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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】液浸冷却機器と液浸冷却システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250109BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/20 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538405
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2022138497
(87)【国際公開番号】W WO2023116491
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111580493.7
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520476341
【氏名又は名称】北京字節跳動網絡技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Bytedance Network Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room B-0035, 2/F, No.3 Building, No.30, Shixing Road, Shijingshan District Beijing 100041 China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィー,ジチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シフォン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルォイドォン
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA09
5E322AA11
5E322DA01
5E322DA04
5E322EA05
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
本開示の実施例は、液浸冷却機器と液浸冷却システムを提供する。液浸冷却機器は、冷却を必要とする電子機器を主冷却液に浸漬するように前記主冷却液を密封的に受け入れるのに適している冷却溝と、前記冷却溝に付設され、ケースによって囲まれる内腔と、内腔に受け入れられる主循環部材及び熱交換器とを備える主放熱装置であって、内腔が冷却溝に密封的に連通し、主循環部材が主冷却液を冷却溝と熱交換器の外部との間で循環させるのに適している主放熱装置と、主放熱装置に結合され、補助冷却液を外部冷却源と熱交換器の内部で循環させることを許容して補助冷却液と主冷却液とを熱交換器において熱交換させるように構成されている冷却源インターフェースとを備える。モジュール化液浸冷却機器を採用することにより、データセンターの液浸冷却システムの配備が著しく簡素化されるとともに、液浸冷却システムの配備をより柔軟にし、配備効率を大幅に向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却を必要とする電子機器(200)を主冷却液に浸漬するように前記主冷却液を密封的に受け入れるのに適している冷却溝(102)と、
前記冷却溝(102)に付設され、且つケース(1031)によって囲まれる内腔と、前記内腔に受け入れられる主循環部材(1032)及び熱交換器(1033)とを含む主放熱装置(103)であって、前記内腔が前記冷却溝(102)に密封的に連通し、前記主循環部材(1032)が前記主冷却液を前記冷却溝(102)と前記熱交換器(1033)の外部との間で循環させるのに適している主放熱装置(103)と、
前記主放熱装置(103)に結合され、補助冷却液を外部冷却源(302)と前記熱交換器(1033)の内部で循環させることを許容して前記補助冷却液と前記主冷却液とを前記熱交換器(1033)において熱交換させるように構成されている冷却源インターフェース(104)と
を備える、液浸冷却機器。
【請求項2】
主放熱装置(103)は、前記冷却溝(102)に取り外し可能に付設される、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項3】
前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)とを乗せるのに適しているブラケット(101)をさらに含む、
請求項1又は2に記載の液浸冷却機器。
【請求項4】
一つ又は複数の前記電子機器(200)は、延在方向(E)に沿って前記冷却溝(102)に配置され、且つ
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)のサイズの1.5倍以下である、
請求項1又は2に記載の液浸冷却機器。
【請求項5】
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)のサイズよりも小さい、
請求項4に記載の液浸冷却機器。
【請求項6】
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)の二分の一のサイズよりも小さい、
請求項4に記載の液浸冷却機器。
【請求項7】
前記主冷却液を前記冷却溝(102)と前記熱交換器(1033)の外部との間で循環させるために、前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)の前記内腔との間に配置される複数の出入り貫通孔をさらに備える、
請求項1、2、5、6のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項8】
前記冷却溝(102)は、様々な仕様を有し、前記様々な仕様の冷却溝(102)の深さが異なり及び/又は延在方向(E)におけるサイズが異なり、且つ
前記ブラケット(101)は、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の冷却溝(102)を受け入れるのに適している、
請求項7に記載の液浸冷却機器。
【請求項9】
前記ブラケット(101)に結合され、前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)とのうちの少なくとも一つを支持するのに適している高架ラック(105)をさらに備える、
請求項8に記載の液浸冷却機器。
【請求項10】
前記主放熱装置(103)は、様々な仕様を有し、前記様々な仕様の主放熱装置(103)は、異なる循環放熱能力を有し、且つ
前記ブラケット(101)は、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の前記主放熱装置(103)を受け入れるのに適している、
請求項1、2、5、6、8、9のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項11】
前記冷却溝(102)に結合されて前記冷却溝(102)の頂部開口を密封する蓋(106)をさらに備える、
請求項1、2、5、6、8、9のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項12】
前記蓋(106)は、ヒンジを介して前記冷却溝(102)に回動可能に結合される、
請求項11に記載の液浸冷却機器。
【請求項13】
前記主放熱装置(103)は、前記内腔に配置される液体占有ブロック(1034)をさらに備える、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項14】
前記冷却源インターフェース(104)は、少なくとも2セットの冷却源インターフェース(104)を含む、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項15】
前記冷却源インターフェース(104)は、少なくとも部分的に前記ケース(1031)に配置される、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項16】
少なくとも一つの請求項1~15のいずれか1項に記載の液浸冷却機器(100)と、
前記少なくとも一つの液浸冷却機器(100)の冷却源インターフェース(104)に結合され、補助冷却液を外部冷却源(302)と前記熱交換器(1033)の内部との間で循環させるのに適している補助冷却装置(301)と
を備える、液浸冷却システム。
【請求項17】
前記少なくとも一つの液浸冷却機器(100)は、複数の液浸冷却機器を含み、且つ
前記液浸冷却システムは、複数の保留インターフェースをさらに備え、前記複数の保留インターフェースは、前記冷却源インターフェース(104)に結合されるのに適している、
請求項16に記載の液浸冷却システム。
【請求項18】
前記複数の液浸冷却機器(100)を設置するために所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベース(303)をさらに備え、前記複数の受け入れ部は、前記複数の保留インターフェースに対応する、
請求項17に記載の液浸冷却システム。
【請求項19】
前記主冷却液は、フッ素化液又は鉱油を含み、及び/又は
前記補助冷却液は、脱イオン水を含む、
請求項16~18のいずれか1項に記載の液浸冷却システム。
【請求項20】
大規模なクラスターに配備される液浸冷却システムであって、
所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベース(303)と、
前記複数の受け入れ部の位置に対応する複数の保留インターフェースと、
前記複数の保留インターフェースと外部冷却源(302)との間に配置される補助冷却装置(301)と、
前記受け入れ部に配置される複数の請求項1~15のいずれか1項に記載の液浸冷却機器(100)であって、前記液浸冷却機器(100)の冷却源インターフェース(104)が前記複数の保留インターフェースに結合される複数の液浸冷却機器(100)と
を備える、液浸冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年12月22日に出願された名称が「液浸冷却機器と液浸冷却システム」である中国出願202111580493.7の優先権を主張し、この中国出願の開示内容のすべては、援用により本明細書に取り込まれる。
【0002】
本開示の実施例は、全体的にデータセンター分野に関し、より具体的には、データセンターに冷却を提供するための液浸冷却機器と液浸冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネット、人工知能、クラウドコンピューティングと高性能演算の急速な発展に伴い、データセンターは、企業の業務に大きな変化を推進するだけでなく、生活の質も大幅に向上させている。現在、データセンターは、すでに正式に新たなインフラ建設に組み込まれている。それによって、データセンターは、一部の企業にサービスを提供するものから、社会全体にサービスを提供するものへと広がり、新しい種類のインフラとなっている。
【0004】
新たなインフラでは、データセンターの放熱ソリューション、全体的なエネルギー効率に対してより高い要求が求められている。一方では、ビッグデータ時代の到来に伴い、データは、想象を超える速度で増加しており、大規模なデータの処理、記憶と伝送には、IT機器の消費電力が倍増することが求められ、チップ放熱が巨大な挑戦となっている。従来のデータセンター冷却ソリューションは、すでに電子情報機器の効率的な放熱の需要を満たすことが困難になる。それと同時に、国、地方、業界は、続々とエネルギー政策を打ち出し、データセンターの省エネ指標に対してより高い要求が求められている。より省エネ的、集約的、効率的なIT機器とデータセンター全体のソリューションの需要が強く、液浸冷却方案は、エネルギー効率、迅速なデリバリーの面での優位性が重視されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、従来の技術において存在する上記問題及び他の潜在的な問題を少なくとも部分的に解決するための液浸冷却機器と液浸冷却システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの態様は、液浸冷却機器を提供する。この液浸冷却機器は、冷却を必要とする電子機器を主冷却液に浸漬するように前記主冷却液を密封的に受け入れるのに適している冷却溝と、前記冷却溝に付設され且つケースによって囲まれる内腔及び前記内腔に受け入れられる主循環部材と熱交換器を含む主放熱装置であって、前記内腔が前記冷却溝に密封的に連通し、前記主循環部材が前記主冷却液を前記冷却溝と前記熱交換器の外部との間で循環させるのに適している主放熱装置と、前記主放熱装置に結合されるとともに、補助冷却液を外部冷却源と前記熱交換器の内部で循環させることを許容して前記補助冷却液と前記主冷却液とを前記熱交換器において熱交換させるように構成されている冷却源インターフェースとを含む。
【0007】
本開示の実施例による液浸冷却機器を配備することにより、一方では、主放熱装置自体が内部循環能力(主冷却液循環)と外部循環インターフェース(補助冷却液循環を許容する)とを有するため、主放熱装置自体は、追加の冷量割り当てユニットを必要とせず、モジュール化装置を形成する。この方式により、本開示の実施例による液浸冷却機器は、異なる電子機器などの要因に対して様々な仕様の主放熱装置を提供することによって、冷却効率を向上させることができる。他方では、内部循環能力と外部循環インターフェースとを有する主放熱装置と冷却溝とを付設することにより、モジュール化液浸冷却機器がさらに形成される。本開示の実施例による液浸冷却機器を配備する時に、データセンターの保留インターフェースと液浸冷却機器の冷却源インターフェースとを結合するだけで配備が完了し、それによって分散式の液浸冷却システムが形成される。この方式により、液浸冷却機器の配備が著しく簡素化される。なお、ユーザは、必要な規模に応じて異なる数の液浸冷却機器を選択することができる。一定量の保留インターフェースを保留するだけでよく、ユーザは、業務量の調整に応じて必要な液浸冷却機器を随時増減することができる。これにより、データセンターの液浸冷却機器の配備をより柔軟にし、配備効率を著しく向上させる。
【0008】
いくつかの実施例では、主放熱装置は、前記冷却溝に取り外し可能に付設される。例えば、いくつかの実施例では、主放熱装置は、ブラケットを介して冷却溝に間接的に付設されてもよい。この方式により、異なる電子機器について、異なる仕様の主放熱装置を選定することができる。これにより、冷却効率を向上させ、さらにカーボンニュートラルの実現を促進することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器は、前記冷却溝と前記主放熱装置とを乗せるのに適しているブラケットをさらに含む。ブラケットを採用して冷却溝と前記主放熱装置とを乗せることにより、液浸冷却機器の配備をより容易にする。
【0010】
いくつかの実施例では、複数の前記電子機器は、延在方向に沿って前記冷却溝に配置され、且つ、前記液浸冷却機器の前記延在方向におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さのサイズの1.5倍以下である。冷却溝自体の長さがその高さの2~3倍ひいてはより高い従来の液浸冷却機器に比べて、本開示による液浸冷却機器の、主放熱装置を含む延在方向におけるサイズは、その高さの1.5倍以下、例えば1倍又はより低い。この方式により、小型化の液浸冷却機器を実現する。小型化によって多くの利点をもたらし、例えば必要な冷却規模に応じて柔軟に調整することに更に有利である。これにより、液浸冷却システム及びそのうちの液浸冷却媒体の利用率を向上させる。他方では、小型化によって冷却液のより精確な制御を可能にし、それによって冷却媒体を節約すると同時に電子機器の精確な冷却制御を向上させる。
【0011】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器の前記延在方向におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さのサイズよりも小さい。
【0012】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器の前記延在方向におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さの二分の一のサイズよりも小さい。この方式により、液浸冷却機器のさらなる小型化を実現することによって、冷却媒体をさらに節約すると同時に電子機器の精確な冷却制御を向上させる。
【0013】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器は、前記主冷却液を前記冷却溝と前記熱交換器の外部との間で循環させるために、前記冷却溝と前記主放熱装置の前記内腔との間に密封的に配置される複数の出入り貫通孔をさらに含む。出入り貫通孔の冗長配置を提供することにより、液浸冷却機器の信頼性を向上させる。
【0014】
いくつかの実施例では、冷却溝は、様々な仕様を有する。前記様々な仕様の冷却溝の深さが異なり及び/又は延在方向におけるサイズが異なり、且つ前記ブラケットは、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の冷却溝を受け入れるのに適している。この方式により、ユーザは、冷却する必要のある電子機器のサイズに応じて所要の仕様の冷却溝を合理的に選択することができ、それによって主冷却液をさらに節約し、主冷却液の精確な制御を可能にする。
【0015】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器は、前記ブラケットに結合されるとともに、前記冷却溝と前記主放熱装置とのうちの少なくとも一つを支持するのに適している高架ラックをさらに含む。高架ラックは、深さが比較的低い冷却溝をエレベーティングすることによって、構造の安定性と液浸冷却機器の信頼性を向上させることができる。また、このような配置方式は、冷却源インターフェースと液浸冷却システムの保留インターフェースとの結合の利便性も向上させる。
【0016】
いくつかの実施例では、主放熱装置は、様々な仕様を有する。前記様々な仕様の主放熱装置は、異なる循環放熱能力を有し、且つ前記ブラケットは、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の前記主放熱装置を受け入れるのに適している。この方式により、ユーザは、異なる仕様の冷却溝及び/又は電子機器の数に応じて所要の仕様の主放熱装置を選択することによって、主放熱装置の循環と冷却効率を向上させることができる。
【0017】
いくつかの実施例では、液浸冷却機器は、前記冷却溝に結合されて前記冷却溝の頂部開口を密封する蓋をさらに含む。この方式により、冷却溝における主冷却液と電子機器のメンテナンスをより容易にし、それによってメンテナンス効率を向上させる。
【0018】
いくつかの実施例では、蓋は、ヒンジを介して前記冷却溝に回動可能に結合される。この方式により、液浸冷却機器メンテナンスの利便性をさらに向上させ、それによってメンテナンス効率をさらに向上させる。
【0019】
いくつかの実施例では、主放熱装置は、前記内腔に配置される液体占有ブロックをさらに含む。液体占有ブロックは、主冷却液の使用量を効果的に減少させることによって、液浸冷却機器のコストを低減させることができる。
【0020】
いくつかの実施例では、冷却源インターフェースは、少なくとも2セットの冷却源インターフェースを含む。この方式により、冷却源インターフェースも冗長配置を形成しており、それによって液浸冷却機器の信頼性をさらに向上させる。
【0021】
いくつかの実施例では、冷却源インターフェースは、少なくとも部分的に前記ケースに配置される。この方式により、液浸冷却機器の配備をより容易にする。
【0022】
本開示の第二の方面は、液浸冷却システムを提供する。この液浸冷却システムは、前文の第一の方面に記載の少なくとも一つの液浸冷却機器と、前記少なくとも一つの液浸冷却機器の冷却源インターフェースに結合されるとともに、補助冷却液を外部冷却源と前記熱交換器の内部との間で循環させるのに適している補助冷却装置とを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、少なくとも一つの液浸冷却機器は、複数の液浸冷却機器を含み、且つ前記液浸冷却システムは、複数の保留インターフェースをさらに含む。前記複数の保留インターフェースは、前記冷却源インターフェースに結合されるのに適している。
【0024】
いくつかの実施例では、液浸冷却システムは、前記複数の液浸冷却機器を設置するために所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベースをさらに含む。前記複数の受け入れ部は、前記複数の保留インターフェースに対応する。サーバにおいて大規模な配備を行う場合に、ベースを設置することにより、データセンターの配備時間をさらに短縮することができる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記主冷却液は、フッ素化液又は鉱油を含み、及び/又は前記補助冷却液は、脱イオン水を含む。
【0026】
本開示の第三の方面は、大規模なクラスターに配備される液浸冷却システムを提供する。この液浸冷却システムは、所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベースと、前記複数の受け入れ部の位置に対応する複数の保留インターフェースと、前記複数の保留インターフェースと外部冷却源との間に配置される補助冷却装置と、前記受け入れ部に配置される前文の第一の方面に記載の複数の液浸冷却機器であって、前記液浸冷却機器の冷却源インターフェースが前記複数の保留インターフェースに結合される複数の液浸冷却機器とを含む。液浸冷却機器を大規模なクラスターに配備する時に、まず電子機器と主冷却液を設置することなく、事前にデータセンターにベース及び保留インターフェースを設置し、事前に液浸冷却機器をデータセンターの機械室に配置し、外部冷却源側の送還水管路を接続して試運転を完了することによって、大規模なクラスターに配備される液浸冷却システムを形成することができる。業務需要がある時に、電子機器を購入し、それをこのシステム内に配備して、最後的に電子機器を置く液浸冷却機器に主冷却液を充填する。これで、データセンター全体の配備が完了する。この方式により、データセンターの配備時間を大幅に短縮することができる。
【0027】
理解すべきこととして、この内容部分は、本開示の実施例の肝心又は重要な特徴を識別することを意図せず、本開示の範囲を限定することも意図しない。本開示の他の特徴は、以下の記述によって理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下では、図面を結び付けて本開示の例示的な実施例をより詳細に記述し、本開示の上記目的と他の目的、特徴と利点がより明らかになる。ここで、本開示の例示的な実施例では、同じ符号は、一般的には同じ部材を表す。
図1】従来の液浸冷却システムに使用される冷却溝の概略図を示す。
図2】本開示の実施例による液浸冷却機器の斜視概略図を示す。
図3】本開示の実施例による液浸冷却機器を別の角度から観察する時の斜視概略図を示す。
図4】本開示の実施例による液浸冷却機器を別の角度から観察する時の斜視概略図を示し、ここで、蓋は、その中の電子機器を容易に表示するために開かれる。
図5】本開示の実施例による液浸冷却機器の側面概略図を示す。
図6】様々なタイプの電子機器が本開示の実施例による液浸冷却機器に配置される概略図を示す。
図7】様々なタイプの電子機器が本開示の実施例による液浸冷却機器に配置される概略図を示す。
図8】様々なタイプの電子機器が本開示の実施例による液浸冷却機器に配置される概略図を示す。
図9】本開示の実施例による液浸冷却機器の主放熱装置がブラケットから引き出される概略図を示す。
図10】主冷却液が本開示の実施例による液浸冷却機器の内部を循環する概略図を示す。
図11】本開示の実施例による主放熱装置の側面概略図を示す。
図12】本開示の実施例による液浸冷却システムの配備概略図を示す。
図13】本開示の実施例による液浸冷却システムにおける液浸冷却機器のアレイの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
現在、図面に示す様々な例示的な実施例を参照して、本開示の原理について説明する。理解すべきこととして、これらの実施例の記述は、当業者が本開示をより良く理解し、さらに実現できるようにのみ用いられ、任意の方式で本開示の範囲を限定することを意図していない。注意すべきこととして、可能な場合に図において類似又は同じ符号を使用できる。また、類似又は同じ符号は、類似又は同じ機能を表すことができる。当業者は、以下の記述から、本明細書に記述される本開示の原理を逸脱することなく、本明細書で説明される構造と方法の代替実施例が採用されることができることを容易に認識する。
【0030】
情報と通信産業の急速な発展に伴い、電子機器の集積度と熱密度は、ますます高まっている。チップの消費電力が日増しに上昇し、電子機器の集積度が日増しに成長することに直面して、空気を媒体として電子製品を放熱するという従来の技術は、ますます需要を満たすことができなくなり、業界は、より高密度の放熱ソリューションを求め始め、浸漬式冷却は、人々の視野に入り始まった。
【0031】
浸漬式冷却は、液浸冷却とも呼ばれ、サーバなどの電子機器200を非導電性の液体に浸漬して放熱を行うことによって、その温度を合理的な範囲内に制御することである。以下は、主に電子機器がデータセンターに採用される様々なタイプのサーバであることを例にして本開示の構想を記述する。理解すべきこととして、本開示の実施例による液浸冷却機器100又は液浸冷却システムは、電子機器を冷却する必要がある他の任意の適切な場合にも同様に適用される。図1には、一般的に従来の浸漬式冷却方案に使用される冷却溝500が示されている。データセンターにおいて、浸漬式冷却を採用する電子機器が冷却溝500における冷却液に浸漬され、冷却液が熱交換器において空気又は水などの補助冷却液と熱交換することによって、効率的な冷却が実現される。
【0032】
液浸冷却が台頭した当初は、比較的大きい規模のデータセンターの需要を満たすために、一般的には、比較的大きい容量を有する冷却溝500を採用して一つの冷却溝500に比較的に多い電子機器を収容する。サーバなどの複数台の電子機器は、延在方向に沿って冷却溝500に並べられる。従来の冷却溝500の延在方向におけるサイズ(即ち、長さ)は、一般的に50U以上に達することができ、物理的な長さは、2-3メートル程度ひいてはより長い。Uは、電子機器の外部サイズを表す単位であり、unit(ユニット)の略語である。情報と通信産業の急速な発展に伴い、容量が比較的大きい冷却溝500も多くの問題に直面している。例えば、容量が比較的大きいため、配備の柔軟性が低く、それによって運行メンテナンスの面の複雑度とコストを増加させる。なお、冷却溝の長さが比較的長いため、その中に浸漬される電子機器のメンテナンスを行う時に、ユーザは、一般的に冷却溝500の幅方向においてこれらの電子機器の操作とメンテナンスを行うことしかできず、これは、電子機器のメンテナンスにいくつかの不便をもたらす。
【0033】
なお、現在の冷却溝500の冷却液は、普通、コストが比較的高い。冷却溝500が比較的大きい容量を有するため、必要な冷却液も多くなる。これは、特に冷却溝500にそれほど多くの電子機器を必要としないいくつかの場合には、必ずコストの上昇を招くことになる。例えば、冷却溝500の収容能力が50台の電子機器であるとすると、例えばいくつかの小規模企業にとって、10台の電子機器のみを必要とする場合がある。このような冷却溝500を使用する時に、10台の電子機器を設置する場合と50台の電子機器を設置する場合とは同様に、やはり同様な冷却溝を必要とし、同様ひいてはより多くの冷却液を提供する必要があり、コストが大幅に増加してしまう。
【0034】
また、現在の液浸冷却システムの安定性が比較的悪く、冷却液の出入りインターフェースに目詰まりなどの問題が発生するリスクが高くなる。それによって、冷却溝500全体に浸漬される電子機器が作動不能となるリスクも高くなり、さらに比較的大きい損失が発生してしまう。
【0035】
前文に言及されたように、液浸冷却システムは、様々な型番と異なるサイズの電子機器を冷却することができる。しかしながら、現在の冷却溝500は、最大サイズの電子機器に適応できるように、一般的に統一された比較的大きい深さを有する。このような場合に、比較的小さいサイズの電子機器がその中に浸漬されると、その中の大部分のスペースが空きになり、さらにスペース及びその中の冷却液の無駄にもつながる。
【0036】
また、従来の冷却溝500は、現在、冷却液と水などの補助冷却液を熱交換器において熱交換することを単独で実現することができない。現在、従来の冷却溝500にとって、専門の冷量割り当てユニット(CDU)を配備して熱交換を実現する必要もある。しかしながら、冷量割り当てユニットの配備、冷却溝500の配備及びその中に設置される電子機器の配備は、いずれも一定の関連性と割合関係を必要とすることによって、従来の液浸冷却システムの設計が複雑になり、よって設計と施工が遅いなどの効率低下などの問題を招いてしまう。なお、冷量割り当てユニットと、冷却溝と電子機器との間の関連性と割合関係のため、液浸冷却システムは、配備完了後に業務量の調整に応じて電子機器の数などを調整することが困難となり、それによって柔軟性が悪いなどの様々な問題を招いてしまう。
【0037】
本開示の実施例は、従来の液浸冷却機器とシステムにおける上記又は他の潜在的な問題を少なくとも解決するか又は少なくとも部分的に解決するための液浸冷却機器100及び液浸冷却システム300を提供する。図2図3図4は、異なる角度から観察される本開示の実施例による液浸冷却機器100の斜視概略図を示す。図5は、液浸冷却機器100の側面概略図を示す。ここで、図4において液浸冷却機器100の蓋106は、その中の電子機器を容易に表示するために開かれる。
【0038】
図2から図5に示すように、本開示の実施例による液浸冷却機器100は、全体的に冷却溝102と、主放熱装置103と、冷却源インターフェース104とを含む。冷却溝102は、電子機器200を冷却液に浸漬するように冷却液と冷却を必要とする電子機器200とを密封的に受け入れるために用いられる。冷却溝102には、一つ又は複数の電子機器200が設置されてもよい。複数の電子機器200は、延在方向Eに沿って冷却溝102に並べられてもよい。冷却溝102における電子機器200は、様々なタイプのサーバであってもよい。例えば、図6から図8に示すように、記憶型サーバ、計算型サーバと計算記憶総合型サーバなどを含んでもよいが、それらに限らない。
【0039】
図6から図8は、冷却溝102の上面図を示す。ここで、冷却溝102に収容される様々なタイプの電子機器200がそれぞれ示されている。図6図8から分かるように、配備密度を最大化するために、冷却溝102における電子機器200は、大体延在方向Eに沿って鉛直に冷却溝102に挿着されてもよい。冷却溝102には、電子機器200の配置を容易にするために、電子機器200を挿着するための構造又はモジュールが設置されてもよい。この方式により、一方では、電子機器200は、より大きい密度で冷却溝102に配列されることができる。他方では、オペレータは、電子機器200のメンテナンスをより容易に行うことができる。
【0040】
冷却溝102に貯留される冷却液は、非導電性の液体を採用する。非導電性の液体として、例えばフッ素化液又は鉱油などを含んでもよいが、それらに限らない。以下において、他の冷却液と区別するために、冷却溝102における冷却液は、主冷却液と称される。
【0041】
電子機器200とそのうちの主冷却液のメンテナンスを容易にするために、冷却溝102は、頂部開口を有する。いくつかの実施例では、冷却溝102の頂部領域全体は、電子機器200と主冷却液のメンテナンスを容易にするために、すべて頂部開口領域であってもよい。密封を実現するために、液浸冷却機器100は、冷却溝102の頂部開口に設置される蓋106をさらに含む。蓋106は、冷却溝102に密封的に結合されて冷却液の密封を実現する。いくつかの実施例では、蓋106は、ヒンジなどの方式で冷却溝102に回動可能に配置されてもよい。電子機器200又は主冷却液のメンテナンスを行う必要がある場合、蓋106をヒンジを中心に回動させるように操作することによって蓋106を開くことができる。密封を提供するために、蓋106と冷却溝102とが接合する位置に、シールリングを設置してもよい。
【0042】
理解すべきこととして、蓋106がヒンジなどの方式で冷却溝102に結合される実施例は、概略的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定することを意図しない。他の任意の適切な方式又は配置も可能である。例えば、いくつかの代替の実施例では、蓋106は、冷却溝102に直接設置されてもよいし、冷却溝102からすべて取り外されてもよい。
【0043】
主放熱装置103と冷却溝102との配備を容易にするために、いくつかの実施例では、本開示の実施例による液浸冷却機器100は、ブラケット101をさらに含んでもよい。ブラケット101は、冷却溝102と主放熱装置103を乗せるための耐荷重構造であってもよい。図2から図5は、ブラケット101が大体フレーム型構造を有することを示すが、理解すべきこととして、図2から図5に示すこのような方式は、概略的なものにすぎず、本開示による保護範囲を限定することを意図しない。他の任意の適切な構造又は配置も可能である。例えば、いくつかの代替の実施例では、ブラケット101は、板状部材で構築される全閉鎖又は半閉鎖型ケース1031構造であってもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、冷却溝102は、ブラケット101の第一の部分に固定的に設置されてもよい。主放熱装置103は、第一の部分に隣接する第二の部分に設置されてもよい。冷却溝102は、例えば溶接、締結具接続及び締まり嵌めなどの方式で第一の部分に固定的に設置されてもよい。主放熱装置103は、主放熱装置103のメンテナンスと交換を容易にするために、取り外し可能な方式でブラケット101の第二の部分に配置されてもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、スペースを節約し且つ配置を容易にするために、ブラケット101の、冷却溝102を乗せるための第一の部分と主放熱装置103を乗せるための第二の部分とは、異なる高さを有してもよい。例えば、図4に示すように、ブラケット101の冷却溝102を乗せるための部分の高さは、主放熱装置103を乗せるための部分の高さよりも大きくてもよい。無論、理解すべきこととして、これは、概略的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定することを意図しない。いくつかの代替の実施例では、ブラケット101の各部分は、均一な高さを有してもよい。ブラケット101の使用により、液浸冷却機器100のモジュール化を促進し、それによって液浸冷却機器100の配備をより容易にする。
【0046】
主放熱装置103の取り外しを容易にするために、いくつかの実施例では、主放熱装置103は、所定の位置に設置される取っ手1035を含んでもよい。例えば、図9は、取っ手1035が主放熱装置103の天井壁に設置されることを示す。なお、主放熱装置103のブラケット101におけるロックを容易にするために、いくつかの実施例では、ブラケット101には、ロック装置が設置されてもよい。主放熱装置103の対応する位置には、ロック装置と嵌合する溝、穴又はバックルなどのロック構造が設置されてもよい。主放熱装置103がブラケット101において所定の位置に置かれた後、ロック装置は、自動的又は手動でロック構造に嵌合されて主放熱装置103のブラケット101におけるロックを実現することができる。主放熱装置103の交換又はメンテナンスが必要な場合、ロック装置を操作してロックを解除した後にさらに取っ手1035を操作するだけで、主放熱装置103をブラケット101から取り外し、新たな主放熱装置103に交換する。
【0047】
理解すべきこととして、上記の、主放熱装置103がブラケット101を利用して冷却溝102に間接的に付設される実施例は、概略的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定することを意図しない。主放熱装置103と冷却溝102とは、他の任意の適切な付設方式を採用してもよい。例えば、いくつかの代替の実施例では、主放熱装置103は、例えばカードバックル、締結具及び係止溝などの方式で、冷却溝102に取り外し可能に直接付設されてもよい。以下は、主に主放熱装置103と冷却溝102とがブラケット101に結合されて配備される方式で本開示による構想を記述する。理解すべきこととして、主放熱装置103と冷却溝102との間の他の結合方式についても類似しており、そのため後述においてそれぞれの詳細な説明を省略する。
【0048】
主放熱装置103は、密閉式構造である。は、ケース1031によって密封される内腔と、内腔に受け入れられる主循環部材1032と熱交換器1033とを含む。この方式により、主放熱装置103は、モジュール化装置を形成する。主放熱装置103は、ブラケット101に配置される時に冷却溝102に隣接して設置される。主放熱装置103の内腔は、冷却溝102に密封的に連通する。主循環部材1032は、主冷却液を冷却溝102と内腔に循環させ、より具体的には、冷却溝102と熱交換器1033の外部に循環させるために用いられる。
【0049】
熱交換器1033は、換熱器とも呼ばれ、熱をある媒体から別の媒体に伝達する機器である。本開示にとって、電子機器200の熱を主冷却液から脱イオン水などの補助冷却液に伝達するための機器である。熱は、熱交換器1033の構造と材料を介して伝導される。熱交換器1033の構造は、主冷却液と補助冷却液とを分離する。例えば、主冷却液は、熱交換器1033の外部を流れ、補助冷却液は、熱交換器の内部を流れる。本明細書において熱交換器1033の外部にあるものを主冷却液と称し、熱交換器1033の内部にあるものを補助冷却液と称するが、理解すべきこととして、これは、ただ冷却液を区別するためのものであり、冷却効果の差別を表すことを意図しない。本開示における主冷却液と補助冷却液との、熱交換器1033における熱交換により、電子機器200の効果的な冷却を実現する。いくつかの場合に、主冷却液は、一次冷却液とも呼ばれ、補助冷却液又は、二次冷却液とも呼ばれる。
【0050】
この方式により、主放熱装置103における主循環部材1032と熱交換器1033の上記配置方式によって、主放熱装置103は、モジュール化装置を形成する。循環放熱能力の違いに応じて、様々な仕様の主放熱装置103を設置してもよい。ユーザは、冷却する電子機器200の違い及び冷却溝102の違いに応じて適切な仕様の主放熱機器103を選択することによって、冷却効率をさらに向上させることができ、これについて後述においてさらに記述する。
【0051】
いくつかの実施例では、冷却効率を向上させるために、熱交換器1033は、例えばラビリンス型などのミクロ構造を有してもよい。これにより、冷却媒体の間の接触面積を保証し、効率的な熱交換を保証することができる。この方式により、電子機器200の放熱をより効率的に行うことができる。
【0052】
図10は、本開示の実施例による液浸冷却機器100の側面断面図を示す。図10に示すように、いくつかの実施例では、液浸冷却機器100は、複数の出入り貫通孔をさらに含む。出入り貫通孔は、冷却溝102と主放熱装置103の内腔との間に設置される。例えば、いくつかの実施例では、出入り貫通孔は、冷却溝102と主放熱装置103の内腔との間に配置される板又は壁に設置されてもよい。出入り貫通孔は、主冷却液の、冷却溝102と主放熱装置103の内腔との間の連通を実現する。
【0053】
いくつかの実施例では、出入り貫通孔は、上方に配置される複数の入口と、下方に配置される複数の出口とを含んでもよい。ここでの「入」と「出」は、主放熱装置103の内腔に対する主冷却液の流れ方向である。主循環部材1032により、主冷却液は、下方の出口から冷却溝102に入る。主循環部材1032の駆動により、冷却溝102に入る主冷却液は、下から上へ流れ、最終的に上方の入口から再び主放熱装置103の内腔に入る。主冷却液は、主放熱装置103の内腔において主放熱装置103における熱交換器1033の外部を通過して熱を奪われて降温した後に下方の出口から再び冷却溝102に入る。この往復循環によって冷却溝102における電子機器200の冷却を実現する。
【0054】
一方では、主冷却液の冷却溝102におけるこのような下から上への循環方式は、電子機器200の熱を奪うことにより有利である。他方では、主放熱装置103の内腔において、主冷却液は、重力及び主循環部材1032の駆動力の作用下で上から下へ熱交換器1033を通過することによって、主冷却液と熱交換器1033の内部の補助冷却液との熱交換により有利であり、熱交換効率をさらに向上させる。いくつかの実施例では、主循環部材1032は、一つ又は複数の循環ポンプを含んでもよい。
【0055】
なお、前文の記述からも分かるように、本明細書で採用される熱交換器1033は、液液熱交換を採用するものである。従来方案において気液熱交換を採用する方式に比べて、このような熱交換方式は、より効率的であり、よって液浸冷却機器100全体の冷却効率を向上させる。
【0056】
いくつかの実施例では、冷却溝102と主放熱装置103における内腔とを連通するための出入り貫通孔は、複数設置されてもよい。この方式により、出入り貫通孔の冗長設計を提供している。そのうちの一つの貫通孔に詰まりなどの故障が発生しても、冷却溝102と主放熱装置103における内腔との間を連通する主冷却液の効果的な流通と循環に影響を与えることなく、よって冷却効果を保証する。
【0057】
なお、さらに説明すべきこととして、本開示の実施例による液浸冷却機器100は、小型化機器を採用している。具体的には、いくつかの実施例では、液浸冷却機器100の延在方向Eにおけるサイズは、その高さHの1.5倍以下であってもよく、又は液浸冷却機器100のサイズが最大30Uであると言える。例えば、液浸冷却機器100の延在方向Eにおけるサイズは、その高さHのサイズよりも小さくてもよい。いくつかの代替の実施例では、液浸冷却機器100の延在方向Eにおけるサイズは、その高さHのサイズの二分の一よりも小さくてもよい。多くの電子機器200のサイズを考慮すると、液浸冷却機器100の高さHは、一般的には1メートル程度である。つまり、いくつかの実施例では、液浸冷却機器100の延在方向Eにおけるサイズは、1.5メートル以下であってもよく、例えば1メートル又は0.5メートルよりも小さい。これにより、液浸冷却機器100は、小型化のサイズを有する。前文に言及されたように、従来の液浸冷却機器100について、単一の冷却溝102の長さ(即ち、延在方向Eにおけるサイズ)は、2~3メートル程度であり、これは、やはりその必要な液浸冷却割り当てユニットなどを含まないサイズである。前文に言及されたように、冷却溝102の容量が大きいことも、様々な問題をもたらしている。
【0058】
これに対して、本開示による液浸冷却機器100にとっては、液浸冷却機器100全体(冷却溝102と主放熱装置103とを含む)の延在方向Eにおけるサイズは、1.5メートル以下であり、例えば1メートル又は1メートル以下である。本開示の実施例による液浸冷却機器100は、小型化のサイズを採用することにより、一方では、オペレータは、液浸冷却機器100の各方向においてその中の電子機器200の操作とメンテナンスを行うことができ、メンテナンスをより容易にし、よって誤操作を回避する。これにより、メンテナンスの信頼性と効率を向上させる。
【0059】
他方では、小型化の液浸冷却機器100が小型化の冷却溝102を採用することにより、各冷却溝102に置かれる電子機器200の数が多くない。これは、数が比較的少ない電子機器200のみを必要とするいくつかの企業にとって、電子機器200の運営コストを低減させることができるが、本開示の実施例による液浸冷却機器100を大型データセンターに応用することには全く影響を与えない。具体的には、本開示の実施例による冷却溝102に置かれる電子機器200の数が多くないが、前文に言及されたモジュール化構造及び配備しやすさなどの優位性を備えるため、複数の液浸冷却モジュールを迅速且つ便利に配備することにより、より便利な方式などで大型データセンターの必要を満たすことができる。
【0060】
なお、小型化の液浸冷却機器100を採用する優位性はさらに、冷却溝102に置かれる電子機器200の数が多くないからこそ、そのうちの一つの液浸冷却機器100に故障が発生した場合、従来の大型冷却溝102に比べて、それによる影響と損失を大幅に低減させ、よって故障コストとメンテナンスコストをさらに低減させることである。
【0061】
また、小型化の冷却溝102と主放熱装置103との組み合わせにより、冷却溝102における主冷却液の液位制御をより精確にする。従来の大型冷却溝102の方案にとって、その冷却液の液位の制御精度を最大センチメートルレベルにすることができる。本開示の実施例による液浸冷却機器100にとって、主冷却液の液位制御精度をミリメートルレベルにすることができる。主冷却液の液位制御精度の向上は、電子機器200の放熱及びコストの更なる最適化制御にも有益である。
【0062】
いくつかの実施例では、冷却溝102は、様々なタイプの異なるサイズの電子機器200に適応するために、様々な仕様を有してもよい。様々な仕様の冷却溝102の深さは、異なってもよい。サイズが比較的小さいいくつかの電子機器200について、比較的小さい深さ仕様を有する冷却溝102を採用してもよい。サイズが比較的大きいいくつかの電子機器200について、比較的大きい深さ仕様を有する冷却溝102を採用してもよい。このような配置方式により、主冷却液の無駄をさらに低減させることができ、よって、主冷却液の利用率を向上させることができる。
【0063】
深さが異なる冷却溝102の配備を容易にするために、いくつかの実施例では、液浸冷却機器100は、比較的小さい仕様を有する冷却溝102に用いられる高架ラック105をさらに含んでもよい。高架ラック105を使用することにより、比較的小さい仕様を有する冷却溝102の液浸冷却機器100の高さ上の不足を補うことができ、よって比較的高い仕様を有する冷却溝102の液浸冷却機器100と一致させる。例えば、冷却源インターフェース104は、液浸冷却機器100の大規模な配備をより容易にするために、同一レベルに保持されてもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、代替的又は追加的に、様々な仕様の冷却溝102の延在方向Eにおけるサイズは、異なってもよい。この方式により、様々な仕様の冷却溝102は、異なる数の電子機器又は異なるタイプの電子機器200を収容するために用いられてもよい。これにより、冷却を必要とする電子機器のタイプと数に応じて適切な仕様の冷却溝102を選択することによって、主冷却液の無駄を回避し、コストをさらに低減させることができる。
【0065】
冷却溝102に類似して、いくつかの実施例では、主放熱装置103のモジュール化設計のため、主放熱装置103は、異なる仕様の冷却溝102及び/又は電子機器200への応用を容易にするために、様々な異なる仕様を有してもよい。異なる仕様の主放熱装置103は、異なる冷却液循環による放熱能力を有してもよく、且つ異なる仕様の冷却溝102にサイズを合わせることができる。まず、異なる仕様の主放熱装置103の循環能力は、異なってもよい。循環能力は、単位時間当たりに処理可能な冷却液の量を表す。循環能力が高いほど、単位時間当たりに処理される冷却液の量が多くなり、循環能力が低いほど、単位時間当たりに処理される冷却液の量が少なくなる。例えば、比較的小さい深さ仕様を有するいくつかの冷却溝102について、その中で使用される主冷却液が比較的少ないため、それは、比較的小さい循環能力を有する主放熱装置103と嵌合することができる。類似的に、比較的大きい深さ仕様を有するいくつかの冷却溝102について、その中で使用される主冷却液が比較的多いため、それは、比較的大きい循環能力を有する主放熱装置103と嵌合することができる。このような配置方式は、より費用対効果の高い方式で電子機器200の放熱により精確な制御を提供することにより有利である。
【0066】
次に、代替的又は追加的に、異なる仕様の主放熱装置103の放熱能力は、異なってもよい。放熱能力は、熱交換器の体積及び/又はミクロ構造の違いによって具現化されてもよい。例えば、熱交換器の体積が大きいほど、及び/又は熱交換器におけるミクロ構造が最適化されているほど、放熱能力が良くなり、熱交換器の体積が小さいほど、及び/又は熱交換器におけるミクロ構造が大きいほど、放熱能力が悪くなる可能性がある。この方式により、冷却すべき電子機器200の数などの要因に応じて適切な放熱能力を有する主放熱装置103を選択することができる。これにより、より費用対効果の高い方式で電子機器200の放熱により精確な制御を提供することができる。
【0067】
なお、前文に言及されたように、主放熱装置103がブラケット101に取り外し可能に配置されるため、図9に示すように、故障した場合、又は使用される主放熱装置103の循環能力が不足している場合、元の主放熱装置103をブラケット101から取り外し、新たな主放熱装置103をブラケット101の所定の位置に組み立てることができる。その後、シールリングで主放熱装置103の内腔と冷却溝102との間の出入り貫通孔を密封して主冷却液の漏洩を防止する。組み立て後、適切な循環能力を有する主循環部材1032を使用して主冷却液を主放熱装置103の内腔と冷却溝102との間で循環させることができる。この方式により、一方では、主放熱装置103のモジュール化かつ取り外し可能な設置は、主放熱装置103ないし液浸冷却機器100全体のメンテナンスをより容易にする。他方では、冷却溝102及び電子機器200の状況に応じて主放熱装置103を柔軟に調整することができ、よって比較的高い冷却効率で冷却効果を確保することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、主循環部材1032と熱交換器1033とが主放熱装置103において占有するスペースを考慮すると、図11に示すように、主冷却液の使用量をさらに低減させるために、主放熱装置103には、液体占有ブロック1034をさらに設置してもよい。液体占有ブロック1034は、主放熱装置103の内腔における空き容量を占有するための適切な物体である。いくつかの実施例では、液体占有ブロック1034も熱交換器1033の上方に設置される。液体占有ブロック1034を使用することにより、主冷却液の使用量をさらに低減させ、よってコストをさらに低減させることができる。
【0069】
液体占有ブロック1034は、主放熱装置103の内腔における容量を占有して主冷却液の使用量を減少させることができる一方、それは、主冷却液がその中又はその近傍から流れることを許容することによって、主冷却液の循環を阻害しない。液体占有ブロック1034は、様々な異なる構造又は形式を採用してもよい。例えば、いくつかの実施例では、液体占有ブロック1034は、複数の独立した小さいブロックを含んでもよい。複数の独立した小さいブロックは、積層又は並列配置などの方式で主放熱装置103の内腔の空きスペースに配置され、それらの間には、主冷却液の流れを容易にして液体占有ブロック1034による主冷却液の流れの阻害を回避するために、隙間が設置されてもよい。代替的又は追加的に、いくつかの実施例では、液体占有ブロック1034は、主冷却液の流れを容易にする多孔質式構造を採用してもよい。
【0070】
無論、理解すべきこととして、上記の、図9から図11を結び付けて記述した主放熱装置103に関する実施例は、概略的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定することを意図しない。主放熱装置103は、他の任意の適切な構造又は構成を有してもよい。例えば、いくつかの実施例では、液体占有ブロック1034は、熱交換器1033の下方又は他の任意の適切な位置に設置されてもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、少なくとも液浸冷却機器100における主冷却液の状態(例えば液位、温度など)を観察する、及び/又は主循環部材1033を制御することができるように、主放熱装置103には、制御装置が設置されてもよい。いくつかの実施例では、制御装置は、表示ユニットをさらに含んでもよい。表示ユニットは、主循環部材1033の制御を容易にするために、タッチユニットを有してもよい。無論、いくつかの代替の実施例では、制御装置は、主循環部材1033の制御を容易にするためのボタンなどをさらに含んでもよい。
【0072】
制御装置を採用することにより、冷却溝102において冷却すべき電子機器200の発熱及び数などの情報に応じて主循環部材1033のパワーなどのパラメータを制御し、それによって冷却効率を向上させると同時に冷却コストを低減させることができる。例えば、冷却溝102に置かれる電子機器200の数が減少した場合に、装置を制御して主循環部材1033のパワーを低下させることにより、運行コストをさらに低減させることができる。無論、いくつかの代替の実施例では、制御装置は、他の情報を表示する及び/又は他の部材を制御することもできる。例えば、いくつかの実施例では、制御装置の表示ユニットは、液浸冷却機器100において冷却すべき電子機器200のタイプと数などを表示することもできる。
【0073】
配備を容易にするために、液浸冷却機器100は、主放熱装置103に結合される冷却源インターフェース104を含む。例えば、いくつかの実施例では、冷却源インターフェース104は、少なくとも部分的に主放熱装置103のケース1031に配置されてもよい。冷却源インターフェース104は、補助冷却液を外部冷却源302と熱交換器1033の内部で連通させるのに適しており、よって外部冷却源302における補助冷却液と主冷却液とを熱交換器1033において熱交換させる。いくつかの実施例では、補助冷却液は、脱イオン水を含んでもよい。脱イオン水を採用することにより、熱交換器1033の内部の構造及び冷却管路の金属への腐食と影響を効果的に回避し、それによって液浸冷却システムの信頼性を向上させることができる。
【0074】
いくつかの実施例では、冷却源インターフェース104は、少なくとも2セットを有するように設定されてもよい。この方式により、冷却源インターフェース104の冗長設計を提供する。そして各セットの冷却源インターフェース104による補助冷却液の処理能力は、補助冷却液の循環要求を完全に満たすことができる。このような場合に、そのうちの1セットの冷却源インターフェース104に詰まりなどの問題が発生しても、補助冷却液の循環に全く影響を与えることがない。これにより、冷却効果を確保する。
【0075】
内部循環能力と外部循環能力を有する主放熱装置103と冷却溝102とを集積することによって、モジュール化液浸冷却機器を形成する。本開示の実施例による液浸冷却機器100を配備する時に、データセンターの保留ポートと液浸冷却機器の冷却源インターフェース104とを結合するだけで配備が完了し、それによって分散式の液浸冷却システム300が形成される。この方式により、液浸冷却機器の配備が著しく簡素化される。
【0076】
図12は、本開示の実施例による液浸冷却機器100を採用する液浸冷却システム300のシステムアーキテクチャ概略図を示す。図13は、本開示の実施例による液浸冷却システム300における複数の液浸冷却機器100がアレイに配置される概略図を示す。
【0077】
全体的に、本開示の実施例による液浸冷却システム300は、少なくとも一つの前文に記述された液浸冷却機器100と補助冷却装置301とを含む。図12図13に示される液浸冷却システム300には、複数の液浸冷却機器100が存在するが、理解すべきこととして、これは、概略的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定することを意図しない。異なるデータセンターの必要に応じて、液浸冷却機器100の数は、一つ又は複数であってもよい。
【0078】
前文に言及されたように、いくつかの実施例では、液浸冷却機器100の配備を容易にするために、液浸冷却システム300は、複数の保留インターフェースを含んでもよい。保留インターフェースは、補助冷却装置を介して外部冷却源302に連通するとともに、本開示の実施例による液浸冷却機器100の複数の冷却源インターフェース104に結合されるために用いられてもよい。この方式により、液浸冷却機器100における熱交換器1033は、補助冷却装置301を介して外部冷却源302に連通することができる。外部冷却源302は、いくつかの実施例において冷却塔であってもよい。
【0079】
この方式により、データセンターへの投資と全体的な運営コストを効果的に低減させ、センターの全体的な電力消費効率指標を1.1ひいてはより低いように制御することができる。例えば、データセンター用の液浸冷却システムを設計する時に、データセンターの将来の比較的大きい規模を考慮すると、将来のデータセンターの大量のサーバの需要を満たすために、液浸冷却システム300を設計する時に所定数の保留インターフェースと液浸冷却機器100を設定することができる。電子機器200の数について、データセンターが最初に必要なサーバの数が比較的少ないことを考慮すると、比較的少ない数の電子機器200を採用してそのうちの一部の液浸冷却機器100に置いてもよい。電子機器200が置かれていない液浸冷却機器100について、一時的に主冷却液を設置せずに循環させなくてもよい。業務の絶えない発展に伴い、データセンターの規模が後期に拡大する必要がある場合、必要なサーバを増加させ、サーバを主冷却液が設置されている液浸冷却機器100に設置するだけでよく、液浸冷却システム全体の再設計と再製造が不要となり、それによってデータセンターの初期投資と全体的な運営コストを効果的に低減させ、センターの調整をより簡単且つ柔軟にする。
【0080】
無論、いくつかの代替の実施例では、サーバの数に対応する量の液浸冷却機器100のみを配備し、これらの液浸冷却機器100の冷却源インターフェース104とそのうちの一部の保留インターフェースとを結合してこれらのサーバを効果的に冷却してもよい。業務量の増加に伴い、サーバを増加させる必要がある場合、サーバを増加させ、増加させたサーバの数に応じて液浸冷却機器100の量をそれに応じて増加させ、最終的に液浸冷却システム全体の配備が完了するまで、液浸冷却機器100の冷却源インターフェース104と残りの保留インターフェースとを結合するだけでよい。
【0081】
なお、本開示の実施例の液浸冷却機器100を配備する時に、追加の冷量割り当てユニットは不要となり、冷却源インターフェース104を介して冷却源をこの液浸冷却機器100に接続するだけでよい。これにより、液浸冷却システム300の設計と配備の困難性が著しく簡素化され、よって、効率を効果的に向上させ、コストを低減させる。
【0082】
いくつかの実施例では、配備をさらに簡素化するために、液浸冷却システム300は、ベース303をさらに含んでもよい。ベース303上の所定の位置には、液浸冷却機器100を設置するための溝又は受け入れ部、及び対応する保留インターフェースを設置してもよい。この方式により、液浸冷却機器100を配備する必要がある場合、液浸冷却機器100をベース303の受け入れ部に設置し、その冷却源インターフェース104を対応する保留インターフェースに接続するだけでよい。これにより、液浸冷却システム300の配備がさらに簡素化される。
【0083】
例えば、電子機器200の大規模なクラスター配備を行う時に、事前にデータセンターにベース303を設置し、外部冷却源302、補助冷却装置301及び保留インターフェースデバッグを完了することができる。データセンター構築の初期段階では、比較的少数の電子機器200のみを使用して初期段階の比較的小さい業務量の需要を満たすことができる。業務の絶えない発展に伴い、電子機器200を購入してそれを液浸冷却システム300に配備することによって、システム全体の配備を完了することができる。ベース303を採用することにより、データセンターの配備時間をさらに短縮し、配備効率を向上させることができる。
【0084】
理解すべきこととして、本開示の以上の詳細な実施例は、本開示の原理について例を挙げて説明又は解釈するためにのみ用いられ、本開示を限定するものではない。そのため、本開示の精神と原則において行われた任意の修正、同等の代替、改良などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。同時に、本開示に添付された請求項は、特許請求の範囲と境界内、又は範囲と境界の均等物内のすべての変化と修正を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却を必要とする電子機器(200)を主冷却液に浸漬するように前記主冷却液を密封的に受け入れるのに適している冷却溝(102)と、
前記冷却溝(102)に付設され、且つケース(1031)によって囲まれる内腔と、前記内腔に受け入れられる主循環部材(1032)及び熱交換器(1033)とを含む主放熱装置(103)であって、前記内腔が前記冷却溝(102)に密封的に連通し、前記主循環部材(1032)が前記主冷却液を前記冷却溝(102)と前記熱交換器(1033)の外部との間で循環させるのに適している主放熱装置(103)と、
前記主放熱装置(103)に結合され、補助冷却液を外部冷却源(302)と前記熱交換器(1033)の内部との間で循環させ前記補助冷却液と前記主冷却液とを前記熱交換器(1033)において熱交換させるように構成されている冷却源インターフェース(104)と
を備える、液浸冷却機器。
【請求項2】
前記主放熱装置(103)は、前記冷却溝(102)に取り外し可能に付設される、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項3】
前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)とを乗せるのに適しているブラケット(101)をさらに含む、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項4】
一つ又は複数の前記電子機器(200)は、延在方向(E)に沿って前記冷却溝(102)に配置され、且つ
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)のサイズの1.5倍以下である、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項5】
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)のサイズよりも小さい、
請求項4に記載の液浸冷却機器。
【請求項6】
前記液浸冷却機器(100)の前記延在方向(E)におけるサイズは、前記液浸冷却機器の高さ(H)の二分の一のサイズよりも小さい、
請求項4に記載の液浸冷却機器。
【請求項7】
前記主冷却液を前記冷却溝(102)と前記熱交換器(1033)の外部との間で循環させるために、前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)の前記内腔との間に配置される複数の出入り貫通孔をさらに備える、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項8】
前記冷却溝(102)は、様々な仕様を有し、前記様々な仕様の冷却溝(102)の深さが異なり及び/又は延在方向(E)におけるサイズが異なり、且つ
前記ブラケット(101)は、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の冷却溝(102)を受け入れるのに適している、
請求項7に記載の液浸冷却機器。
【請求項9】
前記ブラケット(101)に結合され、前記冷却溝(102)と前記主放熱装置(103)とのうちの少なくとも一つを支持するのに適している高架ラック(105)をさらに備える、
請求項8に記載の液浸冷却機器。
【請求項10】
前記主放熱装置(103)は、様々な仕様を有し、前記様々な仕様の主放熱装置(103)は、異なる循環放熱能力を有し、且つ
前記ブラケット(101)は、前記様々な仕様のうちの少なくとも一つの仕様の前記主放熱装置(103)を受け入れるのに適している、
請求項1、2、5、6、8、9のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項11】
前記冷却溝(102)に結合されて前記冷却溝(102)の頂部開口を密封する蓋(106)をさらに備える、
請求項1に記載の液浸冷却機器。
【請求項12】
前記蓋(106)は、ヒンジを介して前記冷却溝(102)に回動可能に結合される、
請求項11に記載の液浸冷却機器。
【請求項13】
前記主放熱装置(103)は、前記内腔に配置される液体占有ブロック(1034)をさらに備える、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項14】
前記冷却源インターフェース(104)は、少なくとも2セットの冷却源インターフェース(104)を含む、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項15】
前記冷却源インターフェース(104)は、少なくとも部分的に前記ケース(1031)に配置される、
請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器。
【請求項16】
少なくとも一つの請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器(100)と、
前記少なくとも一つの液浸冷却機器(100)の冷却源インターフェース(104)に結合され、補助冷却液を外部冷却源(302)と前記熱交換器(1033)の内部との間で循環させるのに適している補助冷却装置(301)と
を備える、液浸冷却システム。
【請求項17】
前記少なくとも一つの液浸冷却機器(100)は、複数の液浸冷却機器を含み、且つ
前記液浸冷却システムは、複数の保留インターフェースをさらに備え、前記複数の保留インターフェースは、前記冷却源インターフェース(104)に結合されるのに適している、
請求項16に記載の液浸冷却システム。
【請求項18】
前記複数の液浸冷却機器(100)を設置するために所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベース(303)をさらに備え、前記複数の受け入れ部は、前記複数の保留インターフェースに対応する、
請求項17に記載の液浸冷却システム。
【請求項19】
前記主冷却液は、フッ素化液又は鉱油を含み、及び/又は
前記補助冷却液は、脱イオン水を含む、
請求項16に記載の液浸冷却システム。
【請求項20】
大規模なクラスターに配備される液浸冷却システムであって、
所定の位置に設置される複数の受け入れ部を含むベース(303)と、
前記複数の受け入れ部の位置に対応する複数の保留インターフェースと、
前記複数の保留インターフェースと外部冷却源(302)との間に配置される補助冷却装置(301)と、
前記受け入れ部に配置される複数の請求項1、2、5、6、8、9、12のいずれか1項に記載の液浸冷却機器(100)であって、前記液浸冷却機器(100)の冷却源インターフェース(104)が前記複数の保留インターフェースに結合される複数の液浸冷却機器(100)と
を備える、液浸冷却システム。
【国際調査報告】