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特表2025-501111バッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー充電時間の予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー充電時間の予測方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20250109BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250109BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 58/24 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02J7/00 P
H02J7/10 H
H02J7/10 L
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L58/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537949
(86)(22)【出願日】2023-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2023009977
(87)【国際公開番号】W WO2024058387
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0116579
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0054311
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ-グ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA02
5G503CA04
5G503CA14
5G503CA20
5G503CB06
5G503CB11
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC08
5H125BC19
5H125BC21
5H125DD02
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
(57)【要約】
【要約】
バッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー充電時間の予測方法が提供される。前記バッテリー管理システムは、第1から第MのSOC区間及び第1から第Nの温度区間に対する総M×N個の充電率が記録されている第1の充電参照マップを保存するメモリーと、バッテリーの電圧、電流及び温度を検出するセンシング部と、前記バッテリーのSOC推定値を決定する制御部と、を含む。前記制御部は、前記第1の充電参照マップにおいて、前記SOC推定値が属する第mのSOC区間及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの充電率を決定する。前記制御部は、前記第mの充電率及び前記SOC推定値と前記第mのSOC区間の終了点とのSOC差に基づいて前記第mのSOC区間における充電時間予測値を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1から第MのSOC区間(Mは、2以上の自然数である。)及び第1から第Nの温度区間(Nは、2以上の自然数である。)に対する充電率が記録されている第1の充電参照マップを保存するメモリーと、
バッテリーの電圧、電流及び温度を検出するセンシング部と、
前記バッテリーに対する充電過程の開始時点から所定の時間間隔で、電圧検出値、電流検出値及び温度検出値に基づいて前記バッテリーのSOC推定値を決定する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1の充電参照マップにおいて、前記SOC推定値が属する第mのSOC区間(mは、M以下の自然数である。)及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの充電率を決定し、
前記第mの充電率及び前記SOC推定値と前記第mのSOC区間の終了点とのSOC差に基づいて、前記第mのSOC区間における充電時間予測値を決定し、
mがM未満である場合、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値をさらに決定するように構成され、
前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値は、第m+1のSOC区間の開始点における前記バッテリーの温度を示す、バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率及び前記第mのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定し、
前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記メモリーは、
前記第1から第MのSOC区間及び前記第1から第Nの温度区間に対するM×N個の内部抵抗値が記録されている第2の充電参照マップをさらに保存し、
前記制御部は、
前記第2の充電参照マップから、前記第mのSOC区間及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの内部抵抗値を決定し、
予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率、前記第mのSOC区間における充電時間予測値及び前記第mの内部抵抗値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定し、
前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第mのSOC区間に対する充電過程が完了した場合、
前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を実際温度変化量と比較して、前記第mのSOC区間を調整する、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
kがm+1以上かつM以下の自然数であるとするとき、
第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、
前記第1の充電参照マップにおいて、第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定し、
前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間の大きさに基づき、前記第kのSOC区間における充電時間予測値及び前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第MのSOC区間における充電時間予測値に対する決定が完了した場合、
前記第mから第MのSOC区間に対して決定された充電時間予測値を合算して、前記多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまでの残余時間を決定する、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、
予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を決定し、
前記第kのSOC区間における温度変化予測量を前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に合算して、前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項8】
前記メモリーは、
前記第1から第MのSOC区間及び前記第1から第Nの温度区間に対するM×N個の内部抵抗値が記録されている第2の充電参照マップをさらに保存するように構成され、
前記制御部は、
前記第2の充電参照マップから、前記第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの内部抵抗値を決定し、
前記第kの充電率、前記第kの充電時間予測値及び前記第kの内部抵抗値に基づき、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を決定し、
前記第kのSOC区間における温度変化予測量を前記第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に合算して、前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成される、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第kのSOC区間に対する充電過程が完了した場合、
前記第kのSOC区間における温度変化予測量を実際温度変化量と比較して、前記第kのSOC区間を調整する、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理システムを含む、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項10に記載の前記バッテリーパックを含む、電気車両。
【請求項12】
バッテリーに対する充電過程の開始時点から所定の時間間隔で行われるバッテリー充電時間の予測方法であって、
前記バッテリーの電圧検出値、電流検出値及び温度検出値に基づいて前記バッテリーのSOC推定値を決定する段階と、
多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1から第MのSOC区間及び第1から第Nの温度区間に対する充電率が記録されている第1の充電参照マップから、前記SOC推定値が属する第mのSOC区間(mは、M以下の自然数である。)及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの充電率を決定する段階と、
前記第mの充電率及び前記SOC推定値と前記第mのSOC区間の終了点とのSOC差に基づき、前記第mのSOC区間における充電時間予測値を決定する段階と、を含み、
mがM未満である場合、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階をさらに含み、
前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値は、第m+1のSOC区間の開始点における前記バッテリーの温度を示す、バッテリー充電時間の予測方法。
【請求項13】
前記第mのSOC区間における第mの充電時間予測値を決定する段階は、
予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率及び前記第mのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定する段階と、
前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階と、を含む、請求項12に記載のバッテリー充電時間の予測方法。
【請求項14】
kがm+1以上かつM以下の自然数であるとするとき、
第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、前記第1の充電参照マップにおいて、第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定する段階と、
前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間の大きさに基づき、前記第kのSOC区間における充電時間予測値及び前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階と、をさらに含む、請求項12に記載のバッテリー充電時間の予測方法。
【請求項15】
前記第MのSOC区間における充電時間予測値に対する決定が完了した場合、
前記第mから第MのSOC区間に対して決定された充電時間予測値を合算して、前記多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまでの残余時間を決定する段階をさらに含む、請求項14に記載のバッテリー充電時間の予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの残余充電時間を推定する技術に関する。
【0002】
本出願は、2022年9月15日出願の韓国特許出願第10-2022-0116579号及び2023年4月25日出願の韓国特許出願第10-2023-0054311号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気車両、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーを充電することにおいて、充電電流の充電率(C-rate)が小さい場合には、バッテリーを満充電するまで非常に長い時間が必要である。一方、充電電流の充電率が高すぎる場合、バッテリーが速く劣化するという副作用がある。そこで、定電流充電中のバッテリーの状態に応じて充電電流の充電率を段階的に調節する必要がある。ご参考までに、充電率(「C-rate」とも称することがある。)とは、充電電流をバッテリーの最大容量で割った値であって、単位としては「C」を使用する。
【0006】
定電流充電時の充電率を段階的に調節するために、所謂「多段定電流充電プロトコル(multi-stage constant-current charging protocol)」を有する充電率マップが主に活用される。複数の温度区間各々に対して別の充電率マップが作成されてもよく、特定の充電率マップは、特定の温度区間に関連付けられた複数の充電率と複数の切り替え条件との関係が記録されたテーブルまたは関数である。特定の充電率マップに記録された複数の充電率のいずれか一つを用いた充電中にバッテリーの状態が特定の切り替え条件(例えば、SOCが60%に到達すること)を満たすと、次の順序の充電率が充電電流としてバッテリーに供給され得る。
【0007】
因みに、バッテリーの充電中にバッテリーのSOCが目標SOC(例えば、満充電状態)になるまで残っている時間がどのぐらいであるかを使用者に通知する必要がある。
【0008】
従来には、多段定電流充電プロトコルを用いた充電中に充電率を段階的に変更することにおいて、バッテリーの温度変化を反映する方案が不在し、充電開始時点におけるバッテリーの温度が継続維持されるという仮定下に残余充電時間を予測していた。
【0009】
しかしながら、バッテリー温度は充電中に大体に増加する特性を有するということは技術常識であり、したがって、前述した従来の方式によって予測された残余充電時間は、実際にかかった充電時間とは大きい差を示すという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、多段定電流充電プロトコルを用いた充電中、各ステージ(SOC範囲)におけるバッテリーの温度変化を予測して次のステージで用いられる充電率を推定し、推定された充電率によって各ステージにおける充電時間予測値を予測する過程を繰り返すことで、バッテリーのSOCが目標SOCに到達するまでの残余充電時間の予測の正確度を向上させることが可能なバッテリー管理システム、当該バッテリー管理システムを含むバッテリーパック、当該バッテリーパックを含む電気車両及び前記バッテリー管理システムで実行可能なバッテリー充電時間の予測方法を提供することを目的とする。
【0011】
なお、本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一面によるバッテリー管理システムは、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1から第MのSOC区間(Mは、2以上の自然数である。)及び第1から第Nの温度区間(Nは、2以上の自然数である。)に対する総M×N個の充電率が記録されている第1の充電参照マップを保存するように構成されるメモリーと、バッテリーの電圧、電流及び温度を検出するように構成されるセンシング部と、前記バッテリーに対する充電過程の開始時点から所定の時間間隔で、電圧検出値、電流検出値及び温度検出値に基づいて前記バッテリーのSOC推定値を決定するように構成される制御部と、を含む。前記制御部は、前記第1の充電参照マップにおいて、前記SOC推定値が属する第mのSOC区間(mは、M以下の自然数である。)及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの充電率を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第mの充電率及び前記SOC推定値と前記第mのSOC区間の終了点とのSOC差に基づいて、前記第mのSOC区間における充電時間予測値を決定するように構成され得る。また、前記制御部は、mがM未満である場合、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値をさらに決定するように構成され得る。前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値は、第m+1のSOC区間の開始点における前記バッテリーの温度を示す。
【0013】
前記制御部は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率及び前記第mのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成され得る。
【0014】
前記メモリーは、前記第1から第MのSOC区間及び前記第1から第Nの温度区間に対する総M×N個の内部抵抗値が記録されている第2の充電参照マップをさらに保存するように構成され得る。
【0015】
前記制御部は、前記第2の充電参照マップから、前記第mのSOC区間及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの内部抵抗値を決定するように構成され得る。また、前記制御部は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率、前記第mのSOC区間における充電時間予測値及び前記第mの内部抵抗値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記第mのSOC区間に対する充電過程が完了した場合、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を実際温度変化量と比較して、前記第mのSOC区間を調整するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、kがm+1以上かつM以下の自然数であるとするとき、第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、前記第1の充電参照マップにおいて、第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間の大きさに基づき、前記第kのSOC区間における充電時間予測値及び前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記第MのSOC区間における充電時間予測値に対する決定が完了した場合、前記第mから第MのSOC区間に対して決定された充電時間予測値を合算して、前記多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまでの総残余時間を決定するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に合算して、前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成され得る。
【0020】
前記メモリーは、前記第1から第MのSOC区間及び前記第1から第Nの温度区間に対する総M×N個の内部抵抗値が記録されている第2の充電参照マップをさらに保存するように構成され得る。また、前記制御部は、前記第2の充電参照マップから、前記第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの内部抵抗値を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第kの充電率、前記第kの充電時間予測値及び前記第kの内部抵抗値に基づき、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を決定するように構成され得る。前記制御部は、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を前記第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に合算して、前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定するように構成され得る。
【0021】
前記制御部は、前記第kのSOC区間に対する充電過程が完了した場合、前記第kのSOC区間における温度変化予測量を実際温度変化量と比較して、前記第kのSOC区間を調整するように構成され得る。
【0022】
本発明の他面によるバッテリーパックは、前記バッテリー管理システムを含む。
【0023】
本発明のさらに他面による電気車両は、前記バッテリーパックを含む。
【0024】
本発明のさらに他面によるバッテリー充電時間の予測方法は、バッテリーに対する充電過程の開始時点から所定の時間間隔で行われるように提供される。前記バッテリー充電時間の予測方法は、前記バッテリーの電圧検出値、電流検出値及び温度検出値に基づいて前記バッテリーのSOC推定値を決定する段階と、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1から第MのSOC区間及び第1から第Nの温度区間に対する総M×N個の充電率が記録されている第1の充電参照マップから、前記SOC推定値が属する第mのSOC区間(mは、M以下の自然数である。)及び前記温度検出値が属する温度区間に関連付けられた第mの充電率を決定する段階と、前記第mの充電率及び前記SOC推定値と前記第mのSOC区間の終了点とのSOC差に基づき、前記第mのSOC区間における充電時間予測値を決定する段階と、を含む。前記バッテリー充電時間の予測方法は、mがM未満である場合、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階をさらに含む。前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値は、第m+1のSOC区間の開始点における前記バッテリーの温度を示す。
【0025】
前記第mのSOC区間における第mの充電時間予測値を決定する段階は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、前記第mの充電率及び前記第mのSOC区間における充電時間予測値に基づき、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を決定する段階と、前記SOC推定値から前記第mのSOC区間の終了点までの温度変化予測量を前記温度検出値に合算して、前記第mのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階と、を含み得る。
【0026】
前記バッテリー充電時間の予測方法は、kがm+1以上かつM以下の自然数であるとするとき、第k-1のSOC区間における充電時間予測値及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値に対する決定が完了した場合、前記第1の充電参照マップにおいて、第kのSOC区間及び前記第k-1のSOC区間の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定する段階と、前記第kの充電率及び前記第kのSOC区間の大きさに基づき、前記第kのSOC区間における充電時間予測値及び前記第kのSOC区間の終了点における温度予測値を決定する段階と、をさらに含み得る。
【0027】
前記バッテリー充電時間の予測方法は、前記第MのSOC区間における充電時間予測値に対する決定が完了した場合、前記第mから第MのSOC区間に対して決定された充電時間予測値を合算して、前記多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまでの総残余時間を決定する段階をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例の少なくとも一つによれば、多段定電流充電プロトコルを用いた充電中に、各ステージ(SOC範囲)におけるバッテリーの温度変化を予測して次のステージで用いられる充電率を推定し、推定された充電率に応じて各ステージにおける充電時間予測値を予測する過程を繰り返すことで、バッテリーのSOCが目標SOCに到達するまでの残余充電時間の予測正確度を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、バッテリーの温度のみならず、外気の温度をさらに活用して各ステージにおけるバッテリーの温度変化を予測することで、残余充電時間の予測正確度をさらに向上させることができる。
【0030】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、各ステージに対する温度変化量予測値と実際温度変化量との差に応じて当該ステージの終了点を調整することで、以後に再開される充電過程における残余充電時間の予測正確度を向上させることができる。
【0031】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0032】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による電気車両の構成を示した図である。
【0034】
図2】多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程に用いられる第1の充電参照マップを説明するための図である。
【0035】
図3図1に示したバッテリー管理システムによって行われる総残余時間の推定プロセスの一例を説明するための模式図である。
【0036】
図4】多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程に用いられる第2の充電参照マップを説明するための図である。
【0037】
図5図1に示したバッテリー管理システムによって行われる総残余時間の推定プロセスの他の例を説明するための模式図である。
【0038】
図6】本発明の第1実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。
【0039】
図7】本発明の第2実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。
【0040】
図8】本発明の第3実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。
【0041】
図9】本発明の第4実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。
【0042】
図10】本発明の第5実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0044】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0045】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0046】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「~部(ユニット)」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0047】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0048】
図1は、本発明による電気車両の構成を示した図である。
【0049】
図1を参照すると、電気車両1は、車両コントローラ2、バッテリーパック10、リレー20、インバーター30及び電気モーター40を含む。バッテリーパック10の充放電端子P+、P-は、充電ケーブルなどを介して充電器3に電気的に結合し得る。充電器3は、電気車両1に含まれたものであるか、または充電ステーションに設けられたものであり得る。
【0050】
車両コントローラ2(例えば、ECU:Electronic Control Unit)は、電気車両1に設けられた始動ボタン(図示せず)が使用者によってオン位置に切り替えられたことに応じて、キーオン(key-on)信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。車両コントローラ2は、始動ボタンが使用者によってオフ位置に切り替えられたことに応じて、キーオフ信号をバッテリー管理システム100に伝送するように構成される。充電器3は、車両コントローラ2と通信して、バッテリーパック10の充放電端子P+、P-を介して定電流または定電圧の充電電力を供給し得る。
【0051】
バッテリーパック10は、バッテリー11及びバッテリー管理システム100を含む。
【0052】
バッテリー11は、セルグループ12及びケース13を含む。ケース13は、バッテリー11の全体的な外形を定義し、セルグループ12が配置される内部空間を提供する。ケース13は、電気車両1に設けられたバッテリールームにボルトなどによって固定締結される。
【0053】
セルグループ12は、ケース13から提供された内部空間に配置(収納)されるものであって、少なくとも一つのバッテリーセルBCを含む。バッテリーセルBCは、例えば、リチウムイオンセルのように反復的に充放電の可能なものであれば、その種類は特に限定されない。
【0054】
セルグループ12が複数のバッテリーセルを含む場合、これらの複数のバッテリーセルは、直列、並列または直・並列が混合して接続され得る。
【0055】
リレー20は、バッテリー11及びインバーター30を接続する電力経路を通して、バッテリー11に電気的に直列に接続される。図1では、リレー20がバッテリー11の正極端子と充放電端子P+との間に接続されたことが示されている。リレー20は、バッテリー管理システム100からのスイチング信号に応じて、オンオフ制御される。リレー20は、コイルの磁気力によってオンオフされる機械式コンタクターであるか、またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect transistor)のような半導体スイッチであり得る。
【0056】
インバーター30は、バッテリー管理システム100または車両コントローラ2からの命令に応じて、セルグループ12からの直流電流を交流電流へ切り替えるように提供される。
【0057】
電気モーター40は、インバーター30からの交流電力を用いて駆動する。電気モーター40としては、例えば、3相交流モーター40を用い得る。
【0058】
バッテリー管理システム100は、電圧センサー111、電流センサー113、バッテリー温度センサー115及び制御部130を含む。バッテリー管理システム100は、外気温度センサー117をさらに含み得る。バッテリー管理システム100は、通信回路150をさらに含み得る。
【0059】
電圧センサー111は、バッテリー11に並列接続され、バッテリー11の両端にかかった電圧であるバッテリー電圧を検出し、検出されたバッテリー電圧を示す電圧信号を生成するように構成される。
【0060】
電流センサー113は、バッテリー11とインバーター30との間の電流経路を通してバッテリー11に直列に接続される。電流センサー113は、バッテリー11を通して流れる電流であるバッテリー電流を検出し、検出されたバッテリー電流を示す電流信号を生成するように構成される。電流センサー113は、シャント低抗体、ホール素子などのような公知の電流検出素子の一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。
【0061】
バッテリー温度センサー115は、バッテリー温度を検出し、検出されたバッテリー温度を示す温度信号を生成するように構成される。バッテリー温度センサー115は、バッテリー11の実際温度に近接した温度を検出するように、ケース13内に配置され得る。例えば、バッテリー温度センサー115は、セルグループ12に含まれた少なくとも一つのバッテリーセルBCの表面に取り付けられ、バッテリーセルBCの表面温度をバッテリー温度として検出し得る。
【0062】
電圧センサー111、電流センサー113及びバッテリー温度センサー115を「センシング部」と称し得る。
【0063】
外気温度センサー117は、バッテリー11から離隔した所定の位置の温度である外気温度(雰囲気温度)を検出し、検出された外気温度を示す温度信号を生成するように構成される。外気温度センサー117は、バッテリー11と外気との間の熱交換が行われるケース13の外部の所定位置に配置され得る。
【0064】
バッテリー温度センサー115と外気温度センサー117は各々、熱電対、サーミスター、バイメタルなどのような公知の温度検出素子の一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。
【0065】
通信回路150は、制御部130と車両コントローラ2との間の有線通信または無線通信を支援するように構成される。有線通信は、例えば、CAN(contoller area network)通信であり、無線通信は、例えば、ジグビー(登録商標)やブルートゥース(登録商標)通信であり得る。勿論、制御部130と車両コントローラ2との間の有無線通信を支援するものであれば、通信プロトコールの種類は特に限定されない。通信回路150は、制御部130及び/または車両コントローラ2から受信された情報を使用者が認識可能な形態で提供する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー)を含み得る。
【0066】
制御部130は、リレー20、電圧センサー111、電流センサー113、バッテリー温度センサー115、外気温度センサー117及び通信回路150に動作可能に結合する。二つの構成が動作可能に結合するということは、単方向または双方向へ信号を送受信可能に二つの構成が直・間接的に接続していることを意味する。
【0067】
制御部130は、電圧センサー111からの電圧信号、電流センサー113からの電流信号、バッテリー温度センサー115からの温度信号(「バッテリー温度信号」と称し得る。)及び/または外気温度センサー117からの温度信号(「外気温度信号」と称し得る。)を収集し得る。制御部130は、内部に設けられたADC(Analog to Digital Converter)を用いて、センサー111、113、115、117から収集された各々アナログ信号をデジタル値へ切り替え及び記録し得る。
【0068】
制御部130は、「制御回路」または「バッテリーコントローラ」と称することがあり、ハードウェア的に、ASIC(application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、DSP(digital signal processor,デジタルシグナルプロセッサ)、DSPD(digital signal processing device,デジタル信号処理デバイス)、PLD(programmable logic device,プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(field programmable gate array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、その他の機能遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
【0069】
メモリー140は、例えば、フラッシュメモリー(登録商標)タイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリー)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリー)、ROM(read‐only memory,リードオンリーメモリー)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルプログラマブルリードオンリーメモリー)、PROM(programmable read‐only memory,プログラマブルリードオンリーメモリー)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。メモリー140は、制御部130による演算動作に要求されるデータ及びプログラムを保存し得る。メモリー140は、制御部130による演算動作の結果を示すデータを保存し得る。図1には、メモリー140が制御部130から物理的に独立するように示されているが、制御部130内に内蔵されることも可能である。
【0070】
メモリー140は、バッテリー11に対する多段定電流充電プロトコルに関連付けられた少なくとも一つの充電参照マップを保存し得る。各充電参照マップについては、以下でより詳しく説明する。
【0071】
制御部130は、キーオン信号に応じて、リレー20をターンオンし得る。制御部130は、キーオフ信号に応じて、リレー20をターンオフし得る。キーオフ信号は、使用状態から休止状態への切り替えを示す。または、リレー20のオンオフ制御は、制御部130の代わりに車両コントローラ2が行い得る。
【0072】
リレー20がターンオンされている間、バッテリー11は使用状態になる。逆に、リレー20がターンオフされている間、バッテリー11は休止状態になる。使用状態とは、バッテリー11が充放電中である状態を示し、「サイクル状態」とも称し得る。休止状態とは、バッテリー11の充放電が止められている状態であり、「カレンダー状態」とも称し得る。
【0073】
制御部130は、バッテリー11が使用状態になる間に、電圧信号、電流信号、バッテリー温度信号及び外気温度信号に基づき、電圧検出値、電流検出値、バッテリー温度検出値及び外気温度検出値を決定した後、電圧検出値、電流検出値及び/またはバッテリー温度検出値に基づいてバッテリー11の充電状態(SOC:State Of Charge)を決定(推定)し得る。SOCは、バッテリー11の完全充電容量(最大容量)に対する残存容量の割合であって、通常0~1または0~100%の範囲で処理される。SOCの決定には、アンペアカウンティング、OCV(Open Circuit Voltage)-SOCカーブ及び/またはカルマンフィルターなどのような公知の方式が活用され得る。参考までに、本明細書において単なる「温度検出値」の記載は、バッテリー温度検出値を指し得る。
【0074】
図2は、多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程に用いられる第1の充電参照マップを説明するための図である。
【0075】
図2を参照すると、第1の充電参照マップCRM1は、バッテリー11のSOC及び温度に対する充電率の対応関係を示すテーブルまたは関数であり、「充電率マップ」と称し得る。
【0076】
詳しくは、第1の充電参照マップCRM1には、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1から第MのSOC区間S#1~S#M及び第1から第Nの温度区間T#1~T#Nに対する総M×N個の充電率が記録されている。ここで、MとNは、各々2以上の自然数である。
【0077】
mはM以下の自然数であり、nはN以下の自然数であるとするとき、本明細書で使用された符号C#m_nは、SOC区間S#m及び温度区間T#nに関連付けられた充電率を示す。また、SOC区間S#mの大きさ(幅)は、SOC区間S#mの開始点と終了点との差である。一例で、図2において、SOC区間S#3の開始点は20%であり、終了点は30%であり、大きさは10%である。本明細書で使用された符号ΔS#mは、SOC区間S#mの大きさを示す。
【0078】
第1から第MのSOC区間S#1~S#Mは、多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程の対象として予め決められた全体SOC範囲から分割されたものであり得る。即ち、第1のSOC区間の開始点は、全体SOC範囲の開始点と同一であり、第MのSOC区間S#Mの終了点は、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた全体SOC範囲の終了点と同一である。全体SOC範囲の終了点が目標SOCとして予め設定され得る。また、第1から第MのSOC区間S#1~S#Mにおいて、互いに隣接する二つの区間のうち先行区間の終了点は、後行区間の開始点と一致し得る。例えば、第1のSOC区間の終了点は、第2のSOC区間の開始点と一致する。
【0079】
図2には、全体SOC範囲=0~100%、M=10、N=8として示されている。即ち、第1から第10のSOC区間S#1~S#10及び第1から第8の温度区間T#1~T#8に対して総80個の充電率が第1の充電参照マップCRM1に記録されている。一方、図2においては、SOC区間S#1~S#10の各々の大きさが10%で同一に示されているが、これは一例である。即ち、SOC区間S#1~S#10のうち少なくとも二つは、相異なる大きさを有するように予め設定されていてもよい。
【0080】
M以下の自然数であるi及びjがi<jであり、N以下の自然数であるx及びyがx<yであると仮定しよう。図2に示した第1の充電参照マップCRM1を見れば、特定の温度区間では、SOC区間S#jに関連付けられた充電率がSOC区間S#iに関連付けられた充電率以下であり得る。一例で、温度区間T#1において、SOC区間S#10に関連付けられた充電率C#10_1 0.2Cは、SOC区間S#9に関連付けられた充電率C#9_1 0.3Cよりも小さい。
【0081】
また、特定のSOC区間では、温度区間T#yに関連付けられた充電率がSOC区間T#xに関連付けられた充電率以上であり得る。一例で、SOC区間S#5において、温度区間T#3に関連付けられた充電率C#5_3 1.2Cは、温度区間T#2に関連付けられた充電率C#5_2 1.0Cよりも大きい。
【0082】
因みに、前述した例は、第1から第8の温度区間T#1~T#8が所定の適正温度範囲から区画されたと仮定したものである。そのため、温度区間T#1の開始点よりも低いか、または温度区間T#8の終了点よりも高い温度では、温度とSOCによる充電率の変化が図2とは相違に決められ得ることを理解しなければならない。
【0083】
従来には、充電中のバッテリー温度を充電率の切り替えに反映する方案が不在であった。このため、目標SOCに到達するまでの充電残余時間を予測することにおいて、現時点におけるバッテリー温度(検出値または予測値)が目標SOCに到達するまで同一に維持されると設定されることによって、目標SOCに到達するまでの充電残余時間の予測値が実際とは大きく異なる状況が頻繁に発生した。
【0084】
例えば、現時点におけるバッテリー11のSOC推定値は、SOC区間S#1に属し、温度検出値が温度区間T#2に属する場合、1.0Cの充電率C#1_2を用いた定電流充電が行われる。ところが、SOC区間S#1における定電流充電によってSOC区間S#1の終了点でバッテリー11の温度が実際には温度区間T#3に属し得るにも拘らず、従来方式は充電残余時間の予測時、SOC区間S#2においてもバッテリー11の温度が温度区間T#2に留まっていると想定するのである。この場合、温度区間T#2及びSOC区間S#2に関連付けられた充電率C#2_2である1.0Cと、温度区間T#3及びSOC区間S#2に関連付けられた充電率C#3_3である1.2Cとは、0.2Cだけの差があり、このような差分だけSOC区間S#2の開始点から終了点までの充電に必要とされる予測時間と、実際に必要とされる時間との差が発生してしまうのである。また、SOC区間S#2に後続する残りのSOC区間S#3~S#10の各々においても予測値と実際値との時間差が存在することは自明であり、SOC区間S#2~S#10の時間差が累積され、目標SOCに到達するまでの総残余時間に対する予測値と実際値との時間差はさらに大きくなり得る。
【0085】
本発明の特定のSOC区間(例えば、S#1)における定電流の充電中に、次のSOC区間(例えば、S#2)におけるバッテリー温度を予測し、予測されたバッテリー温度を反映して後続のSOC区間(例えば、S#2)でN個の充電率のうちいずれが選択されるかを予測した後、予測された充電率に基づいてSOC区間(例えば、S#2)における充電時間予測値を予測する。これによって、前述した従来方式に比べて現SOC区間から最後のSOC区間までのSOC区間別の充電時間予測値を実際値に近接して求めることができるという技術的効果を奏する。
【0086】
図3は、図1に示したバッテリー管理システム100によって実行される総残余時間の推定プロセスの一例を説明するための模式図である。
【0087】
図1図3を参照すると、StA及びTtAは、目標SOCまでの総残余時間の推定動作が行われる時点、即ち、現時点におけるバッテリー11のSOC推定値及び温度検出値を各々示す。
【0088】
制御部130は、SOC推定値StA及び温度検出値TtAが属するSOC区間S#m及び温度区間T#nを識別し、SOC区間S#m及び温度区間T#nに関連付けられた充電率C#m_nを第1の充電参照マップCRM1から獲得し得る。この際、制御部130は、第1の充電参照マップCRM1からSOC区間S#mの終了点を識別し、SOC区間S#mの終了点とSOC推定値StAとのSOC差ΔS#mを決定し得る。例えば、SOC推定値StAが35%である場合、SOC推定値StAはSOC区間S#4に属し、SOC差ΔS#4は10%-5%=5%となる。
【0089】
続いて、制御部130は、SOC差ΔS#mに対応する容量を充電率C#m_nに割り算し、バッテリー11のSOCが現時点からSOC区間S#mの終了点に到達するまでの残余時間を示す充電時間予測値Δt#mを決定し得る。一例で、バッテリー11の最大容量が1,000mAh、SOC差ΔS#mが5%、そして充電率C#m_nが1.0C(=1,000mA)であるとしよう。それでは、SOC差ΔS#mに対応する容量は20mAhであることから、充電時間予測値Δt#m=20mAh/1,000mA=0.02時間となる。
【0090】
参考までに、バッテリー11の最大容量は、公知の多様な方法のいずれか一つまたは二つ以上の組合せによって推定可能である。一例で、制御部130は、バッテリー11のSOCが第1値にあるときから第2値に到達するまでの期間にかけた電流の積算量をSOCの変化量(即ち、第1値と第2値との差)で割ってバッテリー11の現在の最大容量を算出し得る。または、制御部130は、公知の多様な方法のうちいずれか一つまたは二つ以上の組合せによって演算されたSOH(State Of Health)を所定の設計容量(新品バッテリーの最大容量)に掛け算してバッテリー11の最大容量を決定し得る。
【0091】
次に、制御部130は、充電率C#m_nと充電時間予測値Δt#mを予め与えられたサーマルモデルに入力し、現時点からSOC区間S#mの終了点に到達するまでのバッテリー11の温度変化予測量ΔT#mを決定する。サーマルモデルについては、後述する。
【0092】
制御部130は、温度変化予測量ΔT#mを温度検出値TtAに合算して、SOC区間S#mの終了点におけるバッテリー11の温度を示す温度予測値TtBを決定する。前述したように、SOC区間S#mの終了点は、SOC区間S#m+1の開始点と一致することから、温度予測値TtBは後にバッテリー11のSOCがSOC区間S#m+1の開始点に到達するときのバッテリー11の温度を示すことでもある。
【0093】
SOC区間S#m+1に対する充電時間予測値の予測動作は、第1の充電参照マップCRM1で充電率を決定することにおいて温度検出値TtAの代わりに温度予測値TtBが用いられるということを除いては、SOC区間S#mに対する充電時間予測値の予測動作と共通する。
【0094】
制御部130は、前述した過程を目標SOCが属するSOC区間に対する充電時間予測値が決定されるまで毎SOC区間に対して繰り返すことで、現SOC区間S#mから最後のSOC区間S#Mの各々に対する充電時間予測値が順次に決定され得る。したがって、現SOC区間S#mから最後のSOC区間S#Mに対して決定された充電時間予測値を全て合算すると、現在から最後のSOC区間S#Mに対する定電流充電が完了するまでの総残余時間が決定され得る。
【0095】
以下、サーマルモデルの動作について説明する。
【0096】
サーマルモデルの入力は、充電率、バッテリー温度値及び充電時間予測値を含む。サーマルモデルに入力されるバッテリー温度値は、バッテリー温度センサー115を用いて得られた温度検出値または前述した温度予測値であり得る。サーマルモデルの出力は、温度変化予測量を含む。
【0097】
下記の数式は、サーマルモデルとして利用可能な温度変化推定関数の一例である。
【0098】
<数式>
【数1】
【0099】
上記式において、TBATはバッテリー温度値、αは調整係数(予め決められている。)、Iは充電率に対応する充電電流値、Rはバッテリー11の内部抵抗値、Cはバッテリー11の熱容量(予め決められている。)、Δtは充電時間、TATMは外気温度値、βは熱交換係数(予め決められている。)である。図3を参照して前述した例示を活用すると、上記数式のI、Δt及びTBATに各々C#m_n(これに対応する電流値)、Δt#m及びTtAが入力される場合、上記数式より出力されるΔTはΔT#mである。例えば、バッテリーセルCの最大容量(緩衝容量)が1,000mAh(Ampere-hour)である場合、充電率1.0Cは、充電電流の大きさが1,000mAであることを示す。
【0100】
R及びTATMは各々、予め与えられた固定値であり得る。または、Rは、バッテリー11の充電状況に合わせて制御部130によって調整され得る可変値であり得る。また、上記数式のTATMとしては、外気温度センサー117を用いて得られる外気温度検出値が用いられ得る。
【0101】
図4は、多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程に用いられる例示的な第2の充電参照マップを説明するための図である。第2の充電参照マップCRM2を説明することにおいて、第1の充電参照マップCRM1と共通する内容については重複する説明を省略する。
【0102】
図4を参照すると、第2の充電参照マップCRM2は、バッテリー11のSOC及び温度に対する内部抵抗値(internal resistance)の対応関係を示すテーブルまたは関数であり、「抵抗値マップ」と称し得る。
【0103】
第2の充電参照マップ(CRM2)には、第1から第MのSOC区間S#1~S#M及び第1から第Nの温度区間T#1~T#Nに対する総M×N個の内部抵抗値が記録されている。本明細書で使用される符号としてR#m_nは、SOC区間S#m及び温度区間T#nに関連付けられた内部抵抗値を示す。
【0104】
第1の充電参照マップCRM1と同様に、図4には全体SOC範囲=0~100%、M=10、N=8として示されている。即ち、各々単一SOC区間と単一温度区間の対に関連付けられた総80個の内部抵抗値が第2の充電参照マップCRM2に記録されている。
【0105】
図4に示された第2の充電参照マップCRM2を見ると、特定の温度区間では、SOC区間が目標SOC(例えば、100%)に近接するほどそれに関連付けられた内部抵抗値が次第に増加する傾向があることを確認することができる。一例で、温度区間T#1で、SOC区間S#10に関連付けられた内部抵抗値R#10_1 26.1mΩは、SOC区間S#9に関連付けられた内部抵抗値R#9_1 25.6mΩよりも大きい。
【0106】
また、特定のSOC区間では、相対的に高い温度区間になるほど、それに関連付けられた内部抵抗値が次第に減少する傾向があることを確認することができる。一例で、SOC区間S#5で、温度区間T#3に関連付けられた内部抵抗値R#5_3 6.4mΩは、温度区間T#2に関連付けられた内部抵抗値R#5_2 11.3mΩよりも小さい。
【0107】
勿論、バッテリー11のSOC及び温度に対する内部抵抗値(internal resistance)の対応関係は、バッテリー11の大きさ、重さ、活物質材料、外形などに依存するため、図4は、本発明を説明することにおいて単なる一例として理解しなければならない。
【0108】
上記数式をさらに参照すると、上記数式のRが固定されているしたら、バッテリー11の充電中に実際の内部抵抗値が各温度区間における温度変化量に対する予測に全く考慮されない。そのため、SOC区間別の充電時間予測値を予測することにおいて、温度が反映された内部抵抗値が活用されなければ、バッテリー温度値が現時点から一定に維持されると扱う従来方式と同様に、充電時間予測値の予測値と実際値との間に大きい誤差を生じ得る。このようなことは、第2の充電参照マップCRM2に記録された内部抵抗値は、同じSOC区間においてもどの温度区間であるかによって数倍から数十倍水準の差があることからも充分に予測される問題である。
【0109】
本発明の多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程を経る必要がある毎SOC区間に対する温度変化予測量を計算することにおいて、第2の充電参照マップCRM2から得られる内部抵抗値を、前記数式を参照して例示したサーマルモデルに対する入力変数Rとして用いることで、前述した問題点を大幅に改善することができる。
【0110】
図5は、図1に示したバッテリー管理システムによって行われる総残余時間の推定プロセスの他の例を説明するための模式図である。
【0111】
図5に示した推定プロセスは、第2の充電参照マップCRM2から得られる内部抵抗値をさらに活用するという点で図3に示した推定プロセスとは異なるので、図3を参照して前述した推定プロセスと共通する説明は最大限に省略し、二つの推定プロセッサ間の差異を中心にして説明する。
【0112】
図1図4と共に図5を参照すると、StA及びTtAは各々現時点におけるバッテリー11のSOC推定値及び温度検出値である。
【0113】
制御部130は、SOC推定値StA及び温度検出値TtAが属するSOC区間S#m及び温度区間T#nに関連付けられた充電率C#m_nを第1の充電参照マップCRM1から得ることができる。また、制御部130は、SOC区間S#m及び温度区間T#nに関連付けられた内部抵抗値R#m_nを第2の充電参照マップCRM2から得ることができる。
【0114】
続いて、制御部130は、充電時間予測値Δt#mを決めた後、充電率C#m_n及び充電時間予測値Δt#mと共に内部抵抗値R#m_nをさらにサーマルモデルに入力し、温度変化予測量ΔT#mを決定する。
【0115】
制御部130は、温度変化予測量ΔT#mを温度検出値TtAに合算して、温度予測値TtBを決定する。
【0116】
現SOC区間S#mに後続するSOC区間S#m+1に対する充電時間予測値の予測動作は、第1の充電参照マップCRM1で充電率を決定することにおいて、現時点における温度検出値TtAの代わりにSOC区間S#mの終了点における温度予測値TtBが用いられるということを除いては、前述したSOC区間S#mに対する充電時間予測値の推定動作と共通する。
【0117】
一方、第2の充電参照マップCRM2を活用した内部抵抗値の推定動作と並行するか、またはその代わり、外気温度センサー117を用いて得られる現時点の外気温度検出値をサーマルモデルのTATMとして入力し得る。
【0118】
バッテリー温度とは異なり、外気温度はバッテリー11の充電中に大きく変化しないことが通常である。これによって、現時点以後に充電過程が行われる各SOC区間に対する温度変化予測量を決定する度に、充電開始時点(または現時点)で外気温度センサー117によって検出された外気温度値がサーマルモデルに同一に反復的に入力されてもよい。
【0119】
図6は、本発明の第1実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示すフローチャートである。図6の方法は、多段定電流充電プロトコルを用いたバッテリー11の充電中に、設定時間毎にバッテリー管理システム100によって行われ得る。図6の方法としては、第1の充電参照マップCRM1と第2の充電参照マップCRM2のうち第1の充電参照マップCRM1のみが用いられる。
【0120】
図1図4及び図6を参照すると、段階S610で、制御部130は、バッテリー11の電圧検出値、電流検出値及びバッテリー温度検出値に基づいてバッテリー11のSOC推定値を決定する。制御部130は、設定時間毎に各々決定される電圧検出値、電流検出値、温度検出値及びSOC推定値をメモリー140に記録する。段階S610では、外気温度検出値TATMがさらに決定され得る。
【0121】
段階S620で、制御部130は、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1の充電参照マップCRM1から、バッテリー11のSOC推定値が属する第mのSOC区間(S#m、mはM以下の自然数である。)及び温度検出値が属する温度区間T#nに関連付けられた第mの充電率C#m_nを決定する。第mのSOC区間S#mは現在のSOC区間であり、第mの充電率は第mのSOC区間S#mにおける定電流充電に用いられる充電電流の大きさを示し得る。
【0122】
段階S630で、制御部130は、第mの充電率C#m_nと、SOC推定値と第mのSOC区間S#mの終了点とのSOC差ΔS#mと、に基づき、第mのSOC区間S#mにおける充電時間予測値を決定する。
【0123】
段階S640で、制御部130は、第mの充電率C#m_n及び第mのSOC区間S#mにおける第mの充電時間予測値に基づいき、第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値を決定する。段階S610で外気温度検出値TATMが決定された場合、段階S640では外気温度検出値TATMにさらに基づいて、第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値が決定され得る。
【0124】
前述した段階S640は、mがM未満であることを条件にして行われ得る。mがM未満であるということは、現在充電過程が進行中である第mのSOC区間S#mに後続する少なくとも一つのSOC区間が残っていることを意味する。即ち、第mのSOC区間S#mが第MのSOC区間S#Mではない場合、段階S640が行われ得る。
【0125】
段階S640は、段階S642及び段階S644を含み得る。
【0126】
段階S642で、制御部130は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、第mの充電率C#m_n及び第mのSOC区間S#mにおける充電時間予測値に基づいき、SOC推定値から第mのSOC区間S#mの終了点までの温度変化予測量ΔT#mを決定する。
【0127】
段階S644で、制御部130は、SOC推定値から第mのSOC区間S#mの終了点までの温度変化予測量ΔT#mを温度検出値に合算して、第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値を決定する。
【0128】
図7は、本発明の第2実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。図7の方法は、多段定電流充電プロトコルを用いたバッテリー11の充電中に、設定時間毎にバッテリー管理システム100によって行われ得る。図7の方法においては、第1の充電参照マップCRM1と第2の充電参照マップCRM2とが両方とも用いられる。
【0129】
図1図5及び図7を参照すると、段階S710で、制御部130は、バッテリー11の電圧検出値、電流検出値及びバッテリー温度検出値に基づいき、バッテリー11のSOC推定値を決定する。段階S710は、実質的に段階S610と同一である。
【0130】
段階S720で、制御部130は、多段定電流充電プロトコルに関連付けられた第1の充電参照マップCRM1から、バッテリー11のSOC推定値が属する第mのSOC区間S#m及び温度検出値が属する温度区間T#nに関連付けられた第mの充電率C#m_nを決定する。段階S720は、実質的に段階S620と同一である。
【0131】
段階S722で、制御部130は、第2の充電参照マップCRM2において、第mのSOC区間S#m及び温度検出値が属する温度区間T#nに関連付けられた第mの内部抵抗値R#m_nを決定する。
【0132】
段階S730で、制御部130は、第mの充電率C#m_nと、SOC推定値と第mのSOC区間S#mの終了点とのSOC差(ΔS#m)と、に基づき、第mのSOC区間S#mにおける充電時間予測値を決定する。段階S730は、実質的に段階S630と同一である。
【0133】
段階S740で、制御部130は、第mの充電率C#m_n、第mのSOC 区間S#mにおける充電時間予測値及び第mの内部抵抗値R#m_nに基づき、第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値を決定する。段階S710では、外気温度検出値TATMが決定された場合、段階S740では、外気温度検出値TATMにさらに基づいて第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値が決定され得る。前述した段階S640と同様に、段階S740は、IがM未満であることを条件にして行われ得る。
【0134】
段階S740は、段階S742及び段階S744を含み得る。
【0135】
段階S742で、制御部130は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、第mの充電率C#m_n、第mのSOC区間S#mにおける充電時間予測値及び第mの内部抵抗値R#m_nに基づき、SOC推定値から第mのSOC区間S#mの終了点までの温度変化予測量ΔT#mを決定する。
【0136】
段階S744で、制御部130は、SOC推定値から第mのSOC区間S#mの終了点までの温度変化予測量ΔT#mを温度検出値に合算して、第mのSOC区間S#mの終了点における温度予測値を決定する。
【0137】
図8は、本発明の第3実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示すフローチャートである。図8の方法は、mがM未満であることを条件にして、図6の方法または図7の方法に後続して行われ得る。図8の方法においては、第1の充電参照マップCRM1と第2の充電参照マップCRM2のうち第1の充電参照マップCRM1のみが用いられる。
【0138】
図1図8を参照すると、段階S810で、制御部130は、区間インデックスkをm+1と同一に設定する。
【0139】
段階S820で、制御部130は、第k-1のSOC区間S#k-1における充電時間予測値及び第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値に対する決定が完了したか否かを判定する。段階S820の値が「はい」である場合、段階S830へ進む。
【0140】
段階S830で、制御部130は、第1の充電参照マップCRM1において、第kのSOC区間S#k及び第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定する。
【0141】
段階S840において、制御部130は、第kの充電率及び第kのSOC区間S#kの大きさに基づき、第kのSOC区間S#kにおける充電時間予測値及び第kのSOC区間S#kの終了点における温度予測値を決定する。
【0142】
段階S840は、段階S842及び段階S844を含み得る。
【0143】
段階S842で、制御部130は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、第kの充電率及び第kのSOC区間S#kにおける充電時間予測値に基づき、第kのSOC区間S#kにおける温度変化予測量を決定する。
【0144】
段階S844で、制御部130は、第kのSOC区間S#kにおける温度変化予測量を第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値に合算して、第kのSOC区間S#kの終了点における温度予測値を決定する。
【0145】
段階S850で、制御部130は、区間インデックスkがMと同一であるか否かを判定する。Mは、目標SOCが属する最後のSOC区間S#Mの識別ナンバーであると言える。区間インデックスkがMと同一であることは、最後のSOC区間S#Mに対する充電時間予測値の決定が完了したことを意味する。段階S850の値が「いいえ」である場合、段階S852へ進み、区間インデックスkを1だけ増加させた後、段階S820へ戻る。即ち、前述した段階S820~S852は、kがm+1であるときからMまで増加するまで、反復され得る。
【0146】
段階S850の値が「はい」である場合、段階S860へ進む。
【0147】
段階S860で、制御部130は、第mから第Mの充電時間予測値を合算して、多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまで(即ち、バッテリーのSOCが目標SOCに到達するまで)の総残余時間を決定する。第mから第Mの充電時間予測値は、第mから第MのSOC区間S#m~S#Mに一対一に対応する。
【0148】
図9は、本発明の第4実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。図9の方法は、現在充電過程が進行中であるSOC区間S#mの区間インデックスであるmがM未満であることを条件にして、図6の方法または図7の方法に後続して行われ得る。図9の方法では、第1の充電参照マップCRM1と第2の充電参照マップCRM2が両方とも用いられる。
【0149】
図1図7及び図9を参照すると、段階S910で、制御部130は、区間インデックスkをm+1と同一に設定する。段階S910は、実質的に段階S810と同一である。
【0150】
段階S920で、制御部130は、第k-1のSOC区間S#k-1における充電時間予測値及び第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値に対する決定が完了したか否かを判定する。段階S920は、実質的に段階S820と同一である。
【0151】
段階S930で、制御部130は、第1の充電参照マップCRM1において、第kのSOC区間S#k及び第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの充電率を決定する。段階S930は、実質的に段階S830と同一である。
【0152】
段階S932で、制御部130は、第2の充電参照マップCRM2において、第kのSOC区間S#k及び第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値が属する温度区間に関連付けられた第kの内部抵抗値を決定する。
【0153】
段階S940で、制御部130は、第kの充電率、第kのSOC区間S#kの大きさ及び第kの内部抵抗値に基づき、第kのSOC区間S#kにおける充電時間予測値及び第kのSOC区間S#kの終了点における温度予測値を決定する。
【0154】
段階S940は、段階S942及び段階S944を含み得る。
【0155】
段階S942で、制御部130は、予め与えられたサーマルモデルを用いて、第kの充電率、第kのSOC区間S#kにおける充電時間予測値及び第kの内部抵抗値に基づき、第kのSOC区間S#kにおける温度変化予測量を決定する。
【0156】
段階S944で、制御部130は、第kのSOC区間S#kにおける温度変化予測量を第k-1のSOC区間S#k-1の終了点における温度予測値に合算して、第kのSOC区間S#kの終了点における温度予測値を決定する。
【0157】
段階S950で、制御部130は、区間インデックスkがMと同一であるか否かを判定する。段階S950の値が「いいえ」である場合、段階S952へ進む。段階S950の値が「いいえ」である場合、段階S952へ進み、区間インデックスkを1だけ増加させた後、段階S920へ戻る。段階S950の値が「はい」である場合、段階S960へ進む。段階S950と段階S952は、実質的に段階S850及び段階S852と同一である。
【0158】
段階S960で、制御部130は、第mから第Mの充電時間予測値を合算して、多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程が終了するまでの総残余時間を決定する。段階S960は、実質的に段階S860と同一である。
【0159】
図10は、本発明の第5実施例によるバッテリー充電時間の予測方法を示したフローチャートである。図10の方法は、図6から図9を参照して前述した第1実施例から第4実施例のいずれか一実施例によって充電時間予測値が決定された各SOC区間に対する定電流充電が実際に完了することを条件にして、当該SOC区間を調整するために行われ得る。
【0160】
図1図10を参照すると、段階S1010で、制御部130は、第mのSOC区間S#mにおける実際温度変化量を決定する。第mのSOC区間S#mが多段定電流充電プロトコルを用いた充電開始時点におけるSOC区間である場合、充電開始時点におけるバッテリー温度検出値と、第mのSOC区間S#mの終了点におけるバッテリー温度検出値との差分が第mのSOC区間S#mにおける実際温度変化量として決定され得る。第mのSOC区間S#mが充電開始時点におけるSOC区間に後続するSOC区間である場合、第mのSOC区間S#mの開始点及び終了点における二つのバッテリー温度検出値値間の差分が第mのSOC区間S#mにおける実際温度変化量として決定され得る。
【0161】
段階S1020で、制御部130は、第mのSOC区間S#mにおける実際温度変化量が第mのSOC区間S#mにおける温度変化予測量よりも大きいか否かを判定する。段階S1020の値が「はい」である場合、段階S1030へ進む。
【0162】
段階S1030で、制御部130は、第mのSOC区間S#mにおける実際温度変化量と温度変化予測量との差によって、第mのSOC区間S#mを調整する。
【0163】
一例で、制御部130は、第mのSOC区間S#mの終了点を、前記差に対して所定の量の層間関係を有する調整値だけ減少させ得る。これによって、第mのSOC区間S#mの大きさが前記調整値だけ減少する。また、mがM未満である場合、第mのSOC区間S#mの終了点が前記調整値だけ繰り上げられるということは、第m+1のSOC区間S#m+1の開始点も前記調整値だけ繰り上げられることを意味する。したがって、第m+1のSOC区間S#m+1の大きさは、前記調整値だけ増加する。
【0164】
図10では、区間インデックスmのみについて説明したが、M以下の残りの区間インデックスに対しても共通に適用され得る。
【0165】
図10を参照して前述した第5実施例によれば、予想を越す温度上昇が発生したSOC区間に対する充電過程が早期に終了する一方、当該SOC区間に後続するSOC区間に対する充電過程が早く開始される。図3を参照して前述した第1の充電参照マップCRM1から確認できるように、相対的に高いSOC区間に相対的に小さい充電率が連関されている傾向を有するように作成されていれば、過度な温度上昇を誘発した充電率をそれより低い他の充電率に早期に切り替えて多段定電流充電プロトコルを用いた充電過程を安全に持続し得る。結果的に、充電によるバッテリー11の過熱が防止されるように、第1の充電参照マップCRM1が補正される技術的効果を奏する。
【0166】
また、制御部130は、第1の充電参照マップCRM1の補正に相応するように第2の充電参照マップCRM2も補正し得る。例えば、第1の充電参照マップCRM1の特定のSOC区間が調整される場合、第2の充電参照マップCRM2の前記特定のSOC区間も同一に調整され得る。
【0167】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0168】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0169】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】