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特表2025-500931コネクティングロッド、ピストン、クランク駆動装置及び往復動内燃機関
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】コネクティングロッド、ピストン、クランク駆動装置及び往復動内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01M 1/06 20060101AFI20250107BHJP
   F02F 3/22 20060101ALI20250107BHJP
   F16C 7/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F01M1/06 B
F01M1/06 C
F02F3/22 A
F16C7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536384
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022087641
(87)【国際公開番号】W WO2023118525
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134519.7
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524228650
【氏名又は名称】ニューグリーン エージー
(71)【出願人】
【識別番号】524228661
【氏名又は名称】ニューグリーン アメリカン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲシキ,ステファン
【テーマコード(参考)】
3G313
3J033
【Fターム(参考)】
3G313BA01
3G313BC02
3G313BC03
3G313BD31
3G313BD32
3J033AA04
3J033EA03
(57)【要約】
本発明は、頭部領域、中央領域(305)及び脚部領域を含む、特にエンジンのためのコネクティングロッドに関する。頭部領域は、枢軸を中心に回転可能にピストンのコネクティングロッド受けエリアにピストンを接続するための増厚セクションを有する第1の接続部を有し、前記コネクティングロッド受けエリアは、増厚セクションに対応するアンダカットを有する。脚部領域は、クランクシャフトを受けるための第2の接続部を有し、及び頭部領域は、中央領域を介して脚部領域に接続される。本発明は、ピストン、クランク駆動装置及び内燃機関にさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部領域(303)、中間領域(305)及び脚部領域(307)を有する、特に原動機のためのコネクティングロッド(301)であって、前記頭部領域(303)は、ピストン(201)のコネクティングロッド受け部(210)との枢動する第1の接続部を有し、前記頭部領域(303)に対応する前記枢動する第1の接続部は、前記ピストン(201)の前記コネクティングロッド受け部(210)のアンダカット(211)に係合し、及び前記脚部領域(307)は、クランクシャフトを受けるための第2の接続部を有し、及び前記頭部領域(303)は、前記中間領域(305)を介して前記脚部領域(307)に接続される、コネクティングロッド(301)において、潤滑剤ガイド(343、345、347)を有し、それにより、前記クランクシャフトの領域における前記第2の接続部で前記潤滑剤ガイド(343、345、347)に導入される潤滑剤は、前記潤滑剤ガイド(343、345、347)を通して前記第1の接続部に案内され、及び前記潤滑剤は、前記第1の接続部を潤滑及び/又は冷却するために利用可能であることを特徴とするコネクティングロッド(301)。
【請求項2】
前記潤滑剤ガイド(343、345、347)は、潤滑剤チャネル(345)を有し、前記潤滑剤チャネル(345)は、特に前記中間領域(305)に沿って延びることを特徴とする、請求項1に記載のコネクティングロッド(301)。
【請求項3】
前記第2の接続部と関連付けられたクランクシャフト穴(307)の前記潤滑剤ガイド(343、345、347)は、前記頭部領域(303)まで、特に前記クランクシャフト穴(307)の内面から前記頭部領域(303)まで潤滑剤を搬送することを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクティングロッド(301)。
【請求項4】
前記潤滑剤ガイド(343、345、347)は、スパークエロージョン及び/又は深穴あけによって前記コネクティングロッド(301)に導入されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクティングロッド(301)。
【請求項5】
前記頭部領域(303)の前記潤滑剤ガイド(343、345、347)は、潤滑剤リザーバ(341)を有し、前記潤滑剤リザーバ(341)は、特に前記頭部領域(303)の外面(311)に組み込まれ、及び/又は前記コネクティングロッド受け部(210)と関連付けられることを特徴する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクティングロッド(301)。
【請求項6】
上側(203)、下側(207)及び周面(205)を有する、特にエンジンのためのピストン(201)であって、前記周面(205)は、シリンダボア内で前記ピストン(201)を案内するように設計され、及び前記上側(203)は、シリンダ内のガスの加圧力を吸収するように設計され、前記下側(207)は、引張及び加圧方向において枢軸(183)に略平行に配置された断面を有するアンダカット(211)を有するコネクティングロッド受け部(210)を有し、及び前記コネクティングロッド受け部(210)は、前記コネクティングロッド受け部(210)に対応する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクティングロッド(301)を、嵌め合い方式において及び前記枢軸(183)を中心に枢動可能に受けるように設計される、ピストン(201)において、前記コネクティングロッド受け部(210)は、潤滑剤を制御するためのバルブ装置を有し、前記潤滑剤は、前記クランクシャフトの前記領域における前記第2の接続部で前記潤滑剤ガイド(343、345、347)に導入され、及び前記枢軸(183)を中心とした前記コネクティングロッド頭部(303)の枢動により、前記バルブ装置を通して前記第1の接続部に案内されることを特徴とするピストン(201)。
【請求項7】
前記バルブ装置は、前記アンダカット(211)の内面(213)に形成された制御ポケット又は複数の制御ポケットを含み、それにより、特に前記シリンダボアにおける及び/又は前記シリンダボア内の前記ピストン(201)の移動軸(281)に対する前記コネクティングロッド(301)の略直線状の配置における前記ピストン(201)の上死点の領域及び/又は下死点の領域において、潤滑剤の流れが制限又は阻止されることを特徴とする、請求項6に記載のピストン(201)。
【請求項8】
前記バルブ装置、特に前記制御ディスクは、前記コネクティングロッド(301)の長手方向軸と、前記シリンダボア内の前記ピストン(201)の前記移動軸(281)との間の±20°、±15°、±10°及び/又は±5°の角度にわたり、前記潤滑剤の流れが制限されるように配置及び/又は設計されることを特徴とする、請求項6又は7に記載のピストン(201)。
【請求項9】
前記コネクティングロッド受け部(210)は、前記アンダカット(211)又は前記アンダカット(211)の内面(213)から前記周面(205)まで及び/又は前記周面(205)に配置若しくは形成された1つ若しくは複数の環状リング溝(223、225、227)まで延在する少なくとも1つの潤滑剤チャネル(290)を有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載のピストン(201)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの潤滑剤チャネル(290)の1つの端部は、前記周面(205)又は前記環状溝(223、225、227)の領域に形成された凹部(298)内に開放していることを特徴とする、請求項9に記載のピストン(201)。
【請求項11】
少なくとも1つの潤滑剤チャネル(290)において、少なくとも1つのセクションは、前記少なくとも1つの潤滑剤チャネル(290)の直径より大きい直径を有するか、又は潤滑剤のための少なくとも1つのバッファチャンバ(291)が形成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のピストン(201)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバッファチャンバ(291)は、本質的に球形の形状であること、又は前記少なくとも1つのバッファチャンバ(291)は、前記周面(205)に配置又は形成された1つ又は複数の環状溝(223、225、227)の領域で細長く及び/又は湾曲していることを特徴とする、請求項11に記載のピストン(201)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの潤滑剤チャネル(290)は、前記ピストン(201)の前記上側(203)に隣接する領域(294)に向かって潤滑剤を案内するための分岐チャネル(293)を有する分岐(292)を有し、
前記分岐(292)は、- 好ましくは本質的に球形の - バッファ空間(291)内に形成され得、及び/又は
前記分岐チャネル(293)は、前記領域(294)を通過した後、前記アンダカット(211)まで、前記アンダカット(211)の内面(213)まで、前記ピストン(201)の前記下側(207)まで、又は出口(295)を有して、前記アンダカット(211)又はコネクティングロッド受け部(210)の領域(296)まで延在し、前記出口(295)は、前記ピストン(201)に結合された動作状態においてコネクティングロッド(301)の頭部(303)が位置する、前記アンダカット(211)の領域(297)の隣に形成されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載のピストン(201)。
【請求項14】
ピストン(201)、コネクティングロッド(301)及びクランクシャフト(401)を有する、特に原動機及び/又は往復動ピストン内燃機関(601)のためのクランク機構(101)であって、請求項6~13のいずれか一項に記載のピストン(201)及び/又は請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクティングロッド(301)によって特徴付けられるクランク機構(101)。
【請求項15】
請求項6~13のいずれか一項に記載のピストン(201)、請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクティングロッド(301)及び/又は請求項14に記載のクランク機構(101)を含む往復動ピストン内燃機関(601)、特にディーゼルエンジン又はガソリンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部セクション、中間セクション及び脚部エリアを有する、特に原動機のためのコネクティングロッドに関する。頭部エリアは、旋回軸を中心に回転可能にピストンに接続される。コネクティングロッドの頭部エリアは、ピストンの肉厚部に対応するアンダカットを有するピストンのコネクティングロッド受け部内に回転可能に受けられる。コネクティングロッドの脚部エリアは、脚部エリアとクランクシャフトのクランクピンとの間に第2の接続部をもたらすクランクシャフト穴を有する。コネクティングロッドの頭部領域は、中間領域によって脚部領域に接続される。本発明は、上側、下側及び周側面を有する、特に動力機械のためのピストンにも関し、周側面は、シリンダボア内でピストンを案内するように構成され、及び上側は、燃焼室内のガス燃焼事象の加圧力を吸収するように設計される。ピストンの下側には、シリンダボアに略垂直な旋回軸を有する、コネクティングロッドホルダを有するコネクティングロッド受け部がある。コネクティングロッドホルダは、コネクティングロッド頭部をコネクティングロッドレシーバに横方向に摺動させることにより、コネクティングロッド頭部を受けるように配置されたアンダカットを含む。したがって、コネクティングロッドは、旋回軸を中心にピストンに対して旋回することができる。さらに、本発明は、特にエンジン及び/又は往復動内燃機関及び往復動内燃機関のためのクランク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
往復動ピストン原理に従って機能する既知のエンジン、例えばディーゼルエンジン又はガソリンエンジンは、通常、ピストンと、ピストンに枢動可能に取り付けられたコネクティングロッドとを有する。ピストン及びコネクティングロッドの頭部は、それぞれ横向きのボアを含む。ピストンをコネクティングロッドの頭部に枢動可能に接続するために、ピストンピンは、ピストンの横向きのボア及びコネクティングロッドの頭部を通る位置合わせされた横向きのボアに通される。この配置は、往復動ピストン内燃機関において、ピストン及びピストンピンを含む各シリンダ内にかなりの往復質量が存在することを意味する。これは、エンジンの効率に対するマイナスの影響を有し、したがって汚染物質排出の減少を妨げる。
【0003】
コネクティングロッドのいわゆる頭部が、ピストンピンを省くことができるように、ピストンの対応するアンダカットに引っ掛けるか又は押し込むことができる肉厚部を有するピストン及びコネクティングロッドが知られている。これらの設計は、組立ての安全性、コネクティングロッドとピストンとの間の接合における潤滑の不足及び製造上の問題のため、一般に非実用的であるとみなされている。
【0004】
そのようなピストン/コネクティングロッド接続では、例えば、スプレーオイル冷却によるコネクティングロッド頭部とピストンとの間の接合の冷却及び潤滑、特にクランクシャフトの近傍から始まるスプレーオイルによるピストンクラウン冷却を保証することができない。この理由のため、コネクティングロッドとピストンとの間の(ピストンピンを使用しない)直接接続の利点は、旋回接合の過熱及び可能性がある焼き付きなしに利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、頭部領域、中間領域及び脚部領域を有する、特に原動機のためのコネクティングロッドによって解決される。頭部領域は、頂部セクション、中間セクション及び底部セクションを有する。頭部領域は、旋回軸に沿ってピストンに枢動可能に接続される(第1の接続部)。頭部領域は、肉厚部に対応する後部セクションを有するピストンのコネクティングロッド受け部を介してピストンに回転可能に接続される。コネクティングロッドの脚部領域は、クランクシャフトピンを受けるための第2の接続部を有する。コネクティングロッドの頭部エリアは、コネクティングロッドの中間領域の上に位置し、コネクティングロッドの第2の接続部をコネクティングロッドの第1の接続部に、流体を搬送するように接続する潤滑剤ガイドを有し、それにより、クランクシャフトクランクピンの領域で第2の接続部に加えられる潤滑剤は、コネクティングロッドの頭部とピストンとの間の第1の接続部に潤滑剤ガイドを通して案内され、及び潤滑剤は、第1の接続部を潤滑及び/又は冷却するために存在する。
【0007】
本発明で提案されるいくつかの変更のみにより、既知のコネクティングロッドのそのような装置、すなわちコネクティングロッドに沿った潤滑剤ガイドの供給は、コネクティングロッドとピストンとの間の第1の接続部が安全に潤滑及び/又は冷却されることを保証する。
【0008】
以下の用語は、これに関連して説明される。
【0009】
「コネクティングロッド」は、シリンダ内の往復動ピストンをクランクシャフトに接続するためにいわゆる「クランク駆動装置」で使用される。コネクティングロッド頭部は、ピストンに枢動可能に接続される。コネクティングロッド脚部エリアは、クランクシャフト上のクランクピンジャーナルに回転可能に接続される。
【0010】
「接続」は、機械的接続、特にピストンとコネクティングロッドとの間の枢動接続を指す。ピストンとコネクティングロッドとの間の接続は、ピストン及び対応するコネクティングロッドの現在の設計では、枢軸を中心に嵌め合い、回転可能であるように設計される。
【0011】
ピストンの「肉厚部」は、隣接する領域よりも大きいか若しくは広い断面又は大きいか若しくは広い直径を有するような領域である。特に、そのような肉厚部は、アンダカットと共に、ピストンとコネクティングロッドとの間のポジティブロック方式の耐張力又は耐圧縮性接続を形成する役割を果たし得る。
【0012】
「旋回軸」は、例えば、コネクティングロッドがピストンに回転可能又は枢動可能に接続される軸である。この旋回軸は、例えば、従来技術の設計におけるピストンピンの軸に対応する。
【0013】
「ピストン」は、移動可能な構成要素であり、周囲のハウジング、原動機の場合には「シリンダ」と共に、密閉されたキャビティを形成し、それにより、キャビティの容積は、シリンダ内のピストンの位置によって変わる。このような主要物、本発明の場合には特にシリンダ内で上下に移動する往復動ピストンは、様々な設計で実現され得る。
【0014】
「アンダカット」は、力の方向の構成要素又はエリア若しくは部分的なエリアが引き抜きを確実に防ぐか、又は力の伝達を確実に可能にするような取付けの設計又は取付けの部分を指す。そのようなアンダカットは、力を伝達するために、アンダカットを介して取り付けられる構成要素によって使用され得る。
【0015】
ピストンの底部の「コネクティングロッドホルダ」は、耐引張的及び枢動可能にコネクティングロッドをピストンに取り付けるために使用され、それにより、ピストンは、コネクティングロッドと共に、いわゆるクランク駆動装置、例えばピストンをクランクシャフトに連結するコネクティングロッドで連結される。コネクティングロッドへのピストンの枢動接続は、ピストンがコネクティングロッドホルダでコネクティングロッドに非確実に接続されるように確立される。
【0016】
「クランクシャフト」は、回転中心軸を有する共通のシャフト上の一連のいくつかのクランクピンであり、それにより、それぞれのコネクティングロッドは、各クランクピンに接続され、各コネクティングロッドは、ピストンに作用する。次いで、クランクシャフトは、コネクティングロッドを通して駆動されるピストン上のガス圧によって回転することができる。燃焼エンジンのそのようなクランクシャフトは、クランクシャフト主軸受を潤滑するための出口を有する中央オイルガイドを有する。
【0017】
「潤滑剤チャネル」は、潤滑剤を安全に案内することができる、すなわち開始エリアから終了エリアまで確実に伝達することができるようなコネクティングロッドの断面の例示的なチャネル状又は管状の設計を指す。特に、そのような潤滑剤ガイドは、例えば、コネクティングロッド内のチャネル形キャビティ又はチャネルである。
【0018】
「潤滑剤」は、潤滑のために使用され、特に摩擦、摩耗及び/又は直接的な材料接触を減少させる役割を果たす。さらに、潤滑剤は、振動減衰及び/又はシーリングのために又は腐食対策としても使用され得る。潤滑剤は、冷媒の役割も果たし得る。
【0019】
そのような潤滑剤は、例えば、潤滑グリース、潤滑油又は往復動ピストン内燃機関に関して最も単純な事例ではエンジンを潤滑するためにオイルパン若しくはオイルタンクに収容されるオイルである。
【0020】
特に、「潤滑」は、潤滑剤の流動学的性質、すなわち摩擦、摩耗及び/又は直接的な材料接触の減少を指す一方、「冷却」は、特に第1の接続部のエリアからの熱の除去を指す。除熱プロセスは、潤滑剤への熱伝達及び冷却されるエリアからの潤滑剤の対応する除去を含む。
【0021】
コネクティングロッドを特に単純にするために、潤滑剤ガイドは、潤滑剤チャネルの形態で延び、潤滑剤チャネルは、特にクランクシャフトの中心エリアに沿って延びる。そのような潤滑剤チャネルは、例えば、脚部エリアからコネクティングロッド頭部までコネクティングロッドの中央エリアに沿って延びるボアであり得る。潤滑剤チャネルは、引張及び圧縮における中立面に近接して位置し、それによりコネクティングロッドの構造の脆弱化を最小化する。
【0022】
1つの実施形態では、潤滑剤の供給は、第2の接続部と関連付けられたクランクシャフト穴からコネクティングロッド頭部まで、特にクランクシャフト穴の内面からコネクティングロッド頭部の外面まで広がる。
【0023】
本発明のこの実施形態により、例えば、中空クランクシャフトの内部にすでに存在する多くの加圧されたオイルは、クランクシャフト主軸受ジャーナル及びクランクシャフトクランクピンジャーナルを潤滑するために使用され得る。この目的のために、対応するボア又は穴を、クランクピンジャーナル内及びコネクティングロッドのクランクシャフト穴に挿入された対応する軸受シェル内に設け得る。クランクシャフトクランクピンジャーナルから流出する加圧されたエンジンオイルは、クランクシャフト穴の軸受シェルを通して、コネクティングロッドの潤滑剤チャネルを通してコネクティングロッド頭部まで供給され得、コネクティングロッド頭部とピストンとの間の枢動接続を潤滑する。輸送されたオイルは、潤滑及び冷却の両方の機能を果たす。
【0024】
特に確実及び簡単にコネクティングロッドを製造することを可能にするために、潤滑剤チャネルは、スパークエロージョン(放電加工)及び/又は深穴あけによってコネクティングロッドに挿入される。
【0025】
「スパークエロージョン」とも呼ばれる放電加工は、高精度の材料加工のために使用され得る。この目的のために、機械加工される導電性ワークピースは、誘電性液体内に保持される。ツールは、材料の近傍に持ってこられて、ツールとワークピースとの間の電圧差は、ツールとワークピースとの間の局部放電によって火花を生成するために使用され、これらの火花がワークピースから材料を除去する。
【0026】
特に、潤滑剤チャネルのためのチャネル状の侵食された穴は、放電加工プロセス中にロッド形ツールによって生成される。
【0027】
対照的に、「深穴あけ」は、潤滑剤チャネルを作る特殊な機械加工作業としても使用され得る。深穴あけは、穴あけ深さが、結果として得られるチャネルの直径よりも何倍も大きいという事実によって特徴付けられる。
【0028】
1つの実施形態では、潤滑剤チャネルは、コネクティングロッド頭部上、特にピストンに取り付けるコネクティングロッド頭部の外側表面上に潤滑剤リザーバを有する。
【0029】
潤滑剤リザーバの存在により、潤滑剤、すなわちコネクティングロッド頭部のエリアにおける追加の利用可能な潤滑剤の量の対応する保持が可能になる。この追加の潤滑剤も、例えば、ピストンのアンダカットの内面とコネクティングロッド頭部の外面との間の直接的なワークピース接触を防止する液圧式クッションとして使用され得る。
【0030】
「潤滑剤リザーバ」は、例えば、コネクティングロッド頭部の表面の凹部として設けられ得る。
【0031】
バルブ装置もコネクティングロッド頭部上に設けられ得る。このバルブ装置は、クランクシャフトのエリアでの第2の接続部で潤滑剤チャネルに導入される潤滑剤を制御するために使用され、コネクティングロッド頭部とピストンとの間の旋回接続によって第1の接続部への潤滑剤の流れを調整する。
【0032】
結果的に、バルブ装置は、コネクティングロッド頭部が枢軸を中心にピストンに対して枢動する角度に応じて、送達される潤滑剤の量を制御するために使用され得、それにより、例えばピストンとコネクティングロッドとの間の接続が無負荷であるか又はわずかにのみ負荷がかかるとき、潤滑油は、リザーバから流れ出ることのみできる。
【0033】
コネクティングロッド上のこのバルブ装置のさらなる実施形態は、後述する本発明のさらなる態様のピストンのバルブ装置と同様に実装され得る。
【0034】
さらなる態様では、課題は、上側、下側及び周面を有する、特にエンジンのためのピストンによって解決され、周面は、シリンダボア内でピストンを案内するように設計され、及び上側は、シリンダ内のガスの加圧力を吸収するように設計される。下側は、ピストンとコネクティングロッド頭部との間の枢動接続を画定する枢軸に本質的に平行に配置された断面を有するアンダカットを有するコネクティングロッドホルダを有する。枢軸は、ピストンによって作用する張力及び圧縮力の方向に対して横方向に向けられる。コネクティングロッドホルダは、対応するコネクティングロッド頭部のための密な滑り嵌めであるように構成され、それにより枢動接続を作る。前述の実施形態の1つによるコネクティングロッド頭部は、第1の接続部旋回軸の周りでコネクティングロッド頭部を旋回させることにより、潤滑剤チャネルを通る第1の接続部への潤滑剤の流れを制御するためのバルブ装置を含む。
【0035】
コネクティングロッド上のバルブ装置の可能な配置と同様に、そのようなバルブ装置は、ピストンに対するコネクティングロッドの角度位置に応じて、潤滑剤の流れを能動的に調整する役割を果たす。例えば、ピストンとコネクティングロッドとの間の対応する負荷がクランクシャフトの1回転中に特に小さいか又は減少している時点にのみ、潤滑剤が漏出可能である。したがって、例えばピストンとコネクティングロッドとの間の接続にシリンダ内の燃焼プロセスによって大きい負荷がかかるとき、バルブ装置を通る潤滑剤の流れが妨げられ、それにより、対応する潤滑油も潤滑剤リザーバ内のままであり、例えば次いでピストン上の負荷の解放により、クランクケースの異なる角度位置において、加熱された潤滑油が第1の接続部から流れ出る。
【0036】
すでに述べたように、バルブ装置及び/又は潤滑剤リザーバがコネクティングロッド頭部上又はピストンのコネクティングロッドホルダの内部に位置するかどうかは、重要ではない。
【0037】
1つの実施形態では、バルブ装置は、ピストンのアンダカットの内面に挿入された制御ポケット又はアンダカットの内面に挿入されたいくつかの制御ポケットを有する。ピストンは、シリンダボア、及び/又はシリンダボア及び/又は本質的に直線状の接触面におけるピストンの上部圧力点のエリア及び/又は下部圧力点のエリアに挿入された制御ポケットを有する。シリンダボア内のピストンの移動軸に対するコネクティングロッドの角度に応じて、潤滑剤の流れが制限又は阻止される。
【0038】
そのような制御ポケット又はリザーバは、簡単な機械的手段を使用して、例えばミリングプロセス、スパークエロージョンプロセス又はコネクティングロッド及び/又はピストンの鋳造中のポケットの鋳造によって作ることができる。したがって、それは、安価な追加である。すでに上述したように、そのような制御ポケットがコネクティングロッドの内部、すなわちコネクティングロッド頭部の内部若しくはピストンの内部に位置するかどうか又は2つが組み合わされるかは、重要ではない。制御ポケットの一部がコネクティングロッド内に配置され、及び制御ポケットの別の部分がピストンの内部の配置されることも考えられる。
【0039】
制御ポケットの幾何学的形状は、例えば、潤滑剤の流れが発生するとき、それが単に機械的に決定されるように選択される。例えば、潤滑剤は、シリンダボアにおいて及び/又はピストンの移動軸に対するコネクティングロッドの本質的に直線状の配置のエリアにおいて、ピストンのそれぞれの死点中(ピストンが比較的無負荷である移動領域)にのみポケットから流れ出ることを可能にし得る。逆に、ピストンにかなりの負荷がかかるとき、潤滑剤の流れが制限され得る。
【0040】
これは、ピストンとコネクティングロッドとの間の第1の接続部の能動的な及び制御された潤滑及び冷却を可能にし、それは、特にコネクティングロッドからの放熱を改善する。燃焼室が最適化され、したがって、ピストンは、ほとんど熱を蓄えることがないように設計され、したがって非常に軽くすることができる。この減量は、対応する往復動ピストン燃焼エンジンの効率をかなり向上させる。
【0041】
これに関連して、バルブ装置、特に制御ポケットは、コネクティングロッドの長手方向軸と、シリンダボアのピストンの移動軸との間の±20°、±15°、±10°及び/又は±5°の角度にわたり、潤滑剤の流れが制限されるように配置及び/又は設計され得る。
【0042】
この構成は、特にクランクシャフトの全回転が本発明によるバルブ装置及び/又は制御ポケットの対応する制御エリアを制御するために使用されるように、対応する角度を画定する。ここでの角度の指定は、360°の全角度(クランクシャフトの完全な1回転)を指す。
【0043】
ピストンの特に効果的な冷却及び潤滑のために、コネクティングロッドホルダは、アンダカット又はアンダカットの内側カット面から離れて、周面及び/又は周面に配置若しくは形成された1つ若しくは複数の環状溝まで延在する少なくとも1つの潤滑剤チャネルを有し得る。1つ又は複数の潤滑剤チャネルは、コネクティングロッド内に形成された潤滑剤供給チャネルを介して供給され得る。潤滑剤は、内燃機関の動作中に特に効果的な方法でピストンを冷却するために好適な方法で供給され得る。
【0044】
例えば、枢動するコネクティングロッド頭部に対する各潤滑剤チャネルの角度位置に応じて、コネクティングロッドの潤滑剤チャネルを介して2つのチャネルに潤滑剤が交互に供給されるように、2つの潤滑剤チャネルをピストンのコネクティングロッドホルダに設けることができる。ピストンのこれらの潤滑剤チャネルの一方にコネクティングロッドの潤滑剤チャネルを介して潤滑剤が供給されるとき、他方の潤滑剤チャネルは、供給から分離され、その逆も同じである。これは、2つの潤滑剤チャネルに交互に供給されることを保証する。コネクティングロッドが本質的に中央位置にある中間状態では、潤滑剤は、ピストンの両方の潤滑剤チャネルに供給される。コネクティングロッドがシリンダボアと略平行に整列するとき、ピストンのコネクティングロッドホルダの両方の潤滑チャネルは、コネクティングロッド頭部の潤滑剤供給から分離することができ、それにより、潤滑剤圧は、コネクティングロッド頭部とピストンのコネクティングロッドホルダとの間に枢動接合を構築する。したがって、コネクティングロッドの角度位置に応じて、潤滑剤は、(高いピストル負荷の期間中に)ピストン内の圧力下でコネクティングロッドジョイントに保持されるか、又は(低いピストン負荷の期間中に)ピストン内の潤滑剤チャネルを通してピストンの周面及び/又はリング溝まで送達される。したがって、コネクティングロッドの角度位置に応じて、2つの潤滑剤ダクトの圧力比が変わる。
【0045】
シリンダ内のピストンの特に効果的な潤滑を保証するために、潤滑剤は、その周面及び/又はその環状溝までピストンを通過することができ、そこで、周面から又は環状溝のエリアでピストンから出ることができる。次いで、流出する潤滑剤は、冷却することができるクランクシャフト及び/又はオイルパンの方向に放出され得る。そこから、潤滑剤は、コネクティングロッドへのオイル分配スキーム及びその潤滑剤供給を介してピストンの1つ又は複数の潤滑剤ダクトに戻され得る。結果として、潤滑剤回路は、コネクティングロッドの脚部エリアから、コネクティングロッドの潤滑剤チャネルを通して、ピストンまで及びピストンを通して実現され、その後、サンプに返される。ピストンのそのような2つの潤滑剤チャネルの実現により、ピストンの潤滑剤チャネルの配置に応じて、潤滑剤がピストンからその周面及び/又は環状リング溝まで反対方向に流れるそのような2つの回路がある。
【0046】
ピストンの特に効果的な冷却及び潤滑に関して、潤滑剤チャネルは、周面及び/又はリング溝のエリアにいくつかの出口を有し得る。潤滑剤は、1つ又は複数の入口及びいくつかの出口を通して供給され得る。
【0047】
さらに、ピストンの特に効果的な潤滑及び冷却のために、少なくとも1つの潤滑剤チャネルの出口又は端部は、周面若しくは環状リング溝のエリアに形成された溝又はピストンの側部の凹部に挿入され得る。そのような凹部は、出口であり得、潤滑剤チャネルの出口又は端部の断面積よりも大きい直径又はより大きい表面積を有し得る。例えば、出口は、本質的に矩形の形状を有し得る。潤滑剤は、凹部に集めることができ、ピストンの周面に潤滑剤を供給するための安全リザーバを形成し得る。必要に応じて、そのようないくつかの凹部をピストンの周面に作ることができ、それにより特に効果的な方法で潤滑を提供する。潤滑剤チャネルの少なくとも1つの出口又は1つの端部は、潤滑されるエリア内に開放していなければならない。
【0048】
さらに、ピストンの特に効果的な冷却及び潤滑のために、少なくとも1つの潤滑剤チャネルは、潤滑剤チャネルより大きい断面積を有する少なくとも1つのバッファチャンバに通じ得る。そのようなセクション又はバッファチャンバは、十分な供給を保証するために、潤滑剤の好適な量を集める安全リザーバとして使用され得る。これは、潤滑剤チャネルを通る潤滑剤のより確実な供給、したがってピストンの内外の所望の位置における確実な冷却及び潤滑を保証する。
【0049】
特に、少なくとも1つのバッファ空間は、本質的に球形の形状であり得るか、又は少なくとも1つのバッファ空間は、ピストンの周面に配置又は形成された1つ又は複数の環状溝の領域で細長く及び/又は湾曲していてもよい。所望のバッファ空間のサイズ及び位置は、全体として、ピストンのその領域における他の空間及び設計の検討を考慮しなければならない。
【0050】
ピストンの特に効果的な冷却及び潤滑に関して、少なくとも1つの潤滑剤チャネルは、ピストンの頂部に隣接するエリアの方向に潤滑剤を案内するための分岐チャネルを有する分岐も有し得る。そのような分岐は、ピストンにおける潤滑剤のさらなる分配を可能にする。したがって、潤滑剤は、ピストンの頂部の方に向けられ得、ピストンの頂部に隣接する燃焼室の燃焼によってより多くの冷却が必要である。ピストンは、通常、隣接する燃焼室で特に高温にさらされる。分岐チャネル、したがってピストンの内部の潤滑剤のためのガイドは、燃焼室頂部側に接続されることなく、ピストンの頂部を通り過ぎることができる。
【0051】
むしろ、分岐チャネルは、ピストンの頂部のエリアを通過した後、アンダカットのエリアまで、アンダカットの内面まで、ピストンの下側まで、又は出口を有して、ピストンの別のエリアまで戻って延在し得る。このように分岐チャネルを設計することにより、ピストンのより高温部分を通して供給される潤滑剤は、ピストンの下又はピストンの下側のエリアに放出される。そこから、潤滑剤は、クランクシャフト及びエンジンの下端部の方向に返すことができる。次いで、潤滑剤は、再利用され得る。潤滑剤は、コネクティングロッドの潤滑剤チャネルを通してピストンの潤滑剤チャネル、さらに分岐チャネルに戻される。
【0052】
ピストンの頂部に隣接するエリアでは、分岐チャネルに接続された、潤滑剤のためのバッファチャンバは、このエリアでのピストンの特に効果的な冷却を保証するように形成され得る。このバッファチャンバは、分岐チャネルの延長部又はふくらみとして設計され得る。
【0053】
代わりに又は加えて、潤滑剤チャネル間の接合部は、本質的に球形のバッファ空間であり得る。実際に、これは、例えば、潤滑剤における泡の形成のない潤滑剤の特に確実な案内を保証し得ることが示された。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、ピストン、コネクティングロッド及びクランクシャフトを有する、特に原動機及び/又は往復動ピストン内燃機関のためのクランク機構に適用され、ピストンは、前述の実施形態の1つに従って設計され、及び/又はコネクティングロッドは、上記の実施形態の1つに従って設計される。
【0055】
そのようなクランク駆動装置は、例えば、予め取り付けられたアセンブリとして、非常に効率的な往復動ピストン内燃機関を準備するために使用され得る。
【0056】
さらなる態様では、本発明は、前述の実施形態の1つによるピストン、前述の実施形態の1つによるコネクティングロッド及び/又は前述のクランク機構を有する往復動ピストン内燃機関、特にディーゼルエンジン又は火花点火エンジンに適用され得る。
【0057】
これに関連して、「ディーゼルエンジン」は、圧縮点火によって動作する内燃機関を指す一方、「ガソリンエンジン」は、例えば、電気火花による火花点火を使用する。混合形態も可能である。
【0058】
本発明は、含まれる図面の図を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】隠れ線を含む斜視図であり、ピストン及びコネクティングロッドを含むクランク機構を示す。
図2a図1のアセンブリからのピストンの側面図である。
図2b図1のアセンブリからのピストンを示す底面図である。
図2c図1のアセンブリからピストンを示す側面断面図である。
図2d図1のアセンブリからのピストンを示す底面図であり、図4及び6のための断面コールアウトを有する。
図3a】側面図であり、図1のアセンブリからのコネクティングロッドを示す。
図3b】斜視図であり、図1のアセンブリからのコネクティングロッドを示す。
図4】一部が切り取られた斜視図であり、本発明のピストンの実施形態の内部の詳細を示す。
図5】斜視図であり、図4のピストンを示す。
図6】一部が切り取られた斜視図であり、本発明のピストンの実施形態の内部の詳細を示す。
図7】部分的に示された断面を有する側面図であり、本発明に従って作られるクランク駆動装置の実施形態を示す。
図8】部分的に切り取られた斜視図であり、本発明で提供されるクランクアセンブリを使用する内燃機関を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1に示されるように、クランクユニット101は、ピストン201及びコネクティングロッド301を有する。クランクユニット101は、ディーゼルエンジン(図示せず)の一部であり、それにより、対応するディーゼルエンジンは、例えば、4つ、6つ、8つのクランクユニット又はさらに3つのクランクユニットを有し、それにより、ピストン201のそれぞれは、対応するシリンダ内に、移動軸281に沿って移動可能に受けられる。コネクティングロッド301は、シリンダ数に対応するクランクシャフトのそれぞれのクランクピン上に、クランク軸185を中心に取り付けられる。ディーゼルエンジンは、例えば、直列4気筒、直列6気筒又はV8エンジンとして設計される。いずれの場合にも、これは、ディーゼル燃料のための高圧噴射並びにターボチャージャ及び/又はスーパチャージャを有するディーゼルエンジンであり、その結果、それぞれのシリンダ内は高い燃焼温度になる。当然、対応する数のクランクユニット101による他の設計も可能である。ピストン101は、アルミ合金から作られる。
【0061】
それぞれのコネクティングロッド301は、鋼から鍛造され、次いで、完成状態に機械加工される。旋回軸183は、ピストンとコネクティングロッドとの間の枢動接続を画定する。クランクシャフト(図示せず)の完全な回転中、クランク軸185の中心に置かれたクランクピンは、円運動上に案内され、ピストン201は、コネクティングロッド301によってシリンダで上下に移動し、したがってクランクシャフトの完全な回転が実行される。噴射されたディーゼルの燃焼によってピストン201の上側203に発生したガス圧は、例えば、エンジンが全体としてディーゼル原理に従って動作するようにピストン201を駆動する。噴射されたディーゼル燃料の点火は、シリンダ内で吸気を圧縮することによって実現される。圧縮温度は700℃を超え、結果として得られる燃焼温度は1,200℃を超える。ピストン201は、高熱にさらされ、好適な冷却があらゆる内燃機関における設計目標である。
【0062】
シリンダ内の燃焼室の方に向けられる上側(冠部)203に加えて、ピストン201は、周面205と下面207を有する(図2aを参照されたい)。頂面内に、移動軸281と同心の燃焼キャビティ241が設けられる(図2cを参照されたい)。円錐形ドーム243は、燃焼キャビティ内で上向きに延在し、それは、ピストン201の燃焼キャビティの表面積を大きくする。
【0063】
周面205の主構成要素は、下側207の方向に下がるピストンスカート219を形成する(図2cを参照されたい)。ピストンスカートは円筒形であり、薄壁を有する。上側203から始まり(図2aを参照されたい)、ピストン201は、第1の環状リング溝223を形成するために、上側203の距離を有する細い周囲カラー221を有する。シリンダに対するシーリングのためのピストンリングは、この第1の環状リング溝223内に配置される。さらに、下側207の方向において、第2の環状リング溝225及び第3の環状リング溝227が配置され、それにより、環状溝225ではピストンリングがシールリングとして挿入され、環状溝227では油かきリングの機能のピストンリングが挿入される(ピストンリングは、いずれの場合にも示されていない)。追加のボア229が環状溝227上に配置され、それは、エンジンオイルの排出を促進する。
【0064】
周囲カラー221は、いわゆる「ファイアウォール」としてディーゼルエンジンの従来技術で知られており、これらのエンジンでは、ピストンの周面20よりかなり小さい直径で従来技術において設計される。しかしながら、図2aの本発明の実施形態の周囲カラー221は、半径282を有し、この半径282は、技術的許容差内で周面205の半径284と同一である。したがって、ピストン201は、単一のクランプ動作及び旋盤上での均一な直径への単一の旋削作業でその円筒形状に対して機械加工することができる。
【0065】
本発明は熱膨張を制限するために追加の冷却を提供するため、周囲カラー221は、この形態で設計され得る。カラー221は、従来技術では、このエリアのかなりの膨張を引き起こすピストンクラウンの加熱の増加の主な原因となるため、直径を縮小して製作しなければならない。本発明のピストンの放熱は、この必要性を排除する。
【0066】
下側207において、ピストン201は、コネクティングロッド301を係合するためのコネクティングロッドホルダ210を有する。ホルダ210は、形成されるアンダカット211(図2cを参照されたい)に本質的に含まれ、アンダカット211は、旋回軸183の周りで同心であり、材料の端におけるそれぞれの縁部217によって特徴付けられる。アンダカット211を枢軸183に沿ってアクセス可能のままとし、アンダカット211がコネクティングロッドホルダの内面213で終わることを可能にするために、ピストンスカート219は、枢軸183に沿って両側にカットアウト220を有する。このカットアウト220は、コネクティングロッド頭部303(図3aを参照されたい)が、コネクティングロッドホルダに横方向に摺動し、内面213(図2aを参照されたい)に枢動可能に係合することを可能にする。さらに、カットアウト220の存在により、内面213の微細な機械加工のためのツールを挿入することができる。
【0067】
ピストン201の下側から分かるように(図2bも参照されたい)、ピストン201は、半径方向に対称ではない。ピストン201の直接技術的容積、すなわちアンダカット211と共にコネクティングロッドホルダ210を形成するための容積に加えて、ピストンスカート219の容積並びに他の特徴の対応する容積が変化する。ピストン201は、肉厚部231、235のエリアを有する。ピストンは、多くのポケット233も含む。肉厚部及びポケットは、旋回軸183に対して対称に配置される。肉厚部231、ポケット233及び肉厚部235の対応する容積は、ポケット233及び肉厚部235の両方を、移動軸281を介した交差面、すなわち例えば切断面271、切断面273又は切断面275(図2dも参照されたい)に沿って形成されるそのような切断面であり得るように選択され、それぞれは、切断面271に関して、例えばそれぞれの比較する交差する面で最小のものに対して例えば2%の許容差内の同じ断面積を有する。この幾何学的設計は、ピストン201の熱膨張挙動が、移動軸281の周りの異なる極位置でほとんど同一であるか又はさらに同一であることを保証する。この目的のために、材料が肉厚部231に加えられ、材料がポケット233から取り去られ、材料が肉厚部235に加えられる。このように、例えばそれぞれの切断面で加えられる、例えばピックアップ210に対して技術的に必要な容積は、それに応じて、バランスがとられる。同様に、例えば、それぞれの肉厚部235は、カットアウト220のエリア上の断面積の減少及びピストンスカート219で欠けている材料を少なくとも部分的に相殺するために設けられる。同様に、他の構成要素も、ピストンのバランスを保つために、ピストン201の材料の対応する容積を取り去るか又は加えることによって補償される。
【0068】
アンダカット211の内面213内に、環状保持リング溝215が、移動軸281に対して対称的に、枢軸183(図2bを参照されたい)に沿って両側に設けられ、これらの環状溝は、アンダカット211の形状のための部分的な環状溝215として形成される。それぞれの環状保持リング溝215は、内面213の直径216から内面213の直径218まで延在する断面を有する(図2cを参照されたい)。
【0069】
コネクティングロッド301(図3aを参照されたい)は、コネクティングロッド頭部303、中間領域305及びクランクシャフト接続部307を有する。コネクティングロッド頭部は、円筒形の外面311を有するふくらみとして設計される。外面311は、ピストンの内面213内の密な摺動及び枢動嵌めであるように機械加工される。さらに、面取り部312が、頭部303の端部領域で枢軸183の方向に配置される。したがって、コネクティングロッド頭部303は、旋回接合が枢軸183を中心にコネクティングロッドとピストンとの間で作られるように、枢軸183に沿ってピストンに横方向に挿入され得る。
【0070】
中間領域305は、コネクティングロッド頭部303をクランクシャフト接続部307と接続し、コネクティングロッド頭部303とクランクシャフト接続部307との間に中立面を有する。中間領域305は、両側に凹部306も有し、それにより、全体として、中間領域305の剛性断面は、二重のT形梁として形成される。さらに、中間領域305に関して向かい合って形成された凹部316を有するウェブ315は、中間領域及びクランクシャフト接続部307が剛性であり、さらに可能な限り軽いように配置される。
【0071】
クランクシャフト接続部307の約半分は、コネクティングロッド301の一部からなる。残りの半分は、コネクティングロッドキャップ308からなり、2つの構成要素は、クランクシャフト軸185の周りで同心状に配置される。クランクシャフトへの低摩擦性、耐磨耗性及び緊急動作可能接続を生成するために、軸受シェル321がクランクシャフト穴309の内面上に設けられる。軸受シェルは、コネクティングロッド301及びロッドキャップ308に対するその位置を回転可能に固定する特徴を設けられる。
【0072】
さらに、コネクティングロッド301は、コネクティングロッド頭部303の外面エリア311上に、より小さい直径のバルブ溝341を有する(図3bを参照されたい)。バルブ溝341は、出口開口343に接続される(図3aを参照されたい)。出口開口343は、オイルチャネル345の一部であり、オイルチャネル345は、出口開口343とクランクシャフト穴309の内部に配置された入口開口347との間に位置する。オイルチャネル345は、中間領域305の中立面(通常動作で金属粒子が圧縮も引張もされない平面)に沿って位置し、それにより、中間領域305は、特に屈曲に対してオイルチャネル345によって可能な限りわずかにのみ弱めらる。
【0073】
コネクティングロッド301をピストン201に嵌合するために、コネクティングロッド頭部303は、枢軸183に沿ってピストンのアンダカット211(図2aを参照されたい)に横方向に押し込まれる。環状保持リング溝215内に、保持リング(図示せず)の一部が内面213によって形成されたアンダカット211の断面に挿入されるように、丸いワイヤ断面を有する弾性の保持リングが挿入される。次いで、この保持リングは、コネクティングロッド頭部303上の面取り部312によって環状溝215に押し戻され、それにより、保持リングの断面は、直径216と直径218との間に完全に位置付けることができるように選択される。
【0074】
したがって、面取り部312は、コネクティングロッド頭部303のピストン201への挿入を容易にする。保持リング溝215における保持リングの使用により、枢軸183に沿ったピストンからの意図的ではない取り外しに対して、コネクティングロッド頭部303を固定する。
【0075】
アンダカット211におけるコネクティングロッド頭部とピストン201との間の接続の潤滑に関するクランクユニット101の機能は、以下のように説明される。
【0076】
示されていないクランクシャフトの内部には、クランクシャフトの対応する支持点を潤滑するために延びるオイルチャネルがある。クランクシャフトオイル出口穴は、支持点に設けられる。クランクシャフトは、クランク軸185の周りでそれぞれのコネクティングロッド301を受けるクランクピンジャーナル上に加圧されたエンジンオイルのための対応する出口穴も有する。次いで、エンジンオイルは、クランクシャフト上の周囲の環状溝に供給され、入口開口347(図3aを参照されたい)を通してオイルチャネル345内を出口開口343まで流れる。出口開口343及びバルブ溝341で、加圧されたエンジンオイルが(コネクティングロッド上の)円筒面311と(ピストン上の)円筒内面213との間の枢動するインタフェースの潤滑のために集められるオイルリザーバが作られる。
【0077】
さらに、バルブ溝341は、クランクシャフトの位置及びピストン201に対するコネクティングロッド301の結果としての位置に応じてオイルフローを制御するために使用される。ピストン201が上死点又は下死点に着いたとき、コネクティングロッド301は、移動軸281に沿ってシリンダボア内で本質的に垂直である。その状態では、バルブ溝341は、オイルがバルブ溝341を通して流出できないように、アンダカット211の内面213に対して完全にシールされる。そのとき、例えばシリンダ内の燃料の点火が起こるとき、確実な潤滑及び理想的な潤滑が保証され、ピストン201とコネクティングロッド301との間の熱伝達が保証される。同様に、オイルリザーバのオイルクッションも直接的な材料接触を阻止する。
【0078】
動力行程時、ピストン201は、燃焼ガスによって加熱され、下向きに押される。最初に、クランクシャフトはTDCから約90°枢動し、コネクティングロッド301はピストンに対して枢動する。ここで、バルブ溝341の一部がアンダカット211の縁部217で解放されるように、バルブ溝341は寸法を決めされる(図2cを参照されたい)。このとき、エンジン圧力下でオイルチャネル345を通して供給されるオイルは、バルブ溝341の開いた部分から放出される。このオイルは、同様に加熱され、その放出は、コネクティングロッド/ピストン接続から離れるように熱を伝達する。この状態では、コネクティングロッド頭部303とアンダカット211との間の接続は、比較的軽い負荷をかけられ、それにより、これが、潤滑に利用できるオイルが少ないことを意味するとしても、エンジンオイルの流出は、ここで効果的に使用され得る。
【0079】
次いで、クランクシャフトが下死点(TDCから180°)に接近する場合、アンダカット211はバルブ溝341を閉じる。したがって、このとき、クランクシャフトの慣性力が作用し得る。さらなるクランクシャフトの回転は、排気行程を開始し、これは、閉じたバルブ溝341内に最大油圧を含んで開始される。この時点で、エンジンオイルへのさらなる熱伝達もある。次いで、270°のクランクシャフトの位置で、バルブのバルブ溝341は、縁部217を過ぎて枢動するバルブ溝341の一部によって開けられるため、油圧は、再びエンジンオイルから熱を伝達するために使用される。次いで、360°(0°又はTDCに対応する全角度)のクランクシャフトの位置まで、バルブ溝341は、縁部217によって再び閉じられ、それにより最大油圧が上死点で接続部に再び存在し、オイル放散に対する新たな熱伝達の利用可能性に到達する。このサイクルは当然、クランクシャフトの回転ごとり返され、それにより、結果は、枢軸183の周りの運動の十分な潤滑並びにコネクティングロッド301及びピストン201からの最適化された放熱である。
【0080】
図4~6は、本発明によるピストン201のさらなる実施形態例を、斜視側面図で、異なる角度から示し、示されるピストン201は、より良好に示すために、内部詳細を明らかにするように部分的に切り取られている。このために必要とされるピストン201の断面は、一方では枢軸183の方向に、他方ではこの方向に対して垂直に作られる。
【0081】
図4~6に示されるピストン201は、図1~2dに示されるピストン201と本質的に同じ外部構造を有し、それにより、上述のピストン201に関して説明された利点は、後述されるピストン201にも適用される。しかしながら、図4~6に示されるピストン201は、その「内部機構」に関して、図1~2dに示されるピストン201と異なる。
【0082】
特に、コネクティングロッドホルダ210は、アンダカット211の内面213から周面205及び周面205に配置された環状リング溝223、225、227まで延在する2つの潤滑剤チャネルを有する。図4では、潤滑剤チャネル290が反対方向で延在することを参照するのが特に容易である。それにより、一方の潤滑剤チャネル290は、切り開かれたように認識可能であり、他方の潤滑剤チャネル290は、内面213のその入口によってのみ認識可能である。
【0083】
潤滑剤ダクト290は、最初に、略球状のバッファチャンバ291まで延びる。そこに、分岐チャネル293に通じる分岐292が形成される。潤滑剤は、分岐チャネル293を通して、円錐形ドーム294のエリアの下のさらなるバッファチャンバ291まで供給される。このさらなるバッファ空間291を介して、このエリア294の冷却を支援する潤滑剤リザーバが設けられる。
【0084】
ドーム294に近接するさらなるバッファ空間291を通過した後、分岐チャネル293は、後方バッファ空間291、カッティングエッジ211の方向に又はピストン201の下側207に向かって続く。分岐チャネル293は、アンダカット211のエリア296、アンダカット211のエリア297及びコネクティングロッド301の頭部303が枢動可能に取り付けられるアンダカット211のエリア297の出口295で終わる。したがって、潤滑剤は、ピストン201に結合されるコネクティングロッドの隣に分岐チャネル293から流れ出ることができる。
【0085】
本質的に球状のバッファチャンバ291から分岐チャネル293に供給されない潤滑剤は、外部バッファチャンバ291にさらに供給され、それは、ピストンの外周の近くの環状リング溝223、225、227のエリアに延びる。この外部バッファチャンバ291は、ピストン201の外周面205に実質的に適合された湾曲形状を有する。バッファチャンバ291は、ピストン201の周囲の半分に本質的に沿って延在し、したがって準ハーフリングに形作られる。2つの潤滑剤ダクト290が本実施形態例で実現されるという事実により、複数の空間291が実現される本実施形態では、そのような2つの外側に湾曲したバッファチャンバ291も設けられ、それにより、各潤滑剤チャネル290は、そのようなバッファ空間291に通じる。
【0086】
潤滑剤は、外部バッファチャンバ291から周面205及び環状リング溝223、225、227に供給され、それにより、潤滑剤の出口299は、周面205に位置する(図5を参照されたい)。出口299は、周面205の凹部298で部分的に実現される。このような凹部298は、潤滑剤リザーバとしての役割を果たす。ここで示される実施形態では、合計4つの凹部298が周面205で実現され、出口299は、潤滑剤による凹部298の確実な充填が保証されるように各凹部298で実現される。
【0087】
ここで示される実施形態では、1つの分岐チャネル293が、2つの潤滑剤チャネル290のそれぞれから実現される。両方の分岐チャネル293は、ドーム294のエリアのさらなるバッファチャンバ291に集まるか又はこのさらなるバッファチャンバ291で互いに交わる。両方の分岐ダクト293は、ドーム294のエリアの近くの同じバッファ空間291を共有する。そのため、このさらなるバッファチャンバ291は、合計2つの入口及び2つの出口を有し、それは、各分岐チャネル293の1つ及び他の分岐チャネル293のそれぞれの1つである。
【0088】
ピストン201の簡略化された実施形態では、分岐チャネル293の意味で潤滑剤チャネル290を直接続けることも可能である。このような実施形態では、潤滑剤は、ピストン201の周面205に案内されないが、代わりにピストン201に直接供給され、アンダカット211又はアンダカット211の内面213から、再びアンダカット211、内面213、ピストン201の下側207又はアンダカット211の領域296の出口295に分岐することなく単に案内されて一巡する。これは、ピストン201又はコネクティングロッドホルダ210で潤滑剤のサイクル又は円形案内を作る。
【0089】
図7は、本発明によるクランク機構の実施形態例の部分断面側面図を示し、クランク機構は、上述の実施形態例の1つによるピストン201及び上述の実施形態例の1つによるピストン201内部に位置する潤滑剤ガイドを有する対応するコネクティングロッド301、すなわちクランクユニット101と、クランクシャフト401とを含む。コネクティングロッド301は、通常の方法でクランクシャフト401に結合される。ピストン201は、軸281に沿って移動可能な移動に沿ってシリンダ装置501内に配置される。
【0090】
図8は、往復動ピストン燃焼エンジン601の実施形態例の詳細な斜視部分断面図を示し、直列4気筒エンジンのシリンダバンクを形成する4つのシリンダを有するシリンダ装置501並びに上記の実施形態の1つによるピストン201及びコネクティングロッド301を有する。いずれの場合にも、ピストン201及びコネクティングロッド301は、クランクユニット101を形成する。コネクティングロッド301は、クランクシャフト401に結合される。
【0091】
図7及び8に示される設計例では、ピストン201及びコネクティングロッド301の「内部機構」は、明瞭さのために示されていない。
【0092】
これに関連して、すべての実施形態において、上で説明されたように、ピストン201の幾何学的設計は、放熱も最適化することに留意されたい。ピストン201の受け部210へのコネクティングロッド301の中心接続は、より良好な熱伝導を可能にし、それにより従来技術から知られている「火格子棒」も省くことができる。ピストン201の単純な幾何学的形状及び均一な真円度と共に、これは、製造が容易であり、さらに非常に効率的なディーゼルエンジンをもたらすことを可能にする。
【0093】
結果として、ディーゼルエンジンは、高い燃焼温度において、したがって排出物を削減して効果的な燃焼で動作させることができ、ピストン201の幾何学的形状として、コンパクトなデザイン及び中心に集められた燃焼キャビティにより、エンジンを高い燃焼温度で動作させることができる。余分な熱は、コネクティングロッド301に、エンジンの残りの部分を通る制御されたオイルフローによって放散される。循環するオイルは、良好な温度管理を提供する。したがって、全体として、本発明によるピストン201及びコネクティングロッド301の組合せは、往復質量を減少させた。このタイプのピストン201及びコネクティングロッド301が高圧噴射及びターボチャージャを有するディーゼルエンジンに関して本実施例で示されたが、同じ装置は、ガソリンエンジン及び圧縮機を含む他のタイプのエンジン及び機械に好適であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0094】
101 クランクユニット
183 旋回軸
185 クランク軸(クランクピン軸)
201 ピストン
203 頂部側(ピストンクラウン)
205 周面
207 下側(下面)
210 コネクティングロッドホルダ
211 アンダカット
213 内面
215 保持リング溝
216 直径
217 縁部
218 直径
219 ピストンスカート
220 カットアウト
221 外周カラー(周囲カラー)
223 リング溝(頂部圧縮リング溝)
225 リング溝(第2の圧縮リング溝)
227 リング溝(オイルコントロールリング溝)
229 ドリル穴
231 肉厚部
233 ポケット
235 肉厚部
241 燃焼キャビティ
243 円錐形ドーム
261 幅
271 切断面
273 切断面
275 切断面
281 移動軸
282 半径
284 半径
290 潤滑剤チャネル
291 バッファチャンバ
292 分岐
293 分岐チャネル
294 円錐形ドーム
295 出口
296 エリア
297 エリア
298 凹部
299 出口
301 コネクティングロッド
303 コネクティングロッド頭部
305 中間範囲
306 深み(凹部)
307 クランクシャフト接続部
308 コネクティングロッドキャップ
309 クランクシャフト穴
311 外面
312 面取り部
315 バー(ウェブ)
316 凹部
321 軸受シェル
341 バルブ溝
343 出口開口
345 オイルチャネル
347 入口開口
401 クランクシャフト
501 シリンダ装置
601 往復動内燃機関
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】