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特表2025-501106産業設備における炭素捕捉最適化のためのデバイス、システム、設備及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】産業設備における炭素捕捉最適化のためのデバイス、システム、設備及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/75 20060101AFI20250109BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20250109BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B01D53/75
B01D53/62 ZAB
B01D53/96
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537880
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022053201
(87)【国際公開番号】W WO2023121972
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/556,332
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524233001
【氏名又は名称】ネクスト カーボン ソリューションズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NEXT CARBON SOLUTIONS,LLC
【住所又は居所原語表記】1000 Louisiana,Suite 3900 Houston,Texas 77002 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ハイケルベック,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデルウォルト,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】リヴァード,コナー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,アレックス
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA01
4D002BA13
4D002DA03
4D002DA07
4D002DA16
4D002DA31
4D002DA70
4D002EA01
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB20
4D002HA08
(57)【要約】
産業設備における炭素捕捉最適化のためのデバイス、システム及び方法が、本明細書に開示される。例示的な炭素捕捉プロセスは、二酸化炭素(CO2)吸収器の上流に配置された少なくとも1つのガス対空気熱交換器を使用して排煙流を冷却することを含む。別の例示的な炭素捕捉プロセスは、燃焼加熱器を使用して、かつ/又は少なくとも1つの廃熱回収ユニットを使用して、溶媒再生及びCO2ストリッピングのために熱媒体を加熱することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙流を処理するための方法であって、
溶媒再生器において、二酸化炭素吸収器から流れるリッチ溶媒を受け取る段階であって、前記排煙流が前記二酸化炭素吸収器を通って流れ、前記リッチ溶媒が前記二酸化炭素吸収器内の前記排煙流から捕捉された二酸化炭素を含む、段階と、
少なくとも燃焼加熱器を使用して熱媒体を加熱する段階と、
前記燃焼加熱器から前記溶媒再生器に前記加熱された熱媒体を搬送する段階と、
前記燃焼加熱器により、燃焼加熱器排煙を生成する段階と、
前記二酸化炭素吸収器の上流の位置において、前記燃焼加熱器排煙を前記排煙流内に搬送する段階と、
発電機排煙廃熱回収ユニットと流体連通する発電機によって発電機排煙を生成する段階であって、前記発電機が発電する、段階と、
前記発電機から前記発電機排煙廃熱回収ユニットに前記発電機排煙を搬送する段階と、
を含み、
前記発電機排煙廃熱回収ユニットを使用して前記熱媒体を加熱することが、前記発電機排煙から該発電機排煙廃熱回収ユニットによって回収された熱に基づく、
方法。
【請求項2】
前記発電機排煙廃熱回収ユニットから、前記発電機排煙を前記二酸化炭素吸収器の上流の前記排煙流内に搬送する段階、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
排煙流を処理するための方法であって、
溶媒再生器において、二酸化炭素吸収器から流れるリッチ溶媒を受け取る段階であって、前記排煙流が前記二酸化炭素吸収器を通って流れ、前記リッチ溶媒が前記二酸化炭素吸収器内の前記排煙流から捕捉された二酸化炭素を含む、段階と、
少なくとも燃焼加熱器を使用して熱媒体を加熱する段階と、
前記燃焼加熱器から前記溶媒再生器に前記加熱された熱媒体を搬送する段階と、
前記燃焼加熱器により、燃焼加熱器排煙を生成する段階と、
前記二酸化炭素吸収器の上流の位置において、前記燃焼加熱器排煙を前記排煙流内に搬送する段階と、
駆動装置を使用して二酸化炭素圧縮機を駆動する段階であって、該駆動装置が駆動装置排煙を生成する、段階と、
前記駆動装置から廃熱回収ユニットに前記駆動装置排煙を搬送する段階と、
を含み、
前記廃熱回収ユニットを使用して前記熱媒体を加熱することが、前記駆動装置排煙から該廃熱回収ユニットによって回収された熱に基づく、方法。
【請求項4】
前記圧縮機駆動装置廃熱回収ユニットから、前記駆動装置排煙を前記二酸化炭素吸収器の上流の前記排煙流内に搬送する段階、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動装置が内燃機関である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
排煙流を処理するためのシステムであって、
前記排煙流を受け取るように構成された二酸化炭素吸収器と、
該二酸化炭素吸収器に流体連通し、該二酸化炭素吸収器からリッチ溶媒を受け取るように構成される、溶媒再生器と、
該溶媒再生器に流体連通し、熱媒体を加熱し前記溶媒再生器に向けて搬送するように構成された燃焼加熱器であって、燃焼加熱器排煙を生成し、前記二酸化炭素吸収器の上流の位置において前記排煙流と組み合わせるために当該燃焼加熱器から前記燃焼加熱器排煙を搬送する、ようにさらに構成される、燃焼加熱器と、
を具備する、システム。
【請求項7】
前記熱媒体に流体連通し、該熱媒体をさらに加熱するように構成された廃熱回収ユニット、をさらに具備する、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月20日に出願された「DEVICES,SYSTEMS,FACILITIES AND PROCESSES FOR CARBON CAPTURE OPTIMIZATION IN INDUSTRIAL FACILITIES BACKGROUND」と題する米国特許出願第17/556,332号の優先権及び利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。本件出願に開示された技術は、産業設備における炭素捕捉最適化のためのデバイス、システム、設備及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼燃料を利用する産業設備は、温室効果ガスを発生させる可能性がある。温室効果ガスには、例えば、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六フッ化硫黄などの様々なガス状化合物が含まれ、それらは放射線を吸収し、大気中に熱を閉じ込め、かつ/又はさもなければ望ましくない環境温室効果の一因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
炭素捕捉プロセスは、温室効果ガスの排出を除去及び/又は低減するために使用することができる。産業設備における燃焼後炭素捕捉プロセスの従来の実装形態に関連付けられたいくつかの課題が存在する。1つの課題は、炭素捕捉プロセスを使用する産業設備の出力及び効率に悪影響を及ぼす可能性がある寄生電力負荷を伴う。別の課題は、炭素捕捉システムで従来使用されている追加の冷却水負荷及びそのような追加の冷却水の使用に関連する環境への影響を伴う。排煙からの二酸化炭素の効率的な吸収を可能にし、吸収媒体の劣化を低減するために、従来の炭素捕捉プロセスは、通常、蒸発冷却水システムを使用して二酸化炭素を多く含む排煙を冷却する。冷却水システムは、通常それらの冷却水ループを補充するために補給淡水の流れを必要とし、したがってユーティリティ及び淡水源に大きい需要をもたらすので、コストがかかる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、新規で改善された炭素捕捉システム、デバイス、設備及び方法を提供する。一例では、排煙流を処理するための方法は、二酸化炭素(CO2)吸収器の上流に配置され、それと流体連通する少なくとも1つのガス対空気熱交換器を使用して排煙流を冷却することを含む。方法はまた、排煙送風機により、ガス対空気熱交換器及びCO2吸収器を通る排煙流を移動させることを含む。方法はまた、冷却空気送風機により、ガス対空気熱交換器を通って空気を移動させて、排煙流を冷却することを含む。
【0005】
一例では、排煙流を処理するための方法は、溶媒再生器において、二酸化炭素(CO2)吸収器から流れるリッチ溶媒を受け取ることを含む。リッチ溶媒は、CO2吸収器内の排煙流から捕捉されたCO2を含む。方法はまた、少なくとも燃焼加熱器を使用して熱媒体を加熱することを含むことができ、ホスト設備では追加の熱を利用することができない。方法はまた、燃焼加熱器から溶媒再生器に加熱された熱媒体を搬送することを含む。方法はまた、燃焼加熱器によって燃焼加熱器排煙を生成することを含む。方法はまた、CO2吸収器の上流の位置で燃焼加熱器排煙を排煙流内に搬送することを含む。
【0006】
一例では、排煙流を処理するための方法は、二酸化炭素(CO2)吸収器の上流に配置され、それと流体連通するガス対空気熱交換器を含む。ガス対空気熱交換器は、排煙流を受け取り冷却する。ガス対空気熱交換器は、冷却された排煙流を、CO2吸収器に向かって、ガス対空気熱交換器を通し、かつそこから搬送する。システムはまた、ガス対空気熱交換器及びCO2吸収器を通る排煙流を移動させるための排煙送風機を含む。システムはまた、ガス対空気熱交換器を通して空気を移動させて、排煙流を冷却するための冷却空気送風機を含む。
【0007】
一例では、排煙流を処理するためのシステムは、排煙流を受け取るための二酸化炭素(CO2)吸収器を含む。システムはまた、CO2吸収器と流体連通する溶媒再生器を含む。溶媒再生器は、CO2吸収器からリッチ溶媒を受け取り、CO2吸収器にリーン溶媒を供給する。リーン溶媒は、リッチ溶媒よりもCO2の量が少ない。それらのシステムはまた、溶媒発生器と流体連通する燃焼加熱器を含むことができ、ホスト設備から追加の廃熱を利用することができない。燃焼加熱器は、熱媒体を加熱し溶媒再生器に向けて搬送する。燃焼加熱器は、燃焼加熱器排煙を生成し、CO2吸収器の上流の位置で排煙流と組み合わせるために燃焼加熱器から燃焼加熱器排煙を搬送する。
【0008】
開示されたデバイス、システム、設備及び方法のさらなる例、特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載された特徴及び利点は、すべてを含むものではなく、特に、図及び説明を考慮すると多くのさらなる特徴及び利点が当業者には明らかである。また、特定の実施形態は、本明細書に列挙された利点のすべてを必ずしも有するとは限らない。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさ及び説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
図は特定の例示的な実施形態を描写し、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解して、本開示は、添付の図を使用してさらなる特異性及び詳細を伴って記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施形態による、冷却装置及び加熱装置を含む例示的な炭素捕捉設備の概略図である。
【0010】
図2】例示的な実施形態による、炭素捕捉プロセスにおいて排煙流を冷却するためのガス対空気熱交換器を含む第1の例示的な冷却装置の概略図である。
【0011】
図3】例示的な実施形態による、炭素捕捉プロセスにおいて排煙流を冷却するための複数のガス対空気熱交換器を含む第2の例示的な冷却装置の概略図である。
【0012】
図4】例示的な実施形態による、廃熱回収ユニットを含む第1の例示的な加熱装置の概略図である。
【0013】
図5】例示的な実施形態による、複数の廃熱回収ユニットを含む第2の例示的な加熱装置の概略図である。
【0014】
図6】例示的な実施形態による、発電し、CO2圧縮機を駆動するための駆動装置を含む第3の例示的な加熱装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の文章は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載しているが、本発明の法的範囲は、本特許の最後に記載された特許請求の範囲の文言によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な実施形態を記載するものではなく、すべての可能な実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的である。当業者は、特許請求の範囲内に依然として含まれる多数の代替実施形態を実装することができる。「本明細書で使用される「」という用語は、...を意味するように本明細書で定義される」という文又は同様の文を使用して本明細書で用語が明示的に定義されない限り、その用語の意味をその明白な又は通常の意味を超えて限定する意図はない。本特許において任意の用語が単一の意味と一致する方法で言及される限り、それは明確にするためにのみ行われ、そのような請求項の用語がその単一の意味に限定されることは意図されない。最後に、請求項要素がいかなる構造も説明せずに「手段」という単語及び機能を列挙することによって定義されない限り、任意の請求項要素の範囲は、米国特許法112(f)の適用に基づいて解釈されることは意図されない。
【0016】
本開示は、燃焼後の排煙流の冷却に関連するコスト、並びに溶媒再生及びCO2ストリッピングプロセスのための熱媒体の加熱に関連するコストなどの、炭素捕捉プロセスに関連するユーティリティコストを最適化するために、個別に又は組み合わせて使用することができる新規のプロセス、装置及びシステムを提供する。
【0017】
ここで図を参照すると、図1は、炭素捕捉設備100の例示的な概略図を示す。設備100は、産業設備又は他の燃焼システムからであり得る燃焼後の排煙流10を受け取る。排煙流10は、流体接続又は導管102~108によって画定された流体経路に沿ってシステム100の1つ又は複数の構成要素を通って搬送される。図1の説明における矢印102~108の各々の方向は、それぞれの矢印の端部におけるシステム100の構成要素からの、又は構成要素への排煙流10の流路の下流方向を表す。
【0018】
例えば、導管102は、排煙流10を下流に冷却装置110まで搬送する。冷却装置110は、冷却装置から流出し、導管106を介して吸収器120に向かって流入する排煙流10を冷却するために、吸収器120の上流に配置される。次いで、排煙流10は、導管108で吸収器120から、吸収器120に流入する排煙流10よりも低いCO2濃度を有する排ガス流として流出する。一例では、導管108を介して吸収器120から出る排ガス流10は、大気中に放出される場合がある。バイパス導管104は、排煙流10(又はその一部)を導管102から、炭素捕捉設備100の他の構成要素から離れる(例えば、冷却装置110から離れるなどの)ように選択的に転送することを可能にし、したがって、炭素捕捉プロセスを選択的にバイパスするために含まれる場合があり、バイパス104はまた、ホスト設備が炭素捕捉ユニットの動作なしに動作することを可能にする(例えば、炭素捕捉設備はメンテナンスのために停止し、ホスト設備は依然としてバイパス104を通って出る排煙で動作することができる)。
【0019】
より一般的には、本明細書で特に指定されない限り、様々な構成要素から又は様々な構成要素に延在する本開示の図に描写された矢印(例えば、矢印102~108、112~118、122~128など)は、それぞれの矢印の端部で構成要素から又は構成要素に流体(例えば、排煙、空気、溶媒、水など)を搬送するように構成された流体接続又は導管(例えば、配管など)を表すことができる。さらに、それぞれの矢印の矢印方向は、それぞれの矢印によって表された導管内部を流れる流体の流れ方向(例えば、下流方向)を表す。
【0020】
吸収器120は、排煙流10からCO2を捕捉するために吸収器120の内部を流れる排煙流10にリーン吸収媒体が接触する接触器(例えば、ガス-液体接触器、ガス-ガス接触器など)又は任意の他のタイプのデバイスを含む場合がある。吸収媒体は、アンモニア、アミン系、炭酸塩系(例えば、炭酸カリウム)、イオン性流体及び/又は任意の他のタイプの溶媒であり得る。排煙流10と接触する前に、(導管112を介して)吸収器120に入る溶媒(例えば、「リーン媒体」)はCO2が少ない。排煙流10と接触した後に、(導管114を介して)吸収器120を出る溶媒(例えば、「リッチ媒体」)はCO2が多い。例では、(導管114を介して)吸収器120から出るリッチ溶媒は、(導管112を介して)吸収器120に入るリーン溶媒よりも大量のCO2(及び/又は大量の炭素)を含む場合がある。
【0021】
溶媒再生及びCO2ストリッピングユニット130は、吸収器120から(導管114を介して)リッチ溶媒を受け取り、吸収器120に(導管112を介して)リーン溶媒を供給するために、吸収器120と流体連通して配置される場合がある。その目的のために、再生及びCO2ストリッピングユニット130は、本明細書では溶媒再生器130、再生器130、CO2ストリッパ130及び/又はストリッパ130と互換的に呼ばれる場合がある。再生器/ストリッパ130は、リッチ溶媒からCO2(又は炭素)を取り除くことにより、リッチ溶媒をリーン溶媒に変換するように構成される場合がある。これを容易にするために、一例では、再生器130は、リッチ溶媒からCO2(又は炭素)を除去又は分離するために、熱媒体(例えば、蒸気又は油)を使用してリッチ溶媒を加熱することができる。
【0022】
システム100はまた、熱媒体を加熱し、導管116を介して再生器130に加熱された熱媒体を供給するように構成された加熱装置140を含む場合がある。例では、加熱装置140は、熱媒体を加熱し、したがって加熱システムの排煙を生成するように構成された1つ又は複数の燃焼ベースのデバイスを含む場合がある。一例では、加熱システムの排煙は、炭素捕捉システム100の前端部において(例えば、導管102内に)、又はCO2吸収器120の上流の任意の他の位置において排煙流10と組み合わせるために、(例えば、導管118を介して)加熱装置140から搬送される場合がある。
【0023】
再生器/ストリッパ130は、圧縮機150にCO2リッチ流を搬送するために、リッチ溶媒から抽出されたCO2を含むCO2リッチ流を導管122に出力することができる。圧縮機150は、隔離(例えば、地下若しくは水中貯蔵など)又は他の産業用途などの他のユーザ又は用途のために(導管122を介して再生器130から受け取られた)CO2リッチガス流を圧縮することができる。いくつかの例では、圧縮機150は多段圧縮機である。
【0024】
システム100はまた、圧縮機150に結合された駆動装置160を含む。駆動装置160は、(例えば、導管122から圧縮機150で受け取られた)CO2リッチ流を圧縮するために圧縮機150に機械的エネルギーを供給するように構成される場合がある。例では、駆動装置160は、燃料を燃焼させて圧縮機150を駆動するための機械的エネルギーを生成する内燃機関又は他のタイプの燃焼ベースの駆動装置であり得る。そのため、いくつかの例では、圧縮機駆動装置160は、(例えば、駆動装置160による燃料燃焼の副生成物などとして)駆動装置排煙を生成する場合がある。駆動装置排煙は、駆動装置160から(導管124を介して)加熱装置140に搬送される場合がある。例えば、加熱装置140は、駆動装置排煙から熱を抽出して、(導管116を介して)再生及びストリッピングユニット130に供給されるヘッド媒体を加熱するように構成された廃熱回収ユニット(図1には示されていない)を含む場合がある。さらに、一例では、駆動装置排煙は、最終的に(例えば、加熱装置140における熱回収後に)、炭素捕捉プロセスの前端部(例えば、冷却装置110の上流)に、又は排煙流10と組み合わせるためにCO2吸収器120の上流の任意の他の位置に(例えば、導管118を介して)転送される場合がある。
【0025】
システム100はまた、導管126を介して圧縮機150から圧縮CO2を受け取るために圧縮機150と流体連通するCO2脱水及び後処理ユニット170を含む場合がある。脱水及び後処理ユニット170は、圧縮CO2が圧縮CO2のエンドユーザに適した品質及び組成となるように、水及び/又は他の成分(例えば、汚染物質など)を除去するように構成される。図示された例では、後処理及び/又は脱水された圧縮CO2は、導管128を介して炭素捕捉システム100から搬送される。
【0026】
例では、圧縮機150並びに/又は脱水及び後処理ユニット170は、(例えば、導管128を介して、又は図1に示されていない別の導管を介して)システム100から炭素ユーザ又は隔離場所に圧縮CO2を送る。一例では、圧縮CO2は、少なくとも部分的に枯渇した炭化水素貯留層を含む地下地層、又は任意の他の隔離場所などのオフサイト隔離設備(図示せず)に送られる場合がある。一例では、隔離場所は海底(例えば、海抜3キロメートル以上の深さなど)の上にあり得る。一例では、隔離場所は海底の下にある。
【0027】
上述されたように、従来の炭素捕捉プロセスは、通常、冷却塔(例えば、「蒸発冷却水システム」)を具備する冷却水クエンチシステムを使用して排煙を冷却し、冷却塔は、冷却水の少なくとも一部の蒸発によって排煙を冷却する。そのような蒸発冷却水システムは、通常、蒸発した水を補充するために、環境源又は地域のユーティリティから水を消費し、したがって環境に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、いくつかの設備では、設備の位置及び/又は他の要因のために、蒸発冷却水システム用の冷却水を連続的に供給/補充することが実現可能でない場合がある。
【0028】
したがって、有利なことに、必ずしも追加の冷却水の使用を必要とせずに、かつ/又は必ずしも蒸発冷却水システムを使用せずに排煙流を冷却することを可能にする、図2及び図3に関連して以下に記載されるような例示的な冷却装置が本明細書に開示される。これを容易にするために、例示的な冷却装置は、CO2吸収器120の上流の排煙流10を冷却するように配置された1つ又は複数のガス対空気熱交換器を含む場合がある。
【0029】
図2は、例えばシステム100の冷却装置110を実装するために使用され得る例示的な冷却装置200の概略図である。
【0030】
図示された例では、冷却システム200は、吸収器120の上流に配置され、それと流体連通するガス対空気熱交換器210を含む。例では、ガス対空気熱交換器210は、熱交換器210を流れる冷却媒体として空気を使用するガス対ガス熱交換器であり得る。例えば、熱交換器210は、2つのガス流(すなわち、冷却空気及び排煙流)が熱交換器210内部で互いに混合されないように、(導管206において熱交換器210に入り、導管208において熱交換器から出る)空気及び(導管202において熱交換器に入り、導管204において熱交換器から出る)排煙流のための別々の流路を画定することができる。一例では、排煙流10は、熱交換器210の(導管202に接続された)第1のガス入口を通って熱交換器210に流入することができ、(導管204に接続された)第1のガス出口を通って熱交換器から流出することができる。熱交換器210の内部では、排煙流10からの熱は、(導管206に接続された)第2のガス入口を通って熱交換器210に流入し、(導管208に接続された)第2のガス出口を通って熱交換器210から流出する冷却空気(例えば、周囲空気)又は他の冷却媒体に伝達される場合がある。
【0031】
システム200はまた、ガス対空気熱交換器210を流れる空気を移動させるための少なくとも1つの冷却空気送風機と、ガス対空気熱交換器210及びCO2吸収器120を流れる排煙流を移動させるための少なくとも1つの排煙送風機とを含む場合がある。一般に、送風機は、ガス(例えば、排煙又は空気)を、1つ若しくは複数の構成要素を通して、1つ若しくは複数の構成要素に向かって、及び/又は、1つ若しくは複数の構成要素から離れるように放出又は移動させるように、かつ/或いは、より一般的に、システム200などのシステムによって画定された流体経路に沿ってガスを移動させるように構造化されたデバイス(例えば、ファンなど)である。
【0032】
図2は、熱交換器210と流体連通する2つの空気送風機212A~Bを描写するが、いくつかの例では、システム200は、代替として、空気送風機212A~Bのうちの1つのみを含む場合がある。例えば、システム200は、代替として、熱交換器210と流体連通する位置212A(上流)又は212B(下流)のうちの一方に配置された単一の冷却空気送風機を使用して実装される場合がある。位置212A(上流)及び212B(下流)の各々は、以下でより詳細に記載されるように、異なる利点を提供することができる。
【0033】
一例では、システム200は、ガス対空気熱交換器210に向かって空気(例えば、周囲空気)を吹き付けるためにガス対空気熱交換器210の上流に配置された冷却空気送風機212Aを含む場合がある。この上流構成では、空気送風機212Aは、有利なことに、空気送風機212Aを流れる空気の温度が比較的低いために(すなわち、熱交換器210内部で加熱される前に)、向上した効率で動作することができる。空気送風機212Aの上流構成はまた、空気送風機がより高温の空気流を吹き付ける構成(例えば、下流)と比較して低いメンテナンスコストに関連付けられる場合がある。一方、上流空気送風機212Aは、熱交換器210に入る空気を圧縮(したがって、加熱)する可能性があり、それにより、熱交換器210に流入する空気が比較的低温である構成と比較して、排煙流10から空気への熱伝達に関する熱交換器210の効率が潜在的に低下する。
【0034】
一例では、システム200は、ガス対空気熱交換器210から(すなわち、空気が導管208を介して熱交換器210から出た後に)空気を吹き飛ばすために、ガス対空気熱交換器210の下流に配置された冷却空気送風機212Bを含む場合がある。そのような下流構成では、送風機212Bは、有利なことに、(導管206を介して)交換器210に流入する空気を押し出す代わりに、(導管208を介して)交換器210から出る空気を引っ張ることにより、熱交換器210の冷却効率を改善することができる。詳細には、空気送風機212Bの下流位置は、空気が(導管208を介して)熱交換器210を出るまで下流空気送風機212Bによって圧縮(したがって、加熱)されないので、比較的低温の空気が交換器210に入る結果となり得る。一方、空気送風機212Bの下流位置は、送風機212Bが熱交換器210を出た後に送風機212Bを流れる比較的温かい空気に起因して(より冷たい空気を吹き付けることに関連する電力要件/メンテナンスコストと比較して)増加した電力要件及び/又はメンテナンスコストに関連付けられる場合がある。
【0035】
したがって、いくつかの例では、冷却システム200を実装する炭素捕捉プロセス(例えば、システム100)は、冷却効率要件、寄生負荷要件、メンテナンスコスト要件、排煙流10の温度範囲、排煙流10の流量及び/又は冷却装置200を使用する産業設備若しくは炭素捕捉プロセスに固有の任意の他のパラメータ若しくは許容範囲などのシステムパラメータに応じて、冷却空気送風機を配置するための適切な位置212A(上流)又は212B(下流)を選択することによって最適化することができる。
【0036】
いくつかの例では、熱交換器210は、空気の代わりに、又は空気に加えて、冷却媒体として異なるタイプのガスを使用することができる。一例では、吸収器120(又はその一部)から出る排ガス流は、場合によっては、周囲空気に加えて、又はその代わりに、熱交換器210内部の比較的高温のCO2排煙流を冷却するために使用することができる。より一般的には、いくつかの例では、システム200は、有利なことに、排煙流10を冷却するための冷却媒体としてガス(例えば、冷却空気)を使用することを可能にすることができる。例えば、水蒸発に依存し、外部の水源(例えば、湖、川、地域のユーティリティなど)を使用して蒸発水を補充する蒸発冷却水システムとは異なり、システム200は、周囲空気及び/又はシステム200に容易に利用可能な任意の別の冷却ガス媒体を使用して排煙流を冷却することを可能にすることができる。
【0037】
システム200はまた、熱交換器210及び吸収器120を通る排煙流を移動させるための少なくとも1つの排煙送風機214A~Cを含む。図2は、熱交換器210と流体連通する3つの排煙送風機214A~Cを描写するが、システム200は、代替として、より少ないか又はより多い排煙送風機を含む場合がある。いくつかの例では、システム200は、1つ又は複数の他の排煙送風機なしに、位置214A~Cのうちの1つに配置された排煙送風機を使用して実装される。一例では、位置214A~Cのうちの1つは、システム200の様々な用途に応じて、熱交換器210に結合された排煙送風機の位置として選択される場合がある。以下でより詳細に記載されるように、位置214A~Cの各々は、システム200の様々な異なる用途に適する場合がある異なる利点を有することができる。
【0038】
一例では、システム200は、熱交換器210に向かって排煙流10を吹き付けるために、熱交換器210の上流に配置された排煙送風機214Aを含む場合がある。位置214Aにある排煙送風機は、有利なことに、排煙流10が熱交換器210に入る前に、(送風機214Aによる圧縮に起因する熱の形態で)排煙流10にエネルギーを加えることができる。例えば、上流送風機214Aによって加えられたエネルギー(又はその一部)は、熱交換器210によって潜在的に除去又は低減される可能性がある。しかしながら、位置214Aに配置された排煙送風機は、比較的高い温度を有する排煙流10を受け取ることができ、したがって、比較的低温の排煙を吹き付けた場合よりも多くの動作するための電力を必要とする可能性がある。さらに、送風機214Aは、送風機が比較的低温の排煙を吹き付ける構成と比較して、高温に耐えることができる比較的高価な材料を使用して構築される必要があり、かつ/又はより頻繁なメンテナンス作業を必要とする場合がある。
【0039】
一例では、システム200は、熱交換器210から(熱交換器210によって冷却された後に)排煙流10を吹き飛ばすために、ガス対空気熱交換器210の下流(及び吸収器120の上流)に配置された排煙送風機214Bを含む場合がある。位置214Bにある排煙送風機は、有利なことに、熱交換器210によって冷却された後に排煙流10と接触することができる。位置214Bにある排煙流の比較的低い温度に起因して、排煙送風機214Bは、位置214Aにある排煙送風機と比較して、比較的低い電力要件、材料コスト及び/又はメンテナンスコストに関連付けられる場合がある。一方、排煙送風機を位置214Bに配置すると、熱交換器210によって冷却された後の排煙流10にエネルギー(すなわち、排煙送風機214Bによる圧縮に起因する熱)が加えられる結果になり得、それによって吸収器120に入る排煙流が暖められ、吸収器120内の溶媒の炭素捕捉効率が潜在的に低下する。例えば、溶媒は、より低い温度でより効率的にCO2を捕捉することができる。
【0040】
一例では、システム200は、吸収器120から排ガス流を吹き飛ばすために、吸収器120の下流に配置された排煙送風機214Cを含む場合がある。上述されたように、排ガス流は、(CO2が吸収器120内の溶媒によって吸収された後に)吸収器120から出る排煙流10の少なくとも一部を含み、したがって、排ガス流は、吸収器120に入る排煙流10よりも低いCO2濃度を有する。そのため、位置214Cに配置された排煙送風機は、有利なことに、位置214A~Bにある排煙流10よりも低い体積及び低い温度を有する排ガス流を吹き付けることができ、それは、より高い温度でより高い体積の排煙を吹き付けることと比較して、効率の改善及び/又は電力負荷の低減をもたらすことができる。しかしながら、位置214Cに排煙送風機を配置することは、いくつかのシナリオでは、より高い設置コスト及び/又はメンテナンスコストに関連付けられる場合がある。例えば、いくつかの構成では、排ガス流は吸収器120の上面から出力される場合があり、したがって位置214Cを使用すると、より高い高さで効率的かつ安全に排煙送風機214Cを支持するための比較的困難な構造要件に関連する比較的高い高さに排煙送風機を設置する必要があり得る。
【0041】
上述されたように、システム200は、冷却システム200を使用する炭素捕捉プロセスの特定のパラメータ及び許容範囲(例えば、排煙流の温度、排煙流の流量、寄生負荷閾値、コスト要件など)に応じて、冷却空気送風機及び/又は排煙送風機の数及び/又は位置をカスタマイズすることによって最適化することができる。例えば、位置214Aは、いくつかの産業設備用途において、位置214Cよりも望ましい場合があり、又はその逆もあり得る。
【0042】
システム200はまた、熱交換器210と流体連通する閉ループ水濾過ユニット220を含む場合がある。例えば、閉ループ水濾過ユニット220は、微粒子を分離及び凝縮するために熱交換器210内部の排煙流10に噴霧される水を(導管212を介して)供給するために、ガス対空気熱交換器210のダクトに結合される場合がある。次いで、排煙流10から除去された不純物(例えば、硫黄酸化物などの汚染物質)を含む凝縮水が収集され、(導管214を介して)閉ループ水濾過ユニット220に戻される場合があり、そこで水は汚染物質を除去するために濾過され、閉水濾過ループを完成させるために熱交換器210に戻される。この配置では、例えば、吸収器120の上流でこれらの汚染物質を除去することにより、吸収器120内の溶媒の効率を潜在的に改善することができる。代替又は追加として、図示されていないが、閉ループ水濾過ユニット220は、吸収器120から出る排ガス流を冷却及び/又は洗浄するために吸収器120に結合される場合がある。
【0043】
図3は、本開示による、吸収器120の上流に配置された複数のガス対空気熱交換器210、310を含む別の例示的な冷却装置300の概略図である。いくつかのシナリオでは、単一のガス対空気熱交換器は、吸収器120内部の溶媒によるCO2の効率的な吸収のために排煙流10を適切な温度に冷却するには不十分であり得る。そのため、図示された例では、吸収器120に流入する前に排煙流10をさらに冷却するために、吸収器120の上流に1つ又は複数の追加のガス対空気熱交換器(例えば、熱交換器310)が配置される場合がある。
【0044】
図3の例では、ガス対空気熱交換器310は、(導管102を介して)排煙流10を受け取り冷却することができ、次いで、ガス対空気熱交換器210は、冷却された排煙流10を受け取って、排煙流10が吸収器120に流入する前に排煙流10をさらに冷却することができる。
【0045】
その目的のために、図示された例では、冷却システム300は、熱交換器310、熱交換器210及び吸収器120を通して排煙流10を移動させるための排煙送風機214A、214B及び/又は214Cを含む場合がある。一例では、図示されていないが、システム300は、排煙送風機214A、214B及び/又は214Cの代わりに、又はそれらに加えて、熱交換器310の上流に配置された排煙送風機を含む場合がある。
【0046】
さらに、システム300は、(例えば、熱交換器210の送風機212Aと同様に)熱交換器310に向かって、かつ熱交換器310を通して冷却空気を吹き付けるように熱交換器310の上流に配置された冷却空気送風機312Aを含み、かつ/又は(例えば、熱交換器210の送風機212Bと同様に)熱交換器310に向かって、かつ熱交換器を通して冷却空気を吹き付け移動させるように熱交換器310の下流に配置された冷却空気送風機312Bを含む場合がある。
【0047】
より一般的には、本開示の冷却システム110、200、300などは、炭素捕捉プロセス100を使用する産業設備の必要性に応じてカスタマイズされる場合がある。したがって、システム200及び/又は300で使用されるガス対空気熱交換器、冷却空気送風機、及び/又は、排煙流送風機の数及び/又は位置は、本開示のシステム及びプロセスを使用する産業設備に固有の他の要因の中でも、入力排煙流10の流量、入力排煙流10の温度、炭素捕捉プロセスのための電力可用性などの要因に応じてカスタマイズすることができる。
【0048】
上記の説明に沿って、本開示の例示的な冷却システム200、300などは、有利なことに、補給水の流れを必要とする蒸発冷却水システムを必ずしも使用することなく排煙流の冷却を可能にすることにより、炭素捕捉プロセスの実装に関連付けられた課題を解決することができる。
【0049】
先に述べられたように、いくつかの産業設備で炭素捕捉プロセスを採用することはまた、溶媒再生及び/又はCO2ストリッピングプロセスについての熱負荷要件、並びに炭素捕捉設備を動作させることに関連付けられた(例えば、送風機などを動作させるための)電力負荷要件に起因して困難であり得、それは時々産業設備の既存の基盤の大幅なアップグレードを必要とする場合がある。したがって、図4図6は、炭素捕捉プロセスを最適化し、かつ/又はこれらの課題を解決するために使用することができる例示的な最適化された加熱装置及び発電装置を示す。
【0050】
図4は、本開示による、溶媒再生及びCO2ストリッピングのための例示的な加熱装置を含む例示的な炭素捕捉システム400の概略図である。システム400は、システム100の例示的な実施形態を描写し、システム100の加熱装置140は、燃焼加熱器410、廃熱回収ユニット420及び発電機430を含む。
【0051】
燃焼加熱器410(例えば、工業炉)は、燃焼燃料を燃やし、燃焼ガスからの熱を、燃焼加熱器から導管116を介して再生器130に搬送される熱媒体に伝達する加熱器である。上述されたように、熱媒体は、蒸気又は油などの任意の適切な熱媒体を含む場合がある。再生器又はストリッパ130は、加熱された熱媒体を使用して、吸収器120から受け取られたCO2リッチ溶媒を、リッチ溶媒からCO2を取り除くことによってリーン溶媒に再生する。
【0052】
燃焼加熱器410における燃焼プロセスの副生成物として、燃焼加熱器410は、加熱器排煙を生成することができる。図示された例では、加熱器排煙は、燃焼加熱器410から(導管406を介して)搬送され、吸収器120の上流(並びに/又は冷却装置110、ガス対空気交換器210、及び/若しくは、ガス対空気交換器310の上流)の排煙流10と組み合わされる。いくつかの例では、加熱器排煙は、入力排煙流10よりも比較的低温であり得、したがって、(加熱器排煙を含む)組み合わされた排煙流10の全体的な温度を低下させることによって冷却装置110の効率を潜在的に改善することができる。
【0053】
図1の説明において上述されたように、駆動装置160は、圧縮機150を駆動するために機械的エネルギーを提供するように構成された内燃機関、ガスタービン、又は任意の他のタイプの燃焼ベースの駆動装置を含む場合がある。この燃焼プロセスの生成物として、駆動装置160は駆動装置排煙を生成する。駆動装置排煙は、駆動装置160から導管124を介して廃熱回収ユニット420に搬送される。
【0054】
発電機430はまた、炭素捕捉システムの1つ又は複数の構成要素(例えば、ガス対空気交換器210、310、送風機212、214、312など)に電力を供給するための電力(例えば、電気)を生成する、ガスタービン又は燃焼機関などの燃焼ベースの発電機を含む場合がある。そのため、発電機430は、発電機430から導管402を介して廃熱回収ユニット420に搬送される発電機排煙を生成する。
【0055】
廃熱回収ユニット420は、加熱された熱媒体を再生器130に搬送する前に、燃焼加熱器410からの熱を補完するために、発電機排煙及び/又は駆動装置排煙から熱媒体に熱を伝達して熱媒体をさらに加熱するように構成されたエネルギー回収デバイス(例えば、熱交換器)である。いくつかの例では、再生器130は、熱媒体を再加熱するために、(導管404を介して)使用済み熱媒体を燃焼加熱器410及び/又は廃熱回収ユニット420に戻すことができる。
【0056】
この配置では、廃熱回収ユニット420は、駆動装置排煙及び/又は発電機排煙からの廃熱を利用して、(例えば、そうでなければ廃熱回収ユニット420なしで熱媒体を加熱するために消費されるであろう燃料の総量を低減することによって)溶媒再生及びCO2ストリッピングプロセスのために熱媒体を効率的に加熱することにより、熱媒体を加熱することに関連付けられた寄生負荷の低減を可能にすることができる。
【0057】
発電機排煙及び/又は駆動装置排煙から熱を回収した後、排煙は、(例えば、図4に示された)炭素捕捉システム400の前端部又は吸収器120の上流の任意の他の位置において排煙流10と組み合わせるために、(例えば、導管408を介して)廃棄物回収ユニット420から搬送される。いくつかの例では、廃熱回収ユニット420から流出する排煙は、入力排煙流10よりも低温であり、したがって、(廃熱回収ユニット420からの排煙を含む)組み合わされた排煙流10により低い全体温度をもたせることにより、冷却装置110及び/又は吸収器120の効率の改善を容易にすることができる。
【0058】
図5は、本開示による、別の例示的な加熱装置を含む例示的な炭素捕捉システム500の概略図である。システム500は、システム100の例示的な実施形態を描写し、その中で加熱装置140は、2つの廃熱回収ユニット420、520、燃焼加熱器410及び発電機430を含む。
【0059】
詳細には、システム500は、(システム400と同様に)駆動装置160から駆動装置排煙を(導管124を介して)受け取るための第1の廃熱回収ユニット420と、発電機430から出力された発電機排煙402を(導管402を介して)受け取るための第2の別個の廃熱回収ユニット520とを含む。第2の廃熱回収ユニット520は、発電機430から(導管402を介して)廃熱回収ユニット520に流入する発電機排煙から熱を抽出して、
再生器130に流入する熱媒体をさらに加熱する。例えば、図示されたように、加熱された熱媒体は、導管502を介して廃熱回収ユニット520から流出して、再生器130の上流の燃焼加熱器410及び/又は廃棄物回収ユニット420から出力された加熱された熱媒体と組み合わされる。
【0060】
さらに、図示された例では、(熱媒体を加熱するために廃熱回収ユニット520で使用された後の)発電機排煙は、廃熱回収ユニット520を出る使用済み排煙についての上記の説明に沿って、炭素捕捉プロセス500の前端部(又は吸収器120の上流の任意の他の位置)において入力排煙流10と組み合わせるために、(例えば、導管508を介して)廃熱回収ユニット420から搬送される。
【0061】
いくつかの例では、炭素捕捉システム500の配置は、発電機430が必ずしも圧縮機150、駆動装置160及び/又は廃熱回収ユニット420の近くに配置されるとは限らない産業設備用途に有利であり得る。
【0062】
図示されていないが、いくつかの例では、燃焼加熱器410から出力された加熱器排煙は、代替として、加熱器排煙を入力排煙流10と組み合わせる前に熱媒体をさらに加熱するために追加の熱を抽出するために、廃熱回収ユニット420、520及び/又は別の廃熱回収ユニット(図示せず)に転送される場合がある。
【0063】
図6は、本開示による、さらに別の例示的な加熱装置を含む例示的な炭素捕捉システム600の概略図である。システム600は、システム100の例示的な実施形態を描写し、その中で単一の駆動装置160が発電と圧縮機150の駆動の両方に使用される。すなわち、システム600の構成における同じ駆動装置160は、(例えば、システム600の1つ又は複数の構成要素に電力を供給するための電力を生成する)図4図5の発電機430について上述された機能を実行するとともに、圧縮機150によるCO2圧縮を駆動することができる。例えば、システム600の駆動装置160は、システム600の様々な構成要素のための電力を生成するとともに圧縮機150を作動させるための機械的エネルギーを生成する内燃機関及び/又はガスタービンとして実装される場合がある。
【0064】
上記の説明に沿って、廃熱回収ユニット420は、(導管124を介して)駆動装置160から駆動装置排煙を受け取ることができ、駆動装置排煙からの熱を使用して、廃熱回収ユニット420から再生器/ストリッパ130に流入する熱媒体を加熱することができる。
【0065】
特許請求の範囲を含む本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、包括的又は排他的な接続詞である。したがって、「及び/又は」という用語は、グループ内に2つ以上のものが存在することを意味するか、又は選択肢のグループから1つの選択が行われ得ることを意味する。
【0066】
本開示の多くの特徴及び利点は、記載された説明から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示のすべてのそのような特徴及び利点を網羅することが意図される。さらに、多数の修正及び変更が当業者には容易に想起されるので、本開示は、図示及び記載されたまさにその構成及び動作に限定されない。したがって、記載された実施形態は、限定ではなく例示として解釈されるべきであり、本開示は、本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、現在又は将来の予測可能又は予測不可能にかかわらず、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の全範囲によって定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】