IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンライテン イノベーションズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2025-500997金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム
<>
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図1
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図2
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図3
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図4
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図5
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図6
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図7
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図8
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図9
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図10
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図11
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図12
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図13
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図14
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図15
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図16
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図17
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図18
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図19
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図20
  • 特表-金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-15
(54)【発明の名称】金属生成モード及びフロー電池モードを有する溶融金属電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20250107BHJP
   H01M 8/14 20060101ALI20250107BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20250107BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/14
H01M8/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539458
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2022062850
(87)【国際公開番号】W WO2023126858
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/294,658
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518230452
【氏名又は名称】エンライテン イノベーションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】マコウスキー ミコラ
(72)【発明者】
【氏名】バヴァラジュ サイ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒンクリン トーマス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン ジョシュア ディー.
(72)【発明者】
【氏名】タガート ダニエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】シャルボノー バイロン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ショーヴェ ミハイル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴドウィン ダーシー エス.
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA10
5H126BB10
5H126FF10
5H127AA10
5H127BA01
5H127BA57
5H127BB01
5H127BB12
5H127BB37
(57)【要約】
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルを、溶融金属電池システムは含む。前記システムは、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバもまた含み、前記溶融金属リザーバの各々は、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記対応する二次セルに対して溶融金属を交換するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバであって、前記溶融金属リザーバの各々が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記対応する二次セルに対して溶融金属を交換するように構成されている、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと
を備える、溶融金属電池システム。
【請求項2】
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、請求項1に記載の溶融金属電池システム。
【請求項3】
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと前記複数の二次セルとの間を受動的に流れる、請求項1又は2に記載の溶融金属電池システム。
【請求項4】
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項5】
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、請求項4に記載の溶融金属電池システム。
【請求項6】
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、請求項4又は5に記載の溶融金属電池システム。
【請求項7】
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項6に記載の溶融金属電池システム。
【請求項8】
前記複数の二次セルが、電気を消費して前記複数の溶融金属アノード内で前記溶融金属を生成する充電モードで、及び
前記複数の二次セルが、前記複数の溶融金属アノード内の前記溶融金属を消費して電気を生成する放電モードで、
前記複数の二次セルがフロー電池として動作するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項9】
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項10】
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と
を含む、充電モードで動作するように構成されている、請求項9に記載の溶融金属電池システム。
【請求項11】
前記複数の二次セルが、
前記金属イオンを形成し電子を放出するために、前記アノードコンパートメント内で前記溶融金属を酸化する工程と、
前記金属イオンを前記アノードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記カソードコンパートメントに輸送する工程と
を含む、放電モードで動作するように構成されている、請求項9に記載の溶融金属電池システム。
【請求項12】
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項13】
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
請求項1~12のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項14】
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
請求項13に記載の溶融金属電池システム。
【請求項15】
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
請求項13又は14に記載の溶融金属電池システム。
【請求項16】
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
溶融金属を貯蔵するように構成された溶融金属貯蔵容器と、
前記複数の二次セルと前記溶融金属貯蔵容器との間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記複数の溶融金属アノードから前記金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属アグリゲータと
を備える、溶融金属電池システム。
【請求項17】
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、請求項16に記載の溶融金属電池システム。
【請求項18】
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の二次セル、前記溶融金属アグリゲータ、及び前記溶融金属貯蔵容器の間を受動的に流れる、請求項16又は17に記載の溶融金属電池システム。
【請求項19】
前記溶融金属アグリゲータが、
複数の溶融金属入口であって、前記複数の溶融金属入口のうちの各溶融金属入口が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記対応する二次セルから前記溶融金属を受容するように構成されている、複数の溶融金属入口と、
前記複数の溶融金属入口の各々から前記溶融金属を受容しかつ前記溶融金属を単一のプール内に組み合わせるように構成されている、溶融金属収集チャンバと、
前記溶融金属貯蔵容器に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属収集チャンバから前記溶融金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属出口と
を備える、請求項16~18のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項20】
前記溶融金属アグリゲータが、
前記複数の溶融金属入口に結合されており、かつ、前記溶融金属アグリゲータの構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項16~19のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項21】
前記溶融金属アグリゲータが、
溶融金属集約ドリップフィーダであって、
前記溶融金属アグリゲータの上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属アグリゲータの下部分に沿って位置する溶融金属収集チャンバ内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属集約ドリップフィーダ
を備える、請求項16~20のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項22】
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、請求項16~21のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項23】
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって、前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と、
前記溶融金属を前記溶融金属貯蔵容器に排出する工程と
によって、溶融金属生成システムとして動作するように構成されている、請求項22に記載の溶融金属電池システム。
【請求項24】
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、請求項16~23のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項25】
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
請求項16~24のいずれか一項に記載の溶融金属電池システム。
【請求項26】
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
請求項25に記載の溶融金属電池システム。
【請求項27】
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
請求項25又は26に記載の溶融金属電池システム。
【請求項28】
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、請求項16に記載の溶融金属電池システム。
【請求項29】
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、請求項28に記載の溶融金属電池システム。
【請求項30】
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部溶融金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、請求項28又は29に記載の溶融金属電池システム。
【請求項31】
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項30に記載の溶融金属電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電気化学電池に関し、より具体的には、溶融ナトリウム又は他の溶融金属を使用する電気化学電池システムに関する。電池は、様々な目的のために、電気エネルギーを貯蔵及び放出するために使用される既知のデバイスである。電気エネルギーを生成するために、電池は、典型的には、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。一般に、単一の電池は、1つ以上のガルバニ電池を含み、セルの各々は、外部回路を介さない限り電気的に隔離される2つの半電池から作製される。放電中、電気化学的還元が、セルの正極で発生する一方、電気化学的酸化が、セルの負極で発生する。セル内の正極及び負極は、互いに物理的に接触しないが、それらは一般に、固体状態若しくは液体状態のいずれか又は組み合わせであり得る1つ以上のイオン伝導性及び電気絶縁性電解質によって化学的に接続される。外部回路又は負荷が、負極に接続される端子及び正極に接続される端子に接続されると、電池は、外部回路を通して電子を駆動する一方、イオンは、電解質を通って移動する。
【背景技術】
【0002】
電池は、様々な様式で分類され得る。例えば、一度だけ完全に放電される電池は、多くの場合、一次電池又は一次セルと称される。対照的に、2回以上放電及び再充電することができる電池は、多くの場合、二次電池又は二次セルと称される。フロー電池又はレドックスフロー電池は、システムを通してイオン選択膜の別個の側にポンプ圧送される液体(すなわち、アノライト及びカソライト)に溶解した2つの化学成分によって、化学エネルギーが提供される、一種の二次セルである。イオン交換が膜を通して発生する一方で、アノライト及びカソライトは、膜の両側の、それらの独自のそれぞれの空間内を循環する。イオン交換は、それぞれ、アノライト及びカソライト内に少なくとも部分的に位置する電極(すなわち、アノード及びカソード)に入る、又は電極から出る電流の流れを伴う。アノライト及びカソライトは、典型的には、イオン交換を促進するが、著しい電流を伝導しないイオン伝導性かつ電気絶縁性の電解質である。そのため、中を通ってアノライト及びカソライトが流れる流体回路は、アノライト流体又はカソライト流体を介して電池セル間に電流を流させることなく、複数の電池セルを貫通することができる。
【0003】
溶融ナトリウム電池は、従来の二次セルのアノード及びアノライトの両方を溶融ナトリウム金属(元素記号Na)で置き換える特殊なタイプの二次セルである。溶融ナトリウム電池の一例が、2018年7月10日に付与された米国特許第10,020,543号(特許文献1)に詳細に説明されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。溶融ナトリウム電池を放電するとき、正に帯電したナトリウムイオンすなわちカチオン(Na)が、膜のアノード側のナトリウム金属内で電子(e)から分けられる。Naイオンは、イオン選択膜を通過し、膜の反対側のカソライトと反応する一方、電子は、外部回路を通して駆動される。反対の反応が、溶融ナトリウム電池を充電するときに発生する。Naイオンは、カソライトからイオン選択膜を通過し、膜のアノード側で電子と結合してナトリウム金属を形成する。
【0004】
いくつかの電池システムでは、電池セルによって提供される個々のセル電圧が積み重なって、電池システム全体により大きい電圧を提供するように、複数の電池セルを互いに直列に電気的に接続することが望ましい。複数の電池セルを直列に電気的に接続する原理は、フロー電池を含むほとんどのタイプの電池に容易に適用することができる。このように構成されたフロー電池は、典型的には、互いに流体的に並列に又は流体的に直列に配置され得る、各電池セルのカソード側を通ってカソライトを循環させる単一のカソライト流体回路を有する。同様に、フロー電池は、互いに流体的に並列に又は流体的に直列に配置され得る、各電池セルのアノード側を通ってアノライトを循環させる単一のアノライト流体回路を含み得る。
【0005】
しかしながら、複数の溶融ナトリウム電池セルを互いに直列に接続しようとすることは、溶融ナトリウム金属が、従来の電池電解質の電気伝導率(すなわち、従来の水性電解質の場合は50℃で約500mS/cm、従来の非水又は有機電解質の場合は115℃で約50mS/cm)よりも数桁高い電気伝導率(すなわち、98℃で約1×10mS/cm)を有するため、困難であり得る。これは、溶融ナトリウム金属を介して溶融ナトリウム電池セル間を電流が流れることができ、それにより、電池セルにわたる電位(すなわち、電圧)を均等化し、直列に電気的に接続されたときに、セル電圧が積み重なるのを阻止するため、問題となり得る。本開示は、溶融ナトリウム電池システムで生じるこれら及び他の課題に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,020,543号
【発明の概要】
【0007】
概要
本開示の一実装形態は、溶融金属電池システムである。互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを有する、複数の二次セルを、当該システムは含む。システムは、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバを含む。溶融金属リザーバの各々は、複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、溶融金属を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら、対応する二次セルに対して溶融金属を交換するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、溶融ナトリウム金属を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと複数の二次セルとの間を受動的に流れる。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、
外部溶融金属源と複数の二次セルとの間に直列に流体的に接続されており、かつ、溶融金属を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら外部溶融金属源から複数の溶融金属アノードに溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
溶融金属分配器の上部部分から溶融金属の液滴を放出することと、
溶融金属の液滴が、溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
外部金属源に流体的に接続されており、かつ、外部金属源から溶融金属分配器内に溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、対応するコンパートメントから複数の二次セルのうちの対応する二次セルに溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と、
を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、溶融金属分配器の構造を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、
複数の二次セルが、電気を消費して複数の溶融金属アノード内で溶融金属を生成する充電モードで、及び
複数の二次セルが、複数の溶融金属アノード内で溶融金属を消費して電気を生成する放電モードで、
複数の二次セルがフロー電池として動作するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の二次セルの各々は、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
カソードコンパートメントとアノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、カソードコンパートメントとアノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の二次セルは、
カソードコンパートメントから、イオン選択膜を通して、アノードコンパートメントに金属イオンを輸送する工程と、
溶融金属を生成するために、金属イオンを電子と組み合わせることによってアノードコンパートメント内で金属イオンを還元する工程と
を含む、充電モードで動作するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の二次セルは、
金属イオンを形成し電子を放出するために、アノードコンパートメント内で溶融金属を酸化する工程と、
アノードコンパートメントから、イオン選択膜を通してカソードコンパートメントに金属イオンを輸送する工程と
を含む、放電モードで動作するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、システムは、
複数の二次セルのうちの隣接する二次セルの間に位置し、かつ、隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを含む。複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングは、
複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを含む1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、各ストリング内の複数の単位セルは、互いに並列に電気的に接続されており、各ストリング内の溶融金属アノードは、実質的に等しい電位に維持される。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数のストリングのうちの各ストリングは、交互の順序で配置される複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを含む。複数のカソード又は複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つは、複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有され得る。
【0022】
本開示の別の実装形態は、互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを有する、複数の二次セル、を含む、溶融金属電池システムである。システムは、溶融金属を貯蔵するように構成された溶融金属貯蔵容器と、複数の二次セルと溶融金属貯蔵容器との間に直列に流体的に接続された溶融金属アグリゲータと、を含む。溶融金属アグリゲータは、溶融金属を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら複数の溶融金属アノードから金属貯蔵容器に溶融金属を送達するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、溶融ナトリウム金属を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、溶融金属は、溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、複数の二次セル、溶融金属アグリゲータ、及び溶融金属貯蔵容器の間を受動的に流れる。
【0025】
いくつかの実施形態では、溶融金属アグリゲータは、複数の溶融金属入口を含み、複数の溶融金属入口のうちの各溶融金属入口は、複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、対応する二次セルから溶融金属を受容するように構成される。溶融金属アグリゲータは、複数の溶融金属入口の各々から溶融金属を受容しかつ溶融金属を単一のプール内に組み合わせるように構成されている、溶融金属収集チャンバを含み得る。溶融金属アグリゲータは、溶融金属貯蔵容器に流体的に接続されており、かつ、溶融金属収集チャンバから溶融金属貯蔵容器に溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属出口を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、溶融金属アグリゲータは、
複数の溶融金属入口に結合されており、かつ、溶融金属アグリゲータの構造を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、溶融金属アグリゲータは、
溶融金属アグリゲータの上部部分から溶融金属の液滴を放出することと、
溶融金属の液滴が、電気絶縁性流体を通って、溶融金属アグリゲータの下部分に沿って位置する溶融金属収集チャンバ内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属集約ドリップフィーダ
を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の二次セルの各々は、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
カソードコンパートメントとアノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、カソードコンパートメントとアノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の二次セルは、
カソードコンパートメントから、イオン選択膜を通して、アノードコンパートメントに金属イオンを輸送する工程と、
溶融金属を生成するために、金属イオンを電子と組み合わせることによって、アノードコンパートメント内で金属イオンを還元する工程と、
溶融金属貯蔵容器に溶融金属を排出する工程と
によって、溶融金属生成システムとして動作するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、システムは、
複数の二次セルのうちの隣接する二次セルの間に位置し、かつ、隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、システムは、互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを含む。複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングは、
複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを含む1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、各ストリング内の複数の単位セルは、互いに並列に電気的に接続されており、各ストリング内の溶融金属アノードは、実質的に等しい電位に維持される。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数のストリングのうちの各ストリングは、交互の順序で配置される複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを含む。複数のカソード又は複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つは、複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、システムは、
外部溶融金属源と複数の二次セルとの間に直列に流体的に接続されており、かつ、溶融金属を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら外部溶融金属源から複数の溶融金属アノードに溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
溶融金属分配器の上部部分から溶融金属の液滴を放出することと、
溶融金属の液滴が、溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、外部金属源に流体的に接続されており、かつ、外部金属源から溶融金属分配器内に溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、複数の溶融金属出口であって、各々が、複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、対応するコンパートメントから複数の二次セルのうちの対応する二次セルに溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と、を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、溶融金属分配器の構造を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本開示は、同様の参照番号が同様の要素を指す、添付の図面と共に考慮される以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【0039】
図1】いくつかの実施形態による、溶融ナトリウム電池システム(「システム」)の第1の斜視図である。
図2】いくつかの実施形態による、システムの第2の斜視図である。
図3】いくつかの実施形態による、システム内の電気接続の概略図である。
図4】いくつかの実施形態による、フロー電池充電モードにおけるシステム内の流体の流れの図である。
図5】いくつかの実施形態による、フロー電池放電モードにおけるシステム内の流体の流れの図である。
図6】いくつかの実施形態による、ナトリウム生成モードにおけるシステム内の流体の流れの図である。
図7】いくつかの実施形態による、システムのストリングのセルを通る流体の流れの図である。
図8】いくつかの実施形態による、システムのストリングのセルを通る流体の流れの別の図である。
図9】いくつかの実施形態による、システムのナトリウム分配器の第1の斜視図である。
図10】いくつかの実施形態による、ナトリウム分配器の第2の斜視図である。
図11】いくつかの実施形態による、ナトリウム分配器の第1の切欠き図である。
図12】いくつかの実施形態による、ナトリウム分配器の第2の切欠き図である。
図13】いくつかの実施形態による、システムのナトリウムアグリゲータの斜視図である。
図14】いくつかの実施形態による、システムのナトリウムアグリゲータの第1の切欠き図である。
図15】いくつかの実施形態による、システムのナトリウムアグリゲータの第2の切欠き図である。
図16】いくつかの実施形態による、システムと共に使用することができる分配器の切欠き斜視図である。
図17】いくつかの実施形態による、第1の集約貯蔵フロー電池モードにおけるシステム内の流体の流れの図である。
図18】いくつかの実施形態による、第2の集約貯蔵フロー電池モードにおけるシステム内の流体の流れの図である。
図19】いくつかの実施形態による、本明細書に開示される特徴の地理的に分散された実装形態の図である。
図20】いくつかの実施形態による、システムの単位セルを充電するときに発生し得る電気化学反応を例示する図である。
図21】いくつかの実施形態による、システムの単位セルを放電するときに発生し得る電気化学反応を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
概説
図を一般的に参照すると、様々な例示的な実施形態による、溶融ナトリウム電池システム及びその構成要素が示されている。溶融ナトリウム電池システムは、複数の二次セル(すなわち、充電式電池セル)を含み得、その各々は、溶融ナトリウム金属アノードと、イオン選択膜(「膜」という用語は、本明細書では、任意の好適なタイプのセパレータを指すために使用される)と、カソライトが(例えば、外部ポンプを介して)循環するカソードコンパートメントと、を含む。イオン選択膜は、溶融ナトリウム金属アノードとカソライトコンパートメントとの間に位置付けられ、二次セルを充電又は放電するときに、正に帯電したナトリウムカチオン(Na)が通過することを可能にする。放電するとき、ナトリウムイオンカチオン(Na)は、膜のアノード側のナトリウム金属内で電子(e)から分けられ、イオン選択膜を通過し、膜の反対側のカソライトと反応する一方、電子は、外部回路を通して駆動される。充電するとき、反対の反応が発生し、Naイオンは、カソライトからイオン選択膜を通過し、膜のアノード側で電子(e)と結合して、ナトリウム金属(Na)を形成する。このプロセスが、図20及び図21に例示されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数の二次セル(本明細書では「単位セル」、「電池セル」、「二次セル」などの用語で称される)は、互いに直列及び/又は並列に配置されて、電池ストリング(本明細書では「ストリング」、「電池ストリング」などの用語で称される)を形成する。各電池ストリングは、1つ以上の単位セルを含み得る。いくつかの実施形態では、電池ストリング内の単位セルは、互いに並列に電気的に配置される。例えば、電池ストリングは、各々が、1.5ボルト(V)及び20アンペア(A)で動作し、かつ電池ストリングが1.5Vの組み合わせ電圧及び200Aの電流を有するように、互いに並列に電気的に接続され得る10個(又は任意の数)の単位セルを含み得る。ナトリウム金属及びカソライト流体は、互いに平行に、互いに直列に、又はそれらの任意の組み合わせで、電池ストリング内の単位セルの各々を通って流れることができる。複数の電池ストリングを一緒に接続して、スタックを形成することができる。例えば、スタックは、スタックが24Vのスタック電圧及び200Aの電流を有するように、互いに直列に(例えば、電気バスバーを介して)電気的に接続された16個(又は任意の数)の電池ストリングを含み得る。特定の電圧及び電流値が、例として本明細書に提供されるが、これらの値は、変化することができ、限定的であるとみなされるべきではないことに留意されたい。ナトリウム金属は、互いに並列に、スタック内の電池ストリングの各々を通って流れることができる一方、カソライト流体は、互いに直列に、互いに並列に、又はそれらの任意の組み合わせで、スタック内の電池ストリングの各々を通って流れることができる。
【0042】
溶融ナトリウム電池システムは、フロー電池モード及びナトリウム生成モードを含む複数のモードで動作することができる。両方のモードにおいて、各ストリングは、最初に単位セルを充填する、すなわち「プライミング」するために、ナトリウム分配器からプライミングナトリウムのストリング固有の流れを受容する。ナトリウム分配器は、外部ナトリウム源からナトリウムを受容し、ストリングの各々にナトリウムを互いに並列に分配するように構成され得る。有利には、ナトリウム分配器は、プライミングナトリウムのストリング固有の流れを介して、及び/又はナトリウム分配器の構造(例えば、壁、表面など)を介して、電流がストリング間を流れることを防止することによって、互いに電気的に隔離された状態にストリングを維持するように構成され得る。単位セルを初期量のナトリウムでプライミングすると、ナトリウム分配器は、もはや必要でない。ナトリウム分配器のこれら及び他の特徴を、以下でより詳細に説明する。
【0043】
フロー電池モードでは、溶融ナトリウム電池システムは、電池を充電又は電池を放電するように動作することができる。電池を充電するとき、電気が消費され、Naイオンは、カソライトからイオン選択膜を通過し、膜のアノード側(すなわち、溶融ナトリウムアノード内)で電子(e)と結合して、上で説明されるようにナトリウム金属(Na)を形成する。溶融ナトリウムアノード内で生成されたナトリウム金属は、(例えば、生成されたナトリウムが、ナトリウムアノード内でより多くの体積を占有する結果として)ストリング固有のナトリウム出口を介して単位セルの外に押し出され、ストリング固有のナトリウムリザーバに流入する。いくつかの実施形態では、ストリング固有のナトリウムリザーバは、電池ストリングの上方に物理的に位置し(すなわち、より高い重力位置エネルギーを有する)、電池を充電するときに生成されたナトリウム金属を貯蔵するための追加の容量として機能する。電池を放電するときには、逆の反応が発生する。ナトリウム金属は、ストリング固有のナトリウムリザーバから単位セルの溶融ナトリウムアノードに流入し、単位セル内で消費されて、ナトリウムイオンNa及び電子を生成する。Naイオンは、イオン選択膜を通過してカソライトと反応する一方、電子は、電気の形態で電池から排出される。ストリング固有のナトリウムリザーバは、各ストリングが、単一のナトリウムリザーバ内にナトリウムのみを提供し、かつその同じナトリウムリザーバからナトリウムを受容するように、互いに物理的及び電気的に隔離されている。
【0044】
ナトリウム生成モードでは、溶融ナトリウム電池システムは、電池がフロー電池モードで充電しているときと同様の様式で動作する。電気が消費され、Naイオンが、カソライトからイオン選択膜を通過し、膜のアノード側(すなわち、溶融ナトリウムアノード内)で電子(e)と結合して、上で説明されるようにナトリウム金属(Na)を形成する。溶融ナトリウムアノード内で生成されたナトリウム金属は、ストリング固有のナトリウム出口を介して単位セルの外に押し出される。しかしながら、ナトリウム生成モードでは、生成されたナトリウムをストリング固有のナトリウムリザーバに貯蔵する必要はない。生成されたナトリウムの各ストリング固有の流れを別個のリザーバに提供する代わりに、生成されたナトリウムのストリング固有の流れは、ナトリウムアグリゲータに送達される。ナトリウムアグリゲータは、複数のストリングからナトリウムのストリング固有の流れを受容し、ナトリウムのストリング固有の流れを単一のナトリウムプール内に集約し(例えば、組み合わせる、収集する、合流させるなど)、集約されたナトリウムを外部ナトリウム貯蔵容器に送達する。有利には、ナトリウムアグリゲータは、ナトリウムのストリング固有の流れを介して、及び/又はナトリウムアグリゲータの構造(例えば、壁、表面など)を介して、電流がストリング間を流れることを防止することによって、互いに電気的に隔離された状態にストリングを維持するように構成され得る。ナトリウムアグリゲータのこれら及び他の特徴を、以下でより詳細に説明する。
【0045】
電池システムは、本開示全体を通して主に溶融ナトリウム電池システムとして説明されるが、様々な他の溶融アルカリ金属、他のタイプの溶融金属(すなわち、非アルカリ金属)、溶融金属合金又は共融物、純粋な溶融金属(すなわち、複数の異なる金属の混合物ではない)、及び/又は他の導電性流体、物質、若しくは材料を、本明細書に提供される教示から逸脱することなく、溶融ナトリウム金属の代わりに使用し得ることが企図される。本明細書で提供される特定のタイプの化学物質、物質、及び材料は、本開示のシステム及び方法を実施するのに好適であろうが、限定するものとみなされるべきではない例である。
【0046】
電池システム
ここで図1及び図2を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100の斜視図が、示されている。システム100は、フロー電池システム、溶融アルカリ金属電池システム、溶融ナトリウム電池システム、アルカリ金属生成システム、ナトリウム生成システムなどであり得る。システム100は、ベース102、ベース102上に装着された第1のサブシステム104、及びベース102上に装着された第2のサブシステム106を含むように示されている。第1のサブシステム104及び第2のサブシステム106は、第1のバスバー108によって直列に接続され得る。第1のサブシステム104及び第2のサブシステム106は、実質的に同様に構成され得る。
【0047】
第1のサブシステム104は、スタックアセンブリ110、分配器112(例えば、ナトリウム分配器、プライミング分配器)、及びアグリゲータ114(例えば、ナトリウムアグリゲータ、シャントブレイク)を含むとして示されている。スタックアセンブリ110は、複数のストリング116(ストリング116a~hとして示される)を含む。示される例では、スタックアセンブリ110のストリング116は、4つのストリング116(例えば、ストリング116a~d及び116e~h)のセットにグループ化され、ストリング116の各グループは、エンドプレート118a~dによって境界付けられる。各グループ内のストリング116は、隣接するストリング116を互いに流体的及び電気的に隔離するように構成された隔離プレート120(隔離プレート120a~fで示される)によって互いに隔てられる。スタックアセンブリ110はまた、図3を参照して更に詳細に説明されるように、ストリング116間に電気接続を提供する(すなわち、ストリング116を互いに直列に電気的に接続する)バスバー122(バスバー122a~gとして示される)を含む。
【0048】
各ストリング116は、少なくとも図1及び図2に視認できる外壁によって画定されるハウジングを含む。他の図に示され、それらを参照して説明されるように、各ストリング116は、例えば、ナトリウムカチオンを還元すること(すなわち、Naイオンに電子を追加すること)によってナトリウム原子(Na)を生成して電気を貯蔵するように充電し、例えば、ナトリウム金属を酸化して(すなわち、ナトリウム原子から電子を分けて)ナトリウムカチオンNaを生成することによって、電気を生成するように放電することができる1つ以上のセル(例えば、電池セル、単位セル、二次セルなど)を含む。隔離プレート120は、隣接するストリング116間の電気的隔離を提供する。エンドプレート118はまた、スタックアセンブリ110に電気的隔離及び構造的支持を提供する。
【0049】
分配器112は、ストリング116間の電気的隔離を提供しながら、共通のソース又は入口(例えば、外部ナトリウム源)から複数のストリング116に導電性流体(例えば、流体アルカリ金属、溶融ナトリウム)を分配するように構成される。分配器112は、管材124(例えば、各ストリング116a~gに対して1つのチューブ、示された例では8つのチューブ)によって複数のストリング116に接続されており、その結果、流体は、それらの間を流れることができる。図1及び図2に示されるように、分配器112は、分配器112内の流体にかかる重力が、流体をストリング116に向かって/ストリング116内に下向きに流れさせ、ストリング116a~gを完全に充填させるように、スタックアセンブリ110の上方に物理的に装着される。分配器112及びそれによって提供される電気的隔離の追加の詳細が、図9図12を参照して説明される。
【0050】
アグリゲータ114は、ストリング116間の電気的隔離を提供しながら、複数のストリング116a~gから導電性流体(例えば、流体アルカリ金属、流体ナトリウム)を受容し、導電性流体を共通のレセプタクル又は共通の出口に(例えば、ライン125を介して)集約するように構成される。アグリゲータ114は、管材126(例えば、各ストリング116に対して1つのチューブ、示された例では8つのチューブ)によって、複数のストリング116に接続されており、その結果、流体は、それらの間を流れることができる。図1及び図2に示されるように、スタックアセンブリ110からアグリゲータ114に流入するときに、流体が、重力の方向に逆らって流れる必要があるように、アグリゲータ114は、スタックアセンブリ110の上方に物理的に装着される。これは、導電性流体が、スタックアセンブリ110内で生成され、導電性流体の追加の質量/体積が生成されるにつれてスタックアセンブリの外に押し出される結果として、生じ得る。アグリゲータ114及びそれによって提供される電気的隔離の詳細が、例えば、図13図16を参照して、以下に提供される。
【0051】
分配器112及びアグリゲータ114は、ストリング116に導電性流体のストリング固有の流れを互いに並列に送達し、ストリング116から導電性流体のストリング固有の流れを互いに並列に収集/集約するように動作する。分配器112は、外部ソースから導電性流体を受容し、導電性流体をストリング固有の流れに分割し、ストリング固有の流れを個別のストリング116に送達する。スタックアセンブリ110内では、導電性流体のストリング固有の流れは、導電性流体を介して隣接するストリング116間に電流が流れることを防止するために、隣接するストリング116間の隔離プレート120及びエンドプレートによって、互いに流体的及び電気的に隔離されて維持される。アグリゲータは、個別のストリング116から導電性流体のストリング固有の流れを受容し、ストリング固有の流れを単一の合流ストリームに組み合わせ又は集約し、導電性流体の合流ストリームを外部貯蔵容器に提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、分配器112、ストリング116、アグリゲータ114、及び/又はシステム100の他の構成要素の間の導電性流体の流れは、受動的に発生し、したがって、受動的な流れとして特徴付けることができる。受動的な流れは、重力、自然に誘発される流体流(例えば、対流)、変位(例えば、ストリング116内の流体の膨張若しくは生成)によって駆動されるか、又は別様に、流れを駆動するために、ポンプ、圧縮機、ファンなどの能動(例えば、電動)構成要素を必要とせずに、受動的に発生する流れを含み得る。例えば、分配器112、分配器112に原料供給する外部流体源、及び/又はストリング固有のリザーバは、ストリング116内で空間が利用可能であるときに、重力が、導電性流体をそのような構成要素からストリング116に受動的に下向きに流入させるように、ストリング116の上方(例えば、ストリング116の真上、及び/又はストリング116の上方の高位であるが、ストリング116の水平方向に横)に位置付けられ得る。これは、ストリング116をプライミングするとき、及び/又はストリング116内の導電性流体を消費して、ストリング116内の空間を解放するとき(例えば、フロー電池放電モード中)に発生し得る。別の例として、ストリング116内の導電性流体の生成(例えば、ナトリウム生成モード又はフロー電池充電モード中)は、ストリング116内で導電性流体の質量を増加させ得る。ストリング116内の導電性流体の質量の増加は、ストリング116内の流体の圧力及び/又は体積の増加を引き起こし得、それにより、ストリング116内に収まらない過剰な導電性流体を、変位によって、ストリング116の外に押し出させることがある。変位した導電性流体は、導電性流体の追加の質量がストリング116内で生成されるにつれて、重力の方向に逆らってストリング116を受動的に流出し、ストリング116の上方に位置するアグリゲータ114及び/又は外部リザーバに流入し得る。
【0053】
第2のサブシステム106は、第1のサブシステム106と実質的に同様に構成され、同等又は同一のスタックアセンブリ、分配器、及びアグリゲータを含む。図1及び図2に示されるように、入口ポート128及び出口ポート130は、第2のサブシステム106の一端に位置付けられる。他の実施形態では、入口ポート128及び出口ポート130は、第2のサブシステム106の反対側の端部にある。同様の入口ポート及び出口ポートをエンドプレート118a及び/又はエンドプレート118dに(例えば、エンドプレート118a上に入口ポートを、及びエンドプレート118d上に出口ポートを)提供することができる。入口ポート128は、第2のサブシステムに入るカソライトの流れのための入口点を提供し、出口ポート130は、第2のサブシステムから出るカソライトの流れのための出口点を提供する。カソライトは、図4図8に示され、それらを参照して説明されるように、システム100のセルを通って流れることができる。
【0054】
カソライトは、任意の好適なタイプの正の電解質又は正極溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、カソライトは、導電性流体とイオン(例えば、ナトリウムイオン又は他のカチオン)を交換することができる任意のタイプの流体であるか、又はそれを含むことができる。好適なカソライトの例としては、以下に限定されないが、硫化ナトリウム、ハロゲン化ナトリウム、硫化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、及び/又は2020年8月4日に付与された米国特許第10,734,686号、2015年3月3日に付与された米国特許第8,968,902号、2021年9月9日に公開された米国特許出願公開第2021/0280898号、並びに/若しくは2021年9月9日に公開された米国特許出願公開第2021/0277529号に説明されている正の電解質又は正極溶液のいずれかが挙げられる。これらの特許及び特許出願公開の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。カソルティエは、ストリング116内のカソードコンパートメントを通って流れることができ、カソードコンパートメント内に少なくとも部分的に位置する1つ以上のカソード(すなわち、正極)に流体的に接触することができる。カソードは、例えば、ニッケル、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、硫黄複合材料、塩化スルフリルを含むハロゲン化硫黄、この段落で先に引用された特許若しくは特許出願公開のいずれかに説明されている正極材料のうちのいずれか、及び/又は他の任意の好適な正極材料を含む任意の好適なカソード材料から作製されるか、又はそれらを含み得る。
【0055】
様々な実施形態では、カソライトは、互いに直列に、互いに並列に、又はそれらの任意の組み合わせで、ストリング116のいくつか又は全てを通って流れる。いくつかの実施形態では、カソライトは、導電性流体よりも著しく低い導電率を有し、ストリング116を通って流れるときに、物理的及び電気的に分離して維持される必要はない。カソライトを通るごく小さい電流が、予想される(例えば、ストリング116及び/又はカソライト流路の配向及び配置に応じて変化し得る、場合によっては1パーセント未満の損失)。しかしながら、導電性カソライトが使用された場合、カソライトに対して同様の隔離措置を取り得ることが企図される。
【0056】
電気的接続
ここで図3を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100内の電気接続のブロック図が示されている。図3は、第1のエンドプレート118aと第2のエンドプレート118bとの間にN個のストリング116(Nは正の整数)を有する例示的なスタックアセンブリ110を示し、ストリング116は、ストリング1 116a、ストリング2 116b、ストリング3 116c、ストリング4 116d、最大でストリングN 116までとして例示されている。様々な実施形態では、任意の正の整数値のNが、可能である。例示されるように、各ストリング116は、負端子(-)及び正端子(+)を有する。いくつかの実施形態では、各ストリング116は、ストリング116にわたって、すなわち、負端子(-)と正端子(+)との間に電圧差を提供するように構成される。電圧差は、いくつかの実装形態では約1.5Vであり得、様々な実施形態、用途、シナリオなどでは、異なる大きさを有し得る(例えば、各ストリング116についてXボルト)。
【0057】
隔離プレート120は、隣接するストリング116を互いに電気的に隔離する。示されるように、第1の隔離プレート120aは、ストリング1 116aをストリング2 116bから電気的に隔離し、第2の隔離プレート120bは、ストリング2 116bをストリング3 116cから電気的に隔離し、第3の隔離プレート120cは、ストリング3 116cをストリング4 116dから電気的に隔離し、第4の隔離プレート120hは、ストリング4 116dを後続のストリングから電気的に隔離し、第Mの隔離プレート120mは、ストリングN 116Nを、先行するストリング116(M=N-1)から隔離する。それにより、隔離プレート120は、望ましくない又は意図しない電流の流れ(すなわち、シャント電流)、電圧正規化、及び/又は複数のストリング116にわたる他の電気的相互作用を防止するのに役立つ。
【0058】
図3は、ストリング116を直列に接続するために、隣接するストリング116の正端子及び負端子に接続されたバスバー122を示す。示されるように、第1のバスバー122aは、ストリング1 116aとストリング2 116bとの間の唯一の電気的接続が、ストリング1 116aの正端子とストリング2 116bの負端子との間にあるように、隔離プレート120aの周りで、ストリング1 116aの正端子をストリング2 116bの負端子に接続する。第2のバスバー112bは、ストリング2 112bの正端子を、隔離プレート120bの周りで、ストリング3 116cの負端子に接続し、バスバー122c、d、h、…、mについても同じように続き、その結果、ストリングN 116nに至るまで、各ストリングの正端子が後続のストリングの負端子に接続された状態で、ストリング116が、直列に接続される。N個のストリング116の場合、図3の実施形態は、M=N-1個のバスバー122を含む。
【0059】
N個のストリング116の各々が、Xボルトの電圧差(Xは、例えば、1.5V、3V、12V、24Vなどの任意の値であり得る)を提供するとき、図3に示される直列配置に起因して、N個のストリング116にわたる電圧差は、N×Xにほぼ等しい。図3に示されるストリング116の配置は、それによって、スタックアセンブリ110が、例えば、任意の個々のストリング116によって提供又は処理され得る電圧よりも著しく大きい電圧を提供又は処理することを可能にする。以下で詳細に説明されるように、図3の電気的配置を使用して、システム100でアルカリ金属生成モード(例えば、ナトリウム生成モード)及び充電並びに放電フロー電池モードを提供することができる。
【0060】
フロー電池モード
ここで図4及び図5を参照すると、いくつかの実施形態による、フロー電池充電モード及び放電モードにおけるシステム100内の流体の流れが、示されている。フロー電池充電モードで動作するとき(図4)、システム100は、外部電気を受け取り、正に帯電したカチオン(例えば、Na)を還元することによって、中性ナトリウム原子(又はいくつかの他の同様に反応性の材料、例えば、別のアルカリ金属)を生成及び貯蔵することによって、電気を貯蔵エネルギーに変換する。フロー電池放電モードで動作するとき(図5)、システム100は、ナトリウム原子から電子を分けて、ナトリウムイオン(Na)をカソライトに移送する酸化反応を通して電気を生成する。これらのモードは、以下で更に詳細に説明されるように、スタックアセンブリ110の異なるコンパートメント及び導管を通るナトリウム及びカソライトの流れを提供することによって、部分的に達成される。
【0061】
システム100は、システム100を通るカソライトの循環を提供する構成要素、例えば、カソライトタンク400、ポンプ402、及び図4に例示される流路を提供する様々な管材、導管などを更に含み得る。カソライトタンク400は、カソライト流体を保持するように構成され、いくつかの実施形態では、カソライト流体の撹拌(例えば、かき混ぜ、混合)を提供し得る。カソライト流体は、例えば、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,020,543号に説明されているように、図4の充電モードの動作中にNaイオンを放棄し、図5の放電モードの動作中にNaイオンを引き受けるのに好適な分子を含むか、又はそれらで構成され得る。ポンプ402は、カソライトをカソライトタンク400からポンプ圧送し、ストリング116を通して、かつストリング116を横切って、カソライトタンク400に戻すように動作する。ポンプ402は、例えば、スタックアセンブリ110を通るカソライトの一定流量を提供するように制御され得る。カソライトタンク400は、過剰又は予備のカソライトを貯蔵又は引き受けて、例えば、充電及び放電動作中のカソライトの総体積の変化を可能にする。
【0062】
カソライトは、ストリング116内の経路を通って流れるように示されている。ストリング116内の経路は、図7及び図8に、より詳細に例示されている。カソライト流路は、カソライトが、ポンプ402によって駆動されてシステム100を通って循環するときに、ストリング116のいずれかを通って流れることができるように、ストリング116を通って連続している。カソライトは、好ましくは、カソライトが、システム100を通って循環するときに、電流がストリング116間を流れる経路を提供しないように、電気絶縁性である。
【0063】
システム100はまた、ストリング116に入る、及びストリング116を出るナトリウムの流れを容易にする構成要素を含む。具体的には、システム100は、ストリング116内で発生する反応の開始に十分な初期量のナトリウムでストリング116をプライミングするための構成要素(分配器112及び外部ナトリウム源404を含む)、及びストリング116内で生成されたナトリウムを貯蔵するための構成要素(ナトリウムリザーバ406を含む)を含む。
【0064】
外部ナトリウム源404は、スタックアセンブリ110をプライミングする際に使用するために利用可能な(例えば、タンク、リザーバ、容器内にある)ナトリウム(又は他の実施形態では、他の好適な材料)の任意の外部ソースであり得る。いくつかの実施形態では、外部ナトリウム源404は、図6に示されるナトリウム貯蔵容器600である。ナトリウム分配器112は、外部ナトリウム源404からナトリウムを取得し(例えば、外部ナトリウム源404からナトリウム分配器112にポンプ圧送される、重力送りを介してナトリウム分配器112に流入する、外部ナトリウム源404内の圧力によって移送されるなど)、ナトリウムを別個のストリング116に分配するように構成される。図3に例示されるように、ストリング116は、組み合わされて、スタックアセンブリ110にわたってより大きい電圧差を提供する、各ストリングにわたる電圧差を有する目的で、直列に電気的に配置されているため、ナトリウム金属を介したストリング116間の電気伝導を防止することに課題が存在する。有利には、分配器112は、統一されたソースから(例えば、外部ナトリウム源404からの単一のチューブを介して)ナトリウムを受容し、別個のライン内のナトリウム間の電気的隔離を提供しながら、別個のストリング116まで延びる別個のラインにナトリウムを分配するように構成される。分配器112の例が、図9図12に示されており、それらを参照して、以下で詳細に説明される。
【0065】
ナトリウムリザーバ406は、ストリング116の各々について別個のリザーバを含み、その結果、ナトリウムリザーバ406の各々は、別個のストリング116からのナトリウム間の混合、接触などなしに、ストリング116のうちの1つからナトリウムを受容する。ナトリウムリザーバ406は、一緒に結合されて、例えば、共通のヘッドスペースと、ナトリウムリザーバ406を画定する異なるコンパートメントと、を有する配置で、例えば、1つ以上の非導電性及びナトリウム適合性材料(例えば、ポリメチルペンテン(PMP)、電気絶縁コーティングでコーティングされた鋼)から作製された壁を共有し得る。図4及び図5は、ストリング1 116aに接続されたナトリウムリザーバ1 406a、ストリング2 116bに接続されたナトリウムリザーバ2 406b、ストリング3 116cに接続されたナトリウムリザーバ3 406c、ストリング4 116dに接続されたナトリウムリザーバ4 406dからストリングN 116nに接続されたナトリウムリザーバN406nまでを示している。この配置は、他の設計で発生し得るように、ナトリウムを介してストリング116間を電流が流れることを防止するために、ナトリウムを各ストリングから電気的に隔離する。
【0066】
フロー電池充電モード(図4に例示される)では、システム100は、まず、ナトリウム分配器112によってプライミングされ、それにより、開始量のナトリウムが、外部ナトリウム源404からストリング116内に提供される。電圧が、外部電圧源によって、スタックアセンブリ110にわたって印加される。印加された電圧は、ストリング116の各々にわたる電圧差を提供する。ポンプ402は、カソライトを、ストリング116を通して循環させるように動作する。ストリング116の各々にわたる電圧差により、Naカチオンが、カソライトから膜を通ってアノードコンパートメントに引き込まれ、そこでNaカチオンが、電子(外部電圧源からの電流によって提供される)と結合して、ナトリウム原子を生成する。この反応は、各ストリング116内でナトリウム原子を生成し続け、これが、各ストリング116内のナトリウム経路内で材料の体積の増加をもたらし、それにより、ナトリウムが、ストリング116の外に押し出されて、それぞれのナトリウムリザーバ406に押し込まれる。それにより、ナトリウム原子が、生成されて、ナトリウムリザーバ406に貯蔵され、電気が、電気化学エネルギーの形態で貯蔵される。
【0067】
フロー電池放電モード(図5に例示される)では、システム100は、電気を出力するように動作する。ナトリウムは、ナトリウムリザーバ406から(例えば、底部ドローポート又はドリップチューブから)それぞれのストリング116に流れ(例えば、重力によってストリング116に引き込まれる)、ストリング116内のナトリウム原子は、電子を失い、Naカチオンが、膜を横切ってカソライト内に流れ、カソライトは、ポンプ402の動作によって循環し続ける。過剰な電子は、カソードに移動し、それにより、システム100から流出することができる電気を生成する。それによって、システム100は、フロー電池放電モードで動作するときに、貯蔵されたナトリウム原子から電気を生成するように構成される。
【0068】
ナトリウム生成モード
ここで図6を参照すると、いくつかの実施形態による、ナトリウム生成モードにおけるシステム100内の流体の流れが示されている。図4及び図5と同様に、ナトリウム分配器112は、ある量のナトリウム(図6にプライミングナトリウムとして示される)を外部ナトリウム源404からストリング116に導入することによって、ナトリウム生成モードをプライミングするように動作することができる。ナトリウム生成モードでは、システム100は、図6に示されるように配置され、(図7及び図8を参照してより完全に説明されるような反応を介して)ストリング116によって生成されたナトリウムは、別々にナトリウムアグリゲータ114に流れる。ポンプ402は、カソライトタンク400を通すことを含む、スタックアセンブリ110を通して、カソライトを循環させるように動作する。いくつかの実施形態では、カソライトタンク400は、例えば、十分に大きい体積を有することによって、外部ソースなどによって補充されることによってなどで、無期限の時間にわたってナトリウムを生成するように、システムの連続的な動作のために十分なカソライトを提供するカソライトのソースである。
【0069】
ナトリウムアグリゲータ114は、別個のストリング116からのナトリウムをナトリウム貯蔵容器600への単一の出力に集約するように構成される。ナトリウム貯蔵容器600は、(例えば、図4及び図5の別個のナトリウムリザーバ406とは対照的に)全てのストリング116からナトリウムを受容する単一の統一された空間を提供する。次いで、貯蔵容器600内のナトリウムは、他の用途のための貴重な物質として取り出すことができる。有利には(及び図13図16を参照して以下で詳述されるように、ナトリウムアグリゲータ114は、各ストリングによって出力されるナトリウムをナトリウム貯蔵容器600内の単一の混合体積に集約しながら、各ストリング116内のナトリウム間の電気的隔離を維持するように構成される。各ストリング116内のナトリウム間の電気的隔離を維持することによって、電流が、ナトリウムを通してストリング116間に流れることはできず、ストリング116を、異なる電圧に保持することができる。したがって、ナトリウムアグリゲータ114は、図3に例示されるストリング116間の直列電気接続を可能にする上で重要な役割を果たす。
【0070】
ナトリウム生成モードでは、生成されたナトリウムは、ナトリウムアグリゲータ114を介してスタックアセンブリ110から取り出され、生成後にストリング116に戻って流入することが防止される。これは、図5のフロー電池放電モードにおいて、生成されたナトリウムが、スタックアセンブリ110に戻って流入することが可能なフロー電池モードとは区別される。ナトリウム生成モード及びフロー電池モードの両方で、ナトリウム分配器112は、プライミング段階中に(及び、いくつかのシナリオでは、メンテナンス目的で)ナトリウムをスタックアセンブリ110に提供するように動作するが、ナトリウム生成モードの実行時に単位セルがナトリウムでプライミングされた(例えば、充填された)後には、もはや必要とされない。いくつかの実施形態では、ナトリウム分配器112は、単位セルがプライミングされた後、スタックアセンブリ110から流体的に分離されて(例えば、バルブを閉じることによって、管材を外すことによってなど)、ナトリウム生成モード又はフロー電池モードの動作時の生成段階(operational production stage)中に、ナトリウム分配器112を介してストリング116間に電流が流れないことを更に確実にすることができる。いくつかの実施形態では、ナトリウム貯蔵容器600は、将来のプライミング動作で使用するために、外部ナトリウム源404にナトリウムを提供することができるか、又は他の実施形態では、単一の構成要素をナトリウム貯蔵容器600及び外部ナトリウム源404の両方として使用することができる。
【0071】
ストリングの構成
ここで図7を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100の例示的なストリング116の図が、示されている。示される例では、各ストリング116は、ストリング1 116AのセルA700a及びセルB700b、並びにスティング2 116bのセルC700c及びセルD700dとして図7に示される2つのセルを有する。各セル700は、電池セル(すなわち、二次セル、単位セルなど)として特徴付けられ得る。各セル700では、放電モードにおいて、各セル700にわたって電圧を生成することができるか、又は充電モードにおいて、各セル700にわたる電圧を使用して、ナトリウムを生成する(若しくはさもなければ、エネルギーを貯蔵する)ことができるように、カソライトは、溶融ナトリウム(又は他の実施形態では他のアノード材料)から膜の反対側に提供される。本明細書の実施形態における膜は、ナトリウムイオン選択的であり、NaSICON又はβアルミナ材料であり得る。
【0072】
図7に示されるように、セルA700a及びセルB700bは、内部を通る平行な流体の流れのために、及びセルA700aとセルB700bとがカソードを共有する(共有カソード702a)ように配置される。すなわち、ストリング1 116aは、カソライトが通って流れることができ、システム110の動作中にカソライトで充填される、カソライトチャンバ704aを含む。カソライトチャンバ704aは、共有カソード702aによって分割され、その結果、カソライトは、カソード702aの2つの側面に沿って平行に流れることができる。カソライトチャンバ704aは、カソライトチャンバ704a内のカソライトをストリング116aの第1のアノードチャンバ708aから隔てる第1の膜706aによって、及びカソライトチャンバ704aを第2のアノードチャンバ708bから隔てる第2の膜706bによって、境界される。共有カソード702aは、第1の膜706aと第2の膜708aとの間でほぼ等間隔に位置付けられており、その結果、カソライトは、第1の膜706aと共有カソード702aとの間、及び第2の膜706bと共有カソード702aとの間のカソライトチャンバ704aの領域を通って流れることができる。セルA700aは、第1のアノードチャンバ708a、第1の膜706a、カソライトチャンバ704aの一部分、及び共有カソード702aの組み合わせによって画定される一方、セルB700bは、第2のアノードチャンバ708b、第2の膜706b、カソライトチャンバ704aの一部分、及び共有カソード702aの組み合わせによって画定される。したがって、カソード702aは、ストリング1 116a内の隣接する単位セル700aと700bとの間で共有される。
【0073】
ストリング1 116aはまた、第1のアノードチャンバ708aを第2のアノードチャンバ708bと流体的に接続するナトリウム導管(例えば、チューブ、パイプなど)710aを含むように示されている。ナトリウム導管710aは、ナトリウム(又は他のアノード材料)が、ストリング1 116aのアノードチャンバ708a、bを通って、及びそれらの間を、並びに隔離プレート120aに位置付けられた出口712aまで流れることを可能にする。図7に例示されるように、ナトリウム及びカソライトの両方が、同じ方向に、反対方向に、又はそれらの任意の組み合わせで、各ストリング116を通って平行に流れることができる。
【0074】
ストリング2 116bは、ストリング116aと実質的に同様に配置されるとして示されており、共有カソード702b、カソライトチャンバ704b、第1の膜706c、第2の膜706d、第1のアノードチャンバ708c、第2のアノードチャンバ708d、導管710b、及び出口712bを含む対応する構成要素を含む。図7は、ストリング1 116aのカソライトチャンバ704aが、ストリング2 116bのカソライトチャンバ704bと流体連通していることを例示しており、その結果、カソライトは、ストリング1 116aのカソライトチャンバ704aを通って、ストリング2 116bのカソライトチャンバ704bに流入することができる。図7はまた、ストリング1のアノードチャンバ708a、b及び導管710aが、ストリング2 116bのアノードチャンバ708c、d及び導管710bから隔てられていること(少なくとも隔離プレート120aによってそれらから電気的に隔離されていることを含む)を例示している。したがって、カソライトは、ストリング1 116aとストリング2 116bとの間で共有される一方、ナトリウム(又は他の流体アノード)は、隣接するストリング116から電気的に及び流体的にの両方で隔離されている。
【0075】
ここで図8を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100のストリング116の別の図が、示されている。図8に示される例では、各ストリング166、各ストリング116は、ストリング1 116aのセルA700a、セルB700b、セルC700c、及びセルD700dとして示される4つのセルを含む。図7の例のように、セルA700a及びセルB700bは、図7を参照して説明されたように配置された、第1の共有カソード702a、カソライトチャンバ704aの部分、第1の膜706a、第2の膜706b、第1のアノードチャンバ708a、及び第2のアノードチャンバ708bで構成される。
【0076】
図8の例では、ストリング1 116aは、第2のアノードチャンバ708bを使用して、セルB700bとセルC700cとの間に共有アノードを提供することによって、追加のセル(セルC700c及びセルD700d)を備える。示されるように、第2のアノードチャンバ708bは、第2の膜706bによって、及び第3の膜706cによって画成される。第3の膜706cは、第2のアノードチャンバ708bを、第3の膜706cと第2の共有カソード702bとの間のカソライトチャンバ704aの一部分から隔てる。共有カソード702bは、セルC700c及びセルD700dの要素である。セルD700dはまた、第4の膜706dによってカソライトチャンバ704aから隔てられた第3のアノードチャンバ708cを含み、その結果、カソライトは、カソライトチャンバ704aを通って第4の膜706dと第2の共有カソード702bとの間を流れることができる。示されるように、ストリング1 116aは、それによって、2つのカソード及び第3のアノードチャンバを使用して4つのセルを提供する。任意の数のセル(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個など)を有するストリングは、本開示の範囲内である。
【0077】
ナトリウム分配器
ここで図9図12を参照すると、いくつかの実施形態による、分配器112の様々な図が示されている。分配器112は、外部ナトリウム源404と、システム100のストリング116との間に直列に接続可能であり、溶融ナトリウムを介してストリング116間に電気シャント電流が流れることを防止しながら外部ナトリウム源404からストリング116に流体ナトリウムを分配するように構成される。図9は、分配器112の第1の斜視図を示し、図10は、分配器112の第2の斜視図を示し、図11は、分配器112の第1の切欠き図を示し、図12は、分配器112の第2の切欠き図を示す。
【0078】
図9図12に示されるように、分配器112は、チャンバ900と、チャンバ900の上部壁904に位置付けられたナトリウム入口902と、チャンバ900の上部壁904に位置付けられたガス入口906と、ナトリウム入口902と複数の出口908との間にチャンバ900が配置されるように、チャンバ900の底壁910から延在する複数の出口908と、を含む。チャンバ900は気密であり、その結果、流体は、ナトリウム入口902、ガス入口906、及び出口908を介してのみ、チャンバ900の内部に入るか、又はそれから出ることができる。ガス入口906は、ナトリウムと反応しない不活性ガスのソースに接続可能であり、不活性ガスをチャンバ900内に(例えば、大気圧よりも高い圧力で)供給して、ナトリウムによって占有されていないチャンバ900内の任意の空間を、ナトリウムと反応しない物質で充填することを可能にする。チャンバ900は、非導電性材料から作製され得る。ナトリウム入口902は、外部ナトリウム源404(図4図6に示される)に接続可能であり、外部ナトリウム源404からチャンバ900の内部にナトリウムを導入するように構成される。ナトリウム入口902は、チャンバ900内へのナトリウムの流れ又は滴下の速度を調節することができる。ナトリウム入口902は、チャンバ900の上面904上で実質的に中央に位置するとして示されている。
【0079】
各出口908は、チャンバ900の底面910から延在する管状又はノズル形状を有するとして示されている。出口908は、電気絶縁性材料から作製され得る。各出口908は、管材124を介して、対応するストリング116に流体的に接続されており、かつ、分配器112から対応するストリング116にナトリウムを送達するように構成され得る。図9図12に示されるように、出口908は、2つの対称な4個の行(合計8つの出口908)に配置されるが、他の数の出口908又は他の配置も可能である。出口908の数は、分配器112によってサービスされるストリング116の数と一致する。各出口908は、チャンバ900を各出口908の先端1102から電気的に絶縁する、電気絶縁性のナトリウム適合性材料又は他の材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))から作製された継手1100を含み得る。したがって、各出口908の先端1102をスタックアセンブリ110に接続するチューブが、異なる電圧レベルにさらされた場合でも、継手1100によって提供される電気的絶縁が、分配器112の構造を介してストリング116間に著しい電流が流れないことを確実にする。
【0080】
いくつかの実施形態では、各出口908は、流体が、チャンバ900と各出口908の先端1102との間の空隙を通って滴下するように、バルブ、流量制限器、狭い領域、ノズル、フレアノズル、ドリップ形成デバイスなどを含む。空隙は、出口908内(すなわち、チャンバ900と先端1102との間)に電気シャントブレイクを提供して、分配器112を介してストリング116間を電気シャント電流が流れるのを遮断することができる。いくつかの実施形態では、ガス入口906を介して分配器112に提供される加圧ガスの圧力は、チャンバ900を出口908に接続するオリフィスにおける導電性流体の液滴の形成を容易にするように制御(例えば、調整、調節、変調など)され得る。例えば、コントローラは、オリフィスにわたる圧力差を測定又は計算し、ガス入口906を介して提供される加圧ガスの圧力を(例えば、ポンプ又は他の圧力制御デバイスを動作させることによって)調整して、液滴形成を促進する設定値又は目標レベルに圧力差を維持することができる。
【0081】
チャンバ900は、複数のコンパートメント912を含み、各コンパートメント912は、出口908のうちの1つに対応し、かつそれと整列している。コンパートメント912は、チャンバ900の底壁910からチャンバ900の上部壁904に向かって途中まで延在する隔壁によって画定され、チャンバ900の上部壁904とコンパートメント912との間に空間を残す。コンパートメント912は、(流体レベルがコンパートメント912の高さを下回る場合に)電流が、別個のコンパートメント912内の流体間を流れないように、(例えば、隔壁の材料組成に起因して)互いに電気的に隔離されている。例えば、チャンバ900、コンパートメント912などは、ナトリウムと適合性又は非反応性の非導電性材料(例えば、PMP)から作製され得る。図12に見られるように、コンパートメント912は、コンパートメント912の高さが、複数のコンパートメント912の共通の隅部において部分的に減少される溢出領域914によって接続される。溢出領域914は、チャンバ110内の流体レベルが溢出領域914を超えるときに、コンパートメント912間の流体の分配を容易にする。いくつかの実施形態では、コンパートメント912の上方かつチャンバ900内に共通のヘッドスペースを提供することによって、一定の圧力を(例えば、ガス入口906を通して加圧ガスを導入することによって)コンパートメント912にわたって調整することができ、それにより、有利には、一定の滴下速度又は液滴サイズでの分配器112からの分配をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、溢出領域914を、コンパートメント912の上方に(例えば、共通のヘッドスペース内に)位置する分配器プレートに置き換えて、コンパートメント912にわたって流体を均等に分配することができる。分配器プレートは、流体が分配器プレートの上に溜まり、オリフィスを通って、下に位置するコンパートメント912内に実質的に均等に流れる(flow)ように(例えば、滴下する、流れる(stream)など)、蒸留カラムトレイ(例えば、平面状の表面にわたって分布する多くの小さいオリフィスを有する平面状の表面)と同様に構成され得る。
【0082】
ナトリウムアグリゲータ
ここで図13図15を参照すると、いくつかの実施形態による、アグリゲータ114の複数の図が示されている。アグリゲータ114は、ストリング116とナトリウム貯蔵容器600との間に直列に流体接続され(図6に示されるように)、流体ナトリウムを介してストリング116間を電気シャント電流が流れることを防止しながらストリング116からナトリウム貯蔵容器600に流体ナトリウムを送達するように構成され得る。図13は、第1の斜視図を示し、図14は、第1の切欠き図を示し、図15は、第2の切欠き図を示す。
【0083】
アグリゲータ114は、チャンバ1300と、チャンバ1300の上部壁1304から上向きに延在する複数の入口1302と、を含むとして示されている。アグリゲータ114はまた、チャンバ1300が、入口1302と出口1306との間にあるように、チャンバ1300の底壁1308から下向きに延在する出口1306を含む。アグリゲータ114はまた、チャンバ1300に接続されており、かつ、チャンバ1300内への不活性ガスの導入を可能にする、ガス入口1310を含む。
【0084】
出口1306は、チャンバ1300の底壁1308上で中央に位置するとして示されており、底壁1308は、重力が、チャンバ1300内の流体を出口1306に向かって及び出口1306内に引き込むように、出口1306に向かって傾斜している。底壁1308はまた、入口1302からチャンバ1300に滴下する流体の飛散を低減又は排除するために、入口1302に関連して配置されたスプラッシュ防止部材1402(例えば、隆起、傾斜、突起など)を含むとして示されている。チャンバ1300は、構造的支持のために、底壁1308から上部壁1304まで延在する内部支持ストラット1400を含むとして示されている。
【0085】
各入口1302は、水平先端1500及び垂直導管1502を含む。水平先端1500は、ストリング116から流体ナトリウムを受容し、次いで、流体ナトリウムは、垂直導管1502にゆっくりと移動する。垂直導管1502は、ナトリウムが、垂直導管1502を通って滴下し、各垂直導管1502の底部に位置する末端部1504を出るように構成される。それによって、入口1302は、流体ナトリウムの液滴を、末端部1504から、チャンバ1300内に、例えば、スプラッシュ防止部材1402の上に、チャンバ1300の容積を通して(例えば、ガス入口1310を介して提供される不活性ガスを通して)落下させる。いくつかの実施形態では、ガス入口1310を介してアグリゲータ114に提供される不活性ガスの圧力を制御して(例えば、調整する、調節する、変調するなど)、末端部1504における流体ナトリウムの液滴の形成を容易にすることができる。例えば、コントローラは、末端部1504にわたる圧力差を測定又は計算し、ガス入口1310を介して提供される加圧ガスの圧力を(例えば、ポンプ又は他の圧力制御デバイスを動作させることによって)調整して、液滴形成を促進する設定値又は目標レベルに圧力差を維持することができる。入口1302は、水平先端1500をチャンバ1300から電気的に結合解除するために、電気隔離性の材料、継手などを含み得る。
【0086】
流体は、不活性ガス(例えば、非導電性ガス)又は他の電気絶縁性流体を通って落下する液滴としてチャンバ1300に入るため、流体は、チャンバ1300の内部からストリング116へ戻る、又はその逆の導電性経路を提供しない。追加的に、液滴が、複数の入口1302から同時に落下しているときでも、液滴は、互いに電気的に隔離され、その結果、異なる入口1302間に電気的接続は生じない。したがって、アグリゲータ114は、異なるストリング116間の、又は様々な実施形態では、複数の入口1302に導電性流体を提供する任意の様々な流体源間の電気的連通を防止しながらアグリゲータ114の出口1306で流体ナトリウムを集約する。
【0087】
ナトリウムマニホールド
ここで図16を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100と共に使用することができるマニホールド1600の切欠き斜視図が示されている。マニホールド1600は、本明細書に説明される実施形態のいずれかにおいて、図1並びに図2及び図9図12に例示されるような分配器112、及び/又は図1並びに図2及び図13図15に例示されるようなアグリゲータ114の代わりに使用することができる。マニホールド1600は、電圧が、スタックアセンブリ110にわたって提供されている間に、ストリング116間に電気的接続を生じることなく、共通のソースから複数のストリング116に流体を分配するように構成することができる。マニホールド1600は、複数のストリング116から受容された流体を集約し、集約された流体を、電圧が、スタックアセンブリ110にわたって提供されている間に、ストリング116間に電気的接続を生じることなく、共通のソースに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド1600は、ストリング116を互いに電気的に隔離したままにしないが、依然として、システム動作の起動段階中にストリング116をプライミングし、及び/又は電気シャントブレイクが必要とされないときに、システム動作のシャットダウン段階中にストリング116をパージするために使用することができる。代替的に、マニホールド1600は、以下に説明されるように、マニホールド1600内の導電性流体を介して、及び/又はマニホールド1600の物理的構造を介して、電流がストリング116間を流れることを防止することによって、ストリング116を互いに電気的に隔離したままにするように構成することができる。
【0088】
マニホールド1600は、本体1601と、本体1601から延在する複数のノズル1602(例えば、8つのノズル1602)と、を含む。ノズル1602は、例えば、図16に示されるように、各ノズル1602が1つのチューブ又はパイプに接続された状態で、(図1及び図2の描画と同様に)各ノズル1602が1つのストリング116と流体的に連通可能であるように、管材124に接続される。いくつかの実施形態では、マニホールド1600は、ノズル1602を通過するときに、マニホールド1600内の導電性流体を強制的に個々の液滴又は他の不連続な流体ストリームに分解させることによって、導電性流体のストリームを分解する電気シャントブレイク(例えば、空隙、電気絶縁性流体の隙間など)を生じさせることができる。ノズル1602は、図16に示されるように「V」形状に配向され得るか、又は代替的に、導電性流体の液滴が空隙を通って垂直に滴下することを可能にするように、垂直に配向され得る。いくつかの実施形態では、ノズル1602は、先で説明されるように、分配器112及び/又はアグリゲータ114と同様に、電流が、マニホールド1600の物理的構造を通って別個のストリング116間に流れることを防止するために、電気絶縁性材料から作製される。
【0089】
本体1601は、中央導管(ボア、チャネル、通路、開口部など)1604を含む。中央導管1604は、ノズル1602の内部先端1606と整列するように配置される。中央導管1604は、例えば、管材(チューブ、パイプなど)を介して、ナトリウムのソース及び/又はレセプタクル(例えば、外部ナトリウム源404、ナトリウム貯蔵容器600、それらの何らかの組み合わせ)に接続することができるポート1608と連通可能である。したがって、ナトリウムは、中央導管1604及び内部先端1606を介して、ノズル1602に、又はノズル1602から流れることができる。
【0090】
マニホールド1600は、ポート1608において受容されたナトリウムを複数のノズル1602に実質的に均等に分配することによって、システム100のプライミングを容易にすることができる。そのようなシナリオでは、ナトリウムは、ポート1608を通って、及び中央導管1604に沿って内部先端1606に流入し、そこでナトリウムは、ノズル1602に入る。ナトリウムの圧力/流れが、ナトリウムを、ノズル1602を通って管材124に入るように上向きに押すことができる。ノズル1602の全てへの流入を確実にする背圧を提供するために、各ノズル1602内の小さいオリフィスを含むことができる。内部先端1606、ノズル1602、中央導管1604などはまた、ノズル1602の各々への実質的に均一な流れを確実にするチョーク流れ効果を生じるようにサイズ決めすることができる。プライミング段階の終わりに、ナトリウムは、ポート1608を介して中央導管1604へ、又は中央導管1604内へ流れるのを停止する(例えば、外部ソースからナトリウムを駆動するポンプの動作の終了などによる)。次いで、ナトリウムは、ノズル1602から下向きに流れ、内部先端1606を介して中央導管1604に入ることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、マニホールド1600はまた、導管1604における、ストリング116からのナトリウムの集約を容易にすることができる。例えば、ナトリウムは、ナトリウムの液滴が、中央導管1604に近接する内側先端1606の外側オリフィスで形成され、次いで(例えば、別個に、及び空隙を通って)中央導管1604内に滴下する速度で、管材124を介してノズル1602に流れ得る。代替的又は追加的に、ノズル1602は、管材124に近接して(例えば、管材124に接続されたノズル1602の縮径部分で)ナトリウムの液滴を形成させ、次いで、管材124と内部先端1606との間のノズル1602内の空隙を通って滴下させることができる。次いで、ナトリウムは、内部先端1606を通って、中央導管1604に流入することができる。それにより、ノズル1602は、異なるストリング116(及び管材124の異なるセクション)内のナトリウム間の電気的切断を維持しながら、中央導管1604において、管材124からのナトリウムの集約を提供するように構成することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、マニホールド1600は、フロー電池放電モードで動作するとき(すなわち、ナトリウムを消費して電気を生成するとき)、外部ナトリウム源404及び/又はナトリウム貯蔵容器600からストリング116にナトリウムを分配することができる。マニホールド1600を使用又は修正して、例えば、ノズル1602内に電気シャントブレイクを生じさせることにより、フロー電池放電モードにおいてストリング116間の電気的隔離を提供することができることが企図される。いくつかの実施形態では、ノズル1602は、図16の前景のノズル1602のサブセットと同様の逆「V」形状を有し、各ノズル1602は、逆「V」形状の中央の中心点から下向きに延在する一対の脚を有する。ノズル1602の各脚の端部は、ノズル1602を貫通する導管よりも小さい直径を有するオリフィス(例えば、内部先端1606と同様)などの流量制限器を含み得る。そのような構成は、いずれかの方向にノズル1602を出るときに、ナトリウムをノズル1602内に溜まらせ、流量制限器において液滴を形成させることができる。液滴は、流量制限器から、空隙を通って流量制限器の下方に滴下することができ、それにより、二方向のシャントブレイクを提供する。
【0093】
いくつかの実施形態では、システム100は、ノズル1602内及び/又は中央導管1604内の流体ナトリウムの圧力を制御して(例えば、調整する、調節する、変調するなど)、マニホールド1600内の流量制限器又は他のオリフィスにおける流体ナトリウムの液滴の形成を容易にするように構成することができる。例えば、コントローラは、流量制限器にわたる圧力差を測定又は計算し、中央導管1604内の流体ナトリウムの圧力を調整することができる(例えば、先で説明される分配器112及びアグリゲータの構成と同様に、加圧ガスを中央導管1604に提供することによって)。コントローラは、ナトリウム及び/又は加圧ガスのためのポンプ又は他の圧力制御デバイスを動作させて、圧力差を、ノズル1602の一方又は両方の端部におけるマニホールド1600内の液滴形成を促進する設定値又は目標レベルに維持することができる。
【0094】
集約貯蔵を伴うフロー電池モード
ここで図17を参照すると、いくつかの実施形態による、集約貯蔵を伴うフロー電池モードに配置されたシステム100の例示が示されている。充電モード中に生成されたナトリウムは、スタックアセンブリ110を出て、ナトリウムアグリゲータ114に流れ、ナトリウムアグリゲータ114は、図6を参照してより詳細に説明されたように、ナトリウム貯蔵容器600内にナトリウムを集約する。図17に示されるように、ナトリウム貯蔵容器600は、生成されたナトリウムが、放電モード中にスタックアセンブリ110のストリング116内に流れて戻ることができるように、ナトリウム分配器112を介してスタックアセンブリ110に戻るように接続される。ナトリウム貯蔵容器600からの生成されたナトリウムは、それによって、スタックアセンブリ110内にループバックし、ナトリウムからの、貯蔵されたエネルギーの放出を提供することができる。
【0095】
ナトリウム分配器112及びナトリウムアグリゲータ114が図17に示されているが、これらの構成要素のうちの一方又は両方をナトリウムマニホールド1600に交換することができることが企図される。いくつかの実施形態では、分配器112は、図1図2及び図13図15に示されるアグリゲータ114の逆バージョンとして実装することができる。追加的に、ナトリウム分配器112又はアグリゲータ114を、図17に示される構成から省略して、充電モードでのみ動作するシステム100のバージョン(すなわち、分配器112を省略することによって)、又は放電モードでのみ動作するシステム(すなわち、アグリゲータ114を省略することによって)を提供することができる。充電又は放電に特化したシステムの例を、図19を参照してより詳細に説明する。これら及び他の修正は、図17に示される実施形態だけでなく、本明細書に説明される他の実施形態のいずれについても行うことができる。
【0096】
動作時に、分配器112は、ナトリウム貯蔵容器600に貯蔵されているナトリウムを、別個のストリング116に提供されるナトリウムの別個のストリームに分解する(例えば、分配する、分けるなど)ように構成される。各ストリング116で電圧ステップを可能にするために、分配器112は、別個のストリング116に提供されるナトリウムの別個のストリーム間に電気的隔離を提供する。他の実施形態と同様に、分配器112は、溶融ナトリウム金属の液滴が、分配器112内の電気絶縁性流体(例えば、不活性ガス)を通って、分配器112の下部分に沿って位置し、複数のストリング116まで延びる別個の管材に接続されている複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下するように、分配器112の上部部分から溶融ナトリウム金属の液滴を放出するように構成されているナトリウム分配ドリップフィーダであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、分配器112は、例えば、ナトリウム貯蔵容器600にナトリウムがないことがある初期プライミング段階中に、外部ソース404から追加的又は代替的にナトリウムを受容するように構成される。図17に示されるように、バルブ1702は、ナトリウムの流路に沿って配置され、分配器112が、ナトリウムを外部ソース404から受容するか、それともナトリウム貯蔵容器600から受容するかを選択するように動作可能である。いくつかの実施形態では、バルブ1702はまた、外部ソース404もナトリウム貯蔵容器600もナトリウム分配器112に流体的に接続されていないオフ位置を有し得る。バルブ1702はまた、ナトリウム分配器112、ナトリウム貯蔵容器600、及び/又は外部ソース404を互いに電気絶縁して、システム100内に電気シャントブレイク(すなわち、不要な電流の遮断)を更に提供することが可能であり得ることが企図される。
【0098】
ここで図18を参照すると、いくつかの例による、フロー電池モードを提供するシステム100の別の実装形態の例示が示されている。図18の例では、ナトリウムマニホールド1600が示され、ストリング116によって生成されたナトリウムの集約(ナトリウム貯蔵容器600内への供給のため)と、ナトリウム貯蔵容器600又は外部ソース404からのナトリウムの分配又は分解と、の両方を提供することができる。上で説明されるように、マニホールド1600は、マニホールド1600を通るナトリウムの流れの方向に応じて、図9図12に示されるような分配器112及び/又は図13図15に示されるようなアグリゲータ114の機能を実行することができる。したがって、マニホールド1600は、ストリング116間に二方向のシャントブレイクを提供することができる汎用構成要素である。
【0099】
図18の例では、ストリング116は、まず、マニホールド1600によって、外部ナトリウム源404から様々なストリング116内にナトリウムを分配することによってプライミングされ得る。ストリング116はまた、ナトリウムがいくらかナトリウム貯蔵容器600に収容されている場合、ナトリウム貯蔵容器600に貯蔵されたナトリウムからプライミングされ得ることが企図される。しかしながら、場合によっては、ナトリウム貯蔵容器600は、最初は空であり得、ナトリウムがストリング116によって生成された後にのみ、ナトリウムを収容する。ストリング116をプライミングした後、システム100は、ナトリウムがストリング116内で生成され、マニホールド1600に流れる充電モード又はナトリウム生成モードで動作することができる。マニホールド1600は、別個のストリング116内のナトリウム間の電気的隔離を維持しながら、ナトリウム貯蔵容器600に貯蔵するために、別個のストリング116からナトリウムを集約する。それにより、生成されたナトリウムは、ナトリウム貯蔵容器600に貯蔵される。生成されたナトリウムはまた、外部ナトリウム源404に貯蔵され得ることが企図されるが、いくつかの実施形態では、外部ナトリウム源404は、プライミングナトリウムを供給するためにのみ使用され、ストリング116がプライミングされた後には使用されない。
【0100】
システム100はまた、放電モードで動作することができ、ナトリウム貯蔵容器からのナトリウムは、マニホールド1600を通って複数のストリング116に流れて戻る(例えば、滴下する)。マニホールド1600は、ストリング116間の電気的隔離を維持しながら(例えば、本明細書の他の箇所で説明されるように、ナトリウムを、空隙を通して滴下することによって)、ストリング116に実質的に均等にナトリウムを分配することができる。それにより、ナトリウムは、ストリング116に到達し、そこでスタックアセンブリ110からの出力として提供される電気を生成するストリング116内の電気化学反応で消費される。放電モードで動作している間にストリング116にナトリウムがなくなると、ストリング116内でより多くのスペースが利用可能になり得る。ナトリウムマニホールド116、ナトリウム貯蔵容器600、及び/又は外部ナトリウム源404は、重力が、ストリング内へのナトリウムの下向きの流れを引き起こし、ストリング116にナトリウムを送達するために動力ポンプが必要とされないように、ストリング116の上に物理的に位置付けられ得る。図18の例では、各ストリング116は、動作モードに応じて、ナトリウムが、内部を通ってストリング116への出入りの両方をする1つの開放ナトリウムポートを含む。他の実施形態で使用される他のナトリウムポートは、この構成では必要とされないため、封止又は閉鎖することができる。
【0101】
地理的に分散した充電及び放電
ここで図19を参照すると、いくつかの実施形態による、システム100の、地理的に分散した実装形態を描画する図が示されている。いくつかの実施形態では、システム100の構成要素は、あるサイトで充電し、別のサイトで放電することを可能にするために、複数の位置又は物理的サイトにわたって分散され得る。上で考察されたように、システム100は、(ナトリウム原子の価電子の形態で)電気を貯蔵するために充電モードで、及び(当該価電子の放出を可能にする反応によって)電気を生成するために放電モードで使用することができる。図19の実装形態は、生成されたナトリウム原子の第1の位置(充電サイト1900として示される)から第2の位置(放電サイト1902に示される)への輸送、それによってまた、貯蔵された電気(すなわち、生成されたナトリウムに化学エネルギーとして貯蔵された電気)を第1の位置から第2の位置に輸送することを例示する。第2の位置では、システム100の一部分は、電気を出力するために、貯蔵されたエネルギーをナトリウム原子から得るために使用され得る。そうすることによって、電気は、第1の位置から第2の位置に移送される。
【0102】
例示的な一シナリオとして、充電サイト1900は、グリーンな、再生可能な、非汚染性の、非炭素排出の、及び/又は低コスト若しくは無料のエネルギーに対する高い利用可能性を有する地理的領域(例えば、高い地熱活動を有する地域、高い日射照度を有する地域、強風を有する地域、既存のエネルギー生産設備を有する地域)に位置することができる一方、放電サイト1902は、そのようなエネルギー利用可能性のない地理的領域(例えば、化石燃料ベースのエネルギー生産へのアクセスのみを有する地域、エネルギーグリッドから切断された地域など)に位置することができる。そのようなシナリオでは、充電サイト1900から放電サイト1902へのナトリウムの輸送は、放電サイト1902が、充電サイト1900で利用可能なグリーンな、再生可能な、非汚染性の、非炭素排出の、及び/又は低コスト若しくは無料のエネルギーから恩恵を受けることを可能にすることによって、汚染(例えば、炭素排出量の低減、温室効果ガスの低減など)及びコスト削減を低減することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、充電サイト1900及び放電サイト1902は、同じ物理的サイトであり得る。このシナリオでは、生成されたナトリウムは、貯蔵のためにサイト外に(又はサイト内の貯蔵位置又は建物に)輸送され、次いで、後の時間又は日に、サイトに戻すことができる。例えば、ナトリウムは、季節ベースで電気を生成するために、生成/貯蔵、輸送、及び使用することができる(例えば、太陽光の利用可能性が高い乾季中に充電して、太陽光の利用可能性が低い雨季中に放電する、需要の少ない季節中に充電して、需要の高い季節中に放電するなど)。
【0104】
図19に示されるように、充電サイト1900は、電源1904からエネルギーを受け取る。電源は、スタックアセンブリ110の第1のインスタンス(スタックアセンブリ110aとして示される)に接続されて、スタックアセンブリ110aにわたって電圧を提供するために使用される。電源からのエネルギーは、電源1904からの余分な電子がナトリウム原子内に貯蔵されるように、カソライトからナトリウムイオンを引き出し、価電子を追加してナトリウム原子を生成する反応を駆動するために使用される(例えば、図21に示されるように)。次に、ナトリウムは、例えば、スタックアセンブリ110のナトリウム生成モードを参照して図6に例示されるように、スタックアセンブリ110aを出てアグリゲータ114に流れる。アグリゲータ114は、上記で詳細に説明されたように、ストリング116間の電流の流れを防止しながらナトリウム貯蔵容器600内にナトリウムを集約する。他の実施形態と同様に、アグリゲータ114は、マニホールド1600で置き換えられ得る。
【0105】
図19の例では、ナトリウム貯蔵容器600は、輸送車両1906上に位置付けられている(例えば、輸送車両1906と一体化されている、その上に積載可能である、など)。輸送車両1906は、トラック(又は道路を走行する他の車両)、列車、船舶、飛行機などであり得る。輸送車両1906は、ナトリウム貯蔵容器600内にナトリウムを携行しながら、充電サイト1900から放電サイト1902に移動するように構成される。他の実施形態では、輸送車両1906は、中を通ってナトリウム600が流れることができる、充電サイト1900を放電サイト1902に接続するパイプラインと置き換えられる。輸送車両1906及び/又はナトリウム貯蔵容器600は、輸送車両1906の衝突(crash)、衝突(collision)などの事態を含む、輸送中のナトリウムの漏出、溢出などを防止するように堅牢に設計され得る。ナトリウム貯蔵容器600は、好ましくは、ナトリウムの長期安定性を確実にする材料から作製される。
【0106】
輸送車両1906が放電サイト1902に到達すると、ナトリウム貯蔵容器600は、スタックアセンブリの第2のインスタンス(スタックアセンブリ110bとして示される)にサービスする分配器112に接続される。分配器112は、ナトリウムを通じたストリング間の電流の流れを防止しながらナトリウム貯蔵容器600からスタックアセンブリ110bの異なるストリングにナトリウムを分配する。他の実施形態と同様に、分配器112は、マニホールド1600に置き換えることができる。スタックアセンブリ110bは、放電モードで動作し、その結果、ナトリウム原子は、価電子を放棄し、Naイオンが、カソライトに流入する。放出された価電子は、電気負荷1908に供給される電気として、スタックアセンブリから流出する。電気負荷1908は、様々な実施形態では、エネルギーグリッド、建物電気システム、プラント、装置の特定のユニット又はセット(例えば、製造装置)などであり得る。
【0107】
図19は、カソライト(ここではNaイオンで濃縮されている)を輸送車両1906(又は異なる輸送車両)上に、例えばカソライトタンク400内に提供して戻すことができることを更に例示する。次いで、輸送車両1906は、カソライトを充電サイト1900に輸送し、そこでカソライトは、充電サイト1900のスタックアセンブリ110aに提供される。いくつかの実施形態では、カソライトはまた、充電サイト1900から放電サイト1902に輸送される。この配置は、ナトリウム(原子及びイオン)は、廃棄物(例えば、副生成物など)が全く又はほとんど生じないように、充電サイト1900及び放電サイト1902の両方を通ってループすることを可能にする。それにより、ナトリウムベースのエネルギー輸送を、図19の地理的に分散されたシステムを使用して提供することができる。
【0108】
例示的な実施形態の構成
数値範囲に関して本明細書で使用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」という用語、及び同様の用語は、一般に、開示された値の±10%を意味する。「およそ」、「約」、「実質的に」という用語、及び同様の用語が構造的特徴に適用される場合(例えば、その形状、サイズ、配向、方向などを説明するために)、これらの用語は、例えば、製造又は組み立てプロセスに起因し得る構造のわずかな変化を包含するように意図されており、本開示の主題が関連する当業者によって一般的なかつ受け入れられている使用法と調和した広い意味を有することを意図している。したがって、これらの用語は、説明及び特許請求される主題の実質的でない又は重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲内であるとみなされることを示すものと解釈されるべきである。
【0109】
図面及び説明は、方法ステップの特定の順序を例示し得るが、そのようなステップの順序は、上記で別途指定がない限り、描画され、説明されるものとは異なり得る。また、上記で別途指定がない限り、2つ以上のステップが同時に、又は部分的に同時に実行され得る。そのような変形は、例えば、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムに、及び設計者の選択に依存し得る。全てのそのような変形は、本開示の範囲内である。同様に、説明された方法のソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを達成するために、ルールベースのロジック及び他のロジックを有する標準的なプログラミング技術で達成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバであって、前記溶融金属リザーバの各々が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記対応する二次セルに対して溶融金属を交換するように構成されている、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと
を備える、溶融金属電池システム。
【請求項2】
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、請求項1に記載の溶融金属電池システム。
【請求項3】
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと前記複数の二次セルとの間を受動的に流れる、請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項4】
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項5】
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、請求項4に記載の溶融金属電池システム。
【請求項6】
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、請求項4記載の溶融金属電池システム。
【請求項7】
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項6に記載の溶融金属電池システム。
【請求項8】
前記複数の二次セルが、電気を消費して前記複数の溶融金属アノード内で前記溶融金属を生成する充電モードで、及び
前記複数の二次セルが、前記複数の溶融金属アノード内の前記溶融金属を消費して電気を生成する放電モードで、
前記複数の二次セルがフロー電池として動作するように構成されている、請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項9】
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項10】
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と
を含む、充電モードで動作するように構成されている、請求項9に記載の溶融金属電池システム。
【請求項11】
前記複数の二次セルが、
前記金属イオンを形成し電子を放出するために、前記アノードコンパートメント内で前記溶融金属を酸化する工程と、
前記金属イオンを前記アノードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記カソードコンパートメントに輸送する工程と
を含む、放電モードで動作するように構成されている、請求項9に記載の溶融金属電池システム。
【請求項12】
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項13】
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
請求項1記載の溶融金属電池システム。
【請求項14】
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
請求項13に記載の溶融金属電池システム。
【請求項15】
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
請求項13記載の溶融金属電池システム。
【請求項16】
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
溶融金属を貯蔵するように構成された溶融金属貯蔵容器と、
前記複数の二次セルと前記溶融金属貯蔵容器との間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記複数の溶融金属アノードから前記金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属アグリゲータと
を備える、溶融金属電池システム。
【請求項17】
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、請求項16に記載の溶融金属電池システム。
【請求項18】
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の二次セル、前記溶融金属アグリゲータ、及び前記溶融金属貯蔵容器の間を受動的に流れる、請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項19】
前記溶融金属アグリゲータが、
複数の溶融金属入口であって、前記複数の溶融金属入口のうちの各溶融金属入口が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記対応する二次セルから前記溶融金属を受容するように構成されている、複数の溶融金属入口と、
前記複数の溶融金属入口の各々から前記溶融金属を受容しかつ前記溶融金属を単一のプール内に組み合わせるように構成されている、溶融金属収集チャンバと、
前記溶融金属貯蔵容器に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属収集チャンバから前記溶融金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属出口と
を備える、請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項20】
前記溶融金属アグリゲータが、
前記複数の溶融金属入口に結合されており、かつ、前記溶融金属アグリゲータの構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項19に記載の溶融金属電池システム。
【請求項21】
前記溶融金属アグリゲータが、
溶融金属集約ドリップフィーダであって、
前記溶融金属アグリゲータの上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属アグリゲータの下部分に沿って位置する溶融金属収集チャンバ内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属集約ドリップフィーダ
を備える、請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項22】
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項23】
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって、前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と、
前記溶融金属を前記溶融金属貯蔵容器に排出する工程と
によって、溶融金属生成システムとして動作するように構成されている、請求項22に記載の溶融金属電池システム。
【請求項24】
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項25】
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
請求項16記載の溶融金属電池システム。
【請求項26】
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
請求項25に記載の溶融金属電池システム。
【請求項27】
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
請求項25記載の溶融金属電池システム。
【請求項28】
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、請求項16に記載の溶融金属電池システム。
【請求項29】
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、請求項28に記載の溶融金属電池システム。
【請求項30】
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部溶融金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、請求項28記載の溶融金属電池システム。
【請求項31】
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、請求項30に記載の溶融金属電池システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
いくつかの実施形態では、溶融金属分配器は、
複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、溶融金属分配器の構造を介して複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を含む。
[本発明1001]
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバであって、前記溶融金属リザーバの各々が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記対応する二次セルに対して溶融金属を交換するように構成されている、複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと
を備える、溶融金属電池システム。
[本発明1002]
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、本発明1001の溶融金属電池システム。
[本発明1003]
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の電気的に隔離された溶融金属リザーバと前記複数の二次セルとの間を受動的に流れる、本発明1001又は1002の溶融金属電池システム。
[本発明1004]
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、本発明1001~1003のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1005]
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、本発明1004の溶融金属電池システム。
[本発明1006]
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、本発明1004又は1005の溶融金属電池システム。
[本発明1007]
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、本発明1006の溶融金属電池システム。
[本発明1008]
前記複数の二次セルが、電気を消費して前記複数の溶融金属アノード内で前記溶融金属を生成する充電モードで、及び
前記複数の二次セルが、前記複数の溶融金属アノード内の前記溶融金属を消費して電気を生成する放電モードで、
前記複数の二次セルがフロー電池として動作するように構成されている、本発明1001~1007のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1009]
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、本発明1001~1008のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1010]
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と
を含む、充電モードで動作するように構成されている、本発明1009の溶融金属電池システム。
[本発明1011]
前記複数の二次セルが、
前記金属イオンを形成し電子を放出するために、前記アノードコンパートメント内で前記溶融金属を酸化する工程と、
前記金属イオンを前記アノードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記カソードコンパートメントに輸送する工程と
を含む、放電モードで動作するように構成されている、本発明1009の溶融金属電池システム。
[本発明1012]
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、本発明1001~1011のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1013]
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
本発明1001~1012のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1014]
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
本発明1013の溶融金属電池システム。
[本発明1015]
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
本発明1013又は1014の溶融金属電池システム。
[本発明1016]
溶融金属電池システムであって、
互いに直列に電気的に接続されており、かつ、互いに流体的に並列に配置された複数の溶融金属アノードを備える、複数の二次セルと、
溶融金属を貯蔵するように構成された溶融金属貯蔵容器と、
前記複数の二次セルと前記溶融金属貯蔵容器との間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止しながら前記複数の溶融金属アノードから前記金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属アグリゲータと
を備える、溶融金属電池システム。
[本発明1017]
前記溶融金属が、溶融ナトリウム金属を含む、本発明1016の溶融金属電池システム。
[本発明1018]
前記溶融金属が、前記溶融金属の流れを駆動するための電動構成要素を必要とせずに、前記複数の二次セル、前記溶融金属アグリゲータ、及び前記溶融金属貯蔵容器の間を受動的に流れる、本発明1016又は1017の溶融金属電池システム。
[本発明1019]
前記溶融金属アグリゲータが、
複数の溶融金属入口であって、前記複数の溶融金属入口のうちの各溶融金属入口が、前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに流体的に接続されており、かつ、前記対応する二次セルから前記溶融金属を受容するように構成されている、複数の溶融金属入口と、
前記複数の溶融金属入口の各々から前記溶融金属を受容しかつ前記溶融金属を単一のプール内に組み合わせるように構成されている、溶融金属収集チャンバと、
前記溶融金属貯蔵容器に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属収集チャンバから前記溶融金属貯蔵容器に前記溶融金属を送達するように構成されている、溶融金属出口と
を備える、本発明1016~1018のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1020]
前記溶融金属アグリゲータが、
前記複数の溶融金属入口に結合されており、かつ、前記溶融金属アグリゲータの構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、本発明1016~1019のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1021]
前記溶融金属アグリゲータが、
溶融金属集約ドリップフィーダであって、
前記溶融金属アグリゲータの上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属アグリゲータの下部分に沿って位置する溶融金属収集チャンバ内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属集約ドリップフィーダ
を備える、本発明1016~1020のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1022]
前記複数の二次セルの各々が、
カソライト流体を収容するカソードコンパートメントと、
前記複数の溶融金属アノードのうちのある溶融金属アノードを収容するアノードコンパートメントと、
前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間に位置付けられており、かつ、前記カソードコンパートメントと前記アノードコンパートメントとの間で金属イオンを選択的に輸送するように構成されている、イオン選択膜と
を備える、本発明1016~1021のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1023]
前記複数の二次セルが、
前記カソードコンパートメントから、前記イオン選択膜を通して、前記アノードコンパートメントに前記金属イオンを輸送する工程と、
前記溶融金属を生成するために、前記金属イオンを電子と組み合わせることによって、前記アノードコンパートメント内で前記金属イオンを還元する工程と、
前記溶融金属を前記溶融金属貯蔵容器に排出する工程と
によって、溶融金属生成システムとして動作するように構成されている、本発明1022の溶融金属電池システム。
[本発明1024]
前記複数の二次セルのうちの隣接する二次セル間に位置し、かつ、前記隣接する二次セルを互いに電気的に隔離するように構成されている、隔離プレート
を備える、本発明1016~1023のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1025]
互いに直列に電気的に接続されている複数の電池ストリングを備え、
前記複数の電池ストリングのうちの各電池ストリングが、
前記複数の二次セルのうちの1つ、1つ以上の追加の溶融金属アノードを備える1つ以上の追加の二次セル、を含む、複数の単位セル
を備える、
本発明1016~1024のいずれかの溶融金属電池システム。
[本発明1026]
各ストリング内の前記複数の単位セルが、互いに並列に電気的に接続され、
各ストリング内の前記溶融金属アノードが、実質的に等しい電位に維持される、
本発明1025の溶融金属電池システム。
[本発明1027]
前記複数のストリングのうちの各ストリングが、交互の順序で配置された複数のカソード及び複数の溶融金属アノードを備え、
前記複数のカソード又は前記複数の溶融金属アノードのうちの少なくとも1つが、前記複数の単位セルのうちの隣接する単位セルによって共有される、
本発明1025又は1026の溶融金属電池システム。
[本発明1028]
外部溶融金属源と前記複数の二次セルとの間に直列に流体的に接続されており、かつ、前記溶融金属を介して前記複数の二次セル間を前記電気シャント電流が流れることを防止しながら前記外部溶融金属源から前記複数の溶融金属アノードに前記溶融金属を分配するように構成されている、溶融金属分配器
を更に備える、本発明1016の溶融金属電池システム。
[本発明1029]
前記溶融金属分配器が、
溶融金属分配ドリップフィーダであって、
前記溶融金属分配器の上部部分から前記溶融金属の液滴を放出することと、
前記溶融金属の前記液滴が、前記溶融金属分配器内の電気絶縁性流体を通って、前記溶融金属分配器の下部分に沿って位置する複数の電気的に隔離されたコンパートメント内に落下することを可能にすることと
を行うように構成されている、溶融金属分配ドリップフィーダ
を備える、本発明1028の溶融金属電池システム。
[本発明1030]
前記溶融金属分配器が、
前記外部金属源に流体的に接続されており、かつ、前記外部溶融金属源から前記溶融金属分配器内に前記溶融金属を受容するように構成されている、溶融金属入口と、
互いに電気的に隔離されている複数のコンパートメントと、
複数の溶融金属出口であって、各々が、前記複数のコンパートメントのうちの対応するコンパートメントに流体的に接続されており、かつ、前記対応するコンパートメントから前記複数の二次セルのうちの対応する二次セルに前記溶融金属を送達するように構成されている、複数の溶融金属出口と
を備える、本発明1028又は1029の溶融金属電池システム。
[本発明1031]
前記溶融金属分配器が、
前記複数の溶融金属出口に結合されており、かつ、前記溶融金属分配器の構造を介して前記複数の二次セル間を電気シャント電流が流れることを防止するように構成されている、複数の電気隔離継手
を備える、本発明1030の溶融金属電池システム。
【国際調査報告】