(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】風力タービンのための、沖合における支持構造物を組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/04 20060101AFI20250109BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20250109BHJP
E04C 3/16 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E02D27/04
F03D13/25
E04C3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533968
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 DK2022050265
(87)【国際公開番号】W WO2023117001
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523480749
【氏名又は名称】スティースダル オフショア エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】スティースダル,ヘンリック
【テーマコード(参考)】
2E163
3H178
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FA12
2E163FB06
2E163FB09
2E163FB24
2E163FB32
2E163FB45
2E163FB50
2E163FF16
2E163FF17
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
風力タービン(2)のための、沖合における支持構造物(3)の組み立てにおいて、管状ブレース(11、12)は、注入による接続で塔支持部(8)に相互接続または接続される。対応したブレース(12)の端部(12A)は、相互接続したブレース(11)または塔支持部(8)に固定された、スリーブ(17)の中に挿入される。スリーブ(17)と、挿入されたブレース(12)の端部(12A)との間のボリューム(20)は、一般的にグラウトである注入材料によって充填される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(2)のための、沖合における支持構造物(3)を組み立てる方法であって、
風力タービンの塔(7)を支えるための塔支持部(8)を提供すること、
N本の第1のブレース(11)、及びN本の第2のブレース(12)を提供することであって、Nは少なくとも3であり、各ブレース(11、12)は第1の端部(11A、12A)及び第2の端部(11B、12B)を有し、前記ブレースの各々は長手方向中心軸(31、32)を有する、提供すること、
前記第1のブレース(11)の1つ及び前記第2のブレース(12)の1つである、各対について、第1の接続部(29A)で、前記第1のブレース(11)における前記第2の端部(11B)を前記塔支持部(8)の第1の部分に接続し、第2の接続部(29B)で、前記第2の管状ブレース(12)における前記第2の端部(12B)を前記塔支持部(8)の第2の部分に接続し、第3の接続部(29C)で、前記第2のブレース(12)における前記第1の端部(12A)を前記第1のブレース(11)に接続することであって、前記支持構造物(3)が沖合における動作のために方向付けられたときに、前記塔支持部(8)の前記第2の部分及び前記第2の接続部(29B)は、前記塔支持部(8)の第1の部分及び前記第1の接続部(29A)の上方にあり、前記塔支持部(8)、前記第1のブレース(11)、及び前記第2のブレース(12)は、垂直面で三角形を形成し、ブレース(11、12)のN対は、前記塔支持部(8)の垂直中心軸(30)の周りに異なる方向で、前記塔支持部(8)から外側に向けられる、接続すること、
を含み、
ここで前記方法は、以下のA、B、及びCすなわち、
A:前記方法は、前記第1の接続部(29A)に、前記塔支持部(8)の前記第1の部分における壁開口部(22)と、第1のスリーブ端部(17A)及び第2のスリーブ端部(17B)を伴うスリーブ(17)と、を提供することを含み、前記第1のスリーブ端部(17A)は、前記開口部(22)のリム(22A)に溶接され、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から内側に、前記塔支持部(8)の前記第1の部分における内部ボリュームの中に延び、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から外側に0.2mよりも長く延びず、または前記スリーブ(17)は、前記開口部(22)を越えて前記リム(22A)から外側に延びず、前記方法は、前記第1のブレース(11)の前記第2の端部(11B)を、前記開口部(22)を通して、前記スリーブ(17)の中に挿入し、例えばグラウトである注入材料を、前記スリーブ(17)と前記第1のブレース(11)との間のボリューム(20)の中に充填し、前記注入材料を、前記スリーブ(17)の中で前記第1のブレース(11)を堅固に固定するために固化させることを含むこと、
B:前記方法は、前記第2の接続部(29B)に、前記塔支持部(8)の前記第2の部分における壁開口部(22)と、第1のスリーブ端部(17A)及び第2のスリーブ端部(17B)を伴うスリーブ(17)と、を提供することを含み、前記第1のスリーブ端部(17A)は、前記開口部(22)のリム(22A)に溶接され、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から内側に、前記塔支持部(8)の前記第2の部分における内部ボリュームの中に延び、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から外側に0.2mよりも長く延びず、または前記スリーブ(17)は、前記開口部(22)を越えて前記リム(22A)から外側に延びず、前記方法は、前記第2のブレース(12)における前記第2の端部(12B)を、前記開口部(22)を通して、前記スリーブ(17)の中に挿入し、例えばグラウトである注入材料を、前記スリーブ(17)と前記第2のブレース(12)との間のボリューム(20)の中に充填し、前記注入材料を、前記スリーブ(17)の中で前記第2のブレース(12)を堅固に固定するために固化させることを含むこと、
C:前記方法は、前記第3の接続部(29C)に、前記第1のブレース(11)の壁(23)における壁開口部(22)と、第1のスリーブ端部(17A)及び第2のスリーブ端部(17B)を伴うスリーブ(17)と、を提供することを含み、前記第1のスリーブ端部(17A)は、前記開口部(22)のリム(22A)に溶接され、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から内側に、前記第1のブレース(11)における内部ボリュームの中に延び、前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から外側に0.2mよりも長く延びず、または前記スリーブ(17)は、前記第1のブレース(11)における前記開口部(22)を越えて前記リム(22A)から外側に延びず、前記方法は、前記第2のブレース(12)における前記第1の端部(12A)を、前記開口部(22)を通して、前記スリーブ(17)の中に挿入し、例えばグラウトである注入材料を、前記スリーブ(17)と前記第2のブレース(12)との間のボリューム(20)の中に充填し、前記注入材料を、前記スリーブ(17)の中で前記第2のブレースを堅固に固定するために固化させることを含むこと、
の内少なくとも1つを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スリーブ(17)は、前記第2のスリーブ端部(17B)において閉鎖底部(18)を備え、前記方法は、例えばグラウトである注入材料を、前記スリーブ(17)における内側のボリューム(20)の中に充填することを含むが、前記スリーブの外側には充填しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリーブ(17)は、前記リム(22A)から前記塔支持部(8)の前記第1の部分における内部ボリュームの中に、内側のみに延びるが、前記スリーブ(17)は、前記開口部(22)を越えて前記リム(22A)から外側へは延びない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
Aにおいて、前記第1のブレース(11)における前記第2の端部(11B)に、閉鎖端部(18)を設けること、
Bにおいて、前記第2のブレース(11)における前記第2の端部(12B)に、閉鎖端部(18)を設けること、
Cにおいて、前記第2のブレース(12)における前記第1の端部(12A)に、閉鎖端部(18)を設けること、
を含む、請求項1~3の内いずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
対応した前記ブレース(11、12)の前記端部(11B、12A、12B)を、前記スリーブ(17)の中に挿入した後のみに、任意選択でグラウトである注入材料を、前記スリーブ(16)の前記ボリューム(20)の中に充填することを含む、請求項1~4の内いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
N本の、第3ブレース(10)の第3のセットを提供すること、及び前記第1のブレース(11)を前記第3のブレース(10)によって相互接続して、前記第1のブレース(11)間の剛性を向上させること、を含む、請求項1~5の内いずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Nは3であり、前記第3のブレース(10)は三角形構造を形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のブレース(11)、前記第2のブレース(12)、及び前記第3のブレース(10)によって、四面体構造を形成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塔支持部(8)を前記四面体構造の中央に据え、正四面体としての四面体構造を形成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
岸辺または地上で前記沖合における支持構造物(3)を組み立てること、前記支持構造物(3)の頂部に風力タービン(2)を提供すること、組み立てた後に前記空洞(16)内で注入材料を硬化させること、前記支持構造物(33)を沖合の目的地まで移動させること、及び、前記支持構造物(3)を海底(13)に定着させること、を含む、請求項1~9の内いずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持構造物(3)を、浮遊構造物に設定することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンのための、沖合における支持構造の組み立て、及び任意選択で設定も含んだ、方法に関する。特に本発明は、独立請求項のプリアンブルによる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば風力タービンを支持するための、沖合における構造物について、四面体構造は高度な安定性という点で有利であり、相対的規模において適度なコストしか必要としない。同時に製造コストを低減かつ最小化しながら、製造方法を最適化して、沖合におけるエネルギー施設をより魅力的にするために、製造手順の向上を見出すための、たゆまぬ努力が続いている。
【0003】
日本国の特許出願である、特開2000-087504号公報は、沖合における塔構造を提供する方法を開示しており、そこでは、接続管の端部が、より大きいブレースの中に開口部を通して挿入され、グラウト注入が、より大きいブレースの一部と、さらなる安定性のために剪断キーが設けられた管の端部と、を充填する。
【0004】
グラウトが管構造の全体に挿入されるということは、多量のグラウトを消費することを意味する。グラウトの消費を低減させ、その一方で高度の安定性及び剛性を守ることが望ましい。
【0005】
米国特許第4245928号明細書は、杭が海底に打ち込まれ、安定性を提供するためにブレースがこれらの杭に定着された、沖合における構造物を開示している。ブレースは、接合部で杭に接続され、セメントを用いて固定される。
【0006】
国際公開第2011/147472号は、特に風力タービン施設の基礎のための、セグメント化されたジャケット構造を開示しており、それはグラウト材によって接着された管状モジュールを含んだ接合部によって相互接続された、格子状のセグメントを備える。
【0007】
先行技術における格子状のセグメントが、グラウト注入による接続によって相互接続されたとき、対応したセグメントは、受け入れ用の空洞の中に押し込まれて、グラウト注入される。これは、一見簡単な手順と思われる。しかし、構造が非常に大きい場合、したがって近年の大型風力タービンを支える沖合における構造物では、そうはならない。特に、管における単なる開口部は、グラウト注入されるまで、または少なくとも反対側端部が固定されるまで、安定しない。格子状のセグメントが、グラウト注入による接続のための空洞の中に挿入されるとき、より良好な方向性の誘導を実現することが、望ましくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-087504号公報
【特許文献2】米国特許第4245928号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/147472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、従来技術に改良を加えることである。詳細には、特に四面体構造である、風力タービンのための沖合におけるプラットフォームの、向上した建設方法を提供することが、目的である。詳細には、グラウト注入による接続が管状セグメントの端部に提供され、比較的簡単に、方向性の誘導とグラウト消費の最小化を伴う組み立てとを可能にする、特に風力タービンのための、沖合におけるプラットフォームの建設方法を提供することが目的である。この目的及び別の利点は、以下の説明及び請求項の範囲のように、風力タービンのための、沖合における支持構造物を組み立てる方法、及び任意選択で設定する方法、によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
要約すると、風力タービンのための、沖合における支持構造物の組み立てにおいて、管状ブレースは、注入による接続で塔支持部に相互接続または接続される。対応したブレースの端部は、相互接続したブレースまたは塔支持部に固定されたスリーブの中に挿入される。スリーブと、挿入されたブレースの端部との間のボリュームは、一般的にグラウトである注入材料によって充填される。
【0011】
詳細を以下で説明する。
【0012】
組み立てについて、例えばN=3、4、5、または6である、N本の第1の管状ブレースにおける第1のセットと、N本の第2の管状ブレースにおける第2のセットとが、風力タービンの塔を支えるために使用されることになる塔支持部に加えて、設けられる。これらの構成要素は、次に支持構造物に組み込まれる。
【0013】
この組み立て方法は、沖合における風力タービンを伴う、沖合における支持構造物のために特に有用であるが、この方法の一般性は、例えば浮遊式プラットフォームなど、他のタイプの沖合におけるプラットフォームのための支持構造物として使用されることを、排除しない。
【0014】
第1のブレースの内1本、及び第2のブレースの内1本の各対について、第1のブレースにおける第2の端部は、第1の接続部において塔支持部の第1の部分に接続され、第2の管状ブレースにおける第2の端部は、第2の接続部において塔支持部の第2の部分に接続される。さらに、第2のブレースにおける第1の端部は、第3の接続部において第1のブレースに接続される。支持構造物が動作のために方向付けられ、風力タービンの塔が垂直方向にあるとき、第2の接続部は第1の接続部の上方にある。したがって、塔支持部、第1のブレース、及び第2のブレースは、垂直面において三角形を形成する。塔支持部、放射状ブレース、及び第2のブレースの組み合わせにおける三角形状のため、第2のブレースは斜行ブレースとも呼ばれる。N対のブレースは、塔支持部における垂直中心軸の周りの様々な方向で、塔支持部から外側に向けられる。このため、第1のブレースは放射状ブレースとも呼ばれる。
【0015】
以下では、様々な特定の実施形態が提示され、そこでは例えばグラウト注入など、注入による接続が、ブレースと塔支持部との間における相互接続のために使用される。
【0016】
第1の実施形態において、第1のブレースにおける第2の端部は、注入による接続、有利にはグラウト注入による接続によって、塔支持部の下部分に固定される。特に、この実施形態において、本方法は、塔支持部の第1の下部分における壁開口部と、第1のスリーブ端部及び第2のスリーブ端部を伴う鋼製スリーブと、を第1の接続部に設けることを含む。第1のスリーブ端部は、やはり鋼製である、塔支持部における開口部のリムに溶接される。スリーブは、塔支持部の第1の部分における内部ボリュームの中に、リムから内側のみに延びるが、開口部を越えてリムから外へは延びない。換言すると、スリーブは塔支持部の内側のみであり、搬送、及び例えば表面塗装など、塔支持部の外面における自動作業を妨害することになる末端部を作り出さない。第1のブレースにおける第2の端部は、次に開口部を通してスリーブの中に挿入され、例えばグラウトなどの注入材料が、スリーブと第1のブレースとの間のボリュームを充填し、スリーブ内部で第1のブレースを堅固に固定するために固化される。任意選択として、第1のブレースにおける第2の端部には、閉鎖端部が設けられ、それによって注入材料は、スリーブから、第1のブレースにおける第2の端部において内部ボリュームの中に入らない。
【0017】
第2の実施形態において、第2のブレースにおける第2の端部は、有利にはグラウト注入である、注入による接続によって、塔支持部の上部分に固定される。特に、この実施形態において、本方法は、塔支持部の第2の部分における壁開口部と、第1のスリーブ端部及び第2のスリーブ端部を伴う鋼製スリーブと、を第2の接続部に設けることを含む。第1のスリーブ端部は、やはり鋼製である、塔支持部における開口部のリムに溶接される。スリーブは、塔支持部の第2の部分における内部ボリュームの中に、リムから内側のみに延びるが、開口部を越えてリムから外へは延びない。さらにこの実施形態において、スリーブは塔支持部の内側のみであり、搬送、及び例えば表面塗装など、塔支持部の外面における自動作業を妨害することになる末端部を作り出さない。第2のブレースにおける第2の端部は、次に開口部を通してスリーブの中に挿入され、例えばグラウトなどの注入材料が、スリーブと第1のブレースとの間のボリュームを充填し、スリーブ内で第1のブレースを堅固に固定するために固化される。任意選択として、第2のブレースにおける第2の端部には、閉鎖端部が設けられ、それによって注入材料は、スリーブから、第2のブレースにおける第2の端部において内部ボリュームの中に入らない。
【0018】
第3の実施形態において、第2のブレースにおける第1の端部は、有利にはグラウト注入である、注入による接続によって、第1のブレースに固定される。特にこの実施形態において、本方法は、第1のブレースの壁における開口部と、第1のスリーブ端部及び第2のスリーブ端部を伴う鋼製スリーブと、を第3の接続部に設けることを含む。第1のスリーブ端部は、やはり鋼製である、第1のブレースの開口部におけるリムに溶接され、スリーブは、第1のブレースの開口部におけるリムから、内側のみに、第1のブレースにおける内部ボリュームの中に延びるが、第1のブレースの開口部を越えてリムから外側へは延びない。この実施形態において、スリーブは第1のブレースの内側のみであり、搬送、及び例えば表面塗装など、塔支持部の外面における自動作業、を妨害することになる末端部を作り出さない。第2のブレースにおける第1の端部は、次に開口部を通してスリーブの中に挿入され、例えばグラウトなどの注入材料が、スリーブと第2のブレースとの間のボリュームを充填し、スリーブ内で第2のブレースを堅固に固定するために固化される。任意選択として、第2のブレースにおける第1の端部には、閉鎖端部が設けられ、それによって注入材料は、スリーブから、第2のブレースにおける第1の端部において内部ボリュームの中に入らない。
【0019】
言及したように、スリーブが内側のみに延びた実施形態は、上述のように搬送及び作業のために特に有利である。しかしいくつかの代替事例において、短い距離だけ外側に延びたスリーブを有することは、許容され得る。しかし有用な実際の実施形態において、スリーブはリムから外側へ0.2mを越えて延びるのは望ましくない。なぜならその場合、搬送の取扱い及び作業を、より困難にし得るからである。斜行ブレースの典型的な径は、2mの範囲内であり、したがって0.2mは径の10%ほどであることが指摘される。斜行ブレースの径の、最大で10%に対応する距離だけ、リムから外側へ延びることは、別の有用な制限である。
【0020】
いくつかの別の実施形態において、上記3つの実施形態の内2つ、または3つ全てが組み合わされる。
【0021】
特にグラウト材である注入材料の過剰な量を、接続部に使用することを避けるため、かつ注入材料をスリーブに拘束するために、スリーブは、第2のスリーブ端部において閉鎖底部を備える。固定のため、例えばグラウトなどの注入材料は、一方の端部が閉鎖されたスリーブの内側のボリューム内に充填されるが、スリーブの外側には充填されない。
【0022】
有利には、特にブレースの端部に閉鎖端部が設けられた場合、例えばグラウトなどの注入材料は、対応したブレースの端部をスリーブの中に挿入した後のみに、ブレースの端部における外側と、スリーブの内側との間のボリューム内に挿入される。これは、注入材料がスリーブの内側における中空ボリュームの中に押圧される前に、端部をスリーブの内側の正確な箇所に配置することを容易にする。
【0023】
注入材料は、流体または半流体であり、例えばポリマー、コンクリート、またはグラウトである。それは次に、固化された堅固な注入をもたらすために、硬化される。グラウトは、その高い剛性及び塩水における耐用寿命のため、好ましい材料である。以下では、グラウトが注入材料として例示されるが、より適切または有用である場合は他の注入材料によって置き換えることができる。
【0024】
スリーブによって形成された空洞は、それらが受け入れる対応したブレースの端部よりも大きい。これは、ブレースの端部とそれぞれのスリーブの内壁との間における、空洞の内側に、十分なグラウトのための余剰ボリュームを提供するためだけではなく、挿入中にブレースが詰まるのを回避するために、組み立て手順の間に、ブレースが空洞に対して僅かに角度を変えることを可能にするためにも、有利である。
【0025】
一般的にスリーブは、受け入れる管状ブレースの長手方向中心軸と平行である、長手方向中心軸を伴う管状である。
【0026】
スリーブは、一般的に円形断面であり、この断面は長手方向中心軸に対して垂直であるが、これは必ずしも必要ではない。いくつかの事例において、スリーブは、その長手方向中心軸に対して垂直に、方形または矩形などの断面を伴う、多角形である。
【0027】
海底固定式の支持構造物について、塔支持部と、N本の第1のブレース及びN本の第2のブレースと、を伴う堅固なフレーム構造物は、長期間の安定性のために、一般的に十分である。風力タービン塔のための張力脚プラットフォーム(TLP)などの浮遊式構造物、または半潜水型プラットフォームについて、さらなる安定性を提供することが望ましい。このため、選択肢として、以下の拡張された実施形態が有用である。
【0028】
この拡張された実施形態において、一般的に管状ブレースである、N本の第3のブレースにおける第3のセットは、第3のブレースによって第1のブレースを相互接続するために提供される。例えば第3のブレースは、次のステップで、任意選択でグラウト注入による接続、もしくは代替として溶接によって、または対応したブラケットに接続することによって、第1のブレースに接続される。ブレースは一般的には全体的に鋼製であり、溶接は利用可能な選択肢の1つである。例えば初めにブラケットをブレースに溶接して、それらを次にボルト接続のために使用して、第3のブレースを第1のブレースにボルト締めすることは、別の選択肢である。
【0029】
例えばN=4について、第1のブレースは、中央における塔支持部と交差部を形成し、第3のブレースは、この交差部によって形成された面における交差部を安定化する。一般的に、N=4のブレースにおける第3のセットは、正方形を形成し、そこで第1のブレースは共に斜角を形成する。第1及び第3のブレースは、任意選択で単一の面にある。しかし、これは必ずしも必要ではない。例えば、第3のブレースは1つの面で正方形を形成し、第1のブレースは、塔支持部におけるそれらの第1の端部が、例えば第3のブレースの、正方形の面の下方における面で外側に延びる。さらに、やはり必ずしも必要ではないが、これらのブレースは等しい長さであり、N=4のアセンブリについて第3のブレースが正方形から外れて代わりに矩形を形成するよう、第1のブレースの内1本または2本は、残りの2本よりも長くてもよい。
【0030】
別の典型的な好ましい例は、N=3であり、そこでは第3のブレースが三角形を形成し、任意選択で塔はこの三角形の中央にある。これら第3のブレースは、三角形の側辺を形成するので、側辺ブレースとも呼ばれる。第1のブレースは、塔支持部から三角形の角の各々1つまで放射状に延びるので、一般的に放射状ブレースとも呼ばれる。この事例において第1及び第3のブレースは、任意選択で単一の水平面にある。しかし、これは必ずしも必要ではない。例えば、第3のブレースは1つの面で三角形を形成し、第1のブレースは、塔支持部における第1の端部が、例えば第3のブレースの、三角形の面の下方または上方における面で外側に延びる。さらに、三角形は必ずしも正三角形である必要はないので、必ずしもブレースは、等しい長さで正三角形を形成する必要はない。さらには、塔支持部が三角形の中心ではなくてもよい。
【0031】
任意選択で、第3のブレースによる第1のブレースの相互接続は、第3のブレースによって第1のブレースの端部を相互接続することを含む。しかし、接続部は端部から距離をずらすことができるので、これは必ずしも必要ではない。
【0032】
N=3の事例について、アセンブリは、第1、第2、及び第3のブレースによって、任意選択で正四面体として形成された、四面体構造となり得る。この事例において、第1のブレースは放射状ブレースであり、塔支持部から放射状に延びる。第3のブレースは、三角形の側辺を形成するので、側辺ブレースである。第2のブレースは、第1のブレースから塔支持部まで斜めに延びるので、斜行ブレースである。各第2のブレースは、第1のブレース及び塔支持部と共に、垂直の三角形を形成する。
【0033】
例えば、柱支持部は四面体構造の中央に据えられる。代替として、中央を外されるか、または塔支持部は支持構造物の角に設けられるか、もしくは2つの節点間で三角形の辺に沿って設けられる。
【0034】
一旦、沖合における支持構造物が、一般的に岸辺または地上で組み立てられると、風力タービンはこの構造物の頂部に取り付けられる。このアセンブリは次に、最終的な沖合のポイントまで、一般的に船舶による曳航で移動され、次に例えば構造物を浮遊されながら、海底に定着される。言及したように、例はTLPであり、一般的に海中で浮かぶ半潜水型である。それらは海面から半分沈んで浮かぶ。
【0035】
グラウト接続の強度及び耐用寿命を最適にするために、剪断キーが、ブレースの挿入部分に有利に使用される。
【0036】
第1及び第2のブレースは管状であり、一般的に第3のブレースも管状である。任意選択で、これらの管状ブレースは正の浮力を有するボリュームを有する。任意選択で、このボリュームは、浮力を調節するために浸水させることができる。最も一般的な事例において、ブレースは直線である。
【0037】
例として、ブレースは任意選択で、1~6メートルの範囲の径を有し、大きいもので50メートルを越える長さとし得る。ブレース端部は、任意選択でそれぞれの空洞の中に3~5メートルの距離で挿入される。
【0038】
任意選択で、塔支持部自体は管状であり、例えば円筒形、もしくは円錐形、または管状の支持構造物の隣接したセクションでの、それらの組み合わせである。
【0039】
本発明を、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】沖合における風力タービンのための四面体構造を示す図である。
【
図2】2本のブレース間の接続部を例示する図である。
【
図3】2本のブレース間における代替の接続部を例示する図である。
【
図4】放射状ブレースのセクションにおけるスリーブの斜視図である。
【
図5】放射状ブレースにおけるスリーブの側面斜視図である。
【
図6】塔支持部におけるスリーブの側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、沖合における風力タービンの設備1を例示する。設備1は、風力タービン2と、風力タービン2が動作のために取り付けられ、かつ沖合における条件で支持する、沖合における支持構造物3と、を備える。風力タービン2は、ロータ5と、塔7と、ロータ5を塔7に接続するナセル6と、を備える。沖合における支持構造物3は、塔支持部8を備え、その上に風力タービン2の塔7が取り付けられる。風力タービン2は、支持構造物3とは縮尺に則っておらず、例示を容易にするために小さい縮尺で示されていることに、留意されたい。
【0042】
沖合における支持構造物3は、海面4の下の海底13に埋め込まれた基部14を伴う、底部の支持構造物として例示される。このようなタイプの沖合における支持構造物3は、浅い水域で使用される。一般的に、より深い水域のために、例えば構造物3を水中に半分沈めて浮かし続ける、係船索及び浮力タンクを伴う、半潜水型構造物などの浮遊式構造物が使用される。このような事例において、浮力タンクは、管状構造物自体が十分な浮力を提供しない場合、基部14の代わりに構造物3の接点9に取り付けられる。代替として、構造物3は、完全に沈んだ浮遊式支持構造物を伴う、張力脚プラットフォーム(TLP)とすることができる。浮遊式支持構造物3は、海底13に固定された係船索によって、所定の箇所に保持される。
【0043】
例示した構造物3は、中央の塔支持部8を伴う四面体形状を有する。塔支持部の第1の下部分から、第1のブレース11が放射状に外側へ延び、そのためこれら第1のブレース11は、放射状ブレース11とも呼ばれる。塔支持部の第2の上部分から、第2のブレース12が第1の放射状ブレース11まで延び、それによって塔は、第1のブレース11及び第2のブレース12の各セットを伴って平坦な三角形を形成する。塔支持部8、放射状ブレース11、及び第2のブレース12の三角形状のため、第2のブレースも斜行ブレース12とも呼ばれる。
【0044】
四面体のための三角形ベースは、側辺ブレース10及び放射状ブレース11によって形成される。側辺ブレース10は、放射状ブレース11を介した相互接続によって、三角形を形成する。
【0045】
放射状ブレース11は、それらの第2の端部11Bで、塔構造物8の第1の下部分に接続し、斜行ブレース12は、それらの第2の端部12Bで、塔構造物8の第2の上部分に接続される。斜行ブレース11の各々における第1の端部11Aは、一般的に、対応した放射状ブレース11の第1の端部11A、またはその近くの箇所において、放射状ブレース12の1つに接続する。
【0046】
塔支持部8は、支持柱として例示するが、示されるもの以外の他の形状を有し得る。示されるように、塔支持部8は、水面4の上方位置まで延びるが、それは浮遊式支持構造物でも一般的である。
【0047】
後で、より詳細に例示するように、ブレース10、11、12と、塔支持部8との間の接続は、例えばグラウト注入による接続など、注入による接続とすることができる。ブレース11、12の端部11A、11B、12Bは、別のブレースの空洞、及び/または塔支持部8の空洞に収納され、そこは次に一般的にグラウトである注入材料で充填され、次に硬化されて、堅固に固定された接続部を提供する。
【0048】
斜行ブレース12と放射状ブレース11との間の、注入による接続の例は、以下の対応した例を参照して、さらに詳細に説明する。
【0049】
図2は、斜行ブレース12の第1の端部12Aが、放射状ブレース11に設けられた管状スリーブ17の中に挿入された、同軸配置を示す。スリーブ17は、第1のスリーブ端部17A及び第2のスリーブ端部17Bを有し、第2のスリーブ端部17Bは、端部壁18によって閉鎖されている。特に、放射状ブレース11には、放射状ブレース11の壁23における開口部22が設けられ、鋼製の第1のスリーブ端部17Aは、やはり鋼製である、放射状ブレース11における開口部22のリム22Aに、溶接16によって定着される。例えば溶接16はロボットによって成される。
【0050】
とりわけ、スリーブ17はリム22Aから第1のブレース11における内部ボリュームの内側のみに延び、リム22Aから第1のブレース11の開口部22を越えて延びない。これは、大きいサイズの放射状ブレース12が搬送されるときに、ある利点を有する。なぜなら放射状ブレース12の表面から外側に延びる構造要素は、取扱いをより困難にするためである。さらに、放射状ブレース12に作業を行うとき、特に組み立て前に塗装するときに、ブレース12が外側に延びた末端部を有さないことは、有利である。
【0051】
斜行ブレース12の第1の端部12Aが、開口部22を通してスリーブ17の中に挿入されたとき、スリーブ17は、斜行ブレース12の移動のための誘導部として機能し、さらには斜行ブレース12の長手方向を画定する。斜行ブレース12の端部12Aを、スリーブ17の中に挿入した後、一般的にグラウトである注入材料が、スリーブ17の内壁と、斜行ブレース12の端部12Aにおける外壁と、の間におけるボリューム20の中に挿入され、その後注入材料は、スリーブ17の中で斜行ブレース12を堅固に固定するために固化される。
【0052】
スリーブ17が第2の端部17Bで開放されている事例において、注入材料は、放射状ブレース11の内部ボリュームの一部も充填する。しかし、スリーブ17が、示されたように閉鎖底部18を有する場合、スリーブ17の中の挿入される、特にグラウトである注入材料は、スリーブ17と斜行ブレース11の端部11Aとの間のボリューム20内で拘束される。これは、斜行ブレース11の固定に必要な注入材料のボリュームを最小限に抑え、それは有利である。
【0053】
図3は、斜行ブレース12の端部12Aに、より良好な長手方向の剛性のための剪断キー21が設けられた、代替の実施形態を示す。
【0054】
図4は、閉鎖底部18を有し、スリーブ17の中に挿入された、特にグラウトである注入材料が上述のように拘束される、放射状ブレース11のセクションの中における斜視図である。
【0055】
図5は、スリーブが、放射状ブレース11の外面から外側に延びないことを示す。特定の事例において、溶接16によって僅かに高くなるが、それは放射状ブレース11の搬送に、または特に外面がロボットによって自動的に作業されるときなどの、外面の作業中に、いかなる障害も作り出さず、管状ブレースは作業支持部上で回転される。
【0056】
図6は、スリーブ17によって囲まれた開口部22が、斜行ブレース11の第2の端部11Bまたは放射状ブレース12の第2の端部12Bを受け入れるために、塔支持部8に設けられる。さらにこの事例において、スリーブ17は閉鎖底部を有する。注入材料が、スリーブと挿入されたブレース11、12との間のボリューム20から流れ出ないよう、スリーブ17が注入材料で充填される間、及び注入材料が硬化するまで、開口部22のリム22Aに沿ってブレース11、12の周りに、締め付けガスケットが設けられる。ある事例において、このガスケットはリムに沿って残り、他の事例において、ガスケットは再び除去される。
【0057】
本システムを、三角形、特に四面体構造として例示したが、例えば4本、5本、または6本の放射状ブレース11、及び対応した数の斜行ブレース12を有する、他の多角形構造物にも適用可能である。一般的な選択肢として、
図1に示されるよう、端部を構造物で終わらせるために、側辺ブレース10が放射状ブレース11に接続され、剛性を向上させる。
【国際調査報告】