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特表2025-501119ブレーキユニット、関節駆動装置及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ブレーキユニット、関節駆動装置及びロボット
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/06 20060101AFI20250109BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20250109BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20250109BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20250109BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20250109BHJP
   F16D 121/14 20120101ALN20250109BHJP
【FI】
F16D55/06 A
B25J19/00
H02K7/102
F16D65/18
F16D121:22
F16D121:14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538071
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022080559
(87)【国際公開番号】W WO2023115720
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111571075.1
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522453131
【氏名又は名称】シャンハイ・フレクシブ・ロボティクス・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】宋庭科
(72)【発明者】
【氏名】王軒
(72)【発明者】
【氏名】安然
【テーマコード(参考)】
3C707
3J058
5H607
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CX01
3C707CX03
3C707CX05
3C707HT26
3C707HT27
3C707HT40
3C707KV01
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA58
3J058AA73
3J058AA78
3J058AA79
3J058AA88
3J058BA44
3J058BA67
3J058CA65
3J058CB14
3J058CC07
3J058CC13
3J058CC72
3J058CC76
3J058DD09
3J058EA13
3J058EA15
3J058FA42
5H607AA00
5H607BB01
5H607CC03
5H607EE07
5H607GG08
(57)【要約】
ブレーキユニットであって、モータロータと、前記モータロータに固定されるブレーキディスクと、前記ブレーキディスクの周囲を取り囲むように固定される摩擦板と、前記モータロータに回転可能に嵌設される軸受と、前記軸受に固定設置される電磁石アセンブリと、前記電磁石アセンブリに固定されるとともに前記摩擦板の一方側に位置されるバッフルと、前記モータロータに摺動可能に嵌設されるとともに前記摩擦板の他方側に位置され、前記ブレーキディスクと前記電磁石アセンブリとの間に位置されるアーマチュアと、前記アーマチュアと前記電磁石アセンブリとの間に設けられるバネアセンブリとを含み、前記電磁石アセンブリが通電停止されると、前記アーマチュアが前記バネアセンブリによって押圧されて前記バッフルに接近する方向へ移動させ、前記摩擦板は、前記アーマチュアと前記バッフルに挟持されることによって、ブレーキが実現させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキユニットであって、
モータロータと、
前記モータロータに固定されるブレーキディスクと、
前記ブレーキディスクの周囲を取り囲むように固定される摩擦板と、
前記モータロータに回転可能に嵌設される軸受と、
前記軸受に固定設置される電磁石アセンブリと、
前記電磁石アセンブリに固定されるとともに前記摩擦板の一方側に位置されるバッフルと、
前記モータロータに摺動可能に嵌設されるとともに前記摩擦板の他方側に位置され、前記ブレーキディスクと前記電磁石アセンブリとの間に位置されるアーマチュアと、
前記アーマチュアと前記電磁石アセンブリとの間に設けられるバネアセンブリとを含み、
前記電磁石アセンブリが通電停止されると、前記アーマチュアが前記バネアセンブリによって押圧されて前記バッフルに接近する方向へ移動し、前記摩擦板は、前記アーマチュアと前記バッフルに挟持されることによって、ブレーキを実現させる、ことを特徴とするブレーキユニット。
【請求項2】
前記モータロータにキー溝が設けられ、
前記ブレーキディスクの内縁に位置決め溝が設けられ、
前記ブレーキユニットは、固定キーをさらに含み、
前記ブレーキディスクは、前記キー溝と前記位置決め溝に同時に挿入された固定キーによって、前記モータロータに固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項3】
前記固定キーの表面に第1粘着剤層がコーティングされている、ことを特徴とする請求項2に記載のブレーキユニット。
【請求項4】
前記モータロータにリング状の第1位置決めボスが設けられ、前記ブレーキユニットは、ワッシャーをさらに含み、前記ワッシャーは、前記第1位置決めボスと前記ブレーキディスクとの間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項5】
前記ブレーキディスクの外縁部は、径方向に延在してブレードを形成し、前記摩擦板の内縁部は、前記ブレードを収容する収容溝を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項6】
前記ブレードは、互いに間隔が空けられる2つのフォークアームを含み、前記2つのフォークアームは、それぞれ前記収容溝の対向する2つの側壁に接触する、ことを特徴とする請求項5に記載のブレーキユニット。
【請求項7】
前記ブレードの数は、6つであり、6つの前記ブレードは、前記ブレーキディスクの外縁部に等間隔で分布し、前記収容溝の数及び位置は、前記ブレードの数及び位置と一対一に対応する、ことを特徴とする請求項5に記載のブレーキユニット。
【請求項8】
前記ブレーキディスクは、金属材料で製造され、前記摩擦板は、非金属材料で製造される、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項9】
前記モータロータにリング状の第2位置決めボスが設けられ、前記軸受の一方側は、前記第2位置決めボスに当接する、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項10】
前記バッフルには、軸方向に延在するストッパ突起が設けられ、前記アーマチュアには、前記ストッパ突起に対応する切り欠きが設けられ、前記バッフルは、前記ストッパ突起を貫通して延在するネジによって前記電磁石アセンブリに固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項11】
前記電磁石アセンブリは、ケースと前記ケース内に収容された電磁石とを含み、前記ケースは、内輪と外輪を含み、前記内輪は、前記軸受に固定嵌設され、前記外輪は、前記バッフルに固定され、前記電磁石は、前記内輪と前記外輪との間に収容されている、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項12】
前記バネアセンブリは、前記外輪に設けられている、ことを特徴とする請求項11に記載のブレーキユニット。
【請求項13】
前記外輪に収容穴が開設され、前記バネアセンブリは、バネと調節ネジを含み、前記調節ネジは、前記収容穴内に移動可能に位置し、前記バネは、一端が前記調節ネジに当接し、他端が前記アーマチュアに当接する、ことを特徴とする請求項12に記載のブレーキユニット。
【請求項14】
前記バネと前記調節ネジとの間にさらにガスケットが設けられている、ことを特徴とする請求項13に記載のブレーキユニット。
【請求項15】
前記軸受の表面に第2粘着剤層がコーティングされている、ことを特徴とする請求項11に記載のブレーキユニット。
【請求項16】
前記軸受は、深溝玉軸受である、ことを特徴とする請求項11に記載のブレーキユニット。
【請求項17】
前記電磁石アセンブリが通電されているとき、前記バッフルと前記アーマチュアとの間の隙間は、前記摩擦板の厚さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキユニット。
【請求項18】
関節駆動装置であって、
モータと請求項1乃至17のいずれか1項に記載のブレーキユニットとを含む、ことを特徴とする関節駆動装置。
【請求項19】
ロボットであって、
請求項18に記載の関節駆動装置を含む、ことを特徴とするロボット。
【請求項20】
複数のロボットアームと複数の関節をさらに含み、複数のロボットアームは、順に接続され、隣接するロボットアームの間は、前記関節によって接続され、前記関節に前記関節駆動装置が設けられている、ことを特徴とする請求項19に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ブレーキの技術分野に関し、特にブレーキユニット、関節駆動装置及びロボットに関するものである。
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年12月21日に中国国家知識産権局に出願した、出願番号が2021115710751であり、出願の名称が「ブレーキユニット、関節駆動装置及びロボット」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットは、自動制御される再プログラミング可能の多用途マニピュレータと呼ばれ、複数の自由度と、独立で作業タスクを実行する能力を有する。その産業用ロボットは、いくつかの軸線を有することができ、それぞれの軸線は、例えば電気モータなどのアクチュエータによって動力供給される。それぞれのモータの作動は、モータの作動をブレーキするブレーキによって停止される。
【0003】
従来のブレーキ機構は、モータロータに固定接続されるための摩擦部材と、前記摩擦部材の一方側に当接するブレーキ部材と、前記摩擦部材の他方側に当接し、前記ブレーキ部材に対する推力が調節可能であるように、前記ブレーキ部材に推力を提供するための推力部材と、ブレーキ指示に基づき前記ブレーキ部材の回転を阻止するためのロック機構とを含む。前記ロック機構は、互いに接続されたストライカ及び駆動部材を含み、前記ブレーキ部材の外輪にブレーキ歯が設けられ、前記駆動部材は、前記ストライカが伸縮することを駆動するために用いられ、それにより、前記ストライカは、前記ブレーキ指示に応じて延出して前記ブレーキ歯に接触することによって、前記ブレーキ部材が回転することを阻止できる。
【0004】
当該マルチディスクブレーキは、ブレーキ制動を実現することができるが、いくつかの明らかな欠点が存在する。
【0005】
(1)軸方向の寸法を多く占め、円周方向上の重量の分布が不均一である。
電磁スイッチが軸方向に装着されているため、関節全体の軸方向上の寸法が大きくなり、他の部材の構造形式や装着する際にさらに影響を与え、関節内部の軸方向上の空間が非常に限られており、軸方向上の構造が十分にコンパクトではない。
【0006】
(2)ブレーキ衝突の信頼性と耐久性が低い。
衝突の回数の増加に伴い、ストライカとブレーキ歯との衝突部位に、多くの小さいピット及び破片が生じると摩耗し、信頼性及び耐久性の低下を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの実施例によれば、ブレーキユニット、関節駆動装置及びロボットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ブレーキユニットであって、モータロータと、前記モータロータに固定されるブレーキディスクと、前記ブレーキディスクの周囲を取り囲むように固定される摩擦板と、前記モータロータに回転可能に嵌設される軸受と、前記軸受に固定設置される電磁石アセンブリと、前記電磁石アセンブリに固定されるとともに前記摩擦板の一方側に位置されるバッフルと、前記モータロータに摺動可能に嵌設されるとともに前記摩擦板の他方側に位置され、前記ブレーキディスクと前記電磁石アセンブリとの間に位置されるアーマチュアと、前記アーマチュアと前記電磁石アセンブリとの間に設けられるバネアセンブリとを含み、前記電磁石アセンブリが通電停止されると、前記アーマチュアが前記バネアセンブリによって押圧されて前記バッフルに接近する方向へ移動させ、前記摩擦板は、前記アーマチュアと前記バッフルに挟持されることによって、ブレーキが実現させる。
【0009】
関節駆動装置であって、モータと上記のブレーキユニットとを含む。
【0010】
ロボットであって、上記の関節駆動装置を含む。
【0011】
本発明の1以上の実施例の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は、明細書、添付図面および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願の上記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示される本願の好ましい実施形態のより具体的な説明からより明らかになる。図面全体を通して、同様の参照番号は同様の部分を指し、図面は、本願の主題を示すことに重点を置いて、実際の寸法に対して縮尺通りに描かれていない。
図1】一実施例に係るブレーキユニットの斜視図である。
図2図1に示すブレーキユニットの正面図である。
図3図1に示すブレーキユニットの分解斜視図である。
図4図2におけるA―A線に沿った断面図である。
図5】摩擦板とブレーキディスクが結合した模式図である。
図6】一実施例に係る関節駆動装置のブロック図である。
図7】一実施例に係るロボットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下では図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明した具体的な実施形態は本願を解釈するためのものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。
【0014】
なお、要素が別の要素に「固定されている」と言及される場合、それは別の要素上に直接あってもよく、または介在要素が存在してもよい。要素が別の要素に「接続されている」と言及される場合、それは別の要素に直接接続されていてもよく、または介在要素が存在してもよい。要素が別の要素に「当接する」と言及される場合、それは別の要素に直接当接してもよく、または介在要素が存在してもよい。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「左」、「右」などの用語は、説明のためのものであり、排他的な実施形態を示すものではない。
【0015】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的用語および科学的用語は、本願が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意およびすべての組合せを含む。
【0016】
図1図3を参照すると、本願の一実施例によれば、ロボットに用いられるブレーキユニット100を提供し、当該ブレーキユニット100は、モータロータ10、ブレーキディスク20、摩擦板30、軸受40、電磁石アセンブリ50、バッフル60、アーマチュア70及びバネアセンブリ80を含む。ブレーキディスク20と摩擦板30は、モータロータ10に嵌設して固定されている。軸受40は、モータロータ10に可動的に嵌設され、電磁石アセンブリ50、バッフル60及びアーマチュア70は、軸受40に固定されている。
【0017】
図3に示すように、モータロータ10は、モータ222(図7を参照)から延出する円柱状の軸である。モータロータ10に軸方向に延在する複数のキー溝12が設けられている。本実施例では、4つのキー溝12は、間隔をあけてモータロータ10の円周表面に等間隔で分布する。ブレーキディスク20は、概ねリング状をなし、その内縁部に複数のキー溝12に対応する複数の位置決め溝22が設けられている。ブレーキユニット100は、複数の固定キー18をさらに含む。固定キー18は、同時にキー溝12と位置決め溝22内に挿入されて、ブレーキディスク20が固定キー18によってモータロータ10に固定されるようになることによって、ブレーキディスク20がモータロータ10と一緒に回転する。本実施例では、固定キー18は、フックキーであり、それは、径方向、円周方向及び軸方向の3つの方向に正確な位置決めを実現することができる。また、固定キー18は、モータロータ10としまりばめされ、装着時に、固定キー18は、両側に第1粘着剤層がコーティングされた後、キー溝12に押し込まれて、構造の安定性と信頼性を向上させる。具体的には、第1粘着剤は、楽泰(LOCTITE)609粘着剤であってもよい。
【0018】
図3及び図4を参照すると、モータロータ10に、さらにリング状の第1位置決めボス14が設けられている。ブレーキユニット100は、ワッシャー90をさらに含む。ワッシャー90は、第1位置決めボス14とブレーキディスク20との間に位置し、ブレーキディスク20のモータロータ10の軸方向上の位置を調節する。第1位置決めボス14の外径がブレーキディスク20の内径よりも大きいため、ブレーキディスク20は、ワッシャー90を介して第1位置決めボス14に当接することができ、それにより、ブレーキディスク20のモータロータ10の軸方向上の位置決めを実現する。
【0019】
図3及び図5を参照すると、概ねリング状のブレーキディスク20は、金属材料で製造されることが可能である。摩擦板30は、概ねリング状をなし、それは、ブレーキディスク20の周囲を取り囲むように固定され、且つブレーキディスク20と同一平面に設けられている。摩擦板30は、非金属材料、例えばセラミックやゴムで製造され、又は他の摩擦係数が適切であるエンジニアリングプラスチックで製造されることが可能である。ブレーキディスク20の外縁部は、径方向に延在してブレード24を形成し、摩擦板30の内縁部にブレード24を収容する収容溝32が開設されている。本実施例では、ブレード24は、概ねU字状をなし、互いに間隔をあけて平行の2つのフォークアーム242、244を含む。2つのフォークアーム242、244は、それぞれ収容溝32の対向する2つの側壁に接触する。本実施例では、ブレード24の数は、6つであり、6つのブレード24は、60°の間隔でブレーキディスク20の外縁部に等間隔で対称に分布する。収容溝32の数及び位置は、ブレード24の数及び位置と一対一に対応する。
【0020】
モータロータ10が静止状態から加速して反時計回りに回転し始めると、ブレーキディスク20は、モータロータ10とともに加速して回転し始め、このとき、フォークアーム242は、収容溝32の1つの側壁に対して圧力F1を生じて、摩擦板30が共に回転するように駆動する。摩擦板30がアーマチュア70とバッフル60によって挟持されてブレーキを実現する際、収容溝32の側壁は、フォークアーム242に対して圧力F1’を生じる。フォークアーム242が細長いロッド構造であり、且つブレーキディスク20が可撓性に優れた材料で製造されるため、摩擦板30がアーマチュア70とバッフル60によって挟持されて回転停止すると、6つのフォークアーム242は、いずれも6つの収容溝32による抵抗F1’を受ける(各フォークアーム242が受けるF1’は異なる)とき、異なる程度の曲げ変形(たわみ)を生成する。その後、フォークアーム242は、自身の弾力による作用で元の形状に復帰し、モータロータ10は、回転停止する。同様に、モータロータ10が静止状態から加速して時計回りに回転すると、ブレーキディスク20は、モータロータ10とともに加速して回転し始め、このとき、フォークアーム244は、収容溝32の他の1つの側壁に対して圧力F2を生じて、摩擦板30が共に回転するように駆動する。摩擦板30がアーマチュア70とバッフル60によって挟持されてブレーキを実現する際、収容溝32の側壁は、フォークアーム244に対して圧力F2’を生じる。フォークアーム244が細長いロッド構造であり、且つブレーキディスク20が可撓性に優れた材料で製造されるため、摩擦板30がアーマチュア70とバッフル60によって挟持されて回転停止すると、6つのフォークアーム244は、いずれも6つの収容溝32による抵抗F2’を受ける(各フォークアーム244が受けるF2’は異なる)とき、異なる程度の曲げ変形(たわみ)を生成する。その後、フォークアーム244は、自身の弾力による作用で元の形状に復帰し、モータロータ10は、回転停止する。従って、フォークアーム244は、少し曲げ変形が発生し、たわみを生じる。従って、起動時もブレーキ時も、ブレーキディスク20のU字状のフォークアーム242、244は、弾性変形することにより、衝突による衝撃エネルギーを吸収することができ、さらに関節内の減速機などの他の部材を保護する。また、従来の単一のブレードの解決手段に比べて、6つのフォークアーム244、242のうちのいずれかは、常に一方向上の力のみを受け、それにより、従来の単一のブレードが左右の2つの方向からの大きな衝撃力を繰り返して受けることによって疲労破壊及び破断を生じやすいという欠陥を回避し、ブレーキディスク20の使用の耐久性及び信頼性を向上させる。
【0021】
図3及び図4を参照すると、軸受40は、モータロータ10の末端に嵌設されている。軸受40の軸受内輪は、モータロータ10としまりばめされて固定され、軸受40の軸受外輪は、軸受内輪に対して自由に回転することができる。本実施例では、軸受40は、深溝玉軸受であり、その特徴は、摩擦抵抗が小さく、回転数が高いことであり、径方向上の負荷、又は径方向及び軸方向で同時に作用する共同負荷を受ける機構に用いることができる。モータロータ10にさらにリング状の第2位置決めボス16が設けられている。第2位置決めボス16の外径が軸受40の軸受内輪の内径よりも大きいため、軸受40の一方側は、第2位置決めボス16に当接することができ、それにより、軸受40のモータロータ10の軸方向上の位置決めを実現する。
【0022】
電磁石アセンブリ50は、軸受40に固定設置されている。図3に示すように、電磁石アセンブリ50は、ケース52と、ケース52内に収容された電磁石54とを含む。ケース52は、概ねリング状をなし、その一方側にリング状の収容キャビティ522が開設されている。リング状の電磁石54は、収容キャビティ522内に固定して収容され、且つアーマチュア70に対向する。収容キャビティ522の深さは、ケース52の厚さよりも小さく、それにより、ケース52を内輪524と外輪526に分ける。内輪524と外輪526は、縁部が面一であり、且つ接続されている(図4を参照)。内輪524は、軸受40の軸受外輪に固定して嵌設され、且つ軸受外輪としまりばめされている。本実施例では、軸受40の軸受外輪に、さらに第2粘着剤層がコーティングされ、それにより、軸受40と電磁石アセンブリ50との接続強度を向上させる。第2粘着剤は、楽泰609粘着剤であってもよい。バネアセンブリ80は、外輪526に設けられている。具体的には、外輪526に複数の収容穴528が開設され、複数のバネアセンブリ80は、それぞれ複数の収容穴528内に収容されている。それぞれの収容穴528は、外輪526の両側を貫通する。収容穴528は、バネ収容部5282とネジ部5284をさらに含む。バネ収容部5282がアーマチュア70に対向し、ネジ部5284は、外輪526のアーマチュア70から離れる一方側に位置するように、バネ収容部5282に連通される。バネ収容部5282の直径は、ネジ部5284の直径よりもわずかに大きい。
【0023】
バネアセンブリ80は、バネ82、調節ネジ84及びガスケット86を含む。バネ82の一端は、収容穴528のバネ収容部5282内に収容され、バネ82の他端は、バネ収容部5282から突出される。または、バネ82は、アーマチュア70の一方側に当接されてもよい。調節ネジ84は、収容穴528のネジ部5284内に螺合され、且つネジ部5284で回転することにより軸方向に移動することができる。ガスケット86は、バネ82と調節ネジ84との間に位置する。従って、L字状のレンチによって調節ネジ84がネジ部5284においての位置を調節することができ、バネ82の初期圧縮量(バネの圧縮変形が大きいほど、弾力が大きくなる)を精密に調節することができ、さらにバネ82のアーマチュア70に対する弾性当接度を調節することにより、アーマチュア70の摩擦板30に対する摩擦力を調節することができる。言うまでもなく、ガスケット86は、省略されてもよく、このとき、調節ネジ84は、バネ82の末端に直接当接する。本実施例では、バネアセンブリ80の数は、6つであり、6つのバネアセンブリ80は、60°の間隔で外輪526に等間隔で対称に分布する。
【0024】
アーマチュア70は、概ねリング状をなし、それは、モータロータ10に嵌設され、且つモータロータ10の軸方向に左右にスライドすることができる。アーマチュア70は、ブレーキディスク20及び摩擦板30の一方側に位置し、バッフル60は、ブレーキディスク20及び摩擦板30の他方側に位置する。バッフル60は、概ねリング状をなし、それは、モータロータ10に嵌設され、且つ電磁石アセンブリ50に固定されている。具体的には、図3に示すように、バッフル60に、軸方向に延在するストッパ突起62が設けられ、アーマチュア70に、ストッパ突起62に対応する切り欠き72が設けられ、バッフル60は、ストッパ突起62を貫通して延在するネジ64によって電磁石アセンブリ50の外輪526に固定されている。従って、バッフル60と電磁石アセンブリ50は、互いに固定され、且つモータロータ10とともに回転せず、アーマチュア70は、バッフル60と電磁石アセンブリ50との間にモータロータ10の軸方向にスライドすることができる。
【0025】
以下では、ブレーキユニット100の作動原理を簡単に説明する。
関節が正常に動作しブレーキが必要されない場合、電磁石アセンブリ50は、正常に通電され、電磁石54が磁性を生じてアーマチュア70を吸着し、このとき、アーマチュア70は、バネ82による弾力に抗してバッフル60から離れる方向に向かって移動し、摩擦板30から分離する。このとき、バッフル60とアーマチュア70との間の隙間は、摩擦板30の厚さよりも大きく、バッフル60と摩擦板30との間に摩擦力がなく、又は摩擦力がブレーキに使用可能な制動力よりもはるかに小さく、このとき、ブレーキディスク20は、ブレーキ解除の状態にあり、モータロータ10は、回転可能であり、それにより、ブレーキディスク20が摩擦板30とともに正常に回転するように駆動される。
【0026】
関節のブレーキ制動が必要される場合、電磁石アセンブリ50が通電停止され、電磁石54からの磁性がなくなり、アーマチュア70は、バネ82による弾力の作用でバッフル60に接近する方向に向かって移動し、さらにアーマチュア70とバッフル60は、摩擦板30をその両側から挟持し、且つわずかに弾性変形可能なブレード24を介して摩擦板30に作用する摩擦トルクをブレーキディスク20に伝達し、最終的に固定キー18を介して摩擦トルクの作用でモータロータ10を回転停止されるによって、ブレーキが実現させる。理解できるように、電磁石アセンブリ50を流れる電流は、徐々に減少する可能性があり、それによって、バネ82のアーマチュア70対する弾力は、徐々に増大し、即ち、アーマチュア70の摩擦板30に対する挟持力は、徐々に増大し、それによりきめ細かく精密な制動効果を奏する。
【0027】
以上のように、本実施例に係るブレーキユニット100は、以下のメリットを有する。
【0028】
(1)ブレーキ摩擦力が調節可能である。複数のバネアセンブリ80は、電磁石アセンブリ50の外輪526に等間隔で分布し、バネ82による弾力は、調節ネジ84によって調節してキャリブレーションし、さらに摩擦力の大きさを調節することができる。
【0029】
(2)新型の摩擦構造になる。従来の構造は、2つの可動アーマチュアの間に2つの摩擦板があり、2つの摩擦板の間に、摩擦輪が存在する。このような構造の欠点は、部材が多く、ブレーキ制御に必要な磁力が大きく、ブレーキ片が摩耗しやすいことである。本願の思想のコアは、バッフル60が固定されてアーマチュア70が可動であることであり、それらの間には、ブレーキディスク20と摩擦板30があり、ブレーキディスク20のU字状のフォークアームと摩擦板30の収容溝32は、凸凹嵌合されている。作動する際に、ブレーキディスク20は、摩擦板30が共に回転するように駆動し、ブレーキする時、バッフル60とアーマチュア70は、非金属材質の摩擦板30を挟持し、摩擦板30は、ブレーキディスク20を止めた後、回転停止し、それにより、ブレーキディスク20は、復帰可能な曲げ変形のみを生成し、ブレーキディスク20が摩耗することがなく、部材が少なく、必要な電磁力が小さく、制御が簡単であり、ブレーキの正確度が高い。
【0030】
(3)新型の締結態様になる。ブレーキディスク20とモータロータ10は、固定キー18に609粘着剤に加えて締結され、組立が便利であり、締結が確実である。
【0031】
(4)より高いシステムのロバスト性と機能の信頼性である。従来技術に比べ、本願に係るバッフル60及びアーマチュア70と摩擦板30との接触面が大きく、円周が等間隔で密着して生成する摩擦トルクがより安定であり、従来の解決手段においてストライカとブレーキ歯との相互衝突による疲労破壊及び破断の状況を避けて、作動の耐久性を向上させる。
【0032】
(5)本実施例に係るブレーキユニット100のレイアウトがよりコンパクトとなり、大幅に関節の内部の軸方向上の空間を節約することができる。ブレーキユニット100の直径は、60mm以内にすることができ、厚さは、20mm以内にすることができ、総重量はより軽い。
【0033】
(6)本願に係る全ての部材は、周方向に等間隔で対称に分布するため、優れた動的バランス効果を奏する。
【0034】
(7)本願の構造が簡単であり、モジュール化の設計や生産が可能であり、回転体によるブレーキの応用シーンに広く適用され、1つのシステムにおいて複数のブレーキ構造が直列に使用されることも可能である。
【0035】
図6に示すように、一実施例に係るロボットに用いられる関節駆動装置200のシステム上の接続構成を示すブロック図である。関節駆動装置200は、主に、モータの出力軸の正確な制御を実現する駆動回路210と、関節の出力端に対して速度測定を行う光電パルスエンコーダ220と、駆動力の出力を提供するホールセンサ付きのサーボモータ230と、回転数を低下させて、駆動トルクを向上させるハーモニック減速機240を含む。関節駆動装置200は、サーボモータ230とエンコーダ220との間に位置するブレーキユニット100をさらに含む。サーボモータ230は、モータロータ10を含む。
【0036】
図7は、複数の自由度(DOF)を有する産業用ロボット300を示す。ロボットは、6つの軸線を有し、且つ軸線のそれぞれのジョイントは、アクチュエータによって駆動される。ロボットは、複数のロボットアーム320と複数の関節340を含み、複数のロボットアーム320は、順に接続され、隣接するロボットアーム320の間は、関節によって接続され、関節に上記の関節駆動装置200が設けられている。
【0037】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0038】
上記実施例は、本願のいくつかの実施形態を示したに過ぎず、その説明は、より具体的かつ詳細になされたものであり、したがって、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。当業者にとって、本願の概念から逸脱することなくいくつかの修正及び改良を行うことができ、これらは全て本願の保護範囲内に含まれることに留意されたい。したがって、この特許出願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】