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特表2025-501044ドープされたカソード活物質およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ドープされたカソード活物質およびその方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20250109BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521782
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2023010502
(87)【国際公開番号】W WO2023137022
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/266,719
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジャンユ
(72)【発明者】
【氏名】ゴウダ,サンケス
(72)【発明者】
【氏名】メータ,ヴィニート ハレシュ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ28
5H029HJ02
5H029HJ05
5H029HJ14
5H029HJ18
5H029HJ19
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA18
5H050HA19
5H050HA20
(57)【要約】
ドープされたカソード活物質、および製造方法が記載される。ドープされたカソード活物質は、改善されたエネルギー密度および容量保持率を含むがこれらに限定されない、改善された性能を有するエネルギー貯蔵装置を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)または化学式(II)
(I)Li1+aTm1-a-b
(II)Li(Tm)2-b
のいずれかの組成を有する化合物を含むドープされたカソード活物質であって、
式中、
Tmは遷移金属元素であり、
Mはドーパント元素であり、
aは、0~0.3の値であり、
bは、0.001~0.3の値であり、および
cは2または4の値である、ドープされたカソード活物質。
【請求項2】
前記遷移金属元素は、Ni、Mn、Ti、Co、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項3】
前記遷移金属元素は、Ni、Mn、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1または2に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項4】
前記遷移金属元素はNiMn1-xであり、式中、xは0.4~0.8の値である、請求項1から3のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項5】
前記化合物は、化学式LiNiMn1-xの組成を有する、請求項4に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項6】
前記ドーパント元素は、Al、Ca、B、Mg、Ti、Ta、Zr、Mo、W、Y、Co、Na、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属である、請求項1から5のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項7】
前記ドーパント元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、W、Zr、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属である、請求項1から6のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項8】
前記ドープされたカソード活物質は、少なくとも約1g/ccのタップ密度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項9】
aは0~0.15の値である、請求項1から8のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項10】
bは0.001~0.08の値である、請求項1から9のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質を含む電極膜。
【請求項12】
集電体の上に配置された請求項11に記載の電極膜を含むカソード電極。
【請求項13】
請求項12に記載のカソード電極、
セパレータ、
アノード電極、
電解質、および
ハウジングを含むエネルギー貯蔵装置であって、前記電解質、前記カソード電極、前記セパレータ、および前記アノード電極は、前記ハウジング内に配置される、エネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
前記エネルギー貯蔵装置は電池である、請求項13に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
前記電池は、C/3のレートで30サイクル後に少なくとも約80%の放電容量保持率を有するように構成される、請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
前記エネルギー貯蔵装置の動作電圧は約4.35Vである、請求項13から15のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載のドープされたカソード活物質を形成するためのプロセスであって、
遷移金属前駆体、ドーパント材料およびリチウム源を混合して活物質混合物を形成すること、および
前記活物質混合物を加熱して、前記ドープされたカソード活物質を形成すること、を含むプロセス。
【請求項18】
前記ドーパント材料は複数の粒子を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ナノ粒子は約1μm~約5μmのD50粒度分布を含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ドーパント材料は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17から19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記ドーパント材料は、Al、Ca、B、Mg、Ti、Ta、Zr、Mo、W、Y、Co、Na、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属元素を含む、請求項17から20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記金属元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、Zr、Na、W、Zr、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ドーパント材料は、Al、Ta、TiO、Co、WO、Ta、Ca(OH)、NaHCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17から22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記遷移金属前駆体は球状遷移金属前駆体である、請求項17から23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記遷移金属前駆体は、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属炭酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17から24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記遷移金属前駆体は、Ni、Mn、Ti、Co、およびそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属元素を含む、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記遷移金属前駆体は、NiMn1-x(OH)、NiMn1-xCO、およびそれらの組合せからなる群から選択され、式中、xは0.5~0.7である、請求項17から26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記リチウム源は、LiOH.HO、LiCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17から27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記リチウム源:ドーパント材料のモル比は、約1:0.0005~約1:0.1である、請求項17から28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記遷移金属前駆体:ドーパント材料のモル比は、約1:0.001~約1:0.1である、請求項17から29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記遷移金属前駆体および前記ドーパント材料を予備混合して前駆体混合物を形成し、該前駆体混合物を前記リチウム源と混合して前記活物質混合物を形成する、請求項17から30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記リチウム源はリチウム塩である、請求項17から31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記リチウム塩は、LiOH.HO、LiCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記前駆体混合物は予熱される、請求項31に記載のプロセス。
【請求項35】
予熱は約400~600℃の温度で行われる、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記前駆体混合物は3~7時間の間にわたって予熱される、請求項34または請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
予熱は酸素を含む雰囲気中で行われる、請求項34から36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
予熱は空気中で行われる、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記活物質混合物は約700~1000℃の温度で加熱される、請求項17から38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記活物質混合物は、3~15時間の間にわたって加熱される、請求項17から39のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
加熱は酸素を含む雰囲気中で行われる、請求項17から40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記加熱は空気中で行われる、請求項41に記載のプロセス。
【請求項43】
前記加熱はガス流下で行われる、請求項17から42のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年1月12日に出願された「ドープされたカソード活物質およびその方法(DOPED CATHODE ACTIVE MATERIALS AND METHODS THEREOF)」と題する米国仮特許出願第63/266,719号の非仮出願であり、この優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、エネルギー貯蔵装置に関し、具体的には、リチウムイオン電池用のドープされたカソード活物質およびそれを形成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
電気化学エネルギー貯蔵システムは、電子装置、電気機械装置、電気化学装置、および他の有用な装置に電力を供給するために広く使用されている。リチウムイオン電池は、電気化学エネルギー貯蔵システムの最も一般的な例の1つであり、リチウムイオン電池が普及しているのは、他の電気化学エネルギー貯蔵システムと比較してエネルギー密度が高いためである。リチウムイオン電池は、カソード電極、アノード電極、電解質、およびセパレータの4つの主要な構成要素からなり、リチウムイオン電池の成功の多くは、高エネルギー密度電極の開発によるものである。
【0004】
リチウムイオン電池のいくつかのカソード電極は、第1列遷移金属酸化物から作製され、カソード活物質のいくつかの例としては、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムマンガン酸化物(LMO)、およびリン酸鉄リチウム(LFP)が挙げられる。しかしながら、多くのカソード活物質は、リチウムイオン電池中で使用される場合、繰り返される充電/放電サイクルにわたる充電容量の著しい損失を含む欠点を有する。
【発明の概要】
【0005】
本開示、および従来技術に対して達成される利点を要約する目的で、本開示の特定の目的および利点が本明細書に記載される。そのような目的または利点のすべてが、任意の特定の実施形態において達成され得るとは限らない。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書で教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点の群を達成または最適化するように具体化または実施され得ることを認識するであろう。
【0006】
第1の態様では、ドープされたカソード活物質が提供される。ドープされたカソード活物質は、化学式Li1+aTm1-a-bおよびLi(Tm)2-bを含み、ここで、Tmは遷移金属元素であり、Mはドーパント元素であり、aは0~0.3の値であり、bは0~0.3の値であり、およびcは2~4の値である。
【0007】
別の態様では、ドープされたカソード活物質が提供される。ドープされたカソード活物質は、化学式Li1+aTm1-a-bおよびLi(Tm)2-bを含み、ここで、Tmは遷移金属元素であり、Mはドーパント元素であり、aは0~0.3の値であり、bは0.001~0.3の値であり、およびcは2~4の値である。
【0008】
いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、Ni、Mn、Ti、Co、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、Ni、Mn、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素はNiMn1-xであり、ここで、xは0.4~0.8の値である。いくつかの実施形態では、化合物は、化学式LiNiMn1-xの組成を有する。いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、Al、Ca、B、Mg、Ti、Ta、Zr、Mo、W、Y、Co、Na、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属である。いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属である。いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、W、Zr、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属である。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、少なくとも約2.24g/ccのタップ密度を有する。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、少なくとも約1g/ccのタップ密度を有する。いくつかの実施形態では、aは0~0.15の値である。いくつかの実施形態では、bは、0.001~0.08の値である。
【0009】
いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質を含む電極膜が提供される。いくつかの実施形態では、電極膜は、カソード電極を形成する集電体の上に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置が提供される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、カソード電極、セパレータ、アノード電極、電解質、およびハウジングを含み、ここで、電解質、カソード電極、セパレータ、およびアノード電極はハウジング内に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は電池である。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/3のレートで30サイクル後に少なくとも約80%の放電容量保持率を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置の動作電圧は約4.35Vである。
【0010】
第2の態様では、ドープされたカソード活物質を調製する方法が提供される。この方法は、遷移金属前駆体、ドーパント材料、およびリチウム源を混合して活物質混合物を形成すること、およびその活物質混合物を加熱してドープされたカソード活物質を形成することとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ドーパント材料は複数のナノ粒子を含む。いくつかの実施態様では、ナノ粒子は、約100nm未満のD50粒度分布を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は複数の粒子を含む。いくつかの実施態様では、粒子は、約2μm~約3μmのD50粒度分布を含む。いくつかの実施態様では、粒子は、約1μm~約5μmのD50粒度分布を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Al、Ca、B、Mg、Ti、Ta、Zr、Mo、W、Y、Co、Na、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属元素を含む。いくつかの実施形態では、金属元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、Zr、Na、W、Zr、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、金属元素は、Al、Ca、Mg、Ti、Ta、Co、Zr、Na、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Al、Ta、TiO、Co、Ta、Ca(OH)、NaHCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Al、Ta、TiO、Co、WO、Ta、Ca(OH)、NaHCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は球状遷移金属前駆体である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属炭酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、Ni、Mn、Ti、Co、およびそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属元素を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、NiMn1-x(OH)、NiMn1-xCO、およびそれらの組合せからなる群から選択され、ここで、xは0.5~0.7である。
【0013】
いくつかの実施形態では、リチウム源は、LiOH.HO、LiCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、リチウム源:ドーパント材料のモル比は、約1:0.005~約1:0.1である。いくつかの実施形態では、リチウム源:ドーパント材料のモル比は、約1:0.0005~約1:0.1である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体:ドーパント材料のモル比は、約1:0.001~約1:0.1である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体およびドーパント材料を予備混合して前駆体混合物を形成し、その前駆体混合物をリチウム源と混合して活物質混合物を形成する。いくつかの実施形態では、リチウム源はリチウム塩である。いくつかの実施形態では、リチウム塩は、LiOH.HO、LiCO、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前駆体混合物は予熱される。いくつかの実施形態では、予熱は、約400~600℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、前駆体混合物は3~7時間の間にわたって予熱される。いくつかの実施形態では、予熱は、酸素を含む雰囲気中で行われる。いくつかの実施形態では、予熱は空気中で行われる。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、約800~1000℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、約700~1000℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、5~15時間の間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、3~15時間の間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、酸素を含む雰囲気中で行われる。いくつかの実施形態では、加熱は空気中で行われる。いくつかの実施形態では、加熱はガス流下で行われる。
【0015】
これらの実施形態はすべて、本明細書に開示される発明の範囲内にあることが意図される。これらおよび他の実施形態は、添付の図を参照して、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろうが、本発明は開示された任意の特定の好ましい実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】いくつかの実施形態による、ドープされたカソード活物質を形成するプロセスを示す概略図である。
【0017】
図2A】いくつかの実施形態による、ドープされたカソード活物質のSEM画像である。
【0018】
図2B】いくつかの実施形態による、ドープされていないカソード活物質およびドープされたカソード活物質のSEM画像である。
【0019】
図3】いくつかの実施形態による、カソード活物質の正規化タップ密度に対するいくつかのドーパントの影響を示す棒グラフである。
【0020】
図4】いくつかの実施形態による、半電池の正規化エネルギーに対するいくつかのドーパントの影響を示す棒グラフである。
【0021】
図5】いくつかの実施形態による、半電池の電荷保持率に対するいくつかのドーパントの影響を示す棒グラフである。
【0022】
図6】いくつかの実施形態による、半電池試験における第1サイクル効率に対する異なる量のドーパントの影響を示す棒グラフである。
【0023】
図7】いくつかの実施形態による、全電池のエネルギー損失に対する異なるドーパントの影響を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0024】
改善されたエネルギー密度および容量保持率を有するドープされたカソード活物質の様々な実施形態、およびドープされたカソード活物質を調製する方法が本明細書で提供される。カソード活物質のドーピング、例えば、ニッケルマンガン酸化物カソード活物質(例えば、約60%のニッケル含有量)のドーピングは、コバルトなどの高価な元素の使用を最小限に抑えながら、電極容量の改善、および電子輸送の改善を可能にし得る。
【0025】
特定の実施形態では、ドープされたカソード活物質は、リチウム(Li)、遷移金属元素(Tm)、ドーパント元素(M)、および酸素(O)を含む。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、Li1+aTm1-a-b、Li(Tm)2-bの組成、およびそれらの組合せを有する。
【0026】
特定の実施形態では、前駆体混合物は、遷移金属前駆体およびドーパント材料から形成される。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属(M)、金属酸化物(M)、金属水酸化物(M(OH))、金属炭酸塩(MCO)、金属重炭酸塩(MHCO)、およびそれらの組合せから選択され、ここで、「M」は金属を表し、「y」および「z」は中性に帯電したドーパント材料を生成する値である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、およびそれらの組合せから選択される金属(「M」)を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、リチウム源と混合され、加熱されて、ドープされたカソード活物質を形成し、このドープされたカソード活物質は、改善されたタップ密度を示す。いくつかの実施形態では、カソード電極は、ドープされたカソード活物質から形成され、カソード電極を使用して電気化学エネルギー貯蔵システムが形成され、この電気化学エネルギーシステムは、改善されたサイクル寿命およびエネルギー密度を示す。カソード活物質にドーパント材料を使用することにより、電気化学エネルギー貯蔵システムのエネルギーおよびサイクル寿命が改善される。
ドープされたカソード活物質
【0028】
カソード活物質は、カソード電極の性能を改善するためにドープされ得る。いくつかの実施形態では、カソード活物質は、層状酸化物系(Li(Tm)O)、スピネル系(Li(Tm))、リチウムリッチ系(Li1+x(Tm)1-x)、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、「x」は、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.55、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、もしくは1、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、その近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「x」は、0~1、0~0.5、または0~0.33の数値である。例えば、本明細書に記載されるようなカソード活物質は、ドーパント元素でドープされて、ドープされたカソード活物質が形成され得る。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、リチウム(Li)、遷移金属元素(Tm)、ドーパント元素(M)、および酸素(O)を含む。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、Li1+aTm1-a-b、Li(Tm)2-bの組成、およびそれらの組合せを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、コバルト(Co)を含まないか、または実質的に含まない。
【0030】
いくつかの実施形態では、ドーパント元素(「M」)は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント元素(「M」)は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント元素(「M」)は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント元素(「M」)は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個、またはそれらの間の任意の範囲の値のドーパント元素を含むか、少なくとも含むか、または多くとも含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、「a」は、0、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45および0.5、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、その近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「a」は、0~0.5、0~0.15、または0~0.05の数値である。いくつかの実施形態では、「b」は、0、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45および0.5、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、その近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「b」は、0~0.5、0.001~0.3、または0.001~0.08の数値である。いくつかの実施形態では、「c」は、1、2、3、4もしくは5、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、その近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「c」は、1~4、または2~4の数値である。いくつかの実施形態では、「c」は、2または4であるか、もしくは約2または4である。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、40モル%、45モル%、50モル%、55モル%、60モル%、65モル%、70モル%、75モル%、もしくは80モル%、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値のニッケルを含む。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、NiMn1-xであるかNiMn1-xを含む。いくつかの実施形態では、xは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95もしくは1、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、その近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「x」は、0~0.95、0.45~0.75、0.55~0.74、または0.6~0.7の数値である。いくつかの実施態様では、ドープされたカソード活物質は、約1原子%、2原子%、3原子%、4原子%、5原子%、6原子%、7原子%、8原子%、10原子%、もしくは15原子%未満、またはその近似値未満のコバルトを含む。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、コバルトを含まないか、または実質的に含む。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、式LiNiMn1-xを有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、0.5g/cc、0.7g/cc、0.8g/cc、0.9g/cc、1g/cc、1.2g/cc、1.4g/cc、1.6g/cc、1.8g/cc、2g/cc、2.2g/cc、2.24g/cc、2.4g/cc、2.6g/cc、2.9g/cc、3g/cc、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値のタップ密度を有する。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、1g/ccまたは2.24g/cc、約1g/ccまたは2.24g/cc、少なくとも1g/ccまたは2.24g/cc、少なくとも約1g/ccまたは2.24g/ccのタップ密度を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質は、複数の球状粒子から構成される。いくつかの実施形態では、球状粒子は、0.1μm、0.5μm、1μm、2μm、4μm、8μm、10μm、15μm、16μm、20μm、30μm、32μm、35μm、40μm、50μmもしくは60μm、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値の直径(例えば、D50直径)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、複数の球状粒子のD50直径は、約1μm~約50μmであるいくつかの実施形態では、カソード活物質の球状粒子は、より小さい粒子の凝集体である。いくつかの実施形態では、より小さい粒子は、0.005μm、0.01μm、0.02μm、0.04μm、0.05μm、0.08μm、0.10μm、0.15μm、0.16μm、2μm、2.40μm、2.80μm、3.20μm、3.60μm、4μm、4.2μm、4.4μm、4.5μm、4.6μm、4.8μm、5μmもしくは6μm、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値の直径(例えば、D50直径)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、より小さい粒子のD50直径は、約0.01μm~約5μm、約0.01μm~約4μm、約2μm~約3μmである。いくつかの実施形態では、より小さい粒子の寸法は、ドーパントの種類および量によって調整することができる。いくつかの実施形態では、カソード活物質の形態および/または表面積は、一次ドーパントを添加することに加えて、二次ドーパントを添加すること、および/または二次ドーパントの量を制御することによって修正することができる。いくつかの実施形態では、二次ドーパントを添加すること、および/または一次ドーパントに加えて二次ドーパントの量を増加させることによって、より小さい粒子がより密に充填され、感知される。
【0034】
ドープされたカソード活物質は、前駆体材料、前駆体混合物および活物質混合物を利用して形成され得る。いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、遷移金属前駆体およびドーパント材料から形成される。いくつかの実施形態では、前駆体材料、前駆体混合物および/または活物質混合物は、コバルトを含まないか、または実質的に含む。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は球状遷移金属前駆体である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、金属酸化物(Tm)、金属水酸化物(Tm(OH))、金属炭酸塩(Tm(CO)、およびそれらの組合せから選択され、ここで、「Tm」は遷移金属元素を表し、「p」および「q」は中性に帯電した遷移金属前駆体を生成する値である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される遷移金属元素(「Tm」)を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される遷移金属元素(「Tm」)を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、コバルト(Co)を含まないか、または実質的に含む。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体は、NiMn1-r(OH)、NiMn1-rCO、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、「r」は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95もしくは1、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、またはその近似値である。例えば、いくつかの実施形態では、「r」は、0~1、0.55~0.75、0.45~0.75、または0.6~0.7の数値である。いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、もしくは100重量%、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値の遷移金属前駆体を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属(M)、金属酸化物(M)、金属水酸化物(M(OH))、金属炭酸塩(MCO)、金属重炭酸塩(MHCO)、およびそれらの組合せから選択され、ここで、「M」は金属元素を表し、「y」および「z」は中性に帯電したドーパント材料を生成する値である。いくつかの実施形態では、「M」は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、およびそれらの組合せから選択される金属元素である。いくつかの実施形態では、Mは、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属元素である。いくつかの実施形態では、「M」は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属元素である。いくつかの実施形態では、「M」は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびそれらの組合せから選択される金属元素である。いくつかの実施形態では、「M」は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、およびそれらの組合せから選択される金属元素である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、およびそれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Al、Ta、TiO、Co、WO、およびそれらの組合せから選択される金属酸化物である。WOは酸化タングステンであり、例えば、酸化タングステン(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、五酸化タングステン、およびそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属水酸化物であり、例えば、NaHCO、Ca(OH)またはMg(OH)である。いくつかの実施形態では、遷移金属前駆体:ドーパント材料のモル比は、1:0.001、1:0.002、1:0.005、1:0.008、1:0.01、1:0.02、1:0.03、1:0.04、1:0.05、1:0.1もしくは1:0.2、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は粉末である。いくつかの実施形態では、粉末は複数の粒子である。いくつかの実施形態では、粒子はナノ粒子である。いくつかの実施態様では、ナノ粒子は、約100nm未満のD50粒度分布を有する。いくつかの実施形態では、粒子はマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は、約0.5μm、1μm、1.2μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.8μm、2μm、2.2μm、2.4μm、2.5μm、2.7μm、3μm、3.5μm、4μm、5μm、6μm、もしくはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値のD50粒度分布を有する。いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、5重量%、7重量%、10重量%、15重量%、20重量%もしくは25重量%、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値のドーパント材料を含む。いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、0モル%、0.1モル%、0.5モル%、0.8モル%、1モル%、2モル%、3モル%、4モル%、5モル%、もしくは10モル%、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値のドーパント材料を含む。
【0036】
活物質混合物は、前駆体混合物およびリチウム源を含み得る。いくつかの実施形態では、リチウム源はリチウム塩である。いくつかの実施形態では、リチウム塩は、LiOH.HO、LiCO、およびそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、リチウム源:ドーパント材料のモル比は、1:0.0001、1:0.0005、1:0.001、1:0.002、1:0.005、1:0.008、1:0.009、1:0.01、1:0.015、1:0.02、1:0.025、1:0.03、1:0.035、1:0.04、1:0.045、1:0.05、1:0.1もしくは1:0.2、またはそれらの間の任意の範囲の値であるか、またはその近似値である。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、もしくは45重量%、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値のリチウム源を含む。いくつかの実施形態では、リチウム源中のリチウムイオン:前駆体混合物中の金属イオン(ドーパント金属イオンおよび遷移金属イオンを含む)のモル比は、0.8:1、.085:1、0.9:1、1:1、1:1.001、1:1.005、1:1.01、1:1.05、1:1.08、1:1.1、1:1.15、1:1.2、1:1.25、1:1.28、1:1.3、1:1.35、1:1.4、またはそれらの間の任意の範囲の値、またはその近似値である。いくつかの実施形態では、リチウム源とドーパント材料との比は、ドープされたカソード活物質の意図される式に基づく。
ドープされたカソード活物質の形成プロセス
【0037】
前駆体材料、前駆体混合物および活物質混合物は、処理されてドープされたカソード活物質が形成される。図1は、実施形態のいくつかによるドープされたカソード活物質形成プロセスの一例を示すフローチャート100である。遷移金属前駆体102およびドーパント材料104が提供され、処理工程106において組み合わされて(例えば、混合)、前駆体混合物108が形成される。前駆体混合物108は、処理工程112においてリチウム源110と組み合わされて(例えば、混合)、活物質混合物114が形成される。活物質混合物114は、処理工程116において加熱されて(例えば、高温焼成)、ドープされたカソード活物質118が形成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、前駆体混合物は、形成された後に予熱される。いくつかの実施形態では、予熱は、前駆体混合物がリチウム源と組み合わされて(例えば、混合)、活物質混合物が形成される前に行われる。いくつかの実施形態では、予熱は、400℃、420℃、440℃、460℃、480℃、500℃、520℃、540℃、560℃、580℃、600℃、625℃、650℃、700℃、800℃もしくは1000℃、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の温度で行われる。いくつかの実施形態では、予熱は、酸化性雰囲気もしくはガス、不活性雰囲気もしくはガス、または還元性雰囲気もしくはガス中で行われる。いくつかの実施形態では、酸化性雰囲気は、例えば空気または酸素に富む雰囲気などの酸素を含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、酸素に富む雰囲気は、少なくとも21体積%の酸素、少なくとも23.5体積%の酸素または少なくとも25体積%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、およびそれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、還元性雰囲気は、水素、一酸化炭素、硫化水素、およびそれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、予熱は、0、1、2、3、4、5、7、10、11、12、15、17、19もしくは20時間、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の時間の間にわたって行われる。いくつかの実施形態では、前駆体混合物を形成した後に予熱は行われない。
【0039】
いくつかの実施形態では、活物質混合物は、形成された後に加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、600℃、650℃、700℃、725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、820℃、840℃、850℃、860℃、880℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、もしくは1200℃、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の温度で行われる。いくつかの実施形態では、活物質混合物の加熱は、酸化性雰囲気、不活性雰囲気、または還元性雰囲気中で行われる。いくつかの実施形態では、加熱温度は予熱温度よりも高い。いくつかの実施形態では、酸化性雰囲気は、例えば空気または酸素に富む雰囲気などの酸素を含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、酸化性雰囲気は、酸素雰囲気または酸素ガスである。いくつかの実施形態では、酸素に富む雰囲気は、少なくとも21体積%の酸素、少なくとも23.5体積%の酸素または少なくとも25体積%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、またはそれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、還元性雰囲気は、水素、一酸化炭素、硫化水素、またはそれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、加熱はガス流下で行われる。いくつかの実施形態では、ガスは、酸化性ガス、不活性ガス、または還元性ガスを含む。いくつかの実施形態では、加熱は、0、1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、15、17、19、20、30、35、40、45もしくは50時間、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の時間の間にわたって行われる。いくつかの実施形態では、活物質混合物は、加熱の際に焼成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、プロセスは、ドープされたカソード活物質を破壊することをさらに含む。いくつかの実施形態では、破壊には、破砕、粉砕、およびそれらの組合せから選択される工程が含まれる。いくつかの実施形態では、プロセスは、ドープされたカソード活物質を処理することを含む。いくつかの実施形態では、処理には、ふるい分け、洗浄、濾過、乾燥、コーティング、およびそれらの組合せから選択される工程が含まれる。
エネルギー貯蔵装置
【0041】
ドープされたカソード活物質は、エネルギー貯蔵装置用の電極の調製に使用され得る。いくつかの実施形態では、電極膜(例えば、ドープされた電極膜)は、ドープされたカソード活物質を含む。いくつかの実施形態では、電極は、集電体および電極膜(例えばドープされた電極膜)を含む。いくつかの実施形態では、電極はカソード電極(例えば、ドープされたカソード電極)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、本明細書に記載のドープされたカソード活物質を含む。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、セパレータ、アノード電極、カソード電極(例えば、ドープされたカソード電極)、電解質、およびハウジングを含み、この電解質、セパレータ、アノード電極およびカソード電極はハウジング内に配置され、セパレータはアノード電極とカソード電極との間に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、本明細書に記載の電解質、セパレータ、アノード電極およびカソード電極をハウジング内に配置することによって形成され、このセパレータはアノード電極とカソード電極との間に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は電池である。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置はリチウムイオン電池である。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、2つのカソード電極によって挟まれたアノード電極を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5のレートで30サイクル後に、70%、75%、80%、83%、85%、90%、95%、98%もしくは99%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の放電容量保持率を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5のレートで30サイクル後に、70%、75%、80%、83%、85%、87%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の充電容量保持率を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5の充電レートで200サイクル後に、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、もしくは3%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、その値未満、またはその近似値未満のエネルギー損失を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5の放電レートで200サイクル後に、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、もしくは3%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、その値未満、またはその近似値未満のエネルギー損失を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5の充電レートで、80%、82%、84%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、95%、96%もしくは97%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の第1サイクル効率を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、C/2、C/3、またはC/5の放電レートで、80%、82%、84%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、95%、96%もしくは97%、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、または少なくともその近似値の第1サイクル効率を有するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質を含むカソードを有するエネルギー貯蔵装置の動作電圧は、4.2V、4.25V、4.3V、4.35V、4.4V、4.45V、4.5V、4.55V、もしくは4.6V、またはそれらの間の任意の範囲の値、その近似値、少なくともその値、少なくともその近似値である。いくつかの実施形態では、ドープされたカソード活物質を含むカソードを有するエネルギー貯蔵装置の動作電圧は、通常の動作電圧(例えば、4.2V)よりも高い。より高い動作電圧は、エネルギー貯蔵装置のエネルギー密度ならびに充電および放電レートを増加させ得る。いくつかの実施形態では、より高い動作電圧は、ドープされたカソード活物質中のニッケル含有量に少なくとも部分的に関連する。いくつかの実施形態では、ニッケル含有量は、通常より高い動作電圧を達成するために、遷移金属元素の中で約40モル%~約80モル%である。
【実施例
【0045】
プロセス、材料および/または結果として生じる生成物を含む本開示の例示的な実施形態を、以下の実施例に記載する。
実施例1
【0046】
図2Aは、いくつかの実施形態による、ドープされたカソード活物質のSEM画像である。図2Aは、ドープされたカソード活物質が複数の球状粒子から構成されることを示している。図2Aから、球状粒子がより小さい粒子の凝集体であることも分かる。
【0047】
図2Bは、それぞれ、ドーパントを含まない、1%Taでドープされた、1%Taおよび0.2%Wでドープされた、ならびに1%Taおよび0.8%Wでドープされたカソード活物質のSEM画像である。図2Bに示されるように、カソード活物質の形態および表面積は、一次ドーパントに加えて二次ドーパントを添加することおよび/または二次ドーパントの量を制御することによって変更することができる。図2Bから、カソード活物質の球状粒子を形成するより小さい粒子は、二次ドーパントの添加および量の増加に伴って、より密に充填され、より高密度になることが分かる。
実施例2
【0048】
ドープされたおよび非ドープのカソード活物質を調製し、それらのタップ密度を比較した。Ni0.65Mn0.35(OH遷移金属前駆体を、1モル%のTiO(すなわち、1モル%のTi)または1モル%のCo(すなわち、1モル%のCo)のドーパント材料と、遷移金属:ドーパント材料=1:0.009のモル比で混合して、前駆体混合物を形成し、およびドーピングをしない遷移金属前駆体も調製した。前駆体混合物のいくつかを、空気またはO中、約500℃で3時間プリベークし、あるいは前駆体混合物のいくつかをプリベークしなかった。プリベークした前駆体混合物、プリベークしなかった前駆体混合物、またはドープされていない遷移金属前駆体を、LiCOリチウム源と、リチウム源:ドーパント材料=1:0.009のモル比で混合して、活物質混合物を形成した。活物質混合物を、空気またはO流下、880~940oCで5~15時間(例えば、10時間)加熱した。加熱した活物質混合物を粉砕し、ふるい分けして、ドープされたおよび非ドープカソード活物質を生成し、チタンドープされた活物質は、LiNi0.643Mn0.347Ti0.01を含み、コバルトドープされた活物質は、LiNi0.643Mn0.347Co0.01を含む。図3は、前駆体混合物をプリベークして、ドーパントを用いない、1モル%のTi、または1モル%のCoドーパントを用いてそれぞれ調製したカソード活物質の正規化タップ密度を示す。図3から分かるように、1モル%のTiまたは1モル%のCoを含むドープされたカソード活物質のタップ密度は、ドーパントを有さないカソード活物質よりも高かった。前駆体混合物をプリベークせずに調製したカソード活物質は、図3に示すものと同様の結果を示した。
実施例3
【0049】
プリベークした前駆体混合物を用いておよび用いずに形成したドープされたおよび非ドープカソード活物質を、実施例2に記載したものと同様のプロセスを利用して調製し、ここで、1モル%のAl、1モル%のCa(OH)、1モル%のMg(例えば、Mg(OH))、1モル%のTiOまたは1モル%のCoドーパント材料を使用してカソード活物質をドープした。ドープされたまたは非ドープカソード活物質を、N-メチル-2-ピロリドン中でカーボンブラックおよびPVDF(ポリ-(フッ化ビニリデン))と混合してスラリーを形成した。カソード活物質:カーボンブラック:PVDFの質量比は90:5:5であった。スラリーをアルミニウム箔上にキャストし、真空乾燥し、次いでロールプレスして14mmのカソード電極のディスクを形成した。カソード活物質の充填量は約13mg/cmであり、カソード電極の密度は約3g/ccであった。14mmのカソード電極ディスクおよびアノード電極としてリチウム金属ディスクを使用して、半電池コイン電池を作製した。コイン電池の大きい缶の上に14mmのディスクを配置し、続いてセパレータ、リチウム金属ディスク、スペーサ、ばね、次いでコイン電池の小さい缶をこの順序で一緒に積み重ねることによって、コイン電池をアルゴン充填グローブボックス内で組み立てた。1:4質量のフルオロエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(FEC/DMC)電解質溶液中の80μLの1M LiPFを、コイン電池の大きい缶と小さい缶との間に加えた。最後に、コイン電池の大きい缶と小さい缶をコイン電池のクリンパで圧着して封を形成した。
【0050】
コイン電池を、Arbin社のサイクラーを使用して試験し、試験環境が試験中に一定温度に維持されたことを確実にするために25℃の温度制御チャンバ内に配置した。コイン電池を3時間静置した後、次いでC/20の一定レートで1サイクルにわたって充放電した。充電後、電流がC/50に達するまでCVホールドプロセスを適用し、その後、コイン電池をC/3の一定レートで30サイクルにわたって充放電した。次に、各充電終了時に電流がC/20に達するまでCVホールドプロセスを適用した。最後に、コイン電池をC/20の一定レートで1サイクルにわたって充放電した後、充電後に電流がC/50に達するまでCVホールドした。
【0051】
図4および図5は、前駆体混合物をプリベークして、ドーピングしない、1モル%のAl、1モル%のCa、1モル%のMg、1モル%のTi、1モル%のCoドーパントを用いて調製したカソードを有する本明細書に記載のコイン電池の正規化エネルギーおよび電荷保持率の結果を示す。図4および図5に見られるように、ドーパント材料を含むコイン電池のエネルギーおよび容量保持率は、それぞれドーパントを含まない電池と比較して改善された。前駆体混合物をプリベークせずに調製したカソードを有するコイン電池は、図4および図5に示されるものと同様の結果を示した。
【0052】
図6は、前駆体混合物をプリベークせずに調製し、Caドーパントを含まないか、0.125モル%のCa、0.25モル%のCa、0.5モル%のCa、1モル%のCaまたは3モル%のCaドーパントを含むカソード活物質を含むカソードを有する、本明細書に記載のコイン電池の第1サイクル効率を示す。Caドーパントに加えて、カソード活物質の各々は、ドーパントとして1モル%のTaおよび0.4モル%のTiも含んでいた。図6から分かるように、コイン電池の第1サイクル効率は、Caドーパントなしと比較して、0.125モル%のCa、0.25モル%のCa、および0.5モル%のCaドーパントを含むことで改善される。
実施例4
【0053】
前駆体混合物をプリベークせずに調製した非ドープまたはドープされたカソード活物質を含むカソード電極を含む全電池(すなわち、パウチ電池)を調製し、試験した。全電池用のカソード電極を、カソード活物質:カーボンブラック:PVDFの質量比が96:2:2であり、カソード活物質の充填が約18mg/cmであり、カソード電極の密度が約3g/ccであることを除いて、実施例3で議論した半電池用に調製したものと同様に調製した。カソード電極を、54×54mmのディスク上に形成した。グラファイトをアノードとして使用した。アノード電極を2つのカソード電極で挟み、各々の電極をセパレータで包んで電極スタックを形成することによって全電池を調製した。次いで、積層体を、1.5gの電解質を充填したパウチバッグ中に密封した。質量で25:5:70のエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジメチルカーボネート(EC/EMC/DMC)の電解質溶液中に0.9MのLiPFおよび0.3MのLiFSIを溶解することによって、電解質を形成した。パウチバッグをホットシール機で密封した。次いで、全電池をイソプロパンワイプで洗浄した。全電池を露点-25℃のドライルーム内で組み立てた。
【0054】
全電池を、Arbin社のサイクラーを使用して試験し、試験環境が試験中に一定温度に維持されたことを確実にするために40℃の温度制御チャンバ内に配置した。試験前に形成プロセスを経ることによって全電池を形成した。全電池を最初にC/50の一定レートで3.0Vに充電し、全電池にCVホールドプロセスを8時間適用した。次いで、全電池をC/5の一定レートで4.055Vに充電し、電流がC/20に達するまでCVホールドプロセスを全電池に適用し、その後全電池を12時間放置した。C/20のレートで充放電した後に、全電池を形成した。
【0055】
形成プロセス後、最初に1サイクルにわたってC/2の一定レートで充放電することによって全電池を試験し、充電後に電流がC/50に達するまで、全電池にCVホールドプロセスを適用した。次いで、電池を200サイクルにわたってC/2の一定レートで充放電し、各充電プロセスの終了時に電流がC/20に達するまで、全電池にCVホールドプロセスを適用した。
【0056】
図7は、ドーパントを含まないか、1モル%のZrドーパント、1モル%のZrおよび1モル%のTiドーパント、1モル%のZr、1モル%のTiおよび1モル%のAlドーパント、または1モル%のZr、1モル%のTi、1モル%のAlおよび1モル%のMgドーパントを含むカソードを有する本明細書に記載の全電池のエネルギー損失結果の百分率が、19.5%、12%、6.5%、および4.8%であることを示している。図7に見られるように、異なる種類および量のドーパント材料を含む全電池のエネルギー損失は、ドーパントを含まない全電池のエネルギー損失と比較して減少した。さらに、全電池のエネルギー損失は、200サイクル後に単一ドーパントで20%未満に減少し、全電池のエネルギー損失は、200サイクル後に2つのドーパントで15%未満に減少し、全電池のエネルギー損失は、200サイクル後に3つまたは4つの異なるドーパントで10%未満に減少した。
【0057】
特定の実施形態を記載したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法における様々な省略、置換および変更が行われ得る。添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物は、本開示の範囲および趣旨に含まれるような形態または修正を包含することが意図される。
【0058】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特徴、材料、特性、または群は、それと矛盾しない限り、このセクションまたは本明細書の他の箇所に記載される任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示された特徴のすべて、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程のすべては、そのような特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。保護は、任意の前述の実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つもしくは任意の新規の組合せ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規の1つもしくは任意の新規の組合せに及ぶ。
【0059】
さらに、別個の実装形態の文脈において本開示で記載される特定の特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実装され得る。逆に、単一の実装形態の文脈において記載されている様々な特徴は、複数の実装形態において別個に、または任意の好適なサブコンビネーションでも実装され得る。さらに、特徴は特定の組合せで作用するものとして上述され得るが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、組合せから削除することができ、組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形として特許請求され得る。
【0060】
さらには、動作は、特定の順序で図面に示され、または本明細書に記載され得るが、そのような動作は、所望の結果を達成するために、示された特定の順序で、または連続した順序で実行される必要はなく、またはすべての動作が実行される必要はない。図示または記載されていない他の動作は、例示的な方法およびプロセスに組み込まれ得る。例えば、記載された動作のいずれかの前、後、同時に、または間に、1つまたは複数の追加の動作を実行することができる。さらに、他の実装形態では、動作を並べ替えるか、または順序を変更してもよい。いくつかの実施形態では、図示および/または開示されたプロセスで行われる実際の工程は、図に示されたものとは異なり得ることが当業者には理解されよう。実施形態に応じて、上述の工程のうちの特定の工程を削除してもよく、他の工程を追加してもよい。さらに、上記で開示された特定の実施形態の特徴および属性は、追加の実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらのすべては本開示の範囲内に含まれる。また、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載された構成要素およびシステムは、一般に、単一の製品に一体化されるか、または複数の製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。例えば、本明細書に記載されるエネルギー貯蔵システム用の構成要素のいずれかは、別個に提供されてもよく、または一体化されて(例えば、一緒にパッケージ化されるか、もしくは一緒に取り付けられて)エネルギー貯蔵システムを形成してもよい。
【0061】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしもそのような利点のすべてが、任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではない。したがって、例えば、当業者は、本開示が、本明細書で教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点の群を達成するように具体化または実施され得ることを認識するであろう。
【0062】
「できる(can)」、「できる(could)」、「してよい(might)」、または「してよい(may)」などの条件付き言語は、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/または工程を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/または工程が1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/または工程が任意の特定の実施形態に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味するものではない。
【0063】
句「X、YおよびZのうちの少なくとも1つ、」などの接続語は、特に明記しない限り、項目、用語などがX、Y、またはZのいずれかであり得ることを伝えるために一般に使用される文脈とともに理解される。したがって、そのような接続言語は、一般に、特定の実施形態がXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを意味することを意図していない。
【0064】
本明細書で使用される「およそ(approximately)」、「約(about)」、「一般に(generally)」、および「実質的に(substantially)」などの本明細書で使用される程度の言語は、依然として所望の機能を果たすか、または所望の結果を達成する、記載された値、量、または特性に近い値、量、または特性を表す。
【0065】
本開示の範囲は、このセクションまたは本明細書の他の箇所における実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、このセクションまたは本明細書の他の箇所に提示されるように、または将来提示されるように、特許請求の範囲によって定義され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲で使用される文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された実施例または本出願の手続中に記載された実施例に限定されず、これらの実施例は非排他的であると解釈されるべきである。
【0066】
特定の実施形態を記載したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法における様々な省略、置換および変更が行われ得る。添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物は、本開示の範囲および趣旨に含まれるような形態または修正を包含することが意図される。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】