(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ビアの固着取付け
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20250109BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20250109BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/00 N
H05K1/03 610T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532196
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022052505
(87)【国際公開番号】W WO2024129054
(87)【国際公開日】2024-06-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524201826
【氏名又は名称】ハーバー・エレクトロニクス・インク
【氏名又は名称原語表記】HARBOR ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】3021 Kenneth Street, Santa Clara, CA 95054, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・ラミレス
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ノリス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ディール
(72)【発明者】
【氏名】クリス・クーダ
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA22
5E316AA38
5E316AA42
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316EE01
5E316FF01
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH07
5E316HH31
5E316HH33
5E316JJ02
5E316JJ03
(57)【要約】
2つの電子回路基板、例えば、試験用PCBおよびスペーストランスフォーマを取り付けるための方法は、樹脂プリプレグおよびマイラーフィルムを試験用PCBにタック溶接するステップと、ホールが樹脂プリプレグの一方の側で試験用PCB上の接続/キャプチャパッドと位置合わせされ、かつ樹脂プリプレグの他方の側で(取り付け後に)スペーストランスフォーマ上の接続キャプチャパッドと位置合わせされるように、樹脂プリプレグおよびマイラーフィルム内にビアホールをレーザ穿孔するステップと、焼結ペーストをビアホールに充填するステップと、加圧処理を施して、焼結用ペーストから空気、気泡および空隙を除去するステップと、マイラーフィルムを除去するステップと、積層プレスサイクルを使用して、スペーストランスフォーマを樹脂プリプレグに取り付けるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子回路基板を第2の電子回路基板に取り付けるための方法であって、
前記第1の電子回路基板の取付け側に樹脂プリプレグを固定するステップと、
前記第1の電子回路基板上の電気接続の位置で前記樹脂プリプレグを貫通するホールを作製するステップと、
焼結ペーストを前記ホールに充填するステップと、
前記第1の電子回路基板を(前記樹脂プリプレグおよび前記焼結ペーストと共に)加圧処理するステップと、
積層プレスサイクルを使用して、前記第2の電子機器基板上の電気接続が前記ホール内の前記焼結ペーストと位置合わせされるように、前記第2の電子機器基板の取付け側を前記第1の電子機器基板とは反対側の前記樹脂プリプレグの側に取り付けるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記樹脂プリプレグを固定する前記ステップの後、かつ前記ホールを作製する前記ステップの前に、前記第1の電子回路基板の反対側の前記樹脂プリプレグにマイラー層を適用するステップと、
加圧処理するステップの後、かつ前記積層プレスサイクルを使用するステップの前に、前記樹脂プリプレグから前記マイラー層を除去するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイラー層が、約1mmの厚さのマイラーシートを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂プリプレグを前記第1の電子回路基板の取付け側に固定する前記ステップが、前記樹脂プリプレグを前記第1の電子回路基板の前記取付け側にタック溶接するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ホールを作製する前記ステップが、ホールをレーザ穿孔するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ホールを作製する前記ステップが、直径約6mmのホールをレーザ穿孔するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の電子回路基板を加圧処理する前記ステップが、真空サイクルおよび圧力サイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力サイクルが約20分間で約8バールの圧力である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
加圧処理する前記ステップの後、かつ積層プレスサイクルを使用する前記ステップの前に、
追加の焼結ペーストを前記ホールに追加するステップと、
前記第1の電子回路基板を(前記樹脂プリプレグおよび焼結ペーストと共に)加圧処理するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
追加の焼結ペーストを前記ホールに追加する前記ステップの前に、前記ホールが焼結ペーストで十分に充填されていないと決定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂プリプレグがガラス織布を含む未硬化エポキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂プリプレグが、約2.5mmの厚さであり、樹脂含有量が約70重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
加圧処理する前記ステップが、圧力/真空オーブンを使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電子回路基板が試験用PCBである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電子回路基板がスペーストランスフォーマである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
電子回路部品であって、
第1の電子回路基板と、
第2の電子回路基板と、
前記第1の電子回路基板の取付け側に対して第1の側に取り付けられ、かつ前記第2の電子回路基板の取付け側に対して第2の側に取り付けられた樹脂プリプレグ層と、
前記樹脂プリプレグ層を貫通し、前記第1の電子回路基板の第1の電気接続および前記第2の電子回路基板上の第2の電気接続と位置合わせされている、焼結ペーストで充填されたビアホールと
を備える、電子回路部品。
【請求項17】
前記第1の電子回路基板が試験用PCBである、請求項16に記載の電子回路部品。
【請求項18】
前記第2の電子回路基板がスペーストランスフォーマである、請求項16に記載の電子回路部品。
【請求項19】
前記樹脂プリプレグがガラス織布を含む未硬化エポキシである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記樹脂プリプレグが、約2.5mmの厚さであり、樹脂含有量が約70重量%である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、スペーストランスフォーマをPCB(プリント回路基板)に取り付けるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術水準では、スペーストランスフォーマは、インターポーザ(ばね接触子アレイ)を介して試験用PCB(または他のPCB)に接続されるか、PCBに機械的にボルト締めされるか、または直接はんだ付けによって取り付けられる。しかし、これらの取付け/接続の手法は、重大な欠点を抱えている。
【0003】
インターポーザ技術は、平面性が不均一であり抵抗ビア値が高い。
【0004】
はんだ付けは、高価な部品が既に基板上にある場合に、PCB組立ての後に行われる。はんだ付けは困難であり、故障しやすく、故障すると、高価な部品が損傷/破壊され、使用できなくなる可能性がある。また、PCBとスペーストランスフォーマとの間の平面性を保証することは困難である。さらに、はんだ付けは、PCTへの凹部実装を可能にしない。
【0005】
スペーストランスフォーマをPCBに取り付けるための改善された方法、および改善されたスペーストランスフォーマPCBデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
発明の開示
2つの電子回路基板、例えば、試験用PCBおよびスペーストランスフォーマを取り付けるための方法は、樹脂プリプレグおよびマイラーフィルムを試験用PCBにタック溶接するステップと、ホールが樹脂プリプレグの一方の側で試験用PCB上の接続/キャプチャパッドと位置合わせされ、かつ樹脂プリプレグの他方の側で(取り付け後に)スペーストランスフォーマ上の接続キャプチャパッドと位置合わせされるように、樹脂プリプレグおよびマイラーフィルム内にビアホールをレーザ穿孔するステップと、焼結ペーストをビアホールに充填するステップと、加圧処理を施して、焼結用ペーストから空気、気泡および空隙を除去するステップと、マイラーフィルムを除去するステップと、積層プレスサイクルを使用して、スペーストランスフォーマを樹脂プリプレグに取り付けるステップを含む。
【0007】
本発明の特徴および利点は、添付の図面に関連して提示される以下の詳細な説明の考察から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】試験用PCBに取り付けられた樹脂プリプレグを示す図である。
【
図3】試験用PCBに取り付けられた樹脂プリプレグおよびマイラーフィルムを示す図である。
【
図4】試験用PCBに取り付けられたプリプレグおよびマイラーフィルムを貫通するビアホールを示す図である。
【
図5】焼結ペーストで充填されたビアホールを示す図である。
【
図6】マイラーフィルムを除去した後の試験用PCBを示す図である。
【
図7】スペーストランスフォーマに取り付ける前の試験用PCB(樹脂プリプレグ、マイラーフィルム、および焼結ペーストが充填されたホールを含む)を示す図である。
【
図8】スペーストランスフォーマに取り付けた後の試験用PCB(樹脂プリプレグ、マイラーフィルム、および焼結ペーストが充填されたホールを含む)を示す図である。
【
図9】スペーストランスフォーマを試験用PCBに取り付けるための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
試験用PCBにスペーストランスレータを取り付けるためのシステムおよび方法が開示される。
【0010】
図面中の符号の説明
【0011】
【0012】
スペーストランスフォーマを試験用PCBに取り付けるための工程は、以下に開示される工程を含んでもよい。
【0013】
本明細書の開示では、略語「mm」はミリメートルに使用される。
【0014】
図9は、スペーストランスフォーマを試験用PCBに取り付けるための例示的な方法のフローチャートである。
【0015】
ステップ910では、樹脂プリプレグおよびマイラー層/フィルムを試験用PCBにタック溶接してもよい。
図1は、パッド110a~nを含む試験用PCBを示す。一実施形態では、樹脂プリプレグは、ガラス織布を含む未硬化エポキシ、例えばFR4材料プリプレグであってもよい。いくつかの実施形態では、異なるプリプレグ、例えばRogers Corporation製のプリプレグを使用してもよい。プリプレグの厚さおよびプリプレグ中の樹脂含有量は、重要なパラメータとなる可能性がある。樹脂含有量が多すぎるプリプレグを使用すると、プレスサイクル中に樹脂が流動する可能性があるため、故障の可能性が高くなる(後述する)。樹脂の流動が多すぎると、樹脂が移動/流動し、焼結ペーストが脱落したり、位置ずれしたりすることがある。一実施形態では、1067プリプレグ(厚さ2.5mm)の単一の層で70重量%の樹脂含有量は、良好な厚さおよび十分であるが多すぎない樹脂含有量である。
【0016】
より薄いプリプレグの利点は、本明細書で以下に説明するように焼結ペーストを充填することがより容易であることであってもよい。
【0017】
図2は、試験用PCB105にタック溶接された樹脂プリプレグ120を示す。
【0018】
図3に示すように、例えばタック溶接によって、プリプレグの頂部にマイラー130のシート/層/フィルムを適用してもよい。マイラー層は、焼結ペースト(本明細書で後述)がプリプレグ上に滲むのを防止してもよい。一実施形態では、1mmのマイラーシート/フィルムを使用してもよい。より厚いマイラーによりマイラー除去後の焼結ペーストが増加し、それによってショートが生じるため、マイラーの厚さを増加させると故障が生じる可能性がある。一般に、焼結ペーストの滲みを防止するためにフィルムあるいは層が必要な場合があり、一実施形態では、これはマイラーフィルムであってもよい。
【0019】
一実施形態では、プリプレグ120およびマイラーフィルム130は、マイラーバッグおよび華氏225度の真空ラミネータを使用して試験用PCB105にタック溶接されてもよい。当技術分野で理解されているように、プリプレグ120およびマイラー130を試験用PCB105にタック溶接するかまたは取り付けるために、他の材料、温度および/または手順が使用されてもよい。
【0020】
図4に示すように、ステップ920では、ビア140a~nは、試験用PCBとスペーストランスフォーマとの間の電気接続のための位置で樹脂プリプレグ層120およびマイラー層130を介してレーザ穿孔されてもよい。一実施形態では、ビア140a~nは、FR4レーザ穿孔レシピを使用してレーザ穿孔されてもよい。レーザ穿孔されたホールの直径は、直径8ミルのキャプチャパッドに対して6ミルであってもよい。一般に、レーザドリルがキャプチャパッドを「脱落させる」ことがないように、レーザドリルの直径はキャプチャパッド110a~nの直径よりも小さい。
【0021】
図5に示すように、ステップ930では、穿孔されたホール/ビア140a~nを焼結ペースト150で充填してもよい。一実施形態では、焼結ペースト150は、スキージ塗布を使用するスクリーンテーブル印刷によって塗布されてもよい。一般に、多くの異なる焼結ペーストが使用されてもよく、当技術分野で知られているように様々な方法で塗布されてもよい。
【0022】
ステップ940では、(樹脂プリプレグ、穿孔されたホール、および穿孔されたホール内の焼結ペーストを含む)試験用PCBは、ビアホールからエアポケットを除去するために加圧オーブン内で処理される。加圧オーブンを使用してもよいが、加熱は必須でなくてもよい。圧力は、それ自体で(すなわち、熱なしで)ビアホールの底部からエアポケットを除去してもよい。一実施形態では、8バールの圧力を使用してもよい。さらに、圧力は、焼結ペーストをパッドに圧縮してもよい。
【0023】
一実施形態では、圧力オーブンは(オーブンの温度特性は使用されないが)、圧力/真空オーブンであってもよい。真空サイクルおよび圧力サイクルには、30分サイクルを使用してもよい。真空サイクルは5分であってもよい。圧力サイクルは、20分間8バールの圧力であってもよい。サイクルは、チャンバを脱気するために5分で完了してもよい。真空サイクルは、焼結ペーストからの空気および気泡の吸引を含み、空気およびガスをチャンバから吸引してもよい。圧力/圧縮サイクルは、焼結ペーストを圧縮し、焼結ペーストから空気を押し出してもよい。
【0024】
一実施形態では、加圧オーブンを8バールの圧力で20分間運転する。
【0025】
エアポケットがビアホールから除去されるか、または実質的にビアホールから除去される限り、他のパラメータが使用されてもよい。ステップ950では、ホールが十分に充填されることを確実にするために、追加の焼結ペーストをレーザ穿孔されたホールに任意に追加することに関して決定を行ってもよい。焼結ペーストによるこの追加の充填は、ホールが十分に充填されていない場合にのみ必要である。追加の焼結ペーストを追加することが決定された場合、処理はステップ930に戻り、焼結ペーストを追加し、ステップ940の加圧オーブンで処理する。
【0026】
ステップ950において追加の焼結ペーストを追加しないことが決定された場合、ステップ960では、任意選択的に、試験用PCBを空隙および/または不完全な充填について検査してもよい。空隙、不完全な充填および/または他の問題が発見された場合、ステップ130~160を繰り返してもよい。
【0027】
図6に示すように、ステップ965では、マイラーフィルム130を除去してもよい。一実施形態では、マイラーフィルム130を、例えば従来のオーブン内で華氏約160度に加熱することによって除去してもよい。加熱後、マイラーフィルム130を、樹脂プリプレグから慎重に引き離すことによって除去してもよい。焼結ペーストをビアから除去しないように注意しながら、両手で注意深く引っ張ることが有益な場合がある。使用される特定のマイラーフィルムまたは他のフィルムの特性に応じて、特定の除去パラメータまたは手順は変動する可能性がある。
【0028】
ステップ970では、スペーストランスフォーマ160は、積層プレスサイクルを使用して試験用PCB105に取り付けられる。
図7は、積層プレスサイクル前の、スペーストランスフォーマ160(パッド170a~nを含む)、試験用PCB105、樹脂プリプレグ層120および焼結ペースト150を示す。
図8は、積層プレスサイクル後の構成要素および層を示す。
【0029】
積層プレスサイクルは、プリプレグ120および焼結ペースト150を硬化させる。多くの積層プレス技術、方法および/またはツールが当技術分野で知られている。一般に、積層プレスサイクルは、圧力および温度の組合せを使用する。一実施形態では、圧力は450psiに設定されてもよく、温度上昇パターンは華氏180度、195度、300度、365度であってもよく、温度は華氏365度で240分間維持される。一般に、当業者は、積層プレスサイクルのパラメータを調節、修正および/または調整することができる。さらに、使用される特定のプリプレグは、特定の積層サイクルパラメータを有してもよい。
【0030】
本明細書に記載の取付け方法は、いくつかの利点を有してもよい。1つの利点は、PCB製造工程中に取付けが行われ、それによって、PCB製造の一部または全部の完了後にPCB上に存在する可能性のある構成要素への損傷が回避されることである。別の利点は、スペーストランスフォーマがPCB表面に対して陥凹し、場合によってはPCB表面と同一平面になるように、スペーストランスフォーマをPCBに取り付けてもよいことである。
【0031】
本開示はスペーストランスフォーマをPCBに取り付けることに焦点を当てているが、本明細書で開示される方法、技法、技術および改変は、PCBをPCBに取り付けること、またはスペーストランスフォーマをスペーストランスフォーマに取り付けることにも同様に適用される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本明細書に開示される発明は、少なくとも電子消費者デバイスおよび他の電子デバイスを試験するための機器およびデバイスを製造するために適用可能である。
【国際調査報告】