(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】誘導加熱はんだ付け自動化装備
(51)【国際特許分類】
B23K 1/002 20060101AFI20250109BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20250109BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B23K1/002
H05K3/34 508
B23K3/00 310F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539012
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 KR2022018088
(87)【国際公開番号】W WO2023128271
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190807
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524241442
【氏名又は名称】ビーエス テクニックス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BS TECHNICS Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】E-dong, 37 Gangchon-ro, Danwon-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do 15407, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ド
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョン シク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,テ キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,イン ホ
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319CC44
5E319CC60
5E319GG03
(57)【要約】
本発明は、誘導加熱はんだ付け自動化装備に関し、特に、電子素子が搭載された基板を固定する治具ユニットと、前記治具ユニットを搬送する第1のコンベヤーと、前記治具ユニットの上方にてx軸、y軸及びz軸の方向に可動となるように設置され、前記治具ユニットに装着された基板を誘導加熱して前記電子素子をはんだ付けする磁気誘導コイルを備える誘導加熱ユニットと、前記第1のコンベヤーと誘導加熱ユニットを制御するコントローラーと、を備えてなり、連続して供給される成形回路部品(MID:Molded Interconnected Device)、プリント基板(PCB)、又はフレキシブルプリント基板(FPCB)を、非接触式の誘導加熱方式により局部的に加熱して熱的ダメージを極力抑えた状態で電子素子を自動的にはんだ付けすることのできる装備である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子(B)が搭載された基板(A)を固定する治具ユニット(100)と、
前記治具ユニット(100)を搬送する第1のコンベヤー(200)と、
前記治具ユニット(100)の上方にてx軸、y軸及びz軸の方向に可動となるように設置され、前記治具ユニット(100)に装着された基板(A)を誘導加熱して前記電子素子(B)をはんだ付けする磁気誘導コイル(410)を備える誘導加熱ユニット(400)と、
前記第1のコンベヤー(200)と誘導加熱ユニット(400)を制御するコントローラー(500)と、
を備えてなることを特徴とする、誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項2】
前記第1のコンベヤー(200)によって搬送される治具ユニット(100)をピックアップして、はんだ付けステージ(C)に移動させるピックアップロボット(300)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項3】
前記誘導加熱ユニット(400)、ピックアップロボット(300)及びコントローラー(500)を備えるはんだ付け装備は、前記第1のコンベヤー(200)に沿って複数台が配備されていることを特徴とする、請求項2に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項4】
前記第1のコンベヤー(200)の隣には、前記治具ユニット(100)を搬送する第2のコンベヤー(800)がさらに設置されていることを特徴とする、請求項3に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項5】
前記第1のコンベヤー(200)の片側の横には、前記治具ユニット(100)がマニュアルにて搬入及び搬出される手動ステージ(F)が備えられていることを特徴とする、請求項4に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項6】
前記はんだ付けステージ(C)、第1のコンベヤー(200)の待ち領域(D)、第2のコンベヤー(800)の搬出領域(E)及び手動ステージ(F)は、前記はんだ付け装備(10)の基台(900)上にてx軸方向に沿って一直線状に配置されるのであり、前記ピックアップロボット(300)は、これらの各領域(C)(D)(E)(F)の上方においてx軸方向に沿って移動するに伴って、治具ユニット(100)の各領域(C)(D)(E)(F)への搬入、及び、治具ユニット(100)の各領域(C)(D)(E)(F)からの搬出を行うことを特徴とする、請求項5に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項7】
前記誘導加熱ユニット(400)をx、y、zの3軸方向に移動させる誘導加熱移動モジュール(700)は、はんだ付け装備(10)の基台(900)側に支持されるy軸ユニット(710)と、前記y軸ユニット(710)側に支持されるx軸ユニット(720)と、前記x軸ユニット(720)側に支持されるz軸ユニット(730)とが組み合わせられてなり、
前記各ユニット(710)(720)(730)は、ガイドレール(711)付きユニット本体(712)と、前記ユニット本体(712)の長手方向の片側の端部に結合された駆動部(713)と、前記駆動部(713)の駆動によって前記ガイドレール(711)を伝って搬送するスライダー(714)と、を備えることを特徴とする、請求項5に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項8】
前記ピックアップロボット(300)は、前記治具搬送レール(600)に沿ってx軸方向に移動し、y軸線上において互いに近づき合ったり遠ざかり合ったりして、前記治具ユニット(100)を把持したり把持解除したりする一対のロボットアーム(310)を下端に備え、油圧又は空圧により前記ロボットアーム(310)をz軸方向に移動させることを特徴とする、請求項7に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項9】
前記基板(A)は、プリント基板(PCB)、フレキシブルプリント基板(FPCB)又は成形回路部品(MID)射出物であることを特徴とする、請求項1に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項10】
前記治具ユニット(10)には、一方の側がバネ(160)と結合され複数枚の基板を押し付けて固定する押付けプレート(170)が配備されていることを特徴とする、請求項1に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項11】
前記治具ユニット(100)は、
底プレート(110)と、
前記底プレート(110)の上面の両側に相対向するように設置され、ガイド孔(121)が形成された一対のガイドプレート(120)と、
前記底プレート(110)の上面の両側に相対向するように設置される第1及び第2の支持プレート(130)、(140)と、
前記一対のガイドプレート(120)、及び、第1及び第2の支持プレート(130)(140)の上端に配備され、嵌合孔(151)が形成された天プレート(150)と、
前記第1の支持プレート(130)に設置されるバネ(160)と、
前記バネ(160)から弾性力の提供を受け、両端に配備されたガイド突起(171)が、前記ガイド孔(121)に嵌め込まれて移動する押付けプレート(170)と、
前記天プレート(150)の嵌合孔(151)を介して前記第2の支持プレート(140)と押付けプレート(170)との間に配置され、前記基板(A)を固定する固定部材(180)と、
を備えてなることを特徴とする、請求項10に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項12】
前記固定部材(180)は、前記第2の支持プレート(140)と押付けプレート(170)との間に多数が配置されるが、前記基板(A)が配置される間隔を生じさせる多数枚の固定パネル(181)と、
前記固定パネル(181)の一方の終端に設置されて、前記第2の支持プレート(140)と接する仕上げパネル(182)と、
を備えることを特徴とする、請求項11に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項13】
前記誘導加熱ユニット(400)は、螺旋状に上方に向かって積層される磁気誘導コイル(410)と、
前記磁気誘導コイル(410)の中央に立設される1つ以上の磁性体コア(420)と、
前記磁性体コア(420)が嵌合されるコア嵌合穴(431)が形成され、前記磁気誘導コイル(410)が嵌合されるコイル嵌合穴(432)が外側面に形成されたコイル固定胴体(430)と、
前記コイル固定胴体(430)が内蔵される胴体治具(440)と、
前記胴体治具(440)の前方・後方にそれぞれ設置される前面治具(450)及びベース治具(460)と、
を備えてなることを特徴とする、請求項1に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項14】
前記前面治具(450)とベース治具(460)には、前記胴体治具(440)とコイル固定胴体(430)を貫通して、前記治具ユニット(100)に向かってレーザーを照射する距離測定器(470)が設置されていることを特徴とする、請求項13に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【請求項15】
前記磁性体コア(420)と向き合う治具ユニット(100)の部分に、磁性体コア(181a)が設置されていることを特徴とする、請求項13に記載の誘導加熱はんだ付け自動化装備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱はんだ付け自動化装備に関し、特に、連続して供給される電子素子が搭載された成形回路部品(MID:Molded Interconnected Device、正確には、機械的機能と電気的機能をもった電気配線回路付プラスチック射出成形品)又はプリント基板(PCB)を誘導加熱して電子素子を連続してかつ自動的にはんだ付けすることのできる誘導加熱はんだ付け自動化装備に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、電気回路は、部品同士の接続と制御、センシングなどといったように、多岐にわたる産業分野における、あらゆる部分に欠かせない必須品となっている。
【0003】
従来、回路を実現する方式としては、プリント基板(PCB)、フレキシブルプリント基板(FPCB)に素子をはんだ付けしたりワイヤーハーネス組立加工を行ったりする方式が挙げられる。
【0004】
PCBの場合、最も一般的な方式による電気回路であって、二次元(2D)の形状に電気回路が実現された部分に所要の電子部品をはんだ付けして電気回路化を行っている。この方式は、ほとんどの産業分野において最も多用されている回路の実現方式であって、フォトレジストによってパターンを基板に実現し、メタルマスク(Metal Mask)又はディスペンシング(Dispensing)の方式によりソルダーペーストを適用した後に、電子部品を搭載してリフローを経て完成された基板を作製することができる。
【0005】
最近には、レーザー直接構造化(LDS:Laser Direct Structuring)、微細複合加工技術(MIPTEC:Microscopic Integrated Processing Technology)技術が適用された、成形回路部品(MID:Molded Interconnected Device)構造の回路物が紹介されている。MIDの場合、プラスチック基台に、直接的に回路を実現するため、三次元(3D)の形状に回路を実現することができ、その結果、空間の制限及び設置の面からみて、非常に有利になるという利点がある。
【0006】
ところが、リフロー方式によってMIDはんだ付けを行う場合に、MIDの全体が、高温の熱を提供する加熱路を通過するが故に、素材に熱的ダメージ(damage)が生じて、限られた素材のみを使用しなければならないという限界があり、かつ、加熱路の空間上の制約によって、高さが異なる平面(2.5D)を有するか、あるいは、3次元(3D)の形状を有するMID構造の回路物に適用するのに限界がある。
【0007】
上述したような限界によって、MIDが有している3D回路が実現可能な非常に画期的なソリューションであるというメリットにも拘わらず、はんだ付けの制限によって産業分野において大きく活用できずにいるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来の技術の問題を解決するために創作されたものであって、連続して供給されるMID(Molded Interconnected Device)又はPCBを、非接触式の誘導加熱方式により局部的に加熱して、熱的ダメージを極力抑えた状態でMID又はPCBに電子素子を自動的に、はんだ付けすることのできる誘導加熱はんだ付け自動化装備を提供することに、その目的がある。
【0009】
また、多数のはんだ付けの対象物を均一な品質にて、自動的にはんだ付けすることのできる誘導加熱はんだ付け自動化装備を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明による誘導加熱はんだ付け自動化装備は、電子素子が搭載された基板を固定する治具ユニットと、前記治具ユニットを搬送する第1のコンベヤーと、前記治具ユニットの上方にてx軸、y軸及びz軸の方向に可動となるように設置され、前記治具ユニットに装着された基板を誘導加熱して前記電子素子をはんだ付けする磁気誘導コイルを備える誘導加熱ユニットと、前記第1のコンベヤーと誘導加熱ユニットを制御するコントローラーと、を備えてなる。
【0011】
また、前記誘導加熱はんだ付け自動化装備は、前記第1のコンベヤーによって搬送される治具ユニットを、ピックアップしてはんだ付けステージに移動させる、ピックアップロボットをさらに備えてなる。
【0012】
このとき、前記誘導加熱ユニット、ピックアップロボット及びコントローラーを備えるはんだ付け装備は、前記第1のコンベヤーに沿って複数台が配備されてもよい。
【0013】
ここで、前記第1のコンベヤーの隣には、前記治具ユニットを搬送する第2のコンベヤーがさらに設置されてもよい。
【0014】
また、前記第1のコンベヤーの片側の横には、前記治具ユニットがマニュアルにて搬入及び搬出される手動ステージが備えられる。
【0015】
ここで、前記はんだ付けステージ、第1のコンベヤーの待ち領域、第2のコンベヤーの搬出領域及び手動ステージは、前記はんだ付け装備の基台上にてx軸方向に沿って一直線状に配置されるのであり、前記ピックアップロボットは、これらの各領域の上方においてx軸方向に沿って移動しながら、治具ユニットの各領域への搬入、及び、治具ユニットの各領域からの搬出を行う。
【0016】
ここで、前記誘導加熱ユニットをx、y、zの3軸方向に移動させる誘導加熱移動モジュールは、はんだ付け装備の基台側に支持されるy軸ユニットと、前記y軸ユニット側に支持されるx軸ユニット、及び、前記x軸ユニット側に支持されるz軸ユニットが組み合わせられてなり、前記各ユニットは、ガイドレール付きユニット本体と、前記ユニット本体の長手方向の片側の端部に結合される駆動部と、前記駆動部の駆動によって前記ガイドレールに乗って搬送するスライダーと、を備える。
【0017】
また、前記ピックアップロボットは、前記治具搬送レールに沿ってx軸方向に移動し、y軸線上において互いに近づき合ったり遠ざかり合ったりすることで、前記治具ユニットを把持したり把持解除したりする一対のロボットアームを下端に備えており、油圧又は空圧により、前記ロボットアームをz軸方向に移動させてもよい。
【0018】
ここで、基板は、プリント基板(PCB)、フレキシブルプリント基板(FPCB)又は成形回路部品(MID)射出物から構成されてもよい。
【0019】
一方、前記治具ユニットは、底プレートと、前記底プレートの上面の両側に相対向するように設置され、ガイド孔が形成された一対のガイドプレートと、前記底プレートの上面の両側に相対向するように設置される第1及び第2の支持プレートと、前記一対のガイドプレート、及び、第1及び第2の支持プレートの上端に配備され、嵌合孔が形成された天プレートと、前記第1の支持プレートに設置されるバネと、前記バネから弾性力の提供を受け、両端に配備されたガイド突起が前記ガイド孔に嵌め込まれて移動する押付けプレートと、前記天プレートの嵌合孔を介して前記第2の支持プレートと押付けプレートとの間に配置され、前記基板を固定する固定部材と、を備えてなる。
【0020】
ここで、前記固定部材は、前記第2の支持プレートと押付けプレートとの間に多数で配置されるが、前記MID又はPCBが配置される間隔を生じさせる多数枚の固定パネルと、前記固定パネルの一方の側の終端に設置されて前記第2の支持プレートと接する仕上げパネルと、を備える。
【0021】
そして、前記誘導加熱ユニットは、螺旋状に上方に向かって積層される磁気誘導コイルと、前記磁気誘導コイルの中央に立設される1つ以上の磁性体コアと、前記磁性体コアが嵌合されるコア嵌合穴が形成され、前記磁気誘導コイルが嵌合されるコイル嵌合穴が外側面に形成されたコイル固定胴体と、前記コイル固定胴体が内蔵される胴体治具と、前記胴体治具の前後方にそれぞれ設置される前面治具及びベース治具と、を備えてなる。
【0022】
そして、前記前面治具とベース治具には、前記胴体治具とコイル固定胴体を貫通して前記治具ユニットに向かってレーザーを照射する距離測定器が設置される。
【0023】
また、前記磁性体コアと向かい合う治具ユニットの部分に磁性体コアが設置される。
【発明の効果】
【0024】
上記のような構成を有する本発明の誘導加熱はんだ付け自動化装備は、電子部品が搭載されたMID射出物又はPCBを非接触式により局部的に加熱することにより、MID射出物やPCBに電子素子をはんだ付けする過程が自動的に行えるようにすることにより、均一な品質を有する多数のはんだ付け製品を得ることができるという利点がある。
【0025】
また、従来のリフローはんだ付けによって解消することができなかったMID射出物や、PCBの熱的ダメージの問題を解決して、熱的ダメージのない製品を生産することができるという利点がある。
【0026】
さらに、はんだ付けの後にも直ちに、MID射出物又はPCBの基板を触(さわ)ることができるレベルの輻射熱しか存在しないので、はんだ付けの後に温度を下げるためのクーリング時間をかけることが不要になる。
【0027】
さらにまた、耐熱性の低いプラスチック樹脂のMID射出物のはんだ付けを行うことが可能であるので、射出物素材を幅広く選択することが可能である。
【0028】
さらにまた、本発明による誘導加熱はんだ付け自動化装備は、リフロー装備に比べて装備の設置空間が非常に狭く、しかも、電気の消費が非常に少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備の全体を示す図。
【
図2】
図1における最も前側に配置された自動化装備の内部構造を示す図。
【
図3】本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備におけるピックアップロボットの作動状態を示す図。
【
図4】本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備における誘導加熱移動モジュールを示す図。
【
図5】
図4に示された誘導加熱移動モジュールにおけるy軸ユニットを示す図。
【
図6】本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備に関する全体の動作を示す手順図。
【
図7】本発明の一実施形態による誘導加熱ユニット及び治具ユニットを一緒に示す図。
【
図8】本発明の一実施形態による誘導加熱ユニット及び治具ユニットを一緒に示す図。
【
図9】本発明の一実施形態による治具ユニットを示す図。
【
図10】本発明の一実施形態による誘導加熱ユニットを分解して示す図。
【
図11】
図10に示された磁気誘導コイルとコイル固定胴体を分解して示す図。
【
図12】本発明の一実施形態による誘導加熱ユニット及び治具ユニットにおける磁性体コアと下部磁性体コアを示す図。
【
図13】本発明の一実施形態による治具ユニットにおける固定パネルと基板(例えば、スマートフォンの外観ケース)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記の課題を解決するための本発明による誘導加熱はんだ付け自動化装備は、電子素子が搭載された基板を固定する治具ユニットと、前記治具ユニットを搬送する第1のコンベヤーと、前記治具ユニットの上方にてx軸、y軸及びz軸の方向に可動となるように設置され、前記治具ユニットに装着された基板を誘導加熱して前記電子素子をはんだ付けする磁気誘導コイルを備える誘導加熱ユニットと、前記第1のコンベヤーと誘導加熱ユニットを制御するコントローラーと、を備えてなる。
【0031】
(発明の実施のための形態)
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明の欄において詳しく説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。なお、本発明について説明するに当たって、関連する公知の技術についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやけさせる虞があると認められる場合、その詳細な説明を省略する。
【0032】
以下、本発明による誘導加熱はんだ付け自動化装備の実施形態について添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備の全体を示す図であり、
図2は、
図1における最も前側に配置された自動化装備の内部構造を示す図であり、
図3は、本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備におけるピックアップロボットの作動状態を示す図であり、
図4は、本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備における誘導加熱移動モジュールを示す図である。
【0034】
本発明による誘導加熱はんだ付け自動化装備は、伝統的なPCB又はFPCBはもとより、射出物の上に直接的に設けられる成形回路部品(MID:Molded Interconnected Device)の上に、電子素子を誘導加熱方式によりはんだ付けして、電子素子の射出物へのモールド直付け(MDM:Mold Direct Mount)を連続して自動的に行うことができる。このとき、射出物は、うねり曲がった領域を有していてもよいし、あるいは、3次元構造を有していてもよい。以下では、電子素子が実装されるPCB、FPCB又はMID射出物について、基板Aとまとめて称するようにして説明する。
【0035】
本発明の全体の概要についてさらに詳しく説明すれば、本発明は、基板をはんだ付けする誘導加熱ユニットが、はんだ付けステージの上方にてx軸、y軸及びz軸の方向に自動的に移動しながら、はんだ付けを行うことができることから、均一な品質を有する大量のはんだ付けを行うことができるのであって、特には、はんだ付け領域(はんだ付けステージ)を中心として基板の投入、排出などのレイアウトをマルチタイプのレイアウトにすることで、互いに異なる種類のロット(lot)ごとにはんだ付けを行うことができるのであり、しかも、はんだ付け装備について、基板の搬送ラインに沿って複数台を連続して配置することで、はんだ付けの歩留まりを大幅に向上できるようにしたものである。
【0036】
このために、本発明の一実施形態による誘導加熱はんだ付け自動化装備は、
図1から
図4に示されているように、電子素子Bが搭載された基板Aを固定する治具ユニット100と、前記治具ユニット100を搬送する第1のコンベヤー200と、前記第1のコンベヤー200によって搬送される治具ユニット100を把持した後、治具搬送レール600に沿って移動してはんだ付け領域(はんだ付けステージ:C)に治具ユニット100をピックアップして搬送するピックアップロボット300と、前記ピックアップロボット300によって搬送された治具ユニット100に装着される基板Aを誘導加熱して、前記電子素子Bをはんだ付けする磁気誘導コイル410を備える誘導加熱ユニット400と、前記第1のコンベヤー200、ピックアップロボット300及び誘導加熱ユニット400を制御するコントローラー500を備えてなる。
【0037】
前記治具ユニット100は、誘導加熱ユニット400の下側に配置されて、非接触式により誘導加熱される基板Aを固定する。このような治具ユニット100の詳細については後述する。
【0038】
前記第1のコンベヤー200は、前後方向に長尺状に配置されており、電子素子Bが搭載された基板Aが固定された治具ユニット100を、前方から後方へと搬送する。
【0039】
そして、第1のコンベヤー200の隣には、治具ユニット100を搬送する第2のコンベヤー800がさらに配置されうる。これに伴い、第1のコンベヤー200を介しては、電子素子Bのはんだ付けが必要となる基板Aを、装備の内部に搬入することができるのであり、第2のコンベヤー800を介しては、はんだ付けが終わって完成された製品を、装備の外部へと搬出することができる。この詳細については、後述する。
【0040】
図3を参照すると、前記ピックアップロボット300は、自動化装備の基台900上に直立した2本のポスト構造物の間において、x軸方向(左右方向)に長尺状に配置された治具搬送レール600に沿って移動しながら、治具ユニット100を把持した後、はんだ付けステージCへと治具ユニット100を搬送する。前記治具搬送レール600には、ピックアップロボット300をx軸方向に移動させる駆動部(図示せず)が組み込まれている。
【0041】
前記ピックアップロボット300は、多数本のロッドを有するシリンダー(図示せず)を備える形状に構成されており、y軸線上において互いに近づき合ったり遠ざかり合ったりすることで、治具ユニット100を把持したり把持解除したりする一対のロボットアーム310を下端に備える。そして、ピックアップロボット300は、油圧又は空圧によってロボットアーム310をz軸方向に移動させる。
【0042】
さらに敷衍すれば、治具搬送レール600に沿って移動していたピックアップロボット300は、第1のコンベヤー200によって搬送されて、待ち領域Dにて待っている治具ユニット100、又は、手動ステージFに置かれた治具ユニット100を把持するために、油圧又は空圧をシリンダーの本体の内部に作用させて、シリンダーのロッド(図示せず)が下側に進出するようにする。そして、ロッドの下端に配備された一対のロボットアーム310は、y軸線上において互いに近づき合ってロボットアーム310が治具ユニット100の天プレート150の下に嵌め込まれることになる。この状態で、再び油圧又は空圧を搬送ヘッド300のシリンダー本体内に作用させて、シリンダーロッドがシリンダー本体の内部に進入するようにすれば、治具ユニット100をz軸方向に持ち上げることができる。この後、ピックアップロボット300は、治具搬送レール600に沿って、はんだ付けステージCに搬送した後、治具ユニット100をz軸方向に下降させるに伴い、治具ユニット100をはんだ付けステージCに降ろしておくことになる。
【0043】
一方、治具ユニット100に載置された基板Aのはんだ付けが行われ終了すれば、ピックアップロボット300は、治具ユニット100をピックアップした後に、第2のコンベヤー800の搬出領域E又は手動ステージFに降ろしておく。
【0044】
本発明によるピックアップロボット300は、このような過程を繰り返し行いながら、第1のコンベヤー200に搬入された治具ユニット100、又は、手動ステージFに搬入された治具ユニット100を、はんだ付け作業領域と搬出領域に搬入及び搬出する作業を行う。
【0045】
図4を参照すると、前記誘導加熱ユニット400は、誘導加熱移動モジュール700によってx軸、y軸及びz軸の方向に移動して、治具ユニット100に配置された基板Aを誘導加熱して、電子素子Bを基板Aにはんだ付けする。このような誘導加熱ユニット400の詳細については後述する。
【0046】
前記誘導加熱移動モジュール700は、誘導加熱ユニット400の位置を、基板の形状や電子素子の位置に合わせて移す手段であって、x軸、y軸及びz軸の3軸運動が行えるようになっている。
【0047】
このために、前記誘導加熱移動モジュール700は、3つのユニットを組み合わせてなるが、例えば、基台900の前後方向に水平に配置された状態で、基台900側に支持されるy軸ユニット710と、基台900の左右方向に水平に配置された状態で、y軸ユニット710側に支持されるx軸ユニット720と、基台900の上向き方向に垂直に配置された状態で、x軸ユニット720側に支持されるz軸ユニット730とが組み合わせられてなる。
【0048】
これにより、前記y軸ユニット710の作動の際に、誘導加熱ユニット400、z軸ユニット730及びx軸ユニット720の全体が、基台900の前後方向(y軸)に動くことができるのであって、前記x軸ユニット720の作動の際に、誘導加熱ユニット400及びz軸ユニット730が基台900の左右方向(x軸)に動くことができるのであり、前記z軸ユニット730の作動の際に、誘導加熱ユニット400が基台900の上下方向(z軸)に動くことができる。
【0049】
前記各ユニット710、720、730は、
図5に示されているように、ガイドレール711付きユニット本体712と、前記ユニット本体712の長手方向の片側の端部に結合される駆動部713(例えば、サーボモーター)と、前記駆動部713と連動されながら、ユニット本体712のガイドレール711を伝って移動するスライダー714と、から構成されるのであり、それぞれのユニットは、自身のユニット本体を、当該スライダー側に結合して支持させることにより、当該スライダーと一緒に各方向に動くことが可能になるのである。
【0050】
例えば、y軸ユニット710のスライダーにはx軸ユニット720のユニット本体が、x軸ユニット720のスライダーにはz軸ユニット730のユニット本体が、z軸ユニット730のスライダーには誘導加熱ユニット400の胴体が、それぞれ結合される。ここで、前記z軸ユニット730の場合には、別途のブラケットを介してx軸ユニット720のスライダーに結合されるようにすることが好ましい。
【0051】
これにより、誘導加熱ユニット400は、各ユニットのx、y及びzの3軸への搬送に伴い、xyzの方向に動いて所望の地点に移動してはんだ付けを行うことができる。
【0052】
一方、上述したはんだ付けステージC、治具ユニット100の待ち領域D、治具ユニット100の搬出領域E、及び手動ステージFについて、
図2及び
図3を参照して、より具体的に説明する。
【0053】
図2及び
図3に示されているように、はんだ付け装備10の内部には、x軸方向に沿ってはんだ付け領域(はんだ付けステージ:C)、治具ユニット100の待ち領域(D:第1のコンベヤーの一領域)、搬出領域(E:第2のコンベヤーの一領域)及び手動領域(手動ステージ:F)がこの順に限定され、y軸方向に沿って、第1のコンベヤー200と第2のコンベヤー800とが並列に、長尺状に配置されている。
【0054】
ここで、第1のコンベヤー200は、基板Aが治具ユニット100に載置された状態で、装備の内部へと搬入する手段であるとともに、第1のコンベヤー100が止まった状態では、装備の内部に搬入された基板Aがはんだ付けステージCに移載される直前の待ち領域Dを提供する。
【0055】
一方、第2のコンベヤー800は、はんだ付け済みの基板Aが治具ユニット100に載置された状態で、装備の外部へと搬出する手段であるとともに、第2のコンベヤー800が止まった状態では、はんだ付け済みの基板Aが装備の外部へと搬出される直前の搬出領域Eを提供する。
【0056】
前記手動ステージFは、オペレーターがマニュアルにて基板Aの装着された治具ユニット100を搬入及び搬出する領域を提供する。このような手動ステージFによって、多品種の少量の製品に対するはんだ付けに、より柔軟に対応することが可能になる。
【0057】
上述したはんだ付けステージC、第1のコンベヤー200の待ち領域D、第2のコンベヤー800の搬出領域E及び手動ステージFは、基台900の上においてx軸方向に沿って一直線の上に配置される。この際、ピックアップロボット300は、これらの各領域の上方にてx軸方向に沿って移動しながら、治具ユニット100を各領域C、D、E、Fに搬入し、かつ、治具ユニット100を各領域C、D、E、Fから搬出する作業を行う。
【0058】
ここで、前記はんだ付けステージCと手動ステージFは、はんだ付け装備10の床面に配置される基台900の上面の両側にて、固定支持される載置台910によって作り出されている。治具ユニット100は、これらの載置台910に据え付けられる。一方、第1及び第2のコンベヤー200、800は、溶接及び手動ステージC、Fの間の基台900の上方を経由しながら、ブラケットなどを用いて基台900の上面に固定支持される。
【0059】
前記コントローラー500は、ピックアップロボット300及び誘導加熱ユニット400の位置と、第1及び第2のコンベヤー200、800の走行を制御する。このようなコントローラー500には、基板の形状、材質、はんだ付けの位置、はんだ付けの速度、高周波発生出力などのはんだ付けの条件や、精度重視、速度重視、省エネ重視などの、はんだ付けの目的などの様々なデータを入力するための入力手段と、様々なデータを表示するための表示手段としての液晶ディスプレイ(LCD)タッチパネルとが接続されている。
【0060】
一方、治具ユニット100、ピックアップロボット300、誘導加熱ユニット400、コントローラー500、及び誘導加熱移動モジュール700を備えるはんだ付け装備10は、前記第1のコンベヤー200に沿って複数台(例えば、3台)が隔離されて備えられる。したがって、多品種のはんだ付け製品を、同時に生産することができる。
【0061】
上述したような構成を有する本発明の誘導加熱はんだ付け自動化装備による、治具ユニットの搬入、搬出、はんだ付けの工程などの動作について、
図2及び
図6を参照して説明する。
【0062】
図2及び
図6に示されているように、本発明において、はんだ付け装備の内部に治具ユニットが搬入される通路は、大きくは、第1のコンベヤーと手動ステージである。
【0063】
まず、第1のコンベヤーに治具ユニットが搬入されて、はんだ付けされた後に搬出される工程について説明する。第1のコンベヤー200に、多数の治具ユニット100が一定の間隔を隔てて搭載されて、はんだ付け装備10に搬入される(ステップS10)。このとき、第1のコンベヤー200は、1ステップずつ、搬送と停止を繰り返し行いながら、治具ユニット100を、はんだ付け装備10の待ち領域Dに順次に搬入する(ステップS20)。治具ユニット100が待ち領域Dに位置することとなれば、ピックアップロボット300が治具搬送レール600に沿って待ち領域Dに移動し、治具ユニット100をピックアップしてはんだ付けステージCに移載する(ステップS30)。この後、誘導加熱ユニット400がコントローラー500に入力された基板の形状、電子素子の配置構造に応じた、はんだ付け位置などの情報を受け取って、はんだ付けステージC上においてx、y及びzの方向に動かし、所望のはんだ付け部分に移動してはんだ付けを行う。ここで、治具ユニット100に多数枚の基板Aが積載されている場合や、1枚の基板Aに対して多数の電子素子Bのはんだ付けを行う場合には、コントローラー500に予め記憶された制御ロジックに従って、x、y及びzの方向に連続して移動しながら、治具ユニット100にある基板Aのすべての電子素子Bのはんだ付けを、一括して行うことになる(ステップS40)。治具ユニット100にあるすべての電子素子のはんだ付け工程が行われて終了すれば、ピックアップロボット300は、コントローラー500の信号を受け取って、はんだ付けステージCにある治具ユニット100を搬入した後、第2のコンベヤー800の搬出領域Eへと治具ユニット100を移しておく(ステップS50)。第2のコンベヤー800は、はんだ付け済みの治具ユニット100を、装備10の外部へと搬出することになる(ステップS60)。これにより、第1のコンベヤー200に搬入されてはんだ付けされた後に、搬出される1サイクルの工程が終了する。
【0064】
これと関連して、1台のはんだ付け装備によりはんだ付けを行う場合には、第2のコンベヤーなしで第1のコンベヤーだけでも対応可能である。すなわち、第1のコンベヤーの待ち領域にある治具ユニットをピックアップして、はんだ付けステージ(C領域)においてはんだ付けを行う間に、第1のコンベヤーは、搬送を止めた状態で待ち続けていて、はんだ付け済みの治具ユニットが、第1のコンベヤーの本来位置していた待ち領域(D領域)に移されれば、そのときに1ステップ分だけ移動して搬入、はんだ付け及び搬出を連続して行うことになる。この場合、誘導加熱ユニット400が、第1のコンベヤーの待ち領域(D領域)にある治具ユニットに搭載された基板を直接的にはんだ付けすることも可能である。すなわち、治具ユニットをはんだ付けステージ(C領域)に移動させるわけではなく、誘導加熱ユニット400が、第1のコンベヤーのインライン上にある待ち領域(D領域)に移動して、はんだ付けを行うことも可能である。
【0065】
次いで、手動ステージに治具ユニットが搬入されて、はんだ付けされた後に搬出される工程について説明する。オペレーターが、手動ステージFに治具ユニット100を載置する。この後、ピックアップロボット300が手動ステージFに載置された治具ユニット100をはんだ付けステージCに移載すれば、誘導加熱ユニット400がはんだ付け工程を行うことになる。これは、上述したステップS30及びステップS40と同様の工程である。この際、オペレーターは、コントローラー500と連携されたディスプレイを介して、手動ステージに搬入される基板の情報と、はんだ付けロジックを新たに設定しなければならない。コントローラー500の新たな情報に基づいて、治具ユニット100にあるすべての電子素子のはんだ付け工程が行われ終了すれば、ピックアップロボット300は、コントローラー500の信号を受け取って、はんだ付けステージCにある治具ユニット100を搬入した後に、再び手動ステージFに移載する(ステップS51)。すると、オペレーターは、手動ステージFにある治具ユニットを装備の外部に搬出する(ステップS61)。これにより、手動ステージに搬入されて、はんだ付けされた後に搬出される1サイクルの工程が終了する。
【0066】
このような手動ステージを用いたはんだ付け工程は、第1のコンベヤーを用いた大量の製品に対してはんだ付けを行う間に、少量の製品に対してはんだ付けが必要となる場合に利用するものである。すなわち、少量の製品に対して緊急なはんだ付けが必要となる場合に、第1のコンベヤーラインにあるすべての治具ユニットを解体せずとも、柔軟に対応することが可能になる。このように、本発明は、1台のはんだ付け装備を用いて、少品種の大量溶接と、多品種の少量溶接とに同時に対応することができるという利点がある。
【0067】
次いで、第2又は第3のはんだ付け装備を用いたはんだ付け工程について説明する。治具ユニットは、第2又は第3のはんだ付け装備10に跨って第1のコンベヤー200に搭載されている。このとき、第1のコンベヤー200に搭載された治具ユニット100には、はんだ付けが行われる前の基板Aが積載されている。これらの治具ユニット100が、第2又は第3のはんだ付け装備の待ち領域Dに位置付けられれば(ステップS21)、上述したステップS20~ステップS60が同一の工程により行われる。多数台のはんだ付け装備を用いてはんだ付けを行う場合には、第1のコンベヤー200と第2のコンベヤー800を同時に使用することが必要である。ここで、第1のコンベヤー200は、はんだ付けの前の治具ユニットを、装備の内部に搬入する手段であり、第2のコンベヤー800は、はんだ付けの後の治具ユニットを、装備の外部に搬出する手段として用いられる。
【0068】
以下では、本発明の誘導加熱はんだ付け自動化装備をなす、治具ユニット100及び誘導加熱ユニット400について、当該図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0069】
図7及び
図8は、本発明の一実施形態による誘導加熱ユニット及び治具ユニットを一緒に示す図であり、
図9は、本発明の一実施形態による治具ユニットを示す図であり、
図10は、本発明の一実施形態による誘導加熱ユニットを分解して示す図であり、
図11は、
図10に示された磁気誘導コイルとコイル固定胴体を分解して示す図であり、
図12は、本発明の一実施形態による誘導加熱ユニット及び治具ユニットにおける磁性体コアと下部磁性体コアを示す図であり、
図13は、本発明の一実施形態による治具ユニットにおける固定パネルと基板(例えば、スマートフォンの外観ケース)を示す図である。
【0070】
図7から
図9、
図13を参照して治具ユニット100について、さらに詳しく説明すれば、治具ユニット100は、底プレート110と、前記底プレート110の上面の両側端に相対向するように設置される一対のガイドプレート120と、前記ガイドプレート120が設置されていない底プレート110の上面の両側端に、相対向するように設置される第1及び第2の支持プレート130、140と、前記一対のガイドプレート120及び第1及び第2の支持プレート130、140の上端に設置される天プレート150と、前記第1の支持プレート130に設置されるバネ160と、前記バネ160に接続されて弾性力の提供を受ける押付けプレート170と、前記基板Aを固定する固定部材180と、を備えてなる。
【0071】
前記ガイドプレート120には、ガイド孔121が長尺状に形成される。
【0072】
前記第1の支持プレート130、第2の支持プレート140及び一対のガイドプレート120は、底プレート110の周縁部の側端に、それぞれ設置されることにより、四角い形状をなす。
【0073】
前記天プレート150には、嵌合孔151が形成される。
【0074】
前記バネ160は、一方の端が第1の支持プレート130に連結され、他方の端が押付けプレート170に連結されて、押付けプレート170が、第2の支持プレート140側へと押される方向に弾性力を与える。
【0075】
前記押付けプレート170は、両端にガイド突起171が備えられ、このガイド突起171は、ガイドプレート120のガイド孔121に嵌め込まれて前進・後進する。
【0076】
前記固定部材180は、天プレート150の嵌合孔151を介して、第2の支持プレート140と押付けプレート170との間に配置される。このような固定部材180は、多数枚の固定パネル181と、前記固定パネル181の一方の側の縁に設置される仕上げパネル182と、から構成される。
【0077】
前記固定パネル181には、少なくとも1本以上の磁性体コア181aが設置されるのであって、このような固定パネル181は、第2の支持プレート140と押付けプレート170との間に多数枚が配置される。
【0078】
一方、多数枚の固定パネル181を水平方向に重ね合わせると、固定パネル181同士の間に隙間が生じるが、この隙間には、それぞれ1枚ずつの基板Aが設置される。上記のような多数枚の固定パネル181のうちの最初の固定パネル181は、押付けプレート170と接触する。
【0079】
前記仕上げパネル182は、水平方向に重ね合わせられた多数枚の固定パネル181のうち、最後に配置された固定パネル181の隣に設置される。このような仕上げパネル182と固定パネル181との間にも基板Aが設置される。そして、仕上げパネル182は、第2の支持プレート140に接する。
【0080】
一方、固定パネル181には、多数の磁石181bが設置されて隣り合う固定パネル181が磁力によって互いにくっつく。いうまでもなく、仕上げパネル182にも磁石を設置して、隣り合う固定パネル181と磁力によってくっつけることも可能である。
【0081】
図7から
図8及び
図10から
図12を参照して、誘導加熱ユニット100についてさらに詳しく説明すれば、前記誘導加熱ユニット400は、磁気誘導コイル410と、前記磁気誘導コイル410の中央に設置される磁性体コア420と、前記磁気誘導コイル410と磁性体コア420が設置されるコイル固定胴体430と、前記コイル固定胴体430が内蔵される胴体治具440と、前記胴体治具440の前方・後方にそれぞれ設置される前面治具450及びベース治具460を備えてなる。
【0082】
前記磁気誘導コイル410は、電磁気誘導によって電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために高周波電源480が接続され、基板Aの上側に一定の距離だけ離れた部分においてはんだ付けが必要となる領域を、非接触状態で局部的に加熱して電子素子Bをはんだ付けする。
【0083】
このような磁気誘導コイル410は、螺旋状に巻き付けられながら、上方に向かって多数層に積層される。このように、磁気誘導コイルが螺旋状に巻き付けられるため、中央には内部空間410aが形成される。
【0084】
前記磁性体コア420は、磁性体の材質からなり、好ましくは、フェライト(Ferrite)からなり、磁気誘導コイル410の内部空間410aに立設されるものであって、磁束を集中させる役割を果たし、はんだ付けの部分に熱源が集中するようにする。
【0085】
一方、上記のように、固定部材180の固定パネル181にも磁性体コア181aが設置されるが、磁気誘導コイル410に設置される磁性体コア420と固定パネル181に設置される磁性体コア151aは、磁束を集中させるという観点からみたとき、相対向するように設置されることが好ましい。
【0086】
前記コイル固定胴体430は、一方向に長い長方形と類似の形状に作製されるものであって、磁性体コア420が嵌め合される少なくとも1本以上のコア嵌合穴431が形成され、磁気誘導コイル410が嵌め合されるコイル嵌合穴432が外側面に形成される。
【0087】
前記コア嵌合穴431は、磁気誘導コイル410の内部空間410aに直立した磁性体コア420が嵌め合される穴である。このようなコア嵌合穴431の内部の上端には、磁性体コア420が外部に抜け出ることを防ぐために、コアカバー433が設置される。
【0088】
前記コイル嵌合穴432には、螺旋状に巻き付けられた磁気誘導コイル410が嵌め合される。
【0089】
一方、コイル固定胴体430には、磁性体コア420と磁気誘導コイル410とを接続する多数本の連通孔434が形成される。
【0090】
前記連通孔434は、磁性体コア420が嵌め合されるコア嵌合穴431とコイル固定胴体430の外側面とが連通するように形成される。このような連通孔434の内部を空気が流れながら、磁性体コア420と磁気誘導コイル410を冷却させることができる。
【0091】
一方、連通孔434には、放熱シート(seat;座部)435を設置してもよい。したがって、放熱シート435は、内側面が磁性体コア420の外側面に接触し、外側面が磁気誘導コイル410に接触して、磁性体コア420と磁気誘導コイル410の冷却を促すことができる。
【0092】
前記胴体治具440には、磁性体コア420と磁気誘導コイル410が設置されたコイル固定胴体430が内蔵される。
【0093】
前記前面治具450とベース治具460は、胴体治具440の両側端にそれぞれ設置されるのであるが、このように、胴体治具440と前面治具450とベース治具460とを接続すれば、これらの間には空いた空間(空きスペース)が形成され、この空いた空間に、距離測定器470が設置される。
【0094】
前記距離測定器470は、両端が前面治具450とベース治具460とにそれぞれ設置され、胴体治具440とコイル固定胴体430とを貫通して、前記治具ユニット100に向かってレーザーを照射する。
【0095】
このような距離測定器470は、治具ユニット100に向かってレーザーを照射して、磁性体コア420と、基板Aに搭載された電子素子Bとの間の距離を測定する。したがって、距離測定器470を用いて均一に高品質のはんだ付けを行うのに最適な位置に、磁性体コア420と電子素子Bが位置するようにする。
【0096】
このように、距離測定器470から照射されるレーザーが通過するためのレーザー通過孔436、441が、コイル固定胴体430と胴体治具440に互いに連絡されるように形成される。
【0097】
本発明による誘導加熱はんだ付け装備は、それぞれ別々の誘導加熱を行うことで、電子素子のはんだ付け工程を行って、精密性と安定性を高めることができるのであり、全体の基板のはんだ付けにかかる時間と消費電力を大幅に削減することができる。
【0098】
また、誘導加熱ユニットが電子素子に隣接して移動しながらはんだ付けを行うので、基板の全体を加熱した後に冷却させる工程を省くことができる。これに関連して、従来のリフロー方式のはんだ付け装備は、基板の全体を加熱した後に基板の全体を再び冷却させる工程を含むことで、基板の全体に位置しているソルダーペーストを一様に溶融させながら、同時に成形回路部品及び他の部品の熱的ダメージを防ぐために、低い温度で長時間かけて加熱するので、はんだ付けにかかる時間が長引くという限界があったのであり、しかも、加熱のためのチャンバーとオーブンが求められ、基板の全体が移動して各工程を行う空間が確保されなければならなかった。また、別途の冷却工程を経ることを余儀なくされるため、冷却工程のための移動装置と冷却設備が求められ、冷却時間がさらにかかることを余儀なくされていた。しかしながら、本発明によるはんだ付け自動化装備は、このような問題をいずれも解消することが可能になる。
【0099】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して説明したが、これらの用語は、単に本発明を明確に説明するためのものに過ぎず、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内において本発明を多種多様に修正及び変更することが可能であるということが理解できる筈である。
【0100】
本発明の一実施形態においては、はんだ付けの対象物としてMID製品である携帯電話の外観ケースを例にとって説明しているが、本発明の様々な実施形態の電子装置はこれに何ら限定されるものではなく、はんだ付け工程が求められるあらゆる種類の電子装置に適用可能である。例えば、電子装置は、スマートウォッチ又は反射防止(AR)ガラスなどのウェアラブル装置、ディスプレイ装置、家電装置、車両用の部品、発光ダイオード(LED)ランプ、タッチパネル、アンテナモジュールなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、誘導加熱はんだ付け自動化装備に関するものであって、部品同士の接続と制御、センシングなどのためにPCBに素子をはんだ付けする電子/電気産業及び機械産業などに幅広く使用可能である。
【国際調査報告】