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特表2025-501050耐プラズマ2層コーティング膜構造物及びこの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】耐プラズマ2層コーティング膜構造物及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 18/00 20060101AFI20250109BHJP
   C04B 41/89 20060101ALI20250109BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20250109BHJP
   C23C 14/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B32B18/00 A
C04B41/89 A
C23C16/44 A
C23C14/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526849
(86)(22)【出願日】2023-03-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2023003657
(87)【国際公開番号】W WO2023182747
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0036361
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524166259
【氏名又は名称】フェムビクス コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】524162778
【氏名又は名称】キム,オク リュル
(71)【出願人】
【識別番号】524162789
【氏名又は名称】キム,オク ミン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,オク リュル
(72)【発明者】
【氏名】キム,オク ミン
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4F100AA17B
4F100AA17C
4F100AA19B
4F100AB01A
4F100AD00A
4F100AD00B
4F100AD00C
4F100AD03B
4F100BA03
4F100EH46B
4F100EH66C
4F100GB41
4F100JK12C
4F100JK15B
4F100JK15C
4F100YY00B
4F100YY00C
4K029AA02
4K029AA04
4K029BA43
4K029BA44
4K029BB02
4K029BC01
4K029BD03
4K029FA03
4K029FA07
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA59
4K030BB03
4K030CA02
4K030CA05
4K030CA11
4K030DA02
4K030JA01
(57)【要約】
本発明は、セラミック又は金属基材の表面に形成されてプラズマによるエッチングを低減する2層コーティング膜構造物及びこの製造方法に関するものである。
本発明は、表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材と、前記基材の表面に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により亀裂なしに形成されたセラミックコーティング膜であって、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層と、前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法によりコーティングされた耐プラズマ性セラミック膜であって、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されて、前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化された表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在している第2のコーティング層と、を備える耐プラズマ2層コーティング膜構造物を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材と、
前記基材の表面に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により亀裂なしに形成されたセラミックコーティング膜であって、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層と、
前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法によりコーティングされた耐プラズマ性セラミック膜であって、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されて、前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化された表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在している第2のコーティング層と、
を備える、耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項2】
前記基材は、半導体工程部品であることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項3】
前記第1のコーティング層は、Al、Y、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項4】
前記第1のコーティング層には、亀裂がないことを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項5】
前記第1のコーティング層には、気孔が1vol%以下で含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項6】
前記第1のコーティング層は、層厚が20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項7】
前記第2のコーティング層は、イットリウム(Y)を含むセラミック膜又は金属酸化物を含むセラミック膜であることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項8】
前記第2のコーティング層は、Y、YF、YOF、YAG、YAP、YAMのうちのいずれか一種以上から形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項9】
前記第2のコーティング層は、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項10】
前記第2のコーティング層には、気孔がないことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項11】
前記第2のコーティング層は、層厚が15μm以下であることを特徴とする、請求項10に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項12】
前記第2のコーティング層の表面硬さ(Vicker shardness;Hv)は、Hv 500~Hv 1,500であることを特徴とする、請求項10に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【請求項13】
(a)表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法によりセラミックパウダーを吹き付けて、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層を形成するステップと、
(b)前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法により前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化された表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在しており、イットリウム(Y)又は金属酸化物を含むセラミック膜からなり、表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である第2のコーティング層を形成するステップと、
を含む、耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)の前に、前記基材の表面を研削するステップ(a-0)をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項15】
前記ステップ(a-0)においては、前記基材の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削することを特徴とする、請求項14に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項16】
前記ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-1)をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項17】
前記ステップ(a-1)においては、第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削することを特徴とする、請求項16に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項18】
前記ステップ(a-1)の後に、
溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法によりセラミックパウダーを吹き付けて前記第1のコーティング層の層厚を増加させるステップ(a-2)と、
増加された層厚の第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-3)と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項19】
前記ステップ(a-3)においては、増加された層厚の第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削することを特徴とする、請求項18に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【請求項20】
前記ステップ(b)の後に、2層コーティング膜構造物に熱処理を施すステップ(c)をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック又は金属基材の表面に形成されてプラズマによるエッチングを低減する2層コーティング膜構造物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体工程中プラズマに晒される工程部品は、工程部品の表面の局部的に窪んだ部分(溝;以下、ピット(pit)と称する。)において優先的にエッチングが生じ、時間が経つにつれて工程部品の全体にわたってエッチングが行われることに伴い、局部的に始まったエッチングが工程部品の表面の全体にわたって広がることが知られている(イ・ビョングク(Byung-Kuk Lee)他5人、非特許文献1)。
【0003】
また、半導体工程中にプラズマに晒される工程部品の表面にプラズマに対する抵抗性がある物質(例えば、Y、岩澤順一他4人、非特許文献2)をコーティングすることにより、プラズマエッチングに対する保護層を形成してきた。
【0004】
その一つの実施形態として挙げられた大韓民国登録特許第10-2213756号公報(特許文献1)に記載の技術は、基材(工程部品)の表面に溶射(thermal spray)方法によりプラズマ保護コーティング層を形成する技術である。但し、溶射方法により形成されたコーティング層には必ず亀裂と気孔が含まれ、このような亀裂と気孔の起点から局部的にプラズマエッチングが始まって工程部品の全体にわたって広がるという欠点があった。
【0005】
また、大韓民国登録特許第10-0938474号公報(特許文献2)に記載の技術は、工程部品の表面にエアロゾル蒸着(AD:aerosol deposition)方法により亀裂がなく、しかも、気孔がほとんどないコーティング層を形成してプラズマエッチングに対する保護層を実現する技術である。
【0006】
大韓民国公開特許第10-2013-0044170号公報(特許文献3)に記載の技術は、プラズマに晒されるエアロゾル蒸着層を形成する特許文献2に記載の技術に加えて、エアロゾル蒸着層の表面に1~2μmの深さを有する交差状のスクラッチ(scratch)を提供する技術である。
【0007】
また、大韓民国登録特許第10-1563130号公報(特許文献4)に記載の技術は、特許文献3に記載の技術に加えて、工程部品の表面の谷(valley)とピーク(peak)を取り除き、コーティング膜を形成した後、このコーティング膜の表面の谷とピークを取り除く技術であって、特許文献1、2、3の技術よりもさらに向上した耐プラズマ性が現れるようにする技術である。
【0008】
上記の特許文献1~4のコーティング膜(層)は、共通して、パウダーを吹き付け(spray)コーティングする技術が適用されたものであって、特許文献1は溶射方法、特許文献2、3はエアロゾル蒸着方法、特許文献4は溶射方法以外の吹き付けコーティング方法によるものである。
【0009】
一方、プラズマ保護層を形成するための方法であって、溶射方法以外のコーティング方法として、イオン補助蒸着(IAD)、プラズマ反応性蒸着(PRD)、プラズマ強化CVD、プラズマ強化蒸発、物理気相蒸着(PVD)、プラズマ浸漬イオンプロセス蒸着(plasma immersion ion process;PIIP)技術(大韓民国登録特許第10-1309716号公報、特許文献5)が挙げられ、プラズマ保護層を形成するための他の方法として、PECVD(plasma-enhanced CVD)、PVD(physical vapor deposition)、CVD(chemical vapor deposition)、ALD(atomic layer deposition)技術(大韓民国公開特許第10-2016-0143532号公報、特許文献6)が挙げられる。
【0010】
上記の特許文献1~6の技術は、共通して、プラズマに晒される工程部品の表面に単一層から構成されたプラズマ保護層が形成されている。
【0011】
一方、プラズマに晒される工程部品の表面とプラズマ保護層との間にコーティング層がさらに一つ形成された技術がある。
【0012】
大韓民国登録特許第10-1108692号公報(特許文献7)に記載の技術は、特許文献1の溶射コーティング層の上に特許文献2のエアロゾル蒸着層を形成して耐プラズマ性を持たせた技術であるが、他の技術との差別化が図れた注目すべき点は、工程部品の上に形成したコーティング層の表面の加工をサンドブラスト(sand blast)を用いて粗さ(平均表面粗さが0.4~2.3μm)を粗くしてエアロゾル蒸着層が溶射コーティング層と上手く付着(adhesion)するようにしたことである。
【0013】
大韓民国登録特許第10-2182690号公報(特許文献8)に記載の技術は、プラズマに晒される工程部品の表面に溶射コーティング層を形成し、前記溶射コーティング層の表面の一部を溶融処理して表面溶融層を形成し、前記溶融層の上にエアロゾル蒸着法により表面補完層を形成した技術である。
【0014】
大韓民国登録特許第10-1817779号公報(特許文献9)に記載の技術は、特許文献1の溶射コーティング層の上に特許文献2のエアロゾル蒸着層を形成して耐プラズマ性を持たせた点では特許文献7と同じであるが、但し、前記溶射コーティング層とエアロゾル蒸着層を水和処理することを含むという点で特許文献7とは相違点がある。
【0015】
大韓民国公開特許第10-2019-0057753号公報(特許文献10)に記載の技術は、特許文献1の溶射コーティング層の上に特許文献2のエアロゾル蒸着層を形成して耐プラズマ性を持たせた点では特許文献7と同じであるが、前記溶射コーティング層の表面を研磨(polishing)した点で特許文献7とは相違点がある。
【0016】
上述したように、前記特許文献7~10は、共通して、プラズマに晒される工程部品の表面に気孔と亀裂が存在する溶射コーティング膜(層)(特許文献1)において気孔と亀裂を低減するエアロゾル蒸着層(特許文献2、3)を形成して極物的に始まるプラズマエッチングを低減しようとする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2213756号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0938474号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10-2013-0044170号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-1563130号公報
【特許文献5】韓国登録特許第10-1309716号公報
【特許文献6】韓国公開特許第10-2016-0143532号公報
【特許文献7】韓民国登録特許第10-1108692号公報
【特許文献8】韓国登録特許第10-2182690号公報
【特許文献9】韓国登録特許第10-1817779号公報
【特許文献10】韓国公開特許第10-2019-0057753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、セラミック基材の表面に第1のコーティング層が形成され、前記第1のコーティング層の上に第2のコーティング層が形成されてプラズマエッチングを格段に低減する耐プラズマ2層コーティング膜構造物を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明は、表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材と、前記基材の表面に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により亀裂なしに形成されたセラミックコーティング膜であって、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層と、前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法によりコーティングされた耐プラズマ性セラミック膜であって、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されて、前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化された表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在している第2のコーティング層と、を備える耐プラズマ2層コーティング膜構造物を提供する。
【0020】
半導体工程部品を前記基材として採用してもよい。
【0021】
前記第1のコーティング層は、Al、Y、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成するが、コーティング層に亀裂がないようにし、気孔1vol%以下、層厚20μm以下に形成してもよい。
【0022】
前記第2のコーティング層は、イットリウム(Y)を含むセラミック膜又は金属酸化物を含むセラミック膜から形成してもよい。具体的には、前記第2のコーティング層は、Y、YF、YOF、YAG、YAP、YAMのうちのいずれか一種以上から形成してもよいし、あるいは、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成してもよく、気孔がないようにし、層厚15μm以下に形成してもよい。前記第2のコーティング層は、表面硬さ(Vicker shardness;Hv)は、Hv 500~Hv 1,500になるように形成してもよい。
【0023】
本発明は、(a)表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法によりセラミックパウダーを吹き付けて、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層を形成するステップと、(b)前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)及び原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちの一つの方法により前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点となり得る個所が最小化した表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在しており、イットリウム(Y)又は金属酸化物を含むセラミック膜からなり、表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である第2のコーティング層を形成するステップと、を含む耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法を併せて提供する。
【0024】
前記ステップ(a)の前には、前記基材の表面を研削するステップ(a-0)をさらに含んでいてもよく、前記ステップ(a-0)においては、前記基材の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削してもよい。
【0025】
前記ステップ(a)とステップ(b)との間には、前記第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-1)をさらに含めてもよく、前記ステップ(a-1)においては、第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削してもよい。
【0026】
前記ステップ(a-1)の後には、前記第1のコーティング層の層厚を増加させるステップ(a-2)及び増加された層厚の第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-3)をさらに含めてもよい。同様に、前記ステップ(a-2)においても、溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により第1のコーティング層の層厚を増加させてもよい。前記ステップ(a-3)においては、増加された層厚の第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削してもよい。
【0027】
前記ステップ(b)の後には、2層コーティング膜構造物に熱処理を施すステップ(c)をさらに含めてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、セラミック又は金属基材の表面に耐プラズマ2層コーティング膜構造物を形成することにより、下記のような効果が得られる。
【0029】
1.数マイクロメートル(μm)~数十マイクロメートルのサイズのピット(pit)が存在する基材の表面に第1のコーティング層を形成し、セラミックコーティングにより基材の表面のピットよりも相対的にさらに小さな微小ピット(プラズマによるエッチングが集中し得る起点)が存在する第1のコーティング層の上に耐プラズマ性セラミック膜から形成され、プラズマエッチングが集中し得るピットがないか、あるいは、プラズマエッチングが集中し得るピットが格段に低減した第2のコーティング層を形成することにより、基材の耐プラズマ性を確保することができる。
【0030】
2.耐プラズマ2層コーティング膜構造物が形成された半導体工程部品は、プラズマが適用される工程においてパーティクル(particle)の付着が低減されることができる。
【0031】
3.前述したプラズマエッチング及びパーティクルの低減を通じて、半導体の製造、処理工程が連続して安定的に行われて生産歩留まりが向上する。
【0032】
4.半導体などの製造、処理工程の後に製品の不良率が減少することができる。
【0033】
5.セラミック又は金属基材の取り替えに伴う外部の洗浄周期が延びる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る耐プラズマ2層コーティング膜構造物の断面模式図である。
図2】基材の表面に存在するピット(pit)に沿って形成される従来のPVD又はCVD又はALD方法により形成された単一層のコーティング膜の断面模式図である。
図3】基材の表面に従来の溶射(thermal spray)コーティング層及びエアロゾル蒸着(aerosol deposition)方法により形成されたエアロゾル蒸着層のコーティング膜の断面模式図である。
図4】本発明に係る耐プラズマ2層コーティング膜構造物の詳細な断面模式図である。
図5】本発明に係る耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法の工程手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材と、
前記基材の表面に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により亀裂なしに形成されたセラミックコーティング膜であって、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層と、
前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法によりコーティングされた耐プラズマ性セラミック膜であって、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されて、前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化した表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在している第2のコーティング層と、
を備える耐プラズマ2層コーティング膜構造物。
【0036】
本発明の技術の概念は、前述した特許文献1~10と比較して明らかに対比可能である。
【0037】
前述した特許文献1は、溶射方法であって、この技術により形成されたコーティング層には亀裂と気孔が含まれていて、前記亀裂と気孔を用いたプラズマエッチングが著しく起こる。
【0038】
前述した特許文献2~4は、溶射以外のパウダー吹き付けコーティングによる単一層をもって耐プラズマ性を実現しようとするものである。この技術群によれば、コーティング層に気孔と亀裂がほとんど生じないようにする効果が実現されるが、コーティングのj過程においてパウダー粒子間の結合により表面に微小ピットが形成される。前記微小ピットは、プラズマエッチングが集中する脆弱点となってその個所を起点としてピットの幅と深さが増加して基材にも影響を及ぼしてしまう。
【0039】
前述した特許文献5、6は、パウダー吹き付けコーティング方法ではなく、他の方法により単一のコーティング層を形成して耐プラズマ性を実現するための技術である。この技術群によれば、緻密なコーティングが行われるが、コーティング層が薄肉の薄膜として形成されるため、コーティング層が基材の表面のピット(pit)を埋め込むよりは、ピットの形状に倣って形成され、このようなコーティング層の形態的な特性がプラズマに対する脆弱点となる。
【0040】
前述した特許文献7~10は、パウダー吹き付けコーティングによる2重層(溶射コーティング層+エアロゾルコーティング層)により耐プラズマ性を実現しようとするものである。2層コーティング層となるエアロゾルコーティング層の表面には前述した特許文献2~4について説明した微小ピットの発生の問題が相存し、1層コーティング層となる溶射コーティング層には亀裂と気孔が必然的に伴われるため、2層コーティング層の表面に形成された微小ピットを起点としてプラズマエッチングが広がることを1層コーティング層が十分に防御できなくなる。
【0041】
これとは対照的に、本発明の耐プラズマ2層コーティング膜構造物は、第1のコーティング層が溶射(thermal spray)を除いたパウダー吹き付けコーティングにより形成され、第2のコーティング層は第1のコーティング層よりも相対的にさらに緻密性よく(例えば、原子単位の積層)コーティング層が形成される化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)などの方法により形成されたものである。
【0042】
本発明は、基材の表面に相対的に大きな数マイクロメートル(μm)~数十マイクロメートルのサイズのピット(pit)があるとしても、第1のコーティング層が前記基材の表面のピットを埋め込むようにし、前記第1のコーティング層の表面に形成された微小ピットは緻密にコーティングされる第2のコーティング層により覆って第2のコーティング層の表面にプラズマエッチングが集中する個所が最小化することにより、従来の技術(特許文献1~10)に比べて格段に優れたプラズマ耐エッチング性が発現される。
【0043】
以下では、添付図面に基づいて、本発明について説明する。
【0044】
I.耐プラズマ2層コーティング膜構造物
本発明は、表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材と、前記基材の表面に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により亀裂なしに形成されたセラミックコーティング膜であって、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層と、前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法によりコーティングされた耐プラズマ性セラミック膜であって、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されて、前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化した表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在している第2のコーティング層と、を備える耐プラズマ2層コーティング膜構造物を提供する。
【0045】
本発明の耐プラズマ2層コーティング膜構造物は、後述する「II.耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法」に記載のところに従い製造してもよい。
【0046】
本発明の構造物は、図1に示されているように、セラミック又は金属基材の上に順次に積層される第1のコーティング層及び第2のコーティング層からなる。
【0047】
図1に示されているように、本発明が提供する耐プラズマ2層コーティング膜構造物は、セラミック又は金属基材の表面に形成された第1のコーティング層と、前記第1のコーティング層の上に形成された第2のコーティング層と、から構成されたコーティング膜構造物である。
【0048】
1.第1のコーティング層
前記第1のコーティング層は、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含むセラミック膜である。
【0049】
前記第1のコーティング層がセラミック多結晶体を含むということは、前記第1のコーティング層が全体的に多結晶体から形成されているか、あるいは、非晶質が一部分存在する可能性があるということを意味する。
【0050】
すなわち、前記第1のコーティング層の形成方法であるパウダー(powder)吹き付けコーティング方式によりパウダー粒子が高速(又は、超速)にて基材に衝突するか、あるいは、パウダー粒子間の衝突により粒子が破砕されて前記粒子が結晶性を失って非晶質相(amorphous phase)に変化することにより、結晶と結晶との間に非晶質が一部分存在する可能性があるということである。
【0051】
また、溶射(thermal spray)コーティング方法によりセラミックパウダー粒子が溶けて形成されるコーティング膜とは異なり、前記第1のコーティング層の多結晶体は、セラミックパウダー粒子が基材及び粒子間の衝突により破砕されて300nm未満のサイズの結晶子として形成されるという特徴がある。
【0052】
前記多結晶体結晶子サイズ(size)は、透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscopy)写真から確認することができ、前記セラミック膜の成分の分析は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-Ray)分析を用いて確認することができる。
【0053】
前記第1のコーティング層は、Al、Y、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成してもよい。
【0054】
一方、パウダーを吹き付け(spray)コーティングする方法とは異なり、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)又は化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)又は原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)方法により形成されたセラミック膜は、一般に、図2に示されているように、基材の表面のピット(pit)に沿って形成される。
【0055】
しかしながら、前記第1のコーティング層は、図4に示されているように、基材の表面のピット(pit)を埋め込みながら形成される。但し、第1のコーティング層の表面にはコーティング層の形成のためのセラミックパウダー粒子の結合の過程において微小ピットが形成される可能性がある。
【0056】
また、本発明に係る第1のコーティング層は、20μm以下の層厚を有することを特徴とする。前記第1のコーティング層の層厚は、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)写真を用いて確認することができる。
【0057】
一方、図3に示されているように、基材の表面の溶射(thermal spray)コーティング層は、パウダーを溶かして吹き付けコーティングする方法により必然的に亀裂が伴われるが、本発明に係る前記基材の表面の第1のコーティング層は、溶射コーティング層とは異なり、亀裂(crack)がないことを特徴とする。前記コーティング層の亀裂の存否は、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)写真を用いて確認することができる。
【0058】
さらに、前記第1のコーティング層は、気孔が1vo1%以下であることを特徴とする。気孔がないか、あるいは、気孔があるとしても、1vol%以下であるのである。前記第1のコーティング層の気孔の存否は、SEM又はTEM写真から確認することができる。
【0059】
2.第2のコーティング層
前記第2のコーティング層は、第1のコーティング層の上に形成された耐プラズマ性セラミック膜である。耐プラズマ性の確保のために、イットリウム(Y)を含むセラミック膜又は金属酸化物を含むセラミック膜から構成してもよい。
【0060】
イットリウム(Y)を含むセラミック膜は、Y、YF、オキシフッ化イットリウム(YOF:yttrium oxyfluoride)、イットリウムアルミニウム(YAG:yttrium aluminium, YAl12)、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP:yttrium aluminium perovskite, YAlO)、イットリウムアルミニウムモノクリニック(YAM:yttrium aluminium monoclinic, YAl)のうちのいずれか一種以上から形成してもよい。
【0061】
前記金属酸化物を含むセラミック膜は、Tm、Gd、Dy、Er、Smのうちのいずれか一種以上から形成してもよい。
【0062】
前記第2のコーティング層は、全体的に結晶質(crystalline)からなるか、あるいは、結晶質と非晶質(amorphous)とが混在している状態となっている。CVD、PVD、ALDなどの方法により前記セラミック膜を形成した場合、結晶質と非晶質とが混在している状態を観察することができるが、そのような状態の膜に熱処理を施すことにより、全体的に結晶質膜となる。前記第2のコーティング層のセラミック膜における結晶質又は結晶質と非晶質との混在の有無は、TEM写真又は電子回折(SAD, SAED; selected area (electron) diffraction)パターンから確認することができる。
【0063】
前述した通り、前記第1のコーティング層が基材の表面のピットを埋め込みながらコーティングされるものの、表面に微小ピットが形成されるが、前記第1のコーティング層の微小ピットは前記第2のコーティング層が覆ってプラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化するので、耐プラズマ性が向上する。
【0064】
前記第2のコーティング層は、層厚15μm以下に形成されるが、表面硬さ(Vicker shardness;Hv)はHv 500~Hv 1,500であり、表面硬さが大きければ大きいほど、耐プラズマ性(プラズマ耐エッチング性)が向上する傾向にある。前記第2のコーティング層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下に形成されたことを特徴とする。
【0065】
II.耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法
本発明は、(a)表面にピット(pit)が存在するセラミック又は金属基材に溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法によりセラミックパウダーを吹き付けて、前記基材の表面のピット(pit)を埋め込みながらコーティングされるが、表面にセラミック粒子の結合に伴われる微小ピットが形成され、結晶子サイズが300nm未満であるセラミック多結晶体を含む第1のコーティング層を形成するステップと、(b)前記第1のコーティング層の上に化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)及び原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法により前記微小ピットを覆いながらコーティングされることにより、プラズマエッチングの起点になり得る個所が最小化した表面が形成され、結晶質からなるか、あるいは、結晶質と非晶質とが混在しており、イットリウム(Y)又は金属酸化物を含むセラミック膜からなり、表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である第2のコーティング層を形成するステップと、を含む耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法を併せて提供する。
【0066】
前述した「I.耐プラズマ2層コーティング膜構造物」の欄において本発明が提供する耐プラズマ2層コーティング膜構造物の特徴及びその特徴により発現される現象と効果について述べた。以下では、前記耐プラズマ2層コーティング膜構造物の製造方法について説明する。
【0067】
本発明に係る前記耐プラズマ2層コーティング膜構造物は、図5に示されているような工程順序に従って第1のコーティング層及び第2のコーティング層を形成することにより製造される。
【0068】
前記ステップ(a)は、セラミック又は金属基材にセラミックパウダーを吹き付けコーティングして第1のコーティング層を形成するステップである。前述した通り、前記基材には、半導体工程部品が採用可能である。
【0069】
前記ステップ(a)においては、溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法(ALD方法など)を適用して第1のコーティング層を形成してもよい。
【0070】
前記ステップ(a)の前には、前記基材の表面を研削するステップ(a-0)をさらに含めて基材の表面のピットの深さを浅くすることができ、前記ステップ(a-0)においては、前記基材の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削してもよい。
【0071】
前記ステップ(a)とステップ(b)との間には前記第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-1)をさらに含めて、前記第1のコーティング層の表面微小ピットの深さをさらに浅くして、幅をさらに狭めてもよい。前記ステップ(a-1)においても、第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削してもよい。
【0072】
前記ステップ(a-1)の後には、前記第1のコーティング層の層厚を増加させるステップ(a-2)及び増加された層厚の第1のコーティング層の表面を研削するステップ(a-3)をさらに含めてもよい。同様に、前記ステップ(a-2)においても、溶射(thermal spray)を除いた吹き付けコーティング方法により第1のコーティング層の層厚を増加させてもよく、前記ステップ(a-3)においては、増加された層厚の第1のコーティング層の表面を表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように研削して増加された層厚の第1のコーティング層の表面の微小ピットの深さを最小限に抑えてもよい。
【0073】
前記ステップ(b)は、前記第1のコーティング層の上に溶射コーティング以外の吹き付けコーティング方法によりイットリウム(Y)を含むセラミック膜又は金属酸化物を含むセラミック膜からなる第2のコーティング層を形成するステップである。
【0074】
前記ステップ(b)においては、化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)のうちのいずれか一つの方法により第2のコーティング層を形成してもよく、このような第2のコーティング層は、別途の研削過程なしに表面粗さ(Ra)が0.2μm以下になるように形成されてもよい。
【0075】
前記ステップ(b)により、前記第2のコーティング層は、層厚15μm以下、表面硬さ(Vicker shardness;Hv)はHv 500~Hv 1,500に形成可能であり、表面硬さが大きければ大きいほど、耐プラズマ性(プラズマ耐エッチング性)が向上する傾向にある。
【0076】
本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において多種多様な修正及び変形を加えることが可能であり、多岐にわたる分野において使用可能である。よって、本発明の特許請求の範囲は、以前の発明の真の範囲内に属する修正及び変形を網羅する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明が提供する耐プラズマ2層コーティング膜構造物及びこの製造方法は、半導体産業に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】