(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ドア閉め補助装置を備える自動車ドアヒンジ
(51)【国際特許分類】
E05F 1/12 20060101AFI20250107BHJP
E05D 11/10 20060101ALI20250107BHJP
E05D 11/08 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E05F1/12
E05D11/10
E05D11/08 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024536417
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2021064368
(87)【国際公開番号】W WO2023121645
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514056403
【氏名又は名称】マルチマティック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTIMATIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】レフティ、 マイケル ゴードン
【テーマコード(参考)】
2E032
2E050
【Fターム(参考)】
2E032BA06
2E032CA01
2E032EA03
2E032EB01
2E032EC02
2E032EC04
2E050AA03
2E050BA07
2E050CA04
2E050EA01
2E050EB02
(57)【要約】
自動車のドアヒンジが、ドアと本体の一方に選択的に取り付け可能な第1のブラケット及び第2のブラケットを備える。第2のブラケットに回転不能に取り付けられたカム要素が、第1のブラケットの第1のハウジング内に回転不能に収容されたカムフォロアと係合するように構成されたカム面を備える。エネルギー貯蔵手段が、カムフォロアが第1のハウジング内で第1の方向に平行移動し、次いで第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときに、それぞれエネルギーを貯蔵及び放出する。第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で相対的に回転すると、カムフォロアが縦方向に平行移動し、ドアが閉められるとき、カムフォロアがカム面と係合して第2の方向に縦方向に平行移動し、これによりエネルギー貯蔵手段によって貯蔵されたエネルギーが放出されてドアの閉鎖を補助する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアと車両本体とを回転可能に接続するように構成されたヒンジであって、
前記ドアと前記本体の一方に取り付け可能な第1のブラケットであって、第1のハウジングを備える第1のブラケットと、
前記ドアと前記本体の他方に取り付け可能な第2のブラケットと、
前記第2のブラケットに回転不能に取り付けられ、カムフォロアと係合するように構成されたカム面を備えるカム要素と、
前記第1のハウジング内に回転不能に収容され、前記カム面と係合したときに前記第1のハウジング内で縦方向に平行移動するように構成された前記カムフォロアと、
前記カムフォロアが第1の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、前記カムフォロアが前記第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成されたエネルギー貯蔵手段と
を備え、
前記第1のブラケットが前記第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で相対的に回転すると、前記カムフォロアの縦方向の平行移動が生じ、
前記ドアが開けられるときに前記第1のブラケットが前記第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、前記カムフォロアの第1の水平面と前記カム要素の第2の水平面とが当接し、これにより前記カムフォロアの前記第1の方向への縦方向の平行移動が停止し、
前記ドアが閉められるときに前記第1のブラケットが前記第2のブラケットに対して前記所定の位置を超えて回転すると、前記カムフォロアが前記カム面と係合して前記第2の方向に縦方向に平行移動し、これにより前記エネルギー貯蔵手段によって貯蔵されたエネルギーが放出されてドアを閉めるのを補助する、ヒンジ。
【請求項2】
前記カム面は、少なくとも1つのカム要素傾斜面を備え、
前記カムフォロアは、前記少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面を備える、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記カムフォロアがもはや前記カム要素に対して回転移動することができず、前記エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを放出することができなくない場合、前記ヒンジは閉じたヒンジ状態にあり、
前記少なくとも1つのカムフォロア傾斜面が前記カム要素傾斜面と係合し、前記ドアが回転するときに前記エネルギー貯蔵手段によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、前記ヒンジは第1の部分的に開いたヒンジ状態にあり、
前記カムフォロアの第1の水平面が前記カム要素の第2の水平面に当接し、前記エネルギー貯蔵手段によるエネルギーの更なる貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、前記ヒンジは第2の部分的に開いたヒンジ状態にあり、
前記カムフォロアがもはや前記カム要素に対して回転移動することができず、前記エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、前記ヒンジは完全に開いたヒンジ状態にある、請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記カム要素は、前記第1のハウジング内に収容された第1のシャフトをさらに備え、
前記第1のシャフトは円筒形であり、
前記エネルギー貯蔵手段は、前記第1のシャフトを取り囲むように構成され、
前記カムフォロアは、前記第1のシャフトと縦方向に摺動可能に連結しかつ前記第1のシャフトに対して回転するように、前記第1のシャフトを取り囲むように構成される、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記第1のシャフトと係合して前記カム要素が前記第1のハウジング内で縦方向に平行移動するのを制限する保持手段をさらに備える、請求項4に記載のヒンジ。
【請求項6】
前記保持手段はさらに、前記エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させて、前記カムフォロアに少なくとも所定量の予荷重を加える、請求項5に記載のヒンジ。
【請求項7】
前記保持手段はピンを備え、前記ピンは、前記第1のシャフトに回転不能に連結され、前記第1のハウジング内に取り付けられたときにブッシング内で回転する、請求項5に記載のヒンジ。
【請求項8】
前記カム要素は、前記第1のシャフトと反対側に突出する第2のシャフトをさらに備え、
前記第2のシャフトは、前記第2のブラケットの第2のハウジング内に回転不能に据え付けられ、
前記第2のシャフトに取り付けられた締結手段が、前記カム要素を前記第2のハウジングに固定する、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項9】
前記第2のシャフトはねじ付き部分を備え、
前記締結手段は、前記第2のシャフトの対応するねじ付き部分と係合するように構成されたねじ付き留め具を備え、これにより、前記第1のブラケットは、前記留め具を取り外し、前記第2のシャフトを前記第2のハウジング内から解放することによって、前記第2のブラケットから分離可能である、請求項8に記載のヒンジ。
【請求項10】
前記カム要素は、第1の回転防止機構を備え、
前記第2のブラケットは、前記カム要素と前記第2のブラケットとの間の回転を阻止するために前記第1の回転防止機構と係合するように構成された第2の回転防止機構を備える、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項11】
前記第1の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面を備え、
前記第2の回転防止機構は、前記円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面を備える、請求項10に記載のヒンジ。
【請求項12】
前記第1のハウジングの内側円筒面と前記カムフォロアの円周面のうちの一方に凹んだ少なくとも1つの縦方向の溝と、
前記第1のハウジングの内側円筒面及び前記カムフォロアの円周面のうちの他方から縦方向に延びる少なくとも1つのスプラインと
をさらに備え、前記少なくとも1つのスプラインは、前記第1のハウジング内での前記カムフォロアの回転を防止しつつ、前記第1のハウジング内での前記カムフォロアの縦方向の平行移動を容易にするように、前記少なくとも1つの溝と係合しかつ前記少なくとも1つの溝内で縦方向に平行移動するように構成される、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項13】
前記ヒンジは、前記ドアを前記本体に対して複数の回転位置に保持するように構成されたドアチェッカーと連動して動作する、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項14】
前記ドアを前記本体に連結する第2のヒンジが、前記ドアチェッカーを備える、請求項13に記載のヒンジ。
【請求項15】
前記エネルギー貯蔵手段はばねを備える、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項16】
前記ばねはコイルばねを含む、請求項15に記載のヒンジ。
【請求項17】
前記カムフォロアの第1の水平面と前記カム要素の第2の水平面との間の摩擦がドアチェック機能を提供する、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項18】
前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットを組立体に保持するように構成された解除可能な締結手段をさらに備える、請求項1に記載のヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヒンジに関し、より詳細には車両本体に対する車両ドアの閉鎖及び車両本体からの車両ドアの分離を容易にする自動車ドアヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車ドアヒンジは、車両ドア及び車両本体にそれぞれ堅固に取り付けられた車両ドア部品及び車両本体部品を含む。多くの場合、ドア部品は、ドア部品と本体部品のいずれか一方に堅固に取り付けられたピボットピンを用いて本体部品に回転可能に接続され、ドア部品と本体部品の他方は、ピボットピンを中心に自由に回転できる。
【0003】
ドアを閉めるために、車両ドアに堅固に取り付けられたヒンジのドア部品は、車両ドアが車両本体に完全にラッチするまで本体部品に対して回転する。特定の状況では、ドア閉め抵抗のために車両ドアの完全な閉鎖が困難な場合がある。例えば、ドア閉め抵抗は、すべての窓が閉められている場合などの車室内の圧力によって、又は車両が坂道で下向きに駐車され、ドアが開く場合などのドアの質量によって生じる可能性がある。ドア閉め抵抗はまた、ドアシールの圧縮中及びドアラッチ機構のストライカへの完全な係合中に生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、車両本体に対する車両ドアの閉鎖を容易にする自動車ドアヒンジを作成することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両ドアと車両本体とを回転可能に接続するように構成されたヒンジであって、ドアと本体の一方に取り付け可能な第1のブラケットであって、第1のハウジングを備える第1のブラケットと、ドアと本体の他方に取り付け可能な第2のブラケットと、第2のブラケットに回転不能に取り付けられ、カムフォロアと係合するように構成されたカム面を備えるカム要素と、第1のハウジング内に回転不能に収容され、カム面と係合したときに第1のハウジング内で縦方向に平行移動するように構成されたカムフォロアと、カムフォロアが第1の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、カムフォロアが第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成されたエネルギー貯蔵手段とを備え、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で相対的に回転すると、カムフォロアの縦方向の平行移動が生じ、ドアが開けられるときに第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面とが当接し、これによりカムフォロアの第1の方向への縦方向の平行移動が停止し、ドアが閉められるときに第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアがカム面と係合して第2の方向に縦方向に平行移動し、これによりエネルギー貯蔵手段によって貯蔵されたエネルギーが放出されてドアを閉めるのを補助する、ヒンジを含む。
【0006】
本発明の更なる態様では、カム面は、少なくとも1つのカム要素傾斜面を備え、カムフォロアは、少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面を備える。本発明の更なる態様では、カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを放出することができない場合、ヒンジは閉じたヒンジ状態にあり、少なくとも1つのカムフォロア傾斜面がカム要素傾斜面と係合し、ドアが回転するときにエネルギー貯蔵手段によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、ヒンジは第1の部分的に開いたヒンジ状態にあり、カムフォロアの第1の水平面がカム要素の第2の水平面に当接し、エネルギー貯蔵手段によるエネルギーの更なる貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、ヒンジは第2の部分的に開いたヒンジ状態にあり、カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態にある。
【0007】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1のハウジング内に収容される第1のシャフトをさらに備え、第1のシャフトは円筒形であり、エネルギー貯蔵手段は、第1のシャフトを取り囲むように構成され、カムフォロアは、第1のシャフトと縦方向に摺動可能に連結しかつ第1のシャフトに対して回転するように、第1のシャフトを取り囲むように構成される。本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のシャフトと係合してカム要素が第1のハウジング内で縦方向に平行移動するのを制限する保持手段をさらに備える。本発明の更なる態様では、前記保持手段はさらに、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させて、カムフォロアに少なくとも所定量の予荷重を加える。本発明の更なる態様では、前記保持手段はピンを備え、ピンは、第1のシャフトに回転不能に接続され、第1のハウジングに取り付けられたときにブッシング内で回転する。
【0008】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1のシャフトと反対側に突出する第2のシャフトをさらに備え、第2のシャフトは、第2のブラケットの第2のハウジング内に回転不能に据え付けられ、第2のシャフトに取り付けられた締結手段が、カム要素を第2のハウジングに固定する。本発明の更なる態様では、第2のシャフトはねじ付き部分を備え、締結手段は、第2のシャフトの対応するねじ付き部分と係合するように構成されたねじ付き留め具を備え、これにより、第1のブラケットは、留め具を取り外し、第2のシャフトを第2のハウジング内から解放することによって、第2のブラケットから分離可能である。
【0009】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1の回転防止機構を備え、第2のブラケットは、カム要素と第2のブラケットとの間の回転を阻止するために第1の回転防止機構と係合するように構成された第2の回転防止機構を備える。本発明の更なる態様では、第1の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面を備え、第2の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面を備える。
【0010】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のハウジングの内側円筒面とカムフォロアの円周面のうちの一方に凹んだ少なくとも1つの縦方向の溝と、第1のハウジングの内側円筒面とカムフォロアの円周面のうちの他方から縦方向に延びる少なくとも1つのスプラインとをさらに備え、少なくとも1つのスプラインは、第1のハウジング内でのカムフォロアの回転を防止しつつ、第1のハウジング内でのカムフォロアの縦方向の平行移動を容易にするように、少なくとも1つの溝と係合しかつ少なくとも1つの溝内で縦方向に平行移動するように構成される。
【0011】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、ドアを本体に対して複数の回転位置に保持するように構成されたドアチェッカーと連動して動作する。本発明の更なる態様では、ドアを本体に接続する第2のヒンジがドアチェッカーを備える。
【0012】
本発明の更なる態様では、エネルギー貯蔵手段はばねを備える。本発明の更なる態様では、ばねはコイルばねを含む。
【0013】
本発明の更なる態様では、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面との間の摩擦がドアチェック機能を提供する。
【0014】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のブラケット及び第2のブラケットを組立体に保持するように構成された解除可能な締結手段をさらに備える。
【0015】
本発明の更なる態様は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】ヒンジを用いて車両本体に回転可能に接続された車両ドアを示す。
【
図1B】ヒンジを用いて車両本体に回転可能に接続された車両ドアを示す。
【0017】
【
図2】いくつかの実施形態によるヒンジの部品を示す。
【0018】
【
図3A】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3C】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3D】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図4A】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図4B】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【0019】
【
図5A】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【
図5B】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【
図5C】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【0020】
【
図6A】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6C】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6D】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【0021】
先行する段落、特許請求の範囲、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴のいずれかを含め、単独で又は任意の組み合わせで採用することができる。1つの実施形態に関連して説明される特徴は、そのような特徴が相容れない場合を除いて、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一態様は、車両ドアと車両本体とを回転可能に接続するように構成されたヒンジを含む。ヒンジは、第1のブラケット及び第2のブラケットを含み、各ブラケットは、固定留め具、溶接、接着、リベット留め、又は他の手段のいずれかを用いて、ドア又は本体のいずれかに取り付け可能である。いくつかの実施形態では、第1のブラケットをドアに取り付けることができ、第2のブラケットを本体に取り付けることができる。他の実施形態では、第1のブラケットを本体に取り付けることができ、第2のブラケットをドアに取り付けることができる。カムフォロアが、第1のブラケットの第1のハウジング内に回転不能に収容され、第1のハウジング内で縦方向に平行移動するように構成される。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、往復動プランジャを含むことができる。カム要素が、第2のブラケットに回転不能に取り付けられ、カムフォロアと係合するように構成されたカム面を含む。エネルギー貯蔵手段が、カムフォロアが第1の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、カムフォロアが第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、ばねなどの弾性要素を含むことができる。ばねは、線形特性ばねであってもよく、非線形特性ばねであってもよい。好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵手段はコイルばねである。他の可能なエネルギー貯蔵手段は、圧縮可能な弾性ゴム又はプラスチック部品、圧縮ガス(例えば、ガスボンベ)及び熱エネルギー貯蔵を含むが、他のエネルギー貯蔵手段も使用することができる。
【0023】
第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で回転すると、カムフォロアが縦方向に平行移動する。ドアが開けられるとき、第1のブラケットが回転すると、カムフォロアが回転してカム面と係合する。カムフォロアがカム面と係合すると、カムフォロアは第1のハウジング内で第1の方向に縦方向に平行移動し、エネルギー貯蔵手段にエネルギーを貯蔵させる。好ましい実施形態では、カムフォロアがカム面と係合する前に、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定量(例えば、4度、5度、7度、又は他の量)回転する。回転クリアランスにより、カムフォロアとカム要素のカム面との間にいかなる反作用するカム力もなく、ドアを部分的に開くことができる。この回転クリアランスは、第1のブラケットと第2のブラケットとが分離されるドアの取り外しの際に有用であり得る。回転クリアランスは、オーバースラムを構成することもできる。ドアが開けられる間に第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置(例えば、20度、30度、35度、又は他の量)を超えて回転すると、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面とが当接し、これによりカムフォロアの縦方向の平行移動が停止する。好ましい実施形態では、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面との間の摩擦が、ドアを開いた状態に保つのに役立つドアチェック機能を提供する。一方、ドアが閉められるとき、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアがカム面と係合して第2の方向に縦方向に平行移動する。カムフォロアが第2の方向に縦方向に平行移動すると、エネルギー貯蔵手段がエネルギーを放出し、放出されたエネルギーにより、ドアを閉めるのを補助する荷重がカムフォロアに加えられる。
【0024】
ドア閉め補助エネルギーは、ドアを閉めるために追加の力を必要とする状況で有用であり得る。例えば、ドア閉め補助エネルギーは、(例えば、すべての窓が閉まっている場合の)車室内の圧力又は(例えば、車両が坂道で下向きに駐車され、ドアが開く場合の)ドアの質量から生じるドア閉め抵抗に打ち勝つのに有用であり得る。ドア閉め補助エネルギーはまた、ドアシールの圧縮中及びドアラッチ機構のストライカへの完全な係合中のドア閉め抵抗に打ち勝つのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、ドアが本体に対して30度の開放角度を有する場合、3.5Jのドア閉め補助エネルギーが生成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、カム要素は、少なくとも1つのカム要素傾斜面(例えば、1つ、2つ、4つ、又は別の数のカム要素傾斜面)を含む。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面(例えば、1つ、2つ、4つ、又は別の数のカムフォロア傾斜面)を含む。カムフォロア傾斜面の数は通常、カム要素傾斜面の数と一致する。カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを放出することができない場合、ヒンジは閉じたヒンジ状態にある。少なくとも1つのカムフォロア傾斜面がカム要素傾斜面と係合し、ドアが回転するときにエネルギー貯蔵手段によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、ヒンジは部分的に開いたヒンジ状態にある。カムフォロアの第1の水平面がカム要素の第2の水平面に当接し、エネルギー貯蔵手段による更なるエネルギーの貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、ヒンジは部分的に開いたヒンジ状態のままであり得る。通常、この部分的に開いたヒンジ状態の段階で、エネルギー貯蔵手段に最大のエネルギーが貯蔵される。カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態にある。第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定量以上(例えば、25度以上又は30度以上)回転すると、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態になる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカムフォロア傾斜面は、ドアを所定量(例えば、3度、5度、6度、又は他の量)回転させて開いた後に少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、カム要素は、第1のハウジング内に収容された第1のシャフトを含む。第1のシャフトは、第1のシャフトの周りのカムフォロアの回転を容易にするために好ましくは円筒形である。カム面は、有利には第1のシャフトの端部に配置され、カムフォロアによってエネルギー貯蔵手段から分離される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、第1のシャフトを取り囲むように構成される。ばね、特にコイルばねが、このようなエネルギー貯蔵手段の一例である。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、第1のシャフトと縦方向に摺動可能に連結しかつ第1のシャフトに対して回転するように、第1のシャフトを取り囲むように構成される。このような場合、第1のシャフトは好ましくは円筒形であり、カムフォロアは対応する中空円筒形コアを有する。いくつかの実施形態では、保持手段を使用して第1のシャフトと係合し、カム要素が第1のハウジング内で縦方向に平行移動するのを制限する。保持手段は、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させて、カムフォロアに予荷重を加えることができる。いくつかの実施形態では、保持手段は、第1のハウジング内に取り付けられたブッシングと、ブッシングに嵌合しかつブッシングに対して回転するように構成されたピンとを含む。いくつかの実施形態では、ピンは、第1のシャフトに圧入され、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させ、カムフォロアに予荷重を与える。代わりに、クリップ又はナットなどの他の保持手段を使用してもよい。いくつかの実施形態では、カム要素は、第2のブラケットの第2のハウジング内に回転不能に位置するように構成された第2のシャフトを含み、第2のシャフトに接続された締結手段が、カム要素を第2のハウジングに固定する。いくつかの実施形態では、第2のシャフトは、第1のブラケットから遠位の第2のハウジングの外側端部に隣接する第2のシャフト端部にねじ山が切られている。したがって、第2のシャフト端部も第1のシャフトから遠位にある。締結手段は、対応するねじ付きの第2のシャフト端部と係合するように構成されたねじ付き留め具を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1のブラケットは、留め具を取り外し、第2のシャフトを第2のハウジング内から解放することによって、第2のブラケットから分離可能である。他の実施形態では、クリップ又はナットなどの他の締結手段を使用して、カム要素を第2のハウジングに回転不能に固定することができる。カム要素は、第1のハウジングと第2のハウジングとの間に位置するように構成されたディスク形状の特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブッシングが、ディスク形状の特徴部と第1のハウジングとの間に配置される。
【0027】
第1のハウジングの円筒形内面又はボアは、少なくとも1つの縦方向の溝を含むことができ、カムフォロアは、カムフォロアの円周面から縦方向に延びる少なくとも1つのスプラインを含むことができる。少なくとも1つのスプラインは、第1のハウジングに対するカムフォロアの回転を防止しつつ、第1のハウジング内でのカムフォロアの縦方向の平行移動を容易にするために、少なくとも1つの縦方向の溝と係合しかつ少なくとも1つの縦方向の溝内で縦方向に平行移動するように構成される。他の実施形態では、カムフォロアの円周面が少なくとも1つの縦方向の溝を含み、第1のハウジングの円筒形内面又はボアが少なくとも1つのスプラインを含む場合に、同じ効果が得られる。
【0028】
いくつかの実施形態では、カム要素は第1の回転防止機構を含み、第2のブラケットは第2の回転防止機構を含む。第2の回転防止機構は、第1の回転防止機構と係合して、カム要素と第2のブラケットとの間の回転を阻止し、好ましくは防止するように構成される。好ましい実施形態では、第1の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面を含み、第2の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面を含む。さらに好ましい実施形態では、第1の回転防止機構は、雌型正方形テーパ嵌合面と雄型正方形テーパ嵌合面の一方を備え、第2の回転防止機構は、雌型正方形テーパ嵌合面と雄型正方形テーパ嵌合面の他方を備える。カム要素と第2のブラケットとの間の回転を防止するために、他の手段を使用してもよい。例えば、一実施形態では、第1の回転防止機構は突出部を含み、第2の回転防止機構は、突出部を受け入れかつカム要素と第2のブラケットとの間の回転を防止するように構成されたくぼみを含む。いくつかの実施形態では、第1の回転防止機構及び第2の回転防止機構はまた、ドアを本体に組み付ける際にドアブラケットを本体ブラケットと位置合わせするのに有用である。
【0029】
いくつかの実施形態では、ヒンジは、ドアを複数の回転位置に保持するためにドアチェッカーと連動して動作する。ドアを本体に接続する第2のヒンジが、ドアチェッカーを含むことができる。このようなドアチェッカーの例は、米国特許第6,481,056号に記載されている。
【0030】
図1A及び
図1Bは、車両ドア(2)と車両本体(3)とを回転可能に接続するように構成されたヒンジ(1)の実施形態を示す。ヒンジは、ドアブラケット(4)と本体ブラケット(5)とを含む。ドアブラケット(4)は、車両ドア(2)に取り付け可能であり、ドアハウジング(6)を含む(
図2参照)。ドアブラケットは、固定留め具(7)を用いて車両ドア(2)に固定される。本体ブラケット(5)は、車両本体(3)に取り付け可能であり、本体ハウジング(8)を含む(
図2参照)。本体ブラケット(5)は、固定留め具(7)を用いて車両本体(3)に固定される。
【0031】
図2は、ヒンジ(1)の部品の分解図を示す。
図3A~
図3D、
図4A及び
図4Bは、ヒンジ(1)の部品の組み立てを示す。カムフォロア(9)が、ドアハウジング(6)内に回転不能に収容される。カムフォロアは、本体ブラケット(5)に回転不能に取り付けられたカム要素(11)の第1のシャフト(10)を取り囲む。カムフォロア(9)は、往復動プランジャと同様に、第1のシャフト(10)に沿ってドアハウジング(6)内で縦方向に平行移動するように構成される。カムフォロア(9)は、ドアハウジング(6)の縦方向の溝(13)内に嵌合するように構成された1つ以上のスプライン(12)を含み、カムフォロア(9)がドアハウジング(6)に対して回転するのを防止し、カムフォロア(9)が第1のシャフト(10)に沿ってドアハウジング(6)内で縦方向に平行移動することを可能にする。カムフォロア(9)は、カム要素(11)の溝(15)内に嵌合するように構成された突出部(14)をさらに含む。突出部(14)は、溝(15)のカム要素傾斜面(17)と係合するように構成されたカムフォロア傾斜面(16)を含む。
【0032】
ばね(18)が、ドアハウジング(6)内に収容され、第1のシャフト(10)を取り囲む。ドア(2)が開けられるとき、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1の方向に縦方向に平行移動させ、それによってばね(18)を圧縮して弾性エネルギーを貯蔵する。ドア(2)が閉められるとき、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動させ、それによってばね(18)を減圧して弾性エネルギーを放出する。
【0033】
ブッシング(19)が、ドアハウジング(6)の上面の穴(20)に圧入される。これは、非摩擦分割ブッシング又は別の適切なブッシングの形態であってもよい。ピン(21)がブッシング(19)に嵌合し、ドアハウジング(6)内に位置する第1のシャフト(10)に圧入される。代わりに、ピン(21)は、第1のシャフト(10)に外嵌されてもよく、第1のシャフト(10)にねじ込まれ又は螺合してもよい。その結果、ドア(2)が開閉されるとき、ドアハウジング(6)がピン(21)及び第1のシャフト(10)に対して回転する。ピン(21)は、ばね(18)を圧縮させ、カムフォロア(9)に予荷重を与える。
【0034】
カム要素(11)は、本体ハウジング(8)内に押し込まれた円錐形ソケット(23)と嵌合するように構成された円錐形特徴部(22)をさらに含む。円錐形特徴部(22)及び円錐形ソケット(23)の嵌合面は、雄型正方形テーパ嵌合面(24)及び雌型正方形テーパ嵌合面(25)をそれぞれ含む。円錐形特徴部(22)及び円錐形ソケット(23)の正方形テーパ嵌合面(24)及び(25)は、それぞれ、カム要素(11)と本体ブラケット(5)との間の回転を防止し、ヒンジ(1)の組み立て中のドアブラケット(4)と本体ブラケット(5)の位置合わせに役立つ。正方形テーパ嵌合面が好ましいが、他の多角形嵌合面(例えば、三角形、五角形など)を使用してもよい。
【0035】
カム要素(11)は、本体ハウジング(8)の垂直通路(27)内に位置するように構成された第2のシャフト(26)をさらに含む。第2のシャフト(26)は、留め具(28)と係合するためにねじ山が切られている。ねじ山は、必要に応じて第2のシャフトの長さ全体にわたって延びてもよいし、第2のシャフトの長さの一部のみにわたって延びてもよい。留め具(28)は、カム要素(11)を本体ブラケット(5)に固定しかつドア(2)と本体(3)とを回転可能に接続するために、第2のシャフト(26)のねじ付き端部に固定される。留め具(28)は内ねじであり、第2のシャフト(26)は外ねじである。代わりに、留め具(28)は外ねじであり、第2のシャフト(26)は内ねじであってもよい。カム要素(11)を本体ブラケット(5)に固定するために他の手段を使用することもできるが、以下にさらに説明するように、ドア(2)の本体(3)への断続的で容易な取り外し及び再取り付けを提供するため、ねじ接続が好ましい。留め具(28)は、ドアブラケット(4)及び本体ブラケット(5)を組立体に保持する役割を果たす。カム要素(11)のディスク形状特徴部(30)が、ドアハウジング(6)と本体ハウジング(8)の両方に接触するように構成される。ブッシング(29)が、溝(15)とディスク形状特徴部(30)との間のカム要素(11)の円筒形部分を取り囲み、カム要素(11)のディスク形状特徴部(30)の表面の上に位置するように構成される。ブッシング(29)は、カム要素(11)に対する第1のハウジング(6)の回転を容易にする。様々な実施形態では、本明細書に記載されるカム要素(11)のいくつかの部分は一体であってもよく、かつ/又はカム要素(11)のいくつかの部分は構造的に固定されていてもよい。
【0036】
図5A~
図5Cは、ヒンジ(1)の機能を示す。ドアブラケット(4)は、ドアハウジング(6)内に収容された部品を遮らないように、
図5A~
図5Cからは意図的に省略されている。
図5Aは、閉じたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、突出部(14)はそれぞれの溝(15)内に完全に据え付けられ、カムフォロア(9)はもはやカム要素(11)に対して動くことができず、ばね(18)によってそれ以上のエネルギーを放出することができず、ドア(2)は閉まっている。突出部(14)は、カムフォロア傾斜面(16)とカム要素傾斜面(17)との間の所定の回転クリアランスを有して溝(15)内に嵌合するように構成される。
【0037】
図5Bは、第1の部分的に開いたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、ドア(2)は部分的に開いており、カムフォロア傾斜面(16)はカム要素傾斜面(17)と係合し、ドアが回転するときに更なるエネルギーをばね(18)によって貯蔵又は放出することができる。ドアブラケット(4)が回転クリアランスを超えて第1の回転方向(32)に回転すると、ドアハウジング(6)内に回転不能に収容されたカムフォロア(9)がドアブラケット(4)と同じ量だけ第1の回転方向(32)に回転する。ドアブラケット(4)が回転してドア(2)を開くと、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1のハウジング(6)内に縦方向に上方に平行移動させ、ばね(18)を圧縮させる。
【0038】
図5Cは、第2の部分的に開いたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、ドア(2)は部分的に開いており、突出部(14)はカム要素(11)の水平面(33)に達し、カムフォロア(9)はもはやカム要素(11)に対して縦方向に移動することができず、実質的に最大のエネルギーがばね(18)によって貯蔵されている。突出部(14)の水平面(34)とカム要素(11)の水平面(33)との間の摩擦は、ドアチェック機能を提供する。ヒンジ(1)は、ドアブラケット(4)が本体ブラケット(5)に対して所定の位置を超えて回転すると、第2の部分的に開いたヒンジ状態になる。ヒンジ(1)は、カムフォロア(9)がもはやカム要素(11)に対して回転移動することができなくなると、完全に開いたヒンジ状態になり、実質的に最大のエネルギーが依然としてばね(18)によって貯蔵されている。代わりに、異なるエネルギー貯蔵プロファイルが望まれる場合、完全に開いたヒンジ状態でばね(18)によって貯蔵されるエネルギーは、ドア(2)の開放中に貯蔵される最大エネルギーである必要はない。貯蔵されたエネルギーは、以下にさらに説明するように、ドアの閉鎖中に所定の位置に到達したときにドア(2)の閉鎖を促すのに十分でなければならない。
【0039】
ドア(2)の閉鎖中、ドアブラケット(4)が第1の回転方向(32)と反対の第2の回転方向(35)に回転し、本体ブラケット(5)に対して所定の位置を過ぎると、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)をドアハウジング(6)内で縦方向に下方に平行移動させ、ばね(18)を減圧させる。ばね(18)が減圧され、貯蔵されたエネルギーを放出すると、ドア(2)を閉めるのを補助する荷重がカムフォロア(9)に加えられる。ばね力は、ドア(2)にいくらかの推進力を与え、ドア(2)の完全な閉鎖に抵抗するあらゆる力に打ち勝つのを補助する。
【0040】
図6A~
図6Dは、ドア(2)を本体(3)から分離するプロセスの実施形態を示す。
図6Aにおいて、ドア(2)の掛け金を外し、ドア(2)を開ける。
図6Bにおいて、第2のシャフト(26)のねじ付き端部にねじ込まれた留め具(28)を取り外す。
図6Cにおいて、第2のシャフト(26)が本体ブラケット(5)内から解放されるまで、ドア(2)を上方に持ち上げる。
図6Dにおいて、ドア(2)を収納のために脇に置く。ドア(2)は、ドア(2)を持ち上げ、円錐形特徴部(22)の表面(24)が円錐形ソケット(23)の表面(25)に接触するまで、第2のシャフト(26)を本体ブラケット(5)の本体ハウジング(8)内に下降させることによって、本体(3)に回転可能に再接続される。次に、ドア(2)を本体(3)に回転可能に再接続するために、留め具(28)を第2のシャフト(26)のねじ付き端部に固定する。
【0041】
本明細書に記載されている要素の特定の配置は、当業者に明らかなように変更することができる。例えば、カム要素がドアハウジング内に回転不能に収容され、ドアが開閉するときにドアハウジングと共に回転するように、要素を再配置することができる。このような配置では、ドアハウジング及びカム要素は、カムフォロアに対して回転する。別の例では、カム要素は、ドアハウジング又は本体ハウジングと一体であるか、又はドアハウジング又は本体ハウジングに構造的に固定されていてもよい。さらに、図示した実施形態では、カム要素は2つの溝を含み、カムフォロアは2つの突出部を含むが、異なる数の溝及び突出部を使用することができる。さらに、溝同士の位置及びカムフォロアの突出部同士の位置は、図示したものとは異なっていてもよい。同様に、第1のハウジング及びカムフォロアのそれぞれの内部又は上に、図示したものとは異なる数の縦方向の溝及びスプラインを使用することができる。さらに、縦方向の溝同士の位置及びスプライン同士の位置は、図示したものとは異なっていてもよい。
【0042】
実施形態では、ヒンジの様々な部品は、打抜き加工、鍛造及び鋳造などの様々な製造方法を用いて製造することができる。実施形態では、ヒンジの様々な部品は、金属やプラスチックなどの様々な種類の材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、潤滑剤又は潤滑剤を含浸させた材料を使用することができる。例えば、潤滑剤を金属カムフォロアに使用することができる。
【0043】
本発明の実施形態を図示したが、本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく、図示した構造の変形又は修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヒンジに関し、より詳細には車両本体に対する車両ドアの閉鎖及び車両本体からの車両ドアの分離を容易にする自動車ドアヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車ドアヒンジは、車両ドア及び車両本体にそれぞれ堅固に取り付けられた車両ドア部品及び車両本体部品を含む。多くの場合、ドア部品は、ドア部品と本体部品のいずれか一方に堅固に取り付けられたピボットピンを用いて本体部品に回転可能に接続され、ドア部品と本体部品の他方は、ピボットピンを中心に自由に回転できる。
【0003】
ドアを閉めるために、車両ドアに堅固に取り付けられたヒンジのドア部品は、車両ドアが車両本体に完全にラッチするまで本体部品に対して回転する。特定の状況では、ドア閉め抵抗のために車両ドアの完全な閉鎖が困難な場合がある。例えば、ドア閉め抵抗は、すべての窓が閉められている場合などの車室内の圧力によって、又は車両が坂道で下向きに駐車され、ドアが開く場合などのドアの質量によって生じる可能性がある。ドア閉め抵抗はまた、ドアシールの圧縮中及びドアラッチ機構のストライカへの完全な係合中に生じる可能性がある。
Guionicの特許文献1には、ドアを開けるためのデテントを備えたヒンジが開示されている。このヒンジは、ドアを閉めるときにドアを開けるときよりも大きなトルクを必要とするため、ドア閉め抵抗に打ち勝つのに役立たない。特許文献2にはドアヒンジが開示されているが、これもまたドア閉め抵抗に打ち勝つことを目的としていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許出願公告第1397776号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202020101385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、車両本体に対する車両ドアの閉鎖を容易にする自動車ドアヒンジを作成することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両ドアと車両本体とを回転可能に接続するように構成されたヒンジであって、ドアと本体の一方に取り付け可能な第1のブラケットであって、第1のハウジングを備える第1のブラケットと、ドアと本体の他方に取り付け可能な第2のブラケットと、第2のブラケットに回転不能に取り付けられ、カムフォロアと係合するように構成されたカム面を備えるカム要素と、第1のハウジング内に回転不能に収容され、カム面と係合したときに第1のハウジング内で縦方向に平行移動するように構成されたカムフォロアと、カムフォロアが第1の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、カムフォロアが第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成されたエネルギー貯蔵手段とを備え、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で相対的に回転すると、カムフォロアの縦方向の平行移動が生じ、ドアが開けられるときに第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面とが当接し、これによりカムフォロアの第1の方向への縦方向の平行移動が停止し、ドアが閉められるときに第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアがカム面と係合して第2の方向に縦方向に平行移動し、これによりエネルギー貯蔵手段によって貯蔵されたエネルギーが放出されてドアを閉めるのを補助する、ヒンジを含む。
【0007】
本発明の更なる態様では、カム面は、少なくとも1つのカム要素傾斜面を備え、カムフォロアは、少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面を備える。本発明の更なる態様では、カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを放出することができない場合、ヒンジは閉じたヒンジ状態にあり、少なくとも1つのカムフォロア傾斜面がカム要素傾斜面と係合し、ドアが回転するときにエネルギー貯蔵手段によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、ヒンジは第1の部分的に開いたヒンジ状態にあり、カムフォロアの第1の水平面がカム要素の第2の水平面に当接し、エネルギー貯蔵手段によるエネルギーの更なる貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、ヒンジは第2の部分的に開いたヒンジ状態にあり、カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態にある。
【0008】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1のハウジング内に収容される第1のシャフトをさらに備え、第1のシャフトは円筒形であり、エネルギー貯蔵手段は、第1のシャフトを取り囲むように構成され、カムフォロアは、第1のシャフトと縦方向に摺動可能に連結しかつ第1のシャフトに対して回転するように、第1のシャフトを取り囲むように構成される。本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のシャフトと係合してカム要素が第1のハウジング内で縦方向に平行移動するのを制限する保持手段をさらに備える。本発明の更なる態様では、前記保持手段はさらに、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させて、カムフォロアに少なくとも所定量の予荷重を加える。本発明の更なる態様では、前記保持手段はピンを備え、ピンは、第1のシャフトに回転不能に接続され、第1のハウジングに取り付けられたときにブッシング内で回転する。
【0009】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1のシャフトと反対側に突出する第2のシャフトをさらに備え、第2のシャフトは、第2のブラケットの第2のハウジング内に回転不能に据え付けられ、第2のシャフトに取り付けられた締結手段が、カム要素を第2のハウジングに固定する。本発明の更なる態様では、第2のシャフトはねじ付き部分を備え、締結手段は、第2のシャフトの対応するねじ付き部分と係合するように構成されたねじ付き留め具を備え、これにより、第1のブラケットは、留め具を取り外し、第2のシャフトを第2のハウジング内から解放することによって、第2のブラケットから分離可能である。
【0010】
本発明の更なる態様では、カム要素は、第1の回転防止機構を備え、第2のブラケットは、カム要素と第2のブラケットとの間の回転を阻止するために第1の回転防止機構と係合するように構成された第2の回転防止機構を備える。本発明の更なる態様では、第1の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面を備え、第2の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面を備える。
【0011】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のハウジングの内側円筒面とカムフォロアの円周面のうちの一方に凹んだ少なくとも1つの縦方向の溝と、第1のハウジングの内側円筒面とカムフォロアの円周面のうちの他方から縦方向に延びる少なくとも1つのスプラインとをさらに備え、少なくとも1つのスプラインは、第1のハウジング内でのカムフォロアの回転を防止しつつ、第1のハウジング内でのカムフォロアの縦方向の平行移動を容易にするように、少なくとも1つの溝と係合しかつ少なくとも1つの溝内で縦方向に平行移動するように構成される。
【0012】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、ドアを本体に対して複数の回転位置に保持するように構成されたドアチェッカーと連動して動作する。本発明の更なる態様では、ドアを本体に接続する第2のヒンジがドアチェッカーを備える。
【0013】
本発明の更なる態様では、エネルギー貯蔵手段はばねを備える。本発明の更なる態様では、ばねはコイルばねを含む。
【0014】
本発明の更なる態様では、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面との間の摩擦がドアチェック機能を提供する。
【0015】
本発明の更なる態様では、ヒンジは、第1のブラケット及び第2のブラケットを組立体に保持するように構成された解除可能な締結手段をさらに備える。
【0016】
本発明の更なる態様は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】ヒンジを用いて車両本体に回転可能に接続された車両ドアを示す。
【
図1B】ヒンジを用いて車両本体に回転可能に接続された車両ドアを示す。
【0018】
【
図2】いくつかの実施形態によるヒンジの部品を示す。
【0019】
【
図3A】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3C】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図3D】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図4A】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【
図4B】いくつかの実施形態によるヒンジの部品の組み立てを示す。
【0020】
【
図5A】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【
図5B】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【
図5C】いくつかの実施形態によるヒンジの機能を示す。
【0021】
【
図6A】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6C】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【
図6D】いくつかの実施形態による、車両ドアを車両本体に分離し、回転可能に再接続するプロセスを示す。
【0022】
先行する段落、特許請求の範囲、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴のいずれかを含め、単独で又は任意の組み合わせで採用することができる。1つの実施形態に関連して説明される特徴は、そのような特徴が相容れない場合を除いて、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一態様は、車両ドアと車両本体とを回転可能に接続するように構成されたヒンジを含む。ヒンジは、第1のブラケット及び第2のブラケットを含み、各ブラケットは、固定留め具、溶接、接着、リベット留め、又は他の手段のいずれかを用いて、ドア又は本体のいずれかに取り付け可能である。いくつかの実施形態では、第1のブラケットをドアに取り付けることができ、第2のブラケットを本体に取り付けることができる。他の実施形態では、第1のブラケットを本体に取り付けることができ、第2のブラケットをドアに取り付けることができる。カムフォロアが、第1のブラケットの第1のハウジング内に回転不能に収容され、第1のハウジング内で縦方向に平行移動するように構成される。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、往復動プランジャを含むことができる。カム要素が、第2のブラケットに回転不能に取り付けられ、カムフォロアと係合するように構成されたカム面を含む。エネルギー貯蔵手段が、カムフォロアが第1の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、カムフォロアが第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、ばねなどの弾性要素を含むことができる。ばねは、線形特性ばねであってもよく、非線形特性ばねであってもよい。好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵手段はコイルばねである。他の可能なエネルギー貯蔵手段は、圧縮可能な弾性ゴム又はプラスチック部品、圧縮ガス(例えば、ガスボンベ)及び熱エネルギー貯蔵を含むが、他のエネルギー貯蔵手段も使用することができる。
【0024】
第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の角度範囲内で回転すると、カムフォロアが縦方向に平行移動する。ドアが開けられるとき、第1のブラケットが回転すると、カムフォロアが回転してカム面と係合する。カムフォロアがカム面と係合すると、カムフォロアは第1のハウジング内で第1の方向に縦方向に平行移動し、エネルギー貯蔵手段にエネルギーを貯蔵させる。好ましい実施形態では、カムフォロアがカム面と係合する前に、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定量(例えば、4度、5度、7度、又は他の量)回転する。回転クリアランスにより、カムフォロアとカム要素のカム面との間にいかなる反作用するカム力もなく、ドアを部分的に開くことができる。この回転クリアランスは、第1のブラケットと第2のブラケットとが分離されるドアの取り外しの際に有用であり得る。回転クリアランスは、オーバースラムを構成することもできる。ドアが開けられる間に第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置(例えば、20度、30度、35度、又は他の量)を超えて回転すると、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面とが当接し、これによりカムフォロアの縦方向の平行移動が停止する。好ましい実施形態では、カムフォロアの第1の水平面とカム要素の第2の水平面との間の摩擦が、ドアを開いた状態に保つのに役立つドアチェック機能を提供する。一方、ドアが閉められるとき、第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定の位置を超えて回転すると、カムフォロアがカム面と係合して第2の方向に縦方向に平行移動する。カムフォロアが第2の方向に縦方向に平行移動すると、エネルギー貯蔵手段がエネルギーを放出し、放出されたエネルギーにより、ドアを閉めるのを補助する荷重がカムフォロアに加えられる。
【0025】
ドア閉め補助エネルギーは、ドアを閉めるために追加の力を必要とする状況で有用であり得る。例えば、ドア閉め補助エネルギーは、(例えば、すべての窓が閉まっている場合の)車室内の圧力又は(例えば、車両が坂道で下向きに駐車され、ドアが開く場合の)ドアの質量から生じるドア閉め抵抗に打ち勝つのに有用であり得る。ドア閉め補助エネルギーはまた、ドアシールの圧縮中及びドアラッチ機構のストライカへの完全な係合中のドア閉め抵抗に打ち勝つのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、ドアが本体に対して30度の開放角度を有する場合、3.5Jのドア閉め補助エネルギーが生成され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カム要素は、少なくとも1つのカム要素傾斜面(例えば、1つ、2つ、4つ、又は別の数のカム要素傾斜面)を含む。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面(例えば、1つ、2つ、4つ、又は別の数のカムフォロア傾斜面)を含む。カムフォロア傾斜面の数は通常、カム要素傾斜面の数と一致する。カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを放出することができない場合、ヒンジは閉じたヒンジ状態にある。少なくとも1つのカムフォロア傾斜面がカム要素傾斜面と係合し、ドアが回転するときにエネルギー貯蔵手段によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、ヒンジは部分的に開いたヒンジ状態にある。カムフォロアの第1の水平面がカム要素の第2の水平面に当接し、エネルギー貯蔵手段による更なるエネルギーの貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、ヒンジは部分的に開いたヒンジ状態のままであり得る。通常、この部分的に開いたヒンジ状態の段階で、エネルギー貯蔵手段に最大のエネルギーが貯蔵される。カムフォロアがもはやカム要素に対して回転移動することができず、エネルギー貯蔵手段によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態にある。第1のブラケットが第2のブラケットに対して所定量以上(例えば、25度以上又は30度以上)回転すると、ヒンジは完全に開いたヒンジ状態になる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカムフォロア傾斜面は、ドアを所定量(例えば、3度、5度、6度、又は他の量)回転させて開いた後に少なくとも1つのカム要素傾斜面と係合するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、カム要素は、第1のハウジング内に収容された第1のシャフトを含む。第1のシャフトは、第1のシャフトの周りのカムフォロアの回転を容易にするために好ましくは円筒形である。カム面は、有利には第1のシャフトの端部に配置され、カムフォロアによってエネルギー貯蔵手段から分離される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵手段は、第1のシャフトを取り囲むように構成される。ばね、特にコイルばねが、このようなエネルギー貯蔵手段の一例である。いくつかの実施形態では、カムフォロアは、第1のシャフトと縦方向に摺動可能に連結しかつ第1のシャフトに対して回転するように、第1のシャフトを取り囲むように構成される。このような場合、第1のシャフトは好ましくは円筒形であり、カムフォロアは対応する中空円筒形コアを有する。いくつかの実施形態では、保持手段を使用して第1のシャフトと係合し、カム要素が第1のハウジング内で縦方向に平行移動するのを制限する。保持手段は、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させて、カムフォロアに予荷重を加えることができる。いくつかの実施形態では、保持手段は、第1のハウジング内に取り付けられたブッシングと、ブッシングに嵌合しかつブッシングに対して回転するように構成されたピンとを含む。いくつかの実施形態では、ピンは、第1のシャフトに圧入され、エネルギー貯蔵手段に初期量のエネルギーを貯蔵させ、カムフォロアに予荷重を与える。代わりに、クリップ又はナットなどの他の保持手段を使用してもよい。いくつかの実施形態では、カム要素は、第2のブラケットの第2のハウジング内に回転不能に位置するように構成された第2のシャフトを含み、第2のシャフトに接続された締結手段が、カム要素を第2のハウジングに固定する。いくつかの実施形態では、第2のシャフトは、第1のブラケットから遠位の第2のハウジングの外側端部に隣接する第2のシャフト端部にねじ山が切られている。したがって、第2のシャフト端部も第1のシャフトから遠位にある。締結手段は、対応するねじ付きの第2のシャフト端部と係合するように構成されたねじ付き留め具を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1のブラケットは、留め具を取り外し、第2のシャフトを第2のハウジング内から解放することによって、第2のブラケットから分離可能である。他の実施形態では、クリップ又はナットなどの他の締結手段を使用して、カム要素を第2のハウジングに回転不能に固定することができる。カム要素は、第1のハウジングと第2のハウジングとの間に位置するように構成されたディスク形状の特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブッシングが、ディスク形状の特徴部と第1のハウジングとの間に配置される。
【0028】
第1のハウジングの円筒形内面又はボアは、少なくとも1つの縦方向の溝を含むことができ、カムフォロアは、カムフォロアの円周面から縦方向に延びる少なくとも1つのスプラインを含むことができる。少なくとも1つのスプラインは、第1のハウジングに対するカムフォロアの回転を防止しつつ、第1のハウジング内でのカムフォロアの縦方向の平行移動を容易にするために、少なくとも1つの縦方向の溝と係合しかつ少なくとも1つの縦方向の溝内で縦方向に平行移動するように構成される。他の実施形態では、カムフォロアの円周面が少なくとも1つの縦方向の溝を含み、第1のハウジングの円筒形内面又はボアが少なくとも1つのスプラインを含む場合に、同じ効果が得られる。
【0029】
いくつかの実施形態では、カム要素は第1の回転防止機構を含み、第2のブラケットは第2の回転防止機構を含む。第2の回転防止機構は、第1の回転防止機構と係合して、カム要素と第2のブラケットとの間の回転を阻止し、好ましくは防止するように構成される。好ましい実施形態では、第1の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面を含み、第2の回転防止機構は、円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面を含む。さらに好ましい実施形態では、第1の回転防止機構は、雌型正方形テーパ嵌合面と雄型正方形テーパ嵌合面の一方を備え、第2の回転防止機構は、雌型正方形テーパ嵌合面と雄型正方形テーパ嵌合面の他方を備える。カム要素と第2のブラケットとの間の回転を防止するために、他の手段を使用してもよい。例えば、一実施形態では、第1の回転防止機構は突出部を含み、第2の回転防止機構は、突出部を受け入れかつカム要素と第2のブラケットとの間の回転を防止するように構成されたくぼみを含む。いくつかの実施形態では、第1の回転防止機構及び第2の回転防止機構はまた、ドアを本体に組み付ける際にドアブラケットを本体ブラケットと位置合わせするのに有用である。
【0030】
いくつかの実施形態では、ヒンジは、ドアを複数の回転位置に保持するためにドアチェッカーと連動して動作する。ドアを本体に接続する第2のヒンジが、ドアチェッカーを含むことができる。このようなドアチェッカーの例は、米国特許第6,481,056号に記載されている。
【0031】
図1A及び
図1Bは、車両ドア(2)と車両本体(3)とを回転可能に接続するように構成されたヒンジ(1)の実施形態を示す。ヒンジは、ドアブラケット(4)と本体ブラケット(5)とを含む。ドアブラケット(4)は、車両ドア(2)に取り付け可能であり、ドアハウジング(6)を含む(
図2参照)。ドアブラケットは、固定留め具(7)を用いて車両ドア(2)に固定される。本体ブラケット(5)は、車両本体(3)に取り付け可能であり、本体ハウジング(8)を含む(
図2参照)。本体ブラケット(5)は、固定留め具(7)を用いて車両本体(3)に固定される。
【0032】
図2は、ヒンジ(1)の部品の分解図を示す。
図3A~
図3D、
図4A及び
図4Bは、ヒンジ(1)の部品の組み立てを示す。カムフォロア(9)が、ドアハウジング(6)内に回転不能に収容される。カムフォロアは、本体ブラケット(5)に回転不能に取り付けられたカム要素(11)の第1のシャフト(10)を取り囲む。カムフォロア(9)は、往復動プランジャと同様に、第1のシャフト(10)に沿ってドアハウジング(6)内で縦方向に平行移動するように構成される。カムフォロア(9)は、ドアハウジング(6)の縦方向の溝(13)内に嵌合するように構成された1つ以上のスプライン(12)を含み、カムフォロア(9)がドアハウジング(6)に対して回転するのを防止し、カムフォロア(9)が第1のシャフト(10)に沿ってドアハウジング(6)内で縦方向に平行移動することを可能にする。カムフォロア(9)は、カム要素(11)の溝(15)内に嵌合するように構成された突出部(14)をさらに含む。突出部(14)は、溝(15)のカム要素傾斜面(17)と係合するように構成されたカムフォロア傾斜面(16)を含む。
【0033】
ばね(18)が、ドアハウジング(6)内に収容され、第1のシャフト(10)を取り囲む。ドア(2)が開けられるとき、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1の方向に縦方向に平行移動させ、それによってばね(18)を圧縮して弾性エネルギーを貯蔵する。ドア(2)が閉められるとき、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1の方向と反対の第2の方向に縦方向に平行移動させ、それによってばね(18)を減圧して弾性エネルギーを放出する。
【0034】
ブッシング(19)が、ドアハウジング(6)の上面の穴(20)に圧入される。これは、非摩擦分割ブッシング又は別の適切なブッシングの形態であってもよい。ピン(21)がブッシング(19)に嵌合し、ドアハウジング(6)内に位置する第1のシャフト(10)に圧入される。代わりに、ピン(21)は、第1のシャフト(10)に外嵌されてもよく、第1のシャフト(10)にねじ込まれ又は螺合してもよい。その結果、ドア(2)が開閉されるとき、ドアハウジング(6)がピン(21)及び第1のシャフト(10)に対して回転する。ピン(21)は、ばね(18)を圧縮させ、カムフォロア(9)に予荷重を与える。
【0035】
カム要素(11)は、本体ハウジング(8)内に押し込まれた円錐形ソケット(23)と嵌合するように構成された円錐形特徴部(22)をさらに含む。円錐形特徴部(22)及び円錐形ソケット(23)の嵌合面は、雄型正方形テーパ嵌合面(24)及び雌型正方形テーパ嵌合面(25)をそれぞれ含む。円錐形特徴部(22)及び円錐形ソケット(23)の正方形テーパ嵌合面(24)及び(25)は、それぞれ、カム要素(11)と本体ブラケット(5)との間の回転を防止し、ヒンジ(1)の組み立て中のドアブラケット(4)と本体ブラケット(5)の位置合わせに役立つ。正方形テーパ嵌合面が好ましいが、他の多角形嵌合面(例えば、三角形、五角形など)を使用してもよい。
【0036】
カム要素(11)は、本体ハウジング(8)の垂直通路(27)内に位置するように構成された第2のシャフト(26)をさらに含む。第2のシャフト(26)は、留め具(28)と係合するためにねじ山が切られている。ねじ山は、必要に応じて第2のシャフトの長さ全体にわたって延びてもよいし、第2のシャフトの長さの一部のみにわたって延びてもよい。留め具(28)は、カム要素(11)を本体ブラケット(5)に固定しかつドア(2)と本体(3)とを回転可能に接続するために、第2のシャフト(26)のねじ付き端部に固定される。留め具(28)は内ねじであり、第2のシャフト(26)は外ねじである。代わりに、留め具(28)は外ねじであり、第2のシャフト(26)は内ねじであってもよい。カム要素(11)を本体ブラケット(5)に固定するために他の手段を使用することもできるが、以下にさらに説明するように、ドア(2)の本体(3)への断続的で容易な取り外し及び再取り付けを提供するため、ねじ接続が好ましい。留め具(28)は、ドアブラケット(4)及び本体ブラケット(5)を組立体に保持する役割を果たす。カム要素(11)のディスク形状特徴部(30)が、ドアハウジング(6)と本体ハウジング(8)の両方に接触するように構成される。ブッシング(29)が、溝(15)とディスク形状特徴部(30)との間のカム要素(11)の円筒形部分を取り囲み、カム要素(11)のディスク形状特徴部(30)の表面の上に位置するように構成される。ブッシング(29)は、カム要素(11)に対する第1のハウジング(6)の回転を容易にする。様々な実施形態では、本明細書に記載されるカム要素(11)のいくつかの部分は一体であってもよく、かつ/又はカム要素(11)のいくつかの部分は構造的に固定されていてもよい。
【0037】
図5A~
図5Cは、ヒンジ(1)の機能を示す。ドアブラケット(4)は、ドアハウジング(6)内に収容された部品を遮らないように、
図5A~
図5Cからは意図的に省略されている。
図5Aは、閉じたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、突出部(14)はそれぞれの溝(15)内に完全に据え付けられ、カムフォロア(9)はもはやカム要素(11)に対して動くことができず、ばね(18)によってそれ以上のエネルギーを放出することができず、ドア(2)は閉まっている。突出部(14)は、カムフォロア傾斜面(16)とカム要素傾斜面(17)との間の所定の回転クリアランスを有して溝(15)内に嵌合するように構成される。
【0038】
図5Bは、第1の部分的に開いたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、ドア(2)は部分的に開いており、カムフォロア傾斜面(16)はカム要素傾斜面(17)と係合し、ドアが回転するときに更なるエネルギーをばね(18)によって貯蔵又は放出することができる。ドアブラケット(4)が回転クリアランスを超えて第1の回転方向(32)に回転すると、ドアハウジング(6)内に回転不能に収容されたカムフォロア(9)がドアブラケット(4)と同じ量だけ第1の回転方向(32)に回転する。ドアブラケット(4)が回転してドア(2)を開くと、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)を第1のハウジング(6)内に縦方向に上方に平行移動させ、ばね(18)を圧縮させる。
【0039】
図5Cは、第2の部分的に開いたヒンジ状態にあるヒンジ(1)を示しており、この状態では、ドア(2)は部分的に開いており、突出部(14)はカム要素(11)の水平面(33)に達し、カムフォロア(9)はもはやカム要素(11)に対して縦方向に移動することができず、実質的に最大のエネルギーがばね(18)によって貯蔵されている。突出部(14)の水平面(34)とカム要素(11)の水平面(33)との間の摩擦は、ドアチェック機能を提供する。ヒンジ(1)は、ドアブラケット(4)が本体ブラケット(5)に対して所定の位置を超えて回転すると、第2の部分的に開いたヒンジ状態になる。ヒンジ(1)は、カムフォロア(9)がもはやカム要素(11)に対して回転移動することができなくなると、完全に開いたヒンジ状態になり、実質的に最大のエネルギーが依然としてばね(18)によって貯蔵されている。代わりに、異なるエネルギー貯蔵プロファイルが望まれる場合、完全に開いたヒンジ状態でばね(18)によって貯蔵されるエネルギーは、ドア(2)の開放中に貯蔵される最大エネルギーである必要はない。貯蔵されたエネルギーは、以下にさらに説明するように、ドアの閉鎖中に所定の位置に到達したときにドア(2)の閉鎖を促すのに十分でなければならない。
【0040】
ドア(2)の閉鎖中、ドアブラケット(4)が第1の回転方向(32)と反対の第2の回転方向(35)に回転し、本体ブラケット(5)に対して所定の位置を過ぎると、カムフォロア傾斜面(16)がカム要素傾斜面(17)と係合し、カムフォロア(9)をドアハウジング(6)内で縦方向に下方に平行移動させ、ばね(18)を減圧させる。ばね(18)が減圧され、貯蔵されたエネルギーを放出すると、ドア(2)を閉めるのを補助する荷重がカムフォロア(9)に加えられる。ばね力は、ドア(2)にいくらかの推進力を与え、ドア(2)の完全な閉鎖に抵抗するあらゆる力に打ち勝つのを補助する。
【0041】
図6A~
図6Dは、ドア(2)を本体(3)から分離するプロセスの実施形態を示す。
図6Aにおいて、ドア(2)の掛け金を外し、ドア(2)を開ける。
図6Bにおいて、第2のシャフト(26)のねじ付き端部にねじ込まれた留め具(28)を取り外す。
図6Cにおいて、第2のシャフト(26)が本体ブラケット(5)内から解放されるまで、ドア(2)を上方に持ち上げる。
図6Dにおいて、ドア(2)を収納のために脇に置く。ドア(2)は、ドア(2)を持ち上げ、円錐形特徴部(22)の表面(24)が円錐形ソケット(23)の表面(25)に接触するまで、第2のシャフト(26)を本体ブラケット(5)の本体ハウジング(8)内に下降させることによって、本体(3)に回転可能に再接続される。次に、ドア(2)を本体(3)に回転可能に再接続するために、留め具(28)を第2のシャフト(26)のねじ付き端部に固定する。
【0042】
本明細書に記載されている要素の特定の配置は、当業者に明らかなように変更することができる。例えば、カム要素がドアハウジング内に回転不能に収容され、ドアが開閉するときにドアハウジングと共に回転するように、要素を再配置することができる。このような配置では、ドアハウジング及びカム要素は、カムフォロアに対して回転する。別の例では、カム要素は、ドアハウジング又は本体ハウジングと一体であるか、又はドアハウジング又は本体ハウジングに構造的に固定されていてもよい。さらに、図示した実施形態では、カム要素は2つの溝を含み、カムフォロアは2つの突出部を含むが、異なる数の溝及び突出部を使用することができる。さらに、溝同士の位置及びカムフォロアの突出部同士の位置は、図示したものとは異なっていてもよい。同様に、第1のハウジング及びカムフォロアのそれぞれの内部又は上に、図示したものとは異なる数の縦方向の溝及びスプラインを使用することができる。さらに、縦方向の溝同士の位置及びスプライン同士の位置は、図示したものとは異なっていてもよい。
【0043】
実施形態では、ヒンジの様々な部品は、打抜き加工、鍛造及び鋳造などの様々な製造方法を用いて製造することができる。実施形態では、ヒンジの様々な部品は、金属やプラスチックなどの様々な種類の材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、潤滑剤又は潤滑剤を含浸させた材料を使用することができる。例えば、潤滑剤を金属カムフォロアに使用することができる。
【0044】
本発明の実施形態を図示したが、本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく、図示した構造の変形又は修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドア
(2)と車両本体
(3)とを回転可能に接続するように構成されたヒンジ
(1)であって、
前記ドア
(2)と前記本体
(3)の一方に取り付け可能な第1のブラケット
(4)であって、第1のハウジング
(6)を備える第1のブラケット
(4)と、
前記ドア
(2)と前記本体
(3)の他方に取り付け可能な第2のブラケット
(5)と、
前記第2のブラケット
(5)に回転不能に取り付けられ、カムフォロア
(9)と係合するように構成されたカム面
(17)を備えるカム要素
(11)と、
前記第1のハウジング
(6)内に回転不能に収容され、前記カム面
(17)と係合したときに前記第1のハウジング
(6)内で縦方向に平行移動するように構成された前記カムフォロア
(9)と、
前記カムフォロア
(9)が第1の方向
(32)に縦方向に平行移動するときにエネルギーを貯蔵し、前記カムフォロア
(9)が前記第1の方向
(32)と反対の第2の方向
(35)に縦方向に平行移動するときにエネルギーを放出するように構成されたエネルギー貯蔵手段
(18)と
を備え、
前記第1のブラケット
(4)が前記第2のブラケット
(5)に対して所定の角度範囲内で相対的に回転すると、前記カムフォロア
(9)の縦方向の平行移動が生じ、
前記ドア
(2)が開けられるときに前記第1のブラケット
(4)が前記第2のブラケット
(5)に対して所定の位置を超えて回転すると、前記カムフォロア
(9)の第1の水平面
(34)と前記カム要素
(11)の第2の水平面
(33)とが当接し、これにより前記カムフォロア
(9)の前記第1の方向
(32)への縦方向の平行移動が停止し、
前記ドア
(2)が閉められるときに前記第1のブラケット
(4)が前記第2のブラケット
(5)に対して前記所定の位置を超えて回転すると、前記カムフォロア
(9)が前記カム面
(17)と係合して前記第2の方向
(35)に縦方向に平行移動し、これにより前記エネルギー貯蔵手段
(18)によって貯蔵されたエネルギーが放出されてドア
(2)を閉めるのを補助する、ヒンジ
(1)。
【請求項2】
前記カム面
(17)は、少なくとも1つのカム要素傾斜面
(17)を備え、
前記カムフォロア
(9)は、前記少なくとも1つのカム要素傾斜面
(17)と係合するように構成された少なくとも1つのカムフォロア傾斜面
(16)を備える、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項3】
前記カムフォロア
(9)がもはや前記カム要素
(11)に対して回転移動することができず、前記エネルギー貯蔵手段
(18)によってそれ以上のエネルギーを放出することができなくない場合、前記ヒンジ
(1)は閉じたヒンジ状態にあり、
前記少なくとも1つのカムフォロア傾斜面
(16)が前記カム要素傾斜面
(17)と係合し、前記ドア
(2)が回転するときに前記エネルギー貯蔵手段
(18)によって更なるエネルギーを貯蔵又は放出することができる場合、前記ヒンジ
(1)は第1の部分的に開いたヒンジ状態にあり、
前記カムフォロアの第1の水平面
(34)が前記カム要素の第2の水平面
(33)に当接し、前記エネルギー貯蔵手段
(18)によるエネルギーの更なる貯蔵又は放出なしにそれらの間の相対的な回転を可能にする場合、前記ヒンジ
(1)は第2の部分的に開いたヒンジ状態にあり、
前記カムフォロア
(9)がもはや前記カム要素
(11)に対して回転移動することができず、前記エネルギー貯蔵手段
(18)によってそれ以上のエネルギーを貯蔵することができない場合、前記ヒンジ
(1)は完全に開いたヒンジ状態にある、請求項2に記載のヒンジ
(1)。
【請求項4】
前記カム要素
(11)は、前記第1のハウジング
(6)内に収容された第1のシャフト
(10)をさらに備え、
前記第1のシャフト
(10)は円筒形であり、
前記エネルギー貯蔵手段
(18)は、前記第1のシャフト
(10)を取り囲むように構成され、
前記カムフォロア
(9)は、前記第1のシャフト
(10)と縦方向に摺動可能に連結しかつ前記第1のシャフト
(10)に対して回転するように、前記第1のシャフト
(10)を取り囲むように構成される、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項5】
前記第1のシャフト
(10)と係合して前記カム要素
(11)が前記第1のハウジング
(6)内で縦方向に平行移動するのを制限する保持手段
(21)をさらに備える、請求項4に記載のヒンジ
(1)。
【請求項6】
前記保持手段
(21)はさらに、前記エネルギー貯蔵手段
(18)に初期量のエネルギーを貯蔵させて、前記カムフォロア
(9)に少なくとも所定量の予荷重を加える、請求項5に記載のヒンジ
(1)。
【請求項7】
前記保持手段
(21)はピン
(21)を備え、前記ピン
(21)は、前記第1のシャフト
(10)に回転不能に連結され、前記第1のハウジング
(6)内に取り付けられたときにブッシング
(19)内で回転する、請求項5に記載のヒンジ
(1)。
【請求項8】
前記カム要素
(11)は
、第1のシャフト
(10)と反対側に突出する第2のシャフト
(26)をさらに備え、
前記第2のシャフト
(26)は、前記第2のブラケット
(5)の第2のハウジング
(8)内に回転不能に据え付けられ、
前記第2のシャフト
(26)に取り付けられた締結手段
(28)が、前記カム要素
(11)を前記第2のハウジング
(8)に固定する、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項9】
前記第2のシャフト
(26)はねじ付き部分を備え、
前記締結手段
(28)は、前記第2のシャフト
(26)の対応するねじ付き部分と係合するように構成されたねじ付き留め具を備え、これにより、前記第1のブラケット
(4)は、前記留め具を取り外し、前記第2のシャフト
(26)を前記第2のハウジング
(8)内から解放することによって、前記第2のブラケット
(5)から分離可能である、請求項8に記載のヒンジ
(1)。
【請求項10】
前記カム要素
(11)は、第1の回転防止機構
(22)を備え、
前記第2のブラケット
(5)は、前記カム要素
(11)と前記第2のブラケット
(5)との間の回転を阻止するために前記第1の回転防止機構
(22)と係合するように構成された第2の回転防止機構
(23)を備える、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項11】
前記第1の回転防止機構
(22)は、円錐形ジョイントの雄型多角形テーパ嵌合面
(24)を備え、
前記第2の回転防止機構
(23)は、前記円錐形ジョイントの雌型多角形テーパ嵌合面
(25)を備える、請求項10に記載のヒンジ
(1)。
【請求項12】
前記第1のハウジング
(6)の内側円筒面と前記カムフォロア
(9)の円周面のうちの一方に凹んだ少なくとも1つの縦方向の溝
(13)と、
前記第1のハウジング
(6)の内側円筒面及び前記カムフォロア
(9)の円周面のうちの他方から縦方向に延びる少なくとも1つのスプライン
(12)と
をさらに備え、前記少なくとも1つのスプライン
(12)は、前記第1のハウジング
(6)内での前記カムフォロア
(9)の回転を防止しつつ、前記第1のハウジング
(6)内での前記カムフォロア
(9)の縦方向の平行移動を容易にするように、前記少なくとも1つの溝
(13)と係合しかつ前記少なくとも1つの溝
(13)内で縦方向に平行移動するように構成される、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項13】
請求項1に記載の前記ヒンジ
(1)が、前記ドア
(2)を前記本体
(3)に対して複数の回転位置に保持するように構成されたドアチェッカーと連動して動作する、
ヒンジアセンブリ。
【請求項14】
前記ドア
(2)を前記本体
(3)に連結する第2のヒンジが、前記ドアチェッカーを備える、請求項13に記載のヒンジ
アセンブリ。
【請求項15】
前記エネルギー貯蔵手段
(18)はばねを備える、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項16】
前記ばねはコイルばねを含む、請求項15に記載のヒンジ
(1)。
【請求項17】
前記カムフォロア
(9)の第1の水平面
(34)と前記カム要素
(11)の第2の水平面
(33)との間の摩擦がドアチェック機能を提供する、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【請求項18】
前記第1のブラケット
(4)及び前記第2のブラケット
(5)を組立体に保持するように構成された解除可能な締結手段
(28)をさらに備える、請求項1に記載のヒンジ
(1)。
【国際調査報告】