(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20250109BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20250109BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/659 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20250109BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250109BHJP
H01M 50/375 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 101
H01M50/342 201
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6561
H01M10/6567
H01M10/659
H01M10/615
H01M10/625
H01M50/375
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515633
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2022135300
(87)【国際公開番号】W WO2024113208
(87)【国際公開日】2024-06-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柯剣煌
(72)【発明者】
【氏名】陳小波
(72)【発明者】
【氏名】李耀
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB01
5H012BB08
5H012CC10
5H012FF01
5H012GG01
5H012JJ10
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA29
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
(57)【要約】
本願の実施例は電池及び電力消費装置を提供する。該電池は、筐体と、電池セルモジュールと、支持部材と、を含み、筐体は、電気キャビティを含み、電池セルモジュールは、該電気キャビティに収容され、該電池セルモジュールは第1方向に沿って配列された複数の電池セルを含み、該電池セルモジュールにおける少なくとも2つの電池セルに減圧機構が設置され、該減圧機構は該電池セルの第1壁に設置され、支持部材は、該第1壁に取り付けられて該電池セルを支持し、該支持部材は該電池セルモジュールにおける少なくとも2つの該減圧機構に対応する逃がしキャビティを含み、該逃がしキャビティは少なくとも2つの減圧機構の作動に変形空間を提供することに用いられる。本願の実施例の電池及び電力消費装置は、電池の安全性能を強化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(11)と、電池セルモジュール(200)と、支持部材(13)と、を含み、
前記筐体(11)は、電気キャビティを含み、
前記電池セルモジュール(200)は、前記電気キャビティ(11a)に収容され、前記電池セルモジュール(200)は第1方向に沿って配列された複数の電池セル(20)を含み、当該複数の電池セル(20)のうち、少なくとも2つの電池セル(20)に減圧機構(213)が設置され、前記減圧機構(213)は前記電池セル(20)の第1壁(25)に設置され、
前記支持部材(13)は、前記第1壁(25)に取り付けられて前記電池セル(20)を支持し、前記支持部材(13)は前記電池セルモジュール(200)における少なくとも2つの前記減圧機構(213)に対応する逃がしキャビティ(131)を含み、当該逃がしキャビティ(131)は少なくとも2つの前記減圧機構(213)の作動に変形空間を提供することに用いられることを特徴とする、電池。
【請求項2】
前記支持部材(13)の前記電池セルモジュール(200)に近接する表面に逃がし開口(132)が設置され、少なくとも2つの前記減圧機構(213)は前記逃がし開口(132)に面し、前記逃がしキャビティ(131)は前記逃がし開口(132)と連通することを特徴とする、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記減圧機構(213)の作動時に、前記電池セル(20)からの排出物は前記逃がし開口(132)を介して前記逃がしキャビティ(131)に入り且つ前記逃がしキャビティ(131)から排出されることを特徴とする、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記逃がしキャビティ(131)及び/又は前記逃がし開口(132)は前記第1方向に沿って連続的に設置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記逃がしキャビティ(131)に脆弱領域(133)が設けられ、前記脆弱領域(133)は、前記減圧機構(213)の作動時に、前記排出物が前記脆弱領域(133)を突き抜けてそれにより前記逃がしキャビティ(131)から排出することに用いられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記脆弱領域(133)は前記減圧機構(213)の作動時に破壊され、それにより前記排出物を前記逃がしキャビティ(131)から排出することに用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記逃がしキャビティ(131)は底壁(134)及び側壁(135)を含み、前記底壁(134)は前記第1壁(25)に対向して設置され、前記側壁(135)は前記底壁(134)に接続され且つ前記第1壁(25)に向かって延伸し、前記脆弱領域(133)は前記底壁(134)及び/又は前記側壁(135)に設置されることを特徴とする、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記脆弱領域(133)は前記底壁(134)及び/又は前記側壁(135)の前記第1方向に沿った端部に設置されることを特徴とする、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記脆弱領域(133)は、以下を満たし、
【数14】
ここで、dは前記脆弱領域(133)の最小厚さであり、Eは前記電池セル(20)の体積エネルギー密度であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記脆弱領域(133)は、以下を満たし、
【数15】
ここで、T
1は前記脆弱領域(133)の材料の融点であり、Eは前記電池セル(20)の体積エネルギー密度であることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記脆弱領域(133)の厚さは前記逃がしキャビティ(131)の前記脆弱領域(133)以外の領域の厚さより小さいことを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記脆弱領域(133)の材料の融点は前記逃がしキャビティ(131)の前記脆弱領域(133)以外の領域の材料の融点より低いことを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記脆弱領域(133)は貫通孔(136)を含み、前記減圧機構(213)の作動時に、前記排出物は前記貫通孔(136)を突き抜けて前記逃がしキャビティ(131)から排出されることを特徴とする、請求項5~12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記脆弱領域(133)は前記貫通孔(136)を密封するための密封構造(137)をさらに含み、前記密封構造(137)は前記減圧機構(213)の作動時に破壊され、それにより前記電池セル(20)の前記排出物が前記貫通孔(136)を突き抜けることに用いられることを特徴とする、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記密封構造(137)は前記貫通孔(136)に充填されることを特徴とする、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記密封構造(137)は前記逃がしキャビティ(131)の前記貫通孔(136)に対応する内表面に設置され、及び/又は、
前記密封構造(137)は前記逃がしキャビティ(131)の前記貫通孔(136)に対応する外表面に設置されることを特徴とする、請求項14に記載の電池。
【請求項17】
前記逃がしキャビティ(131)は前記第1壁(25)に対向して設置される底壁(134)を含み、第2方向に沿って、前記底壁(134)の少なくとも2つの領域と前記第1壁(25)が位置する第1平面との間の距離は異なっており、前記第2方向は前記第1壁(25)に垂直であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
前記第1方向において、前記底壁(134)の少なくとも一部の領域と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に増加し、及び/又は、
前記第1方向において、前記底壁(134)の少なくとも一部の領域と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に減少することを特徴とする、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記第1方向において、前記底壁(134)の中心から前記底壁(134)の端部に向かって、前記底壁(134)と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に増加又は徐々に減少することを特徴とする、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記底壁(134)は円弧面及び/又は平面を含むことを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載の電池。
【請求項21】
前記底壁(134)に、前記第1壁(25)に面する開口を有する沈積溝(138)が設置され、前記第2方向に沿って、前記沈積溝(138)の溝底壁と前記第1平面との間の距離は前記底壁(134)の前記沈積溝(138)以外の領域と前記第1平面との間の距離より大きいことを特徴とする、請求項17~20のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
前記沈積溝(138)は前記底壁(134)の前記第1方向に沿った端部に位置することを特徴とする、請求項21に記載の電池。
【請求項23】
前記底壁(134)に、前記第1方向に沿って間隔をあけて配列される複数の前記沈積溝(138)が設置されることを特徴とする、請求項21又は22に記載の電池。
【請求項24】
前記減圧機構(213)の作動時に前記電池セル(20)からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ(11b)をさらに含み、
前記支持部材(13)はさらに前記収集キャビティ(11b)と前記電気キャビティ(11a)を隔離することに用いられることを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の電池。
【請求項25】
前記支持部材(13)と囲んで前記収集キャビティ(11b)を形成することに用いられる保護部材(113)をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載の電池。
【請求項26】
前記支持部材(13)は前記筐体(11)の壁の少なくとも一部であり、前記支持部材(13)は前記減圧機構(213)の作動時に前記電池セル(20)の排出物が前記支持部材(13)を突き抜けて前記筐体(11)から排出させるために用いられることを特徴とする、請求項1~25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項27】
前記支持部材(13)は前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられる熱管理部材(139)であることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の電池。
【請求項28】
電力消費装置であって、
前記電力消費装置へ電気エネルギーを供給するために用いられる請求項1~27のいずれか一項に記載の電池を含む電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特に電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池技術の絶え間ない進歩に伴い、電池をエネルギー貯蔵装置とする様々な新エネルギー産業が急速に発展している。現在、電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、電池の安全上の問題も無視できない課題である。電池の安全上の問題を保証することが難しい場合、電池を投入して使用することはできない。従って、電池の安全性能をどのように向上させるかは、電池技術分野における早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【0003】
本願は電池の安全性を向上させることができる電池及び電力消費装置を提供する。
【0004】
第1態様によれば、筐体と、電池セルモジュールと、支持部材と、を含む電池を提供し、筐体は、電気キャビティを含み、電池セルモジュールは、上記電気キャビティに収容され、上記電池セルモジュールは第1方向に沿って配列された複数の電池セルを含み、上記電池セルモジュールにおける少なくとも2つの電池セルに減圧機構が設置され、該減圧機構は上記電池セルの第1壁に設置され、支持部材は、上記第1壁に取り付けられて上記電池セルを支持し、上記支持部材は上記電池セルモジュールにおける少なくとも2つの上記減圧機構に対応する逃がしキャビティを含み、上記逃がしキャビティは少なくとも2つの減圧機構の作動に変形空間を提供することに用いられる。
【0005】
従って、本願の実施例において、上記電池に支持部材を設置し、且つ上記支持部材が電池セルの第1壁に取り付けられることにより、電池セルに支持作用を提供することができ、それにより第1壁は優れた圧縮強度を有する。外部圧力が電池に作用する時、設置された上記支持部材は、大部分さらには全部の外部圧力を防ぎ止めることができ、それにより電池セルに対する外部圧力の影響を減少又は解消し、電池の耐圧性能及び安全性能を向上させる。また、電池セルの第1壁にさらに減圧機構が設置され、上記支持部材には上記電池セルモジュールにおける少なくとも2つの減圧機構に対応する逃がしキャビティが設置され、これにより、減圧機構の作動時に、支持部材の逃がしキャビティは減圧機構に変形空間を提供することに用いられ、支持部材が減圧機構を遮断することを回避し、さらに電池セルの排出物を減圧機構からスムーズに排出することができる。
【0006】
いくつかの実施例において、上記支持部材の上記電池セルモジュールに近接する表面に逃がし開口が設置され、少なくとも2つの上記減圧機構は上記逃がし開口に面し、上記逃がしキャビティは上記逃がし開口と連通する。それにより、支持部材の電池セルモジュールに近接する表面に逃がし開口を設置することにより、減圧機構の作動時に、上記減圧機構から排出された排出物は上記逃がし開口を介して逃がしキャビティに迅速に入ることができ、排出物が電気キャビティ内に堆積することを回避し、それにより排出物が電気キャビティ内の電気的接続部材に導通して短絡が発生することをできるだけ回避し、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、減圧機構の作動時に、電池セルからの排出物は逃がし開口を経由して上記逃がしキャビティに入り、上記逃がしキャビティから排出される。電池セルに熱暴走が発生すると、逃がしキャビティ内部の空間が限られているため、減圧機構を介して排出された排出物は逃がしキャビティ内に堆積して上記減圧機構に熱影響を与えやすく、電池セル間の熱拡散を引き起こすが、本願の実施例は、排出物が上記逃がし開口を経由して逃がしキャビティに迅速に入り、上記排出物を上記逃がしキャビティの外部に排出し、排出物が逃がしキャビティに堆積することによる熱拡散を回避することに有利であり、それにより電池の安全性を向上させる。
【0008】
いくつかの実施例において、上記逃がしキャビティ及び/又は逃がし開口は上記第1方向に沿って連続的に設置される。これにより、本願の実施例において、第1方向に沿って連続的に逃がしキャビティを設置することができ、上記逃がしキャビティは複数の減圧機構に対応することができ、及び/又は、第1方向に沿って連続的に逃がし開口を設置し、上記逃がし開口は複数の減圧機構に対応することができ、それにより、第1方向に沿って配列された複数の減圧機構に対して、そのうちの1つ又は複数の減圧機構が逃がしキャビティに対応しない又は逃がし開口に対応しないことを回避し、即ち、隣接する2つの逃がしキャビティの間の減圧機構が逃がしキャビティに対応しないという状況が存在することを回避し、隣接する2つの逃がし開口の間の減圧機構が逃がし開口に対応しないという状況が存在することも回避し、第1方向に沿って配列された複数の減圧機構のうちの各減圧機構から排出された排出物はいずれも上記逃がし開口を経由して上記逃がしキャビティに入ることができ、同時に、上記構造はシンプルで、電池の加工及び組み立てがしやすい。
【0009】
いくつかの実施例において、上記逃がしキャビティは脆弱領域に設置され、上記脆弱領域は上記減圧機構の作動時に、上記排出物が上記脆弱領域を突き抜けて上記逃がしキャビティから排出されることに用いられる。これにより、電池セルに熱暴走が発生した場合、減圧機構を介して排出された排出物が逃がしキャビティに入った後、逃がしキャビティの脆弱領域を介して排出することができ、排出物が逃がしキャビティ内に堆積することによる熱拡散を効果的に回避することができるだけではなく、指向性排出を実現することもでき、例えば、脆弱領域の位置を合理的に設置することにより、特定の領域から排出物を排出し、排出物が他の部品に影響を及ぼすことを回避し、それにより電池の安全性を向上させる。
【0010】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域は上記減圧機構が作動した時に破壊されて、上記排出物を上記逃がしキャビティから排出させることに用いられる。これにより、減圧機構が作動していない時、例えば、電池の正常な使用過程において、上記逃がしキャビティは相対的に密封状態にあり、上記逃がしキャビティが外部からの力で破壊されることから効果的に保護することができる。減圧機構の作動時に、逃がしキャビティ上の脆弱領域の強度は上記逃がしキャビティ上の上記脆弱領域以外の領域の強度よりも低いため、上記脆弱領域は破壊されやすく、電池セルからの排出物は上記脆弱領域を突き抜けて逃がしキャビティの外部から排出される。
【0011】
いくつかの実施例において、上記逃がしキャビティは底壁及び側壁を含み、上記底壁は上記第1壁に対向して設置され、上記側壁は上記底壁に接続され且つ上記第1壁に向かって延伸し、上記脆弱領域は上記底壁及び/又は上記側壁に設置される。
【0012】
本願の実施例において、脆弱領域が逃がしキャビティの底壁に設置される場合、電池セルに熱暴走が発生した状況で、減圧機構を介して排出された排出物は逃がしキャビティの底壁を介して逃がしキャビティの外部に直接迅速に排出され、電池の安全性を向上させる。また、電池セルに熱暴走が発生した状況において、減圧機構を介して排出された高温高圧の排出物が逃がしキャビティに入る場合、逃がしキャビティの側壁方向に排出され、逃がしキャビティの側壁の遮断作用により、側壁に近接する領域に堆積し、従って、逃がしキャビティの側壁に脆弱領域を設置することにより、排出物を直ちに排出することに有利であり、排出物が逃がしキャビティの側壁に堆積することを効果的に回避する。
【0013】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域は上記底壁及び/又は上記側壁の上記第1方向に沿った端部に設置される。
【0014】
本願の実施例において、電池セルに熱暴走が発生した場合、逃がしキャビティの側壁が排出物を遮断するため、排出物は一般的に逃がしキャビティの底壁と側壁との交差部分に最も多く堆積し、同時に、ある状況では、逃がしキャビティの底壁と側壁との交差部分の密封性が悪いため、上記交差部分の密封不良箇所に気流通路が形成され、内外圧力差の作用下で、電池の熱暴走の過程において発生する気流は排出物を逃がしキャビティの底壁と側壁との交差部分に移動させ、さらに排出物が逃がしキャビティの底壁と側壁との交差部分に堆積することを促進する。また、逃がしキャビティに対応する複数の減圧機構が第1方向に沿って配列される状況で、逃がしキャビティ端部の側壁は他の壁に比べてサイズが小さいため、減圧機構を介して排出された排出物は逃がしキャビティの底壁及び/又は側壁の第1方向に沿った端部に最も多く堆積し、電池セルの熱拡散を引き起こしやすく、脆弱領域を上記底壁及び/又は上記側壁の上記第1方向に沿った端部に設置することにより、排出物が逃がしキャビティに堆積することによる熱拡散を効果的に回避し、それにより電池の安全性を向上させる。
【0015】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域は、以下を満たす。
【数1】
ここで、dは脆弱領域の最小厚さであり、Eは電池セルの体積エネルギー密度である。
【0016】
従って、本願の実施例において、d/Eの値を合理的に設定することにより、電池セルが生成した排出物を直ちに且つスムーズに排出させることができ、電池の安全性を向上させる。具体的には、d/E値の設定が大きすぎると、上記逃がしキャビティの脆弱領域の最小厚さdの設定が相対的に大きくなり、電池セルの体積エネルギー密度Eの設定が相対的に小さくなる可能性がある。これにより、上記電池セルに熱暴走が発生する場合に排出される排出物の温度又は圧力が低く、逃がしキャビティの脆弱領域の最小厚さdの設定が大きすぎる場合、排出物が逃がしキャビティを破壊し直ちに排出物を排出することが困難になり、又は上記逃がしキャビティを破壊するためにかかる時間が長くなりすぎて、最終的に排出物が減圧機構の下の逃がしキャビティ内に制限され、逃がしキャビティの空間が限られており、これにより電池セル間の熱拡散現象を引き起こしやすくなる。従って、d/Eの値の設定が大きすぎることは好ましくない。
【0017】
逆に、d/Eの値の設定が小さすぎることも好ましくない。電池セル自体の構造上の制約により、電池セルの体積エネルギー密度Eには上限値が存在する。従って、d/Eの値の設定が小さすぎると、即ち電池の体積エネルギー密度Eが一定である状況では、逃がしキャビティの脆弱領域の最小厚さdは小さくなり、逃がしキャビティの構造の強度が不足し、電池を正常に使用する状況下で破損が発生しやすくなり、逃がしキャビティの密封性が低下し、電池の安全性も低下する。
【0018】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域は、以下を満たす。
【数2】
ここで、T
1は脆弱領域の材料の融点であり、Eは電池セルの体積エネルギー密度である。
【0019】
従って、本願の実施例において、T1/Eの値を合理的に設定することにより、電池セルが生成する排出物を直ちに且つスムーズに排出させることができ、電池の安全性を向上させる。従って、本願の実施例におけるT1/Eの値の設定が小さすぎることは好ましくない。電池セル自体の構造上の制約により、電池セルの体積エネルギー密度Eには上限値が存在する。従って、T1/Eの値が小さすぎると、即ち電池セルの体積エネルギー密度Eが一定の状況下では、逃がしキャビティの脆弱領域の材料の融点T1の値は小さくなり、一方では材料選択の難易度が増加し、他方では逃がしキャビティの構造強度も不足し、電池の正常な使用状態において、例えば充放電過程において、電池温度が上昇する状況が存在する可能性があり、上記逃がしキャビティの脆弱領域は電池の正常な使用状況において軟化又は溶融しやすく、逃がしキャビティの密封性を低下させ、電池の安全性も低下させる。
【0020】
本願の実施例におけるT1/Eの値の設定が大きすぎることは好ましくない。T1/Eの値が大きすぎると、即ち上記逃がしキャビティの脆弱領域の材料の融点T1の設定が相対的に大きくなり、且つ電池セルの体積エネルギー密度Eの設定が相対的に小さくなり、対応して、上記電池セルに熱暴走が発生した時に減圧機構を介して排出される排出物の温度が低く、逃がしキャビティの脆弱領域の材料の融点T1の設定が高すぎる場合、排出物は逃がしキャビティの脆弱領域を溶融して排出物を直ちに排出しにくく、又は上記逃がしキャビティの脆弱領域を溶融するためにかかる時間が長くなりすぎ、排出物が減圧機構に対応する逃がしキャビティ内に制限され、逃がしキャビティの空間が限られており、これにより電池セル間の熱拡散現象を引き起こしやすくなる。
【0021】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域の厚さは逃がしキャビティの上記脆弱領域以外の領域の厚さよりも小さく、電池の加工及び組み立てがしやすい。
【0022】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域の材料の融点は上記逃がしキャビティの上記脆弱領域以外の領域の材料の融点よりも低い。それにより、逃がしキャビティの脆弱領域以外の領域に比べて、上記脆弱領域は温度に対して敏感であり、減圧機構の作動時に、上記脆弱領域は減圧機構から排出された排出物により直ちに且つ迅速に溶融され、上記排出物を逃がしキャビティの外部から迅速に排出させ、電池の安全性能の向上に有利である。
【0023】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域は貫通孔を含み、上記減圧機構の作動時に、上記排出物は上記貫通孔を突き抜けて上記逃がしキャビティから排出される。これにより、逃がしキャビティに設置された貫通孔を脆弱領域とし、一方では、電池加工と組み立てを容易にし、他方では、脆弱領域が減圧機構から排出された排出物の衝撃を受ける時に、貫通孔を介して排出物を逃がしキャビティの外部に直ちに且つ迅速に排出することができ、排出物の排出効率を向上させることに有利であり、これにより電池の安全性を向上させる。
【0024】
いくつかの実施例において、上記脆弱領域はさらに上記貫通孔を密封するための密封構造を含み、上記密封構造は上記減圧機構の作動時に破壊されて、上記電池セルの排出物は上記貫通孔を突き抜ける。
【0025】
本願の実施例に設置された密封構造により、一方では電池セルの正常な使用過程において逃がしキャビティの密封性を保持することができ、逃がしキャビティの貫通孔を介して外部環境が減圧機構に影響を及ぼすことを回避する。他方では、電池セルに熱暴走が発生した時、減圧機構を介して排出された排出物は直ちに且つスムーズに上記密封構造を破壊することができ、貫通孔を露出させ、それにより上記排出物は貫通孔を突き抜けて逃がしキャビティの外部から排出され、電池の安全性を向上させる。
【0026】
いくつかの実施例において、上記密封構造は上記貫通孔に充填され、それにより電池の内部空間を節約し、電池の空間利用率を向上させ、同時に電池の加工と組み立てを容易にする。
【0027】
いくつかの実施例において、上記密封構造は上記逃がしキャビティの上記貫通孔に対応する内表面に設置され、及び/又は、上記密封構造は上記逃がしキャビティの上記貫通孔に対応する外表面に設置される。
【0028】
これにより、密封構造が逃がしキャビティの貫通孔に対応する内表面に設置される場合、密封構造は減圧機構に近く、減圧機構を介して排出された排出物によって迅速に破壊され、例えば、上記密封構造は電池セルの温度に迅速に反応し、密封構造を迅速に溶融させ、減圧機構の作動に影響を与えることを回避し、排出物を直ちに且つスムーズに排出することができる。密封構造が逃がしキャビティの貫通孔に対応する外表面に設置される場合、上記密封構造と減圧機構との間の距離は減圧機構の作動に変形空間を提供することができ、減圧機構の正常な機能に影響を与えることを回避する。また、上記密封構造を、逃がしキャビティの貫通孔に対応する内表面と外表面に同時に設置する場合、逃がしキャビティの密封性を向上させることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、上記逃がしキャビティは上記第1壁に対向して設置される底壁を含み、第2方向に沿って、上記底壁の少なくとも2つの領域と上記第1壁が位置する第1平面との間の距離は異なっており、上記第2方向は上記第1壁に垂直である。
【0030】
本願の実施例において、上記逃がしキャビティの底壁の異なる領域に堆積する排出物の量に基づき、底壁の異なる領域と第1平面との間の第2方向に沿った距離を合理的に設定することができる。例えば、逃がしキャビティの底壁が第1領域と第2領域を含み、且つ電池セルに熱暴走が発生した時、重力の作用を受けるため、第1領域に收集された電池セルからの排出物が第2領域に收集された電池セルからの排出物より多い場合、上記逃がしキャビティの底壁を第1領域と第1平面との間の距離が第2領域と第1平面との間の距離よりも大きくなるように設定することができ、これにより第1領域内の多くの排出物が上記第1領域に対応する減圧機構に影響を与えることを回避し、減圧機構を介して排出された排出物が逃がしキャビティに堆積することによる熱拡散を回避することができ、電池の安全性能の向上に有利である。
【0031】
いくつかの実施例において、上記第1方向において、上記底壁の少なくとも一部の領域と上記第1平面との間の上記第2方向に沿った距離は徐々に増加し、及び/又は、上記第1方向において、上記底壁の少なくとも一部の領域と上記第1平面との間の上記第2方向に沿った距離は徐々に減少する。これにより、上記底壁に存在する少なくとも一部の領域は第1方向に沿って傾斜し、重力の作用により、減圧機構を介して排出された排出物が逃がしキャビティの底壁の特定領域に堆積することを実現でき、且つ、上記特定領域の第1平面との距離も遠く、即ち排出物の逃がしキャビティの底壁における特定の堆積領域を制御することにより電池セルに対する熱影響を低下させ、電池の安全性を向上させる。
【0032】
いくつかの実施例において、第1方向において、底壁の中心から底壁の端部に向かって、上記底壁と第1平面との間の第2方向に沿った距離は徐々に増加又は徐々に減少する。
【0033】
本願の実施例において、逃がしキャビティの第1方向に沿った端部側壁のサイズは小さいため、減圧機構を介して排出された排出物は上記端部位置でより多く堆積することになる。従って、逃がしキャビティの底壁は、第1方向に沿って、底壁の中心から底壁の端部に向かって、上記底壁と第1平面との間の第2方向に沿った距離が徐々に増加するように設置された場合、底壁の端部領域と第1平面との間の第2方向に沿った距離が大きいため、電池に熱暴走が発生する時、上記逃がしキャビティの第1方向に沿った端部位置には大きな空間があり減圧機構を介して排出された排出物が収容され、それにより減圧機構への影響が減少し、電池の安全性を向上させる。対応して、逃がしキャビティの底壁は、上記底壁の中心から底壁の両端に向かって、上記底壁と第1平面との間の第2方向に沿った距離が徐々に減少するように設置された場合、上記底壁の中心領域と第1平面との間の距離が大きいため、重力の影響下で、減圧機構を介して排出された排出物は上記底壁の中心領域に移動し、それにより減圧機構への影響が減少し、電池の安全性を向上させる。
【0034】
いくつかの実施例において、上記底壁は円弧面及び/又は平面を含み、減圧機構を介して排出された排出物が逃がしキャビティの底壁上でスムーズに移動しやすくなり、同時に電池の加工と組み立ても容易にする。
【0035】
いくつかの実施例において、上記底壁に、上記第1壁に面する開口を有する沈積溝が設置され、上記第2方向に沿って、上記沈積溝の溝底壁と上記第1平面との間の距離は上記底壁上の上記沈積溝以外の領域と上記第1平面との間の距離より大きい。
【0036】
これにより、逃がしキャビティの底壁に、第1壁に面する開口を有する沈積溝が設置されることにより、減圧機構の作動時に、逃がしキャビティの底壁に一定の深さの沈積溝が存在するため、上記沈積溝は一定の深さを有し減圧機構を介して排出された排出物を収容し、上記排出物が底壁の他の領域に堆積することを回避し、減圧機構への影響を減少し、電池の安全性を向上させる。
【0037】
いくつかの実施例において、上記沈積溝は上記底壁の上記第1方向に沿った端部に位置する。本願の実施例において、逃がしキャビティの端部側壁の寸法が小さいため、減圧機構を介して排出された高温高圧の排出物は逃がしキャビティの端部側壁により多く堆積し、上記沈積溝を底壁の第1方向に沿った端部位置に設置することにより、排出物を上記沈積溝内に堆積させることができ、それにより減圧機構への熱影響を減少させ、電池の安全性を向上させる。
【0038】
いくつかの実施例において、上記底壁には上記第1方向に沿って間隔をあけて配列される複数の上記沈積溝が設置される。本願の実施例において、逃がしキャビティの底壁の異なる領域に堆積する排出物の量に基づき、底壁の異なる領域に複数の沈積溝を設置することができ、上記沈積溝は一定の深さを有し減圧機構を介して排出された排出物が収容され、それにより、電池セルに熱暴走が発生した時、逃がしキャビティの底壁の排出物が多い複数の領域に沈積溝を設置することにより、上記複数の領域内の排出物が対応する減圧機構に影響を与えることを効果的に回避し、排出物が逃がしキャビティに堆積することによる熱拡散を回避し、電池の安全性の向上に有利である。
【0039】
いくつかの実施例において、上記電池はさらに上記減圧機構の作動時に電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティを含み、上記支持部材はさらに上記収集キャビティと上記電気キャビティを隔離することに用いられる。上記収集キャビティは減圧機構の作動時に排出物を集中的に收集及び/又は処理し、さらに排出物を電池の外部に排出することができる。同時に、支持部材は隔離部材として電池セルの電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを分離することができ、両者の間の相互影響を回避し、少なくとも一部の排出物が収集キャビティから電気キャビティに入ることを防止して、熱拡散を回避することができる。
【0040】
いくつかの実施例において、上記電池はさらに、上記支持部材と囲んで上記収集キャビティを形成することに用いられる保護部材を含む。保護部材と支持部材が収集キャビティを形成することにより、減圧機構を介して排出された排出物を効果的に収集及び緩衝することができ、その危険性を低下させる。同時に、上記保護部材は支持部材を保護する役割を果たすことができ、支持部材が異物により破壊されることを防止する。
【0041】
いくつかの実施例において、上記支持部材は上記筐体の壁の少なくとも一部であり、上記支持部材は上記減圧機構の作動時に上記電池セルからの排出物が上記支持部材を突き抜けて上記筐体から排出させるために用いられる。これにより、上記支持部材を筐体の壁の少なくとも一部とし、それにより減圧機構を介して排出された排出物は上記支持部材を介して直接筐体の外部に排出することができ、電池の空間を節約でき、筐体の空間利用率を向上させ、電池が取り付けしやすく、電池の加工効率を向上させる。
【0042】
いくつかの実施例において、上記支持部材は上記電池セルの温度を調節することに用いられる熱管理部材である。例えば、上記熱管理部材は電池セルを冷却又は加熱することに用いることができ、上記電池の温度を相対的に安定させ、電池の作動効率を向上させる。
【0043】
第2態様によれば、電力消費装置であって、当該電力消費装置へ電気エネルギーを供給するために用いられる第1態様に記載の電池を含む電力消費装置を提供する。
【0044】
いくつかの実施例において、上記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、理解すべき点として、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【0046】
【
図1】本願の一実施例に係る車両の構造概略図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池の断面概略図である。
【
図4】本願の別の実施例に係る電池の断面概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図6】本願の一実施例に係る電池の断面概略図である。
【
図7】本願の
図6に示す電池のA部分の一例の拡大図である。
【
図8】本願の
図6に示す電池のA部分の別の例の拡大図である。
【
図9】本願の
図6に示す電池のA部分のさらに別の例の拡大図である。
【
図10】本願の一実施例に係る一例としての逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図11】本願の一実施例に係る別の例としての逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図12】本願の一実施例に係るさらに別の例としての逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図13】本願の一実施例に係るさらに別の例としての逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図14】本願の一実施例に係る沈積溝が設置された逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図15】本願の別の実施例に係る沈積溝が設置された逃がしキャビティの構造概略図である。
【
図16】本願のさらに別の実施例に係る沈積溝が設置された逃がしキャビティの構造概略図である。
【0047】
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、本願は記載された実施例に限定されない。
【0049】
本願の記載において説明すべきことは、別途説明されない限り、「複数」は、2つ以上という意味であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は、本願の説明を容易にして、説明を簡略化するものであるに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを示す又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明する目的で用いられるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示するものと理解すべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
【0050】
以下の説明に出現する方位表現はいずれも図に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の記載においてさらに説明すべきことは、別途明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0051】
本願の実施例において、同一の符号は同一の部材を示し、異なる実施例においては、簡潔にするために同一の部材の詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さ、幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ、幅等の寸法は例示的な説明に過ぎず、本願を何ら限定するものではない。
【0052】
本願において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができ、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは円筒、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
【0053】
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0054】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータで構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)又はポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは捲回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0055】
電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0056】
電池セルにとって、安全上の主な危険性は充電及び放電プロセスに由来し、同時に適切な環境温度設計を加味し、不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルは一般的に少なくとも三重の保護対策を有する。具体的には、保護対策は少なくともスイッチング素子、適切に選択したセパレータ材料及び減圧機構を含む。スイッチング素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が一定の閾値に達した場合、電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。セパレータは正極シートと負極シートを隔離するために用いられ、温度が一定値まで上昇した時にその上に付着したマイクロメートルオーダー(さらにはナノオーダー)の細孔を自ら溶解させ、それにより金属イオンが隔離膜を通過できないようにして、電池セルの内部反応を停止させる。
【0057】
減圧機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力又は温度を解放する素子又は部品である。前記閾値の設計は、設計要件によって異なる。前記閾値は電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料に依存する可能性がある。減圧機構は防爆弁、空気弁、減圧弁又は安全弁等の形式を用いることができ、且つ具体的には感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構が動作を実行するか又は減圧機構に設けられた脆弱構造が破壊され、内部圧力又は温度を逃がすことができる開口又は流路を形成する。
【0058】
本願で言及する「作動」とは、減圧機構が動作を生成し又は一定の状態まで活性化され、それにより電池セルの内部圧力及び温度を逃がすことである。減圧機構が生成する動作は、減圧機構の少なくとも一部が破裂すること、破砕すること、引き裂かれること又は開くこと等を含むがこれらに限定されない。減圧機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として作動した箇所から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セルから圧力及び温度を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
【0059】
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。
【0060】
電池セルにおける減圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電などの現象が発生すると、電池セル内部の熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇することがある。その場合、減圧機構を作動させることにより内部圧力及び温度を外部に逃がすことができる。
【0061】
電池の正常な使用過程において、外部からの力の衝撃を受ける可能性を回避することはできず、それにより電池セルにある程度の損傷をもたらし、電池の安全性能に影響を与える。例えば、いくつかの応用シーンにおいて、電池は電気自動車のシャーシに取り付けられ、且つ電気自動車に電力を提供することができるが、自動車の走行過程において揺れ、飛び石などの悪影響を受ける可能性があり、さらに電池に衝撃及び底部衝撃が生じる。
【0062】
これに鑑みて、本願の実施例は電池及び電力消費装置を提供する。当該電池は筐体、電池セルモジュール及び支持部材を含み、上記電池セルモジュールは上記筐体の電気キャビティに収容され、上記電池セルモジュールは第1方向に沿って配列された複数の電池セルを含み、上記電池セルモジュールにおける少なくとも2つの電池セルに減圧機構が設置され、当該減圧機構は上記電池セルの第1壁に設置され、上記支持部材は当該第1壁に取り付けられ、上記支持部材は電池セルモジュールにおける少なくとも2つの減圧機構に対応する逃がしキャビティを含み、当該逃がしキャビティは少なくとも2つの減圧機構の作動に変形空間を提供することに用いられる。これにより、本願の実施例において、電池に支持部材を設置し、且つ該支持部材が電池セルの第1壁に取り付けられることにより、電池セルに支持作用を提供することができ、それにより第1壁は優れた圧縮強度を有する。外部圧力が電池に作用する時、設置された支持部材は、大部分さらには全部の外部圧力を防ぎ止めることができ、それにより電池セルに対する外部圧力の影響を減少又は解消し、電池の耐圧性能及び安全性能を向上させる。また、電池セルの第1壁にさらに減圧機構が設置され、支持部材には電池セルモジュールにおける少なくとも2つの減圧機構に対応する逃がしキャビティが設置され、これにより、減圧機構の作動時に、支持部材の逃がしキャビティは減圧機構に変形空間を提供することに用いられ、支持部材が減圧機構を遮断することを回避し、さらに電池セルの排出物を減圧機構からスムーズに排出することができる。
【0063】
本願の実施例に記載の技術的解決手段はいずれも電池を使用する各種の電力消費装置に適用される。
【0064】
電力消費装置は車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、宇宙機、電動玩具、電動工具などであってもよい。車両はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。宇宙機は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。電動玩具はゲーム機、電動自動車玩具、電動船舶玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動工具は電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、電動インパクトドライバ、コンクリートバイブレータ及び電動カンナ等の金属切削工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動を含む。本願は上記電力消費装置について特に限定しない。
【0065】
なお、本願の実施例に記載の技術的解決手段は上記の電力消費装置に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての装置に適用できるが、以下の実施例は簡略化のために、電力消費装置が車両であることを例として詳細に説明する。
【0066】
例えば、
図1は本願の実施例に係る車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10を設置することができ、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1への給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の必要を賄う。本願の別の実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0067】
様々な使用電力の需要を満たすために、本願の実施例における電池10は電池セルモジュールであってもよく、電池パックであってもよい。電池10は少なくとも1つの電池セルモジュールを含むことができ、電池セルモジュールは複数の電池セルを含み、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池10が形成され、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池10は、電池パックとも呼ばれる。例えば、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されることにより電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池10を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池10を構成してもよい。
【0068】
図2は本願の実施例の電池10の分解構造概略図であり、
図3は本願の実施例の電池10の断面概略図であり、
図4は本願の実施例の電池10の別の例の断面概略図であり、例えば、
図3及び
図4に示される電池10は
図2に示される電池10の概略図であってもよい。
【0069】
図2から
図4に示すように、本願の実施例の電池10は、筐体11と、電池セルモジュール200と、支持部材13が含まれてもよく、筐体11は、電気キャビティを含み、電池セルモジュール200は、電気キャビティ11aに収容され、電池セルモジュール200は第1方向Xに沿って配列された複数の電池セル20を含み、電池セルモジュール200における少なくとも2つの電池セル20に減圧機構213が設置され、減圧機構213は電池セル20の第1壁25に設置され、支持部材13は、第1壁25に取り付けられて電池セル20を支持し、支持部材13は電池セルモジュール200における少なくとも2つの減圧機構213に対応する逃がしキャビティ131を含み、逃がしキャビティ131は少なくとも2つの減圧機構213の作動に変形空間を提供することに用いられる。
【0070】
なお、本願の実施例の電池セル20の形状は、実際の用途に応じて設定することができる。例えば、電池セル20は多面体構造であってもよく、多面体構造は複数の壁で囲まれて形成され、従って、電池セル20に複数の壁が含まれてもよい。ここで、電池セル20の第1壁25に減圧機構213が設置される。第1壁25は電池セル20のいずれか1つの壁であってもよく、例えば、第1壁25は電池セル20の面積が最小の壁であってもよい。又は、第1壁25は電池セル20の面積が最大の壁であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0071】
なお、本願の実施例の筐体11の電気キャビティ11aは少なくとも1つの電池セル20を収容することに用いられ、即ち電気キャビティ11aは電池セル20の取り付け空間を提供する。電気キャビティ11aは封止されていても、封止されていなくてもよい。
【0072】
選択的に、電気キャビティ11aの形状は収容される電池セル20に基づいて決定することができる。例えば、
図2又は
図3に示すように、電気キャビティ11aは中空の直方体であってもよく、少なくとも6つの壁で囲まれて形成され、加工が容易である。且つ、本願の実施例の電気キャビティ11aは様々な方法で形成することができる。例えば、
図2及び
図3に示すように、筐体11は形状が同じ又は異なる複数の部分が含まれてもよく、複数の部分の間は互いに接続及び係合されて、中空の直方体を形成するが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0073】
なお、本願の実施例の電気キャビティ11aは、収容される電池セル20の数を制限しない。さらに、電気キャビティ11a内に他の部材が設置されてもよく、例えば、電気キャビティ11aに電池セル20を固定するための構造が含まれてもよい。
【0074】
さらに、本願の実施例の電気キャビティ11aはバス部材12を収容することに用いられてもよく、すなわち電気キャビティ11aは電池セル20及びバス部材12の取り付け空間を提供する。バス部材12は複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。バス部材12は電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バス部材12は溶接により電池セル20の電極端子214に固定されてもよい。
【0075】
なお、本願の実施例が提供する支持部材13の材料は良好な延性及び高い強度を有する材料であってもよく、外部圧力を緩衝し且つ防ぎ止めることができ、且つ高い圧縮強度を有する。一例として、支持部材13の材料は、銅、アルミニウムなどの金属材料であってもよい。又は、支持部材13の材料は、マイカ、セラミックなどの一定の強度を有する非金属材料であってもよい。
【0076】
本願の実施例の支持部材13は逃がしキャビティ131を含み、逃がしキャビティ131は少なくとも2つの減圧機構213の作動のために変形空間を提供することに用いられる。ここで、本願の実施例に係る「変形空間」とは、減圧機構213の作動過程において(例えば、減圧機構213の少なくとも一部が破壊される)、減圧機構213の内部又は外部の作動方向(即ち破壊される方向)において必要とされる空間を指す。
【0077】
本願の実施例において、電池10に支持部材13が設置され、且つ支持部材13が電池セル20の第1壁25に取り付けられることにより、電池セル20に支持作用を提供することができ、それにより第1壁25は優れた圧縮強度を有する。外部圧力が電池10に作用する時、設置された支持部材13は大部分、さらには全ての外部圧力を防ぎ止めることができ、それにより電池セル20に対する外部圧力の影響を減少又は解消し、電池10の耐圧性能及び安全性能を向上させる。また、電池セル20の第1壁25にさらに減圧機構213が設置され、支持部材13には電池セルモジュール200における少なくとも2つの減圧機構213に対応する逃がしキャビティ131が設置され、これにより、減圧機構213の作動時に、支持部材13の逃がしキャビティ131は減圧機構213に変形空間を提供することに用いられ、支持部材13が減圧機構213を遮断することを回避し、さらに電池セル20の排出物を減圧機構213からスムーズに排出することができる。
【0078】
なお、本願の実施例の筐体11は様々な方法で実現することができ、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、
図2~
図3に示すように、電気キャビティ11aについて、筐体11に開口を有する第1カバー110が含まれてもよく、支持部材13は第1カバー110の開口をカバーし、電気キャビティ11aを形成する。これにより、電気キャビティ11aを形成するための壁は第1カバー110及び支持部材13を含む。第1カバー110は様々な方法で実現することができる。例えば、第1カバー110は一端が開口した中空の一体式構造であってもよく、又は、第1カバー110に第1部分111及び対向する両側にそれぞれ開口を有する第2部分112が含まれてもよく、第1部分111は第2部分112の一方の側の開口をカバーし、それにより一端が開口した第1カバー110が形成され、支持部材13は第2部分112の他の側の開口をカバーし、それにより電気キャビティ11aを形成する。
【0079】
さらに例えば、上記
図2及び
図3に示される方法とは異なり、筐体11に密閉された第2カバーが含まれてもよく、第2カバーは電気キャビティ11aを形成することに用いることができ、又は、支持部材13を第2カバーの内部に設置することにより、第2カバーの内部で電気キャビティ11aを隔離し、さらに、収集キャビティ11bを隔離することもできる。第2カバーも様々な方法で実現することができ、例えば、第2カバーに第3部分及び第4部分が含まれてもよく、第4部分の片側は開口を有し半密閉構造が形成され、支持部材13は第4部分の内部に設置され、第3部分は第4部分の開口をカバーし、密閉された第2カバーを形成する。
【0080】
具体的には、いくつかの実施例において、
図2及び
図3に示すように、電池10はさらに、減圧機構213の作動時に電池セル20からの排出物を収集することに用いられる収集キャビティ11bを含み、本願の実施例での支持部材13はさらに収集キャビティ11bと電気キャビティ11aを隔離することに用いられる。収集キャビティ11bは減圧機構213の作動時に電池セル20からの排出物を集中的に收集及び/又は処理することができ、さらに排出物を電池10の外部に排出することができる。同時に、本願の実施例における支持部材13は隔離部材として電池セル20を収容する電気キャビティ11aと排出物を収集する収集キャビティ11bとを分離することができ、両者の間の相互影響を回避し、少なくとも一部の排出物が収集キャビティ11bから電気キャビティ11aに入ることを防止して、熱拡散を回避することができる。
【0081】
なお、本願の実施例において収集キャビティ11bは封止されていても、封止されていなくてもよい。いくつかの実施例において、収集キャビティ11b内に空気又はその他の気体が含まれていてもよい。選択的に、収集キャビティ11bに入る排出物の温度をさらに下げるために、収集キャビティ11b内に冷却媒体などの液体が含まれてもよく、又は、液体の部材が設置されてよい。さらに選択的に、収集キャビティ11b内の気体又は液体は循環し流動するように設置されてもよい。
【0082】
なお、本願の実施例において、上記支持部材13は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bが共用する壁が含まれてもよく、支持部材13又はその一部をそのまま電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの共用の壁とすることができ、これにより、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとの間の距離を短縮することができ、電池10の空間を節約して、筐体11の空間利用率を向上させる。
【0083】
選択的に、いくつかの実施例において、電池10はさらに、支持部材13と囲んで上記収集キャビティ11bを形成することに用いられる保護部材113を含む。本願の実施例において、保護部材113と支持部材13が収集キャビティ11bを形成することにより、減圧機構213を介して排出された排出物を効果的に收集及び緩衝することができ、その危険性を低下させる。同時に、保護部材113は支持部材13を保護する役割を果たすことができ、支持部材13が異物に破壊されることを防止する。
【0084】
選択的に、いくつかの実施例において、本願の実施例における支持部材13は、電池セル20の温度を調節することに用いられる熱管理部材139であってもよい。例えば、熱管理部材139は電池セル20を冷却又は加熱することに用いることができ、電池10の温度を相対的に安定させ、電池10の作動効率を向上させる。
【0085】
具体的には、本願の実施例における熱管理部材139は流体又は固液相変化材料を収容して複数の電池セル20の温度を調節することができ、又は、熱管理部材139は流体又は固液相変化材料を収容することに用いられる流路が含まれてもよい。流体は液体又は気体であってもよく、固液相変化材料の元の状態は固体であり、吸熱後に液体に変化してもよく、温度を調節するとは複数の電池セル20を加熱又は冷却することである。電池セル20を冷却し又はその温度を下げる場合、熱管理部材139は冷却流体又は固液相変化材料を収容して複数の電池セル20の温度を低下させるために用いられ、この時、熱管理部材139は冷却部材、冷却システム又は冷却プレート等と称するとこともでき、収容される流体は冷却媒体又は冷却流体と称することもでき、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと称することもできる。また、本願の実施例における熱管理部材139は加熱して複数の電池セル20を昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。選択的に、流体は、より良好な温度調節効果を達成するために、循環流であってもよい。選択的に、上記流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
【0086】
なお、本願の実施例は、熱管理部材139と電池セル20との接続方式について限定しない。例えば、接着剤によって熱管理部材139と電池セル20を固定してもよい。
【0087】
選択的に、いくつかの実施例において、上記の設置方法とは異なり、
図4に示すように、電池10における支持部材13は筐体11の壁の少なくとも一部であってもよく、支持部材13は減圧機構213の作動時に電池セル20からの排出物が支持部材13を突き抜けて筐体11から排出されることに用いられる。本願の実施例において、支持部材13を筐体11の壁の少なくとも一部とすることにより、減圧機構213を介して排出される排出物は支持部材13を介して直接筐体11の外部に排出することができ、電池10の空間を節約でき、筐体11の空間利用率を向上させ、電池10の取り付けがしやすく、電池10の加工効率を向上させる。例えば、電池セル20に熱暴走が発生した時、減圧機構213を介して排出される排出物は支持部材13の少なくとも一部を破壊することにより、排出物を筐体11の外部に排出することができる。さらに、支持部材13にバランス弁が設置されてもよく、減圧機構213の作動時に、バランス弁を破壊してもよく、電池セル20が生成する排出物はバランス弁を経由して筐体11の外部に排出される。なお、上記に示す排出物を筐体11の外部に排出する方法は例示に過ぎず、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0088】
本願の実施例において、電池セル20の第1壁25に第1減圧機構213が設置される。
図5は本願の実施例の電池セル20の分解構造概略図であり、例えば、
図5に示す電池セル20は
図2及び
図4に示す電池10におけるいずれか1つの電池セル20であってもよい。
図5に示すように、電池セル20は外ケース21を含み、外ケース21は複数の壁が含まれてもよく、すなわち複数の壁で囲まれて中空の外ケース21が形成される。外ケース21はハウジング211及びカバープレート212が含まれてもよい。ハウジング211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と称される。ハウジング211の形状は内部の1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定することができ、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円筒であってもよく、且つハウジング211の少なくとも1つの面は開口を有しており、1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することができる。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211の少なくとも1つの平面は開口面であり、即ち開口面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211は中空の円筒であってもよく、その場合ハウジング211の2つの端面のうち各端面はいずれも開口面であってもよく、すなわち端面は壁体を有さずハウジング211の内外を連通させる。少なくとも1つのカバープレート212を設置することにより、それぞれハウジング211の少なくとも1つの開口を覆うことができ、且つ各カバープレート212はハウジング211に接続され、電極アセンブリ22が配置される密閉されたキャビティを形成する。ハウジング211の中には電解質、例えば電解液が充填される。
【0089】
本願の実施例の電池セル20の第1壁25上に減圧機構213が設置され、減圧機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を逃がすために用いられる。選択的に、第1壁25は電池セル20のいずれか1つの壁であってもよい。例えば、第1壁25は電池セル20の面積が最大の壁であってもよい。さらに、
図5に示すように、第1壁25は電池セル20の面積が最小の壁であってもよく、例えば、第1壁25はハウジング211の底壁であってもよく、それにより取り付けが容易である。説明の便宜上、本願の実施例は主に第1壁25が電池セル20のハウジング211の底壁であることを例として説明し、且つ、表示の便宜上、
図5において第1壁25をハウジング211から分離しているが、これはハウジング211の底側に開口があるか無いかを限定するものではなく、すなわち底壁とハウジング211の側壁とは、一体構造であってもよく又は相互に独立した2つの部分が一体に接続されたものであってもよい。
【0090】
具体的には、
図5に示すように、減圧機構213は第1壁25の一部であってもよいし、第1壁25とは別体の構造であって、例えば溶接する方法で第1壁25に固定されていてもよい。減圧機構213が第1壁25の一部である場合、すなわち減圧機構213は第1壁25と一体成形されてもよく、減圧機構213は、第1壁25に浅い溝又は凹溝を設ける方法で形成することができ、浅い溝は、第1壁25の減圧機構213が位置する領域の厚さを、第1壁25の減圧機構213以外の他の領域の厚さよりも小さくさせる。電池セル20が生成する気体が多すぎてハウジング211の内部圧力が上昇し且つ閾値に達するか、又は電池セル20の内部反応により熱が発生して電池セル20の内部温度が上昇し且つ閾値に達した場合、電池セル20は浅い溝の箇所で破裂して外ケース21の内外を連通させ、気体の圧力及び温度は減圧機構213の裂開により外へ逃がされる。
【0091】
選択的に、本願の実施例の減圧機構213は様々な可能な減圧構造であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融するように構成された感温減圧機構であってもよく、及び/又は、減圧機構213は、減圧機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂するように構成された感圧減圧機構であってもよい。
【0092】
選択的に、本願の一実施例において、減圧機構213が電池セル20の第1壁25に設置された状況下で、電池セル20の外ケース21にさらに電極端子214が設置されてもよく、電極端子214が位置する壁は第1壁25と同じであっても又は異なっていてもよい。例えば、
図5に示すように、本願の実施例は電極端子214が位置する壁は第1壁25と異なることを例として説明する。例えば、電極端子214が位置する壁は第1壁25に対向して設置され、第1壁25は電池セル20の底壁であってもよく、その場合、電極端子214が位置する壁は電池セル20のカバープレート212であってもよく、それにより電池セル20は、減圧機構213を通過して排出された排出物が電極端子214に影響を与えることがなく、短絡を回避し、電池セル20の安全性を向上させる。
【0093】
具体的には、
図5に示すように、電池セル20に少なくとも2つの電極端子214が含まれてもよく、少なくとも2つの電極端子214は同一の壁に設置されてよく、又は異なる壁に設置されてもよい。
図5は、電池セル20に2つの電極端子214が含まれ、且つ2つの電極端子214は平板形状のカバープレート212に設置されることを例としている。少なくとも2つの電極端子214は少なくとも1つの正電極端子214a及び少なくとも1つの負電極端子214bを含むことができる。
【0094】
本願の実施例の電極端子214は電極アセンブリ22と電気的に接続されて、電気エネルギーを出力することに用いられる。例えば、各電極端子214にそれぞれ1つの連結部材23が対応して設置されてもよく、又は集電部材と呼ぶこともでき、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214を電気的に接続するために用いられる。
【0095】
図5に示すように、各電極アセンブリ22は第1タブ221及び第2タブ222を有する。第1タブ221と第2タブ222の極性は反対である。例えば、第1タブ221が正極タブである場合、第2タブ222は負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221は、1つの連結部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222は、別の連結部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214は1つの連結部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214は別の連結部材23を介して負極タブに接続される。
【0096】
電池セル20において、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置することができ、
図5は、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置されることを示しているが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0097】
選択的に、
図5に示すように、電池セル20にさらにパッド24が含まれてもよく、パッド24は電極アセンブリ22とハウジング211の底壁との間に位置し、電極アセンブリ22を支持する役割を果たすことができ、さらに電極アセンブリ22とハウジング211の底壁周囲のフィレットとが干渉することを効果的に防止する。さらに、パッド24に1つ又は複数の貫通孔が設置されてもよく、例えば、均一に配列された複数の貫通孔が設置されてもよく、又は、減圧機構213がハウジング211の底壁に設置される場合、減圧機構213に対応する位置に貫通孔が設置されてもよく、それにより液体や気体の導通が容易になり、具体的には、これによりパッド24の上下表面の空間を連通させることができ、電池セル20の内部で発生した気体及び電解液はいずれもパッド24を自在に通過することができる。
【0098】
図6は本願の実施例の電池10の別の例の断面概略図であり、例えば、
図6に示す電池10は
図2に示す電池10であってもよく、例えば、
図6に示す断面は
図3及び
図4に示す断面に垂直である。なお、本願の実施例において、
図6に示す断面は電池10の第3方向Yに垂直な断面であってもよく、
図3及び
図4に示す断面は電池10の第1方向Xに垂直な断面であってもよく、第1方向Xは第3方向Yに垂直である。例えば、第1方向X又は第3方向Yは
図2又は
図6における複数の電池セル20の配列方向であってもよい。第1方向X及び第3方向Yはさらに第1壁25に平行であってもよく、即ち第1壁25が位置する第1平面に平行であってもよい。
【0099】
図2から
図6に示すように、本願の実施例の支持部材13の電池セルモジュール200に近接する表面に逃がし開口132が設置され、少なくとも2つの減圧機構213は逃がし開口132に面し、逃がしキャビティ131は逃がし開口132と連通する。これにより、支持部材13の電池セルモジュール200に近接する表面に逃がし開口132が設置されることにより、減圧機構213の作動時に、減圧機構213から排出された排出物は逃がし開口132を介して逃がしキャビティ131に迅速に入ることができ、排出物が電気キャビティ11a内に堆積することを回避し、それにより排出物が電気キャビティ11aの電気的接続部材に導通して短絡が発生することをできるだけ回避し、電池の安全性を向上させる。
【0100】
選択的に、一実施例として、減圧機構213の作動時に、電池セル20からの排出物は逃がし開口132を経由して上記逃がしキャビティ131に入り、逃がしキャビティ131から排出される。電池セル20に熱暴走が発生すると、逃がしキャビティ131内部の空間が限られているため、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131内に堆積して減圧機構213に熱影響を与えやすく、電池セル20間の熱拡散を引き起こすが、本願の実施例において、排出物は逃がし開口132を経由して逃がしキャビティ131に迅速に入り、且つ排出物を逃がしキャビティ131の外部に排出し、排出物が逃がしキャビティ131に堆積することによる熱拡散を回避することに有利であり、それにより電池10の安全性を向上させる。
【0101】
選択的に、本願の1つの実施例において、上記逃がしキャビティ131及び/又は逃がし開口132は第1方向Xに沿って連続的に設置されてもよい。これにより、第1方向Xに沿って連続的に逃がしキャビティ131を設置することにより、逃がしキャビティ131は複数の減圧機構213に対応することができ、及び/又は、第1方向Xに沿って連続的に逃がし開口132を設置し、逃がし開口132は複数の減圧機構213に対応することができ、それにより、第1方向Xに沿って配列された複数の減圧機構213に対して、そのうちの1つ又は複数の減圧機構213が逃がしキャビティ131に対応しないこと又は逃がし開口132に対応しないことを回避し、即ち、隣接する2つの逃がしキャビティ131の間の減圧機構213が逃がしキャビティ131に対応しないという状況が存在することを回避し、隣接する2つの逃がし開口132の間の減圧機構213が逃がし開口に対応しないという状況が存在することも回避し、第1方向Xに沿って配列された複数の減圧機構213のうちの各減圧機構213から排出された排出物はいずれも逃がし開口132を経由して逃がしキャビティ131に入ることができ、同時に、構造はシンプルで、電池10の加工及び組み立てがしやすい。
【0102】
なお、減圧機構213の作動時に、電池セル20からの排出物は逃がし開口132を経由して上記逃がしキャビティ131に入り、且つ、様々な方法で逃がしキャビティ131から排出される。例えば、逃がしキャビティ131を合理的に設置することにより、逃がしキャビティ131から排出された排出物が電池10を破壊することを回避し、電池10の安全性を保証する。
【0103】
図7は本願の実施例の電池10の部分拡大図であり、例えば、
図7は
図6に示す領域Aの拡大図である。選択的に、
図6及び
図7に示すように、一実施例として、本願の実施例における逃がしキャビティ131に脆弱領域133が設置されてもよく、脆弱領域133は減圧機構213の作動時に、減圧機構213を介して排出される排出物が脆弱領域133を突き抜けて逃がしキャビティ131から排出されることに用いられる。これにより、電池セル20に熱暴走が発生した時、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131に入った後、逃がしキャビティ131の脆弱領域133を介して排出することができ、排出物が逃がしキャビティ131に堆積することによる熱拡散を効果的に回避することができるだけでなく、指向性排出を実現することもでき、例えば、脆弱領域133の位置を合理的に設置することにより、特定の領域から排出物を排出し、排出物が他の部品に影響を与えることを回避し、それにより電池10の安全性を向上させる。
【0104】
具体的には、本願の実施例において、脆弱領域133は様々な方法により実現することができる。例えば、
図6及び
図7に示すように、脆弱領域133は減圧機構213の作動時に破壊されて、排出物を逃がしキャビティ131から排出させることに用いることができる。減圧機構213が作動していない時、例えば、電池の正常な使用過程において、逃がしキャビティ131は相対的に密封状態にあり、逃がしキャビティ131が外部からの力で破壊されることから効果的に保護することができる。減圧機構213の作動時に、逃がしキャビティ131上の脆弱領域133の強度は逃がしキャビティ131上の脆弱領域133以外の領域の強度よりも低いため、脆弱領域133は破壊されやすく、電池セル20からの排出物は脆弱領域133を突き抜けて逃がしキャビティ131の外部から排出される。
【0105】
選択的に、本願の実施例において、上記逃がしキャビティ131は底壁134及び側壁135が含まれてもよく、底壁134は第1壁25に相対的に設置され、側壁135は底壁134に接続され且つ第1壁25に向かって延伸し、脆弱領域133は底壁134及び/又は側壁135に設置される。脆弱領域133が逃がしキャビティ131の底壁134に設置される時、電池セル20に熱暴走が発生する状況において、減圧機構213を介して排出される排出物は重力作用を受けて底壁134に堆積し、逃がしキャビティ131の底壁134の脆弱領域133を介して逃がしキャビティ131の外部に直接迅速に排出することができ、電池10の安全性を向上させる。また、電池セル20に熱暴走が発生した状況では、減圧機構213を介して排出された高温高圧の排出物が逃がしキャビティ131に入る場合、逃がしキャビティ131の側壁135の方向に排出され、逃がしキャビティ131の側壁135の遮断作用により、側壁135に近接する領域に堆積し、従って、逃がしキャビティ131の側壁135に脆弱領域133を設置することにより、排出物を直ちに排出することに有利であり、排出物が逃がしキャビティ131の側壁135に堆積することを効果的に回避する。
【0106】
一実施形態において、脆弱領域133は底壁134及び/又は側壁135の第1方向Xに沿った端部に設置されてもよい。本願の実施例において、
図6及び
図7に示すように、電池セル20に熱暴走が発生した場合、逃がしキャビティ131の側壁135の排出物に対する遮断作用のために、排出物は一般的に逃がしキャビティ131の底壁134と側壁135との交差部分に最も多く堆積し、同時に、いくつかの実施形態において、逃がしキャビティ131の底壁134と側壁135との交差部分の密封性が悪いため、交差部分の密封不良箇所に気流通路が形成され、内外圧力差の作用下で、電池10の熱暴走の過程で生成された気流は排出物を逃がしキャビティ131の底壁134と側壁135との交差部分に移動させ、さらに排出物が逃がしキャビティ131の底壁134と側壁135との交差部分に堆積することを促進する。また、逃がしキャビティ131に対応する複数の減圧機構213が第1方向Xに沿って配列される状況で、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿って相対的に設置される2つの側壁は他の壁に比べてサイズが小さいため、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131の底壁134及び/又は側壁135の第1方向に沿った端部に最も多く堆積し、減圧機構213に大きな影響を与え、電池セル20の熱拡散を引き起こしやすく、脆弱領域133を底壁134及び/又は側壁135の第1方向Xに沿った端部に設置することにより、排出物が逃がしキャビティ131に堆積することによる熱拡散を効果的に回避し、それにより電池10の安全性を向上させる。
【0107】
選択的に、本願の実施例において、上記脆弱領域133は、以下を満たす。
【数3】
ここで、dは脆弱領域133の最小厚さであり、Eは電池セル20の体積エネルギー密度である。d/Eの値を合理的に設定することにより、電池セル20が生成する排出物を直ちに且つスムーズに排出させることができ、電池10の安全性を向上させる。
【0108】
具体的には、d/Eの値の設定が大きすぎると、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の最小厚さdの設定が相対的に大きくなり、電池セル20の体積エネルギー密度Eの設定が相対的に小さくなる可能性がある。これにより、電池セル20に熱暴走が発生する場合に排出される排出物の温度又は圧力が低く、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の最小厚さdの設定が大きすぎる場合、排出物が逃がしキャビティ131を破壊し直ちに排出物を排出することが困難になり、又は逃がしキャビティ131を破壊するためにかかる時間が長くなりすぎて、最終的に排出物が減圧機構213の下の逃がしキャビティ131内に制限され、逃がしキャビティ131の空間が限られており、堆積された排出物はそれに対応する電池セル20に不利的な影響を与え、これにより電池セル20間の熱拡散現象を引き起こしやすくなる。従って、d/Eの値の設定が大きすぎることは好ましくない。
【0109】
反対に、d/Eの値の設定が小さすぎることも好ましくない。電池セル20自体の構造上の制約により、電池セル20の体積エネルギー密度Eには上限値が存在する。従って、d/E値の設定が小さすぎると、即ち電池10の体積エネルギー密度Eが一定である状況では、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の最小厚さdは小さくなり、逃がしキャビティ131の構造強度が不足し、電池10を正常に使用する状況下で破損が発生しやすくなり、逃がしキャビティ131の密封性が低下し、電池10の安全性も低下する。
【0110】
従って、本願の実施例におけるd/Eの値の設定は大きすぎても小さすぎても好ましくなく、例えば、d/Eの値は、以下の数値に設定されてもよく、又は、その数値は以下の任意の2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【数4】
【0111】
さらに例えば、本願の実施例における脆弱領域133はさらに、以下を満たす。
【数5】
本願の実施例において、脆弱領域133的最小厚さdの設定は大きすぎても小さすぎても好ましくなく、例えば、脆弱領域133の最小厚さdの値の範囲は[0.1mm、1.5mm]である。さらに例えば、脆弱領域133の最小厚さdの値の範囲は[0.13mm、1.0mm]に設定されてよく、これにより電池セル20に熱暴走が発生しても、生成された排出物が脆弱領域133を破壊するためにかかる時間は短い。脆弱領域133の最小厚さdの値の設定が小さすぎる場合、脆弱領域133の強度が不足する可能性があり、電池10の正常な使用状況下で脆弱領域133に破損や亀裂が生じやすく、逃がしキャビティ131の密封性に影響する。脆弱領域133の最小厚さdの設定が大きすぎる場合、電池セル20に熱暴走が発生した時、生成される排出物が脆弱領域133を破壊しにくく又は排出物が脆弱領域133を破壊するためにかかる時間が長くなり過ぎて、電池10の熱暴走の発生を悪化させる。従って、脆弱領域133の最小厚さdは0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm又は1.5mmに設定されてもよく、又は、その数値は上記任意の2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【0112】
本願の実施例において、電池セル20の体積エネルギー密度Eの設定も大きすぎても小さすぎても好ましくなく、電池セル20の体積エネルギー密度Eは実際の用途に応じて設定することができる。例えば、電池セル20の体積エネルギー密度の値の範囲は[500Wh/L,1000Wh/L]である。電池セル20の体積エネルギー密度Eの設定が小さすぎると、電池10のエネルギー需要を満たすことができず、電池セル20の体積エネルギー密度Eの設定が大きすぎると、電池セル20の加工難易度を増加させ、実現が難しい。従って、電池セル20の体積エネルギー密度Eは500Wh/L、550Wh/L、600Wh/L、650Wh/L、700Wh/L、750Wh/L、800Wh/L、850Wh/L、900Wh/L、950Wh/L又は1000Wh/Lに設定されてよく、又は、その数値は上記任意の2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【0113】
具体的には、一実施形態において、電池10における脆弱領域133の異なる最小厚さdと異なる体積エネルギー密度Eの状況において、脆弱領域133の同じ実験条件下での性能試験結果は表1に示すとおりである。
【0114】
【0115】
上記表1に示すように、第1列のデータは異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の最小厚さdの値を示す。第2列のデータは異なる実施例及び比較例の電池セル20の体積エネルギー密度Eの値を示す。第3列のデータは異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の最小厚さdと電池セル20の体積エネルギー密度Eとの比を示す。第4列は異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の振動衝撃をシミュレーションした実験条件下での性能試験結果を示し、振動衝撃は電池10の正常な使用過程において受ける可能性がある外部からの力の作用をシミュレーションしており、試験結果は脆弱領域133が破壊されていない状況と脆弱領域133が破壊された状況とを含む。第5列は異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下での性能試験結果を示し、試験結果は脆弱領域133が減圧機構213を介して排出された排出物によって破壊された状況と脆弱領域133が減圧機構213から排出された排出物に破壊されていない状況とを含む。
【0116】
実施例1から実施例9におけるd/E値の範囲は以下の通りである。
【数6】
振動衝撃をシミュレーションした実験条件下で、実施例1から実施例9に対応する電池10の脆弱領域133は破壊されておらず、即ち脆弱領域133は電池10の正常な使用過程において、良好な性能を保証することができる。同時に、電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下で、減圧機構213を介して排出された排出物は直ちに且つスムーズに逃がしキャビティ131の脆弱領域133を破壊することができ、直ちに排出物を逃がしキャビティ131の外部に排出し、電池10の熱拡散現象の発生を回避する。
【0117】
上記表1に示すように、比較例1から比較例3におけるd/Eの値はそれぞれ以下の通りである。
【数7】
d/Eの値が小さいため、振動衝撃をシミュレーションした実験条件下で、比較例1から比較例3に対応する電池10における逃がしキャビティ131の脆弱領域133はいずれも破壊され、この時、逃がしキャビティ131上の脆弱領域133の強度は低く、車両の正常な走行動作において破損が発生しやすく、逃がしキャビティ131の気密性に影響を与え、電池10の安全性を低下させる。
また、比較例4から比較例6におけるd/Eの値はそれぞれ以下の通りである。
【数8】
この時、d/E的の値が大きいため、電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下で、減圧機構213を介して排出された排出物は脆弱領域133を破壊して、排出物を逃がしキャビティ131の外部から排出しにくく、大量の排出物を逃がしキャビティ131の内部に堆積させ、電池10の熱拡散現象の発生を引き起こす可能性があり、電池10の安全性に影響を与える。従って、電池10の安全性を保証するために、本願の実施例におけるd/Eの値が大きすぎる又は小さすぎることは好ましくない。
【0118】
選択的に、本願の実施例において、上記脆弱領域133は、以下を満たす。
【数9】
ここで、T
1は上記脆弱領域133の材料の融点であり、Eは電池セル20の体積エネルギー密度である。T
1/Eの値を合理的に設定することにより、電池セル20が生成する排出物を直ちに且つスムーズに排出させることができ、電池10の安全性を向上させる。
【0119】
具体的には、T1/Eの値が小さすぎる場合、電池セル20自体の構造上の制約により、電池セルの体積エネルギー密度Eには上限値が存在する。すなわち電池セル20の体積エネルギー密度Eが一定の状況下では、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の材料の融点T1の値は小さくなり、一方では材料選択の難易度が増加し、他方では逃がしキャビティ131の構造強度も不足し、電池10の正常な使用状態において、例えば充放電過程において、電池10の温度が上昇する状況が存在する可能性があり、逃がしキャビティ131の脆弱領域133は電池10の正常使用状況において軟化又は溶融しやすく、逃がしキャビティ131の密封性を低下させ、電池10の安全性も低下させる。
【0120】
反対に、T1/Eの値が大きすぎる場合、すなわち逃がしキャビティ131の脆弱領域133の材料の融点T1の設定が相対的に大きく、且つ電池セル20の体積エネルギー密度Eの設定が相対的に小さい場合、対応して、電池セル20に熱暴走が発生した時に減圧機構213を介して排出される排出物の温度が低く、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の材料の融点T1の設定が高すぎる場合、排出物は逃がしキャビティ131の脆弱領域133を溶融して排出物を直ちに排出しにくく、又は逃がしキャビティ131の脆弱領域133を溶融するためにかかる時間が長くなりすぎ、排出物が減圧機構213に対応する逃がしキャビティ131内に制限され、逃がしキャビティ131の空間が限られており、減圧機構213に対する熱影響が生じ、これにより電池セル20間の熱拡散現象を引き起こしやすくなる。
【0121】
従って、本願の実施例におけるT
1/Eの値の設定は大きすぎても小さすぎても好ましくない。例えば、T
1/Eの値は、以下の数値に設定されてもよく、又は、その数値は以下の任意の2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【数10】
【0122】
本願の実施例において、脆弱領域133の材料の融点T1の設定は大きすぎても、小さすぎても好ましくなく、例えば、脆弱領域133の材料の融点T1の値の範囲は[100℃、600℃]である。さらに例えば、脆弱領域133の材料の融点T1の値の範囲は[100℃、400℃]に設定されてもよく、これにより電池セル20に熱暴走が発生しても、生成された排出物が脆弱領域133を破壊するためにかかる時間は短い。脆弱領域133の材料の融点T1の設定が低すぎる場合、電池の正常な使用状況下で脆弱領域133に軟化又は溶融現象が発生し、逃がしキャビティ131の密封性に影響を与える。脆弱領域133の材料の融点T1の設定が高すぎる場合、電池セル20に熱暴走が発生した時、生成される排出物が脆弱領域133を溶融しにくく又は排出物が脆弱領域133を溶融するために掛かる時間が長くなりすぎて、電池10に熱拡散が発生する可能性がある。従って、脆弱領域133の材料の融点T1は100℃、200℃、300℃、400℃、500℃又は600℃に設定されてもよく、又は、その数値は上記任意2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【0123】
なお、本願の実施例における電池セル20の体積エネルギー密度Eの値の範囲はすでに上記で詳細に説明しており、重複を回避するためにここでは説明を省略する。
【0124】
具体的には、一実施形態において、電池10は脆弱領域133の異なる材料の融点T1と異なる体積エネルギー密度Eの状況において、脆弱領域133の同じ実験状況下の性能試験結果は表2に示すとおりである。
【0125】
【0126】
上記表2に示すように、第1列のデータは異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の材料の融点T1の値を示す。第2列のデータは異なる実施例及び比較例の電池セル20の体積エネルギー密度Eの値を示す。第3列のデータは異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の融点T1と電池セル20の体積エネルギー密度Eとの比を示す。第4列は異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の振動衝撃をシミュレーションした実験条件下での性能試験結果を示し、振動衝撃は電池10の正常な使用過程において受ける可能性がある外部からの力の作用をシミュレーションしており、試験結果は脆弱領域133が破壊されていない状況と脆弱領域133が破壊された(溶融又は軟化現象が発生した)状況とを含む。第5列は異なる実施例及び比較例の脆弱領域133の電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下での性能試験結果を示し、試験結果は脆弱領域133が減圧機構213を介して排出された排出物によって破壊された状況と脆弱領域133が減圧機構213から排出された排出物によって破壊されていない状況とを含む。
【0127】
実施例1~実施例9におけるT
1/Eの値の範囲は以下の通りである。
【数11】
振動衝撃をシミュレーションした実験条件下で、実施例1~実施例9に対応する電池10における脆弱領域133は破壊されていない。同時に、電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下では、減圧機構213を介して排出された排出物は直ちに且つスムーズに逃がしキャビティ131の脆弱領域133を破壊することができ、直ちに排出物を逃がしキャビティ131の外部から排出し、電池10の熱拡散現象の発生を回避する。
【0128】
上記表2に示すように、比較例1~比較例3におけるT
1/Eの値はそれぞれ以下の通りである。
【数12】
上記T
1/Eの値が小さいため、振動衝撃をシミュレーションした実験条件下で、比較例1~比較例3に対応する逃がしキャビティ131の脆弱領域133は破壊され(軟化又は溶融現象が発生した)、逃がしキャビティ131の気密性に影響を与え、電池10の安全性を低下させる。
次に、比較例4~比較例6におけるT
1/Eの値はそれぞれ以下の通りである。
【数13】
上記T
1/Eの値が大きいため、電池セル20に熱暴走が発生したことをシミュレーションした実験条件下で、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131の脆弱領域133を破壊せず(溶融しにくく又は直ちに溶融しにくい)、大量の排出物を逃がしキャビティ131の内部に堆積させ、電池10の熱拡散現象の発生を引き起こす可能性がある。従って、電池10の安全性を保証するために、本願の実施例におけるT
1/Eの値が大きすぎる又は小さすぎることは好ましくない。
【0129】
選択的に、本願の実施例において、逃がしキャビティ131の脆弱領域133の実現方法は実際の用途に応じて柔軟に設定することができる。例えば、上記脆弱領域133の厚さを、逃がしキャビティ131の脆弱領域133以外の領域の厚さよりも小さく設定することで、電池10の加工及び組み立てがしやすい。例示的に、脆弱領域133が逃がしキャビティ131の第1方向に沿った側壁135に設置される場合、電池10の使用過程において、逃がしキャビティ131の底壁134が受ける外部環境の衝撃力は、一般的に逃がしキャビティ131の側壁135よりも大きく、逃がしキャビティ131の構造強度を保証するために、逃がしキャビティ131の底壁134の厚さは、側壁135の脆弱領域133の厚さよりも大きくなるように設定されてもよい。対応して、電池セル20に熱暴走が発生した状況下で、排出物が直ちに且つスムーズに脆弱領域133を突き破ることを保証するために、逃がしキャビティ131の底壁134の最小厚さDは、d≦(D-0.2mm)を満たすものであってもよい。
【0130】
選択的に、本願の実施例において、脆弱領域133の材料の融点を逃がしキャビティ131における脆弱領域133以外の領域の材料の融点より小さく設定することができる。それにより、逃がしキャビティ131の脆弱領域133以外の領域に比べて、脆弱領域133は温度に対して敏感であり、減圧機構213の作動時に、脆弱領域133は減圧機構213から排出された排出物により直ちに且つ迅速に溶融され、排出物を迅速に逃がしキャビティ131の外部から排出し、電池10の安全性能の向上に有利である。例示的に、脆弱領域133が逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った側壁135に設置される場合、電池セル20に熱暴走が発生した状況下で、逃がしキャビティ131の底壁134が受ける熱衝撃の激しさは逃がしキャビティ131の側壁135よりも大きいため、減圧機構213を介して排出された排出物が逃がしキャビティ131の側壁135上の脆弱領域133の材料を迅速に溶融することを保証するために、逃がしキャビティ131の底壁134の材料の融点は側壁135の脆弱領域133の材料の融点より高く設定されるべきである。
【0131】
なお、本願の実施例における脆弱領域133の上記設置方法は単独で使用されてもよく、又は、組み合わせて使用されてもよい。例えば、本願の実施例の脆弱領域133は、脆弱領域133の材料の融点を低く設定することと、脆弱領域133の厚さを減少させることを同時に採用し組み合わせた解決手段を用いて改善されてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0132】
図8及び
図9はそれぞれ本願の実施例の電池10の部分拡大図であり、例えば、
図8及び
図9は
図6が示す電池10における領域Aの拡大図であってもよい。
図8及び
図9が示すように、逃がしキャビティ131の脆弱領域は貫通孔136を含み、減圧機構213の作動時に、減圧機構213を介して排出された排出物は貫通孔136を突き抜けて逃がしキャビティ131から排出されてもよい。本願の実施例において、逃がしキャビティ131に設置された貫通孔136を脆弱領域133とすることにより、一方では、電池10の加工と組み立てを容易にし、他方では、脆弱領域133が減圧機構213から排出された排出物の衝撃を受ける時に、貫通孔136を介して排出物を逃がしキャビティ131の外部に直ちに且つ迅速に排出することができ、排出物の排出効率を向上させることに有利であり、これにより電池10の安全性を向上させる。
【0133】
選択的に、一実施例として、
図8及び
図9に示すように、本願の実施例における逃がしキャビティ131の脆弱領域133はさらに貫通孔136を密封するための密封構造137を含み、密封構造137は減圧機構213の作動時に破壊され、電池セル20の排出物が貫通孔136を突き抜けることに用いられる。本願の実施例に設置される密封構造137により、一方では電池セル20の正常な使用過程において逃がしキャビティ131の密封性を保持することができ、外部環境が逃がしキャビティ131の貫通孔136を介して減圧機構213に影響を与えることを回避する。他方では、電池セル20に熱暴走が発生した時、減圧機構213を介して排出された排出物は密封構造137を直ちに且つスムーズに破壊することができ、貫通孔136を露出させ、それにより排出物は貫通孔136を突き抜けて逃がしキャビティ131の外部から排出され、電池10の安全性を向上させる。
【0134】
選択的に、いくつかの実施例において、
図8に示すように、本願の実施例における密封構造137は上記貫通孔136に充填されてもよく、それにより電池10の内部空間を節約し、電池10の空間利用率を向上させ、同時に電池10の加工と組み立てを容易にする。
【0135】
選択的に、いくつかの実施例において、
図9に示すように、本願の実施例における密封構造137は逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する内表面に設置されてもよく、及び/又は、密封構造137は逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する外表面に設置されてもよい。本願の実施例において、密封構造137が逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する内表面に設置される場合、密封構造137と減圧機構213の距離が近いため、減圧機構213から排出される排出物によって迅速に破壊され、例えば、密封構造137は電池セル20の温度に迅速に反応し、密封構造137を迅速に溶融させ、減圧機構213の作動に影響を与えることを回避し、排出物を直ちに且つスムーズに排出することができる。密封構造137が逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する外表面に設置される場合、密封構造137と減圧機構213の間の距離は減圧機構213の作動に変形空間を提供することができ、減圧機構213の正常な機能に影響を与えることを回避する。また、密封構造137を逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する内表面と外表面に同時に設置する場合、逃がしキャビティ131の密封性を向上させることができる。
【0136】
例示的に、
図9に示すように、本願の実施例における密封構造137は逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する内表面と外表面に同時に設置されてもよいが、これは例であり本願の実施例はこれに限定されない。
【0137】
なお、
図9に示すように、本願の実施例の貫通孔136に対応する内表面は、貫通孔136に対応する逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿って逃がしキャビティ131の内部に向かう表面であり、貫通孔136に対応する外表面は、貫通孔136に対応する逃がしキャビティ131の第1方向X上に沿って逃がしキャビティ131の内部から離れる表面である。
【0138】
なお、本願の実施例における密封構造137の材料は実際の用途に応じて設定することができる。例えば、本願の実施例における密封構造137は、融点が約190℃であるポリプロピレン(polypropylene、PP)、融点が約300℃である可溶性ポリテトラフルオロエチレン(polyfluroroalkoxy、PFA)、融点が約350℃であるポリイミド(polyimide、PI)、シリコーンゴム(融点は約350℃である)、フッ素ゴム(融点は約400℃である)、又はスズ(融点は約232℃)などが含まれてもよい。また、本願の実施例における逃がしキャビティ131の脆弱領域133又は密封構造137以外の領域の材料はアルミニウム合金(融点は約660℃である)であってもよいが、これは例であり、本願の実施例はこれに限定されない。
【0139】
なお、本願の実施例における密封構造137は接着剤を介して嵌め込まれた形態で貫通孔136に充填されてもよく、又は、密封構造137は接着剤を介して逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する内表面に固定されてもよく、及び/又は、逃がしキャビティ131の貫通孔136に対応する外表面に固定されてもよい。例示的に、本願の実施例における接着剤の材料は、エポキシ系構造用接着剤、アクレリート構造用接着剤、ポリイミド構造用接着剤、マレイミド構造用接着剤、ポリウレタン構造用接着剤又はアクリル接着剤が含まれてもよいが、これは例であり、本願の実施例はこれに限定されない。
【0140】
以下に図面を参照しながら、本願の実施例における逃がしキャビティ131の底壁134の設置方法を詳細に説明する。
図10~
図13はそれぞれ本願の実施例の電池10の断面概略図であり、
図10~
図13に示す電池10は
図2に示す電池10であってもよく、
図10~
図13に示す断面はいずれも電池10の第3方向Yに垂直な断面であり、例えば、
図10~13に示す断面は
図3又は
図4に示す断面に垂直であり、且つ、
図10~
図13に示す断面は
図6に示す断面に平行である。
【0141】
選択的に、一実施例として、本願の実施例の逃がしキャビティ131は第1壁25に相対的に設置される底壁134を含み、第2方向Zに沿って、底壁134の少なくとも2つの領域と第1壁25が位置する第1平面との間の距離は異なっており、第2方向Zは第1壁25に垂直である。本願の実施例において、逃がしキャビティ131の底壁134の異なる領域に堆積する排出物の量に基づき、底壁134の異なる領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離を合理的に設定することができる。例えば、逃がしキャビティ131の底壁134が第1領域と第2領域を含み、且つ電池セル20に熱暴走が発生した状況下では、重力の作用を受けるため、第1領域に收集された電池セル20からの排出物が第2領域に收集された電池セル20からの排出物より多い場合、逃がしキャビティ131の底壁134を第1領域と第1平面との間の距離が第2領域と第1平面との間の距離よりも大きくなるように設定することができ、これにより第1領域内の多くの排出物が第1領域に対応する減圧機構213に影響を与えることを回避し、減圧機構213を介して排出された排出物が逃がしキャビティ131に堆積することによる熱拡散を回避することができ、電池10の安全性能の向上に有利である。
【0142】
本願の実施例の第2方向Zは第1壁25に垂直であり、即ち第1壁25が位置する第1平面に垂直である。例えば、第2方向Zはさらに第1方向Xに垂直であってもよい。さらに例えば、第2方向Zはさらに電池セル20の高さ方向であってもよい。
【0143】
本願の実施例の底壁134の少なくとも2つの領域とは逃がしキャビティ131の底壁134の任意の領域を指していてもよい。例えば、逃がしキャビティ131の底壁134に含まれる第1領域と第2領域を例とし、第1領域および第2領域は底壁134の任意の2つの重なり合わない領域であってもよい。なお、上記第1領域と第2領域の底壁134における面積は同じであっても異なっていてもよい。本願の実施例における第1領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離とは、第1領域上の全ての点と第1平面との間の距離の平均値、最大値又は最小値であってもよく、それに対応して、本願の実施例における第2領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離も、第2領域上の全ての点と第1平面との間の距離の平均値、最大値又は最小値であってもよい。例えば、第1領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離は第1領域上の全ての点と第1平面との間の距離の最小値を取ってもよく、同時に、第2領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離も第2領域上の全ての点と第1平面との間の距離の最小値を取ってもよく、且つ第1領域に対応する最小値と第2領域に対応する最小値は異なっており、ここでは簡略化するため、説明を省略する。
【0144】
選択的に、一実施例として、第1方向Xにおいて、底壁134の少なくとも一部の領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離は徐々に増加し、及び/又は、第1方向Xにおいて、底壁134の少なくとも一部の領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離は徐々に減少する。
図10~
図13に示すように、底壁134に存在する少なくとも一部の領域は、第1方向Xにおいて、一部の領域は第1平面に対して傾斜しているという要件を満たす。これにより、底壁134に存在する少なくとも一部の領域は第1方向Xに沿って傾斜しているため、重力の作用により、減圧機構213を介して排出された排出物が逃がしキャビティ131の底壁134の特定領域に堆積することを実現でき、例えば、底壁134の傾斜領域の傾斜方向に基づき、排出物は底壁134の第2方向Zに沿って第1平面から離れた領域に集中的に堆積し、且つ、特定領域の第1平面との距離も遠いため、即ち排出物の逃がしキャビティ131の底壁134における特定の堆積領域を制御することにより電池セル20に対する熱影響を低下させ、電池10の安全性を向上させる。
【0145】
選択的に、一実施例として、第1方向Xにおいて、底壁134の中心から底壁134の端部に向かって、底壁134と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離は徐々に増加又は徐々に減少する。本願の実施例において、
図10及び
図11に示すように、第1方向Xにおいて、底壁134の中心から底壁134の端部に向かって、逃がしキャビティ131の底壁134の中心に近い領域と第1平面との間の距離はL1で示され、逃がしキャビティ131の底壁134の中心から離れた領域と第1平面との間の距離はL2で示され、L1はL2より小さい。従って、重力の作用下で、底壁134上の排出物は逃がしキャビティ131の底壁134の中心から離れた場所に堆積される。また、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁のサイズは小さいため、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部位置でより多く堆積することになる。従って、逃がしキャビティ131の底壁134は、第1方向に沿って、底壁の中心から底壁134の端部に向かって、底壁134と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離が徐々に増加するように設置された場合、底壁134の第1方向Xに沿った端部領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離が大きいため、電池10に熱暴走が発生した状況下で、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部位置に排出物が多く堆積するが、減圧機構213から排出された排出物を収容するための大きな空間があり、それにより減圧機構213への影響が減少し、電池10の安全性を向上させる。
【0146】
それに対応して、
図12及び
図13に示すように、第1方向Xにおいて、底壁134の中心から底壁134の端部に向かって、逃がしキャビティ131の底壁134の中心に近い領域と第1平面との間の距離はL3で示され、逃がしキャビティ131の底壁134の中心から離れた領域と第1平面との間の距離はL4で示され、L3はL4より小さい。従って、重力の作用下で、底壁134上の排出物は逃がしキャビティ131の底壁134の中心から遠く離れた場所に堆積される。また、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁のサイズは小さいため、減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部位置でより多く堆積することになる。従って、逃がしキャビティ131の底壁134は、第1方向Xに沿って、底壁の中心から底壁134の端部に向かって、底壁134と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離が徐々に減少するように設置された場合、底壁134の第1方向Xに沿った中心領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離が大きいため、電池10に熱暴走が発生した状況下で、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部位置の排出物は底壁134の斜面を通過して底壁134の中心に移動することができ、それにより減圧機構213への影響が減少し、電池10の安全性を向上させる。
【0147】
なお、本願の実施例において、上記底壁134は円弧面及び/又は平面として設置されてもよく、それにより減圧機構213を介して排出された排出物は逃がしキャビティ131の底壁134上でスムーズに移動しやすくなり、同時に電池10の加工と組み立ても容易にする。
【0148】
選択的に、一実施例として、本願の実施例における逃がしキャビティ131の第1壁25に相対的に設置される底壁134に、開口が第1壁25に面する沈積溝138が設置されてもよく、第2方向Zに沿って、沈積溝138の溝底壁と第1壁25が位置する第1平面との間の距離は底壁134における沈積溝138以外の領域と第1平面との間の距離より大きく、第2方向Zは第1方向Xに垂直である。本願の実施例において、逃がしキャビティ131の底壁134に開口が第1壁25に面する沈積溝138が設置されることにより、減圧機構213の作動時に、逃がしキャビティ131の底壁134に一定の深さの沈積溝が存在するため、沈積溝138は一定の深さを有し減圧機構213を介して排出された排出物を収容し、排出物が底壁134の他の領域に堆積することを回避し、減圧機構213への影響を減少し、電池10の安全性を向上させる。
【0149】
以下に図面を参照しながら、本願の実施例における逃がしキャビティ131の底壁134上の沈積溝138の設置方法を詳細に説明する。
図14~
図16はそれぞれ本願の実施例に係る電池10の断面概略図であり、
図14~
図16に示す電池10は
図2に示す電池10であってもよく、
図14~
図16に示す断面はいずれも電池10の第3方向Yに垂直な断面図であり、例えば、
図14~16に示す断面は
図3又は
図4に示す断面に垂直であり、且つ、
図14~
図16に示す断面は
図6に示す断面に平行であり、
図10~
図13に示す断面に平行である。
【0150】
図14~
図16に示すように、本願の実施例の底壁134に1つ又は複数の沈積溝138が設置され、任意の1つの沈積溝138に対して、沈積溝138の深さH1は底壁134の沈積溝138以外の領域の深さH2より大きい。沈積溝138の深さH1は沈積溝138の底壁と第1壁25との間の第2方向Zに沿った距離であり、底壁134の沈積溝138以外の領域の深さH2は領域と第1壁25との間の第2方向Zに沿った距離である。
【0151】
なお、本願の実施例における沈積溝138の深さH1は、沈積溝138の底壁上の全ての点と第1壁25が位置する第1平面との間の距離の平均値、最大値又は最小値であってもよく、それに対応して、底壁134の沈積溝138以外の領域の深さH2は、底壁134の沈積溝138以外の領域の全ての点と第1壁25が位置する第1平面との間の距離の平均値、最大値又は最小値であってもよい。例えば、沈積溝138の底壁と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離は沈積溝138の底壁の上の全ての点と第1平面との間の距離の最小値を取ってもよく、同時に、底壁134の沈積溝138以外の領域と第1平面との間の第2方向Zに沿った距離も底壁134の沈積溝138以外の領域の全ての点と第1平面との間の距離の最小値を取ってもよく、且つ沈積溝138の底壁に対応する最小値は底壁134の沈積溝138以外の領域に対応する最小値よりも大きいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0152】
選択的に、いくつかの実施例において、
図14及び
図15に示すように、逃がしキャビティ131における底壁134上の沈積溝138は底壁134の第1方向Xに沿った端部に位置する。本願の実施例において、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁のサイズは小さいため、減圧機構213を介して排出された高温高圧の排出物は逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁箇所により多く堆積する。沈積溝138は逃がしキャビティ131の底壁134の第1方向Xに沿った端部の位置に設置され、一方では、沈積溝138は排出物を収容することができ、大部分の排出物は沈積溝138に堆積し、他方では、沈積溝138の深さが深いため、排出物の電池セル20に対する熱影響を減少させることができ、熱拡散の発生を回避し、電池10の安全性を向上させる。
【0153】
選択的に、いくつかの実施例において、
図15及び
図16に示すように、本願の実施例における逃がしキャビティ131の底壁134に、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列される複数の沈積溝138が設置されてもよい。本願の実施例において、逃がしキャビティ131の底壁134の異なる領域に堆積した排出物の量に基づき、底壁134の異なる領域に複数の沈積溝138を設置することができ、沈積溝138は一定の深さを有し減圧機構213を介して排出された排出物が収容され、且つ、沈積溝138の深さが深いため、電池セル20に熱暴走が発生した時、逃がしキャビティ131の底壁134の排出物が多い複数の特定領域に沈積溝138を設置することにより、複数の特定領域内の排出物がそれに対応する減圧機構213に与える影響を効果的に回避することができ、排出物が逃がしキャビティ131に堆積することによる熱拡散を回避し、即ち排出物が逃がしキャビティ131の底壁134の特定の沈積溝138にあることを制御することにより電池セル20への熱影響を低下させることができ、電池10の安全性の向上に有利である。
【0154】
例えば、
図16に示すように、本願の実施例の逃がしキャビティ131の底壁134にはさらに、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列される複数の沈積溝138が設置されてもよく、複数の沈積溝138と複数の電池セル20の減圧機構213は一対一で対応し、これにより、各電池セル20の減圧機構213の作動時に、電池セル20の減圧機構213を介して排出される排出物はそれに対応する沈積溝138に堆積させることができ、他の電池セル20への熱影響を回避することができ、熱拡散の発生を回避し、電池10の安全性を向上させる。
【0155】
選択的に、本願の実施例の底壁134の第1方向Xに沿って間隔をあけて配列される複数の沈積溝138の深さは同じであっても異なっていてもよい。例えば、
図14~
図16に示すように、複数の沈積溝138の深さを同じものとして設定すると、電池10の加工及び取り付けは容易になる。さらに例えば、
図14~
図16に示すものとは異なり、底壁134上の異なる領域の排出物が堆積する量に基づいて複数の沈積溝138の深さを設定してもよく、即ち複数の沈積溝138の深さは等しくなくてもよい。例示的に、逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁のサイズは小さいため、減圧機構213を介して排出された高温高圧の排出物は逃がしキャビティ131の第1方向Xに沿った端部の側壁箇所により多く堆積し、従って逃がしキャビティ131における第1方向Xに沿った端部に近接する箇所に深い沈積溝138を設置し、逃がしキャビティ131における底壁134の中心位置に近接する箇所に浅い沈積溝138を設置する。
【0156】
なお、本願の実施例において、上記沈積溝138の溝底壁と第1壁25が位置する第1平面との間の距離H1の設定は大きすぎても小さすぎても好ましくなく、距離H1の値は実際の用途に応じて具体的に設定することができる。例えば、沈積溝138の溝底壁と第1壁25が位置する第1平面との間の距離H1の値の範囲は[0.1mm、25mm]であり、さらに例えば、沈積溝138の溝底壁と第1壁25が位置する第1平面との間の距離H1の値の範囲は[3mm、20mm]である。上記距離H1の設定が小さすぎると、電池10の実際のニーズを満たすことが難しく、電池セル20に熱暴走が発生した時、減圧機構213を介して排出された排出物は沈積溝138内に過度に堆積し、排出物と電池セル20の第1壁25との距離が小さすぎると、それに対応する電池セル20に影響を与え、沈積溝138に対応する複数の電池セル20の間で熱拡散現象が発生しやすくなり、同時に隣接する他の電池セル20に熱影響を与え、電池10の安全性を低下させる。該距離H1の設定が大きすぎると、電池10内部の空間利用率が低下し、電池10の加工コストを増加させる。従って、上記距離H1の値は0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm又は25mmに設定されてもよく、又は、その数値は上記任意の2つの数値の組み合わせから得られる範囲内に設定されてもよい。
【0157】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(11)と、電池セルモジュール(200)と、支持部材(13)と、を含み、
前記筐体(11)は、電気キャビティを含み、
前記電池セルモジュール(200)は、前記電気キャビティ(11a)に収容され、前記電池セルモジュール(200)は第1方向に沿って配列された複数の電池セル(20)を含み、当該複数の電池セル(20)のうち、少なくとも2つの電池セル(20)に減圧機構(213)が設置され、前記減圧機構(213)は前記電池セル(20)の第1壁(25)に設置され、
前記支持部材(13)は、前記第1壁(25)に取り付けられて前記電池セル(20)を支持し、前記支持部材(13)は前記電池セルモジュール(200)における少なくとも2つの前記減圧機構(213)に対応する逃がしキャビティ(131)を含み、当該逃がしキャビティ(131)は少なくとも2つの前記減圧機構(213)の作動に変形空間を提供することに用いられることを特徴とする、電池。
【請求項2】
前記支持部材(13)の前記電池セルモジュール(200)に近接する表面に逃がし開口(132)が設置され、少なくとも2つの前記減圧機構(213)は前記逃がし開口(132)に面し、前記逃がしキャビティ(131)は前記逃がし開口(132)と連通することを特徴とする、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記減圧機構(213)の作動時に、前記電池セル(20)からの排出物は前記逃がし開口(132)を介して前記逃がしキャビティ(131)に入り且つ前記逃がしキャビティ(131)から排出されることを特徴とする、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記逃がしキャビティ(131)及び/又は前記逃がし開口(132)は前記第1方向に沿って連続的に設置されることを特徴とする、請求項
2に記載の電池。
【請求項5】
前記逃がしキャビティ(131)に脆弱領域(133)が設けられ、前記脆弱領域(133)は、前記減圧機構(213)の作動時に、前記排出物が前記脆弱領域(133)を突き抜けてそれにより前記逃がしキャビティ(131)から排出することに用いられることを特徴とする、請求項
3に記載の電池。
【請求項6】
前記脆弱領域(133)は前記減圧機構(213)の作動時に破壊され、それにより前記排出物を前記逃がしキャビティ(131)から排出することに用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記逃がしキャビティ(131)は底壁(134)及び側壁(135)を含み、前記底壁(134)は前記第1壁(25)に対向して設置され、前記側壁(135)は前記底壁(134)に接続され且つ前記第1壁(25)に向かって延伸し、前記脆弱領域(133)は前記底壁(134)及び/又は前記側壁(135)に設置されることを特徴とする、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記脆弱領域(133)は前記底壁(134)及び/又は前記側壁(135)の前記第1方向に沿った端部に設置されることを特徴とする、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記脆弱領域(133)は、以下を満たし、
【数14】
ここで、dは前記脆弱領域(133)の最小厚さであり、Eは前記電池セル(20)の体積エネルギー密度であることを特徴とする、請求項
6に記載の電池。
【請求項10】
前記脆弱領域(133)は、以下を満たし、
【数15】
ここで、T1は前記脆弱領域(133)の材料の融点であり、Eは前記電池セル(20)の体積エネルギー密度であることを特徴とする、請求項
6に記載の電池。
【請求項11】
前記脆弱領域(133)の厚さは前記逃がしキャビティ(131)の前記脆弱領域(133)以外の領域の厚さより小さいことを特徴とする、請求項
6に記載の電池。
【請求項12】
前記脆弱領域(133)の材料の融点は前記逃がしキャビティ(131)の前記脆弱領域(133)以外の領域の材料の融点より低いことを特徴とする、請求項
6に記載の電池。
【請求項13】
前記脆弱領域(133)は貫通孔(136)を含み、前記減圧機構(213)の作動時に、前記排出物は前記貫通孔(136)を突き抜けて前記逃がしキャビティ(131)から排出されることを特徴とする、請求項
5に記載の電池。
【請求項14】
前記脆弱領域(133)は前記貫通孔(136)を密封するための密封構造(137)をさらに含み、前記密封構造(137)は前記減圧機構(213)の作動時に破壊され、それにより前記電池セル(20)の前記排出物が前記貫通孔(136)を突き抜けることに用いられることを特徴とする、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記密封構造(137)は前記貫通孔(136)に充填されることを特徴とする、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記密封構造(137)は前記逃がしキャビティ(131)の前記貫通孔(136)に対応する内表面に設置され、及び/又は、
前記密封構造(137)は前記逃がしキャビティ(131)の前記貫通孔(136)に対応する外表面に設置されることを特徴とする、請求項14に記載の電池。
【請求項17】
前記逃がしキャビティ(131)は前記第1壁(25)に対向して設置される底壁(134)を含み、第2方向に沿って、前記底壁(134)の少なくとも2つの領域と前記第1壁(25)が位置する第1平面との間の距離は異なっており、前記第2方向は前記第1壁(25)に垂直であることを特徴とする、請求項
1に記載の電池。
【請求項18】
前記第1方向において、前記底壁(134)の少なくとも一部の領域と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に増加し、及び/又は、
前記第1方向において、前記底壁(134)の少なくとも一部の領域と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に減少することを特徴とする、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記第1方向において、前記底壁(134)の中心から前記底壁(134)の端部に向かって、前記底壁(134)と前記第1平面との間の前記第2方向に沿った距離は徐々に増加又は徐々に減少することを特徴とする、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記底壁(134)は円弧面及び/又は平面を含むことを特徴とする、請求項1
7に記載の電池。
【請求項21】
前記底壁(134)に、前記第1壁(25)に面する開口を有する沈積溝(138)が設置され、前記第2方向に沿って、前記沈積溝(138)の溝底壁と前記第1平面との間の距離は前記底壁(134)の前記沈積溝(138)以外の領域と前記第1平面との間の距離より大きいことを特徴とする、請求項1
7に記載の電池。
【請求項22】
前記沈積溝(138)は前記底壁(134)の前記第1方向に沿った端部に位置することを特徴とする、請求項21に記載の電池。
【請求項23】
前記底壁(134)に、前記第1方向に沿って間隔をあけて配列される複数の前記沈積溝(138)が設置されることを特徴とする、請求項2
1に記載の電池。
【請求項24】
前記減圧機構(213)の作動時に前記電池セル(20)からの排出物を収集するために用いられる収集キャビティ(11b)をさらに含み、
前記支持部材(13)はさらに前記収集キャビティ(11b)と前記電気キャビティ(11a)を隔離することに用いられることを特徴とする、請求項
1に記載の電池。
【請求項25】
前記支持部材(13)と囲んで前記収集キャビティ(11b)を形成することに用いられる保護部材(113)をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載の電池。
【請求項26】
前記支持部材(13)は前記筐体(11)の壁の少なくとも一部であり、前記支持部材(13)は前記減圧機構(213)の作動時に前記電池セル(20)の排出物が前記支持部材(13)を突き抜けて前記筐体(11)から排出させるために用いられることを特徴とする、請求項
1に記載の電池。
【請求項27】
前記支持部材(13)は前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられる熱管理部材(139)であることを特徴とする、請求項
1に記載の電池。
【請求項28】
電力消費装置であって、
前記電力消費装置へ電気エネルギーを供給するために用いられる請求項1~27のいずれか一項に記載の電池を含む電力消費装置。
【国際調査報告】