(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】高い耐熱性を有する高弾性ポリマー組成物を有するハプティックアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20250109BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20250109BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20250109BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B06B1/04 S
C08L101/12
C08K7/02
C08J5/04 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532793
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022053620
(87)【国際公開番号】W WO2023122158
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
5D107
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB09
4F072AB10
4F072AD37
4F072AE11
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4F072AH05
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4F072AK04
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4F072AL02
4J002AA011
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4J002CF041
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4J002CF161
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4J002FD010
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4J002FD170
4J002GQ00
5D107AA10
5D107BB08
5D107CC09
(57)【要約】
ハプティックアクチュエータが提供される。ハプティックアクチュエータは、頂部および底部、ならびに頂部および底部の間の少なくとも1つの側壁を有するハウジングと、ハウジングの頂部および底部によってそれぞれ支えられている第1および第2の永久磁石と、ハウジングによって支えられており、第1および第2の永久磁石の間の少なくとも1個のコイル、第1および第2の端部を含むフィールド部材と、任意選択的に、ハウジングの頂部、ハウジングの底部、またはその両方によって支えられている1つ以上の機械的補強材とを含む。ハプティックアクチュエータは、約250℃以上の溶融温度と、ISO527:2019に従って23℃の温度で決定して約16,000MPa以上の引張弾性率とを有するポリマー組成物を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハプティックアクチュエータであって、
頂部および底部、ならびに前記頂部および底部の間の少なくとも1つの側壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記頂部および底部によってそれぞれ支えられている第1および第2の永久磁石と、
前記ハウジングによって支えられており、前記第1および第2の永久磁石の間の少なくとも1個のコイル、第1および第2の端部を含むフィールド部材と、
任意選択的に、前記ハウジングの前記頂部、前記ハウジングの前記底部、またはその両方によって支えられている1つ以上の機械的補強材と
を含み、
前記ハプティックアクチュエータが、約250℃以上の溶融温度と、ISO527:2019に従って23℃の温度で決定して約16,000MPa以上の引張弾性率とを有するポリマー組成物を含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO11443:2021に従って400秒
-1のせん断速度および前記組成物の溶融温度よりも15℃高い温度で決定して、200Pa・s以下の溶融粘度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO178:2019に従って23℃で決定して、約15,000MPa以上の曲げ弾性率を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO179-1:2010に従って23℃で決定して、約10kJ/m
2以上のシャルピーノッチなし衝撃強度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO179-1:2010に従って23℃で決定して、約5kJ/m
2以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO527:2019に従って決定して、約120~約500MPaの引張強度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO75-2:2013に従って1.8MPaの指定荷重で測定して、約180℃以上の荷重たわみ温度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項8】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号178:2019に従って23℃で決定して、約15,000MPa以上の曲げ弾性率を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号178:2019に従って23℃で決定して、約100MPa~約500MPaの曲げ強度を呈する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項10】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマー組成物が、強化繊維が内部に分散されたポリマーマトリックスを含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項11】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマーマトリックスが、4-ヒドロキシ安息香酸から誘導された繰り返し単位を含む第1の液晶ポリマーを含有する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項12】
請求項11に記載のハプティックアクチュエータであって、前記第1の液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキノン、および4,4’-ビフェノールから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項13】
請求項12に記載のハプティックアクチュエータであって、4,4’-ビフェノールのモル量が、ヒドロキノンのモル量よりも大きく、および/またはテレフタル酸のモル量が、イソフタル酸のモル量よりも大きい、ハプティックアクチュエータ。
【請求項14】
請求項13に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマーマトリックスが第2の液晶ポリマーをさらに含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項15】
請求項14に記載のハプティックアクチュエータであって、前記第2の液晶ポリマーが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された単位を含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項16】
請求項15に記載のハプティックアクチュエータであって、前記第2の液晶ポリマーが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された単位を約10mol%~約40mol%の量で含有する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項17】
請求項16に記載のハプティックアクチュエータであって、前記第1の液晶ポリマーが、前記ポリマーマトリックスの約50wt.%~約95wt.%を構成し、前記第2の液晶ポリマーが、前記ポリマーマトリックスの約5wt.%~約50wt.%を構成している、ハプティックアクチュエータ。
【請求項18】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ポリマーマトリックスが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された繰り返し単位を約10mol%~約40mol%の量で含む少なくとも1種の高ナフテン系液晶ポリマーを含有する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項19】
請求項18に記載のハプティックアクチュエータであって、高ナフテン系液晶ポリマーが、前記組成物中の液晶ポリマーの総量の約50wt.%以上を構成している、ハプティックアクチュエータ。
【請求項20】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記強化繊維がガラス繊維を含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項21】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記強化繊維が炭素繊維を含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項22】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記強化繊維が炭素繊維およびガラス繊維を含む、ハプティックアクチュエータ。
【請求項23】
請求項22に記載のハプティックアクチュエータであって、重量によるガラス繊維の炭素繊維に対する比が、約1:10~約25:1である、ハプティックアクチュエータ。
【請求項24】
請求項10に記載のハプティックアクチュエータであって、前記強化繊維が、前記組成物の約10wt.%~約70wt.%を構成している、ハプティックアクチュエータ。
【請求項25】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータであって、前記ハウジングの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、ハプティックアクチュエータ。
【請求項26】
請求項1に記載のハプティックアクチュエータを含む、電子デバイス。
【請求項27】
請求項26に記載の電子デバイスであって、前記デバイスが、携帯電話機、ポータブルコンピュータ、タブレット、または時計である、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2021年12月23日を出願日とする米国仮特許出願第63/293,235号および2022年9月1日を出願日とする米国仮特許出願第63/402,997号の優先権に基づき、この優先権を主張するものであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ハプティック技術は、ユーザに情報を伝達する手法としてますます普及している。単にハプティクスとも称され得るハプティック技術は、ユーザに相対的な量の力を付与することによってユーザの触覚を刺激する触知フィードバックベースの技術である。
【0003】
[0003]ハプティックデバイスまたはハプティックアクチュエータは、ユーザに触知フィードバックを提供するデバイスの一例である。特に、ハプティックデバイスまたはアクチュエータは、ハプティックデバイスの一部である質量体(mass)を作動させることによって、ユーザに相対的な量の力を適用することができる。様々な形態の触知フィードバック、例えば、比較的長いおよび短い力または振動のバーストの生成によって、情報をユーザに伝達することができる。
【0004】
[0004]ハプティックアクチュエータに使用されるポリマー成分は、一般に、高い耐クリープ性および剛性を有することが望ましい。さらに、ハプティックアクチュエータを含む電子デバイスの組み立ては、高温へのハプティックアクチュエータの曝露を含み得るため、ポリマー成分も高い耐熱性を有することが望ましい。
【0005】
[0005]したがって、剛性および耐熱性が高い材料を含むハプティックアクチュエータが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明の一実施形態によると、ハプティックアクチュエータが提供される。ハプティックアクチュエータは、頂部および底部、ならびに頂部および底部の間の少なくとも1つの側壁を有するハウジングと、ハウジングの頂部および底部によってそれぞれ支えられている第1および第2の永久磁石と、ハウジングによって支えられており、第1および第2の永久磁石の間の少なくとも1個のコイル、第1および第2の端部を含むフィールド部材と、任意選択的に、ハウジングの頂部、ハウジングの底部、またはその両方によって支えられている1つ以上の機械的補強材とを含む。ハプティックアクチュエータは、約250℃以上の溶融温度と、ISO527:2019に従って23℃の温度で決定して約16,000MPa以上の引張弾性率とを有するポリマー組成物を含む。
【0007】
[0007]本発明の他の特徴および態様は、以下でより詳細に示されている。
[0008]本発明の完全かつ実現可能な開示は、当業者に対するその最良の形態を含むものであり、添付図面の参照を含む明細書の残りの部分においてより具体的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0009]
図1は、本発明の一実施形態によるハプティックアクチュエータの一部の斜視図である。
【
図2】[0010]
図2は、
図1のハプティックアクチュエータの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0011]当業者であれば、本議論が例示的な実施形態のみを説明するものであり、本発明のより広範な態様を限定するものとして意図されることはないと理解されたい。
[0012]一般に言うなら、本発明は、ハプティックアクチュエータにおいて良好に機能することを可能にする剛性および高い耐熱性の独自の組み合わせを有する、ポリマーマトリックスと複数の強化繊維とを含むポリマー組成物を含むハプティックアクチュエータに関する。例えば、組成物の引張弾性率は、ISO527:2019に従って23℃で決定して、一般に、約16,000MPa以上、いくつかの実施形態では約20,000MPa以上、いくつかの実施形態では約20,500MPa~約40,000MPa、いくつかの実施形態では約21,000MPa~約36,000MPa、いくつかの実施形態では約22,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約30,000MPa~約36,000MPaである。さらに、組成物の溶融温度は、一般に、約250℃以上、いくつかの実施形態では約280℃以上、いくつかの実施形態では約290℃以上、いくつかの実施形態では約300℃以上、いくつかの実施形態では約310℃~約360℃である。
【0010】
[0013]組成物はまた、ISO527:2019に従って23℃で決定して、約120~約500MPa、いくつかの実施形態では約130~約400MPa、いくつかの実施形態では約140~約350MPaの引張強度および/または約0.3%以上、いくつかの実施形態では約0.5%~約5%、いくつかの実施形態では約0.8%~約3%の引張破断歪みを呈し得る。ポリマー組成物はまた、ISO178:2019に従って23℃で決定して、約15,000MPa以上、いくつかの実施形態では約19,000MPa~約40,000MPa、いくつかの実施形態では約20,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約30,000MPa~約35,000MPaの曲げ弾性率、約100~約500MPa、いくつかの実施形態では約150~約400MPa、いくつかの実施形態では約200~約350MPaの曲げ強度、および/または約0.3%以上、いくつかの実施形態では約0.8%~約5%、いくつかの実施形態では約1.4%~約3%の曲げ破断歪みを呈し得る。組成物はまた、ISO179-1:2010に従って23℃で測定して、約5kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約10~約30kJ/m2、いくつかの実施形態では約15~約25kJ/m2のシャルピーノッチ付き衝撃強度および/または約10kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約15kJ/m2~約50kJ/m2、いくつかの実施形態では約20~約45kJ/m2、いくつかの実施形態では約25~約35kJ/m2のシャルピーノッチなし衝撃強度を呈し得る。さらに、荷重たわみ温度(DTUL)は、ASTM D648-18(技術的にはISO75-2:2013と同等)に従って1.8MPaの指定荷重で測定して、約180℃以上、いくつかの実施形態では約200℃~約350℃、いくつかの実施形態では約225℃~約325℃、いくつかの実施形態では約240℃~約300℃であり得る。
【0011】
[0014]さらに、ポリマー組成物は、400秒-1のせん断速度で決定して、約300Pa・s以下、いくつかの実施形態では約200Pa・s以下、いくつかの実施形態では約100Pa・s以下、いくつかの実施形態では約10~約90Pa・s、いくつかの実施形態では約10~約80Pa・s、いくつかの実施形態では約30~約60Pa・sの溶融粘度、および/または1000秒-1のせん断速度で決定して、約200Pa・s以下、いくつかの実施形態では約100Pa・s以下、いくつかの実施形態では約10~約70Pa・s、いくつかの実施形態では約10~約60Pa・s、いくつかの実施形態では約30~約45Pa・sの溶融粘度を有し得る。溶融粘度は、ISO11443:2021に従って組成物の溶融温度よりも15℃高い温度で決定され得る。
【0012】
[0015]これより、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0016]ポリマーマトリックスは、典型的には、1種以上の液晶ポリマーを、一般に、ポリマー組成物全体の約30wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約45wt.%~約75wt.%、いくつかの実施形態では約50wt.%~約70wt.%、いくつかの実施形態では約55wt.%~約65wt.%の量で含有する。液晶ポリマーは、一般に、これらが棒状構造を有し得、かつそれらの溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を呈し得る限りにおいて「サーモトロピック」として分類される。ポリマー組成物に用いられる液晶ポリマーは、組成物全体の融点が約280℃以上であることを前提として、約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃~約350℃、いくつかの実施形態では約260℃~約330℃の溶融温度を有し得る。溶融温度は、例えばISO試験番号11357-3:2011によって決定して、示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して当技術分野で周知であるように決定され得る。そのようなポリマーは、当技術分野で知られているように、1つ以上のタイプの繰り返し単位から形成され得る。液晶ポリマーは、例えば、一般に、以下の式(I):
【0013】
【0014】
[式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンもしくは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に結合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり、
Y1およびY2は、独立的に、O、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である]
によって表される1個以上の芳香族エステル繰り返し単位を含有し得る。
【0015】
[0017]典型的には、Y1およびY2の少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル繰り返し単位の例としては、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのY1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式Iにおいて、Y1はOであり、Y2はC(O)である)、およびそれらの様々な組み合わせが挙げられ得る。
【0016】
[0018]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導された芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。用いられる場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約30mol%以上、いくつかの実施形態では約40mol%~約80mol%、いくつかの実施形態では約50mol%~70mol%を構成している。
【0017】
[0019]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジカルボン酸から誘導された芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も用いられ得る。特に適した芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの約1mol%~約50mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約40mol%、いくつかの実施形態では約5mol%~約30mol%を構成している。
【0018】
[0020]他の繰り返し単位もポリマーに用いられ得る。ある特定の実施形態では、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジオールから誘導された繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの約1mol%~約30mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約25mol%、いくつかの実施形態では約5mol%~約20mol%を構成している。芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)から誘導されたものなどの繰り返し単位も用いられ得る。用いられる場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約0.1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約15mol%、いくつかの実施形態では約1mol%~約10mol%を構成している。様々な他のモノマー繰り返し単位がポリマーに組み込まれ得ることも理解されたい。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーから誘導された1個以上の繰り返し単位を含有し得る。当然のことながら、他の実施形態では、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーから誘導された繰り返し単位を欠くという点で「全芳香族性」であり得る。
【0019】
[0021]いくつかの実施形態では、組成物は、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)、またはそれらの組み合わせなどの、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸から誘導された低含有量の繰り返し単位を含有する「低ナフテン系」液晶ポリマーを含有する。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の総量は、ポリマーの約15mol%以下、いくつかの実施形態では約10mol%以下、いくつかの実施形態では約6mol%以下、いくつかの実施形態では0mol%~約5mol%であり得る。一実施形態では、例えば、HNAおよび/またはNDAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの0mol%であり得る。そのような実施形態では、ポリマーは、HBAから誘導された繰り返し単位を、約40mol%~約80mol%、いくつかの実施形態では約45mol%~約75mol%、いくつかの実施形態では約50mol%~約70mol%の量で含有し得る。ポリマーはまた、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)を、約1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約4mol%~約15mol%の量で、および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)を、約1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約4mol%~約15mol%の量で含有し得る。特定の例では、BPのHQに対するモル比は、約0.8~約2.5、いくつかの実施形態では約1~約2.2、いくつかの実施形態では約1.1~約2であるように選択的に制御され得、および/またはTAのIAに対するモル比は、約0.8~約2.5、いくつかの実施形態では約1~約2.2、いくつかの実施形態では約1.1~約2であるように選択的に制御され得る。例えば、BPは、モル比が1超になるようにHQよりも大きなモル量で使用され得、および/またはTAは、モル比が1超になるようにIAよりも大きなモル量で使用され得る。
【0020】
[0022]いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)、またはそれらの組み合わせなどの、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸から誘導された比較的高い含有量の繰り返し単位を含有する「高ナフテン系」液晶ポリマーを含有する。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の総量は、ポリマーの約15mol%超、いくつかの実施形態では約18mol%以上、いくつかの実施形態では約20mol%~約60mol%であり得る。1つの特定の実施形態では、例えば、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)から誘導された繰り返し単位は、ポリマーの約10mol%~約40mol%、いくつかの実施形態では約15mol%~約35mol%、いくつかの実施形態では約20mol%~約30mol%を構成し得る。そのような実施形態では、液晶ポリマーはまた、芳香族ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBA)などの様々な他のモノマーを、約10mol%~約85mol%、いくつかの実施形態では約40mol%~約82mol%、いくつかの実施形態では約70mol%~約80mol%の量で、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)を、約0mol%~約30mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約25mol%の量で、および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)を、約0mol%~約40mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約35mol%の量で含有し得る。いくつかの実施形態では、高ナフテン系液晶ポリマーは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびHBAに加えて、少量の芳香族ジカルボン酸を含有する。例えば、液晶ポリマーは、TAおよび/またはIAを、約0.1mol%~約5mol%、いくつかの実施形態では約0.2mol%~約2mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約1mol%の量で含有し得る。
【0021】
[0023]ある特定の実施形態では、液晶ポリマーはすべて、上記のような「低ナフテン系」ポリマーである。他の実施形態では、液晶ポリマーはすべて、上記のような「高ナフテン系」ポリマーである。いくつかの場合では、そのようなポリマーのブレンドも使用され得る。例えば、低ナフテン系液晶ポリマーは、組成物中の液晶ポリマーの総量の約50wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約75wt.%~約85wt.%を構成し得、高ナフテン系液晶ポリマーは、組成物中の液晶ポリマーの総量の約5wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約40wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約25wt.%を構成し得る。他の実施形態では、高ナフテン系液晶ポリマーは、組成物中の液晶ポリマーの総量の約50wt.%~約99wt.%、いくつかの実施形態では約80wt.%~約97wt.%、いくつかの実施形態では約90wt.%~約95wt.%を構成し得、低ナフテン系液晶ポリマーは、組成物中の液晶ポリマーの総量の約1wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約3wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約5wt.%~約10wt.%を構成し得る。
【0022】
B.強化繊維
[0024]そのような高い弾性率を有するポリマー組成物を提供するために、強化繊維は、典型的には、ポリマーマトリックス内に分散される。一般に、ポリマー繊維、金属繊維、炭素質繊維(例えば、グラファイト、炭化物など)、無機繊維など、およびそれらの組み合わせなどの様々な異なるタイプの強化繊維のいずれかが本発明のポリマー組成物に用いられ得る。いくつかの実施形態では、組成物は、無機繊維、例えば、ガラス、チタネート(例えば、チタン酸カリウム)、ネオシリケート、ソロシリケート、イノシリケート(例えば、ウォラストナイトなどのイノケイ酸カルシウム、トレモライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム、アクチノライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム鉄、アンソフィライトなどのイノケイ酸マグネシウム鉄など)、フィロシリケート(例えば、パリゴルスカイトなどのフィロケイ酸アルミニウム)、テクトシリケートなどのシリケート、硫酸カルシウムなどのスルフェート(例えば、脱水石膏または無水石膏)、ミネラルウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール)などから誘導されたものを含有する。Eガラス、Aガラス、Cガラス、Dガラス、ARガラス、Rガラス、S1ガラス、S2ガラスなどから形成されたもの、およびそれらの混合物などのガラス繊維が、本発明における使用に特に好適であり得る。ポリアクリロニトリル(PAN)ベースまたはピッチベースの炭素繊維などの炭素繊維も、一般に高い剛性を有することから、ポリマー組成物における使用に特に適している。必要に応じて、強化繊維には、当技術分野で知られているようなサイズ剤または他のコーティングが設けられていてもよい。
【0023】
[0025]強化繊維の量を選択的に制御して、剛性および耐熱性の所望の組み合わせを達成することができる。強化繊維は、例えば、ポリマー組成物の重量で、約10%~約70%、いくつかの実施形態では約20%~約60%、いくつかの実施形態では約30%~約55%、いくつかの実施形態では約35wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約35%~約45%の量で用いられ得る。いくつかの実施形態では、強化繊維は、ガラス繊維のみを含む。他の実施形態では、組成物は、ガラス繊維および炭素繊維の両方を含有する。そのような実施形態では、ガラス繊維の炭素繊維に対する比は、約1:10~約25:1、いくつかの実施形態では約1:1~約20:1、いくつかの実施形態では約2:1~約15:1、いくつかの実施形態では約5:1~約15:1、いくつかの実施形態では約6:1~約13:1であり得る。例えば、一実施形態では、ガラス繊維は、組成物の約10wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約25wt.%~約40wt.%を占め得、その一方で、炭素繊維は、組成物の約0.5wt.%~約10wt.%、いくつかの実施形態では約1wt.%~約8wt.%、いくつかの実施形態では約1.5wt.%~約7wt.%を占め得る。
【0024】
[0026]いくつかの実施形態では、強化繊維は、炭素繊維のみを含有し得る。そのような実施形態では、炭素繊維は、組成物の約10wt.%~約50wt.%、例えば、約25wt.%~約40wt.%を構成し得る。本発明者は、強化繊維として炭素繊維を使用する組成物から製造されたハプティックアクチュエータが、強化繊維としてガラス繊維を使用する組成物から形成されたものよりも静かであり得ることを発見した。
【0025】
C.任意選択的な成分
[0027]微粒子状フィラー(例えば、タルク、マイカなど)、抗菌剤、顔料(例えば、カーボンブラック)、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、固体溶媒、難燃剤、滴下防止添加剤、および特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの幅広い種類の追加的な添加剤もポリマー組成物に含まれ得る。実質的な分解なしで液晶ポリマーの加工条件に耐えることができる滑剤もポリマー組成物中に用いられ得る。そのような滑剤の例としては、脂肪酸エステル、それらの塩、エステル、脂肪酸アミド、有機ホスフェートエステル、およびエンジニアリングプラスチック材料の加工において滑剤として一般に使用されるタイプの炭化水素ワックスが、それらの混合物を含め、挙げられる。適した脂肪酸は、典型的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデシン酸(octadecinic acid)、パリン酸(parinric acid)などの、約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有する。適したエステルとしては、脂肪酸エステル、脂肪族アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、および複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドは、脂肪第1級アミド、脂肪第2級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミド、ならびにアルカノールアミド、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどを含む。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスおよび酸化ポリオレフィンワックス、ならびにマイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスも適している。特に適した滑剤は、ステアリン酸の酸、塩、またはアミド、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドである。用いられる場合、滑剤は、典型的には、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量)を構成している。
【0026】
[0028]ポリマー組成物を形成するために使用される成分は、当技術分野で知られているような様々な異なる技術のいずれかを使用して一緒に組み合わされ得る。1つの特定の実施形態では、例えば、液晶ポリマー、強化繊維、および他の任意選択的な添加剤は、押出機内で混合物として溶融加工されて、ポリマー組成物を形成する。混合物は、単軸スクリュー押出機または多軸スクリュー押出機内で、約250℃~約450℃の温度などで溶融混練され得る。一実施形態では、混合物は、複数の温度帯域を含む押出機内で溶融加工され得る。個々の帯域の温度は、典型的には、ポリマーの溶融温度に対して、約-60℃~約25℃内に設定される。例えば、混合物は、Leistritzの18mm共回転完全噛合型二軸スクリュー押出機(co-rotating fully intermeshing twin screw extruder)などの二軸スクリュー押出機を使用して溶融加工され得る。汎用型のスクリュー設計を使用して、混合物を溶融加工してもよい。一実施形態では、すべての成分を含む混合物は、容積式供給機によって第1のバレルの供給口に供給され得る。別の実施形態では、知られているように、異なる成分が押出機内の異なる添加点で添加され得る。例えば、ポリマーは、供給口で適用され得、ある特定の添加剤(例えば、強化繊維)は、その下流に置かれている同じまたは異なる温度帯域で供給され得る。それでも、得られた混合物は、溶融および混合され、次いで、ダイを通して押出され得る。次いで、押出されたポリマー組成物は、水浴中でクエンチされて、固化し、ペレタイザ内で造粒され、続いて、乾燥が行われ得る。
【0027】
II.ハプティックアクチュエータ
[0029]先に示されているように、本発明のポリマー組成物は、ハプティックアクチュエータに用いられ得る。典型的には、ハプティックアクチュエータは、頂部および底部、ならびに頂部および底部の間の少なくとも1つの側壁を有するハウジングと、ハウジングの頂部および底部によってそれぞれ支えられている第1および第2の永久磁石と、ハウジングによって支えられており、第1および第2の永久磁石の間の少なくとも1個のコイル、第1および第2の端部を含むフィールド部材と、任意選択的に、ハウジングの頂部、ハウジングの底部、またはその両方によって支えられている1つ以上の機械的補強材とを含む。
【0028】
[0030]例えば、
図1および2を参照すると、ハプティックアクチュエータ40の一実施形態は、頂部42と、底部43と、側壁46とを有するハウジング41を含む。ハウジング41は、長方形の形状を有する。当然のことながら、ハウジング41は、別の形状であってもよく、異なる寸法を有していてもよい。
【0029】
[0031]それぞれの機械的補強材47,48は、ハウジング41の頂部42および底部43によって支えられ得る。それぞれの機械的補強材47,48は、非フェライト系、より具体的には非フェライト系鋼であり得る。ゼロの場合も含めて、任意の数の機械的補強材を使用することができ、ハウジング41の任意の部分によって支えることができる。
【0030】
[0032]ハプティックアクチュエータ40はまた、ハウジング41の頂部および底部42,43によってそれぞれ支えられている第1および第2のコイル44,45(すなわち、電気コイル)を含む。第1および第2のコイル44,45はそれぞれ、図示されているように、ループ形状または「レーストラック」形状を有し、積層関係で位置合わせされ、離間されている。
【0031】
[0033]ハプティックアクチュエータ40はまた、ハウジングによって支えられているフィールド部材50を含み得る。フィールド部材50は、図示されているように、第1および第2のコイル44,45の間に永久磁石51,52を含み、ハウジング41内で移動可能である。フィールド部材50の移動が、一方向に移動可能であると、すなわち、リニアハプティックアクチュエータ(linear haptic actuator)として記載され得る一方で、いくつかの実施形態では、フィールド部材は、他の方向に移動可能であってもよく、すなわち、アンギュラーハプティックアクチュエータ(angular haptic actuator)であってもよいか、またはリニアハプティックアクチュエータおよびアンギュラーハプティックアクチュエータの両方の組み合わせであってもよいと理解されたい。
【0032】
[0034]永久磁石51,52は、例えばネオジムであってもよく、それらのそれぞれの極に対して反対方向に位置し得る。永久磁石51,52も、長方形の形状を有し、第1および第2のコイル44,45の長さに沿って位置合わせされている。一対の長方形の形状の永久磁石が図示されている一方で、第1および第2のコイル44,45の間には、任意の形状を有する任意の数の永久磁石があり得ると理解されるであろう。
【0033】
[0035]フィールド部材50はまた、第1および第2の端部53,54を含む。第1および第2の端部53,54は、第1および第2のセットのバイアス部材71,72に結合するための第1および第2のセットの突出部55,56をそれぞれ有する。第1および第2のセットの突出部55,56は、図示されているように、円形の突出部の形状であり、反対方向に外側に延在している。同数の突出部が各方向に延在している場合がある。
【0034】
[0036]フィールド部材50は、第1の端部53と永久磁石51,52との間に第1の質量体57を含む。第2の質量体58は、第2の端部54と一対の永久磁石51,52との間にある。第3の質量体59は、第1および第2の質量体57,58の間に延在している。第3の質量体59は、第1および第2の質量体57,58に対して、縮小された幅を有する。これによって、永久磁石51,52は、第3の質量体59のそれぞれの側にあることが可能である。いくつかの実施形態では、第3の質量体59が含まれない場合がある、および/または第3の質量体が、例えば異なる形状を有する場合がある。第1、第2、および第3の質量体57,58,59はそれぞれ、例えば、タングステンであり得る。第1、第2、および第3の質量体ベースはそれぞれ、異なる材料であり得る。
【0035】
[0037]総称して「移動部」と称され得る、第1、第2、および第3の質量体57、58、59は、第1および第2のコイル44,45から比較的小さな隙間だけ離間している。言い換えるなら、第1および第2のコイル44,45は、第1、第2、および第3の質量体57,58,59に接触していない。
【0036】
[0038]ハプティックアクチュエータ40はまた、第1の質量体57をハウジング41に摺動自在に結合する第1のシャフト61を含む。第2のシャフト62は、第2の質量体58をハウジング41に摺動自在に結合する。第1および第2のシャフト61,62は、例えば、ニッケル-クロム合金であり得る。第1および第2のシャフト61,62は、互いにほぼ平行であり得、当業者に理解されるように、動きをy軸(幅)に平行であり得る所望の並進移動に制限することができる。第1および第2のシャフト61,62は、他の方向への移動、例えば、横方向の移動、回転、および/または揺動も制限することができる。
【0037】
[0039]第1および第2の機械的ベアリング63,64は、第1および第2の質量体57,58によって支えられており、第1および第2のシャフトを摺動自在に収容する。第1および第2の機械的ベアリング63,64は、スロットベアリング(slot bearings)であり得る。
【0038】
[0040]当業者であれば、第1および第2のシャフト61,62が、円形およびスロットベアリング63,64の組み合わせに対して摺動することができ、そのため、過剰な抑制による妨害の可能性を減らしながら、不所望な方向の力を抑制することができると理解するであろう。第1および第2の機械的ベアリングは、移動する質量体57,58,59上に取り付けられるように(したがって、シャフト61,62は、ハウジング41に固定されている)、またはハウジング上に取り付けられるように(したがって、シャフトは、移動する質量体に固定されている)取り付けられ得る。
【0039】
[0041]ハプティックアクチュエータ50はまた、フィールド部材50の第1の端部53とハウジング41との間に第1のセットのバイアス部材71を含み、フィールド部材の第2の端部54とハウジングとの間に第2のセットのバイアス部材72を含む。第1および第2のセットのバイアス部材71,72は、例えば、ばね、より具体的には、コイルばねおよび/または板ばねであり得、鋼であり得る。第1および第2のセットのバイアス部材71,72は、他のタイプのバイアス部材であり得、別の材料であり得る。上述のように、第1、第2、および第3の質量体は、第1および第2のコイル44,45から離間されている。第1および第2のセットのバイアス部材71,72は、この離間の維持を補助し、剛性を増加させる。合計12個のバイアス部材がコイルばね(すなわち、機械的コイル)の形態で示されているが、任意の数およびタイプのバイアス部材が使用され得ると理解されたい。それぞれの第1および第2のセットのバイアス部材71,72は、例えば、第1および第2の端部44,45の各々1つとハウジングの隣接部分との間に、同数をそれぞれ有し得る。
【0040】
[0042]注目すべきは、本発明のポリマー組成物が、ハプティックアクチュエータの様々な部品のいずれにも用いられ得ることである。例えば、再び
図1および2を参照すると、ポリマー組成物は、頂部42、底部43、および側壁46を含むハウジング41のすべてまたは一部を形成するために使用され得る。望ましい部品は、様々な異なる技術を使用して形成され得る。適した技術としては、例えば、射出成形、低圧射出成形、押出圧縮成形、ガス射出成形、発泡射出成形、低圧ガス射出成形、低圧発泡射出成形、ガス押出圧縮成形、発泡押出圧縮成形、押出成形、発泡押出成形、圧縮成形、発泡圧縮成形、ガス圧縮成形などが挙げられ得る。例えば、ポリマー組成物が射出され得る鋳型を含む射出成形システムが用いられ得る。ポリマーマトリックスが事前に凝固しないように、射出機内の時間が制御および最適化され得る。サイクル時間に達し、バレルが排出に向けて満ちたら、組成物を鋳型キャビティに射出するためにピストンが使用され得る。圧縮成形システムも用いられ得る。射出成形と同様に、望ましい物品へのポリマー組成物の成形も鋳型内で生じる。組成物は、自動ロボットアームによって拾い上げられることなどによる任意の公知の技術を使用して圧縮鋳型内に設置され得る。鋳型の温度は、凝固を可能にするのに望ましい期間にわたって、ポリマーマトリックスの凝固温度以上に維持され得る。次いで、成形される生成物は、これを溶融温度未満の温度にすることによって凝固され得る。得られた生成物は、離型され得る。各成形プロセスのサイクル時間は、十分な結合を達成し、全体的なプロセス生産性を向上させるように、ポリマーマトリックスに合わせて調整され得る。
【0041】
[0043]得られるハプティックアクチュエータは、当技術分野で知られているように、幅広い種類の電子デバイス、例えば、ポータブル電子デバイス(例えば、携帯電話機、ポータブルコンピュータ、タブレット、時計など)において使用され得る。
【0042】
[0044]本発明は、以下の実施例を参照することでより良好に理解され得る。
試験方法
[0045]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、ISO試験番号11443:2021に従って、1,000s-1または400s-1のせん断速度および溶融温度よりも15℃高い温度で、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して決定され得る。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm+0.005mmであり、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0043】
[0046]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で知られているように、示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定され得る。溶融温度は、ISO試験番号11357-2:2020によって決定されるような示差走査熱量測定(DSC)のピーク溶融温度である。DSC手順では、TA Q2000装置において行われるDSC測定を使用して、ISO規格10350に述べられているように、サンプルを毎分20℃で加熱および冷却した。
【0044】
[0047]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重温度下でのたわみは、ISO試験番号75-2:2013(技術的にはASTM D648-18と同等)に従って決定され得る。より具体的には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの試験片サンプルを、指定荷重(最大外部繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点曲げ試験に供することができる。試料をシリコーン油浴中に下げることができ、そこで、試料が0.25mm(ISO試験番号75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度を上げる。
【0045】
[0048]引張弾性率、引張応力、および引張伸び:引張特性は、ISO試験番号527:2019(技術的にはASTM D638-14と同等)に従って試験され得る。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同じ試験片サンプルについて行われ得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は1または5mm/分であり得る。
【0046】
[0049]曲げ弾性率、曲げ応力、および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験番号178:2019(技術的にはASTM D790-10と同等)に従って試験され得る。この試験は、64mmのサポートスパン(support span)上で実施され得る。試験は、切断されていないISO3167多目的バーの中心部分上において実行され得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は2mm/分であり得る。
【0047】
[0050]シャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験番号ISO179-1:2010(技術的にはASTM D256-10、方法Bと同等)に従って試験され得る。この試験は、タイプ1の試料サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して実行され得る。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチは、タイプAノッチ(基部半径0.25mm)であり得る。試料は、単刃フライス盤(single tooth milling machine)を使用して多目的バーの中心から切断され得る。試験温度は23℃であり得る。
【0048】
実施例1~5
[0051]サンプル1~5は、表1に示されているように、様々な割合のLCP1、LCP2、LCP3、LCP4、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、および滑剤から形成される。LCP1は、約60mol%のHBA、13mol%のTA、12mol%のBP、8mol%のHQ、および7mol%のIAから形成される。LCP2は、約62.5mol%のHBA、5mol%のHNA、16.4mol%のTA、11.2mol%のBP、および5mol%のAPAPから形成される。LCP3は、73mol%のHBAおよび27mol%のHNAから形成される。LCP4は、79.3mol%のHBA、20mol%のHNA、および0.7mol%のTAから形成される。値は、全組成の重量パーセントで記載される。
【0049】
【0050】
[0052]部品を実施例1~5のサンプルからプラークへと射出成形し、機械特性について試験する。結果を以下の表2に示す。
【0051】
【0052】
実施例6~10
[0053]サンプル6~10は、表3に示されているように、LCP3、LCP4、炭素繊維、および滑剤の様々な割合から形成される。
【0053】
【0054】
[0054]部品を実施例6~10のサンプルからプラークに射出成形し、機械特性について試験する。結果を以下の表4に示す。
【0055】
【0056】
[0055]本発明のこれらおよび他の修正形態および変形形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践され得る。さらに、様々な実施形態の態様が全体的または部分的のどちらで交換されてもよいと理解されたい。さらに、当業者であれば、前述の説明は単なる例であり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されている本発明を限定することを意図していないと理解するであろう。
【国際調査報告】