(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-16
(54)【発明の名称】アルミニウムミラー用の保護コーティング及びこれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/08 20060101AFI20250108BHJP
C23C 14/18 20060101ALI20250108BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20250108BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20250108BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20250108BHJP
C23C 16/30 20060101ALI20250108BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G02B5/08 A
G02B5/08 C
C23C14/18
C23C14/06 G
C23C16/455
C23C16/02
C23C16/30
C23C28/00 B
C23C28/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532437
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022050688
(87)【国際公開番号】W WO2023101862
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】アレン ドナルド アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ボーガーカー ナレンドラ シャムカント
(72)【発明者】
【氏名】フアン ミン-フアン
(72)【発明者】
【氏名】キム フン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュエ
【テーマコード(参考)】
2H042
4K029
4K030
4K044
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA12
2H042DA18
2H042DB14
2H042DC02
2H042DE00
2H042DE09
4K029AA09
4K029BA01
4K029BA03
4K029BA42
4K029EA01
4K030BA01
4K030BA02
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4K030JA01
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4K044AB02
4K044BA10
4K044BA20
4K044BB05
4K044BB06
4K044BC02
4K044BC06
4K044BC09
4K044CA04
4K044CA13
4K044CA14
4K044CA64
(57)【要約】
本開示の少なくとも1つの特徴によれば、光学素子を形成する方法は、物理堆積法により、ガラス基板の上にアルミニウム層を堆積させるステップ、物理堆積法により、アルミニウム層の上に第1のフッ素含有層を堆積させるステップ、物理堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第2のフッ素含有層を堆積させるステップ、及び原子層堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第3のフッ素含有層を堆積させるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を形成する方法であって、
物理堆積法により、ガラス基板の上にアルミニウム層を堆積させるステップ、
物理堆積法により、前記アルミニウム層の上に第1のフッ素含有層を堆積させるステップ、
物理堆積法により、前記第1のフッ素含有層の上に第2のフッ素含有層を堆積させるステップ、及び
原子層堆積法により、前記第1のフッ素含有層の上に第3のフッ素含有層を堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)及びフッ化マグネシウム(MgF
3)の交互の層の積み重ねである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF
3)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF
3)である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
光学素子を形成する方法であって、
物理堆積法により、ガラス基板の上にアルミニウム層を堆積させるステップ、
原子層エッチング法により、前記アルミニウム層の表面から酸化アルミニウム(Al
2O
3)を除去するステップ、
前記アルミニウム層をエッチングした後、前記ガラス基板を大気に曝露することなく、原子層堆積法により、前記アルミニウム層の上に第1のフッ素含有層を堆積させるステップ、
原子層堆積法により、前記第1のフッ素含有層の上に第2のフッ素含有層を堆積させるステップ、及び
原子層堆積法により、前記第1のフッ素含有層の上に第3のフッ素含有層を堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項9】
前記第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)及びフッ化マグネシウム(MgF
3)の交互の層の積み重ねである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF
3)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF
3)である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ガラス基板、
前記ガラス基板の上のアルミニウム層、
前記アルミニウム層の上の第1のフッ素含有層、
前記第1のフッ素含有層の上の第2のフッ素含有層、及び
前記第1のフッ素含有層の上の第3のフッ素含有層
を含む、光学素子。
【請求項16】
前記第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項15に記載の光学素子。
【請求項17】
前記第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項15に記載の光学素子。
【請求項18】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である、請求項15に記載の光学素子。
【請求項19】
前記第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF
3)及びフッ化マグネシウム(MgF
3)の交互の層の積み重ねである、請求項15に記載の光学素子。
【請求項20】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF
3)である、請求項19に記載の光学素子。
【請求項21】
前記交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF
3)である、請求項19に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2021年11月30日出願の米国仮出願第63/284,293号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体にわたって参照に依拠し、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は概して、光学素子、より詳細にはアルミニウムミラー用の保護コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
進歩したリソグラフィ技術により、マイクロエレクトロニクスのより小さいサイズ形体が可能となる。この技術進歩には、欠陥検出をナノスケールにまで下げることが可能な高感度の光学検査も必要である。現在、欠陥検査は深紫外(DUV)光学(すなわち193.4nmにおける)が優勢となっている。光学検査光学の次世代は、真空紫外(VUV)光学(すなわち120nm~190nmにおける)及び極端紫外(EUV)光学(すなわち13.5nmにおける)の両方が優勢となるはずである。EUV波長はVUVの10分の1であるが、多くの欠陥が、VUV及びEUVに対し光学的により高感度である。結果として、VUV及びEUV検査光学の両方が半導体産業にとって不可欠である。VUV検査性能はVUVミラー次第である。アルミニウムは、VUV反射光学における最適な物質として認識されている。現行のVUVミラーの性能に影響を及ぼす因子は、VUVミラーの、熱で推進される波面誤差、VUVミラーの高い反射率、及びVUVミラーの劣化を含む。したがって、アルミニウムミラー用の新規の保護コーティング、及びこれを作製する方法が有利となりうる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の実施形態によれば、光学素子を形成する方法は、物理堆積法により、ガラス基板の上にアルミニウム層を堆積させるステップ、物理堆積法により、アルミニウム層の上に第1のフッ素含有層を堆積させるステップ、物理堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第2のフッ素含有層を堆積させるステップ、及び原子層堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第3のフッ素含有層を堆積させるステップを含む。
本開示の第2の実施形態は第1の実施形態を含み、第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第3の実施形態は第1の実施形態を含み、第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第4の実施形態は第1の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第5の実施形態は第1の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)及びフッ化マグネシウム(MgF3)の交互の層の積み重ねである。
本開示の第6の実施形態は第5の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF3)である。
本開示の第7の実施形態は第5の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF3)である。
【0004】
本開示の第8の実施形態によれば、光学素子を形成する方法は、物理堆積法により、ガラス基板の上にアルミニウム層を堆積させるステップ、原子層エッチング法により、アルミニウム層の表面から酸化アルミニウム(Al2O3)を除去するステップ、アルミニウム層をエッチングした後、ガラス基板を大気に曝露することなく、原子層堆積法により、アルミニウム層の上に第1のフッ素含有層を堆積させるステップ、原子層堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第2のフッ素含有層を堆積させるステップ、及び原子層堆積法により、第1のフッ素含有層の上に第3のフッ素含有層を堆積させるステップを含む。
本開示の第9の実施形態は第8の実施形態を含み、第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第10の実施形態は第8の実施形態を含み、第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第11の実施形態は第8の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
【0005】
本開示の第12の実施形態は第8の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)及びフッ化マグネシウム(MgF3)の交互の層の積み重ねである。
本開示の第13の実施形態は第12の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF3)である。
本開示の第14の実施形態は第12の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF3)である。
本開示の第15の実施形態によれば、光学素子は、ガラス基板、ガラス基板の上のアルミニウム層、アルミニウム層の上の第1のフッ素含有層、第1のフッ素含有層の上の第2のフッ素含有層、及び第1のフッ素含有層の上の第3のフッ素含有層を含む。
本開示の第16の実施形態は第15の実施形態を含み、第1のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
【0006】
本開示の第17の実施形態は第15の実施形態を含み、第2のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第18の実施形態は第15の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)又はフッ化マグネシウム(MgF3)のうちの1種である。
本開示の第19の実施形態は第15の実施形態を含み、第3のフッ素含有層が、フッ化アルミニウム(AlF3)及びフッ化マグネシウム(MgF3)の交互の層の積み重ねである。
本開示の第20の実施形態は第19の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化アルミニウム(AlF3)である。
本開示の第21の実施形態は第19の実施形態を含み、交互の層の積み重ねにおける最後の層がフッ化マグネシウム(MgF3)である。
本開示のこれらの及び他の特徴、利点、及び目的が、以下の明細書、請求項、及び添付の図面を参照することによって、当業者によりさらに理解及び認識される。
以下は、添付の図面における図についての記載である。図は必ずしも一定の縮尺ではなく、図のある特定の特徴及びある特定の面が、明瞭かつ簡潔にするために、縮尺において強調されるか又は概略図として示されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態による、光学素子を形成する例示的な方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の実施形態による例示的な光学素子である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な記載に示され、本明細書から当業者に明らかであるか、又は請求項及び添付の図とともに、以下の記載に記載されるように本発明を実行することにより認識される。
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、2つ以上の項目のリストにおいて使用される場合、列挙される項目のうちのいずれか1つが単独で利用されてもよく、列挙される項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせが利用されてもよいことを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有すると記載される場合、組成物は、Aを単独で;Bを単独で;Cを単独で;A及びBを組み合わせとして;A及びCを組み合わせとして;B及びCを組み合わせとして;又はA、B、及びCを組み合わせとして含有しうる。
【0009】
本文書では、関係を示す用語、例えば第1及び第2、上部及び下部、並びに同様のものが、ある要素又は作用を別の要素又は作用と区別するためだけに、そのような要素又は作用間の実際のそのような関係性又は順序を必ずしも求めず又は含意もせずに、使用される。
記載される開示の構成物、及び他の成分が、任意の特定の物質に限定されないことが、当業者により理解される。本明細書で開示される本開示の他の例示的な実施形態は、本明細書で別途記載されない限り、多様な物質から形成されていてもよい。
本開示の目的において、用語「連結した」(その形態の全て:連結させる、連結させること、連結した、など)は概して、2つの構成要素(電気的又は機械的)を互いに直接又は間接的に接続することを意味する。そのような接続は、固定性であっても可動性であってもよい。そのような接続は、互いに又は2つの構成要素とともに、単独の単一体として一体化して形成された、2つの構成要素(電気的又は機械的)、及び任意のさらなる中間部材により達成可能である。別途明記されない限り、そのような接続は、永続性であってもよく、取り外し又は解除可能なものであってもよい。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、量、サイズ、配合、変数、並びに他の量及び特徴が、正確ではなく、正確である必要もないが、許容誤差、換算係数、概数化、測定誤差及び同様のもの、並びに当業者に既知の他の因子を反映して、所望の通りに近似である、かつ/又はより大きいか若しくはより小さくてよいことを意味する。用語「約」が、値又は範囲の端点について記載するのに使用される場合、本開示は、言及された特定の値又は端点を含むものと理解されるべきである。明細書における数値又は範囲の端点が「約」を記載しているかどうかに関わりなく、数値又は範囲の端点は、2つの実施形態を含むことが意図される:「約」で修飾されたもの、及び「約」で修飾されていないもの。範囲の各々の端点が、他の端点に関連して、かつ他の端点とは独立して意義があることがさらに理解される。
用語「実質的な」、「実質的に」、及びその変形形態は、本明細書で使用される場合、記載される特徴が値又は記載に等しいか又はほぼ等しいことに留意することが意図される。例えば、「実質的に平面の」表面は、平面又はほぼ平面の表面を指すことが意図される。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいか又はほぼ等しいことを指すことが意図される。一部の実施形態において、「実質的に」は、互いの約10%以内の値を指しうる。
【0011】
例示的な実施形態において示される本開示の要素の構成物及び構成が、例示的なものに過ぎないことに留意することも重要である。本発明の少数の実施形態のみしか、本開示において詳細に記載されていないが、本開示を評価する当業者は、多くの改変が、記載される主題の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく可能である(例えば、各種要素のサイズ、寸法、構造、形状及び割合、変数の値、取り付け構成、物質、色、方向の使用、などの変化)ことを容易に認識する。例えば、一体化して形成されるものと示される要素が複数の部分から構成されていてもよく、又は複数の部分として示される要素が一体化して形成されていてもよく、界面の動作が反転又は別途変動してもよく、構造、及び/若しくは部材、若しくは連結器、若しくは機構の他の要素の長さ若しくは幅が変動してもよく、並びに要素間に与えられる調節位置の性質若しくは数が変動してもよい。機構の要素及び/又は集合体が、多様な色、質感、及び組み合わせのうちのいずれかにおける十分な強度又は耐久性をもたらす、多様な物質のうちのいずれかから構成されていてよいことが留意されるべきである。したがって、そのようなあらゆる改変は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。本発明の趣旨から逸脱することなく、所望の他の例示的な実施形態の設計、動作条件、及び構成に対して、他の置換、改変、変更、及び除外がなされてよい。
【0012】
図1Aは、光学素子、例えば
図2に示される例示的な光学素子200を形成する方法100のフローチャートを示す。方法100は、ガラス基板202の上にアルミニウム層204を堆積させることによる102で始まる。実施形態において、ガラス基板202は、Corning Incorporatedから入手可能なULEガラスである。アルミニウム層204は、物理気相堆積法によりガラス基板202の上に堆積する。実施形態において、アルミニウム層204の厚さは約100nmである。本明細書に記載されるアルミニウム層204及び次の他の層の厚さは、最終的な光学素子に求められる仕様次第で変動してよい。次に、104において、第1のフッ素含有層206が、物理堆積法によりアルミニウム層204の上に堆積する。実施形態において、第1のフッ素含有層206は、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である。実施形態において、第1のフッ素含有層206は厚さ約5nmを有する。次に、106において、第2のフッ素含有層208が、物理堆積法により第1のフッ素含有層206の上に堆積する。実施形態において、第2のフッ素含有層208は、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である。実施形態において、第2のフッ素含有層208は厚さ約10nmを有する。次に、108において、第3のフッ素含有層210が、原子層堆積法により第2のフッ素含有層208の上に堆積する。実施形態において、第3のフッ素含有層210は、フッ化アルミニウム(AlF
3)又はフッ化マグネシウム(MgF
3)のうちの1種である。実施形態において、第3のフッ素含有層210は、フッ化アルミニウム(AlF
3)及びフッ化マグネシウム(MgF
3)の交互の層の積み重ねである。実施形態において、交互の層の積み重ねにおける最後の層はフッ化アルミニウム(AlF
3)である。実施形態において、交互の層の積み重ねにおける最後の層はフッ化マグネシウム(MgF
3)である。第3のフッ素含有層210は、ピンホールフリー膜形成により、アルミニウム層204の酸化からの保護をもたらす。以下の表1は、本明細書に記載される方法により形成される好適な光学素子の、例示的な実施形態を示す。
【0013】
【0014】
【0015】
実施形態において、ステップ104においてアルミニウム層204を堆積させた後、天然の酸化アルミニウム(Al2O3)層が、アルミニウム層204上に形成される可能性がある。酸化アルミニウム(Al2O3)は、原子層エッチング法により、アルミニウム層204の表面から除去される。例示的な原子層エッチング法において、酸化アルミニウム(Al2O3)は、温度約225℃~325℃で、トリメチルアルミニウム(TMA)、及びフッ化水素(HF)又は他のフッ素含有化合物、例えばSF6の逐次の曝露により除去される。実施形態において、酸化アルミニウム(Al2O3)は、Ar/SF6のリモートプラズマに約1秒~10秒間曝露され、次いでTMAに100ミリ秒間超曝露される。曝露時間は、反応器の体積に基づいて調節されてよい。
実施形態において、アルミニウム層の原子層堆積に使用される好適なアルミニウム前駆体は:トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)又はジメチルアルミニウムイソプロポキシド(DMAI)、又は[MeC(NiPr)2]AlEt2、又はジメチルアルミニウムハイドライド:ジメチルエチルアミン、又はエチルピペリジン:ジメチルアルミニウムハイドライドを含む。実施形態において、フッ素含有層の堆積に使用される好適なフッ素供給源は:フッ化水素(HF)、並びに六フッ化硫黄(SF6)及びアルゴンの混合物、又は三フッ化窒素(NF3)及びアルゴンの混合物を有するプラズマ、又はSF6、NF3、又はCF4を含む。実施形態において、好適なMg前駆体は:ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、MgCp2、Mg(thd)2;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マグネシウム、ビス(N,N’-ジ-sec-ブチルアセトアミジナト(butylacetamidinato))マグネシウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを含む。
【0016】
当業者及び本開示を作製又は使用する者は、本開示の改変を思い付くはずである。ゆえに、図面に示され先に記載された実施形態が、例示的な目的のためのものに過ぎず、均等論を含む特許法の原理に従って解釈される以下の請求項によって規定される本開示の範囲を限定することを意図されないことが理解される。
記載される開示の構成物、及び他の成分が、任意の特定の物質に限定されないことが、当業者により理解される。本明細書で開示される本開示の他の例示的な実施形態は、本明細書で別途記載されない限り、多様な物質から形成されていてよい。
【0017】
任意の記載される方法、又は記載される方法の中のステップが、他の開示される方法又はステップと組み合わされて、本開示の範囲内の構造を形成しうることが理解される。本明細書で開示される例示的な構造及び方法は例示的な目的のためのものであり、限定的なものと解釈されるべきでない。
本開示の考え方から逸脱することなく、前述された構造及び方法に対し、変更及び改変がなされてよいことも理解されるべきであり、さらに、そのような考え方が、以下の請求項がそれらの言い回しにより特に別途明記しない限り、これらの請求項の範囲に入ることが意図されることが理解されるべきである。さらに、請求項が以下に示される。
【国際調査報告】