(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンピュータファイルの証明及び検証によるイベントの認証
(51)【国際特許分類】
G06F 21/64 20130101AFI20250109BHJP
H04N 21/8358 20110101ALI20250109BHJP
H04N 21/21 20110101ALI20250109BHJP
H04N 21/239 20110101ALI20250109BHJP
H04L 67/52 20220101ALI20250109BHJP
G06F 21/16 20130101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F21/64
H04N21/8358
H04N21/21
H04N21/239
H04L67/52
G06F21/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538279
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022087704
(87)【国際公開番号】W WO2023118559
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524235810
【氏名又は名称】ペームス エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】タスレ デリアント,パウル
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA23
5C164FA24
5C164MB35P
5C164SA53P
5C164SB29P
5C164SB41S
5C164SC31P
5C164YA30
(57)【要約】
本発明は、イベント(EV)に関するマルチメディアコンテンツを制御する方法に関し、該方法は、次の工程、即ち、a)通信端末(T1、T2)を用いてイベント(EV)を含むマルチメディアコンテンツをキャプチャーして、マルチメディアファイルを生成すること;b)端末(T1、T2)により生成されたメタデータを復元すること;c)生成されたメタデータをマルチメディアコンテンツに割り当てることにより、マルチメディアファイルを処理して、マルチメディアファイルを証明すること;d)証明されたマルチメディアファイルを中央サーバー(10)に送信すること;e)イベント(EV)に近接する所定の領域に位置する端末(T1’, T2’)に地理的位置情報の通知を発信して、証明されたマルチメディアファイルの存在を通知し、かつ、後者の有効化又は無効化により証明されたマルチメディアファイルの検証を要求することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント(EV)に関するデジタルコンテンツを制御する方法であって、次の工程、即ち、
a)通信端末(T1、T2)を用いて、イベント(EV)に関するデジタルコンテンツをキャプチャーして(S0)、コンピュータファイル(F1、F2)、いわゆるマルチメディアファイルを生成すること(S2);
b)前記キャプチャー(S0)の間に前記通信端末(T1、T2)により生成されたメタデータ(M1、M2)を復元すること(S2);
c)前記生成されたメタデータ(M1、M2)を前記デジタルコンテンツに割り当てることにより、前記マルチメディアファイル(F1、F2)を処理して、前記マルチメディアファイル(F1、F2)を証明するように構成されたデジタル指紋を作成すること(S3);
d)前記デジタル指紋により前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)を中央サーバー(10)に送信すること(S4);
e)前記中央サーバー(10)により、少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティ(T1’、T2’、20)に地理的位置情報の通知(REQ)を発信して(S5)、前記少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティ(T1’、T2’、20)に対して、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)のデジタルコンテンツの有効化により、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)の検証を要求すること(S6)
を含む方法。
【請求項2】
前記発信工程(S5)の間に、通知(REQ)が少なくとも一つのローカルサーバー(20)に発信される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検証工程(S6)の間に、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)のデジタルコンテンツの有効化が、前記デジタルコンテンツと、前記少なくとも一つのローカルサーバー(20)により格納されたローカルデータとの比較を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタルコンテンツが、前記イベントに関する画像を含み、ここで、前記比較が、画像処理アルゴリズムを実行して、前記ローカルデータと前記画像とを比較する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つのローカルサーバー(20)により格納されたローカルデータが、GEOINT及び/又はOSINTタイプである、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記発信工程(S5)の間に、前記イベント(EV)に近接する所定の領域内に位置する全ての通信端末(T1’、T2’)に地理的位置情報の通知(REQ)が発信される、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記検証工程(S6)が、
-前記イベント(EV)に近接する前記所定の領域内に位置する前記通信端末(T1’、T2’)のうちの一つのインターフェース上において前記デジタルコンテンツをユーザーにより視覚化すること;
-前記ユーザーと前記通信端末(T1’、T2’)とを対話させて、前記デジタルコンテンツが、前記領域上で前記ユーザーにより知覚されたイベントと一致しているなら、前記デジタルコンテンツを有効化することを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記通知(REQ)が、前記イベント(EV)に近接する前記所定の領域に位置する前記通信端末(T1’、T2’)に対して、前記イベント(EV)を含む別のデジタルコンテンツをキャプチャーする要求を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記要求(REQ)を受信すると、前記領域に位置する通信端末(T1’、T2’)の少なくとも一つが、前記イベント(EV)を含む別のデジタルコンテンツをキャプチャーし、かつ、第三者のマルチメディアファイルを生成し、この第三者のマルチメディアファイルは、次いで、前記方法の工程b)、c)及びd)を経て、前記中央サーバー(10)が少なくとも一つの証明された第三者のマルチメディアファイル(FC1’)を復元する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記中央サーバー(10)が、前記少なくとも一つの証明された第三者のマルチメディアファイル(FC1’)を、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1)に関連付けて(S7)、前記中央サーバー(10)に接続する全ての通信端末(T3)からアクセス可能な検証されたマルチメディアファイル(FV1)を作成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも他の一組の通信端末(T2、T2’)により、同一のイベント(EV)に関する少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイル(FV2)を作成することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記検証されたマルチメディアファイル(FV1)及び前記少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイル(FV2)が、前記中央サーバー(10)に記録される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
検証されたマルチメディアファイル(FV1)及び前記少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイル(FV2)内に存在する、証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)及び前記証明された第三者のマルチメディアファイル(FC1’、FC2’)のメタデータ(M1、M2)が、互いに比較される(S8)、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記メタデータ(M1、M2)の間に類似性がある場合には、前記検証されたマルチメディアファイル(FV1)と前記少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイル(FV2)とを関連付ける認証されたイベント(EA)の作成(S9)を含み、前記認証されたイベント(EA)が、前記中央サーバー(10)に接続する全ての通信端末(T3)からアクセス可能である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記中央サーバー(10)が、前記メタデータに含まれる前記イベントの位置に関する情報に従って、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC1’、FC2、FC2’)、前記検証されたマルチメディアファイル(FV1、FV2)及び/又は前記認証されたイベント(EA)を参照することを可能にする、前記イベント(EV)のインタラクティブマップ、自動生成されたビデオ又は3Dレンダリングを生成する、少なくとも請求項11又は請求項15記載の方法。
【請求項16】
前記メタデータが、少なくとも、時刻、日付、場所、高度、動き、たどった経路、動きの速度、視点の向き、音声、写真又はビデオその他のコンテンツの性質、キャプチャー時間、通信端末の種類、作成者、説明に関する情報の一部を含む、請求項1~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記領域は、0~100メートルの間、好ましくは実質的に50メートルを含む前記イベント(EV)に対する離隔距離により決定される、請求項1~16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
命令がプロセッサによって実行されるとき、請求項1~17のいずれか一つに記載の方法を実行するための前記命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一つに記載の方法の工程を実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記録されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
イベント(EV)に関するデジタルコンテンツを制御するシステム(100)であって、前記システム(100)が、少なくとも一つの通信端末(T1、T2)及び管理サーバー(10)を備え、かつ、前記通信端末(T1、T2)が、
-イベントを含むデジタルコンテンツをキャプチャーするように構成されたカメラ(21);
-コンピュータファイル、いわゆるマルチメディアファイルを生成するように構成された処理ユニット(22);
ここで、前記処理ユニット(22)が、前記キャプチャーの間に前記通信端末(T1、T2)により生成されたメタデータ(M1、M2)を復元し、かつ、前記生成されたメタデータ(M1、M2)を前記マルチメディアコンテンツに割り当てることにより前記マルチメディアファイルを処理して、前記マルチメディアファイル(F1、F2)を証明するためにデジタル指紋を作成するように構成されている;
及び
-前記証明されたマルチメディアファイルを前記中央サーバー(10)に送信するように構成された通信手段(23);
ここで、前記中央サーバー(10)が、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)を受信した後、少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティ(T1’、T2’、20)に地理的位置情報の通知(REQ)を発信して、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)のデジタルコンテンツの有効化により、前記証明されたマルチメディアファイル(FC1、FC2)の検証(S6)を前記少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティ(T1’、T2’、20)に対して要求するように構成されている;
を備える、前記システム(100)。
【請求項21】
請求項2~17のいずれか一つに記載の方法の工程を実行するように構成されたコンピュータ手段を備える、請求項20記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらゆるタイプのデジタルメディア、とりわけ、例えば、ソーシャルネットワークのようなインターネット上を経て、共有及び/又は公開されることを意図したマルチメディアコンテンツをキャプチャーするためのシステム及び方法の分野に関する。
【0002】
本発明の目的の一つは、例えば、マルチメディアファイルのようなコンピュータファイルに依存することによりイベントを認証(authentification)するための、信頼性が高くかつ堅牢な解決策を提供することにある。本発明の文脈においては、マルチメディアファイルとは、ビデオ、写真、音声(audio)の形式におけるマルチメディア-タイプのデジタルデータを含むあらゆるコンピュータファイルと理解されなければならない。他の形式もまた考慮され得る。
【0003】
本発明はまた、マルチメディアデータ並びに他のデータ、例えば、位置データなどのメタデータ並びに/又は、通信端末及び/若しくは「データ」自体(デジタル及びマルチメディアデータ)に関する固有データ及び/若しくは外部データを含み、かつ、デジタルメディア、とりわけ、例えば、ソーシャルネットワークでのようなインターネット上、又は、あらゆるプライベート又はパブリック、クローズド又はオープンな通信チャネル上で共有及び/又は公開されることを意図される、あらゆるコンピュータファイルの証明(certification)及び検証(verification)をも対象とする。
【0004】
本発明は、情報の共有及び/又は放送チェーンにおいて、とりわけ、インターネット及びソーシャルネットワークにおいて介在する全ての関係者のために、非常に多くの有利な用途を見出すであろうし、そしてそのことは、とりわけ、例えば、ジャーナリスト及び報道のような共有又は放送されるべきあらゆるイベントの目撃者を含む情報製作者のため、及び、この情報の受信者及び放送者、とりわけ、ジャーナリスト及び記者のための通信社及びメディア、即ち、通信社及びメディアのための両者のためにも同様である。
【0005】
本発明はまた、例えば、マルチメディア証拠を参照する分野又はより広範なセキュリティ分野のような他の分野において、他の有利な用途を見出すであろうことが理解されるべきである。従って、本発明はまた、例えば、軍隊、特殊部隊、消防士、救助隊、イベント産業、建設及び公共事業部門、公共サービス等のような、イベントの証明及び検証を必要とするあらゆる用途に適用されることができる。
【背景技術】
【0006】
インターネット、そしてより一般的には、新しい情報及び通信技術(「Information and Communication Technologies」を表すICTという英語の頭字語よっても知られている)は、ここ数年で情報へのアクセス方法を完全に一変させた。従って、多様な代替放送チャンネル、とりわけ、フェイスブック(登録商標)又はツイッター(登録商標)のようなウェブサイト上のソーシャルネットワーク並びに非常に多くのディスカッションフォーラム及びブログは、今日、情報を放送するための避けられないメディアとなっている。
【0007】
いくつかの国においては、代替放送及び受信チャンネル、とりわけ、インターネット及びソーシャルネットワークは、時々、検閲を受けていない情報を人々が入手できる唯一のメディアであり得る。
【0008】
これらの新しいチャネルを通じて、情報が瞬く間に広まり、かつ、リアルタイムで世界中に伝播していくことが分かる。しかし、これらの代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及びこれらのネットワークにおいて流通する情報は、いつでも信頼できるものであるとは言えない。
【0009】
代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及びこれらのソーシャルネットワークにおいて情報を公表する人々は、しばしば極めて稚拙な判断力を示すことが知られている。
【0010】
企業であろうと独立系であろうといずれにせよ、プロのジャーナリストとは異なり、代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及びソーシャルネットワークの利用者は、ジャーナリストとしての倫理に縛られていない。従って、これらのネットワークの利用者は、事実、情報源、情報を検証する必要があるという初歩的なルールに縛られていない。
【0011】
このようなジャーナリストとしてのルールは、ジャーナリストの仕事の基本である。
【0012】
このような情報統制の不在を考慮すると、今日では、代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及びこれらのソーシャルネットワークを通じて、検証されていない膨大な量の情報を伝達することが可能になっている。
【0013】
これらの理由のために、我々は現在、ブロガー、メディア、政治家から発信された情報、そして政府から発信された情報でさえ、不正確であったり、誤りであったり、かつ、完全に虚偽でさえあったりするものを、代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及びこれらのソーシャルネットワークにおいて見出せる。これが「フェイクニュース」である。
【0014】
これらの誤った情報を広めることは、多くの場合、商業的、政治的又はイデオロギー的な目的のために、一般大衆を操作したり又は誤解させたりすることだけを意図している。
【0015】
今日、人々は、もはや企業の通信社から情報を探すのではなく、代替ネットワーク、とりわけ、インターネット及び、フェイスブック(登録商標)又はツイッター(登録商標)のようなソーシャルネットワーク、並びに、いくつかのインフルエンサーから直接に情報を探す故に、この「フェイクニュース」の流布と増加は、インターネット時代において極めて重大である。
【0016】
代替放送チャンネル、とりわけ、ソーシャルネットワークの人気の高まりと、このようなチェックされない情報の増加を考慮すると、発明の内容及びその出所を管理できるようにすることが必須である。
【0017】
もちろん、このようなチャンネル及びネットワークにおいては、これらのマルチメディアファイルは大量に流通し、かつ、極めて膨大なデータ量となる故に、このような管理はより一層困難である。
【0018】
それにもかかわらず、先行技術においては、この現象に取り組むことを意図した解決策を提供する試みがなされてきた。
【0019】
とりわけ、Safe Creative(登録商標)という会社は、デジタルマルチメディアファイルのための著作権証明書を生成及び管理する技術を提供する、Safe Stamper(登録商標)というブランドのもとで商品化された解決策を提供していることが知られている。
【0020】
この先行技術は、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されている。
【0021】
最後の特許文献は、以下の工程、即ち、
- マルチメディアコンテンツの制作時の復元及び表示;
- マルチメディアコンテンツの制作日の復元及び表示;
- キャプチャーされたマルチメディアファイルの表示;並びに
- マルチメディアコンテンツの制作場所の復元及び表示
を含む。
【0022】
それにもかかわらず、本出願人は、この技術に従って展開される解決策は多くの欠点を有しており、即ち、マルチメディアコンテンツの有効化(validation)のプロセスは包括的ではなく、かつ、情報の完全な制御を保証していないと申し立てる。
【0023】
本出願人は更に、この解決策は、マルチメディアファイルの制作プロセスの間に通信端末により生成されるメタデータにより提供される力を十分には利用していないと申し立てる。
【0024】
これは、イベントの発生を考慮することなしに、ファイルの制作プロセスを証明することを可能にするだけである。
【0025】
異なるユーザー間でデータネットワークを通じて交換されるマルチメディアコンテンツの認証の証明の分野に関する特許文献5がまた知られている。
【0026】
特許文献5において提案されている解決策は、主に、デジタル指紋を作成するために、画像のメタデータからアーカイブコードを生成することにより、第一のユーザーの端末を使用して取得されたイベントの画像を証明することを目的としている。
【0027】
この特許文献5 において提案されている方法は、以下の工程、即ち、
-第一のデジタル画像の作成;
-アーカイブ用デジタル指紋の作成をもたらす、デジタル画像の処理の起動;
-第一のデジタル画像上での第一のデジタル指紋の重ね合わせを含む第二の画像の作成;
-アーカイブコードの作成をもたらす、第二のデジタル画像を含む第一のメッセージを、第一の電子端末の通信インターフェースによって少なくとも一人の第一の受信者への発信を含み、
ここで、第一の受信者への第一のメッセージの発信は、同時に、このメッセージを保存するだけの信頼される第三者への第二のメッセージの発信を引き起こす。
【0028】
ファイルコンテンツの検証は、この解決策では不可能である。
【0029】
特許文献5は、堅牢性が十分ではなく、かつ、情報が検証されない複雑な解決策を提供する。
【0030】
それ故、本出願人は、現在までのところ、マルチメディアファイル、そしてより一般的には、コンピュータファイルを制御することによりイベントを認証することを可能にする、信頼性がありかつ堅牢な技術は存在しないと申し立てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】スペイン国登録特許第2472272号明細書
【特許文献2】スペイン国登録特許第2592533号明細書
【特許文献3】スペイン国登録特許第2624916号明細書
【特許文献4】スペイン国登録特許第2659691号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第3095874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は、上記の状況を改善することを目的とする。本発明の一つの目的は、上記背景技術の問題の少なくとも一つを解決することにある。とりわけ、本発明の目的の一つは、イベントに関するデジタルコンテンツを制御するための解決策を提供することにより、種々の上記の欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
第一の態様によれば、本発明の目的は、イベントに関する、例えば、マルチメディアコンテンツのような少なくとも一つのデジタルコンテンツを制御するための方法に関する。
【0034】
本発明によれば、該方法は以下の工程、即ち
a)通信端末(制作端末とも言う)を用いて、例えば、イベントを含むマルチメディアコンテンツのようなデジタルコンテンツをキャプチャーして、コンピュータファイル、いわゆるマルチメディアファイルを生成すること;
b)該キャプチャー工程の間に通信端末により生成されたメタデータを復元すること;
c)該生成されたメタデータをデジタルコンテンツ(例えば、マルチメディアコンテンツ)に割り当てることにより、ファイル(例えば、マルチメディアファイル)を処理して、デジタルファイル(例えば、マルチメディアファイル)を証明するために構成されたデジタル指紋を作成すること;
d)前記デジタル指紋により前記証明されたデジタルファイルを中央サーバーに送信すること;
e)中央サーバーにより、少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティに地理的位置情報の通知を発信して、少なくとも一つのローカルコンピュータエンティティに対して、証明されたマルチメディアファイルのデジタルコンテンツの有効化により、証明されたマルチメディアファイルの検証を要求すること
を含む。
【0035】
一つの実施態様においては、発信工程の間に、少なくとも一つのローカルサーバーに通知を送信することが提供される。本明細書において、これは、前記イベントに関連するローカルデータを含み得るサーバーから成ることを理解されたい。このようなサーバーはどこに設置されていてもよい。それは主に、それが格納する可能性のあるローカルデータによって特徴付けられる。
【0036】
この実施態様においては、検証工程の間に、証明されたマルチメディアファイルのデジタルコンテンツの有効化は、前記デジタルコンテンツとローカルサーバーにより格納されたローカルデータとの比較を含む。
【0037】
好ましくは、該デジタルコンテンツは、前記イベントに関する画像を含む。
【0038】
好ましくは、前記比較は、画像処理アルゴリズムを実行して、前記ローカルデータと前記画像とを比較することである。
【0039】
好ましくは、前記少なくとも一つのローカルサーバーにより格納されたローカルデータは、GEOINT(「地理空間情報(GEO spatial intelligence)」の略)又はOSINT(「オープンソースインテリジェンス(Open Source Intelligence)」の略)タイプである。
【0040】
前の実施態様と組み合わされてよい別の実施態様においては、発信工程の間に、前記イベントに近接する所定の領域内に位置する全ての通信端末に地理的位置情報の通知を発信することが提供される。
【0041】
有利には、検証工程は、
-前記イベントに近接する前記所定の領域内に位置する通信端末のうちの一つのインターフェース上においてデジタルコンテンツをユーザーにより視覚化すること;
-前記ユーザーと前記通信端末との対話により、前記デジタルコンテンツが、前記領域上で前記ユーザーにより知覚されたイベントと一致しているなら、前記デジタルコンテンツを有効化すること
を含む。
【0042】
従って、この第三者による検証は、例えば、ヒューマンマシンインターフェース(例えば、GUIタイプのグラフィカルインターフェース)を介した、デジタルコンテンツの有効化(又は無効化)の形で行われる。従って、夫々の第三者は、自分の端末上でファイルの内容を視覚化することができ、かつ、例えば、「ファイル検証済み」又は「ファイル有効」のボックスをチェックすることにより、その内容を有効化することができる。
【0043】
このように、本発明は、イベントの他の目撃者が、イベントの間に生成されたマルチメディアファイルの内容を有効化又は無効化することを可能にする。この有効化/無効化は、例えば、「はい/いいえ」タイプの調査を使用して、様々な形式に従って行うことができる。
【0044】
本発明の技術的工程、特徴の組み合わせのおかげで、マルチメディアコンテンツのキャプチャーに関連する通信端末のメタデータを活用することにより、インターネット上で流通するマルチメディアコンテンツを単純に制御することが可能になる。
【0045】
有利には、中央サーバーにより発信される通知は、同じイベントに関する別のデジタルコンテンツをキャプチャーするための要求を含む。
【0046】
従って、本発明は、最初に生成されたファイルを、同じイベントに関する他の生成されたファイルにより確認することを可能にする。 この場合、この確認は、それ故、第一のファイルの内容と少なくとも一つの他の第二のファイルの内容との比較を含む。例えば、この比較は、同じイベントの画像を比較して、その中の類似性(測色、動きの検出、形状認識等)を決定することを意図した画像処理アルゴリズムを含むことができる。
【0047】
例えば、コンピュータビジョン(「computer vision」)タイプの人工知能アルゴリズムを使用した、コンテンツとGEOINT及びOSINTデータとの自動化された比較は、ローカルサーバーにより可能にされた前記自動化された比較の結果の解釈を除いて、必ずしも人間の何らかの介入を必要としない。
【0048】
有利なことには、この要求に続いて、その領域に位置する第三者の通信端末の少なくとも一つが、該イベントを含む別のデジタルコンテンツをキャプチャーし、かつ、第三者のマルチメディアファイルを生成し、この第三者のマルチメディアファイルは、次いで、上記の工程b)、c)及びd)を経て、前記中央サーバーが少なくとも一つの証明された第三者のマルチメディアファイルを復元する。
【0049】
有利には、中央サーバーは、少なくとも一つの証明された第三者のマルチメディアファイルを、証明されたマルチメディアファイルと関連付けて、中央サーバーに接続する全ての通信端末(また、いわゆる参照端末)からアクセス可能な検証されたマルチメディアファイルを作成する。
【0050】
このように、本発明は、同じイベントについて、この同じイベントに関する全ての生成されたファイルをカプセル化することを可能にする。このカプセル化は、同じイベントのファイルの良好な信頼性を保証する。
【0051】
有利には、本発明に従う方法は、少なくとも他の一組の通信端末により、同じイベントに関する別の検証されたマルチメディアファイルを作成することを含む。
【0052】
有利には、検証されたマルチメディアファイル及び少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイルは、中央サーバーに記録される。
【0053】
有利には、検証されたマルチメディアファイル及び少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイル内に存在する、証明されたマルチメディアファイル及び証明された第三者のマルチメディアファイルのメタデータは、互いに比較される。
【0054】
例えば、このような比較は、前記中央サーバーにおいて実行された専用の比較アルゴリズムにより、好ましくは自動的な手法で実行される。
【0055】
例えば、このようなアルゴリズムは、また、「機械学習」タイプの学習方法を実行することもできる。
【0056】
この比較の際にメタデータの間に類似性がある場合には、本発明に従う方法は、検証されたマルチメディアファイルと少なくとも一つの他の検証されたマルチメディアファイルとを関連付ける認証されたイベントを作成することを含み、前記認証されたイベントは、サーバーに接続する全ての通信端末(ここでは、いわゆる参照端末)からアクセス可能である。
【0057】
ここで、この認証されたイベントの作成は、専用のアルゴリズムを用いて自動的に行われることが理解されるべきである。
【0058】
有利には、中央サーバーは、メタデータに含まれるイベントの位置に関する情報に従って、証明されたマルチメディアファイル、検証されたマルチメディアファイル又は認証されたマルチメディアファイルの全てを参照することを可能にするイベントのインタラクティブマップ、自動的に生成されたビデオ及び/又は3Dレンダリングを生成する。
【0059】
従って、本発明は、システムの全てのユーザーが利用できるようにしたインタラクティブマップ及び/又はビデオ及び/又は3Dレンダリング上で生成されたファイルを参照することを可能にする。
【0060】
有利には、メタデータは、少なくとも、時刻、日付、場所、高度、動き、たどった経路、動きの速度、視点の向き、例えば、音声、写真又はビデオのようなコンテンツの性質、キャプチャー時間、通信端末の種類(モデル、シリアル番号、参照番号等)、作成者、説明に関する情報の一部を含む。
【0061】
有利には、領域は、0~100メートルの間、好ましくは実質的に50メートルを含む前記イベント又は通信端末に対する離隔距離により決定される。
【0062】
有利には、本発明に従う方法は、マルチメディアコンテンツ、かつ、とりわけ、マルチメディアファイルに含まれる画像及び/又は音(オブジェクト、形状、色、光度、背景ノイズ)の分析を含み、このコンテンツに関連するデジタル指紋をこの分析から生成する。このデジタル指紋は、マルチメディアコンテンツの実際のIDカードを表す。
【0063】
好ましくは、このデジタル指紋は前記証明書と関連付けられる。
【0064】
よって、該証明書は代替不能になる。
【0065】
有利な実施態様においては、該証明書及び該デジタル指紋はブロックチェーン型サーバーに格納されることができる。
【0066】
これに関連して、本発明の目的は、第ニの態様によれば、例えば、イベントに関するマルチメディアコンテンツのようなデジタルコンテンツを制御するためのシステムに関し、前記システムは、少なくとも一つの通信端末及び管理サーバーを備え、ここで、前記通信端末は、
-例えば、イベントを含むマルチメディアコンテンツのようなデジタルコンテンツをキャプチャーするように構成されたキャプチャーユニット(ビデオカメラ、フォトカメラ、ボイスレコーダ等);及び
-コンピュータファイル、いわゆるマルチメディアファイルを生成するように構成された処理ユニット
を備える。
【0067】
有利には、処理ユニットは、キャプチャーの間に通信端末により生成されたメタデータを復元し、かつ、マルチメディアファイルを証明するために、生成されたメタデータをマルチメディアコンテンツに割り当てることにより、コンピュータファイル(例えば、マルチメディアファイル)を処理するように構成され;かつ
有利には、通信端末は、証明されたマルチメディアファイルを中央サーバーに送信するように構成された通信手段を備える。
【0068】
有利には、中央サーバーは、証明されたマルチメディアファイルの受信後に、イベントに近接する所定の領域内に位置する全ての通信端末に地理的位置情報の通知を発信して、証明されたマルチメディアファイルの存在を知らせ、かつ、この領域の各通信端末に対して、マルチメディアコンテンツの有効化又は無効化を通じて、証明されたマルチメディアファイルの検証を要求するように構成される。
【0069】
有利には、本発明に従うシステムは、上記のような方法の工程の実行のために構成されたコンピュータ手段を備える。
【0070】
第三の態様によれば、本発明の目的は、とりわけ、コンピュータプログラムが少なくとも一つのプロセッサによって実行されるときに、本発明の第一の態様に従う方法の工程の実行のために適合された命令を含む該コンピュータプログラムに関する。
【0071】
このようなコンピュータプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、かつ、ソースコード、オブジェクトコード、又は、ソースコードとオブジェクトコードとの間の中間のコード、例えば、部分的にコンパイルされた形式、又は、任意の他の望ましい形式であることができる。
【0072】
第四の態様によれば、本発明の目的は、本発明の第一の態様に従う方法の工程を実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記録されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0073】
一方、記録媒体は、プログラムを格納することができる、あらゆるエンティティ又はデバイスから成り得る。例えば、該媒体は、記憶手段、例えば、ROMメモリ、CD-ROM若しくはマイクロ電子回路タイプのROMメモリ、又は、磁気記録手段若しくはハードディスクを含むことができる。
【0074】
他方、この記録媒体は、また、伝達可能な媒体、例えば、電気又は光信号から成り得、このような信号は、電気又は光ケーブルを介して、従来の高周波又はヘルツ波により、又は、自己制御レーザビームにより、又は、他の手段により、ルーティングされ得る。とりわけ、本発明に従うコンピュータプログラムは、インターネット型ネットワーク上でダウンロードすることができる。
【0075】
あるいは、記録媒体は、コンピュータプログラムが組み込まれた集積回路であってもよく、該集積回路は、考慮される方法を実行するため又は実行に使用されるために適合される。
【0076】
このように、上記のその異なる機能的及び構造的形態のおかげで、本発明の目的は、コンテンツの発信源における制作端末により生成されたメタデータを使用して証明された、この又はこれらの同一のイベントに関するマルチメディアコンテンツの確認により、一つ以上のイベントの発生を認証すること、及び、前記イベントに近接する領域に位置する第三者の端末による有効化又は無効化を通じて該コンテンツの検証を認証することを可能にする。
【0077】
本発明の他の特徴及び利点は、添付された
図1~
図17を参照して、以下の本発明の特定かつ非限定的な実施態様の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】
図1は、本発明の一実施態様に従うイベントに関するマルチメディアコンテンツを制御するためのシステムの構成の概略図を示す。
【
図2】
図2は、マルチメディアファイルの証明のための、
図1に従うシステムの構成の別の詳細な概略図を示す。
【
図3】
図3は、
図1又は
図2に従うシステムにより実行される方法の種々の工程のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図5】
図5は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図7】
図7は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図8】
図8は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図9】
図9は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図10】
図10は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図11】
図11は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図12】
図12は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図13】
図13は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図14】
図14は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図15】
図15は、
図3に従う方法の複数の工程の一つの工程の実行を示す説明図である。
【
図16】
図16は、複数の通信端末が制御されたマルチメディアコンテンツを参照することを可能にする、
図3に従う方法の全ての工程の実行を示す説明図である。
【
図17】
図17は、
図1又は2に従う、本発明の一実施態様に従うイベントに関するマルチメディアコンテンツを制御するためのシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
制御システム100及びそれに関連する方法が、
図1~17を併せて参照して下記において説明される。
【0080】
以下の説明を通して、同一の要素には同一の参照符号が付されている。
【0081】
序文において説明したように、代替放送チャンネル、とりわけ、インターネット及び種々のソーシャルネットワーク上で流通する大量の情報フローは、誤った情報の出現を促進している。
【0082】
本発明は、マルチメディアコンテンツが真正であることを認証するための新しいアプローチを提供することにより、この問題を克服することを目的としている。
【0083】
本発明は、以下の実施例においてこの目的を達成する。
【0084】
この実施例において、かつ、
図16に示されているように、例えば、2021年8月26日午後3時50分頃に発生したカブール空港での爆発事故のようなイベントEVの架空の状況が考慮される。
【0085】
この実施例において、かつ、
図4に示されているように、目撃者U1、ここでは、いわゆるユーザーは、例えば、カメラのようなキャプチャーユニット21を備えた通信端末T1を持っている。
【0086】
図5に示されるキャプチャー工程S0の間に、ユーザーU1は、自身の端末T1のカメラ21を用いて、この爆発EVに関する場面をキャプチャーする。
【0087】
この実施例においては、ユーザーU1は、それ故、午後3時55分に60秒間、この爆発EVを撮影する。
【0088】
この実施例において、かつ、
図5に示されているように、ユーザーU1の通信端末T1は、工程S1の間に、この爆発EVに関するマルチメディアコンテンツ、ここではフィルムを含むマルチメディアファイルF1を生成する。
【0089】
キャプチャーされたマルチメディアコンテンツの真実性を制御するための本発明の基礎をなす概念の一つは、マルチメディアコンテンツをキャプチャーした通信端末により生成されるメタデータを利用することより成る。
【0090】
ここで、キャプチャーユニット21は、また、通信端末自体から分離されていてもよいことに留意されたい。これは、通信端末とは構造的に独立した制作端末(ビデオカメラ、フォトカメラ、ボイスレコーダ等)から成ることができ、かつ、通信端末とキャプチャーユニットとの間のペアリングを可能にする有線又は無線手段により通信端末に直接的又は間接的に接続される。
【0091】
この実施例においては、通信端末T1は、このキャプチャーS0の間に該端末T1により生成されたメタデータM1を復元するように構成された処理アルゴリズムを実行する処理ユニット22を備える(
図6)。
【0092】
これらのメタデータM1は、マルチメディアコンテンツ自体又はマルチメディアコンテンツ自体をキャプチャーするために使用された通信端末に関する複数の情報を記述する。これらのメタデータは、キャプチャーされたマルチメディアコンテンツを特徴付けるものであり、そして従って、マルチメディアコンテンツのソース(タイトル、作成者、日付、時刻、キャプチャー継続時間、端末タイプ、端末モデル等)、マルチメディアコンテンツの性質(ビデオ、写真、音声等)、その情報コンテンツ(記述子、キーワード、要約)、及び、その物理的位置(位置及びGPS座標、高度、動き、辿った経路、動きの速度、メタデータ視点の向き等)に関する情報を含む。これらのメタデータには、更に他の情報もまた含まれることがある。
【0093】
この実施例においては、これらのメタデータM1は、次の情報(場所: カブール;日付:2021年8月26日;時刻:午後3時55分;高度:1,791メートル、向き:垂直;動き:静止;位置:南東;タイプ:ビデオ;継続時間:60秒間;所有者:アリ;キーワード:タリバン等)を含む。
【0094】
それ故、この実施例においては、前記ユニット22の処理アルゴリズムは、工程S3の間に、前記マルチメディアファイルF1(ここでは、該ファイルは、端末T1によりキャプチャーされた爆発のビデオフィルムを含む)に、キャプチャーS0の間に端末T1により生成されたメタデータM1を割り当てることにより、該ファイルF1を処理して、該ファイルF1を証明し、そして従って、証明されたファイルFC1を得る(
図7)。
【0095】
通信端末T1がマルチメディアコンテンツをキャプチャーしたことにより生成されたメタデータM1による、マルチメディアコンテンツを含むファイルF1のこの証明が、本発明の特徴である。
【0096】
この実施例において、かつ、
図8に示されるように、証明されたファイルFC1は、次いで、工程S4の間に、リモートサーバー、例えば、クラウド上のサーバー、即ち、「クラウド」サーバーである中央サーバー10に送信される。
【0097】
通信端末T1は、それ故、中央サーバー10と通信可能な通信手段23を備えることが本明細書で理解されるべきである。このような手段は、例えば、4G(又は3GPP(登録商標)リリース10-バージョン10に従うLTEアドバンスト)又は5Gネットワークのようなモバイルネットワークを使用する慣用的なものである。
【0098】
この実施例において、証明されたファイルFC1は、それ故、専用の通信インターフェース12を介して中央サーバー10により受信され、そして、メモリ11に記録される。
【0099】
例えば、このようなメモリ11は、揮発性及び/若しくは不揮発性メモリ、並びに/又は、揮発性メモリ及び/若しくは不揮発性メモリ、例えば、EEPROM、ROM、PROM、RAM、DRAM、SRAM、フラッシュ、磁気ディスク又は光ディスクを含み得るメモリ記憶装置に相当する。
【0100】
前記証明されたマルチメディアファイルFC1を受信し、かつ、それをメモリ11に記録した後、サーバー10は、工程S5の間に、爆発EVに近接する所定の領域内(例えば、端末T1の周囲半径50メートル以内)に位置する全ての通信端末T1’に、地理的位置情報の通知REQを発信するようにインターフェース12(発信手段)に命令するプロセッサ13を備える。
【0101】
このような通知REQは、端末T1に近接する全ての端末T1’に証明されたマルチメディアファイルFC1の存在を信号で通信し、かつ、これらの端末T1’のそれぞれに対して、前記証明されたマルチメディアファイルFC1の有効化又は無効化により前記証明されたマルチメディアファイルFC1の検証S6を要求することを意図している。
【0102】
この実施例においては、従って、通知REQは、マルチメディアコンテンツ(ここではフィルム)が公開され、かつ、これらの端末T1’がこのコンテンツを検証するよう要求されていることを、端末T1の周囲半径50メートル以内に位置する全ての端末T1’に警告することを可能にする。
【0103】
この通知REQを参照することにより、証明されたファイルFC1の公開場所に近接して存在する各ユーザーが、自分の端末T1’のインターフェース上で証明されたファイルFC1を参照することができ(
図9)、かつ、検証工程S6の間に該コンテンツを有効化するか否かを決定することができる。
【0104】
この実施例においては、例えば、各端末T1’にインストールされた専用アプリケーションのインターフェース上に、有効化のためのアイコンと無効化のための他のアイコンとの二つのアイコンを設けることが可能である。
【0105】
図10に示されるように、第三者ユーザーは、従って、インターフェースとの簡単な対話を通じてマルチメディアコンテンツを有効化(OK)又は無効化(NOK)することができる。
【0106】
この通知REQは、また、証明されたファイルFC1と同一の条件下で、同一のイベントEVに関する第三者の証明されたファイルFC1’を後から生成するための招待状を含む。
【0107】
各端末T1’は、次いで、上記の工程と同一の工程を繰り返して、順に、マルチメディアコンテンツをキャプチャーし、該キャプチャーしたコンテンツを証明するためのメタデータと該キャプチャーしたコンテンツを関連付け、次いで、該第三者の証明されたファイルFC1’を中央サーバー10に送信する。
【0108】
この実施例において、かつ、
図2又は
図11に示されているように、サーバー10のメモリ11は、端末T1’により生成された第三者の証明されたファイルFC1’及び端末T1により生成された証明されたファイルFC1の全てを格納する。
【0109】
更に、とりわけ
図11に示されているように、プロセッサ13は、次いで、工程S7の間に、別の第三者の証明されたファイルFC1’を、検証されたファイルFV1内の証明されたファイルFC1に関連付けるように構成された処理アルゴリズムを実行する。
【0110】
従って、
図12に示されるように、地理的位置情報の通知REQによる検証プロセスの後、証明されたファイルFC1と、証明されたファイルFC1の公開場所に近接して存在するシステムのユーザーにより生成された別の第三者の証明されたファイルFC1’とが関連付けられた検証されたファイルFV1が、サーバー10のメモリ11に記録され、かつ、通信端末T3を備え、かつ、サーバー10にアクセスする、システム100の他の全てのユーザーによって参照可能にされる。
【0111】
本発明の目的の一つは、いくつかの検証されたファイルでイベントEVを認証できることにある。
【0112】
この実施例においては、
図4及び
図16に示されるように、別の端末T2が備えられたユーザーU2を含む別の組のユーザーが提供される。
【0113】
ここで述べられた実施例においては、このユーザーU2がまた、カブールでの爆発EVを目撃している。
【0114】
この実施例においては、ユーザーU2は午後3時56分に現場の写真を撮る。
【0115】
図13に示されているように、ユーザーU2の通信端末T2は、この爆発EVに関する写真を含むマルチメディアファイルF2を生成する。
【0116】
ユーザーU2がユーザーU1と同一の爆発EVを目撃し、かつ、該条件が実質的に同一(カブール、発生時刻、高度)であるなら、メタデータの一部が相違する。
【0117】
この実施例においては、
-ユーザーU1及びU2は、爆発に対して異なる視点(POV、「point of view」"の略)を持っている。即ち、ユーザーU1は南東に位置しており、そして、ユーザーU2は北東に位置している;
-ユーザーU1は静止しており、これに対してユーザーU2は動作しいている
ことに注意しなければならない。
【0118】
端末T2により生成されたマルチメディアファイルF2は、次いで、証明されたファイルFC2を生成するために、マルチメディアファイルF1が証明されるべき上記の全ての工程を経る。
【0119】
従って、上記のように、かつ、
図16に示されたように、証明されたファイルFC2は、また、端末T2’により生成された他の証明された第三者のファイルFC2’を生成するために、端末T2に近接して位置する他の全ての端末T2’に地理的位置情報の通知を発信する中央サーバー10に送信される。
【0120】
この実施例において、かつ、
図14に示されているように、該プロセスの最後に、サーバー10は、次いで、端末T2’により生成された全ての第三者の証明されたファイルFC2’及び端末T2により生成された証明されたファイルFC2を含む別の検証されたファイルFV2を生成する。
【0121】
検証されたファイルFV1及びFV2は、次いで、サーバー10に記録され、かつ、システム100の他の全てのユーザーにより参照可能にされる。
【0122】
この実施例においては、サーバー10のプロセッサ13は、工程S8の間に、検証されたファイルFV1、FV2の全てに存在する、証明されたファイル(FC1、FC2)及び第三者の証明されたファイル(FC1’、FC2’)のメタデータ(M1、M2)(タイムスタンプ、位置、高度、動き、辿った経路、動きの速度、視点の向き、マルチメディアコンテンツの性質、キャプチャー時間、キャプチャーに使用された端末、ファイルの作成者、説明)を分析かつ比較するための要求を策定(formule)するための構成された処理アルゴリズムを含む。
【0123】
検証されたファイル(FV1、FV2)に存在する証明されたファイル(FC1、FC2)と第三者の証明されたファイル(FC1’、FC2’)のメタデータ(タイムスタンプ、場所、視点の向き、説明)との間に類似性がある場合には、該アルゴリズムは、工程S9の間に、検証されたファイルFV1、FV2を、認証されたイベントEAに関連付ける要求を策定する(
図15)。
【0124】
メタデータの分析及び比較の肯定的な結果が検証されたファイル間の類似性をもたらした後、検証されたファイルFV1及びFV2が関連付けられた認証されたイベント EAが、サーバー10に記録され、システム100の他の全てのユーザーにより参照可能にされる。
【0125】
このように、プロセスの最後には、証明と強力な検証とを受け、かつ、イベントを認証することができるコンテンツを全て含む複数のマルチメディアファイルを入手する。
【0126】
このように、本発明は、現場におけるレポーターから通信社のメディアのいたるところまで、編集ネットワークの当事者に多大な利点を提供する。
【0127】
本発明のおかげで、証明されたファイルが通信端末のメタデータを含む故に、レポーターはもはや、自分のファイルの内容(日付、時刻、場所等)を正確に記載する必要はない。
【0128】
メディアはもはや、ソーシャルネットワーク上のコンテンツ若しくはフリーランスのジャーナリストのコンテンツを探す時間 、又は、受け取ったコンテンツがどのような文脈で取り上げられたかを改めて説明する時間を費やす必要がない。
【0129】
本発明の文脈で提案され、かつ、上流での有効化を通してコンテンツを証明することを可能にするアプローチは、受信した各マルチメディアコンテンツの信憑性を体系的に検証しなければならないジャーナリストの、しばしば手間のかかる作業を大幅に削減することを可能にする。
【0130】
これにより、この作業が大幅に容易になり、かつ、検証の不十分なコンテンツを公開する危険を冒したり、又は、受信したコンテンツを参照する過程で時間を失ったりすることが制限される。
【0131】
最後に、通信社にとって、本発明は、
-ソーシャルネットワーク上のコンテンツ又はフリージャーナリストのコンテンツの検索;
-受信したコンテンツの取り上げられた文脈の説明;
-受信したコンテンツのおおよその検証;
-受信したコンテンツを参照するプロセス
に関する時間の損失を大幅に制限する。
【0132】
本発明はまた、検証が不十分なコンテンツを公開する危険を冒すことを制限する。
【0133】
最後に、本出願人は、本発明が、ジャーナリズムを含む他のいかなる職業にも適用可能であると申し立てる。要するに、本発明は、ほとんど偽造がないマルチメディア証拠(ビデオ、写真、音声)を作成すること、及び、更に一般的には、情報(それがジャーナリストの情報から成るかどうかにかかわらず)を参照することを目的としている。
【0134】
従って、本発明は、セキュリティ分野においてより広い用途を見つけ出し、かつ、例えば、空港又は高速道路の現場における技術者、消防士又は法執行部隊により使用されることができ、商品や人に損害を与える可能性のある情報をスマートな方法で彼らが参照するのに役立つと考えることができる。
【0135】
この詳細な説明は、本発明の特定の実施態様を保護するものであるが、いかなる場合においても、この説明は本発明の目的を限定するものではなく、それどころか、以下の特許請求の範囲のあらゆる不正確性又はあらゆる稚拙な解釈を抑制させることを意図しているものであることを認識されたい。
【0136】
以下の特許請求の範囲において括弧の間に付された参照符号は、いかなる場合にも、限定的な性質を有するものではなく、これらの符号は、単に、以下の特許請求の範囲並びに保護を要求する範囲の理解しやすさ及び解釈を向上させることを意図しているものであることを認識されたい。
【国際調査報告】