(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】複数種の標的核酸を検出する方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6888 20180101AFI20250109BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20250109BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C12Q1/6888 Z ZNA
C12M1/34 B
G01N33/53 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539076
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022142473
(87)【国際公開番号】W WO2023125562
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111617233.2
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523104890
【氏名又は名称】マキュラ バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ユハン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ワンアー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ハイシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, キウピン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA07
4B029AA23
4B029DF01
4B029GA03
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、分子生物学の分野に関し、具体的には、単一の試料容器における複数種の標的核酸を検出するための方法に関する。特にデジタルPCRで多重検出を行う方法に関し、プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、増幅試薬とを混合し、反応系を得ること、前記反応系を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置き、反応産物を得ること、反応産物について信号採集を行うことを含む。上記検出方法を採用すると、複数種の標的核酸の検出を実現でき、操作が簡単で、時間を節約する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、及び核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得ること、
前記反応系を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置き、反応産物を得ること、
反応産物をn種類の異なる信号採集温度に置いて計n回の信号採集を行い、各前記信号採集温度で1回の信号採集を行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含むこと、
同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の前記信号チャネル採集で得られた信号に差異があるか否かを分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、及び/又は、
同一の信号チャネルにおいて、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャネル採集で得られた信号の有無を分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、を含み、
ただし、前記nは≧2の整数であり、かつ前記n≦標的核酸の種類数であることを特徴とする複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項2】
前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は多くとも1種類異なり、好ましくは、前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は1種類異なり、好ましくは、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャネル採集で得られた信号には、多くとも1種類の標的核酸が含まれることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項3】
前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集に用いられる信号採集温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項4】
前記毎回の信号採集はm回の信号チャネル採集を含み、前記mは前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数であることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項5】
前記反応系を核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置く前に、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、各反応セルは、1つの被検サンプルの標的核酸を含むか又は被検サンプルの標的核酸を含まない、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することであることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項6】
前記核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件は、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写すること、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含むことを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項7】
前記プライマープローブ組成物は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含み、
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、異なる種類の標的核酸にそれぞれ特異的に結合し、
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
好ましくは、前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項8】
前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、
前記第2のプローブは、前記第1のプローブと塩基配列が異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は、少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
好ましくは、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
好ましくは、第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成される一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第2のプローブとによって形成される二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項6に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項9】
前記第1のプローブ又は第2のプローブは、いずれの標的核酸とも特異的に結合しない配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、異なるプローブのプローブ信号検出領域(H)の配列が互いに異なり、
前記プライマーセットは、第1のプライマーと第2のプライマーとを含み、前記第1のプライマーは、標的配列結合領域1を含み、前記第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2とを含み、且つプライマー信号検出領域(h)は、標的配列結合領域2の5’末端に位置し、前記プライマー信号検出領域(h)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、且つ対応するプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なり、
好ましくは、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、プライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合物の少なくとも1種類のプライマーセットの第1のプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記プローブアンカー領域(A)は、標的配列結合領域1の5’末端に位置し、前記プローブアンカー領域(A)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、前記プライマーアンカー領域(A’)と特異的に結合し、
好ましくは、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)の5’末端に位置する伸長ブロック領域(M)をさらに含み、前記伸長ブロック領域(M)及びその相補的配列は、いずれのプローブ又はいずれの標的核酸とも特異的に結合しないことを特徴とする請求項7又は8に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項10】
複数の微小液体を収容するためのものであって、各前記微小液体には反応試薬が含まれ、一部の前記微小液体には第1の被検物又は第2の被検物のうちの1種がさらに含まれる、反応液収容部と、
前記反応液収容部における微小液体の温度を調節するための温度調節部と、
前記反応液収容部における微小液体により生成された信号を検出するための信号検出部と、
前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第1の被検物又は第2の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を生成させ、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt1に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体と前記第2の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第1の混合信号を形成し、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt2に調節し、前記第2の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成して、第2の信号を形成し、
ここで、t1<t2であり、前記信号検出部が温度t1及びt2で前記微小液体により生成された信号を採集し、前記第1の混合信号及び第2の信号を出力するように制御する制御部と、
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号と第2の信号とに基づいて第1の信号を算出する信号分析部と、を含む、複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度をt3に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体、前記第2の被検物を含む複数の微小液体及び第3の被検物を含む複数の微小液体が信号を生成し、第2の混合信号を形成し、ここで、t3<t1であり、前記t3とt1は4℃以上異なることを特徴とする請求項10に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項12】
前記t1とt2は4℃以上異なることを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項13】
前記t1とt2は4℃異なることを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項14】
前記信号分析部は、前記第1の混合信号から前記第2の信号を減算して、前記第1の信号を取得することを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項15】
前記第1の混合信号及び第2の信号を採集する際、複数の前記微小液体は、前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持することを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項16】
前記第1の信号は、前記第1の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第2の信号は、前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であることを特徴とする請求項14又は15に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項17】
前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第1の混合信号から、同じ位置に前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記蛍光信号を減算して、前記第1の信号を取得することを特徴とする請求項16に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項18】
前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第2の混合信号から、同じ位置に前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記第1の混合信号を減算して、前記第3の被検物を含む微小液体によって生成された蛍光信号である第3の信号を取得することを特徴とする請求項11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年12月27日に提出された「検出用プライマープローブ、プライマープローブセット及びその応用」という名称の中国特許出願CN202111617233.2の優先権を享受することを請求し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、分子生物学の分野に関し、特に、単一の試料容器における複数種の標的核酸を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、生きた生体を用いずにDNAを酵素複製する分子生物学的技術である。PCRは、一般的に医学及び生物学的研究実験室に用いられ、様々なタスク、例えば感染性疾患の診断、遺伝子クローン、実験動物表現型同定、トランスクリプトーム研究、遺伝性疾患の検出、遺伝子指紋の鑑定、親子鑑定などを担う。比べ物にならない複製能力及び正確性を有するため、PCRは、分子生物学者によって核酸検出の好適な方法として認識される。前世紀の90年代の後期に、米国ABI社から提出されたリアルタイム蛍光定量PCR(Real Time Quantitative PCR、qPCR)技術及び関連製品は、PCRを高感度、高特異性及び正確に定量する核酸配列分析技術に発展させた。
【0004】
デジタルPCR(digital PCR、dPCR)技術は、核酸分子絶対定量技術であり、限界希釈の原理を利用して1つの蛍光定量PCR反応系を数千から数万個分の単独のナノリットルレベルのマイクロリアクターに分配し、各マイクロリアクターに1つ又は複数のコピーの目的核酸分子(DNA標的)を含むか又は含まないようにし、同時に単一分子テンプレートPCR増幅を行う。蛍光定量PCRでは各増幅サイクルを行う時に蛍光を採集する方法と異なり、デジタルPCRは増幅終了後に各反応セルの蛍光信号を独立して採集し、最後にポアソン分布の原理及び陽性/陰性の反応セルの割合によって目的分子の元のコピー数又は濃度を得る。
【0005】
蛍光定量PCRと比較して、デジタルPCRは、Ct値及び検量線に依存せずに正確な絶対定量検出を行うことができ、高感度及び高精度の利点を有する。デジタルPCRは、結果判定を行う際に、「あり/なし」の二つの増幅状態のみを判定するため、蛍光信号と設定閾値線との交点を検出する必要もなく、Ct値の同定に全く依存しないため、デジタルPCR反応及び結果判定は増幅効率の影響を大幅に低減し、PCR反応阻害物に対する耐性が大幅に向上する。また、デジタルPCR実験において反応系に分配する過程は、標的配列と競合作用を有するバックグラウンド配列の濃度を局所的に大幅に低減することができるため、デジタルPCRは、特に複雑なバックグラウンドにおいて希少変異を検出することに適し、現在、液体生検に多く応用され、腫瘍患者の末梢血において希少変異マーカーを検出することを実現する。
【0006】
デジタルPCRの多重検出を実現するために、常用の方法は、標的ごとに1種類のプローブを設計し、異なるプローブの蛍光が異なることにより、異なる標的に対する検出を実現する。しかし、プローブの種類が多すぎると、コストが高いだけでなく、蛍光バックグラウンドが高く、検出感度が低下する。
【発明の概要】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、及び核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得ること、
前記反応系を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置き、反応産物を得ること、
反応産物をn種類の異なる信号採集温度に置いて計n回の信号採集を行い、各前記信号採集温度で1回の信号採集を行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャンネル採集を含むこと、
同一の信号チャンネルにおいて、隣接する2回の前記信号チャンネル採集で得られた信号に差異があるか否かを分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、及び/又は、
同一の信号チャンネルにおいて、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャンネル採集で得られた信号の有無を分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、を含み、
ただし、前記nは≧2の整数であり、かつn≦標的核酸の種類数である、複数種の標的核酸を検出するための方法を提供する。
【0008】
上記の検出方法によれば、複数種の標的核酸に対する検出を実現することができる(デジタルPCRにおいて少なくとも8重反応を実現することができる)。多重検出の実現は、蛍光チャンネルに依存するだけでなく、同一の蛍光チャンネル(即ち、同一の信号チャンネル)において異なる融解温度を利用し、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば、異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0009】
いくつかの実施例において、各種類の信号採集温度で1回の信号採集を行い、n種類の異なる信号採集温度を採用すると、n回の信号採集を行う。いくつかの実施例において、nはすなわち信号採集の回数であり、n≦標的核酸の種類数であり、即ち、信号採集の回数≦標的核酸の種類数である。
【0010】
いくつかの実施例において、前記同一の信号チャンネルにおいて、隣接する2回の信号チャンネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は多くとも1種類異なる。いくつかの実施例において、前記同一の信号チャンネルにおいて、隣接する2回の信号チャンネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は1種類異なる。いくつかの実施例において、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャンネル採集で得られた信号には、多くとも1種類の標的核酸が含まれる。いくつかの実施例において、前記「1種の標的核酸」は、分類非分型の1類標的核酸をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例において、「信号採集」は、反応産物を第1の温度で1回目の信号採集を行い、その後、第2の温度に昇温して2回目の信号採集を行い、その後、第3の温度に昇温し続けて3回目の信号採集を行い、その後、被検サンプルにおける標的核酸が全て検出されるまで昇温及び信号採集を続ける操作を含む。例えば、反応産物を第1の温度で1回目の信号採集を行い、その後、第2の温度まで降温して2回目の信号採集を行い、その後、引き続き第3の温度まで降温して3回目の信号採集を行い、その後、被検サンプルにおける標的核酸が全て検出されるまで降温及び信号採集を続けるという連続降温中に信号採集を行う操作を含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物には1種類のプローブ(1種類のプローブとは、1種の修飾された検出標識、又は蛍光基が同じであり、その塩基配列が同じであってもよく、異なってもよい1種のプローブを指す)しかなく、毎回の信号採集は1回の信号チャネル採集のみを含み、即ち、毎回の信号採集は、ある信号チャネル(蛍光チャネル)で1回の信号採集を行うことである。この場合、隣接する2回の信号チャネルの採集は、隣接する2回の信号採集であり、隣接する2回の信号チャネルの採集により得られた信号に含まれる標的核酸の種類数が1つ異なると、信号採集の回数nは標的核酸の種類数に等しい。例えば、被検サンプルに3種類の標的核酸が含まれ、ある蛍光チャネルで、反応産物を第1の温度で1回目の信号採集(信号チャネル採集に相当する)を行い、得られた信号に3種類の標的が含まれ、その後、第2の温度に昇温して2回目の信号採集を行い、得られた信号に2種類の標的が含まれ、その後、引き続き第3の温度に昇温して3回目の信号採集を行い、得られた信号に1種類の標的が含まれる。隣接する2回の信号採集の信号状況を比較することによって、標的核酸の存在状況を特定することができる。例えば、1回目の信号採集と比較して、2回目の信号採集時に、一部の信号が消失すると、消失した信号が第1の標的であり、2回目の信号採集と比較して、3回目の信号採集時に、他の一部の信号が消失すると、消失した他の一部の信号が第2の標的であり、3回目の信号採集に依然として存在する信号が第3の標的であり、このように、3種類の標的が存在するか否かを全て特定することができる。また、信号消失/存在の数に応じて、各標的の含有量を特定することもできる。
【0013】
いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物には2種類のプローブ(2種類のプローブとは、修飾された検出標識、又は蛍光基が異なり、且つ塩基配列が異なる2種類のプローブを指す)があると、少なくとも1回の信号採集は2回の信号チャネル採集を含む。ここで、2回の信号チャンネル採集、即ち、2つの信号チャンネル(蛍光チャンネル)でそれぞれ1回の信号採集を行う。当業者は、プライマープローブ組成物の設計状況に応じて、反応産物の融解温度、ひいては標的核酸を表す反応産物が検出可能な信号を生成するのに必要な温度、及び所在する蛍光チャネルを予想することができる。したがって、当業者は、プライマープローブ組成物の設計状況に応じて、適切な信号採集温度を選択し、適切な信号チャネル(蛍光チャネル)で信号採集を行うことができる。このように、該実施例において、単管反応において蛍光チャネルと融解温度の2つの次元の分析を同時に行うことができ、即ち、同一の蛍光チャネルを用いて、異なる信号採集温度により、異なる標的を検出することができ、又は、異なる蛍光チャネルを使用すれば、蛍光チャネルの数と信号採集温度特徴との積である標的種類の検出を実現することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記増幅試薬は、PCR反応を促進する試薬、例えばKCl、MgCl2、Tris-HCl、ジチオスレイトール(DTT)、(NH4)2SO4などをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、前記増幅試薬は、重合活性を有するポリメラーゼに加えて、核酸に作用する他の酵素、例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなどをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施例において、同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集とは、2回の信号チャネル採集に用いられる信号採集温度が近いことを指す。例えば、いくつかの実施例において、同一の信号チャネルで、反応産物を第1の温度に置いて1回目の信号チャネル採集を行い、その後、第2の温度に昇温して2回目の信号チャネル採集を行い、その後、引き続き第3の温度に昇温して3回目の信号チャネル採集を行うと、1回目の信号チャネル採集と2回目の信号チャネル採集は隣接する2回の信号チャネル採集となり、2回目の信号チャネル採集と3回目の信号チャネル採集は隣接する2回の信号チャネル採集となるが、1回目の信号チャネル採集と3回目の信号チャネル採集は隣接する2回の信号チャネル採集ではない。
【0016】
いくつかの実施例において、隣接する2回の信号チャネル採集に用いられる信号採集温度を4℃以上異ならせることにより、同一の信号チャネルで隣接する2回の信号チャネル採集により取得された信号に含まれる標的核酸の種類数の差が1つであることを実現し、隣接する2回の信号チャネル採集により取得された標的核酸信号に差がないことを回避し、信号チャネル採集の回数を減少させ、操作ステップを簡略化する。
【0017】
いくつかの実施例において、信号採集温度は0-95℃である。信号採集温度の選択は、当業者が設計されたプライマープローブ組成物の実際の状況に応じて決定することができる。例えば、プライマープローブ組成物の設計により、当業者は、標的核酸を表す反応産物の融解温度がTであり、該標的核酸の信号を検出したい場合、信号採集温度≦Tであり、標的核酸の信号を検出したくない場合、信号採集温度>Tであると予想することができる。
【0018】
いつかの実施例においてく、毎回の信号採集はm回の信号チャネル採集を含み、前記mは前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数である。検出機器のプログラム設計を容易にするために、いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物に2種類のプローブがある場合、毎回の信号採集は2つの信号チャネルで2回の信号チャネル採集を行う。いくつかの実施例において、被検サンプルには5種類の標的があり、この5種類の標的に対するプライマープローブ組成物には、2種類のプローブが含まれ、第1のプローブによって検出される標的の種類は3種類であり、第2のプローブによって検出される標的の種類は2種類であると、反応産物に対して3回の信号採集を行えばよく、毎回の信号採集はいずれも2つの信号チャネルで行われる2回の信号チャネル採集である。このように、ある信号チャネルにおいて、信号採集を3回行ったが、対応する標的が2種類しかなく、信号採集温度が隣接する2回の信号採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数が0個異なる場合がある。これらの実施例において、検出する標的の数が最も多い検出チャネルを基準として、信号採集回数を設定し、信号採集の回数<標的核酸の種類数を実現し、信号採集の回数を減少させる。他の信号チャネルの信号採集回数が最も少ないことを完全に満たすものではないが、機器プログラムの設定がより簡便となり、当業者は実際のニーズに応じて選択することができる。いくつかの実施例において、当業者は、プライマープローブ組成物の設計状況に応じて、所望の標的がないチャネルで信号採集を行わないことを選択することにより、信号採集の回数を減らし、操作ステップを簡略化する。
【0019】
いくつかの実施例において、上記複数種の標的核酸の検出方法は、複数種の標的核酸のデジタルPCR検出方法である。上記反応系を核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置く前に、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、各反応セルは、1つの被検サンプルの標的核酸を含むか又は被検サンプルの標的核酸を含まない。いくつかの実施例において、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することである。いくつかの実施例において、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することである。
【0020】
いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物、被検サンプル(2種類の標的を含む)及び増幅試薬を混合し、反応系を得てから、反応系を500個以上の反応セルに分配し、無数の小液滴を形成し、各小液滴には多くとも1個の被検サンプルの標的核酸が含まれるが、核酸増幅に適する必要な成分、例えば、プライマープローブ組成物及び核酸ポリメラーゼなどの増幅試薬が含まれる。次に、全ての小液滴を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件(ある実施例において、すなわち、PCR増幅条件)に置き、得られた反応産物(増幅産物)を第1の温度で1回目の撮影を行い、一部の小液滴が発光し、2種類の標的の陽性信号を取得し、その後、第2の温度に昇温して2回目の撮影を行い、1回目の撮影の小液滴において、ある小液滴が発光せず、ある小液滴が依然として発光することを発見した。すると、2回目の撮影において依然として発光する小液滴は第1の標的であり、2回目の撮影において発光しないが、1回目の撮影において発光する小液滴は第2の標的である。2回の撮影に用いられる温度及び蛍光チャネルに基づいて、2種類の標的の具体的なタイプを分析することができ、2回目の撮影における発光する小液滴の数を分析することにより、第1の標的の数を取得し、1回目の撮影と2回目の撮影における発光する小液滴の数の差を分析することにより、第2の標的の数を取得することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、上記核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件は、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含む。好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写すること、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含む。
【0022】
いくつかの実施例において、上記核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件は、85℃-105℃で0-15分間予備変性すること、85℃-105℃で2-60秒間変性し、40℃-75℃で10-90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含む。いくつかの実施例において、被検サンプルにおける標的核酸がRNAを含む場合、前記増幅試薬は、逆転写酵素をさらに含み、前記核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件は、30-65℃で2-30分間逆転写すること、85℃-105℃で0-15分間予備変性すること、85℃-105℃で2-60秒間変性し、40℃-75℃で10-90秒間アニール及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含む。
【0023】
いくつかの実施例において、複数種の標的核酸を検出するための方法において、上記プライマープローブ組成物は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含み、前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、異なる種類の標的核酸にそれぞれ特異的に結合する。前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0024】
いくつかの実施例において、前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なる。いくつかの実施例において、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なる。
【0025】
前記第1のプローブとは、1種の修飾された検出標識が同じであり、その塩基配列が同じであってもよく、異なってもよい1種のプローブである。すなわち、プローブの種類数は、その検出標識の種類数に応じて分類される。いくつかの実施例において、1種類のプローブによって生成された信号は、1つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)において信号採集され得、2種類のプローブによって生成された信号は、2つの異なる検出チャネルにおいて信号採集される必要がある。いくつかの実施例において、検出標識が同じであるとは、修飾された検出基が完全に同じであることを意味せず、例えば、検出基が蛍光基と消光基を含み、蛍光基が同じであれば、プローブによって生成された信号を1つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)において信号採集することができる。
【0026】
「少なくとも2種類のプライマーセット」とは、プライマーセットの種類が少なくとも2種類であり、プライマーセット毎に標的核酸の種類が異なり、すなわち、プライマーセット毎にそれに対応する標的核酸と特異的に結合できることを意味する。いくつかの実施例において、1種類のプライマーセットは、1種の非分型の別の標的核酸に対しても特異的結合を実現することができ、この1種の非分型の標的核酸も、1種類の標的核酸と見なすことができる。
【0027】
いくつかの実施例において、プライマーセットはダブルプライマーであり、即ち、同一の標的核酸に対する一対の上流プライマー及び下流プライマーを含む。いくつかの実施例において、プライマーセットが単一プライマーである場合、即ち、ある標的核酸に対する1種類のプライマーのみを含み、当該プライマーは、それに対応する標的核酸に特異的に結合でき、他の種類の標的核酸に特異的に結合できない。
【0028】
いくつかの実施例において、異なる種類のプライマーセットに共通プライマーが存在する可能性があり、例えば、2種類のプライマーセットは、いずれも同様の1種類のプライマーを含む。同様の1種類のプライマーとは、プライマーの配列が完全に同じであることを意味する。
【0029】
該実施例において、ある標的核酸のプライマーセットに対して、生成された第1の一本鎖プレ産物はプローブと特異的に結合した後に伸長しない(即ち、0塩基を伸長)。当業者は、実際のニーズに応じて、プライマーセットにおけるプライマー配列及び/又はプローブの配列を設計することにより、上記の「特異的に結合するが伸長しない」という効果を実現することができ、例えば、生成された第1の一本鎖プレ産物をプローブの5’末端に結合させるように設計し、又は、生成された第1の一本鎖プレ産物の3’末端にプローブと相補的にペアリングしない領域を含むように設計する。
【0030】
オリゴヌクレオチドの融解温度は、オリゴヌクレオチドの長さ、組成等の因子に関連する。当業者は、実際のニーズに応じて、オリゴヌクレオチドの融解温度を調整することができ、例えば、オリゴヌクレオチドのGC含有量を高め、オリゴヌクレオチドの長さをより長くし、より高い融解温度を得ることができる。したがって、当業者は、実際の状況に応じて、プライマー及び/又はプローブの配列組成を調整することにより、異なるプライマーによって形成される一本鎖プリ産物を異ならせ、異なる一本鎖プリ産物が第1のプローブに特異的に結合する位置が異なり、それにより形成される異なる二本鎖産物の融解温度が異なる。つまり、当業者は、実際の状況に応じて、異なる標的を表す二本鎖産物を異ならせ、異なる二本鎖産物が異なる融解温度を有することにより、異なる信号採集温度で得られた異なる標的核酸の信号を取得することができる。いくつかの実施例において、プライマープローブを設計することにより、異なる標的を表す異なる二本鎖産物の融解温度を4℃以上異ならせることができる。
【0031】
いくつかの実施例において、前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、前記第2のプローブは、前記第1のプローブと塩基配列が異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は、少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合する。
【0032】
プローブの種類数は、その検出標識の種類数によって分類される。異なる種類のプローブは、検出標識が異なるため、異なる検出チャネルで信号採集を行う必要がある。いくつかの実施例において、検出標識が異なるとは、修飾された検出基が完全に異なることを意味せず、例えば、検出基が蛍光基と消光基を含み、蛍光基が異なるのであれば(消光基が同じであっても異なってもよい)、2種類のプローブによって生成された信号を2つの検出チャネル(又は蛍光チャネル)で信号採集することを実現することもできる。いくつかの実施例において、プローブの種類数が増加し、異なる標的核酸に対して異なるチャネルで信号検出を行うことを実現でき、より多重の標的核酸の検出を実現できる。
【0033】
本実施例において、「第1のプローブ」、「第2のプローブ」が現れるが、作用を限定するものではなく、本実施例において2種類のプローブのみ存在することに限定されるものでもなく、ここでは、「第1のプローブ」と「第2のプローブ」が異なる種類のプローブに属することを区別するために用いられ、2種類のプローブで修飾された検出標識が異なり、且つ塩基配列も異なる。いくつかの実施例において、より多くの種類の標的核酸を検出するために、標的核酸検出用プライマープローブ組成物は、第3のプローブ及び第3のプライマー混合物、第4のプローブ及び第4のプライマー混合物、第5のプローブ及び第5のプライマー混合物、第6のプローブ及び第6のプライマー混合物、又はより多くのプローブ及びプライマー混合物をさらに含む。異なるプローブで修飾された検出標識が異なり、且つ塩基配列も異なり、異なるプライマー混合物におけるプライマーセットも異なる。つまり、より多重の標的核酸の検出を実現するために、当業者は、必要に応じて、標的核酸に対応するより多くの種類のプライマーセット、及びプライマーセットに対応するより多くの種類のプローブを設計することができる。
【0034】
いくつかの実施例において、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0035】
いくつかの実施例において、第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成される一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第2のプローブとによって形成される二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なる。いくつかの実施例において、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なる。
【0036】
いくつかの実施例において、前記プライマープローブ組成物において、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、いずれの標的核酸とも特異的に結合しない配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、異なるプローブのプローブ信号検出領域(H)の配列が互いに異なり、前記プライマーセットは、第1のプライマーと第2のプライマーとを含み、前記第1のプライマーは、標的配列結合領域1を含み、前記第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2とを含み、且つプライマー信号検出領域(h)は、標的配列結合領域2の5’末端に位置し、前記プライマー信号検出領域(h)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、且つ対応するプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なる。
【0037】
いくつかの実施例において、前記標的配列結合領域1と標的配列結合領域2は、それぞれ標的核酸の異なる位置に特異的に結合する。
【0038】
いくつかの実施例において、プライマー信号検出領域(h)がプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するとは、プライマー信号検出領域(h)の逆相補的配列(h’)であり、プローブのプローブ信号検出領域(H)の一部の配列又は全部の配列と特異的に結合できることを意味する。
【0039】
いくつかの実施例において、上記第1のプライマー及び第2のプライマーは、標的核酸と特異的に結合した後、プライマー信号検出領域(h)の逆相補的配列(h’)を有する一本鎖プレ産物を含むプレ産物を生成し、該一本鎖プレ産物の逆相補的配列(h’)は、プローブのプローブ信号検出領域(H)と特異的に結合した後、≧0個の塩基伸長した後、二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0040】
いくつかの実施例において、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なり、即ち、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列の塩基が異なる及び/又は長さが異なることにより、異なる一本鎖プリ産物の逆相補的配列(h’)の配列が異なり、異なる一本鎖プリ産物がプローブと特異的に結合して0個の塩基、又は>0個の塩基伸長した後に異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度が互いに分離することができ、又は、異なる一本鎖プリ産物がそれぞれ異なる種類のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に、異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度が互いに分離することができないが、異なる二本鎖産物のプローブの種類が異なるため、異なる検出チャネルによりそれらを区別することができる。すなわち、融解温度及び/又は検出チャネルによって、異なる種類の標的核酸を区別し、多重検出を実現することができる。
【0041】
いくつかの実施例において、第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0042】
本発明のいくつかの実施例において、上記標的核酸検出用プライマープローブ組成物において、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、プライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合物の少なくとも1種類のプライマーセットの第1のプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記プローブアンカー領域(A)は、標的配列結合領域1の5’末端に位置し、前記プローブアンカー領域(A)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、前記プライマーアンカー領域(A’)と特異的に結合する。
【0043】
上記プライマーセットにおける第1のプライマー及び第2のプライマーは、標的核酸と特異的に結合してプリ産物を生成し、該プリ産物には、プローブアンカー領域(A)、プライマー信号検出領域(h)の逆相補的配列(h’)を有する一本鎖プリ産物が含まれ、該一本鎖プリ産物のプローブアンカー領域(A)及び逆相補的配列(h’)は、それぞれプローブのプライマーアンカー領域(A’)、プローブ信号検出領域(H)と特異的に結合して≧0個の塩基伸長して二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、プローブが検出可能な信号変化を生じることを引き起こす。
【0044】
異なるプライマーセットにおける第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)、及び/又は、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列組成及び/又は長さを調整することにより、異なるプライマーセットとその標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合することによって生成されたアニーリング温度が異なり、特異的に結合して≧0個の塩基伸長後に形成された二本鎖産物の融解温度も異なり、あるプライマーセットとその標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合するのに必要なアニーリング温度が低いほど、当該一本鎖プレ産物とプローブが特異的に結合して≧0個の塩基伸長後に形成された二本鎖産物の融解温度が高くなることを実現する。
【0045】
いくつかの実施例において、異なるプライマーセットにおける第1のプライマーの標的配列結合領域1の配列が異なり、異なるプライマーセットにおける第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)の配列が同じであっても異なってもよく、好ましくは、第1のプライマーのプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域1との間に0-20個の塩基の間隔がある。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、上記標的核酸検出用プライマープローブ組成物は、上記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)の5’末端に位置する伸長ブロック領域(M)をさらに含み、前記伸長ブロック領域(M)及びその相補的配列は、いずれのプローブ又はいずれの標的核酸とも特異的に結合しない。
【0047】
上記第1のプライマー及び伸長ブロック領域(M)を含む第2のプライマーは、それぞれ標的核酸と特異的に結合してプリ産物を生成し、前記プリ産物には、プライマー信号検出領域(h)の逆相補的配列(h’)を有する1本の一本鎖プリ産物が含まれ、前記一本鎖プリ産物の逆相補的配列(h’)は、プローブと特異的に結合して0個の塩基伸長して二本鎖産物を形成することにより(伸長ブロック領域の存在により、一本鎖プリ産物がプローブと特異的に結合した後に伸長しない)、プローブが検出可能な信号変化を生じることを引き起こす。
【0048】
「第1のプライマー混合物」、「第2のプライマー混合物」等は、限定された対象を区別するために、説明の目的でのみ使用される。両者はいずれもプローブに特異的に結合する一組のプライマー混合物を示し、該プライマー混合物には複数種のプライマーセットが含まれ、これらのプライマーセットにおける第2のプライマーに含まれるプライマー信号検出領域(h)の逆相補的配列(h’)はいずれも同一種類のプローブに特異的に結合することができる。しかし、「第1のプライマー混合物」と「第2のプライマー混合物」とでは、そのプライマーセットが特異的に結合するプローブの種類が異なる。
【0049】
いくつかの実施例において、同一種類のプローブに特異的に結合する一組のプライマー混合物において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーには伸長ブロック領域(M)が含まれ、このようなプライマーセットが標的核酸に特異的に結合した後に生成される一本鎖プリ産物は、プローブに特異的に結合するのに必要なアニーリング温度が最も高く、プローブに特異的に結合した後に伸長せずに生成される二本鎖産物の融解温度が最も低い。
【0050】
本発明において、「第1のプライマー」、「第2のプライマー」は、限定された対象を区別するために、説明の目的でのみ使用され、如何なる形式で順序や主従を限定するものではない。例えば、上記プライマープローブ組成物において、プライマーセットの第1のプライマーと第2のプライマーの構造は交換可能であり、例えば、第1のプライマーはプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、第2のプライマーは標的配列結合領域を含み、また、例えば、第1のプライマーはプライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域を含み、第2のプライマーはプローブアンカー領域(A)と標的配列結合領域を含む。いくつかの実施例において、「第1のプライマー」は「フォワードプライマー」とも呼ばれ、「第2のプライマー」は「リバースプライマー」とも呼ばれる。
【0051】
本発明において、プローブはいずれの標的核酸とも対合結合しない自由設計配列であり、プローブには検出標識が修飾されている。好ましくは、前記検出標識は第1の検出基と第2の検出基を含み、且つ前記第1の検出基と第2の検出基は距離の変化により信号の変化を生じ、好ましくは、前記第1の検出基と前記第2の検出基との間は3-250オングストロームの間隔があり、好ましくは、3-201オングストロームの間隔があり、より好ましくは、3-140オングストロームの間隔があり、及び/又は、前記第1の検出基は蛍光レポーター基であり、前記第2の検出基は消光基又は他の前記第1の検出基と蛍光共鳴エネルギー移動により信号変化を生じることができる修飾基である。
【0052】
本発明において、前記第1の検出基及び第2の検出基のプローブにおける位置により、一本鎖プレ産物の逆相補的配列(h’)とプローブ(P)とが特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、該二本鎖産物の形成により、前記第1の検出基と第2の検出基との位置が変化すれば、プローブが検出可能な信号変化を生じることを引き起こすことができる。前記第1の検出基と前記第2の検出基の位置は交換可能である。
【0053】
いくつかの実施例において、被検標的核酸が存在しない場合、一本鎖プレ産物とプローブとの特異的結合がなく、プローブが一本鎖状態又は他の二次構造を呈し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が近く、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が高い。第1のプライマーにプローブアンカー領域(A)が含まれる場合、被検標的核酸が存在しない場合、プローブのプライマーアンカー領域(A’)と第1のプライマーにおけるプローブアンカー領域(A)とが相補的であっても、プローブの他の部分が一本鎖状態又は他の二次構造を呈し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が依然として近く、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が高い。被検標的核酸が存在する場合、第1のプライマーと第2のプライマーはそれぞれ標的配列と特異的に結合して伸長して二本鎖増幅産物を生成し、そのうちの一本鎖増幅産物とプローブが特異的に結合して二本鎖産物を形成し、このとき、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が長くなり、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が低下し、蛍光信号が変化し、機器により検出される。
【0054】
いくつかの実施例において、プライマープローブ組成物、被検サンプル及び増幅試薬を混合して、反応系を得た後、前記反応系を核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置き、反応産物を得る。具体的には、以下の内容を含む。
【0055】
核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件下で、PCR増幅を行い、以下のプレ産物が得られる。フォワードプライマー(F1)及びリバースプライマー(R1)がそれぞれ標的配列1に特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうち、1本の一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端から3’末端まで順にプローブアンカー領域(A1)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補的配列(h1’)、伸長ブロック領域の逆相補的配列(M’)となる。フォワードプライマー(F2)及びリバースプライマー(R2)がそれぞれ標的配列2に特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうち、1本の一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端から3’末端まで順にプローブアンカー領域(A2)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補的配列(h2’)となる。任意選択的に、フォワードプライマー(F3)及びリバースプライマー(R3)が存在する場合、フォワードプライマー(F3)及びリバースプライマー(R3)がそれぞれ標的配列3に特異的に結合して伸長して二本鎖プレ増幅産物を生成し、そのうち、1本の一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端から3’末端まで順にプローブアンカー領域(A3)、標的配列、プライマー信号検出領域の逆相補的配列(h3’)となる。
【0056】
上記プレ産物を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件(恒温インキュベート、又はいくつかの高低温度サイクルのPCR増幅条件)に置き、反応産物を得る。このとき、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)と一本鎖プレ増幅産物(S1)のプライマー信号検出領域の逆相補的配列(h1’)とが逆相補的に対合し、プローブ(P)のプライマーアンカー領域(A1’)は、一本鎖プレ増幅産物(S1)の5’末端のプローブアンカー領域(A1)と逆相補的に対合し、プローブ(P)と形成したハイブリッド二本鎖産物(D1)を得、その融解温度をT1とし、一本鎖プレ増幅産物(S1)の3’末端の伸長ブロック領域の逆相補的配列(M’)は、プローブ(P)又は標的配列の任意の部分と相補しない。このとき、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補的配列(h2’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A2’)は、一本鎖プレ増幅産物(S2)の5’末端のプローブアンカー領域(A2)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S2)の3’末端は、引き続きプローブ(P)の5’末端まで伸長して、プローブ(P)の一部又は全部の逆相補的配列を得ることができ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S2)をプライマーとし、プローブ(P)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P)と形成した増幅二本鎖産物(D2)を得、その融解温度をT2とし、T2>T1である。任意選択的に、フォワードプライマー(F3)及びリバースプライマー(R3)が存在する場合、このとき、プローブ(P)のプローブ信号検出領域(H)は、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端のプライマー信号検出領域の逆相補的配列(h3’)と相補的に対合し、プローブのプライマーアンカー領域(A3’)は、一本鎖プレ増幅産物(S3)の5’末端のプローブアンカー領域(A3)と逆相補的に対合し、一本鎖プレ増幅産物(S3)の3’末端は、引き続きプローブ(P)の5’末端まで伸長して、プローブ(P)の一部又は全部の逆相補的配列を得ることができ、即ち、一本鎖プレ増幅産物(S3)をプライマーとし、プローブ(P)を鋳型とする二次増幅を完成し、プローブ(P)と形成した増幅二本鎖産物(D3)を得、その融解温度をT3とし、T3>T2である。
【0057】
いくつかの実施例において、反応産物をn種類の異なる信号採集温度に置いてn回の信号採集を行い、その後、同一の信号チャネルにおいて、信号採集温度が隣接する2回の信号採集で取得された信号に有無の差があるか否かを分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定する。具体的に以下の内容を含む。
【0058】
第1の信号採集温度(t1、t1≦T1)で1回目の信号採集を行い、一本鎖増幅産物S1、S2及びS3がそれぞれプローブ(P)と全部又は一部の二本鎖構造D1、D2、D3を形成したため、PCR前のプローブ(P)の状態に比べて、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。さらに温度を第2の信号採集温度(t2、T1<t2≦T2)に昇温して2回目の信号採集を行い、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)が増幅二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できず、蛍光信号の発生がない。一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D2)及び一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D3)は依然として二本鎖状態であり、蛍光信号が機器に検出される。任意選択的に、フォワードプライマー(F3)及びリバースプライマー(R3)が存在する場合、さらに温度を第3の信号採集温度に昇温し(t3、T2<t3≦T3)、3回目の信号採集を行い、一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D2)は、第3の信号採集温度(t3)が増幅二本鎖産物(D2)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できず、蛍光信号の発生がない。一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P)とによって形成された増幅二本鎖産物(D3)は依然として二本鎖状態であり、蛍光信号が機器によって検出される。
【0059】
いくつかの実施例において、反応産物をn種類の異なる信号採集温度に置いてn回の信号採集を行い、その後、同一の信号チャネルにおいて、信号採集温度が隣接する2回の信号採集で取得された信号に有無の差があるか否かを分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定する。具体的に以下の内容を含む。
【0060】
任意選択的に、フォワードプライマー(F3)及びリバースプライマー(R3)が存在する場合、第1の信号採集温度(t3、T2<t3≦T3)で1回目の信号採集を行い、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D1)及び一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D2)は、第1の信号採集温度(t3)が増幅二本鎖産物(D1及びD2)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できない。一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D3)は、PCR前のプローブ(P)の状態に比べて、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。さらに温度を第2の信号採集温度(t2、T1<t2≦T2)に降温して2回目の信号採集を行い、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D1)は、第2の信号採集温度(t2)が増幅二本鎖産物(D1)の融解温度より高いため、二本鎖構造を形成できず、蛍光信号の発生がない。一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D2)は、PCR前のプローブ(P)の状態に比べて、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出される。一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D3)は依然として二本鎖状態であり、蛍光信号が機器によって検出される。さらに温度を第3の信号採集温度(t1、t1≦T1)に降温して3回目の信号採集を行い、一本鎖プレ増幅産物(S1)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D1)は、PCR前のプローブ(P)の状態に比べて、第1の検出基と第2の検出基との間の距離が遠くなり、蛍光共鳴エネルギー移動の効率が低く、蛍光信号が変化し、機器によって検出され、一本鎖プレ増幅産物(S3)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D3)及び一本鎖プレ増幅産物(S2)とプローブ(P)によって形成された増幅二本鎖産物(D2)は依然として二本鎖状態であり、蛍光信号が機器によって検出される。
【0061】
本発明の第2の態様によれば、
複数の微小液体を収容するためのものであって、各前記微小液体には反応試薬が含まれ、一部の前記微小液体には第1の被検物又は第2の被検物のうちの1種がさらに含まれる、反応液収容部と、
前記反応液収容部における微小液体の温度を調節するための温度調節部と、
前記反応液収容部における微小液体により生成された信号を検出するための信号検出部と、
前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第1の被検物又は第2の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を生成させ、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt1に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体と前記第2の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第1の混合信号を形成し、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt2に調節し、前記第2の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成して、第2の信号を形成し、
ここで、t1<t2であり、前記信号検出部が温度t1及びt2で前記微小液体により生成された信号を採集し、前記第1の混合信号及び第2の信号を出力するように制御する制御部と、
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号と第2の信号とに基づいて第1の信号を算出する信号分析部と、を含む、複数種の標的核酸を検出するための装置が提供される。
【0062】
いくつかの実施例において、前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度をt3に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体、前記第2の被検物を含む複数の微小液体及び第3の被検物を含む複数の微小液体が信号を生成し、第2の混合信号を形成し、ここで、t3<t1であり、前記t3とt1は4℃以上異なる。
【0063】
いくつかの実施例において、前記t1とt2は4℃以上異なる。
【0064】
いくつかの実施例において、前記t1とt2は4℃異なる。
【0065】
いくつかの実施例において、前記信号分析部は、前記第1の混合信号から前記第2の信号を減算して、前記第1の信号を取得する。
【0066】
いくつかの実施例において、前記第1の混合信号及び第2の信号を採集する際、複数の前記微小液体は、前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持する。
【0067】
いくつかの実施例において、前記第1の信号は、前記第1の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第2の信号は、前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号である。
【0068】
いくつかの実施例において、前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第1の混合信号から、同じ位置に前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記蛍光信号を減算して、前記第1の信号を取得する。
【0069】
いくつかの実施例において、前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第2の混合信号から、同じ位置に前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記第1の混合信号を減算して、前記第3の被検物を含む微小液体によって生成された蛍光信号である第3の信号を取得する。いくつかの実施例において、各前記微小液体には、核酸を増幅するための増幅物質と、核酸を標識するための標識物質とを含む反応試薬が含まれ、増幅物質は、異なる核酸分子を増幅することができ、標識物質は、所定の温度で核酸と結合して検出可能な信号を生成することができる。
【0070】
いくつかの実施例において、前記反応試薬は、プライマープローブ組成物及び増幅試薬を含み、前記増幅試薬は、核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含み、前記プライマープローブ組成物は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含む。
【0071】
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットがそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合する。
【0072】
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0073】
いくつかの実施例において、前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度は異なり、いくつかの実施例において、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なる。
【0074】
いくつかの実施例において、前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含む。
【0075】
前記第2のプローブと前記第1のプローブの塩基配列が異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットはそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合する。
【0076】
いくつかの実施例において、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。
【0077】
いくつかの実施例において、第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成される一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第2のプローブとによって形成される二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度は異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なる。
【0078】
いくつかの実施例において、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、いずれの標的核酸とも特異的に結合しない配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、異なるプローブのプローブ信号検出領域(H)の配列は互いに異なる。
【0079】
前記プライマーセットは、第1のプライマー及び第2のプライマーを含み、前記第1のプライマーは標的配列結合領域1を含み、前記第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2とを含み、且つプライマー信号検出領域(h)は標的配列結合領域2の5’末端に位置し、前記プライマー信号検出領域(h)はいずれの標的核酸とも特異的に結合せず、且つ対応するプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列は互いに異なる。
【0080】
好ましくは、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、プライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合物の少なくとも1種類のプライマーセットの第1のプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記プローブアンカー領域(A)は、標的配列結合領域1の5’末端に位置し、前記プローブアンカー領域(A)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合しないが、前記プライマーアンカー領域(A’)と特異的に結合する。
【0081】
好ましくは、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは伸長ブロック領域(M)をさらに含み、前記伸長ブロック領域(M)はプライマー信号検出領域(h)の5’末端に位置し、前記伸長ブロック領域(M)及びその相補的配列は、いずれのプローブ又はいずれの標的核酸とも特異的に結合しない。
【発明の効果】
【0082】
本発明のプライマープローブ組成物及びデジタルPCR検出方法は、従来技術と比較して、以下の利点を有する。
(1)方法が簡単。本発明に記載の方法は、デジタルPCRにおいて少なくとも8重の反応を実現することができ、且つ限られた回数の撮影により蛍光の有無を区別すれば異なる標的を区別することができ、デジタルPCRに対する蛍光識別要求が低く、操作が簡単であり、時間を節約する。
(2)多重検出。本発明に記載の方法は、単管反応において蛍光チャネルと融解温度の2つの次元の分析を同時に行うことができ、即ち、同一の蛍光チャネルを使用しても、異なる信号採集温度により、異なる標的を検出することができ、又は、異なる蛍光チャネルにおいて、蛍光チャネルの数と信号採集温度特徴との積である標的種類の検出を実現することができる。
(3)蛍光バックグラウンドが低い。各蛍光チャネルに1種類のプローブを使用するだけで、増幅産物の異なる融解温度によって区別することができ、PCR反応における蛍光バックグラウンドを大幅に低減し、反応感度を向上させる。
(4)融解温度を調整可能。本発明に記載の方法は、二次増幅産物の異なる融解温度を利用して区別するため、プライマー信号検出領域(h)の長さ又は配列を調整するか、又はプライマー信号検出領域(h)とプローブ(P)の全信号検出領域(H)との逆相補的な位置を調整することにより、プローブ(P)と形成する二次増幅二本鎖産物の融解温度を増加又は減少させる。
(5)包容性が良い。本発明に記載のプライマープローブ設計方法は、標的配列と2つの部分の逆相補的ペア、即ちフォワードプライマー(F)とリバースプライマー(R)を有し、Taqman加水分解プローブ法では3つの部分が鋳型と逆相補的に対合することを必要とすることに比べて、標的配列に多くの高変異領域、例えばウイルス又は細菌ゲノムが存在する場合、本発明に記載のプライマープローブ設計方法は包容性が良く、設計難度が低い。
(6)低コスト。試薬において蛍光プローブの数を減らし、試薬コストを大幅に低減し、大規模な普及を可能にする。
(7)単管反応。サンプルに対する消耗が少なく、特に希少サンプルの検出に適用し、検出反応に添加されるサンプル濃度を大幅に向上させ、検出感度を向上させることができるとともに、単管反応は後続の抽出不要なOne-Tube法による検出を可能にする。
(8)操作が簡単。デジタルPCR装置を用いて検出するだけで、毛細管電気泳動又は核酸ハイブリダイゼーションなどの後続のステップがなく、同時に調製が簡単で、投入後に操作する必要がない。
(9)汚染しにくい。本発明に記載の方法は、サンプル添加が完了した後に完全に閉鎖され、後続の検出のために蓋を開ける必要がなく、実験環境を汚染する可能性を大幅に低減する。
(10)感度が高い。本発明に記載の方法は標的配列の長さに対する要求が非常に低く、標的のタイプが短い断片核酸、例えば遊離核酸である場合、より短い標的配列の長さは検出においてより高い感度を有する。
(11)適用範囲が広い。本発明に記載の方法は、血清検体、血漿検体、全血検体、痰検体、拭い検体、洗浄液検体、新鮮組織検体、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)などを含む多種の検体タイプの核酸検出に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1A】実施例1において50℃で採取された信号図である。
【
図1B】実施例1において68℃で採取された信号図である。
【
図2A】実施例2において50℃で採取された信号図である。
【
図2B】実施例2において68℃で採取された信号図である。
【
図2C】実施例2において77℃で採取された信号図である。
【
図3A】実施例3において70℃で採取された信号図である。
【
図3B】実施例3において50℃で採取された信号図である。
【
図4A】実施例4において77℃で採取された信号図である。
【
図4B】実施例4において70℃で採取された信号図である。
【
図4C】実施例4において50℃で採取された信号図である。
【
図5A】本出願の一実施例に開示された複数種の標的核酸の検出装置の模式図である。
【
図5B】本出願の別の実施例に開示された複数種の標的核酸の検出装置の模式図である。
【
図5C】本出願の別の実施例に開示された複数の反応液収容部からなるウェルプレートの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下、具体的な実施形態及び実施例を参照しながら、本発明を具体的に説明するが、本発明の利点及び各種の効果はより明確になる。当業者は、これらの具体的な実施形態及び実施例が本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0085】
以下の実施例では、いずれもMaccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム及び試薬消耗品を用いて検出及びデータ分析を行い、該デジタルPCR分析システムは、サンプル、プライマープローブ組成物及び増幅試薬を含む反応系を4つの反応ウェルに分散させて増幅及び検出を行い(各反応ウェルに複数の小液滴が含まれ、各小液滴が1つの反応セルである)、重複説明を省略するために、以下の実施例の図面はいずれもそのうちの1つの反応ウェルの液滴結果図を提供する。
【0086】
実施例1
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異を検出するための二重検出プライマープローブ系を表1に示す。
【0087】
【0088】
上記プライマープローブにおいて、
前記フォワードプライマーF1-1(SEQ ID NO:2)、リバースプライマーR1-1(SEQ ID NO:3)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F1-1の全長は39bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R1-1プライマーの全長は49bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の6番目から21番目の塩基がプローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の16番目から31番目の塩基配列と同じであり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が増幅ブロック領域である。
前記フォワードプライマーF1-2(SEQ ID NO:4)、リバースプライマーR1-2(SEQ ID NO:5)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2の全長は37bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R1-2プライマーの全長は35bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブP1(SEQ ID NO:1)の5’末端の32番目から41番目の塩基配列と完全に同じである。
【0089】
(2)上記プライマープローブ系を用いて2種類の標的核酸の検出を行い、検出の際に用いた反応系を表2に示す。
【0090】
【0091】
(3)検出時の具体的な操作手順は以下の通りである。
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異の核酸テンプレート及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異の核酸テンプレートを同時に用いて陽性サンプルとして検出した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
反応配置:サンプル準備完了後、表2に記載の配合比で反応系の配置を行った。
デジタルPCR増幅及び信号採集:デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、次に短時間遠心分離した後、室温に5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム)のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間変性し、56℃で30秒間アニール伸長し、合計45個のサイクル行い、50℃で1回目の信号採集を行い、68℃で2回目の信号採集を行った。
データ分析:異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0092】
図1Aは、第1の信号採集温度(50℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴(輝点は陽性液滴である)が見られる。
図1Bは、第2の信号採集温度(68℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図1Aに比べて減少した(
図1Aにおける一部の陽性液滴は、
図1Bにおける対応する位置に陽性液滴がない)。
【0093】
図1Bにおいて、依然として存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異陽性サンプルの信号であり、陽性液滴の個数を分析することにより、遺伝子KPC変異陽性サンプルの含有量を特定することもでき、
図1Bにおいて存在しないが、
図1Aにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異サンプルの信号であり、
図1Aと
図1Bにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子VIM変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
【0094】
図1A及び
図1Bから分かるように、本発明の検出方法によれば、複数種の標的核酸の検出を実現することができる。多重検出の実現は、単に蛍光チャンネルに依存するものではなく、同一の蛍光チャンネル(即ち、同一の信号チャンネル)において異なる融解温度を利用して、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば、異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0095】
実施例2
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異を検出するための三重プライマープローブ系を表3に示す。
【0096】
【0097】
上記プライマープローブにおいて、
前記フォワードプライマーF2-1(SEQ ID NO:2)、リバースプライマーR2-1(SEQ ID NO:3)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-1の全長は39bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R2-1プライマーの全長は49bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の6番目から21番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の5’末端の16番目から31番目の塩基配列と同じであり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が増幅ブロック領域である。
前記フォワードプライマーF2-2(SEQ ID NO:4)、リバースプライマーR2-2(SEQ ID NO:5)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-2の全長は37bpであり、その3’末端の1番目から21番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R2-2プライマーの全長は35bpであり、その3’末端の1番目から22番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の5’末端の32番目から41番目の塩基配列と完全に同じである。
前記フォワードプライマーF2-3(SEQ ID NO:6)、リバースプライマーR2-3(SEQ ID NO:7)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F2-3の全長は35bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R2-2プライマーの全長は37bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から10番目の塩基がプローブP2(SEQ ID NO:1)の3’末端の1番目から10番目の塩基配列と完全に同じである。
【0098】
(2)上記プライマープローブ系を用いて3種類の標的核酸の検出を行い、検出の際に用いた反応系を表4に示す。
【0099】
【0100】
(3)検出時の具体的な操作手順は以下の通りである。
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異の核酸テンプレート、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異の核酸テンプレート及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異の核酸テンプレートを同時に用いて陽性サンプルとして検出した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
反応配置:サンプル準備完了後、表4に記載の配合比で反応系の配置を行った。
デジタルPCR増幅及び信号採集:デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、次に短時間遠心分離した後、室温に5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム)のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間変性し、56℃で30秒間アニール伸長し、合計45個のサイクル行い、40℃で3min恒温インキュベートし、50℃で1回目の信号採集を行い、68℃で2回目の信号採集を行い、77℃で3回目の信号採集を行った。
データ分析:異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0101】
図2Aは、第1の信号採集温度(50℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴(輝点は陽性液滴である)が見られる。
図2Bは、第2の信号採集温度(68℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図2Aに比べて減少した(
図2Aにおける一部の陽性液滴は、
図2Bにおける対応する位置に陽性液滴がない)。
図2Cは、第3の信号採集温度(77℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図2Bに比べて減少した(
図2Bにおける一部の陽性液滴は、
図2Cにおける対応する位置に陽性液滴がない)。
【0102】
図2Cにおいて、依然として存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異陽性サンプルの信号であり、陽性液滴の個数を分析することにより、遺伝子OXA-48変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
図2Cにおいて存在しないが、
図2Bにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子KPC変異サンプルの信号であり、
図2Bと
図2Cにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子KPC変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
図2Bにおいて存在しないが、
図2Aにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異サンプルの信号であり、
図2Aと
図2Bにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子VIM変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
【0103】
図2A-
図2Cから分かるように、本発明の検出方法によれば、複数種の標的核酸の検出を実現することができる。多重検出の実現は、単に蛍光チャンネルに依存するものではなく、同一の蛍光チャンネル(即ち、同一の信号チャンネル)において異なる融解温度を利用して、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば、異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0104】
実施例3
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異を検出するための二重検出プライマープローブ系を表5に示す。
【0105】
【0106】
上記プライマープローブにおいて、
前記フォワードプライマーF3-1(SEQ ID NO:9)、リバースプライマーR3-1(SEQ ID NO:10)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F3-1の全長は39bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP3(SEQ ID NO:8)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R3-1プライマーの全長は49bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の6番目から21番目の塩基がプローブP3(SEQ ID NO:8)の5’末端の16番目から31番目の塩基配列と同じであり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が増幅ブロック領域である。
前記フォワードプライマーF3-2(SEQ ID NO:11)、リバースプライマーR3-2(SEQ ID NO:12)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F3-2の全長は35bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP3(SEQ ID NO:8)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R3-2プライマーの全長は38bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブP3(SEQ ID NO:8)の5’末端の32番目から42番目の塩基配列と完全に同じである。
【0107】
(2)上記プライマープローブ系を用いて2種類の標的核酸の検出を行い、検出の際に用いた反応系を表6に示す。
【0108】
【0109】
(3)検出時の具体的な操作手順は以下の通りである。
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異の核酸テンプレート及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異の核酸テンプレートを同時に用いて陽性サンプルとして検出した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
反応配置:サンプル準備完了後、表6に記載の配合比で反応系の配置を行った。
デジタルPCR増幅及び信号採集:デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、次に短時間遠心分離した後、室温に5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム)のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間変性し、56℃で30秒間アニール伸長し、合計45個のサイクル行い、52℃で3min恒温し、70℃で1回目の信号採集を行い、50℃で2回目の信号採集を行った。
データ分析:異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0110】
図3Aは、第1の信号採集温度(70℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴(輝点は陽性液滴である)が見られる。
図3Bは、第2の信号採集温度(50℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図3Aに比べて増加した(
図3Aにおける一部の陰性液滴は、
図3Bにおける対応する位置に陽性液滴となった)。
【0111】
図3Aにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異陽性サンプルの信号であり、陽性液滴の数を分析することにより、遺伝子OXA-48変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
図3Aにおいて存在しないが、
図3Bにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異サンプルの信号であり、
図3Aと
図3Bにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子VIM変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
【0112】
図3A及び
図3Bから分かるように、本発明の検出方法によれば、複数種の標的核酸の検出を実現することができる。多重検出の実現は、単に蛍光チャンネルに依存するものではなく、同一の蛍光チャンネル(即ち、同一の信号チャンネル)において異なる融解温度を利用して、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば、異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0113】
実施例4
(1)カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP変異を検出するための三重プライマープローブ系を表7に示す。
【0114】
【0115】
前記フォワードプライマーF4-1(SEQ ID NO:9)、リバースプライマーR4-1(SEQ ID NO:10)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F4-1の全長は39bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:18)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R4-1プライマーの全長は49bpであり、その3’末端の1番目から25番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の6番目から21番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:8)の5’末端の16番目から31番目の塩基配列と同じであり、その5’末端の1番目から5番目の塩基が増幅ブロック領域である。
前記フォワードプライマーF4-2(SEQ ID NO:11)、リバースプライマーR4-2(SEQ ID NO:12)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F4-2の全長は35bpであり、その3’末端の1番目から19番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:8)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R4-2プライマーの全長は38bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から11番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:8)の5’末端の32番目から42番目の塩基配列と同じである。
前記フォワードプライマーF4-3(SEQ ID NO:13)、リバースプライマーR4-3(SEQ ID NO:14)は、いずれもカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP変異標的配列に対して設計された特異的プライマーであり、F4-3の全長は40bpであり、その3’末端の1番目から24番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から13番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:8)の5’末端の1番目から13番目の塩基配列と逆相補的であり、R4-3プライマーの全長は35bpであり、その3’末端の1番目から23番目の塩基が標的配列結合領域であり、その5’末端の1番目から9番目の塩基がプローブP4(SEQ ID NO:8)の3’末端の1番目から9番目の塩基配列と同じである。
【0116】
(2)上記プライマープローブ系を用いて3種類の標的核酸の検出を行い、検出の際に用いた反応系を表8に示す。
【0117】
【0118】
(3)検出時の具体的な操作手順は以下の通りである。
サンプル作製:カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異の核酸テンプレート、カルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異の核酸テンプレート及びカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IPM変異の核酸テンプレートを同時に用いて陽性サンプルとして検出した。テンプレートレスコントロール(NTC)として純水を用いた。
反応配置:サンプル準備完了後、表8に記載の配合比で反応系の配置を行った。
デジタルPCR増幅及び信号採集:デジタルPCRチューブを蓋で密封した後、サンプルを軽く均一に混合し、次に短時間遠心分離した後、室温に5min静置した。再度デジタルPCRチューブをパームトップ遠心分離機に入れ、短時間遠心分離した後、デジタルPCR装置(Maccura Biotechnology Co.,LtdのD600全自動デジタルPCR分析システム)のサンプルホルダーに移した。使用した増幅及び採光プロセスは、95℃で2分間予備変性し、94℃で10秒間変性し、56℃で30秒間アニール伸長し、合計45個のサイクル行い、40℃で3min恒温インキュベートし、77℃で1回目の信号採集を行い、70℃で2回目の信号採集を行い、50℃で3回目の信号採集を行った。
データ分析:異なる信号採集温度での陽性液滴により結果を判定した。
【0119】
図4Aは、第1の信号採集温度(77℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴(輝点は陽性液滴である)が見られる。
図4Bは、第2の信号採集温度(70℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図4Aに比べて増加した(
図4Aにおける一部の陰性液滴は、
図4Bにおける対応する位置に陽性液滴となった)。
図4Cは、第3の信号採集温度(50℃)における液滴図であり、バックグラウンドと区別される陽性液滴が見られ、且つ陽性液滴の数が
図4Bに比べて増加した(
図4Bにおける一部の陰性液滴は、
図4Cにおける対応する位置に陽性液滴となった)。
【0120】
図4Aにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子IMP変異陽性サンプルの信号であり、陽性液滴の個数を分析することにより、遺伝子IMP変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
図4Aにおいて存在しないが、
図4Bにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子OXA-48変異サンプルの信号であり、
図4Aと
図4Bにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子OXA-48変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
図4Bにおいて存在しないが、
図4Cにおいて存在する陽性液滴は、即ちカルバペネム系抗生物質耐性遺伝子VIM変異サンプルの信号であり、
図4Bと
図4Cにおける陽性液滴の差を分析することにより、遺伝子VIM変異陽性サンプルの含有量を特定することもできる。
【0121】
図4A-
図4Bから分かるように、本発明の検出方法によれば、複数種の標的核酸の検出を実現することができる。多重検出の実現は、単に蛍光チャンネルに依存するものではなく、同一の蛍光チャンネル(即ち、同一の信号チャンネル)において異なる融解温度を利用して、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば、異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0122】
発明を実施するための形態2
本願の実施例は、核酸に対して多重検出を行うための複数種の標的核酸の検出装置を提供し、限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば異なる標的を区別することができ、デジタルPCRの蛍光識別に対する要求が低く、操作が簡単で、時間を節約する。
【0123】
当業者が本出願の方案をよりよく理解するために、本出願の実施例における技術的方案は、本出願の実施例における図面を参照して以下に説明され、明らかに、説明される実施例は、本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本出願に基づく実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属するべきである。
【0124】
なお、本願の実施例及び図面における用語「含む」及び「有する」並びにそれらの任意の変形は、非排他的に包含することをカバーすることを意図する。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、列挙されたステップ又はユニットに限定されず、列挙されていないステップ又はユニットを任意選択でさらに含み、又は、これらのプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを任意選択でさらに含む。
【0125】
本出願で使用される用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書において様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語に限定されないことが理解されよう。これらの用語は、第1の要素を他の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本願の範囲から逸脱せず、第1の被検物を第2の被検物と称してもよく、同様に、第2の被検物を第1の被検物と称してもよい。第1の被検物と第2の被検物の両方が被検物であるが、同じ被検物ではない。尚また、本出願の実施例において使用される「複数の」という用語は、2つ又は2つ以上を意味する。
【0126】
以下、実施例の形で、本願の技術的方案をさらに説明する。
【0127】
本実施形態の複数種の標的核酸の検出装置は、被検サンプルを検出するためのものであり、被検サンプルには、1種の被検成分が含まれてもよく、2種、3種、4種、5種乃至それ以上の被検成分が含まれてもよく、本実施形態の核酸検出装置によれば、被検サンプル中の複数種の被検成分の検出を実現できる。
【0128】
図5A及び
図5Bを参照すると、本実施形態の複数種の標的核酸の検出装置は、反応液収容部1と、温度調節部2と、信号検出部3と、制御部4と、信号分析部5とを含む。ここで、反応液収容部1は、被検成分を含む被検サンプルと、被検成分と反応可能な反応試薬とを収容するためのものであり、被検サンプルと反応試薬との様々な反応を生じさせるための場所を提供する。ここで、温度調節部2は、被検サンプルと反応試薬とが異なる温度で異なる反応を生じるように、反応液収容部1内の混合液の温度を調節するためのものである。ここで、信号検出部3は、混合液中の特定の反応後の特定の物質による信号を検出するものであり、当該信号は、光学信号であってもよいし、電気信号であってもよい。ここで、制御器4は、温度調節部2を制御して異なる温度パターンで反応液収容部1内の混合液の温度を調節し、信号検出部3を制御して混合液中の特定の物質による信号を検出する。ここで、信号分析部5は、信号検出部3が採集した信号を分析するためのものである。
【0129】
I.被検サンプル
被検サンプルは人体又は動物体からの体液であり、被検サンプルには異なる被検成分が含まれ、被検成分は核酸又はタンパク質であってもよい。本実施形態は、被検成分を核酸として技術的方案を説明する。人体又は動物体から直接採取された被検サンプルに対して、核酸抽出精製操作を実行して核酸を抽出することができ、この操作は、手動で実行されてもよく、専門化された核酸抽出器で実行されてもよい。人体又は動物体から直接採取された被検サンプルに対して、核酸抽出精製操作を実行しなくてもよい。被検サンプルには、異なる被検核酸分子、例えば、第1の被検物(第1の被検標的核酸)、第2の被検物(第2の被検標的核酸)、第3の被検物(第3の被検標的核酸)、第4の被検物(第4の被検標的核酸)、第5の被検物(第5の被検標的核酸)などが含まれる。
【0130】
II.反応試薬
反応試薬には、核酸を増幅するための増幅物質と、核酸を標識するための標識物質とが含まれ、増幅物質は、異なる核酸分子を増幅することができ、標識物質は、所定の温度で核酸と結合して検出可能な信号を生成することができる。異なる核酸は、標識物質と結合する温度範囲が異なり、結合後に標識物質と分離する温度範囲も異なる。異なる被検核酸を増幅する増幅物質におけるプライマーは異なり、異なる被検核酸を標識する標識物質は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施例において、同じ標識物質で異なる被検核酸を標識する。
【0131】
いくつかの実施例において、反応試薬は、プライマープローブ組成物及び増幅試薬を含み、増幅試薬は、核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含み、プライマープローブ組成物は、プローブ及びプライマー混合物を含む。プライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、プライマー混合物中のプライマーセットは、それに対応する標的核酸に特異的に結合した後、プレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブに特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブに特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後、二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こす。いくつかの実施例において、前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度は異なる。いくつかの実施例において、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なる。
【0132】
III.微小液体
微小液体は、エマルションに形成された微小液滴であってもよいし、容器上の細孔内に収容された微量液体であってもよい。各微小液体には、多くとも1単位の核酸分子と、複数種の標的核酸を増幅して複数種の標的核酸を標識するのに十分な反応試薬とが含まれている。例えば、被検サンプルに2種類の被検標的核酸、即ち第1の被検物、第2の被検物があれば、微小区分け処理後、各第1の被検物、各第2の被検物が異なる微小液体に分配され、1つの微小液体に十分な量の試薬があり、微小液体における第1の被検物の増幅と標識のニーズを満たすことができるだけでなく、微小液体における第2の被検物の増幅と標識のニーズも満たすことができる。
【0133】
微小液体を作製する過程は、高周波振動によって微小液体を形成する方式であってもよい。マイクロパイプによって試料及び十分な量の試薬を吸引し、マイクロパイプを油性液体の下方に挿入して高周波振動させ、振動の過程においてマイクロパイプにおける試料及び試薬の微小液体を所定の速度で排出することにより、振動によって微小液滴、即ち微小液体を振り切り、微小液体は油性液体と相溶せず、反応しない。適宜な振動周波数、振動振幅、微小液体の排出速度を設定することにより、形成された各微小液体に多くとも1単位の核酸分子しかないことを確保することができる。
【0134】
容器に複数の微小区分けを設け、被検サンプルと反応試薬の微小液体を複数の微小区分けに加えることにより、各微小区分けに多くとも1単位の核酸分子が存在するようにしてもよい。
【0135】
IV.反応液収容部
図5Aに示すように、反応液収容部は上方に開口したボックス状容器であり、液体注入機構によって被検核酸と試薬を該ボックス状容器に入れ(即ち、上記のような高周波振動によって微小液体を形成する方式)、実験室作業者によって被検核酸と試薬を該ボックス状容器に入れてもよい。
【0136】
図5Bに示すように、反応液収容部はマイクロ流路に連通するチャンバであり、マイクロ流体駆動構造によって被検核酸と試薬が該チャンバに入るように駆動する。
【0137】
被検標的核酸の絶対定量検出を実現するために、被検核酸と試薬を含む微小液体は、500個以上、例えば、20000個程度の微小液体に包まれ、各微小液体には、1つの被検核酸分子が含まれ、又は被検核酸分子が含まれず、被検サンプルにおいて被検物が何種類があるかに関わらず、いずれも異なる微小液体に分配される(これは理想的な状態であり、少量の微小液体に1つ以上の被検標的核酸分子が含まれる可能性がある)。
【0138】
本実施例では、反応液収容部がボックス状容器であるとして説明し、反応液収容部に試料や試薬と相溶せず、試料や試薬とも反応しない油性液体を注入し、高周波振動方式を用いて油性液体内に微小液体を形成し、微小液体を自重により反応液収容部の底部に敷き詰める。
【0139】
図1Cに示すように、ウェルプレート100は複数の反応液収容部1からなり、反応液収容部1の底部は平板形状であり、複数の微小液体を反応液収容部1の底部に敷き詰めることができる。
【0140】
V.温度調節部
図5A及び
図5Bに示すように、温度調節部2は、反応液収容部1の下方、上方又は側方に設けられ、反応液収容部1に熱を与えてもよいし、反応液収容部1の熱を吸収してもよく、反応液収容部1内の微小液体を昇温及び降温する機能を果たす。温度調節部2は、反応液収容部1内の微小液体の温度を4℃~105℃の範囲で変化させることができる。
図5Aに示すように、反応液収容部1が上方に開口したボックス状の容器である場合には、温度調節部に反応液収容部を載置するための専用の載置位置を設け、反応液収容部1の温度調節が必要な場合には載置位置に載置するようにしてもよい。
図5Bに示すように、反応液収容部1がマイクロ流路に連通するチャンバである場合、加熱効率などの要因を組み合わせて、温度調節部2を反応液収容部1の適宜な方位に設置してもよい。
【0141】
本実施例において、温度調節部2は、複数の反応液収容部1からなるウェルプレート100の下方に設置され、接触して平坦なウェルプレート100に対して昇温、降温操作を行うことにより、ウェルプレート100内の各反応液収容部1内の微小液体をウェルプレート100の温度の昇降に伴って温度変化させる。
【0142】
VI.信号検出部
図示するように、信号検出部3は、反応液収容部1の近傍に設けられており、反応液収容部1中の微小液体により生成された信号の違いに応じて、信号検出部は、光信号(例えば蛍光信号)を検出するデバイス(カメラ又は光電デバイス)又は電気信号を検出可能なデバイスであってもよい。例えば、信号検出部がカメラである場合、反応液収容部に敷き詰められた信号を撮影してもよい。信号検出部3は、反応液収容部1に対して移動可能であり、制御部は、信号を検出する必要がある場合に、駆動機構を制御して信号検出部3を反応液収容部1に近接する位置(例えば、
図5Aに示す上方)に移動させる。
図5Bに示すように、信号検出部3は、反応液収容部に対して固定的に設けられてもよい。
【0143】
VII.制御部
図示するように、制御部4は、温度調節部2、信号検出部3と通信可能に接続されている。制御部は、温度調節部と通信可能に接続され、温度調節部が異なるモードで動作するように制御するための第1の制御部と、信号検出部と通信可能に接続され、信号検出部が反応液収容部内の微小液体からの信号を採集するように制御するための第2の制御部とを含んでもよい(未図示)。
図5A及び
図5Bに示すように、制御部4は、温度調節部と信号検出部とを同時に制御可能な単一の部材であってもよい。
【0144】
VIII.信号分析部
図示するように、信号分析部5は、信号検出部3と通信可能に接続されている。信号分析部は、信号検出部により採集された信号に基づいて分析を行い、被検標的核酸の信号を取得することにより、被検サンプルに被検標的核酸が含まれているか否か、含まれている被検標的核酸の種類及び数等の情報を取得する。
【0145】
実施例1
本実施例は、被検サンプルには、第1の被検物(第1の被検標的核酸)と第2の被検物(第2の被検標的核酸)とが含まれる、二重検出の装置及び方法を例示的に説明した。なお、第1の被検物から生成された第1の被検関連産物(被検標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション及び/又はヌクレアーゼ切断などの操作を経た後、それに対応する被検関連産物を生成し、通常、被検関連産物は核酸である)は、試薬中の標識物質と結合することができる。第2の被検物から生成された第2の被検関連産物も、試薬中の標識物質と結合することができる。本実施例では、ある温度モードにおいて、第1の被検物は第1の被検関連産物を生成し、標識物質と結合し、同時に、該温度モードにおいて、第2の被検物は第2の被検関連産物を生成し、標識物質と結合する。しかし、両者の分離温度が異なり、第1の被検関連産物は第1の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第2の被検関連産物は第2の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第1の分離温度範囲と第2の分離温度範囲の最低温度が異なる。本実施例では、第2の分離温度範囲の最低温度は、第1の分離温度範囲の最低温度よりも高い。例えば、第1の被検関連産物は、温度t1以上である場合に標識物質と分離可能であり、第2の被検関連産物は、温度t2以上である場合に標識物質と分離可能であり、温度t2は温度t1よりも高い。
【0146】
被検サンプルにおける異なる被検核酸に対して多重検出を行い、且つ限られた回数の撮影により蛍光の有無を区別すれば異なる標的(標的核酸)を区別することができるように、本実施例では、被検サンプルと反応試薬(プライマープローブ組成物と増幅試薬を含む)との混合液を反応液収容部に加えて複数の微小液体を形成し、制御部は以下の制御を実行する。
【0147】
制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を調節し、被検サンプルにおける被検標的核酸に、関連する被検関連産物を生成させ(被検核酸は第1の被検核酸、第2の被検核酸を含むが、異なる微小液体に存在する)、この過程において、微小液体は複数の温度サイクルを経て、各温度サイクルにおいて、微小液体は複数の異なる温度に変化し、当該温度で所定時間持続し、サイクル数は複数、例えば20-60個、例えば40個程度であってもよい。各サイクルにおいて、微小液体は高温状態に達し、二本鎖核酸は一本鎖核酸になり、その後、微小液体は低温状態に達し、一本鎖核酸はアニール及び伸長過程を経る(アニール、伸長はそれぞれ異なる温度で行ってもよく、伸長温度はアニール温度より高い)。複数の温度サイクルを経た後、被検サンプル中の異なる被検標的核酸及び/又は異なる被検関連産物の数はいずれも増加し(即ち、各微小液体中の被検標的核酸及び/又は被検関連産物の量はいずれも増加するが、被検核酸の種類は変わらない)、より検出されやすい。増幅過程のアニーリング温度を適宜設定することにより、被検核酸及び/又は被検関連産物の数が増加し、試薬中の標識物質と結合し、第1の被検物又は第2の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を発生させる。
【0148】
40個の温度サイクルを行う前に、微小液体をまず温度t0まで加熱し、試料中の被検核酸を一定時間(約2-5分間)予備変性させてもよい。一定時間で予備変性するのは、標的核酸を二本鎖状態から一本鎖状態にするためである。
【0149】
40個のサイクルが完了した後、制御部は、温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt1に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体と前記第2の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第1の混合信号を形成する。温度t1において、第2の被検物又は第2の被検物の関連産物と標識物質とが結合状態にあり、信号を生成し、また、第1の被検物又は第1の被検物の関連産物と標識物質とも結合状態にあり、信号を生成する。単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの被検核酸分子しかないため、この被検核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もあり、温度t1において、第1の被検核酸を含む微小液体と第2の被検核酸を含む微小液体はいずれも信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0150】
次に、制御部は、前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt2(t2>t1)に調節し、前記第2の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成し、第2の信号を形成する。温度t2において、第1の被検物又は第1の被検物の関連産物と標識物質とが分離するため、検出可能な信号が発生しないが、第2の被検物又は第2の被検物の関連産物と標識物質とは依然として結合状態にあり、信号が発生する。同様に、単一の核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの核酸分子しかないため、この核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もあり、温度t2において、第2の被検核酸が位置する複数の微小液体のみが信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0151】
第1の混合信号と第2の信号とをよりよく区別するために、t1とt2とは4℃以上異なり、例えば、4-40℃異なり、また、例えば、4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃、4-5℃又は4℃など異なる。
【0152】
より正確な第1の信号を取得するために、前記第1の混合信号と第2の信号を採集する時に、複数の前記微小液体が前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持する。
【0153】
制御部の上記制御により、信号検出部が微小液体から発生した信号を検出する際に、隣接する2回の信号を採集して得られた信号に含まれる標的核酸の種類数が1種類異なることを実現できる(即ち、第1の混合信号には第1の被検物と第2の被検物の信号が含まれるが、第2の信号には第1の被検物の信号のみが含まれる)。
【0154】
被検サンプル中の標的核酸の種類及び数を取得し、被検サンプル中の異なる被検核酸の多重検出を実現するために、信号分析部は以下の操作を行う。
【0155】
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号と第2の信号に基づいて、第1の信号を算出する。信号分析部は、前記第1の混合信号から前記第2の信号を減算することにより、前記第1の信号を取得することができる。具体的には、信号分析部は、前記微小液体により生成された第1の混合信号から、同じ位置に前記第2の被検物を含む微小液体により生成された前記蛍光信号を減算して、前記第1の信号を取得する。ここで、第1の信号は、前記第1の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第2の信号は、前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号である。
【0156】
前記信号検出部によって採集された第2の信号に基づいて、第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号を直接取得することができる。
【0157】
単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に多くとも1つの被検核酸分子があるため(一部の微小液体に被検核酸分子が含まれない場合、各信号採集温度でいずれも信号が発生しない)、この被検核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もある。第1の混合信号において信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第1の被検物と第2の被検物の総数を取得する。第2の信号において信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第2の被検物の数を取得する。第1の混合信号における第1の被検物と第2の被検物の総数から、第2の信号における第2の被検物の数を減算することにより、第1の被検物の数を取得する。
【0158】
実施例2
本実施例では、被検サンプルに、第1の被検物(第1の被検標的核酸)と、第2の被検物(第2の被検標的核酸)と、第3の被検物(第3の被検標的核酸)とが含まれる三重検出の装置及び方法を例示的に説明する。同様に、第1の被検物により生成された第1の被検関連産物(被検標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション及び/又はヌクレアーゼ切断などの操作を経た後、それに対応する被検関連産物を生成し、通常、被検関連産物は核酸である)は、試薬中の標識物質と結合可能である。第2の被検物により生成された第2の被検関連産物は、試薬中の標識物質と結合可能であり、第3の被検物により生成された第3の被検関連産物は、試薬中の標識物質と結合可能である。本実施例では、ある温度モードで、第1の被検物は第1の被検関連産物を生成し、標識物質と結合し、同時に、該温度モードで、第2の被検物は第2の被検関連産物を生成し、標識物質と結合し、第3の被検物は第3の被検関連産物を生成し、標識物質と結合する。しかし、三者の分離温度が異なり、第1の被検関連産物は第1の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第2の被検関連産物は第2の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第3の被検関連産物は第3の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第1の分離温度範囲、第2の分離温度範囲及び第3の分離温度範囲の最低温度はそれぞれ異なる。本実施例では、第3の分離温度範囲の最低温度は、第1の分離温度範囲の最低温度よりも低く、第1の分離温度範囲の最低温度は、第2の分離温度範囲の最低温度よりも低い。例えば、第1の被検関連産物は、温度t1以上である場合に標識物質と分離可能であり、第2の被検関連産物は、温度t2以上である場合に標識物質と分離可能であり、第3の被検関連産物は、温度t3以上である場合に標識物質と分離可能であり、ここで、温度t3<t1<t2である。
【0159】
被検サンプルにおける異なる被検核酸に対して三重検出を行い、且つ限られた回数の撮影によって蛍光の有無を区別すれば異なる標的(標的核酸)を区別することができるように、本実施例では、被検サンプルと反応試薬(プライマープローブ組成物と増幅試薬を含む)との混合液を反応液収容部に加えて複数の微小液体を形成し、制御部は以下の制御を実行する。
【0160】
制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を調節し、被検サンプルにおける被検標的核酸に、関連する被検関連産物を生成させ(被検標的核酸は、第1の被検物、第2の被検物及び第3の被検物を含むが、異なる微小液体に存在する)、この過程において、微小液体は複数の温度サイクルを経て、各温度サイクルにおいて、微小液体は複数の異なる温度に変化し、当該温度で所定時間持続し、サイクル数は複数、例えば20-60個、例えば40個程度であってもよい。各サイクルにおいて、微小液体は高温状態に達し、二本鎖核酸は一本鎖核酸になり、その後、微小液体は低温状態に達し、一本鎖核酸はアニール及び伸長過程を経る(アニール、伸長はそれぞれ異なる温度で行ってもよく、伸長温度はアニール温度より高い)。複数の温度サイクルを経た後、被検サンプル中の異なる被検標的核酸及び/又は異なる被検関連産物の数はいずれも増加し(即ち、各微小液体中の被検標的核酸及び/又は被検関連産物の量はいずれも増加するが、被検核酸の種類は変わらない)、より検出されやすい。増幅過程のアニーリング温度を適宜設定することにより、被検核酸及び/又は被検関連産物の数が増加し、試薬中の標識物質と結合し、第1の被検物又は第2の被検物又は第3の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を発生させる。
【0161】
40個の温度サイクルを行う前に、微小液体をまず温度t0まで加熱し、試料中の被検核酸を一定時間(約2-5分間)予備変性させてもよい。一定時間で予備変性するのは、標的核酸を二本鎖状態から一本鎖状態にするためである。
【0162】
40個のサイクルが完了した後、制御部は、温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt3に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体、前記第2の被検物を含む複数の微小液体及び前記第3の被検物を含む複数の微小液体は、いずれも信号を生成し、第2の混合信号を形成する。温度t3において、第2の被検物又は第2の被検物の関連産物と標識物質とが結合状態にあり、信号を生成し、また、第1の被検物又は第1の被検物の関連産物と標識物質とも結合状態にあり、同時に信号を生成し、第3の被検物又は第3の被検物の関連産物と標識物質とも結合状態にあり、信号も生成する。単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの被検核酸分子しかないため、この被検核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸又は第3の被検核酸である可能性もあり、温度t3において、第1の被検核酸を含む微小液体、第2の被検核酸を含む微小液体及び第3の被検核酸を含む微小液体は、いずれも信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0163】
次に、制御部は、温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt1(t1>t3)に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体と前記第2の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第1の混合信号を形成する。温度t1において、第2の被検物又は第2の被検物の関連産物と標識物質とが結合状態にあり、信号を生成し、また、第1の被検物又は第1の被検物の関連産物と標識物質とも結合状態にあり、同時に信号を生成するが、第3の被検物又は第3の被検物の関連産物と標識物質とも分離状態にあり、検出可能な信号を生成しない。単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの被検核酸分子しかないため、この被検核酸分子は第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸である可能性もある。温度t1において、第1の被検核酸を含む微小液体と第2の被検核酸を含む微小液体はいずれも信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0164】
次に、制御部は、前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt2(t2>t1)に調節し、前記第2の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成し、第2の信号を形成する。温度t2において、第1の被検物又は第1の被検物の関連産物と標識物質とが分離し、第3の被検物又は第3の被検物の関連産物と標識物質とが分離するため、いずれも検出可能な信号が発生しないが、第2の被検物又は第2の被検物の関連産物と標識物質とは依然として結合状態にあり、信号が発生する。同様に、単一の核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体には1つの核酸分子しかないため、温度t2において、第2の被検核酸が存在する複数の微小液体のみが信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0165】
第2の混合信号、第1の混合信号及び第2の信号をよりよく区別するために、t1とt2とは4℃以上異なり、例えば、4-40℃異なり、また、例えば、4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃、4-5℃又は4℃など異なる。t1とt3とは4℃以上異なり、例えば、4-40℃異なり、また、例えば、4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃、4-5℃又は4℃など異なる。
【0166】
より正確な第1の信号及び第3の信号を取得するために、前記第2の混合信号、第1の混合信号及び第2の信号を採集する時に、複数の前記微小液体が前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持する。
【0167】
制御部の上記制御により、信号検出部が微小液体から発生した信号を検出する際に、隣接する2回の信号を採集して得られた信号に含まれる標的核酸の種類数が1種類異なることを実現できる(即ち、第2の混合信号には第1の被検物、第2の被検物及び第3の被検物の信号が含まれ、第1の混合信号には第1の被検物と第2の被検物の信号が含まれるが、第2の信号には第1の被検物の信号のみが含まれる)。
【0168】
被検サンプル中の標的核酸の種類及び数を取得し、被検サンプル中の異なる被検核酸の多重検出を実現するために、信号分析部は以下の操作を行う。
【0169】
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号及び第2の混合信号に基づいて、第3の信号を算出する。信号分析部は、前記第2の混合信号から前記第1の混合信号を減算することにより、前記第3の信号を取得することができる。具体的には、信号分析部は、前記微小液体により生成された第2の混合信号から、同じ位置に前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体とにより生成された前記第1の混合信号を減算して、第3の信号を取得する。ここで、前記第2の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と、前記第2の被検物を含む微小液体と、前記第3の被検物を含む微小液体とにより生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と、前記第2の被検物を含む微小液体とにより生成された蛍光信号であり、第3の信号は、前記第3の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号である。
【0170】
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号と第2の信号に基づいて、第1の信号を算出する。信号分析部は、前記第1の混合信号から前記第2の信号を減算することにより、前記第1の信号を取得することができる。具体的には、信号分析部は、前記微小液体により生成された第1の混合信号から、同じ位置に前記第2の被検物を含む微小液体により生成された前記蛍光信号を減算して、前記第1の信号を取得する。ここで、第1の信号は、前記第1の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第2の信号は、前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号である。
【0171】
前記信号検出部が採集した第2の信号に基づいて、第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号を直接取得することができる。
【0172】
単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に多くとも1つの被検核酸分子があるため(一部の微小液体に被検核酸分子が含まれない場合、各信号採集温度においていずれも検出可能な信号を生成しない)、この被検核酸分子は、第1の被検核酸である可能性があり、第2の被検核酸又は第3の被検核酸である可能性もある。第2の混合信号における信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第1の被検物、第2の被検物及び第3の被検物の総数を取得する。第1の混合信号における信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第1の被検物及び第2の被検物の総数を取得する。第2の信号における信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第2の被検物の数を取得する。第2の混合信号における第1の被検物、第2の被検物及び第3の被検物の総数から、第1の混合信号における第1の被検物及び第2の被検物の総数を減算することにより、第3の被検物の数を取得する。第1の混合信号における第1の被検物及び第2の被検物の総数から、第2の信号における第2の被検物の数を減算することにより、第1の被検物の数を取得する。
【0173】
実施例3
本実施例は、被検サンプルには、第4の被検物(第4の被検標的核酸)と第5の被検物(第5の被検標的核酸)とが含まれる、二重検出の装置及び方法を例示的に説明した。なお、第4の被検物から生成された第4の被検関連産物(被検標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション及び/又はヌクレアーゼ切断などの操作を経た後、それに対応する被検関連産物を生成し、通常、被検関連産物は核酸である)は、試薬中の標識物質と結合することができる。同様に、第5の被検物から生成された第5の被検関連産物も、試薬中の標識物質と結合することができる。本実施例では、ある温度モードにおいて、第4の被検物は第4の被検関連産物を生成し、標識物質と結合し、同時に、該温度モードにおいて、第5の被検物は第5の被検関連産物を生成し、標識物質と結合する。しかし、両者の分離温度が異なり、第4の被検関連産物は第4の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第5の被検関連産物は第5の分離温度範囲内で試薬中の標識物質と分離でき、第4の分離温度範囲と第4の分離温度範囲の最低温度が異なる。本実施例では、第4の分離温度範囲の最低温度は、第5の分離温度範囲の最低温度よりも高い。例えば、第4の被検関連産物は、温度t4以上である場合に標識物質と分離可能であり、第5の被検関連産物は、温度t5以上である場合に標識物質と分離可能であり、温度t4は温度t5よりも高い。
【0174】
被検サンプルにおける異なる被検核酸に対して多重検出を行い、且つ限られた回数の撮影により蛍光の有無を区別すれば異なる標的(標的核酸)を区別することができるように、本実施例では、被検サンプルと反応試薬(プライマープローブ組成物と増幅試薬を含む)との混合液を反応液収容部に加えて複数の微小液体を形成し、制御部は以下の制御を実行する。
【0175】
制御部は、温度調節部を制御して反応液収容部における微小液体の温度を調節し、被検サンプルにおける被検標的核酸に、関連する被検関連産物を生成させ(被検核酸は第4の被検核酸、第5の被検核酸を含むが、異なる微小液体に存在する)、この過程において、微小液体は複数の温度サイクルを経て、各温度サイクルにおいて、微小液体は複数の異なる温度に変化し、当該温度で所定時間持続し、サイクル数は複数、例えば20-60個、例えば40個程度であってもよい。各サイクルにおいて、微小液体は高温状態に達し、二本鎖核酸は一本鎖核酸になり、その後、微小液体は低温状態に達し、一本鎖核酸はアニール及び伸長過程を経る(アニール、伸長はそれぞれ異なる温度で行ってもよく、伸長温度はアニール温度より高い)。複数の温度サイクルを経た後、被検サンプル中の異なる被検標的核酸及び/又は異なる被検関連産物の数はいずれも増加し(即ち、各微小液体中の被検標的核酸及び/又は被検関連産物の量はいずれも増加するが、被検核酸の種類は変わらない)、より検出されやすい。増幅過程のアニーリング温度を適宜設定することにより、被検核酸及び/又は被検関連産物の数が増加し、試薬中の標識物質と結合し、第4の被検物又は第5の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を発生させる。
【0176】
40個の温度サイクルを行う前に、微小液体をまず温度t0まで加熱し、試料中の被検核酸を一定時間(約2-5分間)予備変性させてもよい。一定時間で予備変性するのは、標的核酸を二本鎖状態から一本鎖状態にするためである。
【0177】
40個のサイクルが完了した後、制御部は、前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt4に調節し、前記第4の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成し、第4の信号を形成する。温度t4において、第5の被検物又は第5の被検物の関連産物と標識物質とが分離するため、検出可能な信号は発生しないが、第4の被検物又は第4の被検物の関連産物と標識物質とは依然として結合状態にあり、信号が発生する。同様に、単一の核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの核酸分子しかないため、この核酸分子は第4の被検核酸である可能性があり、第5の被検核酸である可能性もあり、温度t4において、第4の被検核酸が存在する複数の微小液体のみが信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0178】
次に、制御部は、温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt5(t5<t4)に調節し、前記第4の被検物を含む複数の微小液体と前記第5の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第3の混合信号を形成する。温度t5において、第4の被検物又は第4の被検物の関連産物と標識物質とが結合状態にあり、信号を生成し、また、第5の被検物又は第5の被検物の関連産物と標識物質とも結合状態にあり、信号を生成する。単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に1つの被検核酸分子しかないため、この被検核酸分子は、第4の被検核酸である可能性があり、第5の被検核酸である可能性もある。温度t5において、第4の被検核酸を含む微小液体及び第5の被検核酸を含む微小液体は、いずれも信号を生成することができる。複数の微小液体が重なる場合、このような微小液体が発する信号は無効信号であり、重ならない単一の微小液体が発する信号は有効信号である。
【0179】
第4の信号と第3の混合信号をよりよく区別するために、t4とt5は4℃以上異なり、例えば、4-40℃異なり、また、例えば、4-30℃、4-20℃、4-18℃、4-15℃、4-12℃、4-10℃、4-8℃、4-6℃、4-5℃又は4℃など異なる。
【0180】
より正確な第5の信号を取得するために、前記第4の信号と第3の混合信号を採集する時に、複数の前記微小液体が前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持する。
【0181】
制御部の上記制御により、信号検出部が微小液体から発生した信号を検出する際に、隣接する2回の信号を採集して得られた信号に含まれる標的核酸の種類数が1種類異なることを実現できる(即ち、第4の信号には第4の被検物の信号のみが含まれ、第3の混合信号には第4の被検物と第5の被検物の信号が含まれる)。
【0182】
被検サンプル中の標的核酸の種類及び数を取得し、被検サンプル中の異なる被検核酸の多重検出を実現するために、信号分析部は以下の操作を行う。
【0183】
前記信号検出部が採集した前記第4の信号と第3の混合信号に基づいて、第5の信号を算出する。信号分析部は、前記第3の混合信号から前記第4の信号を減算することにより、前記第5の信号を取得することができる。具体的には、信号分析部は、前記微小液体により生成された第3の混合信号から、同じ位置に前記第4の被検物を含む微小液体により生成された前記蛍光信号を減算することにより、前記第5の信号を取得する。ここで、第4の信号は、前記第4の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第5の信号は、前記第5の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第3の混合信号は、前記第4の被検物を含む微小液体と前記第5の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号である。
【0184】
前記信号検出部が採集した第4の信号に基づいて、第4の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号を直接取得することができる。
【0185】
単一の被検核酸分子が1つの微小液体に分配され、即ち、1つの微小液体に多くとも1つの被検核酸分子があるため(一部の微小液体に被検核酸分子が含まれない場合、各信号採集温度でいずれも信号が発生しない)、この被検核酸分子は第4の被検核酸である可能性があり、第5の被検核酸である可能性もある。第3の混合信号において信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第4の被検物と第5の被検物の総数を取得する。第4の信号において信号を生成する微小液体の数を分析することにより、第4の被検物の数を取得する。第3の混合信号における第4の被検物と第5の被検物の総数から、第4の信号における第4の被検物の数を減算することにより、第5の被検物の数を取得する。
【0186】
もちろん、当業者は、上記実施例に基づいて、如何にして本出願に開示された技術的方案を利用して、時間が節約された、効率的な四重核酸検出(被検サンプルにおける4種類の標的核酸を検出すること)、五重核酸検出(被検サンプルにおける5種類の標的核酸を検出すること)、六重核酸検出(被検サンプルにおける6種類の標的核酸を検出すること)又はより多重の核酸検出などを実現するかを合理的に推測することができる。
【0187】
当業者であれば、上記実施例の方法における全部又は一部のフローを実現することは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアを指令することによって完成されることができ、前記プログラムは、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができ、該プログラムが実行される場合、上記各方法の実施例のフローを含むことができることを理解できる。ここで、該記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、ROMなどであってもよい。
【0188】
ここで使用されるメモリ、ストレージ、データベース、又は他の媒体の任意の参照は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを含み得る。適切な不揮発性メモリは、ROM、プログラマブルROM(Programmable ROM、PROM)、消去可能PROM(Erasable PROM、EPROM)、電気的消去可能PROM(Electrically Erasable PROM、EEPROM)、又はフラッシュメモリを含み得る。揮発性メモリは、外部キャッシュメモリとして使用されるランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を含み得る。限定ではなく説明として、RAMは、例えばスタティックRAM(Static RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(Dynamic Random Access Memory、DRAM)、シンクロナスDRAM(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(Double Data Rate SDRAM、DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(Enhanced Synchronous DRAM、ESDRAM)、シンクロナスリンクDRAM(Synchlink DRAM、SLDRAM)、ラムバスRAM(Rambus DRAM、RDRAM)及びダイレクト型ラムバスRAM(Direct Rambus DRAM、DRDRAM)などの様々な形式であってもよい。
【0189】
明細書全文に記載の「一つの実施例」又は「一実施例」は、実施例に関する特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味することを理解されたい。したがって、明細書全体の様々な箇所に現れる「一つの実施例において」又は「一実施例において」は、必ずしも同一の実施例を指すとは限らない。また、これらの特定の特徴、構造又は特性は、任意の適切な方式で1つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。当業者であれば、明細書に記載された実施例はいずれも選択可能な実施例に属し、関連する動作及びモジュールは必ずしも本願に必須なものではないことも理解すべきである。
【0190】
本出願の様々な実施例では、前述の各プロセスの番号の大きさは、必ずしも実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、本出願の実施例の実施プロセスを限定することなく、プロセスの機能及び内部論理によって決定されるべきであることを理解されたい。
【0191】
本出願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、各ユニットが単独で物理的に存在してもよいし、2つ又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0192】
上記統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータが取得可能なメモリに記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本出願の技術的方案は、本質的に、又は従来技術に貢献する部分又は当該技術的方案の全部又は一部が、ソフトウェア製品の形態で具現化されてもよく、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つのメモリに記憶され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなどであってもよく、具体的には、コンピュータデバイスのプロセッサであってもよい)が本出願の各実施例における前述の方法のステップの一部又は全部を実行するようにするためのいくつかの要求を含む。
【0193】
以上、本願の実施例に開示された複数種の標的核酸を検出するための装置、検出方法について詳細に説明した。本明細書において具体的な例を用いて本願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本願の方法及びその中心思想の理解を助けるためのものに過ぎない。同時に、当業者にとって、本願の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲においていずれも変更箇所がある可能性があり、以上のように、本明細書の内容は本願を限定するものと理解すべきではない。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマープローブ組成物と、被検サンプルと、及び核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含む増幅試薬とを混合し、反応系を得ること、
前記反応系を、核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置き、反応産物を得ること、
反応産物をn種類の異なる信号採集温度に置いて計n回の信号採集を行い、各前記信号採集温度で1回の信号採集を行い、毎回の信号採集は少なくとも1回の信号チャネル採集を含むこと、
同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の前記信号チャネル採集で得られた信号に差異があるか否かを分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、及び/又は、
同一の信号チャネルにおいて、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャネル採集で得られた信号の有無を分析し、被検サンプルに標的核酸が存在するか否かを特定すること、を含み、
ただし、前記nは≧2の整数であり、かつ前記n≦標的核酸の種類数であることを特徴とする複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項2】
前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は多くとも1種類異なり、好ましくは、前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集で得られた信号に含まれる標的核酸の種類数は1種類異なり、好ましくは、採用された信号採集温度が最も高い前記信号チャネル採集で得られた信号には、多くとも1種類の標的核酸が含まれることを特徴とする請求項1に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項3】
前記同一の信号チャネルにおいて、隣接する2回の信号チャネル採集に用いられる信号採集温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項1
又は2に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項4】
前記毎回の信号採集はm回の信号チャネル採集を含み、前記mは前記プライマープローブ組成物におけるプローブの検出標識の種類数であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項5】
前記反応系を核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件に置く前に、前記反応系を500個以上の反応セルに分配することをさらに含み、各反応セルは、1つの被検サンプルの標的核酸を含むか又は被検サンプルの標的核酸を含まない、好ましくは、前記信号採集は、カメラにより蛍光信号を採集することであり、前記信号チャネル採集は、蛍光信号チャネルでカメラにより蛍光信号を採集することであることを特徴とする請求項1
又は2に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項6】
前記核酸ポリメラーゼによるハイブリダイゼーション及び伸長反応を可能にする条件は、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含み、好ましくは、被検サンプルにおける標的がRNAである場合、前記増幅試薬は逆転写酵素をさらに含み、前記反応系に対して1回目のPCR増幅を行う反応条件は、約30-約65℃で約2-約30分間逆転写すること、約85℃-約105℃で0-約15分間予備変性すること、約85℃-約105℃で約1-約60秒間変性し、約40℃-約75℃で約3-約90秒間アニーリング及び伸長し、20-60個のサイクルを行うことを含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項7】
前記プライマープローブ組成物は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含み、
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、異なる種類の標的核酸にそれぞれ特異的に結合し、
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
好ましくは、前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項1
又は2に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項8】
前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、
前記第2のプローブは、前記第1のプローブと塩基配列が異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は、少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットは、それぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
好ましくは、前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
好ましくは、第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成される一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第2のプローブとによって形成される二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度が異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項
7に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項9】
前記第1のプローブ又は第2のプローブは、いずれの標的核酸とも特異的に結合しない配列であり、プローブ信号検出領域(H)を含み、異なるプローブのプローブ信号検出領域(H)の配列が互いに異なり、
前記プライマーセットは、第1のプライマーと第2のプライマーとを含み、前記第1のプライマーは、標的配列結合領域1を含み、前記第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)と標的配列結合領域2とを含み、且つプライマー信号検出領域(h)は、標的配列結合領域2の5’末端に位置し、前記プライマー信号検出領域(h)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、且つ対応するプローブのプローブ信号検出領域(H)と一部又は全部が同じ配列を有するものであり、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なり、
好ましくは、前記第1のプローブ又は第2のプローブは、プライマーアンカー領域(A’)をさらに含み、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合物の少なくとも1種類のプライマーセットの第1のプライマーは、プローブアンカー領域(A)をさらに含み、前記プローブアンカー領域(A)は、標的配列結合領域1の5’末端に位置し、前記プローブアンカー領域(A)は、いずれの標的核酸とも特異的に結合せず、前記プライマーアンカー領域(A’)と特異的に結合し、
好ましくは、前記第1のプライマー混合物又は第2のプライマー混合において、多くとも1種類のプライマーセットにおける第2のプライマーは、プライマー信号検出領域(h)の5’末端に位置する伸長ブロック領域(M)をさらに含み、前記伸長ブロック領域(M)及びその相補的配列は、いずれのプローブ又はいずれの標的核酸とも特異的に結合しないことを特徴とする請求
項8に記載の複数種の標的核酸を検出するための方法。
【請求項10】
複数の微小液体を収容するためのものであって、各前記微小液体には反応試薬が含まれ、一部の前記微小液体には第1の被検物又は第2の被検物のうちの1種がさらに含まれる、反応液収容部と、
前記反応液収容部における微小液体の温度を調節するための温度調節部と、
前記反応液収容部における微小液体により生成された信号を検出するための信号検出部と、
前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度を調節し、第1の被検物又は第2の被検物を含む複数の微小液体に同時に信号を生成させ、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt1に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体と前記第2の被検物を含む複数の微小液体とが信号を生成し、第1の混合信号を形成し、
前記温度調節部を制御して前記微小液体の温度をt2に調節し、前記第2の被検物を含む複数の微小液体のみが信号を生成して、第2の信号を形成し、
ここで、t1<t2であり、前記信号検出部が温度t1及びt2で前記微小液体により生成された信号を採集し、前記第1の混合信号及び第2の信号を出力するように制御する制御部と、
前記信号検出部が採集した前記第1の混合信号と第2の信号とに基づいて第1の信号を算出する信号分析部と、を含む、複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記温度調節部を制御して前記反応液収容部における微小液体の温度をt3に調節し、前記第1の被検物を含む複数の微小液体、前記第2の被検物を含む複数の微小液体及び第3の被検物を含む複数の微小液体が信号を生成し、第2の混合信号を形成し、ここで、t3<t1であり、前記t3とt1は4℃以上異なることを特徴とする請求項10に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項12】
前記t1とt2は4℃以上異なることを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項13】
前記信号分析部は、前記第1の混合信号から前記第2の信号を減算して、前記第1の信号を取得することを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項14】
前記第1の混合信号及び第2の信号を採集する際、複数の前記微小液体は、前記反応液収容部の底部に敷き詰められ、且つ常に同じ位置状態を保持することを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項15】
前記第1の信号は、前記第1の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第2の信号は、前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であり、前記第1の混合信号は、前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体により生成された蛍光信号であることを特徴とする請求項
10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項16】
前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第1の混合信号から、同じ位置に前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記蛍光信号を減算して、前記第1の信号を取得することを特徴とする請求項
15に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項17】
前記信号分析部は、前記微小液体によって生成された第2の混合信号から、同じ位置に前記第1の被検物を含む微小液体と前記第2の被検物を含む微小液体によって生成された前記第1の混合信号を減算して、前記第3の被検物を含む微小液体によって生成された蛍光信号である第3の信号を取得することを特徴とする請求項11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項18】
前記反応試薬は、プライマープローブ組成物及び増幅試薬を含み、前記増幅試薬は、核酸ポリメラーゼ及びdNTPsを含み、前記プライマープローブ組成物は、第1のプローブ及び第1のプライマー混合物を含み、
前記第1のプライマー混合物は、少なくとも2種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットがそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
前記第1のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第1のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第1のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
前記第1のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成された一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第1のプローブとによって形成された二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度は異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項10又は11に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【請求項19】
前記プライマープローブ組成物は、第2のプローブ及び第2のプライマー混合物をさらに含み、
前記第2のプローブと前記第1のプローブの塩基配列が異なり、且つ修飾された検出標識も異なり、前記第2のプライマー混合物は少なくとも1種類のプライマーセットを含み、異なる種類のプライマーセットはそれぞれ異なる種類の標的核酸に特異的に結合し、
前記第2のプライマー混合物におけるプライマーセットは、それに対応する標的核酸と特異的に結合した後にプレ産物を生成し、前記プレ産物には、第2のプローブと特異的に結合する一本鎖プレ産物が含まれ、前記一本鎖プレ産物は、第2のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に二本鎖産物を形成し、前記二本鎖産物の形成は、検出可能な信号変化を引き起こし、
前記第2のプライマー混合物における異なる種類のプライマーセットは、それに対応する標的核酸とによって生成される一本鎖プレ産物が異なり、異なる一本鎖プレ産物は、第2のプローブとによって形成される二本鎖産物が異なり、異なる二本鎖産物の融解温度は異なり、好ましくは、異なる二本鎖産物の融解温度は4℃以上異なることを特徴とする請求項18に記載の複数種の標的核酸を検出するための装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
いくつかの実施例において、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列が互いに異なり、即ち、異なるプライマーセットにおける第2のプライマーのプライマー信号検出領域(h)の配列の塩基が異なる及び/又は長さが異なることにより、異なる一本鎖プリ産物の逆相補的配列(h’)の配列が異なり、異なる一本鎖プリ産物がプローブと特異的に結合して0個の塩基、又は>0個の塩基伸長した後に異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度の差が大きく(例えば、4℃又はそれ以上)、融解温度により互いに分離することができ、又は、異なる一本鎖プリ産物がそれぞれ異なる種類のプローブと特異的に結合して≧0個の塩基伸長した後に、異なる二本鎖産物を形成し、異なる二本鎖産物の融解温度の差が小さく(例えば、4℃未満)、融解温度により互いに分離することができないが、異なる二本鎖産物のプローブの種類が異なるため、異なる検出チャネルによりそれらを区別することができる。すなわち、融解温度及び/又は検出チャネルによって、異なる種類の標的核酸を区別し、多重検出を実現することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0139】
図5Cに示すように、ウェルプレート100は複数の反応液収容部1からなり、反応液収容部1の底部は平板形状であり、複数の微小液体を反応液収容部1の底部に敷き詰めることができる。
【国際調査報告】