(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】線量測定計画に応じて、組織部位に指向性放射治療を送達するためのキャリアシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61N5/10 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539074
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2022082483
(87)【国際公開番号】W WO2023129972
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523357371
【氏名又は名称】ジーティー メディカル テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッチマン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コール、ヘイディ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、アダム
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA07
4C082AV08
4C082AV11
(57)【要約】
本開示は、放射線療法において使用するためのデバイスを対象とする。例えば、植え込まれた放射性キャリア内の放射性源からの放射線を遮蔽する際に使用するための、遮蔽層内の遮蔽材料の様々な構成を、本明細書において考察する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線量測定計画に応じて、組織部位に指向性放射治療を送達するためのキャリアシステムであって、
哺乳類組織に外科的に作られた腔の、露出した治療表面に配置されるように構成された生体適合性キャリア;
高z材料を含む遮蔽層を有する実質的に円筒形状の装置をそれぞれ有する複数の遮蔽された被包材、ここでそれぞれの遮蔽された被包材は、中央長手方向キャビティ、及び前記キャビティへの長手方向開口を含む;
対応する遮蔽された被包材の前記中央長手方向キャビティ内に位置付けられる複数の実質的に円筒状の放射性シード、ここで前記長手方向開口は、前記放射性シードの外径と実質的に同じ内径を有する前記中央長手方向キャビティ内で、前記放射性シードの動きを可能にするようにサイズ設定されている;及び
前記線量測定計画に応じて、遮蔽された被包材のそれぞれの対を固定及び離間するように構成された1つ又は複数のコネクタ;
を有する被包シード組立体
を備え、
前記被包シード組立体が、前記生体適合性キャリアに挿入された後に、前記複数の放射性シードが、前記線量測定計画に応じて前記生体適合性キャリア内に位置付けられる、キャリアシステム。
【請求項2】
前記遮蔽被包材のそれぞれは、スナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、対応する放射性シードに取り付けられて、前記放射性シードの外面の少なくとも一部分を覆うように構成されている、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項3】
前記遮蔽された被包材のうちの少なくとも1つは、前記遮蔽された被包材を前記キャリアに固定するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項4】
前記遮蔽された被包材のうちの少なくとも1つは、回転慣性を増大させて前記キャリアに対する回転を低減するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項5】
前記遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項6】
前記遮蔽層は、前記遮蔽装置の内部区域に埋め込まれている、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項7】
前記遮蔽層は、前記遮蔽装置の外面に位置付けられている、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項8】
前記遮蔽層は、2の半価層(HVL)を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項9】
前記遮蔽被包材は、約0.18mm及び0.22mmの間の厚さを有し、前記遮蔽層は、約0.026mm及び0.036mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項10】
前記遮蔽層は、約0.01mm及び0.06mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項11】
前記遮蔽被包材は、プラスチック又はポリマーを含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のコネクタは、円筒形状であり、0.5mmの直径を有する、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数のコネクタは、治療剤を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のコネクタのうちの少なくとも1つは、前記放射性シードから出射される放射線が前記遮蔽層によって遮蔽される方向を示すための、前記キャリアの外部から見える1つ又は複数の突出部を含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項15】
前記キャリアは、コラーゲンを含む、請求項1に記載のキャリアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、放射線療法と併せて使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
生体の腫瘍は、サイズ、場所、及び正常な組織内への浸潤量に大きなばらつきがあり、この腫瘍のばらつきのせいで、画一的な手法による治療は、概して非常に困難である。さらに、減量時の腫瘍及び/又は空隙の程度は、通常、手術室で示されるまで不明である。このように、腫瘍又は腫瘍床を有効に治療するのに必要な選択肢は、かなり多様である必要がある。
【0003】
小線源療法は、腫瘍の中に又はそのすぐ隣に、放射線源を配置することを必要とする。それは、多くの身体部位の癌の有効な治療を提供する。小線源療法は、多モダリティの癌ケアの一環として、費用対効果の高い治療を提供する。小線源療法は、婦人科悪性腫瘍の治療時などには体腔内に関してよく;食道又は肺癌の治療時などには管腔内に関してよく;皮膚癌の治療時などには外表面に関してよく;又は様々な中枢神経系腫瘍、並びに頭頸部の頭蓋外腫瘍、肺、軟組織、婦人科系部位、直腸、肝臓、前立腺、陰茎、及び皮膚の治療時などには、間質内に関してよい。
【発明の概要】
【0004】
添付の特許請求の範囲内のシステム、方法、及びデバイスの様々な実施形態は、それぞれいくつかの態様を有するが、そのうち、本明細書に記載の望ましい属性の全てに関与するものは1つもない。添付の特許請求の範囲を限定することなく、以下の説明は、いくつかの重要な特色について説明する。
【0005】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、中に埋め込まれた高z材料を含む遮蔽層を有する実質的に円筒形状の装置を有する遮蔽された被包材を含む被包された放射性シードに関し、ここで遮蔽された被包材は、中央長手方向キャビティ、及びキャビティへの長手方向開口を含み、実質的に円筒状の放射性シードが、中央長手方向キャビティ内に位置付けられ、ここで、長手方向開口は、放射性シードの外径と実質的に同じ内径を有する中央長手方向キャビティ内で放射性シードの動きを可能にするようにサイズ設定されており、ここで、遮蔽された被包材内の遮蔽層は、放射性シードから出射される放射線を遮蔽するように構成されている。
【0006】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、放射線源から出射される放射線を遮蔽するように構成された高z材料を含む遮蔽層を有する遮蔽装置に関し;ここで遮蔽装置は、スナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、放射線源に取り付けられて、放射線源の外面の少なくとも一部分を覆うように構成されており;ここで遮蔽装置が放射線源に取り付けられたとき、遮蔽層は、放射線源から出射される放射線を遮蔽するように構成される。
【0007】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、中空の内部区域を有する円筒形状であり、放射線源は、実質的に円筒状であり、それにより遮蔽装置は、この中空の内部区域に円筒状の放射線源を受ける。
【0008】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、遮蔽装置の回転慣性を増大させて、遮蔽装置が配置されているキャリアに対にして、遮蔽装置が回転するのを防止するように構成された1つ又は複数の突出部をさらに含む遮蔽装置に関する。
【0009】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで1つ又は複数の突出部は、放射線源から出射される放射線が遮蔽層によって遮蔽される方向を示すために、遮蔽装置が配置されているキャリアの外部から見える。
【0010】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、電気めっきされた金又はタンタルを含む。
【0011】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む。
【0012】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、遮蔽装置の内部区域に埋め込まれている。
【0013】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、遮蔽装置の外面に位置付けられている。
【0014】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、2の半価層(HVL)を有する。
【0015】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽層は、放射線源から進む放射線の大きさを、遮蔽層の方向において4分の1に低減するように構成されている。
【0016】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、遮蔽装置の端部にキャップをさらに有する遮蔽装置に関し、ここでキャップは、放射線源により出射される放射線をキャップの方向において遮蔽するように構成された高Z材料を含む。
【0017】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、中空の内部区域を有する円筒形状であり、中空の内部区域に円筒状の放射線源を受けるように構成されており、ここで遮蔽装置は、約0.18mm及び0.22mmの間の厚さを有し、遮蔽層は、約0.026mm及び0.036mmの間の厚さを有する。いくつかの実施形態において、遮蔽層は、約0.01mm~0.06mmの間の厚さを有する。
【0018】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、プラスチック又はポリマーを含む。
【0019】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、線量測定計画に応じて、指向性放射治療を組織部位に送達するためのキャリアシステムに関し、キャリアシステムは、1つ又は複数の放射性シードを保持するように構成されたキャリア、ここでキャリアは、生体適合性材料を含む;放射性シードに固定されて、放射性シードから出射される放射線の一部分を遮蔽するように構成された複数の遮蔽装置、ここで複数の遮蔽装置はそれぞれ、対応する放射性シードの周囲を部分的に取り囲んで放射線の遮蔽を提供する;ここで遮蔽装置は、対応する放射性シードに固定されて、放射性シード及びキャリアに対して遮蔽層を位置付け、放射性シードから出射される放射線の一部分を、キャリアに対する方向において遮蔽する;及び複数の遮蔽装置に固定されて、遮蔽装置を線形に接続するように構成された1つ又は複数のコネクタを含む。
【0020】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで放射性シード及び遮蔽装置は、全体がキャリア内に埋め込まれる。
【0021】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで放射性シードは、全体がキャリア内に埋め込まれ、ここで遮蔽装置は、キャリアの外面に固定されるように構成される。
【0022】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで複数の遮蔽装置は、キャリアに貫通して遮蔽装置をキャリアに固定するように構成された突出部を含む。
【0023】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで複数の遮蔽装置は、回転慣性を増大させてキャリアに対する回転を低減するように構成された1つ又は複数の突出部を含む。
【0024】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数の突出部は、放射性シードから出射される放射線が遮蔽層によって遮蔽される方向を示すために、キャリアの外部から見える。
【0025】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は、電気めっきされた金又はタンタルを含む。
【0026】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む。
【0027】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は、遮蔽装置の内部区域に埋め込まれている。
【0028】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は、遮蔽装置の外面に位置付けられている。
【0029】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は2の半価層(HVL)を有する。
【0030】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで遮蔽層は、放射性シードから進む放射線の大きさを、遮蔽層の方向において4分の1に低減するように構成されている。
【0031】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、遮蔽装置の端部にキャップをさらに有するシステムに関し、ここでキャップは、放射線源により出射される放射線をキャップの方向において遮蔽するように構成された高Z材料を含む。
【0032】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタは、円筒形状であり、0.5mmの直径を有する。
【0033】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタは、屈曲するように構成され、圧縮及びねじれの力に耐えて伸び、圧縮、及びねじれを防止するように構成されている。
【0034】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタは、コネクタの屈曲を容易にするためのリブを含む。
【0035】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタはセンサを含む。
【0036】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタは、治療剤を含む。
【0037】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここ1つ又は複数のコネクタは、高Z材料を含む。
【0038】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はキャリアシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタのうちの少なくとも1つは、放射性シードから出射される放射線が遮蔽層によって遮蔽される方向を示すための、キャリアの外部から見える1つ又は複数の突出部を含む。
【0039】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はキャリアシステムに関し、ここで複数の遮蔽装置のうちの少なくとも1つの端部は、キャリアの表面と同一平面にある。
【0040】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はキャリアシステムに関し、ここで1つ又は複数のコネクタのうちの少なくとも1つの端部は、キャリアの表面と同一平面にある。
【0041】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術はシステムに関し、ここでキャリアはコラーゲンを含む。
【0042】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、キャリア内から放射線源によって出射される放射線を遮蔽するように構成された高z材料を含む遮蔽層;遮蔽装置の表面から突出しており、ある深さだけキャリア内に突出して、遮蔽装置をキャリアに固定するように構成された1つ又は複数の締結具を含む遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、締結具によってキャリアに取り付けられて、キャリアの外面の少なくとも一部分を覆うように構成されており;ここで遮蔽装置がキャリアに取り付けられたときに、遮蔽層は、キャリア内の放射線源から出射される放射線を遮蔽するように構成されている。
【0043】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、中空の内部区域を有する球形状であり、遮蔽装置が中空の内部区域にキャリアを受けるように、キャリアは、実質的に球状である。
【0044】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は遮蔽装置に関し、ここで遮蔽装置は、平面状であり、キャリアは、実質的に直方体であり、ここで遮蔽装置は、キャリアの実質的に平面状の表面に取り付けられるように構成されている。
【0045】
本明細書に記載の主題の1つ又は複数の実施形態の詳細事項については、添付図面及び以下の説明に示す。他の特色、態様、及び利点は、説明、図面、及び請求項から明らかになろう。以下の図の相対的な寸法は、原寸に比例していなくてよいことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】放射性キャリアが配置された患者の組織の一部分を示す断面図である。
【
図1B】放射性キャリアが配置された患者の組織の一部分を示す断面図である。
【
図1C】放射性キャリアが配置された患者の組織の一部分を示す断面図である。
【0047】
【
図2A】タイル形状の具現化されたキャリアデバイスの斜視図を示す。
【0048】
【0049】
【
図3A】被包材の例示的な実施形態の斜視図である。
【0050】
【
図3B】シードに接する又はその周りの遮蔽層を有する被包材の例示的な実施形態の斜視図である。
【0051】
【
図3C】被包材が遮蔽層を含む、被包シードの例示的な実施形態の斜視図である。
【0052】
【
図3D】被包材が遮蔽層を含んでいない、被包シードの例示的な実施形態の斜視図である。
【0053】
【
図3E】被包シードの例示的な実施形態の斜視図である。
【0054】
【
図3F】シードをスナップ嵌めにより保持するために、円筒の周囲の半分より多く(例えば、180度より多く)が、キャビティ部分の周りでそのままの状態である円筒形状の被包材の例示的な実施形態の斜視図である。
【0055】
【
図3G】シードが被包材にスナップ嵌めされた、被包シードの例示的な実施形態の斜視図である。
【0056】
【
図4A】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図4B】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図4C】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図4D】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図4E】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図4F】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【0057】
【
図5A】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図である。
【
図5B】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図である。
【
図5C】シードに接する又はその周りの被包材の例示的な実施形態の端面図である。
【0058】
【
図6A】キャリア内の被包材及びシードの例示的な実装形態を示す。
【
図6B】キャリア内の被包材及びシードの例示的な実装形態を示す。
【
図6C】キャリア内の被包材及びシードの例示的な実装形態を示す。
【
図6D】キャリア内の被包材及びシードの例示的な実装形態を示す。
【0059】
【
図6E】様々なキャリアに接した被包材の例示的な実施形態を示す。
【
図6F】様々なキャリアに接した被包材の例示的な実施形態を示す。
【
図6G】様々なキャリアに接した被包材の例示的な実施形態を示す。
【0060】
【
図7A】突出部を有する被包材の例示的な実施形態を示す。
【
図7B】突出部を有する被包材の例示的な実施形態を示す。
【
図7C】突出部を有する被包材の例示的な実施形態を示す。
【0061】
【
図8A】コネクタによって接続された被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【
図8B】コネクタによって接続された被包材の例示的な実施形態の端面図及び断面図である。
【0062】
【
図9A】遮蔽層を有し、例示的なコネクタによって接続された複数の例示的な被包材の端面図である。
【
図9B】遮蔽層を有し、例示的なコネクタによって接続された複数の例示的な被包材の側面図である。
【
図9C】遮蔽層を有し、例示的なコネクタによって接続された複数の例示的な被包材の上面図である。
【0063】
【
図10A】コネクタによって接続された被包材及びシードの斜視図である。
【0064】
【
図10B】キャリア内の被包材、シード、及びコネクタの例示的な実装形態の端面図及び断面図である。
【0065】
【
図10C】キャリアの側部に挿入されるように位置付けられた例示的な被包シード組立体の上面図である。
【0066】
【
図11】被包材及びシードをキャリア内に配置するための例示的な挿通装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
概要
腫瘍は浸潤性であることにより、過度な副作用又は死亡率を伴わずに微視的に完全に切除するのが不可能なので、外科的に根絶するのは困難である。残った腫瘍細胞の再成長及び複製の前に、十分な放射線を安全に送達できれば、腫瘍細胞のこの局所的な残留が制御される場合がある。腫瘍の局所的な制御には、減量手術と、それに続く放射線療法が用いられることがある。例えば、術後腫瘍床に放射線を送達する(及び送達を制御する)ために、放射線療法と併せて使用される様々なシステム、方法、及びデバイスを、本明細書において考察する。
用語
【0068】
本明細書において考察するシステム及び方法の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下で説明する。本明細書において使用されているこれらの用語並びに他の用語は、提供された説明、それらの用語の通常かつ慣例的な意味、及び/又はそれぞれの用語についての任意の他の示唆される意味を含むように解釈されるべきであり、そのような解釈は、それらの用語の文脈との一貫性を有する。このように、下の説明は、これらの用語の意味を限定せず、例示的な説明のみを提供するものである。
【0069】
腫瘍:細胞の無制御で進行性の増殖により生じる組織の異常な成長。腫瘍は、良性又は悪性とすることができる。
【0070】
腫瘍床:患者(例えば、人又は他の哺乳類)の腫瘍が存在する解剖学的領域(術前腫瘍床)、及び/又は外科的に除去された腫瘍を取り囲む領域(術後腫瘍床)、例えば、腫瘍が外科的に除去された頭蓋腔。腫瘍の外科的除去の後であっても、患者の残存する腫瘍床は、腫瘍細胞を含むことがある。
【0071】
治療領域:1つ又は複数の放射線送達デバイス(例えば、以下で考察するキャリア)などから放射線を送達するための標的とされた解剖学的領域。治療領域は、腫瘍又は腫瘍床の解剖学的領域などの、放射線送達デバイスが位置付けられる場所の下及び/又はその周りの組織を含んでよい。
【0072】
治療表面:治療領域に放射線を送達するために放射線送達デバイスが配置されることになる患者(例えば、人又は他の哺乳類)の解剖学的表面、例えば治療表面それ自体、及び/又は治療表面の下の組織。治療表面は、腫瘍床又は任意の他の解剖学的表面の一部分であってよい。例えば、腫瘍床が外科的に作られる場合、治療表面は、腫瘍床の露出した表面全体、そのような露出した表面の一部分、又は、腫瘍床並びに周囲組織領域の露出した表面全体を含んでよい。
【0073】
小線源療法:身体の治療表面に直接、及び/又はその近くに、例えば身体の表面に直接、身体内に、又は腫瘍床に、放射線送達デバイスが配置される放射線治療。例えば、小線源療法は、頭蓋又は婦人科悪性腫瘍などにおいて、体腔内に関してよく;食道又は肺癌などにおいて、管腔内に関してよく;皮膚の癌などにおいて、外部に関してよく;及び/又は、頭部、頸部、肺、軟組織、婦人科系部位、直腸、肝臓、前立腺、及び陰茎の、様々な中枢神経系腫瘍並びに頭蓋外腫瘍の治療などにおいて、間質内に関してよい。
【0074】
シード:腫瘍及び/又は腫瘍床に放射線を送達するように構成された放射性物質。シードは、円筒形、円錐形、球形、角錐形、立方体、プリズム、矩形プリズム、三角形プリズム、及び/又は、これらの任意の組み合わせ、又は他の形状などの、様々な形状及びサイズであってよい。シードは、本明細書において概して円筒状であるものとして言及されているが、本明細書において考察する様々なシステム及び方法において、任意の他の形状又はサイズのシードを代替的に使用してよい。シードは、例えば、Cs131、Ir192、I125、Pd103などの複数の放射性コンポーネントのうちの1つ又は複数の任意の組み合わせを含んでよい。シードは、放射性物質を部分的に又は完全に包囲する保護外殻を含んでよい。シードは、放射線源の1つの形態である。本明細書において使用される「放射線源」という用語は、概して、単独(例えば、1つのシード)であるか、又はキャリア(例えば、埋め込まれた放射性シードを有するタイルキャリア)に埋め込まれるか又は別様に取り付けられた放射性シード(又は、放射線を出射する他の物体)を指す。
【0075】
キャリア:放射性シードを保持又は含有する基板。1つ又は複数のシードを含有するキャリアは、放射線送達デバイスである。キャリアは、1つ又は複数の生体適合性及び/又は生体吸収性の材料などの様々な材料、例えばコラーゲンを含んでよい。このように、これらの生体吸収性材料は、生分解性であるか、又は、数週間又は数ヵ月の期間などを経て、経時的に哺乳類組織に自然に吸収される。キャリアは、任意の残存する悪性組織を治療すべく、腫瘍が除去された領域を取り囲む治療表面に放射エネルギーを提供することなどのために、腫瘍床に永久的に植え込まれるように構成されてよい。キャリアは、様々な材料で構成され、様々な形状及びサイズを取ることができる。例えば、様々なサイズ、形状、構成を有するキャリアなど、例示的なキャリアは、以下の特許及び特許出願に含まれ、これによりそのそれぞれは、あらゆる目的のために参照によりその全体が本願に組み込まれる。
・ 2014年7月2日出願の米国特許出願第14/322,785号、現在は米国特許第8,876,684号の、名称「Dosimetrically Customizable Brachytherapy Carriers and Methods Thereof In The Treatment Of Tumors」
・ 2014年3月17日出願の米国特許出願第14/216,723号、現在は米国特許第9,492,683号の、名称「Dosimetrically Customizable Brachytherapy Carriers and Methods Thereof In The Treatment Of Tumors」
【0076】
タイルキャリア(「タイル」とも呼ばれる):実質的に平面状で、腫瘍床に配置されたときに、2次元の平面ジオメトリを概して維持するキャリアのタイプ。しかし、タイルの材料に応じて、タイルは柔軟性を有してよく、それにより腫瘍床により良好に一致させるために、屈曲によってタイルは変形可能である。例えば、本質的にコラーゲン(及び/又は他の柔軟材料)を含むタイルの場合、タイルは、治療表面内又は上に配置されると(及び/又は治療表面に対して押された場合に)術後腫瘍床などの治療表面の形状に一致するように実質的に屈曲してよい。
【0077】
カスタムキャリア:1つ又は複数の非平面表面、例えば、球形状を有する、又は球状部分を有するキャリア。カスタムキャリアの例として、下で述べられる球状キャリア、ゴアキャリア、及びスターキャリア、並びに本明細書において考察する他のカスタムキャリアが挙げられる。
【0078】
球状キャリア(又は「ガンマスフィア」):軸を中心として実質的に放射対称性の本体。球状キャリアは、球状部分から延びる先細り部分などの、非球状部分も含んでよい。球状キャリアの他の変形の例は、2021年3月19日出願の、同時係属中の仮出願第63/163583号、名称「Custom Brachytherapy Carriers」において考察されており、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0079】
ゴアキャリア(「ゴア」とも呼ばれる):3次元であり、効果的な植え込みのために必要なジオメトリを維持しながら腫瘍床に一致するキャリアのタイプ。いくつかの実施形態において、ゴアは、最初は平面状であり、類似の形状の腫瘍腔に配置され得る半球表面を形成するなど、3次元形状を取るように再構成される。ゴアキャリアは、出願第14/322,785号として2014年7月2日に出願された、米国特許第8,876,684号、名称「Dosimetrically customizable brachytherapy carriers and methods thereof in the treatment of tumors」において、さらに考察されており、これによりそれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0080】
スターキャリア(「スター」又は「アーム式キャリア」とも呼ばれる):手術腔又は同様の空間に配列又は配置されるときに適合性のある3次元形状を呈し、効果的な植え込みに必要なジオメトリを維持しながら治療環境に一致するキャリアのタイプ)。しかしながら、いくつかの実施形態において、スターキャリアは、比較的平坦な腫瘍又は腫瘍床領域を覆うように、それらの初期平面状態において使用されてよい。スターキャリアは、出願第14/216,723号として2014年3月17日に出願された、米国特許第9,492,683号、名称「Dosimetrically customizable brachytherapy carriers and methods thereof in the treatment of tumors」において、さらに考察されており、これによりそれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0081】
ローダー:キャリア内にシードを注射することなどを介し、キャリアに放射性シードを配置することを補助するデバイス。ローダーは、本明細書において「装填デバイス」とも呼ばれ、キャリアを定位置に保持し、シードをキャリア中の正確な場所に配置するために送達デバイス(例えば、針又は注射器)をキャリア内にガイドなどするための、複数のコンポーネントを有してよい。「ローダー特許」とは、2012年4月30日出願の米国特許出願第13/460,809号、現在は米国特許第8,939,881号の、名称「Apparatus For Loading Dosimetrically Customizable Brachytherapy Carriers」、及び、2015年4月24日出願の米国特許出願第14/696,293号の名称「Apparatus and Method for Loading Radioactive Seeds Into Carriers」を指し、これによりこれらは、それぞれ参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれ、ローダーのいくつかの実施形態を説明している。本明細書においてさらに考察されるように、ローダーは、人間の操作者などによって手動で操作されてもよいし、又は、自動化プロセスを使用してキャリアにシードを装填できるように完全に自動化されてもよい。代替的に、ローダーは、部分的に自動化され、部分的に手動操作を必要とするように構成されてよい。
【0082】
高Z材料:20より大きい原子番号を有する任意の元素、又はそのような材料を含有する合金。
【0083】
ホットキャリア:放射性の材料が装填されたキャリア。
【0084】
コールドキャリア:放射性シードを装填する前のキャリアなど、放射性の材料が装填されていないキャリア。
【0085】
遮蔽材料:放射性粒子を吸収、反射、及び/又は分散することなどにより、放射性粒子の動きを制限する任意の材料。本明細書において使用される「遮蔽」という用語は、概して、遮蔽材料が放射線を吸収、反射、又は別様にブロックすることなどによって、対応する遮蔽材料を放射線が通過し、それから出ることを防止する任意のメカニズムのことを指す。本明細書において考察される様々な実施形態において、様々な形態の遮蔽材料が使用されてよい。例えば、遮蔽材料は、粒子、ワイヤ、ロッド、円筒、バー、シート、液体、溶液、発泡体の形態、又は、放射線の吸収及び/又は反射特性を有する材料が可能な任意の他の形態であってよい。遮蔽材料は、概して、特定の遮蔽材料によって提供される(1つ又は複数の放射線源から出射される)放射エネルギーの遮蔽量である遮蔽率を提供する。同様に、複数の遮蔽材料及び絶縁シートを含む遮蔽層が、関連付けられた遮蔽率を有し、これは、その中の遮蔽(及び場合により非遮蔽)材料の組み合わせに応じて異なる。いくつかの用途に関して、例えば、臨床上の必要性に基づいて、25%、50%、75%、90%、95%、98%、又は何らかの他の遮蔽パーセンテージの遮蔽率を提供する絶縁シートが所望されてよい。本明細書において考察するように、材料組成、形状、サイズ、寸法などは、遮蔽材料の遮蔽能力に影響を与えることがある。単一の遮蔽材料によって提供され得るよりも高い遮蔽パーセンテージが所望される用途(例えば、臨床上の必要性に基づく)に関して、複数の遮蔽材料を、1つ又は複数の遮蔽層又は絶縁シートにおいて組み合わせて使用してよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、遮蔽材料は、高Z材料、例えばタンタル、金、白金、スズ、鋼、銅、アルミニウムなど(例えば、0.01mm~0.06mmの厚さの金属箔)を含む。他の実施形態において、放射線の貫通を低減する任意の他の材料が、遮蔽材料とされてよい。例えば、非金属であるが、なお密な複合材が、遮蔽材料として単独で(又は金属材料と組み合わされて)使用されてよい。そのような非金属の遮蔽材料は、有利には、金属遮蔽材料によって引き起こされ得る1)MRIアーチファクト、2)絶縁シートの偏向、及び/又は3)電流ループ誘導及び/又は高周波誘導による組織の加熱によって引き起こされ得るものなどのMRI誘導加熱が生じる可能性を、低減してよい。金属材料の遮蔽能力が全体的に高いことを考慮して、特定の非金属材料に応じて、材料の厚さは、金属遮蔽材料に必要な厚さより大きくてもよい。非金属の高密度遮蔽材料は、特に、MRI又は他の磁場曝露が予想され得る用途において、有益なことに、非標的組織を放射線から遮蔽してよい。非金属遮蔽材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone:PEEK)、ナノ粒子、高分子ナノ粒子、カプセル化ナノ粒子、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、これら及びその他の材料のポリマー及びポリマーハイブリッドを含む。遮蔽材料は、複合遮蔽材料を形成するように組み合わされてよい。例えば、別々の金属シリンダ及び液状炭酸カルシウム、又は中実の金属ロッドよりも、患者の臨床上の必要性のうちの1つ又は複数によりよく対応する遮蔽材料を形成するために、金属シリンダが、(非金属の)液状炭酸カルシウムで満たされてよい。
【0087】
例において特定の金属又は非金属材料(例えば、特定の材料の特定の形態)が言及されていても、本明細書における遮蔽材料の言及は、任意の他の遮蔽材料(例えば、異なる形態及び/又は異なる材料)及び/又は遮蔽材料の組み合わせによって実現されることが可能である。例えば、金ロッドの遮蔽材料は、同様の放射線吸収及び/又は反射特性を提供するPEEKメッシュ遮蔽材料に交換されてよい。同じ放射線吸収及び/又は反射特性を提供する様々な遮蔽材料の寸法(例えば、幅、高さ、半径、厚さなど)は、材料ごとに異なってよい。
【0088】
遮蔽層:治療領域の外側への放射線の貫通を低減するために、放射性源(例えばシード)に接して又はその近くに配置されるように構成された1つ又は複数の遮蔽材料。遮蔽層は、金箔シート又はポリマーシートなど、1つ又は複数の材料の別個の層を備えてよい。他の実施形態において、遮蔽層は、(遮蔽層材料を備える)遮蔽層基板、例えば被包材などに埋め込まれてよい高Z又は非金属材料の粒子を含んでよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層は、有孔であってよく、又は例えば1つ又は複数の高Z材料と編み合わされたグリッド又はメッシュパターンを含んでよい。有孔又はメッシュの遮蔽層は、例えば、所望の放射性遮蔽特性を有する遮蔽層を構成することにより、絶縁シートの有効性を向上させてよい。有孔又はメッシュの遮蔽層は、取り扱いの簡単さ(例えば、所望の構成で治療領域への配置を可能にする柔軟性)、及び/又は撮像特性(例えば、遮蔽材料からのアーチファクトの低減)も向上させてよい。
【0089】
被包材:放射性源(例えばシード)に接して又はその近くに配置されるように、又はそれに取り付けられるように構成された装置。被包材は、放射性シードから出射する放射線の一部分、例えば放射線の5%~95%を遮蔽する(例えば、ブロックする、吸収する、及び/又は吸収する)ように構成された1つ又は複数の遮蔽層を含んでよい。被包材は、形状が概して円筒状であってよく、被包材の外側から円筒の中心軸が見えるように、円筒形状の少なくとも一部分が開口している。例えば、被包材は、円筒の長さに沿って欠落した長手方向のスリットを有する円筒状であってよい。例えば、被包材は、周囲のうちの180度が遮蔽層を備え、反対側の180度は開口している半円形の円筒であってよい。このように、被包材は、放射性シードを受けるように構成されたキャビティ(例えば、円筒の内側キャビティ)を画成してよい。いくつかの実施形態において、被包材の内側キャビティ又はその一部分は、概して円筒状であってもよいし、又はシードを受けるためにそのシードの形状にマッチするように、必要とされる又は所望される任意の他の形状であってもよい。例えば、被包材の内側キャビティは、円筒状のシード、又は球状のシード、又は直方体のシードを受けるように形状設定されてよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、被包材は、放射性シードに直接結合されることなく、キャリアに配置又は取り付けされるように構成されてよい。例えば、「キャリア被包材」は、医療処置中に、例えば医療専門家によって、キャリアの表面に配置及び/又は再配置されて、キャリアに埋め込まれた1つ又は複数の放射性シードからの放射線からの遮蔽を提供してよい。様々な実装形態において、キャリア被包材は、キャリア表面の一部分、キャリア表面の全部、又は複数のキャリア表面を被覆してよい。キャリア被包材は、接着により、例えば被包材及び/又はキャリアの接着特性により、キャリアに固定されてよい。キャリア被包材は、キャリアを穿孔して被包材をキャリアにつなぎ留めるように構成された、被包材の1つ又は複数の締結具によって、キャリアに固定されてよい。キャリア被包材は、キャリアの形状及び/又はサイズに嵌まるように形状設定されてよい。例えば、タイルキャリアの上面に配置されるように構成されたキャリア被包材は、概して平面状であり、上面のサイズにマッチするようにサイズ設定されてよい。別の例において、キャリアの球状面(例えば、球状キャリアの上面)に配置されるように構成されたキャリア被包材は、概して球状で、キャリアの球状面を受けるように構成された内側キャビティを有してよく、それにより被包材は球状面に又はその周りに嵌まる。
【0091】
被包材に結合された放射性シードは、概して「被包された放射性シード」と呼ばれてよい。放射性シードは、摩擦嵌め及び/又はスナップ嵌めの組み立てにより、被包材に取り付けられてよい。例えば、被包材は、内側キャビティに放射性シードを挿入できるように内側キャビティの直径を拡張するのに十分な可撓性を有してよい。キャビティ内のシードは、次いで、被包材及び放射性シードの間でのスナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、定位置に保持されてよい。例えば、スナップ嵌めは、内側キャビティ内に延在する被包材の縁部にある1つ又は複数の突出部又は他の機械的特色によって、実現されてよい。概して、本明細書において「放射性シード」又は「シード」という用語は、上述した放射性シード、及び/又は被包された放射性シードのいずれかを指してよい。
【0092】
被包された放射性シードは、キャリア内に取り付けられるか又は埋め込まれて、放射性療法を送達するために患者の治療表面に隣接して配置されてもよいし、又は被包された放射性シードは、キャリアに取り付けられずに、治療表面に直接配置されてもよい。
【0093】
被包材は、1つ又は複数の遮蔽材料とともに埋め込まれる1つ又は複数の材料、例えばプラスチック、ポリマー、又は他の生体適合性材料を備えてよい。代替的に、被包材は、全体が遮蔽材料から構成されてもよい。被包材は、単一の連続した材料を備えてもよいし、又は材料の別個の層を備えてもよい。いくつかの実施形態において、被包材は、遮蔽材料を含まなくてよく、例えば、キャリアへのシードの装填を容易にするように、シードを保持するために使用されてもよい。被包材のキャビティ内に放射性シードが位置付けられることにより、シードから出射される放射線は、被包材の遮蔽材料の方向において遮蔽され、その一方で、放射線は、遮蔽材料を含まない(例えば、被包材のキャビティ開口の)方向においてシード及び/又は被包材から出て、アジュバント療法のために患者の組織内に入ってよい。
【0094】
被包材は、特定の患者及び/又は治療計画に合わせてカスタマイズされてよい。例えば、被包材の開口は、被包された放射性シードから放射線が送達される領域を低減又は増大するように調整されてよい。
【0095】
遮蔽仕様(遮蔽計画とも呼ばれる):1つ又は複数の被包された放射性シードの属性、例えば被包材に含まれる遮蔽層及び任意の他の層(例えば、コラーゲン、又は他の間隔層、接着層など)の属性、例えば、被包材の形状、サイズ、キャビティ寸法、遮蔽材料、遮蔽層、及び/又は他の態様のこれらの属性(本明細書において「特徴」とも呼ばれる)の任意の組み合わせ。遮蔽仕様は、デジタル形式(例えば、データベース又はテーブルなどの電子データ構造)、記述形式(腫瘍医又は外科医による手書き、又はデジタル形式からの印刷)であってよく、及び/又は被包された放射性シードを配置することなく(又はその前に)制作及び/又は更新されてよい。このように、遮蔽仕様は、臨床上の必要性及び/又は他の患者の特徴に基づき、リアルタイムで制作されてよい。
【0096】
遮蔽仕様は、多数の臨床上の必要性(及び/又は他の遮蔽目的又は要件)のうちの1つ又は複数を最も良好に満たすように、例えば以下の遮蔽を提供するように決定されてよい。
・ 指向性の治療領域を生じさせる遮蔽。放射線源、例えば放射性シードとともに埋め込まれたキャリアは、概して全方向に放射線を出射し、それにより放射線源の周りの全領域が、(場合により、放射線源の形状、サイズ、配置などに応じて異なる量の)放射線を吸収する。遮蔽仕様は、特定の方向において出射される放射線をブロックすることにより放射線の範囲を低減する、被包された放射性シードの使用を含んでよい;
・ 遮蔽材料(又は他のコンポーネント)による干渉に起因する撮像歪みのリスクを低減する遮蔽;
・ MRI又は他の撮像デバイスからのエネルギーにより引き起こされるRF加熱のリスクを低減し、それにより撮像の結果としてさらなる患者の負傷、例えば火傷のリスクを低減する遮蔽;
・ 例えば不規則な形状の治療領域に、被包された放射性シードを配置できるようにするための、被包材の好ましい(又はいくつかの実施形態において、必要とされる)形状、サイズなどを提供する遮蔽;及び/又は
・ MRIなどの撮像デバイスからのエネルギーにより、被包材内で遮蔽材料が偏向する(例えば、動く)リスクを低減する遮蔽。
【0097】
線量測定:組織又は臓器における放射線の吸収線量(例えば、ラド)の測定及び定量的記述のプロセス。
【0098】
線量測定計画:例えば、特定の臨床状態に関連付けられた特定の患者のため、及び/又は特定の手術腔などにおいて使用するためなどの、処方された線量測定の説明。例えば、線量測定計画は、例えば、患者から除去された(又は除去が計画された)腫瘍の特徴を考慮して、患者の治療表面に放射性キャリアを配置するための位置、数量、放射性強度などを示してよい。いくつかの実施形態において、線量測定計画は、線量測定計画に応じて放射性シード(例えば、被包された放射性シード)と併せて使用される1つ又は複数の被包材の特徴などの遮蔽仕様(又は「遮蔽計画」)を含んでよい。他の実施形態において、患者のための線量測定計画は、遮蔽仕様を含まなくてよく、例えば、遮蔽仕様の決定を別の専門家、例えば、線量測定計画を実現する外科医に任せてもよい。このように、遮蔽仕様は、処方された放射性キャリアのいくつかが、治療表面に位置付けられたときにリアルタイムでも、又はその後にでも、臨床上の必要性に基づき決定されてよい。臨床上の必要性に基づき遮蔽仕様を決定することにより、不明の、及び/又は線量測定計画の作成後に、例えば腫瘍の除去後に変わることがある患者の実際の臨床状態に、より良好に対応することができる。いくつかの実施形態において、臨床上の必要性は、傷つきやすい組織領域(例えば、視神経、重要臓器など)、又は瘢痕組織領域の周りの遮蔽を増大させるために、考慮されてよい。放射線療法の計画作成に特有の「治療計画」の一種である線量測定計画に応じて、遮蔽仕様を決定する本明細書における任意の考察は、臨床上の必要性に応じたこれらの同じ遮蔽仕様の決定についてもさらに言及し、それにより遮蔽仕様は、線量測定計画及び/又は臨床上の必要性に基づき決定されてよい。
【0099】
治療指数:キャリア内の1つ又は複数の放射性シードなどの治療剤によって提供される治療効果の量の、毒性を生じさせる量に対する関係。治療指数は、放射線を受ける標的領域(例えば、腫瘍又は腫瘍床)の量と比較した、放射線(例えば、一定の線量レベルを上回る)を受ける健康な組織(例えば、非標的組織)の相対量を示してよい。治療指数は、治療領域の周りの領域に送達される放射線に対する、治療領域(例えば、腫瘍又は腫瘍床)に送達される放射線の割合であってよい。このように、治療指数が高いほど、概して、放射線が治療領域に対してより良好に局所化されているこが示され、可能な限り多くの周辺領域に放射線が当たらないようになる。したがって、治療指数の向上により、腫瘍の局所的な制御性が増大し、及び/又は治療の副作用が低減することがある。例示的なキャリアの実施形態
【0100】
図1A及び
図1Bは、中に腫瘍床104及び114をそれぞれ有する患者の組織102及び112の一部分を示す断面図である。これらの腫瘍床104及び114は、腫瘍細胞を除去した腫瘍減量プロセスなどの外科的プロセスによって作られたものであってよい。例えば、組織102又は112は、人(又は他の哺乳類)の頭蓋組織を表してよく、腫瘍床104及び114は、患者の脳(及び/又は周辺領域)から1つ又は複数の腫瘍を除去するために外科的に作られている。このように、組織102及び112は、例えば骨、脂肪組織、脳組織など、異なる種類の物質を表してよい。本明細書において「組織」に言及するときはいずれも、骨、脂肪組織、脳組織などを含む任意の種類の哺乳類の物質に言及していてよい。
【0101】
図1Aの例では、4つのタイルキャリア106が、腫瘍床104内に既に配置されたものとして示してある。腫瘍床104へのタイル106の配置は、外科的処置の直後など、手術室において行われてもよいし、又は数時間、数日、又は数週間後に行われる別の処置などにおいて、外科的処置後のいつかの時点で他の場所で実行されてもよい。
図1Aの実施形態において、タイル106は、治療表面に一致するように曲げやすいものであり、この例において治療表面は、腫瘍床104の非平面状の外面である。一実施形態において、タイル106は、非平面状の表面にタイル106を一致させる際にそのような可撓性を提供するコラーゲンを含んでよい。
図1Bの例では、組織112の腫瘍床114に配置されるタイル116は、腫瘍床114内に配置されたときでもその実質的に平面状の形状を維持する曲げにくい基板、例えばポリマーから構成されている。考察を簡単にするために、本明細書において考察するタイルキャリアは、
図1Aのタイル106などのように可撓性を有するものとして示される。しかしながら、任意の他のタイプのタイルキャリア、並びに他の構成のキャリア、例えばゴア、スター、又はドットのキャリアが、代替的に使用されてもよい。このように、本明細書におけるタイルキャリア又は任意の他の特定のキャリアについてのあらゆる考察は、他のタイプのキャリアを使用する実施形態、全くキャリアのない実施形態(例えば、最初にキャリアに配置されることなく、腫瘍床に配置されることが可能な放射性シード)、及び/又は任意の他の放射線送達デバイスも含むと解釈されるべきである。
【0102】
図1A及び
図1Bの例において、タイル106及び116はそれぞれ、中に埋め込まれた放射性シードを含む。上に述べた関連する特許及び特許出願において考察されているように、放射性シードは、様々な形状、サイズ、及び特徴を有することができる。本明細書において考察する例において、放射性シードは、
図1A及び
図1Bのタイル106及び116のそれぞれに含まれる円筒など、概して円筒状として示される。しかしながら、他の実装形態においては、シードの他の形状及びサイズが使用されてよい。本明細書において考察する例では、放射性シードは実質的に剛性であり、それによりそれらは、それぞれのキャリア内でそれらの形状を維持する。このように、
図1Aに示す通り、腫瘍床104の底部近くのキャリア106が、治療表面により良好に係合するように変形したときでも、その中のシードは、それらの線形の円筒形状を保っている。他の実施形態において、シードはより曲げやすくてもよく、それにより特定の治療表面の形状を帯びる際にいくぶんか柔軟性を有している。
図1Cの例では、腫瘍腔が存在しておらず、そのためにキャリア126は、頭蓋骨を覆う患者の皮膚、又は他の組織など、組織122の実質的に平面状の治療領域に配置される。
【0103】
図1A、
図1B、及び
図1Cの例では、それぞれキャリア106、116、及び126内の放射性シードによって、対応する治療領域に放射線が送達される。しかしながら、これらのシードからの放射線は、所望の治療領域の外側にある組織の他の領域にも延びることがある。例えば、キャリアの上面から出射される放射線は、治療領域の外側の周囲組織、治療表面の近くにある及び/又はそれに接触している組織の他の部分(例えば、腫瘍床104の上に置かれた患者の手)、又はさらに、別の人又は動物の組織、例えば、治療表面の近くにおり、そのために放射性シードから放射線を受ける配偶者の組織にも延びることがある。したがって、キャリアの配置、治療表面のサイズ及び形状、放射性シードの強度、及び/又は多数の他の要因に応じて、そのようなキャリアを使用するための治療指数は、不必要に低い場合がある。本明細書では、小線源療法を使用して放射線を送達するための治療指数を向上させるように概して設計された、様々な遮蔽デバイス、システム、及び方法について考察する。
【0104】
図2Aは、放射性シード299の装填可能なスペーサとしての役割を果たすタイルキャリア200の斜視図を示す。さらに、タイルキャリア200は、治療表面220の反対側の対蹠表面210を含んでよい。
【0105】
図2Bは、例示的なタイルキャリア200の断面図を示す。断面
図251は、例示的なタイルキャリア200の上面図である。断面
図252は、埋め込まれたシード299を有する例示的なタイルキャリア200の正面図である。断面
図253は、埋め込まれたシード299を有する例示的なタイルキャリア200の側面図である。例示的な被包材の実施形態
【0106】
本明細書では、指向性の放射性遮蔽を提供するために、放射性シードの上に、その周りに配置され、及び/又はそれとともに含められる概して任意の材料である被包材の、いくつかの実施形態について開示する。上に述べたように、被包材は、1つ又は複数の遮蔽材料をそれ自体が含み得る単一の遮蔽層を含んでもよいし、又は互いに様々な位置関係にある複数の遮蔽層を含んでもよい。被包材は、線量測定計画に関連付けられた治療指数を向上させてよい。被包材に使用される遮蔽材料は、例えば、プラスチック又はポリマーの1つ又は複数の層などの基板内又は基板上の、箔、メッシュ、配向ストリップ、グリッド、埋め込みされた、噴霧された、生体接着された、又は上張りなど、遮蔽層に形成された様々な形態の高z材料又はその合金を含んでよい。特定の形状、材料、組成、特性などが、様々な例示的な被包材を参照しながら本明細書において開示されるが、これらの例の変形形態が予想される。
【0107】
図3Aは、被包材303Aの例示的な実施形態の斜視図である。
図3Aの例において、被包材303は、形状が概して円筒状であり、円筒状の放射性シードの周りに嵌まる(及び/又は、係合する)ようにサイズ設定された中央キャビティ302を含む。本明細書における説明を簡単にするために、被包材は、
図3Aなどのように、概して円筒形状を有するものとして説明される。しかしながら、同じ又は同様の特徴を有する被包材の任意の他の形状も企図される。このように、特定の形状(例えば、中央キャビティを有する円筒状)の被包材の特色又は特徴のあらゆる考察は、本明細書において具体的に考察していない任意の他の形状の被包材にも適用可能である。例えば、被包材の他の実施形態は、例えばシードの形状にマッチするように、形状が概して円筒状、球状、立方体、又は直方体のキャビティを含んでよい。本明細書において「キャリア被包材」とも呼ばれることがある被包材の他の実施形態は、キャリア又はその一部分に又はその周りに嵌まるように形状設定されてよい。例えば、キャリア被包材は、タイルキャリアの表面に配置されるように、概して平面状であってもよいし、又は被包材は、球状キャリア又はその一部分に又はその周りに嵌まるように概して球状の、又は、例えばタイルキャリアの形状にマッチするように、形状が概して直方体のキャビティを含んでもよい。説明を簡単にするために、形状が概して円筒状の例示的なシードを、本明細書において考察する。しかしながら、任意の他の形状のシードが、同様に被包材と併せて使用されてよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、被包材303Aは、例えば、均一な又は連続した材料であってよい単一の遮蔽材料、又は単一の非遮蔽材料など、単一の材料を含んでよい。例えば、被包材303Aは、単一のプラスチック又はポリマー、又は他の生体適合性材料を含んでもよいし、又は単一の高Z材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、被包材303Aは、様々な材料の別個の層、部分、又は区域など、1つより多くの材料を含んでよい。被包材303Aは、押し出し、射出成形、又は3D印刷などによって製造されてよい。
【0109】
図3Bは、被包材303Bの残りの部分を形成している非遮蔽材料306内に埋め込まれた遮蔽層305を含む被包材303Bの別の例を示す。本明細書においてさらに考察するように、遮蔽材料は、非遮蔽材料内に埋め込まれ、及び/又はそれに取り付けられて、様々な構成の被包材が形成されてよい。
【0110】
遮蔽層305は、1つ又は複数の高Z材料を含んでよい。例えば、遮蔽層305は、金(Au)又はタンタル(Ta)を含んでよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層305は、金などの高Z材料の、電気めっきされた層を含んでよい。いくつかの実施形態において、被包材は、1つより多くの遮蔽層、例えば2つ又は3つの別個の遮蔽層を備えてよく、これらの遮蔽層は、シードから離れた様々な距離で、プラスチック又はポリマーなどの被包材の非高Z材料の一部分、区域、又は層によって互いに分離した状態で、被包材内にそれぞれ位置付けられていてよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、遮蔽層は、シードの長さに沿って、及び/又はシードの周囲周りに、可変の厚さを有してよい。可変の厚さの遮蔽層により、例えば、処方された治療計画に応じて、腫瘍床の異なる区域に異なる線量で放射線が送達可能になってよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層は、約0.01mm及び0.06mmの間、約0.02mm及び0.03mm、約0.025mm及び0.035mmの間、約0.03mm及び0.04mmの間の厚さ、又は任意の他の厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層305は、約0.026mm又は約0.036mmの厚さを有してよい。
【0112】
遮蔽層305の厚さ及び/又は材料は、所望の線量測定計画に依存してよい。例えば、遮蔽層305は、一定の半価層(half value layer:HVL)を有することが所望されてよい。HVLとは、それに入る放射線の強度が2分の1に低減される材料の厚さのことである。いくつかの実施形態において、遮蔽層305は、1、1.5、2、2.5、3のHVL、又は他のHVLを有してよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層305は、放射性シードから遮蔽層305に入る放射線の強度/大きさが、遮蔽層305から出る前に4分の1に低減されるように、2つのHVLを有してよい。HVLは、材料に応じて異なってよい。このように、一部の材料については、放射線強度/大きさを他の材料と同じだけ低減するために、より厚い遮蔽層305が必要になることがある。いくつかの実施形態において、遮蔽は、線量低減のパーセンテージとして処方されてよい。例えば、遮蔽層は、約30%~90%の間の線量低減を提供してよい。
【0113】
図3Cは、被包材キャビティに放射性シード301が位置付けられた被包材303Bを示す。被包材及び放射性シードのこの組み合わせは、本明細書において、被包シード304など、被包シードと呼ばれる。本明細書においてさらに考察するように、放射性シードは、摩擦嵌め、スナップ嵌め、及び/又は接着剤などの様々な手段により、被包材に結合されてよい。
【0114】
図3Cの実施形態において、シード301は、ロッド形状又は円筒形状である。実施形態に応じて、シード301は、約4mm及び5mmの間の長さ、又は必要とされる又は所望される任意の他の長さを有してよい。いくつかの実施形態において、シード301は、4.5mmの長さを有してよい。シードは、約0.65mm及び0.75mmの間、約0.7mm及び0.8mmの間、又は約0.75mm及び0.85mmの間の直径を有してよい。いくつかの実施形態において、シード301は、約0.7mm、又は約0.8mm、又は約0.9mmの直径を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、被包材303(例えば、被包材303A、303B、又は本明細書において考察する任意の他の被包材)は、接着によりシード301の取り付けられてよい。例えば、被包材303は、キャビティの内側表面に、シード301を被包材303のキャビティ壁に接着する接着性のある表面及び/又は材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、被包材303は、機械的な力によって、シード301に固定されてよい。例えば、被包材303は、シード301の大部分の周囲表面を包囲してよく、例えばそれにより、シード301は被包材301内に圧力嵌め又はスナップ嵌めされてよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、シード301が被包材303に挿入され得るか、又は被包材303から取り外され得るように、被包材303は、シード301に着脱可能に固定されてよい。被包材303は、例えば接着又はスナップ嵌めにより、迅速且つ簡単にシード301に適用されてよい。例えば、医療専門家は、患者の腫瘍床に被包シード304を配置する前に、医療処置中に被包材303をシード301に配置してよい。医療専門家は、所望の線量測定計画、又は患者に送達することが望まれる放射線線量に応じて、シード301に被包材303を配置してよい。
【0117】
図3Cの実施形態において、被包材303Bは、シード301の長さに沿って均一な厚さを有する。例えば、被包材303Bは、約0.1mm及び0.2mmの間、約0.15mm及び0.25mmの間、約0.2mm及び0.3mmの間の厚さ、又は任意の他の厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、被包材303Bは、0.2mmの厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、被包材は、シードの長さに沿って、及び/又はシードの周囲周りに、可変の厚さを有してよい。
【0118】
いくつかの実施形態において、遮蔽層305は、被包材303Bにおいて示すよりも、シード301により近くてもよいし、又はシード301からより遠くてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、遮蔽層305がシード301により近くなるように、又はさらにシード301と物理的に接触するように、遮蔽層305は、被包材303Bのキャビティ壁のより近くに位置付けられてよい。別の例として、いくつかの実施形態において、遮蔽層305が被包材303Bの外面により近くなるように、又はさらにその外面上に露出するように、遮蔽層305は、被包材303Bの外側区域に位置付けられてよい。遮蔽層305は、被包材303Bのキャビティ壁から任意の距離に位置付けられてよく、この距離は、被包材303Bの長さに沿って、及び/又は被包材303Bの周囲周りで、均一であっても又は可変であってもよい。
【0119】
図3Dは、被包材303D、及び被包材303Dの中央の円筒状のキャビティ内に位置付けられたシード301を含む別の例示的な被包シード304Dの斜視図である。この例において、被包材303Dは、プラスチック又はポリマーなどの非高Z材料のみを含む。被包材303Dは、均一で連続した非高Z材料を含んでもよいし、又は様々な非高Z材料の別個の層、部分、又は区域を含んでもよい。被包材303Dが遮蔽層を含まないそのような実施形態では、例えば
図10A~
図10B、及び
図11などを参照して本明細書の他の箇所で考察されるように、被包材303Dは、シード301をキャリア内に配置することを容易にするために使用されてよい。本明細書において考察する被包材のあらゆる実施形態は、遮蔽層を有する状態でも、又は有さない状態でも実現されてよい。
【0120】
図3Eは、被包材303E、及び被包材303Eの中央の円筒状のキャビティ内に位置付けられたシード301を含む別の例示的な被包シード304Eの斜視図である。この実施形態では、被包材303Eは、対応する非遮蔽層のない状態で、遮蔽層315Eのみを含む。遮蔽層315Eは、均一で連続した高Z材料を含んでもよいし、又は0.01mm~0.06mmの範囲の厚さを有する箔など、様々な高Z材料の別個の層、部分、又は区域を含んでよい。
図3Eの実施形態において、(
図3Eの特定の実施形態では遮蔽層315Eに相当する)被包材303Eは、被包材303Eのキャビティ壁へのシード301の接着を容易にするための接着特性及び/又は物質を含んでよい。これにより、シード301に対する被包材303Eの、及び遮蔽層315Eの、迅速且つ簡単な適用が容易になってよい。例えば、医療専門家は、患者の腫瘍床に被包シード304Eを配置する前に、医療処置中に被包材303Eをシード301に配置してよい。医療専門家は、所望の線量測定計画、又は患者に送達すべき放射線線量に応じて、シード301に被包材303Eを配置してよい。本明細書において考察する遮蔽層のあらゆる実施形態は、(被包材303Eと同様に)被包材自体として実現されてもよいし、及び/又は1つ又は複数の非遮蔽層及び/又は追加の遮蔽層と併せて実現されてもよい。
【0121】
図3Fは、別の例示的な被包材303Fの斜視図である。この例では、被包材303Fは円筒形状であり、円筒の周囲の半分より多く(例えば、180度より多く)がそのままの状態である。このように、キャビティ302Fへの開口が、キャビティ302Fの直径よりも狭くなっている。したがって、キャビティ302Fの直径におおよそ等しい(又は、キャビティ302Fの直径よりもわずかに小さい)外径を有するシードは、被包材303Fのキャビティ302Fの入口に対してシードを押し当てて、被包材303Fをわずかに曲げ、それによりシードがキャビティ302Fに入るようにすることで、キャビティ302F内にスナップ嵌めされてよい。キャビティ302Fに入ると、シード303Fは定位置に保持される。
図3Gは、放射性シード303が中に配置されて、キャビティ302Fへの入口が狭いことに起因して定位置に保持された状態の、同じ被包材303Fを示す。本明細書において考察する被包材のあらゆる他の実施形態は、同様のスナップ嵌め構成、及び/又は特徴を含んでよく、例えばこの場合、被包材のキャビティに向かってシードを動かすことにより被包材の一部分が外向きに曲がって、最終的にシードが被包材のキャビティへの開口を通ってスナップ嵌めされてキャビティに入る。
【0122】
図4Aは、シード301に接する又はその周りの、遮蔽層415を有する別の例示的な被包材413の端面
図410及び断面
図411である。断面
図411に示してあるように、遮蔽層415の長さは、被包材413の長さ及びシード301の長さと同一の広がりを有していてよい。断面
図411に示してあるように、遮蔽層415、被包材413、及びシード301の端部は、片方又は両方の端部において全て同一平面にあってよい。
【0123】
図4Bは、シード301に接する又はその周りの、遮蔽層425を有する別の例示的な被包材423の端面
図420及び断面
図421である。断面
図421に示してあるように、いくつかの実施形態において、遮蔽層425の長さは、被包材423の長さ及び/又はシード301の長さと同一の広がりを有していなくてよい。遮蔽層425の端部は、片方又は両方の端部において、被包材423及び/又はシード301と同一平面になくてよい。
【0124】
図4Cは、シード401に接する又はその周りの、遮蔽層435を有する別の例示的な被包材433の端面
図430及び断面
図431である。断面
図431に示してあるように、いくつかの実施形態において、被包材433の長さは、シード401の長さと同一の広がりを有してなくてよく、及び/又はそれに等しくなくてよい。例えば、示してあるように、シード401は、被包材433より長く、それによりシード401の片方又は両方の端部は、被包材433の端部を越えて延びていてよい。いくつかの実施形態において、シードは、被包材より短く、それによりシードの両方又は片方の端部は、被包材の端部を越えて延びていなくてよい。有利には、シード401の一部分のみを被包材433で被包することにより、患者に送達される放射線の所望の線量が向上してよい。例えば、シード401の一部分のみを被包することにより、被包された部分においてシード401から出射する放射線が指向的に遮蔽されてよく、その一方で、シード401の他の被包されていない部分における放射線は、全ての方向に出射することが可能である。
【0125】
図4Dは、シード402に接する又はその周りの、遮蔽層445を有する別の例示的な被包材443の端面
図440及び断面
図441である。断面
図441に示してあるように、いくつかの実施形態において、被包材443は、それぞれの端部にキャップ部406(キャップ部406A及び406Bを含む)を含む。キャップ部406は、追加の遮蔽層446(被包材443の両端部に位置付けられた遮蔽層446A及び遮蔽層446Bを含む)を含んでよく、これらの遮蔽層は、シード402からの放射線を、シード402の長手方向軸線に対して実質的に平行な方向に沿って、片方又は両方の方向にシード402から離れて延びないように低減してよい。いくつかの実施形態において、キャップ部446は、シード402を被包材443内に保持するのを容易にしてよい。例えば、キャップ部406は、キャップ部406との間のスナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、シード402を被包材443のキャビティ内に保持するように構成されてよい。
【0126】
図4Eは、シード301に接する又はその周りの、遮蔽層455を有する別の例示的な被包材453の端面
図450及び断面
図451である。断面
図451に示してあるように、この例示的な実施形態では、遮蔽層455は、シード301の長さに沿って可変の厚さを有する。例えば、遮蔽層455は、一方の端部において他方の端部より厚く、それにより一方の端部において他方の端部よりも、シード301からの放射線はより多く遮蔽されて、例えば放射線治療プランにおいて処方された可変の放射線が提供される。シードの長さに沿った遮蔽層455の厚さの任意の他の変形形態が、例えば線量測定計画に応じて必要とされる又は所望されるように企図される。
【0127】
図4Fは、シード301に接する又はその周りの、遮蔽層465を有する別の例示的な被包材463の端面
図460及び断面
図461である。断面
図461に示してあるように、この例示的な実施形態では、遮蔽層465は、シード301の遮蔽される部分の周囲周りに可変の厚さを有する。例えば、遮蔽層465は、一方の側部において他方の側部より厚く、それによりシード301の一方の側部において、他方の側部より多くの放射線が遮蔽されて、例えば放射線治療プランにおいて処方された可変の放射線が提供される。シードの周囲周りの遮蔽層465の厚さの任意の変形形態が、例えば線量測定計画に応じて必要とされる又は所望されるように企図される。
【0128】
図5A~
図5Cは、シード301の周囲の異なる部分の周りに延びた被包材を有する被包シード504(被包シード504A、504B、504Cを含む)の追加の例の端面図である。
図5Aの例において、遮蔽層505を含む被包材503は、シード301の周囲の半分より少ない(例えば、180度より少ない)部分の周りに延びている。
図5Aの特定の例では、被包材503及び遮蔽層505は、シード301の周囲の約80度の周りに延びている。
【0129】
図5Bの例では、遮蔽層515を含む被包材513は、シード301の周囲の半分より多い部分の周りに延びている。
図5Bの特定の例では、被包材513及び遮蔽層515は、シード301の周囲の約270度の周りに延びている。
【0130】
図5A~
図5Bに示してあるように、シードの周囲を被包材でより多く又はより少なく被包することにより、シードから出射し患者に送達される放射線の量及び/又は方向が、例えば放射線治療プランにおいて処方された放射線線量にマッチするように変えられてよい。さらに、シードの周囲を被包材でより多く又はより少なく被包することにより、被包材をシードに固定することが容易になってよい。例えば、シードの180度より多くの周りに延びる被包材は、スナップ嵌め又は摩擦嵌め(例えば、
図3F~
図3Gを参照)により、シードに固定されてよい。
【0131】
図5Cの例では、被包材523は、シード301の周りに位置付けられた、2つの遮蔽層525(遮蔽層525A及び525Bを含む)を含む。示してあるように、例示的な被包材523は、シード301の全周囲周りに延びており、これは、有利には、シード301をより確実に被包材523内で定位置に保持してよい。さらに、
図5Cに示してあるように、いくつかの実施形態において、被包材523は、1つより多くの遮蔽層525を含んでよく、それにより、遮蔽層525は、被包材523内で互いに物理的に分離しており、シードから出射する放射線を、異なる方向及び/又は異なる量だけ、遮蔽する。有利には、被包材523はこのように、特定の線量の放射線を、患者に対して特定の方向に送達するように構成されてよい。例示的なキャリアの実装形態
【0132】
図6Aは、中にシード601(シード601A及び601Bを含む)が埋め込まれたキャリア607の端部断面図である。示してあるように、被包材603(被包材603A及び603Bを含む)はそれぞれ、キャリア607に向かう放射線を遮蔽することなく、シード601の周囲の約180度からの放射線を遮蔽するように構成された遮蔽層605(遮蔽層605A及び605Bを含む)を含む。示してあるように、シード601は、部分的にキャリア607内に埋め込まれている。
【0133】
いくつかの実施形態において、シード及び/又は被包材は、キャリアに固有の接着特性、及び/又は別の接着剤を使用して、キャリアに接着されてよい。上に述べたように、特定のキャリア材料は、キャリアをシード及び/又は被包材に接着する固有の粘着性を有することがある。例えば、コラーゲンキャリアは、追加の接着材料又は取り付け機構を必要とせずに、シード及び/又は被包材に接着されてよい。
【0134】
図6Aの実施形態では、被包材603Bは締結具609を含む。締結具609は、ある深さだけキャリア607内に突出することにより、被包材603Bを(ひいてはシード601Bも)キャリア607に固定するように構成されてよい。締結具609は、釘又はロッドなど、先のとがった形状及び/又は円筒形状であってもよいし、又はフックなど、湾曲していてもよい。締結具609は、細長くてよく、被包材603Bの長さに沿って延びていてよい。締結具609は、キャリア607内への挿入の簡単さを損なうことなく、キャリア607から被包材603Bが後退するのを防止するために、返しを含んでよい。
【0135】
いくつかの実施形態において、キャリアの生体適合性に加えて、被包シードの他のコンポーネント(例えば、締結具609、619;突出部711、コネクタ808、818、908、1008、1028、1108;突出部1011、1012;アンカー1026;及び/又は本明細書において考察する任意の他のコンポーネント)が、生体適合性材料を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態において、これらのコンポーネントは、例えば被包材が取り付け又は埋め込まれているキャリアと同じ又は同様の速さで組織に自然に吸収されるように、生体吸収性を有していてよい。例えば、そのような生体吸収性のコンポーネント(例えば、鋭利な縁部を有する締結具)は、キャリアが自然に組織に吸収された後に、組織に残らない。
【0136】
シードがキャリア内に部分的に埋め込まれる実施形態では、被包材は、シードに適用され、及び/又はシードが既にキャリア内に配置された後に、シードから除去されてよい。そのような実装形態は、キャリア内にシードが既に挿入されているものの被包材などの指向性の放射線遮蔽のない、指向的に遮蔽されたシードキャリアの製造を容易にしてよい。
【0137】
図6Bは、中にシード601A及び601Cが埋め込まれたキャリア617の端部断面図である。示してあるように、遮蔽層605A及び605Cを有する被包材603A及び603Cは、シード601から出射する放射線を特定の方向において遮蔽するように、シード601A及び601Cの周りに位置付けられている。この例において、シード601及び被包材603は、全体がキャリア617内に埋め込まれている。この実施形態では、追加の遮蔽層650が、キャリア617の表面に配置されている。遮蔽層650は、キャリア617の表面全体を覆ってもよいし、又は表面の一部分のみを覆ってもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の遮蔽層650は、キャリア617の1つより多くの表面に配置されてよい。遮蔽層650は、被包材603及び/又は被包材603の遮蔽層605に加えて、又はその代わりに、実現されてよい。遮蔽層650は、患者に送達される所望の放射線線量(例えば、放射線の量及び/又は方向)を達成するように、追加の放射性遮蔽を提供してよい。遮蔽層650は、例えばキャリアに対する遮蔽層650の簡単な適用及び接着を可能にするように構成された接着特性を有するステッカーの形で実現されてよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層は、遮蔽層を切るか又は破いて、1つ又は複数のキャリアに又はその周りに配置されることが可能なカスタム形状及び/又はサイズの遮蔽層を作り出すことなどにより、カスタマイズされるように構成されてよい。
【0138】
遮蔽層650は、接着によりキャリア617に固定されてよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層650は、キャリア607への適用及び配置を容易にするように、接着特性又は接着物質を有するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、遮蔽層650は、キャリア617の接着特性により、キャリア617に固定されてよい。例えば、キャリア617は、遮蔽層650をキャリア617に接合し得る固有の粘着性を有する材料
(例えばコラーゲン)から作られてよい。キャリア617に遮蔽層650を接着することにより、キャリア617に対する遮蔽層650の迅速且つ簡単な適用が容易になり得る。例えば、医療専門家は、患者の腫瘍床にキャリア617を配置する前(又はその後)の医療処置中に、遮蔽層650をキャリア617に配置してよい。医療専門家は、所望の放射線線量又は患者に送達すべき線量測定計画に応じて、遮蔽層650をキャリア617に配置してよい。例えば、医療専門家は、所望されるように、キャリア617の特定の表面に遮蔽層650を配置してよい。
【0139】
図6Cは、中にシード601(シード601D及び601Eを含む)及び被包材603(被包材603D及び603Eを含む)が埋め込まれたキャリア627の端部断面図である。示してあるように、被包シード(例えば、シード601及び対応する被包材603の組み合わせ)は、キャリア627全体の様々な場所に配置されてよい。さらに、被包シード603は、それぞれのシード601の遮蔽方向を、不均一な方向に調整するように、互いに異なる態様で配向されてよい。例えば、示してあるように、被包材603Dは、(ページに対して)上方向に進む放射線が遮蔽されるように位置付けられており、被包材603Eは、(ページに対して)右方向に進む放射線が遮蔽されるように位置付けられている。被包シード601は、線量測定計画を達成するためにこのように配置されてよい。
【0140】
図6Dは、キャリア627の斜視図である。この例において、埋め込まれたシード601及び被包材603は、キャリア627の外部からは見えない。医療専門家は、放射線が遮蔽される及び/又は出射される方向を知るために、キャリア内のシード601の配置又は被包材603の配向(及び任意の対応する遮蔽)を知りたいと思うことがある。この例示的な実施形態では、キャリア627は、キャリア627に埋め込まれた被包シードの遮蔽の方向を示すインジケータ621D及び621Eを含む。そのようなインジケータにより、医療処置中の医療専門家は、(被包シードを有する)キャリアを所望の位置及び配向に配置することができる。例えば、インジケータ621Dは、インジケータ621Dと位置合わせされた状態でインジケータ621Dの下のキャリア627内に被包シード601Dが配置されていること、及びインジケータ621Dが配置されているキャリア627の表面の方向(例えば、ページに対して概して上方向)において、放射線がキャリア627から出射しないように遮蔽されることを示す。別の例として、インジケータ621Eは、インジケータ621Eと位置合わせされた状態でインジケータ621Eに隣接したキャリア627内に被包シード601Eが配置されていること、及びインジケータ621Eが配置されているキャリア627の表面の方向(例えば、ページに対して概して右方向)において、放射線がキャリア627から出射しないように遮蔽されることを示す。
【0141】
いくつかの実施形態において、インジケータは、キャリアの表面にパッド印刷されてもよいし、又はレーザ印刷されてもよい。いくつかの実施形態において、インジケータは、例えば円筒状の被包シードの形状にマッチするように、
図6Dに示すように点線であってもよいし、又はキャリア内の被包シードの配置を示すための、及び/又は放射線の遮蔽及び/又は出射の方向を示すための、任意の他の形状又は印であってもよい。いくつかの実施形態において、インジケータは、追加情報、例えば被包シードの深さ、遮蔽量、シードから出射される放射線の量などを含んでもよい。
【0142】
図6Eは、中にシード601Fが埋め込まれたキャリア637の端部断面図である。示してあるように、遮蔽層605Fを有する被包材603F(キャリア被包材と呼ばれてよい)が、キャリア637上に配置されて、(ページに対して)概して上方向にシード601Fから出射される放射線を遮蔽している。
図6Eの実施形態では、被包材603Fが締結具619を含んでいる。締結具619は、ある深さだけキャリア637内に突出することにより、被包材603Fをキャリア637に固定するように構成されてよい。締結具619は、釘又はロッドなど、先のとがった形状及び/又は円筒形状であってもよいし、又はフックなど、湾曲していてもよい。締結具619は、細長くてよく、被包材603Fの長さに沿って延びていてよい。締結具619は、キャリア637内への簡単な挿入を損なうことなく、キャリア637から被包材603Fが後退するのを防止するために、返しを含んでよい。いくつかの実施形態において、被包材603Fは、締結具を含まなくてよく、接着によってキャリア637に固定されてよい。例えば、被包材603Fの接着特性、及び/又は固有の粘着性を有するコラーゲンから作られ得るキャリア637の接着特性により、被包材603Fがキャリア637に固着されてよい。
【0143】
いくつかの実施形態において、被包材603Fをキャリア637に配置し、次いでキャリア637から取り外して再配置できるように、被包材603Fは、キャリア637に着脱可能に固定されてよい。被包材603Fは、例えば接着又は締結具によって、迅速且つ簡単にキャリア637に適用されてよい。例えば、医療専門家は、患者の腫瘍床にキャリア637を配置する前の医療処置中に、被包材603Fをキャリア637に配置してよい。医療専門家は、所望の線量測定計画又は患者に送達すべき放射線線量に応じて、被包材603Fをキャリア637に配置してよい。いくつかの実装形態において、被包材603Fなどのキャリア被包材は、シード被包材と併せて使用されてよい。例えば、放射線のさらに指向性の高い遮蔽を提供するために、シード601Fは、例えば被包材603Fに向かって上方の指向性の遮蔽を提供する被包材に、それぞれ結合されてよい。
【0144】
図6Fは、キャリア647内のシードから出射される放射線を特定の方向において遮蔽するために、キャリア647に又はその周りに配置された、遮蔽層605Gを有する被包材603G(キャリア被包材と呼ばれることがある)の斜視図である。例示的な実施形態において、被包材603Gは、概して球状であり、球状キャリア647に又はその周りに嵌まるようにサイズ設定されてよい。
【0145】
図6Gは、被包材603Gの端部断面図である。示してあるように、被包材603Gは、例えば
図6Eを参照して説明したように、被包材603Gをキャリア647に固定するように構成されてよい締結具629を含む。いくつかの実施形態において、被包材603Gは、締結具を含まなくてよく、接着によりキャリア647に固定されてよい。いくつかの実施形態において、被包材603Gは、スナップ嵌め又は摩擦嵌めによって、キャリア647に固定されてよい。例えば、被包材は、キャリアの直径よりわずかに小さい直径を有してよく、それによりキャリアが被包材内に配置されたときに、キャリアはその普通のサイズより小さいサイズに変形してよく、ひいては被包材の内側キャビティに外向きの力を加えてよく、この力が、キャリアを定位置に保持してよい。別の例として、被包材の周囲は、被包材の半分より多い部分(例えば、180度より多い部分)をそのまま含んでよい。このように、被包材の内側キャビティへの開口の直径は、内側キャビティの直径より小さくてよい。したがって、被包材の内側キャビティの直径におおよそ等しいか、又はそれよりわずかに小さい外径を有するキャリアは、被包材のキャビティへの入口に対してシードを押し当てて、被包材をわずかに曲げ、及び/又はキャリアをわずかに変形させ、それによりキャリアが被包材のキャビティに入るようにすることで、被包材のキャビティ内にスナップ嵌めされてよい。キャビティに入ると、キャリアは定位置に保持される。
【0146】
図7A~
図7Cは、遮蔽層705、及び被包材703の外面の様々な場所に位置付けられた突出部711を有する例示的な被包材703(被包材703A、703B、703Cを含む)を示す。突出部711は、釘、又はロッド、又は角錐などの、先のとがった形状及び/又は円筒形状であってよい。突出部711は、例えば
図10Bを参照しながら示すように、細長くてよく、被包材703の長さに沿って延びていてよい。
【0147】
突出部711は、被包シード(例えば、被包材703及び対応するシード701)の回転慣性を増大させ、それにより、その被包シードが少なくとも部分的に埋め込まれたキャリアに対して被包シードを回転させるのにより大きい力が必要になるようにしてよい。例えば、突出部711がキャリア内に埋め込まれた場合、それらは、被包シードがキャリア内で回転しないようにして、被包シードがキャリアに取り付けられ及び/又は埋め込まれた後に、放射線遮蔽の方向が変更されるのを防止してよい。
【0148】
いくつかの実施形態において、突出部711は、被包シードによって提供される放射線遮蔽の方向を示してよい。例えば、
図10Bを参照しながら示され考察されるように、キャリアに埋め込まれた被包材の1つ又は複数の突出部は、キャリアの側面から見えて、例えば製造業者及び/又は医師に対して、放射線遮蔽の方向を示してよい。例えば、
図7A又は
図7Cに示してあるように、下方に向いた突出部711は、キャリアの側面と同一平面にあってもよいし、又はキャリアから外に部分的に延びていてもよく、それにより下方に向いた突出部711は、キャリアの外部から見えて、キャリア内の被包材703の配向を示してよいが、被包材703の他の部分は、キャリア内で見えなくてよい。例えば突出部711を使用することにより放射線遮蔽の方向を確保することで、埋め込まれたシード及び被包材を有するキャリアの製造時に、品質管理が容易になってよく、また、医療関係者が患者内にキャリアを配置するとき、及び放射線遮蔽の方向を迅速に知ることができるときに、医療の品質管理を容易にしてよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、突出部711は、被包材703の他の部分と同じ材料、例えばプラスチック又はポリマーであってよく、これらの材料は、キャリアが組織に吸収された後に組織に残って、例えばシードの移動を低減する。いくつかの実施形態において、突出部711は、埋め込まれたシードに隣接する(又は、より近くなる)ように、キャリア内に延びてよく、それにより、(キャリアの吸収の前及び後に)さらに良好なシードの移動制御が提供されてよい。例えば
図6を参照しながら上で考察した他の実施形態において、突出部711は、キャリアの材料と同じ又は同様の速さで組織に吸収されるように構成された材料など、生体吸収性材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、突出部711は、追加の放射線遮蔽を提供するように、高Z材料を含んでよい。例示的なコネクタの実施形態
【0150】
図8Aは、遮蔽層805(遮蔽層805A及び805Bを含む)を有し、例示的なコネクタ808によって接続された複数の例示的な被包材803(被包材803A及び803Bを含む)の端面
図810及び断面
図811である。断面
図811に示してあるように、被包材803A及び803Bは、コネクタ808によって接続される。いくつかの実施形態において、2つのコネクタ808によって接続された3つの被包材803など、2つより多くの被包材803が、コネクタ808によって接続されてよい。コネクタ808は、プラスチック又はポリマーなど、被包材803と同じ材料であってよい。この例では、コネクタ808は、接続される被包材803と同じ直径である。
【0151】
いくつかの実施形態において、コネクタ808は、抗菌剤などの治療剤を担持するように構成されてよい。コネクタ808は、コネクタ808の内部区域に治療剤を担持してよく、1つ又は複数の穴を含んでよく、その穴から、治療剤が拡散して患者の組織部位に到達してよい。コネクタ808は、治療剤でコーティングされてよい。
【0152】
いくつかの実施形態において、コネクタ808は、センサを含んでよい。例えば、コネクタ808は、患者の組織部位におけるpHレベルを検出するように構成されたpHメータを含んでよく、それが、組織部位における細菌感染について警告してよい。いくつかの実施形態において、センサは、ナトリウム、カリウムなどのイオンなど、患者の組織部位における生体成分によって、電力供給されてよい。いくつかの実施形態において、コネクタ808は、経時的に生物分解されてよい。
【0153】
いくつかの実施形態において、コネクタ808は、刻み目、又はノッチ、又はリブ814を含んでよい。リブ814は、コネクタ808を屈曲可能にする一方で、コネクタ808が伸びる、圧縮される、又はねじれることを防止してよい。有利には、リブ814は、構造的な耐久性又は完全性を犠牲にすることなく、コネクタ808を屈曲可能にして、腫瘍床の凹凸のある表面への、(コネクタ808及び被包材803が中に埋め込まれた)キャリアの配置を容易にしてよい。
【0154】
いくつかの実施形態において、コネクタ808は、コネクタの外面に沿って、及び/又はコネクタの内部区域に、高Z材料、例えば遮蔽層を含んでよい。
【0155】
図8Bは、遮蔽層815(遮蔽層815A及び815Bを含む)をそれぞれ有し、例示的なコネクタ818によって接続された複数の例示的な被包材813(被包材813A及び813Bを含む)の端面
図820及び断面
図821である。この例では、コネクタ818は、被包材813よりも小さい直径を有する。いくつかの実施形態において、例えば
図10A~
図10B及び
図11を参照しながら説明するように、例えば被包材813及び対応するシード301をキャリアに配置するときに、長手方向又は回転方向の力がコネクタ818に加えられた場合に、コネクタ818は、伸びる、又は圧縮される、又はねじれることを防止するのに十分なほど大きい直径を有してよい。いくつかの実施形態において、コネクタ818は、コネクタ818を屈曲可能にするのに十分なほど小さい直径を有してよい。例えば、湾曲した表面にキャリアが配置される実装形態では、コネクタ818は屈曲して、キャリアを組織部位に一致させることができるように構成されてよい。いくつかの実施形態において、コネクタ818は、直径が約0.5mmであってよい。
【0156】
いくつかの実施形態において、例示的なコネクタ808及び818などのコネクタは、磁気共鳴画像で見ることが可能な、1つ又は複数の磁気共鳴撮像(MRI)マーカを含んでよい。MRIマーカは、コネクタ及び/又は被包シードの場所を、術後のMR画像において可視化又は参照できるようにして、例えば線量測定が確認されてよい。これにより、シードを可視化し、線量測定を確認するための術後のコンピューター断層撮影(CT)スキャンなど、追加の撮像を実行する必要性が減る又はなくなることがある。また、MRIマーカは、MRI誘導式の小線源療法の間に、被包シードの配置を容易にしてよい。例示的なMRIマーカは、ガドリニウム、酸化鉄、鉄白金、マンガン、蛋白質、生理食塩水、コンレイ60、硫酸銅、液体ビタミンE、魚油、アガロースゲル、又は塩化コバルトを含むことができる。
【0157】
図9A~
図9Cは、遮蔽層915を有し、例示的なコネクタ908によって接続された複数の例示的な被包材903の、それぞれ端面図、側面図、及び上面図である。示してあるように、いくつかの実施形態において、コネクタ908は、円形の断面を有していなくてよい。コネクタ908、又はその一部分は、シード301を越えて延びてよい。
図9Bに示してあるように、コネクタ908は、シード301よりも深くキャリア907内に延びてよく、ひいては、被包材903及びシード301をキャリア907に固定するのを容易にしてよい。
図9Cに示してあるように、被包材903及びコネクタ908は、キャリア907の上面において見える。このように、いくつかの実施形態において、被包材903及び/又はコネクタ908は、(例えば、本明細書において考察するいくつかの他の実施形態などのように全体が埋め込まれるのではなく)キャリアから外に部分的に延びるように構成されて、上部(例えば、被包材が延びている遮蔽側)、及び底部(患者の治療表面に配置される非遮蔽側)の視覚的な手がかりとして、ユーザに提供されてよい。いくつかの実施形態において、被包材903は、1つ又は複数の締結具、例えば
図6を参照しながら考察した締結具609、619を使用して、キャリア907の上部(又は他の表面)に固定されてよい。
【0158】
図10Aは、複数のコネクタ1008によって間で接続された複数の被包材1003(被包材1003A及び1003Bを含む)を備える被包シード組立体1004の斜視図である。示してあるように、シード301は、それぞれの被包材1003内に位置付けられている。被包材1003は、例えば、本明細書において考察する例示的な実施形態のいずれかに応じた遮蔽層を含むことができる。この例では、被包材1003Aは、被包材1003Aの両側に突出部1011を含み、これらの突起部1011は、キャリア内に配置された後に、被包材1003Aの回転及び/又は他の動きを低減し、放射線遮蔽の一定の配向を維持してよい。
【0159】
被包材1003は、コネクタ1008によって接続されてよい。追加のコネクタ1008は、被包材1003の端部から離れるように延びている。コネクタ1008にうちの1つ又は全部が、突出部1012を含んでよい。例えば、示してあるように、コネクタ1008Aは、コネクタ1008Aの動きを低減することにより被包シード組立体1004をさらにつなぎ留め得る3つの突出部1012を含む。いくつかの実施形態において、突出部1012を含むコネクタ1008Aの一部分など、被包シード組立体1004の一部分は、部分的にキャリアの外側に位置付けられて、キャリア内での被包シードの位置及び配向の視覚的指標を提供してよい。これにより、製造業者又は医療関係者は、被包シード組立体1004全体を見ることなく、放射線が遮蔽される方向を知ることが可能になってよい。
【0160】
図10Bは、中に複数の被包シードが埋め込まれたキャリア1007の、例示的な実装形態の端面
図1020及び断面
図1021である。この例では、複数の被包材(被包材1003A、1003B、1003C、及び1003Dを含む)に、シード301が装填されており、被包シードが、コネクタ1008により他の被包シードに接続されている。シード301、被包材1003、及びコネクタ1008は、
図10Bに示してあるように、全体がキャリア1007内に埋め込まれてもよいし、又は部分的にキャリア内に埋め込まれてもよい。
【0161】
この例示的な実施形態では、被包材1003は突出部1011を含み、コネクタ1008のうちのいくつかが、突出部1012を含む。突出部1011及び1012は、被包材1003及び/又はコネクタ1008がキャリア1007内で回転するのを防止してよい。これにより、被包材1003がキャリア1007内に配置された後に、放射線遮蔽の方向がキャリア1007に対して変わることを防止してよい。示してあるように、コネクタ1008Aの突出部1012、及び被包材1003Cの突出部1011は、例えば端面
図1020に示してあるように、キャリア1007の外部から見える。例えば、突出部1011又は突出部1012は、キャリア1007の端部(又は側部)の表面と同一平面にあり、キャリア内の被包シードの位置及び/又は配向の視覚的指標を提供してよい。これにより、製造業者又は医療関係者は、被包シード組立体全体を見ることなく、放射線が遮蔽される方向を知ることができる。
【0162】
図10Cは、キャリア1030の側部(例えば上面及び底面の間)に挿入されるように位置付けられた例示的な被包シード組立体1022の上面図である。この例では、複数の被包材1023が、コネクタ1028によって接続されている。
図10Cには示していないが、被包材1023のそれぞれには、本明細書の他の箇所で考察するプロセスを使用して、放射性シードが装填されてよい。被包シード組立体1022の位置保持コンポーネントは、キャリア1030に向かって延びるアンカー1026を有する交差部材1025を備える。この実施形態において、被包シード組立体1020は、キャリア1030の側部にアンカー1026が挿入されたとき(例えば、交差部材1025が、キャリア1030の近位端1031に当接したとき)に、キャリア1030内でシードが適切に位置付けられるように、サイズ設定及び構成されている(例えば、コネクタ1028の長さが選択されている)。例えば、
図10Cの破線は、キャリア1030内に埋め込まれた被包シード組立体1022の部分を示す。この例では、キャリア1030の近位端1031に交差部材1025が当接して状態で、被包材1023内の放射性シードが、(例えば、放射線治療プランに応じて)キャリア1030内で適切に位置付けられる。いくつかの実施形態において、交差部材1025は、被包材及び/又はシードの配向を示す視覚的又は触覚的な特色を有して、例えば被包材1023によって遮蔽が提供される方向を示してよい(これは、被包材1023がキャリア1030内に埋め込まれると見えなくなる)。
【0163】
図10Cの実施形態において、アンカー1026は、被包シード組立体1022の動きを減らすことにより、被包シード組立体1022をキャリア1030内に固定する。
図10Cの例において、アンカー1026はスパイクを含むが、他の実施形態では、アンカー1026は、フックなど、アンカー機構の任意の他のタイプ又は構成であってよい。さらに、アンカー1026の個数は異なってよく、例えば、被包シード組立体1022の一部として、より少数の(例えば、1つの)又は追加の(例えば3つ、4つ、5つなどの)アンカーを含んでよい。
【0164】
図11は、複数の被包材、コネクタ、及びシードを含む被包シード組立体を、キャリア内に配置するために使用される挿入装置1115の斜視図である。挿入装置1115は、コネクタ1108に接続されてよく、コネクタ1108は、次いで被包材1103及び/又はシード301に接続されてよい。挿入装置1115は、とがっていているか又は鋭利であってよい遠位先端1117を含んでよい。挿入装置1115は、遠位先端1117を介してキャリア内に挿入されてよい。とがった遠位先端1117は、キャリアへの挿入を容易にしてよい。挿入装置1115は、被包シード組立体を配置するキャリアの側部の長さを越える長さであってよく、それにより挿入装置は、遠位先端1117が他方の側においてキャリアから出るまで、一方の側からキャリアに押し通されてよい。遠位先端1117がキャリアに完全に押し通され、それにより遠位先端1117がキャリアの他方の側から出ると、遠位先端1117は、挿入装置1115が引っ張られキャリア全体を通るように引っ張られてよい。これにより、隣接した被包シード組立体も、キャリア内に引きこまれ、少なくとも部分的にキャリアを通ってよい。遠位先端1117及び/又は挿入装置1115は、被包シード組立体全体がキャリア内に埋め込まれるまで引っ張られてもよいし、又は、必要とされる又は所望されるようにキャリアに対して別様に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端1117及び/又は挿入装置1115は、例えば
図10Bに示してあるように、コネクタ1108Aの端部がキャリアの側部と同一平面になるまで引っ張られてよい。被包シード組立体が、キャリアに対して必要とされる又は所望されるように位置付けられると、コネクタ1108のうちの1つ又は複数の一部分は、キャリア内に部分的に埋め込まれてもよいし、又はキャリアから部分的に突出していてもよい。例えば、キャリアに対して必要とされる又は所望されるように被包シード組立体が位置付けられた後、コネクタ1108A及び/又はコネクタ1108Bは、キャリアから部分的に突出していてよい。挿入後にキャリアから突出している任意のコネクタ1108の部分は、コネクタの端部がキャリアの端部と同一平面になるように、及びキャリアの側面を越えて延びるコネクタの部分がないように、切断されてよい。いくつかの実施形態において、位置付け後にキャリアから突出した被包材の部分も、コネクタを参照して上述したように切断されてよい。追加の実施形態
【0165】
とりわけ、「できる(can)」、「できる(could)」、「してよい(might)」、又は「してよい(may)」などの条件付き文言は、別様に明示されない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、特定の実施形態が、特定の特色、要素、及び/又は段階を含むが、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えることを概して意図している。このように、そのような条件付き文言は、特色、要素、及び/又は段階が何らかの方式で1つ又は複数の実施形態に必要であること、又は、これらの特色、要素、及び/又は段階が任意の特定の実施形態に含まれるか又は実行されるべきであるかをユーザ入力又はプロンプトを伴って又は伴わずに決定するロジックを1つ又は複数の実施形態が必ず含むことを示唆するようには、概して意図されていない。
【0166】
上述した実施形態には多くの変形及び修正が加えられてよく、それらの要素は、他の受け入れ可能な例に属すると理解されるべきであることが、強調されるべきである。全てのそのような修正及び変形は、本明細書において本開示の範囲内に含まれることが意図されている。前述の説明では、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上述の説明が、文書としていかに詳細に見えても、本発明は多くの態様で実施可能であることが理解されよう。上でも述べたように、本発明の特定の特色又は態様を説明する場合における特定の用語の使用は、その用語が関連付けられている本発明の特色又は態様の任意の固有の特徴を含むように限定されるように、その用語が本明細書において再定義されることを示唆するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線量測定計画に応じて、組織部位に指向性放射治療を送達するためのキャリアシステムであって、
哺乳類組織に外科的に作られた腔の、露出した治療表面に配置されるように構成されたコラーゲンを含む生体適合性キャリア;
及び
円筒状の放射性シード;及び
前記放射性シードと少なくとも同じ長さを有し、前記円筒状の放射性シードが位置付けられる中央長手方向キャビティを有する実質的に円筒形状の装置
、ここで前記実質的に円筒形状の装置は、前記実質的に円筒形状の装置の前記長さに沿って延びる遮蔽層を含み、前記遮蔽層は、高z材料を含む;
をそれぞれ有する複数の被包シード;及び
前記線量測定計画に応じて、被包シードのそれぞれの対を、所定の離間した配列で固定及び位置付けるように構成された1つ又は複数のコネクタ
を有する被包シード組立体
を備え
、
前記1つ又は複数のコネクタによって離間した前記複数の被包シードを有する前記被包シード組立体が、前記線量測定計画に応じて、
前記生体適合性キャリア内に位置付けられる、キャリアシステム。
【請求項2】
それぞれの実質的に円筒形状の装置は、スナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、それぞれの放射性シードに取り付けられて、前
記それぞれの放射性シードの外面の少なくとも一部分を覆うように構成されている、請求項1に記載のキャリアシステム。
【請求項3】
前
記被包シードのうちの少なくとも1つは、前
記被包シード組立体を前
記生体適合性キャリアに固定するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項4】
前
記被包シードのうちの少なくとも1つは、回転慣性を増大させて、前
記生体適合性キャリアに対す
る前記被包シード組立体の回転を低減するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項5】
前記遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項6】
前記遮蔽層は、前
記実質的に円筒形状の装置の内部区域に埋め込まれている、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項7】
前記遮蔽層は、前
記実質的に円筒形状の装置の外面に位置付けられている、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項8】
前記遮蔽層は、2の半価層(HVL)を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項9】
前記実質的に円筒形状の装置は、0.18mm及び0.22mmの間の厚さを有し、前記遮蔽層は、0.026mm及び0.036mmの間の厚さを有する、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項10】
前記遮蔽層は、0.01mm及び0.06mmの間の厚さを有する、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項11】
前
記実質的の円筒形状の装置は、プラスチック又はポリマーを含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のコネクタは、円筒形状であり、0.5mmの直径を有する、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数のコネクタは、治療剤を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のコネクタのうちの少なくとも1つは、前記放射性シードから出射される放射線が前記遮蔽層によって遮蔽される方向を示すための、前
記生体適合性キャリアの外部から見える1つ又は複数の突出部を含む、請求項
1又は2に記載のキャリアシステム。
【請求項15】
線量測定計画に応じて組織部位に指向性放射治療を送達するためのキャリアを準備するための方法であって、
コラーゲンを含む生体適合性キャリア内に、被包シード組立体を、線量測定計画に応じて位置付ける段階;を備え、ここで
前記被包シード組立体は、
円筒状の放射性シード;及び
前記放射性シードと少なくとも同じ長さを有し、前記円筒状の放射性シードが位置付けられる中央長手方向キャビティを有する実質的に円筒形状の装置、ここで前記実質的に円筒形状の装置は、前記実質的に円筒形状の装置の前記長さに沿って延びる遮蔽層を含み、前記遮蔽層は、高z材料を含む;
をそれぞれ有する複数の被包シード;及び
前記線量測定計画に応じて、被包シードのそれぞれの対を、所定の離間した配列で固定及び位置付けるように構成された1つ又は複数のコネクタ
を有する、方法。
【請求項16】
それぞれの実質的に円筒形状の装置を、スナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、それぞれの放射性シードに取り付けて、前記それぞれの放射性シードの外面の少なくとも一部分を覆う段階をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記被包シードのうちの少なくとも1つは、前記被包シード組立体を前記生体適合性キャリアに固定するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記被包シードのうちの少なくとも1つは、回転慣性を増大させて、前記生体適合性キャリアに対する前記被包シード組立体の回転を低減するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
前記遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0166
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0166】
上述した実施形態には多くの変形及び修正が加えられてよく、それらの要素は、他の受け入れ可能な例に属すると理解されるべきであることが、強調されるべきである。全てのそのような修正及び変形は、本明細書において本開示の範囲内に含まれることが意図されている。前述の説明では、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上述の説明が、文書としていかに詳細に見えても、本発明は多くの態様で実施可能であることが理解されよう。上でも述べたように、本発明の特定の特色又は態様を説明する場合における特定の用語の使用は、その用語が関連付けられている本発明の特色又は態様の任意の固有の特徴を含むように限定されるように、その用語が本明細書において再定義されることを示唆するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきである。
[他の可能な項目]
[項目1]
線量測定計画に応じて、組織部位に指向性放射治療を送達するためのキャリアシステムであって、
哺乳類組織に外科的に作られた腔の、露出した治療表面に配置されるように構成された生体適合性キャリア;
高z材料を含む遮蔽層を有する実質的に円筒形状の装置をそれぞれ有する複数の遮蔽された被包材、ここでそれぞれの遮蔽された被包材は、中央長手方向キャビティ、及び前記キャビティへの長手方向開口を含む;
対応する遮蔽された被包材の前記中央長手方向キャビティ内に位置付けられる複数の実質的に円筒状の放射性シード、ここで前記長手方向開口は、前記放射性シードの外径と実質的に同じ内径を有する前記中央長手方向キャビティ内で、前記放射性シードの動きを可能にするようにサイズ設定されている;及び
前記線量測定計画に応じて、遮蔽された被包材のそれぞれの対を固定及び離間するように構成された1つ又は複数のコネクタ;
を有する被包シード組立体
を備え、
前記被包シード組立体が、前記生体適合性キャリアに挿入された後に、前記複数の放射性シードが、前記線量測定計画に応じて前記生体適合性キャリア内に位置付けられる、キャリアシステム。
[項目2]
前記遮蔽被包材のそれぞれは、スナップ嵌め又は摩擦嵌めにより、対応する放射性シードに取り付けられて、前記放射性シードの外面の少なくとも一部分を覆うように構成されている、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目3]
前記遮蔽された被包材のうちの少なくとも1つは、前記遮蔽された被包材を前記キャリアに固定するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目4]
前記遮蔽された被包材のうちの少なくとも1つは、回転慣性を増大させて前記キャリアに対する回転を低減するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目5]
前記遮蔽層は、1つ又は複数の高Z材料の、複数の個々の、別個の層を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目6]
前記遮蔽層は、前記遮蔽装置の内部区域に埋め込まれている、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目7]
前記遮蔽層は、前記遮蔽装置の外面に位置付けられている、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目8]
前記遮蔽層は、2の半価層(HVL)を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目9]
前記遮蔽被包材は、約0.18mm及び0.22mmの間の厚さを有し、前記遮蔽層は、約0.026mm及び0.036mmの間の厚さを有する、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目10]
前記遮蔽層は、約0.01mm及び0.06mmの間の厚さを有する、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目11]
前記遮蔽被包材は、プラスチック又はポリマーを含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目12]
前記1つ又は複数のコネクタは、円筒形状であり、0.5mmの直径を有する、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目13]
前記1つ又は複数のコネクタは、治療剤を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目14]
前記1つ又は複数のコネクタのうちの少なくとも1つは、前記放射性シードから出射される放射線が前記遮蔽層によって遮蔽される方向を示すための、前記キャリアの外部から見える1つ又は複数の突出部を含む、項目1に記載のキャリアシステム。
[項目15]
前記キャリアは、コラーゲンを含む、項目1に記載のキャリアシステム。
【国際調査報告】