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特表2025-501139繊維基材のための金属処理、繊維基材を処理するためのプロセス、及び処理された繊維基材を有する濾材
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  • 特表-繊維基材のための金属処理、繊維基材を処理するためのプロセス、及び処理された繊維基材を有する濾材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】繊維基材のための金属処理、繊維基材を処理するためのプロセス、及び処理された繊維基材を有する濾材
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/605 20180101AFI20250109BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C03C25/605
D06M11/83
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538477
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022082407
(87)【国際公開番号】W WO2023129912
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/266,208
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/062,770
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ベダード、ロバート エル.
(72)【発明者】
【氏名】ラプトン、エフ.スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ、デイビッド エヌ.
【テーマコード(参考)】
4G060
4L031
【Fターム(参考)】
4G060BA05
4G060BC13
4G060BD03
4G060BD05
4G060BD15
4G060BD22
4G060CA05
4G060CA06
4G060CA07
4G060CA11
4G060CA12
4G060CA14
4G060CA16
4L031AA26
4L031AB01
4L031BA05
4L031DA12
(57)【要約】
空気中の浮遊ウイルス粒子に対する濾材の親和性を高めるためのプロセス。ホウケイ酸塩を含む繊維基材が提供される。繊維基材は酸性官能基を含んでいてもよい。金属塩溶液を繊維基材に導入して、処理された基材を形成する。金属塩溶液は、二価及び/又は三価の金属カチオンを含む。金属塩溶液のpHを調整し、二価及び/又は三価の金属カチオンを酸性官能基からのプロトンと交換する。金属は、処理された繊維基材の0.001~3.0重量%の範囲の量で存在してよい。処理された繊維基材は、繊維基材上への金属の堆積の前又は後に濾材に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材を処理するためのプロセスであって、
ガラス繊維を含む繊維基材を提供すること(102)と、
前記繊維基材を塩溶液に導入すること(106)であって、前記塩溶液が、二価金属カチオン、三価金属カチオン、又はこれらの組み合わせを含む、こと(106)と、
前記繊維基材上に前記金属カチオンを堆積させることと、
前記金属カチオンが堆積した後に、前記繊維基材を乾燥させること(112)と、
を含み、
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Bi3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択され、好ましくは、前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択される、プロセス。
【請求項2】
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、濾材基材の0.005~3.0重量%、又は0.01~3.0重量%、又は0.05~3.0重量%、又は0.1~3.0重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、イオン交換によって堆積する、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記イオン交換が、前記繊維基材上のプロトンで行われる、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記イオン交換が、前記繊維基材上の一価金属カチオンで行われる、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、前記繊維基材中で絡み合うことによって堆積する、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ガラス繊維上のSiOH種の量を増加させることを更に含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
SiOHの量が酸浸出(104)によって増加する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸浸出(104)が、前記繊維基材を前記塩溶液に導入する(106)前に、又は前記繊維基材を前記塩溶液に導入する(106)と同時に行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
濾材基材であって、
二価カチオン、三価カチオン、又はその両方の量が少なくとも0.001重量%増加するように処理されたガラス繊維を含み、
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+からなる群から選択され、好ましくは、前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択され、
前記二価金属カチオン及び前記三価の金属カチオンが、0.005~3.0重量%、又は0.01~3.0重量%、又は0.05~3.0重量%、又は0.1~3.0重量%を構成する、濾材基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2021年12月30日に出願された米国特許仮出願第63/266,208号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、ガラス繊維の処理に関し、より具体的には、ガラス繊維フィルタ基材の表面と比較して、空気中の浮遊ウイルス粒子の捕捉において増大した活性を付与する処理、並びにこのような処理を適用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
「COVID-19」として知られているコロナウイルスは、世界的な大流行を引き起こし、その結果、莫大な数の罹患者が入院を必要とし、多くの場合、罹患者は死亡する。したがって、予期せぬ大流行により、Covid-19ウイルスのようなウイルスを捕捉、不活化、又は破壊することができる物理的又は化学的剤の必要性が浮き彫りになった。
【0004】
コロナウイルスは、通常、普通感冒などの軽度の疾患を引き起こすウイルス群である。しかしながら、特定の種のコロナウイルスは下気道に感染し、肺炎又は気管支炎のような重篤な疾患を引き起こす場合がある。ほとんどの人々は、人生のある時点でコロナウイルスに感染するが、これらの感染の大多数は無害である。covid-19疾患を引き起こす新たなコロナウイルスは、注目すべき例外である。
【0005】
コロナウイルスは、極端に大きな一本鎖RNAゲノム26,000~32,000塩基又はRNA「文字」長を有する。コロナウイルス粒子は、エンベロープと呼ばれる脂肪性外層によって取り囲まれており、通常、電子顕微鏡下で見たときには球状にみえ、その表面には、棍棒形状のスパイクの冠又は「コロナ」を有する。
【0006】
したがって、予期せぬ大流行により、COVID-19ウイルスのようなウイルスを捕捉、不活化、又は破壊することができる物理的又は化学的剤が必要であるという結果が浮き彫りになった。
【0007】
高効率微粒子空気(High-Efficiency Particulate Air、HEPA)濾過及び超低微粒子空気(Ultra-Low Particulate Air、ULPA)濾過を使用して、空気中の浮遊ウイルス粒子を空気から除去することができる。ULPA標準は、1.2マイクロメートルまでの粒子の99.9995%を除去することを必要とする。HEPAフィルタ及びULPAフィルタはいずれも、ランダムに配置されたガラスマイクロファイバー、典型的には、クリーンルーム用途ではHEPAについてはアルカリホウケイ酸ガラス組成物及びULPAについては低ホウ素組成物の無数の小さなストランドからなる。
【0008】
ガラス繊維湿式積層媒体は、高圧水圧濾過においてみられるが、その理由は、ガラス繊維が非圧縮性であり、優れた汚れ保持能力を提供するためである。ガラス繊維の繊維は、直径がサブミクロンであっても非常に微細に製造することができ、クリーンルーム用のHEPAフィルタ、合体媒体、病院及び他の医療用空気濾過、並びに特定の実験室フィルタに選択される材料である。
【0009】
既存のガラスHEPA濾材は、空気中の浮遊ウイルス粒子を効果的に除去することが知られているが、粒子除去特性に悪影響を及ぼすことなく、ガラス繊維基材に金属イオンを組み込むことは困難である。
【0010】
金属イオン、特に抗ウイルス金属イオンは、通常、多くの場合溶融塩媒体中でイオン交換を介してガラス中に堆積し、続いて高温熱処理が行われて、固体イオン交換及び活性金属イオンのガラス中への拡散が開始される。得られたガラス物品は、典型的には、タッチパッド、ラップトップコンピュータ、及びスマートフォンスクリーン用の抗ウイルスガラス表面に使用されるが、このプロセスは、空気濾過に使用されるマイクロガラス繊維の製造に適合しない。
【0011】
したがって、空気中の浮遊ウイルス粒子に対する繊維の親和性を高めるために、繊維ガラスなどの繊維系基材を処理するための有効かつ効率的なプロセスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、ガラス繊維濾材などの繊維基材を処理して、空気中の浮遊ウイルス粒子に対する親和性が増大した表面を作り出すための新規方法を提供する。本プロセスは、繊維基材の表面を処理して、基材中の繊維の表面上の二価及び三価金属の量を増加させる。繊維を酸浸出ステップに供して、酸性イオン交換部位を生成し得る。この酸浸出ステップは、所望であれば、設計された生体溶解性特性を有するより化学的に反応性の高いガラスでは、場合によっては、組成物中により高レベルのアルカリを有するより従来のガラス組成物、例えば、B-又はC-ガラスマイクロファイバーでは省略することができる。次いで、二価及び三価金属のカチオンを含有する中性又は弱アルカリ性塩溶液中への液浸、当該溶液の噴霧、又は当該溶液中への浸漬によって、繊維基材の酸性イオン交換部位を交換する。このイオン交換プロセスは、有利なことに、ヘッドボックスの前の混合タンク内の濾材抄紙機のウェットエンドにおいて、移動している形成中の布上への湿式積層の直前のヘッドボックスにおいて、又は形成された媒体に粘結剤樹脂を添加する前、間、若しくは後の湿式積層の後でかつ乾燥の前に達成することができる。これは、金属イオンが、使用中に空気中の浮遊ウイルス粒子と接触するまさにその表面にイオン形態で存在することを保証する。
【0013】
したがって、本発明は、少なくとも1つの態様において、ガラス繊維を含む繊維基材を提供することと、当該繊維基材を塩溶液に導入することであって、当該塩溶液が、二価金属カチオン、三価金属カチオン、又はそれらの組み合わせを含む、ことと、当該金属カチオンを当該繊維基材上に堆積させることと、当該金属カチオンが堆積した後に当該繊維基材を乾燥させることと、により繊維基材を処理するためのプロセスであって、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Bi3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+からなる群から選択される、プロセス、を提供することを特徴とし得る。
【0014】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択され得る。
【0015】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、イオン交換によって堆積し得る。イオン交換は、繊維基材上のプロトンで起こり得る。イオン交換は、繊維基材上の一価金属カチオンで起こり得る。
【0016】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、繊維基材中で絡み合うことによって堆積し得る。
【0017】
プロセスは、ガラス繊維上のSiOH種の量を増加させることを更に含み得る。SiOHの量は、酸浸出によって増加させることができる。酸浸出は、繊維基材を塩溶液に導入する前に行ってよい。酸浸出は、繊維基材を塩溶液に導入するのと同時に行ってもよい。
【0018】
増加させることができる繊維基材上の二価金属カチオン及び三価金属カチオンの量は、繊維基材の少なくとも0.001重量%である。
【0019】
繊維基材上の二価金属カチオン及び三価金属カチオンの量は、繊維基材の少なくとも0.005重量%であってよい。
【0020】
繊維基材上の二価金属カチオン及び三価金属カチオンの量は、繊維基材の0.001~3.0重量%であってよい。
【0021】
別の態様では、本発明は、概して、二価カチオン、三価カチオン、又はその両方の量を少なくとも0.001重量%増加させるように処理されたガラス繊維を含み、二価金属カチオン及び三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+からなる群から選択される、濾材基材を提供することを特徴とし得る。
【0022】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択され得る。
【0023】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、濾材基材の0.005~3.0重量%であってよい。
【0024】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、濾材基材の0.01~3.0重量%であってよい。
【0025】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、濾材基材の0.05~3.0重量%であってよい。
【0026】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、濾材基材の0.1~3.0重量%であってよい。
【0027】
二価金属カチオン及び三価金属カチオンは、濾材基材の0.15~3.0重量%であってよい。
【0028】
それらの全てが任意の方式で組み合わせ可能となり得る、本発明の更なる態様、実施形態、及び詳細が、以下の本発明の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態について、以下の図面と併せて以下に説明する。
図1】本発明の実施形態による処理プロセスを示す図である。
図2】本発明の実施形態による製紙プロセスを示す図である。
図3】ガラス繊維を左側に示し、ガラス繊維上に堆積した亜鉛を右側に示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上述したように、本プロセスは、二価及び/又は三価の金属カチオンを繊維基材上に堆積させる。繊維基材の繊維は、二価若しくは三価の金属カチオンと交換される酸のプロトン、又は二価若しくは三価の金属カチオンと交換される一価のカチオンを有していた酸性イオン交換部位を含む。この処理は、親水性及び疎水性基材(フィルタ、布、他の対象表面)上に施すことができる。未処理の表面と比較して、処理された表面は、空気中の浮遊ウイルス粒子を除去するための親和性が増大していると考えられる。
【0031】
2019~2020年の大流行の原因であるウイルスの名称は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、つまりSARS-CoV-2である。SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患の名称はCOVID-19であり、これは「コロナウイルス病2019」を意味する。多くの場合、ウイルス及び疾患の名称についての用語は、互換的に使用される。本出願の目的のために、「コロナウイルスの大流行」及び類似の表現を使用することができ、この場合「コロナウイルス」は「コロナウイルス病」(特にCOVID-19)の略称であると理解される。
【0032】
SARS-CoV-2は、大きなエンベロープウイルスである。その脂質エンベロープは、殺生物剤に特に敏感である。本出願の目的のために、「抗ウイルス」は、「COVID-19の原因となるウイルス」又は「COVID-19ウイルス」を死滅させる物質を意味する。
【0033】
本出願は、既存のフィルタ技術、特に高効率及びHEPAフィルタに組み込むことができる、種々の基材、特にガラス繊維上に金属を堆積させるための新規アプローチを提供する。抗ウイルスHEPAフィルタは、従業員、顧客、及び学生が屋内環境に戻る際の安全性を確保するのに重要な役割を果たすと予測される。重要なことに、本発明から得られる技術又はプロセスは、既存の繊維及び製紙技術に受け入れられ、製造業者の要求を満たすように容易にスケールアップすることができる。このプロセスは、多種多様な金属を堆積させるために使用することができ、既存の湿式積層媒体製造プロセスに容易に組み込まれることが期待される。
【0034】
これらの一般原理を考慮すると、本発明の1つ以上の実施形態は、以下の記載が限定を意図するものではないという理解と共に説明される。
【0035】
図1に示すように、本プロセス100は6つの主なステップ、すなわち、繊維基材を提供するステップ102と、繊維基材を酸浸出するステップ104と、金属塩溶液を導入するステップ106と、金属塩溶液のpHを調整するステップ108と、任意選択で、処理された基材をデカント又は濾過し、洗浄するステップ110と、基材を乾燥させるステップ112とを含む。繊維基材を濾材に組み込むステップ120と、処理された繊維基材を濾材に組み込むステップ130も示されている。
【0036】
「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」のような用語が特定の順序を示すものではなく、明示的に述べられない限り推測されるべきではないという理解の下で、これらのステップについて以下に説明する。
【0037】
繊維基材
本プロセス100の第1のステップ102においては、繊維基材が提供される。繊維基材としては、ガラス繊維などの濾材において典型的に使用される繊維が挙げられる。特定の実施形態では、繊維基材は、ホウケイ酸ガラスである。
【0038】
繊維10は、ガラス繊維などの濾材において典型的に使用される任意のタイプの繊維であってよい。例えば、繊維基材は、A-ガラス繊維、B-ガラス繊維、C-ガラス繊維、D-ガラス繊維、E-ガラス繊維、ECR-ガラス繊維、T-ガラス繊維、S2-ガラス繊維、M-ガラス繊維、及びこれらの混合物であってよい。高B、及び高いNaO+KO含有量又は高いCaO+MgO含有量のいずれかを有する低Alガラスなどの生体溶解性ガラス。
【0039】
例えば、繊維基材は、A-ガラス、B-ガラス、C-ガラス、又は高B、及び高NaO+KO含有量若しくは高CaO+MgO含有量のいずれかを有する低Alガラスなどの生体溶解性ガラスであってよい。好ましい実施形態において、繊維基材は、B-若しくはC-ガラスボロシリケート、又はJohns Manville 253、475、481、若しくは902ガラスなどの生体溶解性マイクロガラスガラスである。C-04-F及びB-04-Fガラスマイクロファイバーは、Unifrax Specialty Fibersによって製造されており、JM 481は、Johns Manvilleによって製造されている。
【0040】
C-04-Fは、63.0~67.0 SiO;4.0~7.0 B;14.0~17.0 NaO;及び3.0~5.0 Alを含む。B-04-Fは、55.0~60.0 SiO;8.0~11.0 B;9.5~13.5 NaO;及び4.0~7.0 Alを含む。JM 481ガラスマイクロファイバーは、60.8重量%のSiO;11.4重量%のB;9.1 NaO;及び2.0 Alを含む。
【0041】
繊維基材は、乾燥形態で、懸濁液で、又は他の方法で液体媒体中に分散させて提供され得る。
【0042】
酸浸出
第2のステップ104では、任意選択の酸浸出が行われる。ガラスマイクロファイバーは、最初に酸浸出ステップにおいて酸で処理してよい。酸処理は、ガラス表面上でSiOH種を生成することによって親水性を実質的に増大させるので、このステップは、最初は低い親水性を有する繊維基材に有用であり得る。図示された実施形態では、硝酸を使用して、繊維基材のアルカリ及びアルカリ土類カチオンをプロトンと交換すると共に、B及びAl酸化物の一部をガラスから浸出させる。両プロセスによって、ガラス表面上で酸性SiOH種が生成される。
【0043】
図示された実施形態においては、硝酸を使用して、繊維基材のカチオンをプロトンと交換する。しかしながら、他の実施形態では、HF若しくはHClなどのハロゲン化水素酸、又は酢酸などのカルボン酸を含む任意の強酸を使用することができる。酸浸出ステップは、使用される場合、抄紙機のヘッドボックスの直前の撹拌タンク内で行ってよく、続いて浸出液をデカントし、繊維完成紙料をヘッドボックスにポンプ輸送する前にガラス繊維を水に再懸濁させる。場合によっては、湿式積層のために酸性紙完成紙料が望まれる場合には、デカント/再スラリー化が必要ないこともある。
【0044】
二価/三価金属イオンの導入
第3のステップ106を参照すると、本プロセス100においては、二価及び/又は三価金属カチオンを含有する溶液に繊維基材が導入される。
【0045】
金属塩溶液が調製される。例示された実施形態において、金属塩は、二価又は三価カチオンであるカチオンを含む。例示的な金属カチオンとしては、Cu2+、Ag2+、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Sn2+、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Bi3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+が挙げられる。溶液中のカチオンは、適切な溶媒(水)中で解離する硝酸塩、酢酸塩、塩化物、又は硫酸塩などの塩由来であってよい。
【0046】
金属のいくつかは抗ウイルス特性を有することが報告されているが、繊維上の二価及び/又は三価の金属カチオンの量を増加させると、空気中の浮遊粒子に対する親和性が増大すると考えられる。したがって、塩溶液は、Cu2+、Ag2+、Zn2+、Bi3+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Sn2+から選択される少なくとも1つの第1のカチオンと、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+から選択される少なくとも1つの第2のカチオンとを含む金属カチオンの混合物を有していてよい。少なくとも1つの第2のカチオンは、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+から選択されることが企図される。いくつかの実施形態では、第1のカチオン及び第2のカチオンの両方を含有する1つの塩溶液を提供してもよく、他の実施形態では、第1のカチオン又は第2のカチオンのうちの一方を含有する第1の溶液を使用してよく、次いで、第1のカチオン又は第2のカチオンのうちの他方を有する第2の溶液を使用してよい。
【0047】
更に、第1の繊維が第1のカチオンに導入され、第2の繊維が第2のカチオンに導入されることが企図される。2種類の繊維(それぞれ異なるカチオンで処理された)を、等量又は不等量で混合して濾材を形成してもよい。したがって、濾材は、第1のカチオンの量が多い繊維と、第2のカチオンの量が多い繊維とを有する。
【0048】
基材は、例えば、基材を金属塩溶液に浸漬することにより、金属塩溶液を基材上にはけで塗ることにより、又は金属塩溶液を基材上に噴霧することにより、任意の数のプロセスで塩溶液に導入することができる。例えば、ガラス繊維媒体を湿式積層する0~60分前の有効時間に、抄紙機ヘッドボックス又は上流のウェットエンドタンクに金属塩溶液を添加し、その後、任意選択で、シート形成前に、処理された繊維から使用済み溶液をデカント又は濾過することによって、処理を達成することができる。別の可能な処理操作は、樹脂粘結剤の添加の直前、樹脂粘結剤の添加と組み合わせて、又は樹脂粘結剤が添加された直後のうちの1つ以上の時点において、湿式積層ガラス媒体が形成中の布上に形成された直後に金属イオン交換溶液をポンプ輸送又は噴霧することである。これらのプロセスは製紙分野で知られている。
【0049】
付着の様式及び機構は、金属イオン及び繊維基材の特性に応じて異なり得る。例えば、場合によっては、金属は、例えば、繊維の表面上のプロトン又は一価カチオンとのイオン交換によって繊維基材に結合することもある。場合によっては、金属イオンは、繊維基材中の繊維に絡み合うこともある。
【0050】
商業的に好適な時間(異なる材料に対して異なり得る)にわたって二価又は三価の金属が確保される場合に限り、金属が基材上に堆積する正確なプロセスは重要ではない。
【0051】
金属塩溶液のpHの調整
図1に示すように、本プロセス100の第4のステップ108は、金属塩溶液のpHを調整することを含む。これは、導入ステップ106の前、後、又は間に行われることが企図される。
【0052】
例えば、繊維基材が金属塩溶液中にある間に、繊維基材上への二価及び/又は三価の金属の堆積が最大化されるようにpHを調整する。好ましい実施形態において、pHは、5.0よりも大きいpHを提供するように調整される。好ましくは、pHは5.2~11.5、より好ましくは7.0~11.0に調整される。例示された実施形態において、pH調整は、水酸化アンモニウムを溶液に添加することによって行われる。希水酸化ナトリウムなどの他の塩基を使用してもよい。
【0053】
懸濁液中で、金属イオンは、酸性官能基のプロトン及び繊維基材上の残留アルカリカチオンと交換される。交換が起こるのに十分な時間の後、二価及び/又は三価の金属イオンを含む繊維基材を含む懸濁液は、処理された繊維基材を形成する。
【0054】
あるいは、pH調整ステップの前に金属イオンの堆積が起こる代わりに、pH調整ステップ中に金属イオンの堆積が起こることが企図される。例えば、基材を金属イオンを含む弱酸性溶液に浸漬して、金属イオンをプロトン又は残留アルカリカチオンと交換することができる。
【0055】
洗浄
本プロセス100における第5のステップは、任意選択の洗浄ステップ110である。例示された実施形態において、水酸化アンモニウムを使用して、処理された繊維基材又は形成された湿式積層金属堆積媒体を洗浄する。他の実施形態では、精製水及び/又は脱イオン水などの他の溶媒を使用してもよい。
【0056】
乾燥
本プロセス100における第6のステップは、処理された基材112を乾燥させることである。このステップでは、懸濁媒体が蒸発し、処理された繊維基材及び基材表面に付着する未付着の金属イオンが残り、乾燥した処理された基材が得られる。
【0057】
脱水及び乾燥は、真空による脱水、及び又は一般に形成中の布上の形成中の部分で行われる機械的プレスに続いて、形成中の布から除去され、赤外線乾燥、熱風乾燥、加熱ローラ上での乾燥、又は当技術分野で公知の他の乾燥ユニット操作を通して連続的に搬送されることによって行われ得る。図示された実施形態において、処理された繊維基材の乾燥は、摂氏50~150度温度で行われる。
【0058】
任意選択で、洗浄及び乾燥ステップを省略してもよい。図1のプロセス100に示すように、金属堆積に続いて、処理された繊維基材を濾材に組み込むことができる。
【0059】
製紙
本プロセスの繊維基材を濾材に組み込むステップ120及び処理された繊維基材を濾材に組み込むステップ130を、図1に示す。金属を繊維基材上に堆積させて、処理された繊維基材を形成することができ、これが、その後、湿式積層プロセスによって濾材に組み込まれることが想定される。また、繊維基材は、湿式積層プロセスを介して濾材に組み込まれ、その後、二価及び三価の金属イオンを繊維基材上に堆積させて、処理された繊維基材を形成することができることも想定される。
【0060】
図2は、湿式積層プロセス300の実施形態を示す。湿式積層プロセスは、ヘッドボックス前領域A、ヘッドボックス領域B、湿式積層領域C、粘結剤領域D、ローリング領域E、乾燥領域F、及び乾燥後領域Gを含む。ヘッドボックス前領域は、第1の予混合タンク302a及び第2の予混合タンク302bを備える。
【0061】
ヘッドボックス前領域Aにおいては、第1の繊維基材301aが提供され、第1の二価/三価金属成分301bが繊維基材に導入される。第2の予混合タンク302bにおいては、第2の繊維基材301cを第2の二価/三価金属成分301dに導入することができる。
【0062】
ヘッドボックス前混合302によって繊維スラリー304が生成される。繊維スラリーはヘッドボックス306に送られ、これは繊維スラリーを湿式積層抄紙機に適用するために使用される。湿式積層抄紙機は、液体を下方に引き出すための吸引ボックス308と、傾斜ワイヤ310とを備える。その後、粘結剤312が湿式積層繊維に塗布される。ニップロールプレス314がウェブを圧縮し、乾燥機316が過剰な水分を除去する。その後、ローラ318を使用して濾材を保管する。乾燥後処理320は、更なるコーティング又は処理を含んでいてもよい。
【0063】
特定の企図された実施形態においては、二価/三価金属カチオンは、ヘッドボックス前領域A、ヘッドボックス領域B、湿式積層領域C、粘結剤領域D、ローリング領域E、及び乾燥後領域Gにおいて繊維基材に導入され得る。
【0064】
濾材は、長網抄紙機ヘッドボックスと呼ばれる伝統的なタイプの抄紙機ヘッドボックスによって形成されてもよい。長い合成繊維から作製され、完成紙料を分散させることが困難な濾材は、この目的のために特別に設計されたヘッドボックスで製造される。最も一般的な2つは、Rotoformer(登録商標)ヘッドボックス及び傾斜ワイヤヘッドボックスである。Glens Falls,New YorkのGlens Falls Interweb(GFI)が両方を製造している。Rotoformer(登録商標)は、ワイヤで覆われた回転ドラム上でシートを形成する。傾斜ワイヤヘッドボックス(Delta Former(登録商標)として知られている)は、ワイヤがポンドを通過するときにワイヤの傾斜面上でシートを形成する。
【0065】
企図される実施形態は、二価/三価金属が製紙プロセス中の種々の時点で繊維基材に導入されることを含む。例えば、二価/三価金属は、製紙プロセスの以下の単位操作のうちの1つ以上において繊維基材に導入することができる:長網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機、Rotoformer(登録商標)、Delta Former(登録商標)、又は他の傾斜型抄紙機からなる群から選択される抄紙機のウェットエンド混合タンク、マシンチェスト、ヘッドボックス、又は粘結剤含浸セクション。
【0066】
例えば、種々の電荷密度及び分子量分布のカチオン性及びアニオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン高分子電解質、デンプン、コロイド状粘土、アルミナ、並びにシリカ、並びに当該技術分野において既知の種々の分子量分布を有する中性ポリエチレンオキシドなどの荷電及び/又は中性歩留向上剤を添加することによってイオン強度が増大した二価/三価金属堆積溶液の存在下における基材形成を改善するために、繊維スラリー化学を更に調整することが望ましい場合がある。
【0067】
ガラス繊維スラリーを作製するための任意の好適な方法が使用され得ることが認識されるべきである。場合によっては、加工を容易にするために、二価/三価金属カチオン及び任意の追加の添加剤がスラリーに添加される。温度及びpHもまた、適切な範囲に調整してよい。いくつかの実施形態では、スラリーの温度及びpHは維持される。場合によっては、温度及びpHは能動的には調整されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、湿式積層プロセスは、ハイドロパルパー、形成機又はヘッドボックス、乾燥機、及び任意選択のコンバータを含む従来の製紙プロセスと同様の装置を使用する。例えば、スラリーは1つ以上のパルパーで調製されてよい。パルパー内でスラリーを適切に混合した後、スラリーをヘッドボックスにポンプ輸送してよく、そこでスラリーを他のスラリーと組み合わせてもよく、組み合わせなくてもよく、又は添加剤を添加してもよく、添加しなくてもよい。スラリーは、繊維の最終濃度が好適な範囲になるように、追加の水で希釈されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、プロセスは次に、予め形成されたガラス繊維ウェブに粘結剤を導入することを含む。いくつかの実施形態では、ガラス繊維ウェブが適切なスクリーン又はワイヤに沿って通過する際に、分離したエマルジョンの形態であってもよい粘結剤(例えば、軟質粘結剤、任意選択の硬質粘結剤)に含まれる異なる成分が、好適な技術を使用してガラス繊維ウェブに添加される。1つ以上の二価/三価金属はまた、粘結剤と共に又は粘結剤とは独立して、ガラス繊維ウェブに適切に添加されてもよい。場合によっては、粘結剤樹脂の各成分は、他の成分及び/又はガラス繊維ウェブと組み合わされる前にエマルジョンとして混合される。二価/三価金属はまた、粘結剤と混合してガラス繊維ウェブに組み込まれる前にエマルジョンとして提供されてもよい。いくつかの実施形態では、二価/三価金属と共に粘結剤に含まれる成分は、例えば、重力及び/又は真空を使用して、ガラス繊維ウェブを通して引っ張られてもよい。いくつかの実施形態では、粘結剤樹脂及び/又は二価/三価金属に含まれる成分のうちの1つ以上は、軟水で希釈され、ガラス繊維ウェブにポンプ輸送されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、二価/三価金属は、粘結剤及び他の成分が添加された後に添加されてもよい。例えば、二価/三価金属は、粘結剤成分が既にウェブに導入された後の下流ステップでガラス繊維ウェブに導入されてもよい。別の例では、二価/三価金属は、粘結剤と共にガラス繊維ウェブに導入されてもよく、又は1つ以上の二価/三価金属は、プロセスの最後(例えば、繊維ウェブの乾燥の前又は後)に添加される。
【0071】
粘結剤及び二価/三価金属がガラス繊維ウェブに組み込まれた後、湿式積層繊維ウェブを適切に乾燥させてもよい。いくつかの実施形態では、湿式積層繊維ウェブの水抜きをしてもよい。いくつかの実施形態では、湿式積層繊維ウェブは、適切な温度(例えば、50℃~150℃、又は乾燥に適した任意の他の温度)で乾燥させるために、一連のドラム乾燥機に通過させてもよい。場合によっては、典型的な乾燥時間は、複合繊維の水分含有量が所望の通りになるまで変化させてもよい。いくつかの実施形態では、湿式積層繊維ウェブの乾燥は、赤外線ヒーターを使用して行ってもよい。場合によっては、乾燥は繊維ウェブの硬化を支援する。加えて、下流の濾材加工のために、乾燥した繊維ウェブを適切に巻き取ってもよい。
【0072】
一例として、濾材は、湿式積層プロセスによって調製され得、その場合、ガラス繊維スラリー(例えば、水などの水性溶媒中のガラス繊維)を含有する第1の分散液(例えば、パルプ)を製紙機(例えば、Fourdrinier又はRotoformer(登録商標))内のワイヤコンベヤ上に塗布して第1の相を形成する。次に、別のガラス繊維スラリー(例えば、水などの水性溶媒中のガラス繊維)を含有する第2の分散液(例えば、別のパルプ)を第1の相上に塗布する。上記プロセス中に繊維の第1及び第2の分散液に真空を連続的に印加して繊維から溶媒を除去し、第1の相及び第2の相を有する濾材を得る。次いで、形成された濾材を乾燥させる。濾材は、各ガラス繊維ウェブの成分に基づくだけでなく、様々な特性の複数のガラス繊維ウェブを適切な組み合わせで使用する効果にも従って、好適に目的に合わせることができることが理解され得る。企図される実施形態において、ガラスウェブのうちの1つ以上は、追加の二価/三価金属を含むように処理されたガラス繊維を含有する。
【0073】
形成後、濾材は、様々な既知の技術に従って更に加工されてもよい。例えば、濾材はプリーツ加工され、プリーツ加工されたフィルタ要素において使用されてもよい。いくつかの実施形態では、濾材又はその種々の層は、濾材を折り畳むことができるようにするために、互いに適切に離間した距離に切り込み線を形成することによって、好適にプリーツ加工され得る。任意の好適なプリーツ加工技術が使用され得ることが理解されるべきである。
【0074】
濾材は、ガラス繊維ウェブに加えて他の部分を含んでもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、濾材は、1つを超えるガラス繊維ウェブを含んでもよい。いくつかの実施形態では、更なる加工は、1つ以上の構造的特徴及び/又は補剛要素の組み込みを含む。ガラス繊維ウェブは、ポリマー及び/又は金属メッシュなどの追加の構造的特徴と組み合わされてもよい。例えば、更なる剛性を提供するために、スクリーン裏当てを濾材上に配置してもよい。場合によっては、スクリーン裏当ては、プリーツ加工された構成を保持するのに役立ち得る。例えば、スクリーン裏当ては、エキスパンデッドメタルワイヤ又は押出プラスチックメッシュであってよい。
【0075】
濾材は、ASHRAE濾材用途を含む種々の用途で使用するための様々な好適なフィルタ要素に組み込まれることができる。濾材は、一般に、任意の空気濾過用途に使用することができる。例えば、濾材は、暖房及び空調ダクトにおいて使用してよい。濾材はまた、例えば、高効率フィルタ用途(例えば、HEPA)のためのプレフィルタとして作用するなど、プレフィルタとして他のフィルタと組み合わせて使用されてもよい。フィルタ要素は、バッグフィルタ及びパネルフィルタを含む、当技術分野で公知の任意の好適な構成を有していてよい。
【0076】
処理されたフィルタ基材
本プロセスは、空気中の浮遊ウイルス粒子に対する濾材の親和性を増大させると考えられる。このような表面は、Covid-19ウイルスを含む多くのウイルスとの闘いにおいて有益であると考えられる。
【0077】
既存のガラスHEPA濾材は、空気からウイルスなどの感染因子を効果的に除去することが知られているが、空気中の浮遊物品に対する濾材の親和性を高めることが望ましい。一旦捕捉されると、ウイルス粒子の感染性は、ガラス表面上で数日間(最近5日間であると決定された)である時間にわたって減衰する。濾材の既存の抗ウイルス処理は、粒子捕捉特性を劣化させる恐れのあるより厚いコーティングである傾向があり、当該処理は、通常、製紙と容易には適合しない多段階プロセスである。
【0078】
濾過の理論は、一般に、より運動量の高い粒子の直接衝突、より小さく、より運動量の低い粒子の繊維表面への自然力による誘引、サブミクロン粒子の拡散又は濾材繊維との確率的接触、及び静電力を含む複数の粒子捕捉機構を提案しており、主な機構は、捕捉される粒子のサイズ及びその静電又は表面電荷の関数である。認知できるほどの運動量効果に対しては小さすぎるが、拡散効果からの主要な寄与に対しては大きすぎる粒径範囲がある。このサイズ範囲は、最浸透粒径(MPPS)と呼ばれ、HEPA媒体では通常0.3ミクロン範囲である。
【0079】
例えば、呼気によって生成されるエアロゾルからの粒径分布は、吸い込まれた粒子の液体又は粘液含有量の更なる変動と相まって、捕捉された細菌及びウイルスを含有する粒子を、上述のように捕捉効率の関数として異なる深さまでHEPA媒体に浸透させる。従来技術の処理は、通常、既に製造されたHEPA媒体に抗菌及び抗ウイルス種のコーティングを噴霧することによって行われる。これらの処理は、媒体の外側表面の一方又は両方に集中するので、噴霧されたコーティングを越えて媒体に浸透した粒子と有効には相互作用しない。最初に遭遇した繊維との相互作用によってより多量の抗菌種が堆積し、それによって同様に不均一な分布が生じる可能性があるので、予め製造された媒体への浸漬による抗菌コーティングであっても、媒体の深さ全体を均一に処理するとは考えにくい。
【0080】
本開示の特定の好ましい実施形態では、二価/三価金属の均一な分布がHEPA媒体の厚さ全体にわたって作り出され、それによって、可能な微生物含有粒子サイズ及び特性の全範囲にわたって媒体の有効性が最大化される。
【0081】
以下の実施例で論じられる金属負荷Cガラス試料を、走査型電子顕微鏡によって特徴付けた。エネルギー分散型X線分光法(EDS又はEDX)は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)と共に使用される化学的微量分析技術である。
【0082】
本開示においてガラスに適用される十分に分散された金属処理によって、濾材の濾過性能を変化させるコーティング又は大きな凝集体(例えば、ナノ粒子)は提供されない。更に、金属種はSEM技術を使用して検出できないことが多いが、好ましくは、ガラス繊維表面のかなりの割合を不明瞭にしないように十分に低い量で金属種が存在するように、本出願の金属処理は均一に分布する。例えば、図3に示すように、亜鉛で処理されたガラス繊維表面は検出可能であり、繊維の全表面積を不明瞭にしない量で存在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、金属処理は、様々な1平方ナノメートル当たりの原子における金属負荷密度範囲を達成するように行われる。以下の表は、3.5m/gマイクロガラス繊維上のAg、Cu、及びZn処理についての金属負荷密度(原子/nm)と重量%との間の対応を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
図示される実施形態では、金属は、繊維基材の0.001~3.0重量%、好ましくは繊維基材の0.005~2.5重量%の範囲の量で存在する。
【0086】
いくつかの実施形態では、処理された繊維は、0.016~48原子/nm、好ましくは0.16~40原子/nmの銀負荷密度範囲を有する。銅負荷密度は、0.027~81原子/nm、好ましくは0.27~67原子/nmの範囲であってよい。亜鉛負荷密度は、0.026~79原子/nm、好ましくは0.26~66原子/nmの範囲であってよい。
【0087】
これら及び類似の堆積技術を使用して、3.0重量%よりも高いレベルの金属イオンをガラス繊維に適用することもできるが、これらのより高いレベルでは、金属イオンは次第に、典型的には利用可能な形態の金属がより少ない酸化物及び水酸化物として堆積される。
【0088】
抗菌及び抗ウイルス試験
ウイルスの計数には、この分析を行うための特殊な技能及び装置並びに並外れて清浄な環境が必要になるので、抗微生物処理の一般的な殺菌効力の判定には細菌代用物が使用されることが多い。これは、増殖型グラム陰性細菌及びエンベロープウイルスの使用に特に当てはまり、これらはいずれも、金属及び第四級アンモニウム化合物などの多くの殺生物剤の標的である脂質二重層細胞エンベロープを有する。この例は、Schmidt,Marcel,「Identification of potential bacterial surrogates for validation of thermal inactivation processes of hepatitis A virus.」Master’s Thesis,University of Tennessee,2016である。これらの細菌代用物は、そのウイルス対応物よりも殺生物剤に対してより耐性が高く、その結果、これらの代用物に対して抗微生物剤の効力が実証された場合、対応するエンベロープウイルスに対して類似の又はより良好な抗菌活性が予想されることが一般に知られている。例えば、ヒトコロナウイルスに対して30秒間以内に殺ウイルス活性を示す消毒剤は、霊菌(Serratia marcescens)などの増殖型グラム陰性細菌に対して効力を示すのに1分間の接触時間を必要とする。したがって、細菌代用物の使用は、殺生物剤が対応するエンベロープウイルスに対して同様に有効であることを保証するための有効なアプローチである。
【0089】
基材の未処理の表面と比較して、処理された基材は、空気中の浮遊ウイルス粒子に対して増大した親和性を有すると考えられる。
【実施例
【0090】
実施例I:Cガラス上の銅
Unifrax製のガラスマイクロファイバーC-04-Fを入手する。続いて、受け取ったままの、焼成されていないガラス試料に酸浸出処理を施す。15gのCガラス及び4Lの5.5重量%硝酸をそれぞれ4Lの広口プラスチック容器に入れる。プラスチック容器を90℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。酸浸出処理が完了した後、試料を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、7.6Lの脱イオン水で洗浄する。その後、酸浸出された試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0091】
第2に、酸浸出処理されたCガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸銅を使用して、脱イオン水で4Lの0.0006重量%銅溶液を調製する。14gの酸浸出されたCガラスを、4Lの広口プラスチック容器内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.4のpHが得られる)。容器を50℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、収集したガラス試料を7.6Lの希NHOH溶液で洗浄する。希釈NHOH溶液は、10gの濃縮された29.8重量%NHOH溶液を3.8Lの脱イオン水と混合することによって調製される。その後、金属負荷ガラス試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0092】
試料をICP-AESによって分析すると、0.080重量%の銅濃度が得られる。
【0093】
同様に作製した別の試料をICP-AESによって分析すると、0.094重量%の銅濃度が得られる。ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、36.9%の減少を示す対照試料(未処理繊維)に対して、4時間曝露後に99.6%の減少を示す。
【0094】
実施例II:Cガラス上の銀
Unifrax製のガラスマイクロファイバーC-04-Fを入手する。次いで、受け取ったままの、焼成されていないガラス試料に酸浸出処理を施す。12gのCガラス及び4Lの5.5重量%硝酸をそれぞれ4Lの広口プラスチック容器に入れる。プラスチック容器を90℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。酸浸出処理が完了した後、試料を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、7.6Lの脱イオン水で洗浄する。その後、酸浸出された試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0095】
第2に、酸浸出処理されたCガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸銀を使用して、脱イオン水で4Lの0.001重量%銀溶液を調製する。11gの酸浸出されたCガラスを、広口プラスチック容器内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.4のpHが得られる)。容器を50℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、収集したガラス試料を7.6Lの希NHOH溶液で洗浄する。希釈NHOH溶液は、10gの濃縮された29.8重量%NHOH溶液を3.8Lの脱イオン水と混合することによって調製される。その後、金属負荷ガラス試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0096】
試料をICP-AESによって分析すると、0.19重量%の銀濃度が得られる。
【0097】
同様に作製した別の試料をICP-AESによって分析すると、0.15重量%の銀濃度が得られる。ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、36.9%の減少を示す対照試料に対して、4時間曝露後に99.4%の減少を示す。
【0098】
実施例III:Cガラス上の銅及び銀
Unifrax製のガラスマイクロファイバーC-04-Fを入手する。まず、受け取ったままの、焼成されていないガラス試料に酸浸出処理を施す。15gのCガラス及び4Lの5.5重量%硝酸をそれぞれ4Lの広口プラスチック容器に入れる。プラスチック容器を90℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。酸浸出処理が完了した後、試料を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、7.6Lの脱イオン水で洗浄する。その後、酸浸出された試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0099】
第2に、酸浸出処理されたCガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、4Lの脱イオン水中0.0016重量%総金属溶液を使用する。金属負荷溶液は、2Lの0.001重量%銀溶液と2Lの0.0006重量%銅溶液とを混合することによって調製される。この実施例では、硝酸銀を使用して2Lの0.001重量%M1溶液を調製し、硝酸銅を使用して2Lの0.0006重量%M2溶液を調製する。13gの酸浸出されたCガラスを、広口プラスチック容器内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.4のpHが得られる)。容器を50℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、収集したガラス試料を7.6Lの希NHOH溶液で洗浄する。希釈NHOH溶液は、10gの濃縮された29.8重量%NHOH溶液を3.8Lの脱イオン水と混合することによって調製される。その後、金属負荷ガラス試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0100】
試料をICP-AESによって分析すると、0.15重量%の銀濃度及び0.05重量%の銅濃度が得られる。
【0101】
ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、36.9%の減少を示す対照試料に対して、4時間曝露後に99.8%の減少を示す。
【0102】
実施例IV:Cガラス上の亜鉛
Unifrax製のガラスマイクロファイバーC-04-Fを入手する。まず、受け取ったままの、焼成されていないガラス試料に酸浸出処理を施す。15gのCガラス及び4Lの5.5重量%硝酸をそれぞれ4Lの広口プラスチック容器に入れる。プラスチック容器を90℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。酸浸出処理が完了した後、試料を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、7.6Lの脱イオン水で洗浄する。その後、酸浸出された試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0103】
第2に、酸浸出処理されたCガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸亜鉛六水和物を使用して、脱イオン水で4Lの0.0005重量%亜鉛溶液を調製する。14gの酸浸出されたCガラスを、4Lの広口プラスチック容器内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.2のpHが得られる)。容器を50℃のオーブンの気流オーブンに2時間入れ、30分間毎に手で短時間振盪する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、収集したガラス試料を7.6Lの希NHOH溶液で洗浄する。希釈NHOH溶液は、10gの濃縮された29.8重量%NHOH溶液を3.8Lの脱イオン水と混合することによって調製される。その後、金属負荷ガラス試料を110℃で18時間乾燥させる。
【0104】
試料をICP-AESによって分析すると、0.14重量%の亜鉛濃度が得られる。
【0105】
ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、36.9%の減少を示す対照試料に対して4時間曝露後に99.5%の減少を示す。
【0106】
実施例V:Bガラス上の銅
Unifrax製のガラスマイクロファイバーB-04-Fを入手する。Bガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硫酸銅(II)五水和物を使用して、水道水で1.2Lの0.025重量%銅溶液を調製する。12gの細断Bガラスを、2Lのプラスチックビーカー内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、0.1M NaOH(約30mL、この実施例では、5.7のpHが得られる)を添加することによって、混合物のpHを調整する。次いで、ガラス/金属溶液混合物を、オーバーヘッドミキサー及び円形スチールインペラを使用して室温で15分間撹拌する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過する。その後、金属負荷ガラス試料を100℃で3時間乾燥させる。
【0107】
試料をICP-AESによって分析すると、2.02重量%の銅濃度が得られる。
【0108】
実施例VI:Bガラス上の亜鉛
Unifrax製のガラスマイクロファイバーB-04-Fを入手する。Bガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硫酸亜鉛七水和物を使用して、水道水で1.2Lの0.0191重量%亜鉛溶液を調製する。12gの細断Bガラスを、2-Lのプラスチックビーカー内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、0.1M NaOH(約40mL、この実施例では、8のpHが得られる)を添加することによって、混合物のpHを調整する。次いで、ガラス/金属溶液混合物を、オーバーヘッドミキサー及び円形スチールインペラを使用して室温で15分間撹拌する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過する。その後、金属負荷ガラス試料を1100℃で3時間乾燥させる。
【0109】
試料をICP-AESによって分析すると、2.0重量%の正味の亜鉛濃度上昇が得られる。
【0110】
実施例IX:Bガラス上の亜鉛
Unifrax製のガラスマイクロファイバーB-04-Fを入手する。Bガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸亜鉛六水和物を使用して、脱イオン水で1.867Lの0.00244重量%亜鉛溶液を調製する。7gの細断Bガラスを、2-Lのプラスチックビーカー内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.3のpHが得られる)。次いで、ガラス/金属溶液混合物を、オーバーヘッドミキサー及び円形スチールインペラを使用して室温で30分間撹拌する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、3.547Lの脱イオン水で洗浄する。その後、金属負荷ガラス試料を110℃の気流オーブン内で18時間乾燥させる。
【0111】
試料をICP-AESによって分析すると、0.58重量%の正味の亜鉛濃度上昇が得られる。
【0112】
ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、0%の減少を示す対照試料に対して4時間曝露後に99.5%の減少を示す。
【0113】
実施例X:Bガラス上の亜鉛
Unifrax製のガラスマイクロファイバーB-04-Fを入手する。Bガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸亜鉛六水和物を使用して、脱イオン水で800mLの0.00375重量%亜鉛溶液を調製する。3gの細断Bガラスを、1Lのプラスチックボトル内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.2のpHが得られる)。容器を室温で30分間フードの下に置き、時々手で短時間振盪する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、1.52Lの脱イオン水で洗浄する。その後、金属負荷ガラス試料を110℃の気流オーブン内で18時間乾燥させる。
【0114】
試料をICP-AESによって分析すると、0.93重量%の正味の亜鉛濃度上昇が得られる。
【0115】
ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、0%の減少を示す対照試料に対して4時間曝露後に99.6%の減少を示す。
【0116】
実施例XI:Bガラス上の銅
Unifrax製のガラスマイクロファイバーB-04-Fを入手する。Bガラスに金属負荷処理を施す。この実施例では、硝酸銅(II)ヘミ五水和物を使用して、脱イオン水で1.867Lの0.00244重量%銅溶液を調製する。7gの細断Bガラスを、2-Lのプラスチックビーカー内の金属負荷溶液(「ガラス/金属溶液混合物」)に添加する。ガラス/金属溶液混合物のpHを測定する。必要に応じて、29.8重量%の水酸化アンモニウム(NHOH)の連続滴下によって、混合物のpHをpH10超に調整する(この実施例では、10.2のpHが得られる)。次いで、ガラス/金属溶液混合物を、オーバーヘッドミキサー及び円形スチールインペラを使用して室温で30分間撹拌する。金属負荷処理が完了した後、ガラス/金属溶液混合物を、直径150mmのWhatman 541濾紙を取り付けたブフナー漏斗で濾過し、3.547Lの脱イオン水で洗浄する。その後、金属負荷ガラス試料を110℃の気流オーブン内で18時間乾燥させる。
【0117】
試料をICP-AESによって分析すると、0.57重量%の銅濃度が得られる。
【0118】
ISO 18184:2019(E)で分析されたヒトコロナウイルス株229E(ATCC#VR-740)に対するこの材料の殺ウイルス特性は、0%の減少を示す対照試料に対して4時間曝露後に99.8%の減少を示す。
【0119】
実施例XII.SARS-CoV-2及びH1N1試験
Zn処理されたガラスを、Znターゲットがより低く、pHを9に調整したことを除いて、実施例IXと同様の手順で作製した。得られた繊維は、0.2重量%のICPによって測定されたZnレベルを有していた。
【0120】
SARS-CoV-2ウイルスを用いた抗ウイルス活性のISO 1848試験では、対照試料に対して98.4%の減少が得られた。インフルエンザA型ウイルス(H1N1)を用いた抗ウイルス活性のISO1848試験では、対照試料に対して98.1%の減少が得られた。
【0121】
実施例XIのCu処理されたガラスを同じ試験で評価したところ、SARS-CoV-2及びインフルエンザAウイルス(H1N1)についてそれぞれ対照に対して99.7%及び98.5%の減少が得られた。
【0122】
空気中の浮遊粒子の親和性試験
実施例Xと同様の相対的割合の亜鉛で処理されたが、パイロット抄紙機のパルパーで実施され、NaOH溶液を使用してpHが8~9に調整された媒体を有するフィルタでは、0.82重量%の平均添加Zn2+量が得られ、未処理媒体を有するフィルタを使用して、それぞれ24×24×2”と測定される2枚のフィルタを製造した。処理された濾材及び未処理濾材はいずれも、異なるサイズの繊維の混合物を含んでいた。未処理濾材は、処理された濾材と実質的に同様の製造条件下で製造されたガラスマイクロファイバーMERV 13 HVACフィルタであった。フィルタは、ASHRAE試験ダクトに取り付けることができるように、処理された濾材及び未処理の濾材をプリーツ加工し、プリーツ加工された両濾材を飲料ボードフレームに糊付けすることによって製造された。シングルパス効率試験のために、エアロゾル化MS-2バクテリオファージ(ATCC 15597-B1)を試験エアロゾル生物として使用した。
【0123】
シングルパス効率試験:生物を適切な培地上で増殖させ、収集し、5×10E7pfu/mLになるように生理食塩水に再懸濁させた。次いで、噴霧器を使用して、生物の懸濁液を試験ダクト中にエアロゾル化した。試験エアロゾルを試験ダクトに注入しながら、28.3L/Mに較正したSKC Bio-Stage Impactorを使用して上流及び下流の両方の空気試料を採取した。次いで、硬い溶原培地(Lysogeny broth、LB)下層及び大腸菌を組み込んだ柔らかい上層からなる寒天培地の二重層を有する回収プレートを、35℃(95°F)及び相対湿度96%で24時間インキュベートした。インキュベーション後、回収されたプラーク形成単位(plaque-forming unit、PFU)を数えた。1.0mm以上のPFUのみを計数した。効率は以下の式を用いて計算した:
【0124】
【数1】
【0125】
試験条件及び装置
シングルパス効率試験は、24×24 ASHRAEダクトにおいて行った。試験システム空気流を1000cfmで流した。水平ステンレス鋼試験ダクトはASHRAE Standard 52.2-2017,Method of Testing General Ventilation Air-Cleaning Devices for Removal Efficiency by Particle Sizeに従って構築した。Zhang,et al.「Study of Viral Filtration Performance of Residential HVAC Filters,」FIG.1,ASHRAE Journal(August 2020)を参照。
【0126】
フィルタが存在しない試験装置で生じるウイルスの減少を、フィルタマウントの上流及び下流で記録した。試験から得られたデータを以下の表に示す。
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【0131】
上記から分かるように、結果は、未処理濾材から作製されたフィルタが31.0~34.7%の除去効率を有することを示した。対照的に、二価金属の負荷を増加させるように処理された濾材を用いて作製されたフィルタは、少なくとも77%及び最大86%の除去効率を示した。前述の実験の完了後、未処理濾材を用いた結果は、実験条件に起因して信頼できない可能性があると考えられた。
【0132】
したがって、別の同様の実験を行い、以下のデータを収集した。
【0133】
【表6】
【0134】
上記から分かるように、未処理濾材から作製されたフィルタは、79.4%の平均除去効率を有していた。対照的に、二価金属の負荷を増加させるように処理された濾材を用いて作製されたフィルタは、93.8%の平均除去効率を示した。
【0135】
マルチパス効率試験:チャレンジエアロゾルとしてMS-2バクテリオファージ(ATCC 15597-B1)を用いて、マルチパス効率試験を行った。試験は、ラップアラウンド試験ダクトを備えた大型(4000ft)ステンレススチールチャンバ内で行った。
【0136】
これらの試験においては、MS-2バクテリオファージを収集し、10Epfu/mLに滴定した。次いで、試験装置に電力を供給する前に、噴霧器を使用して生物の懸濁液をチャンバ内にエアロゾル化した。試験フィルタを備えるラップアラウンド試験ダクトを通してチャンバ空気を循環させながら、SKC Bio-Stageカスケードインパクターを使用して、試験チャンバ空気を10分間隔で1分間のサンプリング期間にわたってサンプリングした。カスケードインパクターを28.3リットル/分の空気流量に較正し、サンプリング入口を試験チャンバの中間点から離れて設置した。24時間インキュベーションした後に、回収された生物を数えた。循環時間及び関連する除去効率を以下の表に示す。
【0137】
エアクリーナの補正除去効率は、以下のように、時間=0からの空チャンバデータを使用する。
【0138】
【数2】
【0139】
種々の循環時間で処理及び未処理の3枚のフィルタを用いた3連の実験についての平均除去効率を、以下のように求めた。
【0140】
【表7】
【0141】
表7の上記のデータから分かるように、処理されたフィルタによる30分間での62.43%除去及び未処理フィルタによる30分間後の47.93%除去によって示されるように、処理されたフィルタは未処理フィルタよりも迅速にチャンバからウイルスエアロゾルを除去した。
【0142】
同様の実験において、ウイルスエアロゾル除去試験の前にフィルタに粉塵を予め装填した。種々の循環時間でのウイルスエアロゾルの除去効率の効率は、以下のように求めた。
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
この実験では、処理された粉塵装填フィルタのウイルスエアロゾル除去効率は、フィルタを通して5分間で循環するという早さであっても、未処理の粉塵争点フィルタよりも著しく速く相対的に高い値に達した。
【0146】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の請求項の範囲を例解するものであり、それらを限定することを意図するものではないということが理解されよう。
【0147】
本発明の第1の実施形態は、繊維基材を処理するためのプロセスであって、ガラス繊維を含む繊維基材を提供することと、当該繊維基材を塩溶液に導入することであって、当該塩溶液が、二価金属カチオン、三価金属カチオン、又はそれらの組み合わせを含むことと、当該金属カチオンを当該繊維基材上に堆積させることと、当該金属カチオンが堆積した後に当該繊維基材を乾燥させることと、を含み、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Bi3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+からなる群から選択される、プロセスである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択される、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、イオン交換によって堆積する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該イオン交換が、当該繊維基材上のプロトンで行われる、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該イオン交換が、当該繊維基材上の一価金属カチオンで行われる、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、当該繊維基材中で絡み合うことによって堆積する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該ガラス繊維上のSiOH種の量を増加させることを更に含む、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、SiOHの量が酸浸出によって増加する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該酸浸出が、当該繊維基材を当該塩溶液に導入する前に行われる、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該酸浸出が、当該繊維基材を当該塩溶液に導入すると同時に行われる、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該繊維基材上の当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンの量が当該繊維基材の少なくとも0.001重量%増加する、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該繊維基材上の当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンの量が当該繊維基材の少なくとも0.005重量%である、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該繊維基材上の当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンの量が、当該繊維基材の0.001~3.0重量%である、本段落の第1の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0148】
本発明の第2の実施形態は、ガラス繊維を含む濾材基材であって、当該ガラス繊維が、二価カチオン、三価カチオン、又は両方の量が少なくとも0.001重量%増加するように処理されており、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+からなる群から選択される、濾材基材である。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択される、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン当該及び三価金属カチオンが、当該濾材基材の0.005~3.0重量%を構成する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、当該濾材基材の0.01~3.0重量%を構成する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、当該濾材基材の0.05~3.0重量%を構成する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、当該濾材基材の0.1~3.0重量%を構成する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の実施形態は、当該二価金属カチオン及び当該三価金属カチオンが、当該濾材基材の0.15~3.0重量%を構成する、本段落の第2の実施形態から本段落の前の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0149】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0150】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【0151】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形例が存在する点を理解されたい。例示的な実施形態(単数又は複数)は、単なる例に過ぎず、本発明の範囲、適用可能性又は構成の限定を決して意図していない点もまた理解されるべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するうえで便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される機能及び要素の配置に様々な変更がなされ得る点は理解されよう。
図1
図2
図3
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材を処理するためのプロセスであって、
ガラス繊維を含む繊維基材を提供すること(102)と、
前記繊維基材を塩溶液に導入すること(106)であって、前記塩溶液が、二価金属カチオン、三価金属カチオン、又はこれらの組み合わせを含む、こと(106)と、
前記繊維基材上に前記金属カチオンを堆積させることと、
前記金属カチオンが堆積した後に、前記繊維基材を乾燥させること(112)と、
を含み、
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、La3+、Bi3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択され、好ましくは、前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、Mn2+、Co2+、Co3+、Ga3+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、及びBa2+からなる群から選択される、プロセス。
【請求項2】
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、濾材基材の約0.005~約3.0重量%、又は約0.01~約3.0重量%、又は0.05~約3.0重量%、又は約0.1~約3.0重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記二価金属カチオン及び前記三価金属カチオンが、イオン交換によって又は前記繊維基材中で絡み合うことによって堆積する、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【国際調査報告】