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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】包埋剤を包埋試料から除去する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6806 20180101AFI20250107BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20250107BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20250107BHJP
   C12Q 1/683 20180101ALN20250107BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALN20250107BHJP
   C12Q 1/6872 20180101ALN20250107BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/683 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6872 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536114
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022081719
(87)【国際公開番号】W WO2023114948
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,537
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】517192663
【氏名又は名称】ファウンデーション・メディシン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルブフ, クリスティーン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ムナフォ, ダニエラ ベアトリス
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS12
4B063QS13
4B063QS14
4B063QS20
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
本開示は、RNA及び/又はDNAなどの分析物を検出し、RNA及び/又はDNAなどの分析物を抽出し、核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善し、パラフィン包埋試料などの包埋試料から抽出されるRNA及び/又はDNA試料などの分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン中で相転移を誘導し、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、生成することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記RNA及び/又はDNAを分析して、前記RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変が、
a)コピー数改変、
b)点変異、
c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、
d)遺伝子内欠失、
e)遺伝子内挿入、
f)遺伝子全体の欠失、
g)逆位、
h)染色体間転座、
i)縦列重複、
j)遺伝子融合、
k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又は
l)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記RNA及び/又は前記DNA中の前記改変が、コピー数改変である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン中で相転移を誘導し、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、生成することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記RNA及び/又はDNAの前記抽出が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記RNA及び/又はDNAの前記抽出が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン中で相転移を誘導し、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、生成することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記RNA及び/又は前記DNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記配列決定ライブラリの前記調製が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記配列決定ライブラリの前記調製が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン中で相転移を誘導し、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、生成することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記RNA及び/又はDNA試料中の前記パラフィンのレベルが、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記RNA及び/又はDNA試料中の前記パラフィンのレベルが、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて低減する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン中で相転移を誘導し、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、生成することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記パラフィン包埋試料からの前記パラフィンの分離が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パラフィン包埋試料からの前記パラフィンの分離が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された前記パラフィンの分離により、前記フィルタの詰まりが、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、前記改善されたパラフィンの分離により、前記フィルタの詰まりが、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて少なくなる、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
ステップb)が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記相転移が溶融である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップb)が、前記パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
ステップb)が、前記パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記パラフィン包埋試料を、1600~2000rcfで遠心分離させる、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は75℃に加熱する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記パラフィン包埋試料を、約50℃~約80℃に加熱する、請求項24又は27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、除去することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記RNA及び/又はDNAを分析して、前記RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変の検出が、前記パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記RNA及び/又はDNA中の前記改変が、
a)コピー数改変、
b)点変異、
c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、
d)遺伝子内欠失、
e)遺伝子内挿入、
f)遺伝子全体の欠失、
g)逆位、
h)染色体間転座、
i)縦列重複、
j)遺伝子融合、
k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又は
l)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記RNA及び/又は前記DNA中の前記改変が、コピー数改変である、請求項37~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、除去することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項45】
前記RNA及び/又はDNAの前記抽出が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記RNA及び/又はDNAの前記抽出が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、除去することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記RNA及び/又は前記DNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法。
【請求項48】
前記配列決定ライブラリの前記調製が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記配列決定ライブラリの前記調製が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、除去することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、
d)前記抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法。
【請求項51】
前記RNA及び/又はDNA試料中の前記パラフィンのレベルが、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記RNA及び/又はDNA試料中の前記パラフィンのレベルが、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて低減する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、
a)パラフィン包埋試料を提供することと、
b)パラフィンを前記パラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、前記パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィンを前記試料から分離させることにより、前記パラフィンを除去する、除去することと、
c)RNA及び/又はDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項54】
前記パラフィン包埋試料からの前記パラフィンの分離が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記パラフィン包埋試料からの前記パラフィンの分離が、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて改善される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された前記パラフィンの分離により、前記フィルタの詰まりが、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、前記改善されたパラフィンの分離により、前記フィルタの詰まりが、前記パラフィンを前記パラフィン包埋試料から切り離すことにより前記パラフィンを除去する方法と比べて少なくなる、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
ステップb)が、前記パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、請求項37~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記不混和性溶媒が鉱油である、請求項37~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記パラフィン包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記パラフィン包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油とパラフィン包埋試料との比で接触させる、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
ステップb)が、前記パラフィン包埋試料を、鉱油中、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートすることを含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記鉱油が、前記パラフィン包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記鉱油が、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、前記パラフィン包埋試料に接触する、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
ステップb)が、前記試料を不混和性溶媒と接触させ、前記パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、請求項37~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記試料からの前記パラフィンの前記分離が自動である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
ステップb)が自動である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記方法が自動である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
2つ以上のパラフィン包埋試料を並行して処理する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
12、24、48、又は96個のパラフィン包埋試料を並行して処理する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
液体取扱ロボットを使用して行う、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記液体取扱ロボットが、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、前記液体取扱ロボットが、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記液体取扱ロボットが、Hamilton AutoLys STARである、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
ステップc)が、RNA及びDNAを前記脱パラフィンした試料から抽出することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
ステップa)が、
i)パラフィン包埋組織中の目的の腫瘍細胞を含む標的領域を特定することと、
ii)前記パラフィン包埋試料を前記パラフィン包埋組織から抽出することと、
iii)前記パラフィン包埋組織中の前記パラフィン包埋試料の場所を特定することと、
iv)前記パラフィン包埋試料の前記場所が前記目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合う場合、RNA及び/若しくはDNAを前記試料から抽出するか、又はステップbに進むことと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記パラフィン包埋試料の前記場所が前記目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合わない場合、ステップii)及びiii)を繰り返す、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
ステップii)が、針を使用して前記パラフィン包埋試料を抽出することを含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
前記針で前記パラフィン包埋組織を通して穿刺することにより、前記パラフィン包埋試料を抽出する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記針が使い捨て針である、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
前記針が、13ゲージ針、14ゲージ針、15ゲージ針、16ゲージ針、17ゲージ針、18ゲージ針、19ゲージ針、20ゲージ針、又は21ゲージ針である、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記パラフィン包埋組織から抽出した前記パラフィン包埋試料が、直径約0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、又は2.3mmである、請求項79~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
ステップii)が、レーザーマイクロダイセクション(LMD)又はレーザーブレードを使用して前記パラフィン包埋試料を抽出することを含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項87】
ステップiii)が、前記パラフィン包埋組織の切片のスライドを調製することを含む、請求項79~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記パラフィン包埋組織の前記切片を染色する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記パラフィン包埋組織の前記切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色する、請求項87又は88に記載の方法。
【請求項90】
ステップiii)を目視検査により行う、請求項79~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
ステップiii)をコンピュータシステムにより行う、請求項79~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
ステップiii)を、画像分析システムを使用して行う、請求項79~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記パラフィン包埋試料が、生検、任意選択で腫瘍生検に由来する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記パラフィン包埋試料が固定パラフィン包埋試料である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記固定パラフィン包埋試料が、ホルマリン固定試料、エタノール固定試料、及びメタノール固定試料からなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記パラフィン包埋試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から得られる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記パラフィン包埋試料が、凍結保存組織から得られる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記パラフィン包埋試料が、新鮮凍結組織から得られる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記新鮮凍結組織が、最適切断温度(OCT)の化合物中で凍結する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記DNAを抽出する前に、前記RNAを抽出する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記パラフィン包埋試料をステップb)の前に消化させることを更に含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
プロテイナーゼを使用して、前記パラフィン包埋試料を消化させる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、前記パラフィン包埋試料を消化させる、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記パラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、又は約62℃でインキュベートする、請求項103~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記パラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間インキュベートする、請求項103~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記パラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする、請求項103~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記パラフィン包埋試料を部分的に消化させる又は完全に消化させる、請求項102~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記消化させた試料をステップb)の後に脱架橋することを更に含む、請求項102~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
脱架橋することが、前記消化させた試料を80~90℃に加熱することを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記消化させた試料を、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間加熱する、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
ステップc)が、RNAを含む試料溶解物を、前記消化させたパラフィン包埋試料から収集し、前記RNAを、前記RNAを含む試料溶解物から精製することを含む、請求項102~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記消化させたパラフィン包埋試料を完全に消化させることを更に含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記完全な消化を、プロテイナーゼを使用して行う、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、前記消化させたパラフィン包埋試料を消化させる、請求項116,に記載の方法。
【請求項118】
前記消化させたパラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする、請求項114~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記消化させたパラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする、請求項114~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記消化させたパラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする、請求項114~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
DNAを含む試料溶解物を、前記完全に消化させたパラフィン包埋試料から収集することを更に含む、請求項114~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記DNAを含む試料溶解物から前記DNAを精製することを更に含む、請求項114~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記RNAを抽出する前に、前記DNAを抽出する、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記パラフィン包埋試料をステップb)の後に完全に消化させることを更に含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記完全な消化を、プロテイナーゼを使用して行う、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、前記パラフィン包埋試料を消化させる、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記パラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする、請求項125~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記パラフィン包埋試料を、前記プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする、請求項125~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記DNAを前記完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む、請求項124~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記RNAを前記完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量を測定することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又はDNAの量が、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約60ng、約70ng、約80ng、約100ng、約50μg、又は約50mgである、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又は前記DNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又は前記DNAを次世代配列決定により分析することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記方法が、
e)任意選択で、1つ以上のアダプターを前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又はDNAにライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、
d)任意選択で、核酸を前記ライゲーションした核酸から増幅することと、
f)任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、
g)配列決定装置によって、前記複数の核酸を配列決定して、前記1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、
h)前記複数の配列リードを分析することと、
i)前記分析に基づいて、目的の遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記1つ以上の目的の遺伝子に対応する前記複数の核酸を、ベイト分子とのハイブリダイゼーションにより、前記増幅した核酸から捕捉する、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記1つ以上の目的の遺伝子に対応する前記複数の核酸を、前記増幅した核酸から富化し、任意選択で、前記1つ以上の目的の遺伝子に対応する前記複数の核酸を、ビオチン/ストレプトアビジンタグ付けにより、前記増幅した核酸から富化する、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
138ステップe)の前に、前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又はDNAを断片化し、任意選択で、前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又はDNAを、超音波処理により断片化する、請求項136~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
139前記断片化した前記パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを末端修復する、請求項136に記載の方法。
【請求項141】
140前記末端修復し断片化した、前記試料から抽出したRNA及び/又はDNAが、dAテール状又はdTテール状である、請求項136に記載の方法。
【請求項142】
前記パラフィン包埋試料から抽出した前記DNAを分析して、
i)点変異、
ii)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、
iii)遺伝子内欠失、
iv)遺伝子内挿入、
v)遺伝子全体の欠失、
vi)逆位、
vii)染色体間転座、
viii)縦列重複、
ix)遺伝子融合、
x)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又は
xi)遺伝子増幅又は重複、からなる群から選択される体細胞変異を検出することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記体細胞変異が、遺伝子中にあり、前記遺伝子が、ABL1、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、APC、AR、BRAF、CCND1、CDK4、CDKN2A、CEBPA、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FLT3、HRAS、JAK2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLL、MYC、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PIK3CG、PIK3R1、PTCH1、PTCH2、PTEN、RB1、RET、SMO、STK11、SUFU、又はTP53である、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記体細胞変異が、遺伝子中にあり、前記遺伝子が、ABL2、ARAF、ARFRP1、ARID1A、ATM、ATR、AURKA、AURKB、BAP1、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL6、BRCA1、BRCA2、CBL、CARD11、CBL、CCND2、CCND3、CCNE1、CD79A、CD79B、CDH1、CDH2、CDH20、CDH5、CDK6、CDK8、CDKN2B、CDKN2C、CHEK1、CHEK2、CRKL、CRLF2、DNMT3A、DOT1L、EPHA3、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHB1、EPHB4、EPHB6、ERBB3、ERBB4、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EZH2、FANCA、FBXW7、FGFR4、FLT1、FLT4、FOXP4、GATA1、GNA11、GNAQ、GNAS、GPR124、GUCY1A2、HOXA3、HSP90AA1、IDH1、IDH2、IGF1R、IGF2R、IKBKE、IKZF1、INHBA、IRS2、JAK1、JAK3、JUN、KDM6A、KDR、LRP1B、LRP6、LTK、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MEN1、MITF、MLH1、MPL、MRE11A、MSH2、MSH6、MTOR、MUTYH、MYCL1、MYCN、NF2、NKX2-1、NTRK1、NTRK2、PAK3、PAX5、PDGFRB、PKHD1、PLCG1、PRKDC、PTPN11、PTPRD、RAF1、RARA、RICTOR、RPTOR、RUNX1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SOX10、SOX2、SRC、TBX22、TET2、TGFBR2、TMPRSS2、TNFAIP3、TNK、TNKS2、TOP1、TSC1、TSC2、USP9X、VHL、又はWT1である、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNAを分析して、
i)遺伝子融合、
ii)エクソンスキッピング事象、
iii)スプライスバリアント、及び/又は
iv)改変された遺伝子発現、からなる群から選択される改変を検出することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記パラフィン包埋試料中の1つ以上の目的の遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)の検出を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記パラフィン包埋試料中のST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、及び/又はGATA5のLOHを検出することを更に含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記パラフィン包埋試料中のヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHを検出することを更に含む、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
1つ以上のアダプターを前記パラフィン包埋試料から抽出した前記RNA及び/又はDNAのうちの1つ以上にライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、
前記ライゲーションした核酸を増幅することと、
前記増幅した核酸から前記HLA遺伝子に対応する複数の核酸を、ベイト分子を使用して捕捉することと、
前記捕捉した核酸を配列決定して、前記HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、
1つ以上のプロセッサによって、前記複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、
前記モデルに基づいて、前記HLA遺伝子のLOH及び前記HLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を更に含む、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記HLA遺伝子のLOH及び前記HLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向が、
a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、前記HLA遺伝子に対応する前記複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、
b)前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、
c)目的関数を適用して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)最適化モデルを適用して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと決定することと、によって検出される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、前記HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の有効量の治療を前記個体に投与することを更に含む、請求項149又は150に記載の方法。
【請求項152】
前記HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む、請求項149又は150に記載の方法。
【請求項153】
前記パラフィン包埋試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を得ることを更に含む、請求項149又は150に記載の方法。
【請求項154】
前記パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、前記HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を前記個体に投与することを更に含む、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、前記HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を前記個体に推奨することを更に含む、請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、請求項148~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記TMBが、配列決定したゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、請求項153~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記パラフィン包埋試料中のホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)遺伝子における機能喪失型変異を検出することを更に含む、請求項1~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
PTEN遺伝子中の前記機能喪失型変異が、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、若しくは置換、ゲノム再編成、プロモーター中の改変、遺伝子融合、又はコピー数改変のうちの1つ以上を含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
PTEN遺伝子中の前記機能喪失型変異を、前記パラフィン包埋試料中で、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定のうちの1つ以上により検出する、請求項158又は159に記載の方法。
【請求項161】
前記パラフィン包埋試料中の腫瘍変異負荷(TMB)のレベルを測定することを更に含む、請求項1~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
少なくとも約10変異/メガベース(Mb)又は少なくとも約20mut/MbのTMBを検出する、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
TMBを、前記パラフィン包埋試料由来の前記RNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定により測定する、請求項161又は162に記載の方法。
【請求項164】
TMBを、約0.80Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
TMBを、約0.83Mb~約1.14Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、請求項163に記載の方法。
【請求項166】
TMBを、約1.1Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、請求項163に記載の方法。
【請求項167】
TMBを、最大約1.1Mbの配列決定されたDNAに基づいて測定する、請求項163に記載の方法。
【請求項168】
前記パラフィン包埋試料中のホモ接合性単一エクソン喪失を検出することを更に含む、請求項1~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記ホモ接合性単一エクソン喪失を、前記パラフィン包埋試料由来の前記RNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定によって検出する、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
分析物を検出する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を前記包埋剤中で誘導し、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、
d)前記分析物を分析して、前記分析物を検出することと、を含む、方法。
【請求項171】
前記分析物の前記検出が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記分析物の前記検出が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項170に記載の方法。
【請求項173】
前記分析物の前記検出が、前記包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される、請求項170に記載の方法。
【請求項174】
分析物を抽出する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を前記包埋剤中で誘導し、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項175】
前記分析物の前記抽出が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記分析物の前記抽出が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項174に記載の方法。
【請求項177】
包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を前記包埋剤中で誘導し、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、
d)抽出した前記分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法。
【請求項178】
前記分析物試料中の包埋剤のレベルが、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記分析物試料中の包埋剤のレベルが、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて低減する、請求項177に記載の方法。
【請求項180】
包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を前記包埋剤中で誘導し、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項181】
前記包埋試料からの前記包埋剤の分離が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記包埋試料からの前記包埋剤の分離が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項180に記載の方法。
【請求項183】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された前記包埋剤の分離により、前記フィルタの詰まりが、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、請求項180~182のいずれか一項に記載の方法。
【請求項184】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、前記改善された包埋剤の分離により、前記フィルタの詰まりが、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる、請求項180~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、請求項183又は184に記載の方法。
【請求項186】
ステップb)が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、請求項170~184のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
前記相転移が、溶融、凍結、気化、凝結、昇華、及び沈着からなる群から選択される、請求項170~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
前記相転移が溶融である、請求項170~187のいずれか一項に記載の方法。
【請求項189】
ステップb)が、前記包埋試料の加熱、冷却、圧力増加、又は圧力減少を含む、請求項170~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
ステップb)が、前記包埋試料を加熱することを含む、請求項170~189のいずれか一項に記載の方法。
【請求項191】
前記包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱することを含む、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、請求項190又は191に記載の方法。
【請求項193】
ステップb)が、前記包埋試料を遠心分離させ、濾過して、前記包埋を前記試料から分離させることを含む、請求項170~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項193又は194に記載の方法。
【請求項196】
前記包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項193~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
ステップb)が、前記包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過して、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む、請求項170~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
ステップb)が、前記包埋試料を加熱し、遠心分離させて、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む、請求項170~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項199】
分析物を検出する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、前記包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、
d)前記分析物を分析して、前記分析物を検出することと、を含む、方法。
【請求項200】
前記分析物の前記検出が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記分析物の前記検出が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項199に記載の方法。
【請求項202】
前記分析物の前記検出が、前記包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される、請求項199に記載の方法。
【請求項203】
分析物を抽出する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、前記包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項204】
前記分析物の前記抽出が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記分析物の前記抽出が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項203に記載の方法。
【請求項206】
包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、前記包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、
d)抽出した前記分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法。
【請求項207】
前記分析物試料中の包埋剤のレベルが、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記分析物試料中の包埋剤のレベルが、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて低減する、請求項206に記載の方法。
【請求項209】
包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、
a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、前記試料が包埋剤に包埋される、提供することと、
b)前記包埋剤を前記包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、前記包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、前記包埋剤を前記試料から分離させることにより、前記包埋剤を除去する、生成することと、
c)前記分析物を前記脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【請求項210】
前記包埋試料からの前記包埋剤の分離が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、請求項209に記載の方法。
【請求項211】
前記包埋試料からの前記包埋剤の分離が、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて改善される、請求項209に記載の方法。
【請求項212】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された前記包埋剤の分離により、前記フィルタの詰まりが、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、請求項209~211のいずれか一項に記載の方法。
【請求項213】
前記方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、前記改善された包埋剤の分離により、前記フィルタの詰まりが、前記包埋剤を前記包埋試料から切り離すことにより前記包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる、請求項209~212のいずれか一項に記載の方法。
【請求項214】
前記フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、請求項212又は213に記載の方法。
【請求項215】
ステップb)が、前記包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、前記混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、請求項199~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項216】
前記不混和性溶媒の密度が、水より軽く、前記包埋剤が液体形態である場合には前記包埋剤より重い、請求項199~215のいずれか一項に記載の方法。
【請求項217】
前記不混和性溶媒の前記密度が、流動パラフィンより重い、請求項216に記載の方法。
【請求項218】
前記不混和性溶媒が植物油である、請求項199~217のいずれか一項に記載の方法。
【請求項219】
前記不混和性溶媒が鉱油である、請求項199~217のいずれか一項に記載の方法。
【請求項220】
前記包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる、請求項219に記載の方法。
【請求項221】
前記包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油と包埋試料との比で接触させる、請求項219又は220に記載の方法。
【請求項222】
前記鉱油が、前記包埋試料に、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃で接触する、請求項219~221のいずれか一項に記載の方法。
【請求項223】
前記鉱油が、前記包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する、請求項219~222のいずれか一項に記載の方法。
【請求項224】
前記鉱油が、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、前記包埋試料に接触する、請求項219~223のいずれか一項に記載の方法。
【請求項225】
ステップb)が、前記試料を不混和性溶媒と接触させ、前記包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、請求項199~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項226】
前記包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
前記包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項225又は226に記載の方法。
【請求項228】
前記包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項225~227のいずれか一項に記載の方法。
【請求項229】
前記分析物が、ポリペプチド、RNA、DNA、小分子、脂質、多糖、エクソソーム、ミトコンドリア、及び核からなる群から選択される、請求項170~228のいずれか一項に記載の方法。
【請求項230】
前記包埋剤が、パラフィン、樹脂、セロイジン、Paraplast(登録商標)、ゼラチン、エステルワックス、ワックス、ポリエチレングリコール、及びニトロセルロースからなる群から選択される、請求項170~229のいずれか一項に記載の方法。
【請求項231】
前記包埋剤がパラフィンである、請求項230に記載の方法。
【請求項232】
RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、
a)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
b)前記試料を50℃~75℃で1~40分間インキュベートすることと、
c)前記試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、前記RNAを含む溶解物から分離させることと、
d)前記RNAを含む前記溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【請求項233】
ステップc)の後、ステップd)の前に、前記試料を室温に冷却することを更に含む、請求項232に記載の方法。
【請求項234】
前記試料を室温に冷却した後に、前記試料を遠心分離させて、前記溶解物を濾過することを更に含む、請求項233に記載の方法。
【請求項235】
前記試料を前記プロテアーゼとともにインキュベートすることが、50℃~60℃でのインキュベーションを含む、請求項232~234のいずれか一項に記載の方法。
【請求項236】
前記試料を前記プロテアーゼとともにインキュベートすることが、1~20分間のインキュベーションを含む、請求項232~235のいずれか一項に記載の方法。
【請求項237】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項232~236のいずれか一項に記載の方法。
【請求項238】
前記RNAを前記溶解物から単離する、請求項232~237のいずれか一項に記載の方法。
【請求項239】
前記RNAを抽出する方法が、ハイスループット法に使用される、請求項232~238のいずれか一項に記載の方法。
【請求項240】
前記RNAを分析することを更に含む、請求項232~239のいずれか一項に記載の方法。
【請求項241】
前記プロテアーゼとの前記インキュベーションを、500~2000rpmで振盪しながら行う、請求項232~240のいずれか一項に記載の方法。
【請求項242】
50℃~80℃での前記インキュベーションを、振盪せずに行う、請求項232~241のいずれか一項に記載の方法。
【請求項243】
ステップc)の後に、前記試料を250RCF~750RCFで遠心分離させることを更に含む、請求項232~242のいずれか一項に記載の方法。
【請求項244】
cDNAを前記RNAから調製することを更に含む、請求項232に記載の方法。
【請求項245】
DNAを試料から抽出する方法であって、
a)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
b)前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、
c)前記試料を高速で遠心分離させて、前記DNAを含む溶解物を生成することと、
d)前記DNAを含む前記溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【請求項246】
前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500~2000rpmで振盪しながら行う、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
ステップb)の直後に、前記試料を2~20分間1000RCF~4000RCFで遠心分離させる、請求項245又は246に記載の方法。
【請求項248】
2~20分間1000RCF~4000RCFでの遠心分離の後に、前記試料を少なくとも40分間冷蔵する、請求項247に記載の方法。
【請求項249】
前記試料を冷蔵した後に、ステップc)を実行する、請求項248に記載の方法。
【請求項250】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項245~249のいずれか一項に記載の方法。
【請求項251】
RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、
a)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
b)前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、
c)前記試料を高速で遠心分離させて、前記パラフィンを、前記RNAを含む第1の溶解物から分離させることと、
d)前記RNAを含む前記第1の溶解物を吸引することと、
e)前記RNAを前記第1の溶解物から単離することと、
f)ステップc)からの前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
g)ステップf)からの前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、
h)前記試料を高速で遠心分離させることと、
i)前記DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、
j)前記DNAを前記第2の溶解物から単離することと、を含む、方法。
【請求項252】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項251に記載の方法。
【請求項253】
前記プロテアーゼとのインキュベーションを、ステップa及び/又はステップfにおいて、500~2000rpmで振盪しながら行う、請求項251又は252に記載の方法。
【請求項254】
前記試料を前記プロテアーゼとともにインキュベートすることが、50℃~60℃でのインキュベーションを含む、請求項251~253のいずれか一項に記載の方法。
【請求項255】
前記試料を前記プロテアーゼとともにインキュベートすることが、1~20分間のインキュベーションを含む、請求項251~254のいずれか一項に記載の方法。
【請求項256】
前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることを、振盪せずに行う、請求項251~255のいずれか一項に記載の方法。
【請求項257】
RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、
a)鉱油を前記試料に加えることと、
b)前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、
c)前記試料を室温に冷却することと、
d)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
f)前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、
g)前記試料を高速で遠心分離させて、前記パラフィン及び前記鉱油を、前記RNAを含む溶解物から分離させることと、
h)前記RNAを含む前記溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【請求項258】
50℃~80℃で1~20分間の前記インキュベーションを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、請求項257に記載の方法。
【請求項259】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項257又は258に記載の方法。
【請求項260】
高速での遠心分離の後に、前記試料を室温でインキュベートする、請求項256~259のいずれか一項に記載の方法。
【請求項261】
室温でのインキュベーションの後に、前記試料を遠心分離させることを更に含む、請求項260に記載の方法。
【請求項262】
DNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、
a)鉱油を前記試料に加えることと、
b)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
c)前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、
d)前記試料を高速で遠心分離させて、前記パラフィンを、前記DNAを含む溶解物から分離させることと、
e)前記DNAを含む前記溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【請求項263】
ステップb)の前に、前記鉱油を除去する、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項262又は263に記載の方法。
【請求項265】
前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、請求項262~264のいずれか一項に記載の方法。
【請求項266】
前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートした後、ステップd)の前に、即座に、前記試料を2000~5000RCFで遠心分離させる、請求項262~265のいずれか一項に記載の方法。
【請求項267】
RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、
a)鉱油を前記試料に加えることと、
b)前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることにより、前記パラフィンを溶融させることと、
c)前記試料を室温に冷却することと、
d)前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
e)前記試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、
f)前記試料を高速で遠心分離させて、前記パラフィン及び前記鉱油を、前記RNAを含む溶解物から分離させることと、
g)前記RNAを含む前記溶解物を吸引することと、
h)前記RNAを前記溶解物から単離することと、
i)ステップg)からの前記溶解物を高速で遠心分離させて、前記溶解物を前記鉱油から分離させることと、
j)ステップi)からの前記試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、
k)ステップj)からの前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、
l)前記試料を高速で遠心分離させることと、
m)前記DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【請求項268】
前記試料を高速で遠心分離させることが、前記試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、請求項267に記載の方法。
【請求項269】
前記試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、請求項267又は268に記載の方法。
【請求項270】
前記プロテアーゼがプロテイナーゼKである、請求項232~269のいずれか一項に記載の方法。
【請求項271】
前記試料が、サイズ約30μm未満である、請求項1~270のいずれか一項に記載の方法。
【請求項272】
前記試料が、サイズ約0.3μm~約5.5μmである、請求項1~271のいずれか一項に記載の方法。
【請求項273】
前記試料から抽出した前記RNA及び/又は前記DNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む、請求項232~272のいずれか一項に記載の方法。
【請求項274】
前記RNA及び/又はDNAを分析することが、次世代配列決定を含む、請求項273に記載の方法。
【請求項275】
前記RNA及び/又は前記DNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することを更に含む、請求項232~274のいずれか一項に記載の方法。
【請求項276】
前記DNA及び/又はRNAを、ハイブリッド捕捉ベースの配列決定を使用して配列決定することを更に含む、請求項232~275のいずれか一項に記載の方法。
【請求項277】
前記試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する、請求項232~276のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/290,537号の優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、パラフィンなどの包埋剤を包埋試料から除去する方法に関する。本明細書に記載の方法は、RNA及び/又はDNAなどの分析物を検出し、RNA及び/又はDNAなどの分析物を抽出し、包埋試料からの核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善するために使用してもよく、同様に、がんなどの疾患の診断、評価、及び治療の方法である。
【背景技術】
【0003】
がんは、腫瘍形成に必要な幅広い生物学的特性を細胞に授ける複数の遺伝子病変の表現型エンドポイントを示す。実際に、多くのがんの顕著なゲノム特徴は、多数の複雑な染色体構造異常の存在であり、これらには、なかでも、転座、染色体内逆位、点変異、欠失、遺伝子コピー数の変化、遺伝子発現レベルの変化、遺伝子融合、及び生殖細胞変異が含まれる。これらの顕著なゲノム特徴の存在は、がんのバイオマーカーとして機能し得る。
【0004】
こうしたバイオマーカーを検出する一方法は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などの組織試料中の腫瘍細胞から抽出した核酸の分析である。特に、RNAとDNAとの両方を単一の組織試料から抽出することが望ましい。RNA及び/又はDNAをパラフィン包埋組織試料から抽出する方法は、核酸抽出の前にパラフィンを除去するステップを伴う。パラフィンを包埋試料から除去する一方法は、パラフィンを、キシレンなどの有害な有機溶媒、又は別の混和性溶媒に溶解させることを伴う。こうした溶媒ベースのパラフィン除去の方法は、例えば核酸試料調製を多重化することを目的とした、ロボットによる自動化には適していない。したがって、パラフィンなどの包埋剤を包埋試料から除去する方法、特に、ロボットによる自動化及びハイスループット試料調製に適した方法が当該技術分野で求められている。
【0005】
特許、特許出願、及び刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により援用される参考文献が本開示と矛盾する限り、本開示が優先するものとする。
【発明の概要】
【0006】
RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変は、a)コピー数改変、b)点変異、c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、d)遺伝子内欠失、e)遺伝子内挿入、f)遺伝子全体の欠失、g)逆位、h)染色体間転座、i)縦列重複、j)遺伝子融合、k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はl)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変はコピー数改変である。
【0007】
RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0008】
核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0009】
パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する。
【0010】
パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。
【0011】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。先行方法のいくつかの実施形態では、相転移は溶融である。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱することを含む。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させることを含む。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過することを含む。
【0012】
RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変は、a)コピー数改変、b)点変異、c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、d)遺伝子内欠失、e)遺伝子内挿入、f)遺伝子全体の欠失、g)逆位、h)染色体間転座、i)縦列重複、j)遺伝子融合、k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はl)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変はコピー数改変である。
【0013】
RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0014】
核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0015】
パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する。
【0016】
パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。
【0017】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。先行方法のいくつかの実施形態では、不混和性溶媒は鉱油である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油とパラフィン包埋試料との比で接触させる。いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を、鉱油中、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、鉱油は、パラフィン包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する。いくつかの実施形態では、鉱油は、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、パラフィン包埋試料に接触する。
【0018】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。
【0019】
先行方法のいくつかの実施形態では、試料からのパラフィンの分離は自動である。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は自動である。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は自動である。先行方法のいくつかの実施形態では、2つ以上のパラフィン包埋試料を並行して処理する。いくつかの実施形態では、12、24、48、又は96個のパラフィン包埋試料を並行して処理する。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、液体取扱ロボットを使用して行う。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARである。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップc)は、RNA及びDNAを脱パラフィンした試料から抽出することを含む。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップa)は、i)パラフィン包埋組織中の目的の腫瘍細胞を含む標的領域を特定することと、ii)パラフィン包埋試料をパラフィン包埋組織から抽出することと、iii)パラフィン包埋組織中のパラフィン包埋試料の場所を特定することと、iv)パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合う場合、RNA及び/又はDNAを試料から抽出することと、を含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合わない場合、ステップii)及びiii)を繰り返す。いくつかの実施形態では、ステップii)は、針を使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、針でパラフィン包埋組織を通して穿刺することにより、パラフィン包埋試料を抽出する。いくつかの実施形態では、針は使い捨て針である。いくつかの実施形態では、針は、13ゲージ針、14ゲージ針、15ゲージ針、16ゲージ針、17ゲージ針、18ゲージ針、19ゲージ針、20ゲージ針、又は21ゲージ針である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織から抽出したパラフィン包埋試料は、直径約0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、又は2.3mmである。いくつかの実施形態では、ステップii)は、レーザーマイクロダイセクション(LMD)又はレーザーブレードを使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、ステップiii)は、パラフィン包埋組織の切片のスライドを調製することを含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織の切片を染色する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織の切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色する。いくつかの実施形態では、ステップiii)を目視検査により行う。いくつかの実施形態では、ステップiii)をコンピュータシステムにより行う。いくつかの実施形態では、ステップiii)を、画像分析システムを使用して行う。
【0020】
先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、生検、任意選択で腫瘍生検に由来する。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は固定パラフィン包埋試料である。いくつかの実施形態では、固定パラフィン包埋試料は、ホルマリン固定試料、エタノール固定試料、及びメタノール固定試料からなる群から選択される。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から得られる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、凍結保存組織から得られる。先行方法のいくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、新鮮凍結組織から得られる。いくつかの実施形態では、新鮮凍結組織は、最適切断温度(OCT)の化合物中で凍結する。先行方法のいくつかの実施形態では、DNAを抽出する前に、RNAを抽出する。いくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料をステップb)の前に消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、又は約62℃でインキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、部分的に消化させる又は完全に消化させる。いくつかの実施形態では、本方法は、消化させた試料をステップb)の後に脱架橋することを更に含む。いくつかの実施形態では、脱架橋することは、消化させた試料を80~90℃に加熱することを含む。いくつかの実施形態では、消化させた試料を、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間加熱する。いくつかの実施形態では、ステップc)は、RNAを含む試料溶解物を、消化させたパラフィン包埋試料から収集し、RNAを、RNAを含む試料溶解物から精製することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、消化させたパラフィン包埋試料を完全に消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼを使用して、完全な消化を行う。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする。いくつかの実施形態では、本方法は、DNAを含む試料溶解物を、完全に消化させたパラフィン包埋試料から収集することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、DNAを含む試料溶解物からDNAを精製することを更に含む。いくつかの実施形態では、RNAを抽出する前に、DNAを抽出する。いくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料をステップb)の後に完全に消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼを使用して、完全な消化を行う。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、本方法は、DNAを完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、RNAを完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む。
【0021】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量を測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量は、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約60ng、約70ng、約80ng、約100ng、約50μg、又は約50mgである。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを次世代配列決定により分析することを更に含む。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、e)任意選択で、1つ以上のアダプターを、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAにライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、d)任意選択で、核酸を、ライゲーションした核酸から増幅することと、f)任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、g)配列決定装置によって、複数の核酸を配列決定して、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、h)複数の配列リードを分析することと、i)分析に基づいて、目的の遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸は、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される。いくつかの実施形態では、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を、増幅した核酸から富化し、任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を、ビオチン/ストレプトアビジンタグ付けにより、増幅した核酸から富化する。いくつかの実施形態では、ステップe)の前に、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを断片化し、任意選択で、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、超音波処理により断片化する。いくつかの実施形態では、断片化したパラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを末端修復する。いくつかの実施形態では、末端修復し断片化した、試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、dAテール状又はdTテール状である。
【0022】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したDNAを分析して、i)点変異、ii)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、iii)遺伝子内欠失、iv)遺伝子内挿入、v)遺伝子全体の欠失、vi)逆位、vii)染色体間転座、viii)縦列重複、ix)遺伝子融合、x)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はxi)遺伝子増幅若しくは重複、からなる群から選択される体細胞変異を検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、体細胞変異は、遺伝子中にあり、遺伝子は、ABL1、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、APC、AR、BRAF、CCND1、CDK4、CDKN2A、CEBPA、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FLT3、HRAS、JAK2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLL、MYC、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PIK3CG、PIK3R1、PTCH1、PTCH2、PTEN、RB1、RET、SMO、STK11、SUFU、又はTP53である。いくつかの実施形態では、体細胞変異は、遺伝子中にあり、この遺伝子は、ABL2、ARAF、ARFRP1、ARID1A、ATM、ATR、AURKA、AURKB、BAP1、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL6、BRCA1、BRCA2、CBL、CARD11、CBL、CCND2、CCND3、CCNE1、CD79A、CD79B、CDH1、CDH2、CDH20、CDH5、CDK6、CDK8、CDKN2B、CDKN2C、CHEK1、CHEK2、CRKL、CRLF2、DNMT3A、DOT1L、EPHA3、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHB1、EPHB4、EPHB6、ERBB3、ERBB4、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EZH2、FANCA、FBXW7、FGFR4、FLT1、FLT4、FOXP4、GATA1、GNA11、GNAQ、GNAS、GPR124、GUCY1A2、HOXA3、HSP90AA1、IDH1、IDH2、IGF1R、IGF2R、IKBKE、IKZF1、INHBA、IRS2、JAK1、JAK3、JUN、KDM6A、KDR、LRP1B、LRP6、LTK、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MEN1、MITF、MLH1、MPL、MRE11A、MSH2、MSH6、MTOR、MUTYH、MYCL1、MYCN、NF2、NKX2-1、NTRK1、NTRK2、PAK3、PAX5、PDGFRB、PKHD1、PLCG1、PRKDC、PTPN11、PTPRD、RAF1、RARA、RICTOR、RPTOR、RUNX1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SOX10、SOX2、SRC、TBX22、TET2、TGFBR2、TMPRSS2、TNFAIP3、TNK、TNKS2、TOP1、TSC1、TSC2、USP9X、VHL、又はWT1である。
【0023】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNAを分析して、i)遺伝子融合、ii)エクソンスキッピング事象、iii)スプライスバリアント、及び/又はiv)改変された遺伝子発現、からなる群から選択される改変を検出することを更に含む。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中の1つ以上の目的の遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)の検出を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中のST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、及び/又はGATA5のLOHを検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中のヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHを検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のアダプターをパラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAのうちの1つ以上にライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、ライゲーションした核酸を増幅することと、増幅した核酸からHLA遺伝子に対応する複数の核酸を、ベイト分子を使用して捕捉することと、捕捉した核酸を配列決定して、HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、モデルに基づいて、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向は、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと決定することと、によって検出される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の有効量の治療を個体に投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を得ることを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を個体に投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を個体に推奨することを更に含む。いくつかの実施形態では、HLA遺伝子は、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。いくつかの実施形態では、TMBは、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される。
【0024】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中のホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)遺伝子における機能喪失型変異を検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、PTEN遺伝子中の機能喪失型変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、若しくは置換、ゲノム再編成、プロモーター中の改変、遺伝子融合、又はコピー数改変のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、PTEN遺伝子中の機能喪失型変異を、パラフィン包埋試料中で、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定のうちの1つ以上により検出する。
【0025】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中の腫瘍変異負荷(TMB)のレベルを測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも約10変異/メガベース(Mb)又は少なくとも約20mut/MbのTMBが検出される。いくつかの実施形態では、TMBを、パラフィン包埋試料由来のRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定により測定する。いくつかの実施形態では、TMBを、約0.80Mbの配列決定されたDNAに対して測定する。いくつかの実施形態では、TMBを、約0.83Mb~約1.14Mbの配列決定されたDNAに対して測定する。いくつかの実施形態では、TMBを、約1.1Mbの配列決定されたDNAに対して測定する。いくつかの実施形態では、TMBを、最大約1.1Mbの配列決定されたDNAに対して測定する。
【0026】
先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料中のホモ接合性単一エクソン喪失を検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、ホモ接合性単一エクソン喪失を、パラフィン包埋試料由来のRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定によって検出する。
【0027】
分析物を検出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される。
【0028】
分析物を抽出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。
【0029】
包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する。
【0030】
包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。
【0031】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。先行方法のいくつかの実施形態では、相転移は、溶融、凍結、気化、凝結、昇華、及び沈着からなる群から選択される。先行方法のいくつかの実施形態では、相転移は溶融である。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料の加熱、冷却、圧力増加、又は圧力減少を含む。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を遠心分離させ、濾過して、包埋を試料から分離させることを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過して、包埋剤を試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む。先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を加熱し、遠心分離させて、包埋剤を試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む。
【0032】
分析物を検出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される。
【0033】
分析物を抽出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。
【0034】
包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する。
【0035】
包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。
【0036】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。先行方法のいくつかの実施形態では、不混和性溶媒の密度は、水より軽く、包埋剤が液体形態である場合には包埋剤より重い。いくつかの実施形態では、不混和性溶媒の密度は、流動パラフィンより重い。先行方法のいくつかの実施形態では、不混和性溶媒は植物油である。先行方法のいくつかの実施形態では、不混和性溶媒は鉱油である。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油と包埋試料との比で接触させる。いくつかの実施形態では、鉱油は、包埋試料に、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃で接触する。いくつかの実施形態では、鉱油は、包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する。いくつかの実施形態では、鉱油は、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、包埋試料に接触する。
【0037】
先行方法のいくつかの実施形態では、ステップb)は、試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。
【0038】
先行方法のいくつかの実施形態では、分析物は、ポリペプチド、RNA、DNA、小分子、脂質、多糖、エクソソーム、ミトコンドリア、及び核からなる群から選択される。先行方法のいくつかの実施形態では、包埋剤は、パラフィン、樹脂、セロイジン、Paraplast(登録商標)、ゼラチン、エステルワックス、ワックス、ポリエチレングリコール、及びニトロセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、包埋剤はパラフィンである。
【0039】
RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~75℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、RNAを含む溶解物から分離させることと、d)RNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、ステップc)の後、ステップd)の前に、試料を室温に冷却することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、試料を室温に冷却した後に、試料を遠心分離させて、溶解物を濾過することを更に含む。いくつかの実施形態では、試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることは、50℃~60℃でのインキュベーションを含む。いくつかの実施形態では、試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることは、1~20分間のインキュベーションを含む。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、RNAを溶解物から単離する。いくつかの実施形態では、RNAを抽出する方法が、ハイスループット法に使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、RNAを分析することを更に含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼとのインキュベーションを、500~2000rpmで振盪しながら行う。いくつかの実施形態では、50℃~80℃でのインキュベーションを、振盪せずに行う。いくつかの実施形態では、本方法は、ステップc)の後に、試料を250RCF~750RCFで遠心分離させることを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、cDNAをRNAから調製することを更に含む。
【0040】
DNAを試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、DNAを含む溶解物を生成することと、d)DNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500~2000rpmで振盪しながら行う。いくつかの実施形態では、ステップb)の直後に、試料を2~20分間1000RCF~4000RCFで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、2~20分間1000RCF~4000RCFでの遠心分離の後に、試料を少なくとも40分間冷蔵する。いくつかの実施形態では、試料を冷蔵した後に、ステップc)を実行する。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。
【0041】
RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、RNAを含む第1の溶解物から分離させることと、d)RNAを含む第1の溶解物を吸引することと、e)RNAを第1の溶解物から単離することと、f)ステップc)からの試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、g)ステップf)からの試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、h)試料を高速で遠心分離させることと、i)DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、j)DNAを第2の溶解物から単離することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼとのインキュベーションを、ステップa及び/又はステップfにおいて、500~2000rpmで振盪しながら行う。いくつかの実施形態では、試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることは、50℃~60℃でのインキュベーションを含む。いくつかの実施形態では、試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることは、1~20分間のインキュベーションを含む。いくつかの実施形態では、試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることを、振盪せずに行う。
【0042】
RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を室温に冷却することと、d)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、f)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、g)試料を高速で遠心分離させて、パラフィン及び鉱油を、RNAを含む溶解物から分離させることと、h)RNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、50℃~80℃で1~20分間のインキュベーションを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、高速での遠心分離の後に、試料を室温でインキュベートする。いくつかの実施形態では、本方法は、室温でのインキュベーションの後に、試料を遠心分離させることを更に含む。
【0043】
DNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、c)試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、d)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、DNAを含む溶解物から分離させることと、e)DNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ステップb)の前に鉱油を除去する。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う。いくつかの実施形態では、試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートした後、ステップd)の前に、即座に、試料を2000~5000RCFで遠心分離させる。
【0044】
RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることにより、パラフィンを溶融させることと、c)試料を室温に冷却することと、d)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、e)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、f)試料を高速で遠心分離させて、パラフィン及び鉱油を、RNAを含む溶解物から分離させることと、g)RNAを含む溶解物を吸引することと、h)RNAを溶解物から単離することと、i)ステップg)からの溶解物を高速で遠心分離させて、溶解物を鉱油から分離させることと、j)ステップi)からの試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、k)ステップj)からの試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、l)試料を高速で遠心分離させることと、m)DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、を含む、方法が、更に本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、試料を高速で遠心分離させることは、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う。
【0045】
先行方法のいくつかの実施形態では、プロテアーゼはプロテイナーゼKである。先行方法のいくつかの実施形態では、試料は、サイズ約30μmである。先行方法のいくつかの実施形態では、試料は、サイズ約0.3μm~約5.5μmである。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAを分析することは、次世代配列決定を含む。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することを更に含む。先行方法のいくつかの実施形態では、本方法は、DNA及び/又はRNAを、ハイブリッド捕捉ベースの配列決定を使用して配列決定することを更に含む。先行方法のいくつかの実施形態では、試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許又は特許出願のコピーは、要求及び必要な費用の支払いに応じて、庁により提供される。
【0047】
図1】RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する、例示的なRNA優先方法(上)及びDNA優先方法(下)の概要を提供する。
図2】10,000rcfで2分間遠心分離させた後のパラフィン包埋組織から抽出した混濁した核酸試料の代表的な画像を示す。矢印は、ワックス(パラフィン)汚染を含むペレットを指す。
図3A】RNA優先抽出のワークフローを試験するために使用した実験の3つのアームを示す概略図を示す。アーム2は標準プロトコル(左の縦列)であり、アーム3は油法(中央の縦列)であり、アーム4は温溶解物スピン法(右の縦列)である。
図3B】DNA優先抽出のワークフローを試験するために使用した実験の3つのアームを示す概略図を示す。アーム2は標準プロトコル(左の縦列)であり、アーム3は油法(中央の縦列)であり、アーム4は温溶解物スピン法(右の縦列)である。
図4】ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからの病理標本の精密富化を行うための例示的な方法の概要を示す。
図5A-5B】例示的な包括的ゲノムプロファイリング(CGP)法の概要を提供する。
図6】いくつかの実施形態による例示的なデバイス「デバイス1100」を図示する。
図7】いくつかの実施形態による例示的なシステム「システム1200」を図示する。
図8】いくつかの実施形態によるパラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを分析するための例示的なプロセスのブロック図を図示する。
図9A-9B】温溶解物プロセス後のAutoLysチューブを図示する。[図9A]内側AutoLysチューブを左に示し、矢印は、内側チューブ内に残るパラフィン層を示す。外側チューブを右に示し、矢印は、溶解物中の残留パラフィンが最小限である、透明な溶出液を示す。[図9B]内側AutoLysチューブを上に示し、矢印は、内側チューブ内に残るパラフィン層を示す。外側チューブを下に示し、矢印は、溶解物中の残留パラフィンが最小限である、透明な溶出液を示す。
図10A-10B】鉱油抽出プロセスの結果を図示する。[図10A]白色の矢印は、油層を特定し、黒色の矢印は、透明であり、残留パラフィンが最小限である溶解物層を特定する。[図10B]左の2つの縦列は鉱油法を使用して抽出し、一方で右の2つの縦列は「標準」法を使用して抽出した。画像は、鉱油法を使用して抽出した試料について、残留パラフィンが最小限である透明な溶出液を示し、標準法を使用して抽出した試料について、残留パラフィンがより多い混濁した溶出液を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、富化プロセスを評価するために組織学的品質保証/品質管理ステップを伴う、核酸を組織から抽出するための方法の開発に少なくとも部分的に基づく。本明細書に記載の方法により、以前の富化方法では腫瘍内容物の分析に不十分なレベルの組織しか別様には得られなかったであろう標本の試験が可能になる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本方法は、DNA及びRNAを、30μM以下ほどなどの小さい試料から抽出することができるという利点を有する。更に、いくつかの実施形態では、本方法を使用して、DNA及びRNAを同じ試料から抽出することができる。そのうえ、いくつかの実施形態では、本方法は、特にハイスループット法においてより効率的な下流処理を可能にする、試料からのパラフィンの除去に関する。例えば、いくつかの実施形態では、本方法を使用したパラフィンの除去により、ハイスループット試料処理法に使用されるロボットの詰まりが減少し得る。
【0050】
定義
本発明を詳細に説明する前に、この発明は、特定の組成物又は生体系に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、限定することを意図していない。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの分子(a molecule)」との言及は、任意選択で、2つ以上のこうした分子の組み合わせなどを含む。
【0052】
「又は」という用語は、文脈上他に明らかに示されない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書で使用され、それと互換的に使用される。
【0053】
「約」又は「およそ」という用語は、本明細書で使用される場合、当業者であれば容易に分かるそれぞれの値の通常の誤差範囲、例えば、測定の性質又は精度を所与とした測定された量についての許容程度の誤差又は逸脱を指す。本明細書における「約」又は「およそ」の値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(及び説明する)。
【0054】
本明細書で使用される場合、「包埋剤」という用語は、組織試料などの試料を包埋するために使用されてもよい任意の薬剤を指す。例示的な包埋剤には、パラフィン、樹脂セロイジン、Paraplast(登録商標)、ゼラチン、エステルワックス、ワックス、ポリエチレングリコール、及びニトロセルロースが含まれる。特定の実施形態では、包埋剤はパラフィンである。
【0055】
本明細書で使用される場合、「包埋試料」という用語は、包埋剤に包埋した任意の試料を指す。いくつかの実施形態では、包埋試料は、包埋組織試料、例えば、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体から抽出した包埋組織試料である。特定の実施形態では、包埋試料はパラフィン包埋試料である。
【0056】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、包埋試料から抽出してもよい任意の分子を指す。例示的な分析物には、RNA、DNA、ポリペプチド、小分子、脂質、多糖、エクソソーム、ミトコンドリア、及び核が含まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「にハイブリダイズするように構成された」は、核酸分子を、例えば、少なくとも65℃のTで、1倍SCC(150mMの塩化ナトリウム及び15mMのクエン酸三ナトリウム)と0.1% SDSとの水溶液中で、標的核酸にハイブリダイズさせるように、十分な長さと標的核酸のヌクレオチド配列に対する配列相補性とを有するヌクレオチド配列を核酸分子が有することを示す。例えば、記載の方法の文脈において、核酸分子を標的核酸分子にハイブリダイズさせるときに、他のハイブリダイゼーション条件を使用してもよい。
【0058】
「個体」又は「対象」は哺乳動物である。哺乳動物としては、限定されないが、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)が挙げられる。ある特定の実施形態では、個体又は対象はヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、ヒト患者、例えば、本明細書に記載のがんを有するヒト患者である。
【0059】
薬剤、例えば、抗がん剤、又は医薬製剤の「有効量」又は「治療有効量」は、例えば、がんの治療又は管理において、所望される治療的又は予防的結果、例えば、がんと関連付けられる1つ以上の症状を遅延させる又は最小限に抑えることを達成するために、必要とされる投薬量及び期間で有効な量を指す。いくつかの実施形態では、薬剤の有効量又は治療有効量は、単剤での、又はがんなどの疾患の治療又は管理において治療的又は予防的利益を提供する他の治療剤と組み合わせた、必要とされる投薬量及び期間での薬剤の量を指す。いくつかの実施形態では、薬剤の有効量又は治療有効量は、別の治療薬又は別の治療モダリティの治療的又は予防的効能を増強するものである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」などのその文法的な変形語)は、治療される個体の自然の経過を改変しようとする臨床的介入を指し、予防のため、又は一連の臨床病理学の間のいずれかに行われ得る。望ましい治療の効果としては、限定されないが、疾患の発生又は再発を予防すること、疾患の進行を遅延させること、症状の軽減、疾患の何らかの直接的又は間接的な病理学的帰結の減退、疾患進行の速度を減少させること、疾患状態の向上又は緩和、及び寛解した又は改善された予後が挙げられる。いくつかの実施形態では、「治療」、「治療する」、又は「治療すること」という用語には、例えば、個体が、がんに、又はがんの再増殖若しくは再発に罹患し始める前に、がんなどの疾患を予防することが含まれる。いくつかの実施形態では、「治療」、「治療する」、又は「治療すること」という用語には、がんなどの疾患を阻害する又はその重症度を低減させることが含まれる。
【0061】
「する可能性が高い」又は「高い確率」は、事象、品物、対象物、物、又は人が生じる可能性が高いことを指す。このため、一例では、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法を単独で又は組み合わせで用いる治療に応答する可能性が高い個体は、参照個体又は個体群と比べて、抗がん療法を単独で又は組み合わせで用いる治療に応答する確率が高い。「可能性が低い」とは、事象、物品、対象物、物、又は人が生じる確率が、参照個体又は個体群と比べて低いことを指す。このため、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法を単独で又は組み合わせで用いる治療に応答する可能性が低い個体は、参照個体又は個体群と比べて、抗がん療法を単独で又は組み合わせで用いる治療に応答する確率が低い。
【0062】
I.包埋試料からの包埋剤の除去
いくつかの態様では、分析物を検出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。また、分析物を抽出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、分析物を検出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、分析物を抽出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。また、核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。また、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。
【0063】
本開示は、包埋試料を包埋剤から分離させるための方法の開発に部分的に基づく。例えば、本明細書に記載の方法を使用して、パラフィンを、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などのパラフィン包埋試料から分離させてもよい。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、包埋剤を包埋試料から除去した後で、包埋剤の分離不良により、試料から抽出した分析物の後続の分析の間に浮上する様々な問題が提示される。例えば、脱包埋から抽出した試料からの包埋剤の分離不良は、脱包埋試料から抽出した分析物試料中の不純物であり得る。パラフィンの場合、これにより、分析物試料の混濁した調製物、及び分析物試料を処理するために使用される液体取扱ロボットの詰まりが生じ得る。脱パラフィン試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料の場合、パラフィンの除去不良により、次世代配列決定分析のためのライブラリ構築が失敗し得る。
【0064】
重要なことに、本明細書に記載の方法は、キシレンなどの毒性溶媒の使用に依存せず、したがって、自動化可能なハイスループット分析、例えば、核酸を配列決定するためのライブラリのハイスループット調製に適している。
【0065】
包埋剤への相転移の誘導
いくつかの実施形態では、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成するために、相転移を包埋剤に誘導することを伴う方法が、本明細書に提供される。包埋剤は、本明細書に記載の包埋剤のうちの任意の1つであってよい。本明細書に記載の方法を使用して、包埋剤を包埋試料を分離させてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、分析物を脱包埋試料から抽出することを更に含む。分析物は、本明細書に記載の分析物のうちの任意の1つであってよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、分析物を検出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の検出は、包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される。
【0067】
いくつかの実施形態では、分析物を抽出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。
【0068】
いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する。分析物試料中の包埋剤のレベルは、例えば、分析物試料の濁度を測定することにより、測定してもよい。いくつかの実施形態では、分析物試料の濁度は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させる方法と比べて、及び/又は包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて、低減する。
【0069】
いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて少なくなる。上記のように、分析物試料中の包埋剤のレベルは、例えば、分析物試料の濁度を測定することにより、測定してもよい。いくつかの実施形態では、分析物試料の濁度は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させる方法と比べて、及び/又は包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて、低減する。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARであり、スピンカラムは、AutoLysチューブである。
【0070】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まない。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。
【0071】
いくつかの実施形態では、相転移は、溶融、凍結、気化、凝結、昇華、及び沈着からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料の加熱、冷却、圧力増加、又は圧力減少を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、相転移は溶融である。いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を溶融させることにより包埋剤を包埋試料から除去することで、脱包埋試料を生成することを含む。いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を溶融させ、包埋剤を試料から分離させることを含む。いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する。
【0073】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を遠心分離させ、濾過して、包埋を試料から分離させることを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、遠心分離させ濾過することは、液体取扱ロボット、例えば、Hamilton AutoLys STARにおいて行う。
【0074】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過して、包埋剤を試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む。いくつかの実施形態では、加熱し、遠心分離させ、濾過することは、上記のとおりに行う。いくつかの実施形態では、加熱し、遠心分離させ、濾過することは、液体取扱ロボット、例えば、Hamilton AutoLys STARにおいて行う。
【0075】
パラフィン包埋試料を伴う方法
いくつかの実施形態では、包埋剤はパラフィンである。したがって、いくつかの実施形態では、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することを伴う方法が本明細書に提供される。相転移を伴う方法を使用してパラフィンをパラフィン包埋試料から除去することを伴う例示的な方法を、実施例で本明細書に記載する。
【0076】
いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変は、コピー数改変、点変異、1つ以上のコドンのインフレーム欠失、遺伝子内欠失、遺伝子内挿入、遺伝子全体の欠失、逆位、染色体間転座、縦列重複、遺伝子融合、イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又は遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される。特定の実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変はコピー数改変である。RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法は、以下で詳述する。
【0077】
いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。RNA及び/又はDNAを抽出する方法は、以下で詳述する。
【0078】
いくつかの実施形態では、核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法も、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0079】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、混和性溶媒に溶解させる方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する。RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、例えば、RNA及び/又はDNA試料の濁度を測定することによって、測定してもよい。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料の濁度は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて、及び/又はパラフィンを包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて、低減する。いくつかの実施形態では、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法によって調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度は、相転移をパラフィン中で誘導し、パラフィンを試料から分離させることによって、パラフィンを除去する方法を使用して調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍である。
【0080】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。上記のように、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、例えば、RNA及び/又はDNA試料の濁度を測定することによって、測定してもよい。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料の濁度の測定は、パラフィンの分離が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて、改善されることを示す。いくつかの実施形態では、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法によって調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度は、相転移をパラフィン中で誘導し、パラフィンを試料から分離させることによって、パラフィンを除去する方法を使用して調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍である。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARであり、スピンカラムは、AutoLysチューブである。
【0081】
包埋試料がパラフィン包埋試料である先行方法のうちの任意の1つのいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まない。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。包埋試料がパラフィン包埋試料である先行方法のうちの任意の1つのいくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィンを毒性溶媒に溶解させることを含まない。
【0082】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する。
【0083】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。概して、試料は、パラフィン及び試料の相対密度及び試料中の粒子の存在に基づいて、パラフィンを包埋試料から分離させるように、遠心分離させ、濾過する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。
【0084】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させることを含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する。パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、請求項31又は32に記載の方法。パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過することを含む。加熱し、遠心分離させ、濾過することは、上記のように行ってもよい。
【0086】
包埋試料の不混和性溶媒との接触
いくつかの実施形態では、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成するために、包埋試料を不混和性溶媒と接触させることを伴う方法が、本明細書に提供される。包埋剤は、本明細書に記載の包埋剤のうちの任意の1つであってよい。本明細書に記載の方法を使用して、包埋剤を包埋試料を分離させてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、分析物を脱包埋試料から抽出することを更に含む。分析物は、本明細書に記載の分析物のうちの任意の1つであってよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、分析物を抽出する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、分析物の抽出は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。
【0088】
いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、分析物試料中の包埋剤のレベルは、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する。分析物試料中の包埋剤のレベルは、例えば、分析物試料の濁度を測定することにより、測定してもよい。いくつかの実施形態では、分析物試料の濁度は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させる方法と比べて、及び/又は包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて、低減する。
【0089】
いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、包埋試料からの包埋剤の分離は、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARであり、スピンカラムは、AutoLysチューブである。
【0090】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まない。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。
【0091】
理論に束縛されるものではないが、水よりも低密度であり、包埋剤が形態形態であるときに包埋剤よりも高密度であるいずれの不混和性溶媒も、本明細書に記載の方法に使用することができると考えられる。例えば、パラフィン密度の密度は、およそ0.8g/cmであり、鉱油の密度はおよそ0.87g/cmであり、水の密度は1g/cmである。鉱油は、水性試料をパラフィンから分離させるのに好適な不混和性溶媒の例である。理論に束縛されるものではないが、不混和性溶媒は、中間層を創出することにより包埋剤(例えば、パラフィン)と試料(例えば、溶解物)との間の相分離を促進すると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、不混和性溶媒の密度は、水より軽く、包埋剤が液体形態であると場合には包埋剤より重い。いくつかの実施形態では、不混和性溶媒の密度は、流動パラフィンより重い。いくつかの実施形態では、不混和性溶媒は植物油である。
【0092】
いくつかの実施形態では、不混和性溶媒は鉱油である。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油と包埋試料との比で接触させる。いくつかの実施形態では、鉱油は、包埋試料に、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃で接触する。鉱油が、包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する、請求項218~221のいずれか一項に記載の方法。いくつかの実施形態では、鉱油は、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、包埋試料に接触する。特定の実施形態では、不混和性溶媒は鉱油であり、包埋剤はパラフィンである。
【0093】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。
【0094】
パラフィン包埋試料を伴う方法
いくつかの実施形態では、包埋剤はパラフィンである。したがって、いくつかの実施形態では、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することを伴う方法が本明細書に提供される。パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させることを伴う方法を使用してパラフィンをパラフィン包埋試料から除去することを伴う例示的な方法を、実施例で本明細書に記載する。
【0095】
いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変の検出は、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変は、コピー数改変、点変異、1つ以上のコドンのインフレーム欠失、遺伝子内欠失、遺伝子内挿入、遺伝子全体の欠失、逆位、染色体間転座、縦列重複、遺伝子融合、イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又は遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA中の改変はコピー数改変である。RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法は、以下で詳述する。
【0096】
いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNAの抽出は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。RNA及び/又はDNAを抽出する方法は、以下で詳述する。
【0097】
いくつかの実施形態では、核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、配列決定ライブラリの調製は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。
【0098】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて低減する。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する。RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、例えば、RNA及び/又はDNA試料の濁度を測定することによって、測定してもよい。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料の濁度は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて、及び/又はパラフィンを包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて、低減する。いくつかの実施形態では、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法によって調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度は、相転移をパラフィン中で誘導し、パラフィンを試料から分離させることによって、パラフィンを除去する方法を使用して調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍である。
【0099】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、パラフィン包埋試料を提供することと、パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からパラフィンの分離は、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離は、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒(例えば、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標))に溶解させる方法と比べて少なくなる。上記のように、RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルは、例えば、RNA及び/又はDNA試料の濁度を測定することによって、測定してもよい。いくつかの実施形態では、RNA及び/又はDNA試料の濁度の測定は、パラフィンの分離が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて、改善されることを示す。いくつかの実施形態では、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法及び/又はパラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法によって調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度は、相転移をパラフィン中で誘導し、パラフィンを試料から分離させることによって、パラフィンを除去する方法を使用して調製したRNA及び/又はDNA試料の濁度の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍である。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させる方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。いくつかの実施形態では、本方法は、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、スピンカラム中のフィルタである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARであり、スピンカラムは、AutoLysチューブである。
【0100】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒は、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である。
【0101】
上記のように、パラフィン密度の密度は、およそ0.8g/cmであり、鉱油の密度はおよそ0.87g/cmであり、水の密度は1g/cmである。したがって、鉱油は、水性試料をパラフィンから分離させるのに好適な不混和性溶媒の例であると考えられる。理論に束縛されるものではないが、不混和性溶媒は、中間層を創出することにより包埋剤(例えば、パラフィン)と試料(例えば、溶解物)との間の相分離を促進すると考えられる。いくつかの実施形態では、不混和性溶媒は植物油である。いくつかの実施形態では、不混和性溶媒は鉱油である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油とパラフィン包埋試料との比で接触させる。いくつかの実施形態では、鉱油は、パラフィン包埋試料に、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃で接触する。いくつかの実施形態では、鉱油は、パラフィン包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する。いくつかの実施形態では、鉱油は、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、パラフィン包埋試料に接触する。
【0102】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcf以上で遠心分離させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を1,811rcfで遠心分離させる。
【0103】
いくつかの実施形態では、試料からのパラフィンの分離は自動である。いくつかの実施形態では、ステップb)は自動である。いくつかの実施形態では、本方法は自動である。いくつかの実施形態では、2つ以上のパラフィン包埋試料を並行して処理する。いくつかの実施形態では、12、24、48、又は96個のパラフィン包埋試料を並行して処理する。
【0104】
いくつかの実施形態では、本方法は、液体取扱ロボットを使用して行う。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARである。
【0105】
いくつかの実施形態では、ステップc)は、RNA及びDNAを脱パラフィンした試料から抽出することを含む。RNA及び/又はDNAを抽出する方法は、以下で詳述する。
【0106】
II.包埋試料
本明細書に記載の方法を使用して、包埋剤を包埋試料から除去してもよい。包埋剤は、本明細書に記載の包埋剤のうちの任意の1つであってよい。いくつかの実施形態では、包埋剤は、パラフィン、樹脂、セロイジン、Paraplast(登録商標)、ゼラチン、エステルワックス、ワックス、ポリエチレングリコール、及びニトロセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、包埋剤はParaplast(登録商標)である。いくつかの実施形態では、包埋剤はパラフィンである。
【0107】
いくつかの実施形態では、試料は、細胞及び/又は組織を含む試料などの生体試料である。いくつかの実施形態では、試料は、個体から得られる。いくつかの実施形態では、試料は哺乳動物試料である。いくつかの実施形態では、試料はヒト試料である。
【0108】
パラフィン包埋試料
いくつかの実施形態では、パラフィをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成するための方法が、本明細書に提供される。
【0109】
様々なパラフィン包埋試料が当該技術分野で既知であり、本明細書に記載の方法での使用に好適である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載のがんのうちのいずれか1つを有することが疑われる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、生検、任意選択で腫瘍生検に由来する。
【0110】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は固定パラフィン包埋試料である。いくつかの実施形態では、固定パラフィン包埋試料は、ホルマリン固定試料、エタノール固定試料、及びメタノール固定試料からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から得られる。
【0111】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、凍結保存組織から得られる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、新鮮凍結組織から得られる。いくつかの実施形態では、新鮮凍結組織は、最適切断温度(OCT)の化合物中で凍結する。
【0112】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接取得した一次試料から得られる。例えば、いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、生検(例えば、微細針吸引又は組織生検)及び手術から選択される方法によって取得した組織から得られる。一実施形態では、パラフィン包埋試料は、腫瘍に関連する1つ以上の細胞、例えば腫瘍細胞又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む組織から得られる。一実施形態では、パラフィン包埋試料は、1つ以上の前悪性細胞又は悪性細胞を含む組織から得られる。一実施形態では、パラフィン包埋試料は、血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)、例えば本明細書に記載の血液悪性腫瘍(又は前悪性腫瘍)から取得した組織から得られる。一実施形態では、パラフィン包埋試料は、本明細書に記載のがんなどのがんから取得した組織から得られる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変から得られる。他の実施形態では、パラフィン包埋試料は、手術縁からの組織又は細胞を含む組織から得られる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、目的の腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、非腫瘍細胞を更に含む。パラフィン包埋試料を、がんを有することが疑われる個体に由来する組織から抽出することを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組織は、目的の腫瘍細胞を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載のがんのうちのいずれか1つを有することが疑われる。いくつかの実施形態では、目的の腫瘍細胞は、本明細書に記載のがんのうちのいずれか1つと関連付けられる腫瘍細胞である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、腺がん、肺の腺がん、副腎皮質がん(adrenocortical cancer)、副腎皮質がん腫(adrenocortical carcinoma)、肛門がん、虫垂がん、B細胞由来白血病、B細胞由来リンパ腫、B細胞リンパ腫、膀胱がん(bladder cancer)、脳腫瘍(brain cancer)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)又は非トリプルネガティブ乳がん)、卵管のがん、睾丸のがん、上皮性悪性腫瘍(carcinoma)、脳腫瘍(cerebral cancer)、子宮頸がん、胆管がん、絨毛がん、慢性骨髄性白血病、中枢神経系(CNS)腫瘍、CNSがん、結腸がん、大腸がん(例えば、結腸腺がん)、びまん性内在性橋グリオーマ(DIPG)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、胎児性横紋筋肉腫(ERMS)、子宮内膜がん、上皮がん、上皮性新生物、胸腺腫、食道がん(esophageal cancer)、ユーイング肉腫、眼がん(例えば、ぶどう膜メラノーマ)、眼瞼がん、濾胞性リンパ腫(「FL」)、胆嚢がん、胃がん、消化管がん、膠芽腫、真性赤血球増加症、多形性膠芽腫、神経膠腫(例えば、軽度神経膠腫)、食道がん(gullet cancer)、頭頸部がん、血液がん、肝細胞がん(hepatocellular cancer)、肝細胞がん腫(hepatocellular carcinoma)、ホジキンリンパ腫(HL)、重鎖疾患、直腸がん、腎がん(renal cancer)、腎臓がん(kidney cancer)(例えば、腎明細胞がん、腎嫌色素細胞がん、腎明細胞がん、腎乳頭がん)、大細胞型B細胞リンパ腫、大腸がん(large intestine cancer)、喉頭がん、白血病(leucosis)、白血病(leukemia)、肝臓がん、肺がん(例えば、肺腺がん、又は非小細胞肺がん)、リンパ腫、乳腺がん、メラノーマ(例えば、転移性悪性メラノーマ)、ホジキン病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、メルケル細胞がん、中皮腫、単球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄腫、筋原性肉腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞由来CNS腫瘍(例えば、神経芽細胞腫(NB))、神経腫、星状細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、未分化星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、前庭神経鞘腫、腺腫、転移性脳腫瘍、脊髄腫瘍、非ホジキンリンパ腫(NHL)、口がん、口腔がん、骨肉腫、卵巣がん(ovarian cancer)、卵巣がん腫(ovarian carcinoma)、膵臓腺がん、膵臓がん、腹膜がん、褐色細胞腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん(例えば、ホルモン抵抗性前立腺がん)、直腸がん(rectal cancer)(直腸がん腫(rectum carcinoma))、再発性又は抵抗性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、唾液腺がん(例えば、唾液腺腫瘍)、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、扁平上皮細胞がん(例えば、肛門性器部の扁平上皮細胞がん、肛門の扁平上皮細胞がん、子宮頸部の扁平上皮細胞がん、食道の扁平上皮細胞がん、頭頸部の扁平上皮細胞がん(SCHNC)、肺の扁平上皮細胞がん、陰茎の扁平上皮細胞がん、膣の扁平上皮細胞がん、又は外陰部の扁平上皮細胞がん)、胃がん(stomach cancer)、T細胞由来白血病、T細胞リンパ腫、精巣がん、精巣腫瘍、胸腺がん、甲状腺がん(thyroid cancer)(甲状腺がん腫(thyroid carcinoma))、舌がん、結膜がん、膀胱がん(urinary bladder cancer)、尿路上皮細胞がん、子宮がん(uterine cancer)(例えば、子宮内膜がん、又は子宮がん肉腫などの子宮肉腫)、子宮内膜がん、子宮(uterus cancer)、膣がん、外陰部がん、又はウィルムス腫瘍である。
【0114】
いくつかの実施形態では、がんは、血液がん(例えば、血液悪性腫瘍)、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、多発性骨髄腫(「MM」)、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病(「APL」)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病(「CML」)、慢性リンパ球性白血病(「CLL」)、又は有毛細胞白血病白血病である。いくつかの実施形態では、本開示の血液がんは、急性又は慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性、又は骨髄球性白血病である。いくつかの実施形態では、本開示の血液がんは、リンパ腫(例えば、再発性又は抵抗性ホジキンリンパ腫(cHL)などのホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は前駆体T-リンパ芽球性リンパ腫)、リンパ上皮がん、又は悪性組織球増殖症である。
【0115】
いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍(例えば、固形悪性腫瘍)、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、結腸がん、大腸がん、腎臓がん、膵臓がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口がん、鼻がん、咽頭がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛腫、精上皮腫、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん、膀胱がん、肺がん、上皮がん、皮膚がん、メラノーマ、神経芽細胞腫(NB)、又は網膜芽細胞腫である。
【0116】
ある特定の実施形態では、がんは、副腎のがん(神経芽細胞腫など)、膀胱がん(尿路上皮(移行上皮)がんなど)、脳腫瘍(未分化星細胞腫又は膠芽細胞腫など)、骨がん(骨肉腫など)、骨髄がん(B細胞急性白血病(B-ALL)又は多発性骨髄腫など)、乳がん(浸潤性乳管がんなど)、頭頸部がん(腺がん、粘膜表皮がん、扁平上皮細胞がんなど)、リンパ節がん、肺がん(例えば、粘膜表皮がん、肉腫、小細胞未分化がん、腺がん、腺扁平上皮がん、大細胞がん、大細胞神経内分泌がん、非小細胞肺がん、特定不能の非小細胞がん、又は扁平上皮細胞がんなど)、女性生殖器がん(例えば、卵管漿液性がんなどの卵管のがん;上皮がん、特定不能の上皮がん、抗悪性度漿液性がん、低悪性度漿液性がん、漿液性がんなどの卵巣がん;及び子宮がん、例えば、がん肉腫、子宮内膜腺がん、特定不能の子宮内膜腺がん、乳頭状漿液性子宮内膜腺がん、平滑筋肉腫、肉腫、特定不能の肉腫、又は悪性度不明な平滑筋腫瘍(STUMP))、胆嚢がん(腺がんなど)、胃食道接合部のがん(腺がんなど)、リンパ節がん(未分化大細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、特定不能のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、特定不能の非ホジキンリンパ腫など)、結腸がん(腺がんなど)、大腸がん、皮膚がん(メラノーマ又は扁平上皮細胞がんなど)、小腸がん(腺がん)、軟部組織がん(ユーイング肉腫、線維肉腫、組織球増殖症、特定不能の組織球増殖症、若年性黄色肉芽腫若しくは非ランゲルハンス細胞組織球増加症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、平滑筋肉腫、神経線維腫、神経芽細胞腫、特定不能の肉腫、肉腫、未分化肉腫、又は未分化軟部組織がんなど)、膵臓がん(がん腫、特定不能のがん腫、導管腺がん、又は粘液性嚢胞腺がんなど)、前立腺(腺房腺がんなど)、心膜がん(中皮腫など)、腹膜がん(中皮腫など)、唾液腺がん(がん腫又は特定不能のがん腫など)、胃がん(腺がん、特定不能の腺がん、又はびまん型がんなど)、腎臓がん(腎細胞がん又は特定不能の腎細胞がんなど)、甲状腺がん(がん腫、特定不能のがん腫、又は乳頭がんなど)、あるいは原発不明がん(腺がん、がん腫、特定不能のがん腫、平滑筋肉腫、悪性新生物、特定不能の悪性新生物、メラノーマ、筋上皮がん、扁平上皮細胞がん(SCC)、又は未分化神経内分泌がんなど)である。
【0117】
いくつかの実施形態では、がんは、1つ以上の以前の抗がん療法に対して再発性又は不応性であるがんである。
【0118】
いくつかの実施形態では、がんは、参照により本明細書に組み込まれるRoss et al.,Oncologist(2017)22(12):1444-1450に提供されている任意のがん型である。
【0119】
パラフィン包埋試料の精密富化を伴う方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、精密富化をベースとする方法から得た試料を使用して行ってもよい。精密富化を伴う方法は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国仮出願第63/189,602号に記載されている。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、ステップa)は、i)パラフィン包埋組織中の目的の腫瘍細胞を含む標的領域を特定することと、ii)パラフィン包埋試料をパラフィン包埋組織から抽出することと、iii)パラフィン包埋組織中のパラフィン包埋試料の場所を特定することと、iv)パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合う場合、RNA及び/又はDNAを試料から抽出することと、を含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合わない場合、ステップii)及びiii)を繰り返す。
【0120】
本開示のこの様態は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などの目的の腫瘍細胞を含む組織から核酸を抽出するための方法の開発に少なくとも部分的に基づく。組織は、がんを有することが疑われる又はがんを有することが分かっている対象に由来してもよい。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、試料を抽出した後に組織を分析するステップを含めると、試料を目的の腫瘍細胞について富化することに成功したかどうか、又は更なる試料を組織から抽出すべきかどうかについての情報を得ることができる。例えば、試料と目的の腫瘍細胞との重なり合いの度合を決定するために、試料を抽出した後に、組織のスライドを調製してもよい。こうした組織学的品質保証/品質管理ステップにより、腫瘍内容物富化プロセスの評価が可能になると考えられる。こうした品質保証/品質管理ステップがないと、組織から抽出した試料は、腫瘍純度が低いことを理由に、配列決定分析中に機能しないことがあった。これらの試料は、使用できず、「富化に失敗した可能性」に起因して使い物にならないとみなされた。したがって、本明細書に記載の方法により、以前の富化方法では腫瘍内容物の分析に不十分なレベルの組織しか別様には得られなかったであろう標本の試験が可能になり、富化に失敗した可能性に起因して使い物にならない試料の発生が低減する。腫瘍内容物の富化の成功は、がんの存在を示し、バイオマーカーを測定するために比較的高いレベルの腫瘍内容物を必要とし得る、ある特定のバイオマーカーの評価に特に重要である。したがって、本明細書に記載の方法は、別様には検出可能でなかった可能性のあるバイオマーカーの存在を検出するために使用してもよい。これにより、バイオマーカーの後続の配列決定分析の特異性及び精度が改善されると考えられる。本明細書に記載の方法は、目的の腫瘍細胞、したがって腫瘍内容物、及び腫瘍細胞から得た核酸の精密富化を伴うので、「精密富化」方法と称されてもよい。精密富化を伴う方法は、上記の方法のうちのいずれと組み合わせて使用してもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、針を使用してパラフィン包埋試料をパラフィン包埋組織から抽出することを含む。いくつかの実施形態では、針でパラフィン包埋組織を通して穿刺することにより、試料を抽出する。いくつかの実施形態では、針は使い捨て針である。いくつかの実施形態では、針は薄肉針である。いくつかの実施形態では、針は鈍端針である。いくつかの実施形態では、針はステンレス鋼針である。いくつかの実施形態では、針は皮下注射針である。いくつかの実施形態では、針は、Luer適合性ハブを備える。いくつかの実施形態では、針は、13ゲージ針、14ゲージ針、15ゲージ針、16ゲージ針、17ゲージ針、18ゲージ針、19ゲージ針、20ゲージ針、又は21ゲージ針である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織から抽出したパラフィン包埋試料は、直径約0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、又は2.3mmである。
【0122】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、レーザーマイクロダイセクション(LMD)を使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む。いくつかの実施形態では、ステップb)は、レーザーブレードを使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のステップc)は、パラフィン包埋組織の切片のスライドを調製することを含む。概して、パラフィン包埋組織の切片のスライドの調製により、パラフィン包埋試料(例えば、上記のように針で抽出したパラフィン包埋試料)を目的の腫瘍細胞について富化することに成功したかどうかの評価が可能になると考えられる。例えば、パラフィン包埋組織の切片のスライドにより、パラフィン包埋試料の位置(例えば、試料を抽出した針穿刺の位置)が目的の腫瘍細胞の位置と重なり合うことが明らかになり得る。パラフィン包埋組織の切片のスライドの例示的な画像を、図4に提供する。図4に示されるように、針穿刺の位置は、パラフィン包埋組織の切片中で目に見える。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織の切片を染色する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織中で目的の腫瘍細胞を他の細胞と区別するように、パラフィン包埋組織の切片を染色する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織の切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色する。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋組織の切片を、例えば検出可能なように標識した抗体を使用して、免疫染色する。いくつかの実施形態では、検出可能なように標識した抗体は、目的の腫瘍細胞中で発現されるタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、ステップc)を目視検査により行う。例えば、いくつかの実施形態では、ステップc)は、病理学者により行われ、この病理学者が、パラフィン包埋組織の切片のスライドを目視検査し、パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞と重なり合うかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、ステップc)をコンピュータシステムにより行う。例えば、いくつかの実施形態では、ステップc)は、コンピュータシステムを使用して行われ、このコンピュータシステムにより、パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞と重なり合うかどうかが評価される。いくつかの実施形態では、ステップc)を、画像分析システムを使用して行う。
【0124】
いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料中の目的の腫瘍細胞の富化のレベルは、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%以上である。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料中の目的の腫瘍細胞の富化のレベルは、残りのパラフィン包埋試料中の目的の腫瘍細胞のレベルより少なくとも1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、又は2倍高い。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%以上の目的の腫瘍細胞を含む細胞を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、ステップii)は、パラフィン包埋試料を検査することと、任意選択で、余剰組織をパラフィン包埋試料から除去することとを更に含む。
【0126】
III.脱包埋試料からの分析物の抽出
本明細書の方法は、脱包埋試料からの分析物の抽出を伴う。脱包埋試料が生体試料であるいくつかの実施形態では、分析物は、生体試料から抽出することができるいずれの高分子又は小分子であってもよい。いくつかの実施形態では、分析物は、ポリペプチド、RNA、DNA、小分子、脂質、多糖、エクソソーム、ミトコンドリア、及び核からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、分析物はオルガネラである。いくつかの実施形態では、2個以上の分析物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の分析物を、脱包埋試料から抽出してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、分析物は1つ以上の核酸である。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸は、RNA及び/又はDNAを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸は、ゲノムDNA、cDNA、又はmRNAを含む。いくつかの実施形態では、分析物はRNAである。いくつかの実施形態では、分析物はDNAである。
【0128】
脱パラフィンした試料からのRNA及び/又はDNAの抽出
RNA優先抽出法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することを伴う。特定の実施形態では、DNAを抽出する前に、RNAを抽出する。DNAを抽出する前にRNAを抽出する例示的な方法を、実施例で詳述し、図1及び図3Aで略図にする。
【0129】
いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出する方法は、ステップb)の前にパラフィン包埋試料を消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、又は約62℃でインキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、部分的に消化させる又は完全に消化させる。
【0130】
いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出する方法は、ステップb)の後に、消化させた試料を脱架橋することを更に含む。いくつかの実施形態では、脱架橋することは、消化させた試料を80~90℃に加熱することを含む。いくつかの実施形態では、消化させた試料を脱架橋するために、消化させた試料を、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間加熱する。
【0131】
いくつかの実施形態では、ステップc)は、RNAを含む試料溶解物を、消化させたパラフィン包埋試料から収集し、RNAを、RNAを含む試料溶解物から精製することを含む。RNAを含む試料溶解物からRNAを精製する方法は、当該技術分野で既知である。
【0132】
いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出する方法は、消化させたパラフィン包埋試料を完全に消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼを使用して、完全な消化を行う。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする。
【0133】
いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出する方法は、DNAを含む試料溶解物を、完全に消化させたパラフィン包埋試料から収集することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、DNAを含む試料溶解物からDNAを精製することを更に含む。DNAを含む試料溶解物からDNAを精製する方法は、当該技術分野で既知である。
【0134】
DNAの前にRNAを抽出する本明細書に記載の方法は、自動化及び/又はハイスループット分析に適している。いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出する本明細書に記載の方法は、液体取扱ロボットを使用して行う。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARである。いくつかの実施形態では、DNAの前にRNAを抽出することを、並行して処理した2つ以上の試料について実行する。いくつかの実施形態では、2、4、8、16、24、48、96個以上の試料を並行して処理する。
【0135】
DNA優先抽出法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することを伴う。特定の実施形態では、RNAを抽出する前に、DNAを抽出する。DNAを抽出する前にRNAを抽出する例示的な方法を、実施例で詳述し、図1及び図3Bで略図にする。
【0136】
いくつかの実施形態では、RNAの前にDNAを抽出する方法は、ステップb)の後にパラフィン包埋試料を完全に消化させることを更に含む。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼを使用して、完全な消化を行う。いくつかの実施形態では、プロテイナーゼはプロテイナーゼKである。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して消化させる。パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする、請求項125~127のいずれか一項に記載の方法。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする。
【0137】
いくつかの実施形態では、RNAの前にDNAを抽出する方法は、DNAを、完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、抽出したDNAを精製することを更に含む。抽出したDNAを精製する方法は、当該技術分野で既知である。
【0138】
いくつかの実施形態では、RNAの前にDNAを抽出する方法は、RNAを、完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、抽出したRNAを精製することを含む。抽出したRNAからRNAを精製する方法は、当該技術分野で既知である。
【0139】
RNAの前にDNAを抽出する本明細書に記載の方法は、自動化及び/又はハイスループット分析に適している。いくつかの実施形態では、RNAの前にDNAを抽出する本明細書に記載の方法は、液体取扱ロボットを使用して行う。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである。いくつかの実施形態では、液体取扱ロボットは、Hamilton AutoLys STARである。いくつかの実施形態では、RNAの前にDNAを抽出することを、並行して処理した2つ以上の試料について実行する。いくつかの実施形態では、2、4、8、16、24、48、96個以上の試料を並行して処理する。
【0140】
いくつかの実施形態では、DNAをRNAの前に抽出するか、又はRNAをDNAの前に抽出するかに関係なく、本方法は、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量を測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量は、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約60ng、約70ng、約80ng、約100ng、約50μg、又は約50mgである。
【0141】
IV.脱包埋試料から抽出した分析物の分析
上記のように脱包埋試料から抽出した分析物を更に分析してもよい。本明細書に記載の分析物を分析するのに好適な方法は、当該技術分野で既知である。
【0142】
RNA及び/又はDNAの分析
包埋試料から抽出したDNAを分析して、i)点変異、ii)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、iii)遺伝子内欠失、iv)遺伝子内挿入、v)遺伝子全体の欠失、vi)逆位、vii)染色体間転座、viii)縦列重複、ix)遺伝子融合、x)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はxi)遺伝子増幅若しくは重複、からなる群から選択される体細胞変異を検出することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
いくつかの実施形態では、体細胞変異は、遺伝子中にあり、遺伝子は、ABL1、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、APC、AR、BRAF、CCND1、CDK4、CDKN2A、CEBPA、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FLT3、HRAS、JAK2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLL、MYC、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PIK3CG、PIK3R1、PTCH1、PTCH2、PTEN、RB1、RET、SMO、STK11、SUFU、又はTP53である。いくつかの実施形態では、体細胞変異は、遺伝子中にあり、この遺伝子は、ABL2、ARAF、ARFRP1、ARID1A、ATM、ATR、AURKA、AURKB、BAP1、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL6、BRCA1、BRCA2、CBL、CARD11、CBL、CCND2、CCND3、CCNE1、CD79A、CD79B、CDH1、CDH2、CDH20、CDH5、CDK6、CDK8、CDKN2B、CDKN2C、CHEK1、CHEK2、CRKL、CRLF2、DNMT3A、DOT1L、EPHA3、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHB1、EPHB4、EPHB6、ERBB3、ERBB4、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EZH2、FANCA、FBXW7、FGFR4、FLT1、FLT4、FOXP4、GATA1、GNA11、GNAQ、GNAS、GPR124、GUCY1A2、HOXA3、HSP90AA1、IDH1、IDH2、IGF1R、IGF2R、IKBKE、IKZF1、INHBA、IRS2、JAK1、JAK3、JUN、KDM6A、KDR、LRP1B、LRP6、LTK、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MEN1、MITF、MLH1、MPL、MRE11A、MSH2、MSH6、MTOR、MUTYH、MYCL1、MYCN、NF2、NKX2-1、NTRK1、NTRK2、PAK3、PAX5、PDGFRB、PKHD1、PLCG1、PRKDC、PTPN11、PTPRD、RAF1、RARA、RICTOR、RPTOR、RUNX1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SOX10、SOX2、SRC、TBX22、TET2、TGFBR2、TMPRSS2、TNFAIP3、TNK、TNKS2、TOP1、TSC1、TSC2、USP9X、VHL、又はWT1である。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法は、包埋試料から抽出したRNAを分析して、i)遺伝子融合、ii)エクソンスキッピング事象、iii)スプライスバリアント、及び/又はiv)改変された遺伝子発現、からなる群から選択される改変を検出することを更に含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析する。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを次世代配列決定により分析する。次世代配列決定の例示的な方法は、例えば、Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotech.31:1023-1031に記載されている。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、図5A~5Bで略図にするとおりの方法に従って分析する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本方法は、e)任意選択で、1つ以上のアダプターを、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAにライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、d)任意選択で、核酸を、ライゲーションした核酸から増幅することと、f)任意選択で、目的の遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、g)配列決定装置によって、複数の核酸を配列決定して、目的の遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、h)複数の配列リードを分析することと、i)分析に基づいて、目的の遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子に対応する複数の核酸は、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、当該技術分野で既知の任意の好適な方法、例えば、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR)、PCR-RFLPアッセイ、リアルタイムPCR、配列決定(例えば、Sanger配列決定又は次世代配列決定)、スクリーニング分析(例えば、スペクトル核型分析を使用する)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、ブレークアウェイFISH、スペクトル核型分析、多重FISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライマーポリメラーゼ連鎖反応(SSP-PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定を使用して検出する。試料を分析して、例えば、核酸分子を検出する方法は、米国特許第9,340,830号及びWO2012/092426(A1)に記載され、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
インサイチュハイブリダイゼーション法
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)法などのインサイチュハイブリダイゼーション法を使用して、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出する。
【0149】
いくつかの実施形態では、FISH分析を使用して、本明細書に記載の変異を生じる染色体再配置を特定する。いくつかの実施形態では、FISH分析を使用して、本明細書に記載のバイオマーカー核酸を含むRNA分子を特定する。FISHを行うための方法は、当該技術分野で既知であり、ほぼあらゆるタイプの組織で使用することができる。FISH分析では、検出可能に標識される、例えば蛍光標識される核酸プローブを、DNA、例えば染色体、又はRNA、例えばmRNAの特定の領域に結合させ、次いで、例えば顕微鏡によって検査する。例えば、米国特許第5,776,688号を参照されたい。まず、DNA又はRNA分子をスライド上に固定し、次いで、標識したプローブをDNA又はRNA分子にハイブリダイズさせ、次いで、例えば、当該技術分野で既知の酵素結合した標識ベースの検出方法を使用して、可視化を達成する。概して、FISH分析の分解能は、60~100000ヌクレオチド、例えば、60塩基対(bp)から最大100キロベース対ほどのDNAの検出である。FISH分析で使用される核酸プローブは、一本鎖核酸を含む。こうしたプローブは、典型的には、少なくとも約50個のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、プローブは、約100~約500ヌクレオチドを含む。セントロメアDNA及び遺伝子座特異的DNA又はRNAとハイブリダイズするプローブは、例えば、Vysis,Inc.(Downers Grove,Ill.)、Molecular Probes,Inc.(Eugene,Oreg.)又はCytocell(Oxfordshire,UK)から市販されている。あるいは、プローブは、染色体若しくはゲノムDNA又は核酸の他の供給源から、標準的な技法によって非商業的に作製してもよい。プローブ、標識化、及びハイブリダイゼーションの方法の例は、当該技術分野で既知である。
【0150】
FISH方法のいくつかの変形は、当該技術分野で既知であり、単一分子RNA FISH、Fiber FISH、Q-FISH、Flow-FISH、MA-FISH、ブレークアウェイFISH、ハイブリッド融合-FISH、及び多色蛍光(multi-fluor)FISH、又はmFISHを含む、本開示の方法に従って使用するのに好適である。いくつかの実施形態では、「ブレークアウェイFISH(break-away FISH)」を本明細書に提供される方法に使用する。ブレークアウェイFISHでは、融合接合部又は分断点を標的とする少なくとも1つのプローブと、融合物の個々の遺伝子を例えば遺伝子の1つ以上のエクソン及びイントロンで標的とする少なくとも1つのプローブとを利用する。正常な細胞(すなわち、本明細書に記載の融合核酸分子を有する細胞)では、両方のプローブが観察され(又は遺伝子融合物の2つの遺伝子が近接していることに起因して、2番目の色が観察され)、本明細書に記載の融合核酸分子を有する細胞では、融合核酸分子を生じる再配置の存在に起因して、1つの遺伝子プローブのみが観察される。
【0151】
アレイベースの方法
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、アレイベースの比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)法などのアレイベースの方法を使用して、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出する。アレイベースのCGH法では、(例えば、腫瘍由来などの試料由来の)核酸の第1の試料を第1の標識で標識し、一方、(例えば、健康な細胞/組織由来などの対照由来の)核酸の第2の試料を第2の標識で標識する。いくつかの実施形態では、等量のこの2つの試料を、混合し、数千の均一に空間をあけたクローンDNA断片又はオリゴヌクレオチドのDNAマイクロアレイに共ハイブリダイズさせ、アレイに三連でスポッティングした。ハイブリダイゼーションの後、デジタル撮像システムを使用して、ハイブリダイズされたフルオロフォアの各々の相対蛍光強度を捕捉し、定量化する。得られた蛍光強度の比は、この2つの試料におけるDNA配列のコピー数の比に比例する。いくつかの実施形態では、染色体の欠失又は重複が存在する場合、2つの標識からのシグナルの比の差を検出し、この比により、コピー数の尺度が得られる。アレイベースのCGHは、単色標識化により行うこともできる。単色CGHでは、対照(例えば、健康な細胞/組織由来のものなどの対照核酸試料)を標識し、1つのアレイにハイブリダイズさせ、絶対シグナルを読み取り、試験試料(例えば、個体から又は腫瘍から得られた核酸試料)を標識し、第2のアレイ(同一の内容物を有する)にハイブリダイズさせ、絶対シグナルを読み取る。コピー数の差は、2つのアレイからの絶対シグナルに基づいて計算される。
【0152】
増幅ベースの方法
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、増幅ベースの方法を使用して、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出する。当該技術分野で既知であるように、こうした増幅ベースの方法では、核酸の試料、例えば、個体又は腫瘍から得た試料は、例えば本明細書で提供される1つ以上のオリゴヌクレオチド又はプライマーなどの1つ以上のオリゴヌクレオチド又はプライマーを使用して、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))において、テンプレートとして使用される。試料中の本開示のバイオマーカー核酸分子の存在は、増幅産物の存在又は非存在に基づいて決定することができる。定量的増幅方法も、当該技術分野で既知であり、本明細書で提供される方法に従って使用され得る。定量的PCR分析を使用する、マイクロサテライト遺伝子座におけるDNAコピー数の測定方法は、当該技術分野で既知である。遺伝子の既知のヌクレオチド配列は、当業者が遺伝子のいずれかの部分を増幅するためにプライマーを日常的に選択することを可能にするのに事足りる。蛍光原性定量的PCRも使用することができる。蛍光原性定量的PCRでは、定量化は、例えば、TaqMan及びSybrグリーンなどの蛍光シグナルの量に基づく。
【0153】
本明細書で提供される方法に従って使用するのに好適な他の増幅方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅、自家持続配列複製、ドットPCR、及びリンカーアダプターPCRが挙げられる。
【0154】
配列決定
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、配列決定法を使用して、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出する。当該技術分野で既知の配列決定のいずれかの方法を使用して、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を検出することができる。本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を検出するために使用してもよい例示的な配列決定法には、Maxam及びGilbert又はSangerによって開発された技法に基づくものが含まれる。例えば、質量分析による配列決定を含む、自動配列決定手順も使用することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、ハイブリッド捕捉ベースの配列決定(ハイブリッド捕捉ベースのNGS)を使用して、例えば、アダプターライゲーションベースのライブラリを使用して、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出する。例えば、Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotech.31:1023-1031を参照されたい。いくつかの実施形態では、本開示のバイオマーカー核酸分子を、次世代配列決定(NGS)を使用して決定する。次世代配列決定は、個々の核酸分子、又は高度に並行な様式で(例えば、10個より多い分子が同時に配列決定され得る)個々の核酸分子のためのクローン的に増殖させたプロキシのいずれかのヌクレオチド配列を決定する任意の配列決定法を含む。本明細書に提供される発明に従って使用するのに好適な次世代配列決定方法は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、大規模並列処理ショートリード配列決定、テンプレートベースの配列決定、パイロシーケンシング、DNA合成中に色素標識ヌクレオチドの連続組み込みの撮像を含むリアルタイム配列決定、ナノポア配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ナノトランジスタアレイベースの配列決定、ポロニー配列決定、走査型トンネル顕微鏡(STM)ベースの配列決定、又はナノワイヤ分子センサベースの配列決定を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれるMetzker,M.(2010)Nature Biotechnology Reviews 11:31-46を参照されたい。本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を検出するために使用してもよい例示的なNGS法及びプラットフォームとしては、限定されないが、Helicos BioSciences(Cambridge,MA.,USA)製のHeliScope Gene Sequencingシステム、Pacific BioSciences(Menlo Park,CA,USA)製のPacBio RSシステム、Solexaシーケンサーなどの大規模並列処理ショートリード配列決定、及びIllumina Inc.(San Diego,CA,USA)製の他の方法及びプラットフォーム、454 LifeSciences(Branford,CT,USA)製の454配列決定、ThermoFisher(Waltham,MA,USA)製のIon Torrent配列決定、又はApplied Biosystems(Foster City,CA,USA)製のSOLiDシーケンサーが挙げられる。本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を検出するために使用してもよい追加の例示的な方法及びプラットフォームとしては、限定されないが、Roche(Basel、CHE)製のGenome Sequencer(GS)FLX System、G.007ポロネーターシステム、Solexa Genome Analyzer、HiSeq 2500、HiSeq3000、HiSeq 4000、及びIllumina Inc.(San Diego、CA、USA)製のNovaSeq 6000プラットフォームが挙げられる。
【0156】
いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAから抽出した1つ以上の核酸を次世代配列決定により分析する。いくつかの実施形態では、本方法は、e)任意選択で、1つ以上のアダプターを、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAにライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、d)任意選択で、核酸を、ライゲーションした核酸から増幅することと、f)任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、g)配列決定装置によって、複数の核酸を配列決定して、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、h)複数の配列リードを分析することと、i)分析に基づいて、目的の遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、ステップe)の前に、試料から抽出した1つ以上の核酸を断片化し、任意選択で、試料から抽出した1つ以上の核酸を超音波処理により断片化する。いくつかの実施形態では、断片化した、試料から抽出した1つ以上の核酸を、末端修復する。いくつかの実施形態では、末端修復し断片化した、試料から抽出した1つ以上の核酸は、dAテール状又はdTテール状である。いくつかの実施形態では、試料から抽出した1つ以上の核酸を、Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotech.31:1023-1031に記載されている方法に従って、配列決定のために調製する。
【0157】
バイオマーカー検出
いくつかの態様では、本明細書に記載されるように、本開示のバイオマーカー核酸分子又はその断片を、例えば、脱包埋試料から抽出した核酸(すなわち、RNA及び/又はDNA)中で検出するための試薬が本明細書に提供される。
【0158】
概して、がんのバイオマーカーなどの核酸バイオマーカーの存在を決定するために、本明細書に記載の方法により脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料を分析してもよい。特定の核酸バイオマーカーの存在を決定するための方法は、例えば、各々全体が参照組み込まれる、国際公開第WO2021/096888号、米国特許第9,884,060号、米国特許第9,297,011号、米国特許第10,000,814号、米国特許第8,673,972号、米国特許第9,410,954号、米国特許第9,907,798号、米国特許公開第2016/0009785(A1)号、米国特許公開第2020/0299775(A1)号、米国特許第10,980,804号、米国特許第9,861,633号、米国特許公開第2018/0363066(A1)号、米国特許公開第2017/0356053(A1)号、米国特許公開第2019/0085403(A1)号、米国特許公開第2019/0219586(A1)号、国際公開第WO2020/243021号、国際公開第WO2021/042066号、国際出願第PCT/US2021/020752号、国際出願第PCT/US2021/019982号、国際公開第WO2018009939号、米国仮特許出願第63/129,286号、米国仮特許出願第63/132,085号、米国仮特許出願第63/143,619号、米国仮特許出願第63/171,423号、米国仮特許出願第63/122,431号、米国仮特許出願第63/215,281号、米国仮特許出願第63/148,116号、米国仮特許出願第63/189,025号、米国仮特許出願第63/188,719号、及び米国仮特許出願第63/215,356号に記載されている。
【0159】
更に、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出され得る例示的な核酸バイオマーカーには、ヘテロ接合性の消失(LOH)、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOH(HLA LOH)、ホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)遺伝子の機能喪失(PTEN LOF)、腫瘍変異負荷(TMB)、並びにホモ接合性単一エクソン喪失が含まれ、これらは以下で詳述する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される検出試薬は、標的核酸分子、例えば、本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子又はその断片若しくは一部分を含む核酸上のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む核酸分子、例えば、DNA、RNA、又は混合DNA/RNA分子を含む。本開示のバイオマーカー核酸分子の検出に好適なベイトが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ベイトは、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子又はその断片若しくは一部分を含む標的核酸分子にハイブリダイズするように構成された捕捉核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、捕捉核酸分子は、標的核酸分子のバイオマーカー核酸分子にハイブリダイズするように構成される。本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の検出に好適なプローブ、例えば、核酸分子も、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるプローブは、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子又はその断片若しくは一部分を含む標的核酸分子にハイブリダイズするように構成された核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、標的核酸分子のバイオマーカー核酸分子又はその断片若しくは一部分にハイブリダイズするように構成された核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、標的核酸分子のバイオマーカー核酸分子の断片又は一部分にハイブリダイズするように構成された核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、断片又はその一部分は、約5~約25ヌクレオチド、約5~約300ヌクレオチド、約100~約300ヌクレオチド、約130~約230ヌクレオチド、又は約150~約200ヌクレオチドを含む。
【0161】
1つ以上の目的の遺伝子、例えば、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、1つ以上の目的の遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)を脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHを脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを含む方法が、本明細書に提供される。HLA遺伝子のLOHを検出する例示的な方法は、全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2021/019982号に記載されている。
【0162】
他の実施形態では、目的の遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0163】
いくつかの実施形態では、上記の方法のうちのいずれか1つは、本明細書に記載されるように、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)を脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを更に含む。本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによるいくつかの実施形態では、HLA遺伝子は、主要組織適合性(MHC)クラスI分子をコードする。いくつかの実施形態では、本方法は、調整したアレル頻度を決定した後、調整したアレル頻度に少なくとも部分的に基づいて、遺伝子がヘテロ接合性消失(LOH)を受けたと決定することを更に含む。
【0164】
更にいくつかの他の態様では、本明細書に記載されるように、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)を脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部分をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部分をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部分をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整したアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整したアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、HLA遺伝子は、HLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。いくつかの実施形態では、複数の配列リードを、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAから取得した核酸を配列決定すすることにより取得した。いくつかの実施形態では、本方法は、目的の多型遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)を脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出するためのものである。いくつかの実施形態では、本方法は、a)目的の遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部分をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部分をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)アレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、アレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部分をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整したアレル頻度を決定することと、f)アレルの調整したアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、多型遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0165】
更に別の態様では、本開示の方法のうちのいずれかは、TMBを、例えば、本明細書に記載されるように、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、LOHを決定し、TMBを、例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で評価することを含む。本明細書で示されるように、HLA LOH及び高TMB(及び任意選択でインタクトのHLA遺伝子)は、例えば、高TMBを有しないHLA LOHと比較した場合、全生存期間の増加、より高い生存確率の増加、及び/又はICI療法に対して応答する可能性の増加を予測するものであり得る。いくつかの実施形態では、高TMBは、10変異/Mb以上又は13変異/Mb以上のTMBを指す。いくつかの実施形態では、TMBは、複数の配列リード、例えば、ゲノムの少なくとも一部分(富化した試料又は富化していない試料由来など)の核酸を配列決定することによって取得した複数の配列リードから取得される。いくつかの実施形態では、TMBは、配列決定したゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本開示の方法のうちのいずれかは、HLA遺伝子のLOHの知識(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中の)を得ること、及びTMBの知識(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中の)を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法のうちのいずれかは、HLA遺伝子のLOHを(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で)検出すること、及びTMBの知識(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中の)を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法のうちのいずれかは、HLA遺伝子のLOHの知識(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中の)を得ること、及びTMBを(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で)検出又は決定することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法のうちのいずれかは、HLA遺伝子のLOHを(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で)検出すること、及びTMBを(例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で)検出又は決定することを含む。いくつかの実施形態では、LOH及びTMBを検出/決定するために使用する試料は同じである。いくつかの実施形態では、LOH及びTMBを検出/決定するために使用する試料は異なる。
【0167】
ホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)
10番染色体で欠失しているホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)は、がんにおいて最も頻繁に破壊されている腫瘍抑制因子のうちの1つである。PTENの脂質ホスファターゼ活性は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/AKT/mTOR経路に拮抗して、腫瘍細胞の成長及び生存を抑制する。したがって、PTEN遺伝子中の機能喪失型変異は、がんのためのバイオマーカーとして機能し得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、ホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)遺伝子中の機能喪失型変異を、本明細書に記載されるように脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、PTEN遺伝子中の機能喪失型変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、若しくは置換、ゲノム再編成、プロモーター中の改変、遺伝子融合、又はコピー数改変のうちの1つ以上を含む。
【0169】
腫瘍変異負荷(TMB)
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷(TMB)のレベルを、本明細書に記載されるように脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で測定することを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAが、少なくとも約10mut/Mb又は少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を有するという知識を得ることを含む。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAが、少なくとも約10mut/Mb又は少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を有するという知識を得ることは、腫瘍変異負荷のレベルを、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、例えば、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で測定することを含み、包埋試料は個体から得たものであった。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、少なくとも約10mut/Mb又は少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAが、少なくとも約10mut/Mb又は少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を有するという知識に応じて、有効量の免疫療法を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、レポートを関係者に提供することを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、個体から得た脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で評価する。いくつかの実施形態では、個体由来の試料は、腫瘍生検を含む。いくつかの実施形態では、個体由来の包埋試料は、核酸を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して評価する。例えば、腫瘍変異負荷を、全エクソーム配列決定(WES)、次世代配列決定、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、遺伝子ターゲット配列決定、又は遺伝子のパネル、例えば、がん関連遺伝子を含むパネルの配列決定を使用して測定してもよい。例えば、Melendez et al.,Transl Lung Cancer Res(2018)7(6):661-667を参照されたい。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、遺伝子を標的とした配列決定を使用して、例えば、核酸ハイブリダイゼーション捕捉方法を、例えば配列決定と組み合わせて使用して、測定する。例えば、Fancello et al.,J Immunother Cancer(2019)7:183を参照されたい。
【0172】
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2017/151524(A1)に提供される方法に従って測定する。
【0173】
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定により測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、次世代配列決定を使用して測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、全ゲノム配列決定を使用して測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、遺伝子標的化配列決定により測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、約0.8Mb~約1.1Mbの配列決定したDNAに対して測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、約0.8Mb、約0.81Mb、約0.82Mb、約0.83Mb、約0.84Mb、約0.85Mb、約0.86Mb、約0.87Mb、約0.88Mb、約0.89Mb、約0.9Mb、約0.91Mb、約0.92Mb、約0.93Mb、約0.94Mb、約0.95Mb、約0.96Mb、約0.97Mb、約0.98Mb、約0.99Mb、約1Mb、約1.01Mb、約1.02Mb、約1.03Mb、約1.04Mb、約1.05Mb、約1.06Mb、約1.07Mb、約1.08Mb、約1.09Mb、又は約1.1Mbのうちのいずれかの配列決定したDNAに対して測定する。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を、約0.8Mbの配列決定したDNAに対して測定する。
【0174】
いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、例えば少なくとも約10mut/Mbの、高い腫瘍変異負荷を有する。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、少なくとも約10mut/Mbの腫瘍変異負荷を有する。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、少なくとも約20mut/Mbの腫瘍変異負荷を有する。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、約10mut/Mb~約15mut/Mb、約15mut/Mb~約20mut/Mb、約20mut/Mb~約25mut/Mb、約25mut/Mb~約30mut/Mb、約30mut/Mb~約35mut/Mb、約35mut/Mb~約40mut/Mb、約40mut/Mb~約45mut/Mb、約45mut/Mb~約50mut/Mb、約50mut/Mb~約55mut/Mb、約55mut/Mb~約60mut/Mb、約60mut/Mb~約65mut/Mb、約65mut/Mb~約70mut/Mb、約70mut/Mb~約75mut/Mb、約75mut/Mb~約80mut/Mb、約80mut/Mb~約85mut/Mb、約85mut/Mb~約90mut/Mb、約90mut/Mb~約95mut/Mb、又は約95mut/Mb~約100mut/Mbのうちのいずれかの腫瘍変異負荷を有する。いくつかの実施形態では、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAは、約100mut/Mb~約110mut/Mb、約110mut/Mb~約120mut/Mb、約120mut/Mb~約130mut/Mb、約130mut/Mb~約140mut/Mb、約140mut/Mb~約150mut/Mb、約150mut/Mb~約160mut/Mb、約160mut/Mb~約170mut/Mb、約170mut/Mb~約180mut/Mb、約180mut/Mb~約190mut/Mb、約190mut/Mb~約200mut/Mb、約210mut/Mb~約220mut/Mb、約220mut/Mb~約230mut/Mb、約230mut/Mb~約240mut/Mb、約240mut/Mb~約250mut/Mb、約250mut/Mb~約260mut/Mb、約260mut/Mb~約270mut/Mb、約270mut/Mb~約280mut/Mb、約280mut/Mb~約290mut/Mb、約290mut/Mb~約300mut/Mb、約300mut/Mb~約310mut/Mb、約310mut/Mb~約320mut/Mb、約320mut/Mb~約330mut/Mb、約330mut/Mb~約340mut/Mb、約340mut/Mb~約350mut/Mb、約350mut/Mb~約360mut/Mb、約360mut/Mb~約370mut/Mb、約370mut/Mb~約380mut/Mb、約380mut/Mb~約390mut/Mb、約390mut/Mb~約400mut/Mb、又は400mut/Mbより大きいうちのいずれかの腫瘍変異負荷を有する。
【0175】
いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を測定することは、変異を、個体中のがんから誘導した脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で評価することを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷を測定することは、変異を、個体中のがんから誘導した脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA、並びに対応させた正常な試料、例えば、がんを含まない組織又は他の供給源から誘導した個体からの脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で評価することを含む。
【0176】
ホモ接合性単一エクソン喪失
概して、ホモ接合性単一エクソン喪失は、所与のエクソンの両コピーの欠失を指す。いくつかの実施形態では、ホモ接合性単一エクソン喪失を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で検出することを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ホモ接合性単一エクソン喪失を、脱包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定によって検出する。
【0177】
システム、ソフトウェア、及びデバイス
いくつかの他の態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含み、1つ以上のプログラムが、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法をデバイスに実行させる命令を含む。
【0178】
図6は、一実施形態によるコンピューティングデバイスの例を図示する。デバイス1100は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとし得る。デバイス1100は、クライアントコンピュータ又はサーバとし得る。図6に示されるように、デバイス1100は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、又はハンドヘルド計算デバイス(携帯電子デバイス、例えば、電話又はタブレット)などの任意の好適なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスであり得る。デバイスは、例えば、プロセッサ1110、入力デバイス1120、出力デバイス1130、ストレージ1140、通信デバイス1160、電源1170、オペレーションシステム1180、及びシステムバス1190のうちの1つ以上を備えていてもよい。入力デバイス1120及び出力デバイス1130は、概して、本明細書に記載のものに対応していてもよく、コンピュータと接続可能であってもよく、又はコンピュータと一体化していてもよい。
【0179】
入力デバイス1120は、タッチスクリーン、キーボード若しくはキーパッド、マウス、又は音声認識デバイスなどの入力を提供する任意の好適なデバイスであってもよい。出力デバイス1130は、タッチスクリーン、触覚デバイス、又はスピーカなど、出力を提供する任意の好適なデバイスであってもよい。
【0180】
ストレージ1140は、ストレージ(例えば、RAM(揮発性及び不揮発性)、キャッシュ、ハードドライブ、又はリムーバブルストレージディスクを含む、電気的、磁気的、又は光学的メモリ)を提供する任意の好適なデバイスであり得る。通信デバイス1160は、ネットワークインターフェースチップ又はデバイスなどのネットワークを介してシグナルを送受信し得る任意の好適なデバイスを含み得る。コンピュータの構成要素は、例えば、有線メディア(例えば、物理バス、イーサネット、若しくは任意の他の有線転送技術)を介して、又は無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、又は任意の他の無線技術)で、任意の好適な様式で接続することができる。例えば、図6では、構成要素は、システムバス1190によって接続される。
【0181】
検出モジュール1150は、ストレージ1140に実行可能な命令として格納され、プロセッサ1110によって実行されることができ、例えば、本開示の機能を具現化するプロセスを含むことができる(例えば、上記のデバイスに具現化される)。
【0182】
検出モジュール1150はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、本明細書に記載のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶及び/又は転送することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、ストレージ1140などの任意の媒体であり得、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するためのプロセスを含む若しくは記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、単一の機能ユニットとして動作するハードドライブ、フラッシュドライブ、及び配信モジュールなどのメモリユニットを挙げることができる。また、本明細書に記載の様々なプロセスは、上記の実施形態及び技法に従って動作するように構成されたモジュールとして具現化され得る。更に、プロセスは別個に示され、かつ/又は説明され得るが、当業者は、上記のプロセスが他のプロセス内のルーチン又はモジュールであり得ることを理解するであろう。
【0183】
検出モジュール1150はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、上記のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の伝送媒体内に伝播することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、伝送媒体は、任意の媒体とし得、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するための伝送プログラミングを通信、伝播、又は伝送し得る。伝送可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、若しくは赤外線の有線又は無線伝播媒体を含み得るが、これらに限定されない。
【0184】
デバイス1100は、任意の好適なタイプの相互接続された通信システムであり得る、ネットワーク(例えば、図7に示す、及び/又は以下に記載する、ネットワーク1204)に接続されてもよい。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実装し得、任意の好適なセキュリティプロトコルによって保護され得る。ネットワークは、無線ネットワーク接続(T1若しくはT3回線)、ケーブルネットワーク、DSL、又は電話回線などの、ネットワークシグナルの送受信を実装し得る任意の好適な配置のネットワークリンクを含み得る。
【0185】
デバイス1100は、ネットワーク上で動作するのに好適な任意のオペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム1180)を実装することができる。検出モジュール1150は、C、C++、Java、又はPythonなどの任意の好適なプログラミング言語で書くことができる。様々な実施形態では、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、異なる構成で(例えば、クライアント/サーバ配置で、又はウェブベースのアプリケーション若しくはウェブサービスとしてのウェブブラウザを介して)展開され得る。いくつかの実施形態では、オペレーティングシステム1180は、1つ以上のプロセッサ、例えば、プロセッサ1110によって実行される。
【0186】
デバイス1100は、電源1170を更に備えていてもよく、任意の好適な電源であり得る。
【0187】
図7は、一実施形態によるコンピューティングシステムの例を例示する。システム1200では、デバイス1100(例えば、上に記載し、図6に図示する)は、ネットワーク1204に接続され、これはまた、デバイス1206にも接続されている。いくつかの実施形態では、デバイス1206は、配列決定装置である。例示的な配列決定装置は、限定されないが、Roche/454のGenome Sequencer(GS)FLX System、Illumina/SolexaのGenome Analyzer(GA)、IlluminaのHiSeq 2500、HiSeq 3000、HiSeq 4000、及びNovaSeq 6000配列決定システム、Life/APGのSupport Oligonucleotide Ligation Detection(SOLiD)システム、PolonatorのG.007システム、Helicos BioSciencesのHeliScope Gene配列決定システム、又はPacific BiosciencesのPacBio RSシステムを含み得る。デバイス1100とデバイス1206とは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、又はインターネットなどのネットワーク1204を介して、好適な通信インターフェースを使用して通信してもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク1204は、例えば、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、クラウドネットワーク、有線ネットワーク、又は無線ネットワークであり得る。デバイス1100とデバイス1206とは、イーサネット、IEEE802.11b無線などの無線又は有線通信を介して、部分的又は全体的に通信することができる。加えて、デバイス1100及びデバイス1206は、例えば、好適な通信インターフェースを使用して、モバイル/セルラーネットワークなどの第2のネットワークを介して通信することができる。デバイス1100と1206との間の通信は、メールサーバ、モバイルサーバ、メディアサーバ、電話サーバなどの様々なサーバを更に含むか、それらと通信することができる。いくつかの実施形態では、デバイス1100とデバイス1206とは、(ネットワーク1204を介した通信の代わりに、又はそれに加えて)、例えば、イーサネット、IEEE802.11b無線などの無線又は有線通信を介して、直接通信することができる。いくつかの実施形態では、デバイス1100とデバイス1206とは、直接接続とすることができるか、又はネットワーク(例えば、ネットワーク1204)を介して発生することができる通信1208を介して通信する。
【0188】
デバイス1100及び1206の1つ又は全ては、概して、本明細書に記載の様々な実施例に従って、ネットワーク1204を介して情報を提供及び/又は受信するために、ロジック(例えば、httpウェブサーバロジック)を含むか、あるいはローカル若しくはリモートデータベース又はデータ及びコンテンツの他のソースからアクセスされるデータをフォーマットするようにプログラムされる。
【0189】
図8は、いくつかの実施形態に従う、包埋試料から抽出した分析物試料中で検出するための例示的なプロセス1300を図示する。プロセス1300は、例えば、ソフトウェアプログラムを実装する1つ以上の電子デバイスを使用して実行される。いくつかの例では、プロセス1300は、クライアント-サーバシステムを使用して実施され、プロセス1300のブロックは、サーバとクライアントデバイスとの間で、任意の方法で分割される。他の例では、プロセス1300のブロックは、サーバと複数のクライアントデバイスとの間で分割される。したがって、プロセス1300の一部は、クライアント-サーバシステムの特定のデバイスによって実施されるものとして本明細書に記載されているが、プロセス1300はそのように限定されないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、実行されるステップは、多くのシステムを介して、例えば、クラウド環境で実行され得る。他の例では、プロセス1300は、クライアントデバイスのみ、又は複数のクライアントデバイスのみを使用して実施される。プロセス1300では、いくつかのブロックが、任意選択で結合され、いくつかのブロックの順序が、任意選択で変更され、いくつかのブロックが、任意選択で省略される。いくつかの例では、プロセス1300と組み合わせて追加のステップを実施することができる。したがって、図示されている(及び以下により詳細に説明されている)動作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0190】
ブロック1302で、1つ以上の核酸の複数の配列リードを取得し、この1つ以上の核酸は、個体から得た脱包埋試料から誘導する。いくつかの実施形態では、試料は、がん(例えば、本明細書に記載のがん)を有する個体から取得する。いくつかの実施形態では、配列リードは、配列決定装置(例えば、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で既知のその他のもの)を使用して取得する。いくつかの実施形態では、核酸は、本開示のバイオマーカーに対応する1つ以上の核酸、又はその一部分を含む。任意選択で、配列リードを取得する前に、試料を精製し、濃縮し(例えば、本開示のバイオマーカーに対応する核酸、又はその一部分について)、かつ/又はPCR増幅を行う。ブロック1304では、例示的なシステム(例えば、1つ以上の電子デバイス)は、バイオマーカー又はその一部分中の1つ以上の変異の存在について、複数の配列リードを分析する。ブロック1306で、システムは、(例えば、分析に基づいて)バイオマーカー又はその一部分中の1つ以上の変異を試料中で検出する。
V.診断及び治療の方法及びキット
【0191】
診断、評価、スクリーニング、モニタリング、又は予測の方法
いくつかの態様では、個体中の本明細書に提供されるがんなどのがんにおけるバイオマーカーを診断又は評価する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供される核酸分子の存在の知識を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出することを含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカー核酸分子を、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で、本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子を検出する方法のうちの1つ以上など、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して検出する。いくつかの実施形態では、本方法は、バイオマーカー核酸分子の診断又は評価を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中のバイオマーカー核酸分子の存在又は非存在が特定される。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、本明細書に提供されるがんなどのがんが、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法に応答する可能性が高いことが特定される。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中のバイオマーカー核酸分子の存在により、がんが、抗がん療法、例えば.、本明細書に提供される抗がん療法に応答する可能性が高いことが特定される。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料は、本明細書に記載の試料である。いくつかの実施形態では、包埋試料は、がんに由来する細胞を含むか、又はがんに由来する細胞から取得される。いくつかの実施形態では、個体は、がんを有するか、がんを有することが疑われるか、がんの検査を受けているか、がんの治療を受けているか、又はがんに対する感受性の検査を受けており、がんは、例えば、本明細書に記載のがんである。
【0192】
いくつかの態様では、個体におけるがん、例えば、本明細書に提供されるがんを診断又は評価する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、がんを診断又は評価する方法は、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を、個体から取得した包埋試料、例えば、がんに由来する細胞を含む包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子を、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で、本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子を検出する方法のうちの1つ以上など、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して検出することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子又はその断片を、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出することで、がんが、抗がん療法、例えば、本明細書に記載の抗がん療法に応答する可能性が高いことが特定される。いくつかの実施形態では、個体から取得した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子又はその断片の存在により、がんが、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法に応答する可能性が高いことが特定される。いくつかの実施形態では、本方法は、がん又は融合核酸分子の診断又は評価を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、がんが、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法に応答する可能性が高いことが特定される。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中のバイオマーカー核酸分子の存在又は非存在が特定される。
【0193】
いくつかの態様では、がん、例えば、本明細書に提供されるがんを有する個体の生存期間を予測する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の抗がん療法などの抗がん療法による治療を受けている。いくつかの実施形態では、本方法は、個体に由来する包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の存在の知識を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を、個体に由来する包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の知識を得ることに応じて、個体は、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法による治療の後により長い生存期間を有することが予測される。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の検出に応じて、個体は、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法による治療の後により長い生存期間を有することが予測される。いくつかの実施形態では、本方法は、診断又は評価を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中のバイオマーカー核酸分子の存在又は非存在が特定される。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、個体は、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、抗がん療法、例えば、本明細書に提供される抗がん療法による治療の後により長い生存期間を有することが予測されると特定される。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料は、本明細書に記載される試料である。いくつかの実施形態では、包埋試料は、がんに由来する細胞を含む。
【0194】
いくつかの態様では、がんを有するか、がんを有することが疑われるか、がんの検査を受けているか、がんの治療を受けているか、又はがんに対する感受性の検査を受けている個体をスクリーニングする方法が、本明細書に提供され、がんは、例えば、本明細書に提供されるがんである。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の抗がん療法などの抗がん療法による治療を受けている。いくつかの実施形態では、本方法は、個体に由来する包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の存在の知識を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を、個体に由来する包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出することを含む。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の知識を得ることに応じて、個体は、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、がん再発、侵襲性がん、抗がん療法抵抗性、又は予後不良のリスクが増加していると予測される。いくつかの実施形態では、組織から抽出した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の検出に応じて、個体は、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、がん再発、侵襲性がん、抗がん療法抵抗性、又は予後不良のリスクが増加していると予測される。いくつかの実施形態では、本方法は、診断又は評価を提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、組織から抽出した包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中のバイオマーカー核酸分子の存在又は非存在が特定される。いくつかの実施形態では、診断又は評価により、個体が、例えば、がんがバイオマーカー核酸分子を呈しない個体と比較して、がん再発、侵襲性がん、抗がん療法抵抗性、又は予後不良のリスクが増加していると予測されることが特定される。いくつかの実施形態では、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料は、本明細書に記載されるものである。いくつかの実施形態では、包埋試料は、がんに由来する細胞を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、当該技術分野で既知の又は本明細書に提供される試薬、例えば、本明細書に記載のベイト、プローブ、又はオリゴヌクレオチドを使用して、バイオマーカーヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を選択的に富化し、富化試料を生成することを更に含む。
【0196】
抗がん療法がん
本開示の特定の態様は、抗がん療法、及び抗がん療法による治療から利益を受け得る個体を特定するための方法、個体を治療するための抗がん療法を選択するための方法、治療選択肢としての抗がん療法を特定するための方法、抗がん療法の投与を含む、がんを治療する方法若しくはがんの進行を遅らせるための方法、(例えば、個体におけるがんを治療する方法若しくはがんの進行を遅らせるための方法における、又はがんを治療するか、若しくはがんの進行を遅らせるための医薬の製造のための方法における)抗がん療法のための使用などに関する。これらの方法及び使用は、上記のように、包埋試料中の目的の腫瘍細胞からのバイオマーカーの検出に少なくとも部分的に基づく。理論に束縛されるものではないが、これらのバイオマーカーにより、小分子阻害剤、化学療法剤、がん免疫療法、抗体、細胞療法、核酸、手術、放射線療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、抗炎症療法、抗新生物剤、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上などの適切な抗がん療法から利益を受け得る患者を特定することができると考えられる。
【0197】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4を阻害する。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、サイクリンD/CDK4を阻害する。いくつかの実施形態では、抗がん療法/CDK阻害剤は、(a)CDK4の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)CDK4の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、CDK4に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、CDK4に結合し、その発現を阻害することによる、及び/又はCDK4を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)CDK4の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4及びCDK6を阻害する。いくつかの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。CDK阻害剤の非限定的な例としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、及びアベマシクリブ、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0198】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、マウス二重微小染色体2ホモログ(MDM2)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、抗がん療法/MDM2阻害剤は、(a)MDM2の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子(例えば、p53に結合する)、(b)MDM2の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、MDM2に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、MDM2に結合し、その発現を阻害することによる、及び/又はMDM2を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)MDM2の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、MDM2阻害剤は、MDM2の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。MDM2阻害剤の非限定的な例としては、ヌトリン-3a、RG7112、イダサヌトリン(RG7388)、AMG-232、MI-63、MI-291、MI-391、MI-77301(SAR405838)、APG-115、DS-3032b、NVP-CGM097、及びHDM-201(シレマドリン(siremadlin))、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、MDM2阻害剤は、MDM2とp53との間の相互作用を阻害するか、又は破壊する。
【0199】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、代謝拮抗物質、DNA損傷剤、又は白金含有療法薬(例えば、5-アザシタジン(azacitadine)、5-フルオロウラシル、アカデシン、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、CPT-11、シタラビン、ダウノルビシン、デシタビン、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、イダルビシン、放射線、オキサリプラチン、テモゾロミド、トポテカン、トラベクテジン、GSK2830371、又はルカパリブ);アポトーシス促進剤(例えば、BCL2阻害剤若しくは下方調節剤、SMAC模倣物、又はTRAILアゴニスト、例えば、ABT-263、ABT-737、オリドニン、ベネトクラクス、ベネトクラクスと抗CD20抗体、例えば、オビヌツズマブ若しくはリツキシマブとの組み合わせ、1396-11、ABT-10、SM-164、D269H/E195R、又はrhTRAIL);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);RAS、RAF、MEK、又はMAPK経路の阻害剤(例えば、AZD6244、ダブラフェニブ、LGX818、PD0325901、ピマセルチブ、トラメチニブ、又はベムラフェニブ);PI3K、mTOR、又はAktの阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);CDK阻害剤(例えば、本明細書に記載されるもの);PKC阻害剤(例えば、LXS196又はソトラスタウリン);抗体ベースの療法薬(例えば、抗PD-1又は抗PDL1抗体、例えば、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、又はスパルタリズマブ;抗CD20抗体、例えば、オビヌツズマブ又はリツキシマブ;又は抗DR5抗体、例えば、ドロジツマブ);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、又はMG-132);HDAC阻害剤(例えば、SAHA又はVPA);抗生物質(例えば、アクチノマイシンD);亜鉛含有療法薬(例えば、亜鉛又はZMC1);HSP阻害剤(例えば、ゲルダナマイシン);ATPアーゼ阻害剤(例えば、アルカゾリド);有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル又はビンクリスチン);メトホルミン;メトトレキサート;タンシノンIIA;並びに/あるいはP5091のうちの1つ以上を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、チロシンキナーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、抗がん療法/チロシンキナーゼ阻害剤は、(a)チロシンキナーゼの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)チロシンキナーゼの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、チロシンキナーゼに結合し、チロシンキナーゼの1つ以上の活性を阻害することによる、チロシンキナーゼに結合し、チロシンキナーゼの発現(例えば、細胞表面発現)を阻害することによる、及び/又はチロシンキナーゼを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)チロシンキナーゼの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、チロシンキナーゼの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。チロシンキナーゼ阻害剤の非限定的な例としては、イマチニブ、クレノラニブ、リニファニブ、ニネテダニブ(ninetedanib)、アキシチニブ、ダサチニブ、イメテルスタット、ミドスタウリン、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、モテサニブ、マシチニブ、バタラニブ、カボザニチニブ(cabozanitinib)、チボザニブ、OSI-930、Ki8751、テラチニブ、ドビチニブ、チルホスチンAG 1296、及びアムバチニブ、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MEK)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、MEK1及び/又はMEK2の1つ以上の活性を阻害する。いくつかの実施形態では、抗がん療法/MEK阻害剤は、(a)MEKの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)MEKの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、MEKに結合し、MEKの1つ以上の活性を阻害することによる、MEKに結合し、MEKの発現を阻害することによる、及び/又はMEKを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)MEKの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、MEK阻害剤は、MEKの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。MEK阻害剤の非限定的な例としては、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、CI-1040、PD0325901、セルメチニブ、AZD8330、TAK-733、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、RO4987655、RO5126766、WX-544、及びHL-085、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、Raf、MEK、及び/又はERKの阻害剤を含む、Raf/MEK/ERK経路の1つ以上の活性を阻害する。
【0202】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、抗がん療法/mTOR阻害剤は、(a)mTORの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)mTORの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、mTORに結合し、mTORの1つ以上の活性を阻害することによる、mTORに結合し、mTORの発現を阻害することによる、及び/又はmTORを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)mTORの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、mTORの小分子阻害剤である(例えば、競争的阻害剤、例えば、ATP競争的阻害剤、又は非競争的阻害剤、例えば、ラパマイシン類似体)。mTOR阻害剤の非限定的な例としては、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、ダクトリシブ、GSK2126458、XL765、AZD8055、AZD2014、MLN128、PP242、NVP-BEZ235、LY3023414、PQR309、PKI587、及びOSI027、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、Akt及び/又はmTORの阻害剤を含む、Akt/mTOR経路の1つ以上の活性を阻害する。
【0203】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、PI3K阻害剤又はAkt阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kの1つ以上の活性を阻害する。いくつかの実施形態では、抗がん療法/PI3K阻害剤は、(a)PI3Kの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)PI3Kの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、PI3Kに結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、PI3Kに結合し、その発現を阻害することによる、及び/又はPI3Kを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)PI3Kの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。PI3K阻害剤の非限定的な例としては、GSK2636771、ブパルリシブ(BKM120)、AZD8186、コパンリシブ(BAY80-6946)、LY294002、PX-866、TGX115、TGX126、BEZ235、SF1126、イデラリシブ(GS-1101、CAL-101)、ピクチリシブ(GDC-094)、GDC0032、IPI145、INK1117(MLN1117)、SAR260301、KIN-193(AZD6482)、デュベリシブ、GS-9820、GSK2636771、GDC-0980、AMG319、パゾバニブ、及びアルペリシブ(BYL719、Piqray)、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、AKT阻害剤は、AKT(例えば、AKT1)の1つ以上の活性を阻害する。いくつかの実施形態では、抗がん療法/AKT阻害剤は、(a)AKT1の1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)AKT1の1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、AKT1に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、AKT1に結合し、その発現を阻害することによる、及び/又はAKT1を発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)AKT1の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、AKT1阻害剤は、AKT1の小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。AKT1阻害剤の非限定的な例としては、GSK690693、GSK2141795(ウプロセルチブ)、GSK2110183(アフレセルチブ)、AZD5363、GDC-0068(イパタセルチブ)、AT7867、CCT128930、MK-2206、BAY 1125976、AKT1及びAKT2-IN-1、ペリフォシン、及びVIII、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、AKT1阻害剤は、汎Akt阻害剤である。
【0204】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、ハリネズミ(Hh)阻害剤である。いくつかの実施形態では、抗がん療法/Hh阻害剤は、(a)Hhの1つ以上の酵素活性を阻害する小分子、(b)Hhの1つ以上の活性を阻害する抗体(例えば、Hhに結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、Hhに結合し、その発現を阻害することによる、及び/又はHhを発現する細胞に結合し、その1つ以上の活性を阻害することによる、例えば、抗体依存性細胞傷害性、ADCC、又は食作用、ADCPを誘導することによる)、あるいは(c)Hhの発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、モルホリノ、CRISPRベースの療法など)である。いくつかの実施形態では、Hh阻害剤は、Hhの小分子阻害剤である(例えば、競争的又は非競争的阻害剤)。Hh阻害剤の非限定的な例としては、ソニデジブ、ビスモデギブ、エリスモデギブ、サリデギブ、BMS833923、PF-04449913、及びLY2940680、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤、MYC阻害剤、HDAC阻害剤、免疫療法、ネオ抗原、ワクチン、又は細胞療法を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法、VEGF阻害剤、インテグリンβ3阻害剤、スタチン、EGFR阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、MAPK阻害剤、又はCDK4/6阻害剤のうちの1つ以上を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、ロルラチニブ、ブリグチニブ、エンサルチニブ(X-396)、レポトレクチニブ(TPX-005)、エントレクチニブ(RXDX-101)、AZD3463、CEP-37440、ベリザチニブ(TSR-011)、ASP3026、KRCA-0008、TQ-B3139、TPX-0131、又はTAE684(NVP-TAE684)である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2005016894の実施例3~39に記載されるような、ALKキナーゼ阻害剤である。
【0208】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HSP阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、HSP阻害剤は、KNK423などの汎HSP阻害剤である。いくつかの実施形態では、HSP阻害剤は、cmHsp70.1、ケルセチン、VER155008、又は17-AADなどのHSP70阻害剤である。いくつかの実施形態では、HSP阻害剤は、HSP90阻害剤である。いくつかの実施形態では、HSP90阻害剤は、17-AAD、Debio0932、ガネテスピブ(STA-9090)、レタスピマイシン塩酸塩(レタスピマイシン、IPI-504)、AUY922、アルベスピマイシン(KOS-1022、17-DMAG)、タネスピマイシン(KOS-953、17-AAG)、DS 2248、又はAT13387(オナレスピブ)である。いくつかの実施形態では、HSP阻害剤は、アパトルセン(OGX-427)などのHSP27阻害剤である。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、MYC阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MYC阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MYC阻害剤は、MYCi361(NUCC-0196361)、MYCi975(NUCC-0200975)、Omomyc(ドミナントネガティブペプチド)、ZINC16293153(Min9)、10058-F4、JKY-2-169、7594-0035、又はMYC/MAX二量体化及び/若しくはMYC/MAX/DNA複合体形成の阻害剤である。
【0210】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HDAC阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、ベリノスタット(PXD101、ベレオダック(登録商標))、SAHA(ボリノスタット、スベロイルアニリドヒドロキサミン、Zolinza(登録商標))、パノビノスタット(LBH589、LAQ-824)、ACY1215(Rocilinostat)、キシノスタット(JNJ-26481585)、アベキシノスタット(PCI-24781)、プラシノスタット(SB939)、ギビノスタット(ITF2357)、レスミノスタット(4SC-201)、トリコスタチンA(TSA)、MS-275(エチノスタット)、ロミデプシン(デプシペプチド、FK228)、MGCD0103(モセチノスタット)、BML-210、CAY10603、バルプロ酸、MC1568、CUDC-907、CI-994(タセジナリン)、Pivanex(AN-9)、AR-42、チダミド(CS055、HBI-8000)、CUDC-101、CHR-3996、MPT0E028、BRD8430、MRLB-223、アピシジン、RGFP966、BG45、PCI-34051、C149(NCC149)、TMP269、Cpd2、T247、T326、LMK235、C1A、HPOB、ネクスツラスタットA、Befexamac、CBHA、フェニル酪酸、MC1568、SNDX275、スクリプタイド、Merck60、PX089344、PX105684、PX117735、PX117792、PX117245、PX105844、Li et al.,Cold Spring Harb Perspect Med(2016)6(10):a026831に記載されている化合物12、又はPX117445である。
【0211】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、VEGF阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、VEGF阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、VEGF阻害剤は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、BMS-690514、ラムシルマブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ゴルバチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、レバンチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、チボザニブ、ルシタニブ、セマキサニブ、ニンデンタニブ、レゴラフィニブ、又はアフリベルセプトである。
【0212】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、インテグリンβ3阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、インテグリンβ3阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、インテグリンβ3阻害剤は、抗avb3(クローンLM609)、シレンギチド(EMD121974、NSC、707544)、siRNA、GLPG0187、MK-0429、CNTO95、TN-161、エタラシズマブ(MEDI-522)、インテツムマブ(CNTO95)(抗αVサブユニット抗体)、アビツズマブ(EMD525797/DI17E6)(抗αVサブユニット抗体)、JSM6427、SJ749、BCH-15046、SCH221153、又はSC56631である。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、αIIbβ3インテグリン阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、αIIbβ3インテグリン阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、αIIbβ3インテグリン阻害剤は、アブシキシマブ、エプチフィバチド(Integrilin(登録商標))、又はチロフィバン(Aggrastat(登録商標))である。
【0213】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、スタチン又はスタチンベースの薬剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、スタチン又はスタチンベースの薬剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、スタチン又はスタチンベースの薬剤は、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、又はセリバスタチンである。
【0214】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、MAPK阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MAPK阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MAPK阻害剤は、SB203580、SKF-86002、BIRB-796、SC-409、RJW-67657、BIRB-796、VX-745、RO3201195、SB-242235、又はMW181である。
【0215】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、EGFR阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、EGFR阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、ダコミチニブ、イコチニブ、オシメルチニブ(AZD9291)、アファタニブ、オルムチニブ、EGF816(ナザルチニブ)、アビチニブ(AC0010)、ロシレチニブ(CO-1686)、BMS-690514、YH5448、PF-06747775、ASP8273、PF299804、AP26113、又はエルロチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ又はセツキシマブである。
【0216】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、チェックポイント阻害剤、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、チェックポイント阻害剤、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、小分子、核酸、ポリペプチド、炭水化物、毒素、細胞ベースの薬剤、又は細胞結合剤を含む。がん免疫療法の例は、本明細書により詳細に記載されているが、限定することを意図するものではない。いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、免疫系の1つ以上の側面を活性化して、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)を攻撃する。本開示のがん免疫療法は、医学的判断の対象となる、単剤療法としての使用、又は任意の組み合わせ若しくは数の2つ以上を含む組み合わせアプローチでの使用が企図される。がん免疫療法のいずれも(任意選択で、単独療法として、又は本明細書に記載の別のがん免疫療法又は他の治療剤と組み合わせて)、本明細書に記載の方法のうちのいずれにも使用することができる。
【0217】
いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、がんワクチンを含む。がんに対する免疫応答を促進するための異なるアプローチを用いた様々ながんワクチンが試験されている(例えば、Emens L A,Expert Opin Emerg Drugs 13(2):295-308(2008)及びUS20190367613を参照されたい)。アプローチは、腫瘍に対するB細胞、T細胞、又は専門的な抗原提示細胞の応答を増強するように設計されてきた。がんワクチンの例示的なタイプとしては、DNAベースのワクチン、RNAベースのワクチン、ウイルス形質導入ワクチン、ペプチドベースのワクチン、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、全腫瘍細胞ワクチン、腫瘍抗原ワクチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、予防的又は治療的であり得る。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン、核酸ベースのワクチン、抗体ベースのワクチン、又は細胞ベースのワクチンとして製剤化される。例えば、ワクチン組成物には、カチオン性脂質製剤中の裸のcDNA、リポペプチド(例えば、Vitiello,A.et ah,J.Clin.Invest.95:341,1995)、例えばポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェアに封入された裸のcDNA若しくはペプチド(例えば、Eldridge,et ah,Molec.Immunol.28:287-294,1991:Alonso et al,Vaccine 12:299-306,1994、Jones et al,Vaccine 13:675-681,1995を参照されたい)、免疫刺激複合体(ISCOM)中に含まれるペプチド組成物(例えば、Takahashi et al,Nature 344:873-875,1990、Hu et al,Clin.Exp.Immunol.113:235-243,1998)、又は複数抗原ペプチド系(MAP)(例えば、Tam,J.P.,Proc.Natl Acad.Sci.U.S.A.Natl Acad.Sci.U.S.A.85:5409-5413,1988、Tam,J.P.,J.Immunol.Methods 196:17-32,1996参照されたい)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン又は核酸ベースのワクチン(核酸がポリペプチドをコードする)として製剤化される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、抗体ベースのワクチンとして製剤化される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、細胞ベースのワクチンとして製剤化される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ペプチドがんワクチンであり、いくつかの実施形態では個別化ペプチドワクチンである。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、多価長鎖ペプチド、複数ペプチド、ペプチド混合物、ハイブリッドペプチド、又はペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamada et al,Cancer Sci,104:14-21),2013を参照されたい)。いくつかの実施形態では、こうしたがんワクチンは、抗がん応答を増強する。
【0218】
いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原をコードするDNAを含む。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原をコードするRNAを含む。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原、例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、抗原提示及び/又は免疫応答を促進する1つ以上の追加の抗原、ネオ抗原、又は他の配列を更に含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、リポソーム又はリポプレックスなどの1つ以上の追加の薬剤と複合体を形成する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗原提示細胞(APC)によって取り込まれて翻訳され、次いで、APC細胞表面上のMHCクラスIを介してネオ抗原を提示する。
【0219】
いくつかの実施形態では、がんワクチンは、sipuleucel-T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性又は最小限の症候性転移性去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺がんの治療に承認されている)及びtalimogene laherparepvec(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして知られていた)(黒色腫における切除不能な皮膚、皮下、及びリンパ節病変の治療に承認された遺伝子改変腫瘍溶解性ウイルス療法である)から選択される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、pexastimogene devacirepvec(PexaVec/JX-594、SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics)(肝細胞がん(NCT02562755)及び黒色腫(NCT00429312)に対してGM-CSFを発現するように操作されたチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスである)、pelareorep(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(大腸がん(NCT01622543)、前立腺がん(NCT01619813)、頭頸部扁平上皮がん(NCT01166542)、膵臓腺がん(NCT00998322)、及び非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含む多くのがんにおいてRASが活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸内オーファンウイルス(レオウイルス)のバリアントである)、enadenotucirev(NG-348、PsiOxus、以前はColoAdlとして知られていた)(卵巣がん(NCT02028117)、転移性若しくは進行性上皮腫瘍(例えば、大腸がん、膀胱がん、頭頸部扁平上皮がん、及び唾液腺がん(NCT02636036))において完全長CD80及びT細胞受容体CD3タンパク質に特異的な抗体断片を発現するように操作されたアデノウイルスである)、ONCOS-102(Targovax/旧Oncos)(黒色腫(NCT03003676)、及び腹膜疾患、大腸がん、若しくは卵巣がん(NCT02963831)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)(腹膜がん腫症(NCT01443260)、卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)で研究されたそれぞれβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)/β-グルコロニダーゼ若しくはβ-gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するように操作されたワクシニアウイルスである)、又はCG0070(Cold Genesys)(膀胱がん(NCT02365818)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、抗gp100、STINGVAX、GVAX、DCVaxL、及びDNX-2401などの腫瘍溶解性ウイルス療法から選択される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、JX-929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグ5-フルオロシトシンを細胞傷害性薬物5-フルオロウラシルに変換することができるシトシンデアミナーゼを発現するように設計されたTK欠損及びワクシニア増殖因子欠損ワクシニアウイルスである)、TGO1及びTG02(Targovax/旧Oncos)(治療が困難なRAS変異を標的とするペプチドベースの免疫療法剤である)、TILT-123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3-E2F-δ24-hTNFα-IRES-hIL20と称される操作されたアデノウイルスである)、VSV-GP(ViraTherapeutics)(抗原特異的なCD8+ T細胞応答を引き起こすように設計された抗原を発現するように更に操作することができる、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の糖タンパク質(GP)を発現するように操作された水疱性口内炎ウイルス(VSV)である)から選択される。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンを含む。ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンは、抗腫瘍免疫応答を刺激するための抗原の安定した供給を提供する方法として使用することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原をコードするベクターを個体に注射し(おそらく、炎症促進剤又はGM-CSFなどの他の誘引剤物質とともに)、インビボで細胞に取り込まれて特定の抗原を生成し、次いで、所望の免疫応答を誘発する。いくつかの実施形態では、ベクターを使用して一度に1つより多い腫瘍抗原を送達して、免疫応答を増加させることができる。更に、組換えウイルス、細菌、又は酵母ベクターは、それ自体免疫応答を引き起こす可能性があり、これが全体的な免疫応答を強化する可能性もある。
【0220】
いくつかの実施形態では、がんワクチンは、DNAベースのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、DNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注射して防御免疫応答を誘発する能力は、多数の実験系で実証されている。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注射して防御免疫応答を誘発することによるワクチン接種は、多くの場合、細胞性応答と体液性応答の両方を引き起こす。更に、様々な抗原をコードするDNAに対する再現性のある免疫応答がマウスで報告されており、これは本質的に動物の生涯にわたって持続する(例えば、Yankauckas et al.(1993)DNA Cell Biol.,12:771-776を参照されたい)。いくつかの実施形態では、遺伝子発現に必要な調節エレメントに作動可能に結合されたタンパク質をコードする配列を含むプラスミド(又は他のベクター)DNAが、個体(例えば、ヒト患者、非ヒト哺乳動物など)に投与される。いくつかの実施形態では、個体の細胞が、投与されたDNAを取り込み、コード配列が発現される。いくつかの実施形態では、そのように産生された抗原は、免疫応答の対象となる標的になる。
【0221】
いくつかの実施形態では、がんワクチンは、RNAベースのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、RNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。いくつかの実施形態では、RNAベースのワクチンは、自己複製RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、自己複製RNA分子は、アルファウイルス由来のRNAレプリコンであってもよい。自己複製RNA(又は「SAM」)分子は、当該技術分野で周知であり、例えば、アルファウイルスに由来する複製要素を使用し、構造ウイルスタンパク質を、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列で置き換えることによって生成することができる。自己複製RNA分子は、典型的には、細胞への送達後に直接翻訳され得る+鎖分子であり、この翻訳により、送達されたRNAからアンチセンス転写物とセンス転写物の両方を生成するRNA依存性RNAポリメラーゼが提供される。したがって、送達されたRNAは、複数の娘RNAの産生につながる。これらの娘RNA、並びに同一鎖上の(collinear)サブゲノム転写物は、それ自体翻訳されて、コードされたポリペプチドのインサイチュ発現を提供するか、又は転写されて、送達されたRNAと同じセンス鎖の更なる転写物(翻訳されて抗原のインサイチュ発現を提供する)を提供することができる。
【0222】
いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、細胞ベースの療法を含む。いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、T細胞ベースの療法を含む。いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、養子療法、例えば、養子T細胞ベースの療法を含む。いくつかの実施形態では、T細胞は、レシピエントに対して自己又は同種である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。養子免疫療法とは、がん又は感染症を治療するための治療的アプローチを指し、細胞ががん細胞に対して直接的又は間接的な特異的免疫を媒介する(すなわち、それに対する免疫応答を開始する)ことを目的として、免疫細胞が宿主に投与される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、腫瘍細胞及び/又は転移細胞の成長及び/又は増殖の阻害をもたらし、関連する実施形態では、腫瘍細胞の死及び/又は再吸収をもたらす。免疫細胞は、異なる生物/宿主に由来し得るか(外因性免疫細胞)、又は対象生物から得られた細胞であり得る(自己免疫細胞)。いくつかの実施形態では、免疫細胞(例えば、自己又は同種T細胞(例えば、制御性T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、又はγδT細胞)、NK細胞、インバリアントNK細胞、又はNKT細胞)は、操作されたTCR及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)などの抗原受容体を発現するように遺伝子操作され得る。例えば、宿主細胞(例えば、自己又は同種T細胞)は、がん抗原に対する抗原特異性を有するT細胞受容体(TCR)を発現するように改変される。いくつかの実施形態では、NK細胞は、TCRを発現するように操作される。NK細胞は、CARを発現するように更に操作されてもよい。異なる抗原などに対する複数のCAR及び/又はTCRを、T細胞又はNK細胞などの単一の細胞型に加えることができる。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の抗原受容体をコードする遺伝子工学を介して導入された1つ以上の核酸/発現構築物/ベクター、及びこうした核酸の遺伝子操作された産物を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、異種である。すなわち、別の生物又は細胞から得られたものなど、細胞又は細胞から得られる試料には通常存在せず、例えば、操作される細胞及び/又はこうした細胞が由来する生物には通常見出されない。いくつかの実施形態では、核酸は、天然には見出されない核酸(例えば、キメラ)など、天然には存在しない。いくつかの実施形態では、免疫細胞の集団は、療法を必要とする対象、又は免疫細胞の活性の低下に関連する疾患に罹患している対象から得ることができる。したがって、細胞は、療法を必要とする対象にとって自己由来である。いくつかの実施形態では、ドナー(例えば、組織適合性が一致したドナー)から免疫細胞の集団を得ることができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、当該対象又はドナーにおいて免疫細胞が存在する末梢血、臍帯血、骨髄、脾臓、又は任意の他の臓器/組織から採取することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、対象及び/又はドナーのプール(例えば、プールされた臍帯血)から単離することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞の集団が対象とは異なるドナーから得られる場合、得られた細胞が対象に導入され得るという点で対象適合性である限り、ドナーは同種であり得る。いくつかの実施形態では、同種ドナー細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)適合性である場合もそうでない場合もある。いくつかの実施形態では、対象適合性にするために、同種細胞を処理して免疫原性を低下させることができる。
【0223】
いくつかの実施形態では、細胞ベースの治療は、T細胞ベースの療法を含み、自己細胞、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL);自己DC、リンパ球、人工抗原提示細胞(APC)若しくはT細胞リガンド及び活性化抗体でコーティングされたビーズ、又は標的細胞膜を捕捉することによって単離された細胞を使用してエクスビボで活性化されたT細胞;抗宿主腫瘍T細胞受容体(TCR)を自然に発現する同種細胞;並びに腫瘍反応性TCR若しくはキメラTCR分子(「Tボディ」として知られ、抗体様腫瘍認識能を示す)を発現するように遺伝的に再プログラム若しくは「リダイレクト」された非腫瘍特異的自己又は同種細胞などを含む。機能的な抗腫瘍エフェクター細胞の単離、誘導、操作又は改変、活性化、及び増殖のためのいくつかのアプローチが過去20年間に記載されており、本明細書に提供される方法のうちのいずれかに従って使用することができる。いくつかの実施形態では、T細胞は、血液、骨髄、リンパ、臍帯、又はリンパ器官に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、対象から直接単離された細胞及び/又は対象から単離されて凍結された細胞などの初代細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、機能、活性化状態、成熟度、分化の潜在能力、増殖能、再循環能、局在化能、及び/若しくは持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官若しくは区画における存在、マーカー若しくはサイトカイン分泌プロファイル、並びに/又は分化の程度によって定義されるものなど、T細胞又は他の細胞型、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、及びその亜集団のうちの1つ以上のサブセットを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、同種及び/又は自己であってもよい。既製の技術などのいくつかの実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞など、多能性(pluripotent)及び/又は多能性(multipotent)である。
【0224】
いくつかの実施形態では、T細胞ベースの療法は、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞ベースの療法を含む。このアプローチには、CARの操作が含まれる。CARは、目的の抗原に特異的に結合し、T細胞活性化のための1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。CARは、次いで、操作されたT細胞(CAR-T)の表面に発現され、患者に投与され、抗原を発現するがん細胞に対するT細胞特異的な免疫応答をもたらす。いくつかの実施形態では、CARは、ネオ抗原に特異的に結合する。
【0225】
いくつかの実施形態では、T細胞ベースの療法は、組換えT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を含む。このアプローチには、目的の抗原に特異的に結合するTCRの特定が含まれる。次いで、これを使用して、操作されたT細胞の表面の内在性又は天然のTCRを置き換える。これを患者に投与すると、抗原を発現しているがん細胞に対して、T細胞特異的な免疫応答がもたらされる。いくつかの実施形態では、組み換えTCRは、ネオ抗原に特異的に結合する。
【0226】
いくつかの実施形態では、T細胞ベースの療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。例えば、TILは、本開示の腫瘍又はがんから単離することができ、次いで、単離し、インビトロで増殖させることができる。これらのTILの一部又は全部は、本開示の腫瘍又はがんによって発現される抗原を特異的に認識することができる。いくつかの実施形態では、TILは、インビトロで単離された後、1つ以上のネオ抗原、例えば、1つのネオ抗原に曝露される。次いで、TILが患者に投与される(任意選択で、1つ以上のサイトカイン又は他の免疫刺激物質と組み合わせて)。
【0227】
いくつかの実施形態では、細胞ベースの療法は、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法を含む。ナチュラルキラー(NK)細胞は、様々な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、並びに骨髄及び胸腺の一部の正常細胞に対して自発的な細胞傷害性を有するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、形質転換細胞及びウイルス感染細胞に対する初期の自然免疫応答の重要なエフェクターである。NK細胞は、ヒトのCD16、CD56、CD8などの特定の表面マーカーによって検出することができる。NK細胞は、T細胞抗原受容体、汎TマーカーCD3、又は表面免疫グロブリンB細胞受容体を発現しない。いくつかの実施形態では、NK細胞は、当該技術分野で周知の方法によって、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、未刺激白血球除去産物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、又は臍帯血から得られる。
【0228】
いくつかの実施形態では、細胞ベースの治療は、樹状細胞(DC)ベースの療法、例えば、樹状細胞ワクチンを含む。いくつかの実施形態では、DCワクチンは、患者又はドナーから採取される、特異的T細胞免疫を誘導することができる抗原提示細胞を含む。いくつかの実施形態では、次いで、DCワクチンをインビトロでペプチド抗原に曝露することができ、そのためのT細胞が患者において生成される。いくつかの実施形態では、抗原が負荷された樹状細胞は、次いで、患者に注射して戻される。いくつかの実施形態では、必要に応じて、免疫化を複数回繰り返すことができる。樹状細胞を、採取、増殖、及び投与する方法は、当該技術分野で既知である。例えば、WO2019/178081を参照されたい。樹状細胞ワクチン(例えば、APC8015及びPROVENGE(登録商標)としても知られているSipuleucel-T)は、患者の免疫系に1つ以上のがん特異的抗原を提示するAPCとして機能する樹状細胞の投与を伴うワクチンである。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、レシピエントにとって自己又は同種である。
【0229】
いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、TCRベースの療法を含む。いくつかの実施形態では、がん免疫療法は、本開示のがんによって発現される抗原に特異的に結合する1つ以上のTCR又はTCRベースの治療薬の投与を含む。いくつかの実施形態では、TCRベースの治療薬は、T細胞表面タンパク質又は受容体に特異的に結合する抗体若しくは抗体断片(例えば、抗CD3抗体若しくは抗体断片)などの、免疫細胞(例えば、T細胞)に結合する部分を更に含み得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、免疫療法は、アジュバント免疫療法を含む。アジュバント免疫療法は、自然免疫系の構成要素を活性化する1つ以上の薬剤、例えば、TLR7経路を標的とするHILTONOL(登録商標)(イミキモド)の使用を含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、免疫療法は、サイトカイン免疫療法を含む。サイトカイン免疫療法は、免疫系の構成要素を活性化する1つ以上のサイトカインの使用を含む。例としては、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標)、インターロイキン-2)、インターフェロンα-2a(ROFERON(登録商標)-A)、インターフェロンα-2b(INTRON(登録商標)-A)、及びPEGインターフェロンα-2b(PEGINTRON(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0232】
いくつかの実施形態では、免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルス療法を含む。腫瘍溶解性ウイルス療法では、遺伝子改変ウイルスを使用してがん細胞で複製し、それを殺傷して、免疫応答を刺激する抗原を放出する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、任意の天然に存在する(例えば、「フィールドソース」からの)又は改変された複製可能な腫瘍溶解性ウイルスを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍抗原を発現することに加えて、がん細胞に対するウイルスの選択性を高めるために改変されてもよい。いくつかの実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ウイルスには、限定されないが、ミオウイルス科、サイフォウイルス科、ポドウイルス科、テシウイルス科、コルチコウイルス科、プラズマウイルス科、リポスリクスウイルス科、フセロウイルス科、ポキシイリダ科、イリドウイルス科、フィコドナウイルス科、バキュロウイルス科、ヘルペスウイルス科、アドノウイルス科、パポバウイルス科、ポリドナウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、パルボウイルス科、ヘパドナウイルス科、レトロウイルス科、サイトウイルス科、レオウイルス科、ビルナウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルソミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科、レビウイルス科、ピコルナウイルス科、セキウイルス科、コモウイルス科、ポティウイルス科、カリシウイルス科、アストロウイルス科、ノダウイルス科、テトラウイルス科、トンブスウイルス科、コロナウイルス科、グラビウイルス科、トガウイルス科、及びバルナウイルス科のメンバーである腫瘍溶解性ウイルスが含まれる。いくつかの実施形態では、複製能力のある腫瘍崩壊ウイルスには、アデノウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ポリオーマウイルス、ワクシニアウイルス(VacV)、単純ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、及びパルボウイルスが含まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ウイルスのがん選択性を高めるために、1つ以上の機能的な遺伝子を欠くように操作されてもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼ(TK)活性を欠くように操作される。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ワクシニアウイルス増殖因子(VGF)を欠くように操作されてもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、VGF及びTK活性の両方を欠くように操作されてもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、E3L、K3L、B18R、又はB8Rなどの宿主インターフェロン(IFN)応答の回避に関与する1つ以上の遺伝子を欠くように操作されてもよい。いくつかの実施形態では、複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株であり、機能的なTK遺伝子を欠いている。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能的なB18R及び/又はB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、例えば、腫瘍内、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、頭蓋内、皮下、又は鼻腔内投与を介して、対象に、局所的又は全身的に投与されてもよい。
【0233】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、免疫チェックポイント阻害剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、有効量の免疫チェックポイント阻害剤を個体に投与することを含む。当該技術分野で既知であるように、チェックポイント阻害剤は、少なくとも1つの免疫チェックポイントタンパク質を標的として、免疫応答の調節を変化させる。免疫チェックポイントタンパク質には、例えば、CTLA4、PD-L1、PD-1、PD-L2、VISTA、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、CEACAM、LAIR1、CD80、CD86、CD276、VTCN1、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、CSF1R、MICA/B、アルギナーゼ、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、BTLA、SIRPα(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、LAG-3、BTLA、IDO、OX40、及びA2aRが含まれる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントの調節に関与する分子には、限定されないが、PD-1(CD279)、PD-L1(B7-H1、CD274)、PD-L2(B7-CD、CD273)、CTLA-4(CD152)、HVEM、BTLA(CD272)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、LAG-3(CD223)、TIM-3(HAVCR2)、CEACAM、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、GAL9、VISTA(PD-1H)、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRβ、A2AR、GITR(CD357)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD276(B7-H3)、VTCNI(B7-H4)、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、B7-H1、OX40(CD134)、CD94(KLRD1)、CD137(4-1BB)、CD137L(4-1BBL)、CD40、IDO、CSF1R、CD40L、CD47、CD70(CD27L)、CD226、HHLA2、ICOS(CD278)、ICOSL(CD275)、LIGHT(TNFSF14、CD258)、NKG2a、NKG2d、OX40L(CD134L)、PVR(NECL5、CD155)、SIRPa、MICA/B、及び/又はアルギナーゼが含まれる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(すなわち、チェックポイント阻害剤)は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を負に調節するチェックポイントタンパク質の活性を減少させる。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を正に調節するチェックポイントタンパク質の活性を増加させる。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体である。チェックポイント阻害剤の例としては、限定されないが、PD-1軸結合アンタゴニスト、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A))、共抑制分子に対するアンタゴニスト(例えば、CTLA4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA4抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、若しくはLAG-3アンタゴニスト(例えば、抗LAG-3抗体))、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、組換え形態のリガンド若しくは受容体、又は抗体(例えば、ヒト抗体)などの薬物を含む(例えば、ともに参照により本明細書に組み込まれる、国際特許公開第WO2015/016718号、Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012を参照されたい)。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又はその類似体の既知の阻害剤を使用することができ、特に、キメラ化、ヒト化、又はヒト形態の抗体を使用することができる。
【0234】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、又はPD-L2結合アンタゴニスト)である。PD-1(プログラム死1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも称される。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示されている。PD-L1(プログラム死リガンド1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD 1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。例示的なヒトPD-L1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されている。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1 LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」、及び「PDL2」とも称される。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示されている。場合によっては、PD-1、PD-L1、及びPD-L2は、ヒトのPD-1、PD-L1、及びPD-L2である。
【0235】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1及び/又はPD-L2である。別の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合リガンドへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L2結合リガンドパートナーは、PD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0236】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。場合によっては、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI 754091、又はBGB-108のうちの1つ以上である。他の実施例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシンである)。場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。抗PD-1抗体の他の例としては、MEDI-0680(AMP-514;AstraZeneca)、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;Novartis)、REGN2810(LIBTAYO(登録商標)又はセミプリマブ-rwlc;Regeneron)、BGB-108(BeiGene)、BGB-A317(BeiGene)、BI 754091、JS-001(Shanghai Junshi)、STI-A1110(Sorrento)、INCSHR-1210(Incyte)、PF-06801591(Pfizer)、TSR-042(ANB011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)、AM0001(ARMO Biosciences)、ENUM244C8(Enumeral Biomedical Holdings)、又はENUM388D4(Enumeral Biomedical Holdings)が挙げられる。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、チスレリズマブ(BGB-A317)、BGB-108、STI-A1110、AM0001、BI754091、シンチリマブ(IBI308)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、トリパリマブ(JS-001)を、カムレリズマブ(SHR-1210、INCSHR-1210、HR-301210)、MEDI-0680(AMP-514)、MGA-012(INCMGA0012)、ニボルマブ(BMS-936558、MDX1106、ONO-4538)、スパルタリズマブ(PDR00l)、ペムブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、Keytruda(登録商標))、PF-06801591、セミプリマブ(REGN-2810、REGEN2810)、ドスタルリマブ(TSR-042、ANB011)、FITC-YT-16(PD-1結合ペプチド)、APL-501若しくはCBT-501若しくはゲノリムズマブ(GB-226)、AB-122、AK105、AMG404、BCD-100、F520、HLX10、HX008、JTX-4014、LZM009、Sym021、PSB205、AMP-224(PD-1を標的とする融合タンパク質)、CX-188(PD-1プロボディ)、AGEN-2034、GLS-010、ブジガリマブ(ABBV-181)、AK-103、BAT-1306、CS-1003、AM-0001、TILT-123、BH-2922、BH-2941、BH-2950、ENUM-244C8、ENUM-388D4、HAB-21、H EISCOI11-003、IKT-202、MCLA-134、MT-17000、PEGMP-7、PRS-332、RXI-762、STI-1110、VXM-10、XmAb-23104、AK-112、HLX-20、SSI-361、AT-16201、SNA-01、AB122、PD1-PIK、PF-06936308、RG-7769、CABPD-1Abs、AK-123、MEDI-3387、MEDI-5771、4H1128Z-E27、REMD-288、SG-001、BY-24.3、CB-201、IBI-319、ONCR-177、Max-1、CS-4100、JBI-426、CCC-0701、若しくはCCX-4503、又はそれらの誘導体を含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTA又はPD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、CA-170(AUPM-170としても知られている)である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されるヒトPD-L1、又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0238】
場合によっては、PD-L1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-L1抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合、及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。場合によっては、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、又は(Fab’)2断片から選択される抗体断片である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト化抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1 105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。いくつかの実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ(イミフィンジ)、BGB-A333、SHR-1316(HTI-1088)、CK-301、BMS-936559、エンバフォリマブ(KN035、ASC22)、CS1001、MDX-1105(BMS-936559)、LY3300054、STI-A1014、FAZ053、CX-072、INCB086550、GNS-1480、CA-170、CK-301、M-7824、HTI-1088(HTI-131、SHR-1316)、MSB-2311、AK-106、AVA-004、BBI-801、CA-327、CBA-0710、CBT-502、FPT-155、IKT-201、IKT-703、10-103、JS-003、KD-033、KY-1003、MCLA-145、MT-5050、SNA-02、BCD-135、APL-502(CBT-402又はTQB2450)、IMC-001、KD-045、INBRX-105、KN-046、IMC-2102、IMC-2101、KD-005、IMM-2502、89Zr-CX-072、89Zr-DFO-6E11、KY-1055、MEDI-1109、MT-5594、SL-279252、DSP-106、Gensci-047、REMD-290、N-809、PRS-344、FS-222、GEN-1046、BH-29xx、若しくはFS-118、又はその誘導体を含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4のアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4の小分子アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA4抗体である。CTLA4は、免疫チェックポイント分子のCD28-B7免疫グロブリンスーパーファミリーの一部であり、T細胞の活性化(特に、CD28依存性T細胞応答)を負に調節するように作用する。CTLA4は、CD80(B7-1)及びCD86(B7-2)などのCD28と共通のリガンドへの結合に対して競合し、CD28よりも高い親和性でこれらのリガンドに結合する。CTLA4活性の遮断は(例えば、抗CTLA4抗体を使用して)、CD28媒介性共刺激(T細胞の活性化/プライミングの増加につながる)を増強し、T細胞の発生に影響し、かつ/又はTreg(例えば、腫瘍内Treg)を枯渇させると考えられている。いくつかの実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。いくつかの実施形態では、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(IBI310、BMS-734016、MDX010、MDX-CTLA4、MEDI4736)、トレメリムマブ(CP-675、CP-675、206)、APL-509、AGEN1884、CS1002、AGEN1181、アバタセプト(Orencia、BMS-188667、RG2077)、BCD-145、ONC-392、ADU-1604、REGN4659、ADG116、KN044、KN046、又はその誘導体を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体又は抗体断片は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI 754091、BGB-108、BGB-A317、JS-001、STI-A1110、INCSHR-1210、PF-06801591、TSR-042、AM0001、ENUM244C8、又はENUM388D4である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1イムノアドヘシンである。いくつかの実施形態では、抗PD-1イムノアドヘシンは、AMP-224である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体又は抗体断片は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、LY3300054、STI-A1014、KN035、FAZ053、又はCX-072である。
【0241】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3阻害剤(例えば、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片)を含む。いくつかの実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素を含む。いくつかの実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子を含む。いくつかの実施形態では、LAG-3阻害剤は、LAG-3結合剤を含む。いくつかの実施形態では、LAG-3阻害剤は、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、LAG-3阻害剤は、エフチラギモドα(IMP321、IMP-321、EDDP-202、EOC-202)、レラトリマブ(BMS-986016)、GSK2831781(IMP-731)、LAG525(IMP701)、TSR-033、EVIP321(可溶性LAG-3タンパク質)、BI754111、IMP761、REGN3767、MK-4280、MGD-013、XmAb22841、INCAGN-2385、ENUM-006、AVA-017、AM-0003、iOnctura抗LAG-3抗体、Arcus Biosciences LAG-3抗体、Sym022、その誘導体、又は前述のいずれかと競合する抗体を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、免疫調節分子又はサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、免疫調節分子又はサイトカインを個体に投与することを含む。免疫調節プロファイルは、効率的な免疫応答を誘発し、対象の免疫のバランスをとるために必要である。好適な免疫調節サイトカインの例としては、インターフェロン(例えば、IFNα、IFNβ、及びIFNγ)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、及びIL-20)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα及びTNFβ)、エリスロポエチン(EPO)、FLT-3リガンド、gIp10、TCA-3、MCP-1、MIF、MIP-1α、MIP-1β、Rantes、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、並びにそれらの機能的断片が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ケモカイン受容体、すなわち、CXC、CC、C、又はCX3Cケモカイン受容体に結合する任意の免疫調節性ケモカインを、本開示との関連で使用することができる。ケモカインの例としては、限定されないが、MIP-3α(Lax)、MIP-3β、Hcc-1、MPIF-1、MPIF-2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、エオタキシン、Tarc、Elc、I309、IL-8、GCP-2 Groα、Gro-β、Nap-2、Ena-78、Ip-10、MIG、I-Tac、SDF-1、又はBCA-1(Blc)、並びにそれらの機能的断片が挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫調節分子は、本明細書に提供される治療のいずれかに含まれる。
【0243】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、一価及び/又は単一特異性である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、多価及び/又は多特異性である。
【0244】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、dsRNA、siRNA、又はshRNAなどの核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、dsRNA、siRNA、又はshRNAなどの核酸分子を個体に投与することを含む。当該技術分野で既知であるように、二本鎖構造を有するdsRNAは、RNA干渉(RNAi)を誘導するときに効果的である。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、低分子干渉RNA分子(siRNA)を含む。dsRNA及びsiRNAを使用して、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)における遺伝子発現をサイレンシングすることができる。いくつかの実施形態では、本開示のdsRNAは、約5~約10個の塩基対、約10~約12個の塩基対、約12~約15個の塩基対、約15~約20個の塩基対、約20~23個の塩基対、約23~約25個の塩基対、約25~約27個の塩基対、又は約27~約30個の塩基対のうちのいずれかを含む。当該技術分野で既知であるように、siRNAは、任意選択でオーバーハングを含む低分子dsRNAである。いくつかの実施形態では、siRNAの二本鎖領域は、約18~25個のヌクレオチド、例えば、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のヌクレオチドのうちのいずれかである。siRNAはまた、短ヘアピンRNA(shRNA)、例えば、およそ29塩基対のステムと、2-ヌクレオチドの3’オーバーハングとを有するものである。dsRNA、siRNA、又はshRNAを設計し、最適化し、産生し、使用するための方法は、当該技術分野で既知である。
【0245】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、化学療法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、化学療法を個体に施すことを含む。化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパ及びシクロホスファミド)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン)、アジリジン(例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ)、エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含む)、アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン)、カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065(アドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む)、エリュテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンジスタチン、ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタード)、ニトロソウレア(カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン)、抗生物質(例えば、エンジイン抗生物質(カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマll及びカリケアマイシンオメガllなど)、ダイネミシン(例えば、ダイネミシンAを含む)、ビスホスホネート(例えば、クロドロネート)、エスペラミシン、並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン))、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU))、葉酸類似体(例えば、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサート)、プリン類似体(例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン)、ピリミジン類似体(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジン)、アンドロゲン(例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトン)、抗副腎剤(例えば、ミトタン及びトリロスタン)、葉酸補充剤(例えば、葉酸)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキサート、デフォアミン、デメコルシン、ジアジコン、エルホルミチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダイニン、マイタンシノイド(例えば、マイタンシン及びアンサマイトシン)、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK多糖複合体、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン)、ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(例えば、CPT-l l)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイド(例えば、レチノイン酸)、カペシタビン、カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0246】
本開示の抗がん療法と組み合わせることができる化学療法薬のいくつかの非限定的な例は、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol、Platinol-AQ)、シクロホスファミド(Cytoxan、Neosar)、ドセタキセル(Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、エルロチニブ(Tarceva)、エトポシド(VePesid)、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン(Gemzar)、メシル酸イマチニブ(Gleevec)、イリノテカン(Camptosar)、メトトレキサート(Folex、Mexate、Amethopterin)、パクリタキセル(Taxol、Abraxane)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、トポテカン(Hycamtin)、ビンクリスチン(Oncovin、Vincasar PFS)、及びビンブラスチン(Velban)である。
【0247】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。キナーゼ阻害剤の例としては、1つ以上の受容体チロシンキナーゼ、例えば、BCR-ABL、B-Raf、EGFR、HER-2/ErbB2、IGF-IR、PDGFR-a、PDGFR-β、cKit、Flt-4、Flt3、FGFR1、FGFR3、FGFR4、CSF1R、c-Met、RON、c-Ret、若しくはALKを標的とするもの、1つ以上の細胞質チロシンキナーゼ、例えば、c-SRC、c-YES、Abl、若しくはJAK-2を標的とするもの、1つ以上のセリン/スレオニンキナーゼ、例えば、ATM、Aurora A及びB、CDK、mTOR、PKCi、PLK、b-Raf、S6K、若しくはSTK11/LKB1を標的とするもの、又は1つ以上の脂質キナーゼ、例えば、PI3K若しくはSKIを標的とするものが挙げられる。小分子キナーゼ阻害剤には、PHA-739358、ニロチニブ、ダサチニブ、PD166326、NSC743411、ラパチニブ(GW-572016)、カネルチニブ(CI-1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、スーテント(SU1 1248)、ソラフェニブ(BAY43-9006)、又はレフルノミド(SU101)が含まれる。チロシンキナーゼ阻害剤の追加の非限定的な例としては、イマチニブ(Gleevec/Glivec)及びゲフィチニブ(Iressa)が挙げられる。
【0248】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、抗血管新生剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗血管新生剤を個体に投与することを含む。血管新生阻害剤は、腫瘍が生存するために必要な血管の広範な増殖(血管新生)を防ぐ。本開示の方法で使用され得る血管新生媒介分子又は血管新生阻害剤の非限定的な例としては、可溶性VEGF(例えば、VEGFアイソフォーム(例えば、VEGF121及びVEGF165)、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2)、及び共受容体(例えば、ニューロピリン-1及びニューロピリン-2))、NRP-1、アンジオポエチン2、TSP-1及びTSP-2、アンジオスタチン及び関連分子、エンドスタチン、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子-4、TIMP及びCDAI、Meth-1及びMeth-2、IFNα、IFN-β及びIFN-γ、CXCL10、IL-4、IL-12、及びIL-18、プロトロンビン(クリングルドメイン-2)、アンチトロンビンIII断片、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、レスチン、及び薬物(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、CM101、IFN-a、血小板因子-4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド、及びヘパリン)、軟骨由来血管新生抑制因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチナνβ3阻害剤、リノミド、又はタスキニモドが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る既知の治療薬候補には、天然に存在する血管新生阻害剤が含まれ、天然に存在する血管新生阻害剤には、限定されないが、アンジオスタチン、エンドスタチン、又は血小板因子-4が含まれる。別の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る治療薬候補には、限定されない、TNP-470、サリドマイド、及びインターロイキン-12などの内皮細胞の増殖の特異的阻害剤が含まれる。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生剤としては、限定されないが、血管新生分子を中和するものが挙げられ、線維芽細胞増殖因子に対する抗体、血管内皮増殖因子に対する抗体、血小板由来増殖因子に対する抗体、あるいはEGF、VEGF、若しくはPDGFの受容体の抗体又は他のタイプの阻害剤が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤には、限定されないが、スラミン及びその類似体、並びにテコガランが含まれる。他の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤としては、限定されないが、血管新生因子の受容体を中和する薬剤、又は血管基底膜及び細胞外マトリックスを妨害する薬剤が挙げられ、限定されないが、メタロプロテアーゼ阻害剤及び血管新生抑制ステロイドが含まれる。本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物の別の群には、限定されないが、インテグリンαvβ3に対する抗体などの抗接着分子が含まれる。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生化合物又は組成物には、キナーゼ阻害剤、サリドマイド、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、IFN-α、IL-12、SU5416、トロンボスポンジン、軟骨由来血管新生抑制因子、2-メトキシエストラジオール、テトラチオモリブデート、トロンボスポンジン、プロラクチン、及びリノミドが含まれる。1つの特定の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物は、Avastin(登録商標)/ベバシズマブ(Genentech)などのVEGFに対する抗体である。
【0249】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、抗DNA修復療法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗DNA修復療法を個体に施すことを含む。いくつかの実施形態では、抗DNA修復療法は、PARP阻害剤(例えば、タラゾパリブ、ルカパリブ、オラパリブ)、RAD51阻害剤(例えば、RI-1)、又はDNA損傷応答キナーゼの阻害剤(例えば、CHCK1(例えば、AZD7762)、ATM(例えば、KU-55933、KU-60019、NU7026、若しくはVE-821)、及びATR(例えば、NU7026))である。
【0250】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、放射線増感剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、放射線増感剤を方法は、個体に投与することを含む。例示的な放射線増感剤には、低酸素放射線増感剤(例えば、ミソニダゾール、メトロニダゾール)、及び低酸素腫瘍組織への酸素の拡散を増加させるのに役立つ化合物であるトランス-クロセチン酸ナトリウムが含まれる。放射線増感剤はまた、相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)及び直接修復機構を含む、塩基除去修復(BER)、ヌクレオチド除去修復(NER)、ミスマッチ修復(MMR)を妨害するDNA損傷応答阻害剤であり得る。一本鎖切断(SSB)修復機序には、BER、NER、又はMMR経路が含まれるが、二本鎖切断(DSB)修復機序は、HR及びNHEJ経路で構成される。放射線は、修復されなければ致命的なDNA切断を引き起こす。SSBは、インタクトのDNA鎖をテンプレートとして使用して、BER、NER、及びMMR機序の組み合わせを介して修復される。SSB修復の主な経路はBERであり、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)と呼ばれる関連酵素のファミリーを利用する。したがって、放射線増感剤は、PARP阻害剤などのDNA損傷応答阻害剤を含むことができる。
【0251】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、抗炎症剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗炎症剤を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、炎症又は炎症性シグナル伝達経路からのシグナル伝達を遮断、阻害、又は低減する薬剤である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、以下のいずれかの1つ以上の活性を阻害又は低減する:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、インターフェロン(IFN)、例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ、IFN-γ誘導因子(IGIF)、形質転換増殖因子-β(TGF-β)、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF-α、TNF-β、TNF-RI、TNF-RII)、CD23、CD30、CD40L、EGF、G-CSF、GDNF、PDGF-BB、RANTES/CCL5、IKK、NF-κB、TLR2、TLR3、TLR4、TL5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR8、TLR9、及び/又はそれらの同族受容体。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、IL-1又はIL-1受容体アンタゴニスト、例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))、リロナセプト、若しくはカナキヌマブである。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、IL-6又はIL-6受容体アンタゴニスト、例えば、抗IL-6抗体又は抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、サリルマブ、シルクマブ、シルツキシマブ、又はALX-0061など)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、TNF-αアンタゴニスト、例えば、抗TNFα抗体(インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))、又はエタネルセプトなど)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドの例としては、限定されないが、コルチゾン(ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、Ala-Cort(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルトンリン酸塩Lanacort(登録商標)、Solu-Cortef(登録商標))、デカドロン(デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸塩、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、Dexasone(登録商標)、Diodex(登録商標)、Hexadrol(登録商標)、Maxidex(登録商標))、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸塩、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)、Solu-Medrol(登録商標))、プレドニゾロン(Delta-Cortef(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、Pediapred(登録商標)、Prezone(登録商標))、及びプレドニゾン(Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Meticorten(登録商標)、Orasone(登録商標))、及びビスホスホネート(例えば、パミドロネート(Aredia(登録商標))、及びゾレドロン酸(Zometac(登録商標)))が挙げられる。
【0252】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、抗ホルモン剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗ホルモン剤を個体に投与することを含む。抗ホルモン剤は、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する薬剤である。抗ホルモン剤の例としては、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)が挙げられ、これらには、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)、トレミフェン、アロマターゼ阻害剤(副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害する)(例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGACE(登録商標)メゲストロール酢酸塩、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール))、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリン)、トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド(特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子(例えば、PKC-α、Raf、H-Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF-R)など)の発現を阻害するオリゴヌクレオチド)、遺伝子療法ワクチンなどのワクチン(例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン)、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤、ABARELIX(登録商標)rmRH、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が含まれる。
【0253】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、代謝拮抗化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、代謝拮抗化学療法剤を個体に投与することを含む。代謝拮抗化学療法剤は、代謝産物に構造的に類似しているが、体内で生産的に使用することができない薬剤である。多くの代謝拮抗化学療法剤は、RNA又はDNAの生成を妨げる。代謝拮抗化学療法剤の例としては、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(商標))、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、6-チオグアニン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アラビノシルシトシン、ARA-C、シタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-DOMED)、アゾシトシン、デオキシシトシン、ピリドミデン、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、クラドラビン、及び2-デオキシ-D-グルコースが挙げられる。いくつかの実施形態では、代謝拮抗化学療法剤は、ゲムシタビンである。ゲムシタビン塩酸塩は、Eli Lillyから商標GEMZAR(登録商標)で販売されている。
【0254】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、白金ベースの化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、白金ベースの化学療法剤を個体に投与することを含む。白金ベースの化学療法剤は、分子の不可欠な部分として白金を含有する有機化合物を含む化学療法剤である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、白金剤である。いくつかのこうした実施形態では、白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、又はサトラプラチンから選択される。
【0255】
いくつかの態様では、本明細書で提供される抗がん療法と、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と、を含む、治療用製剤が本明細書で提供される。本明細書で提供される製剤は、1つより多い活性化合物、例えば、本明細書で提供される抗がん療法及び1つ以上の追加の薬剤(例えば、抗がん剤)を含んでもよい。
【0256】
許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投薬量及び濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、又は他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤、例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、又はm-クレゾール;低分子量ポリペプチド(例えば、約10個未満の残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む、単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤;又はポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)のうちの1つ以上を含む。
【0257】
活性成分は、マイクロカプセルに包まれていてもよい。こうしたマイクロカプセルは、例えば、コアセルベーション技法によって、又は例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル、及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの界面重合によって;コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)で;又はマクロエマルションで、調製されてもよい。こうした技法は、当該技術分野で既知である。
【0258】
持続放出組成物を調製してもよい。持続放出組成物の好適な例としては、本開示の抗がん療法を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。こうしたマトリックスは、成形された物品、例えば、膜、又はマイクロカプセルの形態であってもよい。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射可能な微小球)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0259】
本明細書で提供される製剤はまた、1つより多い活性化合物、例えば、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含んでもよい。こうした医薬のタイプ及び有効量は、例えば、製剤中に存在する活性化合物の量及びタイプ、並びに対象の臨床パラメータに依存する。
【0260】
製剤に関する一般的な情報については、例えば、Gilman et al.(eds.)The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press,1990、A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.,Pennsylvania,1990、Avis et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York,1993、Lieberman et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York,1990、Lieberman et al.(eds.),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York,1990、及びWalters(ed.)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences),Vol 1 19,Marcel Dekker,2002を参照されたい。
【0261】
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌である。このことは、滅菌濾過膜による濾過、又は当該技術分野で既知の他の方法によって容易に達成される。
【0262】
いくつかの実施形態では、抗がん療法は、単剤療法として投与される。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、1つ以上の追加の抗がん療法又は治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の抗がん療法又は治療は、本明細書に記載の1つ以上の抗がん療法を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、本明細書で提供される抗がん療法のうちのいずれかの任意の組み合わせの投与を含む。いくつかの実施形態では、追加の抗がん療法は、手術、放射線療法、化学療法、抗血管新生療法、抗DNA修復療法、及び抗炎症療法のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、追加の抗がん療法は、抗新生物剤、化学療法剤、成長阻害剤、抗血管新生療法、放射線療法、細胞傷害性剤、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、化学療法又は化学療法剤と組み合わせて投与されてもおい。いくつかの実施形態では、化学療法又は化学療法剤は、白金ベースの薬剤(限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びスタラプラチンを含む)である。いくつかの実施形態では、抗がん療法は、放射線療法と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のうちのいずれかにおいて使用するための抗がん療法(例えば、単剤療法として、又は別の療法若しくは治療と組み合わせて)は、参照により本明細書に組み込まれるPietrantonio et al.,J Natl Cancer Inst(2017)109(12)及び/又はWang et al.,Cancers(2020)12(2):426によって記載されている抗がん療法又は治療である。
【0263】
キット
本明細書に記載の方法のうちのいずれか1つに従って核酸の配列決定分析及び/又は抽出を改善するためのキットも、本明細書に提供される。
【0264】
いくつかの実施形態では、本キットには、本開示の方法を行うための試薬及び説明書が含まれる。
【0265】
本開示のバイオマーカー核酸分子を、例えば、本明細書に記載のように、包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNA試料中で検出するためのキットも、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるキットには、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、又はベイト)が含まれる。いくつかの実施形態では、キットには、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の野生型対応物を検出するための試薬(例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ又はベイト)が含まれる。いくつかの実施形態では、試薬には、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子又は本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の野生型対応物にハイブリダイズすることができる、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、又はベイトが含まれる。いくつかの実施形態では、試薬には、本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子を本明細書に提供されるバイオマーカー核酸分子の野生型対応物と区別することができる、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、又はベイトが含まれる。いくつかの実施形態では、キットは、配列決定、PCR、インサイチュハイブリダイゼーション方法、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、PCR-RFLPアッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、FISH、スペクトル核型分析、MFISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、HPLC、及び質量分析遺伝子型決定などの当該技術分野で既知の又は本明細書に記載のバイオマーカー核酸分子を検出する任意の方法に従って使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるキットには、例えば、本開示の1つ以上のオリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、又はベイトを使用して、本開示のバイオマーカー核酸分子を検出するための説明書が更に含まれる。
【0266】
例示的な実施形態
以下の例示的な実施形態は、本発明のいくつかの態様を代表するものである。
【0267】
実施形態1.RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法。
【0268】
実施形態2.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態1に記載の方法。
【0269】
実施形態3.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態1に記載の方法。
【0270】
実施形態4.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される、実施形態1に記載の方法。
【0271】
実施形態5.RNA及び/又はDNA中の改変が、a)コピー数改変、b)点変異、c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、d)遺伝子内欠失、e)遺伝子内挿入、f)遺伝子全体の欠失、g)逆位、h)染色体間転座、i)縦列重複、j)遺伝子融合、k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はl)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0272】
実施形態6.RNA及び/又はDNA中の改変が、コピー数改変である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
実施形態7.RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【0274】
実施形態8.RNA及び/又はDNAの抽出が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態7に記載の方法。
【0275】
実施形態9.RNA及び/又はDNAの抽出が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態7に記載の方法。
【0276】
実施形態10.核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法。
【0277】
実施形態11.配列決定ライブラリの調製が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態10に記載の方法。
【0278】
実施形態12.配列決定ライブラリの調製が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態10に記載の方法。
【0279】
実施形態13.パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法。
【0280】
実施形態14.RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、実施形態13に記載の方法。
【0281】
実施形態15.RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する、実施形態13に記載の方法。
【0282】
実施形態16.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン中で相転移を誘導し、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【0283】
実施形態17.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態16に記載の方法。
【0284】
実施形態18.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態16に記載の方法。
【0285】
実施形態19.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
実施形態20.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる、実施形態16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
実施形態21.フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、実施形態19又は実施形態20に記載の方法。
【0288】
実施形態22.ステップb)が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
実施形態23.相転移が溶融である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
実施形態24.ステップb)が、パラフィン包埋試料を加熱し、遠心分離させることを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
実施形態25.パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する、実施形態24に記載の方法。
【0292】
実施形態26.パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、実施形態24又は実施形態25に記載の方法。
【0293】
実施形態27.ステップb)が、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0294】
実施形態28.パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、実施形態27に記載の方法。
【0295】
実施形態29.パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、実施形態27又は実施形態28に記載の方法。
【0296】
実施形態30.パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、実施形態27~29のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
実施形態31.パラフィン包埋試料を、1600~2000rcfで遠心分離させる、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
実施形態32.パラフィン包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する、実施形態31に記載の方法。
【0299】
実施形態33.パラフィン包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、実施形態31又は実施形態32に記載の方法。
【0300】
実施形態34.パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
実施形態35.パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
実施形態36.パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、実施形態31~35のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
実施形態37.パラフィン包埋試料を、約50℃~約80℃に加熱する、実施形態24又は27~31のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
実施形態38.RNA及び/又はDNA中の改変を検出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを分析して、RNA及び/又はDNA中の改変を検出することと、を含む、方法。
【0305】
実施形態39.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態38に記載の方法。
【0306】
実施形態40.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態38に記載の方法。
【0307】
実施形態41.RNA及び/又はDNA中の改変の検出が、パラフィン包埋試料を脱パラフィンしない方法と比べて改善される、実施形態38に記載の方法。
【0308】
実施形態42.RNA及び/又はDNA中の改変が、a)コピー数改変、b)点変異、c)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、d)遺伝子内欠失、e)遺伝子内挿入、f)遺伝子全体の欠失、g)逆位、h)染色体間転座、i)縦列重複、j)遺伝子融合、k)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はl)遺伝子増幅若しくは重複からなる群から選択される、実施形態38~41のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
実施形態43.RNA及び/又はDNA中の改変が、コピー数改変である、実施形態38~42のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
実施形態44.RNA及び/又はDNAを抽出する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【0311】
実施形態45.RNA及び/又はDNAの抽出が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態44に記載の方法。
【0312】
実施形態46.RNA及び/又はDNAの抽出が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態44に記載の方法。
【0313】
実施形態47.核酸配列決定のためのライブラリ構築を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することと、を含む、方法。
【0314】
実施形態48.配列決定ライブラリの調製が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態47に記載の方法。
【0315】
実施形態49.配列決定ライブラリの調製が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態47に記載の方法。
【0316】
実施形態50.パラフィン包埋試料から抽出したRNA又はDNA試料中のパラフィンのレベルを低減させる方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、d)抽出したRNA及び/又はDNAを精製して、RNA及び/又はDNA試料を提供することと、を含む、方法。
【0317】
実施形態51.RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、実施形態50に記載の方法。
【0318】
実施形態52.RNA及び/又はDNA試料中のパラフィンのレベルが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて低減する、実施形態50に記載の方法。
【0319】
実施形態53.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離を改善する方法であって、a)パラフィン包埋試料を提供することと、b)パラフィンをパラフィン包埋試料から除去することにより、脱パラフィンした試料を生成することであって、パラフィン包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィンを試料から分離させることにより、パラフィンを除去する、生成することと、c)RNA及び/又はDNAを脱パラフィンした試料から抽出することと、を含む、方法。
【0320】
実施形態54.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態53に記載の方法。
【0321】
実施形態55.パラフィン包埋試料からのパラフィンの分離が、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて改善される、実施形態53に記載の方法。
【0322】
実施形態56.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンを混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
実施形態57.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善されたパラフィンの分離により、フィルタの詰まりが、パラフィンをパラフィン包埋試料から切り離すことによりパラフィンを除去する方法と比べて少なくなる、実施形態53~56のいずれか1つに記載の方法。
【0324】
実施形態58.フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、実施形態56又は実施形態57に記載の方法。
【0325】
実施形態59.ステップb)が、パラフィンを混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、実施形態38~57のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
実施形態60.不混和性溶媒が鉱油である、実施形態38~59のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
実施形態61.パラフィン包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる、実施形態60に記載の方法。
【0328】
実施形態62.パラフィン包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油とパラフィン包埋試料との比で接触させる、実施形態60又は実施形態61に記載の方法。
【0329】
実施形態63.ステップb)が、パラフィン包埋試料を、鉱油中、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートすることを含む、実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0330】
実施形態64.鉱油が、パラフィン包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する、実施形態60~63のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
実施形態65.鉱油が、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、パラフィン包埋試料に接触する、実施形態60~64のいずれか1つに記載の方法。
【0332】
実施形態66.ステップb)が、試料を不混和性溶媒と接触させ、パラフィン包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、実施形態38~65のいずれか1つに記載の方法。
【0333】
実施形態67.パラフィン包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、実施形態66に記載の方法。
【0334】
実施形態68.パラフィン包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、実施形態66又は実施形態67に記載の方法。
【0335】
実施形態69.パラフィン包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、実施形態66~68のいずれか1つに記載の方法。
【0336】
実施形態70.試料からのパラフィンの分離が自動である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0337】
実施形態71.ステップb)が自動である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0338】
実施形態72.方法が自動である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0339】
実施形態73.2つ以上のパラフィン包埋試料を並行して処理する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0340】
実施形態74.12、24、48、又は96個のパラフィン包埋試料を並行して処理する、実施形態73に記載の方法。
【0341】
実施形態75.液体取扱ロボットを使用して行う、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0342】
実施形態76.液体取扱ロボットが、Agilent、BioTek、Hamilton、Tecan、又はThermoFisher Scientificの液体取扱ロボットであり、任意選択で、液体取扱ロボットが、Hamilton AutoLys STAR、Hamilton STAR、BioTek Dispenser、又はKingFisher Flexである、実施形態75に記載の方法。
【0343】
実施形態77.液体取扱ロボットが、Hamilton AutoLys STARである、実施形態75又は76に記載の方法。
【0344】
実施形態78.ステップc)が、RNA及びDNAを脱パラフィンした試料から抽出することを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
実施形態79.ステップa)が、i)パラフィン包埋組織中の目的の腫瘍細胞を含む標的領域を特定することと、ii)パラフィン包埋試料をパラフィン包埋組織から抽出することと、iii)パラフィン包埋組織中のパラフィン包埋試料の場所を特定することと、iv)パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合う場合、RNA及び/又はDNAを試料から抽出するか、又はステップbに進むことと、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0346】
実施形態80.パラフィン包埋試料の場所が目的の腫瘍細胞を含む標的領域と重なり合わない場合、ステップii)及びiii)を繰り返す、実施形態79に記載の方法。
【0347】
実施形態81.ステップii)が、針を使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む、実施形態79又は実施形態80に記載の方法。
【0348】
実施形態82.針でパラフィン包埋組織を通して穿刺することにより、パラフィン包埋試料を抽出する、実施形態81に記載の方法。
【0349】
実施形態83.針が使い捨て針である、実施形態81又は実施形態82に記載の方法。
【0350】
実施形態84.針が、13ゲージ針、14ゲージ針、15ゲージ針、16ゲージ針、17ゲージ針、18ゲージ針、19ゲージ針、20ゲージ針、又は21ゲージ針である、実施形態81~83のいずれか1つに記載の方法。
【0351】
実施形態85.パラフィン包埋組織から抽出したパラフィン包埋試料が、直径約0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、又は2.3mmである、実施形態79~84のいずれか1つに記載の方法。
【0352】
実施形態86.ステップii)が、レーザーマイクロダイセクション(LMD)又はレーザーブレードを使用してパラフィン包埋試料を抽出することを含む、実施形態79又は実施形態80に記載の方法。
【0353】
実施形態87.ステップiii)が、パラフィン包埋組織の切片のスライドを調製することを含む、実施形態79~86のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
実施形態88.パラフィン包埋組織の切片を染色する、実施形態87に記載の方法。
【0355】
実施形態89.パラフィン包埋組織の切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色する、実施形態87又は実施形態88に記載の方法。
【0356】
実施形態90.ステップiii)を目視検査により行う、実施形態79~89のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
実施形態91.ステップiii)をコンピュータシステムにより行う、実施形態79~89のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
実施形態92.ステップiii)を、画像分析システムを使用して行う、実施形態79~89のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
実施形態93.パラフィン包埋試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0360】
実施形態94.パラフィン包埋試料が、生検、任意選択で腫瘍生検に由来する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
実施形態95.パラフィン包埋試料が固定パラフィン包埋試料である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
実施形態96.固定パラフィン包埋試料が、ホルマリン固定試料、エタノール固定試料、及びメタノール固定試料からなる群から選択される、実施形態95に記載の方法。
【0363】
実施形態97.パラフィン包埋試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から得られる、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0364】
実施形態98.パラフィン包埋試料が、凍結保存組織から得られる、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0365】
実施形態99.パラフィン包埋試料が、新鮮凍結組織から得られる、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0366】
実施形態100.新鮮凍結組織が、最適切断温度(OCT)の化合物中で凍結する、実施形態99に記載の方法。
【0367】
実施形態101.DNAを抽出する前に、RNAを抽出する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0368】
実施形態102.パラフィン包埋試料をステップb)の前に消化させることを更に含む、実施形態101に記載の方法。
【0369】
実施形態103.プロテイナーゼを使用して、パラフィン包埋試料を消化させる、実施形態102に記載の方法。
【0370】
実施形態104.プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、実施形態103に記載の方法。
【0371】
実施形態105.約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、パラフィン包埋試料を消化させる、実施形態104に記載の方法。
【0372】
実施形態106.パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、又は約62℃でインキュベートする、実施形態103~105のいずれか1つに記載の方法。
【0373】
実施形態107.パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間インキュベートする、実施形態103~106のいずれか1つに記載の方法。
【0374】
実施形態108.パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする、実施形態103~107のいずれか1つに記載の方法。
【0375】
実施形態109.パラフィン包埋試料を部分的に消化させる又は完全に消化させる、実施形態102~108のいずれか1つに記載の方法。
【0376】
実施形態110.消化させた試料をステップb)の後に脱架橋することを更に含む、実施形態102~109のいずれか1つに記載の方法。
【0377】
実施形態111.脱架橋することが、消化させた試料を80~90℃に加熱することを含む、実施形態110に記載の方法。
【0378】
実施形態112.消化させた試料を、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分間加熱する、実施形態111に記載の方法。
【0379】
実施形態113.ステップc)が、RNAを含む試料溶解物を、消化させたパラフィン包埋試料から収集し、RNAを、RNAを含む試料溶解物から精製することを含む、実施形態102~112のいずれか1つに記載の方法。
【0380】
実施形態114.消化させたパラフィン包埋試料を完全に消化させることを更に含む、実施形態113に記載の方法。
【0381】
実施形態115.完全な消化を、プロテイナーゼを使用して行う、実施形態114に記載の方法。
【0382】
実施形態116.プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、実施形態115に記載の方法。
【0383】
実施形態117.約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、消化させたパラフィン包埋試料を消化させる、実施形態116に記載の方法。
【0384】
実施形態118.消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする、実施形態114~117のいずれか1つに記載の方法。
【0385】
実施形態119.消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする、実施形態114~118のいずれか1つに記載の方法。
【0386】
実施形態120.消化させたパラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpm、1100rpm、1200rpm、1300rpm、1400rpm、又は1500rpmで振盪しながらインキュベートする、実施形態114~119のいずれか1つに記載の方法。
【0387】
実施形態121.DNAを含む試料溶解物を、完全に消化させたパラフィン包埋試料から収集することを更に含む、実施形態114~120のいずれか1つに記載の方法。
【0388】
実施形態122.DNAを含む試料溶解物からDNAを精製することを更に含む、実施形態114~121のいずれか1つに記載の方法。
【0389】
実施形態123.RNAを抽出する前に、DNAを抽出する、実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
実施形態124.パラフィン包埋試料をステップb)の後に完全に消化させることを更に含む、実施形態123に記載の方法。
【0391】
実施形態125.完全な消化を、プロテイナーゼを使用して行う、実施形態124に記載の方法。
【0392】
実施形態126.プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、実施形態125に記載の方法。
【0393】
実施形態127.約10μL、約15μL、約20μL、約25μL、約30μL、又は約35μLの20mg/mLプロテイナーゼKを使用して、パラフィン包埋試料を消化させる、実施形態126に記載の方法。
【0394】
実施形態128.パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃でインキュベートする、実施形態125~127のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
実施形態129.パラフィン包埋試料を、プロテイナーゼとともに、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、又は約22時間インキュベートする、実施形態125~128のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
実施形態130.DNAを完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む、実施形態124~129のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
実施形態131.RNAを完全に消化させたパラフィン包埋試料から抽出することを更に含む、実施形態130に記載の方法。
【0398】
実施形態132.パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量を測定することを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0399】
実施形態133.パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAの量が、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約60ng、約70ng、約80ng、約100ng、約50μg、又は約50mgである、実施形態132に記載の方法。
【0400】
実施形態134.パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0401】
実施形態135.パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを次世代配列決定により分析することを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0402】
実施形態136.e)任意選択で、1つ以上のアダプターを、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAにライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、d)任意選択で、核酸を、ライゲーションした核酸から増幅することと、f)任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することと、g)配列決定装置によって、複数の核酸を配列決定して、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、h)複数の配列リードを分析することと、i)分析に基づいて、目的の遺伝子中の1つ以上の変異を検出することと、を更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0403】
実施形態137.1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を、ベイト分子とのハイブリダイゼーションにより、増幅した核酸から捕捉する、実施形態136に記載の方法。
【0404】
実施形態138.1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を、増幅した核酸から富化し、任意選択で、1つ以上の目的の遺伝子に対応する複数の核酸を、ビオチン/ストレプトアビジンタグ付けにより、増幅した核酸から富化する、実施形態136に記載の方法。
【0405】
実施形態139.ステップe)の前に、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを断片化し、任意選択で、パラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、超音波処理により断片化する、実施形態136~138のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
実施形態140.断片化したパラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAを末端修復する、実施形態139に記載の方法。
【0407】
実施形態141.末端修復し断片化した、試料から抽出したRNA及び/又はDNAが、dAテール状又はdTテール状である、実施形態140に記載の方法。
【0408】
実施形態142.パラフィン包埋試料から抽出したDNAを分析して、i)点変異、ii)1つ以上のコドンのインフレーム欠失、iii)遺伝子内欠失、iv)遺伝子内挿入、v)遺伝子全体の欠失、vi)逆位、vii)染色体間転座、viii)縦列重複、ix)遺伝子融合、x)イントロン配列を含むゲノム再編成、及び/又はxi)遺伝子増幅若しくは重複、からなる群から選択される体細胞変異を検出することを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
実施形態143.体細胞変異が、遺伝子中にあり、遺伝子が、ABL1、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、APC、AR、BRAF、CCND1、CDK4、CDKN2A、CEBPA、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FLT3、HRAS、JAK2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLL、MYC、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PIK3CG、PIK3R1、PTCH1、PTCH2、PTEN、RB1、RET、SMO、STK11、SUFU、又はTP53である、実施形態142に記載の方法。
【0410】
実施形態144.体細胞変異が、遺伝子中にあり、遺伝子が、ABL2、ARAF、ARFRP1、ARID1A、ATM、ATR、AURKA、AURKB、BAP1、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL6、BRCA1、BRCA2、CBL、CARD11、CBL、CCND2、CCND3、CCNE1、CD79A、CD79B、CDH1、CDH2、CDH20、CDH5、CDK6、CDK8、CDKN2B、CDKN2C、CHEK1、CHEK2、CRKL、CRLF2、DNMT3A、DOT1L、EPHA3、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHB1、EPHB4、EPHB6、ERBB3、ERBB4、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EZH2、FANCA、FBXW7、FGFR4、FLT1、FLT4、FOXP4、GATA1、GNA11、GNAQ、GNAS、GPR124、GUCY1A2、HOXA3、HSP90AA1、IDH1、IDH2、IGF1R、IGF2R、IKBKE、IKZF1、INHBA、IRS2、JAK1、JAK3、JUN、KDM6A、KDR、LRP1B、LRP6、LTK、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MEN1、MITF、MLH1、MPL、MRE11A、MSH2、MSH6、MTOR、MUTYH、MYCL1、MYCN、NF2、NKX2-1、NTRK1、NTRK2、PAK3、PAX5、PDGFRB、PKHD1、PLCG1、PRKDC、PTPN11、PTPRD、RAF1、RARA、RICTOR、RPTOR、RUNX1、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SOX10、SOX2、SRC、TBX22、TET2、TGFBR2、TMPRSS2、TNFAIP3、TNK、TNKS2、TOP1、TSC1、TSC2、USP9X、VHL、又はWT1である、実施形態142に記載の方法。
【0411】
実施形態145.パラフィン包埋試料から抽出したRNAを分析して、i)遺伝子融合、ii)エクソンスキッピング事象、iii)スプライスバリアント、及び/又はiv)改変された遺伝子発現、からなる群から選択される改変を検出することを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0412】
実施形態146.パラフィン包埋試料中の1つ以上の目的の遺伝子のヘテロ接合性消失(LOH)の検出を更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0413】
実施形態147.パラフィン包埋試料中のST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、及び/又はGATA5のLOHを検出することを更に含む、実施形態146に記載の方法。
【0414】
実施形態148.パラフィン包埋試料中のヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHを検出することを更に含む、実施形態146に記載の方法。
【0415】
実施形態149.1つ以上のアダプターをパラフィン包埋試料から抽出したRNA及び/又はDNAのうちの1つ以上にライゲーションすることで、ライゲーションした核酸を生成することと、ライゲーションした核酸を増幅することと、増幅した核酸からHLA遺伝子に対応する複数の核酸を、ベイト分子を使用して捕捉することと、捕捉した核酸を配列決定して、HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、モデルに基づいて、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を更に含む、実施形態148に記載の方法。
【0416】
実施形態150.HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向が、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと決定することと、によって検出される、実施形態149に記載の方法。
【0417】
実施形態151.パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の有効量の治療を個体に投与することを更に含む、実施形態149又は実施形態150に記載の方法。
【0418】
実施形態152.HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む、実施形態149又は150に記載の方法。
【0419】
実施形態153.パラフィン包埋試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を得ることを更に含む、実施形態149又は実施形態150に記載の方法。
【0420】
実施形態154.パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を個体に投与することを更に含む、実施形態153に記載の方法。
【0421】
実施形態155.パラフィン包埋試料が、がんを有することが分かっている又はがんを有することが疑われる個体に由来し、HLA遺伝子のLOH及び高いTMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を個体に推奨することを更に含む、実施形態153に記載の方法。
【0422】
実施形態156.HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、実施形態148~155のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
実施形態157.TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、実施形態153~156のいずれか1つに記載の方法。
【0424】
実施形態158.パラフィン包埋試料中のホスファターゼ及びテンシン相同体(PTEN)遺伝子における機能喪失型変異を検出することを更に含む、実施形態1~144のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
実施形態159.PTEN遺伝子中の機能喪失型変異が、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、若しくは置換、ゲノム再編成、プロモーター中の改変、遺伝子融合、又はコピー数改変のうちの1つ以上を含む、実施形態158に記載の方法。
【0426】
実施形態160.PTEN遺伝子中の機能喪失型変異を、パラフィン包埋試料中で、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定のうちの1つ以上により検出する、実施形態158又は実施形態159に記載の方法。
【0427】
実施形態161.パラフィン包埋試料中の腫瘍変異負荷(TMB)のレベルを測定することを更に含む、実施形態1~144のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
実施形態162.少なくとも約10変異/メガベース(Mb)又は少なくとも約20mut/MbのTMBを検出する、実施形態161に記載の方法。
【0429】
実施形態163.TMBを、パラフィン包埋試料由来のRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定により測定する、実施形態161又は実施形態162に記載の方法。
【0430】
実施形態164.TMBを、約0.80Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、実施形態163に記載の方法。
【0431】
実施形態165.TMBを、約0.83Mb~約1.14Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、実施形態163に記載の方法。
【0432】
実施形態166.TMBを、約1.1Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、実施形態163に記載の方法。
【0433】
実施形態167.TMBを、最大約1.1Mbの配列決定されたDNAに対して測定する、実施形態163に記載の方法。
【0434】
実施形態168.パラフィン包埋試料中のホモ接合性単一エクソン喪失を検出することを更に含む、実施形態1~144のいずれか1つに記載の方法。
【0435】
実施形態169.ホモ接合性単一エクソン喪失を、パラフィン包埋試料由来のRNA及び/又はDNA中で、全エクソーム配列決定、全ゲノム配列決定、又は遺伝子標的化配列決定によって検出する、実施形態168に記載の方法。
【0436】
実施形態170.分析物を検出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法。
【0437】
実施形態171.分析物の検出が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態170に記載の方法。
【0438】
実施形態172.分析物の検出が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態170に記載の方法。
【0439】
実施形態173.分析物の検出が、包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される、実施形態170に記載の方法。
【0440】
実施形態174.分析物を抽出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【0441】
実施形態175.分析物の抽出が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態174に記載の方法。
【0442】
実施形態176.分析物の抽出が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態174に記載の方法。
【0443】
実施形態177.包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法。
【0444】
実施形態178.分析物試料中の包埋剤のレベルが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、実施形態177に記載の方法。
【0445】
実施形態179.分析物試料中の包埋剤のレベルが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する、実施形態177に記載の方法。
【0446】
実施形態180.包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、相転移を包埋剤中で誘導し、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【0447】
実施形態181.包埋試料からの包埋剤の分離が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態180に記載の方法。
【0448】
実施形態182.包埋試料からの包埋剤の分離が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態180に記載の方法。
【0449】
実施形態183.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、実施形態180~182のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
実施形態184.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる、実施形態180~183のいずれか1つに記載の方法。
【0451】
実施形態185.フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、実施形態183又は実施形態184に記載の方法。
【0452】
実施形態186.ステップb)が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、実施形態170~184のいずれか1つに記載の方法。
【0453】
実施形態187.相転移が、溶融、凍結、気化、凝結、昇華、及び沈着からなる群から選択される、実施形態170~186のいずれか1つに記載の方法。
【0454】
実施形態188.相転移が溶融である、実施形態170~187のいずれか1つに記載の方法。
【0455】
実施形態189.ステップb)が、包埋試料の加熱、冷却、圧力増加、又は圧力減少を含む、実施形態170~188のいずれか1つに記載の方法。
【0456】
実施形態190.ステップb)が、包埋試料を加熱することを含む、実施形態170~189のいずれか1つに記載の方法。
【0457】
実施形態191.包埋試料を、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃に加熱する、実施形態190に記載の方法。
【0458】
実施形態192.包埋試料を、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間加熱する、実施形態190又は実施形態191に記載の方法。
【0459】
実施形態193.ステップb)が、包埋試料を遠心分離させ、濾過して、包埋を試料から分離させることを含む、実施形態170~192のいずれか1つに記載の方法。
【0460】
実施形態194.包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、実施形態193に記載の方法。
【0461】
実施形態195.包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、実施形態193又は実施形態194に記載の方法。
【0462】
実施形態196.包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、実施形態193~195のいずれか1つに記載の方法。
【0463】
実施形態197.ステップb)が、包埋試料を加熱し、遠心分離させ、濾過して、包埋剤を試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む、実施形態170~196のいずれか1つに記載の方法。
【0464】
実施形態198.ステップb)が、包埋試料を加熱し、遠心分離させて、包埋剤を試料から分離させることにより、脱包埋試料を生成することを含む、実施形態170~196のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
実施形態199.分析物を検出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)分析物を分析して、分析物を検出することと、を含む、方法。
【0466】
実施形態200.分析物の検出が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態199に記載の方法。
【0467】
実施形態201.分析物の検出が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態199に記載の方法。
【0468】
実施形態202.分析物の検出が、包埋試料を脱包埋しない方法と比べて改善される、実施形態199に記載の方法。
【0469】
実施形態203.分析物を抽出する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【0470】
実施形態204.分析物の抽出が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、UltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態203に記載の方法。
【0471】
実施形態205.分析物の抽出が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態203に記載の方法。
【0472】
実施形態206.包埋試料から抽出した分析物試料中の包埋剤のレベルを低減させる方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、d)抽出した分析物を精製して、分析物試料を提供することと、を含む、方法。
【0473】
実施形態207.分析物試料中の包埋剤のレベルが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて低減する、実施形態206に記載の方法。
【0474】
実施形態208.分析物試料中の包埋剤のレベルが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて低減する、実施形態206に記載の方法。
【0475】
実施形態209.包埋試料からの包埋剤の分離を改善する方法であって、a)分析物を含む包埋試料を提供することであって、試料が包埋剤に包埋される、提供することと、b)包埋剤を包埋試料から除去することにより、脱包埋試料を生成することであって、包埋試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋剤を試料から分離させることにより、包埋剤を除去する、生成することと、c)分析物を脱包埋試料から抽出することと、を含む、方法。
【0476】
実施形態210.包埋試料からの包埋剤の分離が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて改善される、実施形態209に記載の方法。
【0477】
実施形態211.包埋試料からの包埋剤の分離が、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて改善される、実施形態209に記載の方法。
【0478】
実施形態212.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を混和性溶媒に溶解させ、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である方法と比べて少なくなる、実施形態209~211のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
実施形態213.方法が、フィルタを備える液体取扱ロボットにおいて行われ、改善された包埋剤の分離により、フィルタの詰まりが、包埋剤を包埋試料から切り離すことにより包埋剤を除去する方法と比べて少なくなる、実施形態209~212のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
実施形態214.フィルタが、スピンカラム中のフィルタである、実施形態212又は実施形態213に記載の方法。
【0481】
実施形態215.ステップb)が、包埋剤を混和性溶媒に溶解させることを含まず、任意選択で、混和性溶媒が、キシレン、酢酸エチル、CitriSolv(商標)、又はUltraClear(商標)である、実施形態199~213のいずれか1つに記載の方法。
【0482】
実施形態216.不混和性溶媒の密度は、水より軽く、包埋剤が液体形態である場合には包埋剤より重い、実施形態199~215のいずれか1つに記載の方法。
【0483】
実施形態217.不混和性溶媒の密度が、流動パラフィンより重い、実施形態216に記載の方法。
【0484】
実施形態218.不混和性溶媒が植物油である、実施形態199~217のいずれか1つに記載の方法。
【0485】
実施形態219.不混和性溶媒が鉱油である、実施形態199~217のいずれか1つに記載の方法。
【0486】
実施形態220.包埋試料を、約300、350、400、450、500、又は550μLの鉱油と接触させる、実施形態219に記載の方法。
【0487】
実施形態221.包埋試料を、鉱油と、約1:4、1:2、1:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1の鉱油と包埋試料との比で接触させる、実施形態219又は実施形態220に記載の方法。
【0488】
実施形態222.鉱油が、包埋試料に、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、又は約75℃で接触する、実施形態219~221のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
実施形態223.鉱油が、包埋試料に、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、又は約35分間接触する、実施形態219~222のいずれか1つに記載の方法。
【0490】
実施形態224.鉱油が、約25rpm、約50rpm、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、又は約1100rpmで振盪している間に、包埋試料に接触する、実施形態219~223のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
実施形態225.ステップb)が、試料を不混和性溶媒と接触させ、包埋試料を遠心分離させ、濾過することを含む、実施形態199~224のいずれか1つに記載の方法。
【0492】
実施形態226.包埋試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させる、実施形態225に記載の方法。
【0493】
実施形態227.包埋試料を、1,811rcf以上で遠心分離させる、実施形態225又は実施形態226に記載の方法。
【0494】
実施形態228.包埋試料を、1,811rcfで遠心分離させる、実施形態225~227のいずれか1つに記載の方法。
【0495】
実施形態229.分析物が、ポリペプチド、RNA、DNA、小分子、脂質、多糖、エクソソーム、ミトコンドリア、及び核からなる群から選択される、実施形態170~228のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
実施形態230.包埋剤が、パラフィン、樹脂、セロイジン、Paraplast(登録商標)、ゼラチン、エステルワックス、ワックス、ポリエチレングリコール、及びニトロセルロースからなる群から選択される、実施形態170~229のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
実施形態232.RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~75℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、RNAを含む溶解物から分離させることと、d)RNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【0498】
実施形態233.ステップc)の後、ステップd)の前に、試料を室温に冷却することを更に含む、実施形態232に記載の方法。
【0499】
実施形態234.試料を室温に冷却した後に、試料を遠心分離させて、溶解物を濾過することを更に含む、実施形態233に記載の方法。
【0500】
実施形態235.試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることが、50℃~60℃でのインキュベーションを含む、実施形態232~234のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
実施形態236.試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることが、1~20分間のインキュベーションを含む、実施形態232~235のいずれか1つに記載の方法。
【0502】
実施形態237.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態232~236のいずれか1つに記載の方法。
【0503】
実施形態238.RNAを溶解物から単離する、実施形態232~237のいずれか1つに記載の方法。
【0504】
実施形態239.RNAを抽出する方法が、ハイスループット法に使用される、実施形態232~238のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
実施形態240.RNAを分析することを更に含む、実施形態232~239のいずれか1つに記載の方法。
【0506】
実施形態241.プロテアーゼとのインキュベーションを、500~2000rpmで振盪しながら行う、実施形態232~240のいずれか1つに記載の方法。
【0507】
実施形態242.50℃~80℃でのインキュベーションを、振盪せずに行う、実施形態232~241のいずれか1つに記載の方法。
【0508】
実施形態243.ステップc)の後に、試料を250RCF~750RCFで遠心分離させることを更に含む、実施形態232~242のいずれか1つに記載の方法。
【0509】
実施形態244.cDNAをRNAから調製することを更に含む、実施形態232に記載の方法。
【0510】
実施形態245.DNAを試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、DNAを含む溶解物を生成することと、d)DNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【0511】
実施形態246.試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500~2000rpmで振盪しながら行う、実施形態245に記載の方法。
【0512】
実施形態247.ステップb)の直後に、試料を2~20分間1000RCF~4000RCFで遠心分離させる、実施形態245又は246に記載の方法。
【0513】
実施形態248.2~20分間1000RCF~4000RCFでの遠心分離の後に、試料を少なくとも40分間冷蔵する、実施形態247に記載の方法。
【0514】
実施形態249.試料を冷蔵した後に、ステップc)を実行する、実施形態248に記載の方法。
【0515】
実施形態250.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態245~249のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
実施形態251.RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、RNAを含む第1の溶解物から分離させることと、d)RNAを含む第1の溶解物を吸引することと、e)RNAを第1の溶解物から単離することと、f)ステップc)からの試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、g)ステップf)からの試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、h)試料を高速で遠心分離させることと、i)DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、j)DNAを第2の溶解物から単離することと、を含む、方法。
【0517】
実施形態252.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態251に記載の方法。
【0518】
実施形態253.プロテアーゼとのインキュベーションを、ステップa及び/又はステップfにおいて、500~2000rpmで振盪しながら行う、実施形態251又は252に記載の方法。
【0519】
実施形態254.試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることが、50℃~60℃でのインキュベーションを含む、実施形態251~253のいずれか1つに記載の方法。
【0520】
実施形態255.試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることが、1~20分間のインキュベーションを含む、実施形態251~254のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
実施形態256.試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることを、振盪せずに行う、実施形態251~255のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
実施形態257.RNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、c)試料を室温に冷却することと、d)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、f)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、g)試料を高速で遠心分離させて、パラフィン及び鉱油を、RNAを含む溶解物から分離させることと、h)RNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【0523】
実施形態258.50℃~80℃で1~20分間のインキュベーションを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、実施形態257に記載の方法。
【0524】
実施形態259.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態257又は258に記載の方法。
【0525】
実施形態260.高速での遠心分離の後に、試料を室温でインキュベートする、実施形態256~259のいずれか1つに記載の方法。
【0526】
実施形態261.室温でのインキュベーションの後に、試料を遠心分離させることを更に含む、実施形態260に記載の方法。
【0527】
実施形態262.DNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、c)試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、d)試料を高速で遠心分離させて、パラフィンを、DNAを含む溶解物から分離させることと、e)DNAを含む溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【0528】
実施形態263.ステップb)の前に、鉱油を除去する、実施形態262に記載の方法。
【0529】
実施形態264.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態262又は263に記載の方法。
【0530】
実施形態265.試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、実施形態262~264のいずれか1つに記載の方法。
【0531】
実施形態266.試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートした後、ステップd)の前に、即座に、試料を2000~5000RCFで遠心分離させる、実施形態262~265のいずれか1つに記載の方法。
【0532】
実施形態267.RNA及びDNAをパラフィン包埋試料から抽出する方法であって、a)鉱油を試料に加えることと、b)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることにより、パラフィンを溶融させることと、c)試料を室温に冷却することと、d)試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、e)試料を50℃~80℃で1~40分間インキュベートすることと、f)試料を高速で遠心分離させて、パラフィン及び鉱油を、RNAを含む溶解物から分離させることと、g)RNAを含む溶解物を吸引することと、h)RNAを溶解物から単離することと、i)ステップg)からの溶解物を高速で遠心分離させて、溶解物を鉱油から分離させることと、j)ステップi)からの試料をプロテアーゼとともにインキュベートすることと、k)ステップj)からの試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることと、l)試料を高速で遠心分離させることと、m)DNAを含む第2の溶解物を吸引することと、を含む、方法。
【0533】
実施形態268.試料を高速で遠心分離させることが、試料を、約1,700rcf、約1,750rcf、約1,800rcf、約1,850rcf、又は約1,900rcfで遠心分離させることを含む、実施形態267に記載の方法。
【0534】
実施形態269.試料を50℃~80℃で2~48時間インキュベートすることを、500RPM~2000RPMで振盪しながら行う、実施形態267~268のいずれか1つに記載の方法。
【0535】
実施形態270.プロテアーゼがプロテイナーゼKである、実施形態232~269のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
実施形態271.試料が、サイズ約30μm3未満である、実施形態1~270のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
実施形態272.試料が、サイズ約0.3μm3~約5.5μm3である、実施形態1~271のいずれか1つに記載の方法。
【0538】
実施形態273.試料から抽出したRNA及び/又はDNAを、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅ベースのアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、リアルタイムPCR、配列決定、次世代配列決定、スクリーニング分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型分析、マルチカラーFISH(mFISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、配列特異的プライミング(SSP)PCR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は質量分析遺伝子型決定からなる群から選択される1つ以上の方法により分析することを更に含む、実施形態232~272のいずれか1つに記載の方法。
【0539】
実施形態274.RNA及び/又はDNAを分析することが、次世代配列決定を含む、実施形態273に記載の方法。
【0540】
実施形態275.RNA及び/又はDNAを配列決定するための配列決定ライブラリを調製することを更に含む、実施形態232~274のいずれか1つに記載の方法。
【0541】
実施形態276.DNA及び/又はRNAを、ハイブリッド捕捉ベースの配列決定を使用して配列決定することを更に含む、実施形態232~275のいずれか1つに記載の方法。
【0542】
実施形態277.試料は、がんを有することが分かっている又はがんを有する疑いがある個体に由来する、実施形態232~276のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0543】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解される。しかしながら、実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載される例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれることが理解される。
【0544】
実施例1.共抽出 熱/クリーミング「温溶解物スピン」法
この実施例は、RNA及び/又はDNA供抽出を、図3A(右の縦列)及び図3B(右の縦列)に概説するように説明し、これは、「温溶解スピン」、「温溶解物法」、又は「温溶解物プロセス」と称される。本方法は、「標準的溶解」プロセスと比較することができ、このプロセスは、図3A(左の縦列)及び図3B(左の縦列)に概説する。
【0545】
1A.RNA AutoLys共抽出及び精製のためのプロトコル。試薬は、Omega MAG-BIND(登録商標)FFPE RNA Kit(Omega Bio-tek、Norcross,Georgia,USA;カタログ番号M2551)から入手し、これには、RML緩衝液、プロテイナーゼK溶液、MFB緩衝液、MAG-BIND(登録商標)粒子SC、RNA洗浄緩衝液II、GFC緩衝液、DNase消化緩衝液、及びMAG-BIND(登録商標)DNase Iが含まれる。
【0546】
(1)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)カールを、AutoLysチューブの中に置く。最大200μmのFFPEパラフィン化カールを一本のチューブで抽出することができる。細胞スメアのために、カバースリップを取り外し(以下の実施例3で説明する方法のとおり)、組織をAutoLysチューブの中に擦り取る。(2)AutoLysチューブに蓋をし、組織消化に進む前に、AutoLysチューブが「下」位置にあること(内側チューブが外側チューブの中に完全に下げられている状態)を確認する。(3)チューブをAutoLysラックの中に整列させる。(4)AutoLysチューブを含むラックを3分間3,000RPMで遠心分離させて、組織をチューブの上部から引き離す。(5)315μLのOmega RML緩衝液と35μLのOmegaプロテイナーゼ溶液とを組み合わせて、RNA消化ミックスを調製する。試料当たり合計350μLのミックスを使用する。ミックスを少なくとも15回逆さにして、混合する。(6)チューブの蓋を外し、350μLのRNA消化ミックスで各チューブにピペッティングする。チューブに再度蓋をする。(7)AutoLysチューブを含むラックを、VorTempインキュベーターを使用し、15分間56℃で(VorTempは56℃に予熱する)、1,000RPMで振盪しながらインキュベートする。(8)ステップ(7)の後、ラックを、70℃に予熱した異なるVorTempに移動させ、振盪せずに5分間インキュベートする。このステップにより、パラフィンの全てが溶融し、エマルションとなったことが確実となる。(9)(8)のインキュベーションが完了したら、ラックを取り出し、即座に、試料を、内側チューブが下側位置にある状態で、3分間1,811RCFで遠心分離させる。このステップにより、相の分離が確実となり、溶融したパラフィンがAutoLysチューブ中の液体の上部に浮き上がるようになる。(10)遠心分離の後、チューブラックを遠心分離から取り出し、5分間室温で冷却する。このステップにより、溶融したパラフィンが液体カラムの上部で環を形成するようになる。(11)チューブを含むラックを遠心分離から取り出す。(12)内側AutoLysチューブを持ち上げ、ロックし、ラックに戻す。(13)ラックを2分間500RCFで遠心分離させる。(14)ピペットを使用して、溶解物を収集チューブから吸引し、「溶解物」とラベル付けした空の96ディープウェルのKingFisherブロックに分注する。試料を即座にDNA消化に進めない場合、内側チューブを伴うAutoLysチューブを底位置に戻し、4℃で20時間まで貯蔵する。(15)即座の脱架橋のために、96ディープウェルKingFisherブロックを封止する(MicroAMP Clear接着フィルムを使用)。(16)KingFisherブロックをVorTempに置く。(17)RNAを、1,000RPMで振盪しながら、80℃で60分間脱架橋する。(18)インキュベートしている間に、KingFisher試薬プレートを調製する。(19)脱架橋が完了したら、KingFisherブロックを氷上に少なくとも5分間置いて、溶解物を冷却する。(20)次に、このプロセスを、KingFisherでのRNA抽出に直接進める。
【0547】
(21)Omega MAG-BIND(登録商標)粒子SCを、その4℃での貯蔵から取り出す。(22)冷却したRNA溶解物プレートを、1分間2,000RPMで遠心分離させる。(23)MFB緩衝液及びMAG-BEAD(登録商標)Master Mixを調製する。MAG-BIND粒子SCを加える前に、ボトルを10回逆さにし、10秒間ボルテックスして、ビーズ溶液が完全に均質であることを確実にする。10秒後にビーズが完全に均質でない場合、必要に応じて混合を繰り返す。(24)350μLのOmega MFB緩衝液、35μLのMagビーズSC、及び650μLの100%エタノールを溶解物ブロックのウェルに加える。ピペットを使用して、溶液を15~20回混合する。(25)体積の半分を、「溶解物2」とラベル付けした第2の96ディープウェルKingFisherブロックにピペッティングすることにより、溶液を分割する。
【0548】
(26)以下のように、残りの試薬ブロックをラベル付けし、調製し、手短に遠心分離させる:(27)「洗浄1」800μLのRNA洗浄緩衝液II、ディープウェル、(28)「洗浄2」400μLのRNA洗浄緩衝液II、(29)「洗浄3」400μLのRNA洗浄緩衝液II、ディープウェル、(30)「DNase混合物」1.5μLのDNaseを含む73.5μLのDNase緩衝液、ディープウェル、(31)KingFisher Tip Comb、ディープウェル(遠心分離不要)、(32)「溶出」65μLのDEPC水、KingFisher 96 KFマイクロプレート(200μL)。
【0549】
(33)KingFisherブロックをKingFisherマシンにロードし、KingFisher RNA抽出を、カスタムプロトコルを使用して実行する。
【0550】
(34)完了したら、マイクロプレートからのRNA溶出液を、個々のチューブに移し、-80℃で貯蔵する。試料を即座にDNA消化に進めない場合、ALラックを4℃で20時間まで貯蔵してもよい。
【0551】
1B DNA AutoLys共抽出及び精製のためのプロトコル。使用した試薬には、Promegaインキュベーション緩衝液、PromegaプロテイナーゼK(ProK)凍結乾燥状態、ヌクレアーゼ不含水、Omega DNA洗浄緩衝液、エチルアルコール200プルーフ、イソプロピルアルコール、Omega MAG-BIND(登録商標)粒子CH、Omega MB4緩衝液、Omega MPW緩衝液、及び1倍Tris-EDTA緩衝液(pH8.0)が含まれる。
【0552】
(35)AutoLysチューブを4℃の貯蔵から取り出す。チューブを2分間800RCFで遠心分離させて、組織及び/又は結露をチューブの上部から引き離す。(36)315μLのPromegaインキュベーション緩衝液及び35μLのPromega ProK(新たなプロテイナーゼKを5mLのヌクレアーゼ不含水で水和させた後)を用いて、マスターミックスを調製する。350μLを、内側チューブが下位置にある状態で、各AutoLysチューブにピペッティングする。(37)AutoLysチューブを、VorTemp中、1,000RPMで振盪しながら、8~20時間70℃でインキュベートする。(38)VorTempインキュベーションの後、ラックをVorTempから取り出し、即座に10分間3,000RCFで遠心分離させる。(39)ラックを遠心分離から取り出し、4℃の冷蔵庫に少なくとも40分間貯蔵する。(40)AutoLysチューブを持ち上げ、ロックし、ラックに戻す。(41)ラックを2分間1,811RCFで遠心分離させる。(42)ピペットを使用して、溶解物を収集チューブから吸引し、「溶解物」とラベル付けした空の96ディープウェルのKingFisherブロックに分注する。次に、KingFisherでのDNA精製に直接進む。(43)50μLのMagBind CHビーズを加える。(44)875μLのMB4緩衝液を50μLのMagBindビーズに加え、ピペットを使用して、15~20回混合する。体積の半分(約640μL)を、「溶解物2」とラベル付けした第2の96ディープウェルKingfisherブロックにピペッティングすることにより、溶液を分割する。
【0553】
(45)以下のように、残りの試薬ブロックをラベル付けし、調製し、手短に遠心分離させる:1.「洗浄1」800μLのDNA洗浄緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、2.「洗浄2」400μLのDNA洗浄緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、3.「MPW」400μLのMPW緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、4.KingFisher Tip Comb、ディープウェル(遠心分離不要)、及び5.「溶出」75μLの1倍TE、KingFisher 96 KFマイクロプレート(200μL)。
【0554】
(46)カスタムプロトコルをKingFisherで使用し、ブロックをロードし、プログラムを実行する。完了したら、マイクロプレートからのDNA溶出液をマトリックスチューブに移し、20℃で貯蔵する。
【0555】
実施例2.共抽出 鉱油法(FFPE組織)
この実施例は、油法を使用するRNA及び/又はDNA供抽出を、3A(中央の縦列)及び図3B(中央の縦列)に概説するように説明する。
【0556】
A.RNA AutoLys共抽出及び精製のためのプロトコル。(1)FFPE 10~200μmのカールをAutoLysチューブ中にプレーティングする。最大200μmのFFPEパラフィン化カールを一本のチューブで抽出することができる。(2)AutoLysチューブに蓋をし、組織消化に進む前に、AutoLysチューブが「下」位置にあること(内側チューブが外側チューブの中に完全に下げられている状態)を確認する。(3)チューブをAutoLysラック中に整列させる。(4)AutoLysチューブを含むラックを2分間800RPMで遠心分離させて、組織をチューブの上部から引き離す。(5)チューブに蓋をする。(6)300μLの鉱油を各チューブに加える。(7)チューブに再度蓋をする。(8)AutoLysチューブを含むラックを、1,000rpmで振盪してパラフィンを溶融させながら、予熱したVorTempを使用して20分間65℃でインキュベートする。このステップにより、全てのパラフィンが溶融したことが確実となる。(9)インキュベーションが完了したら、ラックをVorTempから取り出し、室温で10分間インキュベートする。(10)試料を冷却させている間に、315μLのOmega RML緩衝液と35μLのOmegaプロテイナーゼ溶液とを組み合わせて、RNA消化ミックスを調製する。試料当たり350μLのRNA消化ミックスを調製する。RNA消化ミックスを、少なくとも15回、ボルテックスではなく逆さにして混合する。(11)チューブの蓋を外し、350μLのRNA消化ミックスを各チューブにピペッティングする。チューブに蓋をする。(12)ラックを1,811RCFで2分間スピンさせる。(13)AutoLysチューブを含むラックを、1,000rpmで振盪しながら、VorTempを使用して15分間56℃でインキュベートする。(14)インキュベーションが完了したら、AutoLysチューブを含むラックを取り出し、即座に次に進めて、内側チューブが下位置にある状態で、試料を8分間1,811RCFで遠心分離させる。このステップにより、相が分離するようになり、溶融したパラフィン及び油がAutoLysチューブ中の液体の上部に浮き上がるようになる。(15)チューブを5分間室温に置く。(16)内側AutoLysチューブを持ち上げ、ロックし、チューブをラックに戻す。(17)ラックを2分間500RCFで遠心分離させる。(18)ピペットを使用して、溶解物を収集チューブから吸引し、「溶解物」とラベル付けした空の96ディープウェルのKingfisherブロックに分注する。試料を即座にDNA消化に進めない場合、内側チューブを伴うAutoLysチューブを底位置に戻し、4℃で20時間まで貯蔵することができる。(19)RNA溶解物を含む96ディープウェルKingFisherブロックを封止し(MicroAMP Clear接着フィルムを使用)、脱架橋ステップに即座に進める。(20)KingFisherブロックをVorTempに置く。(21)RNAを、1,000rpmで振盪しながら、80℃で60分間脱架橋する。(22)インキュベートしている間に、Kingfisher試薬プレートを調製する。(23)脱架橋が完了したら、KingFisherプレートを氷上に少なくとも5分間置いて、溶解物を冷却する。(24)KingFisherでのRNA抽出を、先行実施形態に記載のように行う。
【0557】
B.DNA AutoLys共抽出及び精製のためのプロトコル。(1)RNA抽出からの部分的に消化させた組織を含むAutoLysチューブを、4℃での貯蔵から取り出す。(2)内側チューブを持ち上げ、ロックする。(3)AutoLysチューブを2分間1,811RCFで遠心分離させる。(4)油を外側チューブから除去する。(5)組織消化に進む前に、内側チューブを「下」位置に置く(内側チューブが外側チューブの中に完全に下げられている状態)。(6)315μLのPromegaインキュベーション緩衝液及び35μLのPromega ProK(使用前に、新たなProKを5mLのヌクレアーゼ不含水で水和させる)を含むマスターミックスを調製する。350μLのミックスを、内側チューブが「下」位置にある状態で、各AutoLysチューブにピペッティングする。(7)AutoLysチューブを、VorTemp中、1,000rpmで振盪しながら、8~20時間70℃でインキュベートする。(8)遠心分離の準備ができたら、VorTempインキュベーションを停止する。ラックをVorTempから取り出し、即座に10分間3,000RCFで遠心分離させる。(9)ラックを遠心分離から取り出し、4℃の冷蔵庫に少なくとも40分間貯蔵する。(10)内側AutoLysチューブを持ち上げ、ロックし、ラックに戻す。(11)ラックを2分間1,811RCFで遠心分離させる。(12)ピペットを使用して、溶解物を収集チューブから吸引し、「溶解物」とラベル付けした空の96ディープウェルのKingFisherブロックに分注する。次に、試料を、KingFisherでのDNA精製に直接進める。
【0558】
(13)50μLのMAG-BIND(登録商標)CHビーズを加える。(14)875μLのMB4緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)を50μLのMAG-BINDビーズに加え、ピペットを使用して、溶液を15~20回混合する。体積の半分(約640μL)を、「溶解物2」とラベル付けした第2の96ディープウェルKingFisherブロックにピペッティングすることにより、溶液を分割する。
【0559】
(15)以下のように、残りの試薬ブロックをラベル付けし、調製し、手短に遠心分離させる:i.「洗浄1」800μLのDNA洗浄緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、ii.「洗浄2」400μLのDNA洗浄緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、iii.「MPW」400μLのMPW緩衝液(Omega DNA FFPE Kit)、ディープウェル、iv.KingFisher Tip Comb、ディープウェル(遠心分離不要)、v.「溶出」75μLの1倍TE、KingFisher 96 KFマイクロプレート(200μL)。
【0560】
(16)KingFisherを、カスタムプログラムを使用して実行する。完了したら、DNA溶出液をマトリックスチューブに移し、20℃で貯蔵する。
【0561】
実施例3.カバースリップを外す方法
(1)Coplin瓶に新鮮なキシレンを充填する。カバースリップを外したいスライドを瓶に挿入し、カバースリップが落ちるように溶液に少なくとも30分間浸漬する。(2)カバースリップのないスライドを更に30分間キシレンに再浸漬して、あらゆる残留封入媒体を標本表面から除去する。(3)スライドを瓶から取り出し、新鮮で清潔な吸収パッドに置く。(4)Copli瓶を空にし、95% EtOHを充填して、あらゆる残留封入媒体/キシレンを除去する。(5)瓶を15~30秒間インキュベートした後、溶液を廃棄する。(6)新鮮な95% EtOHを瓶に加え、スライドを沈める。物質を、少なくとも5分であるが15分以下の間インキュベートさせる。(7)スライドを瓶から取り出し、試料側を上にして清潔なKimWipeに置く。(8)スライドを第2のKimWipeでカバーする。(9)RNA/DNA共抽出のために、組織をAutoLysチューブに擦り取る。
【0562】
実施例4.標準プロセスと温溶解物プロセスとの比較
標準AutoLys法では、遠心分離後にワックス層が生じることが分かった(図2、並びに図3Aの左の縦列及び図3Bの左の縦列にあるプロセスの説明を参照されたい)。標準法を、上の実施例1で説明し、図3Aの右の縦列及び図3Bの右の縦列に概説する温溶解物法と比較した。
【0563】
図9A及び図9Bに示すように、温溶解物プロセスにより、内側チューブ内に留まるパラフィン層が生じた(図9A図9Bとの両方において白色の矢印で示す;図2の標準プロセス結果と比較)。温溶解物プロセスでは、透明な溶出液が残り、溶解物収集チューブに残留したパラフィンが最小限であった(図9A図9Bとの両方において黒色の矢印で示す)。結果は、改善された温溶解物プロセスにより、パラフィン部分を溶解物部分から効率的に分離できることを示し、これは、遠心分離後にワックス(パラフィン)層が残る標準プロセスとは対照的である(図2に示す)。
【0564】
RNAラボメトリクスを、標準プロセス(アーム2)、温溶解物プロセス(アーム4)により調製したRNAについて、及びベースライン抽出法(アーム6、AutoLysプロセスのように自動化されていない手動のRNA抽出プロセス)について収集した。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0565】
詰まり率は、十分な溶解物の回収を損なう、内側AutoLysチューブのパラフィンによる詰まりの頻度の尺度である。RNA抽出(RNAx)は、192ng超のRNAを収集した頻度の尺度である。ライブラリ構築(LC)通過率は、750ng超のcDNAを有するcDNAライブラリが生成された頻度の尺度である。ハイブリッド捕捉(HC)は、配列決定のための0.1ng超のDNAを有する捕捉ライブラリが得られる頻度の尺度である。温溶解物プロセスは、標準プロセスと比べた改善を示し、詰まりが顕著に改善し(0%対9.4%)、LC通過率が改善した(85.26%対74.74%)。更に、手動の抽出プロセスと比較して、温溶解物プロセスは自動であり、全体的なRNA収量を顕著に改善させた。手動の抽出と温溶解物プロセスとの間のLC通過率の差は、統計的に有意ではなかった。
【0566】
RNA配列決定メトリクスも、標準プロセス、温溶解物プロセスにより、及びベースライン手動RNA抽出プロセスにより調製したRNAについて収集した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0567】
重複前%選択は、ハイブリッド捕捉ベイトが標的とする領域にマッピングするリードのパーセントである。オンターゲット%重複は、オンターゲット別個対のパーセントである。オンターゲット別個対通過率は、300万超である別個対のパーセントである。インサートサイズ中央値は、アダプター間の核酸断片のサイズである。インサートサイズ通過率は、長さ70nt超であるインサートのパーセントである。キメラ%は、リードキメラの百分率である。配列決定メトリクス性能(重複前%選択、オンターゲット%選択、オンターゲット別個対の中央値、オンターゲット別個対通過率、インサートサイズ中央値、インサートサイズ通過率、及びキメラ%)は、全てのプロセスにわたって同等であった。これらのデータにより、温溶解物プロセスが、手動プロセス抽出法と比較して配列決定メトリクスについて高い性能を維持したことが示される。
【0568】
各プロセスにより抽出したRNAからの既知の融合物を検出する能力を評価した。
【表3】
【0569】
表3は、各プロセスにより抽出したRNAからの既知の融合物を検出する能力の評価を示す。3つの既知の融合物ALK-EML4、RET-CCDC6、及びROS-SLC34A2を評価した。各結果に対する数字は、各融合物を支持する検出したリード数を示す。温溶解物プロセスは、標準法に匹敵するレベルで融合物を検出することができ、手動RNA抽出よりも高いレベルで融合物を検出することができた。
【0570】
DNAラボメトリクスを、標準プロセス(アーム2)、温溶解物プロセス(アーム4)により、及び手動DNA抽出プロセス(アーム1、これは複製して行い、AutoLysプロセスのように自動化されていない)により調製したDNAについて収集した。.結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0571】
詰まり%は、回収した溶出液が250μL未満となるように回収を損なう、内側AutoLysチューブのパラフィンによる詰まりの頻度の尺度である。DNA抽出(DNAx)通過率は、収集したDNAが55ng超である頻度の尺度である。ライブラリ構築(LC)通過率は、545ng超のcDNAを有するcDNAライブラリが生成された頻度の尺度である。ハイブリッド捕捉(HC)通過率は、配列決定のための140ng超のDNAを有する捕捉ライブラリが得られる頻度の尺度である。温溶解物プロセスは、標準プロセスと比べた改善を示し、詰まりが改善した(0%対2%)。更に、温溶解物プロセスは、高い試料成功率(各カテゴリーで90%超)を有し、2つの手動抽出実験と大きく異ならなかった(DNAx通過率、LC通過率、及びHC通過率)。
【0572】
DNA配列決定メトリクスも、標準プロセス、温溶解物プロセスにより、及び手動DNA抽出プロセスにより調製したDNAについて収集した。結果を以下の表5に示す。
【表5】
【0573】
CNAは、プロセスに対応させた正常参照試料と比較した正規化標的カバレッジであるコピー数改変を表す。重複前%選択は、ハイブリッド捕捉ベイトが標的とする領域にマッピングするリードのパーセントである。インサートサイズ中央値は、アダプター間の核酸断片のサイズである。キメラ%は、リードキメラの百分率である。エクソンカバレッジ中央値について、配列カバレッジは、エクソン領域にある各塩基が配列データにカバーされる回数であり、平均配列カバレッジを各エクソンにおいて計算し、次に、3つの値の中央値(すなわち、エクソンカバレッジ中央値)を使用する。エクソンカバレッジ通過率は、250回超のカバレッジ及び500超のカバレッジで評価した。CNAノイズスコアは、コピー数プロットにおけるノイズを測定するためのスコアである。「CNAノイズについて適格」については、GCバイアスが高い又はデータにノイズが多い場合、CNAコールは、ノイズのレベル内にあるので分解することができず、したがって、CNAは「適格」とマークされ、非曖昧増幅又は喪失が、ノイズに起因して除去される。配列決定メトリクスデータにより、性能(重複前%選択、インサートサイズ中央値、キメラ%、CNAノイズ、及びCNAノイズスコア)がプロセスにわたって同等であったことが示される。カバレッジ(250回超)についての試料成功率は、自動の方法(標準及び温溶解物)について98%超であった。標準AutoLysプロセスと比較して、温溶解物プロセスで、より小さいコピー数ノイズ、及びより少ないCNAに適格な試料の数が観察された。
【0574】
統計分析。標準SOP(QSR-LAB-OP-058)に従い、試料キュレーションの後、バリアントタイプの一致分析(置換、インデル、コピー数改変、融合/再配置)を実施した。あらゆる不一致を調査して、差がキュレーションに依存しなかったことを確実にした。CNA一致分析のための追加のビニングを行った。バリアントコールの一致を、2つの手動プロセス複製対である、標準プロセス対各手動プロセス複製と温溶解物対各標準プロセス複製とについて評価した。陽性一致率(PPA)、陰性一致率(NPA)、陽性予測値(PPV)、及び陰性予測値(NPV)の4つのメトリクスを使用して、短ヌクレオチドバリアント(SNV)、改変のコピー数(CNA)、及び再配置(RE)、並びに複合バイオマーカーにより、バリアントコールの一致を評価した。CNAの一致をコピー数ビンにより更に評価した。4つのメトリクスを以下のように定義した。
【数1】
【0575】
NPA及びNPVを計算するために、あらゆる以前のAV試験で検出した全てのバリアント及び試験中の新たなバリアントを含むユニバーサルセットを、各バリアントクラス(SNV、RE、CNA)に使用した。
【0576】
結果を以下の表6~10に要約する。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0577】
手動プロセス複製によるDNA抽出と各複製を用いた標準AutoLysプロセス及び温溶解物プロセスとの間のインデル及び置換(フィルタなし)の一致率(PPA値及びPPV値)は、90%より高いことが分かった。これにより、自動抽出法と手動DNA抽出法との間でSVについて高い一致が示される。手動DNA抽出複製間、及び自動共抽出法と手動DNA抽出法との間のSNVについてのNPA及びNPVは、99.99%より大きかった。
【表11】
【0578】
上の表11に示すように、手動DNAプロセス複製Aを用いた、標準抽出プロセス(90.48%)及び温溶解物プロセス(90.91%)についての再配置PPAは、手動DNAプロセス複製(81.82%)間のPPAよりも大きかった。手動DNA抽出複製Bを用いた、標準プロセス(85.71%)及び温溶解物プロセス(81.82%)についてのPPAは、手動DNA抽出複製(81.82%)間のPPAに類似していた。手動DNA抽出複製を用いた標準及び温溶解物についてのPPVは、75%であることが分かった手動DNA抽出複製Bを用いた温溶解物一致を除き、手動DNA抽出複製(81.82%)間の一致よりも高かった(83%超)。温溶解物プロセスのうちの1つについての低い一致率は、試料セットに見られた再配置の数が少なかったことに起因する低い統計的検出力が原因であり得る。手動DNA抽出複製間、及び自動共抽出法(標準及び温溶解物)と手動DNA抽出との間の再配置についてのNPA及びNPVは、99.99%より大きかった。
【表12】
【表13】
【表14】
【0579】
非曖昧及び非VUSコピー数増幅については、各手動DNA抽出複製と比較した標準プロセス及び温溶解物プロセスのPPAは、88%より高く、2つの手動DNA抽出複製間のPPAより優れていた。しかし、標準プロセス(約105)及び手動DNA抽出(約118)より多くの非曖昧及び非VUSコピー数増幅が温溶解物プロセス(130超)から検出されたので、温溶解物抽出はPPVが低い。非曖昧及び非VUSコピー数喪失の標準プロセスPPAは、手動DNA抽出複製Aと比較してわずか68.42%(26/38)、手動DNA抽出プロセス複製Bでは61.54%(24/39)であり、一方で、PPAは、2つのDNA抽出複製間、及び温溶解物プロセスと手動DNA抽出との間で80%を上回る。更にいくつかのコピー数喪失が、標準プロセスでは見逃されたが、手動DNA抽出及び温溶解物プロセスでは検出された。全体として、コピー数増幅と喪失とを組み合わせると、温溶解物は、PPAが標準及び2つの手動DNA抽出複製よりも高かったが、標準プロセスは、温溶解物及び2つの手動DNA抽出プロセスよりも高いPPVを呈した。
【0580】
結論として、温溶解物法(アーム4)は、全体的なPPAが標準AutoLys法(アーム2)よりも高く、DNA及びRNA両方の抽出について詰まりを軽減させ、RNAのLC通過率を増加させた。温溶解物法は、詰まりを軽減しながら、ベースラインRNA法及びベースラインDNA法と同程度に高い配列決定及びバリアント検出性能を維持するので、標準AutoLys法に対する改善である。自動温溶解物法を使用して、2つの40ミクロンのFFPEカール(DNA抽出に1つの40ミクロンのカール及びRNA抽出に1つの40ミクロンのカール)からの手動DNA単独抽出(DNAベースライン法)及びRNA単独抽出(RNAベースライン法)と同程度のレベルで、単一の40ミクロンのFFPEカールからRNA及びDNAを抽出することができる。
【0581】
実施例5.標準プロセスと鉱油抽出プロセスとの比較
標準AutoLys法は、先行する節で考察したとおり、遠心分離後にワックス層を生じることが分かった。標準法を、上の実施例2で説明し、図3Aの中央の縦列及び図3Bの中央の縦列に概説する鉱油抽出プロセスと比較した。
【0582】
図10Aに示すように、鉱油抽出プロセスにより、内側チューブ内に留まるパラフィン層が生じ(図10Aにおいて白色の矢印で示す)、透明な溶出液が残り、溶解物チューブに残留しているパラフィンは最小限であった(図10Aの黒色の矢印を参照されたい)。図10Aの左の2つの縦列に示すように、鉱油プロセスを用いて抽出した試験試料は、透明な溶出液を有した。対照的に、標準プロセスを使用すると(図10Bの右の2つの縦列)、混濁した溶出液が生じ、これは、溶出液にパラフィンが存在することを示す。結果は、改善された鉱油抽出プロセスにより、パラフィン部分を溶解物部分から効率的に分離できることを示し、これは、遠心分離後にワックス(パラフィン)層が残る標準プロセスとは対照的である(図2、及び図10Bの右の2つの縦列に示す)。
【0583】
実施例6.温溶解物法による低組織体積試料
この実験は、低組織体積試料を実施例1で説明した温溶解物共抽出法で処理することの実現可能性を評価するために実施した(図3A及び図3Bの右の縦列も参照されたい)。10個の異なる腫瘍タイプ(膀胱、肺、皮膚、乳房、卵巣、腎臓、前立腺、膵臓、肝臓、及び結腸)を表す20個の固有のFFPEブロックから、FFPE組織カール(合計40umの2×20umカール)、FFPE組織スライド(合計40umの8×5umスライド、2個の複製)、及び低体積14ゲージ針穿刺(1×1mmの深さ)という3個の異なる試料タイプを調製した。全ての試料を、温溶解物共抽出法を使用して抽出し、標準ライブラリ調製、ハイブリッド捕捉、及び配列決定プロセスに供した。以下の表15は、各インプットタイプについての組織体積中央値、最低組織体積、及び最大組織体積を示す。
【表15】
【表16】
【0584】
上の表16は、異なる組織インプットからの抽出についてのDNAラボメトリクスの要約を示す。単位組織体積当たりの抽出は、どれくらいの数のngのDNAが組織1mm当たり抽出されたかの尺度である。DNA抽出(DNAx)通過率は、収集したDNAが55ng超である頻度の尺度である。ライブラリ構築(LC)通過率は、545.45ng超のcDNAを有するcDNAライブラリが生成された頻度の尺度である。ハイブリッド捕捉(HC)通過率は、配列決定のための140~1782ng超のDNAを有する捕捉ライブラリが得られる頻度の尺度である。温溶解物プロセスを使用すると、全ての組織インプット量について、DNAx、LC収量、及びHC収量の成功率が高かった。予想どおり、低組織体積針穿刺の全DNA収量は、40μmの対照カール及びスライドよりも低いが、インプット組織の単位当たりの収量は同等である。分析により、温溶解物プロセスを使用して、核酸を少量の組織から効率的に抽出できることが示される。
【表17】
【0585】
上の表17は、各抽出法のDNA配列決定メトリクスの要約を示す。重複前%選択は、ハイブリッド捕捉ベイトが標的とする領域にマッピングするリードのパーセントである。インサートサイズ中央値は、アダプター間の核酸断片のサイズである。キメラ%は、リードキメラの百分率である。エクソンカバレッジ中央値について、配列カバレッジは、エクソン領域にある各塩基が配列データにカバーされる回数であり、平均配列カバレッジを各エクソンについて計算し、次に、3つの値の中央値を使用する。エクソンカバレッジ通過率は、250回超のカバレッジ及び500回超のカバレッジで評価した。CNAノイズスコアは、コピー数プロットにおけるノイズを測定するためのスコアである。これらの分析により、配列決定メトリクス性能は、全ての試料インプットタイプにわたって同等であったこと、及びカバレッジ(250回超)についての試料成功率は、全ての試料について99%超であったことが示される。温溶解物法を使用して、少量の組織から高品質の核酸を効率的に抽出することができる。
【0586】
実施例7.温溶解物法による追加の低組織体積試料
この実験は、低組織体積試料を温溶解物共抽出法で処理することの実現可能性を評価するために実施した(実施例1、並びに図3A及び図3Bの右の縦列を含めて、上で説明した)。2個の異なる低体積試料タイプを調製した:8個の異なる腫瘍タイプ(膀胱、肺、乳房、卵巣、腎臓、前立腺、膵臓、及び肝臓)を表す10個の固有のFFPEブロックからの、0.625mmのFFPE組織体積のスライド(2個の複製)及び0.377mmのFFPE組織体積のカール(2個の複製)。全ての試料を、温溶解物共抽出法を使用して抽出し、標準ライブラリ調製、ハイブリッド捕捉、及び配列決定プロセスに供した。以下の表18は、各インプットタイプについての組織体積中央値、最低組織体積、及び最大組織体積を示す。
【表18】
【表19】
【0587】
上の表19は、異なる組織インプットからの抽出についてのDNAラボメトリクスの要約を示す。DNA抽出(DNAx)通過率は、収集したDNAが50ng超である頻度の尺度である。ライブラリ構築(LC)通過率は、545.ng超のcDNAを有するcDNAライブラリが生成された頻度の尺度である。ハイブリッド捕捉(HC)通過率は、配列決定のための140ng超のDNAを有する捕捉ライブラリが得られる頻度の尺度である。温溶解物プロセスを使用すると、DNA抽出、LC、及びHC収量の試料成功率が高かった(100%の通過率)。分析により、温溶解物法を使用して、核酸を少量の組織から効率的に抽出できることが示される。
【表20】
【0588】
上の表20は、各抽出法のDNA配列決定メトリクスの要約を示す。推定ライブラリサイズは、ライブラリ中の固有の断片の数である。重複前%選択は、ハイブリッド捕捉ベイトが標的とする領域にマッピングするリードのパーセントである。インサートサイズ中央値は、アダプター間の核酸断片のサイズである。キメラ%は、リードキメラの百分率である。エクソンカバレッジ中央値について、配列カバレッジは、エクソン領域にある各塩基が配列データにカバーされる回数であり、平均配列カバレッジを各エクソンにおいて計算し、次に、3つの値の中央値を使用する。エクソンカバレッジ通過率は、250回超のカバレッジ及び500回超のカバレッジで評価した。CANノイズスコアは、コピー数プロットにおけるノイズを測定するためのスコアである。これらの分析により、高い配列決定性能(カバレッジ、インサートサイズ、重複前%選択、エラー率、キメラ、CNノイズ)が、0.377mカールと0.625mmスライドとの両方について観察されたことが示される。99%超の試料が250回超を有した。これらの結果により、温溶解物プロセスを使用して、核酸を少量の組織から効率的に抽出できることが示される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】