(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】歯科修復のためのベニア及びクラウンを含むマトリックス
(51)【国際特許分類】
A61C 13/271 20060101AFI20250109BHJP
A61C 5/77 20170101ALI20250109BHJP
A61C 5/20 20170101ALI20250109BHJP
A61C 5/30 20170101ALI20250109BHJP
A61C 5/80 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
A61C13/271
A61C5/77
A61C5/20
A61C5/30
A61C5/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537443
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 IL2022051399
(87)【国際公開番号】W WO2023126931
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524082270
【氏名又は名称】イヴァニア エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】IVENEER LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミカエロフ,イタイ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159DD08
4C159RR15
4C159SS04
(57)【要約】
歯科用マトリックス及びクラウンが、歯に歯科ベニア及びクラウンを作製するために開示される。歯科用マトリックスは、単回処置で治療される特定の歯のタイプ(例えば、前臼歯、臼歯、犬歯、門歯、口蓋歯、舌歯)に適合され、審美的に満足のいく外観のために、歯の上にベニアをもたらし、次いで再表面化され得る。歯にクラウンを形成するための歯科用マトリックスは、拡張可能なタブを有する本体を含み、形成されたクラウンからのマトリックスの除去のために、開口の直径を拡張することを可能にする。
【選択図】
図13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用マトリックスであって、
歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、前記面状部分と、
前記面状部分の前記第1の側面からの前記対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、前記フランジの各々が、手術歯と、前記手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するための厚さの部分を含み、それによって、前記マトリックスが、前記手術歯の少なくとも一部の周りの位置に前記マトリックスを維持するのに十分な力で前記歯の間で係合される、前記フランジと、を備える、歯科用マトリックス。
【請求項2】
各フランジが、タブ及びウイングを含み、前記タブが、前記面状部分の前記対向して配置された縁と連通し、前記ウイングが、前記タブから延在し、前記タブが、前記手術歯及び前記隣接歯の前記隣接面に沿って前記手術歯と係合するための前記厚さの前記部分を含む、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項3】
各フランジが、前記タブと前記ウイングとの間にセパレータを含み、前記フランジが前記セパレータの周りで曲がることを可能にする、請求項2に記載の歯科用マトリックス。
【請求項4】
前記フランジの各々について、前記タブが、前記ウイングの厚さよりも薄い厚さのものである、請求項2に記載の歯科用マトリックス。
【請求項5】
前記面状部分の前記第2の側面で前記面状部分から延在するカラムを追加的に備え、前記カラムが、内部を通って延在するチャネルを含み、前記チャネルが前記面状部分及び前記フランジによって形成された領域と連通している、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項6】
前記カラムが、円筒管を含み、前記円筒管が、摩擦係合で器具を受け入れるように構成された内壁を含み、前記マトリックスが前記器具によって操作されることを可能にする、請求項5に記載の歯科用マトリックス。
【請求項7】
前記カラムが、対向して配置された第1及び第2の開口を含む円筒管を含み、前記第1の開口が端開口を含み、前記第2の開口が前記面状部分及び前記フランジによって形成された領域と連通しており、前記チャネルが前記第1の開口と前記第2の開口との間に延在しており、前記円筒管がテーパ状内壁を含み、前記テーパが、前記第1の開口から前記第2の開口に延在及び増加する、請求項5に記載の歯科用マトリックス。
【請求項8】
前記テーパ状内壁が、器具を係合で受け入れるように寸法化され、前記マトリックスが前記器具によって操作されることを可能にする、請求項7に記載の歯科用マトリックス。
【請求項9】
歯科用マトリックスであって、
歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、前記面状部分と、
前記面状部分の前記第1の側面からの前記対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、前記フランジの各々が、手術歯と、前記手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するためのものであり、それによって、前記マトリックスが、前記手術歯の少なくとも一部分の周りの位置に前記マトリックスを維持するのに十分な力で前記歯の間で係合される、前記フランジと、
前記面状部分の前記第2の側面で前記面状部分から延在するカラムであって、前記カラムが内部を通って延在するチャネルを含み、前記チャネルが前記面状部分及び前記フランジによって形成された領域と連通している、前記カラムと、を備える、歯科用マトリックス。
【請求項10】
前記フランジの各々が、前記手術歯の前記隣接面及び隣接歯の前記隣接面に沿って前記手術歯と係合するための厚さの部分を含む、請求項9に記載の歯科用マトリックス。
【請求項11】
各フランジが、タブ及びウイングを含み、前記タブが、前記面状部分の前記対向して配置された縁と連通し、前記ウイングが、前記タブから延在し、前記タブが、前記手術歯及び前記隣接歯の前記隣接面に沿って前記手術歯と係合するための前記厚さの前記部分を含み、前記フランジの各々について、前記タブが、前記ウイングの厚さよりも薄い厚さのものである、請求項9に記載の歯科用マトリックス。
【請求項12】
各フランジが、前記タブと前記ウイングとの間にセパレータを含み、前記フランジが前記セパレータの周りで曲がることを可能にする、請求項11に記載の歯科用マトリックス。
【請求項13】
前記カラムが、円筒管を含み、前記円筒管が、係合で器具を受け入れるように構成された内壁を含み、前記マトリックスが前記器具によって操作されることを可能にする、請求項9に記載の歯科用マトリックス。
【請求項14】
前記カラムが、対向して配置された第1及び第2の開口を含む円筒管を含み、前記第1の開口が端開口を含み、前記第2の開口が前記面状部分及び前記フランジによって形成された領域と連通しており、前記チャネルが前記第1の開口と前記第2の開口との間に延在しており、前記円筒管がテーパ状内壁を含み、前記テーパが、前記第1の開口から前記第2の開口に延在及び増加する、請求項9に記載の歯科用マトリックス。
【請求項15】
前記テーパ状内壁が、器具を係合で受け入れるように寸法化され、前記マトリックスが前記器具によって操作されることを可能にする、請求項14に記載の歯科用マトリックス。
【請求項16】
歯の上にベニアを作成するための方法であって、
歯科用マトリックスであって、
歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、前記面状部分と、
前記面状部分の前記第1の側面からの前記対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、前記フランジの各々が、手術歯と、前記手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するための厚さのタブ部分を含み、それによって、前記マトリックスが、前記手術歯の少なくとも一部の周りの位置に前記マトリックスを維持するのに十分な力で前記歯の間で係合される、前記フランジと、
前記面状部分の前記第2の側面で前記面状部分から延在するカラムであって、前記カラムが内部を通って延在するチャネルを含み、前記チャネルが前記面状部分及び前記フランジによって形成された領域と連通している、前記カラムと、を含む、前記歯科用マトリックスを提供することと、
前記カラムを器具と係合させることであって、それによって前記マトリックスが前記器具によって移動及び操作される、係合させることと、
前記マトリックスを前記器具で移動させることであって、それによって前記マトリックスが、前記歯の周りにあり、前記マトリックスと前記歯との間に空洞を作成するように前記器具によって操作可能であり、前記空洞が作成されるベニアに対応する、移動させることと、を含む、方法。
【請求項17】
前記マトリックスを前記器具で移動させることが、前記マトリックスを垂直に移動させて前記歯及び各隣接する歯と係合させることを含み、それによって、前記フランジのタブ部分が、前記手術歯の前記隣接面と隣接歯の隣接面との間に配置され、それによって、前記マトリックスが、前記手術歯の少なくとも一部の周りの位置に前記マトリックスを維持するのに十分な力で前記歯の間に係合される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記マトリックスと前記歯との間の前記空洞内に前記ベニアを形成するための硬化性材料を前記器具によって提供することを追加的に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ベニアを形成するために前記空洞内の前記硬化性材料を光で硬化させることを追加的に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光が、紫外線光を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
歯科用マトリックスであって、
第2の端から対向して配置された第1の端を含む、歯の形状に対応するように構成された本体であって、前記本体が、
前記第1の端から前記第2の端まで延在する内部空洞であって、前記第1の端が閉じられており、前記第2の端が、所定の歯科領域を覆って嵌合するための開口を備える、前記内部空洞、並びに
引き込み位置と拡張位置との間で可動な外向きに延在する拡張可能なタブを含む前記第2の端に少なくとも近接した拡張可能部分であって、前記タブが前記引き込み位置から前記拡張位置に移動するとき、前記開口に少なくとも近接した前記第2の端の直径が増加する、前記拡張可能部分、を備える、前記本体と、
前記内部空洞に対して開いている前記本体中の孔と、を備える、歯科用マトリックス。
【請求項22】
前記タブが、中間折り目によって分離された、対向して配置されたフランジを含む、請求項21に記載の歯科用マトリックス。
【請求項23】
前記中間折り目が、前記対向して配置されたフランジに対して中心である、請求項22に記載の歯科用マトリックス。
【請求項24】
前記本体が、前記引き込み位置から前記拡張位置に移動するときに、前記タブが、前記中間折り目の周りで開く、請求項22に記載の歯科用マトリックス。
【請求項25】
前記第1の端が、第1の直径のものであり、前記第2の端が、前記タブが前記引き込み位置にあるときの第2の直径から、前記タブが前記拡張位置に移動したときのほぼ前記第1の直径の直径まで拡張する、請求項21に記載の歯科用マトリックス。
【請求項26】
前記孔が、前記本体の前記第1の端にある、請求項21に記載の歯科用マトリックス。
【請求項27】
前記孔と連通している前記本体から延在する円筒を追加的に備える、請求項26に記載の歯科用マトリックス。
【請求項28】
前記円筒が、それを通って延在するボアを含み、前記ボアが、硬化性材料で前記本体の前記内部空洞を充填するためのシリンジの一部を受け入れるように構成されている、請求項27に記載の歯科用マトリックス。
【請求項29】
前記歯の形状が、前記歯のクラウンの形状を含む、請求項21に記載の歯科用マトリックス。
【請求項30】
補綴歯科構造を作製するための方法であって、
マトリックスであって、
第2の端から対向して配置された第1の端を含む、歯の形状に対応するように構成された本体であって、前記本体が、
前記第1の端から前記第2の端まで延在する内部空洞であって、前記第1の端が閉じられており、前記第2の端が、所定の歯科領域を覆って嵌合するための開口を備える、前記内部空洞、並びに
引き込み位置と拡張位置との間で可動な外向きに延在する拡張可能なタブを含む前記第2の端に少なくとも近接した拡張可能部分であって、前記タブが前記引き込み位置から前記拡張位置に移動するとき、前記開口に少なくとも近接した前記第2の端の直径が増加する、前記拡張可能部分、を備える、前記本体と、
前記内部空洞に対して開いている前記本体中の孔と、を備える、前記マトリックスを提供することと、
所定の歯科領域を覆って前記マトリックスを配置することと、
前記マトリックスの前記内部空洞内に硬化性材料を配置することと、
前記硬化性材料を硬化させることと、
前記タブを前記引き込み位置から前記拡張位置まで移動させることによって、前記本体を移動させることと、を含む、方法。
【請求項31】
前記本体が、前記第2の端の前記直径が、前記第1の端の前記直径とほぼ等しくなるように移動される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記マトリックスを前記補綴歯科構造から除去することを追加的に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記補綴歯科構造が、クラウンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記所定の歯科領域が、調製した歯、調製した歯部分、歯肉、又は歯科用歯インプラントのうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
歯科治療のためのマトリックスであって、
歯を覆うための面状部材であって、前記歯の頬側面に沿って前記歯を覆うように構成された面状部分、及び前記歯の咀嚼面の少なくとも一部を覆うためのキャップを含み、前記歯の舌側面に向かって延在し、前記面状部材が、前記歯の形状に対応する形状で、歯肉に少なくとも近接して配置するための第1の端から、前記歯の前記咀嚼面を越えて配置するための第2の端まで延在することによって前記歯を覆うように構成され、それによって空洞が前記面状部材と前記歯との間に作成され、少なくとも1つの孔が前記面状部材内にある、前記面状部材と、
前記面状部材の両側に配置された金属材料の第1及び第2のタブ部材であって、前記第1及び第2のタブ部材の各々が、前記面状部材から外向きに延在し、前記マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた前記歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間で嵌合するための厚さのものであり、前記第1及び第2のタブ部材が、
前記歯肉に少なくとも近接して配置するための第1の縁と、
前記第1の縁からの対向して配置された第2の縁と、
前記第1の縁に沿った切り欠き部分を含み、前記切り欠き部分が、前記マトリックスを前記歯肉に少なくとも近接して着座させるように構成されて、前記マトリックスが、前記歯肉の周りを枢動することによって移動して前記空洞の寸法を調整することを可能にする、前記第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分と、
前記第1及び第2のタブ部材の各々が把持部分を形成するように、内向きに曲がるように構成され、移動したときに前記空洞の前記寸法を調整する、前記第1及び第2のタブ部材の各々とを含む、前記第1及び第2のタブ部材と、を備える、マトリックス。
【請求項36】
前記金属材料が、鋼を含む、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項37】
前記キャップが、前記少なくとも1つの孔を含む、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項38】
前記タブ部材の前記各々が、一体型部材である、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項39】
前記面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、前記第1のタブ部材及び前記第2のタブ部材が各々、それぞれの前記対向して配置された側面縁から延在する、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項40】
前記面状部分が、前記面状部分の前記第1の端で前記対向して配置された側面縁の間に歯肉縁を含み、前記歯肉縁が、前記歯肉のわずかに下で歯に接触するように構成されている、請求項39に記載のマトリックス。
【請求項41】
前記歯肉縁が、前記歯肉のおよそ1mm下で前記歯に接触するように構成される、請求項40に記載のマトリックス。
【請求項42】
少なくとも前記面状部分が、光透過性材料を含む、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項43】
前記光透過性材料が、紫外線(UV)光の透過を可能にする、請求項42に記載のマトリックス。
【請求項44】
前記一体型部材が、実質的に均一な厚さのものである、請求項38に記載のマトリックス。
【請求項45】
前記面状部分が、外側頬側表面及び内側歯面を含み、前記内側歯面が、前記歯の質感を複製するように質感加工されている、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項46】
前記少なくとも1つの孔が、複数の孔を含む、請求項37に記載のマトリックス。
【請求項47】
前記切り欠き部分が、歯肉線のおよそ1mm下で前記歯に接触するように構成される、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項48】
前記切り欠き部分が、丸みを帯びた部位を含む、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項49】
前記第1及び第2のタブ部材の各々が、
前記切り欠き部分を含むタブ、前記タブの少なくとも一部分と、
前記タブから延在するウイングと、を含み、
前記タブが、折り目線で前記ウイングに接し、各タブ部材の前記ウイングが、前記把持部分を形成するために前記折り目線の周りで屈曲可能である、請求項35に記載のマトリックス。
【請求項50】
前記面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、前記第1及び第2のタブ部材の前記タブが、前記それぞれの対向して配置された側面縁から延在する、請求項49に記載のマトリックス。
【請求項51】
前記キャップが、前記面状部分の前記対向して配置された側面の間に延在する、請求項49及び50に記載のマトリックス。
【請求項52】
歯科治療のためのマトリックスであって、
歯を覆うための面状部材であって、前記面状部材の少なくとも一部分が、前記面状部材と前記歯との間に空洞が作成されるように前記歯を覆うために構成され、前記空洞を形成する前記面状部材の前記一部分が少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、
前記面状部材の両側に配置される金属材料の第1及び第2のタブ部材であって、前記第1及び第2のタブ部材の各々が、外向きに延在し、前記マトリックスを所定の位置に維持するために覆われた前記歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間の摩擦嵌合のための厚さのものであり、前記第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分が、前記マトリックスを歯肉で着座させるように構成された切り欠き部分を含み、前記マトリックスを前記歯肉の周りで移動させて前記タブ部材の第1の端で前記空洞の寸法を調整し、前記第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによって前記タブ部材の各第2の端が把持部を形成し、移動したときに、前記空洞の前記寸法を調整する、前記第1及び第2のタブ部材と、を備える、マトリックス。
【請求項53】
前記面状部材が、頬側面に沿って前記歯を覆うように構成された面状部分と、前記面状部分から延在し、前記歯の少なくとも前記咀嚼面を覆うように構成された咀嚼面キャップとを含み、前記咀嚼面キャップが、前記少なくとも1つの孔を含む、請求項52に記載のマトリックス。
【請求項54】
前記金属材料が、鋼を含む、請求項52に記載のマトリックス。
【請求項55】
前記タブ部材の前記各々が、一体型部材である、請求項52に記載のマトリックス。
【請求項56】
前記面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、前記第1のタブ部材及び前記第2のタブ部材が各々、それぞれの前記対向して配置された側面縁から延在する、請求項52に記載のマトリックス。
【請求項57】
前記第1及び第2のタブ部材の各々が、
前記切り欠き部分を含むタブ、前記タブの少なくとも一部分と、
前記タブから延在するウイングと、を含み、
前記タブが、折り目線で前記ウイングに接し、各タブ部材の前記ウイングが、前記把持部分を形成するために前記折り目線の周りで屈曲可能である、請求項52に記載のマトリックス。
【請求項58】
歯を補修するための方法であって、
歯を覆うための面状部材であって、光透過性材料の前記面状部材の少なくとも一部分、及び面状材料の少なくとも一部分が前記面状部材と前記歯との間に空洞が作成されるように前記歯を覆うために構成され、前記空洞を形成する前記面状部材の前記一部分が少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、
前記面状部材の両側に配置された第1及び第2のタブ部材であって、金属材料の前記第1及び第2のタブ部材の各々が、外向きに延在し、前記マトリックスを所定の位置に維持するために覆われた前記歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間の摩擦嵌合のための厚さのものであり、前記第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分が、前記マトリックスを歯肉で着座させるように構成された切り欠き部分を含み、前記マトリックスを前記歯肉の周りで移動させて前記タブ部材の第1の端で前記空洞の寸法を調整し、前記第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによって前記タブ部材の各第2の端が把持部分を形成し、移動したときに、前記空洞の前記寸法を調整する、前記第1及び第2のタブ部材と、を備える、歯科治療のためのマトリックスを提供することと、
歯を覆って前記マトリックスを配置して、前記歯と前記面状部材との間に空洞を形成することと、
前記第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて、前記歯を囲むことと、
前記空洞内に硬化性材料を配置することと、
前記硬化性材料を硬化させて、前記歯の上にベニアを形成することと、を含む、方法。
【請求項59】
前記面状部材が、前記少なくとも1つの孔を有する前記端の両側の端に歯肉縁を含み、前記方法が、前記歯肉縁を、歯肉線の下で前記歯と接触するように配置することを追加的に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記マトリックスを前記歯から除去することを追加的に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記硬化が、前記硬化性材料に光を適用することによって行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記硬化性材料が、紫外線(UV)光硬化性材料であり、前記UV硬化性材料に適用される前記光が、UV光を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げることが、前記タブ部材の各々の前記第2の端を外向きに曲げて、前記マトリックスのための把持部分を形成することと、前記マトリックスを前記把持部分で移動させて、前記空洞の前記寸法を調整し、前記ベニアの前記厚さを制御することと、を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記マトリックスを前記把持部分で移動させて前記空洞の前記寸法を調整することが、前記マトリックスを前記歯の両側で前記歯肉の周りで枢動させて、前記空洞の前記寸法を調整することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記硬化性材料を前記空洞内に配置することが、前記硬化性材料を前記空洞内に注入することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記硬化性材料を前記空洞内に注入することが、圧力下で注入して、前記硬化性材料内の気泡及び気隙を排除することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて前記歯を取り囲むことが、前記歯の欠損部分を構築するために、上歯のための口蓋シェル又は下歯のための舌シェルのうちの少なくとも1つを作成する、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記金属材料が、鋼を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記タブ部材の前記各々が、一体型部材である、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年4月14日に出願された、MATRICES INCLUDING CROWNS FOR DENTAL RESTORATIONと題する、共同所有の米国特許出願第17/659,179号の一部継続であり、これは、2021年12月31日に出願された、MATRICIES FOR DENTAL RESTORATIONと題する、共同所有の米国特許出願第17/646,681号の出願の一部継続であり、これは、2021年2月11日に出願された、MATRICIES FOR DENTAL RESTORATIONと題する、共同所有の米国特許出願第17/173,216号の出願の一部継続であり、これは、現在米国特許第10,952,815号である、2017年12月28日に出願された、MATRICIES FOR DENTAL RESTORATIONと題する、共同所有の米国特許出願第15/856,087号の分割であり、前述の出願の開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全般的には、歯科修復のための器具及び方法に関する。より具体的には、本発明は、歯に歯科ベニアを配置するための器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
美容歯科学は、一般に、エナメルで覆われている歯肉線を越える歯の部分である歯科クラウンの美学を高めるプロセスに関する。かかるプロセスの一例は、ベニアを歯に付けること、又は歯の印象から作製された型を歯に付けること、型を歯科用複合材又はアクリルで充填してベニアを作製し、型を歯から分離して、次いでベニアを型から歯に移すことを含む。ベニアが歯に配置され、次いで硬化されるか、さもなければ固められる。そしてベニアは歯と一体化しており、次いで、例えば、歯を再表面処理することを含む技法によって、形状化又は研磨され得る。これらの前述の技法は、相当な準備を必要とするため、かなり高価で時間がかかり、通常、1回の歯科通院で行うことができない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、単回処置で治療される特定の歯のタイプ(例えば、前臼歯、臼歯、犬歯、門歯、口蓋歯、舌歯)に適合されたマトリックスを提供し、歯の上にベニアをもたらし、次いで、審美的に満足のいく外観のために、再表面処理され得る。
【0005】
本発明の実施形態は、開示されたマトリックスで歯の上にベニアを配置するための手順が非常に正確なプロセスであり、極めて衛生的で清潔であり、ベニアが補修している歯を区別できない滑らかなベニアをもたらすようにする。
【0006】
本発明の実施形態は、歯科治療のためのマトリックスに関する。マトリックスは、歯を覆うための面状部材であって、面状部材の少なくとも一部分が、面状部材と歯との間に空洞が作成されるように歯を覆うために構成され、空洞を形成する面状部材の一部分が少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、面状部材の両側に配置された第1及び第2のタブ部材であって、第1及び第2のタブ部材の各々が外向きに延在し、マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間で摩擦嵌合するための厚さのものである、第1及び第2のタブ部材と、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分であって、マトリックスを歯肉に着座させるように構成された切り欠き部分を含み、マトリックスを歯肉の周りで移動、例えば、枢動させることを可能にして、タブ部材の第1の端で空洞の寸法を調整し、第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによってタブ部材の第2の端が、移動したときに空洞の寸法を調整する把持部分を形成する、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分と、を含む。
【0007】
任意選択で、面状部材は、頬側面に沿って歯を覆うように構成された面状部分と、面状部分から延在し、歯の少なくとも咀嚼面を覆うように構成された咀嚼面キャップとを含み、咀嚼面キャップは、少なくとも1つの孔を含む。
【0008】
任意選択で、第1及び第2のタブ部材の各々は、切り欠き部分を含むタブ、タブの少なくとも一部分と、タブから延在するウイングと、を含み、タブは、折り目線でウイングに接し、各タブ部材のウイングは、把持部材を形成するために折り目線の周りで屈曲可能である。
【0009】
任意選択で、面状部分は、対向して配置された側面縁を含み、第1及び第2のタブ部材のタブは、それぞれの対向して配置された側面縁から延在する。
【0010】
任意選択で、咀嚼面キャップが、面状部分の第1の端で対向して配置された側面縁の間に延在する。
【0011】
任意選択で、面状部分は、第1の端の両側にある第2の端で対向して配置された側面縁の間に歯肉縁を含み、歯肉縁は、歯肉線のわずかに下で歯に接触するように構成される。
【0012】
任意選択で、歯肉縁は、歯肉線のおよそ約1mm下で歯に接触するように構成されている。
【0013】
任意選択で、少なくとも面状部分は、光透過性材料を含む。
【0014】
任意選択で、光透過性材料は、紫外線(UV)光の透過を可能にする。任意選択で、面状部材並びに第1及び第2のタブ部材は、一体型部材として配置される。
【0015】
任意選択で、一体型部材は、実質的に均一な厚さのものであり、可撓性材料を含む。
【0016】
任意選択的に、面状部分は、外側頬側面及び内側歯面を含み、内側歯面は、歯の質感を複製するように質感加工される。
【0017】
任意選択で、少なくとも1つの孔は、複数の孔を含む。
【0018】
任意選択で、切り欠き部分は、歯肉線のおよそ1mm下で歯に接触するように構成される。
【0019】
本発明の実施形態は、歯を補修するための方法に関する。方法は、歯科治療のためのマトリックスを提供することと、マトリックスを、歯を覆って配置して歯と面状部材との間に空洞を形成することと、第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて歯を囲むことと、硬化性材料を空洞に配置することと、硬化性材料を硬化させて、歯の上にベニアを形成することと、を含む。マトリックスは、歯を覆うための面状部材であって、光透過性材料の面状部材の少なくとも一部分、及び面状材料の少なくとも一部分が面状部材と歯との間に空洞が作成されるように歯を覆うために構成され、空洞を形成する面状部材の一部分が、少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、面状部材の両側に配置される第1及び第2のタブ部材であって、第1及び第2のタブ部材の各々が外向に延在し、マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間で摩擦嵌合するための厚さのものである、第1及び第2のタブ部材と、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部であって、マトリックスを歯肉に着座させるように構成された切り欠き部を含み、マトリックスを歯肉の周りで移動、例えば、枢動させることを可能にして、タブ部材の第1の端で空洞の寸法を調整し、第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによってタブ部材の第2の端が、移動したときに空洞の寸法を調整する把持部分を形成する、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部と、を備える。
【0020】
任意選択で、面状部材は、少なくとも1つの孔を有する端に対向する端で歯肉縁を含み、方法は、歯肉縁を歯肉線の下で歯と接触させて配置することを含む。
【0021】
任意選択で、方法は、歯からマトリックスを除去することを追加的に含む。
【0022】
任意選択で、硬化は、硬化性材料に光を適用することによって行われる。
【0023】
任意選択で、硬化性材料は、紫外線(UV)光硬化性材料であり、UV硬化性材料に適用される光は、UV光を含む。
【0024】
任意選択で、第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げることは、タブ部材の各々の第2の端を外向きに曲げて、マトリックスのための把持部分を形成することと、マトリックスを把持部分で移動させて、空洞の寸法を調整することと、を含む。
【0025】
任意選択で、把持部分でマトリックスを移動させて空洞の寸法を調整することは、マトリックスを歯の両側の歯肉の周りで枢動させて、空洞の寸法を調整し、ベニア(方法によって生成される)の厚さを制御することを含む。
【0026】
任意選択で、硬化性材料を空洞内に配置することは、硬化性材料を空洞内に注入することを含む。
【0027】
任意選択で、硬化性材料を空洞内に注入することは、圧力下で注入して、硬化性材料内の気泡及び気隙を排除することを含む。
【0028】
任意選択で、第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて歯を囲むことは、歯の欠損部分を構築するために、上歯のための口蓋シェル(壁)又は下歯のための舌シェル(壁)のうちの少なくとも1つを作成する。
【0029】
本明細書で別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が、以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、及び実施例は、単に例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載される。詳細な図面を具体的に参照すると、示される詳細は、例として、かつ本発明の実施形態の例示的な説明の目的のためであることが強調され、正確な縮尺ではあり得ない。これに関して、図面でとられた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0031】
ここで、注意は図面に向けられ、同様の参照番号又は文字は、対応する構成要素又は同様の構成要素を示す。以下の図面である。
【0032】
【
図1A】本発明の実施形態に従ってベニアの作製する際に使用するためのマトリックスの斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に従ってベニアの作製する際に使用するためのマトリックスの斜視図である。
【
図1C-1】本発明の別の実施形態によるマトリックスの斜視図である。
【
図1C-2】
図1C-1のライン1C-1Cに沿って得られたマトリックスの断面図である。
【
図3】
図2Aのライン3-3に沿って得られた
図1A及び1Bのマトリックスの断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従って歯でベニアを作成するときに、歯を覆って配置されたマトリックスを有する歯の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に従って歯の上にベニアを作成するときに、マトリックスによって覆われた歯を示す斜視図である。
【
図6A】
図5によるマトリックスによって覆われた歯の断面図である。
【
図6B】
図5のライン6B-6Bに沿って得られた、マトリックスによって覆われた歯の断面図である。
【
図7】本発明の実施形態によるベニア形成プロセスを示す、
図6Aの断面図である。
【
図8】本発明の実施形態によるベニア形成プロセスを示す、
図6Aの断面図である。
【
図9】本発明の実施形態によるベニア形成プロセスに従って歯に形成されたベニアを示す。
【
図10A】本発明による代替的な実施形態マトリックスの底面図である。
【
図10B】歯を覆っている
図10Aの代替的な実施形態マトリックスの斜視図である。
【
図11】本発明による別の代替的な実施形態マトリックスの底面図である。
【
図12】歯を覆っている本発明による別の代替的な実施形態マトリックスの斜視図である。
【
図13A】本発明の別の実施形態によるマトリックスの斜視図である。
【
図13B】ライン13-13に沿って得られた
図13Aのマトリックスの断面図である。
【
図14A】本発明の別の実施形態によるマトリックスの斜視図である。
【
図14B】ライン14-14に沿って得られた
図14Aのマトリックスの断面図である。
【
図18B】
図18Aのライン18B-18Bに沿って得られた、マトリックスのタブの内側(マトリックス本体の内部空洞)からの断面図である。
【
図18D】マトリックスが引き込み(収縮した)位置から拡張位置に移動するように、拡張しているマトリックス及びマトリックスのタブの側面図である。
【
図19A】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19B】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19C】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19D】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19E】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19F】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図19G】本開示の実施形態に従って歯にクラウンを形成するために使用されている
図18A~18Dのマトリックスを示す図である。
【
図20A】本開示の実施形態に従って歯インプラントにクラウンを形成するために使用されている
図18A~
図18Dのマトリックスを示す図である。
【
図20B】本開示の実施形態に従って歯インプラントにクラウンを形成するために使用されている
図18A~
図18Dのマトリックスを示す図である。
【
図20C】本開示の実施形態に従って歯インプラントにクラウンを形成するために使用されている
図18A~
図18Dのマトリックスを示す図である。
【
図20D】本開示の実施形態に従って歯インプラントにクラウンを形成するために使用されている
図18A~
図18Dのマトリックスを示す図である。
【
図20E】本開示の実施形態に従って歯インプラントにクラウンを形成するために使用されている
図18A~
図18Dのマトリックスを示す図である。
【
図21A】歯のためのクラウンを作製する際に使用されるマトリックスの別の実施形態の引き込み位置での図であり、後方斜視図から示される。
【
図21B】
図20Aのマトリックスの実施形態の図であり、正面斜視図から示される。
【0033】
図面の詳細な説明
本文書全体を通して、内向き、外向き、上部、下部、前部、後部、最上部、底部、側面、及びそれらの派生語などの方向及び配向に言及する。これらの方向及び配向への言及は、本発明及びその実施形態について記載し、説明するための例示的なものであり、いかなる方法でも限定的ではない。
【0034】
図1A、1B、2A、2B、及び3は、歯を覆って嵌合するためのマトリックス10を示す。マトリックス10は、例えば、歯の上にベニアを作製するために流動性及び硬化性材料がマトリックス10に注入され得るという目的において、例えば、歯を覆って、典型的には歯の上に配置するための単一部材である。マトリックス10は、そのためベニアの所望の厚さに従って歯に配置される。注入された材料が硬化すると、マトリックス10は歯から除去される。マトリックス10が歯から除去されると、結果として生じるベニアはそのとき歯と一体化している。次いで、歯は、再表面処理、研削、研磨などの他の処置に供され得る。
【0035】
マトリックス10は、歯の外面の形状に適合する輪郭化した形状のものである面状部分12を含む。面状部分12は、歯肉線のおよそ1mm下である、歯肉線で歯と同じ高さになるように設計されている歯肉縁14と、咀嚼面縁15との間で長手方向に、及び側面縁又は隣接面縁16a、16b間で側部方向に延在する。歯肉縁14、咀嚼面縁15、及び側面縁16a、16bは、面状部分12の周囲を定義する。咀嚼面キャップ17は、咀嚼面縁15に沿って、側面17a、17bの間に延在する。側面17a、17bは、同じ高さであり、典型的には、対向して配置されたタブ18a、18bと同一平面上である。タブ18a、18bは、面状部分12の側面縁16a、16bから延在する。
【0036】
面状部分12は、外側頬側面23、及び内側歯面25を含む。内側歯面25は、例えば、不均一な手段で、例えば、形状化及び質感化されて、それが回復するように設計される天然歯タイプの質感を提供し(例えば、複製し)、周波条及び切縁結節も含み得る。面状部分12は、例えば、輪郭化(例えば、湾曲化)され(
図1A及び
図1B)、
図2A及び
図2Bに示されるようにわずかに非対称であり、例えば、図面に示されるように左口蓋切歯のための歯の形状に適応する。
【0037】
歯肉縁14は、歯肉線と同じ高さであるように設計される。例えば、マトリックス10は、歯肉縁14が歯肉線からおよそ1mmに位置するように歯を覆うために挿入されるように設計される。
【0038】
咀嚼面キャップ17は、プラットフォーム17x、及びプラットフォーム17xから内向きに延在する内向きに湾曲したリップ17yを備える。咀嚼面キャップ17の側面17a、17bは、側面縁16a、16b、並びにタブ縁18ax、18bxに沿ってタブ18a、18bに結合する。咀嚼面キャップ17は、例えば、プラットフォーム17xにおいて、流動性材料が注入される孔28を含む。孔28は、形状が円形であるが、正方形、長方形、楕円形、三角形、それらの組み合わせなどの他の形状も、それらがシリンジ、針、又は他の注入構造を適応させるという条件において好適である。単一の中央孔28が示されているが、咀嚼キャップ17上の複数の位置での複数の孔も許容可能である。
【0039】
側面に配置されたタブ18a、18bは、面状部分12のそれぞれの側面縁16a、16bから延在し、それらの一部は、典型的には、各側面17a、17bにおいて、咀嚼面キャップ17に取り付けられている。タブ18a、18bは、マトリックス10が必要な歯に係合されるときにそれを支持するために、それらが隣接する歯の間の隣接面を定義して、歯の間の空間に摩擦係合を作成するようにする。
【0040】
タブ18a、18bの各々は、歯肉を受け入れて嵌合するための切り欠き部分30a、30bを含み、マトリックス10が歯を覆って着座することを可能にする。切り欠き部分30a、30bは、歯肉の下又は上で着座するように寸法化され、マトリックス10が枢動されることを可能にして、専門家によって所望されるとき、マトリックス10に挿入される材料の厚さを制御するために、マトリックス10を前方及び後方に移動させ(タブ18a、18bが枢動を引き起こすように押されるか又は引っ張られるとき)、それによって、以下に詳述されるように、歯でのベニアの厚さを制御する。タブ18a、18bは、複合材材料をマトリックス10に限局し、それがマトリックス10を離れて口腔内に入ること、及び/又は治療される歯に隣接する歯などの他の歯に接触することを防止するようにする。タブ18a、18bは、可撓性、例えば、可撓性材料のものであり、そのため、それらは、マトリックス10の操作中に折り曲げられるか、さもなければ内向きに曲げることができ(以下に詳述される)、流動性複合材(例えば、及び硬化性)材料がマトリックス10の外側に出ないように維持し、並びに唾液、血液、及び他の体液が、マトリックス10によって覆われた領域(例えば、空洞54を含む)に入ることを防ぎ、プロセスを清浄に維持する。加えて、内向きに曲げられたタブ18a、18bは、上歯のために口蓋シェル又は壁、及び下歯のために舌シェル又は壁を形成することによって、歯の欠損部分を構築する(以下に詳述されるように、流動性複合材、及び、例えば、硬化性、材料で充填することによって)ために使用される壁として機能する。
【0041】
また、可撓性材料、例えば、タブ18a、18bと同じ材料であり、それぞれのタブ18a、18bの各々と一体であるウイング32a、32bは、それぞれのタブ18a、18bから延在し、折り畳み可能であるか、さもなければ、折り目線33a、33b(曲げ及び/又は折り畳みを可能にする弱化部分)で、若しくはその周りでタブから屈曲可能である。折り畳まれたウイング32a、32bは、典型的には、それぞれの折り目線33a、33bの周りで折り畳まれて、互いに整列され(例えば、内向きに曲げられたタブ18a、18bに垂直な向きで)、専門家が指又は器具で把持し、マトリックス10を移動させて、ベニアのために、歯と面状部分12との間の空洞54(
図4)(空間)を調整する把持部分56(
図6A及び
図6B)を作成する。
【0042】
マトリックス10は、例えば、切歯などの特定の歯のために形状化された単一の部材であり、例えば、本明細書に開示されるマトリックス10及び他のマトリックスは、例えば、
図4~9に示される左口蓋(上部)切歯、又は口蓋及び舌(下部)の両方の前臼歯、臼歯、及び犬歯を含む他の歯などの全ての歯のために形状化及び寸法化され得る。マトリックス10、少なくとも面状部分12は、マトリックス10への光の通過を可能にするために、半透明又は透明材料などの光透過性材料で作製されており、マトリックス10には、以下に詳述されるように、既に注入された流動性複合材材料を硬化させるための紫外線(UV)光などの光が通過する。半透明又は透明材料は、医療グレードのアクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ナイロン、ケイ素化ゴムなどの熱可塑性材料を含み、これらは生体適合性、不活性及び無毒である。代替的に、咀嚼面キャップ17及びタブ18a、18bはまた、医療グレードのナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、又はポリプロピレンから作製され得る。
【0043】
マトリックス10の全ての材料は、例えば、約0.025mm~0.5mmのほぼ均一な厚さのものである。マトリックス10は、典型的には使い捨てであるが、複数回使用のためのものであってもよい。
【0044】
図1C-1及び
図1C-2は、ベニアを作製するための代替的な実施形態マトリックス110を示す。マトリックス110は、上で詳述されたマトリックス10のものと同様であり、タブ18a’、18b’、及びそれぞれのウイング32a’、32b’を除いて、要素は同様に番号付けされ、中間折り畳み又は弱化部分33a’、33b’は、金属である薄い金属部分から作製される。タブ18a’、18b’、及びそれぞれのウイング32a’、32b’から形成されるタブ部材37は、例えば、
図1C-1及び1C-2のシェーディングによって示される金属部分である。マトリックス110のタブ18a’及び18b’は、各々、クランプ(例えば、それぞれの隣接面縁16a、16bから外向きに延在する)によって面状部分12に係合される。タブ部材37は、金属部分として、接着剤、機械的締結具、熱接合などによって更に固定され得る。面状部分12、及び、例えば、咀嚼キャップ17は、例えば、上で詳述された、マトリックス10に関するように、半透明及び/又は透明材料である光透過性材料のまま作製される。
【0045】
タブ部材37は、金属部分として、例えば、ばね様方式で挙動する、跳ね返りのある、例えば、シート形態でのステンレス鋼又は他の外科グレードの鋼若しくは金属などの金属のものである。マトリックス110の両側のタブ部材37は、極めて薄く、例えば、およそ0.03mm~0.025mmの間である。例えば、タブ部材37の金属におけるこの厚さは、金属部分全体に沿って均一又は実質的に均一である。タブ部材37のこの薄さは、金属部分として、歯の間に非常に小さな隙間がある場合、又はいかなる隙間もない場合にマトリックス110を有利にし、これらの極めて狭い空間内でのマトリックス110の操作性を可能にする。
【0046】
金属部分27は、例えば、一体型又は単一型であり得、任意の別個のタブ18a’、18b’、ウイング32a’、32b’、及び中間部分33a’、33b’を欠いている。代替的に、1つの金属部分のみがマトリックスの片側に存在する必要があり、例えば、1つの金属のタブ/ウイング及び1つの光透過性材料のタブ/ウイング、並びに1つ以上のタブ18a’、18b’又はウイング32a’、32b’のみが金属のものであり得る。
【0047】
次いで更に
図4~
図9に注目すると、マトリックス10は、歯50にベニアを作成するための操作で示される。最初に、
図4に示すように、マトリックス10は、歯50(歯肉に延在する歯根50aを有する)を覆って配置される。この配置は、歯肉縁14で面状部分12が、歯肉線52の直下、例えば、およそ1mm下で歯50と接触して同じ高さにあるようにし、それによって、空洞54は口の他の部分から閉鎖され、ベニア66(
図9)の仕上げラインが歯肉線52の直下にある。加えて、タブ18a、18bは、歯50と各隣接歯との間の空間を占有し、摩擦係合を生じさせて、マトリックス10を歯50でその適切な位置に保持する。切り欠き部分30a、30bは、マトリックス10が歯肉の周りで枢動して、歯50を覆って適切に配置されることを可能なようにする。これは、タブ18a、18bを押すか又は引くことによって、歯50に対するベニア66(
図9)の厚さの調整を可能にし、歯50に対してマトリックス10の面状部分12を移動させる(面状部分12と歯50との間の空洞54の寸法を調整する)。空洞54は、面状部分12と歯50との間のベニア66(
図9)のために所望の厚さのものである。
【0048】
切り欠き部分30a、30bは、例えば、面状部分12の一部とともに、歯50と各隣接する歯との間で隣接面によって歯50に接触して、マトリックス10(及びマトリックス10が歯50を包むようなその空洞54)を閉じるように設計される。例えば、切り欠き部分30a、30bはまた、歯肉線52の下、歯肉線52のおよそ1mm下に着座するように設計される(切り欠き部分30a、30bが歯50に接触する場合)。
【0049】
図5では、タブ18a、18bが内向きに曲げられているか、又は折り畳まれているとき、歯50はマトリックス10によって覆われており、ウイング32a、32bは、
図6A及び6Bに示すように、それぞれのタブ18a、18bに少なくともほぼ垂直になるように、折り目線33a、33bに沿って折り畳まれており、それによって把持部分56を形成する。この把持部分56は、指先又は器具によって専門家によって把持され、マトリックス10を操作して歯肉の周りで枢動させ、結果として、空洞54がベニアのための所望の厚さに調整される。任意選択で、重複するウイング32a、32bは、接着剤を用いて、若しくは機械的締結具、又はそれらの組み合わせによって一緒に固定され得る。そのとき、マトリックス10は、歯50を包み込む。
【0050】
マトリックス10の面状部分12と歯50との間の空洞54設定(調整された)に基づいた、ベニア設定の厚さでは、UV光硬化性複合材(材料)58などの流動性及び修復性材料が、
図7に示されるように、咀嚼面キャップ17における孔28を介して空洞54にシリンジ60によって注入される。シリンジ60による注入は、(シリンジプランジャーの)圧力下にあり、空洞54内の注入された複合材材料内の気泡及び気隙を排除する手段で、閉じた空間である空洞54を満たす。全ての気泡及び気隙が除去される結果として、酸素は歯科用複合材に到達することができず、非酸素阻害層が空洞54に形成され、複合材の全ての層が以下に詳述されるように、十分に硬化されることを可能にする。空洞54は閉じているため(すなわち、マトリックス10が歯50を包むように、マトリックス10の端が歯50に接触するとき)、血液、唾液、体液、他の汚染物質などからの複合材材料の汚染はない。注入は、複合材材料が孔28を通してマトリックス10から出るときに完了する。
【0051】
例示的な複合材には、3M、St.Paul,Minn.のESPE 6020A3 Filtek(登録商標)Z250万能修復リフィル(Universal Restorative Refill)、及びKerrのHerculite(商標)ウルトラフローナノハイブリッド流動性複合材(Ultra Flow Nanohybrid Flowable Composite)が含まれる。使用され得る例示的なシリンジは、1~4gシリンジである。
【0052】
図8では、シリンジ60が今度は取り外され、空洞54が複合材58で満たされている。UV光源62からUV光を放射する装置61からのUV光による複合材58の硬化は、マトリックス10に面状部分12で適用される。UV光装置は、歯50での局所的硬化のために移動され得、移動は、両方向矢印64によって表される。面状部分12の半透明性又は透明性は、UV光が複合材材料58を硬化させて、歯50上にベニア66(
図9)を形成することを可能にし、ベニアは硬化によって歯50と一体化される。
【0053】
複合材58が硬化すると、マトリックス10が除去される。ベニア66は、
図9に示すように、このとき歯50上にある。任意選択で、歯50と一体化している、このとき形成されたベニア66は、専門家によって再表面処理又は他の方法で処理され得る。
【0054】
図10A及び10Bは、上で詳述されたマトリックス10のものと同様である代替マトリックス10’を示し、要素は、咀嚼キャップ17がそのプラットフォーム17xに2つの孔128を有することを除いて、同様に番号付されている。上で詳述されたマトリックス10の孔28と同様に、これらの2つの孔128を介して、流動性材料が、例えば、
図10Bに示されるように、マトリックス10’が歯を覆っているときに、ベニアを作成するために、面状部分と歯との間の空洞54に注入され得る。
【0055】
図11は、上で詳述されたマトリックス10のものと同様である代替マトリックス10’’を示し、要素は、咀嚼キャップ17が、そのプラットフォーム17xで、例えば、形状が半円形である二重孔228a、228bから形成された孔228であることを除いて、同様に番号付けされている。これらの2つの孔228a、228bを介して、流動性材料が、マトリックス10’’が歯を覆っているとき、ベニアを作成するために、面状部分12と歯との間の空洞54に注入され得る。
【0056】
図12は、歯を覆う代替マトリックス10’’’を示す。マトリックス10’’’は、上で詳述されたマトリックス10のものと同様であり、要素は、咀嚼キャップ17が、そのプラットフォーム17xで、スロット328が孔28を置き換えていることを除いて、同様に番号付されている。このスロット328を介して、流動性材料が、マトリックス10’’’が歯を覆っているとき、ベニアを作成するために、面状部分12と歯との間の空洞54に注入され得る。
【0057】
図13A、13B、及び15~17Cは、器具によって係合される、外向きに延在するカラムを含む別の歯科用マトリックス400を示し、歯科医が器具を移動させ、マトリックスを手術歯の所定の位置に操作してベニアのための空洞を作成することを可能にする。空洞は、紫外線光などの光によって硬化される硬化性材料で充填され、硬化が完了すると、マトリックスが歯から除去され、そしてそこにベニアが形成されている。
【0058】
図13Aは、マトリックス400を示す。マトリックス400は、操作的に類似しており、マトリックス10、10’、10’’、及び10’’のもの(複数可)と同じか又は類似した材料(光透過性材料を含む)で作られており、上記で説明されたものと同様の構造が400番台で対応して番号付けされている。マトリックス(本体)400は、歯499(マトリックス400を使用して開示された手順が歯499で実行されるため、以下では「手術歯」とも呼ばれる)の外側(頬側)面の形状に適合するように、輪郭化した形状のものである面状部分472を含み(
図15)、面状部分472の1つの(外側)端472x(歯肉に面する端472yの両側)に咀嚼面キャップ474を備え、歯の咀嚼面を覆う。フランジ476a、476bは、面状部分472の両側の側面縁472a、472bから延在する。
【0059】
マトリックス400は、面状部分472の頬側面423から延在し、例えば、約1.5mmである寸法YYによって表される、ストークとしても知られるカラム480を備える。チャネル又はボア482は、カラム480の外側端480aに孔又は開口484(外側開口又は端開口)、及びカラム480の内側端480bに孔又は開口486を有する、カラム480を通って延在する。開口486は、マトリックス400の空洞488(マトリックス400の面状部分472の凹部によって形成された空洞488)と連通し、そこに開いており、材料をチャネル482に、及び開口486を通って空洞488に導入して、上記に詳述されたように、マトリックス400と歯499との間の空洞54を充填することを可能にし(
図17C)、以下で更に詳述されるように、マトリックス400による歯でのベニアの形成、形状化、及び硬化の手順を行う。
【0060】
図13Bに示されるように、チャネル482は、例えば、寸法XX1によって表される外側開口484から寸法XX2によって表される内側開口486まで内側に向けてテーパ状である(チャネル482の壁482a)。例えば、寸法XX1(例えば、およそ1.0mmである)は、寸法XX2(例えば、約0.8mmである)よりも大きく、チャネル482の内側に向けたテーパ状を達成する。このテーパ状は、
図15に示され、以下に詳述されるように、カラム480のチャネル482における管60xの摩擦係合によって、器具60の管60xを受け入れることを可能にする。チャネル482は、典型的には、開口484、486と同じ断面形状のもの、例えば、丸みを帯びた、円形、又は楕円形のものであり、管60xを受け入れ、摩擦係合するために、管60xの断面形状に対応する形状のものである。しかしながら、チャネル482及び開口484、486は、チャネル482及び外側開口484が好適な手段で管60xを受け入れ、係合することができるという条件で、他の好適な形状であり得る。
図15に示され、以下に考察されるように、カラム480は、管60xを支持し、係合するのに十分な長さで延在する。
【0061】
カラム480は、面状部分472の頬側面423に配置される。例えば、カラム480は、マトリックス400における体積中心又は流量中心であり得る、頬側面423の位置に、又はほぼそこに配置される(位置する)。この体積中心配置(位置)では、材料は、マトリックス400と歯499との間の空洞54を均等に充填する(及び中に均等に流れて、拡散する)ことができる(
図17C)。例えば、空洞54を均等に充填することによって、空洞54は、気泡、空気ポケットなどを含まないか、又は実質的に含まないように、密に充填され、歯499に材料の最大接触面積を提供する。得られたベニア(例えば、上述のようにUV光によって硬化されている材料で)は、歯に強く結合し(例えば、マトリックス400と歯との間の空洞に注入される材料の最大量による、ベニア材料における最大接触面積)、最大強度のものである。代替的に、カラム480は、長さ/距離測定値などに基づいて、例えば、中心、又は実質的に中心を含む、面状部分472での他の位置に配置され得る。
【0062】
面状部分472及びカラム480の材料は、カラム480を介した空洞54への材料の充填によって引き起こされるマトリックス400におけるいかなる圧力変化にも関係なく、内向きに曲がるか、又はよじれるなどせずに、それらの元(最初)の形状を保持するように、剛性を有するものである。
【0063】
面状部分472の側面縁472a、472b(頬側面423に対して後方に)から延在するフランジ476a、476bは、例えば、上で詳述されたマトリックス10、10’、10’’、10’’’のそれぞれのタブ18a、18b/ウイング32a、32bとは異なって形状化されるが、例えば、以下に詳述される
図16に示されるように、同様の構造、タブ503(タブ18a、18bと同様)、及びウイング505(ウイング32a、32bと同様)を備える。タブ503は、例えば、操作性のために、上記の詳述されたものに従って、マトリックス10、10’、10’’、10’’’のそれらの30a、30b(又はその部分及び/又はセグメント)と同様の切り欠き部分を含み得る。フランジ476a、476bは、例えば、上記に詳述されたマトリックス10、10’、10’’、10’’’のタブ18a、18b/ウイング32a、32bよりも短かいか、同じ長さか、又は長くあり得、タブ503だけが、マトリックス400を所定の位置に保持するために、隣接する歯の間の隣接面空間に入る必要がある。マトリックス400を所定の位置に保持し、それ以外を行う力で、マトリックス400が移動され得るとき、マトリックス400がベニアを形状化及び寸法決定するように操作されるようになる。歯499でのマトリックス400の操作するための移動(操作を含む)は、カラム480からの移動の一方若しくは両方、又はフランジ476a、476bを移動することによるものであり得る。隣接する歯の間のフランジ476a、476bによって生じる摩擦力はまた、以下の
図15に詳述されるように、材料による空洞54の充填中、及び硬化プロセス(例えば、上記で詳細されるようなUV光硬化)中にマトリックス400を所定の位置に保持する。マトリックス10、10’、10’’、10’’’のタブ18a、18b/ウイング32a、32bと同様に、タブ476a、476bのうちの1つ又は両方が、例えば、1つ又は両方のウイング505で、操作されるか、引かれるか、包まれるか、又は他の方法で調整されて、空洞54の体積をそこへの注入時に材料のために調整し得る(マトリックス400部分を使用して壁を形成することによって歯の一部を形成することを含み、壁は、歯における欠け、又は歯の欠損部分を補償する)。
【0064】
図14A及び14Bは、マトリックス400’を示す。マトリックス400’は、マトリックス400と同様であり、本明細書に記載され、それぞれの図面(例えば、
図13A、13B、及び15~17C)に示されるマトリックス400のものと同様に番号付けされた同様の要素を有する。マトリックス400’は、マトリックス400’の両側のフランジ476a’、476b’が、マトリックス110について上記されたものと同様に、薄い金属部分で作られている点でマトリックス400とは異なる。
【0065】
金属部分フランジ476a’、476b’は、クランプによって面状部分472(頬側又は隣接縁472a、472bで)に係合している。金属部分フランジ476a’、476b’は、接着剤、機械的締結具、熱接合などによって更に固定され得る。面状部分472は、例えば、上で詳述されるように、マトリックス400(並びにマトリックス10)と同様に、半透明及び/又は透明材料である光透過性材料のまま作製される。
【0066】
図15は、マトリックス400の円筒480のチャネル482内に延在する管又は管部分60xを有する器具、例えば、シリンジ60(上に詳細されるように、ベニアが形成される硬化性材料で満たされる)を示す。器具60は、上に詳細されるように、硬化性ベニア形成材料が器具60から管60xを通して注入されて、マトリックス400の空洞54を満たすようにする。管60xは、マトリックス400を管60xで固定位置に維持するのに十分な摩擦力で、チャネル482と(例えば、ぴったりと又は摩擦的にぴったりと)摩擦係合する。摩擦力は、マトリックス400が(例えば、歯科医又は臨床医などの術者の片手によって)歯499と接触するまで移動されたときに固定位置に留まり、その後、歯499で操作されてベニアの形状を確立するような、十分な強度のものである。
【0067】
管60xは、上で詳述されるように、器具60からマトリックス400と歯との間の空洞54への材料注入中にマトリックスと係合したままであり、空洞54内の材料の硬化中にマトリックス400と係合しているか、又はそこから分離されて、ベニアを形成し得る。フランジ476a、476bによる、例えば、歯499とその隣接する歯との間の隣接面空間内のタブ503による、両側の摩擦力は、材料の形状化及び/又は硬化中にベニアの形状及び寸法を保持するように、歯499上にマトリックス400を維持する(例えば、ぴったりとした手段で)のに十分な力を提供する。
【0068】
手順が完了すると、マトリックス400は、歯499から除去される。マトリックス400は、取り付けられた器具60とともに、又はそれ自体で(器具60は、既にマトリックス400から分離されている)除去され得る。
【0069】
図16は、各フランジ476a、476b内に分離、くぼみ、引き込み、又は他の境界502、504を有する、フランジ476a、476b、頬側縁472a、472bとタブ503との間である分離502、及びタブ503とウイング505との間である分離504を含む、マトリックス400を示す。分離502、504は、例えば、弱化部分であり、タブ503(及びウイング505)を分離502の周りで曲げて移動させ、タブ503に対してウイング505を分離504の周りで曲げて移動させることを可能にし得る。フランジ476a、476bは、例えば、面状部分472であるように対称的である(
図13A及び16に示されるその長手方向軸LAに沿って(図の紙に垂直方向))。フランジ476a、476bは薄く、寸法PP、例えば、およそ0.05mmのタブ503、及び寸法QQ、例えば、およそ0.15mmのウイング505を有する(また、例えば、面状部分472は、およそ0.2mmの厚さのものである)。フランジ476a、476bの薄さの結果として、マトリックス400は、
図17A~17Cに示される例示的なプロセスに従って、充填及び硬化のための位置に操作可能である。タブ503及びウイング505は、例えば、両方とも実質的に均一な厚さで均一なものである。
【0070】
例えば、それらの薄さによって、タブ503は、手術歯499とその隣接歯の各々との間の隣接面で配置可能である。隣接面は、手術歯499にマトリックス400を係合させて維持するための接触として機能し、それによって、マトリックス400がベニアの形状を定義するために歯で操作されている間、マトリックス400が係合されて保持されたままであり、例えば、典型的には、マトリックス400が今しがた形成されたベニアを有する歯499から除去されるまで、硬化プロセス中に歯でこの位置に留まる。
【0071】
図17Aでは、マトリックス400は、上で詳述されるように、ベニアを形成するための硬化性材料で満たされた、器具60、例えば、シリンジの管60xで、実質的に動かないか、又は動かずに所定の位置に配置され、保持される。マトリックス400を有する器具60は、歯499に向かって、矢印550の方向に移動される。器具の操作及び移動は、典型的には、歯科医、臨床医、又は術者の片手によって行われる。
【0072】
図17Bでは、器具60によって保持されるマトリックス400は、歯499の下にある。次に、マトリックス400は、矢印552に従って、上向きに、垂直に、又は実質的に垂直に移動され得る。垂直移動は、フランジ476a、476b、例えば、タブ503が、それらの隣接面で、歯(手術歯499と各隣接歯)の間でマトリックス400と係合することを可能にする。
【0073】
図17Cは、マトリックス400がベニアのための空洞(空間)54を形成するために操作され得るように、マトリックス400が手術歯499で所定の位置にあることを示す。定義された(さもなければ設定されたか又は確立された)空洞54で、ベニアのための硬化性材料が、マトリックス400と歯(すなわち、手術歯499)との間の空洞54に注入される。空洞54が硬化性材料で満たされると、材料は、例えば、上に詳細され、
図8及び9に示されるように、UV光などの光によって硬化される。マトリックス400の充填が完了していると、又は硬化が完了すると、器具60は、矢印554の方向に器具60を移動させることによって、マトリックス400から分離され得る。マトリックス400は、硬化が完了すると、又は歯科医の裁量で歯から除去され得る。
【0074】
図18A~18Dは、例えば、歯のためのクラウンなどの歯科補綴物を形成する際に使用するためのマトリックス600を示す。
図18A、18B、及び18Cは、引き込み位置にあるマトリックス600を示し、例えば、そのとき歯及び歯肉の調製された領域の上に配置され、次いで、材料で充填されて硬化され、拡張位置が
図18Dに示され、クラウン655が完了し、マトリックス600が歯(そこに新たに形成されたクラウン655を有する)から除去される。
【0075】
マトリックス600は、上記で説明され、それぞれの図面(例えば、
図13A、13B、及び15~17C)に示されているマトリックス400と同様の材料のものである。マトリックス600は、本体602を含み、マトリックス本体又は本体部分としても知られる。本体602は、壁603を含み、これは、例えば、連続的であり、説明の目的のために、マトリックス600/本体602の第1の(閉)端602aに第1の部分603a、及び本体602の第2の(開)端602bに第2の部分603bを含み、マトリックス600/本体602の内部空洞602xへの開口602b’を含む。開口602b’は、マトリックス600/本体602の首領域602cにある。
【0076】
孔604は、例えば、本体602の第1の端又は閉端602aにあり、壁603を通って内部空洞602xまで延在する。この孔604を通して、クラウン(
図19A~19G)を作製するための硬化性材料が、以下で更に詳述されるプロセスに従って、マトリックス600の本体602の内部空洞602xに充填される。孔604は、典型的には、本体602の第1の端又は閉端の縁602axにあるが、それはまた本体602のいずれかの場所であり得る。
【0077】
マトリックス600は、引き込み位置(
図18A~18C)にあるとき、第1の端602aから第2の端602bまで内側にテーパ状であり、第2の端602bは、首領域602cにおける開口602b’(内部空洞602x内)で終端する。マトリックス600は、調製された歯を覆って嵌合するサイズのものである開口602b’(第2の端又は開端602bの縁で)が調製された歯を覆って配置され、
図19A~19Eに示され、以下に説明されるように、首領域602cが歯肉と接触又はそれに近接して配置される。開口602b’は、マトリックス600/本体602の内部空洞602xと連通している。開口602b’は、マトリックス600が引き込み位置及び拡張位置の両方にあるときに、調製された歯/クラウン歯を覆って嵌合するのに十分なサイズのままである。
【0078】
マトリックス600は、クラウンが作製される特定の歯のタイプのクラウンに対応するように形状化される。示されるマトリックス600は、切歯のためのクラウンについてであり、このマトリックス600は、他の歯のタイプのためのクラウン及び他の補綴物のために作製され得る。マトリックス600は、壁603が、隣接する歯(歯のうちの1つは手術歯である)との摩擦力を生み出すために、歯の間の隣接する空間に嵌合するような厚さ(例えば、約0.05~0.07mm)のものであるようにする。摩擦力は、材料の注入及び/又は硬化を含む以下に詳述されるように、クラウン655を作製するプロセス中にマトリックス600(例えば、クラウン)の形状及び寸法を保持するように、マトリックス600を歯に維持するのに十分な力(例えば、ぴったりする手段で)を提供する(上で詳述されるように、ベニア用のマトリックス400と同様に)。
【0079】
マトリックス600は、3つの折り目607、608a、608bで形成されたタブ606、中間折り目607の両側にある横折り目608a、608bを有する主又は中間折り目607を含む。フランジ609a、609bは、中間折り目607と各横折り目608a、608bとの間にある。例えば、主又は中間折り目607は、タブ606が対称的であるとき、中央の折り目(フランジ609a、609bに対して)である。タブ606は、例えば、三角形であり、
図18Dに示されるように、新しいクラウンを有する完了した歯から容易に取り外すことができるように、本体602(及び空洞開口620b’)が、新たに形成されたクラウンのものと少なくとも等しく、典型的にはそれよりも大きい直径まで外向きに拡張することを可能にする。三角形形状タブ606が示されているが、長方形、丸みを帯びたなどの他の形状、又はそれらの組み合わせも好適である。
【0080】
タブ606は、材料で充填中及び硬化中に、臨床医によって閉じた位置又は引き込み位置に保持され得(フランジ609a、609bを中央折り目607の周りで一緒に挟む)、次いで、手動で拡張位置に移動するか、又は臨床医によって挟み込みが簡単に解放されるかのいずれかであり、タブ606は、それを弾力性にしてあることによって、ばね様挙動を示し、それ自体の力の下で拡張位置に移動する(展開する)。代替的に、タブ606は、その引き込み位置で、フランジ609a、609bによって、最初に接着されている(例えば、歯科用若しくは外科用接着剤、溶接、又は熱接着取り付け)か、又は他の方法で互いに固定されていることによって、一緒に保持することができる。拡張が望まれるとき、臨床医は、フランジ609a、609bを分離することによって、接着剤の結合を簡単に破壊し、互いに形成し、手動で本体602を拡張させるか、又は本体602が十分に弾力性のある材料のものであるため、フランジ609a、609bが分離されると、
図18Dに示されるように、それらはそれら自体の力で拡張位置まで拡張する。また、拡張は、タブ606の材料の弾力性(例えば、ばね様挙動)と合わせた手動力の組み合わせによるものであり得る。
【0081】
図19A~19Gは、歯にクラウンを形成するためにマトリックス600を使用する例示的なプロセスを示す。
図19A~19Eは、引き込み位置におけるマトリックス600を示し、タブ606は引き込み位置にある。
図19Fは、拡張位置におけるマトリックスを示し、タブ606は拡張位置にあり、第2の端又は閉端602bで壁603bの第2の部分(破線603b’に示される、初期の内向きの位置から外向きに拡張している)は、拡張位置(第2の部分603bでの実線)に、第1の壁部分603aに少なくともほぼ等しい直径まで拡張した(矢印618の方向に)。
図19Gは、歯に完成したクラウン655を示し、マトリックスは除去されている。
【0082】
図19A及び19Bでは、歯、ここでは調製された歯650(歯肉652及び口腔組織内のその根部651とともに示される)は、クラウンのために調製されており、マトリックス600は、歯肉652で、所定の歯科領域、例えば、調製された歯650を覆って配置されている。
【0083】
図19Cでは、首領域602cを分析して、歯根651の縁651aに適切に着座するように、その直径を増加させるために切断する必要があるか決定する。
図19Cに示されるように、首領域602cは、歯肉652内の根651の縁651aに着座するように切断(破線で)されている。
【0084】
図19Dでは、マトリックス600は、調製された歯650を覆って適切に配置され、硬化性材料653で充填される。流動性及び硬化性複合材材料653で充填されたシリンジ671(上に詳細されるシリンジ、例えば、シリンジ60と同様)に取り付けられたシリンジ針670は、マトリックス600の内部空洞602xに挿入され、歯肉652に向かって移動される。次いで、硬化性材料653の充填は、材料(矢印672によって示される)が針670から外向きに流れるときに始まるが、シリンジ針670は徐々に外に向かって移動され、開口604から除去される。
【0085】
図19Eでは、内部空洞602x内のマトリックス本体602は、充填が完了するまで、孔604を通して、硬化性複合材材料653で充填される(例えば、マトリックス10、10’、10’’、10’’’、400について上で詳述されたように、シリンジを通して)。マトリックス本体602が満たされると、任意選択で、シリンジは除去され得る。内部空洞602x内でマトリックス本体602を充填する硬化性材料653は、例えば、上記のマトリックス10、10’、10’’、10’’’、400について示されるように、UV光硬化によって、同じ又は同様の方法で硬化され得る。
【0086】
図19Fでは、このとき硬化して調製されたクラウン655が、マトリックス600内にある。任意選択で、シリンジ671(及び針670)が依然としてマトリックス600に取り付けられている場合、例えば、それはここで除去することができる。そしてタブ606は、展開するように臨床医又は器具によって一緒に保持されていることから解放され、器具を使用して臨床医によって、又は自動的展開と器具を用いた展開の補助との組み合わせによって手動で展開される。タブ606の展開は、マトリックスの第2の端602bの直径を拡張する。拡張は、第2の端602bが、第2の壁部分603b及び首領域602cにおいて、その初期の引き込み(収縮)位置(破線603b’に示される、前の閉位置における壁部分603b)から外向きに、拡張位置(実線に示される壁部分603b)に移動するものであり、第2の端602b及び開口602b’の直径は、例えば、第1の端602aの第1の部分603aの直径と少なくともほぼ等しい(例えば、縁部602axに沿って)。
【0087】
次いで、マトリックス600は、新たに形成されたクラウン655を妨害することなく、歯660から除去される。除去は、例えば、臨床医又は器具使用のいずれかによるものであり、シリンジが依然としてマトリックス600に取り付けられている場合、シリンジは、歯650からマトリックスを除去する際に使用され得る(カラム604を介してマトリックス600を歯から引き離すことによって)。置き代わったクラウン655を有する歯が、
図19Gに示される。
【0088】
図20A~
図20Eは、歯インプラント673とともに使用する際のマトリックス600を示す。マトリックス600の要素は、上記のものに従う。
【0089】
図20Aに示されるように、マトリックス600は、所定の歯科領域、例えば、インプラントのアバットメント674を覆い(キャップ675によって覆われる)、マトリックス600は、歯肉652に着座する。アバットメント674は、インプラントステム676に受け入れられ、歯肉652の下の骨677に固定されている。インプラントステム676にはネジ山があり、例えば、骨677にねじ込まれる。キャップ675は、例えば、摩擦ボール678がアバットメント674とキャップ675との間でキャップ675内のスロット675aに着座するとき、アバットメント674を覆って摩擦嵌合する。アンダーカット675bは、キャップ675表面から延在する。この摩擦による取り付けは、例えば、
図20Eに示されるように、クラウン679がキャップ675に配置されているときを含め、キャップ675をアバットメント674から分離することを可能にする。キャップ675は、例えば、プラスチック又はポリマー材料である。
【0090】
加えて、キャップ675は、対応するネジ山面及びネジ又はネジ様取り付けを介して、アバットメント674に取り付け得る。これにより、クラウン679をアバットメント674にネジで取り付け、そこから外すことができる。
【0091】
図20Bでは、クラウンを形成するための硬化性材料653が、孔604を通じて、シリンジ671によってマトリックス600の内部空洞602xに注入される。硬化性材料653は、インプラント673との堅固な固着のために、キャップ675及びアンダーカット675bに接触する。
【0092】
図20Cでは、例えば、上で詳述されるUV光62による材料653の硬化が、
図20Dに示すように完了する。次いで、マトリックス600は、
図20Eに示されるように、クラウン679から除去されて、インプラント673を覆うクラウン679を残すように、上に詳細されるように(すなわち、
図18D及び19F)、その引き込み位置から拡張される。
【0093】
図21A及び21Bは、上で詳述されるマトリックス600と同様の代替的なマトリックス600’を示し、同じ又は類似の構成要素は、上記のマトリックス600と同じ要素番号及び同じ説明を有する(並びに
図18A~18D及び19A~19Gに示される)。マトリックス600’は、それが、マトリックス600について上で詳述されるようにクラウンを作製するために、硬化性材料が通ってマトリックス600’の内部空洞602xに提供される孔604から延在して、それに連通しているカラム又はストーク680を備えているという点で、マトリックス600とは異なる。カラム又はストーク680は、マトリックス400について上で詳述されたカラム480と同様であり、そのため、マトリックス600’の操作及び配置のために、及び上で詳述されたマトリックス600のものと同様の材料硬化プロセスの実施のために、シリンジ針を受け入れ得る。カラム680及びその孔604(内部空洞602xに対して開いている)は、マトリックス600’/本体602の第1の端又は閉端602aで示されているが、例えば、縁602axに沿って、カラム680及び孔604が、マトリックス600’/本体602におけるいずれかの箇所に配置され得る。
【0094】
ベニア及び/又はクラウンを歯に作製するためのマトリックス及び方法が、ヒトの歯について示されているが、本開示のマトリックス及びその使用方法は、動物の歯にも好適である。
【実施例】
【0095】
実施例1
歯科用マトリックスであって、歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、面状部分と、面状部分の第1の側面からの対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、フランジの各々が、手術歯と、手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するための厚さの部分を含み、それによって、マトリックスが、手術歯の少なくとも一部の周りの位置でマトリックスを維持するのに十分な力で歯の間で係合される、フランジと、を備える、歯科用マトリックス。
【0096】
実施例2
各フランジが、タブ及びウイングを含み、タブが、面状部分の対向して配置された縁と連通し、ウイングが、タブから延在し、タブが、手術歯及び隣接歯の隣接面に沿って手術歯と係合するための厚さの部分を含む、実施例1に記載の歯科用マトリックス。
【0097】
実施例3
各フランジが、タブとウイングとの間にセパレータを含み、フランジがセパレータの周りで曲がることを可能にする、実施例1又は実施例2に記載の歯科用マトリックス。
【0098】
実施例4
フランジの各々について、タブが、ウイングの厚さよりも薄い厚さのものである、実施例1~実施例3のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0099】
実施例5
面状部分の第2の側面で面状部分から延在するカラムを追加的に備え、カラムが、内部を通って延在するチャネルを含み、チャネルが面状部分及びフランジによって形成された領域と連通している、実施例1~実施例4のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0100】
実施例6
カラムが、円筒管を含み、円筒管が、摩擦係合で器具を受け入れるように構成された内壁を含み、マトリックスが器具によって操作されることを可能にする、実施例1~実施例5のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0101】
実施例7
カラムが、対向して配置された第1及び第2の開口(孔)を含む円筒管を含み、第1の開口が端(例えば、外部)開口を含み、第2の(例えば、内部)開口が面状部分及びフランジによって形成された領域と連通しており、チャネルが第1の開口と第2の開口との間に延在しており、円筒管がテーパ状内壁を含み、テーパが、第1の開口から第2の開口に延在及び増加する、実施例1~実施例6のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0102】
実施例8
テーパ状内壁が、器具を係合で受け入れるように寸法化され、マトリックスが器具によって操作されることを可能にする、実施例1~実施例7のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0103】
実施例9
歯科用マトリックスであって、歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、面状部分と、面状部分の第1の側面からの対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、フランジの各々が、手術歯と、手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するためのものであり、それによって、マトリックスが、手術歯の少なくとも一部分の周りの位置にマトリックスを維持するのに十分な力で歯の間で係合される、フランジと、面状部分の第2の側面で面状部分から延在するカラムであって、カラムが内部を通って延在するチャネルを含み、チャネルが面状部分及びフランジによって形成された領域と連通している、カラムと、を備える、歯科用マトリックス。
【0104】
実施例10
フランジの各々が、手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って手術歯と係合するための厚さの部分を含む、実施例9に記載の歯科用マトリックス。
【0105】
実施例11
各フランジが、タブ及びウイングを含み、タブが、面状部分の対向して配置された縁と連通し、ウイングが、タブから延在し、タブが、手術歯及び隣接歯の隣接面に沿って手術歯と係合するための厚さの部分を含み、フランジの各々について、タブが、ウイングの厚さよりも薄い厚さのものである、実施例9又は実施例10に記載の歯科用マトリックス。
【0106】
実施例12
各フランジが、タブとウイングとの間にセパレータを含み、フランジがセパレータの周りで曲がることを可能にする、実施例9~実施例11のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0107】
実施例13
カラムが、円筒管を含み、円筒管が、係合で器具を受け入れるように構成された内壁を含み、マトリックスが器具によって操作されることを可能にする、実施例9~実施例12のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0108】
実施例14
カラムが、対向して配置された第1及び第2の開口を含む円筒管を含み、第1の開口が端開口を含み、第2の開口が面状部分及びフランジによって形成された領域と連通しており、チャネルが第1の開口と第2の開口との間に延在しており、円筒管がテーパ状内壁を含み、テーパが、第1の開口から第2の開口に延在及び増加する、実施例9~実施例13のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0109】
実施例15
テーパ状内壁が、器具を係合で受け入れるように寸法化され、マトリックスが器具によって操作されることを可能にする、実施例9~実施例13のいずれかに記載の歯科用マトリックス。
【0110】
実施例16
歯の上にベニアを作成するための方法。方法は、歯科用マトリックスを提供することを含む。歯科用マトリックスは、歯の形状に対応するように構成された面状部分であって、対向して配置された縁、並びに第1及び第2の側面を含む、面状部分と、面状部分の第1の側面からの対向して配置された縁の各々から延在するフランジであって、フランジの各々が、手術歯と、手術歯の隣接面及び隣接歯の隣接面に沿って係合するための厚さのタブ部分を含み、それによって、マトリックスが、手術歯の少なくとも一部の周りの位置にマトリックスを維持するのに十分な力で歯の間で係合される、フランジと、面状部分の第2の側面で面状部分から延在するカラムであって、カラムが内部を通って延在するチャネルを含み、チャネルが面状部分及びフランジによって形成された領域と連通している、カラムと、を含む。次いで、方法は、器具、例えば、シリンジ本体から延在する針を有するシリンジを、カラムと係合させることであって(例えば、針がカラムに入ってカラムと摩擦係合してシリンジでマトリックスを保持する)、それによってマトリックスが器具によって移動及び操作される、係合させることと、マトリックスを器具で移動させることであって、それによってマトリックスが、歯の周りにあり、マトリックスと歯との間に空洞を作成するように器具によって操作可能であり、空洞が作成されるベニアに対応する、移動させることと、を含む。
【0111】
実施例17
マトリックスを器具で移動させることが、マトリックスを垂直に移動させて歯及び各隣接する歯と係合させることを含み、それによって、フランジのタブ部分が、手術歯の隣接面と隣接歯の隣接面との間に配置され、それによって、マトリックスが、手術歯の少なくとも一部の周りの位置にマトリックスを維持するのに十分な力で歯の間に係合される、実施例16に記載の方法。
【0112】
実施例18
マトリックスと歯との間の空洞内にベニアを形成するための硬化性材料を器具によって提供することを追加的に含む、実施例16又は実施例17に記載の方法。
【0113】
実施例19
ベニアを形成するために空洞内の硬化性材料を光で硬化させることを追加的に含む、実施例16~実施例18のいずれかに記載の方法。
【0114】
実施例20
光が、紫外線光を含む、実施例16~実施例19のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施例21
歯科用マトリックスであって、第2の端から対向して配置された第1の端を含む、歯の形状に対応するように構成された本体を含む、歯科用マトリックス。本体は、第1の端から第2の端まで延在する内部空洞であって、第1の端が閉じられており、第2の端が、所定の歯科領域を覆って嵌合するための開口を含む、内部空洞と、引き込み位置と拡張位置との間で可動な外向きに延在する拡張可能なタブを含む第2の端に少なくとも近接した拡張可能部分であって、タブが引き込み位置から拡張位置に移動するとき、開口に少なくとも近接した第2の端の直径が増加する、拡張可能部分と、内部空洞に対して開いている本体中の孔と、を含む。
【0116】
実施例22
タブが、中間折り目によって分離された、対向して配置されたフランジを含む、実施例21に記載の歯科用マトリックス。
【0117】
実施例23
中間折り目が、対向して配置されたフランジに対して中心である、実施例21又は実施例22に記載の歯科用マトリックス。
【0118】
実施例24
本体が、引き込み位置から拡張位置に移動するときに、タブが、中間折り目の周りで開く、実施例21~実施例23のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0119】
実施例25
第1の端が、第1の直径のものであり、第2の端が、タブが引き込み位置にあるときの第2の直径から、タブが拡張位置に移動したときのほぼ第1の直径の直径まで拡張する、実施例21~実施例24のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0120】
実施例26
孔が、本体の第1の端にある、実施例21~実施例25のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0121】
実施例27
孔と連通している本体から延在する円筒を追加的に含む、実施例21~実施例26のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0122】
実施例28
円筒が、それを通って延在するボアを含み、ボアが、硬化性材料で本体の内部空洞を充填するためのシリンジの一部を受け入れるように構成される、実施例21~実施例27のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0123】
実施例29
歯の形状が、歯のクラウンの形状を含む、実施例21~実施例28のいずれか1つに記載の歯科用マトリックス。
【0124】
実施例30
補綴歯科構造、例えば、歯のクラウンを作製するための方法であって、マトリックスであって、第2の端から対向して配置された第1の端を含む、歯の形状に対応するように構成された本体を含む、マトリックスを提供することを含む。本体は、第1の端から第2の端まで延在する内部空洞であって、第1の端が閉じられており、第2の端が、所定の歯科領域を覆って嵌合するための開口を含む、内部空洞と、引き込み位置と拡張位置との間で可動な外向きに延在する拡張可能なタブを含む第2の端に少なくとも近接した拡張可能部分であって、タブが引き込み位置から拡張位置に移動するとき、開口に少なくとも近接した第2の端の直径が増加する、拡張可能部分と、内部空洞に対して開いている本体中の孔と、を含む。マトリックスが、口内の所定の歯科領域を覆って配置され、硬化性材料が、マトリックスの内部空洞内に配置され、硬化性材料が、例えば、紫外線(UV)光硬化によって硬化され、本体が、タブを引き込み位置から拡張位置まで移動させることによって移動される。
【0125】
実施例31
本体が、第2の端の直径が、第1の端の直径とほぼ等しくなるように移動される、実施例30に記載の方法。
【0126】
実施例32
マトリックスを補綴歯科構造から除去することを追加的に含む、実施例30又は実施例31に記載の方法。
【0127】
実施例33
補綴歯科構造が、クラウンを含む、実施例30~実施例32のいずれかに記載の方法。
【0128】
実施例34
所定の歯科領域が、調製した歯、調製した歯部分、歯肉、又は歯科用歯インプラントのうちの少なくとも1つを含む、実施例30~実施例33のいずれかに記載の方法。
【0129】
実施例35
歯科治療のためのマトリックスであって、歯を覆うための面状部材であって、歯の頬側面に沿って歯を覆うように構成された面状部分、及び歯の咀嚼面の少なくとも一部を覆うためのキャップを含み、歯の舌側面に向かって延在し、面状部材が、歯の形状に対応する形状で、歯肉に少なくとも近接して配置するための第1の端から、歯の咀嚼面を越えて配置するための第2の端まで延在するように構成され、それによって空洞が面状部材と歯との間に作成され、少なくとも1つの孔が面状部材内にある、面状部材と、面状部材の両側に配置された金属材料の第1及び第2のタブ部材であって、第1及び第2のタブ部材の各々が、面状部材から外向きに延在し、マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間で嵌合するための厚さのものであり、第1及び第2のタブ部材が、歯肉に少なくとも近接して配置するための第1の縁と、第1の縁からの対向して配置された第2の縁と、第1の縁に沿った切り欠き部分を含み、切り欠き部分が、マトリックスを歯肉に少なくとも近接して着座させるように構成されて、マトリックスが、歯肉の周りを枢動することによって移動して空洞の寸法を調整することを可能にする、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分と、第1及び第2のタブ部材の各々が把持部分を形成するように、内向きに曲がるように構成され、移動したときに空洞の寸法を調整する、第1及び第2のタブ部材の各々とを含む、第1及び第2のタブ部材と、を備える、マトリックス。
【0130】
実施例36
金属材料が、鋼を含む、実施例35に記載のマトリックス。
【0131】
実施例37.
キャップが、少なくとも1つの孔を含む、実施例35又は実施例36に記載のマトリックス。
【0132】
実施例38
タブ部材の各々が、一体型部材である、実施例35~実施例37のいずれかに記載のマトリックス。
【0133】
実施例39
面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、第1のタブ部材及び第2のタブ部材が各々、それぞれ対向して配置された側面縁から延在する、実施例35~実施例38のいずれかに記載のマトリックス。
【0134】
実施例40
面状部分が、面状部分の第1の端で対向して配置された側面縁の間に歯肉縁を含み、歯肉縁が、歯肉のわずかに下で歯に接触するように構成される、実施例35~実施例39のいずれかに記載のマトリックス。
【0135】
実施例41
歯肉縁が、歯肉のおよそ1mm下で歯に接触するように構成される、実施例35~実施例240のいずれかに記載のマトリックス。
【0136】
実施例42
少なくとも面状部分が、光透過性材料を含む、実施例35~実施例41のいずれかに記載のマトリックス。
【0137】
実施例43
光透過性材料が、紫外線(UV)光の透過を可能にする、実施例35~実施例42のいずれかに記載のマトリックス。
【0138】
実施例44
一体型部材が、実質的に均一な厚さのものである、実施例35~実施例43のいずれかに記載のマトリックス。
【0139】
実施例45
面状部分が、外側頬側面及び内側歯面を含み、内側歯面が、歯の質感を複製するように質感加工されている、実施例35~実施例44に記載のマトリックス。
【0140】
実施例46
少なくとも1つの孔が、複数の孔を含む、実施例35~実施例45のいずれかに記載のマトリックス。
【0141】
実施例47
切り欠き部分が、歯肉線のおよそ1mm下で歯に接触するように構成される、実施例35~実施例46のいずれかに記載のマトリックス。
【0142】
実施例48
切り欠き部分が、丸みを帯びた部位を含む、実施例35~実施例47のいずれかに記載のマトリックス。
【0143】
実施例49
第1及び第2のタブ部材の各々が、切り欠き部分を含むタブ、タブの少なくとも一部分と、タブから延在するウイングと、を含み、タブが、折り目線でウイングに接し、各タブ部材のウイングが、把持部分を形成するために折り目線の周りで屈曲可能である、実施例35~実施例48のいずれかに記載のマトリックス。
【0144】
実施例50
面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、第1及び第2のタブ部材のタブが、それぞれの対向して配置された側面縁から延在する、実施例35~実施例49のいずれかに記載のマトリックス。
【0145】
実施例51
キャップが、面状部分の対向して配置された側面の間に延在する、実施例35~実施例50のいずれかに記載のマトリックス。
【0146】
実施例52
歯科治療のためのマトリックスであって、歯を覆うための面状部材であって、面状部材の少なくとも一部分が、面状部材と歯との間に空洞が作成されるように歯を覆うために構成され、空洞を形成する面状部材の部分が少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、面状部材の両側に配置される金属材料の第1及び第2のタブ部材であって、第1及び第2のタブ部材の各々が、外向きに延在し、マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間の摩擦嵌合のための厚さのものであり、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分が、マトリックスを歯肉で着座させるように構成された切り欠き部分を含み、マトリックスを歯肉の周りで移動させてタブ部材の第1の端で空洞の寸法を調整し、第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによってタブ部材の各第2の端が把持部を形成し、移動したときに、空洞の寸法を調整する、第1及び第2のタブ部材と、を備える、マトリックス。
【0147】
実施例53
面状部材が、頬側面に沿って歯を覆うように構成された面状部分と、面状部分から延在し、歯の少なくとも咀嚼面を覆うように構成された咀嚼面キャップとを含み、咀嚼面キャップが、少なくとも1つの孔を含む、実施例52に記載のマトリックス。
【0148】
実施例54
金属材料が、鋼を含む、実施例52又は実施例53に記載のマトリックス。
【0149】
実施例55
タブ部材の各々が、一体型部材である、実施例52~実施例54のいずれかに記載のマトリックス。
【0150】
実施例56
面状部分が、対向して配置された側面縁を含み、第1のタブ部材及び第2のタブ部材が各々、それぞれ対向して配置された側面縁から延在する、実施例52~実施例55のいずれかに記載のマトリックス。
【0151】
実施例57
第1及び第2のタブ部材の各々が、切り欠き部分を含むタブ、タブの少なくとも一部分と、タブから延在するウイングと、を含み、タブが、折り目線でウイングに接し、各タブ部材のウイングが、把持部分を形成するために折り目線の周りで屈曲可能である、実施例52~実施例56のいずれかに記載のマトリックス。
【0152】
実施例58
歯を補修するための方法であって、1)歯を覆うための面状部材であって、光透過性材料の面状部材の少なくとも一部分、及び面状材料の少なくとも一部分が面状部材と歯との間に空洞が作成されるように歯を覆うために構成され、空洞を形成する面状部材の一部分が、少なくとも1つの孔を含む、面状部材と、面状部材の両側に配置された第1及び第2のタブ部材であって、金属材料の第1及び第2のタブ部材の各々が、外向きに延在し、マトリックスを所定の位置に維持するために、覆われた歯とそれぞれの隣接する歯の各々との間の摩擦嵌合のための厚さのものであり、第1及び第2のタブ部材の各々の少なくとも一部分が、マトリックスを歯肉で着座させるように構成された切り欠き部分を含み、マトリックスを歯肉の周りで移動させてタブ部材の第1の端で空洞の寸法を調整し、第1及び第2のタブ部材の各々が内向きに曲がるように構成され、それによってタブ部材の各第2の端が把持部分を形成し、移動したときに、空洞の寸法を調整する、第1及び第2のタブ部材と、を備える、歯科治療のためのマトリックスを提供することと、2)歯を覆ってマトリックスを配置して、歯と面状部材との間に空洞を形成することと、3)第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて、歯を囲むことと、4)空洞内に硬化性材料を配置することと、5)硬化性材料を硬化させて、歯の上にベニアを形成することと、を含む、方法。
【0153】
実施例59
面状部材が、少なくとも1つの孔を有する端の両側の端に歯肉縁を含み、方法が、歯肉縁を、歯肉線の下で歯と接触するように配置することを追加的に含む、実施例58に記載の方法。
【0154】
実施例60
マトリックスを歯から除去することを追加的に含む、実施例58又は実施例59に記載の方法。
【0155】
実施例61
硬化が、硬化性材料に光を適用することによって行われる、実施例58~実施例60のいずれかに記載の方法。
【0156】
実施例62
硬化性材料が、紫外線(UV)光硬化性材料であり、UV硬化性材料に適用される光が、UV光を含む、実施例58~実施例61のいずれかに記載の方法。
【0157】
実施例63
第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げることが、タブ部材の各々の第2の端を外向きに曲げて、マトリックスのための把持部分を形成することと、マトリックスを把持部分で移動させて、空洞の寸法を調整し、ベニアの厚さを制御することと、を含む、実施例58~実施例62のいずれかに記載の方法。
【0158】
実施例64
マトリックスを把持部分で移動させて空洞の寸法を調整することが、マトリックスを歯の両側で歯肉の周りで枢動させて、空洞の寸法を調整することを含む、実施例58~実施例63に記載の方法。
【0159】
実施例65
硬化性材料を空洞内に配置することが、硬化性材料を空洞内に注入することを含む、実施例58~実施例64のいずれかに記載の方法。
【0160】
実施例66
硬化性材料を空洞内に注入することが、圧力下で注入して、硬化性材料内の気泡及び気隙を排除することを含む、実施例58~実施例65のいずれかに記載の方法。
【0161】
実施例67
第1及び第2のタブ部材を内向きに曲げて歯を取り囲むことが、歯の欠損部分を構築するために、上歯のための口蓋シェル又は下歯のための舌シェルのうちの少なくとも1つを作成する、実施例58~実施例66のいずれかに記載の方法。
【0162】
実施例68
金属材料が、鋼を含む、実施例58~実施例67のいずれかに記載の方法。
【0163】
実施例69
タブ部材の各々が、一体型部材である、実施例58~実施例68のいずれかに記載の方法。
【0164】
上記の説明は、例としてのみ機能することを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で他の多くの実施形態が可能であることが理解されるであろう。
【国際調査報告】