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特表2025-501096最適化された細孔形状を備えたソノトロード
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  • 特表-最適化された細孔形状を備えたソノトロード 図1
  • 特表-最適化された細孔形状を備えたソノトロード 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】最適化された細孔形状を備えたソノトロード
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/10 20060101AFI20250109BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04R17/10 330B
B06B1/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537487
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2023050262
(87)【国際公開番号】W WO2023135068
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022100500.3
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523372123
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテクニーク ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HERRMANN ULTRASCHALLTECHNIK GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】シュバイツァー、マティアス
【テーマコード(参考)】
5D019
5D107
【Fターム(参考)】
5D019AA11
5D019BB15
5D107AA01
5D107BB20
5D107CC01
5D107FF07
(57)【要約】
本発明は、縦方向(9)の縦方向超音波振動で共振振動させることができる超音波振動素子(1)に関する。その超音波振動ユニットは、縦方向(9)において、一方が後面、他方が前面として境界が定められており、前面は、超音波振動を別の超音波振動素子(1)に伝達するために別の超音波振動素子(1)と接触することが意図されている、又は、被加工材と接触して、超音波振動を被加工材に伝達することが意図されたシール面(2)として設計されている、若しくは、シール面(2)に隣接している。後面と前面を互いに接続する周方向の側面(3)が設けられている。超音波振動素子(1)は側面(3)に細孔4を有しており、細孔4は、細孔縦方向(15)に細孔長さl、細孔横方向に細孔幅b、細孔深さ方向に細孔深さtを有する。細孔縦方向(15)、細孔横方向、細孔深さ方向は互いに直交して配置され、細孔深さtは、細孔(4)が超音波素子を完全に貫通するように選択され、細孔長さlは細孔幅bよりも大きい。本発明によると、最大許容機械的応力値の要件を満たし、高い振動振幅を有し、ソノトロードの縦方向軸に対して傾斜した細孔を必要としない、代替の細孔幾何学的形状及び配置を提供するために、細孔(4)が、断面視において、細孔縦方向(15)に沿う細孔縦方向軸(9)に対して軸対称でないことが提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向(9)の縦方向超音波振動で共振振動させることができる超音波振動素子(1)であって、その超音波振動ユニットは、前記縦方向(9)において、一方が後面、他方が前面として境界が定められており、前記前面は、超音波振動を別の超音波振動素子(1)に伝達するために別の超音波振動素子(1)と接触することが意図されている、又は、被加工材と接触して、超音波振動を被加工材に伝達することが意図されたシール面(2)として設計されている、若しくは、シール面(2)に隣接しており、
前記後面と前記前面を互いに接続する周方向の側面(3)が設けられ、
前記超音波振動素子(1)は前記側面(3)に細孔(4)を有しており、
前記細孔(4)は、細孔縦方向(15)に細孔長さl、細孔横方向に細孔幅b、細孔深さ方向に細孔深さtを有し、
前記細孔縦方向(15)、前記細孔横方向、前記細孔深さ方向は互いに直交して配置され、
前記細孔深さtは、前記細孔(4)が前記超音波素子を完全に貫通するように選択され、
前記細孔長さlは前記細孔幅bよりも大きい、前記前記超音波振動素子(1)において、
前記細孔(4)は、縦断面視において、前記細孔縦方向(15)に沿う細孔縦方向軸(9)に対して軸対称でないことを特徴とする、超音波振動素子(1)。
【請求項2】
前記細孔縦方向(15)と前記縦方向(9)とは、25°未満、好ましくは5°未満、好ましくは0°の角度を成すことを特徴とする、請求項1に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項3】
前記縦方向(9)に沿う軸に対して軸対称に配置された2つの細孔(4)が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項4】
4つの細孔(4)が設けられ、前記4つの細孔(4)のうちの2つが前記縦方向(9)に沿った軸に対して軸対称に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項5】
超音波振動素子は第1、第2及び第3部分(6、7、8)を有し、前記第1部分(6)の厚さは前記第3部分(8)の厚さよりも小さく、前記第2部分(7)は、その厚さが変化しており、前記第1部分(6)を前記第3部分(8)に接続することを特徴とする、請求項3又は4に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項6】
前記第1部分(6)は、被加工材と接触することが意図されたシール面(2)を有することを特徴とする、請求項5に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項7】
前記第3部分(8)は、少なくとも1つの圧電素子5が配置される凹部を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項8】
前記細孔(4)は、2つ縦壁(11、12)と2つの横壁(10)により境界が定められ、前記2つ縦壁(11、12)のうちの第1の縦壁は、前記2つの縦方向軸(9)のうちの第2縦方向軸よりも、少なくとも部分的に前記細孔縦方向軸(9)から遠く離れており、
好ましくは、前記第1の縦壁(11)は、前記第2の縦壁(12)よりも、前記縦方向(9)に延伸する前記超音波振動素子(1)の中心軸から離れて配置されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項9】
前記2つの横壁(10)は凹状に湾曲しており、前記2つの横壁(10)は、好ましくは、同じ曲率半径で湾曲していることを特徴とする、請求項8に記載の超音波振動素子(1)。
【請求項10】
前記第1の縦壁(11)は少なくとも部分的に凹状に湾曲していることを特徴とする、請求項8又は9に記載の超音波振動素子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向の縦方向超音波振動で共振振動させることができる超音波振動素子であって、その超音波振動ユニットは、縦方向において、一方が後面、他方が前面として境界が定められており、前面は、別の超音波振動素子に超音波振動を伝達するために別の超音波振動素子と接触することが意図されている、又は、別の超音波振動素子に超音波振動を伝達するために別の超音波振動素子と接触することが意図されたシール面として設計されている、若しくは、シール面に隣接している、超音波振動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動素子は、通常、後面と前面を接続する周方向の側面を有する。そのような超音波振動素子は、ソノトロードとして設計されており、欧州特許公開第2774746号から知られている。この超音波振動素子においては、前面はシール面として設計されている。超音波振動素子を振幅変換器又はコンバータとして設計することもできる。
【0003】
原則として、ソノトロードは半波長共振器であり、つまり、縦方向に沿うソノトロードの全長は、ソノトロードの共振振動の波長の半分に相当する。
【0004】
この超音波振動素子は、側面に一連の細孔を有する。細孔は、細孔縦方向に細孔長l、細孔横方向に細孔幅b、細孔深さ方向に細孔深さtを有する。細孔縦方向、細孔横方向、及び細孔深さ方向は互いに直交して配置される。細孔深さtは、細孔が超音波素子を完全に貫通するように選択され、細孔長lは、細孔幅bよりも大きい。
【0005】
細孔は、とりわけ、縦方向の超音波振動による励起により材料内に発生する応力を低減し、ソノトロードをより高い振動振幅で励起可能とするために使用される。細孔の寸法決めと位置決めにより、不要な振動モードの振動振幅と位置も影響を受ける可能性がある。
【0006】
細孔の寸法決めの際には、材料内の最大許容機械的応力値も考慮されることが多い。しかしながら、細孔の導入により、通常、追加的な不要な振動モードが起こってしまい、その励起周波数は、動作のための主要周波数の励起周波数から可能な限り遠ざけられなければならない。
【0007】
従来技術では、細孔を縦方向に平行に配置することに伴う欠点が詳細に説明されている。そのため、欧州特許公開第2774746号では、細孔は、ソノトロードの縦方向軸に対して角度を付けて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許公開第2774746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上記の従来技術に基づき、本発明の課題は、最大許容機械的応力値の要件を満たし、高い振動振幅を有し、ソノトロードの縦方向軸に対して傾斜した細孔を必要としない、代替の細孔の幾何学的形状及び配置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、断面視において、細孔縦方向に沿った細孔縦方向軸に対して軸対称でない細孔により解決される。
【発明の効果】
【0011】
既知の細孔とは対照的に、本発明に係る細孔は、細孔縦方向に対して非対称に設計されている。
すると、従来技術のように角度を付けて細孔を配置する必要がない。その代わりに、細孔縦方向と縦方向は、25°未満、好ましくは5°未満、好ましくは0°の角度を成してもよい。
このように、細孔の非軸対称設計により望ましい振動結果が達成される。
【0012】
好ましい実施形態では、縦方向に沿った軸に対して軸対称に配置された2つの細孔が設けられる。
特に好ましい実施形態では、4つの細孔が設けられ、その4つの細孔の内の2つが縦方向に沿った軸に対して軸対称に配置される。
複数の細孔を設けることで超音波振動素子の機械的応力が改善される。不要な二次共振の位置も改善される。
【0013】
好ましい実施形態では、超音波振動素子は第1、第2及び第3部分を有し、第1部分の厚さは第3部分の厚さよりも小さく、第2部分は、その厚さが変化し、第1部分を第3部分に接続する。これら3つ部分は、縦方向において前後して配置される。
異なる厚さにより、超音波振動の振幅の調整や拡大が可能となる。従って、第1部分は好ましくは前面を備えるように配置される一方、第3部分は後面を備える。
【0014】
好ましい実施形態では、第1部分は、被加工材と接触することが意図されたシール面を有する。
これにより、超音波振動素子が励起した際に、比較的大きな発振振幅の超音波振動がシール面に生じることが確保される。
【0015】
他の好ましい実施形態では、第3部分は、少なくとも1つの圧電素子が配置される凹部を有する。したがって、超音波振動素子は非常にコンパクトであり、振動が、圧電素子により超音波振動素子内で生成され、超音波振動素子を介して被加工材に伝達される。このように、この超音波振動素子は、ソノトロード、振幅変換器、及びコンバータを単一の要素に一体化する。
【0016】
更に好ましい実施形態では、細孔は2つ縦壁と2つの横壁によって境界が定められ、2つ縦壁のうちの第1の縦壁は、2つの縦壁のうちの第2の縦壁よりも、少なくとも部分的に細孔縦方向軸から遠くに離れている。基本的に、このような細孔は、2つの平行な縦壁を有する細孔を先ず形成し、それから、第1の縦壁に凹部を設けることにより形成可能である。
好ましくは、第1の縦壁は、第2の縦壁よりも、超音波振動素子の縦方向中心軸から遠くに離れて配置される。
その結果、超音波振動素子内の機械的応力を更に減少することができる。更に好ましい実施形態では、2つの横壁は凹状に湾曲しており、2つの横壁は好ましくは同じ曲率半径で湾曲している。
更に、第1の縦壁が少なくとも部分的に凹状となるように設計されると有利である。
【0017】
更なる利点、特徴、可能な用途が、以下の好ましい実施形態の記載及び添付の図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は以下の通り。
図1 本発明の超音波振動素子の斜視図である。
図2 図1の音波振動素子の部分断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る超音波振動素子1の一実施形態の斜視図を示す。被加工材と接触することが意図されたシール面2として設計された前面2が示されている。後面(図示なし)は、前面2の反対側に配置されている。前面2と後面は周方向の側面3を介して、互いに接続されている。
【0020】
超音波振動素子は、その縦軸9の軸方向に3つ部位、すなわち、シール面2の幅にほぼ一致する厚さを有する第1部分6と、第1部分6よりも大幅に厚くなるように設計された第3部分8と、厚さが変化し、第1部分6と第3部分8の間に配置された第2部分とを備える。
【0021】
本実施形態では、超音波振動素子は、第3部分8に凹部を有し、この凹部に、超音波振動素子1を超音波振動させることができる複数の圧電素子5が配置される。本実施形態では、圧電素子5は、それを介してネジ18が係合する貫通開口を有する。ナット16により上側部品17が圧電素子5に押し付けられることにより、圧電素子5は上側部品17と超音波振動素子1との間に挟持される。
【0022】
材料内の機械的応力が過大となることを防止するため、及び、不要な二次共振の位置を最適化するために、材料を深さ方向に完全に貫通する4つの細孔4が設けられている。
本発明によると、細孔は特別な形状を有する。細孔は、2つの横壁10並びに第1の縦壁11と第2の縦壁12を有する。
【0023】
細孔は、細孔縦方向15に沿って延在する。図示の例では、細孔縦方向15は、超音波振動素子の縦方向9と0°の角度を成し、言い換えると、超音波振動素子の縦方向9に対して平行に延びている。
【0024】
細孔の2つの横壁10は湾曲している。細孔12の第2の縦壁も縦方向軸9に対して平行である。細孔4の縦壁11は、凹状の曲率を有する。
【0025】
本発明に係る細孔は、基本的に、先ず2つの平行な縦壁を形成し、次に第1の壁11に、対応する窪みを形成することにより形成することができる。後面のより近くに配置された2つの細孔4に示すように、複数の窪み13、14を1つの細孔に対して形成してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 超音波振動素子
2 シール面、前面
3 側面
4 細孔
5 圧電素子
6 第1部分
7 第2部分
8 第3部分
図1
図2
【国際調査報告】