IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シルラジェン,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2025-500906新生物性疾患の治療の使用のための医薬組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】新生物性疾患の治療の使用のための医薬組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20250107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250107BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K31/341
A61K31/357
A61K31/443
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536039
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2022020390
(87)【国際公開番号】W WO2023113477
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214940.5
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22181675.4
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325554
【氏名又は名称】シルラジェン,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILLAJEN,INC.
【住所又は居所原語表記】9th FL.,109,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul 04525,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ハイジ
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】リザーランド,カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マクシー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォレスター-グロス,ニコル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BA03
4C086CA01
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA24
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、(a)TTK/PLK1阻害剤(すなわち、特許請求の範囲において保護される式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)および(b)タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を含む医薬組み合わせ、ならびに癌などの新生物性疾患の治療のために本発明の組み合わせを使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組み合わせであって、
(a)式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩;
および(b)タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩を含む、医薬組み合わせ。
【請求項2】
前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ラロタキセル、ミラタキセル、オルタタキセルおよびテセタキセルから選択され、それらの薬学的に許容され得る塩を含む、請求項1に記載の医薬組み合わせ。
【請求項3】
前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルである、請求項1に記載の医薬組み合わせ。
【請求項4】
週用量あたりの、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対する前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.4:1から約2.1:1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項5】
対象、特にヒトにおける新生物性疾患の前記治療に使用するための、請求項1から4のいずれか一項に定義される医薬組み合わせ。
【請求項6】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、4週間の治療サイクルに従って前記対象に投与され、
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、前記治療サイクルの第1週に投与され、その後3週間の休薬週間が続き、前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩は、前記治療サイクルの最初の3週間の間の各週投与され、その後休薬週間が続く、または
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、前記治療サイクルの第1週および第3週に投与され、第2週および第4週は休薬週間であり、前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、前記治療サイクルの前記最初の3週間の間の各週に投与され、その後、休薬週間が続く、または
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、前記治療サイクルの前記最初の3週間の間の各週に投与され、その後、休薬週間が続き、前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、前記治療サイクルの前記最初の3週間の間の各週に投与され、その後、休薬週間が続く、
好ましくは、それぞれの場合において、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および前記タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、同じ4週間の治療サイクルに従って前記対象に投与される、請求項5に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項7】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約40mg~約200mgの前記式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、請求項5または請求項6に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項8】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約80mg~約160mgの前記式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、請求項5または請求項6に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項9】
タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルが、投与されるとき、週のうち毎週約70mg/m~約80mg/mの用量で患者に投与される、請求項5から8のいずれか一項に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項10】
前記新生物性疾患は、上皮性新生物、扁平上皮新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘膜表皮新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄内新生物、腺房細胞新生物、複合上皮新生物、特殊性腺新生物、傍神経節および乳腺腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫新生物、粘液腫、脂肪腫新生物、筋腫新生物、複合混合型および間質新生物、線維上皮新生物、滑膜様新生物、中皮腫新生物、胚細胞新生物、栄養膜新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨性および軟骨腫性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、種々の骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項5から9のいずれか一項に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項11】
前記新生物性疾患が、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)およびTTK阻害剤(例えば、前記式(I)の化合物)による治療に加えて、PLK1の阻害によって治療可能なものである、請求項5から10のいずれか一項に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項12】
前記新生物性疾患が、癌、特に、乳癌(トリプルネガティブ乳癌および管腔B癌を含む)、胃癌、結腸直腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される癌である、請求項5から11のいずれか一項に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項13】
前記新生物性疾患がトリプルネガティブ乳癌である、請求項5から12のいずれか一項に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【請求項14】
対象、特にヒトにおける新生物性疾患の前記治療のために、請求項1から3のいずれか一項に定義されるタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための、請求項1に定義される式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
対象、特にヒトにおける新生物性疾患の前記治療に使用するための、請求項1に定義される式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせて使用するための、請求項1から3のいずれか一項に定義されるタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書に記載の2つの活性医薬化合物を含む医薬組み合わせ、および新生物性疾患、特に癌の治療において本発明の組み合わせを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/155042号パンフレットは、癌の治療に使用するためのトレオニンチロシンキナーゼ(TTK)の最近発見されたクラスの阻害剤を記載している。
【0003】
パクリタキセルは、タキサン抗癌剤のクラスに属し、いくつかの癌適応症の治療のために承認された周知の小分子である。商品名タキソール(登録商標)で市販されている。
【0004】
癌患者のための新しい有効な治療選択肢が継続的に必要とされている。以下の実施例で実証されるように、驚くべきことに、国際公開第2015/155042号パンフレットの特定の化合物とパクリタキセルとの組み合わせが癌モデルにおいて複数の治癒を提供することが今や見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/155042号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、医薬組み合わせであって、
(a)式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩;
および(b)タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を含む、医薬組み合わせを提供する。
【0007】
式(I)の化合物は、実施例17として国際公開第2015/155042号パンフレットに開示されている。
【0008】
驚くべきことに、TTK阻害活性に加えて、式(I)の化合物もポロ様キナーゼ1(PLK1)阻害を示すことも見出された(以下の実施例を参照)。両方のキナーゼは、細胞が有糸分裂を終了することができる前に染色体アライメントおよび分離を調節するために、動原体において有糸分裂紡錘体形成チェックポイント(SAC)を活性化することにおいて協働する。Von Schubert et al.,Cell Reports 2015,12;66-78は、PLK1およびTTK(MPS1としても知られる)がヒト細胞において紡錘体形成チェックポイント(SAC)を協働して調節することを開示している。TTKおよびPLK1の両方の阻害からの増強された効果のこの可能性は、Dou et al.,Plos ONE 2011,6:4;e18793においても示唆されており、それは、両方のキナーゼのいくつかの基質が類似のコンセンサスモチーフを共有することを示す。
【0009】
TTK特異的阻害剤とは対照的に、式(I)の化合物は、異常な有糸分裂進行を増強するSACのより迅速な破壊をもたらすPLK1に対する一過性の効果(以下の実施例を参照)と組み合わせて、TTKに対する長期の効果を有する。したがって、二重TTK/PLK1阻害活性は、式(I)の化合物に固有のプロファイルを与え、それを、認識できるレベルのPLK1阻害活性なしにTTK阻害活性を示す他の分子から区別する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、治療有効量の本発明の医薬組み合わせを対象に投与することを含む、それを必要とする対象の新生物性疾患を治療する方法を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、新生物性疾患の治療を必要とする対象において新生物性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含み、前記対象が、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)による治療を受けているか、または受けるであろう方法を提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、新生物性疾患の治療を必要とする対象において新生物性疾患を治療するための方法であって、治療有効量のタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を対象に投与することを含み、前記対象が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩による治療を受けているか、または受けるであろう、方法を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、対象における新生物性疾患の治療に使用するための本発明の医薬組み合わせを提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、対象における新生物性疾患の前記治療のために、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、対象の新生物性疾患を治療するために式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせて使用するためのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、単剤医薬品の調製における、または対象における新生物性疾患の治療のための併用医薬品としての本発明の医薬組み合わせの使用を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、対象における新生物性疾患を治療するための、タキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための単剤医薬品の調製、またはタキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせた医薬品の調製(例えばパクリタキセル)における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、対象における新生物性疾患を治療するための、タキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための単剤医薬品の調製、またはタキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせた医薬品の調製における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0019】
本発明の組み合わせによる治療のための新生物性疾患は以下に記載されており、特に癌の治療のために、特にヒト対象のために企図される。
【0020】
本発明のさらなる態様および実施形態を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1のPDX研究からの皮下患者由来異種移植片(PDX)腫瘍モデルBR1282を有するマウスにおける式(I)の化合物およびパクリタキセル(PTX)ならびにそれらの組み合わせの単剤療法の効果を示す。(A)および(B)は、異なる治療(A、平均±SEM)下でのBR1282腫瘍の増殖の結果、および各治療群(B、平均±SD)についての各腫瘍の異なる増殖速度の比較を示し、ここで***は、p<0.001を示し、ビヒクルおよび両方の単剤療法と比較している(組み合わせ群は互いに有意差がなかった;p=0.7)。注:21日目に、一匹のマウスが式(I)の化合物単独療法群で死亡し(非薬物関連と考えられる)、28日目に、一匹のマウスが組み合わせ24時間群で>20%の体重減少のため処分された。(C)および(D)は、異なる治療(C、平均±SEM)下での体重の変化率および溶媒群を処分した16日目の比較を示し、*p<0.05(D)である。統計分析は、Holm-Sidak事後検定による一元配置ANOVAを使用した。N=8匹のマウス/群。対照マウスは、投与間に4時間のギャップを使用して両ビヒクル、すなわち式(I)の化合物のビヒクルおよびパクリタキセルのビヒクルを受けた。
図2図1に示す第1のPDX試験からの皮下PDX腫瘍モデルBR1282における5つの治療群の個々の腫瘍の成長の比較を示す。N=8匹のマウス/群。(A)は溶媒対照群を示し、(B)は式(I)の化合物を単独で投与した群を示し、(C)はパクリタキセルを単独で投与した群を示し、(D)は両方の化合物を同日に投与されたときに式(I)の化合物をパクリタキセルの4時間後に投与した併用療法を投与された、併用療法を受けた群を示し、(E)は両方の化合物を連続した日に投与されたときに式(I)の化合物をパクリタキセルの24時間後に投与された、併用療法を受けた群を示す。
図3】第1のPDX試験から97日目に調製した、マウス皮膚のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を示す。(A)残存腫瘍(星印で示す)を示す組み合わせ24時間群のマウスの皮膚を示す。石灰化(矢印で示す)も見える。(B)残留腫瘍が完全に存在しないことを示す、組み合わせ24時間群のマウスの皮膚を示す。
図4】第2のPDX試験からの皮下PDX腫瘍モデルBR1282を有するマウスにおける単剤療法およびそれらの組み合わせの効果を示す。(A)および(B)は、異なる治療(A、平均±SEM)下でのBR1282腫瘍の成長の結果、および最終治療の1週間後である処分日または51日目までの各治療群についての各腫瘍の異なる成長速度の比較(B、平均±SD)を示し、***はp<0.001を示し、**はp<0.01を示し、*はp<0.05を示し、式(I)の化合物の単剤療法と比較している。すべての組み合わせ群は、p<0.001を示しており、ビヒクルおよびパクリタキセル単剤療法と比較している(組み合わせ群は互いに有意差がなかった;p=0.957~0.998)。注:23日目に、4時間のギャップを設けた組み合わせ群(すなわち、PTX 15mg/kgとして示される治療群;式(I)8mg/kg 2qw(4時間のギャップ))において>20%の体重減少のためにマウス1匹を処分した。(C)および(D)は、異なる治療(C、平均±SEM)および溶媒群を処分した13日目の比較の下での体重変化をパーセントで示し、*p<0.05、**p<0.01および***p<0.001である(D)。統計分析は、Holm-Sidak事後検定による一元配置ANOVAを使用した。N=8匹のマウス/群。対照マウスは、投与間に4時間のギャップを使用して両方のビヒクル、すなわち式(I)の化合物のビヒクルおよびパクリタキセルのビヒクルを受けた。
図5図4に示す第2のPDX試験からの皮下PDX腫瘍モデルBR1282における9つの治療群の個々の腫瘍の成長の比較を示す。N=8匹のマウス/群。(A)は溶媒対照群を示し、(B)は式(I)の化合物を単独で受けた群を示し、(C)はパクリタキセルを単独で受けた群を示し、(D)は両方の化合物を同日に投与したとき式(I)の化合物をパクリタキセルの2時間後に投与された、併用療法を受けた群を示し、(E)は両方の化合物を同日に投与したときに式(I)の化合物をパクリタキセルの4時間後に投与した、併用療法を受けた群を示し、(F)は、両方の化合物を連続した日に投与したときに式(I)の化合物をパクリタキセルの24時間後に投与した、併用療法を受けた群を示し、(G)は、式(I)の化合物をパクリタキセルの4時間後単独投与として投与した、併用療法を受けた群を示し、(H)は、両方の化合物を同じ日に投与した、式(I)の化合物をパクリタキセルの4時間前に投与した、併用療法を受けた群を示す。
図6】式(I)の化合物とパクリタキセルとの間に有意な薬物-薬物相互作用(DDI)があるかどうかを決定する実験の結果を示す。(A)式(I)の化合物に対するパクリタキセルの影響を示す。非腫瘍担持マウス(各群n=3)を、式(I)の化合物単独(8mg/kg、静脈内(i.v.))、またはパクリタキセル(15mg/kg、i.v.)の投与の1時間後に式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.)で1回治療した。結果は、異なる治療レジメンについての平均±SD(n=3)濃度-時間曲線を示す。(B)パクリタキセルに対する式(I)の化合物の影響を示す。非腫瘍担持マウス(各群n=3)を、式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.)の投与の1時間前にパクリタキセル単独(15mg/kg、i.v.)またはパクリタキセル(15mg/kg、i.v.)で1回治療した。結果は、異なる治療レジメンについての平均±SD(n=3)濃度-時間曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本明細書で使用される特定の用語を以下に説明する。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0023】
「組み合わせ」、「治療的組み合わせ」、または「医薬組み合わせ」という用語は交換可能な用語であり、固定の組み合わせまたは固定されていない組み合わせのいずれかを指す。
【0024】
「併用療法」という用語は、本開示に記載の治療状態または障害を治療するための2つ以上の治療剤の投与を指す。そのような投与は、実質的に同時の様式でのこれらの治療剤の同時投与、ならびに逐次的および/または別個の様式(例えば、異なる投与経路に従って)での、ほぼ同時にまたは異なる時間に、例えば異なる投与レジメンに従った各タイプの治療剤の使用を包含し、その例は本明細書に記載されている。治療剤が連続的におよび/または別々に投与されるとき、投与スケジュールは、患者の体内で治療剤間に治療的な相互作用が存在しているようなものであり、および/または第2の治療剤が投与されるとき、第1の治療剤に起因する治療効果が存在するようなものである。例えば、薬剤が周期的な治療スケジュールに従って投与されるとき、周期的な治療スケジュールは重複し得るか、または1つの治療剤が連続的な投与スケジュールに従って投与され、第2の治療剤が周期的なスケジュールに従って投与されるとき、連続的なスケジュールに従って投与される薬剤からの少なくとも1つの用量が、他の治療剤の治療サイクル中に生じる。通常、両方の治療剤が周期的治療スケジュールに従って投与されるとき、治療剤の一方の用量と他方の治療剤の用量との間には少なくとも7日以下の間隔がある。
【0025】
「医薬組成物」という用語は、本明細書では、患者に影響を及ぼす特定の疾患または状態を治療するために、患者に投与される少なくとも1つの治療剤、任意選択で1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤を含有する固体または液体製剤を指すと定義される。
【0026】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合った過剰な毒性または他の合併症なしに、ヒトの組織との接触に適した化合物、材料、組成物および/または剤形などの品目を指す。
【0027】
本明細書で使用される「固定の組み合わせ」、「固定の用量」、「単一製剤」および「組み合わせ医薬」という用語は、両方の治療剤の新生物性疾患の治療に共同で治療上有効な量を患者に送達するように製剤化された単一剤形を指す。単一剤形は、任意の薬学的に許容され得る担体または賦形剤と共に、一定量の各治療剤を送達するように設計される。
【0028】
「固定されていない組み合わせ」、「キット」、「別々の製剤」、および「単剤医薬品」という用語は、活性成分が、同時に、連続的に、または別々に患者に投与することを可能にする別個の実体として製剤化され、そのような投与が、患者の体内で、治療有効レベルの2つの化合物を与えることを意味する。
【0029】
「患者」という用語は、治療的処置に自身を供するヒトを指す。
【0030】
「対象」という用語は、哺乳動物を指し、好ましくは患者を指す。
【0031】
対象において疾患を治療するという文脈において本明細書で使用される「治療」という用語は、一般に、いくつかの所望の治療効果、例えば、疾患の進行の阻害、進行速度の低下、進行速度の停止、疾患の進行の予防、疾患の症状の緩和、疾患の改善、および疾患の治癒の1つまたは複数が達成される治療および療法に関する。例えば、治療は、障害の1つまたはいくつかの症状の減弱または障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、「治療する」という用語はまた、疾患の発症を阻止する、遅延させる(すなわち、疾患の臨床症状発現前の期間)、および/または発症もしくは悪化のリスクを低減することを意味する。
【0032】
本明細書で使用される「予防する」、「予防している」または「予防」という用語は、予防される疾患に関連するまたはそれによって引き起こされる少なくとも1つの症状の予防を含む。
【0033】
「薬学的有効量」、「治療有効量」または「臨床的有効量」という用語は、所望の治療レジメンに従って投与された場合、例えば合理的なベネフィット/リスク比に見合った、治療された疾患のベースラインの臨床的に観察可能な徴候および症状に対する観察可能なまたは臨床的に有意な改善を提供するのに十分な量である。当業者は、併用療法で使用するための薬剤の治療有効量が、薬剤を単独療法として使用する場合に治療効果を提供するのに必要な量よりも低くなり得ることを理解するであろう。
【0034】
「約」という用語は、関連する数字の10%以下の変動を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、関連する数字の5%以下の変動を意味する。
【0035】
誤解を避けるために、範囲が提供される場合(例えば、5mg~480mg)、その範囲は、その範囲の記載された上限(480mg)および下限(5mg)を含む。
【0036】
式(I)の化合物
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、遊離塩基である/遊離塩基として使用される。他の実施形態では、式(I)の化合物は、薬学的に許容され得る塩として使用される。
【0037】
式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩は、酸付加塩であり得る。塩は、例えば式(I)の化合物からの有機酸または無機酸を用いて形成される。薬学的に許容され得る塩は、当業者の一般常識の範囲内である。薬学的に許容され得る塩は、対応する酸の2つ以上の分子またはイオンを含み得る。
【0038】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、溶媒和されていてもよく、特に水和されていてもよい。調製プロセス中に、溶媒和および/または水和が起こり得る。
【0039】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、国際公開第2015/155042号パンフレット、特に参照により本明細書に組み込まれる17頁~19頁に記載されているように、および国際公開第2015/155042号パンフレットの49頁の実施例17に記載されているように合成することができ、これも参照により本明細書に組み込まれ、実施例17~実施例9、中間体Hおよび実施例1の参照を含む。
【0040】
タキサン抗癌剤
タキサンは、抗癌剤の周知のクラスであり、例えばパクリタキセル(商品名タキソール(登録商標)で販売されている)、ドセタキセル(商品名タキソテール(登録商標)で販売されている)およびカバジテル(商品名ジェブタナ(登録商標)で販売されている)を含む。ラロタキセル、ミラタキセル、オルタタキセルおよびテセタキセルなどの他のタキサンが臨床開発中である(例えば、Ojima et al.Expert Opin.Ther.Pat.2016,26(1):1-20を参照)。抗癌剤のタキサン類の主要な作用機序は、微小管機能の破壊である。タキサンは、微小管中のグアノシン二リン酸(GDP)結合チューブリンを安定化する。それにより、微小管の安定化が、細胞分裂の過程を阻害する。
【0041】
いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ラロタキセル、ミラタキセル、オルタタキセルまたはテセタキセルであり、その薬学的に許容され得る塩を含む。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩は、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、またはその薬学的に許容され得る塩である。好ましくは、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩は、パクリタキセルまたはその薬学的に許容され得る塩であり、より好ましくはパクリタキセル(例えば、商品名タキソール(登録商標)で販売されているもの)である。
【0042】
疾患
本発明の医薬組み合わせは、本発明の組み合わせの投与によって新生物性疾患を治療するために、例えばプロテインキナーゼTTK(式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)を阻害し、微小管(タキサン抗癌剤、例えばパクリタキセル)を安定化するために使用され得る。さらに、式(I)の化合物がPLK1阻害活性をさらに有するという観察を考慮すると、新生物性疾患は、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)およびTTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による治療に加えて、PLK1の阻害によって治療可能なものであり得る。
【0043】
さらに、本発明の医薬組み合わせは、任意の臨床段階または病理学的グレード(例えば、腫瘍ステージI、腫瘍ステージII、腫瘍ステージIII、腫瘍ステージIV)または治療状況(例えば、予防的、アジュバント、ネオアジュバント、緩和的治療を含む治療的なもの)で癌を治療するために使用され得る。本発明の医薬組み合わせは、癌の進行もしくは癌の成長を遅らせる、遅延させるもしくは停止させる、または全生存時間もしくは癌の無増悪生存時間もしくは進行までの時間を増加させる、または対象の(例えば、患者の)生活の質もしくは機能状態を改善もしくは維持する際に使用するためのものであり得る。本発明の医薬組み合わせはまた、癌からの治療後の回復において使用され得る。本発明の医薬組み合わせは、転移性癌の治療に使用され得る。
【0044】
例えば、本発明の医薬組み合わせは、(i)癌細胞の数の減少;(ii)腫瘍体積の減少;(iii)腫瘍退縮率の増加;(iv)末梢器官への癌細胞浸潤を低減または遅延;(v)腫瘍の転移の低減または遅延;(vi)腫瘍の成長を低減または阻害;(vii)癌の発生および/もしくは再発の予防もしくは遅延、ならびに/または疾患のない生存期間もしくは腫瘍のない生存期間の延長;(viii)全生存期間の延長;(ix)治療頻度の低減;および/または(x)癌に関連する症状の1つまたは複数の軽減、のために使用され得る。
【0045】
上述のように、本発明の医薬組み合わせは、新生物性疾患の治療に使用され得る。新生物性疾患の例は、上皮性新生物、扁平上皮新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘膜表皮新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄内新生物、腺房細胞新生物、複合上皮新生物、特殊性腺新生物、傍神経節および乳腺腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫新生物、粘液腫、脂肪腫新生物、筋腫新生物、複合混合型および間質新生物、線維上皮新生物、滑膜様新生物、中皮腫新生物、胚細胞新生物、栄養膜新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨性および軟骨腫性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、種々の骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群を含むが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は癌である。罹患した器官および身体の部分に関する癌の例には、脳、乳房(トリプルネガティブ乳癌および管腔B乳癌を含む)、子宮頸部、卵巣、結腸、直腸(結腸直腸、すなわち結腸直腸癌を含む)肺(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌および中皮腫を含む)、内分泌系、骨、副腎、胸腺、肝臓、胃、腸(胃癌を含む)、膵臓、骨髄、血液悪性腫瘍(例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫またはリンパ性悪性腫瘍など)、胆管、膀胱、尿路、腎臓、皮膚、甲状腺、頭頸部、前立腺および精巣が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は、乳癌(トリプルネガティブ乳癌および管腔B乳癌を含む)、胃癌、結腸直腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される癌である。
【0048】
いくつかの実施形態において、新生物性疾患は、乳癌である。
【0049】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患はトリプルネガティブ乳癌である。
【0050】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は管腔B乳癌である。
【0051】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は胃癌である。
【0052】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は結腸直腸癌である。
【0053】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は肝細胞癌である。
【0054】
いくつかの実施形態では、新生物性疾患は子宮内膜癌である。
【0055】
いくつかの態様では、新生物性疾患は急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)である。
【0056】
癌は、原発性腫瘍および/または転移であり得る。癌は、固形または液状(例えば、血液学的または腹腔内)腫瘍に由来し得る。いくつかの実施形態では、治療される新生物性疾患(例えば、癌)は、腫瘍、例えば固形腫瘍である。
【0057】
投与
本発明の医薬組み合わせの投与には、組み合わせを単一の製剤として投与すること、ならびに組み合わせの個々の薬剤を別々の製剤として投与することが含まれる。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩は、別々の製剤に含まれる。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、対象(好ましくはヒト)に静脈内投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせは、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および治療有効量のタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を含む併用療法を対象に投与することを含む、対象の癌の治療に使用される。これらの化合物は、治療有効投与量で投与され、組み合わせた場合、例えば本明細書に記載の有益な効果を提供する。当業者は、併用療法で使用するための治療有効投与量が、いずれかの薬剤を単独療法として使用する場合に治療効果を提供するのに必要な投与量よりも低くなり得ることを理解するであろう。
【0059】
本発明の医薬組み合わせの投与は、有益な効果、例えば症状の緩和、進行の遅延または阻害に関して相乗効果をもたらし得るだけでなく、本発明の組み合わせに使用される薬学的治療剤の1つのみを適用する単剤療法と比較して、さらなる有益な効果、例えば副作用の減少、より永続的な治療効果、生活の質の改善および/または罹患率の減少ももたらし得る。例えば、投与量が頻繁により少なくなり得るだけでなく、より少ない頻度で適用され得るように、または組み合わせのパートナーの1つのみで観察される副作用の発生率を減少させるために使用され得るように、本発明の組み合わせの治療剤のより低い用量が使用され得る場合もあり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組み合わせは、相乗効果を示し得る。本明細書で使用される「相乗効果」という用語は、2つの薬剤、すなわち式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の作用を指し、それ自体として各薬剤が投与されるのと同じ治療効果を追加するよりも大きい治療効果、例えば疾患またはその症状の進行を遅らせることをもたらす。一般に、1つ以上の成分間の相乗的相互作用を決定する際に、効果のための最適範囲および効果のための各成分の絶対用量範囲は、異なるw/w比の範囲および用量にわたる成分の治療を必要とする対象(例えば、患者)への投与によって確定的に測定され得る。ヒトの場合、患者に対して臨床研究を実施する複雑さおよびコストは、相乗効果のための主要なモデルとしてのこの形態の試験の使用を非実用的にする可能性がある。しかしながら、特定の実験における相乗効果の観察は、他の種における効果を予測することができ、動物モデルを使用して相乗効果をさらに定量化することができる。そのような研究の結果はまた、例えば以下の実施例に例示されるように、有効用量の比の範囲ならびに絶対用量および血漿の濃度を予測するために使用され得る。
【0061】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明の医薬組み合わせを含むヒトへの投与のための相乗的組み合わせを提供し、各成分の用量範囲は、例えば適切な腫瘍モデルまたは臨床試験で示される相乗的範囲に対応する。
【0062】
本発明の組み合わせは、上記のように、長期療法において、または他の治療戦略の文脈における補助療法として使用することができる。他の可能な治療法は、腫瘍退縮後の対象の(例えば患者の)状態を維持するための療法、または例えばリスクのある対象(例えば、患者)における予防療法でさえある。
【0063】
本発明による方法は、(i)遊離または薬学的に許容され得る塩の形態の式(I)の化合物の投与、および(ii)任意の順序で、同時、逐次または別々に、共同的に治療有効量で、例えば相乗有効量で、例えば連続または周期的な投与スケジュールで、例えば本明細書に記載の量に対応して、遊離または薬学的に許容され得る塩の形態のタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の投与を含み得る。本発明の組み合わせの個々の組み合わせパートナーは、治療の経過中の異なる時間に別々に投与されてもよく、または同時に投与されてもよい。したがって、本発明は、すべてのそのような治療レジメンを包含すると理解されるべきであり、用語「投与」はそれに応じて解釈されるべきである。本発明で使用するための治療レジメンの例を以下に詳細に記載する。
【0064】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、同じ治療スケジュールに従って投与されてもよく、または独立した治療スケジュールに従って投与されてもよい。治療スケジュールは、周期的または連続的であり得る。
【0065】
周期的治療スケジュールは、反復要素(サイクル)が特定の期間を有し、用量がサイクル内の特定の日に投与される反復投与スケジュールによって定義される。サイクルは、例えば回復のための期間を可能にするために、通常はサイクルの終わりに投与がない期間(「休止期間」)を組み込むことができる。治療サイクルは、例えば、7日間、14日間、21日間、28日間またはそれ以上であり得る。連続治療スケジュールは、休止期間(すなわち、用量間の規則的な間隔よりも長い期間)を組み込まない規則的な投与スケジュールである。例えば、用量は、1日1回、1日2回、2日に1回、3日に1回などで投与され得る。治療スケジュールや、周期的であるか連続的であるかは、例えば、対象(例えば患者)が治療を監督する医師によって判断される利益を受けている限り、必要な限り継続され得る(「オープンエンド治療」)。
【0066】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が独立した治療スケジュールに従って投与されるとき、治療スケジュールは両方とも周期的であってもよく、または一方が周期的であり、他方が連続的であってもよい。両方の治療スケジュールが周期的である場合、2つの治療スケジュールのサイクルは、同じ持続時間であってもよいし、異なる持続時間であってもよく、同じ日に開始してもよいし、異なる日に開始してもよい。サイクルが同じ持続時間である場合、両方の薬物の治療サイクルは、通常、同じ日に開始する。
【0067】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、同じ期間、例えば4週間/28日間であり得る周期的治療スケジュールに従って投与され、それぞれの治療サイクルは通常同じ日に開始する(すなわち、同じ治療サイクルである)。
【0068】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、4週間の治療サイクルに従って投与され(例えば静脈内)、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、治療サイクルの第1週、例えば1日目に投与され、その後3週間の休薬が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後、例えば1、8および15日目に休薬の週が続く。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、同じ4週間の治療サイクルに従って対象に投与される(すなわち、治療サイクルは同日に開始する)。
【0069】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、4週間の治療サイクルに従って投与され(例えば静脈内)、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、治療サイクルの第1週および第3週に、例えば1日目および15日目に投与され、第2週および第4週は休薬週間であり、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後、例えば1、8および15日目に休薬の週が続く。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、同じ4週間の治療サイクルに従って対象に投与される(すなわち、治療サイクルは同日に開始する)。
【0070】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、4週間の治療サイクルに従って投与され(例えば静脈内)、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に、例えば、1、8および15日目に投与され、その後、休薬週間が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後、例えば1、8および15日目に休薬の週が続く。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、同じ4週間の治療サイクルに従って対象に投与される(すなわち、治療サイクルは同日に開始する)。
【0071】
本発明の組み合わせに使用される組み合わせのパートナーの各々の有効投与量は、使用される医薬組成物、投与様式、治療される状態、および治療される状態の重症度に応じて異なり得る。したがって、本発明の組み合わせの投薬レジメンは、投与経路ならびに対象(例えば患者)の腎機能および肝機能を含む種々の因子に従って選択される。
【0072】
毒性を伴わずに有効性をもたらす本発明の医薬組み合わせの最適な比、個々のおよび組み合わせた投与量、ならびに組み合わせのパートナーの濃度は、標的部位に対する治療剤の利用可能性の動態に基づく。それらは、当技術分野で周知の日常的な臨床試験および手順を使用して確立され得、投与様式、治療されている状態および治療されている状態の重症度、ならびに個体の年齢、体重、全身健康状態、性別および食事、および個体が服用している他の薬物などの様々な要因に依存する。同様に、投与頻度は、使用される化合物および治療される特定の状態に応じて変化し得る。対象(例えば、患者)は、一般に、治療されている状態に適したアッセイを使用して治療有効性についてモニターされ得、これは当業者によく知られている。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせにおける週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とのモル比は、例えば約0.1:1~約18.8:1、例えば約0.1:1~約16.7:1、例えば約0.2:1~約16.7:1、例えば約0.3:1~約2.3:1、例えば約0.3:1~約2.1:1、例えば約0.3:1~約0.7:1、例えば約0.3:1~約0.6:1、例えば約0.3:1~約0.5:1、例えば約0.4:1~約2.1:1、例えば約0.4:1~約1.2:1、例えば約0.4:1~約1.0:1、例えば約0.4:1~約0.5:1、例えば約0.5:1~約1.0:1、例えば約0.5:1~約0.9:1、例えば約0.6:1~約0.9:1であり得る。いくつかの実施形態では、週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するモル比は、約0.4:1~約2.1:1である。
【0074】
いくつかの実施形態では、週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とのモル比は、例えば約18.8:1まで、例えば約16.7:1まで、例えば約2.3:1まで、例えば約2.1:1まで、例えば約1.2:1まで、例えば約1.0:1まで、例えば約0.9:1まで、例えば約0.7:1まで、例えば約0.6:1まで、例えば約0.5:1までであり得る。いくつかの実施形態では、週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するモル比は、最高で約2.1:1である。
【0075】
いくつかの実施形態では、週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とのモル比は、例えば少なくとも約0.1:1、例えば少なくとも約0.2:1、例えば少なくとも約0.3:1、例えば少なくとも約0.4:1、例えば少なくとも約0.5:1、例えば少なくとも約0.6:1であり得る。いくつかの実施形態では、週用量あたりのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するモル比は、少なくとも約0.4:1である。
【0076】
以下の投与量の例はヒト用である。式(I)の化合物の用量は、体重または体表面積(BSA)に関係なく、1人あたりのmgとして与えられる。表A、BおよびCを含む以下に示される式(I)の化合物の投与量は、遊離塩基の投与量を指す。投与量は、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が使用される場合、記載されたmg投与量は、投与される式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩のモル量が以下に示される遊離塩基のモル量と同じになるように調整(すなわち、増加)されるべきであることを除いて、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩にも適用される。例えば、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量が、投与されるときに週に約5mg~約480mgであるという記載は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるときに週のうち毎週約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与されることを意味する。
【0077】
パクリタキセルの用量は、mg/mのBSAとして与えられ、遊離塩基を指す。同様に、記載されたパクリタキセルの投与量は、パクリタキセルの薬学的に許容され得る塩にも適用されるが、ただし、パクリタキセルの薬学的な塩が使用されるとき、記載されたmg/m投与量は、投与されるパクリタキセルのモル量が遊離塩基のモル量と同じになるように調整(すなわち、増加)されるべきである。パクリタキセルは、通常、遊離塩基として使用される。
【0078】
いくつかの実施形態において、投与されるときの週のうち、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、約5mg~約480mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、投与されるとき、週に約40mg~約200mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、投与されるとき、週に約80mg~約160mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、投与されるとき、週に約90mg~約130mgである。
【0079】
いくつかの実施形態において、投与されるときの週のうち、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、約140mg~約240mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、投与されるとき、週に約160mg~約220mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量は、投与されるとき、週に約180mg~約200mgである。
【0080】
投与されるときの式(I)の化合物の週単位(ヒトでの)投与量の例は、約10mg~約20mg、約20mg~約30mg、約30mg~約40mg、約40mg~約50mg、約50mg~約60mg、約60mg~約70mg、約70mg~約80mg、約80mg~約90mg、約90mg~約100mg、約100mg~約110mg、約110mg~約120mg、約120mg~約130mg、約130mg~約140mg、約140mg~約150mg、約150mg~約160mg、約160mg~約170mg、約170mg~約180mg、約180mg~約190mg、約190mg~約200mg、約200mg~約210mg、約210mg~約220mg、約220mg~約230mg、約230mg~約240mg、約240mg~約250mg、約250mg~約260mg、約260mg~約270mg、約270mg~約280mg、約280mg~約290mg、約290mg~約300mg、約300mg~約310mg、約310mg~約320mg、約320mg~約330mg、約330mg~約340mg、約340mg~約350mg、約350mg~約360mg、約360mg~約370mg、約370mg~約380mg、約380mg~約390mg、約390mg~約400mg、約400mg~約410mg、約410mg~約420mg、約420mg~約430mg、約430mg~約440mg、約440mg~約450mg、約450mg~約460mg、約460mg~約470mg、および約470mg~約480mg含む。
【0081】
投与されるときの(ヒトでの)週のうちの具体的な週投与量の式(I)の化合物の例は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg、約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、および約480mgを含む。
【0082】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の週用量は、単回投与で、例えば静脈内投与された場合にいかなる間もなく投与され得る。あるいは、週用量は、複数回の投与、例えば、静脈内投与されるとき、投与の間に休止を有する2回または3回の投与、例えば、投与の間に少なくとも30分間、例えば少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間、例えば、投与の間に30分~12時間、例えば30分~6時間投与され得る。そのような複数回の投与は、同じ日に、または別々の日に、例えば連続した日に、または例えば最初の投与の日の3日後に行われ得る。
【0083】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは静脈内投与される。注入の持続時間は、通常、少なくとも30分であり、最大24時間であり得る。いくつかの実施形態では、注入の持続時間は、30分から12時間、例えば30分から6時間、例えば30から3時間、例えば1から2時間、例えば約1時間である。
【0084】
投与されるときの週のうちのパクリタキセルの(ヒトでの)週投与量の例には、約60mg/mから約90mg/m、約60mg/mから約80mg/m、および約70mg/mから約80mg/mが含まれる。
【0085】
投与されるときの週のうちのパクリタキセルの具体的な(ヒトでの)週投与量の例は、約60mg/m、約61mg/m、約62mg/m、約63mg/m、約64mg/m、約65mg/m、約66mg/m、約67mg/m、約68mg/m、約69mg/m、約70mg/m、約71mg/m、約72mg/m、約73mg/m、約74mg/m、約75mg/m、約76mg/m、約77mg/m、約78mg/m、約79mg/m、約80mg/m、約81mg/m、約82mg/m、約83mg/m、約84mg/m、約85mg/m、約86mg/m、約87mg/m、約88mg/m、約89mg/m、および約90mg/mを含む。
【0086】
パクリタキセルの週用量は、単回投与で、例えば静脈内投与した場合には中断することなく投与することができる。あるいは、週用量は、複数回の投与、例えば、静脈内投与されるとき、投与の間に休止を有する2回または3回の投与、例えば、投与の間に少なくとも30分間、例えば少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間、例えば、30分~12時間、例えば30分~6時間投与され得る。そのような複数回の投与は、同じ日または別々の日、例えば連続した日または最初の投与後3日目に行われ得る。
【0087】
パクリタキセルは、好ましくは静脈内投与される。注入の持続時間は、通常、少なくとも30分であり、最大24時間であり得る。いくつかの実施形態では、注入の持続時間は、30分から12時間、例えば30分から6時間、例えば30から3時間、例えば1から2時間、例えば約1時間である。
【0088】
いくつかの実施形態では、投与されるときの週のうちの式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量および投与されるときの週のうちのパクリタキセルの(ヒトでの)週投与量は、表Aの実施形態1A~21Aのいずれか1つに示される通りである。
【表1】
【0089】
上の記述によるように、実施形態1Aは、パクリタキセルが、投与されるとき、週のうち毎週約60mg/mから約90mg/mの用量で患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき週のうち毎週約5mgから約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2A~21Aについても同様である。
【0090】
いくつかの実施形態では、投与されるときの週のうちの式(I)の化合物の(ヒトでの)週投与量および投与されるときの週のうちのパクリタキセルの(ヒトでの)週投与量は、表Bの実施形態1B~194Bのいずれか1つに示される通りである。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0091】
上の記述によるように、実施形態1Bは、パクリタキセルが、投与されるとき、週のうち毎週約60mg/mの用量で患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき週のうち毎週約5mgから約10mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2B~194Bについても同様である。
【0092】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルの治療サイクル期間は4週間であり、投与するとき、週のうち式(I)の化合物およびパクリタキセルの(ヒトでの)週投与量およびサイクル内の投与の週は、表Cの実施形態1C~63Cのいずれか1つに示される通りであり、式(I)の化合物およびパクリタキセルは、同じ治療サイクル(すなわち、同日に開始する)に従って投与される。
【表3-1】
【表3-2】
【0093】
上の記述によるように、実施形態1Cは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルが、同じ4週間の治療サイクルに従って患者に投与され(例えば静脈内)、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、治療サイクルの1週間目に投与され、その後に3週間の休薬週間が続き、パクリタキセルは、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、休薬週間が続き、パクリタキセルは、投与されるとき、週のうちの毎週約60mg/m~約90mg/mの用量で患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、投与されるとき週のうち毎週約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2C~63Cについても同様である。
【0094】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルの治療サイクル期間は28日であり、投与するとき、週のうち式(I)の化合物およびパクリタキセルの(ヒトでの)週投与量およびサイクル内の投与の日は、表Dの実施形態1D~63Dのいずれか1つに示される通りであり、式(I)の化合物およびパクリタキセルは、同じ治療サイクル(すなわち、同日に開始する)に従って投与される。
【表4-1】
【表4-2】
【0095】
上の記述によるように、実施形態1Dは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルが、同じ28日の治療サイクルに従って患者に投与され(例えば静脈内)、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、治療サイクルの1日目に投与され、パクリタキセルは治療サイクルの1、8、および15日目に投与され、パクリタキセルは、投与されるとき、週のうちの毎週約60mg/m~約90mg/mの用量で患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、投与されるとき週のうち毎週約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2D~63Dについても同様である。
【0096】
いくつかの実施形態では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与されるときの週における式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、例えば約0.1:1~約18.0:1、例えば約0.1:1~約16.0:1、例えば約0.3:1~約2.3:1、例えば約0.3:1~約2.0:1、例えば約0.4:1~約2.0:1、例えば約0.4:1~約1.1:1、例えば約0.4:1~約1.0:1、例えば約0.5:1~約1.0:1、例えば約0.5:1~約0.9:1、例えば約0.3:1~約0.6:1、例えば約0.3:1~約0.5:1、例えば約0.4:1~約0.5:1、例えば約0.3:1~約0.4:1である。いくつかの実施態様では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与した場合の式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、約0.4:1から約2.0:1である。
【0097】
いくつかの実施形態では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与されるときの週における式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、例えば、最大約18.0:1、例えば、最大約16.0:1、例えば、最大約2.3:1、例えば、最大約2.0:1、例えば、最大約1.1:1、例えば、最大約1.0:1、例えば、最大約0.9:1、例えば、最大約0.6:1、例えば、最大約0.5:1、例えば、最大約0.4:1である。いくつかの実施態様では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与した場合の式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、最大約2.0:1である。
【0098】
いくつかの実施形態では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与されるときの週における式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、例えば、少なくとも約0.1:1、例えば、少なくとも約0.3:1、例えば、少なくとも約0.4:1、例えば、少なくとも約0.5:1である。いくつかの実施態様では、パクリタキセルの週用量(mg/m)と、投与した場合の式(I)の化合物の週用量(mg)との質量比は、少なくとも約0.4:1である。
【0099】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)を同じ日に投与する場合、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)の前に投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)を同じ日に投与する場合、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)の後に投与される。通常、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)の投与間には、例えば、投与間に少なくとも30分、例えば少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間、例えば最大24時間、例えば30分から24時間、例えば30分から12時間、例えば30分から6時間の休止がある。
【0100】
いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも48時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、次いでタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される前に対象に投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約30分前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約1時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約4時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約24時間前に対象に投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、次いでタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約30分前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、次いでタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約1時間前に(予定用量)対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも4時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも48時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される少なくとも約24時間前に対象に投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも48時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される約30~約24時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される約30~約12時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される約30~約6時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される約2~約4時間前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が両方とも24時間以内に対象に投与されるとき、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与される約4~約6時間前に対象に投与される。
【0104】
上記の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の前のタキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)の投与の可能性は、特に表A、B、CおよびDに記載される実施形態に適用される。
【0105】
一般に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルは、臨床用量漸増試験で決定されるように、特定の投与様式および適応症に対して最大耐量(MTD)を超えない用量で投与される。
【0106】
製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、組み合わせ医薬として提供され得るが、それぞれ通常、単剤医薬品として提供される。別個の医薬組成物は、例えば、各化合物について異なる投与スケジュール、異なる投与量および/または異なる投与経路を可能にするために、いくつかの利点を有する。単剤医薬品として提供される場合、組み合わせは、別個の、同時の、または逐次的な投与のためのものであり得る。
【0107】
本発明の化合物は、非-非経口投与用の医薬組成物、例えば経鼻、頬側、直腸、肺、膣、舌下、局所、経皮、眼、耳、または特に経口投与用の医薬組成物、例えば経口固体剤形、例えば顆粒、ペレット、粉末、錠剤、フィルムもしくは糖コーティング錠剤、発泡性錠剤、硬質および軟質ゼラチンもしくはHPMCカプセルの形態、適用可能な場合にコーティングされた、経口崩壊錠剤、経口溶液、脂質エマルジョンもしくは懸濁液、または非経口投与用の医薬組成物、哺乳動物、特にヒトへの、例えば静脈内、筋肉内もしくは皮下、髄腔内、皮内もしくは硬膜外投与で、例えばマイクロ粒子もしくはナノ粒子を含有する溶液、脂質エマルジョンもしくは懸濁液の形態で製剤化され得る。リポソーム製剤は、異なる溶解度(例えば、Bulbake et al.Pharmaceutics 2017,9(2):12を参照)を有する化合物を共製剤化する便利な方法を提供する。組成物は、活性成分を単独で、または好ましくは薬学的に許容され得る担体と一緒に含んでもよい。
【0108】
医薬組成物は、経口固体剤形、例えば顆粒剤、ペレット剤、散剤、錠剤、フィルム剤もしくは糖衣錠、発泡性錠剤、硬ゼラチンもしくはHPMCカプセル剤または口腔内崩壊錠の製造のための薬学的に不活性な無機または有機の賦形剤で処理することができる。充填剤、例えば、ラクトース、セルロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、デンプンまたはその誘導体、結合剤、例えば、セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体、流動剤、例えば、タルカム、ステアリン酸またはその塩、流動剤、例えば、ヒュームドシリカを、経口固体剤形、例えば、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、錠剤、フィルムまたは糖衣錠、発泡性錠剤、硬ゼラチンまたはHPMCカプセル剤、または口腔内崩壊錠の製剤化および製造のためのそのような賦形剤として使用することができる。ソフトゼラチンカプセルに適した賦形剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオールなどである。
【0109】
経口溶液、脂質エマルジョンまたは懸濁液の製造に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、サッカロース、逆性糖、グルコースなどである。非経口製剤に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、レシチン、界面活性剤などである。さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤または酸化防止剤を含有することができる。それらはまた、他の治療的に価値のある物質を含有し得る。
【0110】
注射用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor(登録商標)ELまたはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。強親油性分子の静脈内注射のために、製剤中に可溶化剤、例えば界面活性剤、ポリマー界面活性剤、ポリマー、錯化剤および/または共溶媒を含めることが有利であり得、これは水中での化合物の溶解度を顕著に増加させ得る。可溶化剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、グリセロールおよびシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)が挙げられる。
【0111】
いくつかの実施形態において、遊離塩基としての式(I)の化合物は、例えば静脈内投与のためのβ-シクロデキストリンを含む医薬組成物として提供される。β-シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、例えばCAS 182410-00-0、例えばCaptisol(商標)(Ligand)またはDexolve(商標)(Cyclolab)であり得る。
【0112】
滅菌注射液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、分散媒体および上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末が、予め滅菌濾過されたその溶液から得られる。
【0113】
さらに、本発明で使用される医薬組成物は、リン酸塩、クエン酸塩、または他の有機酸などの緩衝剤;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、またはグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはPEGを任意選択に含む。
【0114】
任意選択で、医薬組成物は、薬学的に許容され得る保存剤を含有する。いくつかの実施形態において、防腐剤濃度は、典型的にはv/vにおいて0.1から2.0%の範囲である。適切な防腐剤には、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンなどの薬学分野で公知のものが含まれる。
【0115】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、適切な許容され得る担体との静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)は、適切な許容され得る担体との静脈内投与のために製剤化される。
【0116】
商品名Taxol(登録商標)で販売されているパクリタキセル製剤は、静脈内投与に適した非経口流体で希釈されるCremophor(登録商標)EL(ポリエトキシル化ヒマシ油)およびエタノールを含有する。代替パクリタキセル製剤としては、以下のものが挙げられる:
アブラキサン(登録商標):パクリタキセルとヒト血清アルブミンとのナノ粒子製剤
タキソプレキシン(登録商標):脂肪酸ドコサヘキサエン酸に化学的に結合したパクリタキセルのプロドラッグ
Paclical(登録商標)poliglumex:ポリ-(l-グルタミン酸)にコンジュゲートしたパクリタキセル
ANG1005:angiopep-2(脳ペプチドベクター)に連結されたパクリタキセル
Paccal(登録商標):Cremophor(登録商標)の必要性を排除する高い水溶性を有するナノ粒子ミセル調製物をもたらすレチノイン酸の界面活性剤ベースの誘導体(XR-17)から構成される賦形剤を使用する製剤
(Khanna et al.J Vet Intern Med,2015;29(4):1006-1012)。
【0117】
キット
本発明はまた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を含む容器を含み得るキットなどの医薬品を提供し、これらは投与に十分な量、例えば薬学的に許容され得る量で提供され得る。したがって、キットは、各々が薬学的有効量の活性成分を含む複数の容器を含むことができる。任意選択で、医薬組成物を投与するために必要な器具および/または装置もキットに含めることができる。さらに、キットは、本発明の組み合わせで新生物性疾患を有する患者を治療するための説明書または投与スケジュールなどの追加の構成要素を含むことができる。
【0118】
したがって、さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が単剤医薬品として提供される、例えば本明細書に記載の新生物性疾患の治療に使用するためのキットなどの医薬品を提供する。いくつかの態様において、キットは、新生物性疾患の治療において使用するためのその同時の投与、別個の投与または逐次的な投与のための説明書をさらに含む。
【0119】
以下の番号が付けられたパラグラフは、本発明の特定の実施形態を説明する。
【0120】
パラグラフ1.医薬組み合わせであって、(a)式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩;および(b)タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩を含む、医薬組み合わせ。
【0121】
パラグラフ2.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ラロタキセル、ミラタキセル、オルタタキセルおよびテセタキセルから選択され、それらの薬学的に許容され得る塩を含む、パラグラフ1に記載の医薬組み合わせ。
【0122】
パラグラフ3.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルである、パラグラフ1に記載の医薬組み合わせ。
【0123】
パラグラフ4.式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、別々の製剤に含まれ、各製剤は、好ましくは静脈内投与のためのものである、パラグラフ1から~3のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0124】
パラグラフ5.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.1:1から約18.8:1である、パラグラフ1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【0125】
パラグラフ6.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.3:1から約2.3:1である、パラグラフ1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【0126】
パラグラフ7.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.4:1から約2.1:1である、パラグラフ1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【0127】
パラグラフ8.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.6:1から約0.9:1である、パラグラフ1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【0128】
パラグラフ9.新生物性疾患の治療を必要とする対象、特にヒトにおいて新生物性疾患を処置するための方法であって、対象に、パラグラフ1から8のいずれか1つで定義されるような医薬組み合わせの治療有効量を投与することを含む、方法。
【0129】
パラグラフ10.医薬組み合わせが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルである、パラグラフ9に記載の方法。
【0130】
パラグラフ11.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、対象に静脈内投与される、パラグラフ9またはパラグラフ10に記載の方法。
【0131】
パラグラフ12.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの1週間目に投与され、その後3週間の休薬が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ9から11のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
パラグラフ13.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ12に記載の方法。
【0133】
パラグラフ14.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの1週間目および3週間目に投与され、2週間目および4週間目が休みの週であり、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ9から11のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
パラグラフ15.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目および15日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ14に記載の方法。
【0135】
パラグラフ16.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ9から11のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
パラグラフ17.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ16に記載の方法。
【0137】
パラグラフ18.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.1:1から約18.8:1である、パラグラフ9から17のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
パラグラフ19.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.3:1から約2.3:1である、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
パラグラフ20.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.4:1から約2.1:1である、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
パラグラフ21.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、例えば約0.6:1から約0.9:1である、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
パラグラフ22.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約5mgから約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
パラグラフ23.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約40mgから約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
パラグラフ24.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約80mgから約160mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から17のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
パラグラフ25.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約90mgから約130mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から21のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
パラグラフ26.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約140mgから約240mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から21のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
パラグラフ27.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約160mgから約220mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から21のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
パラグラフ28.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約180mgから約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ9から21のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
パラグラフ29.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週に約60mg/mから約90mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ22から28のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
パラグラフ30.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週に約60mg/mから約80mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ22から28のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
パラグラフ31.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週に約70mg/mから約80mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ22から28のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
パラグラフ32.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が同日に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の前に対象に投与される、パラグラフ9から31のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
パラグラフ33.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が同日に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の後に対象に投与される、パラグラフ9から31のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
パラグラフ34.投与間の時間間隔は、少なくとも約4時間である、パラグラフ32またはパラグラフ33に記載の方法。
【0154】
パラグラフ35.投与間の時間間隔が、少なくとも約2時間である、パラグラフ32またはパラグラフ33に記載の方法。
【0155】
パラグラフ36.新生物性疾患が固形腫瘍である、パラグラフ9から35のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
パラグラフ37.新生物性疾患は、上皮性新生物、扁平上皮新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘膜表皮新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄内新生物、腺房細胞新生物、複合上皮新生物、特殊性腺新生物、傍神経節および乳腺腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫新生物、粘液腫、脂肪腫新生物、筋腫新生物、複合混合型および間質新生物、線維上皮新生物、滑膜様新生物、中皮腫新生物、胚細胞新生物、栄養膜新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨性および軟骨腫性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、種々の骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、パラグラフ9から36のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
パラグラフ38.新生物性疾患が、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)およびTTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による治療に加えて、PLK1の阻害によって治療可能なものである、パラグラフ9から37のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
パラグラフ39.新生物性疾患が癌である、パラグラフ9から38のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
パラグラフ40.罹患した器官および身体の部分に関する癌は、脳、乳房(トリプルネガティブ乳癌および管腔B乳癌を含む)、子宮頸部、卵巣、結腸、直腸(結腸直腸、すなわち結腸直腸癌を含む)肺(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌および中皮腫を含む)、内分泌系、骨、副腎、胸腺、肝臓、胃、腸(胃癌を含む)、膵臓、骨髄、血液悪性腫瘍(例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫またはリンパ性悪性腫瘍など)、胆管、膀胱、尿路、腎臓、皮膚、甲状腺、頭頸部、前立腺および精巣から選択される、パラグラフ39に記載の方法。
【0160】
パラグラフ41.癌が、乳癌(トリプルネガティブ乳癌および管腔B乳癌を含む)、胃癌、結腸直腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される、パラグラフ39に記載の方法。
【0161】
パラグラフ42.癌が乳癌である、パラグラフ39に記載の方法。
【0162】
パラグラフ43.癌がトリプルネガティブ乳癌である、パラグラフ39に記載の方法。
【0163】
パラグラフ44.癌が管腔B乳癌である、パラグラフ39に記載の方法。
【0164】
パラグラフ45.新生物性疾患の治療を必要とする対象において新生物性疾患を治療するための方法であって、治療有効量のパラグラフ1で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含み、前記対象が、パラグラフ1から3のいずれか1つで定義されたタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)による治療を受けているか、または受けるであろう方法。
【0165】
パラグラフ46.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、パラグラフ11から35のいずれか1つで定義されるように対象に投与される、パラグラフ45に記載の方法。
【0166】
パラグラフ47.新生物性疾患が、パラグラフ36からパラグラフ44のいずれか1つで定義される通りである、パラグラフ40またはパラグラフ41に記載の方法。
【0167】
パラグラフ48.新生物性疾患の治療を必要とする対象において新生物性疾患を治療するための方法であって、治療有効量のパラグラフ1から3のいずれか1つで定義されたタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)を対象に投与することを含み、前記対象が、パラグラフ1で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩による治療を受けているか、または受けるであろう、方法。
【0168】
パラグラフ49.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、パラグラフ11~パラグラフ35のいずれか1つで定義されたように対象に投与される、パラグラフ48に記載の方法。
【0169】
パラグラフ50.新生物性疾患が、パラグラフ36からパラグラフ44のいずれか1つで定義される通りである、パラグラフ48またはパラグラフ49に記載の方法。
【0170】
パラグラフ51.対象、特にヒトにおける新生物性疾患の治療において使用するための、パラグラフ1から8のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0171】
パラグラフ52.医薬組み合わせは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびパクリタキセルである、パラグラフ51に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0172】
パラグラフ53.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩が、対象に静脈内投与される、パラグラフ51またはパラグラフ52に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0173】
パラグラフ54.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの1週間目に投与され、その後3週間の休薬が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ51から53のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0174】
パラグラフ55.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ54に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0175】
パラグラフ56.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの1週間目および3週間目に投与され、2週間目および4週間目が休みの週であり、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ51から53のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0176】
パラグラフ57.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目と15日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ56に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0177】
パラグラフ58.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、4週間の治療サイクル(好ましくは、同じ4週間の治療サイクル)に従って対象に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続き、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、治療サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後休薬週間が続く、パラグラフ51から53のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0178】
パラグラフ59.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与され、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が治療サイクルの1日目、8日目および15日目に投与される、パラグラフ58に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0179】
パラグラフ60.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.1:1から約18.8:1である、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0180】
パラグラフ61.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.3:1から約2.3:1である、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0181】
パラグラフ62.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.4:1から約2.1:1である、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0182】
パラグラフ63.週用量あたりの、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に対するタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)のモル比が、約0.6:1から約0.9:1である、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0183】
パラグラフ64.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約5mgから約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0184】
パラグラフ65.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約40mgから約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0185】
パラグラフ66.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約80mgから約160mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0186】
パラグラフ67.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約90mgから約130mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0187】
パラグラフ68.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約140mgから約240mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0188】
パラグラフ69.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約160mgから約220mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0189】
パラグラフ70.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与されるとき、週のうち毎週約180mgから約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、パラグラフ51から59のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0190】
パラグラフ71.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週のうち毎週約60mg/m~約90mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ64から70のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0191】
パラグラフ72.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週のうち毎週約60mg/m~約80mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ64から70のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0192】
パラグラフ73.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩がパクリタキセルであり、パクリタキセルは、投与されるとき、週のうち毎週約70mg/m~約80mg/mの用量で患者に投与される、パラグラフ64から70のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0193】
パラグラフ74.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が同日に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の前に対象に投与される、パラグラフ51から73のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0194】
パラグラフ75.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩およびタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が同日に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の後に対象に投与される、パラグラフ51から73のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0195】
パラグラフ76.投与間の時間間隔が、少なくとも約4時間である、パラグラフ74またはパラグラフ75に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0196】
パラグラフ77.投与間の時間間隔が、少なくとも約2時間である、パラグラフ74またはパラグラフ75に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0197】
パラグラフ78.新生物性疾患が固形腫瘍である、パラグラフ51から77のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0198】
パラグラフ79.新生物性疾患は、上皮性新生物、扁平上皮新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘膜表皮新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄内新生物、腺房細胞新生物、複合上皮新生物、特殊性腺新生物、傍神経節および乳腺腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫新生物、粘液腫、脂肪腫新生物、筋腫新生物、複合混合型および間質新生物、線維上皮新生物、滑膜様新生物、中皮腫新生物、胚細胞新生物、栄養膜新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨性および軟骨腫性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、種々の骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、パラグラフ51から78のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0199】
パラグラフ80.新生物性疾患が、タキサン抗癌剤(例えばパクリタキセル)およびTTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による治療に加えて、PLK1の阻害によって治療可能なものである、パラグラフ51から79のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0200】
パラグラフ81.新生物性疾患が癌である、パラグラフ51から80のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0201】
パラグラフ82.罹患した器官および身体の部分に関する癌は、脳、乳房(トリプルネガティブ乳癌および管腔B乳癌を含む)、子宮頸部、卵巣、結腸、直腸(結腸直腸、すなわち結腸直腸癌を含む)肺(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌および中皮腫を含む)、内分泌系、骨、副腎、胸腺、肝臓、胃、腸(胃癌を含む)、膵臓、骨髄、血液悪性腫瘍(例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫またはリンパ性悪性腫瘍など)、胆管、膀胱、尿路、腎臓、皮膚、甲状腺、頭頸部、前立腺および精巣から選択される、パラグラフ81に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0202】
パラグラフ83.癌が、乳癌(トリプルネガティブ乳癌および管腔B癌を含む)、胃癌、結腸直腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、および膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される、パラグラフ81に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0203】
パラグラフ84.癌が乳癌である、パラグラフ81に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0204】
パラグラフ85.癌がトリプルネガティブ乳癌である、パラグラフ81に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0205】
パラグラフ86.癌が管腔B乳癌である、パラグラフ81に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0206】
パラグラフ87.対象、特にヒトにおける新生物性疾患の治療のために、パラグラフ1から3のいずれか一項に記載のタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための、パラグラフ1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【0207】
パラグラフ88.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、パラグラフ53から77のいずれか1つで定義されたように対象に投与される、パラグラフ87に記載の使用のための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【0208】
パラグラフ89.新生物性疾患が、パラグラフ78またはパラグラフ79のいずれか1つで定義された通りである、パラグラフ78または86に従って使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【0209】
パラグラフ90.対象、特にヒトにおける新生物性疾患の治療のためにパラグラフ1で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせて使用するための、パラグラフ1から3のいずれか1つで定義されたタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)。
【0210】
パラグラフ91.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、パラグラフ53から77のいずれか1つで定義されたように対象に投与される、パラグラフ90に記載の使用のためのタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩。
【0211】
パラグラフ92.新生物性疾患が、パラグラフ78またはパラグラフ86のいずれか1つで定義された通りである、パラグラフ90または91に従って使用するためのタキサン抗癌剤、またはその薬学的に許容され得る塩。
【0212】
パラグラフ93.対象、特にヒトにおける新生物性疾患の治療のための単剤医薬品の調製における、または併用医薬品としての、パラグラフ1から8のいずれか1つで定義された医薬組み合わせの使用。
【0213】
パラグラフ94.医薬組成物が、パラグラフ53から77のいずれか1つで定義されたように対象に投与される、パラグラフ93に記載の使用。
【0214】
パラグラフ95.新生物性疾患が、パラグラフ78からパラグラフ86のいずれか1つで定義される通りである、パラグラフ93またはパラグラフ94に記載の使用。
【0215】
パラグラフ96.対象、特にヒトにおける新生物性疾患を治療するための、パラグラフ1から3のいずれか1つで定義されたタキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)と組み合わせて使用するための単剤医薬品の調製、またはパラグラフ1から3のいずれか1つでタキサン抗癌剤もしくはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせた医薬品の調製(例えばパクリタキセル)における、パラグラフ1で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【0216】
パラグラフ97.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、パラグラフ53から77のいずれか1つで定義されるように対象に投与される、パラグラフ96に記載の使用。
【0217】
パラグラフ98.新生物性疾患が、パラグラフ78からパラグラフ86のいずれか1つで定義される通りである、パラグラフ96またはパラグラフ94に記載の使用。
【0218】
パラグラフ99.対象、特にヒトにおける新生物性疾患の治療のための、パラグラフ1に定義される式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせて使用するための単剤医薬品の調製における、またはパラグラフ1に定義される式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせた医薬の調製における、パラグラフ1から3のいずれか1つに定義されるタキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)の使用。
【0219】
パラグラフ100.タキサン抗癌剤またはその薬学的に許容され得る塩(例えばパクリタキセル)が、パラグラフ53からパラグラフ77のいずれか1つで定義されたように対象に投与される、パラグラフ99に記載の使用。
【0220】
パラグラフ101.新生物性疾患が、パラグラフ78からパラグラフ86のいずれか1つで定義される通りである、パラグラフ99またはパラグラフ100に記載の使用。
【0221】
パラグラフ102.成分(a)および成分(b)が単剤医薬品として提供される、パラグラフ1から8のいずれか1つで定義される医薬組み合わせを含むキット。
【0222】
パラグラフ103.キットは、特にパラグラフ78から86のいずれか一項に定義される新生物性疾患の治療に使用するためのものである、パラグラフ102に記載のキット。
【0223】
パラグラフ104.対象、特にヒトにおける新生物性疾患、特に癌の治療に使用するためのその同時、別個または逐次投与のための説明書をさらに含む、パラグラフ102またはパラグラフ103に記載のキット。
【0224】
本発明および本発明が関係する最新技術をより十分に説明および開示するために、いくつかの刊行物が本明細書に引用される。これらの参考文献の各々は、あたかも各個々の参考文献が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
本発明の特定の実施形態は、本発明をより詳細に説明するのに役立つ以下の実施例に記載されており、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0226】
実施例
方法
キナーゼアッセイ
TTKおよびPLK1のキナーゼ活性を測定するために、放射測定プロテインキナーゼアッセイ(33PanQinase(登録商標)Activity Assay)を使用した。TTKおよびPLK1プロテインキナーゼを、組換え完全長GST融合タンパク質として発現させた。反応カクテルは、25mLのアッセイ緩衝液(標準緩衝液/[γ-33P]-ATP)および10mLのATP溶液(水中)、5mLの試験化合物および10mLの酵素/基質混合物を含んでいた。プロテインキナーゼのアッセイは、70mMのHEPES-NaOH pH7.5、3mMのMgCl、3mMのMnCl、3mMのオルトバナジン酸Na、1.2mMのDTT、50mg/ml PEG20000、ATP(TTKについては0.3mMおよびPLK1については1mM)、[γ-33P]-ATP(ウェルあたり約8×10cpm)、プロテインキナーゼ(TTKについては15.8nMおよびPLK1については5nM)、および基質(TTKについては1mg/50mLおよびPLK1については2mg/50mL)を含んでいた。すべてのアッセイは、BeckmanCoulter/SAGIAN(商標)コアシステムを用いて行った。IC50決定のフィッティングモデルは「シグモイド応答(可変勾配)」であり、パラメータ「上部」は100%に固定し、「底部」は0%に固定した。使用したフィッティング法は最小二乗フィッティングであった。
【0227】
標的滞留時間アッセイ
TTKおよびPLK1に対する式(I)の化合物の親和性、すなわち平衡解離定数(KD)(滞留時間と呼ばれる)を、組換え発現TTKキナーゼドメイン(アミノ酸519~808)またはビオチン化PLK1を使用したBiacore T200(商標)表面プラズモン共鳴装置を使用して決定した。TTKの固定化は、Maia et al.Annals of Oncology,2015;26:2180-2192に記載されているように行った。ビオチン化PLK1の固定化は、Willemsen-Seegers et al.Journal of Molecular Biology,2017;429:574-586に記載されているように行った。その後の単一サイクル速度論アッセイを、TTKについては1、3.6、10、31.6および100nMならびにPLK1については10、31.6、100、316および1000nMの化合物濃度勾配、100秒の接触時間および30mL/分の流速を用いて22℃で行った。解離時間は1200~1800秒であり、緩衝液を用いたブランクランを用いた不安定な表面の補正を行った。結合動態を結合曲線に基づいて計算し、試験したすべての化合物について良好な信号対雑音比を実証した(データは示さず)。
【0228】
PDX研究
第1のPDX研究では、少なくとも20gの体重の雌BALB/cヌードマウス(CrownBio)を皮下(s.c.)で右脇腹に接種した。患者由来異種移植片(PDX)トリプルネガティブ乳癌(TNBC)腫瘍、BR1282を有するストックマウスからの腫瘍断片(3×3×3mm)を用いた。平均腫瘍サイズが150~200mmである場合、5つの異なる治療群(1群あたり8匹のマウス)に無作為化した。マウスに、式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.、5mL/kg)を週に2回(2qw)、またはパクリタキセル(15mg/kg、i.v.、10mL/kg)を週に1回(qw)、またはこれらの用量の組み合わせを静脈内(i.v.)投与し、式(I)の化合物をパクリタキセルの後に4時間または24時間のギャップを使用して投与し、両方の化合物を同じ日/連続した日に投与した。第5の群には、4時間の時間間隔を用いて両方のビヒクルを投与し、すべての群に尾静脈を介して2回投与した。任意の時点で10%以上の一過性体重減少を示す任意のマウスにおいて、投与を1日遅延させた。治療を、尾静脈における注射部位での毒性(壊死)のために投与を停止する必要があった35/36日まで続けた。その時点で、残りの2つの組み合わせ群について、長期間の観察期間が続いた(大きな腫瘍体積のための処分は不要である)。
【0229】
第2のPDX研究では、第1の研究(TNBC BR1282 PDXモデル)と同じアプローチおよびモデルを使用したが、今回は、反対の投与順序(すなわち、式(I)の化合物とそれに続くパクリタキセルでの治療)ならびに以前に使用されたような式(I)の化合物のqwスケジュールレジメンならびに2qwレジメンの使用を含む追加の組み合わせを試験した。マウス(1群あたり8匹のマウス)に、式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.、5mL/kg)、パクリタキセル(15mg/kg、i.v.、10mL/kg、qw)、両方の化合物の組み合わせ、または対照群として両方のビヒクルのいずれかを投与した。式(I)の化合物の単剤群を最初にパクリタキセルのビヒクル(qw、10mL/kg)で治療し、4時間後に、同じ日に式(I)の化合物で治療し、2qwを投与した。パクリタキセル単剤群には、パクリタキセル(15mg/kg、i.v.、qw、10mL/kg)、続いて式(I)の化合物のビヒクルを投与間に2時間空けて投与した。5つの異なる組み合わせ群は、以下の投与を受けた:同じまたは連続した日に投与されたとき、最初に投与されたパクリタキセル(15mg/kg、i.v.、qw、10mL/kg)および2番目に両投与の間に2時間、4時間または24時間のギャップを使用した式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.2qw、5mL/kg);パクリタキセル(15mg/kg、i.v.、qw、10mL/kg)を最初に投与し、式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.qw、5mL/kg)を2番目に4時間のギャップを使用して投与し、常に同じ日に治療した;最後に、最初に式(I)の化合物(8mg/kg、i.v.、2qw、5mL/kg)を投与し、2番目にパクリタキセル(15mg/kg、i.v.、qw、5mL/kg)を4時間のギャップを使用して投与した。第8の群は、最初に投与されたパクリタキセルのビヒクルとの4時間のギャップを使用して両ビヒクルを投与された。任意の時点で10%以上の一過性体重減少を示す任意のマウスにおいて、投与を1日遅延させた。治療を、尾静脈における注射部位での毒性(壊死)のために投与を停止する必要があった42/43日まで続けた。その時点で、式(I)の化合物の4つの組み合わせ群および4時間ギャップ単剤群(大きな腫瘍体積のための処分は不要)が潜在的治癒および腫瘍再増殖について観察された(試験は完了していない)。
【0230】
パクリタキセルは、溶液(無水クエン酸、ポリオキシエチル化(35)ヒマシ油および無水エチルアルコール中6mg/mL)としてBeijing Union Pharmaceutical Factoryから購入した。式(I)の化合物は、Basilea Pharmaceutica International Ltd.によって粉末として供給され、即時投与のためにエタノール:PEG400:クエン酸20mM中溶液として1:1:8の比で新たに調製した。
【0231】
体重および腫瘍体積を週に少なくとも2回決定し、後者は、ノギスで2次元を測定し、式「V=(L×W)/2」(式中、Vは腫瘍体積であり、LおよびWはそれぞれ腫瘍の長さおよび幅である)を適用することによって決定した。腫瘍が1500mm以上に達したとき、または体重減少(BWL)が20%を超えたことが分かったときに、個々のマウスを処分した。BWLが3日間連続して>15%であると判定された場合、マウスも処分した。>10%のBWLを有する任意のマウスに、BWLが<10%に戻ったらすぐに、次の日のうちの1日に自動的に投薬した。すべての動物プロトコルは、研究が行われた中国の関連する現地委員会によって検討および承認された。
【0232】
有効性の統計学的有意性は、a)1500mmを超える腫瘍体積のために溶媒群を処分する必要がある場合、試験に応じて16日目または13日目のエンドポイント、およびb)異なる群における腫瘍の成長速度を推定するために指数曲線適合を適用した場合、試験に応じて42日目または51日目のエンドポイント(最終治療の一週間後)を使用して、2つの異なる方法で決定した。最後に、第1の研究内の組織病理学による確認後、完全治癒の数を群間で比較した。効果の程度をデルタ(Δ)治療/対照比(ΔT/C)によって定量化し、効果の統計学的有意性を一元配置分散分析(1W-ANOVA)によって決定し、Holms-Sidakを複数の決定のために事後適用し、p値<0.05を統計学的に有意とみなした。さらに、相乗効果の評価を、クラーク組み合わせ指数(CCI)に基づいて行った。ここで、CCI=ΔT/CAB-(ΔT/CA*ΔT/CB)であり、式中、AおよびBは2つの異なる化合物であり、CCI<-0.1は相乗効果(または正の相互作用)を示し、+0.1(拮抗作用、または負の相互作用)および-0.1と+0.1との間は相加性(相互作用なし)を示す。O’Reilly et al.Anti Cancer Drugs 2011;22:58-78を参照されたい。
【0233】
結果
TTKおよびPLK1は、適切な染色体アライメントを介して最適な細胞分裂を確実にする細胞周期監視機構である紡錘体形成チェックポイント(SAC)の制御に不可欠な役割を果たすキナーゼである。TTKおよびPLK1は、染色体の動原体でSACタンパク質複合体にSAC成分を動員するように協働するので、両方の酵素の阻害は、SACのより迅速な切断を介して有糸分裂の進行を最大化するはずである(Von Schubert et al.,Cell Reports 2015,12;66-78)。これは、式(I)の化合物をいずれかの有意なPLK1阻害活性を有さないTKK阻害剤と比較した場合、腫瘍細胞系に当てはまることが証明されている(データは示さず)。
【0234】
一般に、式(I)の化合物はTTKに対して強い特異度を示し、他のキナーゼIC50はTTKのものより少なくとも10倍高い。上記のTTKキナーゼアッセイにより、式(I)の化合物がTTKに対して非常に強力であり、7nM(国際公開第2015/155042号パンフレットに記載されているように測定した場合、0.4nM)のIC50を与えることが確認された。
【0235】
上記のPLK1キナーゼアッセイはまた、式(I)の化合物がPLK1を標的とすることを示した。式(I)の化合物は、72nMのIC50でPLK1を阻害することが分かった。国際公開第2015/155042号パンフレットに記載されているように測定した場合、式(I)の化合物は、46nMのIC50でPLK1を阻害した。文献に報告されている他のTTK阻害剤は、TTKに対して同様またはわずかに良好な全体的特異度を有するが、反対に、TTKに対する活性と比較してPLK1に対する活性がほとんどまたは全くない(データは示さず)。重要なことに、式(I)の化合物は、TTKで12時間を超える非常に長い標的滞留性を有するが、PLK1の標的滞留性はわずか数分である。このTTKの長期阻害は、PLK1に対する一過性の効果と相まって、SACの急速な破壊をもたらし、正しい染色体分離のための十分な時間なしに細胞を残す。
【0236】
式(I)の化合物の間欠的i.v.投与レジメンで治療したMDA-MB-231異種移植片を有するマウスに由来する腫瘍において、長期TTK標的占有も測定した。式(I)の化合物の腫瘍TTK標的占有時間を決定するために、TNBC異種移植モデルMDA-MB-231を有するマウスを、式(I)の化合物のMTD用量およびサブMTD用量で週に2回、i.v.で治療した。TTK標的占有率についてのビヒクル治療腫瘍および式(I)の化合物治療腫瘍の分析は、式(I)の化合物が濃度依存的様式で腫瘍由来TTKを占有することを示した。TTKは、最後のMTD用量の投与後少なくとも72時間、式(I)の化合物によって完全に占有された。i.v.、毎週のMTD投与を用いた反復実験は、腫瘍由来TTKが最後の投与後6日間まで完全に薬物占有されたことを示した。
【0237】
細胞系において、式(I)の化合物は、感受性細胞に対して高い効力を有する。18の異なるトリプルネガティブ乳癌細胞株の5日間の抗増殖スクリーニングでは、式(I)の化合物のGI50の中央値は35nMであった。マウスでは、式(I)の化合物は、TNBCおよび肝細胞癌(HCC)モデルを含む患者由来腫瘍異種移植片に対して有意な活性を示し、実質的な退縮を含む最小から非常に強い範囲の効果を示した(データは示さず)。
【0238】
第1のPDX研究では、TNBC BR1282モデルが急速に成長したため、溶媒群は16日後に処分を必要とした(図1)。その時点で、すべての治療がある程度のレベルの有効性を有し(表1)、実際に、単剤療法と併用治療の両方がビヒクルに対して非常に有意に異なっていた(すべてp<0.001)ことが明らかであった。組み合わせはまた、式(I)の化合物単独と有意に異なっていた(p<0.001)が、パクリタキセル単独(p=0.12)とは異なっていなかった。CCIは、4時間および24時間の組み合わせ群についてそれぞれ-0.08および-0.09の値との正の相互作用を示したが、その時点では全く正式な相乗効果ではなかった(-0.1未満と定義)。単剤療法群は成長を続け、30日目までに処分しなければならなかったが、組み合わせ群は後退を続け、42日目までに(治療中止の1週間後、すなわち1回の治療サイクル)、すべての動物は、組み合わせ4時間群および組み合わせ24時間群についてそれぞれ-87±6%および-92±11%の平均±SDで後退した(図2も参照)。
【0239】
0日目から処分日または42日目までの指数曲線フィッティングは、より多くの統計的パワーを提供し、はるかに強い効果を示したため、両方の組み合わせ群は今、いずれかの単剤療法と非常に有意に異なり(図1B)、CCIは、4時間および24時間の組み合わせ群についてそれぞれ-0.49および-0.53の強い相乗効果を示した。治療なしの長期間の観察期間後、腫瘍のない動物の腫瘍細胞注射部位周辺の皮膚のH&E染色による病理学的評価は、両方の組み合わせ群で8匹の治療動物のうち3匹の治癒を示した。H&E染色結果の例を図3に示す。
【0240】
全体として、16日目の溶媒群と比較して、治療群の体重変化に有意差はなく、治療は十分に忍容された。その後、単剤療法群は、組み合わせ4時間群と同様に体重増加を示したが、組み合わせ24時間群は、一過性の体重減少を示し、35日目までに回復した。治療が中止されると、両方の組み合わせ群による強い体重回復があった。組み合わせ24時間群はまた、20%の体重減少のために処分しなければならなかった(28日目)マウスを1/8有した。したがって、併用療法における2つの治療間のより長いギャップは、この実験ではわずかに忍容性が低いようであった。
【0241】
結論として、第1のPDX試験では、パクリタキセルと組み合わせた式(I)の化合物は、100%の腫瘍退縮を誘導する非常に強い正の相互作用をもたらし、これは、パクリタキセル(第1)と式(I)の化合物(第2)との投与間の時間間隔(4時間または24時間のギャップ)のみが異なる2つの組み合わせ群のそれぞれにおいて3/8の完全な治癒を含んでいた。組み合わせ24時間群は、一過性ではあるが、わずかに高い体重減少によって示されるように、わずかに忍容性が低いようであった。
【表5】
【0242】
第2の研究では、溶媒対照群は13日目に倫理的エンドポイントに到達した。その時点で、すべての治療がある程度のレベルの有効性を有し(表2、図4A)、実際に、単剤療法と併用治療のすべてがビヒクルに対して非常に有意に異なっていた(すべてp<0.001)ことが明らかであった。組み合わせもまた、パクリタキセル単独と有意に異なっていた(p<0.01)が、式(I)の化合物単独とは有意に異なっていなかった(p≧0.78)。CCIは、-0.02と-0.09との間の値との正の相互作用を示した(表3)。単剤療法群は成長を続け、パクリタキセル単独で治療した群は20日目までに処分しなければならなかったが、組み合わせ群は後退を続け、51日目(治療中止後およそ1週間、すなわち1回の治療サイクル)までにすべての動物は以下の平均±SDで後退した:組み合わせ2時間群では-86±15%、組み合わせ4時間群では-94±8%、組み合わせ24時間群では-86±8%、式(I)の化合物qwを使用した組み合わせ群では-84±26%、パクリタキセル前に式(I)の化合物を投与した組み合わせ群では-86±10%。式(I)の化合物の単剤療法後の3/8の動物もその日に退縮を示したが、群全体の平均値(または中央値)は退縮を示さず、腫瘍の成長を示した(図4A)。
【0243】
個々の腫瘍の成長曲線はまた、式(I)の化合物単独療法群の腫瘍が、組み合わせ群のいずれよりも早く、より速く再成長し始めたことを実証した(図5)。すべての組み合わせ群の非常に相乗的な効果は、第1の研究からの以前の結果を確認および拡張した。0日目から処分日または51日目(治療停止後約1週間)までの指数曲線適合は、より大きな統計的パワーを提供し、はるかに強い効果を示したため、ここでは5つの組み合わせ群すべてがいずれかの単剤療法と有意に異なり(図4B)、CCIは-0.18と-0.29との間の相乗効果を示した(表3)。図5は、51日目までのいずれの組み合わせ群においても腫瘍の再成長がないことを示す。51日後、8個中3個を示した式(I)の化合物qwを使用した組み合わせ群を除いて、各組み合わせ群の8個中1個の腫瘍がいくらかの再増殖を示した。
【0244】
全体として、治療は良好に忍容され、13日目の溶媒群と比較して、治療群の体重変化に有意差はなかった(図4Cおよび図4D、表2)。その後、単剤療法群は、すべての組み合わせ群と同様に体重増加を示したが、組み合わせ24時間群は、42日目までに回復する一過性の体重減少を示した。治療を中止すると、すべての組み合わせ群で強い体重回復があった。したがって、併用療法における2つの治療間のより長いギャップは、この実験および第1の実験においてわずかに忍容性が低いようであった。
【0245】
興味深いことに、観察期間の終わり(遅くとも148日目)に、組み合わせ群からの全体で29匹のマウスは、触知可能な腫瘍塊が検出されなかったか、または25mm未満の腫瘍の体積を有し、治癒の可能性を示した。したがって、腫瘍細胞注射部位および周囲組織を含むこれらの29匹のマウスからの皮膚試料を採取し、FFPEブロックに処理した。腫瘍の成長領域全体をカバーする連続切片を作製し、H&Eによって染色し、続いて残存腫瘍細胞について病理学的に評価した。結果を表4に示し、組み合わせ群において50~88%の治癒(8匹中4匹~7匹のマウス)を示す。興味深いことに、式(I)の化合物のqw投与、ならびに最初に式(I)の化合物および2番目にパクリタキセルでの治療は、最も少ない治癒数をもたらした(8匹中4匹、5匹)。最初にパクリタキセルを投与し、続いて2qwスケジュールで2、4、または24時間後に式(I)2の化合物を投与すると、8匹中6匹~7匹のマウスが治癒した。その結果、後者の治療レジメンは、治癒回数に関して最も効果的であると思われた。
【0246】
結論として、第2のPDX試験では、パクリタキセルと組み合わせた式(I)の化合物は、使用した投与レジメンとは無関係に100%の腫瘍退縮を誘導する非常に強い正の相互作用をもたらした。42/43日目に治療を停止し、その後、遅くとも148日目まで観察期間を延長した。この後、組み合わせ群の29匹の動物が治癒したことを病理学的に確認した。
【0247】
組み合わせ群は、パクリタキセル(第1)と式(I)の化合物(第2)とを投与する間の時間間隔(2時間、4時間または24時間のギャップ)、式(I)の化合物の投与間隔(2qw対qw)、または投与順序において異なっていた。式(I)の化合物の単剤治療は腫瘍退縮におけるこの研究をもたらしたが、それをパクリタキセルと組み合わせる効果はより強い退縮をもたらし、単剤治療群には当てはまらない腫瘍のない動物(治癒を含む)をもたらした。5つの組み合わせレジメンはいずれも腫瘍の成長に関して同様に有効であったが、24時間のギャップを使用した組み合わせは他の組み合わせ群よりも忍容性が低いようであった。これらの結果は、将来の臨床研究のためのこの組み合わせの投与のタイミングおよび順序における柔軟性の可能性を実証し、TNBC患者の治療のために式(I)の化合物をパクリタキセルと組み合わせるアプローチを支持する。
【表6】
【表7】
【表8】
【0248】
式(I)の化合物とパクリタキセルとの間に有意な薬物間相互作用(DDI)があるかどうかを決定するために、単回用量薬物動態(PK)実験を実施し、結果を図6に示す。パクリタキセルの1時間後に8mg/kg、i.v.で投与した場合、式(I)の化合物の血漿AUCにわずかな有意でない増加があった(15mg/kg、i.v.)。同じ状況下で、パクリタキセルの血漿PKに対する式(I)の化合物の影響もなかった。これらの結果は、上記で観察された相乗効果が作用機序によるものであり、一方または両方の薬剤の曝露の変化によるものではないことを確認している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A(i)】
図4A(ii)】
図4B
図4C(i)】
図4C(ii)】
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
【国際調査報告】