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特表2025-500899ガス絶縁電気システムにガス誘電体混合物を分配するための設備及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ガス絶縁電気システムにガス誘電体混合物を分配するための設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/04 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
F17C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535916
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2022080519
(87)【国際公開番号】W WO2023117190
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2113982
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】599115310
【氏名又は名称】エアー・リキッド・エレクトロニクス・システムズ
【氏名又は名称原語表記】AIR LIQUIDE ELECTRONICS SYSTEMS
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック,ロレイ
(72)【発明者】
【氏名】トドロヴァ,ヴァニナ
(72)【発明者】
【氏名】ダルフィー,エルヴェ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB11
3E172AB12
3E172AB13
3E172AB20
3E172BA01
3E172BD05
3E172DA90
3E172EB02
3E172GA05
3E172KA03
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、液体状態の絶縁流体を収容するように意図された第1の容器(1)と、前記第1の容器(1)が絶縁流体の気相を生成するように、絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)と、第2の容器(2)からキャリア流体の気相を生成するように構成された第2の容器(2)と、第1の移送回路(6)と、絶縁流体の気相を加熱するように構成された第2の加熱手段(21、22)とを備える、ガス電気絶縁混合物を分配するための設備に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁ガス混合物をガス絶縁電気システム、特に高電圧電気システムに分配するための設備であって、前記設備は、
- 液体又は液化状態の絶縁流体を収容するように意図された第1の容器(1)と、
- 前記第1の容器(1)が第1の出口において前記絶縁流体の気相を生成するように、前記第1の容器(1)内の前記絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)と、
- 第2の容器(2)であって、キャリア流体を収容するように意図され、前記第2の容器(2)の第2の出口において前記キャリア流体の気相を生成するように構成された第2の容器(2)と、
- 前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)の前記第1の出口から合流点(60)まで移送するように構成された第1の移送回路(6)であって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、第1の移送回路(6)と、
- 前記キャリア流体の前記気相を前記第2の容器(2)の前記第2の出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された第2の移送回路(7)と、
- 前記合流点(60)に流体的に接続され、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気機器に分配するように構成された分配回路(8)と、
を備え、
- 前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第1の流量調整装置(61)を備え、
- 前記設備は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するように構成された第2の加熱手段(21、22)をさらに備える、
設備。
【請求項2】
前記第2の加熱手段(21、22)は、前記第1の移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)の少なくとも一部分において前記絶縁流体の前記気相を加熱するようにさらに構成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)は、少なくとも1つの流体パイプ(6a)を備え、前記第2の加熱手段(21、22)は、前記流体パイプ(6a)の全体又は一部の周りに配置された第1の加熱装置(21)を備え、特に前記第1の加熱装置(21)は、抵抗型又は誘導型であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記第2の加熱手段(21、22)は、前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)の周りに配置された第2の加熱装置(22)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
前記第2の加熱装置(22)は、前記第1の移送回路(6)の前記下流部、前記第1の流量調整装置(61)、及び前記合流点(60)が配置される内部容積を画定する断熱ケーシング(22a)と、前記内部容積を加熱するように適合された加熱部材(22b)とを備え、特に前記加熱部材(22b)は抵抗型であることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記断熱ケーシング(22a)は、可撓性材料の少なくとも1つの層を備え、特に前記可撓性材料は、断熱材料で形成された糸の少なくとも1つの織布、又は断熱材料で形成された繊維の不織布を含むことを特徴とする、請求項5に記載の設備。
【請求項7】
前記断熱ケーシングは、取り外し可能な取り付け手段によって互いに接続されたいくつかのパネルで構成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の設備。
【請求項8】
前記第2の移送回路(7)は、前記第2の容器(2)に接続された第2の上流部(7a)と、前記合流点(60)に接続された第2の下流部(7b)とを備え、前記第2の下流部(7b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第2の流量調整装置(13)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記第2の移送回路(7)の前記第2の下流部(7b)を加熱するように構成されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記設備は、追加キャリア流体を収容するように意図され、追加容器(3、4)の出口において前記追加キャリア流体の気相を生成するように構成された少なくとも1つの前記追加容器(3、4)をさらに備え、前記設備は、前記追加キャリア流体の前記気相を前記追加容器(3、4)の前記出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された追加移送回路を備え、前記追加移送回路は、前記追加容器(3、4)に接続された追加上流部と、前記合流点(60)に接続された追加下流部とを備え、前記追加下流部は、前記合流点(60)に向かって流れる前記追加キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された追加流量調整装置(18、19)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記追加移送回路の前記追加下流部を加熱するように構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の設備。
【請求項10】
前記第1の加熱手段(10)は、前記第1の容器(1)内の前記液化絶縁流体を第1の温度に加熱するように構成され、前記第2の加熱手段(21、22)は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の全体又は一部において、前記液化絶縁流体の前記蒸気相を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するように構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の設備。
【請求項11】
前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の設備。
【請求項12】
前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度測定部材と、前記温度測定部材及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記温度測定部材によって測定された前記温度の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の設備。
【請求項13】
前記第2の容器(2)は、液化形態の前記キャリア流体を収容するように意図されており、前記設備は、前記液化キャリア流体の少なくとも一部を気化させ、前記キャリア流体の気相を前記第2の移送回路(7)内に分配するような方法で、前記第2の容器(2)内の前記液化キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段(30)を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の設備。
【請求項14】
前記第2の移送回路(7)は、前記キャリア流体の前記気相の前記圧力を低減するように構成された膨張部材(5)と、前記膨張部材(5)による前記気相の膨張の前に前記気相を加熱するように前記膨張部材(5)の上流に配置されたヒータ(11)とを備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の設備。
【請求項15】
前記分配回路(8)は、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを混合するように構成された混合装置(50)と、前記混合装置(50)の下流に配置された昇圧部材(53)と、前記昇圧部材(53)の上流に配置されたバッファタンク(12)と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の設備。
【請求項16】
電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するための方法であって、前記方法は、
- a)液化絶縁流体の少なくとも一部を気化させ、第1の容器(1)内に絶縁流体の気相を生成するように、第1の加熱手段(10)によって前記第1の容器(1)内の液体又は液化状態の前記絶縁流体を加熱するステップと、
- b)前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)から合流点(60)まで移送するように、第1の移送回路(6)に前記絶縁流体の前記気相を通すステップであって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、ステップと、
- c)前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部に配置された第1の流量調整装置(61)を用いて、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するステップと、
- d)キャリア流体の気相を前記合流点(60)まで移送するように、前記キャリア流体の前記気相を第2の容器(2)から第2の移送回路(7)に通すステップと、
- e)前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを前記合流点(60)において合流させ、合流した前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気システムに分配するように適合された分配回路(8)に通すステップと、
- f)第2の加熱手段(21、22)によって、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁電気システム、特に高電圧システムで使用するように意図されたガス誘電体混合物を分配するための設備に関する。この設備により、ガス誘電体混合物を使用現場で製造し、このように製造された混合物を、システム内で電気絶縁機能を果たすためにシステムに直接分配することが可能になる。本発明はまた、かかる設備を実施する混合物を分配するための方法にも関する。
【0002】
特に、本発明による設備及び方法は、パーフルオロケトン又はパーフルオロニトリルなどの少なくとも1つの絶縁流体と、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、酸素(O)、空気又は合成空気などの少なくとも1つのキャリアガスとを含む混合物を分配するように意図される。絶縁流体は、その高い誘電強度及び遮断力に起因してそのように呼ばれ、前記少なくとも1つのキャリアガスもまた電気絶縁特性を有する可能性があることに留意されたい。
【0003】
電気システムという用語は、本出願では、配電変電所を構成する機器と送電線の両方を指す。
【背景技術】
【0004】
既知のガス絶縁配電変電所は、特にガス絶縁開閉装置(GIS)を含む。
【0005】
ガス絶縁高圧線は、英語では、溶接アセンブリの場合、ガス絶縁線(GIL)、又はボルト締めアセンブリの場合、ガス絶縁バスダクト(GIB)として知られている。
【0006】
本発明はまた、ガス圧力下で絶縁される、すなわちガスを収容した密閉ケーシングを備えるあらゆるタイプの電気機器、特に回路遮断器、断路器、変流器、変圧器など、及び前述の装置の全部又は一部を組み合わせた機器に適用され得ることに留意されたい。
【0007】
「高電圧」という用語は、交流で1000ボルトよりも大きく、直流で1500ボルトよりも大きい電圧を指す旧名称「中電圧」(又は高電圧A)、及び交流で50,000ボルトよりも大きく、75,000ボルトよりも大きい電圧を指す旧名称「高電圧」(又は高電圧B)をカバーすることに留意されたい。
【0008】
電気システムを絶縁するための主な技術の1つは、通電中の部品及び要素の周りに圧力下で閉じ込められた誘電体ガス又はガス混合物を使用する絶縁である。この絶縁ガス又はガス混合物により、電気遮断から生じるアークを消弧する機能を果たすことも可能になる。
【0009】
現在、このタイプの機器で最もよく使用されるガスは、六フッ化硫黄(SF)である。このガスは、比較的高い誘電強度、良好な熱伝導率及び低い誘電損失を有する。それは、化学的に不活性で、人間及び動物に無毒であり、電気アークによって解離した後、急速にほぼ完全に再結合する。加えて、それは、不燃性であるにもかかわらず、手頃な価格で入手可能である。しかしながら、SFには、地球温暖化係数(GWP)がCOよりも24,000倍高く、大気中の滞留時間が3,200年であるという大きな欠点があり、そのため、最も強力な温室効果ガスの1つとなっている。したがって、SFは、京都議定書(1997年)によって、その排出を制限しなければならないガスのリストに含められた。
【0010】
SF排出を制限する最良の方法は、このガスの使用を制限することであり、そのため、産業界はSFの代替品を探すようになった。空気又は窒素などの「単純」ガスは、環境に悪影響を与えないが、SFよりもずっと低い誘電強度を有する。そのため、例えば、空気及び窒素の交流電圧(50Hz)における誘電強度は、SFのほぼ3分の1である。
【0011】
したがって、電気機器における電気絶縁及び/又は電気アークの消弧にこれらの単純ガスを使用することは、この機器の容積及び/又は充填圧力を劇的に増加させることを伴い、それは、寸法がますます小さくなり、作業員にとって安全なコンパクトな機器を開発するために最近数十年にわたってなされてきた努力に反するものである。
【0012】
産業界は、したがって、SFと同じ絶縁及びアーク遮断特性を提供する代替品を探してきた。この目的に向けて、環境への影響が低減された新しい代用ガス混合物が開発された。これらのガス混合物は、5個の炭素原子を有するパーフルオロケトン又は4個の炭素原子を有するパーフルオロニトリルから選択される少なくとも1つの絶縁ガスに基づき、GWPが1に等しいCOなどのGWPが非常に低いキャリアガス若しくは希釈ガス、又は窒素若しくは空気などのGWPがゼロのキャリアガス若しくは希釈ガスと混合される。
【0013】
これらの新しいガス混合物の組成は、充填する機器の機能に応じて、特に機器の電圧レベル又は電気的機能に応じて異なる。混合物中の各成分の含有量もまた、異なる場合がある。したがって、機器に適切な混合物を充填できる必要がある。
【0014】
電気機器への充填に関して、1つの解決策は、専用のパッケージセンタで混合物を調製し、それらをシリンダ又はコンテナなどの貯蔵容器にパッケージ化して、その容器を使用現場に配送することである。機器は容器から充填される。
【0015】
この解決策は、いくつかの問題を呈する。ガス誘電体混合物は、液化形態でパッケージ化されており、均質化を必要とする。具体的には、液化混合物は、互いに平衡状態にある液体と気体の2つの相で構成されている。混合物の成分の物理的特性、特に沸点及び飽和蒸気圧が異なることにより、混合物は貯蔵容器内で本質的に不均一になる。そのうえ、混合物が気相又は液相で引き出されるとき、混合物の構成成分のそれぞれの割合が変わる。
【0016】
さらにまた、容器の使用により、オペレーションの効率に悪影響を及ぼす分配の中断を伴う自律性の制限が生じる。ガス混合物の納期は比較的長くなる可能性があるので、ユーザは、それらのオペレーションの連続性を確保するために、それらのシリンダの在庫を管理しなければならない。さまざまなタイプの混合物が必要とされる場合があり、それによりロジスティクスがさらに複雑になる。シリンダを接続/取り外しする操作も面倒であり、ガス混合物が周囲空気で汚染されるリスクが高まる。
【0017】
別の問題は、混合物の生成における精度に関するものであり、これは不十分な場合がある。生成される混合物の濃度値に関する不確実性に加えて、異なるシリンダ間に製造上の差異が存在する可能性がある。このような差異により、シリンダを交換する度に、消費ユニットによって生成される結果が大幅に異なる可能性がある。そのうえ、事前に調製された混合物の組成は、特に気相又は液相からの漏れによって、変わる可能性が高い。
【0018】
別の解決策は、使用現場でガス誘電体混合物を調製することである。流量制御に基づく生成方法は、特に知られている。この方法は、混合物の成分を別個の容器から取り出し、ガスミキサに送ることを伴う。各成分の含有量は、ミキサへのそれぞれの流量を調節することによって制御される。しかしながら、得られる混合物に関する精度は制限される。具体的には、流量調整器は、周囲温度に敏感であるため、屋外での使用が制限される。流量調整器はまた、調整するガスの温度にも敏感であり、最適な安定性のためには安定した圧力で純ガスを供給する必要がある。さらにまた、パーフルオロケトンなどのいくつかの絶縁流体は、液体状態にあり、大気圧において気相で引き出すことができない。1つの解決策は、窒素又はCOで容器を加圧して液相を引き出し、次いで液相を気化させることである。この解決策によって課される複雑さ及び制約に加えて、液相中の窒素又はCOの拡散があり、これは流量調整器の動作及び精度に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、特に電気機器のガス絶縁に適したガス誘電体混合物を分配するための設備を提案することによって、上記の欠点の全部又は一部を克服することを目指すものであり、この設備は、混合物の組成を正確に制御することを可能にし、特にガス混合物の成分の組成及び含有量に関して、分配の連続性及び柔軟性を提供し、安定した組成と工業規模で使用するのに十分な流量の混合物を分配することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的に向けて、本発明の解決策は、電気絶縁ガス混合物をガス絶縁電気システム、特に高電圧電気システムに分配するための設備であって、前記設備は、
- 液体又は液化状態の絶縁流体を収容するように意図された第1の容器と、
- 前記第1の容器が第1の出口において絶縁流体の気相を生成するように、第1の容器内の絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段と、
- キャリア流体を収容するように意図され、第2の容器の第2の出口においてキャリア流体の気相を生成するように構成された第2の容器と、
- 絶縁流体の気相を第1の容器の第1の出口から合流点まで移送するように構成された第1の移送回路であって、第1の移送回路は、第1の容器に接続された第1の上流部と、一方では第1の上流部に、他方では合流点に接続された第1の下流部とを備える、第1の移送回路と、
- キャリア流体の気相を第2の容器の第2の出口から合流点まで移送するように構成された第2の移送回路と、
- 合流点に流体的に接続され、絶縁流体の気相とキャリア流体の気相とを含む電気絶縁ガス混合物を高電圧電気機器に分配するように構成された分配回路と、を備え、第1の移送回路の第1の下流部は、合流点に向かって流れる絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第1の流量調整装置を備え、前記設備は、少なくとも合流点及び第1の移送回路の下流部において、絶縁流体の気相を加熱するように構成された第2の加熱手段をさらに備える。
【0021】
場合に応じて、本発明は、下記の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0022】
第2の加熱手段は、第1の移送回路の第1の上流部の少なくとも一部分において絶縁流体の気相を加熱するようにさらに構成される。
【0023】
移送回路の第1の上流部は、少なくとも1つの流体パイプを備え、第2の加熱手段は、前記流体パイプの全体又は一部の周りに配置された第1の加熱装置を備え、特に第1の加熱装置は、抵抗型又は誘導型である。
【0024】
第2の加熱手段は、合流点及び第1の移送回路の第1の下流部の周りに配置された第2の加熱装置を備える。
【0025】
第2の加熱装置は、第1の移送回路の下流部、第1の流量調整装置、及び合流点が配置される内部容積を画定する断熱ケーシングと、前記内部容積を加熱するように適合された加熱部材とを備え、特に加熱部材は抵抗型である。
【0026】
断熱ケーシングは、可撓性材料の少なくとも1つの層を備え、特に可撓性材料は、断熱材料で形成された糸の少なくとも1つの織布、又は断熱材料で形成された繊維の不織布を含む。
【0027】
断熱ケーシングは、取り外し可能な取り付け手段によって互いに接続されたいくつかのパネルで構成されている。
【0028】
第2の移送回路は、第2の容器に接続された第2の上流部と、合流点に接続された第2の下流部とを備え、前記第2の下流部は、合流点に向かって流れるキャリア流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第2の流量調整装置を備え、第2の加熱装置は、好ましくは、第2の移送回路の第2の下流部を加熱するように構成される。
【0029】
設備は、追加キャリア流体を収容するように意図され、追加容器の出口において前記追加キャリア流体の気相を生成するように構成された少なくとも1つの追加容器をさらに備え、設備は、追加キャリア流体の気相を追加容器の出口から合流点まで移送するように構成された追加移送回路を備え、追加移送回路は、追加容器に接続された追加上流部と、合流点に接続された追加下流部とを備え、前記追加下流部は、合流点に向かって流れる追加キャリア流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された追加流量調整装置を備え、第2の加熱装置は、好ましくは、追加移送回路の追加下流部を加熱するように構成される。
【0030】
第1の加熱手段は、第1の容器内の液化絶縁流体を第1の温度に加熱するように構成され、第2の加熱手段は、少なくとも合流点及び第1の移送回路の全体又は一部において、液化絶縁流体の蒸気相を第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するように構成される。
【0031】
第1の加熱手段は、可変的な加熱力を送出するように構成され、設備は、第1の容器の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサと、圧力センサ及び第1の加熱手段に接続された第1の制御ユニットとを備え、第1の制御ユニットは、圧力センサによって測定された圧力の関数として、第1の加熱手段によって送出される加熱力を変化させるように構成される。
【0032】
第1の加熱手段は、可変的な加熱力を送出するように構成され、設備は、第1の容器の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度測定部材と、温度測定部材及び第1の加熱手段に接続された第1の制御ユニットとを備え、第1の制御ユニットは、温度測定部材によって測定された温度の関数として、第1の加熱手段によって送出される加熱力を変化させるように構成される。
【0033】
第2の容器は、液化形態のキャリア流体を収容するように意図されており、設備は、液化キャリア流体の少なくとも一部を気化させ、キャリア流体の気相を第2の移送回路内に分配するような方法で、第2の容器内の液化キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段を備える。
【0034】
第2の移送回路は、キャリア流体の気相の圧力を低減するように構成された膨張部材と、膨張部材による気相の膨張の前に気相を加熱するように膨張部材の上流に配置されたヒータとを備える。
【0035】
分配回路は、絶縁流体の気相とキャリア流体の気相とを混合するように構成された混合装置と、混合装置の下流に配置された昇圧部材と、昇圧部材の上流に配置されたバッファタンクと、のうちの少なくとも1つを備える。
【0036】
別の態様によれば、本発明は、電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するための方法に関し、前記方法は、
- a)液化絶縁流体の少なくとも一部を気化させ、第1の容器内に絶縁流体の気相を生成するように、第1の加熱手段によって第1の容器内の液体又は液化状態の絶縁流体を加熱するステップと、
- b)絶縁流体の気相を第1の容器から合流点まで移送するように、第1の移送回路に絶縁流体の気相を通すステップであって、第1の移送回路は、第1の容器に接続された第1の上流部と、一方では第1の上流部に、他方では合流点に接続された第1の下流部とを備える、ステップと、
- c)キャリア流体の気相を合流点まで移送するように、キャリア流体の気相を第2の容器から第2の移送回路に通すステップと、
- d)絶縁流体の気相とキャリア流体の気相とを合流点において合流させ、合流した絶縁流体の気相とキャリア流体の気相とを、絶縁流体の気相とキャリア流体の気相とを含む電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するように適合された分配回路に通すステップと、
- e)第1の移送回路の第1の下流部に配置された第1の流量調整装置を用いて、合流点に向かって流れる絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するステップと、
- f)第2の加熱手段によって、少なくとも合流点及び第1の移送回路の下流部において、絶縁流体の気相を加熱するステップと、
を含む。
【0037】
ここで、本発明は、以下に説明する添付図を参照して、非限定的な例示として提供される以下の詳細な説明から、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の一実施形態による設備を概略的に描写している。
図2図2は、本発明の別の実施形態による設備を概略的に描写している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、絶縁流体の第1の容器1及びキャリア流体の第2の容器2を備える設備を描写している。流体は異なる性質を持つ。それらは、純粋、単純、又は複合体であることが好ましい。各容器は、シリンダ、典型的には最大50Lの水量を有し得るシリンダ、又は互いに接続されてシリンダの束を形成するシリンダのセット、又は極低温貯蔵タンク若しくはトラックトレーラ上に配置されたタンクなどの、より大容量のタンク、特に最大1000Lの容量のタンクとすることができる。
【0040】
本発明による設備は、少なくとも2つの成分を含むガス誘電体混合物の生成に適している。当然のことながら、設備は、3つ以上の容器を備え、3つ以上の構成成分を含有する混合物、特に三成分又は四成分のガス混合物を生成してもよい。したがって、図1は、設備が、第1及び第2の容器1、2、並びに任意選択で2つの追加容器3、4から、4つの構成成分を含むガス混合物を生成するように構成されている場合を描写している。特に、容器3、4は、任意選択の追加キャリア流体を収容するように適合され、それぞれの出口において前記追加キャリア流体の気相を生成するように構成される。
【0041】
本発明の文脈では、分配には、調製、すなわち混合物の製造とそれを機器へと搬送することが含まれる。
【0042】
第1の移送回路6は、一方では第1の容器1の第1の開口部に、他方では合流点60に流体的に接続される。第2の移送回路7は、一方では第2の容器2の第2の開口部に、他方では合流点60に流体的に接続される。該当する場合は、追加容器3、4のそれぞれに追加移送回路を設けることができる。
【0043】
第1の移送回路6は、第1の容器1に接続された第1の上流部6aと、一方では第1の上流部6aに、他方では合流点60に接続された第1の下流部6bとを備える。第2の移送回路7は、第2の容器2に接続された第2の上流部7aと、合流点60に接続された第2の下流部7bとを備える。
【0044】
第1の移送回路6の下流部は、第1の流量設定値D1に従って、合流点60に向かって流れる絶縁流体の流量を調整及び/又は調節するように構成された第1の流量調整装置61を備える。第1の設定値D1は、混合物中の絶縁流体の目標含有量C1の関数として決定することができる。
【0045】
「絶縁流体」とは、高い絶縁力を持つ流体、すなわち、高電圧電気システムのガス絶縁に使用するのに十分な電気絶縁性及び電気アーク消弧能力を有する流体を意味する。
【0046】
絶縁流体として、特に、少なくとも1つのフルオロケトン及び/又は少なくとも1つのパーフルオロニトリルを含有する流体を使用することが可能である。特に、絶縁流体は、3Mによって販売されているNovecTM範囲の誘電流体、例えば、商品名3MTMNovecTM4710(以下C4-FNと称する)の絶縁流体及び商品名3MTMNovecTM5110(以下C5-FKと称する)の絶縁流体から選択することができる。好ましくは、絶縁流体は、分配されるガス混合物中の少数成分である。
【0047】
「キャリア流体」とは、混合物の全体的な特性を最終用途に適したものにするように、絶縁流体を希釈するのに適したガスを意味する。ガス混合物は、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、酸素(O)、空気又は合成空気から選択される少なくとも1つのキャリア流体を含有し得る。キャリア流体自体も電気絶縁特性を有し得ることに留意されたい。好ましくは、ガス混合物は、キャリア流体として少なくともCOを含有する。したがって、少なくとも1つのキャリアガスは、希釈機能を果たすことができ、及び/又は活性ガスであって、例えば、機器を絶縁するガス雰囲気の過酸素化機能を果たすことができる。特に、酸素は、COの分解をもたらすアーク遮断の影響を相殺するために使用することができる。
【0048】
本発明の文脈では、絶縁流体は、第1の容器1内に液体状態又は液化ガスの形態で貯蔵される。特に、C4-FNタイプの絶縁流体は液化ガスである。C5-FKタイプの絶縁流体は液体である。
【0049】
この設備は、第1の容器1内の液化絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段10を備える。
【0050】
これにより、容器1内の絶縁流体の少なくとも一部を加熱し、絶縁流体の飽和蒸気圧を高めることが可能になる。具体的には、絶縁流体の飽和蒸気圧は、室温では比較的低く、例えば、C4-FNでは20℃で2.5barAであり、C5-FKでは20℃で0.8barAである。第1の容器1を加熱することにより、容器1内で気化できる絶縁流体の量が増加し、したがって容器1から分配できる気相流量が増加する。
【0051】
そのうえ、液化流体は、互いに平衡状態にある液体と気体の2つの相で構成されている。液化ガスの容器から気相を引き出すとき、容器内の平衡状態を維持するために、気相が使い尽くされたときに気相を再生するように液体の一部を気化させなければならない。したがって、液体は、一方の相から他方に移るために使用されるエネルギーに起因して冷え始める。
【0052】
容器1を加熱することにより、特に絶縁流体としてパーフルオロニトリルを用いる場合、絶縁流体の気化に使用されるエネルギーを補償することが可能になり、また必要に応じて、特に絶縁流体としてパーフルオロケトンを用いる場合、周囲温度よりも高い飽和蒸気圧を維持することも可能になる。結果として、気相は安定した温度、流量及び圧力に維持される。
【0053】
好ましくは、第1の加熱手段10は、容器の外部にある。一実施形態では、加熱手段10は、容器1の全体又は一部の周りに配置され、容器1の高さの全部又は一部にわたって好ましくは少なくとも容器の下部において延在する。
【0054】
第1の加熱手段は、容器1の外面の少なくとも一部を加熱するように構成することができる。液相への熱の伝達は、加熱面と絶縁流体の液相との間で行われる。第1の加熱手段10が容器の内部にあることも考えられる。第1の加熱手段は、第1の容器1の表面を15~65℃、パーフルオロケトンの場合は好ましくは50~55℃、パーフルオロニトリルの場合は好ましくは20~35℃の範囲の温度に加熱するように構成することができることに留意されたい。
【0055】
第1の加熱手段10は、少なくとも1つの加熱ベルト、加熱コード、又は熱伝達流体の循環用のシェルの形態とすることができる。場合に応じて、第1の加熱手段10は、誘導型又は抵抗型とすることができる。例えば、容器1の本体は、電流の通過により熱が生成される少なくとも1つの抵抗性導電要素を活用して加熱することができる。
【0056】
有利な可能性によれば、第1の加熱手段10は、容器1のケーシングの少なくとも一部に磁界を作り出し、誘導電流により容器1の材料を加熱することが可能な磁気誘導手段を備える。誘導型の第1の加熱手段の使用により、インダクタによって誘導される電流がシリンダの材料をその厚さ方向に直接加熱するので、伝導によるエネルギーの伝達を回避することが可能になる。これにより、エネルギー伝達が改善され、より高い分配流量がもたらされる。
【0057】
キャリア流体は、液体状態又は液化ガスの形態で第2の容器2内に貯蔵することができる。好ましくは、キャリア流体は液化ガス、特にCOである。
【0058】
この場合、図1に示すように、設備は、液化キャリア流体の少なくとも一部を気化させ、キャリア流体の気相を第2の移送回路7内に分配するような方法で、第2の容器2内の液化又は液体キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段30を備える。これにより、キャリア流体の蒸発時のエネルギーの損失を補償するために必要なエネルギーを第2の容器に供給し、十分且つ安定した分配流量を確保することが可能になる。好ましくは、第3の加熱手段30は誘導型、特に第1の加熱手段10と同じ型である。第3の加熱手段は、第2の容器2の表面を15~65℃、パーフルオロケトンの場合は50~55℃、パーフルオロニトリルの場合は好ましくは20~35℃の範囲の温度に加熱するように構成することができることに留意されたい。
【0059】
キャリア流体がガス状態で貯蔵される場合、容器を加熱する手段を設ける必要はない。これは、キャリア流体の第2の容器だけでなく、該当する場合、設備内のキャリア流体の他の容器にも当てはまる。したがって、図1は、追加キャリア流体を収容する追加容器3、4を備える設備を概略的に描写している。特に、追加キャリア流体は、それぞれの容器内にガス状態で貯蔵された酸素及び窒素であってもよい。
【0060】
図1に見られるように、絶縁流体及びキャリアガスの気相は、それぞれの移送回路6、7によって、相が合流する合流点60へと搬送される。次いで、合流した相は、絶縁流体の気相とキャリアガスの気相とを含む電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するように適合された分配回路8に流入する。電気システムは、充填用の分配点90に接続することができる。
【0061】
1つの問題は、気化した絶縁流体の温度制御に関するものである。具体的には、絶縁流体の気相は、容器から使用場所までの経路全体にわたって気化温度以上の温度に保たれなければならない。容器の下流の流体経路上により低温のスポットが存在すると、これらのスポットにおいて気相の凝縮が生じる可能性がある。気相中に浮遊するこれらの凝縮物は、流量コントローラの誤動作、及び流量の不安定化、ひいては絶縁流体の濃度の不安定化につながる。
【0062】
これを是正するために、設備は、少なくとも合流点60及び第1の移送回路6の下流部6bにおいて、絶縁流体の気相を加熱するように構成された第2の加熱手段21、22をさらに備える。
【0063】
したがって、本発明により、絶縁流体の温度のより効果的な制御が可能になる。絶縁流体の気相は、合流点60及び下流部6bにおいて気化温度以上の温度に保つことができる。絶縁流体が純粋状態にあるときに凝縮のリスクが最も高くなるので、絶縁流体をキャリア流体と合流させる合流点60まで加熱することが重要である。キャリア流体で希釈された時点で、その分圧は純粋状態よりも大幅に低くなり、したがって問題の温度に対するその飽和蒸気圧よりも低くなるので、凝縮のリスクは排除される。
【0064】
本発明により、絶縁流体は、気相の凝縮を回避するために、第1の流量調整装置を備える下流部で加熱される。これにより、生成される混合物の精度に悪影響を及ぼすことになる、この領域での流体通路断面積の閉塞又は変更のリスクが防止される。さらにまた、第2の加熱装置により、第1の調整装置の温度を制御することが可能になり、これにより、外部環境の温度変化に影響されないようにすることが可能になる。流量調整器の動作条件は安定しているため、現場使用においても、混合物中の絶縁流体の濃度のより良い精度及び安定性が確保される。合流点における流体の同時加熱により、絶縁流体の気相がキャリア流体の気相と合流するまで、第1の移送回路6上の低温スポットの出現が防止される。
【0065】
本発明の別の利点は、従来技術の設備のように、液体状態で絶縁流体を引き出し、その後それを気化させる代わりに、この設備では絶縁流体が気相で引き出されることである。この目的に向けて、第1の容器1は、第2の流体によって加圧される代わりに、加熱されてその内圧が上昇する。これにより、流体の純度、ひいては流量及び最終濃度の精度を維持することが可能になる。
【0066】
好ましくは、第2の加熱手段21、22は、第1の移送回路6の第1の上流部6aの少なくとも一部分において絶縁流体の気相を加熱するようにさらに構成される。これにより、気相を、合流点に向かうその経路の全部ではないとしても、大部分にわたって加熱し、第1の容器1の下流で蒸気相が再凝縮するリスクをさらに最小限に抑えることが可能になる。
【0067】
好ましくは、第1の上流部6aは、第1の容器1の第1の開口部に接続された少なくとも1つの流体パイプ6aを備える。第2の加熱手段21、22は、前記流体パイプ6aの全体又は一部の周りに配置された第1の加熱装置21を備える。好ましくは、第1の加熱装置21は、抵抗型又は誘導型である。第1の加熱装置は、加熱チューブ又はスリーブの形態であってもよい。第1の加熱装置は、例えば、可撓性構造に一体化された電気抵抗器であってもよく、場合によっては断熱性の外側シースで覆われていてもよい。好ましくは、第1の加熱装置は、第1の開口部から流体パイプ6a全体にわたって延在する。
【0068】
有利には、第2の加熱手段21、22は、合流点60及び前記合流点60に接続された第1の移送回路6の下流部において、少なくとも絶縁流体の気相を加熱するように構成された第2の加熱装置22を備える。好ましくは、第2の加熱装置22は、合流点60及び第1の移送回路6の第1の下流部6bの周り全体に配置される。
【0069】
好ましくは、第2の加熱装置22は、関係するエリアで加熱される成分に最もよく適合することができるように、第1の加熱装置21とは物理的に異なる。
【0070】
好ましくは、第2の加熱手段は、移送回路6の表面を15~65℃、好ましくは30~55℃の範囲の温度に加熱するように構成することができる。
【0071】
有利には、第2の加熱装置22は、少なくとも第1の移送回路6の下流部と合流点60とが配置される内部容積を画定する断熱ケーシング22aを備える。加えて、第2の加熱装置22は、前記内部容積を加熱するように適合された第2の加熱部材22bを備える。
【0072】
加熱された断熱ケーシングの使用により、合流点及び移送回路の下流部において同時に、気化した絶縁流体の温度をより効果的に制御することが確実になる。まったく同じ加熱容積内に主な分配成分を配置することにより、成分が独立した加熱システムによって加熱された場合よりも、効果的且つ簡単に温度を制御することが可能になる。
【0073】
好ましくは、第2の加熱装置22は、抵抗型である。それは、断熱ケーシング22aの壁の1つ又はその近くに取り付けられて配置された少なくとも1つの電気抵抗器を備え得る。熱伝達は対流によって、好ましくは強制対流によって行われる。第2の加熱装置22は、第2の加熱装置22から筐体2の内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段23と関連付けることができる。これにより、断熱ケーシングの内部容積全体を効率的に加熱することが可能になる。特に、空気循環手段23は、少なくとも1つのファンを備え得る。好ましくは、空気循環手段23は、断熱ケーシングの内部から、好ましくは断熱ケーシングの中央領域から冷気を回収し、したがって冷気が第2の加熱装置22によって加熱され、加熱された空気を排出するように構成される。空気は閉回路でオーブン内を循環することができ、特に循環される空気は加熱され、内部容積内を循環し、その後、再び第2の加熱装置22に向けられるように循環手段によって引き込まれる。
【0074】
特に、第2の加熱装置22は、ケーシング22aの内部容積を15~65℃、パーフルオロケトンの場合は好ましくは50~55℃、パーフルオロニトリルの場合は好ましくは20~35℃の範囲の温度に加熱するように構成することができる。
【0075】
好ましくは、断熱ケーシング22aは可撓性ケーシングである。したがって、それは、個別に加熱することが困難になる複雑な形状の構成要素を収容することができる。流量調整器に加えて、移送回路は、さまざまな構成要素、弁、導管、流体コネクタなどを含み得る。ケーシングは、内部容積を不必要に加熱しないように最小限に抑えながら、これらのさまざまな構成要素の周りに配置することができる。断熱ケーシングはまた、流量調整装置の動作温度を安定させて、これらの流れの安定性を最適化するという利点も有する。
【0076】
ケーシングは、ガラス糸若しくはテフロン糸などの断熱材料で形成された糸の少なくとも1つの織布、又はガラス繊維若しくはテフロン繊維などの断熱材料で形成された繊維の不織布などの、可撓性材料の少なくとも1つの層を備え得る。「布」という用語は、糸を織ること、すなわち、織布を得るために糸を織り合わせることによって得られる工業製品を意味する。「不織布(non-woven)」又は不織布(unwoven fabric)という用語は、シート状に配置され、ランダム又は方向性を持って配向され、製織を除く機械的、化学的及び/又は熱的方法によって互いに接続された繊維で形成された工業製品を意味する。特に、不織布は、摩擦、凝集又は接着によって接続された繊維で形成することができる。布又は不織布の使用により、ケーシングに適度な柔軟性が与えられる。
【0077】
特に、断熱ケーシングは、壁間に配置された少なくとも1つの断熱材料を含む可撓性二重壁ケーシングである。壁は断熱材料を所定の位置に保持するのに役立つ。それらはそれぞれ、上述したような可撓性材料の層から形成することができる。断熱材料は、特に、例えばウール又は発泡体の形態のガラス、シリコーンなどを含み得る。有利な可能性によれば、断熱ケーシングは、取り外し可能な取り付け手段によって互いに接続されたいくつかのパネルで構成されている。したがって、ケーシングは、モジュール式であり、設備の構成要素の形状及び寸法に適合することができる。特に、ケーシングの寸法は、分配するガス混合物の成分の数に従って変更することができる。例えば、使用する流体の数が増加する場合、これは移送回路及び関連する調整装置の数の増加につながるので、パネルを追加してケーシングの寸法を大きくすることができる。
【0078】
取り外し可能な取り付け手段は、例えば、少なくとも1つのパネル上に配置されたフック部品と、別のパネル上に配置された相補的なループ部品とをそれぞれ備えるVelcro(登録商標)タイプのファスナを備えることができ、構成部品を接触させることによって取り外し可能な接続が形成される。
【0079】
有利には、第2の移送回路7は、前記合流点60に接続された第2の下流部7bを備え、この下流部は、好ましくは、一方では第2の容器2に、他方では合流点60に接続された第2の流量制御装置13を備える。第2の流量調整装置13は、混合物中のキャリア流体の目標含有量C2の関数として決定することができる第2の流量設定値D2に従って、合流点60に向かって流れるキャリア流体の流量を調整及び/又は調節するように構成される。
【0080】
第2の加熱装置22は、第2の移送回路7の第2の下流部を加熱するように構成される。したがって、第2の流量調整装置13の温度も制御し、外部影響に影響されないようにすることが可能であり、これにより、現場でのガス混合物の高精度な分配が可能になる。特に、第2の移送回路7の第2の下流部は、断熱ケーシング22aによって画定される内部容積内に配置される。
【0081】
設備が1つ又は複数の追加キャリア流体容器3、4を備える場合、これらの追加容器のそれぞれは、例えば図2に示すように、合流点60又は合流点60の下流に位置する接続点70に接続することができる。好ましくは、各追加キャリア流体は、追加流量調整装置18、19が設けられた下流部を備えるそれぞれの追加移送回路によって、その容器からガス状態で移送される。
【0082】
流量調整装置により、それぞれ第3の流量設定値D3及び第4の流量設定値D4に従って、各追加キャリア流体の流量を調整することが可能になる。合流点60の下流、又は該当する場合接続点70の下流では、各流体の気相の混合物が、各流体の流量の合計に対応する総流量で得られる。したがって、流量を制御することにより、生成されるガス混合物を構成する各流体の濃度を制御することが可能になる。
【0083】
好ましくは、追加流量調整装置18、19を備える追加移送回路の追加下流部もまた、上述のように、その動作を安定させるように、第2の加熱装置22によって加熱される。
【0084】
有利には、流量調整装置を備える設備の流体移送回路の下流部の全体が第2の加熱装置22によって加熱される。特に、これらのシステムの全体が断熱ケーシング22aによって画定される内部容積内に配置される。したがって、流量調整部品及び分配部品は、合流点まで同時に加熱される。
【0085】
本発明の文脈では、流量調整部材は、流体の流量を所望の値に最も近い流量値にするために、流体の流量を設定、調整又は調節するように構成された任意の手段であり得ることに留意されたい。典型的には、流量調整部材は、それぞれ、弁、例えば比例制御弁などの膨張部材と組み合わせた流量センサ、又は流量計を備える。弁は、空気圧又は圧電、アナログ又はデジタルとすることができる。弁は、典型的には少なくとも1つの閉鎖部材である可動部を備え、この可動部は、流体の流れの中に置かれ、その動きにより通路断面積を変化させることが可能になり、したがって、流量を設定値にするために、流量を変化させることが可能になる。特に、流量調整部材は、質量流量センサ及び比例制御弁を備える質量流量調整器であってもよい。
【0086】
有利には、第1の加熱手段10は、第1の容器1内の液化絶縁流体を第1の温度に加熱するように構成され、第2の加熱手段は、少なくとも合流点60及び第1の移送回路6の下流部において、液化絶縁流体の蒸気相を第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するように構成される。これにより、第1の容器1の下流で蒸気相が再凝縮するリスクが防止される。
【0087】
好ましくは、本発明による設備は、後述する調整モードの1つ又は複数を備え得る。
【0088】
第1の態様によれば、第1の加熱手段10は、可変的な加熱力を送出するように構成される。したがって、第1の容器1内の液化絶縁流体を加熱するための温度を調節することが可能である。好ましくは、設備は、第1の容器1の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサPCをさらに備える。センサPCは、容器の内部にあっても外部にあってもよく、及び/又は容器1若しくは容器1に接続されたパイプラインに接続されてもよい。第1の制御ユニット41は、圧力センサPC及び第1の加熱手段10に接続されている。第1の制御ユニット41は、圧力センサPCによって測定された圧力に基づいて、第1の加熱手段10によって送出される加熱力を変化させるように構成される。
【0089】
したがって、加熱力は、容器1内の圧力を安定させるために第1の容器1内で絶縁流体が加熱される温度を調節するように適合される。変化が生じた場合、制御ユニットは、容器内の圧力を調節するように、第1の手段10によって加熱条件を適合させる。したがって、安定した気相流量での連続的な分配が確保される。この調整モードは、圧力の変化が容器1内の物理システムの状態に直接且つ即時の影響を与えるので、第1の加熱手段の独立した調整よりも効果的且つ安全である。圧力測定によって加熱を調整することにより、第1の容器1内の絶縁流体の非常に安定した温度を得ることが可能になる。
【0090】
この実施形態は、容器1内の圧力が気相圧力に対応し、気化可能な絶縁流体の量を直接反映するので、絶縁流体が純粋な形態で分配される場合に特に適している。
【0091】
好ましくは、第1の制御ユニット41は、第1の容器1内の圧力を第1の設定圧力と比較するための手段を備え、第1の制御ユニット41は、容器1の内部で測定された圧力が第1の設定圧力以上であるときに加熱力を低減し、容器1内の圧力が第1の設定圧力未満であるときに加熱力を増加させるように構成される。加熱力の低減は、圧力設定値とシステムの測定圧力との間の制御ユニット41によって計算された圧力差の関数として、より低い出力での加熱又は加熱の停止を意味すると理解されることに留意されたい。
【0092】
圧力の関数として第1の加熱手段の加熱力に適用される調整により、第1の容器1の不必要な過熱を回避しながら、絶縁流体の最適な流量を分配することが可能になる。
【0093】
変形形態(図示せず)によれば、圧力センサPCを、容器1の壁の外面の少なくとも一部分の温度、すなわち容器1の表面温度を測定するように構成された温度測定部材で置き換えることが考えられる。したがって、第1の加熱手段10の加熱は、この温度の関数として調整される。温度測定部材は、接触によって温度測定を行うように構成された任意の部材、特に抵抗式温度センサ、例えばPT100白金抵抗センサ、又は熱電対若しくはサーミスタ温度プローブであり得る。
【0094】
第1の制御ユニット41は、温度測定部材及び第1の加熱手段10に接続されている。第1の制御ユニット41は、測定された温度の関数として、第1の加熱手段10によって送出される加熱力を変化させるように構成される。
【0095】
有利には、第1の制御ユニット41は、温度測定部材によって測定された温度を所定値の第1の設定温度と比較するための手段を備える。制御ユニット41は、測定された温度が第1の設定温度よりも高いときに加熱力を低減し、測定された温度が第1の設定温度よりも低いときに加熱力を増加させるように構成される。加熱力の低減は、温度設定値とシステムの測定温度との間の制御ユニット41によって計算された温度差の関数として、より低い出力での加熱又は加熱の停止を意味すると理解されることに留意されたい。
【0096】
第2の態様によれば、第2の加熱手段は、可変的な加熱力を送出するように構成される。したがって、移送回路6及び合流点60における液化絶縁流体蒸気を加熱するための温度を調節することが可能である。好ましくは、第2の加熱手段の加熱力は、第1の加熱装置21及び/又は第2の加熱装置22における温度の測定値に基づいて、調節及び/又は調整することができる。したがって、第1の加熱装置21及び/又は第2の加熱装置22は、1つ又は複数の温度センタTCを有し得る。他のエリア、特に第2の加熱装置22によって加熱される内部容積内に温度センサTCを置くことも考えられることに留意されたい。
【0097】
第3の制御ユニット43は、温度センサTC及び第2の加熱手段に接続されている。第3の制御ユニット43は、温度センサTCによって測定された温度に基づいて、第2の加熱手段によって送出される加熱力を変化させるように構成される。したがって、加熱力を調節して、移送回路6及び合流点60において絶縁流体が加熱される温度を変化させることができる。図1は、第1の加熱装置21及び第2の加熱装置22の加熱力の共通制御を概略的に描写している。第1の加熱装置21及び第2の加熱装置22の加熱力を独立して制御することも可能である。
【0098】
第3の制御ユニット43は、少なくとも1つの温度センサによって測定された温度を少なくとも1つの第2の設定温度と比較するための手段を備える。第3の制御ユニット43は、測定された温度が第2の設定温度以上であるときに加熱力を低減し、測定された温度が第2の設定温度未満であるときに加熱力を増加させるように構成される。第1の加熱装置21の加熱力及び第2の加熱装置22の加熱力は、同じ設定温度に従って、又は異なる設定温度に従って調整することができることに留意されたい。
【0099】
有利には、第3の制御ユニット43は、第2の設定温度に従って第2の加熱手段の加熱力を調整するための第1の制御ループを備える。制御ループは、測定された温度と維持することが望まれる第2の設定温度との差を定期的に決定し、この差を可能な限り迅速に低減するように、1つ又は複数のアクチュエータに適用すべき適切なコマンドを計算する。制御ループは閉ループで動作する。
【0100】
好ましくは、第1の制御ループは、測定温度と第2の設定温度との比較によって得られる少なくとも第1の偏差信号を生成するように構成された第1の比較器を備える。第1のループは、第1の偏差信号から第1の制御信号を生成し、第1の制御信号に応答して第2の加熱手段の出力の調節を指令するアクチュエータに前記制御信号を送信するように構成された第1の補正器を備える。好ましくは、第1の補正器は、比例、積分及び微分(PID)型である。
【0101】
第3の態様によれば、第2の容器2内の液化キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段30を設備が備える場合、前記第3の手段30は、可変的な加熱力を送出するように構成することができる。したがって、第2の容器2内の液化キャリア流体を加熱するための温度を調節することが可能である。好ましくは、設備は、第2の容器2の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも別の圧力センサPCをさらに備える。センサPCは、容器の内部にあっても外部にあってもよく、及び/又は容器2若しくは容器2に接続されたパイプラインに接続されてもよい。図1は、他の圧力センサPC及び第3の加熱手段30に接続された第1の制御ユニット41を示す。第1の制御ユニット41は、他のセンサPCによって測定された圧力に基づいて、手段30によって送出される加熱力を変化させるように構成される。第2の容器2の加熱は、独立した制御ユニットによって調整することもできる。第1の加熱手段に関連して説明した特徴及び利点の全部又は一部が第3の加熱手段の調整に適用可能であることに留意されたい。
【0102】
変形形態(図示せず)によれば、上述したような圧力の測定による手段30の加熱の調整は、第2の容器2の外部温度、すなわち第2の容器2の表面温度の測定による調整に置き換えることができる。温度測定による第1の加熱手段の調整について説明した特徴の全部又は一部が、第3の加熱手段のこの調整モードに適用可能であることに留意されたい。
【0103】
第4の態様によれば、設備は、所望の流量設定値D1及びD2に従ってそれらの動作を制御するように、第1及び第2の流量調整装置それぞれ61及び13に接続される第2の制御ユニット42を備える。2つの流量調整装置61及び13は、有利には、制御ユニット42から流量設定値D1及びD2を受け取る閉ループシステムを備える。流量調整装置61及び13は、それぞれ、流体流量を測定する少なくとも1つの流量センサを含む。閉ループシステムは、測定された流量をそれぞれの流量設定値と比較する。装置の位置は、合流点60に向かう流量を可能な限りD1及びD2に近く保つために、前記システムによって適宜調節される。好ましくは、流量制御ループはPID型である。
【0104】
有利には、制御ユニット41、42、43は、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)システムとも呼ばれるプログラマブルコントローラ、すなわち監視用ヒューマンマシンインタフェースとデジタル通信ネットワークとを備える工業プロセス用制御システムを備える。したがって、制御ユニット41、42、43は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータのうちの少なくとも1つを備え得る。制御ユニット41、42、43は、設備のさまざまな制御機器、特に流量調整部材、センサに接続され、電気、Ethernet、Modbusなどの接続によって、及び/又は無線周波数、WIFI、Bluetoothなどの接続によって、前記機器と通信することができる。任意選択で、制御ユニット41、42、43は、同じエンティティを形成してもよい。
【0105】
図1に見られるように、第2の移送回路7は、キャリア流体の気相の圧力を低減するように構成された少なくとも1つの膨張部材5を備え得る。これにより、第2の流量調整装置13にとって許容可能な圧力で第2の流量調整装置13を動作させることが可能になる。好ましくは、膨張部材5による膨張の前に気相を加熱するように、膨張部材5の上流にヒータ11が配置される。これは、ガスの断熱膨張中にジュール・トムソン効果によって起こる冷却を補償するのに役立つ。2つの膨張部材を任意選択で直列に配置することができ、任意選択で2つの膨張部材の間に別のヒータを配置することができることに留意されたい。該当する場合、少なくとも1つのヒータ及び少なくとも1つの減圧器を追加移送回路上に配置することもできる。
【0106】
分配回路8は、絶縁流体の気相と上流で合流したキャリア流体の気相とを混合して均質化するように構成された混合装置50を有利に備える。例えば、ミキサに入る流体の連続的な混合を可能にする静的ミキサタイプのミキサを使用することができる。このタイプのミキサは、一般に、流体の混合及びその均質化を促進するために、流体の流れを乱し、乱流であってもはや層流ではない流れを発生させることが可能な、プレート、パイプの一部分、挿入物などの、少なくとも1つのかく乱要素を備える。
【0107】
図2に示す変形形態によれば、混合装置50は、任意選択で、2つの別個の混合部材51、52を備え得る。したがって、絶縁流体及びキャリア流体の気相の合流は、最初に合流点60において行われる。これらの相の中間混合物が、第1の混合部材51の出口において生成される。容器3からのキャリア流体は、接続点70において中間混合物と合流し、その後、第2の混合部材52内で中間混合物と混合される。したがって、追加キャリア流体は、絶縁流体がすでにキャリア流体で希釈されているときにのみ絶縁流体と合流し、これにより、キャリア流体が酸素であるときの設備の安全性が向上する。
【0108】
混合装置50の出口において、絶縁ガス混合物は、2.5~1bar(絶対圧)の範囲の第1の圧力を有し得る。
【0109】
好ましくは、1段又は複数段のコンプレッサなどの昇圧部材53が混合装置50の下流に配置される。したがって、ガス混合物が所望の組成で生成された時点で、その圧力は電気システムの充填圧力まで上昇する。典型的には、混合物は、昇圧部材53の出口において、2.5~11bar(絶対圧)の範囲の第2の圧力を有し得る。
【0110】
分配回路8は、昇圧部材53の上流に配置されたバッファタンク12を備え得る。これにより、流体の圧力を高める前に、流量の変動を平滑化することが可能になる。バッファタンク12により、混合物の均質化を完了することも可能になる。バッファタンク12は、単一タンクで形成されてもよく、又は互いに流体的に接続されたいくつかのタンクで形成されてもよい。
【0111】
分配回路8は、ガス混合物排出及び/又は再処理点91への分岐を含み得る。これにより、例えば、充填シーケンスの後、次のシーケンスの開始前に、流体回路をパージすることが可能になる。設備は、分配される混合物中の絶縁流体及び/又はキャリア流体の少なくとも1つの含有量を分析するように構成された分析ユニットに接続されるように意図された混合物サンプリング点92をさらに備え得る。これにより、設備の始動時、又は充填シーケンス中に、ガス混合物が目標含有量に適合していることを確認することが可能になる。生成された混合物が適合しない場合、任意選択で分配を停止することができる。分配回路8は、分配点90、排出点91、又はサンプリング点92に選択的に供給するための自動スイッチ手段を含み得る。
【0112】
本発明による設備により、生成に関して安定性及び精度が改善された、ガス誘電体混合物を分配することが可能になる。混合物の組成は、要求される仕様に容易に適合させることができる。ガス混合物は、高電圧電気システムのガス絶縁に通常使用される少なくとも1つの絶縁流体を含有することができる。備忘として、絶縁ガス混合物は、キャリア流体及び任意選択で少なくとも1つの追加キャリア流体を含有する。
【0113】
好ましくは、前記絶縁ガス混合物のGWPは、1000以下、すなわちCOのGWPよりも最大で1000倍高く、又はさらには500以下である。キャリア流体及び少なくとも1つの任意選択の追加キャリア流体は、絶縁流体との混合物で使用することができる。典型的には、ガス混合物は、2~15%(モル%)の絶縁流体、65~98%のキャリア流体、及び3~20%の酸素などの少なくとも1つの任意選択の追加キャリア流体を含み得る。
【0114】
分配流量が100sL/分である3種類のガスの混合物を生成するように構成された設備の例を挙げる。所望のガス混合物は、目標含有量C1が5%(モル%)の絶縁流体としてのパーフルオロニトリル、含有量C2が85%のキャリア流体としてのCO、及び追加キャリア流体としての10%の酸素で形成される混合物である。5sL/分の第1の流量設定値D1、85sL/分の第2の設定値D2、及び10sL/分の第3の流量設定値D3が、それぞれの流量調整装置に適用される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁ガス混合物をガス絶縁電気システム、特に高電圧電気システムに分配するための設備であって、前記設備は、
- 液体又は液化状態の絶縁流体を収容するように意図された第1の容器(1)と、
- 前記第1の容器(1)が第1の出口において前記絶縁流体の気相を生成するように、前記第1の容器(1)内の前記絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)と、
- 第2の容器(2)であって、キャリア流体を収容するように意図され、前記第2の容器(2)の第2の出口において前記キャリア流体の気相を生成するように構成された第2の容器(2)と、
- 前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)の前記第1の出口から合流点(60)まで移送するように構成された第1の移送回路(6)であって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、第1の移送回路(6)と、
- 前記キャリア流体の前記気相を前記第2の容器(2)の前記第2の出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された第2の移送回路(7)と、
- 前記合流点(60)に流体的に接続され、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気機器に分配するように構成された分配回路(8)と、
を備え、
- 前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第1の流量調整装置(61)を備え、
- 前記設備は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するように構成された第2の加熱手段(21、22)をさらに備える、
設備。
【請求項2】
前記第2の加熱手段(21、22)は、前記第1の移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)の少なくとも一部分において前記絶縁流体の前記気相を加熱するようにさらに構成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)は、少なくとも1つの流体パイプ(6a)を備え、前記第2の加熱手段(21、22)は、前記流体パイプ(6a)の全体又は一部の周りに配置された第1の加熱装置(21)を備え、特に前記第1の加熱装置(21)は、抵抗型又は誘導型であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記第2の加熱手段(21、22)は、前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)の周りに配置された第2の加熱装置(22)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項5】
前記第2の加熱装置(22)は、前記第1の移送回路(6)の前記下流部、前記第1の流量調整装置(61)、及び前記合流点(60)が配置される内部容積を画定する断熱ケーシング(22a)と、前記内部容積を加熱するように適合された加熱部材(22b)とを備え、特に前記加熱部材(22b)は抵抗型であることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記断熱ケーシング(22a)は、可撓性材料の少なくとも1つの層を備え、特に前記可撓性材料は、断熱材料で形成された糸の少なくとも1つの織布、又は断熱材料で形成された繊維の不織布を含むことを特徴とする、請求項5に記載の設備。
【請求項7】
前記断熱ケーシングは、取り外し可能な取り付け手段によって互いに接続されたいくつかのパネルで構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の設備。
【請求項8】
前記第2の移送回路(7)は、前記第2の容器(2)に接続された第2の上流部(7a)と、前記合流点(60)に接続された第2の下流部(7b)とを備え、前記第2の下流部(7b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第2の流量調整装置(13)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記第2の移送回路(7)の前記第2の下流部(7b)を加熱するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項9】
前記設備は、追加キャリア流体を収容するように意図され、追加容器(3、4)の出口において前記追加キャリア流体の気相を生成するように構成された少なくとも1つの前記追加容器(3、4)をさらに備え、前記設備は、前記追加キャリア流体の前記気相を前記追加容器(3、4)の前記出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された追加移送回路を備え、前記追加移送回路は、前記追加容器(3、4)に接続された追加上流部と、前記合流点(60)に接続された追加下流部とを備え、前記追加下流部は、前記合流点(60)に向かって流れる前記追加キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された追加流量調整装置(18、19)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記追加移送回路の前記追加下流部を加熱するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項10】
前記第1の加熱手段(10)は、前記第1の容器(1)内の前記液化絶縁流体を第1の温度に加熱するように構成され、前記第2の加熱手段(21、22)は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の全体又は一部において、前記液化絶縁流体の前記蒸気相を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項11】
前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項12】
前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度測定部材と、前記温度測定部材及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記温度測定部材によって測定された前記温度の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項13】
前記第2の容器(2)は、液化形態の前記キャリア流体を収容するように意図されており、前記設備は、前記液化キャリア流体の少なくとも一部を気化させ、前記キャリア流体の気相を前記第2の移送回路(7)内に分配するような方法で、前記第2の容器(2)内の前記液化キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段(30)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項14】
前記第2の移送回路(7)は、前記キャリア流体の前記気相の前記圧力を低減するように構成された膨張部材(5)と、前記膨張部材(5)による前記気相の膨張の前に前記気相を加熱するように前記膨張部材(5)の上流に配置されたヒータ(11)とを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項15】
前記分配回路(8)は、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを混合するように構成された混合装置(50)と、前記混合装置(50)の下流に配置された昇圧部材(53)と、前記昇圧部材(53)の上流に配置されたバッファタンク(12)と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項16】
電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するための方法であって、前記方法は、
- a)液化絶縁流体の少なくとも一部を気化させ、第1の容器(1)内に絶縁流体の気相を生成するように、第1の加熱手段(10)によって前記第1の容器(1)内の液体又は液化状態の前記絶縁流体を加熱するステップと、
- b)前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)から合流点(60)まで移送するように、第1の移送回路(6)に前記絶縁流体の前記気相を通すステップであって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、ステップと、
- c)前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部に配置された第1の流量調整装置(61)を用いて、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するステップと、
- d)キャリア流体の気相を前記合流点(60)まで移送するように、前記キャリア流体の前記気相を第2の容器(2)から第2の移送回路(7)に通すステップと、
- e)前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを前記合流点(60)において合流させ、合流した前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気システムに分配するように適合された分配回路(8)に通すステップと、
- f)第2の加熱手段(21、22)によって、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するステップと、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
分配流量が100sL/分である3種類のガスの混合物を生成するように構成された設備の例を挙げる。所望のガス混合物は、目標含有量C1が5%(モル%)の絶縁流体としてのパーフルオロニトリル、含有量C2が85%のキャリア流体としてのCO、及び追加キャリア流体としての10%の酸素で形成される混合物である。5sL/分の第1の流量設定値D1、85sL/分の第2の設定値D2、及び10sL/分の第3の流量設定値D3が、それぞれの流量調整装置に適用される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 電気絶縁ガス混合物をガス絶縁電気システム、特に高電圧電気システムに分配するための設備であって、前記設備は、
- 液体又は液化状態の絶縁流体を収容するように意図された第1の容器(1)と、
- 前記第1の容器(1)が第1の出口において前記絶縁流体の気相を生成するように、前記第1の容器(1)内の前記絶縁流体を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)と、
- 第2の容器(2)であって、キャリア流体を収容するように意図され、前記第2の容器(2)の第2の出口において前記キャリア流体の気相を生成するように構成された第2の容器(2)と、
- 前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)の前記第1の出口から合流点(60)まで移送するように構成された第1の移送回路(6)であって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、第1の移送回路(6)と、
- 前記キャリア流体の前記気相を前記第2の容器(2)の前記第2の出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された第2の移送回路(7)と、
- 前記合流点(60)に流体的に接続され、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気機器に分配するように構成された分配回路(8)と、
を備え、
- 前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第1の流量調整装置(61)を備え、
- 前記設備は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するように構成された第2の加熱手段(21、22)をさらに備える、
設備。
[2] 前記第2の加熱手段(21、22)は、前記第1の移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)の少なくとも一部分において前記絶縁流体の前記気相を加熱するようにさらに構成されることを特徴とする、[1]に記載の設備。
[3] 前記移送回路(6)の前記第1の上流部(6a)は、少なくとも1つの流体パイプ(6a)を備え、前記第2の加熱手段(21、22)は、前記流体パイプ(6a)の全体又は一部の周りに配置された第1の加熱装置(21)を備え、特に前記第1の加熱装置(21)は、抵抗型又は誘導型であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の設備。
[4] 前記第2の加熱手段(21、22)は、前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部(6b)の周りに配置された第2の加熱装置(22)を備えることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の設備。
[5] 前記第2の加熱装置(22)は、前記第1の移送回路(6)の前記下流部、前記第1の流量調整装置(61)、及び前記合流点(60)が配置される内部容積を画定する断熱ケーシング(22a)と、前記内部容積を加熱するように適合された加熱部材(22b)とを備え、特に前記加熱部材(22b)は抵抗型であることを特徴とする、[4]に記載の設備。
[6] 前記断熱ケーシング(22a)は、可撓性材料の少なくとも1つの層を備え、特に前記可撓性材料は、断熱材料で形成された糸の少なくとも1つの織布、又は断熱材料で形成された繊維の不織布を含むことを特徴とする、[5]に記載の設備。
[7] 前記断熱ケーシングは、取り外し可能な取り付け手段によって互いに接続されたいくつかのパネルで構成されていることを特徴とする、[5]又は[6]に記載の設備。
[8] 前記第2の移送回路(7)は、前記第2の容器(2)に接続された第2の上流部(7a)と、前記合流点(60)に接続された第2の下流部(7b)とを備え、前記第2の下流部(7b)は、前記合流点(60)に向かって流れる前記キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された第2の流量調整装置(13)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記第2の移送回路(7)の前記第2の下流部(7b)を加熱するように構成されることを特徴とする[1]~[7]のいずれか一項に記載の設備。
[9] 前記設備は、追加キャリア流体を収容するように意図され、追加容器(3、4)の出口において前記追加キャリア流体の気相を生成するように構成された少なくとも1つの前記追加容器(3、4)をさらに備え、前記設備は、前記追加キャリア流体の前記気相を前記追加容器(3、4)の前記出口から前記合流点(60)まで移送するように構成された追加移送回路を備え、前記追加移送回路は、前記追加容器(3、4)に接続された追加上流部と、前記合流点(60)に接続された追加下流部とを備え、前記追加下流部は、前記合流点(60)に向かって流れる前記追加キャリア流体の前記気相流量を調整及び/又は調節するように構成された追加流量調整装置(18、19)を備え、前記第2の加熱装置(22)は、好ましくは、前記追加移送回路の前記追加下流部を加熱するように構成されることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の設備。
[10] 前記第1の加熱手段(10)は、前記第1の容器(1)内の前記液化絶縁流体を第1の温度に加熱するように構成され、前記第2の加熱手段(21、22)は、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の全体又は一部において、前記液化絶縁流体の前記蒸気相を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するように構成されることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の設備。
[11] 前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の内部に広がっている圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の設備。
[12] 前記第1の加熱手段(10)は、可変的な加熱力を送出するように構成され、前記設備は、前記第1の容器(1)の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度測定部材と、前記温度測定部材及び前記第1の加熱手段(10)に接続された第1の制御ユニット(41)とを備え、前記第1の制御ユニット(41)は、前記温度測定部材によって測定された前記温度の関数として、前記第1の加熱手段(10)によって送出される前記加熱力を変化させるように構成されることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の設備。
[13] 前記第2の容器(2)は、液化形態の前記キャリア流体を収容するように意図されており、前記設備は、前記液化キャリア流体の少なくとも一部を気化させ、前記キャリア流体の気相を前記第2の移送回路(7)内に分配するような方法で、前記第2の容器(2)内の前記液化キャリア流体を加熱するように構成された第3の加熱手段(30)を備えることを特徴とする、[1]~[12]のいずれか一項に記載の設備。
[14] 前記第2の移送回路(7)は、前記キャリア流体の前記気相の前記圧力を低減するように構成された膨張部材(5)と、前記膨張部材(5)による前記気相の膨張の前に前記気相を加熱するように前記膨張部材(5)の上流に配置されたヒータ(11)とを備えることを特徴とする、[1]~[13]のいずれか一項に記載の設備。
[15] 前記分配回路(8)は、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを混合するように構成された混合装置(50)と、前記混合装置(50)の下流に配置された昇圧部材(53)と、前記昇圧部材(53)の上流に配置されたバッファタンク(12)と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、[1]~[14]のいずれか一項に記載の設備。
[16] 電気絶縁ガス混合物を高電圧電気システムに分配するための方法であって、前記方法は、
- a)液化絶縁流体の少なくとも一部を気化させ、第1の容器(1)内に絶縁流体の気相を生成するように、第1の加熱手段(10)によって前記第1の容器(1)内の液体又は液化状態の前記絶縁流体を加熱するステップと、
- b)前記絶縁流体の前記気相を前記第1の容器(1)から合流点(60)まで移送するように、第1の移送回路(6)に前記絶縁流体の前記気相を通すステップであって、前記第1の移送回路(6)は、前記第1の容器(1)に接続された第1の上流部(6a)と、一方では前記第1の上流部(6a)に、他方では前記合流点(60)に接続された第1の下流部(6b)とを備える、ステップと、
- c)前記第1の移送回路(6)の前記第1の下流部に配置された第1の流量調整装置(61)を用いて、前記合流点(60)に向かって流れる前記絶縁流体の気相流量を調整及び/又は調節するステップと、
- d)キャリア流体の気相を前記合流点(60)まで移送するように、前記キャリア流体の前記気相を第2の容器(2)から第2の移送回路(7)に通すステップと、
- e)前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを前記合流点(60)において合流させ、合流した前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを、前記絶縁流体の前記気相と前記キャリア流体の前記気相とを含む電気絶縁ガス混合物を前記高電圧電気システムに分配するように適合された分配回路(8)に通すステップと、
- f)第2の加熱手段(21、22)によって、少なくとも前記合流点(60)及び前記第1の移送回路(6)の前記下流部(6b)において、前記絶縁流体の前記気相を加熱するステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】