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特表2025-501022スクリュー容量制御用スパイラルバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-16
(54)【発明の名称】スクリュー容量制御用スパイラルバルブ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
F04C18/16 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514587
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2021042825
(87)【国際公開番号】W WO2023003559
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189747
【氏名又は名称】ヒタチグローバルエアパワー ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バットドルフ,ジョナサン ディー
(72)【発明者】
【氏名】藤元 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインカウフ, ドン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン, クリスチャン
(57)【要約】
スパイラルバルブと、圧縮機ハウジングおよびスパイラルバルブを有するスクリュー圧縮機と、が提供される。このスパイラルバルブは、電気モータと、電気モータに対して機械的に結合され、電気モータからトルクを伝達するギアボックスと、を有するアクチュエータモジュールと、ギアボックスに結合され、電気モータから伝達されたトルクに応答して回転するスパイラルバルブ本体と、を備える。スパイラルバルブ本体は、圧縮機ハウジングに形成されている複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を回転位置に基づいて開閉するように配置されている第1のシャッターと、圧縮機ハウジングに形成されている圧縮機入口搬送ダクトを回転位置に基づいて漸次的に開閉するように配置されている第2のシャッターと、第1および第2のシャッター間に形成されている間隙と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機ハウジングを有するスクリュー圧縮機用のスパイラルバルブであって、
前記圧縮機ハウジングの外部に隣り合って配設されているアクチュエータモジュールであり、
電気モータと、
前記電気モータに対して機械的に結合され、前記電気モータからトルクを伝達するギアボックスと、
を備える、アクチュエータモジュールと、
前記ギアボックスに結合され、前記電気モータから伝達された前記トルクに応答して回転するスパイラルバルブ本体であり、
前記圧縮機ハウジングに形成されている複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を回転位置に基づいて開閉するように配置されている第1のシャッターを規定する第1のシェルエリアと、
前記圧縮機ハウジングに形成されている圧縮機入口搬送ダクトを回転位置に基づいて漸次的に開閉するように配置されている第2のシャッターを規定する第2のシェルエリアと、
前記第1のシェルエリアと前記第2のシェルエリアとの間に形成されている間隙と、
を備える、スパイラルバルブ本体と
を備え、
前記スクリュー圧縮機の圧縮長が、前記複数のバイパスポートの開閉を制御することにより制御され得る、スパイラルバルブ。
【請求項2】
前記間隙に隣り合う前記第1のシェルエリアの縁部が、前記スパイラルバルブ本体の軸に対して角度付けられ、前記第1のシャッターにテーパ形状を付与している、請求項1に記載のスパイラルバルブ。
【請求項3】
前記間隙に隣り合う前記第2のシェルエリアの縁部が、前記スパイラルバルブ本体の軸に対して直交し、前記第2のシャッターに矩形状を付与している、請求項1に記載のスパイラルバルブ。
【請求項4】
前記スパイラルバルブ本体が、当該スパイラルバルブ本体の内部を通る流体連通を可能にする中空の部分的円筒状シェルを有する、請求項1に記載のスパイラルバルブ。
【請求項5】
前記第1のシャッターを規定する前記第1のシェルエリアが、前記第2のシャッターを規定する前記第2のシェルエリアとは独立に回転するように構成されている、請求項1に記載のスパイラルバルブ。
【請求項6】
スクリュー圧縮機であって、
圧縮チャンバを規定する圧縮機ハウジングと、
前記圧縮チャンバ内に配設されている雌型圧縮スクリューと、
前記圧縮チャンバ内に配設され、前記雌型圧縮スクリューと適合する雄型圧縮スクリューと、
前記圧縮機ハウジング中に形成され、前記圧縮機ハウジングを通る流体連通を提供する複数のバイパスポートと、
前記圧縮機ハウジング中に形成され、圧縮機入口との流体連通を可能にする圧縮機入口搬送ダクトと、
前記圧縮機ハウジングの外部に隣り合って配設されているアクチュエータモジュールであり、
電気モータと、
前記電気モータに対して機械的に結合され、前記電気モータからトルクを伝達するギアボックスと、
を備える、アクチュエータモジュールと、
前記ギアボックスに結合され、前記電気モータから伝達された前記トルクに応答して回転するスパイラルバルブ本体であり、
前記圧縮機ハウジングに形成されている前記複数のバイパスポートを回転位置に基づいて開閉するように配置されている第1のシャッターを規定する第1のシェルエリアと、
前記圧縮機ハウジングに形成されている前記圧縮機入口搬送ダクトを回転位置に基づいて漸次的に開閉するように配置されている第2のシャッターを規定する第2のシェルエリアと、
前記第1のシェルエリアと前記第2のシェルエリアとの間に形成されている間隙と、
を備える、スパイラルバルブ本体と、
を備えるスパイラルバルブと
を備え、
当該スクリュー圧縮機の圧縮長が、前記複数のバイパスポートの開閉を制御することにより制御され得る、スクリュー圧縮機。
【請求項7】
前記間隙に隣り合う前記第1のシェルエリアの縁部が、前記スパイラルバルブ本体の軸に対して角度付けられ、前記第1のシャッターにテーパ形状を付与している、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項8】
前記間隙に隣り合う前記第2のシェルエリアの縁部が、前記スパイラルバルブ本体の軸に対して直交し、前記第2のシャッターに矩形状を付与している、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項9】
前記スパイラルバルブ本体が、当該スパイラルバルブ本体の内部を通る流体連通を可能にする中空の部分的円筒状シェルを有する、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項10】
前記第1のシャッターを規定する前記第1のシェルエリアが、前記第2のシャッターを規定する前記第2のシェルエリアとは独立に回転するように構成されている、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパイラルバルブ、特に、電子制御用に構成されているスパイラルバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、スクリューガス圧縮機が知られていると考えられる。従来技術においては、スクリュー圧縮機が圧縮機ハウジングを含み、モータ(たとえば、永久磁石ロータ/ステータモータ)の使用によって、2つの圧縮スクリューの一方(たとえば、第1の圧縮スクリュー)を駆動し得る。2つの圧縮スクリューのうち、第2の圧縮スクリューは、モータにより駆動される圧縮スクリューに対して機械的に結合され得る。したがって、第2の圧縮スクリューは、第1の圧縮スクリューにより駆動され得る。従来技術においては、ガスが入口を通じて圧縮機に引き込まれ、2つの圧縮スクリューが回動するとそれらの間で圧縮され、ガス入口および圧縮スクリューの下流にある出口を通じて出力され得る。
【0003】
いくつかの従来技術においては、ガスがハウジングから出ることで圧縮スクリューの長さに沿った過加圧または過圧縮を制御または防止し得るように、1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口が圧縮機ハウジングまたはロータカウリングに形成される場合がある。従来技術において、1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口は、当該バイパスポートから脱離して当該バイパスポートのうちの1つまたは複数がバイパスチャンバと連通し得るようにする点まで回転するシャッターによって、当該バイパスポートまたはバルブ開口の開閉を制御するスパイラルバルブに隣り合って配置され得る。
【0004】
ただし、いくつかの従来技術において、スパイラルバルブ容量制御機構が備わるスクリュー空気圧縮機の断熱効率は、ロータハウジングおよびスパイラルバルブシャッター周辺から漏れ出すガスの量だけ低下する可能性がある。この効率低下は、システムの容量に寄与しない仕事損失圧縮ガスに起因し、スパイラルバルブシャッターの周りに漏れる高温ガスおよびオイルが入口に入って、入口ガスの予熱に寄与する。
【0005】
従来技術においては、シャッター漏れを抑えるため、多くの設計トレードオフが生じる可能性がある。これらのうちのいくつかでは、シャッターの重なりが増え、バルブサイズが大きくなり、ロータハウジングウィンドウ面積が小さくなり、スパイラルバルブとロータハウジングとの間の隙間が小さくなり、シャッターがより急激に開放する設計となる。これらはコストの増加または機能の低下のいずれかとなる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、圧縮機ハウジングを有するスクリュー圧縮機用のスパイラルバルブを含んでいてもよい。このスパイラルバルブは、圧縮機ハウジングの外部に隣り合って配設されているアクチュエータモジュールを備えていてもよい。アクチュエータモジュールは、電気モータと、電気モータに対して機械的に結合され、電気モータからトルクを伝達するギアボックスと、ギアボックスに結合され、電気モータから伝達されたトルクに応答して回転するスパイラルバルブ本体と、を備えていてもよい。スパイラルバルブ本体は、圧縮機ハウジングに形成されている複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を回転位置に基づいて開閉するように配置されている第1のシャッターを規定する第1のシェルエリアと、圧縮機ハウジングに形成されている圧縮機入口搬送ダクトを回転位置に基づいて漸次的に開閉するように配置されている第2のシャッターを規定する第2のシェルエリアと、第1のシェルエリアと第2のシェルエリアとの間に形成されている間隙と、を備えていてもよく、スクリュー圧縮機の圧縮長が、複数のバイパスポートの開閉を制御することにより制御され得る。
【0007】
本開示の他の態様は、圧縮チャンバを規定する圧縮機ハウジングと、圧縮チャンバ内に配設されている雌型圧縮スクリューと、圧縮チャンバ内に配設され、雌型圧縮スクリューと適合する雄型圧縮スクリューと、圧縮機ハウジング中に形成され、圧縮機ハウジングを通る流体連通を提供する複数のバイパスポートと、圧縮機ハウジング中に形成され、圧縮機入口との流体連通を可能にする圧縮機入口搬送ダクトと、スパイラルバルブと、を有するスクリュー圧縮機を含んでいてもよい。スパイラルバルブは、圧縮機ハウジングの外部に隣り合って配設されているアクチュエータモジュールと、ギアボックスに結合され、電気モータから伝達されたトルクに応答して回転するスパイラルバルブ本体と、を備えていてもよい。アクチュエータモジュールは、電気モータと、電気モータに対して機械的に結合され、電気モータからトルクを伝達するギアボックスと、を備えていてもよい。スパイラルバルブ本体は、圧縮機ハウジングに形成されている複数のバイパスポートを回転位置に基づいて開閉するように配置されている第1のシャッターを規定する第1のシェルエリアと、圧縮機ハウジングに形成されている圧縮機入口搬送ダクトを回転位置に基づいて漸次的に開閉するように配置されている第2のシャッターを規定する第2のシェルエリアと、第1のシェルエリアと第2のシェルエリアとの間に形成されている間隙と、を備えていてもよく、スクリュー圧縮機の圧縮長が、複数のバイパスポートの開閉を制御することにより制御され得る。
【0008】
本開示の付加的な態様では、間隙に隣り合う第1のシェルエリアの縁部が、スパイラルバルブ本体の軸に対して角度付けられ、第1のシャッターにテーパ形状を付与していてもよい。
【0009】
本開示の付加的な態様では、間隙に隣り合う第2のシェルエリアの縁部が、スパイラルバルブ本体の軸に対して直交し、第2のシャッターに矩形状を付与していてもよい。
【0010】
本開示の付加的な態様では、スパイラルバルブ本体が、当該スパイラルバルブ本体の内部を通る流体連通を可能にする中空の部分的円筒状シェルを有していてもよい。
【0011】
本開示の付加的な態様では、第1のシャッターを規定する第1のシェルエリアが、第2のシャッターを規定する第2のシェルエリアとは独立に回転するように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、図面を参照して、本開示のさまざまな特徴を実現する一般的な構成を説明する。図面および関連する記述は、本開示の例示的な実施態様を説明するために与えるものであって、本開示の範囲を限定するものではない。図面の全体を通して、参照要素間の対応関係を示すため、参照番号を再利用する。
図1】本開示の例示的な実施態様に係る、スパイラルバルブ構造を有するスクリュー圧縮機の斜視図である。
図2図2Aは、図1のスパイラルバルブ構造を有するスクリュー圧縮機の部分端面図である。図2Bは、図2Aの線IIb-IIb’に沿う断面図である。
図3】シャッターバルブが一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ構造の断面図である。
図4】シャッターバルブが一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ構造の断面図である。
図5】シャッターバルブが一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ構造の断面図である。
図6】シャッターバルブが一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ構造の断面図である。
図7】シャッターバルブが一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、本開示の図面および例示的な実施態様のさらに詳細を提供する。明瞭化のため、図面間で重複する要素の参照番号および説明については省略する。本明細書の全体を通して使用する用語は、例として提供するものであり、何ら限定を意図するものではない。たとえば、用語「自動(automatic)」の使用には、本開示の実施態様を実施する当業者の所望の実施態様に応じて、完全自動の実施態様または実施態様の特定の態様に対するユーザまたはオペレータの制御を伴う半自動の実施態様を含み得る。さらに、「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の一連の用語は、単に表示を目的として明細書および特許請求の範囲で使用することができ、記載された順序で発生する記載された動作または項目に言及ことに限定されないものとする。動作または項目は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序に並べることも可能であるし、並列または動的に実行することも可能である。
【0014】
上述の通り、従来技術のスクリュー圧縮機は、1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口であって、当該バイパスポートから脱離して当該バイパスポートのうちの1つまたは複数がバイパスチャンバと連通し得るようにする点まで回転するシャッターを使用することによって、当該バイパスポートまたはバルブ開口の開閉を制御するスパイラルバルブに隣り合って配置されている、1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口を備える場合がある。ただし、これらの従来技術のシステムにおいては、システムの容量に寄与しない仕事損失圧縮ガスと、スパイラルバルブシャッターの周りに漏れ、入口に入って入口ガスの予熱に寄与する高温ガスおよびオイルと、に起因して、ロータハウジングおよびスパイラルバルブシャッター周辺から漏れ出すガスの量だけ断熱効率が低下し得る。
【0015】
これらの問題に対処するため、本開示の例示的な実施態様では、第2のシャッターをスパイラルバルブに追加するようにしてもよい。第2のシャッターは、通常は入口へと直進するガスをバイパスチャンバにトラップする。第2のシャッターは、より効果的な封止のための形状を使用可能なエリアに設けられていてもよい。本開示の例示的な実施態様において、第2のシャッターは、ロータの角度付き形状により制限されないエリアに設けられていてもよい。
【0016】
例示的な実施態様において、このトラップ機能によれば、従来技術の設計トレードオフを最小限に抑えることが可能となり得る。さらに例示的な実施態様においては、第2のシャッターを組み込むため、スパイラルバルブの長さを大きくすることが必要となり得る一方、バルブの直径、シャッターの重なり、シャッターの開口率については大きくする必要がない。これにより、スパイラルバルブの外径とロータハウジングのスパイラルバルブボアとの間の隙間を小さくする必要が薄れる可能性がある。例示的な実施態様においては、この構成により、ウィンドウ面積を新たに小さくする必要も薄れる可能性がある。
【0017】
図1は、本開示の例示的な実施態様に係る、スパイラルバルブ構造を有するスクリュー圧縮機100の斜視図である。図示のように、スクリュー圧縮機100は、圧縮機内側構造を囲み、圧縮チャンバ3(図1には示さず、図2Bに示す)を構成する圧縮機ハウジング10を具備する。ハウジング10は、スクリュー圧縮機100を支持するとともにフロア等の支持プラットフォームへのスクリュー圧縮機100の固定を可能にする1つまたは複数の取り付けブラケットまたは足部2を具備していてもよい。たとえば、足部2は、可搬式支持プラットフォームまたはトレーラへのスクリュー圧縮機100の取り付けを可能にし得る。また、ハウジング10は、主ガス流吸気口または圧縮機入口26と、主ガス流排気口28と、を規定する。矢印は、スクリュー圧縮機100を通るガス流を示すためのものである。また、圧縮機ハウジング10は、(図2Bに示す)圧縮機内側構造から圧縮機100を囲むエリアまでの駆動軸15の通過を可能にし得る。
【0018】
駆動軸15は、モータまたはエンジンに対する機械的結合によってスクリュー圧縮機100を駆動するのに用いられるようになっていてもよい。スクリュー圧縮機100は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等のICエンジン、または当業者には明らかと考えられるその他任意の種類のエンジンにより駆動されるようになっていてもよい。また、スクリュー圧縮機100は、電気モータまたは当業者には明らかと考えられる回転動力を供給する任意の種類の機械により駆動されるようになっていてもよい。
【0019】
さらに、圧縮機ハウジング10の外部にはアクチュエータモジュール5が配設されるとともに取り付けられ、圧縮機ハウジング10内に配置されている(図2Bおよび図3図7に示す)スパイラルバルブ300を制御するようにしてもよい。後述の通り、アクチュエータモジュール5は、スパイラルバルブに結合されているギアボックスに結合された電気モータを具備していてもよく、スパイラルバルブは、電気モータにより生成され、ギアボックスにより伝達されたトルクに応答して回転する。また、アクチュエータモジュール5は、自動、ユーザ入力に部分的に基づく半自動、またはユーザ入力に完全に基づく手動にて当該アクチュエータモジュール5を制御するオンボード制御ロジックを含み得る統合プロセッサコンポーネントを具備していてもよい。
【0020】
図2Aは、図1のスパイラルバルブ構造を有するスクリュー圧縮機100の部分端面図である。図2Bは、図2Aの線IIb-IIb’に沿う断面図である。圧縮機ハウジング10は、ユニットが組み立てられて機能する際に、ツインスクリューガス圧縮機100のスクリュー7および9がそれぞれ配設される2つの隣接ボア6および8を規定する圧縮チャンバ3を構成する。一方のスクリュー9(駆動スクリューとしても知られる)がシャフト15に対して機械的に結合されている。また、シャフト15には、スクリューガス圧縮機を駆動するモータまたはエンジンが結合されている。他方のスクリュー7(被駆動スクリューとしても知られる)は、駆動スクリュー9により駆動される。両スクリュー7、9はそれぞれ、ころ軸受等の軸受群(本明細書においては図示せず)または当業者には明らかと考えられるその他任意の種類の軸受もしくはブッシュにより支持されていてもよい。
【0021】
さらに、いくつかの例示的な実施態様においては、スクリューの一方が雌型ローブ構成を有し、スクリューの他方が雄型ローブ構成を有していてもよい。言い換えると、スクリューの一方が雌型圧縮スクリューであってもよく、他方のスクリューが雌型圧縮スクリューと適合する雄型圧縮スクリューであってもよい。たとえば、駆動スクリュー9が雄型圧縮スクリューであってもよく、被駆動スクリュー7が雌型圧縮スクリューであってもよい。当業者には明らかと考えられるように、本開示の例示的な実施態様はこの構成に限定されず、いくつかの例示的な実施態様が代替構成を有していてもよい(たとえば、駆動スクリュー9が雌型圧縮スクリューであってもよく、被駆動スクリュー7が雄型圧縮スクリューであってもよい)。
【0022】
また、各ボア6および8は、軸24に沿って回転可能なスパイラルバルブ本体20を含むバイパスチャンバ22と流体連通する1つまたは複数のバイパスポート12を備える。バイパスポート12と関連付けられている各ボア6、8の長さをバイパスウィンドウ245と称する場合もある。バイパスチャンバ22は、圧縮機入口搬送ダクト200を介して、圧縮機入口戻りチャンバ205と連通していてもよい。バイパスチャンバ22に入った空気は、圧縮機入口戻りチャンバ205を通じて、圧縮機入口26まで選択的に戻されるようになっていてもよい。
【0023】
以下の図3図7に示すように、スパイラルバルブ本体20は、当該スパイラルバルブ本体20の回転位置に応じてバイパスポート12のブロック(閉鎖)または開放を選択的に行う第1のシャッター335を具備する。バイパスポート12のうちの1つまたは複数がバイパスチャンバ22と流体連通し得るようになる点までスパイラルバルブ本体20が回動すると、圧縮チャンバ3の長さが小さくなるため、圧縮チャンバの有効圧縮容積が小さくなり得る。また、スパイラルバルブ本体20は、圧縮機入口搬送ダクト200の漸次的なブロック(閉鎖)または開放によってバイパスチャンバ22からの空気の流出を可能にする第2のシャッター340を具備する。
【0024】
スパイラルバルブ本体20は、当該スパイラルバルブ本体20の第1のシャッター335の回転および位置を制御するアクチュエータモジュール5に結合されている。図示のように、アクチュエータモジュール5は、ギアボックス330に対して機械的に結合されているモータ325を具備する。ギアボックス330は、モータ325をスパイラルバルブ本体20に対して機械的に結合する。このため、モータからのトルクがギアボックス330によって、スパイラルバルブ本体20の第1のシャッター335に伝達され、これにより第1のシャッター335が回転し得る。モータ325は、スパイラルバルブの回転速度および回転位置の正確な制御を提供する電気アクチュエータモータまたはステッピングモータであってもよい。
【0025】
アクチュエータモジュール5は、圧縮機ハウジング10に取り付けられ、圧縮機ハウジング10内に配置されているスパイラルバルブ構造を制御するようになっていてもよい。また、アクチュエータモジュール5は、自動、ユーザ入力に部分的に基づく半自動、またはユーザ入力に完全に基づく手動にてモータ325のモジュールを制御するオンボード制御ロジックを含み得る統合プロセッサコンポーネントを具備していてもよい。
【0026】
スパイラルバルブ本体20は、その軸24に沿って、(バイパスポート12がすべて開放される)完全開放位置から(バイパスポートがすべて閉鎖される)完全閉鎖位置および両者間のすべての点まで回転(または、作動)し得る。
【0027】
いくつかの例示的な実施態様において、隣り合うバイパスポート12間の間隔または距離(たとえば、第1のバイパスポートと第1のバイパスポートに隣り合う第2のバイパスポートとの間の間隔)は、圧縮機ハウジング10の製造と関連付けられている製造公差に基づいて許可される最小間隔の20%以内(たとえば、製造公差の120%未満かつ製造公差の100%以上)であってもよい。たとえば、圧縮機ハウジング10が鋳造プロセスにより形成される場合、鋳造公差としては、溶融金属が鋳型において適正に流れるように、バイパスポートの最小間隔が少なくとも5mmであることが必要となり得る。鋳造公差が5mmの場合、隣り合うバイパスポート間の間隔は、6mm(5mmの鋳造公差+20%)未満かつ5mm(鋳造公差)以上であってもよい。また、異なる製造公差によって、異なるバイパスポート間隔パラメータが規定されていてもよい。
【0028】
いくつかの例示的な実施態様において、スクリュー圧縮機100の圧縮スクリュー7、9と関連付けられているバイパスウィンドウ245の第1のバイパスポート12の前縁は、圧縮スクリュー7、9の第1のローブの頂点(最大直径)またはその前方(入口側)に配置されていてもよい。さらに、いくつかの例示的な実施態様において、バイパスウィンドウ245の最後のバイパスポート12の後縁は、最も低い所望の圧縮容積が生成される位置に配置されている圧縮スクリュー7、9のローブの頂点(最大直径)の位置に配置されていてもよい。言い換えると、ローブとチャンバ出口端240との間の容積は、スクリュー圧縮機100のボア6の最も低い所望の圧縮容積と関連付けられていてもよい。このため、いくつかの例示的な実施態様において、最後のバイパスポート12は、ローブの頂点に隣り合って配置されていてもよい。
【0029】
図3図7は、スパイラルバルブ本体20が一連の回転位置へと回転したスパイラルバルブ300の断面図である。図示のように、バイパスチャンバ22は、大略円筒状のシェルを有し、圧縮チャンバ3に隣り合う位置から圧縮機入口戻りチャンバ205に隣り合う位置まで延びている。スパイラルバルブ本体20は、大略円筒状のバイパスチャンバ22に挿入されていてもよく、また、円筒状バイパスチャンバ22の内面345に密着して、当該スパイラルバルブ本体の内部を通る流体連通を可能にする中空の部分的円筒状シェルを有していてもよい。
【0030】
いくつかの例示的な実施態様において、スパイラルバルブ本体20の部分的円筒状シェルは、少なくとも2つのシェルエリア350a、350bまたはタブを構成していてもよく、各シェルエリアは、スパイラルバルブ本体5の第1のシャッター335および第2のシャッター340の一方として機能する。シェルエリア350b(第2のシャッター340)とシェルエリア350a(第1のシャッター335)との間には間隙355が形成され、第1のシャッター335および第2のシャッター340を分離していてもよい。いくつかの例示的な実施態様において、間隙355に隣り合うシェルエリア350b(第2のシャッター340)の縁部360は、第2のシャッター340が実質的に矩形状を有するように、スパイラルバルブ本体20の軸24と実質的に直交していてもよい。さらに、間隙355に隣り合うシェルエリア350a(第1のシャッター335)の縁部365は、スパイラルバルブ本体20の軸24に対して角度付けられ、第1のシャッターにテーパ形状を付与していてもよい。
【0031】
スパイラルバルブ本体20がギアボックス330によりアクチュエータモジュール5に対して機械的に結合されているため、アクチュエータモジュール5のモータ325は、スパイラルバルブ本体20を選択的に回転させ、第1のシャッター335を徐々に開放してバイパスポート12を順次露出させることによりバイパスウィンドウ245のサイズを漸次的に大きくするとともに、第2のシャッターを少しずつ開放して圧縮機入口搬送ダクト200を徐々に開放することができる。いくつかの例示的な実施態様においては、第1のシャッター335および第2のシャッター340が一体的に回転することにより、第1のシャッター335と第2のシャッター340との間の相対回転が防止されるようになっていてもよい。
【0032】
他の例示的な実施態様において、アクチュエータモジュール5は、第1のシャッター335および第2のシャッター340を互いに独立に回転させるようにしてもよい。たとえば、スパイラルバルブ本体20では、第1のシェルエリア350aが第2のシェルエリア350bに対して回転可能に構成されていてもよく、ギアボックス330は、モータ325からの入力回転に基づいて、第1のシェルエリア350aおよび第2のシェルエリア350bを異なる増分で回転させるように構成されていてもよい。あるいは、アクチュエータモジュールは、2つのモータ325を使用することにより、第1のシェルエリア350aおよび第2のシェルエリア350bを独立して回転させるようにしてもよい。
【0033】
図3においては、第1のシャッター335がバイパスポート12をすべて閉鎖し、第2のシャッター340が圧縮機入口搬送ダクト200を完全に覆う完全閉鎖位置のスパイラルバルブ本体20を示している。この構成において、バイパスチャンバ22は、圧縮チャンバ3とも連通しなければ、圧縮機入口戻りチャンバ205とも連通しない。バイパスポートがすべて閉鎖されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ3の全長により規定される。
【0034】
図4においては、第1のシャッター335が1つまたは2つのバイパスポート12のみを露出させて小さなバイパスウィンドウ245を形成する第1の段階の部分的開放位置のスパイラルバルブ本体20を示している。さらに、第2のシャッター340は、圧縮機入口搬送ダクト200を部分的に露出させる。この構成において、バイパスチャンバ22は、第1の1つまたは2つのバイパスポート12を通じて、圧縮チャンバ3のみと連通可能である。さらに、バイパスチャンバ22は、圧縮機入口搬送ダクト200の最外部を通じて、圧縮機入口戻りチャンバ205と連通可能である。
【0035】
少なくとも1つのバイパスポートが開放されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ出口端240に最も近い開放バイパスポートと圧縮チャンバ出口端240自体との間の距離により規定される。このため、図4の構成においては、圧縮チャンバ3の有効圧縮長が図3の構成から小さくなっている。
【0036】
図5においては、第1のシャッター335が3つ以上のバイパスポート12を露出させてより大きなバイパスウィンドウ245を形成する第2の段階の部分的開放位置のスパイラルバルブ本体20を示している。さらに、第2のシャッター340は、圧縮機入口搬送ダクト200をより多く露出させる。この構成において、バイパスチャンバ22は、少なくとも第1の3つのバイパスポート12を通じて、圧縮チャンバ3と連通可能である。さらに、バイパスチャンバ22は、圧縮機入口搬送ダクト200の略半分を通じて、圧縮機入口戻りチャンバ205と連通可能である。
【0037】
複数のバイパスポートが開放されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ出口端240に最も近い最後の開放バイパスポートと圧縮チャンバ出口端240自体との間の距離により規定される。このため、図5の構成においては、圧縮チャンバ3の有効圧縮長が図4の構成から小さくなっている。
【0038】
図6においては、第1のシャッター335が少なくとも4つのバイパスポート12を露出させてさらに大きなバイパスウィンドウ245を形成する第3の段階または略完全開放位置のスパイラルバルブ本体20を示している。さらに、第2のシャッター340は、圧縮機入口搬送ダクト200のほとんどをさらに露出させるものの、圧縮機入口搬送ダクト200の一部を依然としてブロックしている。この構成において、バイパスチャンバ22は、略すべてのバイパスポート12を通じて、圧縮チャンバ3と連通可能である。さらに、バイパスチャンバ22は、圧縮機入口搬送ダクト200のほとんどを通じて圧縮機入口戻りチャンバ205と連通可能であるものの、圧縮機入口搬送ダクト200の一部だけがわずかにブロックされている。
【0039】
バイパスポートの略すべてが開放されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ出口端240に最も近い最後の開放バイパスポートと圧縮チャンバ出口端240自体との間の距離により規定される。このため、図6の構成においては、圧縮チャンバ3の有効圧縮長が図5の構成から小さくなっている。
【0040】
図7においては、第1のシャッター335がバイパスポート12をすべて露出させて考え得る最も大きなバイパスウィンドウ245を形成する第4の段階または完全開放位置のスパイラルバルブ本体20を示している。さらに、第2のシャッター340は、圧縮機入口搬送ダクト200全体を露出させる。この構成において、バイパスチャンバ22は、すべてのバイパスポート12を通じて、圧縮チャンバ3と連通可能である。さらに、バイパスチャンバ22は、圧縮機入口搬送ダクト200全体を通じて、圧縮機入口戻りチャンバ205と連通可能である。
【0041】
バイパスポートがすべて開放されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ3における最後の開放バイパスポートと圧縮チャンバ出口端240自体との間の距離により規定される。このため、図7の構成においては、圧縮チャンバ3の有効圧縮長が圧縮チャンバ3の最小圧縮長まで小さくなっている。
【0042】
このように有効圧縮容積が小さくなると、トルクが低下し、動力が節約され、効率が高くなるとともに、スクリュー圧縮機100の構成部品の寿命が長くなる。
【0043】
本発明は、種々改良および代替形態の影響を受けやすいが、その特定の実施形態を一例として図面に示しており、本明細書において詳しく説明している。ただし、特定の実施形態に関する本明細書の説明は、本発明を開示の特定の形態に制限する意図ではないことが了解されるものとする。さらに、例示的な実施態様は、工業用の場所にも固定的な場所にも限定されない。車両、トレーラ等の可搬式構造にスクリュー圧縮機100を搭載することによって、可搬式構成が実現され得る。
【0044】
以上の詳細な説明では、略図、模式図、および例を使用して、機器および/またはプロセスの例示的な種々実施態様を示した。このような略図、模式図、および例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限り、さまざまな構造によって、このような略図または例における各機能および/または動作を個別的および/または集合的に実現することができる。特定の例示的な実施態様を説明したが、これらの実施態様は、一例として提示しているに過ぎず、保護の範囲を制限する意図ではない。実際、本明細書に記載の新規方法および装置は、多様な他の形態にて具現化されていてもよい。さらに、保護の思想から逸脱することなく、本明細書に記載の機器およびシステムの形態をさまざまに省略、置換、および変更可能である。添付の特許請求の範囲およびそれぞれの同等物は、保護の範囲および思想に含まれるような形態または改良を網羅することが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】