約6倍、そのCMCの約1~約5倍、そのCMCの約1~約4倍、そのCMCの約1~約3倍、またはそのCMCの約1~約2倍である濃度で存在する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
DDMが、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
OGが、そのCMCの少なくとも約0.1倍、そのCMCの少なくとも約0.2倍、そのCMCの少なくとも約0.3倍、そのCMCの少なくとも約0.4倍、そのCMCの少なくとも約0.5倍、そのCMCの少なくとも訳0.6倍、そのCMCの少なくとも約0.7倍、そのCMCの少なくとも約0.8倍、そのCMCの少なくとも約0.9倍、そのCMCのまたは少なくとも約1倍である濃度で存在する、請求項2~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
OGが、そのCMCの約0.1~約1倍の濃度で存在する、請求項2~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する、請求項2~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
(i)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存し、DDMが、そのCMCの約5倍である濃度で存在するか;
(ii)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約7.5倍である濃度で存在するか;
(iii)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約10倍である濃度で存在するか;または
(iv)OGが、そのCMCの約0.75倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約5倍である濃度で存在する、請求項2~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
生成物供給流が、バイオリアクターからの採取物、クロマトグラフィーロード、クロマトグラフィー溶出液、ろ過ロード、ろ液、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
クロマトグラフィー溶出液が、プロテインAクロマトグラフィー溶出液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ウイルスが、脂質エンベロープウイルスを含む、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
脂質エンベロープウイルスが、レトロウイルスである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
レトロウイルスが、A-MuLVである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
脂質エンベロープウイルスが、ヘルペスウイルスである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ヘルペスウイルスが、HSV-1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
脂質エンベロープウイルスの不活化が、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、または少なくとも約10の対数減少値(LRV)を含み、ここで、LRVは、
【数1】
として計算される、請求項1~17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
LRVが、少なくとも約4である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
接触が、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、少なくとも約70分間、少なくとも約80分間、少なくとも約90分間、少なくとも約100分間、少なくとも約110分間、または少なくとも約120分間起こる、請求項1~19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
生成物供給流が、接触後、治療用タンパク質の総量の約30%未満、約29%未満、約28%未満、約27%未満、約26%未満、約25%未満、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%、または約5%未満の量で高分子量(HMW)種を含む、請求項1~20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
治療用タンパク質が、接触前の治療用タンパク質のグリコシル化の量と比較して、接触後、同じか、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%変化(増加または減少)した量のグリコシル化を有する、請求項1~21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
治療用タンパク質が、接触後、治療用タンパク質1モル当たり、約8~約12モルの量のN-アセチルノイラミン酸(NANA)および/または治療用タンパク質1モル当たり、約1.3モル以下のN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を有する、請求項1~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
治療用タンパク質が、接触後、治療用タンパク質の総量の約5.9%未満の量の脱アミド化を有する、請求項1~23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
治療用タンパク質が、接触後、治療用タンパク質の総量の約1.3%未満の量の酸化を有する、請求項1~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
治療用タンパク質が、接触後、約5,000ppm未満、約4,000ppm未満、約3,000ppm未満、約2,000ppm未満、約1,500ppm未満、約1,000ppm未満、約900ppm未満、約800ppm未満、約700ppm未満、約600ppm、または約500ppm未満の濃度で宿主細胞タンパク質の残存量を有する、請求項1~25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
生成物供給流中の宿主細胞タンパク質の残存量が、接触後、約500ppm~約2,000ppmの濃度である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
生成物供給流が、接触後、約80,000ppb未満、約75,000ppb未満、約70,000ppb未満、約65,000ppb未満、約60,000ppb未満、約59,000ppb未満、約58,000ppb未満、約57,000ppb、または約56,000ppb未満の濃度でDNAの残存量を有する、請求項1~27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
生成物供給流が、接触後、約500ppb未満、約450ppb未満、約400ppb未満、約350ppb未満、約300ppb未満、約250ppb、または約200ppb未満の濃度でDNAの残存量を有する、請求項1~21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
生成物供給流中のDNAの残存量が、接触後、約50~約200ppbである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
生成物供給流が、接触後、約1.0μg/mL、約0.9μg/mL、約0.8μg/mL、約0.7μg/mL、約0.6μg/mL、約0.5μg/mL、約0.4μg/mL、約0.3μg/mL、または約0.2μg/mL未満のプロテインAの残存量を有する、請求項1~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
治療用タンパク質が、抗体、抗体断片、融合タンパク質、天然タンパク質、キメラタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
治療用タンパク質が、CTLA4ドメインを含む、請求項1~32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
治療用タンパク質が、融合タンパク質である、請求項1~33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
融合タンパクが、Fc部分を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
治療用タンパク質が、アバタセプトまたはベラタセプトである、請求項1~35のいずれか1つに記載の方法。
【請求項37】
療用タンパク質が、配列番号:3のアミノ酸配列、その断片、またはそれらの組み合わせを含むアバタセプト組成物である、請求項37に記載の方法。
【請求項38】
治療用タンパク質が、配列番号:4のアミノ酸配列、その断片、またはそれらの組み合わせを含むベラタセプト組成物である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中のウイルスを不活化するための組成物であって、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む、組成物。
【請求項40】
組成物が、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)をさらに含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項41】
治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中のウイルスを不活化する組成物であって、DDMおよびOGを含む、組成物。
【請求項42】
DDMが、その臨界ミセル濃度(CMC)の少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、または少なくとも約20倍である濃度で存在する、請求項39~41のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項43】
DDMが、そのCMCの約1~約20倍、そのCMCの約1~約19倍、そのCMCの約1~約18倍、そのCMCの約1~約17倍、そのCMCの約1~約16倍、そのCMCの約1~約15倍、そのCMCの約1~約14倍、そのCMCの約1~約13倍、そのCMCの約1~約12倍、そのCMCの約1~約11倍、そのCMCの約1~約10倍、そのCMCの約1~約9倍、そのCMCの約1~約8倍、そのCMCの約1~約7倍、そのCMCの約1~約6倍、そのCMCの約1~約5倍、そのCMCの約1~約4倍、そのCMCの約1~約3倍、またはそのCMCの約1~約2倍である濃度で存在する、請求項39~42のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項44】
DDMが、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する、請求項39~43のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項45】
OGが、そのCMCの少なくとも約0.1倍、そのCMCの少なくとも約0.2倍、そのCMCの少なくとも約0.3倍、そのCMCの少なくとも約0.4倍、そのCMCの少なくとも約0.5倍、そのCMCの少なくとも約0.6倍、そのCMCの少なくとも約0.7倍、そのCMCの少なくとも約0.8倍、そのCMCの少なくとも約0.9倍、またはそのCMCの少なくとも約1倍である濃度で存在する、請求項40~44のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項46】
OGが、そのCMCの約0.1~約1倍の濃度で存在する、請求項40~45のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項47】
OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約5~約10倍である濃度で存在する、請求項40~46のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項48】
(i)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約5倍である濃度で存在するか;
(ii)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約7.5倍である濃度で存在するか;
(iii)OGが、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約10倍である濃度で存在するか;または
(iv)OGが、そのCMCの約0.75倍である濃度で存在し、DDMが、そのCMCの約5倍である濃度で存在する、請求項40~47のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項49】
請求項1~39のいずれか1つに記載の方法によるウイルス不活化ステップ、または請求項40~48のいずれか1つに記載の組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された治療用タンパク質を対象に投与することを含む、疾患または状態を治療する方法。
【請求項50】
請求項1~39のいずれか1つに記載の方法によるウイルス不活化ステップ、または請求項40~48のいずれか1つに記載の組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された医薬組成物。
【請求項51】
請求項1~39のいずれか1つに記載の方法によるウイルス不活化ステップ、または請求項40~48のいずれか1つに記載の組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含む、治療用タンパク質の製造方法。
【請求項52】
請求項40~48のいずれか1つに記載の組成物、およびウイルスを不活化するための指示書を含むキット。
【請求項53】
ウイルスを不活化するための指示書が、請求項40~48のいずれか1つに記載の方法による、請求項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2021年12月16日出願の米国仮出願第63/290,470号に対する優先権を主張し、上記出願の開示の全体は、参照することにより本出願に組み込まれる。
EFS-WEB経由で電子的に提出された配列表への参照
本願において提出された電子提出配列表(名称:3338_284PC01_Seqlisting_ST26、サイズ:6,037バイト;および作成日:2022年12月15日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
組み換えタンパク質の製造プロセスにおいて、環境に適合する2種類の界面活性剤を組み合わせて生成物供給流内のウイルスを不活化する方法。
【背景技術】
【0002】
タンパク質ウイルス汚染物質は、組み換えタンパク質、抗体、血漿由来免疫グロブリン、ホルモン、またはワクチンなどの微生物由来生成物を含むヒト/動物由来の治療薬の製造におけるバイオ医薬品業界での大きな懸念事項である。ほとんどの生物製剤製造プロセスでは、患者への治療薬の安全な投与を確保し、規制要件に準拠するために、これらの潜在的な汚染物質を効果的に除去する必要がある。抗体および組み換えタンパク質などの現在の生物製剤の80%以上がCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞によって生産されているため、FDA(米国食品医薬品局)は、哺乳類由来の治療薬の製造における強力なウイルスクリアランスを示すための厳格なガイドラインを課している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細胞が内因的にウイルスを産生するか、または潜伏感染や持続感染を起こす場合、細胞株自体からウイルス汚染が発生する可能性がある。または、汚染された試薬またはウイルスベクターの使用により、組み換え生産プロセス中にウイルスが取り込まれることもある。安全対策として、組み換えタンパク質生産では、下流プロセスのさまざまな段階で細胞株、原材料、および生成物にウイルスが混入していないか試験するほか、さまざまなユニット操作ステップでウイルスクリアランス試験を実施する。ウイルスクリアランスのモードは、脂質エンベロープまたは非脂質エンベロープのいずれかである可能性のあるウイルス汚染物質の構造に大きく依存する。ろ過およびクロマトグラフィーのステップは、両方のタイプを効果的に除去できるが、低pH、界面活性剤、溶媒/界面活性剤混合物、またはその他の化学物質を使用した化学的不活化は、脂質エンベロープウイルスにのみ有効である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、生成物供給流中のウイルスを不活化する方法を提供し、この方法は、生成物供給流をn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)と接触させることを含む。いくつかの態様では、この方法は、生成物供給流をn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)と接触させることをさらに含む。また、治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、生成物供給流中のウイルスを不活化する方法が提供され、この方法は、供給流をDDMおよびOGを含む組成物と接触させることを含む。
【0005】
いくつかの態様では、DDMは、その臨界ミセル濃度(CMC)の少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、または少なくとも約20倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約1~約20倍、そのCMCの約1~約19倍、そのCMCの約1~約18倍、そのCMCの約1~約17倍、そのCMCの約1~約16倍、そのCMCの約1~約15倍、そのCMCの約1~約14倍、そのCMCの約1~約13倍、そのCMCの約1~約12倍、そのCMCの約1~約11倍、そのCMCの約1~約10倍、そのCMCの約1~約9倍、そのCMCの約1~約8倍、そのCMCの約1~約7倍、そのCMCの約1~約6倍、そのCMCの約1~約5倍、そのCMCの約1~約4倍、そのCMCの約1~約3倍、またはそのCMCの約1~約2倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する。
【0006】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの少なくとも約0.1倍、そのCMCの少なくとも約0.2倍、そのCMCの少なくとも約0.3倍、そのCMCの少なくとも約0.4倍、そのCMCの少なくとも約0.5倍、そのCMCの少なくとも約0.6倍、そのCMCの少なくとも約0.7倍、そのCMCの少なくとも約0.8倍、そのCMCの少なくとも約0.9倍、またはそのCMCの少なくとも約1倍である濃度で存在する。
【0007】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.1~約1倍の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する。
【0008】
いくつかの態様では、(i)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存し、DDMは、そのCMCの約5倍である濃度で存在する;(ii)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約7.5倍である濃度で存在する;(iii)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約10倍である濃度で存在する;または(iv)OGは、そのCMCの約0.75倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍である濃度で存在する。
【0009】
いくつかの態様では、生成物供給流は、バイオリアクターからの採取物、クロマトグラフィーロード、クロマトグラフィー溶出液、ろ過ロード、ろ液、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、クロマトグラフィー溶出液は、プロテインAクロマトグラフィー溶出液である。いくつかの態様では、ウイルスは、脂質エンベロープウイルスを含む。いくつかの態様では、脂質エンベロープウイルスは、レトロウイルスである。いくつかの態様では、レトロウイルスは、A-MuLVである。いくつかの態様では、脂質エンベロープウイルスは、ヘルペスウイルスである。いくつかの態様では、ヘルペスウイルスは、HSV-1である。
【0010】
いくつかの態様では、脂質エンベロープウイルスの不活化は、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、または少なくとも約10の対数減少値(LRV)を含み、ここで、LRVは、
【数1】
として計算される。
【0011】
いくつかの態様では、LRVは、少なくとも約4である。いくつかの態様では、接触は、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、少なくとも約70分間、少なくとも約80分間、少なくとも約90分間、少なくとも約100分間、少なくとも約110分間、または少なくとも約120分間起こる。
【0012】
いくつかの態様では、生成物供給流は、接触後、治療用タンパク質の総量の約30%未満、約29%未満、約28%未満、約27%未満、約26%未満、約25%未満、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%、または約5%未満の量で高分子量(HMW)種を含む。
【0013】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、接触前の治療用タンパク質のグリコシル化の量と比較して、接触後、同じか、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%変化(増加または減少)した量のグリコシル化を有する。
【0014】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、接触後、治療用タンパク質1モル当たり、約8~約12モルの量のN-アセチルノイラミン酸(NANA)および/または治療用タンパク質1モル当たり、約1.3モル以下のN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を有する。
【0015】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、接触後、治療用タンパク質の総量の約5.9%未満の量の脱アミド化を有する。
【0016】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、接触後、治療用タンパク質の総量の約1.3%未満の量の酸化を有する。
【0017】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、接触後、約5,000ppm未満、約4,000ppm未満、約3,000ppm未満、約2,000ppm未満、約1,500ppm未満、約1,000ppm未満、約900ppm未満、約800ppm未満、約700ppm未満、約600ppm、または約500ppm未満の濃度で宿主細胞タンパク質の残存量を有する。いくつかの態様では、生成物供給流中の宿主細胞タンパク質の残存量は、接触後、約500ppm~約2,000ppmの濃度である。
【0018】
いくつかの態様では、生成物供給流は、接触後、約80,000ppb未満、約75,000ppb未満、約70,000ppb未満、約65,000ppb未満、約60,000ppb未満、約59,000ppb未満、約58,000ppb未満、約57,000ppb、または約56,000ppb未満の濃度でDNAの残存量を有する。いくつかの態様では、生成物供給流は、接触後、約500ppb未満、約450ppb未満、約400ppb未満、約350ppb未満、約300ppb未満、約250ppb、または約200ppb未満の濃度でDNAの残存量を有する。いくつかの態様では、生成物供給流中のDNAの残存量は、接触後、約50~約200ppbである。
【0019】
いくつかの態様では、生成物供給流は、接触後、約1.0μg/mL、約0.9μg/mL、約0.8μg/mL、約0.7μg/mL、約0.6μg/mL、約0.5μg/mL、約0.4μg/mL、約0.3μg/mL、または約0.2μg/mL未満のプロテインAの残存量を有する。
【0020】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、抗体、抗体断片、融合タンパク質、天然タンパク質、キメラタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、CTLA4ドメインを含む。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、融合タンパク質である。いくつかの態様では、融合タンパクは、Fc部分を含む。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、アバタセプトまたはベラタセプトである。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、配列番号:3のアミノ酸配列、その断片、またはそれらの組み合わせを含むアバタセプト組成物である。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、配列番号:4のアミノ酸配列、その断片、またはそれらの組み合わせを含むベラタセプト組成物である。
【0021】
本発明はまた、治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中のウイルスを不活化するための組成物を提供し、この組成物は、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む。いくつかの態様では、組成物は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)をさらに含む。
【0022】
また、治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中のウイルスを不活化する組成物が提供され、この組成物は、DDMおよびOGを含む。いくつかの態様では、DDMは、その臨界ミセル濃度(CMC)の少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、または少なくとも約20倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約1~約20倍、そのCMCの約1~約19倍、そのCMCの約1~約18倍、そのCMCの約1~約17倍、そのCMCの約1~約16倍、そのCMCの約1~約15倍、そのCMCの約1~約14倍、そのCMCの約1~約13倍、そのCMCの約1~約12倍、そのCMCの約1~約11倍、そのCMCの約1~約10倍、そのCMCの約1~約9倍、そのCMCの約1~約8倍、そのCMCの約1~約7倍、そのCMCの約1~約6倍、そのCMCの約1~約5倍、そのCMCの約1~約4倍、そのCMCの約1~約3倍、またはそのCMCの約1~約2倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約5~約10倍の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、そのCMCの少なくとも約0.1倍、そのCMCの少なくとも約0.2倍、そのCMCの少なくとも約0.3倍、そのCMCの少なくとも約0.4倍、そのCMCの少なくとも約0.5倍、そのCMCの少なくとも約0.6倍、そのCMCの少なくとも約0.7倍、そのCMCの少なくとも約0.8倍、そのCMCの少なくとも約0.9倍、またはそのCMCの少なくとも約1倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.1~約1倍の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5~約10倍である濃度で存在する。いくつかの態様では、(i)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍である濃度で存在する;(ii)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約7.5倍である濃度で存在する;(iii)OGは、そのCMCの約0.5倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約10倍である濃度で存在する;または(iv)OGは、そのCMCの約0.75倍である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍である濃度で存在する。
【0023】
本発明は、本明細書に開示された方法によるウイルス不活化ステップ、または本明細書に開示された組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された治療用タンパク質を対象に投与することを含む、疾患または状態を治療する方法を提供する。また、本明細書に開示された方法によるウイルス不活化ステップ、または本明細書に開示された組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された医薬組成物も提供される。また、本明細書に開示された方法によるウイルス不活化ステップ、または本明細書に開示された組成物の使用を含むウイルス不活化ステップを含む治療用タンパク質の製造方法も提供される。
【0024】
本発明はまた、本明細書に開示される組成物、およびウイルスを不活化するための指示書、たとえば、本明細書に開示される方法によるウイルスを不活化するための指示書、を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(A)ウイルス不活化(VI)と界面活性剤クリアランスを含む下流ユニット操作を示す図。(B)安定性スクリーニング、界面活性剤クリアランス、それに続くウイルス除試験を含むVIのためのスクリーニング条件の方策。安定性研試験は2つのセグメントに分割された。第1の初期スクリーニングでは、VIを代表するプロセス条件に匹敵する濃度でタンパク質DSの凝集体形成を評価することを含んだ。DSは、室温にて高濃度および低濃度の界面活性剤で処理された。24時間にわたって凝集体形成のレベルがコントロール(界面活性剤なし)より低いか同等であった界面活性剤条件は、開発されたプロセスに合わせて、より包括的な安定性スクリーニングに引き継がれた。タンパク質は、安定性の最悪のケースとして許容される動作範囲に適合する最高温度、すなわち室温で、最長時間インキュベートされた。試験された品質特性には、凝集、効力、電荷変動、酸化脱アミド化、およびグリコシル化が含まれる。安定性に続いて、VIに続くクロマトグラフィーステップによる界面活性剤と不純物クリアランスが試験される。VIスクリーニングの最終ステップでは、第三者の試験施設でバイオセーフティレベル2(BSL2)ウイルスを使用したVI試験が行われた。
図2】SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により、界面活性剤を添加した、2つの融合タンパク質、Fus1(アバタセプト)とFus2(ベラタセプト)の清澄化細胞培養採取物からの(A)高タンパク質濃度DS、(B)低タンパク質濃度DS、および(C)プロテインA溶出液におけるDS(原薬)中の高分子量(HMW)形成を分析する。高分子量(HMW)形成は、界面活性剤OGで最も大きく、低濃度DSの場合と同様にFus2と比較してFus1のHMW形成が高くなった。(D)統計モデルに基づくHMW形成の予測プロファイルであり、最終HMWはタンパク質と界面活性剤の濃度、および初期HMW含有量の関数である(R2 = 0.91、ANOVA p値 = 0.0002)。
図3】SAP(空間凝集傾向)モデルは、融合タンパク質Fus1(アバタセプト)とFus2(ベラタセプト)のアミノ酸配列の主な差異から生じる疎水性の差異を示す。Fus1に対するFus2の2つの点突然変異、すなわち、CTLA4ドメインのLeu(L)からGlu(E)への、およびAla(A)からTyr(Y)への突然変異により、Fus1の大きな疎水性パッチがFus2の小さな疎水性パッチへと破壊されることが示された。
図4】(A-C)界面活性剤OG、DDM、LDAOに対する、融合タンパク質Fus1およびFus2に対する高濃度原薬(DS)凝集速度。(A)時間の経過に伴う凝集体形成。(B)凝集体形成の速度。(C)界面活性剤のHLB(親水性親油性バランス)数とHMW形成の速度定数の関係。さまざまな界面活性剤の疎水性が高いほど、Fus1とFus2 DSの両方でHLBが低くなり、HMW形成率が高くなる。したがって、最も速い凝集速度は界面活性剤OGで観察され、次いでDDM、LDAOであった。(D-E)さまざまなタンパク質マトリックスと界面活性剤OGおよびDDMにおける、融合タンパク質Fus1およびFus2の凝集速度定数に影響を与える要因の分析。(D)さまざまなタンパク質界面活性剤システムの速度定数とタンパク質濃度。(E)(D)のデータに対するHMW形成速度定数の予測プロファイル。統計モデルは、速度定数がタンパク質と界面活性剤濃度の関数であることを示した(R2 = 0.84、ANOVA p値 = 0.0002)。
図5】(A)界面活性剤を添加した融合タンパク質1採取物に対するプロテインAの実行(run)。(B)プロテインA実行中の界面活性剤クリアランス。Fus1およびFus2採取物に、界面活性剤OGおよびDDMをそれぞれ1 x CMC(0.68w/v%)および10 x CMC(0.061w/v%)で添加した。その後、採取物を1時間プロテインA精製し、流出液と溶出液を収集し、それぞれの界面活性剤について定量した。両方ともプロテインA溶出液については、界面活性剤は検出限界以下であった。(C-E)Fus1採取物に対してプロテインA実行中の不純物クリアランスに、界面活性剤を添加した。その後、採取物を、1時間、8時間、24時間、57時間にてプロテインA精製し、溶出液を収集し、(C)デオキシリボ核酸(DNA)、(D)宿主細胞タンパク質(HCP)、(E)残留プロテインAについて定量化した。結果を、異なる時点について平均化したところ、コントロール(界面活性剤なし)およびTriton X-100を添加した融合タンパク質1採取物と同等であった。
図6】ウイルスの不活化。(A)モノクローナル抗体、mAb1中のX-MuLV。(B)融合タンパク質、Fus1採取物中のX-MuLV、A-MuLV、HSV-1。さまざまな治療法(therapeutic modalities)におけるウイルスの対数減少値(LRV)、2~8℃で60分間保持した後に報告された;LRV値4.0は、不活化が有効であると判断するために必要な最小クリアランスであった。エラーバーはアッセイの変動性を表す。界面活性剤OG、Zwittergent 3-12、CG 110 では、すべての濃度で4.0を超えるLRVが観察された。界面活性剤DDM、LDAO、CG-650では、ウイルス不活化は濃度に依存していた。これらの界面活性剤は、10 x CMC(臨界ミセル濃度)で4.0LRVを超えたが、1 x CMCでは1.0LRV未満であった。(A)からの生存界面活性剤は、ウイルスによる不活化試験に持ち越された。(B)Fus1採取物中のA-MuLVとHSV-1。HSV-1は、すべての条件下でA-MuLVよりも不活化に対する感受性が高いことを示す。どちらのウイルスでも、界面活性剤OG 1 x CMC、ECOSURF(商標) 10 x CMC、LDAO 10x CMCで4.0を超えるLRVが観察された。DDMは、HSV-1では、5 x CMCと10 x CMCの両方で4.0を超えるLRVを示したが、A-MuLVでは約2.2LRVしか示さなかった。
図7A】モノクローナル抗体、mAb1におけるウイルスX-MuLVの不活化速度。さまざまな治療法におけるウイルスのLRVが、2~8℃で時間の経過とともに報告された。
図7B】ウイルスA-MuLVの不活化速度。さまざまな治療法におけるウイルスのLRVが、2~8℃で時間の経過とともに報告された。
図7C】融合タンパク質Fus1採取物におけるウイルスHSV-1の不活化速度。さまざまな治療法におけるウイルスのLRVが、2~8℃で時間の経過とともに報告された。
図8】未処理の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)プールをコントロールとしたモノクローナル抗体mAb1の生成物品質特性。(A)サイズ排除に基づく凝集体形成分析は、界面活性剤サンプルとコントロールサンプルでは高分子量(HMW)種が非常に少ないことを示す。Caliper HT NR (高スループット非還元)サンプルでは、コントロールと比較して低分子量(LMW) 種の形成がほとんど見られない。(B)さまざまな界面活性剤における画像化されたキャピラリー等電点電気泳動 (iCIEF)ベースの電荷分布プロファイルでは、コントロールからの偏差はほとんどまたはまったく見られない。(C)mAb1抗原に対する細胞ベースの効力。
図9】濃縮Fus1原薬(DS)のiCIEFベースのプロファイル、(A)酸性(B)メイン(C)塩基性;UF-DF DS後、Fus1の許容基準は、メインピーク(グループ2)≧90%、酸性ピーク(グループ1) ≦ 3%、塩基性ピーク(グループ3) ≧8であった。濃縮Fus2DSのiCIEFベースのプロファイル、(D)酸性(E)メイン(F)塩基性;UF-DF DS後、Fus2の許容基準は、メインピーク(グループ2)≧79%を含んだが、酸性ピーク(グループ1) ≦ 5%および塩基性ピーク(グループ3) ≦ 20%であった。
図10】Fus1およびFus2 プロテインA溶出液の酸化および脱アミド化プロファイル。(A)Fus1、(B)Fus2の酸化プロファイル。最終原薬の酸化の許容範囲は、Fus1では1.3%、Fus2では2.9%である。(C)Fus1、(D)Fus2の脱アミド化プロファイル。最終原薬の脱アミド化の許容範囲は、Fus1では5.9%、Fus2では8.5%である。
図11】(A)Fus1、(B)Fus2における高濃度および(C)Fus1、(D)Fus2における3g/Lの低濃度での融合タンパク質DSの参照物質に対するB7結合効率。効力の許容限界は、Fus1では70~130%、Fus2では75~125%であった。高濃度DSは、特にFus1の10 x CMCでのOGの効力にとって最悪のケースであり、24時間で60%未満の効力を示した。
図12】Fus1およびFus2 プロテインA溶出液のシアル酸含有量。NGNA(N-グリコリルノイラミン酸):(A)Fus1、(B)Fus2のタンパク質モル濃度。より低い値は患者への投与に安全である。NANA(N-アセチルノイラミン酸):(C)Fus1、(D)Fus2のタンパク質モル濃度はそれぞれ、8~12%および6~8.5%の許容範囲内であった。
図13】融合タンパク質である界面活性剤OGを添加したFus1採取物のプロテインA溶出液中のHMW種。(A)コントロールまたは界面活性剤なし、および(B)OGサンプルのHMW含有量をSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)で分析した。
図14】SEC分析によるDSおよび融合タンパク質Fus1(A)と(B)、およびFus2(C)と(D)の精製細胞培養採取物中の凝集体形成。Fus1 DSは、39.5~45.2g/L(A)、Fus2 DSは、21.2~24.3g/L(C)であった。HMW形成 (色付きバー)は、界面活性剤OGで最大であり、続いてDDMとLDAOで、Fus2と比較してFus1のHMW形成が高かった。
図15】融合タンパク質[Fus1は、パネル(A)OG、(B)DDMであり、Fus2は、パネル(C)OG、(D)DDMである]の凝集体形成の界面活性剤とタンパク質の濃度および緩衝液マトリックスへの依存性。凝集体形成は、それぞれFus1パネル(E)と(F)、Fus2パネル(G)と(H)の場合、OGの速度定数が最も大きく、次にDDMが続く一次速度論を示した。
図16図16は、開示内容に記載されている界面活性剤の化学構造、名称、および略語を示す。
図17図17は、本発明で使用される界面活性剤の化学構造、およびその組み合わせ、ならびに使用される濃度を示す。濃度は、それぞれのCMC値に対する倍数である(たとえば、5xは、5倍を意味する)。
図18図18は、本発明の実験で使用したモデルウイルスの特性を説明する概略図および表である。
図19図19は、60分の培養時間でのA-MuLVおよびHSV-1に対するさまざまな界面活性剤のウイルス不活化効果を示す。データは、2回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
図20図20は、OG 0.5XとDDM 5Xの界面活性剤の組み合わせによるウイルス不活化効果を、異なる時点(0、15、30、および60分間)で示す。データは2回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
図21図21は、プロテインAプールにおけるタンパク質凝集形成に対するさまざまな界面活性剤の影響を示す。データは3回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
図22図22は、さまざまな界面活性剤がプロテインAプールのシアル酸含有量に与える影響を示す。データは3回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
図23図23は、さまざまな界面活性剤がタンパク質の安定性プロファイルに与える影響を示す。データは3回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
図24図24は、さまざまな界面活性剤がプロテインAプールの不純物プロファイルに与える影響を示す。データは3回の反復の平均として示され、エラーバーは標準偏差である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な記載
本発明は、脂質エンベロープウイルスの界面活性剤を介した不活化に関する。いくつかの態様では、この開示は、ORENCIA(登録商標)の製造のためにEMA(欧州医薬品庁)によって承認されたアバタセプト精製プロセスにおける界面活性剤を介したウイルス不活化に関する。現在、このようなプロセスのための市販の界面活性剤は、Triton X-100である。
【0027】
Triton X-100は、親水性ポリエチレンオキシド鎖と芳香族炭化水素基1 4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール基を有する非イオン性界面活性剤である。Triton X-100は、ウイルスを不活化するために製薬業界で広く使用されている。しかしながら、エチレンオキシドを段階的に除去することにより、Triton X-100は4-tert-オクチルフェノールに分解し、これは、水生生物、動物、およびヒトに有害なエストロゲン作用を持つ内分泌かく乱物質である。このアルキルフェノールは、高懸念物質(Substance of Very High Concern:SHVC)としてリストされており、REACh1規制の下で欧州化学物質庁(ECHA)によってEU附属書XIVに掲載されている。そのため、ECHAは、すべての製造プロセスでTriton X-100を環境に優しい界面活性剤に置き換えることを2021年に義務付けた。
【0028】
生物製剤製造プロセスのウイルス不活化ステップ用の環境に優しい界面活性剤が、当技術分野でいくつか特定されており、たとえば、ラウリルジメチルアミンオキシド(LDAO)およびECOSURF(商標) EH9などである。これらのウイルス不活化システムは、単一の界面活性剤を使用する。本発明は、環境に優しい2つの界面活性剤、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)とn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む界面活性剤混合物を提供する。本発明は、この界面活性剤の組み合わせの性能が、アバタセプトおよびベラタセプトなどの治療用タンパク質の精製において、ラウリルジメチルアミンオキシド(LDAO)、ECOSURF(商標) EH9、またはTriton X-100よりも優れていることを示す。驚くべきことに、OG濃度が臨界ミセル濃度(CMC)未満、たとえば0.5 x CMCではウイルス不活化には不十分である(LRVが4以上と定義される)のに対し、CMC未満の量のOGとDDMを組み合わせると(たとえば、CMCの5倍から10倍の範囲において)、タンパク質の安定性、タンパク質の電荷分布(たとえば、シアル酸レベル)、不純物のクリアランス、タンパク質の脱アミノ化、またはタンパク質の酸化には影響を及ぼさずに、ウイルス不活化に非常に効果的であることが見いだされた。したがって、開示されたOGとDDMの組み合わせは、生物製剤の製造、たとえば、ORENCIA(登録商標)の製造に使用されるプロセスにおけるウイルス不活化ステップでTriton X-100の代替として使用することができる。
【0029】
用語
本発明をより容易に理解できるように、まず特定の用語を定義する。本出願で使用される場合、本明細書に明示的に別途規定されている場合を除き、以下の各用語は以下に定める意味を有する。追加の定義は、本出願全体にわたって規定されている。
【0030】
単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の定めがない限り、複数の指示対象を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語を、本明細書では互換的に使用できる。特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「単一」を意味する。他の態様では、「a」または「an」という用語は、「2つ以上」または「複数」を含む。
【0031】
さらに、本明細書で使用される「および/または」は、2つの特定の特性または成分のそれぞれが、他方の有無にかかわらず、具体的に開示されているものとみなされる。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、次の各態様を包含することを意図する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0032】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定された特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を示し、これは、値または組成がどのように測定または決定されるか、つまり測定システムの制限に部分的に依存する。たとえば、「約」または「本質的に含む」は、当技術分野の慣例に従って、1標準偏差以内または1標準偏差を超えることを意味しうる。または、「約」または「本質的に含む」は、最大10%の範囲を意味する場合がある。さらに、特に生物系または生物プロセスに関しては、これらの用語は、値の1桁または5倍までを意味する場合がある。本願明細書および特許請求の範囲に特定の値または組成が記載されている場合、特に明記しない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成の許容誤差範囲内であると想定する必要がある。
【0033】
本明細書において「含む」という語で態様が説明される場合はどこでも、「からなる」および/または「本質的にからなる」という用語で説明される類似の態様も提供されることが理解される。
【0034】
本明細書で使用される「およそ」という用語は、1つ以上の関心対象値に適用される場合、記載された基準値に類似する値を示す。特定の態様では、「およそ」という用語は、特に明記されていないか、文脈から明らかな場合を除き(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載された基準値のいずれかの方向(より大きい、または、より小さい)において、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満に含まれる値の範囲を示す。
【0035】
本明細書に記載のあらゆる濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に明記しない限り、記載された範囲内のあらゆる整数値、および適切な場合にはその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むものと理解されるべきである。
【0036】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。たとえば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo、Pei-Show、2nd ed.、2002、CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、3rd ed.、1999、Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology、Revised、2000、Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を専門家に提供する。
【0037】
単位、接頭語、および記号は、SI(Systeme International de Unites)で認められた形式で表記される。本明細書で提供される見出しは、明細書全体を参照することにより得られる本発明のさまざまな態様を制限するものではない。したがって、定義される用語は、明細書全体を参照することによってより完全に定義される。
【0038】
本明細書で使用される略語は、本開示全体を通じて定義される。本発明のさまざまな態様については、次のサブセクションでさらに詳しく説明される。
【0039】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字の記号、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会が推奨する1文字の記号で表される。特に明記しない限り、アミノ酸配列は、アミノ基からカルボキシ基の方向で左から右に表記される。
【0040】
本明細書に開示された方法は、たとえば、抗体または融合タンパク質などの生物製剤の製造に使用することができる。本明細書で使用される「抗体」(Ab)という用語は、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)を含む糖タンパク質免疫グロブリン、またはその抗原結合部分を含むが、これらに限定されない。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、CLを含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分化される。各VHとVLは、3つのCDRと4つのFRを含み、アミノ末端からカルボキシ末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれる。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと宿主組織または因子(免疫系のさまざまな細胞(たとえば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の最初の成分(C1q)を含む)との結合を仲介することができる。
【0041】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを示すために互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含むことができる。これらの用語は、自然にまたは介入によって修飾された(たとえば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合などのその他の操作または修飾)アミノ酸ポリマーも包含する。また、定義には、たとえば、アミノ酸の1つ以上の類似体を含むポリペプチド(たとえば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、およびクレアチンなどの非天然アミノ酸を含む)、ならびに当技術分野で知られているその他の修飾も含まれる。
【0042】
「クロマトグラフィー」という用語は、混合物中に存在する目的のタンパク質(たとえば、抗体、またはアバタセプトやベラタセプトなどの融合タンパク質)を他の分子(たとえば、汚染物質)から分離するあらゆる種類の技術を示し、この場合、混合物の個々の分子が移動相の影響下で静止媒体を通過する速度の違い、または結合および溶出プロセスの結果として、目的のタンパク質が他の分子(たとえば、汚染物質)から分離される。
【0043】
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「クロマトグラフィーカラム」または「カラム」という用語は、クロマトグラフィー媒体または樹脂が充填された円筒形または中空の柱状の容器を示す。クロマトグラフィー媒体または樹脂は、精製に使用される物理的および/または化学的特性を提供する材料である。「クロマトグラフィー媒体」または「クロマトグラフィーマトリックス」という用語は、本明細書では互換的に使用され、分離プロセスにおいて、混合物中に存在する他の分子から目的のタンパク質(たとえば、免疫グロブリンなどのFc領域を含むタンパク質)を分離するあらゆる種類の吸着剤、樹脂、または固相を示す。非限定的例としては、粒子状、モノリシックまたは繊維状の樹脂、およびカラムまたはカートリッジに配置できる膜が含まれる。マトリックスを形成する材料の例としては、多糖類(アガロースおよびセルロースなど);ならびにシリカ(たとえば、制御多孔ガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子、および上記のいずれかの誘導体などの他の機械的に安定したマトリックスが挙げられる。
【0044】
「クロマトグラフィーリガンド」とは、クロマトグラフィー媒体に付着し、媒体の結合特性を決定する官能基である。「リガンド」の例としては、イオン交換基、疎水性相互作用基、親水性相互作用基、チオフィリック相互作用基、金属親和性基、親和性基、生体親和性基、および混合モード基(前述の組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、クロマトグラフィーリガンドは、プロテインAである。
【0045】
本明細書で使用される「アフィニティークロマトグラフィー」という用語は、目的のタンパク質(たとえば、抗体)が目的の治療用タンパク質に特異的なリガンドに特異的に結合するタンパク質分離技術を示す。このようなリガンドは一般に生体特異的リガンドと称される。いくつかの態様では、生体特異的リガンド(たとえば、プロテインAまたはその機能的変異体)は、クロマトグラフィー媒体に共有結合しており、溶液がクロマトグラフィー媒体に接触すると、溶液中の目的の治療用タンパク質にアクセス可能となる。
【0046】
対象の治療用タンパク質は、通常、クロマトグラフィー工程の間、生体特異的リガンドに対する特異的結合親和性を保持するが、混合物中の他の溶質および/またはタンパク質は、リガンドに顕著にまたは特異的に結合しない。目的の治療用タンパク質が固定化リガンドに結合すると、目的の治療用タンパク質が固相材料上の固定化リガンドに特異的に結合したまま、汚染タンパク質またはタンパク質不純物がクロマトグラフィーマトリックスを通過することができる。次に、特異的に結合した目的の治療用タンパク質を、適切な条件(たとえば、低pH、高pH、高塩、競合リガンドなど)下で固定化リガンドから活性型で除去し、以前にカラムを通過させた汚染タンパク質やタンパク質不純物を含まずに、溶出緩衝液とともにクロマトグラフィー カラムを通過させる。
【0047】
任意の成分は、それぞれの特異的結合タンパク質、たとえば、抗体を精製するためのリガンドとして使用することができる。しかしながら、本発明によるさまざまな方法では、プロテインAは、標的タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)のFc領域のリガンドとして使用される。標的タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプトなどのFc領域を含むタンパク質)の生体特異的リガンド(たとえば、プロテインA)からの溶出条件は、当業者によって容易に決定することができる。
【0048】
いくつかの態様では、プロテインGまたはプロテインL、またはそれらの機能的変異体は、生体特異的リガンドとして使用することができる。いくつかの態様では、プロテインAなどの生体特異性リガンドをpH範囲5~9で使用してFc領域を含むタンパク質に結合させ、生体特異性リガンド/標的タンパク質複合体を洗浄または再平衡化し、続いて少なくとも1つの塩を含むpH約4またはそれ以下の緩衝液で溶出する。
【0049】
「凝集」という用語は、ポリペプチド、たとえば、抗体または融合タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)が他の分子(同じポリペプチドの他の分子など)と複合体を形成し、それによって高分子量(HMW)凝集体を形成する傾向を示す。凝集体の形成を測定する例示的な方法には、本明細書の実施例に記載されている分析サイズ排除クロマトグラフィーが含まれる。凝集の相対量は、参照化合物に対して決定することができ、たとえば、凝集が減少したポリペプチドを特定することができる。凝集の相対量は、参照製剤に対して決定することもできる。
【0050】
本明細書で使用される「HMW」という用語は、混合物中に存在する、一般に目的の所望タンパク質、たとえば、抗体またはアバタセプトまたはベラタセプトなどの融合タンパク質の分子量よりも高い分子量を持つ1つ以上の不要なタンパク質を示す。高分子量タンパク質には、二量体、三量体、四量体、またはその他の多量体が含まれる。これらのタンパク質は、共有結合または非共有結合のいずれかで結合される可能性があり、また、たとえば、疎水性アミノ酸残基が極性溶媒に暴露されている誤って折り畳まれたモノマーで構成され、凝集を引き起こす可能性がある。
【0051】
「界面活性剤」という用語は、長鎖脂肪族塩基または酸の塩、または糖などの親水性部分を含み、親水性と疎水性の両方の特性を有する薬剤またはその組み合わせを示す。親水性と疎水性の両方の特性を有する界面活性剤は、特別な効果を発揮する。本明細書で使用される界面活性剤は、ウイルスエンベロープを破壊し、ウイルスを不活化する能力を有する。
【0052】
本明細書で使用される「環境に優しい」または「環境に適合する」物質とは、環境に与える有害な影響が最小限である物質のことである。たとえば、環境に適合する物質は、動物および/または植物に対して本質的に非毒性である。本発明の製造プロセスの条件下で界面活性剤が環境に適合するかどうかを判定する方法は、当該技術分野で既知である。たとえば、経済協力開発機構は、化学的安全性を試験するためのガイドラインを提供する。これらのガイドラインは、たとえば、ワールドワイドウェブのoecd.org/chemicalsafety/testing/oecdguidelinesforthetestingofchemicals.htmで見いだすことができる。界面活性剤が環境に優しいかどうかを判断するために使用できる試験の例として、たとえば、オオミジンコ繁殖試験(Daphnia magna reproduction test) (OECD 211)、Freshwater Alga and Cyanobacteria、Growth Inhibition Test (OECD 201)、Daphnia sp.、Acute Immobilization Assay (OECD 202)、Fish、Acute Toxicity Test (OECD 203)、the Activated Sludge、Respiration Inhibition Test (Carbon and Ammonium Oxidation) (OECD 209)、およびReady Biodegradability test (OECD 301)
が挙げられる。
【0053】
「予測環境中濃度」または「PEC」とは、環境中の受水域に排出される廃棄物中の物質(界面活性剤など)の予測濃度である。たとえば、治療用タンパク質の調製におけるウイルス不活化に使用される界面活性剤の予測環境中濃度は、環境に排出される廃棄物流中の界面活性剤の濃度である。
【0054】
「予測無影響濃度」または「PNEC」とは、環境に排出しても、たとえば、受け入れる淡水および/または海水の生物相に有害な影響を与えることなく安全である、廃棄物中の物質(界面活性剤など)の予測濃度である。
【0055】
「生成物供給流」または、代替として「供給流」は、プロセス精製方法に提供される材料または溶液であり、目的の治療用タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)を含み、さまざまな不純物も含まれている可能性がある。非限定的例としては、たとえば、採取された細胞培養液(HCCF)、または1つ以上の精製プロセスステップの後に目的の治療用タンパク質を含む収集されたプールなどがある。本発明の組成物および方法の使用は、生物学的供給流の製造に限定されず、ウイルス不活化が望まれる任意の溶液または媒体中のエンベロープウイルスを不活化するために使用できることが理解される。いくつかの態様では、ウイルス不活化は、溶液中で行うことができる。いくつかの態様では、ウイルス不活化は、固体表面上で行うことができる。いくつかの態様では、ウイルス不活化は、動物の身体の表面上で行うことができる。いくつかの態様では、生成物供給流は、採取物(たとえば、採取された細胞培養液)、ロード(たとえば、クロマトグラフィーまたはろ過のローディング溶液、すなわち、クロマトグラフィーロードまたはろ過ロード)、溶出液(たとえば、クロマトグラフィー溶出液)、ろ液(たとえば、溶液をろ過した後に収集された溶液)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一般に、本明細書に開示された方法は、ウイルスを含む、またはウイルスを含むと疑われるあらゆる溶液中のウイルス不活化に使用することができる。
【0056】
「不純物」とは、目的のポリペプチド生成物とは異なる物質を示す。不純物として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:宿主細胞タンパク質(HCP)などの宿主細胞材料;浸出プロテインA;核酸;目的のポリペプチドの変異体、サイズ変異体、断片、凝集体または誘導体;別のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス汚染物質;細胞培養培地成分など。
【0057】
本明細書で使用されている「ウイルスを不活化する」または「ウイルス不活化」という用語は、ウイルスがもはや細胞に感染、複製、増殖できず、ウイルス自体が除去されるプロセスを示す。したがって、「ウイルス不活化」という用語は、一般に、本明細書で開示される流体を感染性ウイルス汚染物質から完全にフリーにするプロセスを示す。本明細書で開示される方法を使用したウイルス不活化の程度は任意である。しかしながら、医薬品の厳格な安全ガイドラインを満たすために必要な程度のウイルス不活化を達成することが望ましい。これらのガイドラインは、WHOによって定められており、当業者にはよく知られている。
【0058】
I.環境に優しい界面活性剤組成物およびウイルス不活化方法
本発明は、環境に適合する界面活性剤を使用する、治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化する組成物および方法を提供する。いくつかの態様では、本明細書に開示される方法は、生成物供給流を、単独で、またはn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG) (CAS# 29836-26-8)と組み合わせて、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM) (CAS# 69227-93-6)に接触させることを含む。したがって、いくつかの態様では、本発明は、治療用タンパク質、たとえば、生物製剤の製造プロセスにおける生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化する組成物および方法を提供する。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルスを不活化する方法は、ウイルス、たとえば、供給流中のウイルスを、本明細書に開示される濃度範囲のDDMおよびOGを含む組成物と接触させることを含む。
【0059】
本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の使用は、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルス汚染物質を効果的に不活化しながら、治療用タンパク質の生成物品質に悪影響を与えない。たとえば、本発明の環境に適合する界面活性剤の使用は、生成物断片および凝集体を含むサイズ変異、酸性変異および塩基性変異を含む電荷変異、脱アミノ化変異、酸化変異、およびグリコシル化変異などの、ただしこれらに限定されない生成物変異の増加をもたらさない。
【0060】
一般的に、治療用タンパク質の製造プロセスには、宿主細胞内でのタンパク質の発現が含まれる。いくつかの態様では、宿主細胞は、溶解されて治療用タンパク質を放出する。他の例では、治療用タンパク質は、培地中に分泌される。目的の治療用タンパク質を含む採取された細胞培養液は、清澄化され、1回以上のクロマトグラフィーにかけられて、不純物から目的の治療用タンパク質を精製することができる。クロマトグラフィーとして、目的の生成物がクロマトグラフィーを通過し、不純物がクロマトグラフィーによって保持されるフロースルークロマトグラフィー、および/または目的の生成物、すなわち治療用タンパク質がクロマトグラフィー媒体によって保持され、不純物がクロマトグラフィーを通過する結合溶出クロマトグラフィーが挙げられる。
【0061】
本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせを使用したウイルス不活化の方法は、生物製剤の製造プロセス中のどの段階でも実行することができる。いくつかの態様では、採取された細胞培養液(HCCF)を本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせと接触させることにより、ウイルスは不活化される。他の態様では、捕捉プールまたは回収生成物プールを本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせと接触させることにより、ウイルスは不活化される。捕捉プールおよび/または回収生成物プールは、クロマトグラフィー、遠心分離、ろ過などの、生成物の精製における分離工程における、目的の生成物、すなわち治療用タンパク質を含む供給流の区画である。
【0062】
他の態様では、ウイルスは、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせと生成物供給流を接触させた後、供給流をウイルスろ過ステップにかけることによって不活化される。他の態様では、ウイルスは、供給流をウイルスろ過ステップにかけた後、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせと生成物供給流を接触させることによって不活化される。
【0063】
本発明は、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせを使用する治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化する方法を提供し、その際、治療用タンパク質の生成物品質はプロセス中維持され、ウイルス汚染物質は効果的に不活化される。いくつかの態様では、治療用タンパク質の製造プロセスにおいて、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)を、本明細書に開示する環境に適合する界面活性剤の組み合わせで処理して供給流中のウイルスを不活化しても、たとえば、界面活性剤なしの製造プロセスまたはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、製造プロセスにおける生成物変異体の量は増加しない。
【0064】
一般に、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、たとえば、マルトピラノシドおよびグルコピラノシドといったようなマルトシドおよびグルコシドなどのグリコシドの組み合わせを有する界面活性剤組成物を使用することを含む。いくつかの態様では、マルトシドは、アルキルマルトシドである。いくつかの態様では、グルコシドは、アルキルグルコシドである。
【0065】
いくつかの態様では、マルトシドは、n-デシル-β-D-マルトピラノシド(DM)を含む。いくつかの態様では、マルトシドは、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む。いくつかの態様では、マルトシドは、6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシド(Cymal-6)を含む。いくつかの態様では、マルトシドは、n-デシル-β-D- マルトピラノシド(DM)、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)、6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシド(Cymal-6)、およびその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、グルコシドは、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)を含む。
【0066】
いくつかの態様では、界面活性剤の組み合わせは、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)である第1のグリコシド:
【化1】
およびβ-D-グルコピラノシド(OG)である第2のグリコシド:
【化2】
を含む
【0067】
いくつかの態様では、本発明の界面活性剤の組み合わせは、その臨界ミセル濃度(CMC)の少なくとも約1倍(1x)、少なくとも約2倍(2x)、少なくとも約3倍(3x)、少なくとも約4倍(4x)、少なくとも約5倍(5x)、少なくとも約6倍(6x)、少なくとも約7倍(7x)、少なくとも約7.5倍(7.5x)、少なくとも約8倍(8x)、少なくとも約9倍(9x)、少なくとも約10倍(10x)、少なくとも約11倍(11x)、少なくとも約12倍(12x)、少なくとも約13倍(13x)、少なくとも約14倍(14x)、少なくとも約15倍(15x)、少なくとも約16倍(16x)、少なくとも約17倍(17x)、少なくとも約18倍(18x)、少なくとも約19倍(19x)、または少なくとも約20倍(20x)である濃度で存在するDDMを含む。いくつかの態様では、本発明の界面活性剤の組み合わせは、そのCMCの約1倍(1x)、約2倍(2x)、約3倍(3x)、約4倍(4x)、約5倍(5x)、約6倍(6x)、約7倍(7x)、約7.5倍(7.5x)、約8倍(8x)、約9倍(9x)、約10倍(10x)、約11倍(11x)、約12倍(12x)、約13 倍(13x)、約14倍(14x)、約15倍(15x)、約16倍(16x)、約17倍(17x)、約18倍(18x)、約19倍(19x)、または約20倍(20x)である濃度で存在するDDMを含む。
【0068】
DDMのCMCは0.0061% w/v、である。したがって、DDMの1 x CMC濃度は、0.0061% w/vであり、DDMの2 x CMC濃度は、0.0122%(w/v)であり、DDMの3 x CMC濃度は、0.0183%(w/v)であり、DDMの4 x CMC濃度は、0.0244%(w/v)であり、DDMの5 x CMC濃度は、0.0305%(w/v)であり、DDMの6 x CMC濃度は、0.0366%(w/v)であり、DDMの7 x CMC濃度は、0.0427%(w/v)であり、DDMの7.5 x CMC濃度は、0.04575%(w/v)であり、DDMの8 x CMC濃度は、0.0488%(w/v)であり、DDMの9 x CMC濃度は、0.0549%(w/v)であり、DDMの10 x CMC濃度は、0.061%(w/v)であり、DDMの11 x CMC濃度は、0.0671%(w/v)であり、DDMの12 x CMC濃度は、0.0732%(w/v)であり、DDMの13 x CMC濃度は、0.0793%(w/v)であり、DDMの14 x CMC濃度は、0.0854%(w/v)であり、DDMの15 x CMC濃度は、0.0915%(w/v)であり、DDMの16 x CMC濃度は、0.0976%(w/v)DDMの、17 x CMC濃度は、0.1037%(w/v)であり、DDMの18 x CMC濃度は、0.1098%(w/v)であり、DDMの19 x CMC濃度は、0.1159%(w/v)であり、およびDDMの20 x CMC濃度は、0.122(w/v)である。DDMの分子量は、510.6 g/molである。したがって、当業者は、開示された%(w/v)濃度をモル濃度に容易に変換することができる。
【0069】
いくつかの態様では、本発明の界面活性剤の組み合わせは、少なくとも約0.0061%(w/v)、少なくとも約0.0122%(w/v)、少なくとも約0.0183%(w/v)、少なくとも約0.0244%(w/v)、少なくとも約0.0305%(w/v)、少なくとも約0.0366%(w/v)、少なくとも約0.0427%(w/v)、少なくとも約0.04575%(w/v)、少なくとも約0.0488%(w/v)、少なくとも約0.0549%(w/v)、少なくとも約0.061%(w/v)、少なくとも約0.0671%(w/v)、少なくとも約0.0732%(w/v)、少なくとも約0.0793%(w/v)、少なくとも約0.0854%(w/v)、少なくとも約0.0915%(w/v)、少なくとも約0.0976%(w/v)、少なくとも約0.1037%(w/v)、少なくとも約0.1098%(w/v)、少なくとも約0.1159%(w/v)、または少なくとも約0.122%(w/v)である濃度で存在するDDMを含む。
【0070】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約1倍(1x)~約20倍(20x)、そのCMCの約1倍(1x)~約19倍(19x)、そのCMCの約1倍(1x)~約18倍(18x)、そのCMCの約1倍(1x)~約17倍(17x)、そのCMCの約1倍(1x)~約16倍(16x)、そのCMCの約1倍(1x)~約15倍(15x)、そのCMCの約1倍(1x)~約14倍(14x)、そのCMCの約1倍(1x)~約13倍(13x)、そのCMCの約1倍(1x)~約12倍(12x)、そのCMCの約1倍(1x)~約11倍(11x)、そのCMCの約1倍(1x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1倍(1x)~約9倍(9x)、そのCMCの約1倍(1x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1倍(1x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1倍(1x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1倍(1x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1倍(1x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1 倍(1x)~約3倍(3x)、またはそのCMCの約1倍(1x)~約2倍(2x)である濃度で存在する。
【0071】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約2倍(2x)~約20倍(20x)、そのCMCの約2倍(2x)~約19倍(19x)、そのCMCの約2倍(2x)~約18倍(18x)、そのCMCの約2倍(2x)~約17倍(17x)、そのCMCの約2倍(2x)~約16倍(16x)、そのCMCの約2倍(2x)~約15倍(15x)、そのCMCの約2倍(2x)~約14倍(14x)、そのCMCの約2倍(2x)~約13倍(13x)、そのCMCの約2倍(2x)~約12倍(12x)、そのCMCの約2倍(2x)~約11倍(11x)、そのCMCの約2倍(2x)~約10倍(10x)、そのCMCの約2倍(2x)~約9倍(9x)、そのCMCの約2倍(2x)~約8倍(8x)、そのCMCの約2倍(2x)~約7倍(7x)、そのCMCの約2倍(2x)~約6倍(6x)、そのCMCの約2倍(2x)~約5倍(5x)、そのCMCの約2倍(2x)~約4倍(4x)、またはそのCMCの約2倍(2x)~約3倍(3x)である濃度で存在する。
【0072】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約3倍(3x)~約20倍(20x)、そのCMCの約3倍(3x)~約19倍(19x)、そのCMCの約3倍(3x)~約18倍(18x)、そのCMCの約3倍(3x)~約17倍(17x)、そのCMCの約3倍(3x)~約16倍(16x)、そのCMCの約3倍(3x)~約15倍(15x)、そのCMCの約3倍(3x)~約14倍(14x)、そのCMCの約3倍(3x)~約13倍(13x)、そのCMCの約3倍(3x)~約12倍(12x)、そのCMCの約3倍(3x)~約11倍(11x)、そのCMCの約3倍(3x)~約10倍(10x)、そのCMCの約3倍(3x)~約9倍(9x)、そのCMCの約3倍(3x)~約8倍(8x)、そのCMCの約3倍(3x)~約7倍(7x)、そのCMCの約3倍(3x)~約6倍(6x)、そのCMCの約3倍(3x)~約5倍(5x)、またはそのCMCの約3倍(3x)~約4倍(4x)である濃度で存在する。
【0073】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約4倍(4x)~約20倍(20x)、そのCMCの約4倍(4x)~約19倍(19x)、そのCMCの約4倍(4x)~約18倍(18x)、そのCMCの約4倍(4x)~約17倍(17x)、そのCMCの約4倍(4x)~約16倍(16x)、そのCMCの約4倍(4x)~約15倍(15x)、そのCMCの約4倍(4x)~約14倍(14x)、そのCMCの約4倍(4x)~約13倍(13x)、そのCMCの約4倍(4x)~約12倍(12x)、そのCMCの約4倍(4x)~約11倍(11x)、そのCMCの約4倍(4x)~約10倍(10x)、そのCMCの約4倍(4x)~約9倍(9x)、そのCMCの約4倍(4x)~約8倍(8x)、そのCMCの約4倍(4x)~約7倍(7x)、そのCMCの約4倍(4x)~約6倍(6x)、またはそのCMCの約4倍(4x)~約5倍(5x)である濃度で存在する。
【0074】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約5倍(5x)~約20倍(20x)、そのCMCの約5倍(5x)~約19倍(19x)、そのCMCの約5倍(5x)~約18倍(18x)、そのCMCの約5倍(5x)~約17倍(17x)、そのCMCの約5倍(5x)~約16倍(16x)、そのCMCの約5倍(5x)~約15倍(15x)、そのCMCの約5倍(5x)~約14倍(14x)、そのCMCの約5倍(5x)~約13倍(13x)、そのCMCの約5倍(5x)~約12倍(12x)、そのCMCの約5倍(5x)~約11倍(11x)、そのCMCの約5倍(5x)~約10倍(10x)、そのCMCの約5倍(5x)~約9倍(9x)、そのCMCの約5倍(5x)~約8倍(8x)、そのCMCの約5倍(5x)~約7倍(7x)、またはそのCMCの約5倍(5x)~約6倍(6x)である濃度で存在する。
【0075】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約6倍(6x)~約20倍(20x)、そのCMCの約6倍(6x) to about倍 19 (19x)、そのCMCの約6倍(6x)~約18倍(18x)、そのCMCの約6倍(6x)~約17倍(17x)、そのCMCの約6倍(6x)~約16倍(16x)、そのCMCの約6倍(6x)~約15倍(15x)、そのCMCの約6倍(6x)~約14倍(14x)、そのCMCの約6倍(6x)~約13倍(13x)、そのCMCの約6倍(6x)~約12倍(12x)、そのCMCの約6倍(6x)~約11倍(11x)、そのCMCの約6倍(6x)~約10倍(10x)、そのCMCの約6倍(6x)~約9倍(9x)、そのCMCの約6倍(6x)~約8倍(8x)、またはそのCMCの約6倍(6x)~約7倍(7x)である濃度で存在する。
【0076】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約7倍(7x)~約20倍(20x)、そのCMCの約7倍(7x)~約19倍(19x)、そのCMCの約7倍(7x)~約18倍(18x)、そのCMCの約7倍(7x)~約17倍(17x)、そのCMCの約7倍(7x)~約16倍(16x)、そのCMCの約7倍(7x)~約15倍(15x)、そのCMCの約7倍(7x)~約14倍(14x)、そのCMCの約7倍(7x)~約13倍(13x)、そのCMCの約7倍(7x)~約12倍(12x)、そのCMCの約7倍(7x)~約11倍(11x)、そのCMCの約7倍(7x)~約10倍(10x)、そのCMCの約7倍(7x)~約9倍(9x)、またはそのCMCの約7倍(7x)~約8倍(8x)である濃度で存在する。
【0077】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約8倍(8x)~約20倍(20x)、そのCMCの約8倍(8x)~約19倍(19x)、そのCMCの約8倍(8x)~約18倍(18x)、そのCMCの約8倍(8x)~約17倍(17x)、そのCMCの約8倍(8x)~約16倍(16x)、そのCMCの約8倍(8x)~約15倍(15x)、そのCMCの約8倍(8x)~約14倍(14x)、そのCMCの約8倍(8x)~約13倍(13x)、そのCMCの約8倍(8x)~約12倍(12x)、そのCMCの約8倍(8x)~約11倍(11x)、そのCMCの約8倍(8x)~約10倍(10x)、またはそのCMCの約8倍(8x)~約9倍(9x)である濃度で存在する。
【0078】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約9倍(9x)~約20倍(20x)、そのCMCの約9倍(9x)~約19倍(19x)、そのCMCの約9倍(9x)~約18倍(18x)、そのCMCの約9倍(9x)~約17倍(17x)、そのCMCの約9倍(9x) to about倍 16 (16x)、そのCMCの約9倍(9x)~約15倍(15x)、そのCMCの約9倍(9x)~約14倍(14x)、そのCMCの約9倍(9x)~約13倍(13x)、そのCMCの約9倍(9x)~約12倍(12x)、そのCMCの約9倍(9x)~約11倍(11x)、またはそのCMCの約9倍(9x)~約10倍(10x)である濃度で存在する。
【0079】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約10倍(10x)~約20倍(20x)、そのCMCの約10倍(10x)~約19倍(19x)、そのCMCの約10倍(10x)~約18倍(18x)、そのCMCの約10倍(10x)~約17倍(17x)、そのCMCの約10倍(10x) to about倍 16 (16x)、そのCMCのabout倍 10 (10x)~約15倍(15x)、そのCMCの約10倍(10x)~約14倍(14x)、そのCMCの約10倍(10x)~約13倍(13x)、そのCMCの約10倍(10x)~約12倍(12x)、またはそのCMCの約10倍(10x)~約11倍(11x)である濃度で存在する。
【0080】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約11倍(11x)~約20倍(20x)、そのCMCの約11倍(11x)~約19倍(19x)、そのCMCの約11倍(11x)~約18倍(18x)、そのCMCの約11倍(11x)~約17倍(17x)、そのCMCの約11倍(11x)~約16倍(16x)、そのCMCの約11倍(11x)~約15倍(15x)、そのCMCの約11倍(11x)~約14倍(14x)、そのCMCの約11倍(11x)~約13倍(13x)、またはそのCMCの約11倍(11x)~約12倍(12x)である濃度で存在する。
【0081】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約12倍(12x)~約20倍(20x)、そのCMCの約12倍(12x)~約19倍(19x)、そのCMCの約12倍(12x)~約18倍(18x)、そのCMCの約12倍(12x)~約17倍(17x)、そのCMCの約12倍(12x)~約16倍(16x)、そのCMCの約12倍(12x)~約15倍(15x)、そのCMCの約12倍(12x)~約14倍(14x)、またはそのCMCの約12倍(12x)~約13倍(13x)である濃度で存在する。
【0082】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約13倍(13x)~約20倍(20x)、そのCMCの約13倍(13x)~約19倍(19x)、そのCMCの約13倍(13x)~約18倍(18x)、そのCMCの約13倍(13x)~約17倍(17x)、そのCMCの約13倍(13x)~約16倍(16x)、そのCMCの約13倍(13x)~約15倍(15x)、またはそのCMCの約13倍(13x)~約14倍(14x)である濃度で存在する。
【0083】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約14倍(14x)~約20倍(20x)、そのCMCの約14倍(14x)~約19倍(19x)、そのCMCの約14倍(14x)~約18倍(18x)、そのCMCの約14倍(14x)~約17倍(17x)、そのCMCの約14倍(14x)~約16倍(16x)、またはそのCMCの約14倍(14x)~約15倍(15x)である濃度で存在する。
【0084】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約15倍(15x)~約20倍(20x)、そのCMCの約15倍(15x)~約19倍(19x)、そのCMCの約15倍(15x)~約18倍(18x)、そのCMCの約15倍(15x)~約17倍(17x)、またはそのCMCの約15倍(15x)~約16倍(16x)である濃度で存在する。
【0085】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約16倍(16x)~約20倍(20x)、そのCMCの約16倍(16x)~約19倍(19x)、そのCMCの約16倍(16x)~約18倍(18x)、またはそのCMCの約16倍(16x)~約17倍(17x)である濃度で存在する。
【0086】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約17倍(17x)~約20倍(20x)、そのCMCの約17倍(17x)~約19倍(19x)、またはそのCMCの約17倍(17x)~約18倍(18x)である濃度で存在する。
【0087】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約18倍(18x)~約20倍(20x)、またはそのCMCの約18倍(18x)~約19倍(19x)である濃度で存在する。
【0088】
いくつかの態様では、DDMは、そのCMCの約19倍(19x)~約20倍(20x)である濃度で存在する。
【0089】
いくつかの態様では、DDMは、の濃度で存在する約5倍(すなわち、5x)~約10倍(すなわち、10x)である濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、約0.0305%(w/v)~約0.061%(w/v)の濃度で存在する。
【0090】
いくつかの態様では、DDMは、約0.005%(w/v)~約0.15%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、約0.03%(w/v)~約0.06%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの態様では、DDMは、約0.005%(w/v)、約0.006%(w/v)、約0.007%(w/v)、約0.008%(w/v)、約0.009%(w/v)、約0.01%(w/v)、約0.011%(w/v)、約0.012%(w/v)、約0.013%(w/v)、約0.014%(w/v)、約0.015%(w/v)、約0.016%(w/v)、約0.017%(w/v)、約0.018%(w/v)、約0.019%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.021%(w/v)、約0.022%(w/v)、約0.023%(w/v)、約0.024%(w/v)、約0.025%(w/v)、約0.026%(w/v)、約0.027%(w/v)、約0.028%(w/v)、約0.029%(w/v)、約0.030%(w/v)、約0.031%(w/v)、約0.032%(w/v)、約0.033%(w/v)、約0.034%(w/v)、約0.035%(w/v)、約0.036%(w/v)、約0.037%(w/v)、約0.038(w/v)、約0.039%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.041%(w/v)、約0.042%(w/v)、約0.043%(w/v)、約0.044%(w/v)、約0.045%(w/v)、約0.046%(w/v)、約0.047%(w/v)、約0.048%(w/v)、約0.049%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.051(w/v)、約0.052%(w/v)、約0.053%(w/v)、約0.054%(w/v)、約0.055%(w/v)、約0.056%(w/v)、約0.057%(w/v)、約0.058%(w/v)、約0.059%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.061%(w/v)、約0.065%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.075(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.085%(w/v)、約0.09%(w/v)、約0.095%(w/v)、約0.1%(w/v)、約0.11%(w/v)、約0.12%(w/v)、約0.13%(w/v)、約0.14%(w/v)、または約0.15%(w/v)の濃度で存在する。
【0091】
OGのCMCは、0.68% w/vである。したがって、OGの0.1 x CMC濃度は、0.068% w/vであり、OGの0.2 x CMC濃度は、0.136%(w/v)であり、OGの0.3 x CMC濃度は、0.204%(w/v)であり、OGの0.4 x CMC濃度は、0272%(w/v)であり、OGの0.5 x CMC濃度は、0.34%(w/v)であり、OGの0.6 x CMC濃度は、0.408%(w/v)であり、OGの0.7 x CMC濃度は、0476%(w/v)であり、OGの0.8 x CMC濃度は、0.544%(w/v)であり、OGの0.9 x CMC濃度は、0.612%(w/v)であり、OGの1 x CMC濃度は、0.68%(w/v)であり、OGの1.1 x CMC濃度は、0.748%(w/v)であり、OGの1.2 x CMC濃度は、0.816%(w/v)であり、OGの1.3 x CMC濃度は、0.884%(w/v)であり、OGの1.4 x CMC濃度は、0.952%(w/v)であり、OGの1.5 x CMC濃度は、1.02%(w/v)であり、OGの1.6 x CMC濃度は、1.088%(w/v)であり、OGの1.7 x CMC濃度は、1.156%(w/v)であり、OGの1.8 x CMC濃度は、1.224%(w/v)であり、OGの1.9 x CMC濃度は、1.292%(w/v)であり、OGの2 x CMC濃度は、1.36%(w/v)であり、OGの3 x CMC濃度は、2.04%(w/v)であり、OGの4 x CMC濃度は、2.72%(w/v)であり、OGの5 x CMC濃度は、3.4%(w/v)であり、OGの6 x CMC濃度は、4.08%(w/v)であり、OGの7 x CMC濃度は、4.76%(w/v)であり、OGの8 x CMC濃度は、5.44%(w/v)であり、OGの9 x CMC濃度は、6.12%(w/v)であり、およびOGの10 x CMC濃度は、6.8%(w/v)である。分子量は、292.37 g/molである。したがって、当業者は、開示された%(w/v)濃度をモル濃度に容易に変換することができる。
【0092】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの少なくとも約0.1倍(0.1x)、そのCMCの少なくとも約0.2倍(0.2x)、そのCMCの少なくとも約0.3倍(0.3x)、そのCMCの少なくとも約0.4倍(0.4x)、そのCMCの少なくとも約0.5倍(0.5x)、そのCMCの少なくとも約0.6 (0.6x)倍、そのCMCの少なくとも約0.7倍(0.7x)、そのCMCの少なくとも約0.8倍(0.8x)、そのCMCの少なくとも約0.9倍(0.9x)、そのCMCの少なくとも約1倍(1x) 、そのCMCの少なくとも約1.1倍(1.1x)、そのCMCの少なくとも約1.2倍(1.2x)、そのCMCの少なくとも約1.3倍(1.3x)、そのCMCの少なくとも約1.4倍(1.4x)、そのCMCの少なくとも約1.5倍(1.5x)、そのCMCの少なくとも約1.6倍(1.6x)、そのCMCの少なくとも約1.7倍(1.7x)、そのCMCの少なくとも約1.8倍(1.8x)、そのCMCの少なくとも約1.9倍(1.9x)、そのCMCの少なくとも約2倍(2x)、そのCMCの少なくとも約3倍(3x)、そのCMCの少なくとも約4倍(4x)、そのCMCの少なくとも約5倍(5x)、そのCMCの少なくとも約6倍(6x)、そのCMCの少なくとも約7倍(7x)、そのCMCの少なくとも約8倍(8x)、そのCMCの少なくとも約9倍(9x)、そのCMCのまたは少なくとも約10倍(10x)である濃度で存在する。
【0093】
いくつかの態様では、本発明の界面活性剤の組み合わせは、少なくとも約0.068%(w/v)、少なくとも約0.136%(w/v)、少なくとも約0.204%、(w/v) 少なくとも約0.272%(w/v)、少なくとも約0.340%(w/v)、少なくとも約0.408%(w/v)、少なくとも約0.476%(w/v)、少なくとも約0.544%(w/v)、少なくとも約0.612%(w/v)、少なくとも約0.680%(w/v)、少なくとも約0.748%(w/v)、少なくとも約0.816%(w/v)、少なくとも約0.884%(w/v)、少なくとも約0.952%(w/v)、少なくとも約1.020%(w/v)、少なくとも約1.088%(w/v)、少なくとも約1.156%(w/v)、少なくとも約1.224%(w/v)、少なくとも約1.292%(w/v)、少なくとも約1.360%(w/v)、少なくとも約2.04%(w/v)、少なくとも約2.72%(w/v)、少なくとも約3.4%(w/v)、少なくとも約4.08%(w/v)、少なくとも約4.76%(w/v)、少なくとも約5.44%(w/v)、少なくとも約6.12%(w/v)、または少なくとも約6.8%(w/v)である濃度で存在するOGを含む。
【0094】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約3倍(3x)、そのCMCの0.1倍(0.1x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.8倍(0.8x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.7倍(0.7x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.6倍(0.6x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.5倍(0.5x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.4倍(0.4x)、そのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.3倍(0.3x)、またはそのCMCの約0.1倍(0.1x)~約0.2倍(0.2x)である濃度で存在する。
【0095】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約3倍(3x)、そのCMCの0.2倍(0.2x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.9 (1.9x)倍、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.8倍(0.8x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.7倍(0.7x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.6倍(0.6x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.5倍(0.5x)、そのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.4倍(0.4x)、またはそのCMCの約0.2倍(0.2x)~約0.3倍(0.3x)である濃度で存在する。
【0096】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約3倍(3x)、そのCMCのbetween倍 0.3 (0.3x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.8倍(0.8x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.7倍(0.7x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.6倍(0.6x)、そのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.5倍(0.5x)、またはそのCMCの約0.3倍(0.3x)~約0.4倍(0.4x)である濃度で存在する。
【0097】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約3倍(3x)、そのCMCの0.4倍(0.4x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約0.8倍(0.8x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約0.7倍(0.7x)、そのCMCの約0.4倍(0.4x)~約0.6倍(0.6x)、またはそのCMCの約0.4倍(0.4x)~約0.5倍(0.5x)である濃度で存在する。
【0098】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約3倍(3x)、そのCMCの0.5倍(0.5x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約0.8倍(0.8x)、そのCMCの約0.5倍(0.5x)~約0.7倍(0.7x)、またはそのCMCの約0.5倍(0.5x)~約0.6倍(0.6x)である濃度で存在する。
【0099】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約3倍(3x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約0.9倍(0.9x)、そのCMCの約0.6倍(0.6x)~約0.8倍(0.8x)、またはそのCMCの約0.6倍(0.6x)~約0.7倍(0.7x)である濃度で存在する。
【0100】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約3倍(3x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約1.0倍(1.0x)、そのCMCの約0.7倍(0.7x)~約0.9倍(0.9x)、またはそのCMCの約0.7倍(0.7x)~約0.8倍(0.8x)である濃度で存在する。
【0101】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約3倍(3x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.1倍(1.1x)、そのCMCの約0.8倍(0.8x)~約1.0倍(1.0x)、またはそのCMCの約0.8倍(0.8x)~約0.9倍(0.9x)である濃度で存在する。
【0102】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約10倍(10x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約8倍(8x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約7倍(7x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約6倍(6x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約5倍(5x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約4倍(4x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約3倍(3x)、そのCMCの0.9倍(0.9x)~約2倍(2x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.2倍(1.2x)、そのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.1倍(1.1x)、またはそのCMCの約0.9倍(0.9x)~約1.0倍(1.0x)である濃度で存在する。
【0103】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1倍(1x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1倍(1x)~約9倍(9x)、そのCMCの約1倍(1x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1倍(1x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1倍(1x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1倍(1x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1倍(1x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1倍(1x)~約3倍(3x)、そのCMCの1倍(1x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.3倍(1.3x)、そのCMCの約1倍(1x)~約1.2倍(1.2x)、またはそのCMCの約1倍(1x)~約1.1倍(1.1x)である濃度で存在する。
【0104】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.1倍(1.1x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.4倍(1.4x)、そのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.3倍(1.3x)、またはそのCMCの約1.1倍(1.1x)~約1.2 (1.2x)である濃度で存在する。
【0105】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.2倍(1.2x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.5倍(1.5x)、そのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.4倍(1.4x)、またはそのCMCの約1.2倍(1.2x)~約1.3倍(1.3x)である濃度で存在する。
【0106】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.3倍(1.3x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約1.6倍(1.6x)、そのCMCの約1.3倍(1.3x)~約1.5倍(1.5x)、またはそのCMCの約1.3倍(1.2x)~約1.4倍(1.4x)である濃度で存在する。
【0107】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.4倍(1.4x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約1.7倍(1.7x)、そのCMCの約1.4倍(1.4x)~約1.6倍(1.6x)、またはそのCMCの約1.4倍(1.4x)~約1.5倍(1.5x)である濃度で存在する。
【0108】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.5倍(1.5x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約1.8倍(1.8x)、そのCMCの約1.5倍(1.5x)~約1.7倍(1.7x)、またはそのCMCの約1.5倍(1.5x)~約1.6倍(1.6x)である濃度で存在する。
【0109】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.6倍(1.6x)~約2倍(2x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約1.9倍(1.9x)、そのCMCの約1.6倍(1.6x)~約1.8倍(1.8x)、またはそのCMCの約1.6倍(1.6x)~約1.7倍(1.7x)である濃度で存在する。
【0110】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.7倍(1.7x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.7倍(1.7x)~約2倍(2x)、そのCMCの約times (1.7x)~約1.9倍(1.9x)、またはそのCMCの約1.7倍(1.7x)~約times (1.8x)である濃度で存在する。
【0111】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.8倍(1.8x)~約3倍(3x)、そのCMCの1.8倍(1.8x)~約2倍(2x)、またはそのCMCの約1.8倍(1.8x)~約1.9 (1.9x)である濃度で存在する。
【0112】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約10倍(10x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約9 倍(9x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約8倍(8x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約7倍(7x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約6倍(6x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約5倍(5x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約4倍(4x)、そのCMCの約1.9倍(1.9x)~約3倍(3x)、そのCMCのor between 1.9倍(1.9x)~約2倍(2x)である濃度で存在する。
【0113】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約2倍(2x)~約10倍(10x)、そのCMCの約2倍(2x)~約9倍(9x)、そのCMCの約2倍(2x)~約8倍(8x)、そのCMCの約2倍(2x)~約7倍(7x)、そのCMCの約2倍(2x)~約6倍(6x)、そのCMCの約2倍(2x)~約5倍(5x)、そのCMCの約2倍(2x)~約4倍(4x)、またはそのCMCの約2倍(2x)~約3倍(3x)である濃度で存在する。
【0114】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約3倍(3x)~約10倍(10x)、そのCMCの約3倍(3x)~約9倍(9x)、そのCMCの約3倍(3x)~約8倍(8x)、そのCMCの約3倍(3x)~約7倍(7x)、そのCMCの約3倍(3x)~約6倍(6x)、そのCMCの約3倍(3x)~約5倍(5x)、またはそのCMCの約3倍(3x)~約4倍(4x)である濃度で存在する。
【0115】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約4倍(4x)~約10倍(10x)、そのCMCの約4倍(4x)~約9倍(9x)、そのCMCの約4倍(4x)~約8倍(8x)、そのCMCの約4倍(4x)~約7倍(7x)、そのCMCの約4倍(4x)~約6倍(6x)、またはそのCMCの約4倍(4x)~約5倍(5x)である濃度で存在する。
【0116】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約5倍(5x)~約10倍(10x)、そのCMCの約5倍(5x)~約9倍(9x)、そのCMCの約5倍(5x)~約8倍(8x)、そのCMCの約5倍(5x)~約7倍(7x)、またはそのCMCの約5倍(5x)~約6倍(6x)である濃度で存在する。
【0117】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約6倍(6x)~約10倍(10x)、そのCMCの約6倍(6x)~約9倍(9x)、そのCMCの約6倍(6x)~約8倍(8x)、そのCMCの約6倍(6x)~約7倍(7x)である濃度で存在する。
【0118】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約7倍(7x)~約10倍(10x)、そのCMCの約7倍(7x)~約9倍(9x)、またはそのCMCの約7倍(7x)~約8倍(8x)である濃度で存在する。
【0119】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約8倍(8x)~約10倍(10x)、またはそのCMCの約8倍(8x)~約9倍(9x)である濃度で存在する。
【0120】
いくつかの態様では、OGは、約0.1倍(すなわち、0.1x)~約1倍(すなわち、1x)の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、約0.068%(w/v)~約0.68%(w/v)の濃度で存在する。
【0121】
いくつかの態様では、OGは、約0.1倍(すなわち、0.1x)~約1倍(すなわち、1x)の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、約0.068%(w/v)~約0.68%(w/v)の濃度で存在する。
【0122】
いくつかの態様では、OGは、約0.05%(w/v)~約0.75%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、約0.07%(w/v)~約0.7%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、約0.005%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、約0.1%(w/v)、約0.11%(w/v)、約0.12%(w/v)、約0.13%(w/v)、約0.14%(w/v)、約0.15%(w/v)、約0.16%(w/v)、約0.17%(w/v)、約0.18%(w/v)、約0.19%(w/v)、約0.2%(w/v)、約0.21%(w/v)、約0.22%(w/v)、約0.23%(w/v)、約0.24%(w/v)、約0.25%(w/v)、約0.26%(w/v)、約0.27%(w/v)、約0.28%(w/v)、約0.29%(w/v)、約0.30%(w/v)、約0.31%(w/v)、約0.32%(w/v)、約0.33%(w/v)、約0.34%(w/v)、約0.35%(w/v)、約0.36%(w/v)、約0.37%(w/v)、約0.38%(w/v)、約0.39%(w/v)、約0.4%(w/v)、約0.41%(w/v)、約0.42%(w/v)、約0.43%(w/v)、約0.44%(w/v)、約0.45%(w/v)、約0.46%(w/v)、約0.47%(w/v)、約0.48%(w/v)、約0.49%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.51%(w/v)、約0.52%(w/v)、約0.53%(w/v)、約0.54%(w/v)、約0.55%(w/v)、約0.56%(w/v)、約0.57%(w/v)、約0.58%(w/v)、約0.59%(w/v)、約0.6%(w/v)、約0.65%(w/v)、約0.70%(w/v)、約0.75%(w/v)、約0.80%(w/v)、約0.85%(w/v)、約0.90%(w/v)、約0.95%(w/v)、約1%(w/v)、約1.25%(w/v)、約1.5%(w/v)、約1.75%(w/v)、約2%(w/v)、約2.5%(w/v)、約3%(w/v)、約3%(w/v)、約3.5%(w/v)、約4%(w/v)、約4.5%(w/v)、約5%(w/v)、約5.5(w/v)、約6%(w/v)、約6.5%(w/v)、約7%(w/v)、約7.5%(w/v)、約8%(w/v)、約8.5%(w/v)、約9%(w/v)、約9.5%(w/v)、または約10%(w/v)の濃度で存在する。
【0123】
いくつかの態様では、OGは、そのCMCの約0.5倍(0.5x)である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍(5x)~約10倍(10x)である濃度で存在する。いくつかの態様では、OGは、約.34%(w/v)であり、DDMは、約0.0305%(w/v)~約0.061%(w/v)である濃度で存在する。
【0124】
いくつかの態様では、(i)OGは、そのCMCの約0.5倍(0.5x)である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍(5x)である濃度で存在する;(ii)OGは、そのCMCの約0.5倍(0.5x)である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約7.5倍(7.5x)である濃度で存在する;(iii)OGは、そのCMCの約0.5倍(0.5x)である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約10倍(10x)である濃度で存在する;または(iv)OGは、そのCMCの約0.75倍(0.75x)である濃度で存在し、DDMは、そのCMCの約5倍(5x)である濃度で存在する。
【0125】
いくつかの態様では、(i)OGは、約0.34%(w/v)である濃度で存在し、DDMは、約0.0305%(w/v)である濃度で存在する;(ii)OGは、約0.34%(w/v)である濃度で存在し、DDMは、約0.04575%(w/v)である濃度で存在する;(iii)OGは、約0.34%(w/v)である濃度で存在し、DDMは、約0.061%(w/v)である濃度で存在する;または(iv)OGは、そのCMCの約0.51%(w/v)である濃度で存在し、DDMは、約0.0305(w/v)%である濃度で存在する。
【0126】
いくつかの態様では、本発明の界面活性剤の組み合わせは、下記表に示す特定の濃度でDDMおよびOGを含む。したがって、本発明の界面活性剤の組み合わせは、DMMx:OGyとして記述することができ、ここでxは1~21の任意の整数であり、yは1~28の任意の整数である。いくつかの態様では、界面活性剤の組み合わせは、DMM5:OG5である場合があり、これは、それぞれの濃度がCMC(倍)濃度として表される場合、そのCMCの5倍(5x)のDMM、およびそのCMCの0.5倍(0.5x)のOGの混合物に対応し、または、それぞれの濃度が溶媒の体積に対する乾燥重量百分率、すなわち%(w/v)として表される場合、DDMの0.0305%(w/v)およびOGの0.34%(w/v)に対応する。
【表1】
【0127】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、脂質エンベロープウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、ヘルペスウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、ポックスウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、ヘパドナウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、RNAウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、フラビウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、トガウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、コロナウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、デルタウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、オルトミクソウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、パラミクソウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、ラブドウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、ブニヤウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、フィロウイルス科ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、逆転写ウイルスを不活化することを含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化方法は、上記の表に開示される界面活性剤の組み合わせを使用して、レトロウイルス科ウイルスを不活化することを含む。
【0128】
いくつかの態様では、生成物供給流は、採取物(たとえば、バイオリアクターから)、ロード(たとえば、クロマトグラフィーまたはろ過カラムまたはその他のろ過装置のロード)、溶出液(たとえば、クロマトグラフィー溶出液)、ろ液、またはそれらの組み合わせを含む。一般に、本明細書に開示される方法および組成物は、ウイルスを含む、ウイルスを含む疑いがある、またはウイルスを含む可能性のある、あらゆる溶液中のウイルスを不活化するために使用することができる。いくつかの態様では、供給流は、採取された細胞培養液である。いくつかの態様では、供給流は、捕捉プールまたは回収生成物プールである。いくつかの態様では、捕捉プールまたは回収生成物プールは、クロマトグラフィープールである。いくつかの態様では、捕捉プールまたは回収生成物プールは、親和性クロマトグラフィープールである。いくつかの態様では、捕捉プールまたは回収生成物プールは、プロテインAプール、プロテインGプールまたはプロテインLプールである。いくつかの態様では、生成物供給流は、プロテインAクロマトグラフィーカラム溶出液である。いくつかの態様では、生成物供給流は、たとえば、下流の精製プロセスにおける、ろ過工程からのろ液である。いくつかの態様では、生成物供給流は、たとえば、クロマトグラフィーカラムまたはろ過システムのロードである。
【0129】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせを使用する、治療用タンパク質の製造プロセスにおける生成物供給流中のウイルスを不活化する方法を提供し、ここで、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)は、界面活性剤の組み合わせの添加後にクロマトグラフィーにかけられる。いくつかの態様では、クロマトグラフィーは、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー(たとえば、陽イオン交換および/または陰イオン交換)、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、または混合モードクロマトグラフィーのうちの1つまたは複数である。
【0130】
アフィニティークロマトグラフィー材料の例には、プロテインA またはプロテインGで誘導体化されたクロマトグラフィー材料が含まれるが、これらに限定されない。アフィニティークロマトグラフィー材料の例には、Prosep-VA、Prosep-VA Ultra Plus、Protein Aセファロース fast flow、Tyopearl Protein A、MAbSelect、MAbSelect SuRe、MAbSelect SuRe LXが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、アフィニティークロマトグラフィー材料は、アフィニティークロマトグラフィーカラムである。いくつかの態様では、アフィニティークロマトグラフィー材料は、アフィニティークロマトグラフィー膜である。陰イオン交換クロマトグラフィー材料の例には、Poros HQ 50、Poros PI 50、Poros D、Mustang Q、Qセファロース FF、およびDEAEセファロースが含まれるが、これらに限定されない。陽イオン交換クロマトグラフィー材料の例には、Mustang S、Sartobind S、SO3 Monolith、S Ceramic HyperD、Poros XS、Poros HS50、Poros HS20、SPSFF、SP-セファロース XL (SPXL)、CMセファロース Fast Flow、Capto S、Fractogel Se HiCap、Fractogel SO3、またはFractogel COOが含まれるが、これらに限定されない。HICクロマトグラフィー材料の例には、Toyopearl ヘキシル 650、Toyopear butyl 650、Toyopearl phenyl 650、Toyopearl ether 650、Source、Resource、Sepharose Hi-Trap、オクチルセファロース、フェニルセファロースが含まれるが、これらに限定されない。ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料の例には、HA Ultrogel、およびCHTハイドロキシアパタイトが含まれるが、これらに限定されない。混合モードクロマトグラフィー材料の例には、Capto Adhere、QMA、MEP Hypercel、HEA Hypercel、PPA Hypercel、Capto MMCが含まれるが、これらに限定されない。
【0131】
哺乳動物細胞に感染することができる脂質エンベロープウイルスとして、ヘルペスウイルス科ウイルス、ポックスウイルス科ウイルス、ヘパドナウイルス科ウイルスなどのDNAウイルス;フラビウイルス科ウイルス、トガウイルス科ウイルス、コロナウイルス科ウイルス、デルタウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、ラブドウイルス科ウイルス、ブニヤウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルスなどのRNAウイルス;およびレトロウイルス科ウイルスまたはヘパドナウイルス科ウイルスなどの逆転写ウイルスが挙げられる。脂質エンベロープウイルスの非限定的例として、ヒト免疫不全ウイルス、シンドビスウイルス、単純ヘルペスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、センダイウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、コロナウイルス、ウマ関節炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、またはワクシニアウイルスが挙げられる。いくつかの態様では、脂質エンベロープウイルスは、レトロウイルス、フラビウイルス、オルトミクソウイルス、ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、アレナウイルス、ポックスウイルス、ヘパドナウイルス、肝炎ウイルス、ラブドウイルス、およびトガウイルスからなる群から選択される。いくつかの態様では、ウイルスは、たとえば、A-MuLVなどのレトロウイルス、HSV-1などのヘルペスウイルスなどの脂質エンベロープウイルスを含む。
【0132】
いくつかの態様では、ウイルスは、アデノウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、アレナウイルス、アルテリウイルス、アストロウイルス、バキュロウイルス、バドナウイルス、バルナウイルス、ビルナウイルス、ブロモウイルス、ブニヤウイルス、カリシウイルス、カピロウイルス、カルラウイルス、カリモウイルス、サーコウイルス、クロステロウイルス、コモウイルス、コロナウイルス、コトリコウイルス、シストウイルス、デルタウイルス、ジアンソウイルス、エナモウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、フロウイルス、フセロウイルス、ジェミニウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、ホルデイウイルス、ハイポウイルス、イデアオウイルス(ideaovirus)、イノウイルス、イリドウイルス、レビウイルス、リポスリックスウイルス、ルテオウイルス、マクロモウイルス、マラフィボウイルス、ミクロウイルス、ミオウイルス、ネクロウイルス、ノダウイルス、オルソミクソウイルス、パポバウイルス、パラミクソウイルス、パルティティウイルス、パルボウイルス、フィコドナウイルス、ピコルナウイルス、プラズマウイルス、ポドウイルス、ポリドナウイルス、ポテックスウイルス、ポティウイルス、ポックスウイルス、レオウイルス、レトロウイルス、ラブドウイルス、リジジオウイルス(rhizidiovirus)、シークエウイルス(sequevirus)、シフォウイルス、ソベモウイルス、テクティウイルス、テヌイウイルス、テトラウイルス、トバマウイルス(tobamavirus)、トブラウイルス、トガウイルス、トンブスウイルス、トティウイルス、トリコウイルス、チモウイルス、およびウンブラウイルスからなる群から選択される。いくつかの態様では、本発明は、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のサブウイルス因子を不活化する方法を提供し、この方法は、供給流を本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせにさらすことを含む。いくつかの態様では、サブウイルス因子は、ウイロイドまたはサテライトである。いくつかの態様では、本発明は、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルス様因子を不活化する方法を提供し、この方法は、供給流を本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせにさらすことを含む。
【0133】
ウイルスの不活化は、対数減少値(LRV)を使用して定量化することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示される生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化する方法は、供給流またはウイルス含有溶液中のウイルス数の対数減少値(LRV)を決定することを含む。いくつかの態様では、LRV値は、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、または少なくとも約10である。いくつかの態様では、LRVは、次の式に従って計算される:
【数2】
【0134】
用語「pfu」または「プラーク形成単位」は、単位体積あたりにプラークを形成することができるウイルス粒子の数を表すためにウイルス学で使用される指標である。いくつかの態様では、LRVは、少なくとも約4である。いくつかの態様では、LRVは、約3~約4、約4~約5、約5~約6、約6~約7、約7~約8、約8~約9、約9~約10、約3~約5、約4~約6、約5~約7、約6~約8、約7~約9、約8~約10、約3~約6、約4~約7、約5~約8、約6~約9、約7~約10、約3~約7、約4~約8、5~約9、6~約10、約3~約8、4~約9、または5~約10である。
【0135】
生存可能な脂質コート含有ウイルスの検出は、生存可能な脂質コート含有ウイルスの存在または活性を定性的または定量的に測定できる任意の技術によって達成されうる。通常、細胞培養ベースのアッセイを使用してウイルスの力価レベルを決定するが、インビボ感染性アッセイも使用することができる。ウイルス増幅の検出は、たとえば、顕微鏡検査(明らかに目に見える細胞変性効果の場合)、PCRベースの検出アッセイ、または抗体ベースの検出アッセイによって行うことができる。したがって、いくつかの態様では、LRVは、感染性アッセイに基づいて計算される。
【0136】
1つの非限定的例は、50%組織培養細胞感染量(TCID50)アッセイと称されるインビトロ感染性アッセイである。このアッセイでは、液体サンプルとその連続希釈液を、アッセイ対象の脂質コートを含むウイルスの宿主として機能できる細胞を播種した96ウェル プレートに分注する。接種後、プレートは、ウイルスが宿主細胞内で複製するのに十分な時間および温度でインキュベートされる。インキュベーション後、細胞は、溶解した細胞、細胞変性効果を示す細胞、またはウイルス感染を示すその他の基準など、感染の兆候がないか顕微鏡で検査される。陽性(ウイルス感染)および陰性(ウイルス感染なし)のウェルのパターンから、ウイルス力価が計算される。感染の陽性兆候を示すウェルがない場合は、液体にウイルスを含む脂質コートが実質的に存在しないことを示す。したがって、いくつかの態様では、LRVを計算するために使用される感染性アッセイは、TCID50アッセイである。
【0137】
細胞培養ベースの別のアッセイはプラークアッセイであり、細胞培養層におけるウイルス誘発効果が、プラークとして可視であるか、または肉眼で見えるようになる。プラークがまったく存在しないということは、ウイルスを含む脂質コートが本質的に存在しない液体であることを示す。いくつかの態様では、LRVを計算するために使用される感染性アッセイは、プラークアッセイである。
【0138】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)またはいずれかのウイルスを含む溶液またはウイルスを含む疑いがある溶液との接触は、少なくとも約10分間、少なくとも約15分間、少なくとも約20分間、少なくとも約25分間、少なくとも約30分間、少なくとも約40分間、少なくとも約50分間、少なくとも約60分間、少なくとも約70分間、少なくとも約80分間、少なくとも約90分間、少なくとも約100分間、少なくとも約110分間、または少なくとも約120分間起こる。いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液またはウイルスを含む疑いがある溶液との接触は、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約40分間、約50分間、約60分間、約70分間、約80分間、約90分間、約100分間、約110分間、または約120分間起こる。いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液またはウイルスを含む疑いがある溶液との接触は、約10分間~約20分間、約20分間~約30分間、約30分間~約40分間、約40分間~約50分間、約50分間~約60分間、約60分間~約70分間、約70分間~約80分間、約80分間~約90分間、約90分間~約100分間、約100分間~約110分間、約110分間 約120分間、約15分間~約30分間、約30分間~約45分間、約45分間~約60分間、約60分間~約75分間、約75分間~約90分間、約90分間~約105分間、約105分間~約120分間、約30分間 約60分間、約60分間~約90分間、約90~約120分間、または約60分間~約120分間起こる。いくつかの態様では、供給流は、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせを、2時間以上、たとえば、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、16時間、20時間、24時間、30時間、36時間、42時間、または48時間受ける。
【0139】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約4℃~約30℃にて受ける。いくつかの態様では、供給流は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約10℃~約25℃にて受ける。いくつかの態様では、供給流は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約15℃~約20℃にて受ける。いくつかの態様では、供給流は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約20℃にて受ける。いくつかの態様では、供給流は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約周囲温度にて受ける。いくつかの態様では、供給流は、本発明の界面活性剤の組み合わせを、約4℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、または30℃にて受ける。
【0140】
いくつかの態様では、供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤を使用した、治療用タンパク質の製造プロセスにおける前記供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の総タンパク質に対する許容可能なタンパク質凝集パラメータを超えるタンパク質凝集体(高分子量種)の量の増加をもたらさない。
【0141】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)またはウイルスを含む溶液との接触の後、生成物供給流またはウイルスを含む溶液は、治療用タンパク質の総量の約30%未満、約29%未満、約28%未満、約27%未満、約26%未満、約25%未満、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、または約5%未満の量の治療用タンパク質の高分子量(HMW)種を含む。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、生成物供給流またはウイルスを含む溶液は、約25%~約30%、たとえば、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%の量の治療用タンパク質の高分子量(HMW)種を含む。
【0143】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の総タンパク質に対する許容可能なグリコシル化パラメータを超えるグリコシル化の量の変化をもたらさない。いくつかの態様では、供給流中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、生成物供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、グリコシル化パターンの変化をもたらさない。
【0144】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、接触前の治療用タンパク質のグリコシル化の量と比較して、同じであるか、または約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%変化(増加または減少)したグリコシル化の量を有する。
【0145】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質1モル当たり、約8~約12モル、たとえば、治療用タンパク質1モル当たり、約8~約9、約9~約10、約10~約11、約11~約12、約8~約10、約9~約11、10~約12、約8~約11、または約9~約12モルの量のN-アセチルノイラミン酸(NANA)を有する。
【0146】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質1モル当たり、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9モルの量のN-アセチルノイラミン酸(NANA)を有する。
【0147】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質1モル当たり、約1.3モル以下の量のN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を有する。
【0148】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質1モル当たり、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9モルの量のN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を有する。
【0149】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質1モル当たり、約8~約12モル(たとえば、治療用タンパク質1モル当たり、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9モル)の量のN-アセチルノイラミン酸(NGNA)、および/または治療用タンパク質1モル当たり、約1.3モル以下(たとえば、治療用タンパク質1モル当たり、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9モル)の量のN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を有する。
【0150】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の総タンパク質に対する脱アミド化パラメータを超える、治療用タンパク質の脱アミド化の増加をもたらさない。脱アミド化生成物には、1つまたは複数のグルタミンおよび/またはアスパラギン残基が脱アミド化されたタンパク質が含まれる。いくつかの態様では、生成物である治療用タンパク質の脱アミド化は、ポリペプチドの電荷の変化をもたらす。治療用タンパク質を脱アミド化した変異体について分析する方法は、当技術分野で知られている。たとえば、pH媒介イオン交換クロマトグラフィーまたは等電点電気泳動によって。
【0151】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質の総量の約5.9%、たとえば、治療用タンパク質の総量の約5.8%未満、約5.7%未満、約5.6%、約5.5%未満、約5.4%未満、約5.3%未満、約5.2%未満、約5.1%未満、約5%未満、約4.9%未満、約4.8%未満、約4.7%未満、約4.7%未満、約4.6%未満、約4.5%未満、約4.4%未満、約4.3%未満、約4.2%未満、約4.1%、約4.1%未満、約4%未満、約3.9%未満、約3.8%未満、約3.7%未満、約3.6%未満、または約3.5%未満の量の脱アミド化を有する。
【0152】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質の総量の約5.9%、約5.8%、約5.7%、約5.6%、約5.5%、約5.4%、約5.3%、約5.2%、約5.1%、約5%、約4.9%、約4.8%、約4.7%、約4.7%、約4.6%、約4.5%、約4.4%、約4.3%、約4.2%、約4.1%、約4.1%、約4%、約3.9%、約3.8%、約3.7%、約3.6%、または約3.5%の量のアミド化を有する。
【0153】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の総タンパク質に対する許容可能なタンパク質酸化パラメータを超える、治療用タンパク質の酸化の増加をもたらさない。酸化生成物には、メチオニン、システイおよびチロシンなどの酸素反応性アミノ酸残基の1つまたは複数が酸化されたタンパク質が含まれる。いくつかの態様では、生成物であるポリペプチドの酸化は、ポリペプチドの電荷の変化をもたらす。酸化変異体についてポリペプチドを分析する方法は、当技術分野で知られている。たとえば、特定のポリペプチドの酸化レベルは、LC-質量分析法によって測定することができる。
【0154】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質の総量の約1.3%未満、たとえば、治療用タンパク質の総量の約1.2%未満、約1.1%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.7%未満、または約0.6%未満の量の酸化を有する。
【0155】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)またはウイルスを含む溶液との接触の後、治療用タンパク質は、治療用タンパク質の総量の約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、または約0.5%の量の酸化を有する。
【0156】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の総タンパク質に対する許容可能なタンパク質不純物パラメータを超える、不純物のプロセス中の増加をもたらさない。したがって、いくつかの態様では、生成物供給流中のウイルスを不活化するための、治療用タンパク質の製造プロセスにおける、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせによる供給流の処理は、製造プロセス中の工程不純物のクリアランスを変更しない。
【0157】
たとえば、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせによる供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)の処理は、ウイルスを不活化するためのTriton X-100を使用した治療用タンパク質の製造プロセス、または界面活性剤を使用しない治療用タンパク質の製造プロセスと比較して、製造プロセス中の工程不純物のクリアランスを変更しない。いくつかの態様では、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤の組み合わせの使用は、クロマトグラフィーステップ、ろ過ステップ、濃縮ステップなどの、製造プロセスにおける特定のステップ中の工程不純物のクリアランスを変更しない。いくつかの態様では、本発明の環境に適合する界面活性剤の組み合わせの使用は、治療用タンパク質の製造プロセス全体における工程不純物のクリアランスを変更しない。工程不純物として、宿主細胞タンパク質(HCP)、核酸、浸出プロテインA、目的のポリペプチド以外のポリペプチド、エンドトキシン、ウイルス汚染物質、細胞培養培地成分、および目的の治療用タンパク質の変異体、断片、凝集体または誘導体が挙げられる。
【0158】
いくつかの態様では、生成物供給流(たとえば、採取物、ロード、溶出液、またはろ液)中のウイルスを不活化するための、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、治療用タンパク質の製造プロセスにおける前記供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の許容可能なタンパク質HCPレベルを超えるHCPの増加をもたらさない。
【0159】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約5,000ppm未満、約4,000ppm未満、約3,000ppm未満、約2,000ppm未満、約1,500ppm未満、約1,000ppm未満、約900ppm未満、約800ppm、約700ppm未満、約600ppm、または約500ppm未満の濃度でHCP残留量を有する。
【0160】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約500ppm~約2,000ppmの濃度でHCP残留量を有する。
【0161】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約1,100ppm、約1,200ppm、約1,300ppm、約1,400ppm、約1,500ppm、約1,600ppm、約1,700ppm、約1,800ppm、約1,900ppmまたは約2,000ppmの濃度でHCP残留量を有する。
【0162】
いくつかの態様では、供給流中のウイルスを不活化するための、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、治療用タンパク質の製造プロセスにおける供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の許容可能なHCPレベルを超える残留DNAの増加をもたらさない。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約80,000ppb未満、約75,000ppb未満、約70,000ppb未満、約65,000ppb未満、約60,000ppb未満、約59,000ppb未満、約58,000ppb未満、約57,000ppb、または約56,000ppb未満の濃度でDNAの残留量を有する。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約500ppb未満、約450ppb未満、約400ppb未満、約350ppb未満、約300ppb未満、約250ppb、または約200ppb未満の濃度でDNAの残留量を有する。
【0165】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約50~約200ppbのDNAの残留量を有する
【0166】
いくつかの態様では、生成物供給流中のウイルスを不活化するための、本明細書に開示される環境に適合する界面活性剤による、治療用タンパク質の製造プロセスにおける前記供給流の処理は、たとえば、界面活性剤なし、またはTriton X-100を使用した製造プロセスと比較して、生成物供給流中の許容可能なプロテインAレベルを超える残留プロテインAの増加をもたらさない。
【0167】
いくつかの態様では、本明細書に開示される界面活性剤の組み合わせ(たとえば、DDMおよびOGを含む組成物)と、生成物供給流との接触の後、生成物供給流は、約1.0μg/mL未満、約0.9μg/mL、約0.8μg/mL、約0.7μg/mL、約0.6μg/mL、約0.5μg/mL、約0.4μg/mL、約0.3μg/mL、または約0.2μg/mLのプロテインAの残留量を有する。
【0168】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、たとえば、抗体、抗体断片、融合タンパク質、天然タンパク質、キメラタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)ドメインを含む。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、融合タンパク質であり、たとえば、Fc部分を含む融合タンパク質である。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、Fc部分とCTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)ドメインを含む融合タンパク質である。いくつかの態様では、治療用タンパク質、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))またはベラタセプト(NULOJIX(登録商標))である。
【0169】
いくつかの態様では、治療用タンパク質は、配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、その断片、またはそれらの組み合わせを含むアバタセプト組成物である。治療用タンパク質は、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、その断片、またはそれらの組み合わせを含むベラタセプト組成物である。
【0170】
いくつかの態様では、治療用タンパク質の製造工程後の廃棄物流中の界面活性剤の予測環境中濃度(PEC)は、環境中の受水域に排出される廃棄物中の界面活性剤の予測濃度である。いくつかの態様では、
予測無影響濃度(PNEC)は、
環境に排出しても、たとえば、受け入れる淡水および/または海水の生物相に有害な影響を与えることなく安全である、廃棄物中の界面活性剤の予測濃度である。いくつかの態様では、PECは、PNECより小さい。いくつかの態様では、PECは、PNECの約0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍のいずれか1つよりも大きい。
【0171】
本発明は、脂質エンベロープウイルスを不活化する方法であって、(i)エンベロープタンパク質を有する脂質エンベロープウイルス全体を、(ii)n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)およびn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む界面活性剤の組み合わせと、0.5x:5x、0.5x:7.5x、0.5x:10x、および0.75x:5xからなる群から選択されるOG:DDM濃度で、前記脂質エンベロープウイルスを不活化するのに十分な時間インキュベートすることを含む、方法を提供する。
【0172】
本発明は、脂質エンベロープウイルスを不活化する方法であって、(i)0.5x:5x、0.5x:7.5x、0.5x:10x;および0.75x:5xからなる群から選択されるOG:DDM濃度のn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)およびn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む界面活性剤の組み合わせを、治療用タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)を含む流体と混合して混合物を形成すること;および(ii)前記脂質エンベロープウイルスを不活化するのに十分な時間、混合物をインキュベートしてインキュベート混合物を形成することを含み、インキュベート混合物には生存脂質エンベロープウイルスが実質的に存在せず、治療用タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)の治療効果が保持される、方法を提供する。
【0173】
また、治療用タンパク質(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)の製造プロセスにおける生成物供給流中の脂質エンベロープウイルスを不活化する方法であって、供給流を界面活性剤の組み合わせにさらすステップを含み、界面活性剤の組み合わせは環境に適合しており、界面活性剤の組み合わせは、0.5x:5x、0.5x:7.5x、0.5x:10x;および0.75x:5xからなる群から選択されるOG:DDM濃度でn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)およびn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を含む、方法を提供する。本発明はまた、本明細書に開示された脂質エンベロープウイルスを不活化する方法のいずれかに従って調製された、脂質エンベロープウイルスを本質的に含まない治療用タンパク質生成物(たとえば、アバタセプトまたはベラタセプト)を含む組成物も提供する。
【0174】
II.治療用タンパク質
上記で開示したとおり、いくつかの態様では、本明細書に開示されるウイルス不活化組成物および方法を使用して調製することができる治療用タンパク質には、たとえば、抗体、抗体断片、抗体のFc部分およびその融合物、抗体の抗原結合部分、融合タンパク質、天然タンパク質、組み換えタンパク質、キメラタンパク質、免疫接着因子、酵素、成長因子、受容体、ホルモン、調節因子、サイトカイン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの態様では、治療用タンパク質は、哺乳類細胞内で生成される。いくつかの態様では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、マウスハイブリドーマ細胞、またはマウス骨髄腫細胞である。本明細書に開示された環境に適合する(環境に優しい)界面活性剤の組み合わせを使用した治療用タンパク質の製造プロセスは、Triton X-100を使用した対応するプロセスと比較して、治療用タンパク質の製品品質に悪影響を与えない。
【0175】
宿主細胞で発現可能なあらゆる治療用タンパク質は、本開示に従って製造することができ、提供される組成物中に存在することができる。治療用タンパク質は、宿主細胞に内因性の遺伝子から発現される場合もあり、遺伝子工学によって宿主細胞に導入された遺伝子から発現されてもよい。治療用タンパク質は、自然界に存在するタンパク質である場合もあり、または人間の手によって操作または選択された配列を有する場合もある。操作された治療用タンパク質は、自然界に個別に存在する他のポリペプチドセグメントから組み立てられる場合もあれば、自然界に存在しない1つまたは複数のセグメントを含む場合もある。
【0176】
提供される方法および組成物は、動物細胞、酵母細胞、または昆虫細胞を含む、培養培地中での治療用タンパク質の増殖および/または生成に適した任意の細胞を使用することができる。1つの態様では、細胞は、細胞培養およびポリペプチドの発現に適した任意の哺乳動物細胞または細胞タイプである。本明細書で提供される方法(たとえば、ウイルスを不活化する方法)および組成物は、したがって、動物細胞を含む任意の適切なタイプの細胞を使用することができる。1つの態様では、方法および組成物は、哺乳動物細胞を使用する。方法および組成物は、ハイブリドーマ細胞を使用することもできる。1つの態様では、哺乳動物細胞は、目的の治療用タンパク質をコードする外因性の単離核酸で形質転換された非ハイブリドーマ哺乳動物細胞である。1つの態様では、上記方法および組成物は、ヒト網膜芽細胞(PER.C6 (CruCell、Leiden、The Netherlands));SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓株(懸濁培養中の増殖についてサブクローンされた293または293細胞、Grahamら、、J. Gen Virol.、36:59 (1977));ベビーハムスターの腎臓細胞(BHK. ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR (CHO、Urlaub and Chasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather. Biol. Reprod.、23:243-251 (1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト胚細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト幹細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、、Annals N.Y. Acad. Sci.、383:44-68 (1982));MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞癌細胞株(Hep G2)からなる群から選択される哺乳動物細胞を使用する。いくつかの態様では、方法および組成物は、CHO細胞を使用する。いくつかの態様では、CHO細胞株の培養およびCHO細胞株からの治療用タンパク質の発現を使用する。治療用タンパク質は、培養培地中に分泌され、そこから治療用タンパク質が単離および/または精製されるか、または治療用タンパク質は、治療用タンパク質をコードする単離された核酸を含む細胞の溶解によって培養培地中に放出される。
【0177】
いくつかの特定の態様にいて、治療用タンパク質は、CTLA4-Ig分子、たとえばアバタセプトまたはベラタセプトである。「CTLA4-Ig」または「CTLA4-Ig分子」という用語は、互換的に使用され、CTLA4細胞外ドメインまたはその一部、および免疫グロブリン定常領域またはその一部を有するポリペプチドを少なくとも含むタンパク質分子を示す。細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定常領域は、野生型、または変異体もしくは改変体であり、ヒトまたはマウスを含む哺乳類のものであることができる。ポリペプチドは、追加のタンパク質ドメインをさらに含むことができる。CTLA4-Ig分子は、二量体、四量体、および六量体などのポリペプチドの多量体形態を示す場合もある。CTLA4-Ig分子は、CD80および/またはCD86に結合することもできる。
【0178】
1つの態様では、「CTLA4Ig」は、(i)配列番号:1の26-383、(ii)配列番号:1の26-382、(iii)配列番号:1の27-383、または(iv)配列番号:1の27-382、または任意に、(v)配列番号:1の25-382、または(vi)配列番号:1の25-383;の残基のアミノ酸配列を有するタンパク質分子を示す。単量体形態では、これらのタンパク質は、本明細書では、「配列番号:1の単量体」または「配列番号:1の配列を有する」単量体として示される場合がある。これらの配列番号:1の単量体は、二量体化することができ、二量体の組み合わせには、たとえば、(i)と(i);(i)と(ii);(i)と(iii);(i)と(iv);(i)と(v);(i)と(vi);(ii)と(ii);(ii)と(iii);(ii)と(iv);(ii)と(v);(ii)と(vi);(iii)と(iii);(iii)と(iv);(iii)と(v);(iii)と(vi);(iv)と(iv);(iv)と(v);(iv)と(vi);(v)と(v);(v)と(vi);および(vi)と(vi)が含まれる。これらの異なる二量体の組み合わせは、互いに結合して四量体CTLA4Ig分子を形成することもできる。これらの単量体、二量体、四量体、およびその他の多量体は、本明細書では「配列番号:1のタンパク質」または「配列番号:1の配列を有する」タンパク質と呼ぶことができる。(配列番号:1に示されるCTLA4IgをコードするDNAは、ブダペスト条約の規定に基づき、10801、ユニバーシティー・ブルヴァード、マナッサス、バージニア州20110-2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に、1991年5月31日に寄託され、ATCC受託番号ATCC 68629が付与されている;配列番号:1に示されるCTLA4Igを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株は、ATCC識別番号CRL-10762で、1991年5月31日に寄託された。)本明細書で使用される「アバタセプト」は、配列番号:1のタンパク質を示す。
【表2】
【表3】
【0179】
1つの態様では、治療用タンパク質は、CTLA4-L104EA29Y-Ig(「LEA29Y」または「L104EA29Y」として知られる場合もある)であり、これは配列番号:1に示されるCTAL4-Ig分子と構造が類似した遺伝子組み換え融合タンパク質である。L104EA29Y-Igは、改変されたヒトCTLA4の機能的な細胞外結合ドメインとIgG1クラスのヒト免疫グロブリンのFcドメインを有する。CTLA4ドメインのB7結合領域で、配列番号:1の130位である104位のロイシンをグルタミン酸に変更(L104E)、および配列番号:1の55位である29位のアラニンをチロシンに変更(A29Y)という2つのアミノ酸修飾が行われ、L104EA29Yが生成された。配列番号:2は、シグナルペプチド;+27位のメチオニンから始まり、+150位のアスパラギン酸で終わるか、または+26位のアラニンから始まり、+150位のアスパラギン酸で終わるCTLA4の変異細胞外ドメイン;およびIg領域を含むL104EA29YIgのアミノ酸配列を表す。L104EA29Y-IgをコードするDNAは、ブダペスト条約の規定に基づき、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に、2000年6月20日に寄託された。それは、ATCC受託番号PTA-2104が付与されている。L104EA29Y-Igは、2006年8月22日に発行された米国特許第7,094,874号およびWO 01/923337 A2 にさらに記載されており、これらの特許は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0180】
哺乳動物細胞におけるL104EA29YIgの発現は、N-およびC-末端変異体の生成をもたらすことができ、生成されたタンパク質は、(i)配列番号:2の26-383、(ii)配列番号:2の26-382、(iii)配列番号:2の27-383、または(iv)配列番号:2の27-382、または任意に、(v)配列番号:2の25-382、または(vi)配列番号:2の25-383;の残基のアミノ酸配列を有しうる。単量体形態では、これらのタンパク質は、本明細書では、「配列番号:2の単量体」または「配列番号:2の配列を有する」単量体として示される場合がある。
【0181】
これらのタンパク質は、二量体化することができ、二量体の組み合わせには、たとえば、(i)と(i);(i)と(ii);(i)と(iii);(i)と(iv);(i)と(v);(i)と(vi);(ii)と(ii);(ii)と(iii);(ii)と(iv);(ii)と(v);(ii)と(vi);(iii)と(iii);(iii)と(iv);(iii)と(v);(iii)と(vi);(iv)と(iv);(iv)と(v);(iv)と(vi);(v)と(v);(v)と(vi);および(vi)と(vi)が含まれる。これらの異なる二量体の組み合わせは、互いに結合して四量体L104EA29YIg分子を形成することもできる。これらの単量体、二量体、四量体、およびその他の多量体は、本明細書では「配列番号:2のタンパク質」または「配列番号:2の配列を有する」タンパク質と呼ぶことができる。本明細書で使用される「ベラタセプト」は、配列番号:2のタンパク質を示す。
【表4】
【表5】
【0182】
III.製造方法および治療方法
本開示はまた、本明細書に開示されたウイルス不活化方法、たとえば、本開示の界面活性剤の組み合わせの使用を含むウイルス不活化方法に従ったウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された治療用タンパク質を対象に投与することを含む、疾患または状態を治療する方法を提供する。また、本明細書に開示されたウイルス不活化方法、たとえば、本開示の界面活性剤の組み合わせの使用を含むウイルス不活化方法に従ったウイルス不活化ステップを含むプロセスによって製造された医薬組成物も提供される。本開示はまた、本明細書に開示されたウイルス不活化方法、たとえば、本開示の界面活性剤の組み合わせの使用を含むウイルス不活化方法に従ったウイルス不活化ステップを含む治療用タンパク質の製造方法を提供する。
【0183】
IV.キットおよび製造品
本開示はまた、1つまたは複数の容器(たとえば、本明細書に開示された界面活性剤の組み合わせにおける界面活性剤のそれぞれについて別々の容器)に入れた本明細書に開示された界面活性剤の組み合わせ、および任意で本明細書に開示された方法に従ってウイルスを不活化するための説明書を含むキットまたは製造品を提供する。当業者であれば、本開示の界面活性剤の組み合わせまたはその個々の成分が、当技術分野でよく知られている確立されたキット形式の1つに容易に組み込むことができることは容易に理解できるであろう。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、本明細書に開示されるDDMおよびOGの溶液の組み合わせを含む。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、本明細書に開示されるDDMおよびOGの乾燥形態の組み合わせを含む。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、別々の容器に入った乾燥形態のDDMおよびOGを含む。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、別々の容器に入った溶液のDDMおよびOGを含む。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、粉末形状のDDM、OG、またはそれらの組み合わせを含む1つまたは複数の容器(たとえば、バイアル)と、再構成用の溶媒を含む1つまたは複数の容器(たとえば、バイアル)とを含む。いくつかの態様では、本開示の方法に従ってウイルスを不活化するための指示を含むキットまたは製造品。いくつかの態様では、キットまたは製造品は、DDMとOGを混合して本開示の界面活性剤の組み合わせを形成するための指示書を含む。
【実施例
【0184】
実施例1
界面活性剤によるウイルス不活化、タンパク質安定性および不純物クリアランスの評価
界面活性剤によるウイルス不活化(VI)は、特に次世代の連続製造において、ウイルスクリアランスのための貴重な直交方策を提供する。3種類の脂質エンベロープウイルスのモノクローナル抗体と融合タンパク質に対するVIの試験を通じて、VI剤としての界面活性剤をスクリーニングするために体系的なアプローチが使用された。VIの3つの主要な側面、すなわち、VI剤が治療品質特性に与える影響、その後のクロマトグラフィー工程によるVI剤およびその他の不純物のクリアランス、そして最後に、上記の界面活性剤に対するVIの有効性について調査した。電荷変動、酸化、脱アミド化、グリコシル化および凝集などのいくつかの品質特性を調査した。凝集は安定性の重要な指標であった。実験データとモデリングデータを使用して、最悪のケースのVI条件を調査することにより、pHに敏感な分子の凝集のメカニズムと速度論を解明した。
【0185】
製品の凝集およびその動態は、界面活性剤およびタンパク質濃度などの外的因子によって左右されることが判明した。凝集は、初期の凝集レベルだけでなく、タンパク質配列および界面活性剤の疎水性および臨界ミセル濃度(CMC)などの内的因子によっても影響を受けた。VI効率は、試験したウイルス、インキュベーション期間、ならびに界面活性剤のCMCと濃度に依存していた。ドデシルマルトピラノシド(DDM)は、VIへの応用に適した候補であることが判明した。
【0186】
1.序論
すべての哺乳類の製造プロセスでは、患者の安全[Bethencourt (2009) Nature Biotechnology 27(8):681- 682;Pastoret (2010) Biologicals 38(3):332-334]および規制当局への遵守[Aranha (2012) BioProcess International 10:3;Aranha & Forbes (2001) Pharmaceutical technology 25(4):22-22;Shukla & Aranha (2015) Pharmaceutical Bioprocessing 3(2):127- 138]を確保しながら薬効を維持するために、ウイルス、その他の不純物、製品分解物などの潜在的な汚染物質を効果的に除去する必要がある。細胞株、ウイルスベクター、試薬におけるウイルスの存在の試験に加えて、モデルウイルスおよび非特異的ウイルスを除去する処理段階の堅牢性を実証するために、ウイルスクリアランス(VC)研究が頻繁に実施される[Aranha (2012) BioProcess International 10:3;Aranha & Forbes (2001) Pharmaceutical technology 25(4):22-22;Shukla & Aranha (2015) Pharmaceutical Bioprocessing 3(2):127-138]。現在、食品医薬品局(FDA)は、2つの直交技術を使用して、少なくとも合計6LRV(対数減少値)のウイルスクリアランスを実証することを要求しており、そのうちの1つの方法から少なくとも4LRVが示されている[Shukla & Aranha (2015) Pharmaceutical Bioprocessing 3(2):127-138]。しかしながら、VC試験は、通常、第三者の施設で実施され、4~7か月という長い検査所要時間がかかる傾向がある。したがって、VC検証要件の遵守の遅れが生じるか、または遵守できなかった場合、特に新しいモダリティの治療、非定型プロセス条件、または新しいウイルス不活化(VI)剤の開発、スケールアップ、および商業化が妨げられる可能性がある[Sippleら、(2019) Biotechnology progress 35(5): e2850]。VC検証の失敗のリスクを軽減して、臨床試験の患者への迅速な薬剤投与を確実にするために、VI条件をスクリーニングする効率的で包括的な方策を提案する。
【0187】
低pHおよびクロマトグラフィーからのVCまたはろ過ベースの操作は、広範囲にまとめられているが、界面活性剤を介したVIは主にTriton X-100について研究されてきた[Ciprianoら、、Effectiveness of various processing steps for viral clearance of therapeutic proteins: database analyses of commonly used steps、in Therapeutic Proteins. 2012、Springer. p. 277-292;Brorsonら、(2003) Biotechnology and Bioengineering 82(3):321-329;Ma & Roush (2016) PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 70(5):410;Jinら、Protein aggregation and mitigation strategy in low pH viral inactivation for monoclonal antibody purification. in MAbs. 2019. Taylor & Francis]。
【0188】
従来、製薬業界では、VIとしてTriton X-100(C14H22O(C2H4O)n)が使用されてきた。それは、親水性ポリエチレンオキシド鎖と1,4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールの芳香族炭化水素基を有する非イオン性界面活性剤である。しかしながら、Triton X-100は、エチレンオキシドを段階的に除去することにより、水生生物種、動物およびヒトに有害なエストロゲン作用を有する内分泌かく乱物質である4-tert-オクチルフェノールに分解される[Farsangら、(2019) Molecules 24(7):1223;Kano & Ishimura (1995) Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 2(8):1655-1660]。そのため、欧州化学物質庁(ECHA)は、Triton X-100を高懸念物質(SVHC)とみなし、すべての製造プロセスでその代替を義務付けた[Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820;US Patent No. 10,611,795;Adopted opinions and previous consultations on applications for authorisation. echa.europa.eu/applications-for-authorisation-previous-consultations/-/substance- rev/23826/term 2019]。したがって、製造プロセスにおいてTriton -X100を置き換えるという業界全体の取り組みが行われている。Triton X-100の代替品として、X-MuLV(異種向性マウス白血病ウイルス)およびPRV(仮性狂犬病ウイルス)のVI用のpH中性アルギニン緩衝液[McCueら、(2014) Biotechnology Progress 30(1):108-112]、caprylate for VI of HSV-1 (Herpes Simplex Virus type 1) and Sindbis virus [Lundblad & Seng (1991) Vox Sanguinis 60(2):75-81]およびX-MuLVのVI用のSimulsol SL 11W[Luoら、(2020) Identification and Characterization of a Triton X-100 Replacement for Virus Inactivation. Biotechnology Progress 36.6: e3036]が挙げられる。アルギニンおよびLDAOは、X-MuLVクリアランスのためのプロテインA洗浄緩衝液にも使用されている[Boltonら、(2015) Biotechnology Progress 31(2):406-413]。
【0189】
連続低pH VIの出現により、製品の品質特性に悪影響を与えることなく適切なVCを達成できるかどうかが懸念される。連続低pH VIは、管状リアクター内のプラグフロー方式を模倣することにより不活化を達成するので、低pH溶液条件への長時間または局所的な曝露から生じる分解生成物を回避しながら適切なVIを確保するには、理想的な滞留時間が重要である[Jungbauer (2019) Biotechnology Journal 14(2):1800278;Konstantinov & Cooney (2015) Journal of Pharmaceutical Sciences 104(3):813-820;Gillespieら、(2019) Biotechnology Journal 14(2):1700718]。したがって、界面活性剤によるVIは、低pHに敏感な分子および製品劣化のリスクを最小限に抑えた次世代の連続バイオプロセスに対するVCの直交手段を提供する可能性がある。
【0190】
界面活性剤の選択における重要な基準は、ウイルスを除去することに加え、製品の品質への影響を最小限に抑えながら界面活性剤の完全なクリアランスを保証することである[Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820]。この趣旨で、私たちは、効力、電荷変異、酸化、脱アミド化、グリコシル化および凝集など、いくつかの品質特性に対する界面活性剤の影響を評価した。さまざまな界面活性剤の存在下での精製原薬(DS)の薬効または効力を、製品品質の尺度として評価した[Rowshanravanら、(2018) Blood 131(1):58-67]。界面活性剤とタンパク質の特定の相互作用およびタンパク質の展開または凝集から生じるタンパク質の電荷変異に対する界面活性剤の影響も評価された。界面活性剤によって引き起こされるタンパク質の展開、変性または凝集は、イソアスパラギン酸などのタンパク質形成生成物の酸化または脱アミド化を起こしやすいアミノ酸を溶媒にさらす可能性があり、その結果、ヒトにおける免疫原性反応のリスクが高まる[Manningら、(2010) Pharmaceutical Research 27(4):544-575;Jenkinsら、(2008) Molecular Biotechnology 39(2):113-118]。DSのメチオニンの酸化とアスパラギンまたはグルタミンの脱アミド化も評価された。タンパク質のグリコシル化から生じるシアル酸は、タンパク質上の凝集しやすい部位、たとえば、疎水性部位を保護することにより、タンパク質の自己会合を最小限に抑える。[Jingら、(2010) Biotechnology and Bioengineering 107(3):488-496;Sinclair & Elliott (2005) Journal of Pharmaceutical Sciences 94(8):1626-1635;Sola & Griebenow (2009) Journal of Pharmaceutical Sciences 98(4):1223-1245]。Tringaliらは、界面活性剤が酵素シアリダーゼの活性を変化させ、それによってシアル酸含有量、さらにはタンパク質の溶解性と安定性に影響を与える可能性があることを示した[Jingら、(2010) Biotechnology and Bioengineering 107(3):488-496;Tringaliら、(2004) Journal of Biological Chemistry 279(5):3169-3179]。界面活性剤を添加した精製採取物のプロテインA溶出液中のNANA(N-アセチルノイラミン酸)またはNGNA(N-グリコリルノイラミン酸)の形態でのシアル酸含有量を調査した。界面活性剤分子の両親媒性は、界面活性剤と、タンパク質の疎水性領域と親水性領域の両方との相互作用をもたらし、タンパク質凝集またはHMW(高分子量種)の形成をもたらす。タンパク質の展開は、Lumry-Eyringフレームワークによってモデル化され、一次可逆タンパク質展開(RLS = 律速段階)から始まり、その後に高次の凝集が続く[Shuklaら、(2007) Journal of Chromatography A 1171(1-2):22-28;Kendrickら、(1998) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 95(24):14142-14146.]。
【0191】
我々は、プロテインA精製によって、最も有望なVI剤のプロセス媒介界面活性剤および不純物クリアランスについて調査した。次に、CHO細胞由来の2つの異なる治療法における3つの異なる脂質エンベロープウイルスの不活化のためのVI剤として、低生物毒性の非イオン性および両性イオン性界面活性剤をスクリーニングした。不活化とタンパク質の不安定性を推進する因子の速度論的および/またはメカニズム的理解は、製品の品質と不純物除去を損なうことなくVI条件を効率的にスクリーニングするための貴重なガイダンスを提供できる。
【0192】
2.材料および方法
スクリーニング試験は、安定性、カラムベースの不純物クリアランス、続いての図1パネルAに示すVIの3段階に分かれる。安定性試験は、2つのセグメントに分かれる。最初の初期スクリーニングでは、VIを代表するプロセス条件に匹敵する濃度でタンパク質DSの凝集体形成を評価した。DSは、安定性の最悪のケースとして、室温で24時間にわたって高濃度および低濃度の界面活性剤で処理された。24時間にわたって凝集体形成のレベルがコントロール(界面活性剤なし)より低いか同等か、またはHMW形成が2%未満であった界面活性剤条件は、開発されたプロセスに合わせて、より包括的な安定性スクリーニングに引き継がれた。タンパク質は、安定性の最悪のケースとして許容される動作範囲に適合する最高温度、すなわち室温および最長時間でインキュベートされた。したがって、試験された融合タンパク質については、それぞれの採取プールに界面活性剤を添加し、プロテインA精製し、溶出液の製品品質を評価した。試験された品質特性には、凝集、効力、電荷変動、酸化、脱アミド化およびグリコシル化が含まれる。さらに、溶出液の界面活性剤および不純物含有量(宿主細胞タンパク質、残留プロテインA、およびDNAを含む)を評価し、コントロールと比較した。有望なクリアランスを示した条件は、VIの最悪のケースとして最低温度2~8℃、最短時間1時間のVI試験という最終段階に引き継がれた。安定性スクリーニングは、凝集体形成についてのDSによる予備スクリーニングと、プロセスを代表するVIロードに対する最終スクリーニングの2段階で実施された。予備スクリーニングでは、顕著な凝集体形成につながる可能性のある条件を排除するために、DSに界面活性剤をを添加した。最終的なプロセスを代表するVI安定性スクリーニングでは、VIロードに界面活性剤を添加し、クロマトグラフィーによる捕捉または研磨を行い、製品の品質特性について生成されたVIプールを評価した。安定性に続いて、VIに続くクロマトグラフィーステップによる界面活性剤と不純物クリアランスが試験された。試験された融合タンパク質については、採取した細胞培養液、すなわち、VIロードに界面活性剤を添加し、続いてプロテインA精製を行った。その後、プロテインA溶出液の製品品質、ならびに界面活性剤および不純物クリアランスについて評価した。VIスクリーニングの最終段階では、第三者の試験施設でバイオセーフティレベル2(BSL2)ウイルスを使用したVI試験を実施した。
【0193】
本実施例のFus1はアバタセプトであり、一方、Fus2タンパク質はベラタセプトである。
【0194】
2.1 界面活性剤のリスト
高濃度および低濃度のDSと、両分子の採取物に界面活性剤を添加し(表1)、室温でインキュベートした。
【表6】
【0195】
Fus1とFus2の両方において、VIステップは、採取した細胞培養液のpH中和後であり、プロテインA精製の前である。したがって、界面活性剤の影響がプロセスを代表するように、採取材料は、主要な界面活性剤とともに室温で57時間(Fus1)と38時間(Fus2)の長期間にわたってインキュベートされた。最長の保持時間は、安定性にとって最悪のケースとしての処理条件の代表であった。
【0196】
2.2 品質特性
安定性スクリーニングでは、mAb1 DSに既知量の界面活性剤(Triton X-100を含む)を2~8℃で最低1時間添加し、製品の品質特性を試験した。比較には界面活性剤を含まないコントロールを使用した。製品の品質特性の試験には、HMW(高分子量)種、効力、および電荷分布プロファイルが含まれた。
【0197】
融合タンパク質については、高タンパク質濃度と低タンパク質濃度のFus1とFus2のDSに界面活性剤を添加し、室温で最大24時間インキュベートした。安定性の最悪のケースのプロセス代表となる添加研究と、界面活性剤クリアランスを実証するために、2つの融合タンパク質の採取した清澄化細胞培養液を添加し、Fus1の場合は最大55時間、Fus2の場合は最大38時間の室温での保持時間後にプロテインA精製した。次に、プロテインA溶出液のさまざまな品質特性を試験した。界面活性剤を添加した採取物のプロテインA溶出液中で生成されたさまざまな分子量の種を分析するために、複数の手法を使用した。これらの方法には、SEC(サイズ排除クロマトグラフ)、高解像度タンデムSEC、NR SDS-PAGE(非還元ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)が含まれ、その他の特性評価手法とともに以下で詳しく説明する。
【0198】
2.2.1 サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、ガードカラム(Tosoh Bioscience、カタログ番号08541)と並んだTSKgel G3000SWXLカラム(Tosoh Bioscience、カタログ番号085430)を使用して、Waters HPLC Alliance 2695システムで実行された。移動相は、0.2M リン酸ナトリウム、一塩基、0.9% NaCl、pH7.0を使用し、1~10mg/mLの標的タンパク質濃度で20μLの注入量、流速1mL/分で使用した。タンデムSECは、移動相として0.2M KH2PO4、0.9% NaCl、pH6.8を使用し、6 TSKgel G3000SWXLカラムを使用して50μLの注入量、流速0.5 mL/分で実行した。
【0199】
2.2.2 NR SDS-PAGE
非還元ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(NR SDS-PAGE)は、4~20%トリス-グリシンミニゲル、WEDGEWELL(商標)フォーマット12ウェル(Invitrogen、カタログ番号:XP04202BOX)および1Xトリス-グリシンSDSランニング緩衝液を使用して実行され、クマシーブルーで染色された。Image Labソフトウェア(Bio-Rad、カタログ番号:SFAWBA10464)を搭載したGS-900デンシトメーターを使用してゲルを分析し、タンパク質サンプル内の異なる分子量種を識別した。
【0200】
2.2.3 効力
効力は、活性化抗原提示細胞(APC)に典型的に見られる膜タンパク質B7.1 Igの相補結合ドメインに対する融合タンパク質のCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)ドメインの結合効力を測定することによって決定された[23]。精製DSの薬効は、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して評価された;Fus1およびFus2のCTLA-4ドメインの高濃度の末梢膜タンパク質B7.1 Igに対する結合効力が調べられた。結合効力に対する不純物の影響のため、DSのみが試験された。
3g/Lの低DS濃度が試験され、参照物質(RM)と同等の効力を示した。効力の許容限界は、Fus1の場合は70~130%、Fus2の場合は75~125%である。
【0201】
2.2.4 シアル酸含量
シアル酸は、アセチル基(N-アセチルノイラミン酸/NANA)またはグリコール基(N-グリコリルノイラミン酸/NGNA)の付加によって修飾されたノイラミン酸である。シアル酸含有量は、正規化されたモル比として報告され、これは組み換えタンパク質1モルあたりのNANAとNGNAの合計モル数である。タンパク質濃度は、280nmでのUV吸光度によって測定された。シアル酸含有量は、最終濃度0.1Nの硫酸を使用して80℃にて1時間部分酸性加水分解し、続いて、Rezex Monosaccharid RHM HPLCカラム(Phenomenex、カタログ番号OOH-0132-KO)とそれぞれのガードカラム(Phenomenex、カタログ番号03B-0132-KO)を使用する逆相HPLCによって測定された。溶出は、5mM 硫酸で0.6mL/分、40℃で実施された。
【0202】
2.2.5 酸化および脱アミド化
タンパク質サンプルは変性緩衝液(8M グアニジン、50mM TRIS、pH8.0)で変性し、シスチンジスルフィド架橋をジチオトレイトール(200mM DTT)で還元した後、ヨードアセトアミド(400mM IAM)でS-アルキル化した。変性還元タンパク質は、緩衝液交換(50mM TRIS、10mM CaCl2、pH7.6)した後、トリプシンで消化した。得られた消化混合物を、移動相A(0.1% TFA、HPLCグレード水中の50mMメチオニン)および移動相B(0.1% TFA、50mM メチオニン、80% ACN、20% HPLCグレード水)を使用して、UPLC BEH C18カラム、1.7μM、130オングストローム、2.1 x 100mm(Waters、カタログ番号186002352)を使用した逆相超高性能液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)で分析した。215nmの吸光度でのタンパク質検出と、275nm/303nmおよび280nm/348nmの蛍光励起/発光を使用して、それぞれ酸化と脱アミド化の相対レベルを定量化した。
【0203】
2.2.6 イメージングキャピラリー等電点電気泳動(iCIEF)
イメージングキャピラリー等電点電気泳動(iCIEF)法は、等電点(pI)によるさまざまなタンパク質アイソフォームの電荷ベースの分離である。最終濃度1.0mg/mLのタンパク質サンプルを、オートサンプラーによって機器内のキャピラリーカートリッジに注入した。サンプルを1500Vで1分間プレフォーカスし、その後3000Vで9分間フォーカスした。サンプルの移動をUV光吸収イメージを撮影するCCDカメラによって捕捉し、ピークを関連ソフトウェアを使用して分析して、さまざまなpIマーカー領域にピークを分類した。
【0204】
2.3 界面活性剤および不純物クリアランス
2.3.1 界面活性剤クリアランス
荷電エアロゾル検出器(CAD)ベースの逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)法を使用して、それぞれの界面活性剤を添加したFus1およびFus2採取細胞培養液のプロテインAロード、フロースルー、および溶出液中の界面活性剤、OG、およびDDMを検出した。XBridge BEH C4カラム(Waters、カタログ番号186004499)を使用して、移動相A/Bとしてそれぞれ水/メタノール中の0.02%ギ酸を使用して界面活性剤をタンパク質から分離した。荷電エアロゾル検出器(Corona Ultra RSまたは同等品)による界面活性剤の検出を実施した。ピーク下面積を、OGとDDMの両方について、定量限界が0.003%である二次方程式を使用して、公称界面活性剤濃度に対してプロットした。
【0205】
2.3.2 DNAクリアランス
残留CHO細胞DNAを、CHO細胞ゲノムの特定の反復配列を挟むフォワードプライマーとリバースプライマーを備えたTaqManプローブを使用したqPCRアッセイによって定量化した。蛍光受容体は、5'末端にあり、受容体の蛍光を消光するクエンチャーは、3'末端にある。増幅により、Taqポリメラーゼ反応のエキソヌクレアーゼ活性がレポーター色素を放出し、蛍光シグナルを生じる。閾値蛍光に達するために必要な増幅サイクル数は、元のサンプルのDNA含有量に反比例した。参照CHO細胞DNAのサイクル数の標準曲線を使用して、未知のサンプルのDNAを定量化した。
【0206】
2.3.3 HCPクリアランス
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、プロテインA溶出液中のCHO宿主細胞タンパク質のレベルを定量した。
【0207】
2.3.4 残留プロテインAクリアランス
溶出液中の残留プロテインAのレベルを定量するために、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を使用した。抗プロテインAでコーティングしたマイクロタイタープレートをサンプルとともにインキュベートし、ビオチン化抗プロテインAで処理した。プレートをストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼで処理し、TMB(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)を使用して比色反応を生成した。反応を酸性溶液でクエンチし、450nmで吸光度を測定した。既知のプロテインA標準に対する吸光度の検量線を作成して、プロテインA含有量を定量した。
【0208】
2.4 モデリング方法論
タンパク質Fus1とFus2の3D三次構造は、BIOVIA Discovery Studio ソフトウェア内の相同性モデリングプロトコルを使用して取得された(Discovery Studio Modeling Environment、Release 4.1、San Diego: BIOVIA Software Inc.、2014)。次に、空間凝集傾向(Spatial-Aggregation-Propensity:SAP)モデルを使用して、タンパク質表面の疎水性パッチを決定した。[Chennamsettyら、(2009) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 106(29):11937-11942]。SAPモデルは、BIOVIA Discovery Studio ソフトウェアを使用して、相同性モデル化された構造に適用された。次に、各原子のSAP値に基づいてタンパク質を色付けした。正のSAP値は赤色、ゼロに近いSAP値は白色、負のSAP値は青色であった。したがって、赤色の領域は正のSAP値を表し、これは、タンパク質表面の疎水性パッチである。Fus1とFus2の全体的なSAPスコアは、各原子の正のSAP値を合計することによって計算された。
【0209】
2.5 統計分析
この報告のすべての実験の統計分析には、SAS-JMP バージョン13.1.0を使用した。凝集に影響を与えると考えられるすべてのパラメータ(界面活性剤の種類、タンパク質または分子、界面活性剤濃度、タンパク質濃度、および初期のHMW%)の主な効果から始めて、HMW形成の程度と速度について、p値が0.05の逆方向ステップワイズ回帰を構築した。最終モデルは、最高p値から最低p値の順に、有意でない効果(p値>0.05)を排除することによって決定された。決定係数(R2)は、モデルによって説明される全体的な変動量を説明するために使用された。モデル内のパラメータ数に合わせて調整された調整済みR2は、R2と連動して、モデルが過剰適合しているかどうかを評価するために使用された。予測されたR2は各モデルの堅牢性を試験するために使用され、調整済みR2と予測されたR2の差が約0.2以下であれば、モデルが堅牢であることを示す。この統計ベースのアプローチでは、モデルの残差が独立して正規分布し、平均がゼロで分散が一定であると想定した。残差は視覚的に検査され、残差プロットと正規Q-Qプロットを使用して分析され、適合した各モデルについてこれらの想定が確認された。スチューデント化された残差プロットは、潜在的な外れ値を識別するために使用された。特定された外れ値が影響力があるかどうかを判断するために、Cookの距離を取得した。影響力のある外れ値は、モデルの仮定を満たすように変換されるか、必要に応じてモデルの適合時に削除される。影響力のある外れ値が特定された場合、または他のモデルの仮定が満たされなかった場合に、モデルに適合するための最適な変換を特定するために、Box-Cox Y変換検定が実行された。
【0210】
2.6 ウイルス不活化
3つの脂質エンベロープウイルスX-MuLV、HSV-1、およびA-MuLV(両向性マウス白血病ウイルス)について、モノクローナル抗体(mAb1)および融合タンパク質(Fus1)の細胞培養液中のVIを、さまざまな界面活性剤および界面活性剤濃度で調査した(図6)。タンパク質濃度および緩衝液マトリックスは、特定の治療およびプロセスの採取物で決定された。不活性化の最悪のケースとして2~8℃の温度を使用し、不活性化の速度論を調べるために0、5および60分間のインキュベーション時間を使用した。ウイルスクリアランスは、次のようにpfu(プラーク形成単位)から計算された対数減少値(LRV)の単位で測定された。
【数3】
【0211】
ウイルス不活化研究は、mAb1採取物中のX-MuLV、Fus1採取物中のHSV-1およびA-MuLVについて、2~8℃にて0、5、60分間実施した。各条件の不活化研究を2回実施したところ、結果は0.5LRV以内で変動した。2つのLRVSのうち低い方を図6にプロットし、不活化の程度に関して保守的であるようにした。エラーバーはアッセイの変動性を表す。
【0212】
3. 結果と考察
我々の結果は、3段階でVIの条件をスクリーニングするための詳細な方策を提供した。VI評価の最初の段階は、精製製品中の界面活性剤の存在下、および界面活性剤を添加した清澄化採取物のプロテインA溶出液中の治療製品の品質を検証することであった。このステップに続いて、カラムベースの捕捉ステップによる効果的な界面活性剤および不純物クリアランスの実証が行われ、最後に、ウイルスクリアランスに対する界面活性剤の有効性が試験された(図1)。最終段階としてVIを実施することで、安定性および不純物クリアランス基準を満たさない条件が除外された。
【0213】
VC研究に投入する試験条件の数を減らすと、コストとターンアラウンドタイムが大幅に節約される。方策の詳細は、「材料と方法」のセクションに記載する。
【0214】
3.1 治療製品の品質
タンパク質凝集などの製品品質の変化は、薬効力の低下または患者の免疫原性反応につながる可能性がある。[Liuら、Acid-induced aggregation propensity of nivolumab is dependent on the Fc. in MAbs. 2016. Taylor & Francis;Moussaら、(2016) Journal of Pharmaceutical Sciences 105(2):417-430]。界面活性剤媒介VI中のタンパク質の安定性は、温度、インキュベーション期間、界面活性剤濃度、タンパク質の種類、その濃度および不活性化の溶液マトリックスなど、いくつかの要因によって影響を受ける。[Brorsonら、(2003) Biotechnology and Bioengineering 82(3):321-329;Ma & Roush (2016) PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 70(5):410;Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820]。私たちはこれらの要因のいくつかについてタンパク質の安定性を調査した;研究の詳細は、下記の「材料と方法」および「補足情報」に記載する。
【0215】
mAb1原薬(DS)については、いずれの製品品質特性にも大きな影響は観察されなかった(図8)。mAb1(pI ~8.6)とは異なり、融合タンパク質(pI ~5.0)のpH感受性により、Fus1とFus2は低pHでのVIに付すことができなかった。そのため、「材料と方法」に詳述されているように、Fus1とFus2の広範な安定性スクリーニングを実施した。この研究で非イオン性および両性イオン性界面活性剤を使用した場合に予想されるように、両方の分子の電荷プロファイルに比較的わずかな変化が見られた(図9)。これらの酸化および脱アミド化プロファイルには、ほとんどの場合有意差は観察されなかったが、1 x CMCのOGではFus1とFus2採取物の両方でより高い酸化を示した(図10)。すべての条件で、それぞれFus1およびFus2参照材料と同等の効力を示した。DSの濃度が高い場合、効力は最悪であり、特にFus1の10 x CMCでのOGは、24時間で60%未満の効力を示した(図11)。Fus1対Fus2の効力のより大きな低下は、Fus1のOG対Fus2のOGのHMW形成の程度が大きいことに起因する可能性がある(図2)。シアル酸含有量の形でのグリコシル化は、重要な製品品質パラメータである。NANAはヒトによって生成されるが、NGNAは免疫原性反応を示す可能性がある。[Moussaら、(2016) Journal of Pharmaceutical Sciences 105(2):417-430;Surianoら、(2009) Glycobiology 19(12):1427- 1435]。Fus1における異なる界面活性剤に対するNANAまたはNGNAのシアル酸レベルに有意な変化は見られなかった(図12)。
【0216】
3.1.1 凝集
天然または折り畳まれたタンパク質の初期の自己会合は、可逆的な凝集体の形成をもたらす可能性があるが、疎水性相互作用による折り畳まれていないか、または非天然のタンパク質の再折り畳みは不可逆的な凝集体の形成をもたらす可能性がある。[Shuklaら、(2007) Journal of Chromatography A 1171(1-2):22-28;Kendrickら、(1998) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 95(24):14142-14146]。界面活性剤はタンパク質と相互作用してタンパク質の折り畳みを開き、疎水性ドメインを露出させ、疎水性相互作用による凝集を引き起こす可能性がある。[Ferozら、(2018) Analyst 143(6):1378-1386;Tulumelloら、(2012) Biochimica et Biophysica Acta-Biomembranes 1818(5):1351-1358]。不可逆凝集体の確認[Shuklaら、(2007) Journal of Chromatography A 1171(1-2):22-28;Kendrickら、(1998) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 95(24):14142- 14146]、このように形成されたものは、SDS-PAGEゲル、タンデムSEC(データ示さず)、およびSECなどの代替技術によって得られた。[Boydら、Isolation and characterization of a monoclonal antibody containing an extra heavy-light chain Fab arm. in MAbs. 2018. Taylor & Francis]。SECプロファイルは、時間の経過とともにHMWが増加し、モノマータンパク質が減少することを示した(図13)。
【0217】
Fus1およびFus2について、いくつかの界面活性剤でSEC分析を実施し(図14)、VIに持ち越された界面活性剤のデータを、図2にまとめる。24時間保持中に生成されたHMWは、タンパク質の種類、その濃度、溶液マトリックス、初期のHMW含有量、界面活性剤の種類とその濃度を含むいくつかのプロセス条件に対してモデル化された。R2 = 0.91、ANOVA p値 = 0.0002という強い相関関係を示す当社のモデルは、凝集の程度を決定する上で重要な要因は、界面活性剤濃度とタンパク質濃度、および初期HMWレベルであることを示した(図2、パネルD)。HMW形成は、初期HMW、タンパク質濃度ならびに界面活性剤濃度が高いほど増加した。
【0218】
2~3g/Lの界面活性剤を添加した清澄化細胞培養採取物から得られたプロテインA溶出液では、同等のHMW形成が観察されたが、Fus1の初期HMWは、Fus2よりも高かった(図2、パネルC)。同等のDS濃度3g/Lでは、Fus2と比較して、Fus1でより多くのHMW形成が観察された(図2、パネルA)。異なるHMWレベルは、溶液マトリックス(上流の培地条件など)によって影響を受ける可能性があるが、安定性に大きく寄与するのはタンパク質の構造の違いであると思われる。[Chennamsettyら、(2009) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 106(29):11937-11942]。また、分子構造が凝集の程度に与える影響を特定するために、両方の分子に対して、SAP(空間凝集傾向)モデリングも実行した。SAPモデルは、凝集または結合しやすいタンパク質表面の疎水性パッチを特定し、分子の全体的な疎水性のスコアも提供する。[Chennamsettyら、(2009) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 106(29):11937-11942]。図3に示すように、Fus1は、2つの分子の疎水性の違いを説明する2つの点変異によってFus2と異なる。[Bluestoneら、(2006) Immunity 24(3):233-238]。Fus1のSAPスコアは115.4であったが、Fus2では110.3であった。より疎水性であるアミノ酸L(ロイシン)からE(グルタミン酸)への変異により、Fus1の大きな疎水性パッチがFus2のより小さな疎水性パッチへと破壊された。Fus2のより小さい疎水性のアミノ酸A(アラニン)からより大きな疎水性のアミノ酸Y(チロシン)への変異により、Fus1と比較して新しいが著しく小さな疎水性パッチが導入された。Fus1のSAPスコアが高いことは、疎水性が高いことを示し、同等のタンパク質および界面活性剤濃度で、Fus2よりもFus1の凝集傾向が高いことを説明した(図2、パネルB)。
【0219】
3.1.2 凝集の速度論
HMW形成は、高濃度DS中のOG、DDM、LDAOに対して、また、採取した細胞培養液中のOGとDDMに対しても、一次速度則を示した(図4、パネルA-C、および図15)。Nはモノマー種、N0は時間t=0における初期モノマー%であるとすると、凝集は一次速度則に従い、k1は凝集の速度定数であり、式(1)に示されるとおりである(導出は補足情報を参照)。
【数4】
【0220】
モノマー濃度の自然対数の経時的な直線傾向は、HMWへの高い変換率でも、プロセスの律速段階はタンパク質-タンパク質衝突ではなく、図4のパネルBに見られるようにモノマー(N)を一時的な展開状態に変換する前の段階であることも示す。高濃度DSの場合、10 x CMCのOGは、10 x CMCのDDMよりもFus1とFus2の両方で凝集の速度定数を高くした。タンパク質の展開がタンパク質と界面活性剤の相互作用によって開始されたと仮定すると、HMW形成の速度または程度は、ミセルの疎水性に関係する。疎水性の尺度の1つのパラメーターは、親水性親油性バランス数(HLB)であり、疎水性が低いほど、HLBが大きくなる。直感的に、OGのヘッドグループが最も小さく、次にDDMが続き、その結果としてOGは脂質のパッキングが最も密であり、疎水性が最も高い。LDAOは両性イオン性ヘッドグループを持っているため、ミセルの溶解度が高く、HLB値も高くなる。OGでは、Fus1の方がFus2よりもHMW形成度が高いことが示された。[Ferozら、(2018) Analyst 143(6):1378-1386;Breibeck & Rompel (2019) Biochimica et Biophysica Acta-General Subjects 1863(2):437-455]。したがって、凝集体形成の速度定数と疎水性(Breibeckらから得た)はともに、OG > DDM > LDAOの順であった(図4、パネルC)。結果は、Triton X-100のHLB値である13.5と一致しており、時間の経過とともに疎水性が低くなり、凝集傾向が低くなることを示す。[Slinde & Flatmark (1976) Biochimica et Biophysica Acta- Biomembranes 455(3):796-805]。
【0221】
図2、パネルA-Cの条件で、界面活性剤、OGおよびDDMが存在する場合の、異なるタンパク質濃度と緩衝液マトリックスでのFus1とFus2の凝集体形成の速度論が得られた。高濃度DSの10 x CMCでのOGのHMW含有量が非常に高いため、その後のすべての安定性研究は1 x CMCのOGで実施された。すべての試験条件で10 x CMCのDDMを使用した。凝集体形成は、OGの速度定数が最も大きく、次にDDMが続く一次速度論を示した。3g/Lの低濃度DSでは、Fus1の凝集体形成速度がFus2よりも高いことが示されたが、これは2つのタンパク質の構造の違いによって説明することができる(図3)。低濃度DSの場合、10-4 h-1の範囲の速度定数は、高濃度DSおよび界面活性剤を添加した採取物のプロテインA溶出液と比較して1~2桁低く、低タンパク質濃度でDSの安定性が高くなっていることを示す(図4、パネルD)。タンパク質マトリックス内の初期のHMWの程度によって影響を受ける全体的なHMW形成とは異なり、凝集速度はタンパク質および界面活性剤濃度と強い相関関係を示した(R2 = 0.84、ANOVA p値 = 0.0002)(図4、パネルE)。
【0222】
3.2 界面活性剤および不純物クリアランス
最終製品に残留する界面活性剤は、薬剤の効能と免疫原性に影響を与える可能性がある。したがって、VIと安定性スクリーニングに基づいて界面活性剤を絞り込んだ後、下流の処理を通じて界面活性剤のクリアランスを実証することが重要であった。Fus1とFus2の場合、採取したプールのVIに続いて、プロテインAクロマトグラフィーによって界面活性剤のクリアランスが実証された。タンパク質採取物には、それぞれ1 x CMC(0.68w/v%)と10 x CMC(0.061w/v%)の界面活性剤OGおよびDDMが添加された。その後、採取物はプロテインAで精製され、フロースルーと溶出液が収集され、それぞれの界面活性剤について定量化された。結合および溶出モードの操作により、界面活性剤の75%以上がプロテインAロードからのフロースルーに含まれていた。プロテインAクロマトグラフィーでは、溶出液の界面活性剤濃度がOG(0.01%)とDDM(0.005%)の両方で検出限界を下回り、大幅な界面活性剤クリアランスが実証された。含まれていない界面活性剤は、プロテインA溶出前のカラム洗浄で除去された可能性がある(図5、パネルAおよびB)。さらに、その後のポリッシングクロマトグラフィーステップでは、患者の安全のために追加のクリアランスが提供される。
【0223】
界面活性剤に加えて、界面活性剤を添加した採取物とコントロールとして界面活性剤を添加していない採取物のプロテインA溶出液について、DNA(デオキシリボ核酸)、HCP(宿主細胞タンパク質)および残留プロテインAも定量した。すべてのプロテインA溶出液において、コントロールおよびTriton X-100を添加した採取物と同等のDNA、HCPおよび残留プロテインAが示された(図5、パネルC-D)。
【0224】
3.3 ウイルス不活化
界面活性剤媒介VIのメカニズムは、pH媒介VIと類似点があり、検討中の界面活性剤-タンパク質-ウイルスシステムの特徴である可能性が高い。界面活性剤は、X-MuLVの場合のように、宿主細胞感染に重要な特定のウイルス表面糖タンパク質を展開または変性させる可能性がある。[Brorsonら、(2003) Biotechnology and Bioengineering 82(3):321-329;Simons & Ehehalt (2002) Journal of Clinical Investigation 110(5):597-603]。あるいは、界面活性剤は、ウイルスの脂質エンベロープを溶解するか、膜タンパク質を界面活性剤ミセルに優先的に分配することによって、HSV-1などのウイルスを不活化することができる。[Welling-Westerら、(1998) Journal of chromatography A 816(1):29-37]。ウイルス検証研究で一般的に使用される3つの脂質エンベロープウイルス、X-MuLV、HSV-1およびA-MuLV(両向性マウス白血病ウイルス)について、VIを調査した。VIにとって最悪の温度である2~8℃にて60分間保持した後、LRV≧4.0を示すVI条件は、有効であるとみなされた。さまざまな界面活性剤による不活化の程度をTriton X-100と比較した。
【0225】
3.3.1 界面活性剤
最初に試験した治療薬はmAb1であり、その採取物にCMC(臨界ミセル濃度に関するさまざまな界面活性剤濃度のX-MuLVを添加した(図6、パネルA)。Triton X-100の1 x および10 x CMCの両方の条件でLRVが4.85±0.5以上となり、VCに対する一般的な括弧内のアプローチと一致する結果を示した。[ASTM、E3042 - 16、Standard Practice for Process Step to Inactivate Rodent Retrovirus with Triton X-100 Treatment. ASTM International、2016]。界面活性剤OG、Zwittergent、CG110では、試験した高濃度と低濃度の両方で4.0を超えるLRVが観察された。界面活性剤DM、DDM、LDAO、Ecosurf、CG-650では、VIは、濃度に依存し、後者3つは10 x CMCの濃度で≧4.0のLRVを示した。界面活性剤誘発VIの有効性は、CMC、疎水性、電荷および拡散性などの界面活性剤の特性に依存した。[Breibeck & Rompel (2019) Biochimica et Biophysica Acta-General Subjects 1863(2):437-455;Ferozら、(2018) Biophysical Journal 115(2):353-360;Ferozら、(2016) Biotechnology and Bioengineering 113(10):2122-2130]。同じ界面活性剤の異なる類似体で、鎖長やヘッドグループが異なるものは、分子特性が大きく異なる。デシルからドデシルマルトピラノシド、すなわちDMからDDMへのアルキル鎖長の炭素原子2個分の増加は、CMCのほぼ10倍の減少と疎水性の増加をもたらす。[Ferozら、(2018) Analyst 143(6):1378-1386;Oliverら、(2013) PloS One 8(5);Ferozら、(2019) Biotechnology Progress 35(6):e2859]。したがって、10 x CMCのDDMは、mAb1採取時のX-MuLVに対して5.0 LRVのVIを示しましたが、10 x CMCのDMは、図6のパネルAに示すように、VIが2.0 LRVしか示さなかった。Triton X-100モノマーは、DDMまたはDMよりも二重層を横切る拡散が速いことを実証し、それによって効果的な二重層の可溶化とVIをもたらした。[Kragh-Hansenら、(1998) Biophysical Journal 75(6):2932-2946;Lichtenbergら、(2013) Biophysical Journal 105(2):289-299]。拡散が遅いDMまたはDDMモノマーは、外側のリーフレットに蓄積され、その曲率が増加して膜の出芽または陥入が起こり、混合ミセルが形成される。[Lichtenbergら、(2013) Biophysical Journal 105(2):289-299]。DMまたはDDMの拡散速度が遅いため、さまざまなタンパク質ウイルスシステムにおいて対応するVIが低くなる。OGは、以下で説明するように、その高い疎水性により、すべての条件で高い不活化を示した。Zwittergent 3-12とLDAOを除き、試験したすべての界面活性剤は非イオン性であった。これらの界面活性剤の両性イオン性により、ウイルスエンベロープ内の脂質またはタンパク質とヘッドグループとの潜在的な静電相互作用により、不活化の有効性が高くなることも説明できる。[Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820]。不活化が期待できるにもかかわらず、一部の界面活性剤は、安定性が低い(CG-110)、拡張性または製造上の問題(CG-650)および生分解性または環境上の問題のため、さらなる試験には持ち越されなかった。[Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820]。試験した界面活性剤に関する詳細情報は、表1に見いだすことができる。mAb1不活化研究から得られた上位の界面活性剤候補は、ベースケースとしてTriton X-100を0.26%(13.5 x CMC)で使用して、さらに2つの脂質エンベロープウイルス、HSV-1およびA-MuLVのFus1採取物での試験に持ち越された(図6、パネルB、および図7A、7B、および7C)。
【0226】
3.3.2 タンパク質-ウイルスマトリックス
HSV-1とA-MuLVはFus1で試験され、X-MuLVはmAbで試験され、プロセスの一貫性を維持しながら、さまざまなタンパク質と界面活性剤がさまざまなウイルスに与える影響を調査した。Fus1でHSV-1とA-MuLVの両方に対して4.0 LRV以上を示した界面活性剤には、Ecosurf 10 x、LDAO 10 x、およびOG 1 x CMCが含まれる(図6、パネルB)。10 x CMCでのDDMは、2~8℃で60分間処理した後、mAb1のX-MuLVとFus1採取物のHSV-1に対して少なくとも4.0 LRVの不活化を示したが、Fus1のA-MuLVに対しては2.2 LRVしか示さなかった。DDMの不活性化の程度が低いのは、界面活性剤の特性に加えて、試験されているタンパク質またはウイルスによるものと考えられる。本質的に相同なA-MuLVとX-MuLVの形態の違いに加え、これら2つのウイルスのVI耐性の違いは、試験された2つのタンパク質の収穫細胞培養組成と、A-MuLVは融合タンパク質で試験され、Fus1とX-MuLVはmAb で試験されるという様式の違いによるものと考えられる。
【0227】
Conleyらも同様の観察を行い、LDAO媒介不活化の同じ条件下で、mAbのLRVが4.0であるのと比較して、融合タンパク質のLRVは2~8℃で~3.0と低いことを確認した。彼らの研究では、融合タンパク質のLDAO不活化は、2~8℃での~3.0と比較して、室温でのLRVは~4.0に改善され、したがって高温での反応速度が速いことが示された。Conleyらはまた、不活化の時間依存性を示し、より長いインキュベーションでより大きな不活化が観察され、これは私たちのデータによって確認された(図7、パネルA~C)。[Conleyら、(2017) Biotechnology and Bioengineering 114(4):813-820]。
【0228】
DDM 10 x CMCを除くすべての界面活性剤媒介VI条件で試験したところ、HSV-1は、A-MuLVまたはX-MuLVよりも高い不活化を示した(図6)。血漿由来製品の溶剤-界面活性剤不活化に一般的に使用されるポリソルベート80(PS80)の存在下では、いずれのウイルスも不活化は観察されなかった。[Espindolaら、(2006) Journal of Virological Methods 134(1-2):171-175]。Fus1のHSV-1のみが、1 x CMCでタウロコール酸ナトリウム(NaTC)に対して4.0 LRVを超える不活化を示した。DDMは、HSV-1に対して5 x CMCと10 x CMCの両方で4.0 LRVを超える不活化を示したが、A-MuLVに対しては2.2 LRVしか示さなかった。HSV-1(120-200nm)はMuLV(80-120nm)よりもサイズが大きいため、界面活性剤が脂質二重層を通過しやすくなり、エネルギーペナルティが低くなり、VIが高くなる。[Huら、(2013) Journal of Physical Chemistry B 117(39):11641-11653;Meingast & Heldt (2020) Biotechnology Progress 36(2):e2931]。MuLVの不活化率が低いのは、HSV-1と比較して、コレステロールまたはスフィンゴミエリン含有量が高く、界面活性剤耐性ミクロドメイン(DRM)を生じさせることにより、脂質エンベロープの界面活性剤媒介可溶化に対する抵抗性が高いことにも起因する。[Simons & Ehehalt (2002) Journal of Clinical Investigation 110(5):597-603;van Genderenら、(1994) Virology 200(2):831-836;Chanら、(2008) Journal of virology 82(22): 11228-11238]。コレステロールはスフィンゴ脂質のアシル鎖に挿入されるため、膜の流動性が低下し、DRMが発生する。ウイルス感染に重要な膜タンパク質は、多くの場合DRMと関連する。そのため、DRMの可溶化耐性により、界面活性剤による不活化の程度が大幅に低下する可能性がある。[Simons & Ehehalt (2002) Journal of Clinical Investigation 110(5):597-603;Beerら、(2005) Virology Journal 2(1):36]。MuLVはHSV-1と比較してスフィンゴミエリン含有量が著しく高く(22.5% 対 3.1%)、ホスファチジルコリン含有量は比較的低い(19% 対 51.2%)。したがって、観察されるMuLVの不活化率が低いのは、コレステロールとスフィンゴミエリン含有量が比較的高いためと考えられる。[van Genderenら、(1994) Virology 200(2):831-836;Chanら、(2008) Journal of virology 82(22): 11228-11238]。Garnerらは、Triton X-100は非DRM領域のみを選択的に可溶化するのに対し、OGは二重膜を完全に溶解し、これがOGによる不活性化の程度が大きいことを説明できるかもしれないことを示した。[Garner et al (2008) Biophysical Journal 94(4):1326-1340]。
【0229】
4. 補足情報
4.1 凝集速度論
タンパク質の展開は、Lumry-Eyring フレームワークによってモデル化され、一次可逆タンパク質展開(RLS = 律速段階)から始まり、高次の凝集が続く。[Shuklaら、(2007) Journal of Chromatography A 1171(1-2):22-28;Kendrickら、(1998) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 95(24):14142-14146]。Nはモノマー種、Aはモノマーの一時的な展開状態、およびAmは形成された凝集体種であり、凝集の段階は式(1)と(2):
【数5】
で表すことができる。
【0230】
凝集の速度論は式(3):
【数6】
で表すことができ、ここで時間はtで表される。
【0231】
Aが急速に凝集体に変化すると仮定すると、[A]=0、N0は時間t = 0における初期モノマー%であり、凝集は一次速度論に従い、式(4):
【数7】
に示すように、k1は凝集の速度定数である。
【0232】
凝集は式(5):
【数8】
に示すように一次速度論によってモデル化することができる。
【0233】
5. 結論
VIの条件をスクリーニングするための詳細な戦略が提示される。この戦略は、界面活性剤の存在下での治療安定性を評価することから始まり、その後の下流ステップで界面活性剤と不純物クリアランスを評価した。このアプローチを使用して、さまざまな非イオン性および両性イオン性界面活性剤と、低pH感受性融合タンパク質であるFus1およびFus2 スクリーニングした。統計分析を使用して、界面活性剤媒介VIに付された場合のタンパク質の不安定性を促進する要因を特定した。凝集は、保持時間、および界面活性剤とタンパク質の濃度という外因性のプロセス条件に直接関連した。タンパク質と界面活性剤の両方の高濃度は、HMW形成にとって最悪のケースであり、一次凝集速度論を実証する。凝集は、初期の凝集レベル、アミノ酸配列および界面活性剤特性などの内因性要因によっても影響を受ける。界面活性剤の相対的疎水性と同じ順序で、OG、DDM、次にLDAOの順に凝集率が最大であることが観察された。Fus1はFus2よりもわずかに凝集傾向が高く、これはSAPモデリングで実証されたようにFus1の疎水性が高いことに起因する。
【0234】
特別に訓練された第三者の試験施設でBSL2ウイルスを使用して不活化剤の有効性を試験することは、スクリーニングプロセスの最終ステップであった。治療特性が明らかになるまでVC試験を保留することにより、安定性基準を満たさない条件を排除し、コストと時間を節約できるという利点があった。糖ベースの生分解性界面活性剤であるDDMは、以前に特性評価された他の界面活性剤であるTriton X-100、OG、LDAOおよびEcosurfに加えて、X-MuLV(mAb1)およびHSV-1(Fus1)に対してLRV≧4.0の強力な不活化を示した。さまざまなウイルス-タンパク質システムの不活化の程度は、インキュベーション期間および試験した界面活性剤の濃度などの外因性条件に依存した。
【0235】
実施例2
ウイルス不活化評価
各界面活性剤候補がモデルウイルスをどれだけ効果的に不活化するかを評価するために、ウイルス不活化研究が実施された。2つのモデルウイルス、すなわち、両向性マウス白血病ウイルス(A-MuLV)と単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を使用した。各界面活性剤について、異なる濃度の溶液を調製した。次に、界面活性剤溶液を、2つのモデルウイルスを添加したアバタセプトの採取物と混合した。次に、採取物を界面活性剤溶液で60分間インキュベートした。インキュベーション後、0、15、30、および60分間後にウイルス活性を試験した。これらの時点は、FDAが提供する規制ガイダンスに準拠するように選択された。ICH Q5A(ヒトまたは動物由来の細胞株由来のバイオテクノロジー製品のウイルス安全性評価)に従って、ウイルス不活化速度を決定するには最低3つの時点が必要であり、最小の不活化時間より短い少なくとも1つの時点が必要である。申請では、60分の時点からLRVを請求する。
【0236】
ウイルス不活化に使用される界面活性剤濃度は、以下の表2に示される。
表2:ウイルス不活化について試験した界面活性剤
【表7】
a)CMCは臨界ミセル濃度を表す。界面活性剤がミセルを形成するための最小濃度として定義され、通常界面活性剤の濃度単位として使用される。
【0237】
プロテインAクロマトグラフィー評価
プロテインAクロマトグラフィーは、界面活性剤ベースのウイルス不活化後の典型的な単位操作ステップである。異なる界面活性剤の使用は、プロテインAロードおよびプール材料、ならびに最終原薬のプロセスパラメータおよび品質特性に影響を及ぼす可能性がある。そのため、界面活性剤を添加した採取材料をプロテインAクロマトグラフィーに通した。プロテインAクロマトグラフィーからの溶出液のプール品質特性(高分子量(HMW)種、シアル酸含有量、タンパク質の脱アミド化および酸化プロファイル、および不純物プロファイルを含む)を試験し、異なる界面活性剤の影響を評価した。
【0238】
プロテインAクロマトグラフィー評価に使用した界面活性剤濃度を表3に示す。
表3:プロテインAクロマトグラフィー評価に使用した界面活性剤
【表8】
【0239】
さまざまな界面活性剤の性能と有効性を、最終原薬の品質に関連するすべての側面から評価した。これらの側面には、ウイルス不活化の有効性、タンパク質凝集への影響、シアル酸含有量、タンパク質安定性、および不純物クリアランスが含まれる。界面活性剤濃度は「CMC」単位を使用して評価した。たとえば、Triton X-100 26.9Xは、界面活性剤がTriton X-100であり、濃度がその臨界ミセル濃度の26.9倍であることを示し、OG 0.5X DDM 5Xは、界面活性剤の組み合わせに臨界ミセル濃度の0.5倍のOGと臨界ミセル濃度の5倍のDDMが含まれていることを示す。
【0240】
ウイルス不活化の有効性
ウイルスの不活化/クリアランスは通常、下記:
【数9】
のように定義される対数減少値(LRV)の単位で測定される。
【0241】
生物製剤の製造では、FDAなどの規制当局は通常、少なくとも2つの直交技術を使用して合計で少なくとも6つのLRVを実証することを要求する。単一のウイルス不活化ステップでは、通常、少なくとも4つのLRVが必要である。ウイルス不活化の効果は、インキュベーション温度、時間、および界面活性剤濃度など、いくつかの要因によって異なる。通常、温度が高いほど、インキュベーション時間が長くなるほど、および界面活性剤濃度が高くなるほど、ウイルス不活化に有利になる。アバタセプト・プロセスJでは、ウイルス不活化は室温で60分間行われ、ウイルス不活化研究に使用されるモデルウイルスは、A-MuLVとHSV-1である。
【0242】
A-MuLVおよびHSV-1に対するさまざまな界面活性剤のウイルス不活化効果の結果を図19に示す。結果は、Triton X-100 26.9X、OG 0.5X DDM 5X、および EcoSurf 5X のいずれも、60分間のインキュベーション後、両方のモデルウイルスに対して満足しうるウイルス不活化(LRV≧4)を示したことを示す。さらに、OG 0.5X DDM 5Xの性能は、アバタセプト・プロセスJで現在使用されている界面活性剤であるTriton X-100よりもさらに優れていた。界面活性剤の組み合わせ、すなわち、OG 0.5X DDM 5X の、さまざまなインキュベーション時点でのウイルス不活化効果の結果を図20に示す。結果から、界面活性剤の組み合わせ、すなわち、OG 0.5X DDM 5Xは、界面活性剤添加直後、すなわち、0分間のインキュベーション時間で、両方のモデルウイルスに対して満足しうるウイルス不活化(LRV≧4)を示したことが示された。さらに、インキュベーション時間が 15、30、および60分間のとき、すべての界面活性剤の組み合わせで満足しうるウイルス不活化が示された。したがって、OG 0.5X DDM 5Xは、ウイルス不活化効果の点でTriton X-100の適格な代替品であると判断された。界面活性剤のウイルス不活化効果もその濃度と正の相関関係にあることを考えると、ここで試験したもの(OG 0.5X DDM 5X)よりも濃度の高い界面活性剤の組み合わせ候補でも、満足しうるウイルス不活化効果が得られると結論付けられた。
【0243】
タンパク質凝集に対する効果
さまざまな界面活性剤の化学構造は、タンパク質凝集の形成に影響を与える可能性があり、これは通常、高分子量種(HMW)の割合によって特徴付けられる。HMWレベルはアバタセプト原薬(DS)の公開仕様に含まれるため、監視する重要なパラメーターである。プロテインAプールクロマトグラフィーのHMWレベルは、DSのHMWレベルに直接関連する。いくつかの研究によると、アバタセプト・プロセスJの場合、HMW種はプロテインAクロマトグラフィー後の親水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップによって主に除去される。HICステップのクリアランス能力は約30%である。したがって、界面活性剤の追加によりタンパク質プールのHMWが30% を超えると、最終的なDS品質に大きなリスクが生じる可能性がある。
【0244】
さまざまな界面活性剤がプロテインAプールのタンパク質凝集に与える影響を図21に示す。OG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補、すなわち、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、OG 0.5X DDM10X、およびOG 0.75X DDM 5Xを、現在使用されている界面活性剤、すなわち、Triton X-100および他の2つの界面活性剤(ECOSURF(商標)およびLDAO)と比較した。結果によると、3つの界面活性剤OG/DDMの組み合わせ候補、すなわち、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、およびOG 0.5X DDM 10Xはすべて、HMWレベルが30% 未満になった。さらに、これら3つの界面活性剤に関連するHMW ベルは、Triton X-100、現在使用されている界面活性剤、ECOSURF(商標) EH9、LDAOの場合とほぼ同じであった。したがって、界面活性剤の組み合わせ候補によって生じた高分子量種(HMW)は、現在のプロセス能力によって安全に除去できると結論付けられた。OG/DDM界面活性剤の組み合わせは、最終的な原薬の品質に影響を与える可能性のある深刻なタンパク質凝集を引き起こさず、この観点からTriton X-100の代替品になる可能性がある。
【0245】
シアル酸含有量
タンパク質のグリコシル化は、タンパク質の効力と凝集に影響を及ぼす可能性があるもう1つの重要な現象である。シアル酸とは、アセチル基(N-アセチルノイラミン酸/NANA)またはグリコール基(N-グリコリルノイラミン酸/NGNA)の付加によって修飾されたノイラミン酸を示す。NANAとNGNAの両方は、重要な製品品質特性に設定された。アバタセプト・プロセスJの場合、許容範囲は、NANAの場合は8~12(モル/モルタンパク質)、NGNAの場合は1.3(モル/モルタンパク質)未満に設定された。
【0246】
図22は、異なる界面活性剤で処理したProAプールのNANAおよびNGNAレベルに対する異なる界面活性剤の影響を示す。結果は、すべての界面活性剤が満足しうるNANAおよびNGNAの結果を示したことを示した。許容範囲外の値は存在せず、大きなリスクは観察されなかった。したがって、OG/DDM界面活性剤の組み合わせ、すなわち、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、OG 0.5X DDM 10Xは、満足しうるシアル酸の結果をもたらすため、Triton X-100の満足しうる代替品になる可能性があると結論付けられた。
【0247】
タンパク質安定性
翻訳後修飾された組み換えタンパク質のメチオニン酸化とアスパラギン/グルタミン脱アミド化は、DS特性、特に、免疫原性と効力にとって大きな懸念事項となる可能性がある。アバタセプトDSの場合、酸化の許容上限は1.3%、脱アミド化の許容範囲は5.9%であった。ProAプールの脱アミド化および酸化プロファイルは、DSプロファイルと密接に関連した。したがって、同じ許容範囲のセットがProA プールに適用される。
【0248】
図23 は、さまざまな界面活性剤がプロテインAプールの脱アミド化および酸化プロファイルに与える影響を示す。結果は、すべての洗剤に関連する脱アミド化および酸化値が許容範囲内であることを示した。特定の化合物候補で大きなリスクは観察されなかった。したがって、OG/DDM界面活性剤の組み合わせ、すなわち、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、OG 0.5X DDM 10Xは、範囲外の酸化および脱アミド化プロファイルをもたらさないため、Triton X-100の満足しうる代替品になる可能性があると結論付けられる。
【0249】
不純物クリアランス
プロテインAプールには、宿主細胞タンパク質(HCP)、残留プロテインAリガンド(rProA)、DNAなどのいくつかの不純物が存在する可能性がある。これらの不純物は、安全性の問題を引き起こさないように、一定のレベル以下に制御する必要がある。アバタセプト・プロセスJの公開仕様では、HCPとDNAの許容範囲を、それぞれ原薬中10ng/mg~1.0pg/mg以下と設定する。プロテインAプールには許容範囲が設定されていないが、以前の研究では、プロテインAプール内のHCPとDNAの最大濃度はそれぞれ56000ppbと5000ppmであることが示された。rProAには仕様が設定されていないが、以前の研究では、プロテインAプール内のrProAの最大濃度は通常約2.38μg/mLであることが示された。
【0250】
結果は、すべてのOG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補の不純物プロファイル結果が許容範囲を下回っていることを示した。図24。したがって、OG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、OG 0.5X DDM 10Xは、満足できる不純物プロファイルをもたらすため、Triton X-100の代替品になり得ると結論付けられた。
【0251】
結論
OG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補3種、すなわち、OG 0.5X DDM 5X、OG 0.5X DDM 7.5X、OG 0.5X DDM 10Xが、アバタセプト・プロセスJのウイルス不活化に適した、Triton X-100の環境的に持続可能な代替品として特定された。界面活性剤の組み合わせ候補のウイルス不活化効果、タンパク質凝集への影響、シアル酸含有量、タンパク質安定性、および不純物プロファイルを評価し、Triton X-100、LDAO、ECOSURF(商標) EH9と比較した。結果から、まず、OG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補は、Triton X-100と比較して同等のウイルス不活化効果を示したことが示された。さらに、OG/DDM界面活性剤の組み合わせ候補については、タンパク質凝集、シアル酸含有量、安定性、および不純物プロファイルへの影響に関して重大なリスクは観察されなかった。組み合わせ内の各界面活性剤は、欧州医薬品庁(EMA)によって環境的に持続可能なものとしても認められている。したがって、界面活性剤の組み合わせ候補は、アバタセプト・プロセスJのウイルス不活化における Triton X-100の環境的に持続可能な代替品として適している。
【0252】
請求項を解釈するためには、概要および要約セクションではなく、詳細な説明セクションを使用することが意図されていることを理解されたい。概要および要約セクションには、発明者によって考えられた本発明の例示的な実施形態の1つ以上が記載されている可能性があるが、すべてが記載されているわけではない。したがって、本発明および添付の請求項をいかなる形でも制限するものではない。
【0253】
本発明は、特定の機能およびそれらの関係の実現を説明する機能ビルディングブロックの助けを借りて上記で記載された。これらの機能ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に定義されている。特定の機能およびその関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0254】
特定の実施形態に関する前述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにしており、当業者は、当該技術分野の知識を適用することにより、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態をさまざまな用途に容易に変更および/または適応させることができる。したがって、このような適応および変更は、本明細書に提示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内にあることが意図されている。本明細書の表現または用語は説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではないことを理解する必要があり、したがって、本明細書の用語または表現は、教示およびガイダンスに照らして熟練した技術者によって解釈される必要がある。
【0255】
本発明の範囲は、上述の実施形態のいずれかに限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるものである。
【0256】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されている方法および材料と同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用できるが、適切な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0257】
本明細書で言及されているすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本開示で開示されているデータベースエントリおよび電子出版物は、その全体が参照により組み込まれる。本願で参照により組み込まれているデータベースエントリまたは電子出版物のバージョンは、本願が出願された時点で公的に利用可能であったデータベースエントリまたは電子出版物の最新バージョンである。本願で開示されている遺伝子またはタンパク質識別子(たとえば、Genbank、Refseq、またはUniprotなどの公開データベースの受託番号またはデータベース識別子によって識別される遺伝子またはタンパク質)に対応するデータベースエントリは、その全体が参照により組み込まれる。組み込まれた遺伝子またはタンパク質関連の情報は、データベースエントリに含まれる配列データに限定されない。参照により組み込まれた情報には、本願が出願された時点で公開されていたデータベースの最新バージョンのデータベースエントリの全内容が含まれる。不一致が生じた場合は、定義を含む本明細書が統制する。さらに、材料、方法、および例は、例示のみを目的としており、限定を意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図18
図19
図20
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図22
図23
図24
【配列表】
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【国際調査報告】