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特表2025-501137水、例えば海水から二水素を生成するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】水、例えば海水から二水素を生成するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/04 20210101AFI20250109BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20250109BHJP
   C25B 9/67 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 15/021 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 15/027 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20250109BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 15/031 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 15/033 20210101ALI20250109BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20250109BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
C25B1/04
C01B3/02 H
C25B9/67
C25B15/021
C25B9/00 A
C25B9/65
C25B15/027
C25B15/08 302
C25B15/02
C25B15/031
C25B15/033
C25B13/02 301
C25B9/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538444
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022085205
(87)【国際公開番号】W WO2023126157
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】LU501094
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516296566
【氏名又は名称】ルクセンブルク・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー・(エルアイエスティ)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ポレゼル
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ルノーブル
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021BC05
4K021CA05
4K021CA08
4K021CA12
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
4K021EA06
(57)【要約】
本発明の態様は、水、例えば海水から二水素を生成するためのデバイスに関する。デバイスは、水貯蔵器、水入口及び凝縮面を含む(温室)ケーシングを含む。ケーシングは、太陽エネルギーを吸収し、且つ貯蔵器内の水を加熱して、ケーシング内で水蒸気を生成するように構成される。凝縮水は、凝縮面上で生成される。デバイスは、凝縮水を電解し、それにより二水素を生成するための電解槽及び水波エネルギーを電気エネルギーに変換するための波エネルギー変換器を更に含む。波エネルギー変換器は、電解を実行するために電解槽に電気エネルギーを供給するように電解槽に動作可能に接続される。追加の態様は、二水素生成リグ及び1つ又は複数のデバイスを含む二水素生成設備並びにデバイスで水から二水素を生成する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から二水素を生成するためのデバイスであって、
水貯蔵器、水入口及び凝縮面を含む温室ケーシングであって、前記水入口は、水が前記貯蔵器に入ることを可能にするように構成され、前記温室ケーシングは、前記貯蔵器内の水を加熱して、前記ケーシング内で水蒸気を生成するために、太陽エネルギーを吸収するように構成され、前記凝縮面は、凝縮水を生成するために前記水蒸気を凝縮するように構成される、温室ケーシングと、
前記凝縮水を電解し、それにより二水素を生成するための電解槽と、
水波エネルギーを電気エネルギーに変換するための波エネルギー変換器であって、前記電解を実行するために前記電解槽に前記電気エネルギーを供給するように前記電解槽に動作可能に接続される波エネルギー変換器と
を含むデバイス。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記凝縮水を前記電解槽内に向けるための凝縮水収集器を更に含み、前記凝縮水は、好ましくは、重力によって前記電解槽内に向けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブを更に含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記変換された水波エネルギーを貯蔵し、且つ電気エネルギーを前記電解槽に供給するための電池又はスーパーキャパシタを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電解槽の温度を検知するための温度センサを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記凝縮水を蓄積するためのバッファタンクを更に含み、前記バッファタンクは、前記電解槽に前記凝縮水を提供するために前記電解槽と流体連通する、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記バッファタンク内の前記凝縮水の温度、pH、水位、伝導率をそれぞれ検知するために前記バッファタンクに接続された温度センサ、pHセンサ、水位センサ、伝導率センサの少なくとも1つを更に含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記波エネルギー変換器は、水波エネルギーを電気エネルギーに変換するために振り子に結合された発電機を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記温室ケーシングは、太陽エネルギーを吸収し、且つ熱エネルギーを生成するための太陽集熱層を含み、前記太陽集熱層は、前記温室ケーシング内における前記生成された熱エネルギーを好ましくは前記貯蔵器内の前記水に直接移送するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記温室ケーシングは、前記貯蔵器内に収容された前記水を前記デバイスの下にある環境、例えば海水から断熱するための断熱層を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記温室ケーシングは、1つ又は複数の集光器、例えば1つ又は複数のフレネルレンズを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
ブイを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
バラストを更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
基地局と通信するための通信装置を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記電解槽は、PEM電解槽を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
コントローラを更に含み、前記コントローラは、好ましくは、前記電解槽の前記温度及び前記バッファタンク内の前記水のそれぞれ前記温度、pH、水位、伝導率の少なくとも1つに基づいて、前記電解槽を動作可能にオン又はオフにするように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記コントローラは、前記デバイスの加速度、角速度及びデバイス位置における磁場の少なくとも1つに基づいて、前記電解槽のゲートバルブを動作させるように構成され、且つ好ましくは前記電解槽を動作可能にオン又はオフにするように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の1つ又は複数のデバイスを含む二水素生成リグ。
【請求項19】
二水素生成設備であって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の複数のデバイスと、
前記デバイスによって生成された前記二水素を移送するために前記デバイスに接続された1つ又は複数の二水素移送ラインと、
前記デバイスによって生成された前記二水素を陸上ステーションに向けるために前記1つ又は複数の二水素移送ラインに接続されたポンプを含むステーションと
を含む二水素生成設備。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイスで水から二水素を生成する方法であって、
前記貯蔵器内に収容された水を加熱して、前記ケーシング内で水蒸気を生成するために太陽エネルギーを吸収することと、
前記水蒸気を凝縮し、且つ凝縮水を生成するために凝縮面を使用することと、
二水素を生成するために前記電解槽で前記凝縮水を電解することと、
水波エネルギーを電気エネルギーに変換するために波エネルギー変換器を使用することと、
前記電解を実行するために前記電解槽に前記電気エネルギーを供給することと
を含む方法。
【請求項21】
前記凝縮水を前記電解槽内に向けるために凝縮水収集器を使用することを含み、前記凝縮水は、好ましくは、重力によって前記電解槽内に向けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブを動作させることを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
バッファタンク内の前記水の温度、pH、伝導率及び/若しくは水位並びに/又は前記電解槽のO排出管の充填水位を検知することを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記電解槽の凝縮水取り込みを制御するための前記ゲートバルブの前記動作は、前記バッファタンク内の前記水の前記検知された温度、pH、伝導率及び/若しくは前記水位並びに/又は前記電解槽のO排出管の前記充填水位に基づく、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記バッファタンク内の前記水の前記検知された温度、pH、伝導率及び/若しくは前記水位並びに/又は前記電解槽のO排出管の前記充填水位を無線で送信することを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、水、具体的には海水から二水素を生成するためのデバイス、二水素生成リグ及びデバイスを含む二水素生成設備並びにデバイスで水から二水素を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーからの水素生成は、クリーン水素経済及びより持続可能なスマートエネルギーの混合に向かって段階的移行を行うために重要である。持続可能なエネルギー経済を実施するために、最大の課題は、(例えば、天候条件に起因する)風力発電プラント及び太陽熱発電プラントの電力生産の変動である。この課題を満たし、エネルギー需要を満たすために、悪条件(例えば、日差しがほとんどなく、且つ/又は風がほとんどない)の場合でも、エネルギーを提供するために電気を貯蔵(保護)しなければならない。
【0003】
グリーン電力を拡張性の高い方法で貯蔵するために、グリーン電力を化学エネルギーに変換することができる。この変換のために中心となる工程は、水素及び酸素を形成する電解による水分解である。水素は、直接貯蔵し、移送し、燃料電池内で電気に再変換することができる。更に、水素は、メタノール、アンモニア又は液体有機水素担体などの他の燃料を形成するための出発点である。
【0004】
持続可能なエネルギー経済における水分解の中心的役割に起因して、この工程の費用効果は、重要であり、1%であっても数百万ドルを節約することができる。電解水素生成の費用の半分以上は、必要な電気から発生する。電解槽の費用も大きい投資である。
【0005】
グリーン水素は、水をその組成部に分解する電解に電力供給するために、再生可能エネルギーを使用すること(波エネルギーを太陽熱と組み合わせることなど)によって生成される。広範囲に利用可能な分析は、1kg当たり2米ドルの価格が、鋼製造、肥料生産、発電並びに欧州にわたり及び国際的に近い将来膨大な需要が見込まれる輸送を含む、多くの部門で選択されるエネルギー源となる、グリーン水素及びその派生燃料を作成する潜在的転換点を表すことを提示している。
【0006】
精製水は、水を電解槽内で長時間分解する必要がある。地球の水の96.5%が海水であり、1%未満が非冷凍の真水であるため、直接海水分解(DSS)が望ましいと思われる。DSSは、処理が非常に困難な課題を表す。事実、電解槽の電極の腐食に対する堅牢性が望まれる。塩結晶の形成が化学酸化還元反応を不安定にし、抑制することは、非常に問題である。Kuangら(非特許文献1)は、直接海水を分解するために2層のNiFe/NiSx-Ni発泡体(Ni)アノードを備えた電解槽を提案した。活性の且つ安定した海水電解のためにNiFe/NiSx/Niアノードを調査した。均一に電着したNiFeは、アルカリ性の海水分解のために高い選択的OER(酸素発生反応)触媒であった一方、その下のNiSx層は、導電性中間層及び硫黄源を提供して、塩化物のエッチング/腐食に対して安定した陽イオン選択性多原子陰イオンリッチアノードを発生した。海水電解槽は、室温の実際の海水又は塩蓄積海水中において2.1Vで400mA/cmの電流密度を達成することができた一方、工業電解条件では80℃で1.72Vのみが必要であった。決定的には、電解槽も耐久性の不整合を示した。電力消費の実質的な増加が見られたが、安定性試験の1000h後まで明らかな活性損失が見られなかった。
【0007】
特許文献1は、電気及び脱塩水を発生させるオープンサイクル海洋温度差発電(OTEC)プラントに関する。プラントは、外部チャンバによって包囲された内部チャンバ(シェル)を含み、一方のチャンバは、真空を収容する。比較的高温の海水は、チャンバを含む真空中にポンプ供給され、チャンバ内でこれが蒸発し、水蒸気は、発電するタービンを通過して他方のチャンバに入り、そこで比較的低温の海水を使用して脱塩水に濃縮される。チャンバは、球形状であり得る。発電の一部は、水素を生成するために使用され得る。プラントは、浮動するプラットフォーム上に置かれ、これは、必要に応じて上下できる圧力バラスト中空カラムによって支持される。比較的低温の海水を供給するパイプは、別個にブイを付けて停泊され、伸縮可能な可撓性配管によってプラットフォームに繋げられる。
【0008】
特許文献2は、海洋プラットフォーム並びに海洋プラットフォーム上に全て配置された潮流エネルギー発電デバイス、波エネルギー発電デバイス、光発電デバイス、風エネルギー発電デバイス、水素生成デバイス及び海水脱塩デバイスを含む海洋エネルギーアイランドデバイスに関する。潮流エネルギー発電デバイス、波エネルギー発電デバイス、光発電デバイス及び風エネルギー発電デバイスは、全て水素生成デバイスに電気接続され、水素生成デバイスに電気エネルギーを提供するために使用され、潮流エネルギー発電デバイス、波エネルギー発電デバイス、光発電デバイス及び風エネルギー発電デバイスは、全て海水脱塩デバイスに電気接続され、海水脱塩デバイスに電気エネルギーを提供するために使用される。
【0009】
特許文献3は、海洋波からの運動エネルギーを使用可能な形態のエネルギー(アクアタマー)に変換する海洋波エネルギー変換ユニットに関する。ユニットは、自然にユニットを個々に機能するように展開することができるモジュラーであるように設計されるか、又はユニットが互いに依拠し、全体として一緒に機能する群に組み立てられる。ユニットは、個々に電気出力を有する。深海面に適用中の群(コロニー)として、各アクアタマーユニットの電気出力が統合され、酸素ガス(O)及び水素ガス(H)を生成する水電解動作を操作するために使用される。記載された海洋波エネルギー変換ユニットは、水電解動作を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許出願公開第2444731号明細書
【特許文献2】国際公開第2021/81775号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0068629号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Yun Kuang et al.,“Solar-driven,highly sustained splitting of seawater into hydrogen and oxygen fuels”,PNAS 116(14),6624-6629(2019)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、水、例えば海水から二水素を生成するためのデバイスに関する。デバイスは、水貯蔵器、水入口及び1つ又は複数の凝縮面を含む(温室)ケーシングを含む。水入口(例えば、開口、隙間、チャネルなど)は、水が貯蔵器に入ることを可能にするように構成される。(温室)ケーシングは、貯蔵器内の水を加熱して、ケーシング内で水蒸気を生成するために、太陽エネルギーを吸収するように構成される。1つ又は複数の凝縮面は、凝縮水を生成するために水蒸気を凝縮するように構成される。デバイスは、凝縮水を電解し、それにより二水素を生成するための電解槽及び水波エネルギーを電気エネルギーに変換するための波エネルギー変換器を更に含む。波エネルギー変換器は、電解を実行するために電解槽に電気エネルギーを供給するように電解槽に動作可能に接続される。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「温室ケーシング」は、貯蔵器内の水を加熱して、ケーシング内で水蒸気を生成するするために、太陽エネルギーを吸収するように構成されたケーシングを指す。換言すると、ケーシングは、ケーシングの内側の温度がケーシングの外側の温度より高いように微小気候をもたらすように構成される。これは、太陽エネルギーを吸収することによって実行される。
【0014】
本発明は、二水素を生成することができ、その生成は、環境への影響を低減することが認識されるであろう。事実、電解槽は、変換された水面の波エネルギーによって電力供給され、海水の浄化(脱塩)は、ケーシングによって採取された太陽エネルギーによって実行される。開示されたデバイスの設計は、自律操作を可能にする。事実、デバイスは、デバイスを動作させて二水素を(連続して)生成するために必要な太陽エネルギー及び波エネルギーを採取することができる。
【0015】
本発明は、概して、水、すなわち(例えば、高濃度のミネラル及び/又は生物を有する)海水以外から二水素を生成するのに適しているが、海水は、これに関連して好ましい水素源であると考えられることも当業者に認識されるであろう。
【0016】
ケーシングは、凝縮水を電解槽内に向けるための凝縮水収集器(例えば、管、排水溝、パイプなど)を含み得る。凝縮水収集器は、その上で水蒸気が凝縮され得る1つ又は複数の凝縮面を含み得る。凝縮水は、好ましくは、重力によって電解槽内に向けられる。換言すると、凝縮水は、重力によって電解槽内に運ばれる。これは、例えば、凝縮水を電解槽内に運ぶためのポンプの使用を避けることにより、デバイスのエネルギーフットプリントを低減することができる。1つ又は複数の凝縮面は、熱橋を介して外部環境に向かって又は周囲の水、例えば周囲の海水に向かって冷却され得る。
【0017】
デバイスは、電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブを更に含み得る。ゲートバルブは、開位置にあり得る。これにより、電解される水を電解槽内に入れることができる。逆に、ゲートバルブは、閉位置にあり得、それにより水が流れることを妨げ得る。当然のことながら、あらゆる中間位置(閉位置と開位置との間)も企図される。これにより、電解槽に入る水の流れ(例えば、電解槽に入る1回当たりの水の量)を制御することができる。
【0018】
デバイスは、変換された海水波エネルギーを貯蔵し、且つ電解を実行するために電解槽に電気エネルギーを供給するための電池又はスーパーキャパシタを更に含み得る。これにより、電気エネルギーバッファを提供することができ、それにより、第1の時間間隔中、電気エネルギーが消費されるより多く発生される場合に電気エネルギーを貯蔵することができる。貯蔵されたエネルギーは、デバイス(具体的には電解槽)に電力供給するために生成される電気エネルギーが十分でない場合、例えば第2の時間間隔で使用され得る。
【0019】
デバイスは、電解槽の温度を検知するための温度センサを更に含み得る。これにより、電解槽がその規定の動作温度範囲内で動作するかどうかを制御することができる。
【0020】
デバイスは、凝縮水を蓄積するために凝縮水バッファタンクを含み得、バッファタンクは、電解槽に凝縮水を提供するように電解槽と流体連通する。バッファタンクは、凝縮水の生成を平均化する役割を果たし得る。バッファタンクは、凝縮された水を1つ又は複数の凝縮面上に受け入れるために、凝縮水収集器の一部であり得るか又は凝縮水収集器に接続され得る。具体的には、海水を蒸発させるためにケーシングによって収集された太陽エネルギーが十分でない場合でも、水を夜間に電解槽に提供できるように、バッファタンクは、昼間に水を収集することを可能にすることが認識されるであろう。換言すると、バッファタンクは、好ましくは、数時間~数日、例えば半日、1日又は2日以上にわたって凝縮水の生成を平均化するように寸法決めされる。
【0021】
デバイスは、バッファタンク内の凝縮水の温度、pH、水位、伝導率をそれぞれ検知するためにバッファタンクに接続された温度センサ、pHセンサ、水位センサ、伝導率センサの少なくとも1つを含み得る。
【0022】
波エネルギー変換器は、水波エネルギーを電気エネルギーに変換するために振り子(例えば、一重振り子又はより好ましくは二重振り子)に結合された発電機を含み得る。波エネルギー変換器は、好ましくは、デバイスが水面に置かれたとき、水波によって動かされる1つ又は複数のブイ本体を含む。波エネルギー変換器は、そのようなブイ本体に収納され得る。デバイスは、全体としてブイの形態を取り得ることに留意されたい。
【0023】
一実施形態では、温室ケーシングは、太陽エネルギーを吸収し、且つ熱エネルギーを生成するための太陽集熱層を含み、太陽集熱層は、温室ケーシング内における生成された熱エネルギーを好ましくは直接貯蔵器内の水に移送するように構成される。
【0024】
一実施形態では、温室ケーシングは、貯蔵器内に収容された水をデバイスの(下にある)環境(例えば、周囲の海水)から断熱するための断熱層を含む。そのような層があることにより、熱損失が低減されるため、ケーシングの加熱効果をより有効にし得ることが認識されるであろう。
【0025】
温室ケーシングは、1つ又は複数のフレネルレンズなどの1つ又は複数の集光器を含み得る。1つ又は複数の集光器は、温室ケーシングの内側の加熱効果を高めるように、水貯蔵器の領域の太陽光密度(ほとんどが赤外線範囲)を凝縮するように配置され得る。フレネルレンズは、平坦で嵩張らないレンズであり、従来のレンズに比べて比較的軽量であり、容易に製造できるという利点を有する。1つ又は複数のフレネルレンズは、これが透明材料(例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなプラスチック又はガラスなど)から作成された場合、温室ケーシングに一体化することができる。
【0026】
デバイスは、ブイを含み得る。
【0027】
デバイスは、バラストを含み得る。
【0028】
デバイスは、基地局と通信するための通信装置、例えば無線又は有線通信装置を含み得る。
【0029】
好ましい実施形態では、電解槽は、PEM(高分子電解質膜)電解槽を含む。代わりに、電解槽を加熱し、且つ/又は水蒸気を発生させるために太陽エネルギーが使用されるとき、固体酸化物電解槽、例えば1つ又は複数の固体酸化物電解槽セル(SOEC)を使用することができる。この場合、1つ又は複数の太陽集熱器及び/又は超吸水性(スーパーブラック)被覆は、太陽放射を熱に変換し、デバイスの関連部品を加熱するために使用され得る。
【0030】
一実施形態では、デバイスは、コントローラを含む。コントローラは、好ましくは、電解槽の温度及びバッファタンク内の水のそれぞれ温度、pH、水位、伝導率の少なくとも1つに基づいて、電解槽を動作可能にオン又はオフにするように構成され得る。
【0031】
一実施形態では、コントローラは、デバイスの加速度、角速度及びデバイス位置における磁場の少なくとも1つに基づいて、水収集器の下流のゲートバルブを閉じる(又は開く)ようにアクチュエータを動作させるように構成され、且つ好ましくは電解槽を動作可能にオン(又はオフ)にするように構成され得る。加速度、角速度及びデバイス位置における磁場は、デバイスに提供された加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計のそれぞれによって提供され得る。
【0032】
本発明の第2の態様は、本明細書に開示されるような1つ又は複数のデバイスを含む二水素生成リグに関する。
【0033】
本発明の第3の態様は、二水素生成設備に関する。設備は、
○本明細書に開示されるような複数のデバイスと、
○デバイスによって生成された二水素を移送するためにデバイスに接続された1つ又は複数の二水素移送ラインと、
○デバイスによって生成された二水素を陸上ステーションに向けるために1つ又は複数の二水素移送ラインに接続されたポンプを含むステーションと
を含む。
【0034】
例えば、光電池エネルギーによって電力供給された標準圧縮ユニットは、二水素を高圧で貯蔵するための設備に結合され得る。
【0035】
本発明の第4の態様は、本明細書に開示されるようなデバイスで水から二水素を生成する方法に関する。方法は、
○貯蔵器内に収容された水を加熱して、ケーシング内で水蒸気を生成するために太陽エネルギーを吸収することと、
○水蒸気を凝縮し、且つ凝縮水を生成するために1つ又は複数の凝縮面を使用することと、
○二水素を生成するために電解槽で凝縮水を電解することと、
○水波エネルギーを電気エネルギーに変換するために波エネルギー変換器を使用することと、
○電解を実行するために電解槽に電気エネルギーを供給することと
を含む。
【0036】
方法は、凝縮水を電解槽に向けるために凝縮水収集器を使用することを含み得、凝縮水は、好ましくは、重力によって電解槽内に向けられる。
【0037】
方法は、電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブを動作させることを含み得る。
【0038】
方法は、1つ又は複数の凝縮面と電解槽との間でバッファタンク内の水の温度、pH、伝導率及び/又は水位を検知することを含み得る。
【0039】
電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブの動作は、バッファタンク内の水の検知された温度、pH、(電気)伝導率及び/又は水位に基づき得る。加えて又は代わりに、ゲートバルブの動作は、電解槽のO排出パイプの充填水位に基づき得る。
【0040】
方法は、バッファタンク内の水の検知された温度、pH、伝導率及び/若しくは水位並びに/又はデバイスに搭載の測定されたあらゆる他のパラメータを遠隔ステーションに(有線を介して又は無線で)送信することを含み得る。
【0041】
本明細書では、動詞「含む」及び語句「から構成される」は、「包含する」又は「少なくとも~からなる」ことを意味する開放式移行句として使用される。文脈によって別段の示唆がない限り、単数語形の使用は、複数を包含することを意図するが、ただし、基数「1」が使用される場合、「1つ」は、本明細書では「正確に1つ」を意味する。序数(「第1」、「第2」など)は、本明細書では、一般的物体の異なる例を区別するために使用され、これらの語句の使用によって示唆される特定の順番、重要性又は階層を意図するものではない。更に、物体の複数の例が序数によって言及される場合、これは、(これが文脈から明らかでない限り)必ずしもその物体以外の例が存在しないことを意味するものではない。この記載が「ある実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」などに言及する場合、これは、それらの実施形態の特徴が、明らかに存在する組合せに使用することができるが、文脈から特徴を組み合わせることができない場合でない限り、本発明から逸脱することなく、特徴が実施形態にわたって組み合わされ得ることも意味する。
【0042】
ここで、例として、本発明の好ましい非限定的実施形態について添付図面を参照して詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】海水から二水素を生成するためのデバイスの概略図である。
図2図1のデバイスの電解槽部の概略図である。
図3】デバイスの動作を例示する概略図である。
図4】二水素生成設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
読者は、図面が一定の縮尺ではないことに留意されたい。更に、わかりやすくするために、高さ、長さ及び/又は幅間の割合は、正確に表されていないことがある。
【0045】
図1は、本発明の一態様の好ましい実施形態を例示する。図1では、海水12から二水素を生成するためのデバイス10が示されている。デバイス10は、停泊され得る。デバイス10は、基部構造14及び蓋16を含む(温室)ケーシング13、区画室18(ブイとして作用する)並びにバラスト20を含む。別の実施形態では、ブイは、区画室18から分離し得る。
【0046】
基部構造14は、使用時に海水12と接触する。基部構造は、実質的に平坦であり、その周囲に縁22を有し、それにより海水貯蔵器を提供する。基部構造は、(実質的に)平坦である必要はなく、海水のための貯蔵器を提供する限り、あらゆる幾何形状であり得ることが読者に理解されるであろう。海水は、ケーシング13における(基部構造14と蓋16との間の)隙間26(又は他の入口)によってデバイス10に入り得る。入った海水は、縁22の存在に起因して捕捉され、基部構造14の上に置かれる。
【0047】
基部構造14は、太陽エネルギーを吸収し、且つ熱エネルギーを生成するための黒い太陽集熱層14aを含む。太陽集熱層は、温室ケーシング内における生成された熱エネルギーを貯蔵器内の海水に移送する。描かれたように、層14aは、基部構造14内に収集された海水に直接接触し得る。層14aは、太陽エネルギー(具体的には可視及びIR放射)を効率的に捕捉し、太陽エネルギーを熱エネルギー(熱)に変換することができ、次いでケーシング内の海水を蒸発させる。下にある海水によって冷却されるのを軽減するために、基部構造14は、貯蔵器内に収容された海水を下にある海水から断熱するために、断熱層14bを含み得る。有利には、断熱層14bは、使用時に海水と接触する。
【0048】
例示されたように、蓋16は、キャップ24によって角錐台に形状され得る。蓋16は、基部構造14によって捕捉された海水を加熱して蒸発させるために、太陽エネルギーを収集することができる。蓋16は、透明又は半透明であり得る。キャップ24及び/又は蓋16は、1つ又は複数のフレネルレンズを含み得る。1つ又は複数の被覆28は、蓋16の内面に塗布され得る。被覆28は、赤外線透過を最適化(向上)することにより、温室効果を向上させ得る。被覆28は、日光によって生じたTiOの光触媒薄膜を用いて生物膜の形成を緩和し得る。フルオロポリマ被覆(例えば、PFA、FEP、PTFE)も凝縮滴の拒絶を改良するために塗布され得る。
【0049】
蓋16は、区画室18に(機械的に)固定され得、それにより、蓋16及び区画室18は、一体型物体として移動することができる。蓋16は、基部構造14に(機械的に)固定され得るため、蓋16及び基部構造も一体型物体とみなされ得る。
【0050】
ケーシング13は、少なくとも1つの凝縮面を閉囲し、これは、例示された実施形態では逆円錐30の形態で提供される。円錐の表面は、蓋16の他方の内面と同じ方法で被覆され得る。逆円錐30は、キャップ24の内面上に配置される。使用時、蓋16の内面だけでなく、逆円錐30の内面も、ケーシング13の内側の蒸発された水を凝縮するために表面を提供する。凝縮熱は、蓋にわたる熱伝導によって凝縮面から排出され得、これは、外部環境によって冷却される。代わりに又は加えて、凝縮面は、熱橋により、この場合にはヒートシンクとして作用する周囲の海水12に接続することができる。凝縮水滴32は、蓋16の内面上及び逆円錐30の表面上で生成される。
【0051】
凝縮水は、そのミネラル含有量が大幅に低減されるという意味で浄化される。実際に、約20000ppmの溶解塩を含有する海水は、約37ppmの溶解塩に浄化され得る。生物学的物質の量も低減し得る。残りの塩(これは、最初に蒸発した海水内にあった)は、海水貯蔵器内に留まり、例えば海水に起因して基部構造からあふれた場合、周囲の海水に放出され得る。本設計は、貯蔵器内の海水を取り替え続けることができ、貯蔵器内の海水が、周囲の海水より高いミネラル濃度を有しないことが認識されるであろう。
【0052】
逆円錐30は、凝縮水32を、逆円錐30の先端の下に置かれた区画室18内に向けることができる。区画室18は、凝縮水を中に入れるために穴を備える。重力の作用のみで凝縮水32を区画室18内に十分に向けるため、(例えば、ポンプによって提供された)駆動力の作動が必要ないことが認識されるであろう。これにより、デバイス10のエネルギー消費を低減することができる。有利には、区画室18は、凝縮水滴を収集するために漏斗34を備える。
【0053】
区画室18は、PEM電解槽36(PEM電解槽が水なしでHを排出できるために好ましいが、他の電解槽も企図され得る)、電解槽の凝縮水取り込みを制御するためのゲートバルブ38、電解槽36に凝縮水を提供するために電解槽36と流体連通するバッファタンク40及び波エネルギー変換器42を含む。
【0054】
図1の詳細の拡大を示す図2を参照すると、バッファタンク40は、バッファタンク40内の水のpH、水位及び伝導率をそれぞれ検知するためのpHセンサ44、水位センサ46及び伝導率センサ48を備える。これにより、電解槽36内で使用される水の制御及び診断を改良することができる。バッファタンクは、更なるセンサ、例えば温度センサを備え得る。
【0055】
電解槽36は、バッファタンク40から水を提供される。電解槽36は、中空陰極電極50、拡散層52、触媒層54、プロトン交換膜56(例えば、ナフィオン)、触媒層58、拡散層60及び中空陽極電極62を含む。電解槽に入る凝縮水は、電解され、酸素(O)は、中空陰極電極50で生成され、第1の排出管64によって水と共に電解槽から出る。二水素は、中空陽極電極62で生成され、第2の排出管65(H出口)によって電解槽から出る。第1の排出管64は、水が排出管64を充填しているかどうか(及びどの程度の量であるか)を検出することを可能にする静電容量センサ68を備え得る。ゲートバルブの制御は、静電容量センサ68(又は第1の排出管内に配置されたあらゆる他の充填位プローブ)の読取値に(も)基づき得る。電解槽36は、電解槽36の動作温度を制御することを可能にするために温度センサ70を具備する。
【0056】
区画室18は、(海洋)環境への露出を軽減し、それにより腐食、生物膜及び/又は藻類の形成を回避することが認識されるであろう。事実、区画室18は、封止され、3つの通路、すなわち凝縮水を電解槽に提供するための漏斗穴及び電解槽の2つの排出管のみが存在する。通路は、蓋16によって周囲の水から保護される。
【0057】
図1を参照すると、電解槽36は、波エネルギー変換器42によって電力供給される。波エネルギー変換器42は、電力管理モジュール66及び電気エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵器具(例えば、電池又はスーパーキャパシタ)を含む。電力管理モジュール66は、エネルギー貯蔵器具に動作可能に接続され得る。デバイスに必要な電気エネルギーが、海の波から採取したエネルギーより低い場合、エネルギー貯蔵器具は、その電気エネルギーの余剰分を貯蔵し得る。逆の場合、エネルギー貯蔵器具に貯蔵された電気エネルギーは、デバイス10(例えば、電解槽及び/又は上記のセンサ)に電力供給するために使用され得る。波エネルギー変換器42は、二重振り子69が発電機72に回転運動を付与し得るように、発電機72に結合された二重振り子69を更に含む。二重振り子69は、発電機に結合された第1のアーム及び第2のアームを含み、第2のアームは、第1のアームにピボット継手によって回転可能に接合される。海波は、水面に傾斜変動を発生させる。デバイス10は、波がそれを一掃するときに波によって持ち上げられる。その形状に起因して、波は、デバイスを垂直方向に対して傾斜させ、次いで二重振り子69を駆動させ、それにより二重振り子69によって付与された発電機の回転を通して電気を生成する。
【0058】
MCU74(マイクロコントローラユニット)も、区画室18内に提供される。MCU74は、上記のセンサ、電解槽36、ゲートバルブ38、電力管理モジュール66及び場合により基部局と通信するための通信装置81(これも区画室18の内側に置かれる)に動作可能に接続される。
【0059】
図3は、デバイス10の動作を例示する簡略化した図を示す。上に説明されたように、デバイス10は、波からエネルギーを採取し(ステップ76)、電力管理モジュールは、電気エネルギーをデバイス10の電気部品(例えば、センサ、電解槽など)に提供する。太陽熱蒸留によっても水が電解槽に提供される(ステップ78)。上記のセンサは、デバイス10をこの基部上で動作するように構成されるMCUに読取値を提供する。例えば、MCU74は、その動作温度が特定の型の電解槽(例えば、スイッチ80を参照されたい)に対して典型的な温度範囲内にない場合、電解槽を停止するように構成され得る。電解槽は、電力消費が所定の動作限界外にある場合でもスイッチを切り得る。同じように、MCU74は、バッファタンク40に含有された水のpH、伝導率及び/又は温度が所定の範囲内にない場合、電解槽を停止し、バッファタンク40に含有された水を流すように構成され得る。加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計(例えば、MCUに埋め込まれる)は、海波の情報も提供し得る。非常に荒い波又は例えば悪天候の条件が加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計によって検出された場合、MCUは、電解槽の動作を停止し得る(スイッチを切り得る)。正常の条件が検出されたとき、MCUは、デバイスの動作を再開させ得る。MCUの構成は、MCUのEEPROMをフラッシュすることによって動作され得る。
【0060】
当業者に理解されるように、MCUは、基本的に汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブル論理回路、特定用途向けマイクロプロセッサ若しくはプログラムされた汎用マイクロプロセッサを含むか又はそれからなり得る。プログラマブル論理回路の中でも、プロセッサの実施は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、消去可能なプログラマブル論理デバイス(EPLD)、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)などが可能である。低電力のMCU、例えば1.8Vの供給電圧及び26μA/MHzの供給電流のST Microelectronics製のSTM32U5シリーズのMCUなどが好ましい。
【0061】
エネルギー貯蔵器具に貯蔵されたエネルギー量のセンサの読取値の一部又は全ては、通信装置によって監視ステーションに例えば遠隔監視のためにも送信され得る。MCUは、電気部品のいずれかが不良である(例えば、それらの動作パラメータの範囲内で動作していない)かどうかを含む、デバイスの状態も通信装置を介して送信し得る。通信装置は、無線で又は有線を介して送信を実行し得る。
【0062】
上に示されたように、デバイス10は、バラスト20を含む。バラスト20は、デバイス10の重量を補完することができる。具体的には、バラストは、基部構造の(実質的に)平坦部が、水面及び水面より高い縁の先端より下にあるように設計され得る。
【0063】
図4は、1つ又は複数のデバイス10を含む二水素生成リグを含む二水素生成設備を例示する。デバイス10は、デバイスによって生成された二水素を移送するために1つ又は複数の二水素移送ライン82に接続される。1つ又は複数の二水素移送ライン82は、デバイス10のそれぞれのH出口に接続される。プラントは、デバイスによって生成された二水素をステーションにポンプ供給するために1つ又は複数の二水素移送ライン82に接続されたポンプ84を含むステーションを更に含む。二水素は、次いで移送するために二水素タンク内で加圧され得る。
【0064】
プラントは、デバイス10の通信装置81によって送信された通信を受信するために、通信装置86を更に含み得る(又は通信装置86に接続され得る)。通信は、無線又は(例えば、移送ライン82に沿って延び、且つ/又は移送ライン82に取り付けられる)有線を介してもたらされ得る。通信は、リモートオペレータによる監視る(例えば、それぞれの貯蔵器内の水の温度、pH、伝導率及び/又は電解槽のそれぞれの動作温度の監視)を可能にするために、クラウド内のサーバに転送され得る。MCUの更新されたファームウェアもMCUのファームウェアを更新するためにデバイスに送信され得る。
【0065】
特定の実施形態が本明細書で詳細に記載されているが、それらの詳細に対する様々な修正形態及び代替形態が本開示の教示全体に照らして開発され得ることが当業者に認識されるであろう。従って、開示された具体的な構成は、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲及びあらゆるその均等物の広さ全体が与えられるべきであることを意味する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】